(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本発明は、病原体と、例えば、シアル酸を含有する細胞表面受容体の間の相互作用を干渉もしくはブロックし、妨げおよび/または阻害することに加えて、ある種のシアル酸結合分子が免疫調節特性を有するという知見に基づく。本発明は、宿主免疫応答の調節および/またはプライミングによる疾患の治療および/または予防において、シアル酸結合分子を利用する方法および使用を提供する。
シアル酸結合分子が、1つまたは複数の免疫調節性化合物の発現、機能および/または活性を調節する、請求項1に記載の使用のための、請求項1に記載のシアル酸結合分子。
免疫調節性化合物が、ケモカイン、サイトカイン、ならびに/またはそれをコードするおよび/もしくはそれと関連する遺伝子/転写因子である、請求項2に記載の使用のための、請求項2に記載のシアル酸結合分子。
免疫応答が、病原体によって引き起こされる感染または病原体が寄与する感染に対して保護する保護的免疫応答である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、インターロイキン1−β(IL1−β)、インターロイキン8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の発現増加を誘導する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、免疫系細胞の動員、増殖および/または移動を調節する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
対象における免疫応答の調節もしくはプライミングに使用するための、ならびに/あるいは対象における1つまたは複数のケモカインおよび/もしくはサイトカインの発現、機能および/または活性の刺激、増強もしくは増加に使用するためのシアル酸結合分子であって、前記対象は病原体を有するまたは病原体による感染の危険性がある、シアル酸結合分子。
対象が感染の症状であり、シアル酸結合分子が、感染の消散および/またはクリアランスを促進する免疫系を調節するために投与される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、N置換もしくはO置換されたノイラミン酸、ならびにその合成形態、天然に存在する形態および/または修飾された形態に結合する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、α−2,6連結したシアル酸および/またはα−2,3連結したシアル酸を含有する受容体に親和性を示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、単一のシアル酸結合分子または2つ以上のシアル酸結合分子を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜16のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、1つまたは複数の炭水化物結合モジュール(CBM)を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜17のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
CBMが、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)NanHシアリダーゼ(VcCBM)のシアル酸結合ドメインおよび/またはストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)NanAシアリダーゼ(SpCBM)由来の同等ドメインを含む、請求項18に記載の使用のための、請求項18に記載のシアル酸結合分子。
CBMが、配列番号1、2、3もしくは4として示される配列の1つまたは複数を含むまたは該配列の1つまたは複数からなる、請求項18または19に記載の使用のための、請求項18または19に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、オリゴマー化ドメイン(TD)をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
オリゴマー化ドメインが、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)シューダミニダーゼ由来である、請求項23に記載の使用のための、請求項23に記載のシアル酸結合分子。
オリゴマー化ドメインが、配列番号5または6として示される配列を含む、請求項23または24に記載の使用のための、請求項23または24に記載のシアル酸結合分子。
調節された免疫応答が保護的免疫応答であり、保護期間が約1日から約2、3、4、5、6、7または14日まで持続する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜26のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、経口、非経口、粘膜および/または鼻腔内投与用に製剤化される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜28のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、期間全体で1回または複数回の投薬として投与される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜29のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、感染または推定感染前に1回または複数回の投薬として投与される、請求項1〜30のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜30のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、対象における感染後に1回または複数回の投薬として投与される、請求項1〜31のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜31のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
シアル酸結合分子が、約0.1、1、10または100μgのシアル酸結合分子/対象/日の投薬量で投与される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜32のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。
必要とする対象にシアル酸結合タンパク質の免疫調節の量(amount)または量(quantity)を投与することを含む、対象における免疫応答を調節する方法。
【実施例】
【0048】
(例1)
新規な遺伝子操作されたタンパク質を用いて宿主受容体を標的にすることによるインフルエンザの予防
方法
ウイルス。インビトロ研究に関して、以下のインフルエンザウイルスを使用した:A/WSN/1933(H1N1)、A/プエルトリコ/8/1934(A/PR/8/1934、H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)、およびB/香港/1973は、Madin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Manassas、VA)中で増殖させた。MDCK細胞におけるウイルス感染性をプラークアッセイによって決定し、log
10PFU/mlとして表した。インビボ研究に関して、2つの菌株を使用した:マウスに適合されたA/WSN/1933(H1N1)株はMDCK細胞内で増殖し、マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルス
30は発育鶏卵で増殖させた。A/カリフォルニア/04/2009(H1N1)について50%マウス致死的投薬量(MLD
50)を決定するために、4匹の雌性6週齢のBALB/cマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)をイソフルランで軽く麻酔し、50μLの10倍連続希釈した、PBS中のウイルスを用いて鼻腔内接種した。MLD
50値は、21日間の観察期間後に決定された。
【0049】
mCBMsの生成。V.コレラ由来のシアリダーゼをコードするnanH遺伝子のファミリー40
31シアル酸結合ドメイン(CBM)に基づいて、タンデムリピート多価タンパク質であるVc4CBMは、以前に記載される
8ように、PCRに基づくクローニング技術を用いて生成された。V.コレラnanHシアリダーゼ由来およびS.ニューモニエnanAシアリダーゼ由来のCBMドメインのオリゴマー化は、シュードモナス・エルギノーサ由来のシューダミニダーゼタンパク質由来の三量体化ドメインを用いて、以下のように遺伝子操作された:それぞれ、V.コレラシアリダーゼのCBMの残基25〜216とS.ニューモニエnanAシアリダーゼのCBMの残基121〜305をコードするDNA断片は、プライマー対(表3)を用いたPCR増幅によって5’および3’末端で修飾され、P.エルギノーサシューダミニダーゼ由来の三量体化ドメインの残基333〜438(PaTD)をコードする遺伝子に対する続くライゲーションのために、タンデムにCBMユニットの1または2コピーを連結させる異なる制限部位を導入した。得られた断片を、適切に消化されたpEHISTEVベクター(VcCBM断片用)またはpEGFP−HISTEVベクターv(SpCBM断片用)のいずれかにクローニングし、それぞれVcCBMTD、Vc2CBMTD、SpCBMTDおよびSp2CBMTDとして指定された構築物を作製した(
図1)。GFP−SpCBMはまた、グリカンアレイ研究のためにpEGFP−HISTEVベクターを用いて作製された。全ての構築物を大腸菌(E.coli)DH5α細胞中で増殖させ、構築物をDNA配列決定により確認し、その後、タンパク質産生用の発現宿主大腸菌BL21ゴールド(DE3)を形質転換した。
【0050】
mCBM発現、精製および特徴付け。遺伝子操作されたmCBMsの発現は、いくつかの修正を伴うが、以前に記載される
8ように実施された。簡単には、Hisタグ化VcCBMまたはGFP−Hisタグ化SpCBMのいずれかを含有する大腸菌細胞は、PBS、0.3M NaClおよび10mMイミダゾールを含有し、DNAase(20μg/ml)およびプロテアーゼ(マイナスEDTA)インヒビタータブレット(Roche)を伴う緩衝液中で溶解された。清澄化された溶解物は、ニッケルを予め充填されたHisTrap HPカラム(GE Healthcare)に適用され、その後、0.3M NaClおよび250mMイミダゾールを含有するPBSを用いてヒスチジンタグ化されたCBMを溶出した。タグの除去は、特に明記しない限り、一晩、インサイチュでTEVプロテアーゼを用いた消化により行われ、その後、ニッケルカラムに材料を再適用した。mCBMタンパク質の全ては、PBS中のHiPrep 16/60 Sephacryl S200HRカラム(GE Healthcare)によるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、その後、エンドトキシンを除くために、Vivapure S Maxi H(VcCBMs)またはQ Maxi H(SpCBMs)カラム(Sartorius)のいずれかを用いてさらに精製された。GFPタグ化タンパク質はまた、上記のようにアフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーに供された。タンパク質収率は、mCBMに応じて15〜70mg/lの間であると計算された。タンパク質は、−80℃に保存した場合、数カ月間安定な状態であった。タンパク質の純度および大きさは、12%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動および質量分析によって確認された。精製されたmCBMのシアル酸への結合は、多価のビオチン化α−2,3−シアリルラクトース−PAA(Glycotech)が固定化された、ストレプトアビジンでコーティングされたバイオセンサーチップを用いた表面プラズモン共鳴(Biacore T−100、University of Edinburgh)により確認された(表1)。
【0051】
グリカンマイクロアレイ。GFP−SpCBMのグリカン結合特異性は、グリカンスライドアレイV4.2(機能的グライコミクスのためのコンソーシアム)を用いて分析された。分析のためのGFP−SpCBM(200μg/ml)の調製は以前の記載
8の通りであったが、抗GFP抗体の使用が、結合の蛍光シグナルを増強し得るように修飾された。
【0052】
細胞保護アッセイ。細胞保護アッセイについて、コンフルエントなMDCK単層(DMEM中、0.5%FCS)を37℃にて1時間、mCBM(10mg/ml、無血清(SF)DMEM中で適切に希釈された)とともにインキュベートした。単層をSF−DMEMで濯ぎ、その後、約100〜200PFUのインフルエンザウイルス(A/WSN/1933(H1N1)、A/PR/8/1934(H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)およびB/香港/1973)を用いて1時間、37℃で接種し、続いて洗浄した。細胞は、2μg/mlのN−アセチル化トリプシンが補充されたDMEM中の10mM HEPES(pH7.4)の1.2%(w/v)Avicel(FMC Biopolymer)で覆われた。プレートを37℃で2〜3日間インキュベートした。プラークは、4%ホルムアルデヒドにおいて単層を固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色することによって可視化された。ウイルスから細胞の50%を保護するmCBMsのEC
50値は、用量−応答曲線から各mCBMについて算出された。
【0053】
ウイルス複製阻害アッセイ。コンフルエントのMDCK細胞(96ウェルフォーマット)を用いて、インフルエンザAウイルス複製のmCBMによる阻害を評価した。細胞は、1時間、37℃にて、異なるmCBMとともにインキュベートされ、その後、洗浄され、1時間、単層にインフルエンザAウイルス(A/WSN/1933(H1N1)、A/PR/8/1934(H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)、MOI0.01PFU/細胞)を添加される。ウイルス接種を除き、N−アセチル化トリプシン(2.5μg/ml)を含有するSF DMEMを細胞に添加し、さらに16〜24時間インキュベートした。細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、0.5%Triton−X100および20mMグリシンを含有するPBS(PBS−T)で30分間、透過させ、その後、1%BSA、0.02%アジ化ナトリウム(BB)を含有するPBSで2〜3時間ブロックした。細胞を濯ぎ、ヤギ抗インフルエンザA(BB中で1:500希釈、Santa Cruz)を1〜2時間、22℃で添加した。プレートを洗浄し、その後、ロバ抗ヤギIgG HRPコンジュゲート抗体(1:500希釈、Santa Cruz)を添加した。発色のために、プレートをTMB(HRP基質、Sigma)とともにインキュベートした。反応を1M HClの添加により停止させた。吸光度を450nmの波長(参照として620nm)で測定した。EC
50値は、用量−応答曲線から算出し、対照ウェル(未処理、感染)と比較して、ウイルス複製を50%阻害するmCBMの濃度を決定した。
【0054】
細胞傷害性アッセイ。24時間の期間中に、哺乳動物の上皮細胞(MDCK)の生存率におけるmCBMの影響は、製造業者(Life Technologies,Invitrogen)により記載されるようにPrestoBlue細胞生存率アッセイを用いて評価された。mCBM(5mg/mlストック濃度の希釈)をコンフルエントな細胞単層に添加し、対照(DMEMのみ、未処理の対照、および陽性対照として20%(w/v)アジ化ナトリウム)と一緒に24時間、37℃でインキュベートした。PrestoBlue試薬を細胞に添加し、1時間インキュベートし、その後、570nmの波長(参照として620nm)での吸光度を測定した。処理された細胞の相対的な吸光度は、mCBM濃度に対してプロットされた未処理細胞の割合として表された。細胞生存率を50%に減少させるのに必要とされるmCBMの濃度(CC
50)は、可変勾配とフィットさせた非線形回帰曲線を用いて、用量−応答曲線から決定された。
【0055】
イメージング研究。MDCKおよびヒト肺癌腫(A549)細胞は、10%FCSが補充されたDMEM中で3×10
5細胞/mlに希釈され、その後、96ウェルのブラック平底プレート(Costar)の各ウェルに100μlを添加し、WillCoディッシュ(35×10mmガラス底、WillCo Wells B.V.)に1.5mlを添加した。細胞を90〜100%コンフルエンスまで一晩インキュベートした。細胞は、暖めた滅菌PBSで3回濯がれ、S.ニューモニエNanAシアリダーゼ
32の触媒ドメイン(残基319〜822)は、SF−DMEM中、150μg/mlの濃度で細胞に添加され、1時間、37℃、5%CO
2でインキュベートされた。細胞をPBSで広範囲に濯ぎ、その後、mCBM(SF−DMEM中、Vc2CBMTD 0.05mg/mlまたはSp2CBMTD 0.1mg/ml)を添加し、さらに1時間、37℃、5%CO
2でインキュベートした。細胞を濯ぎ、その後、ウサギポリクローナル抗mCBM抗体(Eurogentec,Belgium)を添加(DMEM−3%FCS中、1:1000)し、1時間、37℃、5%CO
2でインキュベートした。この後、DMEM−3%FCS中、2μg/mlでヤギ抗ウサギAlexa Fluor 488IgG(Life Technologies)を添加し、さらに1時間、37℃、5%CO
2でインキュベートした。次に、DAPIを30分間添加し、その後、PBSで細胞を最終洗浄した。プレートをTECAN Infinite Pro Fluorescenceプレートリーダー(488nmおよび518nmの励起および発光波長を用いて)で読み取った。生細胞を、それぞれ、485nmおよび531nmの励起および発光波長を用いて、DeltaVisionデコンボリューション顕微鏡(Applied Precision)を用いてイメージ化された。
【0056】
マウス感染研究。インビボ研究は、The Roslin Institute,Edinburgh,UKおよびSt Jude Children’s Hospital,Memphis,TN,USAで行われた。雌性BALB/cマウスは、Harlan UK Ltd(5〜6週齢)またはJackson Laboratories(6〜8週齢)、Bar Harbor,ME,USAのいずれかから購入された。UKにおいて、研究は、エジンバラにある感染症センターでインフルエンザ研究のための動物実験施設で行われ、Animals(Scientific Procedures)Act 1986に従ったUKホームオフィスライセンスの下で実施された。マウスは、ハロタン(Rhone Merieux Ltd,Harlow,Essex,UK)を用いて麻酔され、その後、40μl PBS中の5×10
3または4×10
4PFUのインフルエンザA/WSN/33(H1N1)ウイルスのいずれかを用いて致死的ウイルスチャレンジの24時間前または当日に、様々な量のmCBM(PBS中、100〜500μg)を鼻腔内投与した。マウスを毎日計量し、臨床疾患の視覚的徴候について評価した。動物の元の体重の25%が失われた動物をCO
2窒息により安楽死させた。感染後の4日および7日に、特に指示がない限り、肺を取り出し、PBS中で均質化し、遠心分離により清澄化した。感染性ウイルス力価は、MDCK細胞上で標準的なプラークアッセイにより決定された。
【0057】
マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを用いた実験は、米国の農務省によって使用を承認された動物バイオセーフティーレベル2+(ABSL2+)封じ込め施設で実施された。全ての研究は、適用される法律およびガイドラインの下、St.Jude小児研究病院動物ケアおよび使用委員会からの承認後に実施された。BALB/cマウス(n=5)のグループは、特に断りのない限り、0.1〜500μg/マウスの間の単回、2回または3回投薬量のいずれかで50μlのmCBMが鼻腔内で与えられた。mCBMタンパク質を用いた処理は、ウイルスチャレンジの−7日から+1日の間の異なる時点で開始された。動物は、マウスあたり10MLD
50の投薬量でA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを接種された。対照(感染、未処理)マウスは、ウイルス接種の1時間前に50μlの滅菌PBSを鼻腔内に受けた。mCBM毒性対照(非感染、未処理)も試験された。マウスは、感染の臨床兆候と生存について、感染後の21日間、毎日観察され、体重は感染期間を通じて記録された。ウイルス肺力価は、MDCK細胞における組織培養感染量アッセイ(TCID
50)によって、マウス(n=3)のさらなるグループにおいて、感染後の3、6および9日に決定された。
【0058】
サイトカイン分析。清澄化されたマウス肺ホモジネートのサイトカイン分析は、製造業者の指示書(RD Biosystems,UK)に従って、Quantikine ELISAキットを用いて行われた。
【0059】
抗体分析。感染後の21日に生存したマウスから回収した免疫血清は、抗ウイルスHA抗体と抗mCBM抗体の存在の両方について試験された。HIアッセイは、受容体−破壊酵素(RDE II、1:10希釈;Denka Seiken Co.,Japan)を用いて前処理され、56℃にて30分間、熱不活性化された血清について、0.5%充填したニワトリ赤血球を用いて行われた。標準的なELISAは、96ウェルプレート(Corning)上に固定化された、調製された抗体(1μg/ウェル)を用いて、感染マウスの血清試料から抗CBM抗体を測定するために使用された。血清(BB中で1:1000希釈)をウェルに添加し、続いて、ヤギ抗マウスIgG、IgAまたはIgMのHRPコンジュゲート抗体(1:2500希釈)を添加し、抗体の存在は、上述のようにTMBを用いて検出された。ヒト集団におけるシアル酸結合CBMの既存の免疫性について試験するために、男性および女性の混合された年齢集団から得られたヒト血清試料(n=50)(Seralab,UK)を用いた。血清を1:1000に希釈し、その後、HRPをコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(1:2500)を用いて、抗VcCBM抗体および抗SpCBM抗体について試験するために標準的なELISAを適用した。
【0060】
統計分析。生存研究について、カプラン・マイヤー法を用いて、未処理および処理グループの生存の確率を推定した。エラーバーを有する、プロットしたデータは、他に指示がなければ、平均±s.d.として表される。両グループ間の統計的有意性(p<0.05)は、ノンパラメトリックマンホイットニーU検定を用いて決定された。GraphPad Prism 5.0パッケージ(GraphPad Software Inc.,La Jolla,CA)をすべての分析に使用した。
【0061】
概要、結果および検討
インフルエンザウイルスは、表面の赤血球凝集素(HA)糖タンパク質を介して、気道上皮に存在するシアル酸受容体に結合し、そのイベントは、ウイルスのエンドサイトーシスを引き起こす
12。2009年のパンデミックH1N1ウイルスなどのヒトインフルエンザウイルスは、上気道に存在するα−2,6連結したシアル酸受容体を認識し、一方、H5N1などのトリインフルエンザウイルスは、α−2,3連結したシアル酸受容体を主に認識するが、このような受容体はまた、ヒトの下気道に存在する
13,14。最近出現したヒトH7N9ウイルスは、受容体の両タイプを認識する点で異例であり、したがって、持続的なヒトからヒトへの伝染およびパンデミック能力の可能性がある
15,16。本発明者らは、特定のタンパク質を用いて気道におけるこのような受容体をマスキングすることが、感染を妨げるための新規な治療経路を提供し得るという仮説を立てた。多数のシアル酸結合タンパク質が知られているが、ほとんどはシアル酸に対する親和性が低く、例えば、HAモノマーはその受容体に対して約2.5mMの親和性であるが、三量体であることを通じて、およびウイルス表面上に高コピー数で存在させることによって親和性を高める
17。天然を模倣し、本発明者らは、ビブリオ・コレラNanHシアリダーゼ
18由来のシアル酸結合ドメイン(VcCBM、
図1a)またはストレプトコッカス・ニューモニエNanAシアリダーゼ由来の相同なドメイン(SpCBM、
図1b)のいずれかを用いて多価形態を遺伝子操作した。多価は、タンデムリピート
8を介して、またはシュードモナス・エルギノーサシアリダーゼ
19由来のオリゴマー化ドメイン(TD)(
図1c)に1つもしくは2つのタンデムに連結されたCBMドメインであって、三量体を形成するために自己会合するドメインを融合させることによって達成された。VcCBMとSpCBMの多価形態は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定したとき、解離定数が1nM未満である結合力を介して親和性を上げる(
図1d、表1)。グリカンアレイスクリーニングは、VcCBM
8およびSpCBM(
図5)がα−2,3またはα−2,6連結したシアル酸を認識することを示し、結晶学的分析は、両方のドメインがシアリルラクトースを用いた研究において末端シアル酸のみを認識することを明らかにする
18。
【0062】
ウイルス感染をブロックする多価CBM(mCBMs)の能力を最初にインビトロで試験した(表2)。Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞、ならびに3つの異なるインフルエンザAウイルス[A/WSN/1933(H1N1)、A/PR/8/1934(H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)]およびインフルエンザBウイルス(B/香港/1973)を用いた細胞保護およびウイルス複製阻害アッセイは、mCBMがウイルス付着をブロックしたことを示し、EC
50値は、一価の対応物を用いた場合の約300μMと比較して、3価〜6価を有するmCBMについて0.39μM〜4.1μMの範囲であった(データ示さず)。mCBMは、ウイルス複製を阻害し、最大実行可能濃度で細胞傷害性を示さなかった(表2)。mCBMの蛍光画像は、mCBMが細胞表面に結合し、その結合は、細胞がシアル酸を除くために、無差別なシアリダーゼで前処理した後に、大幅に無効にされたことを示す(
図6)。次に、本発明者らは、BALB/cマウスにおいてA/WSN/33(H1N1)ウイルスの致死的感染をブロックするVc4CBMの能力を検討した。Vc4CBM(500μg)は、ウイルスチャレンジの直前に、単回投薬として鼻腔内に投与された。Vc4CBMで処理されたマウスは生存し、僅かな初期の体重減少後に体重を再度増加し、未処理のマウスと比較して、感染後の7日に肺ウイルス力価が2対数減少した(
図2a、b)。この最初の有望な結果は、本発明者らに、A/WSN/33(H1N1)ウイルスを用いた致死的チャレンジの1日前に鼻腔内に与えられた三量体(VcCBMTD、SpCBMTD、400μg)形態と六量体(Vc2CBMTD、Sp2CBMTD、100μg)形態の保護効果を調査するように促す(
図2c、d)。4つのmCBMsのうち、六量体形態は、感染後の7日に肺においてウイルスをほとんど検出することができなかったことを示し、Sp2CBMTD処理されたマウスはごく僅かな体重減少を実証した(
図2c)。
【0063】
続いて、本発明者らは、マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)パンデミックインフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジに対して、BALB/cマウスにおける生物製剤を評価し、−1日、0日または+1日に与えられた、単回鼻腔内投薬量(10、50、250、または500μgのいずれか)のVc4CBM、Vc2CBMTDまたはSp2CBMTDを調べた;0日は、ウイルスチャレンジの日であり、生存研究は+21日まで継続した。ウイルスチャレンジの24時間後に与えた場合、mCBMのいずれもマウスを保護しなかった(
図7)。−1日に投与した場合、Vc4CBM(500μg)はたった40%の生存率を与えた。0日に投与した場合、Vc4CBM(500μg)は、A/WSN/33(H1N1)ウイルスチャレンジと一致して、100%の生存率を与えたが、低投薬量ではたった40%の生存率を与えた。対照的に、六量体形態は、−1日または0日に与えた場合、改善された保護を与えた。Vc2BMTDは、10または50μgの低投薬量で80%の生存率を与えた。Sp2CBMTDは最良の保護を提供し、全てのマウスは−1日に投与された全ての投薬量で生存し、全てのマウスは、50または250μg投薬量での0日における投与後に生存し、60%が10μg投薬量で生存した。ウイルスチャレンジに対して生存した全ての動物は体重が減少したが、最も有益な結果は、Sp2CBMTDを0日に250μg投薬量で投与した場合に達成された(
図3b)。次に、本発明者らは、感染前にさらに投与されるSp2CBMTDを用いた反復投薬の効果を検討した。単回の50μg投薬量のSp2CBMTDは、0日にA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルスを用いた致死的チャレンジ前に、最大1週間、1回、2回または3回、BALB/cマウスに鼻腔内投与された。全ての投薬処方計画について100%の生存率であり(データ示さず)、顕著には、2回または3回の投薬量が投与された場合、体重減少は僅かであるまたは全くなかった(
図4a)。次に、Sp2CBMTDの最低有効投薬量を検討した。単回の10、1または0.1μg投薬量のSp2CBMTDは、0日にA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルスを用いた致死的チャレンジ前の−7日、−3日または−1日に投与された。全てのマウスは、10および1μgの投薬処方計画で生存し、重要なことには、−7日に与えられた単回の1μg投薬量でさえ、感染後の8日に最大8%だけの体重減少が見られ、直ちに回復した(
図4b)。マウスは、+21日まで有害な臨床兆候なしに成長を続けた。対照的に、0.1μg投薬量で、−1日、−3日または−7日に投与した場合、それぞれ、80%、20%または0%のマウスが生存した(
図4b)。感染後の3日、6日および9日に測定されたウイルスの肺力価は、50および10μg投薬量について、ウイルスは、9日までに肺から取り除かれ、一方、1および0.1μg投薬量について、ウイルス力価は、対照(感染、未処理)のマウスと類似していたことを示した(結果を示さず)。重要なことに、血清抗HA抗体の高い力価は、全ての投薬処方計画を用いた処理後に存在しており、免疫応答を誘発するのに十分なウイルス複製が存在することを示している(
図8)。
【0064】
病原体由来の生物製剤を用いた一つの懸念は、反復投与の有効性を減少させ得る免疫原性の能力である。SpCBMおよびVcCBMは、宿主とともに免疫寛容を進化させてきた可能性があるヒト病原体から選択され、本発明者らは、ヒト集団において、単一のCBMドメインのいずれかに既存の免疫を見出さなかった(
図9)。マウスにおけるSp2CBMTDの鼻腔内投与は血清のIgA、IgMおよびIgA抗体を誘発したが、用量依存的であり、1μgのSp2CBMTDは血清のIgAおよびIgMを無視できるレベルで誘発した(
図10)。mCBMの免疫原性は、反復使用による問題があり得るが、しかしながら、タンパク質をより小さい免疫原性とする修飾は必要に応じて採用され得る
20。
【0065】
シアル酸は、全ての脊椎動物における全ての細胞の表面に広く発現され、免疫の発生を含む、複数の細胞機能の調節に関与する
21。内因性および外因性のシアル酸を認識するタンパク質は、多くの場合、それ自体が多価であり、細胞の相互作用を媒介し、調節することが知られている
22。生物製剤設計の元々の仮説は、シアル酸受容体のマスキングであるが、しかしながら、感染前の7日に与えた単回の低投薬量のSp2CBMTDの顕著な保護能力は、生物製剤が抗ウイルス状態に免疫系を付加的にプライミングしている場合があるという可能性を生じさせる。したがって、本発明者らは、マウスへのVc2CBMTDまたはSp2CBMTDの鼻腔内投与による炎症性サイトカイン/ケモカインの限定されたセットの誘導を検討し、2つの生物製剤間に有意な相違があり、Sp2CBMTDは、Vc2CBMTDまたはPBSと比較して、IL−1β、MIP−2(マウスのIL−8のホモログ)、IFN−γおよびTNF−αのより高いレベルを刺激することを見出した(
図11)。S.ニューモニエCBMは、ヒトおよびマウスの脳細胞においてある種のサイトカインを刺激することが以前に報告されている
23NanAシアリダーゼの大きな領域の一部を形成するが、NanAの他のセグメントはこの活性の原因であり得る。本発明者らの生物製剤は、サイトカイン誘導を含む細胞プロセスを調節している可能性があり、これはSp2CBMTDの保護能力に寄与し得、その発見はさらなる過度の検討を必要とする。
【0066】
インフルエンザを制御するための新たな治療アプローチが緊急に必要である。多大な努力は、インフルエンザへの新たなワクチンアプローチ
24,25、ウイルス標的の新規な阻害剤
26および宿主因子で標的化される新規な戦略
27,28の開発に投入されている。本発明者らは、哺乳動物宿主に標的化された生物製剤が、さらなる検討に値するいくつかの利点を有することを実証している。本発明者らの生物製剤は、上気道および下気道に見出される異なるシアル酸受容体に結合し、マスクする能力を有し、したがって、適切な送達システムが使用される場合、ヒト気道全体に保護することができる。全ての処理されたマウスにおいて観察された血清抗HA抗体の産生は、保護を与え得ることに加えて、生物製剤が、ウイルスへの曝露の際に「ワクチン」を生じさせ、将来の曝露に対して潜在的に保護を提供することを示唆する。これらの生物製剤を臨床にもちこむには多数のチャレンジが行く手に存在しているが、本発明者らは、この新しい種類の治療薬が、インフルエンザの制御に対する強力な選択肢となる可能性を有すると考える。生物製剤は、多くの場合、インフルエンザに関連し、罹患率と致死率の増加に関与する二次細菌感染の主要な原因である、ストレプトコッカス・ニューモニエを含む病因においてシアル酸を利用する、他の呼吸器病原体のブロックにおいてより広範囲の可能な用途を有する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
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【0071】
(例2)
マウスガンマヘルペスウイルス68(MHV−68)を用いて感染させたマウスにおける遺伝子操作されたタンパク質Vc2CBMTDとSp2CBMTDの予防効果
導入
マウスガンマヘルペスウイルス68(MHV−68)は、ヒトに感染するカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)とエプスタイン−バーウイルス(EBV)に密接に関連している
2天然に存在するげっ歯類の呼吸器病原体
1である。ガンマヘルペスウイルスは、それらのエンベロープ上に、ウイルスの細胞から細胞への伝達に関与している多数の表面タンパク質、糖タンパク質H(gH)および糖タンパク質L(gL)および糖タンパク質150(gp150)を提示する。EBVと同様に、MHV−68は、感染から後何ヶ月も後に発生し得る、リンパ増殖性疾患
3と関連付けられる。しかしながら、EBVおよび他の多くのガンマヘルペスウイルスとは異なり、MHV−68は、インビトロで上皮細胞内で複製し、マウスの実験室系統に感染し、したがって、ガンマヘルペスウイルスの研究
4のために優れたモデルを提供する。治療については、抗ウイルス剤は、通常、ほとんどのヘルペスウイルス感染の治療に提案されている。
【0072】
マウスにおけるMHV−68の鼻腔内投与は、肺胞上皮細胞の急性増殖性感染およびBリンパ球における持続的な潜伏感染をもたらし、脾臓が潜伏ウイルスの主要なリザーバーである
5,6。感染性ウイルスはまた、感染後の10〜13日間、BALB/cマウスの肺から回収することができる
5。MHV−68を用いたC57BL/6Jマウスの鼻腔内感染後のBAL液からのMHV−68に対する炎症性サイトカイン応答の分析は、高レベルのIL−6とIFN−γ、および低レベルのIL−2とIL−10を示し、感染の10日後あたりでサイトカイン産生はピークとなり、これは、肺からのウイルスクリアランスと相関するが、有意なレベルは、ウイルス投与から3日後と同程度に早期に観察される。対照的に、無視できるレベルのIL−4またはIL−5が検出される。さらに、精製された免疫T細胞はまた、MHV−68によるインビトロの再刺激後にIL−6、IL−10およびIFN−γを産生することができ、これは、ウイルスが、後天性と先天性の宿主応答
1の両方の成分を誘導することを示唆している。
【0073】
呼吸器病原体に対する生物製剤として遺伝子操作されたシアル酸結合タンパク質を用いた、本発明者らの研究室における最近の証拠は、予め7日まで単回の低投薬量(1μg)を用いてマウスに鼻腔内投与したとき、完全な保護が、致死性のインフルエンザA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルスチャレンジに対して観察されることが示された(公開されていないデータ)。生物製剤は、V.コレラ(VC)とS.ニューモニエ(Sp)シアリダーゼ酵素から単離され、タンデムリピートまたはオリゴマー化ドメインアプローチのいずれかを使用して多価実体(mCBM)として遺伝子操作された炭水化物結合モジュールに基づく。これらの遺伝子操作されたタンパク質は、低投薬量で予め多くの日数を与えられたときに、宿主を保護することが示されているため、これらのタンパク質は、細胞表面のシアル酸への結合からインフルエンザウイルスの付着をブロックすることができるだけでなく、免疫系を潜在的に「プライム」することもでき、免疫調節効果を介してウイルスに対する抗ウイルス応答を可能にすると考えられる。BALB/cマウスにおけるmCBMを用いた予備的研究は、感染なしに単回投薬として鼻腔内に投与した場合、免疫刺激効果が観察され、これは、2日後のMIP−2、TNF−α、IL−6およびIL−1βなどの限定された一連のサイトカイン/ケモカインの産生を増強する能力を実証することを示した(公開されていないデータ)。
【0074】
ここで、本発明者らは、ウイルス力価およびサイトカインレベルにおける、MHV−68感染させたBALB/cマウスにおいて遺伝子操作されたmCBMの効果の予備的なデータを示す。感染マウスにおけるウイルス力価および特定のサイトカインレベルの減少は、mCBMsが、哺乳動物における感染を開始するために、シアル酸結合に依存しない他の呼吸器病原体による感染プロセスに影響を及ぼす可能性があることを実証する。
【0075】
方法
インビボ研究。マウスの研究は、エジンバラにある感染症センターでインフルエンザ研究のための動物実験施設で行われ、Animals(Scientific Procedures)Act 1986に従ったUKホームオフィスライセンスの下で実施された。マウスは、ハロタン(Rhone Merieux Ltd,Harlow,Essex,UK)を用いて麻酔され、その後、50μgのVc2CBMTDまたはSp2CBMTDのいずれかの鼻腔内投与が−7日、−3日および−1日に3回与えられ、続いて、40μlのPBS中の4×10
5個のMHV68でチャレンジされた。感染の5日後、マウスを処分し、ウイルス力価の決定とサイトカイン分析のために死後にそれらの肺を回収した。
ウイルス力価。感染性ウイルス力価は、MDCK細胞において標準的なプラークアッセイによって決定された。マウスにおける肺ウイルス力価は、感染の5日後に決定された。
サイトカイン分析。清澄化されたマウス肺ホモジネート由来のMIP−2、TNF−α、IL−6、IL−1β、IFN−γ、GM−CSFおよびIL−2のサイトカイン分析は、製造業者の指示書(RD Biosystems,UK)に従って、Quantikine ELISAキットを用いて行われた。
【0076】
統計分析。プロットされたデータは、誤差バーを有し、他に指示がなければ、平均±s.d.として表される。2つの群間の統計的有意性(P<0.05)は、ノンパラメトリックなマンホイットニーU検定を用いて決定された。GraphPad Prism 5.0パッケージ(GraphPad Software Inc.,La Jolla,CA)をすべての分析について使用した。
【0077】
結果と考察
本発明者らは、非シアル酸結合呼吸器病原体であるMHV−68ウイルスを用いてチャレンジした場合、BALB/cマウスにおける肺のウイルス負荷と免疫応答における六量体mCBM、Vc2CBMTDおよびSp2CBMTDの効果を検討した。生物製剤は、ウイルスチャレンジ前に、3回の投薬量(50μg、−7、−3、−1日)として鼻腔内投与された。全ての処理されたマウスは、未処理の感染マウスと比較して、感染の5日後の肺ウイルス力価において一対数減少を示した(
図12a)。炎症性メディエーターIL−1β、MIP−2(IL−8のマウスホモログ)、IFN−γ、TNF−α、GM−CSF、IL−6およびIL−2をモニターするためにELISAを使用したマウスの肺ホモジネートのさらなる分析は、処理と未処理の感染マウス間において差異を示した。両方の生物製剤は、未処理の感染マウスと比較して、有意により低いレベルのIL−6、MIP−2およびIFN−γを示したが、TNF−α、IL−2およびIL−1βのレベルは感染マウスのみに類似していた(
図12b)。このデータは、mCBMsの高度な予防的治療が、IL−6およびIFN−γなどのMHV−68感染によって刺激される特定の炎症性メディエーターのレベルの低下によって見られるように、免疫応答を調節することにより感染に応答する宿主を調製し得ることを示唆する。mCBMsは、潜在的に有害なケモカインの発現を妨げながら、MHV−68ウイルスチャレンジに対する免疫応答を増強するために、初期炎症プロセスを誘導する可能性がある。さらなる研究は、動物モデルに投与した場合、mCBMの免疫応答プロファイルのタイプを理解する必要がある。
【0078】
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【0079】
(例3)
H7N9インフルエンザウイルス感染に対する炭水化物結合モジュール:前臨床試験における有効性。BALB/cマウスにおけるA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス感染に対する糖(Carboxydrate)結合モジュール(Sp2CBMTD)の六量体形態の効果。
材料および方法
ウイルス。インフルエンザA/Anhui/1/2013(H7N9)ウイルスは、世界保健機関の監視ネットワークを介して得られた。A/Anhui/1/2013(H7N9)ウイルスは、10日齢の発育鶏卵(卵)の尿膜腔に臨床試料を培養することにより、患者から単離され、実験に使用したウイルスのストックは卵中に調製された(継代歴:E2/E2)。動物の50%が死亡したマウス致死的投薬量(MLD
50)は、21日後、6週齢の雌性BALB/cマウスにおいて決定された(体重、18〜20g;Jackson Laboratories,Bar Harbor,Maine)。重篤な疾患を示し、最初の体重の>25%を失った動物を安楽死させた。
【0080】
ヒトH7N9インフルエンザウイルスを用いた実験は、米国農務省によって承認された動物のバイオセーフティーレベル3+封じ込め施設で実施された。全ての研究は、適用される法律およびガイドラインの下、St.Jude小児研究病院動物ケアおよび使用委員会からの承認後に実施された。
【0081】
化合物。炭水化物結合モジュール(Sp2CBMTD)の六量体形態は、Helen Connaris博士(Centre for Biomolecular Sciences,University of St.Andrews,UK)により10.5mg/mlの濃度でPBSにて提供された。6CBM(Sp2CBMTD)タンパク質は、使用するまで−80℃で保存された。マウス動物モデルにおける6CBM(Sp2CBMTD)タンパク質の有効性を評価するために、タンパク質試料を13K rpmで5分間、遠心分離し、新たなバイアルに移し、所望の濃度まで滅菌PBSに溶解させた。
【0082】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)。タンパク質の安定性は、12%SDS−PAGE(BioRad Laboratories,Hercules,CA)で還元条件下、Sp2CBMTDタンパク質(PBSに溶解させた5.25〜0.66μg/チャネル濃度で10μl/チャネル)の電気泳動移動度の決定により確認された。主なタンパク質バンドは、約50kDaで同定され、いくつかの追加のマイナーなバンドが同定された(
図13)。21kDaでバンドは検出されなかった。したがって、Sp2CBMTDタンパク質は解離されなかった。
【0083】
マウスにおけるA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによる致死的感染におけるSp2CBMTDの有効性。雌性6〜8週齢のBALB/cマウス(体重、18〜20g;Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)は、イソフルランの吸入により軽く麻酔され、50μlの感染性H7N9ウイルスを鼻腔内接種された。全体的に、BALB/cマウスの32グループ(1グループあたり5匹のマウス)をこの実験に使用した(表1a)。BALB/cマウスは、異なる処方計画で鼻腔内に50μlのSp2CBMTDを与えられた。Sp2CBMTDタンパク質の単回投薬量(0.1、1、10および100μg/マウス/日)は、H7N9ウイルスチャレンジの7日前(−7日:グループ1〜4)、H7N9ウイルスチャレンジの3日前(−3日:グループ5〜8)、H7N9ウイルスチャレンジの1日前(−1日:グループ9〜12)、H7N9ウイルスチャレンジの6時間後(+6時間:グループ13〜16)、H7N9ウイルスチャレンジの24時間後(+1日:グループ17〜20)のいずれかで投与された。Sp2CBMTDタンパク質の反復投与は、H7N9ウイルスチャレンジの3日前および1日前(−3日、−1日:グループ21〜24)に2回の投薬として投与され、またはウイルスチャレンジの7日前、3日前および1日前(−7日、−3日、−1日:グループ25〜28)に3回の投薬として投与されて行われた。毒性対照として、Sp2CBMTDタンパク質は、3つの処方計画で100μg/マウス/日の投薬量にて投与された(毒性:グループ29〜31)。動物は、マウスあたり5MLD
50の投薬量でA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで接種された。対照(感染、未処理)マウスは、ウイルス接種の1時間前に50μlの滅菌PBSを鼻腔内に受けた。BALB/cマウスは、感染の臨床徴候および生存について、感染後の21日間、毎日観察された。死亡までの平均日数は、ログハザードスケールを用いて算出された。マウスは、感染後の0日、2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、19日および21日に計量され、体重の減少または増加は、ウイルス接種前の0日の各マウスの体重の割合として各マウスについて算出された。
【0084】
抗HA抗体応答。血清試料を感染後の21日に生存マウスから回収し、1:10に希釈した受容体−破壊酵素(Denka Seiken Co.,Japan)を用いて一晩37℃にて処理し、56℃にて30分間、熱不活性化し、滅菌PBSで1:10に希釈し、0.5%充填したニワトリ赤血球(CRBC)を用いた血球凝集抑制(HI)アッセイによって試験した。
H7N9ウイルス高投薬量による再感染。A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによる致死的感染から生存した全ての動物は、感染後の21日に25MLD
50のウイルスを用いて再感染させた。マウスは、感染の臨床徴候と生存について毎日観察され、体重変化は、指定された日にモニターされた。
【0085】
結果
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの生存におけるSp2CBMTDタンパク質の効力。本発明者らは、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで致死的にチャレンジされたマウスの生存および臨床兆候における、Sp2CBMTDタンパク質の単回または反復投与の効果を評価した(表2a)。単回投薬量、2回および3回投薬量(100μg/マウス/日)として投与した場合に、Sp2CBMTDは、未感染マウスの体重変化と死亡を引き起こさなかった。本発明者らは、Sp2CBMTDがこれらの実験で使用した最高投薬量でマウスに対して非毒性であると結論付けた。
【0086】
未処理のH7N9ウイルス接種された対照マウスは、進行性の体重減少を示し、死に至るまでの平均日数は7.8±1.1であった(表2aおよび
図14〜16)。本発明者らは、H7N9ウイルスチャレンジに対するマウスの保護におけるSp2CBMTDの用量依存効果を観察し、より有益な保護が100μg/マウス/日という高投薬量で達成された(
図14)。D−7、D−3、D−1に投与した場合、100μg/マウス/日の投薬量が100%保護を与えた。試験された全ての処方計画で単回投与として適用された場合、0.1μg/マウス/日の投薬量が最少の有効な投薬量であった。
【0087】
A/Anhui/1/2013(H7N9)で致死的チャレンジ後に投与された場合、単回のSp2CBMTD投薬量の効果を評価するために、本発明者らは、ウイルス接種の6時間または24時間後に処理を開始した(
図15)。これらの実験において使用された最大投薬量(100μg/マウス/日)は、+6時間で適用された場合には100%生存を与え、+24時間(+1日)で適用された場合にはたった40%の動物の生存を与えた。
A/Anhui/1/2013(H7N9)ウイルスによるマウスの致死的チャレンジに対するSp2CBMTDを用いた反復投薬の有効性を評価するために、タンパク質の2回投薬がD−3とD−1に投与され、3回投薬がD−7、D−3、D1に投与された(
図16)。Sp2CBMTDを2回および3回適用した場合、全ての投薬処方計画について100%生存であった。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの体重変化におけるSp2CBMTDタンパク質の効力。100μg/マウス/日の最大Sp2CBMTD投薬量を動物に投与した場合に、体重変化はほとんどないまたは全くなかった。一方、0.1μg/マウス/日の投薬量は、体重減少に最小の効果を与え、この投薬量で処理された動物は、最も顕著な体重減少を経験した(表3a)。Sp2CBMTDの投与時期は、生存および体重減少に最も有益な効果の提供に重要である。Sp2CBMTDタンパク質による処理がウイルス接種の24時間後に開始された場合、動物は、最も顕著な重量変化を示した。全体的に、観察された体重変化は、H7N9感染後に観察された生存転帰と相関した。
【0088】
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによるマウスの感染を血清学的に確認し、抗HA抗体の産生におけるSp2CBMTDタンパク質処方計画の効果を比較するために、本発明者らは、HIアッセイのために感染後の21日に血清を回収した。相同なA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスに対する抗HA抗体は、全ての生存マウスにおいて観察され、逆数HI力価は40〜80の間の範囲であった(表4a)。
【0089】
高投薬量のH7N9ウイルスによる生存マウスの再感染。25MLD
50のH7N9ウイルスによる再感染から動物を完全に保護した;動物は、疾患兆候を示さず、死亡しなかった(表5a)。
【0090】
結論
・A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによる致死的チャレンジ前のSp2CBMTDの反復投与は、最も有益な結果を与え、使用された最低投薬量(0.1μg/マウス/日)でさえ、BALB/cマウスの100%の生存をもたらした。これは、使用された投薬量の減少の可能性を示す。
・投与時期は、致死的マウスモデルにおけるSp2CBMTDタンパク質処理の有効性と関連する:タンパク質をA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス接種前に投与した場合に、完全な保護(100%生存率)が達成された。
・Sp2CBMTDの用量依存的効果は、H7N9致死的マウスモデルにおいて観察され、したがって、インフルエンザウイルスに対するこのタンパク質の特異性を示す。
・Sp2CBMTDの投与は、抗HA抗体の発生に影響を及ぼさず、免疫応答のレベルは、H7N9ウイルスの再感染に対して保護するには十分であった。
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
【表7】
【0095】
【表8】
【0096】
【表9】
【0097】
(例4)
出現A(H7N9)インフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジに対してマウスを保護するシアル酸結合タンパク質Sp2CBMTDに関するさらなる研究
概要
例3に示されたデータによって示されるように、インフルエンザウイルス複製に必須の細胞因子を標的とする化合物は、抗ウイルス療法に対する魅力的なアプローチを表す。Sp2CBMTDは、インフルエンザウイルスによって認識される気道上皮上のシアル酸を含有する細胞受容体をマスクする遺伝子操作された多価タンパク質である。出現ヒトA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いたマウスの致死的感染に対するSp2CBMTDの抗ウイルス能力は、インビボでのその活性のメカニズムの基礎があったように調査された。Sp2CBMTDは、H7N9ウイルス接種の前(7日、3日もしくは1日)または後(6時間もしくは24時間)に単回投薬量または反復投薬量(0.1、1、10もしくは100μg)として鼻腔内にマウスに投与された。H7N9の致死的チャレンジ前の7日に投与された場合、単回Sp2CBMTD投薬量(10または100μg)は80%から100%のマウスを保護した。反復Sp2CBMTD投与は最大保護を与え、試験された最低投薬量(0.1μg)でさえ、マウスの100%生存をもたらした。Sp2CBMTDの投与は、炎症誘発性メディエーター(IL−6、RANTES、MCP−1、Il−1β、TNFα、MIP−1α、IP−10)の肺発現を誘導し、H7N9ウイルス感染前に気道に好中球を動員した。これは、より少ない顕著な炎症およびマウス肺からの迅速なウイルスクリアランスをもたらした。Sp2CBMTD投与は、ウイルス特異的な適応免疫応答に影響を及ぼさず、相同H7N9ウイルスまたは異種H5N1ウイルスのより高い投与量を用いた再感染に対して保護するのに十分であった。したがって、Sp2CBMTDは、致死的マウスモデルにおけるH7N9感染の予防に効果的であり、人畜共通のインフルエンザウイルスに対する予防オプションとして期待される。
【0098】
材料および方法
ウイルス、細胞および生物製剤
インフルエンザA/Anhui/1/2013(H7N9)およびA/トルコ/15/2006(H5N1)ウイルスは、世界保健機関のネットワークを介して取得され、35℃で48時間、発育鶏卵で増殖させた。以前に記載されるように(22)、Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから取得され、維持した。ストレプトコッカス・ニューモニエNanAシアリダーゼ由来の炭水化物結合モジュール40(CBM40)ドメインをコードする遺伝子とシュードモナス・エルギノーサのシューダミニダーゼ由来の三量体化ドメインをコードする遺伝子を用いて、Sp2CBMTDをPCRに基づくクローニング技術により生成させた(21)。H7N9とH5N1インフルエンザウイルスを用いた実験は、米国の農務省によって承認された動物バイオセーフティーレベル3+封じ込め施設で実施された。
【0099】
マウスにおけるSp2CBMTDの効力
6週齢の雌性BALB/cマウス(体重、18〜20g;Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)は、イソフルラン吸入により軽く麻酔し、50μLのPBS中の50%マウス致死的投薬量(MLD50)のA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを5回用いて鼻腔内接種された。第一の研究について、グループあたり5匹のBALB/cマウスは、H7N9ウイルス接種前の7日、3日もしくは1日、またはH7N9ウイルス接種の6時間もしくは24時間後に鼻腔内に単回投薬量のSp2CBMTD(0.1、1、10もしくは100μg/マウス)を与えられた。Sp2CBMTDの反復投薬は、H7N9接種前に2回(3日および1日)投薬量または3回(7日、3日および1日)投薬量のいずれかとして与えられた。マウスの生存は、感染後(p.i.)の21日間、毎日モニターされた;重症疾患の兆候および25%の体重減少を示した動物を屠殺した。対照マウスは、7日、3日および1日に滅菌PBSを受けた。
【0100】
第二の研究について、10μg投薬量のSp2CBMTDを評価した。グループあたり10匹のBALB/cマウスは、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス接種前に単回(7日もしくは3日)、2回(3日および1日)、または3回(7日、3日および1日)の投薬量のSp2CBMTDを与えられた。体重の減少または増加は、接種前のその重量の割合として各マウスについて算出された。感染後の3日、6日および9日に、各群からの3匹のマウスは、肺ホモジネートにおけるウイルス肺力価およびサイトカイン/ケモカイン応答のレベルを決定するために屠殺された。各群からの追加の3匹のマウスは、肺の組織病理学的検査のために屠殺された。肺を取り出し、滅菌PBSで十分にリンスし、均質化し、1mLの氷冷PBSに懸濁した。細胞残屑を10分間、2000gで遠心分離によって除去し、その後、上清をMDCK細胞における50%組織培養感染量(TCID50)アッセイに使用した。マウスの生存を感染後の21日間、モニターした。すべての研究は、適用される法律およびガイドラインの下で実施され、St.Jude小児研究病院動物ケアおよび使用委員会から承認された。
【0101】
H7N9およびH5N1ウイルスを用いた再感染
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いた接種から3週間後、生存マウスは、25MLD50の相同なウイルスを用いて再感染された。Sp2CBMTDおよびH7N9ウイルス接種による初期処理で生存した他のマウスは、3週間後にSp2CBMTDの第二の投与を受け、次に、20MLD50のA/トルコ/15/2016(H5N1)ウイルスを感染された。
【0102】
肺サイトカインおよびケモカイン分析
4つのサイトカイン[ガンマインターフェロン(IFN−γ)、インターロイキン−6(IL−6)、活性化調節された発現および分泌正常T細胞(RNTES)、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)]の濃度、および4つのケモカイン[インターロイキン−1β(Il−1β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)、マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP−1α)、誘導タンパク質(IP−10)]の濃度は、製造業者の指示に従ってマウスMYCTOMAG−70K−PMX MILLIPLEX(登録商標)予備混合キット(Millipore)を用いて測定された。各サイトカインについて、標準曲線は、3.2〜10,000pg/mLの範囲であった。サイトカインは、感染後の0日、3日、6日および9日に25μLの肺ホモジネート試料において測定された。マルチプレックスプレートは、xPonentデータ収集および分析ソフトウェアを用いて、ルミネックス100/200アナライザーで読み取った。
【0103】
組織病理学および免疫組織化学
第二の研究の各実験グループ(n=3)におけるマウスの肺を10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いて全身灌流後に回収した。マウス肺を気管注入を介して膨張させ、包埋、切片化、インフルエンザAウイルス[核タンパク質(NP);US Biological]および好中球[ミエロペルオキシダーゼ(MPO);Thermo Shandon]についてヘマトキシリンおよびエオシンまたは免疫組織化学的(IHC)染色を用いた従来の組織病理学について染色する前の少なくとも7日間、10%NBF中に維持する。インフルエンザAウイルスNP染色およびMPO染色した切片を病理評価のために盲検化した。抗原の存在は、Aperio ScanScope XT Slide Scanner(Aperio Technologies)を用いて全肺切片のデジタル画像を捕捉し、次に、著しく減少または不存在のNPおよびMPO染色の場所と一緒に領域全体を手動で輪郭を描くことにより定量された。染色範囲が減少した肺領域の割合は、Aperio’s ImageScopeソフトウェアを用いて算出された。
【0104】
血清学
血清試料をH7N9またはH5N1ウイルス感染の21日後に得、受容体−破壊酵素(Denka Seiken Co)を用いて処理し、56℃で1時間、熱不活性化し、0.5%シチメンチョウ赤血球(Rockland Immunochemicals)を用いた赤血球凝集素(HA)阻害アッセイにより抗HA抗体の存在について試験した。血清試料中の抗SpCBM抗体の存在は、96ウェルプレート(Corning)上に固定化された精製タンパク質(1μg/ウェル)を用いて、ELISAにおいて測定された(21)。
統計分析
ウイルス肺力価は、サイトカインおよびケモカインの濃度、ならびに抗SpCBM抗体力価は、対応のないスチューデントt検定によって分析された。NP染色およびMPO染色された肺細胞数は、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて分散分析(ANOVA)により比較された。累積生存率は、カプラン・マイヤーログランク検定により算出された。
【0105】
結果
H7N9インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたマウスの生存におけるSp2CBMTDの効力。Sp2CBMTDが、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたマウスの生存率を改善したかどうかを決定するために、生物製剤が、ウイルスチャレンジ前の7日、3日または1日に0.1、1、10または100μgの投薬量で1回投与された。ウイルス接種され、PBS処理された対照動物は、進行性の体重減少を示し、感染後の8日と10日の間に全て死亡した(
図17)。H7N9ウイルスチャレンジ前のSp2CBMTDの単回の鼻腔内投与は、マウスの用量依存的な保護をもたらした。Sp2CBMTDの最大単回投薬量(100μg)は最大保護を提供し、生物製剤をウイルス接種前の7日、3日または1日に投与した場合に、100%のマウスが感染に対して生存した(
図17A)。10μgの単回投薬量は、ウイルス接種前の1日または7日もしくは3日に投与した場合に、それぞれ100%、80%および80%のマウスを保護した。しかしながら、ウイルスチャレンジ前の3日または1日に1μg投薬量を投与した場合に、たった60%および40%のマウスが生存した(
図17A)。試験した最低投薬量(0.1μg)は、少なくとも効果的であり、たった20%のマウスが保護された。
【0106】
次に、マウスの生存におけるSp2CBMTDを用いた早期の曝露処理後の効果を評価した。H7N9ウイルスチャレンジの6時間後に与えられたSp2CBMTDは、10および100μgの投薬量で100%のマウスを保護し、1μgで40%のマウスを保護した(
図17B)。保護の効力は、治療の開始が24時間遅れた場合に減少した:100μgで処理されたマウスの40%だけがH7N9接種に対して生存した;0.1および1μgは生存効果を与えなかった。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて感染させたマウスの致死的チャレンジ前に2回または3回処方計画として与えられたSp2CBMTDの反復投与は、試験された生物製剤の全ての投薬量で完全な保護を与えた(
図17C)。これらの結果は、H7N9ウイルス接種前のSp2CBMTDの反復投与がマウスの生存および体重減少の最小化に最も効果的であることを示した(表1b)。
【0107】
マウス肺におけるH7N9インフルエンザウイルス複製におけるSp2CBMTDの効果。第二の実験において、Sp2CBMTDの抗ウイルス活性のメカニズムの基礎は、保護が第一の実験において与えられた10μg投薬量で調べられた。H7N9ウイルス負荷の動力学は、感染マウスの肺において決定された。試験された全ての生物製剤処方計画で処理されたマウスの肺におけるウイルス力価は、感染後の3日または6日で対照のウイルス力価とは異なっていなかった(表1b)。注目すべきは、感染後の9日に、Sp2CBMTDの2回および3回投与が、感染マウスの肺におけるウイルス負荷を有意に減少させたが(P<0.005)、試験された両方の単回投薬処方計画は、ウイルス力価を減少させなかった(表1b)。
【0108】
PBS(対照)または生物製剤の異なる処方計画のいずれかが与えられた感染マウスの下気道におけるA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス複製を比較するために、ウイルス陽性細胞を感染後の3日、6日および9日に肺切片において定量した(
図18)。対照動物において、NP陽性細胞(インフルエンザ感染細胞の尺度)は、感染後の3日および6日に全肺切片を通じて検出され、具体的には気管支、細気管支および細気管支周囲肺胞の上皮細胞において検出され(
図18D、F)、抗原陽性細胞数は、感染後の9日に減少した(
図18H)。Sp2CBMTDの単回投与は、感染後の3日、6日または9日に対照動物と比較して、マウス肺におけるNP陽性細胞数を有意に変化させなかった。対照的に、生物製剤の2回または3回の投与は、NP陽性細胞数の有意な減少(それぞれ、P<0.01およびP<0.05)をもたらし、細胞数は、感染後の3日で80%から70%に減少し(
図18A)、感染後の9日で50%に減少した(
図18C)。
【0109】
これらの知見は、Sp2CBMTD投与が、感染マウスの肺においてH7N9ウイルス複製を制御することを示した。肺切片アッセイは細胞内ウイルスだけを検出することができるが、TCID50アッセイは細胞内と細胞外の両方のウイルスを検出することができるため、感染性ウイルス力価における観察された差異および感染マウスの肺におけるウイルス陽性細胞数とすることができる。
【0110】
肺組織の組織学的変化におけるSp2CBMTDの効果。肺における変化の程度を決定するために、感染後の3日、6日および9日に異なるSp2CBMTD処方計画グループから得られた組織を組織学的に調べた(
図19)。H7N9に感染したPBS処理されたマウスの肺は、感染後の3日に気管支の上皮細胞の壊死を示し(
図19A)、感染後の6日に炎症性細胞(好中球およびマクロファージ)による肺胞崩壊と浸潤、浮腫およびウイルス性肺炎を示した(
図19B)。炎症性細胞による浮腫および浸潤は、感染後の9日まで継続したが、病変がいくつかの領域に制限されていた(
図19C)。3回の投薬処方計画を受けたSp2CBMTD処理されたマウスにおいて、感染後の3日目に特徴的な病理学的変化はなく、炎症性細胞による肺胞の上皮壊死および浸潤が最小であった(
図19D)。肺実質における炎症性細胞の蓄積およびウイルス伝播の進行は、感染後の6日に観察され、感染後の9日に消散した(
図19E、F)。これらの知見は、Sp2CBMTD投与が、致死的H7N9ウイルス感染に関連している肺組織損傷を減少させることを支持する。
【0111】
肺のサイトカインおよびケモカイン産生におけるSp2CBMTDの効果。Sp2CBMTD投与に関連した炎症性および自然免疫応答を決定するために、サイトカインおよびケモカインの肺発現におけるSp2CBMTDの効果を検討した。Sp2CBMTDは、H7N9ウイルス接種前の炎症誘発性応答を刺激し、サイトカイン(IL−6、RANTES、MCP−1)およびケモカイン(Il−1β、TNFα、MIP−1α、IP−10)などの特定の炎症誘発性メディエーターのレベルが増加し、有意差(P<0.01またはP<0.05)は、特に反復投薬を用いて、感染後の0日でSp2CBMTD処理された動物と対照動物の間に観察された(
図20)。これらの効果は、肺における活性化された肺胞マクロファージに起因する可能性がある。サイトカインおよびケモカインの肺発現は、感染後の3日、6日および9日に実験群間で変動し、発現の明確なパターンはなかった(データ示さず)。これらの結果は、Sp2CBMTDは、迫り来るインフルエンザウイルス感染により良好に対抗するために、宿主を「プライミング」することによって免疫応答を調節する場合があることを示唆する。
【0112】
好中球動員におけるSp2CBMTDの効果。ウイルス接種前に決定されたサイトカインレベルの上昇が、肺における免疫細胞集団の増加と関連していることを確認するために、好中球数を測定した(
図21)。感染後の0日目に、好中球数は、対照よりも、Sp2CBMTD処理されたマウスからの試料において有意に高く(P<0.0001)、最大増加が、反復Sp2CBMTD投薬を与えられたマウスから得られた試料において見られた(
図21)。本発明者らの結果は、ウイルス複製部位への免疫細胞の動員が、致死的H7N9ウイルス感染からの急速な回復と生存に寄与されるSp2CBMTD投与によって引き起こされたことを示す。
H7N9インフルエンザウイルスを用いたマウスの再感染。Sp2CBMTD処理が適応免疫の誘導と干渉するかどうかを調べるために、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスに対する血清抗HA抗体の力価を決定した。全ての生存マウスは、使用された処方計画に関係なく、抗HA抗体の中程度の力価(1:40〜1:160)を有した(表2b)。抗HA抗体力価は、25MLD50投薬量の相同H7N9ウイルス再感染に対して、生存動物を100%を保護するのに十分であった(データ示さず)。
【0113】
反復投与とH5N1インフルエンザウイルスによる再感染後の抗SpCBM抗体の誘導。生物製剤を反復して使用した場合、抗生物製剤抗体の発生は、潜在的に保護を無効にする可能性があった。本発明者らは、生物製剤の2つの使用後にマウス血清中の抗SpCBM抗体のレベルを評価した(表2b)。無傷なマウスと比較して、Sp2CBMTDの第一の使用後に最も顕著な増加が、急性抗体のプールを示すIgMについて観察され、IgAについて最も少ない増加が示された。Sp2CBMTDの第二の使用後、IgGおよびIgMのレベルは、それぞれ、全ての処理群において、1.3〜1.7倍および1.4〜4.4倍増加した(表2b)。反復Sp2CBMTD使用が、インフルエンザウイルス感染に対する保護に影響を与えることができるかどうかという問題に対処するために、本発明者らは、高病原性H5N1ウイルスを用いてマウスに再感染させた。重要なことには、生物製剤を2回受容したグループの動物は、H5N1ウイルスを用いた致死的チャレンジから完全に保護された(データ示さず)。
【0114】
検討。インフルエンザH7N9ウイルス誘発による急性呼吸窮迫症候群(23)の先に開発された致死的マウスモデルにおいて、本発明者らは、新たな出現ヒト病原体による致死的な感染の予防における新規な宿主標的化された生物製剤Sp2CBMTDの高い効力を実証した。最大効力とマウスの100%保護は、H7N9ウイルスチャレンジ前のSp2CBMTDの反復投与によって達成されたが、20%〜100%の動物は、時期と投薬量に応じて、ウイルスチャレンジ後のSp2CBMTDの単回投薬により保護された。Sp2CBMTDの反復投与は、H7N9ウイルス感染前にいくつかの主要な炎症誘発性サイトカインを誘導し、肺上皮に免疫細胞を動員し、それほど顕著ではない炎症とマウス肺から迅速なウイルスクリアランスをもたらした。
【0115】
トリインフルエンザウイルスによって引き起こされるヒト感染は、人畜共通感染症を制御するための最適な治療法について懸念を提起し、新規な抗インフルエンザ薬を開発する必要性を強調する。近年、新規薬物の標的が広がり、インフルエンザウイルス特異的なタンパク質だけでなく、ウイルス複製に本質的な宿主因子に着目している。宿主標的化薬物の主要な利点は、異なるインフルエンザウイルスサブタイプに対するそれらの広範囲の活性と効力であり、薬物耐性改変体(24)の出現の低リスクである。薬物開発のための魅力的な戦略は、宿主細胞へのインフルエンザウイルスの侵入を阻害することである。したがって、SAを含有する宿主細胞受容体をマスクするために設計されたSp2CBMTDは有望な候補である。治験抗ウイルス生物製剤DAS181とは異なり、Sp2CBMTDは、細胞受容体を除かないが、それらをマスクし、ウイルス付着を妨げる(21)。グリカンアレイスクリーニングは、SpCBMが、グリカンを含有する末端α2,3またはα2,6連結SAを認識する(20)ことを示し、ヒトの上気道および下気道内の受容体に結合することができる生物製剤の実施可能性を強調する。多価を介して達成されるSp2CBMTDの高親和性は、それが長期間、SA受容体をマスクすることを可能にする。Sp2CBMTDは単回投与後の最大8日間マウス肺において検出され(21)、これによりウイルス感染に先立っての投与が可能となり、予防対策の貴重な成分が作られる。対照的に、H7N9に感染させたマウスにおけるDAS181の抗ウイルス活性の最近の研究は、毎日の投薬が、体重減少を減らし、致死性からマウスを完全に保護するために、感染の開始時に必要とされることを示す(25)。標的(細胞表面シアログリココンジュゲート)が両方の薬物にとって同じであるにもかかわらず、処方計画は異なる。
本発明者らのデータは、Sp2CBMTDの抗ウイルス作用のメカニズムは複雑であり、2つの主要な要因:1)SAを含有する細胞受容体へのウイルス結合を妨げ(21)、2)宿主免疫応答を調節することによって駆動されることを示唆する。インフルエンザウイルス感染に対する保護におけるSp2CBMTDの多機能的役割は、先天性免疫応答の刺激、およびインフルエンザウイルス感染部位への免疫細胞の動員によって実証され、したがって、H7N9ウイルスによって誘導される免疫病理の重症度を低減する。Sp2CBMTDは、SAに加えて、まだ未知の受容体(単数または複数)に結合し、したがって、免疫応答を調節する能力を獲得することが可能である。
【0116】
重要なことは、H7N9ウイルス感染に対して生存した、Sp2CBMTD処理されたマウスから回収された血清は、特異的な抗HA抗体に陽性であり、それにより適応免疫応答の発生が生じた。免疫応答のレベルは、高投薬量の相同なウイルスを用いたH7N9ウイルスの再感染に対して保護するのに十分であった。
【0117】
この新規な治療薬の長期使用に関する主要な関心事は、それに対する特異的抗体の開発である。本発明者らの結果は、IgG、IgMおよびIgA抗SpCBM抗体の血清レベルが、第一投与の3週間後のSp2CBMTDの第二投与後に増加するが、保護は影響を受けず、全ての動物は、高病原性H5N1インフルエンザウイルスを用いた異種チャレンジに対して生存することを実証した。新たな出現H7N9インフルエンザウイルスと高病原性H5N1の内部遺伝子セグメントの全ては類似し、トリH9N2ウイルス由来のものと密接に関連している(16、26)。したがって、初期H7N9ウイルス感染によって確立される交差反応性CD4+T細胞およびCD8+細胞傷害性Tリンパ球の免疫応答は、H5N1再感染に対する保護に寄与している可能性がある。高病原性H5N1インフルエンザウイルスの異なるHAクレードに対するSp2CBMTDの効力を決定するために、さらなる研究が必要とされる。本発明者らの結果は、Sp2CBMTDの反復使用が短期間内でさえも可能であることを確認する。Sp2CBMTD投与間の期間がより長い場合、抗SpCBM抗体を除去することができ、保護レベルにおけるそれらの可能な効果を減少させる場合がある。免疫原性の可能な懸念を低減させるために、生物製剤のヒト化が可能である。
【0118】
Sp2CBMTDは、インフルエンザの潜在的なパンデミック株によって引き起こされる疾患の予防のための将来性を示すインフルエンザ感染症のための治療薬の新規な宿主向けの種類を表す。以前の研究は、この生物製剤は、パンデミックH1N1pdm09ウイルスに対して効果的であることを示唆する(21)。まとめると、これらのデータは、Sp2CBMTDが、出現インフルエンザウイルスに対する有望な予防オプションであるという見解を支持する。パラインフルエンザウイルス、いくつかのコロナウイルス、およびS.ニューモニエなどの他の呼吸器病原体はまた、将来的にSp2CBMTDのより広範な応用を実行することができる、病因のためのSA受容体を使用する。マウスでの本発明者らの知見は、反復低投薬量の処方計画が最も高い生存率をもたらし、マウス肺における組織損傷を最小化することを確認した。Sp2CBMTDの免疫調節特性は、さらなる調査を必要とするが、本研究の知見は、SA受容体を使用していない病原体によって引き起こされる呼吸器疾患の予防においてこのアプローチのより広い適用可能性を提唱する。
【表10】
【表11】
【0119】
例4に関する参考文献
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