(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-506277(P2017-506277A)
(43)【公表日】2017年3月2日
    (54)【発明の名称】帯電防止コーティングされたポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J   7/04        20060101AFI20170210BHJP        
   B32B  33/00        20060101ALI20170210BHJP        
   B32B  27/36        20060101ALI20170210BHJP        
   C08L  33/24        20060101ALI20170210BHJP        
   C08L 101/02        20060101ALI20170210BHJP        
   C08K   5/00        20060101ALI20170210BHJP        
【FI】
   C08J7/04 DCFD
   B32B33/00
   B32B27/36
   C08L33/24
   C08L101/02
   C08K5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
      (21)【出願番号】特願2016-550492(P2016-550492)
(86)(22)【出願日】2015年2月4日
    (85)【翻訳文提出日】2016年8月5日
      (86)【国際出願番号】US2015014411
    
      (87)【国際公開番号】WO2015120018
(87)【国際公開日】20150813
    
      (31)【優先権主張番号】61/937,154
(32)【優先日】2014年2月7日
(33)【優先権主張国】US
    (81)【指定国】
      AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
    
      
        
          (71)【出願人】
【識別番号】505077426
【氏名又は名称】デュポン・テイジン・フィルムズ・ユー・エス・リミテッド・パートナーシップ
          (74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山  靖彦
          (74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広  信哉
          (74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部  達彦
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】デブラ・エス・ストリックランド
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ジュリアン・ニール・ロビンソン
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ジャッキー・エイチ・シモンズ
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】コーネル・チャペル・ジュニア
              
            
        
      
    【テーマコード(参考)】
      4F006
      4F100
      4J002
    【Fターム(参考)】
      4F006AA35
      4F006AB24
      4F006AB65
      4F006AB69
      4F006AB76
      4F006BA07
      4F100AK01A
      4F100AK24A
      4F100AK25A
      4F100AK41B
      4F100BA02
      4F100BA15
      4F100CA02A
      4F100CA18A
      4F100CA22A
      4F100DE01A
      4F100DE01H
      4F100EH20
      4F100EH46
      4F100EJ38
      4F100YY00A
      4J002AA072
      4J002BG064
      4J002BG121
      4J002CH023
      4J002DF036
      4J002DH046
      4J002DJ018
      4J002EN137
      4J002EP016
      4J002FD106
      4J002FD107
      4J002FD142
      4J002FD204
      4J002FD208
      4J002FD313
    (57)【要約】
  少なくともその1面上に帯電防止層を有する自己支持性ポリエステル基材フィルムを含む帯電防止ポリエステルフィルムに関する。前記帯電防止層は、a)下記式(I)(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立にH又はCH
3であり、R
3は2〜10の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、R
4及びR
5はそれぞれ独立に1〜5の範囲の炭素数を有する飽和炭化水素基であり、R
6は2〜5の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、nは0〜40の範囲の整数であり、mは1〜40の範囲の整数であり、Y
−は、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、又はリン酸二水素イオンである)で表される繰り返し単位を含む1以上の帯電防止ポリマー;b)1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤;及びc)1以上の架橋剤を含む。
    
  【特許請求の範囲】
【請求項1】
  少なくともその1面上に帯電防止層を有する自己支持性ポリエステル基材フィルムを含む帯電防止ポリエステルフィルムであって、
  前記帯電防止層が、
  a)下記式(I)
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立にH又はCH
3であり、R
3は2〜10の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、R
4及びR
5はそれぞれ独立に1〜5の範囲の炭素数を有する飽和炭化水素基であり、R
6は2〜5の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、nは0〜40の範囲の整数であり、mは1〜40の範囲の整数であり、Y
−は、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、又はリン酸二水素イオンである)
で表される繰り返し単位を含む1以上の帯電防止ポリマー;
  b)1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤;及び
  c)1以上の架橋剤、
を含む、帯電防止ポリエステルフィルム。
 
【請求項2】
  前記帯電防止層が1以上の非イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
  前記1以上の架橋剤が複数のオキサゾリン基を有するポリマーを含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
  前記1以上の架橋剤が下記式(II)
【化2】
(式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立にH又はCH
3である)
で表される繰り返し単位を含む1以上のポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
 
【請求項5】
  前記帯電防止層がエマルションポリマーを含まない、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
  前記帯電防止層が、ポリマー架橋剤以外の非帯電防止ポリマーを含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
  前記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤が、ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム リン酸二水素塩を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
  前記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤が、ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム 硝酸塩を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
  前記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤が、獣脂ジアミンペンタメチルジクロリドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
  R1及びR2がそれぞれHであり、R3が(CH2)3であり、nがゼロであり、R4及びR5がそれぞれCH3であり、mが1である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
  Y−がCH3SO3−である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
  R7及びR8がそれぞれHである、請求項4〜11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
  前記帯電防止層がスリップ粒子をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  関連出願の相互参照
  この出願は2014年2月7日に出願された米国仮出願第61/937,154号の利益を請求し、その内容を、全ての目的のためにその全体を参照により本明細書に援用する。
 
【背景技術】
【0002】
  ポリエステルフィルムは、それらがロール又はシートで取り扱われるときに静電荷を生みだす。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,103,368号明細書
【特許文献2】米国特許第5,925,428号明細書
【特許文献3】米国特許第5,882,798号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0408197号公報
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  より効果的に電荷を消すことができ、帯電防止コーティングの耐久性に関してさらに確固としたものである水性インライン(in-line)コーティング、すなわち、フィルムの表面へのより少ない帯電防止成分(1又は複数)の染み出し(ブルーミング)しか示さず、かつ/あるいはフィルムが巻かれる及び/又は取り扱われるときに帯電防止成分が他の表面へ移行することに関してより低い傾向を示すコーティングに対する要求がある。
 
【課題を解決するための手段】
【0005】
[本発明のまとめ]
  本発明は、少なくともその1面上に帯電防止層を有する自己支持性(self-supporting)ポリエステル基材フィルムを含む帯電防止ポリエステルフィルムであって、その帯電防止層が、
  a)下記式(I)
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立にH又はCH
3であり、R
3は2〜10の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、R
4及びR
5はそれぞれ独立に1〜5の範囲の炭素数を有する飽和炭化水素基であり、R
6は2〜5の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、nは0〜40の範囲の整数であり、mは1〜40の範囲の整数であり、Y
−は、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、又はリン酸二水素イオンである)
で表される繰り返し単位を含む1以上の帯電防止ポリマー;
  b)1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤;及び
  c)1以上の架橋剤、
を含む、帯電防止ポリエステルフィルムを提供する。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0006】
[発明の詳細な説明]
  本発明は、ポリエステル基材を、ポリ四級アクリルアミド帯電防止ポリマー、架橋剤、及び非ポリマー性帯電防止剤を含む水性コーティング組成物でコーティングし、次にそのコーティングを乾燥させて基材上に帯電防止層を形成することによって形成される帯電防止ポリエステルフィルムを提供する。本発明によるフィルムは、多くの態様で、一般的な市販されているフィルムよりも優れた帯電防止性能をもたらし、また、その帯電防止特性は、取り扱われること(ハンドリング)による劣化に顕著に抵抗性であり、優れた帯電防止特性とこすり取られることに対する抵抗性を示す。帯電防止組成物でコーティングされた自己支持性ポリエステルフィルム基材を含む上記フィルムを以下で詳細に説明する。
 
【0007】
[ポリ四級アクリルアミド帯電防止ポリマー]
  上記コーティング組成物は、下記式(I)で表される繰り返し単位を含む1以上のポリ四級アクリルアミド帯電防止ポリマーを含む。
【化2】
  式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立にH又はCH
3であり、R
3は2〜10の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、R
4及びR
5はそれぞれ独立に1〜5の範囲の炭素数を有する飽和炭化水素基であり、R
6は2〜5の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、nは0〜40の範囲の整数であり、mは1〜40の範囲の整数であり、Y
−は、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、又はリン酸二水素イオンである。いくつかの態様では、R
1及びR
2はそれぞれHであり、R
3は(CH
2)
3であり、nはゼロであり、R
4及びR
5はそれぞれCH
3であり、mは1である。いくつかの態様では、Y
−はCH
3SO
3−である。
 
【0008】
  式(I)にしたがう繰り返し単位は、ポリマー中の繰り返し単位の少なくとも50モル%、又は少なくとも75モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%、又は100モル%を構成する。ポリマー中のその他の繰り返し単位は、−CHR
1−CR
2(COOCH
3)−、−CHR
1−CR
2(COOC
2H
5)−、及び/又は−CHR
1−CR
2(CONH
2)−を含んでいてもよく、R
1及びR
2はそれぞれ上で定義したとおりであり、及び/又はエチレン単位である。
 
【0009】
  式(I)にしたがう単位を組み込んだポリマーは、本明細書に参照により援用する米国特許第6,103,368号明細書に記載されているようにして得ることができる。アクリル酸エステルを、任意選択により場合によってはコモノマーとしてエチレンとともに、乳化重合によって重合して、2,000〜100,000の重量平均分子量を有するポリアクリル酸エステルを得る。1つの態様では、そのポリマーをN,N−ジアルキルアミノアルキルアミン(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はN,N−ジエチルアミノプロピルアミン)と反応させることによってアミデート化し、そのアミデート化されたポリマー上のN,N−ジアルキルアミノ基をヒドロキシアルキル四級化にかける。ポリマーの数平均分子量は典型的には少なくとも3,000、又は少なくとも5,000、及び典型的には最大で300,000、又は最大で100,000である。
 
【0010】
  式(I)にしたがう繰り返し単位を有する1以上のポリマーは、合計で、乾燥固形分基準で、コーティング組成物の少なくとも5質量%、又は少なくとも10質量%、又は少なくとも20質量%を構成し、これには界面活性剤あるいはいかなるスリップ粒子(slip particle)も含まれない。それらポリマーは、最大で40質量%、又は最大で50質量%、又は最大で60質量%を構成する。
 
【0011】
[架橋剤]
  コーティング組成物は1以上の架橋剤を含む。それらは有機ポリマー架橋剤、例えば、複数のカルボジイミド、イソシアネート、アジリジン、又はオキサゾリン基を有するポリマーであることができる。例には、オキサゾリン官能性アクリルポリマー、例えば、下記式(II)にしたがう繰り返し単位を含む架橋剤が含まれる。
【化3】
  式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立にH又はCH
3である。いくつかの態様では、R
7及びR
8はそれぞれHである。その他の好適な架橋剤には、メラミン−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコールウリル(glycoluril)−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、及びエポキシ樹脂、並びにシラン類及びチタネート類が含まれる。典型的には、好適な架橋剤は水に可溶である。
 
【0012】
  上記1以上の架橋剤は、合計で、乾燥固形分基準で、コーティング組成物の少なくとも0.5質量%、又は少なくとも1.5質量%、又は少なくとも3質量%を構成し、これには界面活性剤あるいはいかなるスリップ粒子(slip particle)も含まれない。それら架橋剤は、最大で10質量%、又は最大で25質量%、又は最大で40質量%を構成する。
 
【0013】
[非ポリマー帯電防止剤]
  コーティング組成物は、1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤、典型的には四級アンモニウム塩、最も典型的には1分子当たり1つの四級アンモニウム基のみ、又は2つのみを有する四級アンモニウム塩を含む。好適な例には、ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム塩、例えば、硝酸塩又はリン酸二水素塩が含まれる。
 
【0014】
  上記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤は合計で、乾燥固形分基準で、コーティング組成物の少なくとも30質量%、又は少なくとも45質量%、又は少なくとも60質量%を構成し、これには界面活性剤あるいはいかなるスリップ粒子(slip particle)も含まれない。それら非ポリマー性カチオン性帯電防止剤は、最大で75質量%、又は最大で80質量%、又は最大で85質量%を構成する。
 
【0015】
[界面活性剤]
  1以上の界面活性剤が、典型的には、基材に濡れ性を付与するのに十分な量で含まれる。界面活性剤が存在する場合には、界面活性剤(1又は複数)は合計で、典型的には、乾燥固形分基準で、コーティング組成物の少なくとも0.1質量%、又は少なくとも1質量%、又は少なくとも2質量%を構成する。それら界面活性剤は典型的には最大で10質量%、又は最大で20質量%、又は最大で60質量%を構成する。いくつかの態様では、非イオン性界面活性剤のみが用いられるか、又はカチオン性界面活性剤のみが用いられるか、又はそれらの組み合わせが用いられる。非イオン性界面活性剤の例には、EMULGEN(登録商標)A 60ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、Kao Specialties Americas, LLC, High Point, NCから入手できる非イオン性界面活性剤、が含まれる。その他の適切な界面活性剤には、Dow Chemical社のTergitol NP-10、Univar Ltd社のCAFLON(登録商標) NP10イソノニルフェニルエトキシレート、及びAir Products社のSURFYNOL(登録商標) 104界面活性剤が含まれる。
 
【0016】
  コーティング組成物は水性組成物であり、典型的には有機溶媒を含まない。本発明のいくつかの態様では、特定のその他の成分がコーティング組成物から排除されることが望ましい。例えば、有機シラン類を排除すること、あるいはグリシジル基を含むモノマー及び/又はポリマーを排除することが必要でありうる。全ての粒子状物質が排除される場合がありうるが、例外は、いくつかの場合において、シリカ粒子、架橋されたポリ(メチルメタクリレート)粒子、及び/又は正に帯電した粒子でありうる。アニオン性帯電防止剤が排除されうる場合がある。
 
【0017】
  本発明のいくつかの態様では、コーティング組成物は、1以上の水性溶液又はエマルションのポリマー、例えば、アクリルポリマーからなるバインダーを含むことができる。バインダー樹脂を添加することにより、その用途での必要性に応じて、特定の所望される特性を付与できる。例えば、アクリル系を含有させることで、帯電防止層を印刷可能にすることができる。それでもなお、本発明のいくつかの態様では、帯電防止層を作成するために用いられるコーティング組成物から、特定のポリマーを排除することが最良である。それらは以下のもののうちのいずれか又は全てを含みうる:ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、及び、置換もしくは非置換のアクリル酸エステルモノマー及び/又は置換もしくは非置換のアクリルアミドモノマーの単位を含む中性(すなわち、非アニオン性、非カチオン性、及び非両性の)ポリマー。いくつかの態様では、カチオン性帯電防止ポリマー以外のいかなる種類のポリマーも、架橋剤も、コーティング組成物中に存在しない。式(I)にしたがう繰り返し単位を組み込んだもの以外のカチオン性帯電防止ポリマーもまた、いくつかの態様では排除されうる。いくつかの態様では、架橋剤以外の非帯電防止ポリマーが排除されることができ、それらはエマルションポリマー又はその他の非水溶性ポリマーでありうる。典型的には、アニオン性ポリマー及び/又はアニオン性界面活性剤は、コーティング組成物から排除される。
 
【0018】
[ポリエステル基材]
  ポリエステル基材には、1種以上のグリコール又はジオール(例えば、エチレンもしくはプロピレングリコール、又はブタンジオール)と、1種以上の二塩基酸(diacid)又はそのエステル(典型的にはメチルエステル)との重縮合によって得られる結晶性ポリエステルが含まれる。好適な二塩基酸には、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェン酸、及びセバシン酸が含まれる。本発明に有用なポリエステルフィルムの例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート、又はそれらの混合物を含み、あるいは例には前記のポリエステル類のいずれか1つが存在するコポリエステルフィルムが含まれる。例えば、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート(PETIP)コポリエステルのフィルムを本発明にしたがって用いることができる。別の好適な例は、PET及びPENのコポリエステルから作られたフィルムである。典型的には、PETが用いられる。
 
【0019】
  ポリエステルフィルムの典型的な製造においては、ポリエステル樹脂が溶融され、磨かれた回転式キャスティングドラムの上にアモルファスシートとして押し出されて、ポリマーの成形シート(キャストシート)を形成する。その次に、ポリマーのキャストシートをそのガラス転移温度のちょうど上、ポリエチレンテレフタレートについては80℃〜100℃まで加熱し、通常1以上の方向に引っ張り又は引き伸ばされる。典型的には、キャストシートは2方向:押し出し方向(長手方向)及び押し出し方向に対して垂直(横軸方向)に延伸されて、2軸方向に配向されたフィルムを作り出す。最初の延伸(これはフィルムに強度と靭性を付与する)は、通常、フィルムの最初の長さを約2.0〜約4.5倍の係数で引き伸ばす。続いての延伸工程もまたそれぞれフィルムのサイズを約2.0〜約4.5に増大させる。一般に、最初に長手方向に延伸し、次に横軸方向に延伸することが好ましい。フィルムは次に熱処理されて(一般的にはポリエチレンテレフタレートに対しては約190℃〜240℃の範囲の温度で)、強度、靭性、及びその他の物理特性を固定し、次にロールに巻き取る前に冷却される。
 
【0020】
[ポリエステル基材のコーティング]
  本発明による使用のためのコーティング組成物は、揮発性希釈剤(これは溶媒を含みうる)中の溶液の形態である。いくつかの態様では、組成物の全ての成分は揮発性希釈剤に溶かされ、したがって組成物は溶液である。しかし、いくつかの態様では、組成物はいくらかの分散された物質、例えばアクリルエマルションを含んでもよい。ほとんどの場合、希釈剤は水性であり、本明細書で用いる場合に水性とは、希釈剤は少なくとも50質量%水であることを意味する。ほとんどの態様では、水性希釈剤は少なくとも90質量%水であり、多くの場合、それは100質量%水である。そのような溶液は、典型的には、一方向延伸の後のインライン・グラビアロール塗布のためには、約0.5〜15質量%の範囲、さらに典型的には約2〜5質量%の範囲の乾燥固形分を有するが、その他の適用方法に対してはより多いことができる。本明細書で用いる場合、「乾燥固形分」とは、コーティング組成物中に存在する不揮発性物質の量、すなわち、乾燥後にコーティング中に残る物質(その不揮発性物質のいくらかは室温で液体であってもよい)をいう。帯電防止化合物及び界面活性剤の全ては、乾燥固形分を計算する目的のためには不揮発性と考えられる。
 
【0021】
  コーティング組成物の粘度は、典型的には、グラビアタイプのコーティング法のためには1〜100mPasの範囲であるが、その他のコーティング法のためにはさらに高くてもよい。
 
【0022】
  任意の従来のコーティング法、例えば、スプレーコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、メニスカスコーティング、浸漬コーティング、ワイヤーバーコーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティング、ドクターナイフコーティング、ダイレクトグラビア又はリバースグラビアコーティングなどを、上記コーティング組成物を適用するために用いることができる。コーティングは、典型的には、湿式赤外線測定器によって測定して約0.5〜30ミクロンの範囲、さらに典型的には約1.5〜6ミクロンの範囲の厚さを有する連続湿式コーティングとして適用される。乾燥後、コーティングは、典型的には、約100〜1500Å、典型的には約100〜1000Å、さらに典型的には約150〜500Åの範囲の厚さを有する。
 
【0023】
  本発明の別の態様では、当技術分野で公知の多種多様なコーティング法のいずれを用いて、従来のオフラインコーティング法を用いることができる。しかし、インラインコーティングを用いる能力は、オフライン法(この方法では、コーティング工程は、ポリエステル基材の製造が完了した後で行われる)を超える経済及び効率の利点を付与し、なぜなら、オフライン法は有機溶媒を用い、及び/又は使用者に不便かつコストがかかる乾燥手段を用いることを要求しうるからである。それとは対照的に、製造者によるインラインコーティングは、直ぐに使用できるフィルムを顧客に提供し、それによって、コーティングされていないフィルムをほどき、それにコーティングし、次にそれを再度巻き取るための時間及び装置を準備しなければならないことから顧客を救い出す。
 
【0024】
  インライン法を用いる場合、コーティング組成物は典型的にはフィルムの最後の延伸前に適用される。一軸延伸フィルムに対しては、コーティング組成物は好ましくは延伸後に適用される。二軸又は単軸配向フィルムに対しては、コーティング組成物は、典型的には延伸段階時に適用され、すなわち、フィルムがすでに延伸されているが、第二の延伸の前に適用される。
 
【0025】
  いくつかの態様では、帯電防止層の反対側のポリエステル基材の表面は、フィルムの取り扱いを手助けするため、例えば、巻き取り性を向上させるため及び「ブロッキング」を最小にする又は防止するために、粒子材料を含む「スリップコーティング」(滑りコーティング)でコーティングされていてもよい。そのようなコーティングは、例えば、インラインで、フィルム配向性付与の前又は後、かつ最後の巻き取りの前に適用されうる。好適なスリップコーティングは、カリウムシリケート、例えば、米国特許第5,925,428号及び同5,882,798号明細書に開示されているものなどを含むことができ、これらの開示を参照により本明細書に援用する。あるいは、例えば、欧州特許出願公開第0408197号公報に開示されているように、スリップコーティングはアクリル及び/又はメタクリルポリマー樹脂の不連続層を含んでいてよく、任意選択により架橋剤をさらに含んでいてもよい。いくつかの態様では、粒子は、スリップ性を付与するために帯電防止コーティングに添加されてもよい。スリップ粒子の例には、シリカ及び架橋されたポリ(メチルメタクリレート)ビーズが含まれる。スリップ性をもたらすフィラー粒子は、ポリエステル基材フィルム中に分散されていてもよく、あるいはフィルムの上に共押出しされた層の中に含まれていてもよい。
 
【実施例】
【0026】
[用語]
  EMULGEN(登録商標) A60:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、Kao Specialties America, LLC, High Point, NCから入手可能な非イオン性界面活性剤。ここでは20%水溶液として用いる。
  ADOGEN(登録商標) 477E:獣脂ジアミンペンタメチルジクロリド(「第四級アンモニウム化合物, N,N,N,N′,N′-ペンタメチル-N′-獣脂アルキルトリメチレンジクロリド」), エタノール中56質量%(測定して)、Evonik Goldschmidt Corporation, Hopewell, VAから入手可能。
  CYASTAT(登録商標) SN:ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩, 50:50のイソプロパノール-水混合物中の50%溶液, Cytec Industries Inc., West Paterson, NJから入手可能。その構造を下に示す。
【化4】
  CYASTAT(登録商標) SP:ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸二水素塩, 50:50のイソプロパノール-水混合物中の35%溶液, Cytec Industries Inc.から入手可能。
  EPOCROS(商標) WS-300:オキサゾリン官能性の水溶性アクリルコポリマーの10質量%水溶液, 株式会社  日本触媒, 大阪, 日本国から入手可能。
  ポリマーA - 下に示す構造を有するカチオン性ホモポリマーの35質量%水溶液。
【化5】
  アクリルバインダー:メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリロニトリル/N-メチロールアクリルアミドの組成のアクリルコポリマーの45%固形分のエマルション。
【0027】
[試験方法]
  静電気減衰試験
  装置:モンロー静電気分析装置(Monroe Static Analyzer)モデル276A
  方法:フルスケール電圧を2000Vに設定した。選択した試験シーケンスは、10秒帯電(charging)、60秒の暗減衰(dark decay)。ピーク電圧、静電気がピーク電圧の2分の1まで減衰するための時間、ピーク電圧の10分の1まで静電気が減衰するための時間、及び静電気が5V未満まで減衰するための時間(完全減衰)を記録した。
【0028】
  表面抵抗率試験
  装置:デジタル電位計(Keithlay Model 617), 抵抗率アダプター/円形電極(Keithlay Model 6105), 及び作業のためのグローブポートを備えたBlue M Model WP-4800湿度チャンバー。
  方法:
  電源を100.0Vに設定し、最大2mAで操作した。
  約3.5’’(3.5 in = 8.89 cm)×3.5’’(3.5 in = 8.89 cm)の大きさのフィルムサンプルを少なくとも20分間、湿度チャンバー内でコンディショニングした。読み取りは、抵抗率アダプターが閉じられ、係止された後、30秒行った。
  計算:
  表面抵抗率(log オーム/sq)= log (5340/マイクロアンペア[デジタルディスプレイから]) + アンペア数の指数(指数は、ミリアンペア=3, マイクロアンペア=6, ナノアンペア=9, ピコアンペア=12)
【0029】
[例1]
  コーティング組成物1及び2を表1に示すように調製し、AB共押出し構造を有するポリエステルフィルムの「A」層の上に、延伸間グラビアコーティング(すなわち、二軸配向の2つの工程間でのコーティング)によってコーティングした。「A」層はシリカ充填された(粗い表面)PET層であり、「B」層は、透明なフィラー添加されていないPETだった。各コーティングを順次希釈し、溶液全体に対する界面活性剤量を同じに保ち、より薄い乾燥厚さをもつコーティングを作成した。希釈されていない及び希釈された組成物から作られたコーティング(それぞれA及びBと記す)の特性が、他の2つの帯電防止コーティング(3及び4、下の例2で調製した)及び5つの市販されている帯電防止コーティングされたPETフィルムについての結果とともに表3に示されている。
【0030】
【表1】
【0031】
[例2]
  コーティング組成物3及び4を表2に示すように調製し、ガラスビーズで粉砕した13Xゼオライト粒子を含む単層PETフィルムの上に、同様に延伸間コーティングをした。ここでも、各コーティングを希釈し、溶液全体に対する界面活性剤の量を同じに保ち、より薄い乾燥厚さをもつコーティングを作成した。コーティングの特性は表3に示されている。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
  上記市販フィルムは、以下の帯電防止剤を含むと考えられる:
  フィルム1:  ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)
  フィルム2:  ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩
  フィルム3:リン酸カリウム
  フィルム4:不明
  フィルム5:トリフルオロメタンスルホン酸リチウム
【0035】
  帯電防止コーティングは通常、湿潤性を有しているので、静電気が表面から容易に除去される傾向が多くの場合にある。したがって、表面抵抗率(SR)及び静電放電(SD)の測定値は、フィルムを顧客が取り扱うことを模倣するために綿布で10回フィルムを拭う前と後に、異なる相対湿度(RH)条件下で得た。それらの結果は表3に示されており、表中、より小さな数値がより良い性能を示している。
【0036】
  わかるとおり、本発明の帯電防止コーティングは、50%RH(8.9-10.0 logオーム/sq)及び35%RH(9.7-10.9 logオーム/sq)の両方で優れた表面抵抗率をもたらした。35%RHの数値はより一層重要であり、なぜなら、静電気はより乾燥した条件下でより大きな問題だからである。市販フィルムは、一桁よりも大きく変化する様々な表面抵抗率を示し、フィルム#4のみが50%及び35%RHにおいて本発明のコーティングと同程度の性能を示した。
【0037】
  しかし、市販フィルム#4は、静電気減衰の速度に関して本発明のフィルムよりも顕著に劣っており、これは表面抵抗測定よりも、使用中の性能についてより多くのことを示している。22〜24%RHにおける静電放電測定は、本発明のコーティングの優れた性能を示しており、フィルムはわずか140〜530Vまでしか帯電せず、次に急速に減衰している。帯電が初期の値の10%まで減衰するために要する時間は、最良のコーティングで約2秒以下だった。
【0038】
  市販フィルムの性能は、静電気減衰に関して大幅に異なる。最良のものは240〜440Vまでしか帯電しなかったが、1つの例外を除き、減衰時間は本発明のフィルムよりも顕著に長かった。市販フィルム#5だけが、良好な静電気減衰を示した:初期値の10%まで減衰するのに2.4秒だが、その表面抵抗率は本発明のフィルムのものよりも高かった。
【0039】
  拭った後、本発明のフィルムの表面抵抗率は、一桁のオーダーよりも小さくしか増加しなかった。静電気が10%まで減衰するための時間の増大は小さく、全く無しから約3倍の範囲だった。例外であるコーティング3Bは、最適範囲よりも下のコーティング厚さを有していた。いくつかの市販フィルム(#1及び#4)は拭った後の静電気減衰性能の喪失に抵抗した一方で、それらはそれでもなお、本発明のコーティングを用いたフィルムの最良のものよりも劣る絶対的性能を示した。
【0040】
  本発明のフィルム1Aは最良の全体特性を有しており、低い表面抵抗率、電荷を受容する低い傾向、初期電荷の10%に減衰するための2秒の時間、及び拭った後のわずかな性能の低下、を有していた。そのほかの本発明のフィルムは、全体として殆ど同様の、市販フィルムよりも全体として顕著に良好な性能を示した。
【0041】
[例3]
  界面活性剤の量は、コーティングの静電気散逸特性に顕著な影響を及ぼさない。表4は、先の例よりも低い界面活性剤量をもつコーティングであるサンプル5を示す。それを例2に記載したフィルム上にコーティングした。SR値は50%RHにおいて9.6、35%RHにおいて10.4だった。静電気減衰試験における最大の電圧は408Vであり、減衰時間は1/2への減衰までに1.79秒、1/10への減衰までに2.78秒、完全に減衰するまでに4.90秒だった。
【0042】
【表4】
【0043】
[例4]
  アクリル及びその他のエマルションをコーティングに組み込み、乾燥コーティング厚さを増大させて、帯電防止性能を保つことができる。表5は2つのコーティング配合物を示しており、これらを、マイヤーバー(Mayer bar)を使用して、充填剤が添加されていないPET上に延伸間に、1330Åの計算した乾燥コーティング厚さに適用した。帯電防止性能は非常に良好であり、表6にみられるとおりである。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
  良好な帯電防止性能がサンプル6及び7で達成され、これらの両方とも、添加されたアクリルエマルションを含んでいた。
【0047】
  本発明を具体的な態様を参照して説明及び記載しているが、本発明は示した詳細に限定されることは意図されていない。むしろ、様々な態様が、本発明から離れることなく、特許請求の範囲の均等物の範囲及び広がりのなかで詳細に作られることができる。
 
 
【手続補正書】
【提出日】2016年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  少なくともその1面上に帯電防止層を有する自己支持性ポリエステル基材フィルムを含む帯電防止ポリエステルフィルムであって、
  前記帯電防止層が、
  a)下記式(I)
【化1】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立にH又はCH
3であり、R
3は2〜10の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、R
4及びR
5はそれぞれ独立に1〜5の範囲の炭素数を有する飽和炭化水素基であり、R
6は2〜5の範囲の炭素数を有するアルキレン基であり、nは0〜40の範囲の整数であり、mは1〜40の範囲の整数であり、Y
−は、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、スルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、又はリン酸二水素イオンである)
で表される繰り返し単位を含む1以上の帯電防止ポリマー;
  b)
合計で、乾燥固形分基準で、コーティング組成物の少なくとも30質量%の、1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤
(これには界面活性剤あるいはいかなるスリップ粒子も含まれない);及び
  c)1以上の架橋剤、
を含む
コーティング組成物から形成されたものである、帯電防止ポリエステルフィルム。
 
【請求項2】
  前記帯電防止層が1以上の非イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
  前記1以上の架橋剤が複数のオキサゾリン基を有するポリマーを含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
  前記1以上の架橋剤が下記式(II)
【化2】
(式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立にH又はCH
3である)
で表される繰り返し単位を含む1以上のポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
 
【請求項5】
  前記帯電防止層がエマルションポリマーを含まない、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
  前記帯電防止層が、ポリマー架橋剤以外の非帯電防止ポリマーを含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
  前記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤が、ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム リン酸二水素塩を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
  前記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤が、ステアリン酸アミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム 硝酸塩を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
  前記1以上の非ポリマー性カチオン性帯電防止剤が、獣脂ジアミンペンタメチルジクロリドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
  R1及びR2がそれぞれHであり、R3が(CH2)3であり、nがゼロであり、R4及びR5がそれぞれCH3であり、mが1である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
  Y−がCH3SO3−である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
  R7及びR8がそれぞれHである、請求項4〜11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
  前記帯電防止層がスリップ粒子をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルム。
【国際調査報告】