(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-507789(P2017-507789A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】細長い溶接部およびそうした溶接部を有するビーム
(51)【国際特許分類】
B23K 11/16 20060101AFI20170303BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20170303BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20170303BHJP
B62D 29/00 20060101ALI20170303BHJP
B23K 11/00 20060101ALN20170303BHJP
【FI】
B23K11/16
B23K11/11 540
B62D25/04
B62D29/00
B23K11/00 570
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-569546(P2016-569546)
(86)(22)【出願日】2015年1月16日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月21日
(86)【国際出願番号】SE2015050037
(87)【国際公開番号】WO2015130206
(87)【国際公開日】20150903
(31)【優先権主張番号】1400087-1
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501426943
【氏名又は名称】イェスタムプ・ハードテック・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ホルムバリ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ルンドマン
【テーマコード(参考)】
3D203
4E065
【Fターム(参考)】
3D203BB54
3D203BB55
3D203BB56
3D203CA25
3D203CA60
3D203CA66
3D203CB04
4E065EA04
(57)【要約】
帽子型プロファイル(11)は、1400MPaを超える引張強度を有し、側方フランジ(15、16)に1100MPa未満の引張強度の軟質バンド(20)を有する。プロファイルは、一列の溶接ドット(18)によってカバー(17)に溶接される。側方フランジは、軟質バンド(20)の両側に高強度ゾーン(21、22)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1400MPaを超える引張強度を有する第1のシート状鋼(11)と第2のシート状鋼(17)との間の細長い溶接継手であって、第1のシート状鋼は、該溶接継手の周りに1100MPa未満の引張強度の軟質ゾーン(20)を有し、該軟質ゾーンは、溶接部(18)の幅の1/2と該溶接部の幅の3倍との間の幅を有するバンド(20)であり、第1のシート状鋼(11)は、軟質バンドの両側に1400MPaを超える引張強度の高強度ゾーン(21、22)を有することを特徴とする、前記細長い溶接継手。
【請求項2】
溶接部は、一列の溶接スポット(18)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細長い溶接継手。
【請求項3】
溶接部(18)は、ビームの側方フランジ(15、16)に沿った溶接部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の細長い溶接継手。
【請求項4】
溶接部(18)は、帽子型プロファイルの形態の第1のシート状鋼(11)の側方フランジ(15、16)に沿った溶接部であり、帽子型プロファイルには、該帽子型プロファイルの側方フランジ(15、16)に溶接される第2のシート状鋼(17)によって閉じたプロファイルが与えられることを特徴とする、請求項3に記載の細長い溶接継手。
【請求項5】
ビームであって、
上面(14)と、2つの側面(12、13)と、2つの側方フランジ(15、16)とを含む、第1のシート状鋼プロファイル(11)と、
閉じたプロファイルのビームを形成するように溶接部(18)によって側方フランジに接合される第2のシート状鋼(17)と
を含み、
ここで、第1のプロファイル(11)は、1400MPaを超える引張強度を有し、溶接部の周りに1100MPa未満の引張強度の軟質ゾーン(20)を有し、
該軟質ゾーンは、溶接部(18)の幅の1/2と該溶接部の幅の3倍との間の幅を有するバンド(20)の形態をしており、第1のシート状鋼は、軟質バンドの両側に、1400MPaを超える引張強度の高強度ゾーンを有することを特徴とする前記ビーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1400MPaを超える引張強度を有する第1のシート状鋼と第2のシート状鋼との間における細長い溶接継手に関する。第1のシート状鋼は、溶接継手に沿って、1100MPa未満の引張強度の軟質ゾーンを有する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カバープレート付きの帽子型ビームが開示されている。カバープレートは、帽子型ビームの側方フランジに溶接される。帽子型ビームは、プレス硬化プロセスによって作られ、1400MPaを超える引張強度を有する。その側方フランジの長さの諸部分は、高い引張強度を有し、他の部分は、1100MPa未満の引張強度を有する。換算表によれば、引張強度1100MPaは、硬さ330HVに相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2011/071434
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、溶接部の領域における微小亀裂の危険を低減することによって、1400MPaを超える引張強度を有するシート状の高張力鋼における溶接シームを増強することである。これは、例えば、変形によって衝突のエネルギーを吸収するように設計される車両構成要素にとって重要である。なぜなら、微細亀裂は、エネルギーを吸収する能力を減少させることになる亀裂のきっかけ(initiator)になるからである。特に、これは、帽子型ビームの高強度側方フランジに溶接されるカバーが付いた高張力鋼の帽子型ビームから構成される構成要素にとって重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、軟質ゾーンが溶接部の幅の1/2と溶接部の幅の3倍との間の幅を有し、第1のシート状鋼が、溶接継手の両側に1400MPaを超える引張強度の硬質ゾーンを有する場合に達成される。本発明は、特許請求の範囲によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】カバー付き帽子型プロファイルの長さの短い部分の等角透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
帽子型プロファイル11は、2つの側面12、13と、中央フランジ14と、側方フランジ15、16とを有する。カバー17は、一列のドット18によって、2つの側方フランジに溶接される。帽子型プロファイルは、平坦なシート状鋼から形作られ硬化される。その引張強度は、1400MPaを超える。カバーは、より低い強度の冷間圧延シートであってよい。帽子型プロファイル11およびカバー17は、閉じたプロファイルのビームを形成する。
【0008】
車両において、カバー付き帽子型プロファイルは、例えば、A、BおよびCピラーならびにドアビームである、セーフティービームとして使用される。そうしたビームは、塑性変形によって、側面衝突の際にエネルギーを吸収するように配置される。破損の前に鋼ができる限り塑性変形し、破損のきっかけが回避されなければならない。
【0009】
溶接ドット18のラインに沿って、各側方フランジは、そこに溶接ドットが位置する、1100MPa未満、例えば500〜1000MPaの引張強度の細い軟質バンド20を有する。側方フランジは、軟質バンドの両側に全強度(full strength)を有する。軟質バンドは、溶接ドットの幅の半分と溶接ドットの幅の3倍との間の幅を有する。軟質バンドの強度がより低く延性がより高いことにより、溶接の間のHAZ(熱影響部)における微小亀裂の形成がなくなる。そのような亀裂は、側面衝突の際の早期破損をトリガする恐れがある。
【0010】
軟質バンドによって早期破損の危険が低減されるだけでなく、軟質バンド20は細いので、側方フランジの全体的な強度の減少は比較的少なく、したがって、側方フランジは、軟質バンド20の両側21、22において高い強度を有する。カバー17は、1400MPaを超える強度を有することができ、プロファイル11と同様の軟質バンドを有することができる。本発明は、他のシート状の高張力鋼アイテムにも適用可能である。
【国際調査報告】