特表2017-515903(P2017-515903A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-515903ジペプチジルペプチターゼ−IV抑制剤として用いられるアミノテトラヒドロピラン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515903(P2017-515903A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】ジペプチジルペプチターゼ−IV抑制剤として用いられるアミノテトラヒドロピラン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20170519BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170519BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170519BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20170519BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20170519BHJP
   A61K 31/4162 20060101ALI20170519BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
   C07D487/04 138
   C07D487/04CSP
   A61P43/00 111
   A61P3/10
   A61K31/5377
   A61K31/454
   A61K31/4162
   A61K31/496
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2017-512091(P2017-512091)
(86)(22)【出願日】2015年5月15日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月16日
(86)【国際出願番号】CN2015079016
(87)【国際公開番号】WO2015172732
(87)【国際公開日】20151119
(31)【優先権主張番号】201410205646.3
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516343549
【氏名又は名称】フージェン ボーロー メディカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リー,デチュン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC04
4C050EE03
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB03
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
一般式(I)によって表されるアミノテトラヒドロピラン誘導体、当該誘導体の調製方法、当該誘導体を含有している薬学的組成物、および治療薬、特にジペプチジルペプチターゼ−IV抑制剤を調製するための当該誘導体の使用が提供される。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、又は立体異性体であり:
【化1】
Arは、置換された又は置換されていないアリール、ヘテロアリールであり、
は、水素、置換された又は置換されていないアルキルであり、
2a及びR2bは、水素からそれぞれ独立して選択されるか、置換された若しくは置換されていないアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、又は、任意で置換され得る、窒素原子が付加されたヘテロシクリルアルキルから選択され、
Aは、以下から選択され、
【化2】
3a及びR3bは、水素、置換された又は置換されていないC1−10アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、
【化3】
であり、
XはCR又はNであり、
0〜3のRが存在し得、各Rは独立して、オキソ、ハロゲン、置換された若しくは置換されていないアルキル、置換された若しくは置換されていないアルコキシであるか、又は2以上のRが、架橋したアルキルを形成しており、
Wは、CR、O又はNであり、
は、H、ヒドロキシルから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−8アルキル、C1−8アルキル−R、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキル、C(O)−C1−8アルキル、C1−8ハロゲン置換アルキル、C1−8アルキルヒドロキシル、C(O)NR10、C1−8シアノアルキル、C(O)R、C0−8アルキル−C(O)−C0−8アルキル−NR10、C0−8アルキル−C(O)OR、NR10、SO−C1−8アルキル、C1−8アルキル−C3−14シクロアルキル、C(O)−C1−8アルキル−C3−14シクロアルキル、C1−8アルコキシから選択され、
は水素又はハロゲンであり、
及びR10は、H、C1−8アルキル、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキル、C6−14アリール、5−14員ヘテロアリール、アルコキシ、C(O)C1−4アルキル、C1−8アルキルアミノ、C1−6アルキルヒドロキシルからそれぞれ独立して選択され、
mは、0、1又は2であり、
nは、0、1又は2であり、
は、H、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CHシクロアルキル、(CHヘテロシクリルアルキル、(CH−NR1112、(CH−SONR1112、(CH)p−SO13、(CH−NR11SO13、(CH−OR13、(CH−OCOR13、(CH−OCONR1112、(CHCONR1112、(CH−NR13CONR1112、(CH−COOH、(CH−COR13、(CH−CO1−6アルキル、(CH−NR11COOR13から選択され、
11及びR12は、水素、(CH−フェニル、(CH−C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルからそれぞれ独立して選択され、アルキルは任意で、フッ素又はヒドロキシルから選択される1〜5の置換基により置換されており、フェニル及びシクロアルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシから独立して選択される1〜5の置換基により置換されており、又は、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、若しくはアゼチジンから選択される複素環を形成し、複素環は任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、若しくはC1−6アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基によって置換されており、
各R13は独立してC1−6アルキルであり、アルキルは任意で、フッ素若しくはヒドロキシルから選択される1〜5の置換基により置換されており、
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり、
qは、0、1又は2である。
【請求項2】
Arは任意で、1〜5のR14により置換されたフェニルであり、
各R14は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アミノ、イミノ、カルボキシル、スルフィドリルから独立して選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないアルキル、アシル、アシルアミノ、エステル基、アシルエステル基、フェノキシ基、ベンジル、ベンジルオキシ、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリールから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arは、F、Cl、Br、I、−CH、−CF、及び−OCFから独立して選択される1〜3の置換基により任意で置換されたフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Arは、2,5−ジフルオロフェニル又は2,4,5−トリフルオロフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
2a及びR2bは、水素、C1−10アルキル、アルコキシ、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
アルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチルから独立して選択される1〜6の置換基により置換されており、
アルコキシルは任意で、ハロゲン又はヒドロキシルから独立して選択される1〜6の置換基により置換されており、
シクロアルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、このとき、アルキル及びアルコキシルは1−5のフッ素により置換されていてもよく、
ヘテロシクリルアルキルは任意で、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、
又は、
2a及びR2bは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、又はアゼチジンから選択される複素環を形成しており、当該複素環は任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、このとき、各アルキル及びアルコキシルは任意で、1〜5のフッ素により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2a及びR2bは、水素、任意で1〜3のフッ素又はヒドロキシルにより置換されているC1−6アルキルからそれぞれ独立して選択されるか、又は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、又はアゼチジンから選択される複素環を形成している、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
2a及びR2bは水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
3a及びR3bは、水素、任意で1〜6のフッ素により置換されているC1−6アルキルからそれぞれ独立して選択されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
3a及びR3bは水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Aは、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
は水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
は、
【化5】
であり、
XはCR又はNであり、
0〜2のRが存在し得、Rはオキソである、又は2つのRが架橋されたアルキルを形成し、
WはCR、O、又はNであり、
は、H、ヒドロキシルから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、3−8員ヘテロシクリルアルキル、C(O)−C1−6アルキル、C(O)NR10、C(O)R、NR10、SO−C1−8アルキルから選択され、
は、水素又はハロゲンであり、
及びR10は、H、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、3−8員ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
mは、0、1又は2であり、
nは、0、1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
化学式(I)の化合物は、構造式(Ia)又は(Ib)として表され、
【化6】
構造式(Ia)及び(Ib)は、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
化学式(I)の化合物は、
【化7】
構造式(1a)として表され、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、前記示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
構造式(1a)の化合物は、
【化8】
構造式(Ic)及び(Id)として表され、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、前記示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
構造式(1a)の化合物は、
【化9】
構造式(Ic)として表され、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、前記示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Aが
【化10】
から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がHである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
以下の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化11】
【請求項20】
DPP−4の抑制に関連する疾病、疾患、又は症状を治療するための方法であって、
請求項1〜19のいずれか1項に記載された化合物、そのプロドラッグ、又は、化学式(I)の化合物、そのプロドラッグ、及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項21】
上記疾病、疾患、又は症状は、インスリン抵抗性、高血糖、II型糖尿病から選択され、前記個体にはヒトが含まれる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチジルペプチターゼを抑制する化合物、及びその調製方法、並びに、ジペプチジルペプチターゼの活性に関連する疾患の治療における、単独で若しくは他の医薬と組み合わせた当該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の食事及び生活スタイルの変化に伴い、糖尿病患者数は増加している。世界中に約1億9400の糖尿病患者が存在しており、2030年には3億6600人まで糖尿病患者数が増加することが見込まれている。長い間、2型糖尿病の治療は、主に、小分子の内服薬に焦点を合わせており、スルホニル尿素、グリニド、ビグアナイド、及びチアゾリジンジオンが、2型糖尿病治療薬として一般的である。しかしながら、これらの薬剤の長期間の使用は、低血糖症、体重増加、β細胞の機能損傷のような副作用を引き起こし得、それゆえに、最終的には、インスリン又はインスリンと組み合わせた治療が未だ用いられている。
【0003】
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)は内分泌物であり、膵島β細胞を刺激及び保護することによるインスリンの生成及び分泌を促進し、食後の血中グルコースを低減させる。ジペプチジルペプチターゼ4(DPP−4)は、二量体で存在する特異的セリンプロテアーゼであり、GLP−1のN末端から第2位におけるアラニン残基を特異的に認識し得、そこからジペプチドを切断してGLP−1を不活性化する。DPP−4の抑制はGLP−1の活性化を強調することが可能であり、2型糖尿病の高血糖の症状を低減する。
【0004】
DPP抑制剤の開発は、3つの段階に分けることができる。第1段階において開発された抑制剤は、DPP−4の強い抑制効果を有しているが、DPP−7、DPP−8、DPP−9のような関連する酵素に対する選択性が乏しい。研究は、DPP−7に対する抑制が、休眠中のT細胞死をもたらし、ラットにおけるDPP−8又はDPP−9の抑制が、無毛症、血小板減少症、網状仮足、脾腫、及び多数の器官及び組織における病変等をもたらし、それゆえに、致死率が上昇することを示している。また、イヌにおけるDPP−8又はDPP−9の抑制が、腸及び胃の毒性をもたらし、ヒトにおけるDPP−8又はDPP−9の抑制が、E細胞活性を低下させ、それゆえに、体の免疫機能に影響することも示されている。それゆえに、新規な薬物の開発に、DPP−4に対する高い選択性を有する化合物を要求している。第2段階において開発された抑制剤は、高い抑制活性とDPP−4に対する高い選択性とを有しており、かつ、一般に、DPP−4に対するIC50の約1000倍以上のDPP−8又はDPP−9に対するIC50を有している。第3段階において開発された抑制剤は、高い活性及び選択性を有しており、かつ薬物の作用時間が24時間以上持続し得る。
【0005】
近年、新規な構造、強い効果及び高い選択性を有するDPP−4抑制剤が現れており、米国において2006年から市販されており、Merck Co.により開発されたシタグリプチンリン酸塩、ヨーロッパにおいて2007年から市販されており、Novartis Co.により開発されたビルダグリプチン、米国において2009年から市販されており、Bristol−Myers Squibb Co.及びAstraZeneca Co.により開発されたサクサグリプチン、日本において2010年から市販された、武田薬品工業のアログリプチン安息香酸塩、米国において2011年から市販された、Boehringer−Ingelheim Pharmaceuticalsのリナグリプチン、日本において2012年から市販され、田辺三菱製薬及び第一三共により開発されたテネリグリプチン、韓国において2012年から市販された、LG Life Sciencesのゲミグリプチン、日本において2012年から市販された、三和化学研究所のアナグリプチン等がある。
【0006】
DPP−4抑制剤は、DPP−4の活性を抑制することができるので、糖尿病の治療において、大きな注意をひきつけている。一方で、高有効性、低毒性及び高選択性を有するDPP−4抑制剤の開発は、研究の中心となっている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、新規のDPP−4抑制剤として、3−アミノテトラヒドロピラン化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、又は立体異性体を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、本発明の化合物の薬学的組成物、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、又は立体異性体を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、DPP−4酵素活性が関連する疾患の治療薬の調製における、本発明の化合物の利用を提供することである。
【0010】
さらに本発明の目的の1つは、本発明の化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、立体異性体、又はその組成物を用いた、DPP−4酵素活性に関連する疾患の治療方法を提供することである。
【0011】
1つの局面において、本発明は、化学式(I)の化合物であって、又は、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、又は立体異性体を提供する:
【0012】
【化1】
【0013】
Arは、置換された又は置換されていないアリール、ヘテロアリールであり、
は、水素、置換された又は置換されていないアルキルであり、
2a及びR2bは、水素からそれぞれ独立して選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、又は、任意で置換され得る、窒素原子が付加されたヘテロシクリルアルキルから選択され、
Aは、以下から選択され、
【0014】
【化2】
【0015】
3a及びR3bは、水素、置換された又は置換されていないC1−10アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、
【0016】
【化3】
【0017】
であり、
XはCR又はNであり、
0〜3のRが存在し得、各Rは独立して、オキソ、ハロゲン、置換された若しくは置換されていないアルキル、置換された若しくは置換されていないアルコキシであるか、又は2以上のRが、架橋したアルキルを形成しており、
Wは、CR、O又はNであり、
は、H、ヒドロキシルから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−8アルキル、C1−8アルキル−R、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキル、C(O)−C1−8アルキル、C1−8ハロゲン置換アルキル、C1−8アルキルヒドロキシル、C(O)NR10、C1−8シアノアルキル、C(O)R、C0−8アルキル−C(O)−C0−8アルキル−NR10、C0−8アルキル−C(O)OR、NR10、SO−C1−8アルキル、C1−8アルキル−C3−14シクロアルキル、C(O)−C1−8アルキル−C3−14シクロアルキル、C1−8アルコキシから選択され、
は水素又はハロゲンであり、
及びR10は、H、C1−8アルキル、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキル、C6−14アリール、5−14員ヘテロアリール、アルコキシ、C(O)C1−4アルキル、C1−8アルキルアミノ、C1−6アルキルヒドロキシルからそれぞれ独立して選択され、
mは、0、1又は2であり、
nは、0、1又は2であり、
は、H、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CHシクロアルキル、(CHヘテロシクリルアルキル、(CH−NR1112、(CH−SONR1112、(CH−SO13、(CH−NR11SO13、(CH−OR13、(CH−OCOR13、(CH−OCONR1112、(CHCONR1112、(CH−NR13CONR1112、(CH−COOH、(CH−COR13、(CH−CO1−6アルキル、(CH−NR11COOR13から選択され、
11及びR12は、水素、(CH−フェニル、(CH−C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルからそれぞれ独立して選択され、アルキルは任意で、フッ素又はヒドロキシルから選択される1〜5の置換基により置換されており、フェニル及びシクロアルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシから独立して選択される1〜5の置換基により置換されており、又は、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、若しくはアゼチジンから選択される複素環を形成し、複素環は任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、若しくはC1−6アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基によって置換されており、
各R13は独立してC1−6アルキルであり、アルキルは任意で、フッ素若しくはヒドロキシルから選択される1〜5の置換基により置換されており、
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり、
qは、0、1又は2である。
【0018】
本発明の化合物の一例において、Arは任意で、1〜5のR14により置換されたフェニルであり、
各R14は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アミノ、イミノ、カルボキシル、スルフィドリルから独立して選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないアルキル、アシル、アシルアミノ、エステル基、アシルエステル基、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリールから独立して選択される。
【0019】
そのような一例において、Arは、F、Cl、Br、I、−CH、−CF、及び−OCFから独立して選択される1〜3の置換基により任意で置換されたフェニルである。
【0020】
他のそのような一例において、Arは、2,5−ジフルオロフェニル又は2,4,5−トリフルオロフェニルである。
【0021】
本発明の化合物の第二の例において、R2a及びR2bは、水素、C1−10アルキル、アルコキシ、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
アルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチルから独立して選択される1〜6の置換基により置換されており、
アルコキシルは任意で、ハロゲン又はヒドロキシルから独立して選択される1〜6の置換基により置換されており、
シクロアルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、このとき、アルキル及びアルコキシルは1〜5のフッ素により置換されていてもよく、
ヘテロシクリルアルキルは任意で、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される、1〜3の置換基により置換されており、
又は、
2a及びR2bは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、又はアゼチジンから選択される複素環を形成しており、当該複素環は任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、このとき、各アルキル及びアルコキシルは任意で、1〜5のフッ素により置換されている。
【0022】
そのような例の1つにおいて、R2a及びR2bは、水素、任意で1〜3のフッ素又はヒドロキシルにより置換されているC1−6アルキルからそれぞれ独立して選択されるか、又は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、又はアゼチジンから選択される複素環を形成している。
【0023】
他のそのような例において、R2a及びR2bは水素である。
【0024】
本発明の化合物の第三の例において、R3a及びR3bは、水素、任意で1〜6のフッ素により置換されているC1−6アルキルからそれぞれ独立して選択されている。
【0025】
そのような例において、R3a及びR3bは水素である。
【0026】
本発明の化合物の第四の例において、Aは、
【0027】
【化4】
【0028】
である。
【0029】
第四の例のサブクラスにおいて、Rは水素である。
【0030】
本発明の化合物の第五の例において、Rは、
【0031】
【化5】
【0032】
であり、
XはCR又はNであり、
0〜2のRが存在し得、Rはオキソ、又は2つのRが架橋されたアルキルを形成し、
WはCR、O、又はNであり、
は、H、ヒドロキシルから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、3−8員ヘテロシクリルアルキル、C(O)−C1−6アルキル、C(O)NR10、C(O)R、NR10、SO−C1−8アルキルから選択され、
は、水素又はハロゲンであり、
及びR10は、H、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、3−8員ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
mは、0、1又は2であり、
nは、0、1又は2である。
【0033】
本発明の化合物の第六の例において、示された立体化学配置を有する構造式(Ia)又は(Ib)の化合物は、立体異性的に形成された*印が付された2つのテトラヒドロピラン炭素原子においてトランス型Ar及びNR2a2b置換基を有しており、
【0034】
【化6】
【0035】
Ar、NR2a2b、及びAは、上述したように定義される。
【0036】
そのような実施例において、示された立体化学配置を有する構造式(Ia)の化合物が提供され、当該化合物は、立体異性的に形成された*印が付された2つのテトラヒドロピラン炭素原子においてトランス型Ar及びNR2a2b置換基を有する。
【0037】
【化7】
【0038】
他のそのような実施例において、絶対的な立体化学配置を有する構造式(Ic)及び(Id)が提供され、当該化合物は、立体異性的に形成された*印が付された3つのテトラヒドロピラン炭素原子において、トランス型Ar及びNR2a2b置換基、トランス型Ar及びA置換基、並びに、シス型NR2a2b及びA置換基を有する。
【0039】
【化8】
【0040】
第六の例のサブクラスにおいて、絶対的な立体化学配置を有する構造式(Ic)の化合物が提供され、当該化合物は、立体異性的に形成された*印が付された3つのテトラヒドロピラン炭素原子において、トランス型Ar及びNR2a2b置換基、トランス型Ar及びA置換基、並びに、シス型NR2a2b及びA置換基を有する。
【0041】
【化9】
【0042】
そのような実施例のサブクラスにおいて、Aは、
【0043】
【化10】
【0044】
から選択され、R及びRは上記で定義されている。
【0045】
そのような実施例のサブクラスにおいて、RはHである。
【0046】
本発明の典型的な化合物は、
【0047】
【化11】
【0048】
であるが、これに限定されない。
【0049】
化学式(I)の化合物は、キラル中心を有し、それ故に、異なるエナンチオマー及びジアステレオマーが存在し得る。特に、Ia、Ib、Ic及びIdの型において、本発明の化合物は、*印が付された炭素原子不斉中心を有し、不斉中心のそれぞれは、2つの光学異性体を独立して構成する。光学異性体とジアステレオ異性体の可能性のある全ての混合物、並びに、単一の化合物若しくは部分的に生成された化合物が、本発明の範囲に含まれる。
【0050】
本発明は、同位体により標識された化合物を含み、当該化合物は化学式(I)に示されるものと同一であるが、1以上の原子が、事実上一般的な原子とは異なる原子量又は質量数の原子によって置換されている。本発明の化合物に導入され得る同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体が含まれ、例えば、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clである。上述した同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物及びそのプロドラッグ、並びに本発明の化合物の薬学的に許容される塩及びそのプロドラックは全て、本発明の範囲内に属する。本発明の同位体標識化合物のいくつかは、放射性同位体(H及び14Cのような)が導入されており、 薬物及び/又は基質組織の分散の測定に用いられ得る。例えばHのようなトリチウム同位体、及び例えば14Cのような炭素−14同位体が特に好ましく、これらは、準備及び試験が容易であり得、さらに、例えばHである重水素のような、より重い同位体により置換可能であり、また、in vivo半減期の延長又は投与量の要求を低減するように、代謝安定性がより高いために治療において有益であり得るので、ある条件においては好ましい。本発明の化学式(I)の同位体標識化合物及びそのプロドラックは、一般に、以下のように調製することができる;続く処理及び/又は実施例及び好ましい実施例に記載した処理を実行するとき、入手が容易な同位体標識試薬により、同位体ではない素子により標識された試薬を置換する。
【0051】
化学式(I)の化合物はさらに、化学式(I)の化合物の塩、溶媒和物を含む薬学的に許容される成形形態であり得、塩は、酸付加塩及び/又はアルカリ塩を含むがこれに限定されない。
【0052】
本発明はまた、有効量の化学式(I)の化合物又はその薬物塩と、その薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む、薬物試薬を提供する。これらの型の全ては本発明に属する。
【0053】
ここで使用される以下の定義が適している。
【0054】
「アルキル」は、本発明におけるある基又は別のの基を表しており、例えば、ハロゲンで置換されたアルキル及びアルコキシルでなどの構造単位であり、直鎖又は分枝状であり得、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等のような直鎖状アルキルを含む。当該用語はまた、直鎖状アルキルの分枝状異性体を含み、以下の基を含むがこれに限定されない:−CH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH、−C(CH、−CHCH(CH、−CHCH(CH)(CHCH)、−CHCH(CHCH、−CHC(CH、−CHC(CHCH、−CH(CH)−CH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CH、−CHCHCH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CHCH、−CHCHC(CH、−CHCHC(CHCH、−CH(CH)CHCH(CH、−CH(CH)CH(CH)CH(CH、−CH(CHCH)CH(CH)CH(CH)(CHCH)等。それゆえに、用語アルキルは、第1アルキル、第2アルキル、及び第3アルキルを含む。好ましいアルキルは、C1−12の直鎖状アルキル及びC3−10の分枝状アルキルを含む。
【0055】
用語「アルケニル」は、上述のように定義されたアルキルにおいて、隣接する2つの炭素原子が二重結合により連結したものを表す。
【0056】
用語「アルキニル」は、上述のように定義されたアルキルにおいて、隣接する2つの炭素原子が三重結合により連結したものを表す。
【0057】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を表す。
【0058】
用語「アルコキシ」は、アルキルが上述のような定義された、(アルキル)O−基を表す。
【0059】
用語「ヒドロキシル」は、−OHを表す。
【0060】
用語「アミノ」は、−NHを表す。用語「イミノ」は、−NH−を表す。
【0061】
用語「ニトロ」は、−NOを表す。用語「ニトロソ」は、−NOを表す。
【0062】
用語「トリフルオロメチル」は、−CFを表す。
【0063】
用語「カルボキシル」は、−COOHを表す。
【0064】
用語「スルフィドリル」は、−SHを表す。
【0065】
用語「アリール」は、芳香環を表し、芳香環を形成する各原子が炭素原子である。芳香環は、5、6、7、8、9又はそれ以上の炭素原子により形成され得る。アリールは、任意で置換され得る。アリールの例には、フェニル、ナフチル、フェナンチリル、アンチリル、フルオレニル及びインデニルが含まれるが、これに限定されない。
【0066】
用語「ヘテロアリール」又は任意で「複素環式芳香族基」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1以上の複素環原子を含む芳香族基を表す。N原子を含む「複素環式芳香族基」又は「ヘテロアリール」は、芳香族基を表し、芳香族の基幹における原子の1つは窒素である。ヘテロアリール基の説明のための例には、以下の部分等が含まれる:
【0067】
【化12】
【0068】
この構造によれば、ヘテロアリールは、モノラジカル又はビラジカル(例えば、ヘテロアリーレン基)であり得る。
【0069】
用語「シクロアルキル」は、炭素及び水素のみを含む単環式又は多環式ラジカルを表し、任意で飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和である。シクロアルキル基は、3から10の環原子を有する基を含む。シクロアルキル基の説明のための例には、以下の部分等が含まれる:
【0070】
【化13】
【0071】
この構造によれば、シクロアルキル基は、モノラジカル又はビラジカル(例えば、シクロアルキレン基)であり得、「より低級のシクロアルキル(lower cycloalkyl)」である場合、3から8の炭素原子を有する。
【0072】
用語「ヘテロシクリルアルキル」は、芳香族シクロアルキルには属さないが、O、N及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキルを表し、任意で、1以上の二重結合又は三重結合を含む。ヘテロシクリルアルキルは、全体として、3から14の環原子と、1から5のヘテロ原子(例えば、単環式ヘテロシクリルアルキルは3から6の環原子を有し、多環式ヘテロシクリルアルキルは7から14の環原子を有する)とを有してもよい。安定した構造を形成するヘテロ原子又は炭素原子において、ヘテロシクリルアルキルは、定義された化学構造に共有的に付加され得る。ヘテロシクリルアルキルにおけるN又はS原子は、酸化され得る(モルホリンN−オキシド、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド)。ヘテロシクリルアルキルは、フタルイミド、ピペリジノニル、オキサゾリジノニル、2,4(1H,3H)−ジオキソ−ピリミジル、ピリジン−2(1H)−ケトン基等のような1以上のオキソ基を含み得る。ヘテロシクリルアルキルは、また、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダソリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアゾリジニル、オクタヒドロイソインドリル、ピペリジル、アゼチジン、N−メチルアゼチジニル、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ジアゼピニル等を含む。
【0073】
用語「オキソ」は、二重結合(例えば、=O)を有する酸素を表す。
【0074】
用語「アシル」は、−CO−基を表し、説明のためのアシルには、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル等が含まれる。
【0075】
用語「アシルアミノ」は、式−C(O)NHR又は−NHC(O)Rを有する化学的部分を表し、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル(環炭素原子を介して結合)、アリール、ヘテロアリール(環炭素原子を介して結合)から選択される。
【0076】
用語「エステル基」は、式−COORを有する化学的部分を表し、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル(環炭素原子を介して結合)、アリール、ヘテロアリール(環炭素原子を介して結合)から選択される。
【0077】
用語「アシルエステル基」は、式−CO−COORを有する化学的部分を表し、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル(環炭素原子を介して結合)、アリール、ヘテロアリール(環炭素原子を介して結合)から選択される。
【0078】
本発明の化合物は、また、薬学的に許容される塩の型で投与され得る。用語「薬学的に許容される塩」は、無機若しくは有機基質及び無機若しくは有機酸を含む薬学的に許容される無毒基質又は酸から調製された塩に関する。用語「薬学的に許容される塩」に包含される塩基性化合物は、遊離塩基を適切な無機又は有機酸と反応させることにより、一般的に調製された本発明の化合物の無毒塩に関する。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明の化合物を調製するための方法:
化学式(I)の化合物は、処理1に従って調製され得て、全ての置換基は、発明の概要において定義付けられる:
<処理1>
【0080】
【化14】
【0081】
中間体IIIの存在下において、水素化ホウ素ナトリウム、デカボラン又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の試薬は、テトラヒドロフラン、メタノール、メチルベンゼン、ピリジン、DMF又はDMSO等の適切な溶媒中で使用されて、中間体IIの還元的アミノ化を経由して中間体IVを提供する。上記反応は、四塩化チタン又はチタニウムテトライソプロピレート等のルイス酸の存在下において実行される。上記反応はまた、酢酸等の酸を添加することによって加速され得る。特定の状況において、中間体IIIは、トリフルオロ酢酸塩又は塩酸塩等の塩であり得て、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン等の塩基は、上記反応混合物に都合よく添加され得る。その結果、脱保護が実行され、Bocに対してトリフルオロ酢酸又は塩酸−メタノール溶液が使用されるか、又はFmocに対してトリエチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジンまたはモルホリンがDMF、NMPまたはアセトニトリル中での反応のために使用される。その結果、R基及びR基(この場合、R及びRは、共に水素ではない。)が、適切な方法(例えば、塩基性条件下において、中間体IVがRCl及び/又はRClと反応するような方法)によって導入されて、化学式(I)の化合物が得られる。
【0082】
<処理2>
【0083】
【化15】
【0084】
中間体IIは、当業者に公知の方法によって取得され得る。ニトロアルコールbは、塩基の存在下において、アルデヒドa及びニトロメタンを用いて取得され、その後、取得したニトロアルコールbは、デス−マーチン等の酸化剤を用いて処理されて、ニトロケトンcが得られる。dは、ニトロケトンcと3−ヨード−2−(ヨードメチル)プロピル−1−エンとを加熱しながら反応させることによって調製される。取得したdは、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤によって還元されて、2つの生成物(シス−生成物及びトランス−生成物)が得られる。ここでは、上記シス−生成物は、DBU等の塩基の異性化によってトランス−生成物へと容易に変換できないようになっている。取得したトランス生成物e1及びe2は、キラルセル(chiral cel)を用いたHPLCによって分離されて、e2が得られる。その後、e2は、亜鉛と塩酸等の酸とによって還元されて、アミノピランfが得られ、gは、Boc等の保護基によるアミノ基の保護によって生成される。ジヒドロキシル化合物hは、四酸化オスミウム及びN−メチルモルホリンN−オキシド等の酸化剤の処理によって得られ、その後、中間体IIaは、過ヨウ素酸ナトリウムの酸化によって取得される。
【0085】
<処理3>
【0086】
【化16】
【0087】
中間体IIIは、一般的な処理3によって調製され得る。Boc又は他の保護剤によって保護されたピロリジノールiは、スワーン酸化等の酸化によって、ピロリドンjへと変換され得る。DMF−DMAの存在下において、kは、加熱しているjによって提供され、その後、kは、加熱しながらヒドラジンを存在させて、エタノール等の適切な溶媒中に中間体lを得るために使用される。lは、L−Rと反応し、Lが離れた後に、中間体IIIa及びIIIbは、適切な条件下における脱保護によって提供され、IIIa及びIIIbは、カラムクロマトグラフィー等の当業者に公知の方法によって分離できないようになっている。
【0088】
以下の実施例の目的は、本発明の具体的な実施形態を説明することであるが、説明及び請求の範囲が及ぶ範囲を限定しない。当業者は、原料が異なることが可能であり、本発明によって包含される化合物が、以下の実施例に示すような追加の工程によって生成され得ることを理解し得る。以下の実施例は、説明目的のためにのみ提供され、決して、本発明を制限することが意図されたり理解されたりするべきではない。当業者は、本発明の精神又は本発明の及ぶ範囲を侵害しない変更及び改変は容認され得ることを理解すべきである。
【0089】
<略語表>
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Boc:t−ブチルオキシカルボニル
Fmoc:フルオレンメトキシルカルボニルアシル
NMP:N−メチルピロリドン
DBU:1,8−ジアザシクロ[5,4,0]ヘンデセン−7
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
DMF−DMA:N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
NMO:N−メチル−N−モルホリンオキシド
【実施例】
【0090】
〔実施例1〕
【0091】
【化17】
【0092】
化合物1の調製:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(モルホリンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4−c〕ピラゾール5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン
(A.中間体
【0093】
【化18】
【0094】
の調製)
<工程1>
1−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−ニトロエタノールの調製
【0095】
【化19】
【0096】
5℃において、2,5−ジフルオロベンズアルデヒド(50g、0.35mol)及びニトロメタン(22.4mL、0.414mol)のメタノール溶液 50mLを、水酸化ナトリウム(1N、428mL)のメタノール溶液(214mL)に添加し(1時間以上)、添加後、氷酢酸(24mL)を添加して反応溶液を中和した。次に、ジエチルエーテルを添加し、有機質層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させて濃縮し、1−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−ニトロエタノールを得た。得られた反応産物は、さらに精製することなく工程2において使用可能である。
【0097】
<工程2>
2−ニトロ−1−(2,5−ジフルオロフェニル)エタノンの調製
【0098】
【化20】
【0099】
3つのバッチ中の、工程1において調整したニトロエタノールのジクロロメタン溶液(68.1g)中に、10℃において、30分以内に、デスマーチンペルヨージナン(184g)を添加した。
【0100】
24時間連続して攪拌した後、反応混合物を、重炭酸ナトリウム(441g)及びチオ硫酸ナトリウム(489g)の混合水溶液(4.2L)に注いだ。気泡が生成されなくなるまで、水層をHCl(6N、1.5L)で中和し、ジクロロメタンで抽出して、重炭酸ナトリウムで1回洗浄した。有機質層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後に混合し、濾過して乾燥するまで蒸発させ、クロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル:酢酸エチル 10:1〜6:1勾配溶離)により精製して、所望のニトロケトン54gを得た。1H NMR (400MHz, CDCl3)δ7.74-7.70(m, 1H), 7.43-7.37(m, 1H), 7.28-7.22(m, 1H), 5.82(d, J=3.6Hz, 2H)。
【0101】
<工程3>
3−ヨード−2−(ヨードメチル)−イソプロピル−1−エンの調製
【0102】
【化21】
【0103】
3−クロロ−2−(クロロメチル)プロピル−1−エン(5.75mL、54.7mmol)及びヨウ化ナトリウム(45g、301mmol)のアセトン反応溶液(400mL)を、室温で20時間攪拌し、減圧乾燥して濃縮した後、ジクロロメタン及び水中に分散させた。有機質層を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させて濾過し、蒸発乾燥して、薄赤色の油状化合物である3−ヨード−2−(ヨードメチル)プロピル−1−エンを得た。
【0104】
<工程4>
6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチレン−5−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ピランの調製
【0105】
【化22】
【0106】
3−ヨード−2−(ヨードメチル)−イソプロピル−1−エン(16.8g、54.7mmol)を、50mLのDMF中に溶解させ、20mLのDIPEAを添加した後、2−ニトロ−1−(2,5−ジフルオロフェニル)エタノン(10g、49.7mmol)をゆっくりと1滴ずつ添加した。添加後2時間室温で攪拌し、400mLの水を添加し、酢酸エチルにより3回抽出し、有機質層を混合し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジクロロメタン 20%〜30%勾配溶離)により3gの生成物を得た。1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ7.50-7.29(m, 3H), 5.41(brs, 1H), 5.34(brs, 1H), 4.74(s, 2H), 3.58(brs, 2H)。
【0107】
<工程5>
(2R,3S)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−メチレン−3−ニトロテトラヒドロ−2H−ピランの調製
【0108】
【化23】
【0109】
シリカゲル(100〜200メッシュ)58g及び水素化ホウ素ナトリウム(5.2g、136.6mmol)を、6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチレン−5−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(9.1g、35.96mmol)のクロロホルム(480mL)及びイソプロパノール(90mL)溶液に添加し、室温で一晩攪拌した。次に、希釈した塩酸(69mL、2N)をゆっくり添加して反応を停止し、濾過した。シリカゲルを酢酸エチルで洗浄した。有機質層を重炭酸ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧乾燥により濃縮した。次に、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジエチルエーテル=16:1から15:1勾配溶離)に供し、5.5gのトランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)5−メチレン−3−ニトロテトラヒドロフラン−2H−ピランと、2.4gのシス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)5−メチレン−3−ニトロテトラヒドロフラン−2H−ピランを得た。シス構造の生成物を50mLのテトラヒドロフラン中に溶解させ、120マイクロリットルのDBUを添加した。室温で0.5時間攪拌した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジエチルエーテル=16:1から15:1溶出)に供し、1.6gのトランス生成物を得た。トランス生成物(1g)の一部をHPLC(ChiralCel OD)により分離し、440gのエナンチオマー(2R,3S)−5−メチレン−3−ニトロ−2−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピランを得た。1H NMR(400MHz, CDCl3)δ7.17-7.13(m, 1H), 7.06-7.03(m, 2H), 5.14-5.11(m, 2H), 5.08(d, J=9.6Hz, 1H), 4.82-4.73(m, 1H), 4.39(d, J=12.7Hz, 1H), 4.24(d, J=12.8Hz, 1H), 3.13(d, J=7.9Hz, 2H)。
【0110】
<工程6>
(2R,3S)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−メチレンテトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミノの調製
【0111】
【化24】
【0112】
先の工程から得られた生成物(440mg、2.2mmol)を、エタノール中に溶解させ、亜鉛粉末(1.2g、18.9mmol)を添加し、力強く攪拌しながら、6Nの塩酸(6mL、36mmol)を添加した。3時間後、2Nの水酸化ナトリウムによりpHを10に調整し、ジエチルエーテルで3回抽出し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧下においてジエチルエーテルを蒸発させ、376mgの無色透明の油状液体を得た後、次の反応を直接行った。
<工程7>
[(2R,3S)−5−メチレン−2−(2,5−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]tert−ブチルカルバメートの調製
【0113】
【化25】
【0114】
先の工程から得られた無色透明の油状液体をジクロロメタンに溶解させ、ジ−tert−ブチルジカルボネートエステル(507mg、2.34mmol)を添加して、室温で一晩攪拌し、減圧下でジクロロメタンを蒸発させ、464mgの生成物を得た後、次の工程の反応を直接行った。
【0115】
<工程8>
[(2R,3S)−5−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]tert−ブチルカルバメートの調製
【0116】
【化26】
【0117】
工程7から得た生成物を7mLのアセトン中に溶解させ、3.5mLの水及び14mLの第3ブタノールを添加した後、四酸化オスミウムの2.5%第3ブタノール溶液を0.258mL添加した。室温で10分間攪拌した後、0.184mLのNMOを添加し、30分間攪拌した。次に、酢酸エチルにより抽出し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、減圧乾燥により濃縮し、510mgの生成物を得た後、次の反応工程を直接行った。
【0118】
<工程9>
[(2R,3S)−5−オキソ−2−(2,5−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]tert−ブチルカルバメートの調製
【0119】
【化27】
【0120】
先の工程の生成物を10mLのテトラヒドロフラン中に溶解させ、4mLの過ヨウ素酸ナトリウムの水溶液(327mg、1.53mmol)を添加し、当該混合物を4時間にわたって撹拌し、濃縮後にカラムクロマトグラフィー(クロロホルムにおける10%〜20%酢酸エチル)に供し、410mgの白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, CDCl3)δ7.23(d, J=3.3Hz, 1H), 7.05-7.00(m, 2H), 4.83(d, J=8.0Hz, 1H), 4.71(d, J=9.0Hz, 1H), 4.31(dd, J=16.3, 1.5Hz, 1H), 4.18-3.99(m, 2H), 3.06(dd, J=16.6, 5.1Hz, 1H), 2.75-2.68(m, 1H), 1.31(s, 9H); ESI-MS:272.1(M+1-56)。
【0121】
(B.中間体
【0122】
【化28】
【0123】
の調製)
<工程1>
【0124】
【化29】
【0125】
の調製
3−オキソピロリジン−1−tert−ブチルカルボキシレート(40g、216mmol)を300mLのDMF−DMA中に溶解させ、105℃にて40分間加熱した。冷却及び減圧乾燥により濃縮し、ヘキサンを用いて処理し、ろ過してオレンジ色固形物41gを取得し、乾燥させた生成物は、精製することなく次の工程の反応において使用可能である。
【0126】
<工程2>
【0127】
【化30】
【0128】
の調製
先の工程から取得した41gのオレンジ色固形物を、200mLのメチルベンゼン中に溶解させ、15mLのヒドラジン水和物(80%濃縮)を、40℃にてゆっくりと1滴ずつ添加し、添加後に室温で2時間に渡って反応させ、白色固形物を分離させながら反応溶液を冷却し、ろ過によって取得した上記固形物をn−ヘプタンを用いて洗浄して、37.2gの生成物を得た。
<工程3>
【0129】
【化31】
【0130】
の調製
先の工程から取得した37.2gの白色固形物を、メタノール中に溶解させ、5Nの塩酸を添加し、室温で6時間に渡って撹拌し、アンモニアメタノール溶液(2N)を濃縮後に添加し、pHを弱アルカリ性に調整し、200mLのジクロロメタンを添加し、40mLのトリエチルアミンを添加し、64gのジ−tert−ブチルジカルボネートのジクロロメタン溶液(40mL)を、室温でゆっくりと1滴ずつ添加し、30分間反応を実行した後に溶液を減圧乾燥により濃縮し、その後、カラムクロマトグラフィー(メタノール:アンモニア水:酢酸エチル=135:15:350)に供し、20gの白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, CDCl3)δ8.03(brs, 1H), 7.34(d, J=12.8Hz, 1H), 4.50(t, J=16.6Hz, 4H), 1.53(s, 9H)。
【0131】
(C.中間体
【0132】
【化32】
【0133】
の調製)
<工程1>
【0134】
【化33】
【0135】
の調製
N−Bocピラゾロピロリジン(100mg、0.478mmol)を3mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、水素化ナトリウム(30mg、0.718mmol、60%油中分散)を添加し、室温で1時間に渡って撹拌し、その後、モルホリンスルホニルクロリド(133.23mg、0.718mmol)を添加し、一晩反応させ、溶液を減圧乾燥により濃縮し、有機質層を乾燥させた後に、水及び酢酸エチルを添加し、その後、カラムクロマトグラフ(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)に供し、147mgの油状液体を得た。1H NMR(400MHz, CDCl3)δ7.67(d, J=15.4Hz, 1H), 4.49-4.39(m, 4H), 3.73-3.66(m, 4H), 3.34-3.21(m, 4H), 1.47(s, 9H)。
【0136】
<工程2>
【0137】
【化34】
【0138】
の調製
4mLのジクロロメタン及び1mLのトリフルオロ酢酸を、先の工程の生成物に添加し、室温で2時間反応させた後に、減圧乾燥により濃縮して、80mgの生成物を得た。次の工程の反応は、精製することなく直接実行することができる。
【0139】
(D.化合物1の調製:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(モルホリンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4、−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン)
【0140】
【化35】
【0141】
室温において、中間体[(2R,3S)−5−オキソ−2−(2,5−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]tert−ブチルカルバメート(101mg、0.31mmol)、及び、2−(N−スルホニルモルホリン)−2,4,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,4−c〕ピラゾール(80mg、0.31mmol)を、6mLの無水メタノール中に溶解させ、11.4mgのデカボランを室温で添加し、1晩攪拌し、減圧下で乾燥させて濃縮した。次に、4mLのジクロロメタン、1mLのトリフルオロ酢酸を添加し、室温で2時間攪拌し、濃縮してカラムクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン=1:20)に供し、101mgの白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, MeOD)δ7.87(s, 1H), 7.30-7.05(m, 3H), 4.37-4.27(m, 2H), 4.00-3.86(m, 4H), 3.76-3.64(m, 4H), 3.43(t, J=10.7Hz, 1H), 3.31-3.23(m, 4H), 3.13-3.04(m, 1H), 2.99-2.91(m, 1H), 2.54-2.46(m, 1H), 1.54(q, J=11.7Hz, 1H); ESI-HRMS: calcd for C20H26F2N5O4S, 470.1674, found, 470.1667。
【0142】
(実施例2)
化合物2:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(ピペリジンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4、−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0143】
【化36】
【0144】
実施例1に関連する本発明の化合物2の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドをピペリジンスルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ7.89(s, 1H), 7.21(m, 3H), 4.16(d, J=9.6Hz, 1H), 4.12-4.11(m, 1H), 3.76(d, J=15.2Hz, 4H), 3.26(t, J=10.6Hz, 1H), 3.17-3.14(m, 4H), 2.95-2.86(m, 2H), 2.34-2.31(m, 1H), 1.50-1.37(m, 7H).ESI-MS: 468.3(M+1)。
【0145】
(実施例3)
化合物3:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(ピロールスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4、−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン
の調製
【0146】
【化37】
【0147】
実施例1に関連する本発明の化合物3の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドをピロールスルホニルクロリドに替えて、淡黄色固形物を得た。1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ8.28(s, 2H), 8.10(s, 1H), 7.37-7.31(m, 3H), 4.59(d, J=10.0Hz, 1H), 4.42-4.26(m, 5H), 3.54-3.52(m, 3H), 3.35(t, J=6.4Hz, 4H), 2.67-2.64(m, 1H), 1.89(dd, J=23.4, 11.6Hz, 1H), 1.76-1.73(m, 4H).ESI-MS: 454.7(M+1)。
【0148】
(実施例4)
化合物4:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(N−メチルピペラジンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4、−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0149】
【化38】
【0150】
実施例1に関連する本発明の化合物4の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドをN−メチルピペラジンスルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, MeOD)δ7.86(s, 1H), 7.25-7.14(m, 3H), 4.37(d, J=9.4Hz, 1H), 4.31-4.29(m, 1H), 3.92-3.90(m, 4H), 3.44(t, J=10.5Hz, 1H), 3.33(br s, 4H), 3.12-3.20(m, 2H), 2.50(br s, 5H), 2.30(s, 3H), 1.58(dd, J=23.2, 11.7Hz, 1H). ESI-MS: 483.1(M+1)。
【0151】
(実施例5)
化合物5:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(4−シクロペンチルピペラジン−1−イル−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0152】
【化39】
【0153】
実施例1に関連する本発明の化合物5の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドを4−シクロペンチルピペラジン−1−イル−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, MeOD)δ7.86(s, 1H), 7.26-7.10(m, 3H), 4.33(d, J=9.6Hz, 1H), 4.30-4.28(m, 1H), 3.91-3.90(m, 4H), 3.43(t, J=10.7Hz, 1H), 3.33(br s, 4H), 3.10-3.04(m, 1H), 3.01-2.95(m, 1H), 2.58-2.49(m, 6H), 1.92-1.87(m, 2H), 1.74-1.70(m, 2H), 1.62-1.50(m, 3H), 1.41-1.31(m, 2H).ESI-MS:537.4(M+1)。
【0154】
(実施例6)
化合物6:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(3−オキソピペラジン−1−イル−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0155】
【化40】
【0156】
実施例1に関連する本発明の化合物6の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドを3−オキソピペラジン−1−イル−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。ESI-MS:483.1(M+1)。
【0157】
(実施例7)
化合物7:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(3−ヒドロキシアゼチジン)−1−スルホニル2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0158】
【化41】
【0159】
実施例1に関連する化合物7の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドを3−ヒドロキシアゼチジン−1−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。ESI-MS:456.1(M+1)。
【0160】
(実施例8)
化合物8:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(1−イソプロピルピペリジン−4−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0161】
【化42】
【0162】
実施例1に関連する化合物8の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドを1−イソプロピルピペリジン−4−スルホニルクロリドに替えて、淡黄色固形物を得た。ESI-MS:510.2(M+1)。
【0163】
(実施例9)
化合物9:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0164】
【化43】
【0165】
実施例1に関連する化合物9の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドを4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。ESI-MS:547.5(M+1)。
【0166】
(実施例10)
化合物10:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−エチル−5−[2−(モルホリンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0167】
【化44】
【0168】
本発明の化合物10は、塩基性条件下における、化合物1とブロモエタンとの反応を通して得られた。本発明の化合物10は、淡黄色固形物である。ESI-MS:498.5(M+1)。
【0169】
(実施例11)
化合物11:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−N,N−ジイソプロピル−5−[2−(モルホリンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0170】
【化45】
【0171】
本発明の化合物11は、塩基性条件下における、化合物1とイソプロピルブロマイドとの反応を通して得られた。本発明の化合物11は、灰色固形物である。ESI-MS:554.3(M+1)。
【0172】
(実施例12)
化合物12:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−N,N−ジブチル−5−[2−(モルホリンスルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0173】
【化46】
【0174】
本発明の化合物12は、塩基性条件下における、化合物1とブチルブロマイドとの反応を通して得られた。本発明の化合物12は、白色固形物である。ESI-MS:581.6(M+1)。
【0175】
(実施例13)
化合物13:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0176】
【化47】
【0177】
実施例1に関連する本発明の化合物13の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドをアゼチジン−1−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, MeOD)δ7.82(s, 1H), 7.23-7.04(m, 3H), 4.34-4.28(m, 2H), 4.06(t, J=7.8Hz, 4H), 3.96-3.92(m, 4H), 3.46(t, J=10.7Hz, 1H), 3.15-3.07(m, 1H), 3.01-2.94(m, 1H), 2.53-2.49(m, 1H), 2.23-2.15(m, 2H), 1.56(q, J=11.7Hz, 1H). ESI-MS:440.4(M+1)。
【0178】
(実施例14)
化合物14:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0179】
【化48】
【0180】
実施例1に関連する本発明の化合物14の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドを4−メチルピペラジン−1−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, MeOD)δ7.89(s, 1H), 7.26-7.17(m, 3H), 4.16-4.11(m, 2H), 3.76(d, J=14.5Hz, 4H), 3.70-3.67(m, 2H), 3.26(t, J=10.6Hz, 1H), 2.94-2.83(m, 2H), 2.66(t, J=11.7Hz, 2H), 2.34-2.31(m, 1H), 1.65-1.62(m, 2H), 1.45-1.36(m, 2H), 1.11-1.01(m, 2H), 0.84(d, J=6.5Hz, 3H).ESI-MS:482.1(M+1)。
【0181】
(実施例15)
化合物15:(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−[2−(ペルヒドロインドール−1−スルホニル)−2,6−ジヒドロピロロ〔3,4,−c〕ピラゾール−5(4H)−イル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
【0182】
【化49】
【0183】
実施例1に関連する本発明の化合物15の合成方法は、実施例1のモルホリンスルホニルクロリドをペルヒドロインドール−1−スルホニルクロリドに替えて、白色固形物を得た。1H NMR(400MHz, MeOD)δ7.92(s, 1H), 7.27-7.18(m, 3H), 4.20(d, J=9.6Hz, 1H), 4.15-4.12(m, 1H), 3.76(d, J=12.1Hz, 4H), 3.40-3.36(m, 3H), 3.27(t, J=10.8Hz, 2H), 3.22-3.18(m, 3H), 2.99-2.90(m, 2H), 2.36-2.33(m, 1H), 2.15-2.12(m, 2H), 1.45-1.35(m, 6H). ESI-MS:508.2(M+1)
〔生物学的評価〕
(試験1:本発明の化合物のDPP−4酵素に対する抑制活性の試験)
DPP−4酵素(SIGMA)の適切な量、3倍勾配希釈したサンブルボックスからのHEPESバッファ溶液を、反応システムにおいて混合した。ブランクコントロール(酵素及びサンプルボックスを含んでいない)、ネガティブコントロール(サンプルを含んでいない)、及びポジティブコントロール(MK−3102のポジティブコントロール)を同時に提供した。室温で10分間反応させた後、基質Gly−Pro−7−アミド−4−メチルクマリン(SIGMA)を添加し、室温で30分間反応させた。光を避けて、蛍光発光を試験したところ、励起波長が355nm、放射波長が460nmであった。
【0184】
抑制率を、蛍光発光測定により算出した;抑制率=[1−(サンプル−ブランク)(ネガティブ−ブランク)]×100%。IC50値を、4ParameteriLogistic Model of Xlfit ソフトウェアにより算出した。実験結果を表1に示す。
【0185】
表1:実施例の化合物及びシタグリプチン等のような比較例の化合物の、DPP−4に対する活性の、in vitroでの試験結果
【0186】
【表1】
(結果)
本発明の化合物は、DPP−4酵素に対して非常に大きな抑制効果を有する。
【0187】
他の局面では、MK−3102と比較したヒト肝臓ミクロソーム安定性試験において、本発明の化合物1、4等は、より優れた代謝安定性を有しており、本発明の化合物が、長期に渡る抗糖尿病薬になる見込みがあることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2017年1月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)の化合物、又は、その薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、又は立体異性体であり:
【化1】
Arは、置換された又は置換されていないアリール、ヘテロアリールであり、
は、水素、置換された又は置換されていないアルキルであり、
2a及びR2bは、水素からそれぞれ独立して選択されるか、置換された若しくは置換されていないアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択されるか、又は、任意で置換され得る、窒素原子が付加されたヘテロシクリルアルキルから選択され、
Aは、以下から選択され、
【化2】
3a及びR3bは、水素、置換された又は置換されていないC1−10アルキルからそれぞれ独立して選択され、
は、
【化3】
であり、
XはCR又はNであり、
0〜3のRが存在し得、各Rは独立して、オキソ、ハロゲン、置換された若しくは置換されていないアルキル、置換された若しくは置換されていないアルコキシであるか、又は2以上のRが、架橋したアルキルを形成しており、
Wは、CR、O又はNであり、
は、H、ヒドロキシルから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−8アルキル、C1−8アルキル−R、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキル、C(O)−C1−8アルキル、C1−8ハロゲン置換アルキル、C1−8アルキルヒドロキシル、C(O)NR10、C1−8シアノアルキル、C(O)R、C0−8アルキル−C(O)−C0−8アルキル−NR10、C0−8アルキル−C(O)OR、NR10、SO−C1−8アルキル、C1−8アルキル−C3−14シクロアルキル、C(O)−C1−8アルキル−C3−14シクロアルキル、C1−8アルコキシから選択され、
は水素又はハロゲンであり、
及びR10は、H、C1−8アルキル、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキル、C6−14アリール、5−14員ヘテロアリール、アルコキシ、C(O)C1−4アルキル、C1−8アルキルアミノ、C1−6アルキルヒドロキシルからそれぞれ独立して選択され、
mは、0、1又は2であり、
nは、0、1又は2であり、
は、H、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C2−10アルケニル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CHシクロアルキル、(CHヘテロシクリルアルキル、(CH−NR1112、(CH−SONR1112、(CH)p−SO13、(CH−NR11SO13、(CH−OR13、(CH−OCOR13、(CH−OCONR1112、(CHCONR1112、(CH−NR13CONR1112、(CH−COOH、(CH−COR13、(CH−CO1−6アルキル、(CH−NR11COOR13から選択され、
11及びR12は、水素、(CH−フェニル、(CH−C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルからそれぞれ独立して選択され、アルキルは任意で、フッ素又はヒドロキシルから選択される1〜5の置換基により置換されており、フェニル及びシクロアルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシから独立して選択される1〜5の置換基により置換されており、又は、R11及びR12は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、若しくはアゼチジンから選択される複素環を形成し、複素環は任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、若しくはC1−6アルコキシから独立して選択される1〜3の置換基によって置換されており、
各R13は独立してC1−6アルキルであり、アルキルは任意で、フッ素若しくはヒドロキシルから選択される1〜5の置換基により置換されており、
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり、
qは、0、1又は2である。
【請求項2】
Arは任意で、1〜5のR14により置換されたフェニルであり、
各R14は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アミノ、イミノ、カルボキシル、スルフィドリルから独立して選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないアルキル、アシル、アシルアミノ、エステル基、アシルエステル基、フェノキシ基、ベンジル、ベンジルオキシ、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリールから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arは、F、Cl、Br、I、−CH、−CF、及び−OCFから独立して選択される1〜3の置換基により任意で置換されたフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Arは、2,5−ジフルオロフェニル又は2,4,5−トリフルオロフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
2a及びR2bは、水素、C1−10アルキル、アルコキシ、C3−14シクロアルキル、3−14員ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
アルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、トリフルオロメチルから独立して選択される1〜6の置換基により置換されており、
アルコキシルは任意で、ハロゲン又はヒドロキシルから独立して選択される1〜6の置換基により置換されており、
シクロアルキルは任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、このとき、アルキル及びアルコキシルは1−5のフッ素により置換されていてもよく、
ヘテロシクリルアルキルは任意で、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、
又は、
2a及びR2bは、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、又はアゼチジンから選択される複素環を形成しており、当該複素環は任意で、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−6アルキル、又はC1−6アルコキシルから独立して選択される1〜3の置換基により置換されており、このとき、各アルキル及びアルコキシルは任意で、1〜5のフッ素により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2a及びR2bは、水素、任意で1〜3のフッ素又はヒドロキシルにより置換されているC1−6アルキルからそれぞれ独立して選択されるか、又は、それらが結合している窒素原子と共に、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール、又はアゼチジンから選択される複素環を形成している、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
2a及びR2bは水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
3a及びR3bは、水素、任意で1〜6のフッ素により置換されているC1−6アルキルからそれぞれ独立して選択されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
3a及びR3bは水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Aは、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
は水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
は、
【化5】
であり、
XはCR又はNであり、
0〜2のRが存在し得、Rはオキソである、又は2つのRが架橋されたアルキルを形成し、
WはCR、O、又はNであり、
は、H、ヒドロキシルから選択されるか、又は、置換された若しくは置換されていないC1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、3−8員ヘテロシクリルアルキル、C(O)−C1−6アルキル、C(O)NR10、C(O)R、NR10、SO−C1−8アルキルから選択され、
は、水素又はハロゲンであり、
及びR10は、H、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、3−8員ヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
mは、0、1又は2であり、
nは、0、1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
化学式(I)の化合物は、構造式(Ia)又は(Ib)として表され、
【化6】
構造式(Ia)及び(Ib)は、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
化学式(I)の化合物は、
【化7】
構造式(1a)として表され、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、前記示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
構造式(1a)の化合物は、
【化8】
構造式(Ic)及び(Id)として表され、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、前記示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
構造式(1a)の化合物は、
【化9】
構造式(Ic)として表され、立体異性的に形成された*印が付された2つの炭素原子において、前記示された絶対的な立体化学配置を有する、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Aが
【化10】
から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がHである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
以下の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化11】
【請求項20】
DPP−4の抑制に関連する疾病、疾患、又は症状を治療するための方法であって、
請求項1に記載された化合物、そのプロドラッグ、又は、化学式(I)の化合物、そのプロドラッグ、及び薬学的に許容される賦形剤含む薬学組成物を、それを必要とする個体に投与する工程を含み、好ましくは、該疾病、疾患、又は症状は、インスリン抵抗性、高血糖、II型糖尿病から選択され、前記個体にはヒトが含まれる、方法。
【国際調査報告】