特表2017-511209(P2017-511209A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-511209静電容量に基づく充填度測定能力を有する、薬剤の注射器、及び接触センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-511209(P2017-511209A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】静電容量に基づく充填度測定能力を有する、薬剤の注射器、及び接触センサ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20170331BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20170331BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20170331BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
   A61M5/168 514Z
   A61M5/31 520
   A61M5/31 530
   A61M5/24
   A61M5/32 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-562785(P2016-562785)
(86)(22)【出願日】2015年3月9日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月13日
(86)【国際出願番号】AT2015050061
(87)【国際公開番号】WO2015157785
(87)【国際公開日】20151022
(31)【優先権主張番号】A50283/2014
(32)【優先日】2014年4月15日
(33)【優先権主張国】AT
(31)【優先権主張番号】A50477/2014
(32)【優先日】2014年7月9日
(33)【優先権主張国】AT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514237943
【氏名又は名称】サイベルスドルフ レイバー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】507313412
【氏名又は名称】エーアイティー オーストリアン インスティテュート オブ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】AIT Austrian Institute of Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】バンメル マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ゲルノート
(72)【発明者】
【氏名】プッツ オトマール
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066GG01
4C066GG15
4C066QQ42
4C066QQ55
4C066QQ73
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
(57)【要約】
本発明は、人に液状の薬剤を投与するための薬剤注射器に関する。この注射器は、液体(12)が充填され、一端において液体(12)投与用の開口部(11)を有する容器(1)を備え、容器(1)の外側領域、特に壁に、互いに向かい合って配置された少なくとも1対の容量性の測定電極であって、測定電極間の中間領域にあるそれぞれの媒体の誘電率を測定する測定電極を備え、前記測定電極は、容器の充填度を決定するのに本発明による注射器に使用される。測定電極を、鞘状に包囲する電気遮蔽部材(3)が、容器(1)の周囲に配置され、静電容量に基づく測定に対する外部の妨害を及ぼし得る影響、例えば接触による影響を低減させる。加えて、測定値を無効であるとして示すことのできる接触センサ(5)が備わっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(12)が充填される容器(1)であって、一端において、液体(12)を投与するための開口部(11)を有する前記容器と、
容器(1)の外側領域に、特に容器の壁に接して、互いに向かい合って配置された少なくとも1対の容量性の測定電極(21、22)であって、測定電極の間の中間領域に位置するそれぞれの媒体の誘電率を測定する測定電極とを、
備えた液体(12)、特に液状の薬剤を人に投与する投与装置。
【請求項2】
測定電極(21、22)及び容器(1)を、鞘状に、包囲する電気遮断部材(3)を特徴とする請求項1に記載の投与装置。
【請求項3】
測定電極(21、22)及び容器(1)を、鞘状に、包囲するカバーキャップ(9)を特徴とする請求項1又は2に記載の投与装置。
【請求項4】
電気遮断部材(3)が、カバーキャップ(9)に組み込まれているか、又はカバーキャップ(9)の表面に取り付けられていることを特徴とする請求項2及び3の何れか1に記載の投与装置。
【請求項5】
カバーキャップ(9)の壁が、測定電極(21、22)を包囲しており、カバーキャップ(9)の外壁又は外面が、少なくとも5mm、特に少なくとも1cmの測定電極からの距離を有するか、及び/又は測定電極(21、22)への接近と接触を防止することを特徴とする請求項3に記載の投与装置。
【請求項6】
液体(12)と測定電極(21、22)との間の領域には、電気遮蔽部材(3)が設けられていないこと、及び/又は
電気遮蔽部材(3)は、半径方向に、測定電極(21、22)から距離を置いていること、及び/又は
電気遮蔽部材(3)は、導体トラックの形態をした導体(32、33、34)が被覆されたフィルム(31)として構成され、このフィルムは、特に、容器(1)に巻き付けられている又は容器(1)を囲んで配置されていることを、
特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の投与装置。
【請求項7】
導体(32、33、34)が、ループなしに及び/若しくは閉じた導体ループなしに構成されるか、並びに/または導体(32、33、34)が、最大で5mm、特に0.1mm〜3mmの幅と、最大で3mm、特に10μm〜150μmの厚さを有していることを、特徴とする請求項6に記載の投与装置。
【請求項8】
通信制御装置(61)、測定電極(21、22)間の静電容量を決定する複数の静電容量測定装置、コンピュータユニット(6)、及び/又は測定電極(21、22)によって測定された測定値若しくは測定値から導かれる値、特に充填度の値(F)を送信するアンテナ(62)が、フィルム(31)に配置され、フィルム(31)に配置されたこれらのユニットが、好ましくは、半導体チップの共通のハウジング内に組み込まれていることを、特徴とする請求項6及び7の何れか1に記載の投与装置。
【請求項9】
3個の別々の導体(32、33、34)がフィルム(31)上に形成され、第1の導体(32)及び第2の導体(33)が、互いに入り込む櫛形導体として構成され、第3の導体(34)が、蛇行形状で、2個の櫛形導体(32、33)の間にあることを特徴とする請求項6〜8の何れか1に記載の投与装置。
【請求項10】
2個の向かい合う測定電極(21、22)が、静電容量測定装置(41)に接続され、静電容量測定装置(41)によって測定された静電容量値(C)が、好ましくは、コンピュータユニット(6)に送られ、このコンピュータユニットは、測定された静電容量値(C)に基づいて、所定の保存された較正機能により、容器(1)内の液体(12)の充填度(F)を決定し、その出力において前記充填度を利用可能にすることを特徴とする請求項1〜9の何れか1に記載の投与装置。
【請求項11】
3個の導体(32、33、34)のうちの1個、特に櫛形導体として形成された第2の導体(33)が、静電容量測定装置(41)のアースコネクタに接続されていることを特徴とする請求項10に記載の投与装置。
【請求項12】
電気遮蔽部材(3)の外側又は電気遮蔽部材の領域内に配置された接触センサ(5)、特に容量性の接触センサを備え、好ましくは、接触センサ(5)が、電気遮蔽部材(3)の第1の櫛形導体(32)と蛇行形状の導体(34)を、センサ電極として備えている請求項1〜11の何れか1に記載の投与装置。
【請求項13】
接触センサ(5)のセンサ電極が、さらに別の静電容量測定装置(44)に接続され、好ましくは、さらに別の静電容量測定装置(44)によって測定されたさらに別の静電容量値(C’)が、コンピュータユニット(6)に送られ、コンピュータユニット(6)は、測定されたさらに別の静電容量値(C’)が、所定の閾値(T)を越えた場合には、コンピュータユニットによって決定された充填度(F)の送信を差し止めるか、又はその充填度を無効とみなすことを特徴とする請求項12に記載の投与装置。
【請求項14】
容器(1)が、開口部(11)の領域を除いて、一定の内側横断面を有する内部容積を有し、容器(1)を仕切って封止し容器内にある液体(12)を封入するプランジャ(13)が備わっており、前記プランジャの外側横断面が、容器(1)の内部容積の横断面に対応しており、プランジャー(13)が、開口部(11)の方に進められると、液体(12)が、開口部(11)を通って容器(1)から投与されるよう、前記プランジャが、容器(1)の内側に可動に配置されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1に記載の投与装置。
【請求項15】
追加の測定電極(23、24;25、26)の複数の対が、容器(1)に配置され、特に追加の測定電極(23、24;25、26)の各対に関し、追加の測定電極(23、24;25、26)のそれぞれの対の下流に配置された各々の追加の静電容量測定装置(42、43)が設けられ、前記追加の静電容量測定装置は、測定した静電容量値(C、C)をコンピュータユニット(6)に出力することを特徴とする請求項1〜14の何れか1に記載の投与装置。
【請求項16】
互いに割り当てられて対になった測定電極(21、22;23、24;25、26)が各々、容器(1)の周方向において、互いに向かい合って、特に正反対に互いに向かい合っており、特にプランジャ(13)の進行方向において同じ高さにあることを特徴とする請求項1〜15の何れか1に記載の投与装置。
【請求項17】
それぞれ隣接する測定電極(21、22;23、24;25、26)の対が、プランジャ(13)の進行方向に間隔を置いて配置されること、及び/又はプランジャ(13)の進行方向における測定電極(21、22;23、24;25、26)の幅が、プランジャの進行方向(V)におけるプランジャ(13)の幅に対応することを特徴とする請求項16に記載の投与装置。
【請求項18】
測定電極(21、22;23、24;25、26)が、容器(1)の外面に、広がりを持って配置され、特に、長方形、三角形、台形、若しくは平行四辺形の形状を有すること、及び/又は
対になって互いに割り当てられた測定電極(21、22;23、24;25、26)のうちの2個が、それぞれ、容器(1)の外側領域、特に容器(1)の外壁に配置された2個の互いに入り込む櫛形導体によって形成されていることを、
特徴とする請求項1〜17の何れか1に記載の投与装置。
【請求項19】
容器(1)の外側で、容器(1)と電気遮蔽部材(3)との間に、測定電極(21、22;23、24;25、26)が配置された支持体が配置され、支持体は、好ましくは、容器(1)に接しているか、及び/又は
測定電極(21、22;23、24;25、26)が、容器(1)に接する支持体の壁に配置され、特に投与装置(100)のハウジングの一部分が、支持体として形成されているか、又は支持体がハウジングに連結されていることを、
特徴とする請求項1〜18の何れか1に記載の投与装置。
【請求項20】
下流に配置されたアンテナ(62)を備えた通信制御装置(61)が、コンピュータユニット(6)に接続され、特に、アンテナ(62)が電気遮蔽部材(3)の外側領域に又は電気遮蔽部材(3)に直に配置されているが、電気遮蔽部材(3)とは電気的に導通した態様では接続されていないことを特徴とする請求項1〜19の何れか1に記載の投与装置。
【請求項21】
カバーキャップ(9)が、複数の電気的接触部を有しており、電気的接触部は各々、容器(1)の測定電極(21、22;23、24;25、26)のうちの1個と電気的に導通した態様で、特にカバーキャップ(9)に配置された接続接触部(91、92、93、94、95、96)を介して接続されることを特徴とする請求項3〜20の何れか1に記載の投与装置。
【請求項22】
電気遮蔽部材(3)、導体(31、32、33)、静電容量測定装置(41、42、43)、さらに別の静電容量測定装置(44)、コンピュータユニット(6)、通信制御装置(61)、アンテナ(62)、及び/又は電圧源が、カバーキャップ(9)に組み込まれていることを特徴とする請求項21の投与装置。
【請求項23】
カバーキャップ(9)が、容器(1)の開口部(11)の領域に、カバーキャップ(9)を通して液体を投与するための貫通凹部(99)を有しており、必要に応じ、液体(12)に接触している注射針(103)が前記凹部を通って誘導されるか、
カバーキャップ(9)が、容器(1)及び、特に、液体(12)に接触している注射針(103)を包囲しているか、
カバーキャップ(9)が、容器(1)及び/若しくは容器(1)に隣接するハウジングの一部(109)に、特に1回以上着脱可能な態様で、連結可能であるか、並びに/又は
カバーキャップ(9)が、注射針(103)の端部において開いているスリーブの形態に構成されていることを、
【請求項24】
支持体(200)には、覗き穴(108)が設けられ、覗き穴(108)通して液体(12)を目視することができ、必要に応じ、カバーキャップ(9)が、覗き穴(108)の領域に、さらに別の覗き穴(98)を有し、覗き穴(98)を通して液体(12)を目視できるか、及び/又は
カバーキャップ(9)の外側領域に表示ユニット(90)が備えられ、前記表示ユニットは、特に、容器内の液体の充填度を示すことを、
特徴とする請求項1〜23の何れか1に記載の投与装置。
【請求項25】
複数の測定電極(21、22;23、24;25、26)を有し、液体が充填される容器(1)を覆って遮蔽するカバーキャップであって、
カバーキャップ、特にカバーキャップの内側に配置された、測定電極(21、22;23、24;25、26)に電気的に接触する接続接触部(91、92、93、94、95、96)と、
接続接触部(91、92、93、94、95、96)に接続された少なくとも1個の静電容量測定装置(41、42、43)とを、
備えているカバーキャップ。
【請求項26】
請求項25に記載のカバーキャップであって、カバーキャップの内側又はカバーキャップの表面上で延び、特に、さらに別の静電容量測定装置(44)に接続された電気遮蔽部材(3)を特徴とするカバーキャップ。
【請求項27】
単数若しくは複数の静電容量測定装置及び/又はさらに別の静電容量測定装置の下流に配置されたコンピュータユニット(6)と、
必要に応じ、コンピュータユニット(6)の下流に配置された、特に接続されたアンテナ(62)を有する通信制御装置(61)を、
特徴とする請求項25又は26に記載のカバーキャップ。
【請求項28】
カバーキャップ上又はカバーキャップ内に配置された電圧源であって、静電容量測定装置(41、42、43)、必要に応じ、さらに別の静電容量測定装置(44)、コンピュータユニット(6)並びに/又は通信制御装置(61)に接続され、これらに電気エネルギーを供給する電圧源を特徴とする請求項25〜27の何れか1に記載のカバーキャップ。
【請求項29】
特に、容器(1)の開口部(11)の領域に配置された貫通凹部(99)が設けられ、カバーキャップ(9)を通じた液体の投与が行われること、及び/又は
カバーキャップ(9)が、スリーブの形態に構成されていることを、
特徴とする請求項25〜28の何れか1に記載のカバーキャップ。
【請求項30】
カバーキャップ(9)が、容器(1)又は容器に連結されたハウジングの一部分(109)に、着脱可能な連結、特に何回も着脱可能な連結ができるように構成されていることを特徴とする請求項25〜29の何れか1に記載のカバーキャップ。
【請求項31】
カバーキャップ及び容器(1)の内側にある液体を、外側から通して目視できるようにする覗き穴(98)と、
特に、容器の内部の液体(12)の充填度を示す表示ユニット(90)が、カバーキャップ(9)の外側領域に設けられることを、
特徴とする請求項23〜30の何れか1に記載のカバーキャップ。
【請求項32】
特に請求項1〜24の何れか1に記載の投与装置(100)に配置された容器(1)内の充填度(F)を測定し確認する方法において、
特に外側電気遮蔽部材(3)を備えた容器(1)の外側領域に互いに向かい合って配置された少なくとも1対の測定電極(21、22)が、静電容量測定用に設けられており、
2個の測定電極(21、22)間の静電容量(C)が測定され、測定された静電容量(C)に基づいて、所定の較正機能に従い充填度値(F)が決定される方法であって、
測定電極(21、22)の外側領域で、電気遮蔽部材(3)の領域に、特に電気遮蔽部材(3)に配置された導体(33、34)を用いて、さらに別の静電容量(C’)を測定すること、
さらに別の静電容量(C’)を、閾値(T)と比較すること、及び
さらに別の静電容量(C’)が、閾値(T)よりも低い場合にのみ、充填度値(F)を有効であるとみなすことを、
特徴とする方法。
【請求項33】
充填度値(F)及び/又は充填度値(F)の有効性に関するメッセージが、符号化電磁データ送信により、特に負荷変調により、外部のデータ通信装置に送信されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
複数対、特に3対の測定電極(21〜26)の静電容量(C、C、C)が各々測定され、これらの静電容量に基づいて充填度値(F)が決定され、互いに割り当てられて対になった測定電極が、容器(1)の外側領域で互いに向かい合っていることを特徴とする請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
a)個々の対の測定電極(21〜26)間の静電容量(C、C、C)を成分として含む基準ベクトル(Vref)を各々、複数の充填度(F)に対して与え、
b)それぞれの充填度(F)を、これらの基準ベクトルの一つに各々割り当て、
c)個々の測定した静電容量(C、C、C)を有するベクトル(Vmess)を決定し、
d)ベクトル(Vmess)からの距離、特にユークリッド距離が最も小さい複数の基準ベクトル(Vref)を探し求め、
e)工程b)で見出した基準ベクトル(Vref)に適用されたとき、これらの基準ベクトル(Vref)に割り当てられたそれぞれの充填度(F)をもたらす補間機能を形成し、
f)補間機能を、ベクトル(Vmess)に適用し、結果を充填度として用いる
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の公知要件事項部に記載の液体、特に液状の薬剤を人に投与する投与装置に関する。また、本発明は、請求項25の公知要件事項部に記載のカバーキャップに関する。さらに、本発明は、請求項32の公知要件事項部に記載の容器の充填度を測定し確認する方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、医療分野において、例えば、医用工学、製薬技術、生命工学、医療介護、研究などにおいて、薬剤の患者への投与をモニタするのに用いることができる。
【背景技術】
【0003】
先行技術には、投与した液体の量又は投与装置にある液体の量が静電容量に基づいて測定される種々の液体投与装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、静電容量に基づく充填度の検知作業において、機能不良を効果的に認識し、静電容量に基づく充填度の測定結果の無効化を容易にすることである。さらに、本発明の目的は、可能な限り良好で信頼性のある結果を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
冒頭で述べたタイプの投与装置に関しては、本発明は、請求項1の特徴要件事項部に記載の特徴により、この目的を達成する。
【0006】
さらに、冒頭で述べたタイプのカバーキャップに関しては、本発明は、請求項25の特徴要件事項部に記載の特徴により、この目的を達成する。
【0007】
さらに、冒頭で述べたタイプの方法に関しては、本発明は、請求項32の特徴要件事項部に記載の特徴により、この目的を達成する。
【0008】
本発明によれば、液体、特に液状の薬剤を人に投与する投与装置において、以下の構成要素が備わっている。
【0009】
液体が充填される容器であって、一端において、液体を投与するための開口部を有する前記容器、及び
容器の外側領域に、特に容器の壁に、互いに向かい合って配置された少なくとも1対の容量性の測定電極であって、測定電極の間の中間領域にあるそれぞれの媒体の誘電率を測定する測定電極。本発明によれば、容器内の液体の充填度の安定した正確な決定が得られる。
【0010】
測定電極は、容器の周囲に配置された電気遮蔽部材によって包囲されているのが好ましい。測定過程の間に容器に接触することによる静電容量の影響によって生じる機能不良が、本発明により、効果的に防止される。特に、本発明による手段により、人の手による測定電極への接触又は人の手若しくは他の導電性の物体による測定電極の領域における電場の歪曲が、充填度測定値における変化をもたらすのを防止することができる。
【0011】
測定電極及び容器を、鞘状に、包囲するカバーキャップにより、測定電極の好ましい保護が得られる。
【0012】
電気遮断部材を、カバーキャップに組み込んで又はカバーキャップの表面に付して、測定電極の機械的及び電気的に有効な保護を同時に達成してもよい。
【0013】
そのほか、カバーキャップの壁が測定電極を包囲し、カバーキャップの外壁又は外面が、少なくとも5mm、特に少なくとも1cmの測定電極からの距離を有するか、及び/又は測定電極への接近と接触を防止することにより、同じ目的を達成してもよい。
【0014】
好ましくは、電気遮蔽部材を、導電性の材料からなる導体トラックを被覆したフィルムとして構成してもよい。好ましい実施の形態では、このフィルムは、容器の周囲に配置されるか、容器に巻き付けられるか、及び/又は容器を包囲している。こうした電気遮蔽部材は、測定結果の歪曲を、特に好ましく防止する。
【0015】
液体と測定電極との間の領域には電気遮蔽部材を設けないことで、好適な測定結果を得てもよい。
【0016】
電気遮蔽部材を、半径方向に、測定電極から距離を置いて設け、電気遮蔽部材からの影響の結果として、測定結果が損なわれるのを防止してもよい。
【0017】
電気遮蔽部材を、導体トラックの形態をした導体を被覆したフィルムであって、特に容器に巻き付けられ、好ましくは、静電容量測定回路、コンピュータユニット、特に半導体チップの形態をした通信制御装置、及びアンテナが配置されたフィルムとして構成し、電気遮蔽を向上させると同時に、電気遮蔽部材の領域における又はフィルム上での、半導体チップとアンテナの固定を容易にしてもよい。
【0018】
導体を、ループなしに及び/又は閉じた導体ループなしに構成し、外部のデータ通信装置によって生じ、アンテナとの無線通信を阻害する電磁場の変化を防止すると同時に、測定電極の良好な電気的遮蔽を促進してもよい。
【0019】
導体が、最大で5mm、特に0.1mm〜3mmの幅と、最大で3mm、特に10μm〜150μmの厚さを有することにより、良好な電気遮蔽効果を得てもよい。
【0020】
通信制御装置、測定電極間の静電容量を決定する複数の静電容量測定装置、コンピュータユニット、測定電極によって測定された測定値若しくは測定値から導かれる値、特に充填度の値を送信するアンテナが、フィルムに配置され、フィルムに配置されたこれらのユニットが、好ましくは、半導体チップの共通のハウジング内に組み込まれることにより、容器内の充填度の把握が、電子的に好ましく実施される。
【0021】
3個の別々の導体がフィルム上に形成され、第1の導体及び第2の導体が、互いに入り込む櫛形導体として形成され、第3の導体が、蛇行形状で、2個の櫛形導体の間にあることにより、接触検知に用いることのできる電気遮蔽部材の特に好ましい形態が構成されると同時に、さらに、電気遮蔽部材に取り付けられたアンテナとの無線通信を容易にしている。
【0022】
容器内部の液体の充填度を測定する好ましい手段では、2個の向かい合う測定電極が、静電容量測定装置に接続されている。
【0023】
静電容量測定装置によって測定された静電容量値が、コンピュータユニットに送られ、このコンピュータユニットは、測定された静電容量値に基づいて、所定の保存された較正機能により、容器内の液体の充填度を決定し、その出力において前記充填度を利用可能にすることにより、充填度を容易に決定してもよい。
【0024】
3個の導体のうちの1個、特に櫛形導体として形成された第2の導体が、静電容量測定装置のアースコネクタに接続されていることにより、良好な電気遮蔽効果を有する特に有効な電気遮蔽が得られる。
【0025】
電気遮蔽部材の外側又は電気遮蔽部材の領域内に配置された接触センサ、特に容量性の接触センサを設けることにより、接触又は静電容量測定値の歪曲を、良好に検知できるようにしてもよい。
【0026】
生産技術の観点から製造が容易な変更形態では、接触センサが、電気遮蔽部材の第1の櫛形導体と蛇行形状の導体を、センサ電極として備えている。
【0027】
ここで、接触センサのセンサ電極が、さらに別の静電容量測定装置に接続され、好ましくは、さらに別の静電容量測定装置によって測定されたさらに別の静電容量値が、コンピュータユニットに送られ、コンピュータユニットは、測定されたさらに別の静電容量値が、所定の閾値を越えた場合には、コンピュータユニットによって決定された充填度の送信を差し止める又はその充填度を無効とみなすことにより、接触を検知してもよい。
【0028】
液体を受け容れる容器であって、容易に排液することができ、充填度を容易に測定することのできる好ましい容器では、容器が、開口部の領域を除いて、一定の内側横断面を有する内部容積を有し、容器を仕切って封止し容器内にある液体を封入するプランジャが備わっており、前記プランジャの外側横断面が、容器の内部容積の横断面に対応しており、プランジャが、開口部の方に進められると、液体が、開口部を通って容器から投与されるよう、前記プランジャが、容器の内側に可動に配置される。
【0029】
追加の測定電極の複数の対が、容器に配置され、特に追加の測定電極の各対に関し、追加の測定電極の対の下流に配置された各々の追加の静電容量測定装置が設けられ、前記追加の静電容量測定装置は、測定した静電容量値をコンピュータユニットに出力することにより、充填度を、より正確に測定してもよい。
【0030】
正確な充填度の測定を促進する好ましい電極の配置では、互いに割り当てられて対になった測定電極が各々、容器の周方向において、互いに向かい合って、特に正反対に互いに向かい合っており、特にプランジャの進行方向において同じ位置すなわち同じ高さにある。
【0031】
ここでさらに、それぞれ隣接する測定電極の対が、プランジャの進行方向に間隔を置いて配置されること、及び/又はプランジャの進行方向における測定電極の幅が、プランジャの進行方向におけるプランジャの幅に対応することにより、検知の精度を上げてもよい。
【0032】
簡単な構成を有する測定電極の好ましい実施の形態では、
測定電極が、容器の外面に、広がりを持って配置され、特に、四辺形、三角形、台形、若しくは平行四辺形の形状を有している、及び/又は
互いに割り当てられて対になった測定電極のうちの2個が、容器の外側領域、特に容器の外壁に配置された2個の互いに入り込む櫛形導体によってそれぞれ形成されている。
【0033】
測定電極が配置された支持体が、容器の外側で、容器と電気遮蔽部材との間に配置され、支持体は、好ましくは、容器に接しているか、及び/又は
測定電極が、容器に接する支持体の壁に配置され、特に、投与装置のハウジングの一部分が、支持体として形成されているか、又は支持体がハウジングに連結されていることにより、容器の簡単な交換を促進してもよい。
【0034】
決定された充填度は、外部の通信装置に送られるのが、好ましい。ここで、下流に配置されたアンテナを備えた通信制御装置が、コンピュータユニットに接続されていてもよい。より場所をとらない構成では、アンテナが電気遮蔽部材の外側領域に又は電気遮蔽部材に直に配置されているが、電気遮蔽部材とは電気的に導通した態様では接続されていないことが好ましい。
【0035】
充填度を測定するための、必要に応じて、充填度を表示する再使用可能なカバーキャップを備えた簡単な構成を有する投与装置では、カバーキャップが、複数の電気的接触部を有しており、電気的接触部は各々、容器の測定電極のうちの1個と電気的に導通した態様で、特にカバーキャップに配置された接続接触部を介して接続される。
【0036】
生産技術の面から見た簡単な解決策では、電気遮蔽部材、導体、静電容量測定装置、さらに別の静電容量測定装置、コンピュータユニット、通信制御装置、アンテナ及び/又は電圧源が、カバーキャップに組み込まれている。
【0037】
カバーキャップが、容器の開口部の領域に、カバーキャップを通して液体を投与するための貫通凹部を有しており、必要に応じ、液体に接触している注射針が前記凹部を通って誘導されるか、
カバーキャップが、容器及び、特に、液体に接触している注射針を包囲しているか、
カバーキャップが、容器及び/若しくは容器に隣接するハウジングの一部に、特に何度も着脱可能な態様で、連結可能であるか、及び/又は
カバーキャップが、注射針の端部において開いているスリーブの形態に構成されていることにより、
カバーキャップと投与装置の本体との間の良好な保持関係を促進してもよい。
【0038】
覗き窓が、支持体に設けられ、覗き窓を通して液体を目視することができ、必要に応じ、カバーキャップが、覗き窓の領域に、さらに別の覗き窓を有し、さらに別の覗き窓を通して液体を目視できること、並びに/又は
表示ユニットが、カバーキャップの外側領域に備えられ、特に、容器内の液体の充填度を示すことにより、
投与中及び/若しくは測定過程中に容器を観察できるように、及び容器内にある液体の生じ得る濁り又は異物を認めることができるようにしてもよい。
【0039】
さらに、本発明は、複数の測定電極を有し、液体が充填される容器を覆って遮蔽するカバーキャップに関し、前記カバーキャップは、
カバーキャップ、特にカバーキャップの内側に配置された、測定電極に電気的に接触する接続接触部と、
接続接触部に接続された少なくとも1個の静電容量測定装置とを、
備えている。
【0040】
こうした再利用可能なカバーキャップを使用すると、異なる支持体内の異なる容器の複数の測定を保証することができる。特に、複数の容器を備えたセットの場合には、全ての支持体に関して、測定装置を複数回実施することを防止することができる。
【0041】
特に好ましい構成は、カバーキャップの内側又はカバーキャップの表面上で延びる電気遮蔽部材を備え、前記電気遮蔽部材は、特に、さらに別の静電容量測定装置に接続されている。
【0042】
直接カバーキャップにより、データの自動的なさらに別の処理が可能な好ましいカバーキャップが、以下の
単数若しくは複数の静電容量測定装置及び/又はさらに別の静電容量測定装置の下流に配置されたコンピュータユニットと、
必要に応じ、コンピュータユニットの下流に配置された、特に接続されたアンテナを有する通信制御装置とを、
備えている。
【0043】
好ましくは、カバーキャップ上又はカバーキャップ内に配置された電圧源であって、静電容量測定装置、必要に応じ、さらに別の静電容量測定装置、コンピュータユニット並びに/又は通信制御装置に接続され、これらに電気エネルギーを供給する前記電圧源を備えていてもよい。
【0044】
カバーキャップを貫通する連続的な、特に、容器の開口部の領域に配置された凹部が設けられ、カバーキャップを通じた液体の投与が行われること、及び/又は
カバーキャップが、一端が開いたスリーブの形態に構成されていることにより、
容器からの液体の投与を容易にしてもよく、好ましい。
【0045】
カバーキャップが、容器又は容器に連結されたハウジングの一部分に、着脱可能な連結、特に何回も着脱可能な連結ができるように構成されていることにより、カバーキャップの複数回の使用を確保してもよい。
【0046】
カバーキャップ及び容器の内側にある液体を、外側から通して目視できるようにする覗き窓を設けることにより、投与中及び/又は測定過程中に、容器を観察できるようにしても及び容器内にある液体の生じ得る濁り又は異物を認めることができるようにしてもよい。
【0047】
こうする代わりに、又は付加的に、特に、容器の内部の液体の充填度を示す表示ユニットを、カバーキャップの外側領域に設けてもよい。
【0048】
さらに、本発明は、特に本発明による投与装置に配置された容器内の充填度を測定し確認する方法において、
容器の外側領域に互いに向かい合って配置され、特に外側電気遮蔽部材を備えた少なくとも1対の測定電極が、静電容量測定用に設けられており、
2個の測定電極間の静電容量が測定され、測定された静電容量に基づいて、所定の較正機能に従い充填度値が決定される、
方法に関する。
【0049】
本発明によれば、こうした方法が、
測定電極の外側領域で、電気遮蔽部材の領域に、特に電気遮蔽部材に配置された導体を用いて、さらに別の静電容量を測定すること、
さらに別の静電容量を、閾値と比較すること、及び
さらに別の静電容量が、閾値よりも低い場合にのみ、充填度の値が有効であるとみなされることを、
を有している。
【0050】
こうした方法を用いると、人が測定電極に若しくは測定電極の領域において電気遮蔽部材に接触することにより、又は人が歪曲を引き起こすのに十分なほど測定電極の近くに接近したことにより、決定した充填度値が歪曲されたか否かをチェックするのが容易である。
【0051】
充填度値及び/又は充填度値の有効性に関するメッセージが、符号化電磁データ送信により、特に負荷変調により、外部のデータ通信装置に送信されることにより、充填度を正確に決定してもよい。
【0052】
同じ目的で、複数対、特に3対の測定電極の静電容量が各々測定され、これらの静電容量に基づいて充填度値が決定され、互いに割り当てられて対になった測定電極が、容器の外側領域で互いに向かい合っていてもよい。
【0053】
特に正確な検知が、
a)個々の対の測定電極間の静電容量を成分として含む基準ベクトルを各々、複数の充填度に対して与え、
b)それぞれの充填度を、これらの基準ベクトルの一つに各々割り当て、
c)個々の測定した静電容量を有するベクトルを決定し、
d)この決定したベクトルからの距離、特にユークリッド距離が最も小さい複数の基準ベクトルを探し求め、
e)工程b)で見出した基準ベクトルに適用されたとき、これらの基準ベクトルに割り当てられたそれぞれの充填度をもたらす補間機能を形成し、
f)補間機能を、決定したベクトルに適用し、結果を充填度として用いる
ことにより促進される。
【0054】
本発明の複数の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明による投与装置の第1の実施の形態の側面図を示している。
図2】アンプルの形態をした、全体が満たされた容器の一例の側面図を示している。
図3】部分的に空になった容器の側面図を示している。
図4】全体が空になった容器の側面図を示している。
図5】別の実施の形態である3対の測定電極を有する容器を示している。
図6】1対の測定電極を有する本発明の第2の実施の形態を示している。
図7】櫛形に配置された1対の測定電極を有する本発明の他の実施の形態を示している。
図8】櫛形に配置された3対の測定電極を有する本発明の別の実施の形態を示している。
図9a】別の実施の形態である斜めに延びる電極を有する容器を示している。
図9b】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図9c】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図9d】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図10a】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図10b】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図10c】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図10d】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図11a】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図11b】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図11c】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図11d】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図12a】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図12b】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図12c】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図12d】斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図13】本発明による装置の代表的な実施の形態を、断面図B−Bで示している。
図13a図1のZで示す箇所の詳細を示している。
図14】容器内の充填度を測定する装置と、決定した充填度を外部のデータ通信装置に送信する装置の、2個の装置を示している。
図15】容器内の充填度を測定する装置と、決定した充填度を外部のデータ通信装置に送信する装置の、2個の装置の別の形態を示している。
図16】導体が配置されたフィルムの形態をした遮蔽部材の一例を示している。
図17図15に示す実施の形態における容器を空にする際の個々の部分静電容量の理論曲線を示している。
図18】接触検知が、さらに行われる図14に示す実施の形態を示している。
図19】接触検知が、さらに行われる図15に示す実施の形態を示している。
図20】カバーキャップを備えた本発明のさらに別の実施の形態を示している。
図21図20に示す実施の形態の外観を示している。
図22a図10aに対応する、斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図22b図10bに対応する、斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図22c図10cに対応する、斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図22d図10dに対応する、斜めに延びる電極を有する容器の別の実施の形態を示している。
図23図20に示す容器の一部の細部を示している。
図24図20に示す本発明の実施の形態の断面図を示している。
図25図20に示す本発明の実施の形態の断面図を示している。
図26】遮蔽部材なしで対処する本発明の別の実施の形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本発明による投与装置の一実施の形態の側面図を示している。図示の本発明による投与装置100は、液状の薬剤12が充填される容器1を有している。この実施の形態では、液状の薬剤12として、インシュリンが使用されているが、他の液状の薬剤12、例えば、ホルモン剤(例えば成長ホルモンなど)、バイオ薬剤又は生殖医療における治療手段の範囲内で用いる薬剤を、容器1に充填し、その後、同様の仕方でそれらの薬剤を投与することも可能である。
【0057】
本発明による投与装置100は、鉛筆又はペンの形状を有しており、容器1内にある液体12を投与する際に、患者が楽に手に持つことができる。容器1は、カートリッジ又はアンプルの形態を有しており、本発明による投与装置100の端部領域102に配置されている。
【0058】
容器1は、図2に詳細に示されており、本発明による投与装置100の、この端部領域102にある一端において液体12を投与するための開口部11を有している。反対側の端において、容器1は、移動させることのできる態様で容器1内に装着されたプランジャ13を有している。このため、容器1は、開口部11の領域を除いて、一定の横断面を有する内部容積を有している。プランジャ13は、容器1内にある液体12が、容器1内にしっかりと封入され、開口部11を通じてのみ出ることができるように開口部11の反対側から、容器1を封止している。この代表的な実施の形態では、容器1の内部領域とプランジャ13は、円状の横断面を有し、実質的に円筒状の内部壁又は外部壁を備えている。プランジャ13を、容器1内に押し込む又は容器1内を前進させると、容器1内にある液体12は、開口部11を通って容器1から出ることができる。プランジャ13を、開口部11の方向に進めると、液体12は、開口部11を通って容器1から投与される。しかしながら、図2に示すように、容器1の開口部11は、使用前は、液体12が容器1から出ることがないよう、封止部材14によって封止されている。
【0059】
図3は、液体12の一部が、開口部11を通って注射針103を経由して投与された後の図2に示す容器1を示している。
【0060】
図4は、液体12が、開口部11を通り注射針103を経由して、容器1から全部出された後の図2に示す容器1を示している。図3及び図4の説明図において、プランジャ13は、中間位置及び最終位置のそれぞれにある、すなわち、容器1は、部分的に(図3)又は全体が(図4)空である。プランジャ13の後ろの領域15には、空気がある。さらに、本発明による投与装置100は、容器1の開口部11の領域に注射針103を有しており、前記注射針は、第1に、封止部材14を貫通して容器1内に突き出ており、第2に、投与装置1から突出している。
【0061】
図1に示すように、この代表的な実施の形態における注射針103は、本発明による投与装置100にねじ止めされたハウジング104に取り付けられている。本発明による投与装置100は、ハウジング104の鏡像反転の形態を有する適合する雌ねじに螺合する雄ねじ105を有している。図3に示すように、プランジャ13を、開口部11の方向に移動させると、容器1の内部にある液体を、開口部11及び注射針103を通じて、それぞれの患者に投与することができる。本発明による投与装置100のハウジングは、2個の覗き穴108を有することにより、容器1内にある残りの液体12の充填度Fを、視覚的に測定できるようにしているか、又は液体12において生じ得る濁り若しくは異物を認めることができるようにしている。
【0062】
さらに、本発明による投与装置100は、調節ユニット106を有しており(図1参照)、この調節ユニットにより、プランジャ13の或る一定の前進、それに対応して、或る一定量の投与する液体12を、予め設定することができる。投与する液体12の量を設定した後、推進要素109が、患者がアクチュエータユニット107に圧力をかけることにより、容器1のプランジャ13に押しつけられる。プランジャ13は、容器1内に押し込まれ、容器1内にある液体12は、注射針103を通って患者に投与される。推進要素109は、プランジャ13の進行方向Vに対する逆戻り、すなわち、開口部11から遠ざかって後戻りしないようにされているので、プランジャ13は、開口部11の方向にしかさらに動かすことができない。
【0063】
図5に示すような3対の測定電極を備えた容器1を用いるのが、特に好ましい。容器1は、図5に示すように、3対の測定電極21〜26を有している。全ての測定電極21〜26は、容器1の外側領域に配置されており、この場合には、容器1の外壁に配置されている。本発明の、この好適で代表的な実施の形態では、互いに割り当てられた2個の測定電極21〜26は、何れの場合にも、容器1の外壁上で互いに向かい合わせになっており、周方向に間隔を置いて設けられている。互いに割り当てられた測定電極21〜26の個々の対は、互いにプランジャ13の進行方向Vに間隔を置いて設けられている。第3の対の測定電極25、26は、容器1の開口部11から最も離れている。第1の対の測定電極21、22は、開口部11の最も近くにある。第2の測定電極対の測定電極23、24は、プランジャ13の進行方向Vに見て、第1の対の測定電極21、22と第3の対の測定電極25、26との間にある。測定電極21〜26は、容器1の外壁の領域で、広がっている。図5に示す代表的な実施の形態では、測定電極21〜26は、長方形の形状を有している。測定電極21〜26は、プランジャ13の進行の全範囲にわたって延びている。複数の測定電極対を用いる場合、一つの測定電極対のプランジャ13の進行方向Vにおける拡がりが、プランジャの進行方向Vにおけるプランジャ13の拡がりに適合するのが好ましい。
【0064】
しかしながら、代わりに、他の電極形状、例えば円状又は櫛状の電極形状を測定電極21〜26に用いてもよい。複数対の測定電極対21〜26の使用は、細長い容器1の場合には、液体量すなわち液体充填度の正確な測定を行う観点では、原則として好ましいが、特に短い又は小さい容器1の場合には、必須ではない。図6に示す容器1の別の代表的な実施の形態では、細長く、プランジャが進行する全範囲にわたって延びる具体的な構成を有する1対の測定電極21、22だけが備わっている。2個の測定電極21、22は、プランジャ13の進行方向Vの観点において同じ高さすなわち同じ位置で、周側面上で互いに向かい合っている。
【0065】
さらに、別の形状の測定電極21〜26を用いることもできる。好ましい一実施の形態では、測定電極21〜26は、櫛形電極、すなわちすだれ状電極として構成されている。これらの測定電極は21〜26は、対になって互いに割り当てられており、測定電極21、22;23、24;25、26の歯が互いに入り込むように割り当てられた櫛形構造を有している。図7及び図8に示すように、櫛形電極は、一対の測定電極を有する構成(図7)にも、数対の測定電極21、22;23、24;25、26を有する構成にも、どちらにも使用することができる。
【0066】
用途に応じて、いろいろな寸法を有する測定電極21〜26を備えて、容器1内の充填度Fの特に好ましい測定を容易にすることもできる。平行四辺形又は三角形の測定電極21〜26の使用は特に好ましく、平行四辺形又は三角形の測定電極は、特に好ましくは、プランジャの進行方向V、すなわち容器1の長手方向の軸線に対して角度をなして、例えば45°の角度をなして延びる分離領域27によって、互いに隔てられている。こうした構成の場合には、滑らかな推移が生じるので、特に正確な充填度Fの測定が可能になる。図9a〜図12dは、平行四辺形又は三角形の測定電極21〜26の間の進行方向Vに対して角度をなす分離領域27を有する四つの異なる実施の形態を示している。さらに、これらの実施の形態では、何れの場合にも、互いに割り当てられた対の測定電極21、22;23、24;25、26を互いに隔てる容器の長手方向の軸線と平行な分離領域28が設けられている。
【0067】
全てのこれらの測定電極構成に関して、測定電極21〜26の間の静電容量によって、容器1の充填度Fを推断することができる。本発明は、投与装置において、測定電極21〜26の外側の電場に対する電気遮蔽部材3を、容器1の周囲に鞘のような態様で配置することにより、できる限り正確な、個々の静電容量C、C、Cの測定を促進し、したがって、容器1の充填度に関する推断を引き出すことができる。図13は、容器1の断面図を示しており、この断面図は、電気遮蔽部材3、測定電極21、22、容器の壁及び容器1内部の液体12を示している。電気遮蔽部材3は、人が本発明による投与装置100に触れて又は本発明による投与装置100に接近して、その結果、測定電極21、22に広がる電場の状態を変えても、測定電極21、22間で測定される静電容量が、歪曲されない又は無視できる程度にしか歪曲されないようにしている。本発明の第1の代表的な実施の形態では、電気遮蔽部材3は、導電性材料からなるフィルム、例えば、50μmの厚さを有する銅のフィルムとして形成され、この導電性材料からなるフィルムは、容器1と容器に接する測定電極21、22の周囲に、鞘のような態様で巻き付けられている。測定電極21、22と電気遮蔽部材3は、互いに隔てられており、電気的に導通する態様で互いに接続されてはいない。電気遮蔽部材3は、外部作用、例えば、測定電極21、22のすぐ外側の領域における誘電率と電場の変化の影響を抑制する働きをする。電気遮蔽部材3は、測定電極21、22と容器1の両方を取り囲んでおり、測定電極と容器1との間に位置していないのが好ましい。特に、電気遮蔽部材3と測定電極との間に半径方向の間隔があるのが好ましいことが分かっている。さらに、電気遮蔽部材3を、全体が導電性のフィルムとして形成する必要はなく、代わりに、非導電性の支持体、例えば非導電性のフィルムなどに配置された個々の導体トラックの形態に具現化してもよい。
【0068】
図13aは、図1の細部Zを、図13の線B−Bに沿う断面図で示している。測定電極21、23、25と電気遮蔽部材3に対する容器1の壁の配置を、正確な尺度ではないが、明示することができる。フィルム3に付した個々の導体32〜34が、断面で示されている。本発明による投与装置100のハウジングが、電気遮蔽部材3の外側に位置している。
【0069】
そのほか、電気遮蔽部材3を、本発明による投与装置100の外壁のすぐ外側に及び/又は少なくとも部分的に容器1を包囲する支持体31の外側に配置してもよい。この場合には、支持体31は、同時に、電気遮蔽部材3と測定電極21、22との間に半径方向の間隔をもたらす役割をする。
【0070】
容器1内の液体12の現在の充填度Fを測定するのに、先ず、測定電極21、22間の現在の静電容量が測定される。図14は、1対の測定電極21、22の静電容量を測定する測定装置を示している。図15は、複数対の測定電極21〜26用いた測定装置を示している。図14及び図15では、それぞれ1個又は3個の静電容量測定装置41、42、43が上流に配置された、マイクロコントローラの形態をしたコンピュータユニット6が、備わっている。図15に示す静電容量測定装置41、42、43の各々は、測定電極21〜26の各対に割り当てられている。測定電極21〜26は、それぞれ、静電容量測定装置41、42、43の接続部に接続されている。それぞれの測定電極対のそれぞれの静電容量に対応した、その静電容量を表す又はその静電容量に比例する静電容量測定値C、C、Cの各々は、静電容量測定装置41、42、43の出力において得ることができ、前記静電容量測定値は、コンピュータユニット6に送られる。以下に説明する較正プロセスに基づき、コンピュータユニット6は、送られた個々の静電容量測定値C1、C2、C3に基づいて充填度Fの値を決定する。コンピュータユニット6は、この値を、その出力において利用可能に維持する。特に、求められ次第、この値は、コンピュータユニット6に下流に配置されたアンテナ62を経て、外部のデータ通信装置(図示せず)に送ることができる。
【0071】
もちろん、使用する測定電極21〜26の対の数は、測定の精度に対する要求に適合させてよい。1対の測定電極21、22を用い、これらの測定電極21、22の間で測定された静電容量測定値C1のみを用いて、充填度Fを測定することもできる(図15)。
【0072】
アンテナ62に接続された通信制御装置61が、コンピュータユニット6の下流に配置されている。通信制御装置61は、測定された充填度Fを、外部のデータ通信装置に送るのを円滑にする。充填度に関するデータを外部のデータ通信装置に無線で送る代わりに、先行技術に開示された有線を用いて、例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)で、送ることも、もちろん可能である。さらに、外部のデータ通信装置が、電気エネルギーを、アンテナ62を経由して通信制御装置61,コンピュータユニット6、及び静電容量測定装置41〜43に送るようにして、図14及び図15に示す回路全体が、別個の電源なしで済ませるようにしてもよい。
【0073】
以下に、容器1内の液体12の充填度Fの具体的な測定の仕方を、決定した静電容量測定値C、C、Cに基づいて詳細に説明する。図17は、個々の静電容量測定値C、C、Cが、図5に示す、本発明による容器1の実施の形態における充填度Fに依存する様子を、概略的に示している。容器1からの排出過程の始まりでは、初めのうちは液体12だけが測定電極21〜26の間にある。排出中、プランジャ13は最初に、第1の測定電極対の測定電極21、22の間の中間領域に達するので、液体12に対してプランジャ13の誘電率が低いため、第1の測定電極対の静電容量測定値Cの連続的な低下が認められる。プランジャ13が押されて、第1の測定電極対の測定電極21、22の間の中間領域を通過した後は、第1の測定電極対の2個の測定電極21、22の間には空気15がある。第1の測定電極対の2個の測定電極21、22の間にある空気の誘電率がさらに低いので、これらの測定電極21、22の間で測定される静電容量測定値Cは、さらに低下する。同様の挙動が、容器1を空にする際に、第2及び第3の測定電極対の測定電極23〜26の間の静電容量測定値C、Cについても認められる。
【0074】
本発明の特に好ましい実施の形態では、個々の静電容量測定値C、C、Cの合計Csumを用いて充填度Fを決定してもよい。較正曲線を決定することにより、複数の異なる充填度に関して、何れの場合にも、関連する個々の静電容量測定値C、C、Cの合計Csumを決定することができ、その際、一つの合計Csumが、それぞれ、一つの充填度Fに割り当てられる。そのようにして作成された個々のデータ記録は、各々静電容量測定値Csumと充填度Fを含んでおり、コンピュータユニット6内の較正メモリに保存される。
【0075】
そのほか、各々静電容量測定値Csumと充填度Fを含んだ個々の較正データ記録を、本発明による投与装置の外側の、例えば外部データ通信装置において、以後の充填度の測定用に、利用できるように保持してもよい。
【0076】
個々の静電容量測定値C、C、Cを測定し、決定した後、それらの合計Csumが決定され、較正メモリに保存された個々の合計Csumと比較される。関連する合計Csumが、決定された静電容量測定値C、C、Cの合計と、最も合致する電極対が選択される。最も合致する合計Csumに割り当てられた充填度が、何れの場合にも、容器1の充填度Fと考えられ、コンピュータユニット6は、この充填度Fをその出力において利用可能に維持し、この充填度Fを、上述のように求められ次第、又はこうした求めなしに自主的に、アンテナ62を経由して外部のデータ通信装置に出力する。
【0077】
実験によると、測定電極21〜26の間の複合した容量結合現象に明らかに起因して、充填度Fに応じて測定された静電容量C、C、Cの推移曲線が大幅にずれており、この推移曲線は、図17に示す理論的に予想される推移曲線から明らかにずれている。しかしながら、この測定できる推移曲線のプロファイルは、非常に良く再現することができ、各静電容量C、C、Cに関して、異なる推移曲線の部分又は充填度の範囲において異なる勾配を示し、理論的な予想に反して、推移曲線プロファイルの最大の勾配又は静電容量における最大の変動は、必ずしも、間に液面が測定時にある、それらの測定電極21〜26の間で生じるわけではない。しかし、推移曲線の勾配が大きいほど、測定の解答/精度が良いので、充填度を計算するのに、3個の個々の静電容量測定値の単純な合計を求める代わりに、加重した合計を用いてもよく、較正中、推移曲線の各部分における3個の加数各々に対し、専用の加重値が別々に決定される。
【0078】
薬剤を充填した容器1又は同じ構成の参照容器を空にする較正を行い、個々の静電容量C、C、Cと充填度Fとの間の換算を得る。空にする間、充填度F及び個々の静電容量C、C、Cが、それぞれ、決定される。空にする間に達した各充填度Fに関して、個々の静電容量値C、C、Cが、それぞれ求められる。この代表的な実施の形態では、容器を空にする間に、30個の等間隔の充填度Fに達し、初期状態が1で示され、全体が空になった状態が0で示される。静電容量測定値C、C、Cは各々、それぞれの充填度Fとそれぞれの加重値a、b、cに割り当てられた基準ベクトルVrefに保存される。したがって、基準ベクトルVrefは、各充填度Fに関して求められる。加重値は、加重した合計a・C+b・C+c・Cが、充填度Fへの線形近似である最適化によって設定される。
【0079】
測定により決定した静電容量測定値C、C、Cに基づいて、実際の充填度Fを決定しようとする場合には、較正中に得られた加重値に基づいて、この決定をすることができ、この場合、静電容量測定値C、C、Cが得られたのと同数の加重値を、各測定に利用することができる。先ず、決定又は測定された静電容量測定値C、C、Cに基づいて、この静電容量測定値C、C、Cを成分として有するベクトルVmess[C、C、C]が、生成される。次いで、このベクトルVmessは、決定した基準ベクトルVrefと比較され、ベクトルVmessから最も距離の近い基準ベクトルが求められる。この代表的な実施の形態では、距離の尺度として、ユークリッド距離が用いられている。次いで、ベクトルVmessから次に最も近い距離をそれぞれ有する基準ベクトルVrefが、決定される。較正によって決定された基準ベクトルVrefに適用する際に、それぞれの割り当てられた充填度Fを、これらの基準ベクトルに送り返す補間機能、例えば、線形補間機能が決定される。静電容量測定値C、C、Cが、補完機能に用いられ、平均した充填度の値が得られる。
【0080】
スペースの理由で、アンテナ62は、電気遮蔽部材3の外側に配置するのが好ましい。電気遮蔽部材3は、電気的及び磁気的に非伝導性の材料、例えば、プラスチックからなるフィルム31を有することにより、好ましい組み合わせを確保している。図16に示すように、フィルム31には、導体トラックの形態をした導体32〜34が設けられている。渦電流が生じ得る、大面積を持つ閉じた導体のループが形成されないようにフィルム31上に導体32〜34を形成すると、外部のデータ通信装置によって発される磁場が、電気遮蔽部材3のお蔭でそれほど影響されずに、アンテナ62によって受信されることができる。さらに、これにより、アンテナに接続された電機部品に十分にエネルギーを供給するのに十分な、電磁波の形態のエネルギーを、アンテナ62に送ることも可能になる。
【0081】
容器1内の充填度Fを測定する際にさらに精度が要求される場合には、例えば導電性の物体又は高い誘電体誘電率を有する物体の接触又は接近により、容器1の外部領域の電場が歪曲された時に、充填度Fの測定値を、無効にする又は充填度Fの測定値が、無効であるとみなすようにしてもよい。
【0082】
電気遮蔽部材3は、複数の導体32〜34が、コーティングによって形成された電気的及び磁気的に非伝導性のフィルム31を有している。この代表的な実施の形態では、フィルム31は、可撓性のプラスチックからなっている。導体トラックは、約50μmの層厚と約1000μmの幅を有している。導体32〜34の幅は、100〜3000μmの間であるのが好ましい。
【0083】
導体32〜34の幅を3mm未満に限定し、渦電流が生じることにより、誘導結合に基づく通信、特に近距離無線通信に障害を生じさせるのを防止してもよい。さらに、導体32〜34を、図16に示すように、ループがない、すなわち、閉じた導体のループがない、すなわち、閉じたループを含まないように構成し、渦電流の発生を十分に防止して近距離無線通信の障害を回避するだけでなく、電気遮蔽部材3の内側にある測定電極21〜26に対する静電容量に関する影響を回避してもよい。
【0084】
したがって、本発明の、この代表的な一実施の形態では、3個の導体のうちの2個32、33が、互いに入り込む櫛形導体32、33として構成され、第3の導体34が、2個の櫛形導体32、33の間を、蛇行する態様で延びている。もちろん、この代表的な実施の形態の他に、フィルム31の表面上又はフィルムの内側の、或いは多層からなるフィルムの個々の層の間の、互いに電気的に接続されていない複数の導体トラック又は電極のループのない構成を有する複数の他の代表的な実施の形態もある。さらに、フィルム31の表側と裏側の両方に、導体32〜34を印刷してもよい。
【0085】
そのほか、複数の蛇行形状の導体34を、櫛形導体32、33の間に、互いに近接して並べて配置してもよく、複数の導体34を、フィルム31上に螺旋状に配置してもよい。
【0086】
2個の導体トラック、すなわち、2個の櫛形導体のうちの1個33と蛇行形状の導体34が、接触センサ5として用いられる。第2の櫛形導体32は、所定の接地電位にされ、電気遮蔽体としての役割をする。人が電気遮蔽部材3に接触する又は人が電気遮蔽部材3に接近すると、周囲の誘電率における変化の結果として、接触センサ5の導体33、34の間の静電容量が変化する。導体33、34の間のこの静電容量における変化は、さらに別の静電容量測定装置44によって測定してもよく、電気遮蔽部材3の導体33、34すなわち接触センサ5は、さらに別の静電容量測定装置44の測定接続部に接続されている。このさらに別の静電容量測定装置44は、さらに別の静電容量値C’を測定し、この静電容量値を、図18及び図19に示すように、コンピュータユニット6に送る。測定されたさらに別の静電容量測定値C’における変化が、所定の閾値Tを越えると、静電容量測定値C、C、Cに基づいて決定された充填度Fは、接触による誤りであるであるとみなされる。決定された充填度Fは、無効とされる。
【0087】
本発明の、この代表的な一実施の形態では、接触センサ5として作用すると同時に、櫛形導体32と蛇行形状の導体34からなる電気遮蔽部材3が、使用されている。しかしながら、物理的又は機能的見地から、電気遮蔽部材3と接触センサ5は、特に好ましい態様、すなわち、印刷することにより1つの平面に生産可能な態様で、図16に示す具体的な構成により実現することのできる2個の全く別個の異なるユニットである。もちろん、電気遮蔽部材3と接触センサ5のこの機能的分離は、容易に行うことができる。電気遮蔽部材3の又は接触センサ5の導体32、33、34は、フィルム31の同一の平面上にあり、単に説明の便宜上、図14、15、18及び19において、互いに近接して示されている。
【0088】
本発明の別の実施の形態では、交換の際に、本発明による投与装置100から容器1を取り外すのが容易である。支持体(図示せず)が、容器1の外側で、容器1と電気遮蔽部材3との間に配置される。支持体には、測定電極21〜26が、配置される。支持体は、容器1に接しており、本発明による投与装置100のハウジングの一部分によって形成されるのが好ましい。測定電極21〜26は、容器1に接した支持体の壁に配置される。本発明による投与装置100のハウジングは、開けることができ、容器1を、本発明による投与装置100のハウジングから取り出すことができる。支持体は、本発明による投与装置100の一部分を構成している。
【0089】
通信制御装置61、コンピュータユニット6、静電容量測定装置41〜44、及びアンテナ62は、フィルム31上に配置してもよく、好ましい。
【0090】
本発明のさらに別の好ましい実施の形態が、図20に示されており、カバーキャップ9を有する投与装置を提示している。この実施の形態は、先に示した実施の形態と実質的に同等でおり、以下では、先の実施の形態との相違点だけを、より詳細に説明する。
【0091】
カバーキャップ9は、1個以上の掛止要素109によって、本発明による投与装置の支持体200に、着脱可能に取り付けられている。カバーキャップ9は、容器1と容器1に配置された測定電極21〜26を、鞘のように包囲している。先の実施の形態とは異なり、電気遮蔽部材3と接触センサ5は、カバーキャップ9の本体内に配置されている。カバーキャップ9が、支持体200に配置される限り、測定電極21〜26は、電気遮蔽部材3によって保護される。この実施の形態では、電気遮蔽部材3は、カバーキャップ9の本体に入れて成型されており、カバーキャップ9の本体によって全面的に包囲されている。この実施の形態においても同様に、電気遮蔽部材3は、カバーキャップ9によって全面的に包囲又は封入されたフィルム上に配置されている。この場合、電気遮蔽部材3は、注射針103と向かい合う、カバーキャップ9の端部領域においても、測定電極21〜26を包囲している。そのほか、フィルム及び/又は電気遮蔽部材3を、カバーキャップ9の外側に配置してもよい。
【0092】
カバーキャップ9は、この端部領域に、注射針103の通路としての凹部99を有している。そのほか、注射針103は、カバーキャップ9のハウジングに、全体が包囲されていてもよい。
【0093】
第2の代わりの実施の形態では、カバーキャップ9は、注射針103の端部において開いているスリーブの形態に構成されている。その結果、カバーキャップを着けたままでも、液体の注射又は投与が可能である。したがって、全体的に見て、カバーキャップは、注射針103又は容器1を全面的に覆う必要はない。
【0094】
カバーキャップ9が、覗き穴108の手前の位置に、さらなる覗き穴98を有することにより、本発明による投与装置の支持体200の覗き穴108を見るのが容易になる。
【0095】
図21は、外側から見た本発明による投与装置100を示している。この概略図では、コンピュータユニット6(図23及び図25参照)に接続され、コンピュータユニットによって作動する表示ユニット90が見える。表示ユニット90の接続線が、カバーキャップ9内の電気遮蔽部材3の外側で延びている。
【0096】
図22a〜図22dは、測定電極21〜26が、取り得る構成を示している。個々の測定電極21〜26は、導電性の接続部によって接続接触部211、221、231、241、251、261に導かれる。これらの導電性の接続部は、測定電極21〜26及び接続接触部211、221、231、241、251、261と同様に、容器1の内側又は外側に、導体層として配置されるのが好ましい。
【0097】
原理的には、ここで、図9a〜図12dに示す全ての電極の形態を、それぞれの測定電極21〜26が、測定電極21〜26に割り当てられた容器1の外側領域で延びる導線によって、容器側の接続接触部211、221、231、241、251、261に導かれる状態で、使用することができる。図9a〜図9dに示すように、測定電極が2個だけ使用されている場合には、接続接触部211、221も2個だけである。
【0098】
図23は、図20の線B−Bに沿う断面図を示している。本発明による投与装置100の支持体200は、各接続接触部211、221、231、241、251、261に関して、それぞれ、スルー接触部212、222、232、242、252、262を有しており、スルー接触部は、支持体200の外面に通じており、外側からタップすることができ、電気的に接触することができるように配置される。
【0099】
図25からも分かるように、カバーキャップ9は、その支持体200に面する開放端の領域に、いくつかの接続接触部91、92、93、94、95、96を有しており、これらの接続接触部は、スルー接触部212、222、232、242、252、262に、電気的に導通する態様で接続することができる。掛止要素109は、各々のスルー接触部212、222、232、242、252、262が、それぞれカバーキャップ9の接続接触部91、92、93、94、95、96のうちの1個と接触する唯一の位置においてのみ、掛止が可能な構成を有することにより、組付けミスを防止するのがよい。接続接触部211、221、231、241、251、261及びスルー接触部212、222、232、242、252、262及びカバーキャップ9の接続接触部91、92、93、94、95、96は全て、導電性の材料、特に銅からなっている。
【0100】
各接続接触部91、92、93、94、95、96は、静電容量測定ユニット41、42、43の接続部に接続されているので、それぞれの静電容量測定ユニット41、42、43は何れも、互いに向かい合って配置された2個の測定電極21、22;23、24;25、26の間の静電容量を測定する。静電容量測定ユニット41、42、43は、コンピュータユニット6に接続されている。
【0101】
図23に示すアンテナ62は、電気遮蔽部材3の外側の領域で、カバーキャップ9に接触して又はカバーキャップ内に配置されている。この代表的な実施の形態では、アンテナ62は、電気遮蔽部材3とともに、カバーキャップ9と一緒に成型されており、カバーキャップ9の本体によって全面的に包囲されている。アンテナ9は、電気遮蔽部材3のフィルムの外側に配置されたフィルムに、両方のフィルムがカバーキャップの本体によって全面的に包囲された状態で、配置されるのが好ましい。
【0102】
アンテナ62は、コンピュータユニット6に接続された通信制御装置に接続されている。電気遮蔽部材3の3個の導体32、33、34のうちの2個が、コンピュータユニット6に接続されたさらに別の静電容量測定装置44に、電気的に導通する態様で接続されている。
【0103】
静電容量測定装置41、42、43、さらに別の静電容量測定装置44、通信制御装置61及び、必要に応じて、さらに別体の電池(図示せず)は、カバーキャップ9の内側に配置された、好ましくはカバーキャップと一緒に成型された共通のハウジング60内に組み込まれている。
【0104】
図24は、容器1の端部領域における、進行方向に対して直角な、線C−Cに沿う断面図を示している。この図では、カバーキャップ9内に配置された電気遮蔽部材3が、測定電極21〜26を取り囲んでいることが確認できる。この外は、図13を参照されたい。
【0105】
図26は、本発明によるさらに別の実施の形態を示しているが、この実施の形態では、電気遮蔽部材3がない。しかしながら、測定電極21〜26に10mmよりも近くに接近するのを防止する拡大されたカバーキャップ9が、正確な測定を確保している。この実施の形態では、電気遮蔽部材がないので、さらに別の静電容量測定装置は、設けられていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図11d
図12a
図12b
図12c
図12d
図13
図13a
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22a
図22b
図22c
図22d
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】