(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-507307(P2017-507307A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】アイソレーティング・デカップラ
(51)【国際特許分類】
F16H 55/36 20060101AFI20170224BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20170224BHJP
F16D 43/21 20060101ALI20170224BHJP
F16D 41/20 20060101ALI20170224BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20170224BHJP
【FI】
F16H55/36 Z
F16D7/02 F
F16D43/21
F16D41/20 A
F16J15/16 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-573652(P2016-573652)
(86)(22)【出願日】2015年2月17日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月9日
(86)【国際出願番号】US2015016138
(87)【国際公開番号】WO2015134180
(87)【国際公開日】20150911
(31)【優先権主張番号】14/201,510
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】サーク,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3J031
3J043
3J068
【Fターム(参考)】
3J031AC01
3J031BA19
3J031CA03
3J043AA02
3J043CA03
3J068AA02
3J068AA07
3J068BA02
3J068EE12
(57)【要約】
シャフトと、シャフトに軸支されるプーリと、プーリとキャリアとの間に係合され、巻き戻し方向に負荷が掛けられる捩じりスプリングとを備え、キャリアが、第1スプリングリングと係合され、第1スプリングリングが、第2スプリングリングと直列に係合され、第2スプリングリングが、ラップスプリングと直列に係合され、ラップスプリングが、シャフト面と摩擦係合可能であり、第1スプリングリング、第2スプリングリング、ラップスプリングが、各々、巻き戻し方向に負荷が掛けられ、プーリと密接するように加速状態において径方向に拡張可能なシール部材を備え、シール部材が、加速状態にないときシャフトに係合されるアイソレータ・デカップラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに軸支されるプーリと、
前記プーリとキャリアとの間に係合され、巻き戻し方向に負荷が掛けられる捩じりスプリングとを備え、
前記キャリアは、第1スプリングリングと係合され、
前記第1スプリングリングは、第2スプリングリングと直列に係合され、
前記第2スプリングリングは、ラップスプリングと直列に係合され、
前記ラップスプリングは、シャフト面と摩擦係合可能であり、
前記第1スプリングリング、前記第2スプリングリング、前記ラップスプリングは、各々、巻き戻し方向に負荷が掛けられ、
前記プーリと密接するように加速状態において径方向に拡張可能なシール部材を備え、前記シール部材は、加速状態にないとき前記シャフトに係合される
ことを特徴とするアイソレータ・デカップラ。
【請求項2】
前記プーリが、前記ラップスプリングの一端と一時的に係合可能な部材を備え、それにより、前記ラップスプリングと前記シャフトとの間の摩擦係合の強さが、前記プーリに掛かるトルクの増大に応じて前進的に低減されることを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項3】
前記シール部材が、実質的に前記ラップスプリングから径方向外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項4】
前記シール部材が、螺旋コイルを含むことを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項5】
前記第1スプリングリングが、360度未満のループを含むことを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項6】
前記第2スプリングリングが、360度未満のループを含むことを特徴とする請求項5に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項7】
加速下の前記シール部材が、前記シャフトから離接することを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項8】
シャフトと、
前記シャフトに軸支されるプーリと、
前記プーリとキャリアとの間に係合され、巻き戻し方向に負荷が掛けられる捩じりスプリングとを備え、
前記キャリアは、第1スプリングリングと係合され、
前記第1スプリングリングは、第2スプリングリングと直列に係合され、
前記第2スプリングリングは、ラップスプリングと直列に係合され、
前記ラップスプリングは、シャフト面と摩擦係合可能であり、
前記第1スプリングリング、前記第2スプリングリング、前記ラップスプリングは、各々、巻き戻し方向に負荷が掛けられ、
前記プーリを接触するように加速状態において径方向に拡張するシール部材を備え、前記シール部材は、加速状態にないとき前記シャフトに係合され、
前記プーリは、所定の入力トルクにおいて前記ラップスプリングの一端と一時的に係合可能な部材を備え、それにより、前記ラップスプリングと前記シャフトとの間の摩擦係合の強さが、前記プーリに掛かる前記所定の入力トルクの増大に応じて前進的に低減される
ことを特徴とするアイソレータ・デカップラ。
【請求項9】
前記シール部材が、螺旋コイルを含むことを特徴とする請求項8に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項10】
前記第1スプリングリングが、360度未満のループを含むことを特徴とする請求項9に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項11】
前記第2スプリングリングが、360度未満のループを含むことを特徴とする請求項10に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項12】
加速下において、前記シール部材が前記シャフトから離接することを特徴とする請求項8に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項13】
シャフトと、
前記シャフトに軸支されるプーリと、
前記プーリとキャリアとの間に係合され、巻き戻し方向に負荷が掛けられる捩じりスプリングとを備え、
前記キャリアは、第1スプリングリングと係合され、
前記第1スプリングリングは、第2スプリングリングと直列に係合され、
前記第2スプリングリングは、ラップスプリングと直列に係合され、
前記ラップスプリングは、シャフト面と摩擦係合可能であり、
前記第1スプリングリング、前記第2スプリングリング、前記ラップスプリングは、各々、巻き戻し方向に負荷が掛けられ、
前記プーリを接触するように加速状態において径方向に拡張するシール部材を備え、前記シール部材は、加速状態にないとき前記シャフトに係合され、前記シール部材は、加速状態において前記シャフトから離接し、
前記プーリは、所定の入力トルクにおいて前記ラップスプリングの一端と一時的に係合可能な部材を備え、それにより、前記ラップスプリングと前記シャフトとの間の摩擦係合の強さが、前記プーリに掛かる前記所定の入力トルクの増大に応じて前進的に低減される
ことを特徴とするアイソレータ・デカップラ。
【請求項14】
前記シール部材が、螺旋コイルを含むことを特徴とする請求項13に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項15】
前記第1スプリングリングが、360度未満のループを含むことを特徴とする請求項13記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項16】
前記第2スプリングリングが、360度未満のループを含むことを特徴とする請求項13に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項17】
前記ラップスプリングが、前記シャフト面の径方向内側に配置されることを特徴とする請求項13に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項18】
シャフトと、
前記シャフトに軸支されるプーリと、
前記プーリと一方向クラッチ機構との間に係合され、巻き戻し方向に負荷が掛けられる捩じりスプリングとを備え、
前記一方向クラッチ機構は、前記シャフトに摩擦係合され、
前記プーリに密接するように加速状態において径方向に拡張可能であり、そして前記シャフトから離接するシール部材を備え、前記シール部材は、加速状態にないとき前記シャフトに係合される
ことを特徴とするアイソレータ・デカップラ。
【請求項19】
前記一方向クラッチ機構が、
前記捩じりスプリングと第1プリングリングに係合されたキャリアを備え、
前記第1スプリングリングは、第2スプリングリングと直列に係合され、
前記第2スプリングリングは、ラップスプリングと直列に係合され、
前記ラップスプリングは、シャフト面と摩擦係合可能であり、
前記第1スプリングリング、前記第2スプリングリング、前記ラップスプリングは、各々、巻き戻し方向に負荷が掛けられ、
前記プーリは、所定の入力トルクにおいて前記ラップスプリングの一端と一時的に係合可能な部材を備え、それにより、前記ラップスプリングと前記シャフトとの間の摩擦係合の強さが、前記プーリに掛かる前記所定の入力トルクの増大に応じて前進的に低減される
ことを特徴とする請求項18に記載のアイソレータ・デカップラ。
【請求項20】
前記シール部材が、螺旋コイルを含むことを特徴とする請求項18に記載のアイソレータ・デカップラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイソレーティング・デカップラに関し、より具体的には、加速時に径方向に拡張してプーリに密接するシール部材を備えるアイソレーティング・デカップラに関する。
【背景技術】
【0002】
よりよい燃費のために、乗用車のアプリケーションでのディーゼルエンジンの利用が増大している。更に、ガソリンエンジンは、燃料効率を高めるために圧縮比を増大している。その結果、ディーゼルおよびガソリンエンジンの補機駆動システムは、上述したエンジンの変更に伴うクランクシャフトからのより強い振動を克服しなくてはならない。
【0003】
クランクシャフトの振動の増大に加え、高い加速/減速比と大きなオルタネータ慣性により、エンジン補機駆動システムは、しばしばベルトスリップによるチャープ音を発生する。これはベルト運転寿命を短くする。
【0004】
クランクシャフト・アイソレータ/デカップラとオルタネータ・デカップラ/アイソレータは、大きな捩じり振動を伴うエンジンにおいて、エンジンの運転速度の範囲における振動を濾波し、かつベルトのチャープ音を抑制するために広く利用されている。
【0005】
この技術の代表は、米国特許第8,534,438号明細書であり、これは従動および原動部材を備えるデカップラ、クラッチ、捩じり振動ダンパ、および潤滑剤を開示する。クラッチは、従動部材のボア内に収容され、キャリア、ラップスプリング(wrap spring)、そして少なくとも1つのスプリングを備える。ラップスプリングは、スプリングワイヤから形成され、キャリアの溝に受け入れられる第1端部と第2端部の間に配置される複数のコイルを備える。キャリアの外側のラップスプリングの部分は、ボアの内周面に当接する外周スプリング面を備える。上記少なくとも1つのスプリングは、原動部材からキャリアへと回転力を伝達するためにキャリアと原動部材との間に配置される。捩じり振動ダンパは、それとともに回転するため原動部材に連結される。潤滑剤は、ラップスプリングの残りの部分に配置される。
【0006】
必要とされているのは、加速時に径方向に拡張してプーリに密接するシール部材を備えるアイソレーティング・デカップラである。本発明はこの要求に合致する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、加速時に径方向に拡張してプーリに密接するシール部材を備えるアイソレーティング・デカップラを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、本発明の以下の詳細な説明と添付図面により指摘され明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シャフトと、シャフトに軸支されるプーリと、プーリとキャリアとの間に係合され、巻き戻し方向に負荷が掛けられる捩じりスプリングとを備え、キャリアが、第1スプリングリングと係合され、第1スプリングリングが、第2スプリングリングと直列に係合され、第2スプリングリングが、ラップスプリングと直列に係合され、ラップスプリングが、シャフト面と摩擦係合可能であり、第1スプリングリング、第2スプリングリング、ラップスプリングが、各々、巻き戻し方向に負荷が掛けられ、プーリと密接するように加速状態において径方向に拡張可能なシール部材を備え、シール部材が、加速状態にないときシャフトに係合されるアイソレータ・デカップラを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本装置の斜視図である。
図2は、本装置の断面図である。アイソレーティング・デカップラ100は、ベアリング7のシャフト1に軸支されるプーリ2を備える。捩じりスプリング10の一端78は、プーリ2に係合する。捩じりスプリング10の他端77は、部分770でキャリア9に係合する。捩じりスプリング10は、巻き戻し方向に負荷が掛けられる。
【0012】
プーリ2は、端部キャップ5と端部52の間のシャフト1に保持される。スラストワッシャ3は、端部キャップ5とプーリ2の間に配置される。キャリア9は、ブッシュ22に押し当てられる。ブッシュ22は、端部52に係合する。ラップスプリング11は、シャフト部50の内側面に摩擦係合する。スプリングリング12は、スプリングリング13に直列して係合し、ラップスプリング11に直列に係合する。
【0013】
端部キャップ5は、アイソレーティング・デカップラ100を例えば、オルタネータ(不図示)などの従動負荷に対して軸方向に配置する。ダイナミック・シール33は、プーリ2とシャフト部50の間に配置される。
【0014】
トルクは、プーリ2から捩じりスプリング10、一方向クラッチ組立体500を介してシャフト1に伝達される。一方向クラッチ組立体500は、キャリア9、スプリングリング13、スプリングリング12、ラップスプリング11を備える。
【0015】
キャリア9は、捩じりスプリング10の端部77に接点770で接触し、ラップスプリング11、スプリングリング12、スプリングリング13は、キャリア9内に取り付けられる。ラップスプリング11は、2つの端部を有する。第1端部85は、トルクを制限し、端部89はトルクを受け取る。
【0016】
ラップスプリング11は、シャフト表面53へのラップスプリング11の外向きの拡張により生じる摩擦係合によりトルクを伝達する。ラップスプリング11は、巻き戻し方向に負荷が掛けられる。ラップスプリング11は、シャフト表面53の径方向内側に配置される。ラップスプリング11の径方向外側への拡張は、捩じりスプリング10、キャリア9、スプリングリング13とスプリングリング12の各々を順次通した、プーリ2から掛けられる負荷により発生する。静止位置では、ラップスプリング11は、シャフト表面53と軽く引き摺るように係合する。
【0017】
図5Aは、過トルクでのリリース状態の詳細である。
図5Bは、過トルクでのリリース状態の詳細である。通常の運転では、ラップスプリング11の端部85は、プーリ2とは接触しない。プーリ2を通して本装置に入力するトルクが増大すると、プーリ2のタブ68の端部85に対する距離は減少する。所定のトルク入力で接触すると、タブ68と端部85との間の接触は、ラップスプリング11をシャフト表面53から漸次に非接触とし、それによりプーリ2が「スリップ」してシャフト1を追い越すことを可能にする。タブ68の更なる相対運動は、ラップスプリング11の巻き方向への移動を引き起こし、これはラップスプリング11の外径を減少させ、それによりシャフト表面53からラップスプリング11を漸次非接触とし、ラップスプリングとシャフトとの間の摩擦係合の度合が漸次低減する。このリリース機能は、本装置を過トルク状態から保護する。
【0018】
図6Bは、クラッチ機構の詳細である。キャリア9は、部分91においてスプリングリング13と係合する。スプリングリング13の断面寸法は、約1.4mm×1.4mmである。スプリングリング13は、約300度から360度であり、完全な1巻に満たない。スプリングリング13は、スプリングリング端部213におけるキャリア部91との接触により負荷が掛けられる(
図6B参照)。スプリングリング13の他端(出力端)212は、スプリングリング12の入力端214と接触している。スプリングリング12は、約300度から360度であり、完全な1巻に満たない。
【0019】
端部212において、リング13と12の間の荷重は、低減されたその接線方向バネ定数により、捩じりスプリング10により引き起こされる最大トルクよりも2〜2.5倍少ないトルクを発生する。これはスプリングリング13とシャフト1の間の摩擦が約8〜10Nmのトルクを発生するからである。スプリングリング12は、それにより出力端部から入力端部へのトルクを、その低減された接線方向バネ定数により付加的に2〜2.5倍に低減する。スプリングリング端215とラップスプリング入力端89の接触では、約2〜3Nmのトルクを発生する圧縮力が存在する。
【0020】
スプリングリング12の断面寸法は、約0.7mm×1.4mmの寸法であり、スプリングリング13のそれの約半分である。ラップスプリング11の断面寸法は、約0.5mm×1.0mmである。ラップスプリング11は、9〜10の螺旋コイルを有するが、要求される運転特性に応じてその数は少なくとも多くともよい。したがって、スプリングリング13の接線方向バネ定数が、スプリングリング12の接線方向バネ定数よりも大きい。スプリングリング12の接線方向バネ定数は、ラップスプリング11の接線方向バネ定数よりも大きい。スプリングリング13、スプリングリング12、ラップスプリング11は、直列的に接続される。
【0021】
「接線方向バネ定数」は、スプリングリングの各端部に接線方向に、スプリングリングと同一面内で反対向きの力が掛かったときのスプリングリングのバネ定数のことであり、そのためスプリングリングの両端を離間する方向へ押しやる効果がある。
【0022】
ダイナミック・シール33は、プーリ2の内側面51とシャフト1の部分50の外側面35の間に配置される。
図7は、ダイナミック・シールの斜視図である。ダイナミック・シール33は、螺旋シール部材39を備える。プーリ2は、内側面51と相対面41、面42を有する溝34を備える。シール部材39は、相対面41と相対面42の間のシャフト部分50の外側面35に押し当てられる。
【0023】
螺旋シール部材39は、複数の螺旋コイルを備える。部材39は、寸法比約2:1の長方形の断面を有する。これは、回転軸A−Aに対する径方向に相対的に高い剛性を与える。螺旋シール部材39の静止時半径は、面35の半径よりも小さく、そのため部材39は、面35に押し当てられる。螺旋シール部材39の両端は、溝34の相対面41、42に接触する。運転中、本装置が回転しているとき、螺旋シール部材39は加速している。物理学では、円を描いて運動する物体は、一定速度または変化する速度の下においても加速している。加速時には、部材39は径方向に拡張し、溝34の内側面51と密接し、同時にシャフト外側面35からは離接し、部材39とシャフト外側面35の間にギャップを形成する。径方向への拡張は、螺旋コイルが加速により部分的に「巻き戻す」ことにより可能であり、これによりシール部材の半径が増大する。本発明の装置が回転しておらず、部材39が加速していない場合、部材39は収縮され、プーリ面51から離接して面35に押し当てられる。
【0024】
このシール部材の特徴は有益である。第1に、運転中は、シールとシール面との間で発生するような、シャフト1の面との如何なる摩擦も必要でない。典型的には、シールとシール面は、相対運動を行う。摩擦は熱を発生させ、構成部を摩耗し、汚染デブリを生成する。シールとシール面の非係合は、部材39が面35と係合し続けると存在する摩擦を除去する。第2に、運転中において、摩耗デブリ、汚染物質や他の粒子を排出するために、デカップラの内部構造を換気することが望ましい。そのため本装置は、運転されていない状態における汚損を防止し、運転中に本装置の冷却換気が可能な特異な可動シーリングを備える。
【0025】
ここで本発明の1つの構成が説明されたが、当業者であれば、ここで説明された発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その構成、パーツ間の関係、方法に様々な変更ができることは明らかである。
【国際調査報告】