特表2017-513930(P2017-513930A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-513930(P2017-513930A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】フッ素化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/093 20060101AFI20170428BHJP
   C07C 25/13 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 25/18 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 69/76 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 67/307 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 47/55 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 45/63 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 311/16 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 303/40 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 41/22 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 43/225 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 63/04 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 51/363 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 233/65 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 255/50 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 205/11 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 201/12 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 39/02 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 37/62 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 69/96 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 68/00 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 69/773 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 211/52 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 209/74 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 233/15 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 211/28 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 269/06 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 25/24 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 233/18 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 271/66 20060101ALI20170428BHJP
   C07C 211/27 20060101ALI20170428BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170428BHJP
   C07F 5/02 20060101ALN20170428BHJP
   C07B 59/00 20060101ALN20170428BHJP
【FI】
   C07C17/093CSP
   C07C25/13
   C07C25/18
   C07C69/76 Z
   C07C67/307
   C07C47/55
   C07C45/63
   C07C311/16
   C07C303/40
   C07C41/22
   C07C43/225 A
   C07C63/04
   C07C51/363
   C07C233/65
   C07C231/12
   C07C255/50
   C07C253/30
   C07C205/11
   C07C201/12
   C07C39/02
   C07C37/62
   C07C69/96 Z
   C07C68/00 Z
   C07C69/773
   C07C211/52
   C07C209/74
   C07C233/15
   C07C211/28
   C07C269/06
   C07C25/24
   C07C233/18
   C07C271/66
   C07C211/27
   C07B61/00 300
   C07F5/02 A
   C07B59/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2017-500450(P2017-500450)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】GB2015050831
(87)【国際公開番号】WO2015140572
(87)【国際公開日】20150924
(31)【優先権主張番号】1405002.5
(32)【優先日】2014年3月20日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516245900
【氏名又は名称】オックスフォード ユニバーシティ イノベーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD UNIVERSITY INNOVATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100180862
【弁理士】
【氏名又は名称】花井 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】ガヴァヌーア,ヴェロニク
(72)【発明者】
【氏名】トレッドウェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】プレシュロック,ショーン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
4H048
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC30
4H006AD17
4H006BA05
4H006BA36
4H006BB20
4H006BB21
4H006BB23
4H006BC10
4H006BC34
4H006BD60
4H006BE61
4H006EA31
4H006EA39
4H039CA51
4H039CA91
4H039CD20
4H039CD90
4H048AA01
4H048AB84
4H048AC30
4H048BA25
4H048BA48
4H048BD60
4H048BE90
4H048VA22
4H048VA77
4H048VB10
(57)【要約】
本発明は、18F原子を含む有機化合物を製造する方法に関する。18Fを含む本化合物は、診断及び/又はスキャニングにおいて使用するためのPETリガンドとして有用であり得る。本発明の方法は、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物を、(i)18F-及び(ii)銅化合物により処理するステップを含む。本発明はまた、18F原子を含む有機化合物を製造する方法における、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物の使用であって、上記の方法が、上記の有機ホウ素化合物を(i)18F-及び(ii)銅化合物により処理するステップを含む、使用も提供する。本発明はまた、PGAがそれぞれ独立してH又はアルコール保護基であり、PGBが、H又はカルボン酸保護基であり、PGCがそれぞれ独立してアミン保護基であり、Zが、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、aが0〜4の整数である、式(XXXVII)の化合物も提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
18F原子を含む有機化合物を製造する方法であって、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法。
【請求項2】
有機ホウ素化合物が、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基又はトリフルオロボレート基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銅化合物が、銅塩、好ましくは銅(II)塩である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
銅化合物が、1つ以上のX基を含む銅塩であり、X基がそれぞれ、同一であるか又は異なっており、陰イオンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
銅化合物が、式[LnCuXm]の化合物を含み、式中、
Lはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、配位子であり、場合により、2つ以上のL基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成し、
Xはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、陰イオンであり、場合により、2つ以上のX基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成し、
nが、0〜6の整数であり、
mが、0〜4の整数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のL基が、1個以上のN原子、1個以上のO原子又は1個以上のS原子を含む配位子である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上のL基が、1個以上のN原子を含む複素環式化合物、1個以上のO原子を含む複素環式化合物、1個以上のS原子を含む複素環式化合物、アミン及び水から選択される中性配位子である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上のL基が、置換又は無置換のピリジン、置換又は無置換のピロール、置換又は無置換のピロリジン、置換又は無置換のイミダゾール、置換又は無置換のイミダゾリン、置換又は無置換のイミダゾリジン、置換又は無置換のピラゾール、置換又は無置換のピラゾリン、置換又は無置換のピラゾリジン、置換又は無置換のピラゾリン、置換又は無置換のオキサゾール、置換又は無置換のイソオキサゾール、置換又は無置換のチアゾール及び置換又は無置換のイソチアゾールから選択される配位子であるか、又は2つのL基が一緒に結合して、置換又は無置換のC1〜6アルキレンジアミン、置換又は無置換の2,2'-ビピリジン及び置換又は無置換のフェナントロリンから選択される配位子を形成する、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のL基が、式(I)の配位子
【化1】
(式中、
R1はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜10アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される置換基であり、
aは、0〜5の整数である)
である、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上のX基が、ハロゲン化物陰イオン、並びに式[-OS(O)2Y]-、[-S(O)2Y]-及び[-OC(O)Y]-の陰イオンから選択される陰イオンであり、式中、Yが、ハロゲン化物イオン、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、パーフルオロアルキル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のヘテロシクリル基から選択される基である、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上のX基が、トリフレート、トリフリル、ノナフレート、フルオロスルホン酸イオン、スルホン酸イオン、トシル、メシル酸イオン、ピバル酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン及び水酸化物イオンから選択される陰イオンである、請求項4から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
Xがそれぞれ、トリフレートである、請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
銅化合物が、式[LnCu(OTf)2]の化合物であり、式中、
Lがそれぞれ、同一であるか又は異なっており、配位子であり、場合により、2つ以上のL基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成し、
nが、0〜4の整数である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
銅化合物が、式[(Pyr)4CuII(OTf)2]の化合物である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
有機ホウ素化合物が、式(II)又は(III)の化合物:
【化2】
(式中、
Arは、アリール環又はヘテロアリール環であり、
RA基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RB、RC及びRDは、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルからそれぞれ独立して選択され、2つ以上のRB、RC及びRD基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基又はトリフルオロボレート基から選択される基であり、
xは、0〜5の整数である)
である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
Zが、式(IV)の基:
【化3】
(式中、
Qはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、-ORE、-OH及びフッ化物から選択される基であり、
REはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、アシル、エステル、アミド及びハロアルキルから選択される基であり、2つ以上のRE基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
yは、2又は3である)
である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Zが、式-B(ORE)2の基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Zが、式(V)の基:
【化4】
(式中、alk1は、1つ以上の-O-又は-N(RF)-基により場合により分断されている、置換又は無置換のアルキレン基であり、RFは、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、アシル、エステル、アミド及びアシルオキシから選択される基である)
である、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
Zが、式(VI)又は式(VII)の基:
【化5】
(式中、
RFaはそれぞれ、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜10アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから独立して選択される基であり、
zは、0〜6の整数である)
である請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
Zが、
【化6】
から選択される基である、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
Arが、フェニル、ピリジニル、ピリドニル、ピリミジニル、ピリミドニル、ピリミジンジオニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイミダゾリルから選択される環である、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
Arが、フェニル、ピリジニル、ピリドニル、ピリミジニル、ピリミドニル及びピリミジンジオニルから選択される環である、請求項15から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
有機ホウ素化合物が、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)の化合物:
【化7】
(式中、
Ar2は、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、
alk2は、単結合、又は置換若しくは無置換のC1〜20アルキレン基、置換若しくは無置換のC2〜20アルケニレン基、置換若しくは無置換のC2〜20アルキニレン基であり、alk2は、1つ以上の-O-又は-N(RF)-基により場合により分断されていてもよく、RFは、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、アシル、エステル及びアミドから選択される基であり、
RA基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であるか、又は2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RGはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、エステル、アシルアミド、アシル及びアシルオキシから選択される基であるか、又は両方のRG基が一緒になって、置換若しくは無置換のヘテロシクリル基又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を形成し、
xは、0〜4の整数であり、
Zは、請求項15から20のいずれか一項に定義されている通りである)
である、請求項15から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
有機ホウ素化合物が、式(XII)、(XIII)又は(XV)の化合物:
【化8】
(式中、
RAa基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、2つ以上のRAa基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RAb基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、2つ以上のRAb基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RGはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、アシルアミド、アシル及びアシルオキシから選択される基であるか、又は両方のRG基が一緒になって、置換若しくは無置換のヘテロシクリル基又は置換若しくは無置換のアリール基を形成しており、
xはそれぞれ、独立して0〜4の整数であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)
である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
有機ホウ素化合物が、式(XVII)又は(XVIII)の化合物:
【化9】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
xは、0〜4の整数であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)
である、請求項15から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
有機ホウ素化合物が、式(XIX)、(XX)又は(XXI)の化合物:
【化10】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)
である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
PGAがそれぞれ、独立してH、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基であり、
PGBが、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基であり、
PGcがそれぞれ独立して、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-O-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換の-S(O)2-アリールから選択されるアミン保護基である、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
PGAがそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メトキシトリチル、ジメトキシトリチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基であり、
PGBが、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基であり、
PGCがそれぞれ独立して、H、又はカルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシルベンジル(DMPM)、p-メトキシフェニル(PMP)、トシル(Ts)及びノシルから選択される基である、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
有機ホウ素化合物が、式(XXII)、(XXIII)、(XXIIA)又は(XXIIIA)の化合物:
【化11】
である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
有機ホウ素化合物の量と銅化合物の量との比が、1:1〜40:1、好ましくは3:1〜20:1である、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ジメチルホルムアミド及びアセトニトリルから選択される溶媒の存在下で行われる、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
有機ホウ素化合物、銅化合物及び18F-が、80〜150℃の温度に加熱される、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法
【請求項33】
18F原子を含む有機化合物が、Zが18Fにより置き換えられていることを除いて、請求項15、又は21から29のいずれか一項で定義されている、式(II)、(III)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XV)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)、(XXII)、(XXIIA)、(XXIII)又は(XXIIIA)の化合物である、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
18F原子を含む有機化合物が、式(XXIV)、(XXV)、(XXVI)、(XXVII)又は(XXVIII)の化合物:
【化12】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基である)
である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
18F原子を含む化合物から1つ以上の保護基を除去して、脱保護生成物を生成するステップをさらに含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
脱保護生成物がPETリガンドである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
脱保護生成物が、式(XXX)、(XXXII)、(XXXIII)又は(XXXIV)の化合物:
【化13】
である請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
式(XXXV)の化合物:
【化14】
を製造する方法であって、式(XXXVI)の化合物
【化15】
を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15から20のいずれか一項に定義されている通りであり、
aは、0〜4の整数である)。
【請求項39】
式(XXIV)の化合物:
【化16】
を製造する方法であって、式(XIX)の化合物
【化17】
を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)。
【請求項40】
式(XXIV-L)の化合物:
【化18】
を製造する方法であって、式(XIX-L)の化合物
【化19】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)。
【請求項41】
式(XXV)の化合物:
【化20】
を製造する方法であって、式(XX)の化合物
【化21】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)。
【請求項42】
式(XXVI)の化合物:
【化22】
を製造する方法であって、式(XXI)の化合物
【化23】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)。
【請求項43】
式(XXVI-L)の化合物:
【化24】
を製造する方法であって、式(XXI-L)の化合物
【化25】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、請求項15〜20のいずれか一項に定義されている通りである)。
【請求項44】
PGAがそれぞれ独立して、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基であり、
PGBが、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基であり、
PGcがそれぞれ独立して、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-O-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-S(O)2-アリールから選択されるアミン保護基である、請求項38から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
銅化合物が、請求項3から14のいずれか一項においてさらに定義されている通りである、請求項38から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
請求項30から32のいずれか一項においてさらに定義されている通りである、請求項38から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
18F原子を含む化合物から1つ以上の保護基を除去して、脱保護生成物を生成するステップをさらに含む、請求項38から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
脱保護生成物が、式(XXXII)、(XXXIII)又は(XXXIV)の化合物:
【化26】
である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
自動合成装置で行われる、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
式(XXXVII)の化合物:
【化27】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ独立して、アミン保護基であり、
Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aは、0〜4の整数である)。
【請求項51】
PGAがそれぞれ、独立してH、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基であり、
PGBが、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基であり、
PGcがそれぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-O-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-S(O)2-アリールから選択されるアミン保護基であり、
Zが、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aが、0〜4の整数である、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
PGAがそれぞれ独立して、H、又は1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているC1〜10アルキル、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C(O)-C1〜10アルキル、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基であり、
PGBが、H、又は1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているC1〜10アルキル、及び1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基であり、
PGCがそれぞれ独立して、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているC1〜10アルキル、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C(O)-C1〜10アルキル、及び1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C(O)-O-C1〜10アルキルから選択されるアミン保護基であり、
Zが、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aが、0〜4の整数である、請求項50又は51に記載の化合物。
【請求項53】
PGAがそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メトキシトリチル、ジメトキシトリチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基であり、
PGBが、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基であり、
PGCがそれぞれ独立して、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシルベンジル(DMPM)、p-メトキシフェニル(PMP)、トシル(Ts)及びノシルから選択される基であり、
Zが、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aが、0〜4の整数である、請求項50から52のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
PGAがそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル及びベンジルから選択される基であり、
PGBが、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル若しくはベンジルから選択される基であり、
PGCがそれぞれ独立して、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル及びベンゾイルから選択される基であり、
Zが、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aが、0〜4の整数である、請求項50から53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
PGCが、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)である、請求項50から54のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
Zが、請求項16から20のいずれか一項にさらに定義されている通りである、請求項50から55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項57】
aが1又は2である、請求項50から56のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項58】
式(XXXVIII)又は(XXXIX)の化合物:
【化28】
である、請求項50から57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
式(XL)又は(XLI)の化合物:
【化29】
である、請求項50から58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
式(XLII)又は(XLIII)の化合物:
【化30】
である、請求項50から59のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
式(XLIV)、(XLV)、(XLVI)又は(XLVII)の化合物:
【化31】
である、請求項50から60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項62】
式(XLIV)又は(XLV)の化合物:
【化32】
である、請求項50から61のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項63】
18F原子を含む有機化合物を製造する方法における、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物の使用であって、前記方法が、前記有機ホウ素化合物を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、使用。
【請求項64】
18F原子を含む有機化合物を製造する方法が、請求項2から49のいずれか一項においてさらに定義されている通りである、請求項63に記載の使用。
【請求項65】
有機ホウ素化合物が、請求項2、15から29、38から44、及び50から62のいずれか一項にさらに定義されている、有機ホウ素化合物である、請求項63又は64に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、18F原子を含む有機化合物を製造する方法に関する。18Fを含む本化合物は、診断及び/又はスキャニングにおいて使用するためのPETリガンドとして有用であり得る。本発明はまた、18F原子を含む有機化合物を製造する方法における、有機ホウ素化合物の使用に関する。有機ホウ素化合物も記載されている。
【背景技術】
【0002】
今日我々が認識しているPETイメージング発展における画期的出来事は、医療的イメージングのポジトロン消滅放射の最初の応用と、その後の最初のヒトポジトロン断層法(PET)スキャナーの開発であった。さらに、放射性医薬品の出現に関連した技術的発展、恐らく最も有名なものとして[18F]-2-フルオロデオキシ-D-グルコースにより、非侵襲的イメージング用法として、PETが完全に定着した。今日、クリニックにおいて、様々ながん、神経学的障害及び心血管疾患を診断するために、PETが慣例的に使用されている。PETは、一種の新しい精度の高い薬理学を可能にすることにより、創薬及び薬物開発を促進する有用な手段になっている。これらの応用により、[18F]フッ素化に重点をおいた新しい放射化学、ポジトロン放射体として18Fの有利な特性により推進される選択肢、及び薬物設計におけるフッ素置換の普及に対する需要が生まれている。
【0003】
非天然同位体フッ素-18により標識されている分子は、放射性トレーサーとしてポジトロン断層法に使用されている。18F放射化学に伴う典型的な難題は、18Fの半減期が短い(<2時間)こと、その前駆体及び他の試薬に対して準化学量論量の18Fを使用すること、並びに適切な反応性の18F源([18F]F-及び[18F]F2)の入手が限定されていることである。[18F]放射化学における重要な難題は、[18F]F-によりSNArを受けにくい(ヘテロ)アレーンの標識化である。理想的な場合、これらの最も需要の高い基質の[18F]フッ素化は、自動化が難しいプロトコルを適用した、常温保存可能で容易に入手可能な前駆体から、幅広く使用されている[18F]フッ化カリウムを用いて行われると思われる。
【0004】
過去十年間で、(ヘテロ)アレーンにフッ素を導入するのに利用可能な方法の数が、こうした構造的モチーフが代謝ロバスト性をもたらす医薬に共通して見いだされているので、著しく増加している。対照的に、[18F]フッ化物による芳香族求核置換によって入手できない、[18F]標識(ヘテロ)アレーンの調製は依然として難題である。[18F]フッ化物イオンによるジアリールヨードニウム塩の反応は、ほとんど20年前に記載された(V. W. Pikeら、Chem. Soc.、Chem. Commun. 21巻、2215頁(1995年))。その反応は、フッ素-18により電子豊富、電子中性及び電子不足アレーンの標識に適用することができるが、ジアリールヨードニウム塩の調製の長さ、及び副生成物であるアリールの精製に関連する深刻な制限のために、この反応には限界がある。最近の進歩により、フェノール前駆体に首尾良く適用された概念である、酸化条件下でのアレーンの直接的な求核[18F]フッ素化に対する、金属不含の極性転換戦略の価値が高まった(Z. Gaoら、Angew. Chem. Int. Ed. 51巻、6733頁(2012年))。SNArには好適ではないアレーンを含む様々な基質の直接[18F]フッ素化に関する、金属を媒介とする方法もまた現れた。早期の研究によって、[18F]F2から調製した[18F]NF試薬である、[18F]Selectfluorビス(トリフレート)により、アリールスズ(H. Teareら、Angew. Chem. Int. Ed. 49、6821(2010))及びアリールボロン酸(I. S. Stenhagen、A. K. Kirjavainen、S. J. Forsback、C. G. Jorgensen、E. G. Robins Robins、S. K. Luthra、O. Solin、V. Gouverneur、Chem. Commun. 49巻、1386頁(2013年))のAg(I)を媒介とする求電子[18F]フッ素化が、短い半減期(t1/2<2時間)である18F同位体によって課される時間制約内で可能になることが実証された。現在、世界中のPETセンターのわずか少数だけしか、[18F]F2を製造する設備を備えていないので、上記の化学は幅広く使用されておらず、[18F]F2から誘導されるトレーサーは、[18F]フッ化物から製造されるものよりも比放射能が低い。さらに最近、[18F]F+源として作用するが、高い比放射能[18F]F-から調製される専用の[18F]Pd(IV)F錯体により、対応するアリールボロン酸から得られるPd(II)アリール錯体自体が[18F]フルオロアレーンに変換された(E. Leeら、Science 334巻、639頁(2011年))。臭化アリールからの2工程で調製されるNi(II)アリール錯体もまた、外部酸化剤の存在下で、求核[18F]フッ素化を受け易いことが見いだされ、最大58%の放射化学収率(RCY)で、様々な[18F]標識アレーンを与えた(E. Lee、J. M. Hooker、T. Ritter、J. Am. Chem. Soc. 134巻、17456頁(2012年))。これらのPd及びNiをベースとする有機金属前駆体は市販されておらず、(前)臨床用PETイメージング検討を行う非化学系専門家により調製するのは簡単ではない。医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)の要件に準拠した、自動プロトコルを開発する必要性に関わるこうした特徴により、容易に入手可能な長期安定物質からの直接的な(ヘテロ)アレーンの求核[18F]フッ素化のための代替的な一層簡単な解決策の開発が奨励される。さらに、ニッケル及びパラジウムの使用に関連する毒性懸念が存在する。
【0005】
遷移金属により推進される[18F]フッ素化における現在進行中の研究プログラムの一部として、本発明者らは、[18F]CuCF3からのヨウ化アリール及びヨウ化ヘテロアリールの[18F]トリフルオロメチル化による[18F]放射化学において、銅錯体の有用性を活用した(M. Huibanら、Nature Chemistry 5巻、941頁(2013年))。[18F](ヘテロ)アレーンを入手するための一般的且つ簡単な方法を提供することを目的とした、アリールホウ素化合物の温和な求核[18F]フッ素化を開発することが望まれている。
【0006】
高原子価CuIII錯体から、アリール-フッ素結合を形成する還元的脱離反応を開示している最近の報告により、ピナコールにより誘導されるアリールボロン酸エステル(ArBPin)が着目(A. J. Hickman、M. S. Sanford、Nature 484巻、177頁(2012年))され、[18F]放射化学の開発の出発点として働くCu(OTf)2の存在下で、フッ化カリウムによりフッ素化を受けるアリールボロン酸エステルの能力が提示された(Y. Ye、S. D. Schimler、P. S. Hanley、M. S. Sanford、J. Am. Chem. Soc. 135巻、16292頁(2013年))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】V. W. Pikeら、Chem. Soc.、Chem. Commun. 21巻、2215頁(1995年)
【非特許文献2】Z. Gaoら、Angew. Chem. Int. Ed. 51巻、6733頁(2012年)
【非特許文献3】H. Teareら、Angew. Chem. Int. Ed. 49、6821(2010)
【非特許文献4】I. S. Stenhagen、A. K. Kirjavainen、S. J. Forsback、C. G. Jorgensen、E. G. Robins Robins、S. K. Luthra、O. Solin、V. Gouverneur、Chem. Commun. 49巻、1386頁(2013年)
【非特許文献5】E. Leeら、Science 334巻、639頁(2011年)
【非特許文献6】E. Lee、J. M. Hooker、T. Ritter、J. Am. Chem. Soc. 134巻、17456頁(2012年)
【非特許文献7】M. Huibanら、Nature Chemistry 5巻、941頁(2013年)
【非特許文献8】A. J. Hickman、M. S. Sanford、Nature 484巻、177頁(2012年)
【非特許文献9】Y. Ye、S. D. Schimler、P. S. Hanley、M. S. Sanford、J. Am. Chem. Soc. 135巻、16292頁(2013年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、Yeらのフッ素化から、担体無添加の[18F]放射化学への転換は、いくつかの特有の難題を示した。第1に、標識化に利用可能な微量のフッ素(ほぼ、10-4M以下)を反映する「逆化学量論(reverse stoichiometry)」は、Yeらにおける所望のフルオロアレーンの妥当な化学収率を実現するため、KFを4当量使用する必要があることと対照的であることから、この方法を放射標識に使用することができないことが当初予期された。過剰に使用されるホウ素含有基質への[18F]フッ化物の封鎖に起因して複雑さを引き起こす可能性もある。したがって、本発明の目的は、良好な放射化学収率及び比放射能を維持しながらも、幅広い範囲のアレーン及びヘテロアレーン基質に適用可能な[18F]フッ素化方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、18F原子を含む有機化合物を製造する方法を開発した。本発明の方法により、18Fの求核源を使用することが可能になり、これにより、放射標識生成物を高い比放射能で得ることが可能になる。さらに、本発明の方法は、電子豊富、電子中性又は電子不足であってもよい、アルケン、アレーン及びヘテロアレーンに幅広く適用可能である。本方法は、18Fが非常に低い濃度であっても高い放射化学収率で進行できるので、「担体無添加の」方法として使用することができる。通常、大過剰量のフッ化物を必要とするので、上記のことはCuを媒介とするフッ素化に関するこれまでの報告から予期できないものであった。本発明の方法は、以前には入手が困難であった、PET用[18F]放射標識バイオマーカーを製造するための、簡単で効率の高い合成経路を開く。重要なことに、本発明の方法を使用して、[18F]L-ドーパ及び他のPET用放射標識バイオマーカーを製造することができる。本発明の方法は、いくつかの他の官能基の存在を許容し、温和な条件しか必要としないので、バイオマーカー化合物を後期段階でフッ素化に使用しても同様に一層高い比放射能をもたらすことができる。さらに、Cuは安全性懸念が一層低いので、Pd又はNiなどの遷移金属と比べて、Cu塩の使用には利点があり、したがって、臨床試験に好適な[18F]トレーサーにおいて残留量がより高くても許容される。
【0010】
本明細書では、[18F]フッ化物及び銅化合物により処理すると、有機ホウ素化合物(例えば、ピナコールにより誘導されるアリールボロン酸エステル)からの[18F](ヘテロ)アレーン及び[18F]バイオマーカーの製造が記載されている。この[18F]標識法は、多数の官能基と適合可能であり、[18F]フッ化物から、6-[18F]フルオロ-L-ドーパ、6-[18F]フルオロ-L-チロシン及び6-[18F]フルオロ-ドーパミンなどのPETリガンドを直接、入手することが可能になる。薬物開発、及びポジトロン断層イメージングを必要とする(前)臨床試験への幅広い応用がいまや可能である。
【0011】
本発明者らは、(ヘテロ)アリール及びアルケニル有機ホウ素化合物から、[18F]フッ化物による芳香族系の容易な[18F]フッ素化を可能にする、担体無添加の効率的なプロトコルを開発した。有機ホウ素試薬は、空気及び水分に安定であり、実験台上で安定であるので、[18F]フッ素化の理想的な前駆体である。この技術は、幅広い範囲の官能基を許容し、TSPO PETリガンドである[18F]DAA1106、6-[18F]フルオロチロシン及び6-[18F]フルオロドーパミンの放射合成に容易に適用して成功を収めることができる。臨床用量分の6-[18F]フルオロ-L-ドーパを高い放射化学収率で調製することができ、この結果は、このバイオマーカーは、[18F]FDG([18F]フルデオキシグルコース)を製造する能力を有するPETセンターにおいて、実験室で安定な前駆体及び市販のCu錯体からいまや入手可能であることを示唆している。この新規な[18F]放射化学は、アンプルの利用で、バイオマーカー及び薬物開発を促進することが可能であり、以前には利用できなかった臨床試験のための18F-PETトレーサーにも手が届くことができるようになった。本発明は、複雑なジアリールヨードニウム塩又は有機金属前駆体の調製を必要とせず、空気に曝露された反応容器中で、市販の試薬を用いて行うことができる。したがって、本発明の方法は、自動合成装置及びマイクロ流体の開発に好適なはずである。
【0012】
本発明は、18F原子を含む有機化合物を製造する方法であって、sp2混成炭素原子に結合したホウ素原子を含む有機ホウ素化合物を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法を提供する。
【0013】
例えば、本発明は、式(XXIV)の化合物:
【化1】
を製造する方法であって、式(XIX)の化合物
【化2】
を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基である)
により処理するステップを含む方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、18F原子を含む有機化合物を製造する方法における、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物の使用であって、該方法が、前記有機ホウ素化合物を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、使用も提供する。
【0015】
本発明はまた、式(XXXVII)の化合物:
【化3】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してアミン保護基であり、
Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aは、0〜4の整数である)
も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
用語「有機ホウ素化合物」とは、本明細書で使用する場合、C-B結合を含む有機化合物を指す。用語「有機化合物」は、本明細書で使用する場合、当分野においてその通常の意味をとる。
【0017】
用語「sp2混成炭素に結合している」とは、本明細書で使用する場合、当分野においてその通常の意味をとり、したがって、sp2混成している炭素原子に直接、結合している原子を指す。sp2混成炭素原子は、通常、それに結合している3個の原子を平面配列で有する。sp2混成炭素原子の例は、C=C二重結合の部分(又は、一部の共鳴構造では、例えばベンゼンにおけるC=C二重結合である結合の部分)又はC=N二重結合の部分を形成しているものである。したがって、sp2混成炭素原子は、通常、C=C二重結合、アリール環又はヘテロアリール環中の炭素原子である。
【0018】
用語「アルキル基」とは、本明細書で使用する場合、置換又は無置換の、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。通常、アルキル基は、C1〜20アルキル又はC1〜10アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル若しくはデシル(それらの直鎖又は分岐鎖の異性体を含む)、又はC1〜6アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル若しくはヘキシル(それらの直鎖又は分岐鎖の異性体を含む)、又はC1〜4アルキル、例えばメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、s-ブチル若しくはn-ブチルである。アルキル基が置換されている場合、アルキル基は、通常、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフィドリル(すなわちチオール、-SH)、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される1つ以上の置換基を有する。置換アルキル基の例には、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル及びアルカリール基を含む。用語アルカリールは、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の水素原子がアリール基により置き換えられた、C1〜20アルキル基に関する。そうした基の例には、以下に限定されないが、ベンジル(フェニルメチル、PhCH2-)、ベンズヒドリル(Ph2CH-)、トリチル(トリフェニルメチル、Ph3C-)及びフェネチル(フェニルエチル、Ph-CH2CH2-)が含まれる。通常、置換アルキル基は、1つ、2つ又は3つ、例えば1つ又は2つの置換基を有する。
【0019】
用語「パーフルオロアルキル」とは、本明細書で使用する場合、直鎖又は分岐鎖の飽和パーフルオロ化炭化水素基である基を指す。例えば、パーフルオロアルキル基は、1〜12個の炭素原子を有することができる。「パーフルオロ化」は、この文脈では、完全にフルオロ化され、フッ素に置き換え可能な炭素に結合している水素原子が存在しないことを意味する。C4〜12パーフルオロアルキル基の例は、トリフルオロメチル(C1)、ペンタフルオロエチル(C2)、ヘプタフルオロプロピル(C3)、パーフルオロブチル(C4)(例えば、パーフルオロ-n-ブチル、パーフルオロ-sec-ブチル及びパーフルオロ-tert-ブチルを含む)、パーフルオロペンチル(C5)、パーフルオロヘキシル(C6)、パーフルオロヘプチル(C7)、パーフルオロオクチル(C8)、パーフルオロノニル(C9)、パーフルオロデシル(C10)、パーフルオロウンデシル(C11)及びパーフルオロドデシル(C12)であり、それらの直鎖状又は分岐状異性体を含む。
【0020】
用語「アルケニル」とは、本明細書で使用する場合、1つ以上の二重結合を含む直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基を指す。アルケニル基は、C2〜20アルケニル基、C2〜10アルケニル基又はC2〜6アルケニル基とすることができる。C2〜20アルケニル基の例には、1つ以上の二重結合の挿入によるC2〜20アルキル基に関するものを含む。アルケニル基は、通常、1つ又は2つの二重結合を含む。本明細書で言及されているアルケニル基は、上記のアルキル基に関して定義されている通り、置換又は無置換であってもよい。
【0021】
用語「アルキニル」とは、本明細書で使用する場合、1つ以上の三重結合を含む直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基を指す。アルキニル基は、C2〜20アルキニル基、C2〜10アルキニル基、C2〜6アルキニル基とすることができる。C2〜20アルキニル基の例には、1つ以上の三重結合の挿入によるC2〜20アルキル基に関するものを含む。アルキニル基は、通常、1つ又は2つの三重結合を含む。本明細書で言及されているアルキニル基は、上記のアルキル基に関して定義された通り、置換又は無置換であってもよい。
【0022】
用語「シクロアルキル基」とは、本明細書で使用する場合、置換又は無置換のアルキル基であって、シクリル基でもある基を指し、すなわち、炭素環式化合物の炭素環式環の脂環式環原子から水素原子を除去することにより得られる一価の部位である。シクロアルキル基は、3〜25個の環原子を含む、3〜25個の炭素原子(別段の指定がない限り)を有することができる。したがって、用語「シクロアルキル」には、部分クラスであるシクロアルケニル及びシクロアルキニルが含まれる。C3〜25シクロアルキル基の群の例には、C3〜20シクロアルキル、C3〜15シクロアルキル、C3〜10シクロアルキル、及びC3〜7シクロアルキルが含まれる。C3〜25シクロアルキル基が置換されている場合、このシクロアルキル基は、通常、置換又は無置換のC1〜6アルキル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフィドリル(すなわちチオール、-SH)、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステル、並びにスルホニルから選択される1つ以上の置換基を有する。通常、置換シクロアルキル基は、1つ、2つ又は3つ、例えば1つ又は2つの置換基を有する。
【0023】
C3〜25シクロアルキル基の例には、以下に限定されないが、飽和の単環式炭化水素化合物から誘導されるものが含まれ、このC3〜25シクロアルキル基は、上記で定義した通り、置換又は無置換である:シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、メチルシクロプロパン(C4)、ジメチルシクロプロパン(C5)、メチルシクロブタン(C5)、ジメチルシクロブタン(C6)、メチルシクロペンタン(C6)、ジメチルシクロペンタン(C7)、メチルシクロヘキサン(C7)、ジメチルシクロヘキサン(C8)、メンタン(C10);不飽和単環式炭化水素化合物:シクロプロペン(C3)、シクロブテン(C4)、シクロペンテン(C5)、シクロヘキセン(C6)、メチルシクロプロペン(C4)、ジメチルシクロプロペン(C5)、メチルシクロブテン(C5)、ジメチルシクロブテン(C6)、メチルシクロペンテン(C6)、ジメチルシクロペンテン(C7)、メチルシクロヘキセン(C7)、ジメチルシクロヘキセン(C8);飽和多環式炭化水素化合物:ツジャン(C10)、カラン(C10)、ピナン(C10)、ボルナン(C10)、ノルカラン(C7)、ノルピナン(C7)、ノルボルナン(C7)、アダマンタン(C10)、デカリン(デカヒドロナフタレン)(C10);不飽和多環式炭化水素化合物:カンフェン(C10)、リモネン(C10)、ピネン(C10);芳香族環を有する多環式炭化水素化合物:インデン(C9)、インダン(例えば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン)(C9)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、アセアントレン(C16)、コールアントレン(C20)。
【0024】
用語「ヘテロシクリル基」とは、本明細書で使用する場合、複素環式化合物の環原子から水素原子を除去することにより得られる置換又は無置換の一価の部位であって、3〜20個の環原子(別段の指定がない限り)を有しており、その1〜10個が環ヘテロ原子である、部位を指す。複素環式化合物は、芳香族複素環式化合物及び非芳香族複素環式化合物を含む。好ましくは、各環は、3〜7環原子を有しており、そのうち1〜4個が環ヘテロ原子である。C3〜20ヘテロシクリル基が置換されている場合、このヘテロシクリル基は、通常、無置換C1〜6アルキル、アリール(本明細書で定義されている通り)、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフィドリル(すなわち、チオール、-SH)、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステル並びにスルホニルから選択される1つ以上の置換基を有する。通常、置換C3〜20ヘテロシクリル基は、1つ、2つ又は3つ、例えば1つ又は2つの置換基を有する。
【0025】
ヘテロシクリル基の群の例には、C3〜20ヘテロシクリル、C5〜20ヘテロシクリル、C3〜15ヘテロシクリル、C5〜15ヘテロシクリル、C3〜12ヘテロシクリル、C5〜12ヘテロシクリル、C3〜10ヘテロシクリル、C5〜10ヘテロシクリル、C3〜7ヘテロシクリル、C5〜7ヘテロシクリル、及びC5〜6ヘテロシクリルが含まれる。
【0026】
(非芳香族)単環式C3〜20ヘテロシクリル基の例には、以下に限定されないが、
N1:アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(例えば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)(C5)、2H-ピロール又は3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7)、
O1:オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7)、
S1:チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン(C6)、チエパン(C7)、
O2:ジオキソラン(C5)、ジオキサン(C6)、及びジオキセパン(C7)、
O3:トリオキサン(C6)、
N2:イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6)、
N1O1:テトラヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソオキサゾール(C5)、ジヒドロイソオキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6)、
N1S1:チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6)、
N2O1:オキサジアジン(C6)、
O1S1:オキサチオール(C5)及びオキサチアン(チオキサン)(C6)、及び
N1O1S1:オキサジアジン(C6)
から誘導されるものが含まれる。
【0027】
置換(非芳香族)単環式ヘテロシクリル基の例には、環式形態のサッカライド、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース及びキシロフラノースなどのフラノース(C5)、並びにアロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース及びタロピラノースなどのピラノース(C6)から誘導されるものが含まれる。
【0028】
アリール基でもあるC3〜20ヘテロシクリル基の例には、ヘテロアリール基として、以下に記載されている。
【0029】
用語「アリール基」とは、本明細書で使用する場合、環の部分に、6〜14個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を通常、含有している、置換又は無置換の、単環式又は多環式(例えば、二環式)芳香族基を指す。例には、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アントラセニル及びピレニル基が含まれる。アリール基は、置換又は無置換である。アリール基が置換されている場合、アリール基は、通常、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフィドリル(すなわち、チオール、-SH)、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される1つ以上の置換基を有する。通常、アリール基は、0、1つ、2つ又は3つの置換基を有する。置換アリール基は、単一C1〜6アルキレン基、又は式-X-C1〜6アルキレン若しくは-X-C1〜6アルキレン-X-によって表される二座の基により2つの位置で置換されていてもよく、Xは、O、S及びNRから選択され、Rは、H、アリール又はC1〜6アルキルである。したがって、置換アリール基は、シクロアルキル基又はヘテロシクリル基と縮合しているアリール基とすることができる。用語「アラルキル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の水素原子(例えば、1個、2個、3個)が、C1〜6アルキル基により置換された、アリール基に関する。こうした基の例には、以下に限定されないが、トリル(トルエンから)、キシリル(キシレンから)、メシチル(メシチレンから)、及びクメニル(又はクミルであり、クメンから)、及びデュリル(デュレンから)が含まれる。
【0030】
アリール基の環原子は、1個以上のヘテロ原子を含むことができる(ヘテロアリール基と同様)。こうしたアリール基は、ヘテロアリール基であり、環の部分に、1個以上のヘテロ原子を含めて、6〜14個の原子、例えば6〜10個の原子を通常、含有する、置換又は無置換の単環式又は多環式(例えば、二環式)複素芳香族基である。ヘテロアリール基は、一般に、O、S、N、P、Se及びSiから選択される、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、5員又は6員環である。アリール基は、例えば1個、2個又は3個のヘテロ原子を含有していてもよい。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリル及びイソキノリルが含まれる。ヘテロアリール基は、例えば、アリールについて上に指定されている通り、置換又は無置換であってもよい。通常、ヘテロアリール基は、0、1つ、2つ又は3つの置換基を有する。
【0031】
用語「アルキレン基」とは、本明細書で使用する場合、1〜20個の炭素原子(別段の指定がない限り)を有する炭化水素化合物の、2個の水素原子(同じ炭素原子から両方とも、又は2個の異なる炭素原子のそれぞれから1個ずつのどちらか)を除去することにより得られた置換又は無置換の二座部位を指し、この部位は、脂肪族又は脂環式であってもよく、飽和、部分的に不飽和又は完全に不飽和であってもよい。したがって、用語「アルキレン」には、以下で議論されている、部分クラスのアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンなどが含まれる。通常、アルキレンは、C1〜10アルキレン、例えばC1〜6アルキレンである。通常、アルキレンは、C1〜4アルキレン、例えばメチレン、エチレン、i-プロピレン、n-プロピレン、t-ブチレン、s-ブチレン又はn-ブチレンである。アルキレンはまた、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、及びそれらの様々な分岐鎖状異性体であってもよい。アルキレン基は、例えば、アルキルについて上で指定されている通り、置換又は無置換であってもよい。通常、置換アルキレン基は、1つ、2つ又は3つ、例えば1つ又は2つの置換基を有する。
【0032】
この文脈では、接頭語(例えば、C1〜4、C1〜7、C1〜20、C2〜7、C3〜7など)は、炭素原子数、又は炭素原子数の範囲を意味する。例えば、用語「C1〜4アルキレン」は、本明細書で使用する場合、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基に関する。アルキレン基の群の例には、C1〜4アルキレン(「低級アルキレン」)、C1〜7アルキレン、C1〜10アルキレン及びC1〜20アルキレンが含まれる。
【0033】
直鎖状の飽和C1〜7アルキレン基の例には、以下に限定されないが、-(CH2)n-が含まれ、nは1〜7の整数であり、例えば、-CH2-(メチレン)、-CH2CH2-(エチレン)、-CH2CH2CH2-(プロピレン)及び-CH2CH2CH2CH2-(ブチレン)である。
【0034】
分岐状の飽和C1〜7アルキレン基の例には、以下に限定されないが、-CH(CH3)-、-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH2CH2-、-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-、-CH(CH2CH3)-、-CH(CH2CH3)CH2-、及び-CH2CH(CH2CH3)CH2-が含まれる。
【0035】
直鎖状の部分的に不飽和なC1〜7アルキレン基の例には、以下に限定されないが、-CH=CH-(ビニレン)、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH2-、-CH=CH-CH2-CH2-、-CH=CH-CH2-CH2-CH2-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=CH-CH2-、-CH=CH-CH=CH-CH2-CH2-、-CH=CH-CH2-CH=CH-、及び-CH=CH-CH2-CH2-CH=CH-が含まれる。
【0036】
分岐状の部分的に不飽和なC1〜7アルキレン基の例には、以下に限定されないが、-C(CH3)=CH-、-C(CH3)=CH-CH2-及び-CH=CH-CH(CH3)-が含まれる。
【0037】
1つ以上の二重結合を含む、部分的に不飽和なアルキレン基は、アルケニレン基と呼ばれることがある。1つ以上の三重結合を含む、部分的に不飽和なアルキレン基は、アルキニレン基(例えば、-C≡C-、CH2-C≡C-及び-CH2-C≡C-CH2-)と呼ばれることがある。
【0038】
脂環式飽和C1〜7アルキレン基の例には、以下に限定されないが、シクロペンチレン(例えば、シクロペンタ-1,3-イルエン)、及びシクロヘキシレン(例えば、シクロヘキサ-1,4-イルエン)が含まれる。
【0039】
部分的に不飽和な脂環式C1〜7アルキレン基の例には、以下に限定されないが、シクロペンテニレン(例えば、4-シクロペンテン-1,3-イルエン)、シクロヘキセニレン(例えば、2-シクロヘキセン-1,4-イルエン、3-シクロヘキセン-1,2-イルエン、2,5-シクロヘキサジエン-1,4-イルエン)が含まれる。
【0040】
本明細書で定義されているC1〜20アルキレン基及びC1〜20アルキル基は、分断されていないか、又はS、O若しくはN(R")(R"は、H、C1〜6アルキル又はアリールであり、通常、フェニルである)などの1個以上のヘテロ原子又は複素基により、又は1つ以上のアリーレン(通常、フェニレン)基により、又は1つ以上の-C(O)-若しくは-C(O)N(R")-基により分断されているかのどちらかである。したがって、「場合により分断されている」という言い回しは、本明細書で使用する場合、上で定義されている通り、C1〜20アルキル基又はアルキレン基を指し、これらの基は、分断されていないか、又は隣接する炭素原子間で、酸素又は硫黄などのヘテロ原子により、N(R")(R"は、H、アリール又はC1〜C6アルキルである)などのヘテロ基により、又はアリーレン基により、又は-C(O)-若しくは-C(O)N(R")-基(R"は、H、アリール又はC1〜C6アルキルでもある)により分断されている。
【0041】
例えば、n-ブチルなどのC1〜20アルキル基は、ヘテロ基N(R")により、以下の通り、分断されていてもよい:-CH2N(R")CH2CH2CH3、-CH2CH2N(R")CH2CH3又は-CH2CH2CH2N(R")CH3。同様に、n-ブチレンなどのアルキレン基は、複素基N(R")により、以下の通り、分断されていてもよい:-CH2N(R")CH2CH2CH2-、-CH2CH2N(R")CH2CH2-又は-CH2CH2CH2N(R")CH2-。通常、分断された基、例えば分断されたC1〜20アルキレン基又はC1〜20アルキル基は、1個、2個若しくは3個のヘテロ原子又は複素基により、或いは1つ、2つ又は3つのアリーレン(通常、フェニレン)基により分断されている。さらに通常、分断された基、例えば分断されたC1〜20アルキレン基又はC1〜20アルキル基は、1個若しくは2個のヘテロ原子又は複素基により、或いは1つ又は2つのアリーレン(通常、フェニレン)基により分断されている。例えば、n-ブチルなどのC1〜20アルキル基は、2つの複素基N(R")により、以下の通り、分断されていてもよい:-CH2N(R")CH2N(R")CH2CH3。
【0042】
アリーレン基は、芳香族化合物の、2個の水素原子(2個の異なる芳香族環原子のそれぞれから1個ずつ)を除去することにより得られた置換又は無置換の二座部位であり、この部位は、5〜14個の環原子(別段の指定がない限り)を有する。通常、各環は5〜7個又は5〜6個の環原子を有する。アリーレン基は、例えば、アリールについて上に指定されている通り、置換又は無置換であってもよい。
【0043】
この文脈では、接頭語(例えば、C5〜20、C6〜20、C5〜14、C5〜7、C5〜6など)は、炭素原子かヘテロ原子かに関わらず、環原子数、又は環原子数の範囲を意味する。例えば、用語「C5〜6アリーレン」は、本明細書で使用する場合、5個又は6個の環原子を有するアリーレン基に関する。アリーレン基の群の例には、C5〜20アリーレン、C6〜20アリーレン、C5〜14アリーレン、C6〜14アリーレン、C6〜10アリーレン、C5〜12アリーレン、C5〜10アリーレン、C5〜7アリーレン、C5〜6アリーレン、C5アリーレン及びC6アリーレンが含まれる。
【0044】
環原子は、「カルボアリーレン基」(例えば、C6〜20カルボアリーレン、C6〜14カルボアリーレン又はC6〜10カルボアリーレン)と同様に、すべてが炭素原子とすることができる。
【0045】
環ヘテロ原子を有していないC6〜20アリーレン基(すなわち、C6〜20カルボアリーレン基)の例には、以下に限定されないが、アリール基に関して上で議論されている化合物から誘導されるもの、例えばフェニレンが含まれ一緒に結合しているアリール基から誘導されるもの、例えばフェニレン-フェニレン(ジフェニレン)及びフェニレン-フェニレン-フェニレン(トリフェニレン)も含まれる。
【0046】
或いは、環原子は、「ヘテロアリーレン基」(例えば、C5〜10ヘテロアリーレン)と同様に、1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0047】
C5〜10ヘテロアリーレン基の例には、以下に限定されないが、ヘテロアリール基に関して上で議論されている化合物から誘導されるものが含まれる。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「オキソ」は、式:=Oの基を表す。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「アシル」は、式:-C(=O)Rの基を表し、Rは、アシル置換基、例えば、置換若しくは無置換のC1〜20アルキル基、置換若しくは無置換のC2〜20アルケニル基、置換若しくは無置換のC2〜20アルキニル基、置換若しくは無置換のC3〜20ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基、例えば置換若しくは無置換のC1〜6アルキル基である。アシル基の例には、以下に限定されないが、-C(=O)CH3(アセチル)、-C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、-C(=O)C(CH3)3(t-ブチリル)及び-C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が含まれる。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「アシルオキシ」(又は、逆エステル)は、式:-OC(=O)Rの基を表し、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、置換若しくは無置換のC1〜20アルキル基、置換若しくは無置換のC2〜20アルケニル基、置換若しくは無置換のC2〜20アルキニル基、置換若しくは無置換のC3〜20ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基、例えば置換若しくは無置換のC1〜6アルキル基である。アシルオキシ基の例には、以下に限定されないが、-OC(=O)CH3(アセトキシ)、-OC(=O)CH2CH3、-OC(=O)C(CH3)3、-OC(=O)Ph及び-OC(=O)CH2Phが含まれる。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「エステル」(又はカルボキシレート、カルボン酸エステル又はオキシカルボニル)は、式-C(=O)ORの基を表し、Rは、エステル置換基、例えば、置換若しくは無置換のC1〜20アルキル基、置換若しくは無置換のC2〜20アルケニル基、置換若しくは無置換のC2〜20アルキニル基、置換若しくは無置換のC3〜20ヘテロシクリル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基、例えば置換若しくは無置換のC1〜6アルキル基である。エステル基の例には、以下に限定されないが、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)OC(CH3)3及び-C(=O)OPhが含まれる。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ」は、式-NH2の基を表す。用語「C1〜C10アルキルアミノ」は式-NHR'の基を表し、R'は、先に定義されている通り、C1〜10アルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基である。用語「ジ(C1〜10)アルキルアミノ」は、式-NR'R"の基を表し、R'及びR"は、同一であるか又は異なっており、先に定義した通り、C1〜10アルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基を表す。用語「アリールアミノ」は、式-NHR'の基を表し、R'は、先に定義されている通り、アリール基、好ましくはフェニル基である。用語「ジアリールアミノ」は、式-NR'R"の基を表し、R'及びR"は、同一であるか又は異なっており、先に定義した通り、アリール基、好ましくはフェニル基を表す。用語「アリールアルキルアミノ」は、式-NR'R"の基を表し、R'はC1〜10アルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基であり、R"は、アリール基、好ましくはフェニル基である。
【0053】
ハロ基は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素(クロロ基、フルオロ基、ブロモ基又はヨード基)である。ハロ基は、通常、塩素、フッ素又は臭素である。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「アミド」は、式:-C(=O)NR'R"の基を表し、R'及びR"は、ジ(C1〜10)アルキルアミノ基について定義されている通り、独立してアミノ置換基である。アミド基の例には、以下に限定されないが、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3及び-C(=O)N(CH2CH3)2、並びにR'とR"が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル及びピペラジノカルボニルと同様の複素環式構造を形成している、アミド基が含まれる。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「アシルアミド」は、式:-NR1C(=O)R2の基を表し、R1は、アミド置換基、例えば、水素、C1〜20アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、アリール基、好ましくは水素又はC1〜20アルキル基であり、R2は、アシル置換基、例えばC1〜20アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はアリール基、好ましくは水素又はC1〜20アルキル基である。アシルアミド基の例には、以下に限定されないが、-NHC(=O)CH3、-NHC(=O)CH2CH3、-NHC(=O)Ph、-NHC(=O)C15H31及び-NHC(=O)C9H19が含まれる。したがって、置換C1〜20アルキル基は、-NHC(=O)C15H31又は-NHC(=O)C9H19などの式-NHC(=O)-C1〜20アルキルによって定義される、アシルアミド置換基を含むことができる。R1及びR2は、一緒になって、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル及びフタルイミジル:
【化4】
と同様の、環式構造を形成することができる。
【0056】
C1〜10アルキルチオ基は、チオ基に結合している、前記C1〜10アルキル基、好ましくはC1〜6アルキル基である。アリールチオ基は、チオ基に結合しているアリール基、好ましくはフェニル基である。
【0057】
C1〜20アルコキシ基は、酸素原子に結合している前記置換又は無置換のC1〜20アルキル基である。C1〜6アルコキシ基は、酸素原子に結合している前記置換又は無置換のC1〜6アルキル基である。C1〜4アルコキシ基は、酸素原子に結合している置換又は無置換のC1〜4アルキル基である。前記C1〜20、C1〜6及びC1〜4アルキル基は、本明細書で定義されている通り、場合により分断されている。C1〜4アルコキシ基の例には、-OMe(メトキシ)、-OEt(エトキシ)、-O(nPr)(n-プロポキシ)、-O(iPr)(イソプロポキシ)、-O(nBu)(n-ブトキシ)、-O(sBu)(sec-ブトキシ)、-O(iBu)(イソブトキシ)及び-O(tBu)(tert-ブトキシ)が含まれる。C1〜20アルコキシ基のさらなる例は、-O(アダマンチル)、-O-CH2-アダマンチル及び-O-CH2-CH2-アダマンチルである。アリールオキシ基は、酸素原子に結合している、本明細書で定義されている置換又は無置換のアリール基である。アリールオキシ基の一例は、-OPh(フェノキシ)である。
【0058】
別段の指定がない限り、上記には、これらの置換基の、周知のイオン性形態、塩形態、溶媒和物形態及び保護形態が含まれる。例えば、カルボン酸又はカルボキシル基(-COOH)を述べる場合、それらの陰イオン(カルボン酸イオン)形態(-COO-)、塩又は溶媒和物、並びに慣用的な保護形態も含まれる。同様に、アミノ基を述べる場合、アミノ基のプロトン化形態(-N+HR1R2)、塩又は溶媒和物、例えば、塩酸塩、並びにアミノ基の慣用的な保護形態が含まれる。同様に、ヒドロキシル基を述べる場合、その陰イオン形態(-O-)、塩又は溶媒和物、並びに慣用的な保護形態も含まれる。
【0059】
ある種の化合物は、以下に限定されないが、cis及びtrans体、E及びZ体、c、t及びr体、エンド及びエキソ体、R、S及びメソ体、D及びL体、d及びl体、(+)及び(-)体、ケト、エノール及びエノレート体、syn及びanti体、シンクリナル及びアンチクリナル体、α及びβ体、アキシャル及びエカトリアル体、ボート、椅子、ツイスト、エンベロープ及び半椅子体、並びにそれらの組合せを含む、1つ以上の特定の幾何学体、光学体、鏡像異性体、ジアステレオマー体、エピマー体、アトロプ体、立体異性体、互変異性体、立体配座体、又はアノマー体で存在することができ、これ以降、「異性体」(又は「異性形態」)として総称する。
【0060】
互変異性体について以下に議論するもの以外は、構造(又は構成)異性体(すなわち、単に空間的な原子の位置によるものではなく、原子間の結合が異なる異性体)は、本明細書で使用する用語「異性体」から具体的に除外されることに留意されたい。例えば、メトキシ基、-OCH3を述べる場合、その構造異性体である、ヒドロキシメチル基、-CH2OHを述べているものと解釈されない。同様に、オルト-クロロフェニルを述べる場合、その構造異性体である、メタ-クロロフェニルを述べているものと解釈されない。しかし、構造のクラスを述べる場合、そのクラス内に収まる構造異性形態が当然、含まれ得る(例えば、C1〜7アルキルには、n-プロピル及びイソ-プロピルが含まれ、ブチルには、n-、イソ-、sec-、及びtert-ブチルが含まれ、メトキシフェニルには、オルト-、メタ-、及びパラ-メトキシフェニルが含まれる)。
【0061】
上記の除外は、例えば以下の互変異性体のペア:ケト/エノール(以下に例示)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、及びニトロ/aci-ニトロのような、互変異性体、例えばケト、エノール、及びエノレート体に関するものではない。
【0062】
【化5】
【0063】
用語「異性体」には、1つ以上の同位体置換を有する化合物が具体的に含まれることに留意されたい。例えば、別段の指定がない限り、Hは、1H、2H(D)及び3H(T)を含む任意の同位体であってもよい、Cは、12C、13C及び14Cを含む任意の同位体であってもよい、Oは16O及び18Oを含む任意の同位体であってもよいなどである。しかし、フッ素の同位体を述べる場合、フッ素のそうした同位体のみを指す。特に、18Fを述べる場合、18Fしか含まない。同位体を指定しないでフッ素を述べる場合、文脈に応じて、18F又は19Fを指すことがある。通常、「F」を述べる場合(すなわち、同位体を定義しない)、19F、すなわち安定フッ素を指す。
【0064】
別段の指定がない限り、特定の化合物を述べる場合、(完全又は部分的な)ラセミ混合物、及び他のそれらの混合物を含めた、こうした異性体のすべてを含む。こうした異性体の調製方法(例えば、不斉合成)及び分離方法(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフィー手段)は、当技術分野において公知であるか、又は公知のやり方で公知方法を適応することにより容易に得られる。
【0065】
用語「置換されている」は、本明細書で使用する場合、具体的な基に関して上記で定義されている通りとすることができる。しかし、一部の場合、置換されているという用語は、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、スルフィドリル(すなわち、チオール、-SH)、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基により置換されている基を指すことができる。他の場合、用語「置換されている」は、置換又は無置換のC1〜6アルキル、置換又は無置換のC2〜6アルケニル、置換又は無置換のC2〜6アルキニル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜6アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜6アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基により置換されている基を指すことができる。例えば、用語「置換されている」とは、無置換のC1〜6アルキル、無置換のC2〜6アルケニル、無置換のC2〜6アルキニル、無置換のアリール、無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、無置換のC1〜6アルキルアミノ、無置換のジ(C1〜6)アルキルアミノ、無置換のアリールアミノ、無置換のジアリールアミノ、無置換のアリールアルキルアミノ、無置換のアミド、無置換のアシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、無置換のエステル、無置換のアシル、無置換のアシルオキシ、無置換のC1〜6アルコキシ、無置換のアリールオキシ、スルホン酸、チオール、無置換のC1〜6アルキルチオ、無置換のアリールチオ、スルホニル、リン酸、無置換のリン酸エステル、無置換のホスホン酸及び無置換のホスホン酸エステルから選択される基により置換されている基を指すことができる。
【0066】
用語「18F」は、9個の陽子及び9個の中性子を有するフッ素の特定の同位体原子を指す。用語「18F-」は、9個の陽子及び9個の中性子を有するフッ素の特定の同位体原子の陰イオンを指す。
【0067】
用語「ボロン酸エステル基」とは、本明細書で使用する場合、式-B(OR)2の基を指し、RはH、又は有機基、例えば、置換又は無置換のアルキル基である。用語「ボロン酸基」とは、本明細書で使用する場合、式-B(OH)2の基を指す。用語「ボロレート基」とは、本明細書で使用する場合、式-B(OR)3-の基を指し、RはH、又は有機基、例えば、置換又は無置換のアルキル基である。ボレート基は負に帯電しているので、陽イオン、例えば、Na+又はK+などの金属陽イオンが通常、存在する。用語「トリフルオロボレート基」とは、本明細書で使用する場合、式-BF3-の基を指す。トリフルオロボレート基は負に帯電しているので、陽イオン、例えば、Na+又はK+などの金属陽イオンが通常、存在する。
【0068】
用語「配位子」とは、本明細書で使用する場合、中心原子(この場合、銅原子又はイオン)に結合して錯体を形成することが可能な化学種を指す。配位子は、帯電しているか又は中性の化学種であってもよい。通常、本明細書で述べられている通り、配位子は中性の化学種である。
【0069】
用語「ハロゲン化物」は、本明細書で使用する場合、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物を指す。
【0070】
用語「保護基」は、本明細書で使用する場合、当分野においてその通常の意味をとる。したがって、保護基は、化合物に導入される基であり、その結果、その後の工程が化学選択的になり、保護基に影響を及ぼさない。保護基は、特定の官能基を保護するのに好適なものとして分類され得る。したがって、保護基は、例えば、アルコール保護基、アミン保護基又はカルボン酸保護基とすることができる。
【0071】
方法
本発明は、18F原子を含む有機化合物を製造する方法であって、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、方法を提供する。
【0072】
通常、有機ホウ素化合物は、(i)と(ii)の両方と同時に処理される。したがって、通常、本方法は、銅化合物の存在下で、有機ホウ素化合物を18F-により処理するステップを含む。同じく、本方法は、18F-の存在下で、有機ホウ素化合物を銅化合物により処理するステップを含むことができる。18F-は、以下で議論されている通り、18F-の任意の好適な供給源を指すことができる。多くの場合、18F-は、溶媒和されている。
【0073】
有機ホウ素は、通常、1個のホウ素原子しか含有していない。この有機ホウ素化合物は、通常、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基又はトリフルオロボレート基を含む。多くの場合、有機ホウ素化合物は、ボロン酸エステル基を含む。前記基のホウ素原子は、sp2混成炭素原子に結合している。したがって、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基又はトリフルオロボレート基は、C=C二重結合中の炭素原子、又はアリール若しくはヘテロアリール環中の炭素原子に通常、結合している。有機ホウ素化合物は、アルケニルボロン酸エステル化合物、アルケニルボロン酸化合物、アリールボロン酸エステル化合物、又はアリールボロン酸化合物とすることができる。一実施形態では、本有機ホウ素化合物は、アリールボロン酸エステル化合物である。
【0074】
銅化合物
任意の適切な銅化合物が、本発明の方法において使用することができる。銅化合物は、多くの場合、銅塩である。この銅塩は、銅(I)塩、銅(II)塩、又は銅(III)塩であってもよい。好ましくは、銅化合物は、銅(II)塩又は銅(III)塩である。より好ましくは、銅化合物は、銅(II)塩である。この銅化合物は、Cun+(n=1、2又は3)及び1つ以上の陰イオンを含む単純塩であってもよく、又は錯体の銅陽イオン及び1つ以上の陽イオンを含む塩であってもよい。したがって、銅化合物は、1つ以上のX基を含む銅塩であってもよく、X基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、陰イオンである。例えば、銅化合物は、式CuX2の塩であってもよく、Xは陰イオンであり、この塩は、1つ以上の中性配位子をさらに含んでもよい。
【0075】
一実施形態では、本銅化合物は、式[LnCuXm]の化合物を含み、式中、Lはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、配位子であり、場合により、2つ以上のL基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成しており、Xはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、陰イオンであり、場合により、2つ以上のX基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成しており、nは0〜6の整数であり、mは、0〜4の整数である。多くの場合、本銅化合物は、式[LnCuXm]の化合物である。
【0076】
式[LnCuXm]の化合物は、帯電していてもよく又は中性であってもよい。したがって、この化合物は、銅の陽イオン錯体とすることができる。式[LnCuXm]の化合物が帯電している場合、この銅化合物は、1つ以上の対イオンをさらに含むことができる。例えば、式[LnCuXm]の化合物が正に帯電している場合、この銅化合物は、1つ以上の陰イオンをさらに含むことができる。1つ以上の陰イオンは、本明細書に記載されている任意の陰イオンから選択することができる。1つ以上の陰イオンは、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンから選択することができる。銅錯体は、陽イオン性又は陰イオン性とすることができ、1つ以上の対イオンと会合していることがある。銅化合物は、例えば、陽イオン性とすることができ、1つ以上の対陰イオンと会合していることがある。式[LnCuXm]の化合物は、例えば、一価の陽イオン、二価の陽イオン又は三価の陽イオンとすることができる。任意の好適な対陰イオンを使用することができ、幅広い範囲の好適な対陰イオンが当業者に周知である。対陰イオン(単数又は複数)は、例えば、ハロゲン化物陰イオン、水酸化物陰イオン、硫酸陰イオン、硝酸陰イオン、ヘキサフルオロリン酸陰イオン、塩素酸イオン又はテトラフルオロボレート陰イオンから選択することができる。或いは、この金属錯体は、陰イオン性とすることができ、1つ以上の対陽イオンと会合していることがある。ここでも任意の好適な対陽イオンを使用することができる。多くのこうした陽イオンが、当業者に公知である。
【0077】
式[LnCuXm]では、銅原子Cuは、中性の銅原子、又は銅(I)、(II)若しくは(III)イオンとすることができる。多くの場合、式[LnCuXm]は、Cu(II)イオンを含む。
【0078】
nは、多くの場合、整数0〜4、例えば3又は4である。mは、通常、整数1〜3、例えば2である。
【0079】
式[LnCuXm]では、1つ以上のL基は、多くの場合、1個以上のN原子、1個以上のO原子又は1個以上のS原子を含む配位子である。1個以上のN原子を含む配位子の例には、アンモニア、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、アルキレンジアミン及び1つ以上のN原子を含む複素環式化合物が含まれる。1個以上のN原子を含む配位子中のアルキル、アリール、アルキレン及び複素環式基は、本明細書のどこかに記載されている通りとすることができ、こうした基は、無置換であってもよい。1個以上のO原子を含む配位子の例には、水、アルコール、カルボン酸(カルボン酸イオンを含む)、ジアルキルエーテル、アルキレンジオール、及び1個以上のO原子を含む複素環式化合物が含まれる。アルコール配位子は、式ROHの化合物とすることができ、Rは、本明細書のどこかに記載されている、置換又は無置換のアルキル化合物である。カルボン酸配位子は、式RCOOH又はRCOO-の化合物とすることができ、Rは、本明細書のどこかに記載されている、置換又は無置換のアルキル基である。1個以上のO原子を含む配位子中のアルキル、アルキレン及び複素環式基は、本明細書のどこかに記載されている通りとすることができる。1個以上のS原子を含む配位子の例には、H2S、アルキルチオール、ジアルキルチオエーテル、及び1個以上のS原子を含む複素環式化合物が含まれる。1個以上のS原子を含む配位子中のアルキル及び複素環式基は、本明細書のどこかに記載されている通りとすることができる。
【0080】
多くの場合、1つ以上のL基は、1個以上のN原子を含む複素環式化合物、1個以上のO原子を含む複素環式化合物、1個以上のS原子を含む複素環式化合物、アミン及び水から選択される中性配位子である。1個以上のN原子を含む複素環式化合物の例には、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン(テトラヒドロピロール)、ピロリン(例えば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)、2H-ピロール又は3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)、ピペリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、アゼピン、イミダゾリジン、ピラゾリジン(ジアゾリジン)、イミダゾリン、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)、ピペラジン、テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジン、オキサジン、チアゾリン、チアゾリジン、チオモルホリン、オキサジアジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラゾリジン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアジアゾール、チアゾリル、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、キノリン、イソキノリン、オキサジアゾール、フェナントロリン及び2,2'-ビピリジルが含まれる。1個以上のO原子を含む複素環式化合物の例には、オキシラン、オキセタン、オキソラン(テトラヒドロフラン)、オキソール(ジヒドロフラン)、オキサン(テトラヒドロピラン)、ジヒドロピラン、ピラン、オキセピン、ジオキソラン、ジオキサン、ジオキセパン、トリオキサン、テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジン、オキサジン、オキサジアジン、オキサチオール、オキサチアン(チオキサン)、オキサチアジン、サッカライド、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール及びイソオキサゾールが含まれる。1個以上のS原子を含む複素環式化合物の例には、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアゾリン、ジチアン及びチオモルホリンが含まれる。アミンは、アンモニア、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン又はアルキレンジアミンとすることができる。
【0081】
一実施形態では、1つ以上のL基は、置換又は無置換のピリジン、置換又は無置換のピロール、置換又は無置換のピロリジン、置換又は無置換のイミダゾール、置換又は無置換のイミダゾリン、置換又は無置換のイミダゾリジン、置換又は無置換のピラゾール、置換又は無置換のピラゾリン、置換又は無置換のピラゾリジン、置換又は無置換のピラゾリン、置換又は無置換のオキサゾール、置換又は無置換のイソオキサゾール、置換又は無置換のチアゾール及び置換又は無置換のイソチアゾールから選択される配位子であるか、又は2つのL基が一緒に結合して、置換又は無置換のC1〜6アルキレンジアミン、置換又は無置換の2,2'-ビピリジン及び置換又は無置換のフェナントロリンから選択される配位子を形成する。例えば、1つ以上のL基は、置換又は無置換のピリジン、置換又は無置換の2,2'-ビピリジン及び置換又は無置換のフェナントロリンから選択される配位子とすることができる。多くの場合、1つ以上のL基は、置換又は置換ピリジンである。
【0082】
一実施形態では、1つ以上のL基は、式(I)の配位子
【化6】
(式中、R1はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜10アルコキシ、アリールオキシアロアルキル(aryloxyaloalkyl)、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される置換基であり、aは、0〜5の整数である)
である。
【0083】
例えば、R1は無置換のC1〜6アルキル、無置換のC2〜6アルケニル、無置換のC2〜6アルキニル、無置換のアリール、無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、無置換のC1〜6アルキルアミノ、無置換のジ(C1〜6)アルキルアミノ、無置換のアリールアミノ、無置換のジアリールアミノ、無置換のアリールアルキルアミノ、無置換のアミド、無置換のアシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、無置換のエステル、無置換のアシル、無置換のアシルオキシ、無置換のC1〜6アルコキシ、無置換のアリールオキシ、スルホン酸、チオール、無置換のC1〜6アルキルチオ、無置換のアリールチオ、スルホニル、リン酸、無置換のリン酸エステル、無置換のホスホン酸及び無置換のホスホン酸エステルから選択することができる。したがって、R1は、無置換のC1〜6アルキルから選択することができる。aは、多くの場合、0、1又は2である。
【0084】
多くの場合、1つ以上のL基は、無置換のピリジンである。例えば、L基の各々は、無置換のピリジンとすることができる。
【0085】
上記の通り、本銅化合物は、多くの場合、1つ以上の陰イオンXを含む銅塩である。多くの場合、1つ以上のX基は、ハロゲン化物陰イオン、及び式[-OS(O)2Y]-、[-S(O)2Y]-及び[-OC(O)Y]-の陰イオンから選択される陰イオンであり、Yは、ハロゲン化物イオン、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、パーフルオロアルキル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のヘテロシクリル基から選択される基である。例えば、Yは、メチル、ベンジル、トルエニル又はパーフルオロアルキルとすることができる。Yは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、パーフルオロブチル(パーフルオロ-n-ブチル、パーフルオロ-sec-ブチル及びパーフルオロ-tert-ブチルを含む)、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロウンデシル及びパーフルオロドデシルから選択されるパーフルオロアルキル基とすることができ、それらの直鎖及び分岐異性体を含む。
【0086】
好ましくは、1つ以上のX基は、トリフレート(-OTf)、トリフリル(-Tf)、ノナフレート、フルオロスルホン酸イオン、スルホン酸イオン、トシル、メシル酸イオン、ピバル酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン及び水酸化物イオンから選択される陰イオンである。1つ以上のX基は、トリフレート(-OTf)、トリフリル(-Tf)、ノナフレート、フルオロスルホン酸イオン、スルホン酸イオン、トシル、メシル酸イオン、ピバル酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン及び水酸化物イオンから選択される陰イオンとすることができる。例えば、1つ以上のX基は、トリフレート、ノナフレート、フルオロスルホン酸イオン、スルホン酸イオン及びトシルから選択することができる。好ましくは、Xはそれぞれ、式[-OS(O)2Y]-である陰イオンであり、式中、YはF又はパーフルオロアルキルである。例えば、Xはそれぞれ、トリフレートとすることができる。
【0087】
銅化合物は、式[LnCu(OTf)2]の化合物とすることができ、式中、Lはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、配位子であり、場合により、2つ以上のL基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成し、nは0〜4の整数である。Lは、本明細書のどこかに定義した通り、例えば置換又は無置換のピリジンとすることができる。nは、多くの場合、2〜4、例えば4の整数である。
【0088】
一実施形態では、本銅化合物は、式[(Py)4CuII(OTf)2]の化合物である。ここで、「Py」は無置換ピリジンを表す。
【0089】
一部の例では、反応中、添加物が存在していることもある。この添加物は、塩、例えば炭酸塩、炭酸水素塩若しくはリン酸塩、又は水とすることができる。例えば、添加物は、炭酸セシウム(Cs2CO3)、炭酸水素テトラエチルアンモニウム(Et4NHCO3)又はリン酸カリウム(K3PO4)とすることができる。
【0090】
ブレンステッド酸が、添加物として存在してもよい。例えば、ピリジニウムトリフレート又はスルホン酸ピリジニウム化合物などのピリジニウム化合物が、反応中、存在してもよい。ピリジニウムトリフレートの例には、ジ-tert-ブチルピリジニウムトリフレート及びピリジニウムトリフレートが含まれる。スルホン酸ピリジニウムの例には、フェニルスルホン酸ピリジニウム及びトルエンスルホン酸ピリジニウムが含まれる。
【0091】
酸化剤も、反応中に存在することがある。酸化剤が存在する場合、該酸化剤は任意の適切な酸化剤とすることができる。この酸化剤は、酸素、過酸化水素、有機過酸化物、有機ペルオキシ酸、酸化剤の金属塩及びベンゾキノンから選択することができる。
【0092】
有機ホウ素化合物
本発明の方法において処理される有機ホウ素化合物は、上で議論されている通り、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む。したがって、通常、有機ホウ素化合物は、式(II)又は(III)の化合物:
【化7】
(式中、
Arは、アリール環又はヘテロアリール環であり、
RA基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RB、RC及びRDは、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルからそれぞれ独立して選択され、2つ以上のRB、RC及びRDが一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基又はトリフルオロボレート基から選択される基であり、
xは、0〜5の整数である)
である。
【0093】
例えば、RA基はそれぞれ、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC1〜10アルケニル、置換又は無置換のC1〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ及びアリールオキシから独立して選択することができ、2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。RA基はそれぞれ、例えば、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ及びアリールオキシから独立して選択することができ、2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成する場合、この2つ以上のRA基は、本明細書に記載されているアルキレン基、例えば、本明細書に記載されている通り、場合により分断されていてもよい、置換又は無置換のC2〜6アルキレン基を形成していてもよい。
【0094】
RB、RC及びRDは、多くの場合、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC1〜10アルケニル、置換又は無置換のC1〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ及びアリールオキシからそれぞれ独立して選択され、2つ以上のRB、RC及びRDが一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。RB、RC及びRDは、例えば、H及び置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ及びアリールオキシから独立して選択することができ、2つ以上のRB、RC及びRDが一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。2つ以上のRB、RC及びRDが一緒に結合して1つ以上の環を形成する場合、この2つ以上のRB、RC及びRDは、本明細書に記載されているアルキレン基、例えば、本明細書に記載されている通り、場合により分断されていてもよい、置換又は無置換のC2〜6アルキレン基を形成していてもよい。
【0095】
Zは、式(IV)の基:
【化8】
(式中、
Qはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、-ORE、-OH及びフッ化物から選択される基であり、
REはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、アシル、エステル、アミド及びハロアルキルから選択される基であり、2つ以上のRE基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
yは、2又は3である)
とすることができる。
【0096】
REは、置換又は無置換のC1〜10アルキルから選択することができ、2つ以上のRE基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。例えば、2つのRE基が一緒になって、本明細書に記載されている置換又は無置換のC1〜10アルキレン基を形成していてもよい。
【0097】
Zは、多くの場合、式-B(ORE)2の基である。したがって、Zは、多くの場合、ボロン酸エステル基である。Zは、多くの場合、環式ボロン酸エステル基である。例えば、Zは、式(V)の基:
【化9】
(式中、alk1は、1つ以上の-O-又は-N(RF)-基により場合により分断されている、置換又は無置換のアルキレン基であり、RFは、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、アシル、エステル、アミド及びアシルオキシから選択される基である)とすることができる。多くの場合、alk1は、1つの-O-又は-N(RF)基-により場合により分断されている、置換又は無置換のC1〜10アルキレン基であり、RFは、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、アシル、エステル、アミド及びアシルオキシから選択される基である。alk1は、分断されていない置換又は無置換のC2〜5アルキレン基とすることができる)
【0098】
例えば、Zは、式(VI)又は(VII)の基:
【化10】
【化11】
(式中、RFaはそれぞれ独立して、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜10アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、zは、0〜6の整数である)
とすることができる。
【0099】
式(VI)及び(VII)中、RFaはそれぞれ、2個のO原子を架橋するアルキレン炭素原子のいずれか1つに結合していてもよい。RFaはそれぞれ、置換又は無置換のC1〜10アルキル基から独立して選択される基とすることができる。例えば、RFaは、メチル又はエチルとすることができる。
【0100】
多くの場合、Zは、
【化12】
から選択される基である。
【0101】
したがって、Zは、ピナコールボロン酸エステル又はネオペンチルグリコールボロン酸エステルとすることができる。
【0102】
式(II)中、Arは、アリール環又はヘテロアリール環である。例えば、Arは、多くの場合、フェニル、ナフテニル(naphthenyl)、アントラセニル及びピレニルなどのアリール環、並びにピリジニル、ピリドニル、ピリミジニル、ピリミドニル、ピリミジンジオニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイミダゾリルなどのヘテロアリール環から選択される環である。Arは、多くの場合、フェニル、ピリジニル、ピリドニル、ピリミジニル、ピリミドニル、ピリミジンジオニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、及びイミダゾリルから選択される環である。例えば、Arは、フェニル、ピリジニル、ピリドニル、ピリミジニル、ピリミドニル、及びピリミジンジオニルから選択される環とすることができる。多くの場合、Arは、フェニル及びピリジニルから選択される環である。
【0103】
一実施形態では、本有機ホウ素化合物は、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)の化合物:
【化13】
(式中、
Ar2は、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、
alk2は、単結合、又は置換若しくは無置換のC1〜20アルキレン基、置換若しくは無置換のC2〜20アルケニレン基、置換若しくは無置換のC2〜20アルキニレン基であり、alk2が、1つ以上の-O-又は-N(RF)-基により場合により分断されていてもよく、RFは、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、アシル、エステル及びアミドから選択される基であり、
RA基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であるか、又は2つ以上のRA基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RGはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、エステル、アシルアミド、アシル及びアシルオキシから選択される基であるか、又は両方のRG基が一緒になって、置換若しくは無置換のヘテロシクリル基又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を形成し、
xは、0〜4の整数であり、
Zは、本明細書のどこかに定義されている通りである)
である。
【0104】
Ar2は、Arに関して、本明細書に記載されている通りとすることができる。例えば、Ar2は、フェニル、ピリジニル、ピリドニル、ピリミジニル、ピリミドニル、ピリミジンジオニル及びチアゾリルから選択される基とすることができ、これらは、置換されていてもよく、又は無置換であってもよい。多くの場合、Ar2は、フェニル、ピリジニル及びチアゾリルから選択される環である。
【0105】
alk2は、多くの場合、単結合、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキレン基、置換若しくは無置換のC2〜10アルケニレン基、置換若しくは無置換のC2〜10アルキニレン基であり、alk2は、1つ以上の-O-又は-N(RF)-基により場合により分断されていてもよく、RFは、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、アシル、エステル及びアミドから選択される基である。例えば、alk2は、単結合、メチル、エチル、ビニル、エチニル及び-CH2N(RF)-から選択することができる。
【0106】
RAは、式(II)の有機ホウ素化合物に関して、上でさらに定義されている通りとすることができる。
【0107】
多くの場合、RGはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC2〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、エステル、アシルアミド、アミド、アシル及びアシルオキシから選択される基であるか、又は両方のRG基が一緒になって、置換若しくは無置換のヘテロシクリル基又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を形成する。例えば、RGは、エステル、アミド及びアシルから選択することができる。RGは、多くの場合、本明細書において議論されているものなどの、アミン保護基である(例えば、Boc又はFmoc)。
【0108】
xは、多くの場合、0〜3、例えば1又は2の整数である。
【0109】
Zは、本明細書のどこかに定義されている通りとすることができる。例えば、Zは、本明細書のどこかに定義されている、例えば、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)において定義されているボロン酸エステルとすることができる。多くの場合、Zは、ボロン酸ピナコールエステルである。
【0110】
本発明の方法により、従来、入手が困難な放射標識されているバイオマーカーを良好な放射化学収率を伴って入手することが可能となる。特に、本発明の方法は、6-[18F]フルオロ-L-ドーパ、6-[18F]フルオロ-L-チロシン、6-[18F]フルオロ-ドーパミン、N-[(2,5-ジメトキシフェニル)メチル]-N-(5-[18F]フルオロ-2-フェノキシ-フェニル)アセトアミド、[18F]3-フルオロ-5-((2-メチルチアゾール-4-イル)エチニル)ベンゾニトリル及び[18F]フルテメタモール(通常、保護形態)を製造するために使用することができる。一実施形態では、本発明の方法は、PETリガンド又はその保護形態を製造する方法である。
【0111】
いくつかの有用なPETリガンドは、以下の式(XII)〜(XVI)において説明されているものと関連する構造を有する。したがって、一実施形態では、本有機ホウ素化合物は、式(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)又は(XVI)の化合物:
【化14】
(式中、
RAa基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、2つ以上のRAa基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RAb基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルキル、スルホン酸、チオール、C1〜10アルキルチオ、アリールチオ、スルホニル、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸及びホスホン酸エステルから選択される基であり、2つ以上のRAb基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよく、
RGはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜20アルキル、置換又は無置換のC2〜20アルケニル、置換又は無置換のC2〜20アルキニル、置換又は無置換のC3〜20シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、アシルアミド、アシル及びアシルオキシから選択される基であるか、又は両方のRG基が一緒になって、置換若しくは無置換のヘテロシクリル基又は置換若しくは無置換のアリール基を形成しており、
xはそれぞれ独立して、0〜4の整数であり、
Zは、本明細書のどこかに定義されている通りである)
である。
【0112】
多くの場合、RAa基はそれぞれ、同一であるか又は異なっており、H、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ及びアリールオキシから選択される基であり、2つ以上のRAa基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。通常、RAaは、Hである。
【0113】
RAb基はそれぞれ、同一であるか又は異なっていてもよく、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、シアノ、アミノ、C1〜10アルキルアミノ、ジ(C1〜10)アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アミド、アシルアミド、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシ、エステル、アシル、アシルオキシ、C1〜20アルコキシ及びアリールオキシから選択される基であってもよく、2つ以上のRAb基が一緒に結合して、1つ以上の環を形成していてもよい。
【0114】
多くの場合、RGはそれぞれ、同一であるか又は異なっており、置換又は無置換のC2〜10アルキル、置換又は無置換のC2〜10アルケニル、置換又は無置換のC2〜10アルキニル、置換又は無置換のC3〜10シクロアルキル、置換又は無置換のヘテロシクリル、置換又は無置換のアリール、置換又は無置換のヘテロアリール、エステル、アシルアミド、アミド、アシル及びアシルオキシから選択される基であるか、又は両方のRG基が一緒になって、置換若しくは無置換のヘテロシクリル基又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を形成する。例えば、RGは、エステル、アミド及びアシルから選択することができる。RGは、本明細書で議論されているアミン保護基、例えばBoc又はFmocとすることができる。
【0115】
xはそれぞれ、例えば、0〜3、例えば、0、1又は2の整数とすることができる。
【0116】
Zは、本明細書のどこかに定義されている通りとすることができる。多くの場合、Zは、ボロン酸エステル基である。
【0117】
多くの場合、本有機ホウ素化合物は、式(XVII)又は(XVIII)の化合物:
【化15】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
xは、0〜4の整数であり、
Zは、本明細書のどこかに定義されている通りである)
である。
【0118】
例えば、本有機ホウ素化合物は、式(XIX)、(XX)又は(XXI)の化合物:
【化16】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書のどこかに定義されている通りである)
とすることができる。
【0119】
例えば、PGAは、独立してアルコール保護基とすることができ、PGBは、カルボン酸保護基とすることができ、PGCはそれぞれ、独立してアミン保護基とすることができる。
【0120】
通常、PGAはそれぞれ、独立してH、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び置換又は無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基であり、
通常、PGBは、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基である。
【0121】
通常、PGcはそれぞれ、独立して、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-O-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換の-S(O)2-アリールから選択されるアミン保護基である。
【0122】
当業者に周知の、幅広い範囲の保護基が存在する。多くの場合、PGAはそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メトキシトリチル、ジメトキシトリチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基である。PGBは、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基である。PGCはそれぞれ、独立してH、又はカルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシルベンジル(DMPM)、p-メトキシフェニル(PMP)、トシル(Ts)及びノシル(2-又は4-ニトロベンゼンスルホニル)から選択される基である。
【0123】
例えば、PGAはそれぞれ、独立して、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル及びベンジルから選択される基とすることができ、PGBは、メチル、エチル、tert-ブチル及びベンジルから選択される基とすることができ、PGCはそれぞれ、独立してH、又はカルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル及びベンジルから選択される基とすることができる。
【0124】
本有機ホウ素化合物は、式(XXII)、(XXIII)、(XXIIA)又は(XXIIIA)の化合物:
【化17】
とすることができる。
【0125】
方法の条件
銅化合物の量は、任意の好適な量とすることができる。有機ホウ素化合物の量と銅化合物の量との比は、1:40〜40:1、例えば1:20〜20:1とすることができる。通常、銅化合物の量は、有機ホウ素化合物の量より少ない。有機ホウ素化合物の量と銅化合物の量との比は、通常、1:1〜40:1、好ましくは3:1〜20:1である。例えば、有機ホウ素化合物の量と銅化合物の量との比は、5:1〜15:1とすることができる。
【0126】
本発明の方法は、通常、溶液中で実施される。本方法は、任意の適切な溶媒中の溶液で実施することができる。通常、溶媒は、極性非プロトン溶媒である。例えば、本方法は、極性非プロトン溶媒から選択される溶媒の存在下で実施することができる。極性非プロトン溶媒は、当業者に周知である。本方法は、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びアセトニトリルから選択される溶媒の存在下で実施することができる。多くの場合、本方法は、溶媒混合物中、例えばジメチルホルムアミドとアセトニトリルの混合物中で実施してもよい。
【0127】
有機ホウ素化合物、銅化合物及び18F-は、通常、80〜150℃の温度に加熱される。例えば、これらの反応剤は100〜120℃の温度に加熱され得る。これらの試薬は、1分間〜1時間、例えば、10分間〜30分間の時間、加熱され得る。
【0128】
多くの場合、本発明による方法は、
(a)有機ホウ素化合物、銅化合物、18F-及び極性非プロトン溶媒を混合するステップ、
(b)得られた混合物を80〜150℃の温度で10〜30分間、加熱するステップ、及び
(c)場合により、極性プロトン性溶媒、例えば水を添加することにより、上記の反応を停止するステップ
を含む。
【0129】
多くの場合、(b)は、密封容器中で得られた混合物を加熱するステップを含む。本方法における構成成分及び工程は、本明細書のどこかに記載されている通りとすることができる。
【0130】
本発明の方法において使用される18F-は、任意の好適な形態であってもよい。通常、18F-は、塩として存在する。したがって、本発明の方法は、有機ホウ素化合物を(i)18F-の塩及び(ii)前記銅化合物により処理するステップを含むことができる。通常、18F-の濃度は、10-4M以下、例えば、10-5M以下である。一部の場合、18F-の濃度は、ナノモル濃度以下、例えば、10-8M以下となろう。19F-もまた存在することができる。こうした場合、全フッ化物濃度(18F-及び19F-を含む)は、10-4M以下、例えば、10-5M以下とすることができる。
【0131】
18F-の任意の好適な供給源を使用することができる。当業者により理解される通り、18F-は、通常、対陽イオンと共に、塩の形態で存在する。任意の適切な対陽イオンを使用することができる。通常、対陽イオンは、四級アンモニウム陽イオン、例えばテトラブチルアンモニウム、又はアルカリ金属陽イオン、例えばCs+若しくはK+、又はプロトンH+である。通常、アルカリ金属陽イオンが使用される場合、アルカリ金属は、クリプタンド、例えばKryptofix-222として市販されているアミノポリエーテル2.2.2(K222)中で錯体を形成する陽イオンである。有利には、こうしたクリプタンドを添加することにより、フッ化物イオン18F-が、極性非プロトン溶媒、例えばアセトニトリル又はDMF中に可溶化することができる。クリプタンドにより、KF-K222錯体として「裸のフッ化物イオン」の形成も可能になる。したがって、一実施形態では、18F-の供給源は、K[18F]F-K222錯体である。或いは、18F-の供給源は、[18F]TEAF(フッ化テトラエチルアンモニウム)、[18F]TBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム)、[18F]CsF又は[18F]HFとすることができる。通常、18F-は、K[18F]F-K222又は[18F]HFとして存在する。さらに通常、18F-は、K[18F]F-K222として存在する。
【0132】
本方法は、任意の適切な雰囲気下で実施することができる。例えば、本方法は、窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で実施することができるか、又は本方法は、酸素の存在下、例えば空気中で実施することができる。多くの場合、本方法は、空気中で行われる。
【0133】
18F原子を含む化合物
18F原子を含む有機化合物は、Zが18Fにより置き換えられていることを除いて、上のいずれかで定義されている、式(II)、(III)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)、(XXII)又は(XXIII)の化合物とすることができる。
【0134】
多くの場合、18F原子を含む有機化合物は、PETリガンド又はその保護形態である。PETリガンドは、本明細書に記載されている、1つ以上の保護基により保護され得る。例えば、18F原子を含む有機化合物は、6-[18F]フルオロ-L-ドーパ、6-[18F]フルオロ-L-チロシン、6-[18F]フルオロ-ドーパミン、N-[(2,5-ジメトキシフェニル)メチル]-N-(5-[18F]フルオロ-2-フェノキシ-フェニル)アセトアミド、[18F]3-フルオロ-5-((2-メチルチアゾール-4-イル)エチニル)ベンゾニトリル、又は[18F]フルテメタモール若しくはその保護形態とすることができる。PETリガンドの例は、当業者に周知である。PETリガンドは、PETイメージングにおいて使用するのに好適な化合物である。PETリガンドはまた、PET放射性トレーサーと呼ばれることがある。PETリガンドは、PETイメージングにおいて使用するのに好適である。
【0135】
一実施形態では、18F原子を含む有機化合物は、式(XXIV)、(XXV)、(XXVI)、(XXVII)又は(XXVIII)の化合物:
【化18】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基である)
である。
【0136】
PGA、PGB及びPGCは、本明細書のいずれかに定義されている通りとすることができる。例えば、PGAはそれぞれ独立してH、又はメチル、エチル、tert-ブチル及びベンジルから選択される基とすることができ、PGBは、メチル、エチル、tert-ブチル及びベンジルから選択される基とすることができ、PGCは、それぞれ独立して、H、又はカルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル及びベンジルから選択される基とすることができる。
【0137】
上記の通り、18F原子を含む化合物は、多くの場合、保護形態にある。したがって、本方法は、多くの場合、18F原子を含む化合物から1つ以上の保護基を除去して、脱保護生成物を生成するステップをさらに含む。18F原子を含む化合物からより複数の保護基の1つを除去するステップを、脱保護ステップと呼ぶことがある。脱保護は、任意の適切な方法により実施することができる。こうした方法は、当業者に周知である。多くの場合、18F原子を含む化合物から1つ以上の保護基を除去するステップは、化合物に加水分解を行うステップを含む。例えば、本方法は、18F原子を含む化合物を水性酸、例えば水性HI、HBr又はHClにより処理するステップをさらに含むことができる。
【0138】
上で議論されている通り、本発明の方法は、PETリガンドを製造するために使用することができる。一実施形態では、脱保護生成物は、PETリガンドである。上記の通り、PETリガンドは、当業者に周知である。特に、脱保護生成物は、sp2混成炭素原子に結合している18F原子を含む、PETリガンドとすることができる。
【0139】
一実施形態では、脱保護生成物は、式(XXIX)、(XXX)、(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)又は(XXXIV)の化合物:
【化19】
である。
【0140】
本発明による具体的な方法
一実施形態では、本発明の方法は、式(XXXV)の化合物:
【化20】
を製造する方法であって、式(XXXVI)の化合物
【化21】
を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書の上のどこかに定義されている通りであり、
aは、0〜4の整数である)
である。
【0141】
多くの場合、本発明の方法は、式(XXIV)の化合物:
【化22】
を製造する方法であって、式(XIX)の化合物
【化23】
を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書の上のどこかに定義されている通りである)
である。
【0142】
例えば、本発明の方法は、式(XXIV-L)の化合物:
【化24】
を製造する方法であって、式(XIX-L)の化合物
【化25】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書の上のどこかに定義されている通りである)
とすることができる。
【0143】
一実施形態では、本発明の方法は、式(XXV)の化合物:
【化26】
を製造する方法であって、式(XX)の化合物
【化27】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書の上のどこかに定義されている通りである)
である。
【0144】
一実施形態では、本発明の方法は、式(XXVI)の化合物:
【化28】
を製造する方法であって、式(XXI)の化合物
【化29】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書の上のどこかに定義されている通りである)
である。
【0145】
例えば、本発明の方法は、式(XXVI-L)の化合物:
【化30】
を製造する方法であって、式(XXI-L)の化合物
【化31】
を、
(i)[18F]-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む方法
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してH又はアミン保護基であり、
Zは、本明細書の上のどこかに定義されている通りである)
とすることができる。
【0146】
本発明によるこれらの方法の各々に関して、PGA、PGB及びPGCは、本明細書の上のどこかに記載されている通りとすることができる。例えば、PGAはそれぞれ、独立してH、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して環を形成していてもよい)、及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基とすることができ、PGBは、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基とすることができ、PGcはそれぞれ独立して、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-O-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-S(O)2-アリールから選択されるアミン保護基とすることができる。
【0147】
例えば、PGAはそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル及びベンジルから選択される基とすることができ、PGBは、メチル、エチル、tert-ブチル及びベンジルから選択される基とすることができ、PGCはそれぞれ独立して、H、又はカルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル及びベンジルから選択される基とすることができる。
【0148】
本発明によるこれらの方法の各々の場合、銅化合物は、本明細書の上のどこかにさらに定義されている通りとすることができる。18F-の供給源は、本明細書の上のどこかに定義されている通りとすることができる。本方法の条件は、本明細書の上のどこかにさらに定義されている通りとすることができる。Zは、言及されている通り、本明細書の上に定義されている通りとすることができる。例えば、Zは、ボロン酸エステル基、例えばピナコールボロン酸エステルとすることができる。
【0149】
本発明によるこれらの方法の各々の場合、本方法は、18F原子を含む化合物から1つ以上の保護基を除去して、脱保護生成物を生成するステップをさらに含むことができる。脱保護生成物は、通常、上で議論されている、PETリガンドである。多くの場合、脱保護生成物は、式(XXXII)、(XXXIII)又は(XXXIV)の化合物:
【化32】
である。
【0150】
自動化法
本発明の一実施形態では、本方法は、自動合成装置で行われる。自動合成装置は、当業者に周知の通り、任意の適切な自動合成装置とすることができる。自動合成装置は、本発明の方法を行うために、1つ以上の手段を含むことができる。例えば、自動合成装置は、(i)本発明の方法において使用される試薬を混合するための手段、(ii)本発明の混合した試薬を加熱するための手段、及び(iii)18F原子を含む化合物を単離するための手段のうち1つ以上を含むことができる。こうした自動合成装置は、18F原子を含むPETリガンドの製造に使用することができる。したがって、自動合成装置は、臨床現場において、例えば、PETイメージング及び/又はスキャニング装置を装備したイメージングセンターにおいて使用するのが好適となり得る。
【0151】
自動合成装置は、本発明の方法において使用される1つ以上の試薬を含むことができる。例えば、自動合成装置は、1つ以上の試薬、例えば、本明細書のどこかに記載されている有機ホウ素化合物、又は本明細書のどこかに記載されている銅化合物が予め充填され得る。或いは、本発明の方法は、自動合成装置において実施することができ、この方法は、1つ以上の試薬を自動合成装置に充填するステップをさらに含む。試薬は、例えばカプセルの形態の試薬を、予め包装されている量で装着することによって、自動合成装置に充填することができる。例えば、本発明の方法は、(有機ホウ素化合物を銅化合物及び18F-により処理する前に)本明細書のどこかに定義されている銅化合物又は本明細書のどこかに定義されている有機ホウ素化合物の予め包装されている試料を自動合成装置に装着するステップをさらに含むことができる。
【0152】
化合物
本発明の方法により、放射標識化合物の製造が可能になる。本発明者らは、ある種の有機ホウ素化合物は、特に、本発明の方法における使用に良好に適合することを見いだした。特に、二重に保護されているアミン基を有する化合物は、アミン上の2つの保護基の存在により、有機ホウ素化合物中のアミン基とアリール環との間の閉環を引き起こす恐れのある、副反応を防止するので、有用である。
【0153】
したがって、本発明はまた、式(XXXVII)の化合物:
【0154】
【化33】
(式中、
PGAはそれぞれ、独立してH又はアルコール保護基であり、
PGBは、H又はカルボン酸保護基であり、
PGCはそれぞれ、独立してアミン保護基であり、
Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、
aは、0〜4の整数である)
を提供する。
【0155】
PGA、PGB、PGC、Z及びaは、本明細書の上のどこかに定義されている通りとすることができる。
【0156】
特に、PGAはそれぞれ独立して、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基とすることができ、PGBは、H、又は置換若しくは無置換のC1〜10アルキル、置換若しくは無置換の-C(O)-C1〜10アルキル及び置換若しくは無置換のトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基とすることができ、PGcはそれぞれ独立して、置換又は無置換のC1〜10アルキル、置換又は無置換の-C(O)-C1〜10アルキル、置換又は無置換の-C(O)-O-C1〜10アルキル、置換又は無置換の-S(O)2-アリールから選択されるアミン保護基とすることができ、Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、aは、0〜4の整数である。
【0157】
本発明の化合物の一実施形態では、PGAはそれぞれ独立して、H、又は1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているC1〜10アルキル、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C(O)-C1〜10アルキル、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C1〜10アルキレン-O-C1〜10アルキル(場合により、C1〜10アルキレン基及びC1〜10アルキル基は一緒に結合して、環を形成していてもよい)、及び1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるアルコール保護基であり、PGBは、H、又は1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているC1〜10アルキル、及び1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているトリ(C1〜10アルキル)シリルから選択されるカルボン酸保護基であり、PGCはそれぞれ独立して、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されているC1〜10アルキル、1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C(O)-C1〜10アルキル及び1つ以上の無置換アリール基により場合により置換されている-C(O)-O-C1〜10アルキルから選択されるアミン保護基であり、Zは、ボロン酸エステル基、ボロン酸基、ボレート基及びトリフルオロボレート基から選択される基であり、aは、0〜4の整数である。
【0158】
例えば、PGAはそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メトキシトリチル、ジメトキシトリチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基とすることができ、PGBは、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル及びトリ-イソ-プロピルシリルから選択される基とすることができ、PGCはそれぞれ独立して、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシルベンジル(DMPM)、p-メトキシフェニル(PMP)、トシル(Ts)及びノシルから選択される基とすることができる。
【0159】
好ましい実施形態では、PGAはそれぞれ独立して、H、又はメチル、エチル及びベンジルから選択される基であり、PGBは、H、又はメチル、エチル、tert-ブチル若しくはベンジルから選択される基であり、PGCはそれぞれ独立して、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(Moz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル及びベンゾイルから選択される基である。
【0160】
例えば、PGCは、多くの場合、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)である。
【0161】
Zは、本明細書の上のどこかにさらに定義されている通りとすることができる。例えば、Zは、上の式(V)、(VI)又は(VII)のものなどの、ボロン酸エステル基とすることができる。Zは、ピナコールボロン酸エステルとすることができる。
【0162】
一実施形態では、aは、1又は2である。
【0163】
本発明の化合物は、式(XXXVIII)又は(XXXIX)の化合物:
【化34】
とすることができる。
【0164】
本化合物は、式(XL)又は(XLI)の化合物:
【化35】
とすることができる。
【0165】
本化合物は、式(XLII)又は(XLIII)の化合物:
【化36】
とすることができる。
【0166】
本化合物は、式(XLIV)、(XLV)、(XLVI)又は(XLVII)の化合物:
【化37】
とすることができる。
【0167】
本化合物は、式(XLIV)又は(XLV)の化合物:
【化38】
とすることができる。
【0168】
有機ホウ素化合物の使用
本発明はまた、18F原子を含む有機化合物を製造する方法における、sp2混成炭素原子に結合しているホウ素原子を含む有機ホウ素化合物の使用であって、前記方法が、前記有機ホウ素化合物を、
(i)18F-、及び
(ii)銅化合物
により処理するステップを含む、使用も提供する。
【0169】
本発明による使用において、18F原子を含む有機化合物を製造する方法は、本明細書の上のどこかにさらに定義されている通りとすることができる。
【0170】
本有機ホウ素化合物は、本明細書の上のどこかに記載されている通りとすることができる。例えば、本有機ホウ素化合物は、式(II)、(III)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)、(XXII)又は(XXIII)のいずれか1つにおいて定義されている有機ホウ素化合物とすることができる。
【0171】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載される。
【実施例】
【0172】
材料及び方法
1.一般的な実験情報
NMRスペクトルはすべて、Bruker DPX200、DPX250、AV400、AVC500、AVB500及びDRX500分光計で記録した。プロトン及び炭素-13NMRスペクトルは、Brukerの内部参照手順(edlock)を使用し、溶媒ピークに対する百万分率(ppm)でのケミカルシフト(δ)として報告する。フッ素-19NMRスペクトルは、CDCl3中のCFCl3を基準にする。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)の単位で報告する。以下の略語を使用して多重度-s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、brs(広域シングレット)を記載する。高分解能質量スペクトル(HRMS、m/z)は、ポジティブエレクトロスプレーイオン化(ESI+)を使用するBruker MicroTOF分光計、又はフィールドイオン化(FI+)若しくは化学イオン化(CI+)を使用するMicromass GCT分光計を使用して記録した。赤外スペクトルは、Bruker Tensor27 FT-IR分光計を使用して、化合物そのままとして、又は溶液中のどちらかで記録した。吸収は波数(cm-1)で報告し、対象ピークだけを報告する。旋光度は、PerkinElmer Polarimeterモデル341で測定した。比旋光度は10-1 deg cm2 g-1で、及び濃度はg/100mLで報告する。固体の融点は、Griffin装置で測定し、補正していない。IUPAC名は、ACD/I-Labサービスを使用して得た。溶媒は、Fisher、Rathburn又はSigma-Aldrichから購入した。乾燥溶媒が必要な場合、立ち上げた活性化アルミナカラムに通して圧出(expression)することにより精製した。化学品はAcros、Alfa Aesar、Fisher、Fluorochem、Sigma-Aldrichから購入し、そのまま使用した。反応は、Merck Kiesegel60 F254プレートで行った薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを、MerckシリカゲルC60(40-60μm)で行った。
【0173】
2. 実験手順及び物性評価データ
(ヘテロ)アリールピナコールボロン酸エステルは、商業的供給源から購入したか、又は公知の手順に基づいて合成した。
【0174】
エチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(2-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル-4,5-ジメトキシフェニル)プロパノエート
【0175】
【化39】
【0176】
N2下、乾燥容器(place)中に、ビス(ピナコラト)ジボロン(698mg、2.75mmol)、Pd(dppf)Cl2.CH2Cl2(102mg、0.125mmol)及び酢酸カリウム(736mg、7.5mmol)を入れた。DMF(15mL)を加え、この混合物に15分間、N2をパージした。エチル(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(2-ヨード-4,5-ジメトキシフェニル)プロパノエート(1.20g、2.5mmol)を加え、この混合物を80℃に加熱し、この温度で18時間、撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、飽和食塩水(20mL)を加え、次いでEt2O(3×20mL)により抽出した。合わせた有機抽出物を飽和食塩水(30mL)により洗浄し、乾燥(MgSO4)してろ過して真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、10〜25%EtOAc)により、表題化合物が白色固体(740mg、62%)として得られた。TLC(ヘキサン中、33%EtOAc)Rf=0.41。2つの回転異性体が、25℃において81:19の比で存在している。1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ 7.25 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.94 (d, J = 7.9 Hz, 0.81H), 5.37 (br s, 溶媒ピークと重複), 4.28-4.15 (m, 3H), 3.85 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 3.24-3.13 (m, 2H), 1.38 (s, 6H), 1.37 (s, 6H), 1.34-1.23 (重複しているピーク, 12H); 13C NMR (100 MHz, CD2Cl2) δ 172.7, 155.5, 151.6, 147.3, 137.9, 118.2, 113.2, 84.0, 78.9, 60.9, 56.5, 55.8, 55.6, 36.6, 28.0, 24.8, 24.4, 14.0; 11B NMR (128 MHz, CD2Cl2) δ 31 (br s).
【0177】
エチル2-((ジ-tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(2-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル-4,5-ジメトキシフェニル)プロパノエート
【0178】
【化40】
【0179】
エチル(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(4,5-ジメトキシ-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)プロパノエート(240mg、0.5mmol、1当量)のMeCN(2mL)溶液に、ジ-tert-ブチルジカーボネート(328mg、1.5mmol、3当量)、N,N-ジメチルアミノピリジン(12mg、0.1mmol、0.2当量)及びEt3N(210μL、1.5mmol、3当量)を加えた。この混合物をN2下、室温で18時間、撹拌した。溶媒を真空で除去した。残留物をEtOAc(5mL)に溶解し、NH4Cl(飽和水溶液、5mL)、水(5mL)及び飽和食塩水(5mL)により洗浄した。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、ろ過して真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(15〜25%)ヘキサン中EtOAcにより、不純物を含む表題化合物が得られた(189mg)。これを分取HPLCによって精製すると、表題化合物(153mg、53%)が得られた。TLC(ヘキサン中、33%EtOAc)Rf=0.54。1H NMR (400 MHz, CD2Cl2) δ 7.22 (s, 1H), 6.56 (s, 1H), 5.18 (dd, J = 11.2, 3.9 Hz, 1H), 4.21 (m, 2H), 3.95 (dd, J = 13.4, 3.9, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.05 (dd, J = 13.4, 11.4, 1H) 1.33 (s, 24H), 1.31 (s, 6H), 1.28 (t, J = 7.2 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CD2Cl2) δ 170.9, 152.7, 151.6, 147.6, 139.3, 119.3, 115.0, 84.0, 82.8, 61.6, 60.9, 56.5, 56.0, 35.6, 28.2, 25.2, 14.7; 11B NMR (128 MHz, CD2Cl2) δ 31 (br s).
【0180】
メチル(Z)-2-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(2-フルオロ-5-メトキシフェニル)アクリレート
【0181】
【化41】
(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 7.21 (s, 1H), 7.02-7.06 (m, 1H), 6.91 (t, J = 10 Hz, 1H), 6.73-6.78 (m, 1H), 6.36 (bs, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.68 (s, 3H), 1.31 (br s, 9H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 165.6, 155.3, 155.1 (d, J = 244 Hz), 152.4, 126.3, 122.7 (d, J = 15 Hz), 120.9 (d, J = 4 Hz), 116.4 (d, J = 8 Hz), 116.2 (d, J = 24 Hz), 113.6 (d, J = 2 Hz), 81.1, 55.7, 52.7, 28.0; (19F NMR, 377 MHz, CDCl3): δ = -123.1 (br s); IR: ν 2979, 1709, 1494, 1368, 1245, 1210 cm-1; HRMS (ESI)、C16H20FNNaO5[M+Na]+の計算値348.1218 実測値348.1219.
【0182】
メチル(Z)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(2-フルオロ-4,5-ジメトキシフェニル)アクリレート
【0183】
【化42】
(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 7.39 (s, 1H), 7.19 (d, J = 7 Hz, 1H), 6.61 (d, J = 12 Hz, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 3.82 (s, 3H) 1.33 (bs, 9H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 165.9, 155.8 (d, J = 246 Hz), 152.8, 151.0 (d, J = 10 Hz), 145.0 (d, J = 2 Hz), 123.9, 122.2 (d, J = 4 Hz), 113.2 (d, J = 13 Hz), 110.7 (d, J = 3 Hz), 99.6 (d, J = 28 Hz), 80.9, 56.2, 56.1, 52.6, 28.1; (19F NMR, 377 MHz, CDCl3): δ = -118.9 (広幅な一重線); IR: ν3332, 2977, 1716, 1515, 1258 cm-1; HRMS (ESI)、C17H22FNNaO6[M+Na]+の計算値378.1323 実測値378.1323.
【0184】
エチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(2-フルオロ-4,5-ジメトキシフェニル)プロパノエート
【0185】
【化43】
【0186】
2つの回転異性体が、25℃において85:15の比で存在している。(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 6.51-6.56 (m, 2H), 5.02 (d, J = 8 Hz, 0.88H), 4.69-4.86 (bs, 0.14H, 回転異性体), 4.41-4.48 (m, 0.89H), 4.22-4.32 (bs, 0.16H, 回転異性体), 4.06-4.14 (m, 2H), 3. 77 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 2.81-3.07 (m, 2H, + 回転異性体), 1.34 (s, 9H), 1.18 (t, J = 7 Hz, 3H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 171.8, 155.4 (d, J = 232 Hz), 155.0, 148.8 (d, J = 15 Hz), 145.1, 113.5 (d, J = 3 Hz), 113.4 (d, J = 20 Hz), 99.9 (d, J = 29 Hz), 79.8, 61.4, 56.3, 56.1, 53.8, 31.4, 28.3, 14.1; (19F NMR, 377 MHz, CDCl3): δ = -124.8; IR: ν 2978, 1713, 1626, 1516, 1226, 1193 cm-1; HRMS (ESI)、C18H26FNNaO6[M+Na]+の計算値394.1636 実測値394.1640.
【0187】
エチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-(2-フルオロ-5-メトキシフェニル)プロパノエート
【0188】
【化44】
【0189】
2つの回転異性体が、25℃において83:17の比で存在している。(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 6.92 (t, J = 9 Hz, 1H), 6.62-6.74 (m, 2H), 5.08 (bd, J = 8 Hz, 0.81H), 4.78-4.90 (bs, 0.18H, 回転異性体), 4.49-4.57 (m, 0.82H), 4.30-4.43 (bs, 0.18H, 回転異性体), 4.12-4.19 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 2.84-3.16 (m, 2H, + 回転異性体), 1.39 (s, 9H), 1.22 (t, J = 7 Hz, 3H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 171.7, 155.8 (d, J = 238 Hz), 155.5, 155.0, 123.9 (d, J = 18 Hz), 116.4 (d, J = 4Hz), 115.7 (d, J = 24Hz), 113.6 (d, J = 8 Hz), 79.8, 61.5, 55.7, 53.7, 32.1, 28.3, 14.0; (19F NMR, 377 MHz, CDCl3): δ = -128.3; IR: ν 2979, 1713, 1500, 1367, 1251, 1210, 1163 cm-1; HRMS (ESI)、C17H24FNNaO5[M+Na]+の計算値364.1531 実測値364.1541.
【0190】
(E)-4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-スチリルフェニル)-1,3,2-ジオキサボロラン
【0191】
【化45】
【0192】
DMF(3mL)中の(E)-1-ブロモ-4-スチリルベンゼン(1.0g、3.9mmol)、酢酸カリウム(1.1g、11.6mmol)及び4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(1.0g、4.1mmol)からなる混合物に、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(141.0mg、0.2mmol)を加えた。この混合物を窒素下、130℃で16時間、撹拌した。セライトパッドによりろ過(EtOAcで溶出)することによって不溶固体を除去し、H2O(30mL)により希釈してEtOAc(3×30mL)により抽出した。合わせた有機抽出物を飽和食塩水(30mL)により洗浄し、MgSO4で脱水して真空で濃縮すると、粗生成物が得られた。残留物をEtOAc(30mL)に溶解し、次に、活性炭粉末及びシリカゲルを加え、この混合物を振盪して音波照射し、シリカゲル/セライトパッドによりろ過(EtOAcにより溶出)した。ろ液を真空で濃縮し、この残留物を温ヘキサンから結晶化によりさらに精製し、真空下で乾燥すると、白色固体(818mg、69%)が得られた。
(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 7.84 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.56-7.54 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.38 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 16.3 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 16.3 Hz, 1H), 1.38 (s, 12H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 140.1, 137.3, 135.3, 129.8, 128.8, 128.7, 127.9, 126.7, 125.9, 83.8, 25.0.
【0193】
1-クロロ-4-(トリメチルシリル)ブタ-3-イン-2-オン
【0194】
【化46】
(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 4.23 (s, 2H), 0.26 (s, 9H); 7.48 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.41 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 2H); bp 80℃ (14 mbar).
【0195】
2-メチル-4-((トリメチルシリル)エチニル)チアゾール
【0196】
【化47】
(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 7.30 (s, 1H), 2.67 (s, 3H), 0.22 (s, 9H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 165.6, 137.0, 123.0, 98.4, 94.6, 19.3, -0.1.
【0197】
3-ブロモ-5-((2-メチルチアゾール-4-イル)エチニル)ベンゾニトリル
【0198】
【化48】
(1H NMR, 400 MHz, CDCl3): δ = 7.89 (s, 1H), 7.74-7.72 (m, 2H), 7.45 (s, 1H), 2.74 (s, 3H); (13C NMR, 100 MHz, CDCl3): δ = 166.4, 138.6, 135.7, 134.4, 133.5, 126.0, 124.2, 122.9, 116.7, 114.5, 87.3, 85.1, 19.4.
【0199】
3-((2-メチルチアゾール-4-イル)エチニル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾニトリル
【0200】
【化49】
【0201】
3-ブロモ-5-[(2-メチル-1,3-チアゾール-4-イル)エチニル]ベンゾニトリル(440.0mg、1.45mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(405mg、1.60mmol)、酢酸カリウム(570mg、5.80mmol)、ジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(71mg、0.09mmol)及びN,N-ジメチルアセトアミド(4.5mL)からなる混合物に1時間、窒素を通気した。次に、この反応物を110℃で20分間、加熱し、室温まで冷却してH2O(50mL)により希釈し、EtOAc(4×30mL)により抽出した。合わせた有機抽出物を飽和食塩水(30mL)により洗浄し、乾燥(MgSO4)してろ過し、真空で濃縮すると残留物が得られ、これをEt2O/ヘキサン(5/1)に溶解し、小さなシリカゲルカラムによりろ過した。ろ液を真空で濃縮し、残留物を温アセトニトリルから結晶化により精製(冷凍庫に置いた)すると、粗生成物が得られ、n-ジブチルエーテルにより数回、洗浄すると、白色固体(139mg、27%)が得られた。
(1H NMR, 400 MHz, CD2Cl2): δ = 8.16 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 2.71 (s, 3H), 1.35 (s, 12H); 13C NMR (101 MHz, CD2Cl2) δ 166.4, 142.1, 138.1, 137.1, 136.5, 124.1, 123.9, 118.4, 113.0, 86.4, 86.2, 85.2, 25.1, 19.4; IR: ν2979, 2232, 1589, 1412, 1371, 1329, 1242, 1143, cm-1.
【0202】
3. 放射化学
[18F]フッ化物は、Mount Veron Hospital(英国)において、18O(p,n)18F反応により、PETNet Solutionsによって生成され、[18O]水中、[18F]フッ化物としてもたらされた。放射合成及び共沸乾燥は、NanoTek(登録商標)自動マイクロ流体装置(Advion)で行った。[18F]フッ化物は、陰イオン交換カートリッジ(MP1、ORTG、Tennessee、米国、又は18F分離カートリッジ45mg)を使用して18Oが豊富な水から分離し、続いて、K222/K2CO3溶液550μL(4:1のMeCN/H2O 1mL中のkryptofix222(15mg)及びK2CO3(3mg))を用いて濃縮器に入れた。或いは、[18F]Et4NFをEt4NHCO3の溶液(MeCN/H2O(4:1)1mL中、7mg)550μLを入れることにより調製した。この溶液を、アセトニトリル(300μl)を用いて共沸乾燥を5サイクル行って乾燥し、無水アセトニトリル(500〜1000μL)に再溶解した。HPLC分析は、共有のオートサンプラー、並行式UV検出器、及びFlowramアナログ式出力を備えたLabLogic NaI/PMT-放射能検出器を装備したDionex Ultimate3000デュアルチャネル式HPLCを用いて行った。ラジオTLCは、Merck Kiesegel60 F254プレートで行った。分析は、プラスチック製シンチレータ/PMT検出器を使用して行った。
【0203】
引用した放射化学収率はすべて、減衰補正を行った。放射化学収率は、ラジオHPLCによって観察された放射化学純度を考慮して、ラジオTLCによって算出する。
【0204】
4. [18F]フッ素化の一般手順
(Pyr)4Cu(OTf)2(3.6mg、0.0053mmol)、(ヘテロ)アリールピナコールボロン酸エステル(0.06mmol)及び磁気撹拌子を含むV型バイアルに、MeCN中の[18F]KF/K222を加えた。DMF(300μL)をシリンジによって加えた。密封したバイアルを110℃で20分間、加熱した。水(200μL)を添加することによって、この反応を停止した。放射化学収率及び生成物の同定のため、一定分量をラジオTLC及びHPLCによる分析用に抜き取った。分析は、Waters Nova-Pak C18カラム(4μm、3.9×150mm)を使用し、流速1ml/分で、グラジエントAを使用して実施した。
【0205】
[実施例1]
[18F]4-フルオロ-1,1'-ビフェニル
【0206】
【化50】
【0207】
2-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン1aを、バリデーション及び最適化検討のためのモデル基質として役立てた。反応はすべて、[19F]フッ化物(担体無添加)をゆっくりと加えることなく行った。重要パラメータは、[18F]の取込みを誘発するよう探索した。1aの[18F]フッ素化を、ジメチルホルムアミド(DMF)又はN-メチルピロリドン中、[18F]KF/K222を使用して150℃で観察し、低い放射化学収率(RCY約5%)で[18F]4-フルオロ-1,1'-ビフェニル2aが得られた。15%が平均となる、より高いRCYが、DMF中、110℃で得られた。RCYは、1a:Cu(OTf)2の比によって影響を受けることが、直ちに明らかになった。意外なことに、最良の結果は、1aに対するCu錯体の量を減少(比1a:Cu(OTf)2=10:1)することにより得られた。競合的プロトデボロネーション及び酸化にそれぞれ起因する、1,1'-ビフェニル及び[1,1'-ビフェニル]-4-オールの形成が観察された。これらの生成物は、[18F]標識されている混入物質ではないが、1,1'-ビフェニルと[18F]4-フルオロ-1,1'-ビフェニルとは類似の極性であるために、精製が複雑になり、そのため、プロトデボロネーションの最小化が重要な目的であった。アセトニトリル中の[18F]KF/K222の溶液を蒸発させるために適用したプロトコルにより、[18F]フッ素化とプロトデボロネーションの両方が影響を受けたことが留意された。N2下での蒸発により、RCYが低下し、1,1'-ビフェニルの形成が促進され、一部の場合、O2の存在がこの反応に恩恵をもたらしている可能性があることが観察により示された。これらの修正により、2aの形成が最大43%になった(DMF中、[1a]0.26M)。次に、本発明者らは、銅錯体自体の性質、及び反応効率に対する任意の配位子の影響に着目した。この実験により、選択した触媒変換に関すると、ピリジン銅錯体[(Py)4Cu(OTf)2]の使用が奨励された。意外なことに、この錯体は2aを73%RCYで与えるので、最適であることが分かった。[(Py)4Cu(OTf)2]及びCu(OTf)2の試料を2週間、空気に開放して放置し、次に、放射性フッ素化に使用しても、RCYに何らかの悪影響は観察されないことが注目に値する。様々な添加物のスクリーニングにより、さらに、RCYを有意に改善することはなかったので、この反応は、基質及び[18F]フッ化物源の他に、銅錯体しか必要としない。したがって、本発明のプロトコルは、磁気撹拌器、[(Py)4Cu(OTf)2](0.0053mmol)及びArBPin(0.06mmol)を含むV型バイアルの調製から開始し、次いで、MeCN(〜30μL)中の[18F]KF/K222を添加した。シリンジによりDMF(300μL)を加え、密封したバイアルを110℃に加熱し、20分間、撹拌した。水(200μL)を添加することによって、この反応を停止した。RCYの特定及び生成物の同定を行うため、放射活性薄層クロマトグラフィー(ラジオTLC)及び放射活性高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析用に、それぞれ、一定分量を抜き取った。分析は、Waters Nova-Pak C18カラム(4μm、3.9×150mm)を使用し、流速1ml/分で、グラジエントAを使用して実施した。これらの条件を適用すると、[18F]4-フルオロ-1,1'-ビフェニルが74%RCY(n=4)で得られた。
【0208】
ビフェニルを18Fフッ素化するために実施した濃度のスクリーニングの結果が、以下の表1に示されている。
【0209】
【化51】
【0210】
【表1】
【0211】
[実施例2]
他の官能基の存在
Cuを媒介とする[18F]フッ素化の有用性を評価するため、一連のピナコール誘導体化(ヘテロ)アリールボロン酸エステルを試験した。以下の表2に例示される通り、アルキル、アリール、アルデヒド、ケトン、ニトロ、シアノ、アミド、エーテル、エステル、アルケン、アルキン、モルホリノ、保護アミン及び保護アルコールなどの多数の官能基が、最大83%のRCYを伴い、この新規[18F]フッ素化が適合可能であることが見いだされた。以下の一般的なプロトコルを使用した。
【0212】
(Pyr)4Cu(OTf)2(3.6mg、0.0053mmol)、(ヘテロ)アリールピナコールボロン酸エステル(0.06mmol)及び磁気撹拌子を含むV型バイアルに、MeCN中の[18F]KF/K222を加えた。DMF(300μL)をシリンジによって加えた。密封したバイアルを110℃で20分間、加熱した。水(200μL)を添加することによって、この反応を停止した。放射化学収率及び生成物の同定のため、一定分量をラジオTLC及びHPLCによる分析用に抜き取った。分析は、Waters Nova-Pak C18カラム(4μm、3.9×150mm)を使用し、流速1ml/分で、グラジエントAを使用して実施した。
【0213】
ブロモ置換アリールBpinも適切な基質であるが、未保護アルコール、アミン又はスルホンアミド官能基が存在する前駆体では、所望の[18F]生成物の量は低く得られた。メタ位に電子吸引基を有するアリールBpinの反応は効率よく進行し、アリールBpin前駆体上の電子供与基の存在は非常によく許容される。さらに、様々なオルト置換[18F]フルオロアレーンもやはり、標準プロトコルの適用範囲内である。この反応は、(E)-4,4,5,5-テトラメチル-2-スチリル-1,3,2-ジオキサボロランから誘導される[18F]フルオロアルケンの調製が成功したことにより実証される通り、アルケニルBpin前駆体に拡張することができることが留意される。次に、これらの価値のあるファーマコフォアの一部を入手するため、求核[18F]フッ素化について満たされていない需要があることが認識されている、ヘテロアレーンに関心を転じた。[18F]標識6-フルオロキノリンが、RCY50%で得られた。
【0214】
【化52】
【0215】
表2は、Cu(II)を媒介とする、[18F]フッ化物によるアリールピナコール誘導体化ボロン酸エステルの[18F]フッ素化を示している。(A)様々な官能基を有するアレーン及びヘテロアレーンが効率よく、[18F]Fにより標識化されている。(B)[18F]フルオロアルケンは、アルケニルBPinへの標準プロトコルの適用範囲内である。(C)公知の様々なPETリガンドは、[18F]DAA1106及び6-[18F]フルオロチロシンを含め、この新規な放射化学の使用の範囲内である。RCYは、各生成物の下に示されている。
【0216】
[実施例3]
PETバイオマーカー
新規放射化学に関して、比放射能は重要な考慮すべき点である。手段となる化合物の質量用量は、適用範囲を規定し、ヒトへの使用を支持するために必要な毒性学レベルを示す。
【0217】
最終的に、本発明の主な利益は、[18F]フッ化物から入手することが困難であることがよく知られている周知のバイオマーカーを後期段階で[18F]フッ素化し易いことである。フェノール、アニリン及びベラトロール誘導体などの電子豊富アレーンに、本出願者らの方法が首尾よく適用されることにより、[18F]バイオマーカーを開発する機会に期待がよせられる。本方法は、クリニックにおいて使用されるPETリガンド及びバイオマーカーの調製に、直接適用可能であった。トランスロケータータンパク質(TSPO)のPETリガンド[18F]DAA1106は、対応するアリールBpin前駆体の[18F]フッ素化で59%のRCYで容易に入手可能であった。TSPOは活性化ミクログリア中で上方調節されて、神経炎症のマーカーとして働き得るので、この結果はイメージングにとって重要である。重要な高親和性代謝型グルタミン酸サブタイプ5受容体(mGluR5)リガンドである、[18F]3-(フルオロ)-5-((2-メチルチアゾール-4-イル)エチニル)ベンゾニトリルもまた、適用範囲内であり、3%のRCYで形成する。保護6-[18F]フルオロチロシン誘導体は、21%のRCYで調製した。
【0218】
[実施例4]
6-[18F]フルオロ-L-ドーパ
【0219】
【化53】
【0220】
アリールBPin前駆体の求核[18F]フッ素化の高い転写能をさらに実証するため、[18F]F2からクリニックで調製される画像用バイオマーカー(iconic biomarker)である6-[18F]フルオロ-L-ドーパ、又は常温保存が不可能であり、且つ求核[18F]フッ素化でも容易に入手できない必要な錯体前駆体の調製に注力した。意外なことに、保護6-[18F]フルオロ-L-ドーパの直接前駆体である、アリールBpin(S)-1xの[18F]フッ素化は、選択した反応条件を適用して、1段階で進行した。所望の保護中間体[18F](S)-2xが、5%のRCYで得られ、それが同一であることは、HPLC分析により明白に確認された。
【0221】
アリールBpin(S)-3xのフッ素化により、最大83%のRCYで、6-[18F]フルオロ-L-ドーパの直接前駆体が生成した。次に、これを100%転化率、>99%eeで、6-[18F]フルオロ-L-ドーパに変換した。
【0222】
[実施例5]
電子不足基質を用いる反応
【0223】
【化54】
【0224】
(Pyr)4Cu(OTf)2(3.6mg、0.0053mmol)、4-ニトロフェニルピナコールボロン酸エステル(0.06mmol)及び磁気撹拌子を含むV型バイアルに、MeCN中の[18F]KF/K222を加えた。DMF(300μL)をシリンジによって加えた。密封したバイアルを110℃で40分間、加熱した。水(200μL)を添加することによって、この反応を停止した。放射化学収率及び生成物の同定のため、一定分量をラジオTLC及びHPLCによる分析用に抜き取った。分析は、Waters Nova-Pak C18カラム(4μm、3.9×150mm)を使用し、流速1ml/分で、グラジエントAを使用して実施した。RCYは、20分間、実施した同一の反応よりも2倍超で向上した(RCY14%)。
【0225】
[実施例6]
[(Pyr)4Cu(OTf)2]の安定性実験
【0226】
【化55】
【0227】
一般手順は、(Pyr)4Cu(OTf)2(3.6mg、0.0053mmol)の試料を使用して行い、これを18日間、空気に開放して実験台上に放置した。RCYは、不活性雰囲気下で保管した試料と静的に同一であった(74%±4%に比べて78%±4%)。
【0228】
[実施例7]
最適化した18F放射標識条件
本発明の方法を使用し、様々な標識条件を以下に計画した通り試験した。
【0229】
【化56】
【0230】
[実施例8]
複素環の18F標識化
様々な複素環の標識化を本発明の方法を使用して行った。条件及び結果が以下に示されている。
【0231】
【化57】
【0232】
本発明の方法は、様々な基質に対して有効であることが実証された。
【国際調査報告】