特表2017-507457(P2017-507457A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-507457ループ状ばね部分を備えるコンタクト要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-507457(P2017-507457A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(54)【発明の名称】ループ状ばね部分を備えるコンタクト要素
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/115 20060101AFI20170224BHJP
【FI】
   H01R13/115 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-552621(P2016-552621)
(86)(22)【出願日】2015年2月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015016564
(87)【国際公開番号】WO2015127040
(87)【国際公開日】20150827
(31)【優先権主張番号】61/941,727
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100189360
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 昭典
(72)【発明者】
【氏名】リスティング,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ライン,デイビット,ジェームズ
(57)【要約】
接続端部(16)および接触端部(18)を有するループ状ばね部分(14)を備える、電気コネクタ(76)用の電気コンタクト(1)であって、接触端部(18)が接続端部(16)に向けて曲げ戻されており、ループ状ばね部分(14)が、接触端部(18)において、相手側コネクタ(78)の対応する相手側電気コンタクト(2)に接触するように適合される少なくとも1つの接触領域(8)を備える、電気コンタクト(1)が開示される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状ばね部分(14)を備える、電気コネクタ(76)用の電気コンタクト(1)であって、
前記ループ状ばね部分(14)が接続端部(16)および接触端部(18)を有し、
前記接触端部(18)が前記接続端部(16)に向けて曲げ戻されており、
前記ループ状ばね部分(14)が、前記接触端部(18)において、相手側コネクタ(78)の対応する相手側電気コンタクト(2)に接触するように適合される少なくとも1つの接触領域(8)を備える、電気コンタクト(1)。
【請求項2】
前記ループ状ばね部分(14)が、前記接触領域(8)に向かって連続的に湾曲する一続きの領域(22)を備える、
請求項1に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項3】
前記ループ状ばね部分(14)が、近似的な円を形成するように延在する、
請求項1または2に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項4】
前記電気コンタクト(1)が、前記電気コンタクト(1)を前記電気コネクタ(76)に取り付けるように適合される第1のコンタクト基部(36)をさらに備え、前記第1のコンタクト基部(36)が、前記ループ状ばね部分(14)の前記接続端部(16)に合流する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項5】
前記接続端部(16)の一部分が、前記一続きの領域(22)の第1の湾曲方向とは反対の、第2の方向に湾曲する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項6】
前記接続端部(16)において、前記ループ状ばね部分(14)が、前記一続きの領域(22)と合流する前に、まず前記接触領域(8)から離れる方向に延在する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項7】
前記接触領域(8)が、前記接続端部(16)に対向して、これらの間に間隙(30)を有して配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項8】
前記接続端部(16)における前記電気コンタクト(1)の断面積が、前記接触端部(18)における前記電気コンタクト(1)の断面積よりも大きい、
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項9】
前記接触端部(18)において、前記ループ状ばね部分(14)が、前記接触領域(8)を含む直線的な接触部分(54)内で終端する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項10】
前記ループ状ばね部分(14)が片持ち梁式であり、前記接触端部(18)が片持ち梁式の自由端(24)である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項11】
前記接触領域(8)が、前記ループ状ばね部分(14)の自由端(24)上に配置される、
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項12】
前記接触領域(8)が、外側表面上に凸状の接触部分(12)を有し、
前記凸状の接触部分(12)は、前記ループ状ばね部分(14)および前記接続端部(16)の少なくとも一方から離れる方向に延在する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項13】
前記接続端部(16)と前記接触端部(18)との間の第1の分離距離(31)が、前記ループ状ばね部分(14)の全高(42)の約3分の1から5分の1である、
請求項1から12のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項14】
前記ループ状ばね部分(14)が、前記接触端部(18)と前記接続端部(16)との間に間隙(30)を有する円形の通路(30)を、少なくとも部分的に取り囲み画定する、
請求項1から13のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項15】
前記ループ状ばね部分(14)の断面積が、前記接触端部(18)に近接して配置された前記ループ状ばね部分(14)の断面積よりも小さい、
請求項1から14のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項16】
前記ループ状ばね部分(14)が、前記接続端部(16)から前記接触端部(18)まで延在する弧を形成し、
前記弧が少なくとも270°にわたって延在する、
請求項1から15のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項17】
前記ループ状ばね部分(14)が、互いにほぼ平行に延在する複数のコンタクト腕部(68)を含み、
各コンタクト腕部(68)が、前記接触端部(18)上に配置された少なくとも1つの接触領域(8)を有する、
請求項1から16のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項18】
各コンタクト腕部(68)が片持ち梁式であり、別個の片持ち梁式の自由端(24)において終端する、
請求項17に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項19】
前記コンタクト腕部(68)が、前記ループ状ばね部分(14)の全長の半分超にわたって延在する長さを有する、
請求項17または18のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)。
【請求項20】
嵌合方向(4)において相手側コネクタ(78)に結合されるように構成され、請求項1から19のいずれか一項に記載の電気コンタクト(1)を備えた電気コネクタ(76)であって、前記ループ状ばね部分(14)が、前記嵌合方向(4)に面しかつ前記接続端部(16)および前記接触端部(18)の前方に存在する、電気コネクタ(76)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電気コネクタ用のコンタクト要素に、より詳細には、耐振動型の電気コネクタ用のコンタクト要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気コネクタは、電気コネクタと相手側電気コネクタとが差し込まれて1つになった後で相手側電気コネクタ内に配置された相補的コンタクト要素に接触するためのコンタクト要素を収容している。これらのコンタクト要素を通して、電気コネクタから相手側電気コネクタに、エネルギーおよび/またはデータ信号を伝送しまた送り返すことができる。コンタクト要素を使用して、電気コネクタの電気シールドを相手側電気コネクタの電気シールドに接続することもできる。
【0003】
車両、電動機、または機械設備などのいくつかの実施形態では、これらの電気コネクタは強い振動に曝される。コンタクト要素が互いに対して移動できる場合、そのような振動は、電気コネクタおよび相手側コネクタのコンタクト要素を、急速に摩耗させる可能性がある。高周波の発振の振幅が低周波の発振の振幅よりもはるかに小さく、ほとんど目に見えない場合であっても、高周波の発振は、低周波の発振よりも急速にコンタクト要素を損傷する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、高周波振動に曝されたときに低減された摩耗を呈する、小さい電気コンタクト要素が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
接続端部(16)および接触端部(18)を有するループ状ばね部分(14)を備える、電気コネクタ(76)用の電気コンタクト(1)であって、接触端部(18)が接続端部(16)に向けて曲げ戻されており、ループ状ばね部分(14)が、接触端部(18)において、相手側コネクタ(78)の対応する相手側電気コンタクト(2)に接触するように適合される少なくとも1つの接触領域(8)を備える、電気コンタクト(1)。
【0006】
以下の添付の図を参照して、ここで本発明について例示により記載する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電気コンタクトの側面断面図である。
図2】最初のおよび偏向後の両方の状態における、電気コンタクトの側面断面図である。
図3】電気コンタクトを有するシールド体の断面図である。
図4】電気コンタクトの斜視図である。
図5】コンタクト要素を有するシールド体を有する電気コネクタの、側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1の実施形態では、第1のコンタクト1は、相補的な第2のコンタクト2に接続される。第1のコンタクト1は電気コネクタ(図示せず)の一部とすることができ、この電気コネクタは、コネクタを相手側コネクタに対して嵌合方向4に移動させることによって、相手側電気コネクタ(図示せず)に接続される。嵌合方向4は、第2のコンタクト2を第1のコンタクト1に対して反対方向6に移動させることに対応する。
【0009】
第1のコンタクト1は、接触領域8に沿って第2のコンタクト2に接触する。この接触領域8に沿って、第1のコンタクト1は、第2のコンタクト2に対して接触力10を及ぼす。接触力10を生成するために、第1のコンタクト1を、図1に示す偏向された状態において、弾性的に偏向させることができる。第1のコンタクト1を、金属シートから、プレス加工および/または曲げ加工により形成することができる。
【0010】
接触力10を大きくするために、接触領域8は、第2のコンタクト2に向かって凸状に湾曲する接触部分12を含む。接触部分12は、接触領域8の外側表面上に配置され、第1のコンタクト1の接続端部16(以下で説明する)から離れる方向に延在する。接触部分12は、第1のコンタクト1を冷間成形することによって生成することができる。接触部分12が球形のキャップを形成するように、接触部分12の基部を円形とすることができる。接触領域8は、接点13において、第2のコンタクト2との接触点を確立する。加えて、接触部分12は、第2のコンタクト2の表面上に配設される酸化層を貫通するのに十分な接触圧力を生成する。
【0011】
ある実施形態では、第2のコンタクト2は、嵌合方向4および/または反対方向6に沿って延在する直線状の平坦なコンタクトばねなどの単純な幾何学形状のものとすることができる。
【0012】
第1のコンタクト1は、接続端部16および接触端部18を有する、ループ状ばね部分14を有する。接触端部18は、接続端部16に向けて曲げ戻されて、ほぼ円形のループ20を形成する。このループは、少なくとも1つの一続きの領域22に沿って、コンタクト領域8に向かって連続的にかつ部分的に湾曲させることができる。ループ状ばね部分14の所与の長さに関して、湾曲の中心がループの同じ側に位置付けられる場合(以下で検討するループ20を参照)、連続的な湾曲が実現される。この場合、連続的な湾曲において、湾曲部はその基本方向を変化させない。
【0013】
図1の実施形態では、接触端部18は、3つの一続きの領域22を含み、これらを任意選択で、中間直線領域23によって接続することができる。ある実施形態(図示せず)では、接触端部18は、2つの一続きの領域22、または4つ以上の一続きの領域22を含む。ループ状ばね部分14は、巻かれた板ばねを形成する。
【0014】
連続的に湾曲した領域22がいくつか存在する実施形態では、接触領域8から最も離れている湾曲した領域22は、同じサイズの近似した湾曲を有するであろうそれ以外の湾曲した領域22よりも、小さい湾曲を有する。湾曲した領域22は、1つにまとめると、中央領域22に対応する。中央領域22は、比較的小さい半径を有することができ、接続端部16の大きいてこと組み合わせると、中央領域22に対する接触力10が、中央領域22において高い度合の可撓性を生むことが可能になる。
【0015】
接触領域8は、接触端部18に近接して配置される。第1のコンタクト1は、接触端部18において終端することができ、この場合、接触端部18は片持ち梁式となる。このとき、この片持ち梁式の第1のコンタクト1に関して、接触端部18が自由端24であり、接続端部16が固定端である。ある実施形態では、接触端部18は、自由端24が接触領域8から離れる方向を指すよう湾曲するように、湾曲する。そのような構成は、第1のコンタクト1および第2のコンタクト2が、大きな距離で離間されることになる場合に有利である。一般に短波、超短波、または極超短波放射をシールドしなければならない用途において、コンタクト1とコンタクト2の間で密な間隔が必要とされるとき。そのような用途では、シールド効果(以下で説明する)が有効であるためには、シールドの間隙は、適用可能な波長の4分の1よりも大きくてはならない。
【0016】
ある実施形態では、円形のループ20は、円形のループ20の長さの延長である対向する両縁部に沿って平坦であり、この場合、第1のコンタクト1を製作する材料である板材は、図1において図面の平面から出るように曲げられることはない。
【0017】
ループ状ばね部分14は、幅方向において、嵌合方向4と直交して延在するほぼ円形の通路28を、少なくとも部分的に取り囲み画定する。円形の通路28は、接続端部16を接触端部18から第1の分離距離31だけ離して離間することにより形成される、間隙30を有する。ループ20は、接続端部16から接触端部18まで延在する、弧32を形成する。ある実施形態では、ループ状ばね部分14は、ループ20の長さの少なくとも3分の1にわたって延在し、この場合、ループ状ばね部分14の長さは、その周に沿って測定される。
【0018】
ある実施形態では、弧32は、中央領域34の周囲において、接触端部18と接続端部16との間に、60°から120°の間で延在する。ある実施形態では、弧32は、中央領域34の周囲において少なくとも約180°にわたって延在する。ある実施形態では、弧32は、中央領域34の周囲において少なくとも約225°にわたって延在する。ある実施形態では、弧32は、中央領域34の周囲において少なくとも約270°にわたって延在する。ある実施形態では、弧32は、約330°未満の中央領域34の周囲において延在する。ある実施形態では、弧32は、中央領域34の周囲において約360°未満にわたって延在し、接触端部18と接続端部16との間に十分な空間を残す。
【0019】
接続端部16を、第1のコンタクト1の第1のコンタクト基部36上に形成することができる。第1のコンタクト基部36を使用して、第1のコンタクト1を、これと関連する電気コネクタに取り付けることができる。図1の実施形態では、第1のコンタクト基部36は、ループ状ばね部分14の接続端部16と連続的に接続される。接続端部16において、ループ状ばね部分14は、ループ状ばね部分14の残りの一続きの領域22の湾曲の形状とは異なる形状を有する湾曲を有し得る。ループ状ばね部分14の接続端部において、第1のコンタクト1は、ループ状ばね部分14に向かって、接触領域8から離れる方向に延在し得る。第1のコンタクト基部36を、たとえば、ブレード状またはピン状とすることができ、第1のコンタクト基部36を、電気コネクタ76上に配設されたコンタクト座部内に据えることができるようになっている。図3の実施形態では、第1のコンタクト基部36を、コネクタシールド58(以下で検討する)などの電気コネクタのハウジング要素に、連続的に接続することができる。
【0020】
ループ状ばね部分14の第1のコンタクトの高さ42は、嵌合方向4に対して垂直な方向において、接触領域8とループ20における接触領域8から最も離れた点との間の距離として規定される。その場合、接触領域8と接触端部18との間の距離に対応する分離距離44は、この高さの半分未満である。ある実施形態では、分離距離44は、第1のコンタクトの高さ42の5分の1から3分の1の間である。接続端部16と接触領域8との間の第1の分離距離31は、接続端部16とループ状ばね部分14の外側ばね領域50との間の第2の分離距離48よりも小さくすることができる。前記外側ばね領域50は、ばね部分14の、接触領域8から最も遠く離れて配置される領域である。ある実施形態では、第2の分離距離48は、距離46の半分未満であり、好ましくは距離46の5分の1から3分の1の間である。
【0021】
図1の実施形態では、円形の通路28の平面52における接触領域8の移動のために、高い度合の可撓性が望まれる。この可撓性の方向性、すなわち、嵌合方向4に沿ったおよびこれに対する垂直方向への接触領域8の偏向可能性は、ループ状ばね部分14の幾何学形状によって影響を受ける。円形の一部に近似したまたはこれに対応する外側輪郭を有するループ状ばね部分14を使用することによって、これらの2つの方向においてバランスのとれた可撓性を達成できる。長くすることによってなど、この形状から逸脱することにより、可撓性の方向に影響を及ぼすことができる。少なくとも1つの直線状の中間領域23を追加することによって、および/または、端部において自由端24における接触領域8で終端する直線的な接触部分54内で終わる、ループ状ばね部分14を有することによって、可撓性に影響を及ぼすこともできる。
【0022】
直線的な接触部分54は、接近傾斜部としての役割も果たし得る。対向する第2のコンタクト2が取り除かれ、ループ状ばね部分14が弛緩した状態にある場合、直線的な接触部分54は、嵌合方向4の反対方向に傾斜することができ、自由端24は、嵌合方向4の反対方向に面する。したがって、第1のコンタクト1および第2のコンタクト2を1つに合わせているときに、第2のコンタクト2の嵌合端部56はまず直線的な接触部分54に接触することができ、次いで、ループ状ばね部分14を図1に示す形状に弾性変形させることにより、直線的な接触部分54に沿って、接触領域8に達するまで摺動することができる。この時点で、直線的な接触部分54を、ほぼ嵌合方向4と平行に配向することができる。
【0023】
ループ20、または円形の通路28を、接続端部16および/または接触端部18の背後に配置することができる。ループ20は、嵌合方向4に面することにより、第1のコンタクト1の最も前方の部分となることができる。
【0024】
図1の実施形態では、第1のコンタクト1は、高振動の環境での使用に特に適している。この高振動の環境では、高周波振動が接触領域8と第2のコンタクト2との間の静止摩擦に打ち勝つ危険が存在する。このことから、接触領域8と第2のコンタクト2との間で擦れるような相対移動が結果的に生じ、これにより、第1のコンタクト1および第2のコンタクト2の両方に、急速に摩耗がもたらされることになる。ループ状ばね部分14を使用することにより、そのような振動性の相対移動が、およびしたがって結果的な過剰な摩耗が、回避される。図2の実施形態において示すように、接触領域8が柔軟に支持され、接触力10を著しく損失することなく第2のコンタクト2のどのような振動性の移動にも追随できるので、過剰な摩耗が回避される。
【0025】
図2の実施形態では、破線は、図1の実施形態において示す弛緩した位置にある、第1のコンタクト1を示す。太線で、第2のコンタクト2の振動性の移動に起因する、偏向された位置を描写する。接触領域8は、ループ状ばね部分14は変形するがこのとき接触領域8は第2のコンタクトと接触したままであるという形で、嵌合方向に沿った大きい振動振幅に応じることができる。加えて、接触領域8は、嵌合方向4に対して垂直な、幅方向における振動性の移動に追随することができる。
【0026】
図3の実施形態では、コネクタシールド58を、電気コネクタのその他の部品無しで、かつ相手側コネクタの部品無しで示す。コネクタシールド58はコンタクト受容空間60を有し、この中に、他のコンタクト要素、およびコネクタが装着されるケーブルの一部を、面39を有する3つの側面上に受容することができる。コンタクト受容開口部62を通して、相手側コネクタの構成要素を挿入することができる。図3の実施形態において示すように、コネクタシールド58を、2つの相補的なシェル状の半部64など、いくつかの部品から組み立てることができる。コネクタシールド58は、コンタクト受容開口部62の反対側の終端端部において、ケーブル(図示せず)のシールド材に接続される。コネクタシールド58を次いで、相手側コネクタの中間シールド部材(図示せず)によって、相手側コネクタが接続されるケーブルのシールドに接続することができる。
【0027】
図3の実施形態では、第1のコンタクト1は、コネクタシールド58の構造またはその構成部品に統合され、この結果、第1のコンタクト1は、そこから連続的に延在する。ある実施形態では、第1のコンタクト1およびコネクタシールド58は、同じ金属シートからプレス加工および曲げ加工することができる。接触領域8は、シールドのコンタクト受容空間60に面することおよび/またはこの中に突出することができる。ループ状ばね部分14は、コンタクト受容空間60から離れるように外向きに突き出て、コネクタシールド58の外側表面から外向きに延在することができる。第1のコンタクト1を、コネクタシールド58の嵌合端部66に配置することができ、嵌合端部66は嵌合方向4を指す。直線的な接触部分54は、嵌合方向4に対して傾斜することができる。第1のコンタクト1は、追加のコンタクト67をさらに含むことができ、これにより第2のコンタクトとのさらなる接触が保証される。
【0028】
図4の実施形態では、例外的に強い振動下にあってさえも、第1のコンタクト1と対向するコンタクト要素との間に導電性の接触が存在することを保証するために、第1のコンタクト1は、複数の接触領域8を有する。図4の実施形態では、ループ状ばね部分14を、複数のコンタクト腕部68として分割することができる。これらは平行に延び、これらの各々が、それらの外側表面上に配設された少なくとも1つの接触領域8を有する。
【0029】
コンタクト腕部68は、弧32に沿って測定されたとき、ループ状ばね部分14の全長の半分超にわたって延在する長さを有する。各コンタクト腕部68は、上に接触領域8が個々に配置される、片持ち梁式の自由端24、および、ループ状ばね部分14から連続的に延在する、反対側の片持ち梁式の固定端(符号は付さない)を有する。接触端部18におけるループ状ばね部分14の断面積は、接続端部16における第1のコンタクト1の断面積よりも小さくすることができる。このことは、第1のコンタクト1の幅72を各コンタクト腕部68において低減するが、材料厚さ74は変化させないままにしておくことによって、達成できる。材料厚さ74は、第1のコンタクト1および/またはシールド58を製造する材料である金属シートの厚さによって規定される。
【0030】
電気コネクタ76の横断面図を、図5の実施形態において示す。電気コネクタ76を、電気コネクタ76が相補的な相手側コネクタ78に嵌合している、嵌合された状態で示す。第1のコンタクト1は、相補的な第2のコンタクト2に接触する。ループ状ばね部分14は、行き止まりの端部、座部、または当業者に知られている他の類似の構造特徴部などの受容空間80内に、外向きに突き出る。
【0031】
図4の実施形態では、コネクタシールド58は、スリーブ状の形状のものとすることができ、ケーブル82に、特にそのケーブル82のケーブルシールド84を通して、電気的に接続され得る。
【0032】
当業者であれば、上記の実施形態が例示となることを意図しており、制限的であることを意図していないことを理解するであろう。たとえば、当業者は上記の実施形態に対して多くの修正を行うことができ、また、異なる実施形態において記載された様々な特徴を、構成または原理において矛盾することなく、互いに自由に組み合わせることができる。
【0033】
いくつかの実施形態を示しかつ記載してきたが、これらの実施形態において、本開示の原理および精神から逸脱することなく、様々な変更または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。本開示の範囲は、特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】