【0106】
本発明に従って、好ましい活性薬剤、例えば小分子アルテミシニン化合物は、異なる目的のために抗マラリア又は抗ウイルス治療に使用されている市販の化合物、例えば、アルテエーテル、アルテモチル、アルテメテル、アルテミソン、アルテスネート、アルテミシニン、アルテミシテン、アルテリン酸、9-エピ-アルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン、ジヒドロアルテミシニン二量体、ジヒドロアルテミシニングルクロニド、3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-オール;(3R,5aS,6R,8aS,9R,12R,12aR)-デカヒドロ-3,6,9-トリメチル-3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4;3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10(3H)-オン、オクタヒドロ-3,6,9-トリメチル-;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-オール;3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10(3H)-オン、オクタヒドロ-3,6,8-トリメチル-、(3R,5aS,6R,8R,12S,12aR)-;3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10-オール、デカヒドロ-3,6,9-トリメチル-、(3S,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-デカヒドロ-10-エトキシ-3,6,9-トリメチル-3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン;3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン、10-フルオロデカヒドロ-3,6,9-トリメチル-、(3R,5aS,6R,8aS,9R,10R,12S,12aR)-;3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10-オール、デカヒドロ-10-d-3,6,9-トリメチル-、(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-(9CI);4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタン酸;ブタン二酸、1-[(3R,5aS,6R,8aS,9R,10R,12R,12aR)-デカヒドロ-3,6,9-トリメチル-3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10-イル]エステル;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-(イソブチルアミノ)-4-オキソブタノエート;2,5-ジオキソピロリジン-1-イル((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)スクシネート;N,N-ジメチル-N-[2-[(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルペルヒドロ-3,12-エポキシピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10-イルオキシ]エチル]アミンオキサレート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-オキソ-4-((1-フェニルエチル)アミノ)ブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((4-メトキシベンジル)アミノ)-4-オキソブタノエート;6-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ヘキサン酸;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((シクロヘキシルメチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((フラン-2-イルメチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)プロパン酸;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((4-フルオロフェネチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-0-イル4-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((4-メトキシフェネチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-オキソ-4-((ピリジン-4-イルメチル)アミノ)ブタノエート;3-ヒドロキシ-2-(4-(4-オキソ-4-(((5aS,6R,12S)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ブタンアミド)ブタン酸;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((2-(1H-インドール-3-イル)エチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;4-((4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)メチル)安息香酸;4-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)-3-フェニルブタン酸;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((2-(1H-イミダゾール-5-イル)エチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(5aS,6R,12S)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-((4-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-4-オキソブチル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-オキソ-4-(((テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)アミノ)ブタノエート;3-(1H-インドール-3-イル)-2-(4-(4-オキソ-4-(((5aS,6R,12S)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ブタンアミド)プロパン酸;4-(メチルチオ)-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ブタン酸;5-アミノ-5-オキソ-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタン酸;2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)酢酸;(S)-3-メチル-2-(4-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ブタンアミド)ブタン酸;ブタン酸、4-[[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチル]アミノ]-4-オキソ-、(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-デカヒドロ-3,6,9-トリメチル-3,12-エポキシ-12H-ピラノ[4,3-j]-1,2-ベンゾジオキセピン-10-イルエステル;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-(((S)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(S)-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)プロパン酸;(S)-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)ペンタン二酸;(S)-3-メチル-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)ブタン酸;(S)-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)-3-フェニルプロパン酸;(S)-4-メチル-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)ペンタン酸;3-(2,2-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-3-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)プロパン酸;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-(((S)-1-((4-ヒドロキシフェネチル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(R)-3-メルカプト-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)プロパン酸;(2S,3R)-3-メチル-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)ペンタン酸;(S)-3-(1H-インドール-3-イル)-2-((S)-4-メチル-2-(4-オキソ-4-(((3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル)オキシ)ブタンアミド)ペンタンアミド)プロパン酸;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-(((S)-1-(((S)-1-エトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタノエート;(3R,5aS,6R,8aS,9R,10S,12R,12aR)-3,6,9-トリメチルデカヒドロ-3H-3,12-エポキシ[1,2]ジオキセピノ[4,3-i]イソクロメン-10-イル4-(((S)-1-(((S)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-メトキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタノエート;又は抗糖尿病活性が証明されているそれらの機能性誘導体である。
【実施例】
【0123】
材料及び方法
試薬
このプロジェクトで使用した抗体は、インスリン(Sigma社、18510)、グルカゴン(Sigma社、G2654)、Pax4 (R&D社、AF2614、ロット番号UZYO110121)、Pax4 (Santa Cruz社、98942、ロット番号H1610)、Arx (R&D社、AF7068、ロット番号CFOM0211121)、Myc (Cell Signaling Technology社、CST2276、ロット19)、ヒストンH2B(Cell Signaling Technology社、CST2934、ロット1)、ゲフィリン(Abcam社、ab25784)、ゲフィリン(Synaptic Systems社、147 111)、Cul3(Abcam社、ab75851)、Btbd9(Abnova社、H00114781-D01)、Btbd9(Abcam社、ab174976)である。アルテメテル及びプライマーは、Sigma社から入手した。プライマーの配列を
図7に示す。Jackson ImmunoResearch社からのCy-3標識ロバ-α-モルモット抗体。他の全ての蛍光標識抗体は、Life Technologies社から購入した。全てのHRP標識抗体は、Jackson Lab社から購入した。
【0124】
細胞培養
10%FBS、50U/mLのペニシリン及び50μg/mLのストレプトマイシンを補足した低グルコースDMEM中で、マウス膵臓細胞株αTC1(Novo Nordisk社によって提供されたもの)及びβTC3(Novo Nordisk社によって提供されたもの)を増殖させた。15%Tetシステム承認FBS(Clonetech社、631106), 71uM 2-メルカプトエタノール、50U/mLのペニシリン及び50ug/mLのストレプトマイシンを補足した高グルコースDMEM中で、マウス膵臓細胞株Min6(Novo Nordisk社によって提供されたもの)をドキシサイクリン誘導性コンストラクトと共に増殖させた。ヒト膵島の細胞培養は、確証されたプロトコル(Walpitaら、2012)に従った。
【0125】
ハイスループットスクリーニング
音響伝達(Labcyte社)を用いてDMSOストックプレートから光学処理に適している黒色384ウェルプレート(Corning社3712)に化合物(50nL)を移した。Min6細胞(3000細胞/ウェル)を化合物の上、50ul培地にプレーティングした。処置の3日後、細胞を3.7%ホルムアルデヒド中で10分間、室温で固定した。BPS洗浄後、細胞を-20℃で10分間、冷純メタノールで固定し、PBS中の1%トリトンX-100によって30分間、透過処理し、PBS中の3% BSAによって30分間ブロックした。1.5%BSA中1:2000で希釈した20マイクロリットルの一次抗インスリン抗体をウェルごとに添加し、4℃で一晩インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、PBS中1:1000で希釈した20μL Cy-3標識ロバ-α-モルモット抗体とPBS中の10ug/mL Hoechst社、3342とをウェルごとに添加し、1時間インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、分析までプレートを4℃で、暗所で保管した。
【0126】
20倍対物レンズを使用して自動顕微鏡(Perkin Elmer社、Operetta)によって画像を撮影した。Hoechstチャネルで10ミリ秒間、及びAlexa Fluor 548チャネルで500ミリ秒間、画像を露光した。Harmony(Perkin Elmer社)ソフトウェアによって画像を解析した。核を同定し(Harmony方法C)、その核に基づいて細胞質を規定した(Harmony方法C)。対照ウェルと共に、三つ組で、固有の構造を有する臨床承認薬のコレクション(CeMM社、Vienna、Austria)からの280種の化合物が入っているウェルを合計1152個スクリーニングした。Alexa Fluor 548チャネルでのインスリンの強度及びHoechstチャネルでの細胞数に基づいてヒットを選択した。
【0127】
RNA-seq
ドキシサイクリンと共に又はなしで24、72及び144時間インキュベートした後、RNeasy Miniキット(Qiagen社)をその製造業者のプロトコルに従って使用して細胞を溶解し、RNAを単離した。RNA-seqのライブラリーは、Ribo-zeroキット及びScrptseq v2キット(Epicenter社)を用いて、又は完全自動ロボットライブラリー調製よって調製した。CeMM社のBiomedical Sequencing Facilityでディープシークエンシングを行った。TopHat及びBowtie 2.0によって生データをアラインし、定量した。
【0128】
RT-qPCR
RNeasy Miniキット(Qiagen社)でRNAを単離した後、高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems社)を使用してランダムプライマーでそれを逆転写した。Lightcycler 480 qPCRマシン(Roche社)でPower SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を用いて定量的PCRを行った。
【0129】
ウェスタンブロット
プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche社)を補足した、150mM塩化ナトリウム、1.0%NP-40及び50mM Tris、pH8.0を含有するNP-40緩衝液に細胞を溶解することによって全細胞抽出物を生成した。30mAでの電気泳動のためにSDS-ポリアクリルアミドゲル上に全細胞溶解物(30μg)をゲルごとに負荷し、そしてその後、電気泳動によってニトロセルロース膜(GE Healthcare Life Science社)に転写した。全てのブロットを、5%ミルク中1:1000で希釈した対応する一次抗体と共に4℃で一晩、そしてHRP標識二次抗体(1:20000希釈したもの)と共に1時間インキュベートした。ECL Primeウェスタンブロッティング検出試薬(Amersham社)を使用してシグナルを検出した。
【0130】
ケミカルプロテオミクス
NMRスペクトルをBruker Avance III 400(Bruker社、Billerica、MA、U.S)で記録した。化学シフトをppmで与え、カップリング定数をヘルツで与える。質量スペクトルは、XeVo-UPLC-TQ-MSシステム(Waters社、Milford、MA、U.S.)を使用して記録した。シリカゲル60(Merck社、Darmstadt、Germany)を使用してフラッシュカラムクロマトグラフィー(FCC)による精製を行い、Biotage Isoleraシステム(Biotage社、Uppsala、Sweden)でMPLCを行った。合成した化合物の純度は、UPLC分析によって判定し、確認した。
【0131】
全ての合成化学薬品は、Sigma-Aldrich社から購入し、更に精製せずに使用した。
【0132】
薬物アフィニティーマトリックスは、本質的には以前に記載された(Huberら、2014)通りに調製した。簡単に言うと、エチレンジアミン(2.7μL、40μmol)、エタノールアミン(9.7μL、160μmol)及びトリエチルアミン(15μL、108μmol)を500μL NHS活性化セファロース4 Fast Flowビーズ(GE Healthcare Bio-Sciences社、Uppsala、Sweden)に添加し、その反応物を24時間、ロータリーシェーカーにかけた。ビーズを洗浄し、DMSOに再懸濁させ、NHS活性化アルテスネート(100μL、1.00μmol)をその懸濁液に添加し、その混合物を24時間、ロータリーシェーカーにかけた。NHS-アセタート(10μmol)及びトリエチルアミン(25μL、180μmol)の添加、続いてロータリーシェーカーでの24時間の撹拌によって、未反応ビーズをブロックした。DMSO及び溶解緩衝液で洗浄した後、ビーズを細胞溶解物と共にインキュベートした。
【0133】
アフィニティークロマトグラフィー及び溶出を以前に報告された(Huberら、2014)通りに2回ずつ行い、反復するごとに10mgの全細胞溶解物をタンパク質インプットとして使用した。
【0134】
溶離後、濃縮されたタンパク質をジチオトレイトールで還元し、システイン残基をヨードアセトアミドとのインキュベーションによってアルキル化し、それらの試料を変性ブタトリプシン(Promega社、Madison、Wl)で消化した。消化された溶離物の3%(及びその倍数)を、ゲルフリー一次元液体クロマトグラフィー質量分析(1D-LCMS)による後続の二重分析のためにC18逆相物質によって精製し、濃縮した。このLCMS方法論の詳細は以前に記載された通りである。
【0135】
後続のタンパク質同定のためのピーク抽出及びRAWファイルのMGF形式への変換をmsconveret(ProteoWizard Library v2.1.2708)で行った。初期データベース検索をより広い質量許容度で行って、最適な最終タンパク質同定のための質量リストを再較正した。初期タンパク質データベース検索には、Mascot version 2.3.02(Matrix Science社、London、UK)を使用した。前駆体及びフラグメントイオンに対する誤差許容度は、それぞれ±10ppm及び±0.6Daであり、データベース検索を切断ミス数最大1で完全トリプシンペプチドに限定し、カルバミドメチルシステイン及びメチオニン酸化をそれぞれ固定及び変動修飾として設定した。Mascotペプチドイオンスコア閾値を30に設定し、1タンパク質につき少なくとも3ペプチド同定を要求した。全てのタンパク質アイソフォームを収録しているヒトUniProtKB/SwissProtデータベース、リリース2012〜05に対する検索を行った。
【0136】
初期ペプチド同定を用いて、質量測定値の理論値からの平均二乗偏差を最少にすることになる前駆体及びフラグメント質量の独立線形変換を推定した。より狭い質量許容度(±4ppm及び±0.3Da)を用いるMascot検索エンジンとPhenyx検索エンジン(GeneBio, SA、version 2.5.14)検索エンジンの併用によって同じヒトタンパク質データベースに対して再較正質量リストファイルを検索した。トリプトファン切断ミス部位1カ所を許容した。カルバミドメチルシステインを固定修飾として設定し、酸化メチオニンを変動修飾として設定した。タンパク質を検証するために、Mascot及びPhenyx出力ファイルを社内開発パーサーによって処理した。スコアがT1より上である固有ペプチドを2つ以上有するタンパク質、又はスコアがT2より上であるペプチドを1つだけ有するタンパク質を明確な同定として選択した。スコア>T3であるこれらの検証タンパク質には追加のペプチドも許容した。Mascot検索には次の閾値を用いた: T1=14、T2=40、及びT3=10。Phenyx閾値をそれぞれ、4.2、4.75及び3.5に設定した(P値<10-3)。2つのアルゴリズムによって検索された検証タンパク質を統合し、一切のスペクトル不一致を破棄し、共通ペプチドに基づいてグループ分けした。逆向きのタンパク質配列のデータベースに対して同じ手順を適用することによって、タンパク質同定については<1%及びペプチドについては<0.1%の偽陽性率(FDR)(より低スコアでエクスポートされたものを含む)を決定した。
【0137】
SAINTソフトウェア(バージョン2.3.4)を使用して薬物プルダウンから非特異的結合をフィルタリングした。タンパク質存在量の尺度としてタンパク質スペクトルカウントを用い、実際のプルダウンのデータを陰性対照実験のデータに対して比較することによって、SAINTは実際の餌食相互作用因子である釣り餌タンパク質の尤度を算定する。本発明者らは、SAINT尤度と、作用の大きさを表す遊離化合物競合に基づくスペクトルカウントの低減倍数との比較も行った。低減倍率は、競合があるプルダウンにおいて観察されたスペクトルカウント中央値/競合がないプルダウンにおいて観察されたスペクトルカウント中央値の比としてコンピュータ計算した。各条件で、4つのスペクトルカウント(各々について生物学的な反復2及び技術的な反復2)を中央値に使用できた。
【0138】
細胞のサーマルシフトアッセイ
細胞のサーマルシフトアッセイを文献(Martinez Molinaら、Science 2013)に記載の通りに行った。簡単に言うと、α細胞溶解物を摂氏40〜64度の範囲の指示温度に加温し、沈殿したタンパク質を遠心分離によって除去した。上清をウェスタンブロット分析に使用し、特異的抗体でBtbd9(Abcam社)、Cul3、及びゲフィリン(Synaptic system社)のレベルをプローブした。
【0139】
免疫共沈降
アルテメテル又は対照DMSOのいずれかで前処置したα細胞溶解物を使用し、Btbd9(Abnova社)に対する特異的抗体を用いて免疫沈降を行った。抗体複合体をProtein A Dynabeadsで固定化し、洗浄し、SDS含有負荷緩衝液で溶離した。結合したタンパク質量を5%インプット試料との比較によって推定した。CUL3に対する特異的抗体でのウェスタンブロッティングを用いて、BTBD9とCUL3間の相互作用を判定した。
【0140】
統計法
全てのp値は、他の方法と明記していない限り、スチューデントt検定によって算出した。遺伝子オントロジータームの濃縮は、Gorillaを用いて行った。
【0141】
結果
Pax4及びArx過剰発現の細胞自律的作用と膵島微小環境におけるパラ分泌及び内分泌シグナル伝達を必要とする表現型とを区別するために、本発明者らは、PAX4、ARX又は対照GFPの誘導性過剰発現を可能ならしめるようにマウスβ細胞株Min6を操作した(
図1a及び
図1b)。これらの細胞株において、本発明者らは、転写因子過剰発現によって誘導された遺伝子発現変化を1日(
図1c)、3日間及び6日間測定した。800を超える遺伝子が早い24時間時点でPAX4及びARXによって逆に調節され、これは、これら2つの因子による直接調節を示している(
図1d)。興味深いことに、これら2つの転写因子によって別様に調節される最上位遺伝子の中に内分泌前駆細胞因子Ngn3があった。PAX4過剰発現はNgn3を抑制したが、ARX過剰発現はこの因子を一時的に活性化した(
図1e及び
図1f)。Ngn3活性化の1つの可能な解釈は、β細胞がARX過発現後に可塑性増加を獲得するという解釈である。更に、ARX誘導は、24時間後にPax4を抑制し、より遅い6日の時点でグルカゴンを含む幾つかのα細胞遺伝子の転写を活性化した(
図1g)。これらの変化は、動物モデルにおいて以前に唯一観察されたARX過剰発現に基づくβからαへの運命決定スイッチを忠実にモデル化する本発明者らのシステムを示している。その結果、本発明者らは、ARXの機能性リプレッサーのハイスループットでハイコンテンツなスクリーニングを可能ならしめる細胞システムを生成した。そのような化合物を同定するために、本発明者らは、化合物を添加すると同時にARX発現を誘導し、次いで72時間後にインスリンレベルを測定した。対照DMSO処置試料において、本発明者らは、非誘導細胞と比較してインスリンレベルの50%降下を観察した(
図2a)。その後、本発明者らは、280の臨床承認された小分子のライブラリーをスクリーニングし、それらの構造及び標的多様性について選択した。ヒットした化合物を、細胞生存率に影響を及ぼさない上にARXの不在下でも高いインスリンレベルを維持するそれらの能力について選択した(
図2b)。興味深いことに、ARX過剰発現表現型を完全に阻害する2種のアルテミシニン、アルテメテル及びジヒドロアルテミシニンが、最上位ヒットの中にあった。これらは、ARXの機能性阻害剤についての予測通り、膵α細胞においてインスリン及びPax4発現も誘導する唯一のヒット化合物である(
図2c、
図2d)。これらの発見に基づき、本発明者らは、α及びβ細胞における更なるアルテミシニン類似体の効果を研究した。アルテスネートは同様の効果を示す(
図3a)が、デオキシアルメテルのようなエンドペルオキシド部分がない類似体は、α細胞におけるインスリン発現に対して効果を示さなかった(
図3b)。用量反応アッセイは、ARXを過剰発現するMin6細胞では1uM未満(
図3c)、及びα細胞では10uM未満(
図3d)の半最大有効濃度を示した。
【0142】
マラリアの処置に広く用いられているにもかかわらず、アルテミシニンの分子の作用機序は不明である。ヒト赤血球における鉄の酸化及びマラリア原虫小胞体Ca2+ ATPase SERCAの阻害(O'Neillら、2010)を含めて、様々な分子標的が提案されている。加えて、哺乳動物細胞に対するこれらの化合物の強力な効果が観察され、アルテミシニンは抗炎症及び抗癌剤として記載されている。単離されたアルテミシニンの膵臓における効果はまだ評価されていないが、ヒト患者における及び1型糖尿病の動物モデルにおけるヨモギ属抽出物の陽性効果については限られた証拠が存在する(Ahmadら、2014)。膵α細胞におけるアルテミシニンの分子の作用機序を同定するために、本発明者らはケミカルプロテオミクスアプローチを用いた。本発明者らは、α細胞及びArx過剰発現β細胞において活性なアルテミシニンであるアルテスネートを固体支持体に結合させ、競合遊離アルテメテルの存在及び不在下でプルダウン実験を行った(
図4a)。質量分析は、ゲフィリンを最上位の特異的相互作用因子として同定し、CUL3及びその推定的基質アダプターBtbd9を含むE3ユビキチン化リガーゼの強い濃縮を示した(
図5b)。次いで、本発明者らは、細胞のサーマルシフトアッセイ(Martinez Molinaら、Science 2013)を用いて、これらの因子をアルテミシニンの相互作用因子として確証した。通常、小分子との相互作用は、タンパク質を熱変性に対して安定させるものであり、本発明者らは、アルテメテル処置後にBTBD9についてそのような安定化を観察した(
図4c)。対照的に、ゲフィリン化は不安定化された(
図4d)。ゲフィリンは、モリブデン補因子MoCoの合成における酵素活性、RAFT1との相互作用によるmTORシグナル伝達の調節、並びにゲフィリン及びGABA受容体の膜への輸送における構造的役割をはじめとする多様な機能を発揮する。α細胞株において、本発明者らは、ウェスタンブロット及び免疫蛍光によりアルテミシニンの処置後にゲフィリンタンパク質レベルの用量依存性増加を観察している(
図5a及び
図5e)。この観察は、ゲフィリン安定性のアルテミシニン媒介増加を示唆している。相応じて、本発明者らは、化合物処置溶解物においてMoCo合成能増大を観察した(
図5f)。ゲフィリンレベル及びクラスター形成増加と一致して、本発明者らは、より高い細胞内塩化物イオン濃度(
図5g)及びGABA受容体の膜占有率(
図5b)も観察した。Cul3-Btbd9ユビキチン化系の変化がゲフィリン安定性増加の原因であるかどうかを検討するために、本発明者らは免疫共沈降実験を行った。本発明者らは、アルテメテルの添加によって完全にブロックされたCUL3とBTBD9の強い相互作用を観察した(
図5c)。
【0143】
α細胞のRNAシークエンシング実験は、GABA受容体シグナル伝達に対するアルテメテルの効果を更に強調した。遺伝子セット濃縮分析によって、有意に改変された経路の中からシナプス伝達プロセスを特定し、本発明者らは、その経路でのNrxn3、Sv2b及びShc3の有意なアップレギュレーションを観察した(
図5d)。興味深いことに、GABAは、β細胞増殖の誘導によって糖尿病を改善することができる因子として提案されている(Soltaniら、2011)。GABA受容体シグナル伝達が膵α細胞におけるアルテミシニンの作用機序に関与することを証明するために、本発明者らは、アルテメテルと、ビククリン(
図5h)又はガバジン(
図5i)、2種のGABA受容体アンタゴニスト、とを併用した。GABA受容体アンタゴニストの存在は、TC1細胞におけるアルテメテルの効果を阻害した。重要なこととして、GABARアゴニストであるチアガビンの処置も、α細胞におけるインスリン発現を増加させた(
図5j)。ヒト生物学への本発明者らの発見の関連性の特徴を明らかにするために、本発明者らは、ヒト一次膵島におけるアルテメテルの効果を調査した。マウス細胞株における発見と一致して、本発明者らは、ゲフィリンタンパク質レベル増加、及びGABA受容体についての膜染色増加を観察した(
図6b)。アルテメテルでの3日の処置は、インスリンの分泌を増加させ(
図6b)、インスリンとグルカゴンの両方を発現する二重陽性細胞の数を増加させた(
図6a、
図6d)。遺伝子発現レベルに関しては、アルテメテル処置膵島培養物は、α細胞因子ARX及びPPYの発現を相対的に劇的に低減させたが、PAX6及びPAX4を含むβ細胞因子の発現増加はわずかであった。
【0144】
アルテミシニン併用療法は、マラリアに対して選択される処置であり、1年に3億より多くの処置剤が調剤されている。この大きな患者コホートにもかかわらず、ヒト膵臓内分泌機能に対するアルテミシニンの効果に関する臨床データは発表されておらず、幾つかの理由のため今まで注目されずにきた。マラリア原虫感染患者の急性の命に関わる状態と共に、マラリア原虫感染の公知の低血糖を引き起こす傾向のため、血糖値は短期間に大きく変動しうることになる。更に、健常個体の場合、グルコースによって調節された様式でしかインスリンを分泌しないので、β細胞数の劇的な増加であっても表現型の原因になるとは予想されない。残念なことに、現在、ヒトβ細胞量を直接評定するために使用できるイメージング法はない。膵臓機能に対するアルテミシニンの効果を研究するために理想的な対象は、検出可能なインスリンC-ペプチドの完全欠如(T1D患者の60%又は小児1500名に1名がかかる状態)を伴う1型糖尿病患者であるであろう。本発明者らは、更にマラリアに感染しており、アルテミシニン併用療法で処置を受けているそのような患者から、血液試料を得ることを現在試みている。アルテミシニンが分化転換も誘導する場合、本発明者らは、診断時に採取した試料ではなく処置後の血液試料においてC-ペプチドを検出できると予想している。
【0145】
短い処置サイクル、併用処置でのマラリア原虫若しくは他の薬物の負の作用、又は膵臓における達成可能なアルテミシニンレベルが、この状況ではまだ臨床的有用性を制限しうる。しかし、その場合でも、本発明者らの発見は、α細胞のβ細胞への分化転換による1型糖尿病の処置に向けての創薬の全く新しい道を開く。これらの道としては、構造的に異なるゲフィリン安定剤を挙げることができるであろうが、GABA受容体シグナル伝達経路の他のプレーヤーを標的にする化合物も挙げることができるであろう。
【0146】
【表1A】
【表1B】