(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本明細書において、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、血小板血症、および本態性血小板血症を含めた骨髄増殖性障害または新生物を処置するための方法、組成物、およびキットが、提供される。がんを処置するための方法が、また本明細書において提供される。このような方法は、JAK阻害剤およびPI3K阻害剤の使用を含み得る。このような方法は、抗CD20抗体およびPI3K阻害剤の使用を含み得る。これに関連する組成物、製造品およびキットが、また本明細書において提供される。
前記JAK阻害剤が、ルクソリチニブもしくはN−(シアノメチル)−4−[2−(4−モルホリノアニリノ)ピリミジン−4−イル]ベンズアミド;または薬学的に許容されるその塩からなる群より選択されるJAK2阻害剤である、請求項2に記載の方法。
前記PI3K阻害剤が、XL147、BKM120、GDC−0941、BAY80−6946、PX−866、CH5132799、XL756、BEZ235、およびGDC−0980、ワートマニン、LY294002、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、GSK2636771、BAY10824391、ブパルリシブ、BYL719、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799、ZSTK474、AS252424、TGX221、TG100115、IC87114、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;または薬学的に許容されるその塩の群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
前記PI3K阻害剤が、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;または薬学的に許容されるその塩からなる群より選択されるPI3Kδ阻害剤である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
前記PI3K阻害剤が、XL147、BKM120、GDC−0941、BAY80−6946、PX−866、CH5132799、XL756、BEZ235、およびGDC−0980、ワートマニン、LY294002、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、GSK2636771、BAY10824391、ブパルリシブ、BYL719、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799、ZSTK474、AS252424、TGX221、TG100115、IC87114、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、および(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;または薬学的に許容されるその塩の群より選択される、請求項5または6に記載の方法。
前記PI3K阻害剤が、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、または薬学的に許容されるその塩である、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
化合物Bもしくは薬学的に許容されるその塩が、化合物Bもしくは薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物中に存在し、そして
オビヌツズマブが、オビヌツズマブ、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物中に存在する、請求項14または15に記載の方法。
がんを有する前記ヒトが、(i)少なくとも1つの化学療法による処置に対して治療抵抗性であるか、または(ii)化学療法による処置の後に再発しているか、またはこれらの組み合わせである、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
前記がんが、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から選択される、請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
細胞と有効量の抗CD20抗体および有効量のPI3K阻害剤とを接触させることを含む、細胞生存度を減少させるか、増殖を減少させるか、またはアポトーシスを増加させるための方法。
前記PI3K阻害剤が、XL147、BKM120、GDC−0941、BAY80−6946、PX−866、CH5132799、XL756、BEZ235、およびGDC−0980、ワートマニン、LY294002、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、GSK2636771、BAY10824391、ブパルリシブ、BYL719、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799、ZSTK474、AS252424、TGX221、TG100115、IC87114、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、および(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;または薬学的に許容されるその塩の群より選択される、請求項23または24に記載の方法。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
医薬組成物およびラベルを含むキットであって、前記医薬組成物が、治療有効量のJAK阻害剤、治療有効量のPI3K阻害剤、および薬学的に許容される賦形剤を含む、キット。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項30または31に記載のキット。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項33または34に記載の製造品。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明において、特定の詳細は、本開示の様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために記載する。しかし、実施形態はこれらの詳細なしで実施し得ることを当業者は理解する。本開示は特許請求した主題の例示として考えられ、添付の特許請求の範囲を例示した特定の実施形態に限定することを意図しないという理解と共に、いくつかの実施形態の下記の記載を行う。本開示を通して使用する見出しは利便性のみのために提供し、請求項を決して制限するとは解釈されない。任意の見出し下で例示する実施形態は、任意の他の見出し下で例示する実施形態と組み合わされ得る。
【0042】
以下の説明は、骨髄増殖性障害または新生物を処置するための例示的な方法、組成物、キットおよび製造品について記載する。このような記載は実施形態を例示するものであり、本開示の範囲を限定しない。
【0043】
本出願は、1種または複数の治療剤を投与することによって、被験体において過剰増殖性障害、例えば、がんおよび骨髄増殖性障害を処置するための方法を提供する。骨髄増殖性新生物(MPN)とまた称される骨髄増殖性障害(MPD)は、造血(または初期骨髄系前駆細胞)幹細胞の変異によってもたらされ、これは骨髄系統細胞(例えば、骨髄)の過剰な産生、クローン骨髄増殖、骨髄線維症、および異常なサイトカイン発現をもたらす。MPNは、とりわけ、真性赤血球増加症(PV)、原発性骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、全身性肥満細胞症、慢性好中球性白血病、骨髄異形成症候群、および全身性肥満細胞症を含む。MPN患者は、急性骨髄性白血病(AML)をさらに発生し得、これは転帰不良と関連することが多い。現在のMPN治療は、長期間にわたり緩和ケアを提供することを目指している。
【0044】
本明細書において提供する方法は、骨髄増殖性疾患を処置するための1種または複数の治療剤を投与することによって骨髄増殖性疾患を処置する。ある特定の実施形態において、方法は、単一の治療剤を使用するか、または含む。他の実施形態において、方法は、2種またはそれ超の治療剤の組み合わせを使用するか、または含む。いくつかの実施形態において、B−細胞受容体(BCR)が媒介するシグナル伝達、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)が媒介するシグナル伝達経路、ヤヌスキナーゼ(JAK)が媒介するシグナル伝達経路、もしくは任意のこれらの組み合わせを阻害する治療剤または小分子阻害剤の組み合わせを投与することによって、骨髄増殖性疾患を処置するための方法を提供する。
【0045】
他の態様において、本明細書において提供する方法は、小分子キナーゼ阻害剤の組み合わせを投与することによって、被験体においてがんを処置する。がんは、血液悪性疾患、例えば、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫であり得る。被験体は、ヒトであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、B細胞受容体(BCR)が媒介するシグナル伝達経路を阻害し、かつ本態性慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞−微小環境相互作用を撹乱することができる小分子キナーゼ阻害剤の組み合わせを投与することによって白血病を処置するための方法が提供される。本明細書において提供する方法は、BCR経路における複数のノードを阻害する効果を有し得る。BCRの下流の複数の経路の同時の阻害は、相乗的反応をもたらし得、これは単一の化合物の使用で観察される耐性の克服に役立つことができる。このように、二重阻害は、例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)を含めた白血病において抗腫瘍効果を増強し得る。
【0046】
治療剤は、それを必要とする被験体(例えば、MPN患者)に投与したとき所望の治療効果を提供する、化合物または生体分子(例えば、DNA、RNA、もしくはタンパク質)であり得る。例えば、治療剤は、疾患の機序または発生に直接的または間接的に関連するキナーゼを阻害する化合物である。本明細書において使用する場合、治療効果またはその変形の増強は、より少ないおよび/または低減した症状、より高い生存率、生存時間の延長、より短い処置期間、より低い薬物投与量、分子および/または細胞応答の増加などを含めた、従前に観察されていない患者へのさらなる有益な効果または相乗効果を指す。
【0047】
治療剤または阻害剤の組み合わせは、同じ経路の上流または下流の構成要素を標的とし得る。代わりに、治療剤または阻害剤の組み合わせは、二重または多重経路の異なる構成要素を標的とし得る。治療剤または阻害剤の組み合わせの使用は、単一の治療剤または阻害剤の使用と比較して治療効果を増強し得ると仮定される。
【0048】
PI3KクラスIは、4種のp110触媒サブユニットアイソフォームα、β、δ、およびγを有する。PI3K p110デルタアイソフォームは、CLLを含めた多くのB細胞悪性疾患において過剰発現している。PI3Kδ阻害剤は、BCRシグナル伝達、白血病細胞移動および微小環境に関連する分子経路を撹乱することによって、B細胞悪性疾患においてアポトーシスを促進することが示される。また、PI3Kδ阻害剤は、BCRに由来するPI3Kシグナル伝達を阻害し、これはAKT活性化の阻害をもたらす。理論に束縛されるものではないが、PI3Kδ阻害剤は、JAK−シグナル伝達経路におけるJAK2リン酸化を再感作または再活性化し、単一のJAK阻害剤、例えば、ルクソリチニブの使用からの薬物耐性または疾患の持続を克服することによって、従前の、併行する、またはそれに続くMPN治療に対する患者反応の増加をもたらし得る。代わりに、PI3K p110δ阻害を標的とすることは、罹患細胞の直接の破壊、または細胞生存、増殖、もしくは過剰増殖と関連するシグナル伝達経路のために必要とされる微小環境シグナルの抑制をもたらし得る。本明細書に記載のように、PI3KδおよびJAKを標的とするか、または阻害することは、過剰増殖性疾患の処置のための新規なアプローチを提供する。
【0049】
機序に関わらず、このような効果は、過剰増殖性疾患、例えば、がんおよびMPNを処置することにおいて望ましい。なぜなら、処置が一般に長期間にわたりに提供され(すなわち、慢性治療)、薬物耐性または疾患の持続が慢性治療の間に一般に観察されるためである。このように、2種、3種またはそれ超の治療剤の組み合わせによる二重または多重阻害は、骨髄増殖性疾患における処置または治療効果を増強し得る。
【0050】
本開示はまた、1種または複数の治療剤を含む組成物(医薬組成物、製剤、または単位投与量を含めた)、製造品およびキットを提供する。一態様において、JAK阻害剤、およびPI3K阻害剤から選択される2種またはそれ超の薬剤を含む組成物(医薬組成物、製剤、または単位投与量を含めた)、製造品およびキットを提供する。別の態様において、PI3Kδ阻害剤および抗CD20抗体から選択される2種またはそれ超の薬剤を含む組成物(医薬組成物、製剤、または単位投与量を含めた)、製造品およびキットを提供する。例えば、2種またはそれ超の薬剤は、2種の薬剤:(i)PI3Kδ阻害剤、または薬学的に許容されるその塩、および(ii)ヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。
【0051】
本開示に記載されているように、ある特定の実施形態において、罹患細胞または患者への(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、または(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルを含めたPI3Kδ阻害剤、およびN−(シアノメチル)−4−(2−((4−モルホリノフェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドまたはルクソリチニブを含めたJAK阻害剤の投与は、それぞれのキナーゼ阻害剤単独の投与と比較して、予想外に増強された治療効果をもたらした。予想外の相乗効果には、これらに限定されないが、例えば、細胞生存度の減少、細胞死もしくはアポトーシスの増加、PI3Kシグナル伝達経路(AKT、S6RP、ERKリン酸化を含めた)の阻害もしくは干渉の減少、ならびに/またはケモカイン(例えば、CCL2、CCL3、CLL4およびCLL22)産生の低減、罹患細胞もしくは患者におけるコロニー形成の低減が含まれる。さらに、PI3KδおよびJAK阻害剤の両方の投与は、従前の処置に対して耐性を発生した罹患細胞または従前の処置に対して疾患の持続を発生させた患者の感受性もしくは反応を予想外に回復させるか、または増加させた。
【0052】
本開示において記載するように、他の実施形態において、がん細胞への、それぞれがPI3Kδ阻害剤である、(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン(化合物BのS−エナンチオマー)または(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン(化合物CのS−エナンチオマー)、およびIgG1サブクラスのヒト化抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブ(例えば、GAZYVA(登録商標))の投与は、各化合物単独の投与と比較して相乗効果をもたらす。ある特定の実施形態において、予想外の相乗効果には、これらに限定されないが、例えば、がん細胞における細胞生存度の減少、BCRシグナル伝達経路(MEKおよびERKリン酸化を含めた)の阻害もしくは妨害、ならびに/またはケモカインの産生(例えば、CCL2、CCL3、CLL4およびCLL22の産生)の低減が含まれる。さらに、ある特定の実施形態において、がん細胞への両方の化合物の投与は、いずれかの化合物単独に対して耐性を発生させたこのようながん細胞の感受性もしくは反応を回復させるか、またはいずれかの化合物単独に対する耐性を発生させたこのようながん細胞の感受性もしくは反応を増加させる。
治療剤
【0053】
本出願は、過剰増殖性障害、例えば、がんまたは骨髄増殖性新生物を処置するための、直接的または間接的に、細胞増殖、増殖、またはアポトーシスに関連している1つまたは複数の標的を阻害する1種または複数の治療剤を使用するか、または含む方法、組成物、キットおよびその製造品を提供する。1種または複数の治療剤は、Abl阻害剤、ACK阻害剤、A2B阻害剤、ASK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、BTK阻害剤、BRD阻害剤、c−Kit阻害剤、c−Met阻害剤、CAK阻害剤、CaMK阻害剤、CDK阻害剤、CK阻害剤、DDR阻害剤、EGFR阻害剤、FAK阻害剤、Flt−3阻害剤、FYN阻害剤、GSK阻害剤、HCK阻害剤、HDAC阻害剤、IKK阻害剤、IDH阻害剤、IKK阻害剤、JAK阻害剤、KDR阻害剤、LCK阻害剤、LOX阻害剤、LOXL阻害剤、LYN阻害剤、MMP阻害剤、MEK阻害剤、MAPK阻害剤、NEK9阻害剤、NPM−ALK阻害剤、p38キナーゼ阻害剤、PDGF阻害剤、PI3キナーゼ(PI3K)、PK阻害剤、PLK阻害剤、PK阻害剤、PYK阻害剤、SYK阻害剤、TPL2阻害剤、STK阻害剤、STAT阻害剤、SRC阻害剤、TBK阻害剤、TIE阻害剤、TK阻害剤、VEGF阻害剤、YES阻害剤、化学療法剤、免疫療法剤、放射線治療剤、抗新生物剤、抗がん剤、抗増殖剤、抗線維化剤、血管形成阻害剤、治療用抗体、または任意のこれらの組み合わせである化合物または分子である。いくつかの実施形態において、治療剤は、PI3キナーゼ(PI3K)、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、ヤヌスキナーゼ(JAK)、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)、または任意のこれらの組み合わせを標的とし、1つまたは複数の標的の阻害をもたらす化合物または分子である。ある特定の実施形態において、治療剤は、PI3K p110デルタアイソフォーム(PI3Kδ)を選択的に阻害するPI3Kδ阻害剤である。いくつかの実施形態において、治療剤は、PI3Kδ阻害剤およびJAK1/2阻害剤である。他の実施形態において、治療剤は、PI3K阻害剤および免疫療法剤である。ある特定の実施形態において、治療剤は、PI3Kδ阻害剤および抗CD20抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD20抗体は、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))である。
【0054】
ある特定の実施形態において、化合物BおよびC、または薬学的に許容されるその塩は、単独でまたは一緒に、抗CD20抗体と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態において、抗CD20抗体は、ヒト化抗CD20抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD20抗体は、モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD20抗体は、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD20抗体は、IgG1サブクラスの抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD20抗体は、IgG1サブクラスのヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。
【0055】
JAK阻害剤は、JAK1、JAK2、および/またはJAK3を含めたJAKファミリーの1つまたは複数のメンバーを結合および阻害する。例えば、JAK阻害剤は、下記に示す式(I)の構造を有する化合物、
【化3】
(式中、
Zは、NおよびCHから独立に選択され、
R
1は、H、ハロゲン、OH、CONHR
2、CON(R
2)
2、CF
3、R
2OR
2、CN、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、任意選択で置換されているピペリジニル、任意選択で置換されているピペラジニル、イミダゾリル、任意選択で置換されているピロリジニルおよびC
1〜4アルキレン(炭素原子は、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ−1,1−ジオキシドで置換されているNR
Yおよび/またはOで任意選択で置換されている)、任意選択で置換されているピペリジニル、任意選択で置換されているピペラジニル、イミダゾリルまたは任意選択で置換されているピロリジニルから独立に選択され、
R
2は、任意選択で置換されているC
1〜4アルキルであり、
R
Yは、Hまたは任意選択で置換されているC
1〜4アルキルであり、
R
8は、R
XCNであり、
R
Xは、任意選択で置換されているC
1〜4アルキレンであり、2個までの炭素原子は、CO、NSO
2R
1、NR
Y、CONR
Y、SO、SO
2またはOで任意選択で置換することができ、
R
11は、H、ハロゲン、C
1〜4アルキルまたはC
1〜4アルキルオキシである)
または薬学的に許容されるその塩である。
【0056】
一実施形態において、JAK阻害剤は、構造:
【化4】
を有する化合物Aである。
【0057】
化合物Aは、ChemDrawを使用して、その化合物名:N−(シアノメチル)−4−[2−(4−モルホリノアニリノ)ピリミジン−4−イル]ベンズアミドによって参照し得る。CYT0387またはモメロチニブとまた称される化合物Aは、JAK3と比較して、JAK2およびJAK1に対する選択的阻害剤である。式Iの化合物および化合物Aを合成する方法は、米国特許第8,486,941号に従前記載されている。この参照文献は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている。
【0058】
さらなるJAK阻害剤には、これらに限定されないが、ルクソリチニブ(INCB018424)、フェドラチニブ(SAR302503、TG101348)、トファシチニブ、バリシチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ(SB1518)、XL019、AZD1480、INCB039110、LY2784544、BMS911543、およびNS018が含まれる。
【0059】
PI3K阻害剤は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、PI3Kγ、または任意のこれらの組み合わせを含めたクラスI PI3Kの1つまたは複数のアイソフォームを阻害する。例えば、PI3K阻害剤は、下記に示すような式IIの構造を有するPI3Kδ阻害剤
【化5】
(式中、
Xは、CHまたはNであり、
Rは、H、ハロ、またはC
1〜6アルキルであり、
R’は、C
1〜6アルキルである)
または薬学的に許容されるその塩である。
【0060】
いくつかの実施形態において、PI3Kδ阻害剤は、構造:
【化6】
を有する化合物Bである。
【0061】
他の実施形態において、化合物Bは主に、構造:
【化7】
を有するS−エナンチオマーである。化合物Bの(S)−エナンチオマーはまた、ChemDrawを使用して、その化合物名:(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンによって参照し得る。
【0062】
ある特定の実施形態において、PI3Kδ阻害剤は、構造:
【化8】
を有する化合物Cである。
【0063】
さらなる実施形態において、化合物Cは主に、構造:
【化9】
を有するS−エナンチオマーである。化合物Cの(S)−エナンチオマーはまた、ChemDrawを使用して、その化合物名:(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンによって参照し得る。
【0064】
別の実施形態において、PI3K阻害剤は、構造:
【化10】
を有する化合物Dである。
【0065】
一実施形態において、化合物Dは、主に、構造:
【化11】
を有するS−エナンチオマーである。化合物Dの(S)−エナンチオマーはまた、ChemDrawを使用して、その化合物名:(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オンによって言及し得る。
【0066】
また他の実施形態において、PI3K阻害剤は、ChemDrawを使用して、その化合物名:(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルによって命名される化合物Eである。いくつかの他の実施形態において、PI3K阻害剤は、米国特許仮出願第61/543,176号;同第61/581,528号;同第61/745,429号;同第61/745,437号;および同第61/835,333号に記載されている化合物を含む。この参照文献は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている。
【0067】
化合物B、C、D、およびEは、他のPI3Kアイソフォームと比較してPI3K p110δを選択的に阻害するPI3Kδ阻害剤である。式IIの化合物、化合物B、C、D、およびEを合成する方法は、米国特許第7,932,260号または米国特許仮出願第61/581,528号において従前記載されている。特に、式IIの化合物、化合物B、C、D、およびEの合成に関して、参照文献は参照により本明細書中にその全体が組み込まれている。
【0068】
さらなるPI3K阻害剤には、これらに限定されないが、XL147、BKM120、GDC−0941、BAY80−6946、PX−866、CH5132799、XL756、BEZ235、およびGDC−0980、ワートマニン、LY294002、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、GSK2636771、BAY10824391、ブパルリシブ、BYL719、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799、AS252424、TGX221、TG100115、IC87114、およびZSTK474が含まれる。1つのバリエーションにおいて、PI3K阻害剤は、デュベリシブ(duvelisib)(IPI−145)である。
【0069】
SYK阻害剤には、これらに限定されないが、6−(1H−インダゾール−6−イル)−N−(4−モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−アミン、R406(タマチニブ(tamatinib))、R788(ホスタマチニブ(fostamatinib))、PRT062607、BAY−61−3606、NVP−QAB205AA、R112、もしくはR343、または薬学的に許容されるその塩が含まれる。Kaurら、European Journal of Medicinal Chemistry、67巻(2013年)434〜446頁を参照されたい。一実施形態において、Syk阻害剤は、米国特許第8,450,321号に記載されているような6−(1H−インダゾール−6−イル)−N−(4−モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−8−アミンである。
【0070】
化合物構造は、一般に認識される命名システムおよび記号を使用して命名または同定し得ることを当業者は理解する。例として、化合物は、一般名、系統名または非系統名で命名または同定し得る。化学の技術分野で一般に認識される命名システムおよび記号は、例えば、ChemBioDraw Ultra12.0、Chemical Abstract Service(CAS)ならびにInternational Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)を含む。例えば、化合物Aの化学名は、ChemDraw2.0を使用して、N−(シアノメチル)−4−[2−(4−モルホリノアニリノ)ピリミジン−4−イル]ベンズアミドと、またはIUPACを使用して、N−(シアノメチル)−4−(2−((4−モルホリノフェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)ベンズアミドと称してもよく、化合物Bの化学名は、ChemDraw2.0を使用して、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンと、またはIUPACを使用して、(5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]キナゾリン−4(3H)−オン)と称し得る。
【0071】
用語「選択的阻害剤」、「選択的に阻害する」またはこの変形は、ファミリーの少なくとも1つの他のメンバーまたはアイソフォームより効果的に、同じタンパク質ファミリー内のあるメンバーまたはアイソフォームを阻害する化合物または分子を指す。例えば、「PI3Kδ阻害剤」は、PI3Kファミリーの少なくとも1つの他の異性体より効果的に、PI3Kδアイソフォームを阻害する化合物を指し、「JAK1/2阻害剤」は、JAKファミリーの少なくとも1つの他のメンバーより効果的に、JAK1/2を阻害する化合物を指す。選択的阻害剤はまた、ファミリーの他のメンバーまたは異性体に対して活性であり得るが、同じ程度の阻害を達成するのにより高い濃度を必要とする。「選択的」をまた使用して、比較し得る化合物より特定のタンパク質またはキナーゼをより阻害する化合物を説明することができる。
【0072】
用語「C
1〜4アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルが含まれる。同様に、用語「C
1〜6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。
【0073】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0074】
用語「任意選択で置換されている」は、非置換であるか、またはC
1〜4アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、C
1〜6アルキルアリール、アリール、ヘテロシクリル、ハロ、ハロC
1〜6アルキル、ハロC
3〜6シクロアルキル、ハロC
2〜6アルケニル、ハロC
2〜6アルキニル、ハロアリール、ハロヘテロシクリル、ヒドロキシ、C
1〜6アルコキシ、C
2〜6アルケニルオキシ、C
2〜6アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、カルボキシ、ハロC
1〜6アルコキシ、ハロC
2〜6アルケニルオキシ、ハロC
2〜6アルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロC
1〜6アルキル、ニトロC
2〜6アルケニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、C
1〜6アルキルアミノ、C
2〜6アルケニルアミノ、C
2〜6アルキニルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクラミノアシル、C
1〜6アルキルアシル、C
2〜6アルケニルアシル、C
2〜6アルキニルアシル、アリールアシル、ヘテロシクリルアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、C
1〜6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C
1〜6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C
1〜6アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、C
1〜6アルキルスルフェニル、C
2〜6アルキルスルフェニル(alklysulphenyl)、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、C
1〜6アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、シアノなどから選択される1個または複数の基で置換されている基を指す。ある特定の実施形態において、「任意選択で置換されている」は、非置換であるか、またはC
1〜4アルキル、C
3〜6シクロアルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、C
1〜6アルキルアリール、アリール、ヘテロシクリル、ハロ、ハロアリール、ハロヘテロシクリル、ヒドロキシ、C
1〜4アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、C
1〜6アルキルアシル、アリールアシル、ヘテロシクリルアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、C
1〜6アルキルスルフェニル、アリールスルホニルおよびシアノからなる群より選択される1個もしくは複数の基で置換されている基を指す。
【0075】
用語「アリール」は、芳香族炭化水素の単一、多核、共役または縮合残基を指す。例には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンゾアントラセニル、ジベンキサントラセニル(dibenxanthracenyl)およびフェナントレニルが含まれる。
【0076】
用語「不飽和N−含有5員または6員ヘテロシクリル」は、少なくとも1個の窒素を含有する不飽和環状炭化水素基を指す。適切なN−含有複素環基は、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和5〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリルまたはテトラゾリル;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和5員または6員ヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリルまたはオキサジアゾリル;ならびに1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和5員または6員ヘテロ単環式基、例えば、チアゾリルまたはチアジアゾリルを含む。
【0077】
本明細書において提供する方法、組成物、キットおよび製造品は、化合物(例えば、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、および化合物E)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を使用するか、または含み、炭素原子に付着した1〜n個の水素原子は、重水素原子またはDで置き換えられていてもよく、nは、分子中の水素原子の数である。当技術分野において公知のように、重水素原子は、水素原子の非放射性同位体である。このような化合物は、代謝に対する耐性を増加させ得、したがって、哺乳動物に投与したとき、化合物、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の半減期を増加させるのに有用であり得る。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci.、5巻(12号):524〜527頁(1984年)を参照されたい。このような化合物は、当技術分野で周知の手段によって、例えば、1個または複数の水素原子が重水素で置き換えられている出発材料を用いることによって合成される。
【0078】
本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される」とは、生物学的にまたはその他の点で望ましくないことはない材料を指し、例えば、材料は、任意の有意な望ましくない生物学的効果をもたらすことなく、またはそれが含有される組成物の他の構成要素のいずれかと有害な様式で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物中に組み込まれてもよい。薬学的に許容される担体または賦形剤は好ましくは、毒物学的および製造試験の必要とされる標準を満たしており、かつ/または米国食品医薬品局によって作製されたInactive Ingredient Guideに含まれる。
【0079】
「薬学的に許容される塩」は、例えば、無機酸との塩および有機酸との塩を含む。塩の例は、塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メシル酸塩、ビスメシル酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、ステアリン酸塩、およびアルカン酸塩(例えば、酢酸塩、HOOC−(CH
2)
n−COOH、式中、nは、0〜4である)を含み得る。さらに、本明細書に記載されている化合物は、酸付加塩として得てもよく、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化することによって得てもよい。代わりに、生成物は遊離塩基でよく、薬学的に許容される付加塩を含めた付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための一般に公知の手順によって、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって生成し得る。当業者であれば、無毒性の薬学的に許容される付加塩を調製するために使用し得る様々な合成法を認識するであろう。
【0080】
「プロドラッグ」は、被験体に投与されたとき、例えば、プロドラッグの代謝プロセシングによって化合物A、B、C、D、またはEとなる、任意の化合物を含む。
【0081】
「溶媒和物」は、溶媒および化合物の相互作用によって形成される。方法ならびに組成物(例えば、医薬組成物、製造品およびキットを含めた)において使用される化合物は、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、または化合物Eの塩の溶媒和物を使用するか、または含み得る。一実施形態において、溶媒は、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、または化合物Eの水和物であり得る。
【0082】
提供する方法、組成物、キットおよび製造品は、化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物Eまたはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは溶媒和物の光学異性体、ラセミ化合物または他のこれらの混合物を使用するか、または含み得る。単一のエナンチオマーまたはジアステレオマー、すなわち、光学活性な形態は、不斉合成またはラセミ化合物の分割によって得てもよい。ラセミ化合物の分割は、例えば、公知の方法、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを使用したクロマトグラフィーによって達成し得る。さらに、炭素−炭素二重結合を有する、Z−およびE−形態(もしくはcis−およびtrans−形態)の化合物B、C、D、もしくはE、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物がまた提供される。提供する方法、組成物、キットおよび製造品は、化合物B、C、D、もしくはEの任意の互変異性形態、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を使用するか、または含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法、組成物、キットおよび製造品は、化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物Eのラセミ混合物、または鏡像体過剰率(e.e.)の1つのエナンチオマーを含有する混合物を使用するか、または含み得る。化合物B、C、D、またはEの全てのこのような異性体形態は、あたかも、それぞれおよび全ての異性体形態が具体的かつ個々に列挙されたのと同じように本明細書において含まれる。例えば、化合物B、化合物C、化合物D、または化合物Eは、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の鏡像体過剰率のその(S)−エナンチオマーを有する。
【0084】
例として、提供する方法、組成物、キットおよび製造品は、(i)化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物Eまたは薬学的に許容されるその塩の鏡像体過剰率の(S)−エナンチオマーを含有する混合物;および(ii)化合物A、またはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩を使用するか、または含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法、組成物、キットおよび製造品は、鏡像体過剰率の(S)−エナンチオマーでの化合物Bまたは薬学的に許容されるその塩、および化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩を使用するか、または含む。
【0085】
別の例について、提供する方法、組成物、キットおよび製造品の特定の実施形態は、(i)化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩の鏡像体過剰率の(S)−エナンチオマーを含有する混合物;および(ii)オビヌツズマブを使用するか、または含み得る。提供する方法、組成物、キットおよび製造品の他の実施形態は、(i)化合物Bまたは化合物Cの鏡像体過剰率の(S)−エナンチオマーを含有する混合物;および(ii)オビヌツズマブを使用するか、または含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、1種または複数の治療剤は、様々な過剰増殖性障害、例えば、がんまたは骨髄増殖性新生物を処置するために使用および/または開発されている阻害剤を含む。例示的な治療剤は、BCR、PI3K、SYK、およびJAKと関連する経路を阻害する化合物または分子、例えば、RAS/RAF/MEK/ERK経路、PI3K/PTEN/AKT/mTOR経路、JAK−STAT経路(経路の全体または部分)を阻害する薬剤を含む。mTORの阻害剤は、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス(またはデホロリムス)、OSI−027、AZD2014、CC−223、RAD001、LY294002、BEZ235、ラパマイシン、Ku−0063794、またはPP242を含む。AKTの阻害剤は、MK−2206、GDC−0068およびGSK795を含む。MEKの阻害剤は、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、MEK162、PD−325901、PD−035901、AZD6244、およびCI−1040を含む。本出願はまた、他の阻害剤、例えば、CDK阻害剤(AT−7519、SNS−032)、JNK阻害剤(CC−401)、MAPK阻害剤(VX−702、SB203580、SB202190)、Raf阻害剤(PLX4720)、ROCK阻害剤(Rho−15)、Tie2阻害剤(AMG−Tie2−1)、TK阻害剤(エルロチニブ)、または任意のこれらの組み合わせを使用し、含む。本明細書に記載のように、このような阻害剤は、標的(例えば、PI3Kアルファ、ベータ、デルタおよびガンマ)の全てのサブクラス(例えば、アイソフォームまたはメンバー)または経路を阻害する化合物または薬剤、1つのサブクラスを主に阻害する化合物または薬剤、および全てのサブクラスのサブセットを阻害する化合物または薬剤を含む。
【0087】
本出願において、PI3K阻害剤および/またはJAK阻害剤を含めた1種または複数の治療剤は、化学療法剤、免疫療法剤、放射線治療剤、抗新生物剤、抗がん剤、抗増殖剤、抗線維化剤、血管形成阻害剤、治療用抗体、または任意のこれらの組み合わせと共に使用され得るか、または組み合わされ得る。
【0088】
化学療法剤は、これらの作用機序によって、例えば、下記の群に分類し得る。代謝拮抗剤/抗がん剤、例えば、ピリミジン類似体(フロクスウリジン、カペシタビン、およびシタラビン);プリン類似体、葉酸アンタゴニストおよび関連する阻害剤、天然産物、例えば、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン)を含めた抗増殖性/有糸分裂阻害剤、ならびに微小管、例えば、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンブラスチン(vinblastin)、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(エトポシド、テニポシド);DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、ブスルファン、カルボプラチン、クロランブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、Cytoxan、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イホスファミド、メルファラン、メクロレタミン(merchlorehtamine)、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プロカルバジン、taxol、taxotere、テニポシド、エトポシド、トリエチレンチオホスホルアミド);抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン;酵素(L−アスパラギンを全身的に代謝し、それら自体のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を欠乏させるL−アスパラギナーゼ);抗血小板剤;抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロランブシル)、ならびに(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルニトロソ尿素(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼネス(trazenes)−ダカルバジン(dacarbazinine)(DTIC);抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、例えば、葉酸類似体(メトトレキセート);白金配位錯体(シスプラチン、オキサリプラチン(oxiloplatinim)、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩およびトロンビンの他の阻害剤);フィブリン溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル;抗遊走剤(antimigratory agent);抗分泌剤(antisecretory agent)(ブレベルジン);免疫抑制剤であるタクロリムス、シロリムス、アザチオプリン、ミコフェノール酸塩;化合物(TNP−470、ゲニステイン)および増殖因子阻害剤(血管内皮増殖因子阻害剤、線維芽細胞増殖因子阻害剤);アンジオテンシン受容体遮断薬、一酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、リツキシマブ);細胞周期阻害剤および分化誘発剤(トレチノイン);阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカンおよびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(methylpednisolone)、プレドニゾン、およびプレドニゾロン);増殖因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;機能障害誘発剤、毒素、例えば、コレラ毒素、リシン、シュードモナス外毒素、百日咳菌アデニル酸シクラーゼ毒素、またはジフテリア毒素、およびカスパーゼアクチベーター;ならびにクロマチン。
【0089】
本明細書において使用する場合、用語「化学療法剤」もしくは「化学療法薬」(または化学療法剤による処置の場合は「化学療法」)は、がんの処置において有用な任意の非タンパク性(すなわち、非ペプチド性)化合物を包含することを意味する。化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ;アルフレトアミン(alfretamine)、トリエミレンメラミン(triemylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメミルオロメラミン(trimemylolomelamine)を含めたエミルエルミン(emylerumine)およびメミルアメラミン(memylamelamine);アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含めた);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含めた);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189およびCBI−TMIを含めた);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンギスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン(foremustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマIIおよびカリケアマイシンphiI1、例えば、Agnew、Chem. Intl. Ed. Engl、33巻:183〜186頁(1994年)を参照されたい;ジネマイシンAを含めたジネマイシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連する色素タンパクエンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン(carrninomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(Adramycin(商標))(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含めた)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デモプテリン(demopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤(anti−adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤(folic acid replinisher)、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ヘストラブシル(hestrabucil);ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デホファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジコン(diaziquone);エルホルムチン(elformthine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロイコボリン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサミトシン(ansamitocin);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);フルオロピリミジン;フォリン酸;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクオロトリエミルアミン(tricUorotriemylamine);トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオペタ(thiopeta);タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol Meyers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン(mitroxantrone);バンクリスチン(vancristine);ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセオロダ(xeoloda);イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;FOLFIRI(フルオロウラシル、ロイコボリン、およびイリノテカン)ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれる。1種または複数の化学療法剤が、本出願において使用または含まれる。例えば、ゲムシタビン、nab−パクリタキセル、およびゲムシタビン/nab−パクリタキセルは、過剰増殖性障害を処置するために、JAK阻害剤および/またはPI3Kδ阻害剤と共に使用される。
【0090】
「化学療法剤」の定義にまた含まれるのは、腫瘍へのホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標)を含めた)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston(登録商標))を含めた抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);副腎におけるエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼの阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace(登録商標))、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、およびアナストロゾール(Arimidex(登録商標));ならびに抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロード(leuprohde)、およびゴセレリン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体である。
【0091】
血管形成阻害剤には、これらに限定されないが、レチノイド酸(retinoid acid)およびその誘導体、2−メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(登録商標)、ENDOSTATIN(登録商標)、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ(metalloproternase)−2の組織阻害剤、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤−1、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤(inbibitor)−2、軟骨に由来する阻害剤、パクリタキセル(nab−パクリタキセル)、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製)、硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、例えば、プロリン類似体((1−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、cisヒドロキシプロリン、d,I−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、アルファ−ジピリジル、ベータ−アミノプロピオニトリルフマレート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3h)−オキサゾロンを含めたマトリックス代謝のモジュレーター;メトトレキセート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、chimp−3、キモスタチン、ベータ−シクロデキストリンテトラデカスルフェート(beta−cyclodextrin tetradecasulfate)、エポネマイシン;フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、ベータ−1−抗コラゲナーゼ−血清、アルファ(alpba)−2−抗プラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−2−カルボキシフェニル−4−クロロアントラニル酸(chloroanthronilic acid)二ナトリウムまたは「CCA」、サリドマイド;血管新生抑制ステロイド、カルグボキシンアミノルミダゾール(cargboxynaminolmidazole);メタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、BB94が含まれる。他の抗血管新生剤は、抗体、好ましくは、これらの血管形成増殖因子に対するモノクローナル抗体:ベータ−FGF、アルファ−FGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SFおよびAng−1/Ang−2を含む。Ferrara N.およびAlitalo, K.、「Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors」(1999年)、Nature Medicine、5巻:1359〜1364頁を参照されたい。
【0092】
抗線維化剤には、これらに限定されないが、化合物、例えば、ベータ−アミノプロピオニトリル(aminoproprionitrile)(BAPN)、ならびにリジルオキシダーゼの阻害剤、ならびにコラーゲンの異常な沈着と関連する疾患および状態の処置におけるこれらの使用に関するPalfreymanらに付与された1990年10月23日発行の「Inhibitors of lysyl oxidase」という表題の米国特許第4,965,288号;様々な病理学的線維化状態の処置のためのLOXを阻害する化合物に関するKaganらに付与された1991年3月5日発行の「Anti−fibrotic agents and methods for inhibiting the activity of lysyl oxidase in situ using adjacently positioned diamine analogue substrate」という表題の米国特許第4,997,854号(これらは、参照により本明細書に組み込まれている)に開示されている化合物が含まれる。さらなる例示的な阻害剤は、化合物、例えば、2−イソブチル−3−フルオロ−、クロロ−、またはブロモ−アリルアミンに関するPalfreymanらに付与された1990年7月24日発行の「Inhibitors of lysyl oxidase」という表題の米国特許第4,943,593号;ならびに、例えば、米国特許第5,021,456号;米国特許第5,5059,714号;米国特許第5,120,764号;米国特許第5,182,297号;米国特許第5,252,608号(2−(1−ナフチルオキシメミル(naphthyloxymemyl))−3−フルオロアリルアミンに関する);および米国特許出願第2004/0248871号(これらは、参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。例示的な抗線維化剤はまた、リジルオキシダーゼの活性部位のカルボニル基と反応する第一級アミン、およびより特定すると、カルボニルと結合した後で、共鳴によって安定化する生成物を生成するもの、例えば、下記の第一級アミン:エミレンマミン(emylenemamine)、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、およびこれらの誘導体、セミカルバジド、ならびに尿素誘導体、アミノニトリル、例えば、ベータ−アミノプロピオニトリル(BAPN)、または2−ニトロエチルアミン、不飽和または飽和ハロアミン、例えば、2−ブロモ−エチルアミン、2−クロロエチルアミン、2−トリフルオロエチルアミン、3−ブロモプロピルアミン、p−ハロベンジルアミン、セレノホモシステインラクトンを含む。また、抗線維化剤は、細胞を透過するか、または透過しない銅キレート剤である。例示的な化合物は、間接的阻害剤、例えば、リジルオキシダーゼによるリジルおよびヒドロキシリジル残基の酸化的脱アミノ反応に起因するアルデヒド誘導体をブロックする化合物、例えば、チオールアミン、特に、D−ペニシラミン、またはその類似体、例えば、2−アミノ−5−メルカプト−5−メチルヘキサン酸、D−2−アミノ−3−メチル−3−((2−アセトアミドエチル)ジチオ)ブタン酸、p−2−アミノ−3−メチル−3−((2−アミノエチル)ジチオ)ブタン酸、ナトリウム−4−((p−1−ジメチル−2−アミノ−2−カルボキシエチル)ジチオ)ブタンスルフレート(butane sulphurate)、2−アセトアミドエチル−2−アセトアミドエタンチオールスルファネート(sulphanate)、ナトリウム−4−メルカプトブタンスルフィネート三水和物を含む。
【0093】
免疫療法剤は、患者を処置するのに適した治療用抗体;例えば、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ(altumomab)、アマツキシマブ、アナツモマブ(anatumomab)、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ(bectumomab)、ベバシズマブ、ビバツズマブ(bivatuzumab)、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(citatuzumab)、シクスツムマブ(cixutumumab)、クリバツズマブ(clivatuzumab)、コナツムマブ(conatumumab)、ダラツムマブ、ドロジツマブ(drozitumab)、ズリゴツマブ(duligotumab)、ズシギツマブ(dusigitumab)、デツモマブ(detumomab)、ダセツズマブ、ダロツズマブ(dalotuzumab)、エクロメキシマブ(ecromeximab)、エロツズマブ、エンシツキシマブ(ensituximab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、ファリエツズマブ(farietuzumab)、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)、フィギツムマブ、フランボツマブ(flanvotumab)、フツキシマブ(futuximab)、ガニツマブ(ganitumab)、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ(girentuximab)、グレンバツムマブ(glembatumumab)、イブリツモマブ、イゴボマブ(igovomab)、イムガツズマブ(imgatuzumab)、インダツキシマブ(indatuximab)、イノツズマブ、インテツムマブ(intetumumab)、イピリムマブ、イラツムマブ(iratumumab)、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、ルカツムマブ(lucatumumab)、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミツモマブ(mitumomab)、モキセツモマブ(moxetumomab)、ナルナツマブ(narnatumab)、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノフェツモマブ(nofetumomabn)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ、オララツマブ(olaratumab)、オナルツズマブ(onartuzumab)、オポルツズマブ(oportuzumab)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パトリツマブ(patritumab)、ペムツモマブ(pemtumomab)、ペルツズマブ、ピンツモマブ(pintumomab)、プリツムマブ(pritumumab)、ラコツモマブ(racotumomab)、ラドレツマブ(radretumab)、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ(robatumumab)、サツモマブ(satumomab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シルツキシマブ、シムツズマブ(simtuzumab)、ソリトマブ(solitomab)、タカツズマブ(tacatuzumab)、タプリツモマブ(taplitumomab)、テナツモマブ(tenatumomab)、テプロツムマブ(teprotumumab)、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ(tucotuzumab)、ウブリツキシマブ(ublituximab)、ベルツズマブ、ボルセツズマブ(vorsetuzumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ、CC49および3F8を含むが、これらには限定されない。例示的な治療用抗体は、放射性同位体粒子、例えば、インジウムIn111、イットリウムY90、ヨウ素I−131でさらに標識するか、またはこれらと組み合わされ得る。
【0094】
特定の実施形態において、さらなる治療剤は、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤である。ナイトロジェンマスタードアルキル化剤の非限定的例は、クロランブシルを含む。
【0095】
一実施形態において、1種または複数のさらなる治療剤は、Abl、活性化CDCキナーゼ(ACK)、アデノシンA2B受容体(A2B)、アポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK)、例えば、ASK1、オーロラキナーゼ、BTK、BRD、例えば、BRD4、c−Kit、c−Met、CDK−活性化キナーゼ(CAK)、カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMK)、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、カゼインキナーゼ(CK)、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)、例えば、DDR1および/またはDDR2、EGFR、接着斑キナーゼ(FAK)、Flt−3、FYN、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK)、HCK、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、IKK、例えば、IKKβε、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)、例えば、IDH1、IKK、JAK、例えば、JAK1、JAK2および/またはJAK3、KDR、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、リジルオキシダーゼタンパク質、リジルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL)、例えば、LOXL1、LOXL2、LOXL3、LOXL4、および/またはLOXL5、LYN、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、例えば、MMP1−10、MEK、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、NEK9、NPM−ALK、p38キナーゼ、血小板由来増殖因子(PDGF)、ホスホリラーゼキナーゼ(PK)、ポロ様キナーゼ(PLK)、PI3K、例えば、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3Kαおよび/または汎PI3K、タンパク質キナーゼ(PK)、例えば、タンパク質キナーゼA、B、および/またはC、PYK、SYK、セリン/トレオニンキナーゼTPL2、セリン/トレオニンキナーゼSTK、シグナル伝達および転写(STAT)、SRC、セリン/トレオニン−タンパク質キナーゼ(TBK)、例えば、TBK1、TIE、チロシンキナーゼ(TK)、VEGFR、YES、または任意のこれらの組み合わせへの阻害剤であり得る。特定の実施形態において、1種または複数の治療剤は、PI3K阻害剤およびJAK阻害剤、例えば、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3Kαおよび/または汎PI3K、例えば、JAK1、JAK2および/またはJAK3である。別の実施形態において、1種または複数の治療剤は、PI3Kα阻害剤およびJAK阻害剤である。
【0096】
例として、1種または複数の治療剤は、これらに限定されないが、化合物A、ルクソリチニブ、フェドラチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ、XL019、AZD1480、INCB039110、LY2784544、BMS911543、およびNS018を含めたJAK阻害剤;これらに限定されないが、ヘッジホッグ阻害剤(サリデギブ(saridegib))、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(プラシノスタット(pracinostat)、パノビノスタット)、チロシンキナーゼ阻害剤(レスタウルチニブ)を含めた骨髄線維症阻害剤;これらに限定されないが、US2009/0142345、US2011/0287011、WO2013/027802、WO2013/034933、および米国特許仮出願第61/705,044号に開示されているものを含めたジスコイジンドメイン受容体(DDR)阻害剤;これらに限定されないが、マリマスタット(BB−2516)、シペマスタット(Ro32−3555)、およびWO2012/027721に記載されているものを含めたMMP9阻害剤;これらに限定されないが、WO2009/017833に記載されている抗体を含めたLOXL阻害剤;これらに限定されないが、WO2009/017833、WO2009/035791およびWO/2011/097513に記載されている抗体を含めたLOXL2阻害剤;これらに限定されないが、WO2011/008709およびWO/2013/112741に記載されているものを含めたASK1阻害剤;これらに限定されないが、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、米国特許第7,932,260号、米国特許仮出願第61/543,176号、同第61/581,528号、同第61/745,429号、同第61/745,437号および同第61/835,333号に記載されている化合物、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443を含めたPI3Kδ阻害剤;これらに限定されないが、GSK2636771、BAY10824391、TGX221を含めたPI3Kβ阻害剤;これらに限定されないが、ブパルリシブ、BAY80−6946、BYL719、PX−866、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799を含めたPI3Kα阻害剤;これらに限定されないが、ZSTK474、AS252424、LY294002、TG100115を含めたPI3Kγ阻害剤;これらに限定されないが、LY294002、BEZ235、XL147(SAR245408)、GDC−0941を含めた汎PI3K阻害剤;これらに限定されないが、BKM120、CH5132799、XL756、およびGDC−0980、ワートマニンを含めたさらなるPI3K阻害剤;これらに限定されないが、イブルチニブ、HM71224、ONO−4059、CC−292を含めたBTK阻害剤;これらに限定されないが、タマチニブ(R406)、ホスタマチニブ(R788)、PRT062607、BAY−61−3606、NVP−QAB205AA、R112、R343、または米国特許第8,450,321号に記載されているものを含めたSYK阻害剤;BRD4阻害剤;これらに限定されないが、ゲフィチニブおよびエルロチニブ(上皮増殖因子受容体またはEGFRを標的としたもの)ならびにスニチニブ(FGF、PDGFおよびVEGFについての受容体を標的とする)を含めたチロシン−キナーゼ阻害剤(TKI);IDH1阻害剤;TPL2阻害剤;A2B阻害剤;TBK1阻害剤;IKK阻害剤;あるいはこれらに限定されないが、パノビノスタットを含めた、潜在ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を活性化または再活性化する薬剤;タンパク質キナーゼC(PKC)アクチベーター;およびロミデプシンである。
【0097】
他の態様において、PI3Kδ阻害剤(例えば、化合物B、化合物C、または化合物Cおよび化合物Bをともに)ならびに本明細書に記載のような抗CD20抗体(例えば、オビヌツズマブ)の組み合わせは、がんまたは炎症性障害を処置するために使用および/または開発されている1種または複数のさらなる治療剤と組み合わせて使用される。1種または複数のさらなる治療剤は、PI3K、例えば、PI3Kγ、PI3Kβ、および/またはPI3Kα、ヤヌスキナーゼ(JAK)、例えば、JAK1、JAK2および/またはJAK3、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、またはブルトンチロシンキナーゼ(BTK);ブロモドメイン含有タンパク質阻害剤(BRD)、例えば、BRD4、リジルオキシダーゼタンパク質(LOX)、リジルオキシダーゼ様タンパク質(LOXL)、例えば、LOXL1−5、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、例えば、MMP1−10、アデノシンA2B受容体(A2B)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)、例えば、IDH1、アポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK)、例えば、ASK1、セリン/トレオニンキナーゼTPL2、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)、例えば、DDR1およびDDR2、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、タンパク質キナーゼC(PKC)、または任意のこれらの組み合わせに対する阻害剤であり得る。ある特定の他の実施形態において、1種または複数のさらなる治療剤には、これらに限定されないが、抗PD−1抗体(例えば、ニボルマブ(nivolimumab)(BMS−936558もしくはMDX1106)またはMK−34775)および抗PD−L1抗体(例えば、BMS−936559、MPDL3280A、MEDI4736、MSB0010718C、およびMDX1105−01)が含まれる。
【0098】
1種、2種、3種、またはそれ超のさらなる治療剤(例えば、PI3K阻害剤、JAK阻害剤、SYK阻害剤、BTK阻害剤、BRD4阻害剤、LOXL2阻害剤、MMP9阻害剤、A2B阻害剤、IDH阻害剤、ASK阻害剤、TPL2阻害剤、DDR1阻害剤、TBK阻害剤、HDAC阻害剤、PKC阻害剤)は、化学療法剤、免疫療法剤、放射線治療剤、抗新生物剤、抗がん剤、抗線維化剤、血管形成阻害剤、治療用抗体、または任意のこれらの組み合わせと共にさらに使用され得るか、または組み合わされ得る。
【0099】
例示的なPI3K阻害剤は、これらに限定されないが、デュベリシブ(IPI−145)を含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、過剰増殖性障害、例えば、がんおよびMPNを処置するための方法、組成物、キット、および製造品は、PI3Kδ阻害剤および/またはJAK1/2阻害剤を使用するか、または含む。1種、2種、3種、またはそれ超の阻害剤または治療剤は、化学療法剤、免疫療法剤、放射線治療剤、抗新生物剤、抗がん剤、抗増殖剤、抗線維化剤、血管形成阻害剤、治療用抗体、または任意のこれらの組み合わせと共にさらに使用され得るか、または組み合わされ得る。
【0101】
ある特定の実施形態において、MPNを処置するための方法、組成物、キット、および製造品は、JAK阻害剤として、化合物Aもしくは薬学的に許容されるその塩、またはルクソリチニブもしくは薬学的に許容されるその塩;ならびにPI3Kδ阻害剤として、化合物Bもしくは薬学的に許容されるその塩、化合物Cもしくは薬学的に許容されるその塩、化合物Dもしくは薬学的に許容されるその塩、または化合物Eもしくは薬学的に許容されるその塩を使用するか、または含む。他の実施形態において、JAK阻害剤は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩である。別の実施形態において、JAK阻害剤は、ルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩である。さらなる実施形態において、PI3K阻害剤は、化合物Bまたは薬学的に許容されるその塩である。他の実施形態において、PI3K阻害剤は、化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩である。いくつかの他の実施形態において、PI3K阻害剤は、化合物Dまたは薬学的に許容されるその塩である。さらに別の実施形態において、PI3K化合物は、化合物Eまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0102】
他の実施形態において、がんを処置するための方法、組成物、キット、および製造品は、PI3Kδ阻害剤および/または抗CD20抗体を使用するか、または含む。ある特定の実施形態において、がんを処置するための方法、組成物、キット、および製造品は、PI3Kδ阻害剤として化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩を使用するか、または含む。ある特定の実施形態において、がんを処置するための方法、組成物、キット、および製造品は、抗CD20抗体としてオビヌツズマブを使用するか、または含む。
処置の方法
【0103】
本出願は、被験体(例えば、ヒト)に治療有効量のPI3K阻害剤、JAK阻害剤、SYK阻害剤、BTK阻害剤、および/またはBRD阻害剤を含めた阻害剤の1種または複数を投与することを含む、被験体(例えば、ヒト)において過剰増殖性疾患を処置するための方法を提供する。一実施形態において、方法は、被験体(すなわち、ヒト)に治療有効量のJAK1/2阻害剤を含めたJAK阻害剤を投与することを含む。別の実施形態において、方法は、被験体(すなわち、ヒト)に治療有効量のPI3Kδ阻害剤を含めたPI3K阻害剤を投与することを含む。さらなる実施形態において、方法は、被験体(すなわち、ヒト)に治療有効量のJAK阻害剤、治療有効量のPI3K阻害剤、および治療有効量のさらなる治療剤を投与することを含む。ある特定の実施形態において、方法は、治療有効量のJAK阻害剤および治療有効量のPI3Kδ阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、方法は、ヒトに治療有効量の化合物Aもしくはルクソリチニブ(ruxolotinib)、または薬学的に許容されるその塩、および治療有効量の化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物E、または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。一実施形態において、方法は、ヒトに治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量の化合物B、C、D、またはEを投与することを含む。別の実施形態において、方法は、ヒトに治療有効量の化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量の化合物Bまたは薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。他の実施形態において、方法は、ヒトに治療有効量のルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量の化合物B、C、D、またはEを投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、ヒトに治療有効量のルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量の化合物Bまたは薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。
【0104】
本開示はまた、被験体(例えば、ヒト)に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含む、被験体(例えば、ヒト)においてがんを処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、被験体(例えば、ヒト)に治療有効量の化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含む。一実施形態において、方法は、被験体(例えば、ヒト)に治療有効量の化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量のオビヌツズマブを投与することを含む。他の実施形態において、方法は、それを必要とするヒトに治療有効量の化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩および治療有効量のオビヌツズマブを投与することを含み、ヒトは、がんを有するか、またはがんを有することが疑われる。
【0105】
被験体は、患者であるヒトであり得る。患者は、従前の薬物療法を受けているか、または受けていなくてもよい。一実施形態において、方法は、サリドマイドもしくはその誘導体、例えば、レナリドミド、または他のJAK阻害剤、例えば、ルクソリチニブもしくはTG101348で処置されてきたか、あるいは現在処置を受けている過剰増殖性疾患患者への処置または治療を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、JAK阻害剤を使用した従前の薬物処置を受けた患者を処置することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、方法は、ある期間にわたってJAK阻害剤を使用した従前の薬物処置(すなわち、慢性JAK療法)を受けてきており、疾患の持続を発生した患者を処置することを含む。慢性ルクソリチニブ(すなわち、3〜6カ月、6カ月超、または複数年にわたる)を受けてきた患者は一般に、疾患の持続を発生させる。本明細書において使用する場合、疾患の持続は、脾腫および/もしくは全身症状の緩やかな戻り、血液学的もしくは分子的寛解がないこと、または臨床的改善の喪失を示す患者を指す。
【0107】
過剰増殖性疾患は、がんおよび骨髄増殖性疾患、例えば、心臓、肺、胃腸、尿生殖路、肝臓、骨、神経系、婦人科、血液、皮膚、および副腎における細胞増殖性疾患を含む。
【0108】
ある特定の実施形態において、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は従前に処置されていない、方法を提供する。
【0109】
ある特定の実施形態において、白血病を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は従前に処置されていない、方法を提供する。
【0110】
ある特定の実施形態において、慢性リンパ球性白血病(lyphocytic leukemia)を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は従前に処置されていない、方法を提供する。
【0111】
ある特定の実施形態において、リンパ腫を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は従前に処置されていない、方法を提供する。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫(non−Hodkin lymphoma)(FL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)である。
【0112】
ある特定の実施形態において、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、ベンダムスチンおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。
【0113】
ある特定の実施形態において、白血病を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、ベンダムスチンおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。
【0114】
ある特定の実施形態において、慢性リンパ球性白血病を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、ベンダムスチンおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。
【0115】
ある特定の実施形態において、リンパ腫を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、ベンダムスチンおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫(FL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)である。
【0116】
ある特定の実施形態において、がんを処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。
【0117】
ある特定の実施形態において、白血病を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。
【0118】
ある特定の実施形態において、慢性リンパ球性白血病を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。
【0119】
ある特定の実施形態において、リンパ腫を処置するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のPI3Kδ阻害剤および治療有効量の抗CD20抗体を投与することを含み、患者は、フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブによる処置に適していない、方法を提供する。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫(FL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)である。
骨髄増殖性疾患
【0120】
骨髄増殖性疾患(MPD)または骨髄増殖性新生物(MPN)は、1種または複数の骨髄性細胞の増加または過剰産生、in vitroでの増殖因子非依存性コロニー形成、骨髄細胞過形成、髄外造血、脾腫、肝腫大、ならびに血栓性および/または出血性素因を有する多能性造血幹細胞のクローン性障害の多様な群である。骨髄増殖性疾患(myleoproliferative diseases)または新生物には、これらに限定されないが、真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症、原因不明性(agnoneic)骨髄様化生、特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、全身性肥満細胞症、慢性好中球性白血病、骨髄異形成(myelodisplastic)症候群、および全身性肥満細胞症が含まれる。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性疾患(myloproliferative disease)は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、および原発性骨髄線維症である。ある特定の実施形態において、骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症である。他の実施形態において、骨髄増殖性疾患は、本態性血小板血症である。別の実施形態において、骨髄増殖性疾患は、原発性骨髄線維症である。
【0121】
慢性骨髄増殖性新生物(MPN)は、成熟骨髄性細胞の過剰な産生によって特徴付けられる後天性骨髄障害である。これらの状態からの主要な病的状態は、血栓性−出血性合併症(動脈および静脈血栓症、大出血)ならびに急性白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)への転換からもたらされる。骨髄線維症は、造血幹細胞を変化させ、かつキナーゼが媒介するシグナル伝達プロセスにおける変化を生じさせる後天性変異に由来し、クローン骨髄増殖、骨髄線維症、および異常なサイトカイン発現をもたらす(Tefferiら、Blood、108巻:1497〜503頁、2006年)。PMFは、欧州、オーストラリア、および米国において100,000人当たり0.4〜1.3人の発生数を伴うまれな疾患である。骨髄線維症はまた、PV(10〜20年後に被験体の10〜20%)およびET(被験体の2〜3%)を有する患者において起こり得、この場合、これはET/PV後のMFと称される。PMFにおける病原性機序は、造血幹細胞クローンの抑制されない増殖であり得、これは、無効な赤血球形成、非定型巨核球過形成、および総顆粒球に対する未熟顆粒球の比の増加をもたらす。クローン骨髄増殖は、骨髄線維症、ならびに脾臓、肝臓、および他の器官における髄外造血が特徴的に伴う。血液塗抹標本における髄外造血の他の特徴は、涙滴状赤血球、有核赤血球、および骨髄未成熟を含む。さらなる臨床的特徴は、著しい脾腫、進行性貧血、および全身症状を含む。
【0122】
骨髄増殖性新生物の研究および処置(IWG−MRT)のためのInternational Working Group(IWG)は、骨髄増殖性疾患および関連する状態を定義した(Vannucchiら、CA Cancer J. Clin.、59巻:171〜191頁、2009年)が、これを本出願において使用する。MPNまたはPMFを示す患者は、IWG−MRT診断基準を使用して当技術分野で同定可能である。特定のMPNの「危険性がある」被験体は、疾患の初期病期形態を有する被験体であり、例えば、その遺伝子マーカー、例えば、JAK2V617F対立遺伝子を有する被験体を含み得、これはPV(>95%)、ET(60%)およびPMF(60%)と関連する。さらに、被験体においてより初期病期形態の症状が既に発現する場合、被験体は特定のMPNについて「危険性がある」と考えられる。例えば、MPNを示す被験体は、PV後およびET後の危険性があり、これらの両方はMPNに続いて発生する。
【0123】
化合物AはJAK阻害剤であり、PMFを含めたMPN患者において改善された臨床反応を提供する。改善された転帰の1つは、貧血反応および/または脾臓反応の改善である。「貧血反応」とは、患者のヘモグロビンレベルが増加すること、または輸血依存性であった患者が輸血非依存性となることを意味する。望ましくは、最低8週間継続する2.0g/dLのヘモグロビンの最小の増加が達成され、これはInternational Working Group(IWG)コンセンサスの診断基準において特定されている改善のレベルである。しかし、ヘモグロビンのより少なくはあるがまだ医学的に有意な増加はまた、用語「貧血反応」内であると考えられる。「脾臓反応」とは、身体的診察の間における従前に触診可能な脾臓の触診によって、または画像診断法によって評価するような、患者の脾臓のサイズの低減を意味する。IWGコンセンサスの診断基準は、ベースライン(処置の前)において少なくとも10cmである脾臓の触診可能な脾腫(脾臓拡大)における最低で50%の低減があるか、またはベースラインにおいて5cm超で触診可能な脾臓が触診可能でなくなることと特定している。しかし、より小さな低減はまた、用語「脾臓反応」内であると考えられる。
【0124】
本出願の一態様は、従前の薬物療法を受けているか、または現在薬物療法中である患者のための方法、組成物、およびキットを提供する。例として、患者は、多発性骨髄腫の処置において使用されるサリドマイド、レナリドミド、ポマリドマイドもしくはその誘導体で処置されたか、または現在処置されており、また骨髄増殖性障害に罹患している患者においていくらかの利益を示しているようである。他の例において、患者はこれらに限定されないが、INCB018424、TG101348、ルクソリチニブを含めた、化合物A以外のJAK阻害剤で処置されたか、または処置を受けている。患者は、他のJAK2阻害剤の効果が患者において顕在化するのに十分なように、本明細書において提供する組成物または処置に対してある時間枠内で、他のJAK2阻害剤による処置を受けているか、またはこのような薬物による処置を受ける。一般に、INCB018424は、5mg BIDから25mg BIDの用量滴定(dose titration)を伴って15mgまたは20mg、BIDの開始用量で投与される。TG101348は、680mg/日であると決定される最大耐用量(MTD)で1日1回投与される。ルクソリチニブは、20mg、15mg、または5mg BIDの安定的な用量(血小板数をベースとする)で投与される。
【0125】
特定の実施形態において、MPD患者は薬物処置を受けておらず、すなわち、ナイーブである。ナイーブMPD患者は、本明細書に記載されている処置または治療をその後に受け得る。例えば、ナイーブMPD患者は、PI3K阻害剤、JAK阻害剤、さらなる治療剤、または任意のこれらの組み合わせを受け得る。
【0126】
本出願による処置または組成物を受けている患者は、患者が最初は上で留意したマーカーの任意の1つまたは複数のレベルの上昇をベースとして選択されたとき、改善された反応を経験する。上昇したレベルは、正常な被験体におけるレベルよりも大きなレベルである。本明細書において使用する場合、所与のマーカーの「レベル」は、所与の患者において測定したレベルが、正常な被験体における対応するレベルと統計的に有意な程度まで異なるとき、変化し、すなわち、上昇するか、または低減すると考えられる。望ましくは、少なくとも0.05またはそれ超の有意な、すなわち、より良好なp値を生じさせるのに十分な程度まで変化したマーカーレベルを示す患者は、本明細書に記載されている療法についての適切な候補である。実施形態において、p値は、少なくとも0.03、0.02または0.01であり、好ましい実施形態において、p値は、少なくとも0.009、0.007、0.005、0.003、0.001またはより良好である。所与のマーカーのレベルは、上で留意したマーカーの検出のために既に十分に確立されているアッセイを使用して決定することができる。実施形態において、患者候補からの生体試料、例えば、全血またはその画分、例えば、血漿または血清の試料を抽出することによってこれは達成される。次いで、試料を処理して、必要に応じて目的のマーカーについて濃縮し、濃縮した試料またはニートの試料を、例えば、マーカーについての検出可能なリガンド、例えば、マーカーに選択的に結合する標識抗体を使用してアッセイする。次いで、試料中に存在するマーカーの量は、半定量的または定量的に決定して、値を得ることができ、これを次いで健康な被験体におけるこのマーカーについての正常なレベルである参照値と比較する。上で述べたように、少なくとも0.05であるp値に到達するのに十分なマーカーレベルの差異は、変化した有意なマーカーレベルを示し、そのマーカーの上昇したレベル(またはエオタキシンの場合は、減少したレベル)を示す患者は、本出願の方法、組成物、キットを使用して処置される候補である。
【0127】
また療法のための候補として適切であるのは、比較的小さなサイズの脾臓を示すもの、ならびに上昇したレベルの循環または末梢芽細胞を示すものを含めて、特定の臨床診断基準を満たす患者である。一実施形態において、選択した患者は、輸血依存性にまだ進行していないものである。脾臓の拡大は、触診によって評価される。脾臓のサイズおよび容積はまた、画像診断法、例えば、超音波、CTまたはMRIによって測定することができる。正常な脾臓のサイズは、頭尾方向の長さが概ね11.0cmである。
【0128】
また療法のための候補として適切であるのは、より低い百分率の循環芽細胞を示す患者である。芽細胞は、末梢血ではなく骨髄中に通常見出される未熟前駆細胞である。これらは通常、成熟血液細胞を生じさせる。より低い百分率の循環芽細胞は、末梢血塗抹標本の細胞形態学的分析、ならびに多パラメーターフローサイトメトリーおよび免疫組織化学によって測定される。予後因子として、>/=1%芽細胞を使用する。
【0129】
別の態様において、本出願は、従前の療法を受け、最適以下の反応を示す患者のための方法、組成物、およびキットを提供する。従前の薬物療法に対する最適以下の反応は、無効な赤血球形成および骨髄線維症によって特徴付けられてもよく、髄外造血は、従前の薬物療法に対して非反応性または耐性である細胞のクローンの出現に部分的による著しい肝脾腫によって症状発現する。ルクソリチニブを受けている患者は、ある期間後に耐性または非反応性を発生させることが示されてきた。このような疾患は、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、もしくは12カ月または数年のルクソリチニブ(ruxolitinb)処置の後に観察し得る。
【0130】
最適以下の反応についての生物学的機序は不明である。JAK2内の耐性の変異はJAK阻害剤に対する獲得耐性についての基礎として同定されなかったが、ヘテロ二量体のJAK−STAT活性化は、疾患の持続の潜在的機序である。JAK阻害剤持続性細胞はJAK阻害剤への曝露によって発生し得、このような細胞は、これらの薬物への進行中の曝露に応答してより低いアポトーシスを示し得る。これは、JAK阻害剤によってもはや阻害されない持続性細胞においてJAK2リン酸化および下流のSTAT3、STAT5、およびMAPキナーゼシグナル伝達の再活性化をもたらし得る。JAKファミリーメンバーであるJAK1およびTYK2は、持続性細胞中のJAK2と関連し、JAK2の再活性化がもたらされることが示唆される。
【0131】
持続現象は可逆的であり、JAK阻害剤の中止によって細胞は再感作されるか、または反応性となる。これらの再感作細胞は、JAK1/TYK2およびJAK2の間の関連の喪失を示唆し、JAK2活性化の喪失をもたらす。JAK阻害剤持続のこの現象は、in vivoでMPNマウスモデルにおいて、およびルクソリチニブで処置された患者の一次試料において観察される。
【0132】
本出願は、PI3Kδアイソフォームが発現され、MF患者からの前駆細胞中のPI3Kアイソフォームα、β、δ、およびγの中の顕著なアイソフォーム(すなわち、最も高い発現レベル)を示す。さらに、本出願は、PI3Kδ阻害剤が、MF患者からのPBMCにおいてトロンボポエチン(TPO)処置された、および基礎(TPO処理されていない)AKT/S6RPリン酸化(p−AKT/p−S6RP)を阻害したことを示した。MF患者は慢性ルクソリチニブ療法を受けているか、またはルクソリチニブも他のJAK阻害剤も受けていなかった(すなわち、ナイーブ)。トロンボポエチン(TPO)によるMPL受容体の活性化によって、JAK2は膜に動員され、これはSTAT3/5、PI3KおよびRASを含めた下流シグナル伝達経路を活性化し、増殖、生存、代謝および細胞の運動性の増加をもたらすことが仮定される。原発性MF患者の約50〜60%は、シグナル伝達カスケードを構成的に活性化する活性化JAK2V617F変異を有する。
【0133】
本出願によると、PI3Kδ阻害剤およびJAK阻害剤の組み合わせは、増強された治療反応(有益な効果または相乗効果を含めた)をもたらす。また、PI3KおよびJAK/STAT経路の併行的な標的化は、MPNを有する患者において有効性を最適化し、毒性を低減させる新規な治療的処置を表し得る。
がん
【0134】
本明細書に記載の方法を使用して、様々なタイプのがんを処置し得る。いくつかの実施形態において、がんは、再発性または治療抵抗性の血液悪性疾患を含めた血液悪性疾患であり得る。本明細書に記載の方法を使用して処置の影響を受けやすいがんは、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫を含み得る。白血病は、例えば、リンパ球性白血病および慢性骨髄性(骨髄性)白血病を含み得る。リンパ腫は、例えば、リンパ組織および細網内皮系組織の悪性新生物、例えば、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、無痛性非ホジキンリンパ腫を含めた)、およびリンパ球性リンパ腫を含み得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、がんは、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、または辺縁帯リンパ腫(MZL)である。一実施形態において、がんは、微小残存病変(MRD)である。さらなる実施形態において、がんは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、および治療抵抗性iNHLから選択される。特定の実施形態において、がんは、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。いくつかの実施形態において、がんは、治療抵抗性iNHLである。一実施形態において、がんは、慢性リンパ球性白血病(CLL)である。他の実施形態において、がんは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0136】
一実施形態において、がんは、再発性慢性リンパ球性白血病(CLL)である。一実施形態において、がんは、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫である。一実施形態において、がんは、小リンパ球性リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性小リンパ球性リンパ腫である。
【0137】
ある特定の実施形態において、がんは、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性NHL(iNHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、B細胞リンパ腫、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0138】
いくつかの実施形態において、被験体に治療有効量の化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量のオビヌツズマブを投与することによって、被験体(例えば、ヒト)においてがんを処置する方法であって、がんは、白血病である、方法が提供される。いくつかの実施形態において、白血病は、慢性白血病である。慢性白血病の一例は、慢性リンパ球性白血病(CLL)である。一実施形態において、白血病は、微小残存病変(MRD)である。
【0139】
他の実施形態において、被験体(例えば、ヒト)に治療有効量の化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量のオビヌツズマブを投与することによって、被験体においてがんを処置する方法であって、がんは、リンパ腫である、方法がまた提供される。いくつかの実施形態において、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。非ホジキンリンパ腫の一例は、無痛性NHL(iNHL)、または治療抵抗性iNHLである。いくつかの実施形態において、リンパ腫は、濾胞性リンパ腫または小リンパ球性リンパ腫である。
【0140】
ある特定の実施形態において、がんは、膵臓がん;膀胱がん;結腸直腸がん;転移性乳がんを含めた乳がん;アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺がんを含めた前立腺がん;例えば、転移性腎細胞癌を含めた腎臓がん;肝細胞がん;例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、細気管支肺胞癌(BAC)、および肺の腺癌を含めた肺がん;例えば、進行性上皮がんまたは原発性腹膜がんを含めた卵巣がん;子宮頸がん(cervical cancer);胃がん;食道がん;例えば、頭頸部の扁平上皮細胞癌を含めた頭頸部がん;黒色腫;転移性神経内分泌腫瘍を含めた神経内分泌がん;例えば、神経膠腫、退形成型希突起膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星状細胞腫を含めた脳腫瘍;骨がん;ならびに軟部組織肉腫からなる群より選択される固形腫瘍である。ある特定の実施形態において、がんは、膵臓がんである。
【0141】
提供する処置の方法のいずれかを使用して、様々な病期のがんを処置し得る。例として、がんの病期には、これらに限定されないが、初期、進行、局所的進行、寛解、治療抵抗性、寛解後の再発生および進行性が含まれる。
被験体
【0142】
提供する処置の方法のいずれかを使用して、がんと診断されているか、またはがんを有すると疑われる被験体(例えば、ヒト)を処置し得る。本明細書において使用する場合、被験体は、例えば、ヒトを含めた哺乳動物を指す。
【0143】
いくつかの実施形態において、被験体は、がんまたは過剰増殖性疾患と関連する1つまたは複数の症状を示すヒトであり得る。いくつかの実施形態において、被験体は、がんと関連する1つまたは複数の症状を示すヒトであり得る。いくつかの実施形態において、被験体は、がんの初期病期にある。他の実施形態において、被験体は、がんの進行病期にある。
【0144】
特定のものにおいて、被験体は、診断されているか、または診断されていない、がんまたは過剰増殖性疾患の危険性があるか、または遺伝的にもしくはその他の点(例えば、危険因子)でがんまたは過剰増殖性疾患を発生する素因があるヒトであり得る。本明細書において使用する場合、「危険性がある」被験体は、がんを発生する危険性のある被験体である。被験体は、検出可能な疾患を有してもよいか、または有さなくてもよく、本明細書に記載されている処置方法の前に検出可能な疾患を示していてもよいか、示さなくてもよい。危険性がある被験体は、本明細書に記載されているがんの発生と相関する測定可能なパラメーターである1つまたは複数のいわゆる危険因子を有し得る。これらの危険因子の1つまたは複数を有する被験体は、これらの危険因子(複数可)を有さない個体よりがんを発生するより高い可能性を有する。これらの危険因子は、例えば、年齢、性別、人種、食事、従前の病歴、前駆疾患の存在、遺伝子(例えば、遺伝性)の検討事項、および環境曝露を含み得る。いくつかの実施形態において、がんの危険性がある被験体は、例えば、疾患を経験してきた親類を有するもの、およびその危険性が遺伝子または生化学マーカーの分析によって決定されるものを含む。
【0145】
さらに、被験体は、1つまたは複数の標準的治療、例えば、化学療法、放射線療法、免疫療法、手術、またはこれらの組み合わせを受けているヒトであり得る。したがって、1種または複数のキナーゼ阻害剤は、化学療法、放射線療法、免疫療法、手術またはこれらの組み合わせの投与の前、その間、またはその後に投与し得る。
【0146】
ある特定の実施形態において、被験体は、(i)少なくとも1つの化学療法による処置に対して実質的に治療抵抗性であるか、または(ii)化学療法による処置の後に再発しているか、または(i)および(ii)の両方である、ヒトであり得る。実施形態のいくつかにおいて、被験体は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法による処置(標準的または実験的化学療法を含めた)に対して治療抵抗性である。
【0147】
ある特定の実施形態において、被験体は、フルダラビン、リツキシマブ、オビヌツズマブ、アルキル化剤、アレムツズマブおよび他の化学療法による処置、例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CHOP(リツキシマブ−CHOP);ハイパーCVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキセート、シタラビン);R−ハイパーCVAD(リツキシマブ−ハイパーCVAD);FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);R−FCM(リツキシマブ、フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);ボルテゾミブおよびリツキシマブ;テムシロリムスおよびリツキシマブ;テムシロリムスおよびVelcade(登録商標);ヨウ素−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))およびCHOP;CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CVP(リツキシマブ−CVP);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);R−ICE(リツキシマブ−ICE);FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ);FR(フルダラビン、リツキシマブ);ならびにD.T.PACE(デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、Adriamycin(登録商標)、シクロホスファミド、エトポシド)から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの化学療法による処置(標準的または実験的化学療法を含めた)に対して治療抵抗性である。いくつかの実施形態において、被験体は、リツキシマブに対して治療抵抗性である。
【0148】
化学療法による処置の他の例(標準的または実験的化学療法を含めた)を下記に記載する。さらに、特定のリンパ腫の処置は、Cheson, B.D.、Leonard, J.P.、「Monoclonal Antibody Therapy for B−Cell Non−Hodgkin’s Lymphoma」、The New England Journal of Medicine、2008年、359巻(6号)、613〜626頁;およびWierda, W.G.、「Current and Investigational Therapies for Patients with CLL」、Hematology、2006年、285〜294頁において概説されている。米国におけるリンパ腫発生数パターンは、Morton, L.M.ら、「Lymphoma Incidence Patterns by WHO Subtype in the United States、1992−2001」、Blood、2006年、107巻(1号)、265〜276頁においてプロファイルされている。
【0149】
リンパ腫または白血病を処置する免疫療法剤の例には、これらに限定されないが、リツキシマブ(例えば、Rituxan)、アレムツズマブ(例えば、Campath、MabCampath)、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗MN−14抗体、抗TRAIL、抗TRAIL DR4およびDR5抗体、抗CD74抗体、アポリズマブ、ベバシズマブ、CHIR−12.12、エプラツズマブ(hLL2−抗CD22ヒト化抗体)、ガリキシマブ、ha20、イブリツモマブチウキセタン、ルミリキシマブ、ミラツズマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、PRO131921、SGN−40、WT−1類似体ペプチドワクチン、WT1 126−134ペプチドワクチン、トシツモマブ、自家ヒト腫瘍由来HSPPC−96、およびベルツズマブが含まれる。さらなる免疫療法剤は、個々の患者の腫瘍の遺伝子構成に基づいたがんワクチンを使用することを含み、例えば、リンパ腫ワクチンの例は、GTOP−99(MyVax(登録商標))である。一実施形態において、免疫療法剤は、抗CD20抗体である。他の実施形態において、免疫療法剤は、オビヌツズマブである。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量の化合物Bおよび治療有効量のオビヌツズマブを、それを必要とする患者に投与することを含む。化合物Bの投与は、オビヌツズマブの投与の前、その投与と併行的、またはその投与の後であり得る。本出願において示すように、化合物Bおよびオビヌツズマブの組み合わせは、単独または他の薬剤と合わせたオビヌツズマブと比較して、所望の治療上の利点を提供し得る。1つの利点は、オビヌツズマブ単独によるがん細胞の細胞死と比較した、化合物Bおよびオビヌツズマブの組み合わせによるがん細胞の細胞死の増加であり得る。他の利点は、オビヌツズマブと他の薬剤との組み合わせと比較した、化合物Bおよびオビヌツズマブの組み合わせの所望の安全性プロファイルであり得る。なぜなら、他の薬剤がオビヌツズマブの免疫エフェクター機能およびin vivoでの有効性を妨げ得るためである。
【0150】
リンパ腫または白血病を処置するための化学療法薬剤の例には、アルデスロイキン、アルボシジブ(alvocidib)、アンチネオプラストン(antineoplaston)AS2−1、アンチネオプラストンA10、抗胸腺細胞グロブリン、アミホスチン三水和物、アミノカンプトテシン、三酸化二砒素、ベータアレチン(beta alethine)、Bcl−2ファミリータンパク質阻害剤であるABT−263、ABT−199、ABT−737、BMS−345541、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ブリオスタチン1、ブスルファン、カルボプラチン、campath−1H、CC−5103、カルムスチン、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、シスプラチン、クラドリビン(Leustarin)、クロランブシル(Leukeran)、クルクミン、シクロスポリン、シクロホスファミド(Cyloxan、Endoxan、Endoxana、Cyclostin)、シタラビン、デニロイキンジフチトクス、デキサメタゾン、DT PACE、ドセタキセル、ドラスタチン10、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、アドリブラスチン(Adriblastine))、ドキソルビシン塩酸塩、エンザスタウリン、エポエチンアルファ、エトポシド、エベロリムス(RAD001)、フェンレチニド、フィルグラスチム、メルファラン、メスナ、フラボピリドール、フルダラビン(Fludara)、ゲルダナマイシン(17−AAG)、イホスファミド、イリノテカン塩酸塩、イキサベピロン、レナリドミド(Revlimid(登録商標)、CC−5013)、リンフォカイン活性化キラー細胞、メルファラン、メトトレキセート、ミトキサントロン塩酸塩、モテキサフィンガドリニウム、ミコフェノール酸モフェチル、ネララビン、オブリメルセン(Genasense)オバトクラキス(Obatoclax)(GX15−070)、オブリメルセン、酢酸オクトレオチド、オメガ−3脂肪酸、オキサリプラチン、パクリタキセル、PD0332991、ペグ化リポソームドキソルビシン塩酸塩、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン(Pentstatin)(Nipent)、ペリホシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、R−ロスコビチン(Selicilib、CYC202)、組換えインターフェロンアルファ、組換えインターロイキン−12、組換えインターロイキン−11、組換えflt3リガンド、組換えヒトトロンボポエチン、リツキシマブ、サルグラモスチム、シルデナフィルクエン酸塩、シンバスタチン、シロリムス、スチリルスルホン、タクロリムス、タネスピマイシン、テムシロリムス(CCl−779)、サリドマイド、治療用同種異系リンパ球、チオテパ、チピファルニブ、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブまたはPS−341)、ビンクリスチン(Oncovin)、硫酸ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン、ボリノスタット(SAHA)、ボリノスタット、およびFR(フルダラビン、リツキシマブ)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)、FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ)、ハイパーCVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキセート、シタラビン)、ICE(イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)、MCP(ミトキサントロン、クロランブシル、およびプレドニゾロン)、R−CHOP(リツキシマブプラスCHOP)、R−CVP(リツキシマブプラスCVP)、R−FCM(リツキシマブプラスFCM)、R−ICE(リツキシマブ−ICE)、ならびにR−MCP(R−MCP)が含まれる。
【0151】
治療的処置は、幹細胞移植もしくは処置を伴う上記の治療のいずれかで補足するか、またはこれと合わせることができる。修正したアプローチの一例は、放射免疫療法であり、モノクローナル抗体を、放射性同位体粒子、例えば、インジウムIn111、イットリウムY90、ヨウ素I−131と合わせる。併用療法の例には、これらに限定されないが、ヨウ素−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、イットリウム−90イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、CHOPを伴うBexxar(登録商標)が含まれる。
【0152】
他の治療手順には、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体療法、生物学的療法、酵素阻害剤療法、全身照射、幹細胞の注入、幹細胞サポートを伴う骨髄アブレーション、in vitroで処置される末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素技術、薬理学的研究、低LETコバルト−60ガンマ線療法、ブレオマイシン、従来の手術、放射線療法、および骨髄非破壊的同種異系造血幹細胞移植が含まれる。
【0153】
例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、特に、B細胞起源のものの処置は、モノクローナル抗体、標準的な化学療法アプローチ(例えば、CHOP、CVP、FCM、MCPなど)、放射免疫療法、およびこれらの組み合わせの使用、特に、抗体療法と化学療法との統合を含む。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんのためのコンジュゲートしていないモノクローナル抗体の例には、リツキシマブ、アレムツズマブ、ヒトまたはヒト化抗CD20抗体、ルミリキシマブ、抗TRAIL、ベバシズマブ、ガリキシマブ、エプラツズマブ、SGN−40、および抗CD74が含まれる。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんの処置において使用される実験的抗体剤の例には、オファツムマブ、ha20、PRO131921、アレムツズマブ、ガリキシマブ、SGN−40、CHIR−12.12、エプラツズマブ、ルミリキシマブ、アポリズマブ、ミラツズマブ、およびベバシズマブが含まれる。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんのための化学療法の標準的レジメンの例には、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、MCP(ミトキサントロン、クロランブシル、およびプレドニゾロン)、R−CHOP(リツキシマブプラスCHOP)、R−FCM(リツキシマブプラスFCM)、R−CVP(リツキシマブプラスCVP)、およびR−MCP(R−MCP)が含まれる。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんのための放射免疫療法の例には、イットリウム−90−標識したイブリツモマブチウキセタン、およびヨウ素−131−標識したトシツモマブが含まれる。
【0154】
別の例において、マントル細胞リンパ腫(MCL)のための治療的処置は、組み合わせ化学療法、例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、ハイパーCVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メソトレキセート、シタラビン)およびFCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)を含む。さらに、これらのレジメンは、モノクローナル抗体リツキシマブ(Rituxan)で補足され、併用療法R−CHOP、ハイパーCVAD−R、およびR−FCMを形成することができる。他のアプローチは、上記の治療のいずれかと、幹細胞移植、またはICE(イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)による処置とを合わせることを含む。マントル細胞リンパ腫を処置する他のアプローチは、例えば、モノクローナル抗体様リツキシマブ(Rituxan)を使用した免疫療法を含む。リツキシマブは、辺縁帯リンパ腫、WM、CLLおよび小リンパ球性リンパ腫を含めた無痛性B細胞がんを処置するために使用することができる。リツキシマブおよび化学療法薬剤の組み合わせは、特に有効である。修正されたアプローチは、放射免疫療法であり、モノクローナル抗体を、放射性同位体粒子、例えば、ヨウ素−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))およびイットリウム−90イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))と合わせる。別の例において、Bexxar(登録商標)は、CHOPによる逐次の処置において使用される。別の免疫療法の例は、個々の患者の腫瘍の遺伝子構成に基づいたがんワクチンを使用することを含む。リンパ腫ワクチンの例は、GTOP−99(MyVax(登録商標))である。マントル細胞リンパ腫を処置するまた他のアプローチは、高用量化学療法とカップリングした自家幹細胞移植を含み、あるいはマントル細胞リンパ腫の処置は、プロテアソーム阻害剤、例えば、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブまたはPS−341)、または抗血管新生剤、例えば、特に、Rituxanと組み合わせたサリドマイドを投与することを含む。別の処置アプローチは、他の化学療法剤と組み合わせて、Bcl−2タンパク質の分解をもたらし、かつ化学療法、例えば、オブリメルセン(Genasense)へのがん細胞の感受性を増加させる薬物を投与することである。別の処置アプローチは、mTOR阻害剤を投与することを含み、これは細胞増殖の阻害、そしてさらには細胞死をもたらすことができる。非限定的例は、Rituxan(登録商標)、Velcade(登録商標)または他の化学療法剤と組み合わせた、テムシロリムス(CCI−779)、およびテムシロリムスである。
【0155】
MCLのための他の最近の治療は、開示されている(Nature Reviews;Jares, P.、2007年)。このような例には、フラボピリドール、PD0332991、R−ロスコビチン(Selicilib、CYC202)、スチリルスルホン、オバトクラキス(GX15−070)、TRAIL、抗TRAIL DR4およびDR5抗体、テムシロリムス(CCl−779)、エベロリムス(RAD001)、BMS−345541、クルクミン、ボリノスタット(SAHA)、サリドマイド、レナリドミド(Revlimid(登録商標)、CC−5013)、およびゲルダナマイシン(17−AAG)が含まれる。
【0156】
ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を処置するために使用される他の治療剤の例には、ペリホシン、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、リツキシマブ、シルデナフィルクエン酸塩(Viagra(登録商標))、CC−5103、サリドマイド、エプラツズマブ(hLL2−抗CD22ヒト化抗体)、シンバスタチン、エンザスタウリン、campath−1H、デキサメタゾン、DT PACE、オブリメルセン、アンチネオプラストンA10、アンチネオプラストンAS2−1、アレムツズマブ、ベータアレチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩、プレドニゾン、硫酸ビンクリスチン、フルダラビン、フィルグラスチム、メルファラン、組換えインターフェロンアルファ、カルムスチン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、エトポシド、メルファラン、ドラスタチン10、インジウムIn111モノクローナル抗体MN−14、イットリウムY90ヒト化エプラツズマブ、抗胸腺細胞グロブリン、ブスルファン、シクロスポリン、メソトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、治療用同種異系リンパ球、イットリウムY90イブリツモマブチウキセタン、シロリムス、タクロリムス、カルボプラチン、チオテパ、パクリタキセル、アルデスロイキン、組換えインターフェロンアルファ、ドセタキセル、イホスファミド、メスナ、組換えインターロイキン−12、組換えインターロイキン−11、Bcl−2ファミリータンパク質阻害剤ABT−263、デニロイキンジフチトクス、タネスピマイシン、エベロリムス、ペグフィルグラスチム、ボリノスタット、アルボシジブ、組換えflt3リガンド、組換えヒトトロンボポエチン、リンフォカイン活性化キラー細胞、アミホスチン三水和物、アミノカンプトテシン、イリノテカン塩酸塩、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、エポエチンアルファ、ネララビン、ペントスタチン、サルグラモスチム、ビノレルビン酒石酸塩、WT−1類似体ペプチドワクチン、WT1 126−134ペプチドワクチン、フェンレチニド、イキサベピロン、オキサリプラチン、モノクローナル抗体CD19、モノクローナル抗体CD20、オメガ−3脂肪酸、ミトキサントロン塩酸塩、オクトレオチド酢酸塩、トシツモマブおよびヨウ素I−131トシツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、三酸化二砒素、チピファルニブ、自家ヒト腫瘍由来HSPPC−96、ベルツズマブ、ブリオスタチン1、およびペグ化リポソームドキソルビシン塩酸塩、ならびに任意のこれらの組み合わせが含まれる。
【0157】
WMを処置するために使用される治療手順の例には、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体療法、生物学的療法、酵素阻害剤療法、全身照射、幹細胞の注入、幹細胞サポートを伴う骨髄アブレーション、in vitroで処置される末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素技術、薬理学的研究、低LETコバルト−60ガンマ線療法、ブレオマイシン、従来の手術、放射線療法、および骨髄非破壊的同種異系造血幹細胞移植が含まれる。
【0158】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)薬物療法(Blood、2005年、Abramson, J.)を処置するために使用される他の治療剤の例には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、抗CD20モノクローナル抗体、エトポシド、ブレオマイシン、ワルデンシュトレームについて列挙されている薬剤の多く、ならびに任意のこれらの組み合わせ、例えば、ICEおよびR−ICEが含まれる。
【0159】
慢性リンパ球性白血病(CLL)(Spectrum、2006年、Fernandes, D.)を処置するために使用される他の治療剤の例には、クロランブシル(Leukeran)、シクロホスファミド(Cyloxan、Endoxan、Endoxana、Cyclostin)、フルダラビン(Fludara)、ペントスタチン(Nipent)、クラドリビン(Leustarin)、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、アドリブラスチン)、ビンクリスチン(Oncovin)、プレドニゾン、プレドニゾロン、アレムツズマブ(Campath、MabCampath)、ワルデンシュトレームについて列挙されている薬剤の多く、ならびに一般の組み合わせレジメンを含めた組み合わせ化学療法および化学免疫療法:CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CVP(リツキシマブ−CVP);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);R−ICE(リツキシマブ−ICE);FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ);ならびにFR(フルダラビン、リツキシマブ)が含まれる。
【0160】
このように、いくつかの態様において、(i)少なくとも1つの化学療法による処置に対して実質的に治療抵抗性であるか、(ii)化学療法による処置の後に再発しているか、または(iii)既存の慢性MPN療法に対して疾患の持続を発生しているか、または任意のこれらの組み合わせである被験体を感作させる方法が提供され、この方法は、被験体に有効量のJAK阻害剤、および有効量のPI3K阻害剤または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。感作される被験体は、JAK阻害剤およびPI3K阻害剤の投与が関与する処置に対して反応性であるか、またはこのような処置への耐性を発生していない被験体である。一態様において、JAK阻害剤は、化合物Aもしくはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩であり、PI3K阻害剤は、化合物B、C、D、もしくはE、または薬学的に許容されるその塩である。
【0161】
JAK阻害剤およびPI3Kδ阻害剤の投与が関与する処置はまた、化学療法による処置によるか、またはJAK阻害剤単独の投与による、死滅またはアポトーシスに対してその他の点で耐性であり得るか、耐性を生じ得たか、または応答し得ない細胞を感作させるか、または細胞の感受性を回復させることができる。感作されているか、または感受性を回復した細胞は、JAK阻害剤およびPI3Kδ阻害剤の投与が関与する処置に対して反応性である罹患細胞である。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤およびPI3K阻害剤の投与は、細胞生存度の低減のレベルを増加させることによって、このようなMF細胞を感作させるか、または感受性を回復させる。ある特定の実施形態において、細胞生存度における低減のレベルは、JAK阻害剤単独のみと接触するときと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%増加する。また、細胞生存度における低減のレベルは、10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、10%〜70%、20%〜99%、20%〜90%、20%〜80%、25%〜95%、25%〜90%、25%〜80%、25%〜75%、または30%〜90%増加し得る。
【0162】
他の態様において、(i)少なくとも1つの化学療法による処置に対して実質的に治療抵抗性であるか、または(ii)化学療法による処置の後に再発しているか、または(i)および(ii)の両方である被験体を感作させる方法であって、被験体に有効量の化合物B、および有効量のオビヌツズマブを投与することを含む、方法が提供される。感作されている被験体は、化合物Bおよびオビヌツズマブの投与が関与する処置に対して反応性であるか、またはこのような処置に対して耐性を発生していない被験体である。
【0163】
化合物Bおよびオビヌツズマブの投与が関与する処置はまた、化学療法による処置によるか、またはPI3K−δ阻害剤(例えば、化合物Bもしくは化合物C)単独の投与による死滅もしくはアポトーシスに対してその他の点で耐性であり得るか、耐性を生じ得たか、または応答し得ない細胞を感作させるか、または細胞の感受性を回復させることができる。感作されているか、または感受性を回復したがん細胞は、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの投与が関与する処置に対して反応性であるがん細胞である。いくつかの実施形態において、両方の化合物の投与は、細胞生存度の低減のレベルを増加させることによって、このようながん細胞を感作させるか、または細胞の感受性を回復させる。ある特定の実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの投与は、化合物Bもしくは化合物Cのみとの接触、またはオビヌツズマブのみとの接触と比較して、細胞生存度の低減のレベルを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%増加させる。他の実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの投与は、細胞生存度の低減のレベルを10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、10%〜70%、20%〜99%、20%〜90%、20%〜80%、25%〜95%、25%〜90%、25%〜80%、25%〜75%、または30%〜90%増加させる。
処置
【0164】
本明細書において使用する場合、「処置」または「処置すること」は、臨床結果を含めて有益または所望の結果を得るためのアプローチである。例えば、有益または所望の臨床結果は、下記の1つまたは複数を含み得る。(i)疾患からもたらされるもう一つの症状を減少させること;(ii)疾患の程度を減少させ、疾患を安定化させること(例えば、疾患の悪化を予防または遅延させること);(iii)疾患の広がり(例えば、転移)を予防または遅延させること;(iv)疾患の出現または再発を予防または遅延させること、疾患の進行を遅延または遅くすること;(v)病態を改善すること、(部分的または全体的であろうと)疾患の寛解を提供すること、疾患を処置するのに必要とされる1種または複数の他の医薬の用量を減少させること;(vi)疾患の進行を遅延させること、生活の質を増すこと、および/あるいは(vii)生存を延長すること。
【0165】
1つのバリエーションにおいて、JAK阻害剤、例えば、化合物Aもしくはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩、およびPI3K−δ阻害剤、例えば、化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物Eまたは薬学的に許容されるその塩の投与は、疾患の重症度を減少させる。疾患の重症度の減少は、本明細書に記載の方法によってケモカインレベル(例えば、CCL2、CCL3、CCL4、CCL22)により評価し得る。
【0166】
また、JAK阻害剤および/またはPI3K−δ阻害剤を含めた1種または複数の治療剤の投与は、がんまたは骨髄増殖性障害と関連する1つまたは複数の症状の重症度を、処置前の同じ被験体における対応する1つまたは複数の症状と比較して、またはこのような処置を受けていない他の被験体における対応する症状と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%または約100%のいずれかで低減し得る。
【0167】
別のバリエーションにおいて、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの投与は、がんの重症度を減少させる。一態様において、がんの重症度の低減は、本明細書に記載の方法によるケモカインレベル(例えば、CCL2、CCL3、CCL4、CCL22)によって評価し得る。
【0168】
また、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの投与は、処置の前の同じ被験体における対応する1つもしくは複数の症状と比較して、または組成物を受けていない他の被験体における対応する症状と比較して、がんと関連する1つまたは複数の症状の重症度を少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%または約100%のいずれかで低減し得る。ある特定の実施形態において、処置または処置することはまた、がんの病理学的帰結の低減を含み得る。提供される方法は、処置のこれらの態様の任意の1つまたは複数を企図する。
【0169】
本明細書において使用する場合、がんまたは骨髄増殖性疾患の発生を「遅延させること」とは、疾患の発生を延ばし、妨げ、遅くし、遅らせ、安定化し、かつ/または延期することを意味する。遅延は、病歴および/または処置される被験体によって変動する期間であり得る。当業者には明らかなように、十分または有意な遅延は、個体が疾患を発生しないという点で、事実上予防を包含することができる。がんまたは骨髄増殖性障害の発生を「遅延させる」方法は、この方法を使用しない場合と比較したとき、所与の時間枠における疾患発生の可能性を低減させ、かつ/または所与の時間枠において疾患の程度を低減させる方法である。このような比較は典型的には、統計的に有意な数の被験体を使用した臨床研究に基づく。疾患発生は、標準的な方法、例えば、通例の身体的診察、採血、マンモグラフィー、画像化、または生検を使用して検出可能であり得る。発生はまた、最初は検出不能であり得る疾患の進行を指してもよく、出現、再発、および発症を含む。
【0170】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供する方法を使用して、がん細胞または骨髄増殖性疾患細胞の成長または増殖を処置し得る。例として、がん細胞は、造血起源のもの、骨髄性、赤血球系、巨核球性、または顆粒球性、前駆細胞である。
【0171】
他の実施形態において、方法を使用して、造血起源のがん細胞の成長または増殖を処置し得る。例えば、がん細胞は、リンパ系起源のものであり得る。一実施形態において、がん細胞は、Bリンパ球またはBリンパ球前駆細胞と関連するか、またはこれに由来する。化合物Bおよびオビヌツズマブの両方、または化合物Cおよびオビヌツズマブの両方の投与は、がん細胞の細胞生存度を減少させ、特定の代謝経路におけるリン酸化を撹乱もしくは阻害し、かつ/または疾患の重症度の低減と関連し得る特定のケモカインの産生を低減もしくは阻害し得る。
【0172】
いくつかの態様において、本明細書において、罹患細胞において細胞生存度を検出可能な程度に減少させるのに十分な量でJAK阻害剤またはPI3Kδ阻害剤を投与することを含む、ヒトにおいて罹患細胞の細胞生存度を減少させるための方法がまた提供される。JAK阻害剤および/もしくはPI3K阻害剤をヒトに投与した後、または罹患細胞とJAK阻害剤および/もしくはPI3K阻害剤とを接触させた後のがん細胞における細胞生存度は、阻害剤の非存在下での罹患細胞における細胞生存度と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。さらに、JAK阻害剤およびPI3Kδ阻害剤をヒトに投与した後、またはがん細胞とJAK阻害剤およびPI3Kδ阻害剤とを接触させた後の罹患細胞における細胞生存度は、阻害剤の非存在下でのがん細胞における細胞生存度と比較して、10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、20%〜90%、20%〜80%、20%〜70%減少する。当技術分野において公知の任意の適切な方法、技術およびアッセイを使用して、細胞生存度を測定し得る。例えば、がん細胞における細胞生存度は、適切な染料、色素、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはバイオマーカーの使用を伴う、フローサイトメトリーまたは免疫ブロットによって決定される。
【0173】
他の態様において、ヒトに化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブを、がん細胞における細胞生存度を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で投与することを含む、ヒトにおいてがん細胞における細胞生存度を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。がん細胞における細胞生存度を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で、化合物Bおよびオビヌツズマブまたは化合物Cおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、あるいはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを接触させることを含む、がん細胞における細胞生存度を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブまたは化合物Cおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、あるいはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを接触させた後のがん細胞における細胞生存度は、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下でのがん細胞における細胞生存度と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。ある特定の実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブまたは化合物Cおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、あるいはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを接触させた後のがん細胞における細胞生存度は、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下でのがん細胞における細胞生存度と比較して、10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、20%〜90%、20%〜80%、20%〜70%減少する。上記の方法の一実施形態において、がん細胞は、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞である。
【0174】
当技術分野において公知の任意の適切な方法、技術およびアッセイを使用して、細胞生存度を測定し得る。例えば、一実施形態において、がん細胞、例えば、CLL細胞における細胞生存度は、細胞生存度アッセイ、例えば、MTSアッセイによって決定し得る。他の適切なアッセイは、例えば、適切な染料、色素、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはバイオマーカーの使用を含み得る。
【0175】
いくつかの態様において、本開示はまた、罹患細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、および/またはERKリン酸化を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で、JAK阻害剤またはPI3K阻害剤をヒトに投与することを含む、ヒトにおける罹患細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、および/またはERKリン酸化を減少させるための方法を提供する。例として、処置後の罹患細胞におけるAKT、S6、および/またはERKリン酸化は、阻害剤の非存在下での罹患細胞におけるS6リン酸化と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。さらに、JAK阻害剤およびPI3K阻害剤をヒトに投与するか、またはがん細胞とJAK阻害剤およびPI3K阻害剤とを接触させた後の、罹患細胞におけるAKT、S6および/またはERKリン酸化は、阻害剤の非存在下での罹患細胞におけるAKTおよび/またはS6リン酸化と比較して、10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、20%〜90%、20%〜80%、20%〜70%減少する。当技術分野において公知の任意の適切な方法、技術およびアッセイを使用して、AKTリン酸化、S6リン酸化、およびERKリン酸化を測定し得る。例えば、AKTリン酸化、S6リン酸化、および/またはERKリン酸化は、適切な染料、色素、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、またはバイオマーカーの使用を伴う、フローサイトメトリーまたは免疫ブロットによって決定する。
【0176】
他の態様において、ヒトに化合物Bおよびオビヌツズマブを、がん細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、またはAKTおよびS6リン酸化を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で投与することを含む、ヒトにおけるがん細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、またはAKTおよびS6リン酸化を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。がん細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、またはAKTおよびS6リン酸化を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で、化合物Bおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、またはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブとを接触させることを含む、がん細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、またはAKTおよびS6リン酸化を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、またはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブとを接触させた後のがん細胞におけるS6リン酸化は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、がん細胞におけるS6リン酸化と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。ある特定の実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブまたは化合物Cおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、あるいはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを接触させた後のがん細胞におけるS6リン酸化は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、がん細胞におけるS6リン酸化と比較して、10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、20%〜90%、20%〜80%、20%〜70%減少する。上記の方法の一実施形態において、がん細胞は、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞である。
【0177】
ヒトに化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブを、がん細胞におけるAKTリン酸化、ERKリン酸化、またはAKTおよびERKリン酸化を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で投与することを含む、ヒトにおいてがん細胞におけるAKTリン酸化、ERKリン酸化、またはAKTおよびERKリン酸化を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。がん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを、がん細胞におけるAKTリン酸化、ERKリン酸化、またはAKTおよびERKリン酸化を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で接触させることを含む、がん細胞におけるAKTリン酸化、ERKリン酸化、またはAKTおよびERKリン酸化を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブまたは化合物Cおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、あるいはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを接触させた後のがん細胞におけるERKリン酸化は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、がん細胞におけるERKリン酸化と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。ある特定の実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブまたは化合物Cおよびオビヌツズマブをヒトに投与するか、あるいはがん細胞と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを接触させた後のがん細胞におけるERKリン酸化は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、がん細胞におけるERKリン酸化と比較して、10%〜99%、10%〜90%、10%〜80%、20%〜90%、20%〜80%、20%〜70%減少する。上記の方法の一実施形態において、がん細胞は、バーキットリンパ腫細胞である。
【0178】
当技術分野において公知の任意の適切な方法、技術およびアッセイを使用して、AKTリン酸化、S6リン酸化、およびERKリン酸化を測定し得る。例えば、一実施形態において、がん細胞、例えば、CLL細胞またはバーキットリンパ腫細胞におけるAKTリン酸化、S6リン酸化、および/またはERKリン酸化は、フローサイトメトリーまたは免疫ブロット法によって決定し得る。
【0179】
いくつかの態様において、本明細書において、試料とJAK阻害剤およびPI3K阻害剤とを試料中のケモカインの産生を検出するのに十分な量で接触させることを含む、試料中のケモカインの産生を減少させるための方法がまた提供される。JAK阻害剤およびPI3K阻害剤との接触または投与の後のケモカインの産生または発現のレベルは、阻害剤の非存在下での細胞におけるものと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。ケモカインには、これらに限定されないが、CCL2、CCL3、CCL4、CCL22、CXCL12、CXCL13、腫瘍壊死因子アルファ、c−反応性(creative)タンパク質、または任意のこれらの組み合わせが含まれる。
【0180】
例えば、ある特定の態様において、試料と化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとを、試料中のケモカインの産生を検出可能な程度に減少させるのに十分な量で接触させることを含む、CCL2、CCL3、CCL4、CCL22、または任意のこれらの組み合わせを発現している細胞を含む試料においてケモカインの産生を減少させるための方法がまた本明細書において提供される。
【0181】
いくつかの実施形態において、下記(i)〜(iv)の1つまたは複数が当てはまる:
(i)化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとの接触の後のCLL2の産生は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、細胞におけるCLL2の産生と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少し、
(ii)化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとの接触の後のCLL3の産生は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、細胞におけるCLL3の産生と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少し、
(iii)化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとの接触の後のCLL4の産生は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、細胞におけるCLL4の産生と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少し、
(iv)化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブとの接触の後のCLL22の産生は、化合物Bおよびオビヌツズマブの非存在下で、または化合物Cおよびオビヌツズマブの非存在下での、細胞におけるCLL22の産生と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。
【0182】
上記で提供したケモカインのいずれか1つの産生における減少のそれぞれおよび全てのバリエーションは、あたかも、それぞれおよび全ての組み合わせが個々に記載されているかのように、その他のケモカインのそれぞれおよび全てのバリエーションと組み合わされ得ることが意図され、理解される。例えば、いくつかのバリエーションにおいて、CCL3、CCL4、CXCL12、CXCL13、腫瘍壊死因子アルファ、およびc−反応性タンパク質は、適切なケモカインであり得る。
【0183】
当技術分野において公知の任意の適切な方法、技術およびアッセイを使用して、試料中のケモカインのレベルを決定し得る。例えば、免疫アッセイ(または免疫学的結合アッセイ)を使用して、試料中のケモカインレベルを定性的にまたは定量的に分析し得る。適用可能な技術の全体的概要は、いくつかの容易に利用可能なマニュアル、例えば、HarlowおよびLane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Using Antibodies: A Laboratory Manual(1999年)に見出すことができる。免疫アッセイは典型的には、選択したタンパク質または抗原に特異的に結合する抗体を使用する。抗体は、当業者には周知であるいくつかの手段のいずれかによって産生し得る。
【0184】
in vitroまたはin vivoでの研究のために、化合物A、B、C、D、E、またはルクソリチニブ(ruxolinitib)の効果量は、実験条件によって調節し得る。例えば、化合物は、0.001μM、0.002μM、0.003μM、0.004μM、0.005μM、0.006μM、0.007μM、0.008μM、0.009μM、0.01μM、0.02μM、0.03μM、0.04μM、0.05μM、0.06μM、0.07μM、0.08μM、0.09μM、0.1μM、0.2μM、0.3μM、0.4μM、0.5μM、0.6μM、0.7μM、0.8μM、0.9μM、1.0μM、1.5μM、2.0μM、2.5μM、3.0μM、3.5μM、4.0μM、5.0μM、6.0μM、7.0μM、8.0μM、9.0μM、または10.0μMの量で使用し得る。
投薬レジメン、投与の順序、および投与経路
【0185】
本明細書において使用する場合、「治療有効量」は、JAK/STATおよび/またはPI3K経路をモジュレートし、それによって、適応症を患っている被験体(例えば、ヒト)を処置するか、または適応症の存在する症状を軽減するのに十分な量を意味する。治療有効量の決定は、特に、本明細書において提供される詳細な開示に鑑みて当業者の能力の範囲内である。いくつかの実施形態において、治療有効量のJAK阻害剤、例えば、化合物Aもしくはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩、および治療有効量のPI3K阻害剤、例えば、化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物Eおよび薬学的に許容されるその塩は、(i)罹患細胞の数を低減させ;(ii)腫瘍のサイズを低減させ;(iii)末梢器官中への罹患細胞の浸潤をある程度阻害し、遅らせ、遅くし、好ましくは停止させ;(iv)腫瘍転移を阻害し(例えば、ある程度遅くし、好ましくは停止させ);(v)腫瘍増殖を阻害し;(vi)腫瘍の出現および/または再発を予防するか、または遅延させ;かつ/あるいは(vii)がんまたは骨髄増殖性疾患と関連する症状の1つまたは複数をある程度まで軽減し得る。他の実施形態において、治療有効量の化合物Bまたは化合物Cおよび治療有効量のオビヌツズマブは、(i)がん細胞の数を低減させ;(ii)腫瘍のサイズを低減させ;(iii)末梢器官中へのがん細胞の浸潤をある程度まで阻害し、遅らせ、遅くし、好ましくは停止させ;(iv)腫瘍転移を阻害し(例えば、ある程度まで遅くし、好ましくは停止させ);(v)腫瘍増殖を阻害し;(vi)腫瘍の出現および/または再発を予防するか、または遅延させ;かつ/あるいは(vii)がんと関連する症状の1つまたは複数をある程度まで軽減し得る。様々な実施形態において、この量は、がんの症状の1つまたは複数を改善させ、和らげ、減少させ、かつ/または遅延させるのに十分である。
【0186】
本開示による阻害剤の投薬レジメンは、適応症、投与経路、および状態の重症度によって、例えば、投与経路によって変化し得るが、適切な用量は、体重、体表面積、または器官のサイズによって計算することができる。最終の投薬レジメンは、薬物の作用を修飾する様々な要因、例えば、化合物の比活性、病態の正体および重症度、患者の反応性、患者の年齢、状態、体重、性別、および食事、ならびに任意の感染症の重症度を考慮して、良好な医療上の実施を鑑みて主治医が決定する。考慮に入れることができるさらなる要因は、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、および療法への耐容性/反応を含む。本明細書において記述する製剤のいずれかが関与する処置に適した用量のさらなる精密化は、特に、開示されている投薬情報およびアッセイ、ならびにヒトの臨床治験において観察される薬物動態学的データに鑑みて、過度の実験なしに熟練した医師または実施者によって慣例的に行われる。適当な用量は、用量反応データと一緒に、体液または他の試料中の薬剤の濃度を決定するための確立したアッセイの使用によって確認することができる。
【0187】
選択した製剤および投与経路は、個々の被験体、被験体において処置される状態の性質、および一般に、担当の実施者の判断に調節され得る。例えば、本明細書に記載されている阻害剤の治療指数は、細胞をそれ自体として同定するマーカーを発現している罹患細胞への標的化送達のための化合物を修飾または誘導体化することによって増強し得る。例えば、化合物は、がん細胞に対して選択的または特異的であるマーカーを認識する抗体に連結することができ、その結果、従前に記載されているように、化合物がこれらの効果を局所的に発揮するように細胞の近傍に近づく。例えば、Pieterszら、Immunol. Rev.、129巻:57頁(1992年);Trailら、Science、261巻:212頁(1993年);およびRowlinson−Buszaら、Curr. Opin. Oncol.、4巻:1142頁(1992年)を参照されたい。
投薬レジメン
【0188】
治療有効量のJAK阻害剤、例えば、化合物Aもしくはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩、またはPI3K阻害剤、例えば、化合物B、化合物C、化合物D、もしくは化合物Eまたは薬学的に許容されるその塩は、単回用量または複数回用量で提供して、所望の処置のエンドポイントを達成し得る。治療有効量の化合物Bまたはオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブをまた、単回用量または複数回用量で提供して、所望の処置エンドポイントを達成し得る。本明細書において使用する場合、「用量」は、被験体(例えば、ヒト)によって毎回摂取される活性成分(例えば、化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、もしくは薬学的に許容されるその塩);または被験体(例えば、ヒト)によって毎回摂取される化合物Bもしくは化合物C、オビヌツズマブの総量を指す。
【0189】
いくつかのバリエーションにおいて、本開示の化合物の例示的な用量は、約20mg〜約1000mg、または約20mg〜約500mg、または約25mg〜約400mg、または約50mg〜約350mg、または約75mg〜約300mg、または約100mg〜約200mg、または約10mg、または約15mg、または約20mg、または約25mg、または約30mg、または約40mg、または約50mg、または約60mg、または約75mg、または約100mg、または約125mg、または約150mg、または約175mg、または約200mg、または約225mg、または約250mg、または約275mg、または約300mg、または約325mg、または約350mg、または約375mg、または約400mg、または約425mg、または約450mg、または約475mg、または約500mgであり得る。本明細書において「約」の値またはパラメーターへの参照は、その値またはパラメーターそれ自体を対象とする実施形態を含む(記載する)ことを理解すべきである。例えば、「約x」を参照する記載は、「x」それ自体の記載を含む。
【0190】
特定のバリエーションにおいて、ヒト被験体のための化合物Bまたは化合物Cの例示的な用量は、約0.01mg〜約1500mgまたは約50mg〜約200mg、または約200mg〜約300mgまたは約75mg、または約100mg、または約125mg、または約150mg、または約175mg、または約200mg、または約225mg、または約250mg、または約275mg、または約300mg、または約325mg、または約350mg、または約375mg、または約400mg、または約425mg、または約450mg、または約475mg、または約500mgであり得る。本明細書において「約」の値またはパラメーターへの参照は、その値またはパラメーターそれ自体を対象とする実施形態を含む(記載する)ことを理解すべきである。例えば、「約x」を参照する記載は、「x」それ自体の記載を含む。
【0191】
特定のバリエーションにおいて、ヒト被験体のためのオビヌツズマブの例示的な用量は、約100mg〜約5000mg、または約500mg〜約200mg、または約100mg、または約200mg、または約300mg、または約400mg、または約500mg、または約600mg、または約700mg、または約800mg、または約900mg、または約1000mg、または約1100mg、または約1200mg、または約1300mg、または約1400mg、または約1500mg、または約1600mg、または約1700mg、または約1800mg、または約1900mg、または約2000mg、または約2500mg、または約3000mg、または約3500mg、または約4000mg、または約4500mg、または約5000mgであり得る。
【0192】
JAK阻害剤、例えば、化合物Aもしくはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩の用量のそれぞれおよび全てのバリエーションは、あたかもそれぞれおよび全ての組み合わせが個々に記載されているかのように、PI3K阻害剤、例えば、化合物B、化合物C、化合物D、化合物Eまたは薬学的に許容されるその塩の用量のそれぞれおよび全てのバリエーションと組み合わされ得る。例えば、25mg用量のJAK阻害剤は、PI3K阻害剤と共に100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、または400mgの用量で投与し得る。いくつかの例において、100mg用量のJAK阻害剤は、PI3K阻害剤と共に100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、または400mgの用量で投与し得る。さらなる例において、200mg用量のJAK阻害剤は、PI3K阻害剤と共に100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、または400mgの用量で投与し得る。さらなる例は、300mg用量のJAK阻害剤は、PI3K阻害剤と共に100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、または400mgの用量で投与し得ることを含む。一実施形態において、200mgの化合物Aおよび100mgの化合物B、または200mgの化合物Aおよび150mgの化合物Bが、方法または本開示において使用される。
【0193】
化合物Bまたは化合物Cの用量のそれぞれおよび全てのバリエーションは、あたかもそれぞれおよび全ての組み合わせが個々に記載されているかのように、オビヌツズマブの用量のそれぞれおよび全てのバリエーションと組み合わされ得る。例えば、一実施形態において、100mg用量の化合物Bまたは化合物Cは、1000mg用量のオビヌツズマブと共に投与し得る。別の実施形態において、150mg用量の化合物Bまたは化合物Cは、1000mg用量のオビヌツズマブと共に投与し得る。さらに別の実施形態において、200mg用量の化合物Bまたは化合物Cは、1000mg用量のオビヌツズマブと共に投与し得る。他の実施形態において、300mg用量の化合物Bまたは化合物Cは、1000mg用量のオビヌツズマブと共に投与し得る。別の実施形態において、75mg用量の化合物Bまたは化合物Cは、1000mg用量のオビヌツズマブと共に投与し得る。
【0194】
他の実施形態において、提供する方法は、臨床的有効性が達成される用量の阻害剤もしくは化合物を投与するか、または有効性を維持することができるレベルまで用量を一定量ずつ低減させることによって、被験体(例えば、ヒト)を処置し続けることを含む。特定の実施形態において、本明細書において提供する方法は、被験体(例えば、ヒト)に100mg〜200mgの化合物の最初の1日用量を投与し、前記用量を1日当たり100mg〜400mgの総投与量に少なくとも6日にわたり増加させることを含む。任意選択で、投与量は、1日当たり約150〜750mgにさらに増加させることができる。化合物A、化合物B、化合物C、化合物Dおよび/もしくは化合物E、または薬学的に許容されるその塩の用量は、臨床的有効性が達成されるまで一定量ずつ増加し得る。約100mg、または約125mg、または約150mg、または約200mg、または約250mg、または約300mg、または約400mgの増分を使用して、用量を増加させることができる。用量は、毎日、1日おき、1週間当たり2回、3回、4回、5回もしくは6回、または週1回増加させることができる。
【0195】
投薬の頻度は、投与する化合物の薬物動態パラメーターおよび投与経路に依存する。JAK阻害剤についての投薬の頻度は、PI3K阻害剤についての投薬の頻度と同じであるか、または異なり得る。JAK阻害剤、例えば、化合物Aもしくはルクソリチニブまたは薬学的に許容されるその塩は、1日1回または1日2回投与される。また、PI3K阻害剤、例えば、化合物B、C、D、Eまたは薬学的に許容されるその塩は、1日1回または1日2回投与される。JAK阻害剤の投与およびPI3K阻害剤の投与は、一緒または別々でよい。化合物Bまたは化合物Cについての投薬の頻度は、オビヌツズマブについての投薬の頻度と同じまたは異なり得る。いくつかの実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩は、1日1回または1日2回投与される。いくつかの実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩は、1日1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩は、1日2回投与される。いくつかの実施形態において、オビヌツズマブは、週1回または2週間毎に1回投与される。いくつかの実施形態において、オビヌツズマブは、21週間の期間にわたり8回の用量で投与される。いくつかの実施形態において、オビヌツズマブは、28日毎に1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩は、1日1回投与され、オビヌツズマブは、28日毎に1回投与される。いくつかの実施形態において、オビヌツズマブは、28日毎に1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩は、1日2回投与され、オビヌツズマブは、28日毎に1回投与される。
【0196】
投薬の用量および頻度はまた、薬物動態学的および薬力学的、ならびに毒性および治療効率データに依存する。例えば、本開示の化合物についての薬物動態学的および薬力学的情報は、in vitroおよびin vivoでの前臨床研究を通して集めることができ、後者は臨床治験の過程においてヒトにおいて確認される。別の例において、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブ、ならびに化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの製剤についての薬物動態学的および薬力学的情報は、in vitroおよびin vivoでの前臨床研究によって集めることができ、後者は臨床治験の過程においてヒトにおいて確認される。このように、治療有効用量は、最初は生化学的および/または細胞ベースのアッセイから推定することができる。次いで、投与量を動物モデルにおいて処方して、PI3Kδおよび/または発現または活性をモジュレートする望ましい循環濃度範囲を達成することができる。ヒト研究が行われるにつれ、適当な投与量レベルならびに様々な疾患および状態のための処置の期間に関してさらなる情報が明らかとなる。
【0197】
(例えば、化合物Aおよび化合物B;ルクソリチニブおよび化合物B;化合物Bおよびオビヌツズマブ;ならびに化合物Cおよびオビヌツズマブの)毒性および治療有効性は、例えば、LD
50(集団の50%において致死的である用量)およびED
50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物において標準的医薬手順によって決定することができる。毒性効果および治療効果の間の用量比は、「治療指数」であり、これは典型的には比LD
50/ED
50として表される。大きな治療指数を示す化合物、すなわち、毒性用量が有効用量より実質的により高いものが好ましい。このような細胞培養アッセイおよびさらなる動物試験から得たデータは、ヒトへの使用のための投与量範囲を処方することにおいて使用することができる。このような化合物の用量は好ましくは、毒性がほとんどないまたは毒性がないED
50を含む循環濃度の範囲内に入る。
【0198】
化合物A、B、C、D、Eまたは薬学的に許容されるその塩は、摂食条件下で投与し得る。例えば、いくつかのバリエーションにおいて、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブは、摂食条件下で投与し得る。摂食条件下という用語またはそのバリエーションは、化合物またはその医薬組成物が投与されるときの前またはそれと同時に、固体もしくは液体形態での食物、または任意の適切な形態でのカロリーの消費または取込みを指す。化合物は、カロリー(例えば、食事)を消費する数分または数時間以内に被験体(例えば、ヒト)に投与し得る。例として、JAK阻害剤および/またはPI3K阻害剤は、カロリーを消費した5〜10分以内、約30分以内、または約60分以内に被験体(例えば、ヒト)に投与される。
投与の順序
【0199】
本開示による投与の順序はまた変化し得る。化合物は、逐次的に(例えば、逐次投与)または同時に(例えば、同時投与)投与し得る。例えば、JAK阻害剤は、PI3K阻害剤の前に投与され、またはPI3K阻害剤は、JAK阻害剤の前に投与される。また、いくつかのバリエーションにおいて、JAK阻害剤およびPI3K阻害剤は、同時に投与される。別の例において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩を、オビヌツズマブの前に投与する。他の実施形態において、オビヌツズマブを、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩の前に投与する。また他の実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、およびオビヌツズマブを、同時に投与する。さらに、化合物の投与は、補足的用量と組み合わせることができる。
【0200】
逐次投与または逐次的に投与されるとは、阻害剤、化合物、または薬物が数分、数時間、数日、または数週間の時間の分離を伴って投与されることを意味する。化合物は、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも60分、または1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは7日、または2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間の時間の分離を伴って投与し得る。逐次的に投与するとき、化合物または薬物は、2回またはそれ超の投与で投与してもよく、化合物または薬物は、同じまたは異なるパッケージ中に含有され得る、別々の組成物中に含有される。
【0201】
同時投与または同時に投与されるとは、阻害剤、化合物、または薬物が数分以下または数秒以下の時間の分離を伴って投与されることを意味する。化合物は、約15分以下、約10分以下、約5分以下、または1分以下の時間の分離を伴って投与される。同時に投与されるとき、阻害剤、化合物または薬物は、別々の組成物または同じ組成物中に含有される。
【0202】
JAK阻害剤およびPI3Kδ阻害剤の投与が予想外の相乗作用または相乗効果(複数可)を提供することを本開示は示す。抗CD20抗体およびPI3Kδ阻害剤の投与が、予想外の相乗作用または相乗効果(複数可)を提供することを本開示はまた示す。本明細書において使用する場合、相乗作用または相乗効果は、一緒に使用した活性成分が、化合物を別々に使用することからもたらされる効果の合計より大きいか、または化合物単独からもたらされる相加効果より大きいときに、達成される効果を意味する。相乗効果は、活性成分が、(1)組み合わせた製剤において共処方(co−formulate)されて、かつ同時に投与または送達されるか;(2)別々の製剤として逐次的にまたは同時に送達されるか;あるいは(3)いくつかの他のレジメンによるとき、奏され得る。ある特定の実施形態において、化合物が、例えば、別々の錠剤、丸剤もしくはカプセル剤中で逐次的に、または別々のシリンジにおける異なる注射剤によって投与または送達されるとき、相乗効果が奏され得る。
投与の様式
【0203】
本開示による化合物は、非経口および経腸技術を含めた任意の従来の方法によって投与し得る。例えば、いくつかのバリエーションにおいて、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブは、非経口および経腸技術を含めた任意の従来の方法によって投与し得る。非経口投与のモダリティは、組成物が胃腸管を通る以外の経路、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、髄内、筋内、関節内、髄腔内、および脳室内の注射によって投与されるものを含む。経腸投与のモダリティは、例えば、経口、口腔内頬側、舌下、および直腸投与を含む。経上皮投与のモダリティは、例えば、経粘膜投与および経皮的投与を含む。経粘膜投与は、例えば、経腸投与、ならびに鼻、吸入、および肺深部への投与;膣投与;ならびに口腔内頬側および舌下投与を含む。経皮的投与は、例えば、パッチおよびイオン導入デバイス、ならびにペースト剤、軟膏(salve)、または軟膏剤(ointment)の局所適用を含めた、受動的または能動的な経皮的または皮膚を通してのモダリティを含む。非経口投与はまた、高圧技術、例えば、POWDERJECT(商標)を使用して達成することができる。
【0204】
例として、JAK阻害剤およびPI3K阻害剤は、経口的、静脈内または吸入によって独立に投与される。一実施形態において、JAK阻害剤は、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約600mgの投与量で経口的に1回または2回投与される。他の実施形態において、PI3K阻害剤は、約100mg、約150mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または約800mgの投与量で経口的に1回または2回投与される。
【0205】
いくつかの実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブは、独立に、経口的に、静脈内にまたは吸入によって投与し得る。一実施形態において、化合物Bもしくは化合物C、または両方は、経口的に投与され、オビヌツズマブ(obintuzumab)は、非経口的に投与される。一実施形態において、化合物Bもしくは化合物C、または両方は、経口的に投与され、オビヌツズマブは、静脈内注入によって投与される。
【0206】
一実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩を、経口的に投与する。いくつかの実施形態において、化合物Bまたは化合物Cを、約50mg BID、約100mg BID、約150mg BID、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、または約700mg BID、または約800mg、または約900mg、または約1100mg、または約1200mgの投与量で経口的に投与する。いくつかの実施形態において、化合物Bまたは化合物Cを、約50mg BID、約100mg BID、または約150mg BIDの投与量で経口的に投与する。いくつかの実施形態において、化合物Bまたは化合物Cを、約75mg BIDの投与量で経口的に投与する。いくつかの実施形態において、化合物Bまたは化合物Cを、約50mg QD、約100mg QD、約150mg QD、約200mg、約225mg QD、約250mg QD、約275mg QD、約300mg QD、約350mg QD、約400mg QD、約450mg QD、約500mg QD、約550mg QD、約600mg QD、約650mg QD、または約700mg QD、または約800mg QD、または約900mg QD、または約1100mg QD、または約1200mg QDの投与量で経口的に投与する。いくつかの実施形態において、化合物Bまたは化合物Cを、約50mg BID、約100mg BID、約150mg BID、約200mg、約225mg BID、約250mg BID、約275mg BID、約300mg BID、約350mg BID、約400mg BID、約450mg BID、約500mg BID、約550mg BID、約600mg BID、約650mg BID、または約700mg BID、または約800mg BID、または約900mg BID、または約1100mg BID、または約1200mg BIDの投与量で経口的に投与する。
【0207】
一実施形態において、オビヌツズマブは、静脈内に投与される。いくつかの実施形態において、オビヌツズマブは、処置サイクルの1日当たり約1000mgの投与量で少なくとも約5つの処置サイクルの期間にわたり静脈内に投与される。
医薬組成物
【0208】
1種または複数の治療剤は、それぞれニートの化学物質として投与または提供することができるが、化合物を医薬組成物または製剤の形態で投与または提供することが典型的であり、好ましい。したがって、本開示内の化合物ならびに生体適合性医薬ビヒクル(例えば、担体、アジュバント、および/または賦形剤)を含む医薬組成物が提供される。例えば、1つのバリエーションにおいて、化合物Bおよび/もしくはオビヌツズマブ、または化合物Cおよび/もしくはオビヌツズマブおよび生体適合性医薬ビヒクル(例えば、担体、アジュバント、および/もしくは賦形剤)を含む医薬組成物が提供される。組成物は、唯一の活性な薬剤(複数可)として、あるいは1種もしくは複数の薬学的に許容されるビヒクルと混合した他の薬剤、例えば、オリゴもしくはポリヌクレオチド、オリゴもしくはポリペプチド、薬物、またはホルモンと組み合わせた化合物を含むことができる。ある特定の実施形態において、薬学的に許容されるビヒクルは、薬学的に許容される担体、アジュバントおよび/または賦形剤を含み、他の成分は、製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害ではない限り、薬学的に許容されるとみなすことができる。
【0209】
ある特定の実施形態において、化合物は、同じまたは別々の製剤中で投与される。例えば、いくつかのバリエーションにおいて、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブは、同じまたは別々の製剤中で投与される。ある特定の実施形態において、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩は、化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、オビヌツズマブは、オビヌツズマブ、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物中に存在する。一実施形態において、活性成分(例えば、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブ)は、別々の単位投与量(例えば、別々の錠剤、丸剤もしくはカプセル剤で、または別々のシリンジにおける異なる注射剤による)で投与される。
【0210】
医薬組成物は、本開示の活性成分または化合物、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む。医薬組成物の製剤化および投与のための技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co、Easton, Pa.、1990年;およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker, Inc.、第3版(G.S. BankerおよびC.T. Rhodes、編)に見出すことができる。本明細書に記載されている医薬組成物は、任意の従来の方法、例えば、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、溶融紡糸、噴霧乾燥、または凍結乾燥プロセスを使用して製造することができる。最適な医薬製剤は、投与経路および所望の投与量に依存して当業者が決定することができる。このような製剤は、投与した薬剤の物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度、およびin vivoでのクリアランス速度に影響を与えることができる。処置される状態に依存して、これらの医薬組成物を製剤化し、全身的または局所的に投与することができる。
【0211】
医薬組成物を製剤化して、例えば、不活性な固体希釈剤および充填剤、無菌水溶液および様々な有機溶媒を含めた希釈剤、浸透増強剤、可溶化剤ならびにアジュバントを含み得る、適切な薬学的に許容されるビヒクルを含有することができる。例えば、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含んでもよく、薬学的に使用することができる調製物への化合物または活性成分の加工を促進する賦形剤および助剤(auxiliaries)を任意選択で含むことができる。別の例において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含んでもよく、薬学的に使用することができる調製物への化合物または活性成分の加工を促進する賦形剤および助剤を任意選択で含むことができる。投与の様式は一般に、担体の性質を決定する。例えば、非経口投与のための製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含むことができる。非経口投与に適した担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、および他の生理学的に適合性の溶液から選択することができる。一実施形態において、非経口投与のための担体は、生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス液、リンゲル液、または生理学的に緩衝化された食塩水を含む。組織または細胞投与のために、透過される特定のバリアに適した浸透剤が、製剤において使用される。このような浸透剤は一般に、当技術分野において公知である。タンパク質を含む調製物について、製剤は、安定化材料、例えば、ポリオール(例えば、スクロース)および/または界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)などを含むことができる。
【0212】
代わりに、非経口使用のための製剤は、適当な油性注射用懸濁剤として調製した分散物または懸濁剤を含むことができる。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、脂肪油、例えば、ゴマ油、および合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームを含む。水性注射用懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストラン、およびこれらの混合物を含有することができる。任意選択で、懸濁剤はまた、適切な安定剤、または高度に濃縮された溶液の調製を可能とする化合物の溶解度を増加させる薬剤を含有することができる。活性な薬剤のpH感受性である可溶化および/または持続放出を提供する水性ポリマー、例えば、メタクリルポリマー、例えば、Rohm America Inc.(Piscataway、N.J.)から入手可能なEUDRAGIT(商標)シリーズはまた、コーティングまたはマトリックス構造として使用することができる。任意選択で乳化剤または分散剤(表面活性材料;界面活性剤)によって安定化した乳剤、例えば、水中油型および油中水型分散物をまた使用することができる。懸濁剤は、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン(polyoxyethlyene)ソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、トラガカントゴム、およびこれらの混合物を含有することができる。
【0213】
阻害剤または化合物を含有するリポソームをまた、非経口投与のために用いることができる。リポソームは一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソーム形態中の組成物はまた、他の成分、例えば、安定剤、保存剤、賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、天然のものおよび合成のものの両方であるリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)を含む。リポソームを形成させる方法は、当技術分野において公知である。例えば、Prescott(編)、Methods in Cell Biology、14巻、33頁、Academic Press、New York(1976年)を参照されたい。
【0214】
ある特定の実施形態において、本開示の化合物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して経口投与のために製剤化され得る。例えば、いくつかの実施形態において、化合物B、オビヌツズマブ、もしくは化合物Bおよびオビヌツズマブの両方、またはその組成物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して経口投与のために製剤化される。他の実施形態において、化合物C、オビヌツズマブ、もしくは化合物Cおよびオビヌツズマブの両方、またはその組成物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して経口投与のために製剤化される。経口投与のために製剤化された調製物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、糖衣錠、ロゼンジ剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、エリキシル剤、懸濁剤、または散剤の形態であり得る。例示するために、経口使用のための医薬調製物は、活性化合物と固体賦形剤とを合わせ、このように得られた混合物を任意選択で粉砕し、必要に応じて適切な助剤を加えた後で顆粒の混合物を加工することによって得ることができ、錠剤または糖衣錠コアを得る。経口製剤は、非経口使用のために記載したものと同様のタイプの液体担体、例えば、緩衝化した水溶液、懸濁物などを用いることができる。
【0215】
いくつかの実施形態において、経口製剤は、錠剤、糖衣錠、およびゼラチンカプセル剤を含む。これらの調製物は、これらに限定されないが、(i)希釈剤、例えば、微結晶性セルロース、およびラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含めた糖;(ii)結合剤、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモなどからのデンプン;(iii)セルロース材料、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ゴム、例えば、アラビアゴムおよびトラガカントゴム、およびタンパク質、例えば、ゼラチンおよびコラーゲン;(iv)崩壊剤または可溶化剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、デンプン、寒天、アルギン酸またはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウム、または発泡性組成物;(v)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはそのマグネシウムもしくはカルシウム塩、およびポリエチレングリコール;(vi)香味剤(flavorant)および甘味剤;(vii)例えば、生成物を同定するか、または活性化合物の量(投与量)を特徴付ける、着色剤または顔料;ならびに(viii)他の成分、例えば、保存剤、安定剤、膨張剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を制御するための塩、および緩衝液を含めた1種または複数の賦形剤を含有することができる。
【0216】
ゼラチンカプセル剤は、ゼラチンでできた押込嵌めカプセル剤、ならびにゼラチンおよびコーティング、例えば、グリセロールまたはソルビトールでできた軟質密閉カプセル剤を含み得る。押込嵌めカプセル剤は、充填剤、結合剤、滑沢剤、および/または安定剤などと混合した活性成分(複数可)を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物は、安定剤を伴うか、または伴わない、適切な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁することができる。
【0217】
糖衣錠コアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物をまた含有することができる適切なコーティング、例えば、濃縮された糖溶液と共に提供し得る。
【0218】
いくつかの態様において、抗CD20阻害剤およびPI3K阻害剤の単位剤形がまた本明細書において提供される。他の態様において、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの単位剤形がまた本明細書において提供される。
製造品およびキット
【0219】
阻害剤または化合物を含む組成物(例えば、製剤および単位投与量を含めた)は、調製し、適当な容器中に入れ、示した状態の処置のために標識することができる。
【0220】
したがって、いくつかの態様において、化合物の単位剤形、および化合物の使用のための説明書を含有するラベルを含む、製造品、例えば、容器がまた提供される。いくつかの実施形態において、製造品は、(i)JAK阻害剤および1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形;ならびに(ii)PI3K阻害剤および1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形を含む容器である。他の態様において、製造品は、(i)抗CD20抗体および1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形;ならびに(ii)PI3K阻害剤および1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形を含む容器である。他の態様において、製造品は、(i)抗CD20抗体および1種または複数の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形;ならびに(ii)PI3K阻害剤および1種または複数の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形を含む容器である。いくつかの実施形態において、化合物Bまたは化合物Cの単位剤形、およびオビヌツズマブの単位剤形、および化合物の使用のための説明書を含有するラベルを含む、製造品、例えば、容器がまた提供される。いくつかの実施形態において、製造品は、(i)化合物Bまたは化合物Cおよび1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形;ならびに(ii)オビヌツズマブおよび1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形を含む容器である。いくつかの実施形態において、製造品は、(i)化合物Bまたは化合物Cおよび1種または複数の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形;ならびに(ii)オビヌツズマブおよび1種または複数の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形を含む容器である。一実施形態において、化合物Bのための単位剤形は、錠剤である。一実施形態において、化合物Cのための単位剤形は、錠剤である。一実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブの両方のための単位剤形は、錠剤である。別の実施形態において、化合物Cおよびオビヌツズマブの両方のための単位剤形は、錠剤である。
【0221】
本明細書において使用する場合、「単位剤形」は、単位投与量として適した物理的に別個になった単位を指し、各単位は、薬学的に許容される担体中であり得る所定の量の活性成分、または化合物を含有する。単位剤形は、投与の様式に依存して変化し得ることを当業者は認識する。ヒト被験体のための例示的な単位投与量レベルは、約100mg〜約1000mg、または100mg〜約400mg、または約100mg〜約300mg、または約150mg〜約200mg、または約100mg、約125mg、または約150mg、または約175mg、約200mg、または約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、または約800mgであり得る。いくつかの実施形態において、ヒト被験体のための単位投与量レベルは、約75mg〜約150mgである。
【0222】
ヒト被験体のための化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩の例示的な単位投与量レベルは、約0.01mg〜約1000mg、または約50mg〜約200mg、または約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、または約150mg、または約175mg、約200mg、または約250mgであり得る。
【0223】
ヒト被験体のためのオビヌツズマブの例示的な単位投与量レベルは、約0.01mg〜約1600mg、または約50mg〜約200mg、または約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、または約150mg、または約175mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約600mg、約900mg、または約1200mgであり得る。
【0224】
化合物B、オビヌツズマブ、または化合物Cもしくは薬学的に許容されるその塩は、1つまたは複数の単位剤形として投与し得る。例えば、一実施形態において、100mgの用量の化合物Bまたは化合物Cは、被験体(例えば、ヒト被験体)に1個の100mg錠剤で経口的に投与し得る。一実施形態において、200mgの用量のオビヌツズマブは、被験体(例えば、ヒト被験体)に1個の200mg錠剤で経口的に投与し得る。別の実施形態において、600mgの用量のオビヌツズマブは、被験体(例えば、ヒト被験体)に3個の200mg錠剤で経口的に投与し得る。
【0225】
キットがまた企図される。例えば、キットは、化合物の単位剤形、および医学的状態の処置における組成物の使用のための説明書を含有する添付文書を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットは、(i)JAK阻害剤および1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形;ならびに(ii)PI3K阻害剤および1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形を含む。別の例において、キットは、化合物Bおよびオビヌツズマブ、または化合物Cおよびオビヌツズマブの単位剤形、ならびに医学的状態の処置における組成物の使用のための説明書を含有する添付文書を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットは、(i)化合物Bまたは化合物Cおよび1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形;ならびに(ii)オビヌツズマブおよび1種または複数の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤の単位剤形を含む。一実施形態において、化合物Bおよびオビヌツズマブの両方のための単位剤形は、錠剤である。別の実施形態において、化合物Cおよびオビヌツズマブの両方のための単位剤形は、錠剤である。
【0226】
いくつかのバリエーションにおいて、キットにおいて使用するための説明書は、がんまたは骨髄増殖性障害を処置するためであり得る。他のバリエーションにおいて、キットにおいて使用するための説明書はまた、例えば、血液悪性疾患を含めたがんを処置するためであり得る。いくつかの実施形態において、キットにおいて使用するための説明書は、がん、例えば、再発性および治療抵抗性白血病またはリンパ腫を含めた白血病またはリンパ腫を処置するためであり得る。ある特定の実施形態において、キットにおいて使用するための説明書は、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性NHL(iNHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、B細胞リンパ腫、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、真性赤血球増加症(PV)、原発性骨髄線維症(PMF)、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症(IMF)、慢性骨髄性白血病(CML)、全身性肥満細胞症(SM)、慢性好中球性白血病(CNL)、骨髄異形成症候群(MDS)および全身性肥満細胞症(SMCD)を処置するためであり得る。一実施形態において、キットにおいて使用するための説明書は、非ホジキンリンパ腫(NHL)または慢性リンパ球性白血病(CLL)を処置するためであり得る。ある特定の実施形態において、ラベル上に示される状態は、例えば、がんの処置を含むことができる。
【実施例】
【0227】
実施例1 PI3KアイソフォームおよびAKTリン酸化に対する化合物Bの効果
【0228】
クラスI PI3Kアイソフォームの活性に対する化合物Bの効果は、定常状態濃度のアデノシン三リン酸(ATP)でのin vitroでの生化学的酵素アッセイを使用して測定した。化合物Bは、上記のような(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンである。
【0229】
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)アッセイを使用して、3,4,5−イノシトール三リン酸(PIP
3)分子の形成をモニターした。なぜなら、これは、3,4,5−イノシトール三リン酸(PIP
3)分子がGRP−1プレクストリン相同性ドメインタンパク質への結合について蛍光標識したPIP
3と競合したからである。結果は、化合物BがPI3Kδに対する選択的阻害剤であったことを示す。PI3Kδに対する阻害は、PI3Kαと比較して450倍、PI3Kβと比較して210倍、およびPI3Kγと比較して110倍であった。
【0230】
さらに、化合物Bを、TPO活性化を伴うか、または伴わない、AKTおよびS6リン酸化のレベルを決定することによって、PI3Kシグナル伝達経路に対する効果について検査した。2種の細胞系であるTPO活性化に対して感受性または反応性のBaF3/MPLおよびUT−7/TPOを使用した。細胞を、0.1μM、1.0μM、もしくは2.0μMの化合物Bまたはビヒクル(RPMI中0.1%DMSO)で37℃にて2時間処理する前に、0/1%FBS/RPMI中で2時間飢餓状態にした(すなわち、より少ないFBSを有する培地上で増殖)。TPOにより活性化されるリン酸化を検査するために、次いで、細胞を、50ng/mLのヒト組換えTPO(Peprotech)で37℃にて10分間処理するか、または活性化させた。TPOによる活性化または処理は、PI3K経路が骨髄線維症においてTPOによって活性化されるため、罹患細胞における状態を反映し得る。化合物および/またはTPOで処理した後、細胞を集め、溶解緩衝液(Cell Signaling)によって溶解し、SDS−PAGEによって分離し、p−AKT Ser473またはpS6 Ser235/236(Cell Signaling)に特異的な抗体を使用してウエスタンブロットによって分析した。処理された細胞におけるリン酸化レベルを計算し、処理されていない細胞(すなわち、陰性対照としてビヒクル)のリン酸化レベルと比較した。
【0231】
化合物Bで処理された細胞がAKT(p−AKT Ser473)およびS6(p−S6RP Ser235/236)リン酸化の低減を示したことを結果は示した。0.1μM、1.0μM、または2.0μMの化合物BおよびTPOで処理したBaF3/MPL細胞は、ビヒクルで処理された細胞におけるレベルの、それぞれ、51%、64%、または67%のp−AKTレベルの低減、およびそれぞれ、24%、27%、または41%のp−S6レベルの低減を示した。さらに、0.1μM、1.0μM、または2.0μMの化合物BおよびTPOで処理したU7−7/TPO細胞は、ビヒクルで処理された細胞と比較して、それぞれ、11%、44%、または55%のp−AKTレベルの低減、およびそれぞれ、13%、28%、または48%のS6レベルの低減を示した。
実施例2 骨髄線維症患者からの前駆細胞中のPI3Kアイソフォームの発現
【0232】
PI3Kアイソフォーム発現を検査するために、健常な個体(被験体1〜2)から、および従前の処置を受けてこなかった骨髄線維症(MF)患者(すなわち、ナイーブ)(被験体3〜5)から、ルクソリチニブを慢性的に受けてきた骨髄線維症(MF)患者(被験体6〜10)から、または化合物A(N−(シアノメチル)−4−[2−(4−モルホリノアニリノ)ピリミジン−4−イル]ベンズアミド)を慢性的に受けてきた骨髄線維症(MF)患者(被験体11〜13)からの末梢血からCD34+細胞を単離した。
【0233】
CD34
+(CD34
+/CD3
−/CD14
−/CD19
−/CD66
−)細胞を標識し、FACSAria(Beckman−Dickenson)によってソーティングした。細胞溶解産物を、Peggy(ProteinSimple)を使用したSimple Westernによって分析し、AUCをプロットして、PI3Kアイソフォームのレベルを定量化した。組換えPI3Kタンパク質を陽性対照として使用し、GAPDHを使用して、アイソフォーム発現を総タンパク質に対して正規化した。
【0234】
研究の結果を表1において要約する。全ての試料(すなわち、健常な個体、処置されていないおよび処置されたMF患者)の中で、4つのアイソフォームの中でPI3Kδのレベルが最も高かった。
【表1】
実施例3 骨髄線維症患者からの前駆細胞における細胞シグナル伝達に対するPI3K阻害剤の効果
【0235】
PBMCを、処置を受けていない(すなわち、ナイーブ患者)またはルクソリチニブを受けた(すなわち、ruxで処置された患者)、骨髄線維症(MF)患者の全血から単離した。細胞を、0.02μM、0.2μM、もしくは2.0μMの化合物Bまたはビヒクル(0.1%FBS/RPMI中の0.1%DMSO)で37℃にて2時間処理した。次いで、細胞を固定し、透過処理し、FACS分析のために染色した。p−AKT Ser473およびpS6RP Ser235/236に特異的な抗体を使用して、CD34
+/CD3
−/CD14
−/CD19/CD66
−(BD Biosciences)でゲートされた細胞においてAKTリン酸化(p−AKT)およびS6RPリン酸化(p−S6RP)を、フローサイトメトリーを使用して検出した。基礎(すなわち、TPOで処理されていない)AKTおよびS6RPリン酸化の百分率を、ビヒクル対照に対して正規化した。対応のある両側t検定(GraphPad Prism)を使用して、p値を計算した。p<0.05の値は、有意であると考えた。
【0236】
全ての被験体は、JAK2V617F変異を有した。TPO活性化を伴わないCD34
+(CD34
+/CD3
−/CD14
−/CD19
−/CD66
−)細胞におけるリン酸化の基礎レベルを表2において要約し、p値を表3において要約する。処理されていない前駆MF細胞と比較して、化合物Bで処理された細胞が低減したレベルのp−AKT(表2)およびp−S6RP(データは示さず)を示したことを結果は示す。さらに、より高い濃度の化合物Bで処理された細胞は、より高いレベルの低減を示した。さらに、低減したリン酸化レベルまたはPI3Kシグナル伝達は、ルクソリチニブを受けたか、または受けなかったMF患者からの細胞中で観察された。これは、化合物Bが、ナイーブであったか、または処置されたMF患者においてPI3Kシグナル伝達への用量依存的な阻害をもたらしたことを示唆する。
【表2】
【表3】
【0237】
また、ナイーブまたはルクソリチニブで処置した患者からのPBMC細胞を単離し、化合物Bで、および上記のようなTPOで処理した。TPO−活性化AKTおよびS6RPリン酸化の百分率は、TPO処理されたビヒクルのものに対して正規化した(表4における「TPOなし」値)。結果を表4において要約し、p値を表5において要約する。TPO処理を伴わない細胞と同様に、化合物Bで処理した細胞は、p−AKTおよびp−S6RPのレベルの低減を示した。また、PI3Kシグナル伝達への阻害は、化合物Bに対して用量依存的であった。
【表4】
【表5】
実施例4 AKTおよびS6PRリン酸化に対する化合物CおよびDの効果
【0238】
同様の研究を、PI3K阻害剤化合物CおよびDで行った。MF患者からのPBMCはルクソリチニブ(rux)を受けており、MF患者は化合物Aを受けた。細胞を、化合物CまたはDで、0nM、20.0nM、200.0nM、2000.0nMにて37℃にて2時間処理した。細胞をTPOで10分間処理した。基礎p−AKTおよびp−S6RPレベルの百分率をビヒクル対照に対して正規化し、TPO処理されたものをTPO処理されたビヒクル対照に対して正規化した。PI3Kδ阻害剤である化合物Cは、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オンの化学名によって参照される。
【0239】
基礎(TPO処理されていない)細胞およびTPO処理された細胞におけるこれらの効果を示す結果を、表6において要約する。化合物Bと同様に、化合物CおよびDは、MF前駆細胞におけるAKTおよびS6RPのリン酸化レベルの低減によって示されるように、PI3Kδシグナル伝達を阻害した。また、より高い濃度の化合物Cが、AKT/S6RPリン酸化またはPI3Kシグナル伝達においてより高い低減をもたらしたため、化合物CおよびDは、p−AKTおよびp−S6RPを用量依存的な様式で阻害した。両方の化合物は、PI3Kシグナル伝達またはAKT/S6RPリン酸化において阻害または低減をもたらした。
【表6】
実施例5 MF前駆細胞におけるPI3K阻害剤および/またはJAK阻害剤の効果
【0240】
この実施例において、細胞増殖およびアポトーシスに対するPI3K阻害剤およびJAK阻害剤の効果を検査した。細胞増殖に対する効果を測定するために、慢性ルクソリチニブを受けたMF患者の全血からPBMCを単離した。細胞を染色し、FACSAriaを使用したソーティングによってCD34+細胞(CD34
+/CD3
−/CD14
−/CD19
−/CD66
−)を単離した。96ウェルプレート毎に約10,000個の細胞を、StemSpan CC110サイトカインカクテル(STEMCELL technologies)を含有するStemSpan SFEM II培地中に加えた。細胞を、1.0μMの化合物B、0.5μMのルクソリチニブ、1.0μMの化合物Bおよび0.5μMのルクソリチニブの組み合わせ、またはビヒクル(0.1%DMSO)で処理した。72時間後、CellTiter−Glo(Promega)を使用して細胞増殖を測定した。化合物Bおよび/もしくはルクソリチニブ、またはビヒクルで処理された全ての被験体からの生データを一緒に集め、対応のある両側t検定(GraphPad)を使用してp値について計算した。
【0241】
表7において示すように、化合物Bおよび/またはルクソリチニブで処理された細胞は、細胞生存度または細胞増殖の低減を示した。より高い百分率は、より多い生存可能な細胞を示す。両方の化合物で処理された細胞は、最も高い阻害効果を有した。PI3K阻害剤(例えば、化合物B)およびJAK阻害剤(例えば、ルクソリチニブ)の組み合わせが細胞阻害の増加をもたらしたことをこれは示唆する。各化合物単独対組み合わせについてp値を計算した。組み合わせと比較した化合物Bについてp=0.0001、および、組み合わせと比較したルクソリチニブについてp=0.0003。p<0.5の値は有意であった。
【表7】
【0242】
アポトーシスを測定するために、慢性ルクソリチニブ(ruxolitnib)または化合物Aを受けてきたMF患者からのPBMCを染色し、FACSAriaを使用したソーティングによってCD34+細胞(CD34
+/CD3
−/CD14
−/CD19
−/CD66
−)について単離した。96ウェル毎に約10,000個の細胞を、StemSpan CC110サイトカインカクテル(STEMCELL Technologies)を含有するStemSpan SFEM II培地中で平板培養した。細胞、1.0μMの化合物B、0.5μMのルクソリチニブ、1.0μMの化合物Bおよび0.5μMのルクソリチニブの組み合わせ、またはビヒクル。72時間後、細胞を7−AAD/アネキシン−V(GuavaNexin)で標識し、それに続いてFACS分析を行うことによって細胞死またはアポトーシスを測定した。各化合物単独対組み合わせについてp値を計算した。組み合わせと比較した化合物Bについてp=0.0001、および組み合わせと比較したルクソリチニブについてp=0.0001。p<0.5の値は有意であった。
【0243】
表8は、ルクソリチニブ処置されたMF患者からのアネキシン−V陽性細胞の百分率を要約し、表9は、化合物Aで処置された患者(実施例2における被験体10〜12)からのアネキシン−V陽性細胞の百分率を要約する。アネキシン−Vはアポトーシス細胞を標識するため、より高い百分率は、より多いアポトーシス細胞、すなわち、細胞死の増加を示す。化合物Bまたはルクソリチニブで処理された(ルクソリチニブ処置されたMF患者からの)細胞が、誘発されたアポトーシスを示し、両方の化合物で処理された細胞が、アポトーシスの最も高い誘発を示したことを結果は示す。
【表8】
【表9】
【0244】
他の研究において、MF患者からの細胞を、化合物Aと組み合わせて化合物B、C、またはDで処理する。MF患者は、ナイーブであり得る(すなわち、いずれの処置も受けていない)か、またはJAK阻害剤、例えば、ルクソリチニブまたは化合物Aを受けていてもよい。処理した細胞の細胞生存度およびアポトーシスは、上記のように測定する。
実施例7 PI3Kδ阻害剤およびJAK阻害剤による併用処置
【0245】
この研究は、原発性骨髄線維症、赤血球増加症または本態性血小板血症後の骨髄線維症を有する患者における化合物Bおよびルクソリチニブの併用処置の有効性および安全性を評価する。患者は、進行性もしくは再発性疾患、または臨床上の最大許容ルクソリチニブ療法に対して疾患の持続を有し得る。進行性疾患を有する患者は、(i)LCMの少なくとも5cm下で触診可能な新規な脾腫の出現、(ii)5〜10cmのベースライン脾腫についてLCMの下の触診可能な距離の100%超または100%の増加、または(iii)>10cmのベースライン脾腫についてLCM下の触診可能な距離の約50%の増加を伴う。また、再発性疾患を有する患者は、(i)CR、PR、もしくはCI、または少なくとも1カ月持続する貧血反応の喪失を達成した後で少なくともCIについて下記の診断基準、あるいは(ii)少なくとも1カ月持続する脾臓反応の喪失を有する。また、疾患の持続は、下記の診断基準:再発性疾患、安定病態、またはスクリーニングのための来院まで8週間にわたり持続する触診可能な脾腫(>5cm)を伴う進行性疾患、を満たす、FDAにより承認されたJAK阻害剤療法を受けている患者であると定義される。
【0246】
患者は、20mg、15mg、または5mgの安定的な用量(血小板数をベースとする)で経口的に1日2回8週間ルクソリチニブを投与され、その後、100mgの化合物Bを経口的に連続的な28日サイクル(1サイクル=28日)で1日2回投与される。2サイクル後、患者は、100mgまたは150mgの化合物Bを経口的に1日2回受け得る。患者は、事前の化合物Bの投与と同じ用量でルクソリチニブを経口的に1日2回受け続ける。研究の最低の持続期間は6カ月である。
【0247】
化合物Bの血漿濃度は、トラフ(すなわち、用量前)およびピーク(すなわち、用量の1.5時間後)の時点において測定される。各サイクルの終わりに、反応率、症状の負荷、骨髄線維症、および分子の反応について患者を各サイクルの終わりに評価する。反応率は、International Working Group for Myelofibrosis Research and Treatmentによる診断基準にしたがって、安定病態(臨床的改善、部分的改善、または完全な改善、脾臓反応、貧血反応、症状反応を含めた)よりも良好であると定義される。MFが関連する症状の負荷は、骨髄増殖性新生物症状評価フォームによって決定され、骨髄線維症は、European Fibrosis Scoring Systemによって決定される。血液試料を使用して、PI3K/AKTおよび他のリン酸化シグナル伝達中間体(例えば、AKT、S6、STAT3、STAT5、ERK、NFkB)のリン酸化、遺伝子変異(例えば、JAK2V617F)、ならびに全身性サイトカインおよびケモカイン(例えば、IL−6、IL−1RA、IL−1B、IL−2、FGF、MIP1b、TNFα、CCL3、CCL4、CXCL12、CXCL13)のレベルを決定する。
【0248】
同様の研究を行って、原発性骨髄線維症、赤血球増加症または本態性血小板血症後の骨髄線維症を有する患者において化合物Aと化合物B、C、D、またはEとの併用処置の有効性および安全性を評価する。
実施例8 PI3K阻害剤と抗CD20抗体との組み合わせ
【0249】
オビヌツズマブは、細胞死を誘発する糖鎖操作された(glycoengineered)タイプII、抗CD20抗体である(Herterら、Mol. Cancer Ther.、12巻:2031〜42頁、2013年;Moessnerら、Blood、115巻:4393〜402頁、2010年)。オビヌツズマブの糖鎖操作は、先天性免疫エフェクター細胞上のFcγRIIIへの親和性を増加させ、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および食作用(ADCP)の誘発の増強をもたらし得る。米国および欧州連合において、オビヌツズマブは、クロランブシルと組み合わせて、CLL患者の第一選択処置のために承認されており、現在、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)において重要な臨床治験中である。オビヌツズマブは、サイクル1の間に1日目に100mgで、2日目に900mgで、ならびに8日目および15日目に1000mgで、それに続いてサイクル2〜6の間に28日毎に1000mgで静脈内に投与し得る。クロランブシルは、各サイクルの1日目および15日目に0.5mg/kgで経口的に投与し得る。イブルチニブは、前臨床モデルにおけるリツキシマブの免疫エフェクター機能およびin vivoでの有効性を妨げることが示される(Kohrtら、Blood、123巻:1957〜60頁、2014年)。
【0250】
PI3Kアイソフォームは、免疫エフェクター細胞およびFcγRシグナル伝達において役割を果たし得る。リンパ腫細胞系におけるオビヌツズマブおよびリツキシマブの免疫エフェクター機能に対する化合物Bの効果を検査した。抗体依存性細胞傷害(ADCC)を特徴付けるために、PBMCを、Ficoll密度勾配遠心分離法を使用して、158F/F、158F/V、または158V/VのFcγRIIIa遺伝子型を有する健常な個体から単離した(AllCells、Alameda、CAからのLeuko Paks)。ネガティブ選択免疫磁気濃縮キット(STEMCELL Technologies、Vancouver、British Columbia、Canada)を使用してNK細胞を濃縮した。濃縮したNK細胞および標的細胞WIL2−S、S−DHL−4、またはZ−138を、化合物B(約1mM〜約1nMの1/2希釈)と共に、または伴わずに、別々に1時間プレインキュベートした。プレインキュベーションの最後の20分において、標的細胞を、示したエフェクター−標的比(E:T)で、リツキシマブもしくはオビヌツズマブ(10μg/mL、最大ADCCでの飽和濃度)と共に、または伴わずにオプソニン化した。パリビズマブは、アイソタイプ対照として使用した。NKおよび標的細胞を合わせ、5%CO
2中で37℃にて4時間インキュベートした。ADCCを決定するために、細胞毒性検出キット(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)を使用してラクトースデヒドロゲナーゼ(LDH)を測定した。いくつかのアッセイにおいて、抗体を伴わない標的細胞のNK細胞死滅による自発的放出を表した抗原非依存性細胞傷害(AICC)を、対照として使用した。
【0251】
標的としてWIL2−S系、および精製したNK細胞(E:T=10:1)を使用して4時間にてLDH放出アッセイを行った。結果(n=9)を、最大ADCCの%として正規化した。表10において示すように、化合物Bは、オビヌツズマブが媒介するADCCに影響を与えなかった。リツキシマブが媒介するADCCについて、同様の結果が観察された(データは示さず)。これは、オビヌツズマブが媒介するADCCへのイブルチニブ阻害と比較して、BTK阻害剤であるイブルチニブが、リツキシマブが媒介するADCCへの阻害の増加をもたらしたという従前の報告と異なる。
【表10】
【0252】
また、表11において示すように、化合物Bは、FcγRIIIa 158F/Fまたは158F/V遺伝子型においてオビヌツズマブが媒介するADCCに影響を与えなかった(遺伝子型毎にn=2、標的としてWIL2−S系、および精製したNK細胞、E:T=10:1を使用して4時間でのLDH放出アッセイ;10μg/mLの抗体濃度)。250nM(臨床濃度のC
maxと同様のアッセイ濃度)での化合物Bは、FcγRIIIa 158V/V遺伝子型においてオビヌツズマブが媒介するADCCの10%未満を阻害した。さらに、表12において示すように、化合物Bは、NKが媒介するADCCに影響を与えなかった(標的としてWIL2−S系、および精製したNK細胞を使用して4時間でのLDH放出アッセイ;10μg/mLの抗体濃度、1:1〜10:1で変化するエフェクター(NK細胞)対標的比(WIL2−S)でn=3)。
【表11】
【表12】
【0253】
単独または化合物B(256nM)と合わせたオビヌツズマブ(0.01ng/mL、0.1ng/mL、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、もしくは1000ng/mL)、単独または化合物B(256nM)と合わせたリツキシマブ(0.01ng/mL、0.1ng/mL、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、もしくは1000ng/mL)で処理した細胞における、CD107aおよびCD16の抗体効力およびNK細胞発現を決定した。256nMでの化合物Bは、最大平均血漿濃度(C
max)に相当し得、これを、化合物Bを150mgの臨床用量で1日2回投与された患者におけるタンパク質結合について調節した。化合物Bの存在によって、両方の抗CD20抗体の効力を0〜15%低減し得ることを結果は示した(データは示さず)。さらに、化合物Bは、3つの試料のうちの2つにおいてCD107aの表面発現によって測定されるように、NK細胞脱顆粒を阻害した(データは示さず)。
【0254】
次に、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を特徴付けた。ネガティブ選択したCD14
+単球(Astarte Biologics、Bothell、WA)を、60ng/mLでのマクロファージコロニー刺激因子(PeproTech、Rocky Hill、NJ)と共にGibco AIM V培地CTS(Life Technologies、Grand Island、NY)中で培養した。6日目または7日目に、単球由来のマクロファージを洗浄し、分極化サイトカインと共に平板培養した。M1マクロファージへの分化のために、細胞を、インターフェロン−γ、100ng/mL(R&D Systems、Minneapolis、MN)およびE.coli055:B5からのリポ多糖、100ng/mL(Sigma−Aldrich、St Louis、MO)と共に24時間平板培養した。M2cマクロファージへの分化のために、細胞を、インターロイキン−10、10ng/mL(R&D Systems)中で48時間平板培養した。化合物B滴定物を、平板培養したマクロファージに加え、37℃にて約1時間インキュベートした。次いで、オビヌツズマブまたはリツキシマブを、150ng/mLの最終濃度で50μL中で培養物に加えた。Molecular Probes CellTracker Red CMTPX(Life Technologies)で標識したWIL2−S標的細胞を、3:1のE:Tで加えた。共培養物を、37℃で2時間インキュベートした。次いで、細胞をプールしたFITC抗CD14(Becton、Dickinson and Company、Franklin Lakes、NJ)およびFITC抗CD11b(eBioscience、San Diego、CA)で染色し、Accutase(Merck Millipore、Darmstadt、Germany)を用いて96ウェルプレートから収集し、激しくピペット処理し、LSR IIフローサイトメーター(Becton、Dickinson and Company)上で分析した。二重陽性細胞(FITC+CellTracker Red)は貪食された標的細胞を表し、食作用のレベルは二重陽性細胞%/二重陽性細胞%+標的細胞単独%×100として計算した。
【0255】
ADCPの30%未満の阻害が分極化マクロファージを使用した256nMでの化合物Bでの処理において観察されたことを、結果は示した。さらに、全血(WB)自己B細胞枯渇および細胞死誘発アッセイを、Moessnerら、Blood、115巻:4393〜402頁、2010年に記載されているように行った。細胞死アッセイのために、Ri−1DLBCL細胞を15,000個の細胞/ウェルで96ウェルプレート中に播種した。抗体の添加の前に、細胞を化合物BまたはDMSOと共に1時間プレインキュベートした。プレートを37℃にて加湿したCO
2チャンバー中で3日間インキュベートした。細胞をPBSで1回洗浄し、Accutaseで15分間処理し、その後、Guava Nexin(登録商標)試薬で染色し、Guava EasyCyteフローサイトメーター(Merck Millipore)上で分析した。
【0256】
3日のインキュベーション後、細胞死をアネキシンV/7AAD染色によって評価した。表13において示すように、化合物Bおよびオビヌツズマブの組み合わせは、各薬剤単独と比較して細胞死を増加させた(全ての濃度においてp<0.05)。
【表13】
【0257】
WB自己B細胞枯渇アッセイの結果を、表14および15において要約した。全血アッセイにおける枯渇した自己B細胞の百分率は、抗体効力を表し得る。
【表14】
【表15】
【0258】
臨床濃度での化合物BによるPI3K−δ阻害が、オビヌツズマブおよびリツキシマブの免疫エフェクター機能に影響を与えないか、または阻害しない可能性があり、化合物Bが飽和濃度のオビヌツズマブおよびリツキシマブによってもたらされるADCCを阻害しなかったことをこれらの結果は示唆する。また、各薬剤と別個に比較して、化合物Bおよびオビヌツズマブの組み合わせが細胞死を増加させたことを結果は示す。化合物Bおよびオビヌツズマブの組み合わせが、治療的処置におけるさらなる利点を提供し得ることをこれは示す。
【0259】
本明細書において言及した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公開刊行物の全ては、本記載と矛盾しない程度までこの参照文献は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている。
【0260】
上記から、本発明の特定の実施形態を例示のために本明細書に記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を行い得ることを認識されたい。
前記PI3K阻害剤が、XL147、BKM120、GDC−0941、BAY80−6946、PX−866、CH5132799、XL756、BEZ235、およびGDC−0980、ワートマニン、LY294002、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、GSK2636771、BAY10824391、ブパルリシブ、BYL719、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799、ZSTK474、AS252424、TGX221、TG100115、IC87114、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、および(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;および薬学的に許容されるその塩の群より選択される、請求項1または2に記載の組み合わせ物。
前記PI3K阻害剤が、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
化合物Bもしくは薬学的に許容されるその塩が、化合物Bもしくは薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物中に存在し、そして
オビヌツズマブが、オビヌツズマブ、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物中に存在する、請求項10または11に記載の組み合わせ物。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項10から16のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
前記PI3K阻害剤が、XL147、BKM120、GDC−0941、BAY80−6946、PX−866、CH5132799、XL756、BEZ235、およびGDC−0980、ワートマニン、LY294002、PI3K II、TGR−1202、AMG−319、GSK2269557、X−339、X−414、RP5090、KAR4141、XL499、OXY111A、IPI−145、IPI−443、GSK2636771、BAY10824391、ブパルリシブ、BYL719、RG7604、MLN1117、WX−037、AEZS−129、PA799、ZSTK474、AS252424、TGX221、TG100115、IC87114、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)プロピル)−5−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルキナゾリン−4(3H)−オン、(S)−2−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−(2,6−ジフルオロフェニル)キナゾリン−4(3H)−オン、および(S)−4−アミノ−6−((1−(5−クロロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;および薬学的に許容されるその塩の群より選択される、請求項19または20に記載の組み合わせ物。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項25または26に記載のキット。
前記がんが、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、治療抵抗性iNHL、多発性骨髄腫(MM)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、B細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および微小残存病変(MRD)から選択される、請求項28または29に記載の製造品。
ある特定の態様において、製造品を提供する。1つのバリエーションにおいて、製造品は、(i)JAK阻害剤、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形;(ii)PI3K阻害剤、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形;ならびに(iii)骨髄増殖性障害の処置におけるJAK阻害剤およびPI3K阻害剤の使用のための説明書を含有するラベルを含む。別のバリエーションにおいて、製造品は、(i)化合物Bもしくは化合物Cまたは薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形;(ii)オビヌツズマブ、および少なくとも1種の薬学的に許容されるビヒクルの単位剤形;ならびに(iii)がんの処置における化合物およびオビヌツズマブの使用のための、または化合物Cおよびオビヌツズマブの使用のための説明書を含有するラベルを含む。いくつかの実施形態において、各単位剤形は、錠剤である。