特表2017-512188(P2017-512188A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-512188(P2017-512188A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】ポリグリセリンの調製
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/09 20060101AFI20170414BHJP
   B01J 23/02 20060101ALI20170414BHJP
   B01J 27/232 20060101ALI20170414BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20170414BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20170414BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170414BHJP
   C08G 65/34 20060101ALI20170414BHJP
   A23L 29/10 20160101ALI20170414BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20170414BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170414BHJP
【FI】
   C07C41/09
   B01J23/02 Z
   B01J27/232 Z
   C07C43/13 D
   A61K47/34
   A61K8/86
   C08G65/34
   A23L29/10
   A23K20/163
   C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-550787(P2016-550787)
(86)(22)【出願日】2015年2月12日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月30日
(86)【国際出願番号】NL2015050092
(87)【国際公開番号】WO2015122770
(87)【国際公開日】20150820
(31)【優先権主張番号】14155013.7
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14191262.6
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516236045
【氏名又は名称】クラリアント インターナショナル エルティーディー.
(71)【出願人】
【識別番号】516236056
【氏名又は名称】ウニヴェルシテイト ユトレヒト ホールディング ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,アントン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェックヒュイセン,ベルト マルク
(72)【発明者】
【氏名】レインヴェーバー,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】カービィ,フィオナ
(72)【発明者】
【氏名】シェール,フランツ クサーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】メッツ,ハン ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ブルイユニンセクス,ピーテル コルネリス アントニウス
【テーマコード(参考)】
2B150
4B035
4C076
4C083
4G169
4H006
4H039
4J005
【Fターム(参考)】
2B150AB04
2B150DA55
4B035LC01
4B035LG09
4B035LK13
4C076EE23
4C083AD011
4C083AD012
4C083CC01
4G169AA03
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB05A
4G169BB05B
4G169BB16A
4G169BB16B
4G169BC08A
4G169BC09A
4G169BC09B
4G169BC10A
4G169BC12A
4G169BC13A
4G169CB25
4G169CB71
4G169CB75
4G169DA05
4G169EA03X
4G169EC25
4G169EC27
4G169FC08
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB10
4H006AB12
4H006AB72
4H006AC43
4H006BA06
4H006BA30
4H006BC10
4H006GN05
4H006GP01
4H039CA61
4H039CL25
4J005AA21
4J005BA00
4J005BB02
(57)【要約】
本発明は、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応に対して触媒活性を有する触媒塩を担体上に施すステップと、担体上の触媒塩を、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールを含む流体相と接触させるステップと、触媒塩の存在下で流体相中のポリオールをエーテル化反応させ、それによりポリグリセリンを得るステップとを含むポリグリセリンの調製方法に関する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応について触媒活性を有する触媒塩を担体上に供給するステップと、
担体上の触媒塩を、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールを含む流体相と接触させるステップと、
触媒塩の存在下で流体相中のポリオールをエーテル化反応させ、ポリグリセリンを得るステップと、
を含むポリグリセリンの調製方法。
【請求項2】
担体は流体相と接触させると、触媒塩をコロイド粒子の形態で流体相中へ放出する放出材料であることを特徴とする請求項1に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項3】
流体相が180〜260℃の温度まで、好ましくは180〜240℃の温度まで、より好ましくは200〜225℃の温度まで加熱され、加熱時に触媒塩のコロイド粒子が担体から放出されることを特徴とする請求項2に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項4】
担体が炭素材料を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項5】
担体がカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項6】
担体が活性炭であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項7】
触媒塩が、アルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩の群から選択される塩、好ましくはアルカリ土類金属の塩、特に酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、および水酸化ストロンチウムの群から選択されるアルカリ土類金属の塩、より好ましくは酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムの群から選択されるアルカリ土類金属の塩、さらにより好ましくは酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項8】
担体が、触媒塩および担体の総重量を基準として1〜15wt.%の触媒塩、特に2〜10wt.%の触媒塩を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項9】
反応の開始時における触媒塩に対するポリオールのモル比が、0.0002〜0.005の範囲、好ましくは0.0005〜0.004の範囲、より好ましくは0.001〜0.003の範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項10】
DIN 53240により決定されるヒドロキシル価が807〜1352mg KOH/gの範囲、好ましくは846〜1072mg KOH/gの範囲であるポリグリセリン混合物が得られる、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
DIN ISO 4630によって決定されるガードナー色数が2以下、特に1.5以下であるポリグリセリン混合物が得られることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
DIN 53240により決定されるヒドロキシル価が846〜1072mg KOH/gの範囲であり、およびDIN ISO 4630により決定されるガードナー色数が2以下であるポリグリセリン混合物であって、特に本発明に係る方法によって得ることができるポリグリセリン混合物。
【請求項13】
ガードナー色数が1.5以下であることを特徴とする請求項12に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項14】
全ポリグリセリンを基準として少なくとも30wt.%の直鎖ポリグリセリンを含むことを特徴とする請求項12または13に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項15】
全ポリグリセリンを基準として少なくとも50wt.%の直鎖ポリグリセリンを含むことを特徴とする請求項14に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項16】
全ポリグリセリンを基準として少なくとも70wt.%の直鎖ポリグリセリンを含むことを特徴とする請求項15に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項17】
本質的にアクロレインを含まず、本質的にグリシドールを含まないことを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項18】
カルシウム含量が重量で0〜2000ppmであることを特徴とする請求項12ないし請求項17のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項19】
カルシウム含量が重量で0〜1000ppmであることを特徴とする請求項18に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項20】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法で得られるポリグリセリン、または、請求項12ないし請求項19のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物を、ポリグリセリンのヒドロキシル基との反応性を有する物質と反応させるステップ、
を含むことを特徴とするポリグリセリン誘導体の調製方法。
【請求項21】
反応が、カルボン酸によるエステル化反応、または別のエステル、好ましくはグリセリドによるエステル交換であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法により得ることができる、ポリグリセリン誘導体。
【請求項23】
医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品であって、
(i)請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法で得られるポリグリセリン混合物、請求項12ないし請求項19のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物、または、請求項20または請求項21に記載の方法で得ることができるポリグリセリン誘導体、
および、
(ii)前記品のいずれかのための1つまたは複数の他の成分を含むことを特徴とする、医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品。
【請求項24】
医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品の調製方法であって、請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法で得られるポリグリセリン混合物、請求項12ないし請求項19のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物、または、請求項20または請求項1に記載の方法で得ることができるポリグリセリン誘導体を、前記品のいずれかのための1つまたは複数の他の成分と混合するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応に対して触媒活性を有する担体上の触媒塩であって、塩がカルシウム塩であり、担体が炭素担体材料であることを特徴とする担体上の触媒塩。
【請求項26】
カルシウム塩が酸化カルシウムであることを特徴とする請求項25に記載の担体上の触媒塩。
【請求項27】
炭素担体材料がカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項25または請求項26に記載の担体上の触媒塩。
【請求項28】
炭素担体材料が活性炭であることを特徴とする請求項25ないし請求項27のいずれか一項に記載の担体上の触媒塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリセリンの調製方法、ポリグリセリン混合物、ポリグリセリン混合物を含む医薬品、化粧品、食品または飼料製品、並びに医薬品、化粧品、食品または飼料製品の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセリンはポリグリセリンの合成における魅力的で再生可能な構成要素であり、食品、飼料、繊維、化粧品、および医薬品産業において多くの用途がある。ポリグリセリンはとりわけ、繊維潤滑剤、プラスチック帯電防止剤、消泡剤、食用コーティングのブルーム防止剤、および食用油中の飛散防止剤として使用される。
【0003】
ポリグリセリンは一般に、グリセリンを水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属触媒と混合し、次いで混合物を高温まで加熱することにより調製される。この反応は2つのグリセリン分子のヒドロキシル基の縮合または脱水を引き起こす。2つのアルファヒドロキシル基の反応は、典型的には、グリセリン分子間のエーテル結合および水の放出を生じさせ、直鎖ポリグリセリンを生成させる。未反応のヒドロキシ基は、さらなるグリセリン分子、および/または、他の重合した分子のヒドロキシ基と反応させるために利用可能なままである。分岐鎖ポリグリセリンは縮合反応により形成させることができ、ここではヒドロキシル基の少なくとも1つはベータヒドロキシル基である。
【0004】
この方法は典型的には、直鎖、分岐鎖、および環状のポリグリセリンの混合物を生成させる。
【0005】
しかし環状ポリグリセリンは、多くの場合に環状ポリグリセリンが取り込まれる製品の劣化を引き起こし、製品の色、味、性能、または臭気に悪影響を及ぼす。
【0006】
したがって、環状ポリグリセリンがあるとしても少量しか生成させない、直鎖ポリグリセリンの調製方法を見出す試みが続けられてきた。環状ポリグリセリンは一般に同様の直鎖ポリグリセリンよりもはるかに低い親水性親油性バランス(HLB)を有する。結果として、それらは典型的には、乳化材料よりもむしろ乳化破壊剤として働く。環状ポリグリセリンおよび環状ポリグリセリンエステルの存在は、高モノエステル生成物における遊離ポリグリセリンが溶液から析出することによって二相系が生成されることを促進する。このことは、商業ベースでの高モノエステル生成物の製造を不可能ではないとしても困難なものにする。脂肪酸対ポリグリセリンが低いモル比で調製されるポリグリセリンエステルは、反応温度において均質とならない傾向がある。この状況は、環状ポリグリセリンが系の中に持ち込まれると悪化する。
【0007】
ポリグリセリン混合物の色、臭気、または味を向上させ、ポリグリセリン混合物中の環状ポリグリセリンの濃度を低減させるための多くの方法が開発されてきた。国際公開第02/36534号では、水酸化カルシウムなどのカルシウム含有化合物を利用する方法が記載され、それにより水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを使用する方法と比較し、環状ポリグリセリンの生成が大きく減少すると述べられている。しかしこの効果は国際公開第02/36534号の実施例から明らかではない。さらに、国際公開第02/36534号においては、使用されるカルシウム含有化合物の材料特性に関する詳細が指定されていない。
【0008】
Chem.Eur.J.2008、14、2016〜2024では、グリセリンの重合反応におけるいくつかのアルカリ土類金属の活性を調べ、ナトリウム塩(NaCO)と比較した。BaOおよびSrOについて活性はおおよそ同じであったが、CaOについては大幅に低かった。MgOは、ほとんど触媒活性を示さなかった。反応の開始時には主に直鎖ジグリセリンが生成されるが、反応が進行するとより高い度合いの分岐鎖ジグリセリンが形成され始めることも分かった。さらに、グリセリンの重合に対する様々な種類のCaO材料の影響を調べた。材料の調製方法が触媒特性に影響を与えることが分かった。この文献の公開後、「CaO−C」という名のCaO材料の1つが本発明の発明者らによってさらに評価され、220℃で、触媒活性が観察されるまでに約5〜6時間かかることが分かった。同様の条件下で、グリセリンのエーテル化において固体のCa(OH)を試験すると、6〜7時間の誘導時間がやはり観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に既知の方法の1つまたは複数の欠点を克服するために、既知の方法の代替として使用できるポリグリセリンの調製方法を提供することである。特に、十分な活性、直鎖ポリグリセリン分子を選択的に良好に形成すること、望ましい色、または特定の用途における改善された製品特性、例えば、改善された乳化特性などを伴う方法を提供することが有利となる。
【0010】
さらなる目的は、新規ポリグリセリン混合物、特に医薬品、化粧品、食品、飼料、または繊維における使用に適した新規ポリグリセリン混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、グリセリンまたはオリゴグリセリンを特定の形態で提供される触媒塩と接触させることにより達成されることが現在分かっている。
【0012】
したがって、本発明は、
グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応に対して触媒活性を有する触媒塩を担体上に施すステップと、
担体上の触媒塩を、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールを含む流体相と接触させるステップと、
触媒塩の存在下で流体相中のポリオールをエーテル化反応させ、それによりポリグリセリンを得るステップと
を含む、ポリグリセリンの調製方法に関する。
【0013】
さらに、本発明はポリグリセリン混合物、特に本発明による方法によって得ることができる混合物に関する。
【0014】
典型的には、本発明によるポリグリセリン混合物は、DIN 53240によって決定されるヒドロキシル価が807〜1352mg KOH/gの範囲、好ましくは846〜1072mg KOH/gの範囲の、およびDIN ISO 4630によって決定されるガードナー色数が6未満、好ましくは2以下、特に1.5以下である。
【0015】
本発明はさらに、本発明による方法で得られるポリグリセリンまたは本発明によるポリグリセリン混合物を、ポリグリセリンのヒドロキシル基との反応性を有する物質と反応させるステップを含むポリグリセリン誘導体の調製方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、本発明によるポリグリセリン誘導体の調製方法によって得ることができるポリグリセリン誘導体に関する。
【0017】
本発明はさらに、本発明によるまたはまたは本発明による方法によって得られる、ポリグリセリンまたはまたはポリグリセリン誘導体、および1つまたは、複数の他の成分を含む製品に関する。
【0018】
特に、本発明はさらに、医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品であって、(i)本発明による方法で得られるポリグリセリン混合物、または本発明によるポリグリセリン混合物、または本発明によるポリグリセリン誘導体の調製方法で得ることができるポリグリセリン誘導体と、(ii)前記品のいずれかのための1つまたは複数の他の成分とを含む、医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品に関する。
【0019】
本発明はさらに、本発明による医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品の調製であって、それらの製品において、本発明による方法によって作られるポリグリセリン混合物またはポリグリセリン誘導体が提供される調製方法に関する。
【0020】
本発明はさらに、医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品の調製方法であって、本発明による方法で得られるポリグリセリン混合物、本発明によるポリグリセリン混合物、または本発明による方法で得ることができるポリグリセリン誘導体を、前記製品のいずれかのための1つまたは複数の他の成分と混合するステップを含むことを特徴とする方法に関する。
【0021】
本発明はさらに、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応に対して触媒活性を有する担体上の触媒塩に関する。特に、炭素ナノ繊維上または活性炭上にある酸化カルシウムによって良好な結果が得られている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】実施例9の触媒(CNF上2.5wt.% CaO)のTEM像を示す図である。
図1B】実施例8の触媒(CNF上4.8wt.% CaO)のTEM像を示す図である。
図1C】実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)の明視野でのTEM像を示す図である。
図2】実施例7(CNF上10wt.% CaO)、実施例10(CNF上10wt.% Ca(OH))、および実施例11(CNF上10wt.% CaCO)による触媒のXRDパターンを示す図である。
図3A】実施例1(三角を含む線)、実施例2(丸を含む線)、実施例3(×を含む線)、実施例4(四角を含む線)、および実施例5(ダイヤ形を含む線)の触媒の活性を示すグラフである。
図3B】実施例1(黒塗りの三角を含む線)および実施例13(黒塗りの四角を含む線)の触媒の活性を示すグラフである。
図3C】実施例15(黒塗りの四角を含む線)および実施例14(黒塗りのダイヤ形を含む線)の触媒の活性を示すグラフである。
図4】実施例1〜3、5、および6の触媒について約24時間の反応時間で得られるポリグリセリン生成物分布の棒グラフを示すグラフである。測定された生成物は、グリセリン(細かい網目)、ジグリセリン(太い斜め線)、トリグリセリン(粗い網目)、テトラグリセリン(縦線)、および、より大きいオリゴマー(水玉)を含む。
図5】それぞれ、約30%の転化率において触媒の実施例1、2、および実施例6を使用して、および約50%の転化率において実施例1〜3、5、および6による触媒を使用して得られるポリグリセリン生成物分布の棒グラフを示すグラフである。測定された生成物は、グリセリン(細かい網目)、ジグリセリン(太い斜め線)、トリグリセリン(粗い網目)、テトラグリセリン(縦線)、および、より大きいオリゴマー(水玉)を含む。
図6】それぞれ、約30%の転化率において触媒の実施例1、2、および実施例6を使用して、および約50%の転化率において実施例1〜3、5、および6による触媒を使用して得られるポリグリセリン生成物分布の棒グラフを示すグラフである。測定された生成物は、グリセリン(細かい網目)、ジグリセリン(太い斜め線)、トリグリセリン(粗い網目)、テトラグリセリン(縦線)、および、より大きいオリゴマー(水玉)を含む。
図7】グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、および、より大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、ならびに実施例1の触媒の選択性を示すグラフである。
図8】グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、および、より大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、ならびに実施例1の触媒の選択性を示すグラフである。
図9】グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、および、より大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、ならびに実施例1の触媒の選択性を示すグラフである。
図10】グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、および、より大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、ならびに実施例1の触媒の選択性を示すグラフである。
図11】グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、および、より大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、ならびに実施例1の触媒の選択性を示すグラフである。
図12】グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、および、より大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、ならびに実施例1の触媒の選択性を示すグラフである。
図13】実施例7(黒塗りのダイヤ形を含む線)、実施例8(黒塗りの丸を含む線)、実施例9(黒塗りの三角を含む線)の触媒、および実施例12(星形を含む線)の35.7mmolのバルク触媒における、時間の関数としてのグリセリンの転化率を示すグラフである。
図14】それぞれ30%の転化率および24時間後における、様々な充填重量(それぞれ実施例7〜9)のCNF上CaO触媒について得られるポリグリセリン生成物の組成の棒グラフを示すグラフである。得られる様々なポリグリセリン生成物を以下のように図14および15に示す:グリセリン(細かい網目)、二量体(太い斜め線)、三量体(粗い網目)、四量体(縦線)、および、より大きいオリゴマー(水玉)。
図15】それぞれ30%の転化率および24時間後における、様々な充填重量(それぞれ実施例7〜9)のCNF上CaO触媒について得られるポリグリセリン生成物の組成の棒グラフを示すグラフである。得られる様々なポリグリセリン生成物を以下のように図14および15に示す:グリセリン(細かい網目)、二量体(太い斜め線)、三量体(粗い網目)、四量体(縦線)、および、より大きいオリゴマー(水玉)。
図16】実施例1の触媒(黒塗りの三角を含む線)、実施例1の使用済み触媒(黒塗りのダイヤ形を含む線)を使用したコロイドCaOの放出によるグリセリンのエーテル化における%転化率対時間(h)の効率の結果、および熱時ろ過(白抜きの三角)によるCNFの除去後の転化率を示すグラフである。
図17】実施例7(黒塗りの三角を含む線)、実施例11(黒塗りの四角を含む線)、および実施例10(黒塗りのダイヤ形を含む線)の触媒を使用した、24時間の反応時間後のグリセリン転化率に対するカルシウム塩の効果を示すグラフである。
図18】実施例1(黒い点線)および実施例8(黒い破線)の触媒、それらの等価のCaモル量である5mmolおよび1.7mmolの実施例3の触媒(それぞれ、薄いグレー[一番上の曲線]および濃いグレー[点線の近く])、およびグリセリン(黒)について、散乱光強度(任意単位)対散乱角(K[m−2])をプロットした、SLS測定の結果を示すグラフである。
図19】24時間の反応時間後の、得られるポリグリセリン生成混合物の導電率(μS/cm)対、実施例1、7〜9の2wt.%の触媒(黒塗りの四角を含む線);並びに1.7mmolおよび5mmolの実施例3の触媒(黒塗りの三角を含む線)を使用して反応物に加えられたmmol Caを示すグラフである。
図20】180℃(×を含む線)、200℃(黒塗りの三角を含む線)、220℃(黒塗りのダイヤ形を含む線)、240℃(+を含む線)、および260℃(黒塗りの丸を含む線)の反応温度における、実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)による%グリセリン転化率対時間(h)をプロットした、グリセリン転化率に対する反応温度の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明者らは、Chem.Eur.J.2008、14、2016〜2024(CaO)に記載されるアルカリ土類金属酸化物などの非担持触媒塩に関して観察される、反応の開始の顕著な遅れが、担体上の触媒塩を使用した場合には生じないことを見出した。本発明の方法は、より短時間で様々な長さの直鎖ポリグリセリン分子を形成させるのに有効であることがさらに分かった。
【0024】
色に関して、本発明は、本質的に無色であるまたは薄い色を有するポリグリセリン混合物の調製を可能にするという点において特に有利である。通常、ガードナー色数は6未満である。好ましくは、ガードナー色数は3以下、より好ましくは2以下、特に1.5以下、さらにとりわけ1.0以下である。ガードナー色数はDIN ISO規格4630によって定義される通りである。
【0025】
ポリマーは、少なくとも概念上は2つ以上のより小さい分子(すなわちモノマー分子)、例えばグリセリンなどで構成される分子である。オリゴマーは、一種のポリマー、すなわち比較的小さいポリマーであり、典型的に少なくとも概念的上は2〜40個のモノマー単位、例えば2〜40個のグリセリン単位で構成される。
【0026】
「ポリグリセリン」という用語は、本明細書において少なくとも概念上2つ以上のグリセリン分子で構成される直鎖、分岐鎖、および環状の分子に関して使用される。グリセリンの調製方法に関して使用する場合、ポリグリセリンという用語は特に反応生成物に使用される。「オリゴグリセリン」という用語は、本明細書において具体的には、少なくとも概念上2つ以上のグリセリン分子で構成される出発物質に使用される。当業者が理解することになるように、本発明の方法により得られるまたは本発明による製品中に存在するポリグリセリンは、グリセリンのオリゴマーであってもよく、典型的には(すなわち少なくとも概念上)、ポリグリセリンを作るオリゴグリセリンと比較して少なくとも1つのさらなるグリセリンで構成されることになる。
【0027】
明確性および簡潔な説明のために、特徴は本明細書において同じまたは別々の実施形態の一部として記載されるが、しかし本発明の範囲は記載される特徴のすべてまたは一部の組合せを有する実施形態を含んでいてもよいことが理解されることになる。
【0028】
触媒塩は、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応に対して触媒活性を有する任意の触媒塩から選択される。好ましくは、触媒塩は、水酸化物、炭酸物、または酸化物などのアルカリ塩(すなわちプロトン性媒体中でアルカリ性pHをもたらす塩)である。通常、触媒塩は金属塩である。好ましくは、触媒塩はアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩の群から、より好ましくはアルカリ土類金属の塩の群から選択される。特に好ましいのは、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、および水酸化ストロンチウムの群から、さらにより好ましくは酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムの群から選択される、アルカリ土類金属の塩である。特に、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物により良好な結果が得られている。
【0029】
Eur.J.Lipid Sci.Technol.2011、113、100〜117に記載されるような、バルクのCaO、CaCO、Ca(OH)を使用した過去の研究は、CaOがCa(OH)およびCaCOよりも強い塩基であるにもかかわらず、高温でグリセリンおよびそのポリマー生成物中のCa(OH)の溶解性がより高いために、Ca(OH)がグリセリンのエーテル化においてCaOおよびCaCOよりも活性が高いことを示している。驚くことに、CNF担体上にCaOを分布させることによって、CaOの利用度および触媒活性の両方が上昇することが分かっている。このことは、グリセリンのエーテル化における触媒の活性が活性相の利用度および使用される触媒の塩基強度に依存することを示すと考えられる。
【0030】
担体は通常、触媒塩を付着させる材料である。担体に適した材料は、流体相中で本質的に不活性である(すなわち、例えば溶解または溶融させることによって、化学的にも物理的にも分解しない)材料である。
【0031】
通常、材料は担体から流体相への触媒塩の放出材料としても働く担体のために選択される。好ましくは、担体上の触媒塩を流体相と接触させ、場合により担体上の触媒塩を流体相と接触させながら流動相を加熱した場合に、または担体上の触媒塩を加熱した流体相に加えることにより、触媒塩は担体から流体相中へコロイド粒子として放出される。流体相を加熱できる温度は、エーテル化反応を行うのに適した任意の温度であってもよい。驚くことに、放出された触媒塩のコロイド粒子は、グリセリンのエーテル化において等モル量の既知のバルクCaOおよびNaOH触媒よりも高い活性を有することが分かった。これは、担体上の触媒塩から生じるコロイドのサイズがバルク触媒塩から生成されるコロイドと比較して小さいことに起因すると考えられる。コロイド粒子は、好ましくは、動的光散乱(法)(DLS)により決定される直径が400nm以下、好ましくは300nm以下、特に20〜250nm、さらにとりわけ50〜200nmである。これらの直径は以下の条件を使用して、すなわちHO中のポリグリセリンの50wt.%試料を調製して、DLS測定により決定される。試料をMilliporous FP 0.8μmフィルターでろ過した。ろ過した試料のDLSをMalvern Zetasizer Nanoで測定する。
【0032】
コロイド粒子は一般に高い多分散性を有する。サイズ分布は多峰性であってもよく、例えば約60nm〜約75nmのピークおよび約150nm〜約180nmのピークを有する。
【0033】
特に、少なくとも大多数、すなわち50wt.%を超える、好ましくは、少なくとも90wt.%の触媒塩(流体相と接触させる前)が、一般に100nm以下、好ましくは、50nm以下のサイズを有し、より好ましくは、30nm未満のサイズ、特に10nm以下のサイズを有するナノ粒子の形態で担体の表面に存在する、担体上の触媒塩が好ましい。通常、透過電子顕微鏡法(TEM)により測定する場合、サイズは少なくとも1nmである。好ましくは、本質的にすべての触媒塩は担体上に付着したナノ粒子として存在する(流体相と接触させる前)。特に、比較的低い触媒塩濃度、典型的には15wt.%未満、特に10wt.%未満、さらにとりわけ5wt.%以下では、大部分(すなわち50wt.%を超える)または本質的にすべて(すなわち90wt.%を超える、特に95wt.%を超える)の触媒塩がナノ粒子として提供されることが分かっている。触媒塩濃度の下限に関しては、触媒濃度は通常、触媒塩および担体の総重量を基準として1wt.%以上、特に2wt.%以上である。
【0034】
あるいは、またはさらに、触媒塩は担体上のフィルムまたはシートの形態で存在してもよい。
【0035】
エーテル化反応が進行する流体相に触媒塩がコロイド粒子として放出される、そのような本発明の実施形態は、コロイド金属塩の触媒を反応相中に導入する容易な方法である。さらに、この取り組みは、誘導時間、すなわち流体相をエーテル化反応が進行する温度にするステップと顕著な触媒活性が目立つ時点との間の時間が比較的短く、典型的には1時間である点において特に有利であることが分かっている。少なくともいくつかの実施形態において、誘導時間が0である、すなわちエーテル化が進行する温度に達するやいなや触媒が顕著な活性を有すると予測される。対照的に、担体(例えばChem.Eur.J.2008、14、2016〜2024および国際公開第02/36534号で使用されるCaO−C材料)の助けを借りずに金属塩の粒子を分散させる方法では、誘導時間がかなり長く、例えば220℃で4時間を超える。さらに、本発明に従って提供される触媒塩はバルク触媒塩(Chem.Eur.J.2008、14、2016〜2024によるCaO−Cなど)よりも活性が高いことが分かった。さらに、特に触媒塩および担体の総重量に対して5wt.%を超える触媒塩を含む担体において、触媒活性がより高く、すなわちより短時間で高い転化率に達する。これは、触媒塩のコロイド粒子の存在に起因する不均一の反応経路の働きによるものと考えられる。一方でより少量の触媒塩の反応では、触媒塩の溶解性により制限される均一な反応経路によって支配されると考えられる。
【0036】
本発明のこの実施形態のさらなる利点は、これがより大きいグリセリンのオリゴマー(すなわち1分子当たり2つ以上のグリセリン単位からなるポリグリセリン分子)の製造に適しているだけでなく、ポリグリセリン混合物の生成物の着色を最小限としアクロレインの形成を実質的に避ける(すなわち通常は0.01wt.%以下、好ましくは0.001wt.%以下)ことである。
【0037】
担体材料に関しては、炭素材料によって、特に炭素ナノ繊維(CNF)および活性炭によって良好な結果が実現される。さらに好ましい炭素材料としては、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブ(SWCTまたはMWCNT)、黒鉛状炭素、およびカーボンブラックが挙げられる。炭素は非活性炭または活性炭であってもよい。活性炭の例は、Cabot Norit Americas Inc.製の酸洗浄した水蒸気賦活活性炭(steam−activated carbon)粉末であるNorit(登録商標)SX Ultra Catである。炭素材料は、特に非活性炭を使用する場合、不活性であるため特に担体としての使用に適しており、触媒塩の有利な放出を可能にする。
【0038】
ナノファイバー、ナノチューブ、および細長い構造を有する他の担体は、それらの有利な表面積対体積比のために特に好ましい担体材料である。
【0039】
(非活性炭の)CNFは、それらの有利な表面積および不活性のためだけでなく、それらが高純度で作られるために好ましい。
【0040】
活性炭はまた、その広い表面積、不活性、およびそれが高純度で作られるという事実のためだけでなく、それらのコストが比較的低いので工業規模の用途で使用するのに経済的により好ましく、そのような材料は好ましい担体材料である。
【0041】
通常、担体は、N物理吸着により測定可能なBET表面積が1200m/g以下、特に50〜500m/g、さらにとりわけ100〜200m/gである。
【0042】
触媒塩を含む担体の、N物理吸着により決定可能なBET表面積は、典型的には1100m/g以下、好ましくは30〜450m/g、および、より好ましくは50〜150m/gである。
【0043】
BET表面は、S.Brunauer、P.H.Emmett、およびE.Teller、Journal of the American Chemical Society 1938、60、309に記載される方法により測定される。BET表面積は本明細書において、Micromeritics Tristar 3000を用いて、180℃において試料を脱ガスした後、77Kおよびおよそ0.05〜0.3のP/Pで吸着される窒素の量を測定し(Pは77Kで表面と平衡状態にある窒素の蒸気分圧であり、Pは窒素の飽和圧力である)、窒素の断面積が16.2Åであると仮定することにより測定することができる値として定義される。
【0044】
通常、担体の全細孔体積は1.5mL/g以下、特に0.3〜1.0mL/g、さらにとりわけ0.4〜0.6mL/gである。
【0045】
触媒塩を含む担体の全細孔体積は、典型的には1.1mL/g以下、特に0.25〜0.9mL/g、さらにとりわけ0.3〜0.5mL/gである。
【0046】
本明細書で使用する全細孔容積は、Micromeritics Tristar 3000を使用して、およそ1のP/Pにおいて吸着される液体窒素の体積を決定することにより測定される値である。
【0047】
担体上の触媒塩の量は、原理上は広い範囲内で選択できる。担体は通常、触媒塩および担体(少なくとも接触させる前)の総重量を基準として、少なくとも1wt.%、好ましくは少なくとも2wt.%、特に少なくとも4wt.%の触媒塩を含む。エーテル化が典型的に起こる流体相中への有利な放出挙動のためには、触媒塩が別々のナノ粒子として担体の表面上に分布していることが好ましい。分布したナノ粒子は、好ましくは、上記のようなサイズを有する。通常、担体上の触媒塩の量は、触媒塩および担体の総重量を基準として、15wt.%以下、好ましくは、10wt.%以下であり;通常は2wt.%以上、好ましくは、4wt.%以上、より好ましくは、5wt.%以上である。
【0048】
担体上の触媒塩は、それ自体が既知の方法で調製できる。特に、インシピエントウェットネス(incipient wetnes)含浸(IWI)法が適している。例えば、触媒塩の調製は、Freyら、ChemCatChem 2013、5、594〜600、またはFreyら、Journal of Catalysis 2013、305、1〜6に基づいていてもよい。IWIでは、担体が含浸塩溶液に含浸され、この塩は少なくとも触媒塩のカチオン(典型的には金属イオン)を提供する。原理上、塩は、水性液体または有機液体であってもよい含浸液体中に溶解する任意の塩から選択してもよい。塩は、ギ酸または酢酸などの有機酸の塩であってもよい。有利な実施形態において、塩は、ハロゲン化物塩などの無機塩、特に塩化物塩、硝酸塩、または硫酸塩である。硝酸塩によって良好な結果が得られている。
【0049】
含浸後、含浸した担体を通常は乾燥させる。乾燥はそれ自体が既知の方法で行ってもよい。
【0050】
必要に応じて、それ自体が既知の方法で、例えば約800℃の温度で加熱することにより、含浸させた担体に熱処理を施し、それにより担体上の塩(酸化物以外)を酸化物へ転化させ、それにより担体上に触媒塩(酸化物)を形成させる。
【0051】
本発明によるポリグリセリンの調製方法において、触媒塩は通常、0.0001以上、特に0.0002以上、さらにとりわけ0.0004以上である触媒塩に対するポリオールのモル比(反応の最初における)を実現する量で提供される。高い活性のためには、0.0005以上、特に0.001以上の比など、比較的高い比を使用することが好ましい。通常、触媒塩に対するポリオールのモル比(反応の最初における)は0.01未満、好ましくは、0.005以下、より好ましくは、0.004以下、特に0.003以下である。比較的低い比は、得られる生成物中の金属触媒塩の存在が通常は不要で望ましくないという点で有利である。そのため、低い比を使用することによって、除去ステップの必要性を除くことができる、または少なくとも必要性を軽減することができ、なぜなら本発明の方法により得ることができるポリグリセリン混合物は、典型的には重量で0〜2000ppmのカルシウム、好ましくは、重量で0〜2000ppmのアルカリ土類金属およびアルカリ金属、より好ましくは、重量で0〜2000ppmの金属を含むからである。活性および選択性に関する良好な結果は別として、多くの用途においてカルシウムまたはマグネシウムの存在は例えばナトリウムよりも、望ましくないものと見なされにくいので、触媒塩としての酸化カルシウム、炭酸カルシウム、もしくは水酸化カルシウム、または酸化マグネシウムもしくは水酸化マグネシウムの使用がやはり有利であると考えられる。
【0052】
エーテル化反応は典型的には、触媒塩およびポリオールから本質的になる流体相中で行われる。通常、エーテル化の間、流体相中の触媒塩とポリオール(すなわち最初の試薬であるグリセリン/オリゴグリセリンおよび生成されるポリグリセリン)の総重量は、流体相の総重量を基準として少なくとも90wt.%、好ましくは、少なくとも95wt.%、より好ましくは、少なくとも99wt.%、特に少なくとも99.8wt.%である。当業者にとって明らかであるが、担体(反応が行われる反応器中にまだ存在する場合)は典型的には固体であり、そのため流体相の一部をなさない。
【0053】
エーテル化の間に、水が形成される。逆反応(加水分解)を抑制するために、水はエーテル化の間に、好ましくは、除去される。存在する場合、エーテル化の間の水の量は通常は反応が行われる流体相の総重量を基準として0.5wt.%未満、好ましくは、0.2wt.%以下である。
【0054】
水の除去(それにより水の濃度を低く維持する)はそれ自体が既知の方法であり、例えば、大気圧未満で、特に0.5bar未満(すなわち50kPa未満)、さらにとりわけ10〜300mbar(すなわち1kPa〜30kPa)の圧力で反応を行うことなどにより、実現することができる。
【0055】
有利な実施形態において、水を除去するために流体相に窒素ガスを注入する。
【0056】
水の除去を促進する溶媒、典型的にはトルエンなどの疎水性有機溶媒を加えることも可能である。しかし、その存在がポリグリセリン混合物を意図する用途において望ましいものでない限り、そのような溶媒を使用しない方法を行うことが好ましい。
【0057】
触媒塩が担体から放出されたら、エーテル化反応が完了または停止する前、その間、またはその後で、担体は反応媒体から分離されてもよい。
【0058】
エーテル化反応は通常、反応が進行する温度まで温度を上昇させることによって開始される。一般に、少なくとも約180℃の温度で十分である。反応速度を増加させるためには、少なくとも200℃の温度が好ましい。環化などの望ましくない副反応を有利に低レベルで維持するために、温度は通常は260℃以下である。しかし、特に約260℃以上の温度で、アクロレインおよび縮合生成物が見られ、これはポリグリセリン混合物生成物の色を暗くさせる。好ましくは、温度は240℃以下、特に225℃以下、さらにとりわけ約220℃以下である。
【0059】
原理上は得られるポリグリセリンは任意の長さ、特に2〜30個のグリセリン単位の範囲の長さを有していてもよい。好ましくは、少なくともポリグリセリン分子の10wt.%が少なくとも3個のグリセリン単位で形成されている。
【0060】
本発明は特にポリグリセリン混合物(モノマーグリセリンをさらに含んでいてもよい、ポリグリセリンの混合物)を調製するのに適している。特に、本発明は2〜30個のグリセリン単位、さらにとりわけ2〜20個のグリセリン単位で形成されるポリグリセリンを得るのに適している。
【0061】
ポリグリセリン混合物のヒドロキシル値(HV)は、ポリグリセリンの平均サイズの指標を示し(ポリグリセリン混合物中のフリーのヒドロキシル基の顔料を測定することにより)、これは通常、1352mg KOH/g(ジグリセリンのHVに相当する)以下、好ましくは、1169mg KOH/g(トリグリセリンのHVに相当する)以下、より好ましくは、1072mg KOH/g(テトラグリセリンのHVに相当する)以下、特に1012mg KOH/g(ペンタグリセリンのHVに相当する)以下である。好ましくは、807mg KOH/g以上のHV(27−グリセリンのHVに相当する)、特に824mg KOH/g以上のHV(20−グリセリンのHVに相当する)、さらにとりわけ846mg KOH/g(ペンタデカグリセリンのHVに相当する)以上のHVを有するポリグリセリン混合物が得られるまで反応を進行させる。
【0062】
本明細書で使用するmg KOH/gでのヒドロキシル値(HV)は、DIN 53240によって決定可能な値であり、ここではポリグリセリン試料を最初にピリジン溶媒中で無水酢酸によりアセチル化し、次いで残留する無水酢酸を加水分解して酢酸を得るために水を加え、Kyoto Electronics Manufacturing滴定システムまたはMetrohm 904 Titrandoにおいて、得られる酢酸を滴定剤で終点まで滴定する。
【0063】
本発明によるポリグリセリン混合物(得ることができる)は通常、少なくとも85wt.%、特に少なくとも90wt.%のポリグリセリンからなる。
【0064】
通常、本発明によるポリグリセリン混合物(得ることができる)は、全ポリグリセリンを基準として30wt.%を超える、特に50wt.%を超える、好ましくは、少なくとも70wt.%、より好ましくは、少なくとも85wt.%、さらにより好ましくは、少なくとも95wt.%の直鎖ポリグリセリンを含む。特に好ましい実施形態において、本発明によるポリグリセリン混合物(得ることができる)は、ポリグリセリンの全重量を基準として少なくとも98wt.%の直鎖ポリグリセリンを含む。
【0065】
環状ポリグリセリンの含量は通常、ポリグリセリンの総重量を基準として8wt.%未満、好ましくは、5wt.%未満、より好ましくは、2wt.%未満である。
【0066】
特に、本発明による方法は、同様の平均分子量を有する市販の参照ポリグリセリン混合物と比較して、比較的少ない数の不飽和の炭素−炭素結合を有するポリグリセリン混合物の調製を可能にすることが分かっている。例えば、本発明は8以下のヨウ素価を有する、グリセリン単位の平均数が7〜11であるポリグリセリン混合物の製造を可能にするが、一方7〜10のグリセリン単位の平均数を有する市販の参照製品(NaOH触媒により作られる)は16.6のヨウ素価を有していた。
【0067】
したがって、本発明によるポリグリセリン混合物(得ることができる)のヨウ素価は通常、0〜10の範囲、特に0.5〜5の範囲である。好ましくは、ヨウ素価は3以下、より好ましくは2以下である。
【0068】
本発明による方法で得ることができるポリグリセリン混合物は、典型的には重量で0〜2000ppmのカルシウム、特に重量で10〜1000ppmのカルシウムを含む。
【0069】
本発明による方法で得ることができるポリグリセリン混合物中のアルカリ土類金属およびアルカリ金属の含量は、好ましくは、重量で0〜2000ppm、特に重量で10〜1500ppm、さらにとりわけ重量で100〜1000ppmである。
【0070】
本発明による方法で得ることができるポリグリセリン混合物中の金属の全含量は、好ましくは、重量で0〜2000ppm、特に重量で10〜1500ppm、さらにとりわけ重量で100〜1000ppmである。
【0071】
通常、本発明による方法で得ることができるポリグリセリン混合物は、本質的にグリシドールを含まない(すなわちポリグリセリン混合物の総重量を基準として通常は0.01wt.%以下、好ましくは、0.001wt.%以下)。
【0072】
通常、本発明による方法で得ることができるポリグリセリン混合物、本質的にアクロレインを含まない(すなわちポリグリセリン混合物の総重量を基準として通常は0.01wt.%以下、好ましくは、0.001wt.%以下)。
【0073】
本発明による方法で得られるまたは得ることができるポリグリセリン混合物に、1つまたは複数のさらなる処理を施してもよい。例えば残留グリセリンを除去してもよい、または特定のポリグリセリン分画を回収してもよい。適切な技術は当技術分野において既知である。グリセリンは例えば真空蒸留によりまたは水蒸気蒸留により除去してもよい。
【0074】
本発明に従って得られるまたは得ることができるポリグリセリン(混合物)は、さらなる用途において、例えば食品、化粧品、または医薬製品においてそのまま使用してもよく、または最初に誘導体化してもよい。
【0075】
誘導体化は、ポリグリセリンのヒドロキシル基と反応性を有する任意の物質により行ってもよい。好ましい実施形態において、誘導体化はアミンとの反応、さらなるエーテル化反応、エステル化反応、またはエステル交換反応である。通常、カルボン酸、モノグリセリド、またはジグリセリドをエステル化反応のために使用する。エステル交換については、モノ、ジ、またはトリグリセリドが特に適しているが、別のエステルを試薬のエステルとして使用してもよい。使用してもよい適切なカルボン酸はC1〜C30カルボン酸であり、好ましくは、C6〜C22カルボン酸が使用される。特に好ましいのは飽和または不飽和脂肪酸であり、そのうち、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ミリストレイン酸、リノール酸、オレイン酸、リカン酸(licaneic acid)、リシノール酸、エレオステアリン酸、およびエルカ酸が例である。グリセリドは好ましくは、1つまたは複数のC1〜C30カルボン酸、特にまたは1つまたは複数のC6〜C22カルボン酸のグリセリドである。
【0076】
エステル化のプロセス条件は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および酢酸ナトリウムなどのアルカリ塩基によるエステル化に関してそれ自体が当技術分野において既知である条件に基づいていてもよい。そのようなプロセス条件の例としては、米国特許第5,585,506号、第4,517,360号、第5,006,648号、第5,071,975号、第5,079,355号、および第3,963,699号に記載されるものが挙げられる。
【0077】
好ましい実施形態によれば、エステル化(またはエステル交換)は触媒塩の存在下でポリグリセリン混合物をカルボン酸または試薬エステル(エステル交換のための)と共に加熱することにより行われる。エステル化は一般に約160〜約260℃の温度で行われ、好ましくは、約210〜約250℃で行われる。圧力は通常、大気圧または大気圧未満である。1bar未満の圧力が、エステル化反応において生成する水の除去に好ましい。
【0078】
エステル交換は、好ましい反応温度が230〜260℃であること以外は同じ条件下で行われる。
【0079】
反応混合物中のポリグリセリン対カルボン酸等価物(または試薬エステル)のモル比は、約1:0.5〜約1:10の幅広い範囲にある。生成するポリグリセロールエステルの性能を変化させるために、モル比を変化させることができる。一般に、ポリグリセリン対脂肪酸(またはトリグリセリド)のモル比が高いほど、生成物の親水性親油性バランス(HLB)は低くなる。
【0080】
典型的には、触媒有効量の触媒塩が反応混合物中に存在する。(トランス)エステル化のための反応混合物中の触媒塩に対するポリグリセリンのモル比は一般に、0.0002〜0.2、特に0.0006〜0.02、より好ましくは約1:0.001〜約1:0.01の範囲である。
【0081】
一般に、反応は約1〜約10時間、好ましくは約2〜約4時間をかけて行われる。より好ましくは、反応混合物が透明になり、米国油脂化学協会(American Oil Chemists Society)(A.O.C.S.)の公定法Te la−64により測定される酸価が2未満になるまで、反応を続ける。
【0082】
エステル化の後、当技術分野において既知の任意の方法により、例えば中和剤などにより、反応混合物を中和することができる。中和剤の例は、リン酸、亜リン酸、乳酸、酢酸、塩酸およびクエン酸である。
【0083】
得られる溶液は好ましくは、溶液中の100%重量の全ポリグリセリンエステルを基準として、約8%未満、より好ましくは、約5%未満、特に約2重量%未満の環状ポリグリセリンエステルを含有する。
【0084】
本発明に従って得られるまたは得ることができるポリグリセリン(混合物)またはポリグリセリンエステル(混合物)は、医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品における使用に特に適している。ポリグリセリンまたはポリグリセリンエステル(混合物)は、それ自体が既知の方法で前記製品のいずれかの1つまたは複数の他の(従来の)成分と共に配合することができる。ここで本発明を以下の実施例により説明することにする。
【0085】
<実施例1:CNF上14wt.%酸化カルシウム触媒>
Freyら、Journal of Catalysis 2013、305、1〜6に記載の方法に従って、CNF上14wt.%酸化カルシウム触媒を調製した。典型的には、水(1.3L)中の硝酸ニッケル六水和物(7.85g)、シリカ(30g、Aerosol 300、Degussa)、および尿素(4.85g)を使用して、析出沈殿法(deposition−precipitation process)により90℃の温度で5wt.% Ni/SiO触媒を調製した。この材料を、焼成(T=600℃)および還元(T=700℃、Hによる)後に成長触媒として使用した。合成ガス(H/CO/N、102/266/450mL min−1)を使用して550℃の温度および380kPaの圧力で、成長触媒(5g)からCNFを成長させた。CNFを環流処理により1M KOH中で1.5時間かけて精製してシリカを除去し、洗浄後、続いて濃HNOにより1.5時間かけて環流処理を行って、ニッケルを除去し、繊維を官能化させた。洗浄後に表面酸化CNF(典型的には30g)を得た。
【0086】
212〜425μmの平均ふるい分級物を有する2.5gの表面酸化CNFを、硝酸カルシウムの5.3M水溶液(1.25mL中の1.5g Ca(NO・4HO)を用いてインシピエントウェットネスにより真空下で含浸させた。触媒を室温(約25℃)で1時間平衡化させ、次いで120℃の温度で12時間、静止空気中(気体流なし)で乾燥させた。含浸済みCNFを5℃/minの温度傾斜率で800℃まで上昇させN雰囲気中で3時間維持する熱処理によって、含浸させた硝酸カルシウムを酸化カルシウムへ転化させた。空気中のCOおよびHOへの暴露を避けるために、使用前にアルゴン雰囲気下で材料を保存した。
【0087】
<実施例2:14wt.% CaO_AC触媒>
14wt.% CaO_CNF(実施例1)について上記で記載される方法に従って14wt.% CaO_AC触媒を調製したが、ただし活性炭(Norit sx ultra cat)を担体として使用し、活性炭(Norit sx ultra cat)の全細孔体積(0.88cm/g)がCNF(0.5 cm/g)よりも大きいため1.7M 硝酸カルシウム溶液(3.75mL HO中の1.5g Ca(NO・4HO)をインシピエントウェットネス含浸に使用した。
【0088】
<実施例3:0.37wt.% Ca(OH)触媒(参照)>
Ca(OH)触媒については市販の従来の製品を使用した。
【0089】
<実施例4:2wt.%非担持CaO−C触媒(参照)>
CaO−C触媒をChem.Eur.J.2008、14、2016〜2024のように調製した。
【0090】
金属Ca(16.8g)を乾燥メタノール(800mL)中に溶解させることによりカルシウムメトキシドの溶液を調製した。Ar流下で混合物を16時間撹拌した。次いでメタノール(150mL)中のCa(OCHの溶液をビーカー中でトルエン(450mL)と共に撹拌した。室温で脱イオン水(8mL)を滴下して加えることにより、この混合物中のカルシウムメトキシドを直ちに加水分解させた。次いで反応混合物をオートクレーブ内へ移し、Arでフラッシングした。オートクレーブにAr(g)を12barの圧力まで充填し、245℃まで加熱した。オートクレーブ内の最終圧力は39barであり、245℃の温度を15分間維持した。合成後、オートクレーブを排気させ、Ar(g)で10分間フラッシングして残留有機溶媒を除去し、室温まで冷却した。最終ステップにおいて、動的真空下で活性化処理を行うことにより、得られた水酸化カルシウムをCaOへ熱的に転化させた。Ca(OH)をシュレンク管中に入れ、20分間脱ガスし、以下の処理に従って加熱した:0.5℃/minの速度で25〜350℃、350℃の温度を1時間維持、続いて1℃/minの速度でさらに450℃まで加熱、この温度を2.5時間維持。
【0091】
<実施例5および6:非担持NaOH触媒(参照)>
NaOH触媒については市販の従来の製品を使用した。エーテル化において使用されるNaOH濃度はそれぞれ0.2wt.%(実施例5)および2wt.%(実施例6)であった。
【0092】
<実施例7、8および9:CNF上10wt.%、4.8wt.%、および2.5wt.% CaO触媒>
実施例1に記載の方法に従って、CNF上10wt.%、4.8wt.%、および2.5wt.% CaO触媒を調製した。ただしCNF担体は、それぞれ3.6M(1.25mL HO中の1.06g Ca(NO・4HO)、1.7M(1.25mL HO中の0.5g Ca(NO・4HO)および0.9M(1.25mL HO中の0.27g Ca(NO・4HO)に対応する様々な濃度の硝酸カルシウムの水溶液を使用してインシピエントウェットネスにより真空下で含浸させた。
【0093】
<実施例10:CNF上10wt.% Ca(OH)触媒>
実施例7に記載されるのと同じ方法に従って、CNF上10wt.% Ca(OH)触媒を調製したが、ただし調製されたCNF上CaO触媒は、次いで水飽和NをCNF上CaO触媒の上に12時間流すさらなるステップにより処理された。
【0094】
<実施例11:CNF上10wt.% CaCO触媒>
実施例7に記載されるのと同じ方法に従って、CNF上10wt.% Ca(OH)触媒を調製したが、ただし5℃/minの温度傾斜率で400℃まで上昇させこれをN雰囲気中で3時間維持させることにより、含浸済みCNFの熱処理を行った
【0095】
<実施例12:非担持CaO触媒(参照)>
CaO触媒については、市販の従来の製品を使用した。
【0096】
<実施例13および14:14wt.%および5wt.% CaO/AC触媒>
実施例1で上記に記載される方法に従って、14wt.%および5wt.% CaO/AC触媒を調製したが、ただし活性炭(Clariantより供給、886m/gのBET表面積および0.62cm/gの全細孔体積を有する)を担体として使用し、担体はそれぞれ3.2M(2mL HO中の1.5g Ca(NO・4HO)および1.1M(2mL HO中の0.54g Ca(NO・4HO)に対応する様々な濃度の硝酸カルシウムの水溶液を使用してインシピエントウェットネスにより真空下で含浸させた。
【0097】
<実施例15:CNF上5wt.% CaO触媒>
実施例1について記載される方法に従って、CNF上5wt.% CaO触媒を調製したが、ただしCNF担体は1.8M(1.25mL HO中の0.54g Ca(NO・4HO)に対応する様々な濃度の硝酸カルシウムの水溶液を使用してインシピエントウェットネスにより真空下で含浸させた。
【0098】
<触媒の特性決定>
実施例1、7〜9、13、および14による触媒を、透過電子顕微鏡法(TEM)によってFEI Tecnai 20Fを使用して特性を決定した。触媒の試料を穴あき炭素グリッド上に置き、明視野および暗視野TEM像の両方を記録した。
【0099】
図1(A)および図1(B)はそれぞれ、実施例9(CNF上2.5wt.% CaO)および実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)の触媒の明視野におけるTEM像を示す。これらの像において、CNF担体上のCaOの大部分が5〜10nmの範囲の平均サイズを有するナノ粒子の形態であったことが分かる。
【0100】
図1(C)は、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)の明視野でのTEM像を示す。この像において、丸で囲んだ領域に示されるようにCaOの大部分がフィルムまたはシートの形態のCNF担体上に存在することが分かる。粒子はTEMにより観察できなかったが、TEMに取り付けられたエネルギー分散X線検出器(EDX)は、CNF担体がCaOにより覆われていたことを示すことができた(図1(C)の丸で囲んだ領域を参照)。実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)もまた、CaOの大部分がフィルムまたはシートの形態のCNF担体上に存在することを示した。
【0101】
TEMによる実施例9、13、および14の触媒の特性決定では、コントラストが不十分であり、CaOを可視化するのが困難であった。
【0102】
実施例1、および7〜12による触媒中に存在する結晶相を、Bruker−AXS D2 Phaser粉末X線回折装置を使用しCo Kα線(λ=1.789Å)を使用して粉末X線回折(XRD)により測定した。測定は10〜80°の2θで0.08°の2θのステップサイズおよび1sのスキャンスピードを使用して行った。
【0103】
図2は、実施例7(CNF上10wt.% CaO)、実施例10(CNF上10wt.% Ca(OH))、および実施例11(CNF上10wt.% CaCO)による触媒のXRDパターンを示す。実施例1(CNF上14wt.% CaO)および実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)のXRDパターンは、実施例7のXRDパターンと同様であった。実施例9(CNF上2.5wt.% CaO)のXRDパターンは、実施例1、7、および8とは異なっていたが、なぜならこれはCNF担体に由来する回折ピークが支配的だからである。
【0104】
XRD解析はまた、Scherrer方程式を使用して実施例1、7、8、10、11、13および14による触媒について担体上の触媒塩の結晶子サイズを計算するためにも使用され、結果を以下の表1にまとめる。これらの計算は、実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)による触媒が触媒塩において5〜11nmの結晶子サイズを有することを決定づけ、これはTEMにより決定されるCaOのナノ粒子サイズと一致する。CNF上CaOの充填重量の増加と共に結晶子サイズが増加することも分かった。しかし、実施例9の触媒(CNF上2.5wt.% CaO)については、CaOの回折ピークは見られなかった。予測されたように、バルクCaOおよびCa(OH)触媒(それぞれ実施例12および3)ははるかに大きい結晶子サイズを示した。バルクCaOおよびCa(OH)触媒は文献(J.Catal.2013、305、1〜6)によれば7〜15m/gの小さいBET表面積を有していたが、一方で実施例1の触媒は124m/gのより大きいBET表面積を有し、これはCNF担体の表面積である203m/gの約半分である。触媒のBET表面積および全細孔体積は上記に記載の方法に従って決定した。
【0105】
【表1】
【0106】
<触媒の活性試験>
本発明で使用しようとする担体上の触媒塩の重要な特徴の1つである、グリセリンのエーテル化における活性を、以下のように決定する。
【0107】
実施例1〜6、および13〜15による触媒を使用して、撹拌バッチ反応器中でグリセリンのエーテル化を行った。実施例1〜3、5、および13による触媒は、約等モル量の金属を有していたが、一方実施例4および6による触媒は7倍および10倍の量の金属をそれぞれ有していた。実施例14および15の触媒は1.8mmolのCaOを含有し、したがって、実施例1〜3、5、および13の触媒の金属の量よりも2.77倍少なかった。
【0108】
グリセリン(100g、Acros Organics、99+%)およびそれぞれ実施例1〜6による触媒(実施例1、2、4、6、および13〜15については2g、実施例3については0.37g、実施例5については0.2g)を、220℃の温度で少なくとも20時間、アルゴン流下で、400rpmのスピードの機械的撹拌機を備え、ガス流により反応混合物から除去された水を回収するための環流冷却器を有するDean−Stark装置を備えた五つ口250mLフラスコ中で撹拌した。典型的には、いくらかの量のグリセリンもDean−Stark装置中で凝縮した。
【0109】
実施例1の触媒を200℃でも試験した。
【0110】
<ポリグリセリン生成混合物のGC分析>
液体試料を定期的に採取し、Sweeleyら、Journal of the American Chemical Society 1963、85、2497〜2507に記載の方法に従ってシリル化後に分析することにより、得られるポリグリセリン生成混合物の分析を行った。
【0111】
典型的には、秤量した生成混合物(50〜60mg)を、ピリジン(2mL)および内部標準としてのn−ドデカノール(ピリジン中、5wt.%)と共にねじ蓋付きバイアル(8mL)中で混合した。溶解後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、1.6mL)およびトリメチルクロロシラン(TMCS、0.8mL)を加え、混合物を70℃の温度まで1時間加熱した。上記の方法に従い、60から260℃まで10℃min−1の温度傾斜、5分間保持、次いで300℃まで20℃min−1の別の温度傾斜、および5分間保持の温度プログラムモードにおいて、VF−msキャピラリーカラムおよびFID検出器を備えたVarian GCへ溶液を注入した。市販のグリセリン(Acros Organics、99+%)およびジグリセリン(Solvay、>90%)を使用して、グリセリンおよびジグリセリン(二量体)についてキャリブレーションを行った。キャリブレーションにおいて、10、20、30、40、50、60mgの標準物質を使用して検量線を作った。トリグリセリン(三量体)およびテトラグリセリン(四量体)の感度係数を、ポリグリセリン−3(Solvay、43.3%トリグリセリン、19%テトラグリセリン)およびポリグリセリン−4(Solvay、41.2%トリグリセリン、35.2%テトラグリセリン)から計算し、得られるGCデータに適用した。環状二量体および環状三量体の感度係数は、それぞれジグリセリンおよびトリグリセリンと同じと仮定した。グリセリン、二量体、三量体、四量体、および環状物のパーセンテージを計算すると、失われた分画は高分子量のオリゴマーであると仮定された。
【0112】
図3(A)は、実施例1(三角を含む線)、実施例2(丸を含む線)、実施例3(×を含む線)、実施例4(四角を含む線)、および実施例5(ダイヤ形を含む線)の触媒の活性を示す。実施例1の触媒(CNF上14wt.% 酸化カルシウム)は、試験された触媒の最も高い活性を有し、7時間で約50%の転化率および24時間で約100%の転化率を実現する。実施例2の触媒(14wt.% CaO_AC)は、次に高い活性を有し、約15時間で50%の転化率を実現する。
【0113】
図3(B)は、実施例1(黒塗りの三角を含む線)および実施例13(黒塗りの四角を含む線)の触媒の活性を示す。実施例13の触媒(14wt.% CaO/AC)は、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)よりもほんのわずかに活性が低かった。
【0114】
図3(C)は、実施例15(黒塗りの四角を含む線)および実施例14(黒塗りのダイヤ形を含む線)の触媒の活性を示す。実施例15(CNF上5wt.% CaO)および実施例14(5wt.% CaO/AC)の触媒は類似した活性を有することが分かった。
【0115】
図4は、実施例1〜3、5、および6の触媒について約24時間の反応時間で得られるポリグリセリン生成物分布の棒グラフを示す。測定された生成物は、グリセリン(細かい網目)、ジグリセリン(太い斜め線)、トリグリセリン(粗い網目)、テトラグリセリン(縦線)、およびより大きいオリゴマー(水玉)を含む。CNF上14wt.%酸化カルシウム触媒(実施例1)および2wt.% NaOH触媒(実施例6)は類似する生成物分布を有する。CNF上14wt.%酸化カルシウム触媒(実施例1)はまた、未反応グリセリンを含むポリグリセリン生成物を有していない唯一の触媒である。
【0116】
図5および図6は、それぞれ、約30%の転化率において実施例1、2、および実施例6による触媒を使用して、および約50%の転化率において実施例1〜3、5、および6による触媒を使用して得られるポリグリセリン生成物分布の棒グラフを示す。測定された生成物は、グリセリン(細かい網目)、ジグリセリン(太い斜め線)、トリグリセリン(粗い網目)、テトラグリセリン(縦線)、およびより大きいオリゴマー(水玉)を含む。これらの棒グラフは共に、実施例1の触媒が他のすべての触媒よりも大幅に高い活性を有することを示す。
【0117】
図7図12は、グリセリン(四角を含む線)から環状二量体(三角を含む線)、ジグリセリン(×を含む線)、環状三量体(縦線を有する×を含む線)、トリグリセリン(丸を含む線)、テトラグリセリン(縦線を含む線)、およびより大きいオリゴマー(ダイヤ形を含む線)への転化における、200℃の反応温度を使用した、それぞれ実施例1〜3、5、および6の触媒、並びに実施例1の触媒の選択性を示す。生成混合物は、図7および12において、実施例1による触媒(CNF上14wt.% CaO)を様々な反応温度(すなわち220℃対200℃)で使用した場合に大きな影響を受けることが示されている。
【0118】
<ポリグリセリン生成混合物のさらなる分析>
様々な温度における実施例1(CNF上14 wt.% CaO、それぞれ220℃および200℃の温度を使用)、実施例2(14wt.% CaO_AC)、およびNaOHから作られる市販の参照製品(Clariantより供給される)の触媒を使用して得られるポリグリセリン生成混合物を分析して、Perkin−Elmer AAS Analyst 200を使用した原子吸光分光法(AAS)による、炭素担体を除去した後のカルシウムの重量百万分率(ppm)による液相中のCaの量、DIN 53240により決定されるヒドロキシル価(HV)、分子1個当たりのグリセリン単位の数(n)(直鎖ポリグリセリンの鎖長)、DIN ISO 4630により決定されるガードナー色数(G)、およびヨウ素価(J)(不飽和炭素炭素結合の数を決定するため)を決定し、下記の表2に示す。
【0119】
具体的に、HVを決定するのに使用された方法は以下の通りであった:100〜200mgのポリグリセリン試料を250mLフラスコ中に入れる。20mLのアセチル化溶液(50ml無水酢酸および950mlピリジン)をフラスコ中の試料に加えて混合物を生成させる。次いでフラスコを蒸気浴に置くことにより混合物を溶解させる。5mLのピリジン中2wt.% 4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)をフラスコ中の混合物に加え、次いでこれを55℃の温度で10分間撹拌する。15mLのHOを混合物に加え、55℃の温度で10分間撹拌する。次いで混合物を25℃の温度まで冷却し、50mLの2−プロパノールを加える。次いで得られる混合物を0.5M NaOHで滴定する。NaOH溶液の滴定量は、フタル酸水素カリウムによる滴定によって、フェノールフタレイン指示薬(透明から終点では赤色/ピンク)を使用してチェックする。
【0120】
次いで以下の式を使用してHVを計算する:
mg KOH/gによるHV=[(a−b).c.t.M]/EW
式中、aはブランク試料の体積であり、bはポリグリセリン試料の体積であり(共にmL)、cはNaOHのモル濃度(mmol/mL)であり、tはNaOH溶液の滴定量であり(無次元)、MはKOHのモル質量(mg/mmol)であり、EWは試料重量(g)である。滴定量はhttp://toolboxes.flexiblelearning.net.au/demosites/series4/412/laboratory/methodsman/MMSOP−PrepMolSodHydSltion.htmに記載されるように決定できる。
【0121】
ポリグリセリン試料のグリセリン単位の数(n)は以下の式を使用して決定できる:
n=(112200−18HV))/((74.1HV)−56100)
式中、HVはヒドロキシル価である。
【0122】
ヨウ素価(J)は、テストフィルターセット(HACH LANGE GmbH)でキャリブレーションされたLICO 400 UV分光計を使用して決定した。
【0123】
【表2】
【0124】
<触媒活性および選択性に対するCaO充填量の効果の分析>
グリセリンのエーテル化に対するCaO充填量の影響を決定するために、実施例7〜9による触媒(それぞれCNF上10、4.8、および2.5wt.% CaO)、および実施例12の35.7mmolのバルク触媒(CaO)および実施例5の5mmolのバルク触媒(NaOH)を試験した。
【0125】
グリセリンのエーテル化反応は、上記で触媒の活性試験に記載されるのと同じ条件下で行ったが、ただし実施例7〜9の2gの触媒および220℃のみの反応温度を使用した。CNF担体材料を使用したブランクの反応も行い、この実験では20時間後に10%の転化率を示した。液体試料を定期的に採取した。上記でポリグリセリン生成混合物のGC分析に記載される方法に従って、得られるポリグリセリン生成物の組成のGC分析を行った。
【0126】
図13は、実施例7(黒塗りのダイヤ形を含む線)、実施例8(黒塗りの丸を含む線)、実施例9(黒塗りの三角を含む線)の触媒、および実施例12(星形を含む線)の35.7mmolのバルクCaO触媒における、時間の関数としてのグリセリンの転化率を示す。
【0127】
図13において、すべての触媒材料が活性であり、CNF担体上のCaOの充填量が増加するとグリセリンの転化率が徐々に増加することが分かる。RuppertらによるChemistry 2008、14、2016〜2024の過去の結果と比較して、実施例7〜9の触媒では誘導期が見られず、触媒の開始前にCaOコロイドがCNF担体から放出されたことを示している。さらに、実施例12のバルク触媒は実施例7の触媒と比較してほぼ10倍のCaOを有するにもかかわらず、これははるかに活性の低い触媒であった。ナノ粒子および/またはフィルムとしての担体材料上にCaOを分散させると、CaOの表面積を大幅に増加させ、ひいてはグリセリンにおけるCaOの利用度を向上させ、より高いグリセリンの転化率につながることが分かっている。
【0128】
様々な触媒材料によるグリセリンの触媒転化の結果を、以下の表3にまとめる。表3は、24時間経過後の1回の反応当たりに使用されたカルシウム1mmol当たりの転化されたグリセリンのmmol、グリセリンの%転化率、および転換数(TON)を比較しており、転換数は24時間後に金属1mmol当たりの転化されたグリセリンのmmol数である。実施例9の触媒(CNF上2.5wt.%CaO)は最も高い転換数(TON)を示し、Caの充填量の増加と共にTONは徐々に低下し、より高い充填量では利用できるCaOが少ないことを示している。実施例5のバルク触媒(NaOH)も参照触媒として評価された。5mmolのNaOHは、等モル量の金属を有する実施例1の触媒(CNF上14wt.%CaO)と比較した場合に、グリセリンエーテル化活性がより低く、24時間後にそれぞれ50%および100%のグリセリン転化率に到達した(表3を参照)。
【0129】
【表3】
【0130】
試験反応を行い、バルク触媒CaOまたはCa(OH)による様々な充填量の等モル量CaをCaO/CNF触媒と比較した。異なるCa充填量ではグリセリンエーテル化活性の差が見られた。1.7mmol Ca(0.16mol.%)の低充填量では、実施例8の触媒(CNF上4.8wt.% CaO)によって投入されるカルシウム種は、24時間後に実施例3の1.7mmolバルク触媒(Ca(OH))の活性と比較して同様の活性を有し、それぞれ48%および43%の転化率である。より高い充填量である5mmol Ca(0.46mol.%)を使用する場合、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)に由来のCaは、実施例12(CaO)または実施例3(Ca(OH))のバルク触媒に由来の5mmol Caよりも高い活性をもたらした(表3を参照)。5mmolおよび35.7mmolのバルクCaOの使用は同様の活性をもたらし、24時間後にそれぞれ43%および39%の転化率であった(表3を参照)。35.7mmol CaOを用いた反応では、24時間後に固体材料がまだ存在し、回収された固体中にカルシウムグリセロキシド相が見られた。
【0131】
これらの結果は、(バルク)CaOの溶解性が主要な役割を果たすことを示している。実際に、CaOはグリセリン中で限られた溶解性を有するので、5mmolまでの充填量ではすべてのCaOが反応混合物中に溶解し得る。1.7mmolのCa充填量では、反応は溶解性により制限される均一反応の経路によって支配されると仮定される。一方、例えば5mmolCaなどのより高い充填量では、コロイドCaO/Ca(OH)粒子が存在するため、不均一反応の経路による寄与もある。35.7mmol CaOを用いた、RuppertらによるChemistry 2008、14、2016〜2024における過去の研究では、誘導期の後、高い触媒活性を有するCa(OH)コロイドが生成されたことを記載している。CNF担体上にCaOを分散させることにより、誘導期を伴わずにコロイドナノ粒子を効率的に投入することができ、このことはグリセリンのエーテル化において等モル量のバルクCaOよりも高い活性をもたらす。
【0132】
図14および図15は、それぞれ30%の転化率および24時間後における、様々な充填重量(それぞれ実施例7〜9)のCNF上CaO触媒について得られるポリグリセリン生成物分布の棒グラフを示す。得られる様々なポリグリセリン生成物を以下のように図14および15に示す:グリセリン(細かい網目)、二量体(太い斜め線)、三量体(粗い網目)、四量体(縦線)、およびより大きいオリゴマー(水玉)。
【0133】
図14はまた、様々な触媒について、30%転化率において得られるポリグリセリン生成物分布がすべて非常に類似していることも示す。しかし、24時間の反応時間後、ポリグリセリン生成物分布の有意差が図15において見られた。実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)は、低分子量オリゴマー、すなわち二量体および三量体の最も高いパーセンテージを示した(ポリグリセリンの総重量を基準として57wt.%)。
【0134】
CNFから反応混合物中へのコロイドCaOの放出の効率は、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)を使用して、反応の途中でCNFを除去するために反応混合物の熱時ろ過を行うことによって、決定した。
【0135】
図16は、実施例1の触媒(黒塗りの三角を含む線)、実施例1の使用済み触媒(黒塗りのダイヤ形を含む線)を使用したコロイドCaOの放出によるグリセリンのエーテル化における%転化率対時間(h)の効率の結果、および熱時ろ過(白抜きの三角)によるCNFの除去後の転化率を示す。使用済み触媒は、本明細書において、グリセリンのエーテル化反応で使用されてしまった実施例1の触媒と定義され、単離されて別のグリセリンのエーテル化反応で再使用される。図16に示されるデータは、エーテル化反応が同じ高い速度で続いたが、一方回収されたCNFは再使用時にほとんど顕著な活性を示さなかったことを示す。このことは、すべてのCaOが反応混合物中に投入されたことを裏付けた。Perkin−Elmer AASの分析は、最初のCaO/CNF材料に由来するCaの83wt.%が反応の1時間後に既に液相中で見られたことを裏付けた。除去された炭素材料のXRD解析はCNFの回折のみを示した。
【0136】
<Ca相の影響の分析>
グリセリンのエーテル化において、実施例10(CNF上10wt.% Ca(OH))および実施例11(CNF上10wt.% CaCO)の触媒を、実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)と比較することにより、COおよびHOに対するCaOの感度、並びにCaOの相挙動および反応性を調べた。
【0137】
上記で触媒の活性試験において記載されるのと同じ条件下でグリセリンのエーテル化反応を行ったが、ただし実施例7、10、および11の2wt.%の触媒を使用し(各触媒は3.6mmolのCa2+を含有する)、220℃のみの反応温度を使用した。
【0138】
図17は、実施例7(黒塗りの三角を含む線)、実施例11(黒塗りの四角を含む線)、および実施例10(黒塗りのダイヤ形を含む線)の触媒について、24時間の反応時間後のグリセリン転化率に対するカルシウム塩の効果を示す。図17はまた、実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)が最も活性の高い触媒であることを示し、24時間後に73%の転化率である。触媒の間で選択性の差は見られなかった。
【0139】
<CaO安定性および関連するコロイド粒子形成の分析>
光散乱法を使用してカルシウム系触媒において存在するCaコロイドを特性決定した。FICA50の設定を波長λ=546nmとし25℃の温度で静的光散乱(SLS)を行った。粘度を低下させるために試料を水で希釈した。調製の間、混合物はほこりから保護されなかったので、試料を測定前にろ過した。Milliporous FP 0.8μmフィルターを使用した。SacanaらによるLangmuir 2006、22、10209〜10216に記載される方法に従って、散乱光強度を散乱角(20〜140)の関数として測定した。
【0140】
上記で触媒の活性試験において記載されるのと同じ条件下で行われたグリセリンのエーテル化試験反応から、24時間後に試料を採取したが、ただし使用した触媒は、実施例1(CNF上14wt.% CaO)、実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)、並びに5mmolおよび1.7mmolの2種類のCa充填量の実施例3(Ca(OH))であり、使用した反応温度は220℃のみであった。
【0141】
図18は、実施例1(黒い点線)および実施例8(黒い破線)の触媒、それらの等価のCaモル量である5mmolおよび1.7mmolの実施例3の触媒(それぞれ、薄いグレーおよび濃いグレー)、およびグリセリン(黒)について、散乱光強度(任意単位)対散乱角(K[m−2])をプロットしたグラフにおいて、SLS測定の結果を示す図である。
【0142】
5mmol Caの場合、実施例3の触媒(Ca(OH))に由来するCaコロイドの散乱強度がより強く、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)よりも、より多数の小さい粒子またはより少数でより大きい粒子が5mmolの実施例3の触媒(Ca(OH))から形成されることを示唆している。5mmol Ca(OH)からのより少数でより大きいコロイドの生成は、5mmolの実施例3の触媒(Ca(OH))と比較して、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)において見られるより高い活性を説明することができた(表3を参照)。実施例8の触媒(CNF上4.8wt.% CaO)および1.7mmolの実施例3の触媒(Ca(OH))のコロイドから生じる散乱強度に有意差はなかった。このことは、これらの2つの触媒により得られる類似したグリセリン転化率と良く相関しており(表3を参照)、このCa充填量ではエーテル化反応においてコロイドが主要な役割を果たさないことを裏付けている。
【0143】
SLSと同じ試料を使用して、Malvern Zetasizer Nanoにより動的光散乱法(DLS)を行った。キロカウント毎秒における動的光散乱(DLS)強度の測定値である、得られる計数率(DCR)は、SLSにおいて見られる傾向と同じ傾向を示した。実施例3の触媒(Ca(OH))から生じるコロイドは、実施例1(CNF上14wt.% CaO)および実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)の触媒から生じるコロイドと比較して、より高い強度を有する。0.9および0.7の高い多分散指数(PDI)が、それぞれ実施例1および8の触媒から生じるコロイド粒子において見られたが、一方、実施例3の触媒の1.7mmolおよび5mmolの試料では1のPDIが得られた。0.7を上回るPDI値は試料が非常に広いサイズ分布を有することを示すので、このことは粒径のさらなる定量化を不可能とした。
【0144】
グリセリンエーテル化における分子/均一Ca2+種の相対的な寄与へのさらなる洞察を得るために、導電率測定を採用した(表4および図19を参照)。導電率プローブInlab 731を有するSeven Excellence Conductivity Meterを使用して導電率を測定した。粘度を低下させるために試料を水で希釈した。
【0145】
上記で触媒の活性試験において記載されるのと同じ条件下で行われたグリセリンのエーテル化試験反応から、24時間後に試料を採取したが、ただし実施例1(CNF上14wt.% CaO)、実施例7(CNF上10wt.% CaO)、実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)、実施例9(CNF上2.5wt.% CaO)の2wt.%の触媒、1.7mmolおよび5mmolの実施例3の触媒(Ca(OH))、並びに5mmolおよび35.7mmolの実施例12の触媒(CaO)を使用し、220℃のみの反応温度を使用した。
【0146】
図19は、実施例1、7〜9の2wt.%の触媒(黒塗りの四角を含む線)、並びに1.7mmolおよび5mmolの実施例3の触媒(黒塗りの三角を含む線)を使用して24時間の反応時間後に得られるポリグリセリン生成混合物の導電率(κ)を示す。図19はまた、反応におけるCaの量が増加すると導電率が増加することも示す。実施例8(CNF上4.8wt.% CaO)および実施例3(Ca(OH))の触媒からの1.7mmolのCaについて類似した導電率が見られ、それぞれ184および197μS/cmであった(表4を参照)。これらの触媒は類似した活性をもたらすので、このCa充填量では主に均一の触媒が生じたと仮定できるであろう。
【0147】
【表4】
【0148】
実施例1(CNF上14wt.% CaO)および5mmolの実施例3(Ca(OH))または実施例12(CaO)の触媒を比較すると、両方の場合において反応後に生成ポリグリセリン混合物中の残留固体CaOは見られず、実施例3および12のバルク触媒(それぞれCa(OH)およびCaO)においてより高い導電率が記録された。実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)ではより少量の溶解したCa2+が存在し、このことは、活性の増加が反応混合物中のCa2+の増加に起因したのではないことを示した。このCaO充填量では、反応混合物中に可溶性であるCa2+の量がその限界に達しており、残りのCaがコロイドの形態で存在したと仮定された。図18に示されるSLSの結果から、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)はより小さい強度で光を散乱することが分かる。したがって、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)と実施例3または12(それぞれCa(OH)またはCaO)の5mmolのバルク触媒との活性の差は、実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)により生成されたCaコロイドがより小さく、このことがより大きいCaOの全表面積、ひいてはより多くの活性部位をもたらしたことによって説明できるであろう。
【0149】
<活性および生成物の着色に対する温度の効果の分析>
上記に記載されるのと同じ条件下でグリセリンのエーテル化試験反応を行うが、ただし実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)並びに180、200、220、240、および260℃の反応温度を使用することによって、活性およびポリグリセリン混合物生成物の着色に対する温度の効果を決定した。
【0150】
図20は、180℃(×を含む線)、200℃(黒塗りの三角を含む線)、220℃(黒塗りのダイヤ形を含む線)、240℃(+を含む線)、および260℃(黒塗りの丸を含む線)の反応温度における、実施例7の触媒(CNF上10wt.% CaO)による%グリセリン転化率対時間(h)をプロットしたグラフにおいて、グリセリン転化率に対する反応温度の効果を示す。
【0151】
180〜200℃のより低い反応温度は、より低いグリセリンの転化率をもたらした(図20を参照)。反応温度の増加(220、240、260℃)において、グリセリンの転化率は温度の増加と共に徐々に増加した。220℃で24時間の反応時間後に、ポリグリセリン混合物の生成物は無色であった。240℃では16時間後にポリグリセリン生成混合物のわずかな変色があった。しかし、260℃ではアクロレインおよび縮合生成物が見られ、これはポリグリセリン混合物の生成物を黒ずんだ色にした。ポリグリセリン混合物の生成物の変色はたった2時間後に見ることができた。220℃では、24時間を上回る反応時間はより長いオリゴマー鎖長を有するポリグリセリン混合物を生成させたが、着色も反応時間と共に増加した。実施例1の触媒(CNF上14wt.% CaO)の場合、反応を100%のグリセリン転化率まで続けさせると、ポリグリセリン生成物の混合物はガードナー色数1.3のわずかな色を有し、ヒドロキシル価の分析により決定される、平均鎖長のnは1分子当たり4.5個のグリセリン単位であった。ガードナー色数および平均鎖長のnは、上記に記載される方法により決定された。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2016年10月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応について触媒活性を有する触媒塩を担体上に供給するステップと、
担体上の触媒塩を、グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールを含む流体相と接触させるステップと、
触媒塩の存在下で流体相中のポリオールをエーテル化反応させ、ポリグリセリンを得るステップと、
を含むポリグリセリンの調製方法。
【請求項2】
担体は流体相と接触させると、触媒塩をコロイド粒子の形態で流体相中へ放出する放出材料であることを特徴とする請求項1に記載のポリグリセリンの調整方法。
【請求項3】
流体相が180〜260℃の温度まで、好ましくは180〜240℃の温度まで、より好ましくは200〜225℃の温度まで加熱され、加熱時に触媒塩のコロイド粒子が担体から放出されることを特徴とする請求項2に記載のポリグリセリンの調製方法。
【請求項4】
担体がカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調製方法。
【請求項5】
担体が活性炭であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調製方法。
【請求項6】
触媒塩が、アルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩の群から選択される塩、好ましくはアルカリ土類金属の塩、特に酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、および水酸化ストロンチウムの群から選択されるアルカリ土類金属の塩、より好ましくは酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムの群から選択されるアルカリ土類金属の塩、さらにより好ましくは酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調製方法。
【請求項7】
担体が、触媒塩および担体の総重量を基準として1〜15wt.%の触媒塩、特に2〜10wt.%の触媒塩を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリグリセリンの調製方法。
【請求項8】
DIN 53240によって決定されるヒドロキシル価が846〜1072 mg KOH/gの範囲であり、およびDIN ISO 4630によって決定されるガードナー色数が2以下、好ましくはDIN ISO 4630によって決定されるガードナー色数が1.5以下であって、特に本発明に係る方法によって得ることができるポリグリセリン混合物。
【請求項9】
全ポリグリセリンを基準として少なくとも30wt.%の直鎖ポリグリセリン、好ましくは、全ポリグリセリンを基準として少なくとも50wt.%の直鎖ポリグリセリン、より好ましくは、全ポリグリセリンを基準として少なくとも70wt.%の直鎖ポリグリセリンを含むことを特徴とする請求項8に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項10】
本質的にアクロレインを含まず、本質的にグリシドールを含まないことを特徴とする請求項8または請求項のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項11】
カルシウム含量が重量で0〜2000ppm、好ましくは、カルシウム含量が重量で0〜1000ppmであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で得られるポリグリセリン、または、請求項8〜11のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物を、ポリグリセリンのヒドロキシル基との反応性を有する物質と反応させるステップ、
を含むことを特徴とするポリグリセリンの調製方法。
【請求項13】
反応が、カルボン酸によるエステル化反応、または別のエステル、好ましくはグリセリドによるエステル交換である、請求項12に記載の方法によって得ることができるポリグリセリン誘導体
【請求項14】
医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品であって、
(i)請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で得られるポリグリセリン混合物、請求項8〜11のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物、または、請求項12に記載の方法で得ることができるポリグリセリン誘導体、
および、
(ii)前記品のいずれかのための1つまたは複数の他の成分を含むことを特徴とする、医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品。
【請求項15】
医薬品、化粧品、繊維製品、食品、または飼料製品の調製方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で得られるポリグリセリン混合物、請求項8〜11のいずれか一項に記載のポリグリセリン混合物、または、請求項12に記載の方法で得ることができるポリグリセリン誘導体を、前記品のいずれかのための1つまたは複数の他の成分と混合するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
グリセリンおよびオリゴグリセリンの群から選択されるポリオールのエーテル化反応に対して触媒活性を有する担体上の触媒塩であって、塩がカルシウム塩であり、担体が炭素担体材料であり、炭素担体材料がカーボンナノファイバーおよび活性炭からなる群から選択されることを特徴とする担体上の触媒塩。
【請求項17】
カルシウム塩が酸化カルシウムであることを特徴とする請求項16に記載の担体上の触媒塩。
【請求項18】
炭素担体材料がカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の担体上の触媒塩。
【国際調査報告】