特表2017-514577(P2017-514577A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クレイグ・トロンボーグの特許一覧

<>
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000003
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000004
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000005
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000006
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000007
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000008
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000009
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000010
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000011
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000012
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000013
  • 特表2017514577-静脈穿刺補助装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-514577(P2017-514577A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】静脈穿刺補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/42 20060101AFI20170512BHJP
【FI】
   A61M5/42 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-563194(P2016-563194)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月12日
(86)【国際出願番号】US2015028314
(87)【国際公開番号】WO2015168300
(87)【国際公開日】20151105
(31)【優先権主張番号】61/985,845
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516309110
【氏名又は名称】クレイグ・トロンボーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・トロンボーグ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066FF01
4C066FF03
4C066LL13
(57)【要約】
静脈穿刺補助装置は、標的静脈穿刺サイトに向き合うように構成された第1の表面を有する本体を含む。装置は、静脈捕捉チャンネルが、真空化に置かれたときに、患者の組織および皮下静脈の一部を中に誘導するように構成された、第1の表面内に配置された静脈捕捉チャンネルをさらに含み、誘導は、静脈穿刺針により穿刺するために、静脈に曲げを作る。装置は、さらに、本体表面の正面から延びる、静脈の曲げの中に針を受け取り導くように構成された、一つまたは複数の針チャンネルを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的静脈穿刺組織サイトに向き合うための底表面部分を有する本体と、
真空の誘導力により、前記標的静脈穿刺組織サイトの静脈部分を受け取るように構成された、前記底表面部分内に配置された、静脈捕捉チャンネルと、
前記静脈捕捉チャンネル内に、大気減圧を提供するように構成された、前記本体に配置された真空ポートと、
静脈穿刺針を受け取るように構成され、前記静脈穿刺針が、第1の入射角で前記静脈部分内に進めるように配置された、前記本体の正面から前記静脈捕捉チャンネルまで延びる、第1の針チャンネルと、
を含む静脈穿刺補助装置。
【請求項2】
前記第1の入射角が、前記静脈捕捉チャンネルの長軸と、実質的に同軸である、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項3】
前記静脈捕捉チャンネルが、最適化された静脈穿刺形態を形成するように、そこに誘導されたときに、前記静脈部分に曲げを生じるように構成された、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項4】
使用者によって前記大気減圧の程度を制御するように構成された、前記真空ポートと大気連通している真空逃し穴をさらに含む、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項5】
前記本体の前記正面から前記静脈捕捉チャンネルまで延び、静脈穿刺針を受け取るように構成され、かつ前記静脈穿刺針が、前記第1の入射角とは異なる第2の入射角で前記静脈部分内に進めるように、さらに配置された、前記第1の針チャンネルとは異なる、第2の針チャンネルをさらに含む、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項6】
前記第1の針チャンネルの内径が、前記第2の針チャンネルの内径と異なる、請求項5記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項7】
前記第1の針チャンネルの内径が、前記静脈穿刺針の直径より少し大きい、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項8】
前記第1の針チャンネルの内径が、静脈穿刺針/カテーテル組立体の静脈内部分の直径より少し大きい、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項9】
前記本体が、前記本体を介して前記静脈部分へ進んだ前記静脈穿刺針の位置を維持しながら、前記本体を前記標的静脈穿刺組織サイトから取り除けるように構成された、請求項1記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項10】
前記本体が、前記静脈穿刺針が通れるように構成された、前記静脈捕捉チャンネルから前記正面に延びる開裂部を含む、請求項9記載の静脈穿刺補助装置。
【請求項11】
前記本体が、前記本体を少なくとも二つの部分に分割させるように構成された、第1および第2の可逆的に結合可能な部分を含む、請求項9記載の静脈穿刺装置。
【請求項12】
前記第1および第2の部分が、その間に配置された接着フィルムにより可逆的に結合可能である、請求項11記載の静脈穿刺装置。
【請求項13】
皮膚組織と、前記静脈捕捉チャンネルの選択された部分内に配置された静脈部分との間の光の吸収を区別するように構成された、光学検出システムをさらに含む、請求項1記載の静脈穿刺装置。
【請求項14】
可撓性基盤、前記基盤内に配置された開口、および、光学静脈探知組立体の第1および第2のつまみ部材をそれぞれ可逆的に受け取るように構成された、前記基盤の前記開口の外に配置された第1および第2のへこみを含むロケーター部材と、
前記ロケーター部材の前記第1および第2のへこみに可逆的に挿入されるように構成された、第1および第2のつまみ部材を有する、静脈穿刺補助組立体と、
を含む静脈穿刺補助システム。
【請求項15】
前記光学静脈探知組立体が、
前記開口内にフィットするように構成された底面を有するハウジングと、
前記底面と、前記ハウジングの外部との間に延びる、皮下静脈の存在を検出するために構成された光検出装置とシグナル通信している、少なくとも一つの光出力チャンネルと
を含む、請求項14記載の静脈穿刺補助システム。
【請求項16】
前記光学静脈探知組立体が、前記底面と前記ハウジングの外部との間に延びる、光入力チャンネルをさらに含む、請求項15記載の静脈穿刺補助システム。
【請求項17】
前記光入力チャンネルが、選択された光スペクトルを、標的静脈穿刺サイトに光源から送達するように構成されており、前記少なくとも一つの光出力チャンネルは、前記標的静脈穿刺サイト内で、実質的に皮下静脈の上に位置決めされた、前記少なくとも一つの光出力チャンネルの位置に対応する、検出された光の強さの変化を検出するように構成された光電子光センサーと光通信している、請求項16記載の静脈穿刺補助システム。
【請求項18】
前記静脈穿刺補助組立体が、
標的静脈穿刺組織サイトに向き合うための底表面部分を有する本体と、
前記標的静脈穿刺組織サイトの静脈部分をその中に誘導するように構成された、前記底表面部分内に配置された、静脈捕捉チャンネルと、
真空源と接続されたときに、前記チャンネル内に、減圧を提供するように構成された、前記本体に配置された真空ポートと、
静脈穿刺針を受け取るように構成され、前記針が、第1の入射角で前記静脈部分内に進めるように配置された、前記本体の正面から前記チャンネルまで延びる、第1の針チャンネルと、
を含む、請求項14記載の静脈穿刺補助システム。
【請求項19】
光静脈捕捉確認システムをさらに含み、前記光静脈捕捉確認システムは、前記静脈穿刺補助組立体の実質的な部分を覆うための十分なサイズのない内部を有するハウジングを含み、
前記ハウジングは、光入力チャンネルおよび、反対側に配置された光出力チャンネルをさらに含み、前記光出力チャンネルは、前記静脈捕捉チャンネルの決められた部分の前記静脈部分の存在に対応する、前記光入力チャンネルからの光の減衰を検出するように構成されている、請求項18記載の静脈穿刺補助システム。
【請求項20】
前記静脈捕捉チャンネルの前記決められた部分が、実質的に、前記静脈捕捉チャンネルに沿って、かつ隣接した部分である、請求項19記載の静脈穿刺補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月29日に出願された、米国仮特許出願第61/985,845号に基づく優先権を主張するものであり、かつ、35USC119条(e)の規定に基づく利益を主張するものである。そして、その内容は、本明細書に完全に記載されるのと同様、その全体が、参照により組み入れられる。
【0002】
本開示は、静脈穿刺処置を行うためのシステムおよび方法に関する。特に、この開示は、静脈穿刺補助装置を用いて、対象に静脈穿刺処置をより確実に行うためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、静脈穿刺は、典型体には、血液サンプルを抜き取る、または、一つまたは複数の物質を患者の血流中に注射するために、静脈に針を刺すことである。脈管構造の種々の形態学的局面が、対象により変化し得る。静脈構造、サイズ、硬さ、および他の解剖学的特徴が、例えば、対象の人によって、幅広く異なり得る。
【0004】
ある患者の個体群、例えば、特に、高齢の患者や小児患者は、小さいかまたは破けやすい脈管構造を有し得、医療提供者にとって、静脈穿刺を特に難しくし得る。前者の個体において、ある高齢の患者は、薄い、紙のような皮膚を有し得、皮下静脈が、比較的容易に皮下で動き回ることができる。さらに、高齢の対象の静脈は、容易に裂けるか破裂し、静脈内セラピーを始めることや、血液採取を行うことに成功するのに要する技術レベルを引き上げ得る。一方、ある小児患者の静脈は、非常に小さいかもしれず、静脈穿刺を成功させるためには、それに対応する小さい針や、針/カテーテルシステムの組合せの使用を要求し得、医療提供者にとって、静脈穿刺をより複雑にもする。
【0005】
患者の特定の解剖学的構造にかかわらず、医療従事者が、静脈を外したり、静脈穿刺の試みを繰り返したりすると、それが引き起こし得る痛みのために、不快であり得る。より重要なことに、いくつかの場合において、薬の素早い静注が患者の生存に重要な影響があり得るとき、時間が、救急医療において、重要な要素であり得る。幅広い医療提供者のタイプ、例えば、医者、看護師、静脈切開者、救急救命士、救急医療技士(EMT:emergency medical technicians)、および消防士等が、時間が非常に重要なとき、静脈穿刺処置を行うように求められ得る。さらに、軍人も、困難で、ストレスの多い状況下で、戦地で、静脈内セラピーを始めることを求められ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、患者および医療従事者の双方にとって、好ましくは、初回の試みで、静脈穿刺が、素早く、正確に、そして、確実に行われることが、有益であり得る。そのような技術は、繰り返し試みたときに起こり得る痛みを最小にし、患者の治療および生存にプラスの効果を有し得る、流体および生理学的薬剤の素早い注入を可能にし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの例示的局面において、静脈穿刺補助装置(「装置」)が開示される。一つの実施形態において、静脈穿刺補助装置は、標的静脈穿刺サイト、例えば、その下に皮下静脈を有する皮膚の部分、に向き合うように構成された底表面を有する本体を含む。装置は、さらに、静脈捕捉チャンネルが真空下に置かれたときに、そこに標的静脈穿刺サイトを受け取るように構成された、底表面に配置された静脈捕捉チャンネルを含む。皮膚組織と皮下生理機能の静脈捕捉チャンネルへの誘導は、最適化された穿刺構造を形成する、皮下静脈の曲げ、および実質的にまっすぐで、細長い、血管外漏出の可能性を減らし得る、針、カテーテル、または、その両方のための挿入軸を作り得る。装置はさらに、静脈穿刺のための最適入射角で、静脈の曲げに針を受け取り、導くように構成された、第2の本体表面から延びる一つまたは複数の針チャンネルを含む。
【0008】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的な用語は、当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたのと類似のまたは均等な方法および材料が、記載されたいかなる実施形態の実行または試験に用いられ得るが、好適な方法および材料が以下に記載される。さらに、材料、方法、および例は、説明のためのみのものであり、限定することを意図するものではない。本技術において使用される用語と相いれない場合は、定義を含む本明細書が、支配する。
【0009】
先の概要は、説明のためのみのものであり、いかなる方法の限定を意図するものではない。上述の実例の局面、実施形態、および特徴に加え、更なる局面、実施形態、および特徴が、図面および以下の詳細な説明および特許請求の範囲を参照すれば明らかであろう。
【0010】
本実施形態は、添付の図面の数字により説明されるが、必ずしも縮尺通りではなく、同様の参照が、類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一つの実施形態に従った、静脈穿刺補助装置を説明する図である。図1Aは、別の実施形態に従った静脈穿刺装置を説明する図である。
図2】一つの実施形態に従った、静脈穿刺補助装置を説明する図である。
図3】一つの実施形態に従った、静脈穿刺補助装置を説明する図である。
図4】一つの実施形態に従った、静脈穿刺補助装置を説明する図である。
図5】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置を説明する図である。
図6】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置を説明する図である。
図7】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置を説明する図である。
図8】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置を説明する図である。
図9】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置を説明する図である。
図10】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置の要素を説明する図である。
図11】一つの実施形態に従った、静脈穿刺装置の要素を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一つの代表的な局面において、種々の静脈穿刺補助装置の実施形態が開示される。以下の説明において、種々の修正または適合が、特定の要求を満たし、特体の機能を実行し、または、静脈穿刺補助装置に、望ましい性質を満たすために、なされ得ることが理解されるべきである。したがって、この開示およびそれに対応する数字は、説明のためのものであり、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0013】
一つの実施形態において、本明細書で述べられる静脈穿刺装置は、少なくとも一つの側において、標的静脈穿刺部分近くの患者の皮膚の一部分に向き合うように構成されている本体を含む。本体は、第1の本体側から、第2の異なる本体側に延びる、一つまたは複数のチャンネルを含み得、それらは、必ずしも直交に配置されておらず、それぞれ、静脈穿刺針または、針/カテーテルシステムの組合せを対象の脈管構造に、最適なアプローチ角で導くように構成されている。この実施形態および他の実施形態において、最適なアプローチ角は、例えば、皮下注射針のような静脈穿刺針を、誘導される静脈構造に対して、静脈穿刺処置の間に、静脈を完全に外す可能性を減らし、または針の開口が、静脈を通り過ぎて進ませる可能性を減らす、最適な角度で挿入することを可能にする角度であり得る。この実施形態および他の実施形態において、誘導される静脈構造は、患者の生理機能の一部分、例えば、患者の皮膚の一部分を、標的静脈穿刺部分に向き合った本体の、へこんだ部分に引っ張ることにより引き起こされる、自然に起こる静脈の方向付けの調節であり得る。この実施形態および他の実施形態において、そのような誘導された静脈の構造は、大気圧と本体内の圧力との圧力差を用い、患者の皮膚を本体のへこんだ部分に誘導することにより生じ得る。そのような圧力の差は、本明細書により詳細に説明するように、例えば、真空を、本体のへこんだ部分に適用することにより、生じさせ得る。この実施形態および他の実施形態において、一つまたは複数のチャンネルには、ストップ部材が設けられ得、静脈穿刺針が、ストップ部材に接するまで、患者の脈管構造に望ましい距離だけ進み得る。そのような構成は、医療従事者が、静脈穿刺針を、血管外漏出を引き起こす可能性のある、脈管構造に深く入り込みすぎることを防ぐために使用され得る、簡単な参照を提供し得る。この実施形態および他の実施形態において、静脈穿刺補助装置の本体は、静脈の標的部分、例えば、尺側皮静脈または橈側皮静脈を、静脈穿刺処置のために、実質的に固定するように構成された、一つまたは複数のメカニズムおよび適合を含み得る。
【0014】
次に図面を参照すると、図1および図2は、それぞれ、一つの実施形態に従った、静脈穿刺補助装置(以下、「装置」という)100の透視図および正面図を示す。この実施形態において、装置100は、全体的に、立方体直方体形状を有するが、装置は、スタイル、機能性、または他の考慮すべき事柄の望ましい局面に向けて、他の形やサイズでも形成され得る。例えば、以下に述べられる底面110は、前腕、手首、または他の患者の生理機能の湾曲に実質的に合うように構成された、実質的にくぼんだ湾曲を含み得る。
【0015】
この実施形態および他の実施形態において、装置100は、本明細書に全体的に述べられるように、静脈穿刺を行う意図された目的にあったいかなる材料で形成され得る。代表的には、装置100が作られ得る非限定的材料は、種々のタイプのプラスチック、シリコン、およびそれらの誘導体、ガラス、例えば、ポリメチルメタクリレートのようなポリマーおよびポリマーブレンド等を含む。一般に、医療従事者は、標的静脈穿刺サイトを、装置を通して見ることが可能であり、本明細書で議論されるように、光を、それを通して伝えることを可能にするというような他の理由で、装置が、透明な材料で作られるのが有利であり得る。
【0016】
この実施形態において、装置100は、示されたように、特に、正面105、底面110、上面112、左面113、および後面115を含む。この実施形態において、へこんだ静脈捕捉チャンネルが、示されたように、正面105と後面115との間の、実質的にかまぼこ型の、細長い実質的にくぼんだ内壁120により定義される。以降、簡単に理解できるように、静脈捕捉チャンネルは、参照番号120で参照しよう。静脈捕捉チャンネル120は、最適な静脈捕捉能力を提供するのに必要な形およびサイズで構成され得、以下により詳細に述べられるように、患者の種(例えば、ヒトか非ヒト)、患者の年齢、患者の静脈の状態等のような因子により影響され得る。いくつかの実施形態において、静脈捕捉チャンネル120は、一つまたは複数の次第に細くなる端部部分を含み、それは底面110と表皮との間のシールを提供するのに有益であり得る。
【0017】
この実施形態において、静脈捕捉チャンネル120は、相対する末端部分において、「閉鎖」しており、細長いチャンネルの近位端および遠位端は、全体的に、後面115と正面105からそれぞれ内側に延びる壁部分で止まっている。しかし、いくつかの実施形態において、静脈捕捉チャンネル120の一つまたは両方の端部は、後面(115)または正面(105)のいずれかを通ってそれぞれ延び得る。特に図1を参照すると、装置100の部分114は、陰になっている部分として示されており、静脈捕捉チャンネル120が、正面105を通って延びている実施形態においては、無かったであろう代表的なセクションを示している。そのような静脈捕捉チャンネルの構造は、有益であり得るかまたは、ある対象における静脈穿刺を行うのに、一定の利点を提供し得る。
【0018】
この実施形態において、装置100は、上面112から静脈捕捉チャンネル120内に延びる真空ポート130を含み、以下により詳細に述べられるように、真空を適用することにより、チャンネル120と装置100の周りの大気の間の圧力差を提供するように構成されている。他の実施形態は、装置100の周りに配置されている複数の真空ポートを含み、また、装置100は、最適な真空能力を達成するかまたは他の有利な目的のために静脈捕捉チャンネル120と大気連通している。例えば、真空ポートは、装置100のいかなる面に配置されていてもよく、本明細書により詳細に述べられるように、医療従事者は、静脈捕捉チャンネル120への真空圧力を手動で制御し得る。
【0019】
この実施形態において、真空ポート130は、静脈捕捉チャンネル120と協力して使用され得、患者の静脈を、静脈穿刺のために捕捉し、実質的に固定する。一つの非限定的例において、静脈切開人のような医療従事者は、装置100を患者の皮膚に押し付け、底面110を、静脈穿刺の標的皮膚部分に向き合わせる。例えば、医療従事者は、装置100を、静脈捕捉チャンネル120が患者の尺側皮静脈の一部分を、実質的に平行な配置で覆うように方向付け得る。続いて、真空ポート130への真空の適用が、標的皮膚部分(皮下生理機能を含む)を、チャンネル120と装置100の周りの大気の間の圧力差を通して、静脈捕捉チャンネル120内に、誘導させ得る。この実施形態において、真空逃し穴140が上面112から、静脈捕捉チャンネル120内に延びており、医療従事者に、実質的に、チャンネル120に適用される真空度を制御するのを可能にするように構成されている。例えば、静脈穿刺処置の間に、医療従事者は、逃し穴140の上に指を置き、上面112の穴140の開口を種々のやり方でシールすることにより真空を調節し得る。いったん患者の静脈が、好適に静脈捕捉チャンネル120内に誘導されると、次に述べるように、静脈は、静脈穿刺のために真空によって、実質的に固定されたままになり得る。
【0020】
この実施形態において、装置100は、それぞれ、正面105から、静脈捕捉チャンネル120内に延びる、複数の針チャンネル150、151、152、153を含む。別の実施形態において、装置100は、本明細書に述べられるように、静脈穿刺のために最適に構成された、単一の静脈捕捉チャンネルを有し得る。この実施形態および他の実施形態において、各針チャンネルは、特定のサイズ、型、形、長さ、または他の性質の、静脈穿刺に使用される針、または、針/カテーテルシステムの組合せを受けるように形成され得る。一つの非制限的例において、針チャンネル150は、8ゲージの皮下針を受けるように構成され得、針チャンネル151は、10ゲージの皮下針を受けるように構成され得、針チャンネル152は、22ゲージの針を受けるように構成され得る等である。この実施形態および他の実施形態において、各針チャンネルの穴のサイズを、特定の針サイズに非常に良く近づけるように構成することが、有利であり得、それにより、針チャンネルが、実質的にまっすぐの静脈捕捉チャンネルへの通り道を、最小限の位置の偏差で定義する。
【0021】
一つの実施形態において、各針チャンネルは、直径において実質的に均等に構成され得、各チャンネルにおいて、同じ型またはサイズの針を受け取る能力を提供する。そのような構成において、各針チャンネルは、静脈捕捉チャンネル120への通り道が、捕捉された静脈内への異なる入射角で進むように構成され得る。そのような構成は、複数のガイドを、医療従事者が、静脈穿刺を行うのに利用できる異なる角度で提供する。
【0022】
図1Aは、一つの他の実施形態に従った、静脈穿刺補助装置200の側面図を示す。図1Aの実施形態は、本明細書に記載された装置100に似ており、上述のように、同様の参照番号は、類似の要素を示す。この実施形態において、装置200は、複数の真空逃がしポート130a、130b、130cと大気連通している真空マニホールド131を含む。一つの実施形態において、各真空逃がしポート130a、130b、130c等は、異なる穴サイズを有するように構成され得、ポートを通って、種々の大気吸い込み量を提供する。この実施形態において、マニホールド131は、真空ポート130、第2の真空ポート132と大気連通しており、それぞれ、静脈捕捉チャンネル120に延び、かつ、静脈捕捉チャンネル120と大気連通している。
【0023】
この実施形態において、装置200の複数の真空ポートが、医療従事者によって、静脈捕捉チャンネル120に適用される真空度を微調整するように使用され得る。例えば、真空ポート130は、真空源に結合され得、それにより、真空が真空マニホールド131、真空ポート130、第2の真空ポート132、および各逃しポート130a〜130cに達する。一つの実行例において、医療従事者は、第1の指、第2の指、第3の指をそれぞれ逃しポート130a〜130cの上に置くことができ、それにより、静脈捕捉チャンネル120に最大の真空を提供する。真空度は、例えば、第3の指を、逃しポート130cを大気に露出するように持ち上げることにより、下げることができる。さらに、真空度を下げることが望ましい場合には、医療従事者は、第1および第2の指を、同様に、逃しポート130a、130bを大気にさらすように持ち上げることができる。したがって、この実施形態および他の実施形態において、医療従事者は、可変的に適用された真空を用い、針ポートの一つ、例えば、針ポート150〜153から選択された一つを通って、針を挿入するのに先立ってかつ挿入する間に、静脈の最適な位置決めのために、患者の皮膚を静脈捕捉チャンネル120内に誘導することができる。このアプローチは、また、適用された真空度が大きすぎたときに、静脈の崩壊を防ぐためにも有用であり得る。
【0024】
次に特に図1図2、および図3を参照すると、この実施形態および他の実施形態において、装置100が、二つの半分の部分101、102から形成され得、それぞれ、例えば、図1図2、および図3に示されたように、可逆的に対になり操作上の構成になり得る。そのような実施形態において、装置100は、例えば、本明細書に記載されたように、針を、針チャンネルの一つを通って進ませることにより、静脈穿刺針または針/カテーテルシステムの組合せを患者の静脈に挿入するのに最初に使用され得る。次に、針が、好適に静脈に進んだ後、装置100の二つの半分の部分101、102が、割られ得、装置100が、針の周りから取り除かれ得、例えば、針それ自体により全体的に定義された通り道に沿って、カテーテルを静脈に進ませる等、更なる処置のために、静脈穿刺部分が解放される。
【0025】
そのような実施形態において、各半分の部分101、102は、例えば、可逆的に対の機能を組み入れた鋳型から形成され得る。例えば、半分の部分101は、ラッチ機構のオス部材を含み得、半分の部分102は、ラッチ機構のオス部材を、ラッチするように受け取るように構成された、対応するメス部材を含み得る(オスラッチ部材およびメスラッチ部材の両方とも、図面の図には、明確に示されていない)。
【0026】
もう一つの実施形態において、半分の部分101は、一つまたは複数のオス柱部材を含み得、半分の部分102は、オスの柱部材を受け取るように構成され配置された、対応する数のメスのへこみを含み得る。各オスの柱部材とメスのへこみは、半分の部材101、102のそれぞれの対になる側に配置され得、例えば、図1に示されたように、二つの対になる側が、実質的に向き合う関係になったときに、機能する装置が形成される。
【0027】
この実施形態および他の実施形態において、いかなる好ましい型の接着剤も、(例えば、図1に示されたような)半部分の部分を操作上の構成に組み合わすのに使用され得、また望ましい時に分割させ得る。一つのアプローチにおいて、接着剤は、どちらか一つの表面もしくは両方の表面、または、対になる部分に一体になる接着フィルムのような、中間部材上に直接適用され得る。ある引っ張り強さが低い接着剤またはテープは、「分離」機能を提供し得、医療従事者は、半分の部材101、102を望ましいように容易に割り分裂し、分割し得る。針を装置から分離することはまた、針チャンネルの開口と表面110の間に、はがす操作により切り離され得る膜を提供することにより達成され、それは医療従事者によって行われ得る。
【0028】
一つの他の実施形態において、装置100は、針が挿入された装置100を分割するための、一つまたは複数の実質的にくさび型の「分離」部分が設けられ得る。一つの非限定的な例において、分離部分は、底面110の部分、底面110の交差部分から、一つまたは複数の針チャンネル、例えば、針チャンネル150〜153の位置に対応する高さまで全体的に延びる正面105の部分を含む高さ、および一つまたは複数の針チャンネル、例えば、針チャンネル150〜153の一つの通り道に全体的に対応する平面上の斜辺表面を含む基部を有するくさび型部分であり得る。
【0029】
次に、図3および図4を参照すると、静脈穿刺処置を行うための静脈穿刺補助装置100または200の使用が、一つの実施形態に従って示されている。図3は、透視図で処置を示している一方、図4は、同じ処置を側面図で示している。この例において、装置100は、患者の皮膚表面170に置かれ得、静脈捕捉チャンネル120が標的静脈穿刺サイトの近く、好ましくは直上に、この例においては、標的皮下静脈175の上に、位置決めされる。次に、真空が、真空ポート130に適用され得る。そのような処置に使用され得る真空源の一つの非限定的例は、病院、救急車等で一般に入手可能な真空ポートである。
【0030】
特に図4および図5を参照すると、真空の真空ポート130への適用は、静脈175を含む患者の皮膚の標的部分170の静脈捕捉チャンネル120への誘導を生じ得る。皮膚が静脈捕捉チャンネル120へ誘導されると、図示されたように、静脈175のS型の曲げ177が、装置100の正面105、またはその近くに実質的に導入され得る。この例において、S型の曲げ177の形成は、静脈を、針185を受け取るのに最適化された形態に方向付け得る。この実施形態および他の実施形態において、「最適化された形態」とは、静脈の前方の曲げ179が、静脈の前方の表面が、針が挿入されると、針185の通り道に対して、好ましくは、実質的に垂直角で方向づけされるように誘導される形態であり、かつ、例えば、図4の拡大図部分に示されたように、実質的にまっすぐで安定化されている静脈部分181が、針が進み得るように形成され、静脈壁を針の先端が穴を開ける可能性を最小限にする。
【0031】
続けて特に図4を参照すると、この実施形態において、誘導されたS型の曲げ177の形は、真空の真空ポート130への種々の適用により制御され得る。他に、または、それに組み合わせて、適用される真空度は、先に議論したように、例えば、穴の上の指の位置を調節すること等により、例えば、逃し穴140に入る大気の量を調整すること等により、医療従事者により制御され得る。
【0032】
一つのアプローチにおいて、本明細書で述べられるように、装置100または200を用いて静脈穿刺を行う医療従事者は、一つまたは複数の針チャンネル、例えば、図4の針チャンネル150に対し、上述のように、静脈捕捉チャンネルに適用される真空度を調節することにより、誘導されたS型曲げ177の位置および方向を調節し得る。したがって、医療従事者は、針185を挿入するのに先立って、静脈175、特に、誘導された静脈のS型部分177の位置および方向を「微調整」することができる。
【0033】
この実施形態において、真空によって、静脈捕捉チャンネル120に誘導される患者皮膚の標的部分170は、針185が静脈、例えば、前方の曲げ部分179に突き通った後進み得る実質的にまっすぐで安定な静脈部分181を作り得る。この実施形態および他の実施形態において、そのような構成は、静脈に不注意に針を進める(通常、静脈を「ブロー(blow)する」という(血管外漏出))可能性を減らすことができる。
【0034】
図4の拡大図部分を再び参照すると、この実施形態および他の実施形態において、針チャンネルまたは、それが複数ある時には、複数の針チャンネルの入射角θは、全体的に、正面105の内壁に対する針チャンネルの角度によって定義され得、かつ、以下ようになるように選択され得る:1)チャンネルを通って進むときに、針は、まっすぐになって安定化された静脈部分181の中央軸(図4の破線)に、全体的に実質的に同軸の、交差する点199で前方の曲げ部分179を突き通す;および2)針は、挿入されたときに、まっすぐになって安定化された静脈部分181内を、全体的に、同じ中央軸に沿って進む。一つの非限定的な例において、角度θは、約70°〜85°である。一つの実施形態において、第1の針チャンネルは、約85°の角度に構成されており、第2の針チャンネルは、約75°の角度で構成されている。この実施形態および他の実施形態において、各針チャンネルは、針の断面よりやや広い断面になっており、もし望ましければ、針を静脈に挿入するときに、医療従事者に、ある程度の操作性を許容する。この開示を通して、針の進行の詳細は、針/カテーテルシステムの組合せが医療従事者により使用されるときには、同様にカテーテルにも適用され得ることを理解すべきである。
【0035】
特に図1に戻って参照すると、この実施形態および他の実施形態において、装置100の静脈捕捉チャンネル120は、静脈穿刺のために種々のタイプの静脈の捕捉および固定化を容易にするいかなる様にも構成され得る。例えば、静脈捕捉チャンネル120の幅w、長さl、および高さhは、特定の静脈の形およびサイズを受容するように構成され得る。同様に、これらの変数は、また、患者の組織生理機能を考慮に入れても選択され得る。一つの例において、静脈捕捉チャンネル120は、本明細書に記載されているように、「平均的」患者について静脈穿刺を行うよう構成され得、静脈捕捉チャンネルの寸法は、約0.508cm(約0.200インチ)(幅w)、約1.905cm(約0.750インチ)(長さl)、および約0.508cm(約0.200インチ)(高さh)である。他の実施形態において、特定のサイズおよび形の静脈捕捉チャンネル120を有する異なる装置100が、種々の分類の患者、例えば、小児患者、高齢の患者、または肥満の患者を受容するように使用され得る。
【0036】
一般的に、静脈穿刺補助装置、例えば、本明細書に記載された装置100、200、または300は、静脈穿刺処置を行う医療従事者を補助するように構成された付随的な要素、組立体、またはメカニズムを含み得る。例えば、装置100は、標的静脈部分を照らし得る、LEDのような光源または組立部品を含み得る。そのような実施形態において、周りの組織から静脈を区別できるような、望ましい出力スペクトルを提供する光源を含む組立体が有利であり得る。例えば、組立体は、赤外光源を含み得る。一つの実施形態において、装置100は、実質的に透明の材料、例えば、透明プラスチックから構成され得、制御可能なLEDが、そこにはめ込まれ得る。この実施形態および他の実施形態において、光源は、遠くに配置され得、例えば、直接的に装置に付着してないか、または埋め込まれておらず、光源からの光は、一つまたは複数の光通信可能な要素を介して装置に送達され得る。そのような光通信可能な要素の一つの非限定的な例は、光ファイバーである。
【0037】
一つの実施形態において、本明細書に記載されたタイプの静脈穿刺補助装置は、標的静脈穿刺部分を拡大するように構成され得る。一つの非限定的な例において、上面112は、標的静脈穿刺部分を拡大するように、フレネルレンズまたは他のタイプのレンズを含むか、または、それで構成され得る。一つの実施形態において、フレネルレンズは、特に装置が、透明な固体材料で形成されているときは、装置の上面112に直接エッチングされ得る。もう一つの実施形態において、伝統的な凸レンズが、上面112に接着されるか、合体され得る。
【0038】
次に図5図9を参照すると、静脈穿刺補助装置300(以下「装置」という)が、一つの実施形態に従って示されており、図5は、装置300の等角測視図であり、図6は、装置300の右側立面図であり、図7は、装置300の左側立面図であり、図8は、装置300の等角底面図であり、かつ図9は、装置300を、内部要素を説明するために左側305を取り除いた、左側立面図に示している。
【0039】
この実施形態において、装置300は、実質的にくさび型をしており、示されたように、右側301、前側302、上側303、底側304、および左側305を有する。装置300は、さらに、患者の静脈350の一部分を受け取るための内部空洞317を含み、その空洞は、例えば、図8および図9に示されたように、右側301および左側305の内部壁、内部上壁351、ならびに内部正面壁353により定義される。内部空洞317は、本明細書に記載された静脈捕捉チャンネル120の空洞と、静脈穿刺のための標的静脈部分の捕捉および固定化に関して、同じまたは類似の機能を提供し得る。
【0040】
この実施形態において、装置300は、上側303を通って延びる、シリンダー309の内壁により定義された、真空ポート310を含み、内部空洞と大気連通している。図5図9に示されていないが、シリンダー309は、真空が内部空洞に適用され得るように、真空源から延びるチューブまたは他の内腔と可逆的に組み合わされるように構成され得る。例えば、上側303から延びるシリンダー309の一部分は、ルアーロックシステムのオス部分またはメス部分として構成された、メスねじ部分またはオスねじ部分を含み得る。
【0041】
この実施形態において、装置300は、シリンダー318の内壁により定義され、内部空洞に延びる、前側302に配置された針ポート320を含む。この実施形態において、シリンダー318は、軸に沿って内部空洞に、静脈を突き通すために最適化された角度と場所で、針385を導くことができるよう長さと方向を有し得る。図5図9には、シリンダーの軸が、鎖線331により示されており、全体的に、シリンダー318の各端部開口の中央を結ぶ線である。
【0042】
この実施形態および他の実施形態において、シリンダーの中央軸は、前側302平面に対して、針が内部空洞に入ったときに、針385が接近する通り道を最適化する角度で構成され得る。例えば、シリンダー318の中央軸は、静脈が内部空洞に捕捉されたときに(より完全に本明細書に記載されるように)は、静脈の細長い部分、例えば、図6の部分lは、例えば図6に示されたように、シリンダー318の軸と実質的に同軸に整列した関係を有するように構成され得る。
【0043】
一つの実施形態において、装置300は、医療従事者に最適な針方向、特に、針の長軸の周りの方向をもたらす印を含み得、針がシステムに挿入されたときに、静脈の意図されない部分に突き通す可能性を最小化する。一つの例において、前側302は、針の先端と後端を、静脈穿刺中に静脈の内壁に先端が接触する可能性を最低限にする特定な方向に整列するための、(図5図9には示されていない)目盛りを含むことができる。この実施形態および他の実施形態において、シリンダー318には、針が挿入において回転できるように、空間的許容誤差を設けることができる。
【0044】
特に図9を参照すると、この実施形態において、装置300は、上述のように、適用された真空によって、内部空洞317に誘導されるときに、患者の静脈の標的部分に曲げを生じるように構成されている。この実施形態において、例えば、図6および図9における、静脈350の曲げ角度θは、一つまたは複数の変数によって制御され得る。例えば、曲げ角度は、内部チャンバに適用される真空度によって制御され得、静脈350の前側部分352が内部上壁351に誘導される程度を制御することができる。もう一つの例において、装置300のくさび様の寸法は、曲げ角度を最適化するように構成され得る。例えば、くさび型の高さh、くさび型の長さl、または他のいかなる寸法も、曲げ角度θを最適化するように構成され得る。
【0045】
同様に、この実施形態および他の実施形態において、くさび様装置300の寸法は、ある患者群、例えば、小児患者群、高齢者患者群、または肥満患者群、または細いもしくはか弱い脈管構造を有する患者に使用するために、または他の理由のために最適に使用されるように構成され得る。例えば、装置300は、小児患者に主に使用するように構成され得、くさび様装置300の寸法は、それに応じて、大人に使用するために構成されたシステムの寸法より小さい。
【0046】
続けて図9を参照すると、この実施形態および他の実施形態において、装置300は、針385が、内部チャンネルに捕捉される静脈350に挿入され得る距離を制限し、血管外漏出の可能性を最小限にする安全性の局面を提供するように構成され得る。この実施形態において、そのような安全性の局面は、図9においてtfwと表示された、正面壁の厚さを、針385が内部空洞に挿入する長さを制限するようにすることにより実現化され得る。そのような実施形態において、シリンダー318は、実質的に正面壁の厚さに相当する、シリンダーの軸に沿った長さを有し得る。
【0047】
一つの例において、装置300の正面壁は、特定の長さの皮下針の約半分から三分の一の厚さを有し得、針が、内部空洞にそれぞれ約半分から三分の二の長さだけ挿入され得る。医療市場においては、幅広い範囲のサイズおよび長さの針が入手可能であり、正面壁の厚さは、本明細書に提供される有利な安全性の局面を提供しながら、そのような種々の多様性を受容して選択され得ることが理解されるであろう。
【0048】
次に特に図6および図7を参照すると、この実施形態および他の実施形態において、装置300(または本明細書に記載された装置100、200、または500)は、使用中に静脈捕捉の確認を提供するように構成され得る。一般的に、医療従事者に、静脈350の標的部分(例えば、対象の前腕の皮膚の一部分)が、内部空洞に誘導されたのを確認する能力を提供し、静脈穿刺のために準備のできた構造にする、特徴、システム、または他の構成が統合され得る。一般的に、そのような「準備のできた位置」は、静脈が、内部空洞に真空化で誘導されたときに、前面302においてまたはその付近で、図4図5〜7、および図9に示された代表的な静脈形態に実質的に類似なように、角度θで曲げられた静脈形態であり得る。
【0049】
この実施形態において、装置300は、光学静脈捕捉確認システムを含むように構成される。図6を参照すると、この実施形態において、左側301は、光源(図5〜9には示されていない)を確実に受け取るように構成された第1の開口325を含み、光源からの光は、内部空洞に向けられ得る。一つの代表的な光源は、選択された光スペクトルを提供する光源に結合した光ファイバーの末端部分である。図7を参照すると、この実施形態において、右側305は、第1の開口325の実質的に反対側に配置された、第2および第3の開口、それぞれ337a、337bを含む。この実施形態において、第2および第3の開口は、光源からの光を検出することができる第1および第2の光検出器(図5〜9には示されていない)を、または、他の実施形態においては、光ファイバーケーブルのような第1および第2の光出力チャンネルを確実に受け取るように構成され得る。
【0050】
この実施形態において、静脈捕捉確認は、第1の開口325および第2の開口337aの間、または第1の開口325および第3の開口337bの間、またはその両方の間の静脈350の存在または非存在を光学的に検出することにより実現され得る。静脈の光学的検出は、種々の光学検出または分光学的方法により実現され得る。いくつかの実施形態において、第1の光検出器(337a)または第2の光検出器(337b)内に配置された光検出器、または、光出力チャンネルと結合した光検出器と、シグナル通信する電子回路が、内部空洞317内の患者の組織、脈管構造、またはその両方により吸収された光の量を測定または検出するように形成され使用され得る。
【0051】
例えば、第1および第2の受光器(図5図9には示されていない)が、第2の開口(337a)および第3の開口(337b)内に収納され得、反対側に配置された、第1の開口325に収納された光源からの光を検出するように構成され得る。標的静脈穿刺部分が、例えば、上述のように真空下で、内部チャンバ317に誘導される前に、第1および第2の光ダイオードは、揺れまたは強度の基準線の読みを受け取り得る。一つのアプローチにおいて、例えば、静脈がない組織の強度の読み等、静脈穿刺を成功させることができない状態を代表する、揺れまたは強度の追加的な基準線の読みが、医療従事者により確立され得る。標的静脈穿刺部分が、真空下で内部チャンバ317に誘導されるにつれて、(第3の開口337b内の)第2の受光器に到達する光の量は、組織内の吸収または拡散により、減衰し始めるであろう。この点において、光ダイオードとシグナル通信している電子的検出回路は、第2の光ダイオードの強度が、第1の光ダイオードの強度より少ないことを検出し得る。回路は、表示ライト、例えば、上側303に設けた黄色いライト(図5図9には示されていない)を点灯することができ、静脈が内部空洞に完全に収まっていないことを示す。静脈がさらに内部空洞に誘導されると、第2の光ダイオードで受け取られる光が、より多くの光が周りの組織に対して静脈で吸収される局面により、さらに減衰し得る。同様に、電子的検出回路は、この減衰を検出し、第2の光、例えば、上側303に設けられた緑のライトを点灯させ、医療従事者に、静脈が、静脈穿刺のために最適化された形態に置かれていることを示し得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、装置300は、一つまたは複数の受光器で受け取られた光の関数として、診断的機能を行うように構成された一つまたは複数の電子回路(図には示されていない)を含み得る。例えば、電子回路は、受光器のシグナルを分析するためのソフトウェア論理演算命令を記憶するように構成された貯蔵モジュールを含み得る。そのような実施形態において、回路は、プロセッサー、メモリー、シグナル入力および出力ポート、記憶された論理関数、およびロジックリポジトリを含み得、これらのすべては、互いに電子シグナル通信可能であり、診断、静脈位置確認機能、または他の機能を果たすように構成され得る。一つの例において、回路、光源、および光受容器が、組織の吸収によって引き起こされる光の減衰を、光源が静脈を通るときに起こる光の減衰と区別するように、静脈内の流体の流れを光学的に検出するように構成され得る。一つの実施形態において、光源は、電磁波スペクトルの赤外または近赤外部分の光を作るように構成され得、光検出器は、赤外または近赤外受光器であり得る。
【0053】
図5に戻って参照すると、この実施形態において、装置300は、一体の本体としても形成され得るが、装置300は、第1の本体の半分302aと第2の本体の半分302bから形成され得る。各本体の半分は、可逆的に対になって、装置300を、例えば図5に示されたように形成し得る。この実施形態において、分離可能な本体の半分302a、302bは、いったん針が静脈に導入されると、システムを標的静脈穿刺部分から取り除くことができる能力を提供する。
【0054】
例えば、医療従事者が、装置300を標的静脈穿刺部分に適用し得、真空ポート310を通して真空を適用し、標的静脈穿刺部分を内部チャンバに誘導し得る。いったん静脈が、例えば、本明細書に記載された光学的方法により、または、視覚による確認によって、確認されるように、適切な方向になると、医療従事者は、針385を、針ポート320を通って内部空洞に挿入でき、それにより、静脈352の前側部分においてまたはその付近で静脈に突き通し得る。最適には、静脈352の前側部分は、針385の入射角に実質的に垂直に方向づけられ得る。医療従事者は、次に、適切な静脈穿刺を達成する必要がある限り、針を進め得る。この時点において、二つの本体の半分302a、302bが、分離され得、針385が患者の組織内に挿入され、平静な状態のままにする。また、医療従事者は、静脈内セラピーを始めるときに、例えば二つの本体の半分302a、302bを分離し取り除くのに先立って、それが一般のやり方であるが、カテーテルまたは他の内腔を針に沿って静脈内に進ませることができる。他の実行において、装置300は、例えば、テープ、包帯、または他の方法を使用して、そのまま患者に固定され得る。
【0055】
次に図10および図11を参照すると、静脈穿刺補助装置(以下VASと呼ぶ、venipuncture assist system)が、一つの実施形態に従って示されている。この実施形態において、VASは、静脈探知器組立体400および静脈穿刺補助組立体500を含む。
【0056】
この実施形態において、静脈探知機組立体400は、ロケーターリング401を含む。ロケーターリング401は、光学的静脈探知器組立体(以下OVFAと呼ぶ、OVFA:optical vein finder assmbly)450と協力して使用できるように構成され、OVFAは、静脈穿刺のために皮下静脈の位置を突き止めるのを補助するように構成されている。この実施形態において、ロケーターリング401は、図示されたように、標的静脈穿刺部分の上に置かれるように意図された、中央開口を有する。図10には、標的静脈穿刺部分が、鎖線で示された皮下静脈を含む。ロケーターリング401は、さらに、第1のくぼみ(402)および第2のくぼみ(403)を含み、それらは、以下により詳細に記載されるように、OVFA450のつまみ部材452、453それぞれを受け取るように構成されている。
【0057】
この実施形態において、OVFA450は、静脈穿刺のために静脈を最初に見つけようとするときに、ロケーターリング401の第1のくぼみ(402)および第2のくぼみ(403)に挿入されるように構成された、前述のつまみ部材452、453を含む。図10の上部分は、OVFA450の底面図を示しており、入力光(hν)源455と軸方向に整列した二つの受光器457、459を示している。図10の下にある透視図を参照すると、この実施形態において、光ファイバーケーブルが、光を標的静脈穿刺部分に送達し(入力光源455)、受光器457、459を介してそこから反射した光を受け取るように使用される。この実施形態において、各受光器457、459は、光ダイオード等の電子光学検出回路と結合している。より多くのまたはより少ない数の入力光源および/または受光器が、他の実施形態で使用され得ることが理解されるべきである。
【0058】
この実施形態において、OVFA450は、周りの組織に比較して、静脈血管の、光を吸収する特徴を利用することによって、静脈穿刺のために静脈の位置を突きとめるのを助ける。この実施形態および他の実施形態において、OVFA450は、患者の皮膚に向き合い、光ダイオードなどの光学検出装置に導くように構成された、OVFAの底表面451から延びる、一つまたは複数の光出力チャンネル、例えば、光ファイバーを含み得る。光検出装置の信号は、信号を測定するように構成された電子回路と結合し得、OVFAのユーザーは、聴覚的または視覚的な合図を通して、光が最大限に静脈に吸収されたときに、患者の皮膚の局部を検出することができる。例えば、光ダイオードは、照らされた目盛り、信号強さの目盛りを示す一連のLED、聴覚信号、または他のアプローチを使用して、測定された光吸収、例えば、最小の光ダイオード信号強さの目盛りを示すことができる電子回路と信号シグナル通信し得る。
【0059】
静脈の位置を突き止めるのに、OFVA450は、第1に、ロケーターリング401とつまみ452(453)をくぼみ402(403)に挿入することにより結合させられる。次に、標的静脈穿刺部分が、例えば、入力光源455により照らされる。その後、VASは、各受光器457、459により検出された散乱光が最小になるまで、皮膚の上に、回転するかシフトし得る。そのような状況において、皮下静脈が受光器457、459と同軸に整列される可能性が高く、それにより、静脈穿刺針を、位置が突き止められた静脈に進ませるために挿入軸を定義する。この時点で、OFVA450は、ロケーターリング401の方向と位置を患者の皮膚上に維持しながら、ロケーターリングから結合を解かれ得る。ロケーターリングの方向を維持することは、以下により詳細に記載するように、静脈穿刺補助組立体の静脈捕捉チャンネルがすでに実質的に静脈と整列する様に、静脈穿刺補助組立体500(以下に記載する)をそこに結合させるのを可能にする。
【0060】
この実施形態および他の実施形態において、種々の光入力および出力チャンネルの組合せがOFVAで使用され得る。例えば、一つの実施形態において、OFVAは、実質的に透明の材料例えば、ガラスまたはシリコン材料から形成され得、外乱光を、そこを通してかつ、標的静脈穿刺部分、例えば、患者の皮膚の一部に伝達するのを可能にする。この例においては、光入力チャンネルは、十分な外乱光があって、OFVAを、標的静脈穿刺部分付近を動かしながら、光出力チャンネルを通して光吸収の変化が検出できる場合は、必要ではないかもしれない。この例を続けると、OFVAは、挿入軸を定義するのに、離れて置かれた、二つの光出力チャンネルを含み得る。理論に縛られることなく、各光出力チャンネルから出た測定された光出力信号は、それぞれが、皮下静脈の一部分上に位置決めされるときに最小になるべきである。それにより、そのような構成が、皮下静脈と実質的に平行な挿入軸を定義することができる。
【0061】
もう一つの例において、単一の光入力チャンネルが、標的静脈穿刺部分に光源の光線を提供し得、単一の光出力チャンネルが、その部分の吸収された光を測定する能力を提供し得る。この例において、挿入軸は、同様に、OFVAを、測定された光信号の強度が最小になるまで、標的静脈穿刺部分の周りに動かすことにより、定義され得る。この例において、理論に縛られることなく、測定された最小の光強度は、二つの理由により引き起こされ得る。第1に、入力光の総量は、光入力が、静脈の直上に位置決めされたときに最小になる。第2に、光信号の強度は、光出力チャンネルが、同様に、静脈上に位置決めされるときに最小になり得る。
【0062】
光入力チャンネルおよび光出力チャンネルの他の組合せ、構成、および配列が、OFVAの静脈探知機能を最適化するため、および他の動機のために、制限なく選択され得ることが理解されるべきである。
【0063】
図11を参照すると、この実施形態において、静脈穿刺補助組立体500は、機能的に、本明細書に先に記載された、例えば、装置100、200、または300等の静脈穿刺補助装置と類似である。この実施形態において、静脈穿刺補助組立体500は、吸盤と全体的に類似に構成された、図示されたようにつまみ502、503がそこから突き出ている、可撓性ディスク501を含む。つまみ502、503は、つまみ452、453と、それらが、ロケーターリング401のへこみ402および403にそれぞれ挿入されるように構成されている点で類似である。静脈穿刺補助組立体500は、さらに、へこんだ静脈捕捉チャンネルを、本明細書に記載された静脈捕捉チャンネル120に類似の、真空マニホールド527(図11には明確に図示されていない)の下の、ディスク501の底部分に含む。真空ライン510は、真空マニホールド527および静脈捕捉チャンネルと大気連通しており、静脈捕捉チャンネルの大気圧を下げることができるように構成されている。上述の実施形態と同様に、静脈捕捉チャンネル内の大気圧を下げることは、組織および皮下静脈を、静脈穿刺針が突き通すのに最適化された構成で、静脈捕捉チャンネルへ誘導させ得る。静脈穿刺補助組立体500はさらに、正面509から静脈捕捉チャンネル内に延びる、針が、そこを通って進むのを可能にするように、最適化された入射角に構成および方向付けされた、少なくとも一つの針チャンネル515を含み、針は、上述のように静脈内に進み得る。この実施形態および他の実施形態において、静脈穿刺補助組立体500は、静脈捕捉チャンネルから正面に延び、静脈穿刺針が通ることが可能なように構成された開裂部を含み得、静脈穿刺補助組立体500は、静脈穿刺針または針/カテーテル組立体を患者の静脈に挿入したまま、静脈穿刺サイトから取り除かれ得る。
【0064】
この実施形態において、静脈穿刺補助組立体500は、さらに、図6に関連して述べられたのと同様な、光学的静脈捕捉確認システム(OVCVS:optical vein capture verification system)600を含む。この実施形態において、OVCVS600は、実質的に中空の内部を有するメインハウジング601を含み、静脈穿刺補助組立体500にフィットするように構成されている。OVCVS600は、静脈穿刺補助組立体500を覆うときに、真空ポート510が、フィットする溝615を含む。OVCVS600は、さらに、光入力605および光出力610を含み、それぞれ、例えば、光をハウジング610内に送達し、例えば、受光器に送られた光を受け取る長さの光ファイバーケーブルであり得る。ハウジング601における光入力605および光出力610の位置は、それらが、静脈捕捉チャンネルを通った通り道を定義するようになっており、静脈は、図9に示された静脈350の形態に類似した、静脈穿刺のために最適な位置に位置決めされるであろう。OVCVS600は、静脈穿刺を行うに先立って、光出力610と光通信している光電子装置により検出されるように、静脈の存在を光学的に検出することにより、例えば、入力光が最大に減衰するまで静脈捕捉チャンネルに必須の真空を供給することにより、チャンネル内の静脈の配置を確認するために使用され得る。全体的に、VAS400およびOVCVS600は、本明細書に記載された、かつ、同様のまたは類似の目的のために使用される、いかなる静脈穿刺補助装置で使用されるように構成されまたは適応され得る。
【0065】
全体として、本明細書に記載されたタイプの静脈穿刺補助装置は、記載された機能を可能にする、いかなる望ましい材料から形成され得る。代表的な材料は、限定されるものではないが、ガラス、プラスチック、特に可撓性のプラスチックおよびシリコンを含む。本明細書に記載された装置は、例えば、射出成型または他の技術を使用して形成され得る。本明細書に記載されたタイプの装置は、記載された機能を達成するように構成され得、針、カテーテル、針/カテーテルシステムの組合せ、ならびに種々の形、サイズ、および目的の他の医療装置を受容する。全体として、真空は、例えば、病院、救急車等で見出し得る遠隔真空源を使用して、内部チャンバに適用され得るが、他の真空源も使用され得る。例えば、静脈穿刺補助装置、例えば、装置100、200、300、または500は、本明細書に記載されたように、組織を静脈捕捉チャンネルに誘導するために、医療従事者が、手動で真空を作り出すのを可能にする、手動ポンプメカニズムを含み得る。例えば、一方通行の空気の流れを提供する片道球体メカニズムが、一端において、真空ポート、例えば、真空ポート310と結合し得、球体のもう一端は、大気に通じている。球体を絞ると、空気が内部空洞から吐き出され、それにより真空が作り出される。静脈の部分352に隣接する空間は、真空空洞の内部表面の幾何学的配置を、静脈の位置決めに影響するように変えることにより、満たされるかもしれない。
【0066】
一つの実施形態において、静脈穿刺装置の内部は、患者の皮膚に対する真空シーリングを最大にするように、湾曲するか、輪郭がつけられた表面を有し得る。例えば、図9を参照すると、図9に直角で示された、前側302および上側303の内部壁の交差する点は、静脈300の前側部分352に全体的に合う、接続輪郭を含むように作られ得る。
【0067】
一つの別の実施形態では、静脈穿刺装置は、前側302に貫通可能な膜を含む。この実施形態において、前側302は、上述のような針チャンネルがなくてもよく、医療従事者に静脈穿刺処置を行うのに追加的な自由を与える。この実施形態において、貫通可能な膜は、半透明、または、透明であり得、医療従事者に装置内、例えば、内部チャンバの解剖学的構造を見られるようにする。そのような貫通可能な膜は、いかなる好適な材料から形成されていてもよく、プラスチック、ゴム、または他の材料を含む。しかし、全体として、膜材料は、好ましい実施形態において、内部空洞内の真空シールを維持することができるべきである。
【0068】
種々の実施形態の説明が述べられてきた。しかし、種々の修正が、本明細書に提示された種々の実施形態の精神および範囲から外れることなく、なされ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】