特表2017-506257(P2017-506257A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンジオジェネクス, インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ガーランド, ウィリアム, エー.の特許一覧 ▶ チャウダリ, ジャディブの特許一覧 ▶ ストーラー, グレンの特許一覧

特表2017-506257癌及びその他の増殖性疾患の治療、予防及び診断のための組成物並びに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-506257(P2017-506257A)
(43)【公表日】2017年3月2日
(54)【発明の名称】癌及びその他の増殖性疾患の治療、予防及び診断のための組成物並びに方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/36 20060101AFI20170210BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170210BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20170210BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170210BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20170210BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20170210BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20170210BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20170210BHJP
【FI】
   A61K31/36
   A61K45/00
   A61P27/02
   A61P35/00
   A61P35/04ZNA
   G01N33/53 D
   G01N33/543 501A
   G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】133
(21)【出願番号】特願2016-558543(P2016-558543)
(86)(22)【出願日】2014年12月14日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月15日
(86)【国際出願番号】US2014070221
(87)【国際公開番号】WO2015089495
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】61/916,116
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/965,776
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516175548
【氏名又は名称】アンジオジェネクス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】317000496
【氏名又は名称】ガーランド, ウィリアム, エー.
(71)【出願人】
【識別番号】317000500
【氏名又は名称】チャウダリ, ジャディブ
(71)【出願人】
【識別番号】317000511
【氏名又は名称】ストーラー, グレン
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ガーランド, ウィリアム, エー.
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリ, ジャディブ
(72)【発明者】
【氏名】ストーラー, グレン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA332
4C084ZB112
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、癌があるか、又は転移性疾患のリスクの高い哺乳動物対象で、癌細胞の転移を抑制するためにId(分化抑制)タンパク質の機能を損傷させるか、又はその濃度を減少又は除去する方法を提供する。抗Id化合物の例には、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド及びN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの単離された鏡像異性体が含まれる。本発明の抗Id組成物及び方法は、標準的な抗癌治療法、例えば手術、放射線及び化学療法と組み合わされることができる。また、腫瘍関連血管新生を含む病原性血管新生病態、及び加齢黄斑変性を含む眼球血管病理を含むその他の過剰増殖性疾患を治療するための組成物及び方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生物を患う哺乳動物対象における転移を低減する方法であって、該方法は、化学式Iの抗Id化合物(分化抑制剤)の抗転移有効量を前記患者に投与することを含み、
【化1】
式中、R1、R4、R5、R6、R8、R9、R10は、水素、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ベンジル、2−ブロモビニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリール、チオール、1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の炭化水素、アルコキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、アミノ酸、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシル、シクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキル、ペプチジル、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドから独立して選択され、R8及びR9は、化学式Iに示されたオルト方向に加え、パラ配置も有することができ、R7は、水素、ヒドロキシル、メトキシ、アジド、ニトリル、スルフヒドリル、ハロゲン、ベンゾイル、置換されたベンゾイル又は1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の炭化水素で置換されたヒドロキシル、主鎖が1〜20個の炭素原子であるアルカノイル、CF3(CH2nCO(式中、n=1〜10)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜10)、CF3(CF2n(式中、n=0〜3)、アリール、アルコキシ、ハロゲン、又はニトロ、アリールオキシ、アリールオキシのエステル、アダマントイル、置換されたアダマントイル又は1〜20個の炭素のアロイルから独立して選択され、R11がプロピオニルであれば、R7はメトキシでなく、R7及びR6は、化学式Iに示された通りオルトであるか又は互いにパラであることができ、R11は、独立して水素、プロピオニル、ピボイル、ベンゾイル、置換されたベンゾイル、主鎖が1〜20個の炭素原子であるアルカノイル、CF3(CH2nC=O(式中、n=1〜10)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜10)又はCF3(CF2n(式中、n=0〜3)であり、R7がメトキシであれば、R11はプロピオニルでなく、R12は、独立して水素、ハロゲン、2H、CH3(CH2n(式中、n=0〜5)、CF3(CH2nC=0(式中、n=1〜5)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜5)又はCF3(CF2n(式中、n=0〜5)である、方法。
【請求項2】
前記抗Id化合物は、ラセミN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗Id化合物によってもたらされる転移の低減は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Id治療をされた対象に関して癌のない生存期間の20%より大きな増加をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗Id化合物によってもたらされる転移の低減は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Id治療をされた対象に関して少なくとも20〜50%の癌のない生存期間の増加をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗Id化合物によってもたらされる転移の低減は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Id治療をされた対象において臓器転移の平均大きさ又は数で少なくとも平均20%の低減をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗Id化合物によってもたらされる転移の低減は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Id治療をされた対象において臓器転移の平均大きさ又は数で20〜50%より大きな低減をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗Id化合物によってもたらされる転移の低減は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Id治療をされた対象において臓器転移の平均大きさ又は数で少なくとも50%の低減をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗Id化合物は、下記(化学式II)から選択されるN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)の代謝産物である、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(化学式IIa)、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−ベンジル−3−(2−メトキシフェニル)プロパン)−1−アミン(化学式IIb)、2−(1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(ベンジルアミノ)プロピル)フェノール(化学式IIc)若しくはこれらの代謝産物の1つの鏡像異性体、又はこれらの代謝産物の1つの単離された鏡像異性体である、請求項1に記載の方法。
【化2】
【請求項9】
前記抗Id化合物は、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−ベンジル−3−(2−メトキシフェニル)プロパン)−1−アミン、又は2−(1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(ベンジルアミノ)プロピル)フェノールの塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩又はコハク酸塩である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
化学療法剤、血管破壊剤(VDA)、抗血管新生剤、又はHSP90から選択された第二の抗Id化合物を協調的に投与することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
鏡像異性体が多く含まれた、抗転移活性であるN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの(−)−鏡像異性体((−)−AGX51)を含み、哺乳動物対象での増殖性疾患又は転移性疾患の1つ以上の症状を低減又は予防するための有効量で(−)−AGX51鏡像異性体を含む剤形である、医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物は、60%以上の鏡像体過剰率の(−)−AGX51鏡像異性体の鏡像異性体純度を有する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物は、90%以上の鏡像体過剰率の(−)−AGX51鏡像異性体の鏡像異性体純度を有する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物は、98%以上の鏡像体過剰率の(−)−AGX51鏡像異性体の鏡像異性体純度を有する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗転移活性である実質的に純粋な(−)−AGX51は、経口、口腔、経鼻、エアゾール、局所、経皮、粘膜、又は注射送達用に製剤される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記抗転移活性である実質的に純粋な(−)−AGX51は、徐放性粘膜送達製剤、徐放性局所送達製剤又はパッチ装置で処方される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記抗転移活性である実質的に純粋な(−)−AGX51は、おおよそ8時間以上に亘ってヒト対象での(−)−AGX51の持続的な抗転移有効血漿濃度を提供するために有効な送達形態で製剤され、持続的な抗転移の有効性は、治療される対象における循環血漿でのId1又はId3濃度の持続的な低減と関連する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記(−)−AGX51鏡像異性体の約100mg〜約900mgの間の抗転移に有効な1日の用量を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項20】
50〜100mgの用量、100〜200mgの用量、150〜300mgの用量、300〜400mgの用量、400〜600mgの用量から選択される抗転移有効用量を含み、1日に1〜3回の投与で抗転移に有効である、請求項xxに記載の医薬組成物。
【請求項21】
鏡像異性体が多く含まれた、抗転移活性であるN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの(−)−鏡像異性体((−)−AGX51)と、
化学療法剤、血管破壊剤(VDA)、抗血管新生剤、又はHSP90から選択された第二の抗Id化合物と、
を含む医薬組成物。
【請求項22】
哺乳動物対象における病原性血管増殖性疾患を治療する方法であって、該方法は、化学式Iの抗Id化合物の抗血管新生有効量を前記患者に投与することを含み、
【化3】
式中、R1、R4、R5、R6、R8、R9、R10は、水素、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ベンジル、2−ブロモビニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリール、チオール、1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の炭化水素、アルコキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、アミノ酸、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシル、シクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキル、ペプチジル、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドから独立して選択され、R8及びR9は、化学式Iに示されたオルト方向に加え、パラ配置も有することができ、R7は、水素、ヒドロキシル、メトキシ、アジド、ニトリル、スルフヒドリル、ハロゲン、ベンゾイル、置換されたベンゾイル又は1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の炭化水素で置換されたヒドロキシル、主鎖が1〜20個の炭素原子であるアルカノイル、CF3(CH2nCO(式中、n=1〜10)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜10)、CF3(CF2n(式中、n=0〜3)、アリール、アルコキシ、ハロゲン、又はニトロ、アリールオキシ、アリールオキシのエステル、アダマントイル、置換されたアダマントイル又は1〜20個の炭素のアロイルから独立して選択され、R11がプロピオニルであれば、R7はメトキシでなく、R7及びR6は、化学式Iに示された通りオルトであるか又は互いにパラであることができ、R11は、独立して水素、プロピオニル、ピボイル、ベンゾイル、置換されたベンゾイル、主鎖が1〜20個の炭素原子であるアルカノイル、CF3(CH2nC=O(式中、n=1〜10)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜10)又はCF3(CF2n(式中、n=0〜3)であり、R7がメトキシであれば、R11はプロピオニルでなく、R12は、独立して水素、ハロゲン、2H、CH3(CH2n(式中、n=0〜5)、CF3(CH2nC=0(式中、n=1〜5)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜5)又はCF3(CF2n(式中、n=0〜5)である、方法。
【請求項23】
前記抗Id化合物は、ラセミN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)、又は単離された(−)−AGX51鏡像異性体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗Id化合物は、ラセミN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(化学式IIa)、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−ベンジル−3−(2−メトキシフェニル)プロパン)−1−アミン(化学式IIb)、2−(1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(ベンジルアミノ)プロピル)フェノール(化学式IIc)、又はそれらの単離された鏡像異性体である、請求項22に記載の方法。
【化4】
【請求項25】
前記抗Id化合物は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩又はコハク酸塩から選択される塩形態である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記病原性血管増殖性疾患は眼疾患である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記眼疾患は、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、新生血管黄斑症、又は眼癌からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記病原性血管増殖性疾患は、加齢黄斑変性(AMD)である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記病原性血管増殖性疾患は、湿った、滲出性AMDである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記抗Id化合物は、抗VEGF剤、抗VEGF受容体拮抗剤、血管破壊剤(VDA)、HSP−90阻害剤、抗炎症化合物から選択される二次薬剤と協調的に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
光力学治療(PDT)又はレーザー光凝固を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記抗Id化合物は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Idを治療された対象において滲出性AMD病変の発生(治療での病変数)又は大きさ(対象又は対象群での罹患した全網膜表面)での20%より大きな治療による低減をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記抗Id化合物は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Idを治療された対象において滲出性AMD病変の発生(治療での病変数)又は大きさ(対象又は対象群での罹患した全網膜表面)での30〜50%の治療による低減をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記抗Id化合物は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Idを治療された対象において滲出性AMD病変の発生(治療での病変数)又は大きさ(対象又は対象群での罹患した全網膜表面)での50%より大きな治療による低減をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記抗Id化合物による滲出性AMD病変の抑制は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Idを治療された対象において、選択された治療又は観察期間でスネレンラインスコアの少なくとも20%の低下をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記抗Id化合物による滲出性AMD病変の抑制は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Idを治療された対象において、選択された治療又は観察期間でスネレンラインスコアの少なくとも20〜50%の低下をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記抗Id化合物による滲出性AMD病変の抑制は、治療されなかった対照の対象に比べ、抗Idを治療された対象において、選択された治療又は観察期間でスネレンラインスコアの少なくとも50%の低下をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
(a)抗Id活性化合物と、
(b)抗VEGF剤、抗VEGF受容体拮抗剤、血管破壊剤(VDA)、HSP−90阻害剤、抗炎症化合物から選択される第二の薬剤化合物と、
を含む、病原性血管新生病態について薬剤治療を受けている対象の治療での使用のための組成物又はキット。
【請求項39】
Idタンパク質の生体試料での濃度を明らかにすることによって哺乳動物対象における過剰増殖性疾患を診断するための方法であって、該方法は、
試験対象からの生体試料を、Idタンパク質のHLH領域と結合するId結合タンパク質と反応させることと、
前記試料を、前記Id結合タンパク質によって結合された前記Idタンパク質の前記HLH領域から離された前記Idタンパク質での抗体結合部位で前記Idタンパク質に特異的に結合する標識された抗体と接触させることと、ここで前記標識された抗体は、前記Idタンパク質での前記Id結合タンパク質とは異なる位置に結合し、
前記Id結合タンパク質と複合体を形成した前記標識された抗体の量を計ることと、
を含む方法。
【請求項40】
前記Id結合タンパク質又は前記抗Id抗体は、固相支持体に結合される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記Id結合タンパク質又は前記抗Id抗体が標識される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記抗Id抗体及び前記Id結合タンパク質の両方が標識される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記Id結合タンパク質は、E12、E47、E2−2、HEB、MyoD及びMRFから選択されるbHLHタンパク質である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記Idタンパク質は、Id1又はId3である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記生体試料は、癌である又は癌若しくは転移性疾患の危険性が高いと診断された哺乳動物対象からの体液、血液又は組織試料である、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物対象における、病原性血管新生を含む、癌及びその他の増殖性疾患の予防、診断及び治療のための組成物並びに方法に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本願は、2013年12月13日に出願された米国仮出願番号第60/916,116号、及び2014年2月6日に出願された米国仮出願番号第61/965,776号の優先権を主張する。これらのそれぞれが、あらゆる目的に関して、その全体が参照によって本願に援用される。
【背景技術】
【0003】
分化抑制(Id)タンパク質
へリックス−ループ−へリックスタンパク質(HLH)のIdファミリは、癌における事実上全ての発症細胞機序及び決定事象である、細胞分化、細胞周期進行、老化、分化系列決定及びアトポーシスの調節に関わっている(Perk他、2005年;Morse、2006年;Ling他、2006年、Nair他、2013年)。用語「Id」そのものが、細胞分化及び重要な調節タンパク質のDNA(デオキシリボ核酸)への結合の両方を抑制するこれらのタンパク質の能力を特徴づける。4種類のIdタンパク質(Id1−4)の中で、腫瘍侵襲性、転移及び血管新生でのId1の役割が最もよく特徴づけられており、癌におけるId1の役割に関する発見は、その後の議論に対する基礎を提供する。
【0004】
Id1は、ヒトId1(配列識別番号1)(UniProKB P41134)及びマウスId1(配列識別番号2)(UniProKB P20067)のId1タンパク質に関して90%を超える著しい「相同性」(配列同一性)を示す下に提供される配列アライメント図で例証されるように、脊髄動物及び無脊椎動物だけでなく、種の間でも高度に保存されている(Deed他、1994年)。
【化1】
【0005】
ヒトId3(配列識別番号3)(UniProKB Q02535)及びマウスId3(配列識別番号4)(UniProKB P41133)のId3タンパク質間の比較は、さらに近い配列同一性をもたらす。
【化2】
【0006】
ヒトId2(UniProKB Q02363)及びマウスId2(UniProKB P41136)タンパク質は、134個中の2個以外の全てが同一の残基を共有し、一方でヒトId4(UniProKB P47928)及びマウスId4(UniProKB P41139)は、配列が100%同一である。
【0007】
ヒト及びネズミ科のIdの間でのこの普通でない高度の相同性又は配列同一性は、Id構造、機能及び生態に関して、許容されたモデル対象としてのマウスからヒトに推定する実験的発見における高い信頼を提供する。
【0008】
研究されたほとんどのIdは、健康な成人の分化した組織で極めて低濃度(通常は測定不能又は検出不能な濃度)で見られる転写調節因子であるId1である(癌組織又は発達中(胎児)の組織から通常検出可能な高いId濃度とは対照的である)。Id3はId1のパラログと考えられ、一方でId2及びId4は、互いに及びId1及びId3とは明らかに異なる。
【0009】
Id1及び全てのIdへリックス−ループ−へリックス(HLH)タンパク質についての主要な結合パートナーは、発生過程の調節因子として広範囲に200を超えるメンバー及び官能基を含む、転写因子の塩基性へリックス−ループ−へリックス(bHLH)ファミリである(Powell及びJarman、2008年;Massari、2000年)。bHLHファミリのうち特に重要なメンバーは、いわゆるEタンパク質である。
【0010】
Eタンパク質は、普遍的に発現するbHLHタンパク質であり、DNAのE−box要素に結合し、Idタンパク質により隔離される。E47は、E2A遺伝子のスプライス生成物である塩基性へリックス−ループ−へリックスタンパク質である。E−26「ETS」は、やはりIdタンパク質により阻害されることが提示されている調節転写因子の別のファミリ(おおよそ20)である。E及びETSタンパク質の両方が、様々な細胞状況において細胞分化及び成長停止をさせることが証明されている。IdHLHタンパク質の頻度の低い結合パートナーには、特にId2(Desprez他、2003年)及びId1に対しての網膜芽細胞腫(RB、腫瘍抑制因子として機能するタンパク質)、非bHLHタンパク質E−26(ETS)(様々な組織の発生及び例えば腫瘍抑制遺伝子であるp16Ink4aを介して癌の進行に関与する調節転写因子のファミリ)、ペアードボックス(Pax);マウスId関連−1(MIDA−1);及びステロール調節結合タンパク質−lc、SREBP−lcが含まれる。
【0011】
HLHファミリタンパク質の機能は、Idタンパク質の機能と似ている。一般的に、これらのタンパク質の全てが、細胞分化、細胞周期進行、老化、細胞関与(決定された系統/運命への)及び/又はアトポーシスにおける停滞又は変化の基本的なメディエーターである。しかし、Idタンパク質の活性は、通常はHLHファミリタンパク質の活性への効果とは反対である。これは、下記の通り、HLH及びbHLHタンパク質の間の結合による不活性化の結果が原因の1つである。
【0012】
bHLHタンパク質は、一般的に哺乳動物の細胞系で制限された成長又はゼロ成長の環境を媒介する。この役割と一致して、B及びT細胞におけるEタンパク質の減少はB及びT細胞白血病の発生と関連する(Kee、2009年)。これと対照的に、増加したIdタンパク質の発現は、bHLHタンパク質を中和するIdの潜在能力に起因する成長促進環境に関連している。
【0013】
bHLHタンパク質と他のbHLHタンパク質との間(Slattery他、2008年)及びbHLHタンパク質とIdタンパク質などのHLHタンパク質との間における相互作用(Norton、2000年)の性質に関する様々な報告が公表されている。bHLHファミリの全てのメンバーは、短い媒介ループにより分離されている2つの両親媒性のαヘリックスを含む高度に保存されたHLH領域を有する。この「HLHドメイン」は、bHLHタンパク質活性に必須のホモ又はヘテロ二量化を成立させる。隣接したこのHLHドメインは、標準「E−box」配列を含んでいるデオキシリボ核酸(DNA)要素に結合する能力のある基本領域である。
【0014】
Idタンパク質もHLHドメインを有するが、bHLHタンパク質のDNA結合をなす隣接した基本領域がない。この構造の結果、Idタンパク質は、他のHLH転写因子に結合することができ、遺伝子転写でのその活性を変更することができる。この方法で、Id1は、結合して、DNAに結合して転写変化を媒介するbHLH結合パートナーの能力を制限することによって、Eタンパク質、E47のようなbHLH転写因子の活性を抑制することが報告されている(分化促進及びアトポーシス促進の細胞変化を促すことが提示されている−様々な細胞の発生状況において抗腫瘍活性及び抗血管新生作用と相関すると考えられる)。
【0015】
d1は、タンパク質キナーゼ−A(PKA)により調節可能な核からの輸送に伴って、細胞の細胞質及び核分画の両方に存在する(Nishiyama他、2007年)。また、Id1の細胞内濃度は、ユビキチン−プロテアソーム分解経路を通じて調節されることも提示され(Sun他、2005年)、おおよそ1時間以下のIdタンパク質についての半減期をもたらす。この分解過程は、前立腺癌細胞におけるTNF−α誘導アトポーシスに関連する可能性がある(Ling他、2006年)。報告によると、bHLHタンパク質でのヘテロ二量化は、Id分解速度に影響を与え、保護してIdタンパク質の半減期を延長し得る(Bounpheng他、1999年)。
【0016】
Idタンパク質及び血管新生
Id1及びId3は、腫瘍の成長及び拡大に関連する「病原性血管新生」(「腫瘍関連血管新生」)を含む新たな血管の生成において重大な役割を果たすと提示されている。Id1遺伝子のHUVEC細胞への送達は、アンジオポエチン−1を上昇させ、血管新生促進表現型を与える(Nishiyama他、2005年)。報告によると、Id1は、血管新生促進因子の血管内皮成長因子−A(VEGF−A)(Lee他、2006年)、bFGF(Ruzinova他、2003年)、HIF−1(Kim他、2007年)、及びEGF−R(Ling他、2004年)の「下流」で作用し、そのためId1活性の喪失は、複数の血管新生経路を損ない得る。そのような血管新生経路の複数標的化は、腫瘍が単一標的の抗血管新生療法(別の血管新生促進成長因子の上方制御を通じた応答によるものを含む)では効果がないことが明らかになったため、重要な方針である。
【0017】
また、Id1は、サイクリンの不活性化を通じて機能すると提示されている、p21(サイクリンキナーゼ阻害因子)と負の相互作用をすることが提示されている。P21は、前駆細胞が腫瘍関連血管新生(Seandel他、2008年)及び癌転移(Gao他、2008年;Gao他、2009年)において中心的な役割を果たすと考えられる骨髄血管新生(Ciarrocchi他、2007年)において、内皮前駆細胞の形成を負に制御すると報告されている。腫瘍関連血管新生での内皮Idタンパク質発現のための直接的な役割は、Id1-/-、Id3+/-マウスにおける異種移植研究を基に提示されている。Id1-/-、Id3+/-マウスにおける異種移植腫瘍は、報告によると、完全には成長しないか、又はId野生型対照に比べて広範囲な出血及び壊死を伴う遅い成長を示し、一方で野生型骨髄由来内皮前駆細胞の移植は、Id1-/-;Id3+/-対象での腫瘍血管新生及び腫瘍成長を回復させるものと報告されている(Lyden他、1999年;Lyden他、2001年)。
【0018】
Idタンパク質及び癌
Id1タンパク質は、癌の発生及び進行に関与する多種多様な信号伝達及び制御要素に関連すると報告されている(Fong他、2004年)。特に興味深い関連は、Id1及び癌転移の間で提示されている。Id1は、ヒト乳癌における転移性変化とメカニズムで関連すると報告されている(Minn他、2005年)。Id1の過発現は、動物に移植された乳癌細胞での転移の一因であると報告されている(Fong他、2003年)。別の研究で、Id−1の過発現は、マウスにおいて骨髄性前駆細胞を不死化し、骨髄増殖性疾患をもたらすと報告されている(Suh他、2008年)。
【0019】
Id1は、膀胱(Perk他、2006年)、乳房(例えば、Schoppmann他、2003年)、子宮頸部/子宮(Li他、2009年;Schindl、他、2001年;Maw他、2008年)、結腸(Zhao他、2008年)、子宮内膜(Takai他、2004年)、胃(Han他、2004年;Iwatsuki他、2009年)、膠細胞(Vandeputte他、2002年)、肝臓(Matsuda他、2005年)、卵巣(Schindl他、2003年及びMaw他、2009年)、前立腺(Forootan他、2007年;Yu他、2009年;Coppe他、2004年;Ouyang他、2002年a)、腎臓(Li他、2007年)、扁平上皮細胞癌頭頚部(SCCHN)(Kamalian他、2008年)、甲状腺(Kebebew他、2004年;Ciarrocchi他、2010年)及び非小細胞肺癌(NSCLC)(Bhattacharya他、2010年)の固形腫瘍、及び急性骨髄性白血病(AML)(Tang他、2009年)などの液体腫瘍を含む多数の癌で高度に発現される。事実上全ての癌の種類で、Id1の過発現は、悪性表現型及び不良な臨床結果に関連すると報告されている。しかし、Idタンパク質が、癌及び他の増殖性疾患並びに細胞病原事象に関与する複雑な発生系で相互作用して悪影響をなす機序及び経路に関する根本的な疑問は残っている。
【0020】
下記の追加の観察及び報告が、哺乳動物対象における癌、癌転移、及び病原性血管新生の発生におけるId1の発現、機能及び生態の新たな理解に寄与しているが、理解は不完全である。
【0021】
Id発現及び機能に関与する複雑な要因 Id1遺伝子の発現は、骨形成タンパク質−2(BMP−2)(LePage他、2009年)、BMP−6(Darby他、2008年)、成長/分化因子−5(GDF5)(Chen他、2006年)、及びインスリン様成長因子−1(IGF−1)(Prisco他、2001年;Belletti他、2002年)を含む成長因子によって刺激されると報告されている。血管内皮増殖因子−A(VEGF−A)は、Id1の上流の遺伝子誘導因子(Benezra他、2001年)及び下流のメディエーター(Lee他、2006年;Lin他、2005年)の両方であると報告されている。SMADタンパク質は、転写因子として機能する他のSMADと複合体を形成することによって形質転換成長因子ベータリガンドの活性を調節すると提示されている(Liang他、2009年)。初期増殖応答タンパク質1(Egrl)(Subbaramaiah他、2008年)、有機体の初期発生における遺伝子の発現に関与するヒト転写因子のSp/KLF(特異性タンパク質/クルッペル様因子)ファミリの構成員であるSp1(Jorga他、2007)、及び活性化転写因子−3(ATF3)(Li他、2009年)は、プロモータ活性に肯定的な影響を与えると報告されており、一方で腫瘍抑制因子ATF5は、Id1遺伝子の発現を抑制すると報告されている(Gho他、2008年)。また、成長因子活性の癌原遺伝子チロシンタンパク質キナーゼメディエーターであるSrcは、Id1の発現調節において役割を果たすことが報告されている(Gautschi他、2008年)。同様に、白血性表現型を回復させると報告されている転写因子であるフォークヘッドボックスO−3a(FOX03a)は、Id1の転写下方制御により分化を促進することができる(Birkenkamp他、2007年)。Id1遺伝子の下方制御はまた、胃癌での非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の抗癌活性についての機序として提示されている(Jang他、2006年)。NSAIDセレコキシブによってもたらされる乳癌細胞での炎症性プロスタグランジンPGE2の減少もまた、減少したId1濃度と関係がある(Subbaramaiah他、2008年)。
【0022】
下流のId標的の複雑性 Id1はまた、様々な下流の発癌チロシンキナーゼ(Tam他、2008年)、例えばBcr−Abl、Tel−ABL(慢性骨髄性白血病に関連する異常な融合タンパク質)、TFL−PDG−FβR(好酸球増多に関連する骨髄性腫瘍の患者で発見されるハイブリッド融合タンパク質)、FLT3(VEGFに対する受容体の1つに関連するチロシンキナーゼ1)−1TDなどを標的とすると提示されている。Id1は、発癌ラットのRAS(マイトジェンによって活性化されたタンパク質キナーゼ(MAPK)経路におけるGTPase)と協働し、細胞老化反応を妨害し、転移性乳癌を誘発すると想定される(Swarbrick他、2008年)。Id1は癌細胞の増殖、生存及び浸潤(Li他、2007年)に重要なホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ(PI3K)/タンパク質キナーゼB(Akt)/核因子カッパベータ(NFkB)の信号伝達経路を刺激すると報告されている。Id1は、p16の発現を抑制することができ、これは細胞老化を積極的に調節する(Zheng他、2004年;Cummings他、2008年)。Id1はまた、p53及びNFkBを通じてB細胞リンパ腫細胞−2(Bcl−2)及びBCL−2関連Xタンパク質(Bax)を調節することができ(Kim他、2008年)、癌細胞の生存を高めるために、有糸分裂の間に後期促進複合体−C(APC/C)を通じて染色体不安定性を調節することができる(Wang他、2008年)。さらに、Id1は、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)の阻害を通じて、Aktで媒介されたウイングレス型(Wnt)信号伝達及びp27リン酸化を活性化すると提示されている(Lee他、2009年)。
【0023】
Idタンパク質及び転移
現在の知識は、癌転移におけるIdタンパク質及び他の調節因子の役割を実際に十分に理解するにはあまりにも不十分である。転移性疾患は、ヒトでの癌関連死の90%を占める。転移の複雑性及び難治性の性質は、癌の罹患率及び死亡率を減少させる新たな方法及び手段開発の最大の障害を示す。転移は、多段階の多因子過程であり、2つの主要な段階(1)「原発」部位(即ち、癌が生じた最初の組織/臓器)からの癌細胞の物理的播種、及び(2)原発部位から離れた組織/器官への癌細胞による定着(Chaffer及びWeinberg、2011年)を有するものとして大まかに記載される。数多くの研究は、第1段階が脱分化又は発生の再活性化を伴い、決められた細胞を一般的に「上皮間葉転換」(EMT)と呼ばれるより柔軟な運命に切り換えることを示している。EMT転換は、原発性癌細胞に、高度の浸潤性の表現型に関連するより大きな転移潜在力を付与する(Thiery他、2009年)。
【0024】
EMTの過程の間に、不変の上皮細胞はその上皮特性を失い、新たな腫瘍を播種するために他の位置(二次腫瘍部位)に移動する能力及び性向と結びついている間葉特性を獲得する。報告によると、EMTした癌細胞は、癌幹細胞(TIC)と重要特性を共有する(Mani他、2008年)(新たな腫瘍を播種し、原発性腫瘍の不均一性を回復するその能力により機能的に定義される)(Valent他、2012年)。EMT誘導転写因子、例えばツイスト関連タンパク質1(Twist1、又はクラスAbHLHタンパク質38)の過発現による乳癌のTICの発生は、EMTによって引き起こされる転移性播種及びTICの発生の分子連鎖を提示する(Mani他、2008年;Morel他、2008年)。しかし、転移の第2段階(離れた組織器官の定着)の間のTICの仕組みについてはあまり知られていない。EMTが乳癌のTICを誘導するという提示は、ほとんどの転移が分化した上皮形態を示すという臨床的観察に基づいて正当性を疑われた(Tarin他、2005年)。これはEMTが一時的な過程であり、「間葉上皮転換」(MET)による癌細胞の再分化が。少なくとも一部の癌において転移定着での原動力であるということを示すことができる(Brabletz、2012年)。
【0025】
EMTが癌細胞の播種(局所実質の浸潤を含む(Yook他、2006年)に影響を与え得る一方で、循環系への血管内侵入(Drake他、2009年)、移動の間の生存(Gal他、2008年)、及び二次部位への溢出(Labelle他、2011年;Vuoriluoto他、2011年)、間葉表現型の喪失が、微小転移コロニーの形成を促進し得る。これは、EMTに関連する成長停止の反転と関係し得る(Brabletz他、2001年;Mejlvang他、2007年;Vega他、2004年)。乳癌転移におけるMETの重要性は、播種後に、EMT転写因子Twist1の人工的喪失(Tsai他、2012年)及びEMT転写因子「亜鉛フィンガーE−box結合ホームボックス」(Zeb)を阻害するマイクロRNAの発現(Korpal他、2011年)が転移性乳癌細胞によって肺の定着を高めることを示す研究により提示されている。さらに、転写因子「ペアード関連ホームボックス1」(Prrxl)(これは、播種の間にEMTを誘導するが、肺の定着に必要な幹細胞特性は抑制する)が、定着の前に必ず失われなければならない(この場合、TIC表現型からのEMTの分離)(Ocana他、2012年)。転移コロニーを作るために必須のTIC特性は維持しつつ、コロニーを作る癌細胞が播種に必要な癌細胞の間葉表現型を捨てる方法の詳細は、不明なままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
前述したことを考慮すると、Idタンパク質が相互作用して、癌及び他の増殖性疾患(例えば腫瘍関連血管新生)において悪影響をなす機序及び経路に関して、多くの重要な疑問が残っている。従って、哺乳動物対象において癌を治療するための新たな手段及び方法を提供するためにこれらの薬剤及び過程が活用される前に、克服されなければならない多くの障害及び難関がある。哺乳動物対象における転移癌を評価、管理及び治療する手段及び方法のための更なる必要性が、満たされないまま残っている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、新生物又は他の細胞増殖性疾患を患っている哺乳動物対象においてId機能を調節する新たな手段及び方法を提供することによって、前述した必要性を満たし、更なる目的及び利点も満たす。なお、本発明は、癌及び転移に介在するIdタンパク質の役割及び作用並びにその生化学的及び分子標的を解明する新たな技術的発見を更に提供し、ヒト及び他の哺乳動物における癌及び転移並びに他の増殖性疾患の管理及び治療のための手段及び方法を提供する。
【0028】
例示の態様では、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための、例えば、腫瘍又は原発性癌細胞の転移を抑制若しくは減少させるための組成物及び方法を提供する。これらの方法は、哺乳動物対象に、対象における病原性細胞の増殖、血管新生、癌、及び/又は転移性疾患を軽減又は予防するのに十分な有効量の「抗Id化合物」を投与することを含む。例示の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、下記の化学式I、II、III、又はIVの例示の抗Id化合物、又はその活性塩、鏡像異性体、多形体、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグを使用する。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、本願における方法及び組成物は、抗転移(又は抗増殖若しくは抗血管新生)に有効な量のラセミN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(「AGX51」)を含有する例示の抗Id化合物又は組成物を用いる。異なる実施形態では、抗Id化合物は、単離された、抗転移に活性であるN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの(−)−鏡像異性体である。AGX51の(−)又は「マイナス」の鏡像異性体は、(+)又は「プラス」の鏡像異性体に比べて、抗Id効力の顕著かつ予想できない優位性をを示す。これに基づき、鏡像異性体が濃縮された、(−)−AGX51鏡像異性体の新たな製剤((+)−AGX51鏡像異性体の量又は濃度に比べて、増加された量又は濃度の(−)−AGX51を提供するように実質的に精製された(従来調製されているラセミN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドと比較して))が、本発明の組成物及び方法での驚くべき利点及び臨床的有益性を提供する。
【0030】
特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象における転移性疾患を治療又は予防するのに有効な「抗転移」組成物及び治療方法を提供する。これらの方法は、単一療法又は協調的若しくは組み合わせ療法を使用することができる。本発明の化合物及び方法は、「抗転移に効果的」であり、例えば癌を呈した対象で転移の発生率、大きさ、組織若しくは臓器の分布、又は数を減らす。特定の実施形態では、抗転移活性は、転移の1つ以上の組織病理学的指標で観察される減少、例えば、二次組織又は解剖学的部位で観察される原発性腫瘍の特徴の転移細胞又は「巣」の発生、大きさ、数又は分布における量の減少に相当する。他の態様では、抗転移効果は、転移癌の予防及び/又は治療により証明され、例えば、本発明の抗Id治療を受けた対象についての無病生存期間の増加によって立証される。
【0031】
本発明の他の組成物及び方法は、異常な血管成長又は「病原性血管新生」を特徴とする異なる細胞増殖性疾患を標的とする。これらの疾患標的の例には、異常な血管成長(例えば、黄斑変性)及び腫瘍関連血管新生によってもたらされる眼球疾患が含まれる。本発明の抗Id化合物は、「抗血管新生」剤としても機能し、下記に記載されるように、これらがかなり強く腫瘍と関連する血管新生を含む病原性血管新生を治療又は予防する(二次腫瘍発生及び成長に関する多方面、抗転移及び抗血管新生攻撃をもたらす)のに役立つ。
【0032】
本発明の追加の態様では、血液又は組織中のIdタンパク質(特にId1及び/又はId3)を測定する新たな診断検査が、転移性疾患の発生及び進行を監視するため、及び/又は抗Id治療の有効性を評価するための有用な診断手段を提供するために示される。
【0033】
さらに詳細な実施形態では、本発明の組成物及び方法は、二次治療薬、治療法又は治療方法と、キット若しくは製剤において組み合わされるか、又は協調的に投与される有効量の抗Id化合物を使用することができる。例示の実施形態では、対象は、例えば放射線、化学療法、手術、又はこれらの組み合わせから選択される二次治療法又は薬剤と同時に又は連続して、抗Id化合物で治療される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本特許出願はカラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許出願の写しは、出願時及び必要な費用の支払時に提供される。
図1】Id1及びId3の濃度が、例示の抗Id化合物、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)を用いた処理後の白血病細胞で大きく減少することを示すウェスタンブロットゲルを提供する。精製された(−)−AGX51鏡像異性体は、(+)−AGX51鏡像異性体に比べて驚くべき立体特異的効果を示す。
図2】Id1及びId3の濃度が、AGX51を用いた処理後に乳癌細胞で可変的に影響されることを示し、本発明の抗Id化合物の更なる驚くべき立体特異的効果を明らかにするウェスタンブロットゲルを提供する。
図3】AGX51での処理に続く、MML−AF9融合タンパク質を過発現するマウスから誘導された白血病細胞株におけるp16濃度の回復を示す免疫ブロットである。
図4】AGX51での処理に続く、ヒト膀胱癌細胞株におけるp21濃度の回復を示すウェスタンブロットである。
図5】DU−145ヒト前立腺癌細胞における細胞周期制御の回復に対するラセミ−AGX51、(+)−AGX51(「El」)及び(−)−AGX51(「E2」)の効果をグラフで比較する。AGX51の(−)−鏡像異性体は、細胞周期制御の回復に対して顕著な立体特異性効果を示し、一方でAGX51の(+)−鏡像異性体は、驚くべきことに検出可能な効果を全くもたらさない。
図6】本発明の例示の抗Id化合物、AGX51の、移動依存の転移性疾患可能性のモデルにおける強力な抗移動効果を図示する。この細胞運動性「スクラッチ」アッセイは、AGX51が癌細胞の移動に関与する転移活性の強力な阻害剤であることを示す。
図7】C57/BLマウスの脇腹に移植されたVEGF−165及びFGF−2処理されたマトリゲルプラグにおいて血管の形成を減少させる、AGX51の強い抗血管新生効果を示す図である。
図8】ヌードマウス(n=8/治療グループ)で行われた異種移植研究からのデータを提供する図である。ヌードマウスは、MDA231ヒト乳房の腫瘍が移植され、移植後14日目に、ビヒクル(DMSO)又は1日当り50mg/kgのAGX51で5日間、そして8日目及び22日目からは7.5mg/kgのパクリタキセルで静脈注射処理された。箱ひげ図は、移植後53日目(研究最終日)の腫瘍体積である。
図9】対照(A)及びAGX51の低較正(B)のイオンクロマトグラムを提供する。
図10】AGX51が速やかに吸収されることを示す血漿濃度データの対数線形プロットであり、Cmaxはここで15分と推定される。
図11】60mg/kg、1日2回のAGX51投与に続く血漿濃度のシミュレーションである。
図12】C57/BLマウスに移植されたルイス肺癌(LLC)腫瘍(移植後14日目に摘出)の肺転移を直接的に減少させる、AGX51の強力な抗転移効果を証明する研究の計画及び結果を示す。ヒトにおける癌薬効を予測するためのこの広く許容されたモデルで、AGX51は移植された癌細胞の転移において、これまでにない減少を提供する。
図13】尾静脈を通じてBalb/cマウスに直接注射された乳癌(4T1)細胞の肺転移に対するAGX51の効果をグラフで示す。AGX51は、注射された乳癌細胞の転移を大きく減少させる。
図14】尾静脈を通じての乳癌(4T1)細胞の直接的な注射後のBalb/cマウスにおける肺転移のAGX51抑制の生物発光可視化を示す。AGX51の(−)−鏡像異性体は、ヒトにおける癌薬効を予測する生体モデル対象での転移に対して、強力に立体特異的に保護する。
図15】パクリタキセル及びAGX51の組み合わせが、MDA−MB−231腫瘍が移植されたマウスにおいて、最小の用量であっても腫瘍の成長を著しく減少させたことを示すグラフである。
図16】MDA−MB−231腫瘍を移植してパクリタキセル及び可変量のAGX51で処理したマウスでの19日目の最終−当初腫瘍の体積における変化を示す図である。
図17】60mg/kg、1日2回投与のAGX51が、腫瘍成長の減少に対するパクリタキセルの効果を著しく増加させたことを示すグラフである。
図18】MDA−MB−231腫瘍を移植してパクリタキセル及びAGX51で処理したマウスでの41日目の最終−当初腫瘍の体積における変化を示す図である。
図19】パクリタキセルでの治療へのAGX51の追加が、腫瘍成長の減少に対するパクリタキセルの効果を著しく増加させたことを示すグラフである。
図20】パクリタキセル及びAGX51で処理したId1ノックアウトマウスでの腫瘍の成長を示すグラフである。
図21】パクリタキセル及びAGX51で処理したId1ノックアウトマウスでの20日目の平均腫瘍体積を示す図である。
図22】パクリタキセル及び/又はAGX51で処理したマウスにおける選択された化学的及び血液学的値の比較を示す図である。
図23】マウスモデルにおける病原性網膜血管新生に対するId3遺伝子ノックアウトの効果を示すグラフである。
図24】硝子体内に(ivt)投与された(−)−AGX51が、ヒト加齢黄斑変性(AMD)のネズミ科モデルにおいて病原性網膜血管新生から保護することを示すグラフである。
図25】腹腔内に(ip)投与された(−)−AGX51が、ヒトAMDのネズミ科モデルで病原性網膜血管新生から保護することを示すグラフである。
図26】本発明の再帰的診断−治療方法の実施において使用する生体試料でのIdタンパク質濃度/活性の検出のための変更されたサンドウィッチ免疫測定法の概略図である。
図27】癌を予測及び管理するための本発明のId診断手段及び方法の使用を示すグラフである。
図28】ヒト対象における乳癌の予測及び管理のための本発明のId診断手段及び方法の使用を示すグラフである。
図29】本発明の鏡像異性体の分離方法Aを用いてのAGX51(+)−及び(−)−鏡像異性体の溶出プロファイルのグラフである。
図30】本発明の鏡像異性体の分離方法Bを用いてのAGX51(+)−及び(−)−鏡像異性体の溶出プロファイルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を詳細に説明する前に、本発明に関連して使用される様々な用語を定義する。これらの用語に加え、他のものは必要に応じて明細書の他の部分で定義される。本願で明確に定義されなければ、本明細書で使用される技術用語はその業界で認識される意味を有する。また、下記用語は特に明示されなければ、下記の意味を有する。
【0036】
転移は、1つの臓器又はその一部から他の1つの隣接しない臓器又はその一部への癌の播種を指す。転移(複数形)は、転移により発生する二次部位における新たな癌の発生である。
【0037】
用語「化学療法」薬又は剤は、通常は承認された抗癌剤及び他の抗過剰増殖剤又は化学薬剤を指す。「化学療法」は、一般的に、細胞及び組織、通常は癌細胞及び代わりに又は併せて、病態の一部として新しく形成され、過剰増殖性疾患、通常は新生物又は癌を示す血管の細胞を破壊する、薬剤又は化学的活性に適用される。本発明での補助的使用のための化学療法剤には、限定ではないが、(1)チューブリン脱重合剤、例えばパクリタキセル、ドセタキセル、BAY59−8862アルブミンの結合されたパクリタキセルなどのタキサン、(2)DNA損傷剤及びDNA合成を抑制する薬剤、(3)代謝拮抗物質、(4)抗血管新生剤及び血管破壊剤、(5)抗体、(6)内分泌療法、(7)免疫調節剤、(8)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、(9)信号伝達阻害剤、(10)熱衝撃タンパク質の阻害剤、(11)レチノイド、例えばオールトランスレチノイン酸、(12)成長因子受容体又は成長因子自体の阻害剤、(13)抗有糸分裂化合物、(14)抗炎症剤、例えばCOX阻害剤、及び(15)細胞周期調節剤、例えばチェックポイント調節剤及びテロメラーゼ阻害剤が含まれる。
【0038】
用語「併用療法」は、示された治療効果の達成のために2種類以上の異なる療法の提供を含む治療計画を指す。例えば、併用療法は2種類以上の化学的に異なる活性成分、例えば、抗Id化合物及び化学療法剤の投与を含むことがある。あるいは、併用療法は、抗Id治療及び/又は1つ以上の化学療法剤の投与を単独で又は他の治療の実施、例えば放射線療法及び/又は手術と共に含むことがある。二つ以上の化学的に異なる活性成分の投与のとの関連で、活性成分は同一の組成物の一部として又は異なる組成物として投与され得ると理解される。別の組成物として投与される場合、異なる活性成分を含有する組成物は、同一又は異なる投与方法を用いて同一又は異なる経路により同一又は異なる時期に投与されることができ、その全ては特定の状況に応じ、担当主治医により決定される。同様に、1つ以上の抗Id治療が単独で、又は組み合わされる1つ以上の化学療法、例えば放射線及び/又は手術と併用して適用される場合、薬剤は手術又は放射線治療の前又は後に与えられることができる。「単一療法」は、単一投与で又は時間を掛けての複数回投与で投与される、1つの治療効果のある化合物の送達に基づく治療計画を指す。
【0039】
「新生組織形成」は、異常かつ制御されない細胞の成長を指す。「新生物」又は腫瘍は、細胞の成長の異常な、制御されない、無秩序な増殖であり、時に癌と呼ばれる。新生物は、陽性又は悪性であり得る。新生物は、破壊的な成長、侵襲性、及び転移の特性を有する場合、悪性又は癌性である。侵襲性は、周辺組織の浸潤又は破壊による新生物の局所的広がりを指し、通常は組織の境界を定める基底層への浸透を含む(それによって、多くの場合身体の循環系に入る)。転移は、典型的には、多くの場合にリンパ又は血管を通じた、腫瘍細胞の離れた部位への播種を指す。転移はまた、腫瘍細胞の漿膜腔若しくはくも膜下又は他の空間を通じた隣接した部位への移動を指す。転移の過程を通じて、身体の他の区画、組織及び領域への腫瘍細胞の移動及び播種は、最初の癌が現れた「原発」部位から遠く離れた領域で「二次」新生物を定着させる。
【0040】
「対象」又は「患者」は、本発明の方法又は組成物によって影響を受け得る、治療が必要な動物を指す。本発明の抗Id化合物及び方法を用いる治療に適している対象及び患者には、癌、転移性疾患、若しくは病原性血管新生を含むいずれかの増殖疾患を示す、又はそれらの発生リスクの高い脊髄動物、特に哺乳動物、例えばウシ、イヌ科、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、及び霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類を含む)、哺乳動物が含まれる。用語の治療又は療法「システム」は、本願で用いられた通り、複数の治療薬又は治療法、例えば抗Id活性剤、化学療法、及び可能であれば毒性還元剤を使用する、組み合わされた製剤又はプロトコルを指し、協調的治療計画で使用される(単独で又は共に剤形化され、同時に又は順次投与される)。治療システムは、薬剤(例えば、抗Id及び/又は従来の化学療法)治療を、別の治療介入又は治療法、例えば放射線療法又は手術と共に組み合せることもできる。本発明の抗Id製剤及び方法を使用する任意の治療システムは、相補的手段又は方法、例えば化学療法剤、放射線療法、手術、遺伝子療法、DNAワクチン及び療法、siRNA療法、抗血管新生療法、免疫療法、骨髄移植、アプタマー並びに他の生物製剤、例えば抗体及び抗体変異体、受容体デコイ及び他のタンパク質ベースの治療剤を含むいずれかの組み合わせ「治療計画」に組み込まれることができる。
【0041】
用語「治療」又は「治療すること」は、疾患又は障害に対する予防又は保護(即ち、臨床症状が発生しないようにすること)、疾患又は障害の抑制(即ち、臨床症状発生の停止若しくは抑制、及び/又は疾患若しくは障害の軽減(即ち、臨床症状を退行させること)を含む疾患又は障害のいずれかの治療を意味する。本発明の方法又は組成物は、多くの場合に、疾患の1つ以上の症状を防ぐこと、又は疾患の発症若しくは反復/再発を遅らせること(「予防」)、及び疾患の進行(例えば、増大した疾患症状の重症度、又はより進行した疾患症状の発症によって示される)を遅らせ、抑制し又は予防するために用いられる。
【0042】
本発明の新たな方法又は組成物は、驚くべき発見過程から生じている。刺激された可変的な転移潜在力のある細胞株の間での遺伝子発現データの初期比較は、特定の候補遺伝子が転移性疾患カスケードの異なるステップの間に必要であることを報告する(Kang他、2003年b;Minn他、2005年;Yang他、2004年)。これらの報告の一部は、Id1及びId3遺伝子の生成物を含むIdタンパク質の発現が、乳癌細胞の肺の定着に関わることを提示した(Gupta他、2007年)。Idタンパク質は、以前から塩基性へリックス−ループ−へリックス(bHLH)転写因子の優れた陰性調節因子として報告されている(Perk他、2005年)。
【0043】
Idタンパク質は、更に、胚性幹細胞の自己再生維持に重要な役割を果たし(Romero−Lanman他、Ying他、2003年)、成体組織幹細胞(Nam及びBenezra、2009年)及び造血幹細胞(Jankovic他、2007年)でこの機能を維持すると報告されている。
【0044】
Id遺伝子はまた、特定の癌、例えば神経膠芽腫(Anido他、2010年;Barrett他、2012年)及び結腸癌(O’Brien他、2012年)においてTIC表現型の調節因子として関与している。ヒト乳癌で、Id1は、より進行性のトリプルネガティブ[エストロゲン受容体、プロゲステロンに対して陰性、及びneu型ヒト表皮成長因子−2(HER2)に対し陰性]及び異形成のサブタイプで、不良な臨床結果と関連する高いId1の発現と共に、主に発現される(Gupta他、2007年)。
【0045】
本発明は、Id1及びId3の抑制剤を含むIdタンパク質の新たな抑制剤を使用することによって、癌及び転移の促進でのId機能を標的とする。これらの化合物は、本願で「抗Id」化合物と称し、本発明の付随する方法は、合わせて「抗Id」方法と称する。本発明の抗Id化合物は、細胞集団、生理的区画、腫瘍、又は個体に対する直接適用又は注射により、通常は「抗Id有効量」で存在する。これらの化合物及び方法は、本発明の異なる態様及び実施形態について本願に記載された通り「抗癌」、「抗転移」、「抗増殖」、及び/又は「抗血管新生」の有効活性を示す。
【0046】
例示の態様では、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための、例えば腫瘍又は原発性癌細胞の転移を抑制又は減少するための組成物及び方法を提供する。これらの方法は、哺乳動物対象に対して、その対象における病原性細胞の増殖、血管新生、癌、及び/又は転移性疾患の軽減又は予防に十分な有効量の「抗Id化合物」を投与することを含む。例示の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、下記化学式Iの例示の抗Id化合物を使用する。
【化3】
式中、R1は、アルキル、アルケニル、アルカノイル、アルキニル、アリール、アロイル、アラルキル、アルキルアミノ、アリールオキシ、水素、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオール、シクロアルケニルシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アラルキル、アミノ酸、ペプチド、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドからなる群から選択される置換若しくは非置換の低級炭化水素であり得る。R2及びR3は、独立して、まとめて、又は活性抗Id(アトポーシス誘導、細胞増殖抑制、化学療法促進、転写調節、抗炎症性、細胞分化促進、細胞性形質転換調節)組成物をもたらすいずれかの組み合わせにおいて、水素、ヒドロキシル、スルフヒドリル、フッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、2−ブロモビニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオール、アルコキシカルボニルなどの1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の低級炭化水素、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、アミノ酸、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、アラルキル、アリールオキシ、カルボキシル、シクロアルケニル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アミノ酸、ペプチド、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドであり得る。R4及びR5は、独立して、まとめて、又は活性抗Id(アトポーシス誘導、細胞増殖抑制、化学療法促進、転写調節、抗炎症性、細胞分化促進、細胞性形質転換調節)組成物をもたらすいずれかの組み合わせにおいて、アシル、又はアルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アラルキル若しくはアルキルアミノからなる群から選択される置換若しくは非置換の低級炭化水素であり得る。R6は、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子であり得る。R7は、硫黄、窒素又は酸素などのヘテロ原子、あるいは炭素であり得る。R8、R9、R10、R11及びR12は、独立して、まとめて、又は活性抗Id(アトポーシス誘導、細胞増殖抑制、化学療法促進、転写調節、抗炎症性、細胞分化促進、細胞性形質転換調節)組成物をもたらすいずれかの組み合わせにおいて、水素、ヒドロキシル、スルフヒドリル、フッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、2−ブロモビニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、シアノ及び1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の低級炭化水素から選択され得る。
【0047】
1個を超えるR基が存在する場合、R基は、同一である又は異なるようにして、いずれかの言及された基が選択されることができる。更なる実施形態では、2個以上のR基は共に結合されることができる。一部の実施形態では、R2及びR3は、環外での5又6員環構造の構成員であり得る。他の実施形態では、R3及びR4は、環外での5又6員環構造の構成員であり得る。更なる実施形態では、R5及びR6は、環外での5又6員環構造の構成員であり得る。更なる実施形態では、R11及びR12は、環外での5又6員環構造の構成員であり得る。一部の実施形態では、R7が窒素であれば、R6及びR7は環外での5又6員環構造の構成員であり得る。他の実施形態では、R6及びR12は、環外での5又6員環構造の構成員であり得る。
【0048】
より詳細な実施形態では、合理的に設計された化学式1の抗Id化合物は、更なる候補から選択されることができ、式中、R1、R4、R5、R6、R8、R9、R10は、水素、ヒドロキシル、スルフヒドリル、ベンジル、2−ブロモビニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリール、チオール、1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の炭化水素、アルコキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、アミノ酸、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシル、シクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキル、ペプチジル、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドから独立して選択される。R8及びR9は、化学式Iに示されたオルト方向に加え、パラ配置も有し得る。R7は、水素、ヒドロキシル、メトキシ、アジド、ニトリル、スルフヒドリル、ハロゲン、ベンゾイル、置換されたベンゾイル又は1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の炭化水素で置換されたヒドロキシル、主鎖が1〜20個の炭素原子であるアルカノイル、CF3(CH2nCO(式中、n=1〜10)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜10)、CF3(CF2n(式中、n=0〜3)、アリール、アルコキシ、ハロゲン、又はニトロ、アリールオキシ、アリールオキシのエステル、アダマントイル、置換されたアダマントイル又は1〜20個の炭素のアロイルから独立して選択される。R11がプロピオニルであれば、R7はメトキシになり得ず、一方でR7及びR6は、化学式Iに示された通りオルトであるか又は互いにパラであり得る。R11は、独立して水素、プロピオニル、ピボイル、ベンゾイル、置換されたベンゾイル、主鎖が1〜20個の炭素原子であるアルカノイル、CF3(CH2nC=O(式中、n=1〜10)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜10)又はCF3(CF2n(式中、n=0〜3)であり、R7がメトキシであれば、R11はプロピオニルとなり得ない。R12は、独立して水素、ハロゲン、2H、CH3(CH2n(式中、n=0〜5)、CF3(CH2nC=0(式中、n=1〜5)、CH3(CF2nC=0(式中、n=1〜5)又はCF3(CF2n(式中、n=0〜5)である。
【0049】
本発明のこれらの及び他の態様に関する追加の説明は、例えば、2012年3月20日に発行された米国特許番号8,138,356、及び2014年7月25日に出願された米国特許出願番号14/341,756に見つけられることができ、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本願に援用される。
【0050】
例示の実施形態では、化学式Iから選択される抗Id化合物は、下記化学式IIに示されたようなN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(あるいは、「AGX51」)である。AGX51を含む様々な化学式Iの化合物には、その化合物の薬学的に許容可能な活性塩、並びにその化合物の活性鏡像異性体、多形体、代謝産物、溶媒和物、水和物、及びプロドラッグが含まれることが、本願における教示から理解される。
【化4】
【0051】
Idタンパク質を阻害する新たな驚くべき有効な方法及び組成物は、下記化学式IIIの化合物及びその活性塩、鏡像異性体、多形体、代謝産物、溶媒和物、水和物、及びプロドラッグを更に含み得る。
【化5】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、及びR10は、独立して、まとめて、又は活性抗Id化合物を提供するいずれかの組み合わせで、水素、ヒドロキシル、スルフヒドリル、フッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、2−ブロモビニルアミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオール、1〜20個の炭素を含む置換若しくは非置換の低級炭化水素;アルコキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノ、アミノ酸、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、アラルキル、アリールオキシ、カルボキシル、シクロアルケニル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキル、アミノ酸、ペプチド、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドであり得る。R7は、水素、ヒドロキシル、ベンゾイル、置換されたベンゾイル又は1〜20個の炭素を含む非置換の低級炭化水素で置換されたヒドロキシルから選択されることができる。R11は、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄又は窒素であり得る。R12は、アルキル、アルケニル、アルカノイル、アルキニル、アリール、アロイル、アラルキル、アルキルアミノ、アリールオキシ、水素、カルボキシル、ニトロ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオール、シクロアルケニル、置換若しくは非置換のヘテロ原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキル、アミノ酸、ペプチド、染料、フルオロフォア、炭水化物又はポリペプチドからなる群から独立して選択される低級炭化水素であり得る。
【0052】
化学式IIIに関して、1個を超えるR基が存在する場合、R基は、言及されたいずれかの基から同一であるか又は異なるようにして選択され得る。更なる実施形態では、2個以上のR基が共に結合され得る。一部の実施形態では、R4は、隣接する複数の環で、5又は6員環構造の構成員となり得る。本発明に使用されるための化学式IIIの例示の化合物は、化学式IVに示されたようなN−[3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル]−N−ベンジルプロパンアミドである。
【化6】
【0053】
本発明の組成物及び方法に使用するための例示の抗Id化合物は、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(「AGX51」)である。本願で使用される通り、AGX51は、単離又は実質的に精製された形態であるN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド、及びAGX51の全ての機能的に同等な塩、プロドラッグ、代謝産物、誘導体、類似体、及びコンジュゲートを指す。例えば、当業者は、AGX51が所望のプロドラッグ形態及び生体変化産物、並びに薬剤の容易に設計及び試験される類似体、誘導体及び複合形態又はコンジュゲーション形態を含むことを理解する。
【0054】
従って、本発明は、AGX15の脱メチル化の形態、例えば、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド、脱アミド化した形態、例えば、(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−ベンジル−3−(2−メトキシフェニル)プロパン−1−アミン、又は多重改質された(例えば、脱メチル化及び脱アミド化された)形態、例えば2−(1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(ベンジルアミノ)プロピル)フェノールを使用する組成物及び方法を含む。関連した実施形態では、抗Id化合物は、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの生体変化産物のラセミ体又は精製された鏡像異性体での選択された塩の形態、例えば、(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−ベンジル−3−(2−メトキシフェニル)プロパン−1−アミン又は2−(1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(ベンジルアミノ)プロピル)フェノールの塩である。本願でのこれらの及び他の抗Id化合物の例示の塩の形態には、限定ではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩及びコハク酸塩が含まれる。
【0055】
関連した実施形態では、抗Id化合物は、単離された、抗転移活性であるN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの鏡像異性体である。驚くべきことに、本願での発見は、並外れた抗Id効果がAGX51の(−)−鏡像異性体型にあることを明示する。従って、好ましい態様において、本発明は、増加した相対量又は濃度の(−)−AGX51(他の(+)−AGX51鏡像異性体の量又は濃度に比べて、又はN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの従来のラセミ製剤に見られる量に比べて)を提供するために、鏡像異性体が濃縮された、実質的に精製された(−)−AGX51の新たな製剤を使用する。
【0056】
さらに詳細な態様では、本発明の方法又は組成物は、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの「実質的に純粋な」又は「本質的に純粋な」抗転移に有効な(−)−鏡像異性体を使用する。例示の組成物では、精製された(−)−AGX51鏡像異性体は、少なくとも初期(即ち、プレフォーミュレーション)において、少なくとも80〜90%、90〜95%、95%以上、又は98%以上の「鏡像異性体の濃縮」(ee)又は「鏡像異性体純度」を示す形態で提供される。本願で使用される通り、90〜95%eeの(−)−AGX51鏡像異性体製剤は「実質的に純粋な」ものであり、98%ee以上の製剤は「本質的に純粋な」ものである。別の態様では、本発明の方法又は組成物は、「本質的に(+)−N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド鏡像異性体がない」(即ち、全体のN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの5%未満、2%未満又は1%未満が(+)−鏡像異性体の形態であり、残りが(−)−鏡像異性体のみである)として定義される、「実質的に純粋な」(−)−N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド製剤を使用する。
【0057】
本発明の組成物及び方法で選択されたAGX51鏡像異性体の正体及び量は、様々な手段で明らかにされることができる。例えば、これらの測定及び値は、従来のキラルクロマトグラフィー及び/又は偏光分析法を用いて明らかにされ得る。本願で使用される通り、用語「精製された」又は「濃縮された」(−)−AGX51は、(+)−AGX51より(又はその化合物の従来の(非キラル)ラセミ製剤に存在する(−)−AGX51の量より)実質的に高濃度で安定した形態の(−)−AGX51を含むように人工的に濃縮されたいずれかの組成物に相当することを意図される。ここで、(−)−AGX51は、少なくとも約60%、70%、75%、80%、おおよそ90%まで又はそれ以上、最大95〜98%まで又はそれ以上の鏡像体過剰率(ee)で生じる。
【0058】
特定の態様では、本発明の方法又は組成物は、98%を超える鏡像体過剰率(例えば、キラルクロマトグラフィー及び/又は光学純度試験により決定)で高度に精製又は単離された(−)−AGX51(少なくとも剤形化、保管又は投与前の出発物質として)を使用する。85%又は90%を超える鏡像体過剰率の(−)−AGX51の製剤は、対応する(+)−AGX51鏡像異性体が実質的にないと考えられ、臨床使用に大変望ましい薬物製剤である。通常は、癌治療、転移性疾患の予防若しくは治療、又は血管新生又は他の増殖性疾患の治療のための本発明の医薬組成物は、約5%w/w以下、そして一部の実施形態では、約2%以下、又は1%w/w以下の(+)−AGX51鏡像異性体(即ち、組成物に存在する全体のN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの質量又はモル含量の百分率として測定される)を含む。
【0059】
実質的に純粋な(−)−N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド((−)−AGX51)、又は著しく鏡像異性体の濃縮された(−)−AGX51組成物の使用は、ラセミAGX51又は(+)−AGX51鏡像異性体に比べ、同じ用量での減少された副作用で、癌治療、転移性疾患の予防又は治療、並びに血管新生及び他の増殖性疾患の治療のための増強された治療効果を提供する。別の実施形態では、濃縮された(−)−AGX51は、ラセミAGX51又は(+)−AGX51鏡像異性体に比べて、より少ないか又は低頻度の用量で、より少ない副作用での同等又はより大きい治療効果を提供する。特定の態様では、ラセミAGX51と同しい(重量又はモル濃度において)投薬で、本発明の(−)−AGX51が濃縮された組成物及び方法は、本願で用いられるか又は参照した活性測定、治療的指標及び臨床検査のうち、いずれか1つ又はその組み合わせを用いて、ラセミ体(又は実質的に純粋な(+)−AGX51鏡像異性体)について観察された活性又は決定された治療有効性より、少なくとも10%、20%、30%、又は50%、75〜95%まで、100%又は200%もより大きい増加した活性又は治療有効性を示す。
【0060】
抗癌及び抗転移組成物及び方法
本願での発見及び教示によると、本発明の抗Id組成物及び方法は、bHLHタンパク質に対するId結合を効果的に遮断し、機能的に重要なId分解(即ち、細胞においてId濃度を治療的に減少させる)を促進し、細胞、組織及び生体に投与した時にId活性を抑制する。次に、これらの抗Id活性は、腫瘍転移、並びに腫瘍関連血管新生、及び他の増殖性疾患状態及び症状を効果的に抑制する。この驚くべき方法で、本発明の組成物及び方法は、ほとんどの致命的な及び難治性新生物の緩和に有効な手段を提供する。
【0061】
本発明は、数多くのアメリカ人が癌により重大な影響を受けるという観点から、非常に大きな臨床的有望性を有する。NIHの国立癌研究所は、2003年1月において、癌の病歴を有するおおよそ1億3700万人のアメリカ人が生存していると推測する。これらの個人のうち一部は癌がないが、残りは癌の兆候があり、治療中であり得る。2013年には約58,350名、1日に約1,600名のアメリカ人が癌で死亡すると予想された。米国で、癌は死亡者4名のちの1名を占める。
【0062】
患者は、一般的に既に深く根付いた癌を有しており、既に実存の医療問題である全身腫瘍組織量を有している。これらの患者は、手術、放射線、化学療法(任意でホルモン療法を含む)で、時に全身腫瘍組織量を減少させるためのアジュバント、生物学的療法又は標的療法と共に治療される。この最初の治療又は一連の治療が完全な成功をもたらさない場合、腫瘍は多くの場合、更なる治療に対する耐性を示し、他の場合では癌が離れた臓器に転移して、多くの場合に致命的な結果を伴う。癌による死亡では、ほぼ例外なく癌の転移が先行し、したがって癌の転移は、癌の介在に関して最も重要かつ未解決の標的である。
【0063】
癌転移の抑制は、ほとんどの既存の癌薬剤が細胞増殖のみを抑制する理由もあって、至急の治療での必要性がある。転移の分子生物学は、原発性癌細胞の形質転換よりも複雑で理解するのが困難であることがわかっている。悪性細胞によって播種及び定着される分子が、異なる種類の癌の間で共有されるため、この過程を抑制する薬剤は、従来の化学療法薬よりかなり広範囲に有益である。転移性カスケードを妨害する成果を挙げる介入は、原発性腫瘍からの癌細胞の播種及び続く二次腫瘍部位の定着に不可欠な機序及び活性に焦点を合わせる。特に本願で明らかにされるように、Idタンパク質は、これらの腫瘍発生事象の強力な誘導因子であり、これは本発明の強力な抗Id組成物及び方法により無能力化又は遮断される。本願で提供される抗Id化合物及び治療方法は、1)癌細胞の播種の予防、及び2)既存の転移の抑制、を含む複数の相補的抗転移戦略に焦点を合わせる。
【0064】
本発明の方法又は組成物は、本願で初めて臨床的有効性の関係において記載される通り、抗Idの投与が明示されている治療用途での使用を見出した。本発明の代表的な治療用途には、癌及び有害な細胞の増殖(過多形成)を特徴とする他の疾患を含む、細胞増殖性疾患の治療を含む。
【0065】
本発明の抗Id組成物及び治療方法は、獣医(例えば、イヌ、ネコ、大型動物)及びヒト患者での癌の臨床的に有効な治療を含め、哺乳動物対象における細胞増殖性疾患の軽減又は予防に有効である。
【0066】
一般論として、本発明の組成物及び方法の抗Id有効性は、細胞増殖性疾患(例えば、癌、転移性疾患、腫瘍関連血管新生)の1つ以上の症状の減少と関連付けられることができる。これは、細胞増殖、血管成長、細胞移動、二次腫瘍外観又は成長、炎症、又は標的化された細胞増殖性疾患に関連するいずれかの他の症状において観察される減少に基づいて検知又は定量化されることができる。様々な検査及びモデルシステムが、本願に記載された化学式I、II、III及びIVの抗Id化合物の治療の有効性の説明するために容易に用いられることができる。これらの検査は広く知られており、本願で意図される対象の増殖性疾患のそれぞれに対して広く受け入れられている臨床相関を含む。この状況において、直ぐに使用するための例示の検査には、特に細胞増殖マーカー、循環内皮細胞、循環内皮前駆細胞(EPC)、循環腫瘍細胞、様々な癌/腫瘍マーカー(例えば、PSA)、及び組織学的、組織化学、及び免疫組織化学マーカーを検出又は定量して、原発及び転移癌細胞を検出し、位置を特定し、解剖学的に地図を作成し、及び/又は定量化する検査が含まれる。前述した細胞型及び機能性(即ち、細胞関与/運命、分化状態、発達潜在性)のそれぞれに対する有用な細胞特異的マーカーは、本発明のこれらの方法又は組成物での使用に関して、当業界に広く知られている。本発明の様々な検査及び診断又は臨床実施形態で細胞をタグ化、視角化、定量及び/又は分離するための例示のマーカーは、増加した転移潜在力のマーカーを有した転移細胞(例えば、上皮性特徴の喪失、増加した移動潜在力、二次部位定着潜在力に関するマーカー)のためのビメンチン+、N−カドヘリン+、E−カドヘリン−;EPCのためのLin−、GFP+、VE−カドヘリン+、CD11−;癌幹細胞(例えば、乳癌)のためのCD44(高い)、Cd24(低い)を含む。数多くの追加のマーカー、及びマーカーの組み合わせが、様々な検査及び診断並びに臨床方法で日常的に用いられ、本願でさらに論議される抗Id活性、機能、細胞効果及び臨床効果を識別する同様の又は追加の特異性を有する。
【0067】
特定の実施形態では、本発明の抗Id組成物及び方法は、新生物の発生、再発又は成長の減少に有効である。抗新生物の有効量の抗Id化合物を投与すると、治療対対照の対象において、5%、10%、25%、30%、50%、75%、90%以上まで新生物の発生率、数又は成長を減少させる。
【0068】
他の実施形態では、本発明は、「抗転移」組成物及び方法を提供し、これは哺乳動物対象における腫瘍転移の発生率又は重症度を効果的に減少させる。これらの方法は、単一療法又は協調的若しくは組み合わせ療法を使用することができる。目的の組成物及び方法が「抗転移で有効な」ことは、癌があるか、又は癌の発病リスクの高い治療対対照の対象で、転移の発生率、数又は大きさでの有意な減少により実証された。特定の実施形態では、抗転移効果は、転移の組織病理学的指標のうちの1つ以上、例えば、二次組織又はは解剖学的部位で観察される原発性腫瘍の特徴の転移された細胞若しくは「巣」の発生率、大きさ、数又は分布における定量的減少と関連する。あるいは、抗Id化合物によりもたらされる癌細胞の移動又は播種での実質的な減少があり得る。他の実施形態では、抗転移効果は、癌又は転移の有効な予防及び/又は治療と関連する1つ以上の患者の治療指標での有意な好ましい増加によって、例えば、抗Id化合物の投与を受けていない対照の対象に比べ、抗Id化合物の投与を受けた対象についての無病生存期間の増加によって、立証される。
【0069】
本発明の化合物、組成物及び方法の抗転移効果は、細胞増殖性疾患及び/又は新生物について治療されている患者で、実質的な治療有益及び向上した治療結果を提供する。例示の実施形態では、本発明の抗Id方法又は組成物で治療した癌患者は、従来の癌治療(例えば、本願における組成物及び方法で治療した患者で低減され又は除かれ得る化学療法及び放射線療法)に伴う有害な副作用の増加が全くなく、多くの場合に有意な減少がある改善された治療結果を示す。
【0070】
これらの有益を反映して、本発明の方法は、転移性疾患の予防又は停止の1つ以上の実際的な治療指標、例えば、二次組織又は解剖学的部位で観察される原発性腫瘍の特徴の転移された細胞又は「巣」の発生率、大きさ、数又は分布での減少で、20%以上の増加率を提供する。特定の実施形態では、抗Id化合物及び方法の抗転移効果は、例えば抗Id化合物で治療されていない適格な対照患者と比べたId治療患者の無疾患生存などの総体的指標を含む、受け入れられている転移性指標で20%以上の増加を提供する。
【0071】
他の実施形態では、本発明の抗Id化合物、製剤及び方法は、より大きな抗転移の臨床的有益性、例えば、認識される転移指標又はマーカー(例えば、原発性腫瘍部位又はその付近で観察された癌細胞の移動若しくは播種、血液又はリンパの生体試料で観察される転移、又は離れた組織若しくは臓器で検出される二次腫瘍の形成(例えば、放射線又は他の画像、生検、又は術後若しくは検屍後の病理組織学により))における20〜50%増加、50〜70%増加、最大70%〜100%までの減少を提供する。多くの場合において、本発明の抗Id組成物及び方法を使用する有効な臨床管理は、6ヶ月〜1年、1〜2年、2〜5年、5〜10年又はそれ以上の間、原発及び/又は転移癌の症状、転移性疾患又は他の癌の症状の総体的予防、クリアランス又は安定した寛解を提供する。
【0072】
例示の実施形態では、本発明の抗Id方法及び組成物は、抗転移で有効であり、治療されない又は偽薬治療対象に対する抗Id治療対象で、転移において20%以上の減少、20%〜50%、50%〜75%、最大90%以上の減少を提供する(例えば、従来の転移細胞の検出、位置把握及び/又は定量のための比較組織病理、コンピュータ断層撮影、陽電子放射断層撮影及び/又は磁気共鳴映像により示される)。
【0073】
本願に示された全ての実施形態のそれぞれにおいて、抗転移効果は、通常は抗Id治療患者とタキサン又は別の癌療法、例えば放射線療法との間で観察される有害な副作用(例えば、吐き気、体重減少、脱毛、免疫学的損傷など)の増加なし又は減少とさえ相関する。例示の実施形態において、抗Id治療対象(抗Id化合物の単一療法で治療した対象、及び併用方法、例えば抗Idにさらに加えた化学療法、又は抗Idにさらに加えた放射線療法で治療した対象を含む)は、1つ以上の一般的に表れる有害な癌治療の副作用(例えば、一般的な化学療法又は放射線療法の副作用)において増加を示さず、そして1つ以上の有害な癌治療の副作用の発生率又は重症度において(例えば、従来の化学療法又は放射線療法の単独で治療した陽性対照の対象に比べて)多くの場合少なくとも20%減少、20〜50%減少、最大50〜90%又はそれ以上の減少を示す。
【0074】
抗Id療法に関連するであろう副作用には、本願に記載された新たな抗Id化合物の抗血管新生効果に関連する副作用が含まれ得る。そのような予想される副作用はまだ評価されていないが、様々な管理手段がこの有害な続発症を効果的に制限又は予防することができる。例えば、本発明の組成物及び方法の抗血管新生活性に起因する創傷治癒の潜在的な障害は、明示された場合は癌手術前に、及び/又は抗Id療法の開始前に有効治癒期間を考慮した手術後に、抗Id治療を設けることによって避けることができる。追加の治癒促進剤及び方法、例えば治癒促進サイトカイン又は成長因子(例えば、血小板誘導成長因子(PDGF))の協調的投与が、協調的に施されることができる。
【0075】
本発明のさらに詳細な態様では、抗Id化合物及び方法はまた、循環内皮細胞の転移関連増加を減少させるのにも効果的である。循環内皮細胞は一般的に健康な個人の血液にはないが、癌を含む病原性血管新生を特徴とする疾患を患う個人において著しく上昇する。循環内皮細胞の数(力価又は赤血球容積率カウント)は、適用可能ないずれかの手段により、例えばフローサイトメトリー、イムノビーズ捕捉、蛍光顕微鏡検査、標準及び密度遠心分離、又はフィブロネクチンコーティングされたプレート上における単核細胞培養及び免疫細胞化学を通じて明らかにされることができる。本発明の抗Id化合物の抗転移又は抗血管新生の有効量は、類似の病状(例えば、通常はEPCの腫瘍関連上昇がある、治療前の転移性又は血管新生疾患の同等な状態)を示す偽薬治療対象で観察される濃度に比べて、5%、10%、25%、30%、50%、75%、90%以上まで循環内皮細胞の数を減少させる。
【0076】
他の詳細な実施形態では、本発明の抗Id化合物及び方法は、転移性疾患の進行に関わった循環内皮前駆細胞(EPC)の転移関連増加の遮断又は減少に有効である。悪性形質転換及び転移は、循環EPC数増加と関連する。内皮細胞産生は、一般的に骨髄からのEPCの動員による損傷された血管系(腫瘍、及び他の場合の病原性血管新生に関連するものを含む)の修復に関与する。これに修復のための標的部位(腫瘍に関連して損傷された血管系の部位を含む)へのEPCの帰巣が続く(Shaked他、2006年;Shaked他、2008年)。この血管修復過程には、多くの場合、特定の細胞毒性「化学療法」薬、例えばパクリタキセル、及び血管破壊剤(VDA、例えばZD6126又はAVE8062)での治療が後き、これは血管での有害な細胞毒性の副作用を伴う。パクリタキセル治療に後き、この血管新生修復過程が正常なマウスにおいて観察されるが、報告によると、Id1遺伝子が欠乏したマウスにおいては存在しないと報告されている(Shaked他、2008年)。
【0077】
腫瘍関連EPCの産生を担う骨髄での過程の正確な性質はまだ確立していないが、EPCの供給源は骨髄中の造血幹細胞(HSC)と推定される。骨髄におけるId1の喪失は、末梢血液におけるEPCの喪失をもたらし、腫瘍の血管新生及び成長の障害に関連すると報告されている。Id1の欠如はまた、骨髄におけるHSCの自己複製能力を弱め、骨髄系統へ分化するその傾向が増大する。この機能的欠陥は、Id1抑制のもう1つの標的であるp21の発現増加を含む、Id1欠如HSCにおける転写変化に関連している(Ciarrocchi他、2007年)。HSCサブセットで内皮及び骨髄系統分化に対するId1及びその標的遺伝子p21の対立する効果を強調するためには、表現型HSCが内皮の子孫を生じさせる上記能力のためにId1が必要とされる。Id1−/−動物におけるp21の除去は、機能的内皮集団を回復させ、Id1−/−マウスにおいて観察される血管新生の欠陥を回復し、Id1欠如HSCの早期骨髄関与を回復する。Id1は、一般的な抗アトポーシス効果を通じて、細胞毒性での脅威に面した癌細胞への治療的にマイナスな保護の役割を果たすようである(Zhang他、2006年;Wong他、2004年)。これは前立腺癌細胞、非咽頭癌細胞、HeLa(子宮頸部)癌細胞及びMCF7(乳房)癌細胞におけるパクリタキセル/ドセタキセル誘導性アトポーシスの研究に基づいて報告されている。また、Raf/MEK(Zhang他、2006年)、及び/又はMAPK信号伝達経路(Cheung他、2004年;Lin他、2005年)のIdによる上方制御が、治療後の癌細胞によって獲得される細胞毒性に対する耐性を説明するために提示されている。
【0078】
複雑かつ説明されていない経路の関与にもかかわらず、本発明の抗Id化合物及び方法は、これらの経路の重要な交差地点で、Idタンパク質を根本的に無能力化する。また、この方法で、本発明の抗転移及び抗血管新生に有効な抗Id化合物は、EPCの産生を標的としつつ、二次的には腫瘍関連血管新生及び関連した腫瘍の成長を無能力化する。特定の実施形態では、本発明の抗Id組成物及び方法は、類似の病状(例えば、通常はEPCの腫瘍関連上昇がある、治療前の転移性又は血管新生疾患の同等な状態)を示す偽薬治療対象で観察される濃度に比べて、治療対象の循環血液試料におけるEPCの数を少なくとも5%、10%、25%、30%、50%、75%、90%以上まで効果的に減少させる。
【0079】
本発明の抗Id組成物及び方法は、さらに老化又はアトポーシスに対する腫瘍細胞の細胞決定又は運命を変更させて、抗癌及び抗転移での有効性を発揮する。従って、本発明の更なる態様から、本発明の抗Id組成物及び方法は、抗Id治療患者の原発又は二次腫瘍におけるアトポーシス又は老衰細胞の数を効果的に増加させる。特定の実施形態では、本発明の抗Id組成物及び方法は、類似の病状(例えば、通常は腫瘍の成長及びアトポーシス又は老衰細胞の低い発生率が伴う、治療前の転移性又は血管新生疾患の同等な状態)を示す偽薬治療対象からの対照試料中のアトポーシス又は老衰細胞の数と比べて、治療対象の腫瘍におけるアトポーシス又は老衰細胞の数(例えば、既存の腫瘍の生検又は剖検によって観察される)を少なくとも20%、30%、50%、100%、最大5倍、10倍以上に増加させる。
【0080】
癌幹細胞は、新たな腫瘍(元の腫瘍の系統異質性を繰り返す能力を有する)を開始することができる大量の腫瘍細胞中の亜集団である。癌幹細胞は、自己再生及び多分化能を含む組織幹細胞の特性を共有する。癌幹細胞に対するIdタンパク質の正の制御活性が、結腸癌及び悪性神経膠腫で報告されており、他の種類の癌幹細胞もまた、Idタンパク質に依存するようである(Hua他、2006年;James他、2010年;Jankovic他、2007年;Perry他、2007年;Rawlins他、2009年;Suh他、2009年;Lyden他;1999年;Anido他、2010年;Jeon他、2011年)。結腸癌幹細胞では、Id1及びId3の組み合わされた発現は、自己再生及び腫瘍発生の両方を増加させると報告されている(O’Brien他、2012年)。癌幹細胞は化学療法剤に対する耐性を示し、培養に基づく試験でのId1及びId3のサイレンシングは、細胞をオキサリプラチンに対して感作させると報告されている(O’Brien他、2012年)。高悪性度神経膠腫でIdタンパク質は、神経膠腫幹細胞を含む様々な腫瘍細胞集団で共発現される。HRASV12腫瘍遺伝子により誘導される脳癌の同所移植モデルで、腫瘍細胞における条件Id1、Id2及びId3対立遺伝子の欠損は、神経膠腫幹細胞集団(ネスチン陽性及びステップ特異的胚芽抗原1(SSEA1)陽性細胞)を減少させ、腫瘍の成長を遮断し、生存を延長すると報告されている。自己再生潜在力について試験管内の選択された細胞は、細胞のマウス脳への移植後にId遺伝子が欠損される場合、腫瘍形成能力を失うが、Id遺伝子が正常に存在する場合、これらは強力な腫瘍形成潜在力を有していると報告されている(Niola他、2013年)。胚芽神経幹細胞(NSC)は、報告によると、Id1、Id2及びId3の欠如時、自己再生及び多分化能を失うが、1つのId2対立遺伝子を有する細胞では正常に近く、これらの特性が持続する(Idタンパク質がNSCでは重複して機能することを示唆する)(Niola他、2012年)。マウス脳の発生時、Id1及びId3の不活性化(いずれの遺伝子も単独でなく)は、報告によると、NSCの未成熟分化を触発し得る(Lyden他、1999年)。Id1及びId3のショートヘアピンRNA媒介サイレンシングは、報告によると、試験管内の同所移植実験で神経膠腫幹細胞特性を抹消する(Anido他、2010年)。サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2Aが不足したマウス星状膠細胞(Cdkn2a-/-)において、Id4の発現は、サイクリンE活性化及びノッチ(Notch)信号伝達に関する神経膠腫幹細胞マーカーを誘導する(Jeon他、2008年)。また、Id4は、SRY−box2(SOX2)のmiR−9*媒介された抑制を再抑制し、神経膠腫幹細胞の潜在力及び化学耐性を増加させると報告されている(Jeon他、2011年)。体性幹細胞と同様に、癌幹細胞がニッチに固定され、血管における内皮細胞との細胞−細胞接触を通じて支援信号を駆動する。ニッチを固守する能力は、正常な幹細胞及び癌幹細胞の重要な特徴である(Calabrese C他、2007年;Chen S他、2013年;Lewallen M他、2013年;Fietz他、2011年;Lathia JD他、2010年;Park DM他、2009年)。Idタンパク質の喪失は、報告によると、NSC及び神経膠腫幹細胞におけるニッチでの内皮細胞への幹細胞の付着を混乱させる(Niola他、2012年;Niola他、2013年)。bHLH転写のIdによって媒介された抑圧は、RAS関連タンパク質1(RAP1)、GTPase活性化タンパク質(RAP1GAP)、インテグリン信号伝達を通じた細胞付着を制御する(Boettner他、2009年)RAP1GTPaseの阻害因子をコードするbHLH標的遺伝子の発現を制限する。Idタンパク質の濃度が減少する場合、例えば、神経分化時又はIdノックアウトマウスにおけるIdタンパク質の欠如において、Rap1ギャップの脱抑制はRAP1を阻害し、ニッチからの幹細胞の離脱を誘導する。従って、NSCではId−bHLH軸がニッチとの幹細胞の相互作用を導く細胞内在指示を動的に調節する一方で、神経膠腫幹細胞における増加したId活性によるbHLH活性の継続封鎖は、異常な「on」状態の付着信号を固着させることがあり、RAP1GAP、Id2及びId3が高悪性度神経膠腫がある患者における予後マーカーという報告と関連がある。他の研究で、高いId1の発現がある高悪性度神経膠腫細胞は、試験管内での高い自己再生潜在力及び同所移植注射時の腫瘍形成能力を表すが、低いId1の発現がある細胞は、試験管内での自己再生が損なわれたが、さらに強力な腫瘍原性である(Barrett他、2012年)。これらの後者の幹細胞は、脳の神経領域中の「転移増幅前駆細胞」と類似の幹細胞型であり得る。NCSよりも低い濃度のIdタンパク質を発現するこれらの前駆細胞(Nam他、2009年)は、自己再生を制限することができるが、特定の脳腫瘍サブタイプの根源に関わっている可能性がある(Liu他、2011年)高い増殖潜在力を有している(Diaz−Flores他、2006年)。Id1の発現と腫瘍進行の間の逆相関関係は、プロニューラル遺伝子発現特性及び高いId1発現がある神経膠芽腫患者に対して、低いId1を特徴とする患者に比べ、両方のサブグループ共に不調ではあるが、若干より良い予測を説明することができる。特定の腫瘍の種類では、幹様細胞及び前駆細胞の特徴を有した細胞の両方が、腫瘍を効率的に播種させる能力を有し得る。また、これらの発見は、両方の細胞集団を標的にすることが神経膠芽腫を効果的に治療するために重要であることを示す(Barrett他、2012年)。
【0081】
前述した報告内容に基づくと、Idタンパク質は、結腸直膓癌及び悪性神経膠腫の両方において、癌幹細胞の自己再生及び腫瘍開始能力の両方に必須である、幹細胞同一性の調節因子として重要な役割を果たすと想定される。癌幹細胞の発生に関連するメカニズムの複雑性及び特定されていない経路にもかかわらず、本発明の抗Id化合物及び方法は、幹細胞同一性を混乱させ、幹細胞腫瘍発生を損なう重要な根幹でIdタンパク質を強力に無能力化する。抗転移及び抗血管新生に有効な本発明の化合物は、腫瘍幹細胞の生存力、増殖能力、腫瘍開始潜在力及び/又は細胞運命決定を特異的に標的化し、新たな又は定着した腫瘍に存在する新たな腫瘍誘導コンピテント幹細胞の集団を実質的に減少させる結果を提供する。特定の実施形態では、本発明の抗Id組成物及び方法は、治療対象の腫瘍のうち1つ以上の選択された幹細胞マーカー(例えば、既存の腫瘍の生検又は剖検を通じて観察される)を有する細胞の数を、類似の病状(例えば、通常は腫瘍の成長、新たな腫瘍の形成、及び腫瘍に関連した癌幹細胞の高い発生率が伴う、治療前新生物性又は転移性疾患と同等な状態)を表す偽薬治療対象で観察される濃度に比べて、少なくとも5%、10%、25%、30%、50%、75%、90%以上有効に減少させる。上皮細胞及びEPCの決定と同様に、広く知られた検査、マーカー及び標識化試薬が、本願における組成物及び方法の抗幹細胞有効性を明らかにするために通常通り用いられる。当業者は、そのような検査が、例えば、細胞測定、イムノビーズ捕捉、及び免疫細胞化学などの従来の検査手法を用いる、陽性幹細胞マーカー、例えばネスチン及びSSEA1の検出に基づいて、癌幹細胞を同定及び定量するために容易に考案及び実施されることを理解する。本願における教示及び上述された他の報告(紙面節約のために、それらの全ては参照によって本願に援用される)に従って、特に癌疾患リスクが低減した抗Id治療対象に関して、より多くの別個の検査が、腫瘍幹細胞の生存力、増殖能力、腫瘍開始潜在力及び/又は細胞運命における差を明らかにする。
【0082】
癌及び転移性疾患に対する本発明の抗Id治療方法の有効性は、様々な方法、例えば、X線又はMRIを用いた腫瘍の映像化のいずれかにより(例えば、治療患者で腫瘍の大きさ又は数が減少したか否かを明らかにするために)、臨床的成功に関して監視されることができる。有効性は、多くの場合に腫瘍の大きさの減少のX線撮影での又はMRIでの観察により明らかにされる。癌治療に有効な本発明の抗Id組成物及び方法は、要件を満たした比較可能な対照対象に比べて、治療患者での腫瘍又は治療患者群の平均腫瘍の大きさにおいて、通常は少なくとも10%、25%、50%、75%、90%以上の減少を提供する。
【0083】
癌及び転移性疾患に対する本発明の抗Id治療方法の有効性は、適した試験対象及び対照対象の間で、血液試料中の循環腫瘍細胞の数を測定することによって更に明らかにされることができる。これは、限定ではないが、免疫磁気選択、フローサイトメトリー、イムノビーズ捕捉、蛍光顕微鏡検査、細胞形態分析、又は細胞分離技術を含む適用可能ないずれかの手段により達成できる。癌治療に有効な本発明の抗Id組成物及び方法は、通常は、要件を満たした比較可能な対照対象に比べて、治療患者又は治療患者群の血液試料中の循環腫瘍細胞の少なくとも10%、25%、50%、75%、90%以上の減少を提供する。
【0084】
癌及び転移性疾患に対する本発明の抗Id治療方法の有効性は、限定ではないが、骨、リンパ節及び肺を含む二次組織又は器官における原発腫瘍細胞の発生又は数を検出若しくは測定して更に明らかにされることもできる。癌治療に有効な本発明の抗Id組成物及び方法は、通常は、要件を満たした比較可能な対照対象と比べて、治療患者での二次組織又は器官に転移した原発性腫瘍細胞の発生又は数において、少なくとも10%、25%、50%、75%、90%以上の減少を提供する。
【0085】
本発明の特定の態様では、転移抑制又は減少を含む癌予防又は治療のための抗Id組成物及び方法は、二次治療薬、治療法又は治療方法と共に有効量の抗Id化合物の協調的投与を伴う。特定の例示の実施形態において、対象は、、抗Id組成物と、化学療法薬(即ち、第二の抗癌又は抗転移薬、化合物又は化学製剤の使用)、放射線、化学療法、手術、又はこれらの製剤/方法のいずれかの組み合わせから選択される二次治療薬とで、同時又は連続的に治療される。
【0086】
特定の「協調的療法」又は「組み合わせ治療」の実施形態では、本発明は、組み合わせの抗癌又は抗転移活性を有する二次薬剤、化合物又は化学製剤と同時に(同じ時間に、任意には組み合わされた製剤で)投与される抗Id化合物を使用する。この状況での二次化学療法薬は、従来の化学療法薬(例えば、タキサン)、血管破壊剤(VDA)、又はHSP−90阻害剤に分類される製剤を広く含むことが意図される。これらの及び関連した実施形態では、抗Id化合物及び二次薬剤又は治療は、「組み合せて有効な」であり、これは生物活性(例えば、本願で定義された通り抗癌又は抗転移活性)、副作用、患者の結果、又は他の実際的な治療指標が、抗Id化合物単独で又は二次薬剤で単独で治療した関連する対照対象で観察される結果よりも改善されることを意味する。
【0087】
本発明の抗Id化合物及び方法は、組み合わせ製剤又は協調的治療プロトコル(二次治療薬又は方法と同時、前又は後に施される抗Id療法)で、二次抗癌薬、薬剤又は介入の範囲のいずれかと協調的に使用されることができる。例示の協調的治療では、抗Id化合物、例えばAGX51は、化学療法薬又は療法と協調的に施される。本発明のこの態様で使用するための化学療法薬及び療法には、抗癌及び抗過剰増殖剤、癌細胞を破壊若しくは「再プログラム」する薬剤、新生物若しくは過剰増殖性病態に関連する血管を破壊する薬剤、及び腫瘍性細胞標的に有害な他の種類の薬剤が含まれる。これに関して、本発明で有用な化学療法剤は、限定ではないが次を含む。
(1)チューブリン脱重合剤、例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、BAY59−8862アルブミン結合VDAなどのタキソイド、
(2)DNA損傷剤及びDNA合成阻害剤、
(3)代謝拮抗物質、
(4)抗血管新生剤及び血管破壊剤(VDA)、
(5)抗体、
(6)内分泌療法、
(7)免疫調節物質、
(8)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、
(9)信号伝達阻害剤、
(10)熱衝撃タンパク質阻害剤、
(11)レチノイド、例えばオールトランスレチノイン酸、
(12)成長因子受容体又は成長因子自体の阻害剤、
(13)抗有糸分裂化合物、
(14)抗炎症剤、例えばCOX阻害剤、及び
(15)細胞周期調節物質、例えばチェックポイント調節物質及びテロメラーゼ阻害剤。
【0088】
他の態様で、本発明の組み合わせ製剤は、1つ以上の従来の化学療法薬又は他の抗転移化合物若しくは薬剤と組み合わされた製剤で、記載された抗Id化合物を含み、任意で当業界で既知の副作用の減少剤(どのような併用療法が用いられたのか、例えば、化学療法、放射線療法、又は両方を用いたのかに依存する)を含む。本発明の抗Id化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で提供され得る。これらの化合物は、経口、局所、非経口、経皮又は静脈内(iv)投与用に普通に製剤化できる。特定の実施形態では、例えば、複数の化合物が別々に投与される場合、複数の医薬組成物(それぞれ異なる活性剤を含む)が提供され得る。他の実施形態では、抗Id活性剤、二次化学療法剤、及び任意で副作用還元剤を含有する単一製剤が提供される。
【0089】
協調的療法に対して観察される組み合わせの有効性は、様々な理由で発生し得るが、一般的には2つ以上の独立した経路の組み合わされた阻害による。個々の経路は標的細胞(例えば、転移癌細胞)に対する「迂回」経路を提供することができ、脱出を防止するために複数の経路が標的化されることが必要とされる。例えば、既知の抗血管新生薬を用いて抗血管新生ストレスが示された場合、腫瘍の周辺細胞は近辺の血管を引き入れることによって、通常の腫瘍関連血管新生の破壊を「迂回」することができる。しかしこれは欠陥のある脱出機序で、多くの場合に腫瘍を低酸素ストレスに曝す。次にこのストレスは、熱衝撃因子90(Hsp90)の内生的な活性により緩和され得る。従って、本発明の特定の実施形態で、Hsp90阻害剤は、抗Id化合物と協調的に投与され、組み合わせによって有効な抗Id及び抗HSP90活性を提供し、増強された臨床結果を伴う。
【0090】
本発明の抗Id化合物及び方法は、血管破壊剤(VDA)と組み合わせて特に効果的に使用され、多くの場合にVDA有効用量の減少及び/又はVDAに関連する有害な副作用の減少を可能にする有益を伴う。VDAは、主に細胞骨格の血管網を混乱させて細胞形状及び透過性変化を誘発し、血管耐性、血管収縮、増加した血管透過性、血小板血栓及び血管閉鎖を引き起こす化学製剤である。血管破壊は、腫瘍(及び眼球疾患の場合、病的新生血管病変)から血液供給を奪う有効な治療戦略を表す。固形腫瘍では、血管破壊剤は腫瘍内の血管系を迅速に破壊し、血流を減少させ、腫瘍から酸素及び栄養素を奪い、腫瘍細胞死を引き起こす。新しく形成された血管のこの破壊は、新たな血管の形成を防止するように設計された抗血管新生療法の作用と対照をなす。多くの場合、VDAが腫瘍血液供給を制限し、これらを低酸素ストレス(熱衝撃タンパク質(HSP)により緩和される)に誘導するので、これらの組み合わせ方法及び製剤は、多くの場合に協調的療法の結果をさらに高めるために抗HSP90製剤/方法を含む。
【0091】
血管破壊剤は、腫瘍において、腫瘍に関連した、脆弱かつ比較的新しく構築された血管系を標的にする(Tozer他、2005年、Mita他、2013年)。プロトタイプのVDAは、南アフリカ樹木であるアフリカブッシュウィロウ(Combretum caffrum)の根皮から単離された天然細胞分裂抑制剤であるコンブレスタチンである(Circa and Mann、2003年;Tozer他、2001年)。これらの化合物のうち最も強力なものは、抗腫瘍薬であるコンブレタスタチンA−4(CA4)である。プロドラッグがCA4−リン酸塩(CA4P)であるCA4は、チューブリン重合の強い阻害を誘導するコルヒチンと同一の部位で内皮細胞中のチューブリンと結合する。CA4Pは、静止細胞でなく、増殖中である内皮細胞の形状の変化、細胞毒性、細胞透過性変化及びアトポーシスを誘発する。CA4Pに特に影響されやすい新しく形成された細胞とは異なり、成熟した細胞の細胞骨格はCA4Pに影響されにくい。正常な血管とは異なる、CA4Pに対する腫瘍血管中の内皮細胞の選択的感度は、血栓を形成し、腫瘍の出血性壊死を引き起こす。
【0092】
CA4Pは、現在様々な固形腫瘍の治療だけでなく、加齢黄斑変性(AMD)、視力制限病態(Nanbu他、2003年:Eichler他、2006年)の治療として複数の臨床試験において評価中である。AMDは、基礎病理の一部として血管の過成長を特徴とする(Campochiaro及びHackctt.2003年)。さらに最近、抗血管新生剤、例えば新たな血管の形成を予防して腫瘍の成長を制限するベバシズマブ(AvastinTM)が一部の癌に対し承認されており、固形腫瘍の治療に広く使用されている。ベバシズマブと機序が関連した抗血管新生剤、ラニビズマブ(LucentisTM)は、AMDの治療に使用される。
【0093】
VDA及び抗血管新生剤は共に、異なる方法で作用するが、相補的方法として作用する。抗血管新生薬は、新たな血管が形成されないようにする。VDAとは異なり、抗血管新生剤は既に既存の腫瘍に栄養を供給する血管には作用しない。VDAは腫瘍内部の血管を分解し、従来の治療法、例えば細胞毒性化学療法、放射線、及び生物製剤に耐性のある腫瘍の中心部分で広範囲な細胞死を誘発する。従って、VDAは、実証された臨床有効性を有しているが(Hasani及びLeighl、2011年;Hinnen及びEskens、2007年;McKeage及びBaguley、2010年)、VDA治療後のEPCの誘導に対する予備的な証拠が、最近VDA ZD6126、AVE8062又はCA4Pを用いた第1相臨床試験で報告されている(Beerepoot他、2006年;Farace他、2007年)。また、EPC濃度における強力な上昇が、マウスにおける微小管阻害細胞毒性様の血管破壊剤(VDA)を用いた治療期間に観察された(Shaked他、2006年)。EPCのこの誘導は、VDA治療の有効性を減少させる(Daenen他、2010年)。
【0094】
本発明の抗Id組成物及び方法は、癌の発生率、転移、疾患の進行及び腫瘍の成長/侵襲性の減少のためのVDA治療と非常に相補的である。本願に記載された通り、本発明の抗Id化合物、例えばANGX51は、VDA治療に対するIdによって媒介されたEPC反応を効果的に遮断する。従って、組み合わせによる剤形化及び方法で、ANGX51は、同様の抗血管新生の有効性でVDA用量又は投与持続時間の減少を提供し、VDAによる腫瘍血管破壊に応答してのEPCの増加に関連する血管新生の反動を少なくする。腫瘍を有したマウスのVDAを用いた治療は、VDA療法後に特徴的に残る、生存腫瘍の縁に帰巣するEPCの急性の動員をもたらす。Id1及びId3がEPCの産生を促進するため、本発明の抗Id化合物によるこのEPC反動急増の封鎖は、更なる腫瘍関連血管新生を直接的に軽減又は予防し、腫瘍の血流を遮断し、腫瘍の成長を予防する。
【0095】
本願における他の協調的治療組成物及び方法は、癌及び転移媒介のための二次経路として細胞分割を標的とする。タキサンは、母細胞及び娘細胞の間に染色体を分配する細胞内機序を拮抗することによって癌細胞の成長を抑制する。タキサン耐性は、Id1を活性化するノッチ信号伝達経路の活性化を伴うと報告されている。抗Id1化合物とタキサン(例えば、タクソール又はパクリタキセル)の組み合わせは、この迂回を協調的に予防する。これらの組み合わせ方法は、腫瘍及び他の過剰増殖性細胞集団内の増殖を大きく軽減又は予防する。
【0096】
本発明の例示の実施形態では、協調的診断及び管理プロトコルは、乳癌又は卵巣癌の治療又は予防が想定される。例えば、乳癌又は卵巣癌の高いリスクを確証するためにBrCA1遺伝子試験を用いて、乳癌又は卵巣癌の家族歴がある女性が治療に選択され得る。高リスク対象には、予防的な抗Id治療(例えば、(−)−AGX51使用)を数ヶ月、最大1〜2年間、又はさらに長期間提供し、手術後には疾患の再発を予防するために提供する。その期間、定期的に全身のId濃度を測定する。Idが微量又は測定不能なものを超える濃度で検出される時、任意に化学療法で補助しながら、抗Id治療は続けられるか又は増やされる。
【0097】
本発明の治療に適している他の患者は、女性ヒトの通常のマンモグラフィーによって乳房の腫瘍について陽性であると識別され、腫瘍切除及び場合によって放射線療法が続く患者である。例えば、リンパ節で癌細胞が全く確認されない場合、抗Id化合物は疾患の再発に対する保護を提供するために最大1年又はそれ以上の間、毎日長期間投与される。再発は、薬剤の抗腫瘍、抗転移、アトポーシス促進及び細胞周期制御効果促進のうち1つ以上を通じて予防される。定期的に、他のマーカー(例えば、転移性、内皮細胞、EPC及び/又は癌幹細胞マーカー)と任意で組み合わせて全身のId濃度をその期間に測定する。Idが微量又は測定不能なものを超える濃度で検出される場合、抗Id治療は続けられるか又は増やされる。
【0098】
追加の協調的診断及び管理プロトコルが、乳癌予防又は既存の乳房の腫瘍の転移性進行予防のために提供される。患者は、女性ヒトの通常のマンモグラフィーによって乳房の腫瘍について陽性であると識別され、腫瘍切除及び場合によって放射線療法が続く。癌細胞は対象のリンパ節で確認される。対象には従来のパクリタキセル治療過程(例えば、3週毎に12週間)が施される。この期間が過ぎると、抗Id化合物はパクリタキセルの有効性を最大化するために毎日長期間投与される。抗Id治療はパクリタキセル治療後、長期間(例えば、9〜12ヶ月)続いて、疾患の再発に対して更なる保護を提供する。定期的に、全身Id及び任意で他のマーカー濃度をその期間に測定する。Idが微量又は測定不能なものを超える濃度で検出される場合、抗Id治療は続けられるか又は増やされる。
【0099】
他の協調的診断及び管理プロトコルでは、以前に乳房の腫瘍について陽性であると通常のマンモグラフィーにより識別され、腫瘍切除(リンパ節で癌が発見されていない)で治療された患者が、腫瘍についての術後2年に検査される(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャニングに続き、陽電子放射断層撮影(PETスキャニング)により)。転移した腫瘍が発見された場合及び/又はリンパ節試験が癌細胞に対して陽性であった場合、対象には従来のタキサン療法(例えば、パクリタキセルを3週毎に12週間投与)を施し、続いてId濃度及び記載された任意の他のマーカーの監視と共に抗Id化合物を9〜12ヶ月間、毎日投与し疾患の進行を防止する。
【0100】
更なる例示の実施形態では、乳癌第3期(転移性)を示す対象が、癌治療及び管理のために選定される。そして、特定された対象は、高用量の放射線及びパクリタキセルの複数回投与を用いた積極的な組み合わせ治療計画を用いて治療される。治療後、組織病理及び/又はバイオスキャン[例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放射断層撮影(PET)及び/又は磁気共鳴映像]を用いて、上記一次治療後に検出可能な癌のない患者を識別した。続いて、これらの対象は、いずれかの残っている癌細胞が離れた臓器(例えば、脳又は肝臓)に再播種することを遮断するために、予防的治療計画で抗Id化合物により長期的(例えば、数ヶ月、6〜9ヶ月、1〜2年又はそれ以上)治療される。この管理期間に、患者の血液中のIdの測定を定期的に行う。測定は治療後にも続けられる。数ヶ月〜1年又はそれ以上の別の管理期間後、Id血液濃度は、転移潜在力の増加又は追加の疾患の存在を示す、増加が観察されることもある。続いて、抗Id化合物を用いた治療は、非タキサン細胞毒、例えばエピルビシンを用いるもう1つの治療過程と組み合わされる。この治療後、Id血液濃度が、転移潜在力又は微細腫瘍の存在に対して許容可能(基準線又は低危険)に一致する値まで減少しないならば、抗Id治療は、治療後数年間又はさらに長い期間続く。
【0101】
他の例示の実施形態は、一連の組み合わせ療法を使用する。再発性又は転移性乳癌があると確認された患者をタキサン療法の積極的過程(例えば、5回の単一投与治療でタキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル又はアルブミン結合されたパクリタキセル)を3週毎に12週間投与)でまず治療する。それには、血管破壊剤(VDA)、例えばコンブレタスタチン−A4リン酸塩を追加することができる。これらの療法に組み合わせて、抗Id化合物も長期間毎日投与し、タキサン/VDA治療の有効性を最大化する。抗Id治療は、9〜12ヶ月又はそれ以上の間、Id及び記載された他のマーカー監視と共に続けて疾患の再発又は転移性進行を予防する。あるいは、これらの患者は、本発明の抗Id化合物の拡張された、予防的投与によって補強された抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ)、又は抗VEGF受容体拮抗剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ)での2ヶ月毎の又は毎月の治療と組み合わせて、タキサン療法を施されることができる。
【0102】
本発明の他の実施形態では、協調的診断及び管理は、HER2/neu受容体の存在についての検査で陽性である患者に焦点を合わせる。これらの対象に、トラスツズマブ(ハーセプチン)での2ヶ月毎の又は毎月の治療と共に従来のタキサン療法を施すことができ、記載された毎日の抗Id化合物治療が補助するか又は続く。抗Id治療は、タキサン治療後6〜12ヶ月間続き、疾患の再発に対する更なる保護を提供する。
【0103】
本発明の臨床管理方法はまた、さらに特異的な癌、例えば、エストロゲン及びプロゲステロン受容体陰性乳房の腫瘍の治療に適用できる。本願における例示のプロトコルは、腫瘍切除及び放射線治療を用いることができ、化学療法(例えば、3週毎に12週間パクリタキセル及びドキソルビシンを使用)が続き、毎日の抗Id療法が化学療法に伴われるか又は化学療法に続く(疾患の再発の予防のために化学療法以後の長期間の継続)。
【0104】
他の難治性の事例では、癌患者はタキサン化学療法(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル又はアルブミン結合されたパクリタキセル使用)を用いて協調的に治療され、同時又は続くシスプラチン治療で補助され、抗Id療法がタキサン療法に続き、6〜12ヶ月又はそれ以上に及んで疾患の再発に対して保護する。
【0105】
同様の協調的診断及び管理プロトコルが、他の形態の癌治療に対して提供される。例えば、前立腺癌患者は癌の進行ステップ及び転移危険を反映するグリーソン(Gleeson)スコアを提供するPSAスクリーニング及び/又は生検に基づいて選択される。リスクの高い対象は、放射線及び化学療法で治療され、上述されたように拡張された抗Id治療及び監視が組み合わされるか又は続く。この治療は、従来の抗アンドロゲン療法と協調し得る。
【0106】
上皮内黒色腫の治療のための協調的診断及び管理プロトコルには、局所タキサン治療が含まれ、本発明の治療又は予防用抗Id治療が同時又はそれに続いて組み合わされることができる。
【0107】
カポシ肉腫の治療のための協調的診断及び管理プロトコルには、病巣内又は局所的タキサン治療が含まれ、本発明の治療又は予防用抗Id治療が同時又はそれに続いて組み合わされることができる。この及び他の協調的治療方法は、任意で同時又はそれに続くインターフェロンアルファ治療を含み得る。
【0108】
更なる追加の協調的診断及び管理方法は、本願における教示に従って、検討及び通常に実施され、限定ではないが、膀胱癌、結腸癌、膵臓癌、肺癌、脳癌、食道癌及び白血病を含む癌及び他の増殖性疾患の全ての種類及び進行度を含む。
【0109】
本発明の全ての協調的治療方法で、既知の有効な化学療法剤の全薬剤が、全範囲の血管破壊剤(VDA)と同様に抗Id療法と組み合わされることができ、HSP90阻害剤が、組み合わせ製剤中でAGX51などの抗Id薬と、及び協調的治療計画のいずれかの構成と組み合わされることができ、任意で放射線照射及び手術などの他の介入と組み合わされることができる。
【0110】
腫瘍切除のための手術及び/又は腫瘍の収縮又は破壊のための放射線治療後、残っている腫瘍細胞からの転移は患者に依然として危険である。これに関し、抗Id化合物を用いた続く治療は、この危険を減少させ、この方法で患者生存の機会を増加させる。また、脳癌では、放射線が腫瘍の成長を再供給できる癌幹様細胞を残して低い濃度のIdタンパク質を発現する細胞を殺傷する。抗Id1製剤を放射線療法と併用すると、この攻撃的で致命的なヒト癌における生存率を増加させると予想される。
【0111】
本発明の他の組成物及び方法は、異常な血管成長又は「病原性血管新生」を特徴とする異なった細胞増殖性疾患を標的にする。これらの疾患標的の例示には、異常な血管成長によってもたらされる眼球疾患(例えば、黄斑変性)、及び腫瘍関連血管新生が含まれる。本発明の抗Id化合物は、下記の通り、「抗血管新生」剤としても機能し、腫瘍発生での様々な攻撃を媒介する、かなり強力な腫瘍関連血管新生(即ち、抗転移及び抗血管新生の両方)を含む病原性血管新生の治療又は予防に有用である。多くの癌の種類が、原発及び転移性腫瘍細胞の両方でのIdタンパク質の発現に依存し、腫瘍関連血管新生を支援する。本発明の抗Id組成物及び方法は、腫瘍及びそれが支援する血管を同時に全部標的にする。これらの実施形態では、本発明の抗Id組成物及び方法は、抗腫瘍(抗転移を含む)及び抗血管新生効果の両方をもたらす。他の抗血管新生剤は、単独では癌治療にわずかな有効性を有しており、多くの場合に治療反応の達成のために細胞毒性化学療法の協調的使用を必要とする。
【0112】
病原性血管新生を伴う疾患治療用組成物及び方法
本発明の更なる実施形態は、いずれかの病原性血管新生若しくは新生血管病態又は疾患を有効に治療又は予防するために抗Id化合物、例えばAGX51を使用する。例示の病理的血管新生現象は、眼球疾患、加齢黄斑変性(AMD)に関連する。
【0113】
AMDは、老人における不可逆的視力喪失の最もありふれた原因である(Jager他、2008年)。この病態は、眼球血管造影術により脈絡膜新生血管膜(CNV)及び非CNV成分に区分され得る合成血管病変複合体により種類が定められる血管新生変化によりほとんど媒介される。AMDは、結晶腔の形成、RPEの破壊、CNV、円盤状瘢痕の形成及び網膜下線維症を含む臨床及び病理的調査結果のスペクトルを特徴とする。AMDに対する持続事象は虚血又は酸素欠乏期間後、組織に血液供給が戻る時に引き起こされる眼球組織の慢性的虚血再潅流(I−R)負傷と考えられる。虚血性期間の血液からの酸素及び栄養素の欠如は、循環回復が正常機能の回復よりは酸化ストレスの誘導を通じて炎症及び酸化的損傷を引き起こす病態を提供する。過剰の太陽光、汚染、塵及び汚れによる累積する損傷により引き起こされる組織損傷が、I−R前の虚血に対する開始事象となるものと考えられる。
【0114】
AMDは、2つの形態、非滲出性(乾燥)及び滲出性(新生血管又は湿性)を有する。現在、米国における湿性AMDの波及は、120〜150万件と推定され、200,000件の新たな事例が毎年発生している。AMDは、老化疾患であるため、AMDがあるヒトの数は、ヒトがより長く生存し、ベビーブーム出生者が老化していくほど実質的に増加する見通しである。2030年まで、500,000件のAMDが毎年診断されると推定される(Seddon他、2004年)。
【0115】
最近承認された抗VEGF治療は、AMD治療において大きな躍進を示す(Rosenfeld他、2006年;Brown他、2009年)。有用な薬剤には、ラニビズマブ、注射用抗VEGF fabフラグメントが含まれ、これらはそれぞれ95%及び40%の患者で視力喪失の反転を安定化するか、又は媒介すると報告されている。前記薬剤で治療した患者の大多数は、視力回復を経験することができず、治療に対して陽性反応を有した患者は正常に運転又は読書する能力を再度得ることはできなかった。ベバシズマブ、注射用の抗VEGFモノクローナル抗体を用いた結果が相当するとして示された(Rosenfeld他、2005年)。
【0116】
抗VEGF療法は、実際にCNV病変が著しく元の状態に戻らないため、網膜内及び網膜下浮腫の解決を引き起こす抗透過性作用を通じてほとんどのその有益な有効性を発揮するようである(Eichler他、2006年)。しかし、滲出性AMD関連の視力喪失は、単独で脈絡膜血管新生(CNV)誘導された網膜下及び網膜内浮腫によるものではない。また、目における汎VEGF阻害の長期間の安全性は、まだ確立していない。感覚神経網膜で数多くの細胞により産生されたVEGFは、自然において神経保護性であり、慢性的阻害がニューロンの健康に障る(Greenberg他、2005年)。また、VEGFは、RPE細胞により構成的に発現され、休止脈絡膜毛細血管層の内皮に対する生存因子であるため(Witmer他、2003年)、長期間のVEGF阻害は、この生命維持に必須の構造及び代謝支援のためにそれに依存する細胞に致命的であるという点を示唆する。慢性的抗VEGF治療の安全性に関して、抗VEGF治療で7年間治療を受けた患者の最近の再評価は、黄斑萎縮症が眼の98%でフルオレセイン血管造影術により検出され、萎縮症の領域が劣悪な視覚結果と著しく関わっていることが報告されている(Rofagha他2013年)。湿性AMDに対するより良い治療手段に対する必要をさらに強調すると、7年間の抗VEGF治療後の患者の後続評価は、患者の三分の一がスネレンチャート試験上で15文字以上下落し、視力において劣悪な結果を提供すると知られている(Rofagha他、2013年)。
【0117】
ほとんどの眼球病態の治療のために一般的に使用される抗VEGF剤は、注射用ラニビズマブ、注射用アフリバーセプト、及び注射用ベバシズマブである。また、湿性AMDの他にも、これらの製剤は網膜中心静脈閉塞症(CRVO)又は網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)による黄斑浮腫の治療だけでなく糖尿病性網膜症による黄斑浮腫の治療用に使用される。また、抗VEGF剤の他にも、複数の臨床試験で血管破壊剤(VDA)、CA−4リン酸塩がAMDに対する有望な治療として評価される(Eichler他、2006年)。
【0118】
また、二つの手術過程、レーザー光凝固及び光力学治療が、AMD、特に湿性AMDの必然的な病理である眼球病変の除去に時々使用される(Cook他、2008年)。
【0119】
滲出性AMDの正確な病因及び発病は依然として広く知られていないが、様々な要因で組織化される血管及び血管外成分からなるものと考えられる(Tezel他、2004年;Ambati他、2003年)。しかし、AMDは、基礎病理の一部として血管の過成長を特徴とする(Campchiaro他、2003年)。滲出性AMDの血管成分は血管内皮細胞、内皮細胞前駆体及び血管周囲細胞を含んでなる。VEGFは、血管成分の発病で重要なメディエーターのようである。しかし、脈絡膜血管の成長はVEGFだけでなく、数多くの他の製剤中における共同作用の相互作用を伴う。血管過程で追加要素の標的化は、全体の過程を調節する機会を提供する。組織損傷は、疾患過程の血管又は血管外成分から引き起こされ得る。血管外成分は、多くの場合に容積上最大の成分のようであり、組織病理により血管新生刺激の供給源のようである。この血管外成分は、主に炎症細胞及び稀には線維芽細胞及び神経膠又はRPEからなる。マクロファージ及び補体システムは、現在CNV誘発及び滲出性AMDの発病の播種において重要な役割を果たすことが知られている(Bushini他、2011年;Gold他、2006年;Klein他、2005年;Hageman他、2005年;Tsutsumi他、2003年;Espinosa−Heidmann他、2005年;Oh他、1999年;Grossniklaus他、2002年;Forrester他、2003年)。さらに、老化中である眼球マクロファージにおける様々な生化学的変化は明らかなものであり、即ち、サイトカインIL−12は少なくなりつつ、サイトカインIL−10は増加し(Jager他、2007年)外傷誘導血管新生の全般的にあまり強力ではない緩和を誘導する[IL−12は、そのIFN−γの上方制御を通じて強力に抗血管新生性であり(Dace他、2008年)、IL−10は、血管新生促進性である(Kelly他、2007年)]。これらの変化は、AMDの顕著な老化依存性に対する説得力のある説明を提供する。
【0120】
前述した議論に照らして、滲出性AMDの治療のための新たな治療法に対する至急かつ満たされていない医学的必要が存在する。抗VEGF療法の最近表れた限界を考慮する時、これらの新たな治療剤は最終的に滲出性AMDを誘導するCNVの発生で非VEGF依存ステップを標的とすべきである。Idを標的にすることは、AMDに関する病変の基底にある血管新生過程媒介におけるId、特にId1及びId3の根本的な役割のため、そのような標的を意味する。
【0121】
一態様で、本発明は、新生物を提示する対象に単一薬剤又は治療方法を使用する単一療法プロトコルで有効量の抗Id化合物を投与することを含む病理的眼球血管新生の抑制方法を提供する。関連した実施形態では、本発明の治療方法には前記対象に対する二次治療薬、治療法又は治療方法と共に有効量の抗Id化合物の投与が含まれる(例えば、対象に抗Id化合物を、例えば下記から選択される二次治療法又は製剤と同時に又は順次に処理することによる:抗VEGF剤、VDA、インターフェロン−γ(Naldini他、2005年)、強力な抗血管新生サイトカイン、又はインターフェロン−γを誘導する製剤、例えば、IL−12(Del Vecchio他、2007年及びKleinman他、2008年)。
【0122】
特定の「協調的療法」又は「併用治療」の実施形態では、本発明は、組み合わせによる抗成長活性を有した二次薬剤、化合物又は化学製剤と同時に(例えば、同時に又は組み合わせた製剤で投与)投与される抗Id化合物を使用することができる。例示の実施形態では、二次化学療法薬は例えば、抗VEGF剤又は、VDA、インターフェロン−γから選択される。これらの及び関連した実施形態では、抗Id化合物及び二次薬剤は「組み合わせによって有効」であり、これは本願に定義された生物活性、例えば抗成長又は抗血管新生活性、副作用、患者の結果、又は他の実際的な治療指標が抗Id化合物又は二次薬剤単独で治療した関連対照対象から観察された結果に比べて改善されたことを意味する。
【0123】
AMD及び他の病原性新生血管又は血管新生病態の治療のための全ての既知の治療薬及び方法が、本発明の抗Id化合物、例えばAGX51を使用する特定の組み合わせ製剤及び協調的治療方法において有用である。特定の実施形態では、抗Id化合物は、抗VEGF剤、VDA、及び/又はインターフェロン−γと共に用いられ、これらの相補的治療薬の用量及び/又は副作用を低減し、これを共に使用することによる協調的臨床利益を維持するという利点を伴う。例えば、抗VEGF剤及び/又はVDAの協調的使用に伴う抗Id療法は、示された治療のための抗VEGF剤及び/又はVDA薬の従来の用量よりも低い量を使用して、組み合わせの有効性は、全用量の従来の抗VEGF剤及び/又はVDAよりも大きく、そして長期間の視力喪失などの副作用が減少する。
【0124】
特定の実施形態では、本発明の抗血管新生組成物及び方法は、哺乳動物対象における病理的眼球血管新生の減少に有効である。これらの方法は、単一療法又は上記のような協調的療法を使用することができる。本発明の方法(及び関連した化合物及び組成物)は「抗血管新生に有効」であり、例えば、AMDを示す対象の眼球組織における血管病変の発生率、大きさ、又は数を減少させる。特定の実施形態では、「血管新生の減少」は、観察されるAMD病変の大きさの組織病理学的又は眼球血管造影指標における減少、例えば、二次眼球部位で観察される病変又は病変の「巣」の発生率、大きさ、数又は分布減少に該当する。他の態様では、抗血管新生有効性はAMDの有効な予防及び/又は治療と関係がある肯定的な変化、例えば、抗Id化合物が提供されていない適した対照対象に比べ、抗Id化合物を提供された対象に対して、疾患がないか又は疾患が安定した病態の期間の増加により明らかにされる。
【0125】
本発明の化合物、組成物及び方法の抗AMD病変有効性、即ち、腎血管病変複合体の成長を減らすか、又は安定化する有効性は、日常的にその基礎病理の一部として有害な血管新生がある眼球病態(又は任意の他の病原性病態)に対して治療した患者において、実質的な治療的利点及び向上した治療結果を提供する。例示の実施形態では、本発明の抗Id方法又は組成物で治療した患者は、有害な副作用における無増加又は減少が観察される、改善された治療結果を示す。本発明のこの有益、方法の例証は1つ以上の肯定的な臨床治療的指標における20%以上の増加、例えば、AMD病変指標における有益な変化(例えば、二次眼球部位で観察される病変又は原発病変の「巣」の発生率、大きさ、数又は分布における減少)を提供する。例示の実施形態では、抗Id化合物及び方法の抗AMD病変有効性は、適した対照の患者(抗Id化合物で治療していない)で決定された生存に比べ、Id治療患者に対して無疾患又は疾患安定病態の20%以上の増加率で間接的に立証できる。他の実施形態では、本発明の抗Id化合物、製剤及び方法は、より一層大きい抗AMDの臨床的有益性、例えば、10年以上のより長い寛解を含み6ヶ月〜1年、1〜2年、2〜5年、5年以上の間観察された一次AMD病変の全体の寛解を含み、実際的な治療指標における20〜50%の増加率、50〜90%の増加率、最大75%〜100%の増加率を結果として提供する。例示の実施形態では、本発明の抗Id方法又は組成物は、例えば、非治療又は偽薬治療対象に対する抗Id治療で、比較組織病理、眼球血管造影術、光干渉断層撮影(OCT)又はもう1つの眼球映像化技術により実証された通り、病変の大きさにおいて20%以上の病変の大きさの減少、20%〜50%、50%〜75%、最大90%以上の病変の大きさの減少を提供するのに有効な抗AMDである。
【0126】
本願に示された全ての実施形態のそれぞれが、抗AMD有効性は、通常は抗Id治療患者と陽性対照の治療対象との間において、AMDの観察される症状、例えば、視力喪失での増加なし又は減少と相関する。例示の実施形態では、抗Id化合物の単一療法で治療した対象、及び組み合わせ方法、例えば抗Idに加えて抗VEGF療法で治療した対象を含む抗Id治療対象が、スネレンチャートスコアで無増加を示し、多くは従来の(例えば、抗VEGF)療法で治療した陽性対照対象に比べてスネレンチャートスコアにおいて少なくとも20%の増加率、20〜50%の増加率、最大50〜90%又はそれ以上の増加を示す。
【0127】
診断組成物及び方法、並びに関連した臨床管理手段
特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法による治療について識別された癌患者及び他の対象が、本願で明らかにされた新たな診断及び管理手段を用いる、改善された臨床管理用として評価及び選択される。
【0128】
一実施形態では、対象が本願に提供された新たなId診断方法及びキットを用いる抗Id組成物及び方法を用いる治療に選択される。任意のこれらの方法及び物質が高いId濃度(例えば、血液又は生検腫瘍試料で測定されるId1)の検出及び追跡を提供し、これは抗Id治療を開始、継続、減少又は増加させる決定と関連する。特定の実施形態では、これらの診断方法には他の疾患指標(例えば、癌、又は転移、又は血管新生病理の生化学的又は組織学的マーカー)の存在に対して対象を診断して疾患評価及び管理を高める協調的診断の価値を提供することを含み得る。
【0129】
高いId1濃度は、EMTの上皮表現型への復帰を誘導し、これは転移性部位の定着に必要である。癌患者における他の疾患衝撃と共にId濃度の減少及び伴う転移性経路及び細胞活性の伴う封鎖を実施するための強力な手段としてId1及びId3を緩和(即ち、その発現、活性又は機能を損傷又は抑制)する治療が本願で立証される。これらの方法で用いられる新たな抗Id化合物の用量、治療持続時間及び有効性はId濃度における変化(これらの方法では多くの場合抗Id治療における変化に直接的に応答)を監視して反射的に明らかにされる。従って、本発明の新たな治療方法は、任意の関連した試験試料、例えば細胞(例えば、腫瘍細胞、EPC、癌幹細胞)、組織又は器官(例えば、新生物、転移、試験の生検試料、リンパ節)又は生体流体(例えば、血液、CNS流体、リンパ流体)に集中することができる、内因性Id濃度の相応する診断及び反射的な(臨床管理)監視に対する必要を創出する。
【0130】
本発明の抗Id化合物を用いた治療に適している対象の選択は、癌、特に転移性疾患の危険がある患者から取得した生体試料(例えば、血液、小便又は唾液)中のId1及び/又はId3の高い濃度の検出により有用に提供される。本発明を用いた補助適用からこの方法でId濃度を検出する検査の使用は、高いId濃度を有した特定の患者における生物環境の観察を提供し、高い転移潜在力及びそれに伴う本発明の抗Id化合物及び方法を用いる有効な治療に対する重大な必要を示す。
【0131】
用量及び製剤
一般的に、本発明の治療及び予防方法は、記載されたような抗Id化合物又は組成物の「有効量」を使用する。これは細胞、組織、新生物、又は対象における標的化Idタンパク質(例えば、Id1又はId3)の濃度又は濃度を検出可能に、著しく減少させるのに有効なAGX51又は別の抗Id化合物の量又は用量を指すことができる。有効性のこの立証は、標準Idタンパク質検査、例えば、標識されたId特異的抗体又は他の定量的Id検出試薬を用いると容易である。他の実施形態では、本発明の抗Id化合物の有効量又は用量がIdタンパク質の同族結合パートナーに対するIdタンパク質結合(例えば、bHLHタンパク質、例えばE−47に対するId二量化)を測定可能に阻害するのに有効な量又は用量として立証される。この脈絡から、抗Id化合物の有効量又は用量を決定する代案的な測定法又は検査には、直接的であれ又は間接的であれ(活性がId活性又はId濃度の減少による調節に適用される)、任意の検出可能及び/又は定量化可能なId活性又は関する生物学的指標(例えば、転移又は腫瘍関連血管新生の組織病理学的又は臨床指標)における減少を媒介する化合物の有効量及び用量が含まれる。従って、この脈絡において抗Id組成物及び方法は、試験群及び対照試料の間のアトポーシス又は細胞分化で立証される増加を通じて、細胞増殖における減少、細胞の移動における減少、原発性腫瘍細胞による二次部位定着における減少、腫瘍関連血管新生における減少、EMT又はMET進行における減少などにより「有効な」ものとして立証できる。
【0132】
便宜上、本発明の組成物は、多くの場合「抗細胞増殖性有効量」又は単位用量の抗Id化合物、例えば、AGX51を含有するとして言及される。あるいは、組成物は「抗転移用量」の活性抗Id化合物を含有する。その他の言及で、活性組成物は「抗血管新生の有効量」又は抗Id薬の用量を含有する。
【0133】
本発明の抗Id化合物は、安定性、送達、吸収、半減期、有効性、薬剤動態、及び/又は薬剤力学を高めて、有害な副作用を減少させ、又は薬学的用途の他の利点を提供できる1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、ビヒクル、乳化剤、安定剤、保存剤、緩衝剤及び/又は他の添加剤と製剤化できる。ヒトを含む哺乳動物対象に対する投与のための活性抗Id化合物の適した有効単位用量は、10〜1500mg、20〜1000mg、25〜750mg、50〜500mg、又は150〜500mgの範囲であり得る。特定の実施形態では、抗Id有効用量は、例えば、10〜25mg、30〜50mg、75〜100mg、100〜250mg、又は250〜500mgのより狭い範囲から選択され得る。これらの及び他の有効な単位用量が単一投与で、又は複数の毎日、毎週又は毎月投与の形態で、例えば、毎日、毎週、又は1ヶ月毎に1〜5投与、又は2〜3投与を含む投与方法で投与することができる。1つの例示の実施形態において、10〜25mg、30〜50mg、75〜100mg、100〜250mg、又は250〜500mgの用量が毎日1、2、3、4、又は5回投与される。さらに詳細な実施形態では、50〜75mg、100〜200mg、250〜400mg、又は400〜600mgの用量が1日1回又は1日2回投与される。代案的な実施形態では、用量は体重に基づいて計算され、例えば、約0.5mg/kg〜約100mg/kg/1日、1mg/kg〜約75mg/kg/1日、1mg/kg〜約50mg/kg/1日、2mg/kg〜約50mg/kg/1日、2mg/kg〜約30mg/kg/1日又は3mg/kg〜約30mg/kg/1日の量で投与することができる。
【0134】
化学式I及び/又は化学式IIIの有効量の抗Id化合物を含有する本発明の組成物の送達量、送達時間及び送達方法は、半減期、及び有効性を含み有効薬剤の送達、吸収、薬剤動態に関して既知の他の要因に基づいて個体の体重、年齢、性別及び病態、細胞増殖性疾患及び/又は関連した症状の重症度、投与が予防用又は治療用なのか否かのような要因に依存し、個体基準に日常的に調整される。
【0135】
当該抗Id製剤に対する有効用量又は複数投与治療計画は、概して対象で標的化された細胞増殖性疾患(例えば、癌、転移癌、腫瘍関連血管新生)を実質的に予防又は緩和して/するか、対象における細胞増殖性疾患に関する1つ以上の症状を実質的に予防又は緩和するために必要であり、それに十分な最小の投与方法に近接するように選択される。投与量及び投与プロトコルは、多くの場合数日、又は1週又は1年までの過程で繰り返される投与療法を含む。また、有効治療計画は、日、週、月又は数年までの過程にわたり持続する単一又は複数の投与量/1日基準に投与される予防的投与量を伴うことがある。
【0136】
説明すると、抗Id活性剤は、従来の薬学的に許容可能な担体及び賦形剤(例えば、ビヒクル)と混合されることができ、水溶液、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハなどの形態で使用できる。この医薬組成物は、特定の実施形態では、約0.1〜約90重量%の活性化合物、さらに一般的に約1〜約30重量%の活性化合物を含有する。医薬組成物は、一般的な担体及び賦形剤、例えばトウモロコシデンプン又はゼラチン、ラクトース、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、及びアルギン酸を含有し得る。本発明の製剤で通常使用される崩壊剤には、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、ナトリウムデンプングリコレート及びアルギン酸が含まれる。
【0137】
液体組成物は一般的に懸濁化剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、風味剤又は着色剤と共に化合物又は薬学的に許容可能な塩の適した液体担体、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒、例えばポリエチレングリコール、油又は水中の懸濁液又は溶液からなる。あるいは、液体製剤は再構成可能な粉末で製造できる。例えば、活性化合物、懸濁化剤、スクロース及び甘味剤を含有する粉末は水を用いて再構成されて懸濁液を形成することができ、シロップは活性成分、スクロース及び甘味剤を含有する粉末で製造できる。
【0138】
錠剤状の組成物は、固形組成物製造に日常的に使用される任意の適した薬学的担体を用いて製造できる。この担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロース及び結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンが含まれる。また、錠剤は、カラーフィルムコーティング、又は担体の一部に含まれている色素と共に提供され得る。さらに、活性化合物は親水性又は疎水性マトリックスを含有する錠剤として制御放出剤形に製剤化できる。
【0139】
カプセル状の組成物は、日常的なカプセル化の手順、例えば、活性化合物及び賦形剤の硬質ゼラチンカプセルへの混入によりカプセル状に製造できる。あるいは、活性化合物及び高分子量ポリエチレングリコールの半固体マトリックスが製造され、硬質ゼラチンカプセルで充填されるか、又は活性化合物のポリエチレングリコール中の溶液又は食用オイル、例えば液体パラフィン又は分画されたココナッツオイル中の懸濁液が製造され軟質ゼラチンカプセルに充填できる。
【0140】
含まれ得る錠剤結合剤は、アカシア、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン及びエチルセルロースである。使用できる潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム又は他の金属ステアレート、ステアリン酸、シリコン流体、タルク、ワックス、オイル及びコロイドシリカが含まれる。
【0141】
風味剤、例えばハッカ、ウィンターグリーンオイル、チェリー香味剤などが使用できる。さらに、投与形態の外観をさらに魅力的にしたり、又は製品の識別を補助するために着色剤を添加することが好ましい。
【0142】
非経口で提供される際、活性である本発明の化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、筋肉内、髄腔内又は静脈内投与用に製剤化できる。筋肉内又は髄腔内投与用の一般的な組成物は、活性成分のオイル、例えば、落花生油又はごま油中の懸濁液又は溶液である。静脈内又は髄腔内投与用の一般的な組成物は例えば、活性成分及びデキストロース又は塩化ナトリウム、又はデキストロース及び塩化ナトリウムの混合物を含有する滅菌等張性水溶液である。他の例は、ラクテート化されたリンガー注射、ラクテート化されたリンガープラスデキストロース注射、ノルモソル−M及びデキストロース、イソライトE、アシル化されたリンガー注射などである。任意で、補助溶媒、例えば、ポリエチレングリコール、キレート剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、及び抗酸化剤、例えば、ナトリウムメタビスルフィトが製剤に含まれ得る。あるいは、溶液を凍結乾燥した後、投与直前に適した溶媒を用いて再構成することができる。
【0143】
例えば、皮膚癌病変の治療のための特定の適用では、本発明の化合物は局所投与上で活性であり、経皮組成物として剤形化されるか、又は経皮送達装置(例えば、経皮パッチ)で標的化できる。この組成物には、例えば、バックキング(backing)、活性化合物貯蔵器、制御膜、ライナー及び接触接着剤が含まれる。この経皮パッチが使われると、調節された量で本発明の化合物の連続又は不連続注入を提供することができる。
【0144】
経口投与に適した製剤は、以下のものからなり得る:(a)液体溶液、例えば希釈剤、例えば水、塩水、又はオレンジジュースに有効量の化合物を溶解させた溶液;(b)それぞれ予定された量の活性成分を固形物又は顆粒で含むカプセル、サシェ又は錠剤;(c)適切な液体中の懸濁液;及び(d)適したエマルジョン。錠剤状はラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド性シリコンジオキシド、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、及び薬理的に両立可能な賦形剤のうちひとつ以上を含み得る。トローチ状は、活性成分を風味剤、普通スクロース及びアカシア又はトラガントガム中に含有することができ、そのだけでなくあめ型錠剤は活性成分を不活性ベース、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシア、エマルジョン、ゲルなどの中に含有し、活性成分に加え、当業界において知られている賦形剤を含む。
【0145】
本発明の抗Id組成物は、肺吸入又は鼻腔内スプレーを通じて投与されるエアゾール製剤を含む。これらのエアゾール製剤は、加圧された許容可能な推進体、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などに配置できる。これらは例えば噴霧機又はアトマイザで使用するための非加圧製剤用医薬品として製剤化できる。
【0146】
非経口投与に適した製剤には水性及び非水性、等張の滅菌された注射溶液が含まれ、これらは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤が意図する受給者の血液と等張性となるようにする溶質、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び保存剤を含み得る水性及び非水性等張性滅菌注射液が含まれる。製剤は単位用量又は複数回用量の密封容器、例えばアンプル及びバイアルで提示され得、滅菌された液体賦形剤、例えば、注射用水を使用直前に添加しさえするとなる冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保管できる。即座の注射溶液及び懸濁液が上記の種類の滅菌された粉末、顆粒、及び錠剤から製造できる。
【0147】
局所投与に適した製剤は、活性成分に加え、当業界において知られている適切な担体を含有するクリーム、ゲル、ペースト、又は発泡剤として提示され得る。また、坐剤は、様々なベース、例えばエマルジョン化ベース又は水溶性ベースと混合して提供される。膣内投与に適した製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤として提示され得る。
【0148】
本願でそれぞれの投与単位、例えば、小さじ、大さじ、錠剤又は坐剤で提供され得る経口又は直腸内投与用の単位服用の形態、例えばシロップ、エリキシル、及び懸濁液は、1つ以上の阻害剤を含有する組成物を予定された量で含む。同様に、注射又は静脈内投与用単位服用の形態は、滅菌水、正常食塩水又は他の薬学的に許容可能な担体中の溶液としての組成物中に阻害剤を含有し得る。
【0149】
用語「単位用量の形態」は、本願で使用される通り、ヒト及び動物対象に対して一元化された用量で適した物理的に分離された単位体であって、それぞれ薬学的に許容可能な希釈剤、担体又はビヒクルと会合時に、所望の有効性を提供するのに十分な量である予備決定量の本発明の化合物を含有する。本発明の新たな単位用量の形態に対する詳細な事項は、使用される特定化合物及び達成しようとする効果、及び宿主内における各化合物に関する薬剤力学に依存する。
【0150】
当業者は用量の濃度が特定化合物の機能、送達ビヒクルの性質などによって可変的であり得ることを容易に理解できる。与えられた化合物に対する適した用量は様々な手段によって当業者により容易に決定されることができる。動物、特にヒトに投与される用量は、合理的な時間フレーム上で動物における予防又は治療応答性を誘発するのに充分でなければならない。当業者は用量が使用される特定化合物の強度、動物の病態及び動物の体重だけでなく病気の重症度及び疾患のステップを含む様々な要因に依存するということを認識する。また、用量の大きさは、特定化合物の投与に伴うことがある任意の有害な副作用が存在するか否か、性質又は程度により明らかにされる。適した用量及び投薬計画は、所望の成長抑制及び免疫抑制応答を誘発することが知られている抗癌又は免疫抑制剤との比較により決定されることができる。
【0151】
任意で、医薬組成物は、他の薬学的に許容可能な成分、例えば緩衝剤、界面活性剤、抗酸化剤、粘度変形剤、保存剤などを含有し得る。それぞれのこれらの成分は、当業界において知られている。例えば、その内容が本願に参考文献として含まれる米国特許第5,985,310号参照。本発明の製剤に使用するのに適した他の成分はRemingtonの1985年度の文献から見つけることができる。また、実施形態では、水性シクロデキストリン溶液には、デキストロース、例えば、約5%のデキストロースが含まれる。
【0152】
キット及びシステム
また、組み合わせ製剤、協調的方法、診断及び治療手段及びシステムなどに関する前記説明に関するキット及びシステムが、本発明で提供される。協調的使用又は組み合わせ使用のために開示されたこれらの基本的な手段の全ての組み合わせが、組み合わせた「キット」の形態で本願で提供されるためにも意図される。本発明の方法の実施のための例示のキット及びシステムには、二次癌治療剤、例えば化学療法薬、VDA、又はHSP90阻害剤と、使用するために包装又は参照表示された抗Id化合物を含む1つ以上の薬学的製剤が含まれ得る。特定の実施形態でキットは1つ以上の単位用量で存在する単一医薬組成物を含み得、ここで組成物は抗Id化合物(例えば、(−)−AGX51及び化学療法剤又は毒性還元剤を全て含む。さらに別の実施形態では、キットは三つ以上の異なる医薬組成物を含み得、それぞれ抗Id化合物、化学療法又は可能には毒性還元剤、又はこれらの要素の組み合わせを含む。前記成分に加え、対象キットは、さらに本発明の実施のための説明書を含み得る。これらの説明書は対象キット内に様々な形態で、例えば、キット包装上の適した媒体又は基板上に又は包装挿入物上に印刷された情報又は参照内容などとして提示され得る。
【実施例】
【0153】
抗癌及び抗転移組成物及び方法
転移は、ほとんどの癌患者、恐らく最も有意には最も人口が多い癌患者の特に乳癌患者において持続的生存のための最大の治療挑戦課題である。転移に関する遺伝子及び調節因子の確認は、かなり複雑で臨床的観点から難治性であることが立証されている。DNA結合(Id)タンパク質の阻害因子は、乳癌転移を含む癌転移で様々な役割を果たすように多様に関わっている。転移部位では高いId1の発現が観察される。Id1は、報告によると、癌細胞を循環(「播種」)させ、離れた転移性部位に播く(「定着」)ことを可能にする重要な間葉上皮転換(MET)変化調節において機能する。Id1の人工的遺伝子ノックダウンは、肺で腫瘍細胞によりMETを混乱させ、乳癌のネズミ科モデルで肺転移の発生を遮断することが報告されている。
【0154】
本発明は、小分子が哺乳動物対象生体内でId機能を効果的に標的化及び遮断し、転移を撹乱させたり、癌の進行を遅らせ又は予防し、最終的に癌患者死亡率を軽減又は予防することができるという臨床的に実行可能な提示を最初に提供する。
【0155】
本発明の抗Id化合物は、癌患者で転移を治療及び/又は予防するための新らしくて大いに有効な方法を提供する。下記実施例は、例示の小分子抗Id薬、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(「AGX51」)の開発、特徴及び抗転移用途を説明する。この例示のリード化合物は、AGX51プラットホームに基づいて(例えば、化学式I、II、III及びIVに記載された代わりの薬剤設計に関して上述の通り)抗Id活性を有した同等な薬剤の合理的設計のための基礎を提供する。AGX51は、膨大なインシリコ小分子スクリーン(2×106個に至る候補化合物)を含む、徹底した分子スクリーニングを通じて明らかにされた。本願で特徴とされるAGX51は、Id1及びその同族の結合パートナー(重要な調節bHLHタンパク質、例えばE47を含む)の二量化を妨害するのに効果的な方法で、Id1の二量化ドメインに隣接する疎水ポケットに結合することができる第1の小分子剤としてスクリーンから現れた。この画期的発見は多くの点で驚くべきものであり、多くの候補遮断剤を用いてこれらの分子相互作用を効果的に妨害するこれまでの努力を、非常に不確実で常に失敗させた、HLH−bHLH二量化の性質及び複雑性が少しもない。
【0156】
記載された通り本発明のAGX51及び他の抗Id化合物は、bHLHタンパク質を有したId二量化官能基に結合して損傷させるだけでなく、この機序によって、臨床的に実行可能な方法で重要な転移性経路で下流のId活性と機能的に干渉もする。これらの活性のうち、特にAGX−51は用量依存的方法でDNAに対するE47結合を高める(Id1−E47二量化のAGX−51の有効な拮抗作用と関係がある)。下記実施例は、本発明の抗Id化合物が(恐らくId−BHLHタンパク質二量体を混乱させ、Idをユビキチン媒介された分解、及び同様に他のId分解的機序に露出させることによる「脱保護」又は「脱遮蔽」を通じて)細胞及び生体におけるId濃度の減少を効果的に媒介することを示す。本願におけるこの新たな予想しない抗Id化合物の活性は、本願で言及した他の強力な抗Idの効果なしで、単独で臨床対象における有害Id濃度を減少させる有効な手段を提供し、前癌細胞における癌の発生危険を直接的に減少させ、腫瘍性細胞における癌形質の転換を低減し、既存の新生物及び癌の転移潜在力を減少させることによってこれらの対象で癌を軽減又は予防する。
【0157】
下記実施例はネズミ科の乳癌細胞(4T1)を、AGX51を用いて治療することにより、有害なId1タンパク質の濃度の臨床的に実行可能な減少を結果として提供することを示す。癌細胞培養試験におけるこの驚くべき結果に関し、AGX51は、細胞の生存力(アラマーブルー検査で測定)を減少させ、腫瘍様塊の形成を抑制する。また、本発明の抗Id組成物及び方法は、調節タンパク質p16及びp21で治療の変化をもたらし、AGX51治療対象の血液中のIdの循環濃度を減少させ、循環内皮細胞及びEPCを下方制御し、本願で明らかにされている数多くの追加の、明らかに異なる活性の中でも転移及び腫瘍の成長に関する病原性血管新生を下方制御する。試験管内及び生体内の両方におけるこれらの及び他のデータは、遺伝子的Idノックダウン実験からの結果と一致し、画期的な抗Id小分子薬に対して予想しない驚くべきものと解釈されざるを得ない。
【0158】
これらの例示のデータは、さらに本発明の抗Id化合物及び方法が様々な転移性機序及び経路を強力に混乱させるということを示す(特に白血性、肺癌、膀胱癌、及び乳癌前臨床モデルで明らかにされている)。
【0159】
これらの研究で最後に、最有力候補の抗Id薬AGX51は、ヒトを含む他の哺乳動物対象における臨床薬剤有用性の予測で広く受け入れられている複数の癌の種類の生体内ネズミ科モデルで実際腫瘍転移を明確に減少させることが証明された。4T1細胞の尾静脈注射後24時間後の腹腔内注射で50mg/kgで投与時、AGX51は、肺転移の発生をかなり減少させる。肺転移の著しくより大きい阻害は、AGX−51投与を1日1回から2回に増加させた時に観察された。相当する研究及び結果は、ネズミ科の乳癌モデルから提供された。追加のデータはAGX51がId依存METを遮断し、従って哺乳動物対象における転移性疾患を予防又は短縮させるという表明を提供する。本発明の抗Id化合物によるこれらの新たな活性の更なる立証は、4T1転写体及びEMT/MET経路に対するAGX−51効果の研究として進行中である。
【0160】
本願に提供された実施例は、単に説明のためのものであり、そして熟練家により本開示内容の教示と同等な実施形態を含み本発明の範囲又は実際的な適用を制限すると誤解釈されてはならない。これらの実施例は例示の小分子阻害剤AGX57を用いてIdタンパク質の濃度及び転移媒介機能を遮断及び無能力化し、本願に記載された他の類似の化合物が、Id結合解除及び機能に対して有効な追加の製剤を提供するために、これらの教示を基にして構成される。
【0161】
実施例1
抗Id化合物の同定及び試験
本願に開示された実験は、364種の化合物の同定、及びId抑制に有用な12個のペプチドの同時的な設計をまとめる。これらの実験は、追加の抗Id化合物の識別、だけでなく、Idを阻害することができる候補化合物の有効性分析のための手段をさらに提供する。下記の検査には、候補化合物の有効性、例えば、Id結合、Id二量化封鎖、及び/又は細胞及び生体におけるIdの不安定化及び分解を媒介する能力を確認するための試験に実行可能な手段が含まれる。
【0162】
数百万個の化学物質を3次元的E47−Id1相互作用マッピングを用いてスクリーニングし、E47−Id1相互作用を潜在的に阻害することができる小分子を識別した。同族Id1結合構造を概念化して、仮想スクリーニングはId1の複合体に対するモンテカルロシミュレーションを使用し、収集及び分析した1,000,000ステップ及び100個の形態を含む小型化合物(固定された螺旋状破片)スクリーンを稼動した。最善のスコア及び総エネルギーを有した複合体の形態を、追加分析用として選択した。
【0163】
仮想スクリーニングから上位3,000個の化合物をClogP<5、tPSA<80、分子量<600、及び化学的及び生化学的安定性に対して追加分析した。インシリコスクリーンで同定された364個の化合物が、表1に列挙されている。
【0164】
【表1(1)】
【表1(2)】
【表1(3)】
【表1(4)】
【表1(5)】
【表1(6)】
【表1(7)】
【表1(8)】
【表1(9)】
【表1(10)】
【表1(11)】
【表1(12)】
【表1(13)】
【表1(14)】
【表1(15)】
【表1(16)】
【表1(17)】
【表1(18)】
【表1(19)】
【表1(20)】
【表1(21)】
【表1(22)】
【表1(23)】
【表1(24)】
【表1(25)】
【表1(26)】
【表1(27)】
【表1(28)】
【表1(29)】
【表1(30)】
【表1(31)】
【表1(32)】
【表1(33)】
【0165】
実施例2
合成抗Idペプチドの考案
E47−Id1ヘテロ二量体構造のX線からのE47分子をペプチドの考案のための鋳型として使用した。ペプチドはId1とロイシン−ジッパー種類の二量体を形成(E47とは形成しない)するよう設計され、Id1と塩橋及び分子間H結合を形成する極性又は荷電した側鎖の導入により安定化できる。考案されたペプチドは、溶液中にα−螺旋形構造を維持する有意な可能性を有していると考えられた。特定のペプチドに対しては、ペプチドのヘリックス傾向が極性又は荷電した側鎖の導入により増大し、Id1と相互作用しない位置で分子内H結合及び塩橋を形成する。天然アミノ酸を含んでいるペプチドのみ考慮された。
【0166】
提示されたペプチド二量体構造の安定性評価のためのId1ペプチド複合体のモデルのために、複数の動力学シミュレーションが行われた。シミュレーションはAMBER−94力場を用いて300SYMBOL 176 \f "Symbol" \s 12Kの真空で行われた。位置的な拘束はId1の骨格原子を決定構造に近接するように維持するために適用され;Idの側鎖原子及びペプチドの全ての原子は拘束されなかった。40ピコ秒の平衡及び300ピコ秒の取得シミュレーションの間、二量体構造はポテンシャルエネルギーにおいて比較的小さい変動を有し、初期モデルに近く残っていた。ペプチドは、全体の多重動力学軌道の間、α−へリックス構造を維持した。初期モデル及び最終多重動力学構造でペプチド位置の間の平均自乗根の偏差は、Cα原子に対しては0.50Åであり、全ての重い原子に対しては0.74Åであった。ペプチドをId1に固着させる分子間H結合は、多重動力学シミュレーションの間、安定性を維持するように算出された。
【0167】
必要な基準に符合するペプチドは、候補抗Id化合物として同定された(表2)。
【0168】
【表2】
【0169】
同定された化合物及びペプチドを、下記実施例においてさらに詳細に記載されるゲル移動及び細胞検査を用いた追加の試験及び分析に適用した。
【0170】
実施例3
合成抗Id化合物のゲルシフト分析
インシリコ薬剤スクリーン及びペプチド合成から同定された376個の小分子を用いて、ゲル移動試験を実施した。同定された化合物を5%のDMSOに100μmの濃度で溶解し、E47、Id1及びMckを含有する結合混合物で反応させた。対照として、組換えヒトE47を共通E−Box応答因子(MCK−5’TTG ATC CCC CCA ACA CCT GCT GCC TGA AGC T(配列識別番号17))を含有する32P標識されたMCK二本鎖オリゴヌクレオチドを含有する標準結合反応に使用し、100ngのId1をE47及びp32標識されたMCKを用いる標準結合反応に添加した。30分の培養後、反応混合物を5%の非変性ポリアクリルアミドゲルに溶解し、オートラジオグラフで撮影した。結合されたE47−MCKは、移動されたバンドを結果として提供した反面、未結合MCKは、ゲルの底面に移動した。Id1及びE47及びMCKを含有する反応混合物では、E47がMCKに結合することができないことを示した。同定された分子がId1を阻害することができれば、ゲル移動試験は結合されたE47−MCKの移動されたバンドを示したはずである。また、移動されたバンドの存在は、小分子がE47及びMCKの間の相互作用に対しては有効性を有さず、正常的なbHLH媒介転写経路上における小分子の任意の非特異的効果の欠如を示す重要な観察を示唆する。
【0171】
インシリコ薬剤スクリーンで同定された376個の小分子のうち、表3で17個がゲルシフト分析で最も顕著な抗Id活性を示すと確認された。これらの分子は、E47、Id1及びMCKの存在時、顕著なゲル移動を提供する。
【0172】
【表3(1)】
【表3(2)】
【0173】
表3で特定される分子は、E47、Id1及びEboxの存在下にゲル移動を媒介する。これらの17個の分子を更なるゲルシフト分析にかけて、結果の再現性及び一貫性を確認した。全てのこれらの化合物は、ゲル移動で特異な点を結果として提供し、これらが試験条件下にId1−E47二量化の相互作用を撹乱できることを示した。ゲル移動程度(有効Id1−E47二量化封鎖と同等なものと考えられる)を基にして、2種類の小分子:N’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド及びN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(N−[3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル]−N−ベンジルプロパンアミド)を追加試験用に選択した。しかし、表1、2における全ての376個の分子及び特異的に表3に列挙された全ての17個の分子が、本発明の方法組成物に使用するための抗Id候補化合物として考えられる。
【0174】
N’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド(HTS 03876、Maybridge)及びN−[3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル]−N−ベンジルプロパンアミド(N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド)(6958667、Chembridge)は、Id1の存在下にE47−MCKの間の結合を回復するその能力に基づいて同定された。これらの分子のE47−Id1相互作用を遮断する能力を、細胞ベースの試験でのその効果の分析前に類似の試験で2回以上確認した。また、二つの化合物の有効性が、ゲル移動試験で用量比例性であることが立証された。
【0175】
実施例4
白血病細胞におけるId−bHLH結合のAGX51撹乱及びAGX51媒介Id分解
本実施例は、例示の抗Id化合物、N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(「AGX51」)の、bHLHタンパク質とのId二量化を混乱させ、及び細胞システムにおける未結合Idタンパク質の迅速な分解を誘発する新たな能力を示す。ETOキメラ性タンパク質を発現するTA白血病細胞をビヒクル対照(DMSO)又は20μΜ濃度の、ラセミAGX51、AGX51の精製された(+)−鏡像異性体(下記の「鏡像異性体分離A」における頂点「E−1」)、又はAGX51の精製された(−)−鏡像異性体(鏡像異性体分離Aにおける頂点「E−2」)で処理した。細胞溶解物(20μg)をSDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移動させた。免疫ブロットをウエスタンブロッティングで分析し、化学発光で視角化した(図1)。Id1及びId3に対する一次抗体をBioCheck社(Foster City、CA)から入手した。
【0176】
図1は、TA白血性細胞をラセミAGX51で処理した後、Id1及びId3の濃度が大きく減少することを示すウェスタンブロットゲルを提供する。本願で他の調査文書で記録された通り、(−)−AGX51鏡像異性体(「鏡像異性体分離A」における第2溶出頂点「Ε−2」(下記参考))の抗Id活性は、驚くべきことにラセミAGX51の抗Id活性よりも遥かにより大きく、(+)−AGX51(「鏡像異性体分離A」における第1溶出頂点「E−1」と表示)は、Id1に対し最小の有効性のみを有する(図1)。
【0177】
実施例5
乳癌細胞におけるId−bHLH結合のAGX51媒介撹乱及びAGX51媒介Id分解
Idに結合してbHLHタンパク質とのId二量化を混乱させ、未結合Idタンパク質分解を誘発するAGX51の能力を乳癌の細胞モデルで立証した。4T1ネズミ科の乳癌細胞を前記実施例IVにおけるようにビヒクル対照(DMSO)又は20μΜ濃度の、ラセミAGX51、AGX51の精製された(+)−鏡像異性体(「頂点分離A由来のE−1」)、又はAGX51の精製された(−)−鏡像異性体(「頂点分離A由来のE−2」)で処理した。細胞溶解物(20μg)をSDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移動させた。免疫ブロットをウエスタンブロッティングで分析し、化学発光で視角化した。Id1及びId3に対し同一の一次抗体(BioCheck、Foster City、CA)を使用した。
【0178】
抗Id化合物AGX51の立体特異的活性は、この乳癌モデル(4T1細胞)から部分的に確認された(図2)。しかし、これらの結果は、AGX51鏡像異性体の間のこの立体特異性に対する分子基盤をさらに複雑にする。乳癌細胞に相当するウェスタンブロットデータ(図2)は、再度抗Id1結合撹乱及び分解に対して(−)−AGX51鏡像異性体が(+)−ANGX51鏡像異性体よりも遥かに優れていることを示すことを表す(弱いId1信号が全てのレーンで依然として検出可能であるが、これは除去又はノックダウンが任意の試料で完了していないことを示す)。
【0179】
白血病細胞及び乳癌細胞の両方でId1タンパク質の濃度のこの立体特異的(−)−ABX51媒介破壊は、前記鏡像異性体が転移性疾患の予防及び治療媒介に強力な手段として深く関わっていることを示す。
【0180】
白血病細胞に対する実施例IVに示された結果とは対照的に、AGX51製剤(ラセミ体「混合」、又は(+)又は(−)濃縮した鏡像異性体製剤)のいずれもが、乳癌細胞におけるId3分解を促進するId3結合を効果的に害しない損なわないようである。
【0181】
(−)−AGX51鏡像異性体に対する抗Id1活性が独歩的なものでない場合、AGX51及びその鏡像異性体に対する予想しない立体特異的調査結果は、支配的追跡を提供する。比較すると、抗Id1活性は(+)−AGX51鏡像異性体では最小又は完全に欠乏している。(−)−AGX51鏡像異性体特異的活性は、白血病細胞から逆説的にId1及びId3の両方に対して強力である反面、前記モデルで(+)−AGX51鏡像異性体製剤(「Ε−2」)に相当する濃度の活性が観察される(図1)。前記後者の観察は、実験の産物であり得、恐らく(+)−AGX51製剤中に少量の(−)−AGX51鏡像異性体(5〜10%)(鏡像異性体分離Aからの分画「E−1」)がId3の濃度の強力な減少を媒介する可能性がある(3種類の製剤全部に対して観察される:ラセミ体「混合」;(+)−鏡像異性体「E−1」;及び(−)−鏡像異性体「E−2」)(図1)。
【0182】
しかし、本願におけるId−1及びId3立体特異的データの対照は、この単純な「汚染物」の説明に対する疑問を提起する。あるいは、特定の癌細胞中により低い濃度のId3が存在するか、又はId1よりId3に対する全ての形態のAGX51のより大きい活性が存在するかもしれない。しかし、この後者の解釈は、AGX51ラセミ体、(−)−AGX51又は(+)−AGX51鏡像異性体のいずれもが、乳癌細胞での有意なId3分解を媒介しないようであることを示唆する、図2における結果により正当性を疑われる。
【0183】
従って、(−)−AGX51鏡像異性体が白血病細胞で二つの複合体Id1−及びId3−bHLH全部強力な不安定化及び破壊(本願に提供される検出濃度でId1及びId3タンパク質の全体除去に該当)を媒介し、これに比べて乳癌細胞では相当する抗Id1立体特異的活性が(−)−AGX51鏡像異性体にはあるが、乳癌細胞で任意の形態のANGX51に対し観察される抗Id3活性は全くないか、又はほとんどない(三つの製剤が全て白血病細胞で強力な抗Id3タンパク質除去の有効性を発揮することは驚くべきであり、当惑する発見として考えられるに違いない−恐らく研究のうち、この細胞型でのみ表される(−)−AGX51の微小な汚染及び特別な抗Id3効力、又はあるいは不完全な立体特異的効果(ここで(−)−AGX−51は、極めて抗Id1優勢であり、(+)鏡像異性体に抗Id3活性は全くないか、又はほとんどなく、但し(−)−AGX51及び(+)−AGX−51鏡像異性体の両方が相当する抗Id3活性を示す)が指定され得る。
【0184】
本願で観察される(−)−AGX51鏡像異性体の驚くべき抗Id効力は、生物系における立体化学の従来の理解事実に基づいては予想されれないものである。単純な生化学的システムにおける立体化学的相互作用の概念は、反対極性鏡像異性体の間における潜在的な異質的活性を予想する。しかし、当該分野では任意の化合物、例えばANGX51の間における立体化学的機能異質性予測に対して類似の基礎を提供するにおいては明確に失敗した。AGX51は、Idと相互作用し、bHLHタンパク質及びその他の複合体結合パートナーとのId二量化を混乱させることが示された画期的化合物である。これらの複合体結合対のうち特に同種及びヘテロ二量化ドメインを含む大型へリックス−ループ−へリックス構造は、従来の立体生化学モデル(例えば、単純な酵素−基質相互作用)では関連性がない。AGX51と類似の任意の化合物のうち、任意の種類の立体特異的効果の科学的に整粒された予測はないが、これはAGX51が本願で最初に探求され記録された発見の発生初期分野の開拓抗Id薬であるためである。
【0185】
実施例6
癌細胞株に対する抗Id化合物の致命的な有効性
前立腺癌細胞株DU145及びPC3(10%BCS中)を、米国種菌協会(Rockville、MD)から入手した。細胞を10%のBCS(ハイクローン、Logan、UT)及び適切な抗生剤(ペニシリン/ストレプトマイシン、ファンギゾン、及びゲンタマイシン(InvitrognInc.,Carlsbad,CA)を含有するHam’s F12(Gibco,Carlsbad,CA)培地で培養した。全ての細胞を5%のCO2を含有する完全加湿大気中で37゜Cで培養した。
【0186】
50%密集度で、細胞を100μΜのDMSO、1000mOsmolのウレア+NaCl、1μΜのN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)、10μΜのN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド、及び100μΜのN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル))−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド、1μMN’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド、10μMN’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド、又は100μΜのN’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドで処理した。細胞の形態及び成長を1週間、形態又は細胞死における変化に対する顕微鏡検査で毎日監視した。アトポーシスは、Promega(Madison.WI)社のカスパーゼ−Glo3/7試験システムを用いてカスパーゼ3及びカスパーゼ7活性を測定することによって決定した。
【0187】
100μmの濃度のN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジル]プロピオンアミドは、3日内にPC3細胞の大量細胞死を誘導し、処理6日後には、生存細胞が観察されなかった。DU145細胞に対する有効性は、3日後には明確ではなく、細胞は健康ではないように見え、対照に比べて増殖することができなかった。さらに、6日後には、DU145細胞のN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドを用いた処理が細胞死を誘導した。N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドも、1μΜだけ低い濃度でDU145におけるアトポーシスを誘導し得る(図3(C))。また、細胞生存は、N’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドにも敏感であった。1μmの濃度におけるN’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジドは、DU145細胞で細胞死を誘導し得る。要約すると、E47−Id1相互作用の2種類の小分子阻害剤は、前立腺癌細胞株で大量の細胞死を誘導することが確認された。
【0188】
N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドの前立腺癌細胞に対する有効性の根源となる分子機序は、アトポーシスの一次メディエーター、カスパーゼ3/7の活性測定により評価される。N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(1−100μm)を用いた処理は、DU145及びPC3細胞の全部でカスパーゼ3/7における有意な増加をもたらし、これはアトポーシス誘導剤のスタウロスポリン(10μm)で処理した細胞におけるカスパーゼ活性よりもさらに高い。
【0189】
実施例7
AGX51は、白血病細胞でp16濃度を回復する
MML−AF9融合タンパク質を過発現するマウスから誘導された白血病細胞をN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)の濃度を増加しながら処理した。10μΜのAGX51でDMSO対照に比べて50%成長抑制が観察された。総細胞溶解物を50mMのトリス−HClpH7.5、150mMのNaCl、1%のトリトンX−100、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸及び0.02%のナトリウムアザイドを、新しく添加されたコンプリートプロテアーゼ阻害剤と共に含有する緩衝液を用いて収集した。タンパク質溶解物(20μg)をSDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移動させた。免疫ブロットをウエスタンブロッティングで分析し、ウェスタンライトニング化学発光検出キットを用いて視角化した。図3に示された通り、IC50濃度におけるAGX51は、DMSOビヒクルに比べてp16を回復させた。前記研究に使用された一次抗体は、Epitomics、Burlingame社(CA、USA)から購買した。
【0190】
実施例8
AGX51は、ヒト膀胱癌細胞からp21濃度を回復する
ヒト膀胱癌細胞株にN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)を濃度を増加しながら処理し、AGX51の濃度衝撃に対しては、上記でp16のAGX51による回復に対する実施例VIIに記載された通り加工した。総細胞溶解物を記載された通り収集し、加工し、分離し及びウェスタンブロットに移動させた。ウェスタンブロットは、図3に示されたとおり用いて視角化された。AGX51は、p21の顕著な用量依存性の回復を媒介した。p16回復活性の場合と同じように、前記活性は、細胞システムモデリング臨床疾患で強力な抗Id有効性を表す。p21の場合、Idは、本来p21の細胞周期制御及び抗増殖効果に関わっているp21の正常なEタンパク質調節を損傷させる。これによって本発明の新たな抗Id化合物及び方法が転移環境中のId濃度を機能的にノックダウンするか、又は除去し、ここでIdのノックダウンは直接的にp21のEタンパク質の誘導を遊離し、健康なp21濃度を癌細胞に戻しておく。本発明のAGX51及びその他の抗Id化合物のこの分子回復活性が、本願で細胞の移動、細胞の増殖、アトポーシス及び転移性疾患の進行及び臨床的阻止に対するその他の重要機序上で強力な抗癌及び抗転移影響を媒介することが示される。
【0191】
実施例9
抗Id化合物は癌細胞株で重要な細胞周期制御を回復させる
DU145前立腺癌細胞を米国種菌協会(Rockville、MD)から入手した。細胞に血清を24時間の間欠乏させ、1μMのN’−(4−イソプロピルフェニル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボヒドラジド(AGX8)又はN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)を24時間処理した。処理後、細胞を洗浄し、エタノール中に固定し、プロピジウムヨウ化物で染色後、蛍光活性化された細胞分類(FACS)分析(Accuri Cytometers、Inc.,AnnArbor、MI)で分析した。細胞ペレットを懸濁させ、細胞周期の各識別される段階における細胞数をフローサイトメトリーで測定した。
【0192】
AGX51及びAGX8は、共に細胞周期制御を良好に回復することについて、明確な活性を示した。AGX8は、細胞周期制御の救援に対して前記試験でAGX51よりも有効でなかった。これらのデータは、Id1が正常的な細胞周期制御を損なうか又は不能にすることによって、部分的に癌促進及び転移誘導作用を部分的に媒介するという報告と一致する。
【0193】
本願における研究に従い、細胞周期制御を媒介するAGX51の能力は可能な立体特異的効果に関してさらに分析した。図5は、1つの特異的鏡像異性体、(−)−AGX51(「E2」)がDU−145前立腺癌細胞における細胞周期制御の回復でラセミAGX51(「E0」)より著しくより大きい活性である反面、残りの鏡像異性体(+)−AGX51(「E1」)は事実上不活性のようであるという驚くべき結果を説明する。データは、サブG0(アトポーシス性)、G1、S及びG2/M相における細胞%の平均値である。エラーバーはSEであり、*はp<0.05と定める。処理濃度は、全て10nMであった。改善された細胞周期制御は、細胞周期のG2/m相においては、より少ない細胞で例示され、サブG0細胞休眠相においては、より多くの細胞で例示される。
【0194】
前述した調査結果は、本発明の抗Id化合物がId依存性の細胞周期調節喪失の強力な撹乱を媒介することを示す。従って、本発明は制御されない癌又は転移性細胞増殖と関係がある、Id調節喪失細胞周期循環の制限を通じて癌の発生を直接的に無能力化する手段及び方法を提供する。関連した研究配置で、発明者はヒト疾患の細胞システム及び生体内モデルの両側で癌細胞の数多くの異なる種類の増殖速度を大きく減少させるものと示された、本願に記載された抗Id化合物の直接的な抗増殖有効性を立証した。
【0195】
AGX51の直接的な抗増殖活性は、他のモデルの特にヒト膀胱癌細胞における癌細胞の増殖を制限する用量に比例した方法で明らかにされている。UMUC−3ヒト膀胱癌細胞をDMSO(対照)又は10μΜ又は20μΜのAGX51で処理した。48時間後、細胞の生存力数はトリパンブルー排除染色で決定した。また、全体の細胞溶解物は、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、150mMのNaCl、1%のトリトンX−100、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸及び0.02%のナトリウムアザイドを、新しく添加されたコンプリートプロテアーゼ阻害剤と共に含有する緩衝液を用いて収集した。3種類の20μgのタンパク質溶解物をSDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移動させた。免疫ブロットをId1、p16又はp21に対するウエスタンブロッティングで分析し、ブロット上の結果はウェスタンライトニング化学発光検出キットを用いて視角化した。3種類の一次抗体は、Id1、p16又はp21に対するのである。Id1に対する一次抗体はBioCheck社(Foster City、CA)から入手した。p16及びp21抗体はPierce Antibodies社、(Rockford、IL)から購買した。アクチン染色を内部標準化に用いた。
【0196】
これらの研究で、ANGX51は、DMSO対照に比べておおよそ50パーセントの成長抑制(10μMのAGX51から観察される)を媒介した。また、これらの研究は、AGX51媒介の抗増殖活性がId1タンパク質におけるAGX−51媒介減少と関係があり、p21濃度における増加を伴うことを立証した(p16濃度に対しては、実質的な効果がより少ない)。従って、p21活性/発現の直接的な調節物質として作用すると、ANGX51もまた、細胞周期制御安定化及び内皮前駆細胞(EPC)及びEPC依存性腫瘍関連血管新生の産生減少のために機能する。
【0197】
実施例10
AGX51は、転移に必須のId依存性細胞の移動を遮断する
細胞の移動は、全般的に特定の細胞の、1つの場所からもう1つの場所に移動する能力を促進する数多くの個々の生物学的過程の和を反映する。細胞の移動は、腫瘍の転移に必須の統合機序であり、最も致命的な過程は新生物に関するものである(Chiang及びMassague、2008年)。本実施例は本発明の例示の抗Id化合物、例えばAGX51がId依存性転移性細胞の移動遮断により転移性疾患を軽減又は予防する方法を示す。
【0198】
細胞の移動潜在力は、従来の「スクラッチアッセイ」方法を使用し容易に明らかにされる。スクラッチアッセイの基本的なステップは、細胞単一層に「スクラッチ」を生成して、スクラッチ付近への細胞の移動開始時及び細胞の移動の間、一定の間隔の映像捕捉及び前記映像比較で細胞の移動速度定量を伴う。試験管内のスクラッチアッセイは、細胞の移動における細胞マトリックス及び細胞−細胞相互作用に関する研究に特に適している。
【0199】
この研究のために、PC3細胞をプレーティングし、ほとんど密集するように生長させる。p200ピペットチップを用いて細胞層中にチャネルをスクラッチし、細胞を洗浄し、スクラッチ領域からの残骸を除去した。続いて、AGX−51投与ビヒクル(DMSO)を含有する培地又はAGX−51を含有する培地を細胞に添加して、細胞を毎日撮影した。
【0200】
結果を図6に示された写真に提供する。4日後、投与ビヒクル(DMSO)を含有する培地で処理したプレーティングされた細胞試料中のスクラッチ又はチャネルが消失し、AGX−51で処理したプレーティングされた細胞試料中のチャネルのみが開いたままである。一定に繰り返したこの試験は、相当する結果を提供し、抗Id活性AGX51が強力にId依存性細胞の移動を阻害するということを明らかに表す。従って、本発明はId依存性細胞の移動を減少又は無能力化して癌の発生及び転移を直接的に遮断する追加の手段及び方法を提供する。
【0201】
実施例11
AGX51は、癌の成長及び転移に必須のId依存性血管新生を遮断する
VEGF−165及びFGF−2処理マトリゲルプラグを第0日にC57BL/6マウスに移植した。マウスをビヒクル又はAGX51で処理した。抗Id化合物をプラグ(25μg/mg)に又は毎日ip処理(30又は100mg/kg)で10日間提供した。プラグは第10日目に収合し、固定させて、パラフィン包埋させた。各プラグの3個セクション(5μΜの厚さ)を抗CD31抗体で染色し、ヘマトキシリン及びエオシン染色を用いて対照染色した。CD31陽性微細血管をプラグ毎にした全体断面に対して計数し、平均微細血管の密度±SDを決定した。Student’st試験を統計分析に用いた。
【0202】
本研究からの微細血管データは図7に提供される。ビヒクル対照動物に比べて、全てのAGX51対象は新たな血管の形成に対して著しく保護された。研究に対する統計処理は次の通りであった:p>0.05(n=7)、25μg/plug、30及び100mg/kgの用量グループそれぞれに対してビヒクル(n=9)に比べ0.01(n=6)及び0.01(n=7)。最大の保護は100mg/kg、qdのip投与で44%であった。マトリゲルプラグのスライスを研究の終わりに組織学的に分析し、対照対象に比べAGX51処理対象で完成血管及び、従って、内皮細胞の存在における主な減少を明らかにした。
【0203】
関連した研究で、雌性ヌードマウスにMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を同所移植で(乳腺脂肪パッド)移植した。移植前に、MDA−MB−231細胞にトリプシン処理し、遠心分離して、50%のpDPBS/50%のマトリゲル溶液中に5x106細胞/50μLの濃度で再懸濁させ、使用時まで冷凍した。冷凍したマトリゲルを4゜Cで24時間の間解凍した。注射器、針及び細胞は使用される時まで氷で維持した。注射前に、細胞を逆転により軽く混合し、必要な体積だけ25x5/8”ゲージの針が備えられた、冷たい注射器に提供した。泡の発生に有意しながら注射器を軽く逆転させ混合した。4〜6週齢で、マウスに10x106のMDA−MB−231細胞を含有する50μlのマトリゲルを同所移植部位に注射した。細胞はケタミン(120mg/kg)/キシラジン(6mg/kg)により麻酔された動物の右側の尻尾の方の乳腺脂肪パッドに26x3/8”ゲージの針を用いて同所移植で注射した。続いて、腫瘍が100mm3の体積に定着されるようにし、その後、動物(通常は5動物/治療グループ)に無作為でビヒクル(DMSO)又は60mg/kgのAGX51 1日2回をipで処理した。処理の41日後、マウスを子宮頸部脱臼で犠牲にして、腫瘍を摘出し、10%の緩衝した(中性)ホルマリンに組織病理学的分析用に固定させた。組織をホルマリンから取り出して3xPBSで洗浄し、24〜48時間の間4゜CでPBS中30%のスクロースに浸るようにして冷凍保護し、パラフィンに包埋した。パラフィンブロックはスライドに組み入れるために5μmの厚さセクションに凍結セクションする時まで−20゜C又は80゜Cで保管した。スライドを抗CD31で処理して、PBSで洗浄し、内皮細胞をアビジン−ビオチン複合体(ABC)システムを用いて検出した。スライドをヘマトキシリン及びエオシン染色でカウンター染色し、核が見えるようにした。
【0204】
これらの研究試料で一貫して観察された通り、内皮細胞がある血管がビヒクル処理組織学的サンプルでは目立ったが、AGX51処理された動物では一貫して欠けていた。
【0205】
これらの調査結果は、本発明のAGX51及び他の化合物の抗Id機能がIdによって媒介された病原性血管新生の特異的封鎖まで拡張されるということを直接表明した。転移性カスケードにおけるこの媒介機序は、腫瘍関連血管新生の封鎖を通じた癌管理及び転移性疾患の予防及び減少のための特に強力な手段を提供する。
【0206】
実施例12
内皮前駆細胞(EPC)の阻害によってもたらされるAGX51の抗癌有効性
本発明の追加の組成物及び方法は、別々に内皮前駆細胞(EPC)の産生抑制及び生存減少により腫瘍関連血管新生を損傷させる。EPCは、新たな腫瘍の血管新生に対する寄与(及び腫瘍の成長により引き起こされる血管破壊から定着した腫瘍の救出)による腫瘍の成長及び転移促進を担う。EPCの産生及び生存は、癌及び転移性システムでId依存性であり、従って本発明の抗Id組成物及び方法がEPCの軽減又は予防を通じて及び/又はEPC機能及び発生能の不全を通じて転移を効果的に軽減又は予防する。
【0207】
本実施例は、本願における他の実施例で提示されたものと同一の試験対象を用い、非処理対照動物で癌の進行及び転移を誘導する病態中の対照動物を抗Id処理動物と比較する。本実施例の追加の目的は、本発明の組成物及び方法を用いて処理又は未処理された動物でEPC濃度のId依存性変化を示すことである。本実施例によると、前述した実施例IV〜VIIで記載された処理及び未処理モデル動物の各クラスがEPC濃度に対して評価される(例えば、EPCマーカー(例えばGFP+及びVE−カドヘリン+)に対し誘導された抗体を用いる多変量流動分類を用いて、骨髄又は循環血液からの試料でEPC測定)。本発明の抗Id組成物及び方法、特に(−)−ANGX51で処理した動物は、抗Id化合物媒介された、EPC濃度における用量依存性の減少を表す(対照動物、及びより少ない活性の抗Id化合物、例えばラセミANGX51及び特に抗転移不活性(+)−ANGX51鏡像異性体で処理した動物と比較)。
【0208】
実施例13
抗Id化合物が生体内腫瘍の成長を抑制する
ヌードマウス(n=8/治療グループ)にMDA231ヒト癌細胞を移植する。移植14日後、マウスをipでDMSO(ビヒクル)又はDMSO中の50mg/kgのAGX51で処理した。全てのマウスには、第8日第22日に始まり、5日間連続してivで7.5mg/kgを投与した。ボックスプロットは移植53日後の腫瘍の体積である(研究の最終日)。
【0209】
対照グループにおける動物2匹及び処理グループにおける動物1匹が第53日に斃死した(データは使用しない)。全ての生存した動物に対する腫瘍の大きさの調査結果が、図13に提供される。図8に示された通り、AGX51を用いた処理は腫瘍の成長に対して約50%の有意な[ビヒクル(DMSO)対照に比べてp=0.05]マイナス効果を提供する。
【0210】
実施例14
AGX51の用量の最適化
CD1雄性マウス(3/時点)にipでDMSO中の30mg/kgのAGX51を処理した。投与前及び投与後、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0及び42時間目に後眼窩の穿孔によりへパリン添加されたチューブに血液を収集した。試験のための1μgの内部標準(S109037、Aldrich社、St.Louis、MO)及び100μLのpH7.4PBSを血液から収穫した血清に添加した。混合物を1分間1mLのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)と共にボルテックスさせ、MTBEを乾燥N2(g)と共に遠心分離して除去した。MTBE除去後、残留する残渣を200μLのACNで再構成した。5μLの前記溶液を電気噴霧LC−MSセットがカップリングされている2.0x250mmのC18カラムを用いるLC/MSで分析し、HPLC流出物中のm/z432(AGX51)及びm/z468(S109037)をモニターした。ACN(85)/H2O+0.1%のギ酸の流速は、200μL/分である。繰り返し100μL対照血漿に0、0.03、0.11、0.33、1又は3μgのAGX51を添加して、記載された通り試料を分析して補正曲線サンプルを2回製作した。補正試料における432対m/z468の割合(y)及び、試料におけるAGX51の濃度(x)を線形回帰で分析し、傾き(m)及び切片(b)を収得し、実験試料で前記割合をAGX51の濃度で変換するために使用した。試験からの典型的なイオンクロマトグラムを図9に提供する。
【0211】
図10に示された通り、AGX51は、第1時点で15分に発生したCmaxに速く吸収された。観察されたプロファイルは、第1区画からの除去に対するt1/2がおおよそ30分、第二区画からの末端除去t1/2がおおよそ6時間で二つの区画モデルと一致した。薬剤はおおよそ80リットル/kgのVz/Fに広く分布され、100mL/kg/分を超えるGl/Fに比較的迅速に取り除かれた。
【0212】
様々な投与シミュレーションがWinNonlin(Pharsight、Sunnyvale、CA)における二つの区画モデルを用いて行われ、PKパラメーターはWinNonlinにおける二つの区画モデルに対する血漿濃度データの適合度から算出した。標的基準は、様々な癌細胞培養システム、例えば、DU145(前記実施例VI及びVに示される)で増殖を抑制するためのAGX51に対し観察されたlC50値の範囲の下限である2μΜ(0.431μg/mL)を超えるAGX51の血清濃度を維持するためである。図11に示された通り、シミュレーションは60mg/kg、1日2回の投与が標的基準を達成することを提示した。
【0213】
実施例15
AGX51がヒト対象における癌薬効予測のための許容されたネズミ科モデルで生体内肺癌転移を極めて減少させる
本実施例は本願の新たな抗Id化合物及び方法の強力な、生体内抗転移の有効性を示す。ルイス肺癌の尾静脈注射に従来の方法による肺転移の測定を後続した。30匹のC57BL/6マウスに7.5x105のルイス肺癌(LLC)細胞/動物を移植した。移植7日後、グループ毎に5M/5Fに毎日腹腔内に(ip)25日間ビヒクル(DMSO)、又は50mg/kgのラセミN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)を投与した。移植14日後、もう1つのグループの5M/5F動物に毎日ipで18日間50mg/kgのN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドを処理した。腫瘍を第7日〜14日まで3回測定した。14日目に腫瘍を摘出した。図4から立証されるように、動物は摘出後18日目である第32日に肺転移の存在に対して検屍した。第14日目の腫瘍は各処理グループに対しておおよそ同じ大きさであったため、実験の末期で明らかにされた肺転移の任意の差は、比較グループにおける異なる腫瘍の大きさによりもたらされるものでないことを保障する。
【0214】
図12に示されたデータは、例示の本発明の抗Id薬、AGX51を用いたヒト疾患の動物モデルの処理を通じて生体内媒介された、これまでにない抗転移活性を示す。データが表明するように、本研究でラセミAGX51は、5個の転移性腫瘍巣よりもさらに多く提示する処理された動物数における50%超えの減少を媒介する。本願におけるデータは、さらに複数の試験試料で一致することが示され、さらに抗Id有効性(細胞におけるIdタンパク質のAGX51媒介Id結合撹乱及び除去、及び転移に重要なId依存細胞の移動の破壊)の他の証拠とも一致する。本願におけるこれらの及び他の研究結果により、本発明の抗Id化合物は哺乳動物対象における転移性癌発生及び進行を治療、軽減及び予防する強力な手段を提供する。
【0215】
実施例16
AGX51は抗転移薬有効性の臨床予測モデルを用いた生体内乳癌転移を極めて減少させる
本実施例は臨床的乳癌治療有効性の広く許容されたネズミ科モデルを用いた乳癌媒介に巣をおく。乳癌転移は全世界的にヒトにおける癌死亡の主な原因である。乳癌転移の共通部位は肺である。前記実施例IIIは、マウスにおける移植された肺腫瘍の転移に対するAGX51の治療有効性を立証した反面、本研究は試験対象の血流に直接注射された乳癌細胞に対するAGX51の抗転移効果を測定する。
【0216】
ルシフェラーゼ遺伝子でタグされた乳癌細胞(4T1)をBalb/cマウスの尾静脈を通じて注射した(マウス当り5.0x104細胞、5個のマウスグループ)。肺転移の発生を生物発光映像化により監視した。腫瘍細胞注射後第1日目に、マウスを1日2回、i.p.で4週間投与ビヒクル(DMSO)(5マウス)又は50mg/kgのN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)(5マウス)で処理した。生物発光映像化を週1回行った。4週目の週末には、肺を収集して転移性負荷に対して分析した(図13)。
【0217】
図13に示された通り、AGX51を用いた処理は本実施例の直接的な注射モデルで乳癌転移を極めて減少させた。抗Id処理された動物のこれまでにない40%が完全に転移せずに残っていた。DMSO対照対象に比べてAGX51処理では観察される転移の平均数で5倍数超えの、さらに大きい減少があった。
【0218】
実施例17
AGX51の抗転移効果が(−)−ANGX51鏡像異性体により優勢に又は独歩的に媒介される立体特異性である
(−)−AGX51鏡像異性体の激甚な抗Id1優勢性を特徴とするAGX51鏡像異性体の立体特異的抗Id結合及びId分解(除去)活性を明らかにした上記の先駆的研究を基に、転移性カスケードで細胞過程に影響を与えるAGX51の立体特異的効果を説明するために追加調査を実施した。
【0219】
実施例Vの方法論に後続して、ラセミAGX51及び(−)−AGX51及び(+)−AGX51の二つの鏡像異性体の抗転移効果を並んで比較した。
【0220】
DMSO又はラセミAGX51の投与を受けた5個の対象、及びそれぞれ(−)−AGX51又は(+)AGX51鏡像異性体で処理する5匹のマウスの追加グループを用いて前記実施例Vに記載されたプロトコルによって転移を評価した。これらの研究のために、AGX51鏡像異性体をより高い濃度の鏡像異性体の濃縮(おおよそ98%の鏡像異性体純度)を提供する、異なる分離方法を用いて精製した。興味深いことに、第2濃縮方法(「鏡像異性体の分離方法B」)は第1分離方法Aで提示されたプロファイルと正反対の溶出プロファイルを提供した(方法Bでは(−)−AGX51鏡像異性体が1番目(「頂点1」)に溶出され、(+)−AGX51鏡像異性体が2番目(「頂点2」)に溶出される)。このように明らかに異なる製造デザイン及び溶出プロファイルは、(−)−AGX51及び(+)−AGX51鏡像異性体の各物理化学特性の更なる解明及び説明のために提供される。
【0221】
本研究では(−)−AGX51鏡像異性体により表されるもう1つの優れた抗Id活性を明らかにした;即ち、生体内抗転移効果媒介に対する激甚な優勢又は独歩的な立体特異性。生物発光映像化の際、陽性転移性信号がビヒクル又は(+)−ANGX鏡像異性体の投与を受けた全ての動物の肺領域で観察された((+)−AGX51鏡像異性体グループの動物のうち2匹は、映像化ステップ前に斃死)。これに比べ、ラセミAGX51、又は活性、(−)−AGX51鏡像異性体の投与を受けた5匹のマウスのうち、ただ3匹のみ肺で検出可能な転移性信号を示した。
【0222】
前述した研究と手続上同一の確認研究中、封入体に対する2週予備可視化は、作成を省略してこの文を短縮する。本研究はグループ毎にDMSOビヒクル、ラセミANGX51、(−)−ANGX51(「頂点1」)、又は(+)−ANGX51(「頂点2」)で処理する動物を伴う。図14に示された通り、DMSO及び(+)−ANGX51(「頂点2」)グループの4匹ずついる動物のうち、2匹では全て広範囲な肺転移(胸部領域における著しい生物発光により表示)が発生した反面、ラセミANGX51及び(−)−ANGX51(「頂点1」)を処理した動物は全部転移信号が完全に清潔なまま残っている。
【0223】
実施例18
抗癌薬協調的療法−AGX51及びタキサン
MDA−MB−231細胞にトリプシン処理し、遠心分離して50%のDPBS/50%マトリゲル溶液に5x106細胞/50μLの濃度で再懸濁させ、冷凍した。使用前に、冷凍したマトリゲルを4゜Cで24時間の間解凍した。注射器、針及び細胞は使用される時まで氷で維持した。注射前に、細胞を逆転により軽く混合し、25x5/8”ゲージの針が備えられた、冷たい注射器で必要な体積だけを取った。注射器を軽く逆転させて泡が生じないように注意して混合した。
【0224】
10x106のMDA−MB231細胞を含んでいる50μLマトリゲルをケタミン(120mg/kg)/キシラジン(6mg/kg)で麻酔した4〜6週齢の雌性ヌードマウスの右側の尻尾の方の乳腺脂肪パッドに26x3/8”ゲージの針を用いてim投与して同所移植で注射した。腫瘍が100mm3の体積を確保するようにした後、動物を無作為で分けて試験化合物又はビヒクルを用いてip処理した。
【0225】
移植14日後、マウスにipでDMSO(ビヒクル)、15mg/kgパクリタキセルのDMSO溶液、15mg/kg、パクリタキセルのDMSO溶液を、6.7mg/kg、20mg/kg、又は60mg/kgのAGX51と共に又は60mg/kgのAGX51だけ単独で5日間処理した。腫瘍の体積はデジタルカリパス及び下記式を用いた研究を通じて決定した:腫瘍の体積=1/2(長さx幅2)、式中、最大の縦直径は腫瘍の長さであり、最大の横直径は幅である。41日の投与後、マウスを子宮頸部脱臼で犠牲にして、最終腫瘍の体積及び重量を記録し比較した。
【0226】
図15及び16に示された通り、19日目に、パクリタキセルは単独で腫瘍の成長をおおよそ40%減少させた。AGX51は、単独で1日2回60mg/kgでも腫瘍の成長に影響を与えられなかった。しかし、3種類のAGX51用量全部−1日2回6、7、20及び60mg/kgは、p≦0.01に腫瘍の成長を著しく減少させ、60mg/kgの用量は研究出発時よりも小さい、多くの腫瘍に最大の有効性を提供した。
【0227】
追加グループのマウスを15mg/kg、q5d、用量に比べて2種類の異なる用量のパクリタキセル−7.5mg/kg及び22.5mg/kg、q5dと共に60mg/kg、1日2回,AGX51−で処理した。7.5mg/kgの用量は、追加の有効性を提供しない反面、22.5mg/kgにおける有効性は15mg/kgの用量で観察されるものよりも改善された点を表さなかった。予備研究で使用された25mg/kgの用量に比べ、マウスが有意な低体温症を経験して、15mg/kgのグループに比べて無気力であったが、動物が22.5mg/kgの用量に対してある程度より良い耐性を示した。
【0228】
第2研究で、ヌードマウス(n=5/60mg/kg、1日2回,AGX51及びパクリタキセル用量(n=8)を除いた処理グループに、再びMDA231ヒト癌細胞を移植した。移植14日後、マウスにipでDMSO(ビヒクル)、15mg/kgパクリタキセル、又は15mg/kg、パクリタキセルと共に60mg/kgのAGX51を処理した。本研究でマウスに対するパクリタキセルの15mg/k、q5d用量の効果は、以前の研究においてより、さらに明確であった:数日間の重症の無気力、低体温症及び不良な外観。腫瘍の成長に対するパクリタキセル単独処理の有効性は発生が遅かった。しかし、最終的にパクリタキセル単独では腫瘍の成長をおおよそ50%減少させ、これらの研究で60mg/kg、1日2回であるAGX51は、図17及び18に示された通り、この有効性を著しく(p≦0.01)増加させた。
【0229】
追加の研究は、腫瘍の退行を最大化するAGX51の投与時間を調査した。ヌードマウス(n=4/処理グループ)にMDA231ヒト癌細胞を移植した。移植14日後、マウスにipでDMSO(ビヒクル)、40mg/kgのN−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミドを単一投与/1日又は20mg/kgの用量/1日で処理した。第41日目に腫瘍の体積における観察された平均増加(±SD)(最終値から初期値を引く)は242.69±133.58(qd)及び47.98±86.31mm3(1日2回)であり、差は統計的に有意であった(p<0.03)。
【0230】
本願における追加の研究は、AGX51及びドセタキセルの組み合わせた抗癌有効性を評価した。MDA−MB−231細胞をトリプシン処理して、遠心分離し、50%DPBS/50%マトリゲル溶液で5x106細胞/50μLの濃度で再懸濁させ、冷凍した。使用前に、冷凍したマトリゲルを4゜Cで24時間の間解凍した。注射器、針及び細胞は使用される時まで氷で維持した。注射前に、細胞を逆転により軽く混合し、25x5/8”ゲージの針が備えられた、冷えた注射器で必要な体積だけ吸い上げた。注射器を軽く逆転させて泡が生じないように注意しながら混合した。
【0231】
10x106のMDA−MB−231細胞を含有する50μLマトリゲルをケタミン(120mg/kg)/キシラジン(6mg/kg)で麻酔した4〜6週齢の雌性ヌードマウスの右側の尻尾の方の乳腺脂肪パッドに26x3/8”ゲージの針を用いてim投与して同所移植で注射した。続いて、腫瘍を100mm3の体積で定着した後、動物を無作為で分けて試験品又はビヒクルを用いてip処理した。移植14日後、マウスにipでDMSO(ビヒクル)、15mg/kgのドセタキセルq5d、又は15mg/kgのドセタキセルq5d及び20mg/kgのAGX51 1日2回を処理した。図19に示された通り、第41日の腫瘍の体積(最終−初期)における平均(±SD)は、ドセタキセル及びドセタキセル+AGX51それぞれに対して497.47±63.08(n=5)及び57.55±87.63mm3(n=4)であった。差は有意であった(p<0.001)。
【0232】
実施例19
Id1遺伝子大Id1タンパク質抑制有効性の比較
Id1ノックアウトマウスにマトリゲル中の106LLC細胞を移植した。腫瘍がおおよそ350mm3まで成長するようにした後、DMSOビヒクル対照、15mg/kg、q5d.パクリタキセル又は15mg/kg、q5d、パクリタキセル+30mg/kgのAGX51、1日2回19dで処理した(5/処理グループ)。研究にはMS4に指定した2個の追加グループを含ませた:上記で記載された通り移植され、DMSOビヒクル対照又は30mg/kgのAGX51、1日2回19dで処理されたC57BL6マウス。図20及び21に示された通り、AGX51は、C57BL76マウスに移植されたLLC腫瘍に対しては全く効果がなかった(平均体積±SDがDMSO処理された動物に対しては、5374.18±1912.25mm3である反面、AGX51処理された動物に対しては5143.44±1122.17mm3)。普通の抗成長有効性の文献における報告とは反対に、MS4におけるId1欠損は非常に速く成長するLLC細胞で抗成長有効性を全く提供しなかった。また、より一層驚くべきことに、パクリタキセル(PAX)処理が最初の18日の研究では単に非常に平凡な有効性を有し、第20日には全く有効性を示さなかった。しかし、AGX51+パクリタキセルの組み合わせは有意な(p<0.01)抗成長有効性を提供した。
【0233】
実施例20
AGX51の安全性
本発明の抗Id化合物は、ほとんどの従来の化学療法薬に対して観察されるものと対照的に、Idタンパク質を特異的に標的とし、根本的な細胞機能の撹乱又は実質的毒性の提供なく、その強力な抗癌及び抗転移効果を媒介するようである。AGX51の安全性プロファイルを評価するために、8〜12週齢、CD1マウス(5/治療グループ)にq5dでDMSO、15mg/kg、qd、PTX、60mg/kgのAGX51、1日2回又は15mg/kg、qd、パクリタキセル+60mg/kgのAGX51、1日2回(MS3に指定)を投与した。へパリン添加された血液試料を第6日目に最終N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド(AGX51)投与後12時間目に後眼窩の穿孔で収得した。血液から収穫血漿を標準臨床化学及び血液学分析水及び正常なパクリタキセル及びAGX51に対し分析した。
【0234】
パクリタキセルだけを単独で処理したものに比べ、重量又は臨床化学(ALB、ALP、ALT、AMY、TBIL、BUN、Ca、PHOS、CRE、GLU、Na、K、TP&Glob)又は血液学(WBC、Lym、Mon、Gra、RBC、Hg、赤血球容積率&血小板)値に対してAGX51の逆効果は全く観察されなかった。同様に、DMSOビヒクル対照に比べこれらの同一の測定に対してAGX51に対し全く有効性が観察されなかった。データはAbaxis VetScan分析器(UnionCity、CA)を用いて収得された。これらの実験室試験に対する代表的なセットに対するデータが図22に提供される。
【0235】
実施例21
抗Id化合物は加齢黄斑変性において病原性血管新生から保護する
AGX51の抗Id及び抗血管新生活性はヒト加齢黄斑変性(AMD)治療用疾患機序及び薬効の予測で広く許容されたモデルシステムを用いて、マウスの網膜で病原性血管新生に対して強力に保護することが本実施例で明らかにされている。
【0236】
Id3欠損マウス14匹(n=9対照及びn=5マウス)の網膜をフェニレフリン/アトロピンを用いて10分間拡張させた後、ケタミン/キシレン(5:1)を用いて5分間麻酔し、レーザー熱傷を負わせた。カバースリップを透明な眼科用媒体を用いて目の表面に(下部側)位置させ、レーザー用レンズとして作用するようにした。光を目に照らして視神経及び神経網膜を可視化した。続いて、微細レーザーを眼球裏側に垂直となるように設定した網膜の裏に集中させた。熱傷は、血管間の視神経から離れている(血管は避けるようにする)1光学ディスクに位置させた。レーザーに対する設定事項は、下記の通りであった:持続時間100ms、強さ250mW及び直径50ミクロン。レーザー熱傷は神経網膜を貫通し、網膜色素上皮性(RPE)層に巣をおいてBruch’s膜の破裂を引き起こした。熱傷直後、流体のポケットが熱傷周辺に形成され、熱傷地点を表示した。ポケットは熱傷の熱で膨張した流体によるものである。ポケットは結局小さくなるが、熱傷地点は依然として観察される。
【0237】
Bruch’s膜の破裂後2週目に、動物を犠牲にして、その眼球を収穫し、パラホルムアルデヒドに一晩置いた。続いて、眼球をPBSで洗浄し、RPE−脈絡膜−鞏膜複合体を神経網膜から分離した。続いて、複合体(厚さが約200ミクロン)を一晩トリトンX−100及び抗コラーゲンIV抗体を含有するPBSで培養した後、一晩洗浄し、AlexaFluor接合された二次抗体と一晩培養した。続いて、複合体を一晩洗浄し、評価用色褪せ防止媒体(anti−fademedium)に平らに組み入れた。共巣顕微鏡検査を用いたZ線映像化を用いて、4ミクロンセクションを複合体の上部から下部まで映像化した(約50個のイメージ)。続いて、中心瘢痕/血管が生じた領域(複合体の略中間)を手作業で輪郭取り、映像は蛍光の背景濃度に対して独立して分析した。背景蛍光を各イメージの概括した領域から差し引きした後、それぞれ相対的蛍光に対して分析した。続いて、全体蛍光を計算した。4つの熱傷があるそれぞれの動物のnが1である。データは平均病変体積±平均の標準誤差(SEM)で表現し、SPSSソフトウェアを用いて分析した。実験グループの間の差の統計的有意性は、体積の片側試験(one−tailed Student’s t−試験)を用いて算出された。図23に示された通り、Id3欠損はBruch’s膜のレーザー誘導破壊後の血管新生を損傷させ、これはAMDの前記モデルシステムで病原性血管新生反応の全体発生でId3が少なくとも部分的に関わっていることを示す。前記モデルは広く許容可能であり、数多くの抗AMD薬開発に成功的に用いられている。
【0238】
Id3欠損動物に対する平均CNV面積は野生型動物の面積のおおよそ半分であり、結果は統計的に大きく有意である(p<0.001)。
【0239】
(前記Id遺伝子ノックアウト研究で提示されたような)相当する保護性抗AMD効果が現在、驚くべきことに本発明の小分子抗Id薬、ANGX51を用いて達成される。さらに予想できないことは、ANGX51の抗AMD(抗血管新生)効果が硝子体内(影響された目に直接)、だけでなく腹腔内に(薬剤が安定した、有効な状態で網膜組織に移動しなければならない)処理された対象で観察されたという点である。さらに先駆的なことは、本願におけるデータがAGX51の抗血管新生及び抗AMD有効性が立体特異的であり、活性が主要に又は独歩的に新たな(−)−AGX51鏡像異性体にあるということを説得力を持って示す。
【0240】
図24を参照すると、(−)−AGX51は、上記と同一の方法で硝子体内に(ivt)投与された。C57BLマウス(5/処理グループ)は第1日にレーザー処理によりCNVを有するようになった。試験マウスにAGX51(「E2」)(10μg)の(−)−鏡像異性体を投与し、対照にはビヒクル(70%のDMSO/30%の水)を投与する。レーザー処理1時間後、投与はivtで第7日目にした。第14日に犠牲にして、病変の大きさの測定(フルオレセイン標識されたデキストランを用いて遂行)を行った。
【0241】
図25を参照すると、(−)−AGX51を上記と同一の方法で用いて腹腔内に(ip)投与した。C57BLマウス(10/治療グループ)は第1日目にレーザー処理によりCNVを有するようになった。試験マウスにレーザー処理後2時間目にAGX51(「E2」)(20mg/kg、qd)の(−)−鏡像異性体を投与した後、14日間毎日20mg/kg、1日2回を投与し、対照マウスにはビヒクル(70%のDMSO/30%の水)を提供した。第14日に犠牲にして、病変の大きさの測定を完了した。
【0242】
前述した研究は本発明の例示の抗Id化合物によってもたらされる強力な抗血管新生及び抗AMDを示す。強力な抗Id活性は、再びこれらの研究で使用された(−)−AGX51鏡像異性体を用いて立証される。図23〜25を比較すると、(−)−AGX51がId3遺伝的ノックダウンにより収得されるように、抗血管新生及び抗AMD有効性を媒介するということが明らかである。二つの抗Id薬試験(図24及び25)で、観察された抗血管新生活性の程度は、対象で表示される病原性血管新生欠陥の50%超えの減少に該当して、ヒトにおけるAMD及び他の病原性血管新生疾患治療において本発明により提供される臨床的に非常に有効な媒介であることが予測される。硝子体内(ivt)送達の直接経路に比べて腹腔内(ip)投与の遠隔経路により投与された(−)−AGX51により提示される、ほとんど同一の活性(図25)は、身体における遠隔臨床標的、例えば分離されているか又は標準薬剤の送達/生体使用効率に難治性である激しい腫瘍、CNS標的及び他の区画に達するにおいて前記薬剤のこれまでにない有効性に対する前兆である。
【0243】
実施例22
新たな抗Id診断手段により補助される癌治療及び転移性疾患の管理
また、本発明は、癌を含む増殖性疾患の診断及び再帰的治療のための生体試料からIdタンパク質、例えばId1を検出及び定量するための新たな組成物、方法及びキットを提供する。これらの方法は、本願に記載された抗Id治療に適している癌患者及び他の対象の、敏感かつ大きく成功的な臨床管理達成のための治療計画で変形を加えて患者からIdの検出と共に新たな治療方法で有効に統合できる。
【0244】
本発明の臨床適用のために、続けて治療患者で抗Id有効性を決定することが重要である。AGX51がIdのEタンパク質との相互作用を混乱させる時、Idタンパク質が分解するため、患者におけるId1喪失測定はこれらの患者の治療及び管理状態の変更に有用な情報を提供する。Id濃度は腫瘍を有した実験用マウスだけでなく、乳癌患者の血清で全て上昇している。これらの状況における高い濃度のIdは、試料製造の間又は同時に溶解する循環EPC及び/又は循環腫瘍細胞に関わっているものと考えられる。従って、Id1濃度が患者の血清で減少したのか否かを決定するための単純な血液検査を本発明の抗Id化合物で処理することは、臨床試みの到達のための抗Id化合物の有効性の評価を進行することができるようにする。これらの測定に基づいて、臨床管理は個別患者の疾患状態及び治療反応に合わすことができる(例えば、初期に成功的な薬剤処理時、Id濃度の集中的低下決定時、抗Id薬投与を減少させ、潜在的な不要な治療費用及び/又は副作用を軽減する)。
【0245】
本願における再帰的診断方法の実際的な実行は、下記実施例により立証される協調的に統合された診断/治療臨床管理手段を提供する。試験方法は、生体試料、例えば、体液(例えば、小便、血漿、CNS流体、発現された又は抽出された乳腺流体、など)、組織(例えば、骨髄、血液、腫瘍生検試料)、及び診断に有用なその他の試料物質からId標的を検出するために特別に改変される。この新たな試験の図式的説明が図26に提供される。この試験は、改良された「サンドウィッチ」技術を使用し、これにより微細適正ウェルに結合された後、癌が公知となったり又は癌の危険に面した癌スクリーン対象からの試験試料(例えば、血清)に露出させたId1に対して非常に特異的なモノクローナル抗体を提供するようになり、試料中のId1タンパク質が抗IdモノクローナルAbによる結合を許容するようになった。洗浄後、プレートをワサビペルオキシダーゼ(E47−HRP)にコンジュゲーションされたE47タンパク質に露出させた。この新たな試験の構築によって、モノクローナルAbに結合された試料からのId1タンパク質は、試料の中に本来存在する量に直接比例してHRP標識されたE47に結合し、維持される。続いて、プレートに結合されたE47−HRPは、比色定量のための発色基質である3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)に露出させた。
【0246】
前述したId1検出試験は、本願でヒト乳癌患者及び正常対象対照を立証して、癌を潜伏(cancerbearing)及び癌患者の完全区別を確かにし、従って、敏感かつ強力な臨床診断、治療及び管理手段を提供するようになった。
【0247】
図26に示された試験設計によると、ELISA微細適正プレートを既知の量の抗Id1マウスモノクローナル抗体(BD PharmingenSan Diego、CA)でコーティングする。100μLのId1標準(10X、20X、40X、50X、160X、320X及び640X(Id1強化マウス血清))をウェルに分配した。続いて、溶液を30秒間徹底的に混合し、4゜Cで16時間の間培養した。16時間後、プレートの内容物を廃棄物容器に出して空にし、培養混合物を除去した。微細適正プレートを蒸留水で5回洗浄し、吸収紙で満遍なく貼り付け、残留水滴を全部除去した。100μLのE47HRPコンジュゲート試薬(1:25又は1:50)を各ウェルに分配し、30秒間徹底的に混合した。続いて、プレートを室温で2時間培養した後、培養を投棄し、微細適正プレートを蒸留水で5回洗浄した後、吸収紙で満遍なく貼り付け、残留水滴を全部除去した。続いて、100μLのTMB試薬を各ウェルに分配し、5秒間軽く混合した。続いて、微細適正プレートを暗室中、室温で20分間培養した。20分後、100μLのStop溶液を各ウェルに添加し反応を中断した。溶液を30秒間軽く混合し、15分以内に450nmで吸光度を検督した。収得した吸光度値をWinNonlin(Pharsight、Mountainview、CA)を用いてMichaelis−Merton双曲線方程式に適用した。濃度データ大吸光度値の適合度に対する相関関係の係数は、0.99超えであった。
【0248】
総42匹のp53ノックアウトマウスを標準条件で維持した。これらを12h明−12h暗サイクルの冷暖房調節空間で広葉樹チップと共にプラスチックケージに閉じ込め、与えられた基本食餌(Oriental NMF;Oriental Yeast Co.,Tokyo.Japan)及び水を任意で用いることができるようにした。血清試料をマウスから収得した。続いて、各マウスからの100μLの血清を既知の量の抗Id1マウスモノクローナル抗体(BD Pharmingen、San Diego、CA)でコーティングされた微細適正プレート上のウェルに添加した。続いて、溶液を30秒間徹底的に混合し、4゜Cで16時間の間培養した。16時間後、プレートの内容物を廃棄物容器に出して空にし、培養混合物を除去した。微細適正プレートを蒸留水で5回洗浄し、吸収紙に満遍なく貼り付け、残留水滴を全部除去した。100μLのE47HRPコンジュゲート試薬(1:25又は1:50)を各ウェルに分配し、30秒間徹底的に混合した。続いて、プレートを室温で2時間の間培養した後、培養を投棄し、微細適正プレートを蒸留水で5回洗浄した後、吸収紙に満遍なく貼り付け、残留水滴を全部除去した。続いて、100μLのTMB試薬を各ウェルに分配し、5秒間軽く混合した。続いて、微細適正プレートを暗室中、室温で20分間培養した。20分後、各ウェルに100μLのStop溶液を添加し反応を中断した。溶液を30秒間軽く混合し、15分以内に吸光度を450nmで検督した。
【0249】
血清試料が収得された後、マウスを犠牲にして腫瘍に対して分析した。図27に示された通り、受信者操作特性(Receiving Operation Characterist、ROC)曲線による評価を用いて算出された有腫瘍及び無腫瘍動物間に線を引いて分けた。42個の濃度値のROC評価は、ただ1つの偽陽性及び1つの偽陰性を予測した。
【0250】
本発明におけるId検出検査の強力な診断有用性は、乳癌があるか、又はないヒト女性患者の集団で乳癌スクリーニング資格に対して前述した手段及び方法適用によりさらに立証した。15個の血清試料を正常健康又は進展した乳癌がある女性から収得した(BioCheck、Inc.,FosterCity、CA)。盲検分析で、既知の量の抗Id1マウスモノクローナル抗体(BD Pharmingen、San Diego、Ca)でコーティングされた微細適正プレート上のウェルに15個の100μL試料を入れた。溶液を30秒間徹底的に混合し、4゜Cで16時間の間培養した。16時間後、プレートの内容物を廃棄物容器に出して空にし、培養混合物を除去した。微細適正プレートを蒸留水で5回洗浄し、吸収紙に満遍なく貼り付け、残留水滴を全部除去した。100μLのE47HRPコンジュゲート試薬(1:25又は1:50)を各ウェルに分配し、30秒間徹底的に混合した。続いて、プレートを室温で2時間の間培養後、培養を空にし、プレートを蒸留水で5回洗浄した後、吸収紙を満遍なく貼り付け、残留水滴を全部除去した。続いて、100μLのTMB試薬を各ウェルに分配し、5秒間軽く混合した。続いて、プレートを暗室で室温で20分間培養した。20分後、200μLのStop溶液を各ウェルに添加し反応を中断した。溶液を30秒間軽く混合させて、吸光度を15分以内に450nmで検督した。図28に示された通り、癌陽性及び正常試料の間の区分に対して、これらの試験結果のこれまでにない高い正確度があった。
【0251】
本発明のさらに詳細で再帰性の統合された診断治療方法で、患者は任意の数の他の特異的癌マーカー(例えば、高い前立腺癌危険をスクリーニングする前立腺特異的抗原(PSA)使用)を用いて主に又は相補的にスクリーニングできる。組織病理学的及び/又は免疫組織化学分析と任意でカップリングされた生検は、一次的又は統合された診断を追加で整備することができる。特定の患者では、本願に記載された通り転移性危険などに巣をおいて追加で(例えば、識別された腫瘍試料(又は他の試料、例えば小便、唾液又はCNS流体中のそのマーカー)、腫瘍、血液、骨髄中のEPC又は癌幹細胞におけるId1測定により)診断評価を整備することができる。
【0252】
本発明の再帰的診断治療方法を説明するために、臓器に限定された癌を有した対象が、前立腺癌に限定された臓器で維持される日常的な後続措置を伴い長期的な予防的投薬方法(例えば、数ヶ月、5〜9ヶ月、1〜2年、2年以上長期間の毎日)で投与される抗Id化合物を使用する治療に選択され得る。この投薬方法は伝統的手術及び化学療法癌治療が伴う不要な外傷及び生活の質、費用の問題を避けながら癌の転移を長期間抑制できるようにする。この新たな治療計画とともに、これらの試験結果を基に明らかにされる特に高いId1及び/又はId3に対しIdの濃度試験のために患者で規則的血液検査が上記で記載された通り遂行される。連続的治療ステップに比べて初期から減少したり、停滞したり、又は高いId発現が多くの場合投与、又は治療レパートリーにおける変化(より多いか、又はより少ない治療薬又は治療法への転換、又は、一般的に疾患の危険、現在及び予想される治療有効性、及び否定的な患者の影響のバランスを取る強力な/攻撃性媒介超過又は未満への転換を含む)に直接対応するようにする。
【0253】
減少するか、又は安定したId濃度は、将来の治療及び/又は予後指標として依存することができ、成功的な抗Id治療として治療を維持するか、又は猶予するための決定手段までとなり得る。治療履歴の間のIdの更なる上昇は、本発明の方法又は組成物を用いた抗Id投与を増加し/するか二次抗癌又は抗転移薬を用いる組み合わせ療法又は代案的な治療法(例えば、化学療法及び/又は放射線)の開始に対する決定を表示することができる。本発明のこの管理パラダイムと組み合わせて、本発明の追加の方法は、協調的管理治療方法、例えば、血液癌マーカーに対する後続試験、転移性疾患振戦に対する監視を続けるための放射線学的及び/又は組織病理学的スクリーニングなどを用いて患者診断及び管理のためのその他の従来の方法を使用して、本願に記載された抗Id化合物及び組み合わせ療法を用いて単一療法を整備及び管理することができる。
【0254】
前述した協調的診断及び管理プロトコルは、改変され、前立腺癌患者を治療するために、抗Id方法及び組成物並びに二次的な抗テストステロン薬又は療法の両方と協調して用いられることができる。あるいは、前立腺特異的放射線を抗Id治療の以前に、同時に又は後に用いることができる。
【0255】
前述した協調的診断及び管理プロトコルは、乳癌治療又は既存の乳癌の転移性進行の予防のために変更して用いられることができる。患者は、ヒト女性での通常のマンモグラフィーによって乳房の腫瘍について陽性であると識別され、リンパ節に癌がない場合に腫瘍切除が続く。癌は、局在して表れたため、対象に化学療法に関して非常に悪化される生活の質、及び化学療法による人生後半の新生物発生可能性(Vega−Stromberg、2003年)を含む不要な外傷を避けるために癌転移を慢性的に抑制するために抗Id化合物を投与した。高いId、特に高いId1及び/又はId3を示した患者における血液検査は抗Id化合物を用いた治療を決定する根拠になるはずなのに、これはこの症状が転移に対する身体陽性環境を示唆するためである。関連した例示の実施形態において、この方法の管理で患者に抗Id治療前に、同時に又は以後に抗Id化合物と同等に化学療法、及び/又は乳房特異的放射線で処理することができる。
【0256】
また、本発明の協調的診断及び管理プロトコルは、結腸癌治療又は既存の結腸癌の進行予防に用いられることができる。治療対象に適した腫瘍を表す従来の結腸頃検査により患者を選択し、手術(及び/又は組織病理学的試験)後、結腸癌が非転移性で残っているものと考えられる対象を追加で選択した。これらの対象には、従来の化学療法に関する生活の質の低下を含む不要な外傷を避けるために癌転移を慢性的に抑制するために抗Id化合物を投与した。高いId、特に高いId1及び/又はId3を示した患者における血液検査は、抗Id化合物を用いた治療に対する決定をサポートし、これはこの測定が転移に対する身体内陽性環境を示唆するためである。関連した実施形態では、この方法の管理中である患者に抗Id治療の以前に、同時に又は以後に抗Id化合物と協調的に化学療法、及び/又は胃腸(Gl)特異的放射線を処理することができる。
【0257】
その他の協調的診断及び管理プロトコルが黒色腫の治療に用いられる。対象は原位置における黒色腫と診断された(腫瘍が皮膚の最外層である表皮に残る)。黒色腫は手術で摘出し、その後、化学療法又はその他の従来の癌治療に関する不要な外傷及び生活の質の低下を避けるために癌転移の抑制のために対象に抗Id化合物を長期間投与した。高いId、特に高いId1及び/又はId3を示す患者における血液検査は、この発見事実が転移に対する身体内陽性環境に関するために、抗Id化合物を用いた治療決定をサポートする。
【0258】
別の例示の協調的診断及び管理プロトコルで、第III期(転移性)、乳癌を有した女性を選択した。従って、特定された対象は、高容量の放射線及び複数回投与のTaxol(登録商標)(パクリタキセル)を使用する積極的な組み合わせ治療計画を用いて治療した。この一次的治療後、組織病理及び/又はバイオスキャン(例えば、コンピュータ断層撮影、陽電子放射断層撮影及び/又は磁気共鳴映像)を用いて患者に検出可能に存在する癌がないことを確認した。続いて、これらの対象には長期的な期間(例えば、5〜9ヶ月、1〜2年又はそれ以上)の間、離れた臓器(例えば、脳又は肝臓)への任意の残留癌細胞の再播種を遮断するために予防的治療計画でId1を投与した。この管理期間に患者血中Idの測定を定期的に行った。数ヶ月〜1年以上の別の管理期間後、Id血液濃度は増加したと観察され得、これは転移潜在力の増加を示す。続いて、抗Id化合物を用いた治療は投与又は周期において増加(又は再開)させる。以後Id血液濃度が許容可能な(基準線又は低危険)転移潜在力と一致する値に減少すると、抗Id処理を減少する。この監視及び再帰的媒介サイクルは、該当女性の一生を通じて維持される。
【0259】
実施例23
N−(3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(2−メトキシペニル)プロピル)−N−ベンジルプロピオンアミド鏡像異性体の分離
AGX51の個別(+)−及び(−)−鏡像異性体は、キラルカラムがある分取HPLCを用いてラセミ(非キラル)AGX51組成物から得られる。キラル固定相上の分離は許容可能な純度の鏡像異性体を取得するのに有効なものと判明された。
【0260】
本願では「鏡像異性体の分離方法A」及び「方法B」と称する2種類の異なるHPLCシステムを設計して実施した。両方法とも、生物試験のために高mg又は低グラム量のAGX51鏡像異性体を提供するために設計及び調整された。両方法とも溶出溶媒として有機性アルコールと共に超臨界CO2を使用する。しかし、その方法は、異なるカラムを用いる:方法Aは、パークルコンセプト(Pirkle−concept)と正常[1−(3,5−ジニトロベンズアミド)−1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレン]を用い、方法Bは、多糖類固定相(3,5−ジメチルフェニルカルバメートを用いて誘導された遊離されたヒドロキシル基があるセルロース)を用いた。
【0261】
二つの方法が、下記表4及び5でさらに詳細に記載され、比較される。
【表4】
【0262】
二つの方法の両方で、分取後生成物単離は、おおよそ40゜Cの水槽温度における減圧の下、回転蒸発器を用いて提供される。収得したゴムをそのまま使用したり、又は単離後鏡像異性体ゴムをメタノール−ヘキサン又は酢酸エチル−ヘキサンからの生成物の一部の喪失と共に結晶化することができる。類似のHPLC条件を用いて分析用HPLCにより明らかにされる単離された鏡像異性体純度が鏡像異性体製造に用いられた。
【0263】
【表5】
【0264】
方法A又は方法Bにより製造される鏡像異性体は、同一のLC/MS(電気噴霧イオン化)プロファイル、即ち、MH+=432、及び400MHz陽性子NMR分光学、即ち、4.18ppm(ベンジル水素)で1水素三重項、6.6〜7.4ppm芳香族領域で12個の水素信号、0.96ppm(プロピオニルメチル)で3個の水素三重項中心、3.73(メトキシ基)で3個の水素多重項を中心とする、5.9ppm(1,3ジオキソールモイアティ中のメチレン)で2個の水素微分する多重項を中心とする、4.50ppm(窒素に付着したベンジルメチレン)で2個の水素多重項を中心とする、3.07ppm(窒素に付着した第2メチレン)で2個の水素多重項を中心とする、多重頂点相応する4個までの水素に該当する多重頂点(不斉炭素に隣接したメチレン及びプロピオニルモイアティ中のカルボニルに隣接したメチレン)を表す。
【0265】
方法A又は方法Bの2種類で作られた鏡像異性体は、偏光計で評価し、各鏡像異性体に対する旋光性を確立した。ペアをなす他の鏡像異性体で回転観察されるものとは反対方向に偏光回転する鏡像異性体対の中における個別鏡像異性体の能力は、鏡像異性体を明らかに区分して定量するようにする別個の特徴づけとして普遍的に許容される。本願から反復的及び一貫的に行われた偏光計評価は、異色型偏光子があるJasco P−2000を用いた。各鏡像異性体の濃度は、メタノール中のおおよそ1%であり、光源はタングステン−ハロゲンランプであり、放出光の波長は589nmであった。20゜Cで上記の条件下の鏡像異性体は、+28度又は28度の偏光で回転した。
【0266】
方法A及び方法Bによるラセミ(非キラル)AGX51の分析のためのHPLCプロファイルが、それぞれ図29及び30に提供された。これらのクロマトグラム中の頂点は、個々の頂点が偏光特定から(+)又は(−)方向に偏光を回転させたのか否かについて表示された。興味深いことに、鏡像異性体に対する溶出順序が方法A及び方法Bで異なる。方法Aでは、第1溶出頂点が(+)−鏡像異性体であり、方法Bでは第1溶出頂点が(−)−鏡像異性体である。
【0267】
実施例24
AGX51の生体変化産物
本発明の更なる実施例は、例示の生体内抗Id化合物AGX51の変化生成物の説明を通じて本願に示される。CD1雄性マウス(3/時点)にipでDMSO中の30mg/kgのAGX51を処理した。後眼窩の穿孔により投与前及び投与後0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0&24時間目にへパリン添加されたチューブの中に血液を収集した。100μLのpH7.4PBSを遠心分離により血液から収穫血漿に添加して、投与前を除いた全ての時点から試料を組み合せた。混合物を1mLのメチルt−ブチルエーテル(MTBE)と共に1分間ボルテックスさせ、MTBEを乾燥N2(g)との遠心分離後、除去した。MTBEの除去後、残っている残渣を200μLのCAN中に再建した。5μLの前記溶液を電気噴霧LC−MSセットとカップリングされた2.0x250mmC18カラムを用いてLC/MSで分析しHPLC流出物中のm/z100−600を監視した。流速は200μL/分のACN(85)/H20+0.1%ギ酸だった。
【0268】
質量スペクトルデータは共通の生体内変化経路、例えば脱アルキル化、ヒドロキシル化、などを反映するMH+イオンに対して慎重にスクリーニングした。脱メチル化、MH+=m/z418(M1)、脱プロピオニル化、MH+=m/z376(M2)及び脱メチル化+脱プロピオニル化、MH+=m/z348(M3)に該当するイオンを見つけ、以下で提示された通り3種類の構造M1、M2及びM3が同定された。
【化7】
【化8】
【化9】
【0269】
本明細書に引用された全ての公報及び特許及びそれに列挙された全ての公報及び特許は、本願で公報が引用される関連性によって方法及び/又は物質を開示及び説明する任意の目的において説明を減らすため、参考文献として含まれる。本願における任意の公報の引用は、本発明が先行技術発明により、この公報より先立つ時期に権利を与えられた承認として解釈されてはならない。なお、与えられた刊行日は実際の刊行日と異なる場合があり、実際の刊行日は、個別に確認される必要があるかもしれない。
【0270】
参考文献
Al-Mefty, O, Kersh, JE, Routh, A, Smith, RR. The long-term side effects of radiation therapy for benign brain tumors in adults. Journal of Neurosurgery 1990年; 73: 502-512.

Alani, R.M., A.Z. Young, and C.B. Shifflett, Id1 regulation of cellular senescence through transcriptional repression of p16/lnk4a. Proc Natl Acad Sci U S A, 2001.98(14):7812-6.

Alani. R.M., Hasskarl J., Grace M., Hernandez M.C., Israel M.A., Munger K. Immortalization of primary human keratinocytes by the helix-loop-helix protein, Id1. Proc Natl Acad Sci U S A, 1999年; 96: 9637-41.

Ambati, J他, Age-related macular degeneration: etiology, pathogenesis, and therapeutic strategies. Surv Ophthalmol, 2003年; 48: 257-93.

Anido J, Saez-Borderias A, Gonzalez-Junca A, Rodon L, Folch G. Carmona MA, Pricto-Sanchez RM, Barba I, Martinez-Saez E, Prudkin E他. TGF-bcta Receptor Inhibitors Target the CD44(high)/Id1(high) Glioma-Initiating Cell Population in Human Glioblastoma. Cancer Cell 2010; 18: 655-668.

Ball and Finlay, Methods Mol Biol 1998; 104: 127-32.

Ballanti E, Perricone C, di Muzio G, Kroegler B, Chimenti MS, Graccffa D, Perricone R. Role of the complement system in rheumatoid arthritis and psoriatic arthritis: relationship with anti-TNE inhibitors. Autoimmun Rev.2011年; 10: 617-23.

Barone M.V., Pepperkok R., Pcverali F.A., Philipson L., Id proteins control growth induction in mammalian cells. Proc Natl Acad Sci U S A, 1994年; 91: 4985-8.

Barrett LE, Granot Z, Coker C, lavarone A, Hambardzumyan D, Holland EC, Nam HS. Benezra R. Self-renewal does not predict tumor growth potential in mouse models of high-grade glioma. Cancer Cell 2012年; 21: 11-24.33.

Beerepoot V, Radema SA, Witteveen EO, Thomas T, Wheeler C, Kempin S, Voest EE. Phase I clinical evaluation of weekly administration of the novel vascular-targeting agent, ZD6I26, in patients with solid tumors, J Clin Oncol 2006年; 24: 1491-1498.

Berger C, Pierce I.N, Kruger M, Marcusson EG, Robbins JM, Welcsh P, Welch PJ, Welte K, King MC, Barber JR, Wong-Staal F., Identification of Id4 as a regulator of BRCA1 expression by using a ribozyme-library-based inverse genomics approach. Proc Natl Acad Sci U S A 2001年; 98: 130-5.

Belletti B, Drakas R, Morrione A, Tu X, Prisco M, Yuan T, Casaburi I, Baserga R, Regulation of Id1 protein expression in mouse embryo fibroblasts by the type I insulin-like growth factor receptor. Exp Cell Res 2002年; 277: 107-118.

Belmokhtar K, Bourguignon T, Worou ME, Khamis G, Bonnet P, Domenech J, Eder V. Regeneration of three layers vascular wall by using BMP2-treated MSC involving HlF-lα and Id1 expressions through JAK/STAT pathways. Stem Cell Rev. 2011年; 7: 847-59.

Benezra R, Rafii S, Lyden D. The Id proteins and angiogenesis. Oncogene 2001年; 20: 8334-41.

Benezra R. Role of Id proteins in embryonic and tumor angiogenesis. Trends Cardiovasc Med 2001年; 11:237-41.

Benezra, R.他, The protein Id: a negative regulator of helix-loop-helix DNA binding proteins. Cell, 1990年. 61(1):49-59.

Berge SM, Bighley LD, Monkhouse DC. Pharmaceutical salts. J Pharm Sci. 1977年; 66: 1-19.

Bhattacharya R, Kowalski J, Larson AR, Brock M, Alani RM. Id1 promotes tumor cell migration in nonsmall cell lung cancers. J Oncol. 2010年; 2010: 856105.

Biggs, J.R., Y. Zhang, and E.V. Murphy, Repression of the Id2 (inhibitor of differentiation) gene promoter during exit from the cell cycle. J Cell Physiol 1995年; 164: 249-58.

Birkenkamp KU, Essafi A, van der Vos KE, da Costa M, Hui RC, Holstege F. koenderman L. Lam EW, Coffer PJ. FOX03a induces differentiation of Bcr-Abl-transformed cells through transcriptional down-regulation of Id1. J Biol Chem 2007年; 26; 282: 2211-20.

Bocttner B & Van Aelst L. Control of cell adhesion dynamics by Rapl signaling. Curr. Opin. Cell Biol. 2009年; 21: 684-693.

Bonanomi MT, Lavezzo MM. Sickle cell retinopathy: diagnosis and treatment. Arq Bras Oftalmol.2013年; 76: 320-7.

Bounpheng MA, Dimas JJ. Dodds SG, Christy BA. Degradation of Id proteins by the ubiquitin-proteasome pathway. FASEB J 1999年; 13: 2257-64.

Brabletz T, Jung A, Reu S, Porzner M, Hlubek F, Kunz-Schughart LA, Knuechel R, Kirchner T. Variable beta-catenin expression in colorectal cancers indicates tumor progression driven by the tumor environment. Proc Natl Acad Sci USA 2001年; 98: 10356- 10361.

Brabletz T. To differentiate or not-routes towards metastasis. Nature Reviews Cancer 2012年; 12: 425-436.

Brown DM, Michels M, Kaiser PK他 ANCHOR Study Group. Ranibizumab versus verteporfin photodynamic therapy for neovascular age-related macular degeneration: Two year results of the ANCHOR study. Ophthalmology 2009年; 116:57-65

Campoehiaro PA, Hackett SF. Ocular neovascularization: a valuable model system. Oncogene 2003年; 22: 6537-48.

Buschini E, Piras A, Nuzzi R, Vercelli A. Age related macular degeneration and drusen: Neuroinflammation in the retina. Prog Neurobiol.2011年; 95: 14-25.

Calabrese C.他 A perivascular niche for brain tumor stem cells. Cancer Cell 2007年: 11 :69-82.

Campochiaro PA, Hackett SF. Ocular neovascularization: a valuable model system. Oncogene 2003年; 22:6537-48.

CATT Research Group. Martin DF, Maguire MG, Ying GS, Grunwald JE, Fine SL, Jafle GJ. Ranibizumab and bevacizumab for neovascular age-related macular degeneration. N Engl J Med. 2011年; 364: 1897-908.

Chaffer C L, Weinberg RA. A perspective on cancer cell metastasis. Science 2011年; 331: 1559-1564.

Chen S, Lewallen M & Xie T. Adhesion in the stem cell niche: biological roles and regulation. Development 2013年; 140:255-265.

Chen X, Zankl A, Niroomand F, Liu Z, katus HA, Jahn L. Tiefenbachcr C.J. Uprcgulation of ID protein by growth and differentiation factor 5 (GDF5) through a smad-dependenl and MAPK-independent pathway in HUVSMC. Mol Cell Cardiol. 2006年; 41: 26-33.

Chen Y, Bedell M, Zhang K, Age-related Macular Degeneration: Genetic and Environmental Factors of Disease. Mol Interv 2010年; 10:271-281.

Cheung H.W., Ling M.T., Tsao S.W., Wong Y.C., Wang X. Id1-induced Raf/MEK pathway activation is essential for its protective role against taxol-induced apoptosis in nasopharyngeal carcinoma cells. Carcinogenesis 2004年; 25: 881-7.

Chiang AC, Massague J. Molecular basis of metastasis. N Engl J Med. 2008年; 359: 2814-23.

Ciarrocchi A, Jankovic V, Shaked Y, Nolan DJ, Mittal V, Kerbel RS, Nimer SD, Benezra R. Id1 restrains p21 expression to control endothelial progenitor cell formation. PLoS ONE. 2007年; 2(12): el338.

Ciarrocchi A, Piana S, Valcavi R, Gardini G, Casali B. Inhibitor of DNA binding-1 induces mesenchymal features and promotes invasiveness in thyroid tumour cells. Eur J Cancer.2010年12月9日

Ciarrocchi A, Piana S, Valcavi R, Gardini G. Casali B. Inhibitor of DNA binding-1 induces mesenchymal features and promotes invasiveness in thyroid tumour cells. Eur J Cancer. 2011年; 47: 934-45.

Cook HL, Patel PJ, Tufail A. Age-related macular degeneration: diagnosis and management. Br Med Bull.2008年; 85: 127-49.

Coppe JP, Itahana Y, Moore DH, Bennington JL, Desprez PY. Id1 and Id-2 proteins as molecular markers for human prostate cancer progression. Clin Cancer Res.2004年; 10; 2044-51.

Coppe, J.P., A.P. Smith, and P.Y. Desprez, Id proteins in epithelial cells. Exp Cell Res 2003年; 285; 131-45.

Cummings SD, Ryu B, Samuels MA. Yu X, Meeker AK , Healey MA. Alani RM. Id1 delays senescence of primary human melanocytes. Mol Carcinog. 2008年; 47(9); 653-9.

Dace DS, Khan AA, Kelly J, Apte RS. Interleukin-10 promotes pathological angiogenesis by regulating macrophage response to hypoxia during development. PLoS One. 2008年; 3:3381.

Daenen LG, Roodhart JM, Shaked Y. Voest EE. Vascular disrupting agents (VDAs) in anticancer therapy. Curr Clin Pharmacol. 2010年; 5; 178-85.

Darby S, Cross SS. Brown NJ, Hamdy FC, Robson CN. BMP-6 over-expression in prostate cancer is associated with increased Id-1 protein and a more invasive phenotype. J Pathol 2008年; 214: 394-404.

de Candia P, Solit DB, Giri D, Brogi E, Siegel PM, Olshen AB. Muller WJ, Rosen N. Benczra R. Angiogenesis impairment in Id-deficient mice cooperates with an Hsp90 inhibitor to completely suppress HER2/neu-dependent breast tumors. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003年; 100(21): 12337-42

de Candia, P., R. Benera, and D.B. Solit, A role for Id proteins in mammary gland physiology and tumorigenesis. Adv Cancer Res, 2004年 92:81-94.

Deed RW, Jasiok M, Norton JD, Nucleotide sequence of the cDNA encoding human helix-loop-helix Id-1 protein: identification of functionally conserved residues common to Id proteins. Biochim Biophys Acta 1994; 1219:160-162.

Deed, R.W., Hirose T, Mitchell EL, Santibanez-Koref MF, Norton JD., Structural organization and chromosomal mapping of the human Id-3 gene. Gene 1994年: 151: 309-14.

Deed, R.W., M. Jasiok, and J.D. Norton, Nucleotide sequence of the cDNA encoding human helix-loop-helix Id1 protein: identification of functionally conserved residues common to Id proteins. Biochim Biophys Acta 1994年; 1219: 160-2.

Del Vecchio M, Bajetta E, Canova S, Lotze MT, Wesa A, Parmiani G. Anichini A. Interleukin-12: biological properties and clinical application. Clin Cancer Res. 2007年; 13: 4677-85.

Desprez PY, Sumida T, Coppe JP. Helix-loop-helix proteins in mammary gland development and breast cancer. J Mammary Gland Biol Neoplasia 2003年; 8: 225-39.

Diaz-Flores L Jr他 Adult stem and transit-amplifying cell location. Histol. Histopathol. 2006年; 21: 995-1027.

Ding R, Han S, Lu Y, Guo C, Xie H, Zhang N, Song Z, Cai L, Liu J, Dou K. Overexpressed Id1 is associated with patient prognosis and HBx expression in hepatitis B virus-related hepatocellular carcinoma. Cancer Biol Ther. 2010年; 10: 299-307.

Drake, JM, Strohbehn, G, Bair, TB, Moreland, J G, Henry, MD. ZEB1 enhances transendothelial migration and represses the epithelial phenotype of prostate cancer cells. Molecular Biology of the Cell 2009年; 20: 2207-2217.

Eichler W, Yafai Y, Wiedemann P, Fengler D. Antineovascular agents in the treatment of eye diseases. Curr Pharm Des 2006年; 12:2645-60.

Elagouz M, Jyothi S, Gupta B, Sivaprasad S. Sickle cell disease and the eye: old and new concepts. Surv Ophthalmol. 2010年: 55: 359-77.

Espinosa-Heidmann, DG他 Macrophage depletion diminishes lesion size and severity in experimental choroidal neovascularization. Invest Ophthalmol Vis Sci, 2003年; 44: 3586-92.

Farace F, Massard C, Borghi E, 1日2回art JM, Soria JC, Vascular disrupting therapy-induced mobilization of circulating endothelial progenitor cells, Ann Oncol 2007年; 18: 1421-1422.

Fietz SA & Huttner WB. Cortical progenitor expansion, self-renewal and neurogenesis a polarized perspective. Curr. Opin. Neurobiol. 2011年; 21: 23-35.

Fong S, Debs RJ, Desprez PY. Id genes and proteins as promising targets in cancer therapy. Trends Mol Med. 2004年; 10(8): 387-92.

Fong, S, Itahana, Y, Sumida, T, Singh, J, Coppe. JP, Liu, Y, Richards, PC. Bennington. JL., Lee, NM, Debs, RJ, Desprez, PY. Id-1 as a molecular target in therapy for breast cancer cell invasion and metastasis. Proc Natl Acad Sci USA 2003年; 100:13543-13548.

Fong, S., R.J. Debs, and P.Y. Desprez, Id genes and proteins as promising targets in cancer therapy. Trends Mol Med, 2004年; 10: 387-92.

Forootan SS, Wong YC, Dodson A, Wang X, Lin K, Smith PH, Foster CS, Ke Y. Increased Id-1 expression is significantly associated with poor survival of patients with prostate cancer. Hum Pathol 2007年; 38: 1321-9.

Forrester. JV. Macrophages eyed in macular degeneration. Nat Med, 2003年; 9: 1350.

Furstenberger R, von Moos R, Lucas R, Thurlimann B, Senn HJ, Hamacher J, Bonebert EM. Circulating endothelial cells and angiogenic serum factors during neoadjuvant chemotherapy or primary breast cancer. Br J Cancer 2006年; 94: 524-531.

Gal, A, Sjoblom, T, Fedorova, L, Imreh, S, Beug, H, and Moustakas, A. Sustained TGF beta exposure suppresses Smad and non-Smad signalling in mammary epithelial cells, leading to EMT and inhibition of growth arrest and apoptosis. Oncogene 2008年; 27: 1218-1230.

Gao D, Nolan D, McDonnell K, Vahdat L, Benezra R, Altorki N, Mittal V. Bone marrow-derived endothelial progenitor cells contribute to the angiogenic switch in tumor growth and metastatic progression. Biochim Biophys Acta 2009年; 1796: 33-40.

Gao D, Nolan DJ, Mellick AS. Bambino K, McDonnell K. Mittal V. Endothelial progenitor cells control the angiogenic switch in mouse lung metastasis. Science. 2008年; 319: 195-8.

Garland W, Benezra R, Chaudhary J, Targeting Protein-Protein Interactions to Treat Cancer: Recent progress and Future Directions, Annual Reports Medicinal Chemistry 2013年 (Manoj Desai, Editor), Chapter 15, 227-245.

Garland, W.; Salvador, R.: Chaudhary, J. American Association Cancer Research Meeting, Washington, DC, 2013年; Abstract 758/20.

Gautschi O, Tepper CG, Purnell PR, Izumiya Y, Evans CP, Green TP, Desprcz PY, Lara PN, Gandara DR, Mack PC, Kung HJ Regulation of Id1 expression by SRC: implications for targeting of the bone morphogenetic protein pathway in cancer. Cancer Res. 2008年; 68: 2250-8.

Gho JW, Ip WK, Chan KY, Law PT, Lai PB, Wong N. Re-expression of transcription factor ATF5 in hepatocellular carcinoma induces G2-M arrest. Cancer Res. 2008年; 68: 6743-51.

Gold, B他, Variation in factor B (BF) and complement component 2 (C2) genes is associated with age-related macular degeneration. Nat Genet, 2006年; 38: 458-62.

Greenberg, DA, Jin K. From angiogenesis to neuropathology. Nature, 2005年; 438: 954-9.

Grossniklaus. HE他, Macrophage and retinal pigment epithelium expression of angiogenic cytokines in choroidal neovascularization. Mol Vis. 2002年; 8: 119-26.

Gupta GP, Massague J. Cancer metastasis: building a framework. Cell 2006年; 127: 679-695.

Gupta GP, Perk J, Acharyya S, de Candia P, Mittal V, Todorova-Manova K. Gerald W L, Brog, E, Benezra R, Massaguc J. ID genes mediate tumor reinitiation during breast cancer lung metastasis. Proc Natl Acad Sci USA 2007年; 104: 19506-19511.

Hageman, GS他, A common haplotype in the complement regulatory gene factor H(HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A, 2005年; 102: 7227-32.

Han S, Gou C, Hong L, Liu J, ZheyiHan, Liu C, Wang J, Wu K, Ding J, Fan D. Expression and significances of Id1 helix-loop-helix protein overexpression in gastric cancer. Cancer Lett. 2004年; 216: 63-71.

Hara, E., Yamaguchi T., Nojima H., Ide T., Campisi J., Okayama H., Oda K.., Id-related genes encoding helix-loop-helix proteins are required for Gl progression and are repressed in senescent human fibroblasts. J Biol Chem 1994年; 269: 2139-45.

Hasani A, Leighl N. Classification and Toxicities of Vascular Disrupting Agents. Clin Lung Cancer. 2011年; 12: 18-25.

Hawkins WR. Venous occlusive disease review. Retina. 2007年; 27: 514-517.

Head M, Jameson MB. The development of the tumor vascular-disrupting agent ASA404 (vadimezan, DMXAA): current status and future opportunities. Expert Opin Investig Drugs. 2010年2月; 19(2):295-304.

Henke E, Perk J, Vider J, de Candia P, Chin Y, Solit DB, Ponomarev V, Cartegni L, Manova K. Rosen N, Benezra R. Peptidc-conjugated antisense oligonucleotides for targeted inhibilion of a transcriptional regulator in vivo. Nat Biotechnol. 2008年; 26(1): 91-100.

Hinnen P and Eskens FALM, Vascular disrupting agents in clinical development, British Journsl of Cancer 2007年; 96: 1159-1165.

Hoeijmakers JH. DNA damage, aging, and cancer. N Engl J Med. 2009年: 361: 1475-85.

Horoszewicz, J.S.他, The LNCaP cell line--a new model for studies on human prostatic carcinoma. Prog C in Biol Res, 1980年. 37: 115-32.

Hua H他 BMP4 regulates pancreatic progenitor cell expansion through Id2. J. Biol. Chcm. 2006年; 281: 13574-13580.

Iavarone, A., lavarone A, Garg P, Lasorella A, Hsu J, Israel MA., The helix-loop-helix protein Id-2 enhances cell proliferation and binds to the retinoblastoma protein. Genes Dev 1994年; 8: 1270-84.

Inoue, T., W. Shoji, and M. Obinata, MIDA1 is a sequence specific DNA binding protein with novel DNA binding properties. Genes Cells 2000年; 5: 699-709.

Inoue, T., W. Shoji, and M. Obinata, MIDA1, an Id-associating protein, has two distinct DNA binding activities that are converted by the association with Id1 : a novel function of Id protein. Biochcm Biophys Res Commun 1999年; 266: 147-51.

Islam MR, Mahdi JG, Bowen ID. Pharmacological importance of stereochemical resolution of enantiomeric drugs. Drug Saf. 1997年; 17: 149-65.

Israel, M.A., Israel MA, Hernandez MC, Florio M, Andres-Barquin PJ, Mantani A, Carter JH, Julin CM.., Id gene expression as a key mediator of tumor cell biology. Cancer Res, 1999年; 59 (7 Suppl): 1726s- 1730s.

Itahana Y, Sumida T. Singh J, Coppe JP, Liu Y, Richards PC, Bennington JL, Lee NM, Debs RJ, Desprez PY. Id1 as a molecular target in therapy for breast cancer cell invasion and metastasis. Proc Natl Acad Sci U S A 2003年: 100: 13543-8.

Iwatsuki M, Fukagawa T, Mimori , Nakanishi H, Ito S, lshii H, Yokobori T, Sasako M. Baba H, Mori M. Bone marrow and peripheral blood expression of Id1 in human gastric carcinoma patients is a bona fide indicator of lymph node and peritoneal metastasis. Br J Cancer. 2009年;100:1937-42.

Jager MJ, Klaver CC. Macrophages feel their age in macular degeneration. J Clin Invest. 2007年; 117: 3182-4.

Jager RD, Mieler WF, Miller JW. Age-related macular degeneration. N Engl J Med.2008年: 358: 2606-17.

James D他 Expansion and maintenance of human embryonic stem cell-derived endothelial cells by TGFβ inhibition is Id1 dependent. Nature Biotech. 2010年; 28: 161-166.

Jang TJ, Jung KH, Choi EA. Id-1 gene downregulation by sulindac sulfide and its upregulation during tumor development in gastric cancer, lnt J Cancer. 2006年: 118(6): 1356-63.

Jankovic V. Ciarrocchi A. Boccuni P, DeBlasio T, Benezra R, Nimer SD. Id1 restrains myeloid commitment, maintaining the self-renewal capacity of hematopoietic stem cells. Proc Natl Acad Sci USA 2007年; 104: 1260-1265.

Jen, Y., K. Manova. and R. Benezra, Expression patterns of Id1, Id2, and Id3 are highly related but distinct from that of Id4 during mouse embryogenesis. Dev Dyn 1996年; 207: 235-52.

Jeon HM他 ID4 imparts chemoresistance and cancer sternness to glioma cells by derepressing miR 9*-mediated suppression of SOX2. Cancer Res. 2011年: 71: 3410-3421.

Jeon, HM.他. Inhibitor of differentiation 4 drives brain tumor-initiating cell genesis through cyclin E and notch signaling. Genes Dev. 2008年; 22: 2028-2033.

Jorda M, Vinyals A, Marazuela A, Cubillo E, Olmeda D, Valero E, Cano A, Fabra A. Id-1 is induced in MDCK epithelial cells by activated Erk/MAPK pathway in response to expression of the Snail and E47 transcription factors. Exp Cell Res 2007年; 313: 2389-403.

Kamalian L, Gosney JR, Forootan SS, Foster CS, Bao ZZ, Beesley C, Ke Y. Increased expression of Id family proteins in small cell lung cancer and its prognostic significance. Clin Cancer Res 2008年 15; 14: 2318-25.

Kang, Y, Siegel PM, Shu W, Drobnjak M, Kakonen SM, Cordon-Card, C, Guise TA, Massague JA. multigenic program mediating breast cancer metastasis to bone. Cancer Cell 2003年b; 3: 537-549.

Karp CL, Galor A, Lee Y, Yoo SH. Pegylated interferon alpha 2b for treatment of ocular surface squamous neoplasia: a pilot study. Ocul Immunol Inflamm. 2010年; 18: 254-60.

Kebebew E, Peng M, Treseler PA, Clark OH, Duh QY, Ginzinger D, Miner R. Id1 gene expression is up-regulated in hyperplastic and neoplastic thyroid tissue and regulates growth and differentiation in thyroid cancer cells. J Clin Endocrinol Metab 2004年; 89: 6105-11.

Kee BL, E and Id proteins branch out. Nature Reviews Immunology 2009年; 9: 175-184.

Kelly J, Ali Khan A, Yin J, Ferguson TA, Apte RS. Senescence regulates macrophage activation and angiogenic fate at sites of tissue injury in mice J Clin Invest. 2007年; 117: 3421-6.

Kim H, Chung H. Kim HJ, Lee JY , Oh MY, Kim Y, Kong G . Id-1 regulates Bcl-2 and Bax expression through p53 and NF-kappaB in MCF-7 breast cancer cells. Breast Cancer Res Treat 2008年; 112: 287-96.

Kim HJ, Chung H, Yoo YG, Kim H, Lee JY, Lee MO, Kong G. Inhibitor of DNA binding 1 activates vascular endothelial growth factor through enhancing the stability and activity of hypoxia-inducible factor-1 alpha. Mol Cancer Res 2007年; 5: 321-9.

Klein, RJ.他 Complement factor H polymorphism in age-related macular degeneration. Science, 2005年; 308: 385-9.

Kleinman ME. Yamnada K, Takeda A, Chandrasekaran V, Nozaki M, Baffi JZ, Albuquerque RJ, Yamasaki S, Itaya M, Pan Y, Appukuttan B, Gibbs D, Yang Z. Kariko K, Ambati BK, Wilgus TA, DiPietro LA, Sakurai E. Zhang K, Smith JR, Taylor EW. Ambati J. Sequence-and target-independent angiogenesis suppression by siRNA via TLR3. Nature 2008年; 452: 591-7.

Klotz L. Prostate cancer overdiagnosis and overtreatment. Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes. 2013年; 20: 204-9.

Kolata G. Cancers Can Vanish Without Treatment, but How? The New York Times, 2009年10月27日

Kondo, T. and M. Raff, The Id4 HLH protein and the timing of oligodendrocyte differentiation. Embo J 2000年; 19: 1998-2007.

Korpal M, Ell BJ, Buffa FM, Ibrahim T, Blanco MA, Celia-Terrassa T, Mercatal L., Khan Z, Goodarzi H, Hua Y,他 Direct targeting of Sec23a by miR-200s influences cancer cell secretome and pronotes metastatic colonization. Nature Medicine 2011年; 17: 1101-1108.

Kreider, B.L., Benezra R., Rovera G. and Kadesch T., Inhibition of myeloid differentiation by the helix-loop-helix protein Id. Science 1992年; 255: 1700-2.

Kumari A, Sharma PK, Garg VK, Garg G. Ocular inserts - Advancement in therapy of eye diseases. J Adv Pharm Technol Res. 2010年; 1 (3): 291-6.

Labelle M, Begum S, Hynes RO. Direct signaling between platelets and cancer cells induces an epithelial-mesenchymal-like transition and promotes metastasis. Cancer Cell 2011年; 20:576-590.

Langlands K, Yin X., Anand G., Prochownik E.V., Differential interactions of Id proteins with basic-helix-loop-helix transcription factors. J Biol Chem 1997年; 272: 19785-93.

Lasorella A, Uo T, lavarone A. Id proteins at the cross-road of development and cancer. Oncogene. 2001年; 20(58): 8326-33.

Lasorella, A., Boldrini R, Dominici C, Donfrancesco A, Yokota Y, Inserra A, lavarone A, Id2 is critical for cellular proliferation and is the oncogenic effector of N-myc in human neuroblastoma. Cancer Res 2002年; 62: 301-6.

Lassar A.B., Skapek S.X., Novitch B., Regulatory mechanisms that coordinate skeletal muscle differentiation and cell cycle withdrawal. Curr Opin Cell Biol 1994年; 6:788-94.

Lathia JD他 Integrin α 6 regulates glioblastoma stem cells. Cell Stem Cell 2010年; 6:421-432.

Le Page C, Puiffe ML, Meunier L, Zietarska M, de Ladurantaye M, Tonin PN, Provencher D, Mes-Masson AM. BMP-2 signaling in ovarian cancer and its association with poor prognosis. J Ovarian Res 2009年; 14: 1-11.

Ledent, V., O. Paquet and M. Vervoort, Phylogenetic analysis of the human basic helix-loop-helix proteins. Genome Biol 2002年; 3: RESEARCH0030.

Lee JY, Kang MB, Jang SH, Qian T, Kim HJ, Kim CH, Kim Y, Kong G. Idl activates Akt-mediated Wnt signaling and p27phosphorylation through PTEN inhibition. Oncogene 2009年 28: 824-31 .

Lee TK, Poon RT, Yuen AP, Ling MT, Wang XH, Wong YC, Guan XY, Man K, Tang ZY, Fan ST. Regulation of angiogenesis by Id-1 through hypoxia-inducible factor-1 alpha-mediated vascular endothelial growth factor up-regulation in hepatocellular carcinoma. Clin Cancer Res 2006年: 12: 6910-19.

Li B, Cheung PY, Wang X, Tsao SW, Ling MT. Wong YC, Cheung AL. Id-1 activation of PI3K/Akt/NFkappaB signaling pathway and its significance in promoting survival of esophageal cancer cells. Carcinogenesis. 2007年; 28: 2313-20.

Li Calzi S, Neu MB, Shaw LC, Kielczewski JL, Moldovan NI, Grant MB. EPCs and pathological angiogenesis: when good cells go bad. Microvasc Res. 2010年; 79: 207-16.

Li H, Gerald WL. Benezra R. Li H, Gerald WL. Benezra R. Utilization of bone marrow-derived endothelial cell precursors in spontaneous prostate tumors varies with tumor grade. Cancer Res. 2004年; 64(17):6137-43.

Li J. Jia H, Xie L, Wang X, He H, Lin Y, Hu L. Correlation of inhibitor of differentiation l expression to tumor progression, poor differentiation and aggressive behaviors in cervical carcinoma. Gynecol Oncol 2009年; 114: 89-93.

Li W. Wang H. Kuang CY, Zhu JK, Yu Y, Qin ZX, Liu J, Huang L. An essential role for the Idl/PI3K/AktNFkB/survivin signalling pathway in promoting the proliferation of endothelial progenitor cells in vitro. Mol Cell Biochem. 2012年; 363: 135-45.

Li X, Zhang Z, Xin D, Chua CW, Wong YC, Leung SC, Na Y, Wang X. Prognostic significance of Id1 and its association with EGFR in renal cell cancer. Histopathology. 2007年; 50: 484-90.

Li ZD. Hu XW, Wang YT, Fang J. Apigenin inhibits proliferation of ovarian cancer A2780 cells through Id1. FEBS Lett. 2009年; 583:1999-2003.

Liang YY, Brunicardi FC, Lin X. Smad3 mediates immediate early induction of Id1 by TGF-beta. Cell Res. 2009年; 19:140-8.

Lin JC, Chang SY, Hsieh DS, Lee CF, Yu DS. Modulation of mitogen-activated protein kinase cascades by differentiation-1 protein: acquired drug resistance of hormone independent prostate cancer cells. J Urol 2005年; 174: 2022-6.

Ling MT, Kwok WK, Fung MK, Xianghong W, Wong YC. Proteasome mediated degradation of Id-1 is associated with TNFalpha-induced apoptosis in prostate cancer cells. Carcinogenesis 2006年; 27:205-15.

Ling MT, Lau TC, Zhou C, Chua CW, Kwok WK, Wang Q, Wang X, Wong YC. Overexpression of Id-1 in prostate cancer cells promotes angiogenesis through the activation of vascular endothelial growth factor (VRGF). Carcinogenesis 2005年; 26: 1668-76.

Ling MT. Wang X, Lee DT, Tam PC, Tsao S.W., Wong Y.C. Id1 expression induces androgen-independsnt prostate cancer cell growth through activation of epidermal growth factor receptor (EGF-R). Carcinogenesis 2004年; 25: 517-25.

Ling MT, Wang X, Zhang X, Wong YC. The multiple roles of Id1 in cancer progression. Differentiation 2006年; 74: 481-7.

Ling, M.T.他, Down-regulation of Id-1 expression is associated with TGF beta 1-induced growth arrest in prestate epithelial cells. Biochim Biophys Acta, 2002年. 1570(3): 145-52.

Ling, M.T., Wang X., Ouyang X.S., Lee T.K., Fan T.Y., Xu K., Tsao S.W., Wong Y.C., Activation of MAPK signaling pathway is essential for Id1 induced serum independent prostate cancer cell growth. Oncogene 2002年; 21: 8498-8505.

Ling, M.T., Wang X., Tsao S.W., Wong Y.C., Down-regulation of Id1 expression is associated with TGF beta 1-induced growth arrest in prostate epithelial cells. Biochim Biophys Acta 2002年; 1570: 145-52.

Lister, J., W.C. Forrester and M.H, Baron, Inhibition of an erythroid differentiation switch by the helix-loop-helix protein Id1. J Biol Chem, 1995年; 270: 17939-46.

Littlewood, T.D. and G.I. Evan, Transcription factors 2: helix-loop-helix. Protein Profile. 1995年. 2(6): 621-702.

Liu C他. Mosaic analysis with double markers reveals tumor cell of origin in glioma. Cell 2011年; 146:209-221.

Liu J, Hu Y, Hu W, Xie X, Ela Bella A, Fu J. Expression and prognostic relevance of Id1 in stage III esophageal squamous cell carcinoma. Cancer Biomark.2010年; 8: 67-72.

Liu MM, Chan CC, Tuo J. Genetic mechanisms and age-related macular degeneration: common variants, rare variants, copy number variations, epigenetics, and mitochondrial genetics. Hum Genomics. 2012年; 6: 13.

London NJ, Brown G. Update and review of central retinal vein occlusion. Curr Opin Ophthalmol.2011年; 22: 159-65.

Lyden D, Hattori K, Dias S, Costa C, Blaikie P, Butros L, Chadburn A, Heissig B, Marks W, Witte L, Wu Y, Hicklin D, Zhu Z, Hackett NR, Crystal RG, Moore MA, Hajjar KA, Manova K, Benezra R, Rafii S. Impaired recruitment of bone-marrow-derived endothelial and hematopoietic precursor cells blocks tumor angiogenesis and growth. Nat Med 2001年; 7: 1194-201.

Lyden D, Young AZ, Zagzag D, Yan W, Gerald W, O'Reilly R, Bader BL, Hynes RO, Zhuang Y, Manova K, Benezra R. Id1 and Id3 are required for neurogenesis angiogenesis and vascularization of tumor xenografts. Nature 1999年; 401: 670-7.

Mani S A, Guo W, Liao M J, Baton E N, Ayyanan A, Zhou A Y, Brooks M, Reinhard F., Zhang CC, Shipitsin, M.他 The epithelial Mesenchymal transition generates cells with properties of stem cells. Cell 2008年; 133; 704-715.

Mann J. Combretastatins: from natural products to drug discovery. Nat Prod Rep 2003年; 20:558-64.

Massari, M.E. and C. Murre, Helix-loop-helix proteins: regulators of transcription in eukaryotic organisms. Mol Cell Biol 2000年: 20: 429-40.

Matsuda Y, Yamagiwa S, Takamura M, Honda Y, Ishimoto Y, lchida T, Aoyagi Y. Overexpressed Id-1 is associated with a high risk of hepatocellular carcinoma development in patients with cirrhosis without transcriptional repression of p16. Cancer 2005年; 104: 1037-44.

Maw MK, Fujimoto J, Tamaya T. Expression of the inhibitor of DNA-binding (ID)-1 protein as an angiogenic mediator in tumour advancement of uterine cervical cancers. Br J Cancer 2008年; 99: 1 557-63

Maw MK, Fujimoto J, Tamaya T. Overexpression of inhibitor of DNA-binding (ID)-1 protein related to angiogenesis in tumor advancement of ovarian cancers. BMC Cancer. 2009年; 9: 430.

McKeage MJ, Baguley BC. Cancer. Disrupting established tumor blood vessels: an emerging therapeutic strategy for cancer. 2010年; 116: 1859-71.

Mejlvang J, Kriajevska M, Vandewalle C, Chernova T, Sayan AE, Berx G, Mellon JK, Tulchinsky E. Direct repression of cyclin D1 by SIPI attenuates cell cycle progression in cells undergoing an epithelial mesenchymal transition. Mol Biol Cell 2007年; 18: 4615-4624.

Melnikova. I.N. and B.A. Christy, Muscle cell differentiation is inhibited by the helix-loop-helix protein Id3. Cell Growth Differ 1996年; 7: 1067-79.

Mern DS, Hasskarl J, Burwinkel B. Inhibition of Id proteins by a peptide aptamer induces cell-cycle arrest and apoptosis in ovarian cancer cells. Br J Cancer. 2010年; 103: 1237-44.

Minn, A J, Gupta, GP, Siegel, PM, Bos, PD, Shu, W, Giri, DD, Viale, A, Olshen, AB, Gerald, W L, Massague, Lung metastasis genes couple breast tumor size and metastatic spread. J. Nature 2005年; 436: 5 1 8-524.

Mita MM, Sargsyan L, Mita AC, Spear M. Vascular-disrupting agents in oncology. Expert Opin Investig Drugs 2013年. 22: 317-28.

Moldes, M., Lasnier F., Feve B., Pairault J., Djian P., Id3 prevents differentiation of preadipose cells. Mol Cell Biol 1997年; 17: 1796-804.

Morel AP, Lievre M, Thomas C, Hinkal G, Ansieau S, Puisieux A. Generation of breast cancer stem cells through epithelial-mesenchymal transition. PloS One 2008年; 3:2888.

Morrison and Boyd, Organic Chemistry, 1983年, 4th ed., Allyn and Bacon, Inc., Boston, MA. Murre, C, McCaw PS, Vaessin H, Caudy M, Jan LY, Jan YN, Cabrera CV, Buskin JN, Hauschka SD, Lassar AB他, Interactions between heterologous helix-loop-helix proteins generate complexes that bind specifically to a common DNA sequence. Cell 1989年; 58: 537-44.

Morse D. Inhibition of Differentiation (ID) proteins. In Encyclopedia of Respiratory Medicine. Editors: Geoffrey J . Laurent and Steven D Shapiro. Elsevier Ltd. Oxford, UK. 2006年. pp 335-339.

Mulcahy N, Time to Consider Cost in Evaluating Cancer Drugs in United States. Medscape Medical News, 2009年7月14日.

Murre, C, McCaw, PS, Baltimore D, A new DNA binding and dimerization motif in immunoglobulin enhancer binding, daughterless, MyoD, and myc proteins. Cell 1989年; 56: 777-83.

Murre, C., Bain G., van Dijk M.A., Engel I., Furnari B.A., Massari M.E., Matthews J.R., Quong M.W., Rivera R.R., Stuiver M.H., Structure and function of helix-loop-helix proteins. Biochim Biophys Acta 1994; 1218: 129-35.

Murre, C, McCaw PS, Vaessin H, Caudy M, Jan LY, Jan YN, Cabrera CV. Buskin JN, Hauschka SD, Lassar AB他. Interactions between heterologous helix-loop-helix proteins generate complexes that bind specifically to a common DNA sequence. Cell 1989年; 58: 537-44.

Murre. C., Voronova. A. & Baltimore, D. B-cell- and myocyte-specific E2-box-binding factors contain E12/E47-like subunits. Mol Cell Biol 11: 1156-60 (1991年).

Nair R, Teo WS, Mittal V, Swarbrick A, Id proteins regulate diverse aspects of cancer progression and provide novel therapeutic opportunities. Cancer Cell, In press 2013年.

Naldini A, Carraro F. Role of inflammatory mediators in angiogenesis. Curr Drug Targets Inflamm Allergy. 2005年; 4: 3-8.

Nam HS, Benczra R. High levels of Id1 expression define Bl type adult neural stem cells. Cell Stem Cell 2009年; 5: 515-526.

Nambu H, Nambu R, Melia M, Campochiaro PA. Combretastatin A-4 phosphate suppresses development and induces regression of choroidal neovascularization. Invest Ophthalmol Vis Sci 2003年; 44: 3650-5.

Niola F他 Mesenchymal high-grade glioma is maintained by the ID RAP1 axis. J. Clin. Invest. 2013年; 123: 405-417.

Niola, F他 Id proteins synchronize sternness and anchorage to the niche of neural stem cells. Nature Cell Biol. 2012年; 14: 477-487.

Nishiyama K, Takaji K, Kataoka K, Kurihara Y, Yoshimura M, Kato A, Ogawa H, Kurihara H. Id1 gene transfer confers angiogenic property on fully differentiated endothelial cells and contributes to therapeutic angiogenesis. Circulation. 2005年; 112: 2840-50.

Nishiyama K, Takaji K, Uchijima Y, Kurihara Y, Asano T, Yoshimura M, Ogawa H, Kurihara H. Protein kinase A-regulated nucleocytoplasmic shuttling of Id1 during angiogenesis. J Bio Chem 2007年; 282: 17200-9.

Nomiya,T, Harada, M, Sudo, H, Ota, I, lchikawa, M, Suzuki, M, Murakami, M, Nemoto, K. Journal of Medical Case Reports 2012年, 6:308 Radiotherapy for inoperable and refractory endometriosis presenting with massive hemorrhage: a case report.

Norton, J.D. and G.T. Atherton, Coupling of cell growth control and apoptosis functions of Id proteins. Mol Cell Biol, 1998年. 18(4):2371-81.

Norton, J.D., ID helix-loop-helix proteins in cell growth, differentiation and tumorigenesis. J Cell Sci 2000年; 113 3897-905.

O'Brien CA, Kreso A, Ryan P, Hermans KG, Gibson L, Wang Y, Tsatsanis A, Gallinger S, Dick JE. IDl and ID3 regulate the selfrenewal capacity of human colon cancer-initiating cells through p21. Cancer Cell 2012年; 21: 777-792.

Ocana OH, Corcoles R, Fabra A, Moreno-Bueno G, Acloque H, Vega S, Barrallo-Gimeno A, Cano A, Nieto MA. Metastatic colonization requires the repression of the epitlielial-mesenchymal transition inducer Prrx1. Cancer Cell 2012年; 22: 709-724.

Oh, H他 The potential angiogenic role of macrophages in the formation of choroidal neovascular membranes. Invest Ophthalmol Vis Sci. 1999年; 40: 1891-8.

Ola MS, Nawaz MI, Siddiquei MM, Al-Amro S, Abu El-Asrar AM. Recent advances in understanding the biochemical and molecular mechanism of diabetic retinopathy. J Diabetes Complications. 2012年1月5日; 26: 56-64.

Ouyang XS, Wang X, Lee DT, Tsao SW, Wong YC. Over expression of Id1 in prostate cancer. J Urol.2002年; 167: 2598-602.

Ouyang, X.S., Wang X, Ling MT, Wong HL, Tsao SW, Wong YC., Id1 stimulates serum independent prostate cancer cell proliferation through inactivation of pl6(INK4a)/pRB pathway. Carcinogenesis 2002年; 23: 721-5.

Park DM & Rich JN. Biology of glioma cancer stem cells. Mol. Cells 2009年; 28: 7-12.

Perk J, Gil-Bazo I, Chin Y, de Candia P, Chen JJ, Zhao Y, Chao S, Cheong W, Ke Y, Al-Ahmadie H, Gerald WL, Brogi E, Benezra R. Reassessment of Id1 protein expression in human mammary, prostate, and bladder cancers using a monospecific rabbit monoclonal anti-Id1 antibody. Cancer Res. 2006年; 66: 10870-7.

Perk J, Iavarone A, Benezra R. Id family of helix-loop-helix proteins in cancer. Nature Reviews Cancer 2005年; 5: 603-614.

Perry, S. S.他 Id1, but not Id3, directs long-term repopulating hematopoietic stem-cell maintenance. Blood 2007年; 110: 2351-2360.

Ponz-Sarvise M, Nguewa PA, Pajares MJ, Agorreta J, Lozano MD, Redrado M, Pio R, Behrens C, Wistuba H, Garcia-Franco CE, Garcia-Foncillas J, Montuenga LM, Calvo A, Gil-Bazo I. Inhibitor of differentiation- 1 as a novel prognostic factor in NSCLC patients with adenocarcinoma histology and its potential contribution to therapy resistance. Clin Cancer Res. 2011年; 17; 4155-66.

Potter V, Phenotypic diversity in experimental hepatomas: the concept of partially blocked ontogeny (The 10th Walter Hubert lecture). Br J Cancer 1978年; 38: 1-23.

Powell LM, Jarman AP. Context dependence of proneural bHLH proteins. Curr Opin Genet Dev 2008年; 18:411-7.

Prisco, M, Peruzzi F, Belletti B, Baserga R. Regulation of Id gene expression by type I insulin-like growth factor: roles of Stat3 and the tyrosine 950 residue of the receptor, Mol. Cell. Biol 2001年: 21: 5447-5458.

Qiu J, Wang G, Hu J, Peng Q, Zheng Y. Id1-induced inhibition of p53 facilitates endothelial cell migration and tube formation by regulating the expression of betal-integrin. Mol Cell Biochem. 2011年; 357: 125-33.

Quong, M.W., Massari M.E., Zwart R., Murre C, A new transcriptional-activation motif restricted to a class of helix-loop-helix proteins is functionally conserved in both yeast and mammalian cells. Mol Cell Biol 1993年; 13: 792-800.

Rampersad AG, Shapiro AD, Rodriguez-Merchan EC, Maahs JA, Akins S, Jimenez-Yuste V. Radiosynovectomy: review of the literature and report from two haemophilia treatment centers. Blood Coagul Fibrinolysis. 2013年; 24: 465-70.

Rawlins, E. L., Clark, C. P., Xue, Y. & Hogan, B. L. The Id2+ distal tip lung epithelium contains individual multipotent embryonic progenitor cells. Development 2009年; 136: 3741-3745.

Remington's Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company. Philadelphia. Pa., 17th ed. (1985年)

Riechmann V, van Cruchten I, Sablitzky F. The expression pattern of Id4, a novel dominant negative helix-loop-helix protein, is distinct from Id1, Id2 and Id3. Nucleic Acids Res. 1994年; 22: 749-55.

Roberts, E.C., Deed R.W., Inoue T., Norton J.D., Sharrocks A.D., Id helix-loop-helix proteins antagonize paclitaxel transcription factor activity by inhibiting DNA binding. Mol Cell Biol 2001年; 21: 524-33.

Rofagha S, Bhisitkul RB, Boyer DS, Sadda SR, Zhang K; SEVEN-UP Study Group. Seven-year outcomes in ranibizumab-treated patients in ANCHOR, MARINA, and HORIZON: a multicenter cohort study (SEVEN-UP). Ophthalmology. 2013年; 120: 2292-9.

Romero-Lanman EE, Pavlovic S, Amlani B, Chin Y, Benezra R. Id1 maintains embryonic stem cell self-renewal by up-regulation of Nanog and repression of Brachyury expression. Stem Cells Dev 2012年; 21: 384-393.

Ron D., Habener J.F., CHOP, a novel developmentally regulated nuclear protein that dimerizes with transcription factors C/EBP and LAP and functions as a dominant-negative inhibitor of gene transcription. Genes Dev 1992年; 6: 439-453.

Rosenfeld PJ, Brown DM, Heier JS他 MARINA Study Group. Ranibizumab for neovascular age-related macular degeneration. N Engl J Med 2006; 355: 1419-31.

Rosenfeld PJ. Bevacizumab versus ranibizumab for AMD. N Engl J Med. 2011年; 364: 1966-7.

Rothschild SI, Kappeler A, Ratschiller D, Betticher DC, Tschan MP. Gugger M. Gautschi O. The stem cell gene "inhibitor of differentiation 1" (ID1) is frequently expressed in non-small cell lung cancer. Lung Cancer. 2011年; 71: 306-11.

Ruzinova MB and Benezra R. Id proteins in development, cell cycle and cancer. Trends Cell Biol 2003年; 13: 410-8.

Ruzinova MB, Schoer RA, Gerald W, Egan JE, Pandolfi PP, Rafii S, Manova K, Mittal V, Benezra R. Effect of angiogenesis inhibition by Id loss and the contribution of bone-marrow-derived endothelial cells in spontaneous murine tumors. Cancer Cell. 2003年; 4(4):277-89.

Saeed MU, Gkaragkani E, Ali K. Emerging roles for antiangiogenesis factors in management of ocular disease. Clin Ophthalmol. 2013年; 6: 533-43.

Sapieha P, Joyal JS, Rivera JC, Kermorvant-Duchemin E, Sennlaub F, Hardy P, Lachapelle P, Chemtob S. Retinopathy of prematurity: understanding ischemic retinal vasculopathies at an extreme of life. J Clin Invest. 2010年; 120: 3022-32.

Scharpfenecker M, Kruse JJ, Sprong D, Russell NS. Ten Dijke P, Stewart FA. Ionizing radiation shifts the PAI- l/ID-l balance and activates notch signaling in endothelial cells. Radiat Oncol Biol Phys. 2009年; 73: 506-13.

Schindl M, Oberhuber G, Obermair A, Schoppmann SF, Karner B, Birner P. Overexpression of Idl protein is a marker for unfavorable prognosis in early-stage cervical cancer. Cancer Res. 2001年; 61 : 5703-6.

Schindl M, Schoppmann SF, Strobel T, Heinzl H, Leisser C, Horvat R, Birner P. Level of Id1 protein expression correlates with poor differentiation, enhanced malignant potential, and more aggressive clinical behavior of epithelial ovarian tumors. Clin Cancer Res. 2003年; 9: 779-85.

Schoppmann SF, Schindl M, Bayer G, Aumayr K, Dienes J, Horvat R, Rudas M, Gnant M. Jakesz R, Birner P. Overexpression of Id1 is associated with poor clinical outcome in node negative breast cancer. Int J Cancer. 2003年; 104: 677-82.

Seandel M, Butler J, Lyden D, Rafii S. A catalytic role for proangiogenic marrow-derived cells in tumor neovascularization. Cancer Cell. 2008年; 13: 181-3.

Seddon, JM . Chen CA. The epidemiology of age-・related macular degeneration. Int Ophthalmol Clin, 2004年: 44: 17-39.

Sengupta N, Caballero S, Mames RN, Butler JM, Scott EW, Grant MB. The role of adult bone marrow-derived stem cells in choroidal neovascularization. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2003年; 44: 4908-13.

Shaked Y, Ciarrocchi A, Franco M. Lee CR. Man S. Cheung AM, Hicklin DJ, Chaplin D, Foster FS, Benezra R, Kerbel RS. Therapy-induced acute recruitment of circulating endothelial progenitor cells to tumors. Science 2006年; 313: 1785-7.

Shaked Y, Henke E, Roodhart JM, Mancuso P, Langenberg MH, Colleoni M, Daenen LG. Man S, Xu P, Emmenegger U, Tang T, Zhu Z. Witte L, Strieter RM, Bertolini F. Voest EE, Benezra R, Kerbel RS. Rapid chemotherapy-induced acute endothelial progenitor cell mobilization: implications for antiangiogenic drugs as chemosensitizing agents. Cancer Cell. 2008年; 4:263-73.

Shoji, W., T. Yamamoto and M. Obinata, The helix-loop-helix protein Id inhibits differentiation of murine erythroleukemia cells. J Biol Chem, 1994年; 269: 5078-84.

Shuno Y, Tsuno NH, Okaji Y, Tsuchiya T, Sakurai D, Nishikawa T, Yoshikawa N, Sasaki K, Hongo K, Tsurita G, Sunami E, Kitayama J, Tokunaga K, Takahashi K. Nagawa H. Id1/Id3 knockdown inhibits metastatic potential of pancreatic cancer. J Surg Res. 2010年; 161: 76-82.

Sikder H.A., Devlin M.K., Dunlap S, Ryu B, Alani RM, Id proteins in cell growth and tumorigenesis. Cancer Cell, 2003年; 3: 525-30.

Slattery C, Ryan MP, McMorrow T. E2A proteins: regulators of cell phenotype in normal physiology and disease. Int J Biochem Cell Biol 2008年; 40: 1431-6.

Stoller GL, Campochiaro, P, Garland, WA, Benezra RB, Presentation at Angiogenesis, Exudative and Degeneration Meeting, Bascom-Palmer Eye Institute, University of Miami, Miama FL, 2014年2月.

Stone, K.R.他, Isolation of a human prostate carcinoma cell line (DU 145). Int J Cancer, 1978年. 21(3): 274-81.

Subbaramaiah K, Benezra R, Hudis C, Dannenberg AJ. Cyclooxygenase-2-derived prostaglandin E2 stimulates Id-1 transcription. J Biol Chem. 2008年; 283:33955-68.

Suh HC, Leeanansaksiri W, Ji M, Klarmann KD, Renn K, Gooya J, Smith D, McNiece I, Lugthart S, Valk PJ, Delwel R, Keller JR. Id1 immortalizes hematopoietic progenitors in vitro and promotes a myeloproliferative disease in vivo. Oncogene 2008年; 27: 5612-5623.

Suh, HC他 Cell-nonautonomous function of Id1 in the hematopoietic progenitor cell niche. Blood 2009年; 114: 1186-1195.

Sun L, Trausch-Azar JS, Ciechanover A, Schwartz AL. Ubiquitin-proteasome-mediated degradation, intracellular localization, and protein synthesis of MyoD and Id1 during muscle differentiation. J Biol Chem 2005年; 280: 26448-56.

Swarbrick A, Roy E, Allen T, Bishop JM. Id1 cooperates with oncogenic Ras to induce metastatic mammary carcinoma by subversion of the cellular senescence response. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008年; 105(14): 5402-7.

Takai N, Ueda T, Nishida M, Nasu K, Miyakawa I. The relationship between oncogene expression and clinical outcome in endometrial carcinoma. Curr Cancer Drug Targets 2004年: 4: 511-20.

Tam WF, Gu TL, Chen J, Lee BH, Bullinger L, Frohling S, Wang A, Monti S, Golub TR, Gilliland DG. Id1 is a common downstream target of oncogenic tyrosine kinases in leukemic cells. Blood. 2008年; 112: 1981-92.

Tang R, Hirsch P, Fava F, Lapusan S, Marzac C, Teyssandier I, Pardo J, Marie J , Legrand O. High Id1 expression is associated with poor prognosis in 237 patients with acute myeloid leukemia. Blood 2009年7月30日; 114: 2993-3000.

Tarin, D, Thompson, EW, Newgreen, DF. The fallacy of epithelial mesenchymal transition in neoplasia. Cancer Research 2005年; 65: 5996-6000; discussion 5991-6000.

Tezel, T.H, Bora NS, Kaplan HJ. Pathogenesis of age-related macular degeneration. Trends Mol Med, 2004年; 10; 417-20.

Thiery JP, Acloque H, Huang RY, and Nieto MA. Epithelial mesenchymal transitions in development and disease. Cell 2009年; 139: 871-890.

Tozer GM, Kanthou C, Baguley BC. Disrupting tumour blood vessels. Nat Rev Cancer. 2005年; 5: 423-35.

Tozer GM, Prise VE, Wilson J他 Mechanisms associated with tumor vascular shut-down induced by combretastatin A-4 phosphate: intravital microscopy and measurement of vascular permeability. Cancer Res 2001年; 61 : 6413-22.

Tsai, JH, Donaher, JL, Murphy, DA, Chau, S, Yang, J. Spatiotemporal regulation of epithelial-mesenchymal transition is essential for squamous cell carcinoma metastasis. Cancer Cell 2012年; 22: 725-736.

Tsuchiya T, Okaji Y, Tsuno NH, Sakurai D, Tsuchiya N, Kawai K., Yazawa K, Asakage M, Yamada J, Yoneyama S, Kitayama J, Osada T, Watanabe T, Tokunaga K, Takahashi K, Nagawa H. Targeting Id1 and Id3 inhibits peritoneal metastasis of gastric cancer Cancer Sci. 2005年11月; 96(11):784-90.

Tsutsumi, C他 The critical role of ocular-infiltrating macrophages in the development of choroidal neovascularization. J Leukoc Biol, 2003年; 74: 25-32.

Tzeng SF, Kahn M, Liva S, De Veilis J. Tumor necrosis factor-alpha regulation of the Id gene family in astrocytes and microglia during CNS inflammatory injury. Glia. 1999年; 26: 139-152.

Ushio K, Hashimoto T, Kitamura N, Tanaka T. Id1 is down-regulated by hepatocyte growth factor via ERK-dependent and ERK-independent signaling pathways, leading to increased expression of pl6INK4a in hepatoma cells. Mol Cancer Res. 2009年; 7: 1179-88.

Valent, P, Bonnet, D, De Maria R., Lapidot T, Copland, M, Melo JV, Chomienne C., Ishikawa F, Schuringa JJ, Stassi, G.他 Cancer stem cell definitions and terminology: the devil is in the details. Nature Reviews Cancer 2012年; 12: 767-775.

Vandeputte DA, Troost D, Leenstra S, Ijlst-Keizers H, Ramkema M, Bosch DA, Baas F, Das NK, Aronica E. Expression and distribution of id helix-loop-helix proteins in human astrocytic tumors. Glia 2002年; 38: 329-38.

Vega S, Morales AV, Ocana OH, Valdes F, Fabregat I, and Nieto MA. Snail blocks the cell cycle and confers resistance to cell death. Genes Dev 2004年; 18: 1131-1143.

Vega-Stromberg T. Chemotherapy-induced secondary malignancies. J lnfus Nurs. 2003年; 26: 353-61.

Velho TR, Kapiteijn E, Jager MJ. New therapeutic agents in uveal melanoma. Anticancer Res. 2012年; 32: 2591-8.

Virchow RLK. Cellular Pathology 1859年, Berlin, Germany.

Volpert OV, Pili R, Sikder HA, Nelius T, Zaichuk T, Morris C, Shiflett CB, Devlin MK, Conant K, Alani RM. Id1 regulates angiogenesis through transcriptional repression of thrombospondin-1. Cancer Cell 2002年; 2: 473-83.

Vuoriluoto K, Haugen H. Kiviluoto S, Mpindi JP, Nevo J, Gjerdrum C, Tiron C, Lorens JB, Ivaska J. Vimentin regulates EMT induction by Slug and oncogenic H-Ras and migration by governing Axl expression in breast cancer. Oncogene 2011年: 30: 1436-1448.

Wang G, Qiu J, Hu J, Tang C, Yin T. Id1: a novel therapeutic target for patients with atherosclerotic plaque rupture. Med Flypotheses.2011年; 76: 627-8.

Wang X, Di K, Zhang X, Han HY, Wong YC, Leung SC, Ling MT. Id-1 promotes chromosomal instability through modification of APC/C activity during mitosis in response to microtubule disruption. Oncogene 2008年; 27: 4456-66.

Weber GF. Why does cancer therapy lack effective anti-metastasis drugs? Cancer Lett. 2013年1月28日; 328(2): 207-11.

Wice, B.M. and J.I. Gordon, Forced expression of Id-1 in the adult mouse small intestinal epithelium is associated with development of adenomas. J Biol Chem, 1998年. 273(39): 25310-9.

Witmer, AN他, Vascular endothelial growth factors and angiogenesis in eye disease. Prog Retin Eye Res, 2003年. 22: 1-29.

Wong, Y.C., X. Wang, and M.T. Ling, Id-1 expression and cell survival. Apoptosis, 2004年. 9(3):279-89.

Yang HY, Liu HL, Liu GY, Zhu H, Meng QW, Qu LD, Liu LX, Jiang HC. Expression and prognostic values of Id1 and Id-3 in gastric adenocarcinoma. J Surg Res. 2011年; 167: 258-66.

Yang J, Mani SA, Donaher JL, Ramaswamy S, Itzykson RA, Come C, Savagner P. Gitelman I, Richardson A, Weinberg R A. Twist, a master regulator of morphogenesis, plays an essential role in tumor metastasis. Cell 2004年; 117: 927-939.

Yates, P.R.他, Id helix-loop-hclix proteins inhibit nucleoprotein complex formation by the TCF ETS-domain transcription factors. Embo J, 1999年. 18(4): 968-76.

Ying QL, Nichols J, Chambers I, Smith A. BMP induction of Id proteins suppresses differentiation and sustains embryonic stem cell self-renewal in collaboration with STAT3. Cel l 2003年; 115: 281-292.

Yokota, Y. and S. Mori, Role of Id family proteins in growth control. J Cell Physiol, 2002年. 190(1): 21-28.

Yokoto Y. "Id and development," Oncogene 20 (58):8290-8.

Yook JI, Li XY, Ota I, Hu C, Kim HS, Kim NH, Cha SY, Ryu JK, Choi YJ, Kim J他 A Wnt-Axin2-GSK3beta cascade regulates Snail1 activity in breast cancer cells. Nature Cell Biology 2006年; 8: 1398-1406.

Yu X, Xu X, Han B, Zhou R. Inhibitor of DNA binding-1 overexpression in prostate cancer: relevance to tumor differentiation. Pathol Oncol Res 2009年; 15: 91-6.

Zebedee, Z. and E. Hara, Id proteins in cell cycle control and cellular senescence. Oncogene. 2001年. 20(58): 8317-25.

Zhang X他 Inactivation of Id-1 in prostate cancer cells: A potential therapeutic target in inducing chemosensitization to a VDA through activation of JNK pathway. Int J Cancer 2006年; 118: 2072-81.

Zhang X, Ling MT, Wong YC, Wang X. Evidence of a novel anti-apoptotic factor: role of inhibitor of differentiation or DNA binding (Id-1) in anticancer drug-induced apoptosis. Cancer Sci 2007年; 98: 308-14.

Zhao ZR, Zhang ZY, Zhang H, Jiang L, Wang MW, Sun XF. Overexpression of Id-l protein is a marker in colorectal cancer progression. Oncol Rep 2008年; 19: 419-24.

Zheng W, Wang H, Xue L, Zhang Z, Tong T. Regulation of cellular senescence and pl6(INK4a) expression by Id1 and E47 proteins in human diploid fibroblast. Biol Chem 2004年; 279: 31524-32.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】