(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-514531(P2017-514531A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】疎水性高分子フォームに含浸された化粧料組成物を含む化粧品
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20170512BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20170512BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20170512BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20170512BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20170512BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
A45D34/04 535C
A61K8/02
A61K8/06
A61Q1/02
A61K8/37
A61Q17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-563101(P2015-563101)
(86)(22)【出願日】2015年11月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月22日
(86)【国際出願番号】KR2015012132
(87)【国際公開番号】WO2016137087
(87)【国際公開日】20160901
(31)【優先権主張番号】10-2015-0028454
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0080751
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン−ス・カン
(72)【発明者】
【氏名】クワン−ホ・オ
(72)【発明者】
【氏名】ギャプ−ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン−ウク・パク
(72)【発明者】
【氏名】キョン−ソブ・キム
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC512
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB46
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD32
4C083EE17
(57)【要約】
本発明は、フォームの製造のための高分子基材として天然ゴム(NR)及び疎水性高分子を含む化粧料組成物含浸用フォームと、有機紫外線遮断成分を含み、前記フォームに含浸された化粧料組成物を含む化粧品に関する。本発明は、含浸材に吸着される有機紫外線遮断成分の量が減少することによって、優れた紫外線遮断効果を奏する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡フォームの製造のための高分子基材として天然ゴム(NR)及び疎水性高分子を含む化粧料組成物含浸用フォームと、
有機紫外線遮断成分を含み、前記発泡フォームに含浸された化粧料組成物と、を含む、化粧品。
【請求項2】
前記疎水性高分子は、スチレン、ブタジエン、クロロプレン、アクリロニトリル、イソプレン、イソブチレン、エチレン及びプロピレンからなる群より選択されたいずれか一種以上の重合体または共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
前記疎水性高分子は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)及びエチレンビニルアセテート(EVA)からなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項4】
前記天然ゴム(NR)及び疎水性高分子を含むフォームの製造のための高分子基材が、天然ゴムを高分子基材の全体重量に対し20重量%以下で含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項5】
前記有機紫外線遮断成分は、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、イソアミル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ホモサレート、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ポリシリコン−15及びPABA(パラアミノ安息香酸)、シノキセート、4−メチルベンジリデンカンファー、グリセリルパラアミノベンゾエート、及びエチルヘキシルジメチルPABAからなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項6】
前記有機紫外線遮断成分が、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレンまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項5に記載の化粧品。
【請求項7】
前記化粧料組成物が、油中水型剤形であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含浸材を含む化粧品に関し、より詳しくは、化粧料組成物内に含まれた有機紫外線遮断剤が含浸材に吸着することなく、含量を一定に維持可能な紫外線遮断成分の含まれた化粧料組成物が含浸された化粧品に関する。
【0002】
本出願は、2015年2月27日出願の韓国特許出願第10−2015−0028454号及び2015年6月8日出願の韓国特許出願第10−2015−0080751号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
化粧料組成物に用いられる紫外線遮断剤は、その性質により大きく有機紫外線遮断剤と無機紫外線遮断剤とに分けられる。その中で、肌に逹した紫外線のエネルギーを吸収することで紫外線を遮断する有機紫外線遮断剤は、無機紫外線遮断剤に比べ白濁現象が少ないという長所を有し、かつ、分子状態で肌に塗布されるため、効果的に紫外線を遮断することができ、クリームやファンデーションの形態の他に、乳液タイプ、ゲル、ローション形態のような軽い剤形として開発可能であるという長所がある。
【0004】
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber,NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(styrene−butadiene rubber,SBR)などのような疎水性高分子フォームは、耐磨耗性および耐油性などに優れ、化粧料組成物の含浸のための素材としてよく用いられているが、加工性が良くないという短所がある。
【0005】
疎水性高分子フォームが有する問題点を解決するために、NR(natural rubber)を発泡フォームの製造のための高分子基材として用いている。NRは、エチレン、プロピレン、スチレン、エステルなどの疎水性単量体が重合されたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルなどの疎水性高分子との相溶性が良いため、発泡フォームの製造に際し、他の疎水性高分子との混合物質としてよく用いられる。特に、化粧料含浸用で用いる場合、触感が良く、耐磨耗性などのような機械的性質に優れるという長所がある。しかし、本発明者らは、NRとともに使う含浸材において、油溶性有機紫外線遮断剤の吸着問題が発生することを見出した。本発明は、このような問題点を解決するために、NRとNBRとを高分子基材として共に用いるときに発生する油溶性有機紫外線遮断剤の吸着問題を解決できる方案を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,517,313号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Oertel,G.Polyurethane Handbook.Second ed.Munich:Carl Hanser Publishers,1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、有機紫外線遮断剤の吸着力が低い材質の組合せを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、有機紫外線遮断剤の使用上の制約を解消し、含浸材への紫外線遮断剤の吸着問題を解消できる含浸材が含まれた化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明者らは、NRを含む含浸材において、有機紫外線遮断成分の吸着問題を解決するための方案について、長期間の研究結果、本発明を完成した。
【0011】
本発明の一実施例によれば、フォームの製造のための高分子基材として天然ゴム(NR)及び疎水性高分子を含む化粧料組成物含浸用フォームと、有機紫外線遮断成分と、を含み、前記フォームに含浸された化粧料組成物を含む化粧品を提供する。
【0012】
疎水性高分子を用いた含浸材(または含浸用フォーム)を含む化粧品において、化粧料組成物に含まれた有機紫外線遮断成分の吸着を最小化するために、フォームの高分子基材に含まれた疎水性高分子とNRとの最適の組合せ比率について長期間に渡り研究し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本明細書にて用いられた「含浸用フォーム」または「含浸材」とは、多孔性スポンジのように内部にポア(pore)が形成された形態のものをいい、狭い意味で発泡フォームを含み得る。前記含浸用フォームまたは含浸材は、発泡剤を用いてポアが形成された発泡体を意味し得るが、NRの特性上、発泡過程なく自然に形成された多孔性の形態のものも本発明の含浸材に含まれ得る。
【0014】
本発明者らは、特にNR(natural rubber)が他の疎水性高分子との相溶性に優れることから、発泡フォームとしての製造に有利であるが、油溶性有機紫外線遮断剤の吸着力が高いため、化粧料含浸の用途で用いるに困難があるということを見出した。
【0015】
本発明の一実施例によれば、本発明の目的を達成するために、含浸材に用いられ得る発泡フォームは、疎水性単量体高分子として、スチレン、ブタジエン、クロロプレン、アクリロニトリル、イソプレン、イソブチレン、エチレン及びプロピレンからなる群より選択されたいずれか一種以上の重合体または共重合体であり得、このような高分子の例としては、スチレン−ブタジエンゴム(styrene−butadiene rubber,SBR)、ブタジエンゴム(butadiene rubber,BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber,NBR),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene,ABS)、ポリエチレン(polyethylene,PE)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate,EVA)などが挙げられる。
【0016】
望ましくは、含浸材として利用可能な発泡フォームは、NBR、SBR及びBRからなる群より選択されたいずれか一種以上の疎水性高分子と、NRとを混合して用い得るが、NRと混合可能な疎水性高分子の種類は特に制限されない。
【0017】
本発明者らは、化粧料組成物の含浸のための含浸材として、NRと疎水性高分子とのブレンドを高分子基材にして製造された発泡フォームを提供する。
【0018】
本発明の一実施例に含まれた、化粧料組成物の含浸のための含浸材は、含浸材の製造のための高分子基材(即ち、NRと疎水性高分子とを共に含む、NRと疎水性高分子とのブレンド)の総重量に対しNRを20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7 重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量% 以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.15重量%以下、0.1重量%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.001重量%以下、0.0001重量%以下で含み得、望ましくは15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.15重量%以下、0.1重量%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.001重量%以下、0.0001重量%以下で含み得、より望ましくは、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.15重量%以下、0.1重量%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.001重量%以下、0.0001重量%以下、さらに望ましくは5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.4重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.15重量%以下、0.1重量%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量% 以下、0.02重量%以下、0.01重量%以下、0.001重量%以下、0.0001重量%以下で含み得る。
【0019】
前記含浸材の製造のための高分子基材(即ち、NRと疎水性高分子とを共に含む、NRと疎水性高分子とのブレンド)は、NRと疎水性高分子とを共に含み、少なくともNRと疎水性高分子とのブレンドの総重量に対し0.00001重量%以上の疎水性高分子を含み得る。なお、前記高分子基材として疎水性高分子のみを単独で用いる場合は、本発明の範囲に含まれない。
【0020】
高分子基材に含まれたNRの含量比が前記範囲を超過する場合、有機紫外線遮断剤を吸着する程度が増加するため、化粧料組成物含浸材としては適しないことがある。
【0021】
本明細書で用いられた「NR(natural rubber,天然ゴム)」は、一般的な天然ゴムまたは変性天然ゴムであり得る。前記一般的な天然ゴムは、天然ゴムとして知られたものであれば、いずれも使用可能であり、原産地などは限定されない。前記天然ゴムは、シス−1,4−ポリイソプレンを主体として含むが、要求特性に応じてトランス−1,4−ポリイソプレンを含み得る。したがって、前記天然ゴムとしては、シス−1,4−ポリイソプレンを主体として含む天然ゴムの他に、例えば、南米産のアカテツ科ゴムの一種であるバラタなど、トランス−1,4−イソプレンを主体として含む天然ゴムも含み得る。前記変性天然ゴムとは、前記一般的な天然ゴムを変性または精製したものをいう。例えば、前記変性天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどが挙げられる。
【0022】
前記NRと疎水性高分子との混合物を発泡フォームに製造する方法は、発泡フォーム製造業界における通常の方法で製造可能である。前記発泡フォームを製造するのに用いられる触媒、発泡剤などは、業界の一般的な材料を用いることができ、その種類は特に制限されない。例えば、特許文献US4,517,313、非特許文献Oertel,G.Polyurethane Handbook.Second ed.Munich:Carl Hanser Publishers,1993.などに記載の方法を参考して製造することもできる。
【0023】
本発明の一実施例による多孔性発泡フォームは、疎水性単量体を含む高分子を発泡させて形成し得る。発泡過程を制御して発泡フォームの気孔サイズ及び気孔率、気孔分布などを調節することができる。一般的に当業界によれば、高分子の発泡は、発泡剤の量と種類、製造時の発泡のための空気の注入量、発泡温度、疎水性単量体の種類(特に、単量体の主鎖及び分枝鎖の長さ)などを適切に調節することで可能であり、このような調節は当業者に自明である。
【0024】
本発明の前記含浸材は、望ましくは化粧料組成物を含浸させる用途で利用可能である。
本明細書において、「含浸」という用語は、化粧料組成物を製造する業界で通常用いられる意味で解釈され、具体的には、スポンジのように内部にポアが形成されている材質に、内容物を担持させることを意味する。
【0025】
前記担持とは、任意の物質(例えば、液相形態の化粧料)を保持させることをいい、例えば、流動性のある化粧料組成物を内部に保存して別途の道具などを用いて肌に塗布できる形態の化粧品に使用可能であるが、必ずしもこれに限定されることではない。
【0026】
前記流動性のある化粧料組成物としては、化粧水、トナー、ローション、クリーム、ゲル、リキッドファンデーション、ゲルファンデーション、メーキャッププライマー、メーキャップベース、スキンカバー、リップグロス、アイシャドウ、ブラッシャー、コンシーラーなどがあり、剤形は特に制限されない。例えば、前記含浸材には、油中水型、水中油型などの低粘度の化粧料組成物が含浸され得る。
【0027】
本発明は、望ましくは、紫外線遮断成分を含む化粧料組成物が含浸され得、より望ましくは、有機紫外線遮断成分を含む化粧料組成物が含浸され得る。
【0028】
NR発泡フォームに有機紫外線遮断成分の含まれた化粧料組成物が含浸された場合、油溶性物質が含浸材に吸着されることによって、化粧料組成物の本来の目的が達成できなくなるか、紫外線遮断効果の低下をもたらし得る。
【0029】
前記有機紫外線遮断成分としては、当業界に通常知られている有機紫外線遮断成分を全て含み得、例えば、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、イソアミル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ホモサレート、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ポリシリコン−15、シノキセート、4−メチルベンジリデンカンファー、PABA(パラアミノ安息香酸)、及び/またはグリセリルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルジメチルPABAのようなPABA類似体などを含み得、望ましくは、前記有機紫外線遮断成分は、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレンまたはこれらの混合物を含み得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、有機紫外線遮断成分が含まれた化粧料組成物を含浸させた化粧品において問題となっていた、有機紫外線遮断成分が含浸材に吸着する問題を解決することができる。
【0031】
本発明は、優れた紫外線遮断効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、本発明の具体的な理解のために提供されるものである。
【0033】
<油中水型ファンデーションの製造>
組成例1、2及び3の油中水型ファンデーションは、以下のように製作した。
油相槽に油相成分と増粘剤を入れ、80℃に熱を加えて均一にした後、顔料を入れて分散させた。水相槽には水相成分を入れ、80℃に熱を加えて原料を完全に溶解させた後、顔料が分散している油相槽に添加してホモミキサーで乳化させ、低粘度の紫外線遮断油化物を製造した。40mlの安定性容器に内容物を充填した後、25℃のチャンバに一日以上保管した後、ブルックフィールドLVII粘度計にスピンドル4番を用いて30rpmで1分間作動させた後、25℃で粘度を測定した結果、3,000〜5,000cpsであった。下記の表1は、含浸用ファンデーションの製造のための組成を示した表である。
【0035】
<NR、NBR及びSBRの比率別有機紫外線遮断剤成分の吸着比率の確認>
NR、NBR及びSBRの比率別発泡フォームは、S&G CO.,Ltdから受給され(LG−latex #1001−1014)、直径50mm、高さ10mmの円筒状に裁断して化粧料組成物を含浸させた。常温で24時間保管した後、スポンジの表面から含浸されていないファンデーションを除去した後、スポンジを指で押し付けてファンデーションを採った。採られたファンデーション溶液は、同時に確保して以下の方式で測定した。
【0036】
スポンジに含浸する前のファンデーション及びスポンジから採ったファンデーションそれぞれ20mgをメタノールに溶かし、100mlにして0.45マイクロメートルのろ過膜を通過させた後、液体クロマトグラフィ法によって紫外部吸光光度計で試験し、エチルヘキシルメトキシシンナメート(EHMC)、エチルヘキシルサリチレート(EHS)、及びオクトクリレン(OC)のピーク面積AT及び標準品のピーク面積Asを求め、含浸以前と含浸以後の変化値を分析した。
(1)エチルヘキシルメトキシシンナメートの量(mg)=AT/As×エチルヘキシルメトキシシンナメート標準品の量(mg)
(2)エチルヘキシルサリチレートの量(mg)=AT/As×エチルヘキシルサリチレート標準品の量(mg)
(3)オクトクリレン(mg)=AT/As×オクトクリレンの量(mg)
その結果は表2及び表3のようであった。
【0037】
下記の表2は、NR及びSBRの含量別有機紫外線遮断剤の吸着度を比較したものである。
【0039】
前記表2から分かるように、実施例1−3は、スポンジの高分子基材として用いられたNRの含量に応じて有機紫外線遮断成分の吸着度が変わることが確認された。
特に、NRの比率が20重量%を超過するとき、有機紫外線の吸着度が高いことが分かった。
【0040】
NRを一切含んでいない場合、有機紫外線遮断成分の吸着度が高くないが、含浸材の触感が良くなくて摩耗性が高く、NRを含んでいる場合に比べて相対的に化粧料組成物の含浸用途で用いることは不適切であった。
【0041】
下記の表3は、NR及びNBRの含量別有機紫外線遮断剤の吸着度を比較して示したものである。
【0043】
前記表3の結果から確認できるように、NRの比率が20%以上を超えれば、有機紫外線遮断剤の吸着度が増加し、製品として不適当であることが分かった。
【0044】
SBRを用いる場合と同様に、NBRを用いる場合も、NRを一切含んでいない場合、有機紫外線遮断成分の吸着度は高くないが、含浸材の触感が良くなくて摩耗性が高く、NRを含んでいる場合に比べて相対的に化粧料組成物含浸用途で用いることは不適切であった。
【0045】
下記の表4は、NR及びBRの含量別有機紫外線遮断剤の吸着度を比較して示したものである。
【0047】
また、組成例1のファンデーションが含浸されたNR/SBR(10/90)、NR/NBR(10/90)のスポンジを用いて人工皮膚(vitro skin)にそれぞれ均一に塗布して10分間放置した後、紫外線遮断指数測定機(SPF−290S)でSPF(Sun protection factor)数値を測定した。
その結果は表5のようであった。
【0049】
前記表5から分かるように、NRの含量を20%未満で含む含浸材は、紫外線遮断成分の吸着率が改善し、これによって、含浸された化粧料組成物は高い紫外線遮断効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明による化粧品は、有機紫外線遮断成分が含まれた化粧料組成物を発泡フォームに含浸させた化粧品において問題となっていた、有機紫外線遮断成分が含浸材に吸着する問題を解決した化粧品を提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】2016年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡フォームの製造のための高分子基材として天然ゴム(NR)及び疎水性高分子を含む化粧料組成物含浸用フォームと、
有機紫外線遮断成分を含み、前記発泡フォームに含浸された化粧料組成物と、を含み、
前記フォームの製造のための高分子基材が、天然ゴムを、フォームの製造のための高分子基材の全体重量に対し20重量%以下で含むことを特徴とする化粧品。
【請求項2】
前記疎水性高分子は、スチレン、ブタジエン、クロロプレン、アクリロニトリル、イソプレン、イソブチレン、エチレン及びプロピレンからなる群より選択されたいずれか一種以上の重合体または共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
前記疎水性高分子は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)及びエチレンビニルアセテート(EVA)からなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項4】
前記有機紫外線遮断成分は、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、イソアミル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ホモサレート、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ポリシリコン−15及びPABA(パラアミノ安息香酸)、シノキセート、4−メチルベンジリデンカンファー、グリセリルパラアミノベンゾエート、及びエチルヘキシルジメチルPABAからなる群より選択されたいずれか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項5】
前記化粧料組成物が、油中水型剤形であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【国際調査報告】