(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
提供されるのは、化合物及び薬学的に許容可能なその塩、並びに化合物の組合せ、その医薬組成物、その調製方法、並びに感染症の治療又は予防におけるその使用のための方法である。
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含む前記方法。
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にオセルタミビルと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む前記方法。
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にファビピラビルと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む前記方法。
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象に表4から選択される1つ以上の抗菌剤と組み合わせたダニリキシンを投与することを含む前記方法。
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象に請求項31〜36のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む前記方法。
対象におけるインフルエンザを治療するための方法であって、インフルエンザに罹患している対象に請求31〜36のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願を通じて、化合物、組成物、及び方法に関する様々な実施形態に言及がなされる。記載される様々な実施形態は、様々な例示的例を提供するものであり、代替種の記載と解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に記載される様々な実施形態の記載は、範囲が重複し得ることが留意されるべきである。本明細書で論じられる実施形態は単に例示的であり、本発明の範囲の限定するものではない。
【0020】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明の範囲を限定することが意図されないと理解されるべきである。本明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義されるべき数多くの用語に言及がなされる。
【0021】
「抗菌剤」は、本明細書に使用されるとき、微生物を死滅させ、又はその増殖を阻害し、又はその病原性作用を予防もしくは相殺する化学的化合物又は生物学的実体のどちらかである薬剤を指す。抗菌剤は、抗ウイルス剤又は抗菌剤等、抗菌剤が主に抗して作用する微生物に従ってグループ化することができる。
【0022】
「化合物(compound)」、「化合物(compounds)」、「化学的(chemical)」、及び「化学的化合物(chemical compounds)」は、本明細書に使用されるとき、本明細書に開示された一般式、その一般式の任意の亜属(subgenus)により包含される化合物、及び化合物のラセミ体、立体異性体、及び互変異性体を含む、一般式及び下位一般式内の化合物の任意の形態を指す。
【0023】
「ラセミ体」は、エナンチオマーの混合物を指す。本発明の一実施形態において、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩は、言及される不斉炭素の全てが1つのコンフィギュレーションにある一方のエナンチオマーで鏡像異性的に富化される。一般に、鏡像異性的に富化された化合物又は塩への言及は、特定のエナンチオマーが、該化合物又は塩の全てのエナンチオマーの総重量の50重量%超を占めることを示すものである。
【0024】
化合物の「溶媒和物(solvate)」又は「溶媒和物(solvates)」は、化学量論量又は非化学量論量の溶媒に結合された、上記に定義された化合物を指す。化合物の溶媒和物は、全ての形態の化合物の溶媒和物を含む。特定の実施形態において、溶媒は揮発性、非毒性であり、及び/又は微量でのヒトへの投与に許容可能である。適切な溶媒和物には、溶媒和物が水和物である水が含まれる。
【0025】
「立体異性体(stereoisomer)」又は「立体異性体(stereoisomers)」は、1つ以上の立体中心のキラリティーが異なる化合物を指す。立体異性体には、エナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0026】
「互変異性体」は、エノール-ケト及びイミン-エナミン互変異性体、又はピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、及びテトラゾール等の環-NH-部分及び環=N-部分の両方に結合した環原子を含有するヘテロアリール基の互変異性体形態等の、プロトンの位置が異なる化合物の代替形態を指す。
【0027】
「薬学的に許容可能な塩」は、当技術分野でよく知られた様々な有機及び無機対イオンから得られる薬学的に許容可能な塩を指し、ほんの例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びテトラアルキルアンモニウムを含み、分子が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、及びシュウ酸塩等の有機又は無機酸の塩を含む。適切な塩には、P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth (Eds.), Handbook of Pharmaceutical Salts Properties, Selection, and Use; 2002に記載されているものが含まれる。
【0028】
一実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、式(I)の化合物の臭化水素酸塩である。
【0029】
「患者」又は「対象」は哺乳動物を指し、ヒト及びヒト以外の哺乳動物を含む。
【0030】
患者における疾患の「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」は、1)疾患の素因がある患者もしくは疾患の症状をまだ示していない患者において疾患が生じるのを予防すること、2)疾患を阻害しもしくはその発症を止めること、又は3)疾患を改善することもしくは疾患の後退を引き起こすことを指す。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、呼吸器系の感染症の医学的療法及び治療が提供される。一実施形態において、本発明は、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス(human rhinovirus)、他のエンテロウイルス(enterovirus)、呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、メタ肺炎ウイルス(metapneumovirus)、コロナウイルス(coronavirus)、ヘルペスウイルス属、又はアデノウイルス(adenovirus)を含むが、これらに限定されないウイルスによる感染によって引き起こされる症状の治療に有用である。本明細書において治療される呼吸器ウイルス感染はまた、その後の二次細菌感染に関連し得ることも留意されるべきである。
【0032】
CXCR2は好中球に高度に発現されるケモカイン受容体であり、この受容体を通じたシグナル伝達は、損傷組織への炎症性細胞動員を引き起こす。好中球走化性を低減するためのサイトカインシグナル伝達の化学的拮抗作用は、結果として生じる症状の多くを、好中球の浸潤を減少させて制御、低減、及び軽減することにより、呼吸器感染に罹患している対象の利益になることが期待される。結果として、本発明は、単独の又は抗菌剤と組み合わせた、CXCR2受容体に拮抗する式(I)の化合物を含む新規の治療を提供する。例えば、本発明は、病原体力価を低減し、反復炎症細胞シグナル伝達及び感染患者の肺への浸潤を防ぐことが期待される。これは、疾患症状及び肺病理を軽減し得る。本発明はまた、過剰な炎症免疫応答及びウイルス又は細菌の複製の両方を低減するための治療的組成物及び方法も提供する。
【0033】
一実施形態において、CXCR2アンタゴニスト化合物(例えば、式Iの化合物)と抗菌剤との併用治療は、ウイルス/細菌及び疾患の免疫局面の両方を標的にし、それによりどちらかの治療単独より潜在的に速く疾患の回復及び消散を加速することが期待される。
【0034】
他の実施形態において、追加の薬剤が、抗菌剤と組み合わせた式IのCXCR2アンタゴニスト化合物の療法に加えられてもよい。そのような追加の薬剤は、例えば、高熱、咳、頭痛、筋肉痛及び関節痛、倦怠感、咽頭痛、並びに鼻水を含む1つ以上の症状の低減に有効である任意の他の呼吸器感染療法を含んでもよい。
【0035】
式Iの化合物はまた、細菌によって引き起こされるヒトでの感染、特に呼吸器感染の症状を治療する抗菌剤との組合せにおいても有用である。具体的な細菌には、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、及びアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii)等の細菌性肺炎の原因病原体が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明は、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、中耳炎及び副鼻腔炎等の基礎慢性状態を増悪させる呼吸器感染に関する。そのような場合において、感染は増悪の引き金として作用する可能性があり、本発明を用いた症状の制御は増悪発生の可能性を低減するであろう。
【0036】
本発明によれば、感染症及び感染症関連合併症は、対象に単独の又は1つ以上の抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を投与することにより、対象において治療及び予防され得ることが発見された。本発明の目的上、少なくとも1つの抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を含む新規の併用療法もまた、そのような予防又は治療を必要とする対象における感染症及び感染症関連合併症を予防及び治療する目的に有用である。故に、本発明の併用療法は、例えば、咳、鼻漏、呼吸困難、息切れ、疼痛、炎症、掻痒及び/もしくは流涙、鼻汁、鼻閉、顔面圧迫感、くしゃみ、咽頭痛、咳、頭痛、発熱、倦怠感、疲労、虚弱、並びに/又は筋肉痛のような感染症症状を、そのような症状に罹患している対象において例えば低減するのに有用であろう。本発明の併用療法はまた、そのような症状の発生の予防にも有用であろう。
【0037】
本発明の方法及び組成物はまた、感染症に罹患している対象の入院回数を低減し、又は慢性もしくは再発性感染症を有することから最終的に生じ得る感染症に関連した合併症の発症を、対象において予防もしくは遅延するのにも有用である。式(I)の化合物及び抗菌剤の併用療法はまた、別個の投与の必要回数を減らし、故に、患者コンプライアンスを潜在的に改善するのにも有用である。感染症及び感染症関連合併症を予防及び治療するための式(I)の化合物の投与は、予想外に有効な治療及び予防療法である。そのような投与は、現在の治療の特定の欠点を回避又は低減しながら、感染症及び感染症関連合併症の症状を改善するのに有効である。さらに、抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物の投与は、感染症又は感染症関連合併症又は症状に対する有効な治療であり、いくつかの実施形態において、どちらかの薬剤単独の使用より優る可能性がある。例えば、併用療法は、通常は単剤療法として処方される抗菌剤の投与量を下げるのに有効であり得る。従来の治療剤のより低い投与量の投与は、そのような従来の薬剤に対応する副作用の低減をもたらし得る。式(I)の化合物及び抗菌剤を含む併用療法は、感染症症状の改善及び回復時間の短縮だけでなく、通常必要とされる抗菌剤の投与量の恐らく低減にも有用であり得る。
【0038】
本明細書に使用されるとき、語句「併用療法(combination therapy)」、「共投与(co-administration)」、「共投与する(co-administering)」、「〜と共に投与(administration with)」、「投与する(administering)」、「組合せ(combination)」、又は「併用療法(co-therapy)」は、抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物の使用に言及する場合、薬物組合せの有益な効果をもたらすレジメンにおいて連続様式での各薬剤の投与を含むことが意図され、同様に、実質的に同時様式でのこれらの薬剤の共投与を含むことが意図される。故に、式(I)の化合物及び抗菌剤は、単一のカプセル、錠剤、注射もしくは注入等の1つの治療剤形、又は別個のカプセル、錠剤、注射、もしくは注入等の2つの別個の治療剤形で投与されてもよい。式(I)の化合物が抗菌剤と比べて別個の剤形で投与される他の実施形態において、そのような別個の投与は、患者における治療ニーズに応じて類似の又は異なる時間枠で行われてもよい。当業者は、そのような別個の投与期間を適切に定める方法を理解するであろう。
【0039】
そのような治療の連続投与は、本方法の各薬物の投与間に比較的短い期間及び比較的長い期間の両方を包含する。しかし、本発明のいくつかの実施形態において、第1の薬物が対象への有効な効果を依然として有している間に第2の薬物が投与される。故に、本発明は一実施形態において、対象における式(I)の化合物及び抗菌剤の組合せの同時存在が、どちらかの薬剤単独の投与より大きな臨床的有効性を有するという事実を利用する。あるいは、本発明のいくつかの実施形態において、第1の薬物が対象への有効な効果を持たなくなっている間に第2の薬物が投与される。
【0040】
一実施形態において、2つの薬物のうち第2の薬物は、投与される第1の薬物の治療応答時間内に対象に与えられる。例えば、本発明は、式(I)の化合物が、抗菌剤のレベルと組み合わせて治療的に有効なレベルで対象に依然として存在している間に抗菌剤が対象に投与される限り、対象への式(I)の化合物の投与及び抗菌剤のより遅い投与を包含する。逆もまた同様である。
【0041】
本明細書に使用されるとき、用語「治療応答時間」は、化合物が対象の身体内に治療濃度で存在する又は検出可能である持続時間を意味する。
【0042】
本明細書に使用されるとき、用語「単剤療法」は、抗菌剤を含む追加の療法的治療なしの単一の療法的治療として、感染症又は感染症関連合併症に罹患している対象への式(I)の化合物の投与を含むことが意図される。しかし、式(I)の化合物は、依然として複数の剤形で投与されてもよい。故に、式(I)の化合物は、単一のカプセル、錠剤、注射もしくは注入等の1つの治療剤形、又は別個のカプセル、錠剤、注射、もしくは注入等の2つの別個の治療剤形で投与されてもよい。
【0043】
式(I)の化合物、又はその塩、及び本明細書に記載された他の薬学的に活性な薬剤の量、並びに相対的な投与時期は、所望の複合治療効果を達成するように選択される。
【0044】
他の実施形態において、本発明の化合物は、ウイルス疾患又は関連病態生理の予防又は治療に有用な1つ以上の抗菌剤と組み合わせて使用されてもよい。故に、本発明の化合物及びその塩、溶媒和物、又は他の薬学的に許容可能なその誘導体は、単独で又は他の抗菌剤と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物及び任意の他の薬学的に活性な薬剤は、一緒に又は別々に投与されてもよく、別々に投与される場合、投与は同時に又は任意の順番で連続的に生じてもよい。本発明の化合物及び他の薬学的に活性な薬剤の量、並びに相対的な投与時期は、所望の複合治療効果を達成するように選択される。本発明の化合物及び塩、溶媒和物、又は他の薬学的に許容可能なその誘導体と他の治療剤とを組み合わせた投与は、(1)両方の化合物を含む単一医薬組成物、又は(2)それぞれが化合物の1つを含む別個の医薬組成物での併用投与による組合せであってもよい。あるいは、組合せは、1つの治療剤が最初に投与され、他の治療剤が2番目に投与される連続様式で別々に投与されてもよく、又は逆もまた同様である。そのような連続投与は、時間的に近くても又は時間的に離れていてもよい。
【0045】
一実施形態において、本発明は、対象における感染症を予防するための方法であって、対象に単独の又は抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を投与することを含む方法を包含する。
【0046】
本明細書に使用されるとき、用語「予防すること(to prevent)」、「予防する(preventing)」、又は「予防(prevention)」は、感染症もしくは感染症関連合併症を発症する対象の素因又はリスクの、どんなにわずかであれ、あらゆる低減を指す。予防目的上、対象は任意の対象であり、好ましくは、感染症もしくは感染症関連合併症を発症するリスクがある、又は素因がある対象である。用語「予防」には、臨床的に明らかな感染症の発症を全体で予防すること、又は臨床的に明らかな感染症の発症をリスクがある個人において予防することのどちらかが含まれる。
【0047】
別の一実施形態において、本発明は、対象における感染症又は感染症関連合併症を治療するための方法であって、対象に単独の又は抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を投与することを含む方法を包含する。
【0048】
本明細書に使用されるとき、用語「治療する(treating)」、「治療(treatment)」、「治療される(treated)」、又は「治療すること(to treat)」は、症状を軽減し、原因を一時的もしくは永続的に排除し、又は症状の発現もしくは症状悪化を変えるもしくは遅らせることを意味する。これらの用語は、本明細書に記載された感染症又は感染症関連合併症のいずれかに関連するが、これらに限定されない症状の原因を軽減又は排除することも含む。そのような用語は、対象における感染症又は感染症関連合併症の持続時間の低減も含む。
【0049】
この理論又はいかなる他の理論に拘束されることなく、式(I)の化合物を含む療法は、呼吸器感染中に肺内の炎症プロセスを弱めるのに有効であり、故に感染症症状を予防又は治療し、それにより感染症関連合併症を予防又は治療すると考えられる。さらに、好ましい実施形態において、式(I)の化合物及び抗菌剤の組合せは相乗効果をもたらし得、感染症及び感染症関連合併症に関連する症状を、どちらか1つの単独での使用に基づき期待されるより大幅に低減するであろう。
【0050】
用語「相乗(synergic)」は、個々の効果の総和より大きくなり得る、感染症の予防及び治療に有効性を有する併用療法としての式(I)の化合物及び抗菌剤の組合せを指す。本発明の併用療法の特定の実施形態の相乗効果は、感染症の治療及び予防に対する追加の予想外の利点を包含し得る。そのような追加の利点には、抗菌剤の必要用量を下げること、抗菌剤の副作用を低減すること、感染症療法を受けている対象にとってその薬剤をより忍容可能にすることが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0051】
同様に、本発明の単剤療法及び併用療法は、呼吸器感染症を有することから間接的に生じ得る感染症関連合併症の治療又は予防を、根底にある呼吸器感染症自体を治療することにより提供し得る。例えば、対象が、二次呼吸器細菌感染(例えば、肺炎)等のウイルス呼吸器疾患関連合併症に罹患している場合、ウイルスインフルエンザ等の根底にあるウイルス感染症の本発明の方法及び組成物による治療は、関連細菌感染合併症及びその症状の発生を予防することができる。本発明は、対象に式(I)の化合物を投与することを含む感染症及び感染症関連合併症の予防又は治療を必要とする対象において、感染症及び感染症関連合併症を予防又は治療する新規の方法に関する。本発明はまた、対象に式(I)の化合物及び1つ以上の抗菌剤を投与することを含む感染症及び感染症関連合併症の予防又は治療を必要とする対象において、感染症及び感染症関連合併症を予防又は治療する新規の方法にも関する。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、式Iの構造:
【0053】
【化4】
を有する化合物が提供される。
【0054】
他の実施形態において、式(I)の化合物は、示されたその立体化学で描くこともできる。したがって、式(I)の化合物は、構造:
【0055】
【化5】
を有するキラル化合物でもある。
【0056】
式(I)の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して現在米国で第2相臨床試験中の、「ダニリキシン(Danirixin)」と呼ばれ、化学名:N-[4-クロロ-2-ヒドロキシ-3-(3-ピペリジニルスルホニル)-フェニル]-N'-(3-フルオロ-2-メチルフェニル)尿素によるCXCR2阻害剤であり、これらは全て本明細書において互換的に呼ばれ得る。式(I)の化合物は米国特許第7,893,089号に記載されており、該特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
代替の一実施形態において、独立した新規の化合物として臭化水素酸塩の形態での式Iの化合物も提供される。さらに、式Iの化合物のそのような臭化水素酸塩は、本発明の新規の療法及び組合せと共に使用されてもよい。
【0058】
本発明の別の一実施形態において、抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を含む併用治療又は予防療法が提供される。本発明の一実施形態において、抗菌剤はノイラミニダーゼ阻害剤である。本発明の別の一実施形態において、抗菌剤はザナミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、及びペラミビルからなる群から選択される。本発明のさらに別の一実施形態において、抗菌剤はザナミビルである。本発明のさらなる一実施形態において、抗菌剤はオセルタミビルである。本発明の一実施形態において、抗菌剤はリバビリンである。
【0059】
ザナミビルは、Relenza(登録商標)として知られる市販のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害剤であり、インフルエンザの治療及び予防に対して米国FDAにより承認されている。Ryan, D. M. et al., Antimicrob. Agents Chemother. 1994、38、2270を参照のこと。ザナミビルは、Diskhaler(商標)装置で使用するための5mg強度の吸入用粉末として患者に投与される。ザナミビルは、その後インフルエンザノイラミニダーゼ酵素の活性部位に結合し、故にインフルエンザウイルスがその宿主細胞を抜け出し、他を感染させることができないようにする。それにもかかわらず、例えば静脈内投与等の、ザナミビルの代替投与方法及び代替投与量が本発明により企図される。
【0062】
他の実施形態において、ザナミビルは、示されたその実際の立体化学で描くこともできる。そのような立体化学は、ザナミビルが構造:
【0063】
【化7】
を有するキラル化合物であることを示す。
【0064】
ザナミビルは、von Izsteinらに対する米国特許第5,360,817号、米国特許第5,597,933号、米国特許第5,495,027号、及び米国特許第6,156,544号に記載されており、これらの特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの特許における開示に加えて、ザナミビルを作製するための別の合成経路が報告されている。Zhu et al., Tetrahedron、68(8)、2041-2044(2012)を参照のこと。
【0065】
オセルタミビルは、Tamiflu(登録商標)として知られる市販のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害剤であり、インフルエンザの治療及び予防に対して米国FDAにより承認されている。Lew et al., Curr. Med Chem.、7(6):663-72(2000)を参照のこと。
【0066】
オセルタミビルは、カプセル(オセルタミビル75mgに相当するリン酸オセルタミビル98.5mgを含有)として、及び経口懸濁液用粉末(オセルタミビル6mg/mlに相当するリン酸オセルタミビル)として患者に投与される。オセルタミビルは、その後インフルエンザノイラミニダーゼ酵素の活性部位に結合し、インフルエンザウイルスがその宿主細胞を抜け出し、他を感染させることができないようにする。Tamiflu(登録商標)は、30mg又は45mgのオセルタミビルを含有するカプセルでも入手可能である。
【0067】
オセルタミビルは、以下の化学的構造:
【0069】
他の実施形態において、オセルタミビルは、示されたその実際の立体化学で描くこともできる。そのような立体化学は、オセルタミビルが構造:
【0070】
【化9】
を有するキラル化合物であることを示す。
【0071】
オセルタミビルは、米国特許第5,763,483号、第5,866,601号、及び第5,952,375号に記載されており、これらの特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの特許における開示に加えて、オセルタミビルを作製するための別の合成経路が報告されている。Ishikawa et al., Angew. Chem. Int. Ed.、48:1304-1307(2009)を参照のこと。
【0072】
したがって、本発明の一実施形態によれば、呼吸器感染に対する新規の併用治療療法が提供される。
【0073】
本発明はまた、ザナミビルと組み合わせた式(I)の化合物を含む新規の組成物も提供する。別の一実施形態において、本発明はオセルタミビルと組み合わせた、式(I)の化合物を含む新規の組成物を提供する。さらに別の一実施形態において、本発明は、ラニナミビルと組み合わせた式(I)の化合物を含む新規の組成物を提供する。さらに別の一実施形態において、本発明は、ペラミビルと組み合わせた式(I)の化合物を含む新規の組成物を提供する。さらに別の一実施形態において、本発明は、ファビピラビル(T-705)と組み合わせた式(I)の化合物を含む新規の組成物を提供する。
【0074】
さらに提供されるのは、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、ザナミビル又は薬学的に許容可能なその塩と組み合わせて対象に投与することを含む、呼吸器感染に罹患している対象における呼吸器感染を治療する新規の方法である。式(I)の化合物及びザナミビルのそのような「組合せ」は、同じ投与において固定用量の組合せとして呼吸器感染に罹患している対象に投与されてもよく、又はそのような組合せは、2つの別個の投与において投与されてもよい。
【0075】
同様に提供されるのは、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤、及びザナミビル又は薬学的に許容可能なその塩と組み合わせた式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を含む医薬組成物である。
【0076】
同様に提供されるのは、呼吸器感染に罹るリスクがある又は素因がある対象に、ザナミビル又は薬学的に許容可能なその塩と組み合わせた式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を投与することを含む、対象における呼吸器感染を予防する方法である。
【0077】
さらに提供されるのは、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、ザナミビル又は薬学的に許容可能なその塩と組み合わせて対象に投与することを含む、ウイルス性呼吸器感染に罹患している対象におけるウイルス性呼吸器感染を治療する新規の方法である。
【0078】
さらに提供されるのは、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、ザナミビル又は薬学的に許容可能なその塩と組み合わせて対象に投与することを含む、インフルエンザ感染に罹患している対象におけるインフルエンザ感染を治療する新規の方法である。
【0079】
さらに提供されるのは、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、リバビリン又は薬学的に許容可能なその塩と組み合わせて対象に投与することを含む、RSV感染に罹患している対象におけるRSV感染を治療するための新規の組成物及び/又は方法である。
【0080】
本発明のそのような化合物は、特に幾何学的形態又は立体異性形態で存在することができる。本発明は、シス及びトランス異性体、(-)及び(+)エナンチオマー、(R)及び(S)エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、そのラセミ混合物、並びに鏡像異性的又はジアステレオマー的に富化された混合物等の他のその混合物を含む、本発明の範囲内にある全てのそのような化合物を企図する。追加の不斉炭素原子は、アルキル基等の置換基に存在してもよい。全てのそのような異性体、及びその混合物は、本発明に含まれることが意図される。
【0081】
光学的に活性な(R)及び(S)異性体並びにd及びl異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製されてもよく、又は従来の手法を用いて分割されてもよい。例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、該エナンチオマーは不斉合成により、又はキラル補助による誘導体化により調製することができ、得られたジアステレオマー混合物は分離され、補助基が切断されて純粋な所望のエナンチオマーをもたらす。あるいは、分子がアミノ基等の塩基性官能基、又はカルボキシル基等の酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマーの塩が適切な光学的に活性な酸又は塩基を用いて形成され、続いて故に形成されたジアステレオマーが当技術分野で知られた分別結晶又はクロマトグラフィー手段により分割され、その後純粋なエナンチオマーが回収されてもよい。さらに、エナンチオマー及びジアステレオマーの分離は、キラル固定相を使用するクロマトグラフィーを、場合により化学誘導体化(例えば、アミンからのカーバメートの形成)と組み合わせて用いて達成されることが多い。
【0082】
本発明の別の一実施形態において、抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物が提供され、化合物及び抗菌剤は、ヒトにおけるウイルス感染の治療で使用する医薬品の製造に使用される。
【0083】
本発明の別の一実施形態において、薬学的に許容可能な希釈剤及び抗菌剤と組み合わせた治療的に有効な量の式(I)に定義された化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0084】
一実施形態において、本発明は、ウイルス感染に対する新規の治療及び/又は予防療法として有用性を有する化合物、組成物、及び医薬組成物に関する。別の一実施形態において、本発明は、呼吸器ウイルス感染に対する新規の治療及び/又は予防療法として有用性を有する化合物、組成物、及び医薬組成物に関する。別の一実施形態において、本発明は、細菌性呼吸器感染に対する新規の治療及び/又は予防療法として有用性を有する化合物、組成物、及び医薬組成物に関する。
【0085】
ウイルスは、ウイルスゲノムのタイプを含むいくつかの特徴を評価することにより分類される。ウイルスゲノムはDNA又はRNAから成り得、二本鎖又は一本鎖であり得(さらにプラスセンス又はマイナスセンスであり得る)、サイズ及びゲノム構成により大きく異なり得る。
【0086】
RNAウイルスは、その遺伝子材料としてRNA(リボ核酸)を有するウイルスである。この核酸は通常、一本鎖RNA(ssRNA)である。RNAウイルスは、そのRNAのセンス又は極性に従ってマイナスセンス及びプラスセンスにさらに分類することができる。プラスセンスウイルスRNAはmRNAに類似しており、故に宿主細胞によって直ちに翻訳され得る。マイナスセンスウイルスRNAはmRNAと相補的であり、故に翻訳前にRNAポリメラーゼによってプラスセンスRNAに変換されなければならない。そのため、プラスセンスウイルスの精製RNAは、ウイルス粒子全体より感染性が低い可能性があるが、感染を直接引き起こし得る。マイナスセンスウイルスの精製RNAは、プラスセンスRNAに転写される必要がある、すなわち、各ビリオンがいくつかのプラスセンスRNA転写され得ることから、それ自体感染性でない。
【0087】
プラスセンス一本鎖RNAウイルス(「プラス鎖RNAウイルス」)は、多くの異なる亜科からのウイルスの大きなスーパーファミリーを構成する。これらのウイルスは、植物及び動物界の両方にまたがり、軽度の表現型から重度の消耗性疾患にわたる病理を引き起こす。プラス鎖RNAウイルスポリメラーゼスーパーグループの構成には、少なくとも以下の科:レビウイルス(levivirus)、ナルナウイルス(narnavirus)、ピコルナウイルス(picornavirus)、ジシストロウイルス(dicistrovirus)、マルナウイルス(marnavirus)、セキウイルス(sequivirus)、コモウイルス(comovirus)、ポチウイルス(potyvirus)、カリシウイルス(calicivirus)、アストロウイルス(astrovirus)、ノダウイルス(nodavirus)、テトラウイルス(tetravirus)、ルテオウイルス(luteovirus)、トンブスウイルス(tombusvirus)、コロナウイルス、アルテリウイルス(arterivirus)、ロニウイルス(ronivirus)、フラビウイルス(flavivirus)、トガウイルス(togavirus)、ブロモウイルス(bromovirus)、ティモウイルス(tymovirus)、クロステロウイルス(closterovirus)、フレキシウイルス(flexivirus)、セコウイルス(secovirus)、バルナウイルス(barnavirus)、イフラウイルス(iflavirus)、サドワウイルス(sadwavirus)、チェラウイルス(cheravirus)、ヘペウイルス(hepevirus)、ソベモウイルス(sobemovirus)、ウンブラウイルス(umbravirus)、トバモウイルス(tobamovirus)、トブラウイルス(tobravirus)、ホルデイウイルス(hordeivirus)、フロウイルス(furovirus)、ポモウイルス(pomovirus)、ペクルウイルス(pecluvirus)、ベニウイルス(benyvirus)、ウルミアウイルス(ourmiavirus)、及びイダエオウイルス(idaeovirus)が含まれる。
【0088】
マイナスセンス一本鎖RNAウイルス(「マイナス鎖RNAウイルス」)は、プラスセンスRNAを形成するためにそのゲノムをRNA依存性RNAポリメラーゼによりコピーされなければならない。これは、ウイルスが自身と一緒にRNAレプリカーゼ酵素を携えていなければならないことを意味する。プラスセンスRNA分子は次いでウイルスmRNAとして作用し、ウイルスmRNAは宿主のリボソームによってタンパク質に翻訳される。結果として生じるタンパク質は、カプシドタンパク質及びRNAレプリカーゼ等の新たなビリオンの直接合成に進み、新たなマイナスセンスRNA分子の産生に使用される。
【0089】
マイナスセンス一本鎖RNAウイルスグループには認識されている8つの科、及び特定の科に指定されないいくつかの科がある。
・モノネガウイルス目(Mononegavirales)
・ボルナウイルス科(Bornaviridae)-ボルナ病ウイルス(Borna disease virus)
・フィロウイルス科(Filoviridae)-エボラウイルス(Ebora virus)、マールブルグウイルス(Marburg virus)が含まれる
・パラミクソウイルス科-麻疹ウイルス(Measles virus)、流行性耳下腺炎ウイルス(Mumps virus)、ニパウイルス(Nipah virus)、ヘンドラウイルス(Hendra virus)が含まれる。
・ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)-狂犬病ウイルス(Rabies virus)が含まれる。
・未指定の科:
・アレナウイルス科(Arenaviridae)-ラッサ熱ウイルス(Lassa virus)が含まれる。
・ブニヤウイルス科(bunyaviridae)-ハンタウイルス(Hantavirus)、クリミアコンゴ出血熱(Crimean-Congo hemorrhagic fever)が含まれる。
・オフィオウイルス科(Ophioviridae)
・オルトミクソウイルス科-インフルエンザウイルスが含まれる。
・未指定の属:
・デルタウイルス(Deltavirus)属-D型肝炎ウイルス(Hepatitis D virus)が含まれる。
・ジコルハウイルス(Dichorhavirus)属
・エマラウルス(Emaravirus)属
・ニャウイルス(Nyavirus)属-ニャマニニ(Nyamanini)及びミッドウェーウイルス(Midway virus)が含まれる。
・テヌイウイルス(Tenuivirus)属
・ヴァリコサウイルス(Varicosavirus)属
・未指定の種:
・ターストラップウイルス(Taastrup virus)
【0090】
したがって、本発明は、本明細書に列挙されたウイルス又はウイルスの科もしくは属のいずれか、及び同様に、本明細書に列挙されていないが当業者に公知であろう追加のウイルスの治療又は予防を包含し得ることが意図される。
【0091】
本発明の一実施形態において、本明細書に記載された化合物は、一本鎖RNAウイルスによって引き起こされる対象におけるウイルス感染の予防又は治療に有用である。
【0092】
本発明の一実施形態において、本明細書に記載された化合物は、プラスセンス一本鎖RNAウイルスによって引き起こされる対象におけるウイルス感染の予防又は治療に有用である。
【0093】
本発明の一実施形態において、本明細書に記載された化合物は、マイナスセンス一本鎖RNAウイルスによって引き起こされる対象におけるウイルス感染の予防又は治療に有用である。
【0094】
いくつかの実施形態において提供されるのは、対象に抗菌剤と組み合わせた式(I)のいずれかの化合物を含む組成物を投与することを含む、ウイルスのニドウイルス科(nidovirales)、ピコルナウイルス科(picornavirales)、ティモウイルス科(tymovirales)、モノネガウイルス(mononegavirales)、レオウイルス科(reoviridae)、ピコビルナウイルス科(pycobirnaviridae)、パルボウイルス科(parvoviridae)、アデノウイルス科(adenoviridae)、ポックスウイルス科(poxviridae)、ポリオーマウイルス科(polyomaviridae)、ヘルペスウイルス科(herpesviridae)、パラミクソウイルス科のウイルスにより少なくとも一部が媒介される対象におけるウイルス感染を治療するための方法である。
【0095】
対象に抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を投与することを含む、ウイルス感染に罹患している対象におけるウイルス感染を治療する方法。
【0096】
抗菌剤と組み合わせた式(I)のいずれかの化合物を対象に投与することを含む、対象におけるウイルス感染を予防する方法。
【0097】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、以下の科:レビウイルス、ナルナウイルス、ピコルナウイルス、ジシストロウイルス、マルナウイルス、セキウイルス、コモウイルス、ポチウイルス、カリシウイルス、アストロウイルス、ノダウイルス、テトラウイルス、ルテオウイルス、トンブスウイルス、コロナウイルス、アルテリウイルス、ロニウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、ブロモウイルス、ティモウイルス、クロステロウイルス、フレキシウイルス、セコウイルス、バルナウイルス、イフラウイルス、サドワウイルス、チェラウイルス、ヘペウイルス、ソベモウイルス、ウンブラウイルス、トバモウイルス、トブラウイルス、ホルデイウイルス、フロウイルス、ポモウイルス、ペクルウイルス、ベニウイルス、ウルミアウイルス、及びイダエオウイルスに属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の予防又は治療に有用である。
【0098】
式(I)の化合物を、単独で又は本明細書に記載された抗菌剤と組み合わせて、前記ウイルス感染を有する対象に投与して呼吸器ウイルス感染を治療するための化合物、方法、及び医薬組成物が開示される。そのような化合物の調製方法並びに化合物及びその医薬組成物の使用方法も開示される。特に、RNA又はDNAウイルスによって引き起こされるもの等のウイルス感染の治療及び予防が開示される。
【0099】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ピコルナウイルス科、フィロウイルス科、パラミクソウイルス科、又はコロナウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ピコルナウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、コロナウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0100】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ポリオウイルス(poliovius)、ライノウイルス(rhinovirus)、コクサッキーウイルス(coxsackievirus)、A型インフルエンザウイルス(influenza A virus)、B型インフルエンザウイルス(influenza B virus)、アデノウイルス、コロナウイルス、A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus)、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus)、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)、E型肝炎ウイルス(hepatitis E virus)、エボラウイルス、マールブルグウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス(Severe Acute Respiratory Syndrome virus)、アレナウイルス(arenavirus)、リフトバレー熱ウイルス(Rift Valley Fever virus)、黄熱病ウイルス(yellow fever virus)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヘパシウイルス(hepacivirus)、西ナイルウイルス(west nile virus)、デング熱ウイルス(Dengue fever virus)、アイチウイルス(Aichi virus)、エンテロウイルス、風疹ウイルス(rubella virus)、マウス脳脊髄炎ウイルス(murine encephalomyelitis virus)、パラインフルエンザ、メタ肺炎ウイルス、口蹄ウイルス(foot-and-mouth virus)、鳥インフルエンザウイルス(avian influenza virus)、及び中東呼吸器症候群(MERS) (Middle East Respiratory Syndrome)からなる群から選択される任意の1つ以上のウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の予防又は治療に有用である。
【0101】
さらに他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、以下の表1にリストされた任意の系統発生的な目、属、科、又は特定の種からのウイルス感染の予防又は治療に有用である。
【0103】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、パラミクソウイルス科、ピコルナウイルス科、又はフラビウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、パラミクソウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、フラビウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0104】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ピコルナウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0105】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ポリオウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、アレナウイルス、リフトバレー熱ウイルス、黄熱病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス、アイチウイルス、エンテロウイルス、風疹ウイルスウイルス、タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)(Theiler's murine encephalomyelitis virus)、口蹄ウイルス(FMDV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、ヒトPIV、ヒトメタ肺炎ウイルス(hMPV)、鳥インフルエンザウイルス、及び中東呼吸器症候群(MERS)からなる群から選択される任意の1つ以上のウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0106】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒトエンテロウイルスA〜Dのいずれかによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0107】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、エンテロウイルスA71によって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0108】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒトライノウイルスA〜Cのいずれかによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0109】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒトライノウイルスAによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0110】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒトライノウイルスBによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0111】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒトライノウイルスCによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0112】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒト呼吸器合胞体ウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0113】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒト呼吸器合胞体ウイルスAによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0114】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒト呼吸器合胞体ウイルスBによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0115】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、アイチウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0116】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ポリオウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0117】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、コクサッキーウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0118】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、エコーウイルス(echovirus)によって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0119】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、A型肝炎ウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0120】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、重症急性呼吸器症候群ウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0121】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、フニンウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0122】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、サル痘ウイルス(monkey pox virus)によって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0123】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、リフトバレー熱ウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0124】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、B型肝炎ウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0125】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、C型肝炎ウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0126】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0127】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0128】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、A型インフルエンザウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0129】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、B型インフルエンザウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0130】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、C型インフルエンザウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0131】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、コロナウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0132】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、フィロウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0133】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、アレナウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0134】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ブニヤウイルス科に属するウイルスによって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0135】
他の実施形態において、本明細書に記載された化合物は、ヒト免疫不全ウイルス1型及び/又はヒト免疫不全ウイルス2型によって引き起こされる、対象におけるウイルス感染の治療に有用である。
【0136】
式(I)の化合物の合成
以下の例は、式(I)の化合物の作製方法をより十分に記載するのに役立つ。当業者は、参照により本明細書に完全に組み込まれる米国特許第7,893,089号を読んだ後、式(I)の化合物の合成方法を理解するであろう。
【0137】
この例は、本発明の真の範囲を限定する役目をするものではなく、むしろ例示目的として示されることが理解される。
【0138】
本明細書に記載された化学的実体及び中間体の単離及び精製は、必要に応じて、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー又は厚層クロマトグラフィー、又はこれらの手順の組合せ等の任意の適切な分離又は精製手順により達成することができる。適切な分離及び単離手順の特定の例示は、本明細書の以下の例を参照することによりなされ得る。しかし、他の同等の分離又は単離手順を使用することもできる。
【0139】
必要に応じて、(R)及び(S)異性体は、当業者に知られた方法、例えば、例えば結晶化により分離することができるジアステレオマー塩又は錯体の形成;例えば結晶化、ガス液体又は液体クロマトグラフィーにより分離することができるジアステレオマー誘導体の形成;一方のエナンチオマーとエナンチオマー特異的試薬との選択的反応、例えば酵素的酸化又は還元と、それに続く修飾及び非修飾エナンチオマーの分離;又はキラル環境、例えばキラルリガンドが結合したシリカ等のキラル担体上、もしくはキラル溶媒の存在下でのガス液体もしくは液体クロマトグラフィーにより分割することができる。あるいは、特定のエナンチオマーは、光学的に活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いて、又は一方のエナンチオマーを不斉転換により他方に変換して不斉合成により合成することができる。
【0140】
これらの例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ本発明の化合物、組成物、及び方法を調製及び使用するための手引きを当業者に提供するものである。本発明の特定の実施形態が記載されるが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正がなされ得ることを理解するであろう。
【0141】
エーテルへの全ての言及はジエチルエーテルであり、ブラインはNaCIの飽和水溶液を指し、DCMはジクロロメタンを指し、THFはテトラヒドロフランを指し、EtOAcは酢酸エチルを指し、Hex及びHxはヘキサンを指し、IMSは工業用変性アルコールを指し、TBMEはtert-ブチルメチルエーテルを指し、DMFはジメチルホルムアミドを指し、BOC及びBocはtert-ブチルオキシカルボニルを指す。特に指示がない限り、全ての温度は℃(セ氏温度)で表される。全ての反応は特に断りがない限り、不活性雰囲気下、室温で実施される。
【0142】
1H NMRスペクトルは、Jeol Delta2(300MHz)分光計に記録された。化学シフトは、100万分の1(ppm、δ単位)で表される。分裂パターンは見かけの多重度を表し、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、quint(五重項)、m(多重項)、br(ブロード)として示される。
【0143】
特に指定されない限り、「フラッシュ」及び「カラムクロマトグラフィー」は、指定された溶媒系を用いたシリカフラッシュカラムクロマトグラフィーを指す。LC-MSデータは、Shimadzu LCシステム(SCL-10A Controller及びデュアルUV検出器)と併用したPE Sciex Single Quadrupole LC/MS API-150、又はWaters 2695セパレーションモジュールと併用したWatersマイクロマスZQのどちらかで得た。
【0144】
出発物質1:
N-(3,4-ジクロロフェニル)-2,2-ジメチルプロパンアミド:
3,4-ジクロロアニリン(150g)を1.0L TBMEに溶解し、溶液を10℃に冷却した。水酸化ナトリウム(30%水溶液140.7g)を機械的撹拌下で添加した。内部温度を35℃以下に保持しながら、塩化ピバロイル(125.9mL)を滴下添加した。添加後、反応物の温度を30〜35℃でさらに30分間維持した。反応混合物を次いで室温に放冷し、その後0〜5℃で1時間保持した。得られた沈殿物を濾過し、水/MeOH(90/10)600mL、次いで水900mLで洗浄した。得られた固体を55℃、4日間真空オーブンで乾燥させた。収量: 162 g.
1H-NMR (DMSO-d
6) δ 9.46(s, 1H), 8.04 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 7.65 (dd, J= 9.0. 2.4 Hz, 1H), 7.54 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 1.22 (9H, s).
【0145】
出発物質2:
6-クロロ-2-(1,1-ジメチルエチル)-1,3-ベンゾオキサゾール-7-スルホニルクロリド:
N-(3,4-ジクロロフェニル)-2,2-ジメチルプロパンアミド(121g)を720mL THFに溶解し、溶液を-50℃に冷却した。内部温度を-45℃から-35℃の間に保持しながら(最終温度:-35℃)、ブチルリチウム(433mL、hex中2.5N)を添加した。-25℃で40分間保った。反応混合物をHPLCチェックすると、出発物質の5〜10%が残っていることがわかった。追加の35mLのブチルリチウムを-30℃で添加し、反応物を-30〜-25℃でさらに30分間保った(HPLC:有意な変化なし)。反応混合物を-45℃に冷却し、SO
2を飽和に達したように見えるまで溶液全体にバブリングさせた。その後、反応混合物を-10から0℃で45分間撹拌した。アルゴン(2倍のバルーン容量)を溶液全体にバブリングさせ、その後反応混合物を-5℃に冷却した。温度を22℃以下に保持しながら、塩化スルフリル(58.8mL)を添加した。その後、反応混合物を10〜15℃で1時間保持した(HPLC:完了)。EtOAcを添加し、混合物を濃縮し、水、飽和重炭酸ナトリウム水及びブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗物質が結晶化し、これを熱ヘキサンですり混ぜた。収量: 87.2 g
1H-NMR (DMSO-d
6) δ7.60(d, J= 8.4Hz, 1H), 7.34(d, J= 8.4Hz, 1H), 1.43(9H, s).
【0147】
【化10】
出発物質1、N-(3,4-ジクロロフェニル)-2,2-ジメチルプロパンアミド(出発物質1の合成を教示する限りにおいて、同じく上記に記載された、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第01/68033号に従って調製)を乾燥THF (400mL)に溶解し、次いでアルゴン雰囲気下で-75℃に冷却した。温度を-60℃以下に保持しながら、n-BuLi(160mL、ヘキサン中2.5M、5当量)を滴下添加した。n-BuLiを全て添加したら、反応物を-5℃で1.5時間撹拌し、次いで-70℃に冷却し、硫黄(「硫黄華」)(13g)を添加し、続いて-70℃から室温で一晩撹拌した。反応混合物を-10℃で撹拌後、溶液は黄色から茶色/オレンジ色に変化した。反応混合物を0℃に冷却し、次いで2N HCI溶液(200mL)でクエンチし、10分間撹拌した。有機層を分離し、2N NaOH溶液でpH12〜13に塩基性化し、次いでEtOAcで洗浄した。水層を2M HCI溶液で約pH1に再び酸性化し、ジクロロメタン(2×)で抽出し、これを水で洗浄し、Na
2S0
4で乾燥し、濃縮した。粗生成物を1:5(EtOAc/Hex)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した。収量: 6 g (30%, 橙色油).
1H-NMR (CDCl
3) δ7.39-7.30 (m, 2H), 4.08 (s, 1H), 1.50 (9H, s).
【0148】
あるいは、中間体1は以下の方法で調製する:
トリフェニルホスフィン(89g)をDCM(200ml)及びDMF(2.2ml)に溶解した。溶液を氷/メタノール浴で-1℃に冷却した。これに、DCM(100ml)中6-クロロ-2-(1,1-ジメチルエチル)-1,3-ベンゾオキサゾール-7-スルホニルクロリド、出発物質2(出発物質2の合成を教示する限りにおいて、同じく上記に記載された、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第01/68033号に従って調製)(35g)の溶液を、温度を15℃以下に維持しながら30分にわたり添加した。反応混合物を室温で窒素下、18時間撹拌した。反応混合物を2N塩酸(200ml)を用いてクエンチした。相を分離し、有機相を真空中で蒸発させた。残渣を2N水酸化ナトリウム(400ml)に懸濁し、3時間急速に撹拌した。固体を濾過により除去し、水で洗浄した。合わせた濾液及び洗液を氷/水浴で冷却し、5N塩酸を用いて約pH1に酸性化した。これをTBME(400ml)を用いて抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて茶色固体としての中間体1(22.85g)を得た。
【0150】
【化11】
DCM(20mL)中(R)-(+)-3-ヒドロキシピペリジン塩酸(1g)の懸濁液にEt
3N(3.04mL)、続いてBOC
2O(1.75g)を0℃で添加し、週末にかけて放置した。水(50mL)を添加し、DCM(100mL)で抽出した。合わせた有機物を水(2×50mL)、次いでブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をカラムにかけた(フラッシュ、0〜10%MeOH/DCMの勾配で溶出)。収量: 1.55 g.
1H-NMR (CDCl
3) δ3.74-3.69 (2H, m), 3.56-3.48 (1H, m), 3.18-3.03 (2H, m), 1.92-1.83 (1H, m), 1.79-1.71(2H, m), 1.55-1.45 (1H, m), 1.43 (9H, s).
【0152】
【化12】
DCM(10mL)中中間体2(1g)の溶液に、Et
3N(1.38mL)、続いてMsCI(0.46mL)を0℃で滴下添加した。0℃で1時間撹拌後、反応物を室温に加温し、水(10mL)でクエンチし、分離した。水層をDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機物を水(40mL)で洗浄し、1スパチュラのシリカを添加し、乾燥させ(NaSO
4)、濃縮した。収量: 1.4148 g.
1H-NMR (CDCl
3) δ4.71 (1H, br s), 3.62 (2H, br d), 3.49-3.27 (2H, m), 3.04 (3H, s), 2.01-1.76 (3H, m), 1.79-1.71(2H, m), 1.55-1.45 (1H, m), 1.45 (9H, s).
【0154】
【化13】
THF(20mL)中NaH(0.30g)の懸濁液に、中間体1(出発物質1を用いた)(1.22g)を滴下添加した。1時間撹拌後、THF中中間体3(1.41g)を添加し、反応物を80℃に加熱し、一晩放置した。反応物混合物を室温に冷却し、次いで飽和NaHCO
3水(50mL)でクエンチした。反応混合物をDCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機物を水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO
4)、濃縮した。残渣をカラムにかけた(フラッシュ、20%EtOAC/Hx、シリカ)。収量: 946.9 mg.
1H-NMR (CDCl
3) δ7.50 (d, J= 7.9Hz, 1H), 7.38 (d, J= 7.9Hz, 1H), 3.82 (d, J= 13.4Hz, 1H), 3.55-3.45 (m, 1H), 3.00-2.80 (m, 2H).
【0156】
【化14】
DCM(10mL)中中間体4(946.9mg)の溶液に、DCM(10mL)中mCPBA(2.31g)を-10℃で添加した。反応物を-10℃で1時間撹拌し、次いで室温に加温した。反応物混合物を飽和NaHCO
3水(50mL)でクエンチし、次いでDCM(2×70mL)で抽出した。合わせた有機物を水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をカラムにかけた(フラッシュ、30%EtOAc/Hx、シリカ)。収量 353.6 mg (35%, 黄色油). MS (m/z, ES
+, M+H): 457.08.
【0158】
【化15】
IMS(5mL)中中間体5(353mg)の溶液に、水性濃HCl(5mL)を添加した。反応物を次いで80℃に加熱し、一晩放置した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮してIMSを除去した。残渣を飽和NaOH水でpH12に塩基性化し、EtOAc(30mL)、BOC
2O(1当量、0.17g)を0℃で添加し、一晩放置した。反応混合物を分離し、水層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(Na
2SO
4で)、濃縮した。残渣をカラムにかけた(フラッシュ、10%〜30%EA/Hxの勾配で溶出)。収量:2つの生成物含有画分を単離した:58.0mg及び180.9mg。MS (m/z、ES
+、M+H): 291.01。
【0160】
【化16】
3-フルオロ-2-メチルアニリン(7.4g)をアルゴン雰囲気下、室温でDCM(220mL)に溶解した。0℃に冷却後、飽和NaHCO
3水(220mL)、続いてトリホスゲン(5.85g)を添加した。反応物を0℃で1時間撹拌放置した。この時間の後、生成物をDCM(2×50mL)で抽出した。有機画分を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、溶媒を真空中で除去して黄色油状物を得た。ヘキサンを追加し白色塩を沈殿させ、これを濾過した。真空中でヘキサンを除去し、黄色油状物(7.69g、86%)を得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ7.09 (dd, 1H), 6.92-6.85 (m, 2H), 2.24 (s, 3H).
【0162】
【化17】
DCM(3mL)中中間体6(60mg)の溶液に中間体7(70mg)を添加し、反応物を週末にかけて放置した。反応混合物を濃縮し、残渣をカラムにかけた(フラッシュ、20%〜30%EtOAc/Hxの勾配で溶出)。収量: 56.2 mg. MS (m/z, ES
+, M+H): 542.01.
【0163】
実施例1
N-{4-クロロ-2-ヒドロキシ-3-[(3S)-3-ピペリジニルスルホニル]フェニル}-N'-(3-フルオロ-2-メチルフェニル)尿素。(一般的手順H)
【0164】
【化18】
中間体8(56.2mg)及び4N HCl/ジオキサン(3mL)を室温で一緒に撹拌し、一晩放置した。中間体6、5、4、3及び2は上記の通りに作製した。中間体1は、実施例1を合成するために出発物質1を用いて作製した。反応物混合物を濃縮し、残渣を最少量のMeOHに溶解し、Et
2Oを添加した。固体を析出し、これを濾過し、乾燥させた。粗収量:28.4mg。粗生成物を最少量のMeOHに溶解し、Et
2Oを添加した。固体を析出し、溶媒をデカントし、固体を乾燥させた。収量: 18.8 mg. MS (m/z, ES
+, M+H): 441.98. NMR (MeOD) δ8.40 (1H, d, Ar
H), 7.46 (1H, d, Ar
H), 7.19-7.15 (2H, m, Ar
H), 6.85 (1H, t, Ar
H), 4.14 (1H, dt, C
H), 3.66 (1H, dd, C
H), 3.37 (2H, d, C
H2), 3.04 (1H, dt, C
H), 2.19 (3H, S, ArC
H3), 2.14-1.69 (4H, m, 2xC
H2).
【0165】
本発明の一実施形態は、単独の及び/又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせた式(I)の化合物を含む組合せを包含する。例えば、一実施形態において、本発明は、表2、表3、及び/又は表4の薬剤から選択される1つ以上の抗菌剤と組み合わせた式(I)の化合物を含む組合せを包含する。一実施形態において、抗菌剤は表2に見出される抗ウイルス剤から選択される。
【0167】
本発明の他の実施形態において、抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン、チメラゾール(thimerasol)、イドクスウリジン、ビダラビン、トリフルリジン、ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル、ジピリダモール、インプルシン(impulsin)、プレコナリル、ホスカルネット、シドホビル、ICI 130,685、バルガンシクロビル、アシクロビル、イドクスウリジン、ビダラビン、又はバラシクロビルから選択される。
【0168】
本発明の一実施形態において、抗菌剤はザナミビルである。
【0169】
ザナミビルは、Relenza(登録商標)として知られる市販の強力なインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害剤であり、インフルエンザの治療及び予防に対して米国FDAにより承認されている。
【0170】
ザナミビルの合成は、その特許が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、von Izsteinらに対する米国特許第5,360,817号の実施例3に記載されている。例えば、ザナミビルの調製工程は、三フッ化ホウ素エーテラート(boron trifluoride ethearate)を用いた式(II)の5-アセトアミド-4-アセトキシ-6-(1,2,3-トリアセトキシプロピル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-2-カルボキシレートの選択的脱アセチル化として、その中に記載された。該脱アセチル化は、式(III)の5-アセトアミド-4-ヒドロキシ-6-(1,2,3-トリアセトキシプロピル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-2-カルボキシレートをもたらし、これをトリフルオロメタンスルホン酸無水物及びアジ化ナトリウムでさらに処理すると、式(IV)の5-アセトアミド-4-アジド-6-(1,2,3-トリアセトキシプロピル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-2-カルボキシレートをもたらした。ピリジン中硫化水素を用いた式(IV)の中間体化合物の還元は、対応する式(V)の5-アセトアミド-4-アミノ-6-(1,2,3-トリアセトキシプロピル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピラン-2-カルボキシレート中間体をもたらした。該中間体を、最終的に水中でS-メチルイソチオ尿素と縮合させ、水酸化アンモニウム水溶液中でDowex 50Wに通し鹸化してザナミビルを得た。
【0171】
本発明のさらなる実施形態において、抗菌剤は抗生物質である。本発明の目的上、式(I)の化合物及び抗生物質等の抗菌剤の組合せは、呼吸器細菌感染症に罹患している対象に有効な治療療法を提供する。本明細書において互換的に使用される用語「抗菌薬(antibacterial)」又は「抗生物質(antibiotic)」は、生体細胞の成長を死滅又は阻害又は抑制する作用を有する、天然又は合成起源の任意の化学物質を意味する。本発明の組合せ方法及び組成物に包含される抗菌剤の例には、以下の表3に記載されたこれらの抗生物質及び抗生物質クラスが含まれる。Todar, K., Todar's Textbook of Bacteriology, University of Wisconsin-Madison, Department of Bacteriology(2002)、及びThe Merck Manual, Sec. 13. Chap. 153., "Antibacterial Druds," 17
th Edition(1999)を参照のこと。
【0174】
他の実施形態において本発明は、表2、表3、及び/又は表4の薬剤から選択される1つ以上の抗菌剤と組み合わせた、また場合により、1つ以上の追加の従来の呼吸器治療剤と組み合わせた式(I)の化合物を含む組合せを包含する。
【0175】
本明細書に使用されるとき、用語「従来の呼吸器治療剤」は、呼吸器感染症を有することから生じる任意の症状をどんなにわずかであれ治療又は軽減し、式(I)の化合物又は抗菌剤でない任意のそのような呼吸器感染症治療を含む。
【0176】
本発明の目的上、適切な従来の呼吸器治療剤は、抗炎症剤(例えば、Cox-2阻害剤、Cox-2/Cox-1阻害剤、NSAID)、抗ヒスタミン剤、抗コリン剤(特にM
1/M
2/M
3受容体アンタゴニスト)、β
2-アドレナリン受容体アゴニスト、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、PDE4阻害剤(例えば、ロフルミラスト)、鬱血除去剤から選択される1つ以上の薬剤を含むことができる。
【0177】
本明細書において互換的に使用され得る用語「シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤」、又は「Cox-2阻害剤」は、Cox-1酵素の阻害程度にかかわらず、Cox-2酵素を阻害する化合物を含み、その化合物の薬学的に許容可能な塩を含む。故に、本発明の目的上、Cox-1酵素と同程度、Cox-1酵素より高い又は低い程度かどうかにかかわらず、Cox-2酵素を阻害する化合物はCox-2阻害剤と見なされる。本発明の一実施形態において、Cox-2阻害剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であることが好ましい。したがって、本発明のCox-2阻害剤として働き得る好ましい物質には、非ステロイド性抗炎症薬化合物、薬学的に許容可能なその塩、又はその純粋な(-)もしくは(+)光学異性体が含まれる。
【0178】
抗炎症剤の例には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が含まれる。本発明において有用である適切なNSAID化合物には、アセメタシン、アセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アルミノプロフェン、アザプロパゾン、ベノリラート、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、クリダナク、クロピナク、ダプソン、ジクロフェナク、ジフルニサル、ドロキシカム、エトドラク、フェノプロフェン、フェンブフェン、フェンクロフェネク、フェンチアザク、フロクタフェニン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、(r)-フルルビプロフェン、(s)-フルルビプロフェン、フロフェナク、フェプラゾン、フルフェナム酸、フルプロフェン、イブフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、インドメサシン、インドプロフェン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ミロプロフェン、ピロキシカム、メロキシカム、メフェナミック(mefenamic)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、メクロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、オキサプロジン、オキシピナク(oxipinac)、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ポドフィロトキシン誘導体、プログルメタシン、ピプロフェン(piprofen)、ピルプロフェン、プラポプロフェン(prapoprofen)、サリチル酸、サリチラート、スドキシカム、スプロフェン、スリンダク、テノキシカム、チアプロフェン酸、チオピナク、チオキサプロフェン、トルフェナム酸、トルメチン、ジドメタシン、ゾメピラク、及び2-フルオロ-a-メチル[1,1'-ビフェニル]-4-酢酸、4-(ニトロオキシ)ブチルエステルが含まれる。
【0179】
さらに適切なNSAID化合物には、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ケトプロフェン、フェノプロフェン、チアプロフェン酸、スプロフェン、エトドラク、カルプロフェン、ケトロラク、ピプロフェン、インドプロフェン、サリチル酸、及びフルルビプロフェンが含まれる。
【0180】
一実施形態において本発明は、β
2-アドレナリン受容体アゴニストと共に式Iの化合物を含む組合せを包含する。
【0181】
β
2-アドレナリン受容体アゴニストの例には、ビランテロール、サルメテロール(ラセミ体又はR-エナンチオマー等の単一のエナンチオマーであってもよい)、サルブタモール(ラセミ体又はR-エナンチオマー等の単一のエナンチオマーであってもよい)、ホルモテロール(ラセミ体又はR,R-ジアステレオマー等の単一のジアステレオマーであってもよい)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール(flerbuterol)、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロール、テルブタリン及びその塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート)塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基、又はホルモテロールのフマル酸塩が含まれる。一実施形態においてβ
2-アドレナリン受容体アゴニストは、長時間作用型β
2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、約12時間以上にわたって有効な気管支拡張作用を提供する化合物である。
【0182】
他のβ
2-アドレナリン受容体アゴニストには、国際公開第2002/066422号、国際公開第2002/070490号、国際公開第2002/076933号、国際公開第2003/024439号、国際公開第2003/072539号、国際公開第2003/091204号、国際公開第2004/016578号、国際公開第2004/022547号、国際公開第2004/037807号、国際公開第2004/037773号、国際公開第2004/037768号、国際公開第2004/039762号、国際公開第2004/039766号、国際公開第2001/42193号及び国際公開第2003/042160号に記載されているものが含まれる。
【0183】
β
2-アドレナリン受容体アゴニストのさらなる例には:
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;及び
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン
が含まれる。
【0184】
β
2-アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-又はは3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、桂皮酸、置換桂皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-又は4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸及び4-フェニル安息香酸から選択される薬学的に許容可能な酸で形成された塩の形態であってもよい。
【0185】
適切な抗炎症剤には、コルチコステロイドが含まれる。本発明の化合物式Iと組み合わせて使用することができるコルチコステロイドの例は、抗炎症活性を有する経口及び吸入コルチコステロイド及びそのプロドラッグである。例には、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸シアノメチルエステル、及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンエステル(例えば17-プロピオン酸エステル又は17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えばフロ酸モメタゾン)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]bis(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、プロピオン酸ブチキソコート、RPR-106541、及びST-126が含まれる。一実施形態においてコルチコステロイドには、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸シアノメチルエステル、及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルが含まれる。一実施形態においてコルチコステロイドは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルである。
【0186】
コルチコステロイドの例には、国際公開第2002/088167号、国際公開第2002/100879号、国際公開第2002/12265号、国際公開第2002/12266号、国際公開第2005/005451号、国際公開第2005/005452号、国際公開第2006/072599号及び国際公開第2006/072600号に記載されたものが含まれ得る。
【0187】
転写活性化より転写抑制に対して選択性を有し得、併用療法に有用であり得るグルココルチコイド作動性を有する非ステロイド性化合物には、以下の公開特許出願及び特許:国際公開第1998/54159、国際公開第2000/66590号、国際公開第2001/16128号、国際公開第2002/02565号、
【0188】
国際公開第2003/059899号、国際公開第2003/061651号、国際公開第2003/082280号、国際公開第2003/082787号、国際公開第2003/082827号、国際公開第2003/086294号、国際公開第2003/101932号、国際公開第2003/104195号、
【0189】
国際公開第2004/005229号、国際公開第2004/009017号、国際公開第2004/018429号、国際公開第2004/026248号、国際公開第2006/000398号、国際公開第2006/000401号、国際公開第2006/015870号、国際公開第2006/108699号、国際公開第2007/000334号、国際公開第2007/054294号、国際公開第2007/122165号、国際公開第2007/144327号、及び国際公開第2008/000777号に包含されるものが含まれる。
【0190】
一実施形態において本発明は、例えば吸入に適した製剤の場合、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と組み合わせた式(I)の化合物の使用を提供する。本発明のこの態様において有用なPDE4阻害剤は、PDE4阻害剤として、例えばPDE4B及び/又はPDE4Dの阻害剤として作用することが知られ又は発見されている任意の化合物であってもよい。
【0191】
PDE4阻害剤化合物には、シス-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、及びシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]が含まれる。同様に、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラストとしても知られる)及びその塩、エステル、プロドラッグ又は物理的形態。これは、1996年9月3日に発行された米国特許第5,552,438号に記載され、この特許及びこれが開示する化合物は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0192】
他のPDE4阻害剤化合物には、Elbion製のAWD-12-281(N-(3,5-ジクロロ-4-ピリジニル)-1-[4-フルオロフェニル)メチル]-5-ヒドロキシ-α-オキソ-1H-インドール-3-アセトアミド)(Hofgen, N. et al., 15th EFMC Int Symp Med Chem(Sept 6-10、Edinburgh)1998、Abst P.98;CAS reference No.247584020-9);NCS-613 (INSERM)に指定された9-ベンジルアデニン誘導体;Chiroscience製及びSchering-Plough製のD-4418;CI-1018 (PD-168787)として識別され、Pfizerに帰属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;国際公開第99/16766号にKyowa Hakkoにより開示されたベンゾジオキソール誘導体;Kyowa Hakko製のK-34;Napp製のV-11294A(Landells, L.J. et al., Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23、Geneva) 1998] 1998、12 (Suppl. 28):Abst P2393);ロフルミラスト(3-(シクロプロピルメトキシ)-N-(3,5-ジクロロ-4-ピリジニル)-4-(ジフルオロメトキシ)ベンズアミド)(Byk Gulden Lombergに対するEP 0 706 513 B1を参照のこと、例えば、その実施例5を参照のこと);Byk-Gulden製のフタルアジノン(国際公開第1999/47505号);Byk-Gulden、現在のAltanaにより調製され、公表された混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaにより開発中のアロフィリン;Vernalis製のVM554/UM565;又はT-440(Tanabe Seiyaku;Fuji, K. et al., J Pharmacol Exp Ther、1998、284(1): 162)、及びT2585が含まれる。
【0193】
さらなるPDE4阻害剤化合物は、公開国際された特許出願である国際公開第2004/024728号、国際公開第2004/056823号、国際公開第2004/103998号(例えば、その中に開示されている実施例399又は544)、国際公開第2005/058892号、国際公開第2005/090348号、国際公開第2005/090353号、及び国際公開第2005/090354号に、全てGlaxo Group Limitedの名において開示されている。
【0194】
抗コリン剤の例は、ムスカリン性受容体でアンタゴニストとして作用する化合物、特に、M
1もしくはM
3受容体のアンタゴニスト、M
1/M
3もしくはM
2/M
3の二重アンタゴニスト、受容体又はM
1/M
2/M
3受容体のパンアンタゴニストである化合物である。吸入による投与のための例示的化合物には、イプラトロピウム(例えば臭化物として、CAS 22254-24-6、Atroventの名で販売)、オキシトロピウム(例えば臭化物として、CAS 30286-75-0)、及びチオトロピウム(例えば臭化物として、CAS 136310-93-5、Spirivaの名で販売)が含まれる。同様に対象となるのは、レバトロペート(例えば臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)、及び国際公開第2001/04118号に開示されているLAS-34273である。経口投与用の例示的化合物には、ピレンゼピン(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又はEnablexの名で販売されている臭化水素酸塩としてのCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、Ditropanの名で販売)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又はDetrolの名で販売されている酒石酸塩としてのCAS 124937-52-6)、オチロニウム(例えば臭化物として、CAS 26095-59-0、Spasmomenの名で販売)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)、及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又はYM-905としても知られ、Vesicareの名で販売されているコハク酸塩としてのCAS 242478-38-2)が含まれる。
【0195】
追加の化合物は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2005/037280号、国際公開第2005/046586号、及び国際公開第2005/104745号に開示されている。本組合せには、
【0196】
(3-endo)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド、
【0197】
(3-endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド、
【0198】
4-[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]-1-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド、及び
【0199】
(1R,5S)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8-メチル-8-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0200】
一実施形態において本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、H1アンタゴニスト等の抗ヒスタミン剤と一緒に含む組合せを提供する。適切なH1アンタゴニストの例には、ジフェンヒドラミン、アメレキサノクス(amelexanox)、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、及びトリプロリジン、特にアゼラスチン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、及びフェキソフェナジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0201】
別の一実施形態において本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、H3アンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)と一緒に含む組合せを提供する。H3アンタゴニストの例には、例えば、国際公開第2004/035556号、国際公開第2006/045416号、国際公開第2006/090142号、国際公開第2006/125665号、国際公開第2007/009739号、及び国際公開第2007/009741号に開示されている化合物が含まれる。別の一実施形態において本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩をH1/H3二重アンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)と一緒に含む組合せを提供する。H1/H3二重アンタゴニストの例には、例えば、国際公開第2004/035556号、国際公開第2007/071691号、国際公開第2007/122156号、及び国際公開第2007/135081号に開示されている化合物が含まれる。さらなる一実施形態において本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、3-(4-{[4-(4-{[3-(3,3-ジメチル-1-ピペリジニル)プロピル]オキシ}フェニル)-1-ピペリジニル]カルボニル}-1-ナフタレニル)プロパン酸及び4-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-({(2R)-1-[4-(4-{[3-(ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-イル)プロピル]オキシ}フェニル)ブチル]-2-ピロリジニル}メチル)-1(2H)-フタラジノンから選択されるH1/H3二重アンタゴニストと一緒に含む組合せを提供する。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他のヒスタミン受容体アンタゴニストには、H4受容体のアンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)、例えばJablonowski et al., J. Med. Chem. 46:3957-3960(2003)に開示されている化合物が含まれる。
【0202】
追加の適切な従来の呼吸器治療剤には、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤、又は混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害剤(例えば、モンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害剤、ベータ-2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばアデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、CCR3アンタゴニスト等のケモカインアンタゴニスト)もしくはサイトカイン合成の阻害剤、又は5-リポキシゲナーゼ阻害剤が含まれる。一実施形態において本発明は、経口投与用のiNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素)阻害剤を包含する。iNOS阻害剤の例には、国際公開第1993/13055号、国際公開第1998/30537号、国際公開第2002/50021号、国際公開第1995/34534号、及び国際公開第1999/62875号に開示されているものが含まれる。CCR3阻害剤の例には、国際公開第2002/26722号に開示されているものが含まれる。
【0203】
本発明の他の実施形態において、従来の呼吸器治療剤は、フェナム酸、ピロールアルカン酸、ピラゾロン誘導体、オキシカム、プラモキシン、アザタジン、メクリジン、プロメタジン、ブロモジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニルアミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、フェニンダミン、フェニラミン、フェニルトロキサミン、ピリラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、セチリジン、テルフェナジン、アステミゾール、ロラタジン、アクリバスチン、ヒドロキシジン、メクロジン、コンパジン、イミプラミン、ドキソピン(doxopin)、アミトリプトリン(amitryptoline)、トリペレナミン、フェキソフェナジン、アザタジン、エフェドリン、エフィネフリン、レボデソキシエフェドリン(levodesoxyephedrine)、オキシメタゾリン、ナファゾリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、キシロメタゾリン、クロルヘキシジン、マーキュロクロム、ポビドンヨード、ポリヒロキシンヨード(polyhyroxine iodine)、クレシレート(cresylate)、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、フルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノロンアセトニド、フルオロメトロン、コーチゾン、プレドニゾロン、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルランドレノロン、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、モメタゾン、フルメタゾン、プレドニカルベート、トリアムシノロン、クロトリマゾール、グリセオフルビン、ウンデシレニック(undecylenic)、エコナゾール、ミコナゾール、ケタコナゾール、スルコナゾール、オキシコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ナイスタチン、ナフチフィン、テルビナフィン、シクロピロクス、ブテナフィン、ハロプロジン、トルナフテート、トブラマイシンプラスデキサメタゾン、m-クレシルアセテート(m-cresyl acetate)、bis-(2-ピリジル-1-オキシド)ジスルフィド、アセトアミノフェン、マフェニド、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0204】
故に、本発明の一実施形態において、ノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを含む組成物が提供される。
【0205】
本発明の別の一実施形態において、ザナミビルと組み合わせたダニリキシンを含む組成物が提供される。
【0206】
本発明の別の一実施形態において、オセルタミビルと組み合わせたダニリキシンを含む組成物が提供される。
【0207】
本発明の別の一実施形態において、リバビリンと組み合わせたダニリキシンを含む組成物が提供される。
【0208】
本発明の別の一実施形態において、ファビピラビルと組み合わせたダニリキシンを含む組成物が提供される。
【0209】
本発明の別の一実施形態において、表4から選択される1つ以上の抗菌剤と組み合わせたダニリキシンを含む組成物が提供される。
【0210】
本発明の別の一実施形態において、ノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0211】
本発明の別の一実施形態において、ザナミビルと組み合わせたダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0212】
本発明の別の一実施形態において、オセルタミビルと組み合わせたダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0213】
本発明の別の一実施形態において、リバビリンと組み合わせたダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0214】
本発明の別の一実施形態において、表4から選択される1つ以上の抗菌剤と組み合わせたダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0215】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0216】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にザナミビルと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0217】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にオセルタミビルと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0218】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にリバビリンと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0219】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にファビピラビルと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0220】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象に表4から選択される1つ以上の抗菌剤と組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0221】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、呼吸器感染症がインフルエンザである方法が提供される。
【0222】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシン及びノイラミニダーゼ阻害剤化合物の組合せが同じ剤形で投与される方法が提供される。
【0223】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシン及びノイラミニダーゼ阻害剤化合物の組合せが同時に投与される方法が提供される。
【0224】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシン及びノイラミニダーゼ阻害剤化合物の組合せが別々に投与される方法が提供される。
【0225】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシン及びノイラミニダーゼ阻害剤化合物の組合せが同じ剤形で投与される方法が提供される。
【0226】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にノイラミニダーゼ阻害剤化合物と組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシンの化合物及びノイラミニダーゼ阻害剤化合物の組合せが同時に投与される方法が提供される。
【0227】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にリバビリンと組み合わせたダニリキシンを投与することを含む方法が提供される。
【0228】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にリバビリンと組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシンの化合物及びリバビリンの組合せが同時に投与される方法が提供される。
【0229】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にリバビリンと組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシン及びリバビリンの組合せが同じ剤形で投与される方法が提供される。
【0230】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にリバビリンと組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシンの化合物及びリバビリンの組合せが同時に投与される方法が提供される。
【0231】
本発明の別の一実施形態において、対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象にリバビリンと組み合わせたダニリキシンを投与することを含み、ダニリキシン及びリバビリンの組合せが別々に投与される方法が提供される。
【0232】
対象におけるインフルエンザを治療するための方法であって、インフルエンザに罹患している対象にダニリキシンを投与することを含む方法。
【0233】
対象におけるRSVを治療するための方法であって、RSVに罹患している対象にダニリキシンを投与することを含む方法。
【0234】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシンを含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0235】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0236】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含み、薬学的に許容可能な賦形剤がシクロデキストリンを含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0237】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含み、薬学的に許容可能な賦形剤がβ-シクロデキストリンを含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0238】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含み、薬学的に許容可能な賦形剤がスルホブチルエーテルを含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0239】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含み、薬学的に許容可能な賦形剤がβ-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテルを含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0240】
水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含み、薬学的に許容可能な賦形剤がCaptisol(登録商標)を含む、静脈内投与のための医薬組成物。
【0241】
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象に、水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む静脈内投与のための医薬組成物を投与することを含む方法。
【0242】
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象に、水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む静脈内投与のための医薬組成物を投与することを含み、薬学的に許容可能な賦形剤がシクロデキストリンを含む方法。
【0243】
対象における呼吸器感染症を治療するための方法であって、呼吸器感染症に罹患している対象に、水溶液中に臭化水素酸塩としてのダニリキシン及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む静脈内投与のための医薬組成物を投与することを含み、薬学的に許容可能な賦形剤がβ-シクロデキストリンを含む方法。
【0244】
投与及び製剤
別の一実施形態において、薬学的に許容可能な希釈剤、及び単独の又は抗菌剤及び/もしくは従来の呼吸器治療剤と組み合わせた治療的に有効な量の式(I)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を含む医薬組成物が提供される。
【0245】
本発明の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で供給されてもよい。用語「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能な無機及び有機酸及び塩基から調製された塩を指す。したがって、「化合物又は薬学的に許容可能なその塩」の文脈での単語「又は(or)」は、化合物もしくは薬学的に許容可能なその塩(二者択一)、又は化合物及び薬学的に許容可能なその塩(組合せ)のどちらかを指すと理解される。
【0246】
本明細書に使用されるとき、用語「薬学的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、他の問題又は合併症なしに、人間及び動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、物質、組成物、及び剤形を指す。当業者は、式I、II、又はIIIによる化合物の薬学的に許容可能な塩が調製され得ることを理解するであろう。これらの薬学的に許容可能な塩は、化合物の最終単離及び精製の間にin situで調製されてもよく、又は精製化合物をその遊離酸又は遊離塩基形態で、それぞれ適切な塩基又は酸と別個に反応させて調製されてもよい。
【0247】
本発明の化合物の例示的な薬学的に許容可能な酸性塩は、以下の酸、すなわち、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、硝酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、イソクエン酸、トリフルオロ酢酸、パモ酸、プロピオン酸、アントラニル酸、メシル酸、オキサロ酢酸、オレイン酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニン酸、硫酸、サリチル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸を含むがこれらに限定されない酸から調製することができる。
【0248】
本発明の化合物の例示的な薬学的に許容可能な無機塩基塩には、金属イオンが含まれる。より好ましい金属イオンには、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び他の生理学的に許容可能な金属イオンが含まれるが、これらに限定されない。無機塩基に由来する塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等、及びそれらの通常の原子価のものが含まれる。例示的な塩基塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛が含まれる。他の例示的な塩基塩には、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が含まれる。さらに他の例示的な塩基塩には、例えば、NaOH、KOH、Na
2CO
3、K2CO
3、NaH、及びカリウム-t-ブトキシドを含む水酸化物、炭酸塩、水素化物、及びアルコキシドが含まれる。
【0249】
薬学的に許容可能な有機非毒性塩基に由来する塩には、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、及びプロカイン;天然起源の置換アミンを含む置換アミン;環状アミン;四級アンモニウムカチオン;及びアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等等の塩基性イオン交換樹脂を一部に含む、一級、二級及び三級アミンの塩が含まれる。
【0250】
上記の塩は全て、本発明の対応する化合物から従来の手段によって当業者により調製され得る。例えば、本発明の薬学的に許容可能な塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法により合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基の形態を、化学量論量の適切な塩基又は酸と水又は有機溶媒又は2つの混合物中で反応させて調製することができる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性溶媒が好ましい。塩は、溶液から沈殿され濾過により収集されてもよく、又は溶媒の蒸発により回収されてもよい。塩におけるイオン化の程度は、完全にイオン化された状態からほとんどイオン化されない状態まで異なる可能性がある。適切な塩のリストは、
Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418に見出され、この開示は、適切な塩のリストに関してのみ参照により本明細書に組み込まれる。
【0251】
本発明の化合物は、非溶媒和物及び溶媒和物形態の両方で存在し得る。用語「溶媒和物」は、本発明の化合物及び1つ以上の薬学的に許容可能な溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体を記載するのに本明細書で使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に使用される。薬学的に許容可能な溶媒和物には、結晶化溶媒が同位体置換され得る水和物及び他の溶媒和物、例えばD
2O、d
6-アセトン、d
6-DMSOが含まれる。
【0252】
1つ以上の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つ以上の立体異性体として存在し得る。式(I)の化合物(又は抗菌剤及び/もしくは従来の呼吸器治療剤)がアルケニル基もしくはアルケニレン基又はシクロアルキル基を含有する場合、幾何cis/trans(又はZ/E)異性体が生じ得る。化合物が、例えばケト基もしくはオキシム基又は芳香族部分を含有する場合、互変異性の異性(「互変異性」)が生じ得る。したがって、単一の化合物は、1つを超えるタイプの異性を示す可能性があるということになる。
【0253】
本発明の範囲内に含まれるのは、1つを超えるタイプの異性を示す化合物、及び1つ以上のその混合物を含む、式(I)の化合物(又は抗菌剤及び/もしくは従来の呼吸器治療剤)の全ての立体異性体、幾何異性体、及び互変異性形態である。同様に含まれるのは、対イオンが光学的に活性である、例えば、D-乳酸もしくはL-リシン、又はラセミである、例えば、DL-酒石酸塩又はDL-アルギニン、酸付加塩又は塩基塩である。
【0254】
cis/trans異性体は、当業者によく知られている従来の手法、例えばクロマトグラフィー及び分別結晶により分離することができる。
【0255】
個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来の手法には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたラセミ体(又は塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0256】
本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆体)は、不斉固定相、並びに0から50%イソプロパノール、典型的には2から20%、及び0から5%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタン又はヘキサンからなる移動相を有する樹脂上で、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて鏡像異性的に富化された形態で得ることができる。溶出液の濃縮は富化混合物をもたらす。
【0257】
立体異性体の混合物は、当業者に知られた従来の手法により分離することができる。[例えば、E L Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、New York、1994)を参照のこと。
【0258】
本発明は、1つ以上の原子が、同じ原子番号だが通常天然に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられている、全ての薬学的に許容可能な同位体標識化合物を含む。
【0259】
本発明の化合物に包含するのに適した同位体の例には、
2H及び
3H等の水素、
11C、
13C及び
14C等の炭素、
36CI等の塩素、
18F等のフッ素、
123I及び
125I等のヨウ素、
13N及び
15N等の窒素、
15O、
17O及び
18O等の酸素、
32P等のリン、並びに
35S等の硫黄の同位体が含まれる。
【0260】
例えば、放射性同位体を取り込むものを含む、本発明の特定の同位体標識化合物が包含され、薬物及び/又は基質組織分布試験において有用である。この目的上、放射性同位体トリチウム、すなわち
3H、及び炭素-14、すなわち
14Cは、それらの取り込みやすさ及びすぐに使える検出手段を考えると特に有用である。
【0261】
重水素、すなわち
2H等のより重い同位体との置換は、より高い代謝性安定性、例えばin vivo半減期の増加又は必要投与量の低減から生じる特定の治療上の利点をもたらすことができ、故にいくつかの状況において好ましい場合がある。
【0262】
同位体標識化合物は一般に、以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬用いて、当業者に知られた従来の手法又は本明細書に記載されたものに類似した方法により調製することができる。
【0263】
本発明の化合物は、プロドラッグとして投与されてもよい。故に、薬理学的活性をそれ自体ほとんど又は全く有し得ない本発明の化合物の特定の誘導体が、身体中又は身体上に投与されると、例えば加水分解切断により、所望の活性を有する化合物に変換され得る。そのような誘導体は「プロドラッグ」と呼ばれる。
【0264】
本発明の組成物は、一般に、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わせた、本明細書に記載された少なくとも1つの化学的実体からなる。許容可能な賦形剤は、非毒性であり、投与を補助し、本明細書に記載された少なくとも1つの化学的実体の治療効果に悪影響を与えない。そのような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体又は、エアロゾル組成物の場合、当業者に一般に利用可能な気体賦形剤であってもよい。
【0265】
本明細書における化合物、薬学的に許容可能なその塩、及びそのようなものを組み込む医薬組成物は、薬物投与に従来の使用される経路のいずれかにより、好都合には投与することができる。本明細書の化合物は、従来の手順に従って式(I)の化合物を標準的な医薬担体と組み合わせて調製された従来の剤形で投与することができる。本明細書における化合物は、既知の第2の治療的に活性な化合物と組み合わせて、従来の投与量で投与することもできる。
【0266】
本明細書に記載された化学的実体の投与は、経口、全身(例えば、経皮、経鼻又は座薬による)、又は非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)、舌下、局所、腹腔内、肺内、膣内、直腸、又は眼内を含むがこれらに限定されない、類似の有用性をもたらす薬剤に対して認められている投与方法のいずれかによってもよい。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は経口非経口投与される。他の実施形態において、式(I)の化合物は肺内経路により投与される。さらに他の実施形態において、抗菌剤は、肺内経路により投与される。
【0267】
さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、静脈内投与される。一実施形態において式(I)の化合物は、注射用の水に遊離塩基として0.1から10mg/mLの式(I)の化合物を含有しβ-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテルを含む溶液として、静脈内投与される。別の一実施形態において式(I)の化合物は、注射用の水に遊離塩基として2mg/mLの式(I)の化合物を含有しβ-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテルを含む溶液として、静脈内投与される。他の実施形態において式(I)の化合物は、注射用の水に遊離塩基として2mg/mLの式(I)の化合物を含有しβ-シクロデキストリン及びスルホブチルエーテルを含み、並びに式(I)の化合物の静脈内溶液の各バイアルが2mg/mLの式(I)の化合物の13mLを含有する溶液として、静脈内投与される。
【0268】
医薬組成物又は製剤には、例えば、錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、座薬、エアロゾル等等の固体、半固体、液体、及びエアロゾル剤形が含まれる。化学的実体は、長期及び/又は時限投与、所定の速度でのパルス投与のための、蓄積注射、浸透圧能動ポンプ(osmotic active pump)、ピル、経皮(エレクトロトランスポートを含む)パッチ等を含む、持続又は制御放出剤形で投与することもできる。特定の実施形態において組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形で提供される。
【0269】
本明細書に記載された化学的実体は、単独で又は、より典型的には従来の医薬担体、賦形剤等(例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム等)と組み合わせてのどちらかで投与することができる。必要に応じて、医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤等(例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体及びシクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミン)等の微量の非毒性補助物質を含有することもできる。一般に、意図される投与方法に応じて、医薬組成物は、化学的実体の約0.005重量%から95重量%、特定の実施形態においては約0.5重量%から50重量%を含有するであろう。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に知られており又は明らかであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照のこと。
【0270】
特定の実施形態において、組成物はピル又は錠剤の形態をとり、故に組成物は、有効成分と共に、ラクトース、スクロース、第二リン酸カルシウム等等の希釈剤;ステアリン酸マグネシウム等等の潤滑剤;及びデンプン、アカシアガム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体等等の結合剤を含有するであろう。別の固体剤形において、粉末、マルメ(marume)、溶液又は懸濁液(例えば、炭酸プロピレン、植物油、又はトリグリセリド中の)が、ゼラチンカプセルに封入される。
【0271】
液体の薬学的に投与可能な組成物は、少なくとも1つの化学的実体及び任意の薬学的アジュバントを、担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール等)に溶解、分散等させて溶液又は懸濁液を形成することにより例えば調製することができる。注射剤は、液体の溶液もしくは懸濁液、エマルションとして、又は注射前の液体への溶解又は懸濁に適した固体形態のどちらかで、従来の形態で調製することができる。そのような非経口組成物に含有される化学的実体の割合は、その特異性のほか、化学的実体の活性、及び対象のニーズに高度に依存する。しかし、溶液中0.01%から10%の有効成分の割合が使用可能であり、組成物が、その後上記の割合まで希釈されることになる固体ならば、該割合はより高いであろう。特定の実施形態において組成物は、溶液中に活性剤の約0.2から2%を含むであろう。
【0272】
本明細書に記載された化学的実体の医薬組成物は、ネブライザー用のエアロゾルもしくは溶液として、又は吹送用の微細粉末として、単独で又はラクトース等の不活性担体と組み合わせて気道に投与することもできる。そのような場合において、医薬組成物の粒子は、50ミクロン未満、特定の実施形態においては10ミクロン未満の直径を有する。
【0273】
これらの手順は、所望の調製物に応じて成分の混合、造粒及び圧縮又は溶解を必要とし得る。薬学的に許容可能な特徴又は希釈剤の形態及び特徴は、それが組み合わされる有効成分の量、投与経路、及び他のよく知られた変数によって決まることが理解されよう。担体は、製剤の他の成分と適合しそのレシピエントに有害でないという意味において、「許容可能」でなければならない。
【0274】
使用される医薬担体は、例えば固体又は液体のどちらかであってもよい。例示的な固体担体は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等である。例示的な液体担体は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、水等である。同様に、担体又は希釈剤は、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の当技術分野によく知られた遅延物質を、単独で又はワックスと含んでもよい。様々な薬学的形態が使用され得る。故に、固体担体が使用される場合、調製物は錠剤化されてもよく、粉末もしくはペレット形態で硬ゼラチンカプセルに入れられてもよく、又はトローチ又はロゼンジの形態であってもよい。固体担体の量は大きく異なるが、好ましくは約25mgから約1gとなる。液体担体が使用される場合、調製物は、シロップ、エマルション、軟ゼラチンカプセル、アンプル等の滅菌注射用液体、又は非水性液体懸濁液の形態となる。
【0275】
一般に、提供される化学的実体は、類似の有用性をもたらす薬剤に対して認められている投与方法のいずれかにより、治療的に有効な量で投与されるであろう。化学的実体、すなわち有効成分の実際の量は、治療される疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康、使用される化学的実体の効力、投与の経路及び形態、並びに他の要因等の多くの要因に依存するであろう。薬物は、1日1回又は2回等、1日1回を超えて投与することができる。
【0276】
本明細書に記載された化学的実体の治療的に有効な量は、約0.01〜100mg/kg/日、例えば約0.1から50mg/kg/日等、レシピエントの体重1キログラム当たり、1日約0.01から200mgの範囲となり得る。故に、70kgの人への投与に関して、投与範囲は1日約1〜2000mgとなり得る。
【0277】
提供された化学的実体を投与するための別の様式は吸入である。製剤の選択は、薬物投与方法及び原薬の生物学的利用能等の様々な要因に依存する。吸入による送達のために、化学的実体は、液体溶液、懸濁液、エアロゾル噴射剤、又は乾燥粉末として製剤化され、投与用の適切なディスペンサーに充填されてもよい。医薬的吸入装置-ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)、及び乾燥粉末吸入器(DPI)のいくつかのタイプがある。ネブライザー装置は、治療剤(液体形態で製剤化された)を、患者の気道に運ばれるミストとして噴霧させる高速気流を生み出す。MDIは典型的には、圧縮ガスを詰めた製剤である。作動すると装置は、圧縮ガスにより一定量の治療剤を放出し、故に一定量の薬剤を投与する確実な方法を提供する。DPIは、装置による呼吸時に患者の吸気流に分散され得る自由流動粉末の形態で治療剤を分注する。自由流動粉末を得るために、治療剤はラクトース等の賦形剤と製剤化される。一定量の治療剤がカプセル形態で保存され、作動するごとに分注される。
【0278】
本明細書における化合物は、局所的に、すなわち非全身投与により投与されてもよい。これには、化合物が血流に著しく入らなくするような、式(I)の化合物の表皮又は口腔への外用、及びそのような化合物の耳、眼、及び鼻への滴下が含まれる。これに対し、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内、及び筋肉内投与を指す。局所投与に適した製剤には、皮膚を通じた炎症部位への浸透に適した、リニメント、ローション、クリーム、軟膏、又はペースト等の液体又は半液体調製物、及び眼、耳、又は鼻への投与に適した滴剤が含まれる。有効成分は局所投与に関して、製剤の0.001%から10%w/w、例えば1重量%から2重量%を含み得る。しかし、有効成分は、製剤の10%w/wも含むことができるが、好ましくは5%w/w未満、より好ましくは0.1%から1%w/w未満を含むであろう。
【0279】
本発明によるローションには、皮膚又は眼への適用に適したものが含まれる。点眼薬は、場合により殺菌剤を含有する滅菌水溶液を含んでもよく、滴剤の調製方法に類似した方法により調製することができる。皮膚に適用するためのローション又はリニメントは、アルコールもしくはアセトン等の乾燥を速め皮膚を冷やす薬剤、及び/あるいはグリセロール、又はヒマシ油もしくは落花生油等の油等の保湿剤を含むこともできる。
【0280】
本発明によるクリーム、軟膏、又はペーストは、外用のための有効成分の半固体製剤である。これらは、有効成分を、単独又は水性もしくは非水性流体の溶液もしくは懸濁液中で、適切な機械を用いて、脂肪性又は非脂肪性基剤と共に、微粉化又は粉末化形態で混合して作製することができる。該基剤は、硬、軟又は液体パラフィン、グリセロール、蜜蝋、金属石鹸等の炭化水素;粘滑剤;アーモンド油、トウモロコシ油、落花生油、ヒマシ油又はオリーブ油等の天然起源の油;羊毛脂もしくはその誘導体、又はプロピレングリコールもしくはマクロゲル等のアルコールと一緒のステアリン酸もしくはオレイン酸等の脂肪酸を含み得る。製剤は、ソルビタンエステル又はそのポリオキシエチレン誘導体等の陰イオン性、陽イオン性、又は非イオン性界面活性剤等の任意の適切な界面活性剤を組み込んでもよい。天然ゴム、セルロース誘導体等の懸濁化剤、又はケイ酸含有シリカ等の無機物質、15及びラノリン等の他の成分も含まれてもよい。
【0281】
本発明による滴剤は、滅菌水性又は油性の溶液又は懸濁液を含んでもよく、有効成分を、殺菌剤及び/もしくは殺真菌剤及び/又は任意の他の適切な防腐剤の、好ましくは界面活性剤を含む適切な水溶液に溶解して調製することができる。得られた溶液は、次いで濾過により清澄化され、適切な容器に移されてもよく、容器は次いで密閉され、高圧蒸気滅菌又は98〜100℃で30分間維持して滅菌される。あるいは、溶液は濾過により滅菌され、無菌法により容器に移されてもよい。滴剤に含めるのに適した殺菌剤及び抗真菌剤の例は、硝酸フェニル水銀又は酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、及び酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製に適切な溶媒には、グリセロール、希釈アルコール、及びプロピレングリコールが含まれる。
【0282】
本明細書に記載された化合物は、吸入、すなわち鼻内及び経口吸入投与により投与することもできる。エアロゾル製剤又は定量吸入器等のそのような投与に適切な剤形は、従来の手法により調製することができる。本発明の一実施形態において、本発明の薬剤は、経口吸入又は鼻内投与により送達される。エアロゾル製剤又は定量吸入器等のそのような投与に適切な剤形は、従来の手法により調製することができる。
【0283】
吸入による投与に関して、化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、テトラフルオロエタンもしくはヘプタフルオロプロパン等のヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又は他の適切なガスを用いて、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、一定量を送達するためのバルブを提供して決定することができる。吸入器又はインサフレーターで使用する例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本発明の化合物及びラクトース又はデンプン等の適切な粉末基剤の粉末ミックスを含有して製剤化されてもよい。
【0284】
吸入により肺に局所送達するための乾燥粉末組成物は、例えば、吸入器又はインサフレーターで使用するための、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジ、又は例えばラミネートアルミホイルのブリスターで供されてもよい。粉末混合製剤は一般に、本発明の化合物、及び単糖、二糖又は多糖(例えばラクトース又はデンプン)等の適切な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)の吸入用粉末ミックスを含有する。ラクトースの使用が好ましい。
【0285】
各カプセル又はカートリッジは一般に、2μg〜1000mgの式(I)の化合物を、場合により抗菌剤等の他の治療的に有効成分と組み合わせて含有し得る。あるいは、本発明の化合物は、賦形剤なしで供されてもよい。適切には、パッキング/医薬品ディスペンサーは、リザーバー乾燥粉末吸入器(RDPI)、複数回投与乾燥粉末吸入器(MDPI)、及び定量吸入器(MDI)からなる群から選択されるタイプのものである。リザーバー乾燥粉末吸入器(RDPI)により、複数回分(非定量)の医薬品を乾燥粉末形態で含むのに適したリザーバー型パックを有し、リザーバーから送達位置まで医薬品用量を計量する手段を含む吸入器が意味される。計量手段は、カップがリザーバーから医薬品を充填され得る第1の位置から、計量された医薬品用量を患者が吸入に利用できるようになる第2の位置まで移動可能な計量カップを例えば含んでもよい。複数回投与乾燥粉末吸入器(MDPI)により、医薬品が、複数回分の規定量(又はその一部)の医薬品を含有する(又はさもなければ有する)複数回投与パック内に含まれる、医薬品を乾燥粉末形態で分注するのに適した吸入器が意味される。好ましい一態様において、担体はブリスターパック形態を有するが、カプセルベースのパック形態、又は医薬品がプリンティング、ペインティング及び真空吸蔵を含む任意の適切な方法により適用されている担体を含むこともできる。
【0286】
複数回投与送達の場合、製剤は予め計量されていてもよく(例えばDiskus(米国特許第6,632,666号、第5,860,419号、第5,873,360号、第5,622,166号、及び第5,590,645号を参照のこと)、又はDiskhaler(米国特許第4,627,432号、第4,778,054号、第4,811,731号、第5,035,237号を参照のこと)のように。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、又は使用において計量されてもよい(例えばTurbuhaler(米国4,524,769を参照のこと)、又は米国特許第6,321,747号に記載されている装置のように。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。単位投与装置の例は、Rotahaler(米国特許第4,353,656号及び第5,724,959号を参照のこと。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)である。
【0287】
Diskus吸入装置は、シートの長さに沿って間隔をあけて配置された複数の陥凹を有する底部シート、及び複数の容器を象るように底部シートに密封されているが剥離可能なカバーシートから形成される細長いストリップを含み、各容器は、好ましくはラクトースと組み合わせて式(I)の化合物を含有する吸入可能な製剤を中に有する。好ましくは、ストリップは、ロール状に巻き取られるように十分に柔軟性がある。カバーシート及び底部シートは、好ましくは、互いに密封されない先端部分を有し、前記先端部分の少なくとも1つは、巻き取り手段に取り付けられるように構築される。また、好ましくは、底部シートとカバーシートの間の気密シールは、それらシートの幅全体にわたる。カバーシートは、好ましくは、前記底部シートの第1の末端から縦方向に底部シートから剥がすことができる。一態様において、複数回投与パックは、乾燥粉末形態で医薬品を格納するための複数のブリスターを含むブリスターパックである。ブリスターは、典型的にはそこから医薬品を放出しやすいように均一の様式で配置される。一態様において、複数回投与ブリスターパックは、円盤型のブリスターパック上に通常は環状に配置された複数のブリスターを含む。別の一態様において、複数回投与ブリスターパックは、例えばストリップ又はテープを含む細長い形状をしている。一態様において、複数回投与ブリスターパックは、互いに剥離可能に固定された2つの部材間でかたどられる。米国特許第5,860,419号、第5,873,360号、及び第5,590,645号は、この一般型の医薬品パックを記載している。この態様において、装置は通常、部材を引き剥がして各医薬品用量を取り出せるようにするための剥離手段を含む開封ステーションを備える。適切には、装置は、剥離可能な部材が、シートの長さに沿って間隔をあけて配置された複数の医薬品容器をかたどる細長いシートである場合の使用に適しており、装置は、各容器を順番にインデックス化するためのインデックス手段を備える。より好ましくは、装置は、シートの一方が中に複数のポケットを有する底部シートであり、シートの他方がカバーシートであり、各ポケット及びカバーシートの隣接部がそれぞれの容器をかたどり、装置がカバーシート及び底部シートを開封ステーションで引き離すための駆動手段を含む場合の使用に適している。
【0288】
定量吸入器(MDI)により、医薬品をエアロゾル形態で分注するのに適した医薬品ディスペンサーが意味され、医薬品は、噴射剤ベースのエアロゾル医薬品製剤を含有するのに適したエアロゾル容器に含まれる。エアロゾル容器は典型的には、エアロゾル形態医薬品製剤を患者に放出するための計量バルブ、例えばスライドバルブを備える。エアロゾル容器は一般に、バルブによって作動するごとに所定用量の医薬品を送達するように設計され。該容器は、容器が固定された状態でバルブを押し下げる、又はバルブが固定された状態で容器を押し下げることにより開けることができる。医薬品容器がエアロゾル容器である場合、バルブは典型的には、医薬品エアロゾル製剤がバルブ本体に進入することができる吸気口、エアロゾルがバルブ本体から抜け出ることができる排気口、及び前記排気口を通じた流れが制御可能となる開/閉機構を有するバルブ本体を含む。バルブは、開/閉機構がシールリング、及びシールリングにより受取り可能な、分注通路を有するバルブステムであって、バルブ閉位置からバルブ開位置内でスライド自在に可動し、バルブ本体の内部が分注通路を介してバルブ本体の外部と連通しているバルブステムを含む、スライドバルブであってもよい。
【0289】
典型的には、バルブは計量バルブである。計量容積は典型的には、10から100μl、例えば25μl、50μl又は63μlである。適切には、バルブ本体は、医薬品製剤の量を計量するための計量チャンバ、及び吸気口から計量チャンバへ通じる流れが制御可能となる開/閉機構を規定する。好ましくは、バルブ本体は、第2の吸気口であって、開/閉機構によって制御可能であり、それにより計量チャンバへの医薬品製剤の流れを調節する前記吸気口を介して計量チャンバと連通したサンプリングチャンバを有する。
【0290】
バルブは、チャンバと、チャンバに伸びる、分注位置と非分注位置の間でチャンバに対して可動するバルブステムを有する「フリーフローエアロゾルバルブ」を含むこともできる。計量容積がバルブシステムとチャンバの間で規定され、非分注位置と分注位置の間を移動する間に、バルブステムが連続的に:(i)チャンバへのエアロゾル製剤のフリーフローを可能にし、(ii)バルブステムの外部表面とチャンバの内部表面の間で加圧エアロゾル製剤の閉鎖計量容積を規定し、(iii)計量容積が出口通路と連通し、それにより加圧エアロゾル製剤の計量容積の分注が可能になるまで、閉鎖計量容積の容積を減少させることなくチャンバ内を閉鎖計量容積で移動するように、バルブステムは構造を有し、チャンバは内部構造を有する。このタイプのバルブは、米国特許第5,772,085号に記載されている。さらに、本化合物の鼻内送達が有効である。
【0291】
有効な医薬的鼻腔用組成物を製剤化するには、医薬品は、医薬品がその薬理学的機能を果たす鼻腔(標的組織)の全ての部分に容易に送達されなければならない。したがって、医薬品は、比較的長期間、標的組織と接触したままであるべきである。医薬品がより長く標的組織と接触したままであるほど、医薬品は、粒子を鼻から取り除くように機能する鼻道中の力に抵抗することができるはずである。「粘膜毛様体クリアランス」と呼ばれるそのような力は、粒子を鼻から速やかに、例えば、粒子が鼻に進入した時点から10〜30分以内に取り除く上で極めて有効と認識されている。
【0292】
鼻腔用組成物の他の所望の特徴は、使用者に不快感をもたらす成分を含有してはならないこと、十分な安定性及び半減期特性を有すること、及び環境に有害であると考えられる成分、例えばオゾン枯渇薬を含まないことである。鼻に投与される場合、本発明の製剤に対する適切な投与計画は、鼻腔の通りをよくした後、患者が深く吸入するものとなろう。吸入中、製剤は、他方の鼻孔を手で押さえつけながら、一方の鼻孔に適用されることになる。この手順は、次いで他方の鼻孔に対して繰り返される。本発明の製剤を鼻道に適用するための1つの手段は、与圧ポンプの使用による。最も好ましくは、与圧ポンプは、Valois SAにより製造されたVP7モデルであろう。そのようなポンプは、十分な力がかかるまで製剤が放出されず、さもなければより少量が適用され得ることを確保することから、有益である。与圧ポンプの別の利点は、スプレーを効果的に噴霧化するための限界圧力が得られるまで該ポンプは製剤を放出しないことから、スプレーの噴霧化が確保されることである。典型的には、VP7モデルは、10〜50mlの製剤を入れることができるボトルと共に使用され得る。スプレーは1回1回、典型的には50〜100μlのそのような製剤を送達する。したがって、VP7モデルは、少なくとも100回分の定量を提供することができる。
【0293】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物は、例えば、水溶液もしくは懸濁液として、又は適切な液化噴射剤を用いて、定量吸入器等の加圧パックから送達されるエアロゾルとして製剤化することができる。吸入に適したエアロゾル組成物は、懸濁液又は溶液のどちらかであってもよく、一般に、式Iの化合物を、場合により他の治療的に活性な成分、及びフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボン又はその混合物、特にヒドロフルオロアルカン、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ-フルオロエタン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はその混合物等の適切な噴射剤と組み合わせて含有してもよい。二酸化炭素又は他の適切なガスも、噴射剤として使用することができる。エアロゾル組成物は、賦形剤不含であってもよく、又は界面活性剤、例えば、オレイン酸もしくはレシチン、及び共溶媒、例えばエタノール等の当技術分野でよく知られた追加の製剤賦形剤を場合により含有してもよい。加圧製剤は一般に、バルブ(例えば計量バルブ)で閉じられ、マウスピースを備えた作動装置にぴったりはまったキャニスター(例えばアルミニウムキャニスター)中に保持される。吸入による投与のための医薬品は、望ましくは制御された粒度を有する。気管支系へ吸入に対する最適粒度は、通常、1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。20μmを超えるサイズを有する粒子は、末梢気道に達するように吸入される場合、一般に大きすぎる。これらの粒度を得るために、有効成分の粒子は作製されるとき、従来の手段、例えば微粒子化により縮小されたサイズとなり得る。所望の画分は、空気分級又は篩い分けにより分離することができる。適切には、粒子は、形態が結晶となる。ラクトース等の賦形剤が使用される場合、一般に、賦形剤の粒度は本発明内の吸入医薬品よりはるかに大きいであろう。賦形剤がラクトースである場合、賦形剤は典型的には、ラクトース粒子の85%以下が60〜90μgのMMDを有し、15%以上が15μg未満のMMDを有する粉砕ラクトースとして存在するであろう。鼻内スプレーは、増粘剤、pHを調整するための緩衝塩又は酸もしくはアルカリ、等張性調整剤、又は抗酸化剤等の薬剤を添加して、水性又は非水性ビヒクルで製剤化することができる。
【0294】
噴霧による吸入用の溶液は、酸もしくはアルカリ等の薬剤、緩衝塩、等張性調整剤、又は抗菌剤を添加して水性ビヒクルで製剤化することができる。これらは、濾過又は高圧蒸気滅菌器での加熱により滅菌されてもよく、又は非滅菌産物として供されてもよい。適切には、吸入による投与は、呼吸器疾患に関して目的とする器官、すなわち肺を好ましくは標的にしてもよく、そうすることで患者への送達に必要とされる有効用量を低減することができる。さらに、吸入による投与は、化合物の全身暴露を低減し、故に肺以外での化合物の作用を回避することができる。
【0295】
近年、生物学的利用能は、表面積を増やす、すなわち粒度を減らすことにより増加させることができるという原則に基づく、不十分な生物学的利用能を示す医薬組成物が薬品用に開発されている。例えば、米国特許第4,107,288号は、活性物質が巨大分子の架橋マトリックス上に担持された、10から1,000nmのサイズ範囲に粒子を有する医薬製剤を記載している。米国特許第5,145,684号は、薬物物質が表面改質剤の存在下、ナノ粒子に粉砕され(平均粒子サイズ400nm)、次いで液体媒体に分散されて著しく高い生物学的利用能を示す医薬製剤を得る医薬製剤の作製を記載している。