特表2017-508946(P2017-508946A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-508946(P2017-508946A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(54)【発明の名称】ドットサイト装置
(51)【国際特許分類】
   F41G 1/08 20060101AFI20170310BHJP
   F41G 1/34 20060101ALI20170310BHJP
【FI】
   F41G1/08
   F41G1/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-559136(P2016-559136)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月10日
(86)【国際出願番号】KR2014012193
(87)【国際公開番号】WO2015088262
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】10-2013-0155453
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】14/565,188
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516174149
【氏名又は名称】ジュン,ボ スン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ボ スン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,イン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドン ヒ
(57)【要約】

ドットサイト装置は、ハウジング、光源、ビームスプリッタ、及び反射鏡で構成される。ハウジングは、第1開口と第2開口を含んでいる。第1軸は、第1開口から第2開口に規定される。光源は、光を出射する。ビームスプリッタは、第1光成分の少なくとも一部を反射し、第2光成分の少なくとも一部を透過させる面を含む。第2光成分は、第1開口を通じてハウジングに入ってくる光として規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口及び第2開口を有し、第1軸が前記第1開口から前記第2開口に規定され、第2軸が前記第1軸に垂直となるように規定されるハウジングと;
光を出射する光源と;
入射光の少なくとも一部を反射し、前記第2軸に配置され、第1光成分が前記反射された光として規定される反射鏡と;
前記第1光成分の少なくとも一部を反射し、且つ前記第1開口を通じて前記ハウジングに入ってくる光として規定される第2光成分の少なくとも一部を透過させる面を含むビームスプリッタと;
を含む、ドットサイト装置。
【請求項2】
前記ハウジングを銃器類に結合するように作動可能なマウント部をさらに含み、
前記マウント部は、前記ハウジングの第1側面に配設され、前記反射鏡は、前記ハウジングの第2側面に配設される、請求項1に記載のドットサイト装置。
【請求項3】
前記ハウジングの第1側面は、前記ハウジングの第2側面と対向する、請求項2に記載のドットサイト装置。
【請求項4】
前記ビームスプリッタは、反射防止処理を有する第1面を含む、請求項1に記載のドットサイト装置。
【請求項5】
前記第1面は、前記第2軸に配設される、請求項4に記載のドットサイト装置。
【請求項6】
第3軸が、前記第1軸に垂直となり且つ前記第2軸に垂直となるように規定され、前記第1面は、前記第3軸に配設される、請求項4に記載のドットサイト装置。
【請求項7】
前記光源は、光を出射し該光が前記第1面に入射するように動作可能であり、前記光源からの光が入射する前記第1面の一部は、前記反射防止処理を含まない、請求項4に記載のドットサイト装置。
【請求項8】
前記反射防止処理は、反射防止膜及び不規則部分のうちの少なくとも一つを含む、請求項4に記載のドットサイト装置。
【請求項9】
前記ビームスプリッタは、前記第2光成分が入射する第2面を含んでおり、
前記反射防止処理は、前記第2面の表面より粗い表面を有する前記第1面の一部を含む、請求項4に記載のドットサイト装置。
【請求項10】
前記反射防止処理は、前記ビームスプリッタに入り、前記第1面の処理された部分に入射する光の内部全反射を減少または防止する、請求項4に記載のドットサイト装置。
【請求項11】
第1開口及び第2開口を有し、第1軸が前記第1開口から前記第2開口に規定されるハウジングと;
光を出射する光源と;
前記光の第1光成分の少なくとも一部を反射または透過し、前記第1開口を通じて前記ハウジングに入ってくる光として規定される第2光成分の少なくとも一部を透過させる面を含むビームスプリッタであって、該ビームスプリッタは、反射防止処理を有する第1面を含む、ビームスプリッタと;
前記ビームスプリッタの前記面により反射または透過される前記第1光成分の少なくとも一部を前記ビームスプリッタに向けて反射し、前記第2光成分を透過する反射鏡と;
を含む、ドットサイト装置。
【請求項12】
第2軸が、前記第1軸に垂直となるように規定され、
前記第1面は、前記第2軸に配設される、請求項11に記載のドットサイト装置。
【請求項13】
前記光源は、光を出射し該光が前記第1面に入射するように動作可能であり、前記光源からの光が入射する前記第1面の一部は、前記反射防止処理を含まない、請求項11に記載のドットサイト装置。
【請求項14】
前記反射防止処理は、反射防止膜及び不規則部分のうちの少なくとも一つを含む、請求項11に記載のドットサイト装置。
【請求項15】
前記ビームスプリッタは、前記第2光成分が入射する第2面を含んでおり、
前記反射防止処理は、前記第2面の表面より粗い表面を有する前記第1面の一部を含む、請求項11に記載のドットサイト装置。
【請求項16】
前記反射防止処理は、ビームスプリッタキューブに入り、前記第1面の処理された部分に入射する光の内部全反射を減少または防止する、請求項11に記載のドットサイト装置。
【請求項17】
第2軸が、前記第1軸に垂直となるように規定され、
前記反射鏡は、前記第2軸に配設される、請求項11に記載のドットサイト装置。
【請求項18】
前記第1面は、第3軸に配設される、請求項17に記載のドットサイト装置。
【請求項19】
前記ハウジングを銃器類に結合するように作動可能なマウント部をさらに含み、
前記マウント部は、前記ハウジングの第1側面に配設され、前記反射鏡は、前記ハウジングの第2側面に配設される、請求項17に記載のドットサイト装置。
【請求項20】
前記ハウジングの第1側面は、前記ハウジングの第2側面と対向する、請求項19に記載のドットサイト装置。
【請求項21】
光を出射する光源と;
前記光源から出射された光の少なくとも一部を反射または透過させ、反射鏡に向かうようにする面を含むビームスプリッタであって、該ビームスプリッタは、反射防止処理を有する第1面を含む、ビームスプリッタと;
前記ビームスプリッタが反射または透過した光の少なくとも一部を反射して像(image)を形成する反射鏡と;
を含む、ドットサイト装置。
【請求項22】
前記第1面は、前記反射鏡に隣接するように配設される、請求項21に記載のドットサイト装置。
【請求項23】
前記光源は、光を出射し該光が前記第1面に入射するように動作可能であり、前記光源からの光が入射する前記第1面の一部は、前記反射防止処理を含まない、請求項21に記載のドットサイト装置。
【請求項24】
前記反射防止処理は、反射防止膜及び不規則部分のうちの少なくとも一つを含む、請求項21に記載のドットサイト装置。
【請求項25】
前記ビームスプリッタは、外部から前記ドットサイト装置に入ってくる外部光が入射する第2面を含んでおり、
前記反射防止処理は、前記第2面の表面より粗い表面を有する前記第1面の一部を含む、請求項21に記載のドットサイト装置。
【請求項26】
前記反射防止処理は、前記ビームスプリッタに入り、前記第1面の処理された部分に入射する光の内部全反射を減少または防止する、請求項21に記載のドットサイト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2013年12月13日に出願した韓国特許出願番号第10−2013−0155453号及び2014年12月9日に出願した米国特許出願番号第14/565,188号に対する優先権を主張し、その全ての内容は参考文献として本特許出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ビームスプリッタを備えたドットサイト装置(dot sighting device)に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のドットサイト照準装置の場合、照準鏡の反射鏡の光軸が鏡筒の光軸に対して傾いているため、照準鏡の反射鏡の光軸が鏡筒の光軸と一致する光学系に比べて視差が大きくなる場合がある。このため、許容視差以内の領域を確保するために、ドットレチクルと反射鏡の距離をより遠くしたり、反射鏡の有効直径をより小さくしてドットサイトを構成しなければならない欠点があった。
【0004】
図1は、従来の単眼視用ドットサイト照準装置を概略的に図示した断面図である。
図1に図示したように、ドットサイト照準装置(1)は、ドットレチクル発生部(5)と、反射鏡(7)と、固定グリル(11)とを含んで構成される。ドットレチクル発生部(5)は、LEDのような発光素子と、この発光素子の前方に位置するドットレチクル形状の投光部を有するマスクとで構成される。反射鏡(7)は、ドットレチクル発生部から照射される光を使用者に向けて反射させ、目標物から供給される入射光を透過させるように鏡筒の目標物に向かう先端部の内側に固定される。固定グリル(11)は、ドットサイト照準装置(1)を小銃に固定するように構成される。
このような従来のドットサイト照準装置(1)は、使用者が照準目標物に反射鏡(7)を通じて反射されたドットレチクルの虚像であるドット(dot)を一致させることにより照準がなされる。
【0005】
具体的に検討すると、ドットサイト装置(1)の内部に位置したドットレチクル発生部(5)から照射されたドットレチクルビームは、反射鏡(7)に反射され、観測者の目に平行に入射する。この平行度は、銃身の弾丸発射軸と一致するように設定される。ドットサイト装置(1)のレチクルビームの平行度と銃身の弾丸発射軸が一致しなければ、使用者がドットレチクル発生部(5)から照射されたドットレチクルの虚像を射撃照準目標物に一致させても、弾丸は、照準目標物に命中しない。従って、垂直及び水平調整機能を有する鏡筒整列用ノブ(3)を操作して鏡筒の光軸を銃身の弾丸発射軸と一致させなければならない。
図1のように従来のドットサイトは、ドットレチクル発生部(5)を鏡筒の端に配置して鏡筒を通じて見える目標物に対するユーザの視野が妨害されないようにしている。
【0006】
反射鏡(7)の周辺部の光線の視差は、図2Aに図示したように、鏡筒(10)の光軸(C1)と反射鏡(7)の光軸(C2)とがなす角(A1)が小さくなるほど減少する。
従って、図2Bのように鏡筒(10)の光軸(C1)と反射鏡(7)の光軸(C2)を並ぶように(または一致するように)配置した構造は、図2Aのように鏡筒(10)の光軸(C1)と反射鏡(7)の光軸(C2)とが一定の角(A1)に傾いて配置された構造に比べて、視差の発生量が遥かに少ないため、図2Bの配置構造は、図2Aに比べてドットレチクル発生部(5)と反射鏡(7)との間の距離をより短くすることができるので、ドットサイト装備の小型化が可能になる。
【0007】
しかし図2Bのような配置構造は、ドットレチクル発生部(5)がドットサイト装置1の鏡筒(10)の光経路上に配置され、外部目標点の観測に妨害要素として作用するため、採択されずにいる。
また、反射鏡(7)は、ドットレチクル発生部の波長帯域の光線を反射するようにコーティングされている。このようなコーティングは、反射鏡(7)の外側から入射する外部光線の中でもドットレチクル発生部(5)の波長帯域の光線を反射するようになり、このような反射光は、周辺の他の物体の反射光に比べて顕著であるため、使用者の位置が相手に気付かれ易い問題点がある。例えば、ドットレチクル発生部(5)の光源として650nm(赤色)のLEDを使用すると、反射鏡外側の面に入射する外部光のうち650nmの波長帯域を有する赤色の光線が反射され、反射鏡(7)全体が赤色に近い色に見えるようになり、相手に気付かれ易いため、使用者の位置が容易に発覚する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】

従って、本開示の目的は、このような従来の問題点を解決するためのものであって、視差を減少または最小化することができるドットサイト装置を提供することにある。
本開示の他の目的は、ドットレチクル発生部から照射されたドットレチクルビームが目標物に向けて反射されることを減少または防止することができるドットサイト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施例によると、ドットレチクル発生部の光軸が反射鏡の光軸と近くにまたは同一線上にあり、視差を減少または最小化することができるコンパクトなドットサイト装置を提供することができる。
また、ドットレチクル発生部から出射されたドットレチクルビームが目標物に向けて反射されることを減少または防止することができるドットサイト装置を提供することができる。
【0010】
本開示の他の実施例によると、ドットサイト装置は、ハウジング、光源、ビームスプリッタ、及び反射鏡で構成される。ハウジングは、第1開口及び第2開口を含んでいる。第1軸が、第1開口から第2開口に規定される。第2軸が、第1軸に垂直となるように規定される。光源は、光を出射する。反射鏡は、入射した光の少なくとも一部を反射する。第1光成分が、反射された光として規定される。反射鏡は、第2軸に配設される。ビームスプリッタは、第1光成分の少なくとも一部を反射し、第2光成分の少なくとも一部を透過させる面を含む。第2光成分は、第1開口を通じてハウジングに入ってくる光として規定される。
【0011】
本開示の他の実施例によると、ドットサイト装置は、ハウジング、光源、ビームスプリッタ、及び反射鏡で構成される。ハウジングは、第1開口及び第2開口を有する。第1軸が、第1開口から第2開口に規定される。光源は、光を出射する。ビームスプリッタは、光の第1光成分の少なくとも一部を反射し、第2光成分の少なくとも一部を透過させる面を含む。ビームスプリッタは、反射防止処理を有する第1面を含む。第2光成分は、第1開口を通じてハウジングに入ってくる光として規定される。反射鏡は、ビームスプリッタの面により反射される第1光成分の少なくとも一部をビームスプリッタに向けて反射し、第2光成分を透過する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ドットサイト装置を概略的に図示した図である。
図2A】ドットサイト装置の反射鏡の光軸と鏡筒の光軸の関係を示す断面図である。
図2B】ドットサイト装置の反射鏡の光軸と鏡筒の光軸の関係を示す断面図である。
図3】本開示の第1実施例に係るドットサイト装置の構成を示す概略断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係るドットサイト装置の他の例を示す概略断面図である。
図5A】反射鏡の様々な形態を示す側面図である。
図5B】反射鏡の様々な形態を示す側面図である。
図5C】反射鏡の様々な形態を示す側面図である。
図5D】反射鏡の様々な形態を示す側面図である。
図6】本開示の第2実施例に係るドットサイト装置の構成を示す概略断面図である。
図7】本開示の第2実施例に係るビームスプリッタの構成を示す概略斜視図である。
図8】本開示の第3実施例に係るドットサイト装置の構成を示す概略斜視図である。
図9】内部全反射の例を示す概念斜視図である。
図10】反射防止処理の例を示す斜視図である。
図11】本開示の実施例に係るドットサイト装置の他の構成を示す概略断面図である。
図12】本開示の実施例に係るドットサイト装置の他の構成を示す概略断面図である。
図13】本開示の実施例に係るドットサイト装置の他の構成を示す概略断面図である。
図14】例示的なビームスプリッタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の好ましい実施例について図面を参照して詳細に説明する。本明細書の図面において実質的に同一の機能や構造を有する構成要素は同一の符号を使用し、このような構成要素についての重複説明は省略する。
参照を容易にするため、特に言及しない限り、“上部”は一般的な使用条件下で空に向かう側(例えば、ドットサイト装置を銃器類に取り付けた時、銃から遠い側)をいい、“下部”は一般的な使用時、大地に向かう側(例えば、ドットサイト装置を銃器類に取り付けた時、銃に近い側)をいう。従って、銃に固定するための固定グリルや取り付け部を有するドットサイト装置は、一般的にドットサイト装置の下部側に固定グリルや取り付け部を有していることになる。しかし、側面取り付け配置のような他の構成も可能であることは言うまでもない。
【0014】
まず、本開示の第1実施例に係るドットサイト装置について説明する。
図3は、本開示の第1実施例に係るドットサイト装置を示す概略図である。
図3を参照すると、ドットサイト装置は、銃器類の上側で銃身と並んで配置される鏡筒(110)と、鏡筒(110)の内周面の一側(図3では鏡筒(110)の上部側)に配置されるドットレチクル発生部(120)と、鏡筒(110)の内周面のうちドットレチクル発生部(120)の向い側に配置され、ドットレチクル発生部(120)から照射されるドットレチクルビームを反射させる反射鏡(130)と、ドットレチクル発生部(120)と反射鏡(130)との間の光経路に配置され、ドットレチクル発生部(120)から供給されるドットレチクルの光を反射鏡(130)方向に透過させて反射鏡(130)からビームスプリッタ(140)に向けて再反射されて入射するドットレチクルの光を反射させるコーティング面を有する傾斜面(141)が形成されたビームスプリッタ(140)と、ドットレチクル発生部(120)とビームスプリッタ(140)との間に配置される第1偏光部(151)と、ビームスプリッタ(140)と目標物との間の鏡筒(110)の内部空間に配置される第2偏光部(152)とを含んで構成される。
【0015】
ドットレチクル発生部(120)は、ドットレチクル像またはドットマスク像を生成する。ドットレチクル像を生成するために、例えば、ドットレチクル発生部(120)は、発光ダイオード(LED)のような発光素子と、発光素子の前方に位置するドットレチクル形状の投光部を有するマスクまたはレチクルとを含んで構成され得る。
反射鏡(130)は、光軸がドットレチクル発生部(120)の光軸と同一線上に位置するように鏡筒(110)の内周面のうちドットレチクル発生部(120)の向い側に配置される。反射鏡(130)で反射されるドットレチクルビームは、使用者に虚像として提供される。例えば、本実施例では、単一反射面を有するマイナス屈折力の凹平レンズが適用されたものとして例を挙げて説明する。
【0016】
ビームスプリッタ(140)は、ドットレチクル発生部(120)と反射鏡(130)との間に配置され、ドットレチクル発生部(120)から反射鏡(130)に向けて供給されるドットレチクルビームを透過させ、反射鏡(130)から再反射されるドットレチクルビームを使用者に向けて反射させる役割をする。ビームスプリッタ(140)は、直角プリズム二つを合わせたビーム分離プリズムで構成し得る。即ち、二つの直角プリズムの境界面となる二つの傾斜面(141)のうち一つに、A%反射コーティングをすると、ビームスプリッタ(140)に供給される入射光の(100−A)%を透過してA%を反射するビームスプリッタ(140)になる。例えば、50%反射コーティングを二つの傾斜面の一方にした後、貼り合わせると、入射光の50%を透過して50%を反射するビームスプリッタ(140)になる。
【0017】
一方、ビームスプリッタ(140)は、図4に図示したように、少なくとも一面に必要なビームの透過量に応じて透過及び反射コーティングされて、ドットレチクル発生部(120)と反射鏡(130)との間に配置されるビーム分離平板(160)で構成することも可能である。
第1偏光部(151)は、ドットレチクル発生部(120)とビームスプリッタ(140)との間に配置され、第2偏光部(152)は、ビームスプリッタ(140)と目標物との間の鏡筒(110)の内部空間に配置される。この時、第1偏光部(151)及び第2偏光部(152)は、偏光方向が互いに直交する線偏光子(linear polarizers)または偏光の回転方向が互いに逆である回転偏光子から構成される。
【0018】
これより、上述のビームスプリッタを備えたドットサイト装置の第1実施例の作動について説明する。
図3に図示したように、ドットレチクル発生部(120)から照射されるドットレチクルビームは、ドットレチクル発生部(120)の前方に配置されたビームスプリッタ(140)の傾斜面(141)の反射率に応じて反射及び透過される。傾斜面(141)を透過したドットレチクルビームは、ドットレチクル発生部(120)の向い側に配置された反射鏡(130)で反射されて逆方向へ進行するようになり、ビームスプリッタ(140)の傾斜面(141)で反射されて使用者の目に入射する。
【0019】
例えば、傾斜面(141)がドットレチクル発生部(120)から供給されるドットレチクルビームの70%を透過させて30%は反射させるコーティング面を有する場合、反射鏡(13)が100%を反射させると仮定する場合、ドットレチクルビームの約21%の光が使用者に入射するようになる。
一方、傾斜面(141)で目標物に向けて反射される反射光は、第1偏光部(151)を通過した状態であるため、第1偏光部(151)の偏光方向と直交したり反対方向に設定されてビームスプリッタ(140)と目標物との間に配置された第2偏光部(152)を通過することができなくなる。従って、傾斜面(141)から目標物に向けて反射される反射光により前方の相手に使用者の位置が露出される恐れがない。
【0020】
本発明の第1実施例によると、反射鏡(130)の光軸が、鏡筒(110)の光軸と直交するように配置され、反射鏡(130)の光軸と鏡筒(110)の光軸とが交差する位置に45度の角度で傾斜配置された傾斜面(141)を有するビームスプリッタ(140)を配置することにより、反射鏡(130)で反射されたドットレチクルビームが、ビームスプリッタ(140)の傾斜面(141)により鏡筒(110)の光軸と並ぶ方向に反射されるようにすることができる。
即ち、反射鏡(130)の光軸が鏡筒(110)の光軸と並んで配置されたような効果を得ることができるため、反射鏡(130)における視差を減少または最小化することができる。特に、使用者と目標物との間の光経路上から反射鏡を取り外すことにより、従来のように目標物から供給される入射光が反射鏡を透過することによる光量の損失を防止することができ、反射鏡による色感の損傷を防止することができる。また、第1偏光部(151)及び第2偏光部(152)を配置することにより、反射鏡(130)の外側の面における反射により、使用者の位置が相手に露出されることを防止することができる。
また、鏡筒(110)の全長を短く設計することができるため、装置の小型化及び軽量化を図ることができるという利点がある。
【0021】
一方、本実施例では、ビームスプリッタ(140)と第1偏光部(151)及び第2偏光部(152)が共に適用されたものとして例を挙げて説明したが、ドットサイト使用者の位置が相手に露出される状況が許容される場合には、第1偏光部(151)及び第2偏光部(152)を取り外した状態で使用することも可能である。
一方、本実施例では、反射鏡(130)が単一反射面を有する凹単レンズ(singlet)であるものとして例を挙げて説明したが、図5A乃至図5Dのように様々な形態に構成することも可能である。即ち、図5Aのように凹面からなり、ドットレチクルビームが入射する凹状の第1面(131a)と凹状の第2面(132a)のいずれか一つに反射コーティングされたダブレット(doublet)レンズで反射鏡(130a)を構成し得る。また、図5Bのようにドットレチクルビームが入射する凹状の第1面(131b)と凸状の第2面(132b)のいずれかに反射コーティングされたシングレット(singlet)レンズで反射鏡(130b)を構成し得る。また、図5Cのようにドットレチクルビームが入射する第1面(131c)が平面であり、第2面(132c)が凸面であるシングレット(singlet)レンズで反射鏡(130c)を構成し得る。また、図5Dのようにドットレチクルビームが入射する第1面(131d)が平面であり、第2面(132d)または第3面(133d)には反射コーティングされたダブレット(doublet)で反射鏡(130d)を構成し得る。なお、図5C及び5Dのようにドットレチクルビームが入射する第1面(131c、131d)が平面である場合、反射鏡(130c、130d)の第1面(131c、131d)とビームスプリッタ(140)の対向する面を例えばバルサム貼合してビームスプリッタ(140)と一体に構成することも可能である。
【0022】
次に本開示の第2実施例に係るビームスプリッタを備えたドットサイト装置について説明する。
図6は本開示の第2実施例に係るビームスプリッタを備えたドットサイト装置の概略構成図である。
図6で図示するような本開示の第2実施例に係るビームスプリッタを備えたドットサイト装置は、ビームスプリッタ(140´)が偏光ビーム分離プリズム(Polarization beam splitting(PBS)prism)から構成され、ビームスプリッタ(140´)と反射鏡(130)との間にλ/4波長板(λ/4plate(Quater wave plate))で構成された第3偏光部(153)が配置され、目標物と対面するビームスプリッタ(140´)の前方に直線偏光子(linear polarizers)で構成された第2偏光部(152)が配置される点で、第1実施例と差がある。
【0023】
ここで、偏光ビーム分離プリズムからなるビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)は、図7に図示したようにドットレチクルビーム(矢印)のうちS波成分(即ち、S−偏光ビーム)を反射し、P波成分(即ち、P−偏光ビーム)を透過するように設定されたコーティング面を有し、第2偏光部(152)は、S波成分を遮断するように設定される。
傾斜面(141)のコーティング面は、S波成分の一部(例えば、60%)のみを反射し、残りの一部(例えば、40%)を透過させて、P波成分は100%透過するように設定して、S波成分及びP波成分を合わせて全体透過光量を50%以上(例えば、70%)となるようにすることもできる。
【0024】
これより、上述のビームスプリッタを備えたドットサイト装置の第2実施例の作動について説明する。
図6で図示するように、ドットレチクル発生部(120)から照射されるドットレチクルビームは、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)に向けて供給され、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)は、S波成分を反射し、P波成分を透過するように設定されているため、傾斜面(141´)に向けて供給されるドットレチクルビームのうちP波成分は、傾斜面(141´)を通過してドットレチクル発生部(120)の向い側の反射鏡(130)に向けて透過され、S波成分は傾斜面(141´)によって目標物に向けて反射される。
ビームスプリッタ(140´)を通過した後、反射鏡(130)に向けて供給されるP波成分は、ビームスプリッタ(140´)と反射鏡(130)との間に配置された第1のλ/4波長板(153、λ/4波長板)を通過しつつS波成分の右円偏光ビームまたは左円偏光ビームに変換される。S波成分の右円偏光ビームまたは左円偏光ビームは反射鏡(130)で反射されて傾斜面(141´)に向かうようになり、次に傾斜面(141´)により反射されて使用者に向かうようになる。従って、使用者は、ドットレチクル発生部(120)から供給されて反射鏡(130)に反射されたドットレチクルの虚像(光線)を、ビームスプリッタ(140´)を通過して観測される外部目標物の像に一致させて照準することができる。
【0025】
一方、ドットレチクル発生部(120)から供給されるドットレチクルビームは、ドットレチクル発生部(120)と目標物との間に位置する傾斜面(141´)により目標物に向けて反射されて相手に向かうようになる。しかし、本実施例によると、傾斜面(141´)で目標物に向けて反射されるS波成分の偏光ビームは、ビームスプリッタ(140´)の前方に配置された第2偏光部(152)で全て遮断されるため、ドットレチクルビームが目標物に向けて供給されて目標物周辺の相手に使用者の位置が露出されることを防止することができる。
上述のような本開示の第2実施例によると、ビームスプリッタ(140´)が偏光ビーム分離プリズムからなり、ビームスプリッタ(140´)で損失する光量が第1実施例におけるビームスプリッタ(140)の場合よりは少ないため、使用者は鮮明なドットレチクルを視認することができる。
【0026】
次に本開示の第3実施例に係るビームスプリッタを備えたドットサイト装置について説明する。
添付図面のうち図8は、本開示の第3実施例に係るビームスプリッタを備えたドットサイト装置の概略構成図である。
図8で図示するような本開示の第3実施例に係るビームスプリッタを備えたドットサイト装置は、ビームスプリッタ(140´)が偏光ビーム分離プリズム(PBS prism)からなり、ドットレチクル発生部(120)とビームスプリッタ(140´)との間に直線偏光子(linear polarizer)で構成された第1偏光部(151)が配置され、ビームスプリッタ(140´)と反射鏡(130)との間にλ/4波長板(153、λ/4plate:Quater wave plate)が配置される点で、第1実施例と差を有する。
【0027】
ここで、偏光ビーム分離プリズムからなるビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)は、S波成分(即ち、S−偏光ビーム)を反射し、P波成分(即ち、P−偏光ビーム)を透過するようなコーティング面を含み、ドットレチクル発生部(120)とビームスプリッタ(140´)との間に配置された第1偏光部(151)は、P波成分のみ透過するように設定されている。
傾斜面(141´)のコーティング面は、S波成分の一部(例えば、60%)のみを反射し、残りの一部(例えば、40%)を透過させて、P波成分を100%透過するように設定して、S波成分及びP波成分を合わせて全体透過光量を50%以上(例えば、70%)となるようにすることもできる。
【0028】
これより、上述の注視線方向にビームスプリッタを備えたドットサイト装置の第3実施例の作動について説明する。
図8で図示するように、ドットレチクル発生部(120)から照射されるドットレチクルビームは第1偏光部(151)を通りつつS波成分は遮断され、P波成分は透過されてビームスプリッタ(140´)に向けて提供される。
第1偏光部(151)を通過したP波成分は、偏光ビーム分離プリズムから構成されるビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)を透過した後、ビームスプリッタ(140´)と反射鏡(130)との間に配置されたλ/4波長板(153)を通過しつつ右円偏光ビームまたは左円偏光ビームに変換され、反射鏡(130)で反射されて逆方向に進行する過程で第3偏光部(153)を再度通過して、S波成分に変換される。続いて、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)に提供されるS波成分は、傾斜面(141´)で使用者に向けて反射される。従って、使用者はドットレチクル発生部(120)から供給されて反射鏡(130)に反射されたドットレチクルの虚像(光線)をビームスプリッタ(140´)を通過して観測される外部目標物の像に一致させて照準することができる。
【0029】
上述のように、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)は、S波成分を反射し、P波成分を透過するコーティング面を有している。しかし、ドットレチクル発生部(120)からビームスプリッタ(140´)に向けて供給されるドットレチクルビームがビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)に垂直方向に入射する場合には、傾斜面(141´)のコーティング面がS波成分を遮断してP波のみを透過させるため、ドットレチクルビームが目標物に向けて反射されることを防止することができる。
しかし、図8に図示したように、ドットレチクル発生部(120)から供給されるドットレチクルビームは、所定の発光角度(例えば、約45度の角度)を有し、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)に入射するため、第1偏光部(151)によりS波及びP波を完璧に分離、即ち、S波成分を遮断してP波成分のみを透過させることは難しい。即ち、P波成分のビームの一部が傾斜面(141´)に反射されて目標物に向かうようになる場合、使用者の位置が露出されることになる。
【0030】
このような問題点を解決するために、本実施例に係るビームスプリッタ(140´)はドットレチクル発生部(120)から所定の発光角度(例えば、約45度の角度)を有し、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)に入射するドットレチクルビームのうち発光角度より同一または小さい角度(例えば、垂直線から左右に約5度(即ち、約10度)内で入射した光に対してのみP波及びS波に分離、即ち、S波を反射し、P波を透過させるコーティング面を有するように構成することにより光の一部が目標物に向かうようになり、使用者の位置が露出されることを防止することができる。
コーティング面がドットレチクル発生部の全ての発光角度に対してS波及びP波を分離するように設定される場合には、光がビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)により反射されて目標物に向かうようになり、使用者の位置が露出されることを確実に防止することができる。しかし、このような構成は、コストが増加し、製造期間が非常に増加する。従って、発光角度より同一または小さい角度、好ましくは垂直線から左右に約5度(約10度)以下の入射光に対してのみP波成分及びS波成分に分離するように設定することが好ましい。
【0031】
この時、目標物からドットサイト装置が近くにある場合には、使用者の位置が露出されるが、所定の距離外では使用者の位置が露出されなくなる。即ち、コーティング面によってS波成分及びP波成分を分離することができる角度、即ち、S波成分を遮断し、P波成分を通過させることができる角度をドットサイト装置の用途に応じて設定することが好ましい。
上述のように、ドットレチクル発生部(120)とビームスプリッタ(140´)との間にS波成分を遮断する第1偏光部(151)を配置して、ビームスプリッタ(140´)の傾斜面(141´)は、P波成分ビームを透過してS波成分を反射するように設定することにより、目標物周辺の相手に使用者の位置が露出されることを防止(または露出され得る蓋然性を減少)することができる。
【0032】
上述のような本開示の第3実施例によると、ビームスプリッタ(140´)と目標物との間に偏光部材が配置されないため、目標物から供給される入射光がそのまま使用者に供給されるので、より鮮明に目標物を注視することができる。
本開示の第2実施例及び第3実施例における偏光ビーム分離プリズムは、二つの平板からなり、二つの平板の間に偏光ビーム(S波/P波)分離コーティングをした編光ビーム分離平板に代替し得る。
【0033】
一方、外部の光がプリズムに入射するようになると、内部全反射(total internal reflection)によりプリズム側方4面が鏡のように輝き、観察者は目標物を鮮明に観察することができなくなる。即ち、プリズムを通じて外部目標物を見る時、プリズム側方4面で内部全反射現象が現れ、太陽など強い光の下では鏡のように輝く現象が現れる。従って、プリズムを通じた前面目標物の観察が難しくなることがある。
このような内部全反射は、図9におけるように、屈折率の高い媒体(屈折率n’を有するプリズム)から屈折率の低い媒体(屈折率n=1を有する空気)に光が屈折しようとする時に起こる。このような内部全反射をすることができる入射角を内部全反射臨界角(θ)といい、この臨界角は
θ=sin−1(n/n’)で決定される。
従って、図9のように臨界角以上の角度でプリズムの側面を入射する光は、全て内部全反射をするようになり、プリズムの側面が輝く現象が発生する。
【0034】
このような問題点を軽減または解決するために、図10のようにビームスプリッタ(140´)を構成するプリズムの反射または透過がなされない外側面(142a、142b、142c)には反射防止処理を適用する。即ち、ドットレチクル発生部(120)から出射された光がドットレチクル発生部(120)に近いプリズムの一面(例えば、142a)の一部を通過する光経路及び目標物から光が通過する光経路と関連のないプリズムの面(例えば、142b及び142c)及び/またはその一部に内部全反射を減少または防止することができる反射防止処理を適用する。この場合、ドットレチクル発生部(120)は、外側面(142a)の側面に配置され、反射鏡(130)は、外側面(142a)の反対側面に配置される。ここで、“適用”という単語は、特定物質を表面に適用することに限定せず、表面の特性を変更する処理の適用(例えば、実施)のような他の処理を含む。
【0035】
具体的には、反射防止処理は、例えば、ビームスプリッタの関連表面に不規則(irregular)部分(例えば、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分)を形成する処理と、ビームスプリッタの関連表面に反射防止層を形成する処理とである。例えば、ドットレチクルから出射された光の光経路上の部分と目標物からの光が通過する光経路上の部分とが、光経路上にない部分より平坦に(例えば、より粗くなく、より規則的で、不規則的でないように)形成される。他の例を挙げると、ドットレチクルから出射された光が光経路上の表面の部分と目標物からの光が通過する光経路上の部分とに反射防止膜を適用して、光経路上にない部分には反射防止膜を適用しないこともあり得る。さらに他の例では、光経路上にない部分に適用された膜(film)とは異なる反射特性を有する膜をドットレチクルから出射された光が光経路上の表面の部分と目標物からの光が通過する光経路上の部分とに適用することもできる。
【0036】
上面(142a)及び左右側面(142b、142c)に不規則部分(例えば、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分)を形成する処理は例えば、サンドブラスト(sand blasting)処理またはグラインド(grinding)処理を通じて行うことができる。不規則部分(例えば、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分)は、周辺光のような光が入射する時、反射を散乱させることができ、内部全反射を減少または防止することができる。不規則部分(例えば、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分)は、周辺光の波長(例えば、約55nmの波長)の約1/10の高さと間隔、例えば、約0.05μm〜5μmの高さと、約0.05μm〜5μmの間隔を有することが好ましい。
【0037】
図14を参照すると、ビームスプリッタの関連表面に反射防止層を形成する処理は、例えば、上面(142a)及び左右側面(142b、142c)に光吸収層(181)を形成することにより行うことができる。光吸収層は、無光黒色顔料または物質のような光吸収物質で形成され得る。光吸収層は、入射光を吸収して内部全反射を減少または防止する。また、光吸収層(181)とビームスプリッタ(140´)の関連表面との間に透明物質層(171)を形成することもできる。この場合、周辺光は、透明物質層(171)を通過しつつ光吸収層(181)の側面部分に入射するように誘導され得、内部全反射がより効果的に減少または防止され得る。透明物質層(171)は、少なくとも一つ以上の層で形成され得る。透明物質層(171)を構成する層の数が増加すればするほど、内部全反射を減少または防止する効果は増加する。透明物質層(171)は、TiO、SiO、またはNgFのような透明物質で形成され得る。
【0038】
不規則部分(例えば、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分)を形成する処理と、反射防止層を形成する処理とは、ビームスプリッタの一つ以上の関連表面に共に反射防止処理として行い得ることは言うまでもない。ビームスプリッタは、反射防止処理として互いに異なる関連表面に適用される互いに異なる処理を含んでも良い。
例えば、反射防止処理として、ビームスプリッタ(140´)の上面(142a)及び左右側面(142b、142c)にサンドブラストまたはグラインド処理し、上面(142a)及び左右側面(142b、142c)に不規則部分(例えば、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分)を形成しても良い。
【0039】
他の例として、または追加的に、上面(142a)及び左右側面(142b、142c)、または上面(142a)に反射防止層(181)(及び透明物質層(171))を形成しても良い。側面(142b、142c)は、例えば、無光黒色顔料または物質で塗装し、コーティング処理をしても良い。その結果、ビームスプリッタ(140´)の上面(142a)及び左右側面(142b、142c)に内部全反射現象が発生することを減少または防止することができる。この時、上面(122a)の直径5mm程度の光透過部(143)に対しては反射防止処理を適用しない。例えば、金属板などの直径5mm程度の円形の保護膜をドットレチクル発生部に対応する位置の外側面(142a)の一部に分離可能に付着し、処理されていない側面(例えば、正面及び後面)に正方形の保護膜を分離可能に付着する。好ましくは、これらの保護膜は、側面(142b、142c)には適用しない。その後、プリズムに砂(sand)のような研磨材をブラスティング(blasting)するサンドブラスト処理を高い圧力で行い、その後、保護膜を除去する。その結果、小さくて微細な凹凸または凹凸のある部分を含んでいて、内部全反射の効果を減少または防止することができる面が、ビームスプリッタ(140´)の(保護膜によりカバーされた部分を除く)上面(142a)及び側面(142b、142c)に形成され得る。図10において、光透過部(143)は、円形状に形成されているが、光透過部(143)は、円形状に限定されず、様々な形状を有することができる。
【0040】
一方、反射鏡(130)とビームスプリッタ(140または140´)との間に空気層がある場合には、空気層により屈折率nが大きくなるため、ビームスプリッタ(140または140´)と空気層との間の界面により光が反射されて内部全反射が発生し得る。
このような現象を減少または防止するために、上面(142a)及び側面(142b、142c)に反射防止処理を行った後、例えば、図12に図示したように、所定の厚さを有するレンズガラスや平面ガラス(160)をエアーギャップ(air gap)無しにビームスプリッタ(140´または140)の下面に付着することが好ましい。反射鏡(130)は、例えば、バルサム貼合することができる。この場合、周辺光がレンズガラスまたは平面ガラス(160)と空気層との間の界面で反射するとしても、ビームスプリッタ(140´)とレンズガラスまたは平面ガラス(160)との間の界面では光反射が発生しなくなる。反射された光はドットサイト装置の鏡筒により遮断され得、使用者の目には届かなくなり、従って、内部全反射が減少または防止される。
【0041】
上述の第2実施例と第3実施例におけるλ/4波長板をレンズガラスまたは平面ガラス(160)と反射鏡(130)との間に配置することもできる。
または、ビームスプリッタと空気層との間で空気層により発生する内部全反射を減少または防止するために、例えば、図13に図示したように、ビームスプリッタ(140´または140)の一部(165)を好ましくはドットサイト装置の鏡筒に挿入することもできる。ビームスプリッタ(140´または140)の一部(165)により、ビームスプリッタ(140´または140)の一部(165)と反射鏡(130)の間に形成された空気層と、ビームスプリッタ(140´または140)の一部(165)との間の界面により周辺光が反射されるとしても、反射された光は、鏡筒の内壁により遮断され、反射された光の一部または全部は、観察者の目に届かなくなる。例えば、ビームスプリッタのサイズが30mm×30mmである場合に、ビームスプリッタと反射鏡との間で空気層により発生する内部全反射を実質的に減少または完全に防止するために、平面ガラス(160)または一部(165)は、17mmの垂直長さ(または高さ)を有する必要がある。しかし、17mmは、実用的には非常に大きい長さである。平面ガラス(160)または一部(165)が好ましくは約10mmの垂直長さ(または高さ)を有する場合、良好な結果が得られる。従って、垂直長さ(または高さ)は、ビームスプリッタの高さの少なくとも1/3となることが好ましい。
【0042】
レンズガラスまたは平面ガラス(160)及びビームスプリッタ(140´または140)の一部(165)は、反射鏡(130)の位置に関係なく、即ち、反射鏡(130)がビームスプリッタの下部または上部、または側面に位置しているかに関係なく、適用することができる。例えば、レンズガラスまたは平面ガラス(160)及びビームスプリッタ(140´または140)の一部(165)は、図11に図示したように反射鏡(130)がビームスプリッタ(140)の上部に配置されたドットサイトに適用することができる。
一方、ビームスプリッタ(140´)がビーム分離平板または偏光ビーム分離平板で構成される場合、反射防止処理は、平板の側面(例えば、142b、142c)に施される。
【0043】
図8は、反射鏡(130)がビームスプリッタ(140´)の下部に配置された構成を示しているが、反射鏡(130)及びドットレチクル発生部(120)の位置は、垂直的なものに限定されない。反射鏡(130)及びドットレチクル発生部(120)は、互いに対向する側面に配置されることが好ましい。例えば、反射鏡(130)は、左(または右)側面に配置され得、ドットレチクル発生部(120)は、反射鏡(130)の配置される側面に対向する右(または左)側面に配置され得る。また、図11に図示したように、反射鏡(130)は、上側に配置され得、ドットレチクル発生部(120)は、反射鏡(130)の配置される側面に対向する下側に配置され得る。反射鏡(130)が下側に配置され、ドットレチクル発生部(120)が上側に配置された図8に図示した構成の場合に、反射鏡(130)による反射により、使用者が目標物を鮮明に見ることができない環境があり得る。特に、光源(例えば、ランプや太陽)が使用者の上に位置している場合、光が反射鏡に上から入射し、反射された光が使用者の目に入るようになる。これは使用者が目標物を鮮明に見ることを難しくする。特に、太陽が強く射す野外の環境では、使用者が目標物を鮮明に見ることが容易ではない。しかし、反射鏡(130)が上側に配置され、ドットレチクル発生部(120)が下側に配置される図11に図示した構成の場合には、光がこれより反射鏡(130)に上から入射することが防止され、従って、反射鏡が下側に配置され、ドットレチクル発生部(120)が上側に配置される構成に比べて、使用者は目標物をより鮮明に見ることができる。特に、太陽が強く射す野外の環境では、使用者はより鮮明に目標物を見ることができる。
【0044】
ドットレチクル発生部(120)は、ドットレチクル形状を表示するために、LEDに代わり、OLED、LCD、LCOSなどのような表示装置で構成され得る。
上述の本開示によると、ドットレチクル発生部(120)の光軸と反射鏡(130)の光軸とが近くにまたは同一線上に配置されることにより、視差を減らすことは勿論のこと、ドットサイト装置の小型化をなすことができる。
また、ドットレチクル発生部(120)から供給されるドットレチクルビームが目標物方向に反射され、使用者の位置が露出されることを減少または防止することができるドットサイト装置を提供することができる。
また、ビームスプリッタと目標物との間に反射鏡がないため、反射鏡のコーティングにより透過光量を減少する問題点がなく、外部目標物及び周辺領域から確保された視野の色感が大きく変わらず、使用者に自然状態の色感を提供することができる。
【0045】
実施例により本発明を詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されない。本発明の要旨の範囲から逸脱せず、実施例が部分的にまたは全般的に組み合わされ得、実施例の様々な変形が可能であることは当業者にとって理解できることである。
また、上述の実施例は、単なる一例であり、それに限定されない。従って、上述の例示的な実施例により本発明の範囲が限定されてはならず、添付の特許請求の範囲及びそれに均等なものによってのみ限定されるべきである。また、上述の利点及び特徴は、実施例で説明しているが、特許請求の範囲の適用を上記利点のうちいずれか一つに伴う処理や構造に限定してはならない。
【0046】
さらに、段落の見出しは、一貫性または有機的な端緒(organizational cue)を提供するためのものである。このような見出しは、本開示から導き出される特許請求の範囲に記述の発明を限定し、特徴付けることはできない。具体的に及び一例として、見出しが“技術分野”となっていても、いわゆる技術分野を説明するための見出しから選別された言語により特許請求の範囲が限定されるものではない。また、“背景技術”にある技術の説明は、当該技術が本開示のいずれの発明にも先行技術として認められるものとして解釈されてはならない。“課題を解決するための手段”もまた、特許請求の範囲に記述の発明を特徴付けるものとして考慮されてはならない。また、単数の表現の“発明”に対する本開示内のいかなる参照も、本開示に請求された新規性がただ一つのポイントしかないということを示すものとして使用されてはならない。本開示と関連した複数の請求項の制限により、複数の発明が記述される事もあり、従って、特許請求の範囲は、保護される発明とそれに均等なものを限定する。例えば、特許請求の範囲は、明細書を考慮してそれらの利点について考慮されなければならず、ここに記述された見出しにより拘束されてはならない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】