(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-507010(P2017-507010A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】脊椎圧迫装置及び伸延装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20170224BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-573725(P2016-573725)
(86)(22)【出願日】2015年5月5日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】US2015029190
(87)【国際公開番号】WO2015143458
(87)【国際公開日】20150924
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516267201
【氏名又は名称】ソン,ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL62
(57)【要約】
第1の骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2の骨ネジを有する第2の身体構成要素の圧迫及び伸延のための複合装置であって、前記装置は前記第1及び第2の骨ネジヘッドの一方に固定的に連結され且つ前記第1及び第2の骨ネジヘッドの他の一方に摺動可能に連結された一つの連結ロッド、一つのロッドホルダー、及び一つの調整手段と一つの回転手段を含む一つの調整要素を含み、該調整要素が前記回転手段によって回転させられるとき、前記調整手段が前記ロッドホルダー及び隣接する骨ネジヘッドとの間の距離を強いて増加させ、前記身体構成要素に求められる圧迫または伸延を生じさせる複合装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2骨ネジを有する第2の身体要素の圧迫又は伸延のための複合ツール装置であって、該装置は:
a. 一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジであり、該第1骨ネジ及び第2骨ネジの各々は、一つのネジ、一つのカラー、及び一つのネジヘッドを含む第1骨ネジ及び第2骨ネジ;
b. 一つの連結ロッドであり、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに固定的に取り付けられ、且つ前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに摺動可能に取り付けられている連結ロッド;
c. 一つのロッドホルダーであり、前記連結ロッドと前記第1骨ネジに隣接した位置において連結されているが、該位置は前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの間ではない、ロッドホルダー;
d. 一つの回転手段及び一つの調整手段を含む一つの調整要素であり、該調整要素は前記第1骨ネジヘッドに隣接して配置されていて、前記調整要素が回転させられたとき、前記調整要素の調整手段が、前記第1骨ネジと前記ロッドホルダーの間の距離を増加させる、調整要素
を含む装置。
【請求項2】
前記調整手段が一つのカム及び一つのブレードの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転手段が六角形状の外形を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ロッドホルダーが前記連結ロッドに取り外し可能に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第1骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2骨ネジを有する第2の身体要素の圧迫又は伸延のための複合ツール装置であって、該装置は:
a. 一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジであり、該第1骨ネジ及び第2骨ネジの各々は、一つのネジ、一つのカラー、及び一つのネジヘッドを含む第1骨ネジ及び第2骨ネジ;
b. 一つの連結ロッドであり、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに固定的に取り付けられ、且つ前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに摺動可能に取り付けられている連結ロッド;
c. 一つのロッドホルダーであり、前記連結ロッドと前記第1骨ネジに隣接した位置において連結されており、該位置は前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの間である、ロッドホルダー;
d. 一つの回転手段及び一つの調整手段を含む一つの調整要素であり、該調整要素は前記第1骨ネジヘッドの上方に配置されていて、前記調整要素が回転させられたとき、前記調整要素の調整手段が、前記第1骨ネジと前記ロッドホルダーの間の距離を増加させる、調整要素
を含む装置。
【請求項6】
前記調整手段が一つのカム及び一つのブレードの少なくとも一つを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記回転手段が六角形状の外形を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ロッドホルダーが前記連結ロッドに取り外し可能に取り付けられている、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
第1骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2骨ネジを有する第2の身体要素の圧迫又は伸延のための複合ツール装置であって、該装置は:
a. 一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジであり、該第1骨ネジ及び第2骨ネジの各々は、一つのネジ、一つのカラー、及び一つのネジヘッドを含む第1骨ネジ及び第2骨ネジ;
b. 一つの連結ロッドであり、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに固定的に取り付けられ、且つ前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに摺動可能に取り付けられた連結ロッド;
c. 一つのロッドホルダーであり、前記連結ロッドと前記第1骨ネジに隣接した位置において連結されており、該位置は前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの間である、ロッドホルダー;
d. 一つの回転手段及び一つの調整手段を含む一つの調整要素であり、該調整要素は前記ロッドホルダーの上方に配置されていて、前記調整要素が回転させられたとき、前記調整要素の調整手段が、前記第1骨ネジと前記ロッドホルダーの間の距離を増加させる、調整要素
を含む装置。
【請求項10】
前記調整手段が一つのカム及び一つのブレードの少なくとも一つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記回転手段が六角形状の外形を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記ロッドホルダーが前記連結ロッドに取り外し可能に取り付けられている、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
第1骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2骨ネジを有する第2の身体要素の圧迫又は伸延のための複合ツール装置であって、該装置は:
a. 一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジであり、該第1骨ネジ及び第2骨ネジの各々は、一つのネジ、一つのカラー、及び一つのネジヘッドを含む第1骨ネジ及び第2骨ネジ;
b. 一つの連結ロッドであり、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに固定的に取り付けられ、且つ前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに摺動可能に取り付けられた連結ロッド;
c. 一つのロッドホルダーであり、該ロッドホルダーは、さらに一つの調整要素を含み、該調整要素は前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの間であって前記第1骨ネジに隣接する位置において前記連結ロッドに取り付けられており、前記調整要素は一つの調整手段を含み、前記調整要素が回転させられたとき、該調整手段が、前記ロッドホルダー及び前記第1骨ネジヘッドの間の距離を増加させる、ロッドホルダー
を含む装置。
【請求項14】
前記調整手段が一つのカム及び一つのブレードの少なくとも一つを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記回転手段が六角形状の外形を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
第1骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2骨ネジを有する第2の身体要素の圧迫又は伸延のための複合ツール装置であって、該装置は:
a. 一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジであり、該第1骨ネジ及び第2骨ネジの各々は、一つのネジ、一つのカラー、及び一つのネジヘッドを含む第1骨ネジ及び第2骨ネジ;
b. 一つの連結ロッドであり、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに固定的に取り付けられ、且つ前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに摺動可能に取り付けられた連結ロッド;
c. 一つのロッドホルダーであり、該ロッドホルダーは前記第1骨ネジに隣接して前記連結ロッドに取り付けられているが、該取り付け位置は、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの間の位置ではない、ロッドホルダー;
d. 一つの回転手段及び一つの調整手段を含む一つの調整要素であって、該調整要素は前記ロッドホルダーの上方に配置されていて、前記調整要素が回転させられたとき、前記調整要素の調整手段が、前記ロッドホルダーと一つの隣接した骨ネジヘッドの間の距離を増加させる、調整要素
を含む装置。
【請求項17】
前記調整手段が一つのカム及び一つのブレードの少なくとも一つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記回転手段が六角形状の外形を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ロッドホルダーが前記連結ロッドに取り外し可能に取り付けられている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
第1骨ネジを有する第1の身体構成要素及び第2骨ネジを有する第2の身体要素の圧迫又は伸延のための複合ツール装置であって、該装置は:
a. 一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジであり、該第1骨ネジ及び第2骨ネジの各々は、一つのネジ、一つのカラー、及び一つのネジヘッドを含む第1骨ネジ及び第2骨ネジ;
b. 一つの連結ロッドであり、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに固定的に取り付けられ、且つ前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの少なくとも一つに摺動可能に取り付けられた連結ロッド;
c. 一つのロッドホルダーであり、該ロッドホルダーは、さらに一つの調整要素を含むとともに、前記第1骨ネジに隣接した位置で前記連結ロッドに取り付けられているが、該取り付け位置は、前記第1骨ネジ及び前記第2骨ネジの間の位置ではなく、前記調整要素が一つの調整手段を含み、前記ロッドホルダーが回転させられたとき、該調整手段が、前記ロッドホルダー及び前記第1骨ネジヘッドの間の距離を増加させる、ロッドホルダー
を含む装置。
【請求項21】
前記調整手段が一つのカム及び一つのブレードの少なくとも一つを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記回転手段が六角形状の外形を含む、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照:
本出願は、ジョン ソン博士によって2014年3月7日に出願された米国非仮出願番号第14/200,785号、「脊椎圧迫及び伸延装置」の優先権を主張し、且つその内容を組み込むとともに再び述べる。前記出願は、ここにその全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
連邦支援の研究または開発に関する陳述:
適用されない。
【0003】
私たちは、本発明によって、外科手術中に体内において身体構成要素の圧迫及び伸延の両方を行うための装置を開発したものであり、この装置は当分野において既知の外科的圧迫のためのツール及び外科的伸延のためのツールより優れている。
【背景技術】
【0004】
整形外科手術の間、例えば、一例として脊椎整形外科手術の間、椎弓根ネジまたは他の骨ネジを使用することがしばしば望ましい。そのようなネジは、様々の機能を提供することができ、例えば、脊椎を安定化させること、二つまたはそれ以上の椎骨を互いに対して固定すること、またはロッド、開創器、圧迫器、及び伸延器などのような様々の機器のためのアンカー・ポイントを提供することなどである。
【0005】
整形外科手術の間、様々の身体構成要素を、しばしば互いにより離れた位置に伸延することも望ましく、例えば、二つの椎骨を、それらの間のスペースを広げるように伸延することが望ましい。伸延は、他の機能の中で、インプラントの挿入の準備として二つの椎骨の間のスペースを広げるような望ましいものとなり得る。他の状況では、様々の身体構成要素を、互いにより近い位置に圧迫することが望ましく、例えば、二つの椎骨を圧迫してそれらの間のスペースを狭めるようなことである。圧迫は、他の機能の中で、椎骨を固定するのに先立って二つの椎骨を所望の距離だけ間隔を空けるような望ましいものとなり得る。
【0006】
整形外科手術のいくつかの状況では、同じ外科的処置の間に様々の身体構成要素を伸延し及び圧迫することの両方が望まれる。時には、同じ物理的な位置で、同じ身体構成要素に対して、手術中の様々の時点において、伸延と圧迫の両方が望まれる。脊椎整形外科手術では、一例として、圧迫及び/又は伸延は、椎弓根ネジまたは他の骨ネジを用いて固定されることになる椎骨に対するものであることが望ましい。
【0007】
椎骨のような身体構成要素を伸延するように適応されたツールが当分野で既知である。当分野で既知のツールは、通常、伸延されることになる二つの身体構成要素、例えば、二つの椎骨などの間に適合するように適応された一対の先端または末端を提供するように機能する。次いで、機械的な力が、典型的には強く押すことまたは回転させることによって、伸延ツールのハンドルに加えられる。レバー、ネジ、または他の機械的動作を経て、伸延ツールはハンドルに加えられたそのような機械的な力を伸延器の先端または末端を互いに離れさせる押す力に変換する。椎骨のような身体構成要素を圧迫するように適応されたツールも同様に当分野において既知であり、そして同様ではあるが、伸延器とは全く正反対の態様で機能する。そのような圧迫ツールは、一般に、圧迫されることになる二つの身体構成要素、例えば、例として二つの椎骨の外側表面上またはその周囲に適合するように適応された一対の先端及び末端を提供するように機能する。圧迫ツールのハンドルに機械的な力が、典型的には強く押すことまたは回転させることによって、加えられる。レバー、ネジ、または他の機械的動作を経て、圧迫ツールはハンドルに加えられたそのような機械的な力を圧迫器の先端または末端を互いに近づける押す力に変換する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当分野の既知のツールには様々の欠点がある。第1に、多くの外科手術キットは、別々のツールとして、伸延器及び圧迫器を提供する。このことは、外科医及び他の外科手術スタッフにたくさんの数のツールを管理し、且つ記録することを要求することによって、外科手術を複雑にする。別々のツールを使用することは、それらツールの一つが汚染され、そして外科出術から除去しなければならなくなったときに、問題を引き起こしもする。
【0009】
伸延と圧迫の両方が可能な幾つかのツールが存在するけれども、当分野において既知の複合ツールには多くのさらなる不利益がある。例えば、当分野において既知の伸延−圧迫複合ツールは、伸延または圧迫を達成するために極めて大きな機械的力を加える必要がある。所望の伸延または圧迫を達成するためにツールの先端または末端を適正な位置に保ちつつ、伸延−圧迫複合ツールに十分な機械的力を加えることは多くの場合困難である。その上、ツールが滑り且つその結果として患者を傷つける危険性が極めて高い。そのような複合ツールは、大抵身体構成要素の所望位置に保つため、適切な位置に保持されなければならない一方、ネジや他の固定装置が実装されているため、乱雑で舵取りが困難な外科的開口をもたらし、外科医にとって不便且つ困難な結果、及び患者にとって不良転帰の危険性を増加させる結果となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、当該分野において既知の外科的圧迫及び外科的伸延ツールの欠点を、外科的現場においてツールの数を減らすことができる複合ツール装置を提供することによって克服し、並びに機械的力に対する需要及び随伴する滑りの危険性を最小化する。本研究の様々のバージョンは、整形外科手術での利用のため、及び好適には脊椎整形外科手術での利用のために適合された伸延−圧迫複合ツール装置を指向するものである。本発明の様々のバージョンは、外科手術中に身体構成要素を伸延すること及び圧迫することの両方を行うことが可能な伸延・圧迫複合ツールを含む。本発明の複合ツール装置は骨に固定されたネジ、好適には椎弓根ネジに取り付けられる。したがって、本発明の教示による複合ツール装置は、外科的処置を遂行するのに必要なツールの数を減らし、そして、その実装された骨ネジへの連結により、機械的力が加えられたときにそのツールが滑ることに随伴する危険性を除去する。さらに、本発明の様々のバージョンは、固定装置として利用することができるロッドを組み入れる。本発明の複合ツール装置は骨ネジ、及び好適には骨ネジヘッド、に直接取り付けられるので、本発明の様々のバージョンは、伸延又は圧迫ツールを使おうとする際に、別個の固定装置を導入する必要がないという付加的な利点を提供する。
【0011】
一つの実施形態では、本発明の複合ツール装置は、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドに取り付けられる連結ロッドを含み、これら第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドは骨に実装されていて、連結ロッドは第1骨ネジヘッドに固定的に取り付けられており、且つ第2骨ネジヘッドに摺動可能に取り付けられている。一つのロッドホルダーが、前記第1骨ネジヘッドと前記第2骨ネジヘッドの間の点で前記接続ロッドに取り付けられており、前記第1骨ネジヘッド又は前記第2骨ネジヘッドのいずれかと隣接していて、且つ通常前記第1及び第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素が骨ネジヘッドに取り付けられており、前記骨ネジヘッドの上方を、前記調整要素を滑らせることによって、ロッドホルダーが前記骨ネジヘッドに隣接結合される。一つの回転手段によって調整要素が回転させられると、調整要素の一部がロッドホルダーを押し、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドをして互いに離れるように強いて移動させ、そしてその結果、それに対して第1及び第2骨ネジが連結されている身体構成要素を逸らす。
【0012】
もう一つの実施形態では、複合ツール装置は、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドに取り付けられた一つの連結ロッドを含み、該第1及び第2ネジヘッドは骨に実装されていて、その連結ロッドは第1骨ネジヘッドに固定的に取り付けられているとともに、第2骨ネジヘッドに摺動可能に取り付けられている。一つのロッドホルダーが、前記第1骨ネジヘッド又は前記第2骨ネジヘッドのいずれかに隣接した点において前記連結ロッドに取り付けられているが、それが取り付けられている点は前記第1骨ネジヘッド及び前記第2骨ネジヘッドの間ではなく、且つ通常前記第1及び第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素が骨ネジヘッドに取り付けられており、ロッドホルダーは前記骨ネジヘッドの上方で前記調整要素を滑らせることによってその骨ネジヘッドに隣接して連結される。調整要素が一つの回転手段によって回転させられると、その調整要素の一部がロッドホルダーを押し、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドをして強いて互いが近づくように移動させ、その結果として骨ネジが接続された身体構成要素を圧迫する。
【0013】
別の実施形態では、複合ツール装置は、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドに取り付けられた一つの連結ロッドを含み、これらの前記第1及び第2骨ネジヘッドは骨に実装されていて、その連結ロッドは第1骨ネジヘッドに固定的に取り付けられているとともに、第2骨ネジヘッドには摺動可能に取り付けられている。一つのロッドホルダーが、前記第1骨ネジヘッド及び前記第2骨ネジヘッドの間の点において前記連結ロッドに取り付けられており、前記ロッドホルダーは前記第1及び第2骨ネジヘッドの間に存在するように配置され、前記第1骨ネジヘッド又は第2骨ネジヘッドに隣接していて、且つ通常前記第1及び第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素がロッドホルダーに取り付けられている。任意に、調整要素は、該調整要素を前記ロッドホルダーの上方で滑らせることによってロッドホルダーに取り付けられる。もう一つの方法として、前記ロッドホルダーは前記調整要素を含むことができる。調整要素が回転手段によって回転させられると、調整要素の一部が、前記ロッドホルダーが隣接する骨ネジヘッドを押し、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドをして強いて互いに遠ざかるように移動させ、その結果として骨ネジが連結されている身体構成要素を逸らせる。
【0014】
さらに別の実施形態では、本発明は、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドに取り付けられた一つの連結ロッドを含み、これらの前記第1及び第2骨ネジヘッドは骨に実装されていて、連結ロッドが第1骨ネジヘッドに固定的に取り付けられているとともに、第2骨ネジヘッドには摺動可能に取り付けられている。一つのロッドホルダーが、前記第1骨ネジヘッド又は前記第2骨ネジヘッドのいずれかに隣接した点において前記連結ロッドに取り付けられているが、それが取り付けられている点は前記第1骨ネジヘッド及び前記第2骨ネジヘッドの間ではなく、且つ通常前記第1及び第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素がロッドホルダーに取り付けられている。任意に、調整要素は、該調整要素を前記ロッドホルダーの上方で滑らせることによってロッドホルダーに取り付けられる。任意に、前記ロッドホルダーは一つの調整要素を含むことができる。調整要素が回転手段によって回転させられると、調整要素の一部が、前記ロッドホルダーが隣接する骨ネジヘッドを押し、第1骨ネジヘッド及び第2骨ネジヘッドをして強いて互いに近づくように移動させ、その結果として骨ネジが連結されている身体構成要素を圧迫する。
【0015】
上記のまとめ及び記載、並びに以下に述べる請求項、及び添付図では、本発明の特定の機能が参照される。この明細書における本発明の開示は、そのような特定の機能の全ての可能な組み合わせを含むものであると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明に関するこれらの及びその他の特徴、側面、及び利点が、以下の記載及び添付図に関して、より良く理解されるようになるであろう。
【
図1】
図1は伸延のために適合された本発明の一つのバージョンの斜視図であり、そこでは調整要素が一つの第1骨ネジヘッドに取り付けられている。
【
図2】
図2は圧迫のために適合された本発明の一つのバージョンの斜視図であり、そこでは調整要素が一つの第1骨ネジヘッドに取り付けられている。
【
図3】
図3は伸延のために適合された本発明の一つのバージョンの斜視図であり、そこでは調整要素がロッドホルダーに取り付けられている。
【
図4】
図4は圧迫のために適合された本発明の一つのバージョンの斜視図であり、そこでは調整要素がロッドホルダーに取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本複合ツール装置の実施形態は外科的手術中における身体構成要素の伸延及び圧迫のための装置を指向するものであり、前記装置は、身体構成要素に実装された骨ネジを利用して、身体構成要素を伸延させ、又は圧迫する。好適な実施形態では、複合ツールは、脊椎整形外科手術との関連で利用されるように適合されており、そして骨ネジは椎骨内に実装された椎弓根ネジである。
【0018】
本発明のバージョンの「骨ネジ」は、当業者によって認められるように、骨への固定のために適合されたネジである。本明細書内に記載されているように、本発明のバージョンの「骨ネジ」は、骨に対する固定のために適合された一つのネジを含み、また一つのネジヘッドをも含むものであって、本明細書に記載されているように、該ネジヘッドは、前記ネジから外側に向かって延在する一つの細長い要素であり、且つ一つの調整要素(3)と回転可能な結合を提供するように適合されている。本発明の実施形態は、一つの第1骨ネジ及び一つの第2骨ネジを含み、これらは一つの第1骨ネジヘッド(1)及び第2骨ネジヘッド(2)を含む。好適には、第1及び第2骨ネジは椎骨内に実装され、そして最も好適には、隣接する椎骨内に実装される。さらに好適には、第1及び第2骨ネジは椎弓根ネジである。他の形態及び型のネジを本発明の範囲内で利用することができ、それは当業者には明白であろう。
【0019】
「連結ロッド」(5)は、少なくとも第1骨ネジ(1)及び第2骨ネジ(2)に取り付けられるように適合された一つのロッドである。好適には、連結ロッド(5)は骨ネジヘッドに取り付けられるよう適合されている。連結ロッド(5)は、少なくとも第1及び第2骨ネジヘッドの一つに固定的に取り付けられ、且つ少なくとも第1及び第2骨ネジヘッドの一つに摺動可能に取り付けられる。好適には、連結ロッド(5)は椎骨の一時的又は永久的固定、当業者によって認められるであろう、骨癒合処置など、のために用いられる一つの金属ロッドである。
【0020】
前記連結ロッド(5)及び前記第1又は第2骨ネジヘッド間の固定的な取り付けは、当業者によって認められるように、多様な機械的結合手段によって達成することができる。好適には、第1及び第2骨ネジヘッドの少なくとも一つは、一部に一つのカラー(7)を含み、該カラーは、一部に一つの空孔(8)を含むものであり、前記カラー(7)はさらに一つの位置決めネジ(9)を含んでいて、前記連結ロッド(5)が前記空孔(8)の中に、又はその中を通って置かれ、且つ前記位置決めネジ(9)が締められたとき、前記連結ロッド(5)及び前記骨ネジヘッドが固定的に結合される。当業者によって理解されるように、このような態様で達成される固定的取り付けは、位置決めネジ(9)を緩めることによって分離することができる。
【0021】
前記連結ロッド(5)と前記第1又は第2骨ネジヘッド間の摺動可能な取り付けは、当業者によって認められるように、多様な機械的連結手段によって達成することができる。好適には、前記第1又は第2骨ネジヘッドの少なくとも一つは、一部に開口部(11)を含み、前記連結ロッド(5)が該開口部(11)を摺動的に通り抜けることができるように適合されている。当業者によって認められるように、カラー(7)及び開口部(11)は、当該分野で知られている骨ネジの鞍部又はチューリップに含まれ得る。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態による「ロッドホルダー」(13)は、その遠位端において連結ロッド(5)に取り外し可能に連結するために適合され、且つ調整要素(3)との回転可能な連結を提供するように形成された一つの細長い要素を含む。本発明のこれらの実施形態による「ロッドホルダー」(13)は、当業者によって理解されるように、あらゆる取外し可能な機械的手段によって連結ロッド(5)に接続することができる。好適には、これらの実施形態における前記ロッドホルダー(13)は、前記連結ロッド(5)にスロット(15)の方法を用いて、前記ロッドホルダー(13)の遠位端で連結するように適合されており、前記ロッドホルダー(13)の遠位端が、前記連結ロッド(5)に対して押されたとき、前記スロット(15)が、前記ロッドホルダー(13)及び前記連結ロッド(5)との間ですり合わせ(friction fit)を形成するように適合されている。好適には、これらの実施形態において、前記ロッドホルダー(13)が前記連結ロッド(5)と連結状態にあるとき、前記ロッドホルダー(13)は、通常前記第1及び第2骨ネジヘッドと同軸に延在している。任意に、前記ロッドホルダー(13)は、うね、こぶ、出縁、ピン、ネジ山、又は他の特徴であって調整要素(3)が回転させられるとき、それに対して圧力を及ぼすことができるような表面を提供するように適合された前記連結ロッド(5)に必須の特徴を含むことができる。当業者によって理解されるように、連結ロッド(5)に取り付けられたロッドホルダー(13)へのここでの参照は、ロッドホルダー(13)が連結ロッド(5)とは別の一つの細長い要素を含む実施形態への参照とともに、ロッドホルダー(13)が、うね、こぶ、出縁、ピン、ネジ山、又は前記連結ロッド(5)にとって必須な他の特徴を含む実施形態を参照する。
【0023】
本発明のバージョンによる「調整要素」(3)は、一つの細長い筒状の要素であって、該調整要素の遠位端近傍に調整のための一つの手段を含み、且つさらに該調整要素(3)の近位端又はその近傍に一つの回転手段(21)を含む。調整のための手段は、好適には一つのカム(19)又は一つのブレードであるが、調整要素の回転運動を、該調整要素(3)におおよそ垂直な直線運動に変換するためのどのような手段であってもよい。当業者によって理解されるように、調整のための適切な手段は、クランク、ラチェット、斜板、その他同種類のものを含む。
【0024】
回転手段(21)は、当業者によって理解されるように、調整要素(3)をその中央縦軸の周りで回転させるどのような手段であってもよい。好適には、回転手段(21)は、調整要素の近位端において、一つの六角形状の外形又はハンドルを含み得るものであり、当業者によって理解されるように、該調整要素(3)の回転を容易にする一つのレンチ又はラチェットと噛み合うことができる。任意に、回転手段(21)は、T−ハンドル又は調整要素の回転を容易にするように適合された他のデバイスとし得る。
【0025】
前記ロッドホルダー(13)は、任意に調整要素(3)を含むことができる。本発明のこれらの実施形態では、前記ロッドホルダー(13)は前記連結ロッド(5)に取り外し可能に取り付けることができるが、前記ロッドホルダー(13)がその縦軸に対して回転することを許すピボット又はベアリングをも含み得る。任意に、前記ロッドホルダー(13)は、前記連結ロッド(5)に回転可能に取り付けることができる。ロッドホルダー(13)が一つの調整要素(3)を含む本発明のバージョンでは、ロッドホルダーは、さらに一つの回転手段(21)及び一つの調整手段を含み、それは一つのカム(19)又はブレードなどである。
【0026】
図1に図示したように、一つの実施形態では、複合ツール装置は、第1骨ネジヘッド(1)に摺動可能に、且つ第2骨ネジヘッドに固定的に取り付けられた一つの連結ロッド(5)を含み、これら骨ネジは骨に実装されている。一つのロッドホルダー(13)が、前記第1骨ネジヘッド(1)と前記第2骨ネジヘッド(2)の間のある点において前記連結ロッド(5)に取り付けられており、前記ロッドホルダー(13)は、通常前記第1又は第2骨ネジヘッドに隣接しているとともに、通常前記第1又は第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素(3)が、前記ネジヘッド上で該調整要素(3)を滑らせることによってロッドホルダー(5)が隣接して連結される該ネジヘッドに取り付けられる。前記調整要素(3)が回転手段(21)によって回転させられるとき、調整手段(19)はロッドホルダー(13)を押し、第1骨ネジヘッド(1)及び第2骨ネジヘッドをして強いて互いに離れるように移動させ、その結果として、第1及び第2骨ネジヘッドが結合されている身体構成要素を逸らせる。
【0027】
図2に図示するように、もう一つの実施形態では、複合ツール装置は、少なくとも第1骨ネジヘッド(1)及び第2骨ネジヘッド(2)に取り付けられた一つの連結ロッド(5)を含み、前記骨ネジは骨に実装されていて、連結ロッド(5)は第1骨ネジヘッド(1)に摺動可能に取り付けられ、且つ第2骨ネジヘッド(2)には固定的に取り付けられている。一つのロッドホルダー(13)が、第1骨ネジヘッド(1)又は第2骨ネジヘッド(2)のいずれかに隣接した点で前記連結ロッド(5)に取り付けられているが、その点は、前記第1及び第2骨ネジヘッドの間にはなく、及び通常前記第1および第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素(3)は、前記ネジヘッドの上方で該調整要素(3)を滑らせることによってロッドホルダー(13)が隣接して連結される該ネジヘッドに取り付けられている。調整要素(3)が回転手段(21)によって回転させられると、調整手段はロッドホルダー(13)を押し、第1骨ネジヘッド(1)及び第2骨ネジヘッド(2)をして強いて互いに近づくように移動させ、第1及び第2骨ネジが連結されている身体構成要素を圧迫する。
【0028】
図3に図示したように、別の実施形態では、複合ツール装置は、一つの第1骨ネジヘッド(1)及び一つの第2骨ネジヘッド(2)に取り付けられた一つの連結ロッド(5)を含み、前記第1及び第2骨ネジは骨に実装されていて、連結ロッド(5)は、第1骨ネジヘッド(1)には摺動可能に取り付けられているとともに、第2骨ネジヘッド(2)には固定的に取り付けられている。一つのロッドホルダー(13)が、前記第1骨ネジヘッド(1)と前記第2骨ネジヘッド(2)の間のある点において前記連結ロッド(5)に取り付けられており、前記ロッドホルダー(13)は、前記第1骨ネジヘッド又は前記第2骨ネジヘッドに隣接しているとともに、通常前記第1又は第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素(3)は、前記ロッドホルダー(13)上で該調整要素(3)を滑らせることによってロッドホルダー(13)に取り付けられる。任意に、前記ロッドホルダー(13)は、一つの調整要素(3)を含む。調整要素(3)が回転手段(21)によって回転させられるとき、調整手段は前記ロッドホルダー(13)が隣接する骨ネジヘッドを押し、第1骨ネジヘッド(1)及び第2骨ネジヘッドをして強いて互いに離れるように移動させ、第1及び第2骨ネジヘッドが結合されている身体構成要素を逸らせる。
【0029】
図4に図示したように、もう一つの実施形態では、複合ツール装置は、一つの第1骨ネジヘッド(1)及び一つの第2骨ネジヘッド(2)に取り付けられた一つの連結ロッド(5)を含み、前記第1及び第2骨ネジヘッドは骨に実装されていて、連結ロッド(5)は、第1骨ネジヘッド(1)には摺動可能に取り付けられているとともに、第2骨ネジヘッドには(2)には固定的に取り付けられている。一つのロッドホルダー(13)が、第1骨ネジヘッド(1)又は第2骨ネジヘッド(2)のいずれかに隣接した点で前記連結ロッド(5)に取り付けられているが、その点は、前記第1及び第2骨ネジヘッドの間にはなく、及び通常前記第1および第2骨ネジヘッドと同軸である。一つの調整要素(3)は、前記ロッドホルダー(13)の上方で該調整要素(3)を滑らせることによって前記ロッドホルダー(13)に取り付けられる。任意に、前記ロッドホルダー(13)は前記調整要素(3)を含む。調整要素(3)が回転手段(21)によって回転させられるとき、該調整手段は前記ロッドホルダー(13)が隣接する骨ネジヘッドを押し、第1骨ネジヘッド(1)及び第2骨ネジヘッド(2)をして強いて互いに近づくように移動させ、並びに第1及び第2骨ネジが連結されている身体構成要素を圧迫する。
【0030】
本発明を、その適切なバーションを参照して極めて詳しく述べてきたけれども、他の複数のバージョンも可能である。例えば、他のネジ、材料、結合手段、回転手段、又は調整手段を、詳しく述べたそれらに代えて利用することができる。同様に、本発明のその他の配置バージョンを、詳しく示したそれらに代えて採用することができ、その発明を身体構成要素の圧迫又は伸延するために、ここで詳しく述べたそれらに代えて利用することができる。したがって、その精神及び特許請求の範囲は、ここに述べた好適なバージョンの記載に限定されるべきではない。
【国際調査報告】