特表2017-514657(P2017-514657A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-514657(P2017-514657A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】ウェアラブル電子機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20170512BHJP
【FI】
   A61B5/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-510452(P2017-510452)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月28日
(86)【国際出願番号】US2015028838
(87)【国際公開番号】WO2015168590
(87)【国際公開日】20151105
(31)【優先権主張番号】61/987,346
(32)【優先日】2014年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516326645
【氏名又は名称】ニューミトラ インク.
【氏名又は名称原語表記】NEUMITRA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ、ロバート、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダブ、シャイレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モーメン、サフィー
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB01
4C117XC13
4C117XD15
4C117XE13
4C117XE14
4C117XE15
4C117XE16
4C117XE17
4C117XE19
4C117XE23
4C117XE27
4C117XE36
4C117XE37
4C117XE52
(57)【要約】
ウェアラブル装置は、1以上のバンド部分を備える可撓性のバンドと、可撓性のバンドに設けられる1以上のバイオセンサと、可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットと、可撓性のバンドの少なくとも1つの端部と時計面のハウジングとを接続するように構成された少なくとも1つの接続機構とを含む。装着者の生理学的状態を、装着者の手首に装着される時計面ハウジングに接続された可撓性のバンドを通じてモニタリングする方法は、可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットにおいて、可撓性のバンドに設けられる1以上のバイオセンサからのセンサ・データを受け取る工程と、受け取られたセンサ・データを1以上の処理ユニットを通じて分析して、装着者の生理学的状態を表すスコアを算出する工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のバンド部分を備える可撓性のバンドと、
前記可撓性のバンドに設けられる1以上のバイオセンサと、
前記可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットと、
前記可撓性のバンドの少なくとも1つの端部と時計面のハウジングとを接続するように構成された少なくとも1つの接続機構と、を備える、ウェアラブル装置。
【請求項2】
前記1以上のバイオセンサは、心拍数センサ、心拍数変動センサ、脈拍数センサ、脈拍数変動センサ、心電図センサ、呼吸数センサ、皮膚温センサ、中核体温センサ、熱流量センサ、皮膚電位センサ、筋電図センサ、脳波センサ、血圧センサ、水分レベル・センサ、筋圧センサ、血管の光反射率センサ、および酸素飽和度センサからなる群から選択される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項3】
前記可撓性のバンドに設けられる少なくとも1つの記憶媒体であって、前記1以上の処理ユニットのうちの少なくとも1つによって実行されると、
前記1以上のバイオセンサからセンサ・データを受け取る工程と、
受け取られた前記センサ・データを分析することによって、前記ウェアラブル装置の装着者の生理学的状態を識別する工程と、を備える方法を実行するプロセッサ読取可能な命令を記憶する、少なくとも1つの記憶媒体をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項4】
前記方法は、個人プロファイルを更新する工程をさらに備え、前記個人プロファイルは、
前記装着者の複数の生理学的状態を示すセンサ・データ、および、前記装着者の生理学的状態を変更させる刺激のうちの1以上に関する情報を含む、請求項3に記載のウェアラブル装置。
【請求項5】
前記可撓性のバンドに設けられる無線送信機をさらに備え、前記方法は、前記装着者の識別された前記生理学的状態を示すデータを前記無線送信機を通じて送信する工程をさらに備える、請求項3に記載のウェアラブル装置。
【請求項6】
前記可撓性のバンドに設けられる振動生成デバイスをさらに備え、前記方法は、前記装着者の前記生理学的状態を識別する工程に応答して、前記装着者に対して識別された前記生理学的状態を警告するために前記振動生成デバイスを作動させる工程をさらに備える、請求項3に記載のウェアラブル装置。
【請求項7】
前記装着者の前記生理学的状態を識別する工程は、前記装着者によって示されるストレスのレベルを決定する工程を備え、前記振動生成デバイスは、閾値を超える決定された前記ストレスのレベルに応答して作動される、請求項6に記載のウェアラブル装置。
【請求項8】
前記1以上の処理ユニットと前記時計面のディスプレイとの間に少なくとも1つのインターフェースをさらに備え、前記方法は、前記装着者の前記生理学的状態を識別する工程に応答して、前記時計面の前記ディスプレイ上に警告を表示する工程をさらに備え、請求項3に記載のウェアラブル装置。
【請求項9】
前記可撓性のバンドに設けられるバッテリをさらに備える、請求項3に記載のウェアラブル装置。
【請求項10】
前記バッテリから前記1以上の処理ユニットへ、および前記時計面の前記ハウジングへ
電力を搬送する1以上の電気接続部をさらに備える、請求項9に記載のウェアラブル装置。
【請求項11】
前記1以上のバイオセンサのうちの第1のバイオセンサは、前記時計面ハウジングが、装着者の手首の表側に装着され、前記可撓性のバンドに接続されるとき、前記第1のバイオセンサが前記装着者の手首の裏側に対して配置されるように、前記可撓性のバンドのある位置に設けられる、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項12】
前記第1のバイオセンサは、前記装着者の橈骨動脈および尺骨動脈のうちの1以上に近接して前記装着者の手首に接触する、前記可撓性のバンドのある位置に設けられる、請求項11に記載のウェアラブル装置。
【請求項13】
前記可撓性のバンドは、前記可撓性のバンドを複数のバンド部分に分離させる留め具を備え、前記留め具は、前記時計面ハウジングが、前記装着者の手首の前記表側に装着され、前記可撓性のバンドに接続されたとき、前記留め具が前記装着者の手首の前記裏側からずらされるように、前記可撓性のバンドのある位置に設けられる、請求項11に記載のウェアラブル装置。
【請求項14】
前記可撓性のバンドは、皮革バンドを含む、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項15】
前記可撓性のバンドはゴムを含み、
前記バンドは、前記1以上のバイオセンサのうちの1つのバイオセンサと、前記1以上の処理ユニットのうちの1つのプロセッサとの間に電気相互接続部をさらに備え、
前記バンドを構成する前記ゴムは、少なくとも前記プロセッサおよび前記電気相互接続部の周りに成形される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項16】
装着者の生理学的状態を、前記装着者の手首に装着される時計面ハウジングに接続された可撓性のバンドを通じてモニタリングする方法であって、
前記可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットにおいて、前記可撓性のバンドに設けられる1以上のバイオセンサからセンサ・データを受け取る工程と、
受け取られた前記センサ・データを前記1以上の処理ユニットを通じて分析して、前記装着者の生理学的状態を表すスコアを算出する工程と、を備える、方法。
【請求項17】
前記スコアを携帯可能な電子デバイスへ送信する工程をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
伸縮可能な材料のバンドと、
前記バンド内に配設される第1の電子部品および第2の電子部品であって、前記第1の電子部品はバイオセンサを備える、第1の電子部品および第2の電子部品と、
前記第1の電子部品と前記第2の電子部品との間の伸縮可能な電気相互接続部と、を備える、腕時計バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ウェアラブル電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサは、人間の感情の状態を表す生理学的信号を測定する。この情報は、一種のバイオフィードバックとして使用されてもよく、このバイオフィードバックは、人間がストレス状況を認識し、ストレス状況に対する自身の反応を変更すること、または、そうした状況を回避することに役立ち得る。この情報は、生理的障害の診断、検出、モニタリングまたは治療のためにも使用され得る。
【0003】
バイオセンサは、ユーザの体温、脈拍数または発汗量などの生理学的信号を測定し得る。バイオセンサは、ユーザが様々な活動に参加する際に、バイオセンサがそうした信号を経時的に測定することができるように、ユーザによって装着され得る。このような測定値は、ユーザが平均体温よりも高い体温を有するかなど、ユーザの生物学的状態および/または健康状態を決定するために分析され得るデータを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】組込電子部品を有する可撓性のバンドの例示的な実施形態を例示する図。
図2】時計面ハウジングに接続された、図1の可撓性のバンドを含むウェアラブル装置の例示的な実施形態を例示する図。
図3図2の例示的なウェアラブル装置の異なる図。
図4図2および図3の例示的なウェアラブル装置の異なる構成を例示する図。
図5A】装着者によって装着された、図4の例示的なウェアラブル装置の構成を例示する図。
図5B】装着者によって装着された、図4の例示的なウェアラブル装置の構成を例示する図。
図6A】ウェアラブル装置に含まれ得る電子部品の組立体の例示的な実施形態を例示する図。
図6B】ウェアラブル装置に含まれ得る電子部品の組立体の例示的な実施形態を例示する図。
図6C】ウェアラブル装置に含まれ得る電子部品の組立体の例示的な実施形態を例示する図。
図6D】ウェアラブル装置に含まれ得る電子部品の組立体の例示的な実施形態を例示する図。
図6E】ウェアラブル装置に含まれ得る電子部品の組立体の例示的な実施形態を例示する図。
図6F】ウェアラブル装置に含まれ得る電子部品の組立体の例示的な実施形態を例示する図。
図7】いくつかの実施形態についての例示的な設計基準を例示する図。
図8】例示的な外形のバンドの実施形態を例示する図。
図9A】例示的なバイオセンサ・モジュールの実施形態を例示する図。
図9B】例示的なバイオセンサ・モジュールの実施形態を例示する図。
図9C】例示的なバイオセンサ・モジュールの実施形態を例示する図。
図10】例示的なバイオバンドの実施形態を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
1つのタイプの実施形態は、1以上のバンド部分を備える可撓性のバンドと、可撓性の
バンドに設けられる1以上のバイオセンサと、可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットと、可撓性のバンドの少なくとも1つの端部と時計面のハウジングとを接続するように構成された少なくとも1つの接続機構とからなるウェアラブル装置を対象とする。
【0006】
別のタイプの実施形態は、装着者の生理学的状態を、装着者の手首に装着される時計面ハウジングに接続された可撓性のバンドを通じてモニタリングする方法であって、可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットにおいて、可撓性のバンドに設けられる1以上のバイオセンサからのセンサ・データを受け取る工程と、受け取られたセンサ・データを1以上の処理ユニットを通じて分析して、装着者の生理学的状態を表すスコアを算出する工程とからなる方法を対象とする。
【0007】
別のタイプの実施形態は、伸縮可能な材料のバンドと、バンド内に配設される第1の電子部品および第2の電子部品であって、第1の電子部品はバイオセンサを備える、第1の電子部品および第2の電子部品と、第1の電子部品と第2の電子部品との間の伸縮可能な電気相互接続部とからなる腕時計バンドを対象とする。
【0008】
別のタイプの実施形態は、可撓性のバンドと、可撓性のバンドに設けられる1以上のバイオセンサと、可撓性のバンドに設けられる1以上の処理ユニットと、可撓性のバンドを腕時計に取り付けるように構成された少なくとも1つの取り付け機構とからなるウェアラブル装置を対象とする。
【0009】
別のタイプの実施形態は、時計面のハウジングに取り付けられ、かつ、時計面のハウジングからの取り外しを許容するように構成された取り外し可能なモジュールと、取り外し可能なモジュールに設けられる1以上のバイオセンサと、取り外し可能なモジュールに設けられる1以上の処理ユニットとからなるウェアラブル装置を対象とする。
【0010】
添付の図面は、縮尺通りに図示されることを意図されていない。図面において、様々な図に例示される同一またはほぼ同一の構成要素の各々は、同様の符号によって表される。明確にする目的で、全ての構成要素が全ての図面においてラベルを付されているとは限らない。
【0011】
いくつかの実施形態は、ユーザ(例えば、人間)によって装着されている間に生理学的測定を行うために、ウェアラブル装置内にバイオセンサ・デバイスを組み込むための設計および技法に関する。こうした設計および技法は、ユーザに快適さを提供し、通常の仕事中および個人的な活動中を含む多くの状況において、バイオセンサの使用を推進し得る。代替的にまたは付加的に、ウェアラブル装置は、バイオセンサによる測定の確度を高める手法でバイオセンサを保持し得る。ユーザの多様な活動中に収集された正確なバイオセンサ・データを、コンピュータ化された処理に使用可能にすることによって、コンピュータ化されたタスクは、ユーザのストレス・レベルなどの現在の生物学的状態に基づいて適応され得る。
【0012】
いくつかの実施形態は、バイオセンサなどの1以上の電子部品を収容するウェアラブル装置に関する。いくつかの実施形態は、電子部品のうちの1以上を装着者の手首と接触した状態に維持する、1以上の電子部品を収容するウェアラブル装置に関する。いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置は、ユーザの状態に応じて異なる動作を実行するようにプログラムされ得る携帯可能な電子デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、PDA等)または他のコンピューティング・デバイスへ装着者の現在の状態を通信するための送信機を含み得る。代替的にまたは付加的に、ウェアラブル装置は、生理学的測定値を処理し、装着者の状態を決定し得る、プロセッサおよび/またはメモリなどの構成要素を含み得る。プロセッサは、生理学的情報を現在の状態に対してマッピングする際に使
用される、メモリ内に記憶された情報を更新し得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置は、手首に装着される腕時計であってもよく、または、手首に装着される腕時計に対して、もしくは手首に装着される腕時計の一部に対して取り付けられるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置は、腕時計を伴う、または腕時計を伴わない、バンドであってもよい。手首に装着される腕時計に関するいくつかの実施形態において、バイオセンサ・デバイスに関する電子部品(例えば、センサ、1以上のバッテリ、送信機、処理ユニット等)のうちの一部または全部は、腕時計の時計面に収容されることとは対照的に、リストバンドに分散されてもよい。いくつかの実施形態において、手首の裏側と交差する場所に設けられる電子部品を収容するために、バンドを手首に取り付けるための留め具は、その場所からずらして、バンドの両面の一方もしくは両方、および/またはバンドと時計面との接点などの、任意の他の適切な場所に設けられ得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置内に組み込まれるバイオセンサ・デバイスは、2011年3月4日に出願され、「心理的障害を治療するためのデバイスおよび方法(Devices and Methods for Treating Psychological Disorders)」と題された米国特許出願第13/040,816号において説明される構成要素、および/または、2010年3月4日に出願され、「気分障害をモニタリングおよび治療するためのデバイス(A device for
monitoring and treating mood disorders)」と題された米国仮特許出願第61/310,280号において説明される構成要素などの構成要素を含んでもよい。これらの出願の両方の開示内容は、その全体を本願明細書に援用する。例えば、バイオセンサ・デバイス構成要素は、1つもしくは複数の(マイクロ)プロセッサ、1つもしくは複数のメモリおよび/もしくは他のデータ記憶デバイス、1つもしくは複数の送信機、1つもしくは複数の受信機、1つもしくは複数の電源、1つもしくは複数のディスプレイ、1つもしくは複数の運動センサ(例えば、加速度計)、1つもしくは複数の全地球測位システム、1つもしくは複数のクロック、ならびに/または、心拍数センサ、脈拍数センサ、心拍数変動センサ、心電図センサ、呼吸数センサ、皮膚温センサ、中核体温センサ、身体の熱流量センサ、皮膚電位(電気皮膚反応)センサ、筋電図センサ、脳波センサ、眼球運動センサ、血圧センサ、水分レベル・センサ、筋圧センサ、活動レベル・センサ、体位センサ、血管の光反射率センサ、酸素飽和度センサ等などの、1つもしくは複数のセンサを含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、バイオセンサ・デバイスによって得られた生理学的データは、例えば、装着者の身体的状態、精神状態、および/または感情の状態を含む、装着者の健康を決定するために、バイオセンサ・デバイスのローカル・プロセッサによって分析および処理され得る。いくつかの実施形態において、装着者は、この情報を使用して、バイオセンサ・デバイスがさらなる生理学的データを取得するにつれて、装着者の健康状態を経時的に追跡し得る。いくつかの実施形態における生理学的データの分析および処理は、生理学的データに基づいて装着者の健康状態を決定する工程を含み得る。健康状態は、例えば、装着者の現在のストレス・レベルなど、装着者の健康の態様を示す1以上のパラメータを含んでもよい。任意の適切な算出技法が、生理学的信号から健康状態値を算出するために使用され得る。例示的な技法は、本願明細書に援用する米国特許出願第13/040,816号および/または米国仮特許出願第61/310,280号において説明される技法を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置に取り付けられ、または埋め込まれるプロセッサは、バイオセンサ・デバイスによって取得された生理学的測定値を受け取り、この測定値を処理して、健康状態情報を生成し得る。いくつかの実施形態における、この
ような処理は、過去に取得された生理学的データに基づいて、生理学的データと健康状態とを相関させる工程を含み得る。過去に取得されたデータは、既知の健康状態情報に対応し、いくつかの実施形態において、現在の生理学的データは、過去に取得されたデータと比較されて、および/または過去に取得されたデータに対してマッピングされて、現在の健康状態情報が決定され得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、健康状態は、特定の健康値に対応し得る。健康値は、任意の適切な形式を有してもよく、いくつかの実施形態においては、単一の健康関連の特性の値を表してもよい。割り当てられる値は、装着者に関連付けられたデータがその特性が存在することを示す程度を示し得る。例えば、特定の生理学的データは、ある範囲のストレス・レベルと相関があってもよく、現在の生理学的データに対応する装着者のストレス・レベルは、現在の生理学的データを特定の生理学的データにマッピングすることによって識別され得る。現在の生理学的データは、識別されたストレス・レベルに対応する特定の生理学的データと類似し得る。健康状態値は、例えば、ストレス・レベルまたは装着者がストレスを感じている程度を示してもよい。いくつかの実施形態において、健康状態値は、複数の特性、例えば、ストレス・レベルおよび活動レベルなどを示してもよい。生理学的データを経時的に取得することによって、いくつかの実施形態において、ある範囲のストレス・レベルに沿った装着者のストレス状況は、経時的に追跡され、高いストレス・レベルと、落ち着いたおよび/またはリラックスした状態の特性などであり得る、低いストレス・レベルとを含み得る。
【0018】
装着者は、そのようなストレス・レベル情報を任意の適切な手法で、例えば、装着者の健康全般に影響を与え得る決定を行うためなどに使用し得る。こうした使用法をサポートするために、いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置は、触覚デバイスなどの出力機構を含んでもよい。代替的にまたは付加的に、ウェアラブル装置は、このウェアラブル装置内で生成されるデータを処理し、および/または情報を使用し得るスマートフォンまたは他の携帯可能なコンピューティング・デバイスとの通信のための送信機および/または受信機器を含んでもよい。このような実施形態において、上述されたバイオセンサのうちの1以上、および健康状態を決定するための生理学的データの分析は、バイオフィードバック工程の一部となり得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明される実施形態などのウェアラブル装置からのセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて決定される、ユーザの健康状態に関する情報は、コンピューティング・デバイス上で実行される任意の適切なソフトウェア・アプリケーションへ入力され得る。このソフトウェア・アプリケーションは、生理学的データを処理する工程およびバイオフィードバックをユーザへ提供する工程以外の機能を有する1以上のソフトウェア・アプリケーションを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、健康状態情報は、任意のタイプのソフトウェア・アプリケーション(例は、電子メール・アプリケーション、ウェブ・ブラウザ、オフィス・ツール・アプリケーション、ゲーム・アプリケーション、オペレーティング・システム、および/または任意の他の適切なアプリケーションを含む)へ提供されて、このアプリケーションにユーザの健康状態を認識させ、ユーザの健康状態に対して反応させ得る。健康状態を認識するアプリケーションの例示的な強化された機能性は、ユーザの健康状態に基づいて、色、テーマ等などのアプリケーションの視覚的表示を適応させる工程、音楽の再生、イベントのスケジューリング、電話呼の拒否/許可、ならびに/もしくはユーザの健康状態に影響を与え、および/もしくは影響を与えられ得るタスクの実行の他の方法での制御など、アプリケーションによって実行される動作を制御する工程、ならびに/または任意の他の適切な健康状態認識機能性を含んでもよい。本明細書において説明される実施形態などのバイオセンサ・デバイスによって提供される健康状態情報について行われ得る使用法のさらなる例は、2014年5月23日に出願され、「色ベースの健康状態テーマを有するオペレーテ
ィング・システム(OPERATING SYSTEM WITH COLOR−BASED HEALTH STATE THEMES)」と題された米国仮特許出願第62/002,758号において提供されている。この出願の開示内容は、その全体を本願明細書に援用する。
【0020】
いくつかの実施形態において、バイオセンサ・デバイス上のローカル・データ・ファイル、または別の場所に記憶されるデータ・ファイルは、過去に取得された生理学的データをプロファイルとして記憶し得る。プロファイルは、1以上の個人に対応する生理学的データから導出され得る。プロファイルは、付加的な生理学的データと、付加的な生理学的データの分析から結果として得られる健康状態情報とを反映するように更新され得る。このようにして、いくつかの実施形態におけるプロファイルは、生理学的データが健康状態情報に対応する方法における変更を反映し、健康状態の識別を改善し得る。なぜなら、付加的な生理学的データが、プロファイルに含まれるからである。いくつかの実施形態において、プロファイルは、装着者に関する生理学的データを反映してもよく、装着者の現在の生理学的データに基づいて健康状態を識別する工程は、現在の生理学的データと、装着者のプロファイルに記憶された、過去に取得された生理学的データとを相関させる工程を含み得る。付加的な生理学的データが取得および処理されて、現在の健康状態が決定されるので、プロファイルに対する更新は、生理学的データおよび識別された健康状態の少なくとも一部を含み得る。このようにして、いくつかの実施形態においては、装着者についての付加的な生理学的データが取得され、健康状態情報が識別されるので、プロファイルは装着者に固有のものとなり得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、プロファイルは、個人の集団から取得された生理学的データを反映し、その集団の健康状態情報に関連付けられた生理学的データについての統計情報を含んでもよい。このような統計情報は、生理学的データおよび健康状態値の範囲、平均値、および/または標準偏差を含んでもよい。いくつかの実施形態において、装着者の健康状態を決定する工程は、現在の生理学的データと、プロファイルに記憶された健康統計情報および健康情報とを比較する工程を含んでもよい。統計情報は、識別された健康状態に対応する集団についての生理学的データの統計値を提供することができ、いくつかの実施形態において、装着者の健康状態は、現在の生理学的データと生理学的データの統計値とを比較することによって識別され得る。プロファイルに対する更新は、集団の統計情報および健康情報に対する変化を反映し得る。なぜなら、集団内の個人についての生理学的データが取得されるからである。付加的にまたは代替的に、集団の生理学的データに基づくプロファイルは、装着者の生理学的データおよび識別された健康状態情報を用いて更新されてもよい。このようにして、プロファイルは、一般的なプロファイルまたはデフォルト・プロファイルとして始まり、生理学的データがバイオセンサ・デバイスによって取得されるにつれて、装着者に固有のデータを含むように徐々に適応し得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、プロファイルは、測定された生理学的データに関連付けられたコンテキスト情報も含み得る。コンテキスト情報は、生理学的データに関連付けられる時間、場所、および/または個人が行っている活動を含んでもよい。コンテキスト情報は、バイオセンサ・デバイスの構成要素によって渡されても、および/またはスマートフォンもしくは他の携帯可能な電子デバイスなどの別のデバイスから受信されてもよい。バイオセンサ・デバイスのプロセッサは、コンテキスト情報を処理して、ユーザの現在のコンテキストを決定することができ、健康状態を決定する工程は、バイオセンサ・デバイスによって取得された生理学的データに関連付けられる現在のコンテキスト情報を分析する工程を含んでもよい。プロファイル情報は、特定のコンテキストに対応する生理学的データが取り出され、現在の生理学的データと比較され得るように、コンテキスト情報および関連する生理学的データを含み得る。装着者の現在のコンテキストは、過去に取得された生理学的データと関連付けられた健康状態情報とのサブセットを選択するために使用さ
れ得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、装着者の現在の健康状態を決定する工程は、現在の生理学的データと、同様のユーザ・コンテキストを表す生理学的データのサブセットとを比較する工程を含み得る。このようにして、装着者の現在の健康状態は、装着者が同様の状況にあった他の出来事との比較として表され得る。例えば、コンテキスト情報は、時間情報および/または地理的情報に基づいて、装着者は通勤中であると示すことがある。プロファイルに記憶された生理学的データのサブセットは、同様の時間情報および/または地理的情報を示すコンテキスト情報に関連付けられた生理学的データをプロファイルから識別することによって選択され得る。また、健康状態は、生理学的データのサブセットに基づいて識別され、装着者が朝の通勤中だった他の時と比較した相対的な健康状態を示し得る。いくつかの実施形態において、一定のコンテキスト下での装着者の健康に関連付けられたパターンは、特定のコンテキストに関連付けられた生理学的データを分析することによって識別され得る。例えば、このような分析は、通勤している間により多くのストレスを感じる個人のパターンを示すことがある。
【0024】
前述の説明は、あくまでも例に過ぎず、いくつかの実施形態は、本明細書において説明される機能性のうちの一部または全部を提供し得るが、いくつかの実施形態は、上述された機能性のうちのいずれかまたは全部を提供することに限定されないことが認識されるべきである。
【0025】
本明細書において説明される特徴は、多くの手法のうちの任意のもので実装されてもよく、任意の特定の実装技法に限定されない。したがって、特定の実装技法の例が下記に説明されるが、その例は単に例示の目的で提供されること、および他の実装も可能であることが認識されるべきである。
【0026】
図1には、例えば、腕時計のための時計面ハウジングに取り付けられるように設計された、ウェアラブル装置の例示的な実施形態が例示される。図1の例示的なウェアラブル装置は、可撓性のバンド100を含み、可撓性のバンド100は、留め具106によって接合される別個のバンド部分102および104から形成される。これは単なる例であり、他の実施形態は、バンド100を形成する異なる数のバンド部分を有してもよく、いくつかの実施形態において、バンド100は、留め具なしで、1つのバンド部分のみから形成されてもよい。いくつかの実施形態において、図1に例示されるように、バンド100の端部のうちの1つまたは複数は、バンドの端部を時計面のハウジング(図1には図示せず)に接続するように構成された、ピン108もしくはループ、フック、または、このようなピンに取り付けられ得る他の構造などの接続機構を有し得る。ピン108は、従来の時計面ハウジングと同様にスプリング・ピンであってもよく、または任意の他の適切な構成を有してもよい。他の実施形態において、可撓性のバンド100と下記に説明される組込部品の任意のものとを含むウェアラブル装置は、時計面ハウジングに接続されるように構成されなくてもよく、代わりに、異なるデバイスに接続されるように構成されてもよく、または、バンド単独で着用するためのバンドの場合におけるように、任意の他のデバイスに接続されるように構成されなくてもよい。
【0027】
バンド100は、例えば、装着者の手首または他の身体部分の周りに巻き付けるために、バンド100が可撓的であるように、任意の適切な材料から作られ得る。いくつかの実施形態において、バンド100は、皮革から作られてもよく、他の実施形態において、バンド100は、布、ゴム、可撓性プラスチック、金属および/もしくはプラスチックの輪、ならびに/または任意の他の適切な材料もしくは材料の組み合わせから作られてもよい。留め具106は、任意の適切な形態のバンド留め具であってもよく、接続機構108は、任意の適切な既知の形態または今後開発される形態を含む、バンド100を時計面ハウ
ジングに接続するための任意の適切な形態の機構であってもよい。図1に示される例示的な形態の留め具106および接続機構108は、単に例示の目的で提供されており、限定となることを意図されていない。
【0028】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のバイオセンサ110が、バンド100に設けられ、各バイオセンサは、バンド100の1つもしくは複数の表面に取り付けられ、バンド100の1つもしくは複数の表面から突出し、またはバンド100の1つもしくは複数の表面の下に埋め込まれ得る。例えば、いくつかの実施形態において、図1に例示されるように、バイオセンサ110は、プラスチック製の平坦な部品、プリント基板(PCB:printed circuit board)、または他の適切な基板などの基板112に固定されてもよい。基板112は、バンド100において、バンド100の外面を形成する皮革または他の材料による2つのストリップの間に埋め込まれてもよい。含まれるバイオセンサのタイプ、および装着者の皮膚に直接接触するようにバイオセンサを配置することと、バンド100が装着されていない場合にバイオセンサを見えないように、かつ、環境汚染から守るように隠すこととの間のトレードオフに応じて、いくつかの実施形態において、バイオセンサ110は、バンド100の表面材料によって覆われてもよく、一方で、他の実施形態においては、バイオセンサ110が突出し得る1つもしくは複数の開口が、表面材料に形成されてもよく、または、バイオセンサ110は、バンド100の外表面に取り付けられてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、基板112は、バンド100内に「アイランド」を形成してもよく、他の電子部品は、バンド100内で基板のアイランド112とは別個の他の「アイランド」を形成または占有してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、1つまたは複数のマイクロプロセッサなどの、1つまたは複数の処理ユニット120は、バンド100において、同じ基板112上に、および/またはバイオセンサ110とは別個の1つもしくは複数の基板のアイランド上に設けられてもよい。いくつかの実施形態において、バイオセンサ110は、バイオセンサ119からのセンサ・データを処理ユニット120へ搬送し、および/または処理ユニット120からのコマンド・データをバイオセンサ110へ搬送するための、1つまたは複数の電子接続114を有し得る。いくつかの実施形態において、バンド100に設けられる電子部品間の電子接続114は、連続的な電力フローおよび/またはデータ・フローのために部品間の電気接続を維持しながら、手首の動きおよび/またはバンド100の屈曲および/もしくは伸縮に適応するように、任意の適切な可撓性および/または伸縮自在の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、電子部品をサポートするPCBアイランドなどの堅固なアイランドは、任意の適切なエラストマー(例えば、ゴム)から作られる可撓性および/または伸縮自在の接続領域によって分離されてもよく、この接続領域を通じて、電気接続が柔軟にルーティングされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、銅線などの導電性電気接続部は、折りたたまれた構成、コイル状の構成、および/もしくは螺旋状の構成、ならびに/または、アイランド間の送電および/もしくはデータ送信を遮断し、もしくは断絶を発生させることなく、堅固なアイランドを接続する領域における周囲の材料と共に導電性の配線が屈曲および/または伸縮することを可能にする任意の他の適切な構成で、可撓性の接続領域を横切ってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、処理ユニット120は、1つまたは複数の関連付けられた記憶媒体を有してもよく、この記憶媒体は、バンド100内の同じ集積回路上および/もしくは同じ基板アイランド上など、処理ユニット120に近接して、または処理ユニット120への任意の適切な接続を有するバンド100における異なる場所において、バンド100に設けられる、任意の適切な形態のプロセッサ読取可能な記憶媒体であってもよい。いくつかの実施形態において、記憶媒体は、バイオセンサ110を制御し、バイオセンサ110からのセンサ・データを受け取りおよび処理し、ならびに/または任意の他の
適切な機能を行うために処理ユニット120によって実行されるプロセッサ読取可能な命令を記憶し得る。任意の他の適切な機能の他の例は、本明細書において説明される。いくつかの実施形態において、組込記憶媒体は、装着者のセンサ・データおよび/または他のデータなどのデータの揮発性記憶および/または不揮発性記憶のためにも使用され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、処理ユニット120は、記憶された命令を実行して、バイオセンサ110からセンサ・データを受け取り、受け取られたセンサ・データを分析して、装着者の生理学的状態および/または精神状態を識別し得る。これは、任意の適切な技法を使用して、任意の適切な手法で行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、分析は、本願明細書に援用する米国特許出願第13/040,816号および/または米国仮特許出願第61/310,280号において説明される技法のうちの任意のものおよびセンサ・データのうちの任意のものを使用して行われてもよい。他の例示的な技法は、上述されている。いくつかの実施形態において、処理ユニット120は、バイオセンサ110によって収集されたセンサ・データに基づいて、装着者によって提示されるストレスのレベルを決定し得る。いくつかの実施形態において、このストレス・レベルは、処理ユニット120によって、数値スコアまたはカテゴリとして表されてもよい。代替的にまたは付加的に、いくつかの実施形態において、未加工センサ・データは、バンド100から遠隔での処理のために送信されてもよく、および/または、さらなる分析が遠隔で行われ得る間に、何らかのフロントエンド処理がバンド100において行われてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、バンド100は、バンド100の遠隔で分析および/またはその他の方法で処理されるべき、処理ユニット120および/またはバイオセンサ110からのデータを送信するための、無線周波数(RF:radio frequency)送信機などの1つまたは複数の無線送信機130を含み得る。いくつかの実施形態において、これは、処理ユニット120によりセンサ・データを処理することによって決定されたストレス・レベルなどの、バイオセンサ・データを分析することによって識別された、装着者の生理学的状態および/または精神状態を示すデータの送信を含み得る。代替的にまたは付加的に、未処理のセンサ・データが、いくつかの実施形態において送信されてもよい。データは、このデータの任意の適切なさらなる使用のために、任意の適切な受信デバイスへ送信され得る。例えば、いくつかの実施形態において、センサ・データおよび/またはスコアなどの処理済みのデータは、ラップトップ型コンピュータ、タブレット、スマートフォン、PDA等などの、装着者によって携帯される別個のデバイスへ送信されてもよい。他の実施形態において、データは、ローカル無線接続またはインターネット接続またはセルラ・データ接続を通じて、デスクトップ・コンピュータまたは他のデバイスなどの、別の場所に設けられるデバイスへ送信されてもよい。代替的にまたは付加的に、いくつかの実施形態において、送信機130は、未処理のデータおよび/または処理済みのデータを時計面ハウジング内の適切な受信デバイスまたはバンド100に接続される他のデバイスへ送るために使用され得る。いくつかの実施形態において、例えば、本願明細書に援用する米国特許出願第13/040,816号および/または米国仮特許出願第61/310,280号において説明されるように、送信されたデータは、装着者に対して、ならびに/または装着者の生理学的状態および/もしくは精神状態に関連する別の受信者に対して、警告を与えるために使用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、バンド100は、処理ユニット120によって制御される振動生成デバイス140を含み得る。デバイス140は、任意の適切な既知の形態または今後開発される形態を含む、バンド100の装着者に対して振動刺激を伝えることが可能な任意の適切な形態のデバイスとし得る。例示的な図1は、振動生成デバイス140をバンド100内の送信機130と同じアイランド上に収容されているものとして図示するが、これは単なる例であり、必須ではない。一般に、本明細書において説明される任意の構成要素は、任意の他の構成要素と別個に、または任意の他の構成要素と組み合わせて、
任意の基板アイランド上に設けられてもよく、実施形態は、この点において限定されない。さらに、いくつかの実施形態において、アイランドは、別個の基板またはリジッド基板なしに形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、1つまたは複数のアイランドを形成する、1つまたは複数の電子部品は、フレキシブル基板に対して直接取り付けられてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、処理ユニット120は、バイオセンサ110からのデータに基づいて識別されるような、装着者の生理学的状態および/または精神状態を装着者に対して警告するための振動刺激を伝えるために、振動生成デバイス140を作動させ得る。例えば、いくつかの実施形態において、振動警告は、装着者のストレス・レベルが任意の適切に指定された閾値を超えると決定される場合に、装着者に伝えられてもよく、この閾値は、ユーザによって、またはデフォルト標準値として指定されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、バンド100は、処理ユニット120、バイオセンサ110、および/またはバンド100に埋め込まれる任意の他の適切な電子部品に対して、バッテリから電子部品へ電力を搬送する1つまたは複数の電気接続を通じて電力を提供するための、1つまたは複数のバッテリ150をさらに含み得る。バッテリ150は、他の構成要素に関して分離されたアイランドおよび/または共有されたアイランド上で、バンド100内の任意の適切な位置に設けられてもよく、いくつかの実施形態においては、バンド100全体にわたる重量および/または体積のバランスを取るために、分散された場所にあってもよい。バンド100に埋め込まれた電子部品に電力供給することの代替として、またはこのことに加えて、いくつかの実施形態において、バンド100内の1つまたは複数のバッテリ150は、1つまたは複数の適切な電気接続を通じて接続機構108を通じて接続された場合に、時計面ハウジングに対して電力を提供してもよい。いくつかの実施形態において、無線送信機130の代替として、または無線送信機130に加えて、バンド100は、時計面ハウジングにデータおよび/またはバッテリ電力を伝えるように構成された1つまたは複数の電子インターフェース160を含んでもよい。電子インターフェース160は、データ接続および/または電力接続のための、任意の適切な既知の形態または今後開発される形態を含む、任意の適切な形態のインターフェースとし得る。
【0036】
図2は、バンド100がピン108を通じて時計面の例示的なハウジング200に接続され、バンド部分102とバンド部分104とが、留め具106を外すことによって互いに分離されている、図1からの例示的なウェアラブル装置の構成を例示する。この例において、電子インターフェース160は、バンド100内の構成要素からのデータおよび/または電力が時計面ハウジング200の構成要素へ通信され得るように、時計面ハウジング200を任意の適切な接続ポートを通じて接続する。
【0037】
図3は、装置が装着者の手首に固定される場合と同様に、ハウジング200の時計面ディスプレイ210が見える表側に裏返された、図2からの例示のウェアラブル装置を例示する。例示的なディスプレイ210は、いくつかの実施形態において、バイオセンサ・データに基づく生理学的データおよび/または警告が装着者に対して表示され得るパネル220を含む。このようなデータは、バンド100からインターフェース160を通じて時計面ハウジング200において受け取られてもよく、いくつかの実施形態においては、バンド100内の処理ユニット120によって、および/または時計面ハウジング200内の1つもしくは複数の他の処理ユニットによって処理されてもよい。
【0038】
図4には、バンド100の両端部がピン108を通じて時計面ハウジング200に接続され、留め具106がバンド部分102とバンド部分104とを共に留めるように、バンド100が環状構成に巻き付けられた状態の、前述の図からの例示のウェアラブル装置を例示する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のバイオセンサ110は、これ
らが環状構成の、時計面ハウジング200とは反対側に存在するような、バンド100における位置に設けられてもよく、これにより、時計面ハウジング200が、バンド100に接続され、図5Aのように装着者の手首の表側に(すなわち、手500の甲側に)装着される場合に、バイオセンサ110は、図5Bのように装着者の手首の裏側に(すなわち、手510の手の平側に)位置する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のバイオセンサ110は、装着者の橈骨動脈502および/または尺骨動脈504に近接した装着者の手首に接触する位置においてバンド100に設けられ得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサは、橈骨動脈502に近接して設けられてもよく、1つまたは複数の他のセンサは、尺骨動脈504に近接して設けられてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサは、橈骨動脈および/または尺骨動脈に近接して設けられてもよく、その一方で、1つまたは複数の他のセンサが、バンド100における1つまたは複数の他の異なる位置に設けられてもよい。図4および図5Aにも示されるように、いくつかの実施形態において、バンド100をバンド部分に分離させる留め具は、例えば、手首の裏側において1つまたは複数のバイオセンサのために場所を空けて、装着者の手首の裏側からずらした位置に設けられ得る。
【0039】
図6A図6Fには、上述されたような可撓性のバンドに埋め込まれ得る電子部品の組立体600の別の例示的な実施形態が例示される。図6A図6Fの図は、接続される構成要素の例示的な構成を例示するために、様々な分解レベルにおける組立体600を図示する。ただし、これは単に1つの例示的な例であることが認識されるべきである。本開示に係るいくつかの実施形態は、任意の特定の構成の構成要素に限定されず、図6A図6Fの例において例示される構成要素の全てのまたはいずれかの特定のセットを含むように限定されない。
【0040】
図6Aに示されるように、例示的な組立体600は、可撓性の接続領域614によって線形構成に分離および接続された、いくつかの堅固なアイランド612を含む。また、この例示的な組立体600は、アイランド602をその接続されたアイランド612上へ裏返すように曲がる可撓性の接続領域604によってアイランド612のうちの1つに接続された堅固なアイランド602を含む。この例が例示するように、アイランドは、任意の適切な構成に配置および接続されてもよく、線形構成に限定されず、同じ平面に存在するようにも限定されない。例示的な組立体600は、(マイクロプロセッサ620を見やすくするために、アイランド602が図から除去されている)図6Bに例示されるように、アイランド602の下のアイランド612に対して取り付けられたマイクロプロセッサ620を含む。図6Cに示されるように、心拍数センサ608は、マイクロプロセッサ620の上方のアイランド602を占有し、したがって、ウェアラブルバンドおよび装着者の手首もしくは他の身体部分に対して同じ線形位置にバイオセンサが配置されることをなおも可能にしつつ、マイクロプロセッサ620が組立体600上の空間を占有することを可能にする。
【0041】
図6Dは、バッテリ650と、2つの電気皮膚反応(GSR:galvanic skin response)センサ610と、装着者に対する触覚フィードバックのための振動生成モータ640とを含む例示的な組立体600のアイランド612上の付加的な電子部品の配置を例示する。ここでも、図6Dにおける例示的な構成は単に1つの例であり、限定となることを意図されないことが認識されるべきである。様々な実施形態は、図6Dに図示されるものとは異なる数および/またはタイプの電子部品を有してもよく、任意の適切な数の各タイプの構成要素が、任意の適切な構成において存在してもよい。例えば、センサ610の数は、2個に限定されず、他の実施形態は、0個、1個、2個、3個、または任意の他の適切な数のセンサ610を有してもよい。
【0042】
組立体600の例示的な構成において、バッテリ650およびモータ640は、バイオ
センサ608および610ならびにマイクロプロセッサ620とは別個のアイランド612を占有する。ただし、いくつかの実施形態は、この点において限定されない。上述されたように、可撓性の接続領域614における伸縮可能な導電性接続は、アイランド612間で、および、アイランド612上に収容される電子部品間で、電力、データ、および/またはコマンドを搬送し得る。バイオセンサ608および610の配置に従って、図6Dに示される図は、可撓性のバンドなどのウェアラブル装置に組込された場合に、装着者の手首または他の身体部分に面する、組立体600の表面のものである。例示的な組立体600は、無線送信機(例えば、ブルートゥース(登録商標))デバイス630も含み、無線送信機デバイス630は、図6Eに例示されるように、例えば、妨害が少ないデータ送信のために、組立体600の、装着者の手首または他の身体部分の外側を向く側で、アイランド612の反対側の面に取り付けられる。ただし、これは必須ではなく、他の電子部品が互いにこのような組立体の同じ側に取り付けられることも必須ではない。なぜなら、図6A図6Fにおける実施形態は、単なる例であるからである。
【0043】
図6Fは、完全な組立体600を例示しており、ここでも、装着者の手首または他の身体部分に面するように設計された側を見る。この図には、いくつかのキャップ660が示されており、キャップ660は、キャップ660が収容するそれぞれの電子部品を保護するために、任意の適切な保護材料(例えば、プラスチック、金属等)から形成され得る。例示の組立体600において、GSRセンサ610は、周囲キャップ660の開口を通じて突出しており、周囲キャップ660は、内在するマイクロプロセッサ620を保護および隔離するが、装着者の皮膚とのより直接的な接触のためにGSRセンサ610を突出させる。同様に、組立体600が組込されるバンドの表面(例えば、皮革表面)は、いくつかの実施形態において、GSRセンサ610が装着者の皮膚と接触するように、対応する開口を含んでもよく、または、他の実施形態において、バンド表面は、センサ610を覆って、ウェアラブル装置に切れ目のない美しさを与えてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のバイオセンサ・パッドは、センサと装着者の身体表面との間の接触を維持するために、備えられた追従性を有してもよい。なぜなら、身体表面は、位置、形状等を変化させるからである。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のばね状の材料および/または機構が、1つまたは複数のセンサの下に(すなわち、センサの、装着者の身体表面とは反対の側に)に設けられてもよく、センサを装着者の身体表面へ向けておよび/または装着者の身体表面内へ押し当てる傾向がある力を及ぼしてもよい。代替的にまたは付加的に、いくつかの実施形態において、センサを収容する可撓性のバンドは、装着者の身体表面に対してしっかりと固定して着用されるように、かつ、身体表面が動いてもセンサと装着者の身体表面との間の接触を維持するために適切な張力および弾性を有して設計され得る。
【0044】
いくつかの実施形態は、異なる身体的寸法の装着者のために異なって構成される、電子部品を組み込んだウェアラブル装置に関する。いくつかの実施形態において、電子部品の1つまたは複数を、装着者の1つまたは複数の対応する解剖学的構造に合わせて調整するために、異なる構成が設けられてもよい。いくつかの実施形態において、このような解剖学的構造は、1つまたは複数の血管、腺、および/または臓器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、手首に装着される装置は、1つまたは複数のセンサを、装着者の橈骨動脈および/もしくは尺骨動脈、ならびに/またはエクリン汗腺に合わせて調整するように構成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態は、例えば、装着者の身体計測値を求めることによって、バイオメトリック・センサなどの1つまたは複数の電子部品を装着者の生体構造の一部に適合させ、装着者の身体計測値に基づいて、その部品を装着者の解剖学的構造に合わせて適切に調整する構成において、その部品を収容するように、ウェアラブル装置を構成する方法に関する。例えば、いくつかの実施形態において、装着者の手首の周りの長さなどの、装着者
の解剖学的構造の異なる数値測定値を、ウェアラブル装置の異なる特定のサイズおよび/もしくは形状に対して、ならびに/またはウェアラブル装置内に収容される異なる特定の構成の電子部品に対して相互に関連付ける、1つまたは複数のテーブルなどのデータベースまたは他の関係構造が維持されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、バイオセンサ・デバイス構成要素は、センサが測定値を求めるように構成される解剖学的構造に合わせてセンサを調整することによって、測定値の確度を高めるように、および/または、例えば、快適さ、スタイル、目立たなさ等を促進することによって、装着性を高めるように、ウェアラブル装置に配置され得る。1つの特定の例において、手首に装着されるように設計された装置は、手首の橈骨動脈および/または尺骨動脈に対して適切な位置に保持されるセンサを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルバイオセンサ装置は、様々な身体的寸法の装着者および/または他の制約に対して様々に調整されてもよい。いくつかの実施形態において、このような調整は、(例えば、様々な構成要素の相対的な位置を維持しつつ、装置を拡大または縮小させることによって、単に装置全体の大きさを変えるというよりも)ウェアラブル装置のデバイス構成要素を互いに対して再配置することを伴ってもよく、ならびに/または、デバイス構成要素を追加および/もしくは除去すること、ならびに/もしくは特定のサイズに適応するように、および/もしくは装置を特定の装着者に適合させるように、個々の構成要素を再成形することを伴ってもよい。構成要素を再配置すること、追加すること、除去すること、および再成形することは、本明細書において、「再構成すること(recombining)」という包括的用語によって言及される。
【0047】
生理機能をモニタリングするための、ウェアラブルの技術についての設計のいくつかの実施形態は、身長、体重、ならびに/または他の身体的寸法および制約などの、個人固有の変数に依存し得る。手首は例示的な例である。神経系、血管系、汗腺、骨格系、および様々な受容体は全て、皮膚表面の近くに集中している。しかし、手首には、多種多様なサイズ、形状、体毛分布等がある。そのため、いくつかの実施形態は、十分に適合するために、および/または高いデータ品質のために、生体構造および生理機能が構築される様々な状態に適応し得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルバイオセンサ装置を作り出すために使用される材料は、適合し、伸張し、および/または一致するように設計されてもよく、一方で、回路は、特定の寸法および機能に適応するように構成され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、装着者の手首(または、他の適切な身体の場所)は、装置のセンサおよび/または他の電子部品が装着者の関連する解剖学的構造に関してセンサおよび/または他の電子部品の所望の位置に維持された状態で、ウェアラブル装置を装着者の生体構造に適合させるための最良な方法を決定するために測定され得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置のサイズおよび/または形状/スタイルの範囲は、様々な装着者サイズ・カテゴリ用に予め作られてもよい。他の実施形態において、ウェアラブル装置および/またはその電子部品のサイズ、形状および構成は、一人一人の装着者に合わせてカスタム化されてもよい。いくつかの実施形態において、身体の異なる部分に装着するための異なるウェアラブル装置に含めるために、および/または、異なるタイプの測定値が異なるレベルの適用性および/または重要性を有する異なる個人のために、異なる電子部品が選択されてもよい。いくつかの実施形態において、装着者は、ウェアラブル装置に含めるための所望の電子部品を選び、ならびに/または適切な電子部品が適応的に適合し得るウェアラブル装置についてのサイズおよび/もしくは形態上の制約を選び得る。
【0049】
いくつかの実施形態は、様々な人口統計学的差異および/または解剖学的差異のために、材料、技術、その時々の流行に適した再構成された形状およびサイズに技術を適応させ得るウェアラブルの工学的設計を提供し得る。例えば、女性は、平均して男性よりも小柄
であり、異なるファッション感覚および生体構造を有する。異なる構成要素どうしを再構成することによって、いくつかの実施形態は、生理機能と装着者の快適さとのバランスを取るように設計され得る。生理機能は、測定値において大きな差異を示し得るため、技術は、いくつかの実施形態において、優れた信号品質のために個々の装着者に適合するようにされ得る。設計される電子機器のいくつかの実施形態において、データ品質および装着者の快適さは、工学および/または製造上の制約に合わせて調節され得る。図7は、いくつかの実施形態において構成要素の設計および/または構成に影響を及ぼし得る例示的な設計基準を例示する。
【0050】
ウェアラブルバイオセンサを組み込む、いくつかの実施形態において、生理学的データは、身体から継続的に収集され得る。いくつかの実施形態は、ウェアラブル装置内のデバイス構成要素の配置において特定の解剖学的制約を考慮し得る。例えば、手首の外側と内側とでは、橈骨動脈および尺骨動脈ならびに関連付けられた血管系の場所を反映する解剖学的差異を示す。いくつかの実施形態において、手首に基づいた設計は、場所間のデータ品質の差異と、デバイスの機能についての必要な構成要素がどのように再配置および再設置され得るかとを考慮し得る。本明細書において説明される実装例は、例示的な例を表すに過ぎない。ウェアラブルの快適さのために生理機能と生体構造とのバランスを取るように設計された同様の構成は、いくつかの実施形態において、特に、装着者の頭部、腕、胴、脚、足、手、指、つま先、顔、首、腹部、肺、喉、腸、および/または生殖器用に作られてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置における様々な構成の構成要素に適応しつつ、特有の外形が課され得る。外部から見られる曲線部および直線部は、装置内に存在する電子部品の目立たなさを高め得る。例えば、いくつかの実施形態において、測定される特定の身体の臓器、腺、血管系等にも適合されるデバイス構成要素の配置を含めて、直線的な腕時計バンドというよりも、涙型または砂時計型の輪郭が課されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、例えば、1つまたは複数のバイオメトリック・センサおよび/または他の電子部品を収容する腕時計バンドは、このバンドの他の部分よりも幅が広いおよび/または厚い電子部品を収容する1つまたは複数の部分を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、腕時計バンドに収容される電子部品のうちの一部または全部は、手首の肉付きのよい裏側に装着されることとなる腕時計バンドの場所に配置されてもよく、バンドのこの部分は、手首の外側に装着される、バンドのより細い部分と比較して、広げられてもよい。いくつかの実施形態において、電子部品を収容するバンドのより厚い部分は、このように装着者の手首の典型的な配置からは目立たないように視界から遮られてもよく、一方で、バンドのより細い部分は、手首の両側および/または上側において、より見えやすくなり得る。いくつかの実施形態において、バンドの幅が広げられた部分および/または厚くされた部分は、例えば、図8に例示されるように、美的な魅力のために傾斜した外形および/または丸みを帯びた外形を有してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、幅を広げられた部分および/または厚くされた部分のサイズは、装着者の手首のサイズに合わせてカスタマイズされてもよく、これは、いくつかの実施形態において、バンドに収容される電子部品の選択および/または配置をカスタマイズすることを伴ってもよい。いくつかの実施形態において、バッテリなどの1つまたは複数の構成要素は、美観および/もしくは装着者の生体構造との適合性の目的のために、ウェアラブル装置の所望の外形に適合するように、特定の形状および/もしくはサイズに形成されてもよく、ならびに/または装着者の寸法および/もしくは空間へのより良好な適合を提供し、ならびに/もしくはウェアラブル装置の制約を形成するために、複数のより小さな構成要素へ分割されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態は、バッテリ・サブモジュール、データ収集/信号処理電子機器サブモジュール、感知サブモジュール、無線サブモジュール、および/またはメモリ・サブモジュールを含み得る組込型バイオセンサ集積モジュールに関する。サブモジュールは、生体適合性があり、(変化する手首の状態に適合するように)可撓性があり、(日常的な装着および裂傷に耐えるように)強固な材料にパッケージ化され得る。パッケージ設計は、快適さのための長期間の装着中の通気性、(非標準的な使用事例のための)防水および防塵、ならびに(ユーザに不快感を生じさせる、温度の急激な変化を回避するための)十分な熱容量を可能にし得る。パッケージは、多くの市販の腕時計と一体化し得る機械的インターフェースを有するように設計され得る。例えば、1つの例示的な実装例において、モジュールは、図9Aに例示されるように、(手首の内側において皮膚とリストバンドの上部との間で)リストバンドに適合してもよい。別の例示的な実装例において、モジュールは、図9Bに例示されるように、(手首の上側において腕時計ケースの内側と皮膚との間で)腕時計ケースに取り付けられてもよい。別の例示的な実装例において、モジュールは、図9Cに例示されるように、腕時計バンドと置換され、時計面の両側に取り付けられてもよい。他の実施形態において、モジュールは、腕時計には取り付けられず、ブレスレットなどの、任意の他の適切な手首装着用アクセサリに取り付けられてもよい。バイオセンサ・モジュール設計のいくつかの実施形態は、腕時計全体が日常的な装着および動きにさらされたとしても、高いデータ品質を確保するように皮膚に対する均一な接触を可能にし得る。
【0055】
いくつかの実施形態は、温度および湿度の変化する周囲条件および内部の生理学的反応に適応するように拡大および収縮する、手首の表面/形状に一致する、軽量で、生体適合性があり、かつ、可撓性がある材料を使用し得るバイオバンドに関する。例示的なバイオバンドの実施形態は、図10に例示されている。いくつかの実施形態において、データ収集および信号処理電子機器は、ある範囲の手首のサイズに快適に適合するように、基板の最適なレイアウトを可能にするようなアスペクト比を選択したSMT構成要素を搭載したリジッド・フレックスPCB基板から構築され得る。いくつかの実施形態において、可撓性のあるパッケージングは、手首の形状に一層適応し得る1つまたは複数の曲線状のバッテリを使用してもよい。バイオバンドの通気性のある設計と組み合わされた、結果として得られる適応性は、いくつかの実施形態において、ユーザに対して改良された快適さおよびデータ品質をもたらし得る。快適さは、バンドと手首の表面との間の最適な適合を確保することによって高められ得る。データ品質は、バンドを他の部分で不必要に締め付けること(および、ユーザに不快感を生じさせること)がないようにしつつ、日常的な装着中に経験されるいかなる動きからも独立して、センサ・パッドを皮膚インターフェースに保つことによって高められ得る。いくつかのバイオバンドの実施形態において、感知モジュールは、(最適なデータ品質および美観のために任意のカスタム・パターンで)バンドの表面へインクジェット印刷され得る塩化銀インクを組み込んでもよい。いくつかの実施形態において、感知モジュールは、手首の内側に設けられ得る。手首の内側では、いかなる堅固な構成要素も、手首の両側および/または外側の骨ばった構造とは対照的に、肉付きのよい構造に対して、より快適に押し当てられるように感じ得る。いくつかの実施形態において、バッテリは、最も堅い構成要素となることがあり、したがって、手首の内側において中心に位置付けられ得る。他方で、より可撓性のある構成要素(いくつかの実施形態においては、フレックス回路およびフレキシブル・プリント基板(PCB)基板などの、可撓性のある電子機器を含む)は、不快感を生じさせずに、手首(例えば、手首の両側および/または外側)の骨ばった部分に設けられ得る。このような配置上の制約は、上述された腕時計および/または集積モジュールの実施形態などの、他の実施形態に同様に適用され得る。いくつかの実施形態において、センサは、橈骨動脈および尺骨動脈の場所に合わせられるように配置されて、高い信号対雑音比を確保し得る。バイオバンドは、高度な個人化のために、任意の色および/または印刷パターンで提供され得る。いくつかの実施形態において、バイオバンドは、例えば、時計面をバイオバンドに取り付けることによっ
て、腕時計用の基本バンドとして使用されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態は、伸縮可能な電子機器およびバッテリを備えた、伸縮可能なおよび/または可撓性の基板から作られ得るバイオパッチに関する。このようなバイオパッチは、おそらくはバイオバンドに設けられる、本明細書において説明される構成要素のうちの一部または全部を含み得る。いくつかの実施形態において、パッチは、信号対雑音比を最大化するために、橈骨動脈および尺骨動脈の場所において手首の内側に貼り付けられ得る。ただし、バイオパッチの他の実施形態は、任意の他の適切な解剖学的な場所における配置用に構成されて、その場所の解剖学的構造から適切な測定を行い得る。いくつかの実施形態において、パッチは、個人の皮膚色に調和するように適合されてもよく、または、タトゥーのような装飾的/スタイリッシュな特徴を模倣することができる。いくつかの実施形態において、バイオパッチは、日常的な装着に容易に適合することができるように、防水性とし得る。いくつかの実施形態において、パッチは、一定の寿命を有してもよく、その一定の寿命の後に、パッチは、皮膚層と共に剥がれ、または皮膚内で生分解されてもよい。いくつかの実施形態において、パッチはあらゆる状況を通じて皮膚にぴったりくっつくので、感知モジュールは、高いデータ品質のために、皮膚との高度な接触を維持し得る。いくつかの実施形態において、パッチは生体適合性があり、かつ、非常に薄いので、高い快適さも提供し得る。
【0057】
いくつかの実施形態は、強靭で生体適合性がある材料から作られ、手首の内側で(橈骨動脈および尺骨動脈の場所において)または任意の他の適切な場所で皮膚内に挿入される低侵襲的処置を必要とし得る形状であり得るバイオインプラントに関する。いくつかの実施形態において、インプラントは、身体の熱および動きを電源として使用してもよく、外部電源を必要としなくてもよい。いくつかの実施形態において、電子機器は、伸縮可能であり、最も高い信号対雑音比を取得するために、(例えば、(副腎系による汗腺の神経支配の測定のために)エクリン汗腺ならびに橈骨動脈および尺骨動脈の近くに)最適に配置され得る。いくつかの実施形態において、インプラントは、一定の、ただし、合理的な寿命を有してもよく、この寿命の後に、インプラントは、身体内へ生分解および吸収され、身体の老廃物と共に排出され得る。
【0058】
いくつかの実施形態は、センサなどの1つまたは複数の電子部品を収容し、電子部品のうちの1つまたは複数を装着者の1つまたは複数の対応する解剖学的構造に合わせるために、様々な身体的寸法を有する装着者に対して様々に構成されるウェアラブル装置を対象としていることが、前述の内容から認識されるべきである。いくつかの実施形態は、電子部品のうちの1つまたは複数を装着者の手首の裏側に接触した状態で維持する、1つまたは複数の電子部品を収容するバンドに関する。
【0059】
いくつかの実施形態は、装着者の身体計測値を求め、この装着者の身体計測値に基づいて、構成要素を装着者の解剖学的構造に適切に合わせる構成において構成要素を収容するようにウェアラブル装置を構成することによって、バイオメトリック・センサなどの1つまたは複数の電子部品を装着者の生体構造の一部に適合させる方法に関する。例えば、1つのタイプの実施形態は、可撓性のバンドの少なくとも1つの端部と時計面のハウジングとを接続するように構成された少なくとも1つの接続機構を有する可撓性のバンドを備える、ウェアラブル装置を提供する方法であって、装着者の手首の少なくとも1つのサイズ測定値を取得する工程と、この少なくとも1つのサイズ測定値に基づいて、可撓性のバンドを選択する工程と、時計面ハウジングが装着者の手首の表側に装着され、可撓性のバンドに接続された場合に、1つまたは複数のバイオセンサのうちの第1のバイオセンサが装着者の手首の裏側に対して配置されるように、1つまたは複数のバイオセンサを可撓性のバンドにおいて配置する工程と、を含む方法を対象とする。
【0060】
本明細書において使用される表現および用語は、説明の目的のためのものであり、限定としてみなされるべきではない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」およびこれらのバリエーションの使用は、その後に列挙される項目と、付加的な項目とを包含することを意味する。クレーム要素を修飾するための、特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」等などの順序を示す用語の使用は、それ自体でいかなる優先度、優位性、または、あるクレーム要素の他のクレーム要素に対する順序、もしくは方法の動作が行われる時間的順序も暗示するものではない。順序を示す用語は、単に、一定の名称を有する1つのクレーム要素を(順序を示す用語の使用を除いて)同じ名称を有する別のクレーム要素と区別するためのラベルとして使用して、クレーム要素を区別するために使用される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたが、様々な変形例および改善例は、当業者が容易に想到するであろう。このような変形例および改善例は、本発明の精神および範囲内に存在することが意図される。したがって、前述の説明は、ほんの例に過ぎず、限定として意図されるものではない。本発明は、下記の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されるようにのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
【国際調査報告】