特表2017-507777(P2017-507777A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン マッセイ キャタリスツ (ジャーマニー) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2017-507777触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法
<>
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000003
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000004
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000005
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000006
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000007
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000008
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000009
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000010
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000011
  • 特表2017507777-触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-507777(P2017-507777A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための受容ユニット、およびそのような触媒モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20170303BHJP
【FI】
   B01D53/86 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-554489(P2016-554489)
(86)(22)【出願日】2015年2月26日
(85)【翻訳文提出日】2016年10月21日
(86)【国際出願番号】GB2015050563
(87)【国際公開番号】WO2015128658
(87)【国際公開日】20150903
(31)【優先権主張番号】102014203618.6
(32)【優先日】2014年2月27日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】504109285
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ キャタリスツ (ジャーマニー) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Johnson Matthey Catalysts (Germany) GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クルーデルライン, ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】クランプ, ウド
【テーマコード(参考)】
4D148
【Fターム(参考)】
4D148BB02
4D148BB03
4D148CA01
(57)【要約】
触媒モジュール(2)は、工業規模の燃焼システムの排気制御装置で使用するために設計される。触媒モジュール(2)は、いくつかの取付けユニット、特にエレメントボックス(6)が挿入される、積重ねフレーム(4)を含む。エレメントボックス(6)のそれぞれには、いくつかの触媒(10)が与えられる。簡単な設置を可能にするために、またそれと同時に確実な封止を可能にするために、積重ねフレーム(4)は、サイドフレーム部品(20、22、24)、および封止要素(30)から組み立てられ、サイドフレーム部品(20、22、24)は、機械的連結要素を介して互いに連結されまた特にはボルト締めされ、封止要素(30)は、少なくとも1つのサイドフレーム部品(20、24)の連結の前に設置中に挿入されて、少なくともサイドフレーム部品(20、24)に存在する連結要素により少なくとも1つのエレメントボックス(6)に押し付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業規模の燃焼システムの排気制御装置で使用するための触媒モジュール(2)であって、
− 長手方向(12)および横断方向(14)に延在しかつ2つの端面(16)を有し、前記2つの端面(16)が流れの方向(18)において互いに向かい合う、積重ねフレーム(4)と、
− 前記積重ねフレーム(4)に挿入される、周辺側壁を形成する側壁(50)を有するいくつかの取付けユニット(6)と、
を含み、
− 前記取付けユニット(6)のそれぞれが、いくつかの触媒(10)を備えることが可能であり、
− 前記積重ねフレーム(4)が、サイドフレーム部品(20、22、24)から組み立てられる周壁を含み、前記サイドフレーム部品(20、22、24)が、少なくとも1つの機械的連結要素(26)を介して互いに連結され、特には互いにボルト締めされ、
前記触媒モジュール(2)がさらに、
− 前記少なくとも1つの機械的連結要素(26)により前記サイドフレーム部品(20、24)のうちの少なくとも1つと少なくとも1つの取付けユニット(6)との間で圧縮される封止要素(30)
を含む、触媒モジュール(2)。
【請求項2】
前記サイドフレーム部品(20、22、24)が、折り曲げられた金属薄板部品(32a、32b)を有する、請求項1に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項3】
前記サイドフレーム部品(20、22、24)が、いずれの場合も、互いに連結される中空断面の2つの金属薄板部品(32a、32b)として構成される、請求項1または2に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項4】
前記サイドフレーム部品(20、22、24)のうちの少なくともいくつかが、取付けユニット(6)がその間に保持される保持ブラケット(40)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項5】
前記サイドフレーム部品のうちの1つが、蓋部品(24)として構成され、かつ、少なくとも1つの封止ウェブ(46)を外部に有し、前記封止ウェブ(46)が、縁部に配置されかつ特に折り曲げによって形成され、前記封止ウェブ(46)が、設置された状態において隣接する2つの触媒モジュール(2)間の分割面を閉鎖するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項6】
前記取付けユニットが、前記積重ねフレーム(4)に挿入される、n×mの行列を形成しかつ互いに隣接するエレメントボックス(6)として構成され、前記エレメントボックス(6)のそれぞれが、互いに隣接するいくつかの触媒(10)が与えられる自由内部空間の境界を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項7】
前記エレメントボックス(6)が、特に溶接によって固定されることなしに、差込み連結により互いに確実に保持される、請求項6に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項8】
少なくとも1つの差込み要素(54)、および少なくとも1つの差込み開口部(56)が、前記側壁(50)に形成される、請求項7に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項9】
1つの差込み要素(54)、および1つの差込み開口部(56)が、前記端面(16)の方向において各側壁(50)の縁部に形成される、請求項6から8のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項10】
前記積重ねフレーム(4)と接触する前記エレメントボックス(6)が、特に溶接によって固定されることなしに、前記積重ねフレーム(4)に確実に保持される、請求項6から9のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項11】
前記側壁(50)が、金属薄板(32a、32b)からなり、前記金属薄板(32a、32b)が、前記2つの端面(16)のうちの少なくとも一方の縁部において、前記流れの方向(18)に対して斜めに配向された折返し領域を有する、請求項6から10のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項12】
前記折返し領域(58)が、前記側壁(50)を貫通しかつ特に前記差込み要素(54)を形成するために前記側壁(50)の上に突出する、斜めに切られた垂直部分に隣接する、請求項11または8に記載の触媒モジュール(2)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)のための取付けユニットであって、エレメントボックス(6)として構成され、前記エレメントボックス(6)が、少なくとも1つの触媒(10)を収容するための自由内部空間(8)を有し、かつ、少なくとも1つの差込み要素(54)および差込み開口部(56)が形成される側壁(50)も有し、したがって、前記差込み要素(54)および前記差込み開口部(56)により、相互に隣接するエレメントボックス(6)が互いに確実に保持される、取付けユニット。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の触媒モジュール(2)を作製するための方法であって、
− 取付けユニットに前記少なくとも1つの触媒(10)が与えられ、
− 第1のステップにおいて前記積重ねフレーム(4)が部分的にのみ組み立てられ、
− 部分的にのみ組み立てられた前記積重ねフレーム(4)に前記取付けユニット(6)が挿入され、
− 封止要素(30)が置かれ、
− 前記積重ねフレーム(4)が、前記積重ねフレーム(4)のサイドフレーム部品と前記取付けユニットのうちの少なくとも1つとの間での前記封止要素(30)の圧縮を伴って、機械的連結要素(26)により閉じられる、
方法。
【請求項15】
前記積重ねフレーム(4)が前記封止要素(30)の圧縮を伴って閉じられる前に、前記積重ねフレーム(4)が、最初にL字形状に構成され、続いて、前記封止要素がL字形状に置かれる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定燃焼システムの排気制御装置で使用するための触媒モジュール、そのような触媒モジュールのための取付けユニット、およびそのような触媒モジュールの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固定燃焼システムは、炭化水素をベースとする燃料を燃焼させるための任意のシステムであると理解される。それらは例えば、石炭燃料システムもしくはオイル燃料(石油)システム、またはガスタービンである。固定燃焼システムはまた、海洋用途、例えば大型のコンテナ船またはクルーズ船に使用されるようなディーゼル機関などの燃焼システムを含む。固定燃焼システムは、通常、持続的な安定した負荷の下で連続して作動される。
【0003】
固定燃焼システムは、通常、触媒モジュールを備える排気制御装置を有する。さらに、触媒モジュールは、排気制御装置の燃焼排ガス導管内に設置され、浄化される燃焼排ガスは、動作中にそれらの触媒モジュールを通過する。これに関連して、燃焼排ガス導管は、典型的には少なくとも数平方メートルの断面積を有し、また、典型的には数十平方メートルの断面積を有する。多くの場合、燃焼排ガス導管は、いずれの場合も数メートルの縁部長さを持つ矩形断面を有し、例えば10m×10mの矩形断面を有する。燃焼排ガス導管の全断面積は、1つの触媒モジュール、または隣り合って配置されるいくつかの触媒モジュールによって覆われ、それにより、浄化される全ての燃焼排ガスが、触媒モジュールを通過する。通常、いくつかの触媒モジュール、例えば2つから5つの触媒モジュールが、燃焼排ガス導管内部の支持フレーム構造内で、横列および縦列に隣り合って配置される。触媒モジュール自体は、典型的には、いずれの場合も数メートルの縁部長さを持つ矩形断面を有する。
【0004】
さらに、燃焼排ガスの流れの方向において、触媒モジュールは、いくつかの平面において前後に並んで配置されることが多い。流れの方向において、触媒モジュールから構築される触媒の設置はまた、数メートル、特には数十メートル、例えば25mにわたって延在する。
【0005】
触媒モジュールは、取付けユニットが挿入される積重ねフレームから構築され、取付けユニットには、いくつかの触媒が与えられる。さらに、燃焼排ガスは、流れの方向において個々の触媒を通過する。これらの触媒は、例えば板状触媒である。しかし、本発明の場合、これらの触媒はいわゆるハニカム触媒である。そのようなハニカム触媒は、流れの方向において複数の流れチャネルが通じているセラミック材料のモノリシック構成要素である。設置され、動作している状態では、浄化される燃焼排ガスは、流れチャネルを通過する。このモノリシック構造は、燃焼排ガスを浄化することに関して触媒作用を有する。あるいは、モノリシックキャリアが触媒コーティングを備えるか、または、キャリア材料自体が触媒活性とされる。具体的には、これらのハニカム触媒は、押出しハニカム触媒である。触媒は、典型的には、約10cmから30cmの縁部長さを持つ矩形断面、特には正方形断面を有する。
【0006】
第1の変形形態では、取付けユニットは、いわゆるエレメントボックスであり、エレメントボックス内には個別的な触媒が行列の形で配置され、互いに隣接する。それと同時に、通常は不織布の形態であって、隣接する触媒間または触媒とエレメントボックスとの間の境界面を通過する漏れを防ぐ封止要素が、個々の触媒間に配置されることが好ましい。さらに、典型的には、2個から10個の触媒が、いずれの場合も矩形の断面、また特には正方形の断面を有して、通常はそれぞれのエレメントボックス内で互いに重なるかまたは隣り合っていくつかの層に配置される。
【0007】
エレメントボックス自体は、同じく行列の形で積重ねフレームの内部に配置される。エレメントボックスの数は、触媒モジュールのサイズに依存する。エレメントボックスは、通常、金属薄板部品から構成され、そのような金属薄板部品は、補強目的のために、約90°折り曲げられた縁部をその両側に有する。したがって、動作にあたっては、それらは浄化される燃焼排ガスの流れの方向に対して垂直に配向され、それにより、望ましくなく流れに抵抗する表面を形成する。
【0008】
典型的には積重ねフレーム内でいくつかの横列に配置されるエレメントボックスだけではなく、第2の変形形態の取付けユニットは、いわゆる梱包および保管ユニットとして構成され、このようなユニットもまた、いずれの場合も触媒が与えられる。エレメントボックスと比較して、これらのユニットはより大きく、また、典型的には、触媒モジュール内で単一の横列のみに配置される。通常、不織布で作られた封止および補償要素が、各触媒間に順繰りに配置される。
【0009】
排気制御装置において、触媒モジュールは、積重ねフレームを利用して互いに固定される。触媒モジュールは、通常、例えば触媒の製造業者により、構造ユニットとして前もって作製され、そういうものとして設置される。動作中、触媒モジュールは、機械的負荷および熱負荷に耐えなければならない。典型的には、そのような固定装置における燃焼排ガスの温度は、例えば400°から500°に及ぶ。できるだけ効率的に燃焼排ガスを浄化することに関しては、全ての燃焼排ガスが触媒活性表面を通過するように、漏れ流れが回避されるべきである。流れ圧力損失を最小限に抑えることに関しては、燃焼排ガス導管の断面積の最も大きい可能な比率を利用することも望ましい。
【0010】
従来技術の積重ねフレームは、個別的な取付けユニット、すなわち、例えばエレメントボックス、または梱包および保管ユニットが挿入される、溶接された鋼の断面である。しっかりした機械的な固定を達成するために、エレメントボックスはそれぞれ、積重ねフレームに溶接され、また、互いに溶接される。積重ねフレームを備え付けられるようにするために、積重ねフレームは、ある程度大きめの寸法とされる。残存する隙間は、ストリップ形状の封止要素を用いて封止される。しかし、この場合、熱膨張係数の違いによりこのストリップ形状の封止要素が動作時に分離し、それにより漏れ流れが生じ得るという問題がある。この問題は、個々の触媒間に挿入される封止および等化要素にも影響を及ぼす。したがって、全般的に言えば、従来のユニットの場合、動作時間中に漏れ流れが生じる危険性が存在する。
【0011】
例えばいずれの場合も1つの触媒モジュールにつき3つのそのようなユニットが並べられる、梱包および保管ユニットを含む構成は、近頃は、この目的のために特別に製造された高価な加圧および溶接デバイスで、互いにまた積重ねフレームに溶接される。梱包および保管ユニットに触媒を提供するために、梱包および保管ユニットは、最初にユニットの開いたフレームに挿入され、その後、梱包および保管ユニットは、蓋を圧迫することにより、互いに支持し合う。続いて、蓋は、梱包および保管ユニットの側面部品に溶接される。次いでこれらの梱包および保管ユニットは、積重ねフレーム内に配置されて、それに溶接される。ここでも、封止することが再度必要となる。この複雑な製造工程のために、高価な溶接デバイスが必要であり、また典型的には、溶接デバイスをそれぞれの触媒モジュールのサイズに合わせることも必要である。結果的に、総製造費用は、相当に高くなる。
【発明の概要】
【0012】
上記を踏まえ、本発明の目的は、特に、継続的で良好な流れ特性と、漏れの減少による向上された清浄効率とを同時に有する、そのような触媒モジュールの簡易化した作製を可能にすることである。
【0013】
この目的は、本発明によれば、工業規模の燃焼システムの排気制御装置で使用するための触媒モジュールによって達成される。したがって、触媒モジュールは、前述されたような固定燃焼システム、特にエネルギー生成のためのパワープラントの固定燃焼システムの排気制御装置に向けて設計および着想される。そのような触媒モジュールの基本的な配置、ならびに基本的な構成およびサイズの関係性に関しては、これまでの形式が参照される。
【0014】
触媒モジュールは、基部部品および蓋部品ならびに2つの側面部品を有する、積重ねフレームを含む。積重ねフレームは、長手方向および横断方向に延在し、かつ、流れ方向において向かい合う2つの端面を有し、それらの端面は、基部部品、蓋部品、および2つの側面部品によって境界される。端面は、長手方向および横断方向において支持され、また、それらが排気制御装置の燃焼排ガス導管内に設置されたときに、燃焼排ガスの流れの方向に対して垂直に配向される。それぞれが周辺側壁を有し、またそれぞれが端面の方向において開口している、少なくとも1つ、好ましくはいくつかの取付けユニットが、この積重ねフレームに挿入される。これらの取付けユニットのそれぞれに、いくつかの触媒、特にはハニカム触媒が与えられる。
【0015】
触媒は、多数の個別的な流れ導管が貫通するセラミックキャリア材料を含む、モノリシックハニカム触媒であることが好ましい。ここで、キャリア材料は場合により、触媒活性層で被覆されるか、または、それ自体が触媒活性とされる。触媒とは、一般に、燃焼排ガスの所望の浄化のための触媒活性を有するユニットであると理解されている。(押出し)ハニカム触媒だけではなく、例えば板状触媒も使用され得る。触媒モジュール内の各触媒は、必ずではないが、互いに同一の形態のものであることが好ましい。ここで、複数の触媒部品ユニット、つまり、例えば複数のモノリシックハニカム体が、流れの方向において次々に挿入されてもよい。流れの方向に連続して並べられるこれらの部品ユニットは、次いで1つの触媒を形成する。必要とされるのであれば、部品ユニットは、それらの触媒作用に関して異なる形態のものとされる。部品ユニットは、同一の形態であることが好ましい。
【0016】
積重ねフレームは、個別的なサイドフレーム部品からなる周壁をさらに有し、これらのサイドフレーム部品は、少なくとも1つ、好ましくはいくつかの機械的連結要素により互いに連結され、特にはボルト締めされる。サイドフレーム部品は、互いに溶接されないことが好ましい。したがって、サイドフレーム部品は、機械的連結要素だけで、特にはボルトによって連結されることが好ましい。さらに、少なくとも1つの封止要素が、少なくとも1つのサイドフレーム部品と隣接する取付けユニットとの間で圧迫され、またさらに、1つのサイドフレーム部品の支持により、ボルトを用いたその設置中に圧迫される。したがって、製造中、少なくとも1つの封止要素は、最初に取付けユニットのうちの1つの縁部上に配置され、それから、隣接するサイドフレーム部品が、さらなるサイドフレーム部品にボルト締めされる。ここで、封止要素は、機械的連結要素により、サイドフレーム部品と少なくとも1つの取付け部品との間で圧迫される。それと同時に、機械的連結要素により押圧が加えられる。これらの手段により、全ての取付けユニットが、積重ねフレーム内に挟持される。
【0017】
機械的連結要素は、ボルトとナット、ねじ込みボルト等のような、ボルト締め要素であることが好ましい。
【0018】
サイドフレーム部品をボルト締めすることにより封止要素が少なくとも1つのサイドフレーム部品と少なくとも1つの取付けユニットとの間で強く圧迫されてその弾性特性により圧縮されるという特別な利点が、そのような手順によって得られる。結果的に、たとえ個々の構成要素の熱膨張が違っていても、サイドフレーム部品と取付けユニットとの間隔における振動が均等化される。例えば設置と運転との間でまたは燃焼システムが始動されたときに温度変化がある場合、封止要素は、これらの手段により脱落を防がれ、それにより、漏れ流れの発生が確実に回避される。
【0019】
「弾性封止要素」は、第1に、たとえセ氏数百度の高い動作温度においても、また特に、例えばシステムを始動または停止させている間の温度変化の場合ですらも、弾性を示してそれぞれの取付けユニットとそれぞれのサイドフレーム部品との間での長期的な封止作用を確実にする、任意の要素であると概して理解されるべきである。ここで、「弾性的(elastic)」とは、(弾性的)復元力を保持しながらも封止要素の変形、例えば、10%を越える厚さの変化、例えば10%から30%の厚さの変化が可能であり、その結果、フィッティング要素が、好ましくは、しかし必ずではないが、弾性的復元力だけにより取付け軸の壁とサイドフレーム部品との間に保持されるということを意味すると概して理解される。基本的に、封止要素は、取付けユニットのそれぞれとサイドフレーム部品との間に挿入されてもよい。
【0020】
同時に、ボルト締め構成により、加圧および溶接設備が必要されなくなる。したがって、そのような手段により、個々の触媒モジュールは、例えばそれらのサイズに関して問題なく、それぞれの適用、すなわちプラント内での具体的な設置状況に対して、柔軟に適応され得る。それにより、総製造費用が低く保たれる。サイドフレーム部品のボルト締めを含む構成により、建築現場での直接的な組立ても簡易化される。これまで、触媒モジュールは、製作現場で前もって作製されて、組立式ユニットとして建築現場または使用場所まで移動されていた。この輸送中、封止要素が脱落するのを防ぐため、または同様に通常壊れやすいものである個々のセラミック触媒に他の損傷が生じるのを防ぐために、特別な手段も必要とされる。
【0021】
できるだけ単純でかつ費用効率の良い積重ねフレームの製造に関しては、積重ねフレームのサイドフレーム部品は、折り曲げられた金属薄板部品から少なくとも部分的に形成される。サイドフレーム部品を形成するために、U字形状の断面が、例えば、縁部を曲げることにより、最初は平面状の金属薄板から形成され、そしてさらなる金属薄板要素により、閉じた多角形に形成されることが好ましい。これらの手段により、比較的少量の材料を使用して十分に高い安定性が得られる。ボルト締め可能な構造とあいまって、このことはまた、個々のサイドフレーム部品を個々の要素として場所を取らない形で輸送できるという事実につながる。これに関連して、それぞれのサイドフレーム部品は、細長い平面状の要素によって形成される。
【0022】
便宜上、サイドフレーム部品は、いずれの場合も、互いに連結される2つの金属薄板部品で作られた中空断面のものとして構成される。これらの金属薄板部品のうちの少なくとも1つが、折り曲げられて、例えばU字形状断面を形成し、次いでその金属薄板部品の上に、第2の金属薄板部品があたかも蓋であるかのように置かれる。これらを連結するために、2つの金属薄板部品は、具体的にはブラケットおよびスロットを介して互いに確実に組み合わさり、それにより、高い機械的安定性が達成される。
【0023】
好ましい構成では、サイドフレーム部品のうちの少なくともいくつか、また好ましくは全てが保持ブラケットを有し、保持ブラケットの間には、それぞれの取付けユニットが、流れの方向において確実に保持される。これらの手段により、取付けユニットは、サイドフレーム部品内でさらに機械的に固定される。便宜上、サイドフレーム部品への取付けユニットの溶接は省略され、それらのユニットは、もっぱら保持ブラケットによって確実に保持される。したがって、取付けユニットは、保持ブラケットにより流れの方向において固定される。保持ブラケットは、流れの方向から見たときに取付けユニットの両側に接して配置されることが好ましい。
【0024】
便宜上、サイドフレーム部品のうちの1つは、蓋部品として構成され、また、便宜上、縁部に配置されかつ好ましくはサイドフレーム部品を折り曲げることによって形成される、少なくとも1つの封止ウェブを有する。封止ウェブの機能は、設置された状態において隣接する2つの触媒モジュール間の分割面を閉鎖することである。蓋部品は、そのような封止ウェブが蓋部品の長手方向縁部の両側上の折り目として形成されるように、全体としてU字の形状に折り曲げられることが好ましい。基部要素を含む隣接する触媒モジュールが、流れの方向で見たときにこれらの封止ウェブ間に収容される。
【0025】
取付けユニットは、上述のいわゆるエレメントボックスであることが好ましい。この点において、積重ねフレーム内のそのようなエレメントボックスの基本的な構造および基本的な配置に関する導入の実施形態が参照される。n×mの行列を形成しかつ互いに隣接するいくつかのエレメントボックスが、いくつかの横列および縦列で積重ねフレーム内に挿入される。したがって、エレメントボックスは、n個の横列で重ねられかつm個の縦列で並べられて、配置される。エレメントボックスのそれぞれが自由内部空間を有し、この自由内部空間には、少なくとも1つ、しかし好ましくはいくつかの触媒が、互いに隣接して挿入される。これに関連して、自由内部空間は、エレメントボックスが追加的な内部の仕切を全く有さないことを意味すると理解される。したがって、エレメントボックスは、周辺側壁によって形成され、かつ、積重ねフレームの向かい合う端面に向かって開口する。壁は、特に、互いに連結される1つまたはいくつかの金属薄板で構成される。通常、各触媒間に封止要素が挿入される。
【0026】
本明細書では、積重ねフレームの組立中に個々の触媒がより低い押圧しか受けないというさらなる利点が分かる。したがって、これまでの解決法と比較して、触媒は、より弱い機械的剛直性を有して形成されればよい。このことは、触媒、特にハニカム触媒の流れ特性に対して好ましい効果を有し、したがって、これらの手段により、向上された清浄効率も達成される。
【0027】
封止要素の使用は、昇温中の温度変化および封止要素を取り囲む壁との接触によってもたらされる力から、または通常動作中に生じて触媒に作用する振動もしくは衝撃から触媒を絶縁する手段をも同時に提供する。このことは、現在使用されているものよりも構造の点で脆弱な触媒を使用することを可能にする。それと同時に、絶縁特性により、触媒は従来の触媒によって示される強度を有する必要は全くないので、背圧の減少等のような利点がこれに付随する。
【0028】
適切な構成では、エレメントボックスは、特に溶接によってさらに固定されることなしに、差込み連結により互いに確実に保持される。したがって、エレメントボックスは、相補的な差込み連結要素を有し、その結果、エレメントボックスは、単純に差し込むまたは差し込まれることによって保持される。したがって、ほとんどまたは完全に溶接を伴わない触媒モジュールの組立体が、このエレメントボックスの特別な構成により、互いに差込み可能な構成要素として支持される。個々のエレメントボックスは、一緒に確実に保持され、したがって、差込み連結だけにより互いに固定される。特にボルト締め可能な積重ねフレームと併せて、得られる組立体は単純である。蓋部品により積重ねフレームが閉じられる前に、具体的には、積重ねフレームは、最初に部分的にのみ組み立てられ、具体的には、最初に基部部品だけが、1つまたは両方のサイドフレーム部品とともに構築され、それにより開いたL字またはU字の形状の積重ねフレームが形成され、次いでその積重ねフレームにエレメントボックスが次々に与えられる。
【0029】
側壁には、差込み連結を形成するための少なくとも1つの差込み要素と1つの差込み開口部とが存在する。これらは特に、好ましくは折り曲げられた差込みブラケットとして、また、差込みスロットとして形成される。
【0030】
都合の良いさらなる発展形態では、エレメントボックスは、互いにだけではなく積重ねフレームにも確実に保持され、また具体的には、溶接によってさらに固定されることなしに、確実に保持される。この目的のために、例えば、差込みブラケットが、積重ねフレーム内の対応する取付け具に係合し、積重ねフレームは、好ましくは、そのサイドフレーム部品に適切な取付け具を有する。あるいは、またはそれに加えて、エレメントボックスは、それぞれのサイドフレーム部品において、既述の折り曲げられた保持ブラケットによって保持される。
【0031】
全般的に言えば、この概念により、クリップイン式または差込み式のシステムの形態の積重ねフレーム内での溶接を伴わない個々のエレメントボックスの構築が達成され、それにより、製造費用が全体として低く保たれる。
【0032】
このクリップイン式または差込み式のシステムの形態で互いに確実に連結されるエレメントボックスの基本概念は、基本的に、圧迫される封止要素を含む積重ねフレームのボルト締め構成とは独立して実行可能でもあり、また、独立した発明概念と見なされる。これに対して分割出願をする権利は、保持される。
【0033】
個々の触媒の向上された貫流に関しては、エレメントボックスの側壁の縁部は、折返し領域を有し、この折返し領域は、エレメントボックスの外側境界から内方へ触媒に向かって立ち上がるように、1つの端面において流れの方向に対して斜めに配向される。これらの折返し領域は、好ましくは、流入側に作られ、また特に、互いに向かい合って位置する両方の端面に作られる。これらの手段により、90°の折返し部分が端面上に通常作られる既知のエレメントボックスの場合のような堰止め領域を伴わずに、有利な流れの誘導が達成される。このことは、燃焼排ガスのための入口側を形成する端面において特に有利である。このことはまた、乱流をほとんど伴わない流れに関して、流出側を形成する対向端面においても有利である。
【0034】
垂直部分が折返し領域に隣接し、かつ折返し領域に対して斜めに配向されることが好ましい。したがって、それぞれの末端縁が、少なくとも複数の領域において少なくとも2回折り返される。機械的剛直性は、これらの手段によって向上される。さらに、好ましい配置では、少なくとも1つの部分的な領域における垂直部分は、側壁に入れられるかまたは側壁に通される。したがって、垂直部分は、具体的には側壁において支持され、このことも同様に、剛性の向上をもたらす。垂直部分は、特に差込みブラケットを形成するために側壁に通されて側壁を越えて突出することが好ましい。したがって、差込みブラケットは、折返し領域の延長である。
【0035】
本発明によれば、自由内部空間を含むエレメントボックスとして形成される取付けユニットにより、取付けユニットに対する目的がさらに達成され、このエレメントボックスは、隣接するエレメントボックスが差込み式のシステムの形態で差込みブラケットおよび差込みスロットにより互いに保持されるように、少なくとも1つの差込み要素、特に差込みブラケットと、差込み開口部、特に差込みスロットとを、その側壁に形成する。
【0036】
さらに、一方では、取付けユニット、特にエレメントボックスに個々の触媒、特にハニカム触媒が与えられる、触媒モジュールを作製するための方法により、方法に関する本発明の目的が達成される。最初に、積重ねフレームが、部分的にのみ組み立てられ、この部分的にのみ組み立てられた積重ねフレームに、個々の取付けユニットが次々に挿入される。ここで、「部分的に組み立てられる」とは、積重ねフレームが第1に少なくとも1つの側で開口し、その結果取付けユニットがこの開口した側を介して挿入され得ることを意味すると理解される。
【0037】
次いで、特にマット形状の封止要素、具体的には不織マットが、取付けユニットの最後の層上に配置される。その後、積重ねフレームは、封止要素の圧縮を伴って閉じられる。ここで封止要素は、積重ねフレームのサイドフレーム部品と取付けユニットのうちの少なくとも1つとの間で圧迫される。一般に、封止要素は、その表面全体を取付けユニットに接して位置することが好ましい。
【0038】
封止要素は、好ましくは矩形の基本領域を含む領域の観点として構成されかつ取付けユニットとそれぞれのサイドフレーム部品との間に導入される、実質的に平坦な板形状またはストリップ形状の、全体的に矩形の要素である。
【0039】
本明細書で説明されたエレメントボックスの代わりに、取付けユニットは、異なって構成された取付けユニットを含んでもよい。本明細書で説明されたエレメントボックスの使用は、絶対必要というわけではない。
【0040】
好ましくは、積重ねフレームが封止要素の圧縮を伴って閉じられる前に、積重ねフレームが最初にL字形状に組み立てられ、その後、封止要素が取付けユニットの外側層上にL字形状に配置される。
【0041】
以下、図面を利用して、本発明の実例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】部分的に整えられた触媒モジュールの斜視図である。
図2】組み立てられた積重ねフレームの斜視図である。
図3】積重ねフレームの第1のサイドフレーム部品の分解組立図である。
図4】第2のサイドフレーム部品の分解組立図である。
図5】矩形で印を付けられた図1の部分的な領域の拡大図である。
図6】エレメントボックスの斜視図である。
図7図6のエレメントボックスの端面図である。
図8図7の断面A−Aに沿った、図6のエレメントボックスの断面図である。
図9図8において円で印を付けられた隅部領域の拡大図である。
図10】差込み式システムの形態でのエレメントボックスの組立てを示す、いくつかのエレメントボックスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面において、同一の構成要素には同一の参照番号が与えられている。
【0044】
図1に示された触媒モジュール2は、周囲の積重ねフレーム4を含み、積重ねフレーム4の内部空間には、精密に嵌合する複数のエレメントボックス6が挿入される。エレメントボックス6は、格子構造または行列構造を形成する。各エレメントボックス6は、それぞれのエレメントボックス6の自由内部空間8によって形成された収容部(accommodation)を有する。積重ねフレーム4の内部には、通常、エレメントボックス6のいくつかの横列およびいくつかの縦列が配置される。この例では、エレメントボックス6は、12×5の行列を形成する。
【0045】
それぞれのエレメントボックス6内にはいくつかの触媒10が存在し、それらの触媒10は、好ましくはモノリシックハニカム触媒として構成され、内部空間8を完全に満たす。図1では、1つのエレメントボックス6のみが、触媒10によって占められている。一代替形態として、1つのエレメントボックス6につき1つの触媒10のみが使用される。
【0046】
触媒モジュール2全体は、長手方向12および横断方向14に延在し、かつ、向かい合って開口した2つの端面16を有し、これらの端面16は、流れの方向18において触媒10の長さだけ互いに離れている。端面16は、清浄される燃焼排ガスのための流入側すなわち入口側と、出口側とを形成し、燃焼排ガスは、取り付けられた触媒モジュール2を流れの方向18に通過する。
【0047】
個々の触媒10は、流れの方向18に延在する複数の流れ導管を含む、押出し矩形ハニカム触媒であることが好ましい。触媒10は、10cmから30cmの縁部長さを有する、矩形、特に正方形の断面の流入表面を有することが好ましい。実例では、4つの触媒10が、エレメントボックス6内に2×2の行列で配置される。したがって、エレメントボックス6もまた、正方形の形状に形成される。それらは、示された正方形ベースから逸脱して、矩形ベースで構成されてもよい。典型的には、エレメントボックスの縁部長さは、0.4mから1mに及び得る。流れの方向18における触媒10の長さは、典型的には数10cmに及び、例えば15cmから60cmに及ぶ。流れの方向18における触媒モジュールの幅は、少なくともおおよそ触媒10の長さに相当する。
【0048】
長さ方向12および横断方向14における触媒モジュール2の全長は、典型的には数メートルの範囲内である。通常、複数の触媒モジュール2が、支持フレームを活用して燃焼排ガス導管内で横列および縦列に存在する。このタイプの触媒モジュール2の層が、長手方向12および横断方向14において、いずれの場合にも例えば10mから20mにわたって延在する。通常、いくつかの触媒モジュール2からなるいくつかのそのような層が、流れ方向18において重なる。
【0049】
積重ねフレーム4は、4つのサイドフレーム部品、すなわち2つの側面部品20、基部部品22、および蓋部品24からなる周壁を全体として有する(図2参照)。4つのサイドフレーム部品20、22、24は、例えばボルト26、場合によりボルトナットを用いて、ボルト連結により互いに連結される。例えば、ボルトナットがサイドフレーム部品20に例えば溶接されて固定され、次いでボルト26がナットにねじ込まれる。あるいは、固定式のねじ込みボルトを設け、次いでそのボルトにナットを嵌めることも可能である。これらの部品間の溶接連結は、省略される。剛直性を高めるために、積重ねフレーム4は追加の支柱28を有し、これらの支柱28もまた、ボルト26により縁部において側面部品20または基部部品22に固定され、また好ましくは、いずれの場合にも縁部部品29に固定される。おおよそV字の形態で配置された2つの支柱28が、各端面16にボルト締めされる。
【0050】
図2では、右側の側面部品20に封止要素30も示されており、実例では、この封止要素30は、例えば、マット形状の不織材料としてガラス繊維から形成される。図1に示されるような最終的な取付け状態では、この封止要素30は(触媒10の完全な配置が欠けている場合を除き)、エレメントボックス6の外側層と右側の側面部品20および蓋部品24との間で圧迫される。これに関連して、部分的な封止要素が側面部品20および蓋部品24に向けていったん挿入されることが好ましい。2つの部分的な封止要素は、互いを補足して封止要素30を形成する。したがって、封止要素30は、蓋部品24にも沿い、この長手側においてもエレメントボックス6の外側層と蓋部品24との間で圧迫される。具体的には、封止要素30は、例えば数センチメートルの幅を有する、2次元的なストリップ形状の要素である。封止要素30の幅はまた、少なくともおおよそ流れの方向18におけるエレメントボックス6の長さに相当し得る。封止要素30の厚さは、例えば1センチメートルから数センチメートルの範囲内である。封止要素は、隣接するエレメントボックス6間にも同様に挿入され得る。
【0051】
実例では、側面部品20および基部部品22は、図3および4に具体的に示されるように、互いに連結される金属薄板部品からなる中空断面のものとして構成される。金属薄板部品は、互いに溶接され得る。側面部品20および基部部品22の両方が、好ましくは金属薄板部品32aであるU字状部品と、好ましくは金属薄板部品32bである平面部品とを有し、これらの部品は例えば溶接により互いに連結される。側部において、中空断面は、カバー34または端部キャップによって閉じられる。いずれの場合も、フック、具体的にはループ36が、側面部品20のカバー34に固定される。例えば、ループ36は、例えばクレーンを利用して触媒モジュール2全体を持ち上げるかまたは動かすために使用される。さらに、少なくとも1つのストリップ38が、具体的には多角形パイプとしてU字状金属薄板部品32aに沿って固定され、特には溶接される。このストリップ38は、図に示されていない封止要素を保持し、この封止要素は、取り付けられた状態では、積重ねフレーム4を排気制御装置の燃焼排ガス導管内の支持フレームに対して封止する。
【0052】
U字状金属薄板部品32aの側面は、その端部に凹凸を付けられて、突出した保持ブラケット40を形成する。各保持ブラケット40は、規定の格子寸法に配置され、この格子寸法は、特に長手方向12におけるエレメントボックス6の幅に相当するか、またはその倍数に相当する。特に図1から明らかなように、保持ブラケット40は、隣接する2つのエレメントボックス6同士の継ぎ目を覆うように配置される。流れの方向18において、保持ブラケット40は、ちょうど互いに向かい合い、かつ、エレメントボックス6の長さだけ離間され、それにより、エレメントボックス6は、流れ方向18において、互いに割り当てられた2つの保持ブラケット40間に保持される。
【0053】
保持ブラケット40に対応して、例えばレーザ切断により、やはり同様の格子寸法で平面金属薄板部品32bにスロット42が導入され、保持ブラケット40がこのスロット42を通過する。したがって、2つの金属薄板部品32a、bは、言わば互いに組み合わされ、さらに好ましくは互いに溶接される。さらに、ブラケットなどのような保持要素44が、個々のサイドフレーム部品20から24を互いに(ボルトにより)固定するために、配置され得る(この目的のために、図1、2を比較されたい)。あるいは、またはそれに加えて、サイドフレーム部品20に、特には側部カバー34に、例えばナットが固定される。蓋部品24は、側面部品20の上に位置する。
【0054】
平面金属薄板部品32bは、両方の側部において、縁部ストリップによりいずれの場合も流れの方向18においてU字状金属薄板部品32aの側面を越えて突出する。例えば、支柱28が、この縁部ストリップに固定される。
【0055】
側面部品20および基部部品22とは異なり、蓋部品24は、単純なU字状の曲り金属薄板として構成され、突出する側面は、外側に向けられ、すなわち、エレメントボックス6から逸らされる。これらの突出する側面は、封止ウェブ46を形成する。いくつかの触媒モジュール2が横断方向14に並べられるときに、1つの触媒モジュール2の蓋部品24が、隣接する触媒モジュール2の基部部品22を2つの封止ウェブ46の間に収容し、それにより、2つの触媒モジュール2間の分割面が封止される。
【0056】
積重ねフレーム4は、全体として、鋼製構成要素、特には2次元的な金属薄板部品によって形成され、個々の構成要素は、例えばmmから10mmの肉厚を有する。エレメントボックス6の側壁50もまた、例えば3mmから10mmの肉厚を有する鋼製薄板から形成される。
【0057】
各エレメントボックス6の構成は、特に図6から10から明らかになり、またさらに図5からも明らかになる。エレメントボックス6は、側壁50によって形成されて自由内部空間8の境界を形成する、周辺側壁を有する。この自由内部空間8の中には、さらなる仕切りまたは支柱などは配置されない。特に図6および8に示されるように、個々の触媒10は、この自由内部空間8内で互いに接する。封止ストリップ52が、互いに隣接する触媒10の間に挿入される。したがって、これらの封止ストリップ52は、実例では水平にも垂直にも延在し、全体にある程度十字状に延在する。これらの封止ストリップ52は、例えば封止要素30と同様に、不織材料のマットである。封止ストリップ52の機能は、個々の触媒10を機械的に保護すること、および、触媒10間の隙間と、必要に応じて触媒10と側壁50との間を封止することである。封止ストリップ52、また好ましくは封止要素30は、具体的には、エレメントボックス6の材料(金属薄板)の熱膨張係数に匹敵する熱膨張係数を有する特別の不織材料で構成される。この特別の不織材料は、所望の熱膨張係数を有する材料が導入された不織支持材料で構成される。そのような材料は、例えば、いわゆるバーミキュライトである。したがって、例えば排気制御装置が始動されたときに、温度変化が生じると、封止要素30は、エレメントボックス6から抜け落ちないように、温度範囲全体にわたって圧縮力を働かせる。
【0058】
実例では、図5から10に見られるように、各側壁50に、差込みブラケット54および差込みスロット56が形成される。差込みブラケット54は、側壁50の一部の領域を曲げることによって形成される。差込みスロット56は、例えばレーザを使用して切り抜かれる。実例では、差込みブラケット54および差込みスロット56は、流れの方向18から見たときに、それぞれの側壁50の対向する縁部側に形成される。実例では、各縁部側にちょうど1つの差込みブラケット54と1つの差込みスロット56が形成される。実例では、互いに隣接する側壁50において、差込みブラケット54または差込みスロット56のどちらかが、隅部で隣接する。言い換えれば、これは、例えば図8に示されるように流れの方向18から見たときに、対向する側壁50における差込みブラケット54および差込みスロット56が、いずれの場合も互いに対角線的に向かい合うことを意味する。これらの手段により、エレメントボックス6の準上面側および準下面側、ならびに左側および右側が画定される。
【0059】
互いに隣接するエレメントボックス6は、それらを一緒に並べるかまたは重ね合わせることにより、組立て易い形で積重ねフレーム4内に簡単に挿入される。その結果、差込みブラケット54は、差込みスロット56内に係合し、それにより、エレメントボックス6が互いに確実に連結され、確実な連結は、流れの方向18において作用する。したがって、個々のエレメントボックス6は、差込みシステムを形成し、互いに簡単に挿入され得る。エレメントボックス6は、これらの差込み連結により、互いに機械的にしっかりと固定され、他の何らかの方法、特に溶接によって固定されることはない。
【0060】
流れの方向18で見たときに対向する側壁50の端面において、これらの端面は、折返し領域58を有する。この折返し領域58は、エレメントボックス6全体を補強するのに役立つ。折返し領域58は、それぞれの側壁50の辺長全体にわたって延在する。特に図9から推定され得るように、または図5からも推定され得るように、この折返し領域58は、流れの方向18に対して斜めに配向されたベベルとして形成される。折返し領域58は、外側から自由内部空間8へ、例えば30°から45°の角度で立ち上がる。
【0061】
さらに、差込みブラケット54を形成しかつ側壁50を通過する垂直部分もまた、折返し領域58に連結される。この状況は、特に図5にも見られる。
【0062】
触媒モジュール2は、好ましくは以下の方法で組み立てられる。
【0063】
最初に、サイドフレーム部品20、22、24が用意され、また必要に応じて、中空断面を形成するように組み立てられる。続いて、まずは左側の側面部品20および基部部品22だけが互いにボルト締めされて、L字状の部分的なフレームを形成する。あるいは、U字状の部分的なフレームが用意されてもよい。予め触媒10が備えられたエレメントボックス6が、このL字フレームに連続して挿入される。エレメントボックス6は、好ましくは保持ブラケット40だけにより積重ねフレーム4に保持され、また、好ましくは差込み連結だけにより互いに保持される。エレメントボックス6が装填された後、初めに右側の側面部品20がL字フレームに固定され、その際に、封止要素30が、エレメントボックス6の最も外側の層と右側の側面部品20との間で圧迫される。封止要素、特に部分的な封止要素が、最初に側面部品20に機械的に、またここでは特に接着によって固定され、次いで側面部品20がボルト締めによって取り付けられる。次いで、蓋部品24が、封止要素30の圧縮を伴って同じように取り付けられる。したがって、封止要素30は、ボルト締めによりエレメントボックス6の最上層に押し付けられる。最後に、支柱28が取り付けられる。したがって、この製造工程により、個々のエレメントボックス6は、各サイドフレーム部品20、22、24間にしっかりと確実に挟持される。実装中に封止要素30が挟持されるので、封止要素30は、その表面全体にわたって弾性的に圧縮され、確実に挟持される。
【0064】
本明細書において説明された構成、および触媒モジュールの特別な組立方法の結果として、特に以下の利点が得られる:
− 積重ねフレーム4にエレメントボックス6を詰めるのに、複雑な加圧デバイスまたは溶接設備を必要としない。封止要素30を挿入することにより、漏れのない封止および組立てが可能になる。
− U字形状に曲げられた蓋部品24により、横断方向14における水平方向の封止が容易に達成される。
− エレメントボックス6同士の溶接連結、およびエレメントボックス6と積重ねフレーム4との間の溶接連結が省略されるので、組立中にかなりの時間が節約される。このことはまた、特に溶接設備または加圧設備を必要としないので、かなりの費用の削減をもたらす。
− さらに、ボルト締めされるサイドフレーム部品20、22、24を含む、本明細書で説明されるモジュールの概念により、触媒モジュール2を個々の部品で出荷することも可能である。これらの手段により、輸送される品物の体積を少なくすることができる。また、これらの手段により、個々の構成要素をしっかりと梱包することができるので、安全な輸送が可能となる。
− エレメントボックス6の使用、また特に封止要素30との組み合わせでのエレメントボックス6の使用は、昇温中の温度変化および触媒モジュール2の他の部品との接触によってもたらされる力から、または通常動作中に生じて触媒10に作用し得る振動もしくは衝撃から触媒10を絶縁する手段をも同時に提供する。触媒モジュール2は、現在使用されているものよりも構造の点で脆弱な触媒10を使用することを可能にする。それと同時に、絶縁特性により、触媒は従来の触媒によって示される強度を有する必要は全くないので、背圧の減少等のような利点がこれに付随する。
− 最後に、特に傾斜した折返し領域58により、流れ誘導も向上する。
【符号の説明】
【0065】
2 触媒モジュール
4 積重ねフレーム
6 エレメントボックス
8 自由内空間
10 触媒
12 長手方向
14 横断方向
16 端面
18 流れの方向
20 側面部品
22 基部部品
24 蓋部品
26 ボルト連結
28 支柱
29 縁部部品
30 封止要素
32a U字状金属薄板部品
32b 平面金属薄板部品
34 カバー
36 ループ
38 ストリップ
40 保持ブラケット
42 スロット
44 保持要素
46 封止ウェブ
50 側壁
52 封止ストリップ
54 差込みブラケット
56 差込みスロット
58 折返し領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】