(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-505218(P2017-505218A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(54)【発明の名称】可動式針シュラウドを有する自己注射用器具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20170127BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-568790(P2016-568790)
(86)(22)【出願日】2014年2月12日
(85)【翻訳文提出日】2016年10月7日
(86)【国際出願番号】US2014016021
(87)【国際公開番号】WO2015122884
(87)【国際公開日】20150820
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナカムラ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨシダ ジュンイチ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066LL22
(57)【要約】
自己注射用器具は基部とシュラウド部材とを備える。基部は基端部と、先端部と、外筒係合部とを備える。外筒係合部は、針の先端部が前記基部の先端部から第1の距離延びるように、注射器外筒を少なくとも一部受け入れる空隙を画定する。シュラウド部材は基端部と先端部とを備える。基端部は基部に移動可能に連結している。シュラウド部材は完全に延出した位置と完全に後退した位置との間を移動可能である。完全に延出した位置では、シュラウド部材は前記基部の先端部から延出した距離である。前記完全に後退した位置では、前記シュラウド部材は前記基部の先端部から後退した距離である。延出した距離は第1の距離以上であり;後退した距離は第1の距離未満である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と第2の端部とを有する外筒と、前記第1の端部に近接する肩部と、前記外筒と流体連通し、基端部と先端部とを有し、前記外筒の第1の端部から延びる針と、前記外筒の第2の端部に近接して配置されているフランジと、前記針を覆い、一端が前記肩部に近接して配置されているキャップと、前記針を通して有益な薬剤を排出するように前記外筒内を移動可能なプランジャとを備える注射器から有益な薬剤を注射することを補助する自己注射用器具であって:
基端部と、先端部と、外筒係合部とを有する基部であって、前記外筒係合部が長軸を有する空隙を画定し、前記針の先端部が前記基部の先端部から第1の距離延びている状態で前記外筒の少なくとも一部を受け入れるように前記基部の基端部と先端部との間に配置されている基部と;
基端部と先端部とを有するシュラウド部材であって、前記シュラウド部材の基端部が前記基部に移動可能に連結するシュラウド部材であり、前記シュラウド部材の先端部が前記基部の先端部から延出した距離である完全に延出した位置と、前記シュラウド部材の先端部が前記基部の先端部から後退した距離である完全に後退した位置との間を移動可能なシュラウド部材と;
を備え、
前記延出した距離が前記第1の距離以上であり、前記後退した距離が前記第1の距離未満である自己注射用器具。
【請求項2】
前記シュラウド部材が前記延出位置の方に付勢されている、請求項1に記載の自己注射用器具。
【請求項3】
前記シュラウド部材の先端部が、中に切り欠きを有する実質的に平面状の係合面を備える、請求項1に記載の自己注射用器具。
【請求項4】
前記シュラウド部材の先端部が、中に貫通孔を有する実質的に平面状の係合面を備える、請求項1に記載の自己注射用器具。
【請求項5】
前記シュラウド部材が、前記シュラウド部材の基端部と先端部との間に配置されている管状部をさらに備える、請求項1に記載の自己注射用器具。
【請求項6】
前記基部が、前記フランジの少なくとも一部を受け入れ、前記長軸に沿った前記外筒の移動を抑制するスロットを画定する少なくとも1つのフランジ係合部をさらに備える、請求項1に記載の自己注射用器具。
【請求項7】
前記基部がハウジングを備え、前記自己注射用器具が、前記基部に蝶着し、前記基部に対して開放位置と閉鎖位置との間を回動可能なカバーをさらに備える、請求項6に記載の自己注射用器具。
【請求項8】
前記外筒係合部が前記ハウジングに対して移動可能であり、前記外筒係合部が前記外筒の第1の端部の少なくとも一部を受け入れるサイズに形成された開口部を有するキャップ係合部をさらに備え、前記キャップ係合部が前記肩部に近接する前記キャップの端部に係合するように位置決めされ、前記キャップ係合部が前記キャップを前記外筒から離すように前記ハウジングに対して移動可能である、請求項7に記載の自己注射用器具。
【請求項9】
前記キャップ係合部がU字形切り欠きを備える、請求項8に記載の自己注射用器具。
【請求項10】
前記ハウジングが底部と、前記底部から延びる少なくとも1つの側壁とを備え、前記カバーが前記ハウジングに前記少なくとも1つの側壁の少なくとも1つに近接して結合している、請求項7に記載の自己注射用器具。
【請求項11】
前記少なくとも1つの側壁が実質的に丸い形状を有する、請求項10に記載の自己注射用器具。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記底部から延び、前記少なくとも1つの側壁に垂直に配置されている基端面を備える、請求項10に記載の自己注射用器具。
【請求項13】
前記基端面が開口部を備え、前記外筒の少なくとも一部が前記外筒係合空隙内に配置されるとき、前記開口部を通して前記プランジャの少なくとも一部を受け入れる、請求項12に記載の自己注射用器具。
【請求項14】
前記カバーは、前記カバーが前記閉鎖位置にあるとき、前記外筒に係合する少なくとも1つの突部を有する、請求項7に記載の自己注射用器具。
【請求項15】
前記カバーが前記基部に対して前記開放位置から前記閉鎖位置に回動するとき、前記キャップ係合部が前記少なくとも1つのフランジ係合部に対して移動可能である、請求項8に記載の自己注射用器具。
【請求項16】
前記カバーが前記閉鎖位置に移動するとき、前記注射器が係合状態に維持される、請求項7に記載の自己注射用器具。
【請求項17】
前記フランジを受け入れる凹部と、前記フランジ係合部が係合するように構成された少なくとも1つの翼要素とを有するフランジアダプタをさらに備える、請求項6に記載の自己注射用器具。
【請求項18】
前記基部は、前記カバーが前記基部に対して前記開放位置から前記閉鎖位置に回動するとき、非係止位置と係止位置との間を移動可能な係止機構をさらに備え;
前記シュラウドの基端部が少なくとも1つの係止突部を備え;
前記係止機構が前記係止位置にあり、前記シュラウド部材が前記後退位置にあるとき、前記少なくとも1つの係止突部が前記係止機構に係合するように構成されている;
請求項7に記載の自己注射用器具。
【請求項19】
前記カバーが前記基部に対して前記閉鎖位置から前記開放位置の方に回動するとき、前記係止機構が前記少なくとも1つの係止突部を係脱するように前記係止位置から前記非係止位置の方に移動可能である、請求項18に記載の自己注射用器具。
【請求項20】
前記有益な薬剤がTNF阻害剤を含む、請求項1に記載の自己注射用器具。
【請求項21】
第1の端部と第2の端部とを有し、それらの間に長軸を画定する外筒と、前記第1の端部に近接する肩部と、前記外筒と流体連通し、基端部と先端部とを有し、前記外筒の第1の端部から延びる針と、前記外筒の第2の端部に近接して配置されているフランジと、前記針を覆い、一端が前記肩部に近接して配置されているキャップと、前記針を通して有益な薬剤を排出するように前記外筒内を移動可能なプランジャとを備える注射器と;
基端部と、先端部と、外筒係合部とを有する基部を備える自己注射用器具であって、前記外筒係合部は、前記針の先端部が前記基部の先端部から第1の距離延びている状態で前記外筒の少なくとも一部を受け入れるように前記基部の基端部と先端部との間に配置されている空隙を画定する自己注射用器具と;
基端部と先端部とを有するシュラウド部材であって、前記シュラウド部材の基端部が前記基部に移動可能に連結するシュラウド部材であり、前記シュラウド部材の先端部が前記基部の先端部から延出した距離である完全に延出した位置と、前記シュラウド部材の先端部が前記基部の先端部から後退した距離である完全に後退した位置との間を移動可能なシュラウド部材と;
を含み、
前記延出した距離が前記第1の距離以上であり、前記後退した距離が前記第1の距離未満であるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の対象は、治療薬などの物質を患者に注射するための自己注射用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬剤または生物剤などの治療薬の投与は、例えば、皮下注射または筋肉内注射を含み得る注射により行うことができる。針または噴出口と流体連通している治療薬を収容する注射器または他の容器などの注射装置は、注射を行うために使用者が手動で操作することができる。注射は熟練した医療従事者により行われることが多い。あるいは、自己注射用の注射装置を使用できるように患者を訓練することができる。さらに、注射器などの注射装置容器は、治療薬の汚染を防止または抑制するために、ならびに患者が容器を充填する必要がないように、患者が使用する治療薬が予め充填されていてもよい。しかし、自己注射は、一部の患者にとっては、例えば、あまり器用でないため、または針に対する恐怖感があるため、困難なことがある。
【0003】
自己注射用器具は、患者の自己注射の実施、ならびに医療提供者等による注射の実施の補助を助けることができる。自己注射用器具は、例えば、標準的なプレフィルドシリンジなどの手動注射装置の操作を補助するために使用することができる。このような器具は、例えば、標準的なプレフィルドシリンジを受け入れ、使用後は注射器を解放し、従って、患者が自己注射用器具を繰り返し使用できるように構成されてもよい。自己注射用器具は、患者が手動注射装置を操作すること、例えば、プレフィルドシリンジの針から針キャップを取り外し、患者への針の挿入を案内することを補助する幾つかの特徴を備えてもよい。様々なタイプの自己注射用器具が、例えば、実用新案登録第3,143,302号公報および特開2011−98133号公報に記載されてきたが、これらはそれぞれその内容全体が参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、既知の自己注射用器具の更なる改善が依然として必要とされている。例えば、患者が快適且つ容易に操作できると共に、針を患者の視界から隠すことができる自己注射用器具を有することが望ましいことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の対象の目的および利点は以下の説明に記載され、それから明らかになると共に、開示の対象の実施により分かるであろう。開示の対象のさらなる利点は、明細書およびその特許請求の範囲で、ならびに添付の図面から特に指摘される方法およびシステムにより実現および達成されるであろう。
【0006】
これらのおよび他の利点を達成するために、また、具体化され、概括的に説明される開示の対象の目的により、開示の対象は、注射器から有益な薬剤を注射するための自己注射用器具を含む。注射器は、外筒と、肩部と、針と、フランジと、キャップと、プランジャとを備える。外筒は第1の端部と第2の端部とを備える。肩部は第1の端部に近接している。針は外筒と流体連通しており、基端部と先端部とを備え、外筒の第1の端部から延びる。フランジは外筒の第2の端部に近接して配置されている。キャップは針を覆い、一端が肩部に近接して配置されている。プランジャは、針を通して有益な薬剤を排出するように外筒内を移動可能である。自己注射用器具は基部とシュラウド部材とを備える。基部は、基端部と、先端部と、外筒係合部とを備える。外筒係合部は長軸を有する空隙を画定し、針の先端部が基部の先端部から第1の距離延びている状態で外筒の少なくとも一部を受け入れるように、基部の基端部と先端部との間に配置されている。シュラウド部材は基端部と先端部とを備える。シュラウド部材の基端部は基部に移動可能に連結し、シュラウド部材は、シュラウド部材の先端部が基部の先端部から延出した距離である完全に延出した位置と、シュラウド部材の先端部が基部の先端部から後退した距離である完全に後退した位置との間を移動可能である。延出した距離は第1の距離以上であり、後退した距離は第1の距離未満である。
【0007】
本明細書で具体化されるように、シュラウド部材は延出位置の方に付勢されていてもよい。シュラウド部材の先端部は中に切り欠きを有する実質的に平面状の係合面を備えてもよく、またはシュラウド部材の先端部は中に貫通孔を有する実質的に平面状の係合面を備えてもよい。シュラウド部材は、シュラウド部材の基端部と先端部との間に配置されている管状部材を備えてもよい。
【0008】
例えば、本明細書で具体化されるように、基部は、フランジの少なくとも一部を受け入れ、長軸に沿った外筒の移動を抑制するスロットを画定する少なくとも1つのフランジ係合部をさらに備えてもよい。基部はハウジングを備えてもよく、幾つかの実施形態では、自己注射用器具はカバーをさらに備えてもよい。カバーは基部に蝶着されてもよく、基部に対して開放位置と閉鎖位置との間を回動可能であってもよい。外筒係合部はハウジングに対して移動可能であってもよい。外筒係合部はキャップ係合部を備えてもよい。キャップ係合部は、外筒の第1の端部の少なくとも一部を受け入れるようなサイズに形成された開口部を有してもよい。キャップ係合部は肩部に近接するキャップ端部に係合するように位置決めされてもよく、キャップを外筒から離すようにハウジングに対して移動可能であってもよい。キャップ係合部はU字形切り欠きを備えてもよい。
【0009】
さらに、本明細書で具体化されるように、ハウジングは、底部と、底部から上方に延びる少なくとも1つの側壁とを備えてもよい。カバーはハウジングに少なくとも1つの側壁の少なくとも1つに近接して結合していてもよい。少なくとも1つの側壁は実質的に丸い形状を有してもよい。基部は、底部から延び、少なくとも1つの側壁に垂直に配置されている近接面を備えてもよい。基端面は開口部を備えてもよく、外筒の少なくとも一部が外筒係合空隙内に配置されるとき、それを通してプランジャの少なくとも一部を受け入れる。
【0010】
さらに、本明細書で具体化されるように、カバーは、カバーが閉鎖位置にあるとき、外筒に係合する1つ以上の突部を有してもよい。キャップ係合部は、カバーが基部に対して開放位置から閉鎖位置に回動するとき、少なくとも1つのフランジ係合部に対して移動可能であってもよい。カバーが閉鎖位置に移動するとき、注射器を係合状態に維持することができる。自己注射用器具はフランジアダプタをさらに備えてもよい。フランジアダプタは、フランジを受け入れる凹部と、フランジ係合部に係合するように構成された少なくとも1つの翼要素とを備えてもよい。
【0011】
さらに、本明細書で具体化されるように、基部は、カバーが基部に対して開放位置から閉鎖位置に回動するとき、非係止位置と係止位置との間を移動可能な係止機構をさらに備えてもよい。シュラウドの基端部は少なくとも1つの係止突部を備えてもよい。係止突部は、係止機構が係合位置にあり、シュラウドが後退位置にあるとき、係止機構に係合するように構成されてもよい。係止機構は、カバーが基部に対して閉鎖位置から開放位置の方に回動するとき、少なくとも1つの係止突部を係脱するように、係止位置と非係止位置との間を移動可能であってもよい。あるいはカバーは、カバーが閉鎖位置にあるとき、外筒係合部とキャップ係合部との間に摩擦係合が生じるように構成されてもよい。
【0012】
さらに、本明細書で具体化されるように、有益な薬剤としてはTNF阻害剤を挙げることができる。
【0013】
さらに、具体化され、概括的に説明される開示の対象の目的により、開示の対象はキットを含む。キットは注射器と自己注射用器具とを含む。注射器は、外筒と、肩部と、針と、フランジと、キャップと、プランジャとを備える。外筒は第1の端部と第2の端部とを備え、それらの間に長軸を画定する。肩部は第1の端部に近接している。針は外筒と流体連通しており、基端部と先端部とを備え、外筒の第1の端部から延びている。フランジは外筒の第2の端部に近接して配置されている。キャップは針を覆い、一端が肩部に近接して配置されている。プランジャは、針を通して有益な薬剤を排出するように外筒内を移動可能である。自己注射用器具は基部とシュラウド部材とを備える。基部は基端部と、先端部と、外筒係合部とを備える。外筒係合部は、針の先端部が基部の先端部から第1の距離延びている状態で注射器外筒の少なくとも一部を受け入れるように基部の基端部と先端部との間に配置されている空隙を画定する。シュラウド部材は基端部と先端部とを備える。シュラウド部材の基端部は基部に移動可能に連結し、シュラウド部材は、シュラウド部材の先端部が基部の先端部から延出した距離である完全に延出した位置と、シュラウド部材の先端部が基部の先端部から後退した距離である完全に後退した位置との間を移動可能である。延出した距離は第1の距離以上であり、後退した距離は第1の距離未満である。
【0014】
前述の概説と以下の詳細な説明は両方とも例示的であり、請求する開示の対象の更なる説明を目的とすることを理解されたい。
【0015】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は開示の対象を例示的に示し、その更なる理解が得られるように記載している。図面は説明と共に、開示の対象の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】開示の対象の例示的な実施形態による自己注射用器具の斜視図である。
【
図4】
図1の自己注射用器具の右側面図であり、左側面図は右側面図の鏡像である。
【
図7】
図1の自己注射用器具の例示的なシュラウド部材の斜視図である。
【
図8】
図1の自己注射用器具の例示的なハウジングの斜視図である。
【
図9】
図1の自己注射用器具の例示的なカバーの斜視図である。
【
図10】
図1の自己注射用器具の例示的な注射器係合要素の斜視図である。
【
図11】
図1の自己注射用器具の例示的な係止機構の斜視図である。
【
図12】
図1の自己注射用器具の例示的な裏カバーの斜視図である。
【
図14】
図1の自己注射用器具の例示的なインサートの斜視図である。
【
図15】
図1の自己注射用器具の例示的なインサートの斜視図である。
【
図16】
図1の例示的な自己注射用器具の様々な構成要素の組立分解図である。
【
図17】カバーが開放位置にあり、シュラウド部材が完全に延出した位置にある、
図1の自己注射用器具の底面図である。
【
図18】カバーが閉鎖位置にあり、シュラウド部材が完全に延出した位置にある、
図1の自己注射用器具の底面図である。
【
図19】カバーが閉鎖位置にあり、シュラウド部材が完全に後退した位置にある、
図1の自己注射用器具の底面図である。
【
図20】カバーが開放位置にある、
図1の自己注射用器具の上面斜視図である。
【
図21】カバーが閉鎖位置にあり、分かり易いように点線で示されている、
図1の自己注射用器具の上面図である。
【
図22】
図1の自己注射用器具に使用される例示的な注射器の斜視図である。
【
図23】注射器を自己注射用器具に挿入する前の、カバーが開放位置にあり、分かり易いように点線で示されている
図1の自己注射用器具の斜視図である。
【
図24】カバーが開放位置にあり、分かり易いように点線で示されており、注射器が自己注射用器具に挿入されている
図1の自己注射用器具の斜視図である。
【
図25】カバーが閉鎖位置にあり、分かり易いように点線で示されており、注射器が自己注射用器具に挿入されている
図1の自己注射用器具の斜視図である。
【
図26】カバーが閉鎖位置にあり、分かり易いように点線で示されており、シュラウド部材が完全に後退した位置にある
図1の自己注射用器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示の対象の様々な例示的な実施形態について詳細に言及し、その例示的な実施形態を添付の図面に示す。開示の対象の構造および対応する操作方法は、システムの詳細な説明と関連して説明する。
【0018】
本明細書に示す装置および方法は、薬物などの様々な好適な治療薬または物質のいずれかを患者に注射するために使用することができる。本明細書で使用する場合、「自己注射用器具」または「自己注射補助具」または「器具」(本明細書では互換的に使用される)は、一般的に個人(本明細書では使用者、患者または医療提供者とも称される)が治療薬などの流体物質を投与することを補助する装置を指すものとする。幾つかの実施形態では、器具は注射器または他の注射装置を受け入れるように構成されてもよいが、それはさもなければ自己注射用器具なしで使用することができる。しかし、代替の実施形態では、注射器または他の注射装置は、自己注射用器具を使用することによってのみ機能し得る。有益な液剤としてはタンパク質を挙げることができる。幾つかの実施形態では、有益な液剤としてはアダリムマブなどのTNF阻害剤等を挙げることができる。
【0019】
本明細書に開示する注射器は、限定ではなく例示の目的で、外筒と、肩部と、針と、フランジと、キャップと、プランジャとを備えてもよい。外筒は第1の端部と第2の端部とを備える。肩部は第1の端部に近接している。針は外筒と流体連通しており、基端部と先端部とを備え、外筒の第1の端部から延びている。フランジは外筒の第2の端部に近接して配置されている。キャップは針を覆い、一端が肩部に近接して配置されている。プランジャは、針を通して有益な薬剤を排出するように外筒内を移動可能である。
【0020】
本明細書の開示の対象に従って、注射器から有益な薬剤を注射するための自己注射用器具は、一般的に基部とシュラウド部材とを備える。基部は基端部と、先端部と、外筒係合部とを備える。外筒係合部は長軸を有する空隙を画定し、針の先端部が基部の先端部から第1の距離延びている状態で、注射器外筒の少なくとも一部を受け入れるように基部の基端部と先端部との間に配置されている。シュラウド部材は基端部と先端部とを備える。シュラウド部材の基端部は基部に移動可能に連結し、シュラウド部材は、シュラウド部材の先端部が基部の先端部から延出した距離である完全に延出した位置と、シュラウド部材の先端部が基部の先端部から後退した距離である完全に後退した位置との間を移動可能である。延出した距離は第1の距離以上であり、後退した距離は第1の距離未満である。
【0021】
別個の図全体を通して同様の番号が同一の要素または機能的に類似の要素を指す添付の図は、全て開示の対象に従って、様々な実施形態をさらに例示的に示し、様々な原理および利点を説明する役割を果たす。限定ではなく説明や例示の目的で、自己注射用器具の例示的な実施形態を
図1〜25に示す。アダリムマブなどのTNF阻害剤等の皮下注射を提供するための装置の使用に関して、本開示の対象を説明するが、当業者には、開示の対象は例示的な実施形態に限定されるものではなく、自己注射用器具は、栄養剤、医薬剤、または生物剤を含む任意の好適な物質を使用者に注射するために使用できることが分かるであろう。さらに、自己注射用器具の構成要素および使用方法は、本明細書に記載するまたは示す例示的な実施形態に限定されない。
【0022】
限定ではなく例示の目的で、
図22を参照すると、開示の対象による自己注射用器具に使用される例示的な注射器10が示されている。注射器10は、第1の端部17に近接する肩部12を有する外筒11と、第1の端部17から延びる針13(例えば、
図26に示す)とを備えてもよい。キャップ15は、不注意により針が刺さることを防止または抑制するように針13を覆うことができ、端部21が肩部12に近接して配置されていてもよい。注射器10は、第2の端部18に近接する開口部を取り囲むフランジ14を備えてもよい。針13は外筒11と流体連通しており、外筒11の第1の端部17から最も近い基端部20と、そこから延びる先端部19とを備える。プランジャ16は第2の端部18に近接する開口部に挿入することができ、針13を通して有益な薬剤を排出するように外筒11内を移動可能であってもよい。
【0023】
開示の対象に従って、自己注射用器具100が提供される。
図1〜6を参照すると、例示的な自己注射用器具100は基部110とシュラウド部材120とを備える。基部110は外筒係合部112を備えてもよい。外筒係合部112は、注射器外筒11の少なくとも一部を受け入れるように、長軸x
bを有する空隙を画定する。外筒係合部112は、針13の先端部19が基部110の先端部111から第1の距離D
1延びるように、注射器外筒11を受け入れるように構成されている。
【0024】
基部110は様々な構成要素の組立体として構成されてもよい。
図8、
図10〜15は、限定ではなく例示の目的で、基部110の構成要素の例示的な実施形態を示す。あるいは、基部110は一体の材料片として構成されてもよい。基部110の構成要素は一般的にハウジング130(
図8)(これは裏カバー151(
図12〜13)とインサート152、153(それぞれ
図14〜15)とを備えてもよい)と、注射器係合要素140(
図10)と、係止機構150(
図11)とを備えてもよい。
【0025】
図8は、基部110の例示的なハウジング130を示す。本明細書で具体化されるように、ハウジング130は、底部131と、底部131から延びる少なくとも1つの側壁132、133とを備える。あるいは、ハウジング130は単一の側壁を備えても、または3つ以上の側壁もしくは側壁部を有してもよい。図示するように、側壁132、133は、人間工学を向上させる、従って、器具100を保持および/または操作するときの使用者の快適さと使い易さを向上させることができる実質的に丸い形状を有してもよい。あるいは、側壁は実質的に平面状であってもよく、または他の任意の好適な形状を有してもよい。底部131はまた、例えば、付勢部材23(例えば、
図19に示す)に係合するサイズに形成された突起として構成されてもよい、付勢係合部材135も備えてもよい。さらに、本明細書で具体化されるように、底部131は、本明細書にさらに説明するように、付勢部材24(例えば、
図19に示す)を受け入れるサイズに形成された付勢スロット137と、係止機構150を受け入れるサイズに形成された係合スロット136とを備えてもよい。
【0026】
さらに、本明細書で具体化されるように、ハウジング130は底部131から延びる基端面134を備えてもよい。基端面134はまた切り欠きまたは開口部138も備えてもよい。開口部138は、本明細書にさらに説明するように、外筒11の少なくとも一部が外筒係合空隙112内に配置されるとき、それを通してプランジャ16の少なくとも一部を受け入れるサイズに形成されてもよい。ハウジング130はまた、本明細書にさらに説明するように、カバー160を受け入れるサイズに形成された、カバー受入孔139も備える。
【0027】
幾つかの実施形態では、基部110は1つ以上のフランジ係合部152をさらに備えてもよい。例えば、フランジ係合部152は、注射器10のフランジ14の少なくとも一部を受け入れる1つ以上のスロットを画定してもよいが、これに限定されるものではない。従って、フランジ係合部152は、さらに後述するように、長軸x
bに沿った注射器外筒11の移動を制限または抑制することができる。
【0028】
ここで
図22を参照すると、限定ではなく例示の目的で、幾つかの実施形態では、自己注射用器具100はフランジアダプタ170をさらに備えてもよい。フランジアダプタ170は、注射器10のフランジ14を受け入れるサイズに形成された凹部171を備えてもよい。フランジアダプタ170はまた、凹部171、従って、注射器外筒11が外筒係合部112と実質的に位置が合うように、フランジ係合部152内に受け入れられ、それに係合するサイズに形成された少なくとも1つの翼要素172も備えてもよい。
【0029】
前述のように、基部110は外筒係合部112をさらに備える。外筒係合部112は所定の位置に固定されていてもよく、例えば、基部の残りの部分と一体になっていてもよい。あるいは、本明細書で具体化されるように、外筒係合部112は、例えば、注射器キャップの取り外しが容易になるように移動可能であってもよい。例えば、外筒係合部112は、限定ではなく例示の目的で
図10に示されている注射器係合要素140を備えてもよい。本明細書で具体化されるように、注射器係合要素140は注射器10の外筒11を受け入れるサイズに形成され、長軸x
bを画定する外筒係合空隙を備えてもよい。注射器係合要素140はまた、キャップ係合部141と、カバー係合部142、143とを備えてもよい。キャップ係合部141は、肩部12に近接する外筒11の第1の端部17の少なくとも一部を受け入れるサイズに形成された開口部を画定する、U字形または他の好適な形状を有してもよい切り欠き144を備えてもよい。
図16を参照すると、本明細書で具体化されるように、注射器係合要素140はスロット136を通して係止機構150に連結することができる。従って、注射器係合要素140は、第1の位置と第2の位置との間をスロット136に沿って長手方向に移動可能であってもよい。従って、キャップ係合部141は、本明細書でさらに検討するように、キャップ15を外筒11から離すように、長軸x
bに沿って1つ以上のフランジ係合部152に対して移動可能であってもよい。本明細書で具体化されるように、付勢スロット137内に配置されている付勢要素24(例えば、
図19に示す)は、注射器係合要素140に係合し、それを第1の位置の方に付勢する。付勢要素24は、例えば、機械ばね、または他の任意の好適な付勢要素として構成されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
ここで
図7を参照すると、限定ではなく例示の目的で、例示的なシュラウド部材120は基端部121と先端部122とを備える。シュラウド部材120は基部110に結合しており、基部110に対して、完全に延出した位置と完全に後退した位置との間を長軸x
bに沿って移動可能であってもよい。例えば、
図1、
図17および
図18に示す完全に延出した位置では、シュラウド部材120の先端部122は、基部110の先端部111から延出した距離D
2延びている。例えば、
図19に示す完全に後退した位置では、シュラウド部材120の先端部122は、基部110の先端部111から後退した距離D
3延びている。ここで具体化するように、延出した距離D
2は少なくとも第1の距離D
1以上である。後退した距離D
3は第1の距離D
1未満である。このようなものとして、例えば、本明細書で具体化されるように、シュラウド部材120が延出位置にあるとき、シュラウド120は、注射器係合部材140に係合する注射器10の針13を少なくとも部分的に覆う。従って、シュラウド部材120は不注意により針が刺さることを防止または抑制することができ、使用者の視界から針13を隠すことができる。シュラウド部材120が後退位置にあるとき、例えば、針13を注射部位に挿入することができるように、針13の先端部19は露出していてもよい。
【0031】
本明細書で具体化されるように、シュラウド部材120は延出位置の方に付勢されていてもよい。
図17〜19を参照すると、シュラウド部材120は、付勢部材23に係合する付勢係合部材(図示せず)を備えてもよい。付勢部材23は、例えば、機械ばね、または他の任意の好適な付勢要素として構成されてもよいが、これらに限定されるものではない。シュラウド部材120の先端部は実質的に平面状の係合面124を備えてもよい。係合面124は、注射中、使用者の皮膚などの注射部位に係合するようなサイズおよび形状に形成されてもよい。幾つかの実施形態では、係合面124はテクスチャ加工されたリブまたは窪みなどの1つ以上の表面特徴を備えてもよく、それにより、係合面124の近接部の摩擦を増加させることができ、従って、注射部位に沿った係合面124の望ましくない滑りを低減または防止することができる。係合面124は、注射器10の外筒11が外筒係合部112内に受け入れられるとき、針13と位置合わせされる切り欠き125を中に有してもよい。あるいは、平面状の係合面124は、切り欠き125ではなく貫通孔を有してもよい。別の代替として、シュラウド部材120は、基端部121と先端部122との間に配置されている管状部を備えてもよい。管状部は、外筒係合部112内に配置されているとき針13を取り囲み、シュラウド120が延出位置にあるとき針13を視界からさらに隠すことができる。
【0032】
図9を参照すると、自己注射用器具100はカバー160を備えてもよい。カバー160は把持部材166を備えてもよい。カバー160は、カバー160が開放位置(例えば、
図1および
図23に示す)と閉鎖位置(例えば、
図2〜6および
図25に示す)との間で回動可能となるように基部110に蝶着されていてもよい。例えば、
図1〜2に示すように、カバー160は、カバー160の1つ以上の突起165を受け入れるカバー受入孔139を介して基部に連結されてもよい。カバーは、針を視界からさらに隠すように不透明であっても、または注射器の内容物を視認できるように透明であってもよい。
【0033】
図1を参照すると、カバーはまた、カバー160が閉鎖位置にあるとき外筒11に係合し、外筒11が外筒係合部112から離れることを防止または抑制するサイズに形成された1つ以上の突部161も備えてもよい。カバー160はまた、基部係合部材162、163も備えてもよい。基部係合部材162、163は、カバー160が閉鎖位置に回動するとき、カバー係合部142、143に係合することができる。例えば、本明細書で具体化されるように、基部係合部材162、163は1つ以上の突部として構成されてもよく、カバー係合部142、143は、1つ以上の突部が係合するサイズおよび位置に形成された1つ以上の傾斜面として構成されてもよい。操作時、カバー160を閉鎖位置の方に回動させると、基部係合部材162、163はカバー係合部142、143の傾斜面に当接し、それ沿って移動する。このようなものとして、基部係合部材162、163が傾斜面に沿ってさらに移動するにつれ、基部係合部材162、163が本明細書に開示する移動可能な注射器係合要素140を長軸に沿って移動させることができる距離が大きくなり、それにより注射器係合部材140をキャップ係合部141と共に第1の位置から第2の位置に移動させる。さらに、基部係合部材162、163は係止部材164、165を備えてもよい。係止部材164、165は、カバー160が閉鎖位置にあるとき、カバー係合部142、143に当接または掛止し、カバー160を閉鎖位置に固定することができる。
【0034】
ここで
図23〜26を参照すると、限定ではなく例示の目的で、開示の対象の注射器と自己注射用器具とを含むキットに関して自己注射用器具100の操作が示され、記載されている。本明細書に開示するキットは上記で詳述した特徴の一部または全部を備えてもよいことを理解されたい。
図22に示すように、フランジアダプタ170は、存在する場合、注射器のフランジに取り付けることができる。次いで、
図23および
図24に示すように、キャップ15の端部21に係合するようにキャップ係合部141を注射器10の肩部12間に配置して、注射器10を外筒係合部112内に位置決めする。本明細書で検討するように、カバー160が開放位置から閉鎖位置に回動するとき、基部係合部材162、163はカバー係合部142、143に係合し、注射器係合部材140をキャップ係合部141と共に、第1の位置から第2の位置に移動させる。このようなものとして、
図25に示すように、カバー160が開放位置から閉鎖位置に回動し、注射器係合部材140が移動する時、キャップ係合部141は長軸x
bに沿って1つ以上のフランジ係合部152に対して移動し、キャップ15を外筒11から離す。しかし、シュラウド部材120は延出位置の方に付勢されているため、針13は視界から隠れたままとなる。
【0035】
本明細書で具体化されるように、注射器10が自己注射用器具100内にあり、カバー160が閉鎖位置に回動した状態で、使用者は自己注射用器具100を用いて注射を行うことができる。操作時、使用者は、針が注射部位の真上にあり、針がシュラウドの係合面に垂直に位置合わせされた状態で、シュラウド部材120の先端部122の平面状の係合面124が患者の皮膚上に載置されるように、自己注射用器具を所望の注射部位上に配置することができる。この位置では、シュラウド120の先端部122は基部の先端部111から延出した距離D
2延び、距離D
2は少なくとも、針13の先端部19と基部の先端部111との距離であるD
1以上である。この位置では、針はまだ患者の皮膚と接触していない。さらに、シュラウド部材120は針13を使用者の視界から隠すことができる。次いで、使用者は自己注射用器具100を押し下げて、シュラウド部材120を完全に延出した位置から完全に後退した位置に移動させることができる。完全に後退した位置では、シュラウド部材120の先端部122は、
図26に示すように、基部の先端部111から後退した距離D
3である。従って、使用者が自己注射用器具100を注射部位に押し当てる時、針13はシュラウド部材120を通過して移動し、注射部位に注射される。次いで、使用者はプランジャ16を押し下げ、針13を通して注射部位に有益な薬剤を排出することができる。
【0036】
注射後、使用者は注射部位から自己注射用器具100を引き離して、注射部位から針13を抜去することができる。自己注射用器具100を取り除く時、付勢部材23はシュラウド部材120を第1の位置または延出位置に戻すことができる。従って、器具100を使用者から引き離す時、針13は再びシュラウド部材120により隠れ、使用者の視界から隠れる。さらに、この構成により、特に、シュラウドが延出位置で針を完全に取り囲むように構成された管状部を備える場合、注射器10の使用後、不注意により針が刺さることを防ぐことができる。シュラウド部材120はまた、針13を使用者の視界から隠すこともできる。しかし、代替の実施形態では、シュラウド部材120は、後述するように、カバー160が開放されるまで第2の位置に係止された状態を維持するように構成されてもよい。
【0037】
例えば、必要に応じて、カバー160は、シュラウド部材120と基部110、例えば、外筒係合部との間に摩擦係合が生じ、カバーが開放位置に移動するまでシュラウドの移動を抑制するように構成されてもよい。
【0038】
あるいは、他の実施形態では、基端部121は係止突部126をさらに備えてもよい。係止機構150は非係合位置(注射器係合要素140が第1の位置にあるとき)と係合位置(注射器係合要素140が第2の位置にあるとき)との間を移動可能であってもよい。係止突部126は、係止機構150が係合位置にあり、シュラウド部材が後退位置にあるとき、係止機構150に係合するように構成されてもよい。係止機構150は非係合位置に移動可能であってもよく、カバー160が基部に対して閉鎖位置から開放位置に回動するとき、係止突部126を係脱するように構成されてもよい。
【0039】
使用後、把持部材166によりカバー160を開放位置の方に戻すことができる。従って、カバー160を基部110から離れるように回動させることにより、係止部材164、165をカバー係合部142、143から係脱させることができる。カバー160が開放位置の方に回動する時、注射器係合部材140は第1の位置に戻ることができる。注射器10は自己注射用器具100から取り外し、適切に処分することができる。従って、新しい注射器10を挿入することにより自己注射用器具100を再使用することができる。
【0040】
開示の対象の自己注射用器具は、対応する量または用量の様々な好適な液体物質のいずれかを注射または送達するために使用することができる。例えば、好適な液体物質としては、任意の好適な栄養剤、医薬剤、または生物剤を挙げることができる。好適な液体物質としては、タンパク質を含み得る有益な液剤を挙げることができる。幾つかの実施形態では、有益な液剤としてはアダリムマブなどのTNF阻害剤等を挙げることができる。
【0041】
自己注射用器具は、プラスチックまたは他の既知の材料を含む任意の好適な医療用デバイス材料で製造することができるが、これに限定されるものではない。装置は、任意の好適な方法、例えば、射出成形により形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
本明細書では開示の対象を特定の好ましい実施形態に関して説明するが、当業者には、その範囲から逸脱することなく、開示の対象に様々な変更および改善を行い得ることが分かるであろう。さらに、開示の対象の一実施形態の個々の特徴について本明細書で検討することがある、または一実施形態の図面に示し他の実施形態には示さないことがあるが、一実施形態の個々の特徴を別の実施形態の1つ以上の特徴または複数の実施形態の特徴と組み合わせることができることは明らかである。
【0043】
下記で請求する特定の実施形態の他に、開示の対象は、下記で請求する従属的特徴および上記で開示したものの他の任意の可能な組み合わせを有する他の実施形態にも関する。このようなものとして、開示の対象が特に他の任意の可能な組み合わせを有する他の実施形態にも関するものとして認識されるように、従属請求項に示される特定の特徴と、上記で開示した特定の特徴は開示の対象の範囲内で他の方法で互いに組み合わせることができる。従って、開示の対象の特定の実施形態の前述の説明は例証や説明の目的で示してきた。それは網羅的なものではない、即ち、開示の対象をこれらの開示された実施形態に限定するものではない。
【0044】
当業者には、開示の対象の精神または範囲から逸脱することなく、開示の対象の方法およびシステムに様々な変更および変形を行い得ることが分かるであろう。従って、開示の対象は添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物に入る変更および変形を含むものとする。
【国際調査報告】