特表2017-508971(P2017-508971A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-5089713つの抗体を利用する発光酸素チャネリング免疫測定法並びにその製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-508971(P2017-508971A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(54)【発明の名称】3つの抗体を利用する発光酸素チャネリング免疫測定法並びにその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/536 20060101AFI20170310BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170310BHJP
【FI】
   G01N33/536 D
   G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2016-557105(P2016-557105)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】US2015022209
(87)【国際公開番号】WO2015148479
(87)【国際公開日】20151001
(31)【優先権主張番号】61/970,596
(32)【優先日】2014年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェイ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レッデン、デイヴィッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カウデン、エリック スコット
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ、ドーンライ
(57)【要約】
化学発光検出システム並びにこれを含有するキット及びマイクロ流体デバイスが開示される。また、このシステム、キット及び装置を用いる方法が開示される。第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片はこれらの抗体又は結合断片が本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能するものであれば如何なる形態で提供されてもよい。例えば、第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片のそれぞれは、ポリクローナル抗体/結合断片であってもモノクローナル抗体/結合断片であってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の被検体のための化学発光検出システムを含有するキットであって、該キットが
(a)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第一の抗体又はその結合断片を含有してなる第一組成物であって、前記第一の抗体又はその結合断片が、被検体の第一のエピトープに特異的に結合し、それによって前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が前記第一の抗体又はその結合断片を介して前記被検体に間接的に結合できる検出抗体である組成物、
(b)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第二の抗体又はその結合断片を含有する第二組成物であって、前記第二の抗体又はその結合断片が、前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合し、それによって一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が前記第二の抗体又はその結合断片を介して前記被検体に間接的に結合できる検出抗体であり、且つ、前記第一及び第二のエピトープは、少なくとも部分的に重複して、この結果、前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない組成物、及び
(c)第三の抗体又はその結合断片を含有してなる第三組成物であって、前記第三の抗体又はその結合断片が、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができ、このとき、前記第三の抗体又はその結合断片は、励起状態で一重項酸素を発生することができる増感剤と会合することができ、これによって、前記第三の抗体又はその結合断片の増感剤との会合により、前記増感剤の前記被検体との間接的な結合が可能になる組成物を
含有してなるキット。
【請求項2】
更に増感剤を含有してなり、第三組成物が前記第三の抗体又はその結合断片に会合した増感剤を更に含有してなる請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記第一及び第二組成物のうちの少なくとも1つが、前記活性化された化学発光化合物によって励起された少なくとも1つの蛍光分子を、更に含有してなる請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
(a)〜(c)の少なくとも1つが凍結乾燥された試薬の形態にあると更に定義される請求項1〜3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
凍結乾燥された試薬の再構築のための賦形剤を更に含有してなる請求項4に記載のキット。
【請求項6】
マイクロ流体デバイスであって、
(i)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第一の抗体又はその結合断片を含有してなる第一組成物であって、前記第一の抗体又はその結合断片が、特異的な被検体の第一のエピトープに特異的に結合し、それにより前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が、前記第一抗体又はその結合断片を介して、前記被検体に間接的に結合することができる検出抗体である第一組成物;
(ii)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第二の抗体又はその結合断片を含有してなる第二組成物であって、前記第二の抗体又はその結合断片が、前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合し、それにより前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が、前記第二抗体又はその結合断片を介して、前記被検体に間接的に結合することができる検出抗体であり、且つ、前記第一及び第二のエピトープは、少なくとも部分的に重複して、この結果、前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない第二組成物;及び
(iii)第三の抗体又はその結合断片を含有する第三組成物であって、前記第三の抗体又はその結合断片は、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができる第三組成物;及び
(iv)前記第三抗体又はその結合断片に会合することができる増感剤であって、励起状態で一重項酸素を発生することができ、前記第三抗体又はその結合断片の前記増感剤との会合により、前記増感剤の前記被検体への間接的結合が可能になる増感剤;を
含有する少なくとも1つの区画を含有してなるマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
それを通して試料が配置される入口経路を更に含有してなり、前記少なくとも1つの区画が前記入口経路と流体連通することができる請求項6に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
更に少なくとも2つの区画を含有してなるものであり、第一区画が(i)、(ii)及び(iii)を含有し、第二区画が(iv)を含有する請求項7に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
それを通して試料が配置される入口経路を更に含有してなり、前記第一区画が前記入口経路と流体連通でき、前記第二区画が前記入口経路及び前記第一区画のうちの少なくとも1つと流体連通できる請求項8に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記入口経路及び前記少なくとも1つの区画と流体連通できる少なくとも1つの追加の区画を更に含有してなり、前記少なくとも1つの追加の区画が希釈剤を含有する請求項6〜9のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
試料中の特定の被検体の存在及び/又は濃度を検出する方法であって、以下の工程を含有してなる方法。
(a)同時に又は、全てを若しくは一部分を、逐次的に、下記を合一する工程;
(i)前記特定の被検体を含有していると推定される試料;
(ii)一重項酸素で活性化可能な化合物及びそれに会合している第一の抗体又はその結合断片を含有してなる第一組成物であって、前記第一の抗体又はその結合断片が特定の被検体の第一のエピトープに特異的に結合する検出抗体である組成物;
(iii)一重項酸素で活性化可能な化合物及びそれに会合している第二の抗体又はその結合断片を含有してなる第二組成物であって、前記第二の抗体又はその結合断片が前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合する検出抗体であり、且つ、前記第一及び第二のエピトープが少なくとも部分的に重複し、これにより、前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない組成物;
(iv)第三の抗体又はその結合断片を含有してなる第三組成物であって、前記第三の抗体又はその結合断片は、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができる組成物;及び
(v)前記第三の抗体又はその結合断片と会合できる増感剤であって、励起状態で一重項酸素を発生することができる増感剤。
(b)(ii)、(iii)及び/又は(iv)を、試料内の被検体に結合させる工程であって、
被検体分子、(ii)及び(iv)を含有してなる第一のサンドウィッチ錯体が形成され、もう1つの被検体分子、(iii)及び(iv)を含有してなる第二のサンドウィッチ錯体が形成され、且つ、(v)が、前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中の(iv)と会合し、斯くして、増感剤を、(ii)及び(iii)の化学発光化合物に極めて接近させる工程;
(c)増感剤を活性化して、一重項酸素を発生させる工程であって、前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中に存在する増感剤の活性化により、前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中に存在する化学発光化合物が活性化される工程;
(d)前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中に存在する活性化された化学発光化合物により発生された化学発光の量を測定する工程;
(e)所望により、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;及び
(f)このようにして生成された化学発光の量を分析することにより、前記被検体の存在及び/又は濃度を検出する工程であって、化学発光の量は、試料中の被検体の量に正比例する工程。
【請求項12】
前記増感剤が光増感剤であり、且つ、工程(c)が光照射により光増感剤を活性化するものと更に定義される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(ii)〜(iv)のいずれかを合一するのに先立って前記試料を分離工程に付する工程を更に含有してなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一及び第二組成物の一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が同一である請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一及び第二組成物の一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が異なるものである請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願とともにコンピュータ読み取り可能な形で提出された配列一覧(ファイル名:2014P07114WO−Seq_Listing.txt。6KB)を、参照により、組み入れる。
【0002】
(連邦政府の資金提供を受けた研究開発に関する記載)
該当せず。
【背景技術】
【0003】
免疫測定技術は、医学診断の分野において、広く用いられている。商業的に用いられる免疫測定法の1つの例は、LOCI(登録商標):発光酸素チャネリング免疫測定技術(ニューヨーク州、タリータウン、シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス インコーポレーテッド)のような−これに限定されないが−誘起発光免疫測定法である。誘起発光免疫測定法は、特許文献1に記載されている。現在利用可能なLOCI(登録商標)技術には、数種の試薬を使用し、これらの試薬の2つ(センシビーズ(sensibead)及びケミビーズ(chemibead)と呼ばれる。)が互いに近接させられてシグナルを発する免疫測定法が関わっている。或る波長(これに限定するものではないが、例えば680nm)において光に曝されると、センシビーズは、一重項酸素を放出し、そして、もし2つのビーズが近接していれば、一重項酸素がケミビーズに移される。これにより、化学反応が起こり、ケミビーズが光を発し、これが異なる波長(これに限定するものではないが、例えば612nm)で測定される。
【0004】
しかしながら、この技術には、障害物がある。特に、免疫測定法は、被検体検出メカニズムとして用いられる1以上の抗体の感度及びダイナミックレンジに依存する。例えば、(中央検査室及び/又はポイントオブケア環境で用いられる免疫測定法を始めとする)免疫測定法で現在用いられている商業的に入手可能な抗体は、感度が限られている。更に、誘起発光免疫測定法が、マイクロ流体チップを利用するポイントオブケア(POC)測定法の過程で、限られた感度を有する抗体とともに適用されたとき、測定法の感度は、試料量のより少ない測定法の形態によって更に弱められる。かくして、POC測定法は、要求される測定法感度目標に合致しない。
【0005】
被検体検知免疫測定法の感度は、測定法の構成に採用される1又はそれ以上の抗被検体抗体の親和性に依存する。即ち、抗体の親和性が高いほど、免疫測定法の感度は高くなる。従って、被検体特異的誘起発光免疫測定法の過程で用いるための、高感度の抗被検体抗体が望まれている。残念なことに、現存する抗体よりも実質的に改善された感度を示す抗体は、典型的には、その現存する抗体に比較してダイナミック測定レンジが随分と狭い。
【0006】
特別な非限定的な例において、誘起発光免疫測定法(例えば、これに限定するものではないが、POC誘起発光免疫測定法)によるその検出が望まれている1つの特異的被検体は、心筋トロポニン I(cTnl)である。心筋トロポニンは、心筋損傷の検出のための最も鋭敏で特異的な生化学的マーカーであると考えられている。欧州心臓病学会及び米国心臓病学会(ESC/ACC)による急性心筋梗塞(AMI)の再定義は、心筋トロポニンの増加レベルを、参照群の99thパーセンタイル値を超える測定値として、定義することを推奨している(非特許文献1)。更に、ESC/ACCによる推奨では、99thパーセンタイル決定限界における全不正確さは、10%以下であることが要求されている(表1)。
【表1】
【0007】
心筋トロポニン測定法の性能に関するこれらの新基準は、軽症の又は初期の心筋損傷で見出される極めて低い水準のトロポニンの定量的で精確な測定を成し遂げるための免疫測定法の企画のための新しいアプローチを必要とする。これらの新しい性能基準を達成し超越するために、これまで、種々の免疫測定法構成、抗体及び検出技術が提案されている。
【0008】
抗体の選択が上述の新しい性能目標に合致させるための中心である。選択基準には、心筋トロポニンI結合の特異性ばかりでなく、検出限界及び測定時間を決定する結合親和性をも考慮しなければならない。他の心筋トロポニン及び骨格筋トロポニンに対する交差活性並びに他の心臓血管のバイオマーカーは、重要でない。
【0009】
更に、患者試料中の心筋特異性トロポニンIの全量を測定することは、最大分析感度について、重要である。心筋トロポニンIは、遊離して、そして、心筋トロポニンC(cTnC)との複合体の形で、そして、程度はより低いが、心筋トロポニンT(cTnT)との複合体の形で存在するので、他の心筋トロポニンとの複合体形成に無関係に発現されるcTnIエピトープと結合する抗体を選択することが重要である。遊離の及び複合体形のcTnIと結合する能力も、また、用いられる試料型がEDTA血漿である状況では、重要である。cTnIとcTnTとの間の会合定数は、Ca2+の存在下では、より強くなる。EDTAは、Ca2+にキレートし、その結果、試料中の遊離cTnIに比例して増加する。更に、遊離の及び複合体形のcTnIの比率は、或る程度、cTnI及びcTnCのタンパク分解の程度により調節される。
【0010】
壊死性心筋中に存在するタンパク質分解酵素及び患者の血漿中に存在するタンパク質分解酵素の両方によるタンパク質分解後のcTnIの回収の保証には、抗体の注意深い選択が必須である。分解の度合は、個々の患者により異なる。cTnIタンパク質分解の出現により、市場で入手可能なcTnI法の間の試料の安定性の明白な相違及び試料間の安定性の相違が生じる。cTnIに対する試料安定性は、cTnI試験系中の抗体により認識される特異的なエピトープに依存する。
【0011】
cTnI誘起発光免疫測定法で用いられた市場で入手可能な抗cTnI抗体の初期のものは、その導入時には、十分な安定性を有していた。しかしながら、(上述のように)2000年にAMIの定義が変えられると、市場で入手可能な抗cTnI抗体は、今や、cTnI測定に対する増大した性能要求水準に対して、限られた感度しか示さない。従って、限られた感度しか示さないこれらの抗体は、(中央試験室及び/又はポイントオブケア方式の両方を含む)誘起発光免疫測定法において要求される測定感度目標を提供しない。更に、限られた感度しか有しない抗体は、POC測定方式で使用される試料量がより少ないために、測定法の感度が更に低下させられるので、マイクロ流体チップを利用するポイントオブケア(POC)測定方式の発展に対して大きな障害である。
【0012】
限られた感度しか有しない現存の抗体を置き換えるべく企図された新しく同定された抗体(即ち、高親和性のヒツジモノクローナル抗cTnI抗体)は、現存の抗体に対して十分に改善された感度を示した。しかしながら、この新しい抗体は、ダイナミック測定レンジが非常に狭い。20ng/mLを超えるcTnI濃度で信号プラトーが観察され、この新しい高親和性抗体を用いる改良されたcTnI測定法は、現在の市販cTnI測定法に要求されるダイナミックレンジを有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,340,716号明細書(1994年8月23日、ウルマンら)
【特許文献2】米国特許第4,816,567号明細書
【特許文献3】国際公開第92/02551号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2013/078130A1号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Alpert、J.Am.Coll.Cardiol.,36:959−69(2000)
【非特許文献2】Hudsonら、Nature Med.,9:129−134(2003)
【非特許文献3】Kabatら、Sequences of Proteins of ImmuNO:logical Interest (National Institute of Health,Bethesda,MS 1991)
【非特許文献4】Chothiaら、Nature、342:877(1989)
【非特許文献5】Kohler及びMilstein、Nature、256:495(1975)
【非特許文献6】Clacksonら、Nature、352:624−628(1991)
【非特許文献7】Marksら、J.Mol.Biol.、222:581−597(1991)
【非特許文献8】Harlow及びLane,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988))
【非特許文献9】Babcookら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:7843−7848(1996)
【非特許文献10】Aubry、J.Am.Chem.Soc.、107:5844−5849(1985)
【非特許文献11】Aubry、J.Org.Chem.、54:726−728(1989)
【非特許文献12】Bohme及びBrauer、INO:rg.Chem.、31:3468−3471(1992)
【非特許文献13】Niu及びFoote、INO:rg.Chem.、31:3472−3476(1992)
【非特許文献14】Nardelloら、INO:rg.Chem.、34:4950−4957(1995)
【非特許文献15】Aubry及びBouttemy、J.Am.Chem.Soc.、119:5286−5294(1997)
【非特許文献16】Almeidaら、Anal.Chim.Acta、482:99−104(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、大きなダイナミックレンジに亘って高感度を示す新規で改善された抗体に基づく誘起発光免疫測定法及び測定方式が求められている。が指向するのは、そのような測定並びにそれに関連する組成物、キット、装置及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の概念の少なくとも1つの実施態様を、典型的な図面、実験、結果及び実験手順により詳細に説明する前に、本発明の概念が、その適用において、以下の記述において説明され又は図面、実験及び/又は結果に図示された構成要素の構造又は配列の詳細に、限定されないことを理解すべきである。本発明の概念は、他の実施態様を採ることもでき、或いは、種々の方法で実行し又は実施することができる。従って、本明細書で用いられた言語は、可能な限り広範な範囲及び意味を有することが意図されている。そして、実施態様は、典型的なものであって、完全なものを意図していない。また、本明細書で採用した表現法及び専門用語は、説明のためであって限定と見做されるべきではないということも理解されるべきである。
【0017】
本明細書中で他の定義をしない限り、本明細書に開示し特許請求する発明概念に関連して用いられる科学用語及び技術用語には、当業者に一般的に理解されている意味を与えている。更に、文脈が逆の要求をしない限り、単数の用語は、複数を包含し、複数の用語は、単数をも包含する。酵素反応及び純化技術は、製造者の仕様に従って又は当業界で一般的に遂行されるように又は本明細書で記述するように、実行する。前述の技法及び手順は、全般的に、当業界で周知の慣用法に従って、また、本明細書を通して引用し議論している種々の一般的なそしてより特定の参照文献に記述されているように、実行する。本明細書で記述する分析化学、合成有機化学並びに医薬品化学及び薬化学に関連して用いられる命名法並びに実験手順及び技法は、当業界において周知で一般的に用いられるものである。
【0018】
本明細書において言及されている全ての特許、刊行された特許出願及び非特許刊行物は、ここで開示し特許請求する発明の概念に関連する分野の熟練者の技術水準を示す。この出願の如何なる部分であれ、参照されている全ての特許、刊行された特許出願及び非特許刊行物は、参照により、あたかも個々の特許又は刊行物が明確に個別に参照により導入されると指示されていたかのように、同程度に、そっくりそのまま、本明細書に明白に導入される。
【0019】
本明細書に開示し特許請求する全ての組成物及び/又は方法は、本明細書の開示を考慮して過重な実験なしに製造し実行することができる。本明細書に開示し特許請求する発明概念の組成物及び方法は、好ましい実施態様に基づいて記述されているけれども、ここで記述している組成物及び/又は方法に、そして工程に又は一連の工程に、本明細書に開示し特許請求する発明概念の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、変形を加えてもよいことが、当業者には明らかである。当業者に明らかなそのような同様の置換及び修飾は、全て、付随する請求項によって定義される本発明の精神、範囲及び概念の中にあるとみなされる。
【0020】
本明細書の開示に一致して用いられるように、以下の用語は、反対の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0021】
語“a”又は“an”の使用は、請求項及び/又は明細書において用語“comprising”(含有してなる)とともに用いられたときは、「1つの」を意味するが、「1つ又はそれ以上」、「少なくとも1つ」及び「1又は1より多く」の意味とも矛盾しない。単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈に明らかに反しない限り、複数の指示物を包含する。従って、例えば、「1つの化合物」への言及は、1以上の、2以上の、3以上の、4以上の又はより大きな数の化合物への言及であってよい。用語「複数の」は、「2以上」に言及している。請求項における用語「又は」の使用は、代替物のみを参照することが明示されていない限り、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するために用いられている。尤も、開示は、代替物のみ及び「及び/又は」を参照する定義を支持している。この出願を通して、用語「約」は、或る数値が装置、その数値を決定するために用いられる方法の固有の誤差変動、又は研究対象中に存在する変動を含むことを示す。例えば、これには限定する意図はないが、用語「約」が用いられたとき、指示された値は、そのような変化が開示された方法を実行するのに適切であるように、そして、当業者に理解されるように、指定された値から±20%、又は±10%、又は±5%、又は±1%、又は±0.1%変化し得る。用語「少なくとも1つ」は、1並びにこれらに限定されるわけではないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等を含む1より大きい任意の量、と理解される。用語「少なくとも1つ」は、それが結びつけられている用語に応じて、100又は1,000又はそれ以上に拡張し得る。更に、量100/1,000は、制限的なものと考えてはならない。というのは、より大きな限界値も、また、満足な結果を生じるからである。更に、用語「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ及びZのみのほか、X、Y及びZの任意の組合せを包含すると解される。序数用語(例えば、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等々)の使用は、2以上の項目を区別する目的のためだけであり、例えば、如何なる連続、順序、或る項目の他の項目に対する重要性又は添加の順序をも、示唆することを意図していない。
【0022】
本明細書及び請求項で用いられているように、用語「含有してなる(comprising)」(並びに“comprise”及び“comprises”といった“comprising”の任意の形)、「有する(having)」(並びに“have”及び“has”といった“having”の任意の形)、「包含する(including)」(並びに“includes”及び“include”といった“including”の任意の形)、又は“containing”(並びに“contains”及び“contain”といった“containing”の任意の形)は、包括的なものであるか終わりがないものであり、列挙されていない追加の要素又は方法段階を排除しない。
【0023】
本明細書で用いられる用語「又はこれらの組合せ」は、この用語に先立って列挙された項目の全ての順列及び組合せに言及する。例えば、「A、B、C又はこれらの組合せ」は、少なくとも、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの1つを、そして、特定の文脈において順序が重要であるならば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABをも、包含することを意図している。この例に引き続いて、特に、1つ又はそれ以上の用語の繰り返しを含む組合せ、例えば、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等々といった、組み合わせも含まれる。当業者は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、典型的には、如何なる組合せにおいても用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0024】
本明細書で用いられる用語「実質的に」は、それに引き続いて記述される出来事又は状況が完璧に起きるか又はそれに引き続いて記述される出来事又は状況が大いに又はかなりの程度起きることを意味する。例えば、用語「実質的に」は、それに引き続いて記述される出来事又は状況が時間の90%以上、又は95%以上、又は98%以上に起きることを意味する。
【0025】
本明細書で用いられる句「と会合する(associated with)」は、2つの部分が互いに直接会合すること及び2つの部分が互いに間接的に会合することを含む。会合の非限定的な例には、1つの部分がもう1つの部分に直接結合により又はスペーサー基を介して共有結合すること、1つの部分がもう1つの部分に直接又はその部分に結合している特定の結合対メンバーにより非共有的に結合すること、1つの部分を他の部分に、1つの部分をもう1つの部分に溶解することにより又は合成により、導入すること、及び1つの部分をもう1つの部分に被着させることが含まれる。
【0026】
本明細書で用いられる用語「純化された(purified)」は、出発材料又は天然材料に比べて、少なくとも1桁の純化、例えば、これは限定するものではないが、2、3、4又は5桁の純化、が達成されることを意味する。従って、本明細書で用いられる用語「純化された」は、必ずしも、材料が100%純化されたこと意味するものではなく、従って、そのような用語は、純化された組成物中に他の材料が存在することを排除しない。
【0027】
用語「類似体」又は「誘導体」は、ここでは、交換可能に用いられ、所与の化合物と同一の基本炭素骨格及びその構造中における同一の炭素官能性を含有してなる物質を指すが、それらの1つ以上の置換をも包含する。本明細書で用いられる用語「置換」は、1つの化合物の少なくとも1つの置換基の残基Rによる置き換えを指すと理解される。非限定的な具体例では、Rは、以下のものを含む。即ち、H、ヒドロキシル、チオール、フッ化物、塩化物、臭化物又は沃化物から選ばれるハロゲン化物、以下の1つから選ばれるC1−C4化合物:直鎖状の、分岐状の又は環状の、置換されていてもよいアルキル、直鎖状の、分岐状の又は環状のアルケニル、ここで、任意の置換基は、1以上のアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル、アリールシクロアルキル及びアリールヘテロシクロアルキルから選ばれ、これらのそれぞれは、1つ以上のアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルケニルアルキル、アリールシクロアルキル、及びアリールヘテロシクロアルキル、フェニル、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、カルボキシ及び−C(O)−アルキルから選ばれる任意の置換基で置換されていてもよい。
【0028】
本明細書で用いる用語「試料」は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って用いられる全ての型の生物学的試料を包含すると理解される。用いることができる生物学的試料の例は、これらに限定するものではないが、全血又はその部分(即ち、血漿又は血清)、唾液、喀痰、脳脊髄液(CFS)、皮膚、間質液、涙、粘液、尿、綿棒、組合せ等を包含する。
【0029】
本明細書で用いる用語「結合パートナー」は、他の分子と会合し得る任意の分子をいうと理解される。例えば、これは限定を意図するものではないが、結合パートナーは、(ポリクローナル又はモノクローナル抗体を始めとする)抗体、抗体断片(例えば、これらに限られないが、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv、Fd、二重特異性抗体、単鎖抗体及び無傷の抗体の可変領域の少なくとも一部を保持している他の抗体断片)、受容体、配位子、アプタマー、抗体代替タンパク質若しくはペプチド(即ち、改変結合タンパク質/ペプチド)、分子認識ポリマー(即ち、無機マトリクス)、これらの結合若しくは誘導体、並びに、被検体に特異的に結合できるあらゆる他の分子であってよい。
【0030】
用語「抗体」は、最も広い意味で用いられており、その範囲は、特にモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む。)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二特異性抗体)、更に、所望の生物的活性を有する限り抗体断片にも、及ぶ。従って、用語「抗体」又は「抗体ペプチド」は、全長免疫グロブリン分子(即ち、無傷抗体)、又は特定の抗原結合について該無傷抗体と競合するその結合断片を意味する。結合断片は、リコンビナントDNA技術又は無傷抗体の酵素的若しくは化学的な切断により、製造することができる。結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv、ジスルフィドに結合したFv、Fd、二重特異性抗体、単鎖抗体、(例えば、これに限られるわけではないが、NANO:BODIES(登録商標(ベルギー、ズウェイナールデ、アブリンクス社)等の)単一ドメイン抗体、及び、無傷抗体の可変領域の少なくとも一部を保持している他の抗体断片が包含される。非特許文献2を参照されたい。
【0031】
本明細書で用いる用語:抗体の「抗体結合断片」又は「抗体結合部分」は、抗原に結合する能力を保持している抗体の1以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、無傷抗体の断片により達成される。用語:抗体の「抗原結合断片」に包含される結合断片の例には、これらに限られるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv、ジスルフィドに結合したFv、Fd、二重特異性抗体、単鎖抗体、(例えば、これに限られるわけではないが、NANO:BODIES(登録商標(ベルギー、ズウェイナールデ、アブリンクス社)等の)単一ドメイン抗体、単離CDRH3、及び、無傷抗体の可変領域の少なくとも一部を保持している他の抗体断片が包含される。これらの抗体断片は、通常のリコンビナント手法及び/又は酵素的手法を用いて得ることができ、無傷抗体と同様の方法で、抗原結合について選別される。
【0032】
用語「CDR」及びその複数形「CDR’s」は、抗体又は抗体軽鎖可変領域には3つのCDR(CDRL1、CDRL2及びCDRL3)が存在断片の結合特性を決定する抗体又は抗体断片の相補性決定領域(CDR)を指す。ほとんどの例において、重鎖可変領域には3つのCDR(CDRH1、CDRH2及びCDRH3)が存在する。これらのCDRは、抗体分子の機能活性に貢献し、足場領域又は枠組み領域を有するアミノ酸配列により分離される。種々のCDRのうち、CDR3配列、特にCDRH3、は、最も多様であり、従って、抗体特異性に最も強力に貢献する。CDRの決定には、少なくとも2つの手法、即ち、(1)交差種配列変異性に基づいたアプローチ(非特許文献3);及び(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づいたアプローチ(非特許文献4)がある。
【0033】
用語「エピトープ」は、本明細書で用いる場合、免疫グロブリン又はT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を指す。幾つかの実施態様において、エピトープは、抗体によって特異的に結合される抗原の領域である。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸、糖側鎖、フォスフォリル及び/又はスルフォニル基等の分子の、これらに限られるわけではないが、化学的に活性な表面基を含む。幾つかの実施態様においては、エピトープは、特異的な3次元構造特性及び特異的な電荷特性を有していてもよい。
【0034】
本明細書で用いる用語「エピトープ」は、直鎖状エピトープ及び立体配座エピトープの両方を含むと理解される。直鎖状エピトープは、抗原からのアミノ酸の連続配列で形成され、従って、抗原の第一級/直鎖状ペプチド/タンパク質構造を含有する。立体配座エピトープは、抗原アミノ酸配列の不連続部分からなり、三次元表面特性及び/又は抗原の第三級構造の形態に基づく。
【0035】
エピトープは、特定の抗体がもう一つのエピトープに特異的に結合するならば、両エピトープは「同一である」と定義される。幾つかの実施態様において、異なる第一級アミノ酸配列を有するポリペプチドが、同一のエピトープを含有していてもよい。幾つかの実施態様において、同一のエピトープが異なる第一級アミノ酸配列を有していてもよい。異なる抗体は、それらが同じエピトープに対する特異的結合において競合するならば、同じエピトープに結合すると言われる。
【0036】
抗体は、タンパク質及び/又は巨大分子の複合混合物中の抗原を優先的に認識するとき、その抗原に「特異的に結合」する。幾つかの実施態様において、抗原は、特定のエピトープに特異的に結合する抗原結合部位を含む。そのような幾つかの実施態様において、抗体は、異なる抗原に、この異なる抗原が特定の又は密接に関連するエピトープを含有する限り、結合することができる。幾つかの実施例において、例えば、異なる種からの相同タンパク質は、同一のエピトープを含有し得る。幾つかの実施態様において、抗体は、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M又は10−13M以下の解離定数で、抗原に特異的に結合する。
【0037】
「単離された」抗体は、それが製造された環境の一成分から分離され及び/又は回収された抗体である。その製造環境の汚染成分は、抗体の診断又は治療のための使用に干渉し得る材料であり、酵素、ホルモン及びタンパク質性の又は非タンパク質性の他の溶質を含み得る。幾つかの実施態様において、抗体は、少なくとも3つの方法によって、(1)Lowry法による測定で抗体の50重量%超、例えば75重量%超、又は85重量%超、又は95重量%超、又は99重量%超に、(2)スピニングカップ配列決定装置を使用して、N−末端又は内部アミノ酸配列の10残基以上、例えば15残基以上、を得るのに十分な程度に、又は(3)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を使用して還元又は非還元条件下のSPD−PAGEによって均質に、測定可能なものとして純化される。抗体がその中で製造される環境成分の少なくとも1つが存在しないので、単離された抗体は、リコンビナントセル内に元の位置で抗体を含んでいる。しかしながら、通常は、単離された抗体は、少なくとも1つの生成工程により調製される。更に、「単離された抗体」は、実質的に、異なる抗原特異性を有する他の抗体を含まない。しかしながら、単離された抗体は、他の関連する抗原に対する幾分かの交差反応性を有している。
【0038】
本明細書で用いる用語「モノクローナル抗体」は、同じエピトープに特異的に結合する実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指す。即ち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る自然発生的な突然変異を除いて、(個々の抗体の糖化パターンには、多様性があるけれども)同一である。典型的には異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含有する伝統的な(ポリクローナル)抗体の調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、1つの製法において、それがハイブリドーマ培養により合成され、従って、他の免疫グロブリンによって汚染されないという点において有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集合から得られたという意味の抗体の特性を示すものであり、抗体を何らかの特定の方法で生産することを必要とすると解してはならない。例えば、或る実施態様において、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って製造されたモノクローナル抗体は、第一に非特許文献5に記載されたハイブリドーマ法により作製してもよい。
【0039】
本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って利用されるモノクローナル抗体は、これらに限られないが、慎重な免疫プロトコルの結果;病気又は癌の過程で自然に抗体の製造を生じる免疫応答の結果;ファージ由来の抗体;等々を始めとする当技術分野で公知の如何なる方法によって製造してもよい。上記にリストしたハイブリドーマ製造法に加えて、本明細書に開示し特許請求する発明概念のモノクローナル抗体は、他の種々の方法、例えば、これらに限られないが、リコンビナントDNA法(特許文献2を参照。)、ファージディスプレイライブラリからの抗体断片の単離(非特許文献6を参照。)、及び非特許文献7、並びに種々のその他のモノクローナル抗体製造技法(非特許文献8を参照。)によって製造することができる。
【0040】
一旦、抗体が得られれば、例えば、個別のB−セルが同定されれば及び/又はモノクローナル抗体が製造されれば、これらの抗体の可変領域をコードする配列を得ることができる。可変領域配列は、例えば、先ず、ハイブリドーマ、B−セル又はファージにより製造される抗体タンパク質を配列し、コードする核酸配列を決定することにより、得ることができる。或る実施態様では、免疫グロブリン可変領域(VH及びVL)DNA又はcDNAを代わりに配列してもよい。抗体がハイブリドーマセルライン又は単離B−セルから誘導される場合は、種々の領域をコードするcDNAを、例えば非特許文献9及び特許文献3に記載された方法により、PCRを用いて増幅してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、既知の先行技術による心筋トロポニンI(cTnI)免疫測定法の感度及びダイナミックレンジを、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された免疫測定法の感度及びダイナミックレンジと、比較するグラフである。
図2図2は、先行技術の誘起発光免疫測定法方式の2つの実施態様である。
図3図3は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式を説明する図である。
図4図4は、cTnIの種々のエピトープ領域のマップである。
図5図5は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造の第一の実施態様を図示する。
図6図6は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造のもう1つの実施態様を図示する。
図7図7は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造のもう1つの実施態様を図示する。
図8図8は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造のもう1つの実施態様を図示する。
図9図9は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造のもう1つの実施態様を図示する。
図10図10は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造の更にもう1つの実施態様を図示する。
図11図11は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造の更なる実施態様を図示する。
図12図12は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された誘起発光免疫測定法方式に従って構築されたマイクロ流体装置用の基本構造の更にもう1つの実施態様を図示する。
図13図13は、図6に示された基本装置構造に従って構築されたマイクロ流体装置の写真画像である。
図14図14は、図11に示された基本装置構造に従って構築されたマイクロ流体装置の写真画像である。
図15図15は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されたcTnI免疫測定法で用いられる3つの抗体のセットによって認識されるエピトープの第1の例を説明するcTnIエピトープのマップである。
図16図16は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されたcTnI免疫測定法で用いられる3つの抗体のセットによって認識されるエピトープの第二の例を説明するcTnIエピトープのマップである。3つの抗体のセットは、3つのエピトープ:即ち、2つの検出抗体により認識される重複する2つのエピトープ及び捕捉抗体によって認識される第三のエピトープを、認識する。ここで、第三のエピトープは、他の2つのエピトープと重複しない。
図17図17は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されたcTnI免疫測定法で用いられる3つの抗体のセットによって認識されるエピトープの第三の例を説明するcTnIエピトープのマップである。
図18図18は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されたBNP免疫測定法で用いられる3つの抗体のセットによって認識されるエピトープの第一の例を説明するBNPエピトープのマップである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書に開示し特許請求する発明概念は、従来技術の測定法のダイナミックレンジを維持しながら、従来技術の誘起発光免疫測定法に比べて改善された感度を有する新規な誘起発光免疫測定法構成に向けられている。この新規な免疫測定法構成は、(これに限られないが、cTnIを始めとする)種々の被検体についての新規な誘導発光免疫測定の発展に用いられ、中央試験室及び/又はPOC用途に採用可能である。この新しい測定法構成においては、現在のcTnIアッセイ構成において用いられる単一検出抗体を置き換えて、2つの検出抗体がサンドウィッチアッセイに用いられる。一つの高親和性抗体と、この高親和性抗体に比べて感度はより低いがダイナミックレンジの広い他の抗体との組み合わせにより、現在のアッセイ構成における感度及びダイナミックレンジの問題を解決することができる。
【0043】
図1は、本明細書に開示し特許請求する発明概念の、従来技術に比べて、増強された感度及びダイナミックレンジを示す。図1において、容量応答曲線が2つの従来技術免疫測定法について描かれ、本明細書に開示し特許請求する発明概念の、特定の非限定的被検体cTnIについての、アッセイと比較されている。丸印のデータ点で表わされる容量応答曲線は、現在商用のcTnIアッセイを示し、他方、四角のデータ点で表わされる容量応答曲線は、より高感度の抗cTnI抗体を用いたアッセイを表わす。これから明らかなように、高感度抗cTnI抗体を用いたアッセイについて、高ダイナミックレンジにおいて、高原部分が観察され、他方、現在商用のcTnIアッセイにおいては、低ダイナミックレンジにおいて、感度が失われている。これと対照的に、三角のデータ点で表わされる容量応答曲線は、本明細書に開示し特許請求する、二元検出抗体を利用する、cTnIアッセイ構成から導かれるものである。単一検出抗体を利用する従来技術のcTnIアッセイ構成の容量応答曲線に比較して、新規なcTnI構成は、要求されるcTnIアッセイ感度だけではなく、要求されるcTnIダイナミックレンジをも提供する。
【0044】
図2及び図3は、本明細書に開示し特許請求する発明概念の誘起発光免疫測定法構成と従来技術の測定法構成との比較を示す。図2Aは、単一の検出抗体(被検体を含有する試料とのインキュベーションに先立ってケミビーズ(CB)に会合した状態で示されている)及び単一の捕捉抗体(インキュベーション段階においてセンシビーズ(SB)と会合し得るものとして示されている)を含有する先行技術の測定法構成を図示する。図2Bにおいて、もう1つの先行技術による免疫測定法構成が図示されている;この構造においては、図2A(ここでは、両検出抗体が単一CBと会合できる。)における単一検出抗体に代えて二元検出抗体が使用されている。しかしながら、この測定法構成においては、単一の被検体の検出のために、3つの抗体全て(即ち、2つの検出抗体及び1つの捕捉抗体)がこの被検体に結合することが必要である。
【0045】
対照的に、図3に示されるように、本明細書に開示し特許請求する発明概念の測定法構成は、被検体との結合において互いに競合する2つの検出抗体(Ab1及びAb2。それぞれ、CB1及びCB2と会合とした状態で図示されている。)を利用する。即ち、2つの検出抗体は、少なくとも部分的に重複するエピトープに結合し、これにより、2つの検出抗体は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない。検出抗体の1つ(Ab1)は、高感度と限られたダイナミックレンジを有しており、もう一方の検出抗体(Ab2)は、より広いダイナミックレンジとより低い感度を示す。これら2つの検出抗体をこのように使用することにより、図1に示すように、十分なダイナミックレンジ及び検出限界に亘って、所望の感度水準を示す免疫測定法が得られる。
【0046】
本明細書に開示し特許請求する発明概念の特定の実施態様に戻ると、測定法の構成、並びにこれを含有するキット及び装置並びにその製造及び使用方法が開示される。測定法の実施態様の幾つかにおいては、信号生成系(sps)部材は、例えば感光剤のような増感剤、及び化学発光組成物を含有してなり、感光剤の活性化により、化学発光組成物を活性化する生成物が生じる。1つのsps部材は、通常、結合した又は結合していないsps部材の量、即ち、検出すべき被検体に又は検出すべき被検体の量を反映する試薬に結合した又は結合していないsps部材の量、に関連する検出可能な信号を発生する。本明細書に開示し特許請求する発明概念が拠りどころとする測定法プラットフォームの実施例は、誘起発光免疫測定法(LOCI(登録商標))である。誘起発光免疫測定法は、特許文献1に記載されている。
【0047】
本明細書に開示し特許請求する発明概念は、化学発光検出系を含有する組成物を含む。幾つかの実施態様において、組成物は、少なくとも3つの成分を含む。第一の成分は、一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第一の抗体又はその結合断片を含有する組成物を含有してなり、この第一の抗体又はその結合断片は、被検体の第一のエピトープに特異的に結合し、それによって一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が第一の抗体又はその結合断片を介して前記被検体に間接的に結合できる検出抗体である。第二の成分は、一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第二の抗体又はその結合断片を含有する組成物を含有してなり、この第二の抗体又はその結合断片は、前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合し、それによって一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が前記第二の抗体又はその結合断片を介して前記被検体に間接的に結合できる検出抗体であり、ここで第一及び第二のエピトープは、少なくとも部分的に重複して、このため、第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない。第三の成分は、第三の抗体又はその結合断片を含有する組成物を含有してなり、ここで前記第三の抗体又はその結合断片は、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができ、このとき、前記第三の抗体又はその結合断片は、励起状態で一重項酸素を発生することができる増感剤と会合することができ、これによって、前記第三の抗体又はその結合断片の増感剤との会合により、前記増感剤の前記被検体との間接的な結合が可能になる。
【0048】
前記第一、第二及び第三のエピトープは、全てが直鎖状エピトープであって、被検体のアミノ酸配列の直鎖状部分を認識するものであってよい。或いは、前記第一、第二及び第三のエピトープは、全てが立体配座エピトープであっても、直鎖状及び立体配座エピトープの混合物であってもよい。即ち、前記第一のエピトープが直鎖状エピトープであって、他方、前記第二のエピトープが立体配座エピトープ(或いは、この逆)であってよい。このようにして、前記第一及び第二の抗体/結合断片は、必ずしも、被検体の直鎖状アミノ酸配列の重複部分を認識する必要はない。代わりに、前記2つの抗体/結合断片が、被検体のアミノ酸配列の第三級構造の部分的な重複を認識してもよい。
【0049】
幾つかの実施態様において、第三の成分は、更に、第三の抗体又はその結合断片と会合した増感剤を含有していてよい。代わりに、組成物は、更に、増感剤を含有する第四成分を含有していてもよい。
【0050】
増感剤は、化学発光化合物の活性化のための、例えば一重項酸素のような、活性中間体を発生するための分子であり、通常、化合物である。幾つかの実施態様において、増感剤は、光増感剤である。化学的に(例えば、酵素及び金属塩によって)活性化し得る他の増感剤には−これは例示であって、限定のためではないが−外部光源による活性化により又はより好ましくないが活性化なしに、一重項酸素を生成し得る他の物質及び組成物が含まれる。例えば、過酸化水素の一重項酸素及び水への転換を触媒するいくつかの化合物が知られている。他の増感剤物質及び組成物の例には、−限定的なものではないが−、アルカリ土類金属Ca、Sr及びBaの酸化物;d0配座の3A、4A、5A及び6A族の元素の誘導体;アクチニド元素及びランタニド元素の酸化物;酸化剤のClO、BrO、Au3+、IO及びIO;並びに、特に、モリブデン酸イオン、パーオキソモリブデン酸イオン、タングステン酸イオン及びパーオキソタングステン酸イオン、並びにアセトニトリルが含まれる。以下の参照文献には、増感剤物質及び組成物について更に記載があるが、これらも、また、本明細書に開示し特許請求する発明概念の範囲に含まれる(非特許文献10〜16)。
【0051】
光増感剤の範囲には、本来の増感剤ではないが、熱、光、イオン化放射線又は化学的活性化により、一重項酸素分子を放出する化合物も、また、包含される。この種の化合物には、例えば、1,4−ビスカルボキシエチル−1,4−ナフタレン エンドパーオキシド、9,10−ジフェニルアントラセン−9,10−エンドパーオキシド及び5,6,11,12−テトラフェニルナフタレン−5,12−エンドパーオキシドが含まれる。これらの化合物の加熱又は光の直接吸収により、一重項酸素が放出される。
【0052】
光増感剤は、光活性化合物の活性化、例えば、光励起による一重項酸素の発生、のための増感剤である。光増感剤は、光により活性化可能であり、例えば、染料及び芳香族化合物を包含し、通常、共有結合した、通常、多重共役二重結合又は三重結合を有する、原子を含有してなる化合物である。これらの化合物は、200〜1,100nm又は300〜1,000nm又は450〜950nmの波長範囲で光を吸収し、励起波長において、その吸収極大で500M−1cm−1を超える又は5,000M−1cm−1を超える又は50,000M−1cm−1を超える吸光係数を有する。光増感剤は、相対的に光安定性であり、好ましくは、一重項酸素と効率的な反応をしない。光増感剤の例には、これは説明のためであって限定ではないが、アセトン、ベンゾフェノン、9−チオキサントン、エオシン、9,10−ジブロモアントラセン、メチレンブルー、例えばヘマトポルフィリン、フタロシアニン、クロロフィル、ローズベンガル、バックミンスターフラーレン等のメタロ−ポルフィリン、並びにこれらの化合物の誘導体が含まれる。
【0053】
化学発光化合物(化学発光剤)は、化学的に活性化可能であって、そのような活性化の結果、或る波長の光を発生する化合物である。化学発光剤の例には、これは説明のためであって限定するものではないが、一重項酸素又は過酸化物と反応可能であってハイドロパーオキシド又はジオキセタン(これらは分解してケトン又はカルボン酸誘導体となる。)を生成するオレフィン;光の作用により分解し得る安定なジオキセタン;一重項酸素と反応してジケトンを生成し得るアセチレン;ルミノールのごときアゾ化合物又はアゾカルボニルを形成し得るヒドラゾン又はヒドラジド;並びに例えばエンドパーオキシドを生成し得る芳香族化合物が包含される。活性化反応の結果、化学発光剤は、直接的又は間接的に発光を引き起こす。
【0054】
いくつかの実施態様においては、一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素と化学反応して準安定な中間体種(このものは、分解して同時に又は引き続いて発光する。)を形成する化合物であってよい。一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物を含有する組成物は、当技術分野で公知の任意の方法によって、標的被検体を伴っていてよい。例えば、これは限定を目的としないが、組成物は、化学発光化合物の標的被検体への間接的会合を可能にする第二の被検体特異的な結合パートナーと会合していてよい。化学発光化合物を含有する組成物は、活性化された化学発光化合物によって直接励起されてもよい。或いは、組成物は、更に、活性化された化学発光分子により励起される少なくとも1つの蛍光分子を含有していてもよい。特に、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って使用し得る化学発光化合物又は光増感剤の非限定的な例は、特許文献1に記載されている。
【0055】
本明細書に開示し特許請求する組成物は、一重項酸素で活性化可能な2つの化学発光組成物の存在を包含し、上述の又はここで意図している一重項酸素で活性化可能な組成物のいずれも、第一の又は第二の一重項酸素で活性化可能な組成物として機能し得る。いくつかの実施態様では、一重項酸素で活性化可能な2つの化学発光組成物が、同一の一重項酸素で活性化可能な化学発光組成物であってよい。例えば、図1に図示した測定法において、同一の一重項酸素で活性化可能な化学発光組成物が検出抗体/結合断片の両方に会合していてもよく、従って、このとき、信号は単一の波長で検出される。他の実施態様において、2つの一重項酸素で活性化可能な組成物が互いに異なることが好ましい。組成物が互いに異なる場合、第一及び第二の抗体/結合断片の結合は、異なる波長で検出できる。例えば、第一の波長は、曲線の低末端を検出し、他の波長が曲線の高末端を検出するのに使用できる。
【0056】
本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って使用される増感剤は、ストレプトアヴィジンとの会合を介して間接的に標的被検体に結合できる。このようにして、ビオチンが第一の被検体特異的結合パートナーに会合し、ストレプトアヴィジンとビオチンとの結合は、第一の被検体特異的結合パートナーの標的被検体への結合と相俟って標的被検体への増感剤の間接的会合を生じる。1つの非限定的例では、増感剤は、光照射により活性化される光増感剤であってよい。
【0057】
幾つかの実施態様では、第一の抗体/結合断片と第二の抗体/結合断片とは、被検体に対する親和性が異なっていてもよい。例えば、2つの抗体/結合断片の一方は、被検体に対する親和性が相対的に低くてもよく、他方、他の抗体/結合断片被検体に対する親和性が相対的に高くてもよい。特別な非限定的な例において、第一の抗体/結合断片は10−6M〜10−10Mの範囲の解離定数で被検体に特異的に結合する低親和性抗体であってよく、第二の抗体/結合断片は10−10M〜10−13Mの範囲の解離定数で被検体に特異的に結合する高親和性抗体であってよい。
【0058】
高親和性抗体/結合断片と低高親和性抗体/結合断片との比は、測定法が本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能し、所望の直線性及びダイナミックレンジが得られるものである限り、如何なるものであってもよい。特別の非限定的な例において、高親和性抗体/結合断片は、2つの検出抗体/結合断片の和の約5%から約20%として存在してよく、他方、低親和性抗体/結合断片は、存在する全検出抗体/結合断片の約80%から約95%として存在してよい。低親和性抗体/結合断片に対する高親和性抗体/結合断片の比の使用可能な特別な非限定的な例には、約5%(高)対約95%(低)、約10%(高)対約90%(低)、約20%(高)対約80%(低)が含まれる。
【0059】
第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片は、これらの抗体/結合断片が、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って、機能することができる限り、如何なる形態で提供されてもよい。例えば、第一、第二及び第三の抗体/結合断片のそれぞれは、ポリクローナル抗体/結合断片又はモノクローナル抗体/結合断片であってよい。更に、異なる型の抗体/結合断片の如何なる組み合わせも、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って、用いることができる。例えば、第一及び第二の抗体/結合断片がモノクローナル抗体/結合断片であり、第三の抗体/結合断片がポリクローナル抗体/結合断片であってよい。或いは、第一及び第二の抗体/結合断片がポリクローナル抗体/結合断片であり、第三の抗体/結合断片がモノクローナル抗体/結合断片であってよい。更なる代替態様では、第一及び第二の抗体/結合断片のうちの1つがポリクローナル抗体/結合断片であり、もう一方がモノクローナル抗体/結合断片であってよい。この例では、第三の抗体/結合断片は、ポリクローナルでもモノクローナルでもよい。
【0060】
抗体は、このようにして検出を望む任意の被検体について特異的であってよい。ここで意図している被検体の非限定的な例としては、限定するものではないが、心筋トロポニン(cTnI)のようなトロポニン、CKMB、ミオグロビン、ミエロペルオキシダーゼ、β−hCG、BNP、NT−プロBNP、PCT、CRP及びiPHT等が含まれる。
【0061】
検出すべき被検体がcTnIであるとき、3つの抗体は、cTnI分子中の任意の3つのエピトープを、これらのエピトープが上述のとおり配置されている限り、認識することができる。即ち、第一及び第二のエピトープは、第一及び第二の抗体又はその結合断片の両方ともが単一の被検体分子に結合できることがないように、少なくとも部分的に重複していなければならない。更に、第三のエピトープは、第一及び第二のエピトープのいずれとも重複してはならず、これにより、第三の抗体又は結合断片は第一及び第二の抗体又は結合断片のいずれかが既に結合している単一の被検体分子に結合することができる。cTnIの全210アミノ酸配列が配列番号1に割り当てられている。
【0062】
図4は、cTnI配列における種々のエピトープ領域のマップを含んでいるが、このマップは、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って用いられる種々のエピトープの幾つかを図示している。本明細書に開示し特許請求する発明概念の非限定的な実施態様の幾つかにおいて、検出すべき被検体は、cTnIであり、前記第一及び第二の抗体/結合断片は、図4の領域A、B、C、D、E及びF(即ち、それぞれ、配列番号2〜7)の1つにおいて、重複するエピトープに特異的に結合する。他方、前記第三の抗体/その結合断片は、異なる領域内のエピトープに特異的に結合する。例えば、これは、限定するものではないが、(a)前記第一及び第二の抗体/結合断片は、領域A(即ち、配列番号2)内において、重複するエピトープに結合し、前記第三の抗体/結合断片は、領域B〜F(即ち、配列番号3〜7)のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合し;(b)第一及び第二の抗体/結合断片は、領域B(即ち、配列番号3)内において、重複するエピトープに結合し、第三の抗体/結合断片は、領域A及びC〜F(即ち、配列番号2及び4〜7)のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合し;(c)第一及び第二の抗体/結合断片は、領域C(即ち、配列番号4)内において、重複するエピトープに結合し、第三の抗体/結合断片は、領域A〜B及びD〜F(即ち、配列番号2〜3及び5〜7)のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合し;(d)第一及び第二の抗体/結合断片は、領域D(即ち、配列番号5)内において、重複するエピトープに結合し、第三の抗体/結合断片は、領域A〜C及びE〜F(即ち、配列番号2〜4及び6〜7)のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合し;(e)第一及び第二の抗体/結合断片は、領域E(即ち、配列番号6)内において、重複するエピトープに結合し、第三の抗体/結合断片は、領域A〜D及びF(即ち、配列番号2〜5及び7)のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合し;(f)第一及び第二の抗体/結合断片は、領域F(即ち、配列番号7)内において、重複するエピトープに結合し、第三の抗体/結合断片は、領域A〜E(即ち、配列番号2〜6)のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合する。特別の非限定的な例において、第一及び第二の抗体/結合断片は、領域A又は領域B(それぞれ、配列番号2及び3)内において、重複するエピトープに結合し、第三の抗体/結合断片は、領域C(配列番号4)内において、エピトープに特異的に結合する。
【0063】
本明細書に開示し特許請求する発明概念に従ってcTnI免疫測定法において用いられるcTnIエピトープ/抗体の組み合わせの追加の非限定的な例には、以下のものが含まれる。(i)第一及び第二の抗体/その結合断片が配列番号8、9及び11のエピトープのいずれかに特異的に結合し、他方、第三抗体又はその結合断片が配列番号10のエピトープに特異的に結合する。(i)第一及び第二の抗体/その結合断片が配列番号8及び9のエピトープに特異的に結合し、他方、第三抗体又はその結合断片が配列番号10のエピトープに特異的に結合する。(ii)第一及び第二の抗体/その結合断片が配列番号9及び11のエピトープに特異的に結合し、他方、第三抗体又はその結合断片が配列番号10のエピトープに特異的に結合する。(iii)第一及び第二の抗体/その結合断片が配列番号12及び13のエピトープに特異的に結合し、他方、第三抗体又はその結合断片が配列番号14のエピトープに特異的に結合する。エピトープの特別の組み合わせが図15〜17に図示されているが、その詳細を以下の実施例で詳細に議論する。
【0064】
検出すべき被検体がB−型のナトリウム利尿ペプチド(BNP)であるとき、3つの抗体は、エピトープが上述のとおり配置されている(即ち、第一及び第二のエピトープが少なくとも部分的に互いに重複し、第三のエピトープが第一及び第二のいずれとも重複しない)限り、BNP分子中の任意の3つのエピトープを認識する。BNPの32アミノ酸配列は、配列番号15に割り当てられており、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って用いられ得るエピトープの組み合わせの非限定的な例とともに、図18に示されている。図18に図示された非限定的な例において(そして、以下の実施例部において詳細に記述するように)、第一及び第二の抗体/その結合断片は、配列番号16及び17のエピトープに特異的に結合してもよく、他方、第三抗体又はその結合断片が配列番号18のエピトープに特異的に結合する。
【0065】
組成物/キット/方法の試薬は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能するものであれば、如何なる形態及び/又は方式で提供されてもよい。例えば、これは限定するものではないが、構成成分は、ビーズの形態又は類似の方式であってよい。更に、幾つかの実施態様において、試薬を単回使用の凍結乾燥試薬の形で配置することが望ましい。ミクロ流体装置中における乾燥試薬の使用は、特許文献4に詳細に記載されている。
【0066】
幾つかの実施態様において、多重成分が単一のビーズ又は方式で及び/又は単一粒子中に凍結乾燥されて一緒に配置されてもよい。例えば、これは限定を意図しないが、単一のビーズが第一及び第二の成分を含んでいてもよい。即ち、単一のビーズが第一及び第二の抗体/結合断片の両方並びに抗体と会合した一重項酸素で活性化し得る化学発光化合物を含んでいてもよい。両成分を含む単一ビーズは、その後、凍結乾燥されて単一粒子となり、又は、他の方式で配置される。
【0067】
更に、個別のビーズ/方式に配置された2以上の成分が一緒に凍結乾燥されてもよい。例えば、これは限定を意味しないが、(一重項酸素で活性化し得る化学発光化合物と会合した第一及び第二の抗体/結合断片を含む)第一及び第二の成分が一緒に凍結乾燥されてもよい。もう1つの非限定的な例において、(一重項酸素で活性化し得る化学発光化合物と会合した第一及び第二の抗体/結合断片を含む)第一及び第二の成分並びに(第三の抗体/結合断片を含む)第三の成分が単一粒子として一緒に凍結乾燥されてもよい。更に、単一の凍結乾燥された粒子が、多重の型のビーズ/方式の組み合わせを含んでいてもよい。即ち、単一の凍結乾燥された粒子は、(a)第一及び第二の成分の両方を含む単一のビーズ、(b)第一の成分のみを含むビーズ並びに(c)第二の成分のみを含むビーズの混合物を含んでいてもよい。
【0068】
上述の或いはここで意図されている如何なる組成物も、更に、例えば、これらに限定されないが、希釈剤、洗浄溶液及び/又は(凍結乾燥した試薬の再構成のために用いられる)賦形剤のような他の成分を含んでいてもよい。更に、上述の或いはここで意図されている如何なる組成物も、その中に一以上の上述の成分が配置されたマイクロ流体デバイスをも含んでいてもよい。
【0069】
本明細書に開示し特許請求する発明概念は、更に、被検体の決定のための測定法を都合よく実行するのに有用なキットを含む。このキットは、(上述の組成物のあらゆる実施態様を含む)上述の成分/試薬の任意の組み合わせを含んでいてもよい。更に、キットは、更に、上述の或いはここで意図されている任意の特別な測定法を実行するための他の試薬を含んでいてもよい。これらの追加の試薬の性質は、特別な測定法の形式に依存するが、その同定は、当業者の技能の範囲内にある。
【0070】
組成物/試薬は、それぞれ、個別の容器/区画内に配置してもよい。或いは、種々の組成物/試薬は、抗体結合定数/効率の競合的性質及び/又は組成物/試薬の安定性に依存して、1つ以上の容器/区画内で合一してもよい。キットは、更に、測定法を実施するための、例えば追加のsbpメンバー、spsメンバー及び補助試薬等の、他の別個包装された試薬を含んでいてもよい。更に、キットは、成分/試薬が配置されたミクロ流体デバイスを含んでいてもよい。
【0071】
キット中の種々の成分/試薬の相対的量は、測定法中に起きる必要がある反応を実質的に最適化する成分/試薬の濃度を提供し、更に測定法の感度を実質的に最適化するために、広範に変化し得る。適切な状況下では、キット中の1以上の成分/試薬は、(球、マイクロタブレット、粉末、マイクロスポット等−これらに限られないが−を始めとする)凍結乾燥粒子のような乾燥状態で提供してよく、また、キットは、乾燥試薬を溶解するための補助試薬を含んでいてもよい。このようにして、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従う方法又は測定法を実施するために適切な濃度を有する試薬溶液がこれらの成分から得られる。キットには、正負の制御が含まれていてよい。キットは、更に、そのキットの使用法を説明する記載された指示書のセットを含んでいてよい。この類のキットは、ここに記述し或いは意図されるいかなる方法において用いてもよい。
【0072】
本明細書に開示し特許請求する発明概念は、更に、上述の組成物がその中に配置されているマイクロ流体デバイスに向けられている。マイクロ流体デバイスは、それに会合した1以上の手動機能(即ち、そこでは、1以上の試薬及び/又は2つの成分間の混合物の移動のためのピペッティングが必要である。)を有していてもよい。或いは、マイクロ流体デバイスは、(種々の区画が流体連通している(又は連続的に流体連通できる))マイクロ流体デバイスの構築の間に種々の区画内に必要な試薬が配置されていて、従って、試料がマイクロ流体デバイスに添加されたのちは、測定法の遂行のために試料及び/又は試薬の手動操作が全く必要でない、完全に自動で、密閉された系であってもよい。マイクロ流体は、上述の3又は4成分(即ち、増感剤を含み又は含まない3つの抗体含有組成物)を含有する1以上の区画からなる。増感剤が存在するときは、それは単独で供給されてもよく、第三の抗体含有組成物を伴っていてもよい。デバイスは、デバイスが本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能することができる限り、幾つの区画を有していてもよく、区画の配置は任意でよく、3又は4の成分の分布も任意である。デバイスの構造の非限定的な例は、説明だけを目的として、図中に示されている。多重の区画を与えられたとき、区画は、お互いに完全に分離していてもよく、或いは、1以上の区画が互いに流体連通できてもよい。
【0073】
マイクロ流体デバイスは、更に、試料が適用され/配置される試料適用室及び/又は入口経路を含んでいてもよい。試料適用室/入口経路は、マイクロ流体デバイスの1以上の区画と流体連通が可能であってもよい。更に、マイクロ流体デバイスが試料適用室と入口経路の両方を備えているとき、試料適用室は、入口経路と流体連通が可能であってもよく、一方、入口経路は、試薬が配置された1以上の区画と流体連通が可能であってもよい。
【0074】
試料は、測定試薬を含有する区画に直接適用してもよく、或いは試料は、測定試薬を含有する区画に入る前に試料適用室/入口経路を通過してもよい。試料が、測定区画に到達する前に1以上の成分中を通過するとき、実質的に全ての試料が通過してもよく、測定区画に到達したときに実質的に無傷のままに残る。或いは、試料の一部のみが、測定室に到達してもよい。1つの実施態様において、このことは、測定区画の上流の区画におけるサイズ、重量及び/又は体積の制約だけが原因で起こり得る。もう1つの実施態様において、マイクロ流体デバイスは、試料適用室、入口経路、測定区画の上流の区画、及び/又はこれらの間の接続中に存在し、試料の或る成分の全試料からの分離及び/又はこの試料の測定区画への伝達を可能にする1以上の構造を含有していてもよい。
【0075】
1つの実施態様において、3つ又は4つの試薬がマイクロ流体デバイスの単一の区画に配置される。もう1つの実施態様において、マイクロ流体デバイスは、2以上の区画を有してもよい。
ここで、第一の区画は、第一の3つの組成物(即ち、一重項酸素で活性化可能な組成物と会合した第一及び第二の抗体/結合断片並びに第三の抗体/結合断片)を含有してもよく、第二の区画は、増感剤を含有する。更に、2つの区画を含有するこのマイクロ流体デバイスは、更に、それを通って試料が適用されうる入口経路を含有していてもよい。この配置において、第一の区画は、入口経路と流体連通することができてもよく、第二の区画は、入口経路及び第一の区画の少なくとも一方と流体連通することができてもよい。もう1つの実施態様において、マイクロ流体デバイスは、少なくとも3つの区画を含有してもよく、第一、第二及び第三の区画は、それぞれ、第一、第二及び第三の成分を含有していてもよい。更に、(第一の成分中に存在する)第一の抗体/結合断片が高度の親和性で標的被検体に結合することが望ましく、他方、(第二の成分中に存在する)第二の抗体/結合断片が低い親和性で標的被検体に結合することが望ましい。このようにして、より高い親和性を有する抗体/結合断片が、より低い親和性を有する抗体/結合断片よりも前に、被検体と接触する。
【0076】
マイクロ流体デバイスの任意の区画は、それが使用されるまで、その中に配置された試薬を維持するために実質的に気密な環境に封止されてよい。入口経路及び区画は、同様に2つの区画は、お互いに「流体連通できる」と記述することができる。このフレーズは、区画が封止されていてもよいが、そこにある又はそれらの間の封止が破れたときに、形成された2つの区画がそれらの間で流体を流れさせることができることを意味する。
【0077】
本明細書に開示し特許請求する発明概念のマイクロ流体デバイスは、当業界で公知の或いはここで意図されている他の任意の所望の特徴を有していてもよい。例えば、これは限定を意図しないが、本明細書に開示し特許請求する発明概念のマイクロ流体デバイスは、更に、読み取り室を含んでいてもよい。この読み取り室は、1以上の測定成分を含有する区画であってもよく、又は、読み取り室は、測定試薬を含有する1以上の区画と流体連通していてもよい。マイクロ流体デバイスは、更に、例えば、これは限定を意図しないが、洗浄溶液、希釈剤、賦形剤、正の制御、負の制御、品質制御、これらの任意の組合せ、等の、他の溶液を含有する1以上の区画を含んでいてもよい。例えば、マイクロ流体デバイスは、希釈剤を含有する1以上の区画を含有していてもよく、これらの区画は、デバイスの他の任意の区画と流体連通が可能であってよい。もう1つの例では、マイクロ流体デバイスは、1以上の凍結乾燥試薬の再構築のための少なくとも1つの賦形剤を含有する1以上の区画を更に含有して、これらの区画が(凍結乾燥試薬を含有する区画のような)デバイスの他の任意の区画と流体連通できるものであってよい。更に、マイクロ流体デバイスは、洗浄溶液を含有する1以上の区画を更に含有していて、これらの区画がデバイスの他の任意の区画と流体連通できるものであってもよい。
【0078】
更に、本明細書で開示し或いは意図されているキット/マイクロ流体デバイスは、如何なるものも、単一のキット/デバイスに複合化した多重測定法を含んでいてもよい。もし、多重測定法が存在するとき、両方の測定法が、上述のように、構築され機能してもよい。或いは、ここに述べた測定法が当技術分野で知られている他の任意の型の誘起発光免疫測定法(例えば、特許文献1並びに米国仮出願第61/787,735号、第61/788,194号及び第61/788,692号;これらは全て2013年3月15日に出願されたが、本明細書に開示し特許請求する発明概念のキット/マイクロ流体デバイスの範囲内に包含することができる。)に記載されているLOCI(登録商標)免疫測定技術)と複合化されてもよい。単一のキット/マイクロ流体デバイスの中に多重の測定法が存在するとき、2以上の測定法を同時に及び/又は連続して(全体を連続し又は部分的に連続することを含む)実行することができる。2以上の測定法が同時に実行されるとき、2つの異なる一重項酸素で活性化し得る化学発光化合物を使用することが望ましい。2以上の測定法が(全体的にであれ部分的にであれ)並行して実行されるとき、両測定法において同一の一重項酸素で活性化し得る化学発光化合物を用いてもよく、2つの測定法は、異なる時間点で読み取られる。
【0079】
単一のマイクロ流体デバイスの中に多重測定法が存在するとき、多重の入り口経路が同一の適用室(application chamber)に連結されていてよい。幾つかの実施態様では、試料の一部が、制御を考慮せずに、同一の適用室から多重入口経路へ通過してよい。或いは、試料適用室、入口経路、及び/又はそれらの間の連結の内部に、全試料からの或る成分の分離及びその成分の他の測定法への移送を可能にする構造が存在してもよい。本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って使用し得る試料分配装置の非限定的な例は、2013年3月15日に出願された「ミクロ流体分配装置」という名称の米国仮出願第61/790,580号に記載されている。
【0080】
本明細書に開示し特許請求する発明概念は、更に、試料(例えば、限定を意図するものではないが、全血、溶解した全血細胞又は赤血球)中の標的被検体の存在及び/又は濃度を検出する方法に向けられている。1つの実施態様において、方法は、一斉に又は全体若しくは一部分を逐次的に、特定の被検体を含むと推定される試料;第一及び第二の抗体/結合断片と会合した一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物を含有する2つの組成物;第三の抗体/結合断片を含有する第三組成物、及び増感剤を合一する工程を含む。混合物は、3つの抗体/結合断片が試料内部で被検体に結合することができる条件下で、インキュベートされ、この結果、2つのサンドウィッチ錯体:第一の抗体/結合断片を含有する組成物及び第三の抗体/結合断片を含有する組成物と結合している被検体分子を含有する第一のサンドウィッチ錯体、及び、第二の抗体/結合断片を含有する組成物及び第三の抗体/結合断片を含有する組成物と結合しているもう1つの被検体分子を含有する第二のサンドウィッチ錯体が形成される。もし、増感剤が、未だ第三の抗体/結合断片含有組成物と会合していないならば、混合物のインキュベーションにより、また、サンドウィッチ錯体中の第三の抗体/結合断片含有組成物を介した第一及び第二のサンドウィッチ錯体と増感剤との会合が生じ、これにより、増感剤が、第一及び第二の抗体/結合断片含有組成物の化学発光化合物に極めて接近する。
【0081】
増感剤は、これにより、活性化されて一重項酸素を発生し、このとき、第一及び第二の錯体中に存在する増感剤の活性化により、第一及び第二のサンドウィッチ錯体中に存在する化学発光化合物の活性化を引き起こす。かくして、第一及び第二のサンドウィッチ錯体中に存在する活性化された化学発光化合物によって発生された化学発光の量が測定される。結合/インキュベーション、活性化及び/又は測定工程は、所望の回数に亘って任意に繰り返してよい。被検体の存在及び/又は濃度は、このようにして製造された化学発光の量を分析することによって検出される。ここで、化学発光の量は、試料中の被検体の量に正比例する。
【0082】
上述のように、試料及び測定法の種々の成分は、(一斉にであれ逐次的にであれ)合一して提供される。試料及び測定法の種々の成分が逐次的に添加されるとき、試料/成分の添加の順序は、可変である。当業者は、測定法への試料/種々の成分の所望の特定の添加順序を決定できる。勿論、最も簡単な添加順序は、全ての材料を同時に添加し、それから生じる信号を測定することである。或いは、使用及び各成分又は成分の群を順次合一してもよい。幾つかの実施態様においては、インキュベーション工程は、試料及び/又は各成分の添加に引き続いて行なってもよい。
【0083】
増感剤が光増感剤であるとき、活性化工程は、更に、光照射による光増感剤の活性化と定義することができる。第一及び第二組成物は、更に、活性化化学発光化合物により励起される少なくとも1つの蛍光分子を含有していてもよく、本発明の方法は、蛍光分子により発せられる光の量を測定して試料中の被検体の量を決定する工程を有していてもよい。
【0084】
試料は、任意の測定試薬との合一の前に分離工程に付してもよい。例えば、これは限定を意味しないが、全血試料中に存在する成分が測定法の感度、ダイナミックレンジ及び/又は検出限界に影響しないように、測定を開始する前に、全血試料から血漿、血清又は(例えば、これは限定を意味しないが、赤血球のような)特定の細胞型を分離することが望ましい。
【0085】
センサの活性化に先立って、インキュベーション/結合工程から形成される混合物を希釈することが望ましく、従って、本発明の方法は、更に、試料及び試薬のインキュベート混合物に希釈剤を添加する工程を含んでいてもよい。バックグラウンドシグナルに貢献する多重の要素が存在し、それには、例えば、(1)2つの測定組成物の相互の非特異的結合及び(2)単に互いに極めて近接しているに過ぎない、非付着の2つの測定組成物の存在がある。これらの理由により、光照射に先立って最終反応混合物を希釈して、非特異的に結合している組成物を解離させ、非結合組成物間の平均粒子間距離を増大させることが望ましい。
【0086】
さて、図に示した特定の実施態様に戻ると、図5及び6は、「オープンシステム」マイクロ流体デバイスを示しており、ここでは、測定法の実行には、1以上の手動機能が必要とされる(例えば、1以上の試薬及び/又は2つの区画間の混合物の移動には、ピペッティングが必要とされる)。
【0087】
図5は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されたマイクロ流体デバイスを描写する。マイクロ流体デバイスは、一般参照番号10で示され、区画14を含むハウジング12を含む。区画14は、(第一の抗体/結合断片と会合した、一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物を含有する)第一組成物16、(第二の抗体/結合断片と会合した、一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物を含有する)第二組成物18及び(第三の抗体/結合断片を含有する)第三組成物20のそれぞれの所定量を含有する。第三組成物20は、更に、第三の抗体/結合断片と会合した増感剤を含有してもよく、又は区画14は、更に、第三組成物20から分離した所定量の増感剤22を含有していてもよい。更に、4つの組成物16、18、20及び22は、独立した成分として描写されているが、これらの独立した成分の2つ以上は、凍結乾燥して一緒に単一の粒子にしてもよい。
【0088】
図5のマイクロ流体デバイス10を使用するとき、試料は手動で区画14に直接適用される(即ち、ピペットで加えられる)。もし、希釈剤が使用されるなら、希釈剤も、また、例えば、これに限定されないが、試料の添加及び/又は混合物のインキュベーションに続いて、手動で区画14に直接適用される(即ち、ピペットで加えられる)。区画14は、混合/インキュベーション室として及び読み取り室として機能する。このとき、増感剤は、区画14内で活性化され、発生された化学発光は、区画14から直接測定される。或いは、区画14は、単に混合及び/又はインキュベーション室として機能するだけでもよく、反応混合物は、区画14から移されて、活性化及び/又は読み取り工程が実行される他の装置に添加される。即ち、測定法は、2つの装置(チップ):装置10並びに装置10と連結していない別個の装置、の使用を必要としてもよい。このようにして、反応混合物はインキュベートされて装置10の区画14から出て、別個の装置に移送される。
【0089】
図6は、後述する点を除いて図5のマイクロ流体デバイスに類似するマイクロ流体デバイス10aを描写する。マイクロ流体デバイス10aは、第一区画14aを含むハウジング12aを含む。しかしながら、ハウジング12aは、更に、第二区画24及び第三区画26を含有する。第一組成物16a、第二組成物18a、第三組成物20a及び増感剤22aは、3つの区画14a、24及び26の間に分散されてもよい。これは説明のために過ぎないが、第一及び第二組成物16a及び18aは、第一区画14aに配置されるように描写されており、他方、第三組成物20aは、第二の区画24に配置され、増感剤22aは、第三区画26に配置されている。しかしながら、組成物16a、18a、20a及び22a(又は16a、18a又は20a。ここで、増感剤22aは、第三組成物20aに含まれている。)の区画14a、24及び26間の分散は、測定法が本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能し得る限り、任意の順序でよいことが理解されるであろう。更に、4つの組成物16a、18a、20a及び22aが別個の成分であるとして描写されているが、2以上の別個の成分が凍結乾燥されて単一粒子となっていてもよい。
【0090】
図6のマイクロ流体デバイス10aを使用するとき、試料は手動で区画14に直接適用され(即ち、ピペットで加えられ)、そこに配置された組成物16a及び18aとインキュベートすることが許される。区画14aからの反応混合物は、その後、区画14aから除去され、区画24に直接適用され、組成物20aとインキュベートすることが許される。区画26からの反応混合物は、その後、区画26から除去され、読み取り室28に直接適用される。ここでは、増感剤22aが読み取り室28内で活性化され、発生された化学発光が読み取り室28から直接測定される。
【0091】
図5及び6に描写された開放系のマイクロ流体デバイス内でのインキュベーション及び/又は混合区画の数並びに測定試薬の配置の順序は、説明の目的のものにすぎず、限定的なものと理解すべきでないことは理解されるであろう。図5及び6は、測定試薬が配置された1つ又は3つのインキュベーション/混合区画を含有するマイクロ流体デバイスを描写しているが、測定試薬が配置された1つ、2つ、3つ又は4つのインキュベーション/混合区画を含有する装置が、本明細書に開示し特許請求する発明概念の範囲内で十分に予期されていることが理解されるであろう。更に、装置が2以上のインキュベーション/混合区画を含有するとき、測定試薬は、測定法が上述のように機能する限り、任意の所望の順序で、2以上のインキュベーション/混合区画間に分散されてもよい。更に、存在するインキュベーション/混合区画の数に関係なく、最終のインキュベーション/混合区画は、読み取り室であってよい。或いは、読み取り室は、1つ、2つ、3つ又は4つのインキュベーション/混合区画に加えて、マイクロ流体デバイスに存在してもよい。また、マイクロ流体デバイスは、更に、例えば、これは限定をするものではないが、1以上の区画への添加に先立って賦形剤及び/又は希釈剤が配置されてもよい追加の区画のような、1以上の追加の構造を含有してもよい。
【0092】
図7〜12は、必要な測定試薬が、その構築の間に、マイクロ流体デバイスの種々の区画に配置される閉鎖系マイクロ流体デバイスを描写する。これらのマイクロ流体デバイスは、試料がマイクロ流体デバイスに添加された後は、測定の実行のために全く手動機能が必要とされない完全自動の閉鎖系を含有する。
【0093】
図7は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されるマイクロ流体デバイスのもう1つの実施態様を描写する。マイクロ流体デバイス40は、第一組成物46、第二組成物48及び第三組成物50を含有する区画44を含有するハウジング42を含む。第三組成物50は、第三の抗体/結合断片に会合した増感剤を含んでいてもよく、又は、区画44は、更に、第三組成物50とは別個に所定量の増感剤52を含有していてもよい。更に、4つの組成物46、48、50及び52が別個の成分であるとして描写されているが、任意の別個の成分が凍結乾燥されて単一粒子となっていてもよい。
【0094】
ハウジング42は、更に、試料適用室54及び試料適用室44と区画44とを連結する入口経路56を含む。試料(例えば、これに限定されないが、血液試料)は、入口経路56に流体連通している(又は流体連通可能な)試料適用室54に適用されてもよい。入口経路56は、区画44と流体連通している(又は流体連通可能である)。区画44は、更に、混合/インキュベーション室として及び読み取り室として機能してもよい。
【0095】
入口経路56は、単に、試料の一部を区画44に移送するか又は入口経路56は、全試料からの或る成分の分離(即ち、試料適用室54に適用された全血試料からの血漿、血清又は血球の分離を可能にする分離フィルター)及び/又は試料中の劣化(例えば、これに限られないが、溶血)の検出を可能にする1以上の構造を含有していてもよい。
【0096】
本明細書に記載した或いは意図されているマイクロ流体デバイスのいずれも、他の試薬/溶液を含有する追加の区画を備えていてもよい。例えば、図8は、マイクロ流体デバイス40aが、更に、入口経路56a及び/又は第一区画44aと流体連通している第二区画58を含有することを除いて、図7のマイクロ流体デバイス40に類似するマイクロ流体デバイス40を描写する。第二区画58は、(例えば、賦形剤、希釈剤、洗浄溶液等の)少なくとも1つの試薬60の所定量を含有する。例えば、これは限定のためではないが、組成物50a、52a、54a及び/又は56aが乾燥試薬の形態であるとき、試料そのものが乾燥試薬の再構築に用いられてよい。或いは、マイクロ流体デバイスは、そのような試薬を含有する区画と流体連通していてもよい(又は流体連通することができる)1以上の賦形剤含有区画を備えていてよい。
【0097】
本明細書に記載した或いは意図されているマイクロ流体デバイスのいずれも、それに配置されている試薬を保持するために、それが使用されるまで、実質的に気密に及び/又は実質的に遮光環境に封止されてよい。例えば、凍結乾燥された試薬を含有する区画は、如何なる意図せざる試薬の再構築及び/又は如何なる試薬の露光を防止するために封止してよい。入口経路及び第一区画は、2つの区画と同様に、お互いに「流体連通できる」と記述されてよい。この語句は、区画が封止されてもよいが、それらに形成された封が破られたときは、それらの間に流体を流すことができることを示す。
【0098】
更に、本明細書に記載した或いは意図されているマイクロ流体デバイスのいずれも、更に、追加の室及び/又は流体回路を備えていてよいと理解されるべきである。例えば、これは限定を意図しないが、マイクロ流体デバイスのいずれも、追加的に、2つの試薬室の間に配置された混合室及び/又は流体回路を含有していてもよい。
【0099】
図9は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されるマイクロ流体デバイスのもう1つの実施態様を描写する。マイクロ流体デバイスは、一般参照番号80で示され、マイクロ流体デバイス80が2つの区画を含有すること及び測定試薬がこれら2つの間で分配されてもよいことを除いて、図5〜8のマイクロ流体デバイス10、10a、40及び40aに類似している。
【0100】
マイクロ流体デバイス80は、試料適用室84、入口経路86、第一区画88及び第二区画90を含むハウジング82を含む。試料(例えば、これは限定を意味しないが、血液試料)は、入口経路86と流体連通している(又はできる)試料適用室84に適用される。入口経路86は、第一区画88と流体連通している(又はできる)。第一区画88は、第一組成物92及び第二組成物94のそれぞれの所定量を含有するように描写されており、また、第三組成物96の所定量を含有していてもよい。第二区画90は、第一区画88と流体連通している(又はできる)。第二区画90は、所定量の増感剤98を含有するように図示されている。第三組成物96は、図9において、第一区画88の中に配置されるように描写されているが、第三組成物96は、代替的に、第二区画90に配置されてもよいことが理解されるべきである。更に、第三組成物96及び増感剤98は、図9において、2つの別個の成分として描写されているが、第三組成物96及び増感剤98の両方を含有する単一の組成物が第二区画90中に存在してもよいことが理解されるべきである。
【0101】
区画88及び90における試薬92、94、96及び98の配置の順序は、例示のためだけであって、限定的なものと解されるべきではない。試薬92、94、96及び98は、区画88及び90内において、任意の順序で配置されてよい。更に、4つの組成物92、94、96及び98は、別個の成分として描写されているが、別個の成分のいずれも、一緒に凍結乾燥して単一の粒子としてもよく、区画88及び90のいずれに配置してもよい。
【0102】
マイクロ流体デバイス80は、更に、(例えば、これは限定ではないが、希釈剤、賦形剤、洗浄溶液等のような)追加の試薬を含有する1以上の追加的な区画を備えていてよい。1以上の追加的な区画が備えられるとき、区画は、第一区画88及び/又は第二区画90と流体連通していて(又はできるものであって)よい。
【0103】
幾つかの実施態様において、(例えば、図9のマイクロ流体デバイス80の第二区画90のような)増感剤を含有するマイクロ流体デバイスの区画は、読み取り室として機能してもよい。或いは、追加的な区画は、増感剤含有区画と流体連通していて(又はできるものであって)よく、この追加的な区画は、読み取り室として作用する。例えば、図10は、試料適用室114、入口経路116、第一区画118、第二区画120、読み取り室122及び追加の区画132を含むハウジング112を含有するマイクロ流体デバイス110を図示する。(例えば、これに限定されないが、血液試料のような)試料を、入口経路116に流体連通している(又は、できる)試料適用室114に適用してもよい。第一区画118は、入口経路116と流体連通している(又は、できる)が、他方、第二区画120は、第一区画118と流体連通している(又は、できる)。第一及び第二区画118及び120は、以下に詳細に説明するように、測定組成物124、126、128及び130を含有するように図示されている。読み取り室122は、第二区画120と流体連通している(又は、できる)。追加の区画132は、入口経路116、第一区画118、第二区画120及び/又は読み取り室122の1以上と流体連通している(又は、できる)。追加の区画132は、賦形剤、希釈剤、洗浄溶液等の少なくとも1つの所定量を含有している。
【0104】
例示だけの目的で、第一区画118は、第一組成物124、第二組成物126及び第三組成物128のそれぞれの所定量を含有するように図示されており、第二区画120は、増感剤の所定量を含有するように図示されている。しかしながら、4つの組成物124、126、128及び130は、マイクロ流体デバイス110が本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能することができる限り、マイクロ流体デバイス110内に任意の順序で配置されてよい。例えば、これは限定のためではないが、第三組成物128は、代わりに、第二区画120に配置されてもよい。更に、第三組成物128及び増感剤130が2つの別個の成分であるように描写されているが、第三組成物128及び増感剤130が、マイクロ流体デバイス110内での配置に先立って、相互に会合してもよいことが理解されるべきである。更に、4つの組成物124、126、128及び130が別個の成分であるように図示されているが、これら別個の成分の2以上を一緒に凍結乾燥して単一の粒子としてもよく、区画118及び120のいずれに配置してもよい。
【0105】
図7〜9のマイクロ流体デバイス40、40a及び80は、単一の区画内の4つの測定組成物の配置を図示する。他方、図10のマイクロ流体デバイス10は、4つの測定混合物の2つの区画への分散を図示する。しかしながら、4つの測定混合物が3以上の区画に分散されてもよいことが理解されるべきである。例えば、図11は、以下に述べる点を除いて図10のマイクロ流体デバイス110に類似するマイクロ流体デバイス110aを図示する。マイクロ流体デバイス110aは、試料適用室114a、入口経路116a、第一区画118a、第二区画120a、第三区画136、読み取り室122a及び追加の区画132aを含有するハウジング112aを含有する。第一、第二及び第三の区画118a、120a及び136は、図に示されるように、互いに流体連通しており(又は、でき)、区画118a、120a及び136は、測定組成物124a、126a、128a及び130aを含有するように図示されているが、この点については以下により詳細に記述する。第3区画136は、読み取り室122aと流体連通している(又は、できる)。追加の区画132aは、入口経路116a、区画118a、120a及び136並びに/又は読み取り室122aと流体連通している(又は、できる)。追加の区画132aは、賦形剤、希釈剤、洗浄溶液等の少なくとも1つの試薬134aの所定量を含有する。
【0106】
例示だけの目的で、第一区画118aは、第一及び第二組成物124a及び126aのそれぞれの所定量を含有するように図示されており、第二区画120aは、第三組成物128aの所定量を含有するように図示されており、第三区画136は、所定量の増感剤130aを含有するように図示されている。しかしながら、4つの組成物124a、126a、128a及び130aは、マイクロ流体デバイス110aが本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って機能することができる限りにおいて、マイクロ流体デバイス110a内に任意の順序で配置されてよいことを理解すべきである。更に、第三組成物128a及び増感剤130aは、2つの別個の成分として図示されているが、第三組成物128a及び増感剤130aは、マイクロ流体デバイス110内での配置に先立って、互いに会合してもよいことが理解されるであろう。更に、4つの組成物124a、126a、128a及び130aは、別個の成分として図示されているけれども、別個の成分の2以上が一緒に単一粒子に凍結乾燥されて区画118a、120a及び136の任意の区画に配置されてよい。
【0107】
上述のとおり、上述の測定構造のいずれも、単一のマイクロ流体デバイス中で追加の測定構造と多重化してもよい。図12は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築されたマイクロ流体デバイスのもう1つの実施態様を図示する。マイクロ流体デバイスは、一般参照番号200で示されており、マイクロ流体デバイス200が多重測定様式を提供する多重区画を含有することを除けば、図5〜11のマイクロ流体デバイス10、10a、40、40a、80、110及び110aに類似している。マイクロ流体デバイス200は、試料適用室204、第一入口経路206、第二入口経路208、第一区画210及び第二区画212を含有するハウジング202を含有している。試料(例えば、これに限定するわけではないが、血液試料)は、入口経路206及び208と流体連通している(又は、できる)試料適用室204に適用されてもよい。第一入口経路206は、第一区画210と流体連通している(又は、できる)。第一入口経路206及び第一区画210は、ここに詳細に記載する測定構造を代表し、図12は、その最も簡単な実施態様を図示する(即ち、この態様において、第一区画210は、第一、第二及び第三組成物214、216及び218並びに増感剤220を含有する)。ここに図示された測定構造は、図7に図示されたそれと類似しているが、ここに記載され或いは意図されているその他の測定構造のいずれも、多重測定マイクロ流体デバイスにおいて用いられ得ることを理解すべきである。
【0108】
マイクロ流体デバイス200は、また、第二区画212と流体連通している(又は、できる)第二入口経路208を備えている。第二入口経路及び第二区画は、第二の測定構造の存在を図示するために簡単に描写されている。任意の測定構造/構成がここに記載され或いは意図されている任意の測定と多重化し得ることを理解すべきであり、かくして、第二測定に伴う必要な構造を供するのに必要なものとして、多重区画が存在する。更に、第二区画212は第一区画210において存在する試薬に類似する試薬を備えていてもよい。これにより、同一の測定機構により種々の被検体を検出する多重測定が同一マイクロ流体デバイス中に存在する。或いは、第二区画212は、完全に異なる測定フォーマットを示すものであってもよい。唯一要求されることは、第二の測定フォーマットがここで述べる測定の1つと多重化し得ることである。
【実施例】
【0109】
実施例を以下に述べる。しかしながら、本明細書に開示し特許請求する発明概念は、その適用において、特定の実験、結果及び実験手順に、限定されるものではないことが理解されるべきである。むしろ、実施例は、種々の実施態様の1つとして提供されるにすぎず、例示的なものであって包括的なものではないことを意図している。
【0110】
(実施例1)
図13は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された開放系マイクロ流体デバイスの一実施態様の写真を含む。図13に示されたマイクロ流体デバイスは、図6に図示されたマイクロ流体デバイス10aのそれと類似する基本的な構造を含む。図13において「光学的セル」と標識された区画は、マイクロ流体デバイス10aの読み取り室28を表わし、他方、「凍結乾燥した試薬を含有する反応ウエル」は、マイクロ流体デバイス10aの第一、第二及び第三区画14a、24及び26を表わす。
【0111】
試料は、手動で第一反応ウエルに添加され、そこに含有されている測定成分とともにインキュベートされる。次いで、その結果生じる反応/インキュベーション混合物は、手動で、もう1つのウエルに移され、そこに含有されている測定成分とともにインキュベートされる。最終的な反応/インキュベーション混合物は、次いで、手動で、増感剤の活性化のために光学的セルに移される。希釈剤を、任意の時点で(又は任意の複数の時点で)反応/インキュベーション混合物に添加してもよい。即ち、希釈剤は、任意の反応ウエル及び/又は光学セルに添加してよい。
【0112】
(実施例2)
図14は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って構築された閉鎖系マイクロ流体デバイスの一実施態様の写真を含む。図14に示されたマイクロ流体デバイスは、図11に図示されたマイクロ流体デバイス110aのそれと類似する基本的な構造を含む。図14において「光学的セル」と標識された区画は、マイクロ流体デバイス110aの読み取り室122aを表わし、他方、「反応ウエルに包装された凍結乾燥試薬領域」は、マイクロ流体デバイス110aの第一、第二及び第三区画118a、120a及び136に配置された組成物124a、126a、128a及び130aを表わす。更に、「希釈剤」と標識された区画は、試薬134aを含有する追加の区画132aを表わす。
【0113】
更に、図14は、測定試薬の上流に配置され全試料からのある成分の分離及び/又は測定区画へのその成分の移送を可能にする追加の構造の存在を図示する。これらの成分には、血漿分離室(これは、図11における試料適用室114aの一部として含まれていてもよい。)及び測定チャンネル(これは、図11における入口経路116aの一部として含まれていてもよい。)が含まれる。
【0114】
(実施例3)
この実施例は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従ってcTnI免疫測定法に用いるための、3つの抗体/結合断片を利用するエピトープの組合せを提供する。cTnI分子のN−末端及びC−末端が壊死性心筋中に存在するタンパク分解酵素及び患者の血漿中に存在するタンパク分解酵素の両方によってタンパク分解されるので、いくつかの実施態様において、3つのエピトープがcTnI配列の内部(コア部分)に位置することが望ましい。
【0115】
図15に図示するcTnI免疫測定において、第一及び第二の抗体/結合断片は、図4の領域B(即ち、配列番号3)内の重複エピトープに結合し、他方、第三の抗体/結合断片は、図4の領域C(即ち、配列番号4)内のエピトープに結合する。特に、第一の抗体/結合断片は、配列番号8のエピトープに特異的に結合し、第二の抗体/結合断片は、配列番号9のエピトープに特異的に結合する。配列番号8及び配列番号9のエピトープは、共に、それぞれ、cTnIの連続アミノ酸配列から形成された直鎖状アミノ酸エピトープである。配列番号8及び配列番号9は、直鎖状の観点から、互いに重複し、配列番号9に特異的に結合する抗体/結合断片は、配列番号8を特異的に認識する抗体/結合断片がcTnIに結合しているときは、そのcTnIに結合することができない。同様に、配列番号8に特異的に結合する抗体/結合断片は、配列番号9を特異的に認識する抗体/結合断片がcTnIに結合しているときは、そのcTnIに結合することができない。第三の抗体又はその結合断片は、配列番号10の直鎖状エピトープに特異的に結合する。配列番号10は、配列番号8及び配列番号9のいずれとも重複しない。従って、配列番号8及び配列番号9のいずれかのエピトープに結合している抗体/結合断片は、配列番号10のエピトープへの他の抗体/結合断片の結合に干渉しない。かくして、第三の抗体/結合断片と第一及び第二の抗体/結合断片の一方とは、両方とも、単一のcTnI分子に結合することができる。
【0116】
(実施例4)
この実施例は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って、3つの抗体/結合断片を利用するcTnI免疫測定法に用いるもう一つのエピトープの組合せを提供する。図16に図示するcTnI免疫測定において、第一及び第二の抗体/結合断片は、図4の領域B(即ち、配列番号3)内の重複エピトープに結合し、他方、第三の抗体/結合断片は、図4の領域C(即ち、配列番号4)内のエピトープに結合する。特に、第一の抗体/結合断片は、配列番号9のエピトープに特異的に結合し、第二の抗体/結合断片は、配列番号11のエピトープに特異的に結合する。配列番号9及び配列番号11のエピトープは、共に、それぞれ、cTnIの連続アミノ酸配列から形成された直鎖状アミノ酸エピトープである。配列番号9及び配列番号11は、直鎖状の観点から、互いに重複し、配列番号11に特異的に結合する抗体/結合断片は、配列番号9を特異的に認識する抗体/結合断片がcTnIに結合しているときは、そのcTnIに結合することができない。同様に、配列番号9に特異的に結合する抗体/結合断片は、配列番号11を特異的に認識する抗体/結合断片がcTnIに結合しているときは、そのcTnIに結合することができない。第三の抗体又はその結合断片は、配列番号10の直鎖状エピトープに特異的に結合する。配列番号10は、配列番号9及び配列番号11のいずれとも重複しない。従って、配列番号9及び配列番号11のいずれかのエピトープに結合している抗体/結合断片は配列番号10のエピトープへの他の抗体/結合断片の結合に干渉しない。かくして、第三の抗体/結合断片と第一及び第二の抗体/結合断片の一方とは、両方とも、単一のcTnI分子に結合することができる。
【0117】
(実施例5)
この実施例は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って、3つの抗体/結合断片を利用するcTnI免疫測定法に用いるもう一つのエピトープの組合せを提供する。図17に図示されたcTnI免疫測定法において、第一の抗体/結合断片は、図4のエピトープ領域A(配列番号2)内の配列番号12のエピトープと特異的に結合し、第二の抗体/結合断片は、図4のエピトープ領域F(配列番号7)内の配列番号13のエピトープと特異的に結合し、第三の抗体又はその断片は、図4のエピトープ領域B(配列番号3)内の配列番号14のエピトープと特異的に結合する。配列番号12及び配列番号13のエピトープは、直鎖状構造の観点から重複しなくてもよいが、これら2つのエピトープは、cTnI分子の三次元立体配座構造において重複してもよい。
【0118】
エピトープの組合せは、cTnI免疫測定のためのより高い感度を得る代替方法を提供する。この場合、一つの捕捉抗体/結合断片は、cTnI分子の不安定な処理された(processed)N−末端部分内に位置する配列番号12のエピトープと特異的に結合する。他方、もう一つの捕捉抗体/結合断片は、前記cTnI分子の不安定な処理された(processed)C−末端部分内に位置する配列番号13のエピトープに特異的に結合する。しかしながら、検出抗体/結合断片は、前記分子の安定な核部分内に位置する配列番号14のエピトープに結合する。
【0119】
(実施例6)
この例は、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って3つの抗体/結合断片を利用するBNP免疫測定における使用のためのエピトープの組合せを提供する。図18は、BNPの32アミノ酸配列(配列番号17を割り当てられている)及びこの非限定的な例の3つのエピトープを描写する。
【0120】
特に、第一の抗体/結合断片は、配列番号16のエピトープに特異的に結合し、第二の抗体/結合断片は、配列番号17のエピトープに特異的に結合する。配列番号16及び配列番号17のエピトープは、いずれも、BNPの連続的アミノ酸配列で形成された直鎖状エピトープである。配列番号16と配列番号17とは、互いに重複し、配列番号16を特異的に認識する抗体/結合断片がBNPに結合しているとき、配列番号17に特異的に結合する抗体/結合断片は、BNPに結合することができない。同様に、配列番号17を特異的に認識する抗体/結合断片がBNPに結合しているとき、配列番号16に特異的に結合する抗体/結合断片は、BNPに結合することができない。第三の抗体又はその結合断片は、配列番号18の直鎖状エピトープに特異的に結合する。配列番号18は、配列番号16及び配列番号17のいずれとも重複しない。これにより、配列番号16及び配列番号17のいずれかのエピトープに結合した抗体/結合断片は、他の抗体/結合断片の配列番号18のエピトープへの結合に干渉しない。斯くして、第三の抗体/結合断片並びに第一の抗体/結合断片及び第二の抗体/結合断片の1つは、両方とも、単一のBNP分子に結合できる。
【0121】
従って、本明細書に開示し特許請求する発明概念に従って、化学発光系を含有する組成物並びにこの組成物を含有するキット及びマイクロ流体デバイス並びにその使用方法が提供された。これらは、上述の目的及び利点を完全に満足する。本明細書に開示し特許請求する発明概念は、上述の特定の図面、実験、結果及び言語とともに記述されているが、多くの代替物、修飾物及び変形物が当業者には明らかであることが明白である。従って、本明細書に開示し特許請求する発明概念の精神及び広い範囲に入るそのような代替物、修飾物及び変形物を全て包含することを意図している。
【0122】
(例示的実施態様)
以下に例示的な実施態様を示す。しかしながら、本明細書に開示し特許請求する発明概念は、その適用において、特定の実験、結果及び実験手順に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、例示的実施態様は、単に、種々の実施態様の1つとして提供されるにすぎず、例示的であり、完全なものでないことを意図している。
【0123】
例示的実施態様1:特異的な被検体のための化学発光検出系を含有するキットであって、以下のものを含有するキット。
(a)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物、それに会合した第一の抗体又はその結合断片を含有してなる第一組成物。ここで、前記第一の抗体又はその結合断片は、被検体の第一のエピトープに特異的に結合し、それによって前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が前記第一の抗体又はその結合断片を介して前記被検体に間接的に結合できる検出抗体である。
(b)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第二の抗体又はその結合断片を含有する第二組成物。ここで、前記第二の抗体又はその結合断片は、前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合し、それによって一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が前記第二の抗体又はその結合断片を介して前記被検体に間接的に結合できる検出抗体であり、ここで前記第一及び第二のエピトープは、少なくとも部分的に重複して、この結果、前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない。
及び
(c)第三の抗体又はその結合断片を含有してなる第三組成物。ここで、前記第三の抗体又はその結合断片は、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができ、このとき、前記第三の抗体又はその結合断片は、励起状態で一重項酸素を発生することができる増感剤と会合することができ、これによって、前記第三の抗体又はその結合断片の増感剤との会合により、前記増感剤の前記被検体との間接的な結合が可能になる。
【0124】
例示的実施態様2:更に前記増感剤を含有してなる例示的実施態様1のキット。
【0125】
例示的実施態様3:前記第三組成物が更に前記第三抗体又はその結合断片と会合した前記増感剤を含有してなる例示的実施態様2のキット。
【0126】
例示的実施態様4:前記第三の抗体又はその結合断片がビオチン化されており、且つ、前記増感剤にはストレプトアヴィジンが会合している例示的実施態様2又は3のキット。
【0127】
例示的実施態様5:更に(a)〜(c)が配置されているマイクロ流体デバイスを含有してなる例示的実施態様4のキット。
【0128】
例示的実施態様6:更に希釈剤を含有してなる例示的実施態様1〜5のいずれかのキット。
【0129】
例示的実施態様7:前記第一及び第二組成物の前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が同一である例示的実施態様1〜6のいずれかのキット。
【0130】
例示的実施態様8:前記第一及び第二組成物の前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が異なるものである例示的実施態様1〜6のいずれかのキット。
【0131】
例示的実施態様9:前記第一及び第二組成物の少なくとも1つが、更に、活性化された化学発光化合物によって励起される少なくとも1つの蛍光分子を含有してなる例示的実施態様1〜8のいずれかのキット。
【0132】
例示的実施態様10:(a)〜(c)の少なくとも1つが、更に、凍結乾燥試薬の形態であると定義される例示的実施態様1〜9のいずれかのキット。
【0133】
例示的実施態様11:(a)及び(b)が一緒に凍結乾燥されている例示的実施態様10のキット。
【0134】
例示的実施態様12:凍結乾燥試薬の再構築のための賦形剤を更に含有してなる例示的実施態様10又は11のキット。
【0135】
例示的実施態様13:前記第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片の少なくとも1つがポリクローナル抗体である例示的実施態様1〜12のいずれかのキット。
【0136】
例示的実施態様14:前記第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片の少なくとも1つがモノクローナル抗体である例示的実施態様1〜13のいずれかのキット。
【0137】
例示的実施態様15:前記被検体がトロポニンIである例示的実施態様1〜14のいずれかのキット。
【0138】
例示的実施態様16:下記のいずれか1つである例示的実施態様15のキット。
(a)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、配列番号2内において、重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片は、配列番号3〜7のうちの1つの内部でエピトープに特異的に結合する。
(b)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、配列番号3内において、重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片は、配列番号2及び4〜7のうちの1つの内部でエピトープに特異的に結合する。
(c)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、配列番号4内において、重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片は、配列番号2〜3及び5〜7のうちの1つの内部でエピトープに特異的に結合する。
(d)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、配列番号5内において、重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片は、配列番号2〜4及び6〜7のうちの1つの内部でエピトープに特異的に結合する。
(e)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、配列番号6内において、重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片は、配列番号2〜5及び7のうちの1つの領域内でエピトープに特異的に結合する。
(f)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、配列番号7内において、重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片は、配列番号2〜6のうちの1つの内部でエピトープに特異的に結合する。
【0139】
例示的実施態様17:下記の少なくとも1つである例示的実施態様15又は16のキット。
(i)前記第一の抗体又はその結合断片が配列番号8、9及び11の1つのエピトープに特異的に結合し、前記第二の抗体又はその結合断片が配列番号8、9及び11の1つのエピトープに特異的に結合し、前記第三抗体又はその結合断片が配列番号10のエピトープに特異的に結合する。
及び、
(ii)前記第一の抗体又はその結合断片が配列番号12及び13のエピトープに特異的に結合し、前記第二の抗体又はその結合断片が配列番号12及び13のエピトープに特異的に結合し、前記第三抗体又はその結合断片が配列番号14のエピトープに特異的に結合する。
【0140】
例示的実施態様18:下記を含有する少なくとも1つの区画を含有してなるマイクロ流体デバイス。
(i)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第一の抗体又はその結合断片を含有してなる第一組成物。ここで、前記第一の抗体又はその結合断片は、特異的な被検体の第一のエピトープに特異的に結合し、それにより前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が、前記第一抗体又はその結合断片を介して、前記被検体に間接的に結合することができる検出抗体である。
(ii)一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物及びそれに会合した第二の抗体又はその結合断片を含有してなる第二組成物。ここで、前記第二の抗体又はその結合断片は、前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合し、それにより前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が、前記第二抗体又はその結合断片を介して、前記被検体に間接的に結合することができる検出抗体であり、そして、前記第一及び第二のエピトープは、少なくとも部分的に重複して、この結果、前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない。
(iii)第三の抗体又はその結合断片を含有する第三組成物であって、前記第三の抗体又はその結合断片は、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができる。
及び、
(iv)前記第三抗体又はその結合断片に会合することができる増感剤であって、励起状態で一重項酸素を発生することができる増感剤。ここで、前記第三抗体又はその結合断片の前記増感剤との会合により、前記増感剤の前記被検体への間接的結合が可能になる。
【0141】
例示的実施態様19:(i)〜(iv)が同一の区画内に配置されている例示的実施態様18のマイクロ流体デバイス。
【0142】
例示的実施態様20:前記増感剤が第三の抗体又はその結合断片に会合している例示的実施態様19のマイクロ流体デバイス。
【0143】
例示的実施態様21:更に試料が配置される入口経路を含有してなり、前記少なくとも1つの区画が前記入口経路と流体連通できる例示的実施態様18〜20のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0144】
例示的実施態様22:少なくとも2つの区画を含有し、第一の区画が(i)、(ii)及び(iii)を含有し、且つ、第二の区画が(iv)を含有する例示的実施態様18のマイクロ流体デバイス。
【0145】
例示的実施態様23:試料が配置される入口経路を更に含有し、前記第一の区画が前記入口経路と流体連通可能であり、且つ、前記第二の区画が前記入口経路及び前記第一の区画のうちの少なくとも1つと流体連通可能である例示的実施態様22のマイクロ流体デバイス。
【0146】
例示的実施態様24:前記第三の抗体又はその結合断片がビオチン化されており、前記増感剤にはストレプトアヴィジンが会合している例示的実施態様18〜23のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0147】
例示的実施態様25:前記第一及び第二組成物の、前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が同一である例示的実施態様18〜24のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0148】
例示的実施態様26:前記第一及び第二組成物の、前記一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が異なるものである例示的実施態様18〜24のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0149】
例示的実施態様27:前記第一及び第二組成物の少なくとも1つが、更に、前記活性化された化学発光化合物により励起される少なくとも1つの蛍光分子を含有してなる例示的実施態様18〜25のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0150】
例示的実施態様28:(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも1つが更に凍結乾燥試薬の形態を有していると定義される例示的実施態様18〜27のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0151】
例示的実施態様29:(a)及び(b)が一緒に凍結乾燥されている例示的実施態様28のマイクロ流体デバイス。
【0152】
例示的実施態様30:前記入口経路及び前記少なくとも1つの区画と流体連通できる少なくとも1つの追加の区画を含有してなり、前記少なくとも1つの追加の区画が前記少なくとも1つの凍結乾燥試薬の再構築のための賦形剤を含有する例示的実施態様28又は29のマイクロ流体デバイス。
【0153】
例示的実施態様31:更に、少なくとも1つの前記入口経路及び前記少なくとも1つの区画と流体連通可能な少なくとも1つの追加の区画を含有してなり、前記少なくとも1つの追加の区画が希釈剤を含有する例示的実施態様18〜30のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0154】
例示的実施態様32:(i)〜(iv)のいずれかとのインキュベーションに先立って、試料の成分の分離を可能にする少なくとも1つの追加の区画を更に含有してなる例示的実施態様18〜30のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0155】
例示的実施態様33:少なくとも第一、第二及び第三抗体又はその結合断片がポリクローナル抗体である例示的実施態様18〜32のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0156】
例示的実施態様34:少なくとも第一、第二及び第三抗体又はその結合断片がモノクローナル抗体である例示的実施態様18〜33のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0157】
例示的実施態様35:前記被検体がトロポニンである例示的実施態様18〜33のいずれかのマイクロ流体デバイス。
【0158】
例示的実施態様36:少なくとも下記の1つである例示的実施態様35のマイクロ流体デバイス。
(a)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号2内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号3〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(b)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号3内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2及び4〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(c)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号4内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜3及び5〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(d)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号5内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜4及び6〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(e)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号6内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜5及び7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(f)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号7内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜6のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合する。
【0159】
例示的実施態様37:例示的実施態様35又は36のマイクロ流体デバイスであって、
(i)前記第一の抗体又はその結合断片が配列番号8、9及び11のうちの1つのエピトープに特異的に結合し、前記第二の抗体又はその結合断片が配列番号8、9及び11のうちの1つのエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号10のエピトープに特異的に結合し、
(ii)前記第一の抗体又はその結合断片が配列番号12又は13のエピトープに特異的に結合し、前記第二の抗体又はその結合断片が配列番号12又は13のエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号14のエピトープに特異的に結合する、
マイクロ流体デバイス。
【0160】
例示的実施態様38:以下の工程を含んでなる試料中の特定の被検体の存在及び/又は濃度を検出する方法。
(a)同時に又は全てを若しくは一部分を逐次的に、下記を合一する工程。
(i)前記特定の被検体を含有していると推定される試料。
(ii)一重項酸素で活性化可能な化合物及びそれに会合している第一の抗体又はその結合断片を含有してなる第一組成物。ここで、前記第一の抗体又はその結合断片が特定の被検体の第一のエピトープに特異的に結合する検出抗体である。
(iii)一重項酸素で活性化可能な化合物及びそれに会合している第二の抗体又はその結合断片を含有してなる第二組成物。ここで、前記第二の抗体又はその結合断片が前記被検体の第二のエピトープに特異的に結合する検出抗体であり、且つ、前記第一及び第二のエピトープが少なくとも部分的に重複し、これにより、前記第一及び第二の抗体又はその結合断片は、両方ともが、単一の被検体分子に結合することはできない。
(iv)第三の抗体又はその結合断片を含有してなる第三組成物。ここで、前記第三の抗体又はその結合断片は、前記第一及び第二エピトープに重複しない前記被検体の第三のエピトープに特異的に結合する捕捉抗体であり、これにより、単一の被検体分子が前記第三の抗体又はその結合断片並びに前記第一及び第二の抗体又はその結合断片の一つに結合することができる。
(v)前記第三の抗体又はその結合断片と会合できる増感剤であって、励起状態で一重項酸素を発生することができる増感剤。
(b)(ii)、(iii)及び/又は(iv)を、試料内の被検体に結合させる工程。ここで、被検体分子、(ii)及び(iv)を含有してなる第一のサンドウィッチ錯体が形成され、もう1つの被検体分子、(iii)及び(iv)を含有してなる第二のサンドウィッチ錯体が形成され、且つ、(v)は、前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中の(iv)と会合し、斯くして、増感剤を、(ii)及び(iii)の化学発光化合物に極めて接近させる。
(c)増感剤を活性化して、一重項酸素を発生させる工程。ここで、前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中に存在する増感剤の活性化により、前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中に存在する化学発光化合物が活性化される。
(d)前記第一及び第二サンドウィッチ錯体中に存在する活性化された化学発光化合物により発生された化学発光の量を測定する工程。
(e)所望により、工程(b)〜(d)を繰り返す工程。
(f)このようにして生成された化学発光の量を分析することにより、前記被検体の存在及び/又は濃度を検出する工程。ここで、化学発光の量は、試料中の被検体の量に正比例する。
【0161】
例示的実施態様39:例示的実施態様38の方法であって、増感剤が光増感剤であり、工程(c)が、光照射により光増感剤を活性化するものである方法。
【0162】
例示的実施態様40:例示的実施態様38又は39の方法であって、前記試料が、全血、血漿、血清、唾液、喀痰、脳脊髄液(CFS)、皮膚、間質液、涙、粘液、尿、綿棒及びこれらの組合せからなる群から選ばれる方法。
【0163】
例示的実施態様41:例示的実施態様40の方法であって、試料を、(ii)〜(v)のいずれかと合一するに先立って、前記試料を分離工程に処する工程を、更に、含有する方法。
【0164】
例示的実施態様42:例示的実施態様38〜41のいずれかの方法であって、前記第三の抗体又はその結合断片がビオチン化されており、且つ、前記増感剤にはストレプトアヴィジンが会合している。
【0165】
例示的実施態様43:例示的実施態様38〜42のいずれかの方法であって、前記第一及び第二組成物の一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が同一である方法。
【0166】
例示的実施態様44:例示的実施態様38〜43のいずれかの方法であって、前記第一及び第二組成物の一重項酸素で活性化可能な化学発光化合物が異なるものである方法。
【0167】
例示的実施態様45:例示的実施態様38〜44のいずれかの方法であって、前記第一及び第二組成物のうちの少なくとも1つが、更に、前記活性化された化学発光化合物によって励起される少なくとも1つの蛍光分子を含有してなる方法。
【0168】
例示的実施態様46:例示的実施態様45の方法であって、更に、前記蛍光分子によって発せられた光の量を測定し、前記試料中の被検体の量を決定する工程を含んでなる方法。
【0169】
例示的実施態様47:例示的実施態様38〜46のいずれかの方法であって、更に、工程(c)に先立って、(i)〜(v)の混合物を希釈する工程を含んでなる方法。
【0170】
例示的実施態様48:例示的実施態様38〜47のいずれかの方法であって、前記第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片の少なくとも1つがポリクローナル抗体である方法。
【0171】
例示的実施態様49:例示的実施態様38〜48のいずれかの方法であって、前記第一、第二及び第三の抗体又はその結合断片の少なくとも1つがモノクローナル抗体である方法。
【0172】
例示的実施態様50:例示的実施態様38〜49のいずれかの方法であって、前記被検体がトロポニンIである方法。
【0173】
例示的実施態様51:例示的実施態様50の方法であって、
(a)前記第一及び第二の抗体又はその結合断片が配列番号内の重複するエピトープに特異的に結合し、第三の抗体又はその結合断片が配列番号3〜7のうちの1つのエピトープに特異的に結合し;
(b)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号3内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2及び4〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(c)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号4内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜3及び5〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(d)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号5内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜4及び6〜7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;
(e)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号6内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜5及び7のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合し;そして、
(f)前記第一及び第二抗体又はその結合断片が配列番号7内の重複するエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号2〜6のうちの1つの内部のエピトープに特異的に結合する;
方法。
【0174】
例示的実施態様52:例示的実施態様50又は51の方法であって、
(i)前記第一の抗体又はその結合断片が配列番号8、9及び11のうちの1つのエピトープに特異的に結合し、前記第二の抗体又はその結合断片が配列番号8、9及び11のうちの1つのエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号10のエピトープに特異的に結合し;そして、
(ii)前記第一の抗体又はその結合断片が配列番号12又は13のエピトープに特異的に結合し、前記第二の抗体又はその結合断片が配列番号12又は13のエピトープに特異的に結合し、前記第三の抗体又はその結合断片が配列番号14のエピトープに特異的に結合する;
方法。
【符号の説明】
【0175】
CB:ケミビーズ
SB:センシビーズ
Ab1:検出抗体
Ab2:検出抗体
10:マイクロ流体デバイス
12:ハウジング
14:区画
16:第一組成物
18:第二組成物
20:第三組成物
22:増感剤
10a:マイクロ流体デバイス
12a:ハウジング
14a:第一区画
16a:第一組成物
18a:第二組成物
20a:第三組成物
22a:増感剤
24:第二区画
26:第三区画
28:読み取り室
40:マイクロ流体デバイス
42:ハウジング
44:区画
46:第一組成物
48:第二組成物
50:第三組成物
52:増感剤
54:試料適用室
56:入口経路
40a:マイクロ流体デバイス
42a:ハウジング
44a:第一区画
46a:第一組成物
48a:第二組成物
50a:第三組成物
52a:増感剤
54a:試料適用室
56a:入口経路
58:第二区画
60:試薬
80:マイクロ流体デバイス
82:ハウジング
84:試料適用室
86:入口経路
88:第一区画
90:第二区画
92:第一組成物
94:第二組成物
96:第三組成物
98:増感剤
110:マイクロ流体デバイス
112:ハウジング
114:試料適用室
116:入口経路
118:第一区画
120:第二区画
122:読み取り室
124:第一組成物
126:第二組成物
128:第三組成物
130:増感剤
132:追加の区画
134:試薬
110a:マイクロ流体デバイス
112a:ハウジング
114a:試料適用室
116a:入口経路
118a:第一区画
120a:第二区画
122a:読み取り室
124a:第一組成物
126a:第二組成物
128a:第三組成物
130a:増感剤
132a:追加の区画
134a:試薬
136:第三区画
200:マイクロ流体デバイス
202:ハウジング
204:試料適用室
206:第一入口経路
208:第二入口経路
210:第一区画
212:第二区画
214:第一組成物
216:第二組成物
218:第三組成物
220:増感剤
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
2017508971000001.app
【国際調査報告】