特表2017-515071(P2017-515071A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515071(P2017-515071A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】摩擦材料及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 13/62 20060101AFI20170512BHJP
   F16D 23/06 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   F16D13/62 A
   F16D13/62 Z
   F16D13/62 B
   F16D23/06 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-565372(P2016-565372)
(86)(22)【出願日】2015年3月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月28日
(86)【国際出願番号】US2015018736
(87)【国際公開番号】WO2015167663
(87)【国際公開日】20151105
(31)【優先権主張番号】61/985,646
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516323002
【氏名又は名称】ステファヌッティ、 ポール エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌッティ、 ポール エイ.
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA12
3J056AA57
3J056AA63
3J056AA65
3J056AA70
3J056BA02
3J056BB50
3J056BC03
3J056CA03
3J056CA04
3J056CA17
3J056EA03
3J056EA13
3J056EA14
3J056EA17
3J056EA18
3J056EA26
3J056EA30
3J056FA03
3J056FA09
3J056GA05
3J056GA08
3J056GA12
(57)【要約】
本開示の1つの例示的な態様は、摩擦材料を形成する方法に関する。この方法は、粒子が複数の突出部と隣接する突出部の間の溝とを提供するように複数の粒子を基材に堆積させることを含む。本開示はまた、摩擦材料自体と、機械部品及び摩擦材料を含むシステムとに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦材料を形成する方法であって、
粒子が複数の突出部と隣接する突出部の間の溝とを提供するように複数の粒子を基材に堆積させること
を含む方法。
【請求項2】
堆積させた粒子に樹脂を塗布すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
堆積させた粒子に樹脂を塗布するステップは前記粒子を前記基材に堆積させた後に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溝に隣接する堆積させた粒子によってよりも前記突出部に隣接する堆積させた粒子によってより多くの樹脂が吸収される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記突出部が平らな輪郭を示すように突前記突出部を機械加工すること
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の粒子を圧縮すること
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記摩擦材料は前記溝が設けられた場所でよりも前記突出部が設けられた場所でより高い密度を示し、前記摩擦材料は前記溝が設けられた場所でよりも前記突出部が設けられた場所でより滑らかな表面仕上げを示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
摩擦材料であって、複数の粒子によって設けられる加工層を含み、前記加工層は第1の表面仕上げと第1の密度とを有する第1部分を含み、前記加工層は前記第1の表面仕上げとは異なる第2の表面仕上げと前記第1の密度とは異なる第2の密度とを有する第2部分を更に含む、摩擦材料。
【請求項9】
前記複数の粒子が取り付けられた基材を更に含む、請求項8に記載の摩擦材料。
【請求項10】
前記第1の表面仕上げは前記第2の表面仕上げよりも滑らかであり、前記第1の密度は前記第2の密度よりも大きい、請求項8に記載の摩擦材料。
【請求項11】
前記加工層は複数の第1部分と複数の第2部分とを含む、請求項8に記載の摩擦材料。
【請求項12】
前記第1及び第2部分は交互の配置で設けられている、請求項11に記載の摩擦材料。
【請求項13】
前記摩擦材料は、シンクロナイザーリング、クラッチ板、トルクコンバーターのうちの1つに設けられている、請求項8に記載の摩擦材料。
【請求項14】
システムであって
機械部品と、
前記機械部品に接続された摩擦材料と
を含み、
前記摩擦材料は、複数の粒子によって設けられた加工層を含み、前記加工層は第1の表面仕上げと第1の密度とを有する第1部分を含み、前記加工層は前記第1の表面仕上げとは異なる第2の表面仕上げと前記第1の密度とは異なる第2の密度とを有する第2部分を更に含む、システム。
【請求項15】
前記複数の粒子が取り付けられた基材を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の表面仕上げは前記第2の表面仕上げよりも滑らかであり、前記第1の密度はぜん器第2の密度よりも大きい、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記加工層は複数の第1部分と複数の第2部分とを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1及び第2部分は交互の配置で設けられている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記機械部品は、シンクロナイザーリング、クラッチ板、及びトルクコンバーターのうちの1つである、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記摩擦材料は接着剤によって前記機械部品の半径方向内側面に接続されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は2014年4月29日に出願された米国仮出願第61/985646号の利益を主張するものであり、上記米国仮出願の全体が参照により本明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
高トルクの用途に使用される摩擦材料は、高温に耐える必要がある。一例の用途は、一般にマニュアル及びデュアルクラッチ変速機に見られるシンクロナイザーリングとの関連である。シンクロナイザーリングは、複数の歯を有する外側面と、接着剤によって結合された摩擦材料を有する内側面とを含むことが知られている。
【0003】
1つの既知のタイプの摩擦材料は、機械加工による(すなわち、切削された)溝を含む。これらの摩擦材料は、全体にわたって一貫した密度及び表面仕上げを含む。第2のタイプの既知の摩擦材料も、プレス加工又は成形された溝と、全体にわたって一貫した表面仕上げとを含む。しかしながら、第1のタイプとは異なり、プレス加工/成形された溝内の材料は、隣接する高くなった材料に対して増大した密度を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な態様による摩擦材料を形成する方法は、特に、粒子が複数の突出部と隣接する突出部の間の溝とを提供するように複数の粒子を基材に堆積させることを含む。
【0005】
本発明の例示的な態様による摩擦材料は、特に、複数の粒子によって提供される加工層を含む。加工層は、第1の表面仕上げと第1の密度とを有する第1部分を含む。加工層は更に、第1の表面仕上げとは異なる第2の表面仕上げと第1の密度とは異なる第2の密度とを有する第2部分を含む。
【0006】
本開示の例示的な態様によるシステムは、特に、機械部品と、機械部品に接続された摩擦材料とを含む。摩擦材料は、複数の粒子によって提供される加工層を含む。加工層は、第1の表面仕上げと第1の密度とを有する第1部分と、第1の表面仕上げとは異なる第2の表面仕上げと第1の密度とは異なる第2の密度とを有する第2部分とを更に含む。
【0007】
先行する段落、特許請求の範囲、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替案は、それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴を含め、別々に又は任意の組み合わせで取り入れることができる。一実施形態に関連して説明した特徴は、このような特徴が不適合でない限り、全ての実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は、以下のように簡単に説明することができる。
図1】例示的な機械部品を示し、例示的な機械部品はこの実施例ではシンクロナイザーリングである。
図2】開示された摩擦材料の例示的な製造方法を示すフローチャートである。
図3図2の方法で使用することができるホッパーアセンブリを模式的に示す。
図4A】例示的な摩擦材料の断面図であり、様々な形成段階での摩擦材料を示す。
図4B】例示的な摩擦材料の断面図であり、様々な形成段階での摩擦材料を示す。
図5図1の丸で囲まれた領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は例示的な機械部品を示し、例示的な機械部品は図示の実施例ではシンクロナイザーリング10である。シンクロナイザーリング10が示されているが、当然のことながら本開示はシンクロナイザーリングを超えている。本開示は、クラッチ板及びトルクコンバーターを含むが、これらに限定されない、他の高トルクの用途のような他の用途に有用である。
【0010】
シンクロナイザーリング10は、その半径方向外側面14から延びる歯12を含む。動作中、シンクロナイザーリング10の半径方向内側面16は、大量の熱にさらされる。半径方向内側面16は、接着剤によって半径方向内側面16に結合された摩擦材料18を含む。シンクロナイザーリング10は、例として鋼又は真鍮から作られることができる。
【0011】
図2は、本開示による摩擦材料18を形成するための例示的な方法20を示す。方法20において、ステップ22で、複数の粒子24(図3)を基材26に堆積させる。粒子24は、炭素、シリカ、ガラス、及びバーミキュライトを含むあらゆる材料から選択されることができる。いくつか例を挙げると、基材26は、炭素繊維織物、紙、繊維、アラミド、又は布材料であることができる。一実施例において、図3に示すように、ホッパー28と、複数の細長い開口32を含むスプレッダー30とを通して、粒子24を基材26に堆積させる。スプレッダー30はすべての実施例で必要ではない。
【0012】
ステップ22の結果を図4Aに示す。図4Aにおいて、摩擦材料18は、基材26と、粒子24によって設けられる加工層34とを含む。加工層34は、基材26の反対側に複数の突出部36を含む。突出部36は、スプレッダー30の細長い開口32に起因する粒子の蓄積によってもたらされる。
【0013】
ステップ22の後、突出部36には必然的に丸い輪郭38が設けられている。また、突出部36は距離D1だけ離間している。距離D1は、特定の用途に応じて(例えば、シンクロナイザーリング10のサイズに応じて)変えることができる。一実施例において、距離D1は0.1875〜0.5インチ(0.47625〜1.27センチメートル)の範囲にある。ある特定の実施例において、D1は0.375インチ(0.9525センチメートル)である。
【0014】
隣接する突出部36の間の空間は溝40を画定する。溝40において、摩擦材料18は高さD2を有する。高さD2は、一部の実施例では比較的小さいことができる。特に一実施例において、距離D2は溝40の境界が基材26によって提供されるようになっていてもよい。一方、摩擦材料18は、突出部36の丸い輪郭38において高さD3を有する。距離D3は距離D2よりも大きい。
【0015】
ステップ22の後、ステップ42で、摩擦材料18に樹脂R(図4Aに模式的に示される)を塗布する。加工層34を構成する粒子24は樹脂Rを吸収する。ステップ42は、適切な飽和のレベルを確実にするために繰り返すことができる。
【0016】
ステップ44で、これまでの丸い輪郭38を本質的に平らにするように突出部36を機械加工(例えば、サンディング)する。平らにされた高さはD4で示される。高さD4は、一実施例においてD3よりも小さく、D2よりも大きい。図4Aは、突出部36の平らな輪郭46を仮想線で示す。図4Bは、平らな輪郭46を見せる機械加工された突出部36を示す。
【0017】
ステップ48で、摩擦材料18を、この実施例ではシンクロナイザーリング10である機械部品に取り付ける。図5に模式的に示される一実施例において、摩擦材料18は、接着層50によってシンクロナイザーリング10の半径方向内側面16に結合されている。適切な結合を確実にするために、摩擦材料18、接着層50、及びシンクロナイザーリング10に熱Hと圧力Pが加えられる。接着層50は、高温の用途に適したあらゆる既知のタイプの接着剤であることができる。接着層50は、摩擦材料18の半径方向内側の加工面53の反対側にある摩擦材料18の外側面51との間に設けられている。
【0018】
ステップ48の結果を図5に示す。図5において、加工層34は、摩擦材料18が全体にわたって実質的に均一な高さD5を有するように圧縮される。高さD5は、一実施例において高さD2以下である。
【0019】
圧縮されたとき、加工層34は、第1部分52と第2部分54とを交互に有する。この実施例において、第1部分52は、突出部36が設けられた場所に対応する(突出部36は図5に仮想線で示されている)。一方、第2部分54は、溝40が設けられた場所に対応する(溝40は図5に仮想線で示されている)。
【0020】
ステップ44の機械加工により、第1部分52は、第2部分54の表面仕上げよりも滑らかな第1の表面仕上げを有する。第2部分54はステップ44で機械加工されていないので、第2部分54は(例えば、堆積させた粒子24の未加工の性質により)より粗い、より粒状の表面仕上げが残されている。
【0021】
また、第1部分52はかつて突出部36が存在していた場所に対応するため、第1部分52は第2部分54よりも密になっている。この密度の増加の理由は2つある。第一に、溝40に隣接する場所よりも突出部36を形成するより多くの粒子が存在していた。従って、ステップ42で、より多くの樹脂Rが突出部36によって吸収された。第二に、ステップ44の後も、平らにされた突出部36は溝40に隣接する高さD2よりも大きな高さD4を有していた。従って、ステップ48で圧縮されたとき、第1部分52の粒子は第2部分54の粒子よりも緊密に押し固められる。
【0022】
異なる第1及び第2部分52、54を提供することによって、摩擦材料18は、加工面53において第1部分52の比較的滑らかな表面により優れた摩耗特性を示す。摩擦材料18はまた、加工面53において第2部分54の粒状の表面仕上げにより優れた摩擦特性を示す。第2部分54の粒状の性質はシンクロナイザーリング10の半径方向内側面16に隣接する冷却流体(例えば、油)の薄い膜を破るのに役立つので、第2部分54の摩擦特性は特に冷間シフトに有益である。
【0023】
また、第1部分52が第2部分54よりも高い密度を有するため、冷却流体が第2部分54に向けられ、比較的低密度の第2部分54を通って摩擦材料18に染み渡ることができ、シンクロナイザーリング10と摩擦材料18自体の冷却を向上させる。この冷却の向上は、その結果、シンクロナイザーリングの性能を高め、シンクロナイザーリングと摩擦材料の両方の寿命を延ばす。
【0024】
図3の実施例において、開口32は互いに平行に延びる直線状の開口である。これにより、摩擦材料18に直線状の平行な複数の第1及び第2部分52、54が設けられる。しかしながら、ジグザグなどの他のパターンも本開示の範囲に該当する。平行な第1及び第2部分52、54が上述されているが、シンクロナイザーリング10の半径方向内側面16は円錐形であることもできるので、第1及び第2部分52、54は半径方向内側面16に取り付けられたときに平行でなくてもよい。
【0025】
様々な実施例が図に示される特定の構成要素を有するが、本開示の実施形態はそれらの特定の組み合わせに限定されるものではない。1つの実施例の一部の構成要素又は特徴を別の実施例の特徴又は構成要素と組み合わせて使用することができる。
【0026】
当業者は上述の実施形態が例示的且つ非限定的であることを理解するであろう。すなわち、本発明の変更例は特許請求の範囲に入る。従って、以下の特許請求の範囲は、その真の範囲及び内容を定めるために検討されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】