特表2017-514598(P2017-514598A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-514598(P2017-514598A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】ヒンジ付きカプセル吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20170512BHJP
【FI】
   A61M15/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-565423(P2016-565423)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】GB2015051246
(87)【国際公開番号】WO2015166239
(87)【国際公開日】20151105
(31)【優先権主張番号】PT107627
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】PT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516307482
【氏名又は名称】ホヴィオン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Hovione Technology Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100105360
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 光治
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(72)【発明者】
【氏名】マクダーメント,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラックス,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンチュラ,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン,ウィリアム
(57)【要約】
肺又は鼻用の乾燥粉末吸入器(1)は、吸入用の1用量の粉末を含むカプセル(6)を用い、カプセル・トレイ(2)、カバー(4)、マウスピース(8)及び吸入器本体(3)の4部品を含む。患者によって、空気が、カプセル(6)と連通し気路を介し装置(1)とカプセルを通してマウスピース又はノウズピース(8)を介して吸引されて1用量の粉末が分散され取り込まれる。カプセルは、カプセル破片を無くしまたは最小化し使用中の粉末漏出を最小化する形態で、本体上に位置する切込み手段(18,19)によって切られる。吸入器本体、マウスピースおよびカバーはヒンジ・セグメント(20,35,42)と共に設けられ、ヒンジ・セグメントは、組立てられマウスピースが本体内に固定されたときに単一のヒンジ(5)を形成し、ヒンジは、全ての吸入器部品を作用上共に保持し、カバーが本体とマウスピースの周りで自由に旋回できる。本発明は、吸入された薬剤の送達用の非常に経済的で簡単な装置を提供する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー(4)、吸入器本体(3)、マウスピース(8)およびカプセル・トレイ(2)を含む、肺または鼻への投与に適したドライ・パウダー吸入器(1)であって、
前記吸入器本体(3)は、
吸入器本体開口部(11)を構成する前記本体内のチャンバを形成するように互いに隔てられた対向する上壁部(15)および下壁部(14)を有し、
前記吸入器本体(3)の一端部は、前記カプセル・トレイ(2)が前記吸入器本体開口部(11)内に嵌入可能であるように開口しており、
さらに、前記上壁部(15)および下壁部(14)上に設けられ前記吸入器本体開口部(11)内で伸びる切込み手段(18、19)と、
前記吸入器本体(3)の前記上壁部(15)に形成された吸入流路(24)と、
少なくとも1つの軸受面(21)を含む第1のヒンジ・セグメント(20)と、
を有し、
前記マウスピース(8)は、吸入流路(37)、および前記第1のヒンジ・セグメント(20)と相補的であり少なくとも1つの軸受面(36)を含む第2のヒンジ・セグメント(35)を有し、前記マウスピースは、前記第1および第2のヒンジ・セグメントが互いに嵌合して両者間にヒンジ通路を形成するように、前記吸入器本体(3)に嵌合可能であり、前記マウスピース(8)および前記吸入器本体(3)は、互いに嵌合したときに前記マウスピースを前記本体に固定するよう動作可能な相補的固定手段を有し、
前記カバー(4)は、軸(43)によって形成される第3のヒンジ・セグメント(42)を含み、それによって、前記軸(43)は、前記通路内で回転可能であるように前記第1と第2のヒンジ・セグメント(20、35)の間に形成された前記通路に嵌合可能なように大きさが調整されており、それによって前記吸入器本体および前記マウスピースに対して前記カバーの旋回運動が可能になり、
前記カプセル・トレイ(2)は、第1の位置と第2の位置の間で前記開口した端部を通して前記開口部(11)において可動であり、前記第1の位置において、前記カプセル・トレイ(2)は、カプセル(6)を装填し中から取り出すための内部に形成されたカプセル・チャンバ(7)へのアクセス(出入り、通行)が可能となるように、前記開口部(11)から引き出され、前記第2の位置において、前記カプセル・チャンバ(7)は、前記吸入器本体(3)の前記吸入流路(24)と整列して、前記吸入流路(37)を通して前記カプセル(6)に含まれる薬剤の吸入が可能になり、
前記切込み手段(18、19)は、前記カプセル(6)の頂部および底部に開口を切って形成するために、前記カプセル・トレイ(2)がその第1の位置からその第2の位置へと移動するにしたがって前記カプセル(6)の前記頂部および前記底部に食い込むように配置され、
前記吸入器本体(3)と前記マウスピース(8)の少なくとも一方は前記開口部(11)内に位置する停止手段を含み、
前記停止手段は、前記カプセル・トレイが前記開口部(11)内に嵌合すると、前記カプセル・トレイが前記停止手段に係止して、吸入器本体開口部(11)内部で前記トレイ(2)の移動を制限するものであり、
前記吸入器は、前記第1のヒンジ・セグメント(20)に前記カバーの前記軸(43)を取り付け、次いで前記マウスピースを前記吸入器本体(3)に取り付けて、前記第2のヒンジ・セグメント(35)が前記軸(43)の周囲に前記第1のヒンジ・セグメントと接触して嵌合して所定位置に固定されるようにすることによって、組み立てられ、それによって単一の永続的な機械的に有効なヒンジ(5)が形成される、
ドライ・パウダー吸入器。
【請求項2】
前記吸入器は、前記本体(3)、前記マウスピース(8)、前記トレイ(2)および前記カバー(4)の4つの部品のみで組み立てられ、
前記マウスピース(8)および前記本体(3)は、前記本体(3)、前記マウスピース(8)および前記カバー(4)を結合する前記ヒンジ(5)用の前記固定要素として機能し、
前記本体(3)、前記マウスピース(8)、前記トレイ(2)および前記カバー(4)の各々は単一の構造体である、
請求項1に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項3】
前記吸入器は、前記第1、第2および第3のヒンジ・セグメント(20、35、42)によって形成される単一のヒンジ(5)を有し、
前記第1、第2および第3のヒンジ・セグメントは、組立てられたときに、前記マウスピース(8)が前記本体(3)における所定位置に固定された後で、初めて、完全に動作可能で永続的なヒンジ(5)を構成するものである、
請求項1または2に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項4】
前記トレイ(2)は、前記本体(3)の内部で移動可能であり、前記ヒンジ結合されたカバー(4)が閉じている間にカプセルの装填または取り外しのために前記本体(3)の外部へ移動できるものである、請求項1乃至3のいずれかに記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項5】
前記組立てられた吸入器は、3つ以内の一体的部品で構成され、
その第1の部品は、共に固定された前記マウスピース(8)および前記本体(3)によって構成されて、単一の一体的部品を形成し、
その第2の部品は前記トレイ(2)によって構成され、
その第3の部品は前記カバー(4)によって構成されるものである、
請求項1に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項6】
前記マウスピース(8)および前記吸入器本体(3)上に設けられた前記相補的固定手段は、前記マウスピースと前記吸入器本体のうちの一方に設けられた少なくとも1つの固定ピン部(10、39、44)と、前記マウスピース(8)と前記吸入器本体(3)のうちの他方に設けられた少なくとも1つの相補的な凹所(45、46)とを含むものである、請求項1乃至5のいずれかに記載のドライ・パウダー吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単純な構造および操作性および低コストのカプセルを用いる再使用可能な肺または鼻用の吸入器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品(pharmaceutical compounds)の投与または送達(delivery)に使用される吸入器(inhalers)は、広く知られており、肺疾患を治療する幾種類(タイプ)かの薬剤の投与および全身的投与に使用される。投与バルブおよび加圧式キャニスタ(容器)を含む吸入器から、噴霧器(nebulizers)および粉末系吸入器(powder-based inhalers)までの中の幾種類かの吸入器が知られている。この後者のカテゴリ(粉末系吸入器)には、数回分の用量(投与量)が投薬され得る粉末のバルク容器を含む貯留式装置、または複数のブリスター(気泡)で包装された複数の単位用量(unit doses:単位投与量)の供給(手段)、または患者によって装填されその装置(吸入器)によって切られ患者の吸気努力による吸引力の下で用量の医薬粉末を供給する単純なカプセルが含まれる。本装置はこの最後のカテゴリのものである。
【0003】
カプセル・ベース(式)の吸入器は、従って患者との間のかなりの相互関係に依存するものであり、開発者に対する課題を提示している。この種類の装置では、解決すべき幾つかの課題が存在し、それらは時々互いに矛盾する。第一に、その装置を使いやすくするために、カプセルの装填から吸入までの間に必要な手動操作工程の数は、望ましくは少なくすべきであり、これは、時々、吸入器部品の数を増大させることによって達成されて、かなり機械的に洗練された装置が製造される。しかし、部品の数の増大によって、装置の信頼性が低下し、結果的に製造コストがかなり増大し、また、これは、吸入器が非常にしばしば調合薬パック(包み)の最もコストの高い部分なので、(課題的に)関連性がある。コスト意識の高いヘルスケア(医療サービス)提供者および消費者の要求に直面すると、従って、確立されたまたは新しく出現した市場のいずれにおいても、開発者は、競争上の優位性を獲得する最大の機会が、吸入器のコスト低減に密接に関係する、と気付く。従って、開発者は、製造するには高価すぎる(但し、使用するのが容易)かまたは使用するのが難し過ぎる(但し、製造するのが安い)かのいずれの吸入器を設計して製造するかというジレンマ(難問)に直面する。
【0004】
第二に、吸入器は、使用の容易性を維持しつつ、最小限の数の部品を有するように設計すべきであるだけでなく、容易に経済的に高速で工業的に組み立てるように設計すべきである。この点は、工業的な組立てが商品コストの重要な割合を占め得るので、重要であり、開発者は、産業規模上容易に組み立てることができる装置設計について考慮すべきである。
【0005】
第三に、部品の数を減少させる際に、単位用量(投与量)の薬剤粉末を解砕し(de-agglomerate)エアロゾル化しノウズピースまたはマウスピースを通して装置外へ輸送し鼻または肺における意図された作用位置にそれを堆積させるように、患者の吸気努力を分散力および取込み(同伴)力に効率的に変換する、それ(吸入器)の主要な機能、を犠牲にすべきでない。
【0006】
従来技術の説明
この技術分野には豊富な従来技術が存在するが、上述の全ての要求の解決法は、今まで吸入投与の専門家の目を逸らしてきた。本願は、特に、葡国(ポルトガル共和国、PT)特許出願公開第105065号Aに記載された吸入器の発明的改良を対象とする。
【0007】
葡国特許出願公開第105065号に記載されたカプセル・ベースの吸入器は、本体とトレイの2つだけの部品、および任意に(オプションの)カバー(蓋部)で形成されており、ここで、そのカプセルは側部からトレイのカプセル・チャンバ内に装填される。次いで、そのトレイは、吸入位置で停止するまで本体を横切って(通って)スライド(滑動)する。その操作は簡単であるが、人間的な要因(ファクタ)に関する試験において、患者は、カバーはその装置に接続されるべきこと(カバーの操作を単純化しカバーの紛失を回避するために)、およびカプセルの装填作業はより簡単にすべきであること、を示唆した。
【0008】
米国特許第5685294号には、可動なマウスピースを吸入器本体に取り付けるためのヒンジ(蝶番)連結機構が開示されているが、粉塵侵入を防止するよう意図されたカバーが提示されていない。カプセル容器内にカプセルが垂直に装填されるのは、ヒンジ連結されたマウスピースが上昇されて頂部装填カプセル区画室(コンパートメント)が露出したときである。使用時、カプセルは押しボタンにより操作される2本のばね仕掛けの針で突き通され、空気の入口および出口の配列およびカプセル区画室の設計によって、カプセルが、患者の吸気努力の下で振動して空になる。それは、少なくとも8つの部品を含む複雑な構造体であり、それが製造コストを増大させる。
【0009】
米国特許第7878193号では、前述の特許に対する改良が開示されており、ヒンジ連結された可動なカバーが加えられている。この特許の図面には、11個の部品を含む吸入器装置が示されている。米国特許第8022082号には、同吸入器装置がより詳細に示されており、その出願(適用)図面には14個の別々の部品が示されている。この増加した数の部品によって、製造および組立てコストが増大する。
【0010】
米国特許第8006695号には、前述の特許に対する改良が開示されており、内部機構が加えられており、それによって、閉鎖部品(この場合、マウスピース)の動きによって、貫通する針が完全に伸びた状態から次いで完全に後退した状態までの針の動きが生じ、それによって、米国特許第7878193号と比較すると、ここでは貫通動作が閉鎖工程に含まれるので、患者によって要求される作動工程の数が節減される。しかし、この構造は、正確で信頼性ある吸入器動作のための幾つかの部品、精密性を組み込んだ部品、および複雑なアセンブリ(組立)を必要とし、それが高い製造コストにつながる。
【0011】
PCT出願国際公開WO第2012/120419号には、粉塵侵入に対する保護要素と、カプセルが偶発的に貫通されるのを予防する安全要素との双方の要素として作用するヒンジ結合されたカバーを含む、前述の特許に対する改良が、開示されている。この安全要素は、ヒンジ結合されたカバーの設計によって達成され、そのカバーは、カプセル貫通手段を作動させるボタンにおいて枢着または旋回され(ピボット式に取り付けられ)、吸入器本体にスナップ式に係合され(engaged)、従って、そのボタンを解除(unlock)するようにカバーを開く必要がある。カプセルの装填は基部要素によって達成され、その基部要素は、吸入器本体内に成型されたカプセル・ホルダ(保持器)にユーザがアクセスする(接近する、出し入れする)ことを可能にする吸入器本体要素に対して回転するものである。しかし、この構造は、少なくとも7つの固有の部品を含み、それが高い製造コストにつながる。
【0012】
国際公開WO第2013/095311号には、米国特許第7878193号に類似したヒンジ結合された吸入器構造が提示されているが、カバー要素およびマウスピース要素を同時に解除することができる安全固定(ロック)ボタンを含むことに基づいた改良が開示されている。これの利点は、底部ケース(筐体)内へのカプセルの頂部装填がより容易に行え、双方の要素の偶発的な解除が防止されることである。この特許の図面には、少なくとも10個の部品を含む複雑な構造体が示されており、それによって合計の製造コストが増大する。
【0013】
米国特許出願公開第2013/0269695号に開示されている吸入器は、本体要素、案内手段を含む1つのプレート、1組の歯状部を有するスライド(滑動)可能な部材、およびマウスピース要素を含み、その全てはピン要素によって一緒に組立てられる。顕著な特徴は、紫外(UV)線を濾波するよう適合化された薄い色の透明な材料の使用であり、その透明な材料は、吸入後に残り得る粉末の残留物を覆い(mask)つつ、吸入器本体の内部を見えるようにするものである。操作期間において、マウスピース要素を開くことによって、本体内へのカプセルの頂部装填が可能になり、閉じる操作によって、スライド可能な部材がカプセルを2つの部分に分裂させ、それによってその後その内容物の吸入が可能になる。図面には、精密性を組み込んだ複数の要素を含む少なくとも8つの部品と、複雑な組立てシーケンスとを含む構造が示されており、それも高い製造コストにつながる。
【0014】
米国特許出願公開第2014/076315号には、ヒンジ結合された吸入器構造体が提示され、さらに、ヒンジ結合されたカバーに隣接しその下にあるマウスピースに空気出口を配置するように構成された前述の特許に対する改良が開示されている。この横方向のオフセットの利点は、吸入期間における偶発的空気閉塞が回避され掃除が容易になることである。図面には、カバーのピボット(枢着)位置が開放位置で固定されることを可能にするマウスピース要素に、吸入器カバー要素を連結するスナップ・タイプのヒンジが開示されている。しかし、開示された構造体は、少なくとも7つの固有の部品を含み、それによってもコストが高くなる。
【0015】
従って、上述の各特許に記載されたヒンジ結合された吸入器の機能を達成するカプセル・ベースの粉末吸入器に対するニーズ(必要性)が存在する。その吸入器は、操作が簡単で患者にとって直に分かる装置において、最低の可能なコストを達成するように設計され製造され組み立てられる少なくともマウスピース、カプセル・ホルダ、貫通機構、およびカバーを含んでいる。この技術分野の専門家であれば、この目標は既存の装置を改良するだけでなく、それらを組立てて操作するための新規な方法が結果的に得られる方法(やり方)でそれらの部品を徹底的に再発明することによっても、達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】葡国特許出願公開第105065号
【特許文献2】米国特許第5685294号
【特許文献3】米国特許第7878193号
【特許文献4】米国特許第8022082号
【特許文献5】米国特許第8006695号
【特許文献6】国際公開第2012/120419号
【特許文献7】国際公開第2013/095311号
【特許文献8】米国特許出願公開第2013/0269695号
【特許文献9】米国特許出願公開第2014/076315号
【発明の開示】
【0017】
発明の概要
次に、発明者が発明したヒンジ結合された吸入器は、4つのプラスチック成型部品(パーツ)のみを含み、ここで、その中の3つの部品は、単一のピボット(旋回軸)点の周りに(を中心にして)組み立てるように設計され、組み立てられたときに3つの可動部品のみを有する吸入器を構成するものであり、その可動部品の中の2つの部品だけが吸入に実際に必要とされるものである。この数の部品(コンポーネント、構成要素)を有することによって、明確な経済的利点が得られ、使用上信頼できかつ使用が容易な吸入器が構成される。
【0018】
本発明は、カバー、マウスピース、本体およびトレイからなる4つのプラスチック射出成型部品(コンポーネント)を含んでいる。そのカバー、マウスピースおよび本体は、合体されたときに、何ら他の機械的部品を必要とするまたは追加することもなくヒンジを形成するという、成型された各特徴的要素(features、機能、機構)を含んでおり、これは新規である。
【0019】
組立てプロセス(工程)において、トレイは、本体内に挿入され、そこで本体内で案内用スライド(滑動部)にわたって自由にスライドできる。次いで、その組立てには、カバーを本体に、次いでマウスピースに結合させて、所定位置に固定して、マウスピースおよび本体が単一の固定された一体的な部品(コンポーネント)を構成しかつそのカバーがそのマウスピースおよび本体に対して相対的に移動し旋回する(ピボット式に取り付けられる)ようにする、ことが含まれる。使用において、そのトレイは、本体内でスライドすることができるが、その移動の運動(travel、距離)は本体における機械的な特徴(機能、機構)によって制限される。本体およびマウスピースが一緒に固定されると、トレイの運動(距離)は、制限され、本体の完全に外へとスライドすることは最早できない。
【0020】
トレイを含む本体を、カバーに、次いでマウスピースに、単一のピボット(旋回)点の周りに、一緒に結合する動作は、機能的な吸入器を実現し、これは新規である。ここで、そのピボット点は、本体、カバーおよびマウスピースの各々の一部として一体的に成型された各ヒンジ要素で形成される。
【0021】
本願の吸入器は、葡国特許出願公開第105065号に記載された吸入器で見出された各特徴を含み、その共通の特徴を次に詳しく説明する。
【0022】
葡国特許出願公開第105065号におけるように、吸入器トレイには、カプセルを自由に受け入れるのに適した寸法形状のカプセル・チャンバが設けられている。それ(トレイ)は、それが適切に挿入されたことを患者が検証できるように、透明なプラスチックで形成されることが好ましい。そのトレイは、本体における開口部(opening、空き空間)内に嵌合(嵌入)できるように大きさが調整される。そのトレイには、本体に隣接し接触する案内部(ガイド)が設けられて、トレイが本体内で自由にスライドできるようになっている。そのトレイには、空気がカプセルに流入し得るようにカプセル・チャンバの底部に空気入口が設けられる。
【0023】
また、吸入器本体は、トレイを収容し封じ込める4つの壁部を含む開口部が設けられ、4つの壁部によってそれ(トレイ)は制御された動きの範囲内でスライドすることができる。それ(吸入器本体)には、さらに、トレイのスライド運動に対する止め具(爪)を形成して、適した動作範囲内でこの運動を保ちトレイが本体開口部を完全に出るのを防止するようにする各機械的特徴(機能、機構)が設けられて、トレイが常に本体開口部内に収容されるようにされる。その4つの壁部は、頂部壁部、底部壁部、前部壁部および後部壁部である。その本体は、本体と同じ製造工程で成型され好ましくは同じ材料で成型された2つのプラスチック・ブレード(刃)と、マウスピース通路(チャネル、管)への空気の移動を可能にする1つ以上の空気入口と、吸入通路を受け入れることができる頂部壁部における開口部と含んでいる。双方の吸入器において、各ブレードは、両刃であり、即ち、吸入のための内部への途上でおよび排出のための外部への途上でカプセルを切ることができる先端縁および後端縁を有する。
【0024】
葡国特許出願公開第105065号におけるように、吸入器のマウスピースおよびノウズピース(鼻当て部)は、ユーザが吸入前に自己の口または鼻を配置するための快適で安全な手段を形成するような任意の鋭い特徴的要素(機能、機構)であるように整形されまたは除かれ(切り欠かれ)ている。設計された空気力学的形状を有する内部吸入通路(チャネル)がマウスピースの縦(長手方向)軸にわたって設けられ、それ(通路)が、マウスピースに設けられた1つ以上の空気入口を通して空気の流入を可能にし、それによって吸入期間においてカプセルから患者の吸気道への粉末の輸送および分散が可能になる。
【0025】
葡国特許出願公開第105065号で見出されるように、吸入器カバーは、保存期間に外部粒子の侵入からマウスピース要素を保護する手段を形成するように整形され、ユーザへの指示(instructions:取扱説明)が塗られ(塗料で書かれ)、印刷され、エッチングされまたは彫刻され得る表面領域が設けられる。
【0026】
本願の吸入器は、葡国特許出願公開第105065号または従来技術において説明された吸入器では見出されない新規な特徴を含んでおり、次いでそれら(特徴)を詳しく説明する。
【0027】
この新しい吸入器において、カバー、マウスピースおよび本体の全ては、1つ以上の荷担または支承(ベアリング)面を含む一体的に成型されたヒンジ・セグメントを含み、それら(セグメント)が一緒に組立てられたときに、結果的に、吸入器部品の全てを一緒に機械的に結合し機能的な吸入器を形成する完全なヒンジが得られる。カバー上のそのヒンジ要素は軸であり、その軸は、マウスピースのヒンジ・セグメントおよび本体のヒンジ・セグメントと共に組立てられたときに、カバーが本体およびマウスピースの周りで自由に旋回できるようにする完全なヒンジ、が結果的に得られる。他の構造体では、その軸は、本体上またはマウスピース上に位置することもできるが、好ましい実施形態ではそれはカバー上に配置される。
【0028】
さらに、本体およびマウスピースは、1つ以上の成型された凹所および1つ以上の成型されたピン部(pins、突部)を含み、それら(凹所およびピン部)は、マウスピース部品および本体部品を一緒に機械的に固定(ロック)するよう押圧される。そのようなピン部および凹所は、本体およびマウスピースに配置されて、摩擦またはスナップ式係合(fit、嵌合)のいずれかによって所定位置に係合(engage、係止、嵌合)または固定(ロック)されるよう適正に整列される(直線上に配置される)が、スナップ式係合が好ましい。スナップ式係合は、組立体は固定するが、道具または手段(tools)なしでは解除できないことを意味する。
【0029】
また、カバーおよびマウスピースは、同様の複数の凹所およびピン部を含んでいて、使用しないときにカバーが閉鎖位置に固定(ロック)してもよく、これはカバーとマウスピースの間での摩擦係合または締りばめ(interference fit)によって形成されるようになっており、それ(摩擦係合または締りばめ)は、カバーが輸送中に閉鎖状態を維持するが、使用前に患者によって容易に開かれ得るように、設計され製造される。摩擦または締りばめは、通常の患者の力を用いて固定および解除できることを意味する。カバーとマウスピースの接触の閉鎖および解除(開放)点は本体にも同様に接近しているので、この接触点は、他の実施形態では本体に配置することもできるであろう。
【0030】
葡国特許出願公開第105065号の吸入器には存在しない2つの特徴が、本発明の吸入器において見出される。その1つは、トレイが、カプセルを頂部から装填するためのチャンバを含むことであり(従来技術の吸入器ではトレイが側部装填であった)、もう1つは、吸入器が、カプセル破片のマウスピース通路(チャネル)内への飛散を防止しおよび粉末の解砕および分散を促進(支援)するためのメッシュおよび格子(グリッド)を含むことである(従来技術の吸入器にはこのメッシュがない)。但し、その双方の特徴は従来技術で知られている。
【0031】
組立て期間中、トレイは本体の開口部内に挿入される。次いで、カバーは、そのヒンジ・セグメントを本体のヒンジ・セグメント上に配置することによって組立される。次いで、マウスピースのヒンジ・セグメントは、2つの他のセグメント上に配置されて、完全なヒンジを形成するようになっている。マウスピースが下げられてピン部および凹所の嵌合によって本体中における所定位置に固定(ロック)されたとき、それによってヒンジは永続的な(固定的な)ものとなり機械的に有効になる。ヒンジはカバーのヒンジ・セグメントに含まれる軸の周りで旋回し、マウスピースは組立体全体のための固定(ロック)機構として作用する。従って、本体、マウスピースおよびカバーにおける3つのヒンジ・セグメントの各々が理論的に完全なヒンジの3分の1を形成するので、追加的なピン部またはその他の別個の機械的要素がヒンジを固定(ロック)する必要はない。そのような新規な構造によって、部品の数を4つの固有の部品に減らすことができ、吸入器を組み立てるのに必要な工程数を3つに減らすことができ、その双方が、より低い合計の製造コストと結果的な経済的利点に寄与する。
【0032】
一般的に、ヒンジは、軸を支持しカバーの意図された旋回動を可能にするために、本体およびマウスピースのヒンジ・セグメントに設けられた2つの相補的な半円の負荷荷担面(軸受面)によって形成された円形内部の機械的な隙間で、カバー軸が旋回できるように、大きさが調整される必要がある。好ましい実施形態において、カバー軸の直径を4.95乃至5.05mmに寸法調整し、本体およびマウスピースのヒンジ・セグメントの各半円荷担面(軸受面)の直系を5.12乃至5.22mmに寸法調整することが好ましく、隙間外形(輪郭)によって、ヒンジ結合されたカバーの快適な旋回が可能になる。一般的に、本体およびマウスピースのヒンジ・セグメントに設けられた荷担面におけるカバー軸支持体の長さは、機械的に安定で快適な旋回動を形成するように調整する必要がある。好ましい実施形態において、カバー軸と、本体およびマウスピースのヒンジ・セグメントの長さとを、10.4乃至10.5mmに寸法調整することが好ましく、それによってヒンジ結合されたカバーの安定で快適な旋回が可能になる。
【0033】
従って、これらの利点に基づいて、本願の進歩性は、本体部品、マウスピース部品およびカバー部品中に構築された3つの独特の特徴あるヒンジ・セグメントで形成される単一のヒンジを有すること、である。
【0034】
また、本願の進歩性は、本体、マウスピースおよびカバーの3つのヒンジ・セグメントの各々が、一緒に組立てられたとき、およびマウスピース部品が一体的固定(ロック)機構によって押圧されて本体に固定されたときに、単一の永続的な機械的に有効なヒンジを形成すること、である。
【0035】
また、本願の進歩性は、本体およびマウスピースのヒンジ・セグメントの各々が、1つ以上の荷担面を含み、カバーのヒンジ・セグメントが軸を含み、これらが、何ら他の別個のピン部または機械的な部品を必要とするまたは加えることなく、結合されたときに永続的な有効なヒンジを形成すること、である。
【0036】
また、本願の進歩性は、吸入器が、マウスピースがヒンジ用の固定機構として作用する4つの部品のみで組み立てられること、である。
【0037】
また、本願の進歩性は、トレイが、その動作範囲にわたってスライドすることができ、またその動作範囲を超えてスライドすることができず、それが、本体、カバーおよびマウスピースがヒンジにおいて一緒に組立てられおよびマウスピースが本体における所定位置に固定されることによるものであること、である。
【0038】
また、本願の進歩性は、トレイが、本体内側で可動であり、カバーが閉じている間にカプセル装填のために本体の外側で動かすことができること、である。万が一、マウスピースが偶発的にまたは誤使用によって本体から分離した場合、吸入器は動作することがなくなり、吸入器でなくなり、単なるプラスチック部品の集合体になる。
【0039】
また、本願の進歩性は、吸入器が、4つの部品(マウスピース、本体、トレイおよびカバー)で形成され、ここで、それらのうちの2つ(本体およびマウスピース)が共に固定されて、吸入器が、カバー、本体に固定されたマウスピース、およびトレイである(からなる)3つの一体的部品のみで形成されること、である。一体的な部品とは、組立後に単一の機械的要素として動作または作用する部品である。
【0040】
本発明で説明される各吸入器部品は、射出成型で形成することができ、調剤的に適切なグレード(等級)の任意の等級のものを使用することができ、例えば、ポリカーボナート(PC)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)ポリエチレンテレフタラート(PET)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリエチレン(PE)ポリプロピレン(PP)、ポリスルホン(PSU)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABC)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、フォートロン(Fortron)である。ポリマーは、天然のものまたはガラス充填のものとすることができる。しかし、ブレードが吸入器本体と共に射出成型されるとき、それらは同じ材料で形成され、硬質プラスチック材料が好ましい。等級、例えば、PC、PPO、PBT、ガラス充填のPET(PET glass filled)、PPS、PSU、ABSが示される。
【0041】
本発明の吸入器用の有用なカプセルには、任意の大きさ、例えばサイズ番号3またはその他の任意のサイズの、ゼラチン、ポリエチレンまたはセルロース/HPMC製の通常の医薬品グレードのカプセルが含まれる。また、それらには、プラスチックを含めて任意の他の適した材料製の注文設計のカプセルが含まれる。
【0042】
使用時、患者は、吸入の準備をするために4つの吸入器の動作を必要とする。患者は、最初に、カプセル・チャンバが装填のために見えるようになるまで、トレイを開いた位置まで横方向に押す(第1の動作)。次いで、単位用量の散薬(薬剤粉末)を含むそのカプセルは、患者によってカプセル・チャンバ内に装填される(第2の動作)。次いで、患者は、トレイを反対方向に本体内へと押し込み、これによって、そのカプセルが(本体内に)成型された2つのブレード(刃)を通過して本体内に押し込まれると、カプセル両端部が切られる(切り込まれる)(第3の動作)。それが完全に閉じられたとき、トレイは、吸入位置で停止して、カプセルがマウスピース通路と整列状態になり、カプセルが本体に設けられた2つの窓部を通して見える状態を維持する。次いで、患者は、カバーを開き(第4の動作)、マウスピースを口の中に、またはノウズピースを鼻の中に配置することによって吸入する。
【0043】
患者の吸気努力の下で、空気がカプセルをマウスピース通路に向けて持ち上げ、カプセル・ドームがマウスピース通路開口部と正確にまたは完全に嵌合しまたは合って、マウスピースを通した吸引およびマウスピースおよび空気入口を通した流入による吸引によって、カプセルを通して空気が強制的に引き出され、それによってカプセル内に封じ込まれていた粉末がエアロゾル化し、マウスース内に、次いで口(または鼻)に粉末が取り込まれ、最後に、意図された治療位置、例えば鼻腔または肺内へと粉末が取り込まれる。
【0044】
いったん吸入が行われると、患者は、カバーを閉じ、カプセル・チャンバが見えるまで本体からトレイを押し出し、吸入器を上下逆さにし、重力の下で使用済みカプセルを落下させる。
【0045】
次に、本発明およびその利点がより良く直に理解できるように、本発明の好ましい実施形態を、例を挙げ図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、カバーが装置を閉じた状態にある保存配置にある、本発明による吸入器の斜視図を示している。
図2図2は、カプセルを収容するために装置を利用可能状態にする開いた配置に吸入器トレイがある、本発明による吸入器の斜視図を示している。
図3図3は、吸入器トレイが装填されて閉じでられ、カバーが開かれて吸入の準備ができた配置にある、図1による吸入器の斜視図を示している。
図4図4aおよび4bは、図1の吸入器本体部品のそれぞれ側面図および長手方向の断面図を示している。
図5図5は、図1の吸入器トレイ部品の部分切欠き斜視図を示している。
図6図6は、図1の吸入器マウスピース部品の部分切欠き斜視図を示している。
図7図7は、図1の吸入器カバー部品の長手方向の断面図を示している。
図8図8は、図1による吸入器の分解斜視図を示している。
図9図9は、図1による吸入器のヒンジ領域の詳細な断面図を示している。
図10図10は、吸入器トレイが装填されて閉じられ、カバーが開かれて吸入の準備ができた配置にある、図1による吸入器の長手方向の断面図を示している。
図11図11は、図1による吸入器のマウスピース空気入口領域の詳細な断面斜視図を示している。
図12図12a〜12fは、図1の吸入器を装填し、開き、吸入し、取り外す各操作工程のシーケンスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳細な説明
ここに記載する好ましい実施形態は、本願で詳細に説明する発明的特徴を含んでおり、この技術分野の専門家であれば、これらの説明が、本発明を記載された実施形態に限定しないように、同教示内容を他の吸入器に適用することができる。
【0048】
図面を参照すると、図1において、部品(コンポーネント、構成要素)1は本発明による吸入器を示し、その吸入器1は、吸入器トレイ2、吸入器本体3、および吸入器カバー(蓋部)4を含むものである。参照番号5は、ヒンジおよびヒンジ領域を示している。
【0049】
図2は吸入器を示しており、吸入器において、トレイ2が開いた位置に押し込まれ、カプセル・チャンバ(室)7内への装填の準備ができた状態にあるカプセル6を露出させている。チャンバ7は、カプセル6を受け入れまたは収容するように整形されている。他の部品は、図1に示した通りである。
【0050】
図3は吸入器を示しており、吸入器において、トレイ2が閉じた位置にあり、カバー4が開いた位置にあってマウスピース8を露出させている。また、そのカバーにおける凹所9と、マウスピース8におけるピン部(pin:突部、楔状部)10とが示され、これらはカバーが閉じられたときに互いに係合する。他の部品は前の各図に示されたものである。
【0051】
図4aは、開口部(opening、空き空間、隙間)11を有する本体3の横向き断面図を示しており、その開口部は、側壁部12および13、および対向する下壁部14および上壁部15で形成されている。本体は、さらに、レール・ガイド16、スライド戻り止め(detent)17、頂部切刃(ブレード、刃部)18、および下部切刃19を含んでいる。開口部11はトレイを受け入れるように整形され、レール・ガイド16および壁部12、13、14および15は、トレイ移動を案内するように組み立てられている。
【0052】
図4bは、本体3の長手方向の断面図を示しており、本体3は、本体ヒンジ要素20の負荷荷担面(軸受面)21、通気道(空気流路)22、開口部23、吸入路24、頂部刃18、および底部刃10を含んでいる。さらに、底部レール25、底部スライド戻り止め26、および窓部27が存在する。
【0053】
図5は、トレイの部分切欠き断面斜視図であり、トレイ2、カプセル・チャンバ7、頂部トレイ開口部28、29、および底部トレイ開口部30、並びに、吸入空気がカプセルを通して引き出され得るようにカプセル6が切り込まれた後でカプセル6中の底部孔に空気を流入させるよう設計された空気入口31を示している。また、トレイ底壁部32および内壁部33、34が存在する。
【0054】
図6は、マウスピース8の部分切欠き断面斜視図であり、マウスピース・ヒンジ要素35の荷担面(軸受面)36、吸入通路37、メッシュ38およびピン部39を示している。また、マウスピース戻り止め40、および通気道(空気流路)41が示されている。
【0055】
図7は、カバー・ヒンジ要素42の軸43を含むカバー4の長手方向の断面図である。また、凹所9が示されている。
【0056】
図8は、吸入器1の組立前の各部品の斜視図であり、マウスピース・ピン部44および本体凹所45、並びに本体ヒンジ要素20、マウスピース・ヒンジ要素35およびカバー・ヒンジ要素42を示している。
【0057】
図9は、吸入器1の組み立て済みのヒンジ5の詳細な断面図であり、本体ヒンジ要素20の負荷荷担面(軸受面)21、マウスピース・ヒンジ要素35の負荷荷担面(軸受面)36、およびカバー・ヒンジ要素42の軸43を、各マウスピース・ピン部44および各本体凹所45の固定によっておよび各マウスピース・ピン部39および各本体凹所46の固定によって永続的状態にされた最終的な組み立て済みの配置で示している。
【0058】
図10は、組み立て済みの吸入器1の長手方向の断面図であり、最終的な組み立て済みの配置の組み立て済みのヒンジ5を、カプセル6が装填され閉じられて本体3内にあるトレイ2、開かれてマウスピース8を通した吸入の準備ができた配置にあるカバー4と共に、示している。
【0059】
図11は、吸入器1の組み立て済みのマウスピース8の詳細な斜視図であり、そこに含まれている各流路(通路、経路)41を示しており、各流路41は、最終的な組み立て済みの配置で、本体3に含まれる各流路22と整列して(直線上に位置して)、マウスピース吸入通路37内に空気を流入させることができる。
【0060】
図12a乃至12fは操作時の吸入器を示している。図12aは保存配置にある吸入器を示している。図12bは、押し込まれて開放状態にあるトレイ2、およびカプセル・チャンバ7内に挿入されるカプセル6を示している。図12cは、閉じられたトレイを示しており、そのトレイは、カプセルの頂部および底部を切り込みまたは切断し、カプセルをマウスピース8と整列させる。図12dは、開放状態にあるカバー4、および吸入の準備ができた状態にある吸入器を示している。図12eは、閉じられたカバー4、および開放状態に押し込まれたトレイ2を示している。図12fは、上下を逆にされた吸入器、および重力の結果として落下するカプセル6を示している。
【0061】
組立ての時、トレイ2が本体3内に挿入され、また、レール16、底部レール25、側壁部12および13、底壁部14および頂壁部15が、トレイ壁部32および開口部30との嵌合によってトレイを案内する。次いで、カバー4が、開いた配置で所定位置に低く降下されて、その軸43が、本体ヒンジ要素20の負荷荷担面21(内)に嵌合する。最後に、マウスピースが所定位置に降下されて、マウスピース・ヒンジ要素35の負荷荷担面36が、カバー・ヒンジ要素42の軸43に初めて接触する。その組立体は、本体3、マウスピース8およびカバー4で形成されるヒンジの各負荷荷担面および軸面の周りにマウスピース8を旋回させ降下させることによって、所定位置に固定され、それ(旋回と降下)が、マウスピースの各ピン部39が本体の凹所46(内)に嵌合(嵌入)してスナップ式に留まり、一方、マウスピースの各ピン部44がヒンジ側に向けてカバーの凹所45に嵌合してスナップ式に留まる、まで行われる。このようにして吸入器が組み立てられ、カバーは、カバー凹所9およびマウスピース・ピン部10の嵌合によって閉じることができ、吸入器は使用の準備ができた状態となる。
【0062】
完全な永続的な機械的に有効なヒンジ5が形成されるのは、カバー4の意図された旋回運動を可能にしつつ、負荷支持を形成する2つの相補的な半円形状の負荷荷担面(軸受面)21、36によって形成された円形(円周)内で、軸43が旋回できるようになっているからである。ヒンジ5は、マウスピース・ピン部39、44が本体凹所45、46内に嵌合(嵌入)することによって永続的(固定的)状態にされる。ヒンジの組み立てによって、それらの種々の部品が機能的な吸入器へと変化する。
【0063】
マウスピース8および本体3が組み立てられたとき、吸入通路37および吸入流路24は整列して真っ直ぐな(直線状の)空気路を画定する。さらに、本体3上の通気道(空気流路)22、およびマウスピース8上の通気道(空気流路)41は、組み合わされ整合して正確な空気入口を形成し、その空気入口は追加的な空気をマウスピース通路37内に導き、快適な吸入を実現する。
【0064】
従って、葡国特許出願公開第105065号の吸入器上で行われた人間的要因の研究によって示唆された変更、即ち一体的カバーおよび頂部装填式カプセル・チャンバが、葡国特許出願公開第105065号の吸入器と比較して、本願の吸入器では部品数を1だけ増大させることによって、達成された。これは、他の部品を必要とすることもまたは付加することもなく、利用可能な部品を利用するヒンジ組立体を発明することによって可能になった。これは、重要な経済的な恩恵であり、信頼性の利点である。
【0065】
機械的な使用において、トレイ2を図2の開放位置に押し込んだとき、本体3内でのトレイ2の運動(移動)および移動の距離は、開口部28、30によって可能になり、吸入器マウスピース8に設けられた頂部スライド戻り止め40および本体3に設けられた底部スライド戻り止め26とのトレイ内壁部34の接触によって制限される。これによって、本体開口部11内でのトレイ2の低い摩擦抵抗での制御されたスライド運動が可能になる。
【0066】
トレイ2を図1の閉じた位置に押し戻したとき、トレイ2の運動および移動距離は、図4および5に示されているように、本体3に設けられた底部スライド戻り止め17との、トレイ2に設けられた内壁部33の接触によって、制御される。トレイ壁部33と本体戻り止め17の間の係合または係止によって、トレイ2におけるカプセル・チャンバ7が、図4に示された本体3に設けられた吸入流路24と正確に整列させるための機構(メカニズム)が形成される。
【0067】
底部刃19の前端縁がカプセル6と接触することを可能にする底部刃19の機械的な干渉(衝突)がカプセル・チャンバ開口部31によって形成され、トレイ開口部30によってその通行(アクセス、進入)が可能になる。頂部刃18の前端縁がカプセル6に干渉することを可能にする頂部刃18の通行が、図5に詳しく示されたトレイ2において整形された頂部開口部28によって実現される。
【0068】
各カプセル切込みは、ブレード設計によって薄くされて、カプセル6の粉末含有量(内容物)が吸入される前に偶発的に粉末がこぼれることが防止される。切込み(切断)精度および再現性は、本体部品3の材料の正しい選択によって確保される。それは、刃18、19が本体と同じ工程で成型され同じ材料で形成されるからである。適正な切込みは、カプセル・チャンバ7の直径および高さと、刃18、19の高さとを幾何学的に大きさ(サイズ)調整することによって形成されるカプセル6の垂直および横方向の機械的制約(制限)によって、確保される。
【0069】
図5に示された頂部開口部および底部開口部29、30が吸入器トレイ2に設けられていて、カプセル6が本体切刃18、19によって開けられた後で、空気の流れが、滞留状態からカプセル・チャンバ開口部31を通してカプセル6内へと流入することができるようになっている。開けられたカプセル中を通過する空気流は、その内部に封じ込められた粉末が、分散され、カプセル6外へと出るようにし、本体3に設けられた吸入流路24内を通過し、マウスピース8に組み込まれ図6に詳細に示された吸入通路37へと移動するようにするための手法(手段)を形成する。
【0070】
図6を参照すると、1つ以上の追加的な流路41が、本体部品3に含まれる吸入流路24の下流の位置において吸入通路37内へ空気を正接(方向に)流入させる(tangential admission)ために、マウスピース8に設けられる。図6に詳しく示された空気入口41を通して流される追加的な空気流は、患者の吸気努力を減少させおよびマウスピース通路37にわたる乱流エネルギを増大させるための手法(手段)を形成し、従って、効果的な粉末の解砕および分散に寄与する。マウスピース吸入通路37内へと空気を追加的に流入させるために、組立て後にマウスピース8に組み込まれた空気入口41と整列した状態となる、図4に詳しく示された各流路22が、本体3に設けられる。
【0071】
患者による使用において、吸入器トレイ2は、最初に、図12bに示されているように押されて開放状態にされる。次いで、カプセル6がカプセル・チャンバ7内に装填され、図12cに示されているように、患者はトレイ2を反対方向に押し戻す。この動きによって、カプセル6は、カプセル6の上下先端を切る、図4aおよび4bに詳しく示された切刃18および19の前端縁を通って通過するようになる。これによってカプセル6における頂部および底部の切込み(切断)が生じ、これらの切込み部は、カプセルの軸に長手方向に整列する。そのような薄い切込みによって、吸入前に粉末がカプセル外にこぼれ出ることが防止される。
【0072】
次いで、患者は、カバー4を開き(図12d)、吸入器から離れて息を吐いて自分の肺を空にし、口または鼻にマウスピース8を当て配置して、息を吸う。吸入通路37および吸入流路24によって形成される真っ直ぐな空気経路に作用する結果的な吸引によって、カプセルは、その真っ直ぐな空気経路と整列状態にあり、急上昇して吸入流路24を塞ぎ(ブロックし)、空気を、カプセル・チャンバ入口31を通してカプセル6内に、刃19によって形成されたそのカプセルにおける底部切込み部を介して、強制的に流入させる。その空気は、薬剤粉末用量をエアロゾル化し、刃18によって形成されたそのカプセルにおける頂部切込み部(切断部)を通してそれを吸入流路24内に取り込み、メッシュ38を通過して吸入通路37内に取り込み、最後に患者の気道内に取り込む。吸入の終了時、患者は、窓27を通して、カプセル(好ましくは透明材料で形成されている)が空かどうかを見ることができる。空でない場合、患者は吸入を繰り返すことができる。
【0073】
次いで、患者は、カバー4を閉じ、図12eに示されているようにトレイ2を開放位置になるように押し込む。カプセル6は、刃18および19を通過するように再び押し込まれると、刃の各後端縁と接触するようになる。トレイ2が開くと、これらの後端縁はカプセルを再び切る。幾つかの事例では、最初の装填の後でトレイ2が閉じられたときの1回目の切込み動作によってカプセルは弱くなっているので、次いで、カプセル6が出るとき、刃18および19の後端縁は、2回目のそれらへの切込みの代わりに、カプセル6の各カプセル先端を変形させてもよい。但し、これが、使用済みカプセル6の成功的な(良好な)排出にまたは吸入器の操作に影響を与えることはない。
【0074】
使用済みのカプセル6を排出するために、患者は、図12fに示されているように、吸入器を上下ひっくり返して、カプセルがカプセル・チャンバ7の外に重力によって落下するようにする。次いで、トレイは、次の使用の準備ができた状態となる閉じた配置にすることができる。
【0075】

本発明の吸入器の実施形態は、生体外で(in vitro)試験されて、その空気力学的プロファイル(輪郭外形)およびその粉末用量送達(供給)の特性が決定された。1カプセル当り18μgの用量(投与量)のチオトロピウム(tiotropium)を含む実験的なラクトース・ベース(基材)のブレンド(混合物)が、ラクトースと共に配合されて(合計のカプセル充填重量5.5mg)、吸入器の分散および薬剤効能(有効性)が決定された。
【0076】
各配合成分をブレンド(混合)して注文された混合物が生成され、バッチ(各1回分の)均一性が決定(測定)された後、フレックサラブ(Flexalab)(商品名)というカプセル充填機械(イタリア、MG2社)を用いてその配合された粉末が、その装置に使用されるサイズ3(米国、カプスゲル社)のセルロースHPMCカプセル内に充填された。次いで、吸入器は、体積2×2リットルの空気を装置内を通るように2回付勢されたネクスト・ジェネレーション(次世代型)インパクタ(英国、コプレイ・サイエンティフィック社)上での4kPaの圧力低下および流量(流速)39リットル(l)/分で試験され、カスケード・インパクタの各段に堆積した有効薬剤の質量が高圧液体クロマトグラフィを用いて定量化された。これらのデータから、放出された用量および微粒子用量が計算された。ここで、放出された用量は、誘導(誘導器官である)喉部を含む複数のインパクタ段の各段から収集された全ての薬剤質量の総和であり、微粒子用量は5μmの遮断点より小さい収集された薬剤の質量であった。微粒子用量 対 放出用量の比は、微粒子割合であり、吸入器効率の尺度(測定値)である。さらに、微粒子用量が多ければ多いほど、肺投与量がより多くなると期待される。その結果が次の表にまとめられている。
【0077】
【表1】
【0078】
このデータは、本発明による吸入器の実施形態が、複数の患者の能力に適合する吸気努力の条件下で、吸入薬剤の投与量を効果的に送達することができること、を示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2015年9月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー(4)、吸入器本体(3)、マウスピース(8)およびカプセル・トレイ(2)を含む、肺または鼻への投与に適したドライ・パウダー吸入器(1)であって、
前記吸入器本体(3)は、
吸入器本体開口部(11)を構成する前記本体内にチャンバを形成するように互いに隔てられた対向する上壁部(15)および下壁部(14)を有し、
前記吸入器本体(3)の一端部は、前記カプセル・トレイ(2)が前記吸入器本体開口部(11)内に嵌入可能であるように開口しており、
さらに、前記上壁部(15)および下壁部(14)上に設けられ前記吸入器本体開口部(11)内で伸びる切込み手段(18、19)と、
前記吸入器本体(3)の前記上壁部(15)に形成された吸入流路(24)と、
第1のヒンジ・セグメント(20)と、
を有し、
前記マウスピース(8)は吸入流路(37)および第2のヒンジ・セグメント(35)を有し、前記マウスピース(8)および吸入器本体(3)は、互いに嵌合したときに前記マウスピースを前記本体に固定するよう動作可能な相補的固定手段を有し、
特徴として、
前記第1のヒンジ・セグメント(20)は少なくとも1つの軸受面(21)を含み、
前記第2のヒンジ・セグメント(35)は前記第1のヒンジ・セグメント(20)と相補的であり少なくとも1つの軸受面(36)を含み、前記マウスピースは、前記第1および第2のヒンジ・セグメントが互いに嵌合して間にヒンジ通路を形成するように、前記吸入器本体(3)に嵌合可能であり、
前記カバー(4)は、前記カバー(4)上に支持される軸(43)によって形成される第3のヒンジ・セグメント(42)を含み、前記軸(43)は、前記第1と第2のヒンジ・セグメント(20、35)の間に形成された前記通路に嵌合可能なように大きさが調整されていて前記通路内で回転可能であるようになっており、それによって前記吸入器本体および前記マウスピースに対して前記カバーの旋回運動が可能になり、
前記カプセル・トレイ(2)は、第1の位置と第2の位置の間で前記開口した端部を通して前記開口部(11)において可動であり、前記第1の位置において、前記カプセル・トレイ(2)は、カプセル(6)を装填し中から取り出すための内部に形成されたカプセル・チャンバ(7)へのアクセスが可能となるように、前記開口部(11)から引き出され、前記第2の位置において、前記カプセル・チャンバ(7)は、前記吸入器本体(3)の前記吸入流路(24)と整列して、前記吸入流路(37)を通して前記カプセル(6)に含まれる薬剤の吸入が可能になり、
前記切込み手段(18、19)は、前記カプセル(6)の頂部および底部に開口を切って形成するために、前記カプセル・トレイ(2)がその第1の位置からその第2の位置へと移動するにしたがって前記カプセル(6)の前記頂部および前記底部に食い込むように配置され、
前記吸入器本体(3)と前記マウスピース(8)の少なくとも一方は前記開口部(11)内に位置する停止手段を含み、
前記停止手段は、前記カプセル・トレイが前記開口部(11)内に嵌合すると、前記カプセル・トレイが前記停止手段に係止して、吸入器本体開口部(11)内部で前記トレイ(2)の移動を制限するものであり、
前記吸入器は、前記第1のヒンジ・セグメント(20)に前記カバーの前記軸(43)を取り付け、次いで前記マウスピースを前記吸入器本体(3)に取り付けて、前記第2のヒンジ・セグメント(35)が前記軸(43)の周囲に前記第1のヒンジ・セグメントと接触して嵌合して所定位置に固定されるようにすることによって、組み立てられ、それによって単一の永続的な機械的に有効なヒンジ(5)が形成される、
ドライ・パウダー吸入器。
【請求項2】
前記吸入器は、前記本体(3)、前記マウスピース(8)、前記トレイ(2)および前記カバー(4)の4つの部品だけで組み立てられ、
前記マウスピース(8)および前記本体(3)は、前記本体(3)、前記マウスピース(8)および前記カバー(4)を結合する前記ヒンジ(5)用の前記固定要素として機能し、
前記本体(3)、前記マウスピース(8)、前記トレイ(2)および前記カバー(4)の各々は単一の構造体である、
請求項1に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項3】
前記吸入器は、前記第1、第2および第3のヒンジ・セグメント(20、35、42)によって形成される単一のヒンジ(5)を有し、
前記第1、第2および第3のヒンジ・セグメントは、組立てられたときに、前記マウスピース(8)が前記本体(3)における所定位置に固定された後で、初めて、完全に動作可能で永続的なヒンジ(5)を構成するものである、
請求項1または2に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項4】
前記トレイ(2)は、前記本体(3)の内部で移動可能であり、前記ヒンジ結合されたカバー(4)が閉じている間にカプセルの装填または取り外しのために前記本体(3)の外部へ移動できるものである、請求項1乃至3のいずれかに記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項5】
前記組立てられた吸入器は、3つ以内の一体的部品で構成され、
その第1の部品は、共に固定された前記マウスピース(8)および前記本体(3)によって構成されて、単一の一体的部品を形成し、
その第2の部品は前記トレイ(2)によって構成され、
その第3の部品は前記カバー(4)によって構成されるものである、
請求項1に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項6】
前記マウスピース(8)および前記吸入器本体(3)上に設けられた前記相補的固定手段は、前記マウスピースと前記吸入器本体のうちの一方に設けられた少なくとも1つの固定ピン部(10、39、44)と、前記マウスピース(8)と前記吸入器本体(3)のうちの他方に設けられた少なくとも1つの相補的な凹所(45、46)とを含むものである、請求項1乃至5のいずれかに記載のドライ・パウダー吸入器。
【手続補正書】
【提出日】2017年1月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー(4)、吸入器本体(3)、マウスピース(8)およびカプセル・トレイ(2)を含む、肺または鼻への投与に適したドライ・パウダー吸入器(1)であって、
前記吸入器本体(3)は、
吸入器本体開口部(11)を構成する前記本体(3)内にチャンバを形成するように互いに隔てられた対向する上壁部(15)および下壁部(14)を有し、
前記吸入器本体(3)の一端部は、前記カプセル・トレイ(2)が前記吸入器本体開口部(11)内に嵌入可能であるように開口しており、
さらに、前記上壁部(15)および下壁部(14)上に設けられ前記吸入器本体開口部(11)内で伸びる切込み手段(18、19)と、
前記吸入器本体(3)の前記上壁部(15)に形成された吸入流路(24)と、
第1のヒンジ・セグメント(20)と、
を有し、
前記マウスピース(8)は吸入流路(37)および第2のヒンジ・セグメント(35)を有し、前記マウスピース(8)および吸入器本体(3)は、互いに嵌合したときに前記マウスピース(8)を前記吸入器本体(3)に固定するよう動作可能な相補的固定手段を有し、
特徴として、
前記第1のヒンジ・セグメント(20)は少なくとも1つの軸受面(21)を含み、
前記第2のヒンジ・セグメント(35)は前記第1のヒンジ・セグメント(20)と相補的であり少なくとも1つの軸受面(36)を含み、前記マウスピース(8)は、前記第1および第2のヒンジ・セグメントが互いに嵌合して間にヒンジ通路を形成するように、前記吸入器本体(3)に嵌合可能であり、
前記カバー(4)は、前記カバーに支持される軸(43)によって形成される第3のヒンジ・セグメント(42)を含み、前記軸(43)は、前記第1と第2のヒンジ・セグメント(20、35)の間に形成された前記通路に嵌合可能なように大きさが調整されていて前記通路内で回転可能であるようになっており、それによって前記吸入器本体および前記マウスピース(8)に対して前記カバーの旋回運動が可能になり、
前記カプセル・トレイ(2)は、第1の位置と第2の位置の間で前記開口した端部を通して前記開口部(11)において可動であり、前記第1の位置において、前記カプセル・トレイ(2)は、カプセル(6)を装填し中から取り出すための内部に形成されたカプセル・チャンバ(7)へのアクセスが可能となるように、前記開口部(11)から引き出され、前記第2の位置において、前記カプセル・チャンバ(7)は、前記吸入器本体(3)の前記吸入流路(24)と整列して、前記吸入流路(37)を通して前記カプセル(6)に含まれる薬剤の吸入が可能になり、
前記切込み手段(18、19)は、前記カプセル(6)の頂部および底部に開口を切って形成するために、前記カプセル・トレイ(2)がその第1の位置からその第2の位置へと移動するにしたがって前記カプセル(6)の前記頂部および前記底部に食い込むように配置され、
前記吸入器本体(3)と前記マウスピース(8)の少なくとも一方は前記開口部(11)内に位置する停止手段を含み、
前記停止手段は、前記カプセル・トレイが前記開口部(11)内に嵌合すると、前記カプセル・トレイが前記停止手段に係止して、前記吸入器本体開口部(11)内部で前記トレイ(2)の移動を制限するものであり、
前記吸入器は、前記第1のヒンジ・セグメント(20)に前記カバーの前記軸(43)を取り付け、次いで前記マウスピース(8)を前記吸入器本体(3)に取り付けて、前記第2のヒンジ・セグメント(35)が前記軸(43)の周囲に前記第1のヒンジ・セグメントと接触して嵌合して所定位置に固定されるようにすることによって、組み立てられ、それによって単一の永続的な機械的に有効なヒンジ(5)が形成される、
ドライ・パウダー吸入器。
【請求項2】
前記吸入器は、前記本体(3)、前記マウスピース(8)、前記トレイ(2)および前記カバー(4)の4つの部品だけで組み立てられ、
前記マウスピース(8)および前記本体(3)は、前記本体(3)、前記マウスピース(8)および前記カバー(4)を結合する前記ヒンジ(5)用の前記固定要素として機能し、
前記本体(3)、前記マウスピース(8)、前記トレイ(2)および前記カバー(4)の各々は単一の構造体である、
請求項1に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項3】
前記吸入器は、前記第1、第2および第3のヒンジ・セグメント(20、35、42)によって形成される単一のヒンジ(5)を有し、
前記第1、第2および第3のヒンジ・セグメントは、組立てられたときに、前記マウスピース(8)が前記本体(3)における所定位置に固定された後で、初めて、完全に動作可能で永続的なヒンジ(5)を構成するものである、
請求項1または2に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項4】
前記トレイ(2)は、前記本体(3)の内部で移動可能であり、前記ヒンジ結合されたカバー(4)が閉じている間にカプセルの装填または取り外しのために前記本体(3)の外部へ移動できるものである、請求項1乃至3のいずれかに記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項5】
前記組立てられた吸入器は、3つ以内の一体的部品で構成され、
その第1の部品は、共に固定された前記マウスピース(8)および前記本体(3)によって構成されて、単一の一体的部品を形成し、
その第2の部品は前記トレイ(2)によって構成され、
その第3の部品は前記カバー(4)によって構成されるものである、
請求項1に記載のドライ・パウダー吸入器。
【請求項6】
前記マウスピース(8)および前記吸入器本体(3)上に設けられた前記相補的固定手段は、前記マウスピース(8)と前記吸入器本体のうちの一方に設けられた少なくとも1つの固定ピン部(10、39、44)と、前記マウスピース(8)と前記吸入器本体(3)のうちの他方に設けられた少なくとも1つの相補的な凹所(45、46)とを含むものである、請求項1乃至5のいずれかに記載のドライ・パウダー吸入器。
【国際調査報告】