(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本発明は、網膜炎症、より具体的には、加齢黄斑変性および網膜色素変性症の治療において使用するための予防および/または治療薬に関し、前記薬剤は、活性成分として、IL−6阻害剤、APOE阻害剤および/またはFas活性化剤から選択される。
網膜炎症の治療において使用するための予防および/または治療薬であって、前記予防および/または治療薬が、活性成分としてIL−6阻害剤を含む、予防および/または治療薬。
前記IL−6阻害剤が(i)IL−6活性のアンタゴニスト、例えばIL−6を認識する抗体、可溶性IL−6受容体もしくはIL−6翻訳の阻害剤、または(ii)IL−6受容体のアンタゴニスト、例えばIL−6Rを認識する抗体もしくはIL−6R結合ペプチドを含む、請求項1または2に記載の予防および/または治療薬。
前記予防および/または治療薬が、眼内に、好ましくは硝子体内注射により投与され、または、局所眼内投与により適用される、請求項1〜3のいずれかに記載の予防および/または治療薬。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】2ヶ月および12ヶ月齢のC57BL/6およびCx3cr1
GFP/GFPマウスの眼における、定量的RT−PCRにより測定してβ−アクチンmRNAにより標準化したApoE mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=6/群、
*Mann−WhitneyU検定(MWt) 12ヶ月 p=0.0043)。
【
図2】2ヶ月および12ヶ月齢のC57BL/6J、Cx3cr1
GFP/GFP、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−、およびApoE
−/−マウスにおける網膜下IBA−1+単核食細胞(MP)の定量結果を示すヒストグラムである(n=10〜22/群、
*12ヶ月での一元配置ANOVAボンフェローニ多重比較検定(ANOVAB)、Cx3cr1
GFP/GFP対任意の他の群、p<0.0001)。
【
図3】12ヶ月齢のC57BL/6J、Cx3cr1
GFP/GFP、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−、およびApoE
−/−マウスにおける、視神経(0μm)から離れた距離での視細胞核の列を示すグラフである(−3000μm:下極、+3000μm:上極)。
【
図4】2および12ヶ月齢C57BL/6J、Cx3cr1
GFP/GFP、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−、およびApoE
−/−マウスの視細胞核の列数の曲線下面積の定量を示すヒストグラムである(n=7〜12、
*MWt Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/− p=0.026;
*12ヶ月でのANOVAB Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−、p<0.0001)。
【
図5】対照条件において、および上層の網膜外植片のPOSと接触させて24時間培養したC57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPBMMの、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化した、ApoE mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=4/群、
*+網膜外植片(+R)群間のMWt p=0.0286)。
【
図6】対照条件において、およびCX3CL1と共に24時間培養したC57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPPEMの、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化したApoE mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=4/群、
*CX3CL1の存在下および非存在下でのMWt WT、p=0.0286;‡MWt CX3CL1群p=0.028)。
【
図7】CX3CL1に曝露されたC57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPPEMからの24時間目での同等量の上清タンパク質のウエスタンブロット分析の結果を示す写真である。
【
図8】成体脳から新たに抽出した、C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPFACSソートミクログリア細胞(MC)の、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化したApoE mRNAのレベルを示すヒストグラムである。
【
図9】CFSE
+ TPCの網膜下注射後の異なる時点でのCFSE
+F4/80
+マクロファージの定量を示すヒストグラムである(n=6、
*一元配置ANOVAダネット多重比較検定(ANOVAD) 各群対12時間群 p<0.0001)。
【
図10】Cx3cr1
GFP/GFP CFSE
+TPCの注射後24時間で調製した眼細胞浮遊液のSSC−A/CFSEおよびCD11b/F4/80でゲートを設定した分析、ならびにC57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFP TPCのC57BL/6Jへの注射後24時間での眼細胞浮遊液のサイトメトリー定量の代表的なサイトメトリー画像を示す写真である(n=16〜20/群、
*MWt p=0.0024)。
【
図11】C57BL/6J、Cx3cr1
GFP/GFP、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−、およびApoE
−/−マウス由来のCFSE
+ TPCのC57BL/6Jマウスへの網膜下注射、およびC57BL/6J CFSE
+ TPCの、APOE3を外から添加したC57BL/6Jへの網膜下注射後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値;n=8〜20/群、
*ANOVAB C57BL/6J対Cx3cr1
GFP/GFPおよびCx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/− p<0.0001;
*MWt Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFP p=0.0006;‡ANOVAD 各群対C57BL/6J p<0.0001)。
【
図12】2ヶ月および12ヶ月齢のC57BL/6およびCx3cr1
GFP/GFP網膜色素上皮/脈絡叢の、定量的RT−PCRにより測定してβ−アクチンmRNAによって標準化したFasL mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=6/群、
*12ヶ月でのMWt p=0.0129)。
【
図13】C57BL/6J CFSE
+ TPCのC57BL/6JおよびFas
gld/gldマウスへの、ならびにCx3cr1
GFP/GFPおよびFas
lpr/lpr TPCのC57BL/6Jマウスへの網膜下注射後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量を示すヒストグラムである(n=11〜20/群、
*ANOVAD 全ての群対C57BL/6J TPC注射C57BL/6Jマウスp<0.0001)。
【
図14】脂質を含まないAPOA−I(5μg/mL;8時間)、APOE3(5μg/mL;8、24時間)および熱変性APOE3(dAPOE3、5μg/mL;24時間)と共に、LPS(25ng/mL)の存在下または非存在下でインキュベートした、C57BL/6J休止期腹腔マクロファージ由来の上清のマウスIL−6 ELISAの結果を示すヒストグラムである(n=4/群、MWt:
*8時間 APOA−I/LPSおよびAPOE/LPS対LPS p=0.0284;†8時間APOA−IおよびApoE対CTL p=0.0284;#24時間APOE対CTL p=0.005;‡24時間dAPOE3対APOE3群 p=0.0022)。
【
図15】CXCL1と共に24時間培養した、C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFP、およびCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−PEMの、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化した、IL−6 mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=5/群、MWt:
*C57BL/6J対Cx3cr1
GFP/GFP p=0.0159;‡Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/− p=0.0079)。
【
図16】CXCL1と共に24時間培養した、C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFP、およびCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−PEMの上清のマウスIL−6 ELISAレベルのレベルを示すヒストグラムである(n=5/群、MWt:
*C57対Cx3cr1
GFP/GFP p=0.0159;‡Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/− p=0.0079)。
【
図17】C57BL/6JまたはCx3cr1
GFP/GFP TPCの網膜下注射後3時間での、12ヶ月齢C57BL/6J網膜色素上皮/脈絡叢の、定量的RT−PCRにより測定してβ−アクチンmRNAによって標準化したFasL mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=7〜9/群、
*12ヶ月でのMWt p=0.0129)。
【
図18】IL−6およびApoE3の網膜下注射後3時間での、12ヶ月齢C57BL/6J網膜色素上皮/脈絡叢の、定量的RT−PCRにより測定してβ−アクチンmRNAによって標準化した、FasL mRNAのレベルを示すヒストグラムである(眼内濃度の計算値、それぞれ、50μg/mLおよび10μm;n=17〜21/群、
*MWt IL−6対対照(CTL)p=0.0148)。
【
図19】C57BL/6J CFSE
+ TPCのC57BL/6Jへの、IL−6の存在下または非存在下での網膜下注射後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の、網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値50ng/mLの;n=7〜12/群、
*MWt p<0.0001)。
【
図20】対照抗体または抗IL−6抗体と共に、Cx3cr1
GFP/GFPCFSE
+ TPCを、C57BL/6Jに網膜下注射した後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値50μg/mLの;n=8〜12/群、
*MWt p=0.0036)。
【
図21】Cx3cr1
GFP/GFPCFSE
+ TPCのC57BL/6Jへの、FasアゴニストMegaFasLの存在下または非存在下での網膜下注射後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値10ng/mL;n=7〜8/群、
*MWt p=0.014)。
【
図22A】CX3CL1と共に24時間培養したC57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPPEMの、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化した、FAS mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=4/群)。
【
図22B】対照のパーセンテージとして表される、MegaFasL(10ng/mL)およびスタウロスポリンと共に24時間培養した、C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPPEMのTUNEL+定量化によるアポトーシス細胞死のレベルを示すヒストグラムである。
【
図23】24時間培養したBMM、マクロファージおよびPEMに関する、トランスジェニックヒト化APOε3、APOε2およびAPOε4の、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化した、ApoE mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=6/群、BMM
*MWt ε2対ε3 p=0.0047;常在マクロファージ
*MWt ε2対ε3 p=0.0022)。
【
図24】POSの存在下および非存在下で3日間(3d)培養したBMMに関する、トランスジェニックヒト化APOε3、APOε2およびAPOε4の、定量的RT−PCRにより測定してS26mRNAによって標準化した、ApoE mRNAのレベルを示すヒストグラムである(n=6/群、BMM
*MWt ε2対ε3 p=0.0022)。
【
図25】ヒト化APOε3、APOε2aおよびAPOε4マクロファージ由来の24時間上清のヒトAPOE ELISAの結果を示すヒストグラムである(n=6、
*MWt ε2対ε3 p=0.0041)。
【
図26】対照条件においてまたはAPOE3、APOE2、APOE4と共に24時間培養した、C57BL/6Jマクロファージの上清のマウスIL−6 ELISAの結果を示すヒストグラムである(5μg/mL、n=10〜12、
*MWt CTL対APOE3 p<0.001;‡MWt CTL対APOE2 p<0.0001)。
【
図27】APOε3、APOε2およびAPOε4マウス由来のマクロファージの上清のマウスIL−6 ELISAの結果を示すヒストグラムである(n=12/群、
*MWt ε2対ε3 p<0.0001)。
【
図28】APOε3、APOε2およびAPOε4マウス由来のCFSE染色RPCのC57BL/6Jマウスの眼への網膜下注射後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量結果を示すヒストグラムである(n=8〜12/群、
*MWtp<0.0001)。
【
図29】APOε2 CFSE
+RPC由来のCFSE染色RPCの、対照抗体または抗IL−6抗体と共に(n=16−20/群、
*MWt p=0.0024)、MegaFasLの存在下または非存在下で網膜下注射後24時間での、網膜色素上皮および網膜フラットマウント上の網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージの定量結果を示すヒストグラムである(n=7〜12/群、
*MWt p=0.015)。
【
図30】2ヶ月および12ヶ月齢のAPOε3、APOε2およびAPOε4マウスにおける網膜下IBA−1+単核食細胞の定量結果を示すヒストグラムである(n=12/群、
*ANOVAB 12ヶ月でのε2対ε3およびε4 p<0.003)。
【
図31A】12ヶ月齢APOε3、APOε2およびAPOε4マウスにおける視神経(0μm)から離れた距離の(−3000μm:下極、+3000μm:上極)視細胞核の列を示すグラフである。
【
図31B】2および12ヶ月齢APOε3、APOε2およびAPOε4マウスの視細胞核の列数の曲線下面積の定量結果を示すヒストグラムである(n=6、
*MWt 12ヶ月でのε2対ε3、p=0.016;
*ANOVAB ε2は12ヶ月でε3およびε4マウスと異なる p=0.0029)。
【
図32】表記の系統C57BL/6J(WT)、Cx3cr1
GFP/GFP、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−およびApoE
−/−の2ヶ月(左)および12ヶ月(右)齢マウスにおける網膜下IBA−1+MPの定量結果を示すヒストグラムである(n=10〜25/群 ANOVA/ダネット検定:Cx3cr1
GFP/GFP対任意の他の群
*p<0.0001;Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−のMann&Whitneyt検定
*p<0.0001)。
【
図33】C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPCSFE
+Mφの網膜下注射後の異なる時点での、CSFE
+F4/80
+Mφの定量結果を示すヒストグラムである(n=5/群(12時間)およびその後、n=6/群;Mann&Whitney t検定、
*C57BL/6J対Cx3cr1
GFP/GFP 1日 n=20/群 p<0.0001;2日 n=6/群 p=0.0317)。
【
図34】C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPマウス由来のCSFE
+磁気ビーズソート骨髄由来単球(Mo)のC57BL/6Jマウスへの網膜下注射後24時間での、RPEおよび網膜フラットマウント上の網膜下CSFE
+細胞の定量結果を示すヒストグラムである(n=8〜12/群;Mann&Whitney t検定:p=0.0006)。
【
図35】C57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPマウス由来のCSFE
+CD11bFACSソート脳MCのC57BL/6Jマウスへの網膜下注射後24時間での、RPEおよび網膜フラットマウント上の網膜下CSFE
+細胞の定量結果を示すヒストグラムである(n=9〜12/群;Mann&Whitney t検定:p=0.0087)。
【
図36】C57BL/6JCSFE+Mφの、APOE3の1、10または100μg/mLの眼内濃度計算値を外から加えたC57BL/6Jへの網膜下注射後24時間での、RPEおよび網膜フラットマウント上の網膜下CSFE+F4/80+Mφの定量結果を示すヒストグラムである(n=6〜7/群;一元配置ANOVA/ダネット検定:C57BL/6J対10μg p=0.0488;C57BL/6J対100μg p=0.006。Mann&Whitney t検定:C57BL/6J対10μg p=0.0012;C57BL/6J対100μg p=0.0013)。
【
図37】表記の系統の対照(左)および4日間光チャレンジされた(右)2ヶ月齢マウスにおける網膜下IBA−1+MPの定量結果を示すヒストグラムである(n=6〜10/群 4日間光チャレンジでのANOVA/ダネット検定:C57BL/6J対FasL
gld/gldおよびC57BL/6J対Fas
lpr/lpr両方とも
*p<0.0001;4日間光チャレンジでのMann&Whitney t検定:C57BL/6J対FasL
gld/gld*p<0.0001;C57BL/6J対Fas
lpr/lpr*p<0.0001)。
【
図38】24時間培養した表記の遺伝子型(C57BL/6J、Cx3cr1
GFP/GFP、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−およびApoE
−/−)のMoおよびMφのインビトロMegaFasL誘導アポトーシスの定量結果を示すヒストグラムである。TUNEL+定量は、非MegaFasL曝露対照のパーセンテージとして表される。
【
図39】対照培地、脂質を含まないAPOE3(5μg/mL)、APOE3(5μg/mL)およびポリミキシンB(25μg/mL)、熱変性APOE3(dAPOE3、5μg/mL)、APOE3(5μg/mL)およびラットIgG1アイソタイプ対照(IgG1、100μg/mL)、またはAPOE3(5μg/mL)およびラット抗CD14抗体(aCD14Ab、100μg/mL)中で24時間インキュベートした、C57BL/6J腹腔Mφ由来の上清のマウスIL−6 ELISAの定量結果を示すヒストグラムである(n=5〜6/群;一元配置ANOVA/ボンフェローニ多重比較検定:
*APOE3対CTL p<0.0001;#dAPOE3対APOE p<0.0001;APOE3 IgG対CTL p<0.0001;APOE3 IgG対APOE3 aCD14 Ab p<0.0001。Mann&Whitney t検定:
*APOE3対CTL p=0.0043;#dAPOE3対APOE3 p=0.0117;APOE3 IgG対CTL p=0.0080;APOE3IgG対APOE3 aCD14 Ab p=0.0117。実験を2回繰り返し、同様の結果を得た。
【
図40】対照IgG、IL−6遮断抗体またはCD14遮断抗体で処置したCx3cr1
GFP/GFPマウスの病変周囲RPE上に存在する網膜下IBA−1
+MP/照射の定量結果を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値5μg/ml;n=13〜14/群。IgG対任意の他の群の一元配置ANOVA/ダネット事後検定
*p<0.001。Mann&Whitney検定
*IgG対抗IL−6 p=0.0021;IgG対抗CD14 p=0.0028)。
【
図41】レーザー損傷後7日での、C57BL/6J(n=8眼)、Cx3cr1
GFP/GFP(n=8)、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−(n=10)およびApoE
−/−(n=10)マウスのRPE/脈絡膜フラットマウント上のCD102
+CNV面積の定量結果を示すヒストグラムである(n=8〜10/群;一元配置ANOVA/ボンフェローニCx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−*p<0.0001。Cx3cr1
GFP/GFP対Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−の独立Mann&Whitneyt検定:p<0.0001)。スケールバー=50μm。CD102染色の定量により、Cx3cr1
GFP/GFP−マウスにおける過剰CNVが確認され、CNVはCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウスにおいて著しく少ないことが示される。
【
図42】対照IgG、IL−6遮断抗体またはCD14遮断抗体で処置されたCx3cr1
GFP/GFP−マウスのRPE/脈絡膜フラットマウント上のCD102+CNV面積の定量結果を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値5μg/mL;n=8〜10眼/群。IgG対任意の他の群の一元配置ANOVA/ダネット事後検定
*p=0.0197。Mann&Whitney t検定
*IgG対抗IL−6 p<0.0001;IgG対抗CD14 p=0.015)スケールバー=50μm。CD102染色の定量により、CD14遮断抗体、およびIL−6遮断抗体で処置されたCx3cr1
GFP/GFP−マウスにおけるCNVは、対照のIgG処置Cx3cr1
GFP/GFP−マウスにおけるCNVに比べると、著しく少ないことが示される。
【
図43】1日細胞培養後の、追跡可能なヌクレオチドEdU
+核の定量結果を示すヒストグラムである。WT−およびCx3cr1
GFP/GFP−マクロファージの増殖速度は低く、互いに有意差はない。APOE3またはIL−6は増殖速度を増加させない。APOE3もIL−6もどちらも増殖速度を増加させない。
【
図44】レーザー損傷後7日でのAPOE3、APOE2およびApoE4マウスの病変周囲RPEに局在する、網膜下IBA−1+MP/照射の定量を示すヒストグラムである(n=8〜9/群、一元配置ANOVA/ボンフェローニ事後検定
*APOE3対APOE2 p=0,0004.Mann&Whitney t検定
*APOE2対APOE3 p=0.0004)。
【
図45】対照IgG、またはIL−6およびCD14遮断抗体を注射したAPOE2マウスの病変周囲RPEに局在する、網膜下IBA−1+MP/照射のレーザー損傷後7日目での定量を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値5μg/ml;n=13〜14/群。IgG対任意の他の群の一元配置ANOVA/ダネット事後検定
*p<0.001。Mann&Whitney t検定
*IgG対抗IL−6 p=0.0028;IgG対抗CD14p=0.0021)。
【
図46】APOE3、APOE2およびApoE4マウスのレーザー損傷後7日目での、CD102+CNVの定量を示すヒストグラムである(n=8〜9/群、一元配置ANOVA/ボンフェローニ事後検定
*APOE2対APOE3 p=0.0001。Mann&Whitney t検定:
*12ヶ月でのAPOE2対APOE3 p=0.0004)。
【
図47】対照IgGまたはIL−6遮断抗体およびCD14遮断抗体を注射したAPOE2マウスのレーザー損傷後7日目での、CD102+CNVの定量を示すヒストグラムである(眼内濃度計算値5μg/ml;n=13〜14/群。IgG対任意の他の群の一元配置ANOVA/ダネット事後検定
*p<0.01。Mann&Whitney t検定
*IgG対抗IL−6 p=0.0029;IgG対抗CD14 p=0.0012)。
【
図48】表記の系統の2ヶ月齢マウスの4日の光チャレンジ後の網膜下IBA−1+MPの定量を示すヒストグラムである(n=6/群 ANOVA/ボンフェローニ
*APOE3対APOE2 p=0.0007;APOE3対APOE2のMann&Whitney t検定 p=0.0022)。
【0054】
実施例
本発明をさらに下記実施例により説明する。
【0055】
材料および方法
動物
Cx3cr1
GFP/GFP、ApoE
−/−、Fas
lpr、FasL
gld、APOε2、APOε3およびAPOε4−TRマウスを購入し(Charles River Laboratories、Jackson laboratories、Taconic)、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスを作製した(Combadiere et al.,2003)。Crb1rd8突然変異が混入したマウスをC57BL/6Jマウスと戻し交配し、突然変異を排除した。全てのマウスはこのように、Crb1
rd8、Pde6b
rd1およびGnat2
cpfl3突然変異に関して陰性であった。マウスを、動物施設において、特定の病原体を含まない条件下で、12/12時間明/暗(100−500lux)サイクルで収容し、水および標準飼料を自由に与えた。全ての動物実験はその地域の動物実験倫理委員会「Comite d’ethique en experimentation animale Charles Darwin」(No.p3/2008/54)により認可された。
【0056】
ドナー試料に関するAPOE、IBA−1、CD18免疫組織化学的検査
AMDの既知の病歴を有するドナーの眼および対照を、Minnesota Lionsアイバンクを介して収集した。死後眼底写真を撮り、後眼部を4時間、4%PFA中で固定し、PBS中で輸送し、解剖し、パラフィンに包埋し、および切片を作製した(5つの対照黄斑;5つのGAドナー黄斑)。ドナーはアイバンクの倫理委員会に従ってインフォームドコンセントを提出した。再発性急性扁桃炎のために切除された5つの扁桃切除術外科的試料を、Fondation Rothschildで扁桃切除術から回復させ、その後、固定し、同じように切片を作製した。フラットマウント免疫組織化学検査のために、視認可能な萎縮領域(5眼)を有するドナーの眼、RPEフラットマウント上の視認可能な大きなドルーゼン(5眼)を有するドナーの目、および対照(3眼)を、およそ5×5mmの組織部分に切断し、液浸した試料について免疫組織化学的検査を実施した。APOE(M068−3マウス抗ヒト、パラフィン切片のクエン酸緩衝液熱抗原賦活化、MBL)、IBA−1(ウサギ−抗ヒト、ギ酸抗原賦活化、Wako Chemicals)、およびCD18(MCA503、ラット−抗ヒト、クエン酸緩衝液熱抗原賦活化、Abd Serotec)免疫組織化学分析を、FastRed基質キット(Sigma)を用いて、適切な蛍光またはアルカリ性−ホスファターゼ結合二次抗体(Molecular Probe)を使用して実施し、明らかにした。
【0057】
免疫組織化学的検査、単核食細胞定量、および組織学的検査
ヒトおよびマウス網膜色素上皮(RPE)および網膜フラットマウントならびにヒトおよびマウス切片を、既に記載されたように(Sennlaub et al., 2013)、ポリクローナルヤギ抗ヒトAPOE(Millipore)、ポリクローナルウサギ抗IBA−1(Wako)、ポリクローナルウサギ抗ラットFASL(Millipore)、モノクローナルラット抗マウスIL−6(R&DSystems)、AlexaFluor555ファロイジン(Mol probes)、およびラット抗マウスCD102(クローン3C4、BD Biosciences Pharmingen)の適切な二次抗体を使用して染色して定量し、必要であればHoechstで対比染色した。蛍光顕微鏡(DM5500、Leica)またはFV1000(Olympus)共焦点顕微鏡を用いて標本を観察した。
【0058】
マウス眼の組織学的検査および視細胞定量を、既に記載されたように実施した(Sennlaub et al., 2013)。
【0059】
細胞調製物および細胞培養
常在およびチオグリコレート誘発腹腔細胞、腹腔マクロファージ、BMM(骨髄由来単球)、脳ミクログリア細胞、およびPOS(視細胞節)の単離を、BMM、TPM(チオグリコレート誘発腹腔マクロファージ)、RPM(常在腹腔マクロファージ)、ならびにMP−およびBMM−網膜外植片共培養物(全て血清を含まないX−Vivo15培地中)として、既に記載されたように実施した(Sennlaub et al., 2013)。特定の実験では、細胞を、組換えヒトCX3CL1、APOA−I、APOE2、APOE3またはAPOE4(Leinco Technologies)、APOE(5μg/ml、Leinco Technologies)、APOE(5μg/ml)とポリミキシンB(25μg/ml、Calbiochem)、熱変性APOE(5μg/ml、95℃、90分)、ラット抗IgGアイソタイプ対照(100μg/ml、R&D)、ラット抗マウスCD14(100μg/ml、R&D)、ラット抗マウスTLR2(100μg/ml、R&D)および既に記載されたように調製されたPOS((Molday et al, 1987)により刺激した。インビトロアポトーシス実験では、異なる遺伝子型を有するMoまたはMφ100000個を、MegaFasL(AdipoGen)の存在下または非存在下で24時間培養した。TUNEL染色(In Situ Cell Death Detection Kit、Roche Diagnostics)を製造元の指示に従い実施した;TUNEL
+およびHoechst
+核を、Array Scan(Thermofischer)を用いて自動計数した。
【0060】
網膜下単核食細胞クリアランス
RPC(常在腹腔細胞)、TPC(チオグリコレート誘発腹腔細胞、70%Mφを含む)、BMM(骨髄由来単球、約95%純粋)およびミクログリア細胞(約95%純粋)を10μM CFSE(Life technologies)中で標識した。細胞を洗浄し、PBS中に浮遊させた。細胞12000個(4μl)を麻酔下の2ヶ月齢マウスの網膜下腔に、微量注入器およびガラスミクロキャピラリー(Eppendorf)を用いて注射した。眼圧の増加を回避するために、網膜下注射の前にガラスキャピラリーで穴を開け、4μlの溶液で網膜を剥離させた。網膜下注射を、眼底検査により確認した。特定の実験では、Mφ、RPCおよびTPCを、rhApoE3(Leinco Technologies)、rmIL−6、ラット抗マウスIL−6、ラット抗マウスCD14アイソタイプ対照ラットIgG1(R&D Systems)、またはMegaFasL(AdipoGen)と同時注射した。注射された4μlは眼内体積のおよそ1/10に対応することから、眼内濃度は、注射された溶液の10倍の希釈として計算した。眼を24時間後摘出し、4%PFA中で固定し、フラットマウントさせた。フラットマウントを抗F4/80抗体で二重標識してCSFE+F4/80Mφを同定し、それぞれの眼の網膜フラットマウントおよびRPE/脈絡膜フラットマウントの網膜下局面で計数した)。網膜下出血を有する眼を廃棄した。網膜下腔内の二重標識単核食細胞を、網膜色素上皮フラットマウントおよび網膜フラットマウントの網膜下面で定量した。
【0061】
フローサイトメトリー
サイトメトリーを、抗CD11bPE、抗F4/80 Pacific BlueまたはAPC、PI、アネキシンV−ビオチン、ストレプトアビジンAPC(全てAbdSerotec製)を用いて、既に記載されたように実施した(Camelo etal.,2012)。LSRIIサイトメーター(BD Biosciences)上でデータを獲得して、データを、FlowJo7.9を用いて分析した。
【0062】
ウエスタンブロット、逆転写およびリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応およびELISA
WB分析は、ポリクローナルヤギ抗ApoE(millipore)を用いて既に記載されたように(Houssier et al., 2008)実施した。Sybr Green(Life technologies)を使用するRT−PCR、ならびにヒトAPOE ELISAキット(Mabtech)およびマウスIL−6 DuoSet(R&D Systems)を使用するELISAを、既に記載されたように実施した(Sennlaub et al.,2013)。
【0063】
統計解析
Graph Pad Prism5および6(GraphPad Software)をデータ解析およびグラフ表示のために使用した。全ての値を平均±SEMとして報告する。実験設計に応じて平均値を比較するために、一元配置ANOVA分散分析、続いてボンフェローニまたはダネット事後検定(多重比較)またはMann−Whitney U検定(2群実験)により統計解析を実施した。nおよびp値を図の説明文に示す。網膜下MP注射を含む実験に関しては、予備研究により、網膜下注射に続発する重篤な出血がMPクリアランスを妨害することが明らかになり、出血を除外基準として使用した。
【0064】
フラットマウント上での末端デオキシデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)
4%PFA固定網膜フラットマウントを凍結メタノール/酢酸(2:1)中、30分間後固定して、PBS中で洗浄した。フラットマウントを、ターミナルトランスフェラーゼおよび供給緩衝液(In Situ Cell Death Detection Kit、Roche Diagnostics)と共に4℃で一晩インキュベートした。フラットマウントをその後、37℃で90分間インキュベートし、反応を、PBSで洗浄することにより停止させた。核をHoechst(Sigma−Aldrich)で対比染色した。フラットマウント画像を、DM5500顕微鏡(Leica)を用いて獲得した。
【0065】
光チャレンジおよびレーザー損傷モデル
2〜4ヶ月齢のマウスを、暗所に6時間順応させて瞳孔を散大させ、既に記載されたように、緑色LED光(2AMに開始、4500Lux、JP Vezon機器)に4日間曝露した(Sennlaubetal,2013)。レーザー凝固を、手術用顕微鏡に取り付けた532nm眼科用レーザーを用いて実施した(Vitra Laser、532nm、450mW、50msおよび250μm)。2μlのPBS、アイソタイプ対照ラットIgG1、ラット抗マウスIL−6(R&D Systems)、およびラット抗マウスCD14(BD Biosciences)の硝子体内注射を、ガラスキャピラリー(Eppendorf)および微量注入器を用いて実施した。抗体の2μl溶液を50μg/mlで注射し、これは眼内体積においてそれらがおよそ10倍希釈されたと仮定して、5μg/mlの眼内濃度に対応した。
【0066】
実施例1:網膜下単核食細胞(MP)は初期AMDにおける軟性ドルーゼン中およびその周囲でクラスター形成し、ApoEを発現する
生理的に、網膜下腔は、おそらく一部には免疫抑制性のRPEシグナルのために、有意な数のMPを含まない(Streilein et al,2002)。
【0067】
単核食細胞は、それにもかかわらず、網膜下腔内に、および萎縮型AMDの病変に隣接する網膜色素上皮細胞の頂端側に存在することが知られている。
【0068】
中期AMDを有するドナー由来の軟性ドルーゼンの網膜色素上皮/脈絡膜フラットマウントについて実施した実験により、多くのCD18+およびIBA−1
+細胞が、軟性ドルーゼン内に含まれる(網膜色素上皮によって部分的に覆われる)が、周囲の自己蛍光網膜色素上皮上の軟性ドルーゼンにも隣接して存在することが証明される(データ示さず)。網膜下IBA−1
+単核食細胞の外側Zスタック投影を用いて高倍率で調べると、さらに、単核食細胞と自己蛍光網膜色素上皮との物理的に近い接触が証明される(データ示さず)。網膜色素上皮と接触する網膜下単核食細胞は、検査した全ての軟性ドルーゼンの近傍で観察される(5眼)。網膜下単核食細胞は、軟性ドルーゼンから離れると、および健康な黄斑では非常に希である(3眼)。上層の網膜の網膜下面のAPOEおよびIBA−1二重標識(網膜色素上皮の自己蛍光によるマスキングを回避するため)により、網膜下IBA−1
+単核食細胞が、APOEがIBA−1
+高度分枝型ミクログリア細胞において観察される網膜内層の硝子体局面に比べると、APOEを強く発現することが示される。
【0069】
総合すれば、これらの結果により、網膜下単核食細胞は早期AMDにおいて存在し、ここで、それらは軟性ドルーゼン内およびその周囲でクラスターを形成することが証明される。それらは、網膜色素上皮と接触し、他の組織の炎症、例えばアテローム性動脈硬化病変におけるマクロファージと同様に、APOEを強く発現する。
【0070】
実施例2:網膜下単核食細胞(MP)は萎縮性病変および大きなドルーゼンの近傍のRPE上に蓄積する
後期AMDでは、切片に関する免疫組織化学的検研究により、萎縮型AMDの病変に隣接するRPE細胞上での網膜下MPの存在が明らかになり(Gupta et al, 2003; Sennlaub et al, 2013)、MPが網膜下新生血管膜内で見出された(Oh et al, 1999)。小さく、分散したMPは、切片上で検出することが困難であるので、MP−マーカー−IBA−1免疫組織化学的検査をこのように、健康なおよび罹患した黄斑RPE/脈絡膜フラットマウント上で実施した(IBA−1緑色蛍光、赤色および緑色チャンネルにおいてその自己蛍光のためにオレンジ色として視認可能なRPE自己蛍光)。共焦点顕微鏡法により、網膜下IBA−1
+MPは、健康な年齢をマッチさせたドナーの中心RPEでは非常に時折にしか観察されないことが確認された(データ示さず)。RPEが消失したGA患者の萎縮性病変内では、MPは多かったが、また、病変に隣接するRPEの頂端側でも一定に観察された。さらに、解剖顕微鏡下、網膜の除去後の蒼白色病変として、および共焦点顕微鏡下ドーム形突起として視認可能な大きなドルーゼン(>125μm)は、多くのIBA−1
+細胞をドルーゼン内に含むことが示されたが、隣接するRPE上にも含むことを示した(データ示さず)。上層の網膜の網膜下面の二重標識(RPE自己蛍光によるマスキングを回避するため)は、網膜下IBA−1
+MPが同様にpan−MPマーカーCD18を発現することを示した。RPEと密に接触したIBA−1
+MPは、検査した全ての大きなドルーゼンおよび萎縮域の近傍で観察された。
【0071】
これらの観察結果を共に考慮すると、AMDにおける網膜下MPの存在が確認され(Gupta et al, 2003; Penfold et al, 1985; Sennlaub et al, 2013)、大きなドルーゼンおよびRPEと接触するGA病変の周囲でのそれらの蓄積が示される。それらは健康なドナーでは非常に希である。これによりさらに、RPE媒介免疫抑制が中期AMD(大きなドルーゼン)および後期AMD(GA)において障害されることが示唆される。
【0072】
実施例3:萎縮性病変および大きなドルーゼン近傍のRPE上に蓄積された網膜下MPはAPOEを発現する
MPは、APOEを高いレベルで発現することが報告されている(Basu et al, 1982; Nakai et al, 1996; Peri & Nusslein−Volhard, 2008; Rosenfeld et al, 1993)。陽性対照として使用する、ヒト扁桃のパラフィン切片上でのPOEおよびIBA−1の免疫組織化学的検査により、IBA−1
+MPは、APOEを強く発現することができることが確認された(データ示さず)。同様に、大きなドルーゼンを有するドナーの眼の網膜フラットマウント上では、APOE染色が網膜下IBA−1
+MP中およびその周囲で観察された(データ示さず)。RPE自己蛍光によるマスキングを回避するために、網膜の網膜下面に二重標識を実施した。APOE染色を、対照および地図状萎縮病変を有するドナーの眼のパラフィン切片上で実施した。RPE自己蛍光との混同を回避するために、明視野において視認可能である基質顕色法(アルカリホスファターゼ/Fast Red)を使用した。対照の眼由来の切片では、APOEシグナルはRPEの基部に集中した(データ示さず)。GAを有するドナーの眼では、強いAPOEシグナルが、萎縮領域に隣接するRPEにおいて観察されたが、対照ほど基底面に限定されなかった。加えて、APOE免疫染色がRPEに隣接する細胞において観察された。IBA−1による二重標識により、これらの細胞は網膜下IBA−1
+MPとして同定された。APOE−抗体を省略し、同じ実験のプロトコルに従うと、有意な染色は生成されなかった。
【0073】
総合すれば、これらの結果により、RPEに加えて、AMD患者における網膜下MPは、他の炎症状況と同様にAPOEを強く発現することが示される(例えば:アテローム性動脈硬化病変(Rosenfeld et al,1993))。
【0074】
実施例4:APOEはCx3Cr1
GFP/GFPマウスにおいて網膜下MP蓄積および視細胞変性を促進する
眼において、CX3CL1は網膜内層ニューロン(Silverman et al., 2003; Zieger et al., 2014)および網膜色素上皮における膜貫通タンパク質として構成的に発現され、CX3CR1を有する網膜ミクログリア細胞(MC)に、これらの細胞を生理的条件下で静止期監視モードに維持する持続性の阻害シグナルを提供することが知られている(Combadiere et al., 2007; Ransohoff、2009)。マウスにおけるCx3cr1の欠失または欠乏により、加齢による、光チャレンジまたはレーザー損傷後(Combadiere et al, 2007; Ma et al, 2009; Raoul et al, 2008)、糖尿病における(Kezicetal,2013)、ならびにパラコート誘導網膜症モデルにおける(Chen et al, 2013)網膜下単核食細胞蓄積の強い増加が引き起こされる。Cx3cr1
GFP/GFPマウスは、ドルーゼンおよび網膜色素上皮萎縮を発症しないが、AMDに類似するRPE上での網膜下単核食細胞蓄積ならびにAMDで観察される関連する視細胞変性および過剰なCNVを示す(Combadiere et al., 2007、Sennlaub et al., 2013)。Cx3cr1
GFP/GFPマウスは、このように、AMDの根底にあるメカニズムを解読するのに役立ち得る。網膜下MP蓄積を示す12ヶ月齢Cx3cr1
GFP/GFP−マウスにおけるAPOE局在は評価された(Sennlaub et al, 2013)。
【0075】
12ヶ月齢の野生型およびCx3cr1
GFP/GFPマウスの両方の網膜切片および網膜フラットマウントの網膜下面でのAPOEの免疫組織化学的位置特定により、既に記載されるように、主にRPEおよび網膜内層におけるAPOEの局在が明らかとなる(Anderson et al, 2001)(データ示さず)。加えて、強いシグナルが、老化Cx3cr1
GFP/GFP−マウスにおける、網膜切片および網膜フラットマウントの網膜下面でRPEに並列して存在する細胞内で検出され、それらは、AMD患者と同様、IBA−1発現MPとして同定された。さらに、網膜下単核食細胞の蓄積が起こる、12ヶ月齢のCx3cr1
GFP/GFP(
図1)マウスの眼において、ApoE mRNAは有意に増加する(Sennlaub et al., 2013)。
【0076】
網膜下単核食細胞(MP)蓄積におけるAPOEの役割を評価するために、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスを分析した。12ヶ月齢のCx3cr1
GFP/GFPおよびCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスの網膜および網膜色素上皮/脈絡膜フラットマウント上での網膜下IBA−1
+単核食細胞の定量は、Cx3cr1
GFP/GFPマウスにおいて観察された有意な年齢依存性網膜下単核食細胞蓄積が(C57BL/6JおよびApoE
−/−マウスと比較して)、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスにおいてほぼ完全に阻害されたことを示した(
図2)。これらの結果により、APOEはCx3cr1
GFP/GFPマウスにおける年齢依存性網膜下単核食細胞蓄積に必須であることが示される。
【0077】
次に、12ヶ月齢C57BL/6J、ApoE
−/−、Cx3cr1
GFP/GFP、およびCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスの組織切片上の視細胞核を含む外顆粒層(ONL)を検査して、視細胞変性に及ぼすAPOE欠乏の影響を評価した。視神経から等しい距離で、ApoE
−/−マウスは、薄化したが規則正しい外顆粒層を提供し、これは既に記載されたように、全身性APOEの欠乏および全身脂質輸送障害および網膜コレステロール輸送障害に起因する(Ong et al., 2001)。興味深いことに、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスの外顆粒層はApoE
−/−マウスに類似し、Cx3cr1
−/−マウスで観察されるものと同様の炎症関連視細胞変性が起こるCx3cr1
GFP/GFPマウスよりも厚く、より規則正しい(Sennlaub et al., 2013)。視神経(0μm)からの距離が離れた視細胞核の列数(
図3)および曲線下面積の計算(
図4)により、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−マウスは、Cx3cr1
GFP/GFPマウスと比べた場合、年齢依存性視細胞の喪失に対し有意に保護され、ApoE
−/−マウスとは有意差がないことが示された。
【0078】
要約すると、上記実験により、ApoE欠失が、Cx3cr1
GFP/GFP−マウスにおいて観察される、年齢依存性視細胞変性(
図3および4)および過剰なCNV(
図41)を有意に阻害したことが証明される。APOE発現はこのように増加して、Cx3cr1欠失マウスにおける年齢依存性蓄積および炎症関連視細胞変性が起こるために必要である。
【0079】
同様に、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウスは、4日間の光チャレンジ後Cx3cr1
GFP/GFP−マウスにおいて観察された網膜下MP蓄積から有意に保護されることが見出された(
図32)。本明細書で使用される光チャレンジモデルの強度は、Cx3cr1
−/−マウスにおいて網膜下炎症を誘導するのに十分であったが、WTマウスにおいて有意な網膜下炎症も変性も引き起こさなかったことに注意すべきである(Sennlaub et al, 2013)。その上、レーザー照射後7日目に、Cx3cr1
GFP/GFP−およびCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウスにおいてCD102
+CNVに対して0〜500μmの距離のRPE上で計数された網膜下IBA−1
+MPは、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウスで有意に阻害された(データ示さず)。
【0080】
C57BL/6J(WT)マウスは近交系でありPde6b
rd1(網膜変性症1)、Crb1
rd8(網膜変性症8)、Gnat2
cpfl3(錐体視細胞機能喪失3)突然変異を、比較的一般的に有する(Changetal,2013)。これらの突然変異により、原発性網膜変性症に続発する網膜下炎症が引き起こされ得る(Luhmannetal,2012)。実施した実験では、使用した全てのマウス系統は、これらの3つの突然変異に対し、検査陰性であった。さらに、12ヶ月齢Cx3cr1
+/GFP、およびCx3cr1
+/GFP種畜のCx3cr1
GFP/GFP同腹仔における網膜下MP蓄積は、Cx3cr1
GFP/GFPマウス系統に特異的な未知の寄与遺伝子が影響するという証拠を示さなかった(データ示さず)。Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウスを、独立して購入したCx3cr1
GFP/GFPおよびApoE
−/−−マウスを用いて2回作製したところ(1回はLaboratoire Immunite et Infectionで、1回は、Institut de la Visionsw)、両方のCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウス系統の世代が、2つの場所の2つのCx3cr1
GFP/GFPマウス系統において観察された網膜下MP蓄積に対して保護された。総合すれば、これらの結果から、Cx3cr1
GFP/GFPマウスにおけるMP蓄積およびCx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−マウスにおける保護が、Cx3cr1およびApoE以外の遺伝子による可能性は極めて低い。
【0081】
要約すると、上記実験により、APOEは網膜下MPにおいて強く発現され、Cx3cr1
GFP/GFPMPにおいてより強く発現されること、ならびにApoE欠失は、Cx3cr1欠失マウスで観察される網膜下MPの加齢による、光による、およびレーザ誘起蓄積を非常に有意に阻害したことが証明される。
【0082】
実施例5:CX3CR1により制御されたApoEは網膜下単核食細胞クリアランスを調節する
Cx3cr1
GFP/GFPマウスでは、網膜下単核食細胞は、一部には単球(Mo)およびミクログリア細胞(Mc)に由来し(Sennlaub et al., 2013)、全てがCx3cr1プロモーター−制御GFPを発現する。CX3CL1/CX3CR1シグナル伝達が単核食細胞におけるAPOE発現を直接制御するかを試験するために、ならびにCx3cr1
GFP/GFPMPがそれらのAPOE発現に差があるかどうかを評価するために、上層の網膜外植片の視細胞節(POS)(CX3CL1を発現)と接触させて24時間培養したC57BL/6J(WT)およびCx3cr1
GFP/GFP−Mo(骨髄から調製)を、網膜下腔内での単核食細胞の分化条件を模倣することにより調べた。RT−PCRにより、ApoE mRNAが、上層の網膜外植片のPOSの存在下、Cx3cr1
GFP/GFP−Mo−において有意に高い速度で誘導されることが示された(
図5)。したがって、APOEおよびCX3CR1を発現するWTチオグリコレート誘発腹腔マクロファージ(TPM)のApoE mRNA転写はCX3CL1により阻害され、Cx3cr1
GFP/GFPTPMと比べると有意に低い(
図6)。
【0083】
CX3CL1に曝露されたTPM由来の同等量の上清タンパク質のウエスタンブロット分析もまた、培養マクロファージから構成的に放出され(Sather et al., 2007)、ローディングコントロールとして機能する(データ示さず)可溶性Mer受容体チロシンキナーゼと比べると、Cx3cr1
GFP/GFP試料においてAPOE分泌の増加を示す(
図7)(ApoE
−/−血清について試験したマウスAPOE ELISAキットが信頼できないことが示されたので、ウエスタンブロットを使用する)。対照と比べて有意に増加した量のApoE mRNAもまた、成体Cx3cr1
GFP/GFP脳から新たに抽出したFACSソートミクログリア細胞において観察される(
図8)。
【0084】
網膜下MPがCx3cr1
GFP/GFPマウスにおいて蓄積する理由は完全には理解されていない。理論的には、網膜下MPの数は以下により決定される:i)動員、ii)インサイチュー増殖、iii)遊走(放出)、および/またはiv)アポトーシスによるクリアランス。Cx3cr1欠失マウスにおけるMPの蓄積は、Cx3cr1
GFP/GFPMPによるCCL2の過剰発現に起因し、それによって血液からのCCR2
+Mo動員の増加を引き起こすことが示された(Sennlaub et al, 2013)。光チャレンジされたCx3cr1
GFP/GFP−マウスに追跡可能なヌクレオチドEdUを局所注射したが、網膜下MPに取り込ませることができず、インサイチュー増殖は、蓄積の重要な一因とはならないことが示唆される(Sennlaub et al, 2013の補足材料)。網膜下MPが網膜下腔から放出されるか、またはアポトーシスを受けるかを評価するために、12,000個のCFSE染色WT−およびCx3cr1
GFP/GFP−チオグリコレート誘発腹腔s細胞(70%Mφを含む)を、WTマウスの網膜下腔に養子移入させ、網膜剥離が鎮静するとすぐに(8〜12時間)、RPE−および網膜−フラットマウント上のCFSEに関して共染色したF4/80発現Mφの数を計数した。
【0085】
定量により、注射されたマクロファージは、網膜下腔から急速に排除され(
図9)、両方の遺伝子型のマクロファージのクリアランスが4日間で達成されたことが示された。眼の細胞浮遊液におけるCFSE
+F4/80
+CD11b
+マクロファージのサイトメトリー定量により、Cx3cr1
GFP/GFPマクロファージは、注射後24時間で、眼の中に、有意に多くの数で存在することが示された(
図10)。網膜色素上皮/脈絡膜および網膜フラットマウント上のCFSE
+F4/80
+マクロファージ細胞数により、網膜下腔におけるこの違いが確認された(
図11)。サイトメトリー分析におけるF4/80
+CD11b
+−MφのCFSE蛍光強度は強く、均一であり(
図10)、宿主細胞による、CFSEの取り込み(多様なCFSE強度をもたらす)、または増殖(半減したCFSE蛍光強度を有する細胞集団となる)が有意な程度に起こらなかったことが示唆された。それにもかかわらず、Cx3cr1
GFP/GFP−Mφのクリアランスは、有意に遅く、Cx3cr1
GFP/GFP−Mφは1目および2日目では有意に高い数で存続した(
図33)。網膜下腔からの放出の徴候は、WT−またはCx3cr1
GFP/GFP−Mφ注射動物において検出できなかった。というのも、CFSE
+細胞が網膜内層および脈絡膜、血液、局所リンパ節、肺、肝臓、または脾臓において、組織学的検査またはサイトメトリーにより観察されなかったからである(データ示さず)。しかしながら、多数の網膜下CFSE
+細胞の核がTUNEL
+であることが見出され、アポトーシス、例えば核濃縮および分割核の徴候を示し、アネキシン−V陽性であったが、ヨウ化プロピジウム(PI)は陰性であった。実験を実施し、観察された違いが腹腔Mφに特異的か、または他の起源のMPにより共有されるかを評価した。WTおよびCx3cr1
GFP/GFPマウス由来の、CFSE−標識、磁気ビーズソート骨髄由来Mo(約95%純粋、
図34)、およびCD11bFACSソート脳MC(約95%純粋、
図35)を、WT−マウスの網膜下腔中に養子移入させた。腹腔Mφのように、両方の起源のCx3cr1欠失MPは、注射後1日目に網膜およびRPE/脈絡膜フラットマウント上で計数した場合、数が有意に多かった。さらに、WT−およびCx3cr1
GFP/GFP−Mφはインビトロでの増殖に差異を示さず(
図43)、Cx3cr1
GFP/GFP−Mφの迅速な増殖は、養子移入実験において観察される差異の原因ではないことが示唆される。
【0086】
MP APOE発現が網膜下MPのクリアランス速度に影響するかどうかを評価するために、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−Mφを、WT−レシピエントに養子移入した。際だったことに、Cx3cr1
GFP/GFP−Mφの網膜下クリアランスに対する抵抗性の増加は、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−Mφでは完全に消失した(
図11)。さらに、、主なヒトAPOEアイソフォームである脂質を含まない外因性のAPOE3を、WT−CFSE
+−Mφに添加すると、網膜下クリアランスに対する抵抗性を増加させるのに十分であった(
図36)。
【0087】
総合すれば、これらの結果により、免疫特権部位で予測されるように、および末梢組織における炎症消散の観察(Gautier et al., 2013)に従って、特に、網膜下の免疫抑制環境の状況での白血球クリアランス(Streilein et al., 2002)に従って、網膜下マクロファージクリアランスは主にアポトーシスにより媒介されることが示される。さらに、これらの結果により、試験した全ての起源(腹腔、骨髄、および脳)のCx3cr1欠失MPは、網膜下クリアランスに対してより抵抗性を有することが示される。このクリアランスに対する抵抗性の増加はAPOE依存性であり、その局所の組換えAPOEは、網膜下腔からのWT−Mφの排除を阻害するのに十分である。
【0088】
実施例6:ApoEは、FasLを介して網膜下マクロファージ生存を制御する
CX3CL1/CX3CR1シグナル伝達は走化性におけるその役割でよく知られている。そのため、非効率的な放出がCx3cr1
GFP/GFPマウスにおける網膜下単核食細胞蓄積の原点ではないかと疑うことができる。しかしながら、本結果により、単核食細胞放出は、網膜下腔から測定可能に起こらないことが示され、これは免疫特権部位のため驚くにはあたらない。
【0089】
網膜色素上皮の免疫抑制環境の変化が網膜下Cx3cr1
GFP/GFP単核食細胞の蓄積と関連するかどうかを試験するために、FasL発現を最初にインビボで分析する。RPEは、一部にはその免疫抑制性を媒介するFasL(CD95L)を構成的に発現する(Wenkel&Streilein, 2000)。2ヶ月および12ヶ月齢のC57BL/6JおよびCx3cr1
GFP/GFPマウスの網膜色素上皮/脈絡膜抽出物について実施したRT−PCRにより、FasL mRNA発現は、若いマウスでは同等であり、Cx3cr1
+/+マウスでは年齢に伴い増加するが、網膜下APOE発現単核食細胞が蓄積する年齢をマッチさせたCx3cr1
GFP/GFPマウスでは著しく低いことが示された(
図12)。同様に、2ヶ月齢の光チャレンジした、網膜下MP蓄積を有するCx3cr1
GFP/GFPマウスは、WTと比べて有意に少ないFasL mRNAを発現した(データ示さず)。
【0090】
WTマウスおよびCx3cr1
GFP/GFPマウスの網膜切片および網膜色素上皮フラットマウント上での免疫組織化学的検査により、12ヶ月で網膜下IBA−1
+単核食細胞を有するCx3cr1
GFP/GFPマウスの網膜色素上皮におけるFasL発現の減少が確認され(データ示さず)、よって、Cx3cr1欠失MPはRPE−FasL転写を阻害することが示唆された。これは、Cx3cr1
GFP/GFP−MφをWT−マウスの網膜下腔に注射することにより確認され、これにより、RPE/脈絡膜抽出物のFasL転写は、WT−Mφを注射した眼と比べると、3時間後に著しく阻害されたことが示された(
図17)。
【0091】
FasLは、活性化単球および活性化マクロファージのアポトーシスをインビトロで誘導することが知られているが、網膜下単核食細胞のクリアランスにおけるその役割はわからないままである。FAS−FASLシグナル伝達がMPクリアランスに関与するかどうかを評価するために、網膜下MP数を、光チャレンジしたWT−、FASL−欠損−(FasL
gdl/gdl−マウス)およびFAS−欠損−(Fas
lpr/lpr−マウス)において比較した(FasL
gdl/gdl−およびFas
lpr/lpr−マウスは、年齢と共にリンパ節腫脹および全身性自己免疫疾患を発症し、12ヶ月で年齢依存性MP蓄積を評価することは困難である)。網膜およびRPE/脈絡膜−フラットマウントで網膜下IBA1
+−MPを定量すると、Cx3cr1
GFP/GFPマウスと同様に、2ヶ月齢FasL
gdl/gdl−およびFas
lpr/lpr−マウスにおいて4日間の光チャレンジにより網膜下MPの著しい増加が誘導されることが明らかになった(
図37)。
【0092】
WT CFSE
+TPCを、C57BL/6J(WT)またはFasL−欠損マウス(FasL
gld/gldマウス)に、およびFas−欠損CFSE
+ TPC(チオグリコレート誘発腹腔炎のFas
lpr−lprマウスから調製)をC57BL/6Jマウスに網膜下注射する養子移入実験により、網膜下CFSE
+F4/80
+マクロファージは、FasまたはFasL機能が障害される注射後24時間で有意に多数となり、WTレシピエントにおける24時間でのCx3cr1
GFP/GFPCFSE
+マクロファージの数と類似であることが明らかになる(
図13)。
【0093】
FASL誘導MP死に対する感受性の違いが網膜下MP蓄積におけるApoE−欠失の保護効果の一因となるかどうかを試験するために、異なるマウス系統由来の単球(Mo)およびチオグリコレート誘発Mφを、MegaFasLに曝露し、TUNEL
+細胞を24時間目にインビトロで定量した(
図38)。結果は、FASLが、インビトロでのFASL誘導アポトーシスに対してむしろ抵抗性があるMφと比べて、Moのアポトーシスをインビトロで誘導するのに十分であることを示している(Kiener et al, 1997; Park et al, 2003; Um et al, 1996)。野生型−とCx3cr1
GFP/GFP−細胞のMoまたはMφのいずれかの間で違いは観察されなかったが、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−−およびApoE
−/−−細胞の両方のMoにおいて感受性の増加傾向があり、これは、インビボで観察されるクリアランスの差に貢献するであろう。養子移入した腹腔Mφの網膜下クリアランスに及ぼすMegaFasLの効果(
図21)はインビトロでのMegaFasL誘導アポトーシスよりもはるかに強かったことから(
図38)、これらの結果はまた、FASLが、他の因子と共にインビボで作用して、網膜下腔においてMφアポトーシスを誘導することも強調する。
【0094】
これらの結果は、網膜色素上皮Fas−FasLシグナル伝達が、インビボでの網膜下マクロファージのクリアランスに関与すること、網膜下Cx3cr1
GFP/GFP−MPは、RPE FASL発現のダウンレギュレーションと関連すること、およびMegaFasLによる置換が網膜下Cx3cr1
GFP/GFP−MPのクリアランスを回復させることが示す。
【0095】
実施例7:APOEはIL−6を介して網膜下マクロファージ生存を促進する
IL−6は、リンパ球におけるFasL転写をダウンレギュレートすることが知られている。さらに、APOEおよびAPOA−Iは、TLRシグナル伝達を活性化する、またはLPS/TLR4により誘導されるIL−6誘導を阻害するそれらの能力で知られている。APOEおよびAPOA−Iはいずれも、TLR−2および−4を含むCD14依存性自然免疫受容体クラスターを、TLRリガンドの非存在下で活性化することができる(Smoak et al., 2010)。この活性化は、APOA−Iの場合、数あるサイトカインの中でも、IL−6を誘導することが示されている。本発明の結果により、APOA−IおよびApoE3は、刺激後8時間での上清のELISAにより測定される、インビトロでのマクロファージのLPS誘導IL−6分泌を著しく阻害することが確認される(
図14)。同様に、WT−腹腔−Mφを、脂質を含まない組み換え型APOE3と共に24時間インキュベートすると、IL−6が非常に有意に誘導された(
図39)。LPS阻害剤ポリミキシンBは誘導を阻害しなかったが、一方、90分間の熱変性は誘導を無効にし、APOA−Iに対して複数のアプローチを使用して示されるように、APOE3のLPS混入が、その効果の原因ではないことが確認される(Smoak et al, 2010)。中和抗体は、対照IgGと比較してこの効果を阻害したことから、APOA−Iに対して示されるように、この誘導は主にCD14およびTLR2依存性であった(
図39)。
【0096】
しかしながら、脂質を含まないAPOE3およびAPOA−Iをまた、LPSなどのTLRアゴニストの非存在下で投与すると、APOA−Iに対して既に報告されたように、マクロファージにおいて8時間でIL−6を著しく誘導する(
図14)。24時間では、IL−6分泌はAPOE3刺激マクロファージにおいてさらに増加するが、90分間の熱変性(95℃)は誘導を無効にし、APOA−Iに対して複数のアプローチを使用して示されるように、APOE3のLPS混入がその効果の原因ではないことが確認される。
【0097】
それに対応して、CX3CL1と共に24時間培養した場合、Cx3cr1
GFP/GFPTPMは、WT TPMと比較して有意に高い量のIL−6を発現して分泌する(
図15および16)。この効果は、Cx3cr1
GFP/GFPApoE
−/−TPMにおいて、RT−PCR(
図15)およびELISA(
図16)により観察されるように有意に阻害される。IL−6はインビボでは眼全体のmRNA抽出物においてRT−PCRにより検出できないが、IL−6染色は、12ヶ月齢Cx3cr1
GFP/GFPマウスおよび光チャレンジされたCx3cr1
GFP/GFPマウスでは、IBA−1
+網膜下単核食細胞において再現性良く検出される(データ示さず)。これらの結果から、外因性APOEおよびAPOEを過剰発現するCx3cr1
GFP/GFPマクロファージは増加した量のIL−6を産生することが示される。
【0098】
ApoE−IL−6分泌マクロファージが網膜色素上皮FasL発現に直接影響するかどうかを試験するために、WTおよびCx3cr1
GFP/GFP TPCをWTレシピエントに網膜下注射して、3時間後に網膜色素上皮FasL mRNA発現を網膜色素上皮/脈絡膜抽出物においてRT−PCRにより評価する。実際、Cx3cr1
GFP/GFPTPCは、WT TPCを注射した眼と比較すると、FasL転写を有意に阻害する(
図17)。
【0099】
実際、組換えIL−6の網膜下注射は、PBSと比較して、網膜色素上皮FasL転写をインビボで有意に阻害するのに十分である。対照的に、増加した網膜下マクロファージ生存を誘導するのに十分な用量で注射された、脂質を含まないAPOE3(
図18)は、マクロファージの非存在下で注射される場合、FasL発現を直接変化させない。これらの結果により、マクロファージIL−6が網膜色素上皮FasL発現を調節するが、APOEは調節しないことが示唆される。
【0100】
加えて、CFSE
+TPCに添加される組換え型IL−6は、網膜下WT CFSE
+F4/80
+マクロファージ(
図19)の数を2倍以上にし、IL−6遮断抗体は、注射後24時間で、それらの対照と比較して網膜下Cx3cr1
GFP/GFPCFSE
+F4/80
+マクロファージを有意に減少させる(
図20)。さらに、CD14−およびIL−6遮断抗体は、Cx3cr1
GFP/GFPマウスの病変周囲RPEに局在する網膜下IBA−1+MP/衝撃を減少させる(
図40)。さらに、六量体FasアゴニストMegaFasL(Greaney et al., 2006)をCx3cr1
GFP/GFPCFSE
+TPCに同時共投与すると、観察されたFasLのダウンレギュレーションを効率よく代償し(
図21)、IL−6遮断抗体と同様に、網膜下Cx3cr1
GFP/GFPCFSE
+F4/80
+マクロファージの数を有意に低減させる。インビトロで、WTおよびCx3cr1
GFP/GFPマクロファージに対して実施された、Fas RT−PCRおよびFas誘導アポトーシスは、遺伝子型によるいかなる差も明らかにせず(
図22Aおよび22B)、よって、網膜下マクロファージ生存の相違は、Cx3cr1
GFP/GFPマクロファージのFasL/Fas誘導アポトーシスに対する感受性の変化のためではないことが示される。
【0101】
CD14依存性IL−6誘導が実際、インビボでの網膜下MP蓄積に関与するかどうかを試験するために、対照IgGおよびIL−6−またはCD14−中和抗体を、レーザー損傷(これもまた網膜下腔への抗体浸透を促進する)による網膜下炎症の誘導後に、Cx3cr1
GFP/GFPマウスの硝子体に注射した。レーザー衝撃後7日目にCD102+CNVに隣接するRPE上で観察される網膜下IBA1+MPの蓄積は、関連するCNVと同様に、CD14またはIL−6が中和されると有意に阻害された(
図42)。
【0102】
要約すると、本データは、マクロファージAPOEがマクロファージIL−6発現を調節すること、IL−6により調節される網膜色素上皮FasLが、網膜下マクロファージクリアランスの重要なメディエーターであることを示す。このメカニズムは、Cx3cr1
GFP/GFPマクロファージの内在性APOEおよびWTマクロファージに外から添加されたAPOEが、網膜下腔内での単核食細胞の生存をどのように増加させるのかを説明する。このように、Cx3cr1
GFP/GFP MPは、増加した量のAPOEを発現する。APOEはMPにおいてIL−6の発現を誘導し、次にIL−6がRPEにおいてFasL転写をダウンレギュレートする。FASL発現の減少は網膜下Cx3cr1
GFP/GFP MPの生存時間の増加に関与する。
【0103】
よって、本結果はAPOEおよびIL−6がAMD発病に関与することを初めて証明する。IL−6がRPEFasL発現を抑制すること、網膜下MPの生存を延長すること、ならびに慢性網膜下炎症を促進することが示されたことを考慮すると、CD14またはIL−6阻害はこのように、RPE免疫抑制機能を再確立し、後期AMDにおける病原性炎症を阻害するのを助けることができる。
【0104】
実施例8:APOε2アレル関連ApoE分泌は網膜下マクロファージの生存および網膜変性を促進する
上記で示されるように、CX3CR1は、単核食細胞におけるAPOE転写を調節するが、APOEの転写調節は、複雑であり、転写因子と近位プロモーターおよび遠位エンハンサーとの相互作用を必要とすることが知られている。ε2/ε3/ε4アレルを規定する2つの多型、rs7412およびrs429358が、近年、APOE転写を後成的に、細胞タイプ依存的、アイソフォーム依存的およびDNAメチル化依存的に調節する、明確に定義されたCpGアイランドに埋め込まれていることが示された(Yu et al., 2013)。AMDリスクの増加を与えるAPOε2アレルは、他のアイソフォームと比較して、rs7412でCpG部位を欠如し、脳アストロサイトなどの特定の細胞タイプにおいてAPOE転写の増加を引き起こす。単核食細胞におけるその転写に及ぼすAPOEアレルの影響を評価するために、ヒトAPOEアイソフォームと同一のCpGアイランド構造を有するヒト化APOEマウスモデルを使用する。結果から、APOε2BMMおよびRPMは、2つの他のアイソフォームに比べて、24時間の細胞培養後に、有意に多くのAPOE mRNAを発現することが示される(
図23、APOε3 BMMと比較して計算)。TPMにおける発現はより変化しやすく、新たに抽出された脳MCでは有意差は検出されていない(データ示さず)。同様に、網膜下単核食細胞の分化を模倣するために、POSの存在下で3日間培養したAPOε2 BMMのRT−PCRは、APOε3およびAPOε4マウス由来のBMMと比べると、有意に多くのAPOE mRNAを発現する(
図24)。
【0105】
興味深いことに、24時間培養したBMMとは異なり、POSの非存在下で培養したBMMでは3日目に有意差は検出されず、このことは、各APOEアイソフォームに対してホモ接合のヒトドナー由来の、インビトロで14日目の単球由来マクロファージに関して既に知られている報告と類似である。APOε2 RPMはまた、抗ヒトAPOE ELISAを使用して決定されるように、他のアイソフォームと比べると、有意に多くのAPOEを分泌する(
図25)。興味深いことに、Cx3cr1欠乏およびAPOε2アレルは、同じ単核食細胞におけるAPOE転写に影響を与えず、根底にある転写制御メカニズムは別々であることが示唆される。しかしながら、Cx3cr1欠乏およびAPOε2アレルは、浸潤単球の網膜下単核食細胞分化をおそらく最もよく模倣するPOS−インキュベートBMMにおいてAPOE転写に影響する。
【0106】
APOE依存的マクロファージIL−6分泌は、網膜下マクロファージの生存が増加するための重要なメディエーターであることから、APOEアイソフォームがIL−6を同様に誘導するかどうか、およびε2/ε3/ε4アレルを有するマクロファージがインビトロでのIL−6放出に差があるかどうかを試験する。APOE−インキュベートC57BL/6J RPM由来の培地のELISA分析により、3つ全てのアイソフォームは、対照と比べるとIL−6分泌を有意に誘導するが、APOE2およびAPOE4による誘導はAPOE3より有意に劣ることが示される(
図26)。しかしながら、増加量のAPOEを分泌するAPOε2 RPMはAPOε3およびAPOε4マクロファージと比べると、有意に多くのIL−6を放出する(
図27)。
【0107】
これらの結果により、IL−6の誘導におけるAPOE2の効率の減少は、APOε2 RPMにおけるAPOE分泌の増加による代償より大きいことが示される。
【0108】
APOε2 RPMにおいて観察された、APOEおよびIL−6分泌の増加により、網膜下マクロファージクリアランスが減少するかどうかを試験するために、CFSE−標識常在腹腔細胞(RPC)を網膜下注射して、CFSE
+F4/80
+マクロファージを、網膜および網膜色素上皮フラットマウント上で24時間目に定量する。
【0109】
APOε2 RPMはAPOε3およびAPOε4マクロファージよりも有意に多く(
図28)、IL−6遮断抗体またはMegaFasLを添加すると、注射後24時間で、APOε2マクロファージの存在を有意に低減させた(
図29)。
【0110】
APOε2アレルが網膜下単核食細胞クリアランスに対するこの抵抗性をインビボで与えるかどうかを調べるために、本発明者らは12ヶ月齢のAPOε3−、APOε2−、およびAPOε4−マウスのIBA−1染色網膜および網膜色素上皮/脈絡膜フラットマウントにおける単核食細胞の蓄積を評価した。興味深いことに、網膜下IBA−1
+単核食細胞の定量は、他のアイソフォームを有するマウスに比べて、APOε2マウスにおいて有意な年齢依存性網膜下単核食細胞の蓄積を示した(
図30)。さらに、網膜下MPのこの有意な増加が、4500luxの光チャレンジ後4日目(
図48)およびレーザー熱傷による網膜下炎症の誘導後7日目(
図44)に、APOε2−マウスにおいて観察された。
【0111】
その上、12ヶ月齢のAPOε3−、APOε2−およびAPOε4−マウスの組織学的分析およびそれらのONL厚さの定量(
図31Aおよび31B)により、APOε3−およびAPOε4−マウスに比べて、12ヶ月齢APOε2マウスにおける視細胞の有意な年齢依存的喪失が明らかとなり、レーザー損傷後7日目でのAPOε2−マウスにおける炎症の増加は、RPE/フラットマウント上のCD102陽性面積として定量される、脈絡膜血管新生の増加を伴った(
図46)。
【0112】
その上、12ヶ月齢のAPOε3−、APOε2−およびAPOε4−マウスの組織学的分析およびそれらのONL厚さの定量(
図31Aおよび31B)により、APOε3−およびAPOε4−マウスに比べて、12ヶ月齢APOε2マウスにおける視細胞の有意な年齢依存的喪失が明らかとなる。
【0113】
CD14依存的IL−6誘導が実際に、インビボでの網膜下MP蓄積に関与するかどうかを試験するために、対照IgGおよびIL−6−またはCD14−中和抗体を、レーザー損傷(これもまた網膜下腔への抗体浸透を促進する)による網膜下炎症の誘導後、APOε2−マウスの硝子体に注射した。レーザー照射後7日目に、CD102+CNVに隣接するRPE上で観察された網膜下IBA1+MPの蓄積は、CD14またはIL−6を中和すると(
図45)、関連するCNVのように(
図47)、Cx3cr1
GFP/GFPマウスと同様に、有意に阻害された。
【0114】
要約すると、上記結果により、AMDリスクを与えるAPOε2アレルは、ある一定の状況下では、単核食細胞におけるAPOE転写およびIL−6分泌の増加と関連することが示される。上記実験により、APOE−過剰発現APOε2単核食細胞はIL−6およびFasL依存的に、網膜下クリアランスに対してより抵抗性であることが証明される。このように、これは、同様のメカニズムが網膜下でインビボで起こる、加齢APOε2トランスジェニックマウスにおいてインビボで観察される、網膜下単核食細胞の年齢依存的蓄積および関連する視細胞変性から推論することができる。
【0115】
まとめて考えると、上記知見は上昇したIL−6レベルとAMDとのまだ未解明の関連に対する重要な病理的機序を提供し(Klein et al., 2008)、軟性ドルーゼン内およびその周囲での網膜下単核食細胞の蓄積が、早期中期AMDで観察される重要な病巣性炎症に関与することを証明する。これらの知見により、APOEは早期AMDにおいて網膜下単核食細胞で発現され、CX3CR1の持続性阻害シグナルを欠くマウスおよびAPOε2トランスジェニックマウスにおいて増加することも証明される。上記結果により、APOEはIL−6を誘導し、IL−6は、網膜色素上皮FasL発現をダウンレギュレートし、よって、長期の網膜下単核食細胞生存、単核食細胞蓄積、およびCx3Cr1欠失マウスおよびAPOε2マウスで観察される関連する視細胞変性を可能にすることが証明される。
【0116】
上記結果によりさらに、AMDリスクを与えるAPOε2アレルは単核食細胞における増加したAPOE転写と関連すること、このメカニズムはCX3CR1シグナル伝達とは独立していることが証明される。これらの結果により、APOε2 TRおよびCx3cr1
GFP/GFPマウスにおいて観察されるAPOE過剰発現網膜下単核食細胞は排除に対してより抵抗性があることも示される。これらの結果を考慮すると、APOε2を有する患者における、軟性ドルーゼンの周りの、地図状病変に隣接する、CNVにおける、網膜色素上皮に隣接する増加した網膜下単核食細胞の蓄積は、このように、明らかにAMDの進行および後期AMDに関与すると考えられる。そのため、前記から、意外にも、過剰量のAPOEおよびIL−6の阻害、または網膜色素上皮FasL発現の回復は、早期AMDにおける網膜下炎症の制御を可能にし、後期AMDの発症を防止するという結果が得られる。
【0117】
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前記IL−6阻害剤が、(i)IL−6活性のアンタゴニスト、例えばIL−6を認識する抗体、可溶性IL−6受容体もしくはIL−6翻訳の阻害剤、または(ii)IL−6受容体のアンタゴニスト、例えばIL−6Rを認識する抗体もしくはIL−6R結合ペプチドを含む、請求項1または2に記載の使用のためのIL−6阻害剤。
前記IL−6阻害剤が、眼内に、好ましくは硝子体内注射により投与され、または、局所眼内投与により適用される、請求項1〜3のいずれかに記載の使用のためのIL−6阻害剤。
前記IL−6阻害剤が、(i)IL−6活性のアンタゴニスト、例えばIL−6を認識する抗体、可溶性IL−6受容体もしくはIL−6翻訳の阻害剤、または(ii)IL−6受容体のアンタゴニスト、例えばIL−6Rを認識する抗体もしくはIL−6R結合ペプチドを含む、請求項1または2に記載の使用のためのIL−6阻害剤。