【実施例】
【0157】
(実施例1)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(1)
【0158】
【化22】
ステップ1、メチル5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(C7)の合成。
メチル5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキシレート(20g、130mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)溶液に、炭酸カリウム(45.1g、326mmol)を添加し、反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。クロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(63.7g、418mmol)を導入し、その結果生じた混合物を100℃で5時間加熱し、その後飽和塩化ナトリウム水溶液(300mL)および酢酸エチル(300mL)に分配した。水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×200mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:5:1の石油エーテル/酢酸エチル)によって、生成物を淡黄色のオイルとして得た。収量:17g、84mmol、65%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.56 (s, 1H), 8.17 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.59 (br d, J=8.7 Hz, 1H),
6.64 (t, J
HF=71.9 Hz, 1H), 4.00 (s, 3H).
【0159】
ステップ2、5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボン酸(C8)の合成。
C7(17g、84mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)および水(50mL)中の溶液を、0℃に冷却し、水酸化リチウム(6.0g、250mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、1M塩酸水溶液でpH3に酸性化した。水層を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。収量:13g、69mmol、82%。LCMS m/z 189.8 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.52 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.29 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.73
(dd, J=8.6, 2.4 Hz, 1H), 6.68 (t, J
HF=71.5 Hz, 1H).
【0160】
ステップ3、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C9)の合成。
P2(350mg、0.901mmol)およびC8(204mg、1.08mmol)のアセトニトリル(9mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.314mL、1.80mmol)、およびこれに続いてO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、97%、424mg、1.08mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した後、酢酸エチル(10mL)および水(10mL)に分配した。水層を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜80%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を固体として得た。収量:410mg、0.733mmol、81%。LCMS m/z 560.3 [M+H]
+.
【0161】
ステップ4、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(1)の合成。
C9(390mg、0.762mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、95%、132μL、0.838mmol)のメタノール(15mL)溶液を、70℃で90分間加熱した。真空中で溶媒を除去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜8%のジクロロメタン中メタノール)によって精製して、生成物を固体として得た。収量:191mg、0.419mmol、55%。LCMS m/z 456.2 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.40 (br s, 1H), 8.48 (br dd, J=2.7, 0.6 Hz, 1H),
8.31 (dd, J=8.6, 0.6 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.68 (ddt, J=8.6, 2.7, 0.7 Hz, 1H),
6.65 (t, J
HF=72.0 Hz, 1H), 3.93 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, J
AB=11.2 Hz, Δν
AB=45.8 Hz, 2H), 3.75 (dqd, J=11.2, 6.1, 2.3 Hz, 1H), 3.19 (dd,
J=12.6, 4.0 Hz, 1H), 2.83-2.90 (m, 1H), 2.61 (dd, J=12.6, 2.8 Hz, 1H), 1.81
(ddd, J=13.2, 12.9, 11.4 Hz, 1H), 1.56 (ddd, J=13.4, 4.2, 2.3 Hz, 1H), 1.30 (d,
J=6.1 Hz, 3H).
【0162】
実施例1の塩酸塩の代替合成
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(1HCl)
【0163】
【化23】
ステップ1、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド(C9)の合成。
C8(2.51g、13.3mmol)、P2(5.00g、12.9mmol)、およびトリエチルアミン(7.2mL、52mmol)の酢酸エチル(28mL)中氷冷混合物に、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50重量%酢酸エチル溶液、19.2mL、32.2mmol)を5分かけて添加し、その間反応温度を0℃〜5℃の間に保った。20℃〜25℃で45分撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、次いで塩酸水溶液(1M、50mL)を添加してクエンチした。その結果生じた混合物をトリエチルアミンの水溶液(1M、50mL)で洗浄した。大気下で有機層を2−プロパノールで置き換え、生成物および2−プロパノールからなる約75mLの最終体積とした。このスラリーを0℃〜5℃に冷却し、30分間粒状化し、濾過によって固体を収集し、冷2−プロパノールで洗浄して、生成物を固体として得た。収量:5.75g、10.3mmol、80%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.62 (d, J=2.7 Hz, 1H), 8.23 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.94-8.19 (v br m,
2H), 7.92 (dd, J=8.8, 2.7 Hz, 1H), 7.73-7.79 (br s, 1H), 7.5-7.6 (br s, 1H),
7.49 (t, J
HF=72.8 Hz, 1H), 7.45-7.51 (m, 2H), 4.06-4.21 (v br s,
1H), 3.82 (br d, J=11.6 Hz, 1H), 3.69-3.8 (v br m, 1H), 2.85-3.06 (br m, 2H),
2.69-2.80 (br m, 1H), 1.67-1.79 (br m, 1H), 1.53-1.66 (m, 1H), 1.19 (d, J=6.0
Hz, 3H).
【0164】
ステップ2、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(1・HCl)の合成。
C9(1.00g、1.79mmol)のトルエン(10mL)溶液に、SiliCycleのSiliaMetS(登録商標)ジアミン(4.72g、5.36mmol)を添加し、反応混合物を還流で終夜加熱した。35℃に冷却した後、反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、35℃で10分間撹拌し、珪藻土で濾過して、SiliCycle試薬を除去した。フィルターパッドをジクロロメタンですすぎ、合わせた濾液を加熱還流し、酢酸イソプロピル(4×10mL)で置き換えて、最終体積を15mLとした。この混合物を50℃に加熱し、濃塩酸(0.17mL、2.0mmol)で処理し、引き続いて0℃〜5℃に冷却して、1時間粒状化した。濾過によって固体を収集し、冷プロパン−2−イルアセテートで洗浄して、生成物を固体として得た。この材料は、粉末X線回折分析によると結晶質であった。収量:0.67g、1.4mmol、78%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.30 (br s, 1H), 10.73 (s, 1H), 9.6-9.9 (v br s, 1H), 8.6-8.9 (v
br s, 1H), 8.63 (d, J=2.7 Hz, 1H), 8.24 (d, J=8.6 Hz, 1H), 7.93 (dd, J=8.7, 2.8
Hz, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.51 (t, J
HF=72.8 Hz, 1H), 3.96 (AB四重線, J
AB=12.2 Hz, Δν
AB=62.6 Hz, 2H), 3.75-3.85 (m, 1H), 3.02-3.11 (m, 3H), 1.73-1.82 (m,
1H), 1.39-1.52 (m, 1H), 1.21 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0165】
結晶質の実施例1の塩酸塩の代替生成
実施例1の試料(224mg、0.492mmol)を60℃で酢酸エチル(1mL)に溶解した。塩化水素(2Mジエチルエーテル溶液、0.49mL、0.98mmol)を添加し、スラリーを撹拌しながら室温に冷却した。真空中で溶媒を除去し、残渣を熱エタノールに溶解した。その結果生じた溶液を室温に冷却し、3日間静置し、単結晶を観察し、その1つを、以下に記載するX線結晶構造測定に掛けた。これによって、実施例1の塩酸塩の、示した立体化学が確認された。エタノールを吹き飛ばして最小量にし、濾過によって固体を収集した。この試料は、粉末X線回折分析によると結晶質であった。収量:200mg、0.41mmol、83%。
【0166】
1・HClの単結晶X線分析
データ収集は、室温においてBruker APEX回折計で行った。データ収集は、ωおよびφ走査からなるものであった。
【0167】
構造は、空間群P2
12
12
1においてSHELXソフトウェア一式を使用する直接法によって解明した。引き続いて、完全行列最小二乗法によって、構造を精密化した。すべての非水素原子を見出し、異方性変位パラメータを使用して精密化した。
【0168】
非対称単位は、実施例1の化合物のイオン化した分子1個と、1個の塩化物イオンとから構成される。
【0169】
窒素および酸素上に配置された水素原子を、差フーリエマップから見出し、自由に精密化した。残りの水素原子は、算出された位置に配置し、そのキャリヤ原子に載せた。最終の精密化は、すべての水素原子についての等方性変位パラメータを含んだ。
【0170】
最終R指数は5.8%であった。最終差フーリエによって、電子密度の欠落または誤配置は明らかにならなかった。
【0171】
該当する結晶、データ収集、および精密化の情報を、表XR4に要約する。原子座標、結合長、結合角、ねじれ角、および変位パラメータを、表XR5〜XR8に列挙する。
【0172】
ソフトウェアおよび参考文献
SHELXTL、バージョン5.1、Bruker AXS、1997。
PLATON、A.L.Spek、J.Appl.Cryst.2003、36、7〜13。
MERCURY、C.F.Macrae、P.R.Edington、P.McCabe、E.Pidcock、G.P.Shields、R.Taylor、M.Towler、およびJ.van de Streek、J.Appl.Cryst.2006、39、453〜457。
R.W.W.Hooft、L.H.Straver、およびA.L.Spek、J.Appl.Cryst.2008、41、96〜103。
H.D.Flack、Acta Cryst.1983、A39、867〜881。
【0173】
【表1】
【0174】
【表2】
【0175】
【表3-1】
【0176】
【表3-2】
【0177】
【表3-3】
【0178】
【表4-1】
【0179】
【表4-2】
【0180】
【表5】
【0181】
(実施例2)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(2)
【0182】
【化24】
ステップ1、メチル5−(ジフルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボキシレート(C10)の合成。
メチル5−ヒドロキシピラジン−2−カルボキシレート(9.25g、60.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(120mL)溶液に、炭酸カリウム(24.8g、179mmol)およびクロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(18.3g、120mmol)を添加した。混合物を15分間100℃に加熱し、その後濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(2×50mL)で洗浄した。合わせた濾液を飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)中に注ぎ、酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×300mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2×300mL)で順次洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜15%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色の固体として得た。収量:1.7g、8.3mmol、14%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.92 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.47 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.49 (t, J
HF=71.3
Hz, 1H), 4.04 (s, 3H).
【0183】
ステップ2、5−(ジフルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボン酸(C11)の合成。
C10(2.10g、10.3mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)および水(12mL)中の溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(5M、4.10mL、20.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で5分間撹拌し、その後塩酸水溶液(2M、11mL)で処理した。混合物を酢酸エチル(2×150mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:1.8g、9.5mmol、92%。LCMS m/z 189.0 [M-H
+].
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.05 (d, J=1.3 Hz, 1H), 8.43 (d, J=1.4 Hz, 1H), 7.52
(t, J
HF=71.0 Hz, 1H).
【0184】
ステップ3、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(C12)の合成。
実施例1でC9の合成について記載した方法を使用して、化合物P2をC11と反応させた。生成物を固体として単離した。収量:65mg、0.12mmol、52%。LCMS m/z 561.3 [M+H]
+.
【0185】
ステップ4、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)ピラジン−2−カルボキサミド(2)の合成。
C12(65mg、0.12mmol)のエタノール(1.2mL)溶液に、ピリジン(0.96mL、12mmol)およびメトキシルアミン塩酸塩(96.9mg、1.16mmol)を添加した。反応混合物を50℃で5時間撹拌し、その後室温に冷却し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液(3回)、水、および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、溶液を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜4%のジクロロメタン中メタノール)によって精製して、生成物を固体として得た。収量:41mg、90μmol、75%。LCMS m/z 457.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.09 (br s, 1H), 9.06 (d, J=1.3 Hz, 1H), 8.34 (d,
J=1.3 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.51 (t, J
HF=71.4 Hz, 1H), 3.89 (AB四重線, J
AB=11.1 Hz, Δν
AB=40.8 Hz, 2H), 3.73 (dqd, J=11.2, 6.1, 2.2 Hz, 1H), 3.16 (dd,
J=12.5, 4.0 Hz, 1H), 2.77-2.84 (m, 1H), 2.58 (dd, J=12.5, 2.8 Hz, 1H), 1.80
(ddd, J=13.1, 12.9, 11.4 Hz, 1H), 1.53 (ddd, J=13.4, 4.2, 2.3 Hz, 1H), 1.28 (d,
J=6.1 Hz, 3H).
【0186】
(実施例3)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド(3)
【0187】
【化25】
【0188】
ステップ1、メチル2−(ジクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C13)の合成。
−5℃のナトリウムメトキシド(15.4g、0.285mol)のメタノール(500mL)溶液に、ジクロロアセトニトリル(215g、1.96mol)のメタノール(200mL)溶液を滴下で添加した。次いで、−5℃の反応混合物に、セリンエチル塩酸塩(382g、2.45mol)のメタノール(300mL)溶液を添加し、引き続いてこれを室温で16時間撹拌した。ジクロロメタン(1L)および水(800mL)を添加し、水層をジクロロメタン(1L)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色のオイルとして得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。収量:300g、1.4mol、71%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.29 (s, 1H), 4.90 (dd, J=10.8, 8.3 Hz, 1H), 4.74 (dd, J=8.8, 8.3
Hz, 1H), 4.66 (dd, J=10.8, 8.9 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H).
【0189】
ステップ2、メチル2−(クロロメチル)−4−メトキシ−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C14)の合成。
冷却したナトリウムメトキシド(52.2g、0.966mol)のメタノール(300mL)溶液に、C13(205g、0.967mol)のメタノール(700mL)溶液を、反応温度を10℃未満に保つのに十分な速度で滴下で添加した。次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後ジクロロメタン(1L)および水(800mL)で希釈した。水層をジクロロメタン(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮して、生成物を黄色のオイルとして得た。この材料をさらに精製することなく次のステップで使用した。収量:200g、0.96mol、99%。
【0190】
ステップ3、メチル2−(クロロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C15)の合成。
C14(193g、0.930mol)のトルエン(700mL)溶液に、(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イル)メタンスルホン酸(ショウノウスルホン酸、45.9g、0.198mol)を添加し、反応混合物を70℃で1時間加熱した。水(1L)を添加し、混合物を酢酸エチル(2×1L)で抽出し、合わせた有機層を炭酸カリウム水溶液(10%、500mL)、水(800mL)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(0.8L)で順次洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜25%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:55g、0.31mol、33%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.26 (s, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.93 (s, 3H).
【0191】
ステップ4、メチル2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C16)の合成。
C15(40g、0.23mol)のアセトニトリル(1L)懸濁液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(357g、1.36mol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間撹拌した。真空中で溶媒を除去した後、残渣を水(1L)で希釈し、酢酸エチル(4×1L)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:17%〜23%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を黄色の固体として得た。収量:8.7g、55mmol、24%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.31 (d, J=1.2 Hz, 1H), 5.43 (d, J
HF=47.2 Hz, 2H), 3.94
(s, 3H).
【0192】
ステップ5、2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボン酸(C17)の合成。
C16(18g、110mmol)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に、水酸化リチウム(5.42g、226mmol)のメタノールおよび水の混合物(1:1、500mL)中の溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後真空中で濃縮した。残渣を水(500mL)に溶解した後、2M塩酸水溶液を添加してpH2に酸性化した。次いで水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:13g、90mmol、82%。LCMS m/z 144.0 [M-H
+].
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.61 (s, 1H), 5.47 (d, J
HF=47 Hz, 2H).
【0193】
ステップ6、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド(C18)の合成。
P2(803mg、2.07mmol)およびC17(300mg、2.07mmol)の酢酸エチル(4mL)溶液を、0℃に冷却し、ピリジン(0.67mL、8.3mmol)および2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(T3P、50%の酢酸エチル溶液、2.46mL、4.13mmol)で処理した。反応混合物を2時間撹拌し、その後酢酸エチルで希釈し、塩酸水溶液(1M、3回)、炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、次いで真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を固体として得た。収量:650mg、1.26mmol、61%。LCMS m/z 516.1 [M+H]
+.
【0194】
ステップ7、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(フルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド(3)の合成。
C18(0.81g、1.6mmol)のエタノール(16mL)溶液に、ピリジン(12.9mL、158mmol)およびメトキシルアミン塩酸塩(1.31g、15.7mmol)を添加し、反応混合物を50℃で2.5時間撹拌し、その後室温に冷却し、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン(5mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液(3回)、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜80%のヘプタン中酢酸エチル)によって材料を得、それを最小量のアセトニトリルによって50℃で処理した。その結果生じたスラリーを撹拌しながら室温に冷却し、結晶させた。減圧下で濾過して、生成物を結晶質の固体(顕微鏡分析および複屈折によって確認されたとおり)として得た。収量:360mg、0.875mmol、55%。LCMS m/z 412.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.37 (br s, 1H), 8.36 (d, J=1.4 Hz, 1H), 7.65 (s,
1H), 5.44 (d, J
HF=47.2 Hz, 2H), 4.47-4.64 (br s, 2H), 3.89 (AB四重線, 低磁場二重線が広がっている, J
AB=11.0 Hz, Δν
AB=45.1 Hz, 2H), 3.69-3.78 (m, 1H),
3.16 (dd, J=12.5, 4.0 Hz, 1H), 2.77-2.85 (m, 1H), 2.59 (dd, J=12.5, 2.8 Hz, 1H),
1.81 (ddd, J=13, 13, 11 Hz, 1H), 1.54 (ddd, J=13, 4, 2 Hz, 1H), 1.30 (d, J=6.1
Hz, 3H).
【0195】
(実施例4)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(4)
【0196】
【化26】
ステップ1、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(C19)の合成。
1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(125mg、0.771mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に、室温でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(416mg、3.22mmol)を添加した後、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、734mg、1.93mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌した後、P2(250mg、0.644mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液をシリンジで添加し、撹拌を16時間続けた。次いで反応混合物を氷水(150mL)中に注ぎ、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水(2×100mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルでの分取薄層クロマトグラフィー(溶離液:2:1の石油エーテル/酢酸エチル)によって精製して、生成物を黄色のオイルとして得た。収量:150mg、0.28mmol、43%。LCMS m/z 532.9 [M+H]
+.
【0197】
ステップ2、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(4)の合成。
C19(150mg、0.28mmol)のエタノール(4mL)溶液に、メトキシルアミン塩酸塩(236mg、2.82mmol)およびピリジン(2.19g、27.7mmol)を添加し、反応混合物を還流で16時間加熱した。減圧下で溶媒を除去し、残渣を逆相HPLC(カラム:Agela Durashell C18、5μm;移動相A:アンモニア水溶液、pH10;移動相B:アセトニトリル;勾配:15%〜35%のB)によって精製して、生成物を白色の固体として得た。収量:54.7mg、0.128mmol、46%。LCMS m/z 428.8 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.35 (br s, 1H), 7.90 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.65 (s,
1H), 7.22 (t, J
HF=60.5 Hz, 1H), 7.08 (d, J=2.6 Hz, 1H), 4.50-4.62
(br s, 2H), 3.90 (AB四重線, J
AB=11 Hz, Δν
AB=43 Hz, 2H), 3.69-3.79 (m, 1H), 3.16
(dd, J=12, 4 Hz, 1H), 2.77-2.85 (m, 1H), 2.56-2.62 (m, 1H), 1.75-1.87 (m, 1H),
1.51-1.6 (m, 1H, 推定; 水のピークにより一部不明確), 1.29 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0198】
(実施例5)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド(5)
【0199】
【化27】
ステップ1、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド(C20)の合成。
実施例4でC19の合成について記載した方法を使用して、P2を5−シアノピリジン−2−カルボン酸と反応させた。生成物を黄色のオイルとして得た。収量:300mg、0.58mmol、45%。LCMS m/z 519.1 [M+H]
+.
【0200】
ステップ2、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−シアノピリジン−2−カルボキサミド(5)の合成。
C20(300mg、0.58mmol)のエタノール(4mL)溶液に、メトキシルアミン塩酸塩(483mg、5.78mmol)およびピリジン(4.58g、57.9mmol)を添加し、反応混合物を50℃で16時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去した後、残渣を逆相HPLC(カラム:Kromasil Eternity XT C18、10μm;移動相A:アンモニア水溶液、pH10;移動相B:アセトニトリル;勾配:22%〜42%のB)によって精製して、生成物を白色の固体として得た。収量:69mg、0.17mmol、29%。LCMS m/z 414.8 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.44 (br s, 1H), 8.90-8.94 (m, 1H), 8.43 (br d,
J=8.3 Hz, 1H), 8.22 (dd, J=8, 2 Hz, 1H), 7.77 (s, 1H), 4.5-4.9 (br s, 2H), 3.92
(AB四重線, J
AB=11 Hz, Δν
AB=44 Hz, 2H), 3.70-3.80 (m, 1H), 3.17
(dd, J=12, 4 Hz, 1H), 2.81-2.89 (m, 1H), 2.61 (dd, J=13, 3 Hz, 1H), 1.75-1.87
(m, 1H), 1.52-1.60 (m, 1H), 1.30 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0201】
(実施例6)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−4−クロロ−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(6)
【0202】
【化28】
ステップ1、メチル1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(C21)の合成。
1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(238mg、1.47mmol)のメタノール(9mL)溶液を0℃に冷却し、濃硫酸(98%、0.10mL、1.8mmol)で処理した。反応混合物を還流で2時間加熱し、その後冷却し、真空中で濃縮し、酢酸エチル(15mL)および水(15mL)に分配した。有機層を、水洗液がpH4〜5に達するまで水(3×10mL)で洗浄し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物を無色透明なオイルとして得た。収量:241mg、1.37mmol、93%。LCMS m/z 177.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ7.89 (d, J=2.7 Hz, 1H), 7.28 (t, J
HF=60.0
Hz, 1H), 6.99 (d, J=2.6 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H).
【0203】
ステップ2、メチル4−クロロ−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(C22)の合成。
C21(235mg、1.33mmol)およびN−クロロスクシンイミド(600mg、4.5mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)溶液を、50℃で16時間加熱した。N−クロロスクシンイミド(0.40g、3.0mmol)を再び添加し、加熱を5時間続けた。次いで反応混合物を冷却し、水(20mL)中に注ぎ、酢酸エチル(4×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜50%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の固体として得た。収量:158mg、0.750mmol、56%。GCMS m/z 210, 212 (M
+).
1H NMR (400 MHz,
DMSO-d
6) δ8.79 (s, 1H), 7.89 (t, J
HF=58.5
Hz, 1H), 3.87 (s, 3H).
【0204】
ステップ3、4−クロロ−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(C23)の合成。
実施例3でC17の合成について記載した方法を使用して、化合物C22を加水分解した。生成物を白色の固体として得た。収量:138mg、0.702mmol、95%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ13.62 (br s, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.87 (t, J
HF=58.6 Hz,
1H).
【0205】
ステップ4、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−4−クロロ−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(C24)の合成。
実施例3でC18の合成について記載した方法を使用して、P2をC23と反応させて、生成物を白色の固体として得た。収量:63mg、0.11mmol、71%。LCMS m/z 567.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ9.31 (s, 1H), 7.98-8.24 (br s, 2H), 7.95 (s, 1H),
7.70-7.83 (br s, 1H), 7.39-7.65 (m, 3H), 7.16 (t, J
HF=60 Hz, 1H),
3.86-4.05 (m, 2H), 3.70-3.82 (m, 1H), 3.12-3.25 (m, 1H), 2.92-3.07 (m, 1H),
2.54-2.69 (m, 1H), 1.77-1.98 (m, 1H), 1.53-1.74 (m, 2H), 1.27-1.35 (m, 3H).
【0206】
ステップ5、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−4−クロロ−1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(6)の合成。
実施例2で2の合成について記載した方法に従って、化合物C24をこの生成物に変換した。生成物を白色の固体として得た。収量:41.9mg、90.5μmol、85%。LCMS m/z 463.0, 465.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ9.27 (br s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.68
(s, 1H), 7.15 (t, J
HF=60 Hz, 1H), 4.46-4.66 (br s, 2H), 3.89 (AB四重線, J
AB=11 Hz, Δν
AB=44 Hz, 2H), 3.68-3.78 (m, 1H), 3.12-3.19 (m, 1H), 2.74-2.83 (m,
1H), 2.58 (br d, J=12 Hz, 1H), 1.75-1.87 (m, 1H), 1.49-1.57 (m, 1H), 1.29 (d,
J=6 Hz, 3H).
【0207】
(実施例7)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド(7)
【0208】
【化29】
ステップ1、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド(C25)の合成。
実施例4でC19の合成について記載した方法を使用して、5−クロロピリジン−2−カルボン酸をP2と反応させた。生成物を無色のオイルとして得た。収量:80mg、0.15mmol、71%。LCMS m/z 527.9 [M+H]
+.
【0209】
ステップ2、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド(7)の合成。
C25(60mg、0.11mmol)のエタノール(5mL)溶液に、メトキシルアミン塩酸塩(94.9mg、1.14mmol)およびピリジン(899mg、11.4mmol)を添加し、反応混合物を還流で72時間加熱した。減圧下で揮発性物質を除去し、残渣を逆相HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18;8μm、移動相A:アンモニア水溶液、pH10;移動相B:アセトニトリル;勾配:45%〜65%のB)によって精製して、生成物を白色の固体として得た。収量:12.7mg、30.0μmol、27%。LCMS m/z 423.8 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.40 (br s, 1H), 8.58 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.24 (d,
J=8.3 Hz, 1H), 7.90 (dd, J=8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 4.5-4.8 (br s, 2H),
3.92 (AB四重線, J
AB=11.1 Hz, Δν
AB=40.2 Hz, 2H), 3.71-3.80 (m, 1H),
3.18 (dd, J=12.6, 4.2 Hz, 1H), 2.81-2.89 (m, 1H), 2.60 (dd, J=12, 3 Hz, 1H),
1.75-1.87 (m, 1H), 1.51-1.59 (m, 1H), 1.30 (d J=6.2 Hz, 3H).
【0210】
実施例7の塩酸塩の代替合成
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(7・HCl)
【0211】
【化30】
ステップ1、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド(C25)の合成。
P2(191.0g、491.6mmol)、5−クロロピリジン−2−カルボン酸(79.8g、506mmol)、およびトリエチルアミン(274mL、1.97mol)の酢酸エチル(1.05L)中の0℃〜5℃の混合物に、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50重量%の酢酸エチル溶液、732mL、1.23mol)を25分かけて添加した。反応混合物を室温に加温し、1時間撹拌し、その後ジクロロメタン(1.9L)で希釈し、塩酸水溶液(1M、1.9L)でクエンチした。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.9L)で洗浄し、次いで、温度80℃において2−プロパノールで置き換えて体積を2.8Lとした。その結果生じたスラリーを0℃〜5℃に冷却し、30分間粒状化し、濾過によって固体を収集し、冷2−プロパノールで洗浄して、生成物を淡いピンク色の固体として得た。収量:226.3g、428.6mmol、87%。
【0212】
ステップ2、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−クロロピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(7・HCl)の合成。
C25(226.3g、428.6mmol)のトルエン(2.26L)溶液に、SiliCycleのSiliaMetS(登録商標)ジアミン(1.13kg、1.28mol)を添加し、反応混合物を還流で終夜加熱した。次いでそれを50℃に冷却し、テトラヒドロフラン(2.26L)で希釈した。室温に冷却した後、混合物を珪藻土で濾過してSiliCycle試薬を除去し、フィルターパッドをテトラヒドロフラン(1L)で洗浄した。合わせた濾液を真空中で濃縮して体積をおよそ2.5Lとし、その後濃塩酸(73.6mL、884mmol)を添加した。混合物を真空中にて2−プロパノール(3×2.3L)で繰り返し濃縮して、最終体積を2.3Lとし、次いで0℃〜5℃に冷却し、30分間粒状化した。濾過した後、収集した固体を冷2−プロパノールで洗浄して、生成物を固体(135.4g)として得た。使用済みのSiliCycle試薬から、追加の生成物を次の通りに得た。使用済み材料をテトラヒドロフラン(1.5L)中にスラリー化し、撹拌し、次いで珪藻土で濾過した。フィルターパッドをテトラヒドロフラン(500mL)で洗浄し、合わせた濾液を真空中で濃縮して、およそ55gの材料を得た。これを2−プロパノール(550mL)と混合し、濃塩酸(18.5mL、222mmol)で処理し、室温で30分間粒状化した。濾過し、収集した固体を冷2−プロパノールで洗浄して、追加の生成物を固体(42.1g)として得た。これら2つの生成物のバッチを合わせ、メタノール(1.8L)およびジクロロメタン(2.2L)で処理し、加熱還流した。その結果生じた溶液をおよそ1.5Lの体積に濃縮し、次いで、2−プロパノールで置き換えて体積をおよそ1.8Lとした。この混合物を0℃〜5℃に冷却し、30分間粒状化し、濾過によって固体を収集し、冷2−プロパノールで洗浄して、生成物を固体として得た。収量:165.8g、360.1mmol、84%。LCMS m/z 424.3, 426.3 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CD
3OD) δ 8.71 (dd, J=2.4, 0.7 Hz, 1H), 8.22
(dd, ABXパターンの半分, J=8.4, 0.7 Hz, 1H), 8.09 (dd, ABXパターンの半分, J=8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 4.06 (s, 2H), 3.82-3.92 (m, 1H),
3.19-3.26 (m, 2H), 2.97-3.04 (m, 1H), 1.83 (ddd, J=14, 4, 2.5 Hz, 1H), 1.62
(ddd, J=14, 11.5, 11.5 Hz, 1H), 1.29 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0213】
結晶質の実施例7の塩酸塩の生成
実施例7の試料(150mg、0.35mmol)を60℃でエタノール(10mL)に溶解した。濃塩酸(59.0μL、0.708mmol)を添加し、スラリーを撹拌しながらゆっくりと室温に冷却した。その結果生じた結晶を濾過によって収集して、生成物を白色の固体として得たが、これは、粉末X線回折分析によると結晶質であった。収量:147mg、0.319mmol、91%。LCMS m/z 424.1, 426.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
DMSO-d
6) δ 11.20 (br s, 1H), 10.78 (s, 1H),
9.5-9.9 (v br s, 1H), 8.81 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.5-8.85 (v br s, 1H), 8.23 (dd,
ABXパターンの半分, J=8.4, 2.4 Hz, 1H), 8.16 (d, AB四重線の半分, J=8.4 Hz, 1H), 7.85 (s, 1H), 4.04 (d, J=12.2 Hz, 1H), 3.88 (d,
J=12.0 Hz, 1H), 3.75-3.85 (m, 1H), 3.01-3.12 (m, 3H), 1.73-1.82 (m, 1H),
1.39-1.51 (m, 1H), 1.21 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0214】
(実施例8)
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(ジフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド(8)
【0215】
【化31】
ステップ1、エチル2−[(E)−2−フェニルエテニル]−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C26)の合成。
(2E)−3−フェニルプロパ−2−エンアミド(2.00g、13.6mmol)および炭酸水素ナトリウム(4.57g、54.4mmol)のテトラヒドロフラン(48mL)中混合物を、0℃に冷却した。エチル3−ブロモ−2−オキソプロパノエート(3.16mL、25.2mmol)を滴下で添加し、反応混合物を還流で4時間加熱し、その後珪藻土で濾過し、真空中で濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(33mL)に溶解し、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸無水物(14.8mL、105mmol)を滴下して処理した。反応混合物を室温で10時間撹拌し、次いで0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加してクエンチした。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜30%のヘプタン中酢酸エチル)によって、部分的に精製された生成物を得、これをヘプタン/酢酸エチルから結晶化して、生成物を淡黄色の針晶として得た。収量:1.52g、6.25mmol、46%。LCMS m/z 244.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.20 (s, 1H), 7.63 (d, J=16.4 Hz, 1H), 7.51-7.56 (m,
2H), 7.34-7.43 (m, 3H), 6.97 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.42 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.41
(t, J=7.1 Hz, 3H).
【0216】
ステップ2、エチル2−ホルミル−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C27)の合成。
C26(394mg、1.62mmol)を1,4−ジオキサンおよび水の混合物(3:1、16mL)中の溶液に、2,6−ジメチルピリジン(375μL、3.24mmol)、四酸化オスミウム(8.1mg、32μmol、2.5重量%のtert−ブタノール溶液として)、および過ヨウ素酸ナトリウム(1.39g、6.50mmol)を添加した。室温で23時間経過後、反応混合物をジクロロメタンおよび水に分配し、水層をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜80%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を固体として得た。収量:102mg、0.603mmol、37%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.83 (d, J=0.9 Hz, 1H), 8.43 (d, J=0.8 Hz, 1H), 4.46 (q, J=7.1 Hz,
2H), 1.43 (t, J=7.2 Hz, 3H).
【0217】
ステップ3、エチル2−(ジフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(C28)の合成。
0℃のC27(102mg、0.603mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液に、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄(126μL、0.954mmol)を添加し、反応混合物を室温に加温した。72時間後、反応混合物を水およびジクロロメタンに分配した。有機層を1M塩酸水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜30%のヘプタン中酢酸エチル)によって、生成物を白色の綿毛状固体として得た。収量:72.5mg、0.379mmol、63%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.34 (td, J=0.8, 0.3 Hz, 1H), 6.70 (td, J=52.1, 0.3 Hz, 1H), 4.42
(q, J=7.1 Hz, 2H), 1.40 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0218】
ステップ4、2−(ジフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボン酸(C29)の合成。
C28(72.5mg、0.379mmol)のテトラヒドロフラン、水、およびメタノールの混合物(1:1:1、3mL)中の溶液に、水酸化リチウム(27.2mg、1.14mmol)を添加し、反応混合物を3時間撹拌した。減圧下で揮発性物質を除去した後、残渣をジエチルエーテル(25mL)および水(25ml)に分配した。水層をジエチルエーテルで2回抽出し、1M塩酸水溶液でpH1に酸性化し、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を固体として得た。収量:30.3mg、0.186mmol、49%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 13.44 (br s, 1H), 9.00 (s, 1H), 7.28 (t, J
HF=52 Hz, 1H).
【0219】
ステップ5、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(ジフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド(C30)の合成。
実施例1でC9の合成について記載した方法を使用して、C29をP2と反応させた。生成物を白色の固体として得た。収量:50.4mg、94.4μmol、79%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.37 (br s, 1H), 8.43 (s, 1H), 7.9-8.3 (br s, 2H), 7.72 (s, 1H),
7.51-7.59 (m, 1H), 7.43-7.51 (m, 2H), 6.71 (t, J
HF=52.4 Hz, 1H),
3.95 (AB四重線, 高磁場二重線が広がっている, J
AB=12
Hz, Δν
AB=23 Hz, 2H),
3.72-3.82 (m, 1H), 3.17 (br dd, J=13, 4 Hz, 1H), 2.95-3.06 (m, 1H), 2.61 (dd,
J=13, 2 Hz, 1H), 1.83-1.97 (m, 1H), 1.64-1.72 (m, 1H), 1.31 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0220】
ステップ6、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−2−(ジフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−4−カルボキサミド(8)の合成。
実施例5で5の合成について記載した方法を使用して、化合物C30を生成物に変換した。この場合では、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン中メタノール)に掛けた。クロマトグラフィーに掛けた材料のジューテロクロロホルム溶液にジクロロメタンを添加すると、固体が生じ、これを濾過によって単離して、生成物を固体として得た。収量:7.9mg、18μmol、19%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.10 (s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.33 (t, J
HF=52 Hz, 1H),
3.95 (AB四重線, J
AB=12 Hz, Δν
AB=82 Hz, 2H), 3.70-3.81 (m, 1H),
2.96-3.10 (m, 3H), 1.79 (br d, J=13 Hz, 1H), 1.39-1.52 (m, 1H), 1.21 (br d, J=5
Hz, 3H).
【0221】
実施例45の代替合成
N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【0222】
【化32】
ステップ1、3−メチル−5−ニトロピリジン−2−カルボニトリル(C34)の合成。
3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(128g、1.08mol)および硝酸テトラブチルアンモニウム(363g、1.19mol)のtert−ブチルメチルエーテル(1.3L)中混合物を、4℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(171mL、1.21mol)を添加し、反応混合物を室温で60時間撹拌した。次いで、20%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHをおよそ7に調整し、ジクロロメタン(3×1L)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:0%〜10%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製して、生成物を黄色の固体として得た。収量:70g、0.43mmol、40%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 9.31-9.36 (m, 1H), 8.47-8.52 (m, 1H), 2.74 (s, 3H).
【0223】
ステップ2、5−アミノ−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C35)の合成。
C34(40.0g、245mmol)のエタノール(630mL)および水(70mL)中の溶液に、塩化カルシウム(13.6g、123mmol)、およびこれに続いて鉄粉(123g、2.20mol)を添加し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を濾過した後、濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:10%〜50%の石油エーテル中酢酸エチル)によって精製した。生成物を黄色の固体として得た。収量:20.0g、150mmol、61%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.94 (d, J=2.5 Hz, 1H), 6.81 (d, J=2.5 Hz, 1H), 4.07-4.19 (br s,
2H), 2.45 (s, 3H).
【0224】
ステップ3、5−ヒドロキシ−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C36)の合成。
C35(18.0g、135mmol)の水(243mL)および濃硫酸(67.5mL)中の0℃の溶液に、亜硝酸ナトリウム(10.3gの亜硝酸ナトリウムを含有する1.6M水溶液、149mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物を室温に加温し、次いで100℃で3時間撹拌し、その後冷却し、酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×75mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2×75mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色の固体として得た。収量:16g、120mmol、89%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.07 (br s, 1H), 8.08 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.20 (d, J=2.3 Hz, 1H),
2.40 (s, 3H).
【0225】
ステップ4、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボニトリル(C37)の合成。
C36(5.70g、42.5mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(13.0g、85.3mmol)、および炭酸カリウム(17.6g、127mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(175mL)中混合物を、100℃で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×200mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(3×200mL)で順次洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(200mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:5%〜15%の石油エーテル中酢酸エチル)によって、生成物を無色のオイルとして得た。収量:3.9g、21mmol、49%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.39 (br d, J=2.1 Hz, 1H), 7.43-7.47 (m, 1H), 6.64 (t, J
HF=71.5
Hz, 1H), 2.59 (s, 3H).
【0226】
ステップ5、5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(C38)の合成。
C37(7.60g、41.3mmol)のエタノール(200mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1M、124mL、124mmol)を添加し、反応混合物を70℃で16時間撹拌した。次いでそれをtert−ブチルメチルエーテル(200mL)で希釈し、水(2×100mL)で抽出した。合わせた水層をtert−ブチルメチルエーテル(100mL)で洗浄し、1M塩酸水溶液でpH2に酸性化し、tert−ブチルメチルエーテル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を白色の固体として得た。収量:6.6g、32mmol、77%。LCMS m/z 203.7 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD)
δ 8.32 (br d, J=2.1 Hz, 1H), 7.58-7.62 (m, 1H), 7.06
(t, J
HF=72.7 Hz, 1H), 2.64 (s, 3H).
【0227】
ステップ6、N−[(4aR,6S,8aR)−8a−{4−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−1,3−チアゾール−2−イル}−6−メチル−4,4a,5,6,8,8a−ヘキサヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(C39)の合成。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(3.54g、3.87mmol)、ジ−tert−ブチル[2’,4’,6’−トリ(プロパン−2−イル)ビフェニル−2−イル]ホスファン(4.93g、11.6mmol)、およびナトリウムtert−ブトキシド(18.6g、194mmol)を装入したフラスコを、2回窒素でパージした。1,4−ジオキサン(145mL)を添加し、反応混合物を85℃(内部反応温度)で5分間加熱し、その後、C6(35.0g、77.4mmol)および1−(2,4−ジメトキシフェニル)メタンアミン(19.8mL、132mmol)の1,4−ジオキサン(140mL)溶液を、5本のシリンジで同時に添加した。添加が完了した後、撹拌を85℃(内部反応温度)で15分間続け、次いで反応混合物を油浴から外し、水浴に浸して速やかに室温に冷却した。珪藻土および水(600mL)を添加し、混合物を珪藻土パッドで濾過した。パッドをジクロロメタン(3×300mL)で洗浄した。合わせた濾液の有機層を、その結果生じた水層のpHが中性と判明するまで水(3×300mL)で洗浄した。次いで有機層をクエン酸水溶液(5%、2×500mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×300mL)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液をシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィー[勾配:10%〜100%のヘプタン中(5%の酢酸エチル中トリエチルアミン)]に掛け、クロマトグラフィーから得られた橙色の固体をジエチルエーテル(100mL)で摩砕して、生成物を白色の固体(17.8g)として得た。摩砕からの濾液を真空中で濃縮し、残渣をジエチルエーテル(50mL)で摩砕して、追加の生成物を褐色の固体(11.5g)として得た。合わせた収量:29.3g、54.4mmol、70%。LCMS m/z 539.2 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.04-8.27 (br s, 2H), 7.39-7.58 (m, 3H), 7.20 (d,
J=8.3 Hz, 1H), 6.48 (d, AB四重線の半分, J=2.4 Hz, 1H), 6.44
(dd, ABXパターンの半分, J=8.3, 2.4 Hz, 1H), 5.74 (s, 1H), 4.21
(br s, 2H), 3.94 (br s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.81 (s, 3H), 3.7-3.8 (m, 1H), 3.23
(dd, J=13, 4 Hz, 1H), 2.95-3.06 (m, 1H), 2.52-2.62 (m, 1H), 1.80-1.95 (m, 1H),
1.6-1.69 (m, 1H, 推定; 水のピークにより一部不明確), 1.28 (d, J=6.0 Hz, 3H).
【0228】
ステップ7、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−(ベンゾイルアミノ)−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド(C40)の合成。
C38(12.1g、59.6mmol)およびトリエチルアミン(20.6mL、148mmol)の酢酸エチル(80mL)中混合物に、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50重量%の酢酸エチル溶液、88.4mL、148mmol)を添加し、反応混合物を65℃で20分間加熱した。化合物C39(20.0g、37.1mmol)を導入し、撹拌を65℃で1時間続けた。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)で希釈し、その結果生じた溶液を水(2×150mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(250mL)で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。その結果生じた固体をジクロロメタン(1.5L)に溶解し、トリフルオロ酢酸(140mL)で処理し、反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(約1L)でpH8に塩基性化した。水層をジクロロメタン(2×250mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:0%〜5%のジクロロメタン中メタノール)を使用して精製して、固体(24g)を得、これを酢酸エチル(100mL)で摩砕して、生成物を白色の固体(21.3g)として得た。
1H NMR分析によると、この材料は、酢酸エチルを含有していた。溶媒について補正した収量:19.3g、33.6mmol、91%。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.62 (s, 1H), 8.34 (br d, J=2.6 Hz, 1H), 8.00-8.26 (v br s, 2H),
7.75 (s, 1H), 7.51-7.58 (m, 1H), 7.41-7.51 (m, 3H), 6.64 (t, J
HF=72.1
Hz, 1H), 3.93-4.02 (m, 2H), 3.74-3.84 (m, 1H), 3.20 (br dd, J=13, 4 Hz, 1H),
3.00-3.10 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 2.61 (br dd, J=13, 2.6 Hz, 1H), 1.84-1.98 (m,
1H), 1.64-1.72 (m, 1H), 1.31 (d, J=6.1 Hz, 3H).
【0229】
ステップ8、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}−5−(ジフルオロメトキシ)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド(45)の合成。
C40(21.0g、36.6mmol)のキシレン(110mL)溶液を圧力管に入れ、SiliCycleのSiliaMetS(登録商標)ジアミン(70.0g、110mmol)で処理し、管を密封し、室温で5分間撹拌した後、135℃の油浴に入れた。16時間撹拌した後、反応混合物を20分かけて室温に冷却した。ジクロロメタン(10mL)を添加し、混合物を珪藻土で濾過した後、フィルターパッドをジクロロメタン(3×100mL)ですすいだ。合わせた濾液を減圧下で濃縮すると、透明なオイルが得られ、これに生成物の結晶を接種した。混合物は、直ちに不均質になり、濾過によって固体を収集し、トルエン(2×25mL)で洗浄し、ジエチルエーテル(100mL)で30分間撹拌した。濾過し、収集した固体を冷ジエチルエーテル(2×100mL)で洗浄して、生成物を白色の固体(12.8g)として得た。合わせた濾液を真空中で濃縮し、残渣を濾過し、単離した固体をジエチルエーテル(50mL)と共に30分間撹拌し、次いで濾過し、冷ジエチルエーテル(2×100mL)で洗浄した。これによって、追加の生成物をオフホワイト色の固体(3.3g)として得た。合わせた収量:16.1g、34.3mmol、94%。LCMS m/z 470.5 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 10.57 (br s, 1H), 8.32 (br d, J=2 Hz, 1H), 7.68 (s,
1H), 7.42 (br d, J=2 Hz, 1H), 6.63 (t, J
HF=72.2 Hz, 1H), 4.51-4.59
(br s, 2H), 3.91 (AB四重線, J
AB=11.0 Hz, Δν
AB=32.5 Hz, 2H), 3.70-3.80 (m, 1H),
3.18 (dd, J=12.5, 4.0 Hz, 1H), 2.84 (s, 3H), 2.80-2.88 (m, 1H), 2.59 (dd,
J=12.6, 2.8 Hz, 1H), 1.75-1.86 (m, 1H), 1.54 (ddd, J=13, 4, 2 Hz, 1H), 1.29 (d,
J=6.2 Hz, 3H).
【0230】
結晶質の実施例45の生成
実施例45の試料(94.0mg、0.200mmol)を酢酸プロパン−2−イル(1.0mL)と混合し、55℃に加熱した。微細な懸濁液を55℃〜60℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却し、1時間撹拌した。濾過した後、濾過ケークを酢酸プロパン−2−イルで洗浄して、実施例45をオフホワイト色の固体として得た。粉末X線回折分析によると、この材料は結晶質であった。収量:60mg、0.13mmol、64%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.81 (s, 1H), 8.42 (d, J=2.2 Hz, 1H), 7.72 (d, J=2 Hz, 1H), 7.62
(s, 1H), 7.44 (t, J
HF=73.0 Hz, 1H), 6.25 (br s, 2H), 3.68 (s, 2H),
3.57-3.66 (m, 1H), 2.85-2.94 (m, 1H), 2.60-2.70 (m, 5H), 1.49-1.66 (m, 2H),
1.14 (d, J=6.0 Hz, 3H).
【0231】
方法A
P2のN−アシル化に続く選択的な加水分解による、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}アミドの合成
【0232】
【化33】
適切なカルボン酸(78μmol)に、P2(25.2mg、64.9μmol)の酢酸エチル(0.5mL)溶液を添加した。2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50重量%の酢酸エチル溶液、0.26mL、0.13mmol)およびピリジン(21uL、0.26mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間振盪した。次いでそれを、ボルテックスしながら水(1.5mL)および酢酸エチル(2.4mL)に分配した。有機層を、硫酸ナトリウム(約1g)が装入された固相抽出カートリッジ(6mL)に通し、この抽出手順を2回繰り返した。合わせた溶離液を真空中で濃縮し、エタノール(0.75mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(51μL、1.0mmol)で処理し、室温で6時間振盪した。真空中で溶媒を除去し、生成物を、次の方法の一方を使用する逆相HPLCによって精製した。1)カラム:Waters XBridge C18、5μm;移動相A:0.03%の水中水酸化アンモニウム(v/v);移動相B:0.03%のアセトニトリル中水酸化アンモニウム(v/v);勾配:[5%または10%]〜100%のB、2)Waters Sunfire C18、5μm;移動相A:0.05%の水中トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:0.05%のアセトニトリル中トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:5%〜100%のB。
【0233】
方法B
P2のN−アシル化に続く選択的な加水分解による、N−{2−[(4aR,6S,8aR)−2−アミノ−6−メチル−4,4a,5,6−テトラヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−8a(8H)−イル]−1,3−チアゾール−4−イル}アミドの代替合成
【0234】
【化34】
適切なカルボン酸(0.12mmol)に、P2(46.6mg、0.120mmol)の酢酸エチル(1.5mL)溶液を添加し、混合物をドライアイスボックスで冷却した。トリエチルアミン(70μL、0.50mmol)および2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−トリオキシド(50重量%の酢酸エチル溶液、0.14mL、0.24mmol)を添加し、反応混合物を周囲温度に加温し、次いで室温で3〜6時間振盪した。次いでそれを、ボルテックスしながら、半飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.5mL)および酢酸エチル(2.4mL)に分配した。有機層を、硫酸ナトリウム(約1g)が装入された固相抽出カートリッジ(6mL)に通し、この抽出手順を2回繰り返した。合わせた溶離液を真空中で濃縮し、エタノール(0.5mL)に溶解し、メチルアミンのエタノール溶液(33重量%、0.5mL、4mmol)で処理し、室温で3時間振盪した。真空中で溶媒を除去した後、生成物を、逆相HPLC(カラム:Waters XBridge C18、5μm;移動相A:0.03%の水中水酸化アンモニウム(v/v);移動相B:0.03%のアセトニトリル中水酸化アンモニウム(v/v);勾配:5%〜[40%または100%]のB)によって精製した。
【0235】
【表6-1】
【0236】
【表6-2】
【0237】
【表6-3】
【0238】
【表6-4】
【0239】
【表6-5】
【0240】
【表6-6】
【0241】
【表6-7】
【0242】
【表6-8】
【0243】
【表6-9】
【0244】
【表6-10】
【0245】
【表6-11】
【0246】
【表6-12】
【0247】
【表6-13】
【0248】
【表6-14】
【0249】
【表6-15】
【0250】
【表6-16】
【0251】
【表6-17】
【0252】
【表6-18】
【0253】
【表7-1】
【0254】
【表7-2】
【0255】
【表7-3】
【0256】
【表7-4】
【0257】
【表7-5】
【0258】
【表7-6】
【0259】
【表7-7】
【0260】
生物学的アッセイ
BACE1無細胞アッセイ:β−セクレターゼ(BACE)は、アルツハイマー病患者のアミロイド斑において見出されるアミロイドβペプチドの産生に関与する酵素の1つである。β−セクレターゼ酵素は非天然ペプチドを切断するため、このアッセイはβ−セクレターゼ酵素の阻害を測定する。
【0261】
β−セクレターゼによって切断することができ、N−末端ビオチンを有し、かつCys残基におけるオレゴングリーンの共有結合によって蛍光性とされた合成APP基質を使用して、阻害性化合物の存在下または非存在下でβ−セクレターゼ活性をアッセイする。基質は、ビオチン−GLTNIKTEEISEISY^EVEFR−C[オレゴングリーン]KK−OHである。BACE1酵素は、可溶性BACEコンストラクト(BACE1δTM96His)をトランスフェクトされたCHO−K1細胞の条件培地からアフィニティー精製された材料である。化合物を、384ウェルブラックプレートにおいてBACE1酵素およびビオチン化蛍光性ペプチドと共に、100μMの最も高い濃度から半対数用量反応曲線においてインキュベートする(Thermo Scientific #4318)。30μLのアッセイ緩衝液[100mMの酢酸ナトリウム、pH4.5(酢酸によってpHとする)、および0.001%Tween−20]の反応容量中で、BACE1は0.1nMの最終濃度であり、ペプチド基質の最終濃度は150nMである。プレートを覆い、37℃で3時間インキュベートする。30μLのストレプトアビジン(1.5μM)(Pierce、#21125)を添加することによって反応を停止させる。室温にて10分のインキュベーション後に、プレートを、蛍光偏光についてPerkinElmer EnVision上で読み取る(Ex485nm/Em530nm)。β−セクレターゼ酵素の活性を、基質が酵素によって切断されたときに起こる蛍光偏光の変化によって検出する。化合物阻害剤の存在下でのインキュベーションは、合成APP基質のβ−セクレターゼ酵素的切断の特異的阻害を示す。
【0262】
【表8-1】
【0263】
【表8-2】
【0264】
【表8-3】
【0265】
【表8-4】
【0266】
【表8-5】
【0267】
【表8-6】
【0268】
【表8-7】
【0269】
【表8-8】
【0270】
以下の生物学的アッセイを使用して、以下で提供する表4〜6に示すとおりの生物学的データを生成した。
【0271】
BACE1無細胞アッセイ:β−セクレターゼ(BACE)は、アルツハイマー病患者のアミロイド斑において見出されるアミロイドβペプチドの産生に関与する酵素の1つである。β−セクレターゼ酵素は非天然ペプチドを切断するため、このアッセイはβ−セクレターゼ酵素の阻害を測定する。
【0272】
β−セクレターゼによって切断することができ、N−末端ビオチンを有し、かつCys残基におけるオレゴングリーンの共有結合によって蛍光性とされた合成APP基質を使用して、阻害性化合物の存在下または非存在下でβ−セクレターゼ活性をアッセイする。基質は、ビオチン−GLTNIKTEEISEISY^EVEFR−C[オレゴングリーン]KK−OHである。BACE1酵素は、可溶性BACEコンストラクト(BACE1δTM96His)をトランスフェクトされたCHO−K1細胞の条件培地からアフィニティー精製された材料である。化合物を、384ウェルブラックプレート(Thermo Scientific #4318)においてBACE1酵素およびビオチン化蛍光性ペプチドと共に、100μMの最も高い濃度から半対数用量反応曲線においてインキュベートする。30μLのアッセイ緩衝液[100mMの酢酸ナトリウム、pH4.5(酢酸によってpHとする)、および0.001%Tween−20]の反応容量中で、BACE1は0.1nMの最終濃度であり、ペプチド基質の最終濃度は150nMである。プレートを覆い、37℃で3時間インキュベートする。30μLのストレプトアビジン(1.5μM)(Pierce、#21125)を添加することによって、反応を停止させる。室温にて10分のインキュベート後に、プレートを、蛍光偏光についてPerkinElmer EnVision上で読み取る(Ex485nm/Em530nm)。β−セクレターゼ酵素の活性を、基質が酵素によって切断されたときに起こる蛍光偏光の変化によって検出する。化合物阻害剤の存在下でのインキュベーションは、合成APP基質のβ−セクレターゼ酵素的切断の特異的阻害を示す。
【0273】
sAPPβ全細胞アッセイ(WCA):BACE1の一次切断産物であるsAPPβを、野生型ヒトAPP
695を過剰発現するH4ヒト神経膠腫細胞において定量した。最終濃度1%のDMSO中で、細胞を化合物で18時間処理した。キャプチャーAPP N−末端抗体(Affinity BioReagents、OMA1−03132)、野生型sAPPβ特異的レポーター抗体p192(Elan)、および三次抗ウサギHRP(GE Healthcare)を用いたELISAによって、sAPPβレベルを測定した。比色反応をEnVision(PerkinElmer)プレートリーダーによって読み取った。
【0274】
BACE2/BACE1結合比:BACE1およびBACE2結合アッセイでは、ベータ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素(BACE)結合を、シンチレーション近接アッセイ(SPA)で結合された放射リガンドのカウントの減少として測定した。放射標識された低分子BACE活性部位結合阻害剤、および全長BACE1またはBACE2を過剰発現するHEK細胞膜粗調製物を利用して、試験化合物による酵素の結合を、pH6.0で結合された特異的カウントの減少としてモニターした。HEK細胞中で過剰発現される全長ヒトBACE1またはBACE2は、Pfizerの科学者が調製した。27uLのアッセイ体積で、リガンドの3H−(4aR,6R,8aS)−8a−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−4,4a,5,6,8,8a−ヘキサヒドロピラノ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン、SPAビーズ、および60μM〜600pMの試験化合物を含有する50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH=6.0)において、凍結した保存細胞ペーストを反応させた。化合物プレートには、陽性(BACE阻害剤)および陰性(DMSO)対照ウェルも含まれた。室温で30分間結合させ、次いでプレートをTriLux Microbetaリーダーで読み取って、結合したカウント数を求めた。生データを、陽性および陰性対照ウェルと比べた効果のパーセントに変換し、試験した化合物についての化合物濃度および効果%値をプロットして、4パラメータロジスティック用量反応方程式を用いて、50%効果(IC50)を求めた。
【0275】
一般多点カクテルDDI IC
50アッセイ条件:3.3mMのMgCl
2を含有する100mMのKH
2PO
4、pH7.4中で、NADPH(1.2mM)の存在下、標準マーカー活性基質を、プールされたヒト肝臓ミクロソーム(HL−MIX−102)と共に、37℃でインキュベートする。インキュベート体積は、384ウェルプレートフォーマットを利用して、0.1mLとする。次の濃度[タクリン(1A2)2uM、ジクロフェナク(2C9)5μM、デキストロメトルファン(2D6)5μM、ミダゾラム(3A4)2μM、タキソール(2C8)5μM、S−メフェニトイン(2C19)40μM]の各プローブ基質について、ミクロソームタンパク質濃度(0.1mg/mL)およびP450濃度(0.035μM)を使用した。基質濃度は、予め決定されているK
m値に近いものとし、インキュベート時間は、反応速度の直線性の決定に基づき選択する。各試験化合物/試作阻害剤は、最終ビヒクル溶媒濃度を0.9%アセトニトリルおよび0.1%DMSOとして、0〜30μMの濃度範囲で、三連で試験する。NADPHを添加してインキュベートを開始する。インキュベート期間の終わりに、停止溶媒を含有する内部標準を添加し、停止されたインキュベート混合物を遠心分離して、ミクロソームタンパク質を沈殿させる。試料をHPLC/MS/MS系に直接注入する。液体の取扱いおよび試料のインキュベートには、Biomek FXワークステーションを使用する。
【0276】
Pgp基質MDR1 Er:MDR1がトランスフェクトされたMDCK系細胞株からのMDR1排出比(MDR Er)は、透過率の比、すなわちPapp BA/ABを表す。手順は、Feng,B.、Mills,J.B.、Davidson,R.E.、Mireles,R.J.、Janiszewski,J.S.、Troutman,M.D.、de Morais,S.M、In vitro P−glycoprotein assays to predict the in vivo interactions of P−glycoprotein with drugs in the central nervous system、Drug Metab.Dispos.、2008、36、268〜275のものを利用した。
【0277】
hERGパッチクランプアッセイ:すべての試験は、Milliporeから購入した、hERG遺伝子がトランスフェクトされたCHO細胞(PrecisION hERG−CHO組換え細胞株CYL3038)において実施した。この細胞株を、DMEM/F−12、すなわち、10%のウシ胎児血清、1%のペニシリン−ストレプトマイシン、1%のGeneticin、および1%の1M HEPES緩衝溶液を含有するGlutaMAX(商標)中で成長させ、5%の二酸化炭素を含んだ加湿雰囲気中にておよそ37℃で維持した。細胞は、集密度に基づき3〜5日毎に継代した。実験当日に、集密度が50%〜80%の細胞を、Detachin(商標)を使用して、175cm
2の培養フラスコから収穫した。37℃でDetachin(商標)にさらしてから10分後に、細胞を1000RPMで1分間遠心分離した。上清を除去し、細胞ペレットを、2.5%の1M HEPESを含有する5〜8mLの無血清培地中で復元し、Qstirrer(商標)に載せ、回復させた。約30分の回復期間後、実験を開始した。
【0278】
hERGカリウムチャネル電流記録およびデータ分析:Qpatch HT(商標)自動システム
14を使用して、hERG電流を誘発し、記録した。Qstirrer(商標)に置かれた懸濁した細胞を、132 NaCl、4 KCl、1.8 CaCl
2、1.2 MgCl
2、10 HEPES、11.1 グルコース(μM)で構成された細胞外記録用食塩水を含有するQplate48(商標)上の48の個別記録用チャンバーに移し、NaOHでpH7.35±0.1に調整した。細胞内記録用食塩水は、70 KF、60 KCl、15 NaCl、5 EGTA、5 HEPES(μM)で構成され、KOHでpH7.2±0.1に調整した。膜電流は、室温で記録した。hERG電流を、−80mVの保持電位から、1秒間で+30mVとする電圧ステップで誘発した後、0.55mV/msで−80mVに再び下げた。試験パルスを、0.25Hzの周波数で加えた。各細胞について異なる4段階までの濃度を研究し、各電流暴露は、5分、または定常状態効果が認められるまで持続させた。別の組の実験において、陽性対照であるシサプリドについて、全濃度−反応の関係を明らかにし、IC
50を本研究で報告した。Sophion Qpatch Assayソフトウェアを使用して、再分極傾斜後の外側へのピークhERG電流の振幅を測定した。電流振幅は、各処置条件下で、最後の5つの電流ピークの平均を取って求めた。阻害パーセントは、試験物存在下、定常状態で測定された電流(I
試験物)対対照電流(I
対照)の比を取って求め、阻害%=100−(I
試験物/I
対照)×100として示した。可能な場合、濃度−反応曲線をプロットし、Qpatchソフトウェアを使用してデータを適合させて、IC
50を求めた。P<0.05を統計学的に有意であるとみなした。
【0279】
GSHインキュベーションアッセイ:試験化合物(DMSO中10μM)を、L−グルタチオン(50mM、100mMのリン酸カリウム緩衝液中に調製したもの)と共に、37℃で4時間インキュベートし、次いで、後処理なしで、HPLC−UV/MS/MSによって分析した。ポジティブモードにおいて、3.5kVの電源電圧で、データ依存的な処理によって稼働する、Thermo Accela HPLCおよびVelos Pro Orbitrap Elite(S/N:SN05189B)。Phenomenox Kinetex C
18、1.7μM、2.1×100mmカラム(P/N:00D−4475−AN);0.5分間5%のアセトニトリル/95%の0.1%ギ酸、次いで40%のアセトニトリル/60%の0.1%ギ酸への7.0分の線形勾配;400μL/分;カラム温度45℃を用いたHPLC。生成物の割当ては、高分解能質量分析計フラグメンテーションに準拠した。
【0280】
代わりに、GSH付加物の生成は、当業者に知られている手順を使用し、ヒト肝細胞における代謝産物同定実験に準拠した。
【0281】
以下の表4〜6は、実施例1、2、7、および45の化合物、ならびに比較用化合物1〜7についての生物学的データを示すものである。比較用化合物1〜3は、新規の化合物であるが、比較用化合物4〜7は、米国特許8,198,269の実施例58、64、42、および6の化合物であり、そこに記載のとおりに調製することができる。
【0282】
以下の表4には、以下に構造を示す、実施例1、2、7、および45の化合物、ならびに比較用1〜7についてのBACE1無細胞IC
50、sAPPβ全細胞IC
50、およびBACE2/BACE1結合比データを示す。データは、上述のとおりのBACE1無細胞、sAPPβ全細胞、およびBACE2/BACE1比アッセイを使用して取得した。
【0283】
【表9】
【0284】
アミロイド−β(Aβ)ペプチドの蓄積および凝集は、高齢者における認知低下の最も一般的な事由であるアルツハイマー病(AD)の根本的な原因の1つであると考えられている
1。ADの病理は、ニューロン内の神経原線維変化および広範囲なニューロン減少を伴う、脳の海馬および皮質領における細胞外の斑の存在を特徴とする
2。アミロイド斑の主なタンパク質成分であるAβは、2種のプロテアーゼ、すなわちBACE1およびγ−セクレターゼによる、アミロイド前駆体タンパク質(APP)であるI型内在性膜タンパク質の連続切断に由来する
3。アスパルチルプロテアーゼファミリーの酵素の一員であるBACE1によるAPPのタンパク質分解性切断は、エンドソーム内において低いpHで起き、APPの可溶性N−末端エクトドメイン(sAPPβ)およびC−末端断片(C99)を生成する
4。その後、膜結合C99断片がγ−セクレターゼによって切断されると、大部分はAβ
40およびAβ
42の形態である様々なAβペプチド種が遊離する
5。sAPPβを測定する、H4ヒト神経膠腫細胞における無細胞蛍光偏光アッセイ(BACE1無細胞)および全細胞アッセイ(BACE1 WCA)におけるBACE1効力の決定を、表4に示す。BACE1の阻害の測定に、異なるアッセイフォーマットが利用可能であることを当業者は認識する。見込みのある薬物候補についての、許容されるBACE1阻害効力が、無細胞および全細胞両方のアッセイにおいて、通常は100nM未満であることを当業者は認識する。驚いたことに、位置異性体のアミドリンカーの位置に関して、チアゾール含有化合物間で有意差があった。例えば、実施例1、2、7、および45の化合物は、強力なBACE1阻害を示すが、比較用1は、驚いたことに、また意外にも、BACE1に対する活性が1000分の1未満であり、チアゾール上でのアミド置換の位置が、化合物のBACE1効力にとって必須であることをはっきりと示している。
【0285】
BACE1阻害剤の選択性が、同類のアスパルチルプロテアーゼを排除するか否かは、見込みのある薬物候補について潜在的な安全性を明らかにするための重要な要素である
6。同類のアスパルチルプロテアーゼであるBACE2は、細胞モデルおよびin vivoモデルにおいて色素沈着に強い影響を与えることが最近報告されている。例えば、BACE2は、メラニン形成において役割を果たすと考えられている、色素細胞に特異的なメラノサイトタンパク質(PMEL)を加工処理する
7。BACE2阻害のBACE1阻害に対する選択性の比を、表4に示すとおりのそれぞれの結合アッセイからのIC50の比を使用して求めた。驚いたことに、実施例1、2、および45については、米国特許第8,198,269号からの実施例58、64、42、および6の化合物である比較用化合物4から7に比べて、BACE2よりBACE1が優先される選択性が有意に向上していた。ヒト臨床試験における皮膚色素沈着の変化に関して、BACE2が優先されない選択性が強く影響する潜在的可能性を当業者は認識する。
【0286】
以下の表5には、以下に構造を示す、実施例1、2、7、および45の化合物、ならびに比較用1〜7についての、HLM Clint、CYP2D6 IC
50、および実測によるグルタチオン(GSH)付加物のデータを示す。データは、上述のとおりの一般多点カクテルDDI IC
50およびGSHインキュベーションアッセイを使用して取得した。
【0287】
【表10-1】
【0288】
【表10-2】
【0289】
BACE1阻害剤の肝クリアランスは、見込みのある薬物候補を選択するための重要な考慮事項である。クリアランスが高めの化合物による、計画されたヒト用量およびヒトにおける投与計画へのマイナスの影響を当業者は認識する。一般に、ヒト肝臓ミクロソームにおけるクリアランスの低い化合物(CLint<8mL/分/Kg)の方が、クリアランスのより高い化合物(CLint>15mL/分/kg)より望ましい。上で示したデータから、当業者には、実施例1、2、7、および45の化合物が、それぞれ、Clint<8mL/分/Kgであり、有利に低い肝クリアランスプロファイルを有することが明白となる。実施例1、2、7、および45の化合物が示した低い肝クリアランス値により、こうした化合物をヒトにおいて使用するのに許容される投与量および投与計画が可能になるはずである。
【0290】
CYP−P450の阻害は、臨床的な薬物−薬物相互作用(DDI)のリスクを増大させる。例えば、CYP2D6の阻害は、加害薬によるDDI(perpertrator based DDI)の潜在的可能性があるために、特に懸念される
8。見込みのある臨床的候補においてCYP2D6阻害の潜在的可能性を排除すべきという要求を当業者は認識する。表5に示すとおり、100nM未満のIC50を示す比較用2、3、ならびに比較用4、6、および7(US8,198,269からの実施例58、42、および6の化合物)に対して、実施例1、2、7、および45は、CYP2D6の阻害について30μMを超えるIC50を示す。上で示したデータから、当業者には、実施例1、2、7、および45の化合物が、それぞれ、有利に低いCYP2D6阻害剤プロファイルを有し、したがって、こうした化合物では、患者においてこのCYP−P450アイソザイムが阻害される結果として生じ得るDDIのリスクが最小限に抑えられることが明白となる。
【0291】
潜在的な臨床的肝毒性または薬物が誘発する肝傷害(DILI)は、市場から化合物が撤収される主要な理由の1つである
9。タンパク質に対する化合物の生体内活性化または共有結合が、肝毒性の潜在的な機序であることを当業者は認識する。共有結合の影響を理解するための一般的なアッセイは、グルタチオン(GSH)付加物の生成についてモニターすることである。表5の実施例1、2、7、および45については、ヒト肝細胞における代謝産物同定の後に、GSH付加物の生成は検出されなかった。これは、実施例1、2、7、および45の化合物が、グルタチオン付加物が誘発する肝毒性機序の潜在的可能性につながる化合物でないことを示しているので、有利なことである。しかし、ヒト肝臓ミクロソームにおけるGSH存在下での比較用5(US8,198,269からの実施例64)のインキュベートでは、DILIをもたらす潜在的可能性のある化学付加物の生成が示された。
【0292】
以下の表6には、以下に構造を示す、実施例1、2、7、および45の化合物、ならびに比較用1〜7についての、hERG IC
50、Pgp基質MDR1 Er、およびpKaデータ、ならびにアニリン警告構造の存在を示す。hERG IC50およびPgp基質MDR1 Erデータは、上述のとおりのhERGおよびPgp基質MDR1 Erアッセイを使用して取得した。
【0293】
【表11-1】
【0294】
【表11-2】
【0295】
hERG(human ether a go−go)が阻害される結果として生じるQT延長などの潜在的な心血管リスクを理解することは、臨床開発に向けた化合物の選択において重要な要素である
10。適切な心血管安全域を有する化合物が、ヒトにおける目標血漿濃度に関係することを当業者は認識する。さらに、目標血漿濃度を下げる際の重要な要素は、P−糖タンパク質(Pgp)などの、血液脳関門に位置する排出輸送体に対する活性を低下させることにより、脳への浸透を最適化することである
11。化合物がPgp排出を被りうるかどうかを判定することにより、CNS浸透の潜在的可能性をin vitroで評価できること、ならびに知られている種々のin vitro Pgpアッセイを使用して化合物を評価できることを当業者は認識する。そのようなin vitroアッセイの1つが、上述のPgp基質MDR1 Erアッセイである。一般に、MDR1アッセイで測定される排出ポテンシャルの低い化合物(Er<2.5)は、弱いhERGチャネル阻害(hERG IC50>5μM)が組み合わさると、非常に望ましい。表6の実施例1、2、7、および45は、有利なことに、弱いhERGチャネル阻害(hERG IC50>5μM)に加えて、低いPgp排出ポテンシャル(MDR1 Er<2.5)を示す。
【0296】
高度に塩基性のpK
aが、hERGチャネル、P−gp輸送体における活性、およびCYP2D6の阻害に与える強い影響を当業者は認識する
12。驚いたことに、表6に示すとおり、実施例1、2、7、および45に存在するチアゾール基によって、こうした化合物のpKaは、比較用2〜7に比べて有意に低下する。この結果は、ピリジン含有化合物である比較用2でのpKaの増大(8.7)を踏まえると予想外であった。
【0297】
警告構造が、薬物特異体質有害反応(IADR)と関連付けられる場合があることも当業者は認識する。例えば、アニリン警告構造を含有する化合物は、商業用途から撤退しており、またはIADRについての黒枠警告を受けている
13。IADRを予測することは困難であるものの、潜在的なIADRを回避する鍵となる考慮事項が、見込みのある臨床的候補からの警告構造の除去であることを当業者は認識する。US8,198,269からの実施例58、42、および6はそれぞれ、アニリン警告構造を有する。
【0298】
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