(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
癌を治療する必要がある被験体において、癌を治療するための方法であって、単独で、あるいは1またはそれより多いさらなる活性剤と組み合わせて、療法的有効量のアピリモド(apilimod)組成物を被験体に投与する工程を含む、前記方法。
非ホジキンB細胞リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫、縦隔B細胞リンパ腫、およびマントル細胞リンパ腫より選択される、請求項4の方法。
少なくとも1つのさらなる活性剤が、アルキル化剤、挿入剤(intercalating agent)、チューブリン結合剤、コルチコステロイド、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項9または10の方法。
少なくとも1つのさらなる活性剤が、イブルチニブ、リツキシマブ、ドキソルビシン、プレドニゾロン、ビンクリスチン、ベルケード、およびエベロリムス、ならびにその組み合わせからなる群より選択される療法剤である、請求項9または10の方法。
被験体において、癌を治療するためのアピリモド組成物であって、アルキル化剤、挿入剤、チューブリン結合剤、およびコルチコステロイドの1またはそれより多くと組み合わせて、アピリモド遊離塩基またはジメシル酸アピリモドを含む、前記組成物。
イブルチニブ、リツキシマブ、ドキソルビシン、プレドニゾロン、ビンクリスチン、ベルケード、およびエベロリムスの1またはそれより多くを含む、請求項17の組成物。
オンダンセトロン、グラニセトロン、ドラセトロン、パロノセトロン、ピンドロールおよびリスペリドンの1またはそれより多くをさらに含む、請求項18〜21のいずれかの組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[34]本発明は、癌の治療が必要な被験体、好ましくはヒト被験体において、癌を治療するためのアピリモドの使用に関する組成物および方法を提供する。本発明は、一般的に、リンパおよび非リンパ起源の両方のある範囲の癌細胞に対する、アピリモドの細胞傷害活性の驚くべき発見に基づく、アピリモドの新規使用に関し、該活性は、アピリモドの既知の免疫調節およびIL−12/23阻害活性とは明らかには関連せず、またはそこから予測可能でもない。さらに、本発明は、アピリモドおよび少なくとも1つのさらなる療法剤を利用する組み合わせ療法に基づく癌治療に対する新規療法アプローチを提供する。本明細書に記載する組み合わせ療法は、例えば抗癌剤を含む他の療法剤と組み合わせた際、相乗効果を提供することが示されている、アピリモドのユニークな細胞傷害活性を利用する。
【0017】
[35]本明細書において、用語「アピリモド組成物」は、アピリモド自体(遊離塩基)を含む組成物を指すことも可能であり、あるいは以下に記載するような、アピリモドの薬学的に許容されうる塩、溶媒和物、包接体、水和物、多形体、プロドラッグ、類似体または誘導体を含むことも可能である。アピリモドの構造を式I:
【0019】
に示す。
[36]アピリモドの化学名は、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン(IUPAC名:(E)−4−(6−(2−(3−メチルベンジリデン)ヒドラジニル)−2−(2−(ピリジン−2−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)モルホリン)であり、そしてCAS番号は541550−19−0である。
【0020】
[37]アピリモドは、例えば、US特許第7,923,557号、および第7,863,270号、ならびにWO2006/128129に記載される方法にしたがって調製可能である。
【0021】
[38]本明細書において、用語「薬学的に許容されうる塩」は、例えば、アピリモド組成物の酸性および塩基性基から形成される塩である。例示的な塩には、限定されるわけではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ベシル酸塩、ゲンチシネート(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronate)、サッカレート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(例えば1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が含まれる。好ましい態様において、アピリモドの塩はメタンスルホン酸塩を含む。
【0022】
[39]用語「薬学的に許容されうる塩」はまた、酸性官能基、例えばカルボン酸官能基を有するアピリモド組成物、および薬学的に許容されうる無機塩基または有機塩基より調製される塩も指す。
【0023】
[40]用語「薬学的に許容されうる塩」はまた、塩基性官能基、例えばアミノ官能基を有するアピリモド組成物、および薬学的に許容されうる無機酸または有機酸より調製される塩も指す。
【0024】
[41]本明細書記載の化合物の塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Hemrich Stalil(監修),Camille G. Wermuth(監修), ISBN: 3-90639-026-8, 2002年8月、に記載される方法などの慣用的な化学的方法によって、親化合物から合成可能である。一般的に、こうした塩は、親化合物を、水中または有機溶媒中、または2つの混合物中で、適切な酸と反応させることによって調製可能である。
【0025】
[42]本明細書記載の化合物の1つの塩型を、当業者に周知の方法によって、遊離塩基に、そして場合によって別の塩に変換することも可能である。例えば、遊離塩基は、アミン固定相を含有するカラム(例えばStrata−NH
2カラム)を通じて塩溶液を通過させることによって形成可能である。あるいは、水中の塩溶液を重炭酸ナトリウムで処理して、塩を分解し、そして遊離塩基を沈殿させることも可能である。次いで、ルーチンの方法を用いて、遊離塩基を別の酸と組み合わせることも可能である。
【0026】
[43]本明細書において、用語「多形体」は、本発明の化合物(例えば、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン)またはその複合体の固形結晶型を意味する。同じ化合物の異なる多形型は、異なる物理的、化学的および/または分光特性を示すことも可能である。異なる物理的特性には、限定されるわけではないが、安定性(例えば熱または光に対するもの)、圧縮率および密度(配合および製品製造に重要)、および溶解率(生物学的利用能に影響を及ぼしうる)が含まれる。安定性の相違は、化学的反応性(例えば別の多形体で構成された際よりも、1つの多形体で構成された際に、より迅速に剤形が変色するような、示差的酸化)または機械的特性(例えば動力学的に好ましい多形体が熱力学的により安定な多形体に変換するにつれて、保存中に崩壊する錠剤)または両方(例えば1つの多形体の錠剤は、高い湿度での分解により感受性である)の変化から生じることも可能である。多形体の異なる物理的特性は、そのプロセシングに影響を及ぼしうる。例えば、1つの多形体は、溶媒和物を形成する可能性がより高いか、あるいは例えば、その粒子の形状またはサイズ分布のため、不純物を含まず、濾過または洗浄することが別のものよりもより困難である可能性もある。
【0027】
[44]本明細書において、用語「水和物」は、本発明の化合物(例えば、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン)またはその塩を意味し、これにはさらに、非共有分子間力によって結合する水の化学量論または非化学量論量が含まれる。
【0028】
[45]本明細書において、用語「包接体」は、ゲスト分子(例えば溶媒または水)が内部に捕捉されている空間(例えばチャネル)を含有する結晶格子の形の、本発明の化合物(例えば、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン)またはその塩を意味する。
【0029】
[46]本明細書において、用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下で(in vitroまたはin vivo)、加水分解、酸化、または別の方式で反応して、本発明の化合物を提供することも可能な、本明細書記載の化合物(例えば、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン)の誘導体を意味する。プロドラッグは生物学的条件下でのこうした反応に際してのみ、活性となることも可能であるし、またはこれらは、未反応型で活性を有することも可能である。本発明において意図されるプロドラッグの例には、限定されるわけではないが、生物加水分解可能アミド、生物加水分解可能エステル、生物加水分解可能カルバメート、生物加水分解可能カーボネート、生物加水分解可能ウレイド、および生物加水分解可能リン酸塩類似体などの生物加水分解部分を含む、本明細書記載の化合物(例えば、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン)の類似体または誘導体が含まれる。プロドラッグの他の例には、−NO、−NO
2、−ONO、または−ONO
2部分を含む、本明細書に開示する配合物の任意の1つの化合物の誘導体が含まれる。プロドラッグは、典型的には、周知の方法、例えばBurger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery (1995) 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff監修、第5版)に記載されるものを用いて、調製可能である。
【0030】
[47]本明細書において、用語「溶媒和物」または「薬学的に許容されうる溶媒和物」は、本明細書開示の化合物(例えば、2−[2−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−4−N’−(3−メチル−ベンジリデン)−ヒドラジノ]−6−(モルホリン−4−イル)−ピリミジン)の1つへの、1またはそれより多い溶媒分子の会合から形成される溶媒和物である。用語、溶媒和物には、水和物(例えば半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等)が含まれる。
【0031】
[48]本明細書において、用語「類似体」は、別のものと構造的に類似であるが、組成がわずかに異なる化学的化合物(1つの原子の、異なる元素の原子による、または特定の官能基の存在下での置換、あるいは1つの官能基の別の官能基による置換)を指す。したがって、類似体は、機能および外見が類似であるかまたは匹敵するが、構造または参照化合物に対する起源が異なる化合物である。本明細書において、用語「誘導体」は、共通のコア構造を有し、そして本明細書に記載するような多様な基で置換されている化合物を指す。
【0032】
治療法
[49]本発明は、本発明のアピリモド組成物の療法的有効量を被験体に投与することによる、治療の必要がある被験体において、癌を治療するための方法であって、前記組成物がアピリモド、あるいはその薬学的に許容されうる塩、溶媒和物、包接体、水和物、多形体、プロドラッグ、類似体または誘導体を含む、前記方法を提供する。1つの態様において、アピリモド組成物は、アピリモド遊離塩基またはジメシル酸アピリモドを含む。本発明はさらに、癌治療のために有用な薬剤の調製のためのアピリモド組成物の使用を提供する。
【0033】
[50]1つの態様において、癌は脳癌、神経膠腫、肉腫、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、中皮腫、虫垂癌、泌尿生殖器癌、腎細胞癌腫、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、陰茎癌、子宮頸癌、卵巣癌、フォンヒッペル・リンダウ病、頭頸部癌、胃腸癌、肝細胞癌腫、胆嚢癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、膵臓癌、神経内分泌腫瘍、甲状腺腫瘍、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、血液学的悪性腫瘍、または白血病である。
【0034】
[51]1つの態様において、癌はリンパ腫である。1つの態様において、リンパ腫はB細胞リンパ腫である。1つの態様において、B細胞リンパ腫は、ホジキンB細胞リンパ腫および非ホジキンB細胞リンパ腫からなる群より選択される。1つの態様において、B細胞リンパ腫は、DLBCL、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫(MZL)または粘膜関連シンパ組織リンパ腫(MALT)、小細胞リンパ球性リンパ腫(慢性リンパ球性白血病と重複する)およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される非ホジキンB細胞リンパ腫である。1つの態様において、B細胞リンパ腫は、バーキットリンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔原発(胸腺性)大細胞型B細胞リンパ腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症として顕在化しうるリンパ形質細胞性リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)、脾性辺縁帯リンパ腫(SMZL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球リッチ大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、脚型(原発性皮膚DLBCL、脚型)、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、および形質芽球性リンパ腫からなる群より選択される非ホジキンB細胞リンパ腫である。
【0035】
組み合わせ療法
[52]本発明はまた、組み合わせ療法を含む方法も提供する。本明細書において、「組み合わせ療法」または「共療法」には、アピリモド組成物およびさらなる活性剤の共作用から、有益な効果を提供するように意図される特異的治療レジメンの一部として、少なくとも1つのさらなる活性剤を伴う、療法的有効量のアピリモド組成物の投与が含まれる。「組み合わせ療法」は、意図されないまたは予期されない有益な効果を偶発的にそして任意に生じる別個の単一療法レジメンの一部として、2またはそれより多い療法化合物の投与を含むとは意図されない。
【0036】
[53]1つの態様において、方法は、アピリモド組成物および癌治療のための化学療法レジメンを含む組み合わせ療法を用いて、癌を治療する方法である。1つの態様において、化学療法レジメンはCHOPレジメンである。CHOPは、以下の活性剤:DNAに結合し、そして架橋形成を引き起こすことによって、DNAを損傷するアルキル化剤、シクロホスファミド((C)yclophosphamide);DNA塩基の間に自身を挿入することによって、DNAを損傷する挿入剤、ヒドロキシダウノルビシン((H)ydroxydaunorubicin)(ドキソルビシンまたはアドリアマイシンとも称される);タンパク質、チューブリンに結合することによって細胞が複製することを防止する、オンコビン((O)ncovin)(ビンクリスチン);およびコルチコステロイドであるプレドニゾン((P)rednisone)またはプレドニゾロン((P)rednisolone)からなる、非ホジキンリンパ腫の治療において一般的に用いられる措置を指す。別の態様において、化学療法は、COOP(シクロホスファミド、硫酸ビンクリスチン、塩酸プロカルバジン、プレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、硫酸ビンクリスチン、プレドニゾン)、EPOCH(エトポシド、プレドニゾン、硫酸ビンクリスチン、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン)、ハイパー−CVAD(シクロホスファミド、硫酸ビンクリスチン、塩酸ドキソルビシン、デキサメタゾン)、ICE(イフォスファミド、カルボプラチン、エトポシド)、R−CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、硫酸ビンクリスチン、塩酸プロカルバジン、プレドニゾン)、およびR−CVP(リツキシマブ、シクロホスファミド、硫酸ビンクリスチン、プレドニゾン)より選択される。
【0037】
[54]少なくとも1つのさらなる活性剤は、療法剤、例えば抗癌剤または癌化学療法剤、または非療法剤、およびその組み合わせであってもよい。療法剤に関して、組み合わせの有益な効果には、限定されるわけではないが、療法的活性化合物の組み合わせから生じる、薬物動態学的または薬力学的共作用が含まれる。非療法剤に関して、組み合わせの有益な効果は、組み合わせ中の療法的活性剤に関連する毒性、副作用、または不都合な事象の軽減に関連することも可能である。
【0038】
[55]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる剤は、アピリモド組成物の1またはそれより多い副作用、吐き気、嘔吐、頭痛、めまい、意識朦朧、眠気およびストレスのいずれかより選択される1またはそれより多い副作用を軽減する非療法剤である。この態様の1つの側面において、非療法剤は、5−ヒドロキシトリプタミン受容体または5−HT受容体としても知られるセロトニン受容体のアンタゴニストである。1つの側面において、非療法剤は、5−HT
3または5−HT
1a受容体のアンタゴニストである。1つの側面において、非療法剤は、オンダンセトロン、グラニセトロン、ドラセトロンおよびパロノセトロンからなる群より選択される。別の側面において、非療法剤は、ピンドロールおよびリスペリドンからなる群より選択される。
【0039】
[56]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる剤は療法剤である。1つの態様において、療法剤は抗癌剤である。1つの態様において、抗癌剤はイブルチニブである。1つの態様において、アピリモド組成物を、イブルチニブとともに単一剤形で、または別個の剤形で投与する。1つの態様において、剤形は経口剤形である。別の態様において、剤形は静脈内投与に適している。
【0040】
[57]1つの態様において、抗癌剤は、リンパ腫を治療する際に使用するために認可されている薬剤である。こうした薬剤の限定されない例には、アビトレキセート(メトトレキセート)、アドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)、アンボクロリン(クロラムブシル)、アンボクロリン(クロラムブシル)、アラノン(ネララビン)、ベセヌム(カルムスチン)、ベレオダック(ベリノスタット)、ベリノスタット、塩酸ベンダムスチン、ベキサザール(トシツモマブおよびヨウ素I131トシツモマブ)、BiCNU(カルムスチン)、ブレノキサン(ブレオマイシン)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、カルムブリス(カルムスチン)、カルムスチン、クロラムブシル、クラフェン(シクロホスファミド)、シクロホスファミド、シトキサン(シクロホスファミド)、デニロイキン・ディフティトックス、デポロシット(リポソーム・シタラビン)、塩酸ドキソルビシン、フォレックス(メトトレキセート)、フォロチン(プララトレキセート)、イブリツモマブ・チウキセタン、イブルチニブ、イデラリシブ、イムブルビカ(イブトルチニブ)、イントロンA(組換えインターフェロン・アルファ−2b)、イストダックス(ロミデプシン)、レナリドミド、ロイケラン(クロラムブシル)、リンフォリジン(クロラムブシル)、リポソーム・シタラビン、塩酸メクロレタミン、メトトレキセート、メトトレキセートLPF(メトトレキセート)、メキセート(メトトレキセート)、メキセート−AQ(メトトレキセート)、モゾビル(ペリキサフォール)、マスタージェン(塩酸メクロレタミン)、ネララビン、ネオサール(シクロホスファミド)、オンタック(デニフロイキン・ディフティトックス)、ペリキサフォール、プララトレキセート、プレドニゾン、組換えインターフェロン・アルファ−2b、レブリミド(レナリドミド)、リツキサン(リツキシマブ)、リツキシマブ、ロミデプシン、トシツモマブおよびヨウ素I131トシツモマブ、トレンダ(塩酸ベンダムスチン)、ベルバン(硫酸ビンブラスチン)、ベルケード(ボルテゾミブ)、ベルサール(硫酸ビンブラスチン)、硫酸ビンブラスチン、ビンカサールPFS(硫酸ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、ボリノスタット、ゼバリン(イブリツモマブ・チウキセタン)、ゾリンザ(ボリノスタット)、およびザイデリグ(イデラリシブ)が含まれる。
【0041】
[58]1つの態様において、抗癌剤は、EZH2、例えばEPZ−6438の阻害剤より選択される。1つの態様において、抗癌剤は、タキソール、ビンクリスチン、ドキソルビシン、テムシロリムス、カルボプラチン、オファツムマブ、リツキシマブ、およびその組み合わせより選択される。
【0042】
[59]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる剤はB細胞受容体経路阻害剤である。いくつかの態様において、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCy阻害剤、PKCP阻害剤、またはその組み合わせである。いくつかの態様において、少なくとも1つのさらなる剤は、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法剤、DNA損傷剤、プロテオソーム阻害剤、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤またはその組み合わせである。
【0043】
[60]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる剤は、クロラムブシル、イフォスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、フォスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL−101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、またはその組み合わせより選択される。
【0044】
[61]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる剤は、モノクローナル抗体、例えばアレムツズマブ、ベバシズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ムロマブ−CD3、ナタリズマブ、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブ・ペゴル、ゴリムマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、トシツモマブ、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アレムツズマブ、抗CD30モノクローナル抗体Xmab2513、抗METモノクローナル抗体MetMab、アポリズマブ、アポマブ、アルシツモマブ、バシリキシマブ、二重特異性抗体2B1、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、カプロマブ・ペンデチド、シクスツムマブ、クラウディキシマブ、コナツムマブ、ダセツズマブ、デノスマブ、エクリズマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、フィジツムマブ、フレソリムマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、グレムバツムマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ・オゾガマイシン、イピリムマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、モノクローナル抗体CC49、ネシツムマブ、ニモツズマブ、オファツムマブ、オレゴボマブ、ペルツズマブ、ラマクリマブ、ラニビズマブ、シプリズマブ、ソネプシズマブ、タネズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブ・セルモロイキン、ベルツズマブ、ビシリズマブ、ボロシキシマブ、およびザルツムマブである。
【0045】
[62]組み合わせ療法の背景において、アピリモド組成物の投与は、1またはそれより多いさらなる活性剤の投与と同時であってもまたは連続していてもよい。別の態様において、組み合わせ療法の異なる構成要素の投与は、異なる頻度であってもよい。1またはそれより多いさらなる剤を、本発明の化合物の投与の前(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、投与と同時、または投与に続いて(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与してもよい。
【0046】
[63]1またはそれより多いさらなる活性剤を、本明細書にさらに詳細に記載するように、単一剤形で、アピリモド組成物と同時投与するために配合することも可能である。1またはそれより多いさらなる活性剤を、本発明の化合物を含む剤形と別個に投与してもよい。さらなる活性剤をアピリモド組成物と別個に投与する場合、アピリモド組成物と同じまたは異なる投与経路によってもよい。
【0047】
[64]好ましくは、1またはそれより多いさらなる剤と組み合わせたアピリモド組成物の投与は、治療されている被験体において相乗反応を提供する。この背景において、用語「相乗」は、いずれかの単一療法単独の付加的効果よりもより有効である組み合わせの有効性を指す。本発明記載の組み合わせ療法の相乗効果は、組み合わせではない用量および/または頻度に比較して、組み合わせ中の少なくとも1つの剤のより低い投薬量および/またはより頻繁でない投与の使用を可能にしうる。組み合わせのさらなる有益な効果は、組み合わせ中のいずれかの療法単独(単一療法とも称される)の使用と関連する、不都合なまたは望ましくない副作用の回避または減少という形で現れることも可能である。
【0048】
[65]「組み合わせ療法」はまた、非薬剤療法(例えば手術または放射線治療)とさらに組み合わせた、本発明の化合物の投与も含む。組み合わせ療法がさらに非薬剤治療を含む場合、療法化合物および非薬剤治療の組み合わせの共作用による有益な効果が達成される限り、非薬剤治療は、任意の適切な時に行ってもよい。例えば、適切な場合、非薬剤治療が、おそらく数日またはさらに数週間、療法化合物の投与から一時的に除去されても、有益な影響はなお達成される。
【0049】
[66]非薬剤治療は、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、抗エストロゲン療法、遺伝子療法、および手術より選択されることも可能である。例えば、非薬剤療法は、卵巣切除(例えば体内のエストロゲンレベルを減少させる)、胸腔穿刺(例えば胸部から液体を除去する)、穿刺(例えば腹部から液体を除去する)、血管筋脂肪腫を除去するかまたは収縮させる手術、肺移植(および場合によって移植による感染を防止するための抗生物質を伴う)、または酸素療法(例えば両方の鼻孔中に配置される2つの小さいプラスチックチューブまたはプロングを含有する鼻カニューレを通じて、鼻および口の上にフィットするフェースマスクを通じて、あるいは経気管酸素療法とも呼ばれる首正面を通じて気管内に挿入される小さいチューブを通じて)である。
【0050】
[67]本発明はまた、被験体に、本発明のアピリモド組成物の療法的有効量を投与することによって、治療が必要な被験体において、mTOR関連疾患、障害、および状態を治療する方法も提供する。こうした疾患および障害には、例えば、mTORが調節不全となっている癌が含まれる。mTOR調節不全は、すべての癌の70%に関連づけられてきている。例えば、Menonら Oncogene 27 (2009):S43-S51を参照されたい。mTOR調節不全の構成要素を有する特定の癌には、脳腫瘍、例えば神経膠腫(例えば多形神経膠芽腫)、肉腫、乳癌、肺癌(例えば非小細胞肺癌)、中皮腫、虫垂癌、泌尿生殖器癌(例えば腎細胞癌腫、前立腺、膀胱、精巣、陰茎、子宮頸癌、卵巣癌、フォンヒッペル・リンダウ病)、頭頸部癌、胃腸腫瘍(例えば、肝細胞癌腫、胆嚢癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、または膵臓癌)、神経内分泌腫瘍(NET)、甲状腺腫瘍、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、血液学的悪性腫瘍(例えば非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、骨髄腫、B細胞リンパ腫、白血病、ホジキンリンパ腫)、あるいは本明細書に記載する癌の1つまたはそれより多くの転移型が含まれる。例えば、Laplanteら Cell 149 (2012):274-293を参照されたい。
【0051】
[68]本明細書に記載する方法の文脈において、被験体に投与するアピリモド組成物の量は、療法的有効量である。用語「療法的有効量」は、治療しようとする疾患または障害を治療するか、その症状を改善させるか、その重症度を減少させるか、あるいはその期間を減少させるか、あるいは別の療法の療法効果を増進させるかまたは改善するか、あるいは被験体において検出可能な療法効果を示すために十分である。1つの態様において、アピリモド組成物の療法的有効量は、PIKfyveキナーゼ活性を阻害するために有効な量である。
【0052】
[69]アピリモド組成物の有効量は、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約250mg/kg、約0.1mg/kg〜約15mg/kgの範囲であってもよいし;または範囲の下端が0.001mg/kg〜900mg/kgの間の任意の量であり、そして範囲の上端が0.1mg/kg〜1000mg/kgの間の任意の量である、任意の範囲であってもよい(例えば0.005mg/kg〜200mg/kg、0.5mg/kg〜20mg/kg)。有効用量はまた、治療する疾患、投与経路、賦形剤使用、および他の剤の使用などの他の療法的治療との共使用の可能性に応じて、当業者に認識されるように多様であろう。例えば、本明細書に援用される米国特許第7,863,270号を参照されたい。
【0053】
[70]より特定の側面において、アピリモド組成物を30〜1000mg/日(例えば30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、または300mg/日)の投薬レジメンで、少なくとも1週間(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、36、48、またはそれより多い週数)投与する。好ましくは、アピリモド組成物を10〜1000mg/日の投薬レジメンで4または16週間投与する。あるいはまたは続いて、アピリモド組成物を、100mg〜300mgの投薬レジメンで、1日2回8週間、または場合によって52週間投与する。あるいはまたは続いて、アピリモド組成物を、50mg〜1000mgの投薬レジメンで、1日2回8週間、または場合によって52週間投与する。
【0054】
[71]アピリモド組成物の有効量を、1日1回、毎日2〜5回、1日最大2回または最大3回、または1日最大8回投与することも可能である。1つの態様において、アピリモド組成物を、1日3回、1日2回、1日1回、3週間サイクルで14日間投与(1日4回、1日3回または1日2回、または1日1回)および7日間休薬で、3週間サイクルで最長5または7日投与(1日4回、1日3回または1日2回、または1日1回)および14から16日休薬で、あるいは2日ごとに1回、あるいは週1回、あるいは2週に1回、あるいは3週に1回投与する。
【0055】
[72]本明細書記載の方法にしたがって、「必要がある被験体」は、疾患、障害または状態を有する被験体、あるいは大部分の集団に比較して、疾患、障害または状態を発展させるリスクが増加している被験体である。必要な被験体は、疾患または障害、例えば癌に関して、現在利用可能な療法に対して「非反応性」または「抵抗性」であるものであってもよい。この背景において、用語「非反応性」および「抵抗性」は、疾患または障害と関連する1またはそれより多い症状を軽減するために臨床的に適切でないような、療法に対する被験体の反応を指す。本明細書記載の方法の1つの側面において、必要な被験体は、その癌が標準療法に対して抵抗性であるか、またはその癌が標準治療後に再発している癌を有する被験体である。
【0056】
[73]「被験体」には哺乳動物が含まれる。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物、例えばヒト、霊長類、脊椎動物、鳥類、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタであってもよい。好ましくは、哺乳動物はヒトである。用語「患者」は、ヒト被験体を指す。
【0057】
[74]本発明はまた、本明細書に記載するような疾患、障害または状態の治療のための単一療法も提供する。本明細書において、「単一療法」は、必要な被験体への、単一の活性または療法化合物の投与を指す。
【0058】
[75]本明細書において、「治療」、「治療すること」または「治療する」は、疾患、状態、または障害と闘う目的のための患者の管理およびケアを記載し、そして疾患、状態または障害の症状または合併症を軽減するため、あるいは疾患、状態または障害を排除するための投与を含む。
【0059】
[76]本明細書において、「防止」、「防止すること」または「防止する」は、疾患、状態または障害の症状または合併症の開始を減少させるかまたは排除することを記載し、そして疾患、状態または障害の症状の開始、発展または再発を減少させるための、アピリモド組成物の投与を含む。
【0060】
[77]1つの態様において、アピリモド組成物の投与は、治療しようとする疾患または障害の症状または合併症の排除を導くが、排除は必要ではない。1つの態様において、症状の重症度が減少する。癌の背景において、こうした症状には、腫瘍が増殖因子を分泌し、細胞外マトリックスを分解し、血管形成され、隣接する組織への付着を喪失し、または転移する度合い、ならびに転移の数を含む、重症度または進行の臨床的マーカーが含まれることも可能である。
【0061】
[78]本明細書記載の方法にしたがった癌の治療は、腫瘍サイズの減少を生じることも可能である。腫瘍サイズの減少はまた、「腫瘍退行」と称されることも可能である。好ましくは、治療後、腫瘍サイズは、治療前のサイズに比較して、5%またはそれより多く減少し;より好ましくは、腫瘍サイズは、10%またはそれより多く減少し;より好ましくは、20%またはそれより多く減少し;より好ましくは、30%またはそれより多く減少し;より好ましくは、40%またはそれより多く減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれより多く減少し;そして最も好ましくは、75%またはそれより多く減少する。腫瘍サイズは、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。腫瘍サイズを腫瘍直径として測定してもよい。
【0062】
[79]本明細書記載の方法にしたがった癌の治療は、腫瘍体積の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、腫瘍体積は、治療前のサイズに比較して、5%またはそれより多く減少し;より好ましくは、腫瘍体積は、10%またはそれより多く減少し;より好ましくは、20%またはそれより多く減少し;より好ましくは、30%またはそれより多く減少し;より好ましくは、40%またはそれより多く減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれより多く減少し;そして最も好ましくは、75%またはそれより多く減少する。腫瘍体積は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。
【0063】
[80]本明細書記載の方法にしたがった癌の治療は、腫瘍数の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、腫瘍数は、治療前の数に比較して、5%またはそれより多く減少し;より好ましくは、腫瘍数は、10%またはそれより多く減少し;より好ましくは、20%またはそれより多く減少し;より好ましくは、30%またはそれより多く減少し;より好ましくは、40%またはそれより多く減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれより多く減少し;そして最も好ましくは、75%より多く減少する。腫瘍数は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。腫瘍数は、裸眼で、または特定の倍率で、可視である腫瘍を計数することによって測定可能である。好ましくは、特定の倍率は、2x、3x、4x、5x、10x、または50xである。
【0064】
[81]本明細書記載の方法にしたがった癌の治療は、原発性腫瘍部位とは離れた他の組織または臓器における転移病変の数の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、転移病変の数は、治療前の数に比較して、5%またはそれより多く減少し;より好ましくは、転移病変の数は、10%またはそれより多く減少し;より好ましくは、20%またはそれより多く減少し;より好ましくは、30%またはそれより多く減少し;より好ましくは、40%またはそれより多く減少し;さらにより好ましくは、50%またはそれより多く減少し;そして最も好ましくは、75%より多く減少する。転移病変の数は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。転移病変の数は、裸眼で、または特定の倍率で、可視である転移病変を計数することによって測定可能である。好ましくは、特定の倍率は、2x、3x、4x、5x、10x、または50xである。
【0065】
[82]本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、キャリアーのみを投与された集団に比較して、治療被験体集団の平均生存時間の増加を生じることも可能である。好ましくは、平均生存時間は、30日より長く;より好ましくは60日より長く;より好ましくは90日より長く;そして最も好ましくは120日より長く増加する。集団の平均生存時間の増加は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の平均生存時間の増加は、例えば、活性化合物での治療の開始後、生存の平均の長さを集団に関して計算することによって、測定可能である。集団の平均生存時間の増加はまた、活性化合物での治療の最初の周期の完了後、生存の平均の長さを集団に関して計算することによって、測定可能である。
【0066】
[83]本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、未治療被験体集団に比較して、治療被験体集団の平均生存時間の増加を生じることも可能である。好ましくは、平均生存時間は、30日より長く;より好ましくは60日より長く;より好ましくは90日より長く;そして最も好ましくは120日より長く増加する。集団の平均生存時間の増加は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の平均生存時間の増加は、例えば、活性化合物での治療の開始後、生存の平均の長さを集団に関して計算することによって、測定可能である。集団の平均生存時間の増加はまた、活性化合物での治療の最初の周期の完了後、生存の平均の長さを集団に関して計算することによって、測定可能である。
【0067】
[84]本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、本明細書記載のアピリモド組成物ではない薬剤を含む単一療法を受けた集団に比較して、治療被験体集団の平均生存時間の増加を生じることも可能である。好ましくは、平均生存時間は、30日より長く;より好ましくは60日より長く;より好ましくは90日より長く;そして最も好ましくは120日より長く増加する。集団の平均生存時間の増加は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の平均生存時間の増加は、例えば、活性化合物での治療の開始後、生存の平均の長さを集団に関して計算することによって、測定可能である。集団の平均生存時間の増加はまた、例えば、活性化合物での治療の最初の周期の完了後、生存の平均の長さを集団に関して計算することによって、測定可能である。
【0068】
[85]本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、キャリアーのみを投与された集団に比較して、治療被験体集団の死亡率の減少を生じることも可能である。本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、未治療集団に比較して、治療被験体集団の死亡率の減少を生じることも可能である。本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、アピリモド組成物ではない薬剤を含む単一療法を受けた集団に比較して、治療被験体集団の死亡率の減少を生じることも可能である。好ましくは、死亡率は、2%より多く;より好ましくは、5%より多く;より好ましくは、10%より多く;そして最も好ましくは、25%より多く減少する。治療被験体集団の死亡率の減少は、任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。集団の死亡率の減少は、例えば、活性化合物での治療開始後、単位時間あたりの疾患関連死の平均数を集団に関して計算することによって、測定可能である。集団の死亡率の減少はまた、例えば、活性化合物での治療の最初の周期の完了後、単位時間あたりの疾患関連死の平均数を集団に関して計算することによって、測定可能である。
【0069】
[86]本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、腫瘍増殖速度の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、腫瘍増殖速度は、治療前に比較して、少なくとも5%減少し;より好ましくは、腫瘍増殖速度は、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;さらにより好ましくは、少なくとも50%減少し;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。腫瘍増殖速度は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。腫瘍増殖速度は、単位時間あたりの腫瘍直径の変化にしたがって測定可能である。1つの態様において、治療後、腫瘍増殖速度は、約ゼロであってもよく、そして同じサイズを維持するよう決定され、例えば増殖を停止している。
【0070】
[87]本明細書記載の方法にしたがった障害、疾患または状態の治療は、腫瘍再増殖の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、腫瘍再増殖は5%未満であり;より好ましくは、腫瘍再増殖は、10%未満であり;より好ましくは、20%未満であり;より好ましくは、30%未満であり;より好ましくは、40%未満であり;より好ましくは、50%未満であり;さらにより好ましくは、50%未満であり;そして最も好ましくは、75%未満である。腫瘍再増殖は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。腫瘍増殖は、例えば、治療後、先の腫瘍収縮後の腫瘍の直径の増加を測定することによって、測定される。腫瘍再増殖の減少は、治療を停止した後、腫瘍再発生が失敗したことによって示される。
【0071】
[88]本明細書記載の方法にしたがった細胞増殖性障害の治療または防止は、細胞増殖速度の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、細胞増殖速度は、少なくとも5%であり;より好ましくは、少なくとも10%であり;より好ましくは、少なくとも20%であり;より好ましくは、少なくとも30%であり;より好ましくは、少なくとも40%であり;より好ましくは、少なくとも50%であり;さらにより好ましくは、少なくとも50%であり;そして最も好ましくは、少なくとも75%である。細胞増殖速度は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。細胞増殖速度は、例えば、単位時間あたりの組織試料中の分裂細胞数を測定することによって、測定される。
【0072】
[89]本明細書記載の方法にしたがった細胞増殖性障害の治療または防止は、増殖細胞の割合の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、増殖細胞の割合は、少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;さらにより好ましくは、少なくとも50%;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。増殖細胞の割合は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。好ましくは、増殖細胞の割合は、例えば組織試料中の非分裂細胞の数に比較して、分裂細胞の数を定量化することによって、測定される。増殖細胞の割合は、有糸分裂指数に同等であることも可能である。
【0073】
[90]本明細書記載の方法にしたがった細胞増殖性障害の治療または防止は、細胞増殖の面積または領域のサイズの減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、細胞増殖の面積または領域のサイズは、治療前のサイズに比較して、少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;さらにより好ましくは、少なくとも50%減少し;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。細胞増殖の面積または領域のサイズは、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。細胞増殖の面積または領域のサイズは、細胞増殖の面積または領域の直径または幅として測定されてもよい。
【0074】
[91]本明細書記載の方法にしたがった細胞増殖性障害の治療または防止は、異常な外見または形態を有する細胞の数または割合の減少を生じることも可能である。好ましくは、治療後、異常な形態を有する細胞の数は、治療前のサイズに比較して、少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;さらにより好ましくは、少なくとも50%減少し;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。異常な細胞の外見または形態は、測定の任意の再現可能な手段によって測定されてもよい。異常な細胞の形態は、顕微鏡によって、例えば倒立組織培養顕微鏡を用いて測定可能である。異常な細胞の形態は、核多形性の形を取りうる。
【0075】
[92]本明細書において、用語「選択的」は、別の集団におけるよりも、1つの集団において、より高い頻度で起こる傾向を意味する。比較する集団は細胞集団であってもよい。好ましくは、本明細書に記載するようなアピリモド組成物は、正常細胞に比較して、過剰増殖細胞または異常に増殖する細胞に対して選択的に作用する。本明細書において、「正常細胞」は、「細胞増殖性障害」の一部と分類され得ない細胞である。正常細胞は、望ましくない状態または疾患の発展を導きうる、制御されないまたは異常な増殖、あるいはその両方を欠く。好ましくは、正常細胞は、正常に機能する細胞周期チェックポイント制御機構を所持する。好ましくは、アピリモド組成物は、1つの分子ターゲット(例えばターゲット・キナーゼ)を選択的に調節するよう作用するが、別の分子ターゲット(例えば非ターゲット・キナーゼ)を有意に調節しない。本発明はまた、酵素、例えばキナーゼの活性を選択的に阻害するための方法も提供する。好ましくは、事象は、集団Bに比較した際、集団Aにおいて、2倍より高くより頻繁に起こる場合、集団Bに比較して集団Aにおいて選択的に起こる。事象は、集団Aにおいて5倍より高くより頻繁に起こる場合、選択的に起こる。事象は、集団Aにおいて10倍より高く;より好ましくは、50倍より高く;さらにより好ましくは100倍より高く;そして最も好ましくは1000倍より高くより頻繁に起こる場合、集団Bに比較して集団Aにおいて選択的に起こる。例えば、細胞死は、正常細胞に比較して、疾患または過剰増殖細胞において、2倍より高くより頻繁に起こる場合、疾患または過剰増殖細胞において、選択的に起こると言われるであろう。
【0076】
薬学的組成物および配合物
[93]本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける使用に適した、好ましくは薬学的に許容されうる組成物である、アピリモド組成物を提供する。この文脈において、組成物はさらに、その量が疾患または障害の治療に有効である、少なくとも1つの薬学的に許容されうる賦形剤またはキャリアーをさらに含むことも可能である。1つの態様において、疾患または障害は、癌、好ましくはリンパ腫、そして最も好ましくはB細胞リンパ腫である。1つの態様において、疾患または障害はmTOR疾患または障害である。
【0077】
[94]1つの態様において、アピリモド組成物は、アピリモド遊離塩基またはジメシル酸アピリモドである。
[95]1つの態様において、アピリモド組成物を、単一剤形で、少なくとも1つのさらなる活性剤と組み合わせる。1つの態様において、組成物はさらに酸化防止剤を含む。
【0078】
[96]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる活性剤は、アルキル化剤、挿入剤、チューブリン結合剤、コルチコステロイド、およびその組み合わせからなる群より選択される。1つの態様において、少なくとも1つのさらなる活性剤は、イブルチニブ、リツキシマブ、ドキソルビシン、プレドニゾロン、ビンクリスチン、ベルケード、およびエベロリムス、ならびにその組み合わせからなる群より選択される療法剤である。1つの態様において、少なくとも1つのさらなる活性剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン(ドキソルビシンまたはアドリアマイシン
TMとも称される)、ビンクリスチン(オンコビン
TMとも称される)、プレドニゾン、プレドニゾロン、およびその組み合わせより選択される療法剤である。1つの態様において、少なくとも1つのさらなる活性剤は、アピリモド組成物の1またはそれより多い副作用を改善するように選択される、非療法剤である。1つの態様において、非療法剤は、オンダンセトロン、グラニセトロン、ドラセトロンおよびパロノセトロンからなる群より選択される。1つの態様において、非療法剤は、ピンドロールおよびリスペリドンからなる群より選択される。
【0079】
[97]1つの態様において、少なくとも1つのさらなる活性剤は、mTOR経路の阻害剤、PI3K阻害剤、二重PI3K/mTOR阻害剤、SRC阻害剤、VEGF阻害剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、Raf阻害剤、Erk阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤、抗有糸分裂剤、多剤耐性排出阻害剤、抗生物質、および療法抗体より選択される。1つの態様において、少なくとも1つのさらなる活性剤は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えばティピファルニブ)、抗有糸分裂剤(例えばドセタキセル)、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤(例えばボリノスタット)、および多剤耐性排出阻害剤より選択される。
【0080】
[98]1つの態様において、mTOR阻害剤は、ラパマイシン(シロリムスとも称される)、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス、ウミロリムス、ゾタロリムス、AZD8055、INK128、WYE−132、トリン−1、ピラゾロピリミジン類似体PP242、PP30、PP487、PP121、KU0063794、KU−BMCL−200908069−1、ワイス(Wyeth)−BMCL−200910075−9b、INK−128、XL388、AZD8055、P2281、およびP529からなる群より選択される。例えば、Liuら、Drug Disc. Today Ther. Strateg., 6(2): 47-55(2009)を参照されたい。
【0081】
[99]1つの態様において、mTOR阻害剤は、トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドル−2−イル)イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]シクロヘキサンカルボン酸(OSI−027としてもまた知られる)、ならびにその任意の塩、溶媒和物、水和物、および他の物理的型、結晶またはアモルファスである。US 2007/0112005を参照されたい。OSI−027は、本明細書に援用されるUS 2007/0112005にしたがって調製可能である。1つの態様において、mTOR阻害剤はOXA−01である。例えば、WO 2013152342 A1を参照されたい。
【0082】
[100]1つの態様において、PI3K阻害剤は、GS−1101(イデラリシブ)、GDC0941(ピクチリシブ)、LY294002、BKM120(ブパルリシブ)、PI−103、TGX−221、IC−87114、XL 147、ZSTK474、BYL719、AS−605240、PIK−75、3−メチルアデニン、A66、PIK−93、PIK−90、AZD6482、IPI−145(デュベリシブ)、TG100−115、AS−252424、PIK294、AS−604850、GSK2636771、BAY 80−6946(コパンリシブ)、CH5132799、CAY10505、PIK−293、TG100713、CZC24832およびHS−173からなる群より選択される。
【0083】
[101]1つの態様において、二重PI3K/mTOR阻害剤は、GDC−094、WAY−001、WYE−354、WAY−600、WYE−687、ワイエス−BMCL−200910075−16b、ワイエス−BMCL−200910096−27、KU0063794およびKUBMCL−200908069−5、NVP−BEZ235、XL−765、PF−04691502、GDC−0980(アピトリシブ)、GSK1059615、PF−05212384、BGT226、PKI−402、VS−558およびGSK2126458からなる群より選択される。例えば、本明細書に援用される、Liuら、Drug Disc. Today Ther. Strateg., 6(2): 47-55(2009)を参照されたい。
【0084】
[102]1つの態様において、mTOR経路阻害剤は、mTOR経路中のタンパク質(または該タンパク質をコードする核酸)に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、ロック核酸、またはアプタマー)である。例えば、ポリペプチドまたは核酸は、mTOR複合体1(mTORC1)、mTORの制御関連タンパク質(Raptor)、SEC13タンパク質8を含む哺乳動物致死(MLST8)、40kDaのプロリンリッチAkt基質(PRAS40)、DEPドメイン含有mTOR相互作用タンパク質(DEPTOR)、mTOR複合体2(mTORC2)、mTORのラパマイシン非感受性コンパニオン(RICTOR)、Gタンパク質ベータサブユニット様(GβL)、哺乳動物ストレス活性化プロテインキナーゼ相互作用タンパク質1(mSIN1)、パキシリン、RhoA、Ras関連C3ボツリヌス毒素基質1(Rac1)、細胞分裂制御タンパク質42相同体(Cdc42)、プロテインキナーゼCα(PKCα)、セリン/スレオニン・プロテインキナーゼAkt、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、p70S6K、Ras、および/または真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)結合タンパク質(4EBPs)、あるいはこれらのタンパク質の1つをコードする核酸を阻害する。
【0085】
[103]1つの態様において、SRC阻害剤は、ボスチニブ、サラカチニブ、ダサチニブ、ポナチニブ、KX2−391、XL−228、TG100435/TG100855、およびDCC2036からなる群より選択される。例えば、Pulsら、Oncologist. 2011 May; 16(5): 566-578を参照されたい。1つの態様において、SRC阻害剤は、SRCタンパク質またはSRCタンパク質をコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、ロック核酸、またはアプタマー)である。
【0086】
[104]1つの態様において、VEGF阻害剤は、ベバシズマブ、スニチニブ、パゾパニブ、アキシチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、レンバチニブ、およびモテサニブより選択される。1つの態様において、VEGF阻害剤は、VEGFタンパク質、VEGF受容体タンパク質、またはこれらのタンパク質の1つをコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、モルホリノ、ロック核酸、またはアプタマー)である。例えばVEGF阻害剤は、可溶性VEGF受容体(例えば可溶性VEGF−C/D受容体(sVEGFR−3))である。
【0087】
[105]1つの態様において、JAK阻害剤は、ファシチニブ、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387(CAS番号1056634−68−4)、レスタウルチニブ、パクリチニブ、およびTG101348(CAS番号936091−26−8)より選択される。1つの態様において、JAK阻害剤は、JAK(例えばJAK1、JAK2、JAK3、またはTYK2)またはJAKタンパク質をコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、モルホリノ、ロック核酸、またはアプタマー)である。
【0088】
[106]1つの態様において、Raf阻害剤は、PLX4032(ベムラフェニブ)、ソラフェニブ、PLX−4720、GSK2118436(ダブラフェニブ)、GDC−0879、RAF265、AZ 628、NVP−BHG712、SB90885、ZM 336372、GW5074、TAK−632、CEP−32496およびLGX818(エンコラフェニブ)より選択される。1つの態様において、Raf阻害剤は、Raf(例えばA−Raf、B−Raf、C−Raf)またはRafタンパク質をコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、モルホリノ、ロック核酸、またはアプタマー)である。1つの態様において、MEK阻害剤は、AZD6244(セルメチニブ)、PD0325901、GSK1120212(トラメチニブ)、U0126−EtOH、PD184352、RDEA119(ラファメチニブ)、PD98059、BIX 02189、MEK162(ビニメチニブ)、AS−703026(ピマセルチブ)、SL−327、BIX02188、AZD8330、TAK−733およびPD318088より選択される。1つの態様において、MEK阻害剤は、MEK(例えばMEK−1、MEK−2)またはMEKタンパク質をコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、モルホリノ、ロック核酸、またはアプタマー)である。
【0089】
[107]1つの態様において、Akt阻害剤は、MK−2206、KRX−0401(ペリフォシン)、GSK690693、GDC−0068(イパタセルチブ)、AZD5363、CCT128930、A−674563、PHT−427より選択される。1つの態様において、Akt阻害剤は、Akt(例えばAkt−1、Akt−2、Akt−3)またはAktタンパク質をコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、モルホリノ、ロック核酸、またはアプタマー)である。
【0090】
[108]1つの態様において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、LB42708またはティピファルニブより選択される。1つの態様において、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤は、ファルネシルトランスフェラーゼまたはファルネシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする核酸に結合し、そしてその発現レベルまたは活性を阻害する、ポリペプチド(例えば抗体またはその断片)または核酸(例えば二本鎖小分子干渉RNA、小分子ヘアピンRNA、マイクロRNA、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、モルホリノ、ロック核酸、またはアプタマー)である。1つの態様において、ヒストン調節阻害剤は、アナカルジン酸、C646、MG149(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ)、GSK J4 Hcl(ヒストンデメチラーゼ)、GSK343(EZH2に対して活性)、BIX 01294(ヒストンメチルトランスフェラーゼ)、MK0683(ボリノスタット)、MS275(エンチノスタット)、LBH589(パノビノスタット)、トリコスタチンA、MGCD0103(モセチノスタット)、タスキニモッド、TMP269、ネクスツラスタットA、RG2833、PDX101(ベリノスタット)より選択される。
【0091】
[109]1つの態様において、抗有糸分裂剤は、グリセオフルビン、酒石酸ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エポチロンA、エポチロンB、ABT−751、CYT997(レキシブリン)、酒石酸ビンフルニン、フォスブレタブリン、GSK461364、ON−01910(リゴセルチニブ)、Ro3280、BI2536、NMS−P937、BI 6727(ボラセルチブ)、HMN−214およびMLN0905より選択される。
【0092】
[110]1つの態様において、ポリエーテル抗生物質は、モネンシンナトリウム、ナイジェリシン、バリノマイシン、サリノマイシンより選択される。
[111]「薬学的組成物」は、被験体への投与に適した薬学的に許容されうる型で、本明細書記載の化合物を含有する配合物である。本明細書において、句「薬学的に許容されうる」は、適切な利益/リスク比と釣り合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、あるいは他の問題または合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するために適している、正当な医学的判断の範囲内にある、化合物、材料、組成物、キャリアー、および/または剤形を指す。
【0093】
[112]「薬学的に許容されうる賦形剤」は、一般的に安全であり、非毒性であり、そして生物学的にまたは別の意味で望ましくないものではない薬学的組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、そしてこれには、獣医学的使用ならびにヒト薬学的使用に許容されうる賦形剤が含まれる。薬学的に許容されうる賦形剤の例には、限定なしに、無菌液体、水、緩衝生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、油、界面活性剤、懸濁剤、炭水化物(例えばグルコース、ラクトース、スクロースまたはデキストラン)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質、またはその適切な混合物が含まれる。
【0094】
[113]薬学的組成物を、バルクで、または投薬単位型で提供することも可能である。投与を容易にし、そして剤形を均一にするため、薬学的組成物を投薬単位型で配合することが特に好適である。用語「投薬単位型」は、本明細書において、治療しようとする被験体のための単一剤形として適切な、物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な薬学的キャリアーと関連して、望ましい療法効果を生じると計算された活性化合物のあらかじめ決定された量を含有する。本発明の投薬単位型に関する明記は、活性化合物のユニークな特性および達成しようとする特定の療法効果に指示され、そして直接依存する。投薬単位型は、アンプル、バイアル、座薬、ドラジェ、錠剤、カプセル、IVバッグ、またはエアロゾル吸入器上の単一ポンプであることも可能である。
【0095】
[114]療法適用において、投薬量(dosage)は、選択される投薬量に影響を及ぼす他の要因の中でも、剤、レシピエント患者の年齢、体重、および臨床状態、ならびに療法を投与する臨床医または開業医の経験および判断に応じて多様である。一般的に、用量は、療法的に有効な量であるべきである。投薬量は、測定のmg/kg/日の単位で提供されうる(用量は、患者のkgでの体重、m
2での体表面積、および年での年齢に関して調整可能である)。薬学的組成物の有効量は、臨床医または他の認定された観察者によって記述されるように客観的に同定可能な改善を提供するものである。例えば、障害、疾患または状態の症状の軽減。本明細書において、用語「投薬量有効方式」は、被験体または細胞において、望ましい生物学的効果を産生するための薬学的組成物の量を指す。
【0096】
[115]例えば、投薬単位型は、1ナノグラム〜2ミリグラム、または0.1ミリグラム〜2グラム;または10ミリグラム〜1グラム、または50ミリグラム〜500ミリグラムまたは1マイクログラム〜20ミリグラム;または1マイクログラム〜10ミリグラム;または0.1ミリグラム〜2ミリグラムを含むことも可能である。
【0097】
[116]薬学的組成物は、任意の望ましい経路(例えば肺、吸入、鼻内、経口、頬、舌下、非経口、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、胸膜内、クモ膜下腔内、経皮、経粘膜、直腸等)による投与のために適した任意の型(例えば液体、エアロゾル、溶液、吸入剤、ミスト、スプレー;または固体、粉末、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、パッチ等)を取ることも可能である。例えば、本発明の薬学的組成物は、吸入または吹送(口または鼻のいずれかを通じる)によるエアロゾル投与のための水溶液または粉末の形、経口投与のための錠剤またはカプセルの形;直接注射によるか、または静脈内注入のための無菌注入液体の添加による投与に適した、無菌水溶液または懸濁物の形;あるいは経皮または経粘膜投与のためのローション、クリーム、フォーム、パッチ、懸濁物、溶液、または座薬の形であることも可能である。
【0098】
[117]薬学的組成物は、限定されるわけではないが、カプセル、錠剤、頬型(buccal forms)、トローチ、ロゼンジ、およびエマルジョン、水溶液、分散物または溶液の形の経口液体を含む、経口的に許容されうる剤形の形であることも可能である。カプセルは、薬学的に許容されうるデンプン(例えばトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、糖、人工甘味料、粉末化セルロース、例えば結晶および微結晶性セルロース、小麦粉、ゼラチン、ゴム等の不活性充填剤および/または希釈剤と、本発明の化合物の混合物を含有することも可能である。経口使用のための錠剤の場合、一般的に用いられるキャリアーには、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムもまた添加してもよい。カプセル型の経口投与のため、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁物および/またはエマルジョンを経口投与する場合、本発明の化合物を、乳化剤および/または懸濁剤と組み合わせて、油相中で懸濁するかまたは溶解することも可能である。望ましい場合、特定の甘味料および/またはフレーバー剤および/または着色剤を添加してもよい。
【0099】
[118]薬学的組成物は、錠剤の形であってもよい。錠剤は、不活性希釈剤またはキャリアー、例えば糖または糖アルコール、例えばラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトールとともに、本発明の化合物の単位剤形を含むことも可能である。錠剤はさらに、非糖由来希釈剤、例えば炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、あるいはセルロースまたはその誘導体、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびデンプン、例えばコーンスターチを含むことも可能である。錠剤はさらに、結合剤および顆粒化剤、例えばポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば膨張性架橋ポリマー、例えば架橋カルボキシメチルセルロース)、潤滑剤(例えばステアリン酸塩)、保存剤(例えばパラベン)、酸化防止剤(例えばBHT)、緩衝剤(例えばリン酸またはクエン酸緩衝剤)、および発泡剤、例えばクエン酸/重炭酸混合物を含むことも可能である。
【0100】
[119]錠剤は、コーティング錠剤であることも可能である。コーティングは、保護フィルムコーティング(例えばワックスまたはワニス)、または活性剤の放出、例えば遅延放出(消化後、あらかじめ決定された遅延時間後に活性剤を放出する)または胃腸管の特定の位置での放出を制御するように設計されたコーティングであることも可能である。後者は、例えば、溶腸性フィルムコーティング、例えば商品名Eudragit(登録商標)の元に販売されているものを用いて達成可能である。
【0101】
[120]錠剤配合物は、慣用的な圧縮、湿式造粒法または乾式造粒法によって作製可能であり、そして限定されるわけではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンゴム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプンおよび粉末化糖を含む、薬学的に許容されうる希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、懸濁剤または安定化剤を利用する。好ましい表面修飾剤には、非イオン性および陰イオン性表面修飾剤が含まれる。表面修飾剤の代表的な例には、限定されるわけではないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびトリエタノールアミンが含まれる。
【0102】
[121]薬学的組成物は、硬または軟ゼラチンカプセルの形であってもよい。この配合にしたがって、本発明の化合物は、固形、半固形、または液体型であってもよい。
[122]薬学的組成物は、非経口投与に適した無菌水溶液または水性分散物の形であってもよい。用語、非経口には、本明細書において、皮下、皮内、静脈内、筋内、関節内、動脈内、滑膜内、胸膜内、クモ膜下腔内、病変内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。
【0103】
[123]薬学的組成物は、直接注射によるか、または静脈内注入用の無菌注入液を添加することによる、いずれかでの投与に適した無菌水溶液または水性分散物の形であることも可能であり、そして水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その適切な混合物、あるいは1またはそれより多い植物油を含有する溶媒または分散媒体を含む。遊離塩基または薬理学的に許容されうる塩として、本発明の化合物の溶液または懸濁物を、界面活性剤と適切に混合された水中で調製することも可能である。適切な界面活性剤の例を以下に提供する。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のこれらの混合物中で、調製することも可能である。
【0104】
[124]本発明の方法で使用するための薬学的組成物は、配合物中に存在する任意のキャリアーまたは賦形剤(例えばラクトースまたはマンニトール)に加えて、1またはそれより多い添加剤をさらに含むことも可能である。1またはそれより多い添加剤は、1またはそれより多い界面活性剤を含むかまたはこれらからなることも可能である。界面活性剤は、典型的には、1またはそれより多い長鎖脂肪族鎖、例えば細胞の液体構造内に直接これらを挿入することを可能にし、薬剤浸透および吸収を増進させる脂肪酸を有する。界面活性剤の相対親水性および疎水性を特徴付けるために、一般的に用いられる経験的なパラメータは、親水性−親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を持つ界面活性剤は、より疎水性であり、そして油中でより高い溶解度を有し、一方、より高いHLB値を持つ界面活性剤は、より親水性であり、そして水溶液中でより高い溶解度を有する。したがって、親水性界面活性剤は、一般的に、約10より大きいHLB値を有する化合物と見なされ、そして疎水性界面活性剤は、一般的に、約10より低いHLB値を有するものである。しかし、これらのHLB値は、単にガイドであり、これは、多くの界面活性剤に関して、HLB値を決定するための選択される経験的方法に応じて、HLB値は約8 HLB単位もの相違がありうるためである。
【0105】
[125]本発明の組成物中で使用するための界面活性剤の中には、とりわけ、ポリエチレングリコール(PEG)−脂肪酸およびPEG−脂肪酸モノおよびジエステル、PEG−グリセロールエステル、アルコール−油トランスエステル化産物、ポリグリセリル脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖およびその誘導体、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(POE−POP)ブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、脂溶性ビタミンおよびその塩、水溶性ビタミンおよびその両親媒性誘導体、アミノ酸およびその塩、ならびに有機酸およびそのエステルおよび無水物がある。
【0106】
[126]本発明はまた、本発明の方法において使用するための薬学的組成物を含むパッケージングおよびキットも提供する。キットは、瓶、バイアル、アンプル、ブリスターパック、およびシリンジからなる群より選択される1またはそれより多い容器を含むことも可能である。キットにはさらに、本発明の疾患、状態または障害を治療しそして/または防止する際に使用するための1またはそれより多い使用説明書、1またはそれより多いシリンジ、1またはそれより多いアプリケーター、あるいは本発明の薬学的組成物を再構成するために適した無菌溶液が含まれることも可能である。
【0107】
[127]本明細書で用いるすべての割合および比は、別に示さない限り、重量による。本発明の他の特徴および利点は、異なる実施例から明らかである。提供する実施例は、本発明を実施する際に有用な異なる構成要素および方法論を例示する。実施例は、請求する発明を制限しない。本開示に基づき、当業者は本発明を実施するために有用な他の構成要素および方法論を同定し、そして使用することも可能である。
【実施例】
【0108】
実施例1:アピリモドは、TSC2ヌル(null)細胞増殖の非常に選択的な阻害剤である
[128]アピリモドはTSC2−/−マウス胚性線維芽(MEF−EV)細胞を用いたハイスループット細胞生存度スクリーニングで同定された。TSC2ヌル細胞は、恒常的に活性であるmTORを有する。簡潔には、TSC2−/−ノックアウトマウス胚由来のMEF細胞(Ondaら、J. Clin. Invest. 104(6):687-95, 1999)を、ハイグロマイシン抗生物質耐性遺伝子(MEF−EV)をコードするレトロウイルスベクター、またはTSC2(MEF−TSC2)もまたコードする同じレトロウイルスベクターに感染させた。次いで、MEF−EVおよびMEF−TSC2株を、ハイグロマイシン選択によって樹立した。
【0109】
[129]10% FBS(Omega Scientific)および2mM L−グルタミンを含有するDMEM中で細胞を拡大した。HTSアッセイで直接使用するため、細胞の凍結ストックを調製した。細胞を採取し、ペレットにし、そして次いで、95%FBSおよび5%DMSO中、1X10
7細胞/mlの濃度で再懸濁した。1mlのアリコットを1分間に1℃の速度で−80℃まで速度凍結した。次いで、これらのストックを、長期保存のため、気相液体窒素に移した。
【0110】
[130]スクリーニングのため、ちょうど融解するまで、連続して攪拌しながら、バイアルを37℃で融解し、次いで室温のアッセイ培地中に再懸濁し、そして1,000rpmで5分間遠心分離した。生じたペレットを適切な体積中に再懸濁し、そして自動化細胞計数装置を用いて計数し、そして40,000細胞/mlの最終カウントまで、適宜、希釈した。
【0111】
[131]試験化合物(5μlストック溶液、6x望ましい最終ウェル濃度)を、Biomek FX液体取り扱い装置を用いて、384ウェルアッセイプレート(Corning 3712)に分配した。MEF−EV細胞(培地25μL中、ウェルあたり、1000細胞)を、標準的な穿孔カセットヘッドを持つ非接触分配系であるThermo Wellmateを用いて、これらのあらかじめフォーマットされたプレートに添加した。プレートを37℃で72時間、加湿インキュベーター中、5%CO
2の大気下で、インキュベーションした。
【0112】
[132]製造者の指示の通りに、CellTiter-Glo(登録商標)発光アッセイ(Promega)を用いて、細胞生存度を決定した。生存度を、未処理対照細胞の割合として表した。例えば、アピリモドに関しては、MEF−EV細胞生存度(平均+/−標準偏差、n=3)は、0.5μMで2.16+/−0.36%、そして5μMで1.94+/−0.07%であった。
【0113】
[133]TSC2不全細胞に対するアピリモドの活性を、上述のMEF−EVおよびMEF−TSC2株、ならびに同質遺伝子株の3つのさらなる対に対する10ポイント用量反応を実行することによって、さらに立証した:(1)(TSC2−/−、p53−/−)および(TSC2+/−、p53−/−)MEF株を、標準法にしたがって、(TSC2−/−、p53−/−)または(TSC2+/−、p53−/−)胚から樹立した。例えばZhangら、J. Clin. Invest. 112, 1223-33, 2003を参照されたい。(2)ELT3−EVおよびELT3−TSC2株を、ELT3ラット腫瘍細胞株から樹立した。ELT3株は、LAM/TSCの樹立されたラット腫瘍モデルである。例えば、Howeら、Am. J. Path. 146, 1568-79, 1995を参照されたい。これらの細胞は、TSC2中に不活性化突然変異を有し、該突然変異は、mTOR経路の恒常的活性化を導く。細胞の同質遺伝子対を樹立するため、ELT3細胞を、ハイグロマイシン抗生物質耐性遺伝子をコードするレトロウイルスベクター(ELT3−EV)またはTSC2もまたコードする同じレトロウイルスベクター(ELT3−TSC2)に感染させた。次いで、ハイグロマイシン選択によって、ELT3−EVおよびELT3−TSC2株を樹立した。(3)TRI−AML102およびAML103株を、Elizabeth Henske博士(Fox Chase Cancer Center、ペンシルバニア州フィラデルフィア)によって提供されるTSC2ヌル初代ヒトAML試料から樹立した。細胞を、HPV16 E6およびE7オープンリーディングフレームおよびネオマイシン耐性カセットをコードする広宿主性レトロウイルスLXSN16E6E7に感染させた。細胞を拡大し、そしてネオマイシン選択した。個々のクローンを単離し、そして凍結した。ヒト・テロメラーゼ遺伝子(hTERT)とハイグロマイシン耐性カセットのコード配列(pLXSN hTERT-hygプラスミド)を、Fugene6トランスフェクション試薬(Roche Applied Science、インディアナ州インディアナポリス)を用いて、TSC2
−/−確認E6E7 AMLクローン内で安定発現させた。対照ゼオマイシン選択プラスミド(pcDNA3.1-zeo)の安定取り込みによって、TRI−AML102を生成する一方、TRI−AML103は、ヒトTSC2 cDNA pcDNA3.1−zeoプラスミドを発現する。これらの操作プロセスの結果として、TRI102およびTRI103は、どちらも、ネオマイシン、ハイグロマイシン、およびゼオマイシン耐性株である。
【0114】
[134]10ポイント用量反応のため、100μLの増殖培地(DMEM(CellGro 10-017-CV) FBS 10%(Sigma Aldrich F2442-500ML、ロット12D370)ペニシリン/ストレプトマイシン(100X)(CellGro Ref 30-002))中、750のMEF、2000のELT3、または2000のAML細胞を96ウェルプレートのウェルあたりにプレーティングした。細胞をプレーティングした24時間後、培地を取り除き、そして100μLの増殖培地中のアピリモド希釈物(1〜500nM、2倍希釈)を添加した(0.1%最終DMSO濃度)。化合物を添加した72時間後、CellTiter-Glo(登録商標)発光アッセイ(Promega)によって相対細胞生存度を決定し、そしてビヒクル(DMSO)処理対照細胞に比較した割合として現した。次いで、XLFIT(IDBS)を用いて、IC
50値を計算した。
【0115】
[135]TSC2不全細胞は、アピリモドに非常に感受性であった(IC
50=20nM、
図1)。TSC2−/−p53−/−MEFは、TSC2+/−p53−/−MEFに比較して、1より高い選択性比(2.45)によって示されるように、アピリモドに対して増加した感受性を示した。
【0116】
【表1】
【0117】
[136]さらに、より高い濃度のアピリモドは、TSC2レスキューMEF−TSC2細胞に比較して、TSC2−/−MEF−EV細胞に対してより高い強度を有した。このデータを、アピリモドが末梢血単核細胞(Wadaら、 Blood 109, 1156-64, 2007)に対して細胞傷害性でなく、またU937、HELA、Jurkat、およびTHP−1(PCT公報第WO2006/128129号)を含む多様な他の癌細胞株に対しても細胞傷害性でないという事実と合わせると、アピリモドでのTSC2−/−癌細胞の処置に関して、高い療法指数が存在すると示唆される(
図2A〜2C)。
【0118】
実施例2:アピリモドは、癌細胞において非常に選択的な細胞傷害性剤である
[137]製造者の指示にしたがって、標準的細胞生存度アッセイ、例えばCellTiterGlo
TMを用いて、アピリモドの細胞傷害活性を評価した。アピリモドに対する感受性に関して、122のヒト癌細胞株を評価した。IC
50が500nM未満である場合、細胞株をアピリモド感受性と称した。35の細胞株は、アピリモドが誘導する細胞傷害性に対して感受性であると同定された。アピリモドはまた、正常細胞に比較して、癌細胞に関して非常に選択的であり、正常細胞は、癌細胞よりも20〜200倍高い範囲のIC
50を有した(
図2A〜2C)。
【0119】
[138]
図2Aは、アピリモド感受性細胞には、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、結腸直腸癌、および肺癌を含む、いくつかの異なる癌に由来する細胞が含まれたことを示す。試験したもののうち、最も感受性であるのは、非ホジキンリンパ腫(NHL)細胞株であった。試験したNHL細胞株のうち、ちょうど50%強がアピリモドに感受性であった。NHLは、重症度が多様である造血性悪性腫瘍の多様な群に相当し、サブタイプは、緩慢増殖から侵襲性の範囲に渡る。NHLのサブタイプには、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫、マントルリンパ腫、および濾胞性B細胞リンパ腫が含まれる。DLBCLは、遺伝子発現および起源の細胞に基づいて、2つのサブタイプGCBおよびABCに分割される。GCBは、胚中心B細胞型であり、正常胚中心B細胞から生じ、そしてABCは、活性化B細胞型であり、形質細胞に分化するプロセスにおいて、胚中心後B細胞から生じる。本研究において、本発明者らは、NHLの特定のサブタイプが、アピリモドに非常に感受性であり、IC
50値が100nM未満であることを見出した(500nMである、スクリーニングにおける感受性/非感受性カットオフと比較される)。これらには、ヒト・バーキットリンパ腫(ST486)、ヒト・マントル細胞リンパ腫(JeKo−1)およびヒトDLBCL(SUDHL−4、IC
50=50nM)が含まれた。
図2Bを参照されたい。これらの結果は、しばしば標準治療に対して抵抗性であるより侵襲性のサブタイプを含む、多くのNHL癌に対して有効である可能性があることを示す。
【0120】
[139]以下の実施例6および7に詳述するように、本発明者らは、癌細胞に対するアピリモドの選択的細胞傷害性の根底にある生物学的機構を調べ、そしてこれが、これらの細胞における細胞内輸送の阻害および対応するアポトーシスの増加のためであることを見出した。
【0121】
実施例3:アピリモドは、CHOPの構成要素と相乗作用する
[140]上に論じるように、NHL細胞は、本発明者らの癌細胞株スクリーンにおいて、アピリモドに特に感受性を示した。DLBCLは、NHLの最も一般的なタイプであり、西側諸国において、リンパ腫の30〜40%を占める。DLBCLは成熟B細胞の侵襲性新生物である。すべてのDLBCL患者のおよそ40%は、最初の一連の治療後に再発する。多くの難治性DLBCL−GCB癌は、MYCおよびBCL2の単一および二重の転位置を示す。これらの遺伝子変異体を有する患者は、少なくとも部分的に、MYCおよびBCL2の過剰発現のため、より劣った予後を有する傾向がある。特に、アピリモドは、これらの転位置を示すDLBCL−GCB細胞株においてさえ有効であり(
表2)、単一療法として単独で、または標準治療と組み合わせてのいずれかで、NHLの侵襲性サブタイプの治療にさえ、アピリモドが役割を果たすことが裏付けられた。
【0122】
【表2】
【0123】
[141]侵襲性NHL腫瘍に対するアピリモドの有効性をさらに評価するため、アピリモドが、多くのこうした癌に関する標準的な最初の一連の治療を構成する多くの化学療法剤のいずれかと相乗的に作用する能力を試験した。これらには、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(「CHOP」化学療法レジメンと称される)、および時にCHOPと組み合わされるリツキシマブ(R−CHOP)、ならびに再発性マントル細胞リンパ腫に関して指示される化学療法剤ベルケード、およびmTOR阻害剤であるエベロリムスが含まれた。
【0124】
[142]相乗研究に関して、以下のDLBCL−GCB細胞株を用いた:WSU−DLCL2、SUDHL−4およびSUDHL−6。細胞を最適密度で96ウェルプレート中に植え付けた。細胞をアピリモドのみ(7.8〜1000nM)で、ドキソルビシン(3.13〜400nM)、ビンクリスチン(0.08〜10nM)、プレドニゾン(19.5〜2500nM)、ベルケード(0.16〜20nM)、またはエベロリムス(0.23〜500nM)単独で、またはアピリモドと組み合わせて処理した。各場合で、希釈は2倍であり、薬剤濃度範囲に渡って、全部で8回の希釈を行った。
【0125】
[143]細胞を72時間処理した後、CellTiterGlo(登録商標)(Promega)を用いて、増殖を評価した。相乗性の計算には、CalcuSyn(バージョン2.11、Biosoft)を用いて、Chouら、Adv. Enzyme. Regul.(1984)22:27-55によって定義されるように組み合わせ指数(CI)を決定した。したがって、1>のCI値を生じる薬剤組み合わせは拮抗性、CI=Iは付加性、そしてCI<1は相乗性と定義された。
【0126】
[144]
表3に示すように、アピリモドは、SUDHL−6細胞株において、試験した6つの剤のうち5つ(ドキソルビシン、プレドニゾロン、ビンクリスチン、ベルケード、およびエベロリムス)と相乗的活性を示し、そしてすべての3つの細胞株において、ビンクリスチンと相乗性であった。さらに、アピリモドは、試験した3つの細胞株のうち、少なくとも2つにおいて、プレドニゾロン、ベルケード、およびエベロリムスと相乗性であった。これらの結果は、アピリモドとの組み合わせ療法が、後に再発するか、または標準的化学療法レジメンに抵抗性である患者に有益である治療に関する、満たされていない医学的必要性に取り組むための、有望な新規アプローチに相当することを示す。
【0127】
【表3】
【0128】
実施例4:アピリモドおよびイブルチニブの間の相乗活性
[145]SUDHL−4細胞における研究はまた、アピリモドと相乗的に作用しうる他の薬剤に関してスクリーニングすることも試みた。FDA認可および非認可薬剤の両方を含む93の薬剤の人為選別したライブラリーを、スクリーニングに用いた。薬剤の存在下、アピリモドを伴いまたは伴わず(IC
20=10nMで)、10ポイント濃度反応曲線(1.5〜30,000nM;3倍希釈)で試験するライブラリーの各薬剤とともに、細胞を増殖させた。ペニシリン/ストレプトマイシン(100X)(CellGro Ref 30-002)を含有するRPMI培地1640(Sigma Aldrich F2442-500ML、ロット12D370)中で、SUDHL−4細胞を増殖させた。50μLの最終体積中、ウェルあたり19,000細胞の密度で、96ウェルプレート中に細胞を植え付けた。10ポイント薬剤希釈シリーズ(2x)50μLを細胞に添加して、上述の最終濃度を生じた。加湿インキュベーター中、5%CO
2の大気下で、37℃でプレートをインキュベーションした。化合物添加72時間後、製造者の指示通りに、CellTiter-Glo(登録商標)発光アッセイ(Promega)によって、相対細胞生存度を決定し、そして値をビヒクル(DMSO)処理対照細胞(100%に設定)に比較した割合として表した。
【0129】
[146]薬剤ライブラリー中の個々の化合物で処理した細胞の生存度を、各ライブラリー薬剤+アピリモド(IC
20)で処理した細胞の生存度に比較し、そして有意な組み合わせを同定した。イブルチニブは、イブルチニブまたはアピリモド単独のいずれに比較しても、アピリモドの存在下で、SUDHL−4細胞生存度を有意に減少させると同定された。
図18を参照されたい。イブルチニブは、B細胞悪性腫瘍をターゲットとするFDA認可薬剤であり、そしてマントル細胞リンパ腫および慢性リンパ球白血病を治療する際、単一療法に関して指示される。これはまた、PCI−32765としても知られ、そして商標インブルビカ
TMの元で販売されている。イブルチニブは、酵素ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の選択的および共有結合阻害剤である。BTKは、平行して起こる、少なくとも3つの非常に重要なB細胞生存促進性機構、アポトーシス制御、細胞接着ならびに細胞遊走およびホーミングの重要な仲介因子である。アピリモドとイブルチニブの相乗活性は、さらに、アピリモドが、他の化学療法剤、特にB細胞リンパ腫をターゲティングするものとの組み合わせ療法で使用するために有望な剤であることを示す。
【0130】
実施例5:in vivoでのDLBCL腫瘍に対するイブルチニブと組み合わせたアピリモドの抗腫瘍活性
[191]アピリモドが、単独でまたはイブルチニブと組み合わされて、in vivoで腫瘍増殖を阻害する能力を次に試験した。以下に記載するように、アピリモドは、単独で、腫瘍増殖を有意に減少させ、そしてアピリモドおよびイブルチニブの組み合わせは、いずれかの剤単独の場合よりも、より高い増殖阻害を提供した。
【0131】
[192]研究目的は、単独で、そしてイブルチニブと組み合わせて、皮下SUDHL−6ヒトDLBCL癌異種移植片モデルの治療におけるアピリモドのin vivo療法有効性を前臨床的に評価することであった。
【0132】
[193]研究の最初のアームにおいて、アピリモドを単独で試験した。SUDHL−6細胞株を、10%ウシ胎児血清およびL−グルタミン(2mM)を補充したRPMI−1640培地中、5%CO
2の大気中で37℃で維持した。腫瘍細胞を週2回継代培養し、そして腫瘍接種のため、指数関数的増殖中に採取した。接種24時間前、NOD−SCIDマウスにγ照射した。各マウスの右脇腹に、0.1mlのPBSとMatrigel(1:1)中のSU−DHL−6腫瘍細胞(5x10
6)を皮下接種した。次いで、腫瘍をおよそ80〜120mm
3の平均サイズまで増殖させ、そして次いで、マウスを5群に分け、そして
表4に詳述するように処置した。
【0133】
【表4】
【0134】
[195]ノギスを用いて、腫瘍サイズを二次元で週2回測定し、そして公式:V=0.5axb
2、式中、aおよびbはそれぞれ、腫瘍の長径および短径である、を用いて、体積をmm
3で表す。マウスを29日間監視し、そしてすべてのアピリモド処置アームにおいて、有意な増殖阻害が観察された。静脈内投与は、腫瘍サイズを58%(47mg/kg)減少させ、そして経口投薬は、それぞれ、68%(150mg/kg、スプリット用量)または64%(150mg/kg、単回用量)増殖を減少させ、体重に対する影響は無視できる程度であった(
図16を参照されたい)。したがって、アピリモドの静脈内および経口投薬は、in vivoで、SU−DHL−6腫瘍の増殖を損なう際に、類似の有効性を示した。
【0135】
[196]研究の第二のアームは、上記と同じプロトコルを用いて、同じSUDHL−6ヒトDLBCL癌異種移植片モデルにおいて、イブルチニブと組み合わせた際のアピリモドの有効性を評価した。各マウスの右脇腹に、0.1mlのPBSとMatrigel(1:1)中のSU−DHL−6腫瘍細胞(5x10
6)を皮下接種した。次いで、腫瘍をおよそ80〜120mm
3の平均サイズまで増殖させ、そして次いで、マウスを6群に分け、そして
表5に詳述するように処置した。
【0136】
【表5】
【0137】
[197]ノギスを用いて、腫瘍サイズを二次元で週2回測定し、そして公式:V=0.5axb
2、式中、aおよびbはそれぞれ、腫瘍の長径および短径である、を用いて、体積をmm
3で表す。マウスを31日間監視し、そして75mg/kg アピリモド(57%)、10mg/kgイブルチニブ(54%)、および20mg/kgイブルチニブ(64%)処置アームで、有意な増殖阻害が観察された。75mg/kg アピリモドとイブルチニブの組み合わせは、さらに、用量依存方式で腫瘍増殖を減少させ;10mg/kgイブルチニブ(65%)および20mg/kgイブルチニブ(70%)であった(
図17を参照されたい)。
【0138】
実施例6:アピリモドは、PIKfyveキナーゼの非常に選択的な結合剤である
[198]癌細胞におけるアピリモドの細胞ターゲットを同定するため、ヒト神経膠腫細胞から調製した全細胞溶解物を用いて、化学捕捉質量分析(CCMS)を用い、結合パートナーを同定した。この研究は、Caprotec Bioanalytics GmbH、ドイツ・ベルリンで行われた。Michaelisら、J. Med. Chem., 55 3934-44(2012)および該文献に引用される参考文献を参照されたい。簡潔には、アピリモドを単一の配向で付着された選択的官能として使用する2つの捕捉化合物変異体を合成し、そしてLC−MSおよび1H−NMRによって分析して、同一性および純度を保証した。捕捉条件を全細胞溶解物において最適化し、例えばタンパク質と捕捉化合物の非特異的相互作用を最小限にし、タンパク質および捕捉化合物の最大結合が得られるような試薬およびタンパク質濃度を設定するなどした。1つの捕捉化合物を選択して、競合剤リガンドとしてアピリモドを用いて、CCMS実験において、特異的タンパク質結合剤を同定した。捕捉アッセイにおいてLC−Sによって検出され、そして競合対照実験において、有意に減少しているタンパク質を、特異的結合剤と見なした。これらの特異的結合剤を、ストリンジェントなデータ分析基準にさらに供して、非偏向データ評価後の特異性を決定した。捕捉実験において、倍変化(FC)値にしたがって、特異的タンパク質結合剤をランク付けした。2つのタンパク質:PIKfyveおよびVac14のみが、アピリモドの非常に可能性が高い候補ターゲットタンパク質として同定された。4つの異なる捕捉化合物濃度実験において、これらのタンパク質に関するFCおよびp値を表6に示す。
【0139】
【表6】
【0140】
[199]別個の研究において、アピリモドのプロテインキナーゼ・プロファイリングを行って、キナーゼ・ターゲットを同定した(DiscoveRx、カリフォルニア州フレモント)。増加する濃度(0.05〜3000nM)のアピリモドを用いて、アピリモドの既知のターゲットであるPIKfyveに対して、解離定数(K
d)研究を行った。実験を2つ組で行い、そしてK
dは、0.075nM(範囲0.069〜0.081nM)と決定された(
図7)。
【0141】
[200]次に、キナーゼの包括的パネル(PIKfyveは含まれない)に対してアピリモドをスクリーニングした。疾患関連キナーゼを含む、総数456のキナーゼを、アピリモドに結合する能力に関してアッセイした。アピリモドのスクリーニング濃度は1μMであり、これは、PIKfyveに対するアピリモドに関するK
dよりも>10,000倍高い濃度であった。スクリーンからの結果は、アピリモドが、試験した456のキナーゼのいずれにも結合しないことを示した。
【0142】
[201]総合すると、これらの結果は、アピリモドが、癌細胞において、単一の細胞キナーゼ、PIKfyveに対して非常に選択的に結合することを示す。PIKfyveは、PI(3)Pに結合し、そして脂質である第二メッセンジャーPI(3,5)P2およびPI(5)Pの形成を触媒し、そして他の研究者らは、アピリモドがまた、正常細胞において、このキナーゼPIKfyveの強力でそして特異的な阻害剤であることを示してきている。Cai Xら、Chem Biol. 2013 Jul 25;20(7):912-21。以下により詳細に論じるように、癌細胞に対するアピリモドの選択的細胞傷害性の機構を理解するため、本発明者らは、癌細胞におけるその生物学的活性を解明することを目的とする一連の実験を行った。
【0143】
実施例7:アピリモドの抗癌活性の機構
[202]アピリモドは、炎症性サイトカインIL−12およびIL−23の強力な阻害剤であることが知られる。アピリモドが疾患または障害を治療するために示されるという点で、この活性が前提とされた。アピリモドの臨床試験は、乾癬、関節リウマチ、およびクローン病などの自己免疫および炎症性疾患におけるその強力な有効性に焦点を当てているが、アピリモドが癌に対して有用である可能性があり、そして特に、c−relまたはIL−12/23が増殖促進性因子として作用している癌に対して、有用であるという公開された示唆はほとんどない。例えば、それぞれ、WO 2006/128129およびBairdら、Frontiers in Oncology 3:1(2013)を参照されたい。驚くべきことに、そしてアピリモドのIL−12/23阻害活性に基づくこれらの期待とは対照的に、本発明者らは、試験した細胞株において、c−Rel発現(c−RelはIL−12/23遺伝子の転写因子である)、IL−12、またはIL−23発現のいずれかおよびアピリモドに対する感受性の間に相関をまったく見出さなかった(
図8〜14を参照されたい)。
【0144】
[203]簡潔には、癌細胞株エンサイクロペディア(CCLE)由来の遺伝子発現データを、22のB細胞リンパ腫株に関して分析し、これらに関して、本発明者らはアピリモドに対する用量反応曲線を得た(
表7を参照されたい)。
【0145】
【表7】
【0146】
[204]不対t検定によって、感受性(500nM未満のIC
50)および非感受性(500nMを超えるIC
50)株において、c−RELの発現を比較した。c−REL発現および感受性の間に統計的に有意な関係は見られなかった(p=0.97)。さらに、データが公開されている、アピリモドに対する感受性および細胞株における恒常性核c−RELの存在またはエプスタイン・バーウイルスの感染いずれの間にも有意な関係が検出されないことがわかった。試験した細胞株には、以下のアピリモド感受性(#1〜13)および非感受性(#14〜22)B細胞リンパ腫株が含まれた:ヒト・バーキットリンパ腫細胞株1〜4(ST486、Daudi、EB1、GA−10)、ヒト・マントル細胞リンパ腫5〜6(Rec−1、JeKo−1)、ヒトびまん性大細胞型B細胞リンパ腫−GCB7〜13(SUDHL−4、SUDHL−6、DB、Toledo、SUDHL−10、WSU−DLCL2、OC1−Ly19)、ヒト・バーキットリンパ腫14〜16(Namalwa、CA46、Raji)、ヒト・マントル細胞リンパ腫17(GRANTA−519)、ヒト濾胞性B細胞リンパ腫18(RL)、ヒト濾胞性リンパ腫−DLBCL−GCB19(DOHH−2)、ヒトびまん性大細胞型B細胞リンパ腫−GCB(HT、Pfeiffer、KARPAS−422)。
【0147】
[205]前述の22リンパ腫株を含む、75の癌細胞株の多様な群において、IL−12A、IL−12RB1、IL−12RB2、IL−12B、IL−23AおよびIL−23Rの発現をさらに分析した(
表8を参照されたい)。
【0148】
【表8-1】
【0149】
【表8-2】
【0150】
[206]簡潔には、CCLE由来の遺伝子発現データを、アピリモドに対する用量反応曲線を得た75の癌細胞株に関して分析した。各インターロイキン遺伝子の発現を、不対t検定によって、感受性(500nM未満のIC
50)および非感受性(500nMを超えるIC
50)株において、比較した。IL−23Aを唯一例外として(p=0.022)、統計的に有意でない関係であることがわかった。IL−23Aは、以前、アピリモド感受性非小細胞肺癌株において上昇していることが示され、そして組換えIL−23Aは、非小細胞肺癌株の増殖を増加させることが注目された(Bairdら、2013、上記を参照されたい)。重要なことに、感受性癌細胞株におけるIL−23A発現の統計的有意性は、完全にわずか2つの結腸癌細胞株によって駆動されているようである。さらに、IL−23A発現は、非ホジキンB細胞リンパ腫において、感受性の統計的に有意な予測因子ではない(
図15)。CCLEデータベース由来の全般的な遺伝子発現データを、22のB細胞リンパ腫株において、アピリモド感受性に関して、信頼性がある2つの遺伝子バイオマーカーに関して分析した。
【0151】
[207]さらなる実験によって、アピリモドの細胞傷害活性は、細胞アポトーシス誘導に少なくとも部分的に基づいた。製造者の指示にしたがって、Apotox-Glo三重アッセイ(Promega, Inc.)を用いて、アポトーシスを定量化し、そして壊死と区別した。このアッセイにおいて、生存度、アポトーシス、および壊死を、3つの異なるマーカー(それぞれ、GF−AFC、カスパーゼ−3/7、およびビス−AAF−R110)を同時に用いて評価する。
図4は、培地にアピリモドを添加した48時間後、アピリモド処理びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞における、アポトーシス(中央のバー)および壊死(右のバー)マーカーを示す。左のバーは生存度マーカーを示す。
【0152】
[208]H4神経膠腫細胞株(IC
50 250〜300nM)における処理72時間後の自己貪食液胞に関してアッセイすることによって、アピリモド細胞傷害活性の機構をさらに調べた。製造者の指示にしたがって、Cyto−ID自己貪食検出キット(Enzo)を用いて、自己貪食を定量化した。
図5は、アピリモドが用量依存性方式で自己貪食を誘導したことを示す。
【0153】
[209]PIKfyveは、初期エンドソームの細胞質ゾル小葉と関連し、そしてその活性は、内膜ホメオスタシス、リソソーム内機能およびエンドソームからトランスゴルジネットワークへの適切な逆行性輸送に必要である。キナーゼ死亡突然変異体を細胞に導入すると、膨張した液胞表現型が誘導され、これは、PI(3,5)P2の注射によってレスキュー可能である。薬理学的方法ならびにRNAiによるPIKfyveの阻害もまた膨張した液胞および内膜動力学の破壊を生じる。
図21に示すように、アピリモドでのPIKfyveの薬理学的破壊は、細胞内輸送の破壊を通じて、特定の癌細胞株の選択的致死性を誘導する。