(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
Abが、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、該少なくとも1個の重鎖可変領域が、SEQ ID NO:27、31、および35として示される3個のCDRを含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、該少なくとも1個の軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:41、43、および45として示される3個のCDRを含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:25と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:39と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項5〜8のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:25として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:39として示されている軽鎖可変領域を含む、請求項9に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:37として示されている重鎖およびSEQ ID NO:47として示されている軽鎖を含む、請求項10〜14のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、該少なくとも1個の重鎖可変領域が、SEQ ID NO:3、7、および11として示されている3個のCDRを含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、該少なくとも1個の軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:17、19、および21として示されている3個のCDRを含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:1と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:15と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項5及び16〜18のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:1として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:15として示されている軽鎖可変領域を含む、請求項19に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:13として示されている重鎖およびSEQ ID NO:23として示されている軽鎖を含む、請求項20〜24のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、該少なくとも1個の重鎖可変領域が、SEQ ID NO:51、55、および59として示されている3個のCDRを含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、該少なくとも1個の軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:65、67、および69として示されている3個のCDRを含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:49と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:63と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項5に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:49として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:63として示されている軽鎖可変領域を含む、請求項29に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
Abが、SEQ ID NO:61として示されている重鎖およびSEQ ID NO:71として示されている軽鎖を含む、請求項30〜34のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
リンカーが、マレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)およびマレイミドカプロイル(mc)からなる群から選択される、請求項1〜37のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
リンカーが、マレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)である、請求項1〜38のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
オーリスタチンが、0101(2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド)である、請求項1〜40のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
リンカーおよびオーリスタチンが、vc0101(N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[(21S,24S,25R)−24−[(2S)−ブタン−2−イル]−25−(2−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−18,18,23−トリメチル−3,16,19,22−テトラオキソ−21−(プロパン−2−イル)−2,7,10,13,26−ペンタオキサ−4,17,20,23−テトラアザヘプタコサ−1−イル]フェニル}−N〜5〜−カルバモイル−L−オルニチンアミド)である、請求項41に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
オーリスタチンが、8261 2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドである、請求項1〜40のいずれかに記載の抗体−薬物コンジュゲート。
リンカーおよびオーリスタチンが、mc8261 N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドである、請求項43に記載の抗体−薬物コンジュゲート。
請求項1〜45のいずれか1項に記載の複数の抗体−薬物コンジュゲートおよび場合により医薬用キャリヤーを含む組成物であって、該組成物が、1〜8の範囲内の平均DARを有する、前記組成物。
請求項1〜45のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲートを含む組成物の治療的有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、PTK7関連障害を処置する方法。
新生物性障害が、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌のような乳癌;卵巣癌;結腸直腸癌;食道癌;胃癌;黒色腫;肉腫;腎臓癌;膵臓癌;前立腺癌;肝細胞癌(HCC)のような肝臓癌;ならびに非小細胞肺癌(NSCLC)のような肺癌である、請求項52に記載の方法。
固形腫瘍が、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌のような乳癌;卵巣癌;結腸直腸癌;食道癌;胃癌;黒色腫;肉腫;腎臓癌;膵臓癌;前立腺癌;肝細胞癌(HCC)のような肝臓癌;ならびに非小細胞肺癌(NSCLC)のような肺癌である、請求項60に記載の使用。
固形腫瘍が、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌のような乳癌;卵巣癌;結腸直腸癌;食道癌;胃癌;黒色腫;肉腫;腎臓癌;膵臓癌;前立腺癌;肝細胞癌(HCC)のような肝臓癌;ならびに非小細胞肺癌(NSCLC)のような肺癌である、請求項68に記載の使用のための抗体−薬物コンジュゲート。
腫瘍細胞集団をPTK7抗体−薬物コンジュゲートと接触させることを含み、該集団が、腫瘍開始細胞および腫瘍開始細胞以外の腫瘍細胞を含み;それにより、腫瘍細胞集団中の腫瘍開始細胞の頻度が低減する、腫瘍細胞集団において腫瘍開始細胞を低減する方法。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、PTK7に結合する抗体−薬物コンジュゲート、PTK7抗体、リンカー、および薬物を用いてコンジュゲートを調製するためのプロセスを提供する。本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、PTK7発現を特徴とする過剰増殖性障害の診断、予防、および/または処置において用いられることができる組成物、例えば医薬品の調製および製造に関して有用である。本発明のある側面において、開示される抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍開始細胞(TIC)の頻度を低減することができ、それは腫瘍永続化細胞(TPC)および高増殖性腫瘍前駆細胞(TProg)の両方を包含する。
【0047】
I. PTK7の生理学
結腸癌キナーゼ4(CCK4)としても知られているタンパク質チロシンキナーゼ(PTK7)は、正常なヒトメラニン形成細胞から最初にクローニングされ(Lee et al., Oncogene 8(12):3403-3410, 1993)、別途結腸癌組織からクローニングされた(Mossie et al., Oncogene 11(10):2179-2184, 1995)受容体チロシンキナーゼである。PTK7遺伝子は、6p21.1−pl2.2に位置している。ヒトPTK7の5種類のスプライスイソ型が、精巣のcDNAからクローニングされている(Jung, et al., Biochim Biophys Acta 1579, 2002)。イソ型の互いに関する相対存在度は、精巣および肝細胞癌または結腸癌株の間で異なるが、これらのイソ型の機能的重要性は、たとえあるとしても未知である。生物情報学分析は、マウスはオルタナティブスプライシングされたmRNAから可溶性のPTK7のイソ型を発現している可能性があることを示唆している(Forrest, Taylor et al., Genome Biol 7, 2006)。
【0048】
完全長PTK7タンパク質は、674アミノ酸の細胞外ドメイン(ECD)、続いて短いTM貫通部分および345アミノ酸の細胞質ドメインを有するI型膜貫通タンパク質である。PTK7の代表的な完全長アミノ酸配列が、
図1において示されている(SEQ ID NO:73)。代表的なPTK7のイソ型のアミノ酸配列は、GenBank受け入れ番号EAX04154.1(イソ型a)、EAX04155.1(イソ型b)、EAX04156.1(イソ型c)、EAX04157.1(イソ型d)、EAX04158.1(イソ型e)、EAX04159.1(イソ型f)、およびEAX04160.1(イソ型g)において見付けられる。全てのイソ型は、同じ細胞内ドメインをコードしている。ヒトPTK7の代表的なイソ型(すなわち転写バリアントPTK7−1)の完全な核酸配列は、GenBank受け入れ番号NM_002821を有する。
【0049】
成熟完全長PTK7 ECDは、7個の免疫グロブリン様ドメインを含み、一方で様々なスプライスバリアントがそれらのECD構造において異なるPTK7イソ型をコードしている。全てのイソ型は、チロシンキナーゼの一般的なクラスにおいて見られる細胞質ドメインに対して実質的な相同性を有する細胞質ドメインを含有する。しかし、PTK7は、検出可能なチロシンキナーゼ活性を欠いており、従って、様々な保存されたキナーゼサブドメインにおけるいくつかのアミノ酸変化がATPの結合の欠陥をもたらす偽キナーゼのサブファミリーに属する(Boudeau, et al., Trends Cell Biol. 16, 2006)。特に、サブドメインIおよびVIIにおける重要な残基が、PTK7において、ATPの移動不能なホスフェートとの直接的な相互作用ならびにこれらのホスフェートを橋渡しするMg
2+補因子のキレート形成が損なわれるであろうように変化している。
【0050】
PTK7の機能の生物学的重要性は、ヒドラからドロソフィラ(Drosophila)を通してニワトリおよびヒトまでの保存されたオルソログの存在から推測されることができ、そのそれぞれが、配列分析により、キナーゼ活性を欠いていると予測されている。ヘリックス−ヘリックス会合に関する傾向と関係する特定のTMドメインモチーフの高度な保存に基づいて、TMドメインは、PTK7の2量体化を媒介している可能性があることが示唆されてきた。PTK7の偽キナーゼドメイン自体は、信号を直接伝達するとは予想されていないが、それは、シグナル伝達経路における他の分子のための足場として相互作用する可能性があり、または他のチロシンキナーゼ(単数または複数)を動員する(recruit)可能性もある。PTK7は、胚発生を制御するための細胞接着、細胞移動、細胞極性、増殖、アクチン細胞骨格の再編成、およびアポトーシス、上皮組織の組織化、神経管閉鎖、神経堤形成、ならびに軸索誘導において機能している可能性があることが、示されている(Peradziryi, H. et al. Arch Biochem Biophys. 524, 2012)。
【0051】
PTK7を発現することが報告されている正常な組織および細胞は、肺、甲状腺、卵巣、CD4+新規胸腺移出(recent thymic emigrant)T細胞、ならびに正常な骨髄前駆細胞およびCD34+CD38−骨髄細胞を含む。癌組織に関して、PTK7の発現は、結腸癌細胞、成人骨髄性白血病(AML)試料、CD34−プレTALL細胞、および胃癌においても見出されている。PTK7は、染色体6p21の欠失を含有する特定の乳癌において失われている可能性があるが、発現は、乳癌細胞株において様々である。PTK7は、肺腺癌においても発現している。骨肉腫における6pl 2−p21領域の増幅の細かいマッピングは、遺伝子コピー数における増大は、必ずしも結果としてqRT−PCRにより決定されるようなPTK7の過剰発現をもたらさないことを示している。
【0052】
PTK7に関するリガンド(単数または複数)は、知られていないが、PTK7は、様々な生物学的シグナル伝達経路および発生プロセスに結び付けられてきた。例えば、PTK7は、(Wnt/平面内細胞極性シグナル伝達としても知られている)非古典的および古典的Wntシグナル伝達経路の両方において補助受容体の役目を果たす。非古典的Wnt経路では、PTK7は、RACK1との直接的な相互作用およびDSHの膜局在性受容体複合体への動員により、下流のシグナル伝達を活性化する。PTK7は、古典的Wnt経路のシグナル伝達に対して、膜表面におけるfrizzled受容体結合に関する競合を通して阻害作用を及ぼす。PTK7の遺伝子発現は、Cdxにより制御されており、一方でタンパク質の安定性は、膜結合型プロテイナーゼ分解により制御されている。PTK7は、メタロプロテイナーゼMMP14およびAdam17によりタンパク質分解および細胞外ドメインの脱落に関して標的とされており、これは、増大した細胞増殖、移動、および促進された癌細胞浸潤をもたらす(Peradziryi, et al. Arch Biochem Biophys. 524, 2012)。可溶性PTK7(sPTK7)は、VEGFに誘導される血管新生、ならびにヒト内皮細胞のインビトロでの管形成、移動および浸潤におけるPTK7に関する役割を示すために用いられた。
【0053】
癌組織内で、Wnt経路の調節に関するその可能性に加えて、PTKは、HCT116結腸癌株において増殖誘発(pro−proliferation)および抗アポトーシス信号を伝えるようであり、それはRNAiに媒介されるPTK7のノックダウンにより逆転させることができた表現型である(Meng, et al., 2010, PLoS One 5(11):e14018)。PTK7の抗アポトーシス信号は、成人骨髄性白血病(AML)芽球においてアントラサイクリンに媒介される細胞殺傷に対する耐性を伝え、それは、可溶性PTK7−Fcタンパク質を用いて逆転させることができた(Prebet, et al., 2010, Blood 116(13):2315-23)。特定の癌細胞によるPTK7の過剰発現は、PTK7に結合し、続いて内在化するアプタマーを用いた培養状態のT−ALL細胞へのダウノルビシンの送達を目標とする戦略において利用されてきた。
【0054】
II. PTK7抗体−薬物コンジュゲート
本発明は、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートを提供し、式中、(a)Abは、PTK7に結合する抗体、またはその抗原結合断片であり、そして(b)L−Dは、リンカー−薬物部分であり、ここでLはリンカーであり、そしてDは薬物である。そのような抗体−薬物コンジュゲートを調製および製造する方法、ならびにその同じ物の臨床適用における使用も、提供される。“抗体−薬物コンジュゲート”または“ADC”は、PTK7に結合する抗体誘導体を含む抗体またはその抗原結合断片を指し、本明細書において下記でさらに記載されるように、薬物、例えば細胞毒性、細胞増殖抑制、および/または療法剤にコンジュゲートされている。例えば、細胞毒性剤は、細胞毒性剤の腫瘍(例えばPTK7発現腫瘍)への標的化された局所送達のために、本明細書で記載されるように抗PTK7抗体に連結またはコンジュゲートされることができる。
【0055】
本明細書で用いられる際、用語“PTK7”は、バリアント、イソ型、ホモログ、オルソログおよびパラログを含む。PTK7は、当該技術において、結腸癌キナーゼ4(CCK4またはCCK−4)としても知られている。本出願の目的に関して、用語“PTK7”および“CCK4”は、互換的に用いられており、ヒトPTK7またはヒトCCK4のスプライスバリアント、イソ型、種オルソログおよびホモログを含む。さらに、その用語は、PTK7抗体が特異的に結合することができるエピトープを含有するPTK7またはCCK4の天然またはバリアント形態のあらゆる派生物または断片も指すことができることは、理解されるであろう。
【0056】
本発明のある側面において、抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、ヒト以外の種からのPTK7、例えばマウス、ラット、または霊長類のPTK7、ならびにPTK7の異なる形態(例えばグリコシル化されたPTK7)と交差反応する。他の側面において、抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、ヒトPTK7に完全に特異的であることができ、種または他のタイプの交差反応性を示さない可能性がある。本明細書で用いられる際、用語PTK7は、別途文脈的に指示されない限り、天然存在のヒトPTK7を指す。従って、“PTK7抗体”もしくは“抗PTK7抗体”または他の類似の名称は、ヒトPTK7、またはその断片もしくは誘導体と会合する、結合する、または反応する(本明細書で定義されるような)あらゆる抗体を意味する。さらに、“PTK7抗体−薬物コンジュゲート”または“抗PTK7抗体−薬物コンジュゲート”は、ヒトPTK7、またはその断片もしくは誘導体と会合する、結合する、または反応する(本明細書で定義されるような)あらゆる抗体−薬物コンジュゲートまたはADCを意味する。
【0057】
“リンカー(L)”は、抗体の薬物への直接または間接的連結を記載する。リンカーの抗体への結合は、様々な方法で、例えば表面のリジン、酸化された炭水化物への還元カップリング、鎖間ジスルフィド結合を還元することにより遊離したシステイン残基、特定の部位に設計された反応性システイン残基、ならびにトランスグルタミナーゼおよびアミンの存在下でのアシル供与体グルタミン含有タグまたはポリペプチド工学により反応性にされた内在性のグルタミンにより成し遂げられることができる。ヒドラゾン連結、ジスルフィド連結、およびペプチドベースの連結を含む様々なADC連結系が、当該技術で既知である。
【0058】
“薬物(D)”は、生物学的活性または検出可能な活性を有するあらゆる物質、例えば、療法剤、検出可能な標識、結合剤等、およびインビボで代謝されて有効薬剤になるプロドラッグである。薬物、ペイロードおよび化合物という用語は、互換的に用いられている。
【0059】
“L−D”は、リンカー(L)に連結された薬物(D)の結果生じるリンカー−薬物部分である。
本発明と関連して用いられている追加の科学用語および技術用語は、本明細書で別途示されない限り、当業者により一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、別途文脈により要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数を含むものとする。一般に、本明細書で記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションと関連して用いられている命名法およびその技法は、当該技術で周知であり、一般的に用いられている命名法および技法である。
【0060】
本発明の特定の側面において、式Ab−(L−D)のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:1として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:15として示されている軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片、Ab;ならびに(b)リンカー−薬物部分、L−Dを含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)であり、かつここでその薬物は0101である。
【0061】
本発明の別の側面において、式Ab−(L−D)のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:13として示されている重鎖およびSEQ ID NO:23として示されている軽鎖を含む抗体、またはその抗原結合断片、Ab;ならびに(b)リンカー−薬物部分、L−Dを含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)であり、かつここでその薬物は0101である。
【0062】
本発明の別の側面において、式Ab−(L−D)のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:25として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:39として示されている軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片、Ab;ならびに(b)リンカー−薬物部分、L−Dを含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)であり、かつここでその薬物は0101である。
【0063】
本発明の別の側面において、式Ab−(L−D)のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:37として示されている重鎖およびSEQ ID NO:47として示されている軽鎖を含む抗体、またはその抗原結合断片、Ab;ならびに(b)リンカー−薬物部分、L−Dを含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)であり、かつここでその薬物は0101である。
【0064】
本発明の別の側面において、式Ab−(L−D)のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:49として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:63として示されている軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片、Ab;ならびに(b)リンカー−薬物部分、L−Dを含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)であり、かつここでその薬物は0101である。
【0065】
本発明の別の側面において、式Ab−(L−D)のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:61として示されている重鎖およびSEQ ID NO:71として示されている軽鎖を含む抗体、またはその抗原結合断片、Ab;ならびに(b)リンカー−薬物部分、L−Dを含み、ここでLはリンカーであり、Dは薬物であり、ここでそのリンカーはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)であり、かつここでその薬物は0101である。
【0066】
抗体あたりのコンジュゲートした薬物分子の数を示すDAR(薬物対抗体比)または薬物装填(drug loading)は、1〜8であることができる。複数の抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、平均DARにより特性付けられることができる。DARおよび平均DARは、様々な従来の手段、例えば紫外分光法、質量分析、ELISAアッセイ、放射測定法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、電気泳動およびHPLCにより決定されることができる。
【0067】
本発明の特定の側面において、精製された抗PTK7 ADCには未コンジュゲート抗体(遊離の抗体)が存在しないことができる。本発明の他の側面において、精製された抗PTK7 ADCは、単量体性ADCであることができ、凝集体および2量体は存在しない。本発明の他の側面において、精製された抗PTK7 ADCには、遊離の薬物が存在しないことができる。本発明のさらなる側面において、精製された抗PTK7 ADCは、単量体性ADCであることができ、遊離の薬物が存在しないことができる。
【0068】
IIA. PTK7抗体
本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートの調製に関して、抗体、またはその抗原結合断片は、PTK7に特異的に結合するあらゆる抗体、またはその抗原結合断片であることができる。本発明の抗体は、PCT国際公開第2012/112943号においてさらに開示され、特性付けられており、それは参照により本明細書にそのまま援用される。より詳細には、その中で開示されているPTK7抗体の配列は、完全な重鎖および軽鎖、その可変領域、ならびにそのCDRを含め、本明細書に参照により援用される。PTK7抗体−薬物コンジュゲートの調製における使用のために、抗体、またはその抗原結合断片は、単離、精製、または誘導体化されることができる。
【0069】
“抗体”または“Ab”は、特異的な標的または抗原、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等に、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1個の抗原認識部位を通して認識および結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で用いられる際、用語“抗体”は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、所与の抗原(例えばPTK7)に特異的に結合する能力を保持している完全な抗体の“抗原結合断片”(または部分)、例えばFab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv、Fc等、単離された相補性決定領域(CDR)、二特異性抗体、ヘテロコンジュゲート(heteroconjugate)抗体、その変異体、抗体を有する融合タンパク質、またはその抗原結合断片(例えばドメイン抗体)、単鎖(ScFv)および単一ドメイン抗体(例えばサメおよびラクダ抗体)、マキシボディ(maxibodies)、ミニボディ(minibodies)、細胞内抗体、ダイアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)、テトラボディ(tetrabodies)、v−NARおよびビス−ScFv(例えば、Holliger and Hudson, 2005, Nature Biotechnology 23(9): 1126-1136を参照)、ヒト化抗体、キメラ抗体、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合的に修飾された抗体を含む要求される特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子のあらゆる他の改変された形態を含むがそれらに限定されないあらゆるタイプの抗体を包含することができる。抗体は、マウス、ラット、ヒト、または(キメラまたはヒト化抗体を含む)あらゆる他の由来であることができる。本発明のある側面において、開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは組み換えヒト抗体、またはそのPTK7結合断片である。
【0070】
標的または抗原(例えばPTK7タンパク質)に“特異的に結合する”または“優先的に結合する”(本明細書において互換的に用いられている)抗体、抗体−薬物コンジュゲート、またはポリペプチドは、当該技術で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決定するための方法も、当該技術で周知である。分子は、それが、特定の細胞または物質と、それが代わりの細胞または物質と反応または会合するよりも頻繁に、より急速に、より大きな持続時間で、および/またはより大きな親和性で反応または会合する場合、“特異的結合”または“優先的結合”を示すと言われる。抗体は、それが、それが他の物質に結合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、および/またはより大きな持続時間で結合する場合、標的または抗原に“特異的に結合する”または“優先的に結合する”。例えば、PTK7エピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、このエピトープに、それが他のPTK7エピトープまたは非PTK7エピトープに結合するよりも大きい親和性、結合力で、より容易に、および/またはより大きな持続時間で結合する抗体である。
【0071】
用語“結合親和性”または“K
D”は、本明細書で用いられる際、特定の抗原−抗体相互作用の平衡解離定数を指すことが意図されている。K
Dは、会合の速度(または“オン速度”もしくは“K
a”)に対する解離の速度(“オフ速度”または“K
d”とも呼ばれる)の比率である。従って、K
Dは、K
d/K
aと等しく、モル濃度(M)として表される。K
Dがより小さいほど、結合親和性はより強いことになる。従って、1μMのK
Dは、1nMのK
Dと比較して弱い結合親和性を示す。抗体に関するK
D値は、当該技術で十分に確立された方法を用いて決定されることができる。抗体のK
Dを決定するための1つの方法は、表面プラズモン共鳴を用いる、典型的にはバイオセンサーシステム、例えばBIACORE(登録商標)システムを用いることによる。
【0072】
開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートの特異的結合は、多数の異なる抗原を有する不均質な試料中のヒトPTK7抗原に対する抗体−薬物コンジュゲートの優先的結合を指す。典型的には、特異的結合は、結合親和性が、少なくとも約10
−7M以上、例えば少なくとも約10
−8M以上(少なくとも約10
−9M以上、少なくとも約10
−10M以上、少なくとも約10
−11M以上、または少なくとも約10
−12M以上を含む)である場合に起こる。例えば、本発明の抗体−薬物コンジュゲート、またはその抗体部分(Ab)のヒトPTK7抗原に対する特異的結合は、少なくとも約1×10
−7M〜約1×10
−12Mの範囲の、例えば約1×10
−8M〜約1×10
−12Mの範囲内、または約1×10
−8M〜約1×10
−11Mの範囲内、または約1×10
−8M〜約1×10
−10Mの範囲内、または約1×10
−9M〜約1×10
−10Mの範囲内の結合を含む。特異的結合は、PTK7抗体−薬物コンジュゲート、またはその抗体部分(Ab)の、その抗体の対象への投与後のPTK7発現細胞への選択的標的化も指す。
【0073】
第1標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2標的に特異的または優先的に結合する可能性もしない可能性もあることも、理解されている。従って、“特異的結合”または“優先的結合”は、排他的結合を必ずしも必要としない(が、それは排他的結合を含むことができる)。一般に、結合への言及は、優先的結合を意味するが、必ず意味するわけではない。
【0074】
本明細書で用いられる際、“エピトープ”は、免疫グロブリンもしくはT細胞受容体に特異的に結合することができる、または他の方法で分子と相互作用することができるあらゆるタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、一般に、化学的に活性な表面の分子、例えばアミノ酸または炭水化物または糖側鎖の群化(groupings)からなり、一般に特異的な三次元構造の特徴ならびに特異的な電荷の特徴を有する。エピトープは、‘線状’または‘立体構造的’であることができる。線状エピトープでは、タンパク質および相互作用する分子(例えば抗体)の間の相互作用の点の全部が、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って線状に存在する。立体構造的エピトープでは、相互作用の点は、互いに隔てられているタンパク質上のアミノ酸残基を含む。一度抗原上の望ましいエピトープが決定されたら、そのエピトープに対する抗体を、例えば本発明において記載される技法を用いて生成することが可能である。あるいは、発見プロセスの間に、抗体の生成および特性付けが、望ましいエピトープに関する情報を明らかにする可能性がある。次いで、この情報から、同じエピトープへの結合に関して抗体を競合的にスクリーニングすることが可能である。これを達成するためのアプローチは、互いに競合的に結合する抗体(すなわちその抗体は、その抗原への結合に関して競合する)を見付けるための交差競合試験を実施することである。抗体をそれらの交差競合に基づいて‘棚入れする(binning)’ための高スループットプロセスが、PCT国際公開第03/48731号において記載されている。本明細書で用いられる際、用語‘棚入れする’は、抗体をそれらの抗原結合特徴および互いとの競合に基づいてグループ分けするための方法を指す。
“単離された抗体”は、本明細書で用いられる際、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、PTK7に特異的に結合する単離された抗体は、PTK7以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。さらに、単離された抗体は、他の細胞性物質および/または化学物質を実質的に含まないことができる。しかし、PTK7に特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば他の種からのPTK7分子(すなわちオルソログ)に対する、またはPTK7の1より多くのイソ型との交差反応性を有し得る。
【0075】
本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:1として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:15として示されている軽鎖可変領域;または(c)SEQ ID NO:25として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:39として示されている軽鎖可変領域;または(c)SEQ ID NO:49として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:63として示されている軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片と、ヒトPTK7への結合に関して競合する、および/または同じエピトープに結合する抗体を含む。
【0076】
用語“競合する”は、本明細書で抗体に関して用いられる際、第1抗体、またはその抗原結合断片が、エピトープに、第1抗体のその同族のエピトープとの結合の結果が、第2抗体の存在下で、第2抗体の非存在下での第1抗体の結合と比較して検出可能であるほどに低下するように、第2抗体、またはその抗原結合断片の結合に十分に類似した様式で結合することを意味する。しかし、第2抗体のそのエピトープへの結合も、第1抗体の存在下で検出可能であるほどに低下するという代替(alternative)は、必ずしも当てはまらない可能性がある。すなわち、第1抗体は、第2抗体のそのエピトープへの結合を、第2抗体が第1抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく阻害することができる。しかし、それぞれの抗体が、他方の抗体のその同族のエピトープまたはリガンドとの結合を、同程度、より大きい程度、またはより低い程度までのいずれであれ、検出可能であるほどに阻害する場合、その抗体は、それらのそれぞれのエピトープ(単数または複数)の結合に関して互いと“交差競合する”と言われる。競合する、および交差競合する抗体は、両方とも本発明に包含される。そのような競合または交差競合が起こる機序(例えば立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープもしくはその一部への結合)にかかわらず、当業者は、本明細書で提供される教示に基づいて、そのような競合する、および/または交差競合する抗体は、本明細書で開示される方法に包含され、そのために有用であり得ることを理解するであろう。
【0077】
天然抗体または天然存在抗体、および天然免疫グロブリンは、典型的には、2個の同一の軽(L)鎖および2個の同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ4量体糖タンパク質である。それぞれの軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖に連結されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンのイソ型の重鎖の間で異なる。それぞれの重鎖および軽鎖は、規則的に間隔の空いた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は、一方の末端において可変ドメイン(VH)、続いていくつかの定常ドメインを有する。それぞれの軽鎖は、一方の末端において可変ドメイン(VL)およびその他方の末端において定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1定常ドメインと並んでおり、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並んでいる。特定のアミノ酸残基が、軽鎖および重鎖可変ドメインの間の接触面を形成していると信じられている。用語“可変”は、可変ドメインの特定の部分が、抗体間で配列において大規模に異なっている事実を指す。
【0078】
抗体および上記で特筆した抗体ドメインは、“ポリペプチド”、“オリゴペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”、すなわち、あらゆる長さの、好ましくは比較的短い(例えば10〜100アミノ酸)アミノ酸の鎖として記載されることができる。その鎖は、線状または分枝状であることができ、それは、改変されたアミノ酸を含むことができ、および/または非アミノ酸により遮られることができる。さらに、ポリペプチドは単一の鎖または会合した鎖として存在し得ることが、理解されている。アミノ酸は、本明細書において、それらの一般的に知られている3文字記号により、またはIUPAC−IUB Biochemicalにより推奨される1文字記号により(どちらでもよい)言及されることができる。用語“ポリペプチド”、“オリゴペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”は、天然に、または介入により改変されているアミノ酸鎖も包含する;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、またはあらゆる他の操作もしくは改変、例えば標識構成要素とのコンジュゲーション。例えば、1個以上のアミノ酸の類似体(例えば非天然アミノ酸等が含まれる)、ならびに当該技術で既知の他の改変を含有するポリペプチドも、その定義内に含まれる。アミノ酸改変は、当該技術で既知のあらゆる方法によりなされることができ、多くのそのような方法が、周知であり、当業者にとってルーチン的である。例えば(限定としてではないが)、アミノ酸の置換、削除および挿入は、あらゆる周知のPCRベースの技法を用いて成し遂げられることができる。アミノ酸置換は、部位特異的変異誘発によりなされることができる(例えば、Zoller and Smith, 1982, Nucl. Acids Res. 10:6487-6500;およびKunkel, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci USA 82:488を参照)。
【0079】
抗体の“定常領域”は、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指し、単独または組み合わせのどちらでもよい。キメラおよびヒト化PTK7抗体の定常領域は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、それらのあらゆるイソ型(例えば、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4イソ型)、ならびにそれらの下位クラスおよび変異版のいずれか1つの定常領域に由来することができる。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てられることができる。免疫グロブリンの5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、下位クラス(イソ型)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けられることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は、周知である。
【0080】
定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関わらないが、様々なエフェクター機能、例えばFc受容体(FcR)結合、抗体の抗体依存性細胞傷害への参加、オプソニン化、補体依存性細胞傷害の開始、およびマスト細胞の脱顆粒を示す。当該技術で既知であるように、用語“Fc領域”は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。“Fc領域”は、天然配列のFc領域またはバリアントのFc領域であることができる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常は、位置Cys226におけるアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで及ぶように定義される。Fc領域における残基の番号付けは、Kabat(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、国立衛生研究所公衆衛生局、メリーランド州ベセスダ、1991)におけるような、EU指針の番号付けである。免疫グロブリンのFc領域は、一般に2つの定常領域CH2およびCH3を有する。
【0081】
当該技術で用いられる際、“Fc受容体”および“FcR”は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するFcR(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIII下位クラスの受容体を、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよびオルタナティブスプライシングされた形態を含めて含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(“活性化受容体”)およびFcγRIIB(“阻害受容体”)を含み、それは、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。FcRは、Ravetch and Kinet, Ann. Rev. Immunol., 9:457-92, 1991; Capel et al., Immunomethods, 4:25-34, 1994;およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med., 126:330-41, 1995において総説されている。“FcR”は、新生児型受容体FcRnも含み、それは、母親のIgGの胎児への移動の原因である(Guyer et al., J. Immunol., 117:587-593 (1976);およびKim et al., European J. Immunol., 24:2429-2434 (1994))。
【0082】
以前に、抗体の重鎖のCH2もしくはCH3ドメインの表面上に、または軽鎖の定常ドメイン上におそらく存在する特定の残基が、天然存在の野生型アミノ酸の例えばシステインによる置換に適しており、従って様々な薬剤へのコンジュゲーションが可能な部位を設計するために有用であることが、報告されている。
【0083】
“設計されたFcポリペプチド”、“設計されたFc領域”および“設計されたFc”(その用語は本明細書で互換的に用いられている)により、コンジュゲーションのための部位を導入する少なくとも1個の変異、例えばアミノ酸置換を含むFcポリペプチド、またはその一部が意味される。その変異は、その位置の天然存在アミノ酸残基の代わりにシステインを導入し、そこでその変異は、ある部分のFcへのコンジュゲーションのための反応性部位(例えば反応性スルフヒドリル基)を作り出す。
【0084】
用語“アシル供与体グルタミン含有タグ”または“グルタミンタグ”は、本明細書で用いられる際、トランスグルタミナーゼのアミン受容体の役目を果たす1個以上のGln残基(単数または複数)を含有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。
【0085】
抗体の“可変領域”は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指し、それは単独または組み合わせのどちらでもよい。当該技術で既知であるように、重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ超可変領域としても知られている3個の相補性決定領域(CDR)により連結された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。それぞれの鎖中のCDRは、FRにより近接して一緒に保持されており、他の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している。CDRを決定するための少なくとも2つの技法が存在する:(1)異種間の配列の変動性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, (第5版, 1991, 国立衛生研究所、メリーランド州ベセスダ));および(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-Lazikani et al., J. Molec. Biol. 273:927-948 (1997))。本明細書で用いられる際、CDRは、どちらかのアプローチにより、または両方のアプローチの組み合わせにより定められたCDRを指すことができる。
【0086】
可変ドメインのCDRは、Kabat、Chothiaの定義、KabatおよびChothia両方の蓄積、VBASE2、AbM、接触、および/または立体構造的定義または当該技術で周知のあらゆるCDR決定の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体のCDRは、Kabatらにより最初に定義された超可変領域として同定されることができる。例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、NIH公衆衛生局、ワシントンD.Cを参照。CDRの位置は、Chothiaらにより最初に記載された構造的ループ構造として同定されることもできる。例えば、Chothia et al., Nature 342:877-883, (1989)を参照。CDRの位置は、VBASE2データベースの分析から得られることもできる。(例えば、Retter et al., 2005, Nucleic Acids Res. 33(データベース特集号):D671-D674を参照)。
【0087】
CDR同定への他のアプローチは、KabatおよびChothiaの間の折衷案であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在ACCELRYS(登録商標))を用いて得られる“AbM定義”、またはMacCallum et al., J. Mol. Biol., 262:732-745, (1996)において述べられている観察された抗原接触に基づくCDRの“接触定義”を含む。本明細書においてCDRの“立体構造的定義”と呼ばれる別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的寄与をする残基として同定されることができる。例えば、Makabe et al., Journal of Biological Chemistry, 283:1156-1166, 2008を参照。さらに他のCDR境界の定義は、上記のアプローチの1つに厳密には従わない可能性があるが、それでもなおKabatCDRの少なくとも一部と重複するであろうが、それらは、特定の残基もしくは残基の群またはさらにはCDR全体が抗原結合に著しくは影響をおよぼさないという予測または実験的発見を考慮して、短く、または長くなっている可能性がある。本明細書で用いられる際、CDRは、アプローチの組み合わせを含め、当該技術で既知のあらゆるアプローチにより定められたCDRを指すことができる。本明細書で用いられる方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定められたCDRを利用することができる。本明細書で記載されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートに関して、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、VBASE2、AbM、接触、および/または立体構造的定義のいずれに従って定められることもできる。
【0088】
本発明の他の側面において、PTK7抗体、またはその抗原結合断片は、抗体の1個以上のCDR(単数または複数)(例えば1個、2個、3個、4個、5個、または6個全部のCDR)を含む。
【0089】
本発明に関して、下記の表1において示されているhu23、hu24、およびhu58のCDR(SEQ ID NO:1〜72)は、KabatおよびChothiaを用いて得られた。参照により本明細書に援用されるPCT国際公開第2012/112943号の
図6において示されているCDRは、VBASE2データベースの分析から得られた。従って、全てのそのような命名法により定められたCDRを有する抗体は、本発明の範囲内に明確に含まれる。より広く言えば、用語“可変領域CDRアミノ酸残基”は、上記で述べられたようなあらゆる配列または構造ベースの方法を用いて同定されるようなCDR中のアミノ酸を含む。
【0090】
本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、hu23抗体のCDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:3、7、および11として示されている3個のCDRを有する。本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含み、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:17、19、および21として示されている3個のCDRを有する。本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:3、7、および11として示されている3個のCDRを有する重鎖可変領域;ならびに(b)SEQ ID NO:17、19、および21として示されている3個のCDRを有する軽鎖可変領域を含む抗体、またはその抗原結合断片を含むこともできる。
【0091】
本発明のさらに他の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、Chothiaに従って定められた、またはVBASE2データベースの分析から得られた1個以上のhu23 CDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhu23 CDR(表1参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhu23 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む。別の例として、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhu23 CDR(表1参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhu23 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む。本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)Chothiaに従って定められた3個のhu23 CDR(表1参照)を有する重鎖可変領域;および(b)Chothiaに従って定められた3個のhu23 CDR(表1参照)を有する軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhu23 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む重鎖可変領域;および(b)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhu23 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。
【0092】
本発明の他の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、hu24抗体のCDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:27、31、および35として示されている3個のCDRを含む。本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含み、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:41、43、および45として示されている3個のCDRを含む。本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:27、31、および35として示されている3個のCDRを有する重鎖可変領域;ならびに(b)SEQ ID NO:41、43、および45として示されている3個のCDRを有する軽鎖可変領域を含むこともできる。
【0093】
本発明の他の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、Chothiaに従って定められた、またはVBASE2データベースの分析から得られた1個以上のhu24 CDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhu24 CDR(表1参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhu24 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む。別の例として、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhu24 CDR(表1参照)またはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhu24 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む。本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)Chothiaに従って定められた3個のhu24 CDR(表1参照)を有する重鎖可変領域;および(b)Chothiaに従って定められた3個のhu24 CDR(表1参照)を有する軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhu24 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む重鎖可変領域;および(b)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhu24 CDR(PCT国際公開第2012/112943号参照)を含む軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。
【0094】
本発明の他の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、hu58抗体のCDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、SEQ ID NO:51、55、および59として示されている3個のCDRを含む。本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含み、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:65、67、および69として示されている3個のCDRを含む。本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)SEQ ID NO:51、55、および59として示されている3個のCDRを有する重鎖可変領域;ならびに(b)SEQ ID NO:65、67、および69として示されている3個のCDRを有する軽鎖可変領域を含むこともできる。
【0095】
本発明の他の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、Chothiaに従って定められた、またはVBASE2データベースの分析から得られた1個以上のhu58 CDRを有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の重鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhu58 CDRまたはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhu58 CDRを含む。別の例として、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、少なくとも1個の重鎖可変領域および少なくとも1個の軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができ、ここで、その少なくとも1個の軽鎖可変領域は、Chothiaにより定められた3個のhu58 CDRまたはVBASE2データベースの分析から得られた3個のhu58 CDRを含む。本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)Chothiaに従って定められた3個のhu58 CDRを有する重鎖可変領域;および(b)Chothiaに従って定められた3個のhu58 CDRを有する軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、(a)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhu58 CDRを含む重鎖可変領域;および(b)VBASE2データベースの分析から得られた3個のhu24 CDRを含む軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含むことができる。
【0096】
本発明のある側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられる抗体は、モノクローナル抗体であろう。用語“モノクローナル抗体”または“mAb”は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、微量存在し得る可能な自然発生変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられている。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられている。修飾語“モノクローナル”は、抗体の実質的に均質な集団から得られたものとしての抗体の性質を示し、いずれかの特定の方法によるその抗体の生成を必要するものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って用いられるべきモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature 256:495-497 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されることができ、または例えば米国特許第4,816,567号において記載されている組み換えDNA法により作製されることもできる。モノクローナル抗体は、例えばMcCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)において記載された技法を用いて生成されたファージライブラリーから単離されることもできる。
【0097】
本発明のある側面において、本発明の抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられる抗体は、一価、すなわち分子あたり1個の抗原結合部位を有するであろう(例えばIgGまたはFab)。一部の場合において、一価抗体は、1個より多くの抗原結合部位を有し得るが、その結合部位は異なる抗原からのものである。本発明のある側面において、本発明の抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、“二価抗体”、すなわち分子あたり2個の抗原結合部位を有する抗体(例えばIgG)を含み得る。一部の場合において、2個の結合部位は、同じ抗原特異性を有する。あるいは、二価抗体は、二特異性であることができる。“二特異性”、“二重特異性”または“二機能性”抗体は、2個の異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二特異性抗体の2個の抗原結合部位は、2つの異なるエピトープに結合し、それは同じタンパク質標的上にある可能性も異なるタンパク質標的上にある可能性もある。
【0098】
用語“キメラ抗体”は、可変領域配列の一部または全部が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指すことが意図されている。
【0099】
本明細書で用いられる際、“ヒト化”または“CDR移植”抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)
2または抗体の他の抗原結合部分配列)である非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、受容抗体の1個以上の相補性決定領域(CDR)からの残基が、望ましい特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(供与抗体)、例えばマウス、ラット、またはウサギの1個以上のCDRからの残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(受容抗体)である。
【0100】
一部の場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基により置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、受容抗体中にも導入されるCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しないが抗体の性能をさらに改良および最適化するために含められる残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全部を含むと考えられ、ここで、CDR領域の全部または実質的に全部は、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全部または実質的に全部は、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むであろう。本発明のある側面において、抗体は、PCT国際公開第99/58572号において記載されているように改変されたFc領域を有する。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に関して変更されていることができる1個以上のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有し、それは、元の抗体からの1個以上のCDR“に由来する”1個以上のCDRとも呼ばれる。
【0101】
ヒト化は、本質的に、Winterおよび共同研究者らの方法(Jones et al. Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al. Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al. Science 239:1534-1536 (1988))に従って、齧歯類または変異体齧歯類CDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置き換えることにより実施されることができる。米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,859,205号も参照;それは参照により本明細書にそのまま援用される。一部の場合において、ヒト免疫グロブリンの1個以上の可変領域のフレームワーク領域内の残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられる(例えば、米国特許第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;および第6,180,370号を参照)。さらに、ヒト化抗体は、受容抗体中にも供与抗体中にもない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能をさらに改良するため(例えば所望の親和性を得るため)に行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全部を含むと考えられ、ここで、超可変領域の全部または実質的に全部は、非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に対応し、フレームワーク領域の全部または実質的に全部は、ヒト免疫グロブリン配列のフレームワーク領域である。ヒト化抗体は、場合により、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むであろう。さらなる詳細に関しては、Jones et al. Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al. Nature 332:323-327 (1988);およびPresta Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照;それは参照により本明細書にそのまま援用される。従って、そのような“ヒト化”抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が非ヒト種からの対応する配列により置き換えられている抗体を含むことができる。実際、ヒト化抗体は、典型的には、一部のCDR残基およびおそらく一部のフレームワーク残基が、齧歯類抗体中の類似の部位からの残基により置き換えられているヒト抗体である。例えば、米国特許第5,225,539号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,859,205号を参照。予め決定された抗原に関する向上した親和性を有するヒト化抗体およびヒト化抗体を生成するための技法が開示されている、米国特許第6,180,370号、およびPCT国際公開第01/27160号も参照。
【0102】
“組み換えヒト抗体”または“完全ヒト抗体”は、ヒトにより産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、および/または当業者に既知の、もしくは本明細書で開示されるヒト抗体を作製するための技法のいずれかを用いて作製された抗体を指す。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1個のヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1種類のヒト軽鎖ポリペプチドを有する抗体を含む。1つのそのような例は、マウスの軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを有する抗体である。ヒト抗体は、当該技術で既知の様々な技法を用いて生成されることができる。例えば、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、ここで、そのファージライブラリーは、ヒト抗体を発現している(Vaughan et al., Nature Biotechnology, 14:309-314, (1996); Sheets et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 95:6157-6162, (1998); Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227(2):381-388 (1992); Marks et al., J. Mol. Biol., 222(3):581-597 (1991))。ヒト抗体は、ヒトの免疫グロブリン座位が内在性座位の代わりに遺伝子導入されている動物、例えば内在性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウスの免疫処置により作製されることもできる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号において記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対して向けられた抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することにより調製されることができる(そのようなBリンパ球は、個人から、もしくはcDNAの単一細胞クローニングから回収されることができ、またはインビトロで免疫されていることもできる)。例えば、Cole et al. Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77, (1985); Boerner et al., J. Immunol., 147 (1):86-95, (1991);および米国特許第5,750,373号を参照。
【0103】
本発明の抗体は、当該技術で周知の技法、例えば組み換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術もしくはそのような技術の組み合わせまたは当該技術で容易に知られている他の技術を用いて生成されることができる(例えば、Jayasena, S.D., Clin. Chem., 45: 1628-50 (1999)およびFellouse, F.A., et al, J. MoI. Biol., 373(4):924-40 (2007)を参照)。追加の手引きが、Sambrook J. & Russell D. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(2000); Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, John & Sons, Inc. (2002); Harlow and Lane Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(1998);およびColigan et al., Short Protocols in Protein Science, Wiley, John & Sons, Inc. (2003)において見付けられることができる。代表的な方法は、本明細書における下記の実施例1においても記載されている。
【0104】
一般に、ハイブリドーマ細胞株の産生に関して、宿主動物の免疫処置の経路およびスケジュールは、一般に抗体刺激および産生に関する確立された従来の技法と一致する。ヒトを含むあらゆる哺乳類の対象またはそれからの抗体産生細胞は、ヒトを含む哺乳類およびハイブリドーマの細胞株の生成のための基礎の役目を果たすために操作されることができることが意図されている。典型的には、宿主動物は、本明細書で記載されるような免疫原を含むある量の免疫原を、腹腔内に、筋内に、経口で、皮下に、足底内に、および/または皮内に接種される。
【0105】
ハイブリドーマは、リンパ球および不死化された骨髄腫細胞から、Kohler, B. and Milstein, C., Nature 256:495-497, 1975の一般的な体細胞ハイブリッド形成技法、またはBuck, D. W., et al., In Vitro, 18:377-381, 1982により修正されたような体細胞ハイブリッド形成技法を用いて調製されることができる。X63−Ag8.653およびソーク研究所細胞流通センター(米国カリフォルニア州サンディエゴ)からの骨髄腫株を含むがそれらに限定されない利用可能な骨髄腫株が、ハイブリッド形成において用いられることができる。一般に、その技法は、骨髄腫細胞およびリンパ系細胞を、融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いて、または当業者に周知の電気的手段により融合させることを含む。融合後、細胞を融合媒体から分離し、ハイブリッド形成しなかった親細胞を排除するために、選択増殖媒体、例えばヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)媒体中で増殖させる。血清を補われた、または補われていない本明細書で記載された媒体の全てが、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを培養するために用いられることができる。細胞融合技法に対する別の代替案として、EBV不死化B細胞が、本発明のPTK7モノクローナル抗体を生成するために用いられることができる。ハイブリドーマは、所望であれば、拡張およびサブクローニングされ、上清が、従来の免疫アッセイ手順(例えば放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ、または蛍光免疫アッセイ)により抗免疫原活性に関してアッセイされる。抗体の源として用いられることができるハイブリドーマは、PTK7またはその一部に特異的なモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマの全ての派生物、子孫細胞を包含する。
【0106】
そのような抗体を産生するハイブリドーマは、既知の手順を用いてインビトロまたはインビボで増殖させることができる。モノクローナル抗体は、所望であれば、培地または体液から、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過により単離されることができる。望まれない活性は、存在する場合、例えば、調製物を固相に結合した免疫原から作られた吸着剤上を流し、所望の抗体を免疫原から溶離する、または遊離させることにより除去されることができる。免疫される予定の種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターに、二官能性薬剤または誘導体化剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通したコンジュゲーション)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通したコンジュゲーション)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl
2、またはR
1N=C=NR(式中、RおよびR
1は異なるアルキル基である)を用いてコンジュゲートさせたヒトPTK7または標的アミノ酸配列を含有する断片を用いた宿主動物の免疫処置は、抗体(例えばモノクローナル抗体)の集団をもたらし得る。
【0107】
所望であれば、対象のPTK7抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)は、配列決定されることができ、次いでそのポリヌクレオチド配列は、発現または増殖のためにベクター中にクローニングされることができる。対象の抗体をコードしている配列は、宿主細胞においてベクター中で維持されることができ、次いで宿主細胞は拡張され、将来の使用のために凍結されることができる。細胞培養における組み換えモノクローナル抗体の生成は、当該技術で既知の手段による抗体遺伝子のB細胞からのクローニングにより実施されることができる。例えば、Tiller et al., J. Immunol. Methods 329:112-124 (2008);米国特許第7,314,622号を参照。
【0108】
“宿主細胞”は、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクター(単数または複数)のための受容者であることができる、または受容者であった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、その子孫は、天然、偶発的、または故意の変異のため、必ずしも元の親細胞と(形態において、またはゲノムDNA補体(complement)において)完全に同一ではない可能性がある。宿主細胞は、インビボで本発明のポリヌクレオチド(単数または複数)をトランスフェクションされた細胞を含む。
【0109】
用語“ベクター”は、宿主細胞において対象の1以上の遺伝子(単数または複数)または配列(単数または複数)を送達する、好ましくは発現することができるコンストラクトを意味する。ベクターの例は、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン性凝縮剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、および特定の真核細胞、例えばプロデューサー細胞を含むが、それらに限定されない。
【0110】
用語“発現制御配列”は、核酸の転写を方向付ける核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば構成的もしくは誘導性プロモーター、またはエンハンサーであることができる。発現制御配列は、転写されるべき核酸配列に作動的に(operably)連結されている。
【0111】
あるいは、ポリヌクレオチド配列は、抗体を“ヒト化する”ための、または抗体の親和性もしくは他の特徴を向上させるための遺伝子操作のために用いられることができる。例えば、定常領域は、抗体がヒトにおける臨床試験および処置において用いられる場合、免疫応答を避けるために、ヒトの定常領域により近く似るように操作されることができる。PTK7に対するより大きな親和性およびPTK7の阻害におけるより大きな有効性を得るために、抗体配列を遺伝子操作することが望ましい可能性がある。
【0112】
モノクローナル抗体をヒト化するために用いられることができる4つの一般的な工程が存在する:(1)出発する抗体の軽鎖および重鎖可変ドメインのヌクレオチド配列および予測されるアミノ酸配列を決定する、(2)ヒト化抗体を設計する、すなわち、どの抗体フレームワーク領域をヒト化プロセスの間に用いるかを決定する、(3)実際のヒト化方法論/技法、ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現。例えば、米国特許第4,816,567号;第5,807,715号;第5,866,692号;第6,331,415号;第5,530,101号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,585,089号;および第6,180,370号を参照。
【0113】
ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)のベニヤリング(veneering)、移植、短縮されたCDRの移植、特異性決定領域(SDR)の移植、および下記で記載されるようなフランケンシュタイン組み立て(Frankenstein assembly)を含む様々な方法のいずれか1つを用いて調製されることができる。ヒト化抗体は、1以上の変化がCDR中に導入されている超ヒト化抗体(superhumanized antibodies)も含む。例えば、ヒトの残基が、CDRにおいて非ヒト残基の代わりに用いられることができる。これらの一般的なアプローチは、あらゆる所望の配列の抗PTK7抗体を生成するために標準的な変異誘発および合成技法と組み合わせられることができる。
【0114】
ベニヤリングは、齧歯類または他の非ヒト抗体中の免疫原性である可能性のあるアミノ酸配列を、その抗体の溶媒が接近し得る外側をヒトのアミノ酸配列で再表面形成する(resurfacing)ことにより低減する概念に基づいている。従って、ベニヤリングされた抗体は、未改変の非ヒト抗体よりもヒト細胞に対して異質ではないように見える。Padlan (1991) Mol. Immunol. 28:489-98を参照。非ヒト抗体は、ヒト抗体のフレームワーク領域中の同じ位置の残基とは異なる非ヒト抗体中の露出した外側のフレームワーク領域残基を同定し、同定された残基をヒト抗体中のこれらの同じ位置を典型的に占めているアミノ酸で置き換えることによりベニヤリングされる。
【0115】
CDRの移植は、受容抗体(例えば所望のフレームワーク残基を有するヒト抗体または他の抗体)の1個以上のCDRを供与抗体(例えば非ヒト抗体)のCDRで置き換えることにより実施される。受容抗体は、候補受容抗体および供与抗体の間のフレームワーク残基の類似性に基づいて選択されることができる。例えば、フランケンシュタインアプローチに従って、ヒトのフレームワーク領域は、関連する非ヒト抗体のそれぞれのフレームワーク領域に対する実質的な配列相同性を有するものとして同定され、非ヒト抗体のCDRが、異なるヒトフレームワーク領域の複合物上に移植される。やはり本発明の抗体の調製のために有用である関連する方法が、米国特許第7,321,026号において記載されている。
【0116】
短縮されたCDRの移植は、関連するアプローチである。短縮されたCDRは、特異性決定残基および隣接するアミノ酸を含み、それは軽鎖中の27d〜34位、50〜55位および89〜96位、ならびに重鎖中の31〜35b位、50〜58位、および95〜101位((Kabat et al. (1987)の番号付けの慣習)の特異性決定残基および隣接するアミノ酸を含む。(Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-9)を参照。特異性決定残基(SDR)の移植は、抗体結合部位の結合特異性および親和性が、相補性決定領域(CDR)のそれぞれの内部の最も高度に可変性の残基により決定されるという理解を前提としている。抗体−抗原複合体の三次元構造の分析は、入手可能なアミノ酸配列データの分析と合わせて、CDR内のそれぞれの位置において生じるアミノ酸残基の構造的相違に基づいて配列の変動性をモデル化する(model)ために用いられることができる。SDRは、接触残基からなる最小限の免疫原性ポリペプチド配列として同定される。Padlan et al. (1995) FASEB J. 9: 133-139を参照。
【0117】
一般に、ヒトの受容フレームワークは、それらが供与抗体のフレームワーク領域に実質的に類似している、またはそれが可変領域サブファミリーのコンセンサス配列に最も類似していることに基づいて選択される。移植後に、フレームワーク領域中への非ヒト残基の導入を含む追加の変更が、抗体の結合、機能性、コドン使用率、発現レベル等を最適化するために、供与および/または受容配列中になされることができる。例えば、PCT国際公開第91/09967号を参照。
【0118】
CDRの重鎖可変フレームワーク領域上への移植に関して、有用なフレームワーク配列は、DP−21(VH7)、DP−54(VH3−07)、DP−47(VH3−23)、DP−53(VH−74)、DP−49(VH3−30)、DP−48(VH3−13)、DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)に由来することができる。CDRの軽鎖可変フレームワーク領域上への移植に関して、有用なフレームワーク配列は、DPK24下位群IV生殖細胞系列クローン、Will下位群(DPK23、DPK22、DPK20、DPK21)、またはVκI下位群生殖細胞系列クローン(DPK9、DPK1、O2、DPK7)に由来することができる。
【0119】
抗原結合断片または抗体断片は、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解により、上記のような組み換え的方法(すなわち単一のポリペプチドまたは融合ポリペプチド)により、または化学合成により生成されることができる。抗体のポリペプチド、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成により好都合に作製される。化学合成の方法は、当該技術で既知であり、商業的に入手可能である。例えば、抗体または抗体断片は、固相法を用いる自動化されたポリペプチド合成装置により生成されることができるであろう。米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;および第6,331,415号も参照。
【0120】
本発明の他の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、hu23、hu24、もしくはhu58重鎖および/または軽鎖可変領域、またはhu23、hu24、もしくはhu58重鎖もしくは軽鎖可変領域に実質的に類似した可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。
【0121】
ポリペプチドに適用される際、用語“実質的同一性”または“実質的類似性”は、2つのアミノ酸配列が、例えばプログラムGAPまたはBESTFITにより、プログラムに供給されているような初期設定のギャップウェイトを用いて最適に整列させた場合に、少なくとも70%、75%または80%の配列の同一性、好ましくは少なくとも90%または95%の配列の同一性、より好ましくは少なくとも97%、98%または99%の配列同一性を共有することを意味する。一部の実質的に類似のアミノ酸配列において、同一ではない残基の位置は、保存的アミノ酸置換により異なっている。
【0122】
実質的に類似のポリペプチドは、1個以上の残基が機能的に類似の残基で保存的に置換されている保存的に置換されたバリアントも含む。保存的置換の例は、ある非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンの、別の非極性(疎水性)残基に関する置換;ある極性(親水性)残基の別の極性(親水性)残基に関する置換、例えばアルギニンおよびリジン間、グルタミンおよびアスパラギン間、グリシンおよびセリン間での置換;ある塩基性残基、例えばリジン、アルギニンもしくはヒスチジンの別の塩基性残基に関する置換;またはある酸性残基、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸の別の酸性残基に関する置換を含む。
【0123】
2つのタンパク質が実質的に同一であることのさらなる指標は、それらが全体の三次元構造を共有していること、または生物学的機能的均等物であることである。
本発明のある側面において、PTK7に結合する抗体−薬物コンジュゲートは、SEQ ID NO:1、25、または49のいずれか1つとして示されている重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:15、39、または63のいずれか1つとして示されている軽鎖可変領域を有する抗体、またはその抗原結合断片を含む。例えば、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、SEQ ID NO:1に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:15に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片;またはSEQ ID NO:1として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:15として示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片を含むことができる。別の例として、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、SEQ ID NO:25に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:39に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片;またはSEQ ID NO:25として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:39として示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片を含むことができる。別の例として、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、SEQ ID NO:49に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域およびSEQ ID NO:63に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片;またはSEQ ID NO:49として示されている重鎖可変領域およびSEQ ID NO:63として示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体、もしくはその抗原結合断片を含むことができる。
【0124】
抗体は、例えば重鎖および/または軽鎖の可変ドメインにおいて、例えば抗体の結合特性を変化させるために改変されることもできる。例えば、CDR領域の1個以上において、その抗体のPTK7に関するK
Dを増大もしくは低下させるために、k
offを増大もしくは低下させるために、またはその抗体の結合特異性を変化させるために、変異がなされることができる。部位特異的変異誘発における技法は、当該技術で周知である。例えば、Sambrook et al.およびAusubel et al.(上記)を参照。
【0125】
改変または変異は、PTK7抗体の半減期を増大させるためにフレームワーク領域または定常領域においてなされることもできる。例えば、PCT国際公開第00/09560号を参照。フレームワーク領域または定常領域中の変異は、抗体の免疫原性を変化させるために、別の分子への共有結合的もしくは非共有結合的結合のための部位を提供するために、または補体結合、FcR結合および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害のような特性を変化させるためになされることもできる。本発明によれば、単一の抗体は、可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域のあらゆる1個以上において、または定常領域において変異を有することができる。
【0126】
“生殖細胞系列化(germlining)”として知られるプロセスにおいて、VHおよびVL配列中の特定のアミノ酸を、生殖細胞系列のVHおよびVL配列中に天然に存在するアミノ酸と一致するように変異させることができる。特に、VHおよびVL配列中のフレームワーク領域のアミノ酸配列を、その抗体が投与される際の免疫原性の危険性を低減するために、生殖細胞系列の配列と一致するように変異させることができる。本明細書で用いられる際、用語“生殖細胞系列”は、抗体遺伝子および遺伝子断片の、それらが親から子に生殖細胞を介して渡された際のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を指す。この生殖細胞系列配列は、B細胞成熟の過程の間に組み替えおよび超変異事象により変化している成熟B細胞中の抗体をコードしているヌクレオチド配列とは区別される。特定の生殖細胞系列を“利用する”抗体は、生殖細胞系列のヌクレオチド配列と、またはそれが指定するアミノ酸配列と最も近く整列するヌクレオチドまたはアミノ酸配列を有する。そのような抗体は、しばしば、生殖細胞系列の配列と比較して変異している。ヒトVHおよびVL遺伝子に関する生殖細胞系列DNA配列は、当該技術で既知である(例えば、“Vbase”ヒト生殖細胞系列配列データベースを参照;Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242; Tomlinson et al., J. Mol. Biol. 227:776-798, 1992;およびCox et al., Eur. J. Immunol. 24:827-836, 1994も参照)。
【0127】
なされることができる別のタイプのアミノ酸置換は、抗体中の潜在的なタンパク質分解部位を除去するためのものである。そのような部位は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中または定常領域中に存在し得る。システイン残基の置換およびタンパク質分解部位の除去は、抗体生成物における不均質性の危険性を低下させ、従ってその均質性を増大させることができる。別のタイプのアミノ酸置換は、潜在的な脱アミド部位を形成するアスパラギン−グリシン対を、その残基の一方または両方を変更することにより排除することである。別の例において、本発明のPTK7抗体の重鎖のC末端リジンは、切断されることができる。本発明の様々な側面において、PTK7抗体の重鎖および軽鎖は、場合によりシグナル配列を含むことができる。
【0128】
本発明のPTK7抗体を発現させるために、VHおよびVL領域をコードするDNA断片が、まず上記の方法のいずれかを用いて得られることができる。当該技術で既知であるように、“ポリヌクレオチド”、“核酸/ヌクレオチド”、および“オリゴヌクレオチド”は、本明細書において互換的に用いられており、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態(デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのどちらでもよい)、その類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより鎖中に組み込まれることができるあらゆる基質を含む。ポリヌクレオチドは、あらゆる三次元構造を有することができ、既知または未知のあらゆる機能を実施することができる。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、DNA、cDNA、ゲノムDNA、組み換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、あらゆる配列の単離されたDNA、あらゆる配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、天然存在ポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、組み換えポリヌクレオチド、またはそれらのあらゆる組み合わせであることができる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体を含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、鎖の組み立ての前または後に与えられることができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素により遮られることができる。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識構成要素とのコンジュゲーションによりさらに改変されることができる。他のタイプの改変は、例えば、“キャップ”、天然存在ヌクレオチドの1個以上の類似体による置換、ヌクレオチド間改変、例えば非荷電連結(例えばメチルホスホネート類、ホスホトリエステル類、ホスホルアミデート類、カルバメート類等)による、および荷電した連結(例えばホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類等)による改変、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリL−リジン等)のようなペンダント部分を含有する改変、インターカレーター(例えばアクリジン、ソラレン等)による改変、キレーター(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属等)を含有する改変、アルキル化剤を含有する改変、改変された連結(例えばアルファアノマー核酸等)による改変、ならびにポリヌクレオチド(単数または複数)の非改変形態を含む。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれも、例えばホスホネート基、ホスフェート基により置き換えられる、標準的な保護基により保護される、もしくは追加のヌクレオチドへの追加の連結を用意するために活性化されることができ、または固体支持体にコンジュゲートされることもできる。5’および3’末端OHは、リン酸化されていることができ、またはアミンもしくは1〜20炭素原子の有機性キャッピング基部分により置換されていることもできる。他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘導体化されることができる。ポリヌクレオチドは、例えば2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、アルファまたはベータアノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース類、非環式類似体および脱塩基ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドを含む、当該技術で一般的に知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似形態を含有することもできる。1個以上のホスホジエステル結合が、代替の連結基により置き換えられることができる。これらの代替の連結基は、ホスフェートがP(O)S(“チオエート”)、P(S)S(“ジチオエート”)、(O)NR
2(“アミデート”)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH
2(“ホルムアセタール(formacetal)”)により置き換えられている特徴を含むが、それに限定されず、ここでそれぞれのRまたはR’は、独立してH、または場合によりエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルキルを含有する置換もしくは非置換アルキル(1〜20C)である。ポリヌクレオチド中の全部の結合が同一である必要はない。先行する記載は、RNAおよびDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0129】
抗PTK7抗体重鎖および軽鎖可変領域をコードする代表的なDNAは、SEQ ID NO:2(hu23 VH DNA)、SEQ ID NO:16(hu23 VL DNA)、SEQ ID NO:26(hu24 VH DNA)、SEQ ID NO:40(hu24 VL DNA)、SEQ ID NO:50(hu58 VH DNA)およびSEQ ID NO:64(hu58 VL DNA)として示されている。抗PTK抗体重鎖および軽鎖をコードする代表的なDNAは、SEQ ID NO:14(hu23 HC DNA)、SEQ ID NO:24(hu23 LC DNA)、SEQ ID NO:38(hu24 HC DNA)、SEQ ID NO:48(hu24 LC DNA)、SEQ ID NO:62(hu58 HC DNA)、およびSEQ ID NO:72(hu58 LC DNA)として示されている。
【0130】
様々な改変、例えば変異、置換、欠失、および/または付加が、当業者に既知の標準的な方法を用いてhu23、hu24、およびhu58 DNA配列中に導入されることもできる。例えば、変異誘発、例えば、変異したヌクレオチドが、PCR産物が所望の変異を含有するようにPCRプライマー中に組み込まれる、PCRに媒介される変異誘発、または部位特異的変異誘発が、標準的な方法を用いて実施されることができる。
【0131】
従って、本出願の開示に基づいて、当業者は、hu23、hu24、およびhu58 DNAに実質的に類似したDNAの配列を容易に認識するであろう。用語“実質的類似性”または“実質的配列類似性”は、核酸またはその断片に言及する場合、適切なヌクレオチド挿入または欠失を用いて別の核酸(またはその相補鎖)と最適に整列させた際に、あらゆる周知の配列同一性のアルゴリズム、例えばFASTA、BLASTまたはGapにより測定した場合にヌクレオチド塩基の少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%においてヌクレオチド配列同一性が存在することを意味する。
【0132】
核酸配列の文脈における用語“パーセント配列同一性”は、最大一致に関して整列させた際に同じである2つの配列中の残基を意味する。配列同一性の比較の長さは、一続きの少なくとも約9ヌクレオチド、通常は少なくとも約18ヌクレオチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36、48またはより多くのヌクレオチドにわたることができる。ヌクレオチド配列同一性を測定するために用いられることができる、当該技術で既知のいくつかの異なるアルゴリズムが存在する。例えば、ポリヌクレオチド配列は、FASTA、GapまたはBestfitを用いて比較されることができ、それはWisconsinパッケージバージョン10.0、Genetics Computer Group(GCG)、ウィスコンシン州マディソン中のプログラムである。例えばプログラムFASTA2およびFASTA3を含むFASTAは、クエリー配列および検索配列の間の最高の重複の領域のアラインメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson, Methods Enzymol. 183:63-98 (1990); Pearson, Methods Mol. Biol. 132:185-219 (2000); Pearson, Methods Enzymol. 266:227-258 (1996); Pearson, J. Mol. Biol. 276:71-84 (1998);それは参照により本明細書にそのまま援用される)。別途明記されない限り、個々のプログラムまたはアルゴリズムに関する初期設定のパラメーターが用いられる。例えば、核酸配列間のパーセント配列同一性は、FASTAをその初期設定のパラメーター(6のワードサイズおよびスコア行列に関してNOPAM因子(NOPAM factor))と共に用いて、またはGapをGCGバージョン6.1において提供されているようなその初期設定のパラメーターと共に用いて決定されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
【0133】
2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらなる指標は、その核酸によりコードされるタンパク質が実質的に同一であること、全体的な三次元構造を共有していること、または生物学的機能的均等物であることである。これらの用語は、本明細書において下記でさらに定義される。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸分子は、対応するタンパク質が実質的に同一である場合、なお実質的に同一である。これは、例えば、2つのヌクレオチド配列が遺伝子コードにより許容されるような保存的に置換されたバリアントを含む場合に起こり得る。
【0134】
保存的に置換されたバリアントは、1以上の選択された(または全部の)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される、縮重コドン置換を有する核酸配列である。Batzer et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J. Biol. Chem. 260:2605-2608;およびRossolini et al. (1994) Mol. Cell Probes 8:91-98を参照。
【0135】
例えば、なされることができる1つのタイプの置換は、化学的に反応性であり得る抗体中の1個以上のシステインを、別の残基、例えば(限定ではなく)アラニンまたはセリンに変更することである。例えば、非カノニカル(non−canonical)システインの置換が存在することができる。その置換は、抗体の可変ドメインのCDRもしくはフレームワーク領域中で、または定常領域中でなされることができる。別の例として、そのシステインは、カノニカルであることができる。
【0136】
一度本発明のVHおよびVL区間をコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片は、標準的な組み換えDNA技法により、例えば可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換するためにさらに操作されることができる。これらの操作において、VLまたはVHをコードするDNA断片は、別のタンパク質、例えば抗体定常領域または柔軟なリンカーをコードする別のDNA断片に、作動的に連結される。用語“作動的に連結される”は、この文脈において用いられる際、2個のDNA断片が、その2個のDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように繋がれることを意味することが意図されている。
【0137】
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHをコードするDNAを重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより、完全長重鎖遺伝子に変換されることができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術で既知であり(例えば、Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により得られることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であることができるが、最も好ましくは、IgG1またはIgG2定常領域である。IgG定常領域配列は、異なる個体間で生じることが知られている様々な対立遺伝子またはアロタイプ、例えばGm(1)、Gm(2)、Gm(3)、およびGm(17)のいずれであることもできる。これらのアロタイプは、IgG1定常領域中の自然発生アミノ酸置換に相当する。Fab断片重鎖遺伝子に関して、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動的に連結されることができる。CH1重鎖定常領域は、重鎖遺伝子のいずれに由来することもできる。
【0138】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを軽鎖定常領域であるCLをコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより、完全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換されることができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術で既知であり(例えば、Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, 米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242を参照)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により得られることができる。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であることができる。カッパ定常領域は、異なる個体間で生じることが知られている様々な対立遺伝子、例えばInv(1)、Inv(2)、およびInv(3)のいずれであることもできる。ラムダ定常領域は、3つのラムダ遺伝子のいずれに由来することもできる。
【0139】
scFv遺伝子を作製するために、VHおよびVLをコードするDNA断片は、柔軟なリンカーをコードする別の断片に、VHおよびVL配列が連続した一本鎖のタンパク質として発現されることができ、VLおよびVH領域が柔軟なリンカーにより繋がれるように、作動的に連結される(例えば、Bird et al., 1988, Science 242:423-426; Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., 1990, Nature 348:552-554を参照)。一本鎖抗体は、単一のVHおよびVLのみが用いられる場合は一価、2つのVHおよびVLが用いられる場合は二価、または2つより多くのVHおよびVLが用いられる場合は多価であることができる。PTK7に、および別の分子に特異的に結合する二特異性または多価抗体が生成されることができる。
【0140】
本発明の別の側面において、別のポリペプチドに連結された本発明のPTK7抗体の全部または一部を含む融合抗体またはイムノアドヘシンが、作製されることができる。別の側面において、PTK7抗体の可変ドメインのみが、ポリペプチドに連結される。別の側面において、PTK7抗体のVHドメインが、第1ポリペプチドに連結され、一方でPTK7抗体のVLドメインが、第1ポリペプチドと会合する第2ポリペプチドに、VHおよびVLドメインが互いと相互作用して抗原結合部位を形成することができるような様式で連結される。別の側面において、VHドメインは、VHおよびVLドメインが互いと相互作用することができるように、リンカーによりVLドメインから分離されている。次いで、VH−リンカー−VL抗体は、対象のポリペプチドに連結される。加えて、2個(またはより多く)の一本鎖抗体が互いに連結されている融合抗体が、作製されることができる。これは、単一のポリペプチド鎖上に二価または多価抗体を作製したい場合、または二特異性抗体を作製したい場合に有用である。
【0141】
他の改変された抗体が、PTK7抗体をコードする核酸分子を用いて調製されることができる。例えば、“カッパボディ(Kappa bodies)”(Ill et al., Protein Eng. 10:949-57, 1997)、“ミニボディ”(Martin et al., EMBO J., 13:5303-9, 1994)、“ダイアボディ”(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448, 1993)、または“ジャヌシン(Janusins)”(Traunecker et al., EMBO J. 10:3655-3659, 1991およびTraunecker et al., Int. J. Cancer (補遺) 7:51-52, 1992)が、本明細書の教示に従って、標準的な分子生物学の技法を用いて調製されることができる。
【0142】
二特異性抗体または抗原結合断片は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む様々な方法により生成されることができる。例えば、Songsivilai & Lachmann, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321, 1990, Kostelny et al., J. Immunol. 148:1547-1553, 1992を参照。加えて、二特異性抗体は、“ダイアボディ”または“ジャヌシン”として形成されることができる。本発明のある側面において、二特異性抗体は、PTK7の2つの異なるエピトープに結合する。他の側面において、上記の改変された抗体は、本明細書で提供されるPTK7抗体からの可変ドメインまたはCDR領域の1個以上を用いて調製される。
【0143】
抗体−薬物コンジュゲートの調製における使用に関して、本明細書で記載されるPTK7抗体は、実質的に純粋である、すなわち少なくとも50%純粋である(すなわち汚染物質を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋である、より好ましくは少なくとも95%純粋である、さらにもっと好ましくは少なくとも98%純粋である、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることができる。
【0144】
表1は、本発明のヒト化坑PTK7抗体のアミノ酸(タンパク質)配列および関係する核酸(DNA)配列を提供する。Kabatにより、およびChothiaにより定められたhu23 VH、hu23 VL、hu24 VH、hu24 VL、hu58 VH、およびhu58 VLのCDRは、別々の配列として示されている。
【0152】
II.B. リンカー
本発明の抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、薬物を抗PTK7抗体に連結またはコンジュゲートするためのリンカーを用いて調製されることができる。リンカーは、薬物および抗体を連結して抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を形成するために用いられることができる二官能性化合物である。そのようなコンジュゲートは、例えば、腫瘍関連抗原に対して向けられた免疫コンジュゲートの形成において有用である。そのようなコンジュゲートは、細胞毒性薬物の腫瘍細胞への選択的送達を可能にする。適切なリンカーは、例えば、切断可能および切断不能なリンカーを含む。切断可能なリンカーは、典型的には細胞内条件の下で切断を受けやすい。コンジュゲートされた薬物が抗体から切断される主な機序は、リソソームの酸性pHにおける加水分解(ヒドラゾン類、アセタール類、およびシス−アコニテート様アミド類)、リソソーム酵素(カテプシン類および他のリソソーム酵素)によるペプチド切断、およびジスルフィドの還元を含む。切断に関するこれらの様々な機序の結果として、薬物を抗体に連結する機序も広く異なり、あらゆる適切なリンカーが用いられることができる。
【0153】
適切な切断可能なリンカーは、例えば、細胞内プロテアーゼ、例えばリソソーム性プロテアーゼまたはエンドソーム性プロテアーゼにより切断されることができるペプチドリンカーを含む。本発明の側面において、リンカーは、ジペプチドリンカー、例えばバリン-シトルリン(val−cit)、フェニルアラニン−リジン(phe−lys)リンカー、またはマレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)リンカーであることができる。別の側面において、リンカーは、スルホスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート(smcc)であることができる。スルホ−smccコンジュゲーションは、スルフヒドリル(チオール、−SH)と反応するマレイミド基を介して起こり、一方でそのスルホ−NHSエステルは、(リジンおよびタンパク質またはペプチドのN末端にあるような)第一級アミンに対して反応性である。さらに、リンカーは、マレイミドカプロイル(mc)であることができる。
【0154】
他の適切なリンカーは、特定のpHまたはpH範囲で加水分解可能なリンカー、例えばヒドラゾンリンカーを含む。追加の適切な切断可能なリンカーは、ジスルフィドリンカーを含む。リンカーは、薬物が遊離されるために抗体が細胞内で分解されなければならないような程度まで、抗体に共有結合していることができる(例えばmcリンカー等)。
【0155】
本発明の特定の側面において、本発明のPTK抗体−薬物コンジュゲートのリンカーは、マレイミドカプロン酸−バリン−シトルリン−p−アミノベンジルオキシカルボニル(vc)、マレイミドカプロイル(mc)またはAcButであることができる。
【0156】
適切なコンジュゲーション手順の一例は、ヒドラジドおよび他の求核種の、抗体上に天然に存在する炭水化物の酸化により生成されるアルデヒドへのコンジュゲーションに頼っている。ヒドラゾンを含有するコンジュゲートは、所望の薬物放出特性を提供する導入されたカルボニル基を用いて作製されることができる。コンジュゲートは、一方の末端にジスルフィド、中央にアルキル鎖、そして他方の末端にヒドラジン誘導体を有するリンカーを用いて作製されることもできる。アントラサイクリン類は、この技術を用いて抗体にコンジュゲートさせることができる細胞毒素の一例である。
【0157】
ヒドラゾン類以外の官能基を含有するリンカーは、リソソームの酸性環境中で切断される可能性を有する。例えば、コンジュゲートは、細胞内で切断可能であるヒドラゾン以外の部位、例えばエステル、アミド、および/またはアセタール/ケタールを含有するチオール反応性リンカーから作られることができる。カンプトテシンは、これらのリンカーを用いてコンジュゲートさせることができる1つの細胞毒性剤である。5〜7員環ケトンから作られ、細胞毒性剤に結合した酸素の一方および抗体の結合のためのリンカーに結合した酸素の他方を有するケタールも、用いられることができる。アントラサイクリン類は、これらのリンカーと共に用いられるための適切な細胞毒素の一例でもある。
【0158】
pH感受性リンカーのクラスの別の例は、シス−アコニテート類であり、それは、アミド結合に並列されたカルボン酸を有する。カルボン酸は、酸性リソソームにおけるアミド加水分解を加速する。いくつかの他のタイプの構造により類似のタイプの加水分解速度の加速を達成するリンカーも、用いられることができる。メイタンシノイド類は、C−9において結合したリンカーとコンジュゲートさせることができる細胞毒素の一例である。
【0159】
薬物コンジュゲートに関する別の可能性のある遊離法は、リソソーム酵素によるペプチドの酵素的加水分解である。一例において、ペプチドは、アミド結合を介してパラ−アミノベンジルアルコールに結合し、次いでカルバメートまたはカーボネートが、ベンジルアルコールおよび細胞毒性剤の間で作られる。ペプチドの切断は、アミノベンジルカルバメートまたはカーボネートの崩壊、または自己犠牲(self−immolation)をもたらす。この戦略を用いて例示される細胞毒性剤は、アントラサイクリン類、タキサン類、マイトマイシンC、およびオーリスタチン類を含む。一例において、フェノールも、カルバメートの代わりにリンカーの崩壊により遊離されることができる。別のバリエーションにおいて、ジスルフィド還元が、パラ−メルカプトベンジルカルバメートまたはカーボネートの崩壊を開始するために用いられる。
【0160】
抗体にコンジュゲートした細胞毒性剤の多くは、水中での可溶性を、たとえあるとしてもほとんど有さず、それは、コンジュゲートの凝集のため、コンジュゲートへの薬物装填を制限し得る。これを克服するための1つのアプローチは、リンカーに可溶性の基を付加することである。抗体に結合したPEG二酸、チオール−酸、またはマレイミド−酸、ジペプチドスペーサー、およびアントラサイクリンまたはデュオカルマイシン類似体のアミンに対するアミド結合を有するリンカーを含む、PEGおよびジペプチドからなるリンカーを用いて作られたコンジュゲートが、用いられることができる。別の例は、細胞毒性剤に結合したPEG含有リンカージスルフィドおよび抗体に結合したアミドを用いて調製されたコンジュゲートである。PEG基を組み込むアプローチは、薬物装填における凝集および制限の克服において有益である可能性がある。
【0161】
参照により本明細書にそのまま援用される米国特許第5,773,001号は、カリケアマイシン類から調製された求核性薬物、特にヒドラジド類および関連する求核種と共に用いられることができるリンカーを開示している。これらのリンカーは、薬物およびリンカーの間で形成される結合が加水分解可能である際によりよい活性が得られる場合に特に有用である。これらのリンカーは、(1)抗体との反応のための基(例えばカルボン酸)、および(2)薬物との反応のためのカルボニル基(例えばアルデヒドまたはケトン)を含む2個の官能基を含有する。カルボニル基は、薬物上のヒドラジド基と反応してヒドラゾン結合を形成することができる。この結合は、切断可能、加水分解可能であり、標的細胞への結合後の療法剤のコンジュゲートからの遊離を可能にする。本発明の特定の側面において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートのリンカーは、4−(4−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)であることができる。本発明の他の側面において、抗体−薬物コンジュゲートは、(3−アセチルフェニル)酢酸(AcPAc)または4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)をリンカー分子として用いて調製されることができる。
【0162】
N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)エステル類または他の比較可能なほどに活性化されたエステル類は、活性化された加水分解可能なリンカー−薬物部分を生成するために用いられることができる。他の適切な活性化エステル類の例は、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)、スルホ−NHS(スルホン化NHS)、PFP(ペンタフルオロフェニル)、TFP(テトラフルオロフェニル)、およびDNP(ジニトロフェニル)を含む。
【0163】
本発明のある側面において、抗体−薬物コンジュゲートは、カリケアマイシンまたはその誘導体、AcButリンカーおよび本発明の抗PTK7抗体を反応させることにより調製される。例えば、米国特許第5,773,001号を参照。AcButリンカーは、循環中で実質的に安定であるコンジュゲートを生成し、インビトロでヒト血漿中で37℃においてアッセイされた際に1日あたりカリケアマイシンの推定2%を遊離する。そのコンジュゲートは、酸性リソソーム中でカリケアマイシンを遊離する。
【0164】
本発明のある側面において、AcButCM部分は、当該技術で、例えばPCT国際公開第08/147765号および米国特許第8,273,862号において記載されている方法およびプロセスを用いて生成されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。本発明のある側面において、AcButCM部分は、米国仮出願第61/899,682号において記載されているような向上した合成プロセスを用いて生成されることができ、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
【0165】
放射性同位体のコンジュゲーションに有用な代表的なリンカーは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)−イソチオシアネート、スクシンイミジル 6−ヒドラジニウム ニコチネート塩酸塩(SHNH)、およびヘキサメチルプロピレンアミンオキシム(HMPAO)を含む(Bakker et al. (1990) J. Nucl. Med. 31: 1501-1509, Chattopadhyay et al. (2001) Nucl. Med. Biol. 28: 741-744, Dewanjee et al. (1994) J. Nucl. Med. 35: 1054-63, Krenning et al. (1989) Lancet 1: 242-244, Sagiuchi et al. (2001) Ann. Nucl. Med. 15: 267-270;米国特許第6,024,938号)。あるいは、標的化分子は、放射性同位体が直接それに結合し得るように誘導体化されることができる(Yoo et al. (1997) J. Nucl. Med. 38: 294-300)。ヨウ素化法も、当該技術で既知であり、代表的なプロトコルは、例えばKrenning et al. (1989) Lancet 1:242-4において、およびBakker et al. (1990) J. Nucl. Med. 31:1501-9において見付けられることができる。
【0166】
II.C. 薬物
開示されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートの調製において有用な薬物は、生物学的または検出可能な活性を有するあらゆる物質、例えば療法剤、検出可能な標識、結合剤等、およびインビボで代謝されて有効薬剤になるプロドラッグを含む。薬物は、薬物誘導体であることもでき、ここで、薬物は、本発明の抗体とのコンジュゲーションを可能にするように官能化されている。開示される方法によれば、薬物は、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられ、式中、(a)Abは、PTK7に結合する抗体、またはその抗原結合断片であり;そして(b)L−Dは、リンカー−薬物部分であり、ここでLはリンカーであり、そしてDは薬物である。薬物対抗体比(DAR)または薬物装填は、抗体あたりにコンジュゲートしている薬物(D)分子の数を示す。本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、1〜8の範囲内であるDARを有する。従って、本発明の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、1個の薬物分子(1のDAR)、または2個の薬物分子(2のDAR)、または3個の薬物分子(3のDAR)、または4個の薬物分子(4のDAR)、または5個の薬物分子(5のDAR)、または6個の薬物分子(6のDAR)、または7個の薬物分子(7のDAR)、または8個の薬物分子(8のDAR)を含むことができる。DARは、様々な従来の手段、例えばUV分光法、質量分析、ELISAアッセイ、放射測定法、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、電気泳動およびHPLCにより決定されることができる。
【0167】
式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲート(ADC)の組成物、バッチおよび/または配合物は、複数の抗体を含むことができ、それぞれの抗体は、特定の数の薬物分子にコンジュゲートしている(DAR1〜8)。組成物、バッチおよび/または配合物は、平均DARを有する。
【0168】
本発明の特定の側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、約1〜約8の範囲の平均DAR、例えば約2〜約7の範囲の平均DAR、または約3〜約6の範囲の平均DAR、または約4〜約5の範囲の平均DAR、または約5〜約7の範囲の平均DAR、または約6〜約8の範囲の平均DARにより特性付けられることができる。ある側面において、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、約1の平均DAR、または約2の平均DAR、または約3の平均DAR、または約4の平均DAR、または約5の平均DAR、または約6の平均DAR、または約7の平均DAR、または約8の平均DARを有することができる。前記の平均DARの範囲において用いられる際、用語“約”は、+/−0.5%を意味する。
【0169】
さらに、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、好ましい範囲の平均DAR、例えば約3〜約5の範囲の平均DAR、約3〜約4の範囲の平均DAR、または約4〜約5の範囲の平均DARにより特性付けられることができる。さらに、抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、好ましい範囲の平均DAR、例えば3〜5の範囲の平均DAR、3〜4の範囲の平均DAR、または4〜5の範囲の平均DARにより特性付けられることができる。
【0170】
式Ab−(L−D)のADCの組成物、バッチ、および/または配合物は、DAR分布により特性付けられることができる。DAR分布は、ADCの組成物、バッチ、および/または配合物中に存在し得る様々なADC種(例えばDAR1〜8)のパーセントまたは割合を提供する。ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、当該技術で既知の方法、例えばキャピラリー等電点分画法(cIEF)により決定されることができる。
【0171】
本発明の一側面において、式Ab−(L−D)のADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、一般にDAR1〜8を有する広い範囲のADC種を含有する広いDAR分布を有する高度に不均質なADCの混合物として特性付けられることができる。
【0172】
本発明の別の側面において、ADCの組成物、バッチ、および/または配合物のDAR分布は、一般に特定のDAR、例えばDAR3〜5を有する狭い範囲のADC種を含有する狭いDAR分布を有する高度に均質な混合物として特性付けられることができる。
【0173】
例えば、療法剤は、癌細胞または活性化された免疫細胞に対して細胞毒性、細胞増殖抑制性、および/または免疫調節性作用を及ぼす薬剤である。療法剤の例は、細胞毒性剤、化学療法剤、細胞増殖抑制剤、および免疫調節剤を含む。化学療法剤は、癌の処置において有用な化合物である。
【0174】
療法剤は、それを必要とする対象において障害を処置または予防するために用いられることができる組成物である。本発明において有用な療法剤は、抗癌剤、すなわちPTK7発現細胞、例えば乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌;卵巣癌;結腸直腸癌;白血病、例えば急性骨髄性白血病(AML)および急性リンパ芽球性白血病(ALL);食道癌;胃癌;黒色腫;肉腫;腎臓癌;膵臓癌;前立腺癌;肝臓癌、例えば肝細胞癌(HCC);ならびに肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)からの癌細胞において抗癌活性を有する薬剤を含む。
【0175】
代表的な療法剤は、細胞毒素、細胞毒性剤、および細胞増殖抑制剤を含む。細胞毒性作用は、標的細胞(単数または複数)の枯渇、排除および/または殺傷を指す。細胞毒性剤は、細胞に対して細胞毒性および/または細胞増殖抑制作用を有する薬剤を指す。細胞増殖抑制作用は、細胞増殖の阻害を指す。細胞増殖抑制剤は、細胞に対して細胞増殖抑制作用を有し、それにより細胞の特定の部分集合の増殖および/または拡張を阻害する薬剤を指す。
【0176】
追加の代表的な療法剤は、放射性同位体、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、および細胞溶解性酵素(例えばRNアーゼ)を含む。薬剤は、療法的核酸、例えば免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、またはアポトーシス促進剤をコードする遺伝子を含むこともできる。これらの薬物の記述語は、互いに排他的ではなく、従って療法剤は、上記の用語の1以上を用いて記載されることができる。例えば、選択される放射性同位体は、細胞毒素でもある。療法剤は、上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩類、酸、または誘導体として調製されることができる。一般に、放射性同位体を薬物として有するコンジュゲートは、放射性免疫コンジュゲートと呼ばれ、化学療法剤を薬物として有するコンジュゲートは、化学免疫コンジュゲートと呼ばれる。
【0177】
細胞毒性剤の例は、アントラサイクリン、オーリスタチン、CC−1065、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エンジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、SN−38、チューブリシン(tubulysin)、ヘミアステリン、およびそれらの立体異性体、同配体、類似体または誘導体を含むが、それらに限定されない。化学療法剤、植物毒素、他の生理活性タンパク質、酵素(すなわちADEPT)、放射性同位体、光増感剤(すなわち光力学療法のためのもの)が用いられることもできる。一態様において、細胞毒性剤は、リボソーム不活性化タンパク質ではない。より具体的な態様において、細胞毒性剤は、サポリンではない。
【0178】
アントラサイクリン類は、細菌ストレプトマイセスに由来し、広い範囲の癌、例えば白血病、リンパ腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、および肺癌を処置するために用いられてきた。典型的なアントラサイクリン類は、ダウノルビシン、ドキソルビシン(すなわちアドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、およびミトキサントロンを含むが、それらに限定されない。
【0179】
ドラスタチン類ならびにそれらのペプチド性類似体および誘導体であるオーリスタチン類は、抗癌および抗真菌活性を有することが示されている非常に強力な有糸分裂阻害剤である。例えば、米国特許第5,663,149号およびPettit et al., Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965, (1998)を参照。典型的なドラスタチン類およびオーリスタチン類は、ドラスタチン10、オーリスタチンE、オーリスタチンEB(AEB)、オーリスタチンEFP(AEFP)、MMAD(モノメチルオーリスタチンDまたはモノメチルドラスタチン10)、MMAF(モノメチルオーリスタチンFまたはN−メチルバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロイン−フェニルアラニン)、MMAE(モノメチルオーリスタチンEまたはN−メチルバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロイン−ノルエフェドリン)、5−ベンゾイル吉草酸−AEエステル(AEVB)を含むが、それらに限定されない。
【0180】
本発明のある側面において、参照により本明細書にそのまま援用されるPCT国際公開第2013/072813号において記載されているオーリスタチン類およびそれらのオーリスタチン類を製造する方法が、本明細書において用いられる。
【0181】
例えば、オーリスタチンは、次の構造を有する0101(2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド)である:
【0183】
。
別の例において、オーリスタチンは、次の構造を有する8261(8261 2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド)である:
【0185】
。
デュオカルマイシンおよびCC−1065は、細胞毒性効力を有するDNAアルキル化剤である。Boger and Johnson, PNAS 92:3642-3649, 1995を参照。典型的なドラスタチン類およびオーリスタチン類は、(+)−デュオカルマイシンAおよび(+)−デュオカルマイシンSA、ならびに(+)−CC−1065を含むが、それらに限定されない。
【0186】
エンジイン類は、9および10員環またはコンジュゲートした三重−二重−三重結合の環系の存在のどちらかにより特性付けられる抗腫瘍細菌製品のクラスである。典型的なエンジイン類は、カリケアマイシン、エスペラミシン、およびダイネミシンを含むが、それらに限定されない。
【0187】
本発明のある側面において、細胞毒性剤は、抗生物質、例えばカリケアマイシン(LL−E33288錯体とも呼ばれる)、例えばβ−カリケアマイシン、γ−カリケアマイシンまたはN−アセチル−γ−カリケアマイシン(ガンマ−カリケアマイシン(γ
1))である。本発明における使用に適したカリケアマイシン類の例は、例えば、米国特許第4,671,958号、第4,970,198号、第5,053,394号、第5,037,651号、第5,079,233号および第5,108,912号において開示されており、それは参照により本明細書にそのまま援用される。これらの化合物は、メチルトリスルフィドを含有し、それは適切なチオール類と反応してジスルフィドを形成し、同時に官能基、例えばヒドラジドまたはカリケアマイシンを抗PTK7抗体にコンジュゲートさせるために有用である他の官能基を導入することができる。カリケアマイシンのジスルフィド類似体、例えば米国特許第5,606,040号および第5,770,710号において記載されている類似体が用いられることもでき、それは参照により本明細書にそのまま援用される。本発明のある側面において、ジスルフィド類似体は、N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(以下“CM”)である。
【0188】
ゲルダナマイシン類は、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に結合するベンゾキノンアンサマイシン系抗生物質であり、抗腫瘍薬として用いられてきた。典型的なゲルダナマイシン類は、17−AAG(17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)および17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン)を含むが、それらに限定されない。
【0189】
メイタンシン類またはそれらの誘導体であるメイタンシノイド類は、有糸分裂の間に微小管の形成をチューブリンの重合の阻害により阻害することにより、細胞の増殖を阻害する。Remillard et al., Science 189:1002-1005, 1975を参照。典型的なメイタンシン類およびメイタンシノイド類は、メルタンシン(DM1)およびその誘導体ならびにアンサミトシンを含むが、それらに限定されない。
【0190】
タキサン類は、抗チューブリン剤または有糸分裂阻害剤として作用するジテルペン類である。典型的なタキサン類は、パクリタキセル(例えばTAXOL(登録商標))およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))を含むが、それらに限定されない。
【0191】
ビンカアルカロイド類も、抗チューブリン剤である。典型的なビンカアルカロイド類は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンを含むが、それらに限定されない。
【0192】
本発明のある側面において、薬剤は、免疫調節剤である。免疫調節剤の例は、ガンシクロビル、エタネルセプト、タクロリムス、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、グルココルチコイドおよびその類似体、サイトカイン類、キサンチン類、幹細胞増殖因子、リンホトキシン類、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、インターロイキン類(例えば、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、およびIL−21)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン類(例えば、インターフェロン−α、−βおよび−γ)、“S1因子”と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリスロポエチンおよびトロンボポエチン、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0193】
本発明において有用な免疫調節剤は、腫瘍に対するホルモンの作用を遮断する抗ホルモン薬、およびサイトカイン産生を抑制し、自己抗原の発現を下方制御し、またはMHC抗原を覆い隠す免疫抑制剤も含む。代表的な抗ホルモン薬は、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール類、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、LY 117018、オナプリストン、およびトレミフェンを含む抗エストロゲン薬;ならびに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびに抗副腎剤(anti−adrenal agents)を含む。代表的な免疫抑制剤は、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン類、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHC断片に関する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、ステロイド類、例えば糖質コルチコステロイド類、サイトカインまたはサイトカイン受容体拮抗薬(例えば、抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNFα抗体、抗IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体断片、ならびにT細胞受容体抗体を含む。
【0194】
本発明のある側面において、薬物は、毒素、ホルモン、酵素、および増殖因子を含むがそれらに限定されない療法的タンパク質である。
毒素タンパク質(またはポリペプチド)の例は、ジフテリア(例えばジフテリアA鎖)、シュードモナス属の外毒素および内毒素、リシン(例えばリシンA鎖)、アブリン(例えばアブリンA鎖)、モデッシン(例えばモデッシンA鎖)、アルファ−サルシン、アレウリテス・フォルディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、スタフィロコッカス属の腸毒素A、ヨウシュヤマゴボウの抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、モモルディカ・カランティア(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、トリコテセン類(tricothecenes)、阻害剤シスチンノット(ICK)ペプチド(例えばセラトトキシン類(ceratotoxins))、ならびにコノトキシン(例えばKIIIAまたはSmIIIa)を含むが、それらに限定されない。
【0195】
ホルモンの例は、エストロゲン類、アンドロゲン類、プロゲスチン類およびコルチコステロイド類を含むが、それらに限定されない。
本発明のある側面において、細胞毒性薬剤は、リポソームまたは生体適合性ポリマーを用いて作られることができる。本明細書で記載されるような抗PTK7抗体は、血清半減期および生理活性を増大させるために、および/またはインビボでの半減期を延長するために、生体適合性ポリマーにコンジュゲートさせることができる。生体適合性ポリマーの例は、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体および双性イオン含有生体適合性ポリマー(例えばホスホリルコリン含有ポリマー)を含む。
【0196】
本発明のある側面において、薬物は、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
本発明において有用な追加の薬物は、血管形成を阻害する抗血管新生剤、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(例えば2−メトキシエストラジオールビス−スルファメート(2−MeOE2bisMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジンタンパク質、クラスIインターフェロン類、インターロイキン12、プロタミン、アンジオスタチン、ラミニン、エンドスタチン、およびプロラクチン断片を含む。
【0197】
抗増殖剤およびアポトーシス促進剤は、PPAR−ガンマの活性化物質(例えばシクロペンテノンプロスタグランジン類(cyPG))、レチノイド類、トリテルペノイド類(例えばシクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリーデラン(friedelane)、ダンマラン、ククルビタシン、およびリモノイドトリテルペノイド類)、EGF受容体(例えばHER4)の阻害剤、ラパマイシン、CALCITRIOL(登録商標)(1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARA(登録商標)(レトロゾン(letrozone)))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレート剤(例えば3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(トリアピン))、アポプチン(ニワトリ貧血ウイルスからのウイルスタンパク質3−VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害剤、TNF−アルファ、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−アルファ/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナル伝達の活性化物質、ならびにPI3K−Akt生存経路シグナル伝達の阻害剤(例えばUCN−01およびゲルダナマイシン)を含む。
【0198】
代表的な化学療法剤は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ;エチレンイミン類およびメチルアメラミン類(methylamelamines)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含む);ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−EU;アンドロゲン類、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ニュージャージー州プリンストンのBristol−Myers Squibb Oncology)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、フランス、アントニーのRhone−Poulenc Rorer);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン類;ならびにカペシタビンを含む。
【0199】
本発明に従って用いられることができる追加の療法剤は、光力学療法のための光増感剤、例えば参照により本明細書にそのまま援用される米国特許第7,498,029号および米国特許第5,952,329号;温熱療法のための磁性粒子、例えば参照により本明細書にそのまま援用される米国特許第6,997,863号;結合剤、例えばペプチド、リガンド、細胞接着リガンド等、ならびにより活性な細胞毒性遊離薬物に変換されることができるプロドラッグ、例えばホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグを含む。
【0200】
抗PTK7抗体を用いる診断法に関して、薬物は、PTK7発現細胞の存在をインビトロまたはインビボで検出するために用いられる検出可能な標識を含むことができる。インビボで検出可能である放射性同位体、例えばシンチグラフィー、磁気共鳴画像化、または超音波を用いて検出可能であるそれらの標識は、臨床診断適用において用いられることができる。有用なシンチグラフィー標識は、陽電子放出体およびγ放出体を含む。磁気共鳴画像化のための代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、エルビウム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびガドリニウム)、酸化鉄粒子、および水溶性造影剤である。超音波検出に関して、ガスまたは液体が、多孔性の無機粒子中に捕捉されることができ、それは微小な泡の造影剤として放出される。インビトロ検出に関して、有用な検出可能な標識は、蛍光体、検出可能なエピトープまたは結合剤、および放射性標識を含む。
【0201】
従って、本発明のある側面において、薬物は、画像化剤(例えば蛍光体またはPET(陽電子放射断層撮影)標識、SPECT(単一光子放射コンピューター断層撮影)標識)、またはMRI(磁気共鳴画像化)標識である。
【0202】
用語“標識”は、本明細書で用いられる際、“標識された”抗体を生成するように抗体に直接または間接的にコンジュゲートされている検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能であることができ(例えば放射性同位体標識または蛍光標識)、または、酵素標識の場合、検出可能である基質化合物もしくは組成物の化学変化を触媒することができる。検出可能な標識の役目を果たすことができる放射性核種は、例えばI−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、およびPd−109を含む。標識は、検出不能な実体、例えば毒素であることもできるであろう。
【0203】
蛍光体の例は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(例えば5−FITC)、フルオレセインアミダイト(FAM)(例えば5−FAM)、エオシン、カルボキシフルオレセイン、エリスロシン、Alexa Fluor(登録商標)(例えばAlexa 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、647、660、680、700、または750)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)(例えば5−TAMRA)、テトラメチルローダミン(TMR)、およびスルホローダミン(SR)(例えばSR101)を含むが、それらに限定されない。
【0204】
療法用または診断用の放射性同位体または他の標識(例えばPETまたはSPECT標識)が、本明細書で記載されるような抗PTK7抗体へのコンジュゲーションのために薬剤中に組み込まれることができる。同位体は、抗体に直接、例えば抗体中に存在するシステイン残基において結合させることができ、または抗体および放射性同位体の結合を媒介するためにキレーターが用いられることができる。放射線療法に適した放射性同位体は、α−放出体、β−放出体、およびオージェ電子を含むが、それらに限定されない。診断適用に関して、有用な放射性同位体は、陽電子放出体およびγ−放出体を含む。本発明の抗PTK7抗体は、さらに、抗体の検出または療法作用を促進するために、例えば抗体のチロシン残基上でヨウ素化されることができる。
【0205】
放射性同位体または他の標識の例は、
3H、
11C、
13N、
14C、
15N、
15O、
35S、
18F、
32P、
33P、
47Sc、
51Cr、
57Co、
58Co、
59Fe、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
67Ga、
68Ga、
75Se、
76Br、
77Br、
86Y、
89Zr、
90Y、
94Tc、
95Ru、
97Ru、
99Tc、
103Ru、
105Rh、
105Ru、
107Hg、
109Pd、
111Ag、
111In、
113In、
121Te、
122Te、
123I、
124I、
125I、
125Te、
126I、
131I、
131In、
133I、
142Pr、
143Pr、
153Pb、
153Sm、
161Tb、
165Tm、
166Dy、
166H、
167Tm、
168Tm、
169Yb、
177Lu、
186Re、
188Re、
189Re、
197Pt、
198Au、
199Au、
201Tl、
203Hg、
211At、
212Bi、
212Pb、
213Bi、
223Ra、
224Ac、および
225Acを含むが、それらに限定されない。
【0206】
II.D. PTK7抗体−薬物コンジュゲートを調製する方法
本発明の抗体−薬物コンジュゲートを調製するための方法も、提供される。例えば、本明細書で開示されるようなPTK7抗体−薬物コンジュゲートを生成するためのプロセスは、(a)リンカーを薬物に連結し;(b)そのリンカー−薬物部分を抗体にコンジュゲートさせ;そして(c)その抗体−薬物コンジュゲートを精製することを含むことができる。vc0101およびmc8261の合成のための代表的な方法が、実施例9において記載されており、抗PTK7−vc0101、抗PTK7−mc8621 ADCおよび抗PTK7−AcButCM ADCのコンジュゲーションのための代表的な方法が、実施例10において記載されている。
【0207】
一側面において、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートは、(a)リンカー−薬物部分(例えばvc0101またはmc8261)を抗PTK7抗体またはその抗原結合断片に添加することにより調製されることができ、ここで、抗PTK7抗体は、2〜10モル過剰量のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、6〜9のpHを有する100mMの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸緩衝剤(HEPES)、および1mMのジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を含有する溶液中で、約0〜37℃の範囲の温度において約30分間〜16時間の範囲の期間の間、部分的に還元されることができる。次いで、vc0101またはmc8261のリンカー−ペイロード(payload)が、ジメチルアセトアミド(DMA)と共に約4〜10のリンカー−ペイロード/抗体モル比で、約0〜37℃の範囲の温度において約30分間〜16時間の範囲のインキュベーション期間の間、添加されることができる。続いて、未反応のチオールが、N−エチルマレイミドによりキャップされることができ、未反応のリンカー−ペイロードが、L−Cysにより停止される(quenched)ことができる。
【0208】
別の側面において、式Ab−(L−D)の抗体−薬物コンジュゲートは、(a)リンカー−薬物部分(例えばAcButCM)を抗PTK7抗体またはその抗原結合断片に添加し、ここで、抗体の濃度は、1〜25mg/mlの範囲であることができ、リンカー−薬物部分は、約1〜15対1の抗PTK7抗体の範囲のモル比であり;(b)リンカー−薬物部分および抗PTK7抗体を、非求核性、タンパク質適合性の約7〜9の範囲のpHを有する緩衝溶液中でインキュベートして単量体性抗体−薬物コンジュゲートを生成し、ここで溶液は、さらに(i)適切な有機性共溶媒、および(ii)少なくとも1種類のC
6〜C
18カルボン酸またはその塩を有する添加剤を含有し、ここで、そのインキュベーションは、約0℃〜約45℃の範囲の温度で、約1分間〜約24時間の範囲の期間の間実施され;そして(c)工程(b)において生成されたコンジュゲートに、クロマトグラフィー分離プロセスを施して、DAR1〜8を有する抗体−薬物コンジュゲートを分離することにより調製されることができ;そして未コンジュゲート抗PTK7抗体、リンカー−薬物部分、および凝集したコンジュゲートからの10%未満の低コンジュゲート率(low conjugated fraction)(LCF)を提供する。
【0209】
コンジュゲートの形成に関する最適な反応条件は、温度、pH、リンカー−ペイロード部分の入力、および添加剤の濃度のような反応変数の変動により経験的に決定されることができる。他の薬物のコンジュゲーションに適した条件は、当業者により、過度の実験操作なしで決定されることができる。
【0210】
ある側面において、薬物は、抗体上のコンジュゲーション箇所と反応する基を含むように修飾されることができる。例えば、薬物は、(例えばリジンのイプシロンアミノ基または抗体のN末端における)アルキル化、酸化された炭水化物の還元的アミノ化、ヒドロキシルおよびカルボキシル基間のエステル転移反応、アミノ基またはカルボキシル基におけるアミド化、ならびにチオールへのコンジュゲーションにより、結合することができる。ある態様において、抗体分子あたりにコンジュゲートする薬物(D)分子の数は、1〜8;1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、または1〜2の範囲である。他の態様において、抗体分子あたりにコンジュゲートする薬物(D)分子の数は、1、2、3、4、5、6、7または8である。ある態様において、複数の抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物は、平均DARにより特性付けられることができる。平均DARは、約1〜約8、約1〜約7、約1〜約6、約1〜約5、約1〜約4;約1〜約3、約1〜約2の範囲である。ある態様において、複数の抗体−薬物コンジュゲートの組成物、バッチ、および/または配合物に関する平均DARは、約2〜約8、約2〜約7、約2〜約6、約2〜約5、約2〜約4、約2〜約3または約3〜約5の範囲である。前記の平均DARの範囲において用いられる際、用語“約”は、+/−0.5%を意味する。コンジュゲーションのために用いられることができる化学の例に関して、例えばCurrent Protocols in Protein Science (John Wiley & Sons, Inc.)第15章(Chemical Modifications of Proteins)を参照。
【0211】
抗体−薬物コンジュゲートを調製するための他の方法は、様々な刊行物において記載されてきた。例えば、化学修飾が、抗体において、リジン側鎖のアミンにより、またはコンジュゲーション反応が起こるために鎖間ジスルフィド結合を還元することにより活性化されたシステインのスルフヒドリル基により(どちらでもよい)なされることができる。例えば、Tanaka et al., FEBS Letters 579:2092-2096, 2005およびGentle et al., Bioconjugate Chem. 15:658-663, 2004を参照。さらに、定められた化学量論を有する特定の薬物コンジュゲーションに関する抗体の特定の部位において設計された反応性システイン残基も、記載されてきた。例えば、Junutula et al., Nature Biotechnology, 26:925-932, 2008を参照。
【0212】
さらに、国際公開第2013/093809号において記載されているように、抗体の重鎖のCH2もしくはCH3ドメインの表面上に、もしくは軽鎖の定常ドメイン上におそらく存在する、または他の様式で利用可能である特定の残基が、天然存在の野生型アミノ酸の例えばシステインによる置換に適しており、従って様々な薬剤へのコンジュゲーションが可能な部位を設計するために有用である。
【0213】
ある側面において、本発明の設計されたFcポリペプチドは、抗体またはその断片がそれにより設計された残基(すなわち、野生型の未改変のFcと比較して置換されたアミノ酸)において多種多様な薬剤をコンジュゲートさせるために用いられることができる設計されたFc領域を含むように、PTK抗体または抗体−薬物コンジュゲートを調製するために用いられることができる。
【0214】
本発明のPTK抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、親、天然、または野生型抗体の抗体重鎖(HC)の347、392、398、422および443位から選択される1個、2個、またはより多くのアミノ酸が別のアミノ酸(天然および非天然/合成アミノ酸を含む)で置換されている設計されたFcポリペプチドを包含することができ、ここで、定常領域の番号付けシステムは、Kabatに従うEU指針の番号付けである。
【0215】
Fcポリペプチド中の単一の置換、例えばシステイン残基の置換は、通常は、IgG抗体分子のホモ2量体の性質のため、結果として生じるIgG抗体における2個の対応する残基の提示をもたらすことは、特筆されるべきである。従って、結果として生じる本発明の設計されたIgG抗体は、薬物または化合物へのコンジュゲーションの目的のための少なくとも1個、2個、3個、4個、またはより多くの反応性の基を示し得る。一側面において、置換の1以上は、システイン残基により、結果として生じる設計された抗体は、薬物または化合物へのコンジュゲーションの目的のための少なくとも1個、2個、3個、4個、またはより多くのチオール基を示し得る。
【0216】
別の側面において、本開示の設計されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖(HC)の347、392、398、422および443位から選択される1個以上の置換を含むことができ、ここで、定常領域の番号付けシステムは、Kabatにおいて述べられているEU指針の番号付けであり、ここで、重鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:37、およびSEQ ID NO:61からなる群から選択される。
【0217】
本発明のPTK抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、設計された抗体軽鎖定常領域(LC)、またはその一部を含むことができ、ここで、親、天然、または野生型抗体の抗体軽鎖の111、183、または188位(ここで軽鎖定常領域の番号付けシステムは、Kabatの番号付けシステムである)から選択される1個、2個、または3個のアミノ酸は、別のアミノ酸(天然および非天然/合成アミノ酸を含む)で置換されている。
【0218】
ある側面において、本開示の設計されたLCポリペプチドは、抗体軽鎖の111、183、または188位からの1個以上の置換を含み、ここで、軽鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:47、およびSEQ ID NO:71からなる群から選択される。
【0219】
他の側面において、多くの抗体の2量体の性質のため(例えば、IgGは2個の軽鎖および2個の重鎖を含み、それぞれの重鎖はFcポリペプチドを含む)、本発明の抗体は、少なくとも1個の設計されたFcポリペプチドを含むことができ、さらに少なくとも1個の設計された軽鎖定常ポリペプチドを含むことができ、それにより少なくとも2個の部位特異的コンジュゲーション部位(1個はFcポリペプチド中、別の部位はLCポリペプチド中)を提供することができる。
【0220】
本発明のある側面において、開示されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートの抗体またはその抗原結合断片は、IgG1重鎖定常領域、例えばSEQ ID NO:13として示されているhu23重鎖、SEQ ID NO:37として示されているhu24重鎖、またはSEQ ID NO:61として示されているhu58重鎖を含む。他の側面において、開示されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートの抗体またはその抗原結合断片は、カッパ軽鎖定常領域、例えばSEQ ID NO:23として示されているhu23軽鎖、SEQ ID NO:47として示されているhu24軽鎖、またはSEQ ID NO:71として示されているhu58軽鎖を含む。本発明の特定の側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、IgG1重鎖定常領域およびカッパ軽鎖定常領域、例えばSEQ ID NO:13として示されている重鎖およびSEQ ID NO:23として示されている軽鎖;または別の例としてSEQ ID NO:37として示されている重鎖およびSEQ ID NO:47として示されている軽鎖;または別の例としてSEQ ID NO:61として示されている重鎖およびSEQ ID NO:71として示されている軽鎖を含むことができる。
【0221】
また、国際公開第2012/059882号において記載されているように、コンジュゲーション法は、トランスグルタミナーゼおよびアミン(例えば反応性アミンを含む、またはそれに結合した細胞毒性剤)の存在下でのアシル供与体グルタミン含有タグまたはポリペプチド工学により反応性にされた内在性のグルタミン(すなわち、アシル供与体として共有結合を形成する能力)の使用を含む。
【0222】
ある側面において、PTK7抗体または抗体−薬物コンジュゲートは、PTK7抗体の抗体の特定の部位(例えばカルボキシル末端、アミノ末端、または別の部位)において設計されたアシル供与体グルタミン含有タグを含むことができる。ある側面において、タグは、アミノ酸グルタミン(Q)またはアミノ酸配列GGLLQGG(SEQ ID NO:74)、LLQGA(SEQ ID NO:75)、GGLLQGA(SEQ ID NO:76)、LLQ、LLQGPGK(SEQ ID NO:77)、LLQGPG(SEQ ID NO:78)、LLQGPA(SEQ ID NO:79)、LLQGP(SEQ ID NO:80)、LLQP(SEQ ID NO:81)、LLQPGK(SEQ ID NO:82)、LLQGAPGK(SEQ ID NO:83)、LLQGAPG(SEQ ID NO:84)、LLQGAP(SEQ ID NO:85)、LLQX
1X
2X
3X
4X
5(ここで、X
1はGまたはPであり、ここでX
2はA、G、Pであるかまたは存在せず、ここでX
3はA、G、K、Pであるかまたは存在せず、ここでX
4はG、Kであるかまたは存在せず、ここでX
5はKであるかまたは存在しない(SEQ ID NO:86))、またはLLQX
1X
2X
3X
4X
5(ここで、X
1はあらゆる天然存在アミノ酸であり、ここでX
2、X
3、X
4、およびX
5はあらゆる天然存在アミノ酸であるかまたは存在しない(SEQ ID NO:87))を含む。ある態様において、PTK7抗体または抗体−薬物コンジュゲートは、PTK7抗体の297位においてアスパラギン(N)からグルタミン(Q)へのアミノ酸置換を含むことができる。
【0223】
別の側面において、PTK7抗体または抗体−薬物コンジュゲートは、アシル供与体グルタミン含有タグおよび抗体の222、340、または370位(EU番号付けスキーム)におけるアミノ酸改変を含むことができ、ここで、その改変は、アミノ酸の削除、挿入、置換、変異、またはそれらのあらゆる組み合わせである。従って、ある側面において、PTK7抗体または抗体−薬物コンジュゲートは、PTK7抗体の特定の部位において(例えば重鎖もしくは軽鎖のカルボキシル末端において、または別の部位において)コンジュゲートしたアシル供与体グルタミン含有タグ(例えば、Q、GGLLQGG(SEQ ID NO:74)、LLQGA(SEQ ID NO:75)、GGLLQGA(SEQ ID NO:76)、LLQ、LLQGPGK(SEQ ID NO:77)、LLQGPG(SEQ ID NO:78)、LLQGPA(SEQ ID NO:79)、LLQGP(SEQ ID NO:80)、LLQP(SEQ ID NO:81)、LLQPGK(SEQ ID NO:82)、LLQGAPGK(SEQ ID NO:83)、LLQGAPG(SEQ ID NO:84)、LLQGAP(SEQ ID NO:85)、LLQX
1X
2X
3X
4X
5(ここで、X
1はGまたはPであり、ここでX
2はA、G、Pであるかまたは存在せず、ここでX
3はA、G、K、Pであるかまたは存在せず、ここでX
4はG、Kであるかまたは存在せず、ここでX
5はKであるかまたは存在しない(SEQ ID NO:86))、またはLLQX
1X
2X
3X
4X
5(ここで、X
1はあらゆる天然存在アミノ酸であり、ここでX
2、X
3、X
4、およびX
5はあらゆる天然存在アミノ酸であるかまたは存在しない(SEQ ID NO:87)))および抗体の222、340、または370位(EU番号付けスキーム)におけるアミノ酸改変を含むことができる。
【0224】
抗体−薬物コンジュゲートあたりの薬物分子の数をさらに増大させるために、薬物は、直鎖または分枝状ポリエチレングリコールポリマーおよびモノマーを含むポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートされることができる。PEG単量体は、式:−(CH
2CH
2O)−のものである。薬物および/またはペプチド類似体は、PEGに直接または間接的に、すなわち適切なスペーサー基、例えば糖類を通して結合していることができる。PEG−抗体−薬物組成物は、インビボでの薬物安定性および標的部位への送達を促進するために、追加の親油性および/または親水性部分を含んでいることもできる。PEG含有組成物を調製するための代表的な方法は、取り分け米国特許第6,461,603号;第6,309,633号;および第5,648,095号において見付けられることができる。
【0225】
例えば、本明細書で開示されるPTK7抗体−薬物コンジュゲート中のオーリスタチンまたはカリケアマイシンの量を増大させるために、抗体は、薬物とのコンジュゲーションの前に、例えばPEG−SPA、PEG−SBA、またはPEG−ビス−マレイミドを用いてPEGにコンジュゲートされることができる。PEGを用いて調製された抗体−薬物コンジュゲートは、標的抗原に関する低減した結合親和性を示す可能性があるが、なお増大した薬物装填の結果として有効である。
【0226】
コンジュゲーションの後、コンジュゲートは、従来法により、未コンジュゲート反応物および/またはコンジュゲートの凝集形態から分離および精製されることができる。これは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、限外濾過/透析濾過、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、クロマトフォーカシング(CF)HPLC、FPLC、またはSephacryl S−200クロマトグラフィーのようなプロセスを含むことができる。分離は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって成し遂げられることもできる。適切なHIC媒体は、Phenyl Sepharose 6 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Butyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Octyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体、Toyopearl Ether−650Mクロマトグラフィー媒体、Macro−Prep methyl HIC媒体またはMacro−Prep t−Butyl HIC媒体を含む。
【0227】
本発明のある側面において、分離は、Butyl Sepharose 4 Fast Flowクロマトグラフィー媒体を用いて実施されることができる。カスタマイズされた勾配を用いる場合、カラムに結合したままであるより高いDARの種が除去される。ある側面において、精製プロセスは、濃縮および配合のための、遠心分離細胞除去工程、場合によりプロテインA親和性捕捉工程、続いて1つまたは2つの直交する(orthogonal)クロマトグラフィー仕上げ工程、ウイルス濾過工程、および接線流濾過工程を含むことができる。
【0228】
III. PTK7抗体−薬物コンジュゲートの特性付けのための機能的アッセイ
本発明はさらに、PTK7結合活性、細胞表面上に存在するPTK7抗原への結合後の細胞内在化、および対象中のPTK7発現細胞に対する標的化を含む、PTK7抗体−薬物コンジュゲートの活性を特性付けるためのインビトロおよびインビボのアッセイを開示する。本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、抗体またはその抗原結合断片の側面を中和する、または枯渇させることにより特性付けられる。本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、代替の薬物の有効性の欠如と比較した場合の特定の薬物の予想外の有効性により特性付けられる。本発明のある側面において、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、その薬物と同じ作用様式を有する標準治療の療法剤より性能が優れていることとして特性付けられる。
【0229】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートのPTK7抗原または他のPTK7抗原への結合を検出するための技法は、当該技術で既知であり、例えばBIACORE(登録商標)アッセイを含む。追加の代表的な技法は、遠心分離、親和性クロマトグラフィーおよび他の免疫化学的方法を含む。例えば、Manson (1992) Immunochemical Protocols, Humana Press, 米国ニュージャージー州トトワ; Ishikawa (1999) Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Elsevier, アムステルダム/ニューヨークを参照。抗原結合アッセイは、単離されたPTK7抗原またはPTK7発現細胞を用いて実施されることができる。
【0230】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートの結合特異性は、結合エピトープの定義、すなわち、抗原結合に参加する非隣接残基を含む残基の同定、および/または抗原結合に影響を及ぼす残基の定義によりさらに記載されることができる。
【0231】
PTK7発現細胞によるPTK7抗体−薬物コンジュゲートの内在化は、PTK7発現細胞の表面に結合した抗体またはコンジュゲートの量を時間の経過にわたって観察することによりアッセイされることができる。例えば実施例7を参照。選択されたPTK7リガンドまたはそれらのイソ型は、可溶性形態で存在することができ、少なくとも一部のPTK7は、おそらく細胞表面と会合したままであり、それにより本明細書で開示される抗体の内在化を可能にする。従って、本発明の抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、PTK7を発現する細胞により内在化されることができる。例えば、腫瘍開始細胞の表面上のPTK7に結合する抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍開始細胞により内在化されることができる。内在化されるADC分子の数は、PTK7発現細胞、特にPTK7発現腫瘍細胞を殺すために十分または適切であることができる。ADCの効力に応じて、ある場合では、単一のADC分子の細胞中への取り込みは、ADCが結合している標的細胞を殺すために十分である。例えば、特定の毒素は、抗体にコンジュゲートしたその毒素の1分子の内在化が腫瘍細胞を殺すために十分であるように、殺傷において非常に強力である。
【0232】
PTK7抗体の内在化は、細胞がPTK7抗体およびサポリン毒素にコンジュゲートしている二次抗体Fab断片と共にインキュベートされる機能的アッセイを用いて評価されることができる。次いで、細胞の生存度が、あらゆる適切な方法により、抗体内在化を示す細胞性細胞毒性を用いて測定される。実施例7を参照。
【0233】
本発明のある側面において、開示されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートの抗体、またはその抗原結合断片は、最も広い意味で用いられる際の“拮抗薬”、すなわち、本明細書で開示される天然の標的の生物学的活性またはその転写もしくは翻訳を部分的にまたは完全に遮断、阻害、または中和するあらゆる分子である。用語“阻害する”または“中和する”は、本明細書で本発明の抗体の生理活性に関して用いられる際、生物学的活性を含むがそれに限定されない阻害されているものの例えば進行または重症度に実質的に拮抗する、それを禁じる(prohibit)、予防する、抑制する、遅くする、混乱させる、排除する、停止する、低減する、または逆行させる抗体の能力を意味する。例えば、本発明のある側面において、抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲートの内在化の際に細胞の殺傷を促進する。例えば、中和抗体または拮抗薬は、好ましくはPTK7の機能を少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%またはより大きく減少させるであろう。
【0234】
本発明の他の側面において、本発明の抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、枯渇化抗体(depleting antibodies)であることができる。枯渇化抗体という用語は、細胞表面上またはその付近のPTK7に結合して、またはそれと会合して、(例えば補体依存性細胞傷害または抗体依存性細胞性細胞傷害により)細胞の死または排除を誘導する、促進する、または引き起こす抗体を指す。好ましくは、枯渇化抗体は、定められた細胞集団中の腫瘍永続化細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%を除去する、排除する、または殺すことができるであろう。
【0235】
機能的アッセイは、抗体−薬物コンジュゲートの抗癌活性、例えば、既存の癌細胞を破壊する能力、または癌細胞の増殖を遅くする、もしくは妨げる能力を評価するための方法も含む。本発明の抗体−薬物コンジュゲートにより標的化される癌は、癌腫ならびに造血器悪性疾患、例えば白血病およびリンパ腫を含め、対象中のあらゆる組織の原発および転移腫瘍および癌腫の両方を含む。
【0236】
増殖阻害活性を有するPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、PTK7発現細胞を排除する、またはPTK7発現癌細胞の増殖を予防もしくは低減することができる。細胞増殖阻害の迅速なインビトロ評価のための代表的な方法は、Jones et al. (2001) J. Immunol. Methods 254:85-98において記載されている。
【0237】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、核DNA分解、核分解および凝縮、膜の完全性の喪失、および食作用により特性付けられる細胞死、例えばプログラム細胞死を誘導する能力を含むこともできる。細胞を評価するための代表的なアッセイは、Hoves et al. (2003) Methods 31:127-34; Peng et al. (2002) Chin. Med. Sci. J. 17:17-21; Yasuhara et al. (2003) J. Histochem. Cytochem. 51:873-885において記載されている。
【0238】
例えば、PTK7抗体−薬物コンジュゲートの細胞毒性をインビトロで評価するため、PTK7発現癌細胞および対照細胞をPTK7抗体−薬物コンジュゲートの存在下で培養し、別に遊離薬物と共に培養する。それぞれの薬剤の細胞毒性は、ED50(ng/ml)として報告され、それは、未処理の対照と比較して細胞培養物の50%低減を引き起こすコンジュゲートとしてまたは遊離薬物として与えられた薬物の量である。培養物中の細胞の数は、薬物暴露後に生体染色色素(MTS)を用いて決定される。実施例12を参照。
【0239】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートの細胞毒性をインビボで評価するため、NOD/SCIDマウス、ヌードマウス(nu/nu)または他の免疫無防備マウスの系統において様々な癌細胞の皮下注射により腫瘍が用意される。PTK7抗体−薬物コンジュゲートおよび対照化合物は、例えば週2回2週間(q4dx4)の腹腔内注射により腫瘍を有するマウスに投与されることができる。測定可能な療法成績は、腫瘍細胞増殖の阻害を含む。実施例13参照。
【0240】
さらに、本発明は、腫瘍開始細胞(TIC)を含む腫瘍細胞および/または関係する新生物の増殖、伝播または生存を、例えば抗PTK7抗体または投与および送達の方法に応じて、選択された経路を作動させる、もしくはそれに拮抗する、または特定の細胞を排除することを含む様々な機序により、枯渇させる、静める、中和する、排除する、または阻害することができるPTK7抗体−薬物コンジュゲートを提供する。
【0241】
本明細書で用いられる際、腫瘍開始細胞(TIC)という用語は、腫瘍永続化細胞(TPC;すなわち、癌幹細胞またはCSC)および高増殖性腫瘍始原細胞(TProg)の両方を包含し、それは共に、一般にバルク腫瘍または塊の独特の亜集団(すなわち0.1〜40%)を含む。本開示の目的に関して、腫瘍永続化細胞および癌幹細胞という用語は均等であり、本明細書において互換的に用いられることができる。逆に、TPCは、それらが腫瘍内に存在する腫瘍細胞の組成を完全に再現し、少数の分離された細胞の累代移植(マウスを通した2回以上の継代)により実証されるような無限の自己再生能力を有することができる点で、TProgとは異なる。本明細書で用いられる際、用語“腫瘍開始細胞”は、様々な血液悪性疾患の癌幹細胞も指し、それは腫瘍自体によっては特性付けられない。
【0242】
本発明は、腫瘍開始細胞(TIC)、および特に腫瘍永続化細胞(TPC)を標的とし、それにより新生物性障害および過剰増殖性障害の処置、管理または予防を促進するPTK7抗体−薬物コンジュゲートを提供する。より具体的には、特定の腫瘍細胞亜集団は、PTK7を発現し、おそらく癌幹細胞の自己再生および細胞生存に重要なモルフォゲンシグナル伝達の局所的な協調を修正している。従って、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、対象への投与の際にTICの頻度を低減するために用いられることができる。腫瘍開始細胞の頻度における低減は、a)腫瘍開始細胞の排除、枯渇、高感度化、沈静化(silencing)もしくは阻害;b)腫瘍開始細胞の増殖、拡張もしくは再発を制御すること;c)腫瘍開始細胞の開始、伝播、維持、もしくは増殖を阻止すること;またはd)他の方法により、腫瘍形成細胞の生存、再生および/または転移を妨げることの結果として起こり得る。本発明のある側面において、腫瘍開始細胞の頻度における低減は、1以上の生理的経路における変化の結果として起こる。経路における変化は、腫瘍開始細胞の低減もしくは排除によるものであれ、またはそれらの可能性を改変すること(例えば誘導された分化、ニッチの混乱(niche disruption))もしくは腫瘍環境もしくは他の細胞に作用を及ぼすそれらの能力に他の方法で干渉することによるものであれ、今度は、腫瘍形成、腫瘍維持および/または転移および再発を阻害することにより、PTK7関連障害のより有効な処置を可能にする。
【0243】
腫瘍開始細胞の頻度におけるそのような低減を評価するために用いられることができる方法の中には、インビトロまたはインビボ(どちらでもよい)での限界希釈分析、好ましくは続いてポアソン分布統計を用いた数え上げ、またはインビボもしくはインビボではなく腫瘍を生成する能力のような予め定められた決定的事象の頻度を評価することがある。周知のフローサイトメトリーまたは免疫組織化学的手段により頻度の値の低減を決定することも可能である。全ての前記の方法に関して、例えばDylla et al. 2008, PMCID: PMC2413402およびHoey et al. 2009, PMID: 19664991を参照、そのそれぞれは、参照により本明細書にそのまま援用される。腫瘍開始細胞の頻度を計算するために用いられることができる、本発明と適合可能な他の方法は、定量化可能なフローサイトメトリーの技法および免疫組織化学染色手順を含む。
【0244】
上記で言及された方法のいずれかを用いて、次いで、本明細書の教示に従って、開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートにより提供されるTIC(またはその中のTPC)の頻度の低減を定量化することが可能である。一部の例において、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、TICの頻度を、(排除、誘導された分化、ニッチの混乱、沈静化等を含む上記で特筆された様々な機序により)10%、15%、20%、25%、30%またはさらには35%低減することができる。本発明の他の側面において、TICの頻度における低減は、約40%、45%、50%、55%、60%または65%であることができる。本発明の特定の側面において、開示された化合物は、TICの頻度を70%、75%、80%、85%、90%またはさらに95%低減することができる。TICの頻度のあらゆる低減は、おそらく結果として新生物の腫瘍形成性、持続性、再発および侵攻性における対応する低減をもたらすことは、理解されるであろう。
【0245】
集まりつつある証拠が、腫瘍の成長、療法への抵抗性、および障害の再燃がTPCにより制御されているという仮説を支持している。TPCの頻度は、腫瘍型において、または同じ腫瘍型を有する患者間で、障害の病期および/または腫瘍内の分化の程度の産物として異なり得る。TPCは、特定のタイプの癌を有する患者間でそれらの発現においてしばしば重複する細胞表面マーカーのパネル(panels)を用いて同定および富化され得る。TPCは、累代移植の際に腫瘍を開始するそれらの機能的能力により最もよく定められ、一方で非腫瘍形成(NTG)細胞は、これらの能力を欠いている。それらの独特の腫瘍開始能力に富む固形腫瘍細胞は、最初に乳癌において同定された;しかし、乳癌は、ある範囲の悪性病変を含む。現在までに、科学コミュニティは、特定のTPCの同一性を特定の障害の亜型と関連付けることができておらず、それは群をまたいだ、および群内の両方での矛盾した結果の基礎となっている可能性があり、臨床に対する橋渡しの失敗の可能性を増大させている可能性もある。
【0246】
本発明は、TPCの富化を向上させる新規の細胞表面マーカーの組み合わせを提供する。特定の側面において、本発明は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)TPCの富化を促進する新規の細胞表面マーカーの組み合わせを提供する。本発明はさらに、TNBC中の新規のTPC関連療法標的としてのPTK7の同定を提供し;その発現レベルは、他の乳癌亜型および正常組織中よりも有意に高い。
【0247】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートの薬物動態が、様々な動物において評価されることができ、未コンジュゲート抗体の薬物動態と比較されることができる。例えば、これは、メスのNOD/SCIDマウス、ヌードマウス(nu/nu)または他の免疫無防備マウスの系統、オスのSprague−Dawleyラット、およびメスのカニクイザルにおける一回の静脈内大量瞬時投与後に行われることができる。PTK7抗体−薬物コンジュゲートの薬物動態は、一般に様々な種における低いクリアランス、低い分布容積、および長い見かけの終末相半減期により特性付けられる。未コンジュゲートオーリスタチン誘導体の血清濃度は、定量化限界未満であることが予想される。1回量毒性範囲試験におけるこれらのコンジュゲートに関する毒性プロフィールは、比較可能な用量における他の抗体−薬物コンジュゲートに関して得られる毒性プロフィールと類似していることが予想される。
【0248】
“アポトーシスを誘導する”抗体、抗体−薬物コンジュゲートまたは他の薬剤は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡大、細胞断片化、および/または膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成により決定されるようなプログラム細胞死を誘導する抗体、抗体−薬物コンジュゲートまたは他の薬剤である。細胞は、腫瘍細胞、例えば乳房、卵巣、結腸直腸、前立腺、肝臓および肺腫瘍細胞である。様々な方法が、アポトーシスと関係する細胞事象を評価するために利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)の転位置は、アネキシン結合により測定されることができ;DNAの断片化は、DNAのラダリングにより評価されることができ;そしてDNAの断片化に伴う核/クロマチンの凝縮は、低二倍体細胞におけるあらゆる増大により評価されることができる。
【0249】
本明細書で用いられる際、“抗体依存性細胞媒介性細胞傷害”または“ADCC”は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす、細胞に媒介される反応を指す。対象の分子のADCC活性は、インビトロADCCアッセイ、例えば米国特許第5,500,362号または第5,821,337号において記載されているインビトロADCCアッセイを用いて評価されることができる。そのようなアッセイに関する有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞を含む。あるいは、または加えて、対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えば動物モデル、例えばClynes et al., PNAS (USA), 95:652-656 (1998)において開示されている動物モデルにおいて評価されることができる。
【0250】
“補体依存性細胞傷害”または“CDC”は、補体の存在下での標的の溶解を指す。補体活性化経路は、補体系の第1成分(C1q)の同族抗原と複合体形成した分子(例えば抗体)への結合により開始される。補体活性化を評価するため、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods, 202: 163-171 (1997)において記載されているようなCDCアッセイが実施されることができる。
【0251】
“ヒトエフェクター細胞”は、1以上のFcRを発現し、エフェクター機能を発揮する白血球である。その細胞は、FcγRIIIを発現し、抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を実行することができる。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好酸球、および好中球を含むが、それらに限定されず、PBMCおよびNK細胞が好ましい。ADCC活性を有する抗体は、典型的にはIgG1またはIgG3イソ型のものである。そのようなADCC媒介性抗体は、非ADCC抗体からの可変領域または可変領域断片をIgG1もしくはIgG3イソ型の定常領域に対して操作することにより作製されることもできる。
【0252】
IV. PTK7抗体−薬物コンジュゲートの使用
本発明の抗体および抗体−薬物コンジュゲートは、療法処置法および診断処置法を含むがそれらに限定されない様々な適用において有用である。
【0253】
IV.A. インビトロ適用
本発明は、PTK7抗体−薬物コンジュゲートを用いるインビトロの方法を提供する。例えば、開示される抗体は、単独または細胞毒性薬剤もしくは他の薬物との組み合わせのどちらにおいても、PTK7陽性癌細胞に特異的に結合してそのような細胞を細胞試料から枯渇させるために用いられることができる。PTK7発現細胞をPTK7抗体−薬物コンジュゲートと接触させることにより、アポトーシスおよび/または細胞増殖の阻害を誘導するための方法も、提供される。代表的なインビトロの方法は、本明細書において上記で“PTK7抗体−薬物コンジュゲートの特性付けのための機能的アッセイ”の見出しの下で記載されている。
【0254】
本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、それらのPTK7抗原に特異的に結合する能力に基づくインビトロでのPTK7陽性細胞の検出においても有用性を有する。PTK7発現細胞を検出するための方法は、以下の工程を含むことができる:(a)細胞を有する生物学的試料を調製し;(b)PTK7抗体−薬物コンジュゲートをその生物学的試料とインビトロで接触させ、ここで、その薬物は、検出可能な標識であり;そして(c)PTK7抗体−薬物コンジュゲートの結合を検出する。
【0255】
本明細書で開示されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍試料中の腫瘍開始細胞の頻度を低減するためにも有用である。例えば、その方法は、以下の工程:インビトロで腫瘍細胞集団(ここで、その集団は、腫瘍開始細胞および腫瘍開始細胞以外の腫瘍細胞を含む)をPTK7抗体−薬物コンジュゲートと接触させ;それにより、その細胞集団中の腫瘍開始細胞の百分率が低減する;を含むことができる。本明細書で用いられる際、用語“腫瘍開始細胞”は、様々な血液悪性疾患の癌幹細胞も指し、それは腫瘍自体によって特性付けられない。代表的な腫瘍試料は、腫瘍細胞を含有するあらゆる生物学的試料または臨床試料、例えば、組織試料、生検、血液試料、血漿、唾液、尿、精液等を含む。
【0256】
IV.B. 療法的適用
PTK7関連障害は、中皮腫、肝胆道(肝臓および胆管)癌、肝細胞癌、原発性または続発性CNS腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、黒色腫、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、胃腸の癌(例えば胃癌、結腸直腸癌、および十二指腸癌)、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌)、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、白血病(例えば急性骨髄性白血病(AML)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病)、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ならびに表8および9において示されているPTK7を発現する細胞型により表される全ての癌または本明細書で開示された癌の1種類以上の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0257】
句“有効量”、“有効投与量”は、本明細書で用いられる際、あらゆる1以上の有益な、または所望の療法的結果を達成するために必要な薬物、化合物または医薬組成物の量を指す。予防的使用に関して、有益な結果または所望の結果は、障害の生化学的、組織学的および/または行動上の症状、障害の発現の間に存在するその合併症および中間的な病理学的表現型を含む、障害の危険性を排除もしくは低減すること、その重症度を低下させること、またはその開始を遅らせることを含む。療法的使用に関して、有益な結果または所望の結果は、患者の様々なPTK7関連障害の1以上の症状の発生率の低減もしくは改善、障害を処置するために必要とされる他の薬物療法の用量の減少、別の薬物療法の作用の増進、および/またはPTK7関連障害の進行の遅延のような臨床的結果を含む。
【0258】
一側面において、本発明は、対象におけるPTK7発現と関係する障害を処置するための方法を提供する。本発明は、対象におけるPTK7発現と関係する障害を処置するための方法における使用のための、本明細書で記載される抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物も提供する。本発明はさらに、対象におけるPTK7発現と関係する障害を処置するための医薬品の製造における、本明細書で記載される抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物の使用を提供する。
【0259】
本発明のある側面において、対象におけるPTK7発現と関係する障害を処置する方法は、それを必要とする対象に、本明細書で記載されるPTK7抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物(例えば医薬組成物)を投与することを含む。PTK7発現と関係する障害は、異常なPTK7発現、変化した、または異所性PTK7発現、PTK7過剰発現、および増殖性障害(例えば癌)を含むが、それらに限定されない。
【0260】
本発明の一側面において、障害は、以下の癌を含むがそれらに限定されない癌である:中皮腫、肝胆道(肝臓および胆管)癌、肝細胞癌、原発性または続発性CNS腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、黒色腫、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、胃腸の癌(例えば胃癌、結腸直腸癌、および十二指腸癌)、乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌)、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、白血病(例えば急性骨髄性白血病(AML)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病)、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ならびに表8および9において示されているPTK7を発現する細胞型により表される全ての癌または本明細書で開示された癌の1種類以上の組み合わせ。
【0261】
別の態様において、抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートを用いた標的化に適した癌は、PTK7を発現している原発癌および転移癌、例えば乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌);卵巣癌;結腸直腸癌;食道癌;胃癌;黒色腫;肉腫;腎臓癌;膵臓癌;前立腺癌;肝臓癌、例えば肝細胞癌(HCC);ならびに肺癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)および小細胞肺癌(SCLC)を含む。
【0262】
より具体的な態様において、抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートを用いた標的化に適した癌は、PTK7を発現している原発癌および転移癌、例えば乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、プロゲステロン受容体陽性乳癌(PR+)、エストロゲン受容体陽性乳癌(ER+)およびダブルポジティブ乳癌)、NSCLC、前立腺癌および食道癌を含む。より具体的な態様において、抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートを用いた標的化に適した癌は、PTK7を発現している原発癌および転移癌、例えば乳癌(例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC))およびNSCLCを含む。
【0263】
本発明のある側面において、PTK7発現腫瘍を有する対象において腫瘍の成長または進行を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物を投与することを含む方法が提供される。本発明の他の側面において、対象においてPTK7発現癌細胞の転移を阻害する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物を投与することを含む方法が提供される。本発明の他の側面において、対象においてPTK7発現腫瘍の退縮を誘導する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で記載されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートを有する有効量の組成物を投与することを含む方法が提供される。他の側面において、本発明は、上記の方法における使用のための、本明細書で記載された抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物を提供する。他の側面において、本発明は、上記の方法における使用のための医薬品の製造における、本明細書で記載された抗体−薬物コンジュゲートまたは医薬組成物の使用を提供する。
【0264】
従って、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートを用いて処置されるべき患者は、バルク腫瘍試料のmRNA(qPCR)およびPTK7抗原の高められた発現を含むがそれらに限定されないバイオマーカー発現に基づいて選択されることができ、それは結果として、腫瘍の由来または組織学ではなく富化された標的発現に関して選択された患者集団をもたらす。標的発現は、細胞染色の強度と組み合わせられた細胞染色の数の関数として測定されることができる。例えば、PTK7の高発現の分類は、免疫組織化学染色により試験された細胞の30%より多く(すなわち40%、50%または60%)が(1〜4の尺度における)3+のレベルでPTK7に関して陽性である患者を含み、一方でPTK7の中程度の発現は、細胞の20%より多くが1+〜2+で染色される患者を含むことができる。標的発現は、本明細書で記載されたような腫瘍開始細胞(TIC)上のPTK7発現を検出することにより測定されることもできる。
【0265】
PTK7の発現以外のバイオマーカーも、例えば多剤耐性(MDR)に基づく腫瘍の特性付けを含め、患者の選択のために用いられることができる。ヒトの癌のほぼ50%は、化学療法に完全に耐性であるか、または一過性にしか応答せず、その後それらはもはや一般的に用いられる抗癌薬による影響を受けないかのどちらかである。この現象は、MDRと呼ばれ、一部の腫瘍型により生得的に発現され、一方で他の腫瘍型は化学療法処置への暴露後にMDRを獲得する。薬物排出ポンプであるP−糖タンパク質は、細胞毒性化学療法と関係するMDRの大部分を媒介している。癌患者の腫瘍標本中に存在するMDR機序の表現型および機能分析が、特定のMDRの機序(単数または複数)を特定の腫瘍型における化学療法への耐性と関連付けるために実施されることができる。
【0266】
癌の成長または異常増殖は、より発達した癌の形態または障害の状態への細胞内の変化を示唆するいくつかの指標のいずれか1つを指す。癌細胞または非新生物性増殖性障害の細胞の増殖の阻害は、当該技術で既知の方法、例えば遅延した腫瘍成長および転移の阻害によりアッセイされることができる。癌の成長の阻害を測定するための他の指標は、癌細胞生存における減少、(例えば、コンピューター断層撮影(CT)、超音波検査、または他の画像化法を用いて決定されるような)腫瘍体積または形態における減少、腫瘍脈管系の破壊、遅延型過敏性皮膚試験における向上した性能、細胞溶解性Tリンパ球の活性における増大、および腫瘍特異的抗原のレベルにおける低下を含む。
【0267】
開示された療法的方法の所望の結果は、一般に対照またはベースライン測定と比較した場合の定量化可能な尺度である。本明細書で用いられる際、相対的な用語、例えば“向上させる”、“増大させる”または“低減する”は、対照、例えば本明細書で記載された処置の開始前の同じ個人における測定、または本明細書で記載された処置の非存在下での対照の個人(または多数の対照の個人)における測定と比較した値を示す。代表的な対照の個人は、処置されている個人と同じ形態の過剰増殖性障害に苦しんでいる個人であって、(処置される個人および対照の個人における障害の病期が比較可能であることを確実にするために)処置されている個人とおおよそ同じ年齢である個人である。
【0268】
療法に応答した変化または改善は、一般に統計的に有意である。本明細書で用いられる際、用語“有意性”または“有意な”は、2以上の実体間にランダムではない関係が存在する確率の統計分析に関する。関係が“有意”である、または“有意性”を有するか否かを決定するため、データの統計学的操作は“p値”であることができる。使用者に定義されたカットオフ点より下に入るp値は、有意とみなされる。0.1以下、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.001未満のp値は、有意とみなされることができる。
【0269】
本明細書において上記で見出し“III.PTK7抗体−薬物コンジュゲートの特性付けのための機能的アッセイ”の下で記載されたように、本発明は、腫瘍開始細胞を標的化するための方法も提供する。より詳細には、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍開始細胞を含め、腫瘍細胞の増殖、伝播または生存を、枯渇させる、静める、中和する、排除する、または阻害することができる。
【0270】
従って、本明細書で開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、腫瘍試料中の腫瘍開始細胞の頻度を低減するためにも有用である。例えば、その方法は、以下の工程:腫瘍細胞集団(ここで、その集団は、腫瘍開始細胞および腫瘍開始細胞以外の腫瘍細胞を含む)をPTK7抗体−薬物コンジュゲートと接触させ;それにより、その細胞集団中の腫瘍開始細胞の百分率が低減する;を含むことができる。本明細書で用いられる際、用語“腫瘍開始細胞”は、様々な血液悪性疾患の癌幹細胞も指し、それは腫瘍自体によって特性付けられない。接触工程は、インビトロで実施されることもでき、ここで、本明細書において上記で記載されたように、腫瘍細胞集団が、生物学的試料中に含有される。あるいは、接触工程は、PTK7抗体−薬物コンジュゲートの対象への投与後に起こるように、インビボで実施されることができる。
【0271】
IV.C. インビボ検出および診断
別の側面において、PTK7発現と関係する障害を検出、診断、および/またはモニターする方法が提供される。例えば、本明細書で記載されたPTK7抗体は、検出可能部分、例えば画像化剤および酵素−基質標識で標識されることができる。本明細書で記載された抗体は、インビボ診断アッセイ、例えばインビボ画像化(例えばPETまたはSPECT)または染色試薬のために用いられることもできる。
【0272】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートの対象への投与後(ここで薬物は検出可能標識である)および結合のために十分な時間の後、抗体により結合されたPTK7発現細胞の生体内分布が可視化されることができる。開示された診断法は、処置法との組み合わせで用いられることができる。加えて、本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、検出および療法の二重の目的のために投与されることができる。
【0273】
代表的な非侵襲性検出法は、シンチグラフィー(例えばSPECT(単一光子放射コンピューター断層撮影)、PET(陽電子放射断層撮影)、ガンマカメラ画像化、および直線形スキャン)、磁気共鳴画像化(例えば従来の磁気共鳴画像化、磁化移動画像化(MTI)、光子磁気共鳴分光法(MRS)、拡散強調画像化(DWI)および機能的MR画像化(fMRI))、および超音波を含む。
【0274】
IV.D. 形成
本発明はさらに、本明細書で開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートのいずれかおよび薬学的に許容可能なキャリヤーを含む医薬組成物を提供する。さらに、組成物は、1種類より多くのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲート(例えば、PTK7の異なるエピトープを認識するPTK7抗体の混合物)を含むことができる。他の典型的な組成物は、PTK7(例えばヒトPTK7)の同じエピトープ(単数または複数)を認識する1種類より多くのPTK7抗体もしくはPTK7抗体−薬物コンジュゲート、または異なるエピトープに結合するPTK7抗体もしくはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの異なる種を含む。
【0275】
本発明において用いられる組成物は、凍結乾燥された配合物または水溶液の形態で、さらに薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤を含むことができる(Remington: The Science and practice of Pharmacy 第21版, 2005, Lippincott Williams and Wilkins, 編者K. E. Hoover)。許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤は、その投与量および濃度において受容者に対して非毒性であり、緩衝剤、例えばホスフェート、シトレート、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストラン類を含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn−タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含むことができる。“薬学的に許容可能な塩”は、本明細書で用いられる際、分子または高分子の薬学的に許容可能な有機または無機塩類を指す。薬学的に許容可能な賦形剤は、本明細書においてさらに記載される。
【0276】
PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの様々な配合物が、投与のために用いられることができる。本発明のある側面において、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、ニートで(neat)投与されることができる。PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容可能な賦形剤は、様々な配合物中にあることができる。薬学的に許容可能な賦形剤は、当該技術で既知であり、薬理学的に有効な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形態もしくは粘稠性を与える、または希釈剤の役目を果たすことができる。適切な賦形剤は、安定剤、湿潤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変動させるための塩類、封入剤、緩衝剤、および皮膚浸透増進剤を含むが、それらに限定されない。非経口および非経口ではない薬物送達のための賦形剤ならびに配合物が、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第20版. Mack Publishing, 2000において述べられている。
【0277】
本発明のある側面において、これらの薬剤は、(例えば腹腔内、静脈内、皮下、筋内等での)注射による投与のために配合されている。従って、これらの薬剤は、薬学的に許容可能なビヒクル、例えば生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液等と組み合わせられることができる。個々の投与計画、すなわち用量、タイミングおよび反復は、特定の個人およびその個人の病歴に依存するであろう。
【0278】
本発明に従って用いられるPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの療法配合物は、所望の程度の純度を有する抗体を任意の薬学的に許容可能なキャリヤー、賦形剤または安定剤(Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第21版 Mack Publishing, 2005)と、凍結乾燥された配合物または水溶液の形態で混合することにより、貯蔵のために調製される。許容可能なキャリヤー、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量および濃度において受容者に非毒性であり、緩衝剤、例えばホスフェート、シトレート、および他の有機酸;塩類、例えば塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストラン類を含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn−タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含むことができる。
【0279】
PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートを含有するリポソームは、当該技術において既知の方法、例えばEppstein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692 (1985); Hwang, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 77:4030-4034 (1980);ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号において記載されている方法により調製される。増進された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号において開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法により生成されることができる。リポソームは、定められた孔径のフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームを生成する。
【0280】
有効成分は、コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、例えばコアセルベーション技法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)中に捕捉されることもできる。そのような技法は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 第21版 Mack Publishing, 2005において開示されている。
【0281】
持続放出製剤が、調製されることができる。持続放出製剤の適切な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、そのマトリックスは、形作られた物、例えば薄膜またはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル類、ヒドロゲル類(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド類(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸および7エチル−L−グルタメート(7 ethyl−L−glutamate)のコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射用マイクロスフェア)、スクロース酢酸イソブチル、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
【0282】
インビボ投与のために用いられる予定の配合物は、無菌でなければならない。これは、例えば滅菌濾過膜を通した濾過により容易に成し遂げられる。療法用PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲート組成物は、一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に配置される。
【0283】
本発明に従う組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与、または吸入もしくはガス注入(insufflation)による投与のための単位剤形、例えば錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐剤であることができる。
【0284】
固体組成物、例えば錠剤を調製するため、主要な有効成分が、医薬用キャリヤー、例えば従来の打錠用成分、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガム、および他の医薬用希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物またはその非毒性の薬学的に許容可能な塩の均質な混合物を含有する固体前配合(preformulation)組成物を形成する。これらの前配合組成物が均質であると言及する場合、その組成物が等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、丸剤およびカプセル中にすぐに細分されることができるように、有効成分が組成物全体にわたって均等に分散していることが意味されている。次いで、この固体前配合組成物は、0.1〜約500mgの本発明の有効成分を含有する上記のタイプの単位剤形中に細分される。新規組成物の錠剤または丸剤は、延長された作用の利点を与える剤形を提供するために、コートされるか、または他の方法で調合されることができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部投薬構成要素および外部投薬構成要素を含むことができ、後者は前者を覆う外膜の形態である。2つの構成要素は、胃における崩壊に耐える役目を果たし、内部の構成要素が完全な状態で十二指腸中へと通過することまたはその放出が遅延することを可能にする腸溶層により隔てられていることができる。様々な材料が、そのような腸溶層またはコーティングのために用いられることができ、そのような材料は、いくつかのポリマー性の酸ならびにポリマー性の酸のシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含む。
【0285】
適切な表面活性剤は、特に非イオン性薬剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン類(例えばTween(商標)20、40、60、80または85)および他のソルビタン類(例えばSpan(商標)20、40、60、80または85)を含む。表面活性剤を含む組成物は、好都合には0.05〜5%の表面活性剤を含むと考えられ、それは0.1〜2.5%であることができる。他の成分、例えばマンニトールまたは他の薬学的に許容可能なビヒクルが、必要に応じて添加されることができることは、理解されるであろう。
【0286】
適切なエマルジョンは、商業的に入手可能な脂肪エマルジョン、例えばINTRALIPID(商標)、LIPOSYN(商標)、INFONUTROL(商標)、LIPOFUNDIN(商標)およびLIPIPHYSAN(商標)を用いて調製されることができる。有効成分は、予め混合されたエマルジョン組成物中で溶解させることができ、あるいはそれは油(例えばダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油またはアーモンド油)中で溶解させることもでき、リン脂質(例えば卵リン脂質、ダイズリン脂質またはダイズレシチン)および水との混合の際にエマルジョンが形成される。エマルジョンの張性を調節するために、他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースが添加されることができることは、理解されるであろう。適切なエマルジョンは、典型的には20%までの、例えば5〜20%の油を含有するであろう。脂肪エマルジョンは、0.1〜1.0μm、特に0.1〜0.5μmの脂肪液滴を含むことができ、5.5〜8.0の範囲のpHを有することができる。
【0287】
エマルジョン組成物は、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートをINTRALIPID(商標)またはその構成要素(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することにより調製されたエマルジョン組成物であることができる。
【0288】
吸入またはガス注入のための組成物は、薬学的に許容可能な水性もしくは有機性溶媒中の溶液および懸濁液、またはそれらの混合物、ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上記で述べられたような適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含有することができる。本発明のある側面において、組成物は、局所または全身作用のために、経口または経鼻呼吸経路により投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容可能な溶媒中の組成物は、ガスの使用により噴霧されることができる。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接呼吸されることができ、または噴霧デバイスは、フェイスマスク、テントもしくは断続的陽圧呼吸模擬装置に取り付けられることができる。溶液、懸濁液または粉末組成物は、好ましくは経口または経鼻で、配合物を適切な方法で送達するデバイスから投与されることができる。
【0289】
本発明は、本方法における使用のためのキットも提供する。本発明のキットは、本明細書で記載されたPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートを含む1個以上の容器および本明細書で記載された本発明の方法のいずれかに従う使用のための説明書を含む。一般に、これらの説明書は、上記の療法処置のためのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの投与の記載を含む。
【0290】
本明細書で記載されたPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの使用に関する説明書は、一般に、意図される処置に関する投与量、投与スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルク包装(例えば多数回用量包装)または小単位用量であることができる。本発明のキット中に供給される説明書は、典型的にはラベルまたは添付文書(例えばキット中に含まれる紙シート)上に書かれた説明書であるが、機械で読み取り可能な説明書(例えば磁気または光学記憶ディスク上に保持された説明書)も許容可能である。
【0291】
本発明のキットは、適切な包装中にある。適切な包装は、バイアル、ボトル、広口瓶、柔軟な包装(例えば密封されたマイラまたはプラスチックの袋)等を含むが、それらに限定されない。特定のデバイス、例えば吸入器、経鼻投与デバイス(例えばアトマイザー)またはミニポンプのような注入デバイスとの組み合わせでの使用のための包装も、意図されている。キットは、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、その容器は、皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであることができる)。容器も、無菌のアクセスポートを有することができる(例えば、容器は、皮下注射針により突き刺し可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであることができる)。組成物中の少なくとも1種類の有効薬剤は、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートである。容器は、さらに第2の薬学的に有効な薬剤を含むことができる。
【0292】
キットは、場合により追加の構成要素、例えば緩衝剤および判断情報を提供することができる。通常は、キットは、容器およびその容器上のまたはその容器と関係するラベルまたは添付文書(単数または複数)を含む。
【0293】
IV.E. 用量および投与
インビトロおよびインビボ適用に関して、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、有効投与量で提供または投与される。臨床的状況では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、直接または間接的にのどちらかで予防的または療法的処置を成し遂げるために十分な量である。有効投与量は、1回以上の投与において投与されることができる。薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と合わせて達成される可能性があり、またはそうでない可能性もある。従って、“有効投与量”は、1種類以上の療法剤を投与する文脈において考えられることができ、単剤は、1種類以上の他の薬剤と合わせて望ましい結果が達成され得る、または達成される場合に、有効量で与えられていると考えられることができる。開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートを用いたPTK7陽性細胞の検出に関して、本発明の組成物の検出可能な量、すなわちコンジュゲートの存在がインビトロまたはインビボで決定され得るようなコンジュゲートの用量が、対象に投与される。
【0294】
例えば、癌を有する対象に投与される場合、有効量は、癌細胞の細胞溶解、癌細胞の増殖の阻害、癌細胞のアポトーシスの誘導、癌細胞抗原の低減、遅延された腫瘍成長、および/または転移の阻害を含む抗癌活性を引き出すために十分な量を含む。腫瘍の縮小は、有効性に関する臨床代用マーカーとして十分に受け入れられている。有効性に関する別の十分に受け入れられているマーカーは、無増悪生存である。
【0295】
PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、あらゆる適切な経路により個人に投与されることができる。当業者には、本明細書で記載される実施例は、限定的であることが意図されているのではなく、利用可能な技法を説明することが意図されていることは、理解されるべきである。従って、本発明のある側面において、PTK7抗体またはPTK7抗体コンジュゲートは、個人に、既知の方法に従って、例えば静脈内投与、例えば大量瞬時投与としての静脈内投与またはある期間にわたる連続注入による静脈内投与で、筋内、腹腔内、脳脊髄内、頭蓋内、経皮、皮下、関節内、舌下、滑液包内、ガス注入経由、髄腔内、経口、吸入または局所的経路により投与される。投与は、全身的、例えば静脈内投与、または局所的であることができる。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含む、液体配合物のための商業的に入手可能な噴霧器は、投与のために有用である。液体配合物は、直接噴霧されることができ、凍結乾燥された粉末は、再構成後に噴霧されることができる。あるいは、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、フルオロカーボン配合物および計量吸入器を用いてエアロゾル化されることができ、または凍結乾燥および製粉された粉末として吸入されることもできる。
【0296】
本発明のある側面において、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、部位特異的または標的化された局所送達技法により投与される。部位特異的または標的化された局所送達技法の例は、PTK7抗体もしくはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの様々な埋め込み式のデポー源、または局所送達カテーテル、例えば注入カテーテル、留置カテーテル、もしくは針カテーテル、人工移植片、外膜ラップ、シャントおよびステントもしくは他の埋め込み式のデバイス、部位特異的担体、直接注射、または直接適用を含む。例えば、PCT国際公開第2000/53211号および米国特許第5,981,568号を参照。
【0297】
本明細書で記載されたPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、注射(例えば腹腔内、静脈内、皮下、筋内等)による投与を含め、あらゆる適切な方法を用いて投与されることができる。PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、本明細書で記載されたように、吸入により投与されることもできる。一般に、PTK7抗体およびPTK7抗体−薬物コンジュゲートの投与に関して、最初の候補投与量は、約2mg/kgであることができる。本発明の目的に関して、典型的な一日投与量は、上記で言及された要因に応じて、約3μg/kg〜30μg/kg〜300μg/kg〜3mg/kg、30mg/kgまで、100mg/kgまたはより多い量までのいずれの範囲である可能性もある。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、および約25mg/kgの投与量が用いられることができる。数日またはより長い期間にわたる反復投与に関して、障害に応じて、処置は、症状の所望の抑制が起こるまで、または例えば腫瘍成長/進行もしくは癌細胞の転移を阻害するもしくは遅延させるための十分な療法レベルが達成されるまで持続する。典型的な投与計画は、約2mg/kgのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの初期用量を投与し、続いて約1mg/kgの毎週維持用量を投与すること、または続いて約1mg/kgの維持用量を隔週で投与することを含む。他の典型的な投与計画は、増大する容量(例えば1mg/kgの初期用量および毎週またはより長い期間での1以上のより高い容量への徐々の増大)を投与することを含む。他の投与計画も、従事者が達成することを望む薬物動態的減衰のパターンに応じて有用である可能性がある。例えば、本発明のある側面において、週に1〜4回の投与が意図されている。他の側面において、月1回または2ヶ月ごとに1回または3ヶ月ごとに1回、ならびに毎週、2週間ごとおよび3週間ごとに1回の投与が意図されている。この療法の進行は、従来の技法およびアッセイにより容易にモニターされることができる。投与計画(用いられるPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートを含む)は、時間の経過に伴い変動することができる。
【0298】
本発明の目的に関して、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの適切な投与量は、用いられるPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲート(またはその組成物)、処置されるべき症状のタイプおよび重症度、薬剤が療法的目的のために投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴および薬剤への応答、投与される薬剤に関する患者のクリアランス速度、ならびに主治医の裁量に依存するであろう。臨床医は、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートを、所望の結果を達成する投与量およびそれ以上に達するまで投与することができる。用量および/または頻度は、処置の過程にわたって変動することができるが、一定のままであることもできる。経験的な考慮すべき事柄、例えば半減期は、一般に投与量の決定に寄与するであろう。例えば、ヒト免疫系と適合可能である抗体、例えばヒト化抗体または完全なヒト抗体は、抗体の半減期を延長するためおよび抗体が受容者の免疫系により攻撃されるのを防ぐために用いられることができる。投与の頻度は、療法の過程にわたって決定および調節されることができ、一般に、症状の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延、例えば腫瘍成長の阻害または遅延等に基づくが、必ずそうであるわけではない。あるいは、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの持続的連続放出配合物が、適切である可能性がある。持続放出を達成するための様々な配合物およびデバイスが、当該技術で既知である。
【0299】
本発明のある側面において、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートに関する投与量は、そのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの1回以上の投与(単数または複数)を与えられてきた個人において経験的に決定されることができる。個人は、PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの増加する投与量を与えられる。有効性を評価するため、障害の指標が追跡されることができる。
【0300】
本発明の方法に従うPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの投与は、例えば受容者の生理的障害、投与の目的が療法的か予防的か、および当業者に既知の他の要因に応じて連続的または断続的であることができる。PTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートの投与は、予め選択された期間にわたって本質的に連続的であることができ、または一連の間隔の空いた用量におけることもできる。
【0301】
IV.F. 併用療法
本発明のある側面において、本明細書で記載される方法は、さらに対象を療法の追加の形態により処置する工程を含む。ある側面において、療法の追加の形態は、化学療法、放射線、手術、ホルモン療法、および/または追加の免疫療法を含むがそれらに限定されない追加の抗癌療法である。
【0302】
開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、最初の処置として、または従来の療法に非応答性である障害の処置のために投与されることができる。加えて、PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、他の療法(例えば外科的切除、放射線、追加の抗癌薬等)との組み合わせで、それにより追加のもしくは増強された療法作用を引き出す、および/または一部の抗癌剤の肝細胞毒性を低減するために用いられることができる。本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、追加の薬剤と同時投与もしくは同時配合されることができ、または追加の薬剤とのあらゆる順序での連続投与のために配合されることができる。
【0303】
併用療法に有用な代表的な薬剤は、本明細書において上記で副見出し“薬物”の下でPTK7抗体−薬物コンジュゲートの調製に有用であるものとして記載された薬物の全てを含む。本発明のPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、開示された抗PTK7抗体以外の抗PTK7抗体ならびに異なる抗原を標的とする抗体およびコンジュゲートを含め、他の療法用抗体および抗体−薬物コンジュゲートとの組み合わせで用いられることもできる。単独でまたは抗体−薬物コンジュゲートとして用いられることができる代表的な抗体は、抗5T4抗体(例えばA1、A2、およびA3)、抗CD19抗体、抗CD20抗体(例えばRITUXAN(登録商標)、ZEVALIN(登録商標)、BEXXAR(登録商標))、抗CD22抗体、抗CD33抗体(例えばMYLOTARG(登録商標))、抗CD33抗体−薬物コンジュゲート、抗ルイスY抗体(例えばHu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗HER−2抗体(例えばHERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、MDX−210、OMNITARG(登録商標)(ペルツズマブ、rhuMAb 2C4))、抗CD52抗体(例えばCAMPATH(登録商標))、抗EGFR抗体(例えばERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)、ABX−EGF(パニツムマブ))、抗VEGF抗体(例えばAVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ))、抗DNA/ヒストン複合体抗体(例えばch−TNT−1/b)、抗CEA抗体(例えばCEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗CD47抗体(例えば6H9)、抗VEGFR2(またはキナーゼ挿入ドメイン含有受容体、KDR)抗体(例えばIMC−1C11)、抗Ep−CAM抗体(例えばING−1)、抗FAP抗体(例えばシブロツヅマブ)、抗DR4抗体(例えばTRAIL−R)、抗プロゲステロン受容体抗体(例えば2C5)、抗CA19.9抗体(例えばGIVAREX(登録商標))および抗フィブリン抗体(例えばMH−1)を含む。
【0304】
開示されたPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、処置計画の一部として細胞毒性薬剤の1以上の組み合わせと一緒に投与されることもできる。この目的のための有用な細胞毒性製剤は、CHOPP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン);COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);CAP−BOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);m−BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、およびロイコボリン);ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、シタラビン、ブレオマイシンおよびビンクリスチン);MACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン);MOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン);ABV(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン)と交互のMOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン)と交互のMOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ChIVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニゾン);IMVP−16(イホスファミド、メトトレキサート、エトポシド);MIME(メチル−gag、イホスファミド、メトトレキサート、エトポシド);DHAP(デキサメタゾン、高用量シタラビンおよびシスプラチン);ESHAP(エトポシド、メチルプレドニゾロン、HDシタラビン、およびシスプラチン);CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン);CAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン);およびCVP−1(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);DHAP(シスプラチン、高用量シタラビンおよびデキサメタゾン);CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン);PV(シスプラチン、ビンブラスチンまたはビンデシン);CE(カルボプラチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);MVP(マイトマイシン、ビンブラスチンまたはビンデシン、シスプラチン);PFL(シスプラチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン);IM(イホスファミド、マイトマイシン);IE(イホスファミド、エトポシド);IP(イホスファミド、シスプラチン);MIP(マイトマイシン、イホスファミド、シスプラチン);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);PIE(シスプラチン、イホスファミド、エトポシド);ビノレルビンおよびシスプラチン;カルボプラチンおよびパクリタキセル;CAV(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン);CAE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド);CAVE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);ならびにCMCcV(シクロホスファミド、メトトレキサート、ロムスチン、ビンクリスチン)を含む。
【0305】
PTK7抗体−薬物コンジュゲートは、全身性抗癌薬、例えばエポチロン類(BMS−247550、Epo−906)、タキサン類の再配合物(Abraxane、Xyotax)、微小管阻害剤(MST−997、TTI−237)と、または標的化された細胞毒素、例えばCMD−193およびSGN−15との組み合わせで用いられることができる。追加の有用な抗癌剤は、TAXOTERE(登録商標)、TARCEVA(登録商標)、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、5−FU、AVASTIN(登録商標)、ERBITUX(登録商標)、TROVAX(登録商標)、アナツモマブマフェナトキス(anatumomab mafenatox)、レトロゾール、ドセタキセル、およびアントラサイクリン類を含む。
【0306】
併用療法に関して、PTK7抗体−薬物コンジュゲートおよび/または1種類以上の追加の療法剤もしくは診断剤は、意図される療法または診断の性能に適したあらゆる時間フレーム内で投与される。従って、単剤は、実質的に同時に(すなわち、単一の配合物として、または数分もしくは数時間以内に)、またはあらゆる順序で連続的に投与されることができる。例えば、単剤処置は、互いに約1年以内、例えば約10、8、6、4、もしくは2ヶ月以内、または4、3、2もしくは1週間以内、または約5、4、3、2もしくは1日以内に施されることができる。第2の療法剤との組み合わせでのPTK7抗体−薬物コンジュゲートの投与は、好ましくはどちらか単独の投与よりも大きい作用を引き出す。
【0307】
本発明のある側面において、療法の追加の形態は、1種類以上の療法剤を、本明細書で記載されたようなPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートに加えて投与することを含む。その療法剤は、第2抗体(例えば抗VEGF抗体、抗HER2抗体、抗CD25抗体、および/または抗CD20抗体)、血管新性阻害剤、細胞毒性剤、抗炎症剤(例えばパクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、ドキソルビシン、プレドニゾン、マイトマイシン、プロゲステロン、タモキシフェン、またはフルオロウラシル)を含むが、それらに限定されない。
【0308】
本発明のある側面において、1種類より多くのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートが存在していることができる。少なくとも1種類、少なくとも2種類、少なくとも3種類、少なくとも4種類、少なくとも5種類の異なる、またはより多くのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートが存在していることができる。一般に、それらのPTK7抗体またはPTK7抗体−薬物コンジュゲートは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有することができる。例えば、以下のPTK7抗体の1種類以上が用いられることができる:PTK7上のあるエピトープに向けられた第1PTK7抗体およびPTK7上の異なるエピトープに向けられた第2PTK7抗体。
【0309】
開示された併用療法は、相乗的療法作用、すなわち、それらの個々の作用または療法成績の合計よりも大きい作用を引き出すことができる。測定可能な療法成績は、本明細書において記載されている。例えば、相乗的療法作用は、単剤により引き出される療法作用または所与の組み合わせの単剤により引き出される療法作用の合計よりも少なくとも約2倍大きい、または少なくとも約5倍大きい、または少なくとも約10倍大きい、または少なくとも約20倍大きい、または少なくとも約50倍大きい、または少なくとも約100倍大きい作用であることができる。相乗的療法作用は、単剤により引き出される療法作用または所与の組み合わせの単剤により引き出される療法作用の合計と比較した少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%の、またはより大きい療法作用における増大として観察されることもできる。相乗作用は、それらが組み合わせで用いられた際に療法剤の低減した投与を可能にする作用でもある。
【0310】
別途示されない限り、詳細な記載全体を通して用いられた際に、用語“約”は、用語“約”の後の値の+/−1%の値を意味する。
【実施例】
【0311】
以下の実施例は、説明目的でのみ提供されており、本発明の範囲を限定することは一切意図されていない。実際、本明細書で示された、および記載された本発明に加えた本発明の様々な修正が、当業者には前記の記載から明らかになると考えられ、それは添付された特許請求の範囲内に入る。
【0312】
実施例1
抗PTK7抗体の生成およびヒト化
マウス抗体の形態のPTK−7抗体が、当該技術で既知の、およびPCT国際公開第2012/112943号において記載されているような手順に従って生成された。生成されたマウス抗体は、相補性決定領域(CDR)移植を用いてヒト化された。重鎖および軽鎖に関するヒトのフレームワークは、機能性ヒト生殖細胞系列遺伝子に関する配列および構造類似性に基づいて選択された。構造類似性は、Chothia et al.(上記)において記載されているように、マウスのカノニカルCDR構造を同じカノニカル構造を有するヒトの候補に対して比較することにより評価された。
【0313】
より詳細には、PCT国際公開第2012/112943号において記載されている、本明細書においてmu23、mu24、およびmu58と呼ばれるマウス抗体が、コンピューターに支援されたCDR移植法(Abysis Database、UCL Business PIc.)および標準的な分子工学技法を用いてヒト化され、ヒト化mu23、mu24、およびmu58(以下hu23、hu24、およびhu58)をそれぞれ提供した。可変領域のヒトのフレームワーク領域は、マウスのフレームワーク配列に対するそれらの最高の配列相同性およびそのカノニカル構造に基づいて選択された。分析の目的のため、CDRドメインのそれぞれに対するアミノ酸の割り当ては、Kabatらの番号付けに従った。いくつかのヒト化抗体バリアントが、最適なヒト化抗体を生成するために作製され、そのヒト化抗体は一般に、ヒトのフレームワーク領域を伴うマウスのハイブリドーマからの抗原結合相補性決定領域(CDR)を保持していた。BIACORE(登録商標)システムを用いて測定された際に、hu23、hu24、およびhu58 mAbは、ヒトPTK7抗原に、それらのマウスの対応物に対する親和性と類似の親和性で結合した。
【0314】
分子工学手順が、当該技術で認められている技法を用いて実施された。総mRNAが、ハイブリドーマから、製造業者のプロトコル(TRIZOL(登録商標)Plus RNA Purification System、Life Technologies)に従って抽出された。それぞれのハイブリドーマを増幅するように設計された配列特異的5’リーダー配列プライマーが、それぞれのヒト化抗体の可変領域を増幅およびクローニングするために、3’ヒトCγ1プライマーとの組み合わせで用いられた。同様に、ヒトカッパ定常領域に特異的な単一の逆方向プライマーと組み合わせられた、特異的にVk領域のそれぞれを増幅するように設計された5’Vkリーダー配列が、カッパ軽鎖を増幅およびクローニングするために用いられた。増幅された断片は、キメラヒトガンマ1/カッパ鎖としてクローニングされ、それぞれのヒト化mAbに関するベンチマークの役目を果たした。
【0315】
ヌクレオチド配列情報から、マウス抗体mu23、mu24、およびmu58の重鎖および軽鎖のV、DおよびJ遺伝子区画に関するデータが得られた。その配列データに基づいて、抗体のIg VHおよびVk鎖のリーダー配列に特異的な新規のプライマーセットが、組み換えモノクローナル抗体のクローニングのために設計された。続いて、V−(D)−J配列が、マウスIgの生殖細胞系列配列とアラインメントされた。
【0316】
mu23の重鎖遺伝子が、VH3609(V)、DSP2.3(D)およびJH3として同定された。mu24の重鎖遺伝子が、VHJ558(V)、DSP2.7(D)およびJH4として同定された。mu58の重鎖遺伝子が、IGHV 4−1(V)、DFL 16.1(D)およびJH4として同定された。全ての3つの軽鎖は、κクラスであった。軽鎖遺伝子が、mu23に関してIGKVI4−111およびJK5、mu24に関してIGKV3−5およびJK1、そしてmu58に関してIGKV17−121およびJK4生殖細胞系列配列として同定された。これらの結果が、下記の表2において要約されている。
【0317】
【表2】
【0318】
全ての3つのクローンからの得られた重鎖および軽鎖配列が、機能性ヒト可変領域配列に対してアラインメントされ、相同性およびカノニカル構造に関して再調査された。ヒト化抗PTK7抗体hu23、hu24、およびhu58に関するヒト化重鎖および軽鎖の分析の結果が、下記で表3および4においてそれぞれ示されている。
【0319】
【表3】
【0320】
【表4】
【0321】
hu23、hu24、およびhu58のアミノ酸配列および関係する核酸配列が、上記の表1において示されている。hu23、hu24、およびhu58に関するVH領域のアミノ酸配列が、それぞれSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:25、およびSEQ ID NO:49において示されており、対応する核酸配列が、それぞれSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:26、およびSEQ ID NO:50において示されている。hu23、hu24、およびhu58のカッパVL領域のアミノ酸配列が、それぞれSEQ ID NO:15、SEQ ID NO:39、およびSEQ ID NO:63において示されており、対応する核酸配列が、それぞれSEQ ID NO:16、SEQ ID NO:40、およびSEQ ID NO:64において示されている。
【0322】
下記の実施例において実証されるように、前記のヒト化抗体は、本明細書における教示に従って有効な抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートとして機能する。
実施例2
ヒト化抗体の発現
抗PTK7抗体hu23、hu24、およびhu58を、当該技術で認められている技法を用いて、そしてPCT国際公開第2012/112943号において記載されているように発現させ、単離した。重鎖の合成ヒト化可変DNA断片(Integrated DNA Technologies)を、ヒトIgG1発現ベクター中にクローニングした。可変軽鎖断片を、ヒトC−カッパ発現ベクター中にクローニングした。それぞれの抗体を、対応する重鎖および軽鎖のCHO細胞中への同時トランスフェクションにより発現させた。
【0323】
より詳細には、抗体産生のために、ヒト化可変遺伝子のPCR産物のヒト免疫グロブリン発現ベクター中への方向性クローニングを行った。Ig遺伝子特異的PCRにおいて用いられた全てのプライマーは、ヒトIgG1およびIgk定常領域をそれぞれ含有する発現ベクター中への直接的なクローニングを可能にする制限部位(IgHに関してAgeIおよびXhoI、Igkに関してXmaIおよびDraIII)を含んでいた。簡潔には、PCR産物をQiaquick PCR精製キット(Qiagen,Inc.)を用いて精製し、続いてそれぞれAgeIおよびXhoI(IgH)、XmaIおよびDraIII(Igk)で消化した。消化したPCR産物を精製した後、発現ベクター中にライゲーションした。ライゲーション反応は、200UのT4−DNAリガーゼ(New England Biolabs)、7.5μLの消化および精製された遺伝子特異的PCR産物および25ngの線状ベクターDNAを含む10μLの総体積で実施された。コンピテント大腸菌DHl0B細菌(Life Technologies)を、3μLのライゲーション産物を用いた42℃での熱ショックにより形質転換し、アンピシリンプレート(100μg/mL)上に蒔いた。次いで、VH領域のAgeI−EcoRI断片を、pEE6.4HuIgG1(Lonza AG)発現ベクターの同じ部位中に挿入し、一方で合成XmaI−DraIIIVκ挿入断片を、それぞれのpEE12.4Hu−Kappa発現ベクターのXmaI−DraIII部位中にクローニングした。
【0324】
ヒト化抗体を産生する細胞を、適切なプラスミドによるHEK293細胞の293fectinを用いたトランスフェクションにより生成した。プラスミドDNAを、QIAprep Spinカラム(Qiagen)を用いて精製した。ヒト胎児性腎臓(HEK)293T(ATCC番号CRL−11268)細胞を、150mmプレート(Falcon,Becton Dickinson)において、標準的な条件下で、10%熱非働化FCS、100μg/mLストレプトマイシン、100U/mLペニシリンGを補ったダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(全てLife Technologiesからのもの)中で培養した。
【0325】
一過性トランスフェクションのために、細胞を80%コンフルエントまで増殖させた。等量のIgHおよび対応するIgL鎖ベクターDNA(12.5μgのそれぞれのベクターDNA)を、1.5mLのOptiMEMに添加し、1.5mLのopti−MEM中の50μLのHEK293トランスフェクション試薬と混合した。その混合物を、室温で30分間インキュベートし、培養プレートに均等に分布させた。上清をトランスフェクションの3日後に回収し、10%FBSを補った20mLの新しいDMEMにより置き換え、トランスフェクションの6日後に再び回収した。培養上清から細胞破砕片を、800×gで10分間の遠心分離により取り除き、4℃で保管した。組み換えキメラおよびヒト化抗体を、プロテインGビーズ(GE Healthcare)を用いて精製した。hu23およびhu24のイオン交換クロマトグラフィーによるさらなる精製が、vc0101およびmc8261に対する一貫した再現性のあるバイオコンジュゲーションを達成するために必要とされた。追加の精製工程を用いない場合、チオール還元の効率、従って結果として生じるADCの薬物対抗体比(DAR)(実施例10で記載される)は劇的かつ予測不能に変動した。追加の精製に関する必要性は、予想されなかったが、経験的に決定された。
【0326】
実施例3
hu24結合の特性付け
キメラおよびヒト化クローン24 mAbの比較を、Biacore(商標)2000(GE Healthcare)を用いたSPRにより決定した。抗ヒト抗体捕捉キットを用いて、捕捉mAbをCM5バイオセンサーチップ上に固定した。それぞれの抗原注入サイクルの前に、2μg/mLの濃度のヒト化mAbを表面上に、2分間の接触時間および5μL/分の流速で捕捉させた。捕捉されたmAbのベースラインからの装填(loading)は、80〜120応答単位で一定であった。試験物の捕捉および1分間のベースラインの後、単量体性ヒトPTK7タンパク質を、2分間の会合相の間に表面上を5μL/分の流速で50、25、および12.5nMの濃度で流し、続いて2分間の解離相を行った。それぞれのサイクルの後、抗ヒト捕捉表面を、10μL/分で30秒間の接触時間の3M MgCl
2で再生させた。
【0327】
Biacore(商標)のデータを、最初に特異的mAb結合表面から対照IgG表面を減算することにより処理した。次いで、応答データを会合および解離相まで切り詰めた。結果として得られた3つの異なる抗原濃度による応答曲線を用いて、1:1ラングミュア結合モデルに当てはめ、計算されたK
onおよびK
off速度論定数により見かけの親和性を、Kd=K
off/K
onとして定義される平衡解離定数により生成した。全てのデータ分析工程は、BiaEvaluation Software 3.1(GE Healthcare)において完了された。
【0328】
計算された親和性および速度定数は、キメラおよびヒト化mAbの間で2倍以内であることが決定された(表5)。
【0329】
【表5】
【0330】
hu24 mAbにより認識されるエピトープを決定するために、PTK7外部ドメインのいくつかのバリアントへのその結合を評価した。PTK7外部ドメインは、7個のIgドメインからなり、バリアントは、2個以上の連続するIgドメインを含むように設計された。バリアントをFc融合タンパク質として発現させ、hu24結合をELISAにより決定した。
【0331】
構造的相同性により予測されるような様々な連続するPTK7 Igドメインを増幅するプライマーを用いて、コンストラクトを設計した。結果として得られた配列を、標準的な分子生物学の技法を用いて、ヒト免疫グロブリンG2(IgG2)Fcドメインとインフレームで上流に融合させた。そのFc融合タンパク質を、哺乳類細胞中にトランスフェクションし、上清を72時間後に回収した。抗PTK7 mAb hu24を、定められたIgドメインを有するPTKタンパク質バリアントに結合するその能力に関してELISAにより試験した。
【0332】
結果は、Igドメイン1〜4がhu24のPTK7への結合に必要であることを示しており(表6)、mAbはPTK7の三次構造的特徴を認識することを暗示している。
【0333】
【表6】
【0334】
抗PTK7 mAb hu24の細胞結合特製を特性付けるために実験を実施した。抗原特異性を確かめるため、免疫ブロット法により決定されるような実質的なPTK発現を有する細胞株または無視できる程度のPTK7発現を有する細胞株の両方において、結合を評価した。
【0335】
全細胞抽出物を、ゲル電気泳動により分解し、ニトロセルロース膜に転写した。その膜を、5%重量/体積の脱脂乳を含む0.1%Tween−20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBST)中のhu6M024と共にインキュベートし、次いでTBSTで洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗ヒト抗体(Santa Cruz Biotechnology 商品番号sc−2453)と共にインキュベートし、広範囲にわたって洗浄した後、化学発光物質に暴露させた。
【0336】
免疫ブロット法は、細胞株BxPC3およびMDAMB436におけるPTK7の実質的発現ならびに細胞株ASPC1におけるPTK7の無視できる程度の発現を示した(
図2A)。フローサイトメトリーに基づくhu24を用いた細胞結合の結果は、免疫ブロット法のデータと完全に一致しており(
図2B)、それはhu24の抗原特異性を実証した。
【0337】
PTK7の内因性発現を有する癌細胞株に対するhu24 mAbの結合を評価するために、追加のフローサイトメトリー実験を実施した。簡潔には、接着細胞をTrypLE(商標)Express(Gibco(登録商標)商品番号12604−021)で解離させ、次いでそれを培地で中和した。懸濁細胞は、遠心分離により回収された。細胞を、記載された濃度のmAbを含む染色緩衝液(3%BSAを含むPBS)中で再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を染色緩衝液中で洗浄し、フィコエリトリン(PE)標識抗ヒト抗体(Jackson ImmunoResearch 商品番号109−115−098)を含む染色緩衝液中で再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、7−AAD死細胞染色試薬(BD Biosciences,Pharmingen 商品番号51−68981E)を含む染色緩衝液中で再懸濁し、BD FACSCalibur(商標)を用いてフローサイトメトリーにより分析した。生存可能な細胞集団のPEチャンネルにおける平均蛍光強度(MFI)を、それぞれの試料に関して決定した。
【0338】
hu24 mAbは、試験された最低濃度(0.1μg/ml)において様々な癌細胞株への結合を示した。対照的に、対照抗体は、試験された最高濃度(10μg/ml)でも感知できるほどの結合を示さなかった(表7)。
【0339】
【表7】
【0340】
実施例4
様々な癌細胞株におけるPTK7の発現
抗PTK7抗体hu23およびhu24は、固形および血液学的適応症を含む広い範囲の腫瘍型から確立された培養された癌細胞株への特異的結合を示した(下記の表8参照)。接着細胞をTrypLE Express(GIBCO)を用いて解離させ、細胞培養培地で中和し、計数した。細胞をU底96ウェルプレート中に5×10
5細胞/100μL培地/ウェルでまいた。プレートを300×gで4℃において5分間遠心分離して細胞をペレット化し、上清を廃棄した。それぞれのペレットをPBS中3%BSA中10μg/mLのhu23、hu24または非結合対照抗体中で再懸濁し、プレートを氷上で30分間インキュベートした。プレートを遠心分離し、細胞のペレットを200μLの氷冷PBS3%BSA中で洗浄した。それぞれの細胞のペレットを、PBS中3%BSA中で1:50希釈したR−フィコエリトリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG Fc断片100μL中で再懸濁し、プレートを氷上で30分間インキュベートした。プレートを遠心分離し、細胞のペレットを4℃において200μLのPBS3%BSA中で洗浄した。それぞれのペレットを100μLのPBS3%BSA中で再懸濁し、250μLのPBS3%BSAを含有する5mLのポリカーボネートチューブに移した。試料を、死細胞染色試薬として試料あたり5μLの7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)染色溶液を用いてフローサイトメトリーにより分析した。生存不能細胞は、分析から除外された。
【0341】
表8におけるデータは、フローサイトメトリーによる癌細胞株への抗体結合の平均蛍光強度(MFI)を示す。ヒト化抗体hu23およびhu24による細胞結合は、数多くの細胞株におけるPTK7発現を示している。PTK7発現は、様々な非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、結腸癌、乳癌、膵臓癌、および赤血白血病の癌細胞株において顕著である。PTK7に結合しない陰性対照抗体が、比較のために用いられた。
【0342】
【表8-1】
【0343】
【表8-2】
【0344】
表9において示されている29のPDX腫瘍株に関するマイクロアレイデータは、Agilent SurePrint GE 8x60 v2アレイを用いて、PDX腫瘍細胞から単離された総RNAを用いて生成された。単色を用いて収集された生マイクロアレイデータの処理は、バックグラウンド減算およびクオンタイル正規化を含んでいた。正規化されたデータは、2を底として対数変換され、下流の分析における使用のための遺伝子発現値を生成した。このデータは、示されたPDX細胞株と関係するPTK7発現の相対量を反映している。BR=乳房、LU=肺、OV=卵巣、SK=黒色腫、CR=結腸直腸、LIV=肝臓。
【0345】
【表9】
【0346】
PTK7の発現を、免疫無防備マウスにおける7つのPDXモデル:4つのトリプルネガティブ乳癌PDX(BR13、BR22、BR31およびBR5);1つのプロゲステロン受容体陽性(PR+)乳癌PDX(BR36);および2つのNSCLC PDX(NSCLC135およびNSCLC176)における免疫組織化学によっても評価した。
【0347】
簡潔には、標準的な組織学的手順を用いてそれぞれの異種移植片からの組織断片をホルマリン固定し、処理し、パラフィン包理した(FFPE)。5ミクロンの切片を装填されたスライドガラス上に切り、乾燥させ、キシレン中で脱パラフィンし、段階的なアルコール類〜蒸留水を用いて再水和させた。熱誘導エピトープ賦活化法を、Borg Decloaker(Biocare Medical)中で、Retriever 2100加圧調理器(Electron Microscopy Sciences)を用いて実施し、室温(RT)まで20分間(min)冷却した。内在性ペルオキシダーゼを、Peroxidazed 1(Biocare Medical)を室温で10分間用いて停止した。非特異的なタンパク質相互作用を、Background Punisher(Biocare Medical)を室温で10分間用いて阻止した。組織切片を、0.5μg/mLの一次抗体と共に室温で一時間インキュベートした。一次抗体は、ウサギ抗PTK7クローン(Stem CentRx(商標)Inc)またはウサギイソ型対照(DA1E)mAb免疫グロブリンG(IgG)XP(登録商標)(Cell Signaling Technologies 商品番号3900)のどちらかであった。一次抗体の結合を、SignalStain(登録商標)Boost IHC検出試薬(Cell Signaling Technologies 商品番号8114)を室温で30分間用いて検出した。染色を、DAB+(3’,3’−ジアミノベンジジン;DAKO)を室温で5分間用いて発色させた。スライドガラスをCATヘマトキシリン(Biocare Medical)中で短時間対比染色し、水中で洗浄し、段階的なアルコール類中で脱水し、キシレン中で透徹し、Permount(商標)封入剤(Fisher Chemicals)と一緒にカバーガラスをかぶせた。
【0348】
PTK7は、PDXモデルの全部において、形質膜上で観察された(
図3)。
実施例5
様々な腫瘍組織におけるPTK7の発現
PTK7のmRNA発現を、原発ヒト腫瘍において決定した。簡潔には、凍結された腫瘍および正常組織を断片化し、mRNAをQiagen RNeasy Miniキット(Qiagen、カタログ番号74106)を用いて単離した。RNAの定量化および質の評価を、HT RNA微小流体LabChipアッセイおよびLabChip GX微小流体キャピラリー電気泳動機器(Perkin Elmer)を用いて実施した。試料のそれぞれに関するRNAを、量が機器の線形範囲(25〜250ng/μL)内に入るように希釈した。単離されたRNA試料を、Life Technologies,High Capacity RNA−to−cDNAキット(カタログ番号4387406)を製造業者の指示において概説されているプロトコルに従って用いて逆転写してcDNAにした。qRT−PCR反応を、TaqManプローブベース遺伝子発現分析およびABI ViiA7リアルタイムPCRシステム(Life Technologies)を用いて実施した。標的遺伝子および内因性対照を、予め製作された(pre−fabricated)TaqMan低密度アレイカード上に配置されたそれぞれのプローブに関して4通りで運転した。ExpressionSuiteソフトウェアv1.0.3(Life Technologies)を用いて、試料の大部分に関する信号増幅に関する自動化された閾値を生成した。自動化された閾値を手作業で調整することは稀にしかなかった。結果として35より大きいCt値をもたらす増幅プロットは破棄され、Ct値を生成したが対数増幅の傾向を示さなかったプロットも破棄された。全てのCt値は、ExpressionSuiteソフトウェアから送出され、相対的定量化計算がMicrosoft Excel 2010(Microsoft Corporation,Inc)において実施された。
【0349】
図4A〜Cは、(A)乳癌、(B)NSCLCおよび(C)卵巣癌におけるPTK7のレベルを示している。PTK7発現の定量化を、相対的倍率差(fold difference)(RQ)または比較Ct法、(2
−ΔΔCt)法を用いて、方程式RQ=2
−ΔΔCtを用いて評価した。RQデータは、対照RNA試料と比較した倍率差PTK7発現を表す。乳癌試料に関して、BioChainから購入された正常乳房RNA試料(カリフォルニア州ニューアーク、カタログ番号R1234086−50、ロット番号B610189、75歳女性)を用いてRQデータを生成した。肺癌に関して、報告されたRQデータは、Life Technologiesから購入された正常肺RNA(カタログ番号AM7968、ロット番号1308017、80歳女性)と比較したPTK発現における倍率差を表す。卵巣癌試料に関して、報告されたRQデータは、クリーブランド診療所(オハイオ州クリーブランド)により提供された正常卵巣組織(組織ID番号0204C011C)から単離されたRNAと比較したPTK発現における倍率差を表す。全ての腫瘍に関するRQ値は、正常ヒト組織からのRNAプール(BioChain、カタログ番号R4234565、ロット番号B611043)と、ならびにユニバーサルヒト参照RNAプール(Agilent、カタログ番号740000)とも比較して計算され、それは10種類の独特の癌細胞株からの等分のRNAで構成されている。
【0350】
乳房、NSCLCおよび卵巣腫瘍は、対応する正常組織と比較して増大したPTK7のmRNA発現を示した(
図4A〜C)。TNBCにおける過剰発現は、最も顕著であり、一方で、卵巣腫瘍における過剰発現は、中程度であった。
【0351】
図5は、NSCLC患者におけるより高いPTK7のmRNA発現およびより悪い全生存の間の相関を示す。PTK7発現が肺癌における生存エンドポイントと関係しているかどうかを決定するため、カプラン・マイヤー分析を、フリーウェアhttp://kmplot.com/analysis(Gyorffy et al., 2013, PloS One. 18;8(12):e82241)を用いて生物情報学データセットに適用した。PTK7のmRNAレベルおよび患者の生存データを、719人のNSCLC腺癌患者に関してツールの自動選択による最高カットオフを用いてプロットした。高いPTK7発現は、より短い生存と関係していた(ハザード比HR=4.06、対数順位P=1.1E−16)。
【0352】
PTK7のタンパク質発現を、食道癌において観察した。組織マイクロアレイ(US BiomaxからのES1502)を免疫組織化学のために用いた。簡潔には、ホルマリン固定されたパラフィン包理された腫瘍ブロックからの切片を、5ミクロンで切断し、スライドガラス上に載せた(baked)。そのスライドガラスをキシレン中で透徹し、脱イオン水で終了する段階的なアルコール類での洗浄で再水和させた。スライドガラスを、Retriever 2100(Electron Microscopy)においてpH6のクエン酸HIER緩衝液中で賦活化した。過酸化された過酸化水素ブロッキング溶液(Biocare Medical)を、スライドガラスに10分間適用した。スライドガラスをTBSTで2回洗浄し、続いてBackground Punisher、タンパク質ブロッキング試薬(protein block)(Biocare Medical)で10分間洗浄した。一次抗体であるH.235(ロット番号:110325MM、ストック濃度:12.7mg/mL)を、2ug/mLの濃度で60分間適用した。TBSTによる洗浄(2回)後、二次抗体であるDAKO抗マウスEnvision+を30分間適用した。TBSTにより再度洗浄(2回)した後、スライドガラスをBetazoid DAB+(Biocare Medical)を5分間用いて発色させた。次いで、スライドガラスをCATヘマトキシリン(Biocare Medical)で30秒間対比染色し、カバーガラスをかぶせた。
【0353】
70の腫瘍試料の内の40は、細胞膜上のPTK7発現に関して陽性と採点された。PTK7陽性であった40の試料の内で、1つは高い発現を示し、11は中程度の発現を示し、28は低い発現を示した。
【0354】
PTK7タンパク質発現が前立腺癌において見られた。組織マイクロアレイ(BiomaxからのBC19013)を、上記で食道癌に関して記載されたような免疫組織化学に関して用いた。26の腫瘍試料の内の11が、PTK7発現に関して陽性と採点された。PTK7陽性であった11の試料の内で、2つは中程度の発現を示し、9つは低い発現を示した。
【0355】
実施例6
血清中のPTK7タンパク質の測定
文献における報告は、結果として細胞外ドメインの一部の脱落をもたらす形質膜におけるPTK7の切断を特性付けている(Golubkov et al., 2010, J Biol Chem 285(46):35740-9; Golubkov et al., 2012, J Biol Chem 287(50):42009-18; Na et al., 2012, J Biol Chem 287(30):25001-9)。循環する抗原は、PTK7 ADCのような療法化合物の薬物動態に影響を及ぼし得る。脱落したPTK7の循環レベルを、様々な血清の源から評価した。PTK7タンパク質レベルを、Meso Scale Discovery(MSD(登録商標))プラットフォームを用いる定量アッセイにより測定した。
【0356】
健康なヒトからの血清試料を、スタンフォード大学血液銀行から購入した。癌患者からの血清試料を、Asterand IncおよびBioreclamation Incから購入した。カニクイザルの血清試料を、Bioreclamation Incから購入した。
【0357】
マウス血清試料を、ヒト腫瘍異種移植片を有する免疫無防備マウスから得た。メスの非肥満糖尿病−重症複合免疫不全(NOD−scid)マウスを、Harlan Laboratories(登録商標)から購入し、施設内動物実験委員会(IACUC)の指針に従って収容した。患者由来異種移植片(PDX)を、新しく摘除されたヒト腫瘍試料の直接移植により確立し、異種移植片を未処置の動物中に継代することにより繁殖させた。異種移植片は、被験者保護に関する施設内審査委員会の承認に従って、そして医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)の規制に従って臨床現場から調達された原発腫瘍摘除試料に由来していた。
【0358】
PTK7タンパク質のレベルを測定するためのアッセイは、ハイブリドーマ技術により生成された2種類の特異的な抗PTK7モノクローナル抗体(mAb)を利用した。そのmAbは、ヒトおよびカニクイザルのPTK7に結合するが、マウスのPTK7には結合しない。そのアッセイは、MSD(登録商標)プラットフォーム上で開発され、線形応答に関して最適化された。MSD(登録商標)高結合プレートを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中1μg/mlのPTK7特異的mAb H2.35でコートした。プレートを4℃で一夜インキュベートした。次の日に、プレートを洗浄し、第2のmAbを添加した。ヒトおよびサルの試料に関して、25μlのスルホタグ化PTK7特異的mAb 6M38をMSD(登録商標)希釈液2(MSD 商品番号R51BB−4)中0.5μg/mlで添加し、腫瘍を有するマウス試料に関して、ビオチン化6M38をMSD(登録商標)希釈液2(MSD 商品番号R51BB−4)中0.5μg/mlで添加し、続いてホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンを添加した。プレートを振盪しながら30分間インキュベートした。インキュベーション後、洗浄せずに、血清試料または様々な量の組み換えPTK7タンパク質をウェルに添加し、プレート振盪機上で2時間インキュベートした。血清試料をMSD(登録商標)希釈液2中で4倍希釈して終濃度25%にした。プレートを0.2%Tween−20を含むリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄した。MSD(登録商標)1×読み取り緩衝液(MSD 商品番号R92TC−3)をプレートに添加し(ウェルあたり150μl)、プレートをMSD(登録商標)Sector Imager上で読み取った。血清試料に関する値は、組み換えタンパク質に基づく標準曲線から内挿された。
【0359】
ヒト血清中のPTK7タンパク質のレベルを、健康なヒトおよび8種類の腫瘍型を代表する癌患者からの試料において測定した。結果が表10において要約されている。それぞれのカテゴリーにおける報告された値は、全ての個々の試料の平均を示す。健康なヒトからの血清中のPTK7の平均値は、12.4±3.3ng/mLであった。一般に、癌患者に関する平均値はわずかに高く、24.6±3.8ng/mLまでの範囲であり、より広い個々の値の分布を有していた(
図6)。
【0360】
【表10】
【0361】
未処置のカニクイザルの血清中のPTK7タンパク質のレベルを、29匹の動物からの試料において測定した。平均値は、35.8±13.4ng/mLであり(表11)、それは健康なヒトおよび癌患者に関する対応する値よりも高い。
【0362】
【表11】
【0363】
マウス血清試料を、ヒト腫瘍異種移植片を有する免疫無防備マウスから得た。具体的には、異種移植片は、典型的にはそれらが由来するヒト腫瘍の構造および遺伝子型を保っているPDXであった(DeRose et al, 2011, Nat Med 17(11):1514-20)。全ての11の腫瘍型に関する血清中のPTK7タンパク質の平均値は、全ての腫瘍型に関して1ng/mL未満であり(表12)、従ってヒトおよびサルに関して得られた値より有意に低かった。アッセイで用いられたmAbはマウスのPTK7と交差反応しないため、その値は腫瘍異種移植片から脱落したヒトPTK7タンパク質であり、正常なマウス組織ではないと解釈される。
【0364】
【表12】
【0365】
実施例7
内在化
抗体の内在化は、ADCをPTK7発現細胞における細胞毒性のために送達するための重要な特徴である。抗PTK7抗体hu24は、癌細胞中に内在化することが観察され、それは、その抗体が毒素を細胞中に送達するための適切なビヒクルであることを示唆している。接着細胞を、TrypLE Express(Gibco)を用いて解離させ、細胞培養培地で中和し、次いで計数した。細胞を、U底96ウェルプレート中にウェルあたり5×10
5細胞/100μL培地で分割した(aliquoted)。プレートを300×gで4℃において5分間遠心分離して細胞をペレット化し、上清を吸引した。全ての試薬は、その後の工程のために氷上で保たれた。
【0366】
それぞれの細胞のペレットを、100μLのPBS中3%BSA中3μg/mlのhu24または非結合抗体(Human IgG,Thermo Scientific)中で再懸濁した。プレートを氷上で30分間インキュベートし、次いで遠心分離し、細胞のペレットを200μLのPBS3%BSA中で洗浄した。細胞のペレットを、100μLの37℃で予め温めた細胞培養培地中で再懸濁し、37℃のインキュベーター中に1〜4時間置いた。4℃でインキュベートされるべき細胞のペレットは、同様に再懸濁され、次いで氷上に置かれた。インキュベーション後、試料を遠心分離し、上清を吸引し、200μL/ウェルの氷冷PBS中3%BSAで洗浄し、100μL/ウェルの氷冷PBS中3%BSA中で再懸濁し、氷上に置いた。次いで、全ての試料を遠心分離し、上清を吸引し、それぞれの細胞のペレットを、100μLの氷冷PBS中3%BSA中で1:50希釈されたアロフィコシアニン(APC)コンジュゲート抗ヒトIgG Fc断片中で再懸濁した。プレートを氷上で30分間インキュベートし、次いで遠心分離し、細胞のペレットを200μLのPBS中3%BSA中で洗浄し、100μLのPBS中3%BSA中で再懸濁し、250μLのPBS中3%BSAを含有する5mLのポリカーボネートチューブに移した。試料を、死細胞染色試薬として試料あたり5μLの7−AADを用いてフローサイトメトリーにより分析した。平均蛍光強度(MFI)を、それぞれの試料に関して、生存不能細胞を分析から除外して測定した。“%内在化”に関する値を、(100%−[インキュベーション後のMFI/インキュベーション前のMFI])として計算した。表13における結果は、hu24抗体が試験された全ての細胞株中に内在化したこと、そして内在化は温度依存性であり、従って細胞による能動的な(受動的ではない)内在化を反映していたことを示している。
【0367】
【表13】
【0368】
実施例8
サポリンコンジュゲート抗ヒトFab断片により媒介される細胞毒性
hu23またはhu24抗体が細胞株への細胞毒性剤の送達を媒介することができるかどうかを決定するため、インビトロ細胞毒性アッセイを実施した。これに関して、サポリン毒素に共有結合した抗ヒトIgG Fab断片(Advanced Targeting Systems)を未標識のhu23、hu24または8.84 Ab(結合しない陰性対照抗体)と組み合わせ、次いで細胞と一緒に4日間(PTK発現細胞H446およびDMS114)または7日間(OE19非PTK7発現細胞;OE21 PTK7発現細胞)インキュベートし、その後細胞生存度を測定した。
【0369】
ある実験において、H446またはDMS114癌細胞株を、透明な平底組織培養プレート中に、100μlの細胞培養培地中でウェルあたり9600細胞(H446)またはウェルあたり6400細胞(DMS114)でまいた。細胞を5%CO
2インキュベーター中で37℃で一夜インキュベートした。次の日に、50μlの、サポリンコンジュゲート抗ヒトIgG Fab(Fab−ZAP;Advanced Targeting Systems)と1:2のモル比で予め混合されたhu23、hu24または8.84 Abを、1μg/mlで出発して細胞培養培地中で1:3希釈する3通りの試料での10点濃度曲線において細胞に添加した。プレートを37℃の5%CO
2インキュベーター中で4日間インキュベートした。細胞生存度を測定するため、MTSアッセイ(Promega Cell Titer 96 水性非放射性細胞増殖アッセイ)を供給業者の説明書に従って用いた。30μLの組み合わせたMTS試薬をそれぞれのウェルに添加した。プレートを37℃の5%CO
2インキュベーター中で2時間インキュベートした。光学密度(OD)を、96ウェルプレートリーダーを用いて490nmにおいて決定した。培地のみを含むウェルからの平均の読みを、バックグラウンドODに関して対照するために細胞を含むウェルの読みから減算した。細胞生存度が50%阻害される一次抗体の濃度(IC50)を決定するため、データに対してロジスティック非線形回帰分析(GraphPad Prism Software)を行った。
【0370】
表14におけるデータは、抗PTK7抗体hu23およびhu24の両方がH446およびDMS114細胞にサポリンに媒介される細胞毒性を与え、一方で8.84陰性対照抗体はサポリンに媒介される細胞毒性を与えなかったことを示している。その結果は、hu23およびhu24の活性はPTK7発現細胞に特異的であったことを実証している。
【0371】
【表14】
【0372】
別の実験において、サポリンアッセイを食道癌由来の2種類の細胞株であるOE19およびOE21(Sigma Aldrich)に対して実施した。その細胞株におけるPTK7発現を決定するため、細胞を培養し、Versene(Invitrogen)を用いて単一細胞懸濁液を分離した。細胞をPBS/2%FCS中で洗浄し、5μg/mLの濃度のhu24抗体またはHuIgG1(イソ型対照)と共に30分間インキュベートした。細胞をPBS/2% FCS中で再度洗浄し、次いで1:200でヒトAlexa Fluor647(Jackson Immunoresearch)と共に20分間インキュベートした。細胞を再度洗浄し、DAPI中で再懸濁し、次いでBD FACSCanto上で分析して平均蛍光強度における変化(ΔMFI)を決定した。OE19細胞は、イソ型対照を上回る染色蛍光を示さず(ΔMFI=0)、一方でOE21細胞は、蛍光強度におけるほぼ2ログの増大を示し(ΔMFI=5976)、それは、OE21(食道扁平上皮癌)の表面上のPTK7の発現を示した。
【0373】
hu24が細胞毒性剤の送達を媒介し得るかどうかを決定するため、OE21またはOE19のどちらかからの2500細胞/ウェルの解離した単一細胞懸濁液を、BD組織培養プレート(BD Biosciences)上に培地中でまいた。まいた1日後、様々な濃度の精製されたhu24および一定濃度の4nMのサポリンに共有結合した抗HuIgG Fab断片(Advanced Targeting Systems)を、培養物に添加した。7日間のインキュベーション後、生存可能な細胞の数を、CELL TITER GLO(登録商標)(Promega)を製造業者の説明書通りに用いて数えた。サポリンFab断片を含む細胞を含有する培養物を用いた生発光計数を100%参照値として設定し、全ての他の計数をそれに従って計算した(“標準化されたRLU”と呼ばれる)。このアッセイを用いて、表15において示されているように、hu24はOE21細胞に対して細胞毒性を媒介するが、OE19細胞に対しては細胞毒性を媒介せず、そしてイソ型対照は細胞計数に影響を及ぼさないことが実証された。これらの結果は、抗体hu24の細胞結合はPTK7発現細胞に対するサポリンに媒介される細胞毒性を引き出すために必要であるが、非PTK7発現細胞には作用を有しないことを示している。
【0374】
【表15】
【0375】
実施例9
vc0101およびmc8261の合成
vc0101(vcはリンカーであり、0101は薬物である)およびmc8261(mcはリンカーであり、8261は薬物である)の合成は、国際公開第2013/072813号において記載されている方法に従って調製され、それは参照により本明細書にそのまま援用される。
【0376】
A.vc0101の合成に関する実験法
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[(21S,24S,25R)−24−[(2S)−ブタン−2−イル]−25−(2−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−18,18,23−トリメチル−3,16,19,22−テトラオキソ−21−(プロパン−2−イル)−2,7,10,13,26−ペンタオキサ−4,17,20,23−テトラアザヘプタコサ−1−イル]フェニル}−N〜5〜−カルバモイル−L−オルニチンアミド(vc0101)の調製。
【0377】
【化3】
【0378】
工程1.N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(#53)の合成。化合物#32(2.05g、2.83mmol、1当量)のジクロロメタン(20mL、0.1M)およびN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中における溶液に、アミン#19(2.5g、3.4mmol、1.2当量)、HATU(1.29g、3.38mmol、1.2当量)およびトリエチルアミン(1.57mL、11.3mmol、4当量)を添加した。その混合物を室温で撹拌し、一方で反応の進行をLC−MSおよびTLCによりモニターした。一度完了したら、反応を真空中で濃縮し、残留物をヘプタン類と共に3回共沸させ、結果として得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%〜55%アセトン)により精製すると、化合物#53(2.42g、74%)が固体として生成された。LC-MS: m/z 965.7 [M+H
+]、987.6 [M+Na
+]、保持時間=1.04分(プロトコルH-下記);HPLC (プロトコルA-下記):m/z 965.4 [M+H
+]、保持時間=11.344分(純度>97%);
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)(回転異性体の混合物であると推定される)、特徴的な信号:δ7.86-7.91 (m, 2H), [7.77 (d, J=3.3 Hz)および7.79 (d, J=3.2 Hz), 総1H], 7.67-7.74 (m, 2H), [7.63 (d, J=3.2 Hz)および7.65 (d, J=3.2 Hz), 総1H], 7.38-7.44 (m, 2H), 7.30-7.36 (m, 2H), 7.11-7.30 (m, 5H), [5.39 (ddd, J=11.4, 8.4, 4.1 Hz)および5.52 (ddd, J=11.7, 8.8, 4.2 Hz), 総1H], [4.49 (dd, J=8.6, 7.6 Hz)および4.59 (dd, J=8.6, 6.8 Hz), 総1H], 3.13, 3.17, 3.18および3.24 (4 s, 総6H), 2.90および3.00 (2 br s, 総3H), 1.31および1.36 (2 br s, 総6H), [1.05 (d, J=6.7 Hz)および1.09 (d, J=6.7 Hz), 総3H]。
【0379】
工程2.0101:2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(#54)の合成。
【0380】
化合物#53(701mg、0.726mmol)のジクロロメタン中における溶液(10mL、0.07M)に、ジエチルアミン(10mL)を添加し、反応混合物を室温で攪拌し、一方で反応の進行をLC−MSおよびTLCによりモニターした。一度完了したら、反応を真空中で濃縮し、残留物をヘプタン類と共に3回共沸させ、結果として得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン0%〜10%メタノール)により精製した。残留物をジエチルエーテルおよびヘプタンで希釈し、真空中で濃縮すると、#54(406mg、75%)が白色固体として得られた。LC-MS: m/z 743.6 [M+H
+]、保持時間=0.70分(プロトコルF-下記);HPLC (プロトコルA-下記): m/z 743.4 [M+H
+]、保持時間=6.903分、(純度>97%);
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)(回転異性体の混合物であると推定される)、特徴的な信号:δ[8.64 (br d, J=8.5 Hz)および8.86 (br d, J=8.7 Hz), 総1H], [8.04 (br d, J=9.3 Hz)および8.08 (br d, J=9.3 Hz), 総1H], [7.77 (d, J=3.3 Hz)および7.80 (d, J=3.2 Hz), 総1H], [7.63 (d, J=3.3 Hz)および7.66 (d, J=3.2 Hz), 総1H], 7.13-7.31 (m, 5H), [5.39 (ddd, J=11, 8.5, 4 Hz)および5.53 (ddd, J=12, 9, 4 Hz), 総1H], [4.49 (dd, J=9, 8 Hz)および4.60 (dd, J=9, 7 Hz), 総1H], 3.16, 3.20, 3.21および3.25 (4 s, 総6H), 2.93および3.02 (2 br s, 総3H), 1.21 (s, 3H), 1.13および1.13 (2 s, 総3H), [1.05 (d, J=6.7 Hz)および1.10 (d, J=6.7 Hz), 総3H], 0.73-0.80 (m, 3H)。
【0381】
工程3.vc0101:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[(21S,24S,25R)−24−[(2S)−ブタン−2−イル]−25−(2−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−3−{[(1S)−2−フェニル−1−(1,3−チアゾール−2−イル)エチル]アミノ}プロピル]ピロリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−18,18,23−トリメチル−3,16,19,22−テトラオキソ−21−(プロパン−2−イル)−2,7,10,13,26−ペンタオキサ−4,17,20,23−テトラアザヘプタコサ−1−イル]フェニル}−N〜5〜−カルバモイル−L−オルニチンアミドの合成。
【0382】
化合物0101(#54)のリンカーvc(N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド)(MalcValCitPABC−PNP)へのカップリングは、一般手順E(下記)に従って、適切な量のDMAを溶媒として、ならびにHOATおよび2,6−ルチジンを添加剤として用いて成し遂げられ、結果として得られた粗製の所望の物質を、方法D(下記)に従って精製すると、33mg(36%)の所望の生成物が得られた。45℃で維持されたカラムを用いるプロトコルA(下記)において明記されている条件下で、この物質は、9.114分のHPLC保持時間(プロトコルA-下記);LC-MS: m/z 1342.6 [M+H
+]、保持時間3.48分(プロトコルH-下記)を与えた。
【0383】
B.mc8261の合成に関する実験法
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(mc8261)の調製。
【0384】
【化4】
【0385】
工程1.メチル N−{(2R,3R)−3−メトキシ−2−メチル−3−[(2S)−ピロリジン−2−イル]プロパノイル}−L−フェニルアラニネート塩酸塩(#67)の合成。一般手順C(下記)に従って、ジオキサン中の#37(2.39g、5.33mmol、1当量)(10mL、0.53M)およびジオキサン中4M塩酸溶液(10mL、40mmol、7.5当量)から、#67(2.21g)が白色固体として合成され、それをそれ以上精製せずに次の工程において用いた。LC-MS: m/z 349.2 [M+H
+]、保持時間=0.53分;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ9.45-9.58 (br m, 1H), 8.63 (d, J=8.1 Hz, 1H), 8.51-8.62 (br m, 1H), 7.25-7.33 (m, 4H), 7.18-7.25 (m, 1H), 4.50 (ddd, J=10.8, 8.1, 4.5 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.54 (dd, J=6.8, 4.5 Hz, 1H), 3.20 (s, 3H), 3.11 (dd, J=13.8, 4.5 Hz, 1H), 2.99-3.14 (br m, 3H), 2.89 (dd, J=13.8, 10.9 Hz, 1H), 2.44-2.50 (m, 1H, 推定;溶媒のピークにより部分的に不明瞭である), 1.77-1.89 (m, 1H), 1.60-1.73 (m, 2H), 1.46-1.57 (m, 1H), 1.05 (d, J=6.8 Hz, 3H)。
【0386】
工程2.N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−3−メトキシ−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−1−メトキシ−3−{[(2S)−1−メトキシ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル]アミノ}−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミド(#68)の合成。一般手順D(下記)に従って、ジクロロメタン中の#32(353mg、0.488mmol、1当量)(10mL、0.04M)
【0387】
【化5】
【0388】
、アミン#67(271mg、≦0.588mmol、1.3当量)、HATU(223mg、0.586mmol、1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(238μL、1.71mmol、3.5当量)から、粗製の所望の物質を合成し、それをシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%〜40%アセトン)により精製すると、#68(2工程かけて404mg、88%)が固体として得られた。LC-MS: m/z 940.7 [M+H
+]、962.7 [M+Na
+]、保持時間=1.04分;HPLC(プロトコルC-下記):保持時間=9.022分;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)(回転異性体の混合物であると推定される)、特徴的な信号:δ[8.25 (br d, J=8 Hz)および8.48 (br d, J=8 Hz), 総1H], 7.89 (d, J=7.4 Hz, 2H), 7.67-7.75 (m, 2H), 7.38-7.44 (m, 2H), 7.31-7.36 (m, 2H), 7.14-7.24 (m, 5H), 4.43-4.69 (m, 3H), 4.17-4.26 (m, 3H), 3.91-3.99 (br m, 1H), 3.63および3.65 (2 s, 総3H), 3.19および3.24 (2 s, 総3H), 3.14および3.15 (2 s, 総3H), 2.90および2.99 (2 br s, 総3H), 1.36および1.37 (2 br s, 総3H), 1.30および1.32 (2 s, 総3H), [1.02 (d, J=6.8 Hz)および1.06 (d, J=6.6 Hz), 総3H]。
【0389】
工程3A.8261:2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドトリフルオロ酢酸塩(#69)の合成
#68(143mg、0.152mmol、1当量)のテトラヒドロフラン中における溶液(5mL、0.02M)に、水酸化リチウム(9.10mg、0.378mmol、2.5当量)の水(3mL)中における溶液を添加した。5時間後、反応を真空中で濃縮し、ヘプタンと共に3回共沸させ、ジメチルスルホキシド(2.2mL)中で溶解させ、逆相クロマトグラフィー(方法C−下記)により精製すると、#69(56mg、52%)が得られた。HPLC (45℃におけるプロトコルA-下記): 704.4 [M+H
+]、保持時間=6.623分;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)(回転異性体の混合物であると推定される)、特徴的な信号:δ8.08-8.22および8.37-8.49 (2 m, 総5H), 7.12-7.28 (m, 5H), 3.18, 3.20および3.24 (3 s, 総6H), 2.95および3.04 (2 br s, 総3H), 1.52および1.53 (2 s, 総3H), 1.39および1.41 (2 s, 総3H), [1.02 (d, J=6.8 Hz)および1.05 (d, J=6.6 Hz), 総3H], 0.74-0.81 (m, 3H)。
【0390】
工程4:mc8261:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−2−メチルアラニル−N−[(3R,4S,5S)−1−{(2S)−2−[(1R,2R)−3−{[(1S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]アミノ}−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル]ピロリジン−1−イル}−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル]−N−メチル−L−バリンアミドの合成。
【0391】
【化6】
【0392】
化合物8261(#69)のリンカーマレイミドカプロイル(mc):
【0393】
【化7】
【0394】
へのカップリングは、一般手順D(下記)に従って成し遂げられ、結果として得られた粗製の所望の物質を方法C(下記)に従って精製すると、30.2mg(24%)の所望の生成物が得られた。45℃で維持されたカラムを用いるプロトコルA(下記)において明記されている条件下で、この物質は、9.058分(プロトコルA-下記)のHPLC保持時間;LC-MS: m/z 897.7 [M+H
+]、保持時間0.81分(プロトコルH-下記)を与えた。
【0395】
C.一般手順、方法およびプロトコル
一般手順C:ジオキサン中の塩酸を用いるBoc除去またはtert−ブチルエステル(t−Buエステルとも呼ばれる)の切断。Boc含有化合物またはtert−ブチルエステル含有化合物のどちらかのジオキサン(またはある場合には溶液なし、または他の適切な溶媒)中における溶液に、塩酸のジオキサン中における4M溶液を添加した。反応の進行を、LC−MS(またはHPLCまたはTLC)によりモニターした。反応を真空中で濃縮し、ある場合にはヘプタン類と共に1〜4回共沸させた。
【0396】
一般手順D:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)を用いたカップリング。アミン(1.0当量)および酸(1.0〜2.0当量)のジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMFとも呼ばれる)、または両方の混合物中における攪拌溶液に、HATU(1.0〜2.0当量)を添加し、続いてトリエチルアミン(2.0〜4.0当量)またはジイソプロピルエチルアミン(2.0−4.0当量、ヒューニッヒ塩基とも呼ばれる)を添加した。反応の進行を、LC−MS(またはHPLCまたはTLC)によりモニターし;反応は通常は3時間以内に完了した。溶媒を真空中で除去した。残留物を、シリカゲルもしくは逆相クロマトグラフィーにより精製し、またはある場合にはヘプタン類と共に3回共沸させ、少量の酢酸エチルで希釈した後、低減して(reduced down)シリカもしくはC18結合シリカ上に載せ、シリカゲルまたは逆相クロマトグラフィーにより精製した。
【0397】
一般手順E:N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(MalcValCitPABC−PNP)を用いたカップリング。ペイロードであるアミン(1当量)およびN−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(MalcValCitPABC−PNP、Eur. Pat. Appl. (1994)、EP624377、1.0〜2.0当量)のN,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド(DMAとも呼ばれる)中における混合物に、ピリジン(0.0〜4.0当量)、ジイソプロピルエチルアミン(0.0〜4.0当量)、2,6−ジメチルピリジン(0.0〜4.0当量、2,6−ルチジンとも呼ばれる)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.01〜1.1当量、HOBTとも呼ばれる)または3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ジメチルピリジン−3−オール(0.01〜1.1当量、HOATとも呼ばれる)を添加した。40℃〜50℃で1〜48時間攪拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、ヘプタンと共に3回共沸させた。粗製の物質を、明記された方法に従う逆相クロマトグラフィーにより精製すると、所望の物質が得られた。
【0398】
方法C:カラム:Phenomenex Luna C18、100×30mm、10μm;移動相A:水中0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:メタノール中0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:20分間かけて10%〜90%B;流速:20mL/分。温度:制御されない;検出:DAD 210nm、254nm;注入体積:可変;機器:Gilson。
【0399】
方法D:カラム:Phenomenex Synergi Max−RP、150×21.2mm、4pm;移動相A:水中0.1%ギ酸;移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸;勾配:1.5分間30%B、8.5分間かけて30%〜60%B、0.5分間かけて60〜100%B、次いで2分間かけて100%B;流速:27mL/分;検出:DAD 210〜360nm;MS(+)範囲150〜20005ダルトン;機器:Waters FractionLynx。
【0400】
プロトコルA:カラム:Phenomenex Luna C18(2)、150×3.0mm、5μm;移動相A:水中0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸(v/v);勾配:1.5分間かけて5%B、8.5分間かけて5%〜100%B、次いで1分間100%B;流速:0.75mL/分。温度:25℃;検出:DAD 215nm;MS(+)範囲150〜2000ダルトン;注入体積:10μL、機器:Agilent 1200 LCMS。
【0401】
プロトコルC:カラム:Phenomenex Luna C18(2)、150×3.0mm、5μm;移動相A:水中0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);移動相B:メタノール中0.02%トリフルオロ酢酸(v/v);勾配:10分間かけて50%〜100%B;流速:0.75mL/分。温度:制御されない;検出:DAD 215nm、254nm;注入体積:10μL;機器:Agilent 1100 HPLC。
【0402】
プロトコルF:カラム:Waters Acquity UPLC BEH、C18、2.1×50mm、1.7μm;移動相A:水中0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸(v/v);勾配:0.1分間かけて5%B、0.7分間かけて5%〜95%B、0.1分間かけて95%B;流速:1.25mL/分、温度:60℃;検出:200〜450nm;MS(+)範囲100〜1200ダルトン;注入体積:5μL;機器:Waters Acquity。
【0403】
プロトコルH:カラム:Phenomenex Gemini−NX、C18、4.6×50mm、3μm、110Å;移動相A:水中0.1%ギ酸(v/v);移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸(v/v);勾配:4.10分間かけて0%〜100%B、線形、次いで0.4分間かけて100%B;流速:1.5mL/分、温度:60℃;検出:DAD 200〜450nm;MS(+)範囲100〜2000ダルトン;注入体積:5μL;機器:Agilent。
【0404】
実施例10
抗PTK7抗体のバイオコンジュゲーション
A.抗PTK7−vc0101抗体−薬物コンジュゲート
本発明において、抗PTK7抗体hu23、hu24、およびhu58をvc0101にコンジュゲートさせて、hu23−vc0101 ADC、hu24−vc0101 ADCおよびhu58−vc0101 ADCを生成し、またはmc8261にコンジュゲートさせて、hu23−mc8261 ADC、hu24−mc8261 ADCおよびhu58−mc8261 ADCを生成した。hu23、hu24、およびhu58のvc0101、mc8261へのコンジュゲーションは、システイン残基の側鎖の誘導体化により達成された。これらのシステインは、通常は鎖間ジスルフィド架橋として対になっており、IgG1抗体上には4個のその保存された対(8個のシステイン残基を含む)が存在する。これらのジスルフィド結合の部分的還元は、vcリンカー上のマレイミドハンドルを用いて官能化されることができる遊離のチオールの分布を提供する。具体的には、本発明の抗PTK7抗体は、100mM HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸緩衝剤)、pH7.0および1mMジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)中の2.4モル過剰量のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の37℃で2時間の添加により部分的に還元された。次いで、vc0101またはmc8261リンカー−ペイロードを反応混合物に7のリンカー−ペイロード/抗体モル比で添加し、15%v/vのジメチルアセトアミド(DMA)の存在下で25℃でさらに1時間反応させた。1時間のインキュベーション期間の後、未反応のチオールをキャップするために3倍過剰量のN−エチルマレイミドを添加し、15分間反応させた後、6倍過剰量のL−Cysを添加して全ての未反応のリンカー−ペイロードを停止させた(quench)。
【0405】
反応混合物をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4中で4℃で一夜透析し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC;AKTA explorer、Superdex 200)により精製した。最終的なADC薬物物質を、20mMヒスチジン、85mg/mLスクロース、pH5.8緩衝液中で配合した。
【0406】
抗PTK抗体−薬物コンジュゲートは、純度に関してSEC、および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ならびに薬物抗体比(薬物装填)を計算するために用いられた液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI MS)によりさらに特性付けられた。タンパク質濃度は、紫外(UV)分光光度法により決定された。この方法は、抗体−薬物コンジュゲートを、おおよそ4mol/molの平均薬物対抗体比(DAR)を含有する官能化された抗体の不均質な混合物として提供する。
【0407】
薬物分布プロフィールを、hu24−vc0101に関してHICにより評価し、
図7においてクロマトグラムで示した。簡潔には、分析的HICをTSKゲルブチル−NPRカラム上で実施した。ADCを、1.5M硫酸アンモニウム、50mMリン酸水素二カリウム、pH7中でカラムに結合させ、50mMリン酸水素二カリウムおよび20%イソプロパノール(IPA)、pH7で溶離させた。
【0408】
B.抗PTK7−AcBut CM抗体−薬物コンジュゲート
本発明において、抗PTK7抗体hu23、hu24およびhu58を、AcBut−N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジド(AcButCM) OSuエステルにコンジュゲートさせて、下記に示されるようなhu23−AcButCM ADC、hu24−AcButCM ADCおよびhu58−AcButCM ADCを生成し、ここで、Xはいずれかの抗体、例えばhu23、hu24およびhu58であることができる。
【0409】
【化8】
【0410】
反応混合物は、10mg/ml以下の抗PTK7抗体およびAcButCM OSuエステルを4〜4.5対1のモル比で含んでいた。高い攪拌が、AcButCMの混合渦への添加の間に実施された。反応pHは8.3であり、他の反応構成要素の濃度は以下の通りであった:180mM HEPES緩衝液、41mMデカン酸ナトリウム、および8%(v/v)エタノール。反応は、33℃で5分間実施された。コンジュゲーション反応が完了した後、反応混合物を混合しながら1.3体積のpH8.5に調節された1M K
2HPO
4でゆっくりと希釈した。
【0411】
精製するため、希釈された上記の反応混合物を、予め5カラム体積(cv)の0.52Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)において平衡化されたButyl Sepharose−4 Fast Flow HICカラム(GE Healthcare)上に2バッチで装填した。カラム上に装填されたタンパク質は、3.5mg/mlのベッド体積であった。流速は、試料装填を通して15ml/分、クロマトグラフィーの洗浄および溶離相全体を通して22ml/分であった。この向上した勾配は、カラムに結合していたより高いDARのADCを取り外す。
【0412】
装填の間の未結合の画分は、主に反応試薬および未コンジュゲート抗体のほとんどであり、それは廃棄された。次いで、カラムを0.3cvの0.52Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)で洗浄して全ての残っている試薬を除去した。次いで、1cvの0.52Mから0.4Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)までの段階勾配を用いて、あらゆる緩く結合した未コンジュゲート抗体を、存在する場合は低装填抗PTK7−AcButCMと一緒に溶離させた。次いで、主な画分を、1cvの0.4Mから5mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)までの段階勾配を用いて溶離して、勾配の終了付近で3〜5の範囲のDARを有する抗PTK7−AcButCMを提供した。より高いDARを有する抗PTK7−AcButCMコンジュゲートが存在する場合、その画分は、2cvの5mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.5)の勾配、次いで純粋な脱イオン水の溶離を用いて溶離された。脱イオン水での溶離後に結合したままであったより高いDARを有するあらゆる抗PTK7−AcButCMコンジュゲートは、2cvの20%エタノールを含有する10mM水酸化ナトリウムを用いて溶離された。精製されたバッチは、3〜5のDARを有する抗PTK7−AcButCMコンジュゲートを含有していた。
【0413】
この向上したコンジュゲーションおよび精製プロセスは、6未満である、ある側面において3〜5の範囲のDARを有するADCを生成した。さらに、そのプロセスは、より狭い装填の分布、例えば製品内でのより低い不均質性を生成した。コンジュゲーションおよび精製プロセスに対する向上は、さらに以下のものを含んでいた:1)ActButCM対抗PTK7抗体比を4〜4.5対1まで低下させて、より低いDARを有するADCを生成し、2)ActButCMの抗PTK7抗体への添加の間に高い撹拌を実施して、低い量の未コンジュゲート抗体(遊離抗体)を有するADCを生成し、3)インキュベーション時間を60〜90分間と比較して5分間に低減して、少ない凝集体を提供し、そして4)エタノール量を6〜8%に低減して、少ない凝集体を提供する。両方のバッチからの精製されたプールされたピークを、凍結状態での保管を促進するため、配合された緩衝液に対して2回透析した。配合された緩衝液の組成は、20mMトリス、7.5%スクロース、0.01%ポリソルベート80、10mM NaCl、pH8.0であった。
【0414】
実施例11
hu24 mAbおよびhu24 ADCの結合特徴
hu24 mAbおよびhu24−vc0101 ADCがPTK7のカニクイザルのオルソログに結合するかどうかを決定するため、カニクイザルのPTK7タンパク質をクローニングし、発現させた。配列分析は、そのタンパク質がヒトのPTK7タンパク質に97.9%同一であることを明らかにした。
【0415】
表面プラズモン共鳴(SPR)分析を実施して、ヒトおよびカニクイザルのPTK7タンパク質の外部ドメインに対するmAbおよびADCの結合特徴を特性付けた。結合は、SPR分析により比較可能であると決定された。ヒトまたはカニクイザルのPTK7タンパク質に関するmAbおよびADCの間の親和性における有意差はなかった(表16)。全てのK
on測定結果は、3倍の範囲内であり、全てのK
off測定結果は、2倍の範囲内であり、その範囲は、当該分野において、典型的な系統的誤差の範囲内であり、従って生理学的に有意ではありそうにないと考えられる。
【0416】
【表16】
【0417】
抗PTK7 mAbのPTK7オルソログに結合する能力を、サンドウィッチELISAによっても評価した。簡潔には、ヒト、カニクイザル、ラットまたはマウスのPTK7−Hisタグ化タンパク質を、ELISAプレート上に直接コーティングにより捕捉させた。全ての抗原を、1μg/ml、100μl/ウェルで捕捉させた。hu24 mAbおよびhu24−vc0101 ADCを、810ng/mlで出発して系列希釈し、洗浄およびブロッキングされたウェルに添加して、抗原への結合に関して試験した。mAbおよびADCの結合を、ポリクローナル抗ヒトIgGホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲートにより検出し、TMB基質を用いて読み取った。
【0418】
mAbおよびADCは、両方ともELISAにより比較可能なほどにヒトおよびカニクイザルのPTK7タンパク質に結合した(表17)。SPRの結果と合わせて、これらの結果は、カニクイザルのPTK7への交差反応性を確証し、バイオコンジュゲーションプロセスがmAbの観察された結合特徴を変化させないことを実証した。しかし、mAbもADCも、ヒトPTK7への結合を観察するために必要な抗原濃度よりも100倍高い抗原濃度において、ラットまたはマウスのPTK7タンパク質への検出可能な結合を示さなかった(表17)。ラットおよびマウスの抗原は、既知の交差反応する抗体への結合により、正しく折り畳まれていることが確証された(データは示されていない)。
【0419】
【表17】
【0420】
未コンジュゲートhu24およびvc0101にコンジュゲートしたhu24を、PTK7発現細胞に結合するそれらの能力に関して、フローサイトメトリーにより、実施例3において記載された方法を用いて比較した。簡潔には、培養されたH1975またはEKVX細胞を回収し、4℃においてhu24−vc0101 ADCまたは未コンジュゲートhu24 mAbと共にインキュベートした後、蛍光体にコンジュゲートした二次mAbおよび死細胞染色試薬と共にインキュベートし、次いでフローサイトメトリーにより分析した。
【0421】
表18は、生存可能な細胞集団の平均チャンネル蛍光を提供する。比較可能なデータが、独立した複製実験において得られ、従って、hu24のリンカーペイロードへのコンジュゲーションは、そのPTK7発現細胞への結合を変化させない。
【0422】
【表18】
【0423】
実施例12
インビトロ細胞毒性アッセイ
抗体−薬物コンジュゲートhu24−vc0101の細胞毒性を、標的PTK7を発現する細胞株において評価した。操作されたHEK293T−PTK7過剰発現細胞株を、透明な平底組織培養プレート(BD Falcon)中に、ウェルあたり180μLの細胞培養培地あたり500細胞でまいた。ヒト癌細胞株もこのアッセイで試験し、以前にそれらの増殖速度に従ってそれぞれの細胞株に最適であることが決定された密度でまいた(150μl中でH661は1500細胞/ウェル、H446は9600細胞/ウェル)。細胞を37℃において5%CO
2インキュベーター中で一夜培養した。次の日に、hu24−vc0101 ADCおよび8.84 Ab−vc0101 ADC(陰性対照)を、細胞に、3または10μg/mLで出発して細胞培養培地中で1:3希釈する3通りの試料での10点濃度曲線において添加した。プレートを37℃の5%CO
2インキュベーター中で4日間インキュベートした。MTSアッセイ(Promega Cell Titer 96 水性非放射性細胞増殖アッセイ)を、供給業者の説明書に従って用いた。30μL(H446、H661)または40μL(HEK293T−PTK7)の組み合わせられたMTS試薬をそれぞれのウェルに添加し、プレートを37℃の5%CO
2インキュベーター中で2時間インキュベートした。ODを、96ウェルプレートリーダーを用いて490nmにおいて決定した。培地のみを含むウェルからの平均の読みを、バックグラウンドODに関して対照するために細胞を含むウェルの読みから減算した。細胞生存度が50%阻害される抗体−薬物コンジュゲートの濃度(IC50)を決定するため、データに対してロジスティック非線形回帰分析(GraphPad Prism Software)を行った。
【0424】
表19は、細胞毒性アッセイにおけるhu24−vc0101 ADCに関するIC50値を提供する。全ての3種類の細胞株において、hu24−vc0101は、強力な細胞毒性を引き出し、一方で結合しない8.84 Ab−vc0101は、細胞毒性を引き出さなかった;これらのデータは、hu24−vc0101の強力な細胞毒性が、抗PTK7抗体に依存していたことを実証している。
【0425】
【表19】
【0426】
実施例13
抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートのインビボ有効性
抗PTK7抗体−薬物コンジュゲートの作用を、ヒト腫瘍患者由来異種移植片(PDX)のインビボ成長においてさらに評価した。原発腫瘍摘除試料を、被験者保護に関する施設内審査委員会の承認に従って、そしてHIPAAの規制に従って臨床現場から調達した。腫瘍断片は、氷上でHypothermasol(Biolife Solutions)中で保管および輸送され、成長因子の専売の混合物を含有するMatrigel(BD)中に包理され、摘除の24時間以内にメスのNOD/SCIDマウスの乳腺脂肪体中に皮下移植された。マウスを、健康状態に関して毎日、そして腫瘍増殖に関して最初に目視検査により週2回モニターした。一度腫瘍が触知可能になったら、腫瘍体積の測定を始めて腫瘍成長を追跡し、細胞の倍加時間を概算した。腫瘍体積は、方程式V=(A
*B
2)/2を用いて概算され、ここでAは長軸であり、Bは短軸である。腫瘍が500mm
3〜1,500mm
3の体積に達した際に、それらを研究のためおよび患者由来異種移植片(PDX)としての再移植のために回収した。系統に応じて、機械的および/または化学的解離を用いて個々の細胞を継代のために分離することができる。生きた細胞を、実験を受けていない(naive)動物中に、動物あたり10,000〜50,000細胞で接種した。
【0427】
有効性試験のため、腫瘍を継代試験から回収し、細胞を解離させて単一細胞懸濁液にした。調製物を、トリパンブルー排除試験を用いて生きた細胞に関して計数し、マウスあたり10,000〜50,000細胞をMatrigel中で接種した。PDXの差次的成長速度を説明するため、ランダム化における最小限の腫瘍体積の分散を許容するために少なくとも25%多い動物で開始した。腫瘍成長は、最初は触知可能性により追跡され、一度腫瘍体積が約30mm
3に達したら測定を開始した。研究は、一度腫瘍を有するマウスのコホートが140mm
3〜180mm
3に達したら腫瘍サイズに基づいてランダム化された。動物に、腹腔内注射により、週2回2週間(q4dx4)投与した。試験群を、IACUCプロトコルに従って屠殺の必要が示された際に個々のマウスまたは群全体の腫瘍の測定結果が1200mm
3に達するまで追跡した。選択された投与試験に関して、薬物動態学的顎下採血を、2時間、36時間および72時間の時点で実施した。10μLの量の血液を、すぐにピペットで90μLのHBS−P(GE Healthcare)中に入れた。試料を分析の前に−80℃で保管した。それぞれの腫瘍の測定に関して、腫瘍体積±平均値の標準誤差(SEM)が提供された。GT=大きい腫瘍サイズにより終了した群。全ての試験は、分析されているものと同じリンカー−ペイロードにコンジュゲートした非結合性hIgG1抗体からなり、比較可能な薬物対抗体比(DAR)および装填分布を有する対照抗体薬物コンジュゲートを含んでいた。
【0428】
表20〜37は、抗体−薬物コンジュゲートhu23−vc0101、hu24−vc0101、hu58−vc0101、hu23−AcButCM、hu24−AcButCMおよびhu58−AcButCMの、低い、中程度または高いことが決定された相対的PTK7発現を有する様々なヒト腫瘍細胞を用いて確立されたPDXモデルにおける有効性を実証している。
【0429】
A.乳癌(BR)
表20および
図8は、hu23−vc0101、hu24−vc0101、およびhu58−vc0101 ADCが全て、ヒト乳房−13(BR13)トリプルネガティブ乳癌(TNBC)PDXモデル(高PTK7発現)を用いたPDXモデルにおいて、ビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であることを示している。hu24−vc0101 ADCは、BR13 PDXモデルにおいてhu23−vc0101およびhu58−vc0101の両方よりも有効であった。試験されたPTK7 ADCの全ては、TNBCに関する標準治療処置であるドキソルビシンよりも有効であった。
【0430】
【表20】
【0431】
図9および10は、hu23−mc8261、hu24−mc8261、およびhu58−mc8261 ADCのBR13 TNBC PDXモデル(高PTK7発現)におけるhu24−vc0101と比較した有効性を示している。hu24−vc0101による処置は、200日間を越える持続的な腫瘍退縮をもたらし、抗PTK7−mc8261 ADCと比較してより大きい腫瘍成長の阻害を実証した。
【0432】
表21および
図11は、hu23−vc0101、hu24−vc0101、およびhu58−vc0101 ADCが全て、ヒト乳房−22(BR22)TNBC PDXモデル(高PTK7発現)を用いたPDXモデルにおいて、ビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であることを示している。このモデルにおいて、hu23−vc0101およびhu24−vc0101は、hu58−vc0101よりも有効であり、これは同じ標的(PTK7)に対する類似の抗体が様々な程度の有効性を有することを実証している。試験されたPTK7 ADCの全てが、TNBCに関する標準治療処置であるドセタキセルよりも有効であった。特に、ドセタキセルおよびADCの薬物構成要素であるオーリスタチン0101は、それらがチューブリン重合を阻害する点で類似の作用機序を有する。
【0433】
【表21】
【0434】
表22は、hu23−AcButCM、hu24−AcButCM、およびhu58−AcButCM ADCが全て、BR22 TNBC PDXモデル(高PTK7発現)においてビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であったことを示している。しかし、hu58−AcButCMは、hu23−AcButCMおよびhu24−AcButCMの両方よりも有効であり、これは、同じ標的に対する類似の抗体を有する様々なペイロードの使用の予測不能な性質を説明している。hu23−vc0101およびhu24−vc0101 ADCは、hu58−vc0101よりも有効であり、一方でhu58−AcButCMは、hu23−AcButCMおよびhu24−AcButCM ADCの両方よりも有効であった。試験されたPTK7 ADCの全ては、TNBCに関する標準治療処置であるドキソルビシンよりも有効であった。
【0435】
【表22】
【0436】
図12および13は、hu23−mc8261、hu24−mc8261、およびhu58−mc8261 ADCのBR22 TNBC PDXモデル(高PTK7発現)におけるhu23−vc0101と比較した有効性を示す。hu23−vc0101を用いた処置は、200日間を越える持続的な腫瘍退縮をもたらし、抗PTK7−mc8261 ADCと比較してより大きい腫瘍成長の阻害を実証した。
【0437】
表23〜25および
図14は、hu23−vc0101、hu24−vc0101、hu58−vc0101、hu23−mc8261およびhu24−mc8261、hu58−mc8261ならびにhu23−AcButCM、hu24−AcButCM、hu58−AcButCMの乳房−31(BR31)TNBC PDXモデル(高PTK7発現)における有効性を示している。このモデルにおいて、vc0101リンカー−ペイロードを有する全ての3種類のADCは、AcButCMまたはmc8261を有するADCよりも有効であった。この結果は、AcButCMリンカーペイロードは試験されたインビボPDXモデルにおいて一般にvc0101リンカーペイロードよりも強力であったため、意外であった。加えて、PTK7−vc0101 ADCは、ドセタキセルよりも有効であり、PTK7−AcButCM ADCは、ドキソルビシンよりも有効であった。ドセタキセルおよびドキソルビシンは、両方ともTNBCに関する標準治療である。
【0438】
【表23】
【0439】
【表24】
【0440】
【表25】
【0441】
表26および
図15は、hu24−vc0101 ADCが、ヒト乳房−64(BR64)TNBC PDXモデル(中程度のPTK7発現)においてビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であったことを示している。そのデータは、PTK7標的の中程度の発現を有するPDXモデルがhu24−vc0101により有効に標的とされたことを実証している。hu24−vc0101は、TNBCに関する標準治療であるドセタキセルよりも有効であった。
【0442】
【表26】
【0443】
図16は、BR5 TNBC PDXモデルにおけるhu24−vc0101の有効性、および未コンジュゲートhu24の有効性の欠如を示している。BR5ヒト乳癌異種移植片を有するマウスに、hu24−vc0101 ADC、未コンジュゲートhu24 mAbまたはビヒクルを4日ごとに4サイクル(Q4Dx4)投与した。腫瘍の測定結果は、デジタルキャリパーを用いて週2回記録され、平均±SEMとして示されている。3mg/kg用量のhu24−vc0101 ADCは、49日目を通して腫瘍成長のない腫瘍退縮を引き起こした。対照的に、未コンジュゲートhu24 mAbは、腫瘍成長を阻害しなかった(
図16)。従って、観察された有効性は、リンカー−ペイロードの送達に依存している。
【0444】
図17は、BR36 PR+ TNBC PDXモデルにおけるパクリタキセルと比較したhu24−vc0101の有効性を示している。BR36ヒト乳癌異種移植片を有するマウスに、Q4Dx4でhu24−vc0101 ADC、パクリタキセル、陰性対照ADCまたはビヒクルを投与した。腫瘍の測定結果は、デジタルキャリパーを用いて週2回記録され、平均±SEMとして示されている。3mg/kg用量のhu24−vc0101 ADCは、103日目を通して腫瘍成長のない腫瘍退縮を引き起こした。hu24−vc0101は、MTDで投与されたパクリタキセルより性能が優れていた。陰性対照のADCは、中程度の活性しか示さなかった(
図17)。
【0445】
B.小細胞肺癌(SCLC)
表27〜28におけるデータは、hu24−vc0101およびhu24−AcButCM ADCの小細胞肺癌−64(LU64)PDXモデル(低PTK7発現)における有効性を説明している。このモデルにおいて、両方のADCは、この低PTK7発現のPDXにおいて有効であることが示されたが、AcButCMリンカーペイロードを有するADCは、vc0101リンカーペイロードを有するADCよりも有効であった。hu24−vc0101およびhu24−AcButCMは両方とも、SCLCに関する標準治療(シスプラチンおよびエトポシドである)よりも有効であった。
【0446】
【表27】
【0447】
【表28】
【0448】
表29は、hu23−mc8261、hu24−mc8261、およびhu58−mc8261 ADCのLU64 PDXモデル(低PTK7発現)における有効性を示している。hu24−vc0101を用いた処置は、このモデルにおいて抗−mc8261 ADCよりも大きい腫瘍成長の阻害を実証した。
【0449】
【表29】
【0450】
表30〜31は、hu24−vc0101、hu23−vc0101およびhu24−AcButCM ADCの小細胞肺癌−86(LU86)PDXモデル(高PTK7発現)における有効性を示している。このモデルにおいて、hu24−vc0101およびhu23−vc0101は両方とも腫瘍成長の抑制において有効であった。hu24−vc0101は、対照−vc0101 ADCよりも有効であった。しかし、hu24−AcButCM ADCは、vc0101リンカーペイロードを有するADCの両方よりも強力であり(表22)、これは、SCLCモデルにおけるvc0101と比較したAcButCMの一般的なより大きい効力のさらなる例を提供している。hu24−AcButCMは、SCLCに関する標準治療であるシスプラチン+エトポシドよりも有効であった。
【0451】
【表30】
【0452】
【表31】
【0453】
表32は、hu23−mc8261、hu24−mc8261、およびhu58−mc8261 ADCのLU86 PDXモデル(高PTK7発現)における有効性を示している。hu23−vc0101を用いた処置は、LU86 PDXモデルにおいて持続的な腫瘍退縮をもたらし、抗PTK7−mc8261 ADCと比較してより大きい腫瘍成長の阻害を実証した。
【0454】
【表32】
【0455】
図18A〜Bは、0101またはCMのどちらかにコンジュゲートしたPTK7 ADCの、2つの異なるSCLC PDXモデルであるH1048 PDXモデル(高PTK7発現)およびSCLC 95 PDXモデル(高PTK7発現)それぞれにおける有効性を示している。
【0456】
図19A〜Bは、hu24−AcButCMの、2つの異なるSCLC PDXモデルであるSCLC 117 PDXモデル(中程度のPTK7発現)およびSCLC 102 PDXモデル(低PTK7発現)それぞれにおける有効性を示している。その結果は、hu24−AcButCMまたはhu23−AcButCM ADCは、SCLCに対してhu24−vc0101 ADCよりも有効であることを実証している。この発見は、他の腫瘍タイプ、例えばTNBCおよびNSCLCのPDXモデルにおけるhu24−vc0101の強い抗腫瘍活性を考慮すると、意外である。加えて、その結果は、hu24−AcButCM ADCは低いPTK7発現を有するSCLC102において最も弱い応答を引き出したため、ADCの活性がPTK7の発現と相関していることを示唆している。
【0457】
C.非小細胞肺癌(NSCLC)
表33および
図20は、hu24−vc0101 ADCが、ヒト非小細胞肺癌−135(LU135)PDXモデル(高PTK7発現)において、ビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であったことを示している。このデータは、hu24−vc0101のNSCLC PDXにおける腫瘍成長の抑制における有効性を実証している。hu24−vc0101は、NSCLCにおける標準治療であるパクリタキセルよりも有効であった。
【0458】
【表33】
【0459】
表34および
図21は、hu24−vc0101 ADCが、ヒト非小細胞肺癌−176(LU176)PDXモデル(高PTK7発現)において、ビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であったことを示している。このデータは、hu24−vc0101のNSCLC PDXにおける腫瘍成長の抑制における有効性を実証している。hu24−vc0101は、NSCLCにおける標準治療であるシスプラチンよりも有効であった。
【0460】
【表34】
【0461】
D.卵巣癌(OV)
表35は、hu24−vc0101およびhu24−AcButCM ADCの卵巣−55(OV55)PDXモデル(中程度のPTK7発現)におけるビヒクルおよび薬物対照と比較した有効性を示している。このデータは、PTK7標的の中程度の発現を有する卵巣PDXモデルが両方のADCにより有効に標的とされることを実証している。驚くべきことに、hu24−vc0101で処置された動物は、実験が終了した際に腫瘍を有さず、hu24−AcButCM ADCは、このモデルにおいて有効性がより低かった。
【0462】
【表35】
【0463】
E.黒色腫(SK)
表36は、hu24−vc0101 ADCが、ヒト黒色腫−23(SK23)PDXモデル(中程度のPTK7発現)においてビヒクルおよび薬物対照と比較して有効であったことを示している。このデータは、PTK7標的の中程度の発現を有する黒色腫PDXモデルにおけるhu24−vc0101の有効性を実証しており、ADCの使用に関する可能性のある適応症を提供している。
【0464】
【表36】
【0465】
F.乳房およびNSCLC PDXモデルにおける腫瘍成長阻害
動物は、同じスケジュールでの静脈内注射によるものであったBR5試験を除いて、4日ごとに4サイクル(Q4Dx4)、腹腔内注射により投与された。腫瘍の測定結果は、1週間につき1または2回、デジタルキャリパーを用いて記録され、腫瘍体積は、方程式V=(A×B
2)/2を用いて概算され、ここでAは長軸であり、Bは短軸である。動物の体重が、少なくとも週1回測定および記録された。試験群は、個々のマウスまたは群全体の腫瘍の測定結果が1200mm
3に達するまで追跡され、その時点でIACUCプロトコルに従って屠殺の必要が示された。BR5試験に関して、動物は、IACUCプロトコルに従って病期分類において一度腫瘍体積が体重の15%に近付いたら屠殺された。
【0466】
腫瘍成長阻害(TGI)は、方程式%TGI=[1−(処置されたものの平均腫瘍体積)/(ビヒクルの平均腫瘍体積)]を用いて計算された。TGIは、最も遅い可能な時点において計算され、それは、典型的には上記のように対照群が中止される前の最後の測定であった。腫瘍退縮は、投与後の平均腫瘍体積における低減として定義された。腫瘍が退縮した場合、増殖停止時間(TTP)は、初回投与および平均腫瘍体積が前の測定から統計的に有意な程度まで増大した時点の間の日数を示す。腫瘍が実験の過程の間に再成長しなかった場合、TTPは、初回投与および実験の終了の間の日数である。
【0467】
hu24−vc0101 ADCの有効性試験における暴露を確証するため、ADCおよび総抗体の血漿濃度を、2つのPDXモデルBR13 PDXおよびBR22 PDXに関して決定した。試料を、ADCの3回目の投与後に3つの時点において集め、濃度をリガンド結合アッセイ(LBA)(データは示されていない)により測定した。そのデータは、薬物暴露がこれらの腫瘍モデルにおいて比較可能であったことを示している。
【0468】
hu24−vc0101 ADCは、乳癌およびNSCLC腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を引き出した。腫瘍は、処置において退縮し、典型的にはADCの最後の投与後数ヵ月間再成長しなかった。未コンジュゲートhu24 mAbは、試験されたモデルにおいて抗腫瘍活性を引き出さず、それは、オーリスタチン依存性の作用機序を実証した。結果が表37において要約されている。
【0469】
【表37】
【0470】
実施例14
0101の作用機序
hu24−vc0101 ADCの作用機序を研究するため、細胞をADCで処理し、次いでそれらの微小管構造を評価した。オーリスタチンは、完全に合成によるドラスタチンベースの5ペプチドのチューブリン重合阻害剤であり、G2/M細胞周期停止および細胞死を低ピコモル濃度の細胞内濃度で誘導する(Sapra et al., 2011, Expert Opin Investig Drugs 20(8):1131-49およびTurner et al., 1998, Prostate 34(3):175-81)。
【0471】
H661肺癌細胞を、CC2コートされた増殖表面を有する4ウェルチャンバースライドシステム(Thermo Scientific)上にまき、0〜4μg/mLのhu24−vc0101、陰性対照ADC、未コンジュゲートhu24mAb、または0.1〜10nMの遊離の0101オーリスタチンで48時間処理した。次いで、細胞を3%パラホルムアルデヒド中で固定し、PBSで洗浄し、PBS中0.5%Triton−X(登録商標)(Sigma Chemical)で透過処理し、PBSで洗浄し、ブロッキング緩衝液(PBS中5%正常ヤギ血清および0.2%Tween−20)と共にインキュベートした。細胞を、ブロッキング緩衝液中の一次抗αチューブリン抗体(Sigma 商品番号T9026、クローンDM1A)と共に室温で1時間インキュベートした。その後、細胞をPBSで洗浄し、Alexa Fluor(登録商標)488コンジュゲート二次抗体(Invitrogen Corp)およびDNAを染色するための4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)と共に30分間インキュベートした。細胞を、Zeiss LSM 510 Meta共焦点顕微鏡上で可視化した。
【0472】
細胞の遊離の0101またはhu24−vc0101 ADCによる処理は、微小管構造を崩壊させ、G2/M細胞周期停止をもたらした。対照的に、未コンジュゲートhu24 mAbも陰性対照mAbも、これらの応答を引き出さなかった(
図22)。これらの結果は、hu24−vc0101 ADCは、細胞毒性を、抗原依存性の様式で、微小管構造を崩壊させ、G2/M停止を引き起こすことにより引き出すことができることを実証している。この機序は、未コンジュゲートオーリスタチンに関する以前の研究と一致している。
【0473】
実施例15
内皮細胞に対するhu24−vc0101 ADCの作用
図23は、hu24−vc0101 ADCが標準的なインビトロHUVEC出芽(sprouting)アッセイにおいて血管新生を阻害することを示している。簡潔には、HUVEC細胞(Lonza−商品番号CC−2517)を用いてCytodexビーズ(Sigma 商品番号C0646−5G)をおおよそ1×10
6細胞/2500ビーズの比率でコートし、次いで内皮細胞増殖培地(Lonza 商品番号CC−3162)と共に37℃/5%CO2インキュベーター中に一夜置いた。次の日に、ビーズを内皮細胞増殖培地で洗浄し、2.0mg/mlフィブリノーゲンI型(フィルター滅菌済み)のDPBSおよび0.15単位/mlアプロチニン中における溶液中で再懸濁した。24ウェルプレートのそれぞれのウェル中に、0.3125単位のトロンビンを添加した後、500ulのビーズ溶液を添加した。凝固を促進するため、プレートを37℃のインキュベーター中に15分間置いた。最後に、内皮細胞増殖培地中で懸濁された皮膚線維芽細胞(Detroit 551 − ATCC 商品番号CCL−110)を、形成されたフィブリノーゲン凝塊の上に注意深く置いた。その細胞に、それらのそれぞれの薬物処理を1日おきに与え、8日間成長させた。HUVEC出芽および分枝している血管の形成の程度を観察した。
【0474】
hu24−vc0101 ADCは、このアッセイにおいて出芽血管新生を1μg/mLで阻害したが、陰性対照のADCは阻害しなかった。この結果は、抗PTK7 ADCは血管新生を標的特異的な様式で阻害することができることを実証している。
【0475】
実施例16
腫瘍開始細胞(TIC)の低減
抗PTK7抗体−薬物コンジュゲート処置が腫瘍中の腫瘍開始細胞(TIC)の頻度を低減するかどうかを決定するため、BR13 TNBC乳房腫瘍を、4mg/kgのhu24−vc0101 ADC、4mg/kgの対照IgG ADC、または20mg/kgのドセタキセル化学療法で週2回、合計3用量(0、3および7日目)で処置した。生きた残留するヒト腫瘍細胞(すなわちhESA
+ mCD45
− mH−2Kd
−)を、10日目に分離された腫瘍から単離し、限界希釈分析(LDA)において未処置の動物中に再移植した。結果として生じた腫瘍の発生率を、移植後40週までの間モニターした。腫瘍回収の日(10日目)および累代移植の日は、hu24−vc0101曝露後にいつ腫瘍が退縮し始めたかに基づいて選択された。腫瘍を分離し、抗ヒトESA、抗マウスCD45、および抗マウスH−2Kd抗体により染色した。処置群あたり3個の腫瘍をプールし、生きたヒト腫瘍細胞をフローサイトメトリーにより選別した。10匹のマウスの群に、対照IgG ADCで処置された腫瘍から選別された293、73、37もしくは15個の腫瘍細胞;hu24−vc0101で処置された腫瘍から選別された159、90、40、もしくは10個の腫瘍細胞;またはドセタキセルで処置された腫瘍から選別された257、33もしくは15個の腫瘍細胞のいずれかを注入した。受容マウス中の腫瘍を毎週測定し、受容マウス中の200mm
3を超える腫瘍を陽性と採点した。L−Calcソフトウェア(Stemcell Technologies,ブリティッシュコロンビア州バンクーバー)によるポアソン分布統計を用いて、移植後40週までに腫瘍を有した、および有しない受容マウスの注入された細胞の用量を用いてそれぞれの処置後のTICの頻度を計算した。
【0476】
hu24−vc0101で処置された腫瘍におけるTICの頻度は、対照のIgG ADCで処置された腫瘍におけるよりも5.5倍低かった(p=0.0013;表38)。ドセタキセルで処置された腫瘍におけるTICの頻度は、対照のIgG ADCで処置された腫瘍におけるよりも2.1倍低かった(p=0.09;表38)。要約すると、hu24−vc0101で処置された腫瘍細胞を注入されたマウスは、類似の数の対照のIgG ADCで処置された腫瘍細胞を注入されたマウスよりも少ない腫瘍をもたらし、それは、hu24−vc0101処置がTICを特異的に低減することを示した。
【0477】
【表38】