特表2017-505863(P2017-505863A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-505863(P2017-505863A)
(43)【公表日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】水上汚濁物除去装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 15/00 20060101AFI20170203BHJP
   B63B 35/32 20060101ALI20170203BHJP
【FI】
   E02B15/00 Z
   B63B35/32 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-525053(P2016-525053)
(86)(22)【出願日】2014年10月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月20日
(86)【国際出願番号】KR2014009815
(87)【国際公開番号】WO2015057029
(87)【国際公開日】20150423
(31)【優先権主張番号】10-2013-0125001
(32)【優先日】2013年10月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0003691
(32)【優先日】2014年1月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0011879
(32)【優先日】2014年2月2日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0013889
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0019296
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0089000
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0102743
(32)【優先日】2014年8月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0138649
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516037453
【氏名又は名称】イ、ジョン ヨン
【氏名又は名称原語表記】LEE,Jeong Yong
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジョン ヨン
【テーマコード(参考)】
2D025
【Fターム(参考)】
2D025AA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、水上汚濁物質除去装置に係り、より詳しくは、水面に油やアオコ、赤潮などの水上汚濁物が生成された場合、水上汚濁物を吸入し、吸入された水上汚濁物が吸着布を通過するようにして吸着布を介して水上汚濁物を吸着させるが、吸着布が周期的または持続的にローリングされるようにして、汚濁物に汚染された吸着布の吸着性能を継続的に維持されるようにする水上汚濁物除去装置に関する。
【解決手段】本発明に係る本発明の水上汚濁物除去装置は、油や赤潮、アオコなどの水上汚濁物を除去する水上汚濁物除去装置において、流入口から水上汚濁物を吸入する吸入配管と;前記吸入配管に連結され、前記流入口から前記吸入配管の排出口側に前記水上汚濁物が吸入されるように吸入する吸入ポンプと;前記吸入配管の流入口の周辺に設置される吸着布と;を含んでなり、前記吸着布は、前記流入口で移動可能に設置され、前記水上汚濁物を吸着することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油や赤潮、アオコなどの水上汚濁物を除去する水上汚濁物除去装置において、
巻物型吸着布の移動ができるように上下移動経路の固定化孔が形成されているか或いは形成されておらず、該固定化孔が形成されている場合には、該固定化孔を介して巻物型吸着布が移動するが、上下移動経路の固定化孔が形成されているか或いは形成されていない場合には、巻物型吸着布は吸着布筒の中心軸を中心に巻き取られるようになり、吸着布筒は油、赤潮、アオコがある水の上下または水面の上下に設けられることを特徴とする、水上汚濁物除去装置。
【請求項2】
前記吸着布筒が油、赤潮、アオコのある水の上下または水面の上下に設けられるとき、上下の吸着布筒は格子状などの支持板によって連結及び支持され、吸着布が格子状などの支持板の前または後ろで移動するとき、プロペラが格子状などの支持板の前または後ろで回転することを特徴とする、請求項1に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項3】
前記プロペラは円筒状などの管の内部に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項4】
プロペラの中心軸は、ベルトプーリーが形成され、水面上に設けられるモーターなどの駆動装置とベルトで連結されて駆動されるか、或いはギヤによって噛み合って回転することを特徴とする、請求項2または3に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項5】
第2流入口から水上汚濁物質を吸入する吸入配管;
前記吸入配管に連結され、前記第2流入口から前記吸入配管の排出口側へ前記水上汚濁物が吸入されるように吸入する吸入ポンプ;及び
前記吸入配管の第2流入口の周辺に設置される吸着布;をさらに含んでなり、
前記吸着布は、前記第2流入口で移動できるように設置され、前記水上汚濁物を吸着することを特徴とする、請求項1に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項6】
前記ポンプの流入口は第1流入口が水面の下に浸かるようになり、ポンプの第1流入口の前方に、第1流入口を隙間なく包み込むもう一つの、第1流入口よりも直径の大きい第2流入口を有する吸入配管が形成されるが、第2流入口が水面の上部と下部の間にまたがるように形成されることを特徴とする、請求項5に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項7】
第2流入口が水面の上部と下部の間にまたがり、第1流入口が水面の下の水に浸かるようにする浮力装置が、吸入配管の内側または外側に形成されることを特徴とする、請求項6に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項8】
第2流入口の上部と下部には、吸着布の移動が可能であり、水がポンプなどによって流入するときに左右に偏らないように固定させる固定化孔がそれぞれ形成されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項9】
前記吸入配管の流入口に設置され、
ポンプによって水が流入するときに前記吸着布が後ろに押されて流入口へ吸入されることを防止するための支え膜の機能をする格子状などの支え膜をさらに含むことを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項10】
前記吸入配管の上部に配置されるか、或いは吸入配管がない場合には水面上の船体の一部に配置され、外周縁に前記吸着布の一端が巻かれる第1ローラー;
前記第1ローラーに連結され、前記第1ローラーを回転させる手動で、すなわち手で回転させて回すハンドルが形成されるか、或いは減速ギヤや減速のためのベルトなどを有するもしくは有しない第1電動機が形成され、
吸着布が巻かれる前記第1ローラーを包み込むが、吸着布が下部に移動できるようにする第1孔を有し、
前記第1電動機を固定させる上部ケース;
前記吸入配管の下部に配置され、
外周縁に前記吸着布の他端が巻かれる第2ローラー;及び
吸着布が巻かれる前記第2ローラーを包み込むが、吸着布が上部に移動できるようにする第2孔を有する下部ケース;をさらに含むことを特徴とする、請求項1または請求項5〜9のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項11】
前記上部ケースと前記吸入配管とを結合させる第1結合具、及び
前記下部ケースと前記吸入配管とを結合させる第2結合具をさらに含み、
吸入配管がない場合は、上部ケースと下部ケースとが結合具によって結合されるか、或いは吸着布が水面と多く接触するようにしながら一体的に形成されることを特徴とする、請求項1または請求項5〜10のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項12】
吸着布の移動ができるように上下移動経路の固定化孔が第2流入口の上部と下部に形成される場合、第2流入口の下部に形成される固定化孔は、水が吸入配管の下側の固定化孔を介して流入すると、吸入配管の前方の第2流入口から水を吸入する力が弱くなり、よって、水面上の汚染された水の吸入が弱くなり、吸入配管の下側の固定化孔を介して、汚染されていない水が流入するので、第2流入口の下部の固定化孔の前と後ろに、水が流入しないように弾力的な素材で水防用部材が設けられる、これらを互いに圧着することにより水が流入しないようにするとともに、その他の第2流入口の下部の固定化孔の側面も壁のように形成されて水の流入を遮断することを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項13】
前記第2流入口に設置されるか或いは結合具によって結合され、吸入配管の長さが可変する長さ調節管;及び
前記長さ調節管の側部に結合され、前記長さ調節管の長さを調節する長さ調節装置;をさらに含むことを特徴とする、 請求項1または請求項5〜12のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項14】
前記水上汚濁物除去装置は、船舶、潜水艇、ロボット船舶、RC船舶、ロボット潜水艇及びRC潜水艦のいずれか一つに結合されて利用されることを特徴とする、 請求項1〜13のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項15】
前記吸入配管の長さが可変する長さ調節管の流入口の周辺に設置される水中カメラ;及び
前記水中カメラに連動し、前記水中カメラで撮影した映像の入力を受けて出力するモニター;をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項16】
前記水中カメラの周辺に設置され、前記水中カメラの撮影方向に光を照射する照明部;をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項17】
船舶の場合に電源スイッチの動作に連動して電気信号を出力するスイッチと、船舶の略中心部の上部にIPカメラが1方向以上4方向に形成され、船舶の略中心部の上部に形成されたIPカメラの視覚で、画像センサーに感知された画像が制御部に入力され、制御部に格納された赤潮またはアオコまたは油の画像と色が同じである場合、制御部に形成された分度器型の方向線に基づいて、赤潮またはアオコまたは油がないところから赤潮またはアオコまたは油が形成されたところへ向かうように、制御部に形成された分度器型の方向線に基づいて、赤潮またはアオコまたは油がないところから、赤潮またはアオコまたは油が形成されたところの中でも最も近いところを分度器型の方向線で認知し、その方向に船体が移動するように方向キーの角度を制御部で計算して、計算された方向キーの角度だけ移動するように電気信号として出力する制御手段と、前記制御手段から出力される信号に基づいて動作し、船舶の方向キーの角度を調節する船舶の角度調節手段と、該角度調節手段によって角度が調節されると、調節された電気信号が制御部に入力され、調節された電気信号が制御部に入力されると、船舶のプロペラのモーターを動作させる電気信号として出力する制御手段と、該制御手段から出力される信号に基づいて動作し、プロペラを動作させるアクチュエータと、赤潮またはアオコまたは油が形成されたところに到着すると、画像センサーによって制御部に入力された画像の色が、制御部では赤潮またはアオコまたは油が形成されたところの画像のそれと一致すると、水上汚濁物除去装置のポンプ、及び第1ローラーの連結された第1電動機を駆動させる電気信号を出力する制御手段と、該制御手段から出力される信号に基づいて駆動する、水上汚濁物除去装置のポンプ及び第1ローラーの連結された第1電動機とを含んでなることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項18】
船舶の長さ調節管(16)の吸入口(16a)、または潜水艇の電源スイッチの動作に連動して電気信号を出力するスイッチと、船舶の長さ調節管(16)の吸入口(16a)または潜水艇の水中IPカメラの場合に、水中に形成されたIPカメラの視覚で、画像センサーに感知された画像が制御部に入力され、制御部に格納された赤潮またはアオコまたは油の画像と色が同じである場合、制御部に形成された360度の分度器型の方向線に基づいて、赤潮またはアオコまたは油が少ないところから、赤潮またはアオコまたは油が多く形成されたところを360度の分度器型の方向線で認知し、その方向に船体が移動するように方向キーの角度と船舶の長さ調節管(16)の吸入口(16a)を制御部で計算し、計算された左右、上下の角度だけ移動するように電気信号として出力する制御手段と、該制御手段から出力される信号に基づいて動作して、船舶の長さ調節管(16)の吸入口(16a)または潜水艇の上下、左右の角度を調節する船舶の長さ調節管(16)の吸入口(16a)または潜水艇の角度調節手段と、該角度調節手段によって角度が調節されると、調節された電気信号が制御部に入力され、調節された電気信号が制御部に入力されると、船舶の長さ調節管(16)の吸入口(16a)または潜水艇のプロペラのモーターを動作させる電気信号として出力する制御手段と、該制御手段から出力される信号に基づいて動作し、プロペラを動作させるアクチュエータと、赤潮またはアオコまたは油が形成されたところに到着すると、画像センサーによって制御部に入力された画像の色が、制御部では赤潮またはアオコまたは油が形成されたところの画像のそれと一致すると、水上汚濁物除去装置のポンプ、及び第1ローラーの連結された第1電動機を駆動させる電気信号を出力する制御手段と、該制御手段から出力される信号に基づいて動作する、水上汚濁物除去装置のポンプ及び第1ローラーの連結された第1電動機とを含んでなることを特徴とする、請求項1または請求項5〜17のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【請求項19】
船舶の夜間用光を照射する照明部及び水中カメラの周辺に設置され、前記水中カメラの撮影方向に光を照射する照明部がレーザー光であることを特徴とする、水上汚濁物除去装置。
【請求項20】
電源として太陽電池を形成したことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の水上汚濁物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上汚濁物質除去装置に係り、より詳しくは、水面に油やアオコ、赤潮などの水上汚濁物が生成された場合、水上汚濁物を吸入し、吸入された水上汚濁物が吸着布を通過するようにして吸着布を介して水上汚濁物を吸着させるが、吸着布が周期的または持続的にローリングされるようにして、水上汚濁物に汚染された吸着布の吸着性能を継続的に維持されるようにする水上汚濁物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、油を輸送する精油船舶の衝突事故などにより油が海水に流出して海水面が汚染される事故が頻繁に発生している。
この場合、油を除去する従来の防除方式は、水上汚濁物が拡散しないように水上汚濁物を囲い込む浮遊型フェンス(オイルブーム)を設置した後、吸着布を油の存在する位置に浸して吸着布に油がくっ付くようにした後、吸着布に染み込んだ油滓を再び除去する方式と、水上汚濁物に油処理剤を散布して水上汚濁物を分解させる方式に大別される。
【0003】
ここで、油処理剤を散布する方式は、海洋生態系そのものを破壊する副作用があるため、緊急な事態が発生した場合を除いては使用していない。
また、海岸に押されてきた油の除去方式は、砂や砂利に油滓がくっ付くようにした後、油滓がくっ付いた砂や砂利を加熱して殺菌する方式として知られている。しかし、このように油滓がくっ付いた砂や砂利を加熱する方式は、加熱の際に海上微生物まで全て除去される問題点が知られている。
【0004】
したがって、現存する油を除去する方式の中で、最も確実で問題点を発生させない方式は、吸着布を用いて油滓を除去する方式である。
ところが、このように吸着布を用いて油滓を除去する方式は、吸着布にくっ付いた油滓を除去する作業が非常にやかましく、吸着布にくっ付いた油滓の除去にあまりにも多くの時間がかかるため、油滓を除去する効率が低下するという問題点が知られている。
【0005】
一方、大韓民国登録特許第10−1221579号の「船舶に備えられたアオコ及び赤潮除去装置」では、ろ過網を備えて浮遊物を除去しながら汚染水を誘導する原水流入部と;前記原水流入部を介して汚染水をポンピングする原水ポンプと;前記原水ポンプを介して供給された汚染水を攪拌するインラインミキサーと;前記インラインミキサーにある汚染水を浄化するための薬品を投入する薬品投入部と;汚染水に含有された異物の電気的な凝集及び汚染水の酸化還元処理を施す電気セルと;前記電気セルで処理された汚染水を所定の時間帯留するようにしながら化学的反応によって浄化させ、前記汚染水に含有された微粒子を上部に浮遊させて除去することにより、上澄み水として浮上分離処理する浮上分離槽と;前記浮上分離槽を介して浄化された上澄み水に含有された微粒子凝集物を濾過するディスクフィルターと;前記ディスクフィルターを介して微粒子凝集物が濾過された上澄み水を海へ排出する排出口と;入力されたPLC(Programmable Logic Controller)プログラムによって汚染水を処理するための制御部と;を含んで構成されることにより、海水や上水源に形成されたアオコ、赤潮、並びにアオコ及び赤潮の原因物質を除去することができる装置が開示されている。
【0006】
しかし、従来の先行技術は、塩水がポンプによって流入する過程でろ過網によってろ過され、流入した汚染水が化学成分の薬品によって浄化処理されるものなので、前述した油処理剤によって生態系が破壊されるという問題点をそのまま伴っている。
【0007】
したがって、このように油だけでなく、赤潮やアオコなどの水上汚濁物を防除する作業の際に、水域生態系を破壊させることなく水上汚濁物を非常に容易に除去することが可能な防除手段が設けられるべき必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述したような問題点を解決するために案出されたもので、解決しようとする技術的課題は、水域生態系を破壊させることなく、水上汚濁物を非常に容易に除去することができる水上汚濁物除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した技術的課題を達成するための本発明の水上汚濁物除去装置は、油や赤潮、アオコなどの水上汚濁物を除去する水上汚濁物除去装置において、流入口から水上汚濁物を吸入する吸入配管と;前記吸入配管に連結され、前記流入口から前記吸入配管の排出口側に前記水上汚濁物が吸入されるように吸入する吸入ポンプと;前記吸入配管の流入口の周辺に設置される吸着布と;を含んでなり、前記吸着布は、前記流入口で移動可能に設置され、前記水上汚濁物を吸着することを特徴とする。
【0010】
ここで、前記水上汚濁物除去装置は、前記吸入配管の上部に配置されるか、或いは吸入配管がない場合には水面上の船体の一部に配置され、外周縁に前記吸着布の一端が巻かれる第1ローラーと;前記第1ローラーに連結され、前記第1ローラーを回転させる手動で、すなわち手で回転させて回すハンドルが形成されるか、或いは減速ギヤや減速のためのベルトなどを有する若しくは有しない第1電動機が形成され、前記第1電動機を固定させる上部ケースと;前記吸入配管の下部に配置され、外周縁に前記吸着布の他端が巻かれる第2ローラーと;吸着布が巻かれる前記第2ローラーを包み込み、吸着布が上部に移動できるようにする第2孔を有する下部ケースと;をさらに含んで構成できる。
【0011】
また、前記水上汚濁物除去装置は、前記上部ケースと前記吸入配管とを結合させる第1結合具;及び前記下部ケースと前記吸入配管とを結合させる第2結合具;をさらに含んで構成できる。
【0012】
また、前記水上汚濁物除去装置は、第2流入口の上部と下部には、吸着布の移動が可能であり、水がポンプなどによって流入するときに左右に偏らないように固定させる固定化孔がそれぞれ形成され、吸着布の移動ができるように上下移動経路の固定化孔が第2流入口の上部と下部に形成される場合に、第2流入口の下部に形成される固定化孔は、水が吸入配管の下側の固定化孔を介して流入すると、吸入配管の前方の第2流入口から水を吸入する力が弱くなり、よって、水面の汚染された水の吸入が弱くなる。
【0013】
吸入配管の下側の固定化孔を介して、汚染されていない水が流入するため、第2流入口の下部の固定化孔の前と後ろに、水が流入しないように弾力性のある素材で水防用部材が設けられ、これらを互いに圧着することにより水が流入しないようにするとともに、その他の第2流入口の下部の固定化孔の側面も壁のように形成されて水の流入を遮断する。
【0014】
また、前記水上汚濁物除去装置は、前記吸入配管の流入口に設置される格子状支え膜;をさらに含んで構成できる。
【0015】
また、前記水上汚濁物除去装置は、前記吸入配管の周辺に結合される浮力装置;をさらに含み、前記浮力装置は、前記流入口の下部空間を水面の下に配置されるようにし、前記流入口の上部空間を水面の上部に配置されるようにして前記吸入配管の浮力を調節することができる。
【0016】
また、前記水上汚濁物除去装置は、船舶または潜水艇に結合されて利用できる。
この場合、前記吸入配管は、ポンプの流入口は第1流入口が水面の下に浸かるようになり、油、赤潮、アオコのある水とポンプの第1流入口の前方には、第1流入口を隙間なく包み込むもう一つの、第1流入口よりも直径の大きい第2流入口を有するが、第2流入口が水面の上部と下部との間にまたがるように構成できる。
【0017】
また、前記水上汚濁物除去装置は、前記流入口に設置され、長さが可変する長さ調節管;及び該長さ調節管の側部に結合され、前記長さ調節管の長さを調節する長さ調節装置;をさらに含んで構成できる。
【0018】
また、前記水上汚濁物除去装置は、前記流入口の周辺に設置される水中カメラ;及び前記水中カメラに連動し、前記水中カメラで撮影した映像の入力を受けて出力するモニター;をさらに含んで構成できる。
【0019】
また、前記水上汚濁物除去装置は、前記水中カメラの周辺に設置され、前記水中カメラの撮影方向に光を照射する照明部;をさらに含んで構成できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、吸着布を用いるため水域生態系に影響を与えないうえ、汚染されていない吸着布を周期的または継続的に流入口に配置させて汚染物を除去するから、手作業で吸着していた従来の方式よりも非常に効率的な方式で水上汚濁物を除去することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置を正面から見た状態の断面図である。
図2図1に示した水上汚濁物除去装置の左側面図である。
図3図1に示した水上汚濁物除去装置の流入口の周辺を拡大して示す部分斜視図である。
図4図3の吸入配管の流入口に延長配管をさらに設置した状態で延長配管に長さ調節管を設置した状態の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の水上汚濁物除去装置は、油や赤潮、アオコなどの水上汚濁物を除去する水上汚濁物除去装置において、
巻物型吸着布の移動ができるように上下移動経路の固定化孔が形成されているか或いは形成されておらず、該固定化孔が形成されている場合には、該固定化孔を介して巻物型吸着布が移動するが、上下移動経路の固定化孔が形成されているか或いは形成されていない場合には、巻物型吸着布は吸着布筒の中心軸を中心に巻き取られるようになり、吸着布筒は油、赤潮、アオコがある水の上下または水面の上下に設けられ、第2流入口から水上汚濁物質を吸入する吸入配管;
【0023】
前記吸入配管に連結され、前記第2流入口から前記吸入配管の排出口側へ前記水上汚濁物が吸入されるように吸入する吸入ポンプ;及び
前記吸入配管の第2流入口の周辺に設置される吸着布;をさらに含んでなり、
前記吸着布は、前記第2流入口で移動できるように設置され、前記水上汚濁物を吸着する。
【0024】
前記ポンプの流入口は第1流入口が水面の下に浸かるようになり、ポンプの第1流入口の前に、第1流入口を隙間なく包み込むもう一つの、第1流入口よりも直径の大きい第2流入口を有する吸入配管が形成されるが、第2流入口が水面の上部と下部の間にまたがるように形成される。
【0025】
第2流入口が水面の上部と下部の間にまたがり、第1流入口が水面の下の水に浸かるようにする浮力装置が吸入配管の内側または外側に形成される。
第2流入口の上部と下部には、吸着布の移動が可能であり、水がポンプなどによって流入するときに左右に偏らないように固定させる固定化孔がそれぞれ形成される。
【0026】
前記吸入配管の流入口に設置され、
ポンプによって水が流入するときに吸着布が後ろに押されて流入口へ吸入されることを防止するための支え膜の機能をする格子状などの支え膜をさらに含む。
【0027】
また、本発明の水上汚濁物除去装置は、吸入配管の上部に配置されるか、或いは吸入配管がない場合には水面上の船体の一部に配置され、外周縁に前記吸着布の一端が巻かれる第1ローラー;
前記第1ローラーに連結され、前記第1ローラーを回転させる手動で、すなわち手で回転させて回すハンドルが形成されるか、或いは減速ギヤや減速のためのベルトなどを有する若しくは有しない第1電動機が形成され、
吸着布が巻かれる前記第1ローラーを包み込むが、吸着布が下部に移動できるようにする第1孔を有し、
前記第1電動機を固定させる上部ケース;
前記吸入配管の下部に配置され、
外周縁に前記吸着布の他端が巻かれる第2ローラー;及び
吸着布が巻かれる前記第2ローラーを包み込み、吸着布が上部に移動できるようにする第2孔を有する下部ケース;をさらに含む。
【0028】
前記水上汚濁物除去装置は、上部ケースと前記吸入配管とを結合させる第1結合具、及び
前記下部ケースと前記吸入配管とを結合させる第2結合具をさらに含み、
吸入配管がない場合は、上部ケースと下部ケースとが結合具によって結合されるか、或いは吸着布が水面と多く接触するようにしながら一体的に形成される。
【0029】
吸着布の移動ができるように上下移動経路の固定化孔が第2流入口の上部と下部に形成される場合に、第2流入口の下部に形成される固定化孔は、水が吸入配管の下側の固定化孔を介して流入すると、吸入配管の前方の第2流入口から水を吸入する力が弱くなり、よって、水の上の汚染された水の吸入が弱くなり、吸入配管の下側の固定化孔を介して汚染されていない水が流入するため、第2流入口の下部の固定化孔の前と後ろに、水が流入しないように弾力的な素材で水防用部材が設けられ、これらを互いに圧着することにより水が流入しないようにするとともに、その他の第2流入口の下部の固定化孔の側面も壁のように形成されて水の流入を遮断する。
【0030】
前記水上汚濁物除去装置は、第2流入口に設置されるか或いは結合具によって結合され、吸入配管の長さが可変する長さ調節管;及び
前記長さ調節管の側部に結合され、前記長さ調節管の長さを調節する長さ調節装置;をさらに含む。
【0031】
前記水上汚濁物除去装置は、船舶、潜水艇、ロボット船舶、RC船舶、ロボット潜水艇及びRC潜水艦のいずれか一つに結合されて利用される。
【0032】
前記水上汚濁物除去装置は、前記吸入配管の長さが可変する長さ調節管の流入口の周辺に設置される水中カメラ;及び
前記水中カメラに連動して、前記水中カメラで撮影した映像の入力を受けて出力するモニター;をさらに含む。
【0033】
前記水上汚濁物除去装置は、水中カメラの周辺に設置され、前記水中カメラの撮影方向に光を照射する照明部;をさらに含む。
【実施例1】
【0034】
以下、上記目的の他に、本発明の他の目的及び特徴は、添付図面を参照した実施例についての説明から明らかにされるであろう。
【0035】
特に他に定義しない限り、技術用語や科学用語を含み、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持っている。一般的に使われる辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上で持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されなければならず、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0036】
以下、本発明の実施例に係る水上汚濁物除去装置を図1図4に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置を正面から見た状態の断面図である。図2図1に示した水上汚濁物除去装置の左側面図である。図3図1に示した水上汚濁物除去装置の流入口の周辺を拡大して示す部分斜視図である。
【0037】
図1図3に示すように、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は吸入配管1、吸入ポンプ2、及び吸着布3を含む。
【0038】
前記吸入配管1は、第1流入口1cが水面の下に浸かるようになり、油や赤潮、アオコなどのある水とポンプの第1流入口1cの前方に、第1流入口1cを隙間なく包み込むもう一つの、第1流入口1cよりも直径の大きい第2流入口1aを有し、第2流入口1aが水面の上部と下部との間にまたがるように形成されることにより、水を吸入する場合に配管の内側が十分に水に浸かるように構成される。
【0039】
前記吸入ポンプ2は、吸入配管1に連結されるが、吸入配管1のボディのうち、水面の上部に配置される区間に連結されて結合できる。このような吸入ポンプ2は、流入口1aから吸入配管1の排出口1b側へ水上汚濁物が吸入されるように吸入する。
【0040】
前記吸着布3は、吸入配管1の流入口1aの周辺に設置される。吸着布3は、流入口1aで移動できるように設置され、流入口1aに流れ込んでくる油や赤潮、アオコなどの水上汚濁物を吸着する。
【0041】
このように、吸入配管1、吸入ポンプ2及び吸着布3を備えた本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、吸入ポンプ2を駆動させて、水面上に設置される吸入配管1の第2流入口1aを介して水上汚濁物質の含まれた水を吸入するが、この場合、吸着布3を下部から上部の方向に周期的または継続的に移動させることにより、汚染されていない吸着布3を第2流入口1aの周辺に周期的または継続的に配置させて水上汚濁物を除去することができる。
【0042】
したがって、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、吸着布3を利用するため水域生態系に影響を与えないうえ、汚染されていない吸着布3を周期的または継続的に第1流入口1aの周辺に配置させて汚濁物を除去するから、手作業で吸着していた従来の方式よりも非常に効率的な方式で水上汚濁物を除去することができる。
【0043】
また、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、第1ローラー4、第1電動機5、上部ケース6、第2ローラー7、及び下部ケース8をさらに含む。
【0044】
前記第1ローラー4は吸入配管1の上部に配置される。この場合、第1ローラー4は外周縁に吸着布3の一端が巻かれる。
【0045】
前記第1電動機5は、第1ローラー4に連結され、前記第1ローラー4を回転させる。
前記上部ケース6は、吸着布3が巻かれる第1ローラー4を包み込むが、吸着布3が下部に移動できるようにする第1孔を有し、第1電動機5を包む。この場合、上部ケース6は、第1電動機5が固定できる空間を設けることにより、第1電動機5と第1ローラー4が特定の位置に固定される。このような上部ケース6は、第1ローラー4に巻かれた汚染された吸着布3と第1電動機5を包み込むことにより、汚染された吸着布3の滓が外部に排出されるか或いは電動機が水によって短絡することを防止する。
【0046】
前記第2ローラー7は、吸入配管1の下部に配置され、外周縁に吸着布3の他端が巻かれる。
【0047】
前記下部ケース8は、吸着布3の巻かれる第2ローラー7を包み込むが、吸着布3が上部に移動できるようにする第2孔を有する。この場合、下部ケース8は、第2ローラー7が回動自在に固定できる空間を設ける。
【0048】
また、吸入配管1の第2流入口1aの上部と下部には、吸着布3の移動が可能であり、水がポンプなどによって流入するときに左右に偏らないように固定させる固定化孔3aがそれぞれ設けられる。
【0049】
また、吸着布3が上下に移動できるように上下移動経路の固定化孔3aが第2流入口1aの上部と下部に形成される場合、第2流入口1aの下部に設けられる固定化孔3aは、水が吸入配管1の下側の固定化孔3aを介して流入すると、吸入配管1の前方の第2流入口1aから水を吸入する力が弱くなり、よって、水面の汚染された水の吸入が弱くなる。吸入配管1の下側の固定化孔3aを介して汚染されていない水が流入するため、第2流入口1aの下部の固定化孔の前と後ろに、水が流入しないように弾力的な素材で水防用部材が設けられ、これらを互いに圧着することにより水が流入しないようにするとともに、その他の第2流入口1aの下部の固定化孔の側面も壁のように形成されて水の流入を遮断する。
【0050】
このような第1ローラー4と第2ローラー7は、吸着布3が巻かれた状態で、電動機の周期的または継続的な回転の際に吸着布3をローリングさせることにより、吸着布3が第2流入口1aで周期的または継続的に移動するようにして吸着布3の新しい面が水上汚濁物を吸着することができるようにするため、吸着効率を増加させる役割を果たす。
【0051】
ここで、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、第1結合具9及び第2結合具10をさらに含んで構成できる。
【0052】
前記第1結合具9は、締結部材や溶接部などの結合手段であって、上部ケース6と吸入配管1とを結合させる。
【0053】
前記第2結合具10は、締結部材や溶接部などの結合手段であって、下部ケース8と吸入配管1とを結合させる。
【0054】
このような第1結合具9と第2結合具10を用いて上部ケース6と下部ケース8が吸入配管1に結合されるようにすることにより、吸入配管1、第1ローラー4、上部ケース6、第2ローラー7、下部ケース8及び吸入ポンプ2が一体型に構成されるようにして、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置を水域で移動させながら使用することができる。
【0055】
ここで、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置を移動させながら使用する一例として、水上汚濁物除去装置を船舶、潜水艇、ロボット船舶、RC船舶、ロボット潜水艇、及びRC潜水艦などの水上輸送装置に結合した状態で、水上運送装置を移動させながら水上汚濁物を除去させると、水上汚濁物の防除作業の際に防除作業効率を向上させることができる。
【0056】
また、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、格子状支え膜13をさらに含むことができる。
【0057】
前記格子状支え膜13は吸入配管1の流入口1aに設置される。このような格子状支え膜13は、吸着布3を支持することにより、ポンプの吸入力によって吸着布3が吸入配管側に後方に偏ることを防止する支え膜の機能を果たす。
【0058】
また、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、浮力装置14をさらに含むことができる。
【0059】
前記浮力装置14は、スタイロフォームや空気袋などのように浮力を発生させる構成であって、吸入配管1の周辺に結合される。
【0060】
このような浮力装置14は、吸入配管1が水面上に浮くように浮力を提供して水上汚濁物除去装置が水面の上で移動できるようにし、浮力の提供を受けた吸入配管1は、流入口1aの下部空間が水面の下に配置されるようにし、流入口1aの上部空間が水面の上部に配置されるようにすることにより、吸入配管1が水中に完全に浸からないようにして、水面に浮遊する油などの浮遊物形態の水上汚濁物を非常に容易に除去することができる。
【0061】
一方、吸入配管1の内側に形成される内側配管の第1流入口1cは水面の下に浸かるようになり、ポンプの第1流入口1cの前方に、第1流入口1cを隙間なく包み込むもう一つの、第1流入口1cよりも直径の大きい第2流入口1aを有する吸入配管が配置されるが、第2流入口1aは水面の上部と下部の間にまたがるように形成されるようにして、吸入配管1が水中に完全に浸からないようにすることで、水面に浮遊する油などの浮遊物形態の水上汚濁物を非常に容易に除去することができる。
【0062】
図4図3の吸入配管1の流入口1aに延長配管15をさらに設置した状態で延長配管15に長さ調節管16を設置した状態の構成図である。
【0063】
図4に示すように、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、延長配管15、長さ調節管16及び長さ調節装置17をさらに含むことができる。
【0064】
前記延長配管15は、吸入配管1の流入口1aと連通するように吸入配管1の流入口1aに結合される。
【0065】
前記長さ調節管16は、蛇腹管や弾性ホースなどのように長さが可変できるものであって、流入口1aに設置されるか、或いは図4に示すように延長配管15と連通するよう延長配管15に設置される。
【0066】
前記長さ調節装置17は、油圧シリンダのように移送可能な構成であって、長さ調節管16の側部に結合される。油圧シリンダの場合、移動するロッドの軸端が長さ調節管16に結合され、他端が吸入配管1または延長配管15に結合されて構成される。このような長さ調節装置17は、外部信号の入力時に駆動され、長さ調節管16の長さを調節する。
このような長さ調節管16は、長さ調節装置17によって長さが調節されることにより、本実施例の水上汚濁物除去装置を用いて、水中にある水上汚濁物を選択的に除去することができる。
【0067】
この場合、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は、水中カメラ18及びモニター19をさらに含むことができる。
【0068】
前記水中カメラ18は流入口1aの周辺に設置される。
前記モニター19は、水中カメラ18と連動し、水中カメラ18で撮影した映像の入力を受けて出力する。
【0069】
このような水中カメラ18とモニター19は、作業者に水中の状態を知らせることにより、作業者が水中の水上汚濁物をモニター19を介して確認した状態で、長さ調節装置17を用いて長さ調節管16の吸入口16aの吸入位置を選択的に調節することにより、水上汚濁物を容易に除去することができる。
【0070】
ここで、本発明の一実施例に係る水上汚濁物除去装置は照明部20をさらに含むことができる。
【0071】
前記照明部20は、長さ調節管16の流入口1aまたは吸入配管1の流入口1aの周辺に設置されるが、水中カメラ18の撮影方向に光を照射するように設置される。
【0072】
このような照明部20は、水中カメラ18が撮影する方向に光を照射することにより、照度の低い水中でも水中カメラ18から容易な撮影映像を確保することができるようにする。
【0073】
以上の如く、本発明では、具体的な構成要素などの特定事項と限定された実施例及び図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎない。本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0074】
したがって、本発明の思想は説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形があるすべてのものは本発明の思想の範疇に属するというべきである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
最近、油を輸送する精油船舶の衝突事故などにより油が海水に流出して海水面が汚染される事故が頻繁に発生しているが、本発明は、吸着布を利用するため水域生態系に影響を与えないうえ、汚染されていない吸着布を周期的または継続的に流入口に配置させて汚濁物を除去するから、手作業で吸着していた従来の方式よりも非常に効率的な方式で水上汚濁物を除去することができるという効果を発揮する。よって、油が海水に流出する事故が一度発生すると、被害補償額が略2000億に達する。被害復旧について事故記録の一例を参照すると、次のとおりである。
【0076】
2007年12月7日に発生した西海岸泰安沖の原油流出事故は、香港船籍のタンカー「Hebei Spirit」とサムスン物産所有の「サムスン1号」とが衝突し、タンカーのタンクにあった総12,547klの原油が泰安海域に流出した事故である。仁川大橋工事を終えたサムスン1号のクレーン浮き船(動力のない船)をタグボートが慶南巨済に曳いていく過程でワイヤーが破断し、浮き船が近くの海に停泊していたタンカーと衝突して起きた事故である。
【0077】
初期に波が強くて迅速な対応措置ができなかったうえ、原油がオイルフェンスを越えて被害が大きくなった。破損したタンカーの穴は二日後にやっと塞がれたが、既に泰安郡の養殖場、漁場など約8千ヘクタールが原油に汚染された。原油が固まったタールの塊は、益々急速に広がり、12月30日には全羅南道にまで到達し、2008年1月3日には済州島の北楸子島からも発見された。専門家たちは、タールの塊がこんなに速く拡散したのには、潮流や強風などの気象の原因もあったが、関係当局が阻止線の構築に疎かだったからだと言う。
【0078】
政府が泰安生態系を調査した結果、油流出事故前に比べて海の中の生物の個体数が半分ほど減ったという。ニュースでも、今後5年くらいは経ってからようやく貝類が戻ってくるだろうし、10年くらいは経ってから以前と同様になるだろうと予想している。海苔や青海苔などの海藻類は平均43%減少し、甲殻類の個体数も急激に減少し、紫貽貝及びアナジャコの体の中からはベンゼン化合物と銅、カドミウムなどの重金属まで発見されたという。干潟堆積物の中にある油成分の濃度も事故前に比べて5倍以上に増加した。悩みが一つや二つではない。しかし、泰安郡民と国民の努力で、今では多く回復された。
【0079】
[ネイバー知識百科]原油流出−泰安海を飲み込んでしまった「黒い金」(すごい海の旅、2009.12.1、purungil)
【0080】
原油流出により、原状回復に10年はかかるほど膨大な復旧期間と莫大な被害が発生することになるが、油の拡散速度が速いので、迅速な除去装置や方法が必要とされる。本発明が提供する装置で油を除去すると、投入台数によって2〜3日以内にも完全に油が除去できると判断される。
【符号の説明】
【0081】
1 吸入配管
2 吸入ポンプ
3 吸着布
4 第1ローラー
5 第1電動機
6 上部ケース
7 第2ローラー
8 下部ケース
9 第1結合具
10 第2結合具
13 格子状支え膜
14 浮力装置
15 延長配管
16 長さ調節管
17 長さ調節装置
18 水中カメラ
19 モニター
20 照明部
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】