(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515026(P2017-515026A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】壁またはヴォールト用の型枠堰板
(51)【国際特許分類】
E04B 2/86 20060101AFI20170512BHJP
【FI】
E04B2/86 601G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-503065(P2017-503065)
(86)(22)【出願日】2015年3月31日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2015057129
(87)【国際公開番号】WO2015150431
(87)【国際公開日】20151008
(31)【優先権主張番号】1400808
(32)【優先日】2014年4月3日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516294816
【氏名又は名称】タラリダ,ドミニク
【氏名又は名称原語表記】TALLARIDA,Dominique
(71)【出願人】
【識別番号】516294827
【氏名又は名称】マリー,ドゥニ
【氏名又は名称原語表記】MARY,Denis
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】タラリダ,ドミニク
(57)【要約】
本発明は、第1の側で第1系列の平坦な舌状部(1)によってかつ反対側の第2の側では第2系列の平坦な舌状部(3)によって延長されている矩形の平担な中央本体(6)を含む型枠堰板(10)に関しており、舌状部が、同一系列の舌状部間に間隔を残しながら本体(6)の平面内に延在しており、堰板(10)が、第1および第2の傾斜した舌状部(4、7;2、7)のセットを有し、各々の傾斜した舌状部がそれぞれ第1または第2の系列の2つの平坦な舌状部(1)間の間隔内に延在し、舌状部(4、7;2、7)が、各々1つの傾斜した舌状部(2、4)と、平坦な舌状部(1、3)に対して平行に延在する平坦な遠位端部部分(7)とを伴って、本体(6)から離れる方向に傾斜している型枠堰板に関する。本発明は同様に、複数の堰板(10)からなる型枠(11)にも関する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平担な中央本体(6)を含む型枠堰板(10、10a、10b、10c)において、中央本体(6)が第1の側で第1系列の平坦な舌状部(1)によって、かつ反対側の第2の側では第2系列の平坦な舌状部(3)によって延長されており、平坦な舌状部(1、3)は、同一系列の平坦な舌状部(1、3)間に間隔を残しながら、本体(6)の平面内に延在しており、型枠堰板(10、10a、10b、10c)がさらに、第1および第2の傾斜した舌状部(4、7;2、7)のセットを有し、第1セットの少なくとも一部の傾斜した舌状部(4、7)が第1系列の2つの平坦な舌状部(1)間の間隔内に延在し、第2セットの各々の傾斜した舌状部(2、7)が第2系列の2つの平坦な舌状部(3)間の間隔内に延在しており、第1および第2セットの傾斜した舌状部(4、7;2、7)が、各々傾斜した部分(2、4)と、平坦な舌状部(1、3)に平行に延在する平坦な遠位端部部分(7)とを含んで、平担な中央本体(6)から離れる方向に傾斜していることを特徴とする、型枠堰板。
【請求項2】
傾斜した舌状部(4、7;2、7)の各傾斜した部分(2、4)が、平担な遠位端部部分(7)と一定の角度を成し、この角度が100°〜120°、好ましくは110°〜115°であることを特徴とする、請求項1に記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項3】
前記角度が112°に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項4】
各々の傾斜した舌状部(4、7;2、7)の傾斜した部分(2、4)が、平担な連結部分(8)により中央本体(6)に結び付けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項5】
中央本体(6)の、舌状部(1、4、7;3、2、7)を担持しない側が、各々タブ(5)を担持していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項6】
第1の側の第1系列の平坦な舌状部(1)が、第2の側の第2系列の平坦な舌状部(3)との関係においてずれており、第1系列の各々の平坦な舌状部(1)が第2系列の2つの平坦な舌状部(3)の間の間隔と整列させられており、その逆も成立し、2つの平坦な舌状部系列(1、3)のうちの一方(3)が他方の系列よりも1つ多い舌状部を含み、1つ多い舌状部を含む前記平坦な舌状部系列(1)に付随する傾斜した舌状部(2、7)のセットが、1つ少ない傾斜した舌状部(2、7)を含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項7】
第1および第2の系列の平坦な舌状部(1、3)の数がそれぞれ3つおよび4つであり、一方第1および第2のセットの傾斜した舌状部(4、7;2、7)の数がそれぞれ4つおよび3つであることを特徴とする、請求項6に記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項8】
第1および第2の系列のうちの同一系列の平坦な舌状部(1、3)の幅が、この系列の全ての舌状部について一定であり、第1および第2系列のうち一方の系列の平坦な舌状部(1、3)間の間隔の幅が、他方の系列の平坦な舌状部(3、1)の幅と等しいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項9】
堰板(10、10a、10b、10c)が凝集小片からなる成形木材製の型枠堰板であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項10】
堰板(10、10a、10b、10c)が木製であるかまたは凝集小片をベースとしていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項11】
堰板(10、10a、10b、10c)が成形されていることを特徴とする、請求項10に記載の型枠堰板(10、10a、10b、10c)。
【請求項12】
− 本体(6)が同一の第1の平面内に配置されるような形で互いに接合している少なくとも2つの第1の型枠堰板(10、10a)と、
− 本体(6)が、第1の平面とは異なりかつ第1の平面に対し平行である同一の第2の平面内に配置されるような形で互いに接合している少なくとも2つの第2の型枠堰板(10b、10c)と、
を含み、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)は、互いに距離を置いてかつ背中合せで、すなわちその傾斜した舌状部(4、7;2、7)が、第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)の間に間置される容積(9)を少なくとも部分的に画定するように対面する形で配置されおり、
− 前記少なくとも2つの第1および第2の堰板(10、10a、10b、10c)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)は、協働して、傾斜した舌状部(4、7;2、7)により少なくとも部分的に画定された周囲を有する少なくとも3つのゾーン(A、B)を前記容積(9)内に形成するように成型されている、
ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の少なくとも4つの型枠堰板(10、10a、10b、10c)を含む型枠(11)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)の平坦な遠位端部部分(7)が、前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)上に載置されており、その逆も成立する、請求項12に記載の型枠。
【請求項14】
型枠(11)が、舌状部(1、4、7;3、2、7)を有していない1つの側で前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板に隣接しながら、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)に対して側方に配置された型枠堰板(10d〜10g)を含み、各型枠堰板(10、10a〜10g)が、舌状部(1、4、7;3、2、7)を担持していない各側に側方タブ(5)を有しており、各堰板(10、10a、10b、10c)の側方タブ(5)が、側方に設置された1つの堰板(10d〜10g)の本体(6)と協働して、およびその逆で、2つの堰板(10、10a〜10g)を互いとの関係において維持していることを特徴とする、請求項12または13に記載の型枠(11)。
【請求項15】
前記2つの第1の堰板(10、10a)のうちの一方の堰板(10)の平坦な舌状部(1、3)が、前記2つの第1の堰板(10、10a)のうちの他方の堰板(10a)の平坦な舌状部(3a、1a)の間の間隔の中に進入し、前記2つの第2の堰板(10b、10c)のうちの一方の堰板(10b)の平坦な舌状部が、前記2つの第2の堰板(10b、10c)のうちの他方の堰板(10c)の平坦な舌状部間の間隔の中に進入することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一つに記載の型枠(11)。
【請求項16】
前記少なくとも3つのゾーン(A、B)の第1のゾーン(A)が、一方では、前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)のうちの一方の堰板(10b)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)間に挿入される前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)のうちの一方の堰板(10)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)によって、そして他方では前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)のうちのもう一方の堰板(10c)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)間に挿入される前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)のうちのもう一方の堰板(10a)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)によって画定されており、前記第1のゾーン(A)は、それぞれ、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)の互いの延長部分内の接合部のレベルに存在することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一つに記載の型枠(11)。
【請求項17】
2つの第1および第2の堰板(10、10b;10a、10c)に付随する傾斜した舌状部(4、7;2、7)がX字形を形成し、それぞれ第1のゾーン(A)の各側を閉鎖していることを特徴とする、請求項16に記載の型枠(11)。
【請求項18】
少なくとも壁(13)または床(14)またはヴォールト(15)または天井(16)、あるいはこれらの要素(13〜16)のうちの少なくとも2つを含むタイプの建築アセンブリ(12〜15)において、請求項12〜17のいずれか一つに記載の少なくとも1つの型枠(11)を含み、前記少なくとも3つのゾーン(A、B)がコンクリート、セメント、粘土、藁、土、結合剤または圧縮粘土タイプの選択的材料で充填されていることを特徴とする、建築アセンブリ。
【請求項19】
選択的材料が、コンクリートまたは圧縮粘土または土または藁であることを特徴とする、請求項18に記載の建築アセンブリ(12〜15)。
【請求項20】
前記少なくとも3つのゾーン(A、B)のうちの少なくとも1つ(A)には硬化性材料が充填されることを特徴とする、請求項18または19に記載の建築アセンブリ(12〜15)。
【請求項21】
型枠(11)にはネジタイプの固定用手段が横断しており、これらの固定用手段が、前記少なくとも3つのゾーン(A、B)の充填後に選択的材料内に埋設されることを特徴とする、請求項19または20に記載の建築アセンブリ(12〜15)。
【請求項22】
− 少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)を得るために、一方の堰板の平坦な舌状部(1、3)を他方の堰板の平坦な舌状部(3、1)間の間隔の中に挿入することによって、互いの延長部分の中に配置された少なくとも2つの堰板(10、10a)を一体化する工程、
− 少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)を得るために、一方の堰板の平坦な舌状部(1、3)を他方の堰板の平坦な舌状部(3、1)間の間隔の中に挿入することによって、互いの延長部分の中に配置された2つの堰板を一体化する工程、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および2つの第2の堰板(10b、10c)を、それらの傾斜した舌状部(4、7;2、7)が対面した形で位置づけする工程、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)の平坦な遠位端部部分(7)が、前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)上に載置されるまで、およびその逆が成立するまで、前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)の間に、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)を挿入する工程、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)が、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)と前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)の間の容積(9)の中で、少なくとも3つのゾーン(A、B)を少なくとも部分的に画定しており、第1のゾーン(A)の1つの側の画定のためには、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)のうちの一方の堰板(10)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)が前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)のうちの一方の堰板(10b)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)間に挿入されており、第1のゾーン(A)の反対の側の画定のためには、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)のうちの他方の堰板(10a)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)が前記少なくとも2つの第2の堰板(10b、10c)のうちの他方の堰板(10c)の傾斜した舌状部(4、7;2、7)間に挿入されていること、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)の舌状部を担持していない少なくとも1つの側に、側方堰板(10e〜10g)を位置づけし維持する工程、
− 必要な場合、前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)の延長部分内に補足的堰板を位置づけすると同時に、第1のゾーン(A)を含めた前記少なくとも3つのゾーン(A、B)を形成するため、および/または前記少なくとも2つの第1の堰板(10、10a)および第2の堰板(10b、10c)に対して補足的側方堰板(10f〜10g)を位置づけするために、前述の各工程を反復する工程、
− 建築アセンブリ(12〜15)の製造のために前記少なくとも1つの型枠(11)の構築が完了した時点で、コンクリート、セメント、粘土または結合剤タイプの材料を単数の第1のゾーン(A)または第1のゾーン(A)各々の中に導入する工程、
− 必要な場合、前記少なくとも3つのゾーン(A、B)の残りのゾーン(B)内に材料を導入する工程、
を特徴とする、請求項19〜21のいずれか一つに記載の建築アセンブリ(12〜15)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠堰板を用いた型枠による不動産建築のための補助要素の分野に関する。本発明は、少なくとも1つの自己安定型捨型枠が使用される建物向けのあらゆるタイプの建築用要素、例えば壁、床、ヴォールト、および天井などの建設の分野に応用されると極めて有利である。
【背景技術】
【0002】
充填材料が充填されて、固化され可変的形状の建築用要素向けの骨組みを形成する型枠を作製するための型枠堰板としては、複数のタイプが存在する。
【0003】
仏国特許出願公開第913772号明細書は、建築用要素およびこの要素上の装飾的機構を建造するのに用いられる流動性充填材料を不動化するためにも役立つ型枠について記載している。この文書中に記載されている型枠は、互いに一体化されたパネルとスペーサーを各々含む部品をベースにして作製され、ここでスペーサーはパネルに直交して延在している。
【0004】
型枠は、複数の部品で形成されており、そのうちの少なくとも2つの部品は、充填材料を収容するための平行6面体の内部空間を画定しながら、上下互い違いに置かれている。内部空間の画定は、2つの部品によって形成されたアセンブリの相対する2つの側の各々ではスペーサーによって、そして他の各々の側ではパネルによって得られる。パネルは、壁の見え掛かり部分を形成するようになっており、一方スペーサーは、充填材料内に埋没している。前述の通りの2つの部品で形成された連続したアセンブリの場合には、2つの連続したアセンブリのスペーサーの各々には孔が開けられており、充填材料が2つの部品のアセンブリから次のアセンブリに向かって流動して、連続したアセンブリの内部空間を充填するようになっている。
【0005】
このような型枠は、多くの欠点を有する。第1に、連続したアセンブリの複数の系列を互いに接して側方に置くという条件でしか、この型枠を側方に拡大することはできない。一方で、連続した2つの部品のスペーサー間に追加される要素による一体化を想定しなければならず、この要素は例えば「C字形緊結金具」であることから、型枠堰板の一体化様式は容易ではない。最後に、単一部品は、パネルに直交するスペーサーが存在するため、外形寸法が常に大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第913772号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一方では、複数の堰板で形成された型枠を単純かつ効果的な形で得るために、他の堰板との適応が容易でありながら外形寸法が最小限である型枠堰板を構想することにあり、他方では、このように形成された型枠について、型枠の内部へ充填材料を完全に導入する前であってもこの型枠を構成する堰板の維持を保証することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、好ましくは矩形の平担な中央本体を含む型枠堰板に関する。中央本体は、第1の側で第1系列の平坦な舌状部によって、かつ反対側の第2の側では第2系列の平坦な舌状部によって延長されており、平坦な舌状部は、同一系列の平坦な舌状部間に間隔を残しながら、本体の平面内に延在しており、型枠堰板はさらに、第1および第2の傾斜した舌状部のセットを有し、第1セットの傾斜した舌状部は、第1系列の2つの平坦な舌状部間の間隔内に少なくとも一部、そして好ましくは各々延在し、第2セットの傾斜した舌状部は、第2系列の2つの平坦な舌状部間の間隔内に少なくとも一部、そして好ましくは各々延在しており、第1および第2セットの傾斜した舌状部は、各々傾斜した部分と平坦な舌状部に平行に延在する平坦な遠位端部部分とを含んで、平担な中央本体から離れる方向に傾斜している。
【0009】
その平担な矩形の本体のために、ほぼ平担であるこのような型枠堰板は、小さい外形寸法を有する。これにより特に、傾斜した舌状部がスタックの上方を向いている状態で、型枠堰板をその使用前に特にパレット上に容易に積み重ねることが可能となる。
【0010】
その上、1つの堰板とその延長部分内にある1つの堰板との一体化の様式は、平坦な舌状部とそれらの間の間隔の形ですでに堰板上に存在しており、これによりこのような堰板の一体化が単純なものになる。
【0011】
このことは、堰板の2つの側の平坦な舌状部の系列の異なる分布によって可能となっており、ここでこれらの系列は相補的であり、第1の堰板の1つの側の舌状部の第1系列の舌状部は、第1の堰板の延長部分内に配置された第2の堰板の舌状部の第2系列の舌状部の間に挿入され得る。
【0012】
各傾斜した舌状部の平担な遠位端部部分は、対面して堰板の本体上に支えられるようになっており、堰板相互の暫定的安定性に少なくとも貢献し、このときこれらの堰板は1つの型枠を形成する。
【0013】
最後に、傾斜した舌状部は、対面する堰板の傾斜した舌状部とともに、対面する2つの堰板間で1つの容積を画定することを可能にし、この容積は型枠の容積を形成し、少なくとも部分的に、充填材料と呼称される材料を収容するようになっている。この容積の少なくとも一部の中に材料を少なくとも部分的に導入することにより、傾斜した舌状部を材料内に埋設し、かつこれらの傾斜した舌状部の偶発的な移動をことごとく妨げながらアセンブリの剛性を高めることを可能にし、こうして型枠は自ら維持を安定化させることになる。
【0014】
本発明の別の目的によると、
− 本体が同一の第1の平面内に配置されるような形で互いに接合している少なくとも2つの第1の型枠堰板と、
− 本体が、第1の平面とは異なりかつ第1の平面に対し平行である同一の第2の平面内に配置されるような形で互いに接合する少なくとも2つの第2の型枠堰板と、
を含み、
− 前記少なくとも2つの第1および第2の堰板は、互いに距離を置いてかつ背中合せで、すなわちその傾斜した舌状部が、第1の堰板および第2の堰板の間に間置される容積を少なくとも部分的に画定するように対面する形で配置されており、
− 前記少なくとも2つの第1および第2の堰板の傾斜した舌状部は、協働して、傾斜した舌状部により少なくとも部分的に画定された周囲を有する少なくとも3つのゾーンを前記容積内に形成するように成型されている、
ことを特徴とする、少なくとも4つのこのような型枠堰板を含む型枠が想定されている。
【0015】
型枠堰板に関してすでに言及し型枠についてもあてはまる利点に加えて、本発明に係る型枠は、型枠の内部容積を複数のゾーンに分割している。
【0016】
これにより、2つずつまとめられた4つの堰板について、材料を唯一第1のゾーンだけに充填して、このように組付けられた型枠を少なくとも予備的に維持でき、しかもこの維持が有利にも最終的なものであり続けるようにすることが可能となり、ここでこの第1のゾーンは対面した状態にある第1および第2の堰板の傾斜した舌状部のセットの協働によって画定されている。
【0017】
こうして、第1および第2の堰板について、つまり同様に一体化された他の2つの堰板と対面した少なくとも2つの一体化された堰板というような少なくとも4つの堰板について、第1のゾーン内に打設すべき材料の量は、第1および第2の堰板の間の容積全体の中に打設すべき量と比べて削減される。本発明において提案されているような傾斜した舌状部を組み合わせることにより、材料の充填のために第1および第2の堰板にほぼ直交する方向で閉鎖された少なくとも1つの第1のゾーンを得ることができ、ここから、残りの容積内の材料の損失はほとんど無くなる。
【0018】
本発明の別の目的によると、少なくとも壁か、床か、ヴォールトかまたは天井、あるいはこれらの要素のうちの少なくとも2つを含むタイプの建築アセンブリにおいて、このような少なくとも1つの型枠を含み、前記少なくとも3つのゾーンのうちの少なくとも第1のゾーンがコンクリート、セメント、粘土、または結合剤タイプの硬化性材料で充填されていることを特徴とする建築アセンブリが想定されている。
【0019】
充填された第1のゾーンは有利には、例えば、第1、第2、第3および第4の型枠堰板の傾斜した舌状部によって画定された1つのゾーンに対応する縮小されたゾーンである。この充填により、型枠の組立て安定性、そして次に機能安定性を確保することができる。材料は、硬化性であるかまたは閉鎖された袋に入っており、有利には、型枠を可能なかぎり速く固めるため速乾性である。その後、型枠の他のゾーンにも同様に、第1のゾーンの材料と類似したもの、またはそれとは異なるものであり得る材料を充填することができる。
【0020】
本発明の範囲内では、
− 少なくとも2つの第1の堰板を得るために、一方の堰板の平坦な舌状部を他方の堰板の平坦な舌状部の間の間隔の中に挿入することによって、互いの延長部分の中に配置された少なくとも2つの堰板を一体化する工程、
− 少なくとも2つの第2の堰板を得るために、一方の堰板の平坦な舌状部を他方の堰板の平坦な舌状部の間の間隔の中に挿入することによって、互いの延長部分の中に配置された2つの堰板を一体化する工程、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板および2つの第2の堰板を、それらの傾斜した舌状部が対面した形で位置づけする工程、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板の傾斜した舌状部の平坦な遠位端部部分が、前記少なくとも2つの第2の堰板上に載置されるまで、およびその逆が成立するまで、前記少なくとも2つの第2の堰板の傾斜した舌状部の間に、前記少なくとも2つの第1の堰板の傾斜した舌状部を挿入する工程、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板および第2の堰板の傾斜した舌状部が、前記少なくとも2つの第1の堰板と前記少なくとも2つの第2の堰板の間の容積の中で少なくとも3つのゾーンを少なくとも部分的に画定しており、第1のゾーンの1つの側の画定のためには、前記少なくとも2つの第1の堰板のうちの一方の堰板の傾斜した舌状部が前記少なくとも2つの第2の堰板のうちの一方の堰板の傾斜した舌状部間に挿入されており、第1のゾーンの反対側の画定のためには、前記少なくとも2つの第1の堰板のうちの他方の堰板の傾斜した舌状部が前記少なくとも2つの第2の堰板のうちの他方の堰板の傾斜した舌状部間に挿入されていること、
− 前記少なくとも2つの第1の堰板および第2の堰板の舌状部を担持していない少なくとも1つの側に、側方堰板を位置づけし維持する工程、
− 必要な場合、前記少なくとも2つの第1の堰板および第2の堰板の延長部分内に補足的堰板を位置づけするのと同時に、第1のゾーンを含めた前記少なくとも3つのゾーンを形成するため、および/または前記少なくとも2つの第1の堰板および第2の堰板に対して補足的側方堰板を位置づけするために、前述の各工程を反復する工程、
− 建築アセンブリの製造のために前記少なくとも1つの型枠の構築が完了した時点で、コンクリート、セメント、粘土または結合剤または砂袋タイプの硬化性材料を単数の第1のゾーンまたは第1のゾーンの各々の中に導入する工程、
− 必要な場合、前記少なくとも3つのゾーンの残りのゾーン内に材料を導入する工程、
を特徴とする、このような建築アセンブリの製造方法が想定されている。
【0021】
本発明の用途、目的ならび特徴および利点は、以下の添付図面によって例示されている本発明の一実施形態の詳細な説明からより良く明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る型枠堰板の一実施形態の、この実施形態についてのこの型枠堰板の寸法を伴う上面図の概略的表現である。
【
図1a】
図1の型枠堰板の横断面図の概略的表現である。
【
図2】少なくとも8個の型枠堰板を含む本発明に係る型枠の、一実施形態の側面図の概略的表現である。
【
図3】型枠堰板内に存在するさまざまな要素の詳細を伴う本発明に係る型枠堰板についての
図1に示された一実施形態の上面図の概略的表現である。
【
図4】
図3の型枠堰板の横断面図の概略的表現である。
【
図5】
図3および4に示された型枠堰板の斜視図の概略的表現である。
【
図6】少なくとも4つの型枠堰板を含む本発明に係る型枠の一実施形態の斜視図の概略的表現である。
【
図7】本発明に係る型枠の一実施形態の横断面図の概略的表現である。
【
図8】2つの壁、1つの床および1つのヴォールトを含み、本発明に係る少なくとも1つの型枠から製造された建築アセンブリの断面図の概略的表現である。
【
図9】本発明に係る少なくとも1つの型枠から製造された建築アセンブリ内のヴォールトと壁の接合部の詳細の斜視図による概略的表現である。
【
図10】2つの第2の型枠堰板に対面した2つの第1の型枠堰板を含む本発明の一実施形態に係る型枠の斜視図による概略的表現であり、この図では、型枠堰板の傾斜した舌状部により画定されたゾーンが見られる。
【
図11】
図10に係る型枠の実施形態の側面斜視図の概略的表現であり、この図では、傾斜した舌状部により画定された少なくとも3つのゾーンを識別すると共に、第1および第2の型枠堰板間の容積が特に良く見える。
【
図12】本発明に係る型枠堰板の一実施形態の側面斜視図の概略的表現である。
【
図13】
図12に係る型枠堰板の下面斜視図の概略的表現である。
【
図14】型枠堰板の輸送向けスタックの上面斜視図の概略的表現であり、各型枠堰板は、
図12および13に示されているものと類似のものである。
【0023】
図面は、例として提供されており、本発明を限定するものではない。図面は、本発明の理解を促すことを目的とする原理の概略的表現を構成しており、必ずしも実際の応用における原寸に比例しているわけではない。詳細には、異なる部品の寸法は、現実を表現するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、場合によって組み合わせて、または代替的に使用することのできる任意の特徴について以下で述べる。
− 傾斜した舌状部の各傾斜した部分は、平担な遠位端部部分と同様、中央本体に結び付けられた平坦な舌状部の部分とも一定の角度を成し、この角度は100°〜120°、好ましくは110°〜115°である。
− 前記角度は112°に等しい。
− 各々の傾斜した舌状部の傾斜した部分は、平担な連結部分により中央本体に結び付けられている。
− 中央本体の舌状部を担持しない側は、各々タブを担持している。このことは、舌状部を担持しない側への堰板の一体化にとって有利である。
− 第1の側の第1系列の平坦な舌状部は第2の側の第2系列の平坦な舌状部との関係においてずれており、第1系列の各々の平坦な舌状部は第2系列の2つの平坦な舌状部の間の間隔と整列させられており、およびその逆も成立し、2つの平坦な舌状部系列のうちの一方は他方の系列よりも1つ多い舌状部を含み、1つ多い舌状部を伴う前記平坦な舌状部系列に付随する傾斜した舌状部のセットは1つ少ない傾斜した舌状部を含んでいる。実際、以下で見ていくように、平坦な舌状部の目的は、別の型枠堰板による型枠堰板の延長を確保することにある。平坦な舌状部系列のこのような非対称性のため、第1の平坦な舌状部系列を担持する第1の堰板の第1の側を、別の堰板の第2の平坦な舌状部系列を担持する第2の側と一体化させることが可能となる。したがって、全ての型枠堰板は、場合によって型枠の端部堰板を除き同一であり、それらの舌状部系列は非対称性を有し、このため唯一のタイプの堰板のみを使用して1つの型枠を製造することが可能になる。
− 第1および第2の系列の平坦な舌状部の数はそれぞれ3つおよび4つであり、一方第1および第2のセットの傾斜した舌状部の数はそれぞれ4つおよび3つである。
− 第1および第2の系列の同一系列の平坦な舌状部の幅は、この系列の全ての舌状部について一定であり、第1および第2系列のうち一方の系列の平坦な舌状部間の間隔の幅は、もう一方の系列の平坦な舌状部の幅と等価である。
− 堰板は、木製であるかまたは凝集小片をベースとしている。
− 堰板は成形によって得られる。
− 型枠については、前記少なくとも2つの第1の堰板の傾斜した舌状部の平坦な遠位端部部分は、前記少なくとも2つの第2の堰板上に載置されており、その逆も成立する。これらの平坦な遠位端部部分は、対面する傾斜した舌状部と、型枠堰板の間のより良好な接触を可能にする。
− 型枠は、舌状部を有していない1つの側で前記少なくとも2つの第1および第2の堰板に隣接しながら前記少なくとも2つの第1および第2の堰板に対して側方に配置された型枠堰板を含み、各型枠堰板は、舌状部を担持していない各々の側に側方タブを有しており、各堰板の側方タブが、側方にかつ逆転して設置された1つの堰板の本体と協働して、2つの堰板を互いとの関係において維持している。これは、常に唯一の同じタイプの堰板を使用して側方に設置された2つの堰板を一体化する単純かつ有効な手段を表している。
− 前記2つの第1の堰板のうちの一方の堰板の平坦な舌状部は、前記2つの第1の堰板のうちの他方の堰板の平坦な舌状部の間の間隔の中に進入し、前記2つの第2の堰板のうちの一方の堰板の平坦な舌状部は、前記2つの第2の堰板のうちの他方の堰板の平坦な舌状部間の間隔の中に進入する。こうして、平坦な舌状部の延伸方向に直交する方向での舌状部間のあそびは存在し得ない。
− 前記少なくとも3つのゾーンの第1のゾーンは、一方では、前記少なくとも2つの第2の堰板のうちの一方の堰板の傾斜した舌状部間に挿入される前記少なくとも2つの第1の堰板のうちの一方の堰板の傾斜した舌状部によって、そして他方では前記少なくとも2つの第2の堰板のうちのもう一方の堰板の傾斜した舌状部間に挿入される前記少なくとも2つの第1の堰板のうちのもう一方の堰板の傾斜した舌状部によって画定されており、前記第1のゾーンは、それぞれ、前記少なくとも2つの第1および第2の堰板の互いの延長部分内の接合部のレベルに存在する。後でより詳細に説明する通り、縮小された容積の第1のゾーンの創出は、建築アセンブリが未完成の状態で組立てられている最中でさえ、型枠を固化させるために極めて有利である。
− 2つの第1および第2の堰板に付随する傾斜した舌状部はX字形を形成し、それぞれ第1のゾーンの各辺を閉鎖している。X字形形状は、第1および第2の堰板に対して横断方向で第1のゾーンの複数の側を画定するために有利であり、こうして第1のゾーンの封じ込めに貢献する。
− 建築アセンブリ内で前記少なくとも3つのゾーンのうちの少なくとも第1のゾーンには硬化性材料が充填される。
− この建築アセンブリにおいて、型枠にはネジタイプの固定用手段が横断しており、これらの固定用手段は、前記少なくとも3つのゾーンのうちの少なくとも第1のゾーンの充填後に選択的材料内に埋設される。これらの固定手段は、そのとき硬化された材料の中で型枠の固定点を形成し、型枠のさまざまな要素の互いとの関係における維持を強化し、こうして自己安定化した型枠が得られる。
【0025】
全ての図、とりわけ
図1、3〜5および11〜14を参照すると、本発明の第1の態様において、本発明は、特に
図2、6〜11において11という参照番号が付される型枠の一要素となる型枠堰板10に関する。
【0026】
型枠堰板10は、2つの相対する側の各々に2つのタイプの舌状部すなわち平坦な舌状部1、3および傾斜した舌状部4、7を担持する矩形の平担な中央本体6を含む。
【0027】
中央本体6は、第1の側で第1系列の平坦な舌状部1によって、かつ反対側の第2の側では第2系列の平坦な舌状部3によって延長されている。平坦な舌状部1、3は、同一系列の平坦な舌状部1、3間に間隔を残しながら、本体6の平面内に延在している。平坦な舌状部1、3は、有利には、矩形形状を有し、その長さは、これらの平坦な舌状部をそれぞれ担持する相対する側に直交する。
【0028】
型枠堰板10はさらに、第1および第2の傾斜した舌状部4、7;2、7のセットを有する。第1セットの各々の傾斜した舌状部4、7は、第1系列の2つの平坦な舌状部1間の間隔内に延在し、第2セットの各々の傾斜した舌状部2、7は、第2系列の2つの平坦な舌状部3間の間隔内に延在している。第1および第2セットの傾斜した舌状部4、7;2、7は、各々傾斜した部分2、4と平坦な舌状部1、3に平行に延在する平坦な遠位端部部分7とを含んで、平担な中央本体6から離れる方向に傾斜している。
【0029】
有利には、各々の傾斜した舌状部4、7;2、7は、各々の傾斜した舌状部4、7;2、7の傾斜した部分2、4の前で、
図1、1a、4、13および14に特に良く見える連結部分8によって本体6に連結され得る。この連結部分8は、有利には、平坦な舌状部1、3に対して平行に延在して平担である。
【0030】
特に
図1aおよび4に示されている通り、傾斜した舌状部4、7;2、7の各傾斜した部分2、4は、平担な遠位端部部分7と一定の角度を成し、この角度は100°〜120°、好ましくは110°〜115°である。その結果、遠位端部部分7は平坦な舌状部1、3に平行であることから、傾斜した舌状部4、7;2、7の各々の傾斜した部分2、4と中央本体6に結び付けられた平坦な舌状部1、3の部分との間には、同じ角度が存在することになる。有利には、前記角度は112°に等しい。
【0031】
本発明の好ましい一実施形態において、舌状部1、4、7;3、2、7を担持しない中央本体6の側は各々、タブ5を担持している。後で詳述する通り、このタブ5は、堰板10に対し側方に配置された堰板との関係における型枠堰板10の維持に役立つ。側方堰板とは、平坦な舌状部1、3を含まない1つの側により1つの堰板に隣接しているあらゆる堰板を意味する。
【0032】
建築アセンブリにおいては、側方堰板が、例えば壁の場合のように隣接する堰板と同じ垂直平面内で、あるいは例えばヴォールトの場合のように垂直に対してわずかに傾斜した平面内で、あるいは例えば平担な天井または床の場合のように隣接する堰板と同じ水平平面内で、その隣接する堰板の上に存在することが可能である。このことは、以下でより厳密に詳述する
図9で見ることができる。
【0033】
本発明の好ましい一実施形態において、第1の側の第1系列の平坦な舌状部1は、第2の側の第2系列の平坦な舌状部3との関係においてずれており、こうして第1系列の各々の平坦な舌状部1が第2系列の2つの平坦な舌状部3の間の間隔と整列させられており、その逆も成立する。
【0034】
この結果、
図1、3〜5および11〜14の2つの平坦な舌状部系列1、3のうちの一方、すなわち平坦な舌状部を担持する系列3は、他方の系列よりも1つ多い舌状部を含む。1つ多い舌状部を含む前記平坦な舌状部系列1に付随する傾斜した舌状部2、7のセットはこのとき、1つ少ない傾斜した舌状部2、7を含んでいる。
【0035】
特に
図10に示されている通り、これが必要となるのは、別の型枠堰板10およびその平坦な舌状部1の延長部分の中に配置される型枠堰板10aの一方の側の舌状部3が、別の型枠堰板10の舌状部1の間に進入するという事実に起因している。延長部分なる用語の意味は、平坦な舌状部1、3を担持する堰板10から離れる方向の平坦な舌状部1、3の延在方向に対し平行であることとして解釈すべきである。
【0036】
こうして、第1および第2の平坦な舌状部系列の平坦な舌状部1、3の数はそれぞれ3つおよび4つであり得、一方第1および第2の傾斜した舌状部セットの傾斜した舌状部4、7;2、7の数はそれぞれ4つおよび3つであり得る。このことは限定的ではなく、平坦な舌状部または傾斜した舌状部の数は、別の数であってよいが、間隔の内部へ傾斜した舌状部4、7;2、7の挿入を可能にする平坦な舌状部1、3間の間隔を伴うこれらの配置は、2つの平坦な舌状部系列1、3間のずれと同様に存続する。
【0037】
同様にして、第1および第2の系列の同一系列の平坦な舌状部1、3の幅は、この系列の全ての舌状部について恒常であり、第1および第2系列のうち一方の系列の平坦な舌状部1、3間の間隔の幅は、他方の系列の平坦な舌状部3、1の幅と等価である。
【0038】
有利には型枠堰板10は、木製であるかまたは凝集小片をベースとしてよい。この堰板10は、有利には成形可能なあらゆる材料で成形される。したがって型枠堰板10は、成形プロセスにより大量に再現可能である。
【0039】
図1に示されている通り、型枠堰板10は、その本体6全体が矩形で、非限定的に、タブ5を含め1.18メートルの幅と、平坦な舌状部1、3を含め1.20メートルの長さを有し得る。このような型枠堰板10の厚みは、1〜2cmであり得る。堰板10の本体6は1.04メートル×0.40メートルであり得る。平坦な舌状部1、3は、長さ0.40メートル、幅0.15メートルであり得、2つの平坦な舌状部1、3間の間隔も同様に0.15メートルであり得る。
【0040】
タブ5は、0.20つまり堰板10の本体6の幅の半分の幅を有しながら、0.07メートルだけ型枠堰板10から側方に突出し得る。
【0041】
傾斜した舌状部2、7;4、7の遠位端部部分7は、一辺が0.15メートルの正方形であり得る。連結部分8は、本体6から離れる方向に、そして平坦な舌状部1、3の長さに対して平行に幅0.15メートルを有しながら、0.10メートル延在し得る。特に
図1aに示されている通り、傾斜した舌状部2、7;4、7の傾斜した部分2、4は、0.13mの高さを有することができ、先に言及した通り、遠位端部部分7と112°という好ましい角度を成すことができる。
【0042】
型枠堰板10の1〜2センチメートルの厚みおよび軽量さにより、
図14で視覚化されている通り、多数の堰板10をパレット上に積み重ねることにより保管することができる。このため、輸送は容易になり、外形寸法は小さくなり、場合によって輸送車両の燃費が節約できる。
【0043】
本発明の第2の態様によると、本発明は、特に
図2、5〜9、10、11に例示されている型枠に関するが、これらの図に記載されていない参照番号については他の図が参照される。このような型枠は、組立てが極めて単純であり、そのため、あらゆる人がこれを使用できる。
【0044】
この型枠11は、先に説明した型枠堰板10に類似した少なくとも4つの型枠堰板10、10a、10b、10cを含んでいる。前記少なくとも4つの堰板10、10a、10b、10cは、好ましくは、それらが型枠11の端部堰板でない場合、同一である。
【0045】
このような型枠には、本体6が同一の第1の平面内に配置されるような形で互いに接合している少なくとも2つの第1の型枠堰板10、10aと、本体6が第1の平面に対し平行でありながら第1の平面とは異なる同一の第2の平面内に配置されるような形で互いに接合する少なくとも2つの第2の型枠堰板10b、10cとを含む。
【0046】
前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cは、互いに距離を置いてかつ背中合せで、すなわちその傾斜した舌状部4、7;2、7が、第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cの間に間置される容積9を少なくとも部分的に画定するように対面する形で配置されている。
【0047】
この容積9は、堰板10、10a、10b、10cの傾斜した舌状部4、7;2、7の高さにより画定され、したがって、第1の堰板10、10aと第2の堰板10b、10cの間に延在する。第1の堰板10、10aと第2の堰板10b、10cの間のその離隔距離は、0.13mであり得、これは堰板10、10a、10b、10cからはみ出す傾斜した舌状部4、7;2、7の高さに対応する。
【0048】
前記少なくとも2つの第1および第2の堰板10、10a、10b、10cの傾斜した舌状部4、7;2、7は、協働して、傾斜した舌状部4、7により少なくとも部分的に画定された周囲を有する少なくとも3つのゾーンA、Bを前記容積9内に形成するように成型されている。
【0049】
前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aの傾斜した舌状部4、7;2、7の平坦な遠位端部部分7は、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10c上に載置されていてよく、その逆も成立する。
【0050】
前記少なくとも3つのゾーンは、傾斜した舌状部1、3の長さに直交して取られた型枠11の寸法内の傾斜した舌状部4、7;2、7によって完全に画定されたいわゆる第1のゾーンAであるゾーンを含むことができる。この第1のゾーンAは、型枠11の製作の際に型枠11の安定性において1つの役割を果たすことから、以下でより厳密に記載されるものとする。
【0051】
図9に示されているように、特に側方に、すなわち平坦な舌状部1、3の長さに直交して、したがって前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cの延長方向のひと続きに直交して型枠11を拡大するために、型枠11は、側方型枠堰板10d〜10gを含んでおり、これらの堰板10d〜10gは、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cに対し側方に配置されている。
【0052】
この
図9では、この目的で、前述の通り、各型枠堰板10、10a〜10gは、舌状部1、4、7;3、2、7を担持しない各々の側に側方タブ5を有している。各堰板10b、10cの側方タブ5は、側方堰板10d、10eの本体6と協働して、2つの堰板を互いとの関係において維持する。建築アセンブリの製造中、
図10に示されている通り、タブ5は型枠11の垂直方向組立てに貢献できる。
【0053】
図9では、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aに付随する側方堰板が省略されているため、前記少なくとも2つの第2の堰板の堰板10bおよび10cのみが、側方堰板10dおよび10eを有している。堰板10bまたは10cとの関係における側方堰板10dまたは10eの位置づけの際には、堰板10bまたは10cのタブ5は、側方堰板10dまたは10eの本体の上を通過し、その逆も成立する。
【0054】
このことは、2つの第2の堰板10b、10cとの関係においてそれ自体側方に配置されている側方堰板10dまたは10eに対して側方に配置された側方堰板10fまたは10gについて適用可能であり続け、以降も同様である。当然のことながら、このことは、
図9には例示されていないものの、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aについて有効である。
【0055】
図9では、側方堰板10d〜10gは、それぞれの隣接堰板の上方にあり、ほぼ垂直なアセンブリを形成する。この場合、前記少なくとも3つのゾーンの単数または複数の第1のゾーンAは、重ね合わされた隣接する堰板の系列10c、10e、10g;10b、10d、10fに対して横断方向でほぼ垂直に延在する。このことは、重力によって容易になる第1のゾーンAの充填にとって有利であり、ここで材料は、最も高い最後の側方堰板10f、10gから単数または複数の第1のゾーンAへの充填が開始された時点で、単数または複数の第1のゾーンA全体の中により容易に、有利には流動しながら進入する。
【0056】
全ての図を参照すると、好ましい一実施形態において、前記2つの第1の堰板10、10aのうちの一方の堰板10の平坦な舌状部1、3は、前記2つの第1の堰板10、10aのうちの他方の堰板10aの平坦な舌状部1、3の間の間隔の中に進入し、その逆も成立する。同様にして、前記2つの第2の堰板10b、10cのうちの一方の堰板10bの平坦な舌状部1、3は、前記2つの第2の堰板10b、10cのうちの他方の堰板10cの平坦な舌状部1、3間の間隔の中に進入し、その逆も成立する。
【0057】
このことは、型枠堰板10の2つの側の各々での平坦な舌状部1、3のずれによって、および平坦な舌状部1、3と同一系列の舌状部1、3の各々を分離するそれらの間隔の幅が同じであることによって、可能になっている。
【0058】
全ての図そして詳細には
図1a、2、6、7、10および11を参照すると、本発明の好ましい一実施形態において、前記3つのゾーンA、Bの第1のゾーンAは、一方では、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10cのうちの一方の堰板10bの傾斜した舌状部4、7;2、7間に挿入される前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aのうちの一方の堰板10の傾斜した舌状部4、7;2、7によって画定されている。
【0059】
他方では、第1のゾーンAは、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10cのうちの他方の堰板10cの傾斜した舌状部4、7;2、7間に挿入される前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aのうちのもう一方の堰板10aの傾斜した舌状部4、7;2、7によって画定されている。第1のゾーンAは、それぞれ、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cの互いの延長部分内の接合部のレベルに存在する。
【0060】
この実施形態において、2つの第1および第2の堰板10、10b、10a、10cに付随する傾斜した舌状部4、7;2、7は、X字形を形成し、それぞれ第1のゾーンAの各側を閉鎖している。したがって、第1のゾーンAは、第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cのそれぞれの延長部分に直交する堰板10、10a、10b、10cの横断方向において区画化される。
【0061】
特に
図11を見れば分かるように、第1のゾーンAは、ゾーンBの断面よりも縮小された断面を有し、第1および第2の補足的堰板が前記少なくとも2つの第1および第2の堰板10、10b;10a、10cに付加された場合にしかその2つの相対する側で区画化されないゾーンBに比べて、より良く区画化されている。ゾーンAは、その各側でゾーンBにより取囲まれている。
【0062】
したがって、複数の堰板10、10a〜10gの組立てにより、壁、ヴォールトまたは他の建築アセンブリを構築するのに役立つ自己安定化型の捨て型枠11の製作が可能になる。
【0063】
全ての図、特に
図8を参照すると、本発明の別の態様によると、本発明は、少なくとも壁13または床14またはヴォールト15または天井16を含むタイプの建築アセンブリ12〜15において、このアセンブリが少なくとも1つの型枠11を含み、前記少なくとも3つのゾーンA、Bがコンクリート、セメント、粘土、藁、土、結合剤タイプの選択的材料で充填されている建築アセンブリに関する。このようなアセンブリは同様に、これらの要素12〜15のうちの2つまたは複数を含むことができ、あるいは、これらの要素12〜15の全てを含んで、完全な建築アセンブリを形成することもできる。
【0064】
全く限定的な意味なく、一例として、床14は4メートルの長さ、壁13は2.03mの高さを有することができ、天井16は、壁13との関係においてヴォールト要素15により嵩上げされて3.42メートルの高さを有することができる。
【0065】
全ての図を参照すると、2つの第1の堰板10、10aおよび2つの第2の堰板10b、10cを含む各型枠11について第1のゾーンAが存在し得る。型枠11は、2つ超の第1および第2の堰板10、10a、10b、10cを含み得ることから、有利には、2つの第1の堰板および2つの第2の堰板の群10、10a、10b、10cと同数の第1のゾーンAが存在し得る。
【0066】
型枠11の単数または複数の第1のゾーンAおよび他のゾーンBは、逐次的に充填され得、まずは型枠を固化させるために第1のゾーンAを、その後場合によっては他のゾーンBの残りを充填することができる。単数または複数の第1のゾーンAの材料は、硬化可能で、有利には速硬性であって、型枠11を最も急速に固化させることができる。
【0067】
1つまたは複数の第1のゾーンAの、例えばコンクリート、セメント、圧縮粘土、または有利には硬化可能な他のあらゆる材料による充填は、型枠堰板10、10a〜10d相互間の離隔を防ぐ。
【0068】
本発明の好ましい一実施形態において、型枠11には、ネジタイプの固定用手段が横断していてよく、図示されていないこれらの固定用手段は、前記少なくとも3つのゾーンA、Bのうちの少なくとも1つの充填後に、選択的材料内に埋設される。全ての固定は、5センチメートル超のネジにより型枠11の外側から内側に向かうネジ締めにより行なわれる。このことは、限定的ではないが特に単数または複数の第1のゾーンAに有効である。
【0069】
単数または複数の第1のゾーンAの硬化後、ゾーンBを、コンクリート、土または藁といったあらゆる種類の材料で充填することができる。同様に、関連する建築アセンブリが強化された安定性を有する必要がない場合には、これらのゾーンに充填しないことも可能である。
【0070】
図8を見れば分かるように、本発明によると、直線要素およびアーチ形要素を含むことのできる建築アセンブリを実現することができる。これらの建築アセンブリは、例えば住宅を形成することができる。1つの型枠堰板を高さ方向で2つに切断して、型枠11の2つの縁部堰板を得ることができる。
【0071】
全ての図を参照すると、本発明の最後の態様によると、本発明は、少なくとも2つの第1の堰板10、10aを得るために、一方の堰板の平坦な舌状部1、3を他方の堰板の平坦な舌状部3、1間の間隔の中に挿入することによって互いの延長部分の中に配置された少なくとも2つの堰板10、10aを一体化する工程を伴う、建築アセンブリ12〜15の製造方法に関する。
【0072】
並行して、少なくとも2つの第2の堰板10b、10cを得るために、一方の堰板の平坦な舌状部1、3を他方の堰板の平坦な舌状部間の間隔の中に挿入することによって互いの延長部分の中に配置された2つの堰板を一体化する工程も実施される。
【0073】
方法の後続する工程は、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび2つの第2の堰板10b、10cを、それらの傾斜した舌状部4、7;2、7が対面した形で位置づけする工程、そしてその後、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aの傾斜した舌状部4、7;2、7の平坦な遠位端部部分7が、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10c上に載置させられるまで、およびその逆まで、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10cの傾斜した舌状部4、7;2、7間に前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aの傾斜した舌状部4、7;2、7を挿入する工程に関する。堰板10、10a、10b、10cに接して対面して置かれるのは、傾斜した舌状部4、7;2、7の有利には平坦である遠位端部7である。
【0074】
前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cの傾斜した舌状部4、7;2、7は、このとき前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aと前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10cの間の容積9の中で少なくとも3つのゾーンA、Bを少なくとも部分的に画定している。
【0075】
第1のゾーンAの1つの側は、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10cのうちの一方の堰板10bの傾斜した舌状部4、7;2、7間に挿入されている、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aのうちの一方の堰板10の傾斜した舌状部4、7;2、7によって画定される。第1のゾーンAの反対側のもう一つの側は、前記少なくとも2つの第2の堰板10b、10cのうちのもう一方の堰板10cの傾斜した舌状部4、7;2、7間に挿入されている、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aのうちのもう一方の堰板10aの傾斜した舌状部4、7;2、7によって画定されている。したがって、第1のゾーンAは、容積9内で堰板10、10a、10b、10cに対して横断方向に、すなわち型枠堰板10、10a、10b、10cの平坦な舌状部1、3に直交して、このように画定されている。
【0076】
次の工程は、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cの舌状部を担持していない少なくとも1つの側に、側方堰板10e〜10gを位置づけし維持する工程である。これは、前記側方堰板10e〜10gの各々を、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cのうちのその堰板との関係においてタブ5により維持することによって、およびその逆によって行なうことができる。
【0077】
必要な場合、連続した2つ以上の第1および第2の堰板10、10a、10b、10cおよび場合によって複数の側方堰板10e〜10gを含む型枠11については、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10c内に補足的堰板を位置づけするのと同時に、第1のゾーンAを含めた前記少なくとも3つのゾーンA、Bを形成するため、前述の各工程が反復される。
【0078】
このことは同様に、補足として、あるいは代替として、前記少なくとも2つの第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cに対して補足的側方堰板10f、10gを位置づけするためにも実施され得る。これらの補足的側方堰板10f、10gは、例えば、すでに位置づけされた側方堰板10e、10fとの関係において、または第1の堰板10、10aおよび第2の堰板10b、10cの平坦な舌状部1、3が備わっていない他方の反対の側に位置づけされ得る。
【0079】
本発明の方法の最後の2つの工程においては、建築アセンブリ12〜15の製造のために前記少なくとも1つの型枠11の構築が完了した時点で、コンクリート、セメント、粘土または結合剤タイプの材料が、単数の第1のゾーンAまたは第1のゾーンA各々の中に、有利には流し込みにより導入され、その後場合によっては、前記少なくとも3つのゾーンA、Bの残りのゾーンB内に材料が導入される。
【0080】
前述の全ての特徴と組み合わせることのできる別の一実施形態によると、本発明は、凝集小片からなる成形木材または他のあらゆる成形可能な製品で成形された型枠堰板に関する。
【0081】
図14に視覚化されている通り、堰板の1cm〜2cmの厚み、および軽量さによって、多数の堰板をパレット上で積み重ねることにより保管することが可能となり、輸送の容易さ、燃費の節約および小さい外形寸法が確保される。組立てが単純であることから、あらゆる人が使用できる。
【0082】
図1によって寸法が詳述されている堰板は、成形木材または他のあらゆる成形可能な製品での成形により製造される。これらの堰板を複数組立てることによって、壁、ヴォールトまたは他の構造物を建設するための自己安定化型の捨て型枠を作製することができる。
図2、10および11に提示されているこの型枠は、これらの同一の堰板4つの組み合わせにより、コンクリートまたは圧縮粘土を充填した後の堰板同士の離隔を防ぐゾーンAを含んでいることを特徴としている。ゾーンAの硬化後、続いてゾーンBに、コンクリート、土または藁などのあらゆる種類の材料を充填することができる。
【0083】
堰板は、水平方向の組立てを可能にする一方の側に3つ、他方の側に7つの計7つの15cmの水平方向部分および、垂直方向の組立てのための、堰板の上方に1つ下方に1つの計2つの7cmのタブで構成されている。13cmという型枠の奥行を実現するためには、堰板は、
図3、4、5、6および7に印付けされている1つの平担な表面で終わる112°傾斜した7つの舌状部により互いに背中合せで固定されている。2つのタブは、上部および下部ゾーンの背面に設置される。奥行方向の組立ては、堰板上で舌状部を背中合せに固定することによって行なわれる。全ての固定は、30型枠の充填用製品内に埋設される5cm超のネジを用いて、型枠の外側から内側に向かうネジ締めにより行なわれる。
【0084】
図8に示されているように、この方法は、直線およびアーチ形の住宅を実現できるようにする。高さ方向に2つに切断された堰板が、2つの縁部堰板となる。
図12および
図13は、堰板を3次元で視覚化している。この堰板は、成形プロセスによって無限に再現可能である。
【0085】
本発明に係る堰板は、以下の特徴を有することができる。
【0086】
堰板は、凝集小片でできた成形木材または他のあらゆる成形可能な製品で成形された型枠堰板であり、これらの同一の堰板4つの組み合わせにより、コンクリートまたは圧縮粘土を充填した後の堰板同士の離隔を防ぐゾーンAを含んでいることを特徴としている。
【0087】
堰板には、
図3、4、5、6および7に印付けされている1つの平担な表面で終わり112°傾斜し、堰板を互いに背中合せで固定できるようにする7つの舌状部が備えられている。
【0088】
堰板には、
図3および5にある通り、堰板の水平方向の組立てを可能にする15cmの水平方向部分が7つ備えられている。
【0089】
堰板には、垂直方向の組立てのための7cmの2つのタブが、堰板の上方および下方に備えられている。
【0090】
本発明は、以上で説明されている実施形態に限定されず、クレームにより網羅される全ての実施形態に及ぶものである。
【符号の説明】
【0091】
1 平坦な舌状部
2 傾斜した部分
3 平坦な舌状部
4 傾斜した部分
5 タブ
6 本体
7 遠位端部部分
8 連結部分
9 容積
10 型枠堰板
10a 第1の堰板
10b、10c 第2の堰板
10d〜10g 側方堰板
11 型枠
12 建築アセンブリ
13 壁
14 床
15 ヴォールト
16 天井
A、B ゾーン
【国際調査報告】