特表2017-508061(P2017-508061A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルケイナム・アロイ・デザイン・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2017-508061表面合金化金属及び表面を合金化するための方法
<>
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000003
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000004
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000005
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000006
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000007
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000008
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000009
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000010
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000011
  • 特表2017508061-表面合金化金属及び表面を合金化するための方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-508061(P2017-508061A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(54)【発明の名称】表面合金化金属及び表面を合金化するための方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 26/00 20060101AFI20170303BHJP
   B23K 20/08 20060101ALI20170303BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20170303BHJP
   C22C 38/18 20060101ALN20170303BHJP
   C22C 38/40 20060101ALN20170303BHJP
【FI】
   C23C26/00 B
   B23K20/08
   C22C38/00 302X
   C22C38/18
   C22C38/40
   C22C38/00 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-531983(P2016-531983)
(86)(22)【出願日】2014年12月9日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月21日
(86)【国際出願番号】US2014069383
(87)【国際公開番号】WO2015089097
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】61/914,794
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516142148
【氏名又は名称】アルケイナム・アロイ・デザイン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バラード,ダニエル・イー
(72)【発明者】
【氏名】マクダーモット,ジョセフ・イー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,アダム
【テーマコード(参考)】
4E167
4K044
【Fターム(参考)】
4E167AA02
4E167AA03
4E167AA29
4E167BD00
4E167DC05
4E167DC06
4E167DC13
4K044AA02
4K044AA03
4K044AB02
4K044BA02
4K044BA06
4K044BB03
4K044BC02
4K044CA13
4K044CA15
4K044CA18
4K044CA24
(57)【要約】
本開示は、一貫した組成物拡散を伴い、炭素鋼基材に接合されたステンレス鋼層を含む材料を提供する。材料は、爆発溶接されたステンレス鋼、及びクロマイジングの適用では典型的に観察される深い拡散接合に関連する耐食性を有することができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金化剤を有する合金化金属層を含み、前記合金化金属層が、基材に、前記合金化金属層と前記基材の間の拡散層を利用して結合されており、前記拡散層中の合金化剤の量が、X線光電子分光法による測定で、約−0.01%/マイクロメートル〜−5.0%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する材料。
【請求項2】
前記拡散層中の合金化剤の量が、X線光電子分光法による測定で、約−0.05%/マイクロメートル〜−1.0%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記拡散層が、前記合金化金属層と前記基材の間の冶金学的な接合をもたらす請求項1に記載の材料。
【請求項4】
前記合金化金属層がステンレス鋼を含む請求項1に記載の材料。
【請求項5】
前記合金化剤がクロムを含む請求項1に記載の材料。
【請求項6】
前記合金化剤がニッケルを含む請求項1に記載の材料。
【請求項7】
前記合金化剤が鉄を含む請求項1に記載の材料。
【請求項8】
前記基材が鋼基材を含む請求項1に記載の材料。
【請求項9】
前記基材が低炭素鋼を含む請求項8に記載の材料。
【請求項10】
前記基材が炭素鋼を含む請求項8に記載の材料。
【請求項11】
前記合金化金属層の厚さが200マイクロメートル未満である請求項1に記載の材料。
【請求項12】
前記合金化金属層の厚さが100マイクロメートル未満である請求項1に記載の材料。
【請求項13】
前記拡散層中の合金化剤の量が、X線光電子分光法による測定で、約−0.15%/マイクロメートル〜−0.60%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する請求項1に記載の材料。
【請求項14】
前記深さが、前記合金化金属層の外面から測定される請求項1に記載の材料。
【請求項15】
前記鋼基材が低炭素鋼を含む請求項14に記載の材料。
【請求項16】
前記合金化金属層が、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有する請求項1に記載の材料。
【請求項17】
鋼基材に冶金学的に接合された外側金属層を含む材料であって、前記材料が、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有し、酸化性又は腐食性環境にさらされたとき、最大で約1ナノメートル/時間の速度で腐食する、材料。
【請求項18】
前記外側金属層が鋼を含む請求項17に記載の材料。
【請求項19】
前記外側金属層がステンレス鋼を含む請求項17に記載の材料。
【請求項20】
前記外側金属層がクロムを含む請求項17に記載の材料。
【請求項21】
前記外側金属層がニッケルを含む請求項17に記載の材料。
【請求項22】
前記鋼基材が低炭素鋼を含む請求項17に記載の材料。
【請求項23】
前記鋼基材が炭素鋼を含む請求項17に記載の材料。
【請求項24】
前記外側金属層の厚さが200マイクロメートル未満である請求項17に記載の材料。
【請求項25】
前記外側金属層の厚さが100マイクロメートル未満である請求項17に記載の材料。
【請求項26】
前記材料が、酸化性環境にさらされたとき、最大で0.5ナノメートル/時間の速度で腐食する請求項17に記載の材料。
【請求項27】
前記材料が、酸化性環境にさらされたとき、最大で0.1ナノメートル/時間の速度で腐食する請求項17に記載の材料。
【請求項28】
前記材料が、酸化性環境にさらされたとき、最大で0.05ナノメートル/時間の速度で腐食する請求項17に記載の材料。
【請求項29】
前記材料の表面が、1年後、最大で10マイクロメートル腐食する請求項17に記載の材料。
【請求項30】
前記材料の表面が、1年後、最大で5マイクロメートル腐食する請求項17に記載の材料。
【請求項31】
前記材料が、前記外側金属層と前記鋼基材の間に材料の不連続性を有していない請求項17に記載の材料。
【請求項32】
前記酸化性環境が、1又は複数の酸化剤を含む請求項17に記載の材料。
【請求項33】
鋼基材に冶金学的に接合されたステンレス鋼層を含む材料であって、前記材料が、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有し、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約1年の耐食性を有する、材料。
【請求項34】
前記材料が、前記銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約5年の耐食性を有する請求項33に記載の材料。
【請求項35】
前記材料が、前記銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約10年の耐食性を有する請求項33に記載の材料。
【請求項36】
前記ステンレス鋼層の厚さが200マイクロメートル未満である請求項33に記載の材料。
【請求項37】
前記ステンレス鋼層の厚さが100マイクロメートル未満である請求項33に記載の材料。
【請求項38】
鋼基材が低炭素鋼を含む請求項33に記載の材料。
【請求項39】
鋼基材が炭素鋼を含む請求項33に記載の材料。
【請求項40】
合金化剤を有する合金化金属層で少なくとも部分的に被覆された鋼コアを含む金属含有物体であって、前記合金化金属層が、500マイクロメートル未満の厚さを有し、前記合金化剤の濃度が、前記金属含有物体内で最大濃度であり、X線光電子分光法による測定で、約50マイクロメートル以下の深さにわたって前記合金化金属層内で20重量%以下低下する金属含有物体。
【請求項41】
前記合金化金属層がステンレス鋼を含む請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項42】
前記合金化剤がクロムを含む請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項43】
前記合金化剤がニッケルを含む請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項44】
前記鋼コアが低炭素鋼を含む請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項45】
前記鋼コアが炭素鋼を含む請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項46】
前記合金化金属層と前記鋼コアの間の拡散層をさらに含む請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項47】
前記拡散層が、前記合金化金属層と前記鋼コアを冶金学的に接合する請求項46に記載の金属含有物体。
【請求項48】
前記合金化剤の濃度が、前記拡散層中で実質的にゼロ重量%まで低下する請求項46に記載の金属含有物体。
【請求項49】
前記合金化金属層中の前記合金化剤の濃度が、10重量%以下低下する請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項50】
前記合金化金属層が、250マイクロメートル未満の厚さを有する請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項51】
前記合金化金属層が、100マイクロメートル未満の厚さを有する請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項52】
前記金属含有物体が金属屋根材である請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項53】
前記合金化金属層と前記鋼コアの間に不連続性がない請求項40に記載の金属含有物体。
【請求項54】
合金化剤を含む金属含有物体であって、前記合金化剤が、前記金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、少なくとも10重量%の濃度を有し、前記合金化剤が、前記金属含有物体の表面から150マイクロメートルを超える深さで、最大で6重量%の濃度を有する、金属含有物体。
【請求項55】
前記金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、前記合金化剤の濃度が、深さに応じて約20重量%以下変化する請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項56】
前記金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、前記合金化剤の濃度が、深さに応じて約10重量%以下変化する請求項55に記載の金属含有物体。
【請求項57】
前記金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、前記合金化剤の濃度が、深さに応じて約5重量%以下変化する請求項56に記載の金属含有物体。
【請求項58】
前記合金化剤がクロムを含む請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項59】
前記合金化剤がニッケルを含む請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項60】
前記合金化剤が鉄を含む請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項61】
前記合金化剤が、前記金属含有物体の表面から50マイクロメートル以下の深さで、少なくとも15重量%の濃度を有する請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項62】
前記合金化剤が、前記金属含有物体の表面から75マイクロメートル以下の距離で、少なくとも10重量%の濃度を有する請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項63】
前記合金化剤が、前記金属含有物体の表面から150マイクロメートルを超える深さで、最大で4重量%の濃度を有する請求項54に記載の金属含有物体。
【請求項64】
前記金属含有物体が、金属屋根材である請求項54に記載の金属含有物体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
相互参照
本出願は、2013年12月11日に出願された米国特許仮出願第61/914794号に対する優先権を主張し、上記出願は全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
鋼は、鉄、及び炭素を含む他の元素の合金にすることができる。炭素が主な合金元素であるとき、鋼中のその含有量は、重量で0.002%〜2.1%の間にすることができる。限定することなしに、以下の元素が鋼中に存在することができる:炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素並びに微量の酸素、窒素及びアルミニウム。鋼の特性を改質するために加えられる合金元素には、限定することなしに、以下を含むことができる:マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、ホウ素、チタン、バナジウム及びニオブ。
【0003】
ステンレス鋼は、水で容易に腐食したり、さびたり(又は酸化したり)、あるいは染みが付いたりしない材料になる。所与の環境に合った、ステンレス鋼の様々なグレード及び表面仕上げがあり得る。鋼の特性と耐食性の両方が有益な場合に、ステンレス鋼を用いることができる。
【発明の概要】
【0004】
ある態様において、本開示は、鋼のための保護被覆を提供する。場合によっては、非ステンレス鋼製品が、ステンレス鋼外層に冶金学的に接合され、且つステンレス鋼外層をもたらす。
【0005】
別の態様において、本開示は、合金化剤を有する合金化金属層を含む材料を提供し、合金化金属層は、合金化金属層と基材の間の拡散層を利用して基材に結合されており、ここで、拡散層中の合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、約−0.01%/マイクロメートル〜−5.0%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する。
【0006】
いくつかの実施形態において、拡散層中の合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、約−0.05%/マイクロメートル〜−1.0%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する。
【0007】
いくつかの実施形態において、拡散層は、合金化金属層と基材の間の冶金学的な接合をもたらす。
【0008】
いくつかの実施形態において、合金化金属はステンレス鋼を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、合金化剤はクロムを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、合金化剤はニッケルを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、合金化剤は鉄を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、基材は鋼基材を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、基材は低炭素鋼を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、基材は炭素鋼を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、合金化金属層の厚さは200マイクロメートル未満である。
【0016】
いくつかの実施形態において、合金化金属層の厚さは100マイクロメートル未満である。
【0017】
いくつかの実施形態において、拡散層中の合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、約−0.15%/マイクロメートル〜−0.60%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する。
【0018】
いくつかの実施形態において、深さは合金化金属層の外面から測定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、合金化金属層は、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有する。
【0020】
別の態様において、本開示は、鋼基材に冶金学的に接合された外側金属層を含む材料を提供し、ここで、材料は、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有し、酸化性又は腐食性環境にさらされたとき、最大で約1ナノメートル/時間の速度で腐食する。
【0021】
いくつかの実施形態において、外側金属層は鋼を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、外側金属層はステンレス鋼を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、外側金属層はクロムを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、外側金属層はニッケルを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、鋼基材は低炭素鋼を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、鋼基材は炭素鋼を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、外側金属層の厚さは200マイクロメートル未満である。
【0028】
いくつかの実施形態において、外側金属層の厚さは100マイクロメートル未満である。
【0029】
いくつかの実施形態において、材料は、酸化性環境にさらされたとき、最大で0.5ナノメートル/時間の速度で腐食する。
【0030】
いくつかの実施形態において、材料は、酸化性環境にさらされたとき、最大で0.1ナノメートル/時間の速度で腐食する。
【0031】
いくつかの実施形態において、材料は、酸化性環境にさらされたとき、最大で0.05ナノメートル/時間の速度で腐食する。
【0032】
いくつかの実施形態において、材料の表面は、1年後、最大で10マイクロメートル腐食する。
【0033】
いくつかの実施形態において、材料の表面は、1年後、最大で5マイクロメートル腐食する。
【0034】
いくつかの実施形態において、材料は、外側金属層と鋼基材の間に材料の不連続性を有していない。
【0035】
いくつかの実施形態において、酸化性環境は、1又は複数の酸化剤を含む。
【0036】
別の態様において、本開示は、鋼基材に冶金学的に接合されたステンレス鋼層を含む材料を提供し、ここで、材料は、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有し、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約1年の耐食性を有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、材料は、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約5年の耐食性を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、材料は、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約10年の耐食性を有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、ステンレス鋼層の厚さは200マイクロメートル未満である。
【0040】
いくつかの実施形態において、ステンレス鋼層の厚さは100マイクロメートル未満である。
【0041】
いくつかの実施形態において、鋼基材は低炭素鋼を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、鋼基材は炭素鋼を含む。
【0043】
別の態様において、本開示は、合金化剤を有する合金化金属層で少なくとも部分的に被覆された鋼コアを含む金属含有物体を提供し、ここで、合金化金属層は500マイクロメートル未満の厚さを有し、ここで、合金化剤の濃度は金属含有物体内で最大濃度であり、X線光電子分光法による測定で、約50マイクロメートル以下の深さにわたって合金化金属層内で20重量%以下低下する。
【0044】
いくつかの実施形態において、合金化金属はステンレス鋼を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、合金化剤はクロムを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、合金化剤はニッケルを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、鋼コアは低炭素鋼を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、鋼コアは炭素鋼を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、金属含有物体は、合金化金属層と鋼コアの間の拡散層をさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、拡散層は、合金化金属層と鋼コアを冶金学的に接合する。
【0051】
いくつかの実施形態において、合金化剤の濃度は、拡散層中で実質的にゼロ重量%まで低下する。
【0052】
いくつかの実施形態において、合金化金属層中の合金化剤の濃度は10重量%以下低下する。
【0053】
いくつかの実施形態において、合金化金属層は、250マイクロメートル未満の厚さを有する。
【0054】
いくつかの実施形態において、合金化金属層は、100マイクロメートル未満の厚さを有する。
【0055】
いくつかの実施形態において、金属含有物体は金属屋根材である。
【0056】
いくつかの実施形態において、合金化金属層と鋼コアの間に不連続性がない。
【0057】
別の態様において、本開示は、合金化剤を含む金属含有物体を提供し、ここで、合金化剤は、金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、少なくとも10重量%の濃度を有し、ここで、合金化剤は、金属含有物体の表面から150マイクロメートルを超える深さで、最大で6重量%の濃度を有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、合金化剤の濃度は、深さに応じて約20重量%以下変化する。
【0059】
いくつかの実施形態において、金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、合金化剤の濃度は、深さに応じて約10重量%以下変化する。
【0060】
いくつかの実施形態において、金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、合金化剤の濃度は、深さに応じて約5重量%以下変化する。
【0061】
いくつかの実施形態において、合金化剤はクロムを含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、合金化剤はニッケルを含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、合金化剤は鉄を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、合金化剤は、金属含有物体の表面から50マイクロメートル以下の深さで、少なくとも15重量%の濃度を有する。
【0065】
いくつかの実施形態において、合金化剤は、金属含有物体の表面から75マイクロメートル以下の距離で、少なくとも10重量%の濃度を有する。
【0066】
いくつかの実施形態において、合金化剤は、金属含有物体の表面から150マイクロメートルを超える深さで、最大で4重量%の濃度を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、金属含有物体は金属屋根材である。
【0068】
本開示の別の態様及び利点は、本開示の例示的実施形態のみが図示及び説明されている以下の発明を実施するための形態から、当業者には容易に明らかになるであろう。認識されるように、本開示から逸脱することなくすべて、本開示は他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な明らかな点において変更形態が可能である。したがって図面及び説明は、例示的な性格のものであり、制限的なものではないと見なされるべきである。
【0069】
(参照による引用)
本明細書に記載されるすべての刊行物、及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願それぞれが、参照することによって組み込まれるように具体的且つ個別に示される場合と同様に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0070】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲において、特殊性と共に記載される。本発明の特徴及び利点のよりよい理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態、及び添付図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】実施例のクロムめっき鋼における深さの関数として表したクロム濃度のプロットである。
図2】実施例の鋼製品の前駆体における深さの関数として表したクロム濃度及び鉄濃度のプロットである。
図3】実施例の鋼製品の前駆体の断面走査型電子顕微鏡法(SEM)像である。
図4】実施例の鋼製品における深さの関数として表したクロム濃度のプロットである。(実線)測定されたエネルギー分散型X線分光法(EDX)データ、(破線)コア中のクロム濃度について規格化したEDXデータ。
図5】実施例の鋼製品の断面SEM像である。
図6】実施例の鋼製品の前駆体における深さの関数として表したクロム濃度、ニッケル濃度及び鉄濃度のプロットである。
図7】実施例の鋼製品の前駆体の断面SEM像である。
図8】実施例の鋼製品における深さの関数として表したクロム濃度及びニッケル濃度のプロットである。
図9】実施例の鋼製品の断面SEM像である。
図10】本明細書に記述される1つの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
特定の実施形態を図に示したが、本開示は例示するためのものであるという理解のもと、これらの実施形態は、本明細書に記述及び例示される本発明を限定するものではない。
【0073】
本発明の様々な実施形態が、本明細書に図示及び記述されたが、このような実施形態は、一例として提供されているに過ぎないことが、当業者には明らかになるであろう。当業者なら、本発明から逸脱することなく、多数の変形形態、変更、及び代用を思いつくであろう。本明細書に記述される本発明の実施形態の様々な代替が用いられてもよいと理解されるべきである。
【0074】
本明細書において用いられ、複数の金属(例えば、遷移金属)に関連する「混合物」という用語は、金属が所与の領域内で混合されることを意味する。混合物は、固溶体、合金、均質な混合物、不均質な混合物、金属相、あるいは金属間又は不溶性の構造、結晶又は微結晶をさらに含む前述のうちの1つとしても記述することができる。場合によっては、本明細書において用いられる「混合物」という用語では、混合された結晶粒又は結晶又は相互に可溶な材料は明示的に除かれる。すなわち、本明細書に記述される混合物は、固溶体又は単一の金属相を(例えば、組成物の結晶粒が相互に拡散することができる温度まで混合物を加熱することにより)生成することができる組成物の区別できる結晶粒を含むことはできない。特に、混合物は、金属間化学種を含むことができるが、これらの金属間化学種は、「溶質」又はバルク金属相に可溶にはならないためである。さらに、混合される相互に可溶な材料を排除しても、サンプルの同質性を制限しない。不均質な混合物は、混合物中の少なくとも1つの金属の濃度勾配を含むことができるが、結晶粒と、結晶と混合された、あるいは組成物の第1の相が可溶な組成物である第2の相を有する溶質中の、1つの相又は組成物の区別できる結晶粒又は結晶を含むことはできない。
【0075】
本明細書において用いられ、金属の混合物に関連する「合金」という名詞は、混合物全体にわたって金属の濃度の変化が小さい金属、例えば、遷移金属の特定の組成物を意味する。合金の一例は、約18〜20重量%のクロム(Cr)、約8〜10.5重量%のニッケル(Ni)及び約2重量%のマンガン(Mn)を含む鉄組成物を有することができる304ステンレス鋼である。本明細書において用いられるとき、特定の体積を占める合金は、濃度勾配を含むことはできない。濃度勾配を含むような特定の体積は、混合物として、複数又はある範囲の合金を含むことができる。「合金化剤」は、1又は複数の他の元素と合金になり、材料の所与の深さにわたって組成物を緩やかに変化させる1又は複数の元素にすることができる。組成物のこのような緩やかな変化により、組成物の緩やかな変化を有することができない他の材料に対して、大幅に堅牢な製品を提供することができる。
【0076】
本明細書において用いられる「濃度勾配」という用語は、混合物中の少なくとも1つの元素の濃度の規則的な上昇又は低下を指す。場合によっては、混合物中の少なくとも1つの元素が、ある設定値からさらに高い/さらに低い設定値に増加又は減少する混合物中に濃度勾配が観察される。上昇又は低下は、直線状、放物線状、ガウシアン、又はその混合であり得る。場合によっては、濃度勾配は階段関数ではない。階段関数の変化は、複数の隣接する混合物として説明することができる。
【0077】
材料の層及び/又は領域は、「冶金学的に接合され」ているといえる。すなわち、層及び/又は領域の組成物をもたらす金属、合金又は混合物は、格子構造の一致により接合される。接着剤又はろう付け金属などの中間層は必ずしも関与しない。接合領域は、2つ以上の金属、合金又は混合物の間の冶金学的な接合が格子構造の一致を示す領域にすることができる。格子構造の一致は、1つの金属、合金又は混合物の格子から、冶金学的に接合された金属、合金又は混合物の格子への緩やかな変化を含むことができる。
【0078】
本明細書において用いられる用語は、鉄鋼業界において一般に用いられることがあるが、組成物又は領域は、1又は複数の元素を含んでもよく、これらからなってもよく、実質的にこれらからなってもよい。場合によっては、鋼は、炭素鋼(例えば、少なくとも鉄、炭素、及び最大約2%の全合金元素の混合物)と見なされる。合金元素又は合金化剤には、炭素(C)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)又は他の金属を含むことができるが、これらに限定されない。場合によっては、鋼又は炭素鋼は、鉄中で支持された様々な元素のランダムな組成物にすることができる。組成物又は領域が、1又は複数の元素からなる、あるいは実質的にこれらからなると記述されるとき、組成物又は領域中の開示されていない元素の濃度が、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により検出可能であってもよい(例えば、EDXは、最低約0.5〜1原子百分率のレベルの感度を有することができる)。組成物又は領域が、1又は複数の元素からなると記述されるとき、組成物又は領域中の開示されていない元素の濃度は、検出可能でないか、又は直接元素分析(例えば、誘導結合プラズマ(ICP)による。)の測定可能な誤差内でない可能性がある。
【0079】
冠詞「1つの(a、an)」及び「この(the)」は非限定的である。例えば、「方法(the method)」には、語句の意味の最も広い定義が含まれ、1つを超える方法であり得る。
【0080】
本明細書に記述される鋼を保護するための方法には、鋼製品の外側に1又は複数のステンレス鋼組成物をもたらす工程が含まれる。製品は、例えば、電子部品(例えば、電話、コンピュータ)又は機械部品(例えば、固定具)などの所与の形状に予備加工することができる。クロマイジングは、鋼の表面にクロム−鉄合金(例えば、ステンレス鋼)を生成するための一般的な方法にすることができる。鋼のクロマイジングは、熱蒸着−拡散工程が関与することがあり、これにより、クロムが鋼中に拡散することができて、鋼基材中で様々な濃度のクロムが生じる。場合によっては、基材の表面は最も高いクロム濃度を有し、基材内への距離が大きくなるにつれてクロム濃度は低下する。場合によっては、クロム濃度は拡散関数に従う(例えば、クロム濃度は、基材からの距離の関数として指数関数的に低下する)。他のクロマイジング製品(例えば、米国特許第3312546号明細書に記載されている。)には、20%を超え、基材内への距離の関数として直線状に低下するクロム濃度を有する拡散被覆を含むことができる(図1参照)。これらの高クロム含有量被覆は、バルク基材によってもたらされる材料を含むクロムの箔又は層を含むように見えることがある。
【0081】
基材内への深さの関数として表したクロムの濃度の低下は、材料の耐食性に影響を与え得る。場合によっては、表面の摩耗は、初期の表面よりも耐食性が低い、クロム濃度がさらに低い新しい層を連続的に生じさせる。この望ましくない効果は、クロムめっきした表面内のクロムの濃度の変化によることがある。
【0082】
ステンレス鋼の炭素鋼上への爆発溶接又はクラッドは、炭素鋼基材に冶金学的に接合された、一貫した組成物を持つステンレス鋼層を生じ得る。この技術は、クロマイジングに関連する濃度の変化を克服し得るが、フライング層(flying layer)の厚さ、高性能爆薬の使用、及び/又は形成される冶金学的な接合によって制限され得る。少なくとも2つのタイプの冶金学的な接合を、爆発溶接金属において観察することができる。爆薬使用量が多い場合、断面は、ベース層とフライング層の波状の混合から構成されることがあり、爆薬使用量がより少ない場合、断面は、フライング層の結晶粒のベース層内への注入を含むことがある(例えば、Explosive welding of stainless steel−carbon steel coaxial pipes,J.Mat.Sci.,2012,47−2,685−695及びMicrostructure of Austenitic stainless Steel Explosively Bonded to low Carbon−Steel,J.Electron Microsc.(Tokyo),1973,22−1,13−18(これらのそれぞれの全体が参照により組み込まれる。)を参照されたい)。
【0083】
ある態様において、本開示は、炭素鋼基材に接合された、一貫した組成物拡散を伴うステンレス鋼層を含む材料を提供する。材料は、爆発溶接されたステンレス鋼、及びクロマイジングの適用では典型的に観察される深い拡散接合に関連する耐食性を有することができる。
【0084】
本明細書において提供されるのは、鋼基材に冶金学的に接合された外側金属層を含む材料である。外側金属層は、1つ又は複数の任意の様々な方法によって形成することができる。場合によっては、外側金属層は、蒸着(例えば、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)、原子層堆積法(ALD)及び/又はプラズマ促進CVD(PECVD))によって形成される。場合によっては、外側材料層は、電気化学的な堆積(例えば、電気めっき)によって形成される。電気めっきでは、電流を利用して溶解した金属陽イオンを還元し、電極上に金属被覆を形成するようにすることができる。外側金属層の形成に適した方法の例は、米国特許出願第13/629699号;米国特許出願第13/799034号;及び米国特許出願第13/800698号明細書に記載されており、これらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
本明細書に記述される材料は、様々な冶金学的に接合された金属、合金又は混合物を含むことができる。場合によっては、材料は、ある一定の組成物もしくは濃度、及び/又は材料を通して深さもしくは距離の関数としての組成物もしくは濃度の変化(例えば、金属、合金又は混合物中の遷移金属の変化)を有する。場合によっては、金属、合金又は混合物中の構成金属の組成物又は濃度は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によって決定することができる。場合によっては、組成物が、層内又は領域内である距離にわたって「ほぼ一貫」していると記述されるとき、この用語は、その距離、層又は領域内の金属の相対パーセントが、EDXによる測定の標準誤差内で一貫していることを意味する。場合によっては、「ほぼ一貫した」距離、層又は領域にわたる移動平均は、距離(x軸)に対する濃度(y軸)の関数としてプロットされるとき、ほぼゼロの傾きを有する。場合によっては、組成物中の個々の元素の濃度(又は相対パーセント)は、距離にわたって、約5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%未満変化する。
【0086】
いくつかの実施形態において、本開示は、ステンレス鋼外側を有する鋼形態を提供する。鋼形態は、ステンレス鋼被覆をもたらすコア領域を含むことができる(例えば、鋼形態は、コア領域、接合領域及びステンレス鋼領域を含み、ここで、接合領域は、コア領域をステンレス鋼領域に冶金学的に接合する)。場合によっては、鋼形態は、少なくとも55重量%の鉄を含むことができる層又は領域によって定義される(例えば、鋼形態を有機被覆又は無機被覆によって被覆することができるが、これらの被覆は、鋼形態の一部と見なされない)。場合によっては、鋼形態のコア領域は、鉄(例えば、少なくとも55重量%の鉄)を含むことができる。場合によっては、コア領域内の鉄濃度は、98重量%、99重量%又は99.5重量%よりも高い。いくつかの実施形態において、コア領域は、約0.5重量%未満の炭素濃度を有する炭素鋼にすることができる。場合によっては、コア領域は、約0.25重量%未満の炭素濃度を有する炭素鋼である。いくつかの実施形態において、コア領域には実質的にクロムがなく、且つ/又は実質的にニッケルがない。
【0087】
コア領域によってもたらされる(すなわち、上に配置される)ステンレス鋼被覆は、ステンレス鋼領域及び接合領域からなることができる。場合によっては、接合領域は、コア領域、及びステンレス鋼外側を含むステンレス鋼領域に近接することができる。ステンレス鋼領域は、約1μm〜約250μm、約5μm〜約250μm、約10μm〜約250μm、約25μm〜約250μm、約50μm〜約250μm、約10μm〜約200μm又は約10μm〜約100μmの厚さを有することができる。
【0088】
ステンレス鋼領域は、ステンレス鋼組成物を有することができる。本明細書において用いられるとき、「ステンレス鋼組成物」は、ステンレス鋼領域が鉄及びクロムの混合物を含むことを意味する。場合によっては、ステンレス鋼組成物は、約10重量%〜約30重量%(例えば、約10重量%、約12重量%、約14重量%、約16重量%、約18重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%又は約30重量%)のクロム濃度を含む。場合によっては、ステンレス鋼組成物は、ステンレス鋼領域の厚さにわたってほぼ一貫している。
【0089】
いくつかの実施形態において、ほぼ、又は実質的に一貫したステンレス鋼組成物中、その距離層又は領域内の金属の相対パーセントは、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による測定の標準誤差内で一貫している。例えば、ほぼ、又は実質的に一貫した距離、層又は領域にわたる移動平均は、距離(x軸)に対する濃度(y軸)の関数としてプロットされるとき、ほぼゼロの傾きを有する。いくつかの実施形態において、組成物中の個々の元素の濃度(又は相対パーセント)は、距離にわたって、約40重量%、30重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%未満変化する。場合によっては、組成物中の個々の元素の濃度(又は相対パーセント)は、少なくとも約10ナノメートル(nm)、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、1マイクロメートル(ミクロン)、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、300ミクロン、400ミクロン又は500ミクロンの距離(例えば、深さ)にわたって、約40重量%、30重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%未満変化する。
【0090】
ステンレス鋼組成物は、鉄及びクロムの混合物を含むことができて、ニッケル、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される遷移金属をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ステンレス鋼組成物は、鉄、クロム及びニッケルの混合物を含み、約5重量%〜約20重量%のニッケル濃度を含む。いくつかの実施形態において、接合組成物は、鉄、クロム及びニッケルを含むことができて、又は実質的にこれらからなることができる。
【0091】
本開示のステンレス鋼層は、割れなどの欠陥をなくすか、又は実質的になくすことができる。このような割れは、層の様々な深さに入り込むことがあり、場合によっては、下にある層を露出させることがある。本開示の層は、少なくとも約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、500μm、1000μm、5000μm、10000μm、50000μm、100000μm又は500000μmの領域内に、(表面積で)最大で約50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%の密度の割れを有することができる。場合によっては、約80,000μmの領域内に約2〜5つの割れがある。
【0092】
いくつかの実施形態において、ステンレス鋼組成物は、約16重量%〜約25重量%のクロム濃度、及び約6重量%〜約14重量%のニッケル濃度を有する。いくつかの実施形態において、ステンレス鋼組成物は、実質的に鉄、クロム及びニッケルからなる。
【0093】
場合によっては、ステンレス鋼組成物は、約10.5重量%〜約18重量%のクロム濃度を有する。いくつかの実施形態において、ステンレス鋼組成物は、実質的に鉄及びクロムからなり、接合組成物は、実質的に鉄及びクロムからなる。
【0094】
場合によっては、ステンレス鋼被覆は、ステンレス鋼領域、及びステンレス鋼領域とコア領域の間に配置することができる接合領域を含む。接合領域は、1μmを上回り、ステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有することができる。場合によっては、接合領域は、約5μm〜約200μm、約5μm〜約100μm又は約10μm〜約50μmの厚さを有する。
【0095】
接合領域は、接合組成物を有することができて、この接合組成物は、鉄及びクロムの混合物を含むことができる。場合によっては、接合組成物は、ステンレス鋼領域のクロム濃度にほぼ等しく、コア領域に近接しているクロム濃度を有する(例えば、約5重量%、約4重量%、約3重量%、約2重量%、約1重量%又は約0.5重量%未満のクロムを有する)ステンレス鋼領域に近接しているクロム濃度をさらに含む。すなわち、クロム濃度は、接合領域を通して、ステンレス鋼領域内の濃度の半分未満の濃度まで低下することができる(例えば、コア領域内のクロムの濃度にほぼ等しい濃度まで低下する)。接合領域内のクロム濃度勾配は、例えば、クロム濃度の直線状の低下又はクロム濃度のS字状の低下を含むことができる。
【0096】
本開示の別の態様は、第1のステンレス鋼領域、第1のステンレス鋼領域とコア領域の間に配置された第1の接合領域、コア領域、コア領域と第2のステンレス鋼領域の間に配置された第2の接合領域、及び第2のステンレス鋼領域を含む、複数の領域を含む鋼板である(例えば、図10参照)。このような場合、第1のステンレス鋼領域は、約1μm〜約250μmの厚さを有することができて;第1の接合領域は、1μmを上回り、第1のステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有することができて;コア領域は、約100μm〜約4mmの厚さを有することができて;第2のステンレス鋼領域は、約1μm〜約250μmの厚さを有することができて;第2の接合領域は、1μmを上回り、第2のステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有することができる。
【0097】
場合によっては、コア領域は、少なくとも70重量%の鉄を含むコア組成物を有する。場合によっては、コア領域内の鉄濃度は、75重量%、85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%又は99.5重量%を超える。場合によっては、コア領域は、約0.5重量%未満の炭素濃度を有する炭素鋼である。場合によっては、コア領域は、約0.25重量%未満の炭素濃度を有する炭素鋼である。いくつかの実施形態において、コア領域には実質的にクロムがない。
【0098】
第1及び第2のステンレス鋼領域は、それぞれのステンレス鋼領域の厚さにわたってほぼ一貫したステンレス鋼組成物を有することができる。これらのステンレス鋼組成物は個別に、約10重量%〜約30重量%のクロム濃度を有する鉄及びクロムの混合物を含むことができる。場合によっては、クロム濃度は、約10重量%、約12重量%、約14重量%、約16重量%、約18重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%又は約30重量%にすることができる。
【0099】
第1及び第2の接合領域は、鉄及びクロムの混合物を含む接合組成物を有することができる。個別に、接合領域は、ステンレス鋼領域のクロム濃度にほぼ等しいステンレス鋼領域それぞれに近接しているクロム濃度を有することができる。場合によっては、コア領域に近接しているクロム濃度は、約5重量%、約4重量%、約3重量%、約2重量%、約1重量%又は約0.5重量%未満のクロムである。場合によっては、コア領域に近接しているクロム濃度は、コア領域内のクロム濃度にほぼ等しい(例えば、個々の接合領域はそれぞれ、クロム濃度勾配を有する)。接合領域内のクロム濃度勾配は、クロム濃度の直線状の低下又はクロム濃度のS字状の低下を含むことができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のステンレス鋼組成物は個別に、約5重量%〜約20重量%のニッケル濃度を有する鉄、クロム及びニッケルの混合物を含む。それぞれの第1及び第2の接合組成物は、ニッケルを含むこともできる。
【0101】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のステンレス鋼組成物は個別に、鉄、クロム、並びにニッケル、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される遷移金属の混合物を含む。それぞれの接合組成物は、(1又は複数の)選択された遷移金属を含むこともできる。
【0102】
場合によっては、本明細書に記述される領域を含む鋼板は、約0.1mm〜約4mmの厚さを有する。厚さは、材料の高さ、長さ又は幅よりも小さくすることができる。典型的な薄板では、長さ及び幅は、高さ(又は厚さ)よりも複数桁大きい。例えば、鋼板は、幅が約1メートル〜約4メートル、長さが50メートルを超える鋼帯にすることができる。
【0103】
個々のステンレス鋼領域は、同じか、異なる厚さを有することができる。場合によっては、第1及び第2のステンレス鋼領域は、ほぼ同じ厚さ(例えば、±5%)を有する。一例では、第1のステンレス鋼領域は、約10μm〜約100μmの厚さを有する。別の例では、第2のステンレス鋼領域は、約10μm〜約100μmの厚さを有する。個々の接合領域は、同じか、異なる厚さを有することができる。場合によっては、第1及び第2の接合領域は、ほぼ同じ厚さを有する(例えば、±5%)。別の例では、第1の接合領域は、約5μm〜約100μmの厚さを有する。さらに別の例では、第2の接合領域は、約5μm〜約100μmの厚さを有する。
【0104】
別の態様において、本明細書に記述されるのは、ステンレス鋼領域によってもたらされる(すなわち、上に配置される)ブラシ研磨したステンレス鋼表面を含む鋼形態である。いくつかの実施形態において、ステンレス鋼領域は、約5μm〜約200μmの厚さを有することができて、鉄及びクロムの混合物を含むほぼ一貫したステンレス鋼組成物を有することができて、約10重量%〜約30重量%のクロム濃度を有することができる。ステンレス鋼領域は、接合領域によってもたらされることができる。場合によっては、接合領域は、約5μm〜約200μmであるが、ステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有する。接合領域は、ステンレス鋼領域をコア領域に冶金学的に結合することができる。コア領域は、少なくとも85重量%の鉄を含むコア組成物を有することができる。接合領域は、鉄及びクロムの混合物を含み、且つステンレス鋼領域のクロム濃度にほぼ等しく、ステンレス鋼領域に近接しているクロム濃度から、約1重量%未満であるコア領域に近接しているクロム濃度まで低下する接合領域濃度勾配を含む接合組成物をさらに含むことができる。
【0105】
場合によっては、製品には塑性変形がない。本明細書において用いられるとき、「塑性変形」は、金属又は混合物の変形によってもたらされる金属又は混合物内の結晶粒の伸び又は伸張である。例えば、冷間圧延鋼は、圧延方向に塑性変形を示すことがある。鋼内の塑性変形は、鋼の断面を調べて観察及び定量化することができる。本明細書に記述される製品は、塑性変形を実質的になくすことができる(例えば、製品は、15%、10%又は5%未満の塑性変形を含む)。場合によっては、製品には実質的に塑性変形がない(例えば、製品は、1%未満の塑性変形を含む)。場合によっては、本明細書に記述される製品には、塑性変形がない(例えば、製品内の塑性変形は、製品の断面を調べても観察できない)。場合によっては、本明細書に記述される製品は、塑性変形を示す。材料は、硬質(すなわち、高い応力を受けている材料)にすることができる。いくつかの実施形態において、基材は、冷間ミルから直接使用される(すなわち、硬質基材)。場合によっては、硬質基材は、再結晶工程の間の急速混合を実現して拡散工程に役立つ。本明細書に記述される材料及び方法は、様々な量の冷間加工を利用することができる(例えば、1/2硬質又は1/4硬質基材)。
【0106】
製品(例えば、鋼又は炭素鋼基材又はコアによってもたらされるステンレス鋼層又は領域を含むもの。)は、コア領域になる出発基材上にクロムを低温堆積することによって製造することができる。出発基材上のクロムの堆積に利用できる技術には、物理蒸着法、化学蒸着法、金属−有機化学蒸着法、スパッタリング、イオン注入、電気めっき、無電解めっき、パックセメンテーション、ONERA(商標)工程、塩浴工程、クロム−氷晶石工程、Alphatising工程などが含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、クロムは、出発基材上の非圧縮層内に堆積される。場合によっては、クロムは、実質的にクロムからなる層として堆積される。図2及び図3は、炭素鋼基材上に堆積したままのクロム層のエネルギー分散型X線分光法(EDX)及び走査型電子顕微鏡法(SEM)のデータを示す。図2は、炭素鋼基材内に堆積したままのクロム及び鉄のおよその重量パーセントを示す。図3は、炭素鋼基材上に堆積させたクロムの断面のSEM像を示す。場合によっては、クロムは、鉄及びクロムの混合物として堆積される。場合によっては、クロムは、クロム、並びにニッケル、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される元素の混合物として堆積される。場合によっては、クロム、並びにニッケル、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される元素の複数の層が出発基材上に堆積される。図6及び図7は、炭素鋼基材上に堆積したままのニッケル層及びクロム層のEDX及びSEMのデータを示す。図6は、炭素鋼基材内に堆積したままのクロム、堆積したままのニッケル及び鉄のおよその重量パーセントを示す。図7は、炭素鋼基材によってもたらされるクロム及びニッケルの断面のSEM像を示す。
【0107】
出発基材上へのクロムの堆積に続いて、堆積させたクロム及びその他の任意の堆積させた金属を、約800℃〜約1200℃の範囲の温度又は約1000℃まで加熱することができる。図4及び図5は、例えば、図2及び図3に示す通り堆積させたクロムを加熱することによって作られた炭素鋼コアによってもたらされる400系ステンレス鋼のEDX及びSEMのデータを示す。図4は、深さの関数として表したクロムのおよその重量パーセントを示す(測定されたものと規格化したもの)。ステンレス鋼領域は、403SS、405SS、409SS、410SS、414SS、416SS、420SS及び422SSからなる群から選択されるステンレス鋼組成物名と比較できる。ステンレス鋼層の組成物名は、1又は複数の微量元素を、堆積したままのクロムに添加することによって、又は堆積したままのクロムの後処理(例えば、溶液法、堆積法又はイオン注入法)により1又は複数の微量元素を添加することによって、炭素鋼基材中の微量元素(例えば、ニッケル、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄及び窒素)の濃度によって影響され得る。図5は、それぞれの領域間の観察できるあらゆる違い(例えば、界面)を特に除くステンレス鋼領域、接合領域及びコア領域のSEM断面を示す。
【0108】
図8及び図9は、例えば、図6及び図7に示す通り堆積させたクロムを加熱することによって作られた炭素鋼コアによってもたらされる300系ステンレス鋼のEDX及びSEMのデータを示す。図8は、深さの関数として表したクロム及びニッケルのおよその重量パーセントを示す。ステンレス鋼領域は、301SS、302SS、303SS及び304SSからなる群から選択されるステンレス鋼組成物名と比較できる。ステンレス鋼層の組成物名は、1又は複数の微量元素を、堆積したままのクロムに添加することによって、又は堆積したままのクロムの後処理(例えば、溶液法、堆積法又はイオン注入法)により1又は複数の微量元素を添加することによって、炭素鋼基材中の微量元素(例えば、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄及び窒素)の濃度によって影響され得る。さらに、ステンレス鋼の組成物名は、ステンレス鋼層中のクロム及びニッケルの濃度によって影響される;これらの濃度は、無関係に上昇又は低下することができる。図9は、それぞれの領域間の観察できるあらゆる違い(例えば、界面)を特に除くステンレス鋼領域、接合領域及びコア領域のSEM断面を示す。
【0109】
ステンレス鋼領域と、接合領域と、必要に応じてコア領域の厚さ及び組成物の決定は、本明細書に記述される製品のサンプルの断面分析によって決定される。場合によっては、サンプルは、製品の面の1cm×1cmの領域によって定義される。次に、サンプルは、1cm×1cmの領域の中心を通って切断することができて、切断により露出した面は、Buehler EcoMet 250グラインダー−ポリッシャーで研磨することができる。場合によっては、5ステップの研磨工程には、Buehler 180 Gritディスクを用いる6ポンドの力での5分、Hercules Sディスクと6μm研磨懸濁液を用いる6ポンドの力での4分、Trident 3/6μmディスクと6μm研磨懸濁液を用いる6ポンドの力での3分、Trident 3/6μmディスクと3μm研磨懸濁液を用いる6ポンドの力での2分、そして、マイクロクロス(microcloth)ディスクと0.05μm研磨懸濁液を用いる6ポンドの力での1.5分が含まれる。次に、切断及び研磨した面を、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を行える測定器に入れることができる。上述の粉砕−研磨手順は、別個の層を交差汚染する恐れがある。汚染は研磨した面にわたって一貫し得る。場合によっては、第1の元素がない領域のベースライン測定は、EDXによる第1の元素のベースライン濃度よりも大きい値を示すことがある(例えば、図4参照)。ベースラインの上昇は、研磨された領域の面積、及び研磨した面内の元素それぞれの濃度に左右され得る。
【0110】
本開示のある態様では、材料は、合金化剤を有する合金化金属層を含み、合金化金属層は、合金化金属層と基材の間の拡散層を利用して基材(例えば、鋼基材)に結合されている。場合によっては、拡散層中の合金化剤の量は、例えば、X線光電子分光法(XPS)による測定で、約−0.01%/マイクロメートル〜−5.0%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する。X線光電子分光法(XPS)は一般に、材料内に存在する元素の1又は複数の元素組成、実験式、化学状態及び電子状態を、表面敏感な方法で測定できる当技術分野において既知の定量的分光技術を指す。場合によっては、X線光電子分光法により元素組成を測定できる。場合によっては、XPSスペクトルは、材料をX線で照射し、運動エネルギー及び分析される材料から飛び出した電子の数を測定することによって得られる。
【0111】
拡散層中の合金化剤の量は、任意の適した率で深さに応じて変化し得る。場合によっては、拡散層中の合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、約−0.001%、約−0.005%、約−0.01%、約−0.05%、約−0.1%、約−0.5%、約−1%又は約−5%/マイクロメートルの率で深さに応じて変化する。場合によっては、合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、最大で約−0.001%、最大で約−0.005%、最大で約−0.01%、最大で約−0.05%、最大で約−0.1%、最大で約−0.5%、最大で約−1%又は最大で約−5%/マイクロメートルの率で深さに応じて変化する。場合によっては、拡散層中の合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、約−0.05%/マイクロメートル〜−1.0%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する。場合によっては、拡散層中の合金化剤の量は、X線光電子分光法による測定で、約−0.15%/マイクロメートル〜−0.60%/マイクロメートルの間の率で深さに応じて変化する。場合によっては、深さは、合金化金属層の外面から測定される。
【0112】
場合によっては、拡散層は、合金化金属層と基材の間の冶金学的な接合をもたらす。場合によっては、合金化金属層はステンレス鋼を含む。
【0113】
合金化剤は、任意の適した材料にすることができる。場合によっては、合金化剤は、クロム、ニッケル、鉄、又はこれらの任意の組み合わせを含む。基材は、任意の適した材料にすることができる。場合によっては、基材は鋼基材を含む。場合によっては、鋼基材は、ステンレス鋼、低炭素鋼及び/又は炭素鋼を含む。
【0114】
合金化金属層は、任意の適した厚さを有することができる。場合によっては、合金化金属層の厚さは、約500マイクロメートル、約300マイクロメートル、約200マイクロメートル、約100マイクロメートル又は約50マイクロメートルである。場合によっては、合金化金属層の厚さは、少なくとも約500マイクロメートル、少なくとも約300マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル又は少なくとも約50マイクロメートルである。場合によっては、合金化金属層の厚さは、最大で約500マイクロメートル、最大で約300マイクロメートル、最大で約200マイクロメートル、最大で約100マイクロメートル又は最大で約50マイクロメートルである。場合によっては、合金化金属層の厚さは、約500マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約25マイクロメートル未満又は約10マイクロメートル未満である。
【0115】
いくつかの実施形態において、合金化金属層は、約500マイクロメートル、400マイクロメートル、300マイクロメートル、200マイクロメートル、100マイクロメートル、75マイクロメートル、50マイクロメートル、45マイクロメートル、40マイクロメートル、35マイクロメートル、30マイクロメートル、25マイクロメートル、20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル、5マイクロメートル以下の深さにわたって約90重量%(w/w)、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%以下変化する組成物を有する。いくつかの実施形態において、合金化金属層は、約50マイクロメートル以下の深さにわたって約20重量%以下変化する組成物を有する。
【0116】
ある態様において、材料は、鋼基材に冶金学的に接合された外側金属層を含み、材料は、コンタクトモード原子間力顕微鏡法(AFM)により測定される高耐久性を有する。静的モードAFMでは、静的な先端のたわみをフィードバック信号として用いることができる。静的信号の測定はノイズ及びドリフトが多いため、剛性の低いカンチレバーを用いて、たわみ信号を増大させることができる。しかし、材料の表面近くでは、引力が非常に強くなり、先端が表面に「スナップイン」される恐れがある。静的モードAFMは、全体の力が反発的である場合、接触させて行うことができる。コンタクトモードAFMでは、走査中、一定のたわみを保つことにより、先端と表面の間の力が一定に保たれる。
【0117】
場合によっては、材料は、米国材料試験協会(ASTM)の耐久性試験に合格する。ASTMの耐久性の材料規格は、ある種の材料の耐久性、使用寿命及び風化挙動を明らかにするための環境暴露試験を実施する手順を提供することができる。これらの試験は、材料の藻に対する耐性、光暴露挙動、活性スペクトル、分光放射照度及び分光分布並びに微生物感受性を調査及び評価するために実施することができて、これらの材料には、金属、ポリマー材料、ガラス及びプラスチックフィルムを含むことができる。これらの規格では、日射計、紫外放射計及び分光放射計、全天日射計、炭素アーク灯、蛍光灯及びキセノンアーク灯器具、金属プラックパネル及びホワイトパネル温度装置並びにシャープカットオンフィルター(sharp cut−on filter)などのような試験を実施する際に用いられる測定器に推奨される校正及び操作手順も提示される。これらの耐久性の材料規格は、このような材料及び製品に関係があるメーカー及びその他のユーザーにとって、材料の弾力性及び安定性の機構を理解する上で有用であり得る。
【0118】
別の態様において、本開示は、鋼基材に冶金学的に接合された外側金属層を含む材料を提供し、ここで、材料は、約500マイクロメートル、400マイクロメートル、300マイクロメートル、200マイクロメートル、100マイクロメートル、75マイクロメートル、50マイクロメートル、45マイクロメートル、40マイクロメートル、35マイクロメートル、30マイクロメートル、25マイクロメートル、20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル、5マイクロメートル以下の深さにわたって、約95重量%(w/w)、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%以下変化する組成物を有する。
【0119】
外側金属層は、任意の適した材料にすることができる。場合によっては、外側金属層は鋼を含む。場合によっては、外側金属層はステンレス鋼を含む。場合によっては、外側金属層は、クロム、ニッケル、又はこれらの組み合わせを含む。鋼基材は、任意の適した鋼にすることができる。場合によっては、鋼基材は低炭素鋼を含む。場合によっては、鋼基材は炭素鋼を含む。
【0120】
外側金属層は、任意の適した厚さを有することができる。場合によっては、外側金属層の厚さは、約500マイクロメートル、約300マイクロメートル、約200マイクロメートル、約100マイクロメートル又は約50マイクロメートルである。場合によっては、外側金属層の厚さは、少なくとも約500マイクロメートル、少なくとも約300マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル又は少なくとも約50マイクロメートルである。場合によっては、外側金属層の厚さは、最大で約500マイクロメートル、最大で約300マイクロメートル、最大で約200マイクロメートル、最大で約100マイクロメートル又は最大で約50マイクロメートルである。場合によっては、外側金属層の厚さは、約500マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約25マイクロメートル未満又は約10マイクロメートル未満である。
【0121】
場合によっては、外側金属層は、AFMが接触するとき、鋼基材から追い出されないように構成される。鋼基材は、低炭素鋼又は炭素鋼を含むことができる。場合によっては、冶金学的な接合は、(例えば、外側金属層と鋼基材が接触する場合、材料組成物の不連続性がないように)拡散層を含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、材料は、酸化性環境又は腐食性環境にさらされたとき腐食してもよい。酸化性環境は、1又は複数の酸化剤を含むことができる。酸化剤は、酸素(O)、水(HO)及び/又は過酸化水素(H)を含むことができる。場合によっては、材料は、外側金属層と鋼基材の間に不連続性を有していない。場合によっては、材料は、ASTM B117試験(例えば、塩水噴霧及び結露湿度を含む。)に合格する。
【0123】
酸化性環境は、任意の適した環境(例えば、空気、水、塩化物イオン及び/又は過酸化物を含む。)にすることができる。
【0124】
場合によっては、酸化性又は腐食性環境は、最低約1℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃又は100℃の温度である。酸化性又は腐食性環境は、最低1気圧(atm)、2atm、3atm、4atm、5atm、6atm、7atm、8atm、9atm、10atm、20atm、30atm、40atm、50atm、60atm、70atm、80atm、90atm又は100atmの圧力にすることができる。
【0125】
いくつかの例では、腐食性環境は酸を含む。酸の例には、硫酸、亜硫酸、塩酸及びフッ化水素酸が含まれる。他の例では、腐食性環境は塩基を含む。塩基の例には、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム又はアルミン酸カルシウムが含まれる。
【0126】
材料は、例えば、酸化性又は腐食性環境にさらされたとき、任意の適切に低い速度で腐食することができる。場合によっては、材料は、酸化性又は腐食性環境にさらされたとき、最大で約0.01ナノメートル/時間、最大で約0.05ナノメートル/時間、最大で約0.1ナノメートル/時間、最大で約0.5ナノメートル/時間、最大で約1ナノメートル/時間又は最大で約5ナノメートル/時間の速度で腐食する。場合によっては、材料は、酸化性又は腐食性環境にさらされたとき、約0.01ナノメートル/時間、約0.05ナノメートル/時間、約0.1ナノメートル/時間、約0.5ナノメートル/時間、約1ナノメートル/時間又は約5ナノメートル/時間の速度で腐食する。場合によっては、酸化性又は腐食性環境は、室温で3%過酸化水素(H)水混合物に溶解させた5%塩化ナトリウム(NaCl)を含む。
【0127】
材料は長時間持つことができる。場合によっては、材料の表面は、1年後、約0.1マイクロメートル、約0.5マイクロメートル、約1マイクロメートル、約5マイクロメートル、約10マイクロメートル又は約50マイクロメートル腐食される。場合によっては、材料の表面は、1年後、最大で約0.1マイクロメートル、最大で約0.5マイクロメートル、最大で約1マイクロメートル、最大で約5マイクロメートル、最大で約10マイクロメートル又は最大で約50マイクロメートル腐食される。
【0128】
本開示の別の態様は、鋼基材に冶金学的に接合されたステンレス鋼層を含む材料を提供し、ここで、材料は、約500マイクロメートル、400マイクロメートル、300マイクロメートル、200マイクロメートル、100マイクロメートル、75マイクロメートル、50マイクロメートル、45マイクロメートル、40マイクロメートル、35マイクロメートル、30マイクロメートル、25マイクロメートル、20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル、5マイクロメートル以下の深さにわたって約95重量%(w/w)、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%以下変化する組成物を有する。いくつかの実施形態において、材料は、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約1年の耐食性を有することができる。CASS試験の条件は当技術分野において既知であり、酢酸及び塩化銅の混合物を含む。別の適した試験手順は、酢酸試験(ASS)である。場合によっては、材料は、ASTM B117試験(例えば、塩水噴霧及び結露湿度を含む。)に合格する。
【0129】
材料は、高耐食性を有することができる。場合によっては、材料は、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、約5年、約10年、約15年、約20年、約25年又は約30年の耐食性を有する。場合によっては、材料は、銅酢酸噴霧(CASS)試験下、少なくとも約5年、少なくとも約10年、少なくとも約15年、少なくとも約20年、少なくとも約25年又は少なくとも約30年の耐食性を有する。
【0130】
ステンレス鋼層は、任意の適した厚さを有することができる。場合によっては、ステンレス鋼層の厚さは、約500マイクロメートル、約300マイクロメートル、約200マイクロメートル、約100マイクロメートル又は約50マイクロメートルである。場合によっては、ステンレス鋼層の厚さは、少なくとも約500マイクロメートル、少なくとも約300マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル又は少なくとも約50マイクロメートルである。場合によっては、ステンレス鋼層の厚さは、最大で約500マイクロメートル、最大で約300マイクロメートル、最大で約200マイクロメートル、最大で約100マイクロメートル又は最大で約50マイクロメートルである。場合によっては、ステンレス鋼層の厚さは、500マイクロメートル未満、300マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、50マイクロメートル未満、25マイクロメートル未満又は10マイクロメートル未満である。本開示のある態様では、金属含有物体は、合金化剤を有する合金化金属層で少なくとも部分的に被覆された鋼コアを含み、ここで、合金化金属層は500マイクロメートル未満の厚さを有し、ここで、合金化剤の濃度は、金属含有物体内で最大濃度を有し、ここで、合金化金属層中の合金化剤の濃度は、X線光電子分光法による測定で、約500マイクロメートル、400マイクロメートル、300マイクロメートル、200マイクロメートル、100マイクロメートル、75マイクロメートル、50マイクロメートル、45マイクロメートル、40マイクロメートル、35マイクロメートル、30マイクロメートル、25マイクロメートル、20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル以下の深さにわたって95重量%、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%以下低下する。場合によっては、金属含有物体は、合金化金属層と鋼コアの間の拡散層をさらに含む。場合によっては、拡散層は、合金化金属層と鋼コアを冶金学的に接合する。場合によっては、合金化金属層と鋼コアの間に不連続性がない。
【0131】
合金化剤の濃度は、拡散層及び/又は合金化金属層中で、任意の適した値まで低下することができる。いくつかの実施形態において、合金化剤の濃度は、拡散層中で、実質的にゼロ重量%まで低下する。場合によっては、合金化金属層中の合金化剤の濃度は、約5重量%、約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%又は約95重量%低下する。場合によっては、合金化金属層中の合金化剤の濃度は、約5%以下、約10重量%以下、約20重量%以下、約30重量%以下、約40重量%以下、約50重量%以下、約60重量%以下、約70重量%以下、約80重量%以下、約90重量%以下又は約95重量%以下低下する。場合によっては、合金化金属層中の合金化剤の濃度は、金属含有物体中の最大濃度と比較して、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%又は少なくとも約95重量%低下する。
【0132】
合金化剤は、任意の適した材料にすることができる。場合によっては、合金化剤は、クロム、ニッケル、鉄、又はこれらの任意の組み合わせを含む。場合によっては、鋼コアは、低炭素鋼及び/又は炭素鋼を含む。さらに、いくつかの実施形態において、合金化金属層は、ステンレス鋼を含む。
【0133】
合金化金属層は、任意の適した厚さを有することができる。場合によっては、合金化金属層の厚さは、約500マイクロメートル、約300マイクロメートル、約200マイクロメートル、約100マイクロメートル又は約50マイクロメートルである。場合によっては、合金化金属層の厚さは、少なくとも約500マイクロメートル、少なくとも約300マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、少なくとも約100マイクロメートル又は少なくとも約50マイクロメートルである。場合によっては、合金化金属層の厚さは、最大で約500マイクロメートル、最大で約300マイクロメートル、最大で約200マイクロメートル、最大で約100マイクロメートル又は最大で約50マイクロメートルである。場合によっては、許容される金属層の厚さは、500マイクロメートル未満、450マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、350マイクロメートル未満、300マイクロメートル未満、250マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、150マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、50マイクロメートル未満、25マイクロメートル未満又は10マイクロメートル未満である。
【0134】
本開示のある態様では、金属含有物体は、合金化剤を含み、ここで、合金化剤は、物体の表面から30マイクロメートル、25マイクロメートル、20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル又は5マイクロメートル以下の深さで、少なくとも95重量%、少なくとも90重量%、少なくとも80重量%、少なくとも70重量%、少なくとも60重量%、少なくとも50重量%、少なくとも40重量%、少なくとも30重量%、少なくとも20重量%又は少なくとも10%重量%の濃度を有し、ここで、合金化剤は、物体の表面から150マイクロメートルを超える深さで、最大で20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%の濃度を有する。場合によっては、合金化剤は、物体の表面から50マイクロメートル以下の深さで、少なくとも15重量%の濃度を有する。場合によっては、合金化剤は、物体の表面から75マイクロメートル以下の距離で、少なくとも10重量%の濃度を有する。場合によっては、合金化剤は、物体の表面から150マイクロメートルを超える深さで、最大で4重量%の濃度を有する。
【0135】
いくつかの実施形態において、金属含有物体の表面から30マイクロメートル、25マイクロメートル、20マイクロメートル、15マイクロメートル、10マイクロメートル又は5マイクロメートル以下の深さで、合金化剤の濃度は、深さに応じて、約95重量%、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、19重量%、18重量%、17重量%、16重量%、15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%以下変化する。いくつかの実施形態において、金属含有物体の表面から30マイクロメートル以下の深さで、合金化剤の濃度は、深さに応じて、最大で約20重量%、最大で約19重量%、最大で約18重量%、最大で約17重量%、最大で約16重量%、最大で約15重量%、最大で約14重量%、最大で約13重量%、最大で約12重量%、最大で約11重量%、最大で約10重量%、最大で約9重量%、最大で約8重量%、最大で約7重量%、最大で約6重量%、最大で約5重量%、最大で約4重量%、最大で約3重量%、最大で約2重量%、最大で約1重量%以下変化する。
【0136】
合金化剤は、任意の適した材料にすることができる。場合によっては、合金化剤は、クロム、ニッケル、鉄、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0137】
本明細書に記述される材料は、本明細書の他の場所に説明されている金属含有物体を含め、任意の適した物体又は製品にすることができて、又は任意の適した物体又は製品に形成することができる。非限定的な例には、ワイヤー、ロッド、チューブ(内径及び/又は外径を有する。)、成形部品、金属屋根材、電子機器、調理器具、自動車部品、運動用具、橋、建物、鋼構造部材、建設機器、道路、鉄道線路、船、ボート、列車、飛行機、床材などが含まれる。
【0138】
ワイヤー、ロッド、チューブ、鋼構造部材などは、任意の適した用途で用いることができる。場合によっては、本明細書に記述される材料は、以前の材料では実用的でない新しい応用を可能にする特性、コスト及び/又は形状係数を有する。例えば、ケーブルを支持するために、ラッシングワイヤーを用いてワイヤー(例えば、電話線及びケーブルテレビ線)を接続することができる。ラッシングワイヤーは、最終直径が0.038〜0.045インチのステンレス鋼(200、300又は400系)ワイヤーにすることができる。ラッシングワイヤーは、表面に耐摩耗性及び耐食性のある軟らかいコアを有することができる。別の例では、ワイヤーは、ニッケル(Ni)及び/又は銅(Cu)で被覆して、生物付着を防ぐことができる(例えば、栽培漁業での使用)。ワイヤーは、直径2〜2.5ミリメートルの304ステンレス鋼コアワイヤー基材上に50マイクロメートル厚の被覆を有することができる。
【0139】
ある態様において、本明細書に記述されるのは、材料の異なる部分(例えば、コア部分と冶金学的に接合された表面層)で、異なる金属組成物が空間的に分離している材料である。空間的に分離した材料は、モノリシックな金属で実現できる特性とは異なる特性を有することができる。例えば、空間的に分離した材料は、電気特性、磁気特性、耐食性、引っかき抵抗性、抗菌性、伝熱特性及び機械特性の任意の組み合わせを有することができる。場合によっては、抗菌性は、銅、アルミニウム又は銀を鋼表面に加えることで実現することができる。場合によっては、引っかき抵抗性は、アルミニウム、マグネシウム又はチタン表面をタングステン又はコバルトでドーピングすることによって、軽量且つ/又は軟らかい合金上で実現することができる。材料のコストは、普通なら材料のバルク中に存在するはずの合金元素の一部を省くことにより低減することができる。
【0140】
場合によっては、本明細書に記述される材料は、熱交換器内で用いられる。本明細書に記述される改善された熱交換器は、鋼表面に銅及びニッケルを合金化することによって、改善された耐食性及び熱的(伝熱)特性を有することができる。
【0141】
場合によっては、本明細書に記述される材料は、モーター又は変圧器内で用いられる。本明細書に記述される改善されたモーター及び変圧器は、鋼表面をケイ素及び/又はコバルトで富化することによって、改善された性能を有することができる。
【0142】
場合によっては、本明細書に記述される材料は、触媒として用いられる。本明細書に記述される改善された触媒は、鋼表面内に触媒粒子を埋め込むことによって、コストを低減することができる。
【0143】
ある態様において、本明細書に記述されるのは、金属基材を購入する工程と、冶金学的に接合された層を金属基材上に形成する工程と、金属基材及び冶金学的に接合された層を含む金属材料を販売する工程とを含む、金属材料を製造するための方法である。場合によっては、方法は、材料全体にわたって冶金学的に接合された層の組成物を有する金属材料よりも低コストで金属材料が製造される。
【0144】
[実施例]
[実施例1]冶金学的に接合されたステンレス鋼
第1の例は、少なくとも55重量%の鉄を含み、ステンレス鋼被覆をもたらすコア領域を含む鋼形態上の冶金学的に接合されたステンレス鋼である。ステンレス鋼被覆は、ステンレス鋼領域及び接合領域からなる。ステンレス鋼領域は、約1μm〜約250μmの厚さ、及びステンレス鋼領域の厚さにわたってほぼ一貫したステンレス鋼組成物を有する。ステンレス鋼組成物は、鉄及びクロムの混合物を含み、約10重量%〜約30重量%のクロム濃度を含む。接合領域は、ステンレス鋼領域とコア領域の間に配置され、1μmを上回り、ステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有し、接合組成物を有する。接合組成物は、鉄及びクロムの混合物を含み、接合組成物は、ステンレス鋼領域のクロム濃度にほぼ等しく、ステンレス鋼領域に近接しているクロム濃度を有し、且つ約5重量%未満のクロムを有するコア領域に近接しているクロム濃度を有する。
【0145】
[実施例2]2つの接合領域を持つ冶金学的に接合されたステンレス鋼
第2の例は、約1μm〜約250μmの厚さを有する第1のステンレス鋼領域を含む鋼板である。第1のステンレス鋼領域とコア領域の間に配置された第1の接合領域は、1μmを上回り、第1のステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有する。コア領域は、約100μm〜約4mmの厚さ、及び少なくとも85重量%の鉄を含むコア組成物を有する。コア領域と第2のステンレス鋼領域の間に配置された第2の接合領域は、約1μm〜約250μmの厚さを有する。第2の接合領域は、1μmを上回り、第2のステンレス鋼領域の厚さを下回る厚さを有する。第1及び第2のステンレス鋼領域は、それぞれのステンレス鋼領域の厚さにわたってほぼ一貫したステンレス鋼組成物を有する。個別に、ステンレス鋼組成物は、鉄及びクロムの混合物、並びに約10重量%〜約30重量%のクロム濃度を含む。第1及び第2の接合領域は、鉄及びクロムの混合物を個別に含み、ステンレス鋼領域のクロム濃度にほぼ等しく、ステンレス鋼領域に近接しているクロム濃度を有し、且つ約5重量%未満のクロムを有するコア領域に近接しているクロム濃度を有する接合組成物を有する。
【0146】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に図示及び記述されたが、このような実施形態は、一例として提供されているに過ぎないことが、当業者には明らかになるであろう。本発明は、明細書内において提供された特定の実施例によって制限されるものではない。本発明は、本明細書の実施形態の上述の明細書、説明及び例示を参照して説明されてきたが、限定的な意味で解釈されることを意図しない。当業者なら、本発明から逸脱することなく、多数の変形形態、変更及び代用を思いつくであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件及び変数に左右される、本明細書に記載の特定の描写、構成又は相対比率に限定されないと理解されること。本発明を実施する際、本明細書に記述される本発明の実施形態の様々な代替、変更形態、変形形態又は均等物を用いることができるものと理解されるべきである。したがって本発明は、このような任意の代替、変更形態、変形形態又は均等物も対象として含むものとすると意図される。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が定義されること、且つそれによって、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにこれらの均等物が対象として含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】