(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
増幅アッセイを使用して目的の微生物を検出するための方法およびシステムが、本明細書で開示される。上記方法およびシステムは、結合因子(例えば、抗体)の特異性を利用して、サンプルに存在する低レベルの特異的微生物を迅速に検出する。ある種の実施形態において、抗体は、微生物上の多数の利用可能な結合部位に結合する。サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法であって、該方法は、該微生物を、該サンプルから固体支持体上に捕捉する工程;該微生物サンプルを、該目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートする工程であって、ここで該検出抗体はインジケーター部分を含む工程;および該インジケーター部分を検出する工程であって、ここで該インジケーター部分の陽性検出は該微生物が該サンプルに存在することを示す工程、を包含する方法。
前記ELISAプレートは、白色のもしくは着色したバックグラウンド、または白色のおよび着色したバックグラウンドの組み合わせをさらに含む、請求項16に記載の方法。
前記システムは、前記サンプル中の前記目的の微生物の量を決定するための構成要素をさらに含み、検出されるインジケーター部分の量は、該サンプル中の微生物の量に相当する、請求項22に記載のシステム。
前記捕捉するための構成要素は、捕捉抗体で被覆したELISAプレートもしくは低いタンパク質結合能を示す親水性膜を含むフィルターである、請求項22に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、サンプル中の特異的微生物の存在を検出および/もしくは上記微生物を定量する手段として、特定の微生物に結合し得る結合因子の高い特異性を利用する。
【0017】
本明細書で開示されるのは、試験サンプル(例えば、生物学的サンプル、食品サンプル、水サンプル、および臨床サンプル)中の目的の微生物の検出のための驚くべき感度が、富化のためのいかなる培養もなしで行われるアッセイにおいて、シグナル増幅を使用して以前に可能であると考えられていたものより短い時間枠で、またはいくつかの実施形態では、微生物が潜在的に増殖し得る間に最小限のインキュベーション時間で達成され得るという発見である。
【0018】
本発明の方法およびシステムの実施形態は、食品サンプル、水サンプル、臨床サンプルおよび商業的サンプルからの病原体の検出が挙げられるが、これらに限定されない種々の環境における種々の微生物(例えば、細菌、真菌、酵母)の検出および定量に適用され得る。抗体ベースの検出実施形態は、比較的迅速であり、安価で単純な試薬および機器のみを必要とする。本明細書で開示される抗体ベースの実施形態は、任意の細菌もしくは目的の他の微生物(例えば、病原性微生物)に適合され得、そのためには、他の微生物と交差反応しない表面特異的抗体が利用可能である。本発明の方法は、迅速にかつ旧来の生物学的富化(例えば、培養)の必要性なしに、高い検出感度および特異性を提供する。従って、種々の微生物は、本発明の方法を使用して検出され得る。
【0019】
定義
本明細書において別段の定義がない限り、本発明に関連して使用される科学用語および専門用語は、当業者が一般に理解する意味を有するべきである。さらに、他に状況によって必要とされない限り、単数の用語は、複数を含むべきであり、複数の用語は、単数を含むべきである。一般に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学およびタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションとの関連で使用される命名法、ならびにこれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般に使用されるものである。公知の方法および技術は、他に示さない限り、当技術分野で周知の通常の方法によって、および本明細書を通して考察される様々な一般のおよびより特定の参考文献において記載されているように一般に行われる。酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般に達成されるように、または本明細書に記載のように、製造元の仕様によって行われる。本明細書に記載されている実験室の手順および技術に関連して使用される命名法は当技術分野で周知のものであり、一般に使用される。
【0020】
下記の用語は、他に示さない限り、下記の意味を有すると理解すべきである。
【0021】
本明細書において使用する場合、「a」、「an」、および「the」という用語は、他に特に留意しない限り、1つまたは複数を指すことができる。
【0022】
「または」という用語の使用は、代替物のみを言及することが明確に示されない限り、または代替物が相互排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。本明細書において使用する場合、「別の」は、少なくとも第2またはそれ超を意味することができる。
【0023】
本出願を通して、「約」という用語は、その値が、値を決定するために用いられているデバイス、方法についての固有の誤差の変動、または試料の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0024】
「固体支持体」または「支持体」という用語は、その上に生体分子が結合し得る基材を提供する構造物を意味する。例えば、固体支持体は、アッセイウェル(すなわち、例えば、マイクロタイタープレート)であり得、または固体支持体は、フィルター、アレイ、または移動性の支持体(例えば、ビーズ)上の位置であり得る。
【0025】
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体およびキメラ抗体、例えば、コンビナトリアル変異誘発およびファージディスプレイによって生じたものを含む。「抗体」という用語はまた、抗体の模倣物またはペプチド模倣物を含む。ペプチド模倣物は、ペプチドおよびタンパク質に基づいた、またはペプチドおよびタンパク質に由来する化合物である。本発明のペプチド模倣物は典型的には、非天然アミノ酸、コンホメーション制限、アイソスター置換(isosteric replacement)などを使用した、公知のペプチド配列の構造的改変によって得ることができる。「表面特異的抗体」は本明細書で使用される場合、特異的微生物の外表面上に露出した分子に結合する。
【0026】
「結合因子」という用語は、第2の(すなわち、異なる)対象分子に特異的および選択的に結合することができる分子を指す。相互作用は、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、または静電相互作用もしくは疎水的相互作用の結果として非共有結合性であり得、あるいは相互作用は共有結合性であり得る。「可溶性結合因子」という用語は、固体支持体に会合(すなわち、共有結合または非共有結合)していない結合因子を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「分析物」とは、測定されている分子、化合物もしくは細胞をいう。目的の分析物は、ある種の実施形態において、結合因子と相互作用し得る。本明細書で記載される場合、用語「分析物」とは、目的のタンパク質もしくはペプチドをいい得る。分析物は、アゴニスト、アンタゴニスト、もしくはモジュレーターであり得る。あるいは、分析物は、生物学的効果を有しなくてもよい。分析物としては、低分子、糖、オリゴサッカリド、脂質、ペプチド、ペプチド模倣物、および有機化合物などが挙げられ得る。
【0028】
用語「検出可能な部分」もしくは「検出可能な生体分子」もしくは「レポーター」もしくは「インジケーター部分」とは、定量的アッセイにおいて測定され得る分子をいう。例えば、インジケーター部分は、基質を、測定され得る生成物(例えば、目に見える生成物)に変換し得る酵素を含み得る。例えば、インジケーター部分は、生物発光を生成するための反応を触媒する酵素(例えば、ルシフェラーゼ)であり得る。あるいは、インジケーター部分は、定量され得る放射性同位体であり得る。あるいは、インジケーター部分は、発蛍光団であり得る。あるいは、他のインジケーター分子が使用され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「遊離抗体」とは、溶液中に存在し、かつ液体を通じて自由に動き得る抗体をいい、すなわち、それらは、最初は固体支持体に結合していないか、または別の方法で拘束されてもいない。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アフィニティー精製された」もしくは「アフィニティー精製」とは、抗体を調製および処理するために使用される一連の工程であって、その結果、それらが望ましくないエピトープとの最小限の交差反応性を含め、最適な特異性および感度を示す工程をいう。例えば、抗血清からの望ましくない脂質およびタンパク質の除去は、塩析沈殿工程(salt precipitation step)によってまず達成され得る。さらに、上記抗体の能動的選択による陽性選択(「アフィニティー精製」ともいわれる)および/または標的特異的抗体以外の抗体の能動的除去による陰性選択(「逆精製」ともいわれる)は、残りの抗体を、特定の非標的エピトープアフィニティーを有する抗体を保持するように設計したアガロースカラムに対して通過させることによって、達成され得る。いくつかの例では、上記出発抗血清がポリクローナルである場合、これらの選択工程の後に残る精製された抗体は、上記目的の微生物の表面上の多くの異なるエピトープを認識し得るが、それらは、他の微生物の表面エピトープを認識しない。
【0031】
本明細書で使用される場合、抗体を参照して「非特異的」とは、上記抗体と標的との間の相互作用がエピトープの特異的結合に起因しないが、代わりに、他のタイプの吸着および/または抗体と標的(例えば、タンパク質、生体分子、固体表面など)との間で起こり得る相互作用の結果であることを意味する。
【0032】
(遊離結合因子を使用して微生物を検出するための方法)
いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法を包含し、上記方法は、上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉する工程、上記微生物サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出抗体は、インジケーター部分を含む工程、および上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去する工程をさらに包含する。上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記検出抗体は、上記微生物の表面抗原に特異的な遊離抗体であり得る。いくつかの実施形態において、上記固体支持体は、サイズに基づいて上記目的の微生物を捕捉するフィルターであり得る。いくつかの実施形態において、上記微生物の表面上の上記検出抗体結合部位のうちの少なくとも60%は、上記インキュベーション工程の後に検出抗体に結合する。いくつかの実施形態において、少なくとも100,000個の検出抗体は、上記微生物の単一細胞の表面に結合する。これらの方法のうちのいくつかの実施形態は、遠心分離する工程をさらに包含する。
【0034】
いくつかの局面において、上記方法は、上記サンプル中の上記微生物のうちの1〜3個程度の少なさの細胞を検出し得る。いくつかの実施形態において、検出のために必要とされる合計時間は、2時間未満である。いくつかの方法は、高塩洗浄する工程、例えば、0.25Mより高いNaClおよび0.25%より高いTween20を含む洗浄をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記インジケーター部分は、酵素である。いくつかの実施形態において、上記酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはルシフェラーゼであり得る。いくつかのこのような実施形態において、反応性基質とのインキュベーションは、存在する酵素の量に相当する検出可能なシグナルを生じる。
【0035】
本発明のいくつかの方法において、上記捕捉する工程は、上記微生物を捕捉抗体と結合させる工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記捕捉抗体に結合体化した部分は、固体支持体への上記微生物の結合を促進する。いくつかの実施形態において、上記ELISAプレートは、捕捉抗体でまず被覆され、次いで、上記サンプルは、上記ELISAプレートに適用される。ELISAプレートを使用するいくつかの実施形態において、上記ELISAプレートは、白色のもしくは着色したバックグラウンド、または白色のおよび着色したバックグラウンドの組み合わせをさらに含む。
【0036】
本発明のいくつかの方法において、上記インキュベートする工程は、上記検出抗体と同じ種に由来する過剰の非特異的な非標識ブロッキング抗体の添加をさらに含む。いくつかの方法実施形態において、上記フィルターは、低いタンパク質結合能を示す親水性膜を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記捕捉抗体および/もしくは上記検出抗体は、アフィニティー精製される、および/または逆精製される。いくつかの実施形態において、上記微生物は、細菌、もしくは真菌、もしくは酵母、もしくはウイルスのうちの少なくとも1種を含む。
【0038】
従って、本明細書で開示および記載される本発明の実施形態は、単一微生物が、驚くほど多数の特異的認識因子(例えば、抗体)を結合し得るという発見を利用する。例えば、特定の微生物と関連する表面抗原に特異的な抗体は、適切な結合因子である。抗体フラグメントもしくは他の分子はまた、適切な結合因子であり得る。表面特異的抗体もしくは抗体フラグメントは、目的の特異的微生物の表面で見いだされる抗原に対して生成され得る。よって、抗体もしくは抗体フラグメントは、捕捉目的もしくは検出目的または両方のために微生物を特異的に同定し得る。
【0039】
本発明の方法およびシステムの実施形態は、種々の環境(食品サンプル、水サンプル、臨床サンプルおよび商業サンプルからの病原体の検出が挙げられるが、これらに限定されない)において、種々の微生物(例えば、細菌、真菌、酵母)の検出および定量に適用され得る。例えば、上記方法は、細菌、酵母、真菌、もしくは他の微生物の検出に適用され得る。本発明によって検出可能である細菌細胞としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Salmonellaのうちの全ての種、Escherichia coliのうちの全ての種(E. coli O157:H7が挙げられるが、これに限定されない)、Listeriaのうちの全ての種(L. monocytogenesが挙げられるが、これに限定されない)、およびCampylobacterのうちの全ての種。本発明によって検出可能な細菌細胞としては、医学的にもしくは獣医学的に重要な病原体である細菌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。このような病原体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bacillus spp.、Bordetella pertussis、Camplyobacter jejuni、Chlamydia pneumoniae、Clostridium perfringens、Enterobacter spp.、Klebsiella pneumoniae、Mycoplasma pneumoniae、Salmonella typhi、Shigella sonnei、Staphylococcus aureus、およびStreptococcus spp。
【0040】
従って、いくつかの実施形態において、上記目的の微生物は、細菌、もしくは真菌、もしくは酵母、もしくはウイルスのうちの少なくとも1種を含む。
【0041】
本明細書で開示される実施形態は、目的の任意の微生物に適合され得、そのためには、特異的な結合因子に結合しかつ他の微生物と交差反応しない表面特異的生体分子が利用可能である。本発明の方法は、迅速にかつ旧来の生物学的富化(例えば、培養)の必要性なしで、高い検出感度および特異性を提供する。従って、種々の微生物は、本発明の方法を使用して検出され得る。
【0042】
例えば、単一E. coli細胞は2×10
5個より多くの抗体を結合し得るという知見が開示される。この原理は、微生物表面抗原の(例えば、複数の抗体による)特異的認識に基づいて、1個もしくは数個の細胞からのシグナルの増幅を可能にする。抗体は、微生物の表面上の多数の利用可能な結合部位に結合され得る。いくつかの実施形態において、上記微生物は、この増幅の結果として非常に低レベルで検出可能である(例えば、単一微生物が検出され得る)。
【0043】
いくつかの実施形態において、検出は、上記目的の微生物に特異的な結合因子と関連付けられたインジケーター部分を通じて達成される。例えば、インジケーター部分は、抗体もしくは抗体フラグメントと関連付けられ得る。また、いくつかの実施形態において、検出は、上記目的の微生物に結合した上記抗体の複合体を精製するために、第2の結合因子の使用なしで達成される。
【0044】
従って、ある種の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法を包含し、上記方法は、上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉する工程;上記微生物サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出結合因子とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出結合因子はインジケーター部分を含む工程;および上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。一実施形態において、上記方法は、上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の検出結合因子を除去する工程を包含し得る。
【0045】
(目的の微生物を標的化するための抗体)
一実施形態において、上記検出結合因子は、抗体である。
【0046】
例えば、ある種の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法を包含し、上記方法は、上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉する工程;上記微生物サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出抗体はインジケーター部分を含む工程;および上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。一実施形態において、上記固体支持体は、フィルタープレートである。別の実施形態において、上記固体支持体は、ELISAプレートである。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去する工程を包含し得る。
【0047】
一実施形態において、上記検出抗体は、上記微生物の表面抗原に特異的な遊離抗体である。従って、ある種の実施形態において、本発明は、シグナルを増幅し、それによって、サンプルに存在する低レベルの微生物(例えば、単一微生物)を検出するための手段として、目的の特定の微生物を認識および/もしくはこの微生物に結合し得る結合因子の高い特異性を利用する。
【0048】
いくつかの実施形態において、利用可能な表面抗原の高いパーセンテージの飽和は、高められた感度および特異性での微生物の検出を可能にする。代替の実施形態において、上記微生物の表面上の抗体結合部位のうちの少なくとも20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%より高くが、上記インキュベートする工程の後に抗体に結合する。いくつかの実施形態において、少なくとも10,000;20,000;30,000;40,000;50,000;60,000;70,000;80,000;90,000;100,000;110,000;120,000;130,000;140,000;150,000;160,000;170,000;180,000;190,000;もしくは200,000の抗体もしくは抗体フラグメントは、単一微生物細胞の表面に結合する。
【0049】
単一微生物の表面上で利用可能な多数の結合部位に考慮すると、過剰な特異的抗体分子へのサンプル中の微生物の曝露は、潜在的結合部位のより大きな飽和を可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態において、単一サンプルは、1×10
10より多い抗体分子に曝露され得る。いくつかの実施形態において、単一サンプルは、4×10
10より多くの抗体分子に曝露され得る。いくつかの状況において、サンプルあたり1ng(4×10
9)〜250ng(1×10
12)の抗体分子の範囲の任意の数がまた、適切であり得る。
【0050】
適切な抗体もしくは抗体フラグメントは、使用される本発明の実施形態に依存して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)もしくは別の適切なインジケーター部分(検出部分ともいわれる)に結合体化することができる。ある種の実施形態において、上記抗体は、アフィニティー精製および/または逆精製される。
【0051】
多種多様な細菌もしくは他の微生物上の表面抗原の特異的認識を明らかに示す抗体は、多くの供給源から市販されている。例えば、全血清から精製された表面特異的抗体は、Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc. (KPL)から得られ得る。このような抗体の別の商業的供給源は、Abcamである。いくつかの実施形態において、上記抗体は、アフィニティー精製および/もしくは逆精製(「陽性選択」および/もしくは「陰性選択」ともいわれる)に供され、その結果、望ましくない抗原(例えば、他の密接に関連する微生物の表面上のもの)への交差反応性は、最小限にされる。
【0052】
陽性選択は、抗原をアガロース支持体に共有結合的にカップリングする(例えば、バッチもしくはカラムで行われる)こと、次いで、上記抗血清を適用することを要し得る。上記抗血清に由来する望ましい抗体は、その抗原を結合する一方で、他のタンパク質および非特異的抗体は、洗い落される。次いで、上記抗原特異的抗体は、上記アガロース支持体から溶離される。この生成物は、「アフィニティー精製された抗体」画分である。
【0053】
次いで、上記アフィニティー精製された抗体は、「逆精製」もしくは「陰性選択」によってさらに精製され得る。繰り返すと、抗原は、上記アガロース支持体にカップリングさせるが、標的抗原を使用する代わりに、陰性選択は、他の標的に由来する抗原を使用する。望ましくない抗体は、上記抗原を結合し、上記支持体上に残る一方で、望ましい抗体は、収集のために通過する。その最終生成物は、アフィニティー精製されかつ「逆精製」されており、従って、それは、目的の標的(例えば、E. coli O157:H7)に非常に特異的であり得る。
【0054】
従って、本発明のいくつかの実施形態において、特定の微生物(例えば、E. coli O157:H7)を認識する精製された表面特異的抗体は、他の類似の微生物(例えば、E. coli B)を認識しない。また、いくつかの実施形態において、例えば、E. coli BもしくはE. coli O157:H7に特異的な抗体は、Salmonella typhimuriumもしくはStaphylococcus epidermidisもしくは他の微生物の細胞を認識しない。これは、別の驚くべき発見を表す。なぜなら多くの微生物は、特に密接に関連した種の間で非常に類似であると以前は考えられていた、例えば、表面リポポリサッカリド(グラム陰性細菌)もしくはリポテイコ酸(グラム陽性細菌)分子を有するからである。E. coli O157:H7を認識するが、E. coli BおよびSalmonella typhimuriumを認識しない抗体の特異性を、
図1に示す(以下でより詳細に考察される)。
【0055】
(微生物の捕捉)
いくつかの実施形態において、本発明は、サンプルからの細菌細胞の物理的捕捉、収集もしくは単離を可能にする方法およびシステムを包含する。このような捕捉は、上記微生物の結合因子特異性もしくは他の特徴(例えば、サイズ)に基づき得る。例えば、単一細菌(これは、約1立方マイクロメートルの体積を有し得る)は、10
12立法マイクロメートルの体積を有する1ミリリットルサンプルから単離され得る。いくつかの実施形態において、特異的結合因子(例えば、捕捉抗体)によって促進される捕捉は、上記サンプル中の微生物の濃度を増加させるために望ましいことであり得る。このような実施形態において、上記方法は、上記サンプルと、複数の(過剰な)遊離のアフィニティー精製された捕捉抗体もしくは抗体フラグメントとを接触させる工程を包含し得る。
【0056】
さらにもしくは代わりに、固体支持体は、上記目的の微生物を捕捉するために使用され得る。例えば、固体支持体は、上記サンプル中の他の構成要素からの上記微生物のサイズ分離に基づいて、上記微生物を捕捉するために使用され得る。従って、一実施形態において、上記固体支持体は、サイズに基づいて上記微生物を捕捉するフィルターである。例えば、細菌学的フィルター(例えば、0.45μm孔サイズスピンフィルター)を通してサンプルをろ過することは、無傷の細菌を保持しながら、より小さな物質が通過することを可能にする。あるいは、プレートフィルターは、微生物を捕捉するために使用され得るか、または種々の他のフィルターデバイスが使用され得る(例えば、96ウェルフィルタープレート)。
【0057】
従って、本発明のいくつかの実施形態は、上記微生物を、サイズ分画によって細菌学的フィルター上に収集するかもしくは捕捉するための工程を包含する。いくつかの実施形態において、サイズベースの捕捉は、第1の工程である。いくつかの実施形態において、次の工程は、上記目的の微生物を特異的に標的とする結合因子を使用し、検出を促進する。例えば、検出抗体は、上記目的の微生物を特異的に標的としかつ同定するために、上記捕捉された微生物とともにインキュベートされ得る。上記サンプル中の上記微生物の物理的および/もしくは化学的単離の他の方法が使用されてもよい。種々の実施形態において、検出工程は、このような捕捉の前、捕捉と同時、もしくは捕捉の後に行われ得る。
【0058】
ある種の実施形態において、アッセイサンプルに存在する検出可能な部分は、バックグラウンドシグナル(すなわち、上記微生物の細胞が存在しない場合にすら検出されるシグナル)に寄与し得る。例えば、ある種の実施形態において、バックグラウンドシグナルは、上記アッセイの種々の構成要素(例えば、プレート表面、他の非標的細胞)への検出抗体結合から生じ得る。抗体は、特異的にもしくは非特異的に結合し得、その両方が、バックグラウンドシグナルを与える。しかし、上記アッセイの感度を増加させるために、上記目的の微生物を、上記標的微生物に特異的な過剰な検出抗体とともにインキュベートすることは、望ましいことであり得る。従って、感度と特異性との間にはバランスがある。
【0059】
ある種の実施形態において、上記固体支持体は、親水性の物質であるので、非特異的様式でタンパク質を結合しない。一実施形態において、上記固体支持体は、低いタンパク質結合能を示す親水性膜である。例えば、1% BSA/PBSTで予めブロッキングしている0.45μmの親水性PVDFフィルタープレート(Whatmanカタログ# 7700−3306)は、適切な低いタンパク質結合フィルタープレートである。代替は、Pall(低いタンパク質結合を有する0.45μm Supor(ポリエーテルスルホン)膜プレート(AcroPrep #6008029))およびMillipore(Durapore Multiscreen Plates、低いタンパク質結合性の親水性PVDF)から入手可能である。
【0060】
さらにもしくは代わりに、上記固体支持体(もしくは上記アッセイに存在する他の構成要素)への上記検出抗体のいかなる非特異的結合をも低減するために、上記インキュベートする工程は、過剰な非標識ブロッキング抗体の添加をさらに包含し得る。上記非標識ブロッキング抗体は、上記目的の微生物に特異的でない(すなわち、上記目的の微生物の特異的エピトープを認識しない)抗体であり得る。上記非標識抗体は、上記検出抗体と同じ種に由来し得る。例えば、上記検出抗体がヤギに由来する場合、ヤギに由来する大過剰の非特異的IgGもまた、上記アッセイに添加され得る。大モル過剰の非特異的(非標識)抗体を含めることによって、上記非標識抗体が、上記レポーター−抗体分子の非特異的結合を低減し得る。従って、ブロッカーとして抗体を使用することは、上記レポーターが抗体ベースである場合、一般的なタンパク質(例えば、BSA)より良好なブロッカーとして働き得る。同じ種に由来する対になった抗体(すなわち、検出抗体およびブロッキング抗体)を使用することは、上記ブロッカーの有効性を改善し得る。
【0061】
ある種の実施形態において、上記方法は、1以上の洗浄工程、例えば、上記捕捉された目的の微生物を、高塩調合物で洗浄して、高いバックグラウンドシグナルに寄与し得るいかなる余分な粒子をも除去する工程を包含する。また、高塩洗浄する工程は、存在し得るいかなる過剰な検出抗体をも除去するために、上記検出抗体のインキュベーション後に使用され得る。例えば、一実施形態において、上記方法は、高塩洗浄液において抗体とともにインキュベートした上記目的の微生物の複合体を洗浄する工程を包含し得る。上記高塩洗浄液は、例えば、0.25Mより高いNaCl、および0.25%より高いTween 20の溶液、または上記NaCl構成要素もしくは上記Tween20構成要素単独のうちのいずれかの溶液を含み得る。他の高塩選択肢は、350mMまでのNaCl、0.05%(以下/以上)のTriton X−100界面活性剤、0.05%(以下/以上)のCHAPS界面活性剤、リン酸緩衝液(PBS)の代わりにTrisベースの緩衝液(TBS)、または他のものを有する溶液を含む。
【0062】
上記方法は、上記微生物を固体支持体上に捕捉する工程、次いで、上記結合因子を添加して、微生物および結合因子の複合体を上記固体支持体上で形成する工程を包含し得る。あるいは、上記方法は、微生物および結合因子の複合体を形成する工程、ならびに上記微生物を、固体支持体上で複合体として捕捉する工程を包含し得る。
【0063】
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法を包含し、上記方法は、上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉する工程;上記サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出抗体はインジケーター部分を含む工程;上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去する工程;および上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
【0064】
あるいは、上記サンプルは、検出抗体とともにインキュベートした後にフィルター上に捕捉され得る(すなわち、上記の最初の2工程は、逆にされる)。従って、いくつかの実施形態において、上記標的微生物は、試験されている上記サンプルを、検出抗体とともにインキュベートする工程、上記微生物を細菌学的フィルター上に捕捉する工程、過剰な抗体を洗い落す工程、および適切な反応性基質とともにインキュベートすることによって、上記フィルターによって捕捉された上記サンプルに存在するインジケーター部分の量を測定する工程によって、検出され得る。
【0065】
(目的の微生物をサンプルから捕捉するための結合因子の使用)
ある種の実施形態において、目的の微生物に高い特異性を有する結合因子は、サンプルに存在する低レベルの微生物(例えば、単一微生物)の捕捉および単離を促進するために使用され得る。従って、ある種の実施形態において、上記捕捉する工程は、上記目的の微生物を捕捉抗体に結合させる工程を包含する。
【0066】
例えば、いくつかの実施形態において、本発明の捕捉する工程は、上記微生物に特異的な捕捉抗体を利用して、上記サンプル中の他の構成要素からの上記微生物の単離を促進し得る。いくつかの実施形態において、上記捕捉抗体および検出抗体は、それらが異なる化学的部分に結合体化されることを除いて、同じ抗体であり得る。
【0067】
例えば、捕捉抗体は、固体支持体に結合したストレプトアビジンへの結合を促進するためにビオチン化され得る一方で、HRPに結合体化した検出抗体は、適切な基質とのインキュベーションの際に、視覚的シグナルの放射を促進するために使用され得る。しかし、このような実施形態において、捕捉抗体によって占められる結合部位は、検出抗体にとって利用可能な結合部位を効率的に低減し得る。さらにこのような実施形態は、上記サンプル量が制限されず、上記アッセイ形式の単純さが好ましい場合に使用され得る(例えば、微生物に関するフィールド試験)。
【0068】
例えば、
図1は、捕捉抗体によって促進されたE. coli O157:H7捕捉の特異性を実証し、ここでは微生物の他のタイプ(すなわち、E. coli BおよびSalmonella typhimurium)もまた上記試験サンプルに存在する。このコロニー形成単位(CFU)実験において、ストレプトアビジンで被覆された磁性ビーズは、無傷のE. coli O157:H7に対して生成しかつアフィニティー精製された遊離のビオチン化ポリクローナル抗体(KPL)とともに予めインキュベートしたE. coli O157:H7を単離して、他の微生物種との交差反応性を最小限にするために使用した。磁性ビーズ上での捕捉後に、細胞−ビーズ複合体のサンプルのうちの一部をLuria Bertani(LB)プレート上に拡げ、37℃において一晩インキュベートして、コロニーを増殖させた(CFUアッセイ)。上記E. coli O157:H7細胞が、特異的なE. coli O157:H7抗体を使用する場合に細胞−ビーズ複合体画分に存在するにすぎず、E. coli O157:H7細菌は上清画分において回収されないことが見いだされた。E. coli BおよびS. typhimurium細胞は、E. coli O157:H7特異的抗体を使用する場合に、上清画分中にのみ見いだされた。抗体の非存在下では、細菌の全3タイプが、上清画分中に見いだされた。
【0069】
あるいは、いくつかの実施形態において、上記微生物−抗体複合体に結合する別の化学的部分で被覆したビーズが使用され得る。例えば、上記抗細菌抗体を認識もしくは結合する二次抗体で被覆したビーズが使用され得る。この点において、上記ビーズに結合する細菌は、上記サンプルから(例えば、吸引、デカンティング、磁力、もしくは他の適切な単離法によって)単離され得、種々の技術によって検出され得る。いくつかの実施形態において、捕捉の効率は、
図1で実証される実験に類似して、CFUアッセイにおいて、上記ビーズに結合した細菌および未結合の上清画分をプレートすることによって、定量され得る。他の実施形態において、インジケーター部分の検出のための基質(すなわち、基質試薬)との反応によって生成するシグナルは、上記プレートされた部分との比較のために、上記捕捉されたサンプルの一部において測定される。
【0070】
従って、いくつかの実施形態において、上記方法は、上記サンプルをビオチン化捕捉抗体とともにまずインキュベートする工程;次に、上記サンプルと複数の磁性ストレプトアビジン被覆ビーズと接触させて、上記細菌−抗体複合体を結合する工程;および最後に、上記ビーズ−抗体−細菌複合体を磁石で隔離して、上記細菌を単離する工程を包含し得る。あるいは、上記ビオチン−抗体:細菌複合体を精製する他の方法が使用され得る。このような実施形態に伴って、1ミリリットルのサンプル中の細菌は、約1マイクロリットル(約1000倍)へと濃縮され得、本明細書で記載される方法によってさらなる検出および/もしくは定量を容易にする。
【0071】
(ELISAアッセイを使用する微生物の捕捉)
他の実施形態において、捕捉結合因子は、上記標的微生物について試験される予定のサンプルが添加される前に、マイクロタイタープレートの表面にまず固定され得る。一実施形態において、上記捕捉抗体は、固体支持体に結合する。一実施形態において、上記固体支持体は、ELISAプレートである。一実施形態において、上記捕捉抗体に結合体化した部分は、固体支持体への上記微生物の結合を促進する。例えば、ある種の実施形態において、プレートは、捕捉抗体でまず被覆され、次いで、上記サンプルは、上記プレートに適用される。上記プレートは白くてもよいし、代替の実施形態では、上記プレートは、着色したバックグラウンドまたは白色のおよび着色したバックグラウンドの組み合わせを有していてもよい。
【0072】
従って、一実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法を包含し、上記方法は、上記微生物を上記サンプルから、固体支持体に結合しかつ上記目的の微生物を特異的に結合する結合因子を含む上記固体支持体上に捕捉する工程;上記微生物サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出結合因子とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出結合因子はインジケーター部分を含む工程;ならびに上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
【0073】
一実施形態において、捕捉のために使用される上記結合因子および/もしくは検出のために使用される上記結合因子は、抗体である。従って、ある種の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法を包含し、上記方法は、上記微生物を上記サンプルから、固体支持体に結合しているが、上記目的の微生物を特異的に結合する抗体を含む上記固体支持体上に捕捉する工程;上記微生物サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出抗体はインジケーター部分を含む工程;および上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
【0074】
上記捕捉結合因子は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル捕捉抗体はまた、バックグラウンドシグナルを(ポリクローナルと比較して)大いに低減し得、より良好な感度を可能にする。このことは、野菜洗浄液において見いだされる種々様々な細菌細胞の間での表面タンパク質の類似性によって説明され得、その結果、ポリクローナル抗体は、非標的細胞を捕捉し得る(非標的細胞は、いくつかの試験サンプルでは、標的細胞を数で大いに上回り得る)。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記サンプルは、上記捕捉抗体への上記微生物の近接を増加させるために遠心分離して、上記捕捉工程を促進する。上記サンプルウェルは、上記サンプル中の他の構成要素の除去の前に、上記標的微生物の効率的な捕捉を可能にするための、抗体結合に十分な時間の長さにわたるインキュベーション後に洗浄され得る。従って、いくつかの実施形態は、捕捉抗体を使用して、マイクロタイタープレートの表面における上記標的微生物の捕捉および固定を可能にする。
【0076】
いくつかの局面において、非常に多数の捕捉抗体分子は非定型的に、上記目的の特定の微生物に関する捕捉効率を増加し得る。例えば、ELISAプレートを被覆するために使用されるモノクローナル抗体の推奨量の3倍での実験は、より代表的な量より良好な結果を生じた。より具体的には、100μL体積中の代表的な100ng、もしくは4×10
11の抗体の代わりに、100μL体積中の300ng、もしくは1.2×10
12のモノクローナル抗体は、96ウェルELISAプレートの1ウェルを被覆し、E. coli O157:H7を捕捉することに関して、より良好な結果を生じた。他の局面において、上記ELISAプレートは、標準的手順に従う抗体で被覆される。
【0077】
従って、いくつかの実施形態において、アフィニティー精製した抗体は、固体支持体上での上記目的の微生物の捕捉を促進するために使用され得る。一実施形態において、捕捉のための上記固体支持体は、アッセイウェル(例えば、マイクロタイタープレート)もしくはフィルターであり得る。あるいは、上記捕捉固体支持体は、アレイ、もしくは移動支持体(例えば、ビーズ)上のある位置に存在し得る。一実施形態において、上記結合因子は、固体支持体(例えば、フィルターもしくはビーズもしくはマイクロタイタープレートの表面)上に固定されるか、または遊離であり、その後に固体支持体上に固定される。次いで、上記固定した微生物は、上記サンプルから(例えば、吸引、デカンティング、磁力、もしくは他の適切な単離法によって)除去され得、種々の技術によって検出され得る。
【0078】
(微生物の検出)
いくつかの局面において、本発明は、インジケーター部分を通じて微生物を検出するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記インジケーター部分は、微生物特異的抗体(「検出抗体」)に結合体化することができる。いくつかの実施形態において、上記インジケーター部分は、基質と反応して検出可能なシグナルを放射し得る。いくつかの実施形態において、上記検出感度は、上記目的の微生物の100、50、40、30、20、10、5、4、3、もしくは2個程度の少なさの細胞の存在を明らかにし得る。いくつかの実施形態において、上記目的の微生物の単一細胞ですら、バックグラウンドシグナルより検出可能に高いシグナルを生じ得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、目的の微生物の検出のために、合計で、3.5時間未満、3時間未満、2.5時間未満、2時間未満、1.5時間未満、もしくは1時間未満を要する。いくつかの実施形態において、これらの迅速法は、上記目的の微生物の100、75、50、20、10、9、8、7、6、5、4、3、もしくは2個程度の少なさの細胞を検出し得る。いくつかの実施形態において、上記微生物の単一細胞ですら検出可能である。
【0080】
目的の微生物を検出するための方法のいくつかの実施形態の局面は、上記検出抗体としてのポリクローナル抗体の使用から利益を受け得る。ポリクローナル抗体の使用は、微生物細胞の表面上のより多くの部位への結合を促進し得、上記アッセイの感度を増加させ得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記検出抗体は、上記インジケーター部分として働き得る酵素に結合体化される。ある種の実施形態において、上記方法は、存在する酵素の量に相当する検出可能なシグナルを生じるように、反応性基質とのインキュベーションを含む。多くのインジケーター部分は、市販されており、このようなインジケーター部分に結合体化した検出抗体も同様である。例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ (HRP)もしくはルシフェラーゼ、または別の適切な酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)は、抗体もしくは抗体フラグメントに結合体化することができる。あるいは、他の酵素−基質の組み合わせはまた、上記インジケーターの組み合わせとして使用され得る。
【0082】
一般に、このような酵素は、適切な基質と反応して、発光、着色化合物への基質の変換もしくは他の手段によって検出され得る化合物への基質の変換を伴う複数段階の反応を触媒する。上記シグナル(例えば、光の放射、色)は、適切な機械(例えば、ルミノメーター、分光光度計)で定量的に分析され得る。例えば、ルシフェラーゼは、上記インジケーター部分として働き得、そしてルシフェリンが基質として働き得るかまたは他のルシフェラーゼ基質が使用され得る。あるいは、上記検出抗体は、蛍光部分(例えば、発蛍光団、QDOTS(登録商標))で標識され得る。任意のこのような検出抗体は、本発明の種々の実施形態とともに使用され得る。
【0083】
ルミノメーターは、本明細書で記載されるいくつかの実施形態において、色もしくは他の光の放射を検出するために使用され得る。しかし、他のデバイスもしくは機械もまた、使用され得る。例えば、分光光度計、CCDカメラ、もしくはCMOSカメラは、色の変化および他の光の放射を検出するために使用され得る。化学発光アッセイは、一般に、より高い感度を明らかに示す一方で、比色分析アプローチは、一般に、より低い感度を明らかに示す。しかしながら、比色分析機器は、より広く入手可能であり得、より安価であり得る。
【0084】
多くの実施形態において、マルチウェルプレートは、上記アッセイを行うために使用される。プレート(もしくは検出する工程が行われ得る任意の他の容器)の選択は、上記検出する工程に影響を及ぼし得る。例えば、いくつかのプレートは、光の放射の検出に影響を及ぼし得る、着色したもしくは白色のバックグラウンドを含み得る。概して、白色のプレートは、より高い感度を有するが、より高いバックグラウンドシグナルをも生じる。プレートの他の色は、より低いバックグラウンドシグナルを生成し得るが、わずかにより低い感度を有し得る。さらに、バックグラウンドシグナルに関する1つの理由は、1つのウェルから別の隣接するウェルへの光の漏れである。白色のウェルを有するいくつかのプレートがあるが、上記プレートの残りは黒色である。これは、上記ウェルの内部での高いシグナルを可能にするが、ウェルからウェルへの光の漏れを防止し、従って、バックグラウンドを低減し得る。従って、プレートもしくは他のアッセイ容器の選択は、上記アッセイのための感度およびバックグラウンドシグナルに影響を与え得る。
【0085】
種々のインジケーター部分が使用され得る。本発明のいくつかの実施形態は、レポーターもしくはインジケーター(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP))に結合体化した検出抗体を利用する。いくつかの実施形態において、HRP−抗体−細胞複合体は、検出可能なインジケーターシグナルを生成するための、適切な基質(例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)と反応することができる。あるいは、上記の基質は、SIRIUS(登録商標)−HRP(WesternBright)であってもよいし、他の適切な基質が使用されてもよい。TMB基質が使用される実施形態において、TMBとHRPとの反応は、上記反応を透明から青色へと変化させる比色シグナルを生成する。上記TMB反応シグナルは、波長650nmにおいて標準的な分光光度計で検出され得る。SIRIUS(登録商標)基質が使用される場合、HRPとの反応は、ルミノメーターまたは他のデバイスもしくは機械において測定され得る化学発光シグナルを生じる。いくつかの実施形態において、SIRIUS(登録商標)基質は、TMB基質より高い感度を明らかに示し得る。
【0086】
例えば、いくつかの実施形態において、上記試験サンプルは、溶液中でHRPもしくは別のインジケーター部分にカップリングさせた遊離の検出抗体(例えば、E. coli O157:H7の表面抗原に特異的)とともにインキュベートされ得、上記微生物は、例えば、上記サンプルを、細菌学的フィルター(例えば、0.45μm孔サイズスピンフィルター)もしくは他のプレートフィルターを通じてろ過することによって、捕捉され得る。一実施形態において、上記フィルター上に捕捉された微生物は、過剰な未結合の抗体を除去するために1回以上洗浄され得る。一実施形態において、上記反応性基質(例えば、TMBもしくはSIRIUS(登録商標))は、上記フィルターに結合したままである上記サンプルの一部とともにインキュベートされ得る。一実施形態において、上記TMB、SIRIUS(登録商標)、もしくは他の反応性基質は、次いで、遠心分離され得るかまたは上記フィルターを通じて真空によって引き込まれ得、そして上記インジケーター部分の検出のために収集され得る(例えば、TMBのための分光光度計における650nmでの、もしくはSIRIUS(登録商標)検出のためのルミノメーターにおいて)。
【0087】
あるいは、上記で考察されるように、上記サンプルは、検出抗体とともにインキュベートする前に、捕捉のために(例えば、遠心分離もしくは真空によって)上記フィルターに直接適用され得る。次いで、検出抗体(例えば、HRP−抗体)は、上記フィルター上にロードされ得、短時間インキュベートされ得、その過剰な未結合の抗体は、遠心分離され得るかまたは真空によって上記フィルターを通じて引き込まれ得る。次いで、上記フィルターに結合したサンプルは洗浄され得、反応性基質(例えば、SIRIUS(登録商標))は、上記フィルター上にロードされ得、その反応の放射物が測定され得る。従って、いくつかの実施形態において、上記インジケーター−基質反応は、上記フィルターウェルで直接的に検出され得る。
【0088】
従って、上記方法の工程を行うことは、上記捕捉固体支持体:微生物(細胞):検出抗体:インジケーター部分:基質から構成される複合体を生じ得る。このような実施形態は、迅速分析を提供する。いくつかのこのような実施形態において、捕捉抗体は必要ではなく、上記微生物を物理的に捕らえるためのさらなる工程は必要とされない。
【0089】
あるいは、標的微生物は、単離され得、試験されている上記サンプルを、捕捉抗体および検出抗体(その両方が、上記微生物に特異的であり得る)とともに同時にインキュベートすることによって検出され得る。あるいは上記サンプルは、逐次的に抗体と反応することができる。上記微生物は、次いで、上記捕捉抗体の属性(attribute)を使用して特異的に単離され得る。いくつかの実施形態において、上記捕捉抗体はビオチン化され、その結果、それは、磁性ストレプトアビジンビーズへのその後の結合を促進する。あるいは上記捕捉抗体は、ビーズもしくは別の固体支持体への上記捕捉抗体の連結を促進する別のタンパク質もしくは他の分子(すなわち、結合因子)に結合体化することができる。このような実施形態は、最初のサンプルサイズが大きいおよび/または非常に薄い場合に感度の増加を提供し得る。
【0090】
従って、いくつかの実施形態において、上記方法の工程を行うことは、上記捕捉固体支持体:結合因子:捕捉抗体:表面抗原:目的の微生物:表面抗原:検出抗体:インジケーター部分:基質もしくは種々の類似の構成のうちのいずれかから構成される種々の複合体を生じる。
【0091】
いくつかの実施形態において、複数の微生物は、同時に検出され得る。1つより多い微生物が検出される予定である場合、検出抗体の各タイプは、異なるインジケーター部分に結合体化することができる。例えば、E. coli O157:H7に特異的な検出抗体は、HRPに結合体化し得る一方で、S. aureusに特異的な検出抗体は、アルカリホスファターゼ(AP)に結合体化することができる。適切な基質(例えば、HRPについてのTMB基質およびAPについてのニトロブルーテトラゾリウム(NBT)基質)との反応後に、上記サンプルは、各微生物が検出される適切な波長(例えば、TMBについては650nmおよびNBTについては405nm)において分光光度計で読み取られ得る。あるいは、上記サンプルは、別個のアリコートへと分けられ得、各目的の微生物の存在について種々の実施形態に従って分析され得る。
【0092】
図2は、フィルタープレート上での捕捉のためにサイズ分画を使用する、本発明の一実施形態に従う微生物の捕捉および検出を示す模式図である。この実施形態において、1個の細菌(図中に示されるとおり)もしくは複数の細菌を含む液体サンプルは、工程201においてフィルタープレートのウェル中に置かれる。上記溶液は、工程202において上記フィルターを通して(例えば、真空もしくは遠心分離によって)上記ウェルから除去される。次に、上記細菌上の表面抗原もしくは複数の表面抗原(すなわち、ポリクローナル抗体に関して)に特異的な複数の遊離抗体を含む溶液を、上記ウェルに添加し、抗体が上記細菌の表面に結合することを可能にするために十分な期間(例えば、約1時間)にわたってインキュベートする(工程203)。上記抗体は、インジケーター部分(例えば、HRPもしくはルシフェラーゼ)に結合体化することができる。インキュベーション後、上記溶液および任意の過剰な未結合の抗体は、上記ウェルから上記フィルターを通じて工程204において(例えば、真空もしくは遠心分離によって)除去され得る。必要に応じて、いくつかの洗浄工程がまた、行われ得る。最後に、上記インジケーター部分の検出は、工程205において、酵素と反応する基質の添加(205における「U」字形の矢印によってあらわされる)によって行われる。上記フィルタープレートは、ルミノメーター(もしくは他の適切な機械)の中に直接入れられ得、最適のインジケーター基質は、上記ウェルの中に注入され(例えば、SIRIUS(登録商標)もしくはルシフェラーゼ基質試薬)、上記インジケーター反応シグナルは、注入直後に(および/または適切な場合には他の時間間隔で)検出される。
【0093】
図2の模式図は、単純さのために上記細菌に結合したわずかな抗体のみを示すが、差し込み図は、上記細菌が、数万もしくは数十万もの抗体(例えば、E. coli O157:H7については>2×10
5)で実際に被覆されるという概念を図示する。約50の抗体が
図2(挿入図)の中で結合して示されるとおり、示されるこれらの抗体の各々は、結合した約4,000の抗体を表す。例えば、既知量のHRP活性と、フィルタープレートのウェルに捕捉された既知数の細菌に結合した抗体と関連付けられたHRP活性とを比較する実験は、驚くべきことに、約2〜5×10
5 HRP−抗体が各E. coli O157:H7細胞を結合することを実証する。従って、本発明のいくつかの実施形態は、複数の抗体もしくは上記標的微生物の表面上で利用可能な多数の結合部位に結合するために十分な大過剰を要する。いくつかの実施形態において、大部分の、細菌上の利用可能な結合部位が、検出抗体に結合する。代替の実施形態において、上記微生物の表面上の抗体結合部位のうちの少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%が、上記インキュベーション工程の後に抗体に結合する。例えば、代替の実施形態において、少なくとも10,000;20,000;30,000;40,000;50,000;60,000;70,000;80,000;90,000;100,000;110,000;120,000;130,000;140,000;150,000;160,000;170,000;180,000;190,000;もしくは200,000の抗体が、単一微生物の表面に結合する。
【0094】
従って、いくつかの実施形態において、および
図2で図示されるように、上記抗体は、溶液中で遊離しており、上記微生物の捕捉は、サイズに(例えば、フィルタープレートに)基づく。インジケーター部分のその後の検出は、上記フィルタープレート上で直接行われる。
【0095】
他の実施形態において、検出抗体は、上記捕捉された微生物サンプルを保持するフィルターに直接添加するよりむしろ、捕捉前に溶液中の上記サンプルに(すなわち、上記のとおり過剰に)添加され得る。このような実施形態はまた、特異的検出抗体と組み合わせてサイズベースの捕捉を利用する。一実施形態において、試験される予定の上記サンプルは、まず混合され得、HRPに結合体化した表面特異的抗体とともに約1時間インキュベートされ得る。次に、上記サンプルは、固体支持体(例えば、細菌学的フィルター)に、遠心分離、真空、もしくは他の手段によって適用し得る。上記HRP基質(TMB、SIRIUS、もしくは他の適切な基質)は、ウェル中の、上記フィルター上に捕捉された(検出抗体と複合体化した)上記微生物上に直接置いて、酵素と反応させることができる。HRP−抗体と基質との反応からの上記インジケーターシグナルは、注入直後におよび/もしくはその後の種々の時間間隔において、ルミノメーター(もしくは分光光度計もしくは他の適切なデバイス)で検出される。
【0096】
図3は、本発明の一実施形態に従って、チューブ中のサンプルとともにインキュベートし、次いで、フィルタープレートに移した、HRP−抗体を使用するE. coli O157:H7の検出に関する結果を示す。この実施形態において、既知体積の溶液中の既知数のE. coli O157:H7細胞を含むサンプルは、抗E. coli O157:H7 HRP−抗体結合体とともに(例えば、約1時間にわたって)インキュベートされる。次いで、サンプル全体は、PVDFフィルタープレートに適用し得、未結合の抗体を除去するためにPBSTで洗浄され得る。上記洗浄されたプレートは、次いで、HRP化学発光基質が注入されるルミノメーターの中に入れられる。読み取りは、注入直後に、同様にその後の適切な間隔で行われ得る。例示的実験結果は、上記サンプル中の細胞数(CFU)をX軸に示し、バックグラウンド(ゼロ細胞コントロール)超える、測定されたインジケーターシグナルは、相対発光単位(RLU)としてY軸に示される。これらの結果は、インジケーターシグナルの増加が上記サンプル中のE. coli O157:H7細胞の増加に相当することを示す。
【0097】
いくつかの実施形態において、微生物の1を超える種を含む試験サンプルは、アッセイし得る。本発明のいくつかの実施形態は、他の非標的微生物の存在にも関わらず、特異的微生物の定量的検出を可能にする。従って、
図4は、既知数のE. coli B細胞のさらなる存在ありもしくはなしでの、既知数のE. coli O157:H7を含むサンプル中において、E. coli O157:H7の検出に関する結果を示す。この実施形態において、サンプルは、チューブ中で抗E. coli O157:H7 HRP−抗体結合体とともに(例えば、約1時間にわたって)まずインキュベートし得る。次いで、上記サンプル全体は、PVDFフィルタープレートに適用し得、未結合の抗体を除去するためにPBSTで洗浄され得る。上記洗浄されたプレートは、次いで、HRP化学発光基質が注入され得るルミノメーターの中に入れられ得る。読み取りは、注入直後に、同様にその後の適切な間隔で行われ得る。
図4において、X軸は、上記サンプル中の細胞数(CFU)を示し、バックグラウンドを超える、測定されたシグナルは、相対発光単位(RLU)としてY軸に示される。例示的実験は、E. coli O157:H7に特異的なアフィニティー精製され逆精製された抗体が、試験サンプル中、E. coli Bの存在下でE. coli O157:H7を検出することを示す。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明は、検出抗体とともにインキュベートする前に、サイズベースの捕捉工程を含む。このような実施形態において、検出抗体とのインキュベーションは、フィルター上に既に捕捉されているサンプル微生物に対して行われ得る。従って、
図5は、すべての工程がフィルタープレートの中で直接行われたE. coli O157:H7の検出についての結果を明らかに示す。この実施形態において、既知数のE. coli O157:H7細胞を含むサンプルは、PVDFフィルタープレートに直接適用される。上記サンプル溶液は、遠心分離によって除去され得るかまたは真空によって上記フィルターを通して引き込まれ得る。次に、抗E. coli O157:H7 HRP−抗体は、最小限の体積において上記捕捉された細菌サンプルに添加され得、(例えば、約1時間にわたって)インキュベートされ得る。次いで、ウェルは、HRP化学発光基質が各ウェルの中に注入され得るルミノメーターの中に入れられる前に、PBSTで洗浄され得る。読み取りは、注入直後に行われ得る。この例示的実験は、約1、2、5、もしくは10の細菌(CFU)の正確な検出がすべての工程に関して単一フィルタープレートを利用する方法で可能であることを実証する。
【0099】
本明細書で注目されるように、種々のインジケーター部分が使用され得る。本発明のいくつかの実施形態は、レポーターもしくはインジケーター(例えば、ルシフェラーゼ)に結合体化した検出抗体を利用する。従って、ルシフェラーゼ結合体化検出抗体(「Luc−抗体」)は、本発明に従う種々の方法で使用され得る。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記インジケーター反応がルミノメーターを使用して上記フィルタープレート上で直接測定され得るHRP−抗体に関して上記で記載されるもの(例えば、
図3、
図4および
図5)に非常に類似している。
【0100】
ルシフェラーゼ結合体化抗体は、市販されていなくてもよいが、このような結合体の調製は、本明細書で記載される方法に従って達成され得る。簡潔には、抗体およびルシフェラーゼは、出発抗体の精製、抗体−SMCCを生成するためのスルホ−SMCCとの中間の結合体化、上記抗体−SMCCの脱塩、および最後に脱塩した組換えルシフェラーゼとのインキュベーションによって、結合体化することができる。詳細は、実施例5で提供される。
【0101】
図6は、Luc−抗体を使用するE. coli O157:H7の検出のための例示的実験を明らかに示す。
図2に示される実施形態に類似して、上記サンプルは、最初の工程としてフィルタープレート上でのサイズ分画によって捕捉され得る。プレートウェル中に捕捉された上記細胞をLuc−抗体とともにインキュベートし、未結合のLuc−抗体を除去し、洗浄した後、ルシフェリン基質試薬(もしくは他のルシフェラーゼ基質)は、ウェルに添加され得、上記反応放射は、ルミノメーターで測定され得る。この例示的実験は、Luc−抗体を使用するインジケーターシグナルの増加が上記サンプル中のE. coli O157:H7細胞の数の増加に相当することを実証する。詳細は、実施例6に提供される。
【0102】
(ELISAベースの方法)
本明細書で考察されるように、いくつかの場合には、上記検出結合因子とともにインキュベートする前に、固体表面(例えば、アッセイウェル)上で上記目的の微生物を捕捉することは、好ましいことであり得る。
【0103】
模式的な
図7で認められるように、1つのELISAベースの実施形態において、上記サンプルは、細菌特異的捕捉抗体で被覆したマイクロタイタープレートウェルにまず適用される701。上記プレートは、上記捕捉抗体への上記細菌の結合を促進するために遠心分離され得、上清のうちのいくらかもしくは全てが、除去され得る702。完全な細菌捕捉を可能にするために十分な時間の後、レポーター(例えば、HRP)結合体化細菌特異的抗体を含む溶液を、各サンプルに添加する703。上記HRP−抗体結合体とのインキュベーションは、上記捕捉された細菌への抗体の結合および付着(attachment)を生じる704。本明細書で考察されるように、上記細菌上のエピトープに特異的に結合する抗体の数百もしくは数千もの分子が存在し得る。最後に、数回の洗浄工程のあとに、上記サンプルは、上記適切な基質(例えば、化学発光基質)とともにインキュベートされ、その反応放射が測定される(例えば、ルミノメーターで)705。705における「U」字形の矢印は、インジケーターシグナルを生成するための基質と酵素との反応を表す。
【0104】
図8は、実施例7に記載され、より一般的に
図7に図示されるとおりのELISAベースの実験からの結果を示す。生データは、PBST中、25もしくは100個の細胞でのアッセイからプロットされる。25もしくは100個の細胞の発光は、バックグラウンドシグナルを超えて明確に検出された。
【0105】
図9は、PBST中5個の細胞、ホウレンソウ洗浄液、および細胞数において2〜4倍増加を提供し得る短時間の富化時間を伴う洗浄液、を使用するアッセイの間の比較を示す。この実験における富化のためのインキュベーション時間は、70〜80分間であった。バックグラウンドシグナルを超える、サンプルの各タイプからのシグナルが示される。エラーバーは、標準偏差を示す。この実験は、実施例9に詳細に記載される。
【0106】
図10は、細菌を、店頭で購入したホウレンソウの葉上に直接スポットし、乾燥させ、次いで、野菜洗浄液を調製した実験(全て実施例10に記載されるとおり)からの結果を示す。いくつかの実験において、富化工程のための短い(約1時間)培養が含まれる。上記捕捉および検出手順は、以前に記載されるものと同じである。グラフは、短時間の富化時間ありおよびなしのホウレンソウ洗浄液サンプル間の比較を示す。10個の細胞で出発した各アッセイ、およびサンプルの各タイプからのシグナルがバックグラウンドシグナルを超えて示されるので、10個の細胞/バックグラウンドからのシグナルに対して正規化される。この実験は、実施例10に詳細に記載される。
【0107】
(サンプル)
本発明の方法およびシステムの実施形態の各々は、サンプル中の微生物の迅速検出および定量を可能にし得る。例えば、本発明に従う方法は、最もこのましくは、約2時間以下で行われ得る。
【0108】
本発明の方法およびシステムによって検出される微生物としては、商業的、医学的もしくは獣医学的に懸念される病原体が挙げられる。このような病原体としては、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、マイコプラズマおよびウイルスが挙げられる。上記特定の微生物に特異的な結合因子が同定された任意の微生物は、本発明の方法によって検出され得る。当業者は、必須の特定の結合因子/微生物の対の利用可能性以外に、本発明の方法の適用に制限はないことを認識する。
【0109】
本発明によって検出可能な細菌細胞としては、食品もしくは水で伝播する病原体である細菌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本発明によって検出可能な細菌細胞としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Salmonellaのうちの全ての種、Escherichia coliのうちの全ての株(E. coli O157:H7が挙げられるが、これに限定されない)、Listeriaのうちの全ての種(L. monocytogenesが挙げられるが、これに限定されない)、およびCampylobacterのうちの全ての種。本発明によって検出可能な細菌細胞としては、医学的にもしくは獣医学的に重要な病原体である細菌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。このような病原体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bacillus spp.、Bordetella pertussis、Camplyobacter jejuni、Chlamydia pneumoniae、Clostridium perfringens、Enterobacter spp.、Klebsiella pneumoniae、Mycoplasma pneumoniae、Salmonella typhi、Shigella sonnei、Staphylococcus aureus、およびStreptococcus spp。
【0110】
上記サンプルは、環境サンプルもしくは食品サンプルもしくは水サンプルおよび医学的サンプルもしくは獣医学的サンプルであり得る。サンプルは、液体、固体、もしくは半固体であり得る。サンプルは、固体表面のスワブであり得る。サンプルとしては、環境材料(例えば、水サンプル)、またはサイクロンコレクターからの空気サンプルもしくはエアロゾルサンプルに由来するフィルターが挙げられ得る。サンプルは、食肉、家禽、加工食品、ミルク、チーズ、もしくは他の酪農製品のサンプルであり得る。医学的サンプルもしくは獣医学的サンプルとしては、血液サンプル、喀痰サンプル、脳脊髄液サンプル、および糞便サンプルならびに種々のタイプのスワブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
サンプルは、調製も、希釈もなしに、本発明の検出法において直接使用され得る。例えば、液体サンプル(ミルクおよびジュースが挙げられるが、これらに限定されない)は、直接アッセイされ得る。サンプルは、緩衝化溶液もしくは細菌培養培地が挙げられ得るが、これらに限定されない溶液中で希釈もしくは懸濁され得る。固体もしくは半固体であるサンプルは、液体中の固体を細かく刻むか、混合するかもしくは浸軟することによって、液体中に懸濁され得る。サンプルはまた、2価カチオンおよび1価カチオン(Na
+、Mg
2+、およびK
+が挙げられるが、これらに限定されない)の適切な濃度を含むべきである。好ましくは、サンプルは、上記サンプル内に含まれる任意の病原体細胞の生存性を維持する温度で維持される。このような温度は、少なくとも約25摂氏度(C)、より好ましくは、約45℃以下、最も好ましくは約37℃である。
【0112】
(本発明のシステムおよびキット)
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書で開示される方法を行うための構成要素を含むシステム(例えば、自動化システムもしくはキット)を含む。本明細書で記載されるいくつかの実施形態は、上記方法を行うために必要とされる試薬および材料の最小限の量を考慮すると、自動化もしくはキットに特に適している。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのシステムを含み、上記システムは、上記サンプルを上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記検出抗体はインジケーター部分を含む構成要素を含む。上記システムはまた、上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉するための構成要素を含み得る。上記システムはまた、上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去するための構成要素を含み得る。上記システムはまた、上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、上記システムは、上記サンプル中の上記目的の微生物の量を決定するための構成要素であって、ここで検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する構成要素をさらに含む。
【0114】
いくつかのシステムにおいて、上記検出抗体は、上記目的の微生物を特異的に認識しかつ結合する遊離抗体である。従って、ある種の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのシステムを提供し、上記システムは、上記サンプルを上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記検出抗体はインジケーター部分を含む構成要素;上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉するための構成要素;上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去するための構成要素;上記インジケーター部分を検出するための構成要素;および上記サンプル中の上記目的の微生物の量を決定するための構成要素であって、ここで検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する構成要素を含む。このようなシステムは、微生物の迅速検出の方法に関して上記に記載されるものに類似の種々の実施形態および下位の実施形態を含み得る。
【0115】
本発明に従ういくつかのシステム実施形態において、システムは、上記サンプル中の上記目的の微生物の量を決定するための構成要素であって、ここで検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する構成要素をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記システムは、自動化される、半自動化される、もしくはユーザーによってコンピューター入力を介して制御される。いくつかの自動化されるもしくは半自動化される実施形態において、少なくとも1つの工程は、ロボットにより行われる。
【0116】
いくつかの実施形態において、上記システムは、キットである。このような実施形態において、上記システムの構成要素のうちの各々は、第1の部位から第2の部位へ送達可能な自己充足式のユニットの中に含まれ得る。いくつかの実施形態において、上記キットは、少なくとも、上記目的の微生物に特異的な検出抗体を含む。上記検出抗体は、ある種の実施形態において、上記目的の微生物を特異的に認識しかつ結合する遊離抗体であり得る。いくつかの実施形態において、上記キットは、目的の微生物を捕捉するための構成要素および上記微生物を検出するための構成要素を含む。いくつかのキット実施形態において、上記捕捉するための構成要素は、捕捉抗体で被覆したELISAプレートもしくは低いタンパク質結合能を示す親水性膜を含むフィルターである。いくつかのキット実施形態は、遠心分離するための構成要素をさらに含む。
【0117】
例えば、上記システムもしくはキットは、上記サンプルを上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートするための試薬を含む容器を含み得、ここで上記検出抗体は、インジケーター部分を含む。一実施形態において、上記試薬は、インジケーター部分に結合体化されている、目的の微生物に特異的な抗体を含み得る。
【0118】
上記システムもしくはキットは、上記目的の微生物を捕捉するための少なくとも1つの固体支持体を含み得る。例えば、一実施形態において、上記システムもしくはキットは、細菌をサンプルから捕捉するために使用される複数のフィルターを含み得る。
【0119】
上記システムもしくはキットは、上記インジケーター部分の検出のための1種もしくは複数種の構成要素(a component or components)をさらに含み得る。従って、ある種の実施形態において、上記システムもしくはキットは、検出可能な生成物を生成するために使用される基質を含み得る。さらにもしくは代わりに、上記システムもしくはキットは、上記インジケーター部分によって生成する発光化合物の検出のためのルミノメーターを含み得る。
【0120】
上記システムもしくはキットは、上記目的の微生物をサンプルから捕捉するための固体表面に結合させた結合因子をさらに含み得る。例えば、上記システムもしくはキットは、上記目的の微生物に結合する抗体を含み得、ここで上記抗体は、固体支持体にカップリングさせる(すなわち、共有結合する)。上記固体支持体は、フィルター、もしくはビーズまたは当該分野で公知のもしくは本明細書で開示される他の固体支持体を含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記システムもしくはキットは、自動化される、半自動化される、もしくはユーザーによってコンピューター入力を介して制御される。いくつかの実施形態において、上記システムもしくはキットは、本発明のシステムおよびまたは方法とともに使用するために設計された非一時的なコンピューター可読媒体を含み得る。ある種の実施形態において、少なくとも1つの工程は、ロボットにより行われる。
【0122】
本発明のシステムおよびキットは、種々の構成要素を含む。本明細書で使用される場合、用語「構成要素」とは、広く定義され、記載される方法を実施するための任意の適した装置、組成物または適した装置もしくは組成物の集まりを含む。上記構成要素は、いかなる特定の方法においても互いに関して一体的に接続される必要も据え付けられる必要もない。本発明は、互いに関して上記構成要素の任意の適切な配置を含む。例えば、上記構成要素は、同じ空間の中に存在する必要さえない。しかしいくつかの実施形態において、上記構成要素は、一体ユニットにおいて互いに接続され得る。いくつかの実施形態において、同じ構成要素は、複数機能を実行し得る。例えば、種々の代替の実施形態において、種々の工程のための構成要素は、同じ構成要素であってもよいし、別個の異なる構成要素であってもよい。
【0123】
(コンピューターシステムおよびコンピューター可読媒体)
本明細書中で注目されるように、上記システムおよびキットは、現在の技術もしくはその構成要素のうちのいずれかにおいて記載されるように、コンピューターシステムとともに使用するための形態で具現化され得る。コンピューターシステムの代表例としては、汎用コンピューター、プログラムされたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、周辺集積回路素子、および本技術の方法を構成する工程を実装し得る他のデバイスもしくはデバイスの配置が挙げられる。
【0124】
ある種の実施形態において、本発明は、本発明のシステムとともに使用するための非一時的なコンピューター可読媒体を含む。他の実施形態において、本発明は、本発明のキットとともに使用するための非一時的なコンピューター可読媒体を含む。他の実施形態において、本発明は、本発明の種々の方法とともに使用するための非一時的なコンピューター可読媒体を含む。
【0125】
コンピューターシステムは、コンピューター、入力デバイス、ディスプレイユニット、および/もしくはインターネットを含み得る。上記コンピューターは、マイクロプロセッサをさらに含み得る。上記マイクロプロセッサは、通信バスへと接続され得る。上記コンピューターはまた、メモリを含み得る。上記メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリーメモリ(ROM)を含み得る。上記コンピューターシステムは、記憶デバイスをさらに含み得る。上記記憶デバイスは、ハードディスクドライブもしくはリムーバル記憶デバイス(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、光学ディスクドライブなど)であり得る。上記記憶デバイスはまた、コンピュータープログラムもしくは他の指示を上記コンピューターシステムへとロードするための他の類似の手段であり得る。上記コンピューターシステムはまた、通信ユニットを含み得る。上記通信ユニットは、I/Oインターフェイスを通じて、上記コンピューターが他のデータベースおよびインターネットに接続することを可能にし得る。上記通信ユニットは、他のデータベースへの転送、ならびに他のデータベースからのデータの受領を可能にする。上記通信ユニットは、モデム、Ethernet(登録商標)カード、もしくは上記コンピューターシステムをデータベースおよびネットワーク(例えば、LAN、MAN、WANおよびインターネット)に接続することを可能にする任意の類似のデバイスを含み得る。上記コンピューターシステムは、I/Oインターフェイスを介して上記システムへとアクセス可能な入力デバイスを通じてユーザーからの入力を容易にし得る。
【0126】
コンピューティングデバイスは、代表的には、そのコンピューティングデバイスの一般管理およびオペレーションのための実行可能なプログラム指示を提供するオペレーティングシステムを含み、代表的には、サーバーのプロセッサによって実行される場合に、上記コンピューティングデバイスにその意図された機能を行わせる指示を記憶するコンピューター可読記憶媒体(例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリなど)を含む。上記オペレーティングシステムに適した実装および上記コンピューティングデバイスの一般的な機能性は、公知であるかもしくは市販されており、当業者によって、特に本明細書の開示に鑑みて、容易に実装される。
【0127】
上記コンピューターシステムは、入力データを処理するために、1以上の記憶素子の中に記憶される一群の指示を実行し得る。上記記憶素子はまた、記載されるとおりのデータもしくは他の情報を保持し得る。上記記憶素子は、処理機械に存在する情報ソースもしくは物理的メモリ素子の形態にあり得る。
【0128】
環境は、上記で考察されるとおりの種々のデータストアならびに他のメモリおよび記憶媒体を含み得る。これらは、種々の位置に存在し得る(例えば、上記コンピューターのうちの1以上にローカルな(および/もしくは中に存在する)、またはネットワーク全体にわたって記コンピューターのうちのいずれかもしくはすべてから遠隔にある記憶媒体において)。実施形態の特定の一群において、情報は、当業者が精通しているストレージエリアネットワーク(「SAN」)に存在し得る。同様に、上記コンピューター、サーバー、もしくは他のネットワークデバイスに帰した機能を行うための任意の必須のファイルは、適切な場合、ローカルにおよび/もしくは遠隔に保存され得る。システムが、コンピューティングデバイスを含む場合、各々のこのようなデバイスは、バスを介して電気的に連結され得るハードウェア要素を含み得、上記要素は、例えば、少なくとも1つの中央処理装置(CPU)、少なくとも1つの入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、コントローラー、タッチスクリーン、もしくはキーパッド)、および少なくとも1つの出力デバイス(例えば、ディスプレイデバイス、プリンター、もしくはスピーカー)を含む。このようなシステムはまた、1つ以上の記憶デバイス(例えば、ディスクドライブ、光学記憶デバイス、およびソリッドステート記憶デバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)もしくはリードオンリーメモリ(「ROM」)、ならびにリムーバブルメディアデバイス、メモリカード、フラッシュカードなどを含み得る。
【0129】
このようなデバイスはまた、コンピューター可読記憶媒体リーダー、通信デバイス(例えば、モデム、ネットワークカード(無線もしくは有線)、赤外線通信デバイスなど)、および上記のとおりのワーキングメモリを含み得る。上記コンピューター可読記憶媒体リーダーは、遠隔、ローカル、固定、および/もしくはリムーバブル記憶デバイスを代表するコンピューター可読記憶媒体、ならびにコンピューター可読情報を一時的におよび/もしくはより恒久的に含む、記憶する、伝達する、および検索するための記憶媒体と接続され得るかまたはこれらを受容するように構成され得る。上記システムおよび種々のデバイスはまた、代表的には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム(例えば、クライアントアプリケーションもしくはウェブブラウザ)を含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内に位置した多くのソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス、もしくは他の要素を含む。代替の実施形態が、上記のものからの多くのバリエーションを有し得ることは認識されるべきである。例えば、カスタマイズされたハードウェアがまた使用され得る、および/または特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(ポータブルソフトウェア(例えば、アプレット)を含む)、または両方において実装され得る。さらに、他のコンピューティングデバイス(例えば、ネットワーク入力/出力デバイス)への接続が使用され得る。
【0130】
コード、もしくはコードの一部を含むための非一時的な記憶媒体およびコンピューター可読媒体としては、当該分野で公知であるかもしくは使用される任意の適切な媒体(記憶媒体および通信媒体(例えば、コンピューター可読の指示、データ構造、プログラムモジュール、もしくは他のデータなどの情報の記憶および/または伝達のための任意の方法または技術において実装される、揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブルの媒体が挙げられるが、これらに限定されない)を含む)が挙げられ得、これらとしては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多目的ディスク(DVD)もしくは他の光学記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を記憶するために使用され得、システムデバイスによってアクセスされ得る任意の他の媒体が挙げられる。上記開示および本明細書に提供される教示に基づいて、当業者は、上記種々の実施形態を実装するための他のやり方および/または方法を認識する。
【0131】
コンピューター可読媒体は、プロセッサにコンピューター可読指示を提供することができる電子式、光学式、磁気、もしくは他の記憶デバイスを含み得るが、これらに限定されない。他の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、SRAM、DRAM、連想メモリ(「CAM」)、DDR、フラッシュメモリ(例えば、NANDフラッシュもしくはNORフラッシュ、ASIC、構成されたプロセッサ、光学記憶媒体、磁気テープもしくは他の磁気記憶媒体、またはコンピュータープロセッサが指示を読み得る任意の他の媒体。一実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、コンピューター可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))の単一タイプを含み得る。他の実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、コンピューター可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ディスクドライブ、およびキャッシュ)のうちの2以上のタイプを含み得る。上記コンピューティングデバイスは、1以上の外付けのコンピューター可読媒体(例えば、外付けハードディスクドライブ、もしくは外付けDVDドライブ)と通信状態にあり得る。
【0132】
上記で考察されるように、上記実施形態は、コンピューター実行可能なプログラム指示を実行および/またはメモリに記憶された情報にアクセスするように構成されているプロセッサを含み得る。上記指示は、任意の適切なコンピュータープログラミング言語(例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、Perl、JavaScript(登録商標)、およびActionScript(Adobe Systems, Mountain View, Calif.)が挙げられる)で書かれたコードから、コンパイラおよび/もしくはインタープリターによって生成されたプロセッサ特異的指示を含み得る。一実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、単一のプロセッサを含む。他の実施形態において、上記デバイスは、2以上のプロセッサを含む。このようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および状態機械を含み得る。このようなプロセッサは、プログラマブル電子デバイス(例えば、PLC)、プログラマブル割り込みコントローラー(PIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電子的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(electronically programmable read-only memory)(EPROMもしくはEEPROM)、または他の類似のデバイスをさらに含み得る。
【0133】
上記コンピューティングデバイスは、ネットワークインターフェイスを含み得る。いくつかの実施形態において、上記ネットワークインターフェイスは、有線もしくは無線の通信リンクを介して通信するように構成されている。例えば、上記ネットワークインターフェイスは、Ethernet(登録商標)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、802.16(Wi−Max)、Bluetooth(登録商標)、赤外線などを介して、ネットワーク上での通信を可能にし得る。別の例として、ネットワークインターフェイスは、ネットワーク(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、UMTS、もしくは他の携帯通信ネットワーク(cellular communication network))上での通信を可能にし得る。いくつかの実施形態において、上記ネットワークインターフェイスは、別のデバイスでの、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、1394 FireWire、シリアル接続もしくはパラレル接続、または類似のインターフェイスを介したポイントツーポイント接続を可能にし得る。適切なコンピューティングデバイスのいくつかの実施形態は、1以上のネットワーク上での通信のための2以上のネットワークインターフェイスを含み得る。いくつかの実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、ネットワークインターフェイスに加えてもしくはその代わりに、データストアを含み得る。
【0134】
適切なコンピューティングデバイスのいくつかの実施形態は、多くの外付けもしくは内部デバイス(例えば、マウス、CD−ROM、DVD、キーボード、ディスプレイ、オーディースピーカー、1以上のマイクロフォン、または任意の他の入力もしくは出力デバイス)を含み得るかまたはこれらと通信状態にあり得る。例えば、上記コンピューティングデバイスは、種々のユーザーインターフェイスデバイスおよびディスプレイと通信状態にある。上記ディスプレイは、任意の適切な技術(LCD、LED、CRTなどが挙げられるが、これらに限定されない)を使用し得る。
【0135】
上記コンピューターシステムによる実行のための指示セットは、特定のタスク(例えば、本技術の方法を構成する工程)を行うための処理機械を指示する種々のコマンドを含み得る。上記指示セットは、ソフトウェアプログラムの形態にあり得る。さらには、上記ソフトウェアは、本技術におけるように、別個のプログラムの集まり、より大きなプログラムを有するプログラムモジュールもしくはプログラムモジュールの一部の形態にあり得る。上記ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態でのモジュラープログラミングを含み得る。処理機械による入力データの処理は、ユーザーコマンド、以前の処理の結果、もしくは別の処理機械によって作成されたリクエストに応じ得る。
【0136】
本発明は、ある種の実施形態を参照して開示されてきた一方で、記載される実施形態に対する多くの改変、変化および変更は、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく可能である。よって、本発明は、上記記載される実施形態に限定されないことは意図されるが、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有する。
【0137】
本明細書で記載される技術の実施形態のうちのいくつかは、以下の番号付けされた段落のうちのいずれかに従って定義され得る:
【0138】
(1)サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法であって、上記方法は、上記微生物を、上記サンプルから固体支持体上に捕捉する工程;上記微生物サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートする工程であって、ここで上記検出抗体は、インジケーター部分を含む工程;および上記インジケーター部分を検出する工程であって、ここで上記インジケーター部分の陽性検出は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す工程、を包含する方法。
【0139】
(2)上記検出抗体は、上記微生物の表面抗原に特異的な遊離抗体であり、必要に応じて上記固体支持体は、サイズに基づいて上記目的の微生物を捕捉するフィルターであり、そして必要に応じて上記フィルターは、低いタンパク質結合能を示す親水性膜を含む、段落1に記載の方法。
【0140】
(3)上記微生物の表面上の上記検出抗体結合部位のうちの少なくとも60%は、上記インキュベートする工程の後に検出抗体に結合する、および/または少なくとも100,000個の検出抗体は、上記微生物の単一細胞の表面に結合する、および/または上記方法は、上記サンプル中の上記微生物の10個程度の少なさの細胞を検出し得る、および/または検出に必要とされる合計時間は、2.5時間未満である、段落1または2に記載の方法。
【0141】
(4)上記インジケーター部分は、酵素であり、上記酵素は、必要に応じて、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはルシフェラーゼである;および反応性基質とのインキュベーションは、存在する酵素の量に相当する検出可能なシグナルを生じる;および必要に応じて、上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去する工程をさらに包含する、段落1〜3のいずれかに記載の方法。
【0142】
(5)上記捕捉する工程は、微生物を捕捉抗体で結合する工程をさらに包含する;必要に応じて、上記捕捉抗体に結合体化した部分は、固体支持体への上記微生物の結合を促進する;および必要に応じて、上記ELISAプレートは、捕捉抗体でまず被覆され、次いで、上記サンプルは、上記ELISAプレートに適用される;および必要に応じて、上記ELISAプレートは、白色のもしくは着色したバックグラウンドまたは白色のおよび着色したバックグラウンドの組み合わせをさらに含む、段落1〜4のいずれかに記載の方法。
【0143】
(6)上記インキュベートする工程は、上記検出抗体と同じ種に由来する過剰な非特異的非標識ブロッキング抗体の添加をさらに包含する;および必要に応じて、上記捕捉抗体および/もしくは上記検出抗体は、アフィニティー精製され、そして/または逆精製される、段落1〜5のいずれかに記載の方法。
【0144】
(7)遠心分離する工程および/もしくは高塩洗浄する工程をさらに包含し、上記微生物は、細菌、もしくは真菌、もしくは酵母、もしくはウイルスのうちの少なくとも1種を含む、段落1〜6のいずれかに記載の方法。
【0145】
(8)サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのシステムであって、上記システムは、上記サンプルを、上記目的の微生物に特異的な検出抗体とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記検出抗体はインジケーター部分を含む構成要素;上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉するための構成要素;上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、未結合の抗体を除去するための構成要素;および上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含む、システム。
【0146】
(9)上記システムは、上記サンプル中の上記目的の微生物の量を決定するための構成要素をさらに含み、検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する;および必要に応じて、上記検出抗体は遊離抗体である、段落8に記載の上記システム。
【0147】
(10)上記システムは、自動化されるか、半自動化されるか、またはユーザーによってコンピューター入力を介して制御される;および必要に応じて、少なくとも1つの工程は、ロボットにより行われる、段落8または9に記載のシステム。
【0148】
(11)上記システムは、キットであり、上記キットは、必要に応じて、目的の微生物を捕捉するための構成要素および上記微生物を検出するための構成要素を含む;および上記キットは、必要に応じて、遊離抗体を含む、段落8〜10のいずれかに記載のシステム。
【0149】
(12)上記捕捉するための構成要素は、捕捉抗体で被覆したELISAプレートもしくは低いタンパク質結合能を示す親水性膜を含むフィルターである、段落8〜11のいずれかに記載のシステム。
【0150】
(13)遠心分離するための構成要素をさらに含む、段落8〜12のいずれかに記載のシステム。
【0151】
(14)サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのキットであって、上記キットは、上記目的の微生物に特異的な遊離抗体を含み、必要に応じて、ELISAプレート、フィルタープレート、および/もしくは高塩洗浄液をさらに含む、キット。
【0152】
(15)段落1〜14に記載の方法またはシステムのうちのいずれかとともに使用するために設計された、コンピューター可読媒体。
【実施例】
【0153】
(実施例1.抗体およびビーズを使用する、E. coli O157:H7の特異的かつ定量的捕捉)
【0154】
図1は、磁性ストレプトアビジン被覆ビーズと組み合わせて用いられる、E. coli O157:H7に対する抗体がサンプルから特異的にかつ定量的にE. coli O157:H7を捕捉したが、E. coli BもSalmonella typhimuriumも捕捉しなかったことを実証する例示的実験を示す。溶液から無傷で生存性の細菌細胞を捕捉することにおける特異性を実証するために、E. coli O157:H7の表面エピトープに対するポリクローナル抗体を、KPLから入手した(アフィニティー精製および逆精製して、交差反応性を最小限にした)。
【0155】
E. coli株およびS. typhimurium両方の培養物を、LBブロス中で増殖させ、採取し、リン酸緩衝液(1.1mM KH
2PO
4、5.6mM Na
2HPO
4、154mM NaCl、pH 7.4)で洗浄した。次いで、上記洗浄した細胞を計数し、mLあたり5〜20個の細胞の間の濃度に希釈した。
【0156】
E. coli O157:H7を含むサンプルを、BSAおよびビオチン結合体化抗体を含む溶液と混合した。KPLによって生成された約10ng ビオチン化ポリクローナル抗E. coli抗体(約4×10
10 抗体分子に等しい)を、細胞懸濁物の各々に添加した。細胞懸濁物に抗体を添加しなかったコントロール実験をまた、並行して行った。BSA濃度は、約1%であり、合計のビオチン−抗体は、10ngであった。上記混合物を、転倒させて(end-over-end)1時間回転させた。
【0157】
抗体とのインキュベーションの後に、4×10
7個のストレプトアビジン被覆磁性微粒子(Invitrogen/Life Technologies)を、上記混合物に添加し、さらに30分間インキュベートした。次いで、その細胞−抗体−ビーズ複合体を、磁性スタンドを使用して収集し、未結合の画分(上清)を除去した。上記ビーズを、Tween−20を含むリン酸緩衝液(1.1mM KH
2PO
4、5.6mM Na
2HPO
4、154mM NaCl、pH7.4、0.05% Tween−20)で穏やかに洗浄した。次いで、上記上清および捕捉された細胞−ビーズ複合体の両方を、LB寒天プレート上に拡げ、上記プレートを、37℃で一晩インキュベートして、CFUを決定した。抗O157:H7抗体でのE. coli O157:H7(しかしE. coli BでもSalmonella typhimuriumでもない)の捕捉は、特異的かつ定量的であった(
図1)。
【0158】
(実施例2.捕捉前に溶液に添加したHRP−Abを使用するE. coli O157:H7の検出)
【0159】
E. coli O157:H7を、Luria−Bertani(LB)ブロスの中で増殖させた。細胞濃度を、血球計を使用して決定した。細胞を、300μL 1% BSA/PBST(PBSTは、リン酸緩衝生理食塩水−Tween−20である)中で約3、9、および27個の細胞へと希釈した。実際の細胞数(CFU)を、上記「27個の細胞/300μL」サンプルのうちの100μLをプレートすることによって決定した。次いで、10μL 1% BSA/PBST中のHRP結合体化抗E. coli O157:H7抗体(KPLカタログ#04−95−90、ヤギポリクローナル、アフィニティー精製されかつ逆精製された抗体)の10ナノグラム(10ng)を、各サンプルに添加した。サンプルを、室温で1.5時間、チューブを転倒させて(end-over-end)回転することによって混合した。次いで、上記混合物を、1% BSA/PBSTで予めブロッキングした0.45μm親水性PVDFフィルタープレート(Whatmanカタログ# 7700−3306)へと直接移した。上記サンプル溶液を、遠心分離によって除去した。上記サンプルを上記フィルター膜に適用した後、上記ウェルを、300μL PBSTで6回洗浄した。次いで、上記洗浄したプレートを、100μL HRP化学発光基質(Advansta SIRIUS(登録商標)基質、カタログ#K−12043−D10)を各ウェルに添加してルミノメーター(Promega GLOMAX(登録商標)96)の中に置いた。サンプル読み取りを、注入の直後に行った。
図3は、例示的実験からの結果を明らかに示す。上記実験を二連で行い、平均値および標準偏差をプロットした。そのX軸は、上記サンプル中の細胞数(CFU)を示し、測定されるインジケーターシグナルは、相対発光単位(RLU)としてY軸に示される。インジケーターシグナルは、ゼロ細胞サンプルを超える増加倍数として示される。この例示的実験を、10ng HRP−抗体を使用して、300μLサンプルから約5、14、および42 CFUの検出を示す。
【0160】
(実施例3.E. coli Bの存在下でのE. coli O157:H7の検出)
【0161】
E. coli O157:H7およびE. coli Bを、LBブロス中で増殖させた。細胞濃度を、血球計を使用して決定した。E. coli O157:H7を、50μL 1% BSA/PBST中の、約3、9、および27個の細胞へと希釈した。E. coli Bを、50μL 1% BSA/PBST中の、約15および150個の細胞へと希釈した。実際の細胞数(CFU)を、上記細胞希釈物のうちの50μLをプレートすることによって決定した。E. coli O157:H7およびE. coli Bの混合物を、上記細胞希釈物のうちの50μLを合わせるか、または50μL 1% BSA/PBSTを添加する(100μL 合計出発サンプルのための)ことによって作った。次いで、10μL 1% BSA/PBST中の10ナノグラム(10ng)のHRP結合体化抗E. coli O157:H7抗体(KPLカタログ #04−95−90)を、各サンプルに添加した。サンプルを室温で、1.5時間、チューブを転倒させて回転するることによって混合した。次いで、上記混合物を、1% BSA/PBSTで予めブロッキングした0.45μm親水性PVDFフィルタープレート(Whatmanカタログ# 7700−3306)へと直接移した。上記サンプル溶液を、遠心分離によって除去した。上記サンプルを上記フィルター膜に適用した後、上記ウェルを、300μL PBSTで6回洗浄した。次いで、上記洗浄したプレートを、100μL HRP化学発光基質(Advansta SIRIUS(登録商標)基質、カタログ#K−12043−D10)を各ウェルに添加してルミノメーター(Promega GLOMAX(登録商標)96)の中に置いた。サンプル読み取りを、注入の直後に行った。
【0162】
図4は、例示的実験からの結果を明らかに示す。上記実験を二連で行い、バックグラウンドを超えるRLUシグナルの平均値および標準偏差をプロットした。そのX軸は、上記サンプル中の細胞数(CFU)を示し、測定されるインジケーターシグナルは、相対発光単位(RLU)としてY軸に示される。シグナルは、ゼロ細胞サンプルを超える増加倍数として示される。この例示的実験は、E. coli O157:H7の3、8および24 CFUを、サンプル中で特異的に検出したが、E. coli Bは検出しなかったことを示す。E. coli O157:H7を、E. coli B細胞 対 E. coli O157:H7細胞の比が120:8であった場合にすら、妨害なしにE. coli Bの存在下で検出した。
【0163】
(実施例4.全工程をフィルタープレートにおいて行ったE. coli O157:H7検出)
【0164】
E. coli O157:H7を、LBブロス中で増殖させた。細胞濃度を、血球計を使用して決定した。細胞を、300μL 1% BSA/PBST中の、約1、2、5、および10個の細胞へと希釈した。細胞数を、細胞希釈物をプレートすることによって確認した(CFUアッセイ)。上記サンプル全体を、1% BSA/PBSTで予めブロッキングした0.45μm親水性PVDFフィルタープレート(Whatmanカタログ # 7700−3306)に適用した。上記サンプル溶液を、遠心分離によって除去した。次いで、50μL 1% BSA/PBST中の10ナノグラム(10ng)のHRP結合体化抗E. coli O157:H7抗体 (KPLカタログ #04−95−90)を各サンプルに添加し、上記サンプルを、室温で1.5時間、振盪しながらインキュベートした。上記抗体−HRP溶液を、遠心分離によって除去し、各ウェルを、300μL PBSTで6回洗浄した。次いで、上記洗浄したプレートを、100μL HRP化学発光基質(Advansta SIRIUS(登録商標)基質,カタログ #K−12043−D10)を各ウェルに添加してルミノメーター(Promega GLOMAX(登録商標)96)の中に置いた。サンプル読み取りを、注入直後に行った。
図5は、例示的実験からの結果を図示する。上記実験を、二連で行い、バックグラウンドを超えるRLUシグナルの平均値および標準偏差をプロットした。X軸は、上記サンプル中の細胞数(CFU)を示し、測定されたインジケーターシグナルを、相対発光単位 (RLU)としてY軸に示す。シグナルを、ゼロ細胞サンプルを超える増加倍数として示す。この例示的実験は、全アッセイが単一フィルタープレートにおいて行われた、合計出発サンプル体積300μLからの単一CFU(ならびに2、5、および10 CFU)の検出を示す。
【0165】
(実施例5.抗体−ルシフェラーゼ結合体の生成)
【0166】
結合体化反応において使用される予定の抗体を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラムを使用して精製して、凝集物を除去した。1ミリグラム(1mg)抗体を、Beckman Coulter SYSTEM GOLD(登録商標)HPLCシステム上のTosoh Bioscience TSKgel(登録商標)G3000SW(カタログ# 05789, 7.5mm ID×30cm長)に流した。上記システムを、1mL/分の速度で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で流した。抗体モノマーに相当する画分を収集し、上記抗体濃度を、NANODROP(登録商標)分光光度計を使用して決定した。
【0167】
PBS中の50マイクログラム(50μg)の精製した抗体を、7.5〜9μg スルホ−SMCC(Thermo Scientific # 22322)とともに水中で、1時間、室温でインキュベートした。次いで、上記抗体−SMCC結合体を、Thermo Scientific Zebaスピンカラム(# 89882)を使用して脱塩して、反応していないスルホ−SMCCを除去した。
【0168】
組換えルシフェラーゼ(Promega, QUANTILUM(登録商標)ルシフェラーゼ, # E1701)を、Zebaカラム上で脱塩する前に、PBS中1mg/mLへと希釈することによって調製した。
【0169】
抗体およびルシフェラーゼの結合体化を、20μgの脱塩した抗体を、20μgもしくは40μgのいずれかの脱塩したルシフェラーゼとともにインキュベートすることによって行った。反応物を混合し、室温で一晩インキュベートした。
【0170】
抗体−ルシフェラーゼ結合体を、上記のようにSECカラム/HPLCシステムを使用して精製した。上記結合体に相当する画分を収集し、スピン濃縮器(Millipore AMICON(登録商標) Ultra # UFC500308)を使用して濃縮した。上記結合体を、4℃で貯蔵する前に、BSAを1mg/mLまで添加することによって安定化した。この抗体−ルシフェラーゼ結合体を、実施例6に記載される実験で使用した。
【0171】
(実施例6.抗体−ルシフェラーゼ結合体でのE. coli O157:H7の検出)
【0172】
300μL PBS/BSA緩衝液中の既知数の細菌細胞を含むサンプルを、96ウェルPVDFフィルタープレート(0.45μm孔, Whatman # 7700−3306)に添加した。上記サンプルの液体を、遠心分離もしくは真空のいずれかによって除去した。PBS/BSA中50μLへと希釈した、1マイクロリットル(1μL)の濃縮抗体−ルシフェラーゼ試薬を、各ウェルに添加し、少なくとも1時間、室温でインキュベートした。上記抗体−ルシフェラーゼ試薬を真空によって除去し、上記ウェルを、300μL PBSTで6回洗浄した。50マイクロリットル (50μL)ルシフェラーゼ基質(Promega # E1501)を各ウェルに添加し、反応物を、Promega 96ウェルルミノメーター(Promega GLOMAX(登録商標)96)で読み取った。
図6は、抗体−ルシフェラーゼ結合体を使用して、E. coli O157:H7を検出する例示的実験の結果を明らかに示す。X軸は、上記サンプル中の細胞数(CFU)を示し、測定されたインジケーターシグナルを、相対発光単位(RLU)としてY軸に示す。この例示的実験は、10、100、および1,000 CFUの細菌細胞が検出されたことを示す。
【0173】
(実施例7.ELISAベースの方法)
【0174】
ELISAベースの方法を使用する実験において、白色の96ウェルELISAプレートを、室温において2〜3時間、上記目的の細菌に特異的なモノクローナル抗体300ng(100μL PBS中)で被覆した。ウェルを、PBSで洗浄し(200μ×3回の洗浄)、5% BSA/PBS(300μL)で室温において1〜1.5時間ブロッキングし、再び、300μL PBS×1で洗浄した。試験サンプル(300μL)を、上記ウェルに適用した。
【0175】
上記ELISAプレートを、700×gで30分間、遠心分離し、次いで、室温で0.5〜1時間、インキュベートした。ウェルを、PBST(127mM NaCl、0.05% Tween20)で洗浄し(300μL×2回洗浄);高塩PBST(287mM NaCl、0.5% Tween20)(300μL×1回洗浄)で洗浄し;そして再び、PBST(127mM NaCl、0.05% Tween20)で洗浄した(300μL×1回洗浄)。
【0176】
次いで、サンプルを、100μL 1% BSA/PBST中の上記標的細菌に特異的な10ng ポリクローナル抗体−HRPおよび500ng 完全ヤギIgG抗体とともに、室温で1時間、振盪しながらインキュベートした。
【0177】
ウェルを再び、PBST(127mM NaCl、0.05% Tween20)で洗浄し(200μL×2回洗浄、続いて、300μL×1回洗浄);高塩PBST(287mM NaCl、0.5% Tween20)で洗浄し(300μL×2回洗浄);そしてPBST(127mM NaCl、0.05% Tween20)で洗浄した(300μL×1回洗浄)、最後に、Western SIRIUS(登録商標)基質を各ウェルに添加し、その発光をルミノメーターで測定した。
【0178】
(実施例8.ELISAベースの方法でのE. coli O157:H7検出)
【0179】
E. coli O157:H7を、LBブロス中で増殖させた。細胞濃度を、血球計を使用して計算した。細胞を、300μL PBST中約25個および100個の細胞へと希釈した。細胞数を、細胞希釈物をプレートすることによって確認した(CFUアッセイ)。上記サンプル全体を、300ng 抗E. coli O157:H7モノクローナル抗体(Abcam ab156617)で予め被覆し、5% BSA/PBSでブロッキングした白色のルミノメーターマイクロタイタープレート(Greiner Bio−one, Lumi600)に適用した。次いで、上記マイクロタイタープレートを700×gで30分間、遠心分離し、さらに0.5〜1時間、室温でインキュベートした。次いで、100μL 1% BSA/PBST中の10ナノグラム(10ng)のHRP結合体化抗E. coli O157:H7抗体(KPLカタログ #04−95−90)および500ng 完全ヤギIgG抗体(Thermo Scientific #31245)を各サンプルに添加し、上記サンプルを、1時間、室温で振盪しながらインキュベートした。次いで、上記洗浄したプレートを、100μL HRP化学発光基質(Advansta SIRIUS(登録商標)基質,カタログ #K−12043−D10)を各ウェルに添加してルミノメーター(Promega GLOMAX(登録商標)96)の中に置いた。サンプル読み取りを、注入直後に行った。この実験の結果を
図8に示す。
【0180】
(実施例9.ELISAベースの方法を使用する、食品サンプル中でのE. coli O157:H7検出)
【0181】
この実験は、E. coli細胞をPBSTの代わりに野菜洗浄液へと直接希釈したことを除いて、上記実施例8と同じアッセイおよび手順を使用した。
【0182】
野菜洗浄液を調製するために、野菜の葉(例えば、ホウレンソウもしくはレタス)を秤量し、きれいなプラスチックバッグに加えた。LB(±0.01〜0.05% Tween20)の1mLを、野菜の各グラム(g)あたりに添加した。葉および溶液を、手動で数分間混合した。次いで、液体を上記プラスチックバッグから引き抜き、「野菜洗浄液」として使用した。この方法を使用したところ、約100万個の細菌が1枚のホウレンソウの葉(1〜2g)に存在することが見出された。
【0183】
この野菜洗浄液調製法に基づくと、約1×10
6個の細菌が、洗浄液mLあたりに存在する。従って、サンプル体積300μL中に、約300,000〜350,000個の非標的細菌が存在する。いくつかの場合には、短時間(約1時間)の富化工程を含める。この実験の結果を
図9に示す。
【0184】
(実施例10.ELISAベースの方法を使用する、食品サンプルから洗い落されたE. coli O157:H7の検出)
【0185】
この実験は、より現実的な状況でE. coli O157:H7を検出する能力をさらに評価するために、既知の細胞数を植物の葉の上で乾燥させ、次いで、試験のために洗い落したことを除いて、上記の実施例8および9と同じアッセイおよび手順を使用した。
【0186】
まず、既知の濃度のE. coli O157:H7を含むPBS溶液を、調製した。上記細菌をスポットするために、上記溶液の10μLを、野菜の葉の表面上にピペットで移した。上記葉およびスポットした溶液を、滅菌フードの中で、約30分間もしくは乾燥するまで、乾燥させた。次いで、上記野菜洗浄液を、上記スポットした野菜から調製した。
【0187】
野菜洗浄液を調製するために、野菜の葉(例えば、ホウレンソウもしくはレタス)を秤量し、きれいなプラスチックバッグに加えた。1mLのLB(±0.01〜0.05% Tween20)を、野菜の各グラム(g)あたりに添加した。葉および溶液を、手動で数分間混合した。次いで、液体を、上記プラスチックバッグから引き抜き、「野菜洗浄液」として使用した。この方法を使用して、約100万個の細菌が、1枚のホウレンソウの葉(1〜2g)上に存在することを見出した。この実験の結果を
図10に示す。