特表2017-515648(P2017-515648A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-515648非水性流体を用いたエレクトロクロミックフィルムからの粒子除去
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515648(P2017-515648A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】非水性流体を用いたエレクトロクロミックフィルムからの粒子除去
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/08 20060101AFI20170519BHJP
   G02F 1/15 20060101ALI20170519BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20170519BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20170519BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20170519BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170519BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20170519BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
   B08B3/08 Z
   G02F1/15 505
   G02F1/13 101
   B08B3/02 A
   B08B3/10 Z
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H05B33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-555466(P2016-555466)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月2日
(86)【国際出願番号】US2015018980
(87)【国際公開番号】WO2015134756
(87)【国際公開日】20150911
(31)【優先権主張番号】14/198,824
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514311553
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴェー・カルヴァイト
(72)【発明者】
【氏名】サティヤ・アッジャラプ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・クリストフ・ギロン
【テーマコード(参考)】
2H088
2K101
3B201
3K107
【Fターム(参考)】
2H088FA19
2H088FA21
2H088FA23
2H088FA30
2H088HA02
2H088HA04
2H088MA20
2K101AA22
2K101DA01
2K101EH12
2K101EH61
2K101EJ31
2K101EK05
3B201AA01
3B201AB14
3B201BA02
3B201BB22
3B201BB81
3B201BB83
3B201BB95
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC23
3K107CC29
3K107CC33
3K107CC45
3K107EE21
3K107GG22
(57)【要約】
種々のエネルギー生成または制御デバイス、例えば、エレクトロクロミックデバイス、リチウム電池、および光電池を構成するフィルムのいくつかは、ある程度、水分に感受性である。該フィルムは、製造の際の特定の段階において水分に特に脆弱である場合がある。粒子状物を表面から洗い流すことができることが製造の際に高度に望ましいこともある。粒子状物は、ある製造プロセス態様で発生し得、または該製造が行われる環境から生じ得る。本明細書に記載のこの概念は、典型的な洗浄プロセスに関連するダメージを負うことなく表面から粒子を除去する方法を示し、結果として、より高い製造収率およびより良好なデバイス性能をもたらす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面を作製する方法であって、作製されている表面を非水性液体に曝すことを含み、表面が、0.1ミクロン〜1000ミクロンの範囲のサイズを有する粒子状材料を含む、方法。
【請求項2】
基板の層をパターン化することをさらに含み、粒子状材料が、パターン化の際に発生し、表面を曝すことが、層をパターン化した後で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非水性液体が、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または非水性界面活性剤を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
非水性液体が、1〜12個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を有するフルオロカーボンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
非水性液体が、活性含量に基づいて重量基準で1ppm〜50,000ppmの範囲のフッ化物濃度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
表面が、シリケートガラス、非シリケートガラス、結晶、アモルファス半導体、ポリマー、コポリマー、液晶ポリマー、無機材料のフィルム、有機材料のフィルム、または有機材料と無機材料との複合体を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
表面が、エレクトロクロミックデバイス、電池、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイデバイス、有機発光ダイオードデバイス、または天頂双安定デバイスの導電層である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
表面が、エレクトロクロミックデバイス、電池、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイデバイス、有機発光ダイオードデバイス、または天頂双安定デバイスの非導電層である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
非水性液体が、作用する表面から粒子を取り除くのに十分な速度のストリームまたはジェットの形態で表面に送達される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
表面が、エレクトロクロミックデバイスの導電層である、請求項1〜7および9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
非水性液体が、10%未満の水、5%未満の水、1%未満の水、0.1%未満の水、または0.01%未満の水を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
非水性液体が、0.0デバイ〜1.1デバイの範囲の極性を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
非水性液体が、1.4デバイ〜5.0デバイの範囲の極性を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
粒子状材料が、1ミクロン〜500ミクロン、または2ミクロン〜250ミクロンの範囲のサイズを有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
エネルギーが印加され、該エネルギーが、液体の超音波撹拌、バブルジェット(登録商標)撹拌、液体の熱的加熱、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
構造体、例えば、建造物、船舶、航空機、電車、バスまたは車に恒久的に取り付けられる大面積の電子エネルギー制御、ディスプレイまたは照明製品は、電子的および光学的に活性な媒体が近接電極間に含まれている電子または電気光学デバイス(まとめて「電子エネルギー制御デバイス」)、例えば、エレクトロクロミック、有機発光ダイオード、エレクトロルミネッセンス、電気反射、液晶、および他のモノシリックディスプレイまたは照明デバイスを含み得る。かかる電子エネルギー制御デバイスによって作り出される照明またはディスプレイの外観は、電極間の電位を局所的に変更する活性または不活性媒体における欠陥の存在により負の影響を受ける場合がある。
【0002】
電子エネルギー制御デバイスはまた、小面積、例えば、ディスプレイ、照明器、視覚システム、センサ、および同様のデバイスにわたる光透過率を変更するのに用いられることもある。欠陥の望ましくない影響は、デバイスのサイズが欠陥によって影響される面積と同等またはさらにはより小さくなるとき、さらに大きくなる。
【0003】
例えば、エレクトロクロミックデバイスは、該デバイスを例えば多かれ少なかれ透明もしくは反射性にするように、または該デバイスが所望の着色を有するように、電位の印加に応じて光学特性を変化させることが知られているエレクトロクロミック材料を含む。
【0004】
エレクトロクロミックデバイスの製造は、基板、例えば、ガラス上に、導電性のエレクトロクロミック材料からなる複数の層を含むエレクトロクロミック(EC)フィルムスタックを形成することを典型的には含む。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,321,544号、同第6,856,444号、同第7,372,610号および同第7,593,154号を参照されたい。製造プロセスの間、欠陥がECフィルムの層のうち1つ以上に形成される場合があり得、これにより、エレクトロクロミックデバイスは、該デバイスが電位の印加によって操作されるとき、欠陥の箇所においてまたはその付近において所望されるものとは異なる光学挙動を有するまたは所望の光学挙動を欠失することとなる可能性がある。欠陥は、例えば異物によって引き起こされる、ECフィルムスタックの導電層間の電気的短絡、または、ECフィルムスタックの層のうち1つ以上における材料の不均一性もしくは擦傷であり得、これにより、ECデバイスが、操作されるとき、欠陥の箇所において、所望される光学特性とは異なる光学特性を有することとなり、また、欠陥に隣接する箇所においてかかる異なる光学特性を呈することとなる。そのため、欠陥によって、ECデバイスが操作されるとき望ましくない審美的外観を有することとなり得る。
【0005】
欠陥を修復するための種々の技術が知られており、電子エネルギー制御デバイス、例えば、エレクトロクロミックデバイスにおいて製造の際に実施され得るが、いくつかの欠陥は、最終の製造された電子エネルギー制御デバイス製品に依然として残存し得る。例えば、最終の製造されたエレクトロクロミックデバイス製品に含まれるエレクトロクロミックデバイス、例えば、断熱ガラスユニット(IGU)は、エレクトロクロミックデバイスが通電状態と非通電状態との間を推移するときのみ可視である欠陥と、可視または近赤外光において可視でない欠陥とを含む場合がある。多くの場合、かかる欠陥は、例えば、高層ビルにおける外側の窓としてエレクトロクロミックデバイス製品を設置した後にのみ気付かれ、または出現する。欠陥が生じた後に修復しようとするよりも欠陥の原因を排除することが常により望ましい。
【0006】
欠陥の総数を低減すること、または、可能な場合には、全ての可視もしくは非可視欠陥を完全に排除することが望ましい。ECデバイス、または関連デバイスの製造の際に、粒子状材料または他の汚染物質が混入される場合がある。例えば、エレクトロクロミックデバイスにおいてフィルムスタックを堆積するための真空プロセスは、下部導電体を適当な電気回路内にパターン化する目的で、上部導電体および下部導電体の堆積の間のある点において中断される場合がある。(適切な電気接続がなされて電圧が印加され得るように)下部導電体をパターン化した後、残りのフィルムスタックの堆積によってECデバイス加工を継続させる。粒子は、除去、パターン化、および2つの堆積工程間の他の工程によって発生し得、上記に記述しているようなオペレータに可視となり得る欠陥を含めて、完成されたECデバイスにおいて可視欠陥を有する可能性がある。
【0007】
粒子状汚染物質を除去するための従来的な水適用は、いくつかの場合において、ウォータースポット、染み、または水流パターンを残す場合がある。基板は、水処理または洗浄に曝される基板または表面の性質に応じて、漂白し、変色し、または電気的効率が低くなる場合がある。最悪のシナリオでは、水が、ECデバイスの着色の均一性の差異をもたらすことになる。かかる水誘発欠陥は、エレクトロクロミックデバイスの動的スイッチングの際にのみ現れて、検出を困難にし、なおさらにはデバイスのユーザにとって魅力のないものにする場合がある。ECデバイスまたは他の同様のデバイス(ECデバイス、フォトクロミックデバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード、電池、または他の別々のもしくは独立した用途での個々の薄膜材料)に存在するいずれの材料表面またはフィルムスタックも劣化させることなく、製造プロセスの際に発生する粒子状材料または他の汚染物質を除去することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
方法は、基板と連通して堆積されるフィルムまたはコーティング材料の受容のための基板を作製することを含むことができる。
【0009】
実施形態において、方法は、基板と連通して堆積されるフィルムまたはコーティング材料の受容のための基板を作製することを含むことができ、基板は、粒子状物質によって少なくとも部分的に汚染されている。
【0010】
さらなる実施形態において、基板の表面を作製する方法は、非水性液体のストリームを方向付けるまたは他の場合には基板を非水性液体に曝すことにおいて、該表面が粒子状材料を含んでいることと;非水性液体の少なくとも一部および粒子状材料の少なくとも約80%を表面から除去することとを含むことができる。特定の実施形態において、粒子状材料の少なくとも約90%が表面から除去される。
【0011】
別の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスを作製する方法は:第1導電層を基板に堆積させることと;第1導電層をパターン化することと;パターニングから取り出した粒子状材料を第1導電層の表面から除去することにおいて、該材料を、非水性流体のストリームを表面に向かって方向付けることによって除去することと;エレクトロクロミック層または対電極層のうちの一方を第1導電層に堆積して、第1堆積電極を付与することと;イオン伝導体層を第1堆積電極に堆積することと;エレクトロクロミック層または対電極層のうちの他方をイオン伝導体層に堆積して、第2堆積電極を付与することと;第2導電層を第2堆積電極に堆積させることとを含むことができる。
【0012】
特定の実施形態において、非水性液体は、約10%以下の水を含む。別の特定の実施形態において、非水性液体は、約5%以下の水を含む。さらなる特定の実施形態において、非水性液体は、約1%以下の水を含む。他の実施形態において、非水性液体は、約0.1%以下の水を含む。さらに別の実施形態において、非水性液体は、約0.01%以下の水を含む。
【0013】
別の実施形態において、非水性液体は、非極性である。さらなる実施形態において、非水性液体は、極性である。実施形態において、非水性液体は、特定の範囲の極性モーメント値を有することができる。例えば、極性溶媒は、約1.4デバイ〜約5.0デバイの分子双極子モーメントを有していてよく、水が約1.85デバイである。非極性溶媒は、約0.0デバイ〜約1.1デバイの分子双極子モーメントを有していてよい。非常に強い非極性の溶媒、例えば、ペンタンおよびヘキサンは、0.0デバイに非常に近いモーメントを有する。半極性溶媒は、これらの極限間の全ての双極子強度値で生じ、ある一定の場合において、特定の値が望ましい場合がある。全ての液体がこの勾配におおよそ適合する。実施形態において、非水性液体は、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または界面活性剤を含む。別の実施形態において、粒子状材料は、1000ミクロン(mm)以下、約500ミクロン以下、または約250ミクロン以下のサイズを有し、別の実施形態において、粒子状物質は、少なくとも1ミクロンのサイズを有する。特定の実施形態において、粒子状材料は、1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲のサイズを有する。さらなる実施形態において、粒子状材料は、約1ミクロン〜約500μmの範囲のサイズを有する。なお別の実施形態において、粒子状材料は、約1ミクロン〜約250μmの範囲のサイズを有する。
【0014】
実施形態において、粒子状材料の除去を助けるために、エネルギーが非水性液体に印加される。
【0015】
別の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスは、1mあたり約1未満の欠陥を有する。なお別の実施形態において、基板は、積層体である。さらなる実施形態において、エレクトロクロミックデバイスは、断熱ガラスユニットの部分である。さらに別の実施形態において、断熱ガラスユニットは、光起電デバイスをさらに含む。なお別の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスは、熱処理されている。別の実施形態において、リチウムが、第1もしくは第2電極またはイオン伝導体層のうち少なくとも1つに挿入されている。
【0016】
別の態様において、基板の表面を作製する方法は、非水性液体のストリームを方向付けるまたは作製されている表面を非水性液体に曝すことにおいて、該表面が約1ミクロンから約1mmの範囲のサイズを有する粒子状材料を含んでいることと;非水性液体の少なくとも約98%および特定の材料の少なくとも約90%を表面から除去することとを含むことができる。
【0017】
別の実施形態において、表面は、シリケートガラス;非シリケートガラス;結晶、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、サファイア、ニオブ酸リチウム;アルカリ土類のチタン酸塩;ポリマー、例えば、ホモポリマー、コポリマー、もしくは液晶ポリマー;無機材料のフィルム;有機材料のフィルム;または有機材料と無機材料との複合体を含む。さらなる実施形態において、表面は、エレクトロクロミックデバイス、電池、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイデバイス、有機発光ダイオードデバイス、または天頂双安定デバイスの導電層である。導電層は、金属、例えば、金、銀、銅、ニッケル、もしくはアルミニウム;透明導電酸化物、例えば、インジウムスズ酸化物、アルミニウムスズ酸化物、フッ素化酸化スズ;または炭素系材料、例えば、グラフェンシート、フラーレンおよびグラファイトナノチューブコーティングを含むことができる。さらに別の実施形態において、表面は、エレクトロクロミックデバイス、電池、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイデバイス、有機発光ダイオードデバイス、または天頂双安定デバイスの非導電層である。なお別の実施形態において、表面は、エレクトロクロミックデバイスの導電層である。別の実施形態において、表面は、エレクトロクロミックまたは他のエネルギーデバイスも支持する基板の部分である。
【0018】
実施形態において、導電面は、金属、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、ニオブ、スズ、インジウム;または金属合金、例えば、黄銅もしくはステンレス鋼からなることができる。
【0019】
別の実施形態において、導電面は、非金属性導電体、例えばインジウムスズ酸化物、アルミニウムスズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、および同様の材料からなることができる。
【0020】
なお別の実施形態において、導電面は、基板にコーティングもしくは接着される、または基板自体を形成するグラファイト、例えば、グラフェンシート、ナノチューブ、フラーレン球体の形態からなることができる。
【0021】
さらなる実施形態において、非水性液体は、約10%未満を含む。特定の実施形態において、非水性液体は、約5%未満の水を含む。別の実施形態において、非水性液体は、約1%未満の水を含む。さらに別の実施形態において、非水性液体は、約0.1%未満の水を含む。なお別の実施形態において、非水性液体は、約0.01%未満の水を含む。
【0022】
実施形態において、非水性液体は、非極性である。別の実施形態において、非水性液体は、極性である。さらなる実施形態において、非水性液体は、特定の範囲の極性モーメント値を有する。約1.4デバイ超の分子双極子モーメントを有する液体が極性であるとされる一方で、約1.1デバイ未満の分子双極子モーメントを有するものは非極性であるとされる。半極性液体は、これらの値の間の分子双極子モーメントを有して存在する。さらなる実施形態において、非水性液体は、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または界面活性剤を含む。なお別の実施形態において、粒子状材料は、約1ミクロン〜約1mmの範囲のサイズを有する。別の実施形態において、粒子状材料の除去を助けるために、エネルギーが非水性液体に印加される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、具体的なウォッシャー概念を示す。
図2図2は、プロセスフローチャートを含む。
【発明を実施するための形態】
【0024】
方法は、基板と連通して堆積されるフィルムまたはコーティング材料の受容のための基板の表面を作製することを含むことができる。別の実施形態において、方法は、基板と連通して堆積されるフィルムまたはコーティング材料の受容のための基板を作製することを含むことができ、基板が、粒子状物質によって少なくとも部分的に汚染されている。実施形態において、粒子状材料は、前のプロセス工程において基板の表面から除去される材料(例えば、粒子状欠陥)を含む。別の実施形態において、2ミクロン超のサイズを有する粒子状材料の少なくとも約90%が、基板の表面から除去される。
【0025】
方法は、基板またはフィルムスタックを含むデバイスの外観に影響することなく、基板表面または堆積されたフィルムスタックの表面から粒子を除去することを含むことができる。実施形態において、デバイスは、エレクトロクロミックデバイス、LCDパネル、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、電池、または操作において少なくとも1つの薄膜を用いる任意の他の等価のデバイスである。特定の実施形態において、方法は、非水性溶液によって粒子状欠陥を除去する、ただし、用いられる非水性溶液が、基板または基板に堆積されたフィルムと実質的に相互作用しないことを条件とする。エレクトロクロミックデバイスに関し、その製造デバイスは、基板、例えば、ガラス上に、導電性のエレクトロクロミック材料からなる複数の層を含むエレクトロクロミック(EC)フィルムスタックを形成することを含むことができる。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,321,544号、同第6,856,444号、同第7,372,610号および同第7,593,154号を参照されたい。
【0026】
概して、上記方法は、洗浄対象の表面を非水性流体に曝すことを含み、特に、あるエネルギー源の添加により非水性流体が粒子を表面から取り除くことを可能にする。表面は、ガラス、ポリマー、有機または無機薄膜(エレクトロクロミックデバイス、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイ(LCD)などの種々の層を作り上げる任意のフィルムを含む)を含むものなどを含めた任意の基板を含んでいてよい。非水性流体のストリームは、基板の表面に対して特定の入射角度で、かつ特定の物質の除去を最も良好に生じさせる圧力、力、またはエネルギーで方向付けられてよい。いずれのストリーム角度、または圧力、力、もしくはエネルギーが用いられてもよい、ただし、基板の表面またはもしあれば存在するいずれの下層にもダメージを与えないことを条件とする。別のエネルギー形態、例えば、超音波振動、バブルジェット(登録商標)衝撃、レーザー誘起の熱衝撃、蒸気凝縮、およびブラシの運動が液体に導入されて、粒子状物を取り除いてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、粒子状物質は、下地基板の材料と同じ材料からできている。いずれの特定の理論にも拘束されることを望まないが、残存するいずれの粒子状物質もが、いずれの完成されたデバイス(例えば、エレクトロクロミックデバイス)においても可視欠陥を作り出す可能性があり、または、デバイス(例えば、電池もしくはスマートウインドウ)において短絡を作り出す可能性があるとされている。
【0028】
実施形態において、除去対象の粒子は、1000ミクロン(mm)以下、約500ミクロン以下、または約250ミクロン以下のサイズを有し、別の実施形態において、該サイズは、少なくとも0.1ミクロンまたは少なくとも1ミクロンである。特定の実施形態において、粒子状材料は、0.1ミクロン〜約1000ミクロンの範囲のサイズを有する。さらなる実施形態において、粒子状材料は、約1ミクロン〜約500μmの範囲のサイズを有する。なお別の実施形態において、粒子状材料は、約1ミクロン〜約250μmの範囲のサイズを有する。特定の実施形態において、約2ミクロン〜約200ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の約70%〜約95%が除去され得る。
【0029】
例として、実施形態において、導電層がガラス基板に堆積され、導電層内に形状をパターン化するプロセスにおいて材料が導電層から除去される。パターン化プロセスによって取り出される材料(含まれている該材料自体は、大部分が、導電性酸化物層自体を構成する材料である)は、導電層の表面に残る可能性があり、除去されることが望ましい。
【0030】
特定の実施形態において、非水性流体ストリームは、バブルジェット(登録商標)を通して、作製される表面に向けて方向付けられる。バブルジェット(登録商標)は、特有のノズルからの高エネルギーの液体ジェットを用いることにより、粒子がフラッシングされて除去または収集され得るような方式で粒子を表面から強制的に離れさせる。バブルジェット(登録商標)は、このことを、作製されている表面、または作製されている表面の下方のいずれの下層もしくはフィルムスティックにもダメージを与えない方式で行う。
【0031】
さらなる実施形態において、非水性流体が表面に適用され、次いで、ブラシまたは気流が用いられて粒子状物質をフラッシングおよび除去または解放する。非水性流体はまた、適用されて超音波振動子からエネルギー供給されて、粒子状物質への力学的エネルギーの伝達、および、最終的には、作製される基板または表面からの材料のフラッシングまたは解放をもたらし得る。
【0032】
当業者は、力学的エネルギーを非水性流体と併せて適用し、適用した力学的または運動エネルギーを粒子状物質に伝達することによって、作製される基板または表面からの材料のフラッシングまたは解放をもたらし得る、他の手段を予測することができる。
【0033】
低い表面エネルギーを有する流体、例えば、3M Novec7300(商標)−銘柄の流体が有利に用いられる、なぜなら、この特性が、表面から除去された粒子を懸濁液に保持するのを助けるからである。同じ目的で、より高い表面エネルギーの非相互作用の非水性流体に添加される適当な界面活性剤が有利に用いられ得る。
【0034】
非水性流体は、作製されている基板もしくは表面、または作製されている表面と連通するいずれの層とも相互作用しないいずれの流体であってもよい。実施形態において、非水性液体は、非極性有機液体である。別の実施形態において、非水性液体は、極性有機液体である。他の実施形態において、非水性液体は、特定の範囲の極性モーメントを有する有機液体である。さらに別の実施形態において、非水性液体は、極性のプロトン性溶媒である。なお別の実施形態において、非水性液体は、極性の非プロトン性溶媒である。
【0035】
非水性流体は、少量の水を含んでいてよい。非水性液体は、約10%未満を含むことができる。特定の実施形態において、非水性液体は、約5%未満の水を含む。別の実施形態において、非水性液体は、約1%未満の水を含む。含水率が1%未満の水は、製造されているデバイスに大幅に影響する傾向を低減するのに特に有利であり得る。さらに別の実施形態において、非水性液体は、約0.1%未満の水を含む。特定の例において、非水性溶液は、非水性有機液体と水との混合物であり、該溶液は、最大で.01%の水を含有していてよい、ただし、非水性有機液体および水が混和性であることを条件とする。非水性液体が水を含有するとき、該水は、脱イオン水または蒸留水であることが好ましい。
【0036】
非水性液体は、不燃性であり得る。別の実施形態において、非水性液体は、比較的非毒性であり得る。さらなる実施形態において、非水性液体は、(例えば、粒子状物質が液体および後の処理において再利用される液体から除去され得るとき)リサイクル可能であり得る。なお別の実施形態において、非水性液体は、高い引火点を有する油、例えば、リチウムを保存するのに一般的に用いられるものである。
【0037】
特定の実施形態において、非水性液体は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルムもしくはジエチルエーテル、またはこれらの任意の混合物である。別の特定の実施形態において、非水性液体は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、またはこれらの任意の混合物である。なお別の実施形態において、非水性液体は、水が添加されたまたは添加されていない、t−ブタノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、テルピネオール、酢酸、またはこれらの任意の混合物である。
【0038】
非水性液体は、粒子状物質の材料を基準にして選択されてよく、その結果、化学的または物理的相互作用が粒子状物質と液体との間に存在して、作製されている表面からの粒子状物質の除去を助けることができるようになる。例えば、ファンデルワールス力または水素結合が液体と粒子状物質との間に一時的に存在して、作製されている表面からの物質のフラッシングまたは解放を補助することができる(また、いくつかの例において、表面または液体ストリームに供給される力学的エネルギーの低下を可能にする)。当業者は、基板または表面から材料を最も良好にフラッシングまたは解放し、かつ、表面または表面と連通する層へのダメージを防止するために供給される適切な液体および力学的エネルギーを選択することができる。
【0039】
実施形態において、非水性液体は、ハロゲン化液体である。特定の実施形態において、ハロゲンは、フッ素である。別の実施形態において、非水性液体は、ヒドロフルオロカーボン液体である。さらなる実施形態において、非水性液体は、フルオロカーボンを含む。特定の実施形態において、非水性液体は、ポリマー性のフッ素化溶媒である。なおさらなる実施形態において、非水性液体は、界面活性剤を含む。なお別の実施形態において、非水性液体は、異なる界面活性剤が添加された非相互作用流体を含む。
【0040】
非水性液体は、以下の特性の少なくとも1つを有していてよい:(1)作製されている表面と最小限でのみ相互作用する;(2)最小限の染みまたは堆積物を残す;(3)容易に除去可能である;(4)比較的非毒性であるか、または非発がん性である;(5)環境との相互作用(例えば、オゾン層破壊、温室効果)が少ない;(6)不燃性であるか、または可燃性が低い;(7)比較的非腐食性である;(8)コスト効果が高い;(9)上流または下流プロセスとの相互作用がほとんどない(例えば、共通のウォッシャー構成材料)。
【0041】
好適なヒドロフルオロカーボン液体の群は、商品名Novec(商標)で3Mから入手可能である。3M Novec(商標)−銘柄の液体の4つの例として、7300、7200、7100、および71IPAが挙げられる。本発明者らは、71IPAが、水から残るマークと同様のフィルムマークを増加させることを見出した。しかし、本発明者らは、この群における他の液体からはマークが残らないことを観察した。また、本発明者らは、これらの液体が好適な低い毒性を有し、かつ、不燃性であるかまたは低可燃性であり、多くの炭化水素系液体よりも安全な産業環境に統合されることを見出した。さらに、本発明者らは、フルオロカーボン系液体が、ほとんどマークを生じず、適用されている表面材料の漂白をほとんど引き起こさず、あるいは、表面の色もしくは光学密度または任意のフィルム層のその連通における動的スイッチング率を改変することを見出した。
【0042】
他の実施形態において、非水性液体として、3M Novec(商標)−銘柄の4200、3M FC−4434、3M Novec(商標)−銘柄の4300、3M FC−4432、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7000、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7100、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7200、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7500、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−71IPA、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−72、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−84、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−77、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−3255、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−3283、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−40、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−43、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−70、3M FC−4430、またはこれらの任意の混合物が挙げられる。例示的な実施形態において、非水性液体として、3M Novec(商標)−銘柄の4200、3M FC−4434、3M Novec(商標)−銘柄の4300、3M FC−4432、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7000、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7100、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7200、3M Novec(商標)−銘柄の流体HFE−7500、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−72、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−84、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−77、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−3255、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−3283、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−40、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−43、3M Fluorinert(商標)−銘柄のFC−70、3M FC−4430、またはこれらの任意の混合物が挙げられる。実施形態において、液体は、活性含量に基づいて重量基準で、約50,000ppm以下または約5000ppm以下のフッ化物濃度を有することができ、別の実施形態において、フッ化物濃度は、活性含量に基づいて重量基準で、少なくとも1ppmまたは少なくとも100ppmである。特定の実施形態において、かかる液体は、活性含量に基づいて重量基準で、約1ppm〜約50,000ppmまたは約100ppm〜約5000ppmの範囲のフッ化物濃度を有する。
【0043】
別の非水性液体は、式:Rf−SO:式中、Rfは、C1〜C12パーフルオロアルキル基であり、Mは、カチオン、H原子またはアンモニア基である;による組成物であってよいかまたはこれを含有していてよいフッ化物界面活性剤を含むことができる。実施形態において、フッ化物界面活性剤は、式:Rf−SO−R:式中、Rfは、C1〜C12パーフルオロアルキル基であり;Rは、H、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアミンオキシド基、アルキルカルボキシレート基またはアミノアルキル基であり;Mは、カチオン、H原子またはアンモニア基である;による組成物であってよいかまたはこれを含有していてよい。R基のアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアミンオキシド、アルキルカルボキシレートまたはアミノアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有していてよい。ヒドロキシルアルキル基は、式−(CH)x−OH:式中、xは、1〜6の整数である;を有していてよい。
【0044】
別の非水性液体は、式:Rf−Q−RSO:式中、Rfは、C1〜C12パーフルオロアルキル基であり;Rは、式−C2n(CHOH)2m−のアルキレンであり、nおよびmは、独立して1〜6であり、xは、0〜1であり、カテナリー酸または窒素基によって場合により置換されており;Mは、カチオンであり;Qは、−O−または−SONR−であり;R−は、H−、アルキル、アリール、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはスルホナトアルキル基であり、1つ以上のカテナリー酸素または窒素ヘテロ原子を場合により含有する;による組成物であってよいかまたはこれを含有していてよいフッ化物界面活性剤を含むことができる。アルキル、アリール、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはスルホナトアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有していてよい。ヒドロキシアルキル基は、式−C2p−OH:式中、pは、1〜6の整数である;を有していてよい。アミノアルキル基は、式−C2p−NR:式中、pは、1〜6の整数であり、RおよびRは、独立して、H、または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である;を有していてよい。R基は、−C2nCH(OH)C2m−であり、nおよびmは、独立して1〜6である。
【0045】
実施形態において、非水性液体は、回収またはリサイクルされる。例えば、溶媒は、真空もしくは常圧蒸留、サブミクロン濾過、または吸着濾過などの方法によってある一定サイズを超える粒子を除去するように濾過されてよい。
【0046】
エレクトロクロミックフィルムにダメージを与えることなく粒子を除去するこの方法の有効性を実証するために、バブルジェット(登録商標)エネルギーおよび3M Novec7300を用いる平板ガラスウォッシャーが設計および構築されている。このシステムの図を図1に示す。
【0047】
プロセスフロー図は、粒子状デブリのパターン化および非水性洗浄のための交互の配置を示している。洗浄工程は、粒子状物の除去によって収率および質の上昇を助けるいずれの箇所に挿入されてもよい。洗浄工程は、パターン化工程に続くとき、特に、図2に示すようにパターン化/洗浄シーケンスBにおけるときに有用である。
【0048】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。これらの態様および実施形態のいくつかが本明細書に記載されている。当業者は、本明細書を読んだ後、これらの態様および実施形態が単に説明的であり、本発明の範囲を限定しないことを認識する。実施形態は、以下に列挙する項のいずれか1項以上によることができる。
【0049】
項1.基板の表面を作製する方法であって、作製されている表面を非水性液体に曝すことを含み、表面が、0.1ミクロン〜1000ミクロンの範囲のサイズを有する粒子状材料を含む、方法。
【0050】
項2.基板の層をパターン化することをさらに含み、粒子状材料が、パターン化の際に発生し、表面を曝すことが、層をパターン化した後で実施される、項1に記載の方法。
【0051】
項3.非水性液体が、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または非水性界面活性剤を含む、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0052】
項4.非水性液体が、1〜12個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を有するフルオロカーボンを含む、項3に記載の方法。
【0053】
項5.非水性液体が、活性含量に基づいて重量基準で1ppm〜50,000ppmの範囲のフッ化物濃度を有する、項3に記載の方法。
【0054】
項6.表面が、シリケートガラス、非シリケートガラス、結晶、アモルファス半導体、ポリマー、コポリマー、液晶ポリマー、無機材料のフィルム、有機材料のフィルム、または有機材料と無機材料との複合体を含む、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0055】
項7.シリケートガラスが、ソーダ石灰フロートガラスである、項6に記載の方法。
【0056】
項8.結晶が、ケイ素、ゲルマニウム、III−V半導体、例えば、ガリウムヒ素、サファイア、ニオブ酸リチウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のチタン酸塩、ジルコン酸塩、バナジウム酸塩またはニオブ酸塩である、項6に記載の方法。
【0057】
項9.表面が、エレクトロクロミックデバイス、電池、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイデバイス、有機発光ダイオードデバイス、または天頂双安定デバイスの導電層である、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0058】
項10.表面が、エレクトロクロミックデバイス、電池、光起電デバイス、サーモクロミックデバイス、液晶ディスプレイデバイス、有機発光ダイオードデバイス、または天頂双安定デバイスの非導電層である、項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【0059】
項11.非水性液体が、作用する表面から粒子を取り除くのに十分な速度のストリームまたはジェットの形態で表面に送達される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0060】
項12.非水性液体が、材料の蒸気を表面上で凝縮し、次いで、これを流すことまたは表面から除去することを可能にすることによって表面に送達される、項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【0061】
項13.非水性液体および表面の温度が独立して制御される、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0062】
項14.表面が、エレクトロクロミックデバイスの導電層である、項1〜9および11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0063】
項15.非水性液体が、10%未満の水、5%未満の水、1%未満の水、0.1%未満の水、または0.01%未満の水を含む、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0064】
項16.非水性液体が、非極性である、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0065】
項17.非水性液体が、極性である、項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【0066】
項18.非水性液体が、0.0デバイ〜5.0デバイの範囲の極性を有する、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0067】
項19.非水性液体が、0.0デバイ〜1.1デバイの範囲の極性を有する、項18に記載の方法。
【0068】
項20.非水性液体が、1.4デバイ〜5.0デバイの範囲の極性を有する、項18に記載の方法。
【0069】
項21.粒子状材料が、1ミクロン〜500ミクロン、または2ミクロン〜250ミクロンの範囲のサイズを有する、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0070】
項22.エネルギーが印加され、該エネルギーが、液体の超音波撹拌、バブルジェット(登録商標)撹拌、液体の熱的加熱、またはこれらの任意の組み合わせである、上記項のいずれか1項に記載の方法。
【0071】
流体がエレクトロクロミック(EC)層の表面に曝されたときにどのように挙動するかを決定するための試験を実施した。非水性液体の曝露の一試験(試験1)において、EC層を堆積した後にデバイス基板を水平コンベヤにおいて停止させた。いくつかの非水性液体をEC層の表面に約1cmの量で適用し、約10秒間、表面上でプールさせた。これらの液体を、注意深く測定および記録する位置に適用し、処理した正確な位置のその後の観察を可能にした。約10秒経過した後、空気ジェットを用いて、デバイスを横切って液体プールをブローした。このとき、液体に関係するマークが表面において見られなかった。次いでこの基板をさらに処理した。処理後、このデバイス(エレクトロクロミックデバイス)を標準の試験プロトコルに従って着色および漂白し、試験液体が適用された測定位置を注意深くモニタリングした。
【0072】
この実験において5つの液体を用いた:脱イオン水(対照);3M Novec(商標)−銘柄の7300流体;3M Novec(商標)−銘柄の7200流体;3M Novec(商標)−銘柄の7100流体;および3M Novec(商標)−銘柄の71IPA流体。試験1において、水を対照として用いることで、この特定のフィルムスタックが水に対して特徴的な感受性を示すことを確実にし、それにより、本発明者らに、予期したような挙動を示すフィルムスタックを検討したことを確信させた。試験2は、対照として水を用いないことを除いて試験1の繰り返しであった。試験2において、試験2の際に水を試験しなかったため、大面積のデバイスを4つの3M Novec非水性溶媒の各々に曝した。結果を以下の表Aに示す:
【0073】
【表1】
【0074】
水は、元のプール位置の周囲の暗い縁部を含むまだらな明るい領域、および適用したエアジェットによって液体をブローした領域において暗い縁の明るいスジを残した。これらの欠陥は、着色および漂白サイクルの種々の点において、ならびに最終の完全に着色された状態において現れ、これらをスイッチング速度の差、ならびに最終的な光学密度によって特徴付けた。Novec(商標)−銘柄の71IPA流体は、Novec(商標)−銘柄の7100流体とイソプロパノール(IPA)との組み合わせであり、水と非常に類似する挙動を示したが、強いマーキングが少しだけ少なかった。他のNovec(商標)−銘柄のフッ素化溶媒は、着色または漂白の際にエレクトロクロミックデバイスにおいて全ての可視域でマークを残さなかった。Novec(商標)−銘柄の7100流体、Novec(商標)−銘柄の7200流体、およびNovec(商標)−銘柄の7300流体は、漂白、着色、または推移における間、エレクトロクロミックデバイスの可視マーキングを何ら示さなかった。推移による欠陥が欠失することが重要である、なぜなら、より遅いスイッチングスピードが、洗浄流体とエレクトロクロミックデバイスとの間の相互作用の最初の兆候であり得るからである。
【0075】
詳細な説明全体または例における上記のアクティビティの全てが必要とされるわけではないこと、特定のアクティビティの一部が必要とされない場合があること、および1つ以上のさらなるアクティビティが、記載されているものに加えて実施されてよいことに注意されたい。さらにまた、アクティビティが列挙されている順序は、必ずしも、これらが実施される順序ではない。
【0076】
利益、他の利点、および課題に対する解決手段を具体的な実施形態に関して上記に記載した。しかし、かかる利益、他の利点、課題に対する解決手段、ならびに任意の利益、他の利点、および解決手段を生じさせ得るまたはより顕著にし得る任意の特徴は、特許請求の範囲のいずれかまたは全ての厳密な、必要とされる、または必須の特徴であると解釈されてはならない。
【0077】
本明細書に記載されている実施形態の仕様および図示は、種々の実施形態の構造の全体的な理解を提供することが意図される。該仕様および図示は、本明細書に記載されている構造または方法を用いる装置およびシステムの要素および特徴の全ての包括的かつ総合的な記載として機能することは意図されていない。別個の実施形態が単一の実施形態において組み合わされて提供されてもよく、反対に、便宜上、単一の実施形態の文脈において記載されている種々の特徴が、別個にまたは任意のサブ組み合わせにおいて提供されてもよい。さらに、範囲に記述されている値への言及は、該範囲内のありとあらゆる値を含む。多くの他の実施形態が本明細書を読んだ後にのみ当業者に明らかになる場合がある。他の実施形態が本開示から用いられて誘導されてよく、その結果、構造的置換、論理的置換または別の変更が本開示の範囲から逸脱することなくなされてよい。したがって、本開示は、制限的であるよりもむしろ説明的であるとみなされるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】