(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-513032(P2017-513032A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】自己組織化を促進するための下層組成物並びに製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/40 20060101AFI20170421BHJP
C08F 12/04 20060101ALI20170421BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20170421BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20170421BHJP
【FI】
G03F7/40 521
C08F12/04
G03F7/11 503
H01L21/30 502D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-540028(P2016-540028)
(86)(22)【出願日】2014年12月8日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2014076849
(87)【国際公開番号】WO2015091047
(87)【国際公開日】20150625
(31)【優先権主張番号】14/107,325
(32)【優先日】2013年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511293803
【氏名又は名称】アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】イ・イ
(72)【発明者】
【氏名】イン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】リン・グァンヤン
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4J100
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196HA34
2H196JA04
2H196LA31
2H225AF18N
2H225AF64N
2H225AM12N
2H225AM13N
2H225AM23N
2H225AN39N
2H225BA24N
2H225CA12
2H225CD20
4J100AA02P
4J100AA03P
4J100AA06P
4J100AB02P
4J100AB03P
4J100AB07R
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4J100AJ02P
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4J100AS03P
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4J100BA03P
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4J100BC09P
4J100BC53R
4J100BC54R
4J100CA05
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4J100FA17
4J100FA30
4J100JA37
4J100JA38
5F146AA28
(57)【要約】
本明細書に開示されるものは下層組成物であり、ここで下層は、典型的には、自己組織化構造の形成を促進するために使用され、そして該下層調合物は、(a)構造(I)を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
[式中、Xは式(II)、(III)、(IV)、(V)から選択される架橋性基である]
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRは、H、C
1〜C
4アルキル、またはトリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]
(b)少なくとも一種の熱酸発生剤、及び
(c)溶剤、
を含む。本発明は更に、該組成物の製造及び使用法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層が自己組織化構造の形成を促進するためのものである下層調合物であって、a.次の構造を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
【化1】
[式中、Xは以下から選択される架橋性基である]
【化2】
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRは、H、C
1〜C
4アルキル、またはトリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]
b.少なくとも一種の熱酸発生剤;及び
c.溶剤
を含む前記下層調合物。
【請求項2】
一種以上の熱酸発生剤が、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル化合物、置換されたもしくは置換されていないアルカンスルホネート、置換されたもしくは置換されていない2−ニトロベンジルスルホン酸エステル、第一級アミンの酸塩、第二級アミンの酸塩、第三級アミンの酸塩、ジカルボキシイミジルスルホン酸エステル、またはオキシムスルホネートエステルから選択され、好ましくはトリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムp−トルエンスルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムパーフルオロブタン−1−スルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、1,2,3−トリス(パーフルオロC1〜C8アルカンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(C1〜C8アルカンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、4−ニトロベンジル9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、または上記のうちの少なくとも一つを含む組み合わせから選択される、請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
ポリマーが、C1〜C10アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルピリジン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、α−メチルスチレン、無水イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシスチレン、イソボルニルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルシロキサン、エチレンオキシド、エチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはイソブチレンから選択される一種以上のモノマー繰り返し単位を更に含み、好ましくはポリマーがランダムコポリマーである、請求項1または2に記載の調合物。
【請求項4】
ポリマーが、スチレンまたはメチルメタクリレートから選択される一種または二種のモノマー繰り返し単位を更に含む、請求項1〜3の何れか一つに記載の調合物。
【請求項5】
自己組織化構造の形成を促進するための硬化された下層を堆積するための調合物を製造する方法であって:
a.混合物を攪拌し、ここでこの混合物は、
i.次の構造を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
【化3】
[式中、Xは以下から選択される架橋性基である]
【化4】
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRは、H、C
1〜C
4アルキル、またはトリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]
ii.少なくとも一種の熱酸発生剤;及び
iii.溶剤
を含み、
それにより均一な溶液が生成され;
b.生じた均一な溶液をフィルターで濾過する、
ことを含む前記方法。
【請求項6】
一種以上の熱酸発生剤が、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル化合物、置換されたもしくは置換されていないアルカンスルホネート、置換されたもしくは置換されていない2−ニトロベンジルスルホン酸エステル、第一級アミンの酸塩、第二級アミンの酸塩、第三級アミンの酸塩、ジカルボキシイミジルスルホン酸エステル、またはオキシムスルホネートエステルから選択され、好ましくはトリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムp−トルエンスルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムパーフルオロブタン−1−スルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、1,2,3−トリス(パーフルオロC1〜C8アルカンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(C1〜C8アルカンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、4−ニトロベンジル9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、または上記のうちの少なくとも一つを含む組み合わせから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリマーが、C1〜C10アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルピリジン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、α−メチルスチレン、無水イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシスチレン、イソボルニルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルシロキサン、エチレンオキシド、エチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはイソブチレンから選択される一種以上のモノマー繰り返し単位を更に含み、好ましくはポリマーがランダムコポリマーである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、スチレンまたはメチルメタクリレートから選択される一種または二種のモノマー繰り返し単位を更に含む、請求項5〜7の何れか一つに記載の方法。
【請求項9】
フィルターが、100nm未満の孔サイズを有するアブソリュートフィルターである、請求項5〜8の何れか一つに記載の方法。
【請求項10】
ブロックコポリマーフィルム中に増倍されたパターンを誘導する方法であって、
a.二つ以上の自発的に分離するブロックを有するブロックコポリマーを用意し;
b.基材を用意し;
c.基材上に、第一のコーティングを堆積するための第一の調合物をコーティングし、そして第一のコーティングを熱硬化し;及び
d.ブロックコポリマーを、硬化した第一のコーティングの少なくとも一部上に配置する;
ことを含み、
ここで、第一の調合物が、(i)次の構造を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
【化5】
[式中、Xは以下から選択される架橋性基である]
【化6】
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2である]
(ii)少なくとも一種の熱酸発生剤;及び
(iii)溶剤
を含む、前記方法。
【請求項11】
e.ブロックコポリマーを配置する前に、リソグラフィプロセスによって、硬化した第一のコーティング中にパターンを形成し;及び
f.任意選択的に、第二の調合物からパターン中に第二のコーティングを提供し;及びその後、リンス液で洗浄する、
ことを更に含み、
ここで第二の調合物が、(i)次の構造を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
【化7】
[式中、Xは以下から選択される架橋性基である]
【化8】
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2である]
(ii)少なくとも一種の熱酸発生剤;及び
(iii)溶剤
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第一のコーティングがピン止め層でありかつ第二のコーティングが中性層であるか、あるいは第一のコーティングが中性層でありかつ第二のコーティングがピン止め層である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第一のポリマーが、モノマー繰り返し単位の少なくとも一つの組み合わせを更に含み、前記組み合わせが、メチル(メタ)アクリレートとスチレン、ブタジエンとブチル(メタ)アクリレート、ブタジエンとジメチルシロキサン、ブタジエンとメチル(メタ)アクリレート、ブタジエンとビニルピリジン、イソプレンとメチル(メタ)アクリレート、イソプレンとビニルピリジン、ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、ヘキシル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、イソブチレンとブチル(メタ)アクリレート、イソブチレンとジメチルシロキサン、イソブチレンとメチル(メタ)アクリレート、イソブチレンとビニルピリジン、イソプレンとエチレンオキシド、ブチル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、エチレンとメチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートとブチル(メタ)アクリレート、スチレンとブタジエン、スチレンとブチル(メタ)アクリレート、スチレンとジメチルシロキサン、スチレンとイソプレン、スチレンとビニルピリジン、エチレンとビニルピリジン、ビニルピリジンとメチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドとイソプレン、エチレンオキシドとブタジエン、エチレンオキシドとスチレン、エチレンオキシドとメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとブタジエン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジメチルシロキサン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソブチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソプレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、(メタ)アクリロニトリルとブタジエン、(メタ)アクリロニトリルとブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルとジメチルシロキサン、(メタ)アクリロニトリルとエチレンオキシド、(メタ)アクリロニトリルとエチレン、(メタ)アクリロニトリルとヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルとイソブチレン、(メタ)アクリロニトリルとイソプレン、(メタ)アクリロニトリルとメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルとスチレン、または(メタ)アクリロニトリルとビニルピリジンから選択される、請求項10〜12の何れか一つに記載の方法。
【請求項14】
第二のポリマーが、C1〜C10アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルピリジン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、α−メチルスチレン、無水イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシスチレン、イソボルニルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルシロキサン、エチレンオキシド、エチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはイソブチレンから選択される少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含む、請求項11〜13の何れか一つに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一種の熱酸発生剤が、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムp−トルエンスルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムパーフルオロブタン−1−スルホネート、トリ−C1〜C8−アルキルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、1,2,3−トリス(パーフルオロC1〜C8アルカンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(C1〜C8アルカンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、4−ニトロベンジル9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネートまたは上記のうちの少なくとも一つを含む組み合わせから選択される、請求項10〜14の何れか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、誘導自己組織化によるリソグラフィパターン化の分野に属し、より具体的には自己組織化図形の形成を補助するエネルギー中性及びピン止め下層の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、誘導自己組織化が、リソグラフィ図形(feature)の生成のために並びに他の幅広い様々な用途のために、溶液合成されたナノ構造を組織化する有用な手段として登場した。例えば、Thurn−Albrecht et al.,“Ultrahigh Nanowire Arrays Grown in Self−Assembled. Diblock Copolymer Templates”,Science,290,2126,(2000)(非特許文献1)、Black et al.,“Integration of Self−Assembled Diblock Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication”Applied Physics Letters,79,409,(2001)(非特許文献2)及びAkasawa et al.,“Nanopatterning with Microdomains of Block Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication”Jpn.J.Appl.Phys.,41,6112,(2002)(非特許文献3)を参照されたい。
【0003】
多くの誘導自己組織化用途では、分子相互作用が、ドメインへの相分離を起こし、ここで不混和性の極性及び非極性材料が濃縮される。誘導自己組織化用途においては、個々のモル質量に相当する所定の大きさを持つ極性及び非極性ブロックを持つブロックコポリマーの薄いフィルムに特に関心が持たれている。選択された大きさのこれらのブロックは、それらの各々のモル質量と組成に伴う自然の長さ尺度のドメインを与える。更に、ブロックコポリマー内での個々のブロックのモル質量を調節することによって、選択された大きさの様々な構造、例えば特定の幅、特定のピッチ及び特定の対称パターン(例えば6角形の密充填アレイまたは並行なライン)のラメラまたはシリンダを生成することができる。
【0004】
エネルギー中性ポリマー(以下、中性層)を用いて製造されたフィルム層が時折使用される。なぜならば、これらは、ポリマーブロックの一方に対し他方よりも優先的な湿潤を示すことはなく、それ故、特定の箇所での特定のドメインの形成を優先的に強制または誘導する傾向がないためである。中性層は、官能化されたポリマーブラシ、使用されるブロックコポリマーに使用されるものと類似の繰り返し単位を有するランダムコポリマー、または使用するブロックコポリマーに使用されるものと類似のモノマーをそれぞれ有するホモポリマーのブレンドであることができる。
【0005】
ピン止め層は、一方のブロックと類似のモノマーを優勢に有するポリマーで製造されたフィルム層である。これらは、ポリマーブロックの一方に対し他方よりも優先的な湿潤を示し、特定の箇所での特定のドメインの形成を優先的に強制または「ピン止め」する傾向があるために、時折使用される。
【0006】
ブロックコポリマーの薄いフィルム中での自己組織化を誘導するために使用される方法としては、グラフォエピタキシ及びケミカルエピタキシがある。グラフォエピタキシでは、自己組織化は、トレンチなどの予め形成されたトポグラフィ構造によって誘導される。例えば、中性下層表面と、ブロックコポリマードメインの一方のタイプ(例えば、A−BジブロックコポリマーアセンブリのAドメイン)に優先的に引きつけられる側壁とを有するトポグラフィにパターン化された構造を、トポグラフィによる拘束を介してトレンチ内で自己組織化を誘導するために使用することができる。幅Lのトレンチ及びP
BCPの周期性を持つブロックコポリマー(BCP)を用いた場合には、L/P
BCP倍の周期増倍を残りのドメインに達成できる。
【0007】
ピン止め層または中性層のいずれかに架橋性官能基を導入するために様々な試みが行われてきた。架橋性官能基の活性化は下層を架橋し、そして下層とブロックコポリマーとの間の混合を遅らせる。例えば、US8,226,838(特許文献1)において、Chengらは、「エポキシベースのホモポリマーまたはコポリマーを含む架橋有機ポリマー」を含む下層を開示している。この場合、エポキシベースモノマー繰り返し単位には、エポキシジシクロペンタジエニルメタクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2,3−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、5,6−エポキシノルボルネン(メタ)アクリレート、及び上記のうちの少なくとも一つを含む組み合わせなどが挙げられる。エポキシベースのモノマーは、スチレン及びメチルメタクリレートなどの様々な他のモノマーの単独または組み合わせと共重合され、それぞれ、要求に応じてピン止め層または中性層を提供する。しかし、上記のモノマー繰り返し単位は架橋された基材を提供するように働き得る一方で、これらは、メチルメタクリレートなどのモノマーの相互作用特性のマッチングには効果が低い。
【0008】
それ故、熱架橋可能な硬化を提供し、それと同時に、スチレン系モノマー繰り返し単位と似た表面相互作用特性を提供するポリマー組成物への要望が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US8,226,838
【特許文献2】US6,512,020
【特許文献3】US3,474,054
【特許文献4】US4,200,729
【特許文献5】US4,251,665
【特許文献6】US5,187,019
【特許文献7】JP58225103A
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Thurn−Albrecht et al.,“Ultrahigh Nanowire Arrays Grown in Self−Assembled. Diblock Copolymer Templates”,Science,290,2126,(2000)
【非特許文献2】Black et al.,“Integration of Self−Assembled Diblock Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication” Applied Physics Letters,79,409,(2001)
【非特許文献3】Akasawa et al.,“Nanopatterning with Microdomains of Block Copolymers for Semiconductor Capacitor Fabrication”Jpn.J.Appl.Phys.,41,6112,(2002)
【非特許文献4】Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure(3rd ed.),March,(1985),
【非特許文献5】Controlled and Living Polymerizations:From Mechanisms to Applications(Wiley−VCH),September,2009
【発明の概要】
【0011】
本発明は、自己組織化構造の形成を促進するための下層を堆積するための調合物に関する。該下層は、(a)構造(I)を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
【0012】
【化1】
[式中、Xは以下から選択される架橋性基である]
【0013】
【化2】
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRは、H、C
1〜C
4アルキル、トリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]
(b)少なくとも一種の熱酸発生剤、及び
(c)溶剤、
を含む。本発明は更に、該新規組成物の製造及び使用法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)は、例4に記載のように製造したブロックコポリマーフィルムの走査電子顕微鏡写真である。
図1(b)は、例5に記載のように製造したブロックコポリマーフィルムの走査電子顕微鏡写真である。
【
図2】
図2は、ブロックコポリマーの誘導自己組織化方法に関する。
【
図3】
図3は、ブロックコポリマーの他の誘導自己組織化方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は、他に指示が無ければまたは文脈上明らかかもしくは必要でなければ排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。更に、例えば、「または」という接続詞は、単一の位置での化学置換を記載する時は排他的と解される。本発明で使用する単数表記は、複数も単数も包含すると解される。本発明で使用する「コポリマー」という用語は、二種以上のモノマー繰り返し単位を含むものと解され、そして「ポリマー」という用語は、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。本発明で使用する場合、接頭語「(メタ)アクリル」が使用される時は、「アクリル」または「メタクリル」が意図される。例えば、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを表し得る。本発明で使用する場合、「例示的な」という形容詞は、優先的な意味合いはなく特徴の例示を意味することを意図したものである。本発明で使用する場合、「モノマー繰り返し単位」または単に「モノマー」は、未反応のモノマーまたはポリマー内の反応した単位を記載するために使用される。「調合物」及び「組成物」という用語は相互交換可能である。
【0016】
本明細書に開示されるものは新規の下層調合物であり、ここでこの下層は、典型的には、自己組織化構造の形成を促進するために使用され、そして該下層調合物は、(a)構造(I)を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー、
【0017】
【化3】
[式中、Xは以下から選択される架橋性基である]
【0018】
【化4】
[式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRは、H、C
1〜C
4アルキル、またはトリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]
(b)少なくとも一種の熱酸発生剤、及び
(c)溶剤、
を含む。構造(I)は、重合してその結果生じる繰り返し単位をポリマー中に得るためのモノマーと定義される。該新規下層調合物のポリマーは、ランダムコポリマーであることができる。
【0019】
本明細書に更に開示されるものは、自己組織化構造の形成を促進するための硬化された下層を堆積するための調合物を製造する方法であり、該方法は、(a)(i)上記の構造(I)[式中、Xは、上記の(II)、(III)、(IV)または(V)から選択される架橋性基であり、これらの式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRはH、C
1〜C
4アルキル、トリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー;(ii)少なくとも一種の熱酸発生剤;及び(iii)溶剤を含む混合物を攪拌し、それによって、均一な溶液が生成され;及び
(b)生じた均一な溶液をフィルターを用いて濾過する、
ことを含む。
【0020】
なお更に本明細書に開示されるものは、ブロックコポリマーフィルム中に増倍されたパターンを誘導する方法であり、この方法は、
(a)二種以上の自然に分離するブロックを有するブロックコポリマーを用意し;
(b)基材を用意し;
(c)基材上に、中性層を堆積するための第一の調合物をコーティングし、そしてこの中性層を熱硬化し;
(d)この硬化した中性層の少なくとも一部分上にブロックコポリマーを配置する;
ことを含み、前記第一の調合物が、(i)構造(I)[式中、Xは、構造(II)、(III)、(IV)または(V)から選択される架橋性基であり;これらの式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRはH、C
1〜C
4アルキル、トリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー;(ii)少なくとも一種の熱酸発生剤;及び(iii)溶剤を含む。
【0021】
他の態様の一つでは、ブロックコポリマー中に増倍パターンを誘導する上記方法は、更に、
(e)ブロックコポリマーを配置する前に、リソグラフィプロセスによって中性相中にパターンを形成し;
(f)第二の調合物からパターン中にピン止め材料を提供し;及びこのピン止め材料を熱硬化する;
ことを含み、ここで前記第二の調合物は、(i)構造(I)[式中、Xは、(II)、(III)、(IV)または(V)から選択される架橋性基であり、これらの式中、nは0〜5であり、pは0〜5であり、qは1〜2であり、mは1〜2であり、そしてRはH、C
1〜C
4アルキル、トリ(C
1〜C
4アルキル)シリルである]を有する少なくとも一種のモノマー繰り返し単位を含むポリマー;(ii)少なくとも一種の熱酸発生剤;及び(iii)溶剤を含む。
【0022】
ブロックコポリマーフィルム中に増倍パターンを誘導する該方法のなお更に別の態様の一つでは、第一のコーティングがピン止め層であってよく、第二のコーティングが中性層であってよい。
【0023】
ブロックコポリマーフィルム中に増倍パターンを誘導する該方法のなお更に別の態様の一つでは、第一のコーティングが中性層であってよく、第二のコーティングがピン止め層であってよい。
【0024】
第二のコーティングは、ブラシ型中性ポリマーまたはブラシ型ピン止めポリマーであってよい。第二の層の例は、OHブラシ型中性ポリマー、例えばPSを45〜80モル%を含むPMMA−r−PS−OH;OHブラシ型ピン止めポリマー、例えば100%PS−OHであることができ;そして第二の調合物は、(i)構造(I)[式中、Rは、H、C
1〜C
4アルキル、ハロゲンから選択され、そしてWは、C
1〜C
6アルキレン、C
6〜C
20アリーレン、ベンジレン、またはC
2〜C
20アルキレンオキシアルキレンから選択される二価の基である]を有する少なくとも一つのペンダントビニルエーテルモノマー繰り返し単位を含む第二のポリマーを含む。
【0025】
上記の開示の新規調合物は、一種以上の成分を適当な溶剤中に溶解し、そして均一な混合物が得られるまで攪拌することによって適宜作られる。ここで、上記の一種以上の成分は、別々に溶解し、そして別々の溶液を一緒にブレンドして当該調合物とすることができると理解される。その代わりに、個々の成分の二種以上を一緒に溶剤と混合し、そして最後にブレンドしてもよい(必要ならば)。例えば、ポリマー及び熱酸発生剤を、同一かまたは異なっていてよいそれらの各々の溶剤に別々に溶解し、そして生じた溶液をブレンド及び攪拌して均一な溶液を得てもよい。更に別の例として、ポリマー及び熱酸発生剤を溶剤または溶剤混合物に添加し、そして均一な溶液が得られるまで攪拌することができる。
【0026】
更に、生じた溶液を濾過して微粒子を排除することが有利であり得る。フィルターの要求されるサイズ等級は、用途及びコストなどの他の要件に依存し得る。例えば、200nm(ナノメータ)以下に格付けされるフィルターに通して調合物を濾過することが有利であり得る。更に別の例として、100nm(ナノメータ)以下に格付けされるフィルターに通して調合物を濾過することが有利であり得る。なお更に別の例として、40nm(ナノメータ)以下に格付けされるフィルターに通して調合物を濾過することが有利であり得る。更に別の例として、10nm(ナノメータ)以下に格付けされるフィルターに通して調合物を濾過することが有利であり得る。更に別の例として、5nm(ナノメータ)以下に格付けされるフィルターに通して調合物を濾過することが有利であり得る。孔サイズが次第に減少する複数のフィルターを有するフィルタートレインを用いた段階的濾過に溶液を付すことも有利であり得る。溶剤及び調合物成分に依存して、フィルターは、限定はされないが、対称的もしくは非対称的超高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリジンフルオライド)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル及び類似物から構築してよい。適当なフィルターは、Billerica,MAのEntegris Inc.から得ることができる。
【0027】
熱酸発生剤は加熱時に酸を生成することが知られている。このような酸はルイス酸またはブレンステッド酸であってよい。後者の酸は、それらの対応するアニオンによって特徴付け得る。それ故、熱酸発生剤は、限定はされないがp−トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、パーフルオロアルカンスルホネート、全フッ素化及び部分フッ素化アルコキシアルカンスルホネート、ベンゼンスルホネート、及びフッ素化ベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、カンフルスルホネート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロボレート、ハロゲニド、ホスホネート及び類似物などのアニオンを有する酸を生成することができる。
【0028】
熱酸発生剤のアニオンは、限定はされないが、対イオンとして働く基、例えばスルホニウムもしくはヨードニウム塩、アンモニウム塩、及び第一級、第二級もしくは第三級アミンのアンモニウム塩と対にしてよい。加えて、アニオン性部分は、エステルまたは他の結合のように共有結合してよい。例えば、熱酸発生剤は、AsakuraらのUS6,512,020(特許文献2)に記載のような、o−ニトロベンジルもしくはp−ニトロベンジルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミジル−N−エステル、例えば5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミジル−N−トリフルオロメタンスルホネートまたは他のジカルボキシミジルエステル、例えば1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル−エステル、または1,3−ジオキソ−1H−ベンゾ[de]イソキノリン−2(3H)−イルエステル、オキシムエステル、例えばオキシムスルホネート、例えば(Z)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエタノンO−トリフルオロメチルスルホニルオキシムであってよい。更に、アルカンスルホネートを熱酸発生剤として使用してよい。一般的に、スルホネートなどのオキソ酸アニオンはエステル化するかまたは塩として使用してよく、他方、テトラフルオロボレートなどの非オキソ酸アニオンは、トリメチルアンモニウムテトラフロロボレートなどの塩として使用し得る。更に、熱酸発生剤は、置換されたもしくは置換されていないハロゲン化アルキル化合物を含んでよい。
【0029】
例示的な熱酸発生剤には、限定はされないが、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、パーフルオロベンゼンスルホネートエステル、パーフルオロアルカンスルホネートエステルなどが挙げられ得る。非限定的に、上記の調合物のための例示的な熱酸発生剤には、トリ−C
1〜C
8−アルキルアンモニウムpートルエンスルホネート、トリ−C
1〜C
8−アルキルアンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリ−C
1〜C
8−アルキルアンモニウムパーフルオロブタン−1−スルホネート、トリ−C
1〜C
8−アルキルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン−スルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−オクタンスルホネート、ビス(フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドパーフルオロ−1−ブタンスルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、または上記物質の少なくとも一つを含む組み合わせなどが挙げられる。例には、限定はされないが、第一級、第二級または第三級アミンのアンモニウム塩などが挙げられる。或る用途では、一部のタイプの熱酸発生剤を、それらの高温特性の故にまたはそれらが、特に中性層またはピン止め層中に、欠陥を招く恐れがある望ましくない副生成物を後に残す恐れがあるため、排除することが望ましいことがある。これらの例にはスルホニウムまたはヨードニウム塩などが挙げられ得る。次の説明に拘束されることを意図するものではないが、これらの副生成物の少なくとも一部は、フィルム内での不制御のフリーラジカル反応に由来するものと考えられる。これとは対照的に、「潜在性酸」の種類の他の熱酸発生剤は、ベーク中にフィルムから蒸発する傾向のある揮発性の副生成物を生成する。熱酸発生酸は、加熱時に強酸を発生することができる。本発明で使用される熱酸発生剤(TAG)は、ポリマーと反応することができそして本発明に存在するポリマーの架橋を伝播できる酸を加熱時に発生させる一種以上のものであってよく、特に好ましいものはスルホン酸類などの強酸である。好ましくは、熱酸発生剤は90℃超で、より好ましくは120℃超で、更により好ましくは150℃超で活性化される。熱酸発生剤の例は、非求核性強酸のアンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム塩である。また、共有結合型熱酸発生剤、例えばアルキルもしくはアリールスルホン酸の2−ニトロベンジルエステル、及び熱分解して遊離のスルホン酸を与えるスルホン酸の他のエステルも有用な添加剤として考えられる。例は第四級アンモニウムパーフルオロアルキルスルホネートである。不安定エステルの例:2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレート;ベンゼンスルホネート類、例えば2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネート;フェノール系スルホネートエステル、例えばフェニル,4−メトキシベンゼンスルホネート;第四級アンモニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、及び第四級アルキルアンモニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、有機酸のアルキルアンモニウム塩、例えば10−カンフルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩。US3,474,054(特許文献3)、US4,200,729(特許文献4)、US4,251,665(特許文献5)及びUS5,187,019(特許文献6)に開示のものも含む、様々な芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして使用できる。好ましくは、TAGは、170〜220℃の間の温度で非常に低い揮発性を有する。TAGの例は、King IndustriesからNacure及びCDXの名称で販売されているものである。このようなTAGは、Nacure 5225及びCDX−2168Eであり、後者は、King Industries,Norwalk,Conn.06852,USAからプロピレングリコールメチルエーテル中有効成分濃度25〜30%で供給されているドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩である。
【0030】
本明細書に記載の調合物及び合成手順のために適した溶媒には、グリコールエーテルアセテート、エステル、α−ヒドロキシエステル、α−アルコキシエステル、アルコール、ケトン、アミド、イミン、エーテル、エーテルエステル、エーテルアルコール及び類似物などが挙げられる。具体的には、溶媒としては、限定はされないが、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、ブチルアセテート、アミルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、及びテトラメチレンスルホンなどが挙げられ得る。溶媒は単独でまたは混合物として使用してよい。
【0031】
上記調合物は、更に、適当な熱硬化剤を含んでよく、これには、限定はされないが、イミダゾール類、第一級、第二級及び第三級アミン、第四級アンモニウム塩、酸無水物、ポリスルフィド、ポリメルカプタン、フェノール類、カルボン酸、ポリアミド、第四級ホスホニウム塩、及びこれらの組み合わせなどが挙げられ得る。
【0032】
ポリマーは、ピン止め層であろうと中性層であろうと、純粋なポリマーまたはブレンドであってよい。ポリマーはランダムポリマーであることができる。更に、ポリマーは、オリゴマー、モノマーまたは他の小分子、例えばレベリング材、溶解度調節剤、柔軟化剤、可塑剤及び類似物などとブレンドしてよい。加えて、ポリマーはテレケリックポリマーであってよく、これは、限定はされないが、単官能性または二官能性であってよく、ここでポリマー鎖の末端の官能基(複数可)は、限定はされないが、アルコール基、エステル基、カーボネート基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、アミン基、アミドもしくはイミド基、エポキシ基、シリル基、アルコキシシリル基、アルキルシリル基、アミノシラン基、イソシアネート基、チオシアネート基、またはイソチオシアネート基から選択してよい。ピン止め材料及び中性材料中のモノマー繰り返し単位は、選択されるブロックコポリマー中のブロックのうちの一つのブロック中の繰り返し単位と同じかまたは類似のものであってよい。例えば、選択されたブロックコポリマーが(b)−ポリスチレン−(b)−ポリメチルメタクリレートである場合には、ピン止め材料は、ポリスチレン、またはポリメチルメタクリレート、または類似の繰り返し単位を有するポリマー、例えばポリ−4−メチルスチレンもしくはポリメチルアクリレートを含むことができる。ここに開示されるポリマーの分子量は、例えば800〜500,000ダルトンであってよい。更なる例として、ピン止め材料中のポリマーの分子量は、2,000〜200,000ダルトンの間であってよい。別の更なる例として、ピン止め材料中のポリマーの分子量は、10,000〜100,000ダルトンの間であってよい。
【0033】
構造(I)の置換されたスチレン繰り返し単位の他に、ここに開示されるポリマーは他のモノマー繰り返し単位を含んでよい。これらには、限定はされないが、C
1〜C
10アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルピリジン(例えば2−ビニルピリジン、4ービニルピリジン)、ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、α−メチルスチレン、無水イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシスチレン、イソボルニルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルシロキサン、エチレンオキシド、エチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、またはイソブチレンなどが挙げられる。
【0034】
更に構造(I)の置換されたスチレン繰り返し単位の他に、ここに開示されるポリマーは、メチル(メタ)アクリレートとスチレン、ブタジエンとブチル(メタ)アクリレート、ブタジエンとジメチルシロキサン、ブタジエンとメチル(メタ)アクリレート、ブタジエンとビニルピリジン、イソプレンとメチル(メタ)アクリレート、イソプレンとビニルピリジン、ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、ヘキシル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、イソブチレンとブチル(メタ)アクリレート、イソブチレンとジメチルシロキサン、イソブチレンとメチル(メタ)アクリレート、イソブチレンとビニルピリジン、イソプレンとエチレンオキシド、ブチル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、エチレンとメチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートとブチル(メタ)アクリレート、スチレンとブタジエン、スチレンとブチル(メタ)アクリレート、スチレンとジメチルシロキサン、スチレンとイソプレン、スチレンとビニルピリジン、エチレンとビニルピリジン、ビニルピリジンとメチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドとイソプレン、エチレンオキシドとブタジエン、エチレンオキシドとスチレン、エチレンオキシドとメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとブタジエン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジメチルシロキサン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソブチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソプレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとビニルピリジン、(メタ)アクリロニトリルとブタジエン、(メタ)アクリロニトリルとブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルとジメチルシロキサン、(メタ)アクリロニトリルとエチレンオキシド、(メタ)アクリロニトリルとエチレン、(メタ)アクリロニトリルとヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルとイソブチレン、(メタ)アクリロニトリルとイソプレン、(メタ)アクリロニトリルとメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルとスチレン、または(メタ)アクリロニトリルとビニルピリジンなどのモノマー繰り返し単位の組み合わせを含んでよい。
【0035】
重合は、March,(1985),Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure(3rd ed.)(非特許文献4)に開示されるようにフリーラジカル法(適切な場合に)によって開始してよい。開始剤としては、限定はされないが、ハロゲンダイマー、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)、及び有機過酸化物、例えばジーtert−ブチルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキシド、過オクタン酸t−ブチル、及びアセトンパーオキシドなどが挙げられ得る。多くの他の開始剤が、Chicago,ILのAkzo Novel Polymer Chemicals LLCから入手可能である。
【0036】
更に、限定はされないが、重合は、制御された/「リビング」ラジカル重合技術、例えばSeptember,2009,Controlled and Living Polymerizations:From Mechanisms to Applications(Wiley−VCH)(非特許文献5)に開示されるような原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加−開裂連鎖移動重合(RAFT)、及びニトロキシド媒介重合(NMP)によって開始してもよい。
【0037】
更に、限定はされないが、重合は、リチウムアルキル化合物、リチウムもしくはナトリウムビフェニル、リチウムもしくはナトリウムアントラセン、ナトリウムアミド、カリウムアミド、アルカリ金属アクリロニトリル付加物及び類似物などの開始剤を用いて、アニオン重合法によって開始してもよい(適切ならば)。加えて、重合は、YokotaのJP58225103A(特許文献7)に開示されるように、アニオン重合及びフリーラジカル重合を組み合わせて行うこともできる。
【0038】
更に、限定はされないが、重合は、非限定的に塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、五塩化アンチモン、四塩化チタン、塩化亜鉛、及びアルキルアンモニウムジクロライドなどの開始剤を用いてカチオン重合によって開始してもよい(適当ならば)。加えて、塩化アルミニウムと塩化tert−ブチルなどの組み合わせを使用して、tert−ブチルカルボカチオンを生成してもよい。
【0039】
自己誘導アセンブリを形成するのに有用なブロックコポリマーは、当技術分野で既知のアニオン重合または他の重合法によって製造してよい。本方法での使用に考慮される例示的なブロックコポリマーアセンブリ成分には、少なくとも一種のブロックコポリマーを含む組み合わせも挙げられる。ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー並びにマルチブロックコポリマーであることができる。例示的なジブロックコポリマーには、限定はされないが、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族類)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ((スチレン−alt−無水マレイン酸)−b−スチレン)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、及びポリ(スチレン−b−ジメチルゲルマニウムオキシド)などが挙げられる。例示的なトリブロックコポリマーには、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート−b−スチレン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ((スチレン−alt−無水マレイン酸)−b−スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン−b−スチレン)、及びポリ(エチレンオキシド−b−イソプレン−b−スチレン)などが挙げられる。例示的なマルチブロックコポリマーの一つは、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)nであり、ここでnは1超である。上記の例示的なブロックコポリマーは、例示を意図しただけであり、これらに限定されると見なされるべきものではないことは明らかである。
【0040】
ブロックコポリマーは、本明細書に開示されるフィルム形成ステップに適した全体的な分子量及び多分散性(pd)を有することができ、そうしてブロックコポリマーアセンブリにおける自然に分離するブロックの形成が熱的に、または溶剤蒸気雰囲気など相分離を援助し得る条件下に熱的に進行し得る。一つの態様では、該ブロックコポリマーは、1,000〜200,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有してよい。分子量のM
w及びM
nは両方とも、例えば、ポリスチレン標準に対してキャリブレートした一般のキャリブレーション法を用いてゲル透過クロマトグラフィにより測定できる。更に別の態様の一つでは、ブロックコポリマー中の各々のブロックは、別々に250〜175,000g/モル(Mn)の分子量を有してよい。更に別の態様の一つでは、ブロックコポリマー中の各々のブロックは、別々に1.0〜2.0の多分散性(Mw/Mn)を有してよい。更に別の態様の一つでは、ブロックコポリマー中の各々のブロックは、別々に1.0〜1.5の多分散性(Mw/Mn)を有してよい。更に別の態様の一つでは、ブロックコポリマー中の各々のブロックは、別々に1.0〜1.5の多分散性(Mw/Mn)を有してよい。更に別の態様の一つでは、ブロックコポリマー中の各々のブロックは、別々に1.0〜1.1の多分散性(Mw/Mn)を有してよい。
【0041】
ポリマー層に画像を形成するのに使用されるリソグラフィプロセスには、当技術分野で既知の方法及び放射線種を用いたパターン化などが挙げられ得る。これらには、x線、ソフトx線、極端紫外線、真空紫外線または紫外線範囲の波長を有する光子線、電子ビームまたはイオンビームなどが挙げられる。当技術分野で既知のフォトレジストを、硬化したポリマーフィルム上にパターンを形成するために選択された放射線と関連して適宜使用し得る。このようなパターンは、様々なエッチング技術、例えばプラズマエッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリングまたは当技術分野で既知の他の方法を用いて硬化したポリマーフィルム中にエッチングし得る。リソグラフィにより画定された画像を生成する方法は、限定されず、本明細書に添付の特許請求の範囲から逸脱することなく他の技術を使用し得る。
【0042】
本明細書に記載の方法を実施できる基材には、半導体製造プロセスで通常の任意の基材が挙げられる。このような基材には、限定はされないが、ケイ素もしくはケイ素−ゲルマニウムなどの半導体基材、アルミニウムもしくは銅などの金属製基材、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ケイ化タンタル、ケイ化チタン、窒化チタン、窒化タンタルなどの化合物基材、または反射防止コーティングなどのポリマーなどが挙げられる。
【0043】
中性層もしくはピン止め層として該新規組成物を用いたブロックコポリマーの自己組織化に有用な任意の方法が本発明の範囲内に入る。
図2は、有用な方法の一つを開示するものであり、この方法では、該新規組成物を基材(1)上にコーティングし、次いで硬化してピン止め層(2)を形成し;ピン止め層を、次いで、フォトレジスト(3)を用いたリソグラフィプロセスによりパターン化して、パターン化されたピン止め層(4)を形成し;パターン化されたピンの止め層を更に、中性層(5)の第二のコーティングでコーティングし、そしてリンス液で洗浄し、それによって第二のコーティングを、パターン化されたピン止め層の開口部にのみ堆積させ;ブロックコポリマー(6)を次いで、第二のコーティングを備えたピン止めパターン化層上にコーティングし、そして加熱してブロックコポリマーを自己組織化する。次いで、自己組織化されたブロックコポリマーを乾式もしくは湿式エッチしてパターン(7)を形成する。
【0044】
図3は、他の方法を開示し、この方法では、該新規組成物を基材(1)上にコーティングし、次いで硬化して中性層(2)を形成し;中性層を、次いで、フォトレジスト(3)を用いたリソグラフィプロセスによりパターン化して、パターン化された中性層(4)を形成し;任意選択に、パターン化された中性層を更に、ピン止め層(5)の第二のコーティングでコーティングし、そしてリンス液で洗浄し、それによって第二のコーティングを、中性層の開口部にのみ堆積させ;ブロックコポリマー(6)を次いで、第二のピン止めコーティングを備えた中性パターン化層上にコーティングし、そして加熱してブロックコポリマー(7)を自己組織化する。次いで、自己組織化されたブロックコポリマーを乾式もしくは湿式エッチしてパターンを形成する。
【0045】
本明細書に開示される置換されたスチレンモノマー繰り返し単位は、以下の合成例1に従いまたはそれに類似して合成し得る。
【0046】
上記で触れた文献はそれぞれ、全ての目的に関してその内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造及び利用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に利用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきではない。
【実施例】
【0047】
例1:以下に、ポリ(スチレン−co−メチルメタクリレート−co−2−(4−ビニルフェネチル)オキシランの合成を記載する:スチレン(15g、144mmol)、メチルメタクリレート(9.94g、99.3mmol)、及び2−(4ービニルフェネチル)オキシラン(0.87g、4.99mmol)を、250ml三つ首フラスコ中に仕込んだ。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(0.408g、2.48mmol)及びブタノン(40mL)を次いでフラスコ中に加えた。この混合物を室温で30分間超、N
2でバブリングし、その後一晩還流した。重合後、そのポリマー溶液をブタノンで希釈し、そして1.5リットルのヘキサン類中に析出させた。粗製ポリマーを濾過して単離し、そして真空下に45℃で一晩乾燥した。単離されたポリマーを200mLのブタノン中に再溶解し、そして1.5Lのヘキサン類中に析出させた。濾過後、精製されたポリマーを真空下45℃で一晩乾燥した。20gのポリマーが得られた。収率:77.5%。Mw=21.0K、Mn=10.7K、pd=1.96。
【0048】
例2:以下は、ポリ(スチレン−co−MMA−co−4−トリメチルシリルエチニルスチレン)の合成を記載する:スチレン(7.3g、70.1mmol)、メチルメタクリレート(5.2g、51.94mmol)、及び4−トリメチルシリルエチニルスチレン(TMSESt)(0.7g、3.5mmol)を、100ml三つ首フラスコ中に仕込んだ。AIBN(0.204g、1.24mmol)及びブタノン(20mL)を次いでフラスコ中に加えた。この混合物を室温で30分間超、N
2でバブリングし、その後一晩還流した。重合後、そのポリマー溶液をブタノンで希釈し、そして1Lの混合ヘキサン類中に析出させた。粗製ポリマーを濾過して単離し、そして真空下に45℃で一晩乾燥した。これを20mLのブタノン中に再溶解し、そして1Lの混合ヘキサン類中に析出させた。濾過後、精製されたポリマーを真空下45℃で一晩乾燥した。10gのポリマーが得られた。収量:75.8%。Mw=28.0K、Mn=12.4K、pd=2.25。
【0049】
例3:以下は、ポリ(スチレン−co−メチルメタクリレート−co−4−エチニルスチレン)の合成を記載する:スチレン、MMA及び4−エチニルスチレンのコポリマー[ポリ(St−co−MMA−co−ESt)]を、その前駆体であるポリ(St−co−MMA−co−TMSESt)の脱保護化によって製造した。ポリ(St−co−MMA−co−TMSESt)(0.6g)を15mLの無水THF中に溶解した。このポリマー溶液を氷/水浴を用いて0℃に冷却した。テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF、1M)の0.1mLテトラヒドロフラン(THF)溶液をこの溶液にシリンジを通して加えた後、この溶液を0℃で1.5時間攪拌しながら維持した。次いで、このポリマーTHF溶液を500mLのメタノール中に注ぎ入れた。析出したポリマーを濾過して単離した。これを更に、15mLのTHF中に再溶解し、そして500mLのメタノール中に析出させて精製した。この精製されたポリマーを真空下45℃で一晩乾燥した。0.5gのポリマーが得られた。収量:83.3%。Mw=29.8K、Mn=15.4K、pd=1.93。
【0050】
例4:PGMEA中の0.7重量%溶液を例1のポリマー及び熱酸発生剤であるドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩(DBSA/TEA)(ポリマーに対して5.0重量%)を用いて調製し、そして0.2ミクロンのPTFEフィルターに通して濾過した。
【0051】
上記の溶液を8インチSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、そして255℃/2分間でベークした。最終のフィルム厚は18nmであった。ブロックコポリマー(PS−b−PMMA,Mn、22k−b−22k、PD1.03)の溶液を、生じたフィルムの上面に1500rpmでスピンコートして40nm厚のフィルムを形成し、これを次いで250℃で5分間アニールした。SEM分析は、これらのブロック間の明瞭な輪郭描写(フィンガープリント)を示した(
図1(a)参照)。これは、例1のポリマーが中性であることを示唆する。
【0052】
例5:PGMEA中の0.7重量%溶液を例3のポリマー及び熱酸発生剤であるDBSA/TEA(ポリマーに対して5.0重量%)を用いて調製し、そして0.2ミクロンのPTFEフィルターに通して濾過した。
【0053】
上記の溶液を8インチSiウェハ上に1500rpmでスピンコートし、そして255℃/2分間でベークした。最終のフィルム厚は18nmであった。ブロックコポリマー(PS−b−PMMA,Mn、22k−b−22k、PD1.03)の溶液を、生じたフィルムの上面に1500rpmでスピンコートして40nm厚のフィルムを形成し、これを次いで250℃で5分間アニールした。SEM分析は、ブロック間の明瞭な輪郭描写を示した(
図1(b)参照)。これは、例3のポリマーが中性であることを示唆する。
【0054】
具体例に基づいて本願の開示を説明及び記載したが、本発明が関連する技術に熟練した者にとって自明な様々な変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に記載の発明の趣旨、範囲及び思想内であると思量される。
【国際調査報告】