特表2017-504430(P2017-504430A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-504430医薬組成物を再構成するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-504430(P2017-504430A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】医薬組成物を再構成するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20170120BHJP
【FI】
   A61J1/20 314Z
   A61J1/20 314C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-549108(P2016-549108)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2015051311
(87)【国際公開番号】WO2015113897
(87)【国際公開日】20150806
(31)【優先権主張番号】14290010.9
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516224097
【氏名又は名称】イヴォン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・ワトエリ
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・パイエ−ビュラン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA27
4C047CC04
4C047CC14
4C047CC25
4C047DD02
4C047DD03
4C047EE01
4C047GG11
4C047GG33
4C047HH01
4C047HH03
4C047HH06
(57)【要約】
容器(2A,2B)の成分から医薬組成物を再構成するデバイス(1)は、容器に結合するコネクター(101,102)とポンプ(103)と接続チャネルを持つ回路(104)を備え、コネクター(102)は容器(2B)が当コネクターおよびポート(102A)と連通するポート(102B)と係合するとき容器(2B)に結合するポート(102A)を備え、コネクター(101)はチャンバーを形成しつつ回路(104)に接続されたポート(1010A〜C)を持つボディ(1010)と、チャンバーに係合するクランクピン(1011)であって、容器(2A)と係合するインターフェイスと、容器(2A)がそれと係合したときそれに結合するポート(1011A)と、それに接続されるポート(1011B)を備え、ピンは位置に依存してポート(1011A)をチャネルと接続するべくポートと協働するチャネル(1011C)を持つピンとを備えるユニット(100)と、ポンプ作動機構(203)とアクチュエータと容器(2A)を回転させるピン間に接続される伝達手段を持つユニット(200)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の容器(2A)に収容された第1の成分と、第2の容器(2B)に収容された第2の成分とから医薬組成物を再構成するためのデバイス(1)であって、
・流体ユニット(100)であって、
・前記第1の容器(2A)に対して機械的にかつ流体的に結合するよう構成された第1のコネクター(101)と、
・前記第2の容器(2B)に対して機械的にかつ流体的に結合するよう構成された第2のコネクター(102)と、
・ポンプ(103)と、
・前記第1のコネクター(101)と、前記第2のコネクター(102)と、前記ポンプ(103)と、を接続するチャネル部分を備える流体回路(104)と、を備え、
・前記第2のコネクター(102)は、前記第2の容器が前記第2のコネクターならびに軸方向ポート(102A)と流体連通状態の半径方向ポート(102B)と係合するとき、前記第2の容器に対して流体的に結合するための前記軸方向ポート(102A)を備え、
・前記第1のコネクター(101)は、
軸方向チャンバーを形成すると共に、前記流体回路(104)に対して接続された少なくとも三つの半径方向ポート(1010A,1010B,1010C)を備えるボディ(1010)と、
前記軸方向チャンバー内で回転係合状態のクランクピン(1011)であって、前記クランクピンは、前記第1の容器(2A)と係合するための取り付けインターフェイスと、前記第1の容器が前記取り付けインターフェイスと係合したとき前記第1の容器に対して流体的に結合するよう構成された固有の軸方向ポート(1011A)と、前記軸方向ポート(1011A)に対して流体的に接続される半径方向ポート(1011B)と、を備え、前記クランクピン(1011)は、前記ボディ(1010)に対する前記クランクピン(1011)の角度位置に依存して前記第1のコネクターの前記軸方向ポート(1011A)を前記流体回路(104)の少なくとも一つのチャネル部分と選択的に接続するために、前記ボディ(1010)の前記少なくとも三つの半径方向ポートと協働するようにそれ自体に配置された少なくとも一つのチャネル(1011C)を備える、クランクピン(1011)と、を備える、流体ユニット(100)と、
・前記流体ユニット(100)に対して取り外し可能に結合された動力ユニット(200)であって、
・前記ポンプを作動させるための動力機構(203)と、
・アクチュエータと、前記第1の容器(2A)を回転させるための前記クランクピンとの間に接続されるよう構成された伝達手段と、を備える動力ユニット(200)と、
を備えるデバイス。
【請求項2】
その上に前記動力ユニット(200)が搭載されるベース(300)を備え、前記ベースは、前記第1の容器(2A)の回転軸線(X)を選択的に傾斜させるための傾斜機構(301)を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2のコネクター(102)は、この第2のコネクターの前記半径方向または前記軸方向ポート内にフィルターを備える、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記流体ユニットは通気ポート(104E)を備え、かつ、前記第1のコネクターの前記ボディ(1010)は、前記流体回路のチャネル部分を介して前記通気ポートと流体連通状態の第4の半径方向ポート(1010D)を備える、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記クランクピンは前記通気ポート(104E)を前記ポンプ(103)に接続するよう構成されたチャネルを備え、前記ポンプ(103)は前記クランクピンの前記半径方向ポートに接続される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記流体ユニット(100)は、第3の容器(2C)または投与手段に対して機械的にかつ流体的に結合するよう構成された第3のコネクター(105)を備え、かつ、前記第1のコネクターの前記ボディ(1010)は、前記流体回路のチャネル部分(104D)を介して前記クランクピンと流体連通状態の第5の半径方向ポート(1010E)を備える、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第5の半径方向ポート(1010E)と前記第3のコネクター(105)との間にフィルターをさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1のコネクターの前記軸方向ポート(1011A)は一つのスパイクを備える、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記流体回路(104)は、
・前記第1のコネクターの前記ボディの第1の半径方向ポート(1010A)と、前記ポンプ(103)の第1のポート(1030)との間の第1のチャネル部分(104A)と、
・前記ポンプ(103)の第2のポート(1031)と、前記第1のコネクターの前記ボディの第2の半径方向ポート(1010B)との間の第2のチャネル部分(104B)と、
・前記第1のコネクターの前記ボディの第3の半径方向ポート(1010C)と、前記第2のコネクターの前記半径方向ポート(102A)との間の第3のチャネル部分(104C)と、
を備える、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ポンプ(103)は可逆ポンプである、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記流体ユニット(100)は、二つの半殻(106,107)のアセンブリから構成されており、前記流体回路(104)は前記半殻間に割り当てられている、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
医薬組成物を再構成するためのアセンブリであって、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の再構成デバイス(1)と、前記デバイスの前記第1の容器(101)に対して結合された第1の成分を収容する第1の容器(2A)と、前記デバイス(1)の前記第2の容器(102)に対して結合された第2の成分を収容する第2の容器(2B)と、を備えるアセンブリ。
【請求項13】
前記第1の成分は固体の形態の医薬組成物であり、前記第2の成分は溶剤である、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記第1および第2の容器(2A,2B)の各々は隔膜によって密封されたビンである、請求項12または請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記再構成デバイス(1)の前記第3のコネクター(105)に結合された第3の容器あるいは投与手段を備える、請求項6を引用する場合の請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも二つの成分から医薬組成物を再構成するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医薬組成物は水性環境中では低い安定性しか有しておらず、これはその貯蔵寿命を許容できない値まで低下させ得る。これは、特に、生物学的実体、特に抗体分子および誘導抗原結合分子、組換え因子のような大きな分子、ならびに抗生物質およびステロイドホルモンのようないくつかの小さな分子に関して当てはまる。ある場合には、低温環境で液体組成物を保持することにより貯蔵寿命を延長することが可能である。
【0003】
したがって、患者へのその投与直前に溶剤を用いて再構成することができる固体の形態の医薬組成物を調製することが、安定性、貯蔵および出荷の容易さの点でより有利であろう。
【0004】
固体の形態の医薬組成物は、粉末、冷凍乾燥(または凍結乾燥)組成物、噴霧乾燥、噴霧冷凍乾燥、真空乾燥または超臨界流体乾燥組成物を含む。
【0005】
固体の形態は、注射用の溶液を生成するために許容される溶剤組成物を用いて必要に応じて溶解させられる(いわゆる「再構成」)。
【0006】
再構成ステップは、再構成プロセスの複雑さに応じて、患者、身内、ナースまたは医療専門家によって手作業で実施されることがある。
【0007】
そのような再構成は簡単で、いくつかの特定の組成物に関して数秒程度の短いものであるが、ある医薬組成物を再構成するためには数十分かかることがあり、それは長い時間であると考えられる。複雑な一連の手順を伴う長い再構成時間によって、たいていは、言及されたプロトコルの順守がなされなくなり、したがって最終的には、誤った用量の投与が生じ、そして潜在的に治療の結果に悪影響を与えることさえある。
【0008】
別な頻発する問題は、いくつかの組成物は、慎重な再構築を必要とし、したがって医療基準によれば「再構成が困難」と見なされるフォーム、泡、ゲルまたは湿潤性の乏しい凝集体を形成する傾向があるということである。
【0009】
これは、これらに限定されないがモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、特定のタンパク質またはポリペプチドといった粘性のある生物学的薬剤のような高濃度の大きな分子からなる医薬組成物に関しては特に事実である。それは、投与される体積を最小にするような注射用組成物に関してたびたびそうであるように、固体の形態に向う処理の間に本来取り出されたよりも少ない溶剤体積で再構成がなされる場合にも事実である。
【0010】
いずれにしても、固体の形態の再構成のためのほとんどの従来の手作業プロセスは、通常、第1の容器から溶剤を取得し、固体の形態の医薬組成物を収める第2の容器内にそれを注入し、フォームおよび/または乾燥した凝集体のない均質な溶液を得るために所与のプロセスを行い、投与のために第2の容器から再構成された医薬品を取り出すために複数のステップを必要とする。
【0011】
再構成プロセスはオペレーターが各ステップに特別な注意を払うことが必要であるが、これは特に面倒である。
【0012】
その上、これらの上記ステップのそれぞれは、それ自体、針またはスパイクを含む、複数の物体操作を必要とし、したがって患者を処置する専門家の場合に人身傷害および/または汚染の危険性を伴う。
【0013】
最後に、再構成組成物の品質はオペレーターに著しく依存する。ステップが適切に実施されない場合、再構成プロセスの最後に得られた組成物は、依然として、全体積においてあるいは空気/液体インターフェイスでのリングにのみ限定されて、溶剤および/または閉じ込められた気泡および/またはフォームによってほとんど到達できない閉じ込められた乾燥塊またはゲル領域を含んでいることがある。
【0014】
その結果、上記困難性あるいは問題の全てによって、薬品製造業者はユーザーのトレーニングを推奨するようになるか、あるいは期待される医学的利益とはとても言えない患者の表情および/または望ましくない順守状況を招くであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、再構成プロセスの再現性を改善すると共に、それをほとんどまたは全くオペレーターに依存しないようにすることである。
【0016】
本発明の別の目的は、再構成が困難な薬物を用いてさえ医薬組成物の完全な再構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、少なくとも、第1の容器に収容された第1の成分と、第2の容器に収容された第2の成分とから医薬組成物を再構成するためのデバイスを提供し、当該デバイスは、
・流体ユニットであって、
・第1の容器に対して機械的にかつ流体的に結合するよう構成された第1のコネクターと、
・第2の容器に対して機械的にかつ流体的に結合するよう構成された第2のコネクターと、
・ポンプと、
・第1のコネクターと、第2のコネクターと、ポンプとを接続するチャネル部分を備える流体回路と、を備え、
・第2のコネクターは、第2の容器が第2のコネクターならびに軸方向ポートと流体連通状態の半径方向ポートと係合するとき、第2の容器に対して流体的に結合するための軸方向ポートを備え、
・第1のコネクターは、
軸方向チャンバーを形成すると共に、流体回路に対して接続された少なくとも三つの半径方向ポートを備えるボディと、
軸方向チャンバー内で回転係合状態のクランクピンであって、このクランクピンは、第1の容器と係合するための取り付けインターフェイスと、第1の容器が取り付けインターフェイスと係合したとき第1の容器に対して流体的に結合するよう構成された固有軸方向ポートと、軸方向ポートに対して流体的に接続される半径方向ポートとを備え、クランクピンは、ボディに対するクランクピンの角度位置に依存して第1のコネクターの軸方向ポートを流体回路の少なくとも一つのチャネル部分と選択的に接続するために、ボディの少なくとも三つの半径方向ポートと協働するようにそれ自体に配置された少なくとも一つのチャネルを備えるクランクピンとを備える流体ユニットと、
・流体ユニットに対して取り外し可能に結合された動力ユニットであって、
・ポンプを作動させるための動力機構と、
・アクチュエータと、第1の容器を回転させるためのクランクピンとの間に接続されるよう構成された伝達手段とを備える動力ユニットとを備える。
【0018】
ある実施形態によれば、デバイスは、その上に動力デバイスが搭載されるベースを備え、当該ベースは第1の容器の回転軸線を選択的に傾斜させるための傾斜機構を備える。
【0019】
ある実施形態によれば、第2のコネクターは、この第2のコネクターの半径方向または軸方向ポート内にフィルターを備える。
【0020】
ある実施形態によれば、流体ユニットは通気ポートを備え、第1のコネクターのボディは流体回路のチャネル部分を介して通気ポートと流体連通状態の第4の半径方向ポートを備える。
【0021】
クランクピンはポンプに対して通気ポートを接続するよう構成されたチャネルを備えてもよく、一方、ポンプはクランクピンの半径方向ポートに対して接続される。
【0022】
ある実施形態によれば、流体ユニットは第3の容器または投与手段に対して機械的にかつ流体的に結合するよう構成された第3のコネクターを備え、かつ、第1のコネクターのボディは流体回路のチャネル部分を介してクランクピンと流体連通状態の第5の半径方向ポートを備える。
【0023】
上記デバイスは、第5の半径方向ポートと第3のコネクターとの間にフィルターを備えていてもよい。
【0024】
ある実施形態によれば、第1のコネクターの軸方向ポートは一つのスパイクを備えていてもよい。
【0025】
ある実施形態によれば、流体回路は、
・第1のコネクターのボディの第1の半径方向ポートと、ポンプの第1のポートとの間の第1のチャネル部分と、
・ポンプの第2のポートと、第1のコネクターのボディの第2の半径方向ポートとの間の第2のチャネル部分と、
・第1のコネクターのボディの第3の半径方向ポートと、第2のコネクターの半径方向ポートとの間の第3のチャネル部分とを備える。
【0026】
ある実施形態によれば、ポンプは可逆ポンプである。
【0027】
ある実施形態によれば、流体ユニットは二つの半殻のアセンブリから構成されており、流体回路はこの半殻間に割り当てられる。
【0028】
本発明の別の対象は、医薬組成物を再構成するためのアセンブリであって、上述した再構成デバイスと、当該デバイスの第1の容器に対して結合された第1の成分を収容する第1の容器と、上記デバイスの第2の容器に対して結合された第2の成分を収容する第2の容器とを備えるアセンブリである。
【0029】
ある実施形態によれば、第1の成分は固体の形態の医薬組成物であり、第2の成分は溶剤である。
【0030】
ある実施形態によれば、第1および第2の容器の各々は隔膜によって密封されたビンである。
【0031】
ある実施形態によれば、再構成デバイスの流体ユニットが上述したような第3のコネクターを備える場合、上記アセンブリは、再構成デバイスの第3の容器に結合された第3の容器あるいは投与手段を備える。
【0032】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づいて、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態によるデバイスの分解図である。
図2A】流体ユニットの側面図である。
図2B】流体回路のレベルでの流体ユニットの断面図である。
図3A】第1のコネクターのボディに対するクランクピンの角度位置に依存する、流体回路を通る流体移送の異なる形態を示しており、一方でクランクピンの半径方向ポートとポンプとの間の、そして他方でポンプと第2のコネクターの半径方向ポートとの間の流体連通を実現するようにクランクピンはボディに対して位置決めされており、この形態は第1の容器から第2の容器へとあるいはその逆に流体を移送するよう意図されたものである。
図3B】第1のコネクターのボディに対するクランクピンの角度位置に依存する、流体回路を通る流体移送の異なる形態を示しており、クランクピンは第1の容器に対して流体的に接続されるクランクピンの半径方向ポートと通気ポートとの間に流体連通を実現するようにボディに対して位置決めされ、この形態は大気圧と第1の容器の内部圧力とを均等にすることを意図されている。
図3C】第1のコネクターのボディに対するクランクピンの角度位置に依存する、流体回路を通る流体移送の異なる形態を示しており、クランクピンは、クランクピンの半径方向ポートと第2の容器の半径方向ポートとの間の直接的な流体連通を実現するようにボディに対して位置決めされ、この形態は一方の容器から他方の容器へと流体を直接的に移送することを意図されている。
図3D】第1のコネクターのボディに対するクランクピンの角度位置に依存する、流体回路を通る流体移送の異なる形態を示しており、クランクピンは、一方でクランクピンの半径方向ポートとポンプとの間の、そして他方でポンプと第3のコネクターのポートとの間の流体連通を実現するようにボディに対して位置決めされ、この形態は、例えば、患者に対する再構成された組成物の投与のために第1の容器から第3の容器へと流体を移送することを意図されている。
図3E】第1のコネクターのボディに対するクランクピンの角度位置に依存する、流体回路を通る流体移送の異なる形態を示しており、クランクピンは、ポンプの別のポートがクランクピンの半径方向ポートに接続されながら、チャネル部分を経て通気ポートをポンプのポートと接続するようにボディに対して位置決めされ、この形態は、通気ポートを経てデバイスの外部から空気を圧送し、第1の容器に空気を移送することによって第1の容器内に圧力を発生させることを意図されている。
図3F】第1のコネクターのボディに対するクランクピンの角度位置に依存する、流体回路を通る流体移送の異なる形態を示しており、クランクピンは、クランクピンの半径方向ポートと第3のコネクターの半径方向ポートとの間に直接的な流体連通を実現するようにボディに対して位置決めされ、この形態は、例えば、それらの間の圧力差の結果として第1および第3の容器間で流体を移送することを意図されている。
図4】流体部分の一実施形態を示しており、当該流体部分は二つの半殻のアセンブリから構成されている。
図5】組み立て状態でデバイスを示す図であり、第1の容器の内容物の機械的混合を実現するように第1の容器の回転軸線は重力軸線に対して傾斜させられている。
図6】クランクピンの実施形態の三つの斜視図である。
図7A】本発明による再構成デバイスを用いて実施される再構成プロセスの異なる可能な時間フレームを示す図である。
図7B】本発明による再構成デバイスを用いて実施される再構成プロセスの異なる可能な時間フレームを示す図である。
図7C】本発明による再構成デバイスを用いて実施される再構成プロセスの異なる可能な時間フレームを示す図である。
図7D】本発明による再構成デバイスを用いて実施される再構成プロセスの異なる可能な時間フレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
医薬組成物を再構成するためには、少なくとも二つの容器が必要である。
【0035】
第1の容器は第1の成分(例えば固体の形態の医薬組成物)を収容する。第2の容器は、再構成された医薬組成物を得るために、第1の成分と混合される第2の成分(例えば溶剤)を収容する。以下の説明では、第1の成分は固体の形態の医薬組成物であり、第2の成分は液体の形態へとそれを変換するために固体の形態と混合される溶剤であると見なされるが、本発明は、より一般的に、第1および第2の成分から医薬組成物の再構成に適用される。
【0036】
このために溶剤は第2の容器から第1の容器へと移送され、そして再構成は第1の容器内でかつ/または両容器間での流体循環によってなされる。
【0037】
医薬組成物が患者に投与される方法に応じて、投与流体移送は、針または点滴セットへのリンクまたはマウスピースまたはノズルノズルまたはその他の適切な手段といった投与手段を介して再構成デバイスによって実施することが可能である。代替的に、医薬組成物は、いったん医薬組成物が再構成された後にデバイスから取り外される第1の容器から、またはそれに対して再構成された医薬組成物が事前に移送された別の容器から、別の医療デバイスを用いて投与することができる。別の容器は、最初に溶剤を収容していた第2の容器、または注射器、カートリッジ、フレキシブル容器等の第3の容器であってもよい。
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係る再構成デバイスの分解図を示している。
【0039】
デバイス1は、分離可能に結合される二つの主要部分、すなわち流体回路を介して流体連通状態の第1および第2の容器2A,2B(および任意選択で第3の容器2C)を受けるよう意図されると共にポンプ103を備える流体ユニット100と、流体回路内の特定の流体経路の選択および/または第1の容器の内容物の機械的な混合を実現するために流体回路内の液体循環を実現しかつ第1の容器2Aに対して結合されたコネクター101に対する回転運動を伝達するためにポンプ103を作動させるよう意図された動力ユニット200とを備える。第1の容器2Aの回転軸線はXと呼ばれる。
【0040】
第1の容器2Aは固体の形態の医薬組成物を収容しており、そして第2の容器2Bは溶剤を収容している。
【0041】
図面において、デバイス1は三つの容器2A,2B,2Cを伴って示されているが、容器2Cは任意選択であり、そして再構成は第1および第2の容器2Aおよび2Bのみを用いて実施されてもよいことを理解されたい。
【0042】
図面において、第1および第2の容器2Aおよび2Bは、ビン、すなわち隔膜によって密封閉塞されたボトル状容器の形態で示されており、一方、第3の容器2Cは注射器の形態で示されている。だが、容器のこの形態は限定ではなく、流体ユニット100のコネクターが相応に適合されるならば、本発明はその他の容器形状と共に実施可能であることを理解されたい。例えば、第2の容器2Bは、事前充填注射器またはカートリッジまたは溶剤を収容するフレキシブル容器であってもよい。
【0043】
有利なことに、流体ユニット100は廃棄可能であり、これは、それが概して医薬組成物の一回の用量の再構成のために使用されることを、そしてそれが続いて動力ユニットから取り外されて廃棄されることを意味する。医薬組成物の新規な用量の再構成のために、新しい流体ユニットが清潔かつ無菌状態で提供され、動力ユニット200に結合される。
【0044】
有利なことに、医薬組成物と接触状態にない動力ユニット200は耐久性がありかつ再利用可能であり、複数の用量の医薬組成物を再構成するために長い期間(例えば数ヶ月または数年)にわたって使用されることが意図されることを意味する。
【0045】
好ましい実施形態によれば、動力ユニット200は、選択的に第1の容器2Aの回転軸線Xを傾斜させるための傾斜機構301を備えるベース300上に搭載される。図5を参照してより詳細に説明するように、この傾斜は、第1の容器2A内での医薬組成物および溶剤の機械的混合を生み出し、これによって再構成を改善すると共に再構成時間を減少させることを可能とする。
【0046】
ある実施形態によれば、動力ユニット200は、例えば上述したようにデバイスが投与手段を介した患者への医薬組成物の投与のために意図されている場合には、ベース300から取り外すことができる。このような場合、動力ユニットがベースから取り外されたとき、傾斜機構は動力ユニット200またはベース300に対して取り付けられたままであってもよい。
【0047】
流体ユニット100は、第1の容器2Aに機械的にかつ流体的に結合するように構成された第1のコネクター101と、第2の容器2Bに機械的にかつ流体的に結合するように構成された第2のコネクター102とを備える。任意選択で、流体ユニット100は、第3の容器2Cに対して、または上述したような投与手段(図示せず)に対して機械的にかつ流体的に結合するように構成された第3のコネクター105を備える。
【0048】
「機械的にかつ流体的に結合」とは、各コネクターが、(i)好適な取り付けインターフェイスを介して再構成プロセスの間にそれを支持するために各容器に対して取り外し可能に固定されるように、かつ、(ii)各容器の内部と、以下でより詳細に説明する流体ユニット100の流体回路104との間の流体連通をもたらすように構成されることを意味する。当業者は、それに接続される容器および/または投与手段に応じて、両方の機能を満たすためにコネクターを設計することができる。
【0049】
流体ユニット100は、作動させられた際に容器間で流体回路104内において流体の循環を発生させるよう意図されたポンプ103をさらに備える。
【0050】
有利なことに、ポンプ103は、吸引および排出端間で移送体積を制御し、これによって容器間で移送される体積を制御すると共に圧力または真空を印加するために容積ポンプである。
【0051】
有利なことに、ポンプ103は、作動していないとき流体回路のチャネル部分を互い密封するようにブロッキングポンプである。
【0052】
好ましい実施形態によれば、ポンプ103は可逆ポンプである。
【0053】
しかしながら当業者は本発明の範囲から逸脱することなく非可逆ポンプを使用することができる。このような場合、当業者は、必要な全てのチャネル接続を可能とするように、第1のコネクターのクランクピンのチャネルおよび流体回路104の設計を適応させるだけでよい。
【0054】
動力ユニット200はポンプ103を作動させるための動力機構203を備える。
【0055】
動力ユニット200はさらに、第1のコネクター101のクランクピンを、したがってそれに接続された第1の容器2Aを回転させるために、アクチュエータ(図示せず)とクランクピン1011との間に結合されるように意図された結合手段(図示せず)を備える。ある実施形態によれば、アクチュエータは動力ユニット200に包含されてもよい。別な実施形態によれば、アクチュエータはベース300に包含され、クランクピンへアクチュエータの動きを伝達するために結合手段に対して接続される。
【0056】
クランクピンの回転は、段階的に(特に流体回路104に対して特定の位置にクランクピン1011を設定するために)、あるいは所定の時間間隔にわたって連続的に(特に所定の速度で第1の容器2Aの内容物を混合するために)実施することができる。
【0057】
動力ユニット200および/またはベース300のアクチュエータに対する流体ユニット100の結合は、機械的手段または磁気的手段のような適切な手段によって実施することができる。この結合は解放可能であり、これによって、流体ユニット100の処分、動力ユニット200の再利用、そして任意選択でシーケンス動作の一部のためにベース300からモーターユニットを分離することが可能である。
【0058】
ポンプ103の作動およびクランクピン1011の回転はオペレーターによって制御することができ、あるいは完全に自動化されてもよい。このために、制御システム(図示せず)は、決定されたシーケンスに従ってポンプおよびクランクピンを作動させるために特定のアルゴリズムに従って動作する。
【0059】
図2Aは流体ユニット100の側面図である。
【0060】
図2Bは流体回路のレベルでの流体ユニット100の断面図である。
【0061】
流体回路104は、第1のコネクター101と、第2のコネクター102と、ポンプ103とを接続するチャネル部分を備える。流体ユニットが第3の容器2Cまたは投与手段のための第3のコネクター105を備える場合、流体回路104はまた、第3のコネクターを流体回路の残部に接続するために少なくとも一つのチャネル部分を備える。
【0062】
第1のコネクター101は、軸方向チャンバーを画定すると共に、流体回路104のチャネル部分104A,104B,104Cに対して接続された少なくとも三つの半径方向ポート1010A,1010B,1010Cを備えたボディ1010を備える。軸方向は図2Bの平面に対して直交する。
【0063】
クランクピン1011は、ボディ1010の軸方向チャンバー内で軸線Xに従って回転係合状態である。
【0064】
クランクピン1011は第1の容器2Aを係合するための取り付けインターフェイスを備える。
【0065】
クランクピン1011は、上記容器が取り付けインターフェイスと係合したとき、第1の容器2Aに流体的に結合するように意図された一つの軸方向ポート1011Aを備える。例えば、第1の容器2Aが隔膜により密封されたビンである場合、上記の独特な軸方向ポート1011Aは、隔膜を穿刺するためのスパイクまたは針から構成されてもよい。上記軸方向ポート1011Aは独特であり、第1の容器2Aと流体回路104との間にただ一つの流体経路が存在することを意味する。
【0066】
クランクピン1011は、軸方向ポート1011Aに流体的に接続される半径方向ポート1011Bを備える。
【0067】
その上、クランクピン1011は、ボディの半径方向ポート1010A,1010B,1010Cと、したがって流体回路104のチャネル部分と選択的に協働するように、それ自体に配置された少なくとも一つのチャネル1011Cを備える。例えば、上記少なくとも一つのチャネルはクランクピン壁に形成された溝からなることができ、当該溝の位置および寸法は所望の接続を提供するように決定される。当業者は、流体回路104のチャネルの構成に応じてクランクピンを設計することができる。チャネルは、例えば、一方では半径方向ポート1010Eとチャネル部分104Aとの間に、そして同時に半径方向ポート1011Bとチャネル部分104Bとの間に、同時流体接続を実現するように配置することができる(図3D参照)。
【0068】
第1のコネクターのボディ1010はクランクピン1011に対して封止されている。例えばシール(図示せず)がクランクピンまたはボディ上に配置される。
【0069】
第2のコネクター102は、第2の容器が第2のコネクターおよび上記軸方向ポート102Aと流体連通状態の半径方向ポート102Bに係合するとき、第2の容器2Bに流体的に結合するための軸方向ポート102Aを備える。例えば、第2の容器2Bが隔膜によって密封されたビンである場合、上記軸方向ポート102Aは隔膜を穿刺するためのスパイクまたは針から構成されてもよい。
【0070】
第2のコネクター102は、半径方向ポート102Bまたは軸方向ポート102A内に配置されたフィルター(図示せず)を備えてもよい。再構成された医薬組成物が第1の容器2Aから第2の容器2Bへと移送される場合、そうしたフィルターは有利であろう。実際、フィルターは医薬組成物からの特定の分子を保持することができる。
【0071】
図2Bに示す実施形態では、流体ユニット104は、次のチャネル部分を備える。
・第1のコネクター101のボディの第1の半径方向ポート1010Aとポンプの第1の半径方向ポート1030との間で延在するチャネル部分104A
・ポンプ103の第2の半径方向のポート1031と第1のコネクター101のボディの第2の半径方向ポート1010Bとの間で延在するチャネル部分104B
・第1のコネクター101のボディの第3の半径方向ポート1010Cと第2のコネクター102の半径方向ポート102Bとの間で延在するチャネル部分104C
【0072】
任意選択で、デバイスが第3のコネクター105を備える場合、流体回路は、第3のコネクター105の半径方向ポート105Bと第1のコネクター101のボディの追加の半径方向ポート1010Eとの間に延在する第4の半径方向ポート104Dを備えることができる。流体ユニットは、半径方向ポート1010Eと半径方向ポート104Dとの間にフィルター(図示せず)を備えていてもよい。実際、フィルターは医薬組成物からの特定の分子を保持することができる。
【0073】
任意選択で、第1のコネクター101のボディは、デバイスの周囲の大気に開放されている通気ポート104Eを備えていてもよい。このような場合、第1のコネクター101のボディは、当該通気ポート104Eと流体連通状態のポート1010Dを備える。
【0074】
好ましくは、通気ポート104Eは、汚染物質が流体回路に侵入するのを防止するためにフィルター(図示せず)を備える。このようなフィルターは慣例に従って製薬産業において使用されている。
【0075】
図6は本発明の実施形態に係るクランクピンの三つの斜視図を示している。表示Aから分かるように、クランクピンの軸方向ポート1011Aは一つのスパイクまたは針からなる。クランクピン1011は、軸方向ポート1011Aと流体連通状態の半径方向ポート1011Bと、流体ユニットの異なる部分を接続するよう構成されたチャネルを形成する周囲溝1011Cとを備える。当該周囲溝1011Cは、クランクピン1011の壁内に配置され、かつ、軸方向および半径方向ポート1011A,1011Bと流体連通していない。
【0076】
図3Aから図3Fは、第1のコネクターのボディ1010に対するクランクピン101 1の角度位置に依存する、流体回路104を通る流体移送の異なる形態を示している。矢印は流体の流れの方向を示す。
【0077】
図3Aにおいて、クランクピン1011は、一方では(チャネル部分104Aを介して)クランクピンの半径方向ポート1011Bとポンプ103の第1のポート1030との間に、そして他方では(連続的に、チャネル部分104B、半径方向ポート1010B、クランクピン1011の周囲チャネル1011Cおよび半径方向ポート1010Cを介して)ポンプ103の第2のポート1031と第2のコネクター102の半径方向ポート102Bとの間に、流体連通を実現するようにボディ1010に対して位置決めされる。
【0078】
このような位置は、通常、第2の容器2Bから固体の形態の医薬組成物を収容する第1の容器2Aへと溶剤を移送するために使用されてもよい。
【0079】
逆に、クランクピンの上記位置は、第1の容器2Aから第2の容器2Bへと再構成された医薬組成物を移送するために使用されてもよい。
【0080】
図3Bにおいて、クランクピン1011は、第1の容器2Aに対して流体的に接続されたクランクピンの半径方向ポート1011Bと、通気ポート104Eとの間に(半径方向ポート1010Dを介して)流体連通を実現するようにボディ1010に対して位置決めされる。このような場合、クランクピンの周囲チャネル1011Cは流体ユニットの異なる部分間で流体接続を確立しない。
【0081】
このクランクピンの位置は、通常、大気圧と第1の容器2Aの内部の圧力とを均等にするために使用されてもよい。
【0082】
例えば、第1の容器2Aが真空状態であるか過剰圧力である場合、クランクピン101 1のこの位置は第1の容器の内容物が大気圧へと戻ることを可能とする。
【0083】
図3Eに示される代替的な実施形態によれば、クランクピン1011は、半径方向ポート1010Bがチャネル部分104Bに接続されながら、半径方向ポート1010Dと半径方向ポート1010Aとを接続するチャネル1011Cを備える。このようにして、ポンプ103は、通気ポート104Eを経てデバイスの外部から空気を圧送し、第1の容器2Aに空気を移送することにより、第1の容器2A内に圧力を発生させるために使用することができる。このような場合、第1の容器2Aは図1に示す位置にあり、すなわち隔膜は底部に向かって配向される。
【0084】
第1の容器2Aが図1に示す位置と反対の位置にある場合、すなわち隔膜が上部に向かって配向される場合、クランクピンのそうした構成はまた、ポンプの作動方向に応じて、第1の容器2A内に真空を引き込むためにまたは第1の容器2A内に過剰圧力を形成するために使用することができる。当業者は、再構成デバイスに接続された容器内での、そうした過剰圧力および/または真空生成を可能とするためにクランクピン設計をアレンジすることができるであろう。
【0085】
図3Cにおいて、クランクピン1011は、クランクピンの半径方向ポート1011Bと第2のコネクター102の半径方向ポート102Bとの間の直接的な流体連通を実現するようにボディ1010に対して位置決めされる。
【0086】
このクランクピン位置は、それらの間の圧力の差の結果として、一方の容器から他方へと直接流体を移送することを可能とする。
【0087】
図3Dにおいて、クランクピン1011は、一方では(チャネル部分104Bを介した)クランクピンの半径方向ポート1011Bとポンプ103のポート1031との間の、そして他方では(チャネル部分104A、半径方向ポート1010A、クランクピン1011のチャネル1011C、半径方向ポート1010Eおよびチャネル部分104Dを介した)ポンプ103と第3のコネクターの半径方向ポート105Bとの間の流体連通を実現するようにボディ1010に対して位置決めされる。
【0088】
このクランクピン位置は、ポンプ103によって、第1の容器2Aから第3の容器2Cあるいは投与手段へと流体を移送するために使用されてもよい。
【0089】
図3Dに示される特定の形態では、クランクピンの周辺チャネル1011Cは通気ポート104Eをポンプ103に流体的に接続するので、液体が流体ユニットから出てくるのを防止しながら空気が流体ユニットから出てくるのを可能にするように、疎水性フィルター(図示せず)が通気ポート104E内に配置される。
【0090】
ある実施形態によれば、再構成された医薬組成物の特定の量のみを第1の容器2Aから第3の容器2Cへと移送し、その後、患者に投与することができる。
【0091】
代替的に、第1の容器2Aの内容物全体が第3の容器2Cへと移送されてもよい。
【0092】
別の実施形態によれば、第3のコネクター105に接続される容器は存在しないが、これらに限定されるわけではないが針または点滴セットへのリンクまたはマウスピースまたはスプレーノズルといった別な投与手段が存在し、当該手段は、流体回路104を介して、第1の容器2Aから患者へと直接または間接的に再構成された医薬組成物を投与するために使用される。
【0093】
ある実施形態によれば、再構成された医薬組成物の特定の用量のみを、これらに限定されるわけではないが針または点滴セットへのリンクまたはマウスピースまたはスプレーノズルといった適切な投与手段によって、ポンプ103を介して、患者に対して直接投与することができる。
【0094】
図3Fにおいて、クランクピン1011は、クランクピンの半径方向ポート1011Bと第3のコネクター105の半径方向ポート105Bとの間に直接的な流体連通を実現するように、ボディ1010に対して位置決めされる。
【0095】
このクランクピン位置は、それらの間の圧力の差の結果として、一方の容器から他方へと直接流体を移送することを可能とする。
【0096】
第3の容器2Cから第1の容器2Aへと流体(例えば溶剤)を移送することが意図されている場合、両方の容器のそれぞれの位置は、図1に示す位置とは逆であるべきである。そのために、傾斜機構301を、図1の形態から180°の角度だけ動力ユニットおよび流体ユニットを回転させるために作動させることができる。
【0097】
図4は流体ユニットの一実施形態を示しており、当該流体ユニット100は、二つの半殻106,107のアセンブリから構成されている。
【0098】
例えば半殻は、プラスチック成形によって製造され、そしてレーザー溶着、超音波溶着、溶剤組み立て、接着、ネジ止めまたはその他の適切な手段によって互いに固定されてもよい。
【0099】
シール(図示せず)が二つの半殻106,107の間に配置されてもよく、あるいは組み立て手段自体が流体回路のシールを提供してもよい。
【0100】
上記半殻間の接合は、流体回路104の少なくとも一部に対して平行な平面に沿ってなされてもよい。
【0101】
例えば、この平面はチャネル部分の対称面に対応する。
【0102】
したがって、各半殻は流体回路の一部を備える。
【0103】
その上、第1のコネクター、第2のコネクター、そしてもし存在するならば第3のコネクターのボディは半殻の一つと一体化されてもよい。
【0104】
図5は組み立てられた状態で再構成デバイス1を示す図であり、第1の容器2Aの回転軸線Xは、第1の容器の内容物の機械的混合を実現するように、重力軸線に対して傾斜させられている。
【0105】
例えば、角度は20°ないし90°、好ましくは約45°であってもよい。
【0106】
このような場合、容器2Aの回転軸線と重力軸線との間の角度は、容器の内容物の低剪断混合と、容器の壁への固体の形態の乾燥固着による湿った溶液の浸出をもたらし、これによって、より乾燥した形態が回収され、この結果、全体回収率が向上する。
【0107】
上述した再構成デバイスは、医薬組成物の自動再構成のために、そして、ある場合には、その投与のために使用することができる。
【0108】
特に、再構成デバイスは、さまざまな時間フレームに従って、医薬組成物および溶剤の混合物を含む容器内の圧力を管理することができる。
【0109】
以下で説明する再構成プロセスの例では、第1の容器が固体の形態の医薬組成物を収容し、そして第2の容器が溶剤を収容すると想定される。
【0110】
図7Aは、本発明に係るデバイスによって実施することができる再構成プロセスの一実施形態のための時間フレームの一例を示す図である。
【0111】
再構成プロセスは時刻tで始まると考えられるが、これは第2の容器から第1の容器への溶剤の導入の開始に対応する。
【0112】
溶剤の導入の直前、第1の容器内の圧力は初期圧力pである。
【0113】
当該圧力は、貯蔵圧力(p)と呼ばれる、その事前の貯蔵中の第1の容器内の圧力であってもよい。
【0114】
代替的に、図7Bに示すように、貯蔵の間の第1の容器内の圧力は、pとは異なる(大きいかあるいは小さい)圧力pであってもよく、そして圧力は、再構成プロセスの開始直前にpに設定される。
【0115】
第1の容器内に溶剤を導入するために、第1のコネクターのクランクピンは、図3Aまたは図3Cに示すような位置に設定される。第1の容器が真空下にないか、第1および第2の容器間の圧力差が十分ではないか、または移送される用量を制御するために、第2の容器内に収容された溶剤の移送はポンプ103によって支援される(図3A)。第1の容器が真空下にあるか、または二つの容器間の圧力差が十分でありかつ得られた圧力が制御できない場合、溶剤は、両方の容器間の圧力差によって第2の容器から直接移送されてもよい(図3C)。クランクピン1011は、さらなる再構成プロセスをより困難にするであろう付加的な空気を導入しないために、適切な溶剤体積が固体の形態の医薬組成物を初めから収容する第1の容器に添加された直後に、別な位置へと動作させられてもよい。
【0116】
第1の容器内への溶剤の導入は、圧力を僅かに変更する効果を有する。得られた圧力は、したがってpと呼ばれる。
【0117】
この得られた圧力は正確に定量化する必要はない。だが、得られた圧力pは、有利なことには、規定された時間Δtの間維持される。
【0118】
+Δtに対応する規定された時刻t(これは再構成がまだ完了していない時刻である)において、第1の容器内の圧力は、pおよびpよりも大きな圧力pまで増大させられる。
【0119】
第1の容器内の圧力pが大気圧未満である場合、上記増大は第1の容器からの真空の解除からなっていてもよい。これは、再構成デバイスの周囲の空気と第1の容器の内部との間に流体連通を形成するように、したがって第1の容器内の圧力を大気圧に設定するように、図3Bに示すような位置に第1のコネクターのクランクピンを設定することによって行うことができる。代替的に、第1の容器内の圧力pが大気圧を上回る場合、第1の容器内の圧力は、ポンプ103を使用することによってさらに増大させることができる。この場合、クランクピン1011は図3Eに示される位置に設定される。
【0120】
医薬組成物の再構成を促進するために、第1の容器2Aは、再構成プロセスの少なくとも一部の間に回転させられる。このために、図5に示すように、クランクピン1011は、第1の容器の回転軸線が傾斜機構301によって重力方向に対して傾斜させられながら、所定の速度でかつ所定の時間の間に回転させられる。このようにして、医薬組成物および溶剤の混合物の機械的混合が実現される。代替的に、流体ユニット100あるいは動力ユニット200は、機械的混合の間、所望の傾斜配向でユーザーによって保持されてもよい。
【0121】
特定の実施形態では、そのような混合ステップは、第1の容器内への溶剤の導入後、第1の容器内で圧力をpまで増大させる前に実施されてもよい。代替的に、混合ステップは、第1の容器内の圧力がpまで増大してしまった後に実施されてもよい。さらに別の特定の実施形態では、混合ステップは、圧力をpまで増大させる前あるいは後に実施されてもよい。
【0122】
完全な再構成が観察されるまで(時刻trec)、第1の容器内の圧力が圧力pで維持される。時刻trec後、再構成組成物を第1の容器から回収して、そして第2の容器に(このために第1のコネクターのクランクピンは図3Aに示すような位置に設定される)、第3の容器に(このためにクランクピンは図3Dに示すような位置に設定される)、そして投与手段に(このためにクランクピンは図3Dに示すような位置に設定される)移送することができる。
【0123】
図7Bは、本発明の別の実施形態による再構成処理のための時間フレームの例を示す図である。
【0124】
図7Aのプロセスと比較して、図7Bのプロセスは、pで規定された時間の後に、かつ、医薬組成物の完全な再構成が観察される前に、第1の容器内の圧力を圧力pまでさらに増大させる追加的なステップを備える。第1の容器内の増大した圧力pは、図3Eに示される位置にクランクピンを設定することによってかつポンプを作動させることによって実現することができる。
【0125】
図7Cは、圧力pを加えた後であって圧力pを加える前に、連続する圧力増減を含む圧力サイクルを含む再構成プロセスのための時間フレームの例を示す図である。当該圧力サイクルは、クランクピンが図3Eの位置にある間にかつ両方向に交互にポンプを作動させることによって実現することができる。
【0126】
図7Dは、圧力pからのただ1回の圧力降下と、それに続く圧力pへの圧力上昇を含む、図7Cに示す時間フレームの変形例を示している。
【0127】
こうした再構成プロセスの一つの利点は、当該分野で公知の再構成法とは対照的に、再構成の後に、医薬組成物の表面に気泡のクラウンがほとんどまたは全く残らないことである。そうした気泡および/またはフォームの低減は、容器からの利用可能な組成物の増大した回収率をもたらし、したがって所与の回収/用量目的のための製造時に容器内には少ない開始量の固体の形態の医薬組成物しか必要としない。
【0128】
いったん医薬組成物が再構成されたら、それは流体ユニット100を介して患者に投与することができる。例えば、流体ユニット100は、点滴セットなどの投与手段に接続された第3のコネクター105を備えることができる。再構成が完了したとき、動力ユニット200および流体ユニット100は、ポータブルデバイスとしてベース300から一緒に取り外され、医薬組成物の注入の間、患者によって保持され、流体ユニット100のポンプ103は動力ユニット200によって作動させられる。注入がいったん完了すると、流体ユニット100は動力ユニット200から取り外して処分することができ、動力ユニット200ならびにベース300は医薬組成物の別の用量の再構成のために後で使用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 再構成デバイス
2A 第1の容器
2B 第2の容器
2C 第3の容器
100 流体ユニット
101 第1のコネクター
102 第2のコネクター
102A 軸方向ポート
102B 半径方向ポート
103 ポンプ
104 流体回路
104A 第1のチャネル部分
104B 第2のチャネル部分
104C 第3のチャネル部分
104D 第4の半径方向ポート(チャネル部分)
104E 通気ポート
105 第3のコネクター
105B 半径方向ポート
106,107 半殻
200 動力ユニット
203 動力機構
300 ベース
301 傾斜機構
1010 ボディ
1010A 第1の半径方向ポート
1010B 第2の半径方向ポート
1010C 第3の半径方向ポート
1010D 第4の半径方向ポート
1010E 第5の半径方向ポート
1011 クランクピン
1011A 軸方向ポート
1011B 半径方向ポート
1011C 周囲溝
1030 第1のポート
1031 第2のポート
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】