(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-507836(P2017-507836A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】車両シート用二重取付具、及び車両シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/235 20060101AFI20170303BHJP
A47C 1/024 20060101ALI20170303BHJP
【FI】
B60N2/235
A47C1/024
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-555731(P2016-555731)
(86)(22)【出願日】2015年3月3日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月2日
(86)【国際出願番号】EP2015054337
(87)【国際公開番号】WO2015132215
(87)【国際公開日】20150911
(31)【優先権主張番号】102014204285.2
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014208852.6
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キルバハラン、 アルベルト レギノルト
(72)【発明者】
【氏名】レーマン、 ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、 ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ボスマン ドクトル、 ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シェラー、 ロルフ
【テーマコード(参考)】
3B087
3B099
【Fターム(参考)】
3B087BD03
3B099BA04
3B099CA05
(57)【要約】
本発明は、互いに動作可能に接続され、各々が軸の周りで互いに対して回転可能な第1取付具部品と第2取付具部品を有し、第1及び第2取付具部品は互いに噛合接続され又は互いにロックされることができる2つの取付具と、軸方向に互いに隣接して配置された2つのアダプター部品であって、第1アダプター部品は2つの第1取付具部品の一方に接続され且つ第2アダプター部品は2つの第1取付具部品の他方に接続され、又は第1アダプター部品は2つの第2取付具部品の一方に接続され且つ第2アダプター部品は2つの第2取付具部品の他方に接続されている車両シート、特に自動車シート用の二重取付具に関する。本発明によれば、一方のアダプター部品だけが車両シートの構造部品に固定的に接続されることができ、アダプター部品の他方は構造部品と構造部品に固定的に接続可能なアダプター部品とに対して限定的に移動可能であり、特に軸の周りで回転可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート用の、特に自動車シート用の二重取付具(10)であって、
互いに動作可能に接続された2つの取付具(100)であって、前記2つの取付具(100)の各々は軸(A)の周りで互いに対して回転可能な第1取付具部品(111)と第2取付具部品(112)とを有し、前記第1取付具部品(111)と前記第2取付具部品(112)は互いに噛合接続され又は共にロックされることができる2つの取付具(100)と、
軸方向に互いに隣接して配置された2つのアダプター部品(150、160)であって、前記2つのアダプター部品のうちの第1アダプター部品(150)が前記2つの第1取付具部品(111)の一方に接続され且つ第2アダプター部品(160)が前記2つの第1取付具部品(111)の他方に接続され、又は前記第1アダプター部品(150)が前記2つの第2取付具部品(112)の一方に接続され且つ前記第2アダプター部品(160)が前記2つの第2取付具部品(112)の他方に接続されている2つのアダプター部品(150、160)と
を有し、
前記アダプター部品(150、160)の一方だけが車両シートの構造部品(3)に固定的に接続可能であり且つ前記2つアダプター部品(150、160)の他方は前記構造部品(3)に対して及び前記構造部品(3)に固定的に接続可能なアダプター部品(150、160)に対して限定された範囲で移動可能であり、特に前記軸(A)の周りで回転可能であることを特徴とする、二重取付具(10)。
【請求項2】
前記2つのアダプター部品(150、160)の他方は前記構造部品(3)に対して及び前記構造部品(3)に固定的に接続可能なアダプター部品(150、160)に対して前記軸(A)の周りで限定された範囲で回転可能であることを特徴とする、請求項1に記載の二重取付具(10)。
【請求項3】
前記2つのアダプター部品(150、160)の一方は突出部(171)を有し、前記突出部(171)は前記2つのアダプター部品(150、160)の他方の受け口(172)に遊び(S)を有して係合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の二重取付具(10)。
【請求項4】
前記第1アダプター部品(150)と前記第2アダプター部品(160)との間の限定された相対移動の後、前記突出部(171)は前記受け口(172)の接触輪郭(174)に当接することを特徴とする、請求項3に記載の二重取付具(10)。
【請求項5】
前記第1アダプター部品(150)と前記第2アダプター部品(160)は各々、相互に係合する突出部(171)と受け口(172)とを有することを特徴とする、請求項3又は4に記載の二重取付具(10)。
【請求項6】
前記アダプター部品(150、160)の受け口(172)は前記アダプター部品(150、160)にある開口部であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載の二重取付具(10)。
【請求項7】
前記2つのアダプター部品(150、160)の一方に固定されている周囲係合部分(190)が、前記第1アダプター部品(150)と前記第2アダプター部品(160)との間の限定された相対移動を妨げることなく前記2つのアダプター部品(150、160)の他方のまわりに係合することを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の二重取付具(10)。
【請求項8】
前記周囲係合部分(190)はU字形の形状のものであり且つ2つのフランジ(194)を含み、前記2つのフランジ(194)は軸方向を向き且つそれらの間に前記2つのアダプター部品(150、160)の少なくとも一方を少なくとも部分的に受け入れることを特徴とする、請求項7に記載の二重取付具(10)。
【請求項9】
前記2つのアダプター部品(150、160)の少なくとも一方がフック状の周囲係合部分(190)を有し、前記フック状の周囲係合部分(190)は前記2つのアダプター部品(150、160)の他方の上に係合し且つ前記2つのアダプター部品(150、160)の他方を軸方向に固定することを特徴とする、請求項3から8のいずれか1項に記載の二重取付具(10)。
【請求項10】
前記2つのアダプター部品(150、160)は同一の部品であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の二重取付具(10)。
【請求項11】
第1構造部品(3)と第2構造部品を有する車両シートであって、前記第1構造部品は請求項1から10のいずれか1項に記載の二重取付具(10)によって前記第2構造部品に関節式に結合されている、車両シート。
【請求項12】
背もたれ構造体(3)を含む背もたれを有し、シートクッション構造体を含むシートクッションを有し、前記背もたれ構造体(3)は請求項1から10のいずれか1項に記載の二重取付具(10)によって前記シートクッション構造体に関節式に結合されている、車両シート。
【請求項13】
前記アダプター部品(150、160)の一方だけが前記車両シートの前記背もたれ構造体(3)に固定的に接続され、前記2つのアダプター部品(150、160)の他方は前記背もたれ構造体(3)に対して及び前記背もたれ構造体(3)に固定的に接続されているアダプター部品(150、160)に対して限定された範囲で移動可能であり、特に前記軸(A)の周りで回転可能であり、又は、
前記アダプター部品(150、160)の一方だけが前記車両シートの前記シートクッション構造体に固定的に接続され、前記2つのアダプター部品(150、160)の他方は前記シートクッション構造体に対して及び前記シートクッション構造体に固定的に接続されているアダプター部品(150、160)に対して限定された範囲で移動可能であり、特に前記軸(A)の周りで回転可能であることを特徴とする、請求項12に記載の車両シート。
【請求項14】
前記背もたれ構造体(3)は、本発明による二重取付具(10)と単一取付具(20)によって前記シートクッション構造体に関節式に結合されていることを特徴とする、請求項12又は13に記載の車両シート。
【請求項15】
前記二重取付具(10)は第1のシート外側の領域に配置され、前記単一取付具(20)は前記第1のシート外側の反対側に位置する第2のシート外側に配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の車両シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シート用の、特に自動車シート用の二重取付具であって、互いに動作可能に接続された2つの取付具であって、2つの取付具の各々は軸の周りで互いに対して回転可能な第1取付具部品と第2取付具部品とを有し、第1取付具部品と第2取付具部品は互いに噛合接続され又は共にロックされることができる2つの取付具と、軸方向に互いに隣接して配置された2つのアダプター部品であって、2つのアダプター部品のうちの第1アダプター部品が2つの第1取付具部品の一方に接続され且つ第2アダプター部品が2つの第1取付具部品の他方に接続され、又は第1アダプター部品が2つの第2取付具部品の一方に接続され且つ第2アダプター部品が2つの第2取付具部品の他方に接続されている2つのアダプター部品とを有する二重取付具に関する。本発明はまた、背もたれ構造体を含む背もたれと、シートクッション構造体を含むシートクッションとを有し、背もたれ構造体は二重取付具によってシートクッション構造体に関節式に結合されている車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト一体型の車両シートの場合、すなわち、安全ベルトシステムの一部又はすべての締結点が車両シートに接続されている車両シートの場合、安全ベルト又は安全ベルトのベルトリトラクター機構が車両シートの背もたれの背もたれ上端に接続されていることにより、衝突の際に、ベルト一体型でない車両シートの場合よりもかなり高い荷重が背もたれ調節装置として機能する取付具に作用するという影響がある。特にこのような高い荷重用に設計された取付具の開発に必要な高い費用は、経済的な側面から、このようなベルト一体型シートの通常は低い生産数にしばしば相反する。ベルト一体型シートの取付具に対する強度要件は多くの場合、背もたれへのベルト連結がない従来のシート用の取付具の強度の2倍の範囲内にあるので、通常はベルト一体型シート用に2つの同一の取付具が二重取付具を形成するように並列に接続され且つ互いに固定的に接続され、それによりベルト一体型シート用取付具を経済的な方法で提供する。特許文献1は、前記タイプの二重取付具を開示している。
【0003】
2つのそれぞれの取付具が二重取付具を形成するように並列に接続され且つ互いに剛結合されている場合、衝突の際の荷重は強度要件を満たすように2つの相互接続された取付具の間で分散される。しかしながら、2つの取付具内の機構は、相互の剛結合にもかかわらず、それぞれの取付具の場合に一般的であるような、運転動作中の遊びの除去に関する機能要件及び調節時の最大許容作動モーメントに関する機能要件も満たすことが求められる。しかしながら、このために、これらの機能要件を満たす満足な解決策は従来技術から知られていない。
【0004】
連続した背もたれアジャスター、すなわち、歯車付き取付具とも呼ばれ、例えば特許文献2から知られている、遊びの除去のためのくさび状偏心器を備えた標準的なタンブル機構取付具が使用される場合、部品公差は2つの逆方向にばねで予め負荷されたくさび状セグメントを含むくさび状偏心システムにより補償されることが知られている。ここで、2つの噛合部分の互いに対する有効な軸の間隔は、くさびの動きによって遊びを除去するのに必要な程度に自動的に適応する。単一の取付具の個々の部品の部品公差の予想される全体的な変動の中で、遊びがないにもかかわらず容易に調節可能な1つの取付具を経済的に製造することはこの技術で可能である。2つの個別の取付具の互いへの完全な剛結合、すなわち2つの第1取付具部品の互いへの剛結合と2つの第2取付具部品の互いへの剛結合の場合、同一軸間隔寸法が両取付具について同一寸法に固定され、2つの相互接続された取付具の実際上必要な軸間隔はもはや互いに独立して調節することができない。結果として、更なる比較的高度な要求をくさび状偏心システムの公差補償能力に置く必要があり、又は個々の部品の許容公差範囲を個々の取付具に必要なよりも大幅に制限しなければならない。どちらの選択肢も、個々の部品の製造であっても他の個々の部品を一緒に組み立てる必要がある製造プロセスにおいて、又は個々の取付具を互いに対して正確な位置合わせで接続しなければならない接合プロセスにおいて、追加の費用を必要とする。
【0005】
特許文献3は、2つの相互接続された取付具を有し、2つの取付具の各々が互いに噛合係合している第1取付具部品と第2取付具部品とを有する二重取付具を開示している。2つの取付具の一方は、噛合係合における遊びを除去するため、第1取付具部品と第2取付具部品との間に配置されたくさび状偏心器を有する。2つの取付具の他方は、くさび状偏心器の代わりに、第1取付具部品と第2取付具部品との間に配置され且つ他方の取付具のくさび偏心器よりも小さい偏心を有する支持要素を有する。二重取付具の通常動作中は、支持要素ではなく、くさび状偏心器のみが荷重を支える。特に車両の衝突の際に生じるような二重取付具における限定された変形後、支持要素が追加として噛合係合を支持する。
【0006】
特許文献4は、各々が共通の回転軸上に配置された第1取付具部品と第2取付具部品と偏心器とを含む二重取付具を開示している。第1取付具部品は2つの第1取付具部品要素から形成されている。第2取付具部品は2つの第2取付具部品要素から形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第3529887号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102011012076号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102006000532号明細書
【特許文献4】独国特許発明第102004049114号明細書
【特許文献5】独国特許発明第102006015559号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1574391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、冒頭で述べたタイプの二重取付具を改善する課題、特にそれ自体既知の2つの取付具を、通常の使用時にその正しい機能を追加費用なしで実現するにもかかわらず衝突の際に両方の取付具が共同で高荷重に対応するように互いに接続する課題に基づいている。また、強度及び機能に関して高い要求を満たす前記タイプの二重取付具を有する車両シートを提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による車両シート用の、特に自動車シート用の二重取付具の場合、互いに動作可能に接続された2つの取付具を有し、2つの取付具の各々は軸の周りで互いに対して回転可能な第1取付具部品と第2取付具部品とを有し、第1取付具部品と第2取付具部品は互いに噛合接続され又は共にロックされることができ、軸方向に互いに隣接して配置された2つのアダプター部品を有し、2つのアダプター部品のうちの第1アダプター部品が2つの第1取付具部品の一方に接続され且つ第2アダプター部品が2つの第1取付具部品の他方に接続され、又は第1アダプター部品が2つの第2取付具部品の一方に接続され且つ第2アダプター部品が2つの第2取付具部品の他方に接続され、アダプター部品の一方だけが車両シートの構造部品に固定的に接続可能であるか又は接続され、2つのアダプター部品の他方は構造部品に対して及び構造部品に固定的に接続可能であるか又は接続されているアダプター部品に対して限定された範囲で移動可能であり、特に軸の周りで回転可能である。
【0010】
アダプター部品の一方だけが車両シートの構造部品に固定的に接続可能であるか又は接続され、2つのアダプター部品の他方は構造部品に対して及び構造部品に固定的に接続可能であるか又は接続されているアダプター部品に対して限定された範囲で移動可能であり、特に軸の周りで回転可能であることによって、それ自体既知の2つの取付具はそれらが遊びの除去に関して互いに悪影響を与えないように且つ通常の使用時にその正しい機能が追加費用なしで実現されるように互いに接続されることができる。車両シートに設置された二重取付具の場合、衝突の際のわずかな変形後、アダプター部品の間の可動性が使い尽くされ、両方の取付具が共同で衝突荷重に対応する。アダプター部品は取付具部品とは別個に形成されることができ、或いは取付具部品に一体化されることができる。
【0011】
言い換えれば、本発明による二重取付具の2つの取付具は取付具の2つの機構側部の一方で、例えばシートクッションに割り当てられた側で相互に固定的に接続され、前記取付具は他方の側で互い対して自由な遊びを示し、自由な遊びは車両シートの通常動作中に常に存在するという点で課題は解決された。従って、2つの取付具は、本質的な機能特性に関する範囲で、相互に切り離された状態でその機能を実行することができ、一方、衝突の際には、第1取付具及び/又は構造部品の限定可能な変形後、前記遊びを乗り越え、第2取付具が荷重方向において第1取付具と接触し、その結果、両方の取付具が共同で荷重に対応する。
【0012】
従属請求項は、個別に又は互いに組み合わせて使用することができる有利な実施形態に関する。
【0013】
二重取付具の2つのアダプター部品間の限定された可動性は、2つのアダプター部品の一方が2つのアダプター部品の他方の受け口に遊びをもって係合する突出部を有することによって容易に実現することができる。車両シートに設置された取付具の場合、両方のアダプター部品と従って両方の取付具は、取付具及び/又は車両シートの構造部品における変形の結果として前記遊びを通過すると荷重方向において構造部品に固定的に接続される。
【0014】
好ましくは、第1アダプター部品と第2アダプター部品との間の限定された相対移動の後、突出部は受け口の接触輪郭に当接する。アダプター部品の受け口は前記アダプター部品にある開口部であることができる。接触輪郭は開口部の円筒状内面であることができる。アダプター部品の突出部は前記アダプター部品にある押し出された部分であることができる。このようにして、本発明による二重取付具を安価に製造することができる。
【0015】
第1アダプター部品と第2アダプター部品との間の高強度の対称的な接続は、両方のアダプター部品の各々が相互に係合する突出部と受け口とを有することによって実現することができる。
【0016】
二重取付具の強度の更なる増加は、2つのアダプター部品の一方に固定される周囲係合部分が、第1アダプター部品と第2アダプター部品との間の限定された相対移動を妨げずに、半径方向及び/又は軸方向において2つのアダプター部品の他方の周りに係合することによって達成することができる。周囲係合部分は、特に突出部と受け口との間の遊びを通過したときに機能する。しかしながら、周囲係合部分の軸方向の動作は、アダプター部品の周方向の相対的な位置から独立していることができる。
【0017】
周方向に作用する周囲係合部分は、好ましい実施形態において、周囲係合部分がU字形の形状のものであり且つ2つのフランジを含み、2つのフランジは軸方向を向き且つそれらの間に2つのアダプター部品の少なくとも一方を少なくとも部分的に受け入れることを特徴とする。U字形の周囲係合部分は、周囲係合部分が一部分で少なくとも1つのアダプター部品を完全に囲むように塞ぎ板により閉鎖されることができ、それにより特に高強度の周囲係合部分がもたらされる。
【0018】
2つのアダプター部品の少なくとも一方は、2つのアダプター部品の他方の上に係合して後者を軸方向に固定するフック状の周囲係合部分を有することができる。このようにして、比較的小型で安価な周囲係合部分がアダプター部品間の高レベルの軸方向強度を実現することができる。
【0019】
好適な周囲係合部分を別個に形成することができ、或いはアダプター部品の一方に一体化することができる。2つのアダプター部品は各々、2つのアダプター部品が互いの周りに係合するように少なくとも1つの周囲係合部分を有することができる。
【0020】
ベルトリトラクター機構における背もたれ構造体の上端に固定されたベルトが前方及び斜め内側に引っ張り、従ってアダプター部品の面内の主トルクに加えて二重取付具への相当なねじり荷重もあるので、衝突の際の二重取付具への荷重は二重取付具の2つの取付具の複雑な3次元の荷重である。関連する構成要素間に必要な遊びを同様に示さなければならない周囲係合部分は、ねじり荷重に目標を定めて反対に作用し、二重取付具による荷重の適応能を更に大幅に増やすことができる。前記周囲係合部分の具体的なデザインは非常に多様な実施形態を取ることができ、記載されている例示的な実施形態は例示的な解決策を提示しているにすぎない。
【0021】
二重取付具は、両方のアダプター部品が同一部品である場合に特に安価に開発及び製造することができる。このようにして、同一ツールを使用して製造された2つのアダプター部品は、特に回転ずれにより互いに反対側に配置することによって互いに組み合わせることができる。
【0022】
それぞれの取付具の荷重負担能力を変形角に対する負荷トルクの関数と考えると、1つの構造タイプのすべての取付具に対して、荷重下の取付具構成要素の変形によって定義される、特徴的な、実質的に常に同一の形状が結果として生じる。車両、車両シートの構造、及び更なる境界条件によっては、乗員に作用する最大荷重を低減するために、シート構造体又はその構造部品の目標とされた変形によって衝突エネルギーの消散を実現することがしばしば望ましい。本発明による二重取付具は、荷重方向におけるアダプター部品間の接触形状が弾性変形可能な領域に目標を定めて割り当てられ、この領域が衝突の際に制御され且つ予め正確に計算可能な方法で所望のトルク/角度プロファイルをもたらすことによって、シンプルな幾何学的デザインにより、このような変形を簡単な方法で目標を定めて制御する可能性を提供する。
【0023】
二重取付具は好ましくは2つの歯車付き取付具を有する。しかしながら、2つの移動止め型取付具から構成される二重取付具を本発明に従って設計することも有利である場合がある。個々の取付具の中心の互いに対する不正確な配置の場合に機能が互いに影響を与えるという基本的な問題は、移動止め型取付具の場合にも存在し、例えば背もたれの自由な旋回のために大きい角度を通過する場合に、望ましくない接触状態と増加した旋回力をもたらす可能性がある。また、異なる車両用のその他の点では同一のシートが、一部の例では手動操作のために移動止め取付具を有し、他の例では電化された調節のために電気作動型の歯車付き取付具を有し、このため、モジュラー背もたれ調節装置群のインターフェース形状が同一デザインのものであるため、移動止め型取付具にも同一のアダプター部品を使用することが好都合である。
【0024】
本発明による車両シートは第1構造部品と第2構造部品とを有し、第1構造部品は本発明による二重取付具によって第2構造部品に関節式に結合されている。第1構造部品は背もたれ構造体であることができる。第2構造部品はシートクッション構造体であることができる。
【0025】
本発明による車両シートは、背もたれ構造体を含む背もたれと、シートクッション構造体を含むシートクッションとを有することができ、背もたれ構造体は本発明による二重取付具によってシートクッション構造体に関節式に結合されている。本発明による車両シートの背もたれは、従って、不快なほどに高い機能特性、特に操作力及び調節力なしで、高いベルト力に対応することができる。二重取付具は好ましくはシート外側の領域に配置されている。単一取付具又は単純な回転軸受を反対側のシート外側に配置することができる。
【0026】
2つのアダプター部品の一方だけが車両シートの背もたれ構造体に固定的に接続されることができ、2つのアダプター部品の他方は背もたれ構造体に対して及び背もたれ構造体に固定的に接続されているアダプター部品に対して限定された範囲で移動可能であり、特に軸の周りで回転可能であることができる。代わりに、2つのアダプター部品の一方だけが車両シートのシートクッション構造体に固定的に接続されることができ、2つのアダプター部品の他方はシートクッション構造体に対して及びシートクッション構造体に固定的に接続されているアダプター部品に対して限定された範囲で移動可能であり、特に軸の周りで回転可能であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下で、本発明を図面に示される有利な例示的実施形態に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は前記例示的実施形態に限定されるものではない。
【
図1】一体化されたベルトリトラクター機構を有し且つ単一取付具と二重取付具とを含む取付具システムを有する車両シートの背もたれ構造体の概略斜視背面図を示す。
【
図2】第1の例示的な実施形態に従って、本発明による二重取付具の第1アダプター部品と第2アダプター部品の断面を示す。
【
図3】第2の例示的な実施形態の第1アダプター部品と第2アダプター部品の側面図を示し、第2アダプター部品は第1アダプター部品によって実質的に隠されている。
【
図4】第3の例示的な実施形態による二重取付具の分解図である。
【
図5】第4の例示的な実施形態による二重取付具の斜視図を示す。
【
図6】
図5の二重取付具のVI−VI線に沿った断面を示す。
【
図7】第5の例示的な実施形態による二重取付具の斜視図を示す。
【
図8】
図7の二重取付具のVIII−VIII線に沿った断面を示す。
【
図9】第6の例示的な実施形態の第1アダプター部品と第2アダプター部品の側面図を示し、第2アダプター部品は第1アダプター部品によって実質的に隠されている。
【
図10】
図9に対応する側面図を示し、2つのアダプター部品は互いに対して回転されている。
【
図11】第6の例示的な実施形態による二重取付具の半分の分解図である。
【
図12】第6の例示的な実施形態の変形例による二重取付具の半分の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
車両シート(図示せず)が、シートクッションと、シートクッションに対して傾きに関して調節可能な背もたれとを含む。この基本構成は例えば特許文献3から知られている。
図1は、車両シートの背もたれの背もたれ構造体3を背面から、すなわち、背もたれ構造体3の乗員の反対側に面する後側から示す。
【0029】
背もたれ構造体3は、取付具システムによってシートクッションの構造体(図示せず)に接続されている。取付具システムは、本発明による二重取付具10と、単一取付具20とを含む。取付具システムは、背もたれの傾きの調節と、背もたれからシートクッション構造体への力の伝達とに役立つ。二重取付具10は2つの取付具100を含み、従って、二重取付具10の故障が発生するまで、1つの取付具100を含む単一取付具20よりも高い力及びトルクに耐えることができる。
【0030】
車両シートの乗員を固定する三点ベルトシステムのベルトリトラクター機構5が、背もたれ構造体3の上部コーナー領域に配置されている。衝突の際、ベルトリトラクター機構5を介して背もたれ構造体3にベルト力が伝えられる。前記ベルト力は大部分がベルトリトラクター機構5の下で背もたれ構造体3の外側に配置されている二重取付具10によってシートクッション構造体に供給され且つ伝導され、一方、背もたれ構造体3の反対側の外側に配置された単一取付具20はかなり低い荷重を受け、従って単一の標準的な構成要素として実現することができる。
【0031】
すべての例示的な実施形態で、二重取付具10はそれ自体既知の2つの同一の取付具100から構成され、これらの取付具100の構造は単一取付具20の取付具100の構造に一致する。2つの取付具100の各々は第1取付具部品111と第2取付具部品112とを含み、第1取付具部品111と第2取付具部品112は軸Aの周りで互いに対して回転可能であり、取付具100が歯車付き取付具の形態である場合は互いに噛合接続され、取付具100が移動止め型取付具の形態である場合は共にロックされることができる。軸Aは以下で使用される方向の記載を定義し、円筒座標系に関連する。
【0032】
背もたれ構造体3の傾きは、取付具システムによって軸Aの周りで調節されることができる。歯車付き取付具(タンブル取付具)の場合、軸Aは車両の座標系に対する歯車取付具の偏心によりわずかに転動する。二重取付具10の基本構成は、
図4、11及び12から理解することができる。
【0033】
2つの第2取付具部品112は、アダプター部品によって車両シートの背もたれ構造体3に接続されている。ここでは、第1アダプター部品150が2つの第2取付具部品112の一方に接続され、第2アダプター部品160が2つの第2取付具部品112の他方に接続されている。このために、アダプター部品150、160は各々、第2インターフェース175(本例では開口部)を有し、第2取付具部品112は開口部に部分的に挿入され且つそれぞれのアダプター部品150、160に溶接されている。2つのアダプター部品150、160の一方(本例では第1アダプター部品150)は背もたれ構造体3に固定的に接続されている。以下で詳細に説明されるように、第2アダプター部品160は第1アダプター部品150に対してわずかに回転可能である。
【0034】
二重取付具10の2つの取付具100の2つの第1取付具部品111は互いに対して鏡面対称に配置され、本例ではねじ接続によって互いに及び2つの下部部品140によってシートクッションの構造体に固定的に接続されている。下部部品140は各々、第1インターフェース145(本例では開口部)を有し、第1取付具部品111は開口部に部分的に挿入され且つそれぞれの下部部品140に溶接されている。
【0035】
図面は本発明による二重取付具10の全部で6つの例示的な実施形態を示し、これらの例示的な実施形態は特にアダプター部品150、160の領域が互いに異なっている。
【0036】
図2は第1の例示的な実施形態の断面を示す。2つのアダプター部品150、160は類似の(本例では同一の)構造のものであり、軸方向反対側に且つ互いに当接するように配置されている。2つのアダプター部品150、160は、いずれの場合も突出部171と穴状の受け口172とを含み、受け口172は定められた程度に大きく、接触輪郭174を有する。接触輪郭174は、本例では穴状の受け口172の円筒状内面である。各受け口172は、いずれの場合も他のアダプター部品150、160の1つの突出部171によって係合されている。
【0037】
突出部171と受け口172との間の直径の差に起因する突出部171と接触輪郭174との間の遊びSは、2つのアダプター部品150、160及びひいてはこれらに接続された第2取付具部品112が互いに対して移動することを可能にし、通常の使用状況及び運転動作中における相互の機能性の直接的な影響を防ぐ。遊びSの大きさは好ましくは突出部171の周囲にわたって一定ではなく、周囲にわたって少なくとも2つの取付具100の2つの歯車装置の軸方向の公差を補償するのに必要な値を有するが、場合により、進行方向又は荷重方向では、背もたれ荷重の存在下での追加の前後運動に対する必要性に起因するより大きな値を有する。
【0038】
2つのアダプター部品150、160の一方(本例では第1アダプター部品150)は背もたれ構造体3に固定的に接続され、一方、遊びSにより、2つのアダプター部品150、160の他方(本例では第2アダプター部品160)は背もたれ構造体3に対して及び第1アダプター部品150に対して移動可能なままであり、従って通常の使用時に運転荷重を受けず、背もたれ傾斜角度の調節中に大きなトルクに打ち勝つ必要はない。
【0039】
背もたれの傾きの調節は、二重取付具10と単一取付具20を互いに連結する伝動ロッド(図示せず)によって実現される。伝動ロッドの回転は、いずれの場合も3つの取付具100のいずれかの駆動要素を駆動させる。ここで、第1アダプター部品150によって背もたれ構造体3に直接接続されている二重取付具10の取付具100及び単一取付具20は、軸Aの周りで背もたれ構造体3を移動させる。第2アダプター部品160に接続されている二重取付具10の取付具100は、実質的に荷重なしでその許容誤差内で同期して駆動されるが、力の流れ内にはない。この状態は、衝突の際、第1アダプター部品150に接続された取付具100又はその下部部品140の弾性又は塑性変形が遊びSの値を超えた場合に変化し、その結果、前記荷重方向において、2つアダプター部品150、160は互いに周方向に接触し、その後、更なる荷重の過程で、両方のそれぞれの取付具100は共同で導入された力に対応する。
【0040】
図3は第2の例示的な実施形態を示し、第2の例示的な実施形態の機能とデザインは以下で特に記載されない限り第1の例示的な実施形態に一致する。第1アダプター部品150は、接触輪郭174と第1アダプター部品150の穴184との間に配置されたブリッジ182を有する。ブリッジ182は、穴184と共に、接触輪郭174に隣接した変形領域180を形成する。好ましくは、第2アダプター部品160も前記タイプの変形領域180を有する。高荷重の作用下で、特に衝突の際に、変形領域180は変形し且つエネルギーを変換する。
【0041】
図4は第3の例示的な実施形態の二重取付具10のすべての構成要素を示す。分解図により、いずれの場合も、歯車付き取付具の形態である2つの取付具100の各々のすべての例示的な実施形態に使用されるような遊び補償機構を理解することができる。各遊び補償機構は、駆動体102と、2つのくさび状部分104と、ばね106とから構成されている。前記タイプの遊び補償機構の原理は、例えば独国特許出願公開第102009053250号明細書に記載されている。構成要素の数及びその公差によって、2つの取付具100が入力側と出力側の両方で互いに固定的に接続された場合、二重取付具10の2つの取付具100の間で相互の機能障害が生じる。
【0042】
図4はまた、2つのアダプター部品150、160の空間的な並列性を確保するための第3の例示的な実施形態の周囲係合部分190を示す。周囲係合部分190はU字形の形状を有する。周囲係合部分190はウェブ192と2つのフランジ194とを含み、2つのフランジ194は各々がウェブ192から直角に突出している。ウェブ192は2つのフランジ194を互いに接続する。ウェブ192は第1アダプター部品150に面積的に当接し且つ第1アダプター部品150に接続され、好ましくは溶接されている。2つのフランジ194はそれらの間に第1アダプター部品150と第2アダプター部品160を受け入れるが、これらに当接していない。2つのフランジ194とアダプター部品150、160の境界との間に小さな間隔があり、この間隔は突出部171が接触輪郭174に当接する前に第2アダプター部品160が上記のように第1アダプター部品150に対して移動することができるように選択される。特に周方向におけるアダプター部品150、160間の更なる可能な移動が追加として周囲係合部分190によって防止されるように、アダプター部品150、160の境界は高荷重下でのみフランジ194に当接する。第3の例示的な実施形態の変形例では、第1アダプター部品150の形状は第2アダプター部品160の形状とは異なるように形成されている。第1アダプター部品150の境界はフランジ194に当接する。2つのフランジ194と第2アダプター部品160の境界との間に小さな間隔があり、この間隔は上記のように突出部171が接触輪郭174に当接する前に第2アダプター部品160が第1アダプター部品150に対して移動することができるように選択される。
【0043】
本例では、周囲係合部分190は塞ぎ板195に接続され、好ましくは溶接されている。周囲係合部分190及び塞ぎ板195は、本例では2つのアダプター部品が通る正方形の輪郭を形成する。塞ぎ板195によって閉じられた周囲係合部分190によって、高い軸荷重がアダプター部品150、160により対応されることができる。
【0044】
図5及び6は二重取付具10の第4の例示的な実施形態を示し、第4の例示的な実施形態の機能とデザインは実質的に第3の例示的な実施形態に一致する。第3の例示的な実施形態と対照的に、第4の実施形態の二重取付具10はしかるべく周囲係合部分190を有するが、塞ぎ板195を有していない。
【0045】
図7及び8は二重取付具10の第5の例示的な実施形態を示し、第5の例示的な実施形態の機能とデザインは実質的に第4の例示的な実施形態に一致する。第4の例示的な実施形態と対照的に、周囲係合部分190は別個に形成された構成要素ではなく、第1アダプター部品150に一体化されている。このために、いずれの場合も、第1アダプター部品150の2つの対向する縁領域に1つのクランク状に曲げられたフランジ194が形成されている。周囲係合部分190の第1アダプター部品150への一体化により、前記第1アダプター部品は第2アダプター部品160と同一の形ではない。
【0046】
図9及び10は第6の例示的な実施形態を示し、この実施形態では2つのアダプター部品150、160の各々が軸Aの反対側に面する縁領域にフック状の周囲係合部分190を有し、フック状の周囲係合部分は組み立てられた状態で2つのアダプター部品150、160のそれぞれの他方の上に係合する。2つのアダプター部品150、160は組立工程中にまず互いの上に置かれ、次に2つの周囲係合部分190がそれぞれの他のアダプター部品150、160の上に係合するまで、周囲係合部分190のそれぞれの他のアダプター部品150、160の上への遊びがある係合をもたらすために互いに対して回転させられる。
【0047】
図11は第6の例示的な実施形態の分解図である。例示的な実施形態1から5と同様に、2つの取付具100はくさび状偏心器を有する歯車付き取付具100として設計されている。
【0048】
本発明は歯車付き取付具に限定されるものではない。高荷重の用途のための本発明による取付具100の二重化は、基本的に例えば独国特許出願公開第102009041490号明細書から知られている移動止め型取付具を使用して実施することもできる。
図12は2つの移動止め型取付具100を有する第6の例示的な実施形態の変形例による二重取付具10の半分の分解図である。2つの移動止め取付具は、いずれの場合も、軸Aを中心に互いに対して回転可能な1つの第1取付具部品111及び1つの第2取付具部品112と、半径方向に移動可能であるように第1取付具部品111内に案内される複数のロックボルト108とを含み、複数のロックボルト108は取付具100のロック状態において第2取付具部品112の歯付きリング114と相互作用する。
【0049】
好ましくは同一のアダプター部品150、160に突出部171と接触輪郭174の組み合わせを有する例示的な実施形態に示される解決策は、単に本発明の(特に共同で荷重に対応する2つの取付具100の機能分離の)可能なデザイン変形例の選択を表しているにすぎない。組み立てられた取付具間の遊びの基本的な原理を使用するすべての解決策、すなわち、例えばアダプター部品と背もたれの間のねじ接続(この場合、スペーサーリング等によって、第2アダプター部品は遊びによって定められる限定された範囲で第1アダプター部品に対して移動可能である)、及び遊びが下部部品に固定された取付具で実現される解決策が、同様に実施可能であり且つこの記載の趣旨に含まれる。段付きボルトでのリベット留め接続又はプラグ型接続が同様に考えられ、プラグ型接続では、例えば周囲係合部分と塞ぎ板を有する
図4のような実施形態の場合、背もたれに固定されている取付具にある平面的な上部プレートが、周囲係合部分によって形成され且つ4つの側面が閉じられている空間に差し込まれ、最終的に下部のねじ接続によって固定される。このような解決策は、製造方法によって、二重取付具が設置された背もたれ構造体の塗装中に2つのアダプター部品が塗料によって結合されるおそれがある場合に有利なことがあり、前記結合は通常、プレス加工されたスペーサーの形成等によってアダプター部品表面の最小間隔を定めることによって防ぐことができる。
【0050】
非常に近くに組み立てられているが分離されている取付具は、極端なねじれ又は荷重が運転操作中に背もたれ構造体に作用する場合に軸方向に接触する可能性があり、少なくとも理論的にノイズが発生することにつながる可能性があることは基本的に無視することができない。従って、上記の遊びはまた、小さい力の存在下で高いレベルの変形を示す材料、すなわち軟質プラスチック又はエラストマーによって硬い金属部材間の遊び自体を埋めることができる包括的な解決策と理解されるべきである。
【0051】
上記説明、特許請求の範囲及び図面に開示されている特徴は、本発明のその様々な実施形態での実現のために個々に及び組み合わせの両方で重要であり得る。
【符号の説明】
【0052】
3 背もたれ構造体
5 ベルトリトラクター機構
10 二重取付具
20 単一取付具
100 取付具
102 駆動体
104 くさび状部分
106 ばね
108 ロックボルト
111 第1取付具部品
112 第2取付具部品
114 歯付きリング
140 下部部品
145 第1インターフェース
150 第1アダプター部品
160 第2アダプター部品
171 突出部
172 受け口
174 接触輪郭
175 第2インターフェース
180 変形領域
182 ブリッジ
184 穴
190 周囲係合部分
192 ウェブ
194 フランジ
195 塞ぎ板
A 軸
S 遊び
【国際調査報告】