特表2017-511264(P2017-511264A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニーの特許一覧

特表2017-511264パルサ組立体を備えたセメント系スラリ混合分注システム及びそれを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-511264(P2017-511264A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】パルサ組立体を備えたセメント系スラリ混合分注システム及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20170331BHJP
   B28C 7/16 20060101ALI20170331BHJP
   B28C 9/02 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
   B28B1/30 101
   B28C7/16
   B28C9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-552613(P2016-552613)
(86)(22)【出願日】2015年2月11日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015015305
(87)【国際公開番号】WO2015126685
(87)【国際公開日】20150827
(31)【優先権主張番号】61/941,472
(32)【優先日】2014年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/548,127
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・アール・ウィットボールド
(72)【発明者】
【氏名】クリス・シー・リー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジェイ・ラゴ
【テーマコード(参考)】
4G052
4G056
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB14
4G052DC06
4G056AA06
4G056AA21
4G056CD36
4G056CE00
(57)【要約】
セメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)は、ミキサ(1520、1712)と、排出導管(110、1527、1727)と、パルサ組立体(150、850、1050、1250)とを備える。排出導管(110、1527、1727)は、ミキサ(1520、1712)と流体連通している。パルサ組立体(150、850、1050、1250)は、排出導管(110、1527、1727)の一部を周期的に圧縮するように構成されている。パルサ組立体(150、850、1050、1250)は、圧縮部の下に位置する内壁面の一部が屈曲するように、排出導管(110、1527、1727)の一部に接触係合するように構成された圧縮部材(705、905、1105、1305)と、圧縮部材(705、905、1105、1305)を選択的に移動させて排出導管(110、1527、1727)と圧縮係合させるように構成された駆動機構(720、920、1120、1320)を備えていてもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)であって、
水とセメント系材料を攪拌して含水セメント系スラリを形成するように構成されているミキサ(1520、1712)と、
ミキサ(1520、1712)と流体連通している排出導管(110、1527、1727)と、を備え、前記排出導管(110、1527、1727)は、弾性的に可撓性を有する材料から形成されており、前記排出導管(110、1527、1727)は、長手の軸(LA)に沿って延在し、側壁部(251、714、914)と内壁面を有し、前記内壁面は、含水セメント系スラリを搬送するように構成されたスラリ通路を形成し、さらに、
圧縮部材(705、905、1105、1305)と駆動機構(720、920、1120、1320)を含むパルサ組立体(150、850、1050、1250)を備え、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)は、前記長手の軸(LA)に沿って延在し、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)が前記排出導管(110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)と接触係合する中立位置と、側壁部(251、714、914)の下に位置する内壁面の一部が屈曲するように、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)が前記排出導管(110、1527、1727)と圧縮係合して圧縮位置の間の移動範囲を往復動可能であり、前記側壁部(251、714、914)は、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)が前記圧縮位置にある時に、前記中立位置にある時よりさらに屈曲し、駆動機構(720、920、1120、1320)は、前記中立位置と前記圧縮位置の間の前記移動範囲に渡って前記圧縮部材(705、905、1105、1305)を往復動させるように構成されていることを特徴とする前記セメント系スラリ混合および分注システム。
【請求項2】
前記排出導管(110、1527、1727)は、前記長手の軸(LA)に垂直な横軸(TA)に沿った幅と、前記長手の軸(LA)と前記横軸(TA)とに互いに垂直な、縦軸(VA)に沿った高さを有する排出出口(281)を有し、前記排出導管(110、1527、1727)の前記排出開口(281)は幅と高さの比が約4以上であることを特徴とする請求項1に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項3】
前記排出導管(110、1527、1727)は、前記排出導管(110、1527、1727)の末端(1528)に配設されたスラリ分配器(110、1720)を備え、前記スラリ分配器(110、1720)は前記排出開口(281)を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項4】
前記圧縮部材(705、905、1105、1305)は、圧縮部材のトポグラフィを有する前記接触面(748、948、1348)を備え、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)の接触面(748、948、1348)は、前記排出導管(110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)の外表面(716)と接触係合し、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)は、中立位置にある時には、セメント系スラリが任意の圧力以上で前記排出導管(110、1527、1727)の前記スラリ通路を通過する時に、前記排出導管(110、1527、1727)の前記スラリ通路を形成する前記内壁面の下の部分が、前記圧縮部材トポグラフィの形状に略一致するよう、前記排出導管(110、1527、1727)を接触支持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項5】
前記圧縮部材(705、905、1105、1305)は、圧縮部材トポグラフィを有する接触面(748、948、1348)を有し、前記排出導管(110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)は、排出導管側壁トポグラフィを有する外部側壁面(716)を有し、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)の前記接触面(748、948、1348)は、前記排出導管(110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)の前記外側壁面(716)と接触係合し、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)の前記接触面(748、948、1348)の前記圧縮部材トポグラフィは、前記排出導管(110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)の前記外部側壁部(716)の前記排出導管側壁トポグラフィと略一致することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項6】
前記駆動機構(720、920、1120、1320)は、その長手の軸(SA)を中心として回転するよう軸支された軸(770、1170、1370)と、前記軸(770、1170、1370)に取り付けられた偏心カム(772、1172、1372)とを備え、前記偏心カム(772、1172、1372)は、前記偏心カム(772、1172、1372)はの回転が、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)を移動範囲に渡って往復動させるように前記圧縮部材(705、905、1105、1305)と係合接触し、前記駆動機構(720、920、1120、1320)は、クランクハンドル(778)と前記軸(770、1170、1370)の端に連結したモータ(1178、1378)の少なくとも一方を有し、軸(770、1170、1370)と前記偏心カム(772、1172、1372)を前記長手の軸(SA)を中心として選択的に回転させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項7】
前記排出導管(110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)は、第1の側壁部(251、714、914)を備え、前記排出導管(110、1527、1727)は、前記第1の側壁部(251、714、914)と横方向に間隔をあけた位置関係の第2の側壁部(253、715、915)を有し、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)は、第1の圧縮部材を有し、前記パルサ組立体(150、850、1050、1250)は、第2の圧縮部材を有し、前記第2の圧縮部材は、前記長手の軸(LA)に沿って延在し、前記排出導管(110、1527、1727)の前記第2の側壁部(715、915、253)と接触係合し、前記駆動機構(720、920、1120、1320)は、前記第2の側壁部(715、915、253)の下方に位置する前記内壁面の一部は屈曲するように、前記第2の圧縮部材を選択的に移動させて、前記排出導管(110、1527、1727)と圧縮係合させて前記第1及び第2の圧縮部材(705、905、1105、1305)はそれぞれ、中立位置と圧縮位置の間の各移動範囲上を移動可能であり、前記駆動機構(720、920、1120、1320)は、前記第1及び第2の圧縮部材(705、905、1105、1305)を前記中立位置と前記圧縮位置の間の前記移動範囲で往復動させるように構成されており、前記第1及び第2の側壁部(251、253、714、715、914、915)それぞれの下に位置する前記内壁面は、前記第1及び第2の圧縮部材(705、905、1105、1305)がそれぞれ前記圧縮位置にある時の方が前記中立位置にある時より大きく屈曲することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項8】
前記駆動機構(720、920、1120、1320)が前記第1及び第2の圧縮部材(705、905、1105、1305)を前記移動範囲に渡って略同期して往復動させることを特徴とする請求項7に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項9】
前記駆動機構(720、920、1120、1320)は、その長手の軸 (SA)を中心として回転するように軸支された軸(770、1170、1370)と、前記軸(770、1170、1370)に取り付けた第1及び第2の偏心カム(772、1172、1372)はとを備え、前記第1及び第2の偏心カム(772、1172、1372)はは、前記軸(770、1170、1370)の回転により前記第1及び第2の偏心カム(772、1172、1372)が前記第1及び第2の圧縮部材(705、905、1105、1305)をそれぞれ移動範囲に渡って往復動させるように、前記第1及び第2の圧縮部材(705、905、1105、1305)とそれぞれ係合接触していることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項10】
前記パルサ組立体(150、850、1050、1250)は、第1のパルサ組立体(150、850、1050、1250)を備え、前記システムは、さらに、第2のパルサ組立体(1250)を備え、前記第2のパルサ組立体(1250)は、排出導管(110、1527、1727)の前記長手の軸(LA)に沿って前記第1のパルサ組立体(150、850、1050、1250)と間隔を開けた位置関係で配設され、前記第2のパルサ組立体(1250)は圧縮部材(1305)と駆動機構(1320)を備え、前記第2のパルサ組立体(1250)の前記圧縮部材(1305)は、前記排出導管(110、1527、1727)の第2の部分(1314、1315、1316)と接触係合し、前記第2のパルサ組立体(1250)の前記駆動機構(1320)は、前記排出導管(110、1527、1727)の前記第2の部分(1314、1315、1316)の下に位置する前記内壁面の一部が屈曲するように、前記第2のパルサ組立体(1250)の前記圧縮部材(1305)を選択的に移動させ、前記排出導管(110、1527、1727)の前記第2の部分(1314、1315、1316)と圧縮係合するように構成されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項11】
前記第1及び第2のパルサ組立体(150、850、1050;1250)の駆動機構(720、920、1120;1320)は、略交互に前記第2のパルサ組立体(1250)の前記圧縮部材(1305)を前記第1のパルサ組立体(150、850、1050)の前記圧縮部材(705、905、1105)に対して往復動させるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項12】
前記排出導管(110、1527、1727)は、前記排出導管(110、1527、1727)の末端(1528)に配設されたスラリ分配器(110、1720)を備え、前記スラリ分配器は供給導管(222)と分配導管(228)を備え、前記供給導管(222)は、第1の供給口(224)を有する第1の供給部(201)と、前記第1の供給口(224)と間隔を開けた位置関係に配置された第2の供給口(225)を有する第2の供給部(202)と、前記第1の供給部(201)と前記第2の供給部(202)の間に配設されたコネクタ部(239)と、を備え、前記第1の供給口(224)は、前記ミキサ(1520、1712)から第1の含水セメント系スラリの流れを受容するように構成され、前記第2の供給口(225)は、前記ミキサ(1520、1712)から第2の含水セメント系スラリの流れを受容するように構成され、前記分配導管(228)は、前記排出開口(281)を有するとともに前記第1の供給口(224)と前記第2の供給口(225)両者と流体連通をしており、前記供給導管(228)は、合流した第1と第2の含水セメント系スラリの流れが前記スラリ分配器(110、1720)から前記排出開口(281)を通して排出されるように構成され、前記第1のパルサ組立体(150、850、1050)は前記排出開口(281)に隣接して配設され、前記第2のパルサ組立体(1250)は、前記第1及び第2の供給部(201、202)それぞれの部分(1314、1315)と重なって接触する位置関係に配設された第1及び第2の側面圧縮部材(1305)と、前記第1及び第2の側面圧縮部材(1305)の間に配設され、前記スラリ分配器(110、1720)の前記コネクタ部(239)と重なって接触する位置関係にある中間圧縮部材(1307)を備えることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項13】
前記第2のパルサ組立体(1250)の前記駆動機構(1320)は、前記第1及び第2の側面圧縮部材(1305)が互いに略同期するとともに前記中間圧縮部材(1307)と位相をずらして移動するように前記第1及び第2の側面圧縮部材(1305)と前記中間圧縮部材(1307)を往復動させるよう、構成されていることを特徴とする請求項12に記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のセメント系スラリ混合分注システム(1510、1710)を使ったセメント系製品を調合する方法であって、
含水セメント系スラリの流れを前記ミキサ(1520、1712)から前記排出導管(110、1527、1727)に排出することと、
前記含水セメント系スラリの流れを、前記排出導管(110、1527、1727)内部に形成された前記スラリ通路を通すことと、
前記パルサ組立体(150、850、1050、1250)を使用して、前記排出導管110、1527、1727)の前記側壁部(251、714、914)を、前記側壁部(251、714、914)の下にある前記内壁面の一部が屈曲するように周期的に圧縮することと、を含む前記方法。
【請求項15】
請求項14に記載のセメント系製品を調合する方法であって、前記圧縮部材(705、905、1105、1305)は、圧縮部材トポグラフィを有する接触面(748、948、1348)を有し、前記方法は、
周期的な圧縮の間の静止期間、圧縮部材(705、905、1105、1305)を中立位置に周期的に維持することを含み、
前記含水セメント系スラリの流れは、前記スラリ通路を形成する前記排出導管(110、1527、1727)の前記内壁面の下方の部分が前記圧縮部材(705、905、1105、1305)の前記接触面(748、948、1348)の圧縮部材トポグラフィの形状と略一致するよう、前記縮部材(705、905、1105、1305)は、中立位置にある時には、前記排出導管(110、1527、1727)を接触支持するように前記排出導管(110、1527、1727)を外方に膨らませるのに十分な圧力で前記スラリ通路を通過せしめられることを特徴とする前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明のこの出願は、2014年2月18日に提出した「パルサ組立体を有するスラリ分注システム及びそれを使用する方法」と題する暫定特許出願No.61/941,472及び2014年11月19日に提出した「パルサ組立体を有するセメント系スラリ混合分注システム及びそれを使用する方法」と題する米国特許出願No.14/548,127の優先権の利益を享受し、この両者を全内容は本出願において援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、連続板製造工程に関し、さらに詳しくは、セメント系製品を製造する際のセメント系スラリを分注するシステム及び方法に関する。
【0003】
様々なタイプのセメント系製品において、硬化石膏(硫酸カルシウム二水塩)が主な成分である。例えば、硬化石膏は、伝統的な石膏(例えば、石膏表面を有する建物内の壁)を使うことによって製造される最終製品、また、建物内の壁や天井において一般的な乾式壁工法で採用される表面仕上げの石膏ボードの主要成分である。さらに、硬化石膏は、例えば、米国特許No.5,320,677で記載の石膏/セルロース繊維複合ボード及び製品の主要成分である。また、模型作成や造型に有益な材料などのような多くの特殊な材料で、成分の大部分が硬化石膏である製品を製造している。一般的には、このような石膏を含むセメント系製品は、焼成石膏(硫酸カルシウム半水塩アルファまたはベータ及び/または無水硫酸カルシウム)、水、及び他の成分の混合体をセメント系スラリに合わせて調合することによって作成することができる。例えば、米国特許No.3,359,146に説明しているように、セメント系製品を製造する際、セメント系スラリと所望の添加物を連続ミキサで混合することが多い。
【0004】
壁板などのようなセメント系製品を製造する際の一般的な工程では、水中で焼成石膏(通常は「漆喰」と称する)を均一に分散させて含水焼成石膏スラリを形成することにより石膏ボードを生産する。含水焼成石膏スラリは、一般的には、漆喰と、水と他の添加物を、内容物を攪拌して均一な石膏スラリを形成する手段を備えたミキサに投入することにより連続的に生産される。スラリは、ミキサの排出出口へ連続的に進み、そこを通ってミキサの排出出口に接続された排出導管に入る。水性泡はミキサ及び/または排出導管内で含水焼成石膏スラリと結合することができる。発泡したスラリが排出導管を通って流れ、そこから形成台に支持された移動するカバーシート材のウェブ上に連続的に蒸着させる。
【0005】
発泡スラリは前進するウェブ上に広げることができる。カバーシート材の第2のウェブをかけて、発泡スラリを覆い、連続する壁板母材の挟持体が形成され、従来の形成ステーションなどで形成されて、所望の厚みとされる。
【0006】
焼成石膏は、コンベヤが壁板母材を製造ライン上で下流へ移動させる間に壁板母材内の水と反応して、硬化する。壁板母材は、母材が十分に硬化してからラインに沿った点で断片に切り分ける。断片は、ひっくり返され、(例えば窯で)乾燥されて余分な水分が取り除かれ、加工されて最終的には希望の寸法の壁板製品となる。水性泡が空気の空隙を硬化石膏内に生成するので、同様のスラリを使い、泡を形成していない製品と比較すると最終製品の密度を低くすることができる。石膏壁板の生産に伴う操作上のいくつかの問題に取り組むための従来の装置と方法が、ここに援用する、同一出願人による米国特許No.5,683,635;5,643,510;6,494,609;6,874,930;7,007,914;及び7,296,919に開示されている。
【0007】
従来の配置では、排出導管は、その内部通路内でスラリが凝固してしまう可能性があった。このスラリの凝固は、導管を通るスラリ通路を形成する内部の境界壁上など、スラリが周囲の領域と異なる速さで局部的に移動している場所で起こりうる。排出導管内に残ったスラリは、硬化して固くなりうる。結果として、硬化石膏の塊が製造工程の後段で自由と移動を阻害しうる。この塊は、例えば乾燥壁生産用途において形成ステーションを通過する際に紙が裂けたりなど、製造トラブルを引き起こしかねない。
【0008】
この背景の説明は、本発明者が読み手を助けるために作成したもので、ここに示した問題自体がその技術で必ずしも認められているものではない。説明した原理は、いくつかの局面及び実施形態では他のシステムが有する問題を軽減できるが、保護された新規性の範囲は添付の特許請求の範囲により限定されるものであり、ここで示した固有の問題を解決するために開示した特徴の能力によって限定されるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一局面では、本開示は、セメント系製品を調合する際に使用するスラリ分注システムの実施形態を示すものである。実施形態では、スラリ分注システムは、セメント系スラリ混合分注システムが一部となり得る。このスラリ分注システムは、排出導管、またはミキサと流体連通するように載置されるよう構成された少なくとも排出導管の一部と、周期的に排出導管の一部を圧縮するように構成されたパルサ組立体とを備えていてもよい。スラリ分注システムは、ミキサから受け取ったセメント系スラリの流れを、セメント系スラリから移動するカバーシート材のウェブ上にスラリ分注システムから排出する位置まで搬送するために使用することができる。
【0010】
一実施形態では、スラリ分注システムは、その末端にスラリ分配器を有する排出導管と、周期的にスラリ分配器の一部を圧縮するように構成されたパルサ組立体を備える。パルサ組立体は、スラリ分配器の一部に接触係合するように構成された圧縮部材と、圧縮部材を選択的に移動させてスラリ分配器と圧縮係合させるように構成された駆動機構を備えていてもよい。
【0011】
本開示の別の局面では、スラリ混合分注システムの実施形態を説明する。一実施形態では、スラリ混合分注システムは、ミキサとスラリ分注システムを備える。
【0012】
ミキサは、水とセメント系材料を攪拌して含水セメント系スラリを形成するように構成されている。スラリ分注システムは、ミキサと流体連通している。
【0013】
スラリ分注システムは、排出導管と、排出導管の一部を周期的に圧縮するように構成されたパルサ組立体とを備える。パルサ組立体は、排出導管の一部に接触係合するように構成された圧縮部材と、圧縮部材を選択的に移動させて排出導管と圧縮係合させるように構成された駆動機構を備えていてもよい。
【0014】
一実施形態では、セメント系スラリ混合分注システムは、ミキサと、排出導管と、パルサ組立体とを備える。ミキサは、水とセメント系材料を攪拌して含水セメント系スラリを形成するように構成されている。排出導管は、ミキサと流体連通している。
【0015】
排出導管は、弾性的に可撓性を有する材料から形成されている。排出導管は、長手の軸に沿って延在し、側壁部と内壁面を有する。内壁面は、含水セメント系スラリを搬送するように構成されたスラリ通路を形成する。
【0016】
パルサ組立体は、圧縮部材と駆動機構を備える。圧縮部材は、長手の軸に沿って延在し、圧縮部材が排出導管の側壁部と接触係合する中立位置と、圧縮部材が排出導管と圧縮係合して側壁部の下に位置する内壁面の一部が屈曲する圧縮位置の間の移動範囲を往復動可能である。側壁部は、圧縮部材が圧縮位置にあるときの方が、中立位置にあるときより屈曲の度合いが大きい。駆動機構は、圧縮部材を中立位置と圧縮位置の間の移動範囲で往復動させるように構成されている。
【0017】
本開示の別の局面では、セメント系製品を調合する方法の実施形態を説明する。セメント系製品を調合する方法の一実施形態では、含水セメント系スラリの流れをミキサから排出する。含水セメント系スラリの流れはスラリ分配器の供給口を通ってスラリ分配器内部に形成されたスラリ通路内を通過する。スラリ分配器の一部が周期的に圧縮され、スラリ分配器の一部内に形成されたスラリ通路の内部流動形状が変更される。
【0018】
セメント系製品を調合する方法の一実施形態では、含水セメント系スラリの流れをミキサから排出導管へ排出する。含水セメント系スラリの流れは排出導管内部に形成されたスラリ通路を通過する。排出導管の側壁部は、側壁部の下にある内壁面の一部が屈曲するように周期的に圧縮される。
【0019】
開示された原理のさらに別の局面及び特徴については、下記の詳細な説明とそれに伴う図面から明らかとなろう。ここで開示するスラリ分注システムと技術は、別の異なる実施形態においても実施可能であるとともに使用可能であり、様々な点において変更が可能であることは明らかである。よって、上記の一般的な説明と下記に示す詳細な説明はともに説明のため、そして例示のためのものに過ぎず、添付の請求項の範囲を限定するものではないことは理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態の斜視図である。
図2図2は、図1のスラリ分注システムの前面図である。
図3図3は、図1のスラリ分注システムの左側面図である。
図4図4は、図1のスラリ分注システムの、断片右側面図であり、具体的に示す目的でマウントを取り外している。
図5図5は、図1のスラリ分注システムのスラリ分配器の半分の平面図である。
図6図6は、図5の線VI−VIに沿って切ったスラリ分配器の断面図である。
図7図7は、図5の線VII−VIIに沿って切ったスラリ分配器の断面図である。
図8図8は、図5の線VIII−VIIIに沿って切ったスラリ分配器の断面図である。
図9図9は、図5の線IX−IXに沿って切ったスラリ分配器の断面図である。
図10図10は、図1のスラリ分注システムのスラリ分配器とパルサ組立体の平面図である。
図11図11は、図1のスラリ分注システムのパルサ組立体の前面図である。
図12図12は、図11のパルサ組立体のマウント内の回転自在に軸支された軸の拡大詳細斜視図である。
図13図13は、本開示の原理に従って構成されたパルサ組立体の実施形態で使用するのに適した偏心カムの実施形態を示す側面図である。
図14図14は、本開示の原理に従って構成された溝穴付き圧縮部材を備えたスラリ分注システムの別の実施形態を示す平面図である。
図15図15は、本開示の原理に従って構成された一対のパルサ組立体を有するスラリ分注システムの別の実施形態を示す斜視図である。
図16図16は、図15のスラリ分注システムの平面図である。
図17図17は、図15のスラリ分注システムの右側面図である。
図18図18は、図15のスラリ分注システムの背面図である。
図19図19は、図15のスラリ分注システムの中間パルサ組立体の平面図である。
図20図20は、図19のパルサ組立体の前面図である。
図21図21は、図19のパルサ組立体の背面図である。
図22図22は、図19のパルサ組立体の前下からの斜視図である。
図23図23は、セメント系スラリ混合分注システムの一実施形態の平面略図であり、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態を含む図である。
図24図24は、石膏壁板製造ラインの湿式端部の一実施形態の立面略図であり、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態を含む図である。
【0021】
これら図面の縮尺は必ずしも実際の通りではなく、開示された実施形態は場合によっては略図及び部分図として示していることは理解できよう。場合によっては、本開示の理解に必要のない、あるいは他の詳細部分をわかりにくくしてしまう可能性の有る詳細部分は省略している場合もある。もちろんこの開示は、ここで示す特定の実施形態に限定されるものではないことは理解できよう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、例えば石膏壁板などのようなセメント系製品を含む製品の製造で使用できるスラリ分注システムの様々な実施形態を提供する。本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態は、製造工程で使用して、例えば水性発泡石膏スラリでわかるような、気液相を含む多相スラリを効率よく分配することができる。
【0023】
本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態は、均一な石膏スラリを、スラリ分注システムの排出導管内でスラリが凝固した結果、機械を停止しなければならなくなる時間をできるだけ少なくして(機械を横切る方向に沿って)より広く分配することを意図している。本開示のスラリ分注システムの実施形態は、水と漆喰の比率(WSR)が、石膏壁板を製造する際に従来から使用されるWSRを含むWSRの範囲を超えている石膏スラリ、及びWSRが比較的低いが粘度が比較的高い石膏スラリに使用するのに適している。さらに、本開示の原理に従った石膏スラリ分注システムの実施形態は、泡量が非常に多い発泡石膏スラリを含む水性発泡石膏スラリ内などのように気液相分離の制御に役立つように使用することができる。含水焼成石膏スラリの前進するウェブ上への広がりは、ここで示し説明する分注システムの実施形態を使用したスラリの経路決定及び分配によって制御することができる。
【0024】
本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態は、排出導管の内部でスラリの凝固が起きる可能性を低減するのに役立つように構成されたパルサ組立体を含んでいてもよい。本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態は、例えば、現存の壁板製造システム内のそれのような、セメント系スラリ混合分注システムの組み込み構成要素として有利に構成してもよい。
【0025】
実施形態では、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムは排出導管とパルサ組立体を含む。排出導管は、弾性的に可撓性を有する適した材料から形成することができる。排出導管は、セメント系スラリを搬送するように構成された少なくとも1本のスラリ通路を形成することができる。パルサ組立体は、排出導管のスラリ通路の内部に形成される内部流動形状が変更されるように前記排出導管の一部を周期的に圧縮するように構成することができる。パルサ組立体は、排出導管の一部に接触係合するように構成された圧縮部材と、圧縮部材を選択的に移動させて排出導管と圧縮係合させる駆動機構を備えていてもよい。圧縮部材は、中立位置と最大圧縮位置を含む圧縮位置の範囲との間の移動範囲を移動可能としてもよい。駆動機構は、圧縮部材を中立位置と最大圧縮位置の間で往復動させるように構成してもよい。
【0026】
実施形態では、圧縮部材の外部の接触面は、それが接触係合する排出導管の部分の外表面の一部のトポグラフィと略一致するトポグラフィを有していてもよい。排出導管の接触部分の外表面は、今度はスラリ通路の内部流動形状を形成する内表面の一部に略一致している。圧縮部材は、圧縮部材が中立位置にある時に、操作位置にある排出導管の内部流動形状維持に役立つ。圧縮部材は、中立位置にある時には、圧縮部材の下に位置するスラリ通路の一部の内部流動形状の構成が維持されるよう、排出導管を接触支持することができる。
【0027】
実施形態では、パルサ組立体は、圧縮部材が中立位置にあるときに、排出導管のスラリ通路内の流動形状を、スラリがスラリ分配器内を流れやすくなるようにする圧縮部材を含む。実施形態では、圧縮部材は、排出導管の内部の内部流動形状を維持しながら可撓性の排出導管を所定の容量範囲内に維持する。
【0028】
本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの実施形態は、その末端に弾性を有する可撓性の材料から形成されたスラリ分配器を有する排出導管と、スラリ分配器の内部に形成された内部流動形状が変更されるようにスラリ分配器の一部を周期的に圧縮するように構成されたパルサ組立体とを有していてもよい。パルサ組立体は、スラリ分配器の一部に接触係合するように構成された圧縮部材と、圧縮部材を選択的に移動させてスラリ分配器と圧縮係合させるように構成された駆動機構を備えていてもよい。実施形態では、圧縮部材を周期的にスラリ分配器の一部と圧縮係合させるように駆動機構を操作して、それに応じてスラリ分配器の係合された部分にパルスを与える、あるいは屈曲させるように構成してもよい。可撓性のスラリ分配器のパルス動作により、スラリがスラリ分配器の内部で凝固しないように防ぐのに役立つ。
【0029】
本開示は、セメント系製品の製造で使用できるセメント系スラリ混合分注システムの様々な実施形態を提供する。本開示の原理に従ったセメント系スラリ混合分注システムは、ミキサと、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムの一実施形態を含んでいてもよい。本開示の原理に従ったセメント系スラリ混合分注システムを使用して、多種多様なセメント系製品を形成することができる。実施形態では、例えば、石膏壁板、吸音パネル、またはポルトランドセメントボードなどのようなセメント系ボードを、本開示の原理に従って構成されたセメント系スラリ混合分注システムの実施形態を使用して形成することができる。
【0030】
本開示の原理に従って構成されたセメント系スラリ混合分注システムの実施形態を使用して、セメント系スラリ(例えば含水焼成石膏スラリ)を混合し、連続板(例えば石膏壁板)製造工程中にコンベヤ上を前進移動するウェブ(例えば紙またはマット)上に分配してもよい。一局面では、従来の石膏乾式壁製造工程で本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムは、焼成石膏と水を攪拌して含水焼成石膏スラリを形成するように構成されたミキサと流体連通する排出導管としてまたはその一部として使うことができる。
【0031】
セメント系スラリは、いかなる従来のセメント系スラリでもよく、例えば、石膏壁板、例えば、米国特許公報No.2004/0231916で説明しているような吸音パネルを含む吸音パネル、または例えば、ポルトランドセメントボードなどを生産するために共通して使用するようないかなるセメント系スラリでもよい。このように、セメント系スラリは、任意でセメント系製品の生産に共通して使用される他の添加物などをさらに含んでいてもよい。これらの添加物には、ミネラルウール、一連のまたは切断されたグラスファイバー(ファイバーグラスともいう)、パーライト、クレイ、バーミキュライト、炭酸カルシウム、ポリエステル、紙繊維、ならびに水性泡/発泡剤、充填剤、促進剤、砂糖、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホウ酸塩などのような促進剤、抑制剤、結合剤(例えば、糊及びラテックス)、着色剤、殺菌剤、バイオサイド、シリコン系材料(例えば、シラン、シロキサン、またはシリコン樹脂マトリクス)などのような疎水性物質などのような化学的添加物を含む構造的添加物も含む。これらの、そして他の添加物のうちのいくつかを使用している例は、例えば、米国特許No.6,342,284、6,632,550、6,800,131、5,643,510、5,714,001、及び6,774,146、及び米国特許公報No.2002/0045074、2004/0231916、2005/0019618、2006/0035112、及び2007/0022913に記載される。
【0032】
本開示の原理に従った実施形態で使用するのに適したセメント系材料の非限定的例として、ポルトランドセメント、ソーレルセメント、スラグセメント、フライアッシュセメント、アルミン酸カルシウムセメント、水溶性無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウムα半水化物、硫酸カルシウムβ半水化物、天然、合成、または化学的に修飾された半水硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水塩、(「石膏」、「硬化石膏」あるいは「含水石膏」)、及びその混合体などが挙げられる。一局面では、セメント系材料は、好ましくは、硫酸カルシウムアルファ半水化物や硫酸カルシウムベータ半水化物、及び/または無水硫酸カルシウムなどのような焼成石膏(「漆喰」と呼ばれることもある)を含む。焼成石膏は、実施形態によっては繊維質のものでもよく、また他の実施形態では非繊維質のものでもよい。実施形態では、焼成石膏は、少なくとも約50%のベータ半水硫酸カルシウムを含んでいてもよい。他の実施形態では、焼成石膏は、少なくとも約86%のベータ半水硫酸カルシウムを含んでいてもよい。焼成石膏に対する水の重量比は、いかなる適した比でもよいが、当業者は、通常、比は低いほうが効率がよいと認めている。なぜなら、製造中、漆喰の水和過程の完了後に残る、取り除かなければならない余分な水の量が少なくて済み、エネルギーを節約するからである。いくつかの実施形態では、製品によっては、生産を拡げるため、セメント系スラリは、水と焼成石膏を、約1:6及び約1:1の間の範囲、例えば2:3のような、適した漆喰に対する重量比で組み合わせることによって調合できる。
【0033】
図面に戻り、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システム100の実施形態を図1〜4に示す。スラリ分注システム100は、本開示の原理に従ったスラリ混合分注システムの実施形態の使用に適している。スラリ分注システム100は、ミキサからセメント系スラリの流れを受容し、速度を落としてそこからスラリを排出するように構成することができる。図示のスラリ分注システム100は、排出導管の末端に位置するスラリ分配器110の形態の排出導管と、分配器支持組立体115と、プロファイリング機構120と、パルサ組立体150を備える。
【0034】
実施形態では、本開示の原理に従って構成された排出導管を、例えばポリ塩化ビニル(PVC)またはウレタンなどを含む適した可撓性のプラスチック材のような適した弾性を有する可撓性の材料を含むいかなる適した材料から形成することができる。図示のスラリ分配器110は、二重供給口構造であるが、本開示の原理に従って構成された排出導管は、別の実施形態では単一供給口を備えていてもよいことは理解できよう。例えば、実施形態では、排出導管は、単一の供給口と、入口部と、分配出口を有する分配導管と流体連通する整形ダクトを備えるスラリ分配器を備えていてもよい。
【0035】
実施形態では、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムを使って、含水焼成石膏スラリをマシンの幅方向に広く供給するのに役立て、粘度が高く、WSRが低い石膏スラリを形成台の上で移動するカバーシート材のウェブ上に拡げやすくしてもよい。石膏スラリ分注システムを使い空気−スラリ相分離も制御に役立てることができる。
【0036】
実施形態では、スラリ分配器110は、従来の石膏スラリミキサ(例えば、ピンミキサ)の周知の排出導管の一部を含んでいても、あるいは、排出導管として動作してもよい。実施形態では、排出導管はスラリ分配器110と従来の排出導管の構成要素を有していてもよい。本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムは、現存の壁板製造システム内の装置として有利に構成してもよい。例えば、実施形態では、パルサ組立体150とスラリ分配器110を使って従来の排出導管内で使用されている従来の単一もしくは多重分岐ブーツを交換することもできるし、また、周知の「ゲート」及び「キャニスター」と称する構成要素とともに使用することもできる。実施形態では、例えば遠位分注送出口またはブーツの代わりとして、米国特許No.6,494,609、6,874,930、7,007,914、及び7,296,919に示すように、パルサ組立体150とスラリ分配器110を現存のスラリ排出導管構造に組み込んでもよい。しかしながら、実施形態によっては、スラリ分配器は、1つ以上のブーツ排出口を交互に取り付けてもよい。
【0037】
スラリ分配器110の図示の実施形態は、例えばPVCまたはウレタンのような可撓性の材料から形成する。図示のスラリ分配器110は、構造と機能が米国特許公報No.2013/0308411で示し、説明しているスラリ分配器1420に類似している。他の実施形態では、ここで参照することによって援用する米国特許公報No.2012/0168527、2012/0170403、2013/0098268、2013/0099027、2013/0099418、2013/0100759、2013/0216717、2013/0233880、及び2013/0308411で示し、説明しているいかなる適したスラリ分配器も使用可能である。
【0038】
他の実施形態では、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムは、異なる構成を有する排出導管を備えていてもよい。例えば、実施形態では、スラリ分注システムは、本開示の原理に従って構成されたパルサ組立体と、排出ブーツをその末端に設けた当業者に周知の従来の排出導管を備えていてもよい。実施形態では、多脚ブーツを有する排出導管を使用してもよい。
【0039】
図1を参照する。図示のスラリ分配器110は、分岐供給管222と分配導管228を備える。スラリ分配器110の分岐供給管222は、第1及び第2の供給部201、202を備える。第1及び第2の供給部201、202は互いに略類似している。1つの供給部の説明は他の供給部に同様に適用可能であることが理解できよう。実施形態では、スラリ分配器は単一の供給部を備えるものでもよい。さらに別の実施形態では、スラリ分配器は、2つ以上の供給部を備えていてもよい。
【0040】
図5を参照する。供給部202は、供給口225と、供給口225と流体連通する供給口出口311(図1参照)を有する入口部237と、入口部237(図1参照)の供給口出口311と流体連通する球状部321を有する整形ダクト243と、球状部321と流体連通する移行部331とを有する。
【0041】
図6を参照する。入口部237は、概ね円柱形であるとともに第1の供給流れ軸335に沿って延在する。図示の入口部237の第1の供給流れ軸335は、縦軸VAに概ね沿って延在する。他の実施形態では、第1の供給流れ軸335は、長手の軸LAと横軸TAによって形成される面に対して異なる方位を有していてもよい。例えば、他の実施形態では、第1の供給流れ軸335は、横軸TAに対する回転角度として測定された、長手の軸LAと横軸TAで形成される面に対して非垂直である供給ピッチ角で配置されていてもよい。
【0042】
図10を参照する。第1及び第2の供給口224、225と第1及び第2の入口部236、237は、縦軸VAに対する回転角度として測定した、長手の軸LAに対して約135°までの範囲の供給角でそれぞれ配設することができる。図示の第1及び第2の供給口224、225と第1及び第2の入口部236、237は、長手の軸LAと略一致する供給角でそれぞれ配設される。
【0043】
図5を参照する。整形ダクト243は、一対の側壁340、341と球状部321を備える。整形ダクト243は、入口部237の供給口出口311と流体連通する。球状部321は、入口部237から球状部321を通って移行部331まで移動するスラリの平均流速を減速するように構成されている。実施形態では、球状部321は、入口部237から球状部321を通って移行部331まで移動するスラリの平均流速を少なくとも20パーセント減速するように構成されている。
【0044】
図6を参照する。球状部321は、膨張領域350を有し、その延在領域は、断面流動領域が、その供給口225から分配導管228の分配出口に向かう流れの方向352に対してその延在領域の上流側に隣接する断面流動領域より大きくすることができる。実施形態では、球状部321は、第1の流れ軸335に対して垂直な面に沿った断面積が、供給口出口311の断面積より大きくなる領域を有する。
【0045】
整形ダクト243は、入口部237の供給口出口311に対面する関係にある凸型内面358を有する。球状部321は、凸型内面358に隣接して配設された概ね径方向の案内路261を有する。案内路261は、第1の供給流れ軸335に対して略垂直な面において径方向の流れを促進するように構成されている。凸型内面358は、流路において中心制限部を形成しており、径方向の案内路261の中でスラリの平均速度を上げる働きもするように構成されている。
【0046】
図示の実施形態では、第1の供給流れ軸335は長手の軸LAに対して略垂直である。図示の実施形態では、第1の供給流れ軸335は、縦軸VAに略平行であり、これは、すなわち、長手の軸LAと横軸TAに対して垂直である。
【0047】
図5を参照する。移行部331は、球状部321と流体連通する。図示の移行部331は、長手の軸LAに沿って延在する。移行部331は、横軸TAに沿って測定した幅が球状部321から分配導管110の排出口230までの流れの方向に増加するように構成されている。移行部331は、第1の供給流れ軸335と非平行な位置関係の第2の供給流れ軸370に沿って延在する。
【0048】
実施形態では、第2の供給流れ軸370は長手の軸LAに対して約135°までの範囲のそれぞれの供給角で配設されている。図示の実施形態では、第2の供給流れ軸370は長手の軸LAに対して略平行である。
【0049】
図10を参照する。供給導管222は、第1及び第2のガイド面380、381を有する分岐コネクタ部239を備える。実施形態では、第1及び第2のガイド面380、381は、出口の流れ方向に対して約135°の範囲で方向角を変更することによってそれぞれ第1及び第2の入口を通って供給導管222に入るスラリの第1及び第2の流れに向かって方向を変更するよう構成することができる。
【0050】
図6及び18を参照する。整形ダクト241、243のそれぞれは、その凸型内面の形状と略相補的形状であるとともにその下に位置する位置関係である凹型外表面390、391を有する。各凹型外表面390、391は凹部を形成する。スラリ分配器110の各凹部には支持インサート401、402が配設されている。支持インサート401、402は、整形ダクト241、243のそれぞれの凸型内面の下側に位置する位置関係で配設されている。支持インサート401、402は、スラリ分配器110を支持し、上に位置する凸型内面にあわせた所望の形状を維持するいかなる適した材料から形成してもよい。図示の実施形態では、支持インサート401、402は略同じである。他の実施形態では、別の支持インサートを使用することもでき、また、さらに別の実施形態では、インサートを使用しなくてもよい。
【0051】
図10を参照する。分配導管228は、概ね長手の軸LAに沿って延在し、入口部252と、入口部252と流体連通する排出口230(図2も参照)とを有する。入口部252は、供給導管222の第1及び第2の供給口224、225と流体連通する。分配導管228は、横軸TAに沿って測定した分配導管228の幅が入口部252から排出口230に向かって大きくなるように、入口部252から排出口230に向けて外方に広がる側壁251、253を有する。しかしながら、他の実施形態では、分配導管228の幅は、減少しても、あるいは、入口部から排出口230まで略一定に保たれていてもよい。実施形態では、出口開口281の幅は横軸TAに沿って測定し、高さは縦軸VA(図2参照)に沿って測定した場合、排出導管の排出口230の出口開口281の幅と高さの比は、約4倍以上である。
【0052】
図5〜9を参照する。いくつかの実施形態では、入口部237、整形ダクト243、及び/または移行部331は、スラリの流れを供給導管222の供給部202の外壁及び/または内壁257、258に向けて分配しやすくするように構成された1本以上の案内路267、268を含んでもよい。案内路267、268は、スラリ分配器110の境界壁層の周りのスラリの流れを増加させるように構成されている。
【0053】
図7及び8を参照する。案内路267、268の断面積は、それぞれスラリ分配器110の壁領域に配設された隣接する案内溝267、268への流れを促進する制限部を形成する供給部202の隣接する部分271より大きく構成してもよい。
【0054】
図10を参照する。図示の実施形態では、供給導管222の各供給部201、202は、外壁257に隣接する外側案内溝267と、分配導管228のそれぞれの側壁251、253と、移行部の内壁258に隣接する内側案内溝268とを有する。外側及び内側案内路267、268の断面積は、排出口230に向かう排出方向に移動するに従い徐々に小さくなるようにすることができる。外側案内溝267は、分配導管228のそれぞれの側壁251、253に略沿って排出口230まで延在させることができる。図5〜9を参照する。内側案内溝268は、移行部の内壁258に隣接し、分岐コネクタ部239のピーク275で終端となる。
【0055】
壁領域に隣接して案内溝を設けることにより、スラリの流れを、従来のシステムでは、スラリの流れが遅い「デッドスポット」が発生する領域であるそれらの領域に向けて流しやすくなる。案内溝を設けることによりスラリ分配器110の壁領域でのスラリの流れを促進することによって、スラリ分配器の内部でのスラリの凝固が発生しづらくなり、スラリ分配器110の内部の清浄が高められる。移動するカバーシート材のウェブが裂けてしまう危険性を伴うスラリの凝固を断片に破壊する頻度も低くて済む。他の実施形態では、外側及び内側案内路267、268の相対的寸法は、スラリの流れを調整して流れの安定性を改善し、気液スラリ相の分離の発生の可能性を低減させるよう、変更することができる。
【0056】
図2を参照する。図示の排出口230は、半円形の幅狭端283、285を有する概ね長方形の開口281を形成している。分配出口230の開口281の半円端283、285は、分配導管228の側壁251、253に隣接して配設される外側案内溝267の終端でもよい。
【0057】
実施形態では、例えば米国特許公報No.2013/0308411に図示し、説明するように、供給導管222と分配導管228の少なくとも一方は、供給口に入り、排出口230まで移動するスラリの流れの平均供給速度を、スラリの流れは、少なくとも平均供給速度より20パーセント以上低い平均排出速度で分配出口から排出されるよう減速するように構成された流れ安定領域を備える。
【0058】
本開示の原理に従って構成された排出導管を製作するに当たり、いかなる適した技術を利用できる。例えば、スラリ分配器は、マルチピース金型を利用して、例えば米国特許公報No.2013/0099418で図示し、説明するようにPVCやウレタンのような可撓性材料から作ることができる。実施形態によっては、金型面積は、離型の際に金型片が引っ張られる成形後のスラリ分配器の面積の約150%以下であり、別の実施形態では約125%以下であり、さらに別の実施形態では115%以下であり、またさらに別の実施形態では110%以下である。
【0059】
図1〜3を参照する。分配器支持組立体115は、底側支持部材または板410及び上側支持部材(図示せず)を備えていてもよい。底側支持部材410は、例えば金属など、適した剛性の材料から構成することができる。使用中は、底側支持板410は、スラリ分配器110を、移動するカバーシートを支持し搬送するコンベヤ組立体を含むマシンラインの上側の定位置に支持するのに役立つ。実施形態では、底側支持板410は、適度に起立して底側支持板の側に載置して取り付けることができる。
【0060】
図1を参照する。底側支持部材410は、供給導管222と分配導管228の少なくとも一方の外部の少なくとも一部に略適合するように構成することができる支持面412を形成し、スラリ分配器110と底側支持部材410の間の相対移動の量を制限するのに役立つ。実施形態によっては、支持面412も、スラリ分配器110のスラリが流れる内側形状を維持するのに役立つ。実施形態では、追加の係留構造を設けてスラリ分配器110を底部支持部材410に固定するのに役立たせてもよい。
【0061】
上側支持部材は、底側支持部材410と間隔を空けた位置関係で配設してもよい。上側支持部材を、スラリ分配器110の上方に位置させ、スラリ分配器110とは支持関係で載置するように構成し、スラリ分配器110の内部形状207を所望の形状に維持するのに役立たせてもよい。
【0062】
実施形態では、分配器支持組立体115は、異なる形状でもよい。例えば、実施形態では、分配器支持組立体は、ここで参照することによって援用する米国特許公報No.2013/0308411で図示し、説明したものと構造及び機能が類似していてもよい。
【0063】
図1〜4を参照する。プロファイリング機構120は、スラリ分配器110の排出口230に配設されている。図2を参照する。プロファイリング機構120は、分配導管228と接触関係にあるプロファイリング部材510と、プロファイリング部材510に少なくとも2度の自由を与えるように構成された取り付け組立体520を備える。実施形態では、プロファイリング部材510は、少なくとも1本の軸に沿って平行移動が可能であるとともに、少なくとも1本の旋回軸を中心として回転可能である。
【0064】
図示の実施形態では、プロファイリング部材510は、縦軸VAに沿って移動可能であるとともに、長手の軸LAと略平行な旋回軸PAを中心として回転可能である。プロファイリング部材510は、プロファイリング部材510が排出口230に隣接する分配導管228の一部と徐々に強く圧縮係合する位置範囲にあり、プロファイリング部材510は出口開口の形状及び/または寸法が変化するように移動範囲上を移動可能である。
【0065】
実施形態では、プロファイリング部材510は、縦軸VAに沿って縦方向の位置の範囲で平行移動可能であるとともに、長手の軸LAと略平行な旋回軸PAを中心として回転可能である。プロファイリング部材510は、排出口230の出口開口281の、図示の実施形態の縦軸VAに沿って測定した高さが横軸TAに沿って変化するように、プロファイリング部材510が、横軸TAに亘って分配導管228の一部と可変圧縮係合する位置範囲にくるように、プロファイリング部材510はアーク長上で旋回軸PAを中心として回転可能である。プロファイリング機構120は、アーク長上の縦方向の位置範囲及び径方向の位置範囲の選択した一方において、プロファイリング部材510を固定できるように構成された適した構造体を含む。プロファイリング機構120は、その他の点においては、ここで参照することによって援用する米国特許公報No.2013/0233880に図示し、説明したプロファイリング機構1432に類似している。実施形態では、プロファイリング機構120は異なる形状であってもよい。
【0066】
実施形態では、スラリ分配器のスラリ通路内は、セメント系スラリを内部でマシンを横切る方向及びマシンの方向の両方向に流れを分配させるのに役立つように構成された流動形状を有している。分配器の境界壁の、あるいはその近傍のスラリの速度は、特に、隣接する領域を通って動くスラリに比べると低い。使用中、石膏スラリのような硬化コンパウンドの凝固は、一般的に分配器の側壁に沿った問題となりうる。時間が経つにつれ、凝固が起こり、スラリの排出パターンや通路を不必要に変更してしまう。硬化した凝固の塊は、最終的には解放されて製造工程の下段においてその塊が形成ステーションを通るときに紙を破いてしまい製造ラインを停止しなければならないなど、潜在的な問題を引き起こしかねない。この凝固を防止するための一般的な手段としては、ボードラインのオペレータが手動で排出導管を手で搾ってまたは「抜いて」、排出導管のブーツ/分配器部分のような、両方の側壁に沿って発生する凝固を解放してやる方法がある。このオペレータの仕事は、広いブーツや分配器を使っているときには特に難しい作業である。
【0067】
図1〜4を参照する。図示の実施形態では、例えばPVCやウレタンのような弾性的に可撓性を有する材料から形成したスラリ分配器110を含むパルサ組立体150を設けて排出導管の内部におけるスラリの凝固の発生を防ぐのに役立たせることができる。パルサ組立体150は、可撓性の排出導管110の内部流動形状を維持するのに役立ち、排出導管110の少なくとも一部を周期的に圧縮して、その内部でのスラリの凝固を減らすのに役立つように構成することができる。
【0068】
図1を参照する。実施形態では、パルサ組立体150は、スラリ分配器110の一部を周期的に圧縮して、スラリ分配器110内で形成された内部流動形状207が変更されるように構成できる。実施形態では、パルサ組立体150は、排出導管110の一部に接触係合するように構成された圧縮部材705と、圧縮部材705を選択的に移動させて排出導管110と圧縮係合させるように構成された駆動機構720を備えていてもよい。実施形態では、圧縮部材705を周期的に排出導管110の一部と圧縮係合させるように駆動機構720を操作して、それに応じて排出導管110の係合された部分にパルスを与える、あるいは屈曲させるように構成してもよい。可撓性の排出導管110のパルス動作により、スラリが排出導管110の内部で凝固しないように防ぐのを役立たせることができる。
【0069】
図示のパルサ組立体150は、一対の圧縮部材組立体710、712及び駆動機構720を含む。圧縮部材組立体710、712はそれぞれ、スラリ分配器110のそれぞれの部分714、715を接触係合するように構成された圧縮部材705を有する。各圧縮部材705は、長手の軸LAに沿って延在し、圧縮部材705が排出導管110の側壁部714、715とそれぞれ接触係合する中立位置と、圧縮部材705が排出導管110とそれぞれ圧縮係合して各側壁部714、715の下に位置する内壁面の一部が屈曲する圧縮位置の間の移動範囲を縦軸VAに沿って往復動可能である。側壁部714、715は、それぞれの圧縮部材705が圧縮位置にあるときの方が、中立位置にあるときより屈曲の度合いが大きい。
【0070】
駆動機構720は、選択的に移動して、各圧縮部材705をスラリ分配器110と圧縮係合させるように構成されている。図示の駆動機構720は、各圧縮部材705を中立位置と圧縮位置の間の移動範囲で往復動させるように構成されている。
【0071】
図示の圧縮部材組立体710、712は略同じであるが、左右対称である。各圧縮部材組立体710、712は、通常位置と、最大圧縮位置を含む圧縮位置の範囲との間の移動範囲で移動可能となるように、付随の圧縮部材705を支持するように構成されている。
【0072】
圧縮部材組立体710、712の構成要素は、いかなる適した材料から構成可能である。実施形態では、圧縮部材組立体の構成要素は、アルミニウム及び/またはステンレス鋼で形成されている。実施形態では、圧縮部材は、例えばアルミニウムなどのような適した金属から形成することができ、例えば、硬化陽極酸化アルミ被覆のような、より硬質な材料による被覆層を有する。
【0073】
図10を参照する。図示の圧縮部材組立体710、712は、それぞれ、圧縮部材705と、それぞれが圧縮部材705の反対端734、735に接続された一対の取り付けピン730、731と、互いに間隔を空けた位置関係の支持ブラケット738、739を有する。各圧縮部材組立体710、712には、支持ブラケット738、739の間に圧縮部材705が配設される。圧縮部材705は、排出口230に隣接したスラリ分配器110の側面251、253に沿って配設可能である。
【0074】
図示の実施形態では、圧縮部材705は、それぞれスラリ分配器110の分配導管228の側壁251、253及びスラリ通路の外側案内溝267と略重なる位置関係である。図示の実施形態では、圧縮部材705は、略排出口230からスラリ分配器110の分配導管228の入口部252までの長手の軸LAに沿って延在する。他の実施形態では、本開示の原理に従って構成されたパルサ組立体は、分配器110を通るスラリ通路の一部を形成する境界壁を含む別の位置、あるいは、スラリの凝固が見られる、そして/または抑制されていると思われるいずれかの場所のような、スラリ分配器の他の部分に配設された移動可能な圧縮部材を有していてもよい。
【0075】
図11を参照する。図示の圧縮部材705は、互いに略類似している。各圧縮部材705は、概ね長方形ブロック形状であり、接触面748と対向する位置関係にあるカム面744を有する。実施形態では、カム面744は、駆動機構720に操作可能に係合して圧縮部材705に駆動機構720の動きを伝達するように構成されている。実施形態では、接触面748は、スラリ分配器110のそれぞれの部分714、715に係合接触するように構成されている。
【0076】
図3及び4を参照する。実施形態では、それぞれの圧縮部材705は、圧縮部材705の接触面748が、(図3及び4に示すように)中立位置にあるときには、スラリ分配器110の側壁部714、715のそれぞれの外表面716、717と保持力の有る係合状態となるようにスラリ分配器110を接触支持するように構成されているので、スラリ通路を形成する、スラリ分配器110の内壁面の下方に位置する部分が、セメント系スラリが任意の圧力もしくはそれ以上で分配器110の内部通路を通るときに圧縮部材705の外部接触面748のトポグラフィ形状に略一致する。スラリ分配器110は、そこを通過するスラリの圧力に呼応して外方に拡張してもよい。圧縮部材705が圧縮位置に移動すると、圧縮部材705は、スラリ分配器110の接触部分714、715を変形させてスラリ分配器110の内部通路内のパルシング効果を促進し、スラリの凝固を減らすのに役立つ。実施形態では、圧縮部材705の各接触面748は、排出導管110の接触部分714、715の外部側壁面の排出導管側壁トポグラフィに略対応する圧縮部材トポグラフィを有する。実施形態では、接触面748の形状及び/またはトポグラフィは変化するものでもよい。
【0077】
図1及び11を参照する。支持ブラケット738、739は、略同じ構成であるが、異なる方位の底側支持板410に取り付けられる。図11を参照する。それぞれの支持ブラケット738、739は、取り付け端752と、中間オフセット部754と、圧縮部材支持端756を有する。図10を参照する。支持ブラケット738、739それぞれの取り付け端752は、それぞれが、例えば支持ブラケット738、739を底側支持板410に固定するファスナを受容できるように構成された複数の取り付け穴758を形成することができる(図4参照)。支持ブラケット738、739は、支持ブラケット738、739が支持する圧縮部材705がスラリ分配器110の選択した部分714に配設されるように、底側支持板410に取り付けることが可能である。図10を参照する。図示の実施形態では、1個の支持ブラケット738が他方の支持ブラケット739に対して外方に広がっており、スラリ分配器110の分配導管228の外方への広がりと一致している。
【0078】
図2を参照する。支持ブラケット738、739の中間オフセット部754は、圧縮部材705がスラリ分配器110のそれぞれの部分714、715と重なった位置関係になるように、圧縮部材705を支持ブラケット738、739で支持するように構成することができる。図示の実施形態では、第1及び第2の圧縮歩合組立体710、712の支持ブラケット738、739の中間オフセット部754は、それぞれの圧縮部材組立体710、712が圧縮部材705とともにスラリ分配器110の分配導管の側壁251、253と重なった位置関係で配置されるように左右対称となっている。
【0079】
実施形態では、各支持ブラケット738、739の取り付け端752は、スラリ分配器110の排出口230を底側支持板410上の所望の位置に位置させるのに役立つように構成することができる。取り付け端752は、スラリ分配器の排出口230の底側支持板410に対する横軸TAに沿った相対平行移動を制限するのに役立つように構成することができる。
【0080】
図1及び11を参照する。支持ブラケット738、739のそれぞれの圧縮部材支持端756は、その内部にそれぞれの取り付けピン730、731を受容して圧縮部材705を移動可能に保持するように構成されたピンスロット764を形成する。実施形態では、圧縮部材705は、圧縮部材がスラリ分配器の一部に対して最大圧縮位置まで徐々に圧縮度を大きくするような位置関係で、(図11に示すように)通常位置と、圧縮位置の範囲との間で、縦軸VAに沿った移動範囲上を移動可能である。ピンスロット764の長さは、駆動機構720が圧縮部材705を通常位置と最大圧縮位置との間の移動範囲全体で選択的に移動させることができるように構成してもよい。
【0081】
図11を参照する。駆動機構720は、軸770と、軸770に取り付けた一対の偏心カム772と、内部にそれぞれのブシュ776を配設している一対のマウント774を備えていてもよい。軸770は、マウント774、775のブシュ776を通って延在し、その長手の軸SAを中心とした回転に対して軸支される。実施形態では、駆動機構720が適したアクチュエータを備え、軸770をその長手の軸SAを中心として回転させてもよい。例えば、実施形態では、駆動機構720は、クランクハンドル778と軸770の端に連結したモータのいずれか一方を有し、軸770と偏心カム772を長手の軸SAを中心として選択的に回転させる。図11に図示の実施形態では、クランクハンドル778は軸770の一端に取り付けられて、オペレータが駆動機構720をスラリ分配器110の一側から操作できるようにする。
【0082】
駆動機構720は、いかなる適した構成要素でも構成することができる。実施形態では、ブシュ776は、真鍮から形成することができ、また駆動機構720の他の構成要素は、アルミニウム及び/またはステンレス鋼から形成してもよい。
【0083】
図12を参照する。マウント774は互いに略同一である。各マウント774は、内部にファスナを受容するように構成された少なくとも1つの取り付け穴779を形成することができる。ファスナは、例えば図1に示すように、マウント774を底側支持板410に固定するために使用することができる。各マウント774は、それぞれのブシュ776を内部に配設している。ブシュ776は、長手の軸SAを中心とする回転を許容しながらブシュ776が軸770を支持するよう、軸770を受容するように構成することができる。
【0084】
軸770は概ね円筒形のロッドの形状である。図示の軸770は、その端784、785に対して直径が小さい中間部782を備える。
【0085】
偏心カム772は互いに略同一で、同じ構成である。偏心カム772は、それぞれの圧縮部材705とともに操作可能に、偏心カム772が圧縮部材705とそれぞれ重なった位置関係になるように配置される。偏心カム772は、互いに間隔を空けた位置関係で、それらが圧縮部材705それぞれの対向するカム面744と整列するように、軸770に沿って取り付けてもよい。
【0086】
軸770の回転により、偏心カム772は圧縮部材705が軸770の回転の初期位置にくるような位置に戻るよう、圧縮部材705をそれぞれ移動範囲で往復するように移動させる。例えば、偏心カム772は、それぞれ、偏心カム772の回転が圧縮部材705を、圧縮部材705が排出導管110のそれぞれの側壁部714、715に接触係合する中間位置から、圧縮部材705が排出導管110と圧縮係合する圧縮位置までの移動範囲の完全1サイクル分往復動させるように圧縮部材705と係合接触することにより、側壁部714、715の下方の内壁面の位置が屈曲し、また中立位置に戻る。側壁部714、715は、圧縮部材705が圧縮位置にあるときの方が、中立位置にあるときより屈曲の度合いが大きい。
【0087】
図12及び13を参照する。偏心カム772は略円筒形の外側カム面790を有する。偏心カム772は、貫通して軸770を受容するように構成された軸穴792を形成している。軸穴792の中心794は、カム772の形状の中心796に対してオフセットする位置関係にある。
【0088】
図12を参照する。各偏心カム772は、何らかの適した技術で回転可能に軸770に連結してもよい。図示の実施形態では、スプライン802は、軸770と偏心カム772の一対の整列した溝804、806の内部に配設される。スプライン802と溝804、806を形成する表面との相互作用により、偏心カム772が軸770に対して回転しないよう防ぐ。スプライン−溝の構成を使って、偏心カム772を互いに一致させるのに役立つ。
【0089】
図13を参照する。偏心カム772の残りの端810は、軸穴792の中心794に径方向に最も近い外側カム面790の部分によって形成される。偏心カム772の圧縮端812は、軸穴792の中心794に径方向に最も遠い外側カム面790の部分によって形成される。
【0090】
(1)軸穴792の中心794と圧縮端812との間の距離と、(2)軸穴792の中心794と残りの端810との間の距離の違いは、偏心カム772が軸770とともに回転するに従って圧縮部材705が移動できる移動範囲を形成できる。 別の実施形態では、カム772のサイズ及び/または構成を変更して、圧縮部材705が移動可能である移動範囲を変更することができる。実施形態では、圧縮部材の中立位置と最大圧縮位置との間の移動範囲の長さは、それに付随する偏心カムの寸法、及び/または排出導管に対する偏心カムが取り付けられた軸の相対位置を変更することによって変化させることができる。
【0091】
図11を参照する。偏心カム772と軸770が軸の長手の軸SAを中心として回転するに従い、偏心カム772の外側カム面790はそれが付随する圧縮部材705の対向するカム面744それぞれと係合する。回転する偏心カム772は、偏心カム772の残りの端810が(図11に示すように)圧縮部材705と係合接触しているときには、圧縮部材705が通常位置にあり、フォロワ(圧縮部材705)の円滑な昇降動作を生成する。そして圧縮部材705は、偏心カム772の圧縮端812が圧縮部材705と係合接触しているときには最大圧縮位置にある。
【0092】
図示の実施形態では、偏心カム772は、偏心カム772の圧縮端812同士が、軸770を中心として互いに円周方向に略整列するように、互いに略整列する。よって、軸770が回転することにより、移動範囲で略同期して略一斉に圧縮部材705が往復動する。
【0093】
他の実施形態では、偏心カム772の圧縮端812の相対位置を変更することができる。例えば、実施形態では、圧縮ブロック705が略交互に移動するように、偏心カム772の圧縮端812は、軸770の円周を中心として互いから約180度離れるように、互いに位相がずれている。
【0094】
使用中は、オペレータはクランクハンドル778を(時計回りまたは反時計回りに)回転して、スラリ分配器110の側縁251、253に沿って配設された圧縮ブロック705の上方に位置する偏心カム772を回転させる。ハンドル778が時計方向または反時計方向に移動すると、偏心カム772は、圧縮ブロック705を交互に押し下げて圧縮ブロック705を最大圧縮位置まで移動させ、圧縮ブロック705がスラリ分配器110を通るスラリの圧力に呼応して通常位置まで戻るのを許容し、それらの領域でパルシング効果を生成する。パルシング動作は、そこを通るスラリ通路を形成する分配器の境界壁「エンベロープ」を一時的に変更する機械的手段として作用し、すでに発生し始めている場合には凝固を防止、あるいは排除することができる。偏心カム772の回転周波数及び/または周期は、スラリの性質とそれが凝固する傾向によって変更することができる。
【0095】
別の実施形態では、カム772の構成を変更して軸770を回転することに呼応して異なる移動パターンを生成することができる。例えば、別の実施形態では、圧縮部材705が通常位置及び/もしくは最大圧縮位置で静止時間を持つように梨型カムを使ってもよい。さらに別の実施形態では、例えば、電気的に操作するソレノイドシステムや油圧もしくは水圧で駆動するシリンダシステムなど、他の適した駆動機構を使用してもよい。
【0096】
図14を参照する。本開示の原理に従って構成されたパルサ組立体850の別の実施形態を、スラリ分配器110の形状で排出導管とともに配置して示す。パルサ組立体850は、スラリ分配器110の一部を周期的に圧縮して、スラリ分配器110内で形成された内部流動形状が変更されるように構成できる。実施形態では、パルサ組立体850は、スラリ分配器110のそれぞれの部分914、915に接触係合するように構成された一対の圧縮部材905と、圧縮部材905を選択的に移動させてスラリ分配器110と圧縮係合させるように構成された駆動機構920を備えていてもよい。実施形態では、圧縮部材905を周期的にスラリ分配器110のそれぞれの部分914、915と圧縮係合させるように駆動機構920を操作して、それに応じてスラリ分配器110の係合された部分914、915にパルスを与える、あるいは屈曲させることができる。可撓性のスラリ分配器110のパルス動作により、スラリがスラリ分配器110の内部で凝固しないように防ぐのに役立てることができる。
【0097】
図示の圧縮部材組立体910、912は略同じであるが、左右対称である。各圧縮部材組立体910、912は、通常位置と、最大圧縮位置を含む圧縮位置の範囲との間の移動範囲で縦軸VAに沿って移動可能となるように、付随の圧縮部材905を支持するように構成されている。
【0098】
各圧縮部材905は、そのカム面944と接触面948の間に延在する、長手に延在する一対の延在スロット945を備える。それぞれのスロット945は、それぞれの圧縮部材905と接触係合している排出導管110のそれぞれの側壁部914、915の部分946、947が、圧縮部材905のカム面944からアクセス可能なように構成されている。スロット945は、オペレータに圧縮部材905に対して下方に位置する位置関係の排出導管110のそれぞれの部分914、915にアクセスさせるように構成することができる。図示のスロット945は、概ね長楕円形形状を有する。他の実施形態では、スロット945の形状は異なってもよい。
【0099】
駆動機構920は、T字型マウント974を有するが、上記図1から4のパルサ組立体150の駆動機構720に他の点では類似している。図14のパルサ組立体850は他の点においては、上記図1〜4のパルサ組立体150に類似していてもよい。
【0100】
図15〜18を参照する。本開示の原理に従って構成されたパルサ組立体1050、1250の別の実施形態を、スラリ分配器110の形状で排出導管とともに配置して示す。この配置では、一対のパルサ組立体1050、1250が互いに間隔を空けた位置関係で排出導管110の長手の軸LAに沿って配置されている。この第1のパルサ組立体1050は、スラリ分配器110の排出口230に隣接して配設されている。第2のパルサ組立体1250は、第1及び第2の供給部201、202と、スラリ分配器110の分岐コネクタ部239と部分的に重なった位置関係で配設されている。
【0101】
図16を参照する。第1のパルサ組立体1050は、スラリ分配器110の分配導管228のそれぞれの部分1114、1115に接触係合するように構成された一対の圧縮部材1105と、圧縮部材1105を選択的に移動させてスラリ分配器110と圧縮係合させるように構成された駆動機構1120を備えている。実施形態では、圧縮部材1105を周期的にスラリ分配器110のそれぞれの部分1114、1115と圧縮係合させるように駆動機構1120を操作して、それに応じてスラリ分配器110の係合された部分1114、1115にパルスを与える、あるいは屈曲させることができる。可撓性のスラリ分配器110のパルス動作により、スラリがスラリ分配器110の内部で凝固しないように防ぐのに役立てることができる。
【0102】
図示の圧縮部材組立体1110、1112は略同じであるが、左右対称である。各圧縮部材組立体1110、1112は、通常位置と、最大圧縮位置を含む圧縮位置の範囲との間の移動範囲で縦軸VAに沿って移動可能となるように、付随の圧縮部材1105を支持するように構成されている。図15〜18の圧縮部材組立体1110、1112は、図14の圧縮部材組立体910、912に構造が類似している。
【0103】
駆動機構1120は、軸1170と、軸1170に取り付けた一対の偏心カム1172と、それぞれのブシュ1176が内部に配設された一対のT字型マウント1174と、軸とともに操作可能に配置され、その長手の軸SAを中心として軸1170を選択的に回転させるモータ1178とを備えていてもよい。軸770は、マウント1174のブシュ1176を通って延在し、その長手の軸SAを中心とした回転に対して軸支される。コントローラ1179をモータ1178とともに電気的に配置し、モータ1178の操作を選択的に制御して軸1170を1つ以上の回転パターンで回転させるように構成してもよい。図15〜18の第1パルサ組立体1050は、他の点においては、上記図1〜4のパルサ組立体150に類似していてもよい。
【0104】
図16を参照する。第2のパルサ組立体1250は、それぞれがスラリ分配器110の分岐供給管222のそれぞれの部分1314、1315、1316に接触係合するように構成された一対の側面圧縮部材1305及び中間圧縮部材1307と、側面圧縮部材1305と中間圧縮部材1307を選択的にスラリ分配器110と圧縮係合させるように構成された駆動機構1320を備える。
【0105】
側面圧縮部材1305は、それぞれがスラリ分配器110の第1及び第2の供給部201、202の一部と接触した位置関係で重なるように配設される。側面圧縮部材1305は、それぞれ、供給導管222の第1及び第2の供給部201、202の外壁257と重なる位置関係で配設される。
【0106】
中間圧縮部材1307は、一対の側面圧縮部材1305の間に配設されて、スラリ分配器110のコネクタ部239と接触した位置関係で重なっている。 中間圧縮部材1307は、供給導管222の第1及び第2の供給部201、202の移行部331の内壁258と重なる位置関係で配設される。
【0107】
実施形態では、側面圧縮部材1305と中間圧縮部材1307は、スラリ分配器の端から端まで延在する一対の支持ブラケット(図示せず)によって支持してもよい。各圧縮部材1305、1307は、支持ブラケットの対応するピンスロットを通って延在し、圧縮部材1305、1307を、縦軸VAに沿った通常位置と、最大圧縮位置を含む圧縮位置の範囲との間の移動範囲で移動可能とする上記の一対の取り付けピンを備えていてもよい。
【0108】
実施形態では、駆動機構1320は、中間圧縮部材1307に対して交互に側面圧縮部材1305を周期的に駆動するようにして、側面圧縮部材1305が移動してスラリ分配器110のそれぞれの部分1314、1315と圧縮係合し、それに応じてスラリ分配器110の係合部分1314、1315で、スラリ分配器の中間部1316上の中間圧縮部材1307の圧縮動作に対して交互にパルスを打つ、もしくは屈曲させるように操作可能としてもよい(図18も参照)。可撓性のスラリ分配器110の交互のパルス動作により、スラリがスラリ分配器110の内部で凝固しないように防ぐのに役立つ。他の実施形態では、側面圧縮部材1305と中間圧縮部材1307はともに略同期して、あるいは異なる位相がずれた関係で往復動をすることができる。
【0109】
図19を参照する。第2のパルサ組立体1250の駆動機構1320は、軸1370と、一対の側方偏心カム1372と、軸1370に取り付けた一対の中間偏心カム1373と、それぞれのブシュ1376を内部に配設する一対のマウント1374と、軸1370とともに操作可能に配置され、軸1370をその長手の軸SAを中心として選択的に回転させるモータ1378とを備える。
【0110】
軸1370は、マウント1374のブシュ1376を通って延在し、その長手の軸SAを中心とした回転に対して軸支される。コントローラ1179をモータ1378とともに電気的に配置し、モータ1378の操作を選択的に制御して軸1370を1つ以上の回転パターンで回転させるように構成してもよい。
【0111】
第2のパルサ組立体1250の駆動機構1320は、側面圧縮部材1305と中間圧縮部材1307を往復動させて、側面圧縮部材1305が互いに略同期するとともに中間圧縮部材1307と位相をずらして移動するように構成されている。側方偏心カム1372は互いに間隔を開けた位置関係にあり、それぞれ側面圧縮部材1305と操作可能に配置されている。両中間偏心カム1373は、中間圧縮部材1307と操作可能に配置されている。側方偏心カム1372の圧縮端1412は、軸1370が長手の軸SAを中心として回転するに従って側面圧縮部材1305が中間圧縮部材1307に対して略交互に移動するように、円周方向に互いに整列され、軸1370の円周を中心として中間偏心カム1373の圧縮端1413と反対を向く位置関係でもよい。
【0112】
図20を参照する。軸1370は、側方偏心カム1372を軸1370に回転可能に連結する溝−スプライン接続技術で使用する一対の側方溝1404を形成していてもよい。図21を参照する。軸1370には、中間偏心カム1373を軸1370に回転可能に連結する溝−スプライン接続技術で使用する長手の中間溝1405を形成していてもよい。図示の実施形態では、一対の側方溝1404は軸1370の円周を中心として互いに略整列している。中間溝1405は、中間偏心カム1373が側方偏心カム1372に対して位相をずらして軸1370を中心として回転するように一対の側方溝1404と円周方向にオフセットした位置関係で配設し、側面圧縮部材1305を互いに略同期して、また、中間圧縮部材を一対の側面圧縮部材1305に対して位相をずらして往復動させてもよい。図15〜18の第2のパルサ組立体1250は、他の点においては、上記図1〜4のパルサ組立体150に類似していてもよい。
【0113】
図16を参照する。実施形態では、圧縮部材1105が所定の周波数に従って周期的に通常位置から最大圧縮位置まで往復動して、スラリ分配器110の下に位置する部分1114、1115を周期的に圧縮するように、コントローラ1179を、第1のパルサ組立体1050の軸1170の回転を制御するように構成してもよい。実施形態では、コントローラ1179が選択的にモータ1178を操作し、軸1170をパルスコマンド信号に呼応して1サイクルを通して回転させるように構成してもよい。コントローラ1179を操作して自動的に及び/または選択的に軸1170を回転させて圧縮部材1105を介して圧縮力を周期的にスラリ分配器110の係合部1114、115にかけるようにしてもよい。
【0114】
実施形態では、側面圧縮部材1305が所定の周波数に従って周期的に通常位置から最大圧縮位置まで往復動して、スラリ分配器110の下に位置する部分1314、1315を周期的に圧縮するように、コントローラ1179を、第2のパルサ組立体1250の軸1370の回転を制御するように構成し、中間圧縮部材1307を通常位置から最大圧縮位置まで、側面圧縮部材1305の移動と交互に周期的に往復動させるようにしてもよい。実施形態では、コントローラ1179が選択的にモータ1378を操作し、軸1370をパルスコマンド信号に呼応して1サイクルを通して回転させるするように構成してもよい。コントローラ1179を操作して自動的に及び/または選択的に軸1370を回転させて、側面圧縮部材1305及び中間圧縮部材1307を介して圧縮力を周期的にスラリ分配器110の係合部1314、1315、1316にかけるようにしてもよい。
【0115】
実施形態では、第1及び第2のパルサ組立体1050、1250の駆動機構1120、1320は、それぞれ、略交互に第2のパルサ組立体1250の側面圧縮部材1305を第1のパルサ組立体1050の圧縮部材1105に対して往復動させるように構成されている。実施形態では、コントローラ1179は、第2のパルサ組立体1250の側面圧縮部材1305が、第1のパルサ組立体1050の圧縮部材1105の移動と位相をずらして通常位置から最大圧縮位置まで往復動するように、第1及び第2のパルサ組立体1050、1250を順次操作するように構成してもよい。例えば、実施形態では、第1のパルサ組立体の圧縮部材1105が通常の位置にある、あるいはその逆にあるときに、第2のパルサ組立体1250の側面圧縮部材1305が最大圧縮位置にくるように、コントローラ1179は第1及び第2のパルサ組立体1050、1250を順次操作するように構成してもよい。
【0116】
第1及び第2のパルサ組立体1050、1250はまた、スラリ分配器110を支持して、スラリ分配器110の内部形状を維持するのに役立つとともに、意図せぬ歪みを防止するのに役立ち、これにより、スラリが、スラリ分配器110を通って流れるときに適した流速及び流れの特徴を維持するのに役立つ。可撓性のスラリ分配器110は、スラリ分配器110の内部に形成されたスラリ通路を通って流れるセメント系スラリの圧力に呼応して外方に変形する傾向にある。第1及び第2のパルサ組立体1050、1250は、圧縮部材1105、1305、1307が中立位置にあって、スラリ分配器110のスラリ通路内の所望の流体形状を維持するとき、スラリ分配器110の略外方への変形を略制限するように構成されていてもよい。
【0117】
図22を参照する。実施形態では、側面圧縮部材1305の外側接触面1348、1349と中間圧縮部材1307は、少なくとも流れのトポグラフィを有する部分を備えるように構成されている。圧縮部材1305、1307は、圧縮部材1305、1307の流れのトポグラフィが、中立位置ではスラリ分配器の表面と保持係合するように、スラリ分配器を接触支持するように構成されているので、スラリ分配器の内部通路の下方の部分が、セメント系スラリが内部通路を所定の圧力で、あるいはそれ以上で通過するときにそれぞれの外側接触面1348、1349の流れのトポグラフィと略一致する。圧縮部材1305、1307が交互に圧縮位置に移動すると、圧縮部材1305、1307は、スラリ分配器の接触部分を変形させてスラリ分配器の内部通路内のパルシング効果を促進し、内部でのスラリの凝固を低減するのに役立つ。
【0118】
第2のパルサ組立体1250は、スラリ分配器の内部の形状を所望の構成に維持するのに役立つ。側面圧縮部材1305と中間圧縮部材1307の接触面1348、1349は、スラリ分配器110の下方の部分の外側に略一致するように構成し、スラリ分配器110が底基板410に対して起こす移動量を制限するのに役立たせる、及び/またはスラリが流れるスラリ分配器110の内部の形状を形成するのに役立たせるようにしてもよい。
【0119】
実施形態では、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムは、例えば図23及び24に示すように、ミキサと流体連通させて載置し、セメント系スラリを生成してもよい。実施形態では、スラリ分注システムは、ミキサに直接取り付けることによってミキサと流体連通するように、そして/またはミキサに取り付けられるとともに流体連通した排出導管の一部として載置してもよい。
【0120】
一実施形態では、セメント系スラリ混合分注システムは、ミキサと、排出導管とパルサ組立体を有するスラリ分注システムを備える。ミキサは、水とセメント系材料を攪拌して含水セメント系スラリを形成するように構成されている。排出導管は、ミキサと流体連通している。
【0121】
排出導管は、弾性的に可撓性を有する材料から形成される。排出導管は、長手の軸に沿って延在し、側壁部と内壁面を有する。内壁面は、含水セメント系スラリを搬送するように構成されたスラリ通路を形成する。
【0122】
パルサ組立体は、圧縮部材と駆動機構を備える。圧縮部材は、長手の軸に沿って延在し、圧縮部材が排出導管の側壁部と接触係合する中立位置と、側壁部の下に位置する内壁面の一部が屈曲するように圧縮部材が排出導管と圧縮係合して圧縮位置の間の移動範囲を往復動可能である。側壁部は、圧縮部材が圧縮位置にあるときの方が、中立位置にあるときより屈曲の度合いが大きい。駆動機構は、圧縮部材を中立位置と圧縮位置の間の移動範囲で往復動させるように構成されている。
【0123】
図23を参照する。本開示の原理に従って構成されたセメント系スラリ混合分注システム1510の実施形態を示している。セメント系スラリ混合分注システム1510は、スラリ分注システム1525と流体連通するミキサ1520を備える。
【0124】
ミキサ1520は、水とセメント系材料を攪拌して含水セメント系スラリを形成するように構成されている。従来周知の1つ以上の入口を介して水とセメント系材料の両方をミキサ1520に供給してもよい。実施形態では、セメント系製品の製造の技術で周知のように他の適したスラリ添加物をミキサ1520に供給してもよい。あらゆる適したミキサ(例えば、従来周知の、そして市場で広く入手可能なピンミキサ)をスラリ分注システムとともに使用することができる。
【0125】
スラリ分注システム1525は、ミキサ1520と流体連通している。スラリ分注システム1525は、排出導管1527の末端1528にスラリ分配器110を有する排出導管1527と図14に示すようにパルサ組立体850を備える。
【0126】
スラリ分配器110は、含水焼成石膏スラリなどの第1のセメント系スラリの流れを第1の供給方向に移動するミキサ1520から受容するように構成された第1供給口224と、含水焼成石膏スラリのような第2のセメント系スラリの流れを第2の供給方向に移動するミキサ1520から受容するように構成された第2供給口225と両第1及び第2の供給口224、225と流体連通し、スラリ分配器110から排出口230を通って図示の実施形態では長手の軸LAに略平行なマシン方向に略沿った排出口流れ方向に排出された第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れをする排出口230と、を備える。
【0127】
スラリ分配器110は、分配導管228と流体連通する供給導管222を備える。供給導管222は、内部に第1及び第2の供給流れ方向に移動し、第1及び第2のスラリの流れを受容し、第1及び第2のスラリの流れが、分配導管228の中に搬送され、マシンの方向と略一致する略出口流れ方向に移動するように方向角を変えることによってスラリの流れの方向を方向転換するように構成された構造を有する。実施形態では、第1及び第2の供給口224、225は、それぞれある断面積を有する開口を有し、分配導管228の入口部252は、第1及び第2の供給口224、225の開口の断面積の合計より大きい断面積の開口を有する。
【0128】
分配導管228は、横軸TAに略垂直な、概ね長手の軸LAまたはマシンの方向に沿って延在する。分配導管228は、入口部252及び排出口230を備える。入口部252は、供給導管222の第1及び第2の供給口224、225と流体連通しており、入口部252はそこから両第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れを受容するように構成されている。排出口230は、入口部252と流体連通している。分配導管228の排出口230は、横軸TAに沿って所定の距離だけ延在し、合流した第1及び第2の含水焼成石膏スラリのマシンを横切る方向または横軸TAに沿った流れを排出しやすくしている。
【0129】
排出導管1527は、セメント系スラリミキサ1520とスラリ分配器110の間に配設され、それらと流体連通する送出導管1514を備える。送出導管1514は、主要送出本1515と、スラリ分配器110の第1の供給愚224と流体連通する第1の送出分岐1517と、スラリ分配器110の第2の供給口225と流体連通する第2の送出分岐1518を備える。
【0130】
主要送出本管1515はミキサ1520と両第1及び第2の送出分岐1517、1518と流体連通し、ミキサ1520と、第1及び第2の送出分岐1517、1518の間に介在している。他の実施形態では、第1及び第2の送出分岐1517、1518は、セメント系スラリミキサ1520と独立して流体連通しており、主要送出本管1515は省略することができる。
【0131】
実施形態では、適したY字分流器1519が主要送出トランク1515と第1及び第2の送出分岐1517、1518を結合する。分流器1519は、主要送出トランク1515と第1の送出分岐1517の間及び主要送出トランク1515と第2の送出分岐1518の間に配設されている。あらゆる適した分流器1519が使用可能である。実施形態では、図示の、また米国特許公報No.US2013/0098268で説明する分流器を使用することができる。実施形態によっては、分流器は第1及び第2の石膏スラリの流れが略同量となるように分流するのに役立つように構成してもよい。他の実施形態では、追加の構成要素を追加して第1及び第2のスラリの流れを調整するのに役立ててもよい。
【0132】
送出導管1514はいかなる適した材料から構成してもよく、別の形状でもよい。実施形態によっては、送出導管1514は可撓性を有する導管から形成されていてもよい。
【0133】
泡噴射システム1521をミキサ1520と排出導管1527の少なくとも一方と配置してもよい。泡噴射システム1521は泡発生源(例えば従来周知の泡生成システムのような)と泡供給導管1522を備えていてもよい。
【0134】
実施形態では、いかなる適した泡発生源も使用可能である。好ましくは、水性泡は発泡剤と水の混合体の流れが泡生成器に連続的に進むように生成する。結果水性泡の流れが発生器を離れ、セメント系スラリに向けて送られ、混合される。
【0135】
水性泡供給導管1522は、ミキサ1520と送出導管1527の少なくとも一方と流体連通するようにしてもよい。泡発生源からの水性泡をミキサの下段のいかなる適した位置にある泡供給導管及び/またはミキサ自体を通して構成材料に追加し、スラリ分配器に提供する発泡セメント系スラリを形成してもよい。図示の実施形態では、泡供給導管1522をミキサ1520の下段に配設し、送出導管1514の主要送出トランク1515と関連づける。図示の実施形態では、水性泡供給導管1522は、例えば米国特許No.6,874,930で説明しているように、泡を泡供給導管1522の末端に配設し、送出導管1514と関連付けた噴射リングまたはブロック内に形成した複数の泡噴出口に泡を供給するためのマニホールド型配置を有している。
【0136】
他の実施形態では、ミキサ1520と流体連通する1本以上の泡供給導管を設けてもよい。また、別の実施形態では、水性泡供給導管をミキサ1520単体と流体連通させてもよい。当業者には明確なことであろうが、セメント系スラリ混合分注システム1510で水性泡をセメント系スラリの中に導入するための手段は、そのシステム内での相対位置も含め、変更及び/または最適化して、セメント系スラリの中に均一な水性泡を散布して意図した目的に合ったボードを生産する。
【0137】
いかなる適した発泡剤でも使用できる。好ましくは、水性泡は発泡剤と水の混合体の流れが泡生成器に連続的に進むように生成する。結果の水性泡の流れが生成器を離れ、スラリに向けて送られ、混合される。適した発泡剤の幾つかの例が、例えば米国特許No.5,683,635と5,643,510に説明されている。
【0138】
1つ以上の流れ変更要素1523を排出導管1527の送出導管1514と関連付け、セメント系スラリミキサ1520からの第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れを制御することができる。流れ変更要素1523を使用して第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れの操作特性を制御して使用することができる。図23に示した実施形態では、流れ変更要素1523が主要送出トランク1515に関連付けられている。他の実施形態では、少なくとも1つの流れ変更要素1523を第1及び第2の送出分岐1517、1518のそれぞれに関連付けてもよい。適した流れ変更要素1523の例として、例えば、米国特許No.6,494,609、6,874,930、7,007,914、及び7,296,919に説明した容積制限器、減圧器、収縮弁、キャニスター他が挙げられる。
【0139】
実施形態では、流れ変更要素1523は排出導管1527の一部であり、ミキサ1520から排出導管1527を通る含水セメント系スラリの流れを変更するように構成されている。流れ変更要素1523は、ミキサ1520から排出導管1527を通るセメント系スラリの流れの方向に対して泡噴射体と水性泡供給導管1522の下段に配設される。実施形態では、1つ以上の流れ変更要素1523を排出導管1527と関連付け、ミキサ1520から排出されたスラリの主要な流れを制御してもよい。流れ変更要素1523を使用して含水セメント系スラリの主要な流れの操作の特徴を制御してもよい。
【0140】
異なるスラリ分配器またはブーツを有する他の排出導管を含む他の排出導管1527を、ここで説明するセメント系スラリ混合分注システムの他の実施形態で使用してもよい。例えば、他の実施形態では、排出導管1527はその末端1528に、米国出願No.2012/0168527、2012/0170403、2013/0098268、2013/0099027、2013/0099418、2013/0100759、2013/0216717、2013/0233880、及び2013/0308411に図示し、説明するもののうちの一つに類似したスラリ分配器を備えていてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、排出導管1527はセメント系スラリの主要な流れを、スラリ分配器で再び合流する2つの流れに分岐させるのに適した構成要素を有していてもよい。
【0141】
パルサ組立体850を使って排出導管1527の一部、特にスラリ分配器110の側壁部251、253に周期的にパルスをかけ、排出導管1527内でのスラリの凝固の発生を防ぐのに役立たせることができる。また、パルサ組立体850は、可撓性を有するスラリ分配器110を支持し、スラリ分配器110の下の部分内の流動形状を維持するのに役立たせることもできる。
【0142】
当業者の一人であれば理解できるように、カバーシート材のウェブの一方または両方を、希望があれば、従来スキムコートと呼ばれることもある、非常に薄く、(コアを備える石膏スラリに対して)比較的密度の高い石膏スラリの層及び/または硬質のエッジであらかじめ処理してもよい。そのためには、ミキサ1520は、排出導管1527に送出される第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れより比較的密度が高い、高密度含水焼成石膏スラリの流れを蒸着させるように構成された第1の補助導管1529を含む(すなわち、フェイススキムコート/硬質エッジストリーム)。第1の補助導管1529は、フェイススキムコート/硬質エッジストリームを、スキムコート層をカバーシート材の移動するウェブに塗布し、従来周知のように、ローラの幅が移動するウェブの幅より小さいことから、硬質エッジを移動するウェブの周囲に形成するように構成されたスキムコートローラ1531の上段のカバーシート材の移動するウェブ上に蒸着させてもよい。高密度層をウェブに塗布するために使用するローラ1531の両端の周りに高密度スラリの一部を向けることにより、硬質エッジを薄型高密度層を形成するものと同じ密度のスラリから形成することもできる。
【0143】
ミキサ1520は、スラリ分配器に送出される第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ(すなわち、バックスキムコート流)より比較的密度が高い、高密度含水焼成石膏スラリの流れを蒸着させるように構成された第2の補助導管1533を含んでいてもよい。第2の補助導管1533は、従来周知のように、スキムコート層を、カバーシート材の第2の移動するウェブに塗布するように構成されたスキムコートローラ1537の(第2のウェブの移動方向の)上段にあるカバーシート材の第2の移動するウェブの上にバックスキムコート流を蒸着させることができる(図24も参照)。
【0144】
他の実施形態では、別の補助導管をミキサに接続して1本以上の別のエッジの流れをカバーシート材の移動するウェブに送出してもよい。別の適した設備(補助ミキサなど)を補助導管1529、1533に設けて、機械的にスラリ内の泡を壊すことにより、及び/または適した消泡剤を使って化学的に泡を壊すことによって内部のスラリの密度をあげるのに役立ててもよい。
【0145】
また別の実施形態では、第1及び第2の送出分岐それぞれには、それぞれ、独立して水性泡をスラリ分配器110に送出される第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れの中に導入するように構成された泡供給導管が内部に設けられていてもよい。また別の実施形態では、複数のミキサを設けて、本開示の原理に従って構成されたスラリ分配器の第1及び第2の供給口への独立したスラリの流れを形成してもよい。他の実施形態も可能であることは理解できよう。
【0146】
図24を参照する。石膏壁板製造ラインのウェットエンド1711の例示の実施形態を示している。図示したウェットエンド1711は、図15のスラリ分注システムに構造と機能が類似するスラリ分注システム1715と流体連通するミキサ1712を有するセメント系スラリ混合分注システム1710と、スラリ分注システム1715の上段に配設され、カバーシート材の第1の移動するウェブ1739が間に配設されるように形成台1738上に支持された硬質エッジ/フェイススキムコートローラ1731と、支持要素1741上にカバーシート材の第2の移動するウェブ1743が間に配設されるように配設されたバックスキムコートローラ1737と、母材を希望の厚みに整形するように構成された形成ステーション745とを備える。スキムコートローラ1731、1737、形成台1738、支持要素1741、及び形成ステーション1745はすべて、従来周知のような、その意図した目的に適した従来の設備から構成されている。ウェットエンド1711は、従来周知の他の従来の設備を備えていてもよい。
【0147】
水と焼成石膏をミキサ1712で攪拌して、第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748を形成してもよい。実施形態では、例えば、石膏壁板の製造の当業者にとっては周知の、市販のピンミキサを含む、いかなる適したミキサ1712を使用してもよい。実施形態によっては、水と焼成石膏をミキサに水と焼成石膏の比率を約0.5から約1.3として、また、他の実施形態では約0.75以下として連続的に追加してもよい。
【0148】
石膏ボード製品は、前進するウェブ1739が最終製品のボードの「表面」のカバーシートとしての役割を果たすように、一般的に「下向き」に形成される。フェイススキムコート/硬質エッジストリーム1749(第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れの少なくとも一方に対して密度がより高い含水焼成石膏スラリの層)を、マシン方向1792に対して硬質エッジ/フェイススキムコートローラ1731の上段の第1の移動するウェブ1739に塗布して、スキムコート層を第1のウェブ1739を塗布しボードの硬質エッジを形成する。
【0149】
含水焼成石膏スラリの第1の流れ1747及び第2の流れ1748は、それぞれ、排出導管1727のスラリ分配器1720の第1の供給口1724及び第2の供給口1725を通る。含水焼成石膏スラリの第1及び第2の流れ1747、1748は、排出導管1727のスラリ分配器1720内で合流する。第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748は、最低限、もしくは略ゼロの気液スラリ位相分離で、そして、実質的に渦流路を通ることなく、スラリ分配器1720を通る流路に沿ってストリームライン流のように移動する。
【0150】
第1の移動するウェブ1739は、マシン方向1739の長手の軸LAに沿って移動する。含水焼成石膏スラリの第1の流れ1747は、第1の供給口1724を通り、含水焼成石膏スラリの第2の流れ1748は、第2の供給口1725を通る。分配導管1728は、カバーシート材の第1のウェブ1739が移動するマシンの方向1792と略一致する長手の軸LAに沿って延在するように位置している。好ましくは、排出口1730の中心点(横軸/マシンを横切る方向TAに沿って切った場合)は、第1の移動するカバーシート1739の中心点と略一致する。第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748は、スラリ分配器1720の中で合流し、合流した第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1751は、概ねマシンの方向1792に沿った分配方向1793に排出口1730を通過することができる。
【0151】
実施形態によっては、分配導管1728は、長手の軸LAと、形成台に沿って移動する第1のウェブ1739の横軸TAによって形成される面に略平行となるように位置決めされる。他の実施形態では分配導管1728の入口部1752は、第1のウェブ1739に対して排出口1730より縦方向に高く、もしくは低く配設することができる。
【0152】
合流した第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1751は、第1の移動するウェブ1739上に排出導管1727から排出される。フェイススキムコート/硬質エッジストリーム1749は、マシンの方向1792にミキサ1712から第1の移動するウェブ1739の移動方向に対して第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748がスラリ分配器1720から第1の移動するウェブ1739上に排出される場所より上段の点に蒸着させることができる。合流した第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748は、従来のブートデザインに対して、スラリ分配器1720からマシンを横切る方向に沿った単位幅ごとに低い慣性で排出することができ、第1の移動するウェブ1739上に蒸着したフェイススキムコート/硬質エッジストリーム1749の流出(すなわち、蒸着されている排出口1730からのスラリの移動するウェブ339上の衝撃により蒸着されるスキムコート層がその位置からずれる状況)を防ぐのに役立つ。
【0153】
スラリ分配器1720の第1及び第2の供給口1724、1725を通過する第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748それぞれは、少なくとも1つの流れを変更する要素1723で選択的に制御してもよい。例えば、実施形態によっては、第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748は、第1の供給口1724を通過する含水焼成石膏スラリの第1の流れ1747と、第2の供給口1725を通る含水焼成石膏スラリの第2の流れ1748の平均速度が略同じになるように選択的に制御される。
【0154】
実施形態では、含水焼成石膏スラリの第1の流れ1747は、排出導管1727のスラリ分配器1720の第1の供給口1724を平均の第1の供給速度で通過する。含水焼成石膏スラリの第2の流れ1748は、排出導管1727のスラリ分配器1720の第2の供給口1725を平均の第2の供給速度で通過する。第2の供給口1725は、第1の供給口1724に対して間隔を開けた位置関係にある。含水焼成石膏スラリの第1及び第2の流れ1751は、スラリ分配器1720内で合流する。合流した含水焼成石膏スラリの第1及び第2の流れ1751はカバーシート材のウェブ1739がマシン方向1792に沿って移動するとスラリ分配器1720の排出口1730から平均排出速度で排出される。平均排出速度は、平均第1の供給速度と平均第2の供給速度より遅い。
【0155】
合流した含水焼成石膏スラリの第1及び第2の流れ1751は、排出口1730を通して排出導管1727から排出される。排出口1730の開口は、横軸TAに沿って延在する幅を有していてもよく、分配出口1730の開口の幅に対するカバーシート材の第1の移動するウェブ1739の幅の比率が約1:1及び約6:1それぞれを含むとともにその範囲内である。実施形態によっては、マシンの方向1792に沿って移動するカバーシート材の移動するウェブ1739の速度に対する排出導管1727から排出される合流した含水焼成石膏スラリの第1及び第2の流れ1751の平均速度の比率は、実施形態によっては約2:1以下、他の実施形態では約1:1から約2:1でもよい。
【0156】
排出導管1727から排出される合流した含水焼成石膏スラリの第1及び第2の流れ1751は、散布パターンを移動するウェブ1739上に形成する。排出口1730の寸法及び形状の少なくとも一方は、スラリ分注システム1715のプロファイリング機構で調節でき、これにより、散布パターンを変更可能である。
【0157】
よって、スラリは、供給導管1722の両供給口1724、1725に供給され、調整可能な隙間を有する排出口1730を通って出る。左右交互の流れの変化及び/またはいかなる局所的な変化も、プロファイリングシステムを使って排出口1730でクロスマシン(CD)プロファイリング制御を実行することによって低減することができる。スラリ分注システム1715はスラリ内の気液スラリ分離を防止するのに役立つことができ、ひいてはより均一で一貫性のある材料を形成台1738に送出することができる。
【0158】
スラリ分注システム1715のパルサ組立体1050、1250は、排出導管1727の係合部に周期的にパルスを与えることによりスラリ分配器1720の内部での凝固を防止するのに役立つ。パルサ組立体1050、1250は、スラリ分配器1720の内部で流動形状を維持するのに役立ち、よってセメント系スラリ内での位相分離を防止するのに役立つ。
【0159】
バックスキムコートストリーム1753(第1及び第2の含水焼成石膏スラリの流れ1747、1748のうちの少なくとも一方のより高密度な含水焼成石膏スラリの層)を第2の移動するウェブ1743に塗布することができる。バックスキムコートストリーム1753は、バックスキムコートローラ1737の、第2の移動するウェブ1743の移動方向に対して、上段の点でミキサ1712から蒸着可能である。
【0160】
カバーシート材の第2の移動するウェブ1743は、前進する第1のウェブ1756上に蒸着した合流した流れ1751上に載置して形成ステーション1745に供給される挟持された壁板母材を形成して母材を希望の厚みに整形してもよい。実施形態では、水性泡または他の薬剤を、フェイススキムコート及び/またはバックスキムコートを含むスラリに追加してスラリ分注システム1715から分注された発泡スラリより高い密度であるが、その密度を低減する。
【0161】
本開示の他の局面では、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムを様々な製造工程で使用することができる。例えば、一実施形態では、例えば、石膏壁板など、スラリ分注システムをセメント系製品を調合する方法に使用することができる。
【0162】
実施形態では、セメント系製品を調合する方法を、本開示の原理に従って構成されたセメント系スラリ混合分注システムを使用して行うことができる。本開示の原理に従った石膏製品などのセメント系製品を調合する方法の実施形態は、本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムを使って前進するウェブ上に含水焼成石膏スラリを蒸着することを含む。
【0163】
セメント系製品を調合する方法の一実施形態では、含水セメント系スラリの流れをミキサから排出する。含水セメント系スラリの流れはスラリ分配器の供給口からスラリ分配器内部に形成されたスラリ通路内を通過する。スラリ分配器の一部が周期的に圧縮され、スラリ分配器の内部に形成されたスラリ通路の内部流動形状が変更される。
【0164】
セメント系製品を調合する方法の実施形態では、周期的に側壁部を圧縮することは、排出導管の一対の側壁部を周期的に圧縮することを含む。一対の側壁部は長手方向に整列され、横方向には互いに間隔を開けた位置関係である。
【0165】
セメント系製品を調合する方法の実施形態では、排出導管は、一対の側壁の間で延在する排出開口を含む。排出開口は、一対の側壁の間の横軸に沿って幅を有し、横軸に垂直な縦軸に沿って高さを有する。排出導管の排出開口は、幅と高さの比率が約4以上である。セメント系製品を調合する方法の実施形態では、側壁部は、排出導管の排出開口に隣接して配設される第1の側壁部を備える。本方法は、さらに、排出導管の第2の側壁部を、第2の側壁部の下に位置する内壁面の一部が屈曲するように周期的に圧縮することを含む。第2の側壁部は、第1の側壁部から排出導管に沿って間隔を開けた長手方向の関係にある。そのような実施形態のうちのいくつかでは、第1の側壁部と第2の側壁部がともに駆動機構によって駆動されるそれぞれの圧縮部材によって各圧縮部材が駆動され往復するように周期的に圧縮される。第2の側壁部は、第1の側壁部の圧縮に対して位相をずらして圧縮される。
【0166】
セメント系製品を調合する方法の実施形態において、本開示の原理に従って構成したパルサ組立体の圧縮部材は、周期的な圧縮の間の静止期間には中立位置に周期的に維持される。圧縮部材は、中立位置にある時には、圧縮部材の下に位置するスラリ通路の一部の内部流動形状の構成が維持されるよう、排出導管を接触支持する。
【0167】
セメント系製品を調合する方法の実施形態では、側壁部が圧縮部材によって周期的に圧縮される。圧縮部材は、圧縮部材のトポグラフィを有する接触面を備える。本方法は、さらに、周期的な圧縮の間の静止期間、圧縮部材を中立位置に周期的に維持することを含む。含水セメント系スラリの流れは、圧縮部材は、中立位置にある時には、排出導管を接触支持するよう、排出導管を外方に膨らませるのに十分な圧力でスラリ通路を通過せしめられ、スラリ通路を形成する排出導管の内壁面の下方の部分が圧縮部材の接触面の圧縮部材のトポグラフィの形状と略一致する。
【0168】
スラリ分注システムの実施形態では、セメント系スラリ混合分注システム及びそれを使用する方法が提供されており、商業的環境における石膏壁板のような、セメント系製品を製造するのに役立つ多くの進んだ工程特性を提供することができる。本開示の原理に従って構成されたスラリ分注システムは、製造ラインのウェットエンドでのミキサを超えて形成ステーションに向かって前進する際に、カバーシート材の移動するウェブ上への含水焼成石膏スラリの排出を容易とすることができる。ここで開示する排出導管内の凝固を低減するための原理は、セメント系製品生産環境において適用することにより、排出導管内でセメント系材料が破壊して解放されることによって起きる問題の結果としての停止時間を低減した操作を可能とする。
【0169】
ここで引用したすべての参照文献は、同等に参照することによって援用されるものであり、各参照文献を個別に、そして詳細に参照されることによってその全体をここに援用するものと考える。
【0170】
本発明の説明内容における不定冠詞や定冠詞やそれに類似するもの(特に下記の特許請求の範囲の内容では)は、内容で明確に示している場合、または内容から矛盾が明らかな場合をのぞき、単数と複数の両方を含むものとする。含む、備える、設けるなどの用語は、特に言及しない限り、無制限の用語(すなわち、含むがそれに限定されない)として考える。ここで示す値の範囲は、特に提示しない限り、単に個々の別々の数値がある範囲に含まれることを言及するための手っ取り早い方法として採用するものであり、各値はそれぞれ、個々をここで述べているかのごとく、明細書に組み込まれるものである。ここで説明する方法はすべて、特に明確に言及しない限り、あるいは明らかに内容から矛盾しない限りはいかなる適した順番で実行されてもよい。ここで示す、いかなる、そしてすべての例または例示の用語(例えば、「などのような」)は、単に本発明をわかりやすくする目的でのみ提示するものであり、特に請求の範囲で指定しない限りは本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる用語も、請求していない要素を本発明の実施に対して必須であると示していると解釈してはならない。
【0171】
本発明の実施するために発明者が知るところの最良の形態を含むものとして、本発明の好ましい実施形態をここに示した。好ましい実施形態の変形も上記の説明を読んだ当業者にとっては明らかであろう。本発明者は、専門家がこのような変形を適切に採用することを期待し、また、発明者は、本発明がここで具体的に説明している以外の方法でも実施できるようにすることを意図している。よって、本発明は、ここに添付の特許請求の範囲の変形もそれと同等のものも、適用される法律によって許容されるものとしてすべて包含するものである。さらに、すべての可能な変形において上記の要素のいかなる組み合わせもここで明記しない限り、また、その内容から明らかに矛盾しない限りは本発明に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】