特表2017-505324(P2017-505324A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2017-505324胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法
<>
  • 特表2017505324-胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法 図000014
  • 特表2017505324-胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法 図000015
  • 特表2017505324-胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法 図000016
  • 特表2017505324-胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法 図000017
  • 特表2017505324-胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-505324(P2017-505324A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(54)【発明の名称】胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 31/02 20060101AFI20170127BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20170127BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 47/28 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 47/48 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 59/00 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 37/40 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 37/36 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 59/08 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 41/04 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 41/02 20060101ALI20170127BHJP
   A01N 37/46 20060101ALI20170127BHJP
【FI】
   A01N31/02
   A01P1/00
   A01P3/00
   A01N25/00 101
   A01N47/28 Z
   A01N47/44
   A01N47/48
   A01N59/00 D
   A01N37/40
   A01N37/36
   A01N37/02
   A01N59/08 Z
   A01N41/04 Z
   A01N41/02
   A01N37/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-550509(P2016-550509)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月28日
(86)【国際出願番号】US2015014728
(87)【国際公開番号】WO2015120216
(87)【国際公開日】20150813
(31)【優先権主張番号】61/936,945
(32)【優先日】2014年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/067,068
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】506190555
【氏名又は名称】ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077861
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 勝三
(72)【発明者】
【氏名】ビンガム ジェームス エドマンド
(72)【発明者】
【氏名】マシンガ デービッド アール
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA03
4H011BA01
4H011BA02
4H011BB03
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC11
4H011BC14
4H011BC18
4H011DA13
4H011DF04
(57)【要約】
胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法を提供する。組成物は、C1−6アルコール少なくとも約40質量%及びタンパク質変性剤から選ばれる第1のエンハンサーを含む。殺菌性組成物は、pHが約2未満であることを特徴とする。広範な効力スペクトルが達成され、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対して相乗的活性が発揮される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の殺菌法であって、該方法は、表面を、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなる殺菌性組成物と接触させることを含んでなり、前記殺菌性組成物がpH約3未満であることを特徴とする、表面の殺菌法。
【請求項2】
皮膚の殺菌法であって、該方法は、皮膚を、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなる殺菌性組成物と接触させることを含んでなり、前記殺菌性組成物がpH約3未満であることを特徴とする、皮膚の殺菌法。
【請求項3】
細菌又は真菌の胞子の不活性化法であって、該方法は、胞子を、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなる殺菌性組成物と接触させることを含んでなり、前記殺菌性組成物がpH約3未満であることを特徴とする、細菌又は真菌の胞子の不活性化法。
【請求項4】
クロストリジウム・ディフィシレの胞子の不活性化法であって、該方法は、胞子を、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなる殺菌性組成物と接触させることを含んでなり、前記殺菌性組成物がpH約3未満であることを特徴とする、細菌又は真菌の胞子の不活性化法。
【請求項5】
1−6アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びその異性体及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項1−4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約10質量%を含んでなる、請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約15質量%を含んでなる、請求項1−6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約30質量%を含んでなる、請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約50質量%を含んでなる、請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約60質量%を含んでなる、請求項1−9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約65質量%を含んでなる、請求項1−10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約70質量%を含んでなる、請求項1−11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第1のエンハンサーが、アミン含有エンハンサー、α−アミノ酸、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれるものである、請求項1−12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
第1のエンハンサーが、アミン含有エンハンサーからなる群から選ばれるものである、請求項1−13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第1のエンハンサーが、α−アミノ酸からなる群から選ばれるものである、請求項1−14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
第1のエンハンサーが、アルカリ金属の塩及びアルカリ土類金属の塩からなる群から選ばれるものである、請求項1−15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
第1のエンハンサーが、アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれるものである、請求項1−16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
アミン含有エンハンサーが、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、グアニジン−HCl、グアニジンチオシアネート、炭酸水素アミノグアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、及びアミノグアニジン−HCl、及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項1−17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
アミン含有エンハンサーが、尿素、グアニジン−HCl、アミノグアニジン−HCl、及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項1−18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
アミン含有エンハンサーが尿素である、請求項1−19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
アミン含有エンハンサーが、アミノグアニジン−HClである、請求項1−20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
アミン含有エンハンサーが、グアニジン−HClである、請求項1−21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
第1のエンハンサーが、イオウ含有アミノ酸及びニトロ含有アミノ酸からなる群から選ばれるものである、請求項1−22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
第1のエンハンサーが、L−システイン及びメチオニンからなる群から選ばれるものである、請求項1−23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
第1のエンハンサーが、L−NG−ニトロアルギニンである、請求項1−24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
第1のエンハンサーが、塩化マグネシウム、過塩素酸リチウム、及び酢酸リチウムからなる群から選ばれるものである、請求項1−25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
第1のエンハンサーが、アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれるものである、請求項1−26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
第1のエンハンサーが、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウムからなる群から選ばれるものである、請求項1−27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
エンハンサーが、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.1−約20質量%の量で存在する、請求項1−28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
エンハンサーが、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.25−約15質量%の量で存在する、請求項1−29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
エンハンサーが、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.5−約12質量%の量で存在する、請求項1−30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
組成物のpHが約0.5−約4.5である、請求項1−31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
組成物のpHが約1−約3である、請求項1−32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
組成物のpHが約2.75未満である、請求項1−33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
組成物のpHが約2.5未満である、請求項1−34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
組成物が、さらに、非イオン性界面活性剤、補助の抗菌剤、有機酸、及び酸化剤からなる群から選ばれる第2のエンハンサーを含んでなる、請求項1−35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
組成物が、さらに、デシルグルコネート及びポリアルキル化ジメチコーンからなる群から選ばれる第2のエンハンサーを含んでなる、請求項1−36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
組成物が、さらに、クエン酸、ラウリン酸、及びタンニン酸からなる群から選ばれる第2のエンハンサーを含んでなる、請求項1−37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
組成物が、さらに、少なくとも1の補助の抗菌剤を含んでなる、請求項1−38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
組成物が、さらに、亜硝酸ナトリウムを含んでなる、請求項1−39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
表面の殺菌のための組成物であって、該組成物は、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなり、前記殺菌性組成物はpH約3未満であることを特徴とする、組成物。
【請求項42】
細菌及び真菌の胞子の不活性化のための組成物であって、該組成物は、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなり、前記殺菌性組成物はpH約3未満であることを特徴とし、アルコール又は第1のエンハンサー単独の効力と比較した、細菌及び真菌の胞子に対して相乗的に増大された効力を発揮する、組成物。
【請求項43】
クロストリジウム・ディフィシレの胞子の不活性化のための組成物であって、該組成物は、
1−6アルコール、及び
タンパク質変性剤からなる群から選ばれる第1のエンハンサー
を含んでなり、前記殺菌性組成物はpH約3未満であることを特徴とし、アルコール又は第1のエンハンサー単独の効力と比較した、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対して相乗的に増大された効力を発揮する、組成物。
【請求項44】
1−6アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びその異性体及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項41−43のいずれかに記載の組成物。
【請求項45】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約30質量%を含んでなる、請求項41−44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約50質量%を含んでなる、請求項41−45のいずれかに記載の組成物。
【請求項47】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約60質量%を含んでなる、請求項41−46のいずれかに記載の組成物。
【請求項48】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約65質量%を含んでなる、請求項41−47のいずれかに記載の組成物。
【請求項49】
殺菌性組成物が、殺菌性組成物の総質量基準で、C1−6アルコール少なくとも約70質量%を含んでなる、請求項41−48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
第1のエンハンサーが、アミン含有エンハンサー、α−アミノ酸、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、及びアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれるものである、請求項41−49のいずれかに記載の組成物。
【請求項51】
第1のエンハンサーが、アミン含有エンハンサーからなる群から選ばれるものである、請求項41−50のいずれかに記載の組成物。
【請求項52】
第1のエンハンサーが、α−アミノ酸からなる群から選ばれるものである、請求項41−51のいずれかに記載の組成物。
【請求項53】
第1のエンハンサーが、アルカリ金属の塩及びアルカリ土類金属の塩からなる群から選ばれるものである、請求項41−52のいずれかに記載の組成物。
【請求項54】
第1のエンハンサーが、アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれるものである、請求項41−53のいずれかに記載の組成物。
【請求項55】
アミン含有エンハンサーが、尿素、チオ尿素、グアニジン−HCl、グアニジンチオシアネート、炭酸水素アミノグアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、及びアミノグアニジン−HCl、及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項41−54のいずれかに記載の組成物。
【請求項56】
アミン含有エンハンサーが、尿素、グアニジン−HCl、アミノグアニジン−HCl、及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項41−55のいずれかに記載の組成物。
【請求項57】
アミン含有エンハンサーが尿素である、請求項41−56のいずれかに記載の組成物。
【請求項58】
アミン含有エンハンサーが、アミノグアニジン−HClである、請求項41−57のいずれかに記載の組成物。
【請求項59】
アミン含有エンハンサーが、グアニジン−HClである、請求項41−58のいずれかに記載の組成物。
【請求項60】
第1のエンハンサーが、イオウ含有アミノ酸、ニトロ含有アミノ酸、及びメチルグリシン二酢酸三ナトリウムからなる群から選ばれるものである、請求項41−59のいずれかに記載の組成物。
【請求項61】
第1のエンハンサーが、L−システイン及びメチオニンからなる群から選ばれるものである、請求項41−60のいずれかに記載の組成物。
【請求項62】
第1のエンハンサーが、L−NG−ニトロアルギニンである、請求項41−61のいずれかに記載の組成物。
【請求項63】
第1のエンハンサーが、塩化アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、塩化カルシウム、過塩素酸鉄、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、及びtris−HCl(trisは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオールである)からなる群から選ばれるものである、請求項41−62のいずれかに記載の組成物。
【請求項64】
第1のエンハンサーが、アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれるものである、請求項41−63のいずれかに記載の組成物。
【請求項65】
第1のエンハンサーが、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウムからなる群から選ばれるものである、請求項41−64のいずれかに記載の組成物。
【請求項66】
エンハンサーが、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.1−約20質量%の量で存在する、請求項41−65のいずれかに記載の組成物。
【請求項67】
エンハンサーが、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.25−約15質量%の量で存在する、請求項41−66のいずれかに記載の組成物。
【請求項68】
エンハンサーが、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.5−約12質量%の量で存在する、請求項41−67のいずれかに記載の組成物。
【請求項69】
組成物のpHが約0.5−約3である、請求項41−68のいずれかに記載の組成物。
【請求項70】
組成物のpHが約1−約2.75である、請求項41−69のいずれかに記載の組成物。
【請求項71】
組成物のpHが約2.5未満である、請求項41−70のいずれかに記載の組成物。
【請求項72】
組成物のpHが約2未満である、請求項41−71のいずれかに記載の組成物。
【請求項73】
組成物が、さらに、非イオン性界面活性剤、補助の抗菌剤、有機酸、及び酸化剤からなる群から選ばれる第2のエンハンサーを含んでなる、請求項41−72のいずれかに記載の組成物。
【請求項74】
組成物が、さらに、デシルグルコネート及びポリアルキル化ジメチコーンからなる群から選ばれる第2のエンハンサーを含んでなる、請求項41−73のいずれかに記載の組成物。
【請求項75】
組成物が、さらに、クエン酸、ラウリン酸、及びタンニン酸からなる群から選ばれる第2のエンハンサーを含んでなる、請求項41−74のいずれかに記載の組成物。
【請求項76】
組成物が、さらに、少なくとも1の補助の抗菌剤を含んでなる、請求項41−75のいずれかに記載の組成物。
【請求項77】
組成物が、さらに、亜硝酸ナトリウムを含んでなる、請求項41−76のいずれかに記載の組成物。
【請求項78】
アルコールが、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、及びその混合物からなる群から選ばれるものである、請求項41−77のいずれかに記載の組成物。
【請求項79】
アルコールがエタノールである、請求項41−78のいずれかに記載の組成物。
【請求項80】
アルコールがイソプロパノールである、請求項41−79のいずれかに記載の組成物。
【請求項81】
アルコールがn−プロパノールである、請求項41−80のいずれかに記載の組成物。
【請求項82】
第1のエンハンサーが、メチルグリシン二酢酸三ナトリウムである、請求項41−81のいずれかに記載の組成物。
【請求項83】
組成物のpHが約1.8未満である、請求項41−82のいずれかに記載の組成物。
【請求項84】
組成物のpHが約0.1−約2である、請求項41−83のいずれかに記載の組成物。
【請求項85】
組成物のpHが約0.5−約1.8である、請求項41−84のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2014年2月7日出願の米国仮特許出願第61/963,945号及び2014年10月22日出願の米国特許仮出願第62/067,068号の優先権を主張するものであり、これらの両方を、参照することにより、ここに組み込む。
【0002】
本発明の具体例は、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)の胞子のような胞子及び他の生物に対する効力を有する組成物及び方法を提供する。1以上のエンハンサーを含有する酸性化殺菌性組成物は、クロストリジウム・ディフィシレの胞子のような胞子に対して相乗効果を発揮し、及び真菌、細菌、及びウイルスに対する優れた効力も発揮する。
【背景技術】
【0003】
医療機関にいる患者は、しばしば、重大な感染症に遭遇する可能性がある。このような感染症は、一般に、医療関連感染症(HAIs)と呼ばれる。多くのタイプのHAIsは減退されつつあるが、細菌クロストリジウム・ディフィシレによって生ずる1つの感染症は、歴史的に高いレベルを維持している。クロストリジウム・ディフィシレは、ヒトの腸に存在する、胞子を形成するグラム陽性の嫌気性桿菌であり、大人の2−5%に存在すると考えられている。病原性のクロストリジウム・ディフィシレの菌株は多数の毒素を産生するが、これらの中で最もよく特徴付けられているものは、エンテロトキシン(クロストリジウム・ディフィシレ トキシンA)及び細胞毒素(クロストリジウム・ディフィシレ トキシンB)であり、その両方が、感染した患者において下痢及び炎症を発症される。シプロフロキサシン及びレボフリロサシンのようなフルオロキノロン系抗生物質に対して抵抗性であるクロストリジウム・ディフィシレの新しい高度に毒性の菌株の出現も報告されている。クロストリジウム・ディフィシレ感染症は、下痢及び他の腸の障害を生じ、米国において、毎年14,000人の死に関連する。
【0004】
クロストリジウム・ディフィシレの発生のコントロールは、医療機関に対して有意の挑戦を提供する。クロストリジウム・ディフィシレの胞子は、洗剤による日常的な環境の洗浄及びアルコール系ゲルによる手の衛生に対して生き残る。胞子は、長期間、表面上で生存できる。その結果、ほぼいかなる表面からも培養される。胞子は、一旦、摂取されると、その酸抵抗性によって、無傷のまま、胃を通過することが可能である、胞子は出芽し、胆汁酸に曝される際、クローンにおいて、栄養細胞に増殖する。
【0005】
各種の表面においてクロストリジウム・ディフィシレの胞子を殺すために、各種の戦略が提案されているが、成功は限られている。手の表面に関しては、漂白剤系の組成物が使用されており、クロストリジウム・ディフィシレの環境的負荷を低減することが示されているが、漂白系組成物は腐食性である。過酸化水素系の組成物も提案されており、該組成物は、過酸化水素及び過酢酸の組み合わせ、過酸化水素及び銀カチオン乾燥ミスト系の組み合わせ、及びいわゆる加速化過酸化水素(Accelerated Hydrogen Peroxide; AHP)を含む。過酸は、一般に、安定性に乏しく、腐食性を有する。過酸化水素も分解する傾向があり、濃縮溶液は高度に腐食性である。アルコール系清浄剤は、一般に、効果的であるとは言えない。実際、エタノールは、時々、クロストリジウム・ディフィシレの胞子を保存するために使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対して良好な効力を有するより安定で、より腐食性の少ない組成物についての要求がなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
細菌、真菌、ウイルス、真菌及び細菌の胞子、及び立体構造的に変性されたプリオンのような胞子及び他の病原性感染物質は、現在の清浄剤及びクレンザーに対して抵抗性である。化学的及び生物学的兵器剤は、即効性及び広範性である。ヒト及び環境に対して安全であり、化学的及び/又は生物学的兵器剤の露出後、皮膚、特に傷口を除染でき、立体構造的に変性されたプリオン、細菌、真菌、ウイルス、真菌及び細菌の胞子のような感染物質を排除するために表面を除染でき、及びクロカビの胞子で汚染された家、建物、及び
家具を除染するために使用され、及び感染性病原菌の伝染を低減できる生成物を有効かつ容易に使用したいとの持続した要求が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるディスペンサーの概略図である。
図2】後述する被験組成物に関するクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値(CFU/ml)を示すグラフである。
図3】後述する被験組成物に関するクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値(CFU/ml)を示すグラフである。
図4】後述する被験組成物に関するクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値(CFU/ml)を示すグラフである。
図5】後述する被験組成物に関するクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値(CFU/ml)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1以上の具体例において、本発明は殺菌性組成物を提供する。殺菌性組成物の物理的形状は特に制限されず、1以上の具体例では、組成物は、注加、ポンプ送給、噴霧、又はさもなければ調合される液体、ゲル、エーロゾル、又はフォーム(エーロゾル及び非−エーロゾルフォームの両方を含む)として提供される。本発明の殺菌性組成物は、硬質表面、軟質表面、非生存の(無生物の)表面、生存組織、皮膚、土壌、多孔性及び非多孔性の表面を含む広範囲の表面又は基材上で使用される。本明細書のため、用語「表面」は、皮膚を含むものとして理解されなければならない。本発明の組成物は、器具、医療器具、家具、手すり、織物のような無生物対象を殺菌又はさもなければ衛生化するために使用される。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、ワイプ、すなわち、表面を拭うためのティッシュ又はクロスとして提供される。
【0010】
殺菌性組成物は、少なくとも1のC1−6アルコール、すなわち、炭素原子1−6個を含有するアルコールを含んでなる。このようなるコールは低級アルカノールと称されこともある。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、少なくとも1のC1−4アルコールを含んでなる。低級アルカノールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びその異性体及び混合物が含まれるが、これらに限定されない。1以上の具体例では、アルコールは、エタノール、プロパノール、又はブタノール、又はその異性体又は混合物を含んでなる。1以上の具体例では、アルコールはイソプロパノールを含んでなる。他の具体例では、アルコールはエタノールを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、アルコールの混合物を含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、エタノール及びイソプロパノールの混合物を含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、ブタノールを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、エタノール及びブタノールの混合物を含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、n−ブタノール及びイソプロパノールの混合物を含んでなる。
【0011】
1以上の具体例では、殺菌性組成物は、該殺菌性組成物の総質量基準で少なくとも約40質量%のアルコールを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、該殺菌性組成物の総質量基準で、少なくとも約45質量%、他の具体例では、少なくとも約50質量%のアルコール、他の具体例では、少なくとも約55質量%を含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、少なくとも約60質量%のアルコールを含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、少なくとも約65質量%のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、殺菌性組成物は、少なくとも約70質量%のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、殺菌性組成物は、少なくとも約75質量%のアルコールを含んでなる。
【0012】
1具体例では、殺菌性組成物は、約99質量%未満のアルコールを含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、約98質量%未満のアルコールを含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、約95質量%未満のアルコールを含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、約90質量%未満のアルコールを含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、約85質量%未満のアルコールを含んでなり、他の具体例では、殺菌性組成物は、約80質量%のアルコールを含んでなる。特別な例では、特に、組成物において使用される他の成分及び/又はその量に応じて、より多い又はより少ないアルコールが要求される。
【0013】
1以上の具体例では、殺菌性組成物は、該殺菌性組成物の総質量基準で、約40−約99質量%のアルコール、他の具体例では、約45−約98質量%のアルコールを含んでなり、他の具体例では殺菌性組成物は、約50−約95質量%のアルコールを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、該殺菌性組成物の総質量基準で、約40−約90質量%のアルコール、他の具体例では、約45−約85質量%のアルコールを含んでなり、他の具体例では殺菌性組成物は、約50−約85質量%のアルコール、他の具体例では、約60−約78質量%のアルコールを含んでなり、さらに他の具体例では、殺菌性組成物は、約65−約75質量%のアルコールを含んでなる。
【0014】
上記具体例のいずれかにおいて、殺菌性組成物は、1以上のエンハンサーを含有できる。有利には、組成物は、殺菌性組成物の効力を増強する少なくとも1の第1のエンハンサーを含有する。第1のエンハンサーの例としては、タンパク質変性剤が含まれる。第1のエンハンサーの例としては、カオトロピック剤が含まれる。第1のエンハンサーの例としては、アミン含有エンハンサー、α−アミノ酸、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアニオン性界面活性剤が含まれる。
【0015】
上記具体例のいずれかにおいて、殺菌性組成物は、アミン含有エンハンサーを含有できる。アミン含有エンハンサーの例としては、尿素、チオ尿素、ジメチル尿素、グアニジン−HCl、グアニジンチオシアネート、炭酸水素アミノグアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニジン、L−NG−ニトロアルギニン、及びアミノグアニジン−HClが含まれる。上記具体例の1以上では、エンハンサーは尿素を含んでなる。上記具体例の1以上では、エンハンサーはグアニジン−HClを含んでなる。上記具体例の1以上では、エンハンサーはアミノグアニジン−HClを含んでなる。
【0016】
上記具体例のいずれかにおいて、殺菌性組成物はα−アミノ酸を含有できる。α−アミノ酸の例としては、イオウ含有アミノ酸及びニトロ含有アミノ酸が含まれる。イオウ含有アミノ酸の例としては、L−システイン及びメチオニンが含まれる。ニトロ含有アミノ酸の例としては、L−NG−ニトロアルギニンが含まれる。α−アミノ酸の例としては、α−アミノ酸キレート剤が含まれる。α−アミノ酸キレート剤の例としては、メチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩(Na3MGDA)が含まれる。Na3MGDAは、BASFから商品名Trilon Mとして市販されている。
【0017】
興味深いことには、必ずしも全てのキレート剤が第1のエンハンサーではない。例えば、アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体(Lubrizol Corporationにより、商標名CG4500として販売されており、キレート化活性を有することが知られている)は、第1のエンハンサーとしては働かない。すなわち、アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体は、pH3未満であっても、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対してアルコールの効力の相乗的な増強を発揮しない。しかし、アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体のようなキレート剤は、pH3未満において、C1−6アルコールと組み合わされる場合、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力を増強する。
【0018】
上記の具体例のいずれかにおいて、殺菌性組成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の1以上の塩を含むことができる。塩の例としては、アンモニウム、カルシウム、鉄、リチウム、マグネシウム、及びナトリウム塩が含まれる。塩の例としては、塩化アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、塩化カルシウム、過塩素酸鉄、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、及びtris−HCl(trisは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオールである)が含まれる。
【0019】
上記の具体例のいずれかにおいて、殺菌性組成物は、1以上のアニオン性界面活性剤を含むことができる。アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS:ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)としても知られている)及びラウレス硫酸ナトリウム(SLES)を含む。
【0020】
第1のエンハンサーの組み合わせも使用可能である。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、Na3MGDA及び塩化ナトリウムを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、尿素及び亜硝酸ナトリウムを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、尿素及びSDSを含んでなる。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、尿素及びSLESを含んでなる。
【0021】
有利には、酸性pHにおいてエンハンサーをアルコールと組み合わせる場合に、相乗的な殺胞子効果が観察される。特定の具体例では、独自ではクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対してわずかな効力を発揮するか、効力を持たないエンハンサーでも、本発明に従って、アルコールと組み合わせる場合に増強された効力を提供し、及び殺菌性組成物のpHが3未満の場合には、さらに増強された効力を提供する。驚くべきことには、殺菌性組成物は、胞子に対してわずかな効力を示すか又は効力を持たないが、低pHにおけるエンハンサーとアルコールとの組み合わせは、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対して相乗的に増強された効力を発揮するとの知見を得た。
【0022】
エンハンサーの量は、少なくとも効力を増大する量であれば、特に限定されない。効力を増大する量に相当するエンハンサーの最少量は、アルコールを含んでなる組成物によって達成される胞子のlog killを、アルコール及び所定の量のエンハンサーを含んでなる組成物と比較することによって決定される。それ以下ではlog killにおける差異が認められないエンハンサーの量が効力増強量である。換言すれば、エンハンサーが存在しない場合と比較して、エンハンサーが存在する場合に、低アルコール濃度において、迅速な殺胞子効力が観察される。
【0023】
殺菌性組成物の総質量基準で、1以上の具体例では、第1のエンハンサーの量は、約15質量%未満、他の具体例では、約10質量%未満、他の具体例では、約8質量%未満、他の具体例では、約5質量%未満、他の具体例では、約3質量%未満、他の具体例では、約2質量%未満、他の具体例では、約1質量%未満、他の具体例では、約0.5質量%未満である。
【0024】
殺菌性組成物の総質量基準で、1以上の具体例では、第1のエンハンサーの量は、約0.1質量%より大、他の具体例では、約0.5質量%より大、他の具体例では、約1質量%より大、他の具体例では、約2質量%より大、他の具体例では、約3質量%より大、他の具体例では、約5質量%より大、他の具体例では、約8質量%より大である。
【0025】
1の具体例では、第1のエンハンサーは、殺菌性組成物の総質量基準で約0.1−約20質量%の量で添加される。他の具体例では、エンハンサーの量は、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.25−約15質量%、及び他の具体例では、約0.5−約12質量%である。所望であれば、エンハンサーを、より大きいレベルで使用することができ、同様の性能が期待されることが理解されるであろう。第1のエンハンサーの組み合わせを使用する場合には、各第1のエンハンサーの量は低減されることが理解されるであろう。
【0026】
1以上の具体例では、殺菌性組成物のpHは、約3未満、他の具体例では、約2.75以下、他の具体例では、約2.5以下、他の具体例では、約2.3以下、他の具体例では、約2以下であり、他の具体例では、pHは1.8以下であり、他の具体例では、pHは1.6以下であり、他の具体例では、pHは1.5以下である。1以上の具体例では、殺菌性組成物のpHは、約0−約2.75である。1以上の具体例では、殺菌性組成物のpHは、約0.1−約2である。1以上の具体例では、殺菌性組成物のpHは、約0.5−約1.8である。1以上の具体例では、殺菌性組成物のpHは、約1−約1.5である。従って、殺菌性組成物は、酸性のpHを有するため、酸性化されているということができる。
【0027】
殺菌性組成物は、1以上の酸の添加によって酸性化される。酸のタイプは制限されないが、弱酸は好ましくない。酸は、pKa5.4(クエン酸のpKa)以下を有すべきである。
【0028】
有用な酸性化剤の例としては、無機酸及び有機酸が含まれる。無機酸としては、塩酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、及び硫酸が含まれるが、これらに限定されない。有機酸としては、スルホン酸、有機亜リン酸、カルボン酸(例えば、安息香酸、フタル酸、酪酸、酢酸、アミノ酸)、及び他の置換及び未置換の有機酸が含まれる。
【0029】
有機酸の例としては、アジピン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、クロロコハク酸、塩化コリン、cis−アコニット酸、シトラマル酸、クエン酸、シクロブタン1,1,3,3−テトラカルボン酸、シクロヘキサン1,2,4,5−テトラカルボン酸、シクロペンタン1,2,3,4−テトラカルボン酸、ジグリコール酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、オキソマロン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ニトリロトリ酢酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、フィチン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、テトラヒドロフラン2,3,4,5−テトラカルボン酸、トリカルバリル酸、エデト酸(Versene Acid)、3−ヒドロキシグルタル酸、2−ヒドロキシプロパン1,3−ジカルボン酸、グリセリン酸、フラン2,5−ジカルボン酸、3,4−ジヒドロキシフラン−2,5−ジカルボン酸、3,4−ジヒドロキシテトラヒドロキシフラン−2,5−ジカルボン酸、2−オキソ−グルタル酸、dl−グリセリン酸、及び2,5フランジカルボン酸が含まれる。
【0030】
特定の具体例では、殺菌性組成物を酸性化することが、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対するアルコール溶液の効力を増強するとの知見を得た。
【0031】
上記の具体例のいずれかにおいて、殺菌性組成物は、第1のエンハンサーが、低pHにおいて、アルコールとの組合せとして存在する場合に、組成物の効力をさらに増強する1以上の第2のエンハンサーを含むことができる。驚くべきことには、第2のエンハンサーは、第1のエンハンサーが存在しない限り、アルコールの効力を顕著には増強しない。1以上の具体例では、第2のエンハンサーは、第2のエンハンサーを含まない組成物に関するよりも高いpHにおいて良好な効力を保持すると利点を提供する。
【0032】
第2のエンハンサーの例としては、デシルグルコシド及びPEG-12ジメチコーンを含むポリアルコキシル化ジメチコーンのような非イオン性界面活性剤が含まれる。第2のエンハンサーの例としては、クエン酸、ラウリン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及びヨード酢酸のような有機酸も含まれる。第2のエンハンサーの例としては、補助の抗菌剤も含まれる。第2のエンハンサーの例としては、亜硝酸ナトリウムのような酸化剤も含まれる。第2のエンハンサーの例としては、糖及び糖アルコールが含まれる。第2のエンハンサーの例としては、果糖のような単糖類も含まれる。1以上の具体例では、第2のエンハンサーの例としては、グリセリンが含まれる。
【0033】
1以上の具体例では、殺菌性組成物における第2のエンハンサーの量は0である。1以上の具体例では、第2のエンハンサーの量は、殺菌性組成物の総質量基準で、約10質量%未満、他の具体例では、約8質量%未満、他の具体例では、約5質量%未満、他の具体例では、約3質量%未満、他の具体例では、約2質量%未満、他の具体例では、約1質量%未満、他の具体例では、約0.5質量%未満である。
【0034】
1以上の具体例では、第2のエンハンサーの量は、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.1質量%より大、他の具体例では、約0.5質量%より大、他の具体例では、約1質量%より大、他の具体例では、約2質量%より大、他の具体例では、約3質量%より大、他の具体例では、約5質量%より大、他の具体例では、約8質量%より大である。
【0035】
補助の抗菌剤の例としては、トリクロサン(5−クロロ−2(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(PCMX)として知られており、Ciba-Geigy Corporationから商品名IRGASAN(登録商標)で市販されている);クロロキシレノール(4−クロロ−3,5−キシレノールとして知られており、Nipa Laboratoriesから商品名NIPACIDE(登録商標)MX又はPXで市販されている);ヘキセチジン(5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチル−ヘキサヒドロピリミジンとして知られている);クロルヘキシジングルコネート及びN,N''−ビス(4−クロロフェニル)−3,12−ジイミノ−2,4,11,14−テトラアザテトラデカンジイミジアミドの塩を含むクロルヘキシジン塩;2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1;3−ジオール塩化ベンザルコニウム;塩化セチルピリジニウム;塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム;ヨウ素;フェノール、ビスフェノール、ジフェニルエーテル、フェノール誘導体;ポリビニルピロリドン−ヨウ素を含むポビドン−ヨウ素;パラベン;ジメチオール−5,5−ジメチルヒダントイン(DMDMヒダントイン又はグリダントとしても知られている)とともに、2,4−イミダゾリジンジオン及び2,4−イミダゾリジンジオンの誘導体を含むヒダントイン及びその誘導体;1−(3−クロロアリル)−3,5,6−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリドのcis−異性体(クオタニウム-15としても知られており、Dow Chemical Companyから商品名DOWCIL(登録商標)2000で市販されている);ジアソリジニル尿素;塩化ベンゼトニウム;塩化メチルベンゼトニウム;ラウリン酸グリセリル;銀、銅、マグネシウム、亜鉛化合物のような遷移金属化合物;過酸化水素;二酸化塩素;アニリド;ビスグアニジン;トロポロン;ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びデカンジオールのようなC6−10アルカンジオール;及びその混合物が含まれるが、これらに限定されない。1以上の具体例では、補助の抗菌剤の量は、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.1−約1質量%である。1以上の具体例では、補助の抗菌剤は、塩化ベンザルコニウム及びグルコン酸クロロヘキシジンから選ばれる。
【0036】
組成物は、さらに、広範な任意成分を含んでなることができるが、ただし、これらは、組成物の殺菌効力に悪影響を及ぼさないものである。「悪影響」とは、対数減少値における減少がわずかではないこと、換言すれば、クロストリジウム・ディフィシレの胞子の対数減少値が約0.5以上減少しないことを意味する。CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 11版, 2005及び2004 CTFA International Buyer's Guide(これらの両方を、参照して、ここに組み込む)は、本発明の組成物における使用に好適である、スキンケア工業において一般的に使用される各種の非限定的な化粧品及び医薬品成分を記載している。後者の引用文献の第537頁には、成分の機能的な種類の非限定的な例が記載されている。これらの機能的な種類の例としては、研磨剤、抗アクネ剤、固化防止剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤;着色剤、化粧品用収斂剤、化粧品用殺生物剤、変性剤、薬用収斂剤、乳化剤、外用鎮痛剤、膜形成剤、香り成分、保湿剤、不透明化剤、可塑剤、保存料(時には、抗菌剤とも称される)、噴射剤、還元剤、美白剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、その他(miscellaneous)、及び水分蒸発抑制剤(occlusive))、皮膚保護剤、溶媒、界面活性剤、起泡力増進剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外性吸収剤、粘着防止剤、及び増ちょう剤(水性及び非水性)が含まれる。当業者によく知られた、ここで有用な物質の他の機能的な種類の例としては、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、角質溶解剤などが含まれる。
【0037】
低pHにおけるアルコール及びエンハンサーの組み合わせは、増強された抗菌効力を発揮することが確認された。有利には、補助の抗菌剤(そのいくつかは、皮膚に対してザラザラしている)は不要である。特定の具体例では、殺菌性組成物は、補助の抗菌剤を全く含有しない。アルコール、エンハンサー及び酸の組み合わせ以外の抗菌成分は、補助の抗菌剤と称される。1以上の具体例では、補助の抗菌剤(保存料を含む)の量は、抗菌性組成物の総質量基準で、約1質量%未満、他の具体例では、約0.5質量%未満、他の具体例では、約0.25質量%未満である。1以上の具体例では、補助の抗菌剤(保存料を含む)の量は、抗菌性組成物の総質量基準で、約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満、他の具体例では、約0.01質量%未満である。他の具体例では、殺菌性組成物は補助の抗菌剤を含有しない。
【0038】
有利には、現在の殺胞子組成物にとって重要であると指摘されている特定の成分は、本発明の殺菌性組成物においては制限される。例えば、次亜塩素酸及びその前駆体は不要であり、望まれたとしても、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.5質量%未満、又は他の具体例では、約0.1質量%未満に制限される。他の具体例では、殺菌性組成物は次亜塩素酸を含有しない。
【0039】
1以上の具体例では、過酢酸のような過酸の量は制限される。制限される場合、1以上の具体例では、過酸の量は、殺菌性組成物の総質量基準で、0.125質量%未満、他の具体例では、約0.08質量%未満である。他の具体例では、殺菌性組成物は過酸を含有しない。
【0040】
1以上の具体例では、過酸化物の量は制限され、望まれたとしても、殺菌性組成物の総質量基準で、約0.5質量%未満、又は他の具体例では、約0.1質量%未満である。他の具体例では、殺菌性組成物は過酸化物を含有しない。
【0041】
実際、アルコール、エンハンサー、酸性化剤、及び任意に第2のエンハンサー以外の各成分は、抗菌効力を達成するためには不要であり、任意に、約0.5質量%未満、望まれたとして、約0.1質量%未満、望まれたとして、約0.01質量%未満、望まれたとして、約0.001質量%未満に制限される。殺菌性組成物の残余は、特定の具体例では、水又は他の好適な溶媒を含むことが理解されるであろう。1具体例では、殺菌性組成物は、アルコール、エンハンサー、酸性化剤、及び任意に水又は他の好適な溶媒以外の成分を含有しない。
【0042】
殺菌性組成物は、単に成分を混合物ことによって調製される。1具体例では、1以上の成分が固状粉末として得られる場合、殺菌性組成物は、低速−中速で撹拌しながら、固状粉末を水又はアルコール中に分散させ、ついで、所望の他の成分を添加し、混合物が均質になるまで混合することを含んでなる方法によって調製される。
【0043】
1具体例では、殺菌性組成物が液状である場合、殺菌性組成物の固形分は約6%未満、他の具体例では、約5%未満、さらに他の具体例では、約4%未満、さらに他の具体例では、約3%未満、他の具体例では、約2%未満、さらに他の具体例では、約1%未満である。固形分は、当分野で公知の各種の方法で測定される。
【0044】
有利には、本発明による殺菌性組成物は、グラム陽性及びグラム陰性の細菌、真菌、寄生体、真菌及び細菌の胞子、エンベロープ及び非エンベロープウイルス、及びプリオン(CJD、CWD、BSE、スクレイピー)の広範なスペクトルに対して効力を有するとの知見を得た。本発明の1以上の具体例は、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、及び破傷風菌(Clostridium tetani)の胞子の1以上に対して効力を発揮する。
【0045】
意外なことには、本発明に従って、低pHにおいて、エンハンサーをアルコールと組み合わせる場合、殺胞子活性は、増強、すなわち、強化される。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、クロストリジウム・ディフィシレの胞子を殺すことにおいて有効である。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、グラム陰性及びグラム陽性の細菌、真菌、寄生体、非エンベロープ及びエンベロープウイルスを殺すことにおいて有効である。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、霊菌(Serratia marcescens)のような細菌、カンジダ・カルビカンス(Candida albicans)及びクロコウジカビ(Aspergillus niger)のような真菌類、黒カビ(Stachybotrys chartarum)の胞子に対して迅速な抗菌効力を有する。1以上の具体例では、殺菌性組成物は、常在性及び過渡性の皮膚ミクロフローラを含む皮膚ミクロフローラに対して迅速な考慮を有する。
【0046】
このように、本発明は、さらに、表面において、クロストリジウム・ディフィシレの胞子のような微生物を殺す又は不活性化する方法を提供するものであり、該方法は、表面に、ここに記載する殺菌性組成物の有効量を塗布することを含んでなる。殺菌性組成物は、硬質表面、軟質表面、皮膚、非皮膚、有生、無生、多孔性、及び非多孔性の表面を含む広範囲の表面又は基材について使用される。
【0047】
他に特定しない限り、用語「対数減少値」をlog10減少と称する。1以上の具体例では、上記の方法は、約1分未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約1.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約2.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。
【0048】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約1.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約2.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、胞子に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。
【0049】
1以上の具体例では、方法は、10分以下で、無生、硬質、非多孔性の表面における胞子に対する対数減少値少なくとも約6を提供する。他の具体例では、方法は、約7分以下で、胞子に対する対数減少値少なくとも約6を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約6分以下で、胞子に対する対数減少値少なくとも約6を提供する。他の具体例では、方法は、約10分以下で、無生、硬質、非多孔性の表面におけるクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約6を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約7分以下で、無生、硬質、非多孔性の表面におけるクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約6を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約6分以下で、無生、硬質、非多孔性の表面におけるクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約6を提供する。
【0050】
1以上の具体例では、方法は、約1分未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。
【0051】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。
【0052】
1以上の具体例では、方法は、約1分未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。他の具体例では、方法は、約1分未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約1分未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。
【0053】
1以上の具体例では、方法は、約30秒未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約1.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2を提供する。他の具体例では、方法は、約30秒未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約2.5を提供する。さらに他の具体例では、方法は、約30秒未満で、皮膚上のクロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する対数減少値少なくとも約3を提供する。
【0054】
本発明の方法は、表面に殺菌性組成物を塗布する工程を含む。
【0055】
有利には、殺菌性組成物を、標準温度及び標準圧力に近い圧力において、表面に塗布する場合に、本発明の方法によって、良好な効力が達成される。1以上の具体例では、表面に塗布される際の殺菌性組成物の温度は、約66℃(150°F)未満、他の具体例では、約49℃(120°F)、及び他の具体例では、約41℃(105°F)である。1以上の具体例では、殺菌性組成物の温度は、約4−約66℃(40−150°F)の範囲、他の具体例では、約4−約41℃(40−105°F)の範囲、及び他の具体例では、約21−41℃(70−105°F)の範囲である。
【0056】
本発明の液状殺菌性組成物は、噴霧によって浄化されるべき表面に塗布されるが、高圧塗布は必要ではない。この工程の間に、殺菌性組成物は、サーキュレーティング、フラッディング、噴霧、発泡、又はフォギングによって、一気に又は連続様式で、目標表面と接触される。この工程は、抗菌処理溶液及び空気の二相の環状ミストを形成することによって実施される。
【0057】
有利には、本発明の方法は、10分以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、7分以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、6分以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、5分以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、2分以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、1分以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、30秒以内に、胞子に対する良好な効力を提供する。ここに開示する具体例のいずれかにおいて、胞子はクロストリジウム・ディフィシレの胞子を含む。有利には、本発明の方法は、5分以内に、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、2分以内に、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、1分以内に、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する良好な効力を提供する。本発明の具体例は、30秒以内に、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する良好な効力を提供する。このように、1以上の具体例では、殺菌性組成物と目標表面との接触の期間は、約20秒−約5分、他の具体例では、約25秒−約2分、及び他の具体例では、約30秒−約1分である。いくつかの具体例では、より長い接触期間が有利であり、及び1以上の具体例では、接触時間は、30分以下、他の具体例では、約60分以下であることが理解されるであろう。
【0058】
目標表面に塗布されるべき殺菌性組成物の量は特に限定されない。最少では、表面を実質的に湿潤させて、殺菌性組成物が若干蒸発することがあることに注意して、所望の接触時間の間、表面が湿潤状態を維持できるに十分な量の殺菌性組成物を塗布する。
【0059】
殺菌性組成物の量は、少なくとも、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも30−60秒の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量であれば、各塗布法について、各種の量が使用される。1以上の具体例では、殺菌性組成物の量は、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも5分の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量である。1以上の具体例では、殺菌性組成物の量は、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも6分の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量である。1以上の具体例では、殺菌性組成物の量は、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも7分の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量である。1以上の具体例では、殺菌性組成物の量は、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも10分の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量である。1以上の具体例では、殺菌性組成物の量は、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも30分の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量である。1以上の具体例では、殺菌性組成物の量は、実質的に目標表面全体と接触し、少なくとも60分の接触時間の間、目標表面を湿潤状態に維持するに有効な量である。
【0060】
1以上の具体例では、殺胞子殺菌性組成物は、2以上の液状プレ混合組成物を組み合わせることによって調製される。第1のプレ混合組成物は、第1のエンハンサーの濃縮物を含んでなり、第2のプレ混合組成物は、アルコールの濃縮物を含んでなり、従って、プレ混合組成物の組み合わせは、ここに記載するように、アルコール及び第1のエンハンサーを含んでなる殺菌性組成物を生成する。
【0061】
他の具体例では、第1のプレ混合組成物は、アルコール及び第1のエンハンサーの濃縮物を含んでなり、第2のプレ混合組成物は、希釈剤を含んでなり、従って、プレ混合組成物の組み合わせは、ここに記載するように、各濃度でアルコール及び第1のエンハンサーを含んでなる殺菌性組成物を生成する。
【0062】
プレ混合組成物は、物理的に分離されたパッケージから、又は非汚染性チャンバーを有する単一のパッケージから分配される。本明細書では、用語「デュアルディスペンサー装置」は、複数の液状成分が、複数の物理的に分離されたパッケージから分配される構造とともに、複数の液状成分が、複数の非汚染性のチャンバーを有し、各チャンバーがオリフィス(該オリフィスを通って、一定分量の成分が分配される)を有する単一のパッケージから分配される構造をいう。
【0063】
1以上の具体例では、プレ混合成分の一定量が実質的に同時に分配されて、一定量の液体が相互に混合される。特別な具体例では、一定量の液体が、各一定量の液体の相互混合を可能にする形状のオリフィスを通って分配される。ディスペンサーは、各種の形状を持つことができ、及びプレ混合成分の所望の混合及び生成物の分配を行うために各種の部品及び構造を含むことができることが理解されるであろう。
【0064】
例示的なディスペンサーの1具体例を図1に示し、一般的に、符号100で示す。ディスペンサー100は、第1の液状プレ混合成分(例えば、濃縮された第1のエンハンサープレ混合成分)を収容する第1のリザーバー102及び第2の液状プレ混合成分(例えば、アルコール希釈剤プレ混合成分)を収容する第2のリザーバーを含む。プレ混合成分の一方又は両方に、pH調節剤が存在できる。当業者にとっては明白であり、上記するように、第1及び第2のリザーバー102及び104は、相互に直結しておらず。従って、第1及び第2のプレ混合成分は、ディスペンサー内において、別々に保管される。図1では別個のリザーバーが示されているが、第1及び第2のリザーバーを、単一のパッケージ内において、物理的に別々のチャンバーとして設けることも考えられる。第1及び第2のリザーバー102及び104の各々は、それぞれ、吸込み路106及び108を介することを除き、液体の移動に対して不透過性である。
【0065】
1以上の具体例では、本発明は、殺菌性組成物を調製する方法を提供するものであり、該方法は、第1の液状プレ混合物を収容する第1のリザーバー及び第2の液状プレ混合物を収容する第2のリザーバーを有するディスペンサーを準備する工程を含んでなり、前記ディスペンサーは、一定量の第1のプレ混合物及び一定量の第2のプレ混合物を分配して、これらを相互に混合するようになっている。混合により、各一定量の第1のプレ混合物及び第2のプレ混合物は、アルコール及び第1のエンハンサーを含んでなるpH約3未満の殺菌性組成物を生成する。
【0066】
特定の具体例では、第1のポンプ110が、吸込み路106を介して第1のリザーバー102と液連通し、及び第2のポンプ112が、吸込み路108を介して第2のリザーバー104と液連通している。第1及び第2のポンプ110及び112は、当業者にとっては公知の各種のポンプであり、第1及び第2のリザーバー102及び104からの第1及び第2の液体プレ混合成分の運搬に適したものである。1以上の具体例では、ポンプ110及び112は、いずれも、容積型ポンプである。第1及び第2のポンプ110及び112は、それぞれ、送出し路114及び116を介して第1及び第2のプレ混合成分を排出する。特定の具体例では、第1及び第2のポンプ110及び112のアウトプット又は排出量は、通過する液体の流量を変動するように調節可能である。図示及び説明した例示的なディスペンサー100は第1及び第2のポンプ110及び112を含むが、唯1つのポンプを使用でき、第1及び第2のリザーバー102及び104の両方と液連通するものとすることも考えらえる。
【0067】
送出し路114及び116は、それぞれ、混合ノズル118まで伸び、ここで、第1及び第2のプレ混合成分を混合して、殺菌性組成物を生成する。混合ノズル118の特徴及び寸法は、第1及び第2のプレ混合成分の混合速度とともに、各一定量のプレ混合物の容積を変動するように調節される。混合ノズル118は分配路120を有しており、該分配路を介して、殺菌性組成物が分配される。
【0068】
特定の具体例では、第1及び第2のポンプ110及び112は、通過する第1及び第2のプレ混合成分の実質的に同じ流量が生ずるように調節される。他の具体例では、ポンプ110及び112は、異なる流量を提供するように調節され、特定の具体例では、プレ混合成分は、連続して分配される。
【0069】
特定の具体例では、第1及び第2のポンプ110及び112は、第1及び第2のプレ混合成分について、実質的に同じ一定量を選択するように調節される。他の具体例では、第1及び第2のポンプ110及び112は、異なった一定量を提供するように調節される。
【0070】
1以上の具体例では、第1及び第2のポンプ110及び112は、駆動される際、単一用量の組成物を分配するように適用される。同じ又は他の具体例では、第1及び第2のポンプ110及び112は、駆動される際、殺菌性組成物の連続流を生ずるように適用される。
【0071】
1以上の具体例では、第1のプレ混合物は、本発明の濃縮形の組成を含み、第2のプレ混合物は、希釈剤を含み、これにより、分配される際、組み合わせることによって、ここに教示した量の成分を含む組成物が形成される。
【0072】
有利には、本発明の具体例は、ヒト及び環境に対して安全であり、皮膚、及び特に傷口を除染できる生成物の容易な使用を提供する。化学的及び/又は生物学的兵器剤の曝露を受けて、本発明の具体例は、このような剤を含有及び/又は破壊でき、皮膚からの浸透及びさらに汚染を防止できる。本発明の具体例は、構造的に変性されたプリオン、細菌、真菌、ウイルス、及び真菌及び細菌の胞子のような感染性の剤を排除するために表面を除染でき、黒カビの胞子で汚染された家、建築物、及び家具を除染するために使用される。本発明の具体例は感染性病原体の移動を低減できる。
【0073】
本発明の実施を示すために、下記の実施例を調製し、試験した。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとして検討されてはならない。発明を限定するためには、特許請求の範囲が機能する。
【実施例】
【0074】
実施例1は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0075】
実施例2は、5質量%尿素水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0076】
実施例3は、70質量%エタノール及び5質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0077】
実施例4は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0078】
実施例5は、5質量%尿素水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0079】
実施例6は、70質量%エタノール及び5質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0080】
ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプルを試験した。
【0081】
接触時間は30秒である。温度は室温である。結果を表1及び図2に示す。
【表1】
【0082】
上記の如くして、ただし、pHを調節するために使用する酸の種類を変更してサンプルを調製し、試験する場合にも、同様の結果が達成された。塩酸の代わりに、硝酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、及び過塩素酸を試したが、いずれも同様の結果を示した。
【0083】
実施例7は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0084】
実施例8は、5質量%アミノグアニジン−HCl水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0085】
実施例9は、70質量%エタノール及び2質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0086】
実施例10は、70質量%エタノール及び5質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約2としている。
【0087】
実施例11は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0088】
実施例12は、5質量%アミノグアニジン−HCl水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0089】
実施例13は、70質量%エタノール及び5質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0090】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル7−13を試験した。接触時間は30秒である。温度は室温である。結果を表2及び図3に示す。
【表2】
【0091】
実施例14は、80質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0092】
実施例15は、80質量%エタノール及び2質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0093】
実施例16は、80質量%エタノール、2.5質量%アミノグアニジン−HCl及び2.5質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0094】
実施例17は、90質量%エタノールの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている
実施例18は、90質量%エタノール及び2質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0095】
実施例19は、90質量%エタノール、2.5質量%アミノグアニジン−HCl及び2.5質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0096】
実施例20は、80質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0097】
実施例21は、80質量%エタノール及び2質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0098】
実施例22は、80質量%エタノール、2.5質量%アミノグアニジン−HCl及び2.5質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0099】
実施例23は、90質量%エタノールの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている
実施例24は、90質量%エタノール及び2質量%アミノグアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0100】
実施例25は、90質量%エタノール、2.5質量%アミノグアニジン−HCl及び2.5質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0101】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル14−25を試験した。接触時間は30秒である。温度は室温である。結果を表3及び図4に示す。
【表3】
【0102】
実施例26は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0103】
実施例27は、70質量%エタノール及び0.1質量%グアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0104】
実施例28は、70質量%エタノール及び1質量%グアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0105】
実施例29は、70質量%エタノール及び10質量%グアニジン−HClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0106】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル26−29を試験した。接触時間は30秒である。温度は室温である。結果を下記の表4に示す。
【表4】
【0107】
実施例30は、無菌性のハンドウォッシュである。
【0108】
実施例31は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0109】
実施例32は、70質量%エタノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0110】
下記のインビボテストプロトコルに従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力について、室温において、サンプルを評価した。
【0111】
インビボクロストリジウム・ディフィシレ胞子テスト法プロトコル
胞子の成長培地及び中和剤
・BPB+:Butterfield’sリン酸塩緩衝剤
・BHIT-AMP:タウロコール酸ナトリウム水和物(0.1%)及びアンピシリン(0.2μg/ml)を含有する脳−心臓浸出物寒天培地
接種材料
・概算濃度8.5log10 CFU/mlの精製クロストリジウム・ディフィシレの胞子(ATCC 700057)。胞子を滅菌水に懸濁し、−80℃において保存した。
手の前処置
・無刺激のセッケン(GOJO(登録商標)Clear & Mild Foam Handwash)により手を前洗浄し、及び軽くたたいてペーパータオルで乾燥し、及び手に胞子接種材料を塗布する前に5分間待つ。
クロストリジウム・ディフィシレの胞子の指先への接種
・胞子懸濁液5μlを各手の人差し指、中指、薬指の指腹に直接塗布する。
・乾燥するまで、反対の指腹と一緒に擦る。
・指のベースライン汚染を測定するまで少なくとも1分間待つ。
ベースラインのリカバリー
・BPB+5mlを収容する標準サイズのペトリ皿(100×15mm)において、1分間擦ることによって、各手について、別々に、指1本からサンプル採取する。
・ペーパータオル上で指腹を軽くたたいて、過剰のBPB+を除去する。
製品の適用
・ハンドウォッシュについて:手を軽く湿らせ、製品を塗布し(発泡性ハンドウォッシュ2プッシュ)、60秒後、過剰のセッケンの泡を10秒間すすぎ、軽くたたいて乾燥する。
・殺菌性組成物について:(実施例):好適な製品を充填したウォッシュボトルからの連続ストリームの存在下で、所望の曝露時間、指腹を一緒に擦り、簡単にすすいで中和し、軽くたたいて乾燥する。
ポスト製品曝露のリカバリー
・上記のようにして、各手の人差し指、中指、及び薬指を一緒にサンプル採取する。
クロストリジウム・ディフィシレの列挙
・BPB+におけるベースラインのリカバリー及びポスト製品曝露のリカバリーを弱め、BHIT-AMP上で列挙する。
対数減少値の算定
・生存可能なクロストリジウム・ディフィシレの列挙後、ベースラインからポスト曝露リカバリーを引き算して、対数減少値を得る。
【表5】
【0112】
実施例33は、70質量%エタノール水溶液である。
【0113】
実施例34は、70質量%エタノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0114】
実施例35は、70質量%エタノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0115】
実施例36は、70質量%エタノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0116】
下記のインビボテストプロトコルに従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力について、サンプルを評価した。
【0117】
インビボクロストリジウム・ディフィシレ胞子テスト法プロトコル
胞子の成長培地及び中和剤
・BPB+:Butterfield’sリン酸塩緩衝剤
・BHIT-AMP:タウロコール酸ナトリウム水和物(0.1%)及びアンピシリン(0.2μg/ml)を含有する脳−心臓浸出物寒天培地
接種材料
・概算濃度8.5log10 CFU/mlの精製クロストリジウム・ディフィシレの胞子(ATCC 700057)。胞子を滅菌水に懸濁し、−80℃において保存した。
手の前処置
・無刺激のセッケン(GOJO(登録商標)Clear & Mild Foam Handwash)により手を前洗浄し、及び軽くたたいてペーパータオルで乾燥し、及び手に胞子接種材料を塗布する前に5分間待つ。
クロストリジウム・ディフィシレの胞子の指先への接種
・胞子懸濁液5μlを各手の人差し指、中指、薬指の指腹に直接塗布する。
・乾燥するまで、反対の指腹と一緒に擦る。
・指のベースライン汚染を測定するまで少なくとも1分間待つ。
ベースラインのリカバリー
・BPB+5mlを収容する標準サイズのペトリ皿(100×15mm)において、1分間擦ることによって、各手について、別々に、指1本からサンプル採取する。
・ペーパータオル上で指腹を軽くたたいて、過剰のBPB+を除去する。
製品の適用
・手を軽く湿らせ、製品を塗布し(約3ml)、手を一緒に擦って、製品を手に広げ、製品が乾燥するまで、連続して擦る。
ポスト製品曝露のリカバリー
・上記のようにして、各手の人差し指、中指、及び薬指を一緒にサンプル採取する。
クロストリジウム・ディフィシレの列挙
・BPB+におけるベースラインのリカバリー及びポスト製品曝露のリカバリーを弱め、BHIT-AMP上で列挙する。
対数減少値の算定
・生存可能なクロストリジウム・ディフィシレの列挙後、ベースラインからポスト曝露リカバリーを引き算して、対数減少値を得る。
【0118】
結果を下記の表に要約する。
【表6】
【0119】
実施例37は、70質量%イソプロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0120】
実施例38は、70質量%イソプロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0121】
実施例39は、70質量%イソプロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0122】
実施例40は、70質量%イソプロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0123】
実施例41は、70質量%イソプロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0124】
実施例42は、70質量%イソプロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0125】
実施例43は、70質量%イソプロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0126】
実施例44は、70質量%イソプロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0127】
実施例45は、70質量%n−プロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0128】
実施例46は、70質量%n−プロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0129】
実施例47は、70質量%n−プロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0130】
実施例48は、70質量%n−プロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0131】
実施例49は、70質量%n−プロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0132】
実施例50は、70質量%n−プロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0133】
実施例51は、70質量%n−プロパノール及び1質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0134】
実施例52は、70質量%n−プロパノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0135】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル37−52を試験した。接触時間は、グラフに示すように、30秒又は60秒である。温度は室温である。結果を下記の表に示す。
【表7】
【0136】
実施例53は、70質量%エタノール及び1質量%チオ尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0137】
実施例54は、70質量%エタノール及び10質量%チオ尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0138】
実施例55は、70質量%エタノール及び1質量%グアニジンチオシアネートの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0139】
実施例56は、70質量%エタノール及び10質量%グアニジンチオシアネートの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0140】
実施例57は、70質量%エタノール及び1質量%L−N−ニトロアルギニンの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約5としている。
【0141】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル53−57を試験した。接触時間は30秒である。温度は室温である。結果を下記の表に示す。
【表8】
【0142】
実施例58は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0143】
実施例59は、70質量%エタノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約35としている。
【0144】
実施例60は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約7としている。
【0145】
実施例61は、70質量%エタノール及び10質量%尿素の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約7としている。
【0146】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル58−61を試験した。接触時間は5分である。温度は室温である。結果を下記の表に示す。
【表9】
【0147】
実施例62は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約2としている。
【0148】
実施例63は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び1%NaNO2の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約2としている。
【0149】
実施例64は、80質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0150】
実施例65は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び1%NaNO2の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0151】
実施例66は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び1%タンニン酸の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約2としている。
【0152】
実施例67は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び1%クエン酸の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約2としている。
【0153】
実施例68は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び1%ラウリン酸の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約2としている。
【0154】
実施例69は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SLS)の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0155】
実施例70は、70質量%エタノール、10質量%尿素、及び1%SDSの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0156】
実施例71は、70質量%エタノール及び1%ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0157】
実施例72は、70質量%エタノール及び5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約3としている。
【0158】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル62−72を試験した。温度は室温である。結果を下記の表に示す。
【表10】
【0159】
実施例73は、70質量%エタノール水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0160】
実施例74は、70質量%エタノール及び0.25%NaClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0161】
実施例75は、70質量%エタノール及び0.1%Trilon Mの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0162】
実施例76は、70質量%エタノール及び0.5%Trilon Mの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0163】
実施例77は、70質量%エタノール及び1%Trilon Mの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0164】
実施例78は、70質量%エタノール及び2%Trilon Mの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0165】
実施例79は、70質量%エタノール、0.25質量%NaCl、及び1%Trilon Mの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0166】
実施例80は、70質量%エタノール、0.25質量%NaCl、及び2%Trilon Mの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0167】
実施例1−4についてと同様に、ASTM E2783-11(「Time-Kill Procedureを使用する水混和性化合物の抗菌活性アセスメントに関する標準テスト法」)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル73−80を試験した。温度は室温である。結果を下記の表に示す。
【表11】
【0168】
実施例81は、70質量%エタノール及び1質量%NaClの水溶液であり、12N塩酸を添加して、pHを約1.5としている。
【0169】
無性、硬質、非多孔性の表面におけるクロストリジウム・ディフィシレ(ATCC 43598)の胞子に対する抗菌性製品を試験するように変性した定量ディスクキャリヤーテスト法のためのEPA標準操作法(QCT-2)に従って、クロストリジウム・ディフィシレの胞子に対する効力についてサンプル3、10、72及び81を試験した。SPO No.:MB-31-03。Date Revised 6-12-14(参照して、ここに組み込む)。無性、硬質、非多孔性の表面におけるクロストリジウム・ディフィシレ(ATCC 43598)の胞子に対する液体抗菌剤の殺胞子効力を評価するために、この定量法を使用した。結果を下記の表に示す。
【表12】
【0170】
本発明の範囲及び精神を逸脱しない各種の変形及び変更は、当業者に明らかになるであろう。本発明は、ここに示す説明のための具体例に制限されない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】