【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、
崩壊形状を有する一以上の種類の外側生分解性膜を含む一以上の拡張性コンパートメントを有する胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントはコンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムを提供する。
【0023】
本発明の別の観点においては、
生分解性膜を含む一以上の層と、液体が接触すると前記膜の形状を拡張形状に拡張させる一以上の化合物を含む一以上の拡張性層とを有する一以上の拡張性多層生分解性膜を含む胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムが提供される。
【0024】
本発明の別の観点においては、
最初の崩壊形状を有する外側生分解性膜を有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素であって、前記活性剤は持続放出形態であるか難溶性であるかのいずれかである、剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は外側が互いに連結している、
システムが提供される。
【0025】
本発明の別の観点においては、
最初の崩壊形状を有する一以上の種類の外側膜(同外側膜は非生分解性、つまり外側が非生分解性である)を有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張形状に拡張可能な一以上の化合物を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムが提供される。
【0026】
本発明の別の観点においては、
最初の崩壊形状を有する外側膜の組み合わせを少なくとも有する一以上の拡張性コンパートメントを含む胃内滞留要素であって、前記一以上のコンパートメントは、コンパートメントの形状を拡張会場に拡張可能な一以上の化合物を含み、連結のための手段を含む、胃内滞留要素と、
一以上の活性剤を有する剤形要素と、
を備えるシステムであって、
前記胃内滞留要素と前記剤形要素は互いに連結している、
システムが提供される。
【0027】
一部の実施形態では、胃内滞留要素は、本発明のシステムに対し、60分を超える胃内排出時間を与える。
一部の実施形態では、上記外側生分解性膜の分解又は劣化は、膜の完全性、膜の引っ張り強度、及び/又は膜の弾力性等、膜の一以上の性質を低減することにより示される。
一部の実施形態では、上記外側生分解性膜は70ミクロン未満の厚みを有する。別の実施形態では、上記外側生分解性膜は約3〜60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側生分解性膜は、約3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側生分解性膜は、約10〜30ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側生分解性膜は、約10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30ミクロンの厚みを有する。
【0028】
一部の実施形態では、上記外側非生分解性膜は70ミクロン未満の厚みを有する。別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は約3〜60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は、約3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は、約10〜30ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態では、上記外側非生分解性膜は、約10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30ミクロンの厚みを有する。
【0029】
他の実施形態では、上記外側生分解性膜は多層膜である(つまり二以上の層から形成される)。一部の実施形態では、同多層膜は少なくとも二つの異なる層を有する。他の実施形態では、同多層膜は、少なくとも三つの異なる層を有する。
更に他の実施形態においては、前記外側生分解性膜は腸で分解可能である(つまり、膜の性質は、腸等、生物学的システム又は体外環境において同様のシステムに晒されると、劣化し、引っ張り強度及び/又は弾力性の一以上の性質が低減される)。
【0030】
他の実施形態において、上記外側生分解性膜は、公知の方法によって形成される。例えば、吹錬、一体成型、押出、コーティング、積層、及びこれらの任意の組み合わせ等によって形成される。
更に別の実施形態において、上記外側生分解性膜は、その二つの層を、公知の方法、例えば糊付け、溶着、縫合、シーリング、プレス等によって連結する。これにより、一以上のゲル形成化合物及び/又は気体生成化合物を包囲する、閉じられ分割された立体空間(「ポケット」)、つまりコンパートメントとして上記及び下記で定義されるものを形成する。
【0031】
一部の実施形態においては、本発明の装置のコンパートメントの上記外側生分解性膜は、嚥下可能なカプセル内に被包物を包むように折り畳み可能である(つまり、外側生分解性膜又は膜で形成されたコンパートメントを折り畳んでも、脆弱で破損することがない)。
よって、上記及び下記に定義するように、本発明の装置のカプセル、つまり嚥下可能な大きさのカプセルは、上記一以上のコンパートメントを折り畳んだ形状又は拡張しない形状で包む。一部の実施形態において、同カプセルは分解されやすい外側コーティング、例えば砂糖、寒天、食用のポリマーコーティング等に替えてもよい。
【0032】
本発明によれば、経口投与装置の一実施形態として、胃内分解性の嚥下可能なカプセルに被包された剤形要素に外側で連結された胃内滞留要素を含む。二つの要素間の外側の連結は、表面同士を連続的にくっ付けてもよいし、吸収可能な医療用縫合糸等のコネクタを介して間接的に連結してもよい。
胃内滞留要素は一つの拡張性コンパートメント、又は連結又は連結されていない複数の拡張性コンパートメントを含む。コンパートメントは、一以上の種類の外側生分解性膜を有し、同膜は一以上の嚥下可能な化合物を包み、同化合物はコンパートメントの形状を(例えばコンパートメントの体積を増大させることにより)拡張可能である。或いはコンパートメントは、一以上の層の生分解性膜と、コンパートメントの体積及び/又は形状を増大及び/又は拡張できる一以上の拡張性層の化合物とを含む拡張性多層膜を有する。かかる膨張は、コンパートメントが液体物質、つまり胃液に接したときに生じる。
【0033】
一部の実施形態において、かかる拡張は、外側の嚥下可能なカプセルが分解してから約30分で実行される。他の実施形態では、かかる拡張は、外側の嚥下可能なカプセルが分解してから約20,15,10,5,3,2,1分で実行される。
一部の実施形態においては、剤形要素は、製造者からの一以上の市販の活性剤(つまり購入可能な活性剤)を含み、持続放出型(slow-release(SR))、短時間作用型(immediate-release(IR))、或いはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0034】
一部の実施形態において、剤形要素は、既製又は在庫のタブレット、カプセル等の薬剤の剤形であって、その性質やパラメータに変更を来すものでない(ただし、胃内滞留要素への連結を可能にするため又は嚥下可能なカプセルに本システムを包むために極めてわずかに変形させることは除く)。
一部の実施形態において、上記剤形要素における活性剤の短時間作用型の少なくとも一部は持続放出型の性質を付与してもよい。この付与は、上記剤形要素を外側生分解性膜とともに包むラッピング層を用いることにより行う。なお、外側生分解性膜は上記胃内滞留要素の外側膜と同じであっても異なってもよい。
【0035】
一部の実施形態において、上記剤形要素は、上記活性剤の複数の放出性質を有していてもよい。例えば、剤形要素の活性剤は、少なくともその一部が患者の胃内で放出されるよう二重の形成フェーズで形成され、活性剤の他部は剤形要素が幽門を通過して十二指腸まで行くと放出されるように形成される。
一部の実施形態において、上記剤形要素は、一以上の活性剤を含み、同活性剤の性質(例えば、溶解性、放出性、薬物動態、薬力学的性質等)は剤形要素に影響されない(例えば同要素が膜を含む実施形態の場合)。胃内滞留要素に接触しても、剤形要素は、胃内の滞留時間を除き、活性剤の挙動(例えば放出性や活性剤の性質)という観点から損なわれない。
【0036】
胃内における活性剤の滞留時間は、胃内滞留要素で移送されることにより長くできる。同装置が飲み込まれ胃に達すると、外側のカプセルが分解し、コンパートメントが拡張し立体構造となる。この構造は、幽門の通過や胃内容排出を妨げない大きさであり、剤形要素が胃内に滞留する時間を長く維持する。外側の包み膜の引っ張り強度に加え、この構造の完全性により、コンパートメントが約1時間から30日に及ぶ胃液の動的作用により生じる強い力に耐えることができる。そして、同コンパートメントの構造は、その剛性を失い(例えば、外側膜の分解や、コンパートメントの体積を増大させる化合物の漏出やゲルの収縮等によって失う)、コンパートメントの体積は小さくなる。
【0037】
一部の実施形態において、装置は胃内に、約2,3,4,6,8,12,16,20,24時間、又は1日、又は投与後の一晩滞留する。別の実施形態では、装置は、投与後約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,14,21,28日胃内に滞留する。
一部の実施形態において、上記胃内滞留要素は、最初の体積を有する一以上の種類の外側膜を含む一以上の拡張性コンパートメントを備える。同コンパートメントは、胃液等の液体物質に晒されるとコンパートメントの体積を拡張体積まで増大させることができる一以上の化合物を含む。
【0038】
他の実施形態において、上記胃内滞留要素は、一以上の拡張性の多層膜を備え、同多層膜は膜を備える層と一以上の拡張性層とを含み、同拡張性層は液体と接すると膜の体積を拡張体積まで拡張可能な一以上の化合物を有する。
胃に到達したとき、上記胃内滞留要素のコンパートメント又は膜は、胃液により上記一以上の化合物が濡れると最初の体積から拡張体積まで拡張される。上記一以上の化合物は、上記外側生分解性膜又は拡張性多層膜の構成及び/又は性質により胃液によって濡らすことができる。体積が増大すると、上記胃内滞留要素は胃内に同システムを滞留させることができる程度の体積にとなる。
【0039】
一部の実施形態において、胃内滞留要素が拡張体積まで拡張するとき、胃液上又は胃液中を浮揚する、或いは支えられる。
一部の実施形態において、胃内滞留要素が拡張体積まで拡張すると、本発明のシステムを投与された患者の胃内における胃液の重力よりも高い重力を有する。この実施形態によって、上記胃内滞留要素は、胃の下部に至る及び/或いは胃の下部に移動しやすくなる(胃の下部、つまり幽門近くまで沈む)。この実施形態は、上記胃内滞留要素が患者の胃液の重力よりも高い重力を有する化合物を備えるとき達成される。かかる化合物は、例えば、胃液に接触することにより胃液の重力よりも高い重力を有する場合もある。
【0040】
他の実施形態において、上記胃内滞留要素は拡張体積まで拡張されると、胃の内壁に付着する。かかる実施形態では、胃の内壁に対する付着は、例えばポリエチレン・オキシド等、胃の内壁に付着することができる材料からなる部分を少なくとも有する一種類以上の外側膜を用いることにより実現される。
更に別の実施形態においては、上記胃内滞留要素が拡張状態まで拡張されると、その要素の体積及び/又は形状により、本発明のシステムは、胃内滞留要素の体積及び/又は形状が維持される限り、括約筋(下部又は上部を問わず)を通過することがない。
【0041】
一部の実施形態においては、胃内滞留要素は、約0.1〜2000mgの範囲の重量を有する剤形要素に連結されて、胃液により浮揚又は支持されている。他の実施形態において、同重量は約200〜1500mgである。
一部の実施形態において、胃内滞留要素は、約2,3,4,6,8,12,16,20,24時間、又は1日、又は投与後の一晩その拡張形状を維持する。別の実施形態では、胃内滞留要素は、投与後約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,14,21,28日その拡張形状を維持する。
【0042】
一部の実施形態においては、胃内滞留要素は拡張体積まで拡張されると、胃液上又は中を浮遊或いは支持される。拡張した要素の機械的性質により、同要素は所定時間その形状を維持することができる。
本発明の滞留要素の浮揚性は、漬けられた液体により加えられる上方への力であって、漬けられた物体(ここでは胃内滞留要素)の重さに反する力によって付与される。液柱では、のしかかる液体の重さの結果として深さに応じて圧力が大きくなる。よって、液柱、即ち液体に浸された物体は、液柱の上部よりも底部において大きな圧力がかかる。この圧力の差により、全体的に物体に対して上方への力が加わることになる。この力の大きさは液柱の上部と底部間の圧力差に比例し、液柱を占める液体つまり変位した液体の重さと同等である。このため、浸漬された液体よりも密度が大きい物体は沈みやすい。物体が液体よりも密度が小さく適切な形状(船形状等)であれば、同力により物体を浮遊させ続けることができる。
【0043】
一部の他の実施形態では、上記剤形要素は、剤形要素から上記活性剤の一部又は全部がなくなるまで、本発明のシステムが胃の括約筋(例えば幽門等の上又は下の括約筋)を通過できない寸法を有する。
幽門の径は約1〜4cmまで人によって異なり、平均で約2cmである。一部の実施形態では、胃内滞留剤形を胃内滞留が可能とする径まで拡張する。
【0044】
一部の実施形態では、上記一以上のコンパートメントは1cm
3以上の全体充填体積を有する。更に他の実施形態では、上記コンパートメントは、約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100cm
3の充填体積を有する。他の実施形態においては、上記コンパートメントは約3〜100cm
3の充填体積を有する。他の実施形態においては、上記コンパートメントは約3〜70cm
3の充填体積を有する。他の実施形態においては、上記コンパートメントは約3〜10cm
3の充填体積を有する。
【0045】
他の実施形態においては、上記単一のコンパートメントは、外側の長さが最大約15〜95mm、外側の幅が最大約5〜35mmの寸法を有する。更に別の実施形態では、上記コンパートメントは、外側の長さが最大約15,16,17,18,19,20,25,35,45,55,65,75,85,95mmで、外側の幅が最大約5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35mmの寸法を有する。他の実施形態において、上記コンパートメントは、外側の長さが最大約50〜75mmで、外側の幅が最大約12〜25mmの寸法を有する。更に別の実施形態では、上記コンパートメントは、外側の長さが最大約50,55,60,65,70,75mmで、外側の幅が最大約12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25mmの寸法を有する。
【0046】
他の一部の実施形態において、本発明の上記装置は、胃液内又は同様の胃内液体中において拡張された状態で約1〜65g(グラム)の大きさを有する(1時間37℃の場合)。他の実施形態においては、本発明の上記装置は、拡張された状態で約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65g(グラム)の大きさを有する。他の実施形態において、本発明の上記装置は、拡張された状態で約8〜35g(グラム)の大きさを有する。他の実施形態においては、本発明の上記装置は、拡張された状態で約5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,20,25,30,35g(グラム)の大きさを有する。
【0047】
一部の他の実施形態において、上記胃内滞留要素の膨張は遅延される。つまり胃内滞留要素(コンパートメントであるか膜であるかを問わない)の膨張は胃内において遅延され、必要のある患者の胃内に到達してから所定時間経過すると膨張が生じる。反応の遅延は、いくつかのメカニズムにより制御可能であり、基本的には胃液が胃内滞留要素に接したときに以下を利用して作用する。(i)異なる多孔性をもつ要素の生分解性膜を形成する異なる組成物を用いる、(ii)上記膜に一以上の開口を形成する、(iii)上記一以上のコンパートメント又は膜の体積を拡張体積に拡張させることが可能な化合物の組み合わせを使用する。
【0048】
一部の実施形態では、上記胃内滞留要素は、複数のコンパートメントの拡張を連続して行うことにより拡張した滞留構造を維持する。他の実施形態においては、本発明の装置にかかるコンパートメント全体の質量(付加)は、約1〜65gである。
一部の実施形態において、上記活性剤は以下の胃内滞留薬剤からなる群から選択してもよい(ただし、これらには限定されない):クラリスロマイシン、シメチジン、シプロフロキサシン、オキシカルバゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、トリメタジジン、ファロペネム、アシクロビル、カルビドパ 、レボドパ、メチルドーパ、アルファ・メチルドーパ、ベラパミル、プロプラノロール、カルベジロール、アテノロール、アルブテロール、ピルブテロール、ニフェジピン、ニモジピン、アシクロビル、バラシクロビル、 ニカルジピン、アムロジピン、プラゾシン、グアナベンズ、アロプリノール、メトプロロール、オクスプレノロール、バクロフェン、クロザピン、スマトリプタン、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、メトホルミン、シタグリプチン、グリピジド、デュロキセチン、モエキシプリル、ノルフロキサシン、インドラプリル、ジルチアゼム、メチルフェニデート、olindapril、retinapril、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル、ゲムフィブロジル、フェニトイン、ラミプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、ニトロフラントイン、バラシクロビル、アジスロマイシン、イノシン、AZT、ジダノシン、プラノベクス、tribavirin、ビダラビン、シンバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、セレギリン、ミダゾラム、炭酸リチウム、アロプリノール、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、bifentidine、ニフェンチジン、塩酸トラマドール、ベンラファキシン、ロキサチジン、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム或いはクエン酸ナトリウムのような制酸剤、次サリチル酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウムとスクラルファート、カルベノキソロン、ミソプロストール、ピレンゼピン、テレンゼピン、ビスマス塩類、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、アモキシシリン、セファレキシン、ザレプロン、メチルナルトレキソン、フロセミド、トピラマート、テトラサイクリン、ジダノシン、5−フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシン、セムスチン、シスプラチン、エトポシド、メトトレキサート、ヒドロクロロチアジド、オルリスタット、薬学上服用可能な塩類等の抗腫瘍薬、エステル又はプロドラッグ。
【0049】
一部の実施形態において、上記活性剤は以下の栄養剤からなる群から選択してもよい(ただし、これらには限定されない):アスコルビン酸、葉酸、ビタミンE等のビタミン類、リボフラビン、ナイアシン、必須栄養素、プロバイオティクス剤、胃の有益微生物、及びこれらの任意の組み合わせ等。
一部の実施形態においては、持続放出型の一以上の薬学上の活性剤は次のものからなる群から選択してもよい:メトプロロールコハク酸塩ER(Toprol XL)、シプロフロキサシン(シプロXR−タブレッ持続放出(XR):500及び1000mg)、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標)-XR持続放出型タブレット100mg、200mg及び400mg)、メトホルミン(Glucophage-タブレット(持続放出型): 500、750及び1000mg)、アシクロビル(難溶性)(ゾヴィラックス・タブレット: 400及び800mg)、カルビドパ/レボドーパ(Sinemet及びSinemet CR:10/100mg、25/100mg、50/200 mg)、カルビドパ/レボドーパ/エンタカポン(Stalevo 37.5/150/200 mg、50/200/200mg)、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0050】
溶解性は、特定の温度において、所定量の溶媒と溶液で分解し得る溶質の最大量として定義される。一部の実施形態においては、上記難溶性剤は、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が30〜100の間の溶解性(つまり、やや溶けにくい)を有するすべての活性薬剤を含む。他の実施形態においては、上記難溶性剤は、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が100〜1000の間の溶解性(つまり、わずかに溶ける)を有するすべての活性薬剤を含む。更に別の実施形態においては、上記難溶性剤は、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が1000〜10000の間の溶解性(つまり、極めて溶けにくい)を有するすべての活性薬剤を含む。更に別の実施形態においては、典型的な体温範囲で媒質の一に対し溶媒が10000を超える溶解性(つまり、溶けない)を有するすべての活性薬剤を含む。
【0051】
一部の実施形態において、上記剤形要素は更に、必須栄養素、プロバイオテック剤、胃の有益微生物、及び検査用薬のうち一以上を含む。
本発明の一部の実施形態において、上記胃内滞留要素と剤形要素は互いに外側が連結されている。「外側が連結」とは、一以上の取付点によって要素間に形成された連結を含むことを意味する。しかし、かかる連結は要素自体の外側にあって、連続していない(つまり、非連続で断続的であって、要素間に連続的な表面は形成されていない)。
【0052】
本発明の他の実施形態において、上記胃内滞留要素と剤形要素は、外側の層(各要素の膜及び層と同様であっても異なっていてもよい)によって互いに連結されている。「連結」とは、連続する層を形成する一以上の層によって要素間に形成された連結を含むことを意味する。ただし、各要素は互いに分離している。剤形要素は約200〜2000mgの重さの活性剤を含む。
【0053】
一部の実施形態において、上記外側連結は上記要素間の外面を直接連結する一以上の連結点である。他の実施形態において、上記外側連結は、上記要素の外面間を連結する一以上の連結要素である。一部の実施形態において、同連結要素は生分解性膜(上記生分解性膜と同じでも異なっていてもよい)、又は溶解性の医療用縫合糸である(例えば、ETHICON 製造のVicryl Rapide(登録商標)やCOVIDIEN製造のDexon(登録商標)等)。
【0054】
一部の実施形態において、上記剤形要素は一以上の活性剤を備え、同活性剤は一以上の種類の外側膜を有するコンパートメントに包まれる(一部の実施形態では、上記胃内滞留要素の膜と同じ又は異なる分解性膜を用いてもよい)。
一部の実施形態において、上記剤形要素を包むコンパートメントは、上記活性剤のバイオアベイラビリティを変更する。一部の実施形態においては、上記剤形要素を包むコンパートメントは上記活性剤のバイオアベイラビリティを変更しない。
【0055】
一部の実施形態においては、上記剤形要素を包むコンパートメントは、上記活性剤のバイオアベイラビリティを変更できる化合物を含む。一部の実施形態においては、上記剤形要素を包むコンパートメントは更に、体積を増大させる一以上の化合物を含む。
一部の実施形態においては、上記剤形要素は、一以上の外側連結(例えば、生体適合性化合物からなる糸等)によって上記胃内滞留要素に連結される。一部の実施形態においては、同連結糸は、胃内滞留要素を胃内に滞留させながら上記剤形要素が幽門を通って十二指腸上部に移動できる程度の長さを有する。
【0056】
他の実施形態においては、上記剤形要素は胃内滞留要素に連結され、更に一以上の活性剤と一以上の拡張性コンパートメントを有する。同拡張性コンパートメントは最初の体積を有する外側分解性膜を有する。同コンパートメントはその体積を増大させることができる一以上の化合物を有する。
更に他の実施形態においては、上記胃内滞留要素の二以上のコンパートメントは、単一構造、又は反復された(同じ)又は反復されない(異なる)複数の構造を形成する。構造の種類は次のものから選択できる(ただし、これらに限定されない):リング状、ロッド状、オクテット、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、その他多角形状。同要素はその形状及び構成を所定時間持続させるのに適した機械的特性をもってつくられている。
【0057】
一部の実施形態においては、上記コンパートメントは一以上の種類の生分解性膜により形成されている。他の実施形態においては、上記コンパートメントは二以上の種類の生分解性膜により形成されている。上記コンパートメントが二以上の種類の生分解性膜により形成されている場合、膜は同質の表面であっても異質の表面であってもよい。
更に別の実施形態において、上記胃内滞留要素は一以上の活性剤を有する。よって、同実施形態においては、本発明の上記システムの胃内滞留要素に一以上の別の活性剤を含めてもよい。
【0058】
別の実施形態においては、上記剤形要素は胃内滞留要素に連結され、一以上の活性剤を備え、一以上の拡張性コンパートメントは最初の体積を有する外側生分解性膜を有し、同コンパートメントはコンパートメントの体積を増大させる一以上の化合物を含む。
一部の実施形態においては、ゲルマトリックスを架橋してもよい。同用語は、いかなるソース、化合物がバイオポリマーを形成するナチュラルソースや、合成ソース、あるいが半合成ソースや、それらの組み合わせによる化合物を含む。
【0059】
理論に拘泥されることなく、ゲル形成化合物の分子量とゲルマトリックス内の架橋度合いは、ゲルのコンシステンシー(硬さや剛性等)を表す主要な要因であり、その流動特性(粘性等)に寄与する。ゲル形成化合物の例は、限定されないが、ヒドロゲル、オルガノゲル、キセロゲル、及びこれらの組み合わせ等である。
一部の実施形態においては、上記一以上のゲル形成化合物は次のものから選択可能である:(i)ゼラチン、アルジネー、キトサン、デキストラン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸およびエラスチン等のバイオポリマー源、(ii)ポリカルボフィルカルシウム、アクリルアミド、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、カルボキシ・メチル・セルロース、ポリ・ビニール・ピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム 、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース、及びこれらの組み合わせ等の、半合成又は合成ポリマー源。更に別の実施形態においては、上記一以上のゲル形成化合物は、上記(i)群から選択した一以上の化合物と上記(ii)群から選択した一以上の化合物との組み合わせである。
【0060】
一部の実施形態においては、本発明の構成の一以上のゲル形成化合物は更に架橋されてもよい。
一部の実施形態においては、上記一以上のゲル形成化合物は、(37℃で1時間の胃内pHという条件下で)約10〜100倍の膨張比(w/w)を有する。
「膨張比」という用語は、上記ゲル形成化合物が液体を吸収する前の状態(つまり乾燥又は半乾燥の状態)と液体の最大量を吸収した後の状態との間の膨張度合いを表す。膨張比は重さベースで定義され、以下の式により計算される:[濡れた状態の重さ―(乾燥した状態の重さ×k)]/[(乾燥した状態の重さ×k)]。定数kは、上記条件下で装置が膨張した後に残る形成材料を表す。
【0061】
ゲル形成化合物は以下の利点を有する:(1)膨張が速いため、胃に対する特定の服薬システムにとって利便性が向上する。(2)材料の分子的実体は変更しないため、複合毒性に関する変更のおそれはない。ゲル形成化合物は更に、液体(ここでは水又は胃液)吸収後コンパートメントに対し剛性を付与するため、被包フィルムが破裂したり、破れたり、及び/又は穴が開いたりして充填物が漏れるのをある程度防ぐことができる。更に、架橋されたゲル形成化合物は、架橋されていないゲル形成化合物よりも剛性が高い。
【0062】
一部の実施形態においては、上記組成物は、一以上のチャージされたゲル形成化合物と、一以上の反対にチャージされた化合物とを含み、液体を吸収すると高分子電解質複合体(Poly Electrolyte Complex;PEC)を構成する。一部の実施形態においては、同一以上のチャージされたゲル形成化合物は、次のものから選択される:ポリ酢酸ビニル・ジエチル・アミノの酢酸(AEA)、ポリ・リジン、キトサンポリメタクリレート(Eudragit E)、ポリアルギニン。他の実施形態においては、上記反対にチャージされた化合物は、次のものから選択される:ゼラチン、ヒアルロン酸、ナトリウム・ポリアクリル酸ソーダ、ヘパリン、ポリアクリル酸(Carbomer)、アルギン、ペクチン、カルボキシ・メチル・セルロース。一部の実施形態においては、上記一以上のチャージされたゲル形成化合物及び/又は上記一以上の反対にチャージされた化合物は、上記PECの範囲内において、ゲル形成化合物であり、上記装置の目的に使用されることができる。
【0063】
他の実施形態においては、反対にチャージされた上記一以上の化合物は過剰に付与される(つまり、上記チャージされたゲル形成化合物の分析上の量を超える量を付与される)。このように反対にチャージされた一以上の化合物を過剰に付与することにより、電荷斥力の効果に加えて浸透性の膨張力が大きくなり、相乗的に大きな液体吸収力となる。
一部の実施形態においては、上記一以上のチャージされたゲル形成化合物と一以上の反対にチャージされた化合物との比は、約99:1〜50:50までの範囲である。他の実施形態においては、同比は、約99:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45、又は50:50である。
【0064】
一部の別の実施形態においては、上記一以上のチャージされたゲル形成化合物は、膨張を可能にする一以上の高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer: SAP)である。
「高吸水性高分子」とは、複数の架橋されたポリマーを含み、そのすべては水(又は水を含む液体)等の液体を大量に吸収する基本的能力を有する。これらは、浸透性プロセスにより水を吸収する(水の分子が障壁を越えて一方から他方に移動する)。水が障壁(ここでは外側生分解性膜)を通過しポリマーに接すると、ポリマーが膨張する。SAPの例としては限定されないが以下のものがある:ポリ・エチレングリコール(PEG)、ポリ・グルタミン酸(PGA)、ポリアクリルアミド、アルギン酸、デキストラン、ポリアクリル酸、エチレン・マレイン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、プルラン、でんぷん、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0065】
更に別の実施形態においては、上記化合物は、一以上の前記チャージされたゲル形成化合物を含み、同化合物はPEC内でリンカーとして作用し、同PECは、浸出できない一以上のコンパートメント内に剛性のあるゲルを形成する(つまり、ゲルは上記外側生分解性膜を破っても上記コンパートメントの外には浸出しない)。
一部の実施形態においては、上記組成物は、上記一以上のコンパートメントのゲル形成化合物を備え、液体を吸収してゲルを形成した後徐々に分解され分離する。ゲルの分解は任意のプロセス、例えば機械的分解(胃/腸パルス等)、化学的分解(酸性/ベーシックpH等)、或いは生物学的分解(酵素活性等)により実現できる。
【0066】
一部の実施形態においては、上記一以上のコンパートメント内にゲルが形成されると、コンパートメントは0.15〜1.50atmの最大内部圧力を維持して測定される剛性に達する。他の実施形態においては、コンパートメントは0.50〜1.00atmの圧力下の剛性に達する。更に他の実施形態においては、コンパートメントは0.20〜0.50atmの圧力下の剛性に達する。
【0067】
一部の実施形態において、上記一以上のコンパートメントにおける上記一以上のゲル形成化合物からのゲルの形成は、pH≦6で生じる。他の実施形態において、上記一以上のコンパートメントにおける上記一以上のゲル形成化合物からのゲルの形成は、約2,3,4,5、又は6pHで生じる。
他の実施形態において、上記一以上のコンパートメントにおける上記一以上のゲル形成化合物からのゲルの形成は、約5〜35mSの周囲(つまり液体がコンパートメントを包囲している)伝導率で生じる。他の実施形態においては、ゲルの形成は、約5,10,15,20,25,30,35mSの伝導率で生じる。
【0068】
一部の実施形態において、上記一以上のゲル形成化合物は、粉状である。他の実施形態において、上記一以上のゲル形成化合物は、液状である。
一部の実施形態において、上記一以上のゲル形成化合物は、膜状である(一部の実施形態においては「ゲル膜」と呼ぶ)。これらの実施形態においては、同ゲル膜は、膜形成化合物(上述したゲル形成化合物を除く)を備え、例えば以下のものである:親水性の膜形成要素、疎水性の膜形成要素、非分解性の膜形成要素、分解性の膜形成要素、可塑剤、結合剤、超吸水性高分子、共重合体、osmognates等。上記ゲル膜は公知の方法によって形成されていてもよく、その例としては限定されないが以下のようなものがある:吹錬、一体成型、押出、コーティング、積層、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0069】
一部の実施形態において、上記ゲル膜は二以上の層を備える。別の実施形態において、同ゲル膜の一以上の層は一以上のゲル形成化合物からなる。他の実施形態において、上記ゲル膜は二以上の層から形成され、各層は別個の一以上のゲル形成化合物を備え、それらは同じであっても異なっていてもよい。他の実施形態において、本発明の装置は、二以上のゲル膜(同じ又は異なるもの)を備える。
【0070】
一部の実施形態において、上記ゲル膜は1500ミクロン未満の厚みを有する。他の実施形態において、上記ゲル膜は約50〜300ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態において、上記ゲル膜は、約50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230,240,250,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,又は1500ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態において、上記ゲル膜は、約160〜250ミクロンの厚みを有する。更に別の実施形態において、上記ゲル膜は、約160,170,180,190,200,210,220,230,240、又は250ミクロンの厚みを有する。
【0071】
一部の実施形態において、上記コンパートメントは更に一以上の気体生成化合物を備える。他の実施形態において、一以上の気体生成化合物及びゲル形成化合物は、単一の膜(又は単一層の膜)に形成される(一部の実施形態において、上記膜は単一層膜である。また他の実施形態では複数層膜、つまり二以上の層である)。
一部の実施形態において、上記コンパートメントは更に一以上の気体生成化合物を備える。他の実施形態において、一以上の気体生成化合物及びゲル形成化合物は、単一の膜(又は単一層の膜)に形成される(一部の実施形態において、上記膜は単一層膜である。また他の実施形態では複数層膜、つまり二以上の層である)。
【0072】
「気体生成化合物」とは、接触することにより気体を生成し、いかなる種類の液体も吸収可能である化合物を含む。一部の実施形態において、生成された気体はコンパートメントを膨張させて立体構造を形成する。
気体生成化合物の例としては、限定されないが以下のものがある:炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、フマル酸、グルタミン酸、酸性ピロりん酸ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸カルシウム、重炭酸カリウム、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0073】
一部の実施形態において、上記外側生分解性膜は、結合剤、可塑剤、ポア孔形成要素、乳化剤、膜形成要素、及びこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも一つを備える。
一部の実施形態において、上記ゲル膜は、結合剤、可塑剤、ゲル形成要素、溶媒、osmognate、及びこれらの任意の組み合わせから選択された一以上の添加剤を備える。
適した親水性の膜形成添加剤の例としては、限定されないが、以下のものがある:ポリビニルピロリドン(Plasdone、Kollidon)、ポリビニルアルコール、コリコートIR、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、メチルセルロース、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0074】
適した可塑剤の例としては、限定されないが、以下のものがある:グリセリン、クエン酸トリエチル(TEC)、Triacetine(トリ)、クエン酸トリブチル(TBC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、クエン酸アセチルトリエチル、ポリエチレングリコール(PEG 400-6000)、オレイン酸、ヒマシ油、フタル酸ジエチル(DEP)、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル(DBS)、アセチル化された脂肪酸グリセリド(Myvacet)、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0075】
適した乳化剤の例としては、限定されないが、以下のものがある:ポリソルベート、トリトンX-100、Span、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、及びそれらの任意の組み合わせ。
適したosmognateの例としては、限定されないが、以下のものがある:しょ糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0076】
上記外側生分解性膜を形成するのに適した化合物の例としては、限定されないが、以下のものがある:Hypromellose Phthalate、酢酸フタル酸セルロース、Hypromellose Acetate Succinate、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、Poly-Ethyl-Acrylate、Poly-Vinyl-Acrylate-Phathalate、酢酸ビニル、シェラック、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0077】
適した溶媒の例としては、限定されないが、以下のものがある:エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、クロロホルム、酢酸エチル、及びこれらの任意の組み合わせ。
一部の実施形態において、上記ゲル形成膜は一以上の拡張性の多層生分解性膜の一部であり、一以上の外側生分解性膜の層と、一以上の化合物からなる拡張性層とを備える。同化合物は液体に接触すると膜の体積を拡張体積に増大させて一以上の拡張性コンパートメントを形成する。
【0078】
一部の他の実施形態において、上記多層膜のうち一以上の層は腸で分解可能である(つまり、(生物的環境や同様の体外環境、つまり腸において)膜が中性pHに晒されると、その引っ張り強度及び/又は弾力性のうち一以上が低減することによりその一以上の性質が劣化する)。
更に他の実施形態において、本発明の上記システムは胃内で分解可能であり嚥下可能なカプセルに被包される。一部の実施形態において、分解可能であり嚥下可能なカプセルの大きさは、細長の約000又は000未満のカプセルである(つまり、外径が約9.97mm以下、高さ又は固定長が約30mm以下、実体積が約1.68ml以下である)。下記の表1は、限定されないが、本発明に適したカプセルの大きさである。
【0079】
一部の実施形態において、上記コンパートメント及び/又は剤形は互いに連結する手段を有する。
一部の実施形態において、上記コンパートメント及び/又は剤形は互いを連結する手段を有する。
表1−非限定のカプセルの大きさ
【0080】
【表1】
胃内で分解可能なカプセルの例としては、限定されないが、以下のものがある:Capsugel, Qualicap, ACG, Embo, Orpac, Chemcaps, Eei capsules and Golden capsules。
【0081】
上記カプセルは、その体積空間内に本発明の装置の一以上のコンパートメントを包んで、閉じられたカプセルでコンパートメントを完全に包囲する。一以上のコンパートメントをカプセル内に包み込むのは公知の方法によって行ってもよい。例えば、折り畳み、ローリング、クリーシング、コラプシング、スクイージング、プレシング、絞り、切断等によって行ってもよい。一以上のコンパートメントを上記カプセルで包むと、同コンパートメントは閉じられ又は圧縮された形状となる。
【0082】
他の実施形態において、上記一以上のコンパートメントの体積を増大させる一以上の化合物は、上記生分解性膜の層の一つを形成する。一部の実施形態において、上記一以上のコンパートメント又は膜の体積を増大させる一以上の化合物はヒドロゲルである。更に別の一部の実施形態において、ヒドロゲルを備える上記膜は、サポート膜(例えばMYLAR-A(登録商標))上に予め成型された二つの層から構成される。サポート膜により第1層(PVOH、Klucel、Kollicoat-IRR(登録商標)、Methocel、又はPovidone)の成型は接着材料なしで可能となる一方で、サポート膜は実際には装置生成の過程で取り外されるため最終装置の製造・保存時に第2の成型層に弾性と保護を付与する。ただし、第2の成型層のLuquasorb(FP800):Lactose:PEG:Kollidon、又はCarbopol:Chitosan:PEG:Klucel、又はPoly-Acrylic-Acid:Chitosan:PEG:Klucel、又はSephadexG-100:Lactose:TEC:Klucelは、膨張可能なゲルマトリックス、可塑剤及び結合剤を構成するポリマーの(ポリマー溶液というより)粒子懸濁液を含み、粒子を懸濁液にする。
【0083】
一部の実施形態では、上記拡張膜は400ミクロン未満の厚みを有する。
他の実施形態においては、上記拡張膜は約150〜350ミクロンの厚みを有する。一部の他の実施形態では、上記拡張膜は約150〜190ミクロンの厚みを有する。
他の実施形態においては、上記外側生分解性膜は400ミクロン未満の厚みを有する。
更に他の実施形態においては、上記外側生分解性膜は約3〜60ミクロンの厚みを有する。他の実施形態では、上記外側生分解性膜は約10〜25ミクロンの厚みを有する。
【0084】
他の実施形態においては、上記膜は多層膜、つまり二以上の層の生分解性材料を備える。一部の実施形態においては、上記二以上の層は同じ又は異なる生分解性材料を備える。
一部の実施形態において、上記膜は二以上の異なる層を有する。他の実施形態において、上記膜は三以上の異なる層を有する。
一部の他の実施形態において、上記多層膜の一以上の層は、腸で分解可能である(つまり、(生物的環境や同様の体外環境、つまり腸において)膜が中性pHに晒されると、その引っ張り強度及び/又は弾力性のうち一以上が低減することによりその一以上の性質が劣化する)。
【0085】
更に別の実施形態においては、上記膜は一以上の機械的又は化学的に形成された開口を備える。
更に別の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントの体積を増大させる一以上の化合物は、ゲル形成化合物、気体生成化合物、発泡化合物、膨張させる化合物、液体吸収可能な化合物、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0086】
他の実施形態においては、上記ゲル形成化合物は、ゼラチン、アルジネート、キトサン、アミロース、コラーゲン、ポリアクリル酸ナトリウム、加工デンプン、Carbopol、ポリエチレンオキサイド、Methocel、Metholose、エラスチン、ヒアルロン酸、セファデックス、ポリ-L-リジン、ポリ-D、L-アルギニン、Poly (σ-guanidine-α-aminobutyric acid)、ポリメタクリレート、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0087】
他の実施形態においては、上記気体生成化合物は、発泡化合物、或いは有機酸やアルカリ炭酸塩等の二以上の発泡化合物の組み合わせであってもよい。一部の実施形態においては、上記アルカリ炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。更に別の実施形態においては、上記有機酸は、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、酸性ピロりん酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
更に別の実施形態においては、本発明の上記システムは、二以上のコンパートメントを備え、各コンパートメントは外側生分解性膜を有し、それぞれの体積を増大させる一以上の化合物をそれぞれ包み込む。
一部の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントは1cm
3以上の全体充填体積を有する。一部の他の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントは約1cm
3〜50cm
3の全体充填体積、つまり1,2,3,4,5,10,15,20,25,30,35,40,45,50cm
3の充填体積を有する。
【0089】
別の実施形態においては、上記一以上のコンパートメントの外側生分解性膜は、胃に到達すると、液体をコンパートメント内に浸透させることにより、部分的にその体積を増大させる。
一部の実施形態においては、上記薬学上の活性剤は、次の群から選択される:クラリスロマイシン、シメチジン、シプロフロキサシン、オキシカルバゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、トリメタジジン、ファロペネム、アシクロビル、カルビドパ、レボドパ、メチルドーパ、ベラパミル、プロプラノロール、カルベジロール、アテノロール、アルブテロール、ピルブテロール、ニフェジピン、ニモジピン、ニカルジピン、アムロジピン、プラゾシン、グアナベンズ、アロプリノール、メトプロロール、オクスプレノロール、バクロフェン、スマトリプタン、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、メトホルミン、モエキシプリル、インドラプリル、olindapril、retinapril、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、ニトロフラントイン、バラシクロビル、アジスロマイシン、イノシン、ジダノシン、プラノベクス、tribavirin、ビダラビン、シンバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、セレギリン、ミダゾラム、炭酸リチウム、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、bifentidine、ニフェンチジン、ロキサチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及びスクラルファートのような制酸剤、カルベノキソロン、ミソプロストール、ピレンゼピン、テレンゼピン、ビスマス塩類、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、アモキシシリン、セファレキシン、アスコルビン酸、葉酸、ビタミンE、ナイアシン、フロセミド、トピラマート、ヒドロクロロチアジド、オルリスタット、薬学上服用可能な塩類、エステル又はプロドラッグ。
【0090】
更に他の実施形態において、上記一以上の薬学上の活性剤は持続制御形態にある。一部の他の実施形態においては、持続制御形態は胃内で持続制御される形態である。
他の実施形態において、上記薬学上の活性剤は200mg以上の用量である。他の実施形態においては、上記薬学上の活性剤は、50mg〜2000mgの用量である。一部の実施形態においては、上記薬学上の活性剤は次のものからなる群より選択される:メトホルミン(Glucophage, Glumetza)、シメチジン(Tagamet)、アシクロビル(ゾヴィラックス)、クラリスロマイシン(Biaxin)、カルビドパ/レボドーパ(Sinemet及びSinemet CR)、カルビドパ/レボドーパ/エンタカポン(Stalevo)、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0091】
別の観点において、本発明は活性剤を患者に対し投与する方法であって、本発明のシステムによって投与する方法に関する。
更に別の観点において、本発明に係るシステム及びその使用手順を備えるキットを提供する。
本発明のキットの一部の実施形態は、患者の胃内に装置を送る手段を備える。
【0092】
更に別の実施形態において、本発明のキットは更に、患者の胃内において前記システムに接すると同システムを構造的に分解させる分解形態を備える。
一部の実施形態においては、上記分解形態は、ナトリウムや重炭酸カリウム(例えばAlka-Seltzer、Brioschi等)のように直接酸性を中性化させる制酸薬を備える。
本発明の上記システムが患者の胃内に滞留する時間は、特定の膜の組み合わせを利用することにより滞留のニーズに応じた構成をとることが可能であり、様々な具体的要求に応じて多様に組み合わせが可能な方法や構造を提供することができる。
【0093】
胃内の条件(温度、pH、塩分濃度等)は個々の患者の状態(健康状態、一日の消化回数等)によって異なるため、本発明のシステムはかかる胃内の状態に合うように構成される。
一部の実施形態において、本発明のシステムは、(同システムを構成する膜、結合要素等の要素という観点と、係る要素の立体構成という観点から)、胃のpHが日中より低く胃のぜん動波が強い夜間にその効果が実現されるように構成される。
【0094】
本発明の装置によって、既製の在庫のタブレットを、その性質を変えることなく胃内貯留システムに連結して投与することが可能であるため、胃内における薬剤の滞留時間を長くでき治効を向上させることができる。また、滞留要素のない通常の薬剤投与に比して副作用が少ない。
一部の実施形態においては、上記胃内滞留要素は、例えばセンサ装置、診断装置、治療装置、カメラ、pHセンサ、圧力センサ、液体体積センサ、栄養検出器、電気パルス装置、放射装置、化学療法装置、電気刺激装置、磁気刺激装置、及びこれらの任意の組み合わせ等の装置に連結される。