【実施例】
【0068】
実施例1−セニクリビロックメシレート組成物
酸可溶化剤の同一性を除いて同一であった一連のセニクリビロックメシレート組成物を、Keyの1Lのボウル造粒機で湿式造粒法によって調製し、その後トレイ乾燥し、ふるい分けし、混合し、カーバープレスで錠剤へと圧縮した。製剤の組成を表2に示す。
【表2】
【0069】
この錠剤をビーグル犬に投与した。対照として経口液剤も投与した。製剤及び経口液剤の絶対的バイオアベイラビリティを決定し、
図2に示す。結果は、フマル酸を伴うセニクリビロックメシレートが、試験した他の可溶化剤のいずれよりも有意に高いバイオアベイラビリティを有することを示す。
【0070】
実施例2:セニクリビロックメシレート組成物
セニクリビロックメシレート、フマル酸、微結晶セルロース、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを混和し、乾燥造粒し、製粉し、顆粒外の微結晶セルロース、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムと混ぜ、10kPを越える硬度及び0.8%w/w未満の破砕性を有する錠剤へと圧縮した。結果得られた錠剤は表3に示す組成を有した。
【表3】
【0071】
例示として、実施例2bの成分の濃度割合(%)及び錠剤あたりの質量を表4に提供する。
【表4-1】
【表4-2】
【0072】
実施例3:セニクリビロックメシレート組成物
セニクリビロックメシレート、微結晶セルロース、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを混和し、乾燥造粒し、乾燥させ、製粉し、顆粒外の微結晶セルロース、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム、フマル酸、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムと混ぜ、10kPを越える硬度及び0.8%w/w未満の破砕性を有する錠剤へと圧縮した。結果得られた錠剤は、表5に示す組成を有した。
【表5】
【0073】
特に、表5の製剤は、表3bのものと同じ成分比を有しており、各錠剤に使用される成分の総量においてのみ異なる。したがって、表4は、(遊離塩基に基づいて)150mgのセニクリビロックを有する錠剤を示すが、表CC−1は、表4に示す実施例2bの150mgの錠剤と同じ成分比で、(遊離塩基に基づいて)25mgのセニクリビロックを有する錠剤を示す。
【0074】
実施例4−基準物
表6のクエン酸をベースとする製剤を以下のように調製した。セニクリビロック、ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール及び架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウムを混和し、湿式造粒し、乾燥させ、製粉し、微結晶セルロース、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、タルク及びステアリン酸マグネシウムと混ぜた。得られた混合物を、10kPを越える硬度及び0.8%w/w未満の破砕性を有する錠剤へと圧縮した。この錠剤を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール8000、二酸化チタン及び黄色酸化鉄で被覆した。このようにして生成した被覆された錠剤は、米国特許出願公開第2008/031942号に開示されているものと実質的に同一であった(例えば、表3を参照されたい)。
【表6】
【0075】
実施例5−基準物
セニクリビロック及びヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(Hypromellose Acetate Succinate)をメタノールに溶解し、噴霧乾燥して、重量基準で(セニクリビロック遊離塩基の重量に基づいて)25%のセニクリビロックを含有する微粉にした。この粉末をコロイド状二酸化ケイ素、微結晶セルロース、マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混和した。この混和物を、10kPを越える硬度及び0.8%w/w未満の破砕性を有する錠剤へと圧縮した。錠剤の最終的な組成を表7に示す。
【表7-1】
【表7-2】
【0076】
実施例6:CVC製剤のバイオアベイラビリティ(Bioavailibility)
ビーグル犬における実施例3の錠剤の絶対的バイオアベイラビリティを、実施例4及び5の錠剤のそれと、ならびにセニクリビロックメシレートの経口液剤及びセニクリビロックメシレート粉末を含有するゼラチンカプセルの両方と比較した。結果を表8に示す。
【表8】
【0077】
この実施例は、フマル酸を有する乾式造粒した錠剤におけるセニクリビロック(実施例3)のバイオアベイラビリティが、経口液剤のものと実質的に類似しており、フマル酸を有する湿式造粒した錠剤(実施例1b)またはクエン酸を有する湿式造粒した錠剤(実施例4)におけるセニクリビロックのバイオアベイラビリティよりも有意に高く、HPMC−ASを有する噴霧乾燥した分散体中に非晶性のセニクリビロックを有する錠剤(実施例5)におけるセニクリビロックの2倍を超えることを示す。結晶性APIの乾式造粒が、湿式造粒及び非晶性の噴霧乾燥した分散体よりもバイオアベイラビリティの有意な増大をもたらすことを疑う理由がなかったので、これらの結果は驚くべきことである。これは、非晶性の噴霧乾燥した分散体が、難水溶性薬物のバイオアベイラビリティを増大させるのにしばしば使用されるので、特にそうである。これらの結果は、フマル酸がクエン酸より遅い溶解時間を有し、CVC APIに対して、より低い酸の質量比(クエン酸:APIについて3:1対フマル酸:APIについて1.06:1)で使用されたので、さらに驚くべきことである。したがってそれゆえ、フマル酸が、CVCについて、クエン酸よりも効果的な可溶化剤とされたことは驚くべきことであった。
【0078】
実施例7:CVC製剤の加速安定性
実施例2bの錠剤の加速安定性を、40℃での75%相対湿度の環境への曝露を介して実施例1b、4及び5の錠剤のそれと比較した。全ての錠剤は、試験の間、乾燥剤と包装した。
図3に示すように、実施例2bの錠剤は、驚いたことに、他の湿式造粒された錠剤よりもはるかに安定であり、噴霧乾燥した分散体の錠剤と同様に安定である。実施例2bの錠剤及び実施例4の錠剤の間の安定性のこの差は、この2つの間の有意な差が、製剤を製造する方法(乾式造粒対湿式造粒)のみであるために、特に驚くべきことである。これらの結果は、造粒方法がセニクリビロックのバイオアベイラビリティ及び安定性の両方に効果を有し得ることは以前に知られていなかったので、さらに驚くべきことである。
【0079】
実施例8:CVC製剤の安定性
実施例2及び3の錠剤の安定性を、40℃での75%相対湿度の環境に6週間、錠剤を曝露することにより試験した。全ての錠剤は、試験の間、乾燥剤と包装した。結果を表9に示し、これは錠剤がこれらの条件下で非常に安定していることを示す。
【表9】
【0080】
実施例9:CVC製剤の安定性
25℃での動的蒸気吸着等温線は、実施例3及び4の錠剤の安定性とセニクリビロックメシレートのそれとを相関する。吸着は、0%相対湿度から90%相対湿度まで5%間隔で実施した。各間隔で、10分以上30分以下にわたって各試料を平衡化した。平衡化は、質量増大速度が1分あたり0.03%w/w以下であったとき、または30分後のどちらか短い方で止めた。
図4にあらわす結果は、実施例2bの錠剤が実施例4のものよりも有意に安定であることを示す。この結果は、実施例4よりも吸湿性が有意に低い実施例3と矛盾がない。実施例2bと比較した際の実施例4の吸湿性の増大は、実施例4の部分的なゲル化及びその後の安定性の低下を引き起こす可能性のある、可動水の高い含量と関係があり得る。
【0081】
実施例10:CVC製剤のバイオアベイラビリティ
ビーグル犬の異なる胃状態において、実施例3の錠剤のバイオアベイラビリティを、実施例5のもの及びゼラチンカプセル中のセニクリビロックメシレート粉末のものと比較した。バイオアベイラビリティは、そのぞれぞれが胃のpHを変える異なる前処置状態下で試験した。具体的には、ペンタガストリンの前処置は最も低いpHをもたらし、無処置は中間のpHをもたらし、ファモチジン処置は、最も高いpHをもたらす。
【0082】
図5にあらわす結果は、試験した全ての条件下で、実施例3の錠剤が、より高いバイオアベイラビリティを有することを示す。実施例3のバイオアベイラビリティは、ペンタガストリン処置したイヌと未処置のイヌの間であまり変動しなかったが、実施例4は、ペンタガストリン処置したイヌ(最も低い胃のpH)のものと比較して、絶食させた、無処置のイヌ(中間の胃のpH)においてバイオアベイラビリティの有意な低下を示した。胃の酸性度を抑制し、胃のpHを上昇させるH2受容体アゴニストであるファモチジンによる前処置は、全ての試料についてバイオアベイラビリティを低下させたが、実施例3についての低減は、実施例4についてのものよりもはるかに少なかった。
【0083】
これらの結果は、乾式造粒したフマル酸を有するセニクリビロック組成物のさらなる予期しない利益を示す。具体的には、このような製剤の薬物動態は、ヒトの胃の可能なpH状態の全範囲にわたって投与した場合、噴霧乾燥した分散体(実施例4)のものほど変動しない。アタザナビルなどの他の弱塩基性抗レトロウイルス薬のバイオアベイラビリティは胃のpHに大きく影響されるので、この結果は予期されず、驚くべきことである。このような薬物に関して、無酸症の患者などの疾患または医学的状態により、または制酸薬、プロトンポンプ阻害剤若しくはH2受容体アゴニストなどの薬物の共投与により引き起こされ得る胃のpHの変化は、バイオアベイラビリティを治療レベル以下に低下させ得る。実施例3の、乾燥造粒した、フマル酸ベースのセニクリビロックメシレート製剤が、胃のpH変化に合わせてバイオアベイラビリティを変化させる傾向がより少ないことを示すこれらの結果は、実施例3が、胃のpHレベルの変動を有する、またはそれを有する可能性が高い患者において使用することができる、より確固たる製剤であることを示す。
【0084】
実施例11a〜11c:セニクリビロックメシレート及びラミブジン製剤の調製
表10のセニクリビロックメシレート及びラミブジンの製剤を以下のように調製した。まず、顆粒内成分を混和し、乾燥造粒して、組成物を乾燥造粒した混和物として形成した。この乾燥造粒した混和物を、次いで、顆粒外成分とさらに混和して、混合物を形成した。混合物を錠剤へと圧縮した。150mg CVC強度錠剤(実施例11b及び11c)の、ビーグル犬におけるセニクリビロック(CVC)及びラミブジン(3TC)の絶対的バイオアベイラビリティを測定した。結果を
図6に示す。
【表10-1】
【表10-2】
【0085】
実施例12:NASHのマウスモデルにおける二重CCR2及びCCR5拮抗薬セニクリビロックの抗線維性及び抗炎症性活性
背景:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、脂肪蓄積、慢性炎症(炎症促進性単球及びマクロファージを含む)を特徴とし、線維症が存在するとき、肝硬変または肝細胞癌をもたらし得る。現在、NASHに対して承認された治療法はない。エビデンスにより、C−Cケモカイン受容体(CCR)2型及びその主なリガンドである、単球走化性タンパク質−1が肝臓における炎症促進性単球の動員に寄与することが示されている。セニクリビロック(CVC)は、143人のHIV−1感染成人における48週間の第2b相試験において好ましい安全性と耐容性を示した経口の、強力な、二重CCR2/CCR5拮抗薬である(NCT01338883)。CVCは、肝細胞癌をもたらす食餌誘発性NASHのマウスモデルにおいて評価され;モデルの第一の線維性段階からのデータを表す。
【0086】
方法:NASHを、生後2日での200μgストレプトゾトシンの単回注射(グルコース制御障害を引き起こす)、その後4週齢からの高脂肪食によって雄マウスにおいて誘発した。6〜9週齢の、動物の3つの群(n=6/群)に、0(ビヒクル)、20(低用量)または100(高用量)mg/kg/日のCVC用量を、1日2回の強制経口投与を介して投与した。動物を9週齢で屠殺し、肝臓の生化学、遺伝子発現、及び組織学的評価を実施した。
【0087】
結果:CVC処置は、体重または肝臓重量、全血グルコース、または肝臓トリグリセリドに効果を有さなかった。平均(±標準偏差)アラニン・アミノトランスフェラーゼレベルは、対照と比較して両CVC処置群において有意に低減し(それぞれ、低用量、高用量及びビヒクルに対して、58±12、51±13及び133±80U/L;p<0.05)、肝臓ヒドロキシプロリンは処置群において低減する傾向を示した。リアルタイムRT−PCRにより、全肝臓ライセートにおけるコラーゲン1型mRNAは、CVC処置で27〜37%低減した。(シリウスレッド染色による)線維症面積の割合(%)は、対照と比較してCVC処置により有意に低減した(p<0.01):血管周囲腔を含んだ場合、それぞれ、20mg/kg/日、100mg/kg/日及び対照に対して、0.66%±0.16、0.64%±0.19及び1.10%±0.31;血管周囲腔を引いた場合、それぞれ0.29%±0.14、0.20%±0.06、及び0.61%±0.23。重要なことに、組織学的非アルコール性脂肪性肝疾患活性スコア(このモデルの無処置マウスでスコアは0である)は、CVC処置で有意に低減し(それぞれ、低用量、高用量及びビヒクルに対して、4.0±0.6、3.7±0.8及び5.3±0.5;p<0.05)、これは、主に炎症及び風船様腫大スコアの低下によるものである。ヒトにおいて以前示されたように、血漿単球走化性タンパク質−1レベルにおけるCVC用量に関連する代償性増加がマウスにおいて観察され(それぞれ、低用量及び高用量に対して、1.1倍及び1.5倍増加)、これはCCR2の拮抗効果に矛盾しなかった。
【0088】
結論:これらのデータは、現在HIV−1に対するヒト治験での被験薬であるCVCが、NASHのマウスモデルにおいて抗線維性及び抗炎症性活性を有することを示し、これは臨床研究を保証する。これらの知見は、CCR2/単球走化性タンパク質−1軸を破壊することがNASHに対する新規処置である可能性があるというさらなるエビデンスを提供する。
【0089】
実施例13:チオアセトアミド誘発性肝臓線維症及び肝硬変のラットモデルにおける、二重CCR2/CCR5拮抗薬である、セニクリビロックの有意な抗線維化活性
背景:C−Cケモカイン受容体(CCR)2及び5型は、肝臓における炎症及び線維形成に寄与する、炎症促進性単球及びマクロファージ、クッパー細胞及び肝星細胞(HSC)上に発現する。セニクリビロック(CVC;新規の、強力な、経口、二重CCR2/CCR5拮抗薬)は、143人のHIV−1感染成人における48週間の第2b相試験において好ましい安全性/耐容性を有した(NCT01338883)。この試験は、チオアセトアミド(TAA)誘発性傷害により肝線維症が出現しているラットにおける、CVCのインビボ抗線維化効果及び疾患発症に対する処置介入のタイミングを評価する。
【0090】
方法:線維症を、雄Sprague−DawleyラットにTAA 150mg/kg 3回/週を8週間腹腔内投与することにより誘発した。ラット(n=4〜8/群)は、CVC 30mg/kg/日(a)、CVC 100mg/kg/日(b)またはビヒクル対照(c)を、TAAと同時に最初の8週間(群1;早期介入)、第4〜8週中(群2;線維症の出現)またはTAA投与完了後の第8〜12週中(群3;肝硬変回復)に受けた。肝臓の生化学、遺伝子発現及び組織学的評価を実施した。
【0091】
結果:TAAと同時に始めたとき(群1)、30mg(群1a)及び100mg(群1b)でのCVCは、コラーゲン形態計測により評価して、線維症を有意に低下させた(それぞれ49%及び38%低下;p<0.001)。コラーゲン1型のタンパク質レベルは、それぞれ群1a及び1bに対して30%及び12%低下し、一方でα−SMAはそれぞれ17%及び22%低下した。処置をTAA誘発性傷害の4週間後に開始したとき(群2)、統計学的に有意な抗線維化効果がCVC 30mgについて観察された(群2a、コラーゲンにおいて36%低下;p<0.001)が、CVC 100mg(群2b)については観察されなかった。処置を第8週(肝硬変存在)に開始し、4週間継続したとき(群3)、線維形成性遺伝子発現または線維症へのCVCの有意な効果はなかった。
【0092】
結論:CVCは、TAAに起因する非肝硬変性肝線維症において強力な抗線維化剤である。該薬物は早期介入(群1)及び線維症出現時(群2a)においては有効であったが、肝硬変がすでに確立された場合には有効でなかった(群3)。
【0093】
実施例14:セニクリビロックは低いナノモル濃度で高いCCR5受容体占有率を達成する
背景:セニクリビロック(CVC)は、未処置成人におけるHIV−1感染の処置についての第2b相評価を完了している、新規の、1日1回の、強力な、CCR5及びCCR2拮抗薬である(NCT01338883)。この試験の目的は、CVC、BMS−22(TOCRIS、CCR2拮抗薬)及び承認されたCCR5拮抗薬である、マラビロック(MVC)での処置後のインビトロ受容体占有率及び生物学を評価することであった。
【0094】
方法論:5HIV+及び5HIV−対象からのPBMCを、CVC、BMS−22またはMVCとインキュベートし、その後、無処置またはRANTES(CCR5リガンド)若しくはMCP−1(CCR2リガンド)での処置のいずれかを行った。CCR5またはCCR2内在化を阻害する各薬物の能力を評価した。CCR5及びCCR2の細胞表面発現をフローサイトメトリーにより評価し、蛍光値を1細胞あたりの蛍光分子数(MESF)に変換した。
【0095】
結果:RANTESの不存在下で、CVC及びMVCは両方とも、CCR5の細胞表面発現を増加させた。この効果は、HIV陰性対象(CD4+及びCD8+T細胞)においてはるかに大きい程度まで見られた。CVCは、RANTES誘発性CCR5内在化を、MVCよりも低い有効濃度で防いだ。CVCでのCCR5が飽和に達する有効濃度は、CD4+T細胞について3.1nM、及びCD8+T細胞について2.3nMであった(それぞれ約91%及び約90%受容体占有率)。MVCは、CD4+及びCD8+T細胞の両方について12.5nMで飽和に達し、これはそれぞれ約86%及び約87%受容体占有率を表す。CVC及びMVCは、高いが不完全なCCR5の飽和を達成し、これは、RANTESの不在下両薬剤で増加したCCR5発現の観察により増幅され得る効果である。MCP−1の不存在下、CVCは、CCR2内在化を誘発し、単球上の細胞表面発現を低減させた。BMS−22は、CCR2細胞表面発現を微かに増加させた。CVCは、MCP−1誘発性CCR2内在化をBMS−22よりも低い濃度で防いだ。単球CCR2の飽和は、6nMのCVCで達成され、これは、約98%のCCR2占有率を表す。80%を超える受容体占有率に達するには、1.8nMのCVCに対して、平均で18nMのBMS−22が必要とされた。
【0096】
結論:CVCは、インビトロでMVCよりもRANTES誘発性CCR5内在化を(より低い濃度で)より容易に防いだ。これは、CVCがインビボでMVCよりもRANTESによる細胞活性化の防止においてより有効であり得ることを示す。処置対象におけるベースラインCCR5発現レベルは、インビボでのCCR5拮抗薬活性の決定要因であり得る。CVCは、インビトロで低いナノモル濃度で単球上のCCR2の約98%受容体占有率を達成し、MCP−1の不在下で単球上のCCR2発現を低下させた。発現の低下と対になったCVCによるCCR2の高飽和は、臨床においてCVCで観察される強力なCCR2遮断を説明し得る。CVCは、インビトロで強力な免疫調節性活性を有し、慢性HIV感染における重要な併用免疫療法性及び抗レトロウイルス性であり得る。
【0097】
実施例15:CVCはHIV侵入を遮断するが、MVCのように細胞外空間へのHIVの再分配はもたらさない
背景:インビボでは、CVCは、CCR5好性ウイルス7を保有する処置経験済み個体の単独療法中に有効性を示している。第IIb相臨床試験(652−2−202;NCT01338883)では、CVCは、それぞれ両方がエムトリシタビン(FTC)及びテノホビル(TDF)と組み合わせて投与されたとき、24週(一次解析)で非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)エファビレンツ(EFV)に対して同様の有効性、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)エファビレンツ(EFV)よりも優れた毒性プロファイルを、好ましい安全性及び耐容性を伴って、実証した。我々は、試験202(実施例22)におけるCVCの抗レトロウイルス有効性が、MVCで観察されるリバウンド現象の結果として過小評価されている可能性があると仮説を立てた。従って、我々は、試験の第24週目でウイルス学的成功を達成した30対象から保存したPBMCにおける細胞内HIV DNA下落を測定することにより試験202(実施例22)のエキソビボでのサブ解析を実行した。我々は、CVCまたはMVCが引き起こす可能性がある任意の無細胞ビリオン再分配の程度を決定する及び比較するためにインビトロアッセイも行った。
【0098】
ここで、我々は、CVCがウイルス粒子リバウンドを誘発しないことを示す。実際、細胞内DNAにおいて同等の下落が、CVCまたはEFVのいずれかで処置された個体において見られた。これは、血漿ウイルス負荷がCVC処置成功の正確な尺度であることを示す。構造モデルは、MVC及びCVCで得られた結果間の差についての潜在的な説明を提供する。
【0099】
方法:細胞。CD4、CCR5、及びCXCR4を発現するPM−1細胞を、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640培地(R10培地)内に37℃(C)、5%CO2で維持した。トランスフェクションに使用した293T細胞は、10%FBS、L−グルタミン、及び抗生物質のDMEM(D10培地)内に37℃(C)、5%CO2で維持した。ウイルスストック。HIV−1 BaLウイルスを、293T細胞にプラスミドpWT/BaLをトランスフェクトすることによって産生した。リポフェクタミン2000をトランスフェクション剤として使用した。培養物上清をトランスフェクションの48時間後に回収し、0.45μm孔フィルターを通して濾過し、50単位のベンゾナーゼ/mlのウイルスストックで20分間、37℃(C)で処理して、混入プラスミドDNAを除去した。ウイルスストックを−80℃(C)で凍結して、ベンゾナーゼ活性を停止させた。ベンゾナーゼ処理したウイルスストックを臍帯血単核細胞(CBMC)内で増殖させた。CBMCを、R10培地にてフィトヘマグルチニン(PHA−M)で72時間刺激し、その後HIV−1 BaLに感染させた。ウイルスの増幅培養物を、続いて、インターロイキン2(IL−2)を補充したR10において成長させ、37℃(C)、5%CO2でインキュベートした。
【0100】
感染:我々は、阻害濃度のCVC(20nM)及びMVC(50nM)の存在下でPM−1細胞をHIV−1 BaLに曝露した。両方の薬物を、PM−1細胞と1時間37℃(C)でインキュベートし、その後ウイルスを加えた。500ngの、HIV−1 BaLのp24抗原を、1mlのR10培地中5×105細胞あたりでインキュベートした。本文において「無細胞」と記載される、ウイルスのみの対照を使用してウイルス減衰を測定した。ウイルス吸着を、無薬物対照において測定し、これは、500ngの、HIV−1 BaLのp24Agを、薬物処置の不存在下で37℃(C)で1時間プレインキュベートした5×105個のPM−1細胞あたりに加えたことによる。各薬物処置及び対照を、二重で行った。ウイルスRNAを、QIAampウイルスRNAミニキットを製造業者の指示に従って使用して、140μlの上清液から抽出した。試料を分析まで−80℃(C)で保存した。上清ウイルス負荷を、プライマーUS1SSF(5’−AACTAGGGAACCCACTGCTTAA−3’)、US1SSR(5’−TGAGGGATCTCTAGTTACCAGAGTCA−3’)及びUS1SSプローブ(5’−(FAM)CCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAA)を用いた定量的リアルタイム逆転写PCR(qRT−PCR)及びInvitrogenのqRT−PCRスーパーミックスキットを使用して測定した。サイクリングパラメータは:50℃を15分間、95℃を10分間、その後、50サイクルの95℃を15秒間、及び60℃を1分間。全ての値は、2つの独立した実験にわたる複製テストの結果である。RNAコピー数を、pBaL/wtの10倍連続希釈の使用により定量化して、各アッセイについて標準曲線を生成し、以前の試験から既知のコピー数を有する試料に対して較正した。
【0101】
患者試料:末梢血単核細胞(PBMC)試料を、CCR5好性ウイルスを保有するHIV−1に感染した未処置患者においてエムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)と組み合わせたCVC(100mgまたは200mg)またはEFVの有効性、安全性、及び耐容性を比較する第IIb相臨床治験、試験202の第24週でウイルス学的成功を達成した30患者(それぞれ、CVC 100mg、CVC 200mg及びEFVで10、13及び7)から獲得した。ベースライン及び24週での試料を、CVCまたはEFVのいずれかを受けるように無作為に割り当てられた、200細胞以上のCD4数/μl、100、000未満だが1、000より多いウイルスRNAコピー/mlのベースラインウイルス負荷を有する参加者から採取した。
【0102】
細胞内DNA qPCR。全DNAを抽出し、定量化し、−80℃(C)で保存した。細胞内ストロングストップDNAレベルを、上述のUS1SSプライマー/プローブセットを用いて定量化した。細胞内完全長DNAレベルを、US1FLプライマー/プローブセット(フォワード:5’−AACTAGGGAACCCACTGCTTAA;リバース:5’−CGAGTCCTGCGTCGAGAGA;プローブ:5’−[FAM]−CCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAA)を使用して定量化した。両方のDNAレベルを、GAPDHプライマー/プローブセット(フォワード:5’−ACCGGGAAGGAAATGAATGG;リバース:5’−GCAGGAGCGCAGGGTTAGT;プローブ:5’−(VIC)−ACCGGCAGGCTTTCCTAACGGCT)を用いて多重化して、DNAインプットを正規化し、試料完全性を検証した。
【0103】
統計学的解析:マン・ホイットニー検定を使用して、全3つの処置群に関するインビトロ細胞内HIV DNAレベルを解析した。全てのデータは、Prism 5ソフトウェアを使用して解析した。
【0104】
CCR5におけるセニクリビロックの分子ドッキング
CCR5ケモカイン受容体(蛋白質構造データバンク識別番号[PDB ID]4MBS)の結晶構造を、構造バイオインフォマティクス研究共同体(RCSB)蛋白質構造データバンクを通して獲得し、ドッキング標的として使用した。CCR5受容体拮抗薬であるセニクリビロック(以前は、TAK−652/TBR−652)の構造を、PubChemから獲得し、リガンドとして使用した。リガンド−ドッキング構造の極小化を、UCSFキメラの使用により促進し、それはCCR5及びCVCをドッキング計算のためのインプットとして用意し、それは、CCR5の7回膜貫通型(7TM)α−へリックス受容体キャビティにおけるリガンドの配向を予測する。ドッキング計算を実施し、最大サイズのグリッドボックスを使用して、全ての可能なドッキング部位をCCR5内へと含んだ。結合部位は、7TMキャビティ(残基Glu283及びTyr10周り)から15Å未満の全残基からなる。ドッキング結果を処理して、分子間相互作用を同定した。試験9ポーズをさらなる解析のために保持した。ドッキングシステムの精度を検証するために、同じ方法を使用してMVCをCCR5にドッキングし、結晶構造に関してその配向を決定した。PyMOLを使用して算出された、観察された結晶構造とAutoDock Vinaから獲得された予測立体構造間の平均二乗偏差(RMSD)は、0.275Åであり、これはプロトコルが健全であったことを示した。
【0105】
結果
まず、我々は、試験202臨床治験中に獲得されたウイルス負荷の測定値を検証するためにHIV細胞内DNAを定量化した。この臨床治験において参加者から単離されたPBMC中の完全長細胞内HIV DNAレベル(早期逆転写の指標)のエキソビボでの解析は、第24週で全群(CVC 100mg、CVC 200mg、EFV 600mg)を通して類似した(
図7A)。ベースラインからの平均倍率変化は、それぞれCVC群100mg(n=10)及びCVC 200mg(n=11)について、0.643及び0.787であった。EFV 600mg群(n=7)は、24週で0.825のベースラインからの平均倍率変化を有した。差は、統計学的に有意ではなかった。
【0106】
次に、ストロングストップ細胞内HIV DNAレベル(後期逆転写の指標)を、第24週で完全長レベルと同時に測定した(
図7B)。ベースラインからの平均倍率変化は、CVC 100mg群については0.49、CVC 200mg群については0.63、及びEFV 600mg群については1.01であった。平均は、統計学的に有意でなかった。
【0107】
CVC及びMVC曝露後の細胞外ウイルスレベルを測定するインビトロ実験も行った。培養液中のウイルスのレベルを、侵入阻害剤に曝露された細胞の感染4時間後にqRT−PCR及びP24 ELISAによって測定した。4時間後、MVC処置細胞からの培養液(ベースライン:1.19×10
10コピー/ml、4時間:1.67×10
10コピー/ml)(
図8A)は、ベースラインと比較して、CVC処置細胞が呈したものよりも高いRNAレベルを呈した。(ベースライン:506ng/ml、4時間:520ng/ml)(
図8B)。CVC処置細胞からの培養液内のウイルスRNAは、4時間後有意に変化しなかった(ベースライン:1.19×10
10コピー/ml、4時間:1.26×10
10コピー/ml)(
図8A)。P24レベルはCVC処置で4時間後にベースラインから下降した(ベースライン:506ng/ml、4時間:192ng/ml)(
図8B)無細胞及び無薬物対照について下降したウイルスRNAは4時間後同様であった、それぞれ、1.14×10
10コピー/ml、及び1.1×10
10コピー/ml(
図8A)。506ng/mlのベースラインp24レベルの後、4時間後の無細胞対照についてのp24抗原レベルは138ng/mlであった。p24無薬物対照レベルは244ng/mlであった(
図8B)。
【0108】
CVC及びMVC処置後の細胞外ウイルスレベルにおけるこれらの差は、HIV−1 BaLに感染する1時間前にCVCまたはMVCのいずれかに曝露されたPM−1細胞における細胞内ストロングストップHIV DNAレベルを検査するよう、我々に促した。全DNAを4時間後に細胞ペレットから抽出した。CVCまたはMVC処置細胞の細胞内ストロングストップHIV DNAレベルを無薬物対照と比較した(
図9)。我々は、無薬物対照と比較してMVC処置細胞において0.02の相対的DNAレベルを観察し、一方でCVC処置細胞は、0.1のみの相対的細胞内DNAレベルを呈した。MVC及びCVC処置細胞の相対的DNAレベル間の差は、有意であった。
【0109】
MVCと複合化したCCR5 7TMの結晶構造(PDB ID 4MBS)が存在し、これを使用して結合ポケットにCVCがドッキングされたCCR5のモデルを生成した。我々は、CCR5にMRVを再ドッキングすることによっても評価されたドッキングポーズを予測した;最も好ましいエネルギーを伴う上位のポーズは、適切な配向及び立体構造との重複を結晶構造内に有した(RMSDは0.3Å未満)。インシリコのCCR5ドッキングシミュレーションは、CVCがリガンド−結合ポケットとしても知られるCCR5構造内の疎水性ポケットのみで結合することを示した(
図10)。上位の9ポーズのみをさらなる解析のために保持した。CCR5へのドッキング後にCVCが呈した3つの異なる立体構造があり、それらは3つの部位にクラスター化された(
図10A、B)。第一の部位(部位1)は、疎水性ポケット内に深く広がり、多くの容量を占める(
図10A)。第二の部位(部位2)は、部分的にポケットの真中に位置しているが、TM1及びTM7の間でCCR5から外側に膨出してもいる(
図10A)。第三の部位(部位3)では、いくつかのCVCポーズが受容体キャビティの入り口付近に位置している。
【0110】
CCR5の細胞外ループ及び膜貫通ドメイン内での残基の部位特異的変異誘発は、gp120結合に関与する主要残基を同定している;異なる位置での変異は、CCR5へのgp120結合を無効にする、損なうまたは影響を与える。CCR5内でのgp120結合にとって重要であると同定された13個の主要残基は、Tyr37、Trp86、Trp94、Leu104、Tyr108、Phe109、Phe112、Thr177、Ile198、Trp248、Tyr251、Leu255及びGlu283である。
図11は、結合ポケットにCVC(左)及びMVC(右)のドッキングポーズを有するCCR5の分子表面を示す。CVC及びMVCは、それぞれ、約1285及び1790Å
2(PyMOLを使用して算出)の分子表面面積を有する。MVCは、結合ポケットの真中を占有する。gp120結合に重要であると決定された全13個の残基は、PyMOLにより測定されて、MVCから4Å以内である(静電及び/または疎水性相互作用のためにこの試験で使用されたカットオフ距離)。対照的に、ドッキングされたCVCポーズは、同じポケットを占有するが、MVCについて見られるように中央ではない(
図11)。むしろ、CVCはポケットの片側にシフトし(
図12A/B)、CVCの4Å内のCCR5の残基のコンセンサスを決定した。CVCはMVCよりも多くの表面積を占有するものの、gp120結合に重要な13残基のうちの7つ、すなわちTyr37、Trp86、Tyr108、Phe109、Ile198、Leu255及びGlu283のみがCVCの4Å以内である。全体として、これらのシミュレーションは、CCR5の結合ポケット内でCVCがMVCと同様の領域を占有することを示す。
【0111】
考察:この試験では、我々は、HIV侵入を防ぐ、CVC及びMVCの両方のCCR5拮抗薬が、細胞外ウイルスレベルに、差次的効果を有することを観察した。
【0112】
未処置対象におけるどちらもFTC/TDFを用いたCVCとEFVを比較する第IIb相二重盲検、ダブルダミー試験では、CVC 200mgを受けている患者の73%及びEFVを受けている患者の71%と比較して、CVC 100mgを受けている患者の76%がウイルス学的成功(50コピー/ml未満のHIV RNA)を24週で達成した。我々は、無細胞ビリオンがMVCの存在下で侵入に失敗した後に標的細胞から追い払われ得るために、MVCが人為的にウイルス負荷を増加させる可能性があることを以前に示した。現在の試験は、CVCについて同じ効果が起こる可能性があるかどうか、侵入及び逆転写酵素阻害剤を比較したときに、細胞内DNA測定値が抗ウイルス有効性をより正確に表し得るかどうか対処するように設定された。
【0113】
実際、試験202処置群にわたる細胞内DNAレベルは、選択試料において24週で同様であった(
図7)が、これは治療企図(ITT)解析中に観察された傾向を反映している。完全長HIV−DNAレベルもまた、24週で全群について同様であり、これは、CVC及びEFVについて同様の抗ウイルス有効性を示している。ストロングストップHIV DNAレベルにおける差が、CVC及びEFV群の間で観察されたが、一方で両CVC群は、EFVと比較してウイルス負荷においてより急な下降を呈した。ストロングストップHIV DNAレベルは、侵入阻害剤により直接影響をうけるため、この結果は予想された。ウイルス学的成功及び細胞内HIV DNAレベルにおけるEFV及びCVC間の類似性は、この二重CCR5及びCCR2阻害剤の抗ウイルス効力がウイルス負荷測定によってマスクされないことを示す。
【0114】
我々は、CVCがインビトロでMVCに見られるようにウイルス反発(virus repulsion)をもたらすことができるかどうかも調べた。ウイルス定量の二つの別々の測定、qRT−PCR及びp24 ELISAは、MVC処置が感染後最大4時間まで細胞外ウイルスレベルを維持したことを示した。対照的に、CVCでの処置は、4時間でウイルスレベル下降の下降をもたらし、無薬物または無細胞対照のそれと同等であった(
図8)。表向きは類似した抗ウイルス機構であるにもかかわらず、無細胞ウイルス及びCCR5間の相互作用という点でCVC及びMVC間に差があるように思われる。
【0115】
インビトロでの細胞内ストロングストップDNAのさらなる検査は、CVCがMVCと比較してレベルにおいて微かだが有意な増加を引き起こしたことを示した(
図9)。これは、CCR5への両阻害剤の差次的効果に起因する可能性があり、これは同様にウイルス及び受容体間の解離速度に影響する。これは、gp120がMVCと比較して、CVC結合CCR5とより永続的に関連し得る可能性を提起した。
【0116】
我々は、CCR5の結合部位を検査することによってどのようにCVCが標的細胞内へのHIV侵入を阻害するのかを理解することも目的とした。操作したヒトCCR5構築物は、以前に、2.7Åの分解能でMCVと複合化して結晶化されている。これは、CCR5の完全長結晶構造ではないものの、インシリコドッキングアッセイでCCR5とのCVC相互作用をよりよく理解するために活用された。CVCについて全ての称されるドッキングモデルは、CCR5の7TMキャビティへの薬物の深部浸透を示し、これはMVCにも見られる。しかしながら、CVCドッキングポーズは、細胞外ループ2に近接していなかったため、ECL2はドッキング後アクセス可能のままであった。他のグループは、CCR5のN末端及びECL2ドメインの両方が、HIV−1とCCR5の相互作用において決定的な役割を担うことを報告している。加えて、gp120のV3ループのステム領域は、V3クラウンがECL2と及び結合ポケットの内側の残基と相互作用する一方でCCR5のN末端に結合すると報告されている。我々のモデルに基づき、我々は、ECL2が該モデルにおいて曝露されていると思われるため、CVCはECL2とのgp120 V3ループ相互作用に直接干渉しないと想定することができる。
【0117】
CCR5が不活性状態のままである場合、CVCはCCR5活性化を遮断することができると考えられる。7TM領域内の、2つの残基、Tyr37及びTrp248は、ケモカインリガンドと結合する際にCCR5活性化にとって重要であると示されており、これはMVC結合にとっても重要であると示されている。MVCと同様、CVCの異なるドッキングポーズは疎水性結合部位に埋まっている。我々のモデルは、Trp248へのアクセスはCVCにより遮断されていることを示す;Trp248は、CCR5活性化に重要であると示されており、これはケモカイン受容体の不活性化を説明する。第二の仮説は、CCR5へのMVCの結合が、CCR5の全体的立体構造変化を引き起こし得、これはCVCの存在下では変化は少なくあり得る。
【0118】
他のグループによる部位特異的変異誘発実験及び本試験にある組織培養実験及びドッキングシミュレーションに基づき、我々はMVCが疎水性ポケットの中央を占有し、これがgp120結合に重要なCCR5におけるいくつかの残基のアクセスを難しくしている可能性があるという仮説を立てた。これらの残基は、直接静電、または疎水性相互作用及び/または水媒介性水素結合を通したgp120結合にとっても重要であり得る。対照的に、CVCは結合部位を占有し、ドッキングされたCVCの存在下でもgp120がCCR5結合に重要ないくつかの残基にまだアクセスすることができる可能性がある。この仮説は、ECL2の全体を占有する一方でgp120が部分的に受容体キャビティを満たすことを示す部位特異的変異誘発試験により支持される。しかしながら、gp120のV3ループがCCR5 7TMに浸透する程度は依然不明である。また、CCR5からのgp120の解離速度は、MVCがECL2とV3ループの密接な関連を妨害するために、MVCの存在下で加速されることが報告されている。これらの試験に基づき、CVCは、ECL2/V3相互作用にMVCとは異なる効果を及ぼす可能性がある。CVCと複合化したCCR5の解離及び表面プラズマ共鳴試験、ならびに結晶化は、このトピックに価値ある情報を提供するだろう。
【0119】
部位特異的変異誘発及び生化学試験は、CVCとのCCR5相互作用に重要な残基をはっきりとさせることが求められる。CCR5のN末端の近位置を決定することも対象である。
【0120】
本試験では、我々は、ウイルス負荷定量化がCVCの抗ウイルス有効性の正確な尺度であること、及びCVCによるウイルス侵入の阻害が細胞外環境への細胞表面からのウイルス粒子のリバウンドをもたらさないことを実証している。我々のインシリコ構造モデリングは、CVCとMVCの機能的差異についての潜在的な説明を提供する。CCR5へのgp120結合にCVCがどのように影響するのかを理解するためにさらなる試験が必要とされる。
【0121】
実施例16:腎線維症のマウスモデルにおける二重CCR5/CCR2拮抗薬セニクリビロックの抗線維化活性
背景:セニクリビロック(CVC)は、新規の、経口、1日1回の、二重CCR5/CCR2拮抗薬であり、第2b相HIV開発を完了している(試験202;NCT01338883)。CVCは、48週間にわたってCVCで処置された115人のHIV−1感染成人を含む少なくとも1用量で処置されている555対象で好ましい安全性プロファイルを有する。近年、CVCは、食餌誘発性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のマウスモデル及びチオアセトアミド誘発性線維症のラットモデルにおいて有意な抗線維化活性を実証した。ここで、我々は片側尿管結紮(UUO)により誘発した腎線維症の十分に確立されたマウスモデルにおいてCVCを評価した。
【0122】
方法論:試験動物を外科手術の前の日(−1日)に体重を対応させた処置群へと割り当てた。雄CD−1マウス(N=51;7〜8週齢)は、無菌開腹を介して、偽手術または完全右尿管結紮、すなわちUUOを受けた(
図12)。0日目〜5日目:偽手術を受けたマウスは、ビヒクル対照(0.5%メチルセルロース+1%Tween−80)を1日2回の強制経口投与を介して受けた;永久的UUO(permanent UUO)を受けたマウスは、ビヒクル対照、CVC 7mg/kg/日またはCVC 20mg/kg/日のいずれかを1日2回の強制経口投与を介して受けた。別の群は、抗トランスフォーミング増殖因子TGF−β1抗体、化合物1D11(陽性対照)を3mg/kg/日で−1日目〜4日まで、1日1回腹腔内投与で、及びビヒクル対照を0〜5日目まで受けた。CVC 100mg/kg/日群(N=9)は、最初は試験に含まれていたが、瀕死となったために早期に終了した(5日目に到達した動物がいなかったために解析は実行されなかった)。2000mg/kg/日までのCVC用量が、外科手術を含まないマウス毒性試験において十分に耐容性を示した。5日目に、動物に麻酔し、血液及び組織を回収してから屠殺した。
【0123】
試験エンドポイント:試験エンドポイントには:a)体重及び腎臓重量;b)閉塞性腎臓からの、ピクロシリウスレッド染色(腎皮質領域の60〜70%の試料採取を可能にするために光学顕微鏡検査[200倍]を用いて盲検様式で獲得及び評価された10画像/深度/腎臓)の組織学的定量的画像解析により評価され、3つの解剖学的に異なる(200〜250μM離れている)組織切片にわたる平均陽性染色、または深度として表された複合コラーゲン体積分率(CVF[画像化された総面積(%)])スコアにより定量化された閉塞性腎臓における線維症;c)生化学解析により評価された凍結腎皮質組織生検のヒドロキシプロリン含有率;d)線維促進性及び炎症性のバイオマーカー(MCP−1、コラーゲン1a1、コラーゲン3a1、TGF−β1、フィブロネクチン−1、α−平滑筋アクチン(α−SMA)及び結合組織成長因子−1(CTGF−1)を含むmRNA発現;を含み、これは、HPRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)に相対発現を正規化したLuminex(登録商標)(Life Technologies(商標)、米国、カリフォルニア州カールスバッド)アッセイを介して評価される。
【0124】
統計学的解析:データは、平均±平均の標準誤差(SEM)として表す。統計学的解析は、GraphPad Prism(登録商標)(GraphPad Software、Inc.,米国、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して行った。偽手術+ビヒクル対照とUUO+ビヒクル対照群との間、及びUUO+ビヒクル対照とUUO+化合物1D11(陽性対照)群との間での処置差は、対応のないt検定によって解析した。UUO+ビヒクル対照とCVC用量群との間の処置差は、一元配置ANOVA(分散分析)とダネットの検定(事後)によって解析された。
【0125】
方法:CVCは、有意な抗線維性効果を実証し、これは、腎線維症の十分に確立されたマウスUUOモデルにおけるコラーゲン体積分率またはCVF(組織学的閉塞腎臓切片においてコラーゲンについて陽性に染色された面積%)の減少により規定された。閉塞性腎臓におけるコラーゲン1a1、コラーゲン3a1、TGF−β1及びフィブロネクチン−1 mRNA発現において低減の傾向が観察されたが、これらは統計学的有意性には達しなかった。まとめると、CVCの作用様式、動物モデル(腎臓及び肝臓)における抗線維性活性、及び大規模な安全性データベースは、線維性疾患におけるさらなる評価を支持する。NASH及び肝臓線維症を有する非HIV感染患者における概念実証試験を計画する。HIV−1感染患者における第III相治験も、ガイドラインが好む第三の薬剤と共投与されるとき、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン(TDF/FTC)に対する新規の「バックボーン」としての固定用量併用のCVC/ラミブジン(3TC)を評価するように計画される。
【0126】
結果:体重及び閉塞性腎臓重量:5日目で、CVC 7mg/kg/日及び化合物1D11(陽性対照)は体重に効果を有さなかったが、CVC 20mg/kg/日は、UUO+ビヒクル対照群の体重に対して、中程度だが有意な低減(5%)をもたらした(p<0.05)(
図13;体重変化はグラム[g]で示す)。UUO+ビヒクル対照群に対して有意な処置効果(CVCまたは化合物1D11[陽性対照])は閉塞性または対側性腎臓重量または腎臓重量指数で観察されなかった(データは示さず)。組織学:CVFの複合測定値(composite measure)(3つの深度にわたる平均化面積%[±SEM])は、偽手術群のそれと比較してUUO+ビヒクル対照群において有意に高かった(11.4±1.0倍;p<0.05)(
図14)。CVFの複合測定値(3つの深度にわたる平均化[±SEM])において、CVC 7mg/kg/日及び20mg/kg/日及び化合物1D11(陽性対照)は、UUO+ビヒクル対照群のそれと比較して有意にUUO誘発性増加を減弱した(それぞれ28.6±8.8%、31.8±6.8%及び50.3±7.3%減少;p<0.05)。
【0127】
ヒドロキシプロリン含有率:UUO+ビヒクル対照群からの閉塞性腎臓のヒドロキシプロリン含有率(タンパク質の割合(%))は、偽手術群に比べて有意に増加した(0.72%対0.27%;p<0.05)(データは示さず)。試験したCVCの用量はいずれも、UUO+ビヒクル対照群と比べて閉塞性腎臓ヒドロキシプロリン含有率におけるUUO誘発性増加に影響しなかった;しかしながら、化合物1D11(陽性対照)群は有意に低いレベルを有した(0.55%対0.72%;p<0.05)(データは示さず)。
【0128】
線維促進性及び炎症性のバイオマーカーmRNA発現:評価されたそれぞれのバイオマーカー(MCP−1、コラーゲン1a1、コラーゲン3a1、TGF−β1、フィブロネクチン−1、α−SMA及びCTGF−1)に関して、UUO+ビヒクル対照群におけるmRNAの発現は、偽手術群のそれと比較して有意に増加した(p<0.05)(
図15)。CVC 7mg/kg/日及び20mg/kg/日はコラーゲン1a1、コラーゲン3a1、TGF−β1及びフィブロネクチン−1 mRNA発現におけるUUO誘発性増加を減弱した。しかしながら、これらの減少は、UUO+ビヒクル対照群と比較すると、統計学的有意性には達しなかった。化合物1D11(陽性対照)は、UUO+ビヒクル対照群に対して、コラーゲン1a1、コラーゲン3a1、TGF−β1及びフィブロネクチン−1のmRNA発現におけるUUO誘発性増加を有意に減少した(p<0.05)。CVC 7mg/kg/日及び20mg/kg/日及び化合物1D11(陽性対照)は、UUO+ビヒクル対照群と比較して、閉塞性腎臓皮質MCP−1、α−SMA及びCTGF−1 mRNA発現におけるUUO誘発性増加に有意な効果を有さなかった。(α−SMA及びCTGF−1 mRNAのデータは示さず)。
【0129】
結論:CVCは、有意な抗線維性効果を実証し、これは腎線維症の十分に確立されたマウスUUOモデルのコラーゲン体積分率またはCVF(組織学的閉塞腎臓切片におけるコラーゲンについて陽性に染色された面積%)における減少により規定された。閉塞性腎臓のコラーゲン1a1、コラーゲン3a1、TGF−β1及びフィブロネクチン−1 mRNA発現において低減の傾向が観察されたが、これらは統計学的有意性には達しなかった。まとめると、CVCの作用様式、動物モデル(腎臓及び肝臓)における抗線維性活性、及び大規模な安全性データベースは、線維性疾患におけるさらなる評価を支持する。NASH及び肝臓線維症を有する非HIV感染患者における概念実証試験を計画する。HIV−1感染患者における第III相治験も、ガイドラインが好む第三の薬剤と共投与されるとき、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン(TDF/FTC)に対する新規の「バックボーン」としての固定用量併用のCVC/ラミブジン(3TC)を評価するように計画される。
【0130】
実施例17:48週間にわたってセニクリビロックを受けているHIV−1感染成人におけるsCD14の低減と相関するAPRI及びFIB−4線維症スコアにおける改善
背景及び目的:セニクリビロック(CVC)は、新規の、経口、1日1回のCCR2/CCR5拮抗薬であり、臨床治験において好ましい安全性及び抗HIV活性を実証している。CVCは、肝臓疾患の2つの動物モデルにおいて抗線維性活性を実証した。事後分析を試験202(NCT01338883)におけるAPRI及びFIB−4スコアに実行した。
【0131】
方法:CCR5好性HIV−1、35kg/m2以下のBMIを有し、明らかな肝臓疾患を有さない(すなわち、ALT/ASTグレードは2以下、総ビリルビンは基準値上限以下で、HBV、HCV、活性または慢性肝臓疾患、または肝硬変無し)143人の成人をCVCまたはエファビレンツ(EFV)に4:1に無作為化した。APRI及びFIB−4スコアを算出した。ベースライン(BL)から第24週及び第48週までのスコアカテゴリーにおける変化を欠落データがない患者において評価した。APRI及びFIB−4スコア、ならびにMCP−1(CCR2リガンド)及びsCD14(炎症性のバイオマーカー)レベルにおけるBLからの変化間の相関性を評価した。
【0132】
結果:BLでは、EFVよりもCVCでより多くの患者が0.5以上のAPRI及び1.45以上のFIB−4を有した;これらの閾値を超えるCVC患者の割合は、第24週及び第48週で低減した(表)。有意な相関性が、第24週では、APRIスコア及びMCP−1レベルにおける変化間(p=0.014)、ならびにFIB−4スコア及びsCD14レベル間(p=0.011)で、第48週では、APRI(p=0.028)及びFIB−4スコア(p=0.007)及びsCD14レベルにおける変化間で観察された(表11)。
【表11】
【0133】
結論:明らかな肝臓疾患を有さないこの集団では、CVC処置は、APRI及びFIB−4スコアにおける改善を伴い、相関性が、第48週でのAPRI及びFIB−4スコア及びsCD14レベルにおける変化間で観察された。証明されたCCR2/CCR5拮抗効果、動物モデルにおける抗線維性効果及び広範囲な臨床安全性データは、全て肝臓線維症におけるCVCの臨床試験を支持する。
【0134】
実施例18:非アルコール性脂肪性肝炎のSTAMモデルにおけるセニクリビロックのインビボ有効性試験
このインビボ有効性試験は、非アルコール性脂肪性肝炎のSTAM(商標)マウスモデルにおけるセニクリビロックの効果を検査するために行われた。
【0135】
材料及び方法
実験設計及び処置
試験群
群1−ビヒクル:18匹のNASHマウスに、6週齢から1日2回(9:00及び19:00)10mL/kgの容量でビヒクルを経口投与した。
【0136】
群2−セニクリビロック20mg/kg(CVC−低):18匹のNASHマウスに、6週齢から1日2回(9:00及び19:00)10mg/kg(20mg/kg/日)の用量でセニクリビロックを補充したビヒクルを経口投与した。
【0137】
群3−セニクリビロック100mg/kg(CVC−高):18匹のNASHマウスに、6週齢から1日2回(9:00及び19:00)50mg/kg(100mg/kg/日)の用量でセニクリビロックを補充したビヒクルを経口投与した。
【0138】
表12は、処置スケジュールをまとめたものである:
【表12】
【0139】
結果
パート1:CVCの抗NASH/線維症効果を評価するための試験
第9週までの体重変化及び全身状態(
図16)
【0140】
体重は、処置期間中に徐々に増加した。処置期間中のビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で平均体重における有意差はなかった。本試験において、処置期間を通して全身状態の悪化を示した動物はなかった。
【0141】
第9週での屠殺当日の体重(
図17A及び表13)。
【0142】
ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で平均体重における有意差はなかった(ビヒクル:18.9±3.3g、CVC−低:19.5±2.0g、CVC−高:18.7±0.9g)。
【表13-1】
【表13-2】
【0143】
第9週での肝臓重量及び体重に対する肝臓重量の比率(
図17B及びC及び表13)。
【0144】
ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で平均肝臓重量における有意差はなかった(ビヒクル:1270±326mg、CVC−低:1334±99mg、CVC−高:1307±119mg)。
【0145】
ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で体重に対する肝臓重量の比率平均における有意差はなかった(ビヒクル:6.6±0.8%、CVC−低:6.9±1.0%、CVC−高:7.0±0.8%)。
【0146】
第9週での全血及び生化学
全血グルコースデータを
図18A〜D及び表14に示す。
【0147】
ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で血中グルコースレベルにおける有意差はなかった(ビヒクル:590±108mg/dL、CVC−低:585±91mg/dL、CVC−高:585±91mg/dL)。4.4.2.血漿ALT(
図18B、表14)。CVC−低及びCVC−高群は、ビヒクル群と比較して血漿ALTレベルにおける有意な低減を示した(ビヒクル:133±80U/L、CVC−低:58±12U/L、CVC−高:52±13U/L)。
【表14-1】
【表14-2】
【0148】
血漿MCP−1データを
図18C及び表14に示す。CVC−高群は、ビヒクル群と比較して血漿MCP−1レベルにおいて有意な増加を示した。ビヒクル群とCVC−低群との間では血漿MCP−1レベルにおける有意差はなかった(ビヒクル:60±4pg/mL、CVC−低:68±16pg/mL、CVC−高:91±14pg/mL)。
【0149】
血漿MIP−1βデータを
図18D、表14に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で血漿MIP−1βレベルにおける有意差はなかった(ビヒクル:18±5pg/mL、CVC−低:18±2pg/mL、CVC−高:20±4pg/mL)。
【0150】
第9週での肝臓の生化学
肝臓トリグリセリド含有率データを
図18D及び表14に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で肝臓トリグリセリド含有率における有意差はなかった(ビヒクル:40.8±20.4mg/肝臓g、CVC−低:48.5±16.1mg/肝臓g、CVC−高:51.7±14.1mg/肝臓g)。
【0151】
肝臓ヒドロキシプロリン含有率データを
図18E及び表14に示す。肝臓ヒドロキシプロリン含有率は、ビヒクル群と比較して、CVC−低及びCVC−高群において低減する傾向があった(ビヒクル:0.75±0.18μg/mg、CVC−低:0.63±0.05μg/mg、CVC−高:0.62±0.09μg/mg)。
【0152】
第9週での組織学的解析
HE染色及びNAFLD活性スコアデータを
図19及び20、及び表15に示す。ビヒクル群からの肝臓切片は、深刻な小滴性及び大滴性脂肪沈着、肝細胞風船様腫大及び炎症性細胞浸潤を呈した。CVC−低及びCVC−高群は、炎症性細胞浸潤及び肝細胞風船様腫大において中程度の改善を示し、ビヒクル群と比較してNASにおける有意な減少を伴った。(ビヒクル:5.3±0.5、CVC−低:4.0±0.6、CVC−高:3.7±0.8)。HE染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図19に示す。
【表15-1】
【表15-2】
【0153】
シリウスレッド染色データを
図21、22、23及び表16に示す。ビヒクル群からの肝臓切片は、肝臓小葉の中心周囲領域におけるコラーゲン沈着を示した。ビヒクル群と比較して、中心周囲領域におけるコラーゲン沈着は、CVC−低及びCVC−高群において顕著に減少した。線維症面積(シリウスレッド陽性面積)はビヒクル群と比較してCVC−低及びCVC−高群において有意に低減した(ビヒクル:1.10±0.31%、CVC−低:0.66±0.16%、CVC−高:0.64±0.19%)。改変(modified)された線維症面積も、ビヒクル群と比較してCVC−低及びCVC−高群において有意に低減した(ビヒクル:0.61±0.23%、CVC−低:0.29±0.14%、CVC−高:0.20±0.06%)。
【表16-1】
【表16-2】
【表16-3】
【0154】
肝臓のシリウスレッド染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図21に示す。
【0155】
F4/80免疫組織化学データを
図22及び23、及び表16に示す。ビヒクル群からの(form)肝臓切片のF4/80免疫染色により、肝臓小葉におけるF4/80+細胞の蓄積が実証された。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間でF4/80+細胞の数及びサイズ、ならびに炎症面積(F4/80陽性面積)の割合(%)において有意差はなかった(ビヒクル:4.99±1.10%、CVC−低:4.77±1.02%、CVC−高:4.96±0.60%)。
【0156】
F4/80免疫染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図22に示す。
【0157】
F4/80+CD206+及びF4/80+CD16/32+免疫組織化学データを
図24、25、26、27、28、及び表16に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間でマクロファージにおけるF4/80+CD206+細胞の割合(%)において有意差はなかった(ビヒクル:34.3±4.2%、CVC−低:34.7±6.3%、CVC−高:33.1±3.0%)。ビヒクル群とCVC−低群間でマクロファージにおけるF4/80+CD16/32+細胞の割合(%)において有意差はなかった。F4/80+CD16/32+細胞の割合(%)は、ビヒクルと比較してCVC−高群において増加する傾向があった(ビヒクル:33.5±3.7%、CVC−低:38.7±7.6%、CVC−高:41.5±8.2%)。ビヒクル群とCVC−低群間でM1/M2比率における有意差はなかった。CVC−高群では、M1/M2比率は、ビヒクルと比較して増加する傾向にあった(ビヒクル:99.6±20.2%、CVC−低:112.3±17.0%、CVC−高:125.1±21.9%)。
【0158】
F4/80及びCD206、F4/80及びCD16/32二重免疫染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図24及び26に示す。
【0159】
オイルレッド染色データを
図29、30、及び表16に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で脂肪沈着において、ならびに脂肪沈着面積(オイル陽性面積)の割合(%)において有意差はなかった(ビヒクル:9.66±5.02%、CVC−低:6.51±3.88%、CVC−高:7.23±3.59%)。
【0160】
オイルレッド染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図29に示す。
【0161】
TUNEL染色データを
図31、32及び表16に示す。TUNEL陽性細胞の割合(%)は、ビヒクル群と比較してCVC−低群において有意に増加した。ビヒクル群とCVC−高群間でTUNEL陽性細胞の割合(%)における有意差はなかった(ビヒクル:36.0±3.7%、CVC−低:43.3±2.9%、CVC−高:39.0±5.3%)。
【0162】
肝臓におけるTUNEL陽性細胞の代表的な顕微鏡写真を
図31に示す。
【0163】
第9週での遺伝子発現解析のデータを
図33及び表17〜18に示す。
【表17】
【表18-1】
【表18-2】
【表18-3】
【0164】
TNFα
ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間でTNFα mRNA発現レベルにおける有意差はなかった(ビヒクル:1.00±0.24、CVC−低:1.16±0.39、CVC−高:1.09±0.23)。
【0165】
MCP−1
ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間でMCP−1 mRNAにおける有意差はなかった(ビヒクル:1.00±0.31、CVC−低:1.05±0.50、CVC−高:1.00±0.53)。
【0166】
コラーゲン1型
コラーゲン1型mRNA発現レベルは、ビヒクル群と比較してCVC−低群において有意に下方制御された。コラーゲン1型mRNA発現レベルは、ビヒクル群と比較してCVC−高群において下方制御される傾向にあった。(ビヒクル:1.00±0.42、CVC−低:0.63±0.10、CVC−高:0.73±0.04)。
【0167】
TIMP−1
ビヒクル群とCVC−低及びCVC−高群のいずれかとの間でTIMP−1 mRNA発現レベルにおける有意差はなかった(ビヒクル:1.00±0.46、CVC−低:0.75±0.32、CVC−高:0.80±0.20)。
【0168】
パート2:CVCの抗HCC効果を評価するための試験
第18週までの体重変化(
図35)
体重は、処置期間中に徐々に増加した。処置期間中のビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で平均体重における有意差はなかった。
【0169】
生存解析データを
図36に示す。ビヒクル群において59日目(ID112)、75日目(ID113、115)及び84日目(ID116)に12匹中4匹のマウスが死亡した(投与の最初の日を0日目と設定した)。CVC−低群では、62日目(ID209)、64日目(ID217)、75日目(ID212)、76日目(ID213)、84日目(ID215)及び86日目(ID208)に12匹中6匹のマウスが死亡した。CVC−高群では、62日目(ID317)、65日目(ID312)、70日目(ID316)、78日目(ID314)及び85日目(ID309)に12匹中5匹のマウスが死亡した。NASHの典型的な肝病変を除いて死亡動物における異常な検視所見はなかった。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で生存率において有意差はなかった。委託者の指示により、残りの動物を18週齢で予定よりも早く屠殺した(予定の屠殺は20週齢)。
【0170】
第18週での屠殺当日の体重データを
図37A及び表19に示す。体重は、ビヒクル群と比較してCVC−高群において低減する傾向にあった。ビヒクル群とCVC−低群間で平均体重における有意差はなかった。(ビヒクル:23.0±2.3g、CVC−低:22.9±3.5g、CVC−高:20.8±2.7g)。
【表19】
【0171】
第18週での肝臓重量及び体重に対する肝臓重量の比率データを
図37B及びC及び表19に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で平均肝臓重量における有意差はなかった(ビヒクル:1782±558mg、CVC−低:1837±410mg、CVC−高:1817±446mg)。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で体重に対する肝臓重量の平均比率における有意差はなかった(ビヒクル:7.7±2.2%、CVC−低:8.3±2.8%、CVC−高:8.8±2.3%)。
【0172】
第18週での肝臓の巨視的解析
肝臓の巨視的外見を
図38A〜Cに示す。
【0173】
肝臓表面上に形成された可視腫瘍結節の数を
図39及び表20に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で個別のマウスあたりの肝腫瘍結節の数における有意差はなかった(ビヒクル:2.4±4.1、CVC−低:1.5±1.9、CVC−高:3.6±2.5)。
【表20-1】
【表20-2】
【0174】
肝臓表面上に形成された可視腫瘍結節の最大直径を
図40及び表20に示す。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で腫瘍の最大直径における有意差はなかった(ビヒクル:4.0±4.7mm、CVC−低:4.8±5.4mm、CVC−高:5.3±5.1mm)。
【0175】
第18週での組織学的解析
HE染色データを
図41に示す。HE染色は、ビヒクル群において、炎症性細胞の浸潤、大滴性及び小滴性脂肪沈着、肝細胞風船様腫大、病巣変化及び結節性病変を明らかにした。ビヒクル群において8匹中6匹のマウスがHCC病変を呈した。HCC病変は、CVC−低群において6匹中5匹のマウスで、CVC−高群において7匹中6匹のマウスで検出された。ビヒクル群とCVC−低またはCVC−高群のいずれかとの間で明らかな差は見いだされなかった。
【0176】
HE染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図41に示す。
【0177】
GS免疫組織化学データを
図42に示す。切片内のGS陽性結節を、それぞれ、ビヒクル群において8匹中6匹のマウスで、CVC−低群において6匹中5匹のマウスで、及びCVC−高群において7匹中7匹のマウスで検出した。
【0178】
GS染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図42に示す。
【0179】
CD31免疫組織化学データを
図43及び44及び表21に示す。CD31陽性面積はビヒクル群と比較してCVC−低群において低減する傾向にあった。CD31陽性面積はビヒクル群と比較してCVC−高群において増加する傾向にあった(ビヒクル:2.71±1.36%、CVC−低:1.47±1.10%、CVC−高:3.68±1.37%)。
【0180】
CD31染色切片の代表的な顕微鏡写真を
図43に示す。
【表21】
【表22】
【0181】
要約及び考察
第9週での解析では、低及び高用量のCVCでの処置は、用量依存的様式で線維症面積を有意に低下させた。これは、本試験におけるCVCの抗線維化効果を実証している。低及び高用量のCVCでの処置は、コラーゲン1型のmRNA発現レベル及び肝臓ヒドロキシプロリン含有率も低下させ、これはその抗線維性特性を支持している。CVC処置群は、血漿ALTレベル及びNASを用量依存的様式でビヒクル群と比較して有意に低減させた。NASにおける改善は、小葉炎症及び肝細胞風船様腫大の減少によるものである。肝細胞風船様腫大は酸化ストレス誘発性肝細胞障害に由来し、NASHの疾患進行を伴う[26;27]ため、肝細胞損傷及び風船様腫大を阻害することによりCVCがNASH病理学を改善したことが強く示される。合わせて、CVCは、本試験において、潜在的な抗NASH及び肝保護的効果を有する。
【0182】
ヒトにおいて示されるように、本試験においてCVCでの処置によって血漿MCP−1レベルは増加し、これはCVCによるCCR2の用量依存的拮抗効果を示すが、血漿MIP−1βレベルは処置による有意な変化を何ら示さなかった。CVCの作用の機構を調査するために、我々は、マクロファージの集団に及ぼすCVCの効果を評価した。予備結果は、CVCがビヒクル群と比較して高いM1/M2比率の傾向を示したことを実証した。これは、CVCが炎症した肝臓においてマクロファージ分集団のバランスを調節することにより線維形成を阻害する可能性を示す。これは、将来さらに調査されるだろう。
【0183】
第18週での解析では、NASH由来HCCへの効果はCVC処置群において観察されなかった。結論として、CVCは、抗NASH、肝保護的及び抗線維化効果を本試験において示した。
【0184】
実施例19:CVC及び代謝産物の受容体結合特性
CVCは、5.9nmol/Lの50%阻害濃度(IC50)を有するCCR2拮抗薬であるという、特有の特性をインビトロで有する。CVCは、CCR5発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞へのRANTES、MIP−1α、及びMIP−1βの結合を、それぞれ3.1、2.3、及び2.3nmol/LのIC50で用量依存的に阻害した。CVCは、ヒトのエキソビボで、CD4+T細胞については3.1nM及びCD8+T細胞については2.3nMの濃度でCCR5について90%以上の受容体占有率を達成した[4]。CVCは、5.9nmol/LのIC50でCCR2bへのMCP−1の結合を阻害した。CVCは、ヒトのエキソビボで、6nMで単球上のCCR2について約98%受容体占有率を達成し、MCP−1の不存在下で単球上のCCR2発現を減少させた。CVCは、CCR3及びCCR4へのリガンド結合を弱い程度にのみ阻害した。CVCは、CCR1またはCCR7へのリガンド結合を阻害しなかった。CVCは、RANTES誘発性Ca2+動員を遮断した。
【0185】
CVCの2つの代謝産物(M−I及びM−II)は、動物試験において検出された(実施例20を参照);M−IIは、サル及びイヌにおける主な代謝産物であり、M−Iは全種における少数派の代謝産物であった。M−Iは、CVCのIC50のおおよそ2倍である6.5nmol/LのIC50でCCR5発現細胞へのRANTESの結合を阻害した。M−IIはRANTESの結合に効果を有さなかった。
【0186】
実施例20:代謝産物の同定
食餌動物への3mg/kgでの[14C]−CVCの単回用量、経口投与後、不変CVCがラット及びイヌの血漿中で検出された主な成分であり、総14Cに対するCVCのAUC0−24比率はそれぞれ58.9%及び47.4%であった[44]。サルでは、この比率は12.9%のみであったが、比較的大量の代謝産物M−IIが検出され、総14Cに対するM−IIのAUC0−24比率は34.3%であった。特にイヌ及びサルにおいて、M−IIの量は、静脈内投与後よりも経口投与後に有意に多かった。これらの結果は、CVCが全身循環に達する前にM−IIに代謝され得ることを示す。M−I、T−1184803、及びT−1169518を含む少数派の代謝産物も、ラット、イヌ、及びサルの血漿中で検出された。代謝産物M−Iは、CVCのスルフィニル部分の酸化によって形成され、M−IIは、[(1−プロピル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル基のC−S結合の切断、その後のS−メチル化を伴うスルフィニル部分のその後の減少によって形成されると推論される。
【0187】
臨床治験
実施例21:HIV−1感染成人対象における短期有効性データ
方法
CCR5好性HIV−1感染を有する対象における10日間のCVCの単独療法の抗ウイルス活性、PK、安全性、及び耐容性を評価する第2a相二重盲検、無作為化、プラセボ対照、用量漸増試験。参加者は、抗レトロウイルス処置経験済みであることが求められ、CCR5拮抗薬未経験であること、少なくとも5000コピー/mLのHIV−1 RNAレベル及び少なくとも250細胞/mm
3のCD4+細胞数が行われていることが求められる。10対象の群をCVC(25、50、75、100、または150mg)または対応するプラセボを受けるようにコホートごとに4:1の対象比率で順次登録した。全ての対象は、1日1回用量のCVCまたはプラセボを10日間受け、40日目まで経過観察した。
【0188】
人口統計及び他のベースライン特徴
合計で54人の対象がこの試験に登録された。人口統計は、用量群にわたって概して類似した。各用量群における対象の大半は、男性(66.7%〜100%)であり、年齢中央値の範囲は、33.5歳(プラセボ群)〜45.0歳(150mg群)であった。ほとんどの対象は、白人またはアフリカ系アメリカ人であった。BMI中央値の範囲は、22.9kg/m2(100mg群)〜27.4kg/m2(25mg群)であった。HIV−1 RNA値の中央値の範囲は、4.00log10コピー/mL(150mg群)〜4.60log10コピー/mL(75mg群)であった。CD4+細胞数中央値は、150mg群(508.0細胞/mm
3)において最も高く、残りの群にわたって範囲は402.0〜460.0細胞/mm
3であった。
【0189】
有効性及び安全性の結果
CVCは、処置完了後に持続したHIV−1 RNAレベルへの強力な効果を示した。CCR5拮抗薬未経験、処置経験済みHIV−1感染対象における、25、50、75、及び150mg用量についてのベースラインからの最下点変化中央値は、それぞれ−0.7、−1.6、−1.8、及び−1.7log
10コピー/mLであった。これらの結果は、CVCの強力な拮抗性CCR5活性を実証する。HIV−1 RNAレベルにおける平均変化を
図45に示す。
【0190】
MCP−1(CCR2のリガンドであり、炎症促進性単球上に発現されるケモカイン共受容体であり、CCL2としても知られる)、hs−CRP、及びIL−6における変化の探索的評価が行われ、MCP−1において有意な用量依存的増加が観察された(表23)。
【0191】
10日目に、最小二乗平均MCP−1レベルは、プラセボ群において微かに下降したのに対し、25、50、75、及び150mg用量群で、ベースラインよりもそれぞれ56.3、94.2、34.4、及び334.3pg/mL高かった。50及び150mg用量では、これらの結果は、統計学的に有意であった(それぞれ、p=0.024及びp<0.001)。これらの結果は、CVCの強力な拮抗性CCR2活性を実証する。CVCは、この10日間の試験では全体でhs−CRPまたはIL−6レベルに効果を有さなかった。
【表23】
【0192】
有害事象
セニクリビロックは、試験用量で概して十分に耐容性を示し、安全性に対する懸念は確認されなかった。死亡例、重篤な有害事象、または他の重大な有害事象はなく、有害事象による中止例もなかった。大半の処置により出現した有害事象の重症度は、軽度または中程度であった。150mgのCVC(すなわち、試験最高用量)を受けた対象は、他の用量群の対象と比較してより多くの有害事象を有したが、有害事象の重症度は全用量群にわたって同等であった。本試験にて非常に多かった(10%以上)処置により出現した有害事象は、悪心(18.5%)、下痢(16.7%)、頭痛(14.8%)、及び疲労(11.0%)であった。
【0193】
検査値の安全性
観察期間中にALT及び/またはAST上昇を有する対象が、25mg(2対象)、50mg(2対象)、100mg(1対象)、及び150mg(1対象)用量群において6人、及びAST上昇をプラセボ群において有する対象が1人いた。全ての上昇はグレード1であり、単回を超える上昇を有した2対象(両方とも50mg用量群)を除いて分離され、後遺症を伴わずに解決した。単回を超える上昇を有した2対象は、50mg用量群であり、これらの対象の1人はグレード1の上昇したASTをベースラインで有した。処置期間中に100mg及び150mg用量群の対象において観察されたAST上昇(各用量群で1対象に観察された)は、処置の継続中に正常値に戻った。試験中にALTまたはASTにおけるグレード2〜4の上昇は発生しなかった。
【0194】
グレード3またはより高い検査値異常は、投薬前に存在していた25mg用量群でのグレード3の低リン酸血症、ベースラインでグレード3のトリグリセリドを有した対象における50mg用量群でのグレード4のトリグリセリド上昇、及び膵炎の病歴を有する対象におけるそれぞれグレード3及び4のアミラーゼ及びリパーゼのみであった。
【0195】
心血管安全性及び理学的検査
グレード3収縮期高血圧が、ベースラインでの収縮期血圧においてグレード2の上昇を有した150mg用量群の対象で観察された。臨床的に関連する理学的検査またはECG所見はなかった。
【0196】
前述のように、CVCは、CCR5及びCCR2拮抗薬として二重活性を有する。MCP−1(CCR2のリガンド、CCL2としても知られる)、hs−CRP、及びIL−6における変化の探索的評価を実施し、MCP−1において有意な用量依存的増加を観察した(表24を参照されたい)。10日目に、最小二乗平均MCP−1レベルは、プラセボ群において微かに下降したのに対し、25、50、75、及び150mg用量群で、ベースラインよりもそれぞれ56.3、94.2、34.4、及び334.3pg/mL高かった。50及び150mg用量では、これらの結果は、統計学的に有意であった(それぞれ、p=0.024及びp<0.001)。これらの結果は、CVCの強力な拮抗性CCR2活性を実証する。CVCは、この10日間の試験では全体でhs−CRPまたはIL−6レベルに効果を有さなかった。
【表24-1】
【表24-2】
【0197】
抵抗性データ
試験201では、薬剤抵抗性試験を、ベースライン、7日目、及び40日目(または、該当する場合は、「早期終了」来診時)で行った。評価可能な試料を有する全ての対象は、CVCに完全に感受性のままだった。
【0198】
ウイルス親和性
試験201における全ての対象を、そのウイルスがCXCR4好性または二重/混合であった場合を除外するためにウイルス親和性について試験した。全ての対象は、スクリーニング(感度強化プロファイルアッセイ(enhanced sensitivity profile assay)に基づく)時にCCR5好性ウイルスを有した。CVCの合計で39対象が処置後に評価可能な試料を有し、これらの対象の1人(CVC 150mg用量群)は、10日目に二重/混合好性ウイルスを有すると見いだされた。(異なるアッセイを使用した別の検査値での)さらなる試験により、この対象が主にCXCR4好性ウイルスをベースラインで有したことが明らかになった。それゆえ、この対象は、組み入れ基準に従って、本試験に組み込まれるべきではなかった。この対象は、CVC処置に応答しなかった;この対象のHIV−1 RNAにおける最大低減は、ベースライン値から0.13log
10コピー/mL下であった。
【0199】
薬物動態/薬力学関係性
試験201において試験された全ての用量について、曝露において用量比例的増加を超える増加が「製剤F1」について観察され、これは、100mg用量コホート以外の全てに使用された。
【0200】
薬物応答は、以下の最大効果(E
max)モデル:
【数1】
を使用して特徴づけられ、式中、Eは効果であり、E0はベースライン効果(0に固定)であり、I
maxは最大阻害であり、Cは、PK変数(AUC
0−24、C
max、または定常状態濃度[C
ss])を示し、IC
50は、最大阻害の50%に相当するPK変数の値であり、γはシグモイド曲線性の程度を示す形状パラメータである。
【0201】
PK/PDモデルにおけるCVCのEmaxは、−1.43log
10コピー/mLであった。Emaxモデルに基づき、25、50、75、及び150mg用量に対するCVCの平均C
ssは、薬物の最大阻害効果の54.9%、79.8%、85.9%、及び95.9%になると予想された。ゆえに、75及び150mg QDの用量レベルは、強力な抗ウイルス活性を示し、PDはHIV−1感染対象においてCVCのE
maxの80%を超える効果を与えた。
【0202】
実施例22:HIV−1感染成人対象における長期有効性データ
試験202の有効性結果
試験設計及び目的
これは、CCR5単独好性ウイルスを有する、HIV−1感染、抗レトロウイルス未処置成人対象において、承認された抗レトロウイルス剤エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)と全て併用投与された、承認された抗レトロウイルス剤エファビレンツ(EFV、Sustiva(登録商標))と比較したCVC 100mg及びCVC 200mgの有効性及び安全性を評価する無作為化、二重盲検、ダブルダミー、48週の比較試験である。HIV−2、B型肝炎及び/またはC型肝炎、肝臓の硬変または任意の既知の活性または慢性活性肝臓疾患の病歴を有する対象は、本試験から除外した。
【0203】
おおよそ150対象を、固定用量併用製剤(TRUVADA(登録商標))で非盲検治験薬として提供された承認された抗ウイルス薬剤エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)と全て併用で、CVC 100mg+プラセボ、CVC 200mg+プラセボまたは承認された抗ウイルス剤エファビレンツ(EFV)+プラセボへと2:2:1比率で無作為化するように計画した(143対象が実際に(actuall)無作為化された)。薬物動態学的評価を、最初の25試験対象において実施して、CVC 100mg及びCVC 200mgの選択用量で十分なCVC血漿曝露が達成されたことを確認してから、残りの試験集団を組み入れた。
【0204】
人口統計及びベースライン特徴
大半の対象は男性(94%)及び白人(62%)であり、平均年齢は35歳で、平均ボディ・マス・インデックスは26.2kg/m
2であった。全体で、対象の32%は黒人/アフリカ系アメリカ人であった。加えて、無作為化対象の24%はヒスパニック系民族であった。
【0205】
ベースラインでは、HIV−1感染の期間中央値(すなわち、最初の陽性HIV−1試験してインフォームド・コンセント日までの時間[月数])は8か月であり、平均HIV−1 RNAは、4.50log
10コピー/mLであり、(対象の80%が100,000コピー/mL未満のウイルス負荷を有し)、平均CD4+細胞数は402細胞/mm
3であった(対象の58%が350細胞/mm3以上のCD4+細胞数を有した)。
【0206】
主要有効性結果
主要有効性エンドポイントは、FDAスナップショットアルゴリズムを使用して50コピー/mL未満のHIV−1 RNAとして定義された、第24週でのウイルス学的応答とした。ウイルス学的成功(応答)を有した対象の割合(%)は、3つの処置群の間で同等であった(CVC 100mgで76%、CVC 200mgで73%、及びEFVで71%)。CVC 100mg群(59人中17人の対象、29%)及びCVC 200mg群(56人中15人の対象、27%)よりもEFV群においてより多くの対象が本試験を早期に中止した(28人中11人の28対象、39%)。
【0207】
第48週データは、第24週で観察されたデータと矛盾しなかった。経時的なウイルス学的成功を有する対象の割合(%)は、3つの処置群で概して同等であったが、第48週でEFV群と比較してCVC群の方が高かった(CVC 100mgで68%、CVC 200mgで64%、及びEFVで50%)。
【0208】
副次的及び探索的解析
炎症のバイオマーカー
探索的解析として、炎症性バイオマーカーMCP−1、sCD14、高感度C反応性蛋白[hs−CRP]、インターロイキン−6[IL−6]、D−ダイマー、及びフィブリノゲン)のレベルを測定した。MCP−1、sCD14、hs−CRP、IL−6、D−ダイマー、及びフィブリノゲンのベースライン値及び第24週及び第48週でのベースラインからの変化を表25にまとめる。
【表25-1】
【表25-2】
【0209】
用量応答は、CVCで、CCR2のリガンドであるMCP−1の経時的な増加において観察されたが、一方でEFV群ではMCP−1はベースライン値のままであった(
図46を参照されたい)。EFV及びCVC 100mg及びCVC 200mg処置群間での血漿MCP−1のベースラインからの変化における差は、第24週及び第48週で統計学的に有意であった(p<0.001)(表25を参照されたい)。
【0210】
加えて、両CVC処置群において、sCD14では48週間の処置にわたる低減が観察された(繰り返しsCD14解析の線形混合モデル解析、下記を参照されたい)が、一方で同じ観察期間中にEFV群ではsCD14の増加が観察された(
図47を参照されたい)。可溶性CD14は、単球活性化のバイオマーカーであり、独立して、HIV感染患者の大規模な、長期コホート試験における罹患率及び死亡率と、ならびに慢性ウイルス性肝炎を有する患者及び重度の肝線維症を有する患者における不良臨床転帰と関連している。
【0211】
sCD14試料は、元々2つの別々のバッチにて解析された:バッチ1は、第24週主要解析に至るまでの試料を含み、バッチ2は、第32週及び第48週(試験の終了時)の試料を含んだ。2つのバッチ解析から得たベースラインからのsCD14における変化の結果を表25に表す。1つのバッチで全て解析されたアーカイブされた試料の繰り返し解析を、時点間の解析における一貫性のために実施した。共変量の影響を調整するために、線形混合モデル繰り返し測定解析をsCD14におけるベースラインからの変化に実施した(解析は2013年9月付け)。CVC 200mg群における第32週までのベースラインからの変化を除いて、48週間の処置にわたって両用量(100及び200mg)でのCVCで観察されたsCD14レベルの減少(LS平均)は、EFVで観察された増加と比較して統計学的に有意であった(p<0.05)(表26及び
図47を参照されたい)。
【表26】
【0212】
炎症の他のバイオマーカー(hs−CRP、IL−6、D−ダイマー)における変化は、CVC及びEFV処置群において同様であった。
【0213】
APRI及びFIB−4スコア
さらには、ストリンジェントな適格性基準(HIV−1感染、及び2以上のALT/ASTグレード、基準値上限を超える総ビリルビン、HBV及び/またはHCV、活性または慢性肝臓疾患、肝硬変または35kg/m2を超えるBMIを伴わない)、に従い明らかな肝臓疾患がないとされる対象を組み込んだこの試験からのデータの事後解析では、標準的な生化学値、血小板、ALT、AST、及び年齢(FIB−4)スコアを組み合わせたAST対血小板比指数(APRI)及び非侵襲性肝線維症指数スコアにおける改善が、全てのCVC処置対象(CVC 100mg及び200mgについての統合データ)の10%以上で経時的に観察された(
図48)。EFV群では、第24週での対象の5%及び第48週での対象の6%は、ベースラインから1つのカテゴリーでAPRIスコアにおいて低減を有した;EFVで処置された対象は、全ての対象が1.45未満のスコアをベースラインで有する場合に1つのカテゴリーでFIB−4において低減しなかった。
【0214】
上述のように、この試験では、CVCはまた、単球活性化の重要なマーカーであるsCD14に有意な効果を有した。上述と同じ事後解析で、第24週でCVC処置対象のFIB−4スコア及びsCD14レベルの変化間、ならびに第48週でAPRI及びFIB−4スコア及びsCD14レベルにおける変化間の統計学的に有意な相関性が観察された。第48週の結果を
図49及び
図50に示す。
【0215】
安全性結果
曝露の程度
治験薬物(CVCまたはEFV)の摂取の平均期間は、EFV処置群よりもCVC群において長かったが(それぞれ、CVC 100mg及び200mgで41.2及び40.9週、それに対しEFVで36.2週)、これはEFV群における中止率がより高かったことによる。
【0216】
全ての有害事象の要約
合計で、それぞれ、CVC 100mg、CVC 200mg、及びEFV群において、51対象(88%)、48対象(84%)、及び27対象(96%)が少なくとも1つの有害事象を有した。非常に頻度高く報告された有害事象(3処置群のいずれかの10%以上の対象における基本語)は、悪心、上気道感染、下痢、頭痛、発疹事象、疲労、浮動性めまい、鼻咽頭炎、異常な夢、不眠症、リンパ節症、うつ病、及び梅毒であった(表27)。これらの非常に頻度高く報告された有害事象から、頭痛、疲労、及び上気道感染は、EFV群よりもCVC群においてより頻度高く報告された;浮動性めまい、異常な夢、不眠症、リンパ節症、うつ病、及び梅毒は、CVC群よりもEFV群においてより頻度高く報告された。
【表27】
【0217】
ほとんどの有害事象は、軽度または中程度(グレード1またはグレード2)であった。グレード3または4の有害事象を表29にまとめた。グレード3以上の有害事象を経験した対象の割合(%)は、EFV群(15%)よりもCVC群(合計で4%)において低かった。EFV群の1対象(対象06007)が自殺念慮のグレード4の有害事象を有し、これは重篤であると考えられた。CVC処置対象ではグレード4の有害事象は報告されなかった。1対象以外のグレード3以上の有害事象(基本語)は報告されなかった。表28は、死亡、重篤な有害事象、有害事象、重症度ごとの有害事象、治験薬物に関連する有害事象、及び中止につながる有害事象の概要を提供する。
【表28】
【表29】
【0218】
重篤な有害事象を表30にまとめる。
【表30】
【0219】
中止につながる有害事象
治験薬物の中止につながる有害事象を表31にまとめる。合計で、治験薬物の中止につながる有害事象は、CVC 200mg群において1対象(2%)及びEFV群において6対象(21%)発生した。1人より多くの対象で報告された治験薬物の中止につながる有害事象(基本語)は、それぞれ3及び2対象で報告されたEFV群での不眠症及び浮動性めまいであり、CVC 200mg群において1対象及びEFV群において1対象報告されたうつ病であった(不眠症、浮動性めまい、及びうつ病はEFVについて全て共通する有害事象である)。
【表31】
【0220】
グレード付けされた処置により出現した検査値異常を有する対象の数の全体像を表32に提供する。
【表32】
【0221】
グレード3または4(最悪毒性グレード)の処置により出現した検査値異常を表33にまとめる。CVC 200mg群にてより頻度高く観察されたCPKの異常を除けば、処置群間でのグレード3またはグレード4検査値異常を有する対象の割合(%)における差はなかった。
【表33】
【0222】
クレアチンホスホキナーゼ(CPK)においてグレード3または4の増加が、他の2つの処置群よりもCVC 200mg群においてより頻度高く観察された。CVC群におけるCPKのグレード3または4増加を有する12対象(CVC 100mgで3対象及びCVC 200mgで9対象)から、11対象が単一時点で観察されたCPK上昇を有した(8対象がグレード3及び3対象がグレード4上昇を有した)(注記:これらの11対象の1人[対象48015]は、第8週及び第36週で単離されたグレード3のCPK上昇を有した)。12番目の対象(対象42001)は、その後の来診で処置継続中に正常値に戻った2つの連続したCPK上昇(グレード3、その後グレード4)を有した。CPK上昇はいずれも、臨床的症状を伴わなかった;CPK上昇のために中止した対象はなく、CVC及びEFV群間で筋骨格障害に関連する有害事象における差はなかった。
【0223】
CPKにおけるベースラインからの変化を
図51に示す。いずれの処置群においても経時的な実際の値またはベースラインからの変化でCPKについて明らかな傾向は観察されなかった。
【0224】
対象となる選択した肝臓パラメータにグレード付けされた処置により出現した検査値異常を有する対象の数を表34に示す。グレード4のALTまたはAST上昇は観察されなかった。1つのグレード3のAST上昇を除き、全てのALT及びAST上昇は、グレード1またはグレード2であった。1対象(CVC 100mg群の48015)のグレード3AST上昇は、単一時点で観察され、無症候性であった;対象は、グレード3のAST上昇のために治験薬物を中止せず、AST上昇に関連する有害事象を報告しなかった。加えて、グレード3のAST上昇を有するこの対象は、任意のグレード付けされたビリルビン上昇を有さなかったが、単一のグレード3のCPK増加を、グレード3AST上昇と同じ試験来診時に有した。ビリルビンにおける全ての異常はグレード1またはグレード2であった。ALT、AST、及びビリルビン上昇の大半は、一過性で、継続処置の際その後の来診時にはベースライン値に戻り、いずれの臨床的症状も伴わず、中止をもたらさなかった。
【表34】
【0225】
探索的解析を、第24週及び第48週で行って、処置により出現した検査有害事象を有する対象におけるCVC曝露を評価した。特に対象となるのは、CVC 200mg群においてCPK異常の発生率が増加しているために、CPK上昇、及び対象となる肝臓パラメータ(AST、ALT、及びビリルビン)である。両曝露パラメータ(Cavg及びCmin)は、検査値異常との潜在的な関係性を探索するには妥当だと考えられた;しかしながらC
avgは、全体的なCVC曝露を反映するために、最も関連性が高いと考えられた。
【0226】
試験処置群間で差があるためにCPK上昇についての用量応答関係性の潜在的なシグナルであるにもかかわらず、これらの大規模な探索的解析はいずれの曝露応答関係性を明らかにすることができなかった。2を超えるグレードのCPK重症度の可能性に対してLn曝露を評価するロジスティック回帰分析の結果は、CVC曝露とCPK上昇間の関連を同定しなかった。CVC曝露に対してCPK上昇の頻度または重症度の増加のいずれにおいても傾向はなかった。
【0227】
同様の解析をALT、AST、及びビリルビン上昇について実施したが、これもCVC曝露と肝臓関連検査値異常との間のいずれの明らかな関係性も明らかにしなかった。(
図52〜
図55)。
【0228】
代謝パラメータ
空腹時来診でのグレード付けされた処置により出現した空腹時検査値異常を有する対象の数を表35に示す。総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、またはグルコースにおける全ての異常は、グレード1またはグレード2であった。総コレステロール及びLDLコレステロールに異常を有する対象の割合(%)は、EFV群よりもCVC群において少なく、これはCVC処置中のコレステロールにおける経時的な低減に一致する(
図56)。
【表35】
【0229】
HbA1c、HOMA−IR、空腹時LDL、空腹時HDL、空腹時総コレステロール、空腹時総コレステロール/HDL比率、及び空腹時トリグリセリドにおける平均ベースライン値及びベースラインからの変化を表36に示す。代謝パラメータにおけるベースラインからの平均変化を
図56に示す。CVC処置(両CVC 100mg及び200mg)中に総コレステロールにおける低減が観察され、これは主にLDLコレステロールにおける低減によるものである(表36を参照されたい)。対照的に、LDLコレステロールならびにHDLコレステロールにおいてEFV処置中に増加が観察された。空腹時総コレステロール/HDL比率において少ないが同等の低減が全ての処置群において観察された。グルコース、インスリン、HOMA−IR、HbA1c、及びトリグリセリドにおいて経時的な注目すべき変化は観察されなかった(表36を参照されたい)。
【表36-1】
【表36-2】
【0230】
第24週及び第48週のウエスト対ヒップ比においていずれの処置群においてもベースラインからの注目すべき変化は観察されなかった。
【0231】
心血管安全性
処置期間中に最悪の処置により出現したECG異常を表37にまとめる。30〜60ミリ秒を超えるQTcの増加を有する対象の割合は、EFV群と比較してCVC群で低かった。CVC 100mg群において1対象のみが60ミリ秒を超えるQTc増加を有した。延長または病理学的に延長されたQTcを有した対象はなかった。
【0232】
ECGパラメータにおける臨床的に関連する変化はいずれの処置群においても処置期間中観察されなかった。
【表37】
【0233】
バイタルサイン
臨床的に関連する平均変化は、いずれのバイタルサインパラメータ(収縮期及び拡張期血圧、心拍数)に関していずれの処置群においても観察されなかった。第2相治験MCP−1タンパク質及び遺伝子発現からのMCP−1に関するデータ観察は、異なる程度の肝臓損傷及び線維症での慢性肝臓疾患を有する患者の肝組織において上方制御されると示された。以前に示したように、血漿MCP−1レベルにおける代償性増加が、非臨床及び臨床試験でのCVC処置後に観察され、これは強力なCCR2遮断を示す。人におけるCVCによるCCR2拮抗作用に次ぐMCP−1レベルにおける代償性増加の延長の影響は現在まだ知られていないが、利用可能なデータは、48週の安全性データに基づき、肝胆道障害または肝臓パラメータにおける異常のリスクの増加を示していない。
【0234】
炎症の兆候は、慢性(3か月及び9か月)サル毒性試験における血漿MCP−1レベルが対照の約5倍であった1000mg/kg/日の高用量での微視的評価によって臨床病理学的パラメータまたは肝臓を含むいずれの組織においても見られなかった。
【0235】
実際、NASHのマウスモデルで観察された100mg/kg/日の用量でのCVCの抗線維化効果は、有意に増加した血漿MCP−1レベルと共に見られた。加えて、48週にわたってCVC処置対象において観察されたAPRI及びFIB−4線維症指数スコアにおける改善は、有意かつ持続的なMCP−1上昇にもかかわらず生じた。この試験でも、CVCは、最大48週までCVC 100mg及び200mgで処置された115対象において概して十分な耐容性を示した。
【0236】
1年目及び2年目でのNAS及び肝線維症ステージ(NASH CRNシステム及びIshak)における変化は、組織学により評価されるだろう。肝臓生検のコラーゲンの形態計測的定量的評価における変化も評価されるだろう。有効性エンドポイントとMCP−1血漿レベル間の相関性は評価されて、CVC処置で観察される延長されたMCP−1の増加がNASHによる肝臓線維症を有する対象における潜在的なリスクを示すかどうか決定されるだろう。
【0237】
実施例23:炎症及び免疫機能のバイオマーカー
単球上に見いだされるケモカイン受容体であるCCR2のリガンドであるMCP−1の経時的な増加における用量応答がCVCで観察され、一方でEFV群ではMCP−1はベースライン値のままであった。EFV及びCVC 100mg及びCVC 200mg処置群間での血漿MCP−1のベースラインからの変化における差は、第24週及び第48週で統計学的に有意であった(p<0.001)。これは、CVCによる強力及び用量依存的なCCR2遮断を示す。さらには、両CVC処置群で最初の24週にわたる低減が、単球活性化のバイオマーカーでありHIV感染における死亡率の独立した予測因子である、sCD14について観察され、一方で、同じ観察期間中にEFV群ではsCD14について増加が観察された。第24週及び第48週の間に、sCD14レベルはCVC処置対象においてベースライン値に戻ったが、EFV処置対象では上昇し続けた。CVC群とEFV群間のベースラインからの変化における差は第24週及び第48週で、さらに繰り返し解析では第48週で統計学的に有意であった(p<0.001)。これらの結果は、単球活性化の低減へのCVCの潜在的な効果を示す。
【0238】
他の炎症性バイオマーカー(hs−CRP、フィブリノゲン、IL−6、及びD−ダイマー)及び免疫機能のバイオマーカー(CD4+T細胞上またはCD8+T細胞上の総CD38+発現及び総HLA DR+発現)においてベースラインからの変化における処置群間で意味のある差は観察されなかった。
【0239】
実施例24:バクテリアルトランスロケーションに伴うバイオマーカーの測定
CVC処置対象におけるsCD14レベルにおける低減は、HIV感染[15]を有する患者ならびにNASH[16−18]、アルコール性肝臓疾患[17、19]、HIV/HCV重複感染[20]及び肝硬変[21]を有するものにおいて一般に観察される現象である、バクテリアルトランスロケーションにおける低減と同等とし得る。バクテリアルトランスロケーションは、腸管壁浸漏として一般に記載される現象である、腸粘膜関門を損なう、腸細胞のタイトジャンクション(TJ)の分解の結果として起こる。腸完全性(gut integrity)における低減は、免疫不全及び/または腸内細菌叢における有意な変化を伴っており、ディスバイオシス及び細菌異常増殖とも呼ばれる。リポ多糖類(LPS)及び16SリボソームDNA(16S rDNA)などの微生物産物のその後のトランスロケーションは、免疫活性化に寄与する。グラム陰性菌の細胞壁の構成成分であるLPSは、膜または可溶性CD14(sCD14;単球のLPS活性化の際に産生される)及びミエロイド分化−2(MD−2)−TLR4複合体と結合する[14]。
【0240】
リポ多糖類は、単球及びマクロファージにおける炎症性サイトカイン、特にTNF−αの非常に強力な誘導物質である。高い血漿sCD14レベルは、肝炎症、線維症、及び疾患進行の他のマーカーと独立したHBV及びHCV感染における疾患進行を予測する[20]。LPSを含む、腸起源の細菌産物、とりわけエンドトキシンへの曝露は、肝臓炎症、肝細胞傷害及び肝線維症をもたらす[22]。TLR4依存性機構を介したクッパー細胞の活性化及びその後の肝星細胞の活性化は両方とも線維形成の強力な駆動因子である[19]。
【0241】
この仮説は、試験652−2−202、来たる肝障害試験652−1−121及び肝臓線維症PoC試験652−2−203からアーカイブした試料においてバクテリアルトランスロケーションのバイオマーカーを試験することによって評価されるだろう。これらのバイオマーカーは、LPS、LPS結合タンパク質(LBP)、sCD14、腸型脂肪酸結合蛋白(I−FABP)を含むだろう。
【0242】
実施例25−CVC臨床第1相データ及び第2相に基づく結論
HIV感染対象CVCにおけるデータは、健常ボランティア対象(n=390)における14単回用量及び複数用量バイオアベイラビリティ試験及びDDI試験、ならびに最大48週までCVCで処置された115対象を含むHIV感染対象(n=159)における2つの第2相試験において評価されている。
【0243】
CVC単独が与えられた第1相試験において非常に頻度高く観察された有害事象は、第1相試験ユニットにおいて一般に報告された症状と矛盾しなかった。全体的には、有害事象のパターンは、最大800mgまでの単回用量及び最大200mgまでの10日間にわたる複数の一日用量のCVCを評価するこれらの第1相試験においてCVCが概して十分な耐容性を示したことを示す。これらの試験にわたって観察されたトランスアミナーゼ上昇の頻度及び程度は、科学文献にて第1相試験について記載されたパターンと矛盾しなかった。CVCは、25〜150mg用量(n=44)での第2a相の10日間CVC単独療法試験において、及びCVC 100mg及びCVC 200mg(n=115)の用量での第2b相の48週有効性及び安全性試験において評価されている。両試験において、及び全ての用量のCVCは、好ましい有害事象プロファイルを表した。第2b相試験からの48週データに基づき、CVCは、肝胆道障害またはトランスアミナーゼ上昇のリスクの増加を伴わなかった。この試験では、総コレステロール及びLDLコレステロールにおける低減が、CVC処置対象において観察された。ECGパラメータにおける臨床的に関連する変化または任意のバイタルサインパラメータに関する変化は48週の処置期間中に観察されなかった。有害事象、検査値異常(CPK、ALT、AST及びビリルビン上昇を含む)または用量制限毒性に関する明らかな用量または曝露関係性は観察されなかった。
【0244】
第1相プログラムからのデータ及びHIV感染対象の試験からの第2相データに基づき、我々は、NASHによる肝線維症を有する対象の処置において1日1回摂取されるCVC 150mgを2年の期間にわたって試験652−2−203(主要試験エンドポイントは1年目)で評価すると計画する。試験のクロスオーバーデザインは、2年連続のCVC処置ならびに1年間のプラセボ処置その後1年間のCVC処置の安全性及び有効性を評価するだろう。CVC処置がNASHによる肝線維症に与える影響の標準的な評価は、肝臓生検からの組織学的データ及び組織学的改善の他の測定値に基づいて実行されるだろう。安全性及び耐容性が評価され、肝の毒性または他の器官の毒性のサインについての注意深いモニタリングが実行されるだろう。これには、独立データモニタリング委員会による周期的なデータレビューを含む。試験は、CVCの抗炎症性及び抗線維化活性及びNASHによる肝線維症へのその影響を明瞭にする、及びCVC 150mgの安全性及び耐容性の評価のための追加のデータを提供すると期待される。
【0245】
実施例26−NASHにおける肝臓の組織学的改善を評価するためのCVCの試験
CVCが抗炎症性及び抗線維化活性を有し、概して十分に耐容性を示すことを示す、非臨床及び臨床データに基づき、Tobira社は、第2相試験にてNASHによる肝線維症を有する対象におけるCVCを調査することを計画する。この第2相試験は、2型糖尿病(T2DM)、全米コレステロール教育プログラム(NCEP)により定義された代謝症候群(MS)の少なくとも1つの基準を伴う高ボディ・マス・インデックス(BMI)(25kg/m2超)、架橋線維化、及び/または明確なNASH(5以上のNAS)を含む、少なくとも1つの寄与因子が存在するために疾患進行の恐れがある肝臓線維症を有する成人対象におけるNASHの処置に対するCVCの有効性を評価するだろう。
【0246】
第2相試験は、この重篤な状態を処置するCVCの可能性を評価するように、及びNASHによる肝線維症を有する患者の重大なアンメット・メディカル・ニーズに取り組むように設計される。この試験は、NASHによる肝線維症を有する対象における、プラセボと比較したときのCVC 150mgの有効性及び安全性を評価するように設計された無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である。試験集団は、疾患進行の恐れがあるNASH(4以上のNAS)による肝臓線維症(NASH臨床研究ネットワーク[CRN]ステージ1〜3)を有する対象からなる。
【0247】
CVC 150mg(DP7製剤)の用量は、以下を考慮して、試験652−2−203にて肝臓線維症を有する対象におけるNASHの処置について評価されるだろう。
【0248】
CVCは抗炎症性及び抗線維化活性の両方を提供すると予測され、これは主に、CCR2及びCCR5共受容体のその拮抗作用、ならびに肝臓傷害の部位への炎症促進性単球の動員、遊走及び浸潤に結果として与える効果のためである。それゆえ、この試験において使用するための用量を選択するために主に考慮することは、CVC血漿曝露がCCR2及びCCR5の最大に近い拮抗作用を提供するのに十分であることを確かにすることである。
【0249】
CVCによるCCR2及びCCR5拮抗作用は、インビトロ及びエキソビボ試験において、及びHIV−1感染の処置におけるCVCの2つの臨床試験(第2a相試験652−2−201及び第2b相試験652−2−202)において評価されている。それぞれの場合で、CCR2及びCCR5の強力な及び濃度依存性の拮抗作用が観察された。CCR2及びCCR5拮抗作用の臨床的エビデンスは、血漿MCP−1(CCR2のリガンド)濃度におけるベースラインからの変化及び血漿HIV−RNA(HIV侵入に必要とされるCCR5共受容体)における変化を、それぞれこれらの2つの第2相試験において測定することにより確立された。
【0250】
試験652−2−202では、CVC 100mg及びCVC 200mg(DP6製剤)の用量を、115人のHIV−1感染対象において最大48週間まで(CVC摂取の平均[標準誤差]期間:41.1[1.33]週)評価し、HIV感染の処置において有効で十分に耐容性を示すと見いだされた。CVC血漿濃度の増加がウイルス学的転帰の改善に相関すると示した曝露応答解析に基づき、第3相試験においてHIV感染を処置するための抗ウイルス剤としてCVCをさらに評価するためにはCVC 200mgが適切な用量と考えられた。
【0251】
CVC血漿曝露は、しかしながら、CVCが同じ投薬条件下で投与されたときHIV感染対象と比較して非HIV感染健常ボランティア対象においてより高いように思われる(試験652−1−111、652−1−110、652−2−202)。CVC 150mgの用量は、試験652 2 203において肝臓線維症を有する対象におけるNASHの処置について評価されるだろう。基準とする入手可能データに基づき、この用量は、治療的に関連する範囲にあると考えられ、NASH及び肝臓線維症を有する対象において、試験652−2−202において評価され強力なCCR2及びCCR5拮抗作用をもたらすと見いだされたCVC 200mgのそれと同等な曝露を提供すると予想される。
【0252】
合計で250対象(処置群あたり125対象)が計画され、総試験処置期間は2年だろう。試験集団には、以下の1つ以上の寄与因子(複数可)が存在するために疾患進行のおそれが増大しているNASH(4以上のNAS)及び肝臓線維症(ステージ1〜3[NASH CRNシステム])を有する対象が含まれるだろう。
【0253】
2型糖尿病の書類化された証拠
【0254】
NCEPにより定義される、代謝症候群の以下の基準:
【0255】
中心性肥満:ウエスト周囲102cmまたは40インチ以上(男性)、88cmまたは35インチ以上(女性)
【0256】
脂質異常症:1.7mmol/L(150mg/dL)以上のTG
【0257】
脂質異常症:40mg/dL未満(男性)、50mg/dL未満(女性)のHDLコレステロール
【0258】
130/85mmHg以上の血圧(または高血圧の処置を受けている)
【0259】
6.1mmol/L(110mg/dL)以上の空腹時血漿グルコースの少なくとも1つを伴う高BMI(25kg/m2超);または
【0260】
架橋線維化(NASH CRNステージ3)及び/または明確なNASH(5以上のNAS)。
【0261】
2つの処置期間があるだろう。処置期間1は、1年間の二重盲目無作為化処置(CVC 150mgまたは対応するプラセボ)からなるだろう。対象及び治験責任医師は、期間1中、処置割当に対して盲検のままだろう。処置期間2中、元々CVC 150mgに無作為化された対象は、もう1年その処置を受け続け、元々プラセボに無作為化された対象は、プラセボからCVC 150mgへとクロスオーバーするだろう。
【0262】
対象は、治験薬を、1日1回(QD)2年間にわたって受けるだろう。試験には2つの処置期間が含まれるだろう:処置期間1(第一の年)及び処置期間2(第二の年)。適格な対象がCVC(n=126)または対応するプラセボ(n=126)を処置の第一の年(処置期間1)に受けるように割当られるだろう。処置期間2では、プラセボ処置対象(ベースラインで無作為化)の半分が、処置の第二の年に、CVCにクロスオーバーし、残りの半分はプラセボのままだろう。ベースライン(1日目)に、スクリーニング評価後、適格な対象が、スクリーニング時のNAS(4または5以上)及び線維症ステージ(2以下または2超)により層別化された置換ブロック無作為化を使用して処置群に割当られるだろう。適格な対象は、以下の3処置群のうちの1つに2:1:1の比率で無作為化されるだろう。
【表38】
【0263】
CVC及び対応するプラセボは、二重盲検治験薬として投与されるだろう。治験薬(CVC/対応するプラセボ)は、毎朝食事と一緒に摂取されるべきである。
【0264】
主要エンドポイント(1年目)生検は、処置期間1の終了前1か月以内で処置期間2開始前に行われなければいけない。最後の(2年目)生検は、治験薬を用いた処置の終了前1か月以内に行われないといけない。
【0265】
登録は、最大20人までの対象が無作為化され処置され、データモニタリング委員会(DMC)により安全性データがレビューされるまでは、限られた数の部位で開始されるだろう。最初のDMCレビューは、最初の対象が登録された3か月以内、または最大20人までの対象が無作為化されて少なくとも10人の対象が1か月間処置された時のいずれか先に来た方にてなされるだろう。残りの試験対象のその後の登録は、DMCがこれらの最初の10〜20対象について安全性データを評価し、試験を継続してもよいと決定したらなされるだろう。
【0266】
処置期間1中、全ての対象は、1か月目の第2週及び第4週で安全性評価を受けるだろう。加えて、最初の20対象は、1か月目の第1週及び第3週で安全性評価を受けるだろう。全ての対象は、2か月目には2週ごとに、3〜6か月目の間は月1回、及び8、10、12か月目に試験来診評価を受けるだろう。処置期間2中は、対象は、13〜15か月目の間は月1回、ならびに18、21及び24か月目に来診するだろう。
【0267】
主要評価
試験中:
【0268】
肝臓生検はスクリーニング時、主要エンドポイント時(1年目:処置期間1の終了前1か月以内で処置期間2開始前)、及び2年目(処置の終了前1か月以内)に採取されるだろう。
【0269】
炎症促進性サイトカイン、炎症のバイオマーカー、肝細胞アポトーシスのバイオマーカー、バクテリアルトランスロケーションのバイオマーカー、空腹時代謝パラメータ、腎臓パラメータ、及びeGFRが、ベースラインならびに3、6、12、15、18、及び24か月目に測定されるだろう。
【0270】
利用可能な部位では、非侵襲的肝臓イメージング(例えば、超音波一過性エラストグラフィ(transient elastography)[TE]、2次元磁気共鳴エラストグラフィ[MRE]、音響放射圧[ARFI])の評価がベースライン及び6、12、18、及び24か月目で行われるだろう。
【0271】
CVCについての薬物動態試料は、ベースライン(処置を始める直前の投薬前試料)、0.5、3及び15か月目(投薬前及び投薬後少なくとも1時間)、ならびに6、12、18及び24か月目(投薬前)にて回収されるだろう。
【0272】
体重、ウエスト周囲、ヒップ周囲、腕周囲、及び上腕三頭筋部皮下脂肪厚が、ベースラインならびに3、6、12、15、18、及び24か月目で行われるだろう。身長は、スクリーニング時及び12か月目で行われるだろう。
【0273】
理学的検査及び検査解析は、各来診時に行われるだろう。ECGは、ベースラインならびに3、6、12、15、18、及び24か月目に行われるだろう。
【0274】
有害事象及び併用薬を各来診時に評価するだろう。
【0275】
NASH、肝臓線維症、及び肝臓生検手法に関するインフォームド・コンセント及び患者教育材料がスクリーニング来診時に復習されるだろう。
【0276】
治験薬予定表は、治験薬が調剤されるのと同時に各対象に提供されるだろう。予定表は、全ての処置中の来院及び早期中止来診の際に復習されるだろう。
【0277】
対象は、試験終了経過観察評価のためにその最後の処置を受けた1か月後に、診療所に戻るだろう。
【0278】
試験の主要な有効性目的は、小葉炎症及び風船様腫大カテゴリーの両方における少なくとも1点改善とともにNASにおける最小2点改善及び線維症ステージが同時的に悪化していない(悪化は、架橋線維化または肝硬変への進行と定義される)ことにより定義される、スクリーニング生検に対する1年目での非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)における肝組織学的改善を評価することだろう。
【0279】
二次的な有効性目的は、2年目で線維症ステージが同時的に悪化していない(悪化は、架橋線維化または肝硬変への進行と定義される)ことを伴うNASHの解決の評価;1年目で線維症ステージが同時的に悪化していない(悪化は、架橋線維化または肝硬変への進行と定義される)ことを伴うNASHの解決;肝臓線維症を有する成人対象におけるNASHの1及び2年間にわたる処置のCVCの安全性及び耐容性;集団PK解析におけるCVCの血漿PKの特徴づけ;1つより多いカテゴリーでの少なくとも1点改善とともにNASにおける最小2点改善と線維症ステージが同時的に悪化していない(悪化は、架橋線維化または肝硬変への進行と定義される)ことにより定義される2年目でのNASにおける肝組織学的改善の評価;1年目及び2年目での肝臓生検の形態計測定量的コラーゲンにおける変化により決定される肝臓線維症を有する成体対象におけるプラセボに対するCVCの有効性の評価;1年目及び2年目での組織学的線維症ステージ(非アルコール性脂肪性肝炎臨床研究ネットワーク[NASH CRN]システム及びIshak)における変化の評価;1年目及び2年目での肝組織線維形成性タンパク質(α−平滑筋アクチン[α−SMA])における変化の評価;非侵襲性肝線維症マーカー(APRI、FIB−4、ヒアルロン酸、FibroTest(FibroSure)、NAFLD線維症スコア[NFS]及びEnhanced Liver Fibrosis test[ELF])における3、6、12、15、18、及び24か月目でのベースラインからの変化の評価;1年目及び2年目での肝細胞アポトーシスのバイオマーカーにおけるベースラインからの変化の評価;肝臓パラメータ及び空腹時代謝パラメータにおける3、6、12、15、18、及び24か月目でのベースラインからの変化の評価;体重、BMI、ウエスト周囲、ウエスト対ヒップ比、腕周囲、及び上腕三頭筋部皮下脂肪厚における3、6、12、15、18、及び24か月目でのベースラインからの変化の評価を含む。
【0280】
第三の目的には、非侵襲的肝臓イメージング法(例えば、超音波一過性エラストグラフィ[TE]、2次元磁気共鳴エラストグラフィ[MRE]、音響放射圧[ARFI])における6、12、18、及び24か月目で(利用可能部位で)のベースラインからの変化;炎症促進性サイトカイン及び炎症のバイオマーカーにおける3、6、12、15、18、及び24か月目でのベースラインからの変化;推算糸球体濾過率(eGFR)及び腎臓パラメータにおける3、6、12、15、18、及び24か月目でのベースラインからの変化;及びバクテリアルトランスロケーションに伴うバイオマーカーにおける3、6、12、15、18、及び24か月目でのベースラインからの変化の評価が含まれる。
【0281】
本明細書の詳細な説明は、本発明の様々な態様及び実施形態を記載するが、別段の指示がない限り、それらのいずれも限定を意図しない。実際、本開示を読んだ当業者は、別段の指示がない限り、その全てが本発明の一部と考えられるべきである、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく成されることができる変形、変更、及び調整を認識するだろう。ゆえに、出願者は、本明細書に記載の発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることを認識する。
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