特表2017-513062(P2017-513062A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲せん▼市繹立鋭光科技開発有限公司の特許一覧

<>
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000003
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000004
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000005
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000006
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000007
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000008
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000009
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000010
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000011
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000012
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000013
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000014
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000015
  • 特表2017513062-光源システム及び投影システム 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-513062(P2017-513062A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】光源システム及び投影システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20170421BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20170421BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170421BHJP
   F21V 9/10 20060101ALI20170421BHJP
   F21V 13/00 20060101ALI20170421BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20170421BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20170421BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   G03B21/00 D
   F21S2/00 311
   F21V9/10 200
   F21V9/10 100
   F21V13/00 100
   H04N5/74 A
   F21Y115:30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-560780(P2016-560780)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月30日
(86)【国際出願番号】CN2015075652
(87)【国際公開番号】WO2015149700
(87)【国際公開日】20151008
(31)【優先権主張番号】201410132297.7
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514073097
【氏名又は名称】深▲せん▼市繹立鋭光科技開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】APPOTRONICS(CHINA)CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】李屹
(72)【発明者】
【氏名】叶▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲則▼▲欽▼
【テーマコード(参考)】
2K203
3K243
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA23
2K203FA24
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA33
2K203FA44
2K203FA54
2K203GA02
2K203GA22
2K203GA25
2K203GA33
2K203GA34
2K203GA35
2K203GA36
2K203GA39
2K203GA45
2K203GA52
2K203HA08
2K203HA14
2K203HA30
2K203HA82
2K203HA83
2K203HA87
2K203HA93
2K203HB06
2K203MA04
2K203MA35
2K203MA40
3K243AA01
3K243BE09
3K243CD04
3K243CD05
5C058AB03
5C058BA29
5C058EA05
5C058EA26
5C058EA27
5C058EA51
(57)【要約】
本発明は、光源システム及び投影システムに関する。光源システムは、第1の広いスペクトル光を発する第1の光源(1)と、第2の波長光を発する第2の光源(103)と、分光と光合成をするための光合成分光装置(2)と、第1の空間光変調器(106)と、第2の空間光変調器(107)と、第1の光源(1)と第2の光源(103)を制御すると共に第1の空間光変調器(106)及び第2の空間光変調器(107)による変調を制御するコントローラ(108)とを備える。投影システムは、上記光源システムを備える。これら光源システム及び投影システムでは、輝度が高くて色域が広く、「レインボー」効果を効率的に解消するだけでなく、構成が簡単で装置全体のコストが低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の広いスペクトル光を発する第1の光源と、
第2の波長光を発する第2の光源と、
前記第1の光源と前記第2の光源の光路に位置し、前記第1の広いスペクトル光を第1の通路に沿って伝導する第3の波長光と前記第3の波長光とはスペクトルの範囲が異なり第2の通路に沿って伝導する第4の波長光とに分光すると共に、少なくとも一部の前記第2の波長光を前記第2の通路に沿って伝導する光合成分光装置と、
前記第1の通路の光を受光すると共に該第1の通路を伝導する光を変調する第1の空間光変調器と、
前記第2の通路の光を受光すると共に該第2の通路を伝導する光を変調する第2の空間光変調器と、
前記第1の光源、第2の光源、第1の空間光変調器及び第2の空間光変調器と電気的に接続され、前記第1の光源及び前記第2の光源を制御すると共に前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器による変調を制御するコントローラとを備え、
前記第1の広いスペクトル光と前記第2の波長光のスペクトルの範囲が異なることを特徴とする光源システム。
【請求項2】
前記第2の波長光は、広いスペクトル光であることを特徴とする請求項1に記載の光源システム。
【請求項3】
前記第2の波長光はシアン光であり、前記第1の広いスペクトル光は黄色光であることを特徴とする請求項2に記載の光源システム。
【請求項4】
前記第2の光源は、
第2の励起光を発する第2の励起光源と、
前記第2の励起光の光路に位置し、該第2の励起光を吸収してトリガーされた光を発する第2の波長変換装置と、
前記第2の波長変換装置が水平移動、垂直移動又は円周移動するように駆動する第2の駆動装置とを備えることを特徴とする請求項2に記載の光源システム。
【請求項5】
前記第2の波長変換装置は、波長変換層と基板とを備え、
前記基板は、前記波長変換層を載置するためのものであることを特徴とする請求項4に記載の光源システム。
【請求項6】
前記第2の波長変換装置は、波長変換層及び散乱層を載置する基板を有し、前記波長変換層が前記基板と前記散乱層との間に位置する又は前記散乱層が前記基板と前記波長変換層との間に位置することを特徴とする請求項4に記載の光源システム。
【請求項7】
前記光合成分光装置は、前記第2の波長光を、前記第1の通路に沿って伝導する第5の波長光と、前記第2の通路に沿って伝導する第6の波長光とに分光することを特徴とする請求項2に記載の光源システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1の空間光変調器が前記第3の波長光と前記第5の波長光を変調するように制御し、前記第2の空間光変調器が前記第4の波長光と前記第6の波長光を変調するように制御することを特徴とする請求項7に記載の光源システム。
【請求項9】
前記光合成分光装置は、第1の反射鏡と、ダイクロイック素子と、第2の反射鏡と、TIRプリズムと、フィリップスプリズムとを備え、
前記第1の反射鏡と前記ダイクロイック素子は平行に配置されており、前記第1の広いスペクトル光と前記第2の波長光とを光合成し、
前記第2の反射鏡は、前記第2の波長光と前記第1の広いスペクトル光を前記TIRプリズムへ入るように反射し、
前記フィリップスプリズムは、前記TIRプリズムにより反射された光を、前記第1の通路に沿って伝導する光と前記第2の通路に沿って伝導する光とに分光することを特徴とする請求項7に記載の光源システム。
【請求項10】
前記光合成分光装置は更に光均一化装置を備え、前記光均一化装置は前記ダイクロイック素子と前記第2の反射鏡との間に位置し、前記第1の広いスペクトル光と前記第2の波長光とを光均一化することを特徴とする請求項9に記載の光源システム。
【請求項11】
前記第4の波長光と前記第5の波長光は、色が同じで主波長が異なる光であることを特徴とする請求項8に記載の光源システム。
【請求項12】
前記第2の光源は、固体半導体発光素子であり、三原色光のうちの任意の1つの色の光を発することを特徴とする請求項1に記載の光源システム。
【請求項13】
前記光合成分光装置は、第1のダイクロイック素子と第2のダイクロイック素子とを備え、
前記第1のダイクロイック素子は、前記第1の広いスペクトル光を、前記第1の通路に沿って伝導する前記第3の波長光と、前記第2のダイクロイック素子へ入るように反射する前記第4の波長光とに分光するようにガイドし、
前記第2のダイクロイック素子は、前記第2の波長光と前記第4の波長光とが前記第2の通路に沿って伝導するようにガイドすることを特徴とする請求項12に記載の光源システム。
【請求項14】
前記第2の光源は、第2の励起光源と、散乱装置と、第2の駆動装置とを備え、
前記第2の励起光源は、固体半導体発光素子であり、三原色光のうちの任意の1つの色の光を発し、
前記散乱装置は、前記第2の励起光源の光路に位置し、該第2の励起光源から発せられた光を散乱し、
前記第2の駆動装置は、前記散乱装置を移動可能に駆動することを特徴とする請求項12に記載の光源システム。
【請求項15】
前記第2の光源は、レーザダイオード又はレーザダイオードアレイであることを特徴とする請求項12に記載の光源システム。
【請求項16】
前記第1の光源は、第1の励起光源と、第1の波長変換装置と、第1の駆動装置とを備え、
前記第1の励起光源は、励起光を発する固体半導体発光素子であり、
前記第1の波長変換装置は、前記励起光の光路に配置されており、該励起光を吸収してトリガーされた光を発し、
前記第1の駆動装置は、前記第1の波長変換装置を移動可能に駆動することを特徴とする請求項1乃至15の何れか一つに記載の光源システム。
【請求項17】
前記第1の波長変換装置は、波長変換層と、該波長変換層を載置する基板とを備え、
前記波長変換層に黄色蛍光体が付着されていることを特徴とする請求項16に記載の光源システム。
【請求項18】
前記第1の波長変換装置は、波長変換層と、散乱層と、前記波長変換層及び散乱層を載置する基板とを備え、
前記波長変換層は、前記散乱層と前記基板との間に位置することを特徴とする請求項16に記載の光源システム。
【請求項19】
前記第1の励起光源は、レーザダイオード又はレーザダイオードアレイであることを特徴とする請求項16に記載の光源システム。
【請求項20】
前記第1の光源は、固体半導体発光素子であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一つに記載の光源システム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記第1の光源と前記第2の光源のオン/オフを順番に制御し、1つのサイクルにおける前記第1の光源と前記第2の光源のオンの状態は重なり合わないことを特徴とする請求項1乃至15の何れか一つに記載の光源システム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記第1の光源と前記第2の光源のオン/オフを制御し、1つのサイクルにおける前記第1の光源と前記第2の光源のオンの状態は、完全に重なり合わないが一部重なり合うことを特徴とする請求項1乃至15の何れか一つに記載の光源システム。
【請求項23】
1つのサイクルにおける前記第1の光源と前記第2の光源のオン/オフの回数は、少なくともN回であり、Nは正整数であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一つに記載の光源システム。
【請求項24】
請求項1乃至23の何れか一つに記載の光源システムを備えることを特徴とする投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学表示装置に関し、特に、光源システム及び投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
投影表示技術の発展に伴って、市場では従来のシングルピース型DMD投影技術からスリーピース型DMD投影表示システムが発展してきた。
【0003】
従来のシングルピース型DMD投影技術では光源として白色光源が採用され、白色光源からの光が分光フィルタを通過することで順次に赤、緑、青の三原色光が生成され、これら赤、緑、青の三原色光が順次にDMDに入射して、DMD処理されてから出射する。このようなシングルピース型DMD投影システムは、構成は簡単だが光利用効率が非常に低く、多くの光が分光フィルタを通過する際に失われるので、投影システムの輝度が低くなる。また、シングルピース型DMDは、順次に赤、緑、青の三原色光を処理するので、カラーの切り替え速度が限定されて「レインボー」現象が生じてしまう。このような課題を解決するために、スリーピース型DMD投影技術が徐々に発展してきた。スリーピース型DMD投影システムは白色光源を採用して、この白色光源からの光がプリズムを介して赤、緑、青の三原色光に分光された後、三つのDMDに入射して、受光された光がDMDにより処理される。スリーピース型DMD投影システムは、シングルピース型DMD投影システムに比べて光利用効率が向上しているが、そのシステムが複雑で設置が難しくコストが高い。
【0004】
光利用効率と設備全体のコストとの両立は、本分野で早急に解決すべき技術課題であり、そのため、市場にツーピース型DMD投影システムが現れた。出願番号US5612753やUS20120257124のような特許はツーピース型DMD投影システムを採用し、これらは3DMDに比べると構成が簡単であるが、依然として輝度が十分ではない上、「レインボー」効果の課題を解決することができない。従って、高輝度を実現すると共に「レインボー」効果の課題を効率的に解決する新たな光源システムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における低輝度及び「レインボー」効果の課題を解決する光源システム及び投影システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源システムは、第1の広いスペクトル光を発する第1の光源と、第2の波長光を発する第2の光源と、第1の光源及び第2の光源の光路に位置し、第1の光源から発せられた第1の広いスペクトル光を、第1の通路に沿って伝導する第3の波長光と第2の通路に沿って伝導する第4の波長光とに分光すると共に、第2の光源からの少なくとも一部の第2の波長光を第2の通路に沿って伝導する光合成分光装置と、第1の通路の光を受光すると共に第1の通路を伝導する光を変調する第1の空間光変調器と、第2の通路の光を受光すると共に第2の通路を伝導する光を変調する第2の空間光変調器と、第1の光源、第2の光源、第1の空間光変調器及び第2の空間光変調器と電気的に接続され、第1の光源及び第2の光源を制御すると共に第1の空間光変調器及び第2の空間光変調器による変調を制御するコントローラとを備え、第1の広いスペクトル光と第2の波長光のスペクトルの範囲が異なり、第3の波長光と第4の波長光のスペクトルの範囲が異なる。
【0007】
好ましくは、前記第2の光源から発せられる第2の波長光は、広いスペクトル光である。
【0008】
好ましくは、前記第2の波長光はシアン光であり、前記第1の広いスペクトル光は黄色光である。
【0009】
好ましくは、前記第2の光源は、第2の励起光を発する第2の励起光源と、第2の励起光の光路に位置し、該第2の励起光を吸収してトリガーされた光を発する第2の波長変換装置と、第2の波長変換装置が水平移動、垂直移動又は円周移動するように駆動する第2の駆動装置とを備える。
【0010】
好ましくは、前記第2の波長変換装置は波長変換層と基板とを備え、前記基板は波長変換層を載置するためのものである。
【0011】
好ましくは、第2の波長変換装置は、基板と、波長変換層と、散乱層とを備え、前記基板は波長変換層と散乱層とを載置するためのものであり、前記波長変換層は基板と散乱層との間に位置する又は前記散乱層は基板と波長変換層との間に位置する。
【0012】
好ましくは、前記光合成分光装置は、第2の波長光を第1の通路に沿って伝導する第5の波長光と、第2の通路に沿って伝導する第6の波長光とに分光するためのものである。
【0013】
好ましくは、前記コントローラは、第1の空間光変調器が第3の波長光と第5の波長光を変調するように制御し、第2の空間光変調器が第4の波長光と第6の波長光を変調するように制御する。
【0014】
好ましくは、前記光合成分光装置は、第1の反射鏡と、ダイクロイック素子と、第2の反射鏡と、TIRプリズムと、フィリップスプリズムとを備え、前記第1の反射鏡とダイクロイック素子は平行に配置されており、第1の広いスペクトル光と第2の波長光とを光合成し、前記第2の反射鏡は第2の波長光と第1の広いスペクトル光をTIRプリズムへ反射し、前記フィリップスプリズムはTIRプリズムにより反射された光を、第1の通路に沿って伝導する光と第2の通路に沿って伝導する光とに分光するためのものである。
【0015】
好ましくは、前記光合成分光装置は更に光均一化装置を備え、前記光均一化装置はダイクロイック素子と第2の反射鏡との間に位置し、第1の広いスペクトル光と第2の波長光とを光均一化するためのものである。
【0016】
好ましくは、前記第4の波長光と第5の波長光は、色が同じで主波長が異なる光である。
【0017】
好ましくは、前記第2の光源は、固体半導体発光素子であり、三原色光のうちの任意の1つの色の光を発する。
【0018】
好ましくは、前記第2の光源はレーザダイオード又はレーザダイオードアレイである。
【0019】
好ましくは、前記光合成分光装置は第1のダイクロイック素子と第2のダイクロイック素子とを備え、前記第1のダイクロイック素子は第1の広いスペクトル光を、第1の通路に沿って伝導する第3の波長光と、第2のダイクロイック素子へ入るように反射する第4の波長光とに分光するようにガイドし、前記第2のダイクロイック素子は第2の波長光と第4の波長光とが第2の通路に沿って伝導するようにガイドするためのものである。
【0020】
好ましくは、前記第2の光源は第2の励起光源と、散乱装置と、第2の駆動装置とを備え、前記第2の励起光源は固体半導体発光素子であり、三原色光のうちの任意の1つの色の光を発し、前記散乱装置は第2の励起光源の光路に位置し、第2の励起光源から発せられた光を散乱し、前記第2の駆動装置は散乱装置を移動可能に駆動する。上記の何れの形態では、前記第1の光源は第1の励起光源と、第1の波長変換装置と、第1の駆動装置とを備え、前記第1の励起光源は励起光を発する固体半導体発光素子であり、前記第1の波長変換装置は励起光の光路に配置されており、該励起光を吸収してトリガーされた光を発し、前記第1の駆動装置は第1の波長変換装置を移動可能に駆動する。
【0021】
好ましくは、前記第1の波長変換装置は、波長変換層と、波長変換層を載置する基板とを備え、前記波長変換層に黄色蛍光体が付着されている。
【0022】
好ましくは、前記第1の波長変換装置は、波長変換層と、散乱層と、波長変換層及び散乱層を載置するための基板とを備え、前記波長変換層は散乱層と基板との間に位置する。
【0023】
好ましくは、前記第1の励起光源は、レーザダイオード又はレーザダイオードアレイである。
【0024】
上記の何れの形態では、前記第1の光源は、固体半導体発光素子である。
【0025】
上記の何れの形態では、前記コントローラは第1の光源と第2の光源のオン/オフを順番に制御し、1つのサイクルにおける前記第1の光源と前記第2の光源のオンの状態は重なり合わない。
【0026】
上記の何れの形態では、前記コントローラは第1の光源と第2の光源のオン/オフを制御し、1つのサイクルにおける前記第1の光源と前記第2の光源のオンの状態は、完全に重なり合わないが一部重なり合う。
【0027】
上記の何れの形態では、1つのサイクルにおける前記第1の光源と前記第2の光源のオン/オフの回数は、少なくともN回であり、Nは正整数である。
【0028】
本発明は更に投影システムを備え、当該投影システムは上記の何れ一つの形態における光源システムを備える。
【0029】
本発明の上記の形態では、広いスペクトル光を採用して、コントローラにより2つの空間光変調器が広いスペクトル光を変調するように制御することにより、光を損失せずに広いスペクトル光が分光されると共に空間光変調器により変調されて、光源システムの輝度を向上させることができる。また、本発明は、2つの空間光変調器を採用してコントローラの制御で光変調することにより、光源システムの輝度を確保すると同時に、光源システムの構成がより簡単になり、コストを更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施例における光源システムの構成を示す模式図。
図2】本発明の第1の実施例における光スペクトルを示す図。
図3】本発明の第1の実施例における光源システムの一部構成を示す模式図。
図4】本発明の第1の実施例におけるコントローラの構成を示す模式図。
図5】本発明の第1の実施例におけるコントローラが光源と空間光変調器を制御するときのタイミングチャート。
図6】本発明の第1の実施例におけるコントローラが光源と空間光変調器を制御するときの別のタイミングチャート。
図7】本発明の第1の実施例におけるコントローラが光源と空間光変調器を制御するときの更に別のタイミングチャート。
図8】本発明の第2の実施例における光源システムの構成を示す模式図。
図9】本発明の第3の実施例における光源システムの構成を示す模式図。
図10】本発明の第4の実施例における光源システムの構成を示す模式図。
図11】本発明の第4の実施例における波長変換装置の構成を示す図。
図12】本発明の第4の実施例における光源システムの別の構成を示す模式図。
図13】本発明の第4の実施例における波長変換装置の別の構成を示す模式図。
図14】本発明の第4の実施例におけるコントローラが光源と空間光変調器を制御するときのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的、技術案及びメリットが更に明確になるように、以下、図面及び実施形態を参照して本発明を詳しく説明する。
【0032】
本発明に係る三原色光は、赤、緑、青の三色光である。本発明に係る1つのサイクルとは、1フレームのデータの処理時間を意味する。
【0033】
本発明に係る第1の実施例は、光源システムに関するものであり、以下、図1乃至図7を参照して本発明を説明する。図1は本発明の第1の実施例における光源システムの構成を示す模式図である。当該光源システムは、第1の光源1と、第2の光源103と、光合成分光装置2と、第1の空間光変調器106と、第2の空間光変調器107と、コントローラ108とを備える。ここで、第1の光源1と第2の光源103は光合成分光装置2の同一側に位置し、光合成分光装置2は、第1の光源1からの出射光の光路に位置すると共に、第2の光源103からの出射光の光路に位置する。光合成分光装置2は、第1の光源1又は第2の光源103からの光を分光した後、その光が第1の空間光変調器106と第2の空間光変調器107へ入るようにガイドする。コントローラ108は、第1の光源1、第2の光源103、第1の空間光変調器106、第2の空間光変調器107と電気的に接続されている。
【0034】
(1)第1の光源1は、第1の広いスペクトル光を発し、当該第1の広いスペクトル光は、少なくとも10nmの波長範囲をカバーする光であり、例えば、黄色光は、475nm〜700nmの波長範囲の光をカバーし(図2Aを参照)、シアン光は、440nm〜580nmの波長範囲の光をカバーする(図2Bを参照)。第1の広いスペクトル光は、好ましくは少なくとも30nmの波長範囲を有する。本発明の第1の光源1は広いスペクトル光を採用して、広いスペクトルの光は波長光分光により少なくとも2つのビーム光に分離され、当該2つのビーム光は同一タイミングの光である。このようにすることで、光源の構造を簡素化する(従来技術のように複数の光源を使用することを避ける)だけでなく、光利用効率も顕著に向上することができる(赤色蛍光体を励起することによって赤色光を発生させる必要がない)。同時に、別途に装置を増設して光処理、すなわち、光フィルタリングせずに原色光を得ることができるので、構成がより簡単になる。例えば、広いスペクトルの黄色光を分光処理すれば緑色光と赤色光とが得られ、広いスペクトルの青色光を分光処理すれば青色光と緑色光とが得られる。
【0035】
第1の光源1は、励起光を発する励起光源101と、波長変換装置102と、第1の駆動装置100とを備える。ここで、波長変換装置102は、励起光源101の光路に位置し、第1の駆動装置100は、波長変換装置102を駆動する。励起光源101は固体半導体発光素子であり、好ましくは青色又はUV光等の励起光を発し、更に好ましくは青色又はUV光を発生するレーザダイオード(LD)、LED又はレーザダイオードとLEDとの組合せである。ここで、励起光源101は上記光源のアレイ、すなわち、LDアレイ、LEDアレイ又はLDとLEDとの組み合せアレイであってもよい。好ましくは、本発明の励起光源101は、LDを励起光源として採用する。LDは、LEDよりも光学拡張量(エタンデュ)が小さいだけでなく、光密度が高く、光強度が強い。
【0036】
波長変換装置102は、基板と、波長変換層とを備える。基板は、波長変換層を載置するためのものであり、波長変換層は、例えば、黄色蛍光体、シアン蛍光体、マゼンタ蛍光体等の蛍光体を有し、励起されて広いスペクトル光を発する。好ましくは、基板が円形状の場合、波長変換層は基板の周縁部に位置してリング状に配置され、基板が矩形状の場合、波長変換層は基板の表面に位置して帯状に配置される。第1の駆動装置100は、波長変換装置102が移動する(円周移動、水平移動又は垂直移動)ように駆動することで、励起光により波長変換層に形成されたスポットが、所定の経路に沿って波長変換層に作用する。好ましくは、第1の駆動装置100はモータであり、基板は円形基板であり、モータは基板の中心に位置する。
【0037】
(2)第2の光源103は、第2の波長光を発し、この第2の波長光は、波長範囲が第1の広いスペクトル光とは異なる。ここで、第2の光源103の発光色は特に限定されず、第1の光源1の出射光に応じて決定される。第1の光源1の分光された光と第2の光源103からの光とが組み合わさることで、少なくとも三原色光が発生する。好ましくは、第2の光源103から出射する光は、三原色光のうちの任意の1つの色の光である(すなわち、赤、緑及び青のいずれか1つ)。例えば、第1の光源1が黄色光を出射し、分光されて赤色光と緑色光を与えれば、第2の光源103は好ましく青色光を出射する。第1の光源1が青色光を出射し、分光されて緑色光と青色光を与えれば、第2の光源103は好ましく赤色光を出射する。本実施例では、第2の光源103はLEDでもLDでもよい。好ましくは、第2の光源103はレーザダイオード又はレーザダイオードアレイであり、本技術案において第2の光源103としてレーザダイオード又はレーザダイオードアレイを採用することにより、第2の光源103の光学拡張量(エタンデュ)が小さくなり、光源輝度が向上すると共に、後続の光合成分光装置2における波長光の光合成を実現することができる。
【0038】
以下、説明の便宜上、本実施例で例示される波長変換層は黄色蛍光体を含むものとし、第2の光源103から出射される第2の波長光は青色光とする。
【0039】
(3)光合成分光装置2は、第1の広いスペクトル光を、第1の通路11に沿って伝導する第3の波長光と、第2の通路12に沿って伝導する第4の波長光とに分光すると共に、少なくとも一部の第2の波長光を第2の通路12に沿って伝導させる。
【0040】
光合成分光装置2は、具体的には第1のダイクロイック素子104と第2のダイクロイック素子105とを備える。ここで、第1のダイクロイック素子104は、第1の空間光変調器106と第1の光源1との間に位置し、第2のダイクロイック素子105は、第2の光源103と第2の空間光変調器107との間に位置する。第1の光源1からの出射光は黄色光であり(すなわち、黄色蛍光体が励起されて黄色光を発する)、この黄色光は第1のダイクロイック素子104に到達した後、第3の波長の赤色光と第4の波長の緑色光とに分光される。ここで、第1のダイクロイック素子104は、赤色光が透過して緑色光が反射するように設計されており、第2のダイクロイック素子105は、青色光が透過し緑色光が反射するように設計されている。赤色光は、第1の通路11に沿って第1の空間光変調器106に入り、緑色光は、第2のダイクロイック素子105まで反射された後に第2の通路12に沿って第2の空間光変調器107に入る。
【0041】
第2のダイクロイック素子105は、ある波長帯域の波長の光を反射し、他の波長帯域の光を透過する。或いは、第2のダイクロイック素子は、ある1つ又は複数の波長帯域の光を反射し、他の波長帯域の光を透過する。
【0042】
(4)第1の空間光変調器106は、第1の通路11に沿って伝導する光を変調する。第2の空間光変調器107は、第2の通路12に沿って伝導する光を変調する。ここで、第1の空間光変調器106と第2の空間光変調器107は、DMD(Digital Micromirror Device、デジタルマイクロミラーデバイス)、LCD(Liquid Crystal Display、液晶表示装置)又はLCOS(Liquid Crystal on Silicon、液晶オンシリコン)などを備えていてもよい。
【0043】
第1の空間光変調器106は赤色光を変調し、第2の空間光変調器107は時系列の青色光と緑色光とを変調する。ここで、黄色光は黄色蛍光体が励起されて発生したものであり、黄色光は分光された後、赤色光と緑色光を与える。黄色蛍光体は変換効率が高く、一方、赤色光と緑色光は同一の時系列の光であって且つ同時に利用されるので、光源の変換効率及び光利用効率を大幅に向上することができる。第1の光源1がシアン光を発する場合、シアン光は青色光と緑色光に分光され、第2の光源103は赤色光を供給することで、同様に光源の変換効率及び光利用効率を向上することができる。
【0044】
(5)コントローラ108は、第1の光源1及び第2の光源103を制御すると共に、第1の空間光変調器106と第2の空間光変調器107による変調を制御する。
【0045】
図3において、コントローラ108は、第1の光源1及び第2の光源103をパルス変調して、第1の光源1と第2の光源103の輝度及びオン/オフ等を制御する。第1の空間光変調器106と第2の空間光変調器107に対するコントローラ108による制御は、光の時系列の変調及び光出力の変調を含む。
【0046】
図4に示すように、コントローラ108は、データ処理モジュール1081及び制御モジュール1082を備えていてもよく、データ処理モジュール1081は、ソースデータがコントローラ108に入力された後、ソースデータの処理を行う。制御モジュール1082は、第1の光源1及び第2の光源103のオン/オフを制御して、光源のオン/オフに応じて第1の空間光変調器106と第2の空間光変調器107が光変調するように制御する。本実施例におけるソースデータには、映像データ又は画像データが含まれる。
【0047】
以下、図5図7を参照しながら、制御モジュール1082の制御プロセス又は動作プロセスを説明する。制御モジュール1082は、第1の光源1及び第2の光源103のオン/オフを順番に制御し、1つのサイクルにおける第1の光源1と第2の光源103のオン状態は重なり合わない。図5に示すように、制御モジュール1082は、1つのサイクルにおいて最初の0.3Tの期間で第1の光源1が発光せず、第2の光源103が発光するように制御する。第2の光源103からの光(青色光として示す)は、第2の通路12を通過して第2の空間光変調器107に到達し、制御モジュール1082は、第2の空間光変調器107が青色光を変調して映像データ又は画像データに対応する青色光を出力するように制御する。制御モジュール1082は、0.3T〜1Tの期間では第1の光源1が発光して第2の光源103が発光しないように制御し、第1の光源1における励起光源101は励起光を発し、その励起光は波長変換装置102に到達して波長変換装置102における波長変換材を励起してトリガーされた黄色光を発生させる。光合成分光装置2は、黄色光を赤色光と緑色光に分光して、赤色光は第1の通路11に沿って第1の空間光変調器106に入り、緑色光は第2の通路12に沿って第2の空間光変調器107に入る。制御モジュール1082は、第1の空間光変調器106が赤色光を変調した後、映像データ又は画像データに対応する赤色光を出力するように制御すると共に、第2の空間光変調器107が緑色光を変調した後、映像データ又は画像データに対応する緑色光を出力するように制御する。ここで、空間光変調器に対する制御モジュール1082による制御は、データ処理モジュール1081で処理されたデータ結果に応じて実現するものであり、更に具体的に言えば、入力されたフレームデータごとに画像画素点上のR、G、B値に対応して、第1の空間光変調器106と第2の空間光変調器107がそれらの空間光変調器に到達した赤色光、緑色光、青色光の三色光を変調するように制御することにより、空間光変調器から出力された光の色度と各フレームデータに対応する画像画素点上のR、G、Bの値とがそれぞれ対応するので、画像表示時のハイファイを確保することができる。図5は、制御モジュール1082が第1の光源1及び第2の光源103のオン/オフを順番に制御することを示している。図6に示すように、第1の光源1と第2の光源103とのオン/オフは、実際の応用時には1つのサイクルTにおいて重なり合ってもよい。
【0048】
ここで、図6図5との差異についてのみ説明する。制御モジュール1082は、第1の光源1と第2の光源103とのオン/オフを制御して、1つのサイクルにおける第1の光源1と第2の光源103のオン状態は少なくとも一部が重なり合う。図6に示すように、1つのサイクルにおいて、第1の光源1と第2の光源103が点灯する時間帯は重なり合ってもよく、例えば、0.3T〜0.4Tの時間帯において第1の光源1と第2の光源103は何れもオンの状態であり(図6A図6Bに示す)、このとき0.3T〜0.4Tにおいて第1の空間光変調器106は赤色光を変調し(図6Cに示す)、第2の空間光変調器107はシアン光を変調している(図6Dに示す)。ここで、シアン光は青色光と緑色光の合成光であり、この変調モードにより、空間光変調器から出力された光の輝度を向上させることができる。この変調モードは、1つの原色シアン光が増加することに相当し、これにより、色域を拡大して出力輝度を向上させることができる。
【0049】
当然ながら、第1の光源1と第2の光源103の1つのサイクルにおけるオン/オフの回数は少なくともN回であり(Nは正整数である)、図7に示すように、制御モジュール1082は、第1の光源1及び第2の光源103をPWM変調する。第1の光源1及び第2の光源103のデューティ比は特に限定されず、例えば、第1の光源1のデューティ比は60%であり、第2の光源103のデューティ比は40%又は50%である。本技術案では、時系列における色の切り替え速度を向上することにより、「レインボー」効果を解消することができる。
【0050】
本実施例において、第1の光源1は広いスペクトル光を発し、第2の光源103は三原色光のうちの任意の1つの色の光を発する。コントローラ108は、2つの光源を制御すると共に、第1の光源1と第2の光源103との光が何れも利用されるように空間光変調器を変調することにより、光源の変換効率を向上させると共に、空間光変調器が同時に動作して異なる色の光を同時に変調することにより、原色光の切替速度をアップして「レインボー」効果の出現を効率的に回避することができる。なお、2つの空間光変調器を採用することにより、光源システムから出力した光の輝度を確保する同時に、光源システムの構成を比較的簡単にすると共にコストを比較的に低くすることができる。
【0051】
本発明に係る第2の実施例は、光源システムに関するものであり、以下、図8を参照して説明する。この光源システムは、第1の光源801と、第2の光源802と、光合成分光装置2と、第1の空間光変調器805と、第2の空間光変調器806と、コントローラ807とを備える。
【0052】
第2の実施例と第1の実施例との差異は、第1の光源801が合成光源を備え、この合成光源から発せられる合成光が光合成分光装置2により分光されて少なくとも二色光が発生し、この二色光がそれぞれ第1の通路81と第2の通路82に沿って第1の空間光変調器805と第2の空間光変調器806に入るという点にある。合成光源は固体半導体発光素子であり、好ましくはLED又はレーザダイオードの合成光源であり、例えば、三原色光のうちの任意の二色光を発するLED光源、LEDチップ表面を波長変換材料で覆ったもの又はLED光源とレーザ光源との合成光源である。ここで、LED光源とレーザ光源との合成光源を採用することにより、光源の輝度を向上できるだけでなく、広いスペクトル光を取得することもできる。コントローラ807は、第1の光源801における合成光源が同時にオン/オフするように制御する。合成光源の光は、直接に光合成分光装置2における第1のダイクロイック素子803に到達して、第1の通路81に沿って伝導する赤色光と第2の通路82に沿って伝導する緑色光とに分光される。本実施例の技術案では、光源システムの光源は合成光源であり波長変換装置を必要としないため、構成がより簡単であると共に、光源システム全体の輝度を大幅に向上することができる。
【0053】
本発明に係る第3の実施例は、光源システムに関するものであり、以下、図9を参照して説明する。この光源システムは、第1の光源1と、第2の光源904と、光合成分光装置2と、第1の空間光変調器907と、第2の空間光変調器908と、コントローラ909とを備える。
【0054】
第3の実施例と第1の実施例との差異は、第1の光源1が励起光を発する励起光源901と、励起光を受光してトリガーされた光を発する波長変換装置902と、ダイクロイックフィルタ903とを備えることである。ここで、波長変換装置902は、透過型でも反射型でもよい。波長変換装置902が透過型である場合、励起光源901は、波長変換装置902において波長変換層で覆われている一方側又は対向側(光合成分光装置2から遠い側)に位置する。ダイクロイックフィルタ903は、波長変換装置902と励起光源901との間に位置する場合、励起光を透過して受励起光を反射することにより、ダイクロイックフィルタ903へ入射された受励起光は第1の光源1の出射光になり、出射光の輝度が向上する。波長変換装置902が反射型である場合、励起光源901とダイクロイックフィルタ903は波長変換装置902の同一側に位置し、ダイクロイックフィルタ903は受励起光の光路に位置し、励起光源901より発せられた励起光は波長変換装置へ斜めに入射し、ダイクロイックフィルタ903は受励起光を透過して励起光を反射する。これにより、ダイクロイックフィルタ903へ入射した使用されていない励起光が波長変換装置902へ反射され、再び波長変換装置902における波長変換材料を励起することで励起光が十分に利用されて、より多量のトリガーされた光が発生して出射光の輝度が向上する。
【0055】
なお、本実施例における光源システムは、1つ又は複数のレンズを更に備えていてもよく、このレンズは、光ビームを集積又は収集して、光伝導プロセスにおける光損失を低減して光利用効率を向上させることに用いられる。ここで、このようなレンズは、励起光源901と波長変換装置902との間、波長変換装置902とダイクロイックフィルタ903との間、第1の光源1と光合成分光装置2との間、第2の光源904と光合成分光装置2との間などに位置する。光源システムにおいて使用されるレンズの数は特に限定されず、受光と集積光の必要に応じてレンズを設置すればよい。
【0056】
本発明の上記の三つの実施例では、光合成分光装置は波長光合成の形態を採用して第1の広いスペクトル光と第2の波長光を光合成して、光学拡張量(エタンデュ)を増加せずに投影システムの光利用効率及び輝度を向上させることができる。
【0057】
本発明に係る第4の実施例は、光源システムに関するものであり、以下、図10を参照して説明する。本実施例における光源システムは、第1の光源1と、第2の光源3と、光合成分光装置2と、第1の空間光変調器1013と、第2の空間光変調器1014と、コントローラ1015とを備える。ここで、光合成分光装置2は第1の光源1と第2の光源3の光路に位置し、第1の光源1と第2の光源3の光を分光又は光合成した後、光が第1の空間光変調器1013と第2の空間光変調器1014に伝導される。コントローラ1015は、第1の光源1、第2の光源3、第1の空間光変調器1013、第2の空間光変調器1014と電気的に接続され、第1の光源1と第2の光源3を制御すると共に、第1の空間光変調器1013と第2の空間光変調器1014による変調を制御する。
【0058】
(1)第1の光源1は、第1の広いスペクトル光を発する。第1の広いスペクトル光は、少なくとも10nmの波長範囲の光をカバーする光であり、好ましくは、30nmの波長範囲の光をカバーする光である。本実施例において、第1の光源1は、第1の励起光源1001及び第1の波長変換装置1002を含む。第1の励起光源1001は、好ましく固体半導体発光素子であり、励起光を発する。励起光は、青色又はUV光等であってもよい。第1の波長変換装置1002は、波長変換層(波長変換層は蛍光材料を含む)を有し、励起光により励起されて励起光とは異なるトリガーされた光を発する。図11に示すように、蛍光材料は、第1の波長変換装置1002のリング状の区域102に塗布され、波長変換層を形成する。蛍光材料は、マゼンタ色蛍光体、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体であってもよい。本実施例では、波長変換層は好ましくは黄色蛍光体であり、黄色蛍光体は励起光により励起されて黄色光を発する。黄色光の波長範囲は、567nm〜617nmである。当然ながら、本実施例における第1の光源1は、更に第1の駆動装置を備え、この駆動装置は、第1の波長変換装置1002が移動するように駆動する。好ましくは、第1の駆動装置はモータである。ここで、第1の励起光源1001は、第1の波長変換装置1002の一方側に位置し、第1の励起光源1001が発した励起光は、第1の波長変換装置1002の蛍光材料に入射する。第1の駆動装置は、第1の波長変換装置1002のうち、波長変換層が配置された位置とは異なる区域に位置する。
【0059】
(2)第2の光源3は、広いスペクトル光を発する光源又は三原色光のうちの任意の1つの光を発する光源である。ここで、三原色光は赤、緑、青の光である。広いスペクトル光は、少なくとも10nmの波長範囲をカバーする。
【0060】
第2の光源3の発する光が三原色光のうちの任意の1つの光である場合、図10に示すように、第2の光源3は第2の励起光源1003を備えていてもよく、好ましくは、第2の励起光源1003の発する光は青色光である。第2の光源3は、更に散乱装置1004を備える。散乱装置1004は、第2の励起光源1003の光路に位置し、第2の励起光源1003のコヒーレンス特性を除去して「スペックル」現象を低減する。ここで、散乱装置1004は、1つの透過性基板を備えていてもよく、この基板には散乱材料が設けられている。或いは、散乱装置1004は、一つの透過性散乱基板を備え、この透過性散乱基板は散乱材料により構成されている。光は物体を透過したときに必ず熱量を発生させるため、散乱装置1004は更に1つのモータを備えていてもよく、このモータは、基板が移動するように駆動することにより散乱装置1004を移動させて、熱量が散乱装置1004の1点に集積して散乱装置1004の散乱効率に影響を与えることを避ける。本実施例において、散乱装置1004における散乱機能を有する区域は第2の励起光源1003の光路に設けられ、このような散乱装置1004を利用することにより、最終的に得られる出射光の「スペックル」現象の発生を効果的に避けることができる。
【0061】
一方、第2の光源3が広いスペクトル光を発する場合、図12及び図13に示すように、第2の光源3は、第2の励起光源1203と第2の波長変換装置1204とを備えていてもよい。ここで、第2の波長変換装置1204は、第2の励起光源1203の光路に位置し、第2の励起光源1203は、青色光又はUV光等を発する固体半導体発光素子で励起光を発する。第2の波長変換装置1204は、基板1303に波長変換層1301を設けたものであり、基板1303は、特に限定されず透過型基板でも反射型基板でもよく、図12には透過型の基板1303を有する第2の波長変換装置1204(反射型基板の波長変換装置の構成については、図9における第1の光源の構成を参照)が示されている。波長変換層1301は、好ましくはマゼンタ色蛍光体又はシアン色蛍光体を含む。波長変換層1301は、基板1303の外側円周に塗布されている。更に、第2の波長変換装置1204は、もう1つの散乱層1302を備え、散乱層1302が波長変換層1301と基板1303との間に位置してもよいし、波長変換層1301が散乱層1302と基板1303との間に位置してもよい。散乱層1302は、第2の光源3からの出射光がより均一になるようにすることで、最終的に得られる出射光の「スペックル」現象の発生を避けることができる。なお、散乱層1302と波長変換層1301とは同一の層であってもよく、すなわち、散乱材料と波長変換材料とを混合して1つの波長変換散乱層としてもよい。このようにすることで、第2の波長変換装置1204の構成がより簡単になると共に、より均一に散乱させることができる。
【0062】
なお、第2の波長変換装置1204と第2の励起光源1203との間、そして第2の光源3の出射光路にはそれぞれ1つのレンズが含まれていてもよく、このレンズは、光を収集又は集積して光の拡散による損失を低減するために用いられ、これにより、第2の光源3の出射光の輝度を向上させることができる。
【0063】
(3)光合成分光装置2は、第1の広いスペクトル光を、第1の通路に沿って伝導する第3の波長光と、第2の通路に沿って伝導する第4の波長光とに分光すると共に、少なくとも一部の第2の波長光を第2の通路に沿って伝導することに用いられる。
【0064】
本実施例では、光合成分光装置2は、光路伝導方向に沿って順次に配置された第1の反射鏡1006と、ダイクロイック素子1005と、第1の集束レンズ1007と、光均一化装置1008と、第2の集束レンズ1009と、第2の反射鏡1010と、TIRプリズム1011と、フィリップスプリズム1012とを備える。ここで、第1の反射鏡1006は、第2の光源3の出射光の光路に位置し、第2の光源3の出射光をダイクロイック素子1005の方に反射する。ダイクロイック素子1005は、第1の光源1の出射光の光路(ここでは第1の光路と称する)に位置し、第1の光源1の出射光を透過すると共に、第2の光源3の出射光が第1の光路に沿って伝送するように反射する。第1の集束レンズ1007は、第1の光路の光を収束する。光均一化装置1008は、好ましくは光均一化棒を含むが、これに限定されない。光均一化装置1008は、第1の光路に位置し、第1の光路の光を更に均一化する。第2の集束レンズ1009は、第1の光路に位置し、第1光路の光を収束する。第2の反射鏡1010は、第1の光路の光がTIRプリズム1011に入射するように反射する。TIRプリズム1011は、第1の光路の光をフィリップスプリズム1012に反射する。フィリップスプリズム1012は、第1の光源1の出射光を、第1の通路に沿って伝導する第3の波長光と、第2の通路に沿って伝導する第4の波長光とに分光すると共に、少なくとも一部の第2の光源3の出射光(第2の波長光)を第2の通路に沿って伝導させる。第2の光源3の出射光が広いスペクトル光である場合、フィリップスプリズム1012は第2の光源3の出射光を、第1の通路に沿って伝導する第5の波長光と、第2の通路に沿って伝導する第6の波長光とに分光する。ここで、第4の波長光と第5の波長光は、同じ色で異なる主波長の光であってもよく、これにより、光源システムの色域範囲を向上させることができる。なお、第1の光源1と第2の光源3の出射光の色が同じである場合には、スペクトル範囲が異なるため、第1の光源1と第2の光源3との出射光を効果的に合成することができ、光学拡張量を増加せずに光利用効率を向上させることができる。
【0065】
(4)空間光変調器は、第1の空間光変調器1013と第2の空間光変調器1014とを備える。第1の空間光変調器1013は、第1の通路を伝導する光を変調する。第2の空間光変調器1014は、第2の通路を伝導する光を変調する。
【0066】
(5)コントローラ1015は、第1の励起光源1001と第2の励起光源1003を制御すると共に、第1の空間光変調器1013と第2の空間光変調器1014とによる変調を制御する。ここで、コントローラ1015は、第1の励起光源1001と第2の励起光源1003をパルス変調して、第1の励起光源1001と第2の励起光源1003の輝度及びオン/オフ等を制御する。第1の空間光変調器1013と第2の空間光変調器1014に対するコントローラ1015による変調の制御は、光の出射量に対する変調を含む。
【0067】
以下、図14を参照してコントローラ1015の制御プロセスや動作プロセスを説明する。説明を容易にするために本実施例では、第1の光源1の出射光を黄色光とし、第2の光源3の出射光をシアン光とする。ここで、黄色光は、光合成分光装置により分光されて赤色光と第1の緑色光を与える。シアン光は、光合成分光装置により分光されて第2の緑色光と青色光を与える。コントローラ1015は、1つのサイクルにおいて、最初の0.3Tの期間で第1の光源1が発光せず、第2の光源3が発光するように制御する。第2の光源3の光はフィリップスプリズム1012により分光され、青色光は第2の通路を通過して第2の空間光変調器1014に到達し、第2の緑色光は第1の通路を通過して第1の空間光変調器1013に到達し、コントローラ1015は、第2の空間光変調器1014が青色光を変調するように制御すると共に、第1の空間光変調器1013が第2の緑色光を変調するように制御する(この変調は、コントローラ1015がソースデータを処理した結果に基づいて実行される)。0.3T〜1Tの期間で、コントローラ1015は、第1の光源1が発光するように制御し、第2の光源3が発光しないように制御する。第1の光源1の出射光が黄色光であり、黄色光はフィリップスプリズム1012により赤色光と第1の緑色光に分光され、赤色光は第1の通路に沿って第1の空間光変調器1013に入り、第1の緑色光は第2の通路に沿って第2の空間光変調器1014に入る。コントローラ1015は、第1の空間光変調器1013が赤色光を変調するように制御し、第2の空間光変調器1014が第1の緑色光を変調するように制御する。ここで、第1の緑色光と第2の緑色光は同じ色で異なる主波長の光であるが、色合成された後、緑色原色光を与える。実際の応用時には、第1の光源1の出射光と第2の光源3の出射光とは、いずれも任意の広いスペクトル光であってもよい(分光された後に取得した原色光が、少なくとも3つの原色光を備えていればよい)。第1の光源1の出射光と第2の光源3の出射光とは、分光された後、光合成分光装置2により光合成されてフィリップスプリズム1012により分光される。第1の光源1からの光は分光された後、2つの異なる色の原色光を与え、第2の光源3からの光は分光された後、2つの異なる色の原色光を与える。ここで、第1の光源1から分光されたある原色光と第2の光源3から分光されたある原色光とは光合成された後、1つの原色光になることができる。このようにすることで、光源の色域範囲を向上させて、光源システムから出射した光が表示区域に到達して画像がよりハイファイになる。本実施例では、第1の光源1の出射光は黄色であり、第2の光源3の出射光はライトマゼンタであるが、第1の光源1の出射光と第2の光源3との出射光の色は相互に交換することができ、その具体的な分光及び光合成については上記の実施例を参照すればよい。
【0068】
図14には、制御モジュール1082が第1の光源1及び第2の光源3のオン/オフを順番に制御することが示されている。実際の応用時には、第1の光源1と第2の光源3とのオン/オフは1つのサイクルTにおいて重なり合っていてもよく、1つのサイクルTにおいてN回(Nは正整数である)オン/オフされてもよい。第1の光源1と第2の光源3は、1つのサイクルTにおいて複数回オン/オフされて、光の切り替え周波数を向上させることで「レインボー」効果を効率的に克服することができる。
【0069】
本実施例の上記形態では、2つの広いスペクトル光が光合成分光装置2により分光された後、2つの空間光変調器に入り、光源の光が損失せず、2つの空間光変調器は同一の時間帯で異なる色の光を変調することで、光源の輝度を更に向上させることができる。なお、2つの空間光変調器は同時に光処理することで三原色の切り替え速度を高め、「レインボー」効果を回避することができる。
【0070】
本発明は更に投影システムを備えていてもよく、その投影システムは上記のいずれかの実施例における光源システムを備える。
【0071】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面に基づいて想起される構成及び他の関連する技術分野への直接的又は間接的な応用は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】