(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-511308(P2017-511308A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】有機ゲルマニウムアミン化合物、及びそれを利用した薄膜蒸着方法
(51)【国際特許分類】
C07F 7/30 20060101AFI20170331BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20170331BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20170331BHJP
C23C 16/18 20060101ALI20170331BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20170331BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
C07F7/30 DCSP
H01L21/316 X
H01L21/318 B
C23C16/18
C23C16/40
C23C16/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-557652(P2016-557652)
(86)(22)【出願日】2015年3月18日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】KR2015002628
(87)【国際公開番号】WO2015142053
(87)【国際公開日】20150924
(31)【優先権主張番号】10-2014-0031828
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516255002
【氏名又は名称】ユージーン テクノロジー マテリアルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EUGENE TECHNOLOGY MATERIALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】リー, ゲウン スー
(72)【発明者】
【氏名】リー, ユン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ヨン ミン
【テーマコード(参考)】
4H049
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4H049VN02
4H049VP01
4H049VQ35
4H049VR54
4H049VU24
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA09
4K030BA10
4K030BA18
4K030BA22
4K030BA38
4K030BA42
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030LA15
5F058BA11
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC08
5F058BC09
5F058BF02
5F058BF07
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
(57)【要約】
請求項1に記載の化学式1で表示される有機ゲルマニウムアミン化合物、及び該化合物を前駆体として利用する膜形成方法に係わるものであり、該化合物を前駆体として使用すれば、ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜などを効果的に蒸着形成することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される有機ゲルマニウムアミン化合物:
【化1】
前記化学式1で、L
1、L
2、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
1−C
10アルキルアミン基、C
1−C
10ジアルキルアミン基、C
6−C
12アリールアミン基、C
7−C
13アラルキルアミン基、C
3−C
10環状アミン基、C
3−C
10ヘテロ環状アミン基またはC
2−C
10アルキルシリルアミン基のうちから選択される。
【請求項2】
前記化学式1の化合物は、下記化学式2で表示されることを特徴とする請求項1に記載の有機ゲルマニウムアミン化合物:
【化2】
前記化学式2で、L
2、L
3及びL
4は、請求項1で定義された通りであり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
7−C
13アラルキル基及びC
2−C
10アルキルシリル基のうちから選択される。
【請求項3】
前記化学式2の化合物は、下記化学式3で表示されることを特徴とする請求項2に記載の有機ゲルマニウムアミン化合物:
【化3】
前記化学式3で、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基のうちから選択され、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
1−C
10アルキルアミン基、C
1−C
10ジアルキルアミン基、C
6−C
12アリールアミン基、C
7−C
13アラルキルアミン基、C
3−C
10環状アミン基、C
3−C
10ヘテロ環状アミン基またはC
2−C
10アルキルシリルアミン基のうちから選択される。
【請求項4】
前記化学式3の化合物は、下記化学式4で表示されることを特徴とする請求項3に記載の有機ゲルマニウムアミン化合物。
【化4】
【請求項5】
前記化学式3の化合物は、下記化学式5で表示されることを特徴とする請求項3に記載の有機ゲルマニウムアミン化合物。
【化5】
【請求項6】
前記化学式3の化合物は、下記化学式6で表示されることを特徴とする請求項3に記載の有機ゲルマニウムアミン化合物。
【化6】
【請求項7】
膜形成方法であって、
請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の有機ゲルマニウムアミン化合物を前駆体として利用する蒸着工程によって、基板上にゲルマニウム含有膜を形成する段階を含む膜形成方法。
【請求項8】
前記蒸着工程は、原子層蒸着(ALD)工程または化学蒸着(CVD)工程であることを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
【請求項9】
前記蒸着工程が、50ないし500℃で実施されることを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
【請求項10】
前記蒸着工程の間、前記基板に、熱エネルギー、プラズマまたは電気的バイアスをすることを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
【請求項11】
前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)及び水素(H2)のうちから選択された1種以上のキャリアガスまたは希釈ガスと混合し、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
【請求項12】
前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム膜であることを特徴とする請求項11に記載の膜形成方法。
【請求項13】
前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、水蒸気(H2O)、酸素(O2)及びオゾン(O3)のうちから選択された1種以上の反応ガスと混合し、前記基板上に移送するか、あるいは前記反応ガスを、前記有機ゲルマニウムアミン化合物と別途に、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
【請求項14】
前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム酸化物(GexOy)、ハフニウムゲルマニウム酸化物(HfxGeyOz)、ジルコニウムゲルマニウム酸化物(ZrxGeyOz)及びチタンゲルマニウム酸化物(TixGeyOz)から選択された少なくとも1種の物質を含むゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム酸化物膜であることを特徴とする請求項13に記載の膜形成方法。
【請求項15】
前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)、二酸化窒素(NO2)及び窒素(N2)のプラズマのうちから選択された1種以上の反応ガスと混合し、前記基板上に移送するか、あるいは前記反応ガスを、前記有機ゲルマニウムアミン化合物と別途に、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することを特徴とする請求項14に記載の膜形成方法。
【請求項16】
前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム窒化物(GexNy)、ハフニウムゲルマニウム窒化物(HfxGeyNz)、ジルコニウムゲルマニウム窒化物(ZrxGeyNz)及びチタンゲルマニウム窒化物(TixGeyNz)から選択された少なくとも1種の物質を含むゲルマニウム窒化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜であることを特徴とする請求項15に記載の膜形成方法。
【請求項17】
前記蒸着工程は、
真空、活性雰囲気下または非活性雰囲気下で、前記基板を50℃ないし500℃の温度で加熱する段階と、
20℃ないし100℃の温度に加熱された前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、前記基板上に導入する段階と、
前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、前記基板上に吸着させ、前記有機ゲルマニウムアミン化合物層を、前記基板上に形成する段階と、
前記基板に、熱エネルギー、プラズマまたは電気的バイアスを印加し、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を分解することにより、前記基板上にゲルマニウム含有膜を形成する段階と、を含むことを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ゲルマニウムアミン化合物、及びそれを利用した薄膜蒸着方法に係り、さらに詳細には、半導体装置の製造時、ゲルマニウム酸化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜のように、パッシベーション層、層間絶縁膜またはキャパシタ誘電層などとして使用される有用な特性を有するゲルマニウム含有薄膜を効率的に形成することができる、有機ゲルマニウムアミン化合物、及びそれを利用した薄膜蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造工程において、シリコン(ケイ素)を含む薄膜、例えば、シリコン膜、シリコン窒化物膜、シリコン炭化窒化物膜、シリコン酸化物膜及びシリコンオキシ窒化物膜などのシリコン含有膜は、非常に重要な役割を行っている。特に、シリコン酸化物膜及びシリコン窒化物膜は、パッシベーション層、層間絶縁膜またはキャパシタ誘電層などとして重要な役割を行っている。
【0003】
現在、前述のシリコン含有膜を形成するための多様なシリコン前駆体が多く開発されている。現在汎用されている鎖型アミノシラン類型のシリコン前駆体は、分子量は大きいが、沸点が低く、シリコン酸化物膜、シリコン窒化物膜または各種金属配線膜などの下部構造物(以下、単に「下部構造物」と称する)に対する親和力及び結合力が低いために、シリコン膜の蒸着速度が遅く、蒸着されたシリコン膜の気孔度が高く、シリコン膜の密度が小さく、また蒸着されたシリコン膜の蒸着均一度が低いというような短所を有する。
【0004】
また、例えば、シリコン窒化物膜を形成するために、シリコン前駆体と窒素ソースガスとを使用する。しかし、前述のように、2つのソースを共に使用する場合、500〜700℃のような高い工程温度が要求されるために、高集積化されている素子に悪い影響を及ぼし、段差被覆性(step coverage)が良好ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の一目的は、半導体素子の製造工程での前記先行技術の問題点を改善するために、沸点が高くて熱安定性にすぐれ、下部構造物に対する親和力及び結合力が優秀であるために、優秀な薄膜特性、厚み均一性及び段差被覆性を有するゲルマニウム含有膜を効率的に形成することができる、ゲルマニウムを中心原子とする新形態の有機ゲルマニウムアミン化合物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、前述の有機ゲルマニウムアミン化合物を前駆体として利用し、優秀な薄膜特性、厚み均一性及び段差被覆性を有するゲルマニウム含有膜を形成する膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記本発明の一目的を達成するために、本発明の一側面は、下記化学式1で表示される有機ゲルマニウムアミン化合物を提供する:
【0008】
【化1】
【0009】
前記化学式1で、L
1、L
2、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
1−C
10アルキルアミン基、C
1−C
10ジアルキルアミン基、C
6−C
12アリールアミン基、C
7−C
13アラルキルアミン基、C
3−C
10環状アミン基、C
3−C
10ヘテロ環状アミン基またはC
2−C
10アルキルシリルアミン基のうちから選択される。
【0010】
本発明の一具現例において、前記化学式1の化合物は、下記化学式2で表示されてもよい:
【0011】
【化2】
【0012】
前記化学式2で、L
2、L
3及びL
4は、前述のところで定義された通りであり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
7−C
13アラルキル基及びC
2−C
10アルキルシリル基のうちから選択される。
【0013】
本発明の一具現例において、前記化学式2の化合物は、下記化学式3で表示されてもよい:
【0014】
【化3】
【0015】
前記化学式3で、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基のうちから選択され、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
1−C
10アルキルアミン基、C
1−C
10ジアルキルアミン基、C
6−C
12アリールアミン基、C
7−C
13アラルキルアミン基、C
3−C
10環状アミン基、C
3−C
10ヘテロ環状アミン基またはC
2−C
10アルキルシリルアミン基のうちから選択される。
【0016】
本発明の他の具現例において、前記化学式3の化合物は、下記化学式4で表示されてもよい:
【0017】
【化4】
【0018】
本発明のさらに他の具現例において、前記化学式3の化合物は、下記化学式5で表示されてもよい:
【0019】
【化5】
【0020】
本発明のさらに他の具現例において、前記化学式3の化合物は、下記化学式6で表示されてもよい:
【0021】
【化6】
【0022】
前記本発明の他の目的を達成するために、本発明の他の側面は、膜形成方法として、前記本発明の一側面による有機ゲルマニウムアミン化合物を前駆体として利用する蒸着工程によって、基板上にゲルマニウム含有膜を形成する段階を含む膜形成方法を提供する。
【0023】
本発明の一具現例において、前記蒸着工程は、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)工程または化学蒸着(CVC:chemical vapor deposition)工程、例えば、有機金属化学蒸着(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)工程でもある。
【0024】
本発明の一具現例において、前記蒸着工程が、50ないし500℃で実施されてもよい。
【0025】
本発明の一具現例において、前記蒸着工程の間、前記基板に、熱エネルギー、プラズマまたは電気的バイアスを印加することができる。
【0026】
本発明の一具現例において、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、アルゴン(Ar)、窒素(N
2)、ヘリウム(He)及び水素(H
2)のうちから選択された1種以上のキャリアガスまたは希釈ガスと混合し、前記基板上に移送して蒸着工程を実施することができる。かように前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム膜でもある。
【0027】
本発明の他の具現例において、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、水蒸気(H
2O)、酸素(O
2)及びオゾン(O
3)のうちから選択された1種以上の反応ガスと混合し、前記基板上に移送するか、あるいは前記反応ガスを、前記有機ゲルマニウムアミン化合物と別途に前記基板上に移送して蒸着工程を実施することができる。かように、前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム酸化物(Ge
xO
y)、ハフニウムゲルマニウム酸化物(Hf
xGe
yO
z)、ジルコニウムゲルマニウム酸化物(Zr
xGe
yO
z)及びチタンゲルマニウム酸化物(Ti
xGe
yO
z)から選択された少なくとも1種の物質を含むゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム酸化物膜でもある。
【0028】
本発明のさらに他の具現例において、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、アンモニア(NH
3)、ヒドラジン(N
2H
4)、二酸化窒素(NO
2)及び窒素(N
2)のプラズマのうちから選択された1種以上の反応ガスと混合し、前記基板上に移送するか、あるいは前記反応ガスを、前記有機ゲルマニウムアミン化合物と別途に、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することができる。かように、前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム窒化物(Ge
xN
y)、ハフニウムゲルマニウム窒化物(Hf
xGe
yN
z)、ジルコニウムゲルマニウム窒化物(Zr
xGe
yN
z)及びチタンゲルマニウム窒化物(Ti
xGe
yN
z)から選択された少なくとも1種の物質を含むゲルマニウム窒化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜でもある。
【0029】
本発明の一具現例において、前記蒸着工程は、例えば、真空、活性雰囲気下または非活性雰囲気下で、前記基板を50℃ないし500℃の温度で加熱する段階と、20℃ないし100℃の温度に加熱された前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、前記基板上に導入する段階と、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、前記基板上に吸着させ、前記有機ゲルマニウムアミン化合物層を、前記基板上に形成する段階と、前記基板に、熱エネルギー、プラズマまたは電気的バイアスを印加し、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を分解することにより、前記基板上にゲルマニウム含有膜を形成する段階と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一側面による有機ゲルマニウムアミン化合物は、室温で液体状態で存在し、分子サイズは小さいものの、高い沸点を有しながら、熱安定性にすぐれる。また、該化合物は、例えば、金属ゲルマニウム複合膜を形成する場合、前記金属の供給源の役割を行う金属前駆体化合物、例えば、Zr化合物の分解温度に類似した分解温度を有するために、蒸着工程において、温度ウィンドウ(temperature window)を狭くすることができる。本有機ゲルマニウムアミン化合物は、また非共有電子対を有する窒素原子及びゲルマニウム原子を、1つの分子構造内に含むために、シリコン基板及び金属原子と強い親和力を示す。従って、本発明の一側面による前記化合物を、ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜などの蒸着工程に使用すれば、次のような効果を達成することができる。
【0031】
(1)高温で進められる蒸着工程において、下部構造物の単位面積当たり多くの分子が吸着するために、ゲルマニウム含有膜の蒸着速度、蒸着密度及び蒸着均一度、すなわち、ステップカバレージが向上する。
【0032】
(2)下部構造物内のシリコン原子または金属原子と強い親和力を有するために、下部構造物との接着力が大きいために、さらにゲルマニウム含有膜の蒸着速度、蒸着密度及び蒸着均一度、すなわち、ステップカバレージが向上する。
【0033】
従って、本発明の一側面による有機ゲルマニウムアミン化合物は、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)及び原子層蒸着法(ALD)を利用したゲルマニウム含有膜を蒸着する半導体製造工程に効率的に適用される。また、本発明の一側面による有機ゲルマニウムアミン化合物を利用すれば、半導体装置の製造時、ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜などのパッシベーション層、層間絶縁膜またはキャパシタ誘電体層などとして使用される有用な特性を有するゲルマニウム含有膜を効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施例1で得たトリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)に対する試験で得られたDSC(示差走査熱量測定: differentialscanning calorimetry)熱曲線及びTGA(熱重量測定分析: thermogravimetric analysis)熱曲線を1つの図面に総合した図面である。
【
図2】実施例3で得たトリス(ジメチルアミノ)メチル−m−トルイジノゲルマニウム(IV)に対する試験で得られたDSC熱曲線及びTGA熱曲線を1つの図面に総合した図面である。
【
図3】実験例1で得たトリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)に対する試験で得られた蒸着結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の具体的な実施例による有機ゲルマニウムアミン化合物、及びそれを利用した膜形成方法、例えば、薄膜蒸着方法について詳細に説明する。
【0036】
本発明の一側面による有機ゲルマニウムアミン化合物は、下記化学式1で表示される:
【0038】
前記化学式1で、L
1、L
2、L
3及びL
4は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
1−C
10アルキルアミン基、C
1−C
10ジアルキルアミン基、C
6−C
12アリールアミン基、C
7−C
13アラルキルアミン基、C
3−C
10環状アミン基、C
3−C
10ヘテロ環状アミン基またはC
2−C
10アルキルシリルアミン基のうちから選択される。
【0039】
IV族元素であるC、Si、及びGeは、それぞれ5.5eV、1.11eV及び0.67eVのバンドギャップ(band gap)を有する。該バンドギャップは、絶縁体または半導体において、電子が存在する価電子帯(valence band)での最もエネルギー準位が高い状態と、電子がない伝導帯(conduction band)における最もエネルギー準位が低い状態とのエネルギー差を意味する。バンドギャップが小さければ、小さい電圧で電流を転移させることができ、良好な半導体材料であるといえる。前記化学式1で表示される化合物は、バンドギャップが小さいゲルマニウムを中心原子とする新形態の前駆体である。特に、化学式1で表示される前記化合物は、室温で液体状態で存在し、分子サイズは小さいものの、高い沸点を有しながら、熱安定性にすぐれる。また該化合物は、例えば、金属ゲルマニウム複合膜を形成する場合、前記金属の供給源の役割を行う金属前駆体化合物、例えば、Zr化合物の分解温度に類似した分解温度を有するために、蒸着工程において、温度ウィンドウを狭くすることができる。前記化合物は、また非共有電子対を有する窒素原子及びゲルマニウム原子を、1つの分子構造内に含むために、シリコン基板及び金属原子と強い親和力を示す。従って、本発明の一側面による前記化合物を、ゲルマニウム含有膜の蒸着工程に使用すれば、下部構造物の単位面積当たり多くの分子が吸着するために、ゲルマニウム含有膜の蒸着速度、蒸着密度及び蒸着均一度、すなわち、ステップカバレージが向上する。また、下部構造物内のシリコン原子または金属原子と強い親和力を有するために、下部構造物との接着力が大きいために、さらにゲルマニウム含有膜の蒸着速度、蒸着密度及び蒸着均一度、すなわち、ステップカバレージが向上する。
【0040】
望ましくは、前記化学式1の化合物は、下記化学式2で表示される化合物でもある:
【0042】
前記化学式2で、L
2、L
3及びL
4は、前述のところで定義された通りであり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
7−C
13アラルキル基及びC
2−C
10アルキルシリル基のうちから選択される。
【0043】
さらに望ましくは、前記化学式2の化合物は、下記化学式3で表示される化合物でもある:
【0045】
前記化学式3で、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基のうちから選択され、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
10アルキル基、C
6−C
12アリール基、C
1−C
10アルキルアミン基、C
1−C
10ジアルキルアミン基、C
6−C
12アリールアミン基、C
7−C
13アラルキルアミン基、C
3−C
10環状アミン基、C
3−C
10ヘテロ環状アミン基またはC
2−C
10アルキルシリルアミン基のうちから選択される。
【0046】
前記化学式3の化合物の具体的な例は、下記化学式4,5または6で表示される有機ゲルマニウムアミン化合物でもある:
【0050】
前述の本発明の一側面による前記化学式1ないし6の化合物の製造方法は、特別に制限されるものではなく、多様な方法によって製造されてもよい。
【0051】
化学式4の化合物は、例えば、反応式1によって製造されてもよい。下記反応式1を参照すれば、テトラクロロゲルマニウムと、二次アミン化合物であるN−メチルアニリンとの1段階置換反応によって得られた結果物を、ジメチルアミンと2段階置換反応を実施すれば、目的とする化学式4で表示される化合物を得ることができる。
【0053】
前記化学式6の化合物は、前記反応式1の1段階置換反応段階において、N−メチルアニリンの代わりに、N−メチル−m−トルイジンを使用すれば、得ることができる。
【0054】
化学式5の化合物は、例えば、反応式2によって製造されてもよい。下記反応式2を参照すれば、テトラクロロゲルマニウムと、二次アミン化合物であるN−メチルアニリンとの1段階置換反応によって得られた結果物を、ジエチルアミンと2段階置換反応を実施すれば、目的とする化学式5で表示される化合物を得ることができる。
【0056】
反応式1及び2による化学反応において、1段階置換反応は、ペンタン、ヘキサンまたはベンゼンなどの非極性溶媒、またはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはメチラル(methylal)などの極性溶媒の中で実施される。1段階置換反応は、典型的には、0〜30℃の反応温度、望ましくは0〜20℃の反応温度で、約1ないし約100時間、望ましくは約3ないし約72時間進められる。2段階置換反応は、ペンタン、ヘキサンまたはベンゼンなどの非極性溶媒、またはジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはメチラルなどの極性溶媒の中で実施される。2段階置換反応は、典型的には、0〜30℃の反応温度、望ましくは0〜10℃の反応温度で、約6ないし約50時間、望ましくは約6ないし約20時間進められる。典型的には、反応式1及び2による化学反応において、1及び2段階置換反応において、反応溶媒の使用量は、前記反応溶媒中の反応試薬の総濃度が、約10〜50重量%、望ましくは約20〜40重量%にする範囲が望ましい。前記1及び2段階置換反応で発生する塩酸を捕集するために、三次アミンとして、トリエチルアミン(TEA)またはトリメチルアミン(TMA)などが望ましく使用される。
【0057】
本発明の他の側面による膜形成方法は、本発明の一側面による有機ゲルマニウムアミン化合物を前駆体として利用する蒸着工程によって、基板上に、ゲルマニウム含有膜を形成する段階を含む膜形成方法である。
【0058】
前記蒸着工程は、原子層蒸着(ALD)工程または化学蒸着(CVD)工程、例えば、有機金属化学蒸着(MOCVD)工程で行われる。前記蒸着工程は、50ないし500℃で実施されてもよい。
【0059】
例えば、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、アルゴン(Ar)、窒素(N
2)、ヘリウム(He)及び水素(H
2)のうちから選択された1種以上のキャリアガスまたは希釈ガスと混合し、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することができる。かように、前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム膜でもある。
【0060】
例えば、本発明による有機ゲルマニウムアミン化合物を前駆体として利用し、基板上にGeシード層(seed layer)を蒸着形成することができ、該Geシード層を利用する方法は、従来のポリシリコンシード層を利用する方法の問題点を多く改善することができる。すなわち、本発明による有機ゲルマニウムアミン化合物を利用して、Geシード層は、薄いポリシリコン(thin polysilicon)蒸着工程時、ポリシリコンの表面粗度(surface roughness)問題、及びポリシリコンギャップフィル工程時、ポリシリコン膜内に空隙(void)が多く発生する問題を改善することができると期待される。
【0061】
例えば、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、水蒸気(H
2O)、酸素(O
2)及びオゾン(O
3)のうちから選択された1種以上の反応ガスと混合し、前記基板上に移送するか、あるいは前記反応ガスを、前記有機ゲルマニウムアミン化合物と別途に、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することができる。かように、前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム酸化物(Ge
xO
y)、ハフニウムゲルマニウム酸化物(Hf
xGe
yO
z)、ジルコニウムゲルマニウム酸化物(Zr
xGe
yO
z)及びチタンゲルマニウム酸化物(Ti
xGe
yO
z)から選択された少なくとも1種の物質を含むゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム酸化物膜でもある。例えば、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、アンモニア(NH
3)、ヒドラジン(N
2H
4)、二酸化窒素(NO
2)及び窒素(N
2)のプラズマのうちから選択された1種以上の反応ガスと混合し、前記基板上に移送するか、あるいは前記反応ガスを、前記有機ゲルマニウムアミン化合物と別途に、前記基板上に移送し、蒸着工程を実施することができる。かように、前記基板上に形成されたゲルマニウム含有膜は、ゲルマニウム窒化物(Ge
xN
y)、ハフニウムゲルマニウム窒化物(Hf
xGe
yN
z)、ジルコニウムゲルマニウム窒化物(Zr
xGe
yN
z)及びチタンゲルマニウム窒化物(Ti
xGe
yN
z)から選択された少なくとも1種の物質を含むゲルマニウム窒化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜でもある。
【0062】
前述のゲルマニウム酸化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜は、例えば、DRAM(dynamic random access memory)素子及び相変化メモリ(PRAM:phase-change random access memory)素子の製造工程において、キャパシタ形成時、誘電体膜として有用に使用される。
【0063】
前述の具体的な蒸着工程において、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を基板上に移送するとき、例えば、前記有機ゲルマニウムアミン化合物は、バブリング方式;ガス相(vapor phase)質量流量制御機(mass flow controller)、直接液体注入(DLI:direct liquid injection)法、または該化合物を有機溶媒に溶解して移送する液体移送法で、基板上に移送されて薄膜蒸着に利用されてもよい。このとき、蒸着効率を上昇させるために、前記蒸着工程の間、前記基板に、熱エネルギー、プラズマまたは電気的バイアスを印加することができる。具体的な例として、前記蒸着工程は、例えば、真空、活性雰囲気下または非活性雰囲気下で、前記基板を50℃ないし500℃の温度で加熱する段階と、20℃ないし100℃の温度に加熱された前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、前記基板上に導入する段階と、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を、前記基板上に吸着させ、前記有機ゲルマニウムアミン化合物層を、前記基板上に形成する段階と、前記基板に、熱エネルギー、プラズマまたは電気的バイアスを印加し、前記有機ゲルマニウムアミン化合物を分解することにより、前記基板上にゲルマニウム含有膜を形成する段階と、を含んでもよい。
【0064】
このとき、有機ゲルマニウムアミン前駆体化合物が、基板上で層を形成することができる時間として、1分未満の時間を提供することができる。基板上に吸着されない過量の有機ゲルマニウムアミン前駆体化合物は、アルゴン(Ar)、窒素(N
2)及びヘリウム(He)のような1種以上の非活性ガスを利用して除去することが望ましい。過量の前駆体を除去することができる時間として、1分未満の時間を提供することができる。また、過量の反応ガス、及び生成された副産物を除去するために、チャンバ内にアルゴン(Ar)、窒素(N
2)及びヘリウム(He)のような1種以上の非活性ガスを1分未満の時間内にチャンバ内に導入することができる。
【0065】
本発明による有機ゲルマニウムアミン化合物は、室温で液体状態であり、熱安定性及び沸点が高く、かつ揮発性が高いために、半導体装置の製造時、CVD工程やALD工程において、前駆体として使用し、ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜または金属ゲルマニウム窒化物膜などのパッシベーション層、層間絶縁膜またはキャパシタ誘電体層などとして使用される有用な特性を有するゲルマニウム含有膜を効率的に形成することができる。
【0066】
以下、本発明による有機ゲルマニウムアミン化合物について、下記実施例を介してさらに詳細に説明する。ただし、それらは、本発明の理解の一助とするために提示されるものであるのみ、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0067】
以下の実施例で、全ての合成段階は、標準真空ラインシュレンク方法(Schlenk technique)を使用し、全ての合成は、窒素ガス雰囲気下で行った。実験に使用されたテトラクロロゲルマニウム(IV)(GeCl
4)、トリエチルアミン(TEA)、ジメチルアミン(DMA)、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン及びジエチルアミン(DEA)は、Aldrich社から購買して使用した。反応に使用する溶媒としては、アルゴン雰囲気下で、ナトリウム/ベンゾフェノンと共に24時間以上還流することによって精製した無水ヘキサンまたはジエチルエーテルを使用した。また、N−メチルアニリン、TEA及びDEAは、CaH
2の存在下で24時間撹拌し、残留水分を完全に除去し、減圧精製して使用した。GeCl
4小分けは、窒素ガス雰囲気でパージングされたグローブボックス内で進めた。
【0068】
合成された化合物の構造分析は、JEOLJNM−ECS 400 MHzNMRspectrometer(
1H−NMR400 MHz)を利用して実施した。NMR溶媒benzene−d
6は、一日CaH
2と共に撹拌し、残留水分を完全に除去した後で使用した。
【実施例】
【0069】
実施例1:トリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)((Me2N)3GeNC7H8)の製造
500ml第1枝付き丸いフラスコ内に、無水ヘキサン200ml及びTEA5.59g(0.0552mol)を添加し、さらにN−メチルアニリン4.23g(0.0394mol)を添加した。前記第1枝付き丸いフラスコの内部温度を0℃に維持した状態で、GeCl
48.46g(0.0394mol)を滴下漏斗を利用して徐々にさらに添加した。GeCl
4添加によって白色の塩が形成され始めた。GeCl
4添加が終われば、第1フラスコの内部温度を30℃に昇温し、約4時間さらに撹拌した。
【0070】
前述のように、4時間撹拌する間、他の500ml第2枝付き丸いフラスコに、無水ヘキサン150ml及びTEA13.17g(0.1302mol)を添加し、DMAガス16.01g(0.355mol)を徐々に投入した。白色の塩が形成された前記500ml第1枝付き丸いフラスコの内部温度を0℃に維持した状態で、第2フラスコ内のTEA及びDMAが溶解されているヘキサン溶液を、滴下漏斗を利用して、第1フラスコ内に徐々に添加し、それによって、第1フラスコ内に白色の塩が形成された。その後、第1フラスコの内部温度を30℃に昇温し、約15時間さらに撹拌した。反応が終結されれば、減圧濾過を進め、塩を完全に除去した。減圧分別蒸溜を行い、無色の生成物8g(収率:80%)を得ることができた。
【0071】
沸点(b.p):83℃ at 0.8torr
1H−NMR(C
6D
6):δ2.56([(CH
3)
2N]
3−Ge,d,18H)、
δ2.82((CH
3)C
6H
5N−Ge,s,3H)、
δ6.8,7.0,7.2((CH
3)C
6H
5N−Ge,m,5H)。
【0072】
実施例2:トリス(ジエチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)((Et2N)3GeNC7H8)の製造
500ml第1枝付き丸いフラスコ内に、無水ヘキサン200ml及びTEA4.26g(0.0421mol)を添加し、またN−メチルアニリン4.30g(0.0401mol)を添加した。該第1枝付き丸いフラスコを0℃に維持した状態で、GeCl
48.6g(0.0401mol)を、滴下漏斗を利用して、徐々にさらに添加した。GeCl
4添加によって白色の塩が形成され始めた。GeCl
4添加が終われば、第1フラスコの内部温度を30℃に昇温し、約4時間さらに撹拌した。
【0073】
前述のように、4時間撹拌する間、他の500ml第2枝付き丸いフラスコに、無水ヘキサン150ml及びTEA8.52g(0.1263mol)を添加し、DEA 9.68g(0.1353mol)を徐々に投入した。白色の塩が形成された前記500ml第1枝付き丸いフラスコの内部温度を0℃に維持した状態で、第2フラスコ内のTEA及びDEAが溶解されているヘキサン溶液を、滴下漏斗を利用して、第1フラスコ内に徐々に添加し、それによって、第1フラスコ内に白色の塩が形成された。その後、第1フラスコの内部温度を30℃に昇温し、約15時間さらに撹拌した。反応が終結されれば、減圧濾過を進めて塩を完全に除去した。減圧分別蒸溜を行い、無色の生成物7.5g(収率:75%)を得ることができた。
【0074】
沸点(b.p):95℃ at 0.8torr
1H−NMR(C
6D
6):δ2.85([(CH
2CH
3)
2]
3N−Ge,q,12H)、
δ1.04([(CH
2CH
3)
2]
3N−Ge,t,18H)、
δ2.94((CH
3)C
6H
5N−Ge,s,3H)、
δ6.8,7.0,7.2((CH
3)C
6H
5N−Ge,m,5H)。
【0075】
実施例3:トリス(ジメチルアミノ)メチル−m−トルイジノゲルマニウム(IV)((Me2N)3GeNC8H10)の製造
500ml第1枝付き丸いフラスコに、無水ヘキサン200ml及びGeCl
48.46g(0.0307mol)を添加した。該第1枝付き丸いフラスコの内部温度を0℃に維持した状態で、無水ヘキサン50mlにTEA4.35g(0.0307mol)及びN−メチル−m−トルイジン3.72g(0.0307mol)を添加して得た溶液を、滴下漏斗を利用して、前記第1丸いフラスコに徐々に添加した。この添加によって、白色の塩が形成され始めた。TEA及びN−メチル−m−トルイジンを希釈させた溶液の添加が完了すれば、前記第1フラスコの内部温度を30℃に昇温し、約4時間さらに撹拌した。
【0076】
前述のように、4時間撹拌する間、他の500ml第2枝付き丸いフラスコに、無水ヘキサン150ml及びn−BuLi36.36ml(0.0922mol)の溶液を添加し、前記第2フラスコの内部温度を0℃に維持した状態で、DMA(ジメチルアミン)ガス4.16g(0.0922mol)を徐々に投入した。添加が完了すれば、前記第2フラスコの内部温度を30℃に昇温し、4時間さらに撹拌した。
【0077】
前記白色の塩が形成されたGeCl
4、TEA及びN−メチル−m−トルイジンを含む500ml第1枝付き丸いフラスコの内部温度を0℃に維持した状態で、前記第2フラスコ内のn−BuLi及びDMAが溶解されているヘキサン溶液を、第1フラスコ内に徐々に添加した。それによって、リチウム塩が発生した。n−BuLi及びDMAが溶解されているヘキサン溶液を完全に添加し、第1フラスコの内部温度を30℃に昇温し、約15時間さらに撹拌した。反応が終われば、減圧濾過を進め、塩を完全に除去した。減圧分別蒸溜を行い、薄黄色の生成物(9g、90%)を得ることができる。
【0078】
沸点(b.p):92℃ at 0.4torr
1H−NMR(C
6D
6):δ2.58([(CH
3)
2N]
3−Ge,d,18H)、
δ2.86([(C
6H
4(CH
3))CH
3N]−Ge,s,3H)、
δ2.29([(C
6H
4(CH
3))CH
3N]−Ge,s,3H)、
δ6.6,6.9,7.2([(C
6H
4(CH
3))CH
3N]−Ge,m,4H)。
【0079】
<熱分析>
実施例1及び3で得たトリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)及びトリス(ジメチルアミノ)メチル−m−トルイジノゲルマニウム(IV)に対して、示差走査熱量分析(DSC)試験及び熱重量分析(TGA)試験を共に実施した。
【0080】
DSC試験は、熱安定性及び熱分解温度を測定するために、熱分析機(製造社:TA Instruments社、モデル:TA−Q600製品)を示差走査熱量分析モードにして実施し、TGA試験は、残留成分(residue)量を測定するために、前記熱分析機を熱重量分析モードにして実施した。前記熱分析試験条件は、次の通りであった。
【0081】
移送ガス:アルゴン(Ar)ガス
移送ガス流量:100cc/min
加熱プロファイル:30℃から500℃に10℃/minの昇温速度で加熱
試料量:10mg
【0082】
DSC試験において、熱分解温度は、以下で説明する
図1及び
図2のDSC熱曲線(thermogram)において、昇温時に、熱フロー量が低下して、急に上昇する地点の温度を決定した。
【0083】
図1は、実施例1で得たトリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)に対する試験で得られたDSC熱曲線及びTGA熱曲線を1つの図面に総合したものである。
図1において、太い実線で表示された熱曲線は、DSC試験で得た結果であり、点線で表示した熱曲線は、TGA試験で得た結果である。
【0084】
図1を参照すれば、トリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)の熱分解温度は、約219.95℃であり、残留成分(residue)量が初期重量対比で、約1.07%であり、熱安定性に非常にすぐれるということを確認することができた。
【0085】
図2は、実施例3で得たトリス(ジメチルアミノ)メチル−m−トルイジノゲルマニウム(IV)に対する試験で得られたDSC熱曲線及びTGA熱曲線を1つの図面に総合したものである。
図2において、太い実線で表示された熱曲線は、DSC試験で得た結果であり、点線で表示した熱曲線は、TGA試験で得た結果である。
【0086】
図2を参照すれば、トリス(ジメチルアミノ)メチル−m−トルイジノゲルマニウム(IV)の熱分解温度は、約233.04℃であり、残留成分(residue)量が初期重量対比で、約0.97%であり、熱安定性に非常にすぐれるということを確認することができた。
【0087】
<実験例1>
実施例1で製造されたトリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)前駆体を利用し、ALD(atomic layer deposition)工程による成膜評価を行った。不活性ガスであるアルゴンは、パージ及び前駆体移送の目的に使用した。前記前駆体、アルゴン、プラズマ及びアルゴンを注入することを1サイクルとし、蒸着は、P型Si(100)ウェーハ上に形成されたSiO
2蒸着薄膜上で行った。
【0088】
試験結果、トリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)を利用すれば、250℃〜350℃でALD工程を遂行することができるということを確認し、蒸着結果は、
図3に示した。蒸着結果、ゲルマニウム酸化物膜を約50Å厚に成長させることができた。前記結果を基に、トリス(ジメチルアミン)メチルアニリノゲルマニウム(IV)前駆体は、原子層蒸着によって、ゲルマニウム酸化物を蒸着させるのに適する候補群であるということを示している。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、半導体装置の製造時、ゲルマニウム酸化物膜、金属ゲルマニウム酸化物膜、ゲルマニウム窒化物膜のように、パッシベーション層、層間絶縁膜またはキャパシタ誘電層などとして使用される有用な特性を有するゲルマニウム含有薄膜を効率的に形成することができる、有機ゲルマニウムアミン化合物、及びそれを利用した薄膜蒸着方法を得ることができる。
【国際調査報告】