特表2017-512919(P2017-512919A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライター インゴルスタドト ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2017-512919練条機のスライバガイドおよび練条機
<>
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000003
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000004
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000005
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000006
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000007
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000008
  • 特表2017512919-練条機のスライバガイドおよび練条機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-512919(P2017-512919A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】練条機のスライバガイドおよび練条機
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/04 20060101AFI20170421BHJP
【FI】
   D01H13/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-556818(P2016-556818)
(86)(22)【出願日】2015年3月16日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2015055391
(87)【国際公開番号】WO2015140087
(87)【国際公開日】20150924
(31)【優先権主張番号】102014103598.4
(32)【優先日】2014年3月17日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509120344
【氏名又は名称】ライター インゴルスタドト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コヴァチェス, オットマー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】カララール, イマデッティン
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA23
4L056BA01
4L056BC01
4L056CA02
4L056CA08
4L056CA26
(57)【要約】
【課題】ドラフトされる繊維スライバの品質が異なる場合においても、高い均一性を有する繊維ウェブを生成することが可能なスライバガイドおよび練条機を提供すること。
【解決手段】練条機(4)の入口部(3)において複数の繊維スライバ(2)を案内するためのスライバガイド(1)であって、第1グループの繊維スライバ(2)を案内するための第1ガイド部(5)と、第2グループの繊維スライバ(2)を案内するための第2ガイド部(6)とを有し、前記スライバガイド(1)の側面視において、前記第1ガイド部(5)と前記第2ガイド部(6)は互いに離間して配置されており、前記スライバガイド(1)はさらに、前記スライバガイド(1)の側面視において前記第1ガイド部(5)および前記第2ガイド部(6)から離間して配置された第3ガイド部(7)を有し、前記第1〜第3ガイド部(5、6、7)の少なくとも1つは、前記繊維スライバ(2)を横方向に案内するための複数のガイド要素(9)を備え、前記ガイド要素(9)の間隔(A)は調整可能であることを特徴とするスライバガイド(1)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
練条機(4)の入口部(3)において複数の繊維スライバ(2)を案内するためのスライバガイド(1)であって、
第1グループの繊維スライバ(2)を案内するための第1ガイド部(5)と、
第2グループの繊維スライバ(2)を案内するための第2ガイド部(6)とを有し、
前記スライバガイド(1)の側面視において、前記第1ガイド部(5)と前記第2ガイド部(6)は互いに離間して配置されており、
前記スライバガイド(1)はさらに、前記スライバガイド(1)の側面視において前記第1ガイド部(5)および前記第2ガイド部(6)から離間して配置された第3ガイド部(7)を有し、
前記第1〜第3ガイド部(5、6、7)の少なくとも1つは、前記繊維スライバ(2)を横方向に案内するための複数のガイド要素(9)を備え、
前記ガイド要素(9)の間隔(A)は調整可能であることを特徴とするスライバガイド(1)。
【請求項2】
前記スライバガイド(1)の側面視において、前記第1ガイド部(5)、前記第2ガイド部(6)および前記第3ガイド部(7)から離間して配置された第4ガイド部(8)をさらに有し、
前記第4ガイド部(8)は、前記繊維スライバ(2)を横方向に案内するためのガイド要素(9)を備え、
前記ガイド要素(9)の間隔(A)は調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のスライバガイド(1)。
【請求項3】
前記第1〜第4ガイド部(5、6、7、8)の少なくとも2つは、互いに平行であることを特徴とする請求項1または2に記載のスライバガイド(1)。
【請求項4】
前記第1〜第4ガイド部(5、6、7、8)の少なくとも1つは、前記スライバガイド(1)の側壁に取り付けられたガイド棒(10)の表面部により形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスライバガイド(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ガイド要素(9)は、前記ガイド棒(10)にポジティブロック接続され、前記ガイド棒(10)の長手方向に変位可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスライバガイド(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記ガイド要素(9)は、前記ガイド棒(10)への固定を補助するための固定装置(11)を備えることを特徴とする請求項4または5に記載のスライバガイド(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記ガイド要素(9)は、前記ガイド棒(10)を挿通可能な偏心配置された貫通孔(12)を備える偏心ディスク(13)により形成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のスライバガイド(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ガイド要素(9)は、旋回軸(14)を中心に旋回可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスライバガイド(1)。
【請求項9】
前記第1ガイド部(5)、前記第2ガイド部(6)、前記第3ガイド部(7)および/または前記第4ガイド部(8)は、複数の繊維スライバ(2)を横方向に互いに離間して案内できるようにするための1つまたは複数の中間ガイド(15)を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のスライバガイド(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記中間ガイド(15)は、前記第1〜第4ガイド部(5、6、7、8)のガイド棒(10)の長手軸方向に変位可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のスライバガイド(1)。
【請求項11】
ドラフトされる繊維スライバ(2)のための少なくとも1つの入口部(3)と、複数のドラフトローラを備える少なくとも1つのドラフトユニット(18)とを有する練条機(4)であって、
少なくとも1つの前記入口部(3)には、第1グループの前記繊維スライバ(2)を案内するための第1ガイド部(5)と、第2グループの前記繊維スライバ(2)を案内するための第2ガイド部(6)が配置され、
前記練条機(4)の側面視において、前記第1ガイド部(5)と前記第2ガイド部(6)は互いに離間して配置されており、
前記入口部(3)には、さらに第3ガイド部(7)が、前記練条機(4)の側面視において前記第1ガイド部(5)および前記第2ガイド部(6)から離間して配置され、
前記第1〜第3ガイド部(5、6、7)の少なくとも1つは、前記繊維スライバ(2)を横方向に案内するための複数のガイド要素(9)を備え、
前記ガイド要素(9)の間隔(A)は調整可能であることを特徴とする練条機(4)。
【請求項12】
前記入口部(3)には、第4ガイド部(8)が、前記練条機(4)の側面視において前記第1ガイド部(5)、前記第2ガイド部(6)および前記第3ガイド部(7)から離間して配置され、
前記第4ガイド部(8)は、前記繊維スライバ(2)を横方向に案内するためのガイド要素(9)を備え、
前記ガイド要素(9)の間隔(A)は調整可能であることを特徴とする請求項11に記載の練条機(4)。
【請求項13】
前記第1〜第4ガイド部(5、6、7、8)の少なくとも1つは、請求項1〜10のいずれかに記載のスライバガイド(1)により形成されることを特徴とする請求項11または12に記載の練条機(4)。
【請求項14】
前記第1ガイド部(5)、前記第2ガイド部(6)、前記第3ガイド部(7)および/または前記第4ガイド部(8)は、前記繊維スライバ(2)の搬送方向(T)に対して水平および/または垂直に配列されることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の練条機(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練条機の入口部において複数の繊維スライバを案内するためのスライバガイドに関する。本発明に係るスライバガイドは、第1グループの繊維スライバを案内するための第1ガイド部と、第2グループの繊維スライバを案内するための第2ガイド部とを有し、スライバガイドの側面視において、第1ガイド部と第2ガイド部は互いに離間して配置されていることを特徴とする。また、本発明は、ドラフトされる繊維スライバのための少なくとも1つの入口部と、複数のドラフトローラを備える少なくとも1つのドラフトユニットとを有する練条機に関する。本発明に係る練条機は、少なくとも1つの入口部に、第1グループの繊維スライバを案内するための第1ガイド部と、第2グループの繊維スライバを案内するための第2ガイド部が配置され、スライバガイドの側面視において、第1ガイド部と第2ガイド部は互いに離間して配置されていることを特徴とする。
【0002】
練条機は、複数本の繊維スライバを1本の均一な繊維ウェブにするために用いられる。そのため、練条機は、複数の連続的に配置されたローラ対により構成される一連のドラフト要素を備えた1つまたは複数のドラフトユニットを有し、繊維スライバは、各ローラ対の間に挟持されて案内される。ドラフトユニットでは、繊維スライバの進行方向におけるローラ対の周速を高めることで、繊維スライバをドラフトし、均一化することができる。
【背景技術】
【0003】
従来の練条機では、ドラフトユニットの繊維スライバが進入する入口部分に、垂直方向に延伸する複数の棒を備えるスライバガイドが配置され、各繊維スライバが上記複数の棒の間を通って案内されていた。
【0004】
上記の練条機では、個々の繊維スライバの品質(太さ、長さ等)にムラがある場合、練条された繊維ウェブの品質(幅長)は不均一となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ドラフトされる繊維スライバの品質が異なる場合においても、高い均一性を有する繊維ウェブを生成することが可能なスライバガイドおよび練条機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、独立請求項に記載の構成を備えるスライバガイドおよびドラフトユニットにより解決される。
【0007】
本発明に係るスライバガイドは、第1および第2ガイド部に加えて、スライバガイドの側面視において第1および第2ガイド部から離間して配置された第3ガイド部を有する。上記ガイド部の少なくとも1つには、繊維スライバを横方向に案内するための横方向ガイド要素が設けられる。上記ガイド要素の間隔は調整可能である。第1ガイド部は、第1グループの繊維スライバを案内するために配置され、第2ガイド部は、第2グループの繊維スライバを案内するために配置される。第3ガイド部は、第1および第2ガイド部を通過した繊維スライバをドラフトユニットに案内するために配置される。つまり、本発明に係るスライバガイドは、供給された繊維スライバを2つのグループに分け、所定の2つのガイド部により別々に案内した後に集束し、第3ガイド部によりドラフトユニットに案内する。また、横方向ガイド要素により、各ガイド部を通過する繊維スライバの間隔を調整することができる。
【0008】
第3ガイド部の2つのガイド要素の間隔は、第1ガイド部および/または第2ガイド部のガイド要素の間隔よりもわずかに大きいか、または小さいことが好ましい。これにより、第1ガイド部および第2ガイド部を通過した繊維スライバが第3ガイド部で重なり合う。したがって、ドラフトユニットには個々の繊維(太さおよび/または組成は異なっていてもよい)が均等に配列した均一な繊維スライバが供給されるため、ドラフトされた繊維集合体、さらには、後工程において繊維集合体から製造された糸を均一化することができる。また、本発明によれば、ガイド要素の間隔を繊維スライバの種類や数に応じて容易に変更することができ、特に、第3ガイド部のガイド要素の間隔をすべての繊維スライバの合計幅よりも小さくなるように調整することで、繊維スライバを確実に重ね合わせることができる。
【0009】
本発明に係るスライバガイドは、その側面視において第1、第2および第3ガイド部から離間して配置された第4ガイド部を有することが好ましい。また、第4ガイド部は、繊維スライバを横方向に案内するための横方向ガイド要素を備え、かつガイド要素の間隔は調整可能であることが好ましい。第4ガイド部は、第1ガイド部および/または第2ガイド部を挟んで第3ガイド部の反対側に配置される。第4ガイド部は、スライバガイドに供給されたすべての繊維スライバを、第1ガイド部または第2ガイド部に案内するために配置される。各ガイド部は、スライバガイドの側面視において、第1ガイド部と第2ガイド部、第3ガイド部と第4ガイド部を対角とする菱形の角に位置するように配列されることが好ましい。第3および第4ガイド部、さらに好ましくは、第1〜第4ガイド部は、間隔調整が可能な横方向ガイド要素を備える。各ガイド部には、少なくとも1つ、好ましくは2つのガイド要素が、ガイド部に対して移動可能かつ所望の位置で固定可能に配置される。より好ましくは、ガイド要素は、スライバガイドにおける繊維スライバの搬送方向に対して垂直方向に変位可能に取り付けられる。これにより、ガイド部における繊維スライバの通過領域の幅(繊維スライバの搬送方向に対して垂直な方向の長さ)を制限することができる。
【0010】
上記ガイド部のうち、少なくとも2つ、好ましくはすべてのガイド部は、互いに平行である(すなわち、各ガイド部は、互いに平行かつ繊維スライバの搬送方向に対して垂直に延伸している)。これにより、繊維スライバを搬送方向に沿って直線的に案内することができる。スライバガイドの平面視において、ガイド部は、繊維スライバの搬送方向に延びる2つの側壁の接続部として形成され、スライバガイドの側壁と各ガイド部またはガイド部を含む要素は、取り外し可能に接続される。また、スライバガイドを練条機に接続できるようにするために、スライバガイドの側壁またはその他の壁部は、ブラケット、ピンなどの要素により構成された1つまたは複数の取付部を備える。
【0011】
少なくとも1つ、好ましくはすべてのガイド部は、スライバガイドの側壁に取り付けられたガイド棒の表面部により形成される。ガイド棒は、例えば、円形、レンズ形または楕円形の断面形状を有する。また、各ガイド棒は、ねじ接続等によりスライバガイドの側壁に互いに平行かつ取り外し可能に取り付けられる。さらに、スライバガイドの側壁は、ガイド棒の長手方向軸に直交し、かつ繊維スライバの搬送方向に平行であることが好ましい。
【0012】
少なくとも1つのガイド要素は、ガイド棒に(ポジティブロック)接続され、ガイド棒の長手方向に変位可能であることが好ましい。1つまたは2つの隣り合うガイド要素を変位させることにより、ガイド要素の間隔、すなわち、ガイド部において繊維スライバが通過する領域の幅を調整することができる。ガイド要素およびガイド部には、相互にポジティブロック接続されることを可能にするための溝または凹みをそれぞれ備える。
【0013】
ガイド要素には、ガイド棒への固定を補助するための固定装置が設けられていることが好ましい。これにより、隣り合うガイド要素との間隔を調整した後、ガイド要素の位置を確実に固定することができる。固定装置は、例えば、ガイド要素のねじ穴に嵌合され、締結時にガイド部を押圧可能なねじやねじ付きピンとして構成される。また、固定装置は、ガイド要素をガイド部の所定位置に摩擦接続により固定するためのクランプ機構として構成されてもよい。
【0014】
ガイド要素は、ガイド棒を挿通可能な、偏心配置された貫通孔を備える偏心ディスクにより形成されることが好ましい。なお、偏心ディスクは、必ずしも円形である必要はない。偏心ディスクを各ガイド棒に2つ配置し、固定装置が解除された状態でガイド棒の長手方向に変位可能に構成することで、ガイド要素の間隔を容易かつ迅速に変更および調整することができる。また、偏心ディスクを、貫通孔を通る回転軸の周りで回転可能に構成することで、偏心ディスクの主要部が延出する方向を調整することができるため、繊維スライバに対してガイド要素を最適化することができる。
【0015】
また、ガイド要素は、旋回軸を中心に旋回可能であることが好ましい。例えば、ガイド要素は、側縁が円形に形成された板またはパドル形状であり、旋回軸を通じてガイド部に偏心接続される。ガイド要素を旋回することで、ガイド要素の間隔、すなわち、繊維スライバの通過幅を調整することができる。旋回軸は、繊維スライバの搬送方向に垂直に延出していることが好ましい。本実施形態においても、旋回後のガイド要素を固定するための固定装置を備えることが好ましい。
【0016】
ガイド部は、複数の繊維スライバを横方向に互いに離間して案内できるようにするための1つまたは複数の中間ガイドを備えていることが好ましい。中間ガイドは、ガイド棒の長手軸方向に相互に離間して配置される。これにより、繊維スライバは、中間ガイド同士の間、または中間ガイドとガイド要素の間で案内される。中間ガイドは、例えば第1ガイド部および第2ガイド部に配置される。この場合、両ガイド部の中間ガイドは、ガイド部の長手軸方向に互い違いに配置されることが好ましい。これにより、第1および第2ガイド部を通過した繊維スライバが第3ガイド部で部分的に重なり合うように繊維スライバを案内することができる。
【0017】
中間ガイドは、ガイド部の長手軸方向に変位可能であることが好ましい。これにより、中間ガイドの間隔を繊維スライバに合わせて調整することができる。また、中間ガイドは、その位置を固定するための固定装置を備える。すなわち、中間ガイドは、ガイド棒を挿通するための貫通孔を備え、ガイド部に対して固定可能な環状ディスクにより形成される。
【0018】
さらに、本発明によれば、上述のスライバガイドを備えた練条機が提供される。すなわち、本発明に係る練条機は、第1および第2ガイド部に加え、第3ガイド部を有する。第3ガイド部は、練条機の側面視において、第1および第2ガイド部から離間して配置される。上記ガイド部の少なくとも1つには、繊維スライバを横方向に案内するための横方向ガイド要素が設けられ、上記ガイド要素の間隔は調整可能である。第1および第2ガイド部は、練条機の側面視において、水平方向および垂直方向に離間して配置されることが好ましい。また、第3ガイド部がドラフトユニットの入口ローラに隣接して配置されることで、ガイド部からドラフトユニットへ、繊維スライバを直接受け渡すことができる。
【0019】
本発明に係る練条機は、その側面視において第1、第2および第3ガイド部から離間して配置された第4ガイド部を有することが好ましい。また、第4ガイド部にも、繊維スライバを横方向に案内するための横方向ガイド要素が設けられ、上記ガイド要素の間隔は調整可能であることが好ましい。第4ガイド部は、繊維スライバの搬送方向において、第1〜第3ガイド部よりも上流に配置され、ガイド部に供給された繊維スライバを下流のガイド部に案内するために配置される。また、練条機の側面視において、第1ガイド部と第2ガイド部は、上下に(好ましくは横方向にわずかにずらして)配置される。これにより、第1グループの繊維スライバを第1ガイド部の上面で案内し、第2グループの繊維スライバを第2ガイド部の下面で案内することが可能となる。
【0020】
本発明に係る練条機が、2つのドラフトユニットを有する、いわゆるダブルヘッド練条機である場合、それぞれのドラフトユニットに上述のガイド部を備えるスライバガイドを配置することが好ましい。
【0021】
ガイド部は、前述または後述のスライバガイドにより形成されることが好ましい。また、スライバガイドは、練条機の保持部に取り外し可能に接続されることが好ましい。なお、本発明に係るスライバガイドの構成は、本明細書の記載および図面に示されたスライバガイドの構成の他、これらを矛盾が生じない範囲で組み合わせた構成も含むものである。
【0022】
第1ガイド部、第2ガイド部、第3ガイド部および/または第4ガイド部は、繊維スライバの搬送方向に対して水平および/または垂直に配列されることが好ましい。繊維スライバは、各ガイド部の上または下で案内され、各ガイド部を通過する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のさらなる利点は、以下の実施例において説明する。
図1図1は、本発明に係る練条機の側面図である。
図2図2は、本発明に係るスライバガイドの斜視図である。
図3図3は、本発明に係るスライバガイドの平面図である。
図4図4は、本発明に係るスライバガイドの、ドラフトユニットの入口部における部分側面図である。
図5図5は、本発明に係るスライバガイドの、他の実施形態を示す部分側面図である。
図6図6は、本発明に係るスライバガイドのガイド要素を示す。
図7図7は、本発明に係るスライバガイドの、他の実施形態を示す平面図平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、複数の繊維スライバ2をドラフト(均一化)するための練条機4の斜視図の側面図を示す。練条機4の動作中、1つまたは複数のスライバケンス21から繊維スライバ2が引き出され、偏向装置20およびスライバガイド1を経由して練条機4のドラフトユニット18に搬送される。
【0025】
ドラフトユニット18は、通常1つまたは複数の下部ローラ17および上部ローラ25からなるローラ装置を3つ以上備える。ドラフトユニット18では、繊維スライバ2を挟むように接触した下部ローラ17と上部ローラ25の搬送方向Tの周速を高めることで、複数の繊維スライバ2からなる繊維集合体がドラフトされる。図示された実施形態においては、ドラフトユニット18は、入口ローラ、中間ローラおよび出口ローラが搬送方向に順次配置された下部ローラ17を備える。入口ローラ、中間ローラおよび出口ローラは、それぞれ上部ローラ25を構成する1つまたは複数のローラと対向して接触しており、繊維集合体は、これらの間で挟持されて案内される。下部ローラ17と上部ローラ25の搬送方向Tの周速が増加することで、繊維集合体がドラフトされ、均一化される。
【0026】
ドラフトユニット18でドラフトされた繊維材料(繊維ウェブ19)は、ウェブファンネルなどで構成された集束装置(不図示)により処理される。
【0027】
続いて、繊維ウェブ19は引出装置23に搬送される。引出装置23は、例えば、繊維ウェブ19に両側から接触する2つの引出ディスク22により構成された、複数の回転可能な、または部分的に駆動される引出要素を備える。引出装置23の引出速度を早めることで、より強く繊維ウェブ19をドラフトすることができる。最後に、繊維ウェブ19は回転プレート16に搬送され、スライバケンス21にループ状に巻き取られる。
【0028】
前述のように、繊維スライバ2は、ドラフトユニット18の入口部3に配置されたスライバガイド1により案内される。そのために、スライバガイド1は、複数の棒が互いに平行かつ垂直に配置され、繊維スライバ2がこれらの間を通って案内されるように構成される。
【0029】
個々の繊維スライバ2の品質(太さ、組成、長さ等)が異なる場合、ドラフトされた繊維ウェブ19の品質も不均一となる。
【0030】
上記の問題は、図2図3および図7(さらには図4図6)に例示された本発明のスライバガイド1により解決される。
【0031】
本発明に係るスライバガイド1は、ドラフトユニット18に搬送される繊維スライバ2をそれぞれ異なる態様で案内するための、少なくとも3つ、好ましくは4つのガイド部5、6、7、8を有する。スライバガイド1は、図2においてスライバガイド1の左下に配置されるドラフトユニット18(不図示)と、取付部24を通じて接続される。繊維スライバ2は、スライバガイド1からドラフトユニット18または入口ローラ対(図1中、最も左側に配置されたローラ対)の間に直接受け渡される。
【0032】
図3(スライバガイド1の平面図)および図4(繊維スライバ2の経路を示すスライバガイド1の概略側面図)に示すように、スライバガイド1に供給された繊維スライバ2は、まず第4ガイド部8によって案内され、その後2つのグループに分割される。ただし、第4ガイド部8は必須の構成ではなく、図1に示す偏向装置20を通過した繊維スライバ2を直接第1および第2ガイド部5、6で分割してもよい。
【0033】
図4に示すように、繊維スライバ2の第1グループは第1ガイド部5の上面に当接して案内され、第2グループは第2ガイド部6の下面に当接して第1グループと垂直方向に案内される。
【0034】
繊維スライバ2は、第1および第2ガイド部5、6を通過した後、第3ガイド部7に到達する(図3参照)。繊維スライバ2は、第3ガイド部7において少なくとも部分的に重ね合わされる。これにより、各繊維スライバ2の品質の差異がドラフト後の繊維ウェブ19の品質に与える影響を低減することができる。
【0035】
上述の繊維スライバ2の経路は一例に過ぎず、例えば図5に示すように、繊維スライバ2の第1グループと第2グループが、それぞれ第3ガイド部7の上面と下面に当接して案内されてもよい。
【0036】
また、本発明では繊維スライバ2の経路を2つのガイド部(第1および第2ガイド部5、6)により分割しているが、これに限定されるものではない。例えば、ガイド部を追加して、繊維スライバ2を3つまたは4つのグループに分割してもよい。
【0037】
第1〜第4ガイド部5、6、7、8の少なくとも1つには、繊維スライバ2を横方向に案内するための2つの横方向ガイド要素9が設けられる。2つのガイド要素9の間隔Aは、好ましくはガイド要素9の一方または両方を変位させることにより、調整可能である。図3に示すように、ガイド要素9は、繊維スライバ2を横方向に案内し、ガイド部上の繊維スライバ2の通過領域の幅を規定することができる。ドラフトされる繊維スライバ2の種類、数および太さに応じ、ガイド要素9を変位させて上記幅を調整することで、第3ガイド部7で繊維スライバ2を少なくとも部分的に重ね合わせることができる。
【0038】
図2(簡略化のため、ガイド要素9は不図示)に示すように、第1〜第4ガイド部5、6、7、8は、例えばスライバガイド1の側壁26に取り付けられたガイド棒10により構成される。ガイド棒10は、例えば円形、楕円形または涙滴形の断面形状を有し、固定装置11(ねじ等)によりスライバガイド1の側壁26に取り外し可能に取り付けられる。
【0039】
第1〜第4ガイド部5、6、7、8、特に第1および第2ガイド部5、6は、中間ガイド15を備えることが好ましい。中間ガイド15は、例えばガイド棒10に(好ましくは取り外し可能に)取り付けられた環状ディスクにより形成される。ガイド部は、中間ガイド15を備えることで、個々の繊維スライバ2を横方向に離間して案内することができる(図7参照)。また、第1〜第4ガイド部5、6、7、8の中間ガイド15は、スライバガイド1の幅方向(繊維スライバ2の搬送方向に対し垂直方向)に互い違いに配置されることが好ましい。これにより、繊維スライバ2を第3ガイド部7において少なくとも部分的に重なり合うように案内することができる。
【0040】
ガイド要素9は、例えば図3および図7に示すように、パドル形状に形成され、旋回軸14によりガイド棒10に取り付けられる。これにより、ガイド要素9を旋回することで、ガイド要素9の間隔Aを調整することが可能となる。
【0041】
また、ガイド要素9は、図5および図6に示すように、ガイド棒10を挿通可能な貫通孔12を備える偏心ディスク13により形成されてもよい。偏心ディスク13は、貫通孔12を通じてガイド棒10に取り付けられ、固定装置11(ねじ、ねじ付きボルト等)により所望の位置に固定される。また、偏心ディスク13をガイド棒10の周りで回転させることで、繊維スライバ2の横方向における案内の態様を調整することができる(図5参照。なお、図5においては、繊維スライバ2を可視化するため、紙面手前側に配置された偏心ディスク13を省略している。)。
【0042】
本発明は、図示および説明されている実施形態に限定されない。説明された特徴が、明細書や特許請求の範囲において異なる部分、または異なる実施形態において図示および説明されていたとしても、これらの組み合わせのほか、特許請求の範囲の枠組みの中における種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、すべてのガイド部をスライバガイドと一体に構成したが、これに限定されるものではなく、一部のガイド部を練条機に配置してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1:スライバガイド
2:繊維スライバ
3:入口部
4:練条機
5:第1ガイド部
6:第2ガイド部
7:第3ガイド部
8:第4ガイド部
9:ガイド要素
10:ガイド棒
11:固定装置
12:貫通孔
13:偏心ディスク
14:旋回軸
15:中間ガイド
16:回転プレート
17:下部ローラ
18:ドラフトユニット
19:繊維ウェブ
20:偏向装置
21:スライバケンス
22:引出ディスク
23:引出装置
24:取付部
25:上部ローラ
26:側壁
A:間隔
T:搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】