(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-510445(P2017-510445A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(54)【発明の名称】白金及び希土類酸化物に基づくナノ粒子並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/83 20060101AFI20170324BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20170324BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20170324BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20170324BHJP
H01M 4/92 20060101ALI20170324BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20170324BHJP
H01M 4/90 20060101ALI20170324BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20170324BHJP
【FI】
B01J23/83 M
B01J35/02 H
B01J37/08
H01M4/88 K
H01M4/92
H01M4/86 B
H01M4/90 B
H01M4/90 X
H01M8/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-558682(P2016-558682)
(86)(22)【出願日】2015年3月27日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2015056746
(87)【国際公開番号】WO2015144894
(87)【国際公開日】20151001
(31)【優先権主張番号】1452679
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス)
(71)【出願人】
【識別番号】508034934
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ポワティエール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ユイン
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン アリボー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ アロンソバント
【テーマコード(参考)】
4G169
5H018
5H026
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA21C
4G169BA27C
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4G169BB04B
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4G169BC38A
4G169BC40A
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4G169BC44B
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4G169BC75B
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4G169BE37C
4G169CC32
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4G169FB29
4G169FB31
4G169FC07
5H018AA06
5H018AS03
5H018BB01
5H018BB06
5H018BB12
5H018BB13
5H018BB17
5H018DD05
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5H018EE05
5H018EE12
5H018HH00
5H018HH01
5H018HH05
5H018HH08
5H026AA06
(57)【要約】
本発明は、少なくとも白金と少なくとも1種の希土類とを含む少なくとも1種の白金化合物を含むナノ粒子であって、前記希土類が、二原子酸素の還元反応(RRO)の触媒に対して特に有用な酸化形態で存在するナノ粒子、並びにそれらの調製方法に関連する。本発明はまた、前記ナノ粒子を含む陰極及びPEMFCとも呼ばれる、特に水素燃料電池におけるその使用に関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも白金と少なくとも1種の希土類とを含む少なくとも1種の白金化合物を含むナノ粒子であって、前記希土類が前記白金の表面で酸化物として存在する、ナノ粒子。
【請求項2】
前記白金化合物が、以下の式(I)、
Pt−MyOx(式中、xが存在する希土類原子Mの数であり、yが存在する酸素原子の数である)を有する、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
触媒ナノ粒子は担持されている、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
イットリウム、ガドリニウム、サマリウム、セリウム、ユウロピウム、プラセオジム、スカンジウム、テルビウム、イッテルビウム、ツリウム、又は任意のそれらの混合物が存在する、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記希土類の元素がイットリウム又はガドリニウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項6】
前記ナノ粒子の比活性度が120μA.cm-2Pt以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記ナノ粒子の質量活性度が80mA.mg-1Pt以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記ナノ粒子の平均サイズが0.1nmと10nmの間、例えば0.5nmと5nmの間、より具体的には2nmと3nmの間に含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項9】
(i)白金と少なくとも1種の希土類とを含むナノ粒子の前駆体を、一酸化炭素(CO)と接触させる工程、
(ii)熱処理によって得られた生産物をカルボニル化する工程、
(iii)好ましくは、担体を加える工程、及び
(iv)十分な温度で熱処理を行い、少なくとも形成したナノ粒子の表面で、希土類酸化物を形成する工程
を含む、熱処理工程を含むナノ粒子を調製するための方法。
【請求項10】
a.不活性雰囲気の下、Pt塩、希土類塩、酢酸塩及び溶媒を撹拌して混合する工程、
b.一酸化炭素を含む雰囲気下で、予め得られた混合物を加熱する工程、
c.一酸化炭素を含有する雰囲気を不活性雰囲気、例えば窒素に置き換えて、好ましくは、ナノ粒子の担体を加える工程、
d.溶媒を蒸発させて、ナノ粒子の粉末を得る工程、
e.二水素(dihydrogen)の存在下で、不活性ガスを含む雰囲気下において、80℃と600℃の間に含まれる温度でナノ粒子の粉末を熱処理する工程、並びに
f.処理した触媒粉末を洗浄してナノ粒子を得る工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程dの前に、不活性雰囲気下かつ室温で、工程cで得られた混合物中に担体を投入することをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記担体が炭素担体、好ましくは活性炭担体である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
(v)白金を含む少なくとも1種のナノ粒子の前駆体を、酢酸塩及び一酸化炭素(CO)と接触させる工程、
(vi)熱処理で得られた生産物をカルボニル化する工程、
(vii)少なくとも1種の配位高分子(MOF)と、少なくとも1種の希土類と、任意選択で担体とを含むナノ粒子の前駆体を追加する工程、並びに
(viii)十分な温度で熱処理を行い、少なくとも形成したナノ粒子の表面で希土類酸化物を形成する工程
を含む、ナノ粒子を調製するための方法。
【請求項14】
g.不活性雰囲気の下、Pt塩、酢酸ナトリウム及び溶媒を撹拌して混合する工程、
h.一酸化炭素を含有する雰囲気下で、予め得られた混合物を加熱する工程、
i.一酸化炭素を含有する雰囲気を不活性雰囲気に置き換える工程、
j.少なくとも1種の希土類と、2−アミノテレフタレート、1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、5−アミノイソフタレート、4,4’−オキシビス(安息香酸)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレート、又は4,4’−ビフェニルジカルボキシレートの中から選択される少なくとも1種の配位子とを含むMOF化合物を追加する工程であって、好ましくは炭素担体、特にカーボンナノチューブを追加する工程、
k.溶媒を蒸発させて、ナノ粒子の粉末を得る工程、
l.不活性ガスの雰囲気下において、100℃と1000℃の間に含まれる温度でナノ粒子の粉末を熱処理する工程、並びに
m.処理した触媒粉末を洗浄してナノ粒子を得る工程
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程jで投入した前記MOF化合物の量が、前記MOF化合物と共に工程jで投入した前記炭素の質量に対して、10mass%と20mass%の間に含まれ、好ましくは10mass%である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
工程jにおいて、不活性雰囲気下かつ室温で、工程iで得られた混合物中に担体を投入することをさらに含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記担体がカーボンナノチューブ、好ましくは、特に酸化されていることがある多層カーボンナノチューブからなる、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/又は請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノ粒子、又は、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/若しくは請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含むインク。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノ粒子、又は、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/若しくは請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含む、水素燃料電池の正極(カソード)。
【請求項21】
請求項19に記載のインクにより、前記ナノ粒子が表面上に堆積される、請求項20に記載の正極。
【請求項22】
酸性媒体中における二酸素(dioxygen)の還元反応(RRO)のための触媒として、請求項1〜5のいずれかに記載のナノ粒子、又は請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/若しくは請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法を用いて得ることができるナノ粒子、又は請求項19に記載のインクのナノ粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性媒体中における二酸素(dioxygen)の還元反応(RRO)の触媒反応に対して特に有用な、白金及び希土類酸化物からなるナノ粒子の合成に関連する。
【0002】
本発明はまた、特にPEMFC(プロトン交換膜燃料電池)と呼ばれる、特に水素燃料電池における前記ナノ粒子含む正極(カソード)の調製(elaboration)及びその正極の使用に関連する。
【背景技術】
【0003】
Nishanthら(Electrochem.Comm.,2011,13,1465−1468)は、式Pt−Y(OH)
3/Cの炭素上に担持した触媒ナノ粒子の合成が、直接メタノール燃料電池におけるRROの反応速度を向上させる可能性を与えることを実証した。Jeonら(J.Power Sources,2011,196,1127−1131)は、式Pt
3−Y/C及びPt−Y/Cの炭素上に担持した触媒ナノ粒子を合成し、酸性溶液の存在下で水素燃料電池におけるRROに適用した。
【0004】
水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元方法に従って得られたナノ粒子は測定されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に酸性媒体中において、RROに関しての白金の活性度を向上させることである。
【0006】
本発明の目的は、特に、十分な触媒特性を有することができて工業化可能な合成経路に従って調製することができるナノ粒子を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、さらに、水素燃料電池において良好な触媒特性を有する比較的安定な触媒ナノ粒子を提供することである。
【0008】
本発明の目的はまた、そのようなナノ粒子の工業的規模での合成を可能とする経済的に費用効率の高い方法を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、さらに、白金に基づく、現在市販されるものより安価な触媒材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような技術的な問題を解決することを試みるために、本出願人は、炭素上に担持したナノ粒子を合成するための試験を進めて、前記ナノ粒子を、「油中水」と呼ばれるマイクロエマルジョンを用いた調製方法に従って、白金とイットリウム又はガドリニウムのような希土類との基礎原料に基づいて調製した。
【0011】
本出願人は、驚くべきことに、特に酸性媒体中におけるRROに関しての白金の活性度を向上させる新規のナノ粒子を発見した。
【0012】
本発明のナノ粒子は十分な触媒特性を有し、工業化可能な合成経路に従って調製することができる。
【0013】
本発明のナノ粒子は、例えば水素燃料電池において、特にPEMFCにおいて良好にナノ粒子を使用するために、良好な触媒特性を持ち比較的安定である。
【0014】
本発明はまた、本発明のナノ粒子の工業規模での合成を検討することの可能性を与える、経済的に費用効率の高い方法に関連する。
【0015】
本出願人はまた、本発明のナノ粒子が、多くの電気化学的な酸化/還元サイクルの後でさえ、PEMFCセルにおいて安定な触媒活性度を有することを示した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の目的は、少なくとも白金と少なくとも1種の希土類とを含み、前記希土類が酸化形態で存在するナノ粒子に関連する。
【0017】
好ましくは、白金成分は以下の式(I):Pt−M
xO
yを有し、式中、xは存在する希土類原子Mの数であり、yは存在する酸素原子の数である。
【0018】
実施形態によれば、xは1又は2であり、yは2又は3である(M
xO
y)。
【0019】
好ましくは、希土類は、イットリウム、ガドリニウム、サマリウム、セリウム、ユウロピウム、プラセオジム、スカンジウム、テルビウム、イッテルビウム、ツリウム又は任意のそれらの混合から選択される。「希土類」はまた、「希土類の元素」又は「希土類元素」と当技術分野で呼ばれる。これらの名称は同意義のものである。
【0020】
特定の実施形態においては、希土類はイットリウム又はガドリニウムである。
【0021】
具体的な選択肢によれば、M
xO
yはY
2O
3である。
【0022】
具体的な選択肢によれば、M
xO
yはGd
2O
3である。
【0023】
好ましくは、白金に基づく化合物は面心立方型の結晶構造を有する。
【0024】
実施形態によれば、化合物は希土類を含む任意の白金合金を含まない。特に、実施形態によれば、化合物は白金とイットリウムとの任意の合金を含まない。実施形態によれば、化合物は白金とガドリニウムとの任意の合金を含まない。
【0025】
代替形態によれば、希土類酸化物が白金の表面で存在する。より具体的には、代替形態によれば、Y
2O
3が白金の表面で存在する。別の代替形態によれば、Gd
2O
3が白金の表面で存在する。
【0026】
代替形態によれば、X線光電子分光(XPS)分析によって、ナノ粒子の表面が1と5の間のPtとY間のモル比を有する。代替形態によれば、PtとY間のモル比が2より大きく、好ましくは3より大きい。
【0027】
代替形態によれば、XPS分析によって、ナノ粒子の表面積が0.5と2の間のPtとGd間のモル比を有する。代替形態によれば、PtとGd間のモル比が1未満である。
【0028】
XPS分析は、本発明に係るナノ粒子における白金の環境だけでなく、希土類の環境を測定する可能性を与える。これらのXPS分析によれば、白金の4f
7/2ライン及び4f
5/2ラインに相当する結合エネルギーのピークの変位がなかったため、本発明に係るナノ粒子における白金の構造は変性されていなかった。これらのXPS分析(例えば、
図6)によれば、イットリウム及びガドリニウムの金属コアに相当するピークが存在しなく、原子層3d
5/2に相当するピークは、イットリウム金属及びガドリニウム金属に対して予想されたピークに対して強くシフトして、それぞれ158.4eV及び143.7eVに位置する。イットリウム及びガドリニウムの金属原子に相当するピークがないことは、これらの原子が酸化したことを示す。
【0030】
特定の実施形態においては、担体は炭素、特に活性炭を含むことができる。例えば、炭素は非晶質炭素、カーボンナノチューブ、カーボンブラック又はグラフェンの形態であることができる。
【0031】
カーボンブラックに基づく担体の例は、キャボットにより販売されるVulcan(登録商標)XC−72である。
【0032】
別の特定の実施形態においては、担体は酸化物−炭素複合体を含むことができる。好ましくは、酸化物−炭素複合体は、TiO
2−炭素、WO
3−炭素、SnO
2−炭素又はTi
1-xM
xO
2(M=Ru、Nb、Snであり、xは0〜1である)から選択される。
【0033】
好ましくは、担体の質量は、触媒の総質量の5%と60%の間を示す。代替形態によれば、担体の質量は、ナノ粒子の総質量の15〜25%、例えば20%を示す。
【0034】
代替形態によれば、ナノ粒子の比活性度は120μA.cm
-2Pt以上、例えば130μA.cm
-2Pt以上である。特定の実施形態においては、ナノ粒子の比活性度は140μA.cm
-2Pt以上、例えば200μA.cm
-2Pt以上である。
【0035】
特定の実施形態によれば、ナノ粒子の比活性度は130μA.cm
-2Ptと300μA.cm
-2Ptの間に含まれる。
【0036】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の比活性度は140μA.cm
-2Ptと280μA.cm
-2Ptの間に含まれる。
【0037】
本発明の意味においては、比活性度に関しては、HRE(水素基準電極)に対して0.9Vの電位値での電流強さと、20回の電気化学サイクル(例5参照)後に測定された本発明の触媒の活性表面積との間の比を意味する。
【0038】
実施形態においては、ナノ粒子の質量活性度は80mA.mg
-1Pt以上、例えば100mA.mg
-1Pt以上である。
【0039】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の質量活性度は110mA.mg
-1Pt以上、例えば100mA.mg
-1Pt以上である。
【0040】
別の特定の実施形態においては、ナノ粒子の質量活性度は110mA.mg
-1Pt以上、例えば120mA.mg
-1Pt以上である。
【0041】
この特定の実施形態においては、ナノ粒子の質量活性度は100mA.mg
-1Ptと200mA.mg
-1Ptの間に含まれる。
【0042】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の質量活性度は、好ましくは120mA.mg
-1Ptと200mA.mg
-1Ptの間に含まれる。
【0043】
本発明の意味においては、質量活性度に関しては、HREに対して0.9Vでのカイネティック電流(反応電流)と、触媒に使用される白金の質量との間の比を意味する。
【0044】
比活性度及び質量活性度をHREに対して0.9Vの電位で推定した。その測定は、BardらのElectrochemical Methods:Fundamentals and Applications,John Wiley&Sons,NY,2
ndEd.,2002に記載されたような、回転ディスク電極技術(回転ディスク電極又はRDE)により実行した。
【0045】
本発明の意味においては、比活性度及び質量活性度は、900回転毎分(rpm)の回転速度を有するRDE上で、HREに対して0.9Vの電位値で測定される。
【0046】
好ましくは、ナノ粒子の平均サイズは0.1nmと10nmの間、例えば0.5nmと5nmの間、より具体的には2nmと3nmの間に含まれる。
【0047】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の数の少なくとも90%が1nmと4nmの間に含まれるサイズを有する。
【0048】
本発明の意味においては、ナノ粒子のサイズは、エネルギー分散型x線分析装置に備え付けらえたJEOL(登録商標)(JEM−2001)を用いて、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定される。ナノ粒子の試料はエタノール中に分散され、次いで、この分散液の液滴が炭素膜で被覆された銅のグリッドに塗布される。次いで、エタノールは蒸発される。これらのナノ粒子の複数の画像を得るために、この取扱操作を複数回実行した。TEMにより得られた画像に係るナノ粒子のフェレ径は、ソフトウェアパッケージImageJを用いて測定される。ナノ粒子のサイズ分布は、TEMにより得られた様々な画像上の300個のナノ粒子のサイズを評価することで得た。
【0049】
好ましくは、式Pt−M
xO
yの化合物は、1:2と10:1の間に含まれるPtとM間の化学量論比(Pt/M)を有する。本発明の意味においては、化学量論は、ICP−OES(誘導結合プラズマ−発光分光又は発光により誘導されるプラズマトーチ分光)(Optima2000DV、Perkin−Elmer)によって測定される。
【0050】
本発明の別の目的は、特に本発明によって規定されるようなナノ粒子を調製するための方法に関連する。
【0051】
第1の代替形態においては、本発明に係るナノ粒子を調製するための方法は、(i)白金と少なくとも1種の希土類とを含む本発明のナノ粒子の前駆体を一酸化炭素(CO)と接触させる工程、(ii)熱処理によって得られた生産物をカルボニル化する工程、(iii)好ましくは、担体を加える工程、及び(iv)十分な温度で熱処理を行い、少なくとも形成したナノ粒子の表面で希土類酸化物を形成する工程を含む、熱処理工程を含む。
【0052】
特に、前記方法は、
a.不活性雰囲気の下、Pt塩、希土類塩、酢酸塩及び溶媒、例えばメタノールを撹して混合する工程、
b.一酸化炭素を含有する雰囲気下で、前で得られた混合物を加熱する工程、
c.一酸化炭素を含有する雰囲気を不活性雰囲気、例えば窒素に置き換えて、好ましくはナノ粒子の担体を加える工程、
d.溶媒を蒸発させてナノ粒子の粉末を得る工程、
e.二水素(dihydrogen)の存在下で、不活性ガス、例えば窒素の雰囲気下において、80℃と600℃の間に含まれる温度でナノ粒子の粉末を熱処理する工程、並びに
f.処理した触媒粉末を洗浄してナノ粒子を得る工程
を含むことができる。
【0053】
好ましくは、工程aに係る調製は10〜30分間の範囲の時間で、好ましくは約15分間で行われる。
【0054】
好ましくは、工程bに係る加熱は12〜36時間の範囲の時間で、好ましくは約24時間で行われる。
【0055】
また、好ましくは、工程bに係る加熱は55℃と60の間に含まれる温度、好ましくは約55℃で行われる。
【0056】
好ましくは、工程bにおける混合物は、一酸化炭素からなる雰囲気下で加熱される。
【0057】
好ましくは、工程cにおける溶媒の蒸発は、ナノ粒子の粉末を得るために、溶媒を実質的に除去するのに十分な温度、例えば60℃と80℃の間に含まれる温度、好ましくは約85℃で行われる。代替形態によれば、溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド、エタノール、アセトン、メタノールの中から選択される有機分子であり、好ましくはメタノールである。
【0058】
好ましくは、工程dに係る熱処理は30分間〜2時間の範囲の時間、好ましくは2時間で行われる。
【0059】
好ましくは、その方法は、工程dの前に、不活性雰囲気下かつ室温で、工程cで得られた混合物中に担体を投入することをさらに含むことができる。
【0060】
特定の実施形態においては、工程bで得られた混合物中に担体を投入することは、機械的撹拌を用いて行われる。
【0061】
別の特定の実施形態においては、工程bで得られた混合物は、2〜24時間の範囲の時間、好ましくは約12時間、担体の存在下に置かれる。
【0062】
好ましくは、担体は炭素担体、好ましくは活性炭担体であることができる。例えば、炭素担体の活性化は不活性雰囲気下において400℃で4時間行われる。
【0063】
好ましくは、工程aにおける白金と希土類間の反応前の化学量論比(Pt/M)は1:1と5:1の間に含まれ、例えば3:1である。
【0064】
代替形態によれば、ナノ粒子の前駆体は、少なくとも1種の白金塩と少なくとも1種の希土類塩とを含む。代替形態によれば、ナノ粒子の前駆体はまた、少なくとも1種の酢酸塩、例えば酢酸ナトリウムを含む。
【0065】
好ましくは、白金塩はNa
2PtCl
6(例えば、Na
2PtCl
6・6H
2O)である。
【0066】
好ましくは、選択される希土類塩はYCl
3、GdCl
3である。
【0067】
好ましくは、Na
2PtCl
6(1モル)と酢酸ナトリウム(6モル)の間の反応前の化学量論比は1/6である。
【0068】
好ましくは、工程eの雰囲気中での二水素(dihydrogen)の割合は、存在するガス元素のモル分率として表現されて、1%超であり、好ましくは1%と20%の間に含まれ、例えば2%と10%の間に含まれる。特定の実施形態においては、雰囲気中の二水素(dihydrogen)(H
2)の割合は約5%である。代替形態によれば、雰囲気は不活性ガス、例えば、窒素(N
2)を含む。実施形態によれば、工程eの雰囲気は混合ガスH
2/N
2、例えば、モル分率として表現されて5/95の割合である。
【0069】
好ましくは、方法は、約100℃と600℃の間に含まれる温度、好ましくは300℃と500℃の間に含まれる温度に加熱する工程を含む。
【0070】
好ましくは、方法は、工程eの後に、例えば50℃と70℃の間に含まれる温度で、好ましくは約60℃でナノ粒子を乾燥する工程をさらに含むことができる。
【0071】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の乾燥工程は2〜24時間の範囲の時間、好ましくは約12時間、行われる。
【0072】
好ましくは、洗浄されたナノ粒子は、工程fにおいて濾過される。
【0073】
第2の代替形態においては、本発明に係るナノ粒子を調製する方法は、(v)白金を含む本発明の少なくとも1種のナノ粒子の前駆体を、酢酸塩及び一酸化炭素(CO)と接触させる工程、(vi)熱処理で得られた生産物をカルボニル化する工程、(vii)少なくとも1種の配位高分子(MOF)と、少なくとも1種の希土類と、任意選択で担体とを含む本発明に係るナノ粒子の前駆体を追加する工程、並びに(viii)十分な温度で熱処理を行い、少なくとも形成したナノ粒子の表面で希土類酸化物を形成する工程を含む。「配位高分子」はまた、当技術分野において、「金属−有機骨格」又は「MOF」と呼ばれる。これらの名称は同意義である。
【0074】
その方法のこの代替形態によって得られた、本発明に係るナノ粒子はまた、NAVLY(HT−900)として指定することができる。
【0075】
特に、前記方法は、
a.不活性雰囲気の下、Pt塩、酢酸ナトリウム及び溶媒、例えばメタノールを撹拌して混合する工程、
b.一酸化炭素を含有する雰囲気下で、予め得られた混合物を加熱する工程、
c.一酸化炭素を含有する雰囲気を不活性雰囲気、例えば窒素に置き換える工程、
d.少なくとも1種の希土類と、2−アミノテレフタレート、1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、5−アミノイソフタレート、4,4’−オキシビス(安息香酸)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレート、又は4,4’−ビフェニルジカルボキシレートから選択される少なくとも1種の配位子とを含むMOF化合物を追加する工程であって、好ましくは炭素担体、特にカーボンナノチューブを追加する工程、
e.溶媒を蒸発させて、ナノ粒子の粉末を得る工程、
f.不活性ガス、例えば窒素の雰囲気下において、100℃と1000℃の間に含まれる温度でナノ粒子の粉末を熱処理する工程、並びに
g.処理した触媒粉末を洗浄してナノ粒子を得る工程
を含むことができる。
【0076】
好ましくは、酢酸塩は酢酸ナトリウムである。
【0077】
好ましくは、工程gに係る調製は10〜30分間の範囲の時間、好ましくは約15分間で行われる。
【0078】
好ましくは、工程hに係る加熱は12〜36時間の範囲の時間、好ましくは約24時間で行われる。
【0079】
また、好ましくは工程hに係る加熱は50〜60℃、好ましくは約55℃で行われる。
【0080】
好ましくは、工程hにおける混合物は一酸化炭素からなる雰囲気下で加熱される。
【0081】
好ましくは、工程jにおける白金と希土類間の反応前の化学量論比(Pt/M)は、3と6の間に含まれ、好ましくは3である。
【0082】
好ましくは、工程jで投入されるMOF化合物の量は、MOF化合物と共に工程jで投入される炭素の質量に対して、10mass%と20mass%の間に含まれ、好ましくは10mass%である。
【0083】
好ましくは、工程jで得られた混合物は2〜24時間の範囲の時間、好ましくは約12時間で均質化される。
【0084】
好ましくは、工程jにおけるMOF化合物の投入は、工程iで得られた混合物中において、不活性ガス中かつ室温で行われる。
【0085】
好ましくは、工程iで得られた混合物中へのMOF化合物の投入は、機械的撹拌を用いて行われる。
【0086】
また、好ましくは、工程iで得られた混合物は、2〜24時間の範囲の時間、好ましくは約12時間、MOF化合物の存在下に置かれる。
【0087】
特定の実施形態においては、方法は、工程jにおいて、不活性雰囲気下かつ室温で、工程iで得られた混合物中に担体を投入することをさらに含むことができる。
【0088】
好ましくは、MOF化合物及び担体は、工程jにおけるそれらの投入前に、予め一緒に混合される。
【0089】
好ましくは、工程jにおけるMOF化合物及び担体を含む混合物の投入は、不活性雰囲気下かつ室温で、工程iで得られた混合物中で行われる。
【0090】
好ましくは、工程iで得られた混合物中におけるMOF化合物及び担体を含む混合物の投入は、機械的撹拌を用いて行われる。
【0091】
また、好ましくは、工程jで得られた混合物は、2〜24時間の範囲の時間、好ましくは約12時間、MOF化合物及び担体を含む混合物の存在下に置かれる。
【0092】
好ましくは、担体はカーボンナノチューブ、好ましくは、特に酸化されることがある多層カーボンナノチューブであることができる。
【0093】
有利には、カーボンナノチューブは活性化される。例えば、カーボンナノチューブの活性化は、不活性雰囲気下において100℃で12時間行われる。
【0094】
好ましくは、工程kに係る溶媒の蒸発は、ナノ粒子の粉末を得るために、溶媒を実質的に除去するのに十分な温度、例えば、60℃と90℃の間に含まれる温度、好ましくは約85℃で行われる。代替形態によれば、溶媒は、ジメチルホルムアミド、エタノール、アセトン、メタノールの中から選択される有機分子であり、好ましくはメタノールである。
【0095】
好ましくは、工程kに係る熱処理は、30分間〜2時間の範囲の時間、好ましくは2時間行われる。
【0096】
好ましくは、工程gにおける白金とナトリウム間の反応前の化学量論比(Pt/Na)は1/6である。
【0097】
好ましくは、工程gにおけるナノ粒子の前駆体は、少なくとも1種の白金塩と少なくとも1種の酢酸塩、例えば酢酸ナトリウムとを含む。
【0098】
好ましくは、白金塩はNa
2PtCl
6(例えば、Na
2PtCl
6・6H
2O)である。
【0099】
好ましくは、Na
2PtCl
6(1モル)と酢酸ナトリウム(6モル)間の反応前の化学量論比は1/6である。
【0100】
好ましくは、工程lにおける熱処理は約400℃と1000℃の間に含まれる温度、好ましくは600℃と1000℃の間に含まれる温度、より好ましくは900℃で行われる。
【0101】
好ましくは、工程mにおける洗浄は超純水(MILLI−Q)、例えば、抵抗率18MΩ.cmの水を用いて行われる。
【0102】
好ましくは、洗浄したナノ粒子は工程mで濾過される。
【0103】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の濾過は、多孔性フィルター、好ましくは0.22μmのサイズの孔を有する多孔性フィルターにより行われる。
【0104】
好ましくは、方法は、工程mの後に、例えば50〜70℃の温度、好ましくは約60℃でナノ粒子を乾燥することをさらに含むことができる。
【0105】
特定の実施形態においては、ナノ粒子の乾燥は、2〜24時間の範囲の時間、好ましくは約12時間で行われる。
【0106】
好ましくは、ナノ粒子は、ナノ粒子の質量に対して1〜4mass%、例えば2mass%の希土類添加レベルを有する。
【0107】
本発明の別の目的は、本発明に係る方法の少なくとも1つの代替形態によって得ることができるナノ粒子に関連する。
【0108】
本発明のナノ粒子について記載される全ての特徴、実施形態、代替形態及び具体的かつ好ましい特徴は、組み合わせが技術的に不可能である場合を除き、その異なる特徴、実施形態、代替形態及び具体的かつ好ましい特徴を含む本発明の方法と組み合わせることができる。
【0109】
本発明の別の目的は、本発明に係るナノ粒子を含むインクに関連する。
【0110】
好ましくは、インクは本発明に係るナノ粒子の水性懸濁液の形態であることができる。代替形態によれば、インクは溶液の総質量に対して、2mass%超、例えば5mass%超のナノ粒子を含む。一般的に、溶液は水と1種又は複数種の添加剤との混合物である。
【0111】
また、好ましくは、インクはイオン電導度を向上させる可能性を与えるバインダ、好ましくはNafion(登録商標)をさらに含むことができる。
【0112】
特定の実施形態においては、バインダは液体の形態であることができる。
【0113】
バインダの例は、例えば、Du Pont de Nemoursで販売されるNafion(登録商標)に基づくスルホン化テトラフルオロエチレンコポリマーである。
【0114】
本発明の別の目的は、本発明に係るナノ粒子を含む、水素燃料電池用正極/水素燃料電池の正極に関連する。
【0115】
特定の実施形態においては、ナノ粒子は、本発明に係るインクを用いて正極の表面上に堆積される。
【0116】
本発明の別の目的は、酸性媒体中における、RROのための触媒/RROの触媒としての本発明に係るナノ粒子の使用に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1】TEMにより得られた画像からの、触媒(Pt−Y
2O
3/C)のナノ粒子のサイズ分布のヒストグラムを図示する。
【
図2】TEMにより得られた画像からの、触媒(Pt−Gd
2O
3/C)のナノ粒子のサイズ分布のヒストグラムを図示する。
【
図3】酸素で飽和した電解液HClO
4(0.1M)中において、Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C、Pt/C、及びPt/C(JM)タイプのナノ粒子を用いて、900rpmの回転速度かつ25℃で得られたボルタモグラムを図示し、電位変化率が5mV/秒である。電流密度は、電極の幾何表面積によって正規化される。挿入グラフは、RROに関してのナノ粒子の活性度を示す、線形の電位変化を用いたボルタンメトリー実験から生じたデータから取得したTafelプロットを図示する。
【
図4】900rpmの回転速度かつ25℃で、酸素で飽和した電解液HClO
4電解液(0.1M)中で記録された、サイクル前、4000サイクル後及び10000サイクル後の、Pt−Y
2O
3/C及びPt/Cのナノ粒子の触媒活性度の安定性を有する、線形かつ周期的な曲線を持つボルタモグラム(「リニアスイープボルタモグラム」)を図示する。電位変化率が5mV/秒であった。電流密度は、電極の幾何表面積によって正規化される。
【
図5】サイクル数に対する、Pt−Y
2O
3/C及びPt/Cのナノ粒子の比活性度(SA)及び質量活性度(MA)における経時変化を図示する。
【
図6】Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C及びPt/Cのナノ粒子における原子層Pt4fのXPSスペスペクトル、Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子における原子層Y3d
5/2のXPSスペスペクトル、及びPt−Gd
2O
3/Cナノ粒子における原子層Gd3d
5/2のXPSスペクトルを図示する。これらのスペクトルをKαx線のMgソースを使用して得た。
【
図7】酸素で飽和したHClO
4電解液(0.1M)中において、NAVLY(HT−900)及びPt/C(JM)タイプのナノ粒子を用いて、900rpmの回転速度かつ25℃で得られたボルタモグラムを図示し、電位変化率が5mV/秒であった。電流密度は電極の幾何表面積によって正規化される。挿入グラフは、RROに関してのナノ粒子の活性度を示す、線形の電位変化を用いたボルタンメトリー実験から生じたデータから取得したTafelプロットを図示する。
【
図8】サイクル数に対するNAVLY(HT−900)及びPt/C(JM)タイプのナノ粒子の、水素サブ電位(H
upd)及びカイネティック電流(J
k)において測定される堆積領域の表面積における経時変化を図示する。
【
図9】水と、0.5Mに等しいモル濃度の硫酸と、メタノール(99.9%、0.5Mに等しいモル濃度)とを含む電解液中で、Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C、及びNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子を用いて、25℃で得られたボルタモグラムを図示し、電位変化率が50mV/秒であった。
【0118】
本発明によれば、表現「XとYの間に含まれる」では、値の範囲内に上下限値X及びYを含む。
【0119】
本発明の異なる態様が以下の例によって説明される。これらの例は本発明の範囲の制限をするものではない。
【実施例】
【0120】
別段の示唆がない限り、以下の例で使用される試薬及び溶媒は、Alfa Aesarで販売され、ACS Reagent品質のものである。純度99.995容量%の窒素、二酸素(dioxygen)、アルゴン及び一酸化炭素は、Air Liquideで販売される。
【0121】
例においては、別段の示唆がない限り、圧力は大気圧(101325Pa)であり、温度は室温(約25℃)であり、割合は質量によるものである。
【0122】
サイズを測定するための方法は、エネルギー分散型x線分析装置に備え付けらえたJEOL(登録商標)(JEM−2001)顕微鏡による、透過型電子顕微鏡(TEM)の使用に基づく。ナノ粒子の試料をエタノール中に分散して、次いでこの分散液の液滴を炭素膜で被覆された銅のグリッドに塗布した。次いで、エタノールを蒸発した。この取扱いを、これらのナノ粒子の複数の画像を得るために複数回行った。得られた画像に係るナノ粒子のフェレ径、TEMにより得られた画像に係るナノ粒子のサイズを、ソフトウェアパッケージImageJを用いて測定した。ナノ粒子のサイズ分布を、TEMにより得られた様々な画像上の300個のナノ粒子のサイズを評価することで得た。この方法を、例1、2及び7におけるナノ粒子のサイズを測定するのに適用した。
【0123】
白金と希土類間の化学量論比を決定するための方法は、ICP−OES(Optima2000DV,Perkin−Elmer)の使用に基づく。この方法を、例1及び2におけるナノ粒子のPtとY間又はPtとGd間の化学量論比を決定するのに適用した。
【0124】
ナノ粒子を作り上げる元素の電子構造を決定するための方法は、x線光電子分光XPSの使用に基づく。
【0125】
ナノ粒子の比表面積を決定するための方法は、25℃の温度で、酸素で飽和したHClO
4電解液(0.1M)を含む3個の電極を有する、標準電気化学セル中で回転ディスク電極(RDE)を使用して、HREに対して0.9Vの電位で得られた電流を測定することからなり、電位変化率は5mV/秒であった。カイネティック電流密度は、白金の電気化学的に活性な表面積により正規化される。この方法を、例5及び7におけるナノ粒子の比活性度を測定するのに適用した。
【0126】
ナノ粒子の質量活性度を決定するための方法は、25℃の温度で、酸素で飽和したHClO
4電解液(0.1M)を含む3個の電極を有する、標準電気化学セル中で回転ディスク電極(RDE)を使用して、HREに対して0.9Vの電位で得られた電流を測定することからなり、電位変化率は5mV/秒であった。カイネティック電流密度は、白金の質量より正規化される。この方法を、例5及び7におけるナノ粒子の質量活性度を測定するのに適用した。
【0127】
[例1.Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子の合成]
ヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物(Na
2PtCl
6・6H
2O)(31.3mass%のPt、114.6mg)、無水YCl
3(99%、16.7mg)及び無水酢酸ナトリウム(99%、126.1mg)をガラスフラスコ中に加えて、磁気撹拌を用いて25mLのメタノールと混合した。その混合物の全てを、窒素雰囲気(99%)下で20分間置いて、その終わりに10分間で窒素雰囲気を一酸化炭素雰囲気(CO、99%)に置き換えた。次いで、その外周を密閉して、その混合物を、CO雰囲気下において還流しながら50℃と55℃の間に設定した温度で24時間維持した。撹拌を24時間にわたって維持した。24時間後、CO雰囲気を窒素雰囲気に置き換えて、反応媒体の温度を室温まで下げた。
【0128】
次いで、窒素雰囲気下において4時間にわたり400℃で予め活性化した炭素担体(Vulcan(登録商標)XC−72、230.6mg)をフラスコ中に投入した。混合物を、窒素雰囲気下で12時間、磁気撹拌を用いて均質化した。反応混合物を80℃の温度に加熱することでメタノールを実質的に完全に蒸発させ、得られたPt−Y
2O
3/C粉末を空気中で60℃で乾燥した。
【0129】
それによって得られた粉末を回収して、95%の窒素及び5%の二水素(dihydrogen)のモル比を含有する雰囲気下において300℃で2時間加熱した。
【0130】
次いで、得られた粉末を超純水(18MΩcm、Milli−Q、Millipore)を用いて洗浄して、次いで濾過して、次いで不活性雰囲気下において60℃で12時間乾燥した。Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子を粉末(297mg、14.96%の金属添加レベル)として得た。
【0131】
Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子(
図1)はTEM方法によって測定して、2.3±0.58nmの平均サイズを有した。
【0132】
Pt−Y
2O
3ナノ粒子はICPによって測定して、8.5のPtとY間の化学量論比(Pt/Y)を有した。
【0133】
Pt−Y
2O
3ナノ粒子はXPS方法によって
図6に示したような酸化物Y
2O
3を有した。
【0134】
[例2:Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子の合成]
例1で説明した実験手順に従って、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物(144.2mg)、GdCl
3(22.5mg)、及び酢酸ナトリウム(126.1mg)から、Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子を得た。
【0135】
Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子を粉末(297mg、ICPによって測定して15.41%の金属添加レベル)として得た。
【0136】
Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子(
図2)はTEM方法によって測定されて、1.9±0.45nmの平均サイズを有した。
【0137】
Pt−Gd
2O
3ナノ粒子はICPによって測定されて、3.5のPtとGd間の化学量論比(Pt/Gd)を有した。
【0138】
Pt−Gd
2O
3ナノ粒子は、XPS方法によって
図6に示したような酸化物Gd
2O
3を有した。
【0139】
[例3:Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子を含む正極の調製]
触媒インクを、例1で得られた10mgのPt−Y
2O
3/Cナノ粒子を、1.25mLの超純水(MILLIQ品質)及び250μLの5%Nafion(登録商標)(Aldrich)溶液に懸濁して調製した。得られた懸濁液を2時間均質化した。
【0140】
次に、3μLのこのインクを、3mmの直径を有しアルミナ及び超純水(18MΩcm、Milli−Q、Millipore)の混合物を用いて予め研磨したガラス状炭素電極(GCE)上に堆積した。次いで、この電極をアルゴン雰囲気下で乾燥して、作用電極(WE)として使用した。
【0141】
端部のディスクの表面積は0.07cm
2であった。触媒層を持つ炭素ディスクを作用電極(WE)として使用した。WE上の触媒層の金属(Pt+Y)含有量は52μg・cm
-2であった。
【0142】
[例4:Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子を含む正極の調製]
例3で説明した実験手順に従って、例2で得られた10mgのPt−Gd
2O
3/Cナノ粒子粉末を、1.25mLの超純水(MILLIQ品質)及び250μLの5%Nafion(登録商標)(Aldrich)溶液に懸濁して含む触媒インクから、作用電極を調製した。
【0143】
WE上の触媒層の金属(Pt+Gd)含有量は52μg・cm
-2であった。
【0144】
[例5:電気化学測定]
試験した(作用電極−WE)正極は、
−例3の実験手順に従って調製したPt−Y
2O
3/Cナノ粒子を含む正極、
−例4の実験手順に従って調製したPt−Gd
2O
3/Cナノ粒子を含む正極、
−例3の実験手順に従って調製したPt/Cナノ粒子を含む正極
であり、Pt/Cナノ粒子は、例1の実験手順に従って、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物(144mg)及び酢酸ナトリウム(126mg)から調製した。
【0145】
電気化学測定を、ポテンショスタット/ガルバノスタットAutolabに記録して、3個の電極を用いて標準電気化学セル中で行った。RDEをRROの活性度を調べるために使用した。対向電極(CE)及び参照電極(RE)は、それぞれガラス状炭素プレート及び水素可逆電極(HRE)であった。過塩素酸0.1mol/Lを電解液として使用した。安定したサイクリックボルタモグラム(CVs)を得るまで、HRE電極に対して0.05Vと1.2Vの間において50mV/秒でサイクルを行うことによって、WE電極の表面領域を最初に電気化学的に洗浄した。電気化学測定が行われている間、電極を、予め窒素で飽和した電解液中で、HREに対して0.05Vと1.2Vの間で最初に20回サイクルさせた。その後、電解液は二酸素(dioxygen)により10分間で飽和した。回転ディスク電極(RDE)を用いて、RROに関しての触媒の触媒活性度を特徴づけることを目的とする実験を行った。400rpm、900rpm、1600rpm及び2500rpmの回転速度をRROの反応速度を調べるために使用した。これらの実験を行うために、線形のボルタンメタリーを使用した。次いで、電極はHREに対して1.1Vと0.2Vの間で負の電位変化を受けた。線形の電位変化率は5mV/秒であった。
【0146】
Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C、及びPt/Cのナノ粒子をぞれぞれ含む正極を用いて得られたボルタモグラムを
図3に示す。
【0147】
HREに対して0.9Vの電位かつ900rpmで、100μA.cm
-2PtであったPt/Cナノ粒子の比活性度とは異なり、Pt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の比活性度は、それぞれ278μA.cm
-2Pt及び142μA.cm
-2Ptであることを観測した。
【0148】
したがって、本発明に係る触媒ナノ粒子の比活性度は、いかなる希土類酸化物を含まない白金に基づくナノ粒子に比べて少なくとも1.4倍であった。
【0149】
HREに対して0.9Vの電位で、54.9mA.mg
-1PtであったPt/Cナノ粒子の質量活性度とは異なり、Pt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の質量活性度は、それぞれ194mA.mg
-1Pt及び112mA.mg
-1Ptであることを観測した。
【0150】
したがって、本発明に係る触媒ナノ粒子の質量活性度は、いかなる希土類酸化物も含まない白金に基づくナノ粒子に比べて少なくとも2倍であった。
【0151】
RROに関してのPt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の触媒活性度は、Pt/Cナノ粒子の触媒活性度と比べて、Pt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cについての半波電位がPt/Cの半波電位に関連するHREに対してそれぞれ32mV及び25mVの正の変位を持って増加した。
【0152】
したがって、RROに関しての本発明に係るナノ粒子の触媒活性度は、RROに関しての白金ナノ粒子の触媒活性度に比べて4〜5倍であった。本発明に係るナノ粒子により触媒化されたRROの反応速度は、白金ナノ粒子により触媒化されたRROの反応速度に比べて2倍であった。
【0153】
[例6:Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子をそれぞれ含む正極の安定性]
試験した正極は、
−例3の実験手順に従って調製したPt−Y
2O
3/Cナノ粒子を含む正極、
−例3の実験手順に従って調製したPt/Cナノ粒子を含む正極
であった。Pt/Cナノ粒子は、例1の実験手順に従って、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物(144mg)及び酢酸ナトリウム(126mg)から調製した。
【0154】
電気化学測定を、Autolabからのポテンショスタット/ガルバノスタットにより記録して、3個の電極を用いて標準電気化学セル中で行った。RDEを、RROに関しての触媒活性度を研究するために使用した。対向電極(CE)及び参照電極(RE)は、それぞれガラス状炭素プレート及び水素可逆電極(HRE)であった。0.1mol/Lの過塩素酸を電解液として使用した。作用電極WEの表面領域を、安定したサイクリックボルタモグラム(CVs)を得るまで、HRE電極に対して0.05Vと1.2Vの間において、50mV/秒でサイクルを行うことによって、最初に電気化学的に洗浄した。
【0155】
予め窒素で飽和した電解液中で、HREに対して0.1Vと1.0Vの間で、50mV/秒の電位線形変化率で電極を1000回、4000回、6000回、8500回、及び10000回サイクルさせた場合について、電気化学測定を行った。その後に、電解液を10分間で二酸素(dioxygen)により飽和した。RRO実験を、回転ディスク電極(RDE)を用いて行った。400rpm、900rpm、1600rpm、及び2500rpmの回転速度をRROの反応速度を研究するために使用した。これらの実験を行うために、線形のボルタンメントリーを使用した。
【0156】
Pt−Y
2O
3/C及びPt/Cのナノ粒子をそれぞれ含む正極を用いて得られたボルタモグラムを
図4に示す。
図5は、サイクル数に対するPt−Y
2O
3/C及びPt/Cのナノ粒子の比活性度(SA)及び質量活性度(MA)の経時変化を図示する。活性表面積(ESA)は、CO(CO分離)の酸化ピークの電量分析値を420μC.cm
-2の参照電量分析値で割って計算した。そうして、触媒の電気化学的に活性な表面積(ESA)を得た。比活性度(SA)は、0.9V/HREでのカイネティック電流をESAで割ることによって計算した。質量活性度(MA)は、0.9V/HREでのカイネティック電流を触媒中の白金質量で割ることで計算した。
【0157】
4000回のボルタンメトリーサイクルの後、Pt−Y
2O
3/Cの比表面積(SA)は、Pt/Cに比べ1.3倍であり、比質量はPt/Cに比べ1.81倍であった。
【0158】
したがって、RROに対する本発明に係るナノ粒子の質量活性度は、6000回のサイクル後のRROに関しての白金ナノ粒子の反応速度に比べ1.89倍であった。
【0159】
[例7:本発明に係る方法によって及び「油中水」方法によってそれぞれ得られた、Pt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cナノ粒子の比活性度及び質量活性度の比較]
−「油中水」方法によるPt−Y
2O
3/Cナノ粒子の調製
2つのマイクロエマルションを、5.60mLのBrij30(Sigma−Aldrich)と、1mLの超純水(Milli−Q、Millipore)と、27.35mLのn−ヘプタン(Sigma−Aldrich)とを混合することで調製した。
【0160】
9.8mgのYCl
3及び84.3mgのヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物を、第1のマイクロエマルションの水相中に溶解した。
【0161】
114mgの水素化ホウ素ナトリウムを、第2のマイクロエマルションの水相中に溶解した。
【0162】
得られた両方のマイクロエマルションを混合して、次いで、窒素雰囲気下において400℃で2時間予め活性化した炭素担体(Vulcan(登録商標)XC−72、135mg)を投入した。次いで、混合物を窒素雰囲気下で2時間機械的に撹拌した。得られた担持触媒ナノ粒子を濾過して、アセトン、次いで超純水(18MΩ.cm)を用いて複数回洗浄して、次いで60℃で12時間乾燥した。それによって得られたナノ粒子の粉末を95%の窒素及び5%の二水素(dihydrogen)のモル比を含有する雰囲気下において100℃で2時間加熱した。
【0163】
Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子を粉末(144mg、ICPで17%の金属添加レベル)として得た。
【0164】
Pt−Y
2O
3/Cナノ粒子は、TEM法により測定して2.3±0.59nmの平均サイズを有した。
【0165】
−「油中水」方法によるPt−Gd
2O
3/Cナノ粒子の調製
Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子を、上で説明した「油水中」実験手順に従って、GdCl
3(15.8mg)と、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物(78.7mg)とから調製した。
【0166】
得られた両方のマイクロエマルションを混合して、次いで、窒素雰囲気下において2時間400℃で予め活性化した炭素担体(Vulcan(登録商標)XC−72、147mg)を投入した。得られた担持触媒ナノ粒子を濾過して、アセトン、次いで超純水(18MΩ.cm)を用いて複数回洗浄して、次いで60℃で12時間乾燥した。それによって得られたナノ粒子の粉末を、95%の窒素及び5%の二水素(dihydrogen)のモル比を含有する雰囲気下において100℃で2時間加熱した。
【0167】
Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子を粉末(142mg、ICPで15.4%の金属添加レベル)として得た。
【0168】
Pt−Gd
2O
3/Cナノ粒子は、TEM法により測定して2.25±0.48nmの平均サイズを有した。
【0169】
−正極の調製
上で説明した「油水中」方法によってそれぞれ得られたPt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子をそれぞれ含む正極を、例3で説明した実験手順に従って調製した。
【0170】
−電気化学測定
「油水中」方法により得られたPt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の比活性度及び質量活性度を、例5で説明した実験手順で適用したものと同じ実験条件下で測定した。
【0171】
HREに対して0.9Vの電位で、それぞれ278μA.cm
-2Pt及び142μA.cm
-2Ptであった本発明に係るPt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の比活性度とは異なり、Pt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の比活性度は、それぞれ54.3μA.cm
-2Pt及び34.3μA.cm
-2Ptであることを観測した。
【0172】
HREに対して0.9Vの電位で、それぞれ194mA.mg
-1Pt及び112mA.mg
-1Ptであった本発明に係るPt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の質量活性度とは異なり、Pt−Y
2O
3/C及びPt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子の質量活性度は、それぞれ23.1mA.mg
-1Pt及び13.4mA.mg
-1Ptであることを観測した。
【0173】
本発明に係るナノ粒子の触媒活性度は、「油水中」方法により得られたナノ粒子に比べ8.5倍であった。
【0174】
[例8:NAVLY(900−HT)ナノ粒子の合成]
−担体の調製
担体を、OrfanidiらのAppl.Catal.B,2011,106,379の出版物に記載された実験手順に従って調製した。
【0175】
20mLの硝酸(HNO
3、65wt%)を0.2gの多層カーボンナノチューブ(純度:97%、サイズ:10−30nm、Nanothinx S.A.)に加えた。それによって得られた溶液を還流しながら加熱して、次いで、室温で48時間混合した。
【0176】
得られた黒粉末を濾過して、濾液が7に等しいpHを有して得られるまで超純水(Milli−Q、Millipore)を用いて洗浄して、次いで、100℃で12時間乾燥して、収率95%で0.19gの多層カーボンナノチューブ及び酸化物(MWCNT)の担体を得た。
【0177】
−化合物MOFCe(HATPT)(ATPT)・nH
2O(ATPTはアミノテレフタレート配位子を表し、nは8と11の間に含まれる)の調製(INSAR−1(Ce))
2モルの水酸化ナトリウム(NaOH)を、1モルの2−アミノテレフタル酸(H
2ATPT、アクロスオーガニクス)を含む懸濁液中に加えた。それによって得られた溶液を蒸発乾燥した。それによって得られた粉末を、10mgの粉末に対して10mLのエタノールの量でエタノール(≧99.8%、CHROMASOLV、Sigma−Aldrich)中に加えて、1時間撹拌しながら還流して、濾過して、蒸留水で2回洗浄して空気中で室温で乾燥した。
【0178】
黄色粉末として、配位子2−アミノテレフタル酸二ナトリウム(Na
2ATPT)を90%の収率で得た。
【0179】
30〜50mLの塩酸(37%、アクロスオーガニクス)を、透明溶液を得るまで、100mgの酸化セリウム(STREM Chemicals)と20〜30mLの蒸留水とを含む溶液に、機械撹拌をしながら液滴で加えた。それによって得られた溶液を乾燥蒸発した。得られた残留物を、80〜100mLのエタノール中に溶解して、次いで、CeCl
3を沈殿物として得るまで、ジエチル−エーテル(≧99.9%、CHROMASOLV、Sigma−Aldrich)を液滴で加えた。それによって得られた溶液を濾過して、沈殿物を20〜30mLのジエチル−エーテルで洗浄して、次いで、12時間と24時間の間に含まれる時間で、室温で乾燥機内において乾燥した。
【0180】
MOFCe(HATPT)(ATPT)・nH
2O化合物の合成は、LuoらのInorg.Chem.Acta,2011,368,170の出版物に記載された実験手順に従って達成した。
【0181】
2モルのCeCl
3及び上で得られた3モルの配位子Na
2ATPTを、淡黄色の沈殿物を形成するまで、定比条件の下で機械撹拌しながら50mLの蒸留水に加えた。それによって得られた溶液を濾過して、沈殿物を蒸留水で洗浄して、次いで、空気中において室温で乾燥した。得られた残留物は90%の収率で、組成物MOF:Ce(HATPT)(ATPT)・nH
2Oであった。
【0182】
−NAVLY(HT−900)ナノ粒子の調製
NAVLY(HT−900)ナノ粒子の合成は、N.Alonso−VanteのFuel Cell,2006,6,182の出版物に記載された手順に従って達成した。
【0183】
ヘキサクロロ白金酸ナトリウム6水和物(Na
2PtCl
6・6H
2O)(31.3mass%のPt、72.1mg、Alfar Aesar)と、無水酢酸ナトリウム(99%、63.1mg)とをガラスフラスコ中に加えて、25mLのメタノール(≧99.9%、CHROMASOLV、Sigma−Aldrich)と共に磁気撹拌を用いて混合した。
【0184】
混合物の全てを、窒素雰囲気(99%)下において室温で20分間置いて、その後に10分間で窒素雰囲気を一酸化炭素雰囲気(CO、99%)に置き換えた。次いで、セットアップを密閉して、混合物をCO雰囲気下で、還流しながら55℃の温度において24時間維持した。撹拌を24時間にわたって維持した。24時間後、それによって得られた溶液を室温まで冷却して、次いで、以下で得られる14.2mgのINSAR−1(Ce)と予め混合した、上で得られた115.2mgのMWCNTをこの溶液に加えた。
【0185】
セットアップを窒素雰囲気(99%)下で再度密閉して、混合物を窒素雰囲気下において12時間磁気撹拌を用いて均質化した。メタノールは、反応混合物を90℃の温度に加熱することにより実施的に完全に蒸発して、得られた粉末を空気中において60℃で12時間乾燥した。
【0186】
乾燥粉末を回収して、後でオーブンの中に投入するセラミックボート中に移した。同時に、20mgと50mgの間に含まれる量の尿素で満たされた別のセラミックボートをオーブンの中に設置して、併せて、そのセラミックボートを乾燥粉末で満たした。オーブンをアルゴン雰囲気(≧99.99%)下において50℃で30分間加熱して、次いで、その温度を900℃の温度に達するまで10℃/分の速度で増加して、アルゴン雰囲気(≧99.99%)下で2時間維持して、次いで、その温度をアルゴン雰囲気下で室温まで下げた。次いで、得られた粉末を超純水(18MΩcm、Milli−Q、Millipore)を用いて洗浄して、次いで濾過して、不活性雰囲気において60℃で12時間乾燥した。
【0187】
NAVLY(HT−900)ナノ粒子を粉末(160mg、ナノ粒子の総質量に対して、18.9mass%の白金添加レベル及び2.2mass%のセリウム添加レベル)として得た。
【0188】
[例9:NAVLY(HT−900)ナノ粒子を含む正極の調製]
触媒インクを、例8で得られた5mgのNAVLY(HT−900)ナノ粒子粉末を532.5mLの超純水(MILLIQ品質)、77.5mLの2−プロパノール、及び40μLの5%Nafion(登録商標)(Aldrich)の溶液に懸濁して調製した。得られた懸濁液を2時間均質化した。
【0189】
その後、3μLのこのインクを3mmの直径を有しアルミナ粉末A5を用いて予め研磨したガラス状炭素電極(GCE)上に堆積して、次いで、順に超純水(18MΩcm、Milli−Q、Millipore)、エタノール、次いで超純水で洗浄した。次いで、この電極をアルゴン雰囲気下で乾燥して、作用電極(WE)を使用した。
【0190】
端部のディスクの表面積は0.07cm
2であった。触媒層を持つ炭素ディスクを作用電極(WE)として使用した。WE上の触媒層の(Pt+Y)金属含有量は59.4μg・cm
-2であった。
【0191】
[例10:電子化学測定]
試験した(作用電極−WE)正極は、
−例9の実験手順に従って調製したNAVLY(HT−900)ナノ粒子を含む正極、
−例3の実験手順に従って調製したPt/C(JM)ナノ粒子を含む正極
であり、そのPt/C(JM)ナノ粒子は、Johnson−Matthey(登録商標)の商標の下で販売され、ナノ粒子の総質量に対して20mass%のカーボンブラック上に担持された白金を含む。
【0192】
電気化学測定を、例5で説明したものと同じ実験条件の下で記録した。
【0193】
NAVLY(HT−900)及びPt/C(JM)タイプのナノ粒子をそれぞれ含む正極を用いて得られたボルタモグラムを
図7に示す。
【0194】
HREに対して0.9Vの電位かつ900rpmで、117μA.cm
-2PtであったPt/C(JM)ナノ粒子の比活性度とは異なり、NAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子の比活性度は1250μA.cm
-2Ptであることを観測した。
【0195】
したがって、本発明に係るNAVLY(HT−900)タイプの触媒ナノ粒子の比活性度は、いかなる希土類酸化物を含まない白金に基づくナノ粒子に比べ少なくとも12倍であった。
【0196】
HREに対して0.9Vの電位で、86mA.mg
-1PtであったPt/C(JM)ナノ粒子の質量活性度とは異なり、NAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子の質量活性度は830mA.mg
-1Ptであることがまた観測された。
【0197】
したがって、本発明に係る触媒ナノ粒子の質量活性度は、いかなる希土類酸化物を含まない白金に基づくナノ粒子に比べ少なくとも10倍であった。
【0198】
RROに関してのNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子の触媒活性度は、Pt/C(JN)ナノ粒子の触媒活性度と比べて、NAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子についてのPt/Cの半波電位に関連するHREに対して25mVの半波電位の正の変位を持って顕著に増加した。
【0199】
したがって、RROに関しての本発明に係るナノ粒子の触媒活性度は、RROに関しての白金ナノ粒子の触媒活性度に比べて10倍であった。本発明に係るナノ粒子により触媒化されたRROの反応速度は、白金ナノ粒子により触媒化されたRROの反応速度に比べ15倍であった。
【0200】
[例11:NAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子をそれぞれ含む正極の安定性]
試験した正極は、
−例9の実験手順に従って調製したNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子を含む正極、
−例3の実験手順に従って調製したPt/C(JM)ナノ粒子を含む正極
であった。そのPt/C(JM)タイプのナノ粒子は、Johnson−Matthey(登録商標)(JM)の商標の下で販売され、ナノ粒子の総質量に対して20mass%のカーボンブラック上に担持した白金を含む。
【0201】
電気化学測定を、例6で説明したものと同じ実験条件の下で記録した。
【0202】
NAVLY(HT−900)及びPt/C(JM)タイプのナノ粒子をそれぞれ含む正極で得られたボルタモグラムを
図8に示す。
【0203】
図8は、サイクル数に対するNAVLY(HT−900)及びPt/C(JM)タイプのナノ粒子の、H
updから及びRHEに対して0.9Vでのカイネティック電流からの活性表面積における経時変化を図示する。活性表面積(ESA)は、領域H
updにおける電量分析値を210μC.cm
-2の参照電量分析値で割って計算した。したがって、触媒の電気化学的に活性な表面積(ESA)を得た。
【0204】
16000回のボルタンメトリーサイクルの後、NAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子の残った活性表面積は95%であり、Pt/C(JM)については53%であった。
【0205】
RROに関しての本発明に係るNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子の、HREに対して0.9Vで残ったカイネティック電流は84%であり、Pt/C(JM)については47%であった。
【0206】
[例12:メタノール酸化反応(MOR)において、本発明に係る方法により得られたPt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C及びNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子の質量活性度の測定]
−Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C及びNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子それぞれを含む作用電極の調製
触媒インクを、例1で得られた5mgの粉末のPt−Y
2O
3/Cナノ粒子を1mLのエタノール及び20μLの10%Nafion(登録商標)(Aldrich)溶液に懸濁して調製した。得られた懸濁液を10分間均質化した。
【0207】
次に、20μLのこのインクを3mmの直径を有しアルミナ及び超純水(18MΩcm、Milli−Q、Millipore)の混合物を用いて予め研磨したガラス状炭素電極(GCE)上に堆積した。次いで、この電極をアルゴン雰囲気下で乾燥して、作用電極(WE)として使用した。
【0208】
上で説明した実験手順に従って、Pt−Gd
2O
3/C及びNAVLY(HT−900)タイプを含む正極を調製した。
【0209】
電気化学測定を、Autolabからのポテンショスタット/ガルバノスタットに記録して、
−作用電極(WE)として、Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C及びNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子をそれぞれ含む電極、
−対向電極としてのガラス状カーボンプレート、
−参照電極としての水素可逆電極(HRE)、及び
−水と、0.5Mに等しいモル濃度の硫酸(96%、Merck)と、0.5Mに等しいモル濃度のメタノール(99.9%、Sigma−Aldrich)とを含む電解液
を含む3個の電極を用いて標準電気化学セル中で行った。
【0210】
安定したサイクリックボルタモグラム(CVs)を得るまで、参照電極に対して0.05Vと1.2Vの間で、50mV/秒でサイクルを行うことによって、作用電極WEの表面を最初に電気化学的に洗浄した。
【0211】
Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/C及びNAVLY(HT−900)タイプのナノ粒子をそれぞれ含む電極を用いて得られたボルタモグラムを
図9に示す。
【0212】
表面の白金で存在する希土類酸化物を含むナノ粒子、特に、例えば、TangらのJ.Power Sources,2006,162,1067−1072の文献及び米国出願公開第2013/165318号明細書に記載された、93mA.mg
-1Pt未満であったナノ粒子の質量活性度とは異なり、Pt−Y
2O
3/C、Pt−Gd
2O
3/Cのナノ粒子及びNAVLY(HT−900)タイプの上向きピークでの質量活性度は、それぞれ382mA.mg
-1Pt、358mA.mg
-1Pt及び318mA.mg
-1Ptであることを観測した。
【0213】
したがって、本発明に係る触媒ナノ粒子の質量活性度は、TangらのJ.Power Sources,2006,162,1067−1072の文献及び米国出願公開第2013/165318号明細書に記載されたナノ粒子に比べ、少なくとも3倍であった。
【0214】
本発明に係るナノ粒子と、TangらのJ.Power Sources,2006,162,1067−1072の文献及び米国出願公開第2013/165318号明細書に記載されたようなナノ粒子との間の質量活性度におけるこの大きな差は、白金及び希土類酸化物に基づく両タイプのナノ粒子の間の構造の違い、特に、本発明に係るナノ粒子が、白金及び酸化した希土類を含むこれらの文献に記載されたナノ粒子とは異なり、白金の表面で酸化形態の希土類を有することが原因であることを実証した。
【手続補正書】
【提出日】2016年11月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも白金と少なくとも1種の希土類とを含む少なくとも1種の白金化合物を含むナノ粒子であって、前記希土類が前記白金の表面で酸化物として存在する、ナノ粒子。
【請求項2】
前記白金化合物が、以下の式(I)、
Pt−MxOy(式中、xが存在する希土類原子Mの数であり、yが存在する酸素原子の数である)を有する、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
触媒ナノ粒子は担持されている、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記希土類の元素が、イットリウム、ガドリニウム、サマリウム、セリウム、ユウロピウム、プラセオジム、スカンジウム、テルビウム、イッテルビウム、ツリウム、又は任意のそれらの混合物である、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記希土類の元素がイットリウム又はガドリニウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項6】
前記ナノ粒子の比活性度が120μA.cm-2Pt以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記ナノ粒子の質量活性度が80mA.mg-1Pt以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記ナノ粒子の平均サイズが0.1nmと10nmの間に含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項9】
(i)白金と少なくとも1種の希土類とを含むナノ粒子の前駆体を、一酸化炭素(CO)と接触させる工程、
(ii)熱処理によって得られた生産物をカルボニル化する工程、
(iii)任意選択で、担体を加える工程、及び
(iv)十分な温度で熱処理を行い、少なくとも形成したナノ粒子の表面で、希土類酸化物を形成する工程
を含む、熱処理工程を含むナノ粒子を調製するための方法。
【請求項10】
a.不活性雰囲気の下、Pt塩、希土類塩、酢酸塩及び溶媒を撹拌して混合する工程、
b.一酸化炭素を含む雰囲気下で、予め得られた混合物を加熱する工程、
c.一酸化炭素を含有する雰囲気を不活性雰囲気、例えば窒素に置き換えて、任意選択で、ナノ粒子の担体を加える工程、
d.溶媒を蒸発させて、ナノ粒子の粉末を得る工程、
e.二水素(dihydrogen)の存在下で、不活性ガスを含む雰囲気下において、80℃と600℃の間に含まれる温度でナノ粒子の粉末を熱処理する工程、並びに
f.処理した触媒粉末を洗浄してナノ粒子を得る工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程dの前に、不活性雰囲気下かつ室温で、工程cで得られた混合物中に担体を投入することをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記担体が炭素担体である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
(v)白金を含む少なくとも1種のナノ粒子の前駆体を、酢酸塩及び一酸化炭素(CO)と接触させる工程、
(vi)熱処理で得られた生産物をカルボニル化する工程、
(vii)少なくとも1種の配位高分子(MOF)と、少なくとも1種の希土類と、任意選択で担体とを含むナノ粒子の前駆体を追加する工程、並びに
(viii)十分な温度で熱処理を行い、少なくとも形成したナノ粒子の表面で希土類酸化物を形成する工程
を含む、ナノ粒子を調製するための方法。
【請求項14】
g.不活性雰囲気の下、Pt塩、酢酸ナトリウム及び溶媒を撹拌して混合する工程、
h.一酸化炭素を含有する雰囲気下で、予め得られた混合物を加熱する工程、
i.一酸化炭素を含有する雰囲気を不活性雰囲気に置き換える工程、
j.少なくとも1種の希土類と、2−アミノテレフタレート、1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、5−アミノイソフタレート、4,4’−オキシビス(安息香酸)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレート、又は4,4’−ビフェニルジカルボキシレートの中から選択される少なくとも1種の配位子とを含むMOF化合物を追加する工程、
k.溶媒を蒸発させて、ナノ粒子の粉末を得る工程、
l.不活性ガスの雰囲気下において、100℃と1000℃の間に含まれる温度でナノ粒子の粉末を熱処理する工程、並びに
m.処理した触媒粉末を洗浄してナノ粒子を得る工程
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程jで投入した前記MOF化合物の量が、前記MOF化合物と共に工程jで投入した前記炭素の質量に対して、10mass%と20mass%の間に含まれる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
工程jにおいて、不活性雰囲気下かつ室温で、工程iで得られた混合物中に担体を投入することをさらに含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記担体がカーボンナノチューブからなる、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/又は請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノ粒子、又は、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/若しくは請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含むインク。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノ粒子、又は、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/若しくは請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含む、水素燃料電池の正極(カソード)。
【請求項21】
請求項19に記載のインクにより、前記ナノ粒子が表面上に堆積される、請求項20に記載の正極。
【請求項22】
酸性媒体中における二酸素(dioxygen)の還元反応(RRO)のための触媒として、請求項1〜5のいずれかに記載のナノ粒子、又は請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法及び/若しくは請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法を用いて得ることができるナノ粒子、又は請求項19に記載のインクのナノ粒子の使用。
【国際調査報告】