(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-511272(P2017-511272A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】寝椅子座位を実現するための分割されたシートバックを有する航空機の座席
(51)【国際特許分類】
B64D 11/06 20060101AFI20170331BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20170331BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20170331BHJP
B60N 2/48 20060101ALI20170331BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20170331BHJP
A47C 1/025 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
B64D11/06
B60N3/06
B60N2/22
B60N2/48
A47C7/50 A
A47C1/025
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-559565(P2016-559565)
(86)(22)【出願日】2015年3月30日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月18日
(86)【国際出願番号】US2015023319
(87)【国際公開番号】WO2015149065
(87)【国際公開日】20151001
(31)【優先権主張番号】61/971,828
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】アドリステ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ガルザ、ハビエル、ヴァルデス
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3B099
【Fターム(参考)】
3B087BD04
3B087DC06
3B088JA02
3B088JB02
3B099CA05
(57)【要約】
【解決手段】座席底部と、座席底部に対して角度を調整可能なレッグレストと、座席底部に対して角度を調整可能なシートバックであって、下部シートバックと、上部シートバックとに分割され、下部シートバックは、座席底部に対して角度を調整可能であり、上部シートバックは下部シートバックに対して角度を調整可能である、シートバックと、上部シートバックに対して高さを調整可能であるヘッドレストと、を備える調整可能な航空機乗客用座席。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な航空機乗客用座席であって、
座席底部と、
前記座席底部に対して角度を調整可能なレッグレストと、
前記座席底部に対して角度を調整可能なシートバックであって、下部シートバックと、上部シートバックとに分割され、前記下部シートバックは、前記座席底部に対して角度を調整可能であり、前記上部シートバックは、前記下部シートバックに対して角度を調整可能である、シートバックと、
前記上部シートバックに対して高さを調整可能なヘッドレストと、
を備える、乗客用座席。
【請求項2】
前記調整可能な航空機乗客用座席は、地上走行、離陸及び着陸のための直立座位と、前記レッグレスト及び座席底部が同一平面上であり、前記下部シートバックが前記座席底部に対して角度をなし、前記上部シートバックが前記下部シートバックに対して角度をなす、寝椅子座位と、を実現するように調整可能である、
請求項1に記載の乗客用座席。
【請求項3】
下部シートバック移動専用の第1アクチュエータと、上部シートバック移動専用の第2アクチュエータと、ヘッドレスト移動専用の第3アクチュエータと、レッグレスト移動専用の第4アクチュエータと、をさらに備える、
請求項1に記載の乗客用座席。
【請求項4】
前記上部シートバックは、前記下部シートバックに一端において枢動可能に取り付けられ、前記第2アクチュエータは、前記上部シートバックの裏側に水平配向されて前記下部シートバックの弓形歯状ガイドと噛合する回転歯車を駆動し、前記歯車を前記弓形歯状ガイドの長さに沿って移動させて、前記下部シートバックに対する前記上部シートバックの角度を調整する、
請求項3に記載の乗客用座席。
【請求項5】
前記下部シートバックは、前記座席底部に一端において枢動可能に取り付けられ、前記第1アクチュエータは、前記下部シートバックの裏側に垂直配向されて、前記座席底部に対する前記下部シートバックの旋回移動を駆動する、
請求項3に記載の乗客用座席。
【請求項6】
前記第3アクチュエータは、前記上部シートバックの裏側に垂直配向され、前記ヘッドレストに連結されて前記ヘッドレストを前記上部シートバックに向けて、及び、前記上部シートバックから離れるように駆動する、
請求項3に記載の乗客用座席。
【請求項7】
前記ヘッドレストは、中央部と、前記中央部に対して調整可能な側部とを備える、
請求項1に記載の乗客用座席。
【請求項8】
前記ヘッドレストは、前記上部シートバックの裏側の垂直配向されたレールに沿って滑動するように配置されて、前記ヘッドレストを、前記上部シートバックに向けて、及び、前記上部シートバックから離れるように滑動させる、
請求項1に記載の乗客用座席。
【請求項9】
前記座席底部の両側に配置された左及び右アームレストをさらに備える、
請求項1に記載の乗客用座席。
【請求項10】
航空機乗客用特別室であって、
前記乗客用特別室の境界を規定する複数のプライバシー壁と、
前記乗客用特別室内に配置された乗客用座席であって、
座席底部と、
前記座席底部に対して角度を調整可能なレッグレストと、
前記座席底部に対して角度を調整可能なシートバックであって、下部シートバックと、上部シートバックとに分割され、前記下部シートバックは、前記座席底部に対して角度を調整可能であり、前記上部シートバックは、前記下部シートバックに対して角度を調整可能である、シートバックと、
前記上部シートバックに対して高さを調整可能なヘッドレストと、を備える乗客用座席と、
前記乗客用座席の真正面に配置された足載せ台と、
を備える、乗客用特別室。
【請求項11】
前記乗客用座席は、地上走行、離陸及び着陸のための直立座位と、前記レッグレスト及び座席底部が同一平面上であり、前記下部シートバックが前記座席底部に対して角度をなし、前記上部シートバックが前記下部シートバックに対して角度をなす、寝椅子座位と、を実現するように調整可能である、
請求項10に記載の乗客用特別室。
【請求項12】
前記足載せ台は、配備されて座席の長さに延びる際、前記足載せ台の前部が前記レッグレストの端部と一致するように、前記乗客用座席から離間して配置される、
請求項11に記載の乗客用特別室。
【請求項13】
前記乗客用座席は、さらに、下部シートバック移動専用の第1アクチュエータと、上部シートバック移動専用の第2アクチュエータと、ヘッドレスト移動専用の第3アクチュエータと、レッグレスト移動専用の第4アクチュエータと、を備える、
請求項10に記載の乗客用特別室。
【請求項14】
前記上部シートバックは、前記下部シートバックに一端において枢動可能に取り付けられ、前記第2アクチュエータは、前記上部シートバックの裏側に水平配向されて前記下部シートバックの弓形歯状ガイドと噛合する回転歯車を駆動し、前記歯車を前記弓形歯状ガイドの長さに沿って移動させて前記下部シートバックに対する前記上部シートバックの角度を調整する、
請求項13に記載の乗客用特別室。
【請求項15】
前記下部シートバックは、前記座席底部に一端において枢動可能に取り付けられ、前記第1アクチュエータは、前記下部シートバックの裏側に垂直配向されて前記座席底部に対する前記下部シートバックの旋回移動を駆動する、
請求項13に記載の乗客用特別室。
【請求項16】
前記第3アクチュエータは、前記上部シートバックの裏側に垂直配向され、前記ヘッドレストに連結されて、前記ヘッドレストを前記上部シートバックに向けて、及び、前記上部シートバックから離れるように駆動する、
請求項13に記載の乗客用特別室。
【請求項17】
前記ヘッドレストは、中央部と、前記中央部に対して調整可能な側部と、を備える、
請求項10に記載の乗客用特別室。
【請求項18】
前記ヘッドレストは、前記上部シートバックの裏側の垂直配向されたレールに沿って滑動するように配置されて、前記ヘッドレストを前記上部シートバックに向けて、及び、前記上部シートバックから離れるように滑動させる、
請求項10に記載の乗客用特別室。
【請求項19】
前記乗客用座席は、さらに、前記座席底部の両側に配置された左及び右アームレストを備える、
請求項10に記載の乗客用特別室。
【請求項20】
前記足載せ台の垂直上方であって、前記乗客用座席の真正面に配置されたビデオモニタをさらに備える、
請求項10に記載の乗客用特別室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、航空機の座席設計の分野、特に、座席が後ろに倒される際に独立して移動する下部シートバック、上部シートバック及びヘッドレストに分けられる分割されたシートバックを有して、他の座位の中で、寝椅子座位を実現する航空機の座席に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の座席製造業者は、特に、プレミアム座席クラスにおいて、座席の快適性及び調整機能を改善して飛行体験を充実させることを絶えず目指している。最も高級なタイプの座席クラスには、一般的に、フルフラットシート、高級メディア機器及び電子機器、高機能照明、デスク及び他の設備を備える、一般的に「ミニスイート」と呼ばれる個別の乗客用特別室がある。
【0003】
従来のフルフラットシートは、地上走行、離陸及び着陸(「TTOL」)に必要な直立座位と、シートバック、座席底部及びレッグレストが共に平らで水平なベッドを形成する睡眠位置とで選択的に調整するように構成される。中間的な座位において、シートバック及びレッグレストの角度は、座席底部に対して独立して調整可能ではあるが、シートバック自体の外形または曲率の調整機能はない。従って、ある座位、例えば、レッグレスト及び座席底部が水平であり、シートバックが上向きに湾曲して読書またはテレビの視聴に快適なゆったり位置を提供する、ベッド/ゆったり座位のハイブリッドを実現することはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の目的は、互いに独立して調整して、シートバックに湾曲を提供してさらなる座位を実現するように構成された別々の部位に分割されるシートバックを有する乗客用座席を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、シートバックが、独立して調整可能な下部シートバック、上部シートバック及びヘッドレストに分割される航空機の乗客用座席を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、下部シートバックが座席底部に対して角度を調整可能であり、上部シートバックが下部シートバックに対して角度を調整可能である、分割されたシートバックを備える航空機の乗客用座席を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、隣接するシートバック部に対して高さ及び/または角度を調整可能なヘッドレストを備える航空機の乗客用座席を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、1対の調整可能な側部間に配置された中央部を備える調整可能なヘッドレストであって、中央部は、隣接するシートバック部に対して高さ及び/角度を調整可能であり、側部は、中央部に対して角度を調整可能である、ヘッドレストを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、下部シートバック移動を駆動する専用アクチュエータ、下部シートバックに対する上部シートバック移動を駆動する別の専用アクチュエータ、ヘッドレスト移動を駆動するさらに別の専用アクチュエータ、及び、レッグレストが存在する場合、レッグレスト配備を駆動するさらに別の専用アクチュエータを含む、多数のアクチュエータを用いる調整可能な航空機乗客用座席を提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、座席座部及びレッグレストが略水平で、シートバックが湾曲して、読書及びテレビ視聴に快適な上半身を起こした位置に座っている乗客の上半身及び頭を支える、寝椅子座位を実現することができる調整可能な航空機乗客用座席を提供することである。
【0011】
前述及び他の目的及び利点を達成するため、本発明は、座席底部と、座席底部に対して角度を調整可能なレッグレストと、座席底部に対して角度を調整可能なシートバックであって、下部シートバックと、上部シートバックとに分割され、下部シートバックは、座席底部に対して角度を調整可能であり、上部シートバックは下部シートバックに対して角度を調整可能であるシートバックと、上部シートバックに対して高さを調整可能なヘッドレストと、を備える調整可能な航空機乗客用座席を提供する。
【0012】
別の態様において、調整可能な航空機乗客用座席は、地上走行、離陸及び着陸のための直立座位と、レッグレスト及び座席底部が同一平面であり、下部シートバックが座席底部に対して角度をなし、上部シートバックが下部シートバックに対して角度をなす、寝椅子座位とを実現するように調整可能である。
【0013】
別の態様において、座席は、下部シートバック移動専用の第1アクチュエータと、上部シートバック移動専用の第2アクチュエータと、ヘッドレスト移動専用の第3アクチュエータと、レッグレスト移動専用の第4アクチュエータとを備えてもよい。
【0014】
別の態様において、上部シートバックは、下部シートバックに一端において枢動可能に取り付けられてもよく、第2アクチュエータは、上部シートバックの裏側に水平配向されて、下部シートバックの弓形歯状ガイドと噛合する回転ギアを駆動して歯車を弓形歯状ガイドの長さに沿って移動させ、下部シートバックに対して上部シートバックの角度を調整してもよい。
【0015】
別の態様において、下部シートバックは、座席底部に一端において枢動可能に取り付けられてもよく、第1アクチュエータは、下部シートバックの裏側に垂直配向されて、座席底部に対する下部シートバックの旋回移動を駆動してもよい。
【0016】
別の態様において、第3アクチュエータは、上部シートバックの裏側に垂直配向されて、ヘッドレストに連結されて上部シートバックに向けて、及び、上部シートバックから離れるようにヘッドレストを駆動してもよい。
【0017】
別の態様において、ヘッドレストは、中央部と、中央部に対して調整可能な側部とを備えてもよい。
【0018】
別の態様において、ヘッドレストは、上部シートバックの裏側に垂直配向されたレールに沿って滑動するように配置されて、ヘッドレストを上部シートバックに向けて、及び、上部シートバックから離れるように滑動させてもよい。
【0019】
別の態様において、座席は、座席底部の両側に配置された左及び右アームレストを備えてもよい。
【0020】
別の実施形態によれば、本発明は、乗客用特別室の境界を規定する複数のプライバシー壁と、乗客用特別室内に配置された乗客用座席と、乗客用座席の真正面に配置された足載せ台とを備える航空機乗客用特別室であって、前記座席は、座席底部と、座席底部に対して角度を調整可能なレッグレストと、座席底部に対して角度を調整可能なシートバックであって、下部シートバックと、上部シートバックとに分割され、下部シートバックは、座席底部に対して角度を調整可能であり、上部シートバックは、下部シートバックに対して角度を調整可能なシートバックと、上部シートバックに対して高さを調整可能なヘッドレストとを備える、航空機乗客用特別室を提供する。
【0021】
別の態様において、乗客用座席は、地上走行、離陸及び着陸のための直立座位と、レッグレスト及び座席底部が同一平面上であり、下部シートバックが座席底部に対して角度をなし、上部シートバックが下部シートバックに対して角度をなす、寝椅子座位とを実現するように調整可能である。
【0022】
別の態様において、足載せ台は、配備されて座席の長さに延びる際、足載せ台の前部がレッグレストの端部と一致するように、乗客用座席から離間して配置されてもよい。
【0023】
別の態様において、乗客用特別室は、足載せ台の垂直上方であって、乗客用座席の真正面に配置されたビデオモニタを備える。
【0024】
本発明の実施形態は、上記特徴及び構成の1つ以上またはあらゆる組み合わせを含みうる。
【0025】
本発明の付加的な特徴、態様及び利点が以下の詳細な説明に示されるが、一部は、当業者に説明から簡単に明らかであるか、または、本明細書に記載されるように本発明を実行することによって認識されるであろう。前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、本発明の様々な実施形態を示し、請求項に記載されているような本発明の本質及び特徴の理解のための概要または枠組みを提供することを目的としていることが理解されるべきである。添付の図面は、本発明のさらなる理解をもたらすように含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の特徴、態様及び利点が以下の発明の詳細な説明を添付の図面を参照して読むことで、より理解される。
【
図1】直立座位で示される、本発明の実施形態に係る航空機乗客用座席の正面斜視図である。
【
図3】レッグレストが部分的に配備され、シートバックが湾曲した、リクライニング座位で示される、
図1の航空機乗客用座席の正面斜視図である。
【
図5】寝椅子座位で示される、
図1の座席の正面斜視図である。
【
図7】水平ベッド位置で示される、
図1の座席の正面斜視図である。
【
図9】下部及び上部シードバック及びヘッドレストを示す、
図1の座席の後面斜視図である。
【
図10】分かりやすくするため、アームレストを取り外して示される、
図9の座席の後面斜視図である。
【
図11】
図1の座席の座席底面、下部シートバック、上部シートバック及びヘッドレスト部の等角図である。
【
図14】上部シートバック及びヘッドレストの接合部分の詳細図である。
【
図15】航空機のプレミアム座席クラスの特別室内に配置された
図1の座席を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態例を示す添付の図面を参照して、本発明を以下に詳述に記載する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に示す代表的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本開示を詳細及び完全にし、本開示が、本発明の範囲を十分に伝え、当業者が本発明を作成、使用及び実施することができるように、実施形態例を提供する。様々な図面に亘って、同様の参照番号は同様の構成要素を示す。
【0028】
図1から
図8を参照すると、本発明の好適な実施形態に係る航空機の座席は、概して、参照番号10で示される。航空機の座席10は、
図3から
図6に示すような複数の中間的座位及びゆったり座位だけでなく、
図1及び
図2に示すような直立座位(例えば、TTOL座位)と、
図7及び
図8に示すような水平睡眠位置との間で選択的に調整するように構成される。
図3及び
図4は、特に、レッグレストが部分的に配備され、シートバックが後ろに倒されて湾曲し、上半身及び頭を快適な直立座位において支える、リクライニング座位にある座席10を示す。
図5及び
図6は、特に、レッグレストが水平に配備されて座席底部と同一平面となり、シートバックが後ろに倒されて湾曲し、上半身及び頭を、読書及びテレビの視聴に快適な直立座位において支える、「寝椅子」座位にある座席10を示す。座席10は、好適には、無限に調整できるように、様々な座位、ゆったり位置及び睡眠位置間で無段階に調整可能である。以下に記載するように、レッグレスト及びシートバックは、シートバック及びヘッドレストの部分と同様に、独立して調整可能である。
【0029】
座席10は、一般的に、シートバック12と、座席底部14と、レッグレスト16と、座席底部の両側に配置された左及び右アームレスト18,20とを備える。横に隣り合う座席間で1つのアームレストを共有してもよく、窓側の座席の場合、1つのアームレストを壁に沿って設けてもよい。乗客と接触する座面は、好適には、快適性及び耐久性のためクッション性があり、布張りである。背面、底部、側部及び他の接触しない表面は、美的外観のため、及び、内部の機械を隠すために覆われていてもよい。覆いは、プラスチック及び他の耐久性を有し、軽量な材料で作成されてもよい。
【0030】
図1及び
図2を参照すると、各斜視図及び側面図は、TTOLのための直立座位にある座席10を示す。直立座位において、シートバック12は、床28に対して最も急角度(すなわち、最も垂直)であり、レッグレスト16は、座席の正面に対して略垂直に収容され、アームレスト18,20は、床28から最も高い垂直位置に上げられる。シートバック12は、共にシートバックを形成する、独立して調整可能な下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレスト26に分割または「分離」される。直立座位において、下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレストは、シートバックが略真っ直ぐに、または、比較的湾曲が少なくなるように、一般的に同一平面に揃えられる。
【0031】
図3及び
図4を参照すると、それぞれの斜視図及び側面図は、シートバック12が床28に対して浅い角度にあり、レッグレスト16が部分的に持ち上げられ、座席底部14が前方に移動され、水平方向に回転した、部分的リクライニング座位における座席10を示す。アームレスト18,20は、座席底部14の最上部と水平に一致する位置に近づくように、垂直に下げられる。下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレスト26は、独立して移動可能であり、シートバック12に浅く、段階的な曲面をもたらすように調整される。部分的リクライニング座位は、例えば、睡眠、テレビの視聴またはゆったりと過ごすのに快適であろう。
【0032】
図5及び
図6を参照すると、それぞれの斜視図及び側面図は、座席底部14、レッグレスト16及びアームレスト18,20が水平に一直線になり、協調的にベッドの一部を形成し、シートバック12が上方に湾曲してゆったり位置において上半身及び頭を支持する、寝椅子座位を実現している座席10を示す。寝椅子座位において、下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレスト26は、
図3及び
図4に示す部分的リクライニング座位のシートバック12よりも顕著または急な湾曲をもたらすように調整される。シートバック12の下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレスト26への分割は、各セグメント間の間隔から明らかなように
図5及び
図6において最も明白である。寝椅子座位は、睡眠、テレビの視聴、ゆったり過ごすこと、読書、足を持ち上げることなどに快適であろう。
【0033】
図7及び
図8を参照すると、それぞれの斜視図及び側面図は、シートバック12、座席底部14、レッグレスト16及びアームレスト18,20が略同一平面上にあり、水平である、平らで水平なベッドの座席10を示す。下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレスト26は、シートバックが略平らで水平になるように、調整される。アームレスト18,20は、座席10がベッド位置にある場合、床に対して最も低い垂直位置にある。
【0034】
図9から
図14を参照すると、座席基部は、一般的に、間隔を空けて配置された左及び右スプレッダ30,32と、前部及び後部横断ビーム管34,36と、間隔を空けて配置された左及び右脚部38,40とを備える。脚部38,40は、従来のアンチラトルトラック留め具を用いて床28の座席トラック42に取り付けられてもよい。座席基部フレームは、座席の重量を支え、アクチュエータ及び関連ケーブルを収納し、座席10の移動を可動域に亘って導くのを助けてもよい。
【0035】
下部シートバック22、上部シートバック24及びヘッドレスト26は、シートバック12が後ろに倒れる際、独立して移動することができる。下部シートバック22の底部端部は、下部シートバック部分がピボット軸44の周囲を旋回するように、座席底部14の後端に枢動可能に取り付けられる。下部シートバック22の裏側に沿って垂直に配置され、座席底部14に取り付けられた第1電気機械アクチュエータ46(例えば、線形アクチュエータ)は、座席底部14に対する下部シートバック22の旋回移動を駆動するように動作する。
【0036】
上部シートバック24の底部端部は、上部シートバックが下部シートバックに対して、ピボット軸48の周囲を旋回して上部シートバックと下部シートバックとの間の角度を調整するように、下部シートバック22の最上端部に枢動可能に取り付けられる。上部シートバック24の裏側に水平に配置された第2電気機械アクチュエータ50は、下部シートバック22に対する上部シートバック24の移動を駆動して上部シートバック24と下部シートバック22との間の角度を調整するように動作する。具体的には、第2アクチュエータ50の回転軸54の端部に連結された歯車52が、下部シートバック22の弓形歯状部材56と噛合し、軸54の回転により、歯車52が弓形歯状部材56の長さに沿って移動し、上部シートバック部分24を移動させて下部シートバック22に対する上部シートバック24の角度を変更する。歯車の直径及び歯車の歯数だけでなく、弓形歯状部材56の長さ、曲率及び方向は、下部シートバック22に対する上部シートバック24の角度、速度及び可動域を調整するように、カスタマイズ可能である。上部シートバック24と下部シートバック22との間の角度は、座席10が
図5及び
図6に示す寝椅子座位にある場合、最大となってもよい。
【0037】
ヘッドレスト26は、上部シートバック24によって支持され、上部シートバック24に対して高さを調整可能である。ヘッドレスト26の滑動機構は、上部シートバック24の裏側に係合し、上部シートバック24の裏側に沿って垂直に配置され、ヘッドレスト26の底部端部に取り付けられた第3アクチュエータ58は、上部シートバック24に対するヘッドレスト26の位置を調整するように動作する。例えば、第3アクチュエータ58は、上部シートバック24からヘッドレスト26を離すように延びて、ヘッドレスト26を上部シートバック24に近づけるように後退してもよい。上部シートバック24に対するヘッドレスト26の移動は、線形であっても、曲線に沿ってもよく、この2つを組み込む滑動機構の形状及び構成に基づいてカスタマイズされてもよい。図示するように、ヘッドレスト26及び上部シートバック24は、傾斜して取り付けられ、滑動機構は、ヘッドレスト26を線形移動させる。
【0038】
さらなる実施形態において、ヘッドレスト26は、座席10が後ろに倒れる際に独立して移動する中央部60及び側部62に分割されてもよい。中央部60と側部62との間の移動は、各側部62を中央部60の各側面に枢動可能に連結し、アクチュエータを中央部60の裏側に沿って水平に配置し、アクチュエータの軸の端部を側部62に取り付けて、アクチュエータが延びると、側部が中央部に対して前方及び/または外側に駆動され、アクチュエータが短くなると、側部が後方及び/または中央部に向かって駆動されるようにすることで、達成される。側部62は、中央部60とともに、または、独立して移動してもよい。ヘッドレスト26に調整機能を設けることで、座席10が直立座位にある場合、頭を横方向に支えることができ、例えば、ベッド位置においてヘッドレストを平らに折り畳むことができる。
【0039】
図15を参照すると、特別室70内に設置された座席10が示される。シートバック12、座席底部14及びレッグレスト16の移動を駆動して上述した様々な座位/睡眠位置を実現するための、主な座席フレーム部材及び座席アクチュエータが示される。アクチュエータは、好適には、座席底部の下に、関連するケーブルと共にシートバックの裏側に沿って配置される。分割されたシートバック及びヘッドレストに関連する上述したアクチュエータに加えて、独立した線形アクチュエータが、座席底部14及びレッグレスト16の独立した移動を駆動するために設けられてもよい。このように、レッグレスト16は、レッグレストの移動専用の第4アクチュエータを用いてシートバックのリクライニングと独立して調整されてもよい。別の実施形態において、シートバック12、座席底部14及びレッグレスト16の移動は、連結されてもよい。
【0040】
座席底部14の下に配置されたアクチュエータは、座席フレーム基部に対して座席底部14を調整するために動作可能であってもよい。様々な座面の移動は、アームレストの一方の上などの座席自体に、または、座席に隣接した手の届く場所に配置された制御パネルを介して制御されてもよい。座席制御は、TTOLのための強制的な座位に座席10を戻すための客室乗務員の制御が優先されるようにしてもよい。
【0041】
特別室70は、1つの特別室の一部であるか、または、横方向及び/または縦方向に隣接する特別室間で共有される壁であってもよい複数のプライバシー壁72によって規定される。壁のうち1つは、通路へのアクセスのための開口を備えてもよい。特別室70は、上述したような座席10を備え、さらに、座席10の真正面に配置された足載せ台74を備える。足載せ台74は、座席が直立の時、座席の正面と、足載せ台との間に空間が設けられるように、座席10から離間して配置され、レッグレストが完全に配備されてベッドの長さに延びると、レッグレスト16と連携する。このように、ベッドまたは寝椅子座位において、足載せ台74の最上面は、完全に配備されたレッグレスト16及び座席底部14と同一平面上にある。特別室70は、さらに、座席が直立、リクライニング、または、寝椅子座位にある場合、快適な視聴角度で配置されるように足載せ台74の垂直上方であって、座席10の真正面に配置されたビデオモニタ76を備えてもよい。
【0042】
前述の説明は、一例として本発明の実施形態を提示している。他の実施形態が同様の機能を実施、及び/または、同様の結果を達成するであろうことが想定される。あらゆるそのような同等の実施形態及び実施例は、本発明の範囲内であり、添付の請求の範囲によって網羅されることを意図している。
【国際調査報告】