(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-512677(P2017-512677A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】生分解性材料から物品を生産するための装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/30 20060101AFI20170421BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
B29C33/30ZBP
B29C45/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-556761(P2016-556761)
(86)(22)【出願日】2015年3月10日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】IB2015000306
(87)【国際公開番号】WO2015136352
(87)【国際公開日】20150917
(31)【優先権主張番号】2014/0167
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】BE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516269711
【氏名又は名称】マティス ブルグマンス
【氏名又は名称原語表記】BRUGMANS, Matthijs
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174931
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】マティス ブルグマンス
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AJ08
4F202AM19
4F202AM20
4F202CA12
4F202CB01
4F202CC01
4F202CR00
4F202CR01
4F202CR09
4F202CR10
4F206AJ08
4F206AM19
4F206AM20
4F206JA02
4F206JC01
4F206JP17
4F206JP18
4F206JQ81
4F206JQ90
(57)【要約】
生分解性材料から物品を生産するための装置(1)は、固体または液体の生分解性材料を含む貯槽(5)を備える。貯槽(5)は分配ライン(6)に接続されている。分配ライン(6)に沿って個別の形状を有する一連の型(7)が設けられている。各型(7)は、充填時間、圧力、および温度を決定するコンピュータ制御された個別の処理プログラムを通過した後、型(7)を自動的に開口し、形成した物品を除去してから、次の物品を同一の型(7)においてコンプレッション成形またはトランスファー成形することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性材料から同時に複数の異なる物品を生産するための装置(1)であって、固体または液体の生分解性材料を含む貯槽(5)を備え、前記貯槽(5)は分配ライン(6)に接続されており、前記分配ライン(6)に沿って個別の形状を有する一連の焼き型(7)を備え、各焼き型(7)は、コンピュータによって個々に自動制御され、かつ、個々に取り外し可能であり、前記焼き型を別の焼き型と交換する間、装置(1)全体の作業を停止させる必要なしに他の焼き型(7)で生産を続行可能としたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記焼き型(7)のための生産プロセスがコンピュータ(9)による個別の処理プログラムによって自動制御されており、前記処理プログラムにより、
・前記分配ライン(6)の供給管を開口し、
・前記焼き型(7)に充填し、
・所望の形状に硬化するまで前記焼き型の加熱サイクルを制御し、
・前記焼き型を開口し、
・形成した前記物品(17)を分離し、
・前記焼き型(7)を閉口し、
・次の物品を生産するためにこれらの工程を自動的に繰り返し、この作業を所望の一連の生産が完了するまで実施する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置を使用した生産プロセス。
【請求項3】
前記焼き型(7)は、ピボット(14c)を介して、帯状レバー(14)上の偏心点に接続され、コンピュータ制御された電動水圧ラム(10´)によって開口され、前記帯状レバー(14)は、第1段階において、垂直位置にある前記焼き型のカバー(8)を水平に短距離(約10mm)だけ移動することによって開口した後、前記カバー(8)においては水平軸(14b)を中心にベアリング上に取り付けられている一方、電気ハウジング(10)においては水平軸(14a)を中心にベアリング上に取り付けられている前記帯状レバー(14)を使用して、カバー(8´)が水平位置になるまで、前記カバーを上方に90°を超えて旋回することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
生分解性材料から物品を生産するための方法であって、次のステップ、すなわち
・生分解性材料または農業からの生物学的廃棄物を収集するステップと、
・水および生分解性である添加剤と混合することによって、生分解性材料からペーストまたは液体を形成するステップと、
・請求項1に記載の態様で、生分解性材料から物品を生産するための装置の前記貯槽に、トランスファー成形またはコンプレッション成形する混合物を運搬するステップと、
・請求項1に記載の態様で、装置の前記分配ラインに適切な焼き型を接続するステップと、
・請求項2に記載の態様で、個別の焼き型のための、生産される物品に適応した、コンピュータ制御された個別の処理プログラムに基づいて生産サイクルを実行するステップと、
・消費者に発送するために、生産した前記物品を一連の種類およびサイズ毎に収集かつ梱包するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記焼き型(19)は、4本のガイドロッド(23)を有する可動爪(22)に接続されており、コンピュータ制御されたラム(24)によって開口され、前記可動爪(22)は雄型部(21)に対して押し出され、前記焼き型(19)を係止し、2つの型部の間における接触面は二重ハーメチックシール(26)によって封止されて漏洩を防止することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
トランスファー成形されるペーストの供給源(29)は、前記焼き型(19)の雌型部(20)にある中央供給開口部(31)を介して、中央供給管(30)から前記焼き型に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記焼き型(19)を閉口する際、前記雄型部(21)を主ハウジング(32)上の電力供給部に接触させることにより、焼き工程中において前記雄型部(21)の発熱体に電力を供給することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記雌型部の金属ハウジングに、台形断面を有する相補型のねじ山を設け、該金属ハウジング内に前記各ガイドロッドにおけるプラスチック製のプラグをねじ結合可能とし前記プラスチック製のプラグに台形断面を有するねじ山を設けて前記金属ガイドロッドと前記金属ハウジングとの間における接触を予防することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性材料から物品を生産するための装置と、そのような装置を使用する方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、生分解性の農産物、例えばジャガイモ澱粉、トウモロコシ、キャッサバ、籾殻等から物品を生産することを意図するものである。
【背景技術】
【0003】
生分解性成形物は本来的にリサイクル可能であり、一般的にプラスチック製包装に由来し増加の一途を辿る有害かつ非生分解性成形物のゴミの山を生じさせる合成プラスチックに代替できることは既知である。
【0004】
プラスチックゴミ問題は世界中の全ての国々に影響を与えているが、特に経済的に急速に発展中の諸国においては、この問題によって環境が脅かされており、ゴミ問題は多くの国際会議において主題となってきた。
【0005】
例えば、生分解性材料からカップ麺の容器や弁当箱等の家庭用品を生産することが可能である。これら物品のそれぞれの毎日の消費量は、中国だけでも1日当たり約2億個である。
【0006】
澱粉等の生分解性材料の大きな利点として、例えば、生分解性材料から製造された物品は、安価な自然エネルギーや農業用肥料のいずれかとして、使用後にリサイクルできることが挙げられる。これらの生分解性材料は100%分解可能であり、20日以内に土壌中に溶ける。
【0007】
澱粉は、ハンバーガーの箱、チーズや肉用の皿および果物カゴ等の食品包装や、乾燥食品用の容器等を生産するのに好適な材料である。
【0008】
籾殻は、主に高含水製品および機内食用に使用されるような食品皿において使用される。
【0009】
食品包装に加えて、生分解性材料は、容積の小さい物品を包装するのに好適なだけでなく、電子的な民生品等のより付加価値の高い製品を包装するのにも適している。
【0010】
今や、生分解性材料は、消費市場のための大量生産が可能な程度まで発展してきている。
【0011】
従来、澱粉等の固形物は、型を用いて物品をコンプレッション成形可能とするよう、ペースト状に加工されている。
【0012】
一方、グリセリン、酵素、および他の植物性材料と混合した、デフラグ化された乳酸やクエン酸等の液体製品を加工して物品を生産することもできる。この場合、制御された圧力下で汲み上げた液体を型に充填する。
【0013】
物品は、多くの場合には合成ポリマーから生産される。この場合には、溶融ポリマーを所望の型やモールド内に押し出し加工した後、冷却してから、形成した物品を型から取り出す。
【0014】
このような押し出し技術は、生分解性ポリマーにおいては利用することができない。なぜなら、生分解性ポリマーは溶融するのに適しておらず、最初に型内に圧入または移送してから、最終形状にするために型内で加熱し、または焼く必要があるからである。
【0015】
生分解性材料から大量の物品を生産する必要がある場合には問題が生じる。例えば、押し出し技法において一般的な、単一の型を使用する方法では、包装等の物品を大量生産できる速度が制限される。
【0016】
一連の異なる物品、例えば形状の異なる包装等を生産する必要があり、型を繰り返し異なる型と交換しなければならない場合には、更なる問題が生じる。即ち、機械を停止しての切り換えが必要となり、これは、特に少量の特定の包装において製品単価に悪影響を及ぼし、生産の自動化を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、生分解性材料から物品を生産するための装置を提供することによって、前述した短所およびその他の短所に対する解決策を提供するにある。この装置は、同一または異なる形状の多数の物品を、固体または液体の生分解性材料を型に充填し加熱することによって、同時に生産することができる。各型は、個別化可能な形状を有するだけでなく、コンピュータ制御された個別の処理プログラムに基づき、装置を停止する必要なしに個々に取り外し可能である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題を解決するため、本発明は、生分解性材料から物品を生産するための装置に関する。この装置は、固体または液体の生分解性材料を含む貯槽を備え、この貯槽は分配ラインに接続されており、この分配ラインに沿って個別の形状を有する一連の型が設けられている。各型は、充填時間、圧力、および温度を決定するコンピュータ制御された個別の処理プログラムを通過した後、型を自動的に開口し、形成した物品を除去してから、同一の型において次の物品をコンプレッション成形またはトランスファー成形することができる。
【0019】
そのような装置の利点は、多数の種類の物品を1台の機械において、自動化された方法で同時に生産できるため、単独の作業者が多数の成形体を同時に生産できることにある。
【0020】
各型は個々に取り外し可能であり、ある型を別の型と交換する間、装置全体の作業を停止させる必要なしに、他の型を使用して生産を継続可能とすることが好ましい。
【0021】
取り外し可能であることの利点として、例えば、特定の種類の包装を少量生産する場合に、特定の型を使用できることが挙げられる。その後、他の型における生産を妨げることなく、引き続き異なるシリーズの生産をするため、型を異なる型と交換することができる。即ち、一週間当たり7日間、1日当たり24時間に亘る連続的な生産が可能となる。
【0022】
各型は、個々にコンピュータ制御された処理プログラムによって、自動的に制御されることが好ましい。この処理プログラムによって、供給管を分配ラインから開口し、型に充填し、所望の形状に硬化するまで型の加熱サイクルを制御し、型を開口し、形成した物品を分離し、型を閉口し、次の物品を生産するための工程を自動的に繰り返し、この作業を所望の一連の生産が完了するまで確実に実施する。
【0023】
そのようなコンピュータ制御された処理プログラムにおける利点は、人手を要せず、かつ、分配ラインに接続された別の型における別のシリーズの開始または停止により妨げられることなく、生産される物品の全シリーズを生産することができることにある。
【0024】
型は、ピボットを介して、帯状レバー上の偏心点に接続された、コンピュータ制御された電動水圧ラムによって開口されることが好ましい。この帯状レバーは、第1の段階において、カバーを水平に短距離(例えば10mm)だけ移動することによって、垂直位置において閉状態にある型のカバーを開口する。続いて、該カバーが水平位置になるまで、該カバーにヒンジ結合された帯状レバーを使用して、カバーを上方に90°を超えて旋回させる。
【0025】
生分解性材料から形成した物品は、自動的に型から分離され、除去される。
【0026】
型のより好適な実施形態において、型は、型の頂部上に配置した蝶番を中心にカバーを下方に旋回することによって閉口するのではなく、雄型部を雌型部まで水平に側方へ移動させることによって閉口する。
【0027】
この場合、雌型部は主ハウジングにあり、雄型部は4本のガイドロッドを有する可動爪によって押し出される。この可動爪はラムによって雌型部に対して押し出され、型を係止する。
【0028】
この実施形態の利点として、2個の型部の端縁における漏洩の発生をこの爪によって予防し、型の寿命を改善することが挙げられる。
【0029】
この実施形態の別の利点として、可動である雄型部をより軽量に製造して、型の重量を制限することにより、型の寿命を助長するだけでなく、型を交換する際の切り替え時間を短縮させることが挙げられる。
【0030】
雌型部の壁に内部冷却チャネルを設け、この内部冷却チャネルを通じて、クーラントを駆動する。雌型部の側壁に2個のスロットを設け、このスロットに雄型部を摺動し、このスロットによって2個の型部の正しい位置決めを確実にする。
【0031】
雌型部には、トランスファー成形されるペーストを中央供給ラインから供給するための中央供給開口部も設ける。
【0032】
雄型部に、雌型部および型に存在する発熱体と接触する電力供給部を設ける。
【0033】
本発明は、このより好適な実施形態のための、ねじ山を設けたプラスチック製のソケットからなる特別なプラグにも関する。このねじ山の断面は鋭利な先端ではなく、台形の断面を形成しており、ねじ山のより幅広の基部は、プラグの長手方向軸に近接している。
【0034】
そのようなプラグを可動爪の4個の各ガイドロッド用に設ける。このプラグは、プラグが外れないように、相補型の台形ねじ山を設けた雌型部の金属製の主ハウジング内に螺合されている。
【0035】
このプラグによって、可動爪の金属製のガイドロッドは金属製の主ハウジングと直接的に接触できないため、ガイドロッドの寿命を助長する。
【0036】
本発明は、生分解性材料から物品を生産するための、以下の工程を含む方法にも関する。
・生分解性材料または農業からの生物学的廃棄物を収集する。
・水および生分解性である添加剤と混合することによって、生分解性材料からペーストまたは液体を形成する。
・請求項1に記載の態様で、生分解性材料から物品を生産するための装置の貯槽に、トランスファー成形またはコンプレッション成形する混合物を運搬する。
・請求項1に記載の態様で、装置の分配ラインに適切な型を接続する。
・請求項3に記載の態様で、個別の各型のために、生産される物品に適応した、個々にコンピュータ制御された処理プログラムを通過する生産サイクルを通過する。
・消費者に発送するため、生産した物品を一連の種類およびサイズ毎に収集し、かつ梱包する。
【0037】
生分解性材料に添加される生分解性である添加剤は、生産される物品において得られる特性の関数として選択される。例えば、完全に生分解性でありつつ、植物樹脂を接合剤または天然乳化剤として使用することができる。
【0038】
本発明の特徴をより良く示すため、以下に、一例として、添付図面を参照して、本発明に従って生分解性材料から物品を生産するための装置の好適な実施形態を記載するが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明に従って、生分解性材料から物品を製造するための本装置を模式的に示した斜視図である。
【
図4】
図3においてF4として示した型をより詳細に示す拡大上面図である。
【
図6】
図1に示す装置によって生産した、生分解性材料からなる物品の斜視図である。
【
図9】雄型部と雌型部との間における二重ハーメチックシールの側面図である。
【
図11】雌型部における、ペーストを移送するための中央供給チャネルの断面図である。
【
図12】本発明に従って台形断面としたプラグを模式的に示す斜視図である。
【
図13】
図12のプラグのXIII−XIII線に沿う断面図である。
【
図14】
図12のプラグのXIV−XIV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明に従って、生分解性材料1から物品を生産するための装置を示すものである。この装置は、ガードレール4を設けたプラットフォーム3を有する支持フレーム2を備えている。プラットフォーム3上には、生分解性材料を格納するための貯槽5が配置されている。この場合、貯槽5は、12個の各型7に取り外し可能に接続された分配ライン6に接続されている。各型はカバー8を備えると共に、コンピュータ9に接続されている。コンピュータ9は、タッチスクリーンを有し、装置の操作を制御するものである。
【0041】
図2は、12個の型7を接続した分配ライン6を長手方向に対して垂直に示した、
図1の装置の側面図である。いくつかの型のカバー8´は開口しており、水平位置にある一方、他の型は閉口しており、カバー8は垂直位置にある。
【0042】
図3は、
図1の装置の上面図である。本図は、型7を開口することによって型のカバー8´が水平位置に向いている一方、他の型のカバー8は閉口し、垂直位置にある状態を示す。
【0043】
図4は、カバー8が閉口した垂直位置にある型7の、より詳細な上面図である。型7の上方には電気ハウジング10があり、この電気ハウジング10は、一方ではUSB接続12を有するケーブル11によってコンピュータ9に接続されており、他方では可撓性の電気ケーブル13によって型7のカバー8に接続されている。帯状レバー14によって、水平軸14aおよび14bを接続している。
【0044】
図5は、
図4に示す型の断面図であり、型7のカバー8を開口位置8´に配置する仕組みを示す。電気ハウジング10にはコンピュータ制御された電動水圧ラム10´があり、この電動水圧ラム10´はピボット14cを介して帯状レバー14上の偏心点に接続されている。帯状レバー14自体は、電気ハウジング10においては軸14aを中心に、ベアリング上に蝶番によって取り付けられている一方、閉口した垂直位置にある型のカバー8または開口した水平位置にあるカバー8´の頂部においては軸14bを中心に取り付けられている。型7はエンドプレート15に固定されており、このエンドプレート15には、ネジを支持するための4個の開口部、並びに、型7に生分解性材料を供給するための4個の開口部が設けられている。
【0045】
図6は、
図1の装置によって生産した、いくつかの物品の斜視図である。弁当箱16および麺用皿17、並びに食用皿18を示しており、これらは全て澱粉から製造されている。
【0046】
図7は、雌型部20および雄型部21からなる型19の変形実施形態の側面図である。雄型部21は、ラム24によって雄型部21に対して押し出される、4本のガイドロッド23を有する可動爪22によって、雌型部に対して摺動させることができる。
【0047】
図8は、
図7の可動爪22の正面図である。可動爪22は、4つの端部によって、雌型部20の端部に設けられた4つの切り込みに適合する4本のガイドロッド23に接続されている。
【0048】
図9は、雌型部20と雄型部21との間にあるシール面25のより詳細な側面図である。本図に、雄型部と雌型部との間にある二重ハーメチックシール26を示す。
【0049】
図10は、雌型部20の正面図であり、本図に、雌型部20にある4つの切り込み27を示す。本図において、ガイドロッド23は可動爪22に接続されており、2個の横長のガイド溝28が示されている。このガイド溝28によって雌型部20の内部型枠を配置することができる。ペーストを移送するための中央供給開口部29は、雌型部20の中央にある。
【0050】
図11は、トランスファー成形されるペーストの供給源30を示す断面図である。このペーストは、主ハウジング32に配置された雌型部20にある中央供給開口部29を介して、中央供給管31から型に分配される。
【0051】
図12は、本発明による、フランジ形状部34およびソケット形状部35からなるプラグ33を示す。このソケット形状部35に台形断面37を有するねじ山36を設け、台形の断面の最も幅広の基部は、プラグ33の長手方向にある中心軸38に向けて配向されている。
【0052】
図13は、
図12のプラグのXIII−XIII線に沿う断面図である。本図は、プラグ33のねじ山の台形断面37と、プラグ33を螺合することができる、雌型部20の金属ハウジングにある相補型のねじ山39を示すものである。
【0053】
図14は、プラグ33のソケット形状部35にある、ねじ山の台形断面37をより詳細に示す図である。
【0054】
本発明に従って、生分解性材料から物品を生産するための装置1の操作を以下に説明する。
【0055】
装置1の貯槽5に、植物澱粉等の生分解性材料からなるペースト、または、グリセリン、酵素、および別の植物性材料と混合した乳酸またはクエン酸等の生分解性材料からなる液体を充填する。
【0056】
連続する工程において、生分解性材料は型7にコンプレッション成形される、または汲み上げられる。この工程では、所望の形状にしてから所望の温度まで加熱し、物品17を一定時間焼いて最終的な形状にする。
【0057】
この連続する工程は、タッチスクリーンによって操作することができるコンピュータ9の制御プログラムによって制御される。タッチスクリーンは、1本の分配ライン6によって貯槽5に接続されている全ての型7を表示する。
【0058】
コンピュータ9は、適時、各型7に個別に6つの基本命令を送信する。
1)供給タップを型に対して開口する。
2)型7にペーストまたは溶液を充填する。
3)供給タップを型に対して閉口する。
4)生産される物品に応じて、型7における焼き時間および温度を制御する。
5)受け容器で受けるため、カバー8を開口することにより型7を開口し、生産した物品17を型7から除去する。
6)カバー8を閉口することにより型7を閉口し、次の物品のための生産サイクルを再開する。
【0059】
カバー8を開口することによる型7の開口は、ピボット点14cを介して、帯状レバー14上の偏心点に接続されている電動水圧ラム10´の移動を通じて、コンピュータ9によって電子的に制御されている。帯状レバー14自体は、電気ハウジング10においては軸14aを中心にベアリング上に蝶番によって取り付けられている一方、型のカバー8の頂部においては軸14bを中心に取り付けられている。第1段階において、ラム10´をピボット点14cに対して押し出すことによって、型7のカバー8が水平方向に短距離(10mm)だけ移動することにより、カバー8が物品を形成する型7から分離する。次の段階において、ラム10´により帯状レバー14を蝶番によって、上方に90°を超えて押し出すことにより、カバー8´を水平に位置付ける。生産した物品は、型7の各側にある目型フック(図示せず)によって型7から引き抜かれた後、生産した物品17は所望のコンベアベルトに誘導される。
【0060】
型7の閉口は、コンピュータ9により、上述した動作を逆の順序で実施することによって制御される。その後は、所望の数だけ物品を生産するまでこのサイクルを繰り返して、次の物品を生産する。1個の物品における生産サイクルの持続時間は、その寸法に応じて、15秒〜45秒まで可変である。型7およびカバー8は、鋳造アルミニウムから製造されており、生産される物品との接触面上に酸化コートで覆った非粘着性の層を有する。型7は、エンドプレート15に移動不能に固定された雌部と、可動式カバー8の一部を形成する雄部とからなっている。型の重量は、形成される物品に応じて、10〜16kgまで可変である。型7の雌部および雄部の両方に、コンピュータ9の処理プログラムによって制御されている電熱コイルを設けることにより、各型は、型7毎に個々に調整可能なプログラムされた温度サイクルを個別に通過する。
【0061】
型は、雄型部の開閉カバーが、雌型部20に対する、雄型部21の水平な側方への移動によって取って代わる、代替的な実施形態19も可能である。
【0062】
この場合、雌型部20は主ハウジングにあり、雄型部21は、4本のガイドロッド23を有する可動爪22によって押し出される。この可動爪22は、ラム24によって雄型部21に対して押し出され、型19を係止する。2つの型部の間にある接触面は二重ハーメチックシール26によって、漏洩することなく封止されている。
【0063】
この実施形態において、可動式の雄型部21はより軽量に製造されるため、型19の重量は390kgから18kgまで軽減される。これは、型19の寿命を保つだけでなく、型を交換する際の切り替え時間を短縮する。
【0064】
この実施形態において、型を閉口する際、焼き工程中において雄型部21の発熱体に電力が供給されるように、可動式の雄型部21は、主ハウジング上の電力供給部に接触する。
【0065】
雌型部の金属ハウジングに、台形断面を有し、各ガイドロッドにおけるプラスチック製のプラグを螺合することができる相補型のねじ山を設ける。金属ガイドロッドと金属ハウジングとの間における接触を予防するため、このプラスチック製のプラグに台形の断面を有するねじ山を設ける。
【0066】
本発明によれば、そのようなプラグは螺合が解除されることはなく、例えばナイロンから製造されることにより、ガイドロッドを長期間に亘り保護する。
【0067】
コンピュータ9は、プレスまたは分配ライン6に供給するためのポンプも制御する。作業者は、使用中の型7の数量に応じて、分配ラインにおける圧力を増加させることができる。また、生産される物品の重量に応じて、単位時間当たりの供給流量の速度を制御することもできる。制御プログラムは、本装置の1本の分配ラインにおいて、30個の型まで同時に制御することができる。多数の装置を相互に平行に配置して、高容量の生産ラインを形成することもできる。
【0068】
本装置の分配ライン6は、環境に応じて、水平方向だけでなく、垂直または別の向きであってもよいことは言うまでもない。
【0069】
作業者自身が生産ラインを物理的に同時に監視することができるように、コンピュータを制御装置内に組み込み、生産ラインの隣に配置することが有利であることも判明した。
【0070】
本発明は、例示かつ図示した実施形態に限定されるものではなく、本発明に従って、生分解性材料から物品を生産するための装置であり、本発明の範囲から逸脱することなく、全ての種類の形状および寸法であり得ることを理解されよう。
【国際調査報告】