(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515932(P2017-515932A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】剥離性を備えた低VOCポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 20/38 20060101AFI20170519BHJP
C09J 7/02 20060101ALI20170519BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20170519BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
C08F20/38
C09J7/02 Z
C09D5/00
C09D201/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-559653(P2016-559653)
(86)(22)【出願日】2015年3月30日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】US2015023385
(87)【国際公開番号】WO2015153484
(87)【国際公開日】20151008
(31)【優先権主張番号】61/972,370
(32)【優先日】2014年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/047,548
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516289133
【氏名又は名称】オムノバ ソリューソンズ インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101281
【弁理士】
【氏名又は名称】辻永 和徳
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドステイン ジョエル
【テーマコード(参考)】
4J004
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J004AA03
4J004AB01
4J004CA03
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DA02
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4J004EA01
4J004FA08
4J038CG031
4J038GA08
4J038MA09
4J038NA10
4J038PA18
4J100AL08P
4J100BA53Q
(57)【要約】
LABの中で剥離塗料または剥離剤として使用することができるポリマーであって、それらはVOCフリーの形式で提供され、高湿度の下のエージングの後にさえ優れた剥離を示し、該ポリマーはカルバメート官能基を含む側鎖を含むマーを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の側鎖を含む少なくとも67モルパーセントのマーユニットを含む剥離ポリマー、
(1)少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位を含み、該(チオ)カルボニル部位の1つのC原子が2つの追加のヘテロ原子に結合し、該追加のヘテロ原子の1つが窒素原子であり、他方がO、SおよびN原子から選択されるもの、または
(2)式−(X)nR7ZR3によって定義されるもの、
式中、XはOまたはS原子であり、
nは0または1であり、
R3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基であり、Zは2価の(チオ)カルボニル部位であって、該(チオ)カルボニル部位の1つのC原子が2つの追加のヘテロ原子に結合し、該追加のヘテロ原子の1つが窒素原子であり、他方がO、SおよびN原子から選択されるものであり、
R7はフェニルか、C1−C6アルキレン基である、
剥離ポリマーは化学物質用の標準の分析試験手順に供される時0.5ppm未満の揮発性の有機薬品を示す。
【請求項2】
前記側鎖が少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位を含み、前記側鎖が以下の式によって定義される、請求項1記載の剥離ポリマー:
【化1】
式中、XはOまたはS原子であり、
EはXまたはNR’であり、R’はHあるいはC
1−C
6アルキル基であり、
R
2は、低級のアルキル、アリール、アルカリールあるいはアルアルキル基であり、任意にヘテロ原子を含むが、活性水素原子は存在しない、
Zは2価の(チオ)カルボニル部位であって、該(チオ)カルボニル部位の1つのC原子が2つの追加のヘテロ原子に結合し、該追加のヘテロ原子の1つが窒素原子であり、他方がO、SおよびN原子から選択されるものであり、
R
3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基である。
【請求項3】
前記側鎖が以下の式のどちらかによって定義される請求項2記載の剥離ポリマー:
【化2】
【請求項4】
前記側鎖が少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位を含み、前記側鎖が以下の式によって定義される、請求項1記載の剥離ポリマー:
【化3】
式中、XはOまたはS原子であり、
EはXまたはNR’であり、R’はHあるいはC
1−C
6アルキル基であり、
R
3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基であり、
R
4は、異なる反応性の2つのイソ(チオ)シアネート基を含む炭化水素化合物基であり、
R
5は任意の結合基であり、
nは0または1である。
【請求項5】
nは1であり、R6は−R2XC(X)−であり、
式中、R2は低級のアルキル、アリール、アルカリールあるいはアルアルキル基であり、任意にヘテロ原子を含むが、活性水素原子は存在しない、請求項4記載の剥離ポリマー。
【請求項6】
前記側鎖が以下の式のどちらかによって定義される請求項1記載の剥離ポリマー:
【化4】
式中、EはXまたはNR’であり、R’はHあるいはC
1−C
6アルキル基である。
【請求項7】
該側鎖が−(X)nR7ZR3、式中、nは0であり、R7はフェニル基である、によって定義される、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項8】
該側鎖が−(X)nR7ZR3、式中、nは0であり、R7はC1−C3アルキレン基である、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項9】
該側鎖が−(X)nR7ZR3、式中、nは1であり、R7はC1−C3アルキレン基である、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項10】
前記ポリマーが前記側鎖を含む少なくとも75モルパーセントのマーユニットを含む、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項11】
前記ポリマーが前記側鎖を含む少なくとも95モルパーセントのマーユニットを含む、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項12】
少なくとも1つの(メタ)アクリレートマーおよび1つ以上の(メタ)アクリレート誘導体に由来したマーをさらに含む請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項13】
接着剤層、および請求項1から12のいずれか1項記載の剥離ポリマーを含む剥離剤層を有する表面を含み、該剥離剤層が該接着剤層と接触している物品。
【請求項14】
前記接着剤層および前記剥離剤層が、基体の相対する主表面にある、請求項13記載の物品。
【請求項15】
接着剤を含む物品について剥離剤層を形成するプロセスであって、基体に請求項1から12のいずれか1項記載の剥離ポリマーを含み、0.5ppm未満の揮発性の有機薬品を含む組成物を塗布することを含むプロセス。
【請求項16】
前記組成物が前記剥離ポリマーから本質的に成る、請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
前記組成物が0.25ppm未満の揮発性の有機薬品を含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項18】
前記組成物が0.1ppm未満の揮発性の有機薬品を含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項19】
前記組成物が0.05ppm未満の揮発性の有機薬品を含むことを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項20】
前記組成物が基体の主表面に適用され、基体の他の主表面が接着剤層を有する、請求項15記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この国際出願は、2014年3月30日に出願された米国仮特許出願番号61/972,370、および2014年9月8日に出願された62/047,548の優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
接着テープはロールの形で典型的に提供されるが、これは高度な技術を有するものであり、主要な要素として基体、および基体の相対する主要な表面上に提供された、接着層および低接着性剥離層(LAB)を有する。後者は可逆的な接着、あるいは基体の1つの層の上にある粘着剤層が基体の別の層に隣接しているという事実にもかかわらずロール生成物を巻き解く能力を提供して、取扱適性を改善する。LABの組成および共通の物理的形態についてより詳細については、D.Satas、感圧性接着剤技術のハンドブック、3版、1999、26章、「剥離塗料」を参照。
【0003】
伝統的に、LABは基体に液状配合物(例えばエマルション、懸濁液あるいは分散液)を適用し、乾燥することによって提供された。このプロセスは基体上にフィルム形成性ポリマーを提供し、1以上の同伴された剥離剤を含むネットワークを提供する。溶液の液体成分は、とりわけ、低減された芳香および低減された可燃性を含む様々な理由で、速く蒸発する揮発性の有機薬品(VOC)から水に移行した。
【0004】
多くの剥離剤が水に対する制限された可溶性を有するので、他の選択肢が調査されている。VOC低減の利益を維持するために、ポピュラーな溶剤を含まないオプションは、押し出し成形されるポリマー(たとえばポリオレフィン)にブレンドされた1以上の剥離剤を含むLAB組成物の押し出しを含む。このコーティング方法は、基体を破損せず、あまりエネルギーを要求しすぎない温度、たとえば100℃またはそれ以下でLAB組成物を押し出すことができる限り、比較的有効である。
【0005】
剥離剤の例は、非イオン性界面活性剤、長鎖アルキルカルボン酸およびエステル、長い側鎖を有する(メタ)アクリレート、ポリウレタン、シリコーンポリマー(特にポリジアルキルシロキサンホモ−およびコ−ポリマー)、およびフッ素化重合体およびワックスを含む。剥離剤についてより詳細には、様々なテキストおよび概説書、例えばChapter 12 in Kenning and Schneiderの,”Release Coatings for Pressure Sensitive Adhesives,”Adhesion Science and Engineering − Surfaces,Chemistry,and Applications,第2章、pp.535−71(2002)を参照。
【0006】
シリコーンに基づいた化合物単独、または炭化水素重合体とのブレンドは、非常に有効な剥離剤になりえる。しかしながら、少量のシリコーン化合物はしばしば接着剤に移行し、しばしば「クレーター」あるいは「フィッシュアイ」と呼ばれる着色表面の不完全と、電子部品の不完全な電気接点を生じさせることがある。
【0007】
あるタイプの接着性製品はシリコーンを含まないLABを使用する。これらのうちの多数は剥離剤としてポリ(ビニルオクタデシルカルバメート)(PVODC)を含む。PVODCは、塗布の直後だけではなく、高湿度条件の下でエージングした後にさえもポリマーフィルムおよび紙(典型的にラテックスが染み込んだもの)を含むテープとラベルの用途で典型的に使用される多くの基体によく接着すると分かった。完成した巻テープが様々な条件の下の長期間貯蔵され、テープの剥離性はその時間の間比較的狭い許容範囲で残っていなければならないので、高湿度エージングの後に性能を発揮できることは重要である。PVODCは、さらに天然ゴム、アクリル樹脂およびホットメルトを含む最も広く用いられている接着剤の多くに適合する。PVODCは比較的高価であるが、その一貫して予測可能な性能は高く評価される。
【0008】
PVODCは、有機溶媒(たとえばトルエン)に加えられる固体としてしばしば提供される。それはユーザに比較的厳密に規定される基準を強いる。
【0009】
水性のPVODC組成物も利用可能である。しかしそれらは有機液体、典型的にはトルエン中に少量のPVODCを溶かし、その後水中に有機溶液を乳化することにより作られる。メーカーは、乳化の後に溶剤を除去しようとする。しかし、数百ppm(ppm)以内のVOCが典型的には残る。
【0010】
さらに、PVODCはオクタデシルイソシアネートとポリ(ビニルアルコール)(PVOH)を反応させることにより提供される。PVODCの製造の中で使用されるMwが約125±75kg/molのPVOHは、水に可溶性である。しかし、水はイソシアネートとPVOHの反応の間に存在することができない。これは、PVOHが極性有機液体(DMFまたはDMSO)に溶かされるか分散されるか、炭化水素液体(たとえばトルエンまたはキシレン)中に懸濁または分散されなければならないことを意味する。少量のこれらの溶剤は、最終のLAB生成物へ同様に移行される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
VOCが回避されるような方法で製造され提供され、それにもかかわらず、高湿度条件の下でエージングされた場合さえ一貫した剥離性を提供し、隣接した接着剤に移らない剥離剤に対する要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
LABの中で剥離塗料または剥離剤として使用することができるポリマーがここに提供される。それらはVOCフリーの形式で提供され、高湿度の下のエージングの後にさえ優れた剥離を示すことができる。
【0013】
ポリマーは、少なくとも2つの(チオ)カルボニル基を含む側鎖および複数の追加のヘテロ原子を含むマーユニット(mer unit)を含むことができる。
【0014】
ある実施態様では、側鎖の(チオ)カルボニル部位の1つのC原子は、2つの追加のヘテロ原子と結合し、その1つはNであり、他方はO、SおよびNから選択される。これらの実施態様のうちのいくつかでは、側鎖は以下の化学式によって表わすことができる。
【0015】
【化1】
【0016】
式中、XはOまたはSを表わし、EはOまたはS原子あるいはNR’を表わす、ここでR’はHあるいはC
1−C
6アルキル基であり、R
2は低級のアルキル、アリール、アルカリール、あるいはアルアルキル基(任意にヘテロ原子、活性水素原子が存在しないという条件でたとえばOを含むことができる)、Zは(チオ)カルボニル部分のC原子に結合した2つ追加のヘテロ原子をさらに含む、二価の(チオ)カルボニル含有基を表わす、また、R
3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基を表わす。Zの中のカルボニル部分のC原子に接合することができる追加のヘテロ原子の例は、O、SおよびNを含む;追加のヘテロ原子の少なくとも1つは、典型的にはNである。Zの主要な形式は、EとXの特別の同一性、およびある程度、反応が行なわれる条件に依存する。
【0017】
ポリマーは、さらに又は代わりに以下の化学式によって表わされる側鎖を含むマーを含むことができる。
−(X)
n−R
7−Z−R
3 (I−b)
式中、X、ZおよびR
3は上記のように定義され、nは0または1である。また、R
7はフェニルまたはC
1−C
6アルキル基である。
【0018】
本発明はLABの中で剥離塗料または剥離剤として使用することができる、上記のVOCフリーのカルバメート基含有ポリマーを提供する方法を提供する。そのような1つの方法は、長鎖アルキル基を有するモノ−イソ(チオ)シアネートと重合可能な化合物、たとえば(メタ)アクリレート−タイプの化合物、置換されたスチレン、アリルアルコールあるいはアルカンジオールビニルエーテル(それはEH基を含む)と反応させ、次に水中で生成物を重合することを含む。別の方法は、EH基を含む長鎖化合物と重合可能なモノ−イソ(チオ)シアネートを反応させて、次に水中で生成物を重合することを含む。さらなる別の方法は、ポリイソ(チオ)シアネート、特にはジイソ(チオ)シアネートを、EH基を含む長鎖化合物、およびEH基を含む重合可能な化合物とを反応させ、次に水中で反応生成物を重合することを含む。(このパラグラフの中で参照されるEは上記のように定義される)
【0019】
先の方法の各々では、カルバメート基は、たとえばアルコールのような、1つ以上のEH基を含む化合物の過剰が存在する状態(つまりNCO基よりOH基の当量が多い状態)で形成される。EHの基を含む化合物は、長鎖でありしたがって揮発性でないか、あるいはそれがポリマー鎖に組み入れられることを可能にする重合可能な基を含む。さらに、重合は水中で行われる。これは残留溶媒がポリマーの中にトラップされず、ポリマーと共に存在しないことを意味する。
【0020】
先の方法の各々では、重合生成物はホモ−ポリマーでありうる。つまり、これらに制限はされないが、たとえば上記の一般式(I−a)および(I−b)で示される、カルバメート部分を含む側鎖を含むマーユニットだけを含むポリマーでありうる。さらに、側鎖にカルバメート部分を含むマー、および他のマーであって、結果として生じるポリマーのガラス転移温度(Tg)および/または融解温度(Tm)を増加するか減少させない長鎖アルキル基を含むインターポリマー、並びにそのようなインターポリマーを提供する方法が提供される。そのようなインターポリマーは、複数、より好ましくは大多数のカルバメートの部分を含む側鎖を含むマーユニットを含む。
【0021】
有利には、以下に定義されるように、先の化合物、ポリマーおよび方法はVOCフリーで、典型的な製造条件の下で処理(例えば乾燥)された時、ホルムアルデヒドを生成しない。
【0022】
さらに、ポリマーは、ラベルライナーおよび巻きテープなどの基体として一般的に使用されるタイプのほとんどの基体に、適用時および低いかまたは高い温度および/または高湿度の下でエージングされた後にもよい接着を示す。
【0023】
さらに、それらは、これらに限定されないが、天然ゴム、アクリル樹脂およびホットメルトのような種々様々の接着剤からのよい剥離を提供する。
【0024】
従って、本発明の別の態様は、接着剤層を有する表面、および先の剥離ポリマーの少なくとも1つを含む離型層を有し、接着剤層に接する表面を含む物品を含む。テープ物品では、接着剤層と離型層が同じ基体の両側の上にある場合がある。ラベル物品では、接着剤層は1つの基体に適用され、離型層は別の基体に適用され、2つの基体が接着剤層と離型層が直接接触するように配置される。
さらに、そのような物品を作る方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の他の態様は、続く詳細な説明から当業者に明白になる。
記述を理解するのを支援するために、定義が以下に提供される。またこれらは、周囲のテキストが明示的に反対の企図を示さなければ、すべてに当てはまるように意図される: 「含む」はリストされた成分を含むが、これらに限定されないことを意図する。「からなる」はリストされた成分のみを含むが、少量の添加剤および不活性成分を含むことができる。
「本質的に成る」は、リストされた成分、ポリマー、コーティングあるいはLABの剥離特性を補足するか、および/または意図した最終用途を考慮して望ましい副次的効果(例えば耐酸化性)を提供する他の成分の少量(5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.25%あるいは0.1%w/v未満)、および/または不活性成分または添加物のみを含むことを意図する。
【0026】
「ポリマー」は、1つ以上のモノマーの重合生成物を意味し、ホモ−、コ−、ター−、およびテトラ−ポリマーなどを包含する。
「コ−ポリマー」は、典型的にはモノマーである2つの反応物に由来したマーユニットを含むポリマーであり、ランダム、ブロック、セグメンティド、グラフトなどのコ−ポリマーを包含する。
「インターポリマー」は、典型的にはモノマーである少なくとも2つの反応物に由来したマーユニットを含むポリマーを意味し、コ−、ター−、テトラ−ポリマーなどを包含する。
「マー」あるいは「マーユニット」は、単一の反応物分子に由来したポリマーの部分(例えば、エチレンマーは一般式−CH
2CH
2−を有する)を意味する;
【0027】
「置換された」は、その基の意図した目的を邪魔しないヘテロ原子または官能基(例えばヒドロカルビル基)を含むものを意味する。
「ポリエン」は分子、典型的にはモノマーであって、鎖の最長の部分に少なくとも2つの二重結合を有するものをいい、ジエン、トリエンなどを包含する。
「ポリジエン」は、1つ以上のジエンからのマーユニットを含むポリマーを意味する。
「剥離剤」は、剥離プロセスの間にその接着剤に移らずに、化合物が適用された表面から、接着剤を滑らかに制御可能に剥離することを許容するように設計されているかまたは意図される化合物あるいは化合物の混合物を意味する。
「剥離ポリマー」は重合体の剥離剤を意味する;
「VOCフリー」は、標準の分析的な試験手順に供されたときに、一般に0.5ppm未満、0.25ppm未満、典型的に0.1ppm未満、好ましくは0.05ppm未満の揮発性の有機薬品を示すことをいう。
【0028】
「(チオ)」は、示された化合物または基の、S含有アナログを含むことを意図する。
「低接着性バックサイズ」あるいは「LAB」は、しばしば1つ以上の界面活性剤を含む成分と組み合わされた、少なくともコーティングポリマーおよび剥離剤を含む組成物を意味する。
「イソ(チオ)シアネート」は、一般式−N=C=Oあるいは−N=C=S、またはそのような基を含む化合物を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートあるいはアクリレートを意味する。
「活性水素」は、H原子が含まれている化合物がゼレチノフ試験(Zerewitinoff determination testing)に供される場合、メタンの生産に帰着するH原子である;
「低級アルキル」は、高々6の炭素原子を含むアルキル基を意味する;
「長鎖アルキル」は、少なくとも12の炭素原子を含むアルキル基を意味する;
「phm」は100pbwモノマーあたりの重量(pbw)部を意味する;
また「ラジカル」は、反応の結果原子が得られるか失われるかに関わらず、別の分子と反応した後に残る分子の部分を意味する。
【0029】
上記のポリマーは剥離ポリマーとして働くことができ、剥離塗料を提供するか、および/または1つ以上の他のポリマー(および任意のアジュバンド)と混合されてLABを提供するために使用することができる。
【0030】
医学用、電子用、またはガムテープに典型的に使用される基体としては、紙(含浸または非含浸)、金属および金属化されたシートおよび箔、不織布、セロハン、熱可塑性樹脂のフィルムおよびアセテートフィルムが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
必要または望まれるならば基体のどちらかあるいは両方の表面を主表面とすることができる。
【0031】
基体の1つの主表面は、接着剤の層(従来の厚さ)で典型的に覆われる。該接着剤の層は典型的には感圧性接着剤(PSA)であることができ、それは制限されるものではないが、1以上のポリマー、たとえば天然ゴム、ブチルゴム、ビニルエーテル、様々なアクリレート、ポリエンマーを含むポリマー、特にポリジエン、たとえば1,3−ブタジエン、イソプレンおよびその他同種のもの、ブロックコ−ポリマー(例えばSBS、SISなど)、ランダムコ−ポリマー(例えばSBR)、シリコーンゴムなどを含むことができる。先のものは、例示でありこれに制限するものではない。本発明の剥離ポリマーは多くのタイプの接着剤とうまく働くと考えられている。
【0032】
基体の別の主表面には、カルバメート部分を含む側鎖があるポリマーを含む組成物が提供される。ある実施態様では、このポリマーは剥離ポリマーであり、コーティングポリマーおよび/または別個の剥離剤なしで使用することができる。他の実施態様では、このポリマーは、LABの1つの成分を構成することができる。つまり、1つ以上のコーティングポリマーおよび/または他の成分に混ぜ合わせることができる。
【0033】
有効性、重合のコストおよび容易さの理由で、記載されたタイプのほとんどのポリマーはビニルモノマーから提供されるだろう。
【0034】
ポリマーのタイプの1つの実施態様では、一般式(I−a)の上に述べられていたタイプの側鎖を持っている。典型的なポリマーのこの基は2つの一般的な合成ルートのうちの1つを使用して調製することができる。
【0035】
1つの合成ルートでは、化合物が重合されるプロセスに関与しない活性水素原子を含む官能基を含む重合可能な化合物と、長鎖モノ−イソ(チオ)シアネートを反応させることができる。別のルートでは、化合物が重合されるプロセスに関与しないイソ(チオ)シアネート基を含む重合可能な化合物と、活性水素原子を含む官能基を含む長鎖化合物を反応させることができる。これらはそれぞれ、続く議論でのプロセスlaとプロセスlbとして区別される。
【0036】
プロセス1aの長鎖モノ−イソ(チオ)シアネートは以下の一般式によって表わすことができる:
R
3−NCX (II)
XはOまたはSを表わし、R
3は長鎖アルキル基(あるいは長鎖アルキル基を含む、より大きな官能基)、たとえば特にはC
15−C
25、好ましくはC
16−C
20、より好ましくはC
17−C
18の、置換されたか置換されていないアルキル基を表す。一般式(II)によって定義された化合物の非制限的な例は、ヘキサデシルイソ(チオ)シアネート、ヘプタデシルイソ(チオ)シアネート、オクタデシルイソ(チオ)シアネートおよびノナデシルイソ(チオ)シアネートを含む。効果に必ずしも関係がない様々な理由で、Xが酸素原子である一般式(II)の化合物は好ましい。
【0037】
プロセスlaでは、活性水素原子を含む官能基(例えば以下の一般式によって表わされるもののような(メタ)アクリレート誘導体)を含む重合可能な化合物と、一般式(II)の化合物を反応させることができる。
【0039】
ここでR
2、EおよびXが上記のように定義される;
R
1はHまたはメチル基である。ある実施態様では、R
2は好ましくはC
1−C
6アルキル基である。
【0040】
重合可能な化合物、たとえば活性水素原子を含む官能基を有する一般式(III)によって定義された化合物は、例示であり、これらに制限されないと意図される。当業者は他のクラスを想定することができる。
【0041】
一般式(II)および(III)の各々の化合物は、液体または早期重合に結びつかない条件の下で溶ける固体である。これは、一般式(Il)のタイプの化合物と、一般式(III)(または類似の)化合物との反応を、VOCフリーの方法で行い、反応生成物もVOCフリーであることを許容する。この反応は、反応物が少なくとも流動可能な、好ましくは液体である任意の温度で行なうことができ、たとえば一般的には15℃から95℃、典型的には20℃から85℃、好ましくは25℃から80℃で行われる。反応速度を増加させるために、触媒(たとえば有機金属硫化物)を反応容器に加えることができる。
【0042】
一般式(Il)のタイプの化合物と、一般式(III)(または類似の)の化合物との反応生成物は、上記のように定義されているすべての変数と共に下記一般式によって表わすことができる:
【0044】
プロセスlbの活性水素の原子を含む官能基を含む長鎖化合物は、一般式によって表わすことができる。
R
3−EH (V)
ここでR
3とEは上記のように定義される。効果に必ずしも関係がない様々な理由で、Eが酸素原子である一般式(V)の化合物は好しい。一般式(V)によって定義された化合物の非制限的な例は、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミンおよびオクタデシルメルカプタンを含む。
【0045】
プロセスlbにおいて、一般式(V)タイプの化合物を、重合されるプロセスに関与しないイソ(チオ)シアネート基を含む重合可能な化合物、たとえば以下一般式によって表わされる(メタ)アクリレートの誘導体と反応させることができる。
【0047】
式中、R
1、R
2およびXは上記のように定義される。
ある実施態様では、Xはそれぞれ酸素原子であることができる。これらの(メタ)アクリレート誘導体は、例示であり、非制限的であると意図され、当業者は他のクラスの構想を描くことができる。
【0048】
一般式(V)および(IV)の各々のタイプの化合物は、液体または早期重合に結びつかない条件の下で溶ける固体である。これは、一般式(V)のタイプの化合物と、一般式(VI)のタイプの化合物との反応を、VOCフリーの方法で行い、反応生成物もVOCフリーであることを許容する。この反応は、反応物が少なくとも流動可能な、好ましくは液体である任意の温度で行なうことができ、たとえば一般的には15℃から95℃、典型的には20℃から85℃、好ましくは25℃から80℃で行われる。反応速度を増加させるために、触媒(有機金属硫化物)を反応容器に加えることができる。
【0049】
プロセスlbの反応生成物は下記一般式によって表わすことができる:
【0051】
式中、R
1、R
2、R
3、XおよびEは上記のように定義される。ある実施態様では、Xはそれぞれ酸素原子であることができる。
【0052】
カルバメート部分を含む側鎖を有するポリマーの別の実施態様は、最初にイソ(チオ)シアネート基を有するジイソ−(チオ)シアネートと異なる反応体と反応させる2段階逐次反応で調製することができる。ジイソ−(チオ)シアネートの非制限的な例は、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)など、およびそれらの硫黄アナログを含む。以下の記述では、IPDIは典型的なジイソ(チオ)シアネートとして使用される。しかし、その選択は制限的なものとして考慮してはならない。他のジイソ(チオ)シアネートも同様に作用すると予想される。
【0053】
以下にプロセス2と呼ばれるこのスキームでは、2つのEH基を含む化合物(反応を妨げないために、E=NR’の場合にはR’は好ましくはHではない)とIPDIを反応させる。EH基の1つは重合可能な官能基を有し、他方は長鎖アルキル基(あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基)、たとえばC
15−C
25、好ましくはC
16−C
20、より好ましくはC
17−C
18の置換されたかあるいは置換されていないアルキル基を有する。最初のタイプのEH基を含む化合物の非制限的例は、一般式(III)の中で上に表されたものを含む。一方第2のタイプのEH基を含む化合物の非制限的例は、一般式(V)で上に表されたものを含む。
【0054】
IPDIと、2つのタイプの活性水素基含有化合物を反応させる順番は、特に重要であるとは考えられない。また、これらの反応が生じる条件は、プロセスlaおよびIbに関して上に提供されるものと本質的に同一である。
【0055】
プロセス2の生成物は以下の一般式によって表わすことができる。
【0057】
X、EおよびR
3は上記のように定義される、R
4は、異なる反応性の2つのイソ(チオ)シアネート基を有する炭化水素化合物のラジカルであり、R
5はたとえばa−R
2XC(X)−基のような直鎖または環式の結合によって隣接したE原子に任意に結合される、重合可能な基である。
【0058】
一旦一般式(VIII)の化合物が重合されれば、結果として生じる側鎖は、以下の一般式によって表わすことができる。
【0060】
X、Eおよびnは上記のように定義される、R
4は、異なる反応性の2つのイソ(チオ)シアネート基を有する炭化水素化合物のラジカルである。R
6は上記のタイプの結合基であり、特にはカルボニル、エーテルおよびアミン基が例として挙げられる。一般式(XI)の側鎖は、ZおよびR
3(一般式(I)からの)が直接結合されないが、代わりに、追加の結合基によって分離されているという違いを除いて、一般式(I)によって定義されたものに類似する。
【0061】
活性水素原子を含む官能基を含む、別のクラスの重合可能な化合物は、以下の一般式によって表わすことができる。
【0063】
R1、E、Xおよびnは上記の通り定義され、R
7はフェニルまたは低級アルキレン基を表わす。ある実施態様では、Xはそれぞれ酸素原子であることができる。
【0064】
一般式(X)タイプの化合物のnが0である場合は、以下の一般式によって定義された置換されたスチレンである。
【0066】
式中、Eは上記の通り定義され、R
1は水素原子である。この式の変形はさらに可能である;例えば、一般式(X−a)の化合物のアルファ−メチルスチレン類縁体は有用であると予想される。なぜならスチレン環へ(例えばヒドロカルビル結合基を介して)EH基が間接的に接合される化合物であるからである。
【0067】
一般式(X)の別のサブセットはnが0である場合のビニルアルコール/エーテル系化合物である。つまりR
7が低級アルキル基、好ましくはC
1−C
3アルキレン基、より好ましくはC
1−C
2アルキレン基である一般式(X)の化合物である。さらにこれらの化合物の硫黄とアミンのアナログ、つまりE=SあるいはNR’である実施態様も意図される。
【0068】
一般式(X)の1つのサブセットはnが1である場合の、ジオールビニルエーテルである。つまり、XがO原子であり、R
7が低級アルキレン基、好ましくはC
1−C
4アルキレン基である一般式(X)の化合物である。さらにこれらの化合物の硫黄とアミンのアナログ、つまりE=SあるいはNR’である実施態様、並びにX=Sである実施態様も意図される。
【0069】
プロセス3として言及される反応スキームでは、一般式(Il)タイプの化合物は−一般式(X)タイプの化合物(または類似化合物)と反応させることができ、下記一般式によって表わすことができる生成物が得られる。すべての変数は 上記のように定義される。
【0071】
(EとXの特別の同一性に依存してZの主形態は変わり、ある程度まで反応が行なわれる条件に依存する)。一般式(X)タイプの化合物の重合により得られるポリマーは、一般式(I−b)によって上に定義された多数の側鎖を備えた炭化水素バックボーンを有する。
【0072】
特定の非制限的例として、一般式(X−a)の化合物を一般式(II)の化合物と反応させ、上記のように定義されるE、XおよびR
3を有する以下の化合物を提供する。
【0074】
当業者は、前記の様々な他の一般式(X)化合物と一般式(II)化合物の反応生成物の構想を描くことができる。
【0075】
一般式(IV),(VII),(VIII)および(XI)の化合物を、様々なエマルション技術のうちのいずれかを使用して、水性媒体中で重合することができる。溶液重合およびその後の水中への分散を含む代替技術によってそれらを調製することができるが、結果として生じる重合体製品へVOCを導入することがある技術は好ましくない。
【0076】
エマルジョン重合は数十年間行なわれている。したがって、その概要は当業者に全くよく知られている。しかしながら、一般的な記述が便宜上以下に記載される。
【0077】
エマルジョン重合では、イオン性および/または非イオン性乳化剤および/または保護コロイドあるいはスタビライザーが界面活性化合物として使用することができるが、小分子乳化剤、特に陰イオン性および非イオン性の界面活性剤が好ましい。1以上の界面活性成分が使用される場合、個々の物質は互いに相溶性でなければならない。
【0078】
例示的な界面活性剤としては、C
8−C
36エトキシル化脂肪族アルコール、C
4−C
9エトキシル化モノ−、ジ−またトリ−アルキルフェノール、スルホコハク酸のジアルキルエステルのアルカリ金属塩、C
8−C
12硫酸アルキルのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C
12−C
18エトキシル化アルカノールのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C
4−C
9エトキシル化アルキルフェノールのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C
12−C
18アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、およびC
9−C
15アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩があげられる。さらに潜在的に有用なものは、アルキルフェニルオキサイド 二スルホン酸塩、たとえばDOWFAX(登録商標)2A1界面活性剤(Dowケミカル社;ミッドランド、ミシガン)である。
【0079】
界面活性化合物は、重合されるモノマーの重量に基づいて、0.1〜10%(w/w)、一般に0.15〜7.5%(w/w)、典型的に0.2〜5%(w/w)の量で使用することができる。
【0080】
水溶性の開始剤としては、例えば、ペルオキソ2硫酸のアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、例えばナトリウムペルオキソ2硫酸塩、過酸化水素、有機過酸化物、たとえば第三ブチルヒドロペルオキシドがあげられる。
【0081】
レドックス開始剤系も適切である。これらのシステムは、酸化剤、例えば上に記述されたタイプの開始剤、および少なくとも1つの通常無機物質である還元剤から成る。還元剤の例としては、例えば、亜硫酸のアルカリ金属塩(例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、2亜硫酸酸のアルカリ金属塩(たとえば2亜硫酸ナトリウム)、脂肪族アルデヒドおよびケトンの亜硫酸水素塩付加化合物(たとえばアセトン亜硫酸水素塩)、あるいはヒドロキシメタンスルフィン酸およびその塩類あるいはアスコルビン酸のような還元剤が挙げられる。還元剤および酸化剤成分は、個々のそのような成分の混合物であることができ、たとえば、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムと2亜硫酸ナトリウムの混合物は、還元成分になりえる。
【0082】
レドックス開始剤系はさらに1を超える原子価状態で金属が存在する1以上の可溶性の金属化合物を含むことができる。
【0083】
レドックス開始剤系の非制限的な例は、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキソ2硫酸ナトリウム、ターシャリ−ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム塩、ターシャリ−ブチルヒドロペルオキシド/ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムを含む。
【0084】
開始剤成分は典型的に水溶液の形で提供され、媒体流体(つまり水)の重量に基づいて、活性成分の約0.1から約30%(w/w)、一般に約0.5から20%(w/w)、典型的には約1から10%(w/w)までで提供される。
【0085】
重合されるモノマーに基づいて、0.1から10%(w/w)までの範囲、一般に0.5〜5%(w/w)量の開始剤の開始剤溶液が加えられる。
【0086】
望まれる場合、分子量調節剤(たとえば連鎖移動剤)も使用することができる。そのような物質は典型的には高々約0.8phmで存在する。一般に使用される分子量調節剤は典型的にはチオール基を含み、例えば第三ブチルメルカプタン、エチルアクリロイルチオグリコレート、メルカプトエチノール、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、およびターシャリードデシルメルカプタンが挙げられる。
【0087】
重合媒体は好ましくは水であり、重合は30℃から90℃、一般には50℃から90℃、典型的には60℃から80℃で行われる。
【0088】
重合はバッチ操作として、あるいは複数のステージを含むかまたは傾斜法のフィードプロセスで行うことができる。フィードプロセスでは、重合バッチの一部が最初に添加され重合温度に加熱され、重合は始められる。そしてその後、重合バッチの残りが、典型的には空間的に隔てられた複数のフィードであって、1以上がモノマーを純粋あるいは乳化された形式で含むものが、重合ゾーンに連続的に、段階的に、あるいは濃度勾配のスーパーインポーズで加えられる。
【0089】
個々の成分はリアクターの頂部、横、あるいは底からリアクターに供給することができる。
【0090】
所望であれば、種ポリマーは、粒度のよりよいコントロールのために提供されるかまたはその場で生成することができる。
【0091】
開始剤システムは重合容器へ全量投入されるかまたは開始剤システムの化学的性質および重合温度によって、エマルジョン重合の間にその消費に応じて連続的にあるいは段階的に加えられる。投入されたモノマーの80−95%が転化された後、つまり重合した後、開始剤の補足アリコートを転化を完了させるために添加することができる。
【0092】
乳化重合方法の結果はポリマーの水性分散液を与え、一般に固形分は約15から約75%(w/w)まで、好ましくは約20から約70%(w/w)まで、最適には25から65%(w/w)である。固形分を一般に最大限にすることは望ましく、これはポリモーダルな粒度分布によって促進することができる。第2またはひき続く粒度は、種ポリマーの導入によって、超過の乳化剤を加えることによって、あるいはミニエマルジョンを加えることにより生成することができる。
【0093】
このように調製されたポリマーは、その水性分散液の形で使用することができるか、あるいは回収されさらに処理することができる。
【0094】
多くの疎水性モノマーが水に不溶性であり、それらは従来のエマルジョン重合方法によっては容易に重合することができない。これは、主として成長している高分子微粒子の中へ水性のミセルから容易にモノマー分子が拡散しないためである。そのような場合、記載されたエマルジョン重合は、いわゆるミニエマルション技術を補足するか、あるいは完全または部分的にミニエマルション技術と置換され、機械的な均質化が適当なサイズにされたマイクロ小滴内へ疎水性の水不溶性のモノマーをプレ乳化するために使用される。プレ−乳化は、モノマー、水および界面活性剤の混合物を均質化ユニットで高い剪断力にさらすことにより達成される。
【0095】
その後、プレ−乳化された混合物は重合反応器に投入され、開始剤がゆっくりと加えられる。重合が、(従来のエマルジョン重合での場合のように)個別のミセルの中でではなく、モノマー小滴内で典型的には生じる。
【0096】
前記の重合方法で使用されたモノマーが非常に疎水性であるので、個別の疎水性材料(オストワルド熟成を低減するために使用された)は典型的に省略することができる。結果として生じる粒度は、幾分低い分子量に結びつく従来のエマルジョン重合からのものより通常大きい。
【0097】
この技術についての詳細は、F.J.Schork et al.,”Miniemulsion Polymerization,”adv.Polym.Sci.,vol.175,pp.129−255(2005,Springer−Verlag)および/または米国特許第6,242,531および6,784,246、並びにそれらにおいて引用された文献を参照されたい。
【0098】
一般的な式(IV)あるいは(VII)の化合物の重合に起因するポリマーは、一般式(I−a)によって定義された多数の側鎖を備えた炭化水素バックボーンを有する。一般式(IV)の化合物の重合は、ホモ−またはインターポリマーであって、EがXであり、Zが−EC(X)NH−である一般式(I−a)を有するペンダント基を有するものに帰着することができ、一般式(VII)の化合物の重合は、ホモ−またはインターポリマーであって、EがXであり、Zが−NHC(X)E−である一般式(I−a)を有するペンダント基を有するものに帰着することができる。
【0099】
一般式(VIII)あるいは(X)−型化合物の重合で得られるポリマーは、プロセス2および3に関する記述において述べられたような側鎖を備えた炭化水素バックボーンを有する。(前のパラグラフ中のZの記述は、一般式(X)の化合物の重合生成物に等しく適用可能である。)
【0100】
各々の一般式(IV)、(VII)、(VIII)または(X)の化合物の重合は、ホモ重合でありえるか、または2つ以上のそのような化合物を含むことができるか、または1つ以上のコモノマーを含むことができる。エマルジョン重合に参加することができ、ラジカル開始ができるエチレン性不飽和化合物が好ましい。非制限的な例として、ポリエン、特に共役ジエンおよびビニル化合物、特には(メタ)アクリレートおよびそれらの誘導体が挙げられる。本発明の剥離ポリマーのマーの(モル)パーセンテージは、少なくとも33%、一般に少なくとも50%、55%、60%、あるいは65%、一般には少なくとも67%あるいは70%、そして典型的に少なくとも75%以上である。本発明の剥離ポリマーのマーの(モル)パーセンテージは、しばしば少なくとも80%、85%、90%あるいは95%である。
【0101】
得られるポリマーの分子量は、上に記述されたPVOH(PVODCの製造の中で使用された)のものに似ていることが好適である、つまり、一般に、Mwが約125±75kg/mol、一般に、Mwが約125±50kg/mol、そして典型的にはMwが約125±25kg/molである。
【0102】
これらのポリマーのVOC含有量は、一般に5ppm未満、より一般に3ppm未満、より一般的には2ppm未満、典型的に1ppm未満であり、多くの実施態様ではポリマーはVOCフリーである。
【0103】
有利には、本発明のポリマーおよび本発明のプロセスの重合体生成物は、同様に他の水性の剥離ポリマー(例えばポリシロキサン)と同様に処理され、水性のPVODCに使用することができる。従って、それらは様々な基体、たとえば種々の紙、箔およびポリマーフィルムに、多くの他の剥離ポリマーおよびPVODCで使用されるものに非常に似ている利用条件、塗り厚、被膜形成速度などで適用することができる
【0104】
本発明の様々な実施態様が提供されているが、それらは制限ではなく例として示される。それらが妨げていないか非互換性でない限り、実現可能な程度まで、上にそれぞれ別個に記述された特徴と実施態様は他の特徴および実施態様と組み合わせることができる。
【0105】
上記の説明、あるいは続く例の中で参考文献として載せられた任意のドキュメントの適切な部分は、参照され本明細書に組込まれる。
【0106】
以下の非制限的な例となる実施例は、本発明の実行に役立つ詳細な条件および物質を読者に提供する。
【0107】
実施例
もし特定の源が示されなければ、次の例の中で使用される化学薬品はすべて、一般的な化学製品供給業者(例えばシグマ−アルドリッチ社(セントルイス、ミズーリ)から利用可能である。
【0108】
例1:
プロセスlb反応
165.0gのオクタデカノールを投入した後に、1リットルのリアクターは、約60℃に加熱された。オクタデカノールは、R
3=C
18アルキル基およびE=Oの一般式(VI)の化合物である。
【0109】
アルコールの融解の後に、リアクターを約67℃に維持しつつ、95.0gのイソシアナトエチルメタクリレートが約60分の間にゆっくり加えられた。イソシアナトエチルメタクリレートは、R
1=メチル基、各X=OおよびR
2=C
2アルキレン基である一般式(VII)の化合物である。
水浴を約67℃に維持しつつ、リアクターの内容物は約2時間撹拌された。
反応容器は水浴から取り除かれた。また、リアクターの内容物はジャーに注がれた。この反応の生成物は、N−メタアクリロイルエチルオクタデシルカルバメートであり、これはR
1=メチル基、各X=O、R
2=C
2アルキレン基、E=OおよびR
3=C
18アルキル基である一般式(VII)の化合物である。
【0110】
例2:
比較例、プロセスlbタイプの反応
例1のプロセスはオクタデカノールの代わりにオレイルアルコールを用いて、本質的に繰り返された。シス−9−オクタデセン−l−オルとして知られているオレイルアルコールは、R
3=C
18アルケニル基およびE=Oである一般式(VI)の化合物である。
この反応の生成物はN−メタアクリロキシエチルオレイルカルバメートでありR
1=メチル基、各X=O、R
2=C
2アルキレン基、E=OおよびR
3=C
18アルケニル基である一般式(VII)の化合物に類似する化合物である。R
3基の中の不飽和は、実施例1の生成物からの飽和しているR
3基に関する接近した比較例を提供する。
【0111】
例3:
プロセスla反応
295.5gのオクタデシルイソシアネートを投入した後に、1リットルのリアクターは、約50℃に加熱された。オクタデシルイソシアネートは、R
3=C
18アルキル基およびX=Oである一般式(II)の化合物である。
イソシアネートがリアクター内で溶融状態に維持されつつ、DABCO(登録商標)T−120ジブチルチンジラウリルメルカプチド触媒(Air Products and Chemicals Inc.;Allentown,Pennsylvania)2滴を連続して加え、約30分の間に渡り116.0gのヒドロキシエチルアクリレートを加えた。ヒドロキシエチルアクリレートは、R
1=H、各X=O、E=OおよびR
2=C
2アルキレン基である一般式(III)の化合物である。
水浴は約77℃に上げられた。また、リアクターの内容物は約1時間撹拌された。
反応容器は水浴から取り除かれた。また、リアクターの内容物はジャーに注がれた。
この反応の生成物は、N−オクタデシルアクリロキシエチルカルバメートであり、R
1=H、各X=O、E=O、R
2=C
2アルキレン基およびR
3=C
18アルキル基である一般式(IV)の化合物である。
【0112】
例4:
プロセス3反応
約296gのオクタデシルイソシアネートを含む1リットルのリアクターは、イソシアネートを溶かすように約50℃に加熱された。リアクターに、DABCO(登録商標)T−120ジブチルチンジラウリルメルカプチド触媒2滴を加え、約30分の間に渡りブタンジオールビニルエーテル約120gをゆっくりと加えた。生成物が約60分間の撹拌中に凝固しないようにするために、温度は約85℃に上げられた。
この反応の生成物はN−オクタデシル−O−1,4−ビニルオキシブトキシカルバメートであり、R
1=H、n=1、X=O、R
7=C
4アルキレン基、R
3=C
18アルキル基およびZは二価カルボニルを含む基であって、さらにカルボニル部分のC原子に結合した2つの追加のヘテロ原子、具体的にはOおよびN原子を含む、一般式(XI)の化合物である。
【0113】
例5−11:
コ−ポリマーおよび剥離塗料としての使用
ホモジナイザーは熱い脱イオン水であらかじめ熱せられ、次に、排水された。ホモジナイザーによって、222gり脱イオン水、7.4gのDISPONIL(登録商標)AFX 4070非イオン性界面活性剤(BASF社;Florham Park,NJ)、12.0gのTOMADOL(登録商標)25−9非イオン性界面活性剤(Air Products)、0.2gのn−ドデシルメルカプタン、12.0、50%のアクリルアミド水溶液、および反応物の次のセットのうちの1つを混合した。
【0115】
* SARTOMER(登録商標)SR611アクリレート(Sartomer Americas; Exton、Pennsylvania)
【0116】
それぞれの混合物は70℃で、少なくとも10分間、約34.5のMPa(5000psi)で撹拌され、リアクターへ投入され、窒素バブリング下、70℃−75℃で約30分間保持した。
各反応液に、30.6gの脱イオン水中の3.4gの過硫酸ナトリウムの溶液が加えられ、得られた混合物が約3時間約70℃で維持された。
リアクターは約50℃未満に冷却され、内容物のそれぞれのセットが回収され、25のμmのバッグによってろ過され、個別の収集ジャーの中へ入れた。
剥離物質の各々の一部が、約133,000ダルトンのMwおよび約62.5℃の中点Tgを有するPVODC(比較例11)と同様に、0.051mm(2ミル)の厚さを持っているPETフィルムに適用された。その後、これらの被覆フィルムは3つの異なる巻かれたマスキングテープの接着剤面にラミネートされた:
【0117】
3M 234 − 溶剤系の天然ゴム接着剤(3M;St.Paul、Minnesota)、
CP 27 − 水性のアクリル接着剤(Shurtape;Hickory,N.Carolina)、
PG 500 − ホットメルトベースの接着剤(Intertape Polymer Group;Marysville,Michigan)。
【0118】
被覆されたテストフィルム(テープラミネート)は、直後(初期剥離)、および60%の相対湿度および65℃の一定温度で約16時間エージングした後(エージング後)でテストされた。
巻きテープは幅約2.54cm(1インチ)および長さ約12cm(5インチ)の片に切断され、テスト片の剥離面に2.54cm幅の接着剤がダブルコートされた紙テープを、熱を使用しないでラミネートした。取り付けられたテスト片は、約0.005m/秒(1フィート/分)の速さで回転する2kgのゴムローラーを備えたプラテン上で2度巻かれた。
【0119】
それぞれのテストフィルムはそれぞれ、感圧テープカウンセルの感圧テープピール接着強度測定方法(Pressure Sensitive Tape Council’s Peel Adhesion of Pressure Sensitive Tape methodologies)(PSTC−101、rev、05−2007)試験方法A(180度ピール接着強度)およびF(90度ピール接着強度)を使用して評価された。結果として得られた剥離試験値は、特定の角度および速度で与えられた剥離物質のコーティングから柔軟な接着テープを取り除くのに必要な力の定量的測定値である。
【0120】
以下に101−Aと呼ばれるテストでは、接着テープの片は、180度の角度および0.005m/秒(1フィート/分)の速度で剥離物質で被覆された材料から引かれた。剥離塗料から接着剤を取り除くのに必要な力は、5秒のデータ収集期間で測定された。
【0121】
以下に101Fと呼ばれるテストでは、接着テープの片は、90度の角度および0.255m/秒(50フィート/分)の速度で剥離物質で被覆された材料から引かれた。剥離塗料から接着剤を取り除くのに必要な力は、5秒のデータ収集期間で測定された。
剥離塗料はそれぞれさらに、タックローリングボール(Tack Rolling Ball)(PSTC−6 test method,rev.10−2003)を使用して評価された。
各タイプのテープサンプルの先のテストの結果は、次の3つの表の中で要約される。
【0125】
表1−3は興味深い多くを含んでいるが、特に2つの傾向について述べる。
例8および10のエージングされた例は、比較例5−7のものよりはるかによく、PVODC(例11)に非常に匹敵する。
さらに、例8および9(特に剥離試験結果)のデータの比較は、R
3が長鎖アルキル基であり、不飽和を含んでいないことの重要性を示す。
【0126】
例12−13:
ポリウレタン塗料に対する比較
様々な変性されたポリウレタンは特にLABの剥離ポリマー成分として、様々なテープ用途での剥離性を提供すると知られている;例えば米国特許番号3,997,702および5,750,630を参照。ポリウレタンに基づいた剥離コーティングの塗布と硬化の間にVOCの放出はほとんど無いか全くない。
上記の例10で使用されたものに似ているポリマーを使用するコーティングの剥離性能(例12)が、変性ポリウレタンRA−15W(Hitac Adhesives and Coatings;Venice,California)のためのものと比較された。
後者は、PVODCに基づいたコーティングのものに非常に似ている剥離性があるコーティングを提供するとされている。
【0127】
各タイプの剥離ポリマーの一部分はクレープ紙上に塗布された。
溶剤ベースの天然ゴム接着剤であるPG 24の巻かれたテープ(Intertape Polymer Group)の約2.5cm x 約12.5cm(1インチの幅x 5インチの長さ)の片は、各剥離剤が塗布された紙にラミネートされた。
それぞれのラミネートされたサンプルは、試験の前に65℃の熱風乾燥機中で約20時間コンディショニングされた。
【0128】
試験サンプルは、前記のPSTC−101の方法Fを使用して評価された:
速度1:0.254m/秒(50フィート/分)および速度2:0.508m/秒(100フィート/分)。
さらに、変化されたテスト(0.508m秒(100フィート/分の速度での135度の剥離角)は、さらに同じセットアップおよび状態で行なわれた。
下記の表4の中の実施例12の値は2回の平均である。その一方で変性ポリウレタン(比較例13)用のものは1回の評価である。
【0130】
エージングされた剥離塗料の剥離試験では、実施例12の性能は、はるかに比較例13の性能を凌駕した。
【0131】
例14−16:
シリコーンベースのコーティングに対する比較
ポリシロキサンベースの剥離塗料は、特にラベル用剥離ライナーとして、広く使用される。これらのいわゆるシリコーンポリマーは、他のいくつかの剥離塗料オプションの前述のVOC問題を回避して、水性コーティング機構によって提供することができ、剥離の最も容易な(つまり、最も高い)レベルを提供すると一般に見なされている。そのようなシステムについての追加の詳細は、興味を持っていた読者は様々な出版物、たとえばG.V.Gordon et al,”Silicone Release Coatings:A Closer Look at Release Mechanisms,” Dow Corning Corp.brochure(1998),www.dowcorning.com/content/publishedlit/26−016.pdf からダウンロード可能を参照されたい。
実施例10で使用されるものに似ているポリマーを使用するコーティング(実施例14)の剥離性能を、2つの異なるシリコーンベースの剥離塗料と比較した。
【0132】
例15 −Chemsultants International (Mentor, Ohio)から入手可能な標準試料、および、
例16 − 自己接着性の用途で使用される剥離ライナー。
各タイプの剥離ポリマーの一部分はスーパーカレンダーにかけられたクラフト紙上に塗布された。
NovaCryl(登録商標)PS−R 300のアクリルの除去可能なPSA (OMNOVA Solutions;Beachwood,Ohio)で被覆されたPETフィルムの約2.5cm x 約12.5cm(1インチの幅x5インチの長さ)の片が、各剥離剤がコーティングされた紙にラミネートされた。それぞれのラミネートされたサンプルは、65℃、60%の相対湿度のチャンバー内で約170時間(7日)コンディショニングされた後に試験された。
【0133】
例5−11において上に述べられたように、テストフィルムはそれぞれ、感圧テープカウンセルの感圧テープピール接着強度測定方法(Pressure Sensitive Tape Council’s Peel Adhesion of Pressure Sensitive Tape methodologies)(PSTC−101、rev、05−2007)試験方法A(180度ピール接着強度)およびF(90度ピール接着強度)を使用して評価された。
結果は、以下の表5に要約される、実施例14の値は3回の平均であり、シリコーンベースの生成物(比較例15および16)のものは、1回の評価である。
【0135】
シリコーンベースの剥離塗料(例15−16)は、明白に両方のテストにおいてアクリルのPSAと比較して最も容易な剥離(つまり剥離の最高水準)を示した。しかしながら、例14によって提供される剥離のレベルは「タイト(tight)」と考えられる剥離の範囲内にある。
【0136】
たとえば実施例14の剥離塗料は、高い温度および湿度でのエージングの後でさえ、受理可能な剥離性を提供することができ、ポリシロキサンなしの剥離塗料を要求する多くの商業用途には受理可能であると考えられるだろう。
【手続補正書】
【提出日】2016年12月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の側鎖を含む少なくとも67モルパーセントのマーユニットを含む剥離ポリマー、
(1)少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位を含み、該少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位の1つの部位のC原子が2つの追加のヘテロ原子に結合し、該追加のヘテロ原子の1つが窒素原子であり、他方がO、SおよびN原子から選択されるもの、または
(2)式−(X)nR7ZR3によって定義されるもの、
式中、XはOまたはS原子であり、
nは0または1であり、
R3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基であり、
Zは2価の(チオ)カルボニル含有部位であって、該(チオ)カルボニル部位のC原子が2つの追加のヘテロ原子に結合し、該追加のヘテロ原子の1つが窒素原子であり、他方がO、SおよびN原子から選択されるものであり、
R7はフェニルか、C1−C6アルキレン基である、
剥離ポリマーは化学物質用の標準の分析試験手順に供される時0.5ppm未満の揮発性の有機薬品を含む。
【請求項2】
前記側鎖が少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位を含み、前記側鎖が以下の式によって定義される、請求項1記載の剥離ポリマー:
【化1】
式中、XはOまたはS原子であり、
EはXまたはNR’であり、R’はHあるいはC
1−C
6アルキル基であり、
R
2は、低級のアルキル、アリール、アルカリールあるいはアルアルキル基であり、任意にヘテロ原子を含むが、活性水素原子は存在しない、
Zは2価の(チオ)カルボニル含有部位であって、
該(チオ)カルボニル含有部位は(チオ)カルボニル部位のC原子に結合する2つの追加のヘテロ原子を含み、該追加のヘテロ原子の1つが窒素原子であり、他方がO、SおよびN原子から選択されるものであり、
R
3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基である。
【請求項3】
前記側鎖が以下の式のどちらかによって定義される請求項2記載の剥離ポリマー:
【化2】
【請求項4】
前記側鎖が少なくとも2つの(チオ)カルボニル部位を含み、以下の式によって定義される、請求項1記載の剥離ポリマー:
【化3】
式中、XはOまたはS原子であり、
EはXまたはNR’であり、R’はHあるいはC
1−C
6アルキル基であり、
R
3は、長鎖アルキル基あるいは長鎖アルキル基を含むより大きな官能基であり、
R
4は、異なる反応性の2つのイソ(チオ)シアネート基を含む炭化水素化合物基であり、
R
5は任意の結合基であり、
nは0または1である。
【請求項5】
nは1であり、R6は−R2XC(X)−であり、
式中、R2は低級のアルキル、アリール、アルカリールあるいはアルアルキル基であり、任意にヘテロ原子を含むが、活性水素原子は存在しない、請求項4記載の剥離ポリマー。
【請求項6】
前記側鎖が以下の式のどちらかによって定義される請求項1記載の剥離ポリマー:
【化4】
式中、EはXまたはNR’であり、R’はHあるいはC
1−C
6アルキル基である。
【請求項7】
該側鎖が−(X)nR7ZR3、式中、nは0であり、R7はフェニル基またはC1−C3アルキレン基である、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項8】
該側鎖が−(X)nR7ZR3、式中、nは1であり、R7はC1−C3アルキレン基である、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項9】
前記ポリマーが前記側鎖を含む少なくとも75モルパーセントのマーユニットを含む、請求項1記載の剥離ポリマー。
【請求項10】
2つの相対する主表面を有する基体であって、該主表面のひとつは接着剤相を有し、該主表面の他方は請求項1から9のいずれか1項記載の剥離ポリマーを含む剥離剤層を有し、該剥離剤層は該接着剤相に接触している基体を含む物品。
【請求項11】
接着剤を含む物品について剥離剤層を形成するプロセスであって、基体に請求項1から9のいずれか1項記載の剥離ポリマーを含む組成物を塗布することを含むプロセス。
【請求項12】
前記組成物が0.05ppm未満の揮発性の有機薬品を含むことを特徴とする請求項11記載のプロセス。
【国際調査報告】