特表2017-512164(P2017-512164A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-512164包装材料を製造するための方法及びその方法により製造された包装材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-512164(P2017-512164A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】包装材料を製造するための方法及びその方法により製造された包装材料
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20170414BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20170414BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20170414BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20170414BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B32B27/10
   B05D1/36 Z
   B05D7/00 F
   B65D81/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-574518(P2016-574518)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月11日
(86)【国際出願番号】IB2015051851
(87)【国際公開番号】WO2015136493
(87)【国際公開日】20150917
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミーッキ、ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィエ、ペトリ
(72)【発明者】
【氏名】バックフォルク、カイ
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、板紙基材の少なくとも一方の表面を、結合剤及び金属塩で処理する工程、前記処理された表面の少なくとも一部分をインクで印刷する工程、並びに、前記印刷された表面上に少なくとも一つのポリマー層を塗布する工程を含む、包装材料を製造するための方法に関する。本発明に従って製造された包装材料は、良好な印刷性能と同時に、塗布されたポリマー層の良好な接着を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維を含む板紙基材を提供する工程と、
前記基材の少なくとも一方の表面を、結合剤及び金属塩で処理する工程と、
前記処理された表面の少なくとも一部分をインクで印刷する工程と、
前記印刷された表面上に少なくとも一つのポリマー層を塗布する工程と
を含む、包装材料を製造する方法。
【請求項2】
前記結合剤が、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)、でんぷん、ポリダドマック、カルボキシメチル・セルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレングリコール(PEG)、及び/又は、これらの任意の組み合わせ若しくは修飾されたものを含む群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)が、少なくとも0.1g/mの量で前記表面に塗布される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
でんぷんが、少なくとも0.1g/mの量で前記表面に塗布される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリダドマックが、少なくとも0.05g/mの量で前記表面に塗布される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記結合剤が、金属塩による前記表面の前記処理に先立って、別の工程で塗布される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
結合剤及び金属塩による前記処理が、前記板紙基材の前記表面に、結合剤及び金属塩を含む組成物を添加することによりなされる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属塩が、少なくとも0.01g/mの量で、好ましくは、少なくとも0.1g/mの量で前記表面に塗布される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー層が、ポリエチレン(PE)及び/若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)及び/若しくはポリ乳酸(PLA)、並びに/又は、これらの任意の生物由来の材料を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項の方法によって製造された包装材料。
【請求項11】
板紙基材と、
結合剤を含む、最も内側の第1の層と、
前記第1の層に塗布された、金属塩を含む第2の層と、
前記第2の層の少なくとも一部分に印刷された、水性ベースのインクと、
印刷された前記第2の層に塗布された、熱可塑性ポリマー層と
を含む包装材料。
【請求項12】
板紙基材と、
結合剤及び金属塩を含む、最も内側の層と、
前記最も内側の層の少なくとも一部分に印刷された、水性ベースのインクと、
印刷された前記最も内側の層に塗布された、熱可塑性ポリマー層と
を含む包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料を製造する方法及びその方法により製造された包装材料に関わる。
【背景技術】
【0002】
液体容器及び食品製品包装のための繊維ベースの包装材料には、通常、バリヤー層、典型的には、板紙基材上の密着したフィルムの形状をしたバリヤー層が備えられている。包装材料におけるバリヤー層とは、通常、ベースの板紙基材上の薄層としてのポリマーの使用を指す。これらのポリマーは、優れた製品保護特性をもたらすものであり、例えば、液体又は食品製品の包装に効果的なバリヤーである。バリヤーとしてしばしば使用されるポリマーは、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)及びポリ乳酸(PLA:polylactic acid)のような熱可塑性ポリマーである。
【0003】
バリヤー・ポリマーは、板紙基材上に、押し出し加工被覆又はラミネートされていてもよい。板紙表面とポリマー層の間が良く接着していることは、効果的なバリヤーを提供するのに必要であるが、さらに、未処理端面の浸透を防ぎ、良好な形状変換性を確保するのにも必要である。表面の表面エネルギーを増すための、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、又は火炎処理等の板紙の表面処理が、板表面とポリマー層の間の接着を高めるのに、一般的に用いられる。
【0004】
包装材料のもう一つの重要な性質は、印刷適性である。最も普及している包装板材料の印刷のための印刷技術は、シート給紙式オフセットプロセス、輪転グラビア印刷、又はフレクソグラビアである。しかし、近年、これまで主に紙の印刷に適用されてきた、デジタル印刷及び、特にインク・ジェット印刷も、板紙の印刷に注目されるようになってきた。インク・ジェット印刷技術においてはプリント基材に対する高い要求があるが、それは、インクが基材上で素早く乾き、しかも高い印刷性能を提供しなければならないからである。望ましい印刷性能は、高い印刷光学密度、最低限のフェザリング及びブリーディング、良好なドット・シャープネス、高い印刷の均一性、及び低い裏抜けを含む。板紙表面へのインクジェット・インク、そして特に色素ベースの着色剤の接着力は、印刷工程により設定された制約、すなわち、液滴サイズ、ノズルの直径、噴射方法等により、かなり低い。典型的には、インクジェット・インクの粘度及び表面張力は、比較的低く、それにより、インク層が板に比較的弱く結合することになり得る。さらに、最近開発されたインクは、インク抜きを効率的にし得るために、通常、繊維に対する接着がかなり弱い。結果として、バリヤー・ポリマー層の、印刷されたインク層及び基材表面への接着が、形成された弱い境界層(すなわちインク層)のために、悪い影響を受け得る。
【0005】
印刷用紙に関して、金属塩、好ましくは、塩化カルシウムのような多価塩の、表面糊付けへの添加が、インク・ジェット印刷性能の著しい向上をもたらすことが周知である。特許文献1には、インク・ジェット印刷のための紙を表面処理するための有用な組成物が開示されており、前記組成物は、二価の金属の塩を含む。しかし、金属塩を、包装板材料の処理に使用するのは、まだ成功していない。包装板材料は、一般に、紙よりもずっと粗く、より多孔性の表面なので、塩は、基材中に吸収且つ浸透する傾向がずっと高く、蒸着されたインクの着色料のための、表面にアクセスできる塩がずっと少ない。その結果、印刷性能に望ましい効果を与えるためには、多量の多価カチオンが必要となる。しかし、より高い濃度の金属塩を塗布すると、飽和を起こし、その結果、塩が結晶になって析出することになり得る。そのような析出物は、バリヤー・ポリマー層の板紙ベース基材に対する接着に問題を起こし得る。もう一つのリスクは、結合剤が多価の金属塩と物理化学的に相溶でない場合に、基材にあらかじめでんぷんのような結合剤を含むようにする表面処理形成が、弱い境界層をもたらし得ることである。したがって、今日普及している前提は、金属塩は、ポリマー層の接着に悪影響を与えるので、ポリマーがラミネートされるか被覆される板紙材料は、金属塩で処理できないということである。この問題を解決する一つの方法は、塗布されたバリヤー・ポリマー層上に印刷するという方法である。しかし、もしインクがポリマー層に印刷されるのであれば、インクは、紫外線硬化型、電子線硬化型であるか、又は、特定の溶媒に基づく必要があるが、これは、安全面でのリスクを伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6207258号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、例えば、食品又は液体の包装に好適な、ポリマーが押し出し被覆又はラミネートされた、非常に優れたバリヤー特性、基材とポリマー層の間の良好な接着、及び良好な印刷性能を示す板紙材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、驚くべきことに、セルロース繊維を含む板紙基材の少なくとも一つの表面を、結合剤と金属塩で処理し、前記処理された表面の少なくとも一部分をインクで印刷し、且つ前記印刷された表面に少なくとも一つのポリマー層を塗布することにより達成された。
【0009】
本発明に従って製造された包装材料は、良好な印刷適性と同時に、塗布されたポリマー層の良好な接着を示す。驚くべきことに、板紙基材は、一価のイオン又は多価イオンの金属塩で表面処理され得、しかも、もし、結合剤が、一価又は多価金属塩の表面へあらかじめ、及び/又は、同時に塗布されると、ポリマー層が良好に接着することが示された。結合剤は、金属塩の板紙表面への浸透を防ぐ。いかなる理論にも縛られないが、本明細書に開示された結合剤システムは、金属塩の、蒸着された着色料へのアクセシビリティを高めるものと思われる。その結果、一価又は多価の金属塩は、比較的少量塗布されればよく、それにより、飽和、結晶化、及び/又は、結合剤と塩の析出凝集物の形成のリスクが避けられる。本発明に従った処理は、印刷性能及び、ポリマーの板紙表面への接着の両方を高める。
【0010】
塗布される結合剤は、ミクロフィブリル化セルロース(MFC:microfibrillated Cellulose)、ナノセルロース、ナノ結晶セルロース、でんぷん及び/又はポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリダドマック)(polyDADMAC:poly diallyl dimethyl ammonium chloride)、カルボキシメチル・セルロース(CMC:carboxymethyl cellulose)、ポリビニルピロリドン(PVP:polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリエチレンイミン(PEI:polyethyleneimine)、及び/若しくはポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)又はこれらの任意の組み合わせ若しくは修飾されたものを含む群から選択され得る。一つの実施例において、結合剤は、カチオン性結合剤(例えば、カチオン性でんぷん及び/又はポリダドマック(polyDADMAC)を含む。カチオン性結合剤は、インク粒子の基材表面への良好な接着を与えることを示した。もう一つの好ましい実施例において、結合剤は、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含む。ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、表面の孔に栓をし、それにより、一価又は多価の金属塩の基材への浸透を減らす。ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、例えば、アニオン性に修飾され得る。アニオン性に修飾されたミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、一価又は多価のカチオンと相互作用し、それにより、アニオン性着色料の固定のためのカチオン性部位を提供し得る。さらに、塗布されたミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、表面を滑らかにし、且つインクにおける水及び/又は(共)溶媒の吸収を高め、それにより、インク層の不動化を速めることにより、さらに印刷性能を向上させる。ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、少なくとも0.1g/m(乾燥)の量で、表面に塗布され得る。
【0011】
例えば、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)のような結合剤は、金属塩の塗布とは別に、且つ、金属塩の塗布に先だって、懸濁液として表面に塗布され得る。このような方法で、結合剤は、板紙表面及びポリマーの間にフィルムを形成し、金属塩の、多孔性板紙表面の中への浸透を防ぎ得る。
【0012】
また、結合剤及び金属塩は、同じ工程で、すなわち、前記結合剤と一価又は多価の金属塩を含む組成物として、板紙基材表面へ、添加され得る。これは、当該工程をより効果的にし、結合剤がやはり、金属塩の板紙表面への浸透を防ぐことが示された。驚くべきことに、前記結合剤配合物は、高電解質濃度でも、非常に安定していることが見いだされた。
【0013】
結合剤、金属塩、及び/又は、結合剤と金属塩を含む組成物は、板紙基材表面に、任意の公知の塗布技術、例えば、表面糊付け、これに限られないが、スプレー、カーテン塗工、押出被覆、フィルムプレス・コーティング、ブレード塗工、若しくは発泡材コーティングを含む、ラミネート又は被覆を使用することによっても塗布され得る。
【0014】
金属塩は、一価の金属又は、より好ましくは、二価若しくは三価の金属のような多価金属の塩である。前記塩は、例えば、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、塩化バリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、若しくは酢酸バリウム、又はこれらの混合物であり得る。最も好ましくは、塩は、塩化カルシウムである。多価金属塩は、少なくとも0.01g/mの量で、好ましくは、少なくとも0.1g/mの量で表面に塗布され得る。最も好ましくは、金属塩は、0.01g/m〜1g/mの間の量で、表面に塗布される。本発明の方法は、結合剤が表面への塩の浸透を抑えるため、金属塩を少ない量で、基材表面に添加し、しかもこれが印刷性能に、良い影響を与えることを可能にする。
【0015】
ポリマー層は、熱可塑性ポリマーを含み得る。ポリマーは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、及び/若しくはポリ乳酸(PLA)、並びに/又は上記で言及した熱可塑性プラスチックの変更形態を含む、これらのうち任意のものの生物由来の材料を含み得る。ポリマーは、印刷された表面に、例えば、押出被覆によるなど、任意の公知の被覆又はフィルム塗布技術を使用することによっても塗布されてよい。ポリマー・バリヤー被覆層は、また、一つ又は幾つかの層で塗布され得る。
【0016】
本発明は、さらに、上述の方法により製造された包装材料に関連する。本発明による包装材料は、例えば、乾燥食品若しくは液体食品、化粧品、又は医薬品の包装に好適である。
【0017】
本発明はさらに、板紙基材、結合剤を含む第1の最も内側の層、一価又は多価金属の金属塩を含む前記第1の層上に塗布された第2の層、前記第2の層の少なくとも一部分の上に印刷された水性ベースのインク、及び前記印刷された第2の層に塗布されたポリマー層を含む包装材料に関わる。
【0018】
本発明は、さらに、板紙基材、結合剤及び金属塩を含む最も内側の層、前記の最も内側の層の少なくとも一部分の上に印刷された水性ベースのインク、並びに前記印刷された最も内側の層上に塗布されたポリマー層を含む包装材料に関わる。
【0019】
「セルロース繊維を含む板紙基材」とは、坪量が少なくとも150gsm(g/m)、より好ましくは、少なくとも180gsmであり、硫酸塩パルプ、クラフトパルプ、ソーダパルプ、若しくは亜硫酸パルプのような化学パルプ、機械パルプ、高度に精製されたパルプ(ミクロフィブリル化セルロース(MFC))、サーモメカニカル・パルプ、又はケミサーモメカニカル・パルプであり得る未晒パルプ又は晒パルプからの繊維を含み、原材料は、軟材、硬材、回収繊維、又は板紙を製造するのに好適な非木材に基づき得る、ベース板紙を意味する。好ましくは、板紙基材は、少なくとも2枚重ねを含む複数層、例えば、トップ・プライ、バック・プライ、及び中間プライのような、3枚重ねを含む複数層の板紙基材である。板紙基材は、トップ・プライの表面に、例えばでんぷんと、着色を含む添加剤で、表面糊付けされ得る。また、バック・プライは、表面糊付けされるか、及び/又は、着色されるか、単一被覆若しくは二重被覆され得る。
【0020】
「ミクロフィブリル化セルロース」(MFC)とは、典型的には、硬材又は軟材繊維からの木材セルロース繊維から製造された材料を意味する。また、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、微生物源、麦わらパルプ、竹、又は他の非木材繊維源のような農業繊維からも製造し得る。ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、非処理か、化学的に(例えば、TEMPO酸化又はカルボキシメチル化)又は酵素的にパルプを処理した後、繊維を機械的に葉裂することにより調製される。ミクロフィブリル化セルロースでは、個々のミクロフィブリルが、互いに離されている。ミクロフィブリル化セルロース繊維は、非常に細く(約20nm又はそれ未満)、長さは、100nm〜10μmの間であることが多い。しかし、ミクロフィブリルはまた、より長くてもよく、例えば、10〜200μmの間であり得る。ナノ粒子として言及されたミクロフィブリル化セルロース(MFC)はまた、ナノセルロース、ナノフィブリル化セルロース、又はセルロースナノフィブリル(CNF)として知られている。例えば硫酸又はHClを使用した強力加水分解により得られたナノセルロースは、セルロース・ナノ結晶(CNC:cellulose nanocrystals)を形成する。これらの材料の組み合わせを含め、すべての上記の定義は、この文脈において、同様にミクロフィブリル化セルロース(MFC)を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明に従った包装材料の概要図である。
図2図2は、本発明に従った第2の包装材料の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示された包装材料は、板紙基材、板紙基材に直接接している最も内側の層(2)を含み、最も内側の層は、結合剤及び多価金属の塩を含む。最も内側の層は、インク(3)で印刷されており、ポリマー層(4)は、前記印刷された表面に塗布されている。
【0023】
図2に示された包装材料は、板紙基材(1)、結合剤を含む第1の最も内側の層(2)、金属塩を含む、前記第1の層に塗布された第2の層(3)、前期第2の層(3)の少なくとも一部分の上に印刷されたインク(4)、及び前記印刷された第2の層に塗布されたポリマー層(5)を含む。
【0024】
この出願の文脈において、「最も内側の」なる用語は、層が、板紙基材の上に直接塗布されていることを意味する。
【0025】
本発明で使用されるインクは、顔料、又は、顔料及び染料を含み、インク粒子に好適なキャリア媒体を形成するような、水性若しくは溶媒ベースであるか、又は水及び(共)溶媒の混合物であり得る。好ましくは、インクは、(着色剤として)アニオン性ナノ粒子を含む。好ましくは、インクは、インク・ジェット印刷を使用して印刷され、したがって最も好ましくは、リール・トゥ・リール式(巻き取り給紙式)又は、シート給紙式の高速インク・ジェットのいずれかを使用して印刷されるが、フレキソ印刷、オフセット印刷、液体トナー電子写真印刷、並びに/又は、例えばフレキソ印刷及びインク・ジェットの組み合わせを意味するハイブリッド印刷のような、他の印刷技術もまた適用可能である。基材は、顔料を含むインクで印刷される前に、追加的プライマー層が提供され得る。そのようなプライマー層は、塩又は、顔料を含まないインクを含んでいてもよく、当業者に自明の通常のフレキソ印刷又は輪転グラビア方法のどちらでも塗布され得る。したがって、追加的プライマー層はまた、インク・ジェットのインクの蒸着に先立つ高速インク・ジェットでも塗布され得る。
【0026】
本発明の包装材料には、さらなるバリヤー層が提供され得る。バック・プライには、例えば、一層又は幾つかの層のポリマー・バリヤーが提供され得る。
【0027】
実例
本発明の板紙材料を評価するため、一連の試験が行われ、本発明に従って処理された板紙の、印刷性能及びポリマー接着性が、従来の未処理の板紙と比較された。試験において、すべての板紙は、トップ・プライ、バック・プライ、及び中間プライを有する3枚重ねの構造をしていた。トップ・プライは、晒硫酸パルプを含み、中間プライは、ケミサーモメカニカル・パルプ(CTMP:chemithermomechanical pulp)及び非晒硫酸パルプを含み、バック・プライは、非晒硫酸パルプを含んでいた。板紙の坪量はおよそ255gsmであった。本発明の試料(2〜5)は、およそ3g/mの量で、多価金属の塩(CaCl)及び、表1に従った結合剤が、(アプリケーター・ロールを備えたブレード塗工機で)ブレード塗工された。
【0028】
比較試験が、参照板紙(試料1)及び本発明の板紙(試料2〜5)について行われた。すべての試料は、Kodak デスクトップ・プリンターESP5により、カラー・インク・カートリッジ10、CAT394 7066及び黒インク・カートリッジ10、CAT394 7058を用いて印刷した(前記インクは、ナノ粒子着色剤を含む)。印刷性能は、光学(印刷)密度(OD)、プリント・モットル、及び水平のブリーディングを測定することにより評価した。「光学密度」は、Greta Macbeth D19C 47B/Pを使用し、DIN16536に従って、カラー・フィルターにより測定された。SUM YCMは、100%トーン・エリア(tone area)の黄色、シアン、及びマゼンタの合計を意味し、これは色密度の指標である。「プリント・モットル」は、ISO13660に従い、スキャナーIASを使用して測定した。「水平ブリーディング・ブラック」とは、印刷された黄色の背景に印刷された黒線のブリーディングが、ISO13660に従い、スキャナーIASを使用して測定されていることを意味している。
【0029】
【表1】
【0030】
印刷性能測定も、表1に要約されている。比較すると、印刷性能は、本発明に従って処理された試料が、参照の板紙に比べて、特段に良いことが示されている。最高の光学密度、最小のモットル、及び最小のブリーディングが、ポリダドマック、でんぷん及び塩により処理された試料に観察された。
【0031】
すべての板紙が、その後、ブレード塗工機で、およそ14g/mの量でポリエチレンが被覆された。参照の板紙(試料1)、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)、ポリダドマック及び塩で処理された板紙、並びにポリダドマック、でんぷん及び塩で処理された板紙のポリマー接着性が測定された。ポリマー接着性の測定値は、表2に要約されている。
【0032】
【表2】
【0033】
表2に見られるように、MFC、ポリダドマック及び金属塩で処理された板紙が、参照の板紙と同等のポリマー接着性を示した一方、ポリダドマック、カチオン性でんぷん及び金属塩で処理された板紙は、はるかに強力なポリマー接着性を示した。したがって、これらの結果は、本発明に従った処理は、はるかに高い印刷性能及び、同等の又は高められたポリマー接着性を板紙に与えることを示している。
図1
図2
【国際調査報告】