(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-513739(P2017-513739A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】プレポリマーおよび鎖延長剤より得られる熱可塑性ポリマーを含浸させた複合材料のための方法
(51)【国際特許分類】
B29B 15/12 20060101AFI20170428BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20170428BHJP
B29K 77/00 20060101ALN20170428BHJP
B29K 101/12 20060101ALN20170428BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20170428BHJP
【FI】
B29B15/12
B29C67/14 W
B29C67/14 L
B29K77:00
B29K101:12
B29K105:08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-562990(P2016-562990)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月13日
(86)【国際出願番号】FR2015051018
(87)【国際公開番号】WO2015159021
(87)【国際公開日】20151022
(31)【優先権主張番号】1453352
(32)【優先日】2014年4月15日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オシュステテール,ジル
(72)【発明者】
【氏名】ブリフォー,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】カプロ,マチュー
【テーマコード(参考)】
4F072
4F205
【Fターム(参考)】
4F072AA08
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4F205HF30
4F205HK03
4F205HK04
4F205HM02
(57)【要約】
本発明は、75℃以下のガラス転移温度Tgおよび150℃から250℃未満の融点または75℃を超えるTgを有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマーで含浸された1つ以上の強化繊維の集合体を含む複合材料を製造するための方法であって、該方法は
i) 少なくとも1つの熱可塑性ポリマーでバルク形態の集合体を含浸する工程であって、該ポリマーは
a) 炭化水素系分子鎖Pを含み、その末端にn個の同一の反応性官能基Xを有する該熱可塑性ポリマーの少なくとも1つのプレポリマーP(X)nであって、XはOH、NH
2またはCOOHからの反応性官能基であり、nは1から3の範囲である該プレポリマー、
b) Y−A−Yによって表され、プレポリマーa)の官能基Xの少なくとも1つと反応性である2つの同一の官能基Yを含む少なくとも1つの鎖延長剤であって、Aは2つの官能基Yを結合する共有単結合または非ポリマー炭化水素系の2価の基である鎖延長剤
を含む反応性前駆体組成物の重付加反応による重合の生成物である工程、
ii) 繊維の予備含浸を冷却し、得る工程、
iii) 前記複合材料を処理し、最終成形する工程
を含む該方法に関する。
本発明は、繊維の予備含浸物または複合部品の処理を可能にする繊維の集合体の含浸のためのマトリックスとしての前記熱可塑性ポリマーの使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは75℃以下のガラス転移温度Tgおよび150℃から250℃未満の範囲の融点(Tm)を有する、または75℃を超えるTg、好ましくは少なくとも80℃、より優先的には100から200℃、さらにより優先的には110から200℃、特には110℃から180℃未満のTgを有する、マトリックスとしての少なくとも1つの熱可塑性ポリマーで溶融含浸された、1つ以上の合成または天然の、好ましくは長い強化繊維の集合体を含む複合材料を製造するための方法であって、該方法は
i) バルク溶融形態の集合体を、特に、バルク溶融形態の含浸温度で、200Pa.sを超えない、好ましくは150Pa.sを超えない粘度を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマーで含浸する工程であって、該少なくとも1つのポリマーは、前駆体反応性組成物の重付加反応による重合の生成物であり、該前駆体反応性組成物は、
a) 炭化水素系分子鎖Pを含み、その末端にn個の同一の反応性官能基Xを有する、該熱可塑性ポリマーの少なくとも1つのプレポリマーP(X)nであって、XはOH、NH2またはCOOHからの反応性官能基であり、nは1から3の範囲であり、好ましくはnは1または2であり、より優先的には2であり、特に500から10000、好ましくは1000から10000、より優先的には1000から6000、さらにより優先的には2000から6000g.モル−1の数平均分子量Mnを有する該プレポリマー、
b) Y−A−Yによって表され、プレポリマーa)の官能基Xの少なくとも1つと反応性である2つの同一の官能基Yを含む少なくとも1つの鎖延長剤であって、Aは2つの官能基Yを結合する共有単結合であるか、または非ポリマー炭化水素系の2価の基であり、該延長剤は、好ましくは、オキサジン、オキサゾリン、オキサゾリノン、オキサジノン、イミダゾリン、エポキシ、イソシアネート、マレイミド、環状無水物またはアジリジン、好ましくはオキサゾリンまたはオキサジンから選択されるY、および500未満、特に400未満の分子量を有する鎖延長剤、
を含む工程、
ii) 繊維の予備含浸物を冷却し、得る工程、
iii) 前記複合材料を処理し、最終成形する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド−ポリエーテルを含むそれらのコポリマーまたはそれらの混合物、および好ましくは、ポリアミドから選択される含浸ポリマーのプレポリマーを含む前駆体反応性組成物を重合することによって得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プレポリマーP(X)nが、n=1または2、好ましくはn=2に対応し、XはOH、NH2またはCOOH、好ましくはNH2またはCOOHから選択される反応性官能基であり、炭化水素系分子鎖Pが、半脂環式および/または半芳香族構造を有し、ポリマーが、75℃を超える、好ましくは少なくとも80℃のTgを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
熱可塑性ポリマーが、官能基Yを有する延長剤b)を含む前駆体組成物から得られることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、
該官能基Yが、該プレポリマーの官能基Xに対して以下の関係:
− NH2またはOH、特にNH2であるXに対し:
・ 以下の群:マレイミド、場合によりブロックされたイソシアネート、オキサジノンおよびオキサゾリノン、環状無水物、エポキシド、好ましくはオキサジノンおよびオキサゾリノンから選択されるY
ならびに
− XがCOOHである場合:
・ 以下の群:オキサゾリン、オキサジン、イミダゾリンまたはアジリジン、例えば、1,1’−イソまたはテレフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン)、好ましくはオキサゾリンから選択されるY
から選択される、前記方法。
【請求項5】
Yが、オキサジノン、オキサゾリノン、オキサジン、オキサゾリンおよびイミダゾリン、好ましくはオキサゾリンから選択され、Aが、2つの官能基Yの間の共有単結合またはアルキレン(CH2)m−を表し、ここでmは1から14、好ましくは2から10の範囲であり、またはAが、シクロアルキレンまたはアルキル置換もしくは無置換のアリーレン、特に、o−、m−もしくはp−フェニレンから選択されるベンゼンアリーレンまたはナフタレンアリーレンを表し、Aが、好ましくはシクロアルキレンまたはアリーレンであるか、またはAが、2つの官能基Yの間の共有単結合であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
熱可塑性ポリマー中の延長剤の重量含有率が、1%から20%、好ましくは5%から20%の範囲であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリマーの鎖が、延長剤分子b)を介して一緒に連結されたプレポリマーa)の少なくとも2つの鎖を含み、ポリマーの鎖当たりのプレポリマー鎖a)の数が、好ましくは2から80、好ましくは2から50の範囲であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、75℃未満のTgおよび150℃から250℃未満の範囲の融点を有する半結晶性であり、ポリマーおよびそのプレポリマーa)が、好ましくは、ポリアミドPA6、PA11、PA12、PA6.10、PA6.12、PA10.10、PA10.12に基づくことを特徴とする、請求項1または2および4から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プレポリマーa)が、官能基X=カルボキシル基を有し、ここでn=2(±0.1)であり、延長剤b)が、官能基Y=オキサゾリンを有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性ポリマーが、以下の式(I)
【化1】
[式中、R=Aであり、Aは請求項1または5に従って定義された通りであり、共有単結合または場合により置換された脂肪族または脂環式または芳香族炭化水素系鎖の2価の基から選ばれ、
R’は、場合により置換された脂肪族または脂環式または芳香族炭化水素鎖であって、隣接する−O−および−NH−単位を結ぶ最短の鎖は2または3個の炭素原子を含む鎖であり、
Pは、官能基X=カルボキシル基を有するプレポリマーの鎖である。]
に従った繰り返し単位構造を有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
延長剤が、フェニレン−ビス−オキサゾリン、好ましくは、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)および1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)から選択されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
プレポリマーa)が、ポリアミドプレポリマーであり、該ポリアミドプレポリマーが:
少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ジアミン、および4、5または6個の炭素原子の少なくとも1つの場合により置換された環を含む少なくとも1つの芳香族および/または脂環式ジカルボン酸の重縮合、ならびに/または
場合によりラクタム、アミノカルボン酸、または脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンの化学量論的な組み合わせから選択される少なくとも1つの化合物の存在下での、少なくとも1つの直鎖状または分岐状の脂肪族、脂環式または芳香族ジカルボン酸を有する、少なくとも1つの脂環式ジアミンの重縮合
から得られることを特徴とする、請求項1から7および9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーが、半芳香族および/または半脂環式ホモポリアミドまたはコポリアミドポリアミドであり、
より具体的には以下の式、即ち、8.T、9.T、10.T、11.T、12.T、6.T/9.T、9.T/10.T、9.T/11.T、9.T/12.T、9/6.T、10/6.T、11/6.T、12/6.T、10/9.T、10/10.T、10/11.T、10/12.T、11/9.T、11/10.T、11/11.T、11/12.T、12/9.T、12/10.T、12/11.T、12/12.T,6.10/6.T、6.12/6.T,9.10/6.T、9.12/6.T,10.10/6.T、10.12/6.T、6.10/9.T、6.12/9.T、9.10/9.T、9.12/9.T、10.10/9.T、10.12/9.T、6.10/10.T、6.12/10.T、9.10/10.T、9.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.T、6.10/12.T、6.12/12.T、9.10/12.T、9.12/12.T、10.10/12.T、11/6.T/9.T、11/6.T/10.T、11/6.T/11.T、11/6.T/12.T、11/9.T/10.T、11/9.T/11.T、11/9.T/12.T、11/10.T/11.T、11/10.T/12.T、11/11.T/12.T、6.T/10.T、6.T/11.T、6.T/12.T、10.T/11.T、10.T/12.T、11.T/12.T、12/6.T/10.T、12/6.T/11.T、12/6.T/12.T、12/9.T/10.T、12/9.T/11.T、12/9.T/12.T、12/10.T/11.T、12/10.T/12.T、12/11.T/12.Tからのポリアミド、または
12/が、9/、10/、6.10/、6.12/、10.10/、10.12/、9.10および9.12/に置き換えられる前記三元共重合ポリアミド、または
テレフタル酸(T)が、部分的にまたは完全にイソフタル酸(I)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸および/または1,3−もしくは1,4−CHDA(シクロヘキサンジカルボン酸)で置換され、脂肪族ジアミンの全てまたは一部が場合により脂環式ジアミンにより置き換えられた上記の全てのポリアミド、または
C6からC12脂肪族ジアミンが、BMACM、BACM、および/またはIPDAからの脂環式ジアミンで置き換えられ、および芳香族二酸Tの全てまたは一部が直鎖状または分岐鎖状のC6からC18脂肪族二酸で置き換えられた上記の全てのポリアミド
の1つに対応することを特徴とする、請求項1から7および9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性ポリマーが、半結晶性ポリアミドであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
含浸工程i)の前に、プレポリマーa)および延長剤b)を含む前駆体反応性組成物の重付加反応によるポリマーの調製工程i’)を含み、該反応が、好ましくは、延長剤中の溶融形態におけるバルク中で実施され、該溶融ポリマーが、含浸工程i)のための繊維の集合体へオンラインで移されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
含浸工程i)が、複合材料の最終処理のために、特に、溶融ポリマーを繊維の集合体へ移すことによって、金型内で行われることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
含浸工程i)が、複合材料の最終処理のために、金型の外部で行われることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
溶融含浸工程i)が、繊維の集合体に粉末形態のポリマーをまき散らす前工程、続いて粉末を加熱し、溶融する工程、および場合によりカレンダーリングする工程を含み、それにより最終処理工程iii)の前に工程ii)における中間生成物として予備含浸繊維材料を得ることを可能にすることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
処理工程iii)が、樹脂トランスファーによる成形(RTM)、構造反応射出成形(S−RIM)または注入成形もしくは圧縮射出成形を用いて、密閉した金型内で行われることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
処理工程iii)が、減圧下での予備含浸物の熱圧縮により行われることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
処理工程iii)が、得られた半完成製品の任意の追加の変換を、加熱した金型を通して引抜成形により、開放した金型内で行われることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
繊維の集合体が、金型内に配置されたプリフォームの形態であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
繊維が、炭素、ガラス、セラミック、およびアラミド繊維から選択される長繊維であることを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ポリマーマトリックスが、分散した形態の炭素系充填剤、特に、カーボンブラックまたは炭素系ナノ充填剤、好ましくは、グラフェンおよび/またはカーボンナノチューブおよび/またはカーボンナノフィブリルまたはそれらの混合物からの炭素系ナノ充填剤を含むことを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
複合材料が、航空機、自動車、鉄道、道路輸送、風力発電、太陽光発電、船舶、スポーツおよびレジャー、建物、土木工学、電気もしくは電子分野における適用のための、複合部品または物品の形態であることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
予備含浸繊維材料を製造するための、または複合材料から作られる最終部品を製造するための、1つ以上の合成または天然の強化繊維の集合体のバルク溶融含浸のためのポリマーとしての、請求項1から14で定義されたポリマーの使用。
【請求項27】
航空機、自動車、鉄道、道路輸送、風力発電、太陽光発電、船舶、スポーツおよびレジャー、建物もしくは土木、電気もしくは電子分野における、複合部品、特に機械的または構造的部品の製造に関することを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の強化繊維集合体のバルク溶融形態の少なくとも1つの特定のポリマーによる含浸を含み、ポリマーはこのポリマーのプレポリマーおよびこのプレポリマーと反応性の非ポリマー鎖延長剤に基づく前駆体反応性組成物の重付加反応による重合の生成物である、熱可塑性複合材料を製造するための特定の方法に関する。本発明は、特に、ポリマーが熱可塑性マトリックスである熱可塑性複合材料の製造のための、繊維状集合体のためのバルク溶融形態の含浸バインダーとしての前記非反応性ポリマーの使用に関する。より具体的には、この使用は、例えば、航空機、自動車、鉄道、道路輸送、風力発電、太陽光発電、船舶および海軍の建設、スポーツおよびレジャー、建設または土木工学分野のような様々な分野の用途において特に金属を置換するための、十分な機械的性能品質を有する複合材料から製造されたより軽い部品用の前記複合材料に基づく機械的または構造的成型部品に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料、より具体的にはポリマーマトリックスを含浸させた強化繊維を含む複合材料は、多くの技術分野で、特に、航空機、航空宇宙、風力発電、自動車、鉄道および船舶用途において使用されている。これらの用途は、特に主に高い加工温度での特定の用途に対して高い機械的性能品質を有する複合体を必要とする。
【0003】
熱硬化性ポリマーに基づくマトリックスを有する複合体は、これを製造する方法および加工の容易さのために、これらの市場で支配的な位置を占める。これらの材料は、例えば、航空機および自動車において、構造体の軽量化のためにますます使用されている。しかし、熱硬化性ポリマーは、サイクル時間を減少させること、エネルギー消費を削減することおよび使用される材料のリサイクル性に関して、特に自動車に対してこれらの材料の制限制約である、建設会社にのしかかるますます厳しい要件を満たすことができない。これらの材料の他の欠点として、その成分の一部の毒性およびそれらの取り扱いおよび使用中に揮発性有機化合物、例えば、スチレンのようなモノマーの放出が挙げられ、このため取扱いおよび加工のための特別な保護および/または条件を必要とする。熱硬化性材料のさらなる欠点は、サイズ安定性および成形後の表面外観に影響し、特別な処理を要求する焼成後の体積収縮である。
【0004】
また、容易にリサイクルできるという利点を持っており、ポリアミドの場合には熱硬化性ポリマーよりも軽い熱可塑性ポリマーは、ポリマーマトリックスとして複合体の分野に新たな視点を提供する。しかし、熱可塑性マトリックスを有する複合体を製造するための現在の方法は、熱硬化性材料を用いるものよりも制約され、その結果として、製造された複合体の品質は必ずしも最適ではない。熱可塑性複合体の使用のための本質的な制限因子は、繊維基材に含浸するマトリックスとして使用される熱可塑性ポリマーの粘度である。一般に、溶融形態ですらこの粘度は高いままであり、このため、液状樹脂、例えば、不飽和ポリエステルまたはビニルエステルに基づく熱硬化性樹脂よりも繊維基材の含浸をより困難にする。
【0005】
機械的応力に対する複合材料のより効率的な応答で、複合材料が受ける機械的応力の強化繊維への伝達を可能にするように、ポリマーマトリックスは、まず強化繊維の良好な含浸を有していなければならない。次に、このマトリックスによる強化繊維のコーティングはこれらの繊維に化学的保護を提供する。特に、熱可塑性マトリックス複合体が特に衝撃強度の点で最終的な使用のための良好な機械的特性を有するためには、マトリックスの熱可塑性ポリマーの分子量はできるだけ高いことが必要である。他方、この高い質量特性は、一般に、従来の熱可塑性ポリマーに対し、複合体の製造中に、マトリックスの熱可塑性ポリマーの高い溶融粘度により反映される。このため、この高い粘度は繊維の適切な含浸を達成するには深刻な難点を有する。このように、得られた複合体は生じた微小な空洞を有する含浸欠陥を有することがあり、この空洞は機械的な欠陥、特に繊維の剥離をもたらし、最終的な複合材料を脆弱にしがちである。
【0006】
繊維の含浸の問題を克服するために、種々の解決策が知られている。例えば、より高い圧力または温度で繊維の含浸を行うか、および/または含浸時間を長くすることが可能である。これらの解決策は不十分である。何故ならば、圧力の影響下で、繊維は局所的に正しい位置に置かれないおそれがあり、複合体の特性の損失をもたらすか、またはより高温の影響下で、ポリマーマトリックスが熱的に劣化し得、最終的な機械的性能の品質に有害な影響を有するからである。また、熱可塑性樹脂の高い粘度を補うために含浸時間を長くすることは、部品の大量生産に適合させるには長すぎることが分かる。また、高圧で機能する機器は、そのような機器のコストのために、大型の部品の製造に適合性がない。
【0007】
繊維の含浸を容易にするための別のアプローチは、繊維−マトリックス界面に作用することにある。このように、特許EP0201367号は、ポリマーと繊維との間の結合が、繊維の湿潤を促進する第2の低粘度の熱可塑性ポリマーによって提供される繊維強化熱可塑性ポリマー複合材料を提案する。この解決法は実施が容易ではない。何故ならば、それは第2のポリマーの存在を必要とするだけでなく、この第2のポリマーは繊維を濡らすための優れた能力を有する必要があり、また主たるポリマーとの良好な相溶性を有する必要があるからである。また、このポリマーは、その低分子量および/または低Tgおよび低融点におけるその低い熱強度に起因する弱点を構成し得る。
【0008】
また、FR2936441号は、複合物品のための補強材を含浸するための、5000から25000の範囲の非発展的なMwを有する低分子量ポリアミド「樹脂」の熱可塑性マトリックスとしての使用を記載する。ポリアミド樹脂は、特異性として20ミリ当量/kgを超えないアミンまたはカルボキシル末端基の含量を有し、アミンまたはカルボキシル末端の官能基のみを含むポリアミドに本質的に対応する。さらに、これは、それらの本質的な特徴である、これらのポリアミドの分子量の増加または発展的であるための条件が存在しないことを説明する。樹脂は、強化材料を含浸するために溶融形態の流体として提示される。しかし、前記ポリマーの分子量の制限は既に用途の性能を制限する。
【0009】
FR2603891号は、長い強化繊維で強化されたポリアミドマトリックスで構成される複合材料を製造するための方法を記載する。これらの繊維は、加熱の影響下で一緒に反応し、ポリマー鎖の延長をもたらすことができる反応性末端官能基を含むポリアミドプレポリマーまたはオリゴマーで含浸される。このオリゴマーまたはプレポリマーは低い分子量を有する。前記文献に記載の反応性官能基は縮合を介して反応し、結果として、水のような揮発性の縮合副生成物が形成され、この副生成物はそれらの除去に失敗すると、揮発性の副生成物によって形成された気泡の存在に起因して、得られた部品の機械的な性能品質に影響を与える可能性がある。
【0010】
WO2005/061209号は、熱可塑性ポリマーマトリックスおよび強化繊維を含む複合材料の前駆体である物品であって、この前駆体物品の溶融、特に熱圧縮によって複合材料を形成できるように、ポリマーマトリックスはそれ自身糸および/または繊維の形態である物品を記載する。この解決法は、多くの場合高価な共混合前操作を必要とし、またこれは、熱可塑性樹脂の粘度と分子量との間に形成される妥協の問題を解決しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第0201367号明細書
【特許文献2】仏国特許第2936441号明細書
【特許文献3】仏国特許第2603891号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/061209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、まず、特定の熱可塑性ポリマーマトリックスを有する複合材料を製造するための改良された方法であって、熱可塑性ポリマーは、例えば、15000から40000、好ましくは15000から30000であることができる高い分子量Mnにもかかわらず、繊維の含浸工程中に低い溶融粘度を有し、同時に短い生産サイクル、即ち、30分未満、より具体的には3分未満、およびそのため複雑な形状の複合部品の大量生産に適した高い生産性を可能にする方法に対する必要性がある。前記方法はまた、その構造のために、機械的性能、(特にポリアミドの場合)明るさおよびリサイクル性の観点において特に有利とされている、高分子量の熱可塑性ポリマーの使用に関連した技術的な利点を提供する。省エネおよび永続的な開発の状況でこれら最後の2つの環境的制約がますます課される。
【0013】
より詳細には、本発明が直面している課題は、バルク溶融形態での含浸に際し低い粘度を有する特定の熱可塑性マトリックスによる強化繊維の良好な含浸と高い分子量との間の妥協であり、このため低い圧力でより容易に強化されることができる繊維の予備含浸物(preimpregnate)の使用をより容易にし、そのため減圧下での標準的な技術、例えば、減圧下でのRTM、圧縮射出成形または注入を介して大型の複合部品を製造するのに、あまり高価でない金型を用いて低圧成形システムまたは技術のみを必要とする技術的解決法を見つけることという課題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
より具体的には、ポリマーは150℃から250℃未満の範囲のTmを有する半結晶性ポリマーに対しては75℃以下とすることができるガラス転移温度、または75℃を超える、好ましくは少なくとも80℃のTgを有する。75℃を超える特定のTgを有する後者の特定の場合には、言及した利点に加えて、特に高温での高い機械的性能を確保することができる。特に、本発明による前記ポリマーの使用は、特に減圧下でのRTM(樹脂トランスファー成形)またはS−RIM(構造RIMまたは構造反応射出成形)または圧縮射出成形または注入のような密閉金型内で、特に、除去すべきまたはポリマーの調製の残留物として存在するいかなる副生成物もなしで、複合体を製造するための技術に適合性でなければならない。
【0015】
出願人からの特許出願WO2013/060976号は、前記ポリマーの前駆体反応性組成物で開始する繊維状集合体の含浸を有するが、繊維の集合体のバルク溶融形態における含浸用ポリマーとしての、反応性組成物から得られるポリマーの使用についてのいかなる記載または示唆しない方法を既に記載する。驚くべきことは、反応性延長剤自体によるこのポリマーのプレポリマーの鎖延長に由来する特定のポリマーが、同じ分子量Mnを有するが、その構造に組み込まれる延長剤のないポリマー、特にポリアミドよりも低い粘度を有し、そのため低圧でより容易に強化され得る繊維の予備含浸物のより容易な使用を可能にし、そのため減圧下でRTM、圧縮射出成形または注入のような標準的な技術を介して大型の部品の製造のためのより安価な金型を用いる低圧成形システムのみが必要となることである。
【0016】
より詳細には、本発明の方法は、含浸前に制御された高分子量を既に有する一方で、特定の前駆体反応性組成物から誘導された低粘度の熱可塑性ポリマーを使用して強化繊維の非常に良好な含浸を可能にする。このようなポリマーの使用は強化繊維の良好な含浸、その結果目標とする高い機械的性能を可能にする。より具体的には、75℃を超える、好ましくは少なくとも80℃、より優先的には少なくとも90℃、さらにより優先的には少なくとも100℃のTgに対して、ポリマーは、高温での機械的強度、即ち、クリープ強度を可能にし、特に、少なくとも90℃の温度まで、好ましくは少なくとも100℃まではほとんど変化しない破壊係数および破壊応力の観点での機械的性能を有する。特に目標とする高い特定のTgに対し高温で安定な、繊維の良好な含浸と高い機械的性能との間のこの良好な妥協が、熱可塑性ポリマーの前駆体反応性組成物の重付加による重合反応を介して得られた熱可塑性ポリマーの直接使用によって可能となり、反応性組成物は、10000以下の低分子量Mnの、同一の反応性官能基を有するプレポリマーa)およびプレポリマーa)の官能基と共反応性である官能基を有する鎖延長剤b)を含む。これらの延長剤およびプレポリマーは、本発明のポリマーの製造に対し定義によって排除されたものである(ポリ)縮合による重合反応中で起こるような、ポリマーの調製条件下で気体状または揮発性の副生成物の形成および除去を回避し、それによりポリマー中、ひいては最終複合材料中の微小気泡の形成を回避するように選択される。
【0017】
このような処理を行うことにより、複合材料の優れた密着および強化繊維への力の最適な伝達および高い機械的性能が得られる。より具体的には、75℃を超える、好ましくは少なくとも80℃、より優先的には少なくとも100℃のTgを有するポリマーを選択する場合、それは特に少なくとも90℃、好ましくは少なくとも100℃の温度まで破壊係数および破壊応力の点でほとんど変化しない機械的性能品質によって、高温での使用に適合される。
【0018】
また、本発明は、非常に少なくとも複合体の分野で、熱硬化性ポリマーのために一般に保有される形成技術の使用を可能にする。本発明に従って、熱可塑性マトリックスを有する複合部品は、このように、特に減圧下で、構造反応射出成形(SRIM)によって、または圧縮射出成形によって、または注入によって、またはRTMによって製造することができる。
【0019】
本発明の第1の主題は、従って、1つ以上の合成または天然の、好ましくは長い強化繊維の集合体を含む複合材料を製造するための方法であって、集合体は、好ましくは75℃以下のガラス転移温度Tgおよび150℃から250℃未満の範囲のTmまたは75℃を超える、好ましくは少なくとも80℃、より優先的には100から200℃、さらにより優先的には110から200℃、特には110℃から180℃未満、さらにより具体的には120℃から170℃のTgを有する、マトリックスとしての少なくとも1つの熱可塑性ポリマーで溶融含浸されており、該方法は
i) バルク溶融形態の集合体を、特にバルク溶融形態の含浸温度で、200Pa.sを超えない、好ましくは150Pa.sを超えない、粘度を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマーで含浸する工程であって、該少なくとも1つのポリマーは
a) 炭化水素系分子鎖Pを含み、その末端にn個の同一の反応性官能基Xを有する該熱可塑性ポリマーの少なくとも1つのプレポリマーP(X)nであって、XはOH、NH
2またはCOOHからの反応性官能基であり、nは1から3の範囲であり、好ましくはnは1または2であり、より優先的には2であり、好ましくは半芳香族および/または半脂環式構造、および特に500から10000、好ましくは1000から10000、より優先的には1000から6000、さらにより優先的には2000から6000g.モル
−1の数平均分子量Mnを有する該プレポリマー、
b) Y−A−Yによって表され、プレポリマーa)の官能基Xの少なくとも1つと反応性である2つの同一の官能基Yを含む少なくとも1つの鎖延長剤であって、Aは2つの官能基Yを結合する共有単結合であるかまたは非ポリマー炭化水素系の2価の基であり、該延長剤は、好ましくは、オキサジン、オキサゾリン、オキサゾリノン、オキサジノン、イミダゾリン、エポキシ、イソシアネート、マレイミド、環状無水物またはアジリジン、好ましくはオキサゾリンまたはオキサジンから選択されるY、および500未満、特に400未満の分子量を有する、鎖延長剤
を含む前駆体反応性組成物の重付加反応による重合の生成物である工程、
ii) 繊維の予備含浸物を冷却し、得る工程、
iii) 前記複合材料を処理し、最終成形する工程
を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】試験E1およびCE1(PA11)の温度に関する粘度の変化を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
より具体的には、熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド−ポリエーテルを含むそれらのコポリマーまたはそれらの混合物、好ましくは、ポリアミドから選択される含浸ポリマーのプレポリマーを含む前駆体反応性組成物を重合することによって得られる。
【0022】
プレポリマーa)P(X)nは、特に、n=1または2、好ましくはn=2、および、OH、NH
2およびCOOH、好ましくはNH
2またはCOOHから選択される反応性官能基Xに対応し、炭化水素系分子鎖Pは半脂環式または半芳香族構造を有し、ポリマーは好ましくは75℃を超える、好ましくは少なくとも80℃、より優先的には少なくとも90℃のTgを有する。用語「半脂環式」は、本発明のポリマーまたはプレポリマーについて、ポリマーまたはプレポリマーがその単位に脂環式構造を含み、好ましくはその単位の少なくとも25モル%が脂環式構造を含むことを意味する。半芳香族構造を同様に定義することができる。
【0023】
用語「半結晶性」は、本発明の熱可塑性ポリマーについて、以下に示す方法に従ったDSCで測定した融点Tmに対応する溶融ピークを有するポリマーを意味する。分子量Mn、ガラス転移温度Tgおよび、場合によっては、融点Tmまたは結晶化温度Tcおよび溶融粘度または固有粘度の値は、具体的に特に言及しない限り、WO2013/060476号の36頁に表示されている方法に従って、より正確には以下のように決定される。
【0024】
ポリマーもしくはプレポリマーまたは前駆体組成物の溶融粘度は、直径50mmの2つの平行面の間で100秒
−1の剪断下で所定の温度で窒素フラッシング下、Physica MCR301レオメーターである、使用される測定器のコンストラクターのリファレンスマニュアルに従って測定される。
【0025】
プレポリマーまたは熱可塑性ポリマーのMnは、電位差測定法(OH末端官能基に対して過剰の試薬のバックアッセイおよびNH
2またはカルボキシルための直接アッセイ)に従った末端官能基Xの滴定(アッセイ)ならびに物質収支および反応物の官能性から計算された理論官能性n計算値(対X)から決定される。
【0026】
固有のまたは先天的な粘度の測定はm−クレゾール中で行われる。この方法は当業者に周知である。規格ISO 937に従っているが、溶媒が変更されている(硫酸の代わりにm−クレゾールを使用し、温度は20℃である)。
【0027】
使用される熱可塑性ポリマーまたは使用されるポリマー繊維のガラス転移温度Tg(Tg’)は、規格ISO 11357−2に従って第2の加熱サイクル後に示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。加熱および冷却速度は20℃/分である。
【0028】
融点Tmおよび結晶化温度Tcは、規格ISO 11357−3に従って第1の加熱後にDSCによって測定される。加熱および冷却速度は20℃/分である。
【0029】
本発明の方法のより特定の選択肢によれば、熱可塑性ポリマーはプレポリマーの官能基Xに対して以下から選択される官能基Yを有する延長剤b)を含む前駆体組成物から得られる。
− NH
2またはOH、特にNH
2であるXに対し:
・ 以下の群:マレイミド、場合によりブロックされたイソシアネート、オキサジノンおよびオキサゾリノン、環状無水物、エポキシド、好ましくはオキサジノンおよびオキサゾリノンから選択されるY
ならびに
− XがCOOHである場合:
・ 以下の群:オキサゾリン、オキサジン、イミダゾリンまたはアジリジン、例えば、1,1’−イソまたはテレフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン)、好ましくはオキサゾリンから選択されるY。
【0030】
別の選択肢によれば、ポリマーは75℃未満のTgおよび150℃から250℃未満の範囲の融点Tmを有する半結晶性であり、ポリマーおよびそのプレポリマーa)は、好ましくは、場合によりポリアミドPA6、PA11、PA12、PA6.10、PA6.12、PA10.10、PA10.12に基づく。
【0031】
含浸工程i)で使用される前記ポリマーを得るために適している延長剤に関し、反応性官能基Yを有する鎖延長剤の例として、本発明の方法に使用されるポリマーの使用に適しているオキサゾリンまたはオキサジンを挙げることができる。本出願人からの特許出願EP0581642号の7頁の参照A、B、CおよびDの下に記載されたもの、ならびにその中に提示されたそれを製造する方法および反応方法を参照することができる。Aはビスオキサゾリンであり、Bはビスオキサジンであり、Cは1,3−フェニレンビスオキサゾリンであり、Dは1,4−フェニレンビスオキサゾリンである。
【0032】
使用するのに適しているイミダゾリン反応性官能基Yを有する鎖延長剤の例としては、本出願人からの特許出願EP0739924号の7から8頁および10頁の表1に記載されたもの(AからF)ならびにその中に提示されたその製造方法および反応方法を参照することができる。
【0033】
反応性官能基Y=オキサジノンまたはオキサゾリノンを有する鎖延長剤の例としては、本出願人からの特許出願EP0581641号の7から8頁の参照AからDの下に記載されたものならびにその中に提示されたその製造方法および反応方法を参照することができる。
【0034】
使用するのに適している、オキサジノン(6員環)またはオキサゾリノン(5員環)基Yの例として、ベンズオキサジノン、オキサジノンまたはオキサゾリノンから誘導された基Yを挙げることができ、Aは場合により共有単結合であり、それぞれの対応する延長剤はビス(ベンズオキサジノン)、ビスオキサジノンおよびビスオキサゾリノンである。
【0035】
Aはまた、C
1からC
14、好ましくはC
2からC
10アルキレンであってもよいが、好ましくはAはアリーレンであり、より具体的には、それはフェニレン(位置1,2または1,3または1,4においてYで置換された)またはナフタレン基(Yで二置換された)またはフタロイル(イソまたはテレフタロイル)であってもよいか、またはAはシクロアルキレンであってもよい。
【0036】
オキサジン(6員環)、オキサゾリン(5員環)およびイミダゾリン(5員環)のような官能基Yに対し、基Aは上述したようであり、Aは場合により共有単結合であり、それぞれの対応する延長剤はビスオキサジン、ビスオキサゾリンおよびビスイミダゾリンである。また、AはC
1からC
14、好ましくはC
2からC
10アルキレンであってもよい。基Aは好ましくはアリーレンであり、より具体的には、それはフェニレン(位置1,2または1,3または1,4においてYで置換された)またはナフタレン基(Yで二置換された)またはフタロイル(イソまたはテレフタロイル)であってもよいか、またはAはシクロアルキレンであってもよい。
【0037】
挙げられた2つの共同反応体の総重量に対して0.001%から2%、好ましくは0.01%から0.5%の範囲の含有率における、プレポリマーP(X)nと延長剤Y−A−Yとの間の反応のための触媒の存在により、(重)付加反応が促進され、そのため前記ポリマーを得るための重付加反応(ポリ)付加反応を短縮することができる。そのような触媒は、4,4’−ジメチルアミノピリジン、p−トルエンスルホン酸、リン酸、NaOHおよび場合により、EP0425341号9頁1から7行に記載されているように、重縮合またはエステル交換反応のために記載されたものから選択することができる。
【0038】
より具体的には、延長剤は、オキサジノン、オキサゾリノン、オキサジン、オキサゾリンおよびイミダゾリン、好ましくはオキサゾリンから選択されたY、および、2つの官能基Yの間の共有単結合またはアルキレン(CH
2)
m−(mは1から14、好ましくは2から10の範囲である)を表すAまたは、シクロアルキレンまたはアルキル置換もしくは無置換のアリーレン、特に、o−、m−もしくはp−フェニレンから選択されるベンゼンアリーレンまたはナフタレンアリーレンを表すAに対応し、Aは、好ましくはシクロアルキレンまたはアリーレンであるか、Aは2つの官能基Yの間の共有単結合である。
【0039】
特に好ましい選択肢によれば、熱可塑性ポリマー中の延長剤の重量含有率は、1重量%から20重量%、好ましくは5重量%から20重量%の範囲である。この含有率は、繊維集合体の溶融含浸に使用されるポリマー中のプレポリマーによる重付加により化学的に組み込まれた延長剤の含有率である。
【0040】
ポリマーの鎖は、延長剤分子b)を介して一緒に連結されたプレポリマーa)の少なくとも2つの鎖を含み得、好ましくはこの少なくとも2つの鎖を含み、より具体的にはポリマーの鎖当たりのプレポリマー鎖a)の数が2から80、好ましくは2から50の範囲であり得る。ポリマーのMnは、12000から40000、好ましくは、12000から30000の範囲であり得る。
【0041】
より好ましくは、プレポリマーa)は官能基X=カルボキシル基(n=2(±0.1)である)を有し、延長剤b)は官能基Y=オキサゾリンを有する。
【0042】
この場合には、熱可塑性ポリマーは、以下の式(I)に従った繰り返し単位構造を有する。
【0043】
【化1】
式中、R=Aであり、Aは延長剤Y−A−Yに対し本発明に従って上記で定義された通りであり、共有単結合または場合により置換された脂肪族または脂環式または芳香族炭化水素系鎖の2価の基から選ばれ、
R’は、場合により置換された脂肪族または脂環式または芳香族炭化水素鎖であって、隣接する−O−および−NH−単位を結ぶ最短の鎖は2または3個の炭素原子を含む鎖であり、
Pは官能基X=カルボキシル基を有するプレポリマーa)の鎖である。
【0044】
好ましくは、ポリマーの構造中に、延長剤b)は、2つのプレポリマー鎖a)の間にあり、末端にはない。このことは、ポリマーは延長剤b)に対するモル過剰のプレポリマーa)および官能基Yに対するモル過剰の官能基Xを用いて得られることを意味する。
【0045】
さらにより具体的には、これらの最後の2つの場合において、延長剤はフェニレン−ビス−オキサゾリン、好ましくは、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)および1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)から選択される。
【0046】
ポリマーに関し、それは上記で定義された延長剤b)とポリアミドプレポリマーa)の反応生成物であるポリアミドであることが好ましい。この特定の場合では、プレポリマーa)は少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ジアミン、および4、5または6個の炭素原子の少なくとも1つの場合により置換された環を含む少なくとも1つの芳香族および/または脂環式ジカルボン酸の重縮合、ならびに/または、場合によりラクタム、アミノカルボン酸、または脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンの化学量論的な組み合わせから選択される少なくとも1つの化合物の存在下での、少なくとも1つの直鎖状または分岐状の脂肪族、脂環式または芳香族ジカルボン酸を有する、少なくとも1つの脂環式ジアミンの重縮合から得られる、ポリアミドプレポリマーである。
【0047】
本発明の方法の特定の選択肢によれば、熱可塑性ポリマーは半芳香族および/または半脂環式ホモポリアミドまたはコポリアミドであってもよいポリアミドであり、より具体的には以下の式、即ち、8.T、9.T、10.T、11.T、12.T、6.T/9.T、9.T/10.T、9.T/11.T、9.T/12.T、9/6.T、10/6.T、11/6.T、12/6.T、10/9.T、10/10.T、10/11.T、10/12.T、11/9.T、11/10.T、11/11.T、11/12.T、12/9.T、12/10.T、12/11.T、12/12.T,6.10/6.T、6.12/6.T,9.10/6.T、9.12/6.T,10.10/6.T、10.12/6.T、6.10/9.T、6.12/9.T、9.10/9.T、9.12/9.T、10.10/9.T、10.12/9.T、6.10/10.T、6.12/10.T、9.10/10.T、9.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.T、6.10/12.T、6.12/12.T、9.10/12.T、9.12/12.T、10.10/12.T、11/6.T/9.T、11/6.T/10.T、11/6.T/11.T、11/6.T/12.T、11/9.T/10.T、11/9.T/11.T、11/9.T/12.T、11/10.T/11.T、11/10.T/12.T、11/11.T/12.T、6.T/10.T、6.T/11.T、6.T/12.T、10.T/11.T、10.T/12.T、11.T/12.T、12/6.T/10.T、12/6.T/11.T、12/6.T/12.T、12/9.T/10.T、12/9.T/11.T、12/9.T/12.T、12/10.T/11.T、12/10.T/12.T、12/11.T/12.Tからのポリアミド、または12/が9/、10/、6.10/、6.12/、10.10/、10.12/、9.10および9.12/に置き換えられる前記三元共重合ポリアミド、またはテレフタル酸(T)が部分的にまたは完全にイソフタル酸(I)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸および/または1,3−もしくは1,4−CHDA(シクロヘキサンジカルボン酸)で置換され、脂肪族ジアミンの全てまたは一部が場合により脂環式ジアミンにより置き換えられた上記の全てのポリアミド、またはC
6からC
12脂肪族ジアミンがBMACM(ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン)、BACM(ビス(アミノシクロヘキシル)メタン)、および/またはIPDA(イソホロンジアミン)からの脂環式ジアミンで置き換えられ、芳香族二酸Tの全てまたは一部が直鎖状または分岐鎖状のC
6からC
18脂肪族二酸で置き換えられた上記の全てのポリアミドの1つに対応する。
【0048】
実際それはポリアミドに上述した構造を与える重付加反応を介してポリマーに組み込まれたプレポリマーa)のポリアミド構造であることは明らかである。延長されたまたは鎖が延長されたポリアミドの構造は、ポリアミドプレポリマーa)の2つの鎖の間に位置する鎖延長剤を含む。従って、上記構造はより高い分子量の前記ポリアミドを調製するために使用されるポリアミドプレポリマーa)の構造に完全に対応し、これはそれがいかに解釈されるべきであるかである。
【0049】
方法のより具体的な変形例によれば、熱可塑性ポリマーは半結晶性ポリアミドである。なお、このポリアミド構造はプレポリマーa)の構造を包含し、延長剤b)は、プレポリマーa)の2つの鎖の間に配置される。半結晶性であるのはポリマーのこの全体的な構造である。この場合、ポリアミドプレポリマーa)は半結晶性であるか、あることができる。
【0050】
半結晶構造は上記に示した方法に従って(WO2013/060976号の6頁の記載に従って)DSCによって測定することができる融点Tmおよび結晶化温度Tcによって特徴付けられる。
【0051】
本発明の方法の特定の選択肢によると、含浸工程i)の前に、プレポリマーa)と延長剤b)との間の前駆体反応性組成物中での重付加反応によるポリマーの調製工程i’)を含むことができ、反応は、好ましくは、延長剤中の溶融形態におけるバルク中で実施され、溶融ポリマーが含浸工程i)のための繊維の集合体へオンラインで移される。
【0052】
含浸工程i)に関しては、複合材料の最終処理のために、特に溶融ポリマーを繊維の集合体へ移すことによって、金型内で行うことができる。そうでなければ、含浸工程i)は複合材料の最終処理のために金型の外部で行われてもよい。
【0053】
溶融含浸工程i)はまた、繊維の集合体に粉末形態のポリマーをまき散らす前工程、続いて粉末を加熱し、溶融する工程、および場合によりカレンダーリングする工程を含むことができ、それにより最終処理工程iii)の前に工程ii)における中間生成物として予備含浸繊維材料を得ることができる。
【0054】
処理工程iii)に関して、それは特に減圧下で樹脂トランスファーによる成形(RTM)、構造反応射出成形(S−RIM)もしくは注入成形または圧縮射出成形を用いて、密閉した金型内で行うことができる。処理工程iii)は、また、得られた半完成製品の任意の追加の変換を、加熱した金型を通して引抜成形により、開放した金型内で行うことができる。特に、処理は、AFP技術(自動繊維配置)を介して得られた一方向(UD)ストリップの重ね合せにより、または熱圧縮により、より具体的にはレーザーによる加熱を含むAFPにより行うことができ、使用されるポリマーは、前駆体反応性組成物を介して、UDストリップがガラスまたは炭素繊維に基づいている場合、レーザー、特にUVまたはIRレーザーの波長で吸収する特定の添加剤を含む。
【0055】
繊維の集合体の含浸の工程i)が金型内で実施される場合には、繊維の集合体は金型内に配置されたプリフォームの形態であってもよい。好ましくは、プリフォームの繊維は含浸ポリマーと同一または、このポリマーとは異なるが、含浸ポリマーと相溶性のあるポリマーを介して連結される。含浸ポリマーと少なくともと部分的に混和性であるプリフォームを連結するポリマーは、相溶性があるとみなされる。
【0056】
繊維は天然、即ち、植物または動物由来の繊維であってもよいし、また人工合成繊維であってもよい。植物起源の好適な天然繊維として、亜麻繊維を挙げることができる。合成繊維がさらにより好ましく、炭素、ガラス、セラミック、およびアラミド繊維から選択される。好ましい繊維は、炭素、ガラス、セラミック、およびアラミド繊維から選択される長繊維である。
【0057】
繊維は、特に、L/D>1000、好ましくは>2000の長繊維である。
【0058】
ポリマーマトリックスとしての含浸ポリマーは、分散した形態の炭素系充填剤、特に、カーボンブラックまたは炭素系ナノ充填剤、好ましくは、グラフェンおよび/またはカーボンナノチューブおよび/またはカーボンナノフィブリルまたはそれらの混合物の中からの炭素系ナノ充填剤を含むことができる。
【0059】
より具体的には、開始時または溶融形態での添加によるいずれかでの、含浸ポリマー中のこのような充填剤またはこのような添加剤の存在により、複合材料のマトリックスを導電性にし、静電気の除去および予防を必要とする特定の用途を可能にし、または複合材料の処理の間誘導技術によって均一かつ均質な加熱を可能にすることができる。
【0060】
別の選択肢によると、本発明による方法は、減圧下、特に真空バッグの技術に従って予備含浸物の熱圧縮によって実行される処理工程を含む。
【0061】
本発明の方法によって得ることができる複合材料は、航空機、自動車、鉄道、道路輸送、風力発電、太陽光発電、船舶、スポーツおよびレジャー、建物、土木工学、電気もしくは電子分野における適用のための複合部品または物品の形態であってもよい。
【0062】
より具体的には、これはプロファイル補強材、ボートの船体等の外殻構造、サンドイッチパネルをはじめとするパネル、例えば、自動車のタンク等のコンポジットタンク、例えば、ポンプチューブおよび石油もしくはガス輸送管等の複合配管、中空体、飛行機の翼、飛行機の胴体、家もしくはボートの中の桁もしくはパーティション、スパー、スポイラー、自動車用ケーシング、ブレーキディスク、ジャックもしくはステアリングホイール本体、自動車車体、台車、靴ソールまたはゴルフスティックの製造に関し得る。
【0063】
本発明は、予備含浸繊維材料、または複合材料から作られる最後部品を製造するための、1つ以上の合成または天然の強化繊維の集合体のバルク溶融含浸のためのポリマーとしての、上記で定義されたポリマー、特にポリアミドの使用も特に包含する。
【0064】
より具体的には、この使用は、航空機、自動車、鉄道、道路輸送、風力発電、太陽光発電、船舶、スポーツおよびレジャー、建物もしくは土木工学、電気もしくは電子分野における、複合部品、特に機械的または構造的部品の製造に関する。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は、本発明およびその性能品質を示すために提示され、決してその範囲を限定するものではない。
【0066】
記載された特徴を決定するための方法
− プレポリマーまたは前駆体組成物の溶融粘度は、直径50mmの2つの平行面の間で100秒
−1の剪断下で所定の温度で窒素フラッシング下、Physica MCR301レオメーターである、使用される測定器のコンストラクターのリファレンスマニュアルに従って測定される。
【0067】
− プレポリマーまたは熱可塑性ポリマーのMnは、指示に応じて、電位差測定、PMMA等価物としてのサイズ排除クロマトグラフィーまたはNMRにより決定される。
【0068】
− 固有粘度の測定はm−クレゾール中で行われる。この方法は当業者に周知である。規格ISO 937に従っているが、溶媒が変更されている(硫酸の代わりにm−クレゾールを使用し、温度は20℃である)。
【0069】
− 使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tgは、規格ISO 11357−2に従って第2の加熱サイクル後に示差走査熱量計(DSC)により測定される。加熱および冷却速度は20℃/分である。
【0070】
− 融点Tmおよび結晶化温度Tcは、規格ISO 11357−3に従って第1の加熱後にDSCにより測定される。加熱および冷却速度は20℃/分である。
【0071】
− マトリックスポリマーの結晶化のエンタルピーは、規格ISO 11357−3に従って示差走査熱量計(DSC)により測定される。
【0072】
[実施例]
A 反応性プレポリマー(またはオリゴマー)の鎖延長によるポリアミドポリマーの調製
A−1 反応性プレポリマーP(X)nの調製
この手順は、本発明のポリアミドプレポリマーのすべての種類の代表である。
【0073】
以下の出発物質5kgを14リットルのオートクレーブ反応器に入れる。
− 水500g、
− ジアミン、
− アミノ酸またはラクタム、
− 二酸、
− 溶液中の次亜リン酸ナトリウム35g、
− ワッカーAK1000の消泡剤(ワッカーシリコーン社)0.1g。
【0074】
分子単位の性質およびモル比ならびに(参照試験による)反応性プレポリマーポリアミドの構造を以下の表1に示す。
【0075】
密閉反応器の残留酸素をパージした後、材料を230℃の温度に加熱する。これらの条件下で30分間撹拌した後、それがTm>230℃の半結晶性ポリマーに対しては大気圧でTm+10℃の最小値で、または他のポリマーに対しては250℃で確立されるように材料の温度を徐々に上昇させながら、同時に、反応器内で形成された加圧された蒸気を60分かけて徐々に減圧する。
【0076】
次いで、オリゴマー(プレポリマー)を底部バルブによって取り出した後、水浴で冷却し、次に粉砕する。
【0077】
特性は以下の表1に提示される。
【0078】
【表1】
【0079】
A−2 Y−A−Yタイプの延長剤を用いる鎖延長によるポリアミドポリマーEの調製
乾燥し、粉砕した上記プレポリマー10gを化学量論量の1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)(PBO)と混合する。
【0080】
100rpmでスクリューを回転させながら調製1および2については200℃に等しい温度T1、調製3についてはT1:280℃に予熱したDSMブランド共回転円錐スクリューマイクロ押出機(15ml体積)に、窒素フラッシング下でこの混合物を導入する。混合物をマイクロ押出機中で再循環させ、粘度の増加を、法線力を測定することによって監視する。約2分後に、プラトーに達し、マイクロ押出機の中身を棒の形で取り出す。空冷生成物を顆粒状に形成する。
【0081】
【表2】
【0082】
A−3 鎖延長剤なしの比較ポリアミドPAの調製
鎖延長剤を含まない比較ポリアミドを、当業者に周知の方法に従って、比較ポリマーの分子量Mnを対応するプレポリマーと用いた二酸よりも少ない過剰の二酸によって調整することを除いて、反応性プレポリマーP(X)nの場合と同一の手順に従って合成する(この手順は調製された全ての比較のポリアミドの代表である)。
【0083】
これらの比較ポリアミドCEの特性を以下の表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
A−4 本発明のPA Eおよび比較のPA CEの溶融粘度の比較
本発明によるポリマーの粘度CEおよび鎖延長剤を含まない比較のポリアミドの溶融粘度CEを以下の表4から6に報告する。
【0086】
【表4】
【0087】
これらの結果は
図1に表す。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
結果は、本発明によるPAの溶融粘度は、温度T>T
1に対し比較のPAよりも低く、温度が上昇するにつれて差が大きくなることを明確に示す。
【国際調査報告】