特表2017-514742(P2017-514742A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-514742自動車用のエアブレーキ装置及びエアブレーキ装置を作動させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-514742(P2017-514742A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】自動車用のエアブレーキ装置及びエアブレーキ装置を作動させるための方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/36 20060101AFI20170512BHJP
   B60T 13/68 20060101ALI20170512BHJP
   B60T 8/00 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   B60T13/36
   B60T13/68
   B60T8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-564336(P2016-564336)
(86)(22)【出願日】2015年4月11日
(85)【翻訳文提出日】2016年10月25日
(86)【国際出願番号】EP2015000762
(87)【国際公開番号】WO2015169417
(87)【国際公開日】20151112
(31)【優先権主張番号】102014006614.2
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】リュルフィング・ラルフ−カルステン
(72)【発明者】
【氏名】オトレンバ・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュトラッヘ・ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048AA03
3D048BB59
3D048CC44
3D048HH05
3D048HH27
3D048HH31
3D048HH66
3D048HH68
3D048RR06
3D246AA13
3D246BA03
3D246DA01
3D246GA17
3D246HA42A
3D246HC01
3D246JB05
3D246JB30
3D246JB35
3D246JB52
3D246LA32Z
(57)【要約】
本発明は、1つのブレーキ信号送信機と、1つの供給圧力タンク11と、車輪ごとに空気圧式に操作可能な1つの車輪ブレーキ9と、自動車の少なくとも1つの車軸とを備える前記自動車用のエアブレーキ装置に関する。前記自動車が、それぞれの前記車輪ブレーキ9の目標ブレーキ圧力を設定するために車輪ごとに電気式に操作可能なそれぞれ1つの車輪ブレーキモジュール12を有する。1つの電子制御装置が、前記ブレーキ信号送信機を考慮して前記車輪ブレーキ9の目標ブレーキ圧力のプリセット値を決定する。それぞれの車輪ブレーキモジュール12が、少なくとも1つの通気弁19と1つの排気弁20と、前記通気弁19及び/又は前記排気弁20を駆動するための電気式に操作可能な駆動手段25と、前記目標ブレーキ圧力のための前記プリセット値に応じて前記駆動手段25に対する操作信号を生成するための手段を有する。さらに、本発明は、エアブレーキ装置を作動するための方法に関する。前記エアブレーキ装置の製造コストを下げ、構造寸法を小さくするため、本発明によれば、前記供給圧力タンク11からの空気圧力が、前記通気弁19の操作状態中にそれぞれの前記車輪ブレーキ9に対して直接に導通制御可能であるように、及び/又は、前記排気弁20が、前記車輪ブレーキ9のブレーキ圧力を操作状態中に大気中へ直接に解放するように、前記通気弁19とその駆動手段25とが構成されていることが提唱されている。(図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのブレーキ信号送信機(14)と、1つの供給圧力タンク(11)と、車輪(3,4)ごとに空気圧式に操作可能な1つの車輪ブレーキ(9)と、自動車(2)の少なくとも1つの車軸(5)とを備える前記自動車(2)用のエアブレーキ装置であって、前記自動車(2)が、それぞれの前記車輪ブレーキ(9)の目標ブレーキ圧力を設定するために車輪(3,4)ごとに電気式に操作可能なそれぞれ1つの車輪ブレーキモジュール(12,13)と、前記ブレーキ信号送信機(14)を考慮して前記車輪ブレーキ(9)の目標ブレーキ圧力のプリセット値(41)を決定するための1つの電子制御装置(17)とを有し、この電子制御装置(17)が、前記車輪ブレーキモジュール(12,13)をプリセット可能であり、それぞれの車輪ブレーキモジュール(12,13)が、
・少なくとも1つの通気弁(19)と1つの排気弁(20)と、
・前記通気弁(19)及び/又は前記排気弁(20)を駆動するための電気式に操作可能な駆動手段(25)と、
・前記目標ブレーキ圧力のための前記プリセット値(41)に応じて前記駆動手段(25)に対する操作信号(36)を生成するための手段を有する1つの制御論理部(26)とを備える当該ブレーキ装置において、
前記供給圧力タンク(11)からの空気圧力が、前記通気弁(19)の操作状態においてそれぞれの前記車輪ブレーキ(9)に対して直接に導通制御可能であるように、及び/又は、前記排気弁(20)が、前記車輪ブレーキ(9)のブレーキ圧力を操作状態中に大気中へ直接に解放するように、前記通気弁(19)とその駆動手段とが構成されていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
前記通気弁(19)の前記駆動手段は、電気式に操作可能な1つの通気パイロット弁(29)を有し、前記通気弁(19)が、この通気パイロット弁(29)によって操作可能であることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記車輪ブレーキモジュール(12,13)の前記制御論理部(26)は、パルス変調される操作信号(36)を通気パイロット弁(29)のために生成するための手段を有し、それぞれの前記車輪ブレーキモジュール(12,13)のために前もって決定された1つの特性図(47)が、それぞれの車輪ブレーキモジュール(12,13)の前記制御論理部(26)に割り当てられていて、前記特性図(47)が、目標ブレーキ圧力に応じて前記操作信号(36)のための時間離散型信号シーケンスに関する情報を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記駆動手段用の前記制御論理部(26)は、前記目標ブレーキ圧力を制御するための制御回路として構成されていて、この制御回路は、前記通気弁(19)と前記車輪ブレーキ(9)との間の圧力媒体配管(10)内の1つの圧力センサ(18)のセンサ信号を実際のブレーキ圧力(44)として考慮することを特徴とする請求項3に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
パルス幅変調された操作信号(36,38,39)を特徴とする請求項3又は4に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
少なくとも1つの多重化制御回路(48)が、連続して算出可能な1つの走行状態変数(49)を考慮して前記目標ブレーキ圧力のための前記プリセット値(41)を計算して適合するために設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
測定される車輪回転数を走行状態変数(49)として考慮する1つの多重化制御回路(48)を特徴とする請求項6に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
前記自動車(2)のヨーレートを走行状態変数(49)として考慮する1つの多重化制御回路を特徴とする請求項6又は7に記載のブレーキ装置。
【請求項9】
前記排気弁(20)の前記駆動手段(25)は、電気式に操作可能な1つの排気パイロット弁(32)を有し、前記排気弁(20)が、この排気パイロット弁(32)によって駆動可能であり、前記車輪ブレーキモジュール(12,13)の前記制御論理部(26)は、前記排気パイロット弁(32)用のパルス変調された操作信号を生成するための手段を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
【請求項10】
貨物自動車用の請求項1〜9のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のエアブレーキ装置を作動するための方法であって、電気式に操作可能な複数の車輪ブレーキモジュール(12,13)が、自動車(2)の少なくとも1つの車軸(5)のそれぞれの車輪(3,4)に前記それぞれの車輪(3,4)の車輪ブレーキ(9)の1つの目標ブレーキ圧力を設定し、前記車輪ブレーキ(9)の目標ブレーキ圧力のプリセット値(41)が、1つのブレーキ信号送信機(14)を考慮して決定され、前記車輪ブレーキモジュールの通気弁(19)と排気弁(20)とが、電気式に操作可能な駆動手段によって駆動され、1つの制御論理部(26)が、前記目標ブレーキ圧力のための前記プリセット値(41)に応じて前記駆動手段のための操作信号(36,38,39)を生成する当該方法において、
前記通気弁(19)が、電気式に操作される1つの駆動手段(25)によって操作され、操作状態中に1つの供給圧力タンク(11)からの空気圧力をそれぞれの前記車輪ブレーキ(9)に対して直接に制御し、及び/又は、前記排気弁(20)が、前記車輪ブレーキ(9)のブレーキ圧力を操作状態中に大気中へ直接に解放することを特徴とする方法。
【請求項12】
電気式に操作可能な1つの通気パイロット弁(29)が、前記通気弁(19)を制御することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記通気パイロット弁(29)は、前記制御論理部(26)のパルス変調された操作信号(36,38,39)によって作動され、前記操作信号(36)のための時間離散型信号シーケンスに関する情報が、目標ブレーキ圧力に応じて、それぞれの前記車輪ブレーキモジュール(12,13)に対して前もって決定された1つの特性図(47)から取り出されることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記通気パイロット弁(29)は、パルス幅変調された操作信号(36)によって作動されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記目標ブレーキ圧力は、前記ブレーキ圧力の測定される実際値(44)を考慮して前記操作信号(36,38,39)の時間離散型信号シーケンスを変更することによって制御されることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記プリセット値(41)は、少なくとも1つの多重化制御回路(48)内で1つの走行状態変数(49)を考慮して計算されて適合されることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ブレーキ圧力の測定される実際値(44)が存在しない場合、前記ブレーキ圧力の制御用の別の1つの車輪(3,4)の車輪ブレーキモジュール(12,13)からの実際の圧力(44)が使用されることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ブレーキ圧力の実際値(44)が、車輪(3,4)から検出されない場合、前記ブレーキ圧力が、前記目標ブレーキ圧力の前記プリセット値(41)に基づいて制御されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車用のエアブレーキ装置に関する。さらに、本発明は、請求項10の上位概念に記載の自動車用のエアブレーキ装置を作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用のエアブレーキ装置は、自動車の1つの車輪当たり空気圧式に操作可能な車輪ブレーキを有する。この場合、車輪ブレーキ用の空気圧式の作動媒体が、供給圧力タンク内に静圧の下で準備されている。当該ブレーキ装置は、ブレーキ信号送信機を有する。このブレーキ信号送信機は、自動車の運転者によって操作可能なブレーキペダルの移動に連動し、このブレーキペダルの操作時にブレーキ要求信号を生成する。ブレーキ目標圧力が、当該ブレーキ要求信号に応じて車輪ブレーキに印加される。
【0003】
欧州特許第2077215号明細書は、自動車用のこのようなエアブレーキ装置を開示する。この場合、1台の自動車が、それぞれの車輪ブレーキの目標ブレーキ圧力を設定するために車輪ごとに電気式に制御可能なそれぞれ1つの車輪ブレーキモジュールを有する。この場合、電子制御装置が、ブレーキ信号送信機を考慮して当該車輪ブレーキのための目標ブレーキ圧力のプリセット値を決定する。この場合、当該目標ブレーキ圧力のプリセット値が、当該車輪ブレーキモジュール内にプリセットされる。当該既知のエアブレーキ装置は、1つの車軸の2つの車輪ブレーキ用の共通な1つの車輪ブレーキモジュールを有する複数の実施の形態も、1つの車軸の複数の車輪がそれぞれ1つの車輪ブレーキモジュールを備えている1つの実施の形態も意図している。
【0004】
この場合、当該車輪ブレーキモジュールは、少なくとも1つの通気弁と1つの排気弁とを有する。この場合、当該通気弁は、当該車輪ブレーキを駆動するために操作される。例えば、制動過程を終了するために、当該車輪ブレーキのブレーキシリンダが排気され、この場合、排気弁が操作され、当該ブレーキシリンダが、車外へ排気される。当該通気弁及び/又は当該排気弁を駆動するため、車輪ブレーキモジュールが、電気式に操作可能な駆動手段を有する。当該駆動手段は、操作信号を通じて制御論理部によって制御可能である。当該車輪ブレーキモジュールを操作するため、当該制御論理部は、目標ブレーキ圧力のためのプリセット値に応じて当該駆動手段用の操作信号を生成するための手段を有する。
【0005】
当該既知のエアブレーキ装置の場合、リレー弁が、通気と排気との双方のために設けられている。これにより、弁、特に通気弁を操作するための制御圧力が、車輪ブレーキの作動圧力から隔離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2077215号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、1台の自動車の1つの車軸の2つの車輪のための車輪ブレーキモジュールを有するエアブレーキ装置の製造コストを下げ且つ構造寸法を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載の特徴を有するエアブレーキ装置によって解決される。さらに、この課題は、請求項11に記載の特徴を有するエアブレーキ装置を作動させるための方法によって解決される。
【0009】
本発明によれば、前記供給圧力タンクからの空気圧力が、前記通気弁の操作状態中にそれぞれの前記車輪ブレーキに対して直接に導通制御可能であるように、前記通気弁とその駆動手段とが構成されている。この代わりに又はこれに加えて、前記車輪ブレーキのブレーキ圧力が、前記排気弁の操作状態中に大気中へ直接に解放されるように、前記排気弁とその駆動手段とが構成されている。コストの理由から、1つの車軸の2つの車輪用の共通の1つの車輪ブレーキモジュールの代わりに、分離された複数の車輪ブレーキモジュールが設けられる場合、従来必要であった複数のリレー弁が、前記供給圧力タンクから直接それぞれの前記車輪ブレーキへの空気圧力の本発明による導通制御によって代替される。こうして、前記ブレーキ装置の構造寸法が小さくされ得、前記製造コストも、構成部品の削減によって低下され得る。
【0010】
上記の供給圧力タンクからの空気圧力の導通制御は、供給圧力タンクからの空気圧力が、通気弁の開口時に車輪ブレーキ又は当該車輪ブレーキ内に形成された空気圧シリンダに直接に作用することを意味する。前記通気弁自体の操作は、電気式に操作可能な駆動手段によって実行される。
【0011】
好適な実施の形態では、前記通気弁の駆動手段が、電気式に操作可能な通気パイロット弁を有する。前記通気弁が、この通気パイロット弁によって操作可能である。このパイロット弁が、電気操作時に開き、本発明の好適な実施の形態では前記供給圧力タンクの空気圧力を前記通気弁のアクチュエータに切り替える。これにより、このアクチュエータは、空気圧式に操作されて開く。この通気弁と、この通気弁の電気式に操作可能な通気パイロット弁とが、通気弁群を構成する。この通気弁群の場合、前記供給圧力タンクからの空気圧力が、前記通気弁を操作するために間接に使用されるものの、前記空気圧力は、前記車輪ブレーキに直接に導通接続される。本発明の別の好適な実施の形態では、前記排気弁の駆動手段も、電気式に操作可能な排気パイロット弁を備えている。前記排気弁が、この排気パイロット弁によって操作可能である。好適な実施の形態では、前記通気パイロット弁又は前記排気パイロット弁は、電気式に操作可能な電磁弁として構成されている。
【0012】
本発明の別の好適な実施の形態は、上記のパイロット弁とは違う電気式に操作可能な駆動手段、例えば、ステップモータ又は前記電磁弁とは違う種類の電気弁によって達成される。
【0013】
車輪モジュールの制御論理部が、電気式の駆動手段、特に通気パイロット弁用のパルス変調された操作信号を生成するための手段を有する場合、前記ブレーキシリンダ内の急激な圧力上昇が達成される。この場合、パルス変調された信号は、個別の複数のパルスから成る時間離散型信号列を意味する。この場合、前記駆動手段が、前記時間離散型信号列にしたがって短い期間ごとにオン・オフされる。パイロット弁としての前記駆動手段の実施の形態では、前記パイロット弁が、前記制御論理部のパルス幅変調された操作信号によって絶え間なくオン・オフされる。この場合、前記車輪ブレーキ内の急激な圧力上昇が、当該変調の適切なパルスパターンによって達成される。排気弁と電気式に操作可能な駆動手段とを有する排気弁群の本発明の実施の形態では、前記排気弁の駆動手段が、前記通気弁の制御に応じて同様にパルス変調された操作信号によって制御される。
【0014】
自動車のブレーキ操作時に、様々な理由から、例えば複数のブレーキライニングの相違から、自動車の横滑り(斜め進行)が発生し得る。また、2つの車輪の車輪ブレーキが、制動意図に対して異なる応答特性を示すこともある。例えば、空気圧に関与する構成部品の既に僅かに異なる幾何学形状、例えば製造公差の範囲内で既に異なる幾何学形状が、2つの車輪のブレーキシステムの相違する応答特性を引き起こす。それ故に、特に好ましくは、それぞれの車輪ブレーキモジュールのために前もって決定された特性図が、それぞれの車輪ブレーキモジュールの制御論理部に割り当てられる。この特性図は、目標ブレーキ圧力に応じた操作信号のための時間離散型信号列に関する情報を有する。上記のそれぞれの車輪ブレーキモジュールに固有の特性図の決定は、僅かな相違、例えば、場合によってはブレーキシリンダを含む弁構成群の全容積における幾何学的な相違を考慮し、個々の車輪ブレーキモジュールのための最適な信号列又はパルスパターンを含む。当該最適な信号列又はパルスパターンの場合、目標ブレーキ圧力が、可能な限り速く確立される。この場合、異なる目標ブレーキ圧力ごとに最適なパルスパターン又は離散型信号列が、前記パルス幅変調された操作信号に対して決定され、例えば、前記制御論理部の記憶素子内に提供される。それ故に、前記車輪ブレーキモジュールは、最初の作動前に、目標ブレーキ圧力に応じて最適な時間離散型信号列を有する特性図の決定時にいわば学習される。
【0015】
好ましくは、前記駆動手段用の制御論理は、前記目標ブレーキ圧力を制御するための制御回路として構成されている。この制御回路は、前記通気弁と前記車輪ブレーキとの間の圧力媒体配管内の圧力センサのセンサ信号を実際のブレーキ圧力として考慮する。前記パルス変調された操作信号のパルスパターンが、前記実際のブレーキ圧力を希望する目標ブレーキ圧力に適合するための制御変数として変更される。特に好ましくは、パルス幅変調された複数の操作信号が生成される。この場合、前記圧力上昇の特性が、当該パルス幅の変更によって制御され得る。したがって、例えば、パルス幅、すなわち前記駆動手段が作動している期間の時間の長さを拡張することによって、一般に、前記圧力上昇の急峻な勾配が達成される。
【0016】
別の好適な実施の形態では、1つの重畳制御回路が、連続して算出可能な走行状態変数を考慮して前記目標ブレーキ圧力のためのプリセット値を計算して適合するために設けられている。この場合、この重畳制御回路は、プリセットされている目標ブレーキ圧力を自動車の実際の走行挙動に適合するために使用される。これにより、制動過程時の自動車の横滑りが、防止されるように作用する。自動車の横滑り傾向が、当該連続して算出された走行状態変数を考慮することによって認識され、異なる複数の車輪ブレーキモジュールごとに前記目標ブレーキ圧力を適切に制御又は適合することによって防止される。すなわち、前記重畳制御回路は、前記目標ブレーキ圧力のための前記プリセット値を計算して適合するために、前記目標ブレーキ圧力が前記ブレーキ信号送信機の作動に応じて最初に決定されたように、当該目標ブレーキ圧力を、場合によっては起こり得る横滑り傾向のある状況に適合させる。
【0017】
好適な1つの実施の形態では、1つの重畳制御回路が、測定される車輪回転数を走行状態変数として考慮する。複数の車輪ブレーキモジュールが割り当てられている2つの車輪の測定される車輪回転数が、互いに異なる場合、横滑り傾向が推測され得る。前記重畳制御回路は、目標ブレーキ圧力のためのプリセット値をそれぞれの車輪ブレーキモジュールに適合させる。
【0018】
別の好適な実施の形態では、自動車のヨーレートを走行状態変数として考慮する1つの重畳制御回路が設けられている。本発明の別の実施の形態では、複数の重畳制御回路が、目標ブレーキ圧力のためのプリセット値を計算して適合するために設けられている。これにより、パルス変調された操作信号が計算される当該プリセット値が、さらに最適化される。適切な走行状態変数が、例えば走行アシストシステムの制御装置から提供され得る。
【0019】
本発明のブレーキ装置を有する自動車は、特に貨物自動車であり、例えばトラクター又はバスである。
【0020】
以下に、本発明の複数の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】エアブレーキ装置の1つの実施の形態の電気及び空気圧回路を示す。
図2】1つの車輪ブレーキモジュールの1つの実施の形態の電気及び空気圧回路を示す。
図3】パルス幅変調された操作信号の1つの実施の形態の時間的経過を示す。
図4】広いパルス幅を有するパルス幅変調された操作信号の時間的経過を示す。
図5】狭いパルス幅を有するパルス幅変調された操作信号の時間的経過を示す。
図6】異なる複数のパルス幅に対する車輪ブレーキの圧力上昇のグラフ変化を示す。
図7】エアブレーキ装置を作動させるための方法の1つの実施の形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、自動車、すなわち2軸貨物自動車2用のエアブレーキ装置1の一部を概略的に示す。この概略図では、貨物自動車2のうち、前車軸5の左前車輪3及び右前車輪2と、後車軸8の左後車輪6及び右後車輪7とが示されている。
【0023】
空気ブレーキ装置1は、1つの車輪3,4,6,7当たり1つの空気圧式車輪ブレーキ9を有する。これらの車輪ブレーキ9は、それぞれ1つのブレーキシリンダを有する。車輪ブレーキ9を起動するため、ブレーキ圧力が、圧力媒体配管10を通じて当該ブレーキシリンダに印加可能である。ブレーキ圧力又は静圧下にある圧縮空気を提供するため、空気ブレーキ装置1は、1つ又は複数の供給圧力タンク11を有する。電気式に制御可能な1つの車輪ブレーキモジュール12,13が、供給圧力タンク11とそれぞれの車輪ブレーキ9のための圧力媒体配管10との間の流体接続部分に配置されている。この車輪ブレーキモジュール12,13は、以下でさらに詳しく説明する方式において、それぞれの車輪ブレーキ9内のブレーキ圧力の立ち上がりを制御する。それぞれ1つの車輪モジュール12,13が、前車軸5のそれぞれの車輪3,4に割り当てられている。したがって、第1車輪ブレーキモジュール12は、左前車輪3のブレーキ挙動を制御する一方で、第2車輪ブレーキモジュール13は、右前車輪のブレーキ挙動を制御する。
【0024】
ブレーキ装置1は、ブレーキ信号送信機14をさらに有する。このブレーキ信号送信機14は、自動車2の運転室のキャビン内に、好ましくはペダルを有し、運転者によって操作可能である。ブレーキ信号送信機14は、このペダルの操作時に当該運転者の制動意図示すブレーキ信号15(図7)を生成する。ブレーキ信号15を伝送するため、ブレーキ信号送信機14は、ブレーキ信号線16を通して電子制御装置17に信号を伝送するように接続されている。電子制御装置17は、ブレーキ信号送信機14を考慮して車輪ブレーキ9の目標ブレーキ圧力のプリセット値を決定するように構成されている。電子制御装置17は、左前車輪3用の第1車輪ブレーキモジュール12と、右前車輪4用の第2車輪ブレーキモジュール13との双方に信号を伝送するように接続されている。
【0025】
それぞれの車輪ブレーキ9内のその時の実際のブレーキ圧力を検出する圧力センサ18が、それぞれの車輪ブレーキ9に割り当てられている。それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13が、所定の目標ブレーキ圧力に調整するために、これらの圧力センサ18のそれぞれの車輪ブレーキ9の当該その時の実際のブレーキ圧力を使用する。圧力センサ18は、それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13に信号を伝送するように接続されていて、それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13と構造的に一体化されてもよい。
【0026】
図2は、車輪ブレーキモジュール12の空気圧回路を示す。この場合、図1中の同じ符号は、それぞれ同じ構成部品に対して使用されている。
【0027】
車輪ブレーキモジュール12は、1つの車輪3の車輪ブレーキ9と供給圧力タンク11との流体接続部分を制御し、通気弁19と排気弁20とを有する。通気弁19は、開状態で供給圧力タンク11から直接車輪ブレーキ9までの空気圧力を制御する。通気弁19及び排気弁20は、当該図示された実施の形態では、2/2方向切換弁として構成されていて、したがって開位置と閉位置との間でそれぞれ切り替え可能である。通気弁19は、供給接続部21を有する。この供給接続部21は、この通気弁の開位置で作動接続部22に接続されている。当該排気弁が、適切な構造で供給接続部23を有する。この供給接続部23は、車輪ブレーキ9を排気するために、大気に通じる作動接続部24に接続可能である。
【0028】
通気弁19の供給接続部21が、供給圧力タンク11に接続されている。すなわち、直接の流体接続部分が存在する。通気弁19の作動接続部22が、車輪ブレーキ9と直接に接続する。これにより、この通気弁19の開状態での直接の制御が保証されている。
【0029】
それぞれの車輪ブレーキモジュール12は、通気弁19及び/又は排気弁20を駆動するために、電気式に操作可能な駆動手段25をさらに有する。それ故に、通気弁19は、電気式操作によって間接に駆動可能である。これにより、供給圧力タンク11から車輪ブレーキ9までの空気圧力が、直接に制御される。目標ブレーキ圧力のためのプリセット値に応じて駆動手段25のための操作信号を生成するため、制御論理部26が、車輪ブレーキモジュール12に割り当てられている。この場合、制御論理部26は、それぞれの車輪3のそれぞれの車輪ブレーキモジュール12ごとに別々に設けられている。車輪ブレーキ9に至る圧力媒体配管10内のブレーキ圧力の実際値が、圧力センサ18によって制御論理部26に連続してプリセットされる。
【0030】
1つの実施の形態では、制御論理部26の電子回路システムが、車輪ブレーキモジュール内に格納されてもよい。別の実施の形態では、電子制御装置17(図1)が、接続されている車輪ブレーキモジュール12,13の制御論理部26のための電子設備を有する。上記の全ての実施の形態では、相互の情報交換、特にバスシステム(CAN)を介して操作信号とセンサ信号との伝送が可能である。
【0031】
通気弁19及び排気弁20は、空気圧で操作可能な弁として構成されている。図2による好適な実施の形態では、電気式に操作可能なそれぞれ1つのパイロット弁が、駆動手段25として設けられている。通気パイロット弁29の作動接続部28が、通気弁19の空気圧制御入力部27に接続されている。通気パイロット弁29の供給接続部30が、圧力タンク、当該図示された実施の形態では供給圧力タンク11に接続する。
【0032】
適切な電気操作信号が、制御論理部26から当該通気パイロット弁の電気制御入力部31に入力可能である。通気パイロット弁29が開かれると、この通気パイロット弁29は、供給圧力タンク11を通気弁19の空気圧制御入力部27に接続し、供給圧力タンク11から車輪ブレーキ9までの空気圧力を直接に印加する。
【0033】
排気弁20の駆動手段が、電気式に操作可能な排気パイロット弁32を有する。この排気パイロット弁32の作動接続部33が、排気弁20の空気圧制御入力部55に作用する。排気パイロット弁32の供給接続部34が、駆動手段25の別のパイロット弁と同様に供給圧力タンク11に接続されている。排気パイロット弁32の電気制御入力部35が、制御論理部26によって制御可能である。
【0034】
別の実施の形態では、操作のためのステッピングモータが、電気式に操作可能な駆動装置として通気弁19及び/又は排気パイロット弁20に割り当てられている。
【0035】
制御論理部26は、通気パイロット弁29のためのパルス幅変調された操作信号を生成する。当該実施の形態では、車輪ブレーキモジュール12,13が、パルス幅変調された操作信号によって操作される。このようにパルス幅変調された操作信号の時間的経過に対する例が、図3〜5に示されている。この場合、図3は、既定のパルス幅37を有するパルス幅変調された操作信号36の1つの実施の形態を示す。図4には、図3の操作信号36に比べて広くされたパルス幅37を有する操作信号38の時間的経過が示されている。図5による操作信号39の時間的経過の場合、パルス幅37が、図3の操作信号36に比べて狭くされている。
【0036】
パルス幅変調された操作信号が、それぞれの車輪ブレーキ内の急激な圧力上昇を所定のパルス幅によって可能にする。パルス幅37の変化の影響が、図6の当該圧力上昇の時間的経過で示されている。広くされたパルス幅を有する操作信号38の場合、狭いパルス幅の場合よりも圧力上昇の急峻な勾配と全体的により急激な圧力上昇とが発生する。それ故に、目標ブレーキ圧力に応じた当該圧力上昇の時間的経過と当該ブレーキ圧力の大きさとが、1つの車輪ブレーキモジュールの操作信号のパルス幅を変更することによって影響され、特に制御され得る。
【0037】
具体的なブレーキ状況に対して最適化されたパルス幅が、当該制御論理部によって連続して決定される。所定の圧力上昇の挙動に応じた所定のパルス幅を有するパルスパターンが、以下に記載されているようにブレーキ装置の作動中に決定される。
【0038】
図7は、空気ブレーキ装置を作動させるためのブロック図である。電子制御装置17(図1)が、プリセットステップ40において、ブレーキ信号送信機14のブレーキ信号15を当該制御装置に供給するこのブレーキ信号送信機14を考慮して、車輪ブレーキの目標ブレーキ圧力のプリセット値41決定する。
【0039】
目標ブレーキ圧力のためのプリセット値41は、実際/目標値比較43のために使用される。この場合、制御偏差45が、車輪ブレーキ内の、圧力センサ18によって連続して測定されるブレーキ圧力の実際値44と、当該ブレーキ圧力の目標値とによって算出される。当該制御偏差45は、パルス幅変調された操作信号36の変調42を考慮して生成する制御器46にプリセットされる。当該ブレーキ圧力の実際値44を目標値に適応させるための制御介入が、当該操作信号36のパルス幅を変更することによって実行される。それぞれの車輪ブレーキモジュール12のパイロット通気弁29(図2)が、当該操作信号36によって制御される。同様な制御回路が、貨物自動車の前車輪の別の車輪ブレーキモジュール13の目標ブレーキ圧力を制御するために設けられている。
【0040】
ブレーキ圧力の実際値44を目標値に適応させるための当該制御回路は、それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13の制御論理部の構成要素である。それぞれの車輪ブレーキモジュールに対して前もって決定された特性図47が、当該それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13のそれぞれの制御論理部26(図2)に割り当てられている。特性図47は、目標ブレーキ圧力に応じた操作信号36のための時間離散型信号列に関する情報を有する。特性図47は、当該車輪ブレーキモジュールの学習過程の結果である。このモジュールは、例えばテストベンチ試験によって最初のシステム初期化の前に決定される。この場合、それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13が、パルス幅変調された操作信号のための、所定の目標ブレーキ圧力に最適なパルスパターンに対して決定される。したがって、異なる複数の車輪ブレーキモジュールのパルスパターンは、通常は互いに異なる。何故なら、シリンダの大きさ又は配管敷設のような幾何学要因が、当該学習時に考慮され、これらの車輪ブレーキモジュールに最適な特性図ごとに別々に学習されるからである。当該それぞれの目標ブレーキ圧力ごとの最適なパルスパターンが、特性図のプリセットパラメータとして、例えばEEPROM内に記憶される。
【0041】
当該それぞれの車輪ブレーキモジュールの最初の初期化時に、すなわち制動過程の開始時に、1つのパルスパターン48が、その車輪ブレーキモジュールのそれぞれの特性図47から読み出され、対応するパルス幅変調された操作信号が生成される。制御偏差45が、ブレーキ圧力の調整時に確認されると、希望する目標ブレーキ圧力が、パルス幅を変更することによって調整される。当該制動過程中の自動車の横滑り傾向が、当該目標ブレーキ圧力の調整によって効果的に防止される。
【0042】
2つの車輪ブレーキモジュールの制動介入の時間ずれも補正するため、少なくとも1つの重畳制御回路48が、連続して算出可能な走行状態変数49を考慮して目標ブレーキ圧力のためのプリセット値を計算して適合するために設けられている。この場合、当該連続して算出された走行状態変数49は、貨物自動車の移動を特徴付けるパラメータである。本発明の1つの実施の形態では、測定される車輪回転数を走行状態変数として考慮する重畳制御回路48が設けられている。この場合、当該車輪回転数は、前車輪4と一緒に回転するクローポールロータ51と、このクローポールロータ51と協働するセンサ52とから構成されるセンサ装置50(図1)によって提供される。この代わりに又はこれに加えて、当該自動車のヨーレートを走行状態変数として考慮する重畳制御回路が設けられている。別の実施の形態では、異なる複数の走行状態変数を有する複数の重畳制御回路が設けられている。これにより、当該自動車の横滑り傾向の発生が、ほぼ排除される。
【0043】
上記の重畳制御回路48又は設けられているそれぞれの重畳制御回路内で、制御偏差又は補正係数53が、走行状態変数49のプリセットされている測定値と目標値とから生成される。プリセット値41が、補正係数53によって存在するそれぞれの動的走行状態に適合され得る。測定される走行状態変数49と比較するために使用される目標値が、記憶素子からプリセットされ得るか又はそれぞれの別の車輪ブレーキモジュールの対応する測定変数と比較することによって導き出され得る。
【0044】
ブレーキ圧力の測定される実際値44(図7)が存在しない場合、当該ブレーキ圧力の制御用の別の車輪の車輪ブレーキモジュールからの実際の圧力が使用される。このため、それぞれの車輪ブレーキモジュール12,13の圧力センサ18が、信号を伝送するように互いにネットワーク接続されている。当該ブレーキ圧力の実際値が、自動車のいずれの車輪3,4から検出不可能である場合、例えば全ての圧力センサ18の故障の場合、車輪ブレーキモジュール12,13が、それらのそれぞれの車輪ブレーキ内のブレーキ圧力を、目標ブレーキ圧力のプリセット値に基づいて制御することが提唱されている。当該それぞれの車輪ブレーキのブレーキ圧力の制御の場合も、起こり得る横滑り傾向が、重畳制御回路48によって防止される。
【符号の説明】
【0045】
1 ブレーキ装置
2 貨物自動車
3 左前車輪
4 右前車輪
5 前車軸
6 左後車輪
7 右後車輪
8 後車軸
9 車輪ブレーキ
10 圧力媒体配管
11 供給圧力タンク
12 第1車輪ブレーキモジュール(左)
13 第2車輪ブレーキモジュール(右)
14 ブレーキ信号送信機
15 ブレーキ信号
16 ブレーキ信号線
17 電子制御装置
18 圧力センサ
19 通気弁
20 排気弁
21 供給接続部
22 作動接続部
23 供給接続部
24 作動接続部
25 駆動手段
26 制御論理部
27 制御入力部
28 作動接続部
29 通気パイロット弁
30 供給接続部
31 電気制御入力部
32 排気パイロット弁
33 作動接続部
34 供給接続部
35 電気制御入力部
36 操作信号
37 パルス幅
38 操作信号
39 操作信号
40 プリセットステップ
41 プリセット値
42 変調
43 実際/目標値比較
44 実際値ブレーキ圧力
45 制御偏差
46 制御器
47 特性図
48 重畳制御回路
49 走行状態変数
50 センサ装置
51 クローポールロータ
52 センサ
53 補正値
54 目標値
55 空気圧制御入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2016年11月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の自動車用のエアブレーキ装置に関する。さらに、本発明は、請求項11の上位概念に記載の自動車用のエアブレーキ装置を作動させるための方法に関する。
【国際調査報告】