特表2017-502935(P2017-502935A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-502935薬剤の活性剤をin−situ放出させるための滞留装置及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-502935(P2017-502935A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(54)【発明の名称】薬剤の活性剤をin−situ放出させるための滞留装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/00 20060101AFI20170105BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20170105BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20170105BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20170105BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20170105BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20170105BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20170105BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20170105BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170105BHJP
【FI】
   A61K9/00
   A61K47/42
   A61K47/36
   A61K47/32
   A61K47/12
   A61K47/22
   A61K47/18
   A61K47/02
   A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-536242(P2016-536242)
(86)(22)【出願日】2014年12月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】IL2014051063
(87)【国際公開番号】WO2015083171
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】61/912,204
(32)【優先日】2013年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】508341359
【氏名又は名称】チューリップ メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100139549
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 泉
(72)【発明者】
【氏名】ニル ベットサー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー アートマノフ
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076AA94
4C076AA98
4C076BB01
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD42
4C076DD43
4C076DD51
4C076DD59
4C076EE09
4C076EE37
4C076EE38
4C076EE41
4C076EE42
4C076EE43
4C076FF31
4C076FF32
4C076FF35
4C076FF54
(57)【要約】
本発明は、胃内滞留装置とシステムを包含するものであって、一以上の拡張性コンパートメントを有する胃内滞留要素と、一以上の活性剤を含む剤形要素とを備える。同装置及びシステム(及びそのキット)は、一以上の活性剤のin-situ放出と投与の方法に用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初の崩壊形状を有する一以上の種類の外側生分解性膜を含む一以上の拡張性コンパートメントを有する胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントはコンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システム。
【請求項2】
最初の崩壊形状を有する一以上の種類の外側膜を有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張形状に拡張させる一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システム。
【請求項3】
生分解性膜を含む一以上の層と、液体が接触すると前記膜の形状を拡張形状に拡張させる一以上の化合物を含む一以上の拡張性層とを有する一以上の拡張性多層生分解性膜を含む胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システム。
【請求項4】
最初の崩壊形状を有する外側生分解性膜を有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張形状に拡張させる一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素であって、前記活性剤は持続放出形態であるか難溶性であるかのいずれかである、剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は外側が互いに連結している、
システム。
【請求項5】
前記コンパートメントは、一以上の種類の生分解性膜によって形成されている、請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記胃内滞留要素は更に、一以上の活性剤を含む、請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記剤形要素は胃内滞留要素に連結され、一以上の活性剤を有し、一以上の拡張性コンパートメントは最初の崩壊形状を有する外側生分解性膜を有し、前記コンパートメントは同コンパートメントの形状を拡張させる一以上の化合物を含む、
請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記剤形要素は、一以上の外側生分解性膜内に包まれている、
請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記生分解性膜は、前記剤形要素の一以上の活性剤に対して、持続放出型の性質を付与する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
胃内で分解可能で嚥下可能なカプセルに包まれた、請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記一以上のコンパートメントの形状を拡張させる一以上の化合物は、前記生分解性膜の層の一つを形成する、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記外側生分解性膜は、400ミクロン未満の厚みを有する、請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記外側生分解性膜は、約3〜60ミクロンの厚みを有する、請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記外側生分解性膜は、約10〜25ミクロンの厚みを有する、請求項1から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記膜は、多層膜である、請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記膜は、二以上の異なる層を有する、請求項1から15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記膜は、三以上の異なる層を有する、請求項1から16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記多層膜の一以上の層は、腸で分解可能である、請求項1から17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
前記膜は一以上の機械的又は化学的に形成された開口を備える、請求項1から18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記一以上のコンパートメントの形状を拡張させる一以上の化合物は、ゲル形成化合物、気体生成化合物、発泡化合物、液体を吸収可能な化合物、及びこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1から19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記ゲル形成化合物は、ゼラチン、アルジネート、キトサン、アミロース、コラーゲン、ポリアクリル酸ナトリウム、加工デンプン、エラスチン、及びこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記気体生成化合物は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、酸性ピロりん酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも一つから選択される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
二以上のコンパートメントを備え、各コンパートメントは外側膜を有し、それぞれの体積を増大させる一以上の化合物をそれぞれ包み込む、請求項1から22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
前記一以上のコンパートメントは、1cm3以上の全体充填体積を有する、請求項1から23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記一以上のコンパートメントは、約1cm3〜50cm3の全体充填体積を有する、請求項1から24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記一以上のコンパートメントの外側膜は、胃に到達すると、液体をコンパートメント内に浸透させることにより、部分的にその体積を増大又は拡張させる、請求項1から25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記一以上の活性剤は、持続制御形態である、請求項1から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記持続制御形態は、胃内で持続制御される形態である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記活性剤は、200mg以上の用量である、請求項1から28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記一以上の活性剤は、8時間以上の胃内滞留時間を有する、請求項1から29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
前記一以上の活性剤は、約8時間〜48時間の胃内滞留時間を有する、請求項1から30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
活性剤を患者の胃に投与する方法であって、請求項1〜31のいずれかに記載のシステムを用いて患者に投与する方法。
【請求項33】
請求項1〜31のいずれかに記載のシステムと、その使用手順とを備えるキット。
【請求項34】
更に患者の胃内に装置を送る手段を備える、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
更に、患者の胃内において前記システムに接すると同システムを構造的に分解させる分解形態を備える、請求項33又は34に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性剤をin-situ放出させるのに使用される胃内滞留装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
ここに開示される主題の背景として関連すると考えられる引例を以下に述べる。
EP1124534は、口から投与される薬剤が幽門を通過するのを遅らせるための装置であって、胃液に接すると拡がる部材と、液体は透過するが気体は透過させないポリマーコートとを備える装置に関する。
【0003】
US3901232は、計量装置のプログラムされたレートで薬剤を制御された状態で連続的に投与する薬剤投与装置であって、つぶれたバルーンに取り付けられた薬剤投与装置を格納する、生分解性の容器を備える装置に関する。
US4055178は、上下面に孔を有する微小孔コンパートメントに封入された薬剤蓄積部から構成されるシステムに関する。蓄積部の外周壁は完全に密閉されているため、胃の壁に溶解されていない薬剤が接触するのを防ぐ。
【0004】
ここに記載した引例は、ここに開示される主題の特許性に何らかの関連があるという意味で引用したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1124534号明細書
【特許文献2】米国特許第390123号明細書
【特許文献3】米国特許第4055178号明細書
【0006】
(背景)
薬剤の経口投与は、投与が簡便であること、患者が順守しやすいこと、また剤形において柔軟性があることから、薬剤投与手段として最も好まれている手段である。短時間作用型(immediate-release(IR))から持続放出型(slow-release(SR))まで、経口投薬はここ数十年進歩してきている。
【0007】
薬物吸収は、不十分なことがよくあり、個人差が極めて大きい。その理由としては、本来生理的なものであり、通常、薬剤の胃腸(gastro-intestine(GI))通過、特に胃の滞留時間(gastric residence time(GRT))による影響があり、これは、通過時間全体にばらつきが出る要因として最も大きい要因の一つと考えられる。
近年、より長く予測可能な時間薬剤を胃に滞留させるための新規な投与形態に対して関心が高まり、これに対応すべく、胃の滞留投与装置を向上させる様々な試みがなされてきている。かかる装置には、例えば、胃液中に薬剤投与装置を浮遊させるものがある。
【0008】
胃は解剖学的に3つの領域に分割される。基底部、本体部、そして胃洞(幽門)である。基底部と本体部を形成する部分は主に、消化されないものの貯留部として作用する。一方、胃洞は、混合運動のための主要な部分であり、推進動作によって胃の中のものを排出するポンプとして作用する。よって、胃内滞留装置は、胃の中のぜん動波による力に耐え、胃の排出メカニズムに抗しなければならない。これらの特徴は、胃内滞留装置の大きさ、形、素材の構成により実現される。
【0009】
胃内滞留システムは、数時間胃の領域内に留まるように設計される。よって、薬剤の胃中の滞留時間を大きく延ばすことになる。胃内の滞留時間を長くすることは、生体利用効率を向上させることにより薬剤の薬物動態を修正し、薬剤の無駄を減らすため、副作用を減らし、吸収剤のpH環境において溶けにくい薬剤の溶解性を向上させる。これは、胃や近位小腸における吸収性が限定的である薬剤にとっては最もメリットが高い。
【0010】
胃腸管において放出されるとすぐに吸収される薬剤にとっては、生体利用効率の向上が期待される。このような薬剤は、理想的には胃から持続放出によって投与することができる。よって、より長い時間胃に滞留させるシステム(胃内滞留型薬剤投与システム (gastro retentive drug delivery system(GRDDS))は、薬剤吸収が胃腸管(ほとんどの場合小腸の上部であって多くの経口薬剤にとって好ましい吸収部位)で生じる時間を延ばすことになる。
【0011】
特定のタイプの薬剤や必須栄養素は、GRDDSを利用することによりメリットを得ることができる。特に、胃の中で部分的に作用するもの、主に胃に吸収されるもの、アルカリpHにおける溶解性が低いもの、吸収が限定的であるもの、胃腸管からの吸収が速いもの、小腸の粘膜を刺激するもの、1日に二回以上投与されるものは、メリットが高い。
過去20年間、有効成分が所定の制御されたレートで所定の時間にわたって放出される薬剤貯留部として作用する数多くの経口投与システムが開発されてきた。これらのシステムは、持続放出型(slow-release(SR))薬剤と呼ばれる。しかし、薬剤の放出特性が優れていても、胃中の薬剤の滞留時間が十分でないため対象ポイントにおいて有効成分を完全に吸収させることができない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明において記載される胃の装置は、胃腸管の上部における薬剤吸収を可能にし、胃腸管の下部を通る薬剤の量を最小化する。よって、同装置は、GRDDSとして機能し、治効を向上させ、耐性を増大させ、副作用を削減し、利便性の高い投与を実現する。
【0013】
(一般的記載の説明)
「胃内滞留要素」と称する場合、同用語は、本発明のシステムに胃内滞留特性を付与する要素、つまり、本発明のシステムを、健全な人間の患者において典型的な胃内排出時間を越える時間滞留させる要素を含む(本発明のシステムの胃内滞留時間は、胃から消化されたものを排出する典型的な胃内排出時間より長い)。
【0014】
「生分解性層」、「生分解性膜」、或いは「生分解性多層」と称する場合、生物学的環境(すなわち、投与される個体の胃管等、生物学的システム、生物学的システムの条件をシミュレートした類似の体外環境にさらされたとき、かかる膜/層は分解される、或いは膜/層の性質が劣化することを意味する。
「外側膜」と称する場合、同用語は、コンパートメントの外側表面を形成する生体適合膜層を意味する。外側膜は、分解されていない膜又は層及び生分解性膜又は層のうち少なくとも一つ、或いはその組み合わせから形成される。一部の実施形態では、かかる外側膜又は層は、異なる性質(例えば、異なる剛性)や浸透性を有する異なる種類のフィルムや膜の一部から形成されていてもよい。
【0015】
「コンパートメント」と称する場合、同用語は、上記外側膜(一部の実施形態においては生分解性層又は膜)により包囲される空間を形成する分割された領域や区域を含む。かかるコンパートメントの形状や形態は、本発明の目的やシステムに適したものであればよい。更に、本発明のシステムは一以上のコンパートメントを含み、実施形態によっては、互いに連結されたり、別々に形成されたりしてもよい。他の実施形態においては、本発明のシステムは一以上のコンパートメントを含み、互いに連結されていてもよい。また、上記胃内滞留要素の各コンパートメントのそれぞれ又は一以上は、上記剤形要素に連結されている。
【0016】
「崩壊形状」又は「最初の崩壊形状」と称する場合、同用語は、上記胃内滞留要素のコンパートメントの形状に関するものであって、一以上のコンパートメント又は膜を拡張することができる一以上の混合物が胃液を吸収する前の、初期形状又は初期体積を有するコンパートメントの形状のことをいう。この最初の崩壊形状では、上記胃内滞留要素は、そのまま或いは実施形態によっては折られたり丸められたりして嚥下可能なカプセルに入れることが可能な大きさを有する。これは、上記剤形要素と一緒であってもそうでなくてもよい。
【0017】
「拡張形状」と称する場合、同用語は、上記胃内滞留要素の一以上のコンパートメント又は膜の形状及び/又は体積をいい、この場合一以上の化合物が胃液を吸収した上記一以上のコンパートメント又は膜の体積を拡張及び/又は増大させる(及び/又は形状を変化させる)。この拡張した状態においては、上記胃内滞留要素の形状及び/又は体積は、増大するため、胃内滞留性質(つまり、健康な患者における典型的な胃内排出時間に比して長い時間、投与された患者の胃内に胃内滞留要素と剤形要素双方からなる本発明のシステムを維持させる性質)が付与される。
【0018】
「一以上のコンパートメントを拡張できる化合物」と称する場合、同用語は、接触する液体をその種類を問わず吸収して、(例えばコンパートメントの体積を増大させることにより)コンパートメントを最初の体積よりも大きい立方体まで拡張できる化合物を含むことを意味する。一部の実施形態では、上記化合物はゲル形成化合物(例えばポリマー)である。一部の実施形態では、同ゲル形成化合物は、チャージされても(つまりチャージされたゲル形成化合物であっても)中性であってもよい。他の実施形態において、化合物は気体生成化合物である。
【0019】
「剤形要素」と称する場合、同用語は、一以上の活性剤を備える要素を含む。一部の実施形態では、この一以上の活性剤は調剤された活性剤である。他の実施形態では、この一以上の活性剤は市販の活性剤(つまり購入可能な活性剤)である。一部の実施形態では、この一以上の活性剤は放出制御形状である。他の実施形態では、この一以上の活性剤は難溶性の活性剤である。他の実施形態では、この一以上の活性剤は放出制御形状であり且つ難溶性である。他の実施形態では、上記剤形要素は、腸分解性フィルム(単層又は複数層)に被包され、同フィルムにより上記一以上の活性剤の放出持続させる(放出を遅延させる、放出の時間を長くする等)。他の実施形態では、上記剤形要素は、活性剤の性質(例えばその放出特性等)を全く変えない一以上の層のフィルムにより被包される。他の実施形態では、上記剤形要素は、既製又は在庫のタブレット、カプセル等の剤形であって、その性質やパラメータに変更を来すものでなく、或いは胃内滞留要素への連結を可能にするため又は嚥下可能なカプセルに本システムを包むために極めてわずかな変更を施す。
【0020】
活性剤の「放出制御形状」と称する場合、同用語は、刺激又は時間に応じて同活性剤を投与するように活性剤を形成することをいう。放出制御とは、放出の長時間化を意図する持続放出、徐放、(例えば胃腸管において異なる対象領域に対する)パルス放出、遅延放出等を含む。活性剤の放出制御の形態は、作用を長引かせるだけでなく、投与後の活性剤濃度の有害なピークを避け、治効を最大限にするため、活性剤のレベルを治療濃度域内に維持することを意図する。
【0021】
剤形要素は更に、一以上の薬剤/栄養活性剤であって、胃内で胃酸に接触すると放出される活性剤を含んでいてもよい。
「難溶性の活性剤」と称する場合、同用語は、典型的な体温の範囲(約35℃から40℃の間)において、1つの溶質に対し溶媒が30より大きい溶解度を有する全ての活性剤を含む。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、
崩壊形状を有する一以上の種類の外側生分解性膜を含む一以上の拡張性コンパートメントを有する胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントはコンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムを提供する。
【0023】
本発明の別の観点においては、
生分解性膜を含む一以上の層と、液体が接触すると前記膜の形状を拡張形状に拡張させる一以上の化合物を含む一以上の拡張性層とを有する一以上の拡張性多層生分解性膜を含む胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムが提供される。
【0024】
本発明の別の観点においては、
最初の崩壊形状を有する外側生分解性膜を有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素であって、前記活性剤は持続放出形態であるか難溶性であるかのいずれかである、剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は外側が互いに連結している、
システムが提供される。
【0025】
本発明の別の観点においては、
最初の崩壊形状を有する一以上の種類の外側膜(同外側膜は非生分解性、つまり外側が非生分解性である)を有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムが提供される。
【0026】
本発明の別の観点においては、
最初の崩壊形状を有する外側膜の組み合わせを少なくとも有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張会場に拡張可能な一以上の化合物を含み、連結のための手段を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムが提供される。
【0027】
一部の実施形態では、胃内滞留要素は、本発明のシステムに対し、60分を超える胃内排出時間を与える。
一部の実施形態では、上記外側生分解性膜の分解又は劣化は、膜の完全性、膜の引っ張り強度、及び/又は膜の弾力性等、膜の一以上の性質を低減することにより示される。
一部の実施形態では、上記外側生分解性膜は70ミクロン未満の厚みを有する。別の実施形態では、上記外側生分解性膜は約3〜60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側生分解性膜は、約3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側生分解性膜は、約10〜30ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側生分解性膜は、約10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30ミクロンの厚みを有する。
【0028】
一部の実施形態では、上記外側非生分解性膜は70ミクロン未満の厚みを有する。別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は約3〜60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は、約3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は、約10〜30ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は、約10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30ミクロンの厚みを有する。
【0029】
他の実施形態では、上記外側生分解性膜は多層膜である(つまり二以上の層から形成される)。一部の実施形態では、同多層膜は少なくとも二つの異なる層を有する。他の実施形態では、同多層膜は、少なくとも三つの異なる層を有する。
更に他の実施形態においては、前記外側生分解性膜は腸で分解可能である(つまり、膜の性質は、腸等、生物学的システム又は体外環境において同様のシステムに晒されると、劣化し、引っ張り強度及び/又は弾力性の一以上の性質が低減される)。
【0030】
他の実施形態において、上記外側生分解性膜は、公知の方法によって形成される。例えば、吹錬、一体成型、押出、コーティング、積層、及びこれらの任意の組み合わせ等によって形成される。
更に別の実施形態において、上記外側生分解性膜は、その二つの層を、公知の方法、例えば糊付け、溶着、縫合、シーリング、プレス等によって連結する。これにより、一以上のゲル形成化合物及び/又は気体生成化合物を包囲する、閉じられ分割された立体空間(「ポケット」)、つまりコンパートメントとして上記及び下記で定義されるものを形成する。
【0031】
一部の実施形態においては、本発明の装置のコンパートメントの上記外側生分解性膜は、嚥下可能なカプセル内に被包物を包むように折り畳み可能である(つまり、外側生分解性膜又は膜で形成されたコンパートメントを折り畳んでも、脆弱で破損することがない)。
よって、上記及び下記に定義するように、本発明の装置のカプセル、つまり嚥下可能な大きさのカプセルは、上記一以上のコンパートメントを折り畳んだ形状又は拡張しない形状で包む。一部の実施形態において、同カプセルは分解されやすい外側コーティング、例えば砂糖、寒天、食用のポリマーコーティング等に替えてもよい。
【0032】
本発明によれば、経口投与装置の一実施形態として、胃内分解性の嚥下可能なカプセルに被包された剤形要素に外側で連結された胃内滞留要素を含む。二つの要素間の外側の連結は、表面同士を連続的にくっ付けてもよいし、吸収可能な医療用縫合糸等のコネクタを介して間接的に連結してもよい。
胃内滞留要素は一つの拡張性コンパートメント、又は連結又は連結されていない複数の拡張性コンパートメントを含む。コンパートメントは、一以上の種類の外側生分解性膜を有し、同膜は一以上の嚥下可能な化合物を包み、同化合物はコンパートメントの形状を(例えばコンパートメントの体積を増大させることにより)拡張可能である。或いはコンパートメントは、一以上の層の生分解性膜と、コンパートメントの体積及び/又は形状を増大及び/又は拡張できる一以上の拡張性層の化合物とを含む拡張性多層膜を有する。かかる膨張は、コンパートメントが液体物質、つまり胃液に接したときに生じる。
【0033】
一部の実施形態において、かかる拡張は、外側の嚥下可能なカプセルが分解してから約30分で実行される。他の実施形態では、かかる拡張は、外側の嚥下可能なカプセルが分解してから約20,15,10,5,3,2,1分で実行される。
一部の実施形態においては、剤形要素は、製造者からの一以上の市販の活性剤(つまり購入可能な活性剤)を含み、持続放出型(slow-release(SR))、短時間作用型(immediate-release(IR))、或いはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0034】
一部の実施形態において、剤形要素は、既製又は在庫のタブレット、カプセル等の薬剤の剤形であって、その性質やパラメータに変更を来すものでない(ただし、胃内滞留要素への連結を可能にするため又は嚥下可能なカプセルに本システムを包むために極めてわずかに変形させることは除く)。
一部の実施形態において、上記剤形要素における活性剤の短時間作用型の少なくとも一部は持続放出型の性質を付与してもよい。この付与は、上記剤形要素を外側生分解性膜とともに包むラッピング層を用いることにより行う。なお、外側生分解性膜は上記胃内滞留要素の外側膜と同じであっても異なってもよい。
【0035】
一部の実施形態において、上記剤形要素は、上記活性剤の複数の放出性質を有していてもよい。例えば、剤形要素の活性剤は、少なくともその一部が患者の胃内で放出されるよう二重の形成フェーズで形成され、活性剤の他部は剤形要素が幽門を通過して十二指腸まで行くと放出されるように形成される。
一部の実施形態において、上記剤形要素は、一以上の活性剤を含み、同活性剤の性質(例えば、溶解性、放出性、薬物動態、薬力学的性質等)は剤形要素に影響されない(例えば同要素が膜を含む実施形態の場合)。胃内滞留要素に接触しても、剤形要素は、胃内の滞留時間を除き、活性剤の挙動(例えば放出性や活性剤の性質)という観点から損なわれない。
【0036】
胃内における活性剤の滞留時間は、胃内滞留要素で移送されることにより長くできる。同装置が飲み込まれ胃に達すると、外側のカプセルが分解し、コンパートメントが拡張し立体構造となる。この構造は、幽門の通過や胃内容排出を妨げない大きさであり、剤形要素が胃内に滞留する時間を長く維持する。外側の包み膜の引っ張り強度に加え、この構造の完全性により、コンパートメントが約1時間から30日に及ぶ胃液の動的作用により生じる強い力に耐えることができる。そして、同コンパートメントの構造は、その剛性を失い(例えば、外側膜の分解や、コンパートメントの体積を増大させる化合物の漏出やゲルの収縮等によって失う)、コンパートメントの体積は小さくなる。
【0037】
一部の実施形態において、装置は胃内に、約2,3,4,6,8,12,16,20,24時間、又は1日、又は投与後の一晩滞留する。別の実施形態では、装置は、投与後約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,14,21,28日胃内に滞留する。
一部の実施形態において、上記胃内滞留要素は、最初の体積を有する一以上の種類の外側膜を含む一以上の拡張性コンパートメントを備える。同コンパートメントは、胃液等の液体物質に晒されるとコンパートメントの体積を拡張体積まで増大させることができる一以上の化合物を含む。
【0038】
他の実施形態において、上記胃内滞留要素は、一以上の拡張性の多層膜を備え、同多層膜は膜を備える層と一以上の拡張性層とを含み、同拡張性層は液体と接すると膜の体積を拡張体積まで拡張可能な一以上の化合物を有する。
胃に到達したとき、上記胃内滞留要素のコンパートメント又は膜は、胃液により上記一以上の化合物が濡れると最初の体積から拡張体積まで拡張される。上記一以上の化合物は、上記外側生分解性膜又は拡張性多層膜の構成及び/又は性質により胃液によって濡らすことができる。体積が増大すると、上記胃内滞留要素は胃内に同システムを滞留させることができる程度の体積にとなる。
【0039】
一部の実施形態において、胃内滞留要素が拡張体積まで拡張するとき、胃液上又は胃液中を浮揚する、或いは支えられる。
一部の実施形態において、胃内滞留要素が拡張体積まで拡張すると、本発明のシステムを投与された患者の胃内における胃液の重力よりも高い重力を有する。この実施形態によって、上記胃内滞留要素は、胃の下部に至る及び/或いは胃の下部に移動しやすくなる(胃の下部、つまり幽門近くまで沈む)。この実施形態は、上記胃内滞留要素が患者の胃液の重力よりも高い重力を有する化合物を備えるとき達成される。かかる化合物は、例えば、胃液に接触することにより胃液の重力よりも高い重力を有する場合もある。
【0040】
他の実施形態において、上記胃内滞留要素は拡張体積まで拡張されると、胃の内壁に付着する。かかる実施形態では、胃の内壁に対する付着は、例えばポリエチレン・オキシド等、胃の内壁に付着することができる材料からなる部分を少なくとも有する一種類以上の外側膜を用いることにより実現される。
更に別の実施形態においては、上記胃内滞留要素が拡張状態まで拡張されると、その要素の体積及び/又は形状により、本発明のシステムは、胃内滞留要素の体積及び/又は形状が維持される限り、括約筋(下部又は上部を問わず)を通過することがない。
【0041】
一部の実施形態においては、胃内滞留要素は、約0.1〜2000mgの範囲の重量を有する剤形要素に連結されて、胃液により浮揚又は支持されている。他の実施形態において、同重量は約200〜1500mgである。
一部の実施形態において、胃内滞留要素は、約2,3,4,6,8,12,16,20,24時間、又は1日、又は投与後の一晩その拡張形状を維持する。別の実施形態では、胃内滞留要素は、投与後約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,14,21,28日その拡張形状を維持する。
【0042】
一部の実施形態においては、胃内滞留要素は拡張体積まで拡張されると、胃液上又は中を浮遊或いは支持される。拡張した要素の機械的性質により、同要素は所定時間その形状を維持することができる。
本発明の滞留要素の浮揚性は、漬けられた液体により加えられる上方への力であって、漬けられた物体(ここでは胃内滞留要素)の重さに反する力によって付与される。液柱では、のしかかる液体の重さの結果として深さに応じて圧力が大きくなる。よって、液柱、即ち液体に浸された物体は、液柱の上部よりも底部において大きな圧力がかかる。この圧力の差により、全体的に物体に対して上方への力が加わることになる。この力の大きさは液柱の上部と底部間の圧力差に比例し、液柱を占める液体つまり変位した液体の重さと同等である。このため、浸漬された液体よりも密度が大きい物体は沈みやすい。物体が液体よりも密度が小さく適切な形状(船形状等)であれば、同力により物体を浮遊させ続けることができる。
【0043】
一部の他の実施形態では、上記剤形要素は、剤形要素から上記活性剤の一部又は全部がなくなるまで、本発明のシステムが胃の括約筋(例えば幽門等の上又は下の括約筋)を通過できない寸法を有する。
幽門の径は約1〜4cmまで人によって異なり、平均で約2cmである。一部の実施形態では、胃内滞留剤形を胃内滞留が可能とする径まで拡張する。
【0044】
一部の実施形態では、上記一以上のコンパートメントは1cm3以上の全体充填体積を有する。更に他の実施形態では、上記コンパートメントは、約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100cm3の充填体積を有する。他の実施形態においては、上記コンパートメントは約3〜100cm3の充填体積を有する。他の実施形態においては、上記コンパートメントは約3〜70cm3の充填体積を有する。他の実施形態においては、上記コンパートメントは約3〜10cm3の充填体積を有する。
【0045】
他の実施形態においては、上記単一のコンパートメントは、外側の長さが最大約15〜95mm、外側の幅が最大約5〜35mmの寸法を有する。更に別の実施形態では、上記コンパートメントは、外側の長さが最大約15,16,17,18,19,20,25,35,45,55,65,75,85,95mmで、外側の幅が最大約5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35mmの寸法を有する。他の実施形態において、上記コンパートメントは、外側の長さが最大約50〜75mmで、外側の幅が最大約12〜25mmの寸法を有する。更に別の実施形態では、上記コンパートメントは、外側の長さが最大約50,55,60,65,70,75mmで、外側の幅が最大約12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25mmの寸法を有する。
【0046】
他の一部の実施形態において、本発明の上記装置は、胃液内又は同様の胃内液体中において拡張された状態で約1〜65g(グラム)の大きさを有する(1時間37℃の場合)。他の実施形態においては、本発明の上記装置は、拡張された状態で約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65g(グラム)の大きさを有する。他の実施形態において、本発明の上記装置は、拡張された状態で約8〜35g(グラム)の大きさを有する。他の実施形態においては、本発明の上記装置は、拡張された状態で約5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,20,25,30,35g(グラム)の大きさを有する。
【0047】
一部の他の実施形態において、上記胃内滞留要素の膨張は遅延される。つまり胃内滞留要素(コンパートメントであるか膜であるかを問わない)の膨張は胃内において遅延され、必要のある患者の胃内に到達してから所定時間経過すると膨張が生じる。反応の遅延は、いくつかのメカニズムにより制御可能であり、基本的には胃液が胃内滞留要素に接したときに以下を利用して作用する。(i)異なる多孔性をもつ要素の生分解性膜を形成する異なる組成物を用いる、(ii)上記膜に一以上の開口を形成する、(iii)上記一以上のコンパートメント又は膜の体積を拡張体積に拡張させることが可能な化合物の組み合わせを使用する。
【0048】
一部の実施形態では、上記胃内滞留要素は、複数のコンパートメントの拡張を連続して行うことにより拡張した滞留構造を維持する。他の実施形態においては、本発明の装置にかかるコンパートメント全体の質量(付加)は、約1〜65gである。
一部の実施形態において、上記活性剤は以下の胃内滞留薬剤からなる群から選択してもよい(ただし、これらには限定されない):クラリスロマイシン、シメチジン、シプロフロキサシン、オキシカルバゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、トリメタジジン、ファロペネム、アシクロビル、カルビドパ 、レボドパ、メチルドーパ、アルファ・メチルドーパ、ベラパミル、プロプラノロール、カルベジロール、アテノロール、アルブテロール、ピルブテロール、ニフェジピン、ニモジピン、アシクロビル、バラシクロビル、 ニカルジピン、アムロジピン、プラゾシン、グアナベンズ、アロプリノール、メトプロロール、オクスプレノロール、バクロフェン、クロザピン、スマトリプタン、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、メトホルミン、シタグリプチン、グリピジド、デュロキセチン、モエキシプリル、ノルフロキサシン、インドラプリル、ジルチアゼム、メチルフェニデート、olindapril、retinapril、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル、ゲムフィブロジル、フェニトイン、ラミプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、ニトロフラントイン、バラシクロビル、アジスロマイシン、イノシン、AZT、ジダノシン、プラノベクス、tribavirin、ビダラビン、シンバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、セレギリン、ミダゾラム、炭酸リチウム、アロプリノール、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、bifentidine、ニフェンチジン、塩酸トラマドール、ベンラファキシン、ロキサチジン、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム或いはクエン酸ナトリウムのような制酸剤、次サリチル酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウムとスクラルファート、カルベノキソロン、ミソプロストール、ピレンゼピン、テレンゼピン、ビスマス塩類、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、アモキシシリン、セファレキシン、ザレプロン、メチルナルトレキソン、フロセミド、トピラマート、テトラサイクリン、ジダノシン、5−フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシン、セムスチン、シスプラチン、エトポシド、メトトレキサート、ヒドロクロロチアジド、オルリスタット、薬学上服用可能な塩類等の抗腫瘍薬、エステル又はプロドラッグ。
【0049】
一部の実施形態において、上記活性剤は以下の栄養剤からなる群から選択してもよい(ただし、これらには限定されない):アスコルビン酸、葉酸、ビタミンE等のビタミン類、リボフラビン、ナイアシン、必須栄養素、プロバイオティクス剤、胃の有益微生物、及びこれらの任意の組み合わせ等。
一部の実施形態においては、持続放出型の一以上の薬学上の活性剤は次のものからなる群から選択してもよい:メトプロロールコハク酸塩ER(Toprol XL)、シプロフロキサシン(シプロXR−タブレッ持続放出(XR):500及び1000mg)、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標)-XR持続放出型タブレット100mg、200mg及び400mg)、メトホルミン(Glucophage-タブレット(持続放出型): 500、750及び1000mg)、アシクロビル(難溶性)(ゾヴィラックス・タブレット: 400及び800mg)、カルビドパ/レボドーパ(Sinemet及びSinemet CR:10/100mg、25/100mg、50/200 mg)、カルビドパ/レボドーパ/エンタカポン(Stalevo 37.5/150/200 mg、50/200/200mg)、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0050】
溶解性は、特定の温度において、所定量の溶媒と溶液で分解し得る溶質の最大量として定義される。一部の実施形態においては、上記難溶性剤は、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が30〜100の間の溶解性(つまり、やや溶けにくい)を有するすべての活性薬剤を含む。他の実施形態においては、上記難溶性剤は、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が100〜1000の間の溶解性(つまり、わずかに溶ける)を有するすべての活性薬剤を含む。更に別の実施形態においては、上記難溶性剤は、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が1000〜10000の間の溶解性(つまり、極めて溶けにくい)を有するすべての活性薬剤を含む。更に別の実施形態においては、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が10000を超える溶解性(つまり、溶けない)を有するすべての活性薬剤を含む。
【0051】
一部の実施形態において、上記剤形要素は更に、必須栄養素、プロバイオテック剤、胃の有益微生物、及び検査用薬のうち一以上を含む。
本発明の一部の実施形態において、上記胃内滞留要素と剤形要素は互いに外側が連結されている。「外側が連結」とは、一以上の取付点によって要素間に形成された連結を含むことを意味する。しかし、かかる連結は要素自体の外側にあって、連続していない(つまり、非連続で断続的であって、要素間に連続的な表面は形成されていない)。
【0052】
本発明の他の実施形態において、上記胃内滞留要素と剤形要素は、外側の層(各要素の膜及び層と同様であっても異なっていてもよい)によって互いに連結されている。「連結」とは、連続する層を形成する一以上の層によって要素間に形成された連結を含むことを意味する。ただし、各要素は互いに分離している。剤形要素は約200〜2000mgの重さの活性剤を含む。
【0053】
一部の実施形態において、上記外側連結は上記要素間の外面を直接連結する一以上の連結点である。他の実施形態において、上記外側連結は、上記要素の外面間を連結する一以上の連結要素である。一部の実施形態において、同連結要素は生分解性膜(上記生分解性膜と同じでも異なっていてもよい)、又は溶解性の医療用縫合糸である(例えば、ETHICON 製造のVicryl Rapide(登録商標)やCOVIDIEN製造のDexon(登録商標)等)。
【0054】
一部の実施形態において、上記剤形要素は一以上の活性剤を備え、同活性剤は一以上の種類の外側膜を有するコンパートメントに包まれる(一部の実施形態では、上記胃内滞留要素の膜と同じ又は異なる分解性膜を用いてもよい)。
一部の実施形態において、上記剤形要素を包むコンパートメントは、上記活性剤のバイオアベイラビリティを変更する。一部の実施形態においては、上記剤形要素を包むコンパートメントは上記活性剤のバイオアベイラビリティを変更しない。
【0055】
一部の実施形態においては、上記剤形要素を包むコンパートメントは、上記活性剤のバイオアベイラビリティを変更できる化合物を含む。一部の実施形態においては、上記剤形要素を包むコンパートメントは更に、体積を増大させる一以上の化合物を含む。
一部の実施形態においては、上記剤形要素は、一以上の外側連結(例えば、生体適合性化合物からなる糸等)によって上記胃内滞留要素に連結される。一部の実施形態においては、同連結糸は、胃内滞留要素を胃内に滞留させながら上記剤形要素が幽門を通って十二指腸上部に移動できる程度の長さを有する。
【0056】
他の実施形態においては、上記剤形要素は胃内滞留要素に連結され、更に一以上の活性剤と一以上の拡張性コンパートメントを有する。同拡張性コンパートメントは最初の体積を有する外側分解性膜を有する。同コンパートメントはその体積を増大させることができる一以上の化合物を有する。
更に他の実施形態においては、上記胃内滞留要素の二以上のコンパートメントは、単一構造、又は反復された(同じ)又は反復されない(異なる)複数の構造を形成する。構造の種類は次のものから選択できる(ただし、これらに限定されない):リング状、ロッド状、オクテット、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、その他多角形状。同要素はその形状及び構成を所定時間持続させるのに適した機械的特性をもってつくられている。
【0057】
一部の実施形態においては、上記コンパートメントは一以上の種類の生分解性膜により形成されている。他の実施形態においては、上記コンパートメントは二以上の種類の生分解性膜により形成されている。上記コンパートメントが二以上の種類の生分解性膜により形成されている場合、膜は同質の表面であっても異質の表面であってもよい。
更に別の実施形態において、上記胃内滞留要素は一以上の活性剤を有する。よって、同実施形態においては、本発明の上記システムの胃内滞留要素に一以上の別の活性剤を含めてもよい。
【0058】
別の実施形態においては、上記剤形要素は胃内滞留要素に連結され、一以上の活性剤を備え、一以上の拡張性コンパートメントは最初の体積を有する外側生分解性膜を有し、同コンパートメントはコンパートメントの体積を増大させる一以上の化合物を含む。
一部の実施形態においては、ゲルマトリックスを架橋してもよい。同用語は、いかなるソース、化合物がバイオポリマーを形成するナチュラルソースや、合成ソース、あるいが半合成ソースや、それらの組み合わせによる化合物を含む。
【0059】
理論に拘泥されることなく、ゲル形成化合物の分子量とゲルマトリックス内の架橋度合いは、ゲルのコンシステンシー(硬さや剛性等)を表す主要な要因であり、その流動特性(粘性等)に寄与する。ゲル形成化合物の例は、限定されないが、ヒドロゲル、オルガノゲル、キセロゲル、及びこれらの組み合わせ等である。
一部の実施形態においては、上記一以上のゲル形成化合物は次のものから選択可能である:(i)ゼラチン、アルジネー、キトサン、デキストラン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸およびエラスチン等のバイオポリマー源、(ii)ポリカルボフィルカルシウム、アクリルアミド、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、カルボキシ・メチル・セルロース、ポリ・ビニール・ピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム 、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース、及びこれらの組み合わせ等の、半合成又は合成ポリマー源。更に別の実施形態においては、上記一以上のゲル形成化合物は、上記(i)群から選択した一以上の化合物と上記(ii)群から選択した一以上の化合物との組み合わせである。
【0060】
一部の実施形態においては、本発明の構成の一以上のゲル形成化合物は更に架橋されてもよい。
一部の実施形態においては、上記一以上のゲル形成化合物は、(37℃で1時間の胃内pHという条件下で)約10〜100倍の膨張比(w/w)を有する。
「膨張比」という用語は、上記ゲル形成化合物が液体を吸収する前の状態(つまり乾燥又は半乾燥の状態)と液体の最大量を吸収した後の状態との間の膨張度合いを表す。膨張比は重さベースで定義され、以下の式により計算される:[濡れた状態の重さ―(乾燥した状態の重さ×k)]/[(乾燥した状態の重さ×k)]。定数kは、上記条件下で装置が膨張した後に残る形成材料を表す。
【0061】
ゲル形成化合物は以下の利点を有する:(1)膨張が速いため、胃に対する特定の服薬システムにとって利便性が向上する。(2)材料の分子的実体は変更しないため、複合毒性に関する変更のおそれはない。ゲル形成化合物は更に、液体(ここでは水又は胃液)吸収後コンパートメントに対し剛性を付与するため、被包フィルムが破裂したり、破れたり、及び/又は穴が開いたりして充填物が漏れるのをある程度防ぐことができる。更に、架橋されたゲル形成化合物は、架橋されていないゲル形成化合物よりも剛性が高い。
【0062】
一部の実施形態においては、上記組成物は、一以上のチャージされたゲル形成化合物と、一以上の反対にチャージされた化合物とを含み、液体を吸収すると高分子電解質複合体(Poly Electrolyte Complex;PEC)を構成する。一部の実施形態においては、同一以上のチャージされたゲル形成化合物は、次のものから選択される:ポリ酢酸ビニル・ジエチル・アミノの酢酸(AEA)、ポリ・リジン、キトサンポリメタクリレート(Eudragit E)、ポリアルギニン。他の実施形態においては、上記反対にチャージされた化合物は、次のものから選択される:ゼラチン、ヒアルロン酸、ナトリウム・ポリアクリル酸ソーダ、ヘパリン、ポリアクリル酸(Carbomer)、アルギン、ペクチン、カルボキシ・メチル・セルロース。一部の実施形態においては、上記一以上のチャージされたゲル形成化合物及び/又は上記一以上の反対にチャージされた化合物は、上記PECの範囲内において、ゲル形成化合物であり、上記装置の目的に使用されることができる。
【0063】
他の実施形態においては、反対にチャージされた上記一以上の化合物は過剰に付与される(つまり、上記チャージされたゲル形成化合物の分析上の量を超える量を付与される)。このように反対にチャージされた一以上の化合物を過剰に付与することにより、電荷斥力の効果に加えて浸透性の膨張力が大きくなり、相乗的に大きな液体吸収力となる。
一部の実施形態においては、上記一以上のチャージされたゲル形成化合物と一以上の反対にチャージされた化合物との比は、約99:1〜50:50までの範囲である。他の実施形態においては、同比は、約99:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50である。
【0064】
一部の別の実施形態においては、上記一以上のチャージされたゲル形成化合物は、膨張を可能にする一以上の高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer: SAP)である。
「高吸水性高分子」とは、複数の架橋されたポリマーを含み、そのすべては水(又は水を含む液体)等の液体を大量に吸収する基本的能力を有する。これらは、浸透性プロセスにより水を吸収する(水の分子が障壁を越えて一方から他方に移動する)。水が障壁(ここでは外側生分解性膜)を通過しポリマーに接すると、ポリマーが膨張する。SAPの例としては限定されないが以下のものがある:ポリ・エチレングリコール(PEG)、ポリ・グルタミン酸(PGA)、ポリアクリルアミド、アルギン酸、デキストラン、ポリアクリル酸、エチレン・マレイン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、プルラン、でんぷん、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0065】
更に別の実施形態においては、上記化合物は、一以上の前記チャージされたゲル形成化合物を含み、同化合物はPEC内でリンカーとして作用し、同PECは、浸出できない一以上のコンパートメント内に剛性のあるゲルを形成する(つまり、ゲルは上記外側生分解性膜を破っても上記コンパートメントの外には浸出しない)。
一部の実施形態においては、上記組成物は、上記一以上のコンパートメントのゲル形成化合物を備え、液体を吸収してゲルを形成した後徐々に分解され分離する。ゲルの分解は任意のプロセス、例えば機械的分解(胃/腸パルス等)、化学的分解(酸性/ベーシックpH等)、或いは生物学的分解(酵素活性等)により実現できる。
【0066】
一部の実施形態においては、上記一以上のコンパートメント内にゲルが形成されると、コンパートメントは0.15〜1.50atmの最大内部圧力を維持して測定される剛性に達する。他の実施形態においては、コンパートメントは0.50〜1.00atmの圧力下の剛性に達する。更に他の実施形態においては、コンパートメントは0.20〜0.50atmの圧力下の剛性に達する。
【0067】
一部の実施形態において、上記一以上のコンパートメントにおける上記一以上のゲル形成化合物からのゲルの形成は、pH≦6で生じる。他の実施形態において、上記一以上のコンパートメントにおける上記一以上のゲル形成化合物からのゲルの形成は、約2,3,4,5、又は6pHで生じる。
他の実施形態において、上記一以上のコンパートメントにおける上記一以上のゲル形成化合物からのゲルの形成は、約5〜35mSの周囲(つまり液体がコンパートメントを包囲している)伝導率で生じる。他の実施形態においては、ゲルの形成は、約5,10,15,20,25,30,35mSの伝導率で生じる。
【0068】
一部の実施形態において、上記一以上のゲル形成化合物は、粉状である。他の実施形態において、上記一以上のゲル形成化合物は、液状である。
一部の実施形態において、上記一以上のゲル形成化合物は、膜状である(一部の実施形態においては「ゲル膜」と呼ぶ)。これらの実施形態においては、同ゲル膜は、膜形成化合物(上述したゲル形成化合物を除く)を備え、例えば以下のものである:親水性の膜形成要素、疎水性の膜形成要素、非分解性の膜形成要素、分解性の膜形成要素、可塑剤、結合剤、超吸水性高分子、共重合体、osmognates等。上記ゲル膜は公知の方法によって形成されていてもよく、その例としては限定されないが以下のようなものがある:吹錬、一体成型、押出、コーティング、積層、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0069】
一部の実施形態において、上記ゲル膜は二以上の層を備える。別の実施形態において、同ゲル膜の一以上の層は一以上のゲル形成化合物からなる。他の実施形態において、上記ゲル膜は二以上の層から形成され、各層は別個の一以上のゲル形成化合物を備え、それらは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態において、本発明の装置は、二以上のゲル膜(同じ又は異なるもの)を備える。
【0070】
一部の実施形態において、上記ゲル膜は1500ミクロン未満の厚みを有する。他の実施形態において、上記ゲル膜は約50〜300ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態において、上記ゲル膜は、約50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,又は1500ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態において、上記ゲル膜は、約160〜250ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態において、上記ゲル膜は、約160,170,180,190,200,210,220,230,240、又は250ミクロンの厚みを有する。
【0071】
一部の実施形態において、上記コンパートメントは更に一以上の気体生成化合物を備える。他の実施形態において、一以上の気体生成化合物及びゲル形成化合物は、単一の膜(又は単一層の膜)に形成される(一部の実施形態において、上記膜は単一層膜である。また他の実施形態では複数層膜、つまり二以上の層である)。
一部の実施形態において、上記コンパートメントは更に一以上の気体生成化合物を備える。他の実施形態において、一以上の気体生成化合物及びゲル形成化合物は、単一の膜(又は単一層の膜)に形成される(一部の実施形態において、上記膜は単一層膜である。また他の実施形態では複数層膜、つまり二以上の層である)。
【0072】
「気体生成化合物」とは、接触することにより気体を生成し、いかなる種類の液体も吸収可能である化合物を含む。一部の実施形態において、生成された気体はコンパートメントを膨張させて立体構造を形成する。
気体生成化合物の例としては、限定されないが以下のものがある:炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、フマル酸、グルタミン酸、酸性ピロりん酸ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸カルシウム、重炭酸カリウム、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0073】
一部の実施形態において、上記外側生分解性膜は、結合剤、可塑剤、ポア孔形成要素、乳化剤、膜形成要素、及びこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも一つを備える。
一部の実施形態において、上記ゲル膜は、結合剤、可塑剤、ゲル形成要素、溶媒、osmognate、及びこれらの任意の組み合わせから選択された一以上の添加剤を備える。
適した親水性の膜形成添加剤の例としては、限定されないが、以下のものがある:ポリビニルピロリドン(Plasdone、Kollidon)、ポリビニルアルコール、コリコートIR、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、メチルセルロース、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0074】
適した可塑剤の例としては、限定されないが、以下のものがある:グリセリン、クエン酸トリエチル(TEC)、Triacetine(トリ)、クエン酸トリブチル(TBC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール(PEG 400-6000)、オレイン酸、ヒマシ油、フタル酸ジエチル(DEP)、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル(DBS)、アセチル化された脂肪酸グリセリド(Myvacet)、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0075】
適した乳化剤の例としては、限定されないが、以下のものがある:ポリソルベート、トリトンX-100、Span、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、及びそれらの任意の組み合わせ。
適したosmognateの例としては、限定されないが、以下のものがある:しょ糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0076】
上記外側生分解性膜を形成するのに適した化合物の例としては、限定されないが、以下のものがある:Hypromellose Phthalate、酢酸フタル酸セルロース、Hypromellose Acetate Succinate、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、Poly-Ethyl-Acrylate、Poly-Vinyl-Acrylate-Phathalate、酢酸ビニル、シェラック、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0077】
適した溶媒の例としては、限定されないが、以下のものがある:エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、クロロホルム、酢酸エチル、及びこれらの任意の組み合わせ。
一部の実施形態において、上記ゲル形成膜は一以上の拡張性の多層生分解性膜の一部であり、一以上の外側生分解性膜の層と、一以上の化合物からなる拡張性層とを備える。同化合物は液体に接触すると膜の体積を拡張体積に増大させて一以上の拡張性コンパートメントを形成する。
【0078】
一部の他の実施形態において、上記多層膜のうち一以上の層は腸で分解可能である(つまり、(生物的環境や同様の体外環境、つまり腸において)膜が中性pHに晒されると、その引っ張り強度及び/又は弾力性のうち一以上が低減することによりその一以上の性質が劣化する)。
更に他の実施形態において、本発明の上記システムは胃内で分解可能であり嚥下可能なカプセルに被包される。一部の実施形態において、分解可能であり嚥下可能なカプセルの大きさは、細長の約000又は000未満のカプセルである(つまり、外径が約9.97mm以下、高さ又は固定長が約30mm以下、実体積が約1.68ml以下である)。下記の表1は、限定されないが、本発明に適したカプセルの大きさである。
【0079】
一部の実施形態において、上記コンパートメント及び/又は剤形は互いに連結する手段を有する。
一部の実施形態において、上記コンパートメント及び/又は剤形は互いを連結する手段を有する。
表1−非限定のカプセルの大きさ
【0080】
【表1】
胃内で分解可能なカプセルの例としては、限定されないが、以下のものがある:Capsugel, Qualicap, ACG, Embo, Orpac, Chemcaps, Eei capsules and Golden capsules。
【0081】
上記カプセルは、その体積空間内に本発明の装置の一以上のコンパートメントを包んで、閉じられたカプセルでコンパートメントを完全に包囲する。一以上のコンパートメントをカプセル内に包み込むのは公知の方法によって行ってもよい。例えば、折り畳み、ローリング、クリーシング、コラプシング、スクイージング、プレシング、絞り、切断等によって行ってもよい。一以上のコンパートメントを上記カプセルで包むと、同コンパートメントは閉じられ又は圧縮された形状となる。
【0082】
他の実施形態において、上記一以上のコンパートメントの体積を増大させる一以上の化合物は、上記生分解性膜の層の一つを形成する。一部の実施形態において、上記一以上のコンパートメント又は膜の体積を増大させる一以上の化合物はヒドロゲルである。更に別の一部の実施形態において、ヒドロゲルを備える上記膜は、サポート膜(例えばMYLAR-A(登録商標))上に予め成型された二つの層から構成される。サポート膜により第1層(PVOH、Klucel、Kollicoat-IRR(登録商標)、Methocel、又はPovidone)の成型は接着材料なしで可能となる一方で、サポート膜は実際には装置生成の過程で取り外されるため最終装置の製造・保存時に第2の成型層に弾性と保護を付与する。ただし、第2の成型層のLuquasorb(FP800):Lactose:PEG:Kollidon、又はCarbopol:Chitosan:PEG:Klucel、又はPoly-Acrylic-Acid:Chitosan:PEG:Klucel、又はSephadexG-100:Lactose:TEC:Klucelは、膨張可能なゲルマトリックス、可塑剤及び結合剤を構成するポリマーの(ポリマー溶液というより)粒子懸濁液を含み、粒子を懸濁液にする。
【0083】
一部の実施形態では、上記拡張膜は400ミクロン未満の厚みを有する。
他の実施形態においては、上記拡張膜は約150〜350ミクロンの厚みを有する。一部の他の実施形態では、上記拡張膜は約150〜190ミクロンの厚みを有する。
他の実施形態においては、上記外側生分解性膜は400ミクロン未満の厚みを有する。
更に他の実施形態においては、上記外側生分解性膜は約3〜60ミクロンの厚みを有する。他の実施形態では、上記外側生分解性膜は約10〜25ミクロンの厚みを有する。
【0084】
他の実施形態においては、上記膜は多層膜、つまり二以上の層の生分解性材料を備える。一部の実施形態においては、上記二以上の層は同じ又は異なる生分解性材料を備える。
一部の実施形態において、上記膜は二以上の異なる層を有する。他の実施形態において、上記膜は三以上の異なる層を有する。
一部の他の実施形態において、上記多層膜の一以上の層は、腸で分解可能である(つまり、(生物的環境や同様の体外環境、つまり腸において)膜が中性pHに晒されると、その引っ張り強度及び/又は弾力性のうち一以上が低減することによりその一以上の性質が劣化する)。
【0085】
更に別の実施形態においては、上記膜は一以上の機械的又は化学的に形成された開口を備える。
更に別の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントの体積を増大させる一以上の化合物は、ゲル形成化合物、気体生成化合物、発泡化合物、膨張させる化合物、液体吸収可能な化合物、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0086】
他の実施形態においては、上記ゲル形成化合物は、ゼラチン、アルジネート、キトサン、アミロース、コラーゲン、ポリアクリル酸ナトリウム、加工デンプン、Carbopol、ポリエチレンオキサイド、Methocel、Metholose、エラスチン、ヒアルロン酸、セファデックス、ポリ-L-リジン、ポリ-D、L-アルギニン、Poly (σ-guanidine-α-aminobutyric acid)、ポリメタクリレート、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0087】
他の実施形態においては、上記気体生成化合物は、発泡化合物、或いは有機酸やアルカリ炭酸塩等の二以上の発泡化合物の組み合わせであってもよい。一部の実施形態においては、上記アルカリ炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。更に別の実施形態においては、上記有機酸は、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、酸性ピロりん酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
更に別の実施形態においては、本発明の上記システムは、二以上のコンパートメントを備え、各コンパートメントは外側生分解性膜を有し、それぞれの体積を増大させる一以上の化合物をそれぞれ包み込む。
一部の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントは1cm3以上の全体充填体積を有する。一部の他の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントは約1cm3〜50cm3の全体充填体積、つまり1,2,3,4,5,10,15,20,25,30,35,40,45,50cm3の充填体積を有する。
【0089】
別の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントの外側生分解性膜は、胃に到達すると、液体をコンパートメント内に浸透させることにより、部分的にその体積を増大させる。
一部の実施形態においては、上記薬学上の活性剤は、次の群から選択される:クラリスロマイシン、シメチジン、シプロフロキサシン、オキシカルバゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、トリメタジジン、ファロペネム、アシクロビル、カルビドパ、レボドパ、メチルドーパ、ベラパミル、プロプラノロール、カルベジロール、アテノロール、アルブテロール、ピルブテロール、ニフェジピン、ニモジピン、ニカルジピン、アムロジピン、プラゾシン、グアナベンズ、アロプリノール、メトプロロール、オクスプレノロール、バクロフェン、スマトリプタン、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、メトホルミン、モエキシプリル、インドラプリル、olindapril、retinapril、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、ニトロフラントイン、バラシクロビル、アジスロマイシン、イノシン、ジダノシン、プラノベクス、tribavirin、ビダラビン、シンバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、セレギリン、ミダゾラム、炭酸リチウム、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、bifentidine、ニフェンチジン、ロキサチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及びスクラルファートのような制酸剤、カルベノキソロン、ミソプロストール、ピレンゼピン、テレンゼピン、ビスマス塩類、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、アモキシシリン、セファレキシン、アスコルビン酸、葉酸、ビタミンE、ナイアシン、フロセミド、トピラマート、ヒドロクロロチアジド、オルリスタット、薬学上服用可能な塩類、エステル又はプロドラッグ。
【0090】
更に他の実施形態において、上記一以上の薬学上の活性剤は持続制御形態にある。一部の他の実施形態においては、持続制御形態は胃内で持続制御される形態である。
他の実施形態において、上記薬学上の活性剤は200mg以上の用量である。他の実施形態においては、上記薬学上の活性剤は、50mg〜2000mgの用量である。一部の実施形態においては、上記薬学上の活性剤は次のものからなる群より選択される:メトホルミン(Glucophage, Glumetza)、シメチジン(Tagamet)、アシクロビル(ゾヴィラックス)、クラリスロマイシン(Biaxin)、カルビドパ/レボドーパ(Sinemet及びSinemet CR)、カルビドパ/レボドーパ/エンタカポン(Stalevo)、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0091】
別の観点において、本発明は活性剤を患者に対し投与する方法であって、本発明のシステムによって投与する方法に関する。
更に別の観点において、本発明に係るシステム及びその使用手順を備えるキットを提供する。
本発明のキットの一部の実施形態は、患者の胃内に装置を送る手段を備える。
【0092】
更に別の実施形態において、本発明のキットは更に、患者の胃内において前記システムに接すると同システムを構造的に分解させる分解形態を備える。
一部の実施形態においては、上記分解形態は、ナトリウムや重炭酸カリウム(例えばAlka-Seltzer、Brioschi等)のように直接酸性を中性化させる制酸薬を備える。
本発明の上記システムが患者の胃内に滞留する時間は、特定の膜の組み合わせを利用することにより滞留のニーズに応じた構成をとることが可能であり、様々な具体的要求に応じて多様に組み合わせが可能な方法や構造を提供することができる。
【0093】
胃内の条件(温度、pH、塩分濃度等)は個々の患者の状態(健康状態、一日の消化回数等)によって異なるため、本発明のシステムはかかる胃内の状態に合うように構成される。
一部の実施形態において、本発明のシステムは、(同システムを構成する膜、結合要素等の要素という観点と、係る要素の立体構成という観点から)、胃のpHが日中より低く胃のぜん動波が強い夜間にその効果が実現されるように構成される。
【0094】
本発明の装置によって、既製の在庫のタブレットを、その性質を変えることなく胃内貯留システムに連結して投与することが可能であるため、胃内における薬剤の滞留時間を長くでき治効を向上させることができる。また、滞留要素のない通常の薬剤投与に比して副作用が少ない。
一部の実施形態においては、上記胃内滞留要素は、例えばセンサ装置、診断装置、治療装置、カメラ、pHセンサ、圧力センサ、液体体積センサ、栄養検出器、電気パルス装置、放射装置、化学療法装置、電気刺激装置、磁気刺激装置、及びこれらの任意の組み合わせ等の装置に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】患者の胃内にあるシステムを示す。
図2】患者の胃内にあるシステムを示す。
図3】患者の胃内にあるシステムを示す。
図4】患者の胃内にあるシステムを示す。
図5】患者の胃内にあるシステムを示す。
図6】胃内滞留要素(上面)のコンパートメントを示す。
図7図6のコンパートメントの断面を示す。
図8図6及び図7の一部分を示す。
図9】胃内滞留要素のコンパートメントの断面を示す。
図10】装置の一実施形態を示す。
図11】装置の一実施形態を示す。
図12】装置を示す。
図13】装置を示す。
図14】装置を示す。
図15】装置を示す。
図16】装置を示す。
図17】装置を示す。
図18】装置を示す。
図19】装置を示す。
図20】装置の胃内滞留要素を示す。
図21】装置の胃内滞留要素を示す。
図22】装置の胃内滞留要素を示す。
図23】装置の胃内滞留要素を示す。
図24】装置の胃内滞留要素を示す。
図25】装置の胃内滞留要素を示す。
図26】装置を示す。
図27】装置の三つの実施形態を示す。
図28】装置を折り畳んだ形態を示す。
図29】装置を折り畳んだ形態を示す。
図30】装置を示す。
図31】装置の胃内滞留要素を折り畳む方法を示す。
図32】装置を示す。
図33】装置を示す。
図34】装置を示す。
図35】装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下は、本発明のシステムの具体的実施形態と本発明の目的のための使用に関する。
図1は、胃液(101)、食道(102)、幽門(103)、及び十二指腸(104)を有する患者の胃(100)を示す。胃は、上部(基底部105)、胃の本体部(106)、及び胃の下部(胃洞部107)を有する。図1は、患者の胃内にあり、胃の上部の胃液上に浮揚する本発明のシステム(200)を示す。本発明のシステムは、同図に示すように、拡張した状態の胃内滞留要素(201)(例えば、本実施形態においては、同要素のコンパートメントが気体生成化合物により拡張される)と、剤形要素(202)とを備える。
【0097】
図2は、患者の胃内にあり、胃液中を胃の下部まで沈んだ本発明の装置(300)を含む患者の胃を示す。本発明のシステムは、同図に示すように、拡張した状態の胃内滞留要素(301)(例えば、本実施形態においては、同要素のコンパートメントがゲル形成化合物により拡張され、胃液の重力よりも高い重力を有する)と、剤形要素(302)とを備える。
【0098】
図3は、本発明の装置(400)を含む患者の胃を示す。同装置は、拡張した状態の三つのコンパートメント(401,402,403)を含む胃内滞留要素と、閉じられた連続的なフィルム(406)内にある最終形態である市販の薬剤(405)を備える剤形要素(404)とを備える。
図4は、本発明の装置(400)を含む患者の胃を示す。同装置は、拡張した状態の三つのコンパートメント(401,402,403)を含む胃内滞留要素と、閉じられて連続的なフィルム(406)内にある最終形態である市販の薬剤(405)を備える剤形要素(404)とを有する。これらの要素は外側の連結リンク(縫合糸等からなる)で連結されている。
【0099】
図5は、本発明の装置(500)を含む患者の胃を示す。同装置は、拡張した状態の三つのコンパートメント(501,502,503)を含む胃内滞留要素と、閉じられたネット(506)内にある最終形態である市販の薬剤(505)を備える剤形要素(504)とを備える。
図6は、胃内滞留要素(上面)のコンパートメント(600)が最初の体積(拡張前の乾燥状態)であるときの一例を示す。同図は、生分解性膜の外側上層(601)を示し、コンパートメントは上記要素(602)の体積を増大させる化合物を包んでいる。周縁のマークした領域(603)は、上記コンパートメントの上膜層及び下膜層(図示省略)を連結させる領域を示す。
【0100】
図7図6のコンパートメントの断面を示す。ここでは、胃内貯留要素のコンパートメント(600)は最初の体積の状態(拡張前の乾燥状態)である。同図は、生分解性膜の外側上層(601)と生分解性膜の外側下層(604)とを示し、コンパートメントは上記要素の体積を増大させる化合物を包んでいる。周縁のマークした領域(603)は、上記コンパートメントの上膜層及び下膜層(図示省略)を連結させる領域を示す。
【0101】
図8図6及び図7の一部分であり、外側膜層の上層(601)と下層(604)とゲル膜層(602)とを示す。
図9は、本発明の胃内滞留要素のコンパートメントの断面を示す。ここでは、胃内滞留要素のコンパートメント(600)は最初の体積の状態(拡張前の乾燥状態)である。同図は、異なる種類の、生分解性膜の外側上層(601)と生分解性膜の外側下層(604)とを示し、コンパートメントは上記要素(602)の体積を増大させる化合物を包んでいる。周縁のマークした領域(603)は、上記コンパートメントの上膜層及び下膜層(図示省略)を連結させる領域である。
【0102】
図10は、本発明の装置の一実施形態を示す。ここでは、二つの連続する膜がその間において上記二つの要素(コンパートメントを拡張させる一以上の化合物と薬剤)を別々に保持している。連結する膜は別個の部分により構成されている。
図11は、本発明の装置の一実施形態を示す。ここでは、二つの連続する膜がその間において上記二つの要素(コンパートメントを拡張させる一以上の化合物と薬剤)を別々に保持している。連結する膜は上記外側層の連続した部分により構成される。
【0103】
図12は、本発明の装置を示し、同装置は三つの胃内滞留コンパートメントに連結された剤形要素を有する。
図13は、本発明の装置を示し、同装置は単一の胃内滞留コンパートメントにシームを介して連結された剤形要素を有する。
図14及び図15は、本発明の装置を示す。同装置は、二つの胃内滞留コンパートメントにシームを介して連結された剤形要素を有する。図14においては、剤形要素の片側が連結され、図15においては両側が連結されている。
【0104】
図16図17図18、及び図19は、本発明の装置を示す。同装置は、四つの胃内滞留コンパートメントにシームを介して連結された剤形要素を有する。
図20は、本発明の装置の胃内滞留要素を示す。同要素は、湿って拡張した状態で互いに連結された三つのコンパートメントを有する。
図21は、本発明の装置の胃内滞留要素を示す。同要素は、湿って拡張した状態で互いに連結された三つのコンパートメントを有する。コンパートメントはシームを介して剤形要素に連結され、薬剤は膜層内に包まれている。
【0105】
図22及び図23は、本発明の装置の胃内滞留要素を示す。同要素は、湿って拡張した状態で互いに連結された三つのコンパートメントを有する。コンパートメントは外側の連結リンク(糸や膜等)を介して剤形要素に連結され、薬剤は膜層内に包まれている。
図24は、本発明の装置の胃内滞留要素を示す。同要素は、湿って拡張した状態で互いに連結された三つのコンパートメントを有する。各コンパートメントはコンパートメントを拡張させる異なる化合物を含み、シームを介して剤形要素に連結され、薬剤は膜層内に包まれている。
【0106】
図25は、本発明の装置の胃内滞留要素を示す。同要素は、湿って拡張した状態で互いに連結された三つのコンパートメントを有する。各コンパートメントはシームを介して剤形要素に連結され、薬剤は膜層内に包まれている。
図26は、本発明の装置を示す。同装置は、シームを介して剤形要素の両側に連結され、湿って拡張した状態の二つのコンパートメントを有し、薬剤は膜層内に包まれている。
【0107】
図27は、本発明の装置の実施形態を示す。同装置は、シームを介して互いに連結された三つ又は四つの胃内滞留要素と、薬剤が膜層内に包まれた二つ又は三つの剤形要素とを有する。
図28は、本発明の装置を折り畳んだ形態を示す。同図は、膜状の胃内滞留要素を剤形要素の周りに巻きつけたものを示す。
【0108】
図29は、本発明の装置を折り畳んだ形態を示す。同図は、膜状の胃内滞留要素を剤形要素の周りに巻きつけ、嚥下可能なカプセルに包んだものを示す。
図30は、本発明の装置を示す。同図は、乾燥した非拡張状態の四つのコンパートメントを有する胃内滞留要素と、同要素の外側膜層にシームを介して連結された剤形要素とを示す。
【0109】
図31は、本発明の装置の胃内滞留要素を折り畳む方法を示す。同方法では、胃内滞留要素を剤形要素の周りに巻き付ける。剤形要素は胃内滞留要素の外側膜層にシームを介して連結されている。
図32は、本発明の装置を示す。同装置は、二つの胃内滞留要素とコンパートメントにタブレットを含む剤形要素とを有する。コンパートメントは三角形状に連結されている。
【0110】
図33は、本発明の装置を示す。同装置は、一つの拡張可能なコンパートメントの胃内滞留要素を有する。同コンパートメントは糸や縫合糸を介して剤形要素に連結される。剤形要素は外側に連続膜を有するコンパートメント内にある。
図34は、本発明の装置を示す。同装置は、一つの拡張可能なコンパートメントの胃内滞留要素を有する。同コンパートメントは糸や縫合糸を介して剤形要素に連結される。剤形要素はネット状の外側膜を有するコンパートメント内にある。
【0111】
図35は、本発明の装置を示す。同装置は、三つの拡張可能なコンパートメントの胃内滞留要素を有する。同コンパートメントは三角形状となるように連結され、糸や縫合糸を介して剤形要素に連結される。剤形要素はネット状の外側膜を有するコンパートメント内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図10
図11
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図29
図30
図31
図35
図6
図7
図8
図9
図12
図13
図14
図15
図28
図32
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【国際調査報告】