(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-512290(P2017-512290A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】エネルギー吸収体
(51)【国際特許分類】
F16F 7/00 20060101AFI20170414BHJP
B60R 21/02 20060101ALI20170414BHJP
F16F 7/02 20060101ALI20170414BHJP
F16F 7/09 20060101ALI20170414BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20170414BHJP
【FI】
F16F7/00 J
B60R21/02 C
F16F7/02
F16F7/09
B60N2/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-564399(P2016-564399)
(86)(22)【出願日】2015年1月16日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015050734
(87)【国際公開番号】WO2015107134
(87)【国際公開日】20150723
(31)【優先権主張番号】1450041-7
(32)【優先日】2014年1月16日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516214722
【氏名又は名称】セーフシート アイピー アーベー
【氏名又は名称原語表記】SAFESEAT IP AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、イングヴァール
(72)【発明者】
【氏名】リンダーホルム、ダッグ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンソン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】エネストローム、マグナス
【テーマコード(参考)】
3B087
3J066
【Fターム(参考)】
3B087CD05
3J066AA23
3J066BB01
3J066CA01
3J066CA05
(57)【要約】
エネルギー吸収体は、長手方向軸に沿って延在し、力が長手方向軸に沿ってバーに作用すると長手方向軸に沿って動くよう配置されたバーを備える。エネルギー吸収体は、長手方向軸に沿って延在する第一のエネルギー吸収手段および第二のエネルギー吸収手段を備える。エネルギー吸収体は、第二のエネルギー吸収手段をバーに結合するための結合機構を備える。バーは、バーが長手方向軸に沿って動くと、第一のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される。結合機構は、少なくとも一つのトリガー要素によって活性化されると、力をバーから第二のエネルギー吸収手段に伝達するよう配置された少なくとも一つの力伝達要素を備える。トリガー要素は、バーが前記長手方向軸に沿って動くとトリガー負荷を受けるよう配置され、トリガー負荷は、高い速度が高いトリガー負荷につながるようバーの速度に比例する。トリガー要素は、装填の際、その非装填位置に相対して変位可能に配置され、同時に、トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力によって変位を制限される。トリガー要素は、バーの速度が第一の所定のノンゼロ量よりも高い場合、第二のエネルギー吸収手段をバーに結合し活性化するための力伝達要素を活性化するために変位するよう配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(z)に沿って延在し、力(F)が前記長手方向軸に沿ってバーに作用すると、前記長手方向軸に沿って動くよう配置された前記バー(8)と、
前記長手方向軸に沿って延在する第一のエネルギー吸収手段(4a)および第二のエネルギー吸収手段(4b)と、
前記第二のエネルギー吸収手段を前記バーに結合するための結合機構(7、9、39、45)と、を備えるエネルギー吸収体(1a、1b、1c、1d)であって、
前記バーは、前記バーが前記長手方向軸に沿って動くと、前記第一のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置され、
前記結合機構は、少なくとも一つのトリガー要素によって活性化されると、力を前記バーから前記第二のエネルギー吸収手段に伝達するよう配置された少なくとも一つの力伝達要素を備え、
前記トリガー要素は、前記バーが前記長手方向軸に沿って動くとトリガー負荷を受けるよう配置され、前記トリガー負荷は、高い速度が高いトリガー負荷につながるよう前記バーの速度に比例し、
前記トリガー要素は、装填の際、その非装填位置に相対して変位可能に配置され、同時に、前記トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力によって変位を制限され、
前記トリガー要素は、前記バーの前記速度が第一の所定のノンゼロ量よりも高い場合、前記第二のエネルギー吸収手段を前記バーに結合し活性化するための前記力伝達要素を活性化するために変位するよう配置される、エネルギー吸収体。
【請求項2】
前記トリガー負荷は油圧もしくは空気圧によって作り出される、請求項1に記載のエネルギー吸収体。
【請求項3】
前記トリガー負荷は磁界によって作り出される、請求項1に記載のエネルギー吸収体。
【請求項4】
前記非装填位置に相対する前記トリガー変位は、前記バーの軸方向もしくは半径方向のいずれかの並進運動によって得られる、請求項1に記載のエネルギー吸収体。
【請求項5】
前記トリガー要素および前記バーは、前記長手方向軸に沿った前記バーの動きが、前記トリガー要素の第一の回転、および前記トリガー要素に作用する遠心トリガー負荷を引き起こすよう配置される、請求項4に記載のエネルギー吸収体。
【請求項6】
前記バーの前記動きによって引き起こされる前記トリガー要素の前記第一の回転は、前記バーの前記長手方向軸についてであり、前記トリガー要素は、前記トリガー要素の前記回転が第一の所定のノンゼロ量よりも速い場合に前記力伝達要素を活性化することによって、前記第二のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される、請求項5に記載のエネルギー吸収体。
【請求項7】
前記トリガー要素は、前記長手方向軸に平行かつ半径方向にオフセットした軸についての追加の回転の際に、前記長手方向軸に相対して半径方向に変位可能に配置される、請求項6に記載のエネルギー吸収体。
【請求項8】
前記トリガー要素は、前記長手方向軸に垂直かつ半径方向にオフセットした軸についての前記トリガー要素の追加の回転の際に、前記長手方向軸に相対して半径方向に変位可能に配置される、請求項6に記載のエネルギー吸収体。
【請求項9】
第三のエネルギー吸収手段(4c)と、前記第三のエネルギー吸収手段の前記バーへのさらなる力伝達要素を介した結合を活性化するためのさらなるトリガー要素を備えるさらなる結合機構(7、9、39、45)と、をさらに備え、
前記バーおよび前記さらなる結合機構は、前記長手方向軸に沿った前記バーの前記動きが、前記長手方向軸についての前記さらなるトリガー要素の回転を引き起こすよう配置され、
前記さらなるトリガー要素は、前記さらなるトリガー要素の前記回転が前記第一の所定のノンゼロ量よりも大きい第二の所定のノンゼロ量よりも速い場合に前記第三のエネルギー吸収手段を前記バーに結合する前記さらなる力伝達要素を活性化することによって、前記第三のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される、請求項6、7、8のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項10】
関連するエネルギー吸収手段の一つの端部と、端部の一つで軸方向に連結されたピストン要素(5a、5b、5c)をさらに備え、前記エネルギー吸収手段は他端で軸方向に固定され、前記ピストン要素は、前記バーから伝達された前記力を、前記エネルギー吸収手段の前記端部の特定の領域にわたって分配するよう配置され、
前記第一のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素(5a)は、前記力が前記長手方向軸に沿って作用した結果として、前記第二のエネルギー吸収手段の前に前記第一のエネルギー吸収手段が加圧されるよう軸方向に結合され、
前記第二のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素(5b)は、前記力伝達要素が前記トリガー要素の活性化を介して活性化すると、前記第二のエネルギー吸収手段を加圧するよう配置される、請求項6、7、8、9のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項11】
前記バーはネジ切りおよびスプライン加工されており、前記トリガー要素は、前記力が前記長手方向軸に沿って前記バーに作用すると、前記長手方向軸について回転するよう配置される、請求項6、7、9、10のいずれかに記載のエネルギー吸収体。
【請求項12】
前記結合機構は、軸方向に支持されたネジ付きリング(9a)の形状の力伝達要素をさらに備え、前記ネジ付きリングおよび前記トリガー要素は、前記力が前記長手方向軸に沿って前記バーに作用する際に、前記バーが前記ネジ付きリングを通して動くと、前記長手方向軸について回転するよう配置される、請求項11に記載のエネルギー吸収体。
【請求項13】
前記ネジ付きリングを前記第二のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素と相互連結するスラスト軸受け(10)をさらに備える、請求項12および請求項11に記載のエネルギー吸収体。
【請求項14】
前記スラスト軸受けは、前記回転が前記第一の所定の量よりも遅い場合に、前記ネジ付きリングと前記ピストン要素と前記第二のエネルギー吸収手段との間の回転運動を可能にする、請求項13に記載のエネルギー吸収体。
【請求項15】
前記結合機構は、前記第二のエネルギー吸収手段に設けられ、前記トリガー要素は、前記第一の所定の量よりも速く前記長手方向軸について回転すると、前記バーの前記スプラインと係合するよう配置され、前記バーから前記第二のエネルギー吸収手段への負荷伝達を活性化する、請求項12に記載のエネルギー吸収体。
【請求項16】
前記トリガー要素は、支点ピン(12)によって前記ネジ付きリングに結合されたアーム(11)である、請求項15に記載のエネルギー吸収体。
【請求項17】
前記スプライン(13)は、前記バーのネジ山(14)よりも浅い、請求項11乃至16のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項18】
前記バーはネジ切りされており、前記バーは、前記力が前記長手方向軸に沿って前記バーに作用すると、前記長手方向軸について回転するよう配置される、請求項6、8、9、10のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項19】
軸方向に支持されたナット(15)をさらに備え、前記バーは、前記力が前記長手方向軸に沿って前記バーに作用する際に前記ナットを通して動くと、前記長手方向軸について回転するよう配置される、請求項18に記載のエネルギー吸収体。
【請求項20】
前記第二のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素に、スラスト軸受け(17)を介して軸方向に結合された係合カップ(16)の形状の力伝達要素をさらに備え、前記トリガー要素は前記バーに設けられ、前記所定の量よりも速く前記長手方向軸について回転すると、前記力伝達要素と係合するよう配置され、それによって、前記バーが前記第二のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素と係合して加圧することを可能にし、それによって前記第二のエネルギー吸収手段を活性化する、請求項18、6、および10に記載のエネルギー吸収体。
【請求項21】
前記トリガー要素は、支点ピン(7b)によって前記バーに結合される係合フック(7a)である、請求項20に記載のエネルギー吸収体。
【請求項22】
前記所定のノンゼロ量は、前記バーの前記ネジ山のリード値に依存する、請求項18乃至21のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項23】
前記バーの一端は、前記力が前記長手方向軸に沿って前記バーに働くと非回転運動を回転運動に変換するためのスイベルジョイントアタッチメント(18)を備える、請求項18乃至22のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項24】
前記第一のエネルギー吸収手段と前記第二のエネルギー吸収手段とを相互接続するスラスト軸受け(19)をさらに備える、請求項18乃至22のいずれか一項位に記載のエネルギー吸収体。
【請求項25】
少なくとも部分的に前記バー、前記結合機構、前記第一のエネルギー吸収手段、前記第二のエネルギー吸収手段を囲む筒状被覆(20)をさらに備える、請求項1乃至24のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項26】
前記第一のエネルギー吸収手段および前記第二のエネルギー吸収手段は、固体材料、流体材料、気体材料、もしくはそれらの任意の組み合わせを備える、請求項1乃至25のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項27】
前記第一のエネルギー吸収手段の前記材料は、前記第二のエネルギー吸収手段の前記材料と異なる、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項28】
前記第一のエネルギー吸収手段および前記第二のエネルギー吸収手段の少なくとも一つは、テーパー状の断面積を少なくとも部分的に有しうる、請求項1乃至27のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項29】
前記トリガー要素は、前記バーの前記動きによって引き起こされる回転の前記軸に斜めかつ半径方向にオフセットされた軸についての追加の回転の際に、前記長手方向軸に相対して半径方向に変位可能であるよう配置される、請求項6に記載のエネルギー吸収体。
【請求項30】
前記トリガー要素は、並進運動によってその回転の軸に相対して半径方向に変位可能に配置され、その重力の中心は、前記バーの前記動きによって引き起こされる回転の前記軸から半径方向にオフセットされる、請求項6に記載のエネルギー吸収体。
【請求項31】
前記バーの前記動きによって引き起こされる前記トリガー要素の前記回転は、前記バーの前記長手方向軸に垂直もしくは斜めの軸についてである、請求項5に記載のエネルギー吸収体。
【請求項32】
前記トリガー要素は、前記垂直もしくは斜めの軸に平行しかつ半径方向にオフセットした軸についての追加の回転の際、前記垂直もしくは斜めの軸に相対して半径方向に変位可能に配置される、請求項31に記載のエネルギー吸収体。
【請求項33】
前記トリガー要素は、前記垂直の軸もしくは斜めの軸に垂直でありかつ半径方向にオフセットした軸についての第二の回転の際、前記垂直もしくは斜めの軸に相対して半径方向に変位可能に配置される、請求項31に記載のエネルギー吸収体。
【請求項34】
前記トリガー負荷の反対方向に作用する前記拘束力は、ピン、スプリング、ワイヤ、接着剤、磁石、溶接、半田付け、摩擦要素、もしくはそれらの任意の組み合わせによって提供される、請求項1乃至33のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項35】
第三のエネルギー吸収手段(4c)と、
前記第三のエネルギー吸収手段の、さらなる力伝達要素を介した前記バーへの結合を活性化するためのさらなるトリガー要素を備えるさらなる結合機構と、をさらに備え、
前記バーおよび前記さらなる結合機構は、前記長手方向軸に沿った前記バーの前記動きが、前記さらなるトリガー要素の回転を引き起こすよう配置され、
前記さらなるトリガー要素は、前記さらなるトリガー要素の前記回転が、前記第一の所定のノンゼロ量よりも大きい第二の所定のノンゼロ量よりも速い場合、前記第三のエネルギー吸収手段を前記バーに結合する前記さらなる力伝達要素を活性化することによって、前記第三のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される、請求項1乃至5、29乃至34のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項36】
関連するエネルギー吸収手段の一つの端部と、端部の一つで軸方向に連結されたピストン要素をさらに備え、前記エネルギー吸収手段のそれぞれは他端で軸方向に固定され、
前記ピストン要素は、前記バーからの前記力を、前記エネルギー吸収手段の前記端部の特定の領域にわたって分配するよう配置され、
前記第一のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素は、前記力が前記長手方向軸に沿って作用した結果として、前記第二のエネルギー吸収手段の前に前記第一のエネルギー吸収手段が加圧されるよう軸方向に連結され、
前記第二のエネルギー吸収手段の前記ピストン要素は、前記力伝達要素が前記トリガー要素を介して活性化すると、前記第二のエネルギー吸収手段を加圧するよう配置される、請求項1乃至5、29乃至35のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項37】
前記バーは歯付きラックであり、前記トリガー要素は、前記長手方向軸に沿った前記バーに沿って前記バーに力が作用すると、前記長手方向軸に垂直もしくは斜めの軸について回転するよう配置される、請求項1乃至5、31乃至36のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項38】
前記歯付きラックは、力が前記歯付きラックに作用する際の前記長手方向軸に沿った前記バーの前記動きが、歯車を、前記長手方向軸に垂直もしくは斜めの軸について回転させるよう、前記歯車と係合する、請求項37に記載のエネルギー吸収体。
【請求項39】
前記トリガー要素は、前記歯車の回転が、前記長手方向軸に垂直もしくは斜めの軸についての前記トリガー要素の第一の回転を引き起こすよう、前記歯車に回転可能に連結される、請求項38に記載のエネルギー吸収体。
【請求項40】
前記結合機構は、前記バーおよびウェッジの形状の負荷伝達要素の両方を収容するための縦空洞とともに配置される基体を備え、前記基体および前記ウェッジはウェッジ結合を構成する、請求項37、38、39のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項41】
ピストン要素は、前記基体に配置され、前記ピストン要素は前記第二のエネルギー吸収手段に軸方向に結合される、請求項40に記載のエネルギー吸収体。
【請求項42】
前記ウェッジ要素は、前記ウェッジに装着された歯車を収容するための空洞を備え、前記歯車の前記回転軸は、前記バーの前記長手方向軸の前記垂直もしくは斜めの軸に配向される、請求項40に記載のエネルギー吸収体。
【請求項43】
前記ウェッジ要素は当初、前記ウェッジの円錐孔に偏心して位置決めされたスプリング付勢球状前部を含む少なくとも一つの止めネジ(38)によって位置決めされ、前記止めネジの前記軸方向の動きが、前記バーの表面と前記ウェッジとの間に隙間が作られるよう前記ウェッジを位置決めするよう、前記基体によって支持される、請求項40に記載のエネルギー吸収体。
【請求項44】
前記トリガー要素の前記回転は、複数の歯車を介して前記バーと係合される前記歯車から伝達されて、前記トリガー要素の回転速度のアップシフトを作り出す、請求項39に記載のエネルギー吸収体。
【請求項45】
前記トリガー要素は、前記ウェッジに連結されたブレーキ板の開口で回転するよう配置され、前記開口は少なくとも一つの半径方向に延在するポケットを有し、前記トリガー要素は、前記バーの前記長手方向軸に垂直な軸についての追加の回転の際に、前記トリガー要素に作用する前記遠心力が前記トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力の一定の値を超えると、トリガーホルダー(35)の半径方向に延在するポケットと係合するよう、前記トリガーホルダーに変位可能に装着され、それによって前記歯車の前記回転運動が止められ、前記バーの前記力が前記第二のエネルギー吸収手段に伝達されるよう、前記バーと接触する前記ウェッジを駆動する、請求項39に記載のエネルギー吸収体。
【請求項46】
前記力伝達要素は、流体もしくは気体である、請求項1および2に記載のエネルギー吸収体。
【請求項47】
前記結合機構は、近くの導電性物体と相対運動をする磁石を備える、請求項1および3に記載のエネルギー吸収体。
【請求項48】
少なくとも部分的に前記バー、前記結合機構、前記第一のエネルギー吸収手段、および前記第二のエネルギー吸収手段を囲む筒状被覆(20)をさらに備える、請求項1乃至47のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項49】
前記第一のエネルギー吸収手段および前記第二のエネルギー吸収手段は、固体材料、流体材料、気体材料、もしくはそれらの任意の組み合わせを備える、請求項1乃至48のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項50】
前記第一のエネルギー吸収手段の前記材料は、前記第二のエネルギー吸収手段の前記材料と異なる、請求項1乃至49のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項51】
前記第一のエネルギー吸収手段および前記第二のエネルギー吸収手段の少なくとも一つは、テーパー状の断面積を少なくとも部分的に有する、請求項1乃至50のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
【請求項52】
請求項1乃至51のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体(1a、1b、1c、1d)の少なくとも一つを備える、力学的エネルギー吸収椅子(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー吸収のための機構に関し、特にエネルギー吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況で、機械構造において衝突および衝撃中に発生する力を低減するために、エネルギー吸収体によって提供されるような減衰機能を導入することが望ましい。
【0003】
むち打ち症の一般的な原因は、運転者が後ろからぶつかられた場合の車の衝突にある。。運転者は以降、乗員と称される。一例は、追い越し車両が前の車両と衝突することである。他の例は、乗員が、展開するエアバッグに押し付けられる前方衝突である。さらなる例は、車の走行方向から逸れた向きで子供が椅子に座っている場合の前方衝突である。エネルギー吸収機構を用いることが望ましい他の例は、このように車の座席にある。衝突時には、エネルギー吸収機構は、車の乗員への力が衝突時に低減するようエネルギーを吸収するために用いられうる。
【0004】
エネルギー吸収体が用いられる他の例は、加工機械における種々のタイプのリミットダンパーでの衝突保護にある。
【0005】
エネルギー吸収体が用いられるさらに他の例は、航空機の着陸装置にある。
【0006】
生物学的もしくは機械的損傷を防ぐために、衝突(または衝撃)中に発生するエネルギーを吸収することが望ましい多くの場合において、衝突(または衝撃)がどれほど深刻になるかは事前に知られていない。これは、多くの場合、統計学的に起こりやすい事象などいくつかの特別な場合にしたがって、エネルギー吸収機構が設計されることを意味する
例えば、Anders Kullgren他による、IRCOBIカンファレンス2013での“8os以降発売された車における異なる衝撃方向での男性および女性の乗員のむち打ち関連障害の広がり”では、現在の車におけるむち打ち保護は、概して男性よりも女性に効果が少ないと結論付けている。
【0007】
前記に照らすと、したがって柔軟なエネルギー吸収機構が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一つの目的は、したがって、柔軟なエネルギー吸収機構を提供することである。
【0009】
むち打ち症を予防する場合、エネルギー吸収は、衝突車両と車両質量と座席乗員の体重との間の速度の違い等の、衝突の瞬間の条件に依存する。そのようなパラメータは、衝突(もしくは衝撃)の程度に影響する。したがって、エネルギー吸収機構は、衝突(もしくは衝撃)の程度に適応可能に為されるべきと理解される。
【0010】
したがって、本発明は特に、衝突(もしくは衝撃)によって引き起こされる損傷のリスクを最小にするよう、そのエネルギー吸収力を適応させる能力を伴う柔軟なエネルギー吸収機構を提供することを目的とする。例えば、エネルギー吸収力は、衝突(もしくは衝撃)の異なる程度について、および人間が衝突(もしくは衝撃)に巻き込まれる場合の異なる体の大きさおよび体重について、衝突(もしくは衝撃)によって引き起こされる損傷のリスクを最小にするよう適応可能でありうる。
よって、第一の態様によれば、エネルギー吸収体が提供される。エネルギー吸収体は、長手方向軸に沿って延在し、力が長手方向軸に沿ってバーに作用すると長手方向軸に沿って動くよう配置されたバーを備える。エネルギー吸収体は、長手方向軸に沿って延在する第一のエネルギー吸収手段および第二のエネルギー吸収手段を備える。エネルギー吸収体は、第二のエネルギー吸収手段をバーに結合するための結合機構を備える。バーは、バーが長手方向軸に沿って動くと、第一のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される。結合機構は、少なくとも一つのトリガー要素によって活性化されると、力をバーから第二のエネルギー吸収手段に伝達するよう配置された少なくとも一つの力伝達要素を備える。トリガー要素は、バーが前記長手方向軸に沿って動くとトリガー負荷を受けるよう配置され、トリガー負荷は、高い速度が高いトリガー負荷につながるようバーの速度に比例する。トリガー要素は、装填の際、その非装填位置に相対して変位可能に配置され、同時に、トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力によって変位を制限される。トリガー要素は、バーの速度が第一の所定のノンゼロ量よりも高い場合、第二のエネルギー吸収手段をバーに結合し活性化するための力伝達要素を活性化するために変位するよう配置される。
【0011】
有利には、これは柔軟なエネルギー吸収機構を提供する。
【0012】
有利には、これは、そのエネルギー吸収力を適応させる能力を有する柔軟なエネルギー吸収機構を提供する。
【0013】
そのようなエネルギー吸収体は、エネルギーが機械的に吸収される必要のある状況で使用するのに適切でありうる。例としては、衝突力を抑制するような、車の衝突時に発生したエネルギーの吸収、航空機の着陸時(すなわち、着陸装置と滑走路との衝撃時)の着陸装置と滑走路との間に発生した力によるエネルギーの吸収、および、加工機械のエネルギー吸収を含むが、それらに限定されない。
【0014】
一実施形態によれば、エネルギー吸収体は、長手方向軸に沿って延在し、力が長手方向軸に沿ってバーに作用すると長手方向軸に沿って動くよう配置されたバーを備える。エネルギー吸収体は、長手方向軸に沿って延在する第一のエネルギー吸収手段および第二のエネルギー吸収手段を備える。エネルギー吸収体は、第二のエネルギー吸収手段をバーに結合するための結合機構を備える。バーは、バーが長手方向軸に沿って動くと、第一のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される。バーおよび結合機構は、長手方向軸に沿ったバーの動きが、長手方向軸についての結合機構の回転を引き起こすよう配置される。結合機構は、第二のエネルギー吸収手段をバーに結合することによって、結合機構の回転が第一の所定のノンゼロ量よりも速い場合に第二のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化するよう配置される。よって、エネルギー吸収体は、エネルギー吸収手段を次々に連続して係合させる能力を有する。
【0015】
一実施形態によれば、バーはネジ切りおよびスプライン加工されており、第二の結合機構は、前記力が長手方向軸に沿ってバーに作用すると長手方向軸について回転するよう配置される。つまり、本実施形態によると、エネルギー吸収体は、並進する(非回転の)バーおよび回転リングを備え、バーは回転を妨げられ、回転リングは速度が第一の所定のノンゼロ量を超えるまで回転する。それから回転リングは、バーのスプラインに係合して回転を止め、よって第二のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収を活性化する。
【0016】
一実施形態によれば、バーはネジ切りされており、バーは前記力が長手方向軸に沿ってバーに作用すると長手方向軸について回転するよう配置される。つまり、本実施形態によると、エネルギー吸収体は、回転バーおよび、非回転の第二のエネルギー吸収手段と係合する回転バーの結合手段を備える。
【0017】
第二の態様によれば、第一の態様によるエネルギー吸収体を少なくとも一つ備える機械的エネルギー吸収車両座席が提供される。
【0018】
尚、第一および第二の態様の任意の特徴は、適切であれば何でも、任意の他の態様に適用されうることに留意されたい。同様に、第一の態様の任意の利点は、第二の態様に等しく適応し、その逆も然りである。付属の実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、添付の従属クレームならびに図面から明らかになるであろう。
【0019】
概して、クレームに用いられる全ての用語は、ここで別段に定義されない限り、それらの技術分野における通常の意味にしたがって解釈されるものとする。一/一つの要素、装置、構成部品、手段、ステップ等についての全ての言及は、別段の指定がない限り、要素、装置、構成部品、手段、ステップ等の少なくとも一つの例に言及するものとして、オープンに解釈されるものとする。ここで開示された任意の方法のステップは、別段の指定がない限り、開示された正しい順で実行されなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明はここで、例として付属の図面を参照して説明される。
【
図1a】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図1b】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図1c】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図1d】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図1e】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図1f】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図1g】第一の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2a】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2b】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2c】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2d】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2e】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2f】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図2g】第二の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3a】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3b】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3c】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3d】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3e】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3f】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3g】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図3h】第三の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図4a】第四の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【
図4b】第四の実施形態によるエネルギー吸収体の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明はここで、本発明の特定の実施形態が示される付属の図面を参照して、以降により完全に説明される。本発明は、しかしながら、多くの異なる形状で実施されてよく、本明細書で述べられる実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底および完成されるよう例として提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるものである。明細書を通して、同様の符号は同様の要素を参照する。
【0022】
概括的に述べると、機械的に適応する減衰機構と見なされうるエネルギー吸収体が提供される。概括的に述べると、エネルギー吸収は、バーの長手方向に沿って直列に配置された複数のエネルギー吸収要素によって達成されうる。エネルギー吸収体は、バーおよび、エネルギー吸収要素に作用する複数のピストンから成りうる。
【0023】
ここで、実施形態によるエネルギー吸収体およびその部分を模式的に示す
図1a、1b、1c、1d、1f、1g、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、4a、4bを参照する。
図1aは、第一の実施形態によるエネルギー吸収体1aの側面図である。
図1bは、
図1aの切り目B−Bに沿って見た、
図1aのエネルギー吸収体1aの断面図である。
図1cは、
図1bのエネルギー吸収体1aの部分cの断面図である。
図1dは、
図1bのエネルギー吸収体1aの部分dの断面図である。
図1eは、
図1bのエネルギー吸収体1aの部分eの断面図である。
図1fは、
図1bのエネルギー吸収体1aの部分fの断面図である。
図1gは、
図1bのエネルギー吸収体1aの部分gの断面図である。
図2aは、第二の実施形態によるエネルギー吸収体1bの側面図である。
図2bは、
図2aの切り目B−Bに沿って見た、
図2aのエネルギー吸収体1bの断面図である。
図2cは、
図2bのエネルギー吸収体1bの部分cの断面図である。
図2dは、
図2bのエネルギー吸収体1bの部分dの断面図である。
図2eは、
図2aの切り目A−Aに沿って見た、
図2bのエネルギー吸収体1bの部分eの断面図である。
図2fは、
図2bのエネルギー吸収体1bの部分fの断面図である。
図2gは、
図2bのエネルギー吸収体1bの部分gの断面図である。
【0024】
図3aは、第三の実施形態によるエネルギー吸収体1cの側面図である。
図3bは、
図3aの切り目B−Bに沿って見た、
図3aのエネルギー吸収体1cの断面図である。
図3cは、
図3aのエネルギー吸収体1cのさらなる断面図である。
図3dは、
図3cの切り目G−Gに沿って見た、
図3aのエネルギー吸収体1cの断面図である。
図3eは、
図3bのエネルギー吸収体1cの部分eの断面図である。
図3fは、
図3dのエネルギー吸収体1cの部分fの断面図である。
図3gは、
図3cの切り目E−Eに沿って見た、
図3cのエネルギー吸収体1cの部分の断面図である。
図3hは、
図3fのエネルギー吸収体1cの部分fの側面図である。
図4aは、第四の実施形態によるエネルギー吸収体1dの断面図である。
図4bは、
図4aのエネルギー吸収体1dの部分bの断面図である。
【0025】
エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、バー8を備える。バー8は、長手方向軸zに沿って延在する。バー8は、力Fが長手方向軸zに沿ってバー8に作用すると、長手方向軸zに沿って動くよう配置される。以下にさらに開示されるように、バー8は、長手方向軸zについて回転可能にもしくは回転不能に配置され得る。
【0026】
エネルギーを吸収するために、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、エネルギー吸収手段を備える。特に、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、第一のエネルギー吸収手段4aおよび第二のエネルギー吸収手段4bを備える。以下にさらに開示されるように、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、少なくとも一つのさらなるエネルギー吸収手段4cを備えうる。第一のエネルギー吸収手段4aおよび第二のエネルギー吸収手段4bは、長手方向軸zに沿って延在する。よって、第一のエネルギー吸収手段4aおよび第二のエネルギー吸収手段4bは、長手方向軸zに沿って直列に配置されると見なされうる。
【0027】
バー8は、少なくとも第二のエネルギー吸収手段4bを挿通して、長手方向軸zに沿って動くよう配置される。さらに、バー8は、バー8が長手方向軸zに沿って動くと、第一のエネルギー吸収手段4aのエネルギー吸収を活性化するよう配置される。バー8は、バー8が長手方向軸zに沿って動くとすぐに、もしくは長手方向軸zに沿って一定の距離を動いた後にのみ、第一のエネルギー吸収手段4aのエネルギー吸収を活性化するよう配置されうる。
【0028】
第二のエネルギー吸収手段4bおよびバー8は、結合機構7、9、39、45によって機械的に連結される。特に、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、第一のエネルギー吸収手段4aおよび第二のエネルギー吸収手段4bを備える。以下にさらに開示されるように、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、第二のエネルギー吸収手段4bをバー8に結合するための結合機構7、9、39、45を備える。結合機構7、9、39、45は、少なくとも一つの力伝達要素を備える。少なくとも一つの力伝達要素は、少なくとも一つのトリガー要素によって活性化されると、バー8から第二のエネルギー吸収手段4bに力を伝達するために配置される。
【0029】
トリガー要素は、バー8が長手方向軸zに沿って動くと、トリガー負荷を受けるよう配置される。トリガー負荷は、高い速度が高いトリガー負荷につながるように、バー8の速度に(直線的もしくは非直線的に)比例する。以下にさらに開示されるように、トリガー負荷は、油圧もしくは空気圧によって、磁界によって、もしくは遠心力によって作られうる。
【0030】
トリガー要素は、装填の際、その非装填位置に相対して変位可能に配置されると同時に、トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力によって変位を制限される。トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力は、ピン、スプリング、ワイヤ、接着剤、磁石、溶接、半田付け、摩擦要素、もしくはそれらの任意の組み合わせによって提供されうる。
【0031】
トリガー要素は、バー8の速度が第一の所定のノンゼロ量より高い場合、第二のエネルギー吸収手段4bのバー8への結合および活性化のための力伝達要素を活性化するために変位するよう配置される。第一の所定のノンゼロ量を決定する要素およびパラメータの例は、以下にさらに開示される。
【0032】
以下にさらに開示されるように、結合機構7、9、39、45は、バー8に、もしくは第二のエネルギー吸収手段4bと関連する要素に設けられうる。
【0033】
さらに、バー8および結合機構7、9、39、45は、バー8の長手方向軸zに沿った動きが結合機構7、9、39、45の長手方向軸zについての回転を引き起こすよう配置されうる。しかしながら、以下にさらに開示されるように、バー8および結合機構7、9、39、45の他の配置もまた可能である。
【0034】
バー8と少なくとも第二のエネルギー吸収手段4bとの間の結合機構7、9、39、45は、よって、バー8の長手方向軸zに沿った動きによってトリガーされうる。特に、結合機構7、9、39、45は、第二のエネルギー吸収手段4bをバー8に結合することによって、結合機構7、9、39、45の回転が第一の所定のノンゼロ量よりも速い場合に第二のエネルギー吸収手段4bのエネルギー吸収を活性化するよう配置されうる。
【0035】
エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、よって、エネルギー吸収手段4a、4b、4cを次々に連続して係合させる能力を有する。例えば、第一の所定のノンゼロ量よりも速くない結合機構7、9、39、45の回転に対応した力Fがかかると、多くとも第一のエネルギー吸収手段4aが係合される。バー8が長手方向軸zに沿って一定の距離を動くと、第一のエネルギー吸収手段4aが係合される。この一定の距離は、ゼロ距離でありうる。それから、第一の所定のノンゼロ量よりも速い結合機構7、9、39、45の回転に対応した力Fがかかると、第二のエネルギー吸収手段4bもまた係合される。さらに、以下に開示されるように、第二の所定のノンゼロ量よりも速い結合機構7、9、39、45の回転に対応した力Fがかかると、第三のエネルギー吸収手段4cもまた係合されうるなどする。
【0036】
第二のエネルギー吸収手段4bのエネルギー吸収を活性化するようバー8がどのように配置されうるかの詳細が、ここでより詳しく開示される。
【0037】
例えば、活性化は、バー8と結合機構7、9、39、45との間に設けられた遠心式結合機構7、9、39、45によって達成されうる。特に、結合機構7、9、39、45は、遠心式結合機構7、9、39、45でありうる。バー8は、その際、遠心式結合機構7、9、39、45によって第二のエネルギー吸収手段4bのエネルギー吸収を活性化するよう配置されうる。例えば、遠心式結合機構7、9、39、45は、トリガー要素を備えうる。トリガー要素は、結合機構7、9、39、45が長手方向軸zについて回転する際、およびトリガー要素に作用する遠心力が値を超える際に半径方向に変位可能である。この値は、概して、第一の所定の量およびトリガー要素の質量(および/または質量分布)に依存する。
【0038】
例えば、トリガー要素は、バーの動きによって引き起こされる回転の軸に斜めかつ半径方向にオフセットされた軸について追加で回転する際の長手方向軸に相対して半径方向に変位可能であるよう配置されうる。例えば、トリガー要素は、その回転の軸に相対して半径方向に並進運動によって変位可能に配置され、その重力の中心は、バーの動きによって引き起こされる回転の軸から半径方向にオフセットされうる。
【0039】
トリガー要素の半径方向の変位は、トリガー要素を、バー8の長手方向軸zに平行かつ半径方向にオフセットした軸について回転させることによって達成されうる。特に、トリガー要素は、長手方向軸zに平行かつ半径方向にオフセットした軸についてトリガー要素が回転する際に半径方向に変位可能に配置されうる。あるいは、トリガー要素の半径方向の変位は、トリガー要素を、バー8の長手方向軸zに垂直かつ半径方向にオフセットした軸について回転させることによって達成されうる。特に、トリガー要素は、長手方向軸zに垂直かつ半径方向にオフセットした軸についてトリガー要素が回転する際に半径方向に変位可能に配置されうる。
【0040】
トリガー要素の半径方向の変位は、第一の所定のノンゼロ量に対応する回転速度未満では、トリガー要素が半径方向に変位されるのを制限されるよう、制限されうる。特に、遠心式結合機構7、9、39、45は、拘束要素を備えうる。拘束要素は、結合機構7、9、39、45が長手方向軸zについて第一の所定のノンゼロ量よりも遅く回転する際に、トリガー要素が半径方向に変位することを妨げるよう配置される。
【0041】
各エネルギー吸収手段の一端は、軸方向に固定されうる。よって、バー8が長手方向軸zに沿って動く際、各エネルギー吸収手段の一端は固定されたままになる。各エネルギー吸収手段の他端は、そのエネルギー吸収が働くと、バー8と共に長手方向軸zに沿って動き、よってエネルギー吸収手段を機械的に圧縮させる。
【0042】
エネルギー吸収体1a、1bは、ピストン要素5a、5b、5cをさらに備える。各エネルギー吸収手段4a、4b、4cは、それぞれのピストン要素5a、5b、5cと関連しうる。しかしながら、全てより少ないエネルギー吸収手段4a、4b、4cが、それぞれのピストン要素5a、5b、5cと関連することが可能でありうる。各ピストン要素5a、6b、5cは、その端部の一つで軸方向に固定されうる。
【0043】
エネルギー吸収手段4a、4b、4cの活性化は、エネルギー吸収手段4a、4b、4cを軸方向に加圧するピストン要素5a、5b、5cにバー8を結合することによって達成されうる。特に、バー8は、ピストン要素5a、5b、5cのそれぞれの一つと係合して、その係合が各ピストン要素5a、5b、5cに、そのそれぞれのエネルギー吸収手段4a、4b、4cを加圧させることで、各エネルギー吸収手段4a、4b、4cのエネルギー吸収を活性化するよう配置されうる。
【0044】
エネルギー吸収手段は、特定の順で加圧されうる。例えば、第一のエネルギー吸収手段4aは、第二のエネルギー吸収手段4bが加圧される前に加圧されうる。エネルギー吸収体1a、1bは、ピストンの一つがその対応するエネルギー吸収手段と常に接触し、一方他のピストンは、与条件で、その対応するエネルギー吸収手段を加圧するように活性化されうるよう構成されうる。特に、第一のエネルギー吸収手段4aの第一のピストン要素5aは、第一のエネルギー吸収手段4aが、長手方向軸zに沿って作用する力Fの結果として第二のエネルギー吸収手段4bの前に加圧されるように、長手方向軸zに対して軸方向に固定されうる。さらなるピストン要素5b、5cはそれから、その対応するエネルギー吸収手段4b、4cを活性化するよう軸方向に結合される。特に、第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bは、第二のエネルギー吸収手段4bがバー8によって活性化される際、バー8に対して軸方向に固定されるよう配置されうる。
【0045】
五つの特定の実施形態が、ここで説明される。
【0046】
ここで、第一の実施形態によるエネルギー吸収体1aおよびその部分を図示する
図1a−1gが特に参照される。第一の実施形態は、ネジ付き回転バー8に基づく。第一の所定のノンゼロ量は、バー8のネジ13のリード値に依存しうる。より詳細には、バー8が達成する最大速度(すなわち、バー8の軸速度と回転速度間の変速比)は、ネジ13のリードに依存し、リードが小さいほど回転速度は速くなる。ネジ13がセルフロックの場合は限定的な場合である。
【0047】
第一の実施形態によれば、結合機構7がバー8に設けられ、バー8が回転すると、結合機構7は非回転ピストン要素5a、5b、5cと係合する。バー8は、力Fがバー8に作用して、軸方向(すなわち長手方向軸zに沿う方向)に動かされると、長手方向軸zについて回転する。よって、第一の実施形態によれば、バー8は、力Fが長手方向軸zに沿ってバー8に作用すると、長手方向軸zについて回転するよう配置される。
【0048】
第一の実施形態によれば、回転は、軸方向に支持されたナット15を介して非回転バー8を動かすことによって達成されうる。よって、エネルギー吸収体1aはさらに、軸方向に支持されたナット15を備えうる。バー8はそれから、力Fが長手方向軸zに沿ってバー8に作用する際にナット15を介して動くと、長手方向軸zについて回転するよう配置される。バー8は、したがって、軸方向に固定されたナット15との係合によって回転するに至る。バーとナットとの界面に、摩擦を低減するような転がり要素が設けられうる。
【0049】
第一の実施形態によれば、第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bは、その力活性化要素に、力活性化要素とピストン5bとの間の回転を可能にする継手を介して連結される。特に、エネルギー吸収体1aはさらに、第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bに、スラスト軸受け17を介して軸方向に結合された係合カップ16を備えうる。上記に開示されたトリガー要素はそれから、バー8に設けられ、第一の所定のノンゼロ量よりも速く長手方向軸zについて回転すると、係合カップ16と係合するよう配置されうる。トリガー要素は、それによって、バー8が第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bと係合することを可能にし、それによって第二のエネルギー吸収手段4bを加圧、およびそれによって活性化する。
【0050】
第一の実施形態によれば、トリガー要素はそれによって、バー8が長手方向に変位して軸方向に固定されたナット15との係合によって回転に至る際に、バー8の長手方向軸zについて回転するよう配置される。トリガー要素は、その各一つが摩擦ピン7bによってバー8に結合される少なくとも一つの係合フック7a等の、軸方向に延在するトリガー要素でありうる。第一の実施形態によれば、トリガー要素は、バー8の長手方向に垂直な軸についての回転を介してバー8の半径方向に変位可能である。軸はまた、バー8の長手方向軸zから半径方向にオフセットされる
第一の実施形態によれば、トリガー要素は、ガータスプリング21等の遠心力依存手段によって、バー8の半径方向に変位することを抑制されうる。バー8の一定の回転速度で、トリガー要素の回転によって起こるトリガー要素にかかる遠心力は抑制要素の抑制力を超え、よって係合フック7aは、摩擦ピン7bについて、すなわちバー8の長手方向軸zに垂直な軸についての回転を介してバー8の半径方向に変位する。
【0051】
第一の実施形態によれば、概括的に述べると、係合フック7aの質量および設置半径と関連したガータスプリング21の抑制力は、どのシャフト速度で係合フック7aが係合するべきかを決定する。全く同じ種類のガータスプリング21が、第二および第三のエネルギー吸収手段4b、4c(以下の、第三のエネルギー吸収手段4cの説明を参照のこと)のトリガー要素を異なる速度に合わせるために使用されうる。例えば、ガータスプリング21が属する溝を軸方向に変位させることによって、係合フック7aとガータスプリング21との異なるてこの力が達成され、異なるエネルギー吸収手段を異なる速度で係合させる。同じ種類のガータスプリング21を全てのトリガー要素に使用することによって、エネルギー吸収体1aの組立時のミスの可能性もまた最小になる。
【0052】
第一の実施形態によれば、トリガー要素が半径方向に変位すると、したがって、スラスト軸受け17を介してピストン要素5b、5cに軸方向に連結された係合カップ16と係合する。係合カップ16は、その内側に沿って鋸歯状でありうる。トリガー要素の係合フック7aは、係合カップ16の鋸歯をつかみ、したがってバー8をピストン要素5b、5cと連結させる。係合カップ16がトリガー要素に連結されると、回転に至る。より詳細には、係合フック7aに作用する遠心力が係合フック7aを一定の速度で“持ち上げ”、係合フック7aを係合カップ16と係合させる。係合カップ16は内側が鋸歯状であり、多数の鉄球を介してワッシャ5cを支持するフランジを有しうる。ワッシャ5cは、第二のエネルギー吸収手段4bに乗っている。係合フック7aは、持ち上げられると、係合カップ16の内側の鋸歯の中を掴み、係合カップ16を引きずる。バー8および係合フック7aが回転すると、係合カップ16もまた回転に至る。鉄球は、力Fを第二のエネルギー吸収手段4bのに伝えると同時に、摩擦を低減しうる。
【0053】
第一の実施形態によれば、バー8の一端は、力Fが長手方向軸zに沿ってバー8に働くと非回転運動を回転運動に変換するためのスイベルジョイントアタッチメント18を備えうる。バー8の他端は、第一のエネルギー吸収手段4aと第二のエネルギー吸収手段4bとを相互接続するためのスラスト軸受け19を備えうる。
【0054】
ここで、第二の実施形態によるエネルギー吸収体1bおよびその部分を図示する
図2a−2gが特に参照される。第二の実施形態は、ネジ付きおよびスプライン非回転バー8に基づく。バー8のスプライン14(すなわち長手方向溝)は、例えばネジ機能を確実にするため、よってネジ機能に利用可能な十分なネジフランクを残すために、バー8のネジ山13よりも浅くありうる。バー8のエンドキャップ22は、長手方向変位中のバー8の回転を防ぐよう、スプライン14と摺り合う歯を備えうる。ネジ付きバー8は、よって、バー8に沿った多くのスプライン14によって回転を妨げられる。スプライン14はエンドキャップ22と係合し、ネジ付きバー8はよって回転をロックされる。
【0055】
第二の実施形態によれば、バー8は、軸方向に動かされる際に非回転である。バー8の長手方向の運動は、結合機構9を回転させる。結合機構9の回転速度が(上記に定義したような)第一の所定のノンゼロ量を超えると、回転結合機構9はバー8のスプライン14と係合し、回転を止め、よって第二のエネルギー吸収手段4bを活性化する。特に、結合機構9は、力Fが長手方向軸zに沿ってバー8に作用すると、長手方向軸zについて回転するよう配置される。
【0056】
第二の実施形態によれば、回転は、軸方向に支持されたネジ付きトリガーリング9aを通して非回転バー8を動かすことによって達成されうる。バー8が長手方向に変位すると、トリガーリング9aは、バー8とのそのネジ連結を介して回転させられる。
【0057】
特に、結合機構9は、軸方向に支持されたネジ付きリング9aを備えうる。結合機構9はそれから、力Fが長手方向軸zに沿ってバー8に作用する際に、バー8がネジ付きリング9aを通して動くと、長手方向軸zについて回転するよう配置されうる。転がり要素が、摩擦の低減等をするようバーとナットとの界面に設けられうる。
【0058】
第二の実施形態によれば、第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bは、その力活性化要素に、力活性化要素とピストンとの間の回転を可能にする継手を介して連結される。特に、エネルギー吸収体1bはさらに、ネジ付きリング9aを第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bと相互連結するスラスト軸受け10を備えうる。ネジ付きリング9aは、つまり、スラスト軸受け10を介して第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bに結合され、トリガー要素が活性化されない場合に、ネジ付きトリガーリング9aとピストン要素5bとの間の回転運動を可能にしうる。トリガー要素がバー8のスプラインと係合すると、ピストン要素5bは、軸方向の力を介して、第二のエネルギー吸収手段4bを活性化する。特に、結合機構9は、第二のエネルギー吸収手段4bに設けられ、トリガー要素は、第一の所定のノンゼロ量よりも速く長手方向軸zについて回転すると、バー8のスプライン14と係合するよう配置されうる。第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bはそれによって、第二のエネルギー吸収手段4bを加圧し、およびそれによって活性化するよう、バー8と係合する。
【0059】
第二の実施形態によれば、スラスト軸受け10はさらに、結合機構9の回転が第一の所定のノンゼロ量よりも遅い場合、ネジ付きリング9aと第二のエネルギー吸収手段4bのピストン要素5bとの間の回転運動を可能にしうる。第二のエネルギー吸収手段4bの係合は、それによって、第一の所定のノンゼロ量に対応する回転運動未満では妨げられうる。
【0060】
第二の実施形態によれば、トリガー要素は、支点ピン12によってネジ付きリング9aに結合されたトリガーアーム11でありうる。より詳しくは、少なくとも一つの周方向に延在する回転可能なトリガー要素が、支点ピン12を介してネジ付きリング9aの切妻に固定されうる。トリガー要素は、バー8の長手方向軸zについての第一の回転を介して、およびバー8の長手方向軸zに平行でありバー8の長手方向軸zから半径方向にオフセットした第二の軸についての第二の回転を介して半径方向に変位可能でありうる。トリガー要素は、遠心力に依る半径方向変位抑制要素(図示せず)によって正しい位置に保持されうる。バー8の一定の並進速度で、ネジ付きリング9aの回転によって起こったトリガー要素にかかる遠心力は、抑制要素の抑制力を超え、よってトリガー要素は、支点ピン12についての、すなわちバー8の長手方向軸zに平行な軸についての回転を介して、バー8の半径方向に変位する。さらに、トリガー要素は、フック11aを介してバー8のスプライン14と係合するよう構成されうる。フック11aがバー8と係合すると、トリガー要素の回転は妨げられる。すなわちトリガー要素はバー8に軸方向に結合される。トリガー要素は、回転速度が第一の所定のノンゼロ量を超えた際、スプライン14との質量分配係止係合を有しうる。したがって、バー8が長手方向軸zに沿って動くと、ネジは、ネジ付きリング9aと、トリガーアーム11を共に回転に至らしめる。トリガーアーム11にかかる遠心力が一定の値を超えると、トリガーアーム11は支点ピン12の周りを回転し、そのフック状端部11aはスプライン14の一つと係合する。これは、ネジ付きリング9aの回転をロックし、つまりネジ付きリング9aをバー8の長手方向運動に追従させる。ネジ付きリング9aの長手方向運動は、よって、第二のエネルギー吸収手段4bを係合させる。
【0061】
ここで、第三の実施形態によるエネルギー吸収体1cおよびその部分を図示する
図3a−3gが特に参照される。
【0062】
第三の実施形態によれば、バー8は歯付きラックである。トリガー要素はそれから、長手方向軸に沿ったバーに沿ってバーに力がかかると、長手方向軸に垂直もしくは斜めの軸について回転するよう配置されうる。
【0063】
第三の実施形態によれば、結合機構39は、歯付きバー8およびウェッジ24の形状の負荷伝達要素(ここではウェッジ要素とも称される)の両方を収容するための縦に設けられた空洞25を有する基体23を備える。基体およびウェッジは、よってウェッジ結合を構成する。
【0064】
第三の実施形態によれば、ピストン5bは、基体の端部の一つに配置され、ウェッジが活性化すると第二のエネルギー吸収手段4bに軸方向に結合される。ウェッジ要素は当初(非装填状態では)、バーと接触しないよう位置決めされる。当初の位置は、ウェッジの円錐孔に偏心して位置決めされたスプリング付勢ボール前部を有する、基体に固定された二つの止めネジ38によって制御される。概括的に述べると、ウェッジ要素は当初、ウェッジの円錐孔に偏心して位置決めされたスプリング付勢球状前部を含む少なくとも一つの止めネジ38によって位置決めされ、止めネジ38の軸方向の動きが、バーの表面とウェッジとの間に隙間が作られるようウェッジを位置決めするよう、基体によって支持されうる。ネジ(もしくは複数のネジ)が締められると、ウェッジは、バーの平面とウェッジとの間に小さな隙間が作られるよう動く。第二のエネルギー吸収要素は、よって活性化されない。第一のエネルギー吸収要素のみが、バーに軸方向に結合される。
【0065】
第三の実施形態によれば、基体の空洞に設置されたウェッジ要素は、第一の歯車32を収容するための空洞を備える。歯車の回転軸は、バーの長手方向軸の垂直方向に配向され、ウェッジおよび基体に配置される。バーが長手方向軸に沿って動くと、歯車は回転に至る。つまり、歯付きラックは、力Fが歯付きラックに作用する際の長手方向軸に沿ったバーの動きが、歯車を、長手方向軸zに垂直もしくは斜めの軸について回転させるよう、歯車と係合しうる。さらに、トリガー要素が、歯車の回転が、長手方向軸zに垂直もしくは斜めの軸についてのトリガー要素の第一の回転を引き起こすよう、歯車に回転可能に連結されうる。
【0066】
第三の実施形態によれば、第一の歯車32の回転軸の端部の一つに、第二の歯車33が配置され、回転速度のアップシフトを作り出すよう第三の歯車36と係合する。第一の歯車32の回転軸は、回転軸と基体との間の一定の遊びを確保するよう、基体の孔に配置される。第三の歯車36の回転軸は、支持板40によって支持され、トリガー要素のホルダー35に回転可能に連結される。ブレーキ板31および支持板40は、摩擦ネジ37を介してウェッジに連結される。ウェッジ24に定着した摩擦ネジ37は、ブレーキ板31、支持板40、および基体23の孔を通して延在するよう設けられる。摩擦ネジ37はまた、支持板40とブレーキ板31とを分割する一対のスリーブ46を通して、および基体23と支持板40とを分割する他の一対のスリーブ47を通して延在するよう設けられる。スリーブ47は、スリーブ47と基体23との間に一定の遊びをもって基体23の孔に配置される。そのような配置は、スプリング付勢止めネジ38によって提供される小さな係止力を克服するのに十分大きい力がウェッジ24に作用する際に、ウェッジ24と基体23との間の小さな相対運動を可能にするよう要素をつなぐ。第三の歯車36の回転軸はまた、アーム27によって支持される。
【0067】
第三の実施形態によれば、バーが長手方向軸に沿って動くと、ホルダー35、トリガー要素29、および支持体34は回転し、遠心力がトリガー要素に作用する。トリガーホルダー35および支持体34の回転軸は、ブレーキ板31に連結されるアーム27によって支持される。トリガー要素は、ブレーキ板の開口内で回転する。開口は、その周縁に沿って三つのポケットを有する。
【0068】
例えば、バーの動きによって引き起こされるトリガー要素の回転は、バーの長手方向軸zに垂直もしくは斜めの軸についてでありうる。例えば、トリガー要素29は、垂直もしくは斜めの軸に平行しかつ半径方向にオフセットした軸についての追加の回転の際、垂直もしくは斜めの軸に相対して半径方向に変位可能に配置されうる。例えば、トリガー要素は、垂直の軸もしくは斜めの軸に垂直でありかつ半径方向にオフセットした軸についての第二の回転の際、垂直もしくは斜めの軸に相対して半径方向に変位可能に配置されうる。
【0069】
第三の実施形態によれば、トリガー要素は、バーの長手方向軸に垂直な軸についての追加の回転の際に、遠心トリガー力が、トリガー力の反対方向に作用する拘束力(本例では支持体34に定着する磁石28によって提供される磁力)の一定の値を超えると、ホルダー35に変位可能に配置される。
【0070】
第三の実施形態によれば、トリガー要素が軸26について回転すると、ブレーキ板の開口のポケット30内に変位し、トリガーホルダー35の、したがって歯車の回転を急激に止め、バーと接触するウェッジ要素を駆動して、力がバーから第二のエネルギー吸収手段に伝達されるようにする。
【0071】
つまり、第三の実施形態によれば、トリガー要素は、ウェッジに連結されたブレーキ板の開口で回転するよう配置され、開口は少なくとも一つの半径方向に延在するポケットを有し、トリガー要素は、バーの長手方向軸に垂直な軸についての追加の回転の際に、トリガー要素に作用する遠心力がトリガー負荷の反対方向に作用する拘束力の一定の値を超えると、トリガーホルダー35の半径方向に延在するポケットと係合するよう、トリガーホルダー35に変位可能に装着され、それによって歯車の回転運動が止められ、バーの力が第二のエネルギー吸収手段4bに伝達されるよう、バーと接触するウェッジを駆動する。
【0072】
ここで、第四の実施形態によるエネルギー吸収体1dおよびその部分を図示する
図4aおよび4bが特に参照される。
【0073】
第四の実施形態によれば、バー8(およびバー8に結合されたピストン5a)が長手方向軸zに沿って動くと、第一のエネルギー吸収手段4aはピストン5aに軸方向に結合される。さらなるピストン5b’は、バー8に結合される。第二のエネルギー吸収手段4bの結合機構45は、油圧シリンダ43の形状である。バー8が長手方向軸に沿って動くと、ピストン5b’が油圧シリンダ43の流体を加圧するため、油圧フローはボール逆止弁44を通って流れる。
【0074】
第四の実施形態によれば、ボール41は、結合機構45のトリガー要素を構成する。ボールへの負荷(トリガー負荷)は、逆止弁44全体の圧力低下に依存する。圧力低下は、逆止弁44を流れる流量に依存し、例えば流量が高いほど圧力低下が高くなる。流量は、バー8の速度に依存し、逆止弁が開いている限り、速度が高いほど流量が高くなる。
【0075】
第四の実施形態によれば、ボール41はよって、装填時にその非装填位置に相対して変位可能に配置され、同時に、トリガー負荷の反対方向に作用する拘束力によって変位を制限される。拘束力は、この場合、逆止弁44のスプリング42によって提供される。
【0076】
第四の実施形態によれば、第一の所定のノンゼロ量よりも低いバー速度では、フローが逆止弁44を通るため、第二のエネルギー吸収手段4bは係合されない。速度が第一の所定のノンゼロ量よりも高い値に増加すると、油圧シリンダ43の圧力は、逆止弁44が閉じるよう増加する。この時点で、力はバー8から第二のエネルギー吸収要素4bに伝達される。この場合、圧液は負荷伝達要素を構成する。シリンダ5b”の切妻は、第二のエネルギー吸収手段4bに作用するピストンを構成する。
【0077】
少なくとも第四の実施形態のための上記の原則は、圧液の代わりに気体を代用して適用されうる。液体は圧縮できないが気体はそうでないため、いくらかの違いが適用される。
【0078】
第五の実施形態によれば、トリガー負荷は、リニア永久磁石渦電流遮断の原則に基づいて作り出される。つまり、結合機構は、近くの導電性物体と相対運動をする磁石を備えうる。
【0079】
第五の実施形態によれば、相対運動をする磁石と導電性物体との間の力は、電磁誘導を介して導体に誘導される渦電流のために、利用される。
【0080】
例えば、永久磁石の形状のトリガー要素がバーに装着され、バーが導電性物質を介して動く場合、電流は導体に発生し、磁界を発生させる。レンツの法則によれば、磁界は、トリガー要素に作用する反発力を作り出す。その力は、バーの速度に依存する。
【0081】
トリガー要素は、同時に、反発力の反対方向に作用する拘束力によって変位することを制限されるよう配置される。トリガー要素は、バーの速度およびその結果トリガー力が第一の所定のノンゼロ量よりも高くなると、力伝達要素を活性化するために変位される。力伝達要素は、流体、気体、もしくは機械的要素でありうる。
【0082】
第五の実施形態によれば、変位は、今度は先に開示された実施形態で負荷伝達要素類似物を活性化するのに利用されうる。
【0083】
概括的に述べると、第一の実施形態によれば、力はバー8のネジ山13によっては全く運ばれないが、第二の実施形態によれば、全ての力がバー8のネジ山13によって運ばれる。
【0084】
概括的に述べると、第一の実施形態によれば、全ての力は係合フック7aによって運ばれるが、第二の実施形態によれば、係合フックへの力はネジ山のリードによって低減される(ネジ山リードに依って、約八倍低くなる)。
【0085】
ここで、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dのさらなる詳細をより詳しく開示する。
【0086】
概括的に述べると、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dのエネルギー吸収に作用するいくつかの方法がありうる。
【0087】
一例は総ストロークであり、ストロークが長いほど、より多くのエネルギーが吸収されうる。エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、車両座席100(下記参照)に組み込まれると仮定する。エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dのバー速度は、車両速度と、車両200の座席乗員の速度との違いと等しいため、ストロークが長いほど、加速がより多く減らされ、それによって座席乗員のむち打ち症のリスクを低減しうる。
【0088】
一例は、使用されるエネルギー吸収手段4a、4b、4cの数である。概括的に述べると、より多くのエネルギー吸収手段4a、4b、4cを使用することで、エネルギー吸収を微調整する可能性を高める。
【0089】
一例は、エネルギー吸収手段4a、4b、4cをトリガーするトリガー速度である。異なるエネルギー吸収手段4a、4b、4cが係合する速度は、エネルギー吸収の挙動に影響する。
【0090】
一例は、各エネルギー吸収手段4a、4b、4cでの力の変動である(エネルギー吸収手段4a、4b、4cに使用されるエネルギー吸収材料の種類およびエネルギー吸収手段4a、4b、4cの断面積など)。より詳しくは、エネルギー吸収手段の異なる例が存在しうる。例えば、第一のエネルギー吸収手段4aおよび第二のエネルギー吸収手段4bは、固体材料、流体材料、気体材料、もしくはそれらの任意の組み合わせのうちいずれかを備えうる。固体材料の一例は、良好なエネルギー吸収能力を有する発泡材である。高いエネルギー吸収能力を持つ構造発泡材の一例は、市販されているディビニセルHCP100である。この材料のために、発泡の内部構造が潰れるので、エネルギーが吸収される。そのような潰れ時に要求される力は、比較的一定である。ディビニセルHCP100の破砕引張応力は、およそ12MPaである。断面を変えることによって、異なる破砕力が結果として生じる。第一のエネルギー吸収手段4aの材料は、第二のエネルギー吸収手段4bの材料と同じかもしくは異なりうる。
【0091】
一例は、エネルギー吸収手段の形状である。より詳しくは、特定のエネルギー吸収手段の初期力特性を、長手方向軸zに沿ったその長さの一部にわたってそれをテーパーすることによって、形成することが可能でありうる。
図3aは、テーパー状の第二のエネルギー吸収手段4bおよびテーパー状の第三のエネルギー吸収手段4cを模式的に示す。
図3bは、テーパー状の第一のエネルギー吸収手段4aを模式的に示す。
図3aおよび3bに示されるようなテーパー状のエネルギー吸収手段は、例えば、エネルギー吸収手段が係合される際により緩やかな加速増加を引き起こすために使用されうる。よって、第一のエネルギー吸収手段4aおよび第二のエネルギー吸収手段4bの少なくとも一つは、少なくとも部分的にテーパー状の断面積を有しうる。
【0092】
エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、筒状被覆20を有しうる。筒状被覆20は、エネルギー吸収手段4a、4b、4c、結合機構7、9、39、45、および(少なくとも部分的に)バー8を囲み、エネルギー吸収手段4a、4b、4cに半径方向ならびに軸方向の支持を提供しうる。よってエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dはさらに、少なくともバー8、結合機構7、9、39、45、第一のエネルギー吸収手段4a、および第二のエネルギー吸収手段4bを囲む筒状被覆20を備えうる。
【0093】
上記のように、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、少なくとも一つのさらなるエネルギー吸収手段4cを備えうる。特に、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、第三のエネルギー吸収手段4cを備えうる。エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dはさらに、第三のエネルギー吸収手段4cをバー8に結合させるためのさらなる結合機構7、9、39、45を備えうる。バー8およびさらなる結合機構7、9、39、45は、長手方向軸zに沿ったバー8の動きが、さらなる結合機構7、9、39、45の長手方向軸zについての回転を引き起こすよう配置される。さらなる結合機構7、9、39、45は、さらなる結合機構7、9、39、45の回転が、第一の所定のノンゼロ量よりも大きい第二の所定のノンゼロ量よりも速い場合、第三のエネルギー吸収手段4cをバー8に結合することによって、第三のエネルギー吸収手段4cのエネルギー吸収を活性化するよう配置される。当業者が理解するように、ここで開示されるエネルギー吸収体1a、1bは、二つもしくは三つのエネルギー吸収手段のみを備えるとは限定されず、ここで開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、それぞれが自身の結合機構7、9、39、45を有する複数のエネルギー吸収手段を備え、それぞれのエネルギー吸収手段は順に係合されうる。
【0094】
ここで、上記に開示したようなエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dが、むち打ち症を和らげるために車両座席に使用される非限定的例示用途が説明される。よって、ここに開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、車両座席の一部でありうる。機械的エネルギー吸収車両座席は、したがって、少なくとも一つの上記に開示したようなエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dを備える。
図6は、車両座席100の側面図を模式的に示す。
図7は、少なくとも一つの車両座席100を備える車両200の側面図を模式的に示す。
【0095】
より詳しくは、
図6は、長手方向(yz面)に見た車両座席100の原理的および様式化した図を示す。
図7はまた、車両200における車両座席100の組立に基づく座標系を示す。車両座席100は、車両座席100の座席102に配置されたエネルギー吸収体1a、1bを備える。車両座席100は、下記の主な構成部品を備える:座席102(すなわち座席耐荷重構造)、背もたれ104(すなわち背面耐荷重構造)、ならびに、使用時には車両座席100に位置する想像の座席乗員(図示せず)からエネルギー吸収体に運動エネルギーを力学的抵抗時の直線変位によって伝達する目的で座席102に配置されたエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dである。例示のシナリオによるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、(エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dの筒状被覆を画定する)円筒管内に位置するディビニセルHCP100の三つのエネルギー吸収手段を備える。
【0096】
衝突の初期段階では、座席乗員の胴体は、背もたれ104に押し付けられる。背もたれ104と座席乗員との間に発生する力は、この段階の車両座席100が並進運動で動くことができる場合、もしくは抵抗の存在下で背もたれ104が回転することができる場合、力学的仕事を行うことができる。この力学的仕事は、伝達および蓄積されることができる。例えば、力学的仕事は、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dに蓄積されうる。
【0097】
背もたれ104が力学的抵抗下で回転できる場合、座席乗員の頭および頚椎への力は低減される。背もたれ104は、座席102に、車両座席100(したがってまた車両200)の横方向(x方向)に平行な軸の周りの点Aで、ならびに、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dに、車両座席100の横方向に平行な軸の周りの点Bについて、枢動可能に連結される。エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、続いて、座席102に、車両座席100の横方向に平行な軸の周りの点Cについて、枢動可能に配置される。
【0098】
後方からの衝突時、座席乗員の胴体は、当初背もたれ104に向かって押される。背もたれ104は、エネルギー吸収要素からの力学的抵抗下で、時間依存する合力F1の衝撃によって、角度Δθで回転できる。背もたれ104がこのように、座席乗員の胴体が背もたれ104に押し付けられ、衝突のために背もたれ104に向けた力F1が発生した結果として回転すると、回転運動はエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dの直線運動に変わり、座席乗員の頭および頸椎の力および加速を低減する。
【0099】
背もたれ104が座席102に点Aで回転可能に配置されると共にエネルギー吸収体1a、1bに点Bで配置されると同時に、エネルギー吸収体1a、1bが回転可能に点Cに固定されると、背もたれ104の回転運動は直線運動に変わり、直線運動の距離は、回転点AとBとの距離および開始位置からの背もたれ104の角度変化Δθに依存する。
【0100】
回転Δθは、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dの力学的抵抗、および伝達されるエネルギーの量に依存する。エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dは、点Aと点Bとの間のレバーアームの長さを最大にするよう配置および配向されうる。
【0101】
点AおよびBを通る直線と点BおよびCを通る直線との間の角度αは、衝突時に座席乗員の胴体が背もたれ104に押し付けられる一方でエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dが圧縮されるために背もたれ104が角度Δθで回転すると、増加する(すなわちα2>α1)。
【0102】
したがって、エネルギー吸収体1a、1bの圧潰力が超越すると、エネルギー吸収手段4a、4b、4cが続いて制御された方法で変形し、よって背もたれ104を後ろに旋回できるようにし、つまり座席乗員の頭および胴体の加速を低減する。エネルギー吸収手段の一つ(第一のエネルギー吸収手段4a等)は、常に係合されうる。このエネルギー吸収手段の圧潰力は、エネルギー吸収体1a、1bが座席乗員の加速を制限し始める加速を決定する。残りのエネルギー吸収手段は、バー速度の一定のレベル(第一の所定のノンゼロ量および第二の所定のノンゼロ量にそれぞれ対応する)で係合され、それによって、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dの圧潰力(すなわちエネルギー吸収)を段階的に増加させる。エネルギー吸収手段4a、4b、4cの圧潰力(断面積、要素材料の種類等)、およびエネルギー吸収手段4a、4b、4cが係合されるトリガー速度を変えることによって、エネルギー吸収体1a、1b、1d、1dの特性を変えることができる。
【0103】
むち打ちになった場合のむち打ち症を緩和するために、上記に開示したようなエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dを車両座席に使用するシミュレーション結果として、
ヨーロッパ新カーアセスメントプログラム(Euro NCAP)による車両加速曲線がここで提示される。
【0104】
シミュレーションの一つの目的は、衝突時に座席乗員が受ける加速力を緩和するために、ここで開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dがどのように、およびどの程度使用されうるかを調査することである。シミュレーションの他の目的は、エネルギー吸収体1a、1b、1c、1dの特徴をどのように、およびどの程度変えうるかを調査することである。この分析は、使用される加速プロファイルのために、どのような傷を座席乗員が受けうるかは考慮に入れていない。分析の一つの目的は、ここで開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dが、座席乗員が受ける加速を形成および変形するためにどのように使用されうるかの洞察を提供することである。
【0105】
ここで、
図8a、8b、および8cが参照される。各ユーロNCAP曲線(低、中、および高)について、体重(胴体および頭の質量)mBodyMin=27.1kg、mBodyAvg=40.7kg、およびmBodyMax=54.3kgのそれぞれの加速とともに、車の加速(ユーロNCAP曲線)が、時間関数として示される。車は、上記のように車両座席100を備える。
図8a、8b、および8cでは、ここで開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dが、座席乗員が受ける加速を大いに制限することがわかる。
【0106】
本発明は、主にいくつかの実施形態を参照して上記に説明された。本発明は、多くの異なる形状で実施されてよく、ここに示される用途に限定されるとはみなされない。例えば、ここに開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dを車の座席に使用する用途は、ここに開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dが使用されうる一つの用途に過ぎず、ここに開示されるエネルギー吸収体1a、1b、1c、1dの唯一の可能な用途と見なされることはない。それは概して、衝突、ぶつかり等のためのエネルギー消耗の際に所望される異なる文脈で使用することができる。したがって、当業者には容易に理解されるように、上記に開示された以外の他の実施形態が、付属の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲内で、等しく可能である。
【国際調査報告】